本技術の特定の実施例の以下の説明文は、その範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本技術の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、実例として、本技術を実施する上で想到される最良の態様の1つである以下の説明により、当業者には明らかとなるであろう。理解されるように、本明細書に記載された技術は、いずれもその技術から逸脱することなく、その他の異なる、かつ明らかな態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものと見なされるべきである。
I.例示的な円形ステープル留め外科用機器の概要
図1~図2は、患者の消化管の一部位のような解剖学的内腔の2つの断面どうしの間で、その端々吻合を提供するために用いられ得る、例示的な外科用の円形ステープリング機器(10)を描いている。本例の器具(10)は、ハンドル組立体(100)、シャフト組立体(200)、ステープル留めヘッド組立体(300)、アンビル(400)を備える。ハンドル組立体(100)は、斜めに向けられたピストルグリップ(112)を画定する、ケーシング(110)を備える。一部の形態では、ピストルグリップ(112)は、垂直方向に向けられている。別の一部の形態では、ピストルグリップ(112)は省略されている。ハンドル組立体(110)は、以下に詳述するように、移動可能なインジケータ針(526)を視ることを可能にする窓部(114)を更に含む。一部の形態では、一連の符号、着色領域、及び/又はその他の固定インジケータが窓部(114)に隣接して位置して、インジケータ針(526)に対する視覚的背景を提供し、それによって、窓部(114)内で針(526)がどの位置にいるのかを操作者が評価するのを容易にしている。本明細書の教示を鑑みると、当業者には、ハンドル組立体(112)の様々な好適な代替的な特徴及び構成が、明らかであろう。
本例の器具(10)は、バッテリパック(120)を更に含む。バッテリパック(120)は、後で詳しく説明するように、ピストルグリップ(112)内のモータ(160)に、電力を供給するように動作可能である。バッテリパック(120)は、ハンドル組立体(100)から取り外し可能である。特に、図1~2に示すように、バッテリパック(120)は、ケーシング(110)によって画定されるソケット(116)の中に挿入され得る。バッテリパック(120)がソケット(116)内に完全に挿入された後、バッテリパック(120)のラッチ(122)が弾性的にケーシング(110)の内側形成部に係合して、スナップ嵌めされ得る。バッテリパック(120)を取り外すには、操作者はラッチ(122)を内側に押し込んでラッチ(122)とケーシング(110)の内側特徴部との係合を解除した後、バッテリパック(120)をソケット(116)から近位方向に引き抜くことで実現し得る。なお、バッテリパック(120)及びハンドル組立体(100)は、補足的な電気的接点、ピン及びソケット、並びに/又は、バッテリパック(120)がソケット(116)内に挿入された場合に、バッテリパック(120)からハンドル組立体(100)内の電動部品への電気的通信用の経路を提供するその他の特徴部を有し得るということが理解されるはずである。また、一部の形態では、バッテリパック(120)がハンドル組立体(100)から取り外し不可能なように、バッテリパック(120)はハンドル組立体(100)に一体的に統合されるということも理解されたい。
シャフト組立体(200)は、ハンドル組立体(100)から遠位方向に延在し、予め形成された曲がり部を含む。一部の形態では、予め形成された曲がり部は、患者の大腸内にステープル留めヘッド組立体(300)を位置づけるのを容易にするように構成されている。本明細書の教示を鑑みると、採用可能な様々な、好適な曲がり角度又は曲率半径が当業者には明らかであろう。一部の他の形態では、シャフト組立体(200)は真っ直ぐであり、シャフト組立体(200)には、予め形成された曲がり部が存在しない。様々な例示的な構成部品が、シャフト組立体(100)に統合され得るが、それについては後で詳しく説明する。
ステープル留めヘッド組立体(300)が、シャフト組立体(200)の遠位端に配置される。図1~2に示すように、また、後で詳しく説明するように、アンビル(400)は、ステープル留めヘッド組立体(300)に隣接して、シャフト組立体(200)に取り外し可能に結合するように構成される。また、後で詳しく説明するように、アンビル(400)及びステープル留めヘッド組立体(300)は、3とおりに協働して組織を操作するように構成されているが、それには、組織を挟むこと、組織を切断すること、及び組織をステープル留めすることが含まれる。ハンドル組立体(100)の近位端に設けられたノブ(130)は、ケーシング(110)に対して回転可能であり、アンビル(400)とステープル留めヘッド組立体(300)との間で、組織を正確に挟むことができるようになっている。ハンドル組立体(100)の安全トリガー(140)が、ハンドル組立体(100)の発射トリガー(150)から遠ざかるように枢動した場合、発射トリガー(150)は、組織が切断されステープル留めされるように作動され得る。
A.例示的なアンビル
アンビル(400)についての以後の議論では、「遠位」及び「近位」という用語(並びにそれらのバリエーション)は、アンビル(400)が器具(10)のシャフト組立体(200)に連結された場合のアンビル(400)の向きを指して用いられる。したがって、アンビル(400)の近位側特徴部は、器具(10)の操作者により近い側にある一方で、アンビル(400)の遠位側特徴部は、器具(10)の操作者により遠い側にある。
図3~5に最もよく示されるように、本例のアンビル(400)は、ヘッド(410)及び柄(420)を備える。ヘッド(410)は、複数のステープル成形ポケット(414)を画定する近位表面(412)を含む。ステープル成形ポケット(414)は、同心の2列の環状アレイ状に配置される。一部の他の形態では、ステープル成形ポケット(414)は、同心の3列又はそれより多くの列の環状アレイ状に配置される。ステープル成形ポケット(414)は、ステープルがステープル成形ポケット(414)内に駆動されるにつれてステープルを変形させるように構成されている。例えば、各ステープル成形ポケット(414)は、当該技術分野では既知のように、概ねU字形状のステープルを、B字形状に変形し得る。図4に最もよく示されるように、近位表面(412)は内縁部(416)で終焉し、それによって柄(420)の周りを囲む環状凹部(418)の外側の境界線が画定される。
柄(420)は穴(422)を画定し、穴(422)内に位置する一対のラッチ部材(430)を含む。図5に最もよく示されるように、各ラッチ部材(430)は、T字形状の遠位端(432)と、丸みのある近位端(434)と、近位端(434)の遠位側に位置するラッチシェルフ(436)とを含む。T字形状の遠位端(432)が、ラッチ部材(430)を穴(422)内に取り付ける。ラッチ部材(430)は、遠位端(434)が、柄(420)の側壁を貫通して形成される横方向開口部(424)の近位端に位置づけられるように穴(422)内に位置する。このようにして横方向開口部(424)は、遠位端(434)とラッチシェルフ(436)に対して、柄(420)によって画定される長手方向軸線から、径方向外側に反ることができるようにするクリアランスを提供する。しかしながら、ラッチ部材(430)は、遠位端(434)とラッチシェルフ(436)とを径方向内側に、柄(420)によって画定される長手方向軸線に向かって弾性的に付勢するように構成されている。このようにしてラッチ部材(430)は、保持クリップとして動作する。このことにより、後で詳しく説明するように、ステープル留めヘッド組立体(300)のトロカール(330)に、アンビル(400)が取り外し可能に取り付けられるのが可能とされる。しかしながら、ラッチ部材(436)は、任意で設けられるものにすぎないということが理解されるはずである。アンビル(400)は、他の任意の好適な構成部品、特徴部、又は技法を用いて、トロカール(330)に取り外し可能に取り付けられ得る。
前述のものに加えて又はその代わりに、アンビル(400)は、開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,205,459号、同第5,271,544号、同第5,275,322号、同第5,285,945号、同第5,292,053号、同第5,333,773号、同第5,350,104号、同第5,533,661号、及び/又は同第8,910,847号の教示の少なくとも一部に従って更に構築され、かつ動作可能であってもよい。更に他の好適な構成については、本明細書の教示を鑑みると、当業者には明らかであろう。
B.例示的なステープル留めヘッド組立体
図6~7に最もよく示されるように、本例のステープル留めヘッド組立体(300)は、シャフト組立体(200)の遠位端に結合され、かつスライド可能なステープル駆動部材(350)を収容する、管状ケーシング(310)を備える。円筒状内側芯部材(312)が、管状ケーシング(310)内を遠位方向に延在している。管状ケーシング(310)は、管状ケーシング(310)がステープル留めヘッド組立体(300)にとって機械的土台として機能するように、シャフト組立体(200)の外部シース(210)に固定的に取り付けられている。
トロカール(330)は、管状ケーシング(310)の内側芯部材(312)に同軸的に位置づけられている。後で詳しく説明するように、トロカール(330)は、ノブ(130)がハンドル組立体(100)のケーシング(110)に対して回転するのに反応して管状ケーシング(310)に対して遠位側及び近位側に移動動作可能になっている。トロカール(330)は、シャフト(332)とヘッド(334)とを備える。ヘッド(334)は、尖形状の先端部(336)と、内側向きに延在する近位表面(338)とを含む。したがって、シャフト(332)は、ヘッド(334)のちょうど近位側で外径が小さくなっていて、表面(338)が、シャフト(332)のその小さくなった外径部分とヘッド(334)の外径との間の移行部を提供する。本例では、先端部(336)が尖形状であるが、先端部(336)は鋭利ではない。したがって、先端部(336)は、組織との不注意な接触による組織への外傷を容易には引き起こさない。ヘッド(334)、及びシャフト(332)の遠位部分は、アンビル(420)の穴(422)に挿入されるように構成されている。近位表面(338)とラッチシェルフ(436)とは、アンビル(400)の柄(420)がトロカール(330)上に完全に着座した場合に、ラッチシェルフ(436)が近位表面(338)に係合するような、補完的な位置と構成とを有する。したがって、アンビル(400)は、ラッチ部材(430)によるスナップ嵌めを介して、トロカール(330)に取り付けられる。
ステープル駆動部材(350)は、後で詳しく説明するように、モータ(160)の作動に反応して、管状ケーシング(310)内で長手方向に作動するよう動作可能になっている。ステープル駆動部材(350)は、遠位方向に向けられた、ステープルドライバー(352)の2列の同心環状アレイを含む。ステープルドライバー(352)は、上述のステープル成形ポケット(414)の配置に対応するように配置されている。したがって、各ステープルドライバー(352)は、ステープル留めヘッド組立体(300)が作動されると、対応するステープルを対応するステープル成形ポケット(414)の中に駆動するように構成されている。上述のように、ステープルドライバー(352)の配置は、ステープル成形ポケット(414)とちょうど同じように修正し得るということが理解されるはずである。ステープル駆動部材(350)はまた、管状ケーシング(310)の芯部材(312)を同軸的に受容するように構成されている穴(354)を画定する。スタッド(356)の環状アレイが、穴(354)を取り囲む遠位方向に向けられた表面から遠位側に突き出している。
円筒状ナイフ部材(340)が、ステープル駆動部材(350)内に、同軸的に位置づけられている。ナイフ部材(340)は、遠位方向に向けられた、鋭利な円形切断縁部(342)を含む。ナイフ部材(340)は、ステープルドライバー(352)の内側の環状アレイにより画定される直径よりも小さい外径を、ナイフ部材(340)が画定するようなサイズになっている。ナイフ部材(340)はまた、管状ケーシング(310)の芯部材(312)を同軸的に受容するように構成されている開口部を画定する。ナイフ部材(340)に形成された開口部(346)の環状アレイは、ステープル駆動部材(350)のスタッド(356)の環状アレイを補完するように構成され、ナイフ部材(340)が、スタッド(356)と開口部(346)とを介してステープル駆動部材(350)に固定的に取り付けられるようになっている。ナイフ部材(340)とステープル駆動部材(350)との間の、他の好適な構造的関係については、本明細書の教示を鑑みると、当業者には明らかであろう。
デッキ部材(320)が、管状ケーシング(310)に固定的に取り付けられている。デッキ部材(320)は、ステープル開口部(324)の2列の同心環状アレイを画定する、遠位方向に向けられたデッキ表面(322)を含む。ステープル開口部(324)は、上述のステープルドライバー(352)とステープル成形ポケット(414)との配置に対応するように配置されている。このように、各ステープル開口部(324)は、ステープル留めヘッド組立体(300)が作動された場合に、対応するステープルドライバー(352)が対応するステープルを、デッキ部材(320)を通して、対応するステープル成形ポケット(414)の中に駆動する経路を提供するように構成されている。上述のように、ステープル開口部(322)の配置は、ステープル成形ポケット(414)の配置とちょうど同じように修正し得るということを理解されたい。また、ステープル留めヘッド組立体(300)が作動される前に、ステープルをステープル留めヘッド組立体(300)に装填するために、様々な構造及び技法が用いられ得るということも理解されたい。ステープルをステープル留めヘッド組立体(300)内に装填するために用いられ得るそのような構造及び技法は、ステープル留めヘッド組立体(300)が作動される前に、意図に反してステープルが、ステープル開口部(324)を通して脱落するのを防ぎ得る。このような構造及び技法が取り得る様々な好適な形態については、本明細書の教示を鑑みると、当業者には明らかであろう。
図6に最もよく示されるように、ナイフ部材(340)が画定する外径よりも、ちょうどわずかに大きい内径を、デッキ部材(320)は画定する。かくしてデッキ部材(320)は、ナイフ部材(340)が遠位方向に、切断縁部(342)がデッキ表面(322)の遠位側に位置する点まで移動するのを可能にするように構成されている。
前述のものに加えて又はその代わりに、ステープル留めヘッド組立体(300)は、開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,205,459号、同第5,271,544号、同第5,275,322号、同第5,285,945号、同第5,292,053号、同第5,333,773号、同第5,350,104号、同第5,533,661号、及び/又は同第8,910,847号の教示の少なくとも一部に従って更に構築され、かつ動作可能であってもよい。更に他の好適な構成については、本明細書の教示を鑑みると、当業者には明らかであろう。
C.代表的なシャフト組立体
図8は、シャフト組立体(200)の様々な構成部品を示し、このシャフト組立体(200)は、ステープル留めヘッド組立体(300)の構成部品を、ハンドル組立体(100)の構成部品に連結するものである。特に、かつ上に記したように、シャフト組立体(200)は、ハンドル組立体(100)と管状ケーシング(310)との間に延在する外部シース(210)を含む。本例では、外部シース(210)は剛性があり、かつ上に記したように、予め形成された、湾曲区域を含む。
シャフト組立体(200)は、トロカール作動ロッド(220)とトロカール作動バンド組立体(230)とを更に含む。トロカール作動バンド組立体(230)の遠位端は、トロカールシャフト(332)の近位端に固定的に取り付けられている。トロカール作動バンド組立体(230)の近位端は、トロカール作動ロッド(220)の遠位端に固定的に取り付けられている。したがって、トロカール作動バンド組立体(230)とトロカール作動ロッド(220)とが外部シース(210)に対して移動するのに反応して、トロカール(330)が長手方向に外部シース(210)に対して移動するということが理解されるはずである。トロカール作動バンド組立体(230)は、トロカール作動バンド組立体(230)が、長手方向に、外部シース(210)に対して移動させられるにつれて、トロカール作動バンド組立体(230)が、シャフト組立体(200)内の予め形成された曲がり部に沿って動き得るように曲がって構成されている。しかしながら、トロカール作動バンド組立体(230)は、遠位方向及び近位方向の力を、トロカール作動ロッド(220)からトロカールシャフト(332)に伝えるのに十分な柱強度と引っ張り強さとを有する。トロカール作動ロッド(220)は剛性を有するものである。クリップ(222)は、トロカール作動ロッド(220)に固定的に取り付けられており、かつ、クリップ(222)は、トロカール作動ロッド(220)がハンドル組立体(100)内で長手方向に移動するのを可能に維持している一方で、ハンドル組立体(100)内の補完的特徴部と協働して、トロカール作動ロッド(220)がハンドル組立体(100)内で回転するのを防止するように構成されている。トロカール作動ロッド(220)は、並目螺旋ねじ山(224)と細目螺旋ねじ山(226)とを更に含む。トロカール作動ロッド(220)の動きに関する詳細については、後で詳述する。
シャフト組立体(200)は、外部シース(210)内に、スライド可能に受容されるステープル留めヘッド組立体ドライバー(240)を更に含む。ステープル留めヘッド組立体ドライバー(240)の遠位端は、ステープル駆動部材(350)の近位端に固定的に取り付けられている。ステープル留めヘッド組立体ドライバー(240)の近位端は、ピン(242)を介して駆動ブラケット(250)に取り付けられている。したがって、ステープル留めヘッド組立体ドライバー(240)と駆動ブラケット(250)とが外部シース(210)に対して移動するのに反応して、ステープル駆動部材(350)が長手方向に、外部シース(210)に対して移動するということを理解されたい。ステープル留めヘッド組立体ドライバー(240)は、ステープル留めヘッド組立体ドライバー(240)が長手方向に、外部シース(210)に対して移動するにつれて、ステープル留めヘッド組立体ドライバー(240)が、シャフト組立体(200)内の予め形成された曲がり部に沿って動き得るように曲がって構成されている。しかしながら、ステープル留めヘッド組立体ドライバー(240)は、遠位方向の力を、駆動ブラケット(250)からステープル駆動部材(350)に伝えるのに十分な柱強度を有する。駆動ブラケット(250)の動きに関する詳細については、後で詳述する。
図8には示されていないが、シャフト組立体(200)が、外部シース(210)内に、1つ以上のスペーサ要素を更に含み得るということが理解されるはずである。そのようなスペーサ要素は、トロカール作動バンド組立体(230)及び/又はステープル留めヘッド組立体ドライバー(240)が外部シース(210)を通って移動する間、トロカール作動バンド組立体(230)及び/又はステープル留めヘッド組立体ドライバー(240)を支持するように構成され得る。例えば、そのようなスペーサ要素は、トロカール作動バンド組立体(230)及び/又はステープル留めヘッド組立体ドライバー(240)が外部シース(210)を通って移動する間、トロカール作動バンド組立体(230)及び/又はステープル留めヘッド組立体ドライバー(240)が、歪むのを防止し得る。そのようなスペーサ要素が取り得る様々な好適な形態については、本明細書の教示を鑑みると、当業者には明らかであろう。
前述のものに加えて又はその代わりに、シャフト組立体(200)は、開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,205,459号、同第5,271,544号、同第5,275,322号、同第5,285,945号、同第5,292,053号、同第5,333,773号、同第5,350,104号、同第5,533,661号、及び/又は同第8,910,847号の教示の少なくとも一部に従って更に構築され、かつ動作可能であってもよい。更に他の好適な構成については、本明細書の教示を鑑みると、当業者には明らかであろう。
D.例示的なアクチュエータハンドル組立体
図9に示すように、ハンドル組立体(100)は、アンビル(400)及びステープル留めヘッド組立体(300)を作動させるように動作可能ないくつかの構成部品を含む。ハンドル組立体(100)はまた、アンビル(400)の、ステープル留めヘッド組立体(300)に対する相対位置に基づいて、トリガー(140、150)を選択的にロックアウトするように動作可能な構成部品をも含む。トリガー(140、150)がロックアウトされた場合、発射トリガー(150)がステープル留めヘッド組立体(300)の作動を開始することが防止される。かくして、トリガー(150)は、ステープル留めヘッド組立体(300)に対するアンビル(400)の位置が、所定の範囲内にある場合にのみ、ステープル留めヘッド組立体(300)の作動を開始するよう動作可能である。前述の動作可能性を提供するハンドル組立体(100)の構成部品については、後でより詳細に説明する。
1.例示的なアンビル作動組立体
ノブ(130)は、ハンドル組立体のケーシング(110)から近位側に突き出しており、ケーシング(110)に対して回転可能である。図9に示すように、ナット(160)は、ノブ(130)の遠位端に取り付けられている。本例では、ナット(160)は、ナット(160)がノブ(130)と一体で回転するように、ノブ(130)の遠位端に固定的に取り付けられている。ナット(160)とノブ(130)とは、トロカール作動ロッド(220)と協働して、ナット(160)とノブ(130)とがケーシング(110)に対して回転するのに反応して、トロカール作動ロッド(220)を長手方向に、ケーシング(110)に対して移動させるように構成されている。上に記したように、トロカール作動ロッド(220)が、外部シース(210)とケーシング(110)とに対して移動するのに反応して、トロカール(330)は長手方向に、外部シース(210)に対して移動する。
トロカール作動ロッド(220)の近位部位は、ナット(160)とノブ(130)とに係合するように、ハンドル組立体(100)内部に位置づけられている。特に、トロカール作動ロッド(220)は、並目螺旋ねじ山(224)がナット(160)の内側内部でねじ係合特徴部(図示せず)を選択的に係合するように、かつ、細目螺旋ねじ山(226)がノブ(130)の内側内部でねじ係合特徴部(図示せず)を選択的に係合するように、ハンドル組立体(100)内部に位置づけられている。いくつかの様式では、ノブ(130)のねじ係合特徴部が螺旋ねじ山を含む一方で、ナット(160)のねじ係合特徴部は、内側に向いたタブを含む。このようなねじ係合特徴部が取り得る、他の好適な形態については、本明細書の教示を鑑みると、当業者には明らかであろう。
本例では、ナット(160)とノブ(130)とが、ケーシング(110)に対して回転した場合に、トロカール作動ロッド(220)は、並目螺旋ねじ山(224)がナット(160)に係合されて、比較的速い移動速度を提供する、長手方向動作の第1の範囲を通じて近位方向に移動する。この動作の範囲の間は、細目螺旋ねじ山(226)はノブ(130)と係合しない。トロカール作動ロッド(220)が最初の動作範囲を完了した後で、ナット(160)とノブ(130)とがケーシング(110)に対して更に回転した場合に、トロカール作動ロッド(220)は、細目螺旋ねじ山(226)がノブ(130)に係合して、比較的遅い移動速度を提供する、長手方向動作の第2範囲を通じて近位方向に移動し続ける。かくして、トロカール作動ロッド(220)は、まずは並目螺旋ねじ山(224)とナット(160)との間の係合に基づいて、その後、細目螺旋ねじ山(226)とノブ(130)との間の係合に基づいて、急速な移動の後に遅い移動が続くシーケンスを通じて近位方向に移動する。
アンビル(400)が、トロカール(330)に連結された場合に、ノブ(130)が回転すると、それに対応してアンビルを、ステープル留めヘッド組立体(300)に対して移動させるということを理解されたい。ノブ(130)を第1の角度方向(例えば、時計回り)に回転させてアンビル(400)をステープル留めヘッド組立体(300)に向けて後退させ、第2の角度方向(例えば、反時計回り)に回転させてアンビル(500)をステープル留めヘッド組立体(300)から離れる方向に前進させることができることも理解されたい。図21Cに示され、かつ後で詳しく説明するように、ノブ(130)は、アンビル(400)とステープル留めヘッド組立体(300)との対向する表面(412、322)どうしの間の間隙距離(d)を、好適な間隙距離(d)が達成されるまで調整するために用いられ得る。
2.例示的なトリガーロックアウト組立体
上に記したように、ノブは、アンビル(400)とステープル留めヘッド組立体(300)との対向する表面(412、322)どうしの間の間隙距離(d)を調整するために用いられ得る。ステープル留めヘッド組立体(300)を作動する前に適切な間隙距離(d)を設定することは、吻合を成功裏に行う上で、決定的に重要であり得る。例えば、間隙距離(d)が大きすぎる場合には、吻合する箇所に配置されたステープルが、ステープル成形ポケット(414)によって充分に成形をされない場合があり得る。この結果、吻合個所からの漏れが起こる場合があり得るが、時には、最終的に、吻合箇所で接合されている解剖学的管腔断面どうしの分離へとつながる場合があり得る。間隙距離(d)が小さすぎる場合には、表面(412、322)間で圧縮された組織の内部構造が、組織の構造的一体性が損なわれるまで損傷され得る。このことは、成形されたステープルを組織が適切に保持するのを妨げ得るが、その結果やはり、漏れや、その他の吻合の不具合が発生し得る。それゆえ、操作者に対して、間隙距離(d)が適切な範囲にあるかどうかを示す何らかの形のフィードバックを提供することが望ましい場合があり得る。また、間隙距離(d)が適切な範囲になるまで、操作者がステープル留めヘッド組立体(300)を作動するのを防止することも望ましい場合があり得る。
図9~12Eは、操作者に対して、間隙距離(d)が適切な範囲にあるかどうかを示すためのフィードバックを提供し、かつ間隙距離(d)が適切な範囲になるまで、操作者がステープル留めヘッド組立体(300)を作動するのを防止するための構成部品を示す。図12B~12Cに最もよく示されるように、ブラケット(500)は、トロカール作動ロッド(220)の動きに反応して、動くように構成され、位置づけられている。図10に最もよく示されるように、ブラケット(500)は、第1スロット(504)と、第2スロット(506)と、第3スロット(508)とを画定する、剛性のある本体(502)を含む。直立特徴部(510)が本体(502)の近位端に位置づけられ、開口部(512)を画定する。トロカール作動ロッド(220)が、開口部(512)を通って同軸的に延在する。図9に示すように、コイルばね(170)が、直立特徴部(510)の近位端と、ケーシング(110)により画定され、ナット(160)に対して支持ジャーナル部を形成する剛性のある隔壁特徴部との間に挿入される。隔壁は、ケーシング(110)内に固定され、それにより、コイルばね(170)が弾性的に直立特徴部(510)を介してブラケット(500)に、遠位方向のバイアスを付与するように、コイルばね(170)の近位端に土台を提供する。ブラケット(500)は、本体(502)の遠位端に設けられた、横方向に向けられたフランジ(516)を更に含む。フランジ(516)は、スロット(514)を画定する。
図12B~12Cに最もよく示されるように、インジケータ部材(520)は、ブラケット(500)の移動に反応して枢動するように構成されている。図11に最もよく示されるように、インジケータ部材(520)は、直立アーム(522)と、アーム(522)の下端から横方向に突き出すスナップピン(524)と、アーム(522)の上端から横方向に突き出すインジケータ針(526)と、アーム(522)の中間領域から横方向に突き出す連結ピン(528)とを備える。スナップピン(524)は、ケーシング(110)によって提供される補完的凹部にカチンと嵌るように構成されている。それによりスナップピン(524)は、インジケータ部材(520)をケーシング(110)に取り付けつつも、なお、インジケータ部材(520)がケーシング(110)に対して、スナップピン(524)の長手方向軸線周りに枢動するのを可能にしている。インジケータ針(526)は、ハンドル組立体(110)の窓部(114)を通して見えるように位置づけられ、それによって、インジケータ部材(520)の枢動位置を視覚的に示すようになっている。連結ピン(528)は、ブラケット(500)のフランジ(516)のスロット(514)内にスライド可能に受容される。インジケータ部材(520)、ケーシング(110)、及びブラケット(500)間のこの係合によって、ブラケット(500)の移動に反応した、インジケータ部材(520)の枢動動作が提供されている。
ブラケット(500)は、トリガー(140、150)の作動を、選択的に防止したり可能にしたりするように構成されている。特に、ブラケット(500)のスロット(504、506)は、トリガー(140、150)の作動に対するクリアランスを選択的に提供するように構成されている。図12A~12Eに示すように、安全トリガー(140)は、第1直立部材(144)に枢動可能に連結されている。安全トリガー(140)がピストルグリップ(112)に向かって枢動するのに反応して、第1直立部材(144)が上方に移動するように構成されているように、第1直立部材(144)がケーシング(110)に連結されている。しかしながら、ブラケット(500)の本体(502)は、第1直立部材(144)の上端(146)を係合することにより、第1直立部材(144)と安全トリガー(140)の上記の動きを防止するように構成されている。かくして、スロット(506)が上端(146)に位置揃えされ、それにより、ブラケット(500)が、第1直立部材(144)の上方向の動きに対してクリアランスを提供する位置に動くまで、第1直立部材(144)と安全トリガー(140)との動きを、本体(502)がブロックする。したがって、スロット(506)が上端(146)の上に位置決めされるまで、安全トリガー(140)は、ピストルグリップ(112)に向かって枢動できないということが理解されるはずである。
同様に、発射トリガー(150)は、第2直立部材(154)に枢動可能に連結されている。安全トリガー(150)がピストルグリップ(112)に向かって枢動するのに反応して、第2直立部材(154)が上方に移動するように構成されるように、第2直立部材(154)がケーシング(110)に連結されている。しかしながら、ブラケット(500)の本体(502)は、第2直立部材(154)の上端(156)を係合することにより、第2直立部材(154)と発射トリガー(150)の上記の動きを防止するように構成されている。たとえ安全トリガー(140)が、そうでなければ発射トリガー(150)の動きを可能にするように枢動したとしても、スロット(504)が上端(156)に位置揃えされ、それにより、ブラケット(500)が、第2直立部材(154)の上方向の動きに対してクリアランスを提供する位置に動くまで、第2直立部材(154)と発射トリガー(150)の動きを、本体(502)がブロックする。したがって、たとえ安全トリガー(140)が、そうでなければ発射トリガー(150)の動きを可能にするように枢動したとしても、スロット(504)が上端(156)の上に位置づけられるまで、発射トリガー(150)は、ピストルグリップ(112)に向かって枢動することができないということが理解されるはずである。
第3スロット(508)は、トロカール作動ロッド(220)に強固に取り付けられている、下方に向かって突き出すクリップ(222)のボス(223)を受容するように構成されている。ケーシング(110)が、ブラケット(500)に、ケーシング(110)内で長手方向に移動するのを可能にするように構成されている一方で、ケーシング(110)は、ブラケット(500)がケーシング(110)内で回転するのを防ぐ、レール、チャネル、及び/又はその他の特徴部を含む。かくして、スロット(508)内でボス(223)を位置づけることにより、クリップ(222)とトロカール作動ロッド(220)とが、ケーシング(110)内で回転するのを防止する。それでもなお、後で詳しく説明するように、ボス(223)とスロット(508)とは、ブラケット(500)に、ケーシング(110)内で長手方向に移動することを可能にする。
図12A~12Eは、様々な運転段階における上述の構成部品を図示している。特に、図12Aでは、トロカール(330)が最も遠位側の位置になるように、トロカール作動ロッド(220)が、最も遠位側の位置にある。この段階では、操作者は、ラッチ部材(430)が、トロカール(330)のヘッド(334)に取り付けられるまで、トロカール(330)を穴(422)に挿入することにより、アンビル(400)をトロカール(330)に結合し得る。操作者は次に、ノブ(130)を回し、それによりナット(160)が回転する。ノブ(130)とナット(160)とが回転するにつれて、トロカール作動ロッド(220)の並目螺旋ねじ山(224)とナット(160)の補完的特徴部との間の係合が、トロカール作動ロッド(220)を、比較的速い速度で近位方向に待避させ、トロカール作動ロッド(220)を図12Bに図示される位置に至らしめる。このようにトロカール作動ロッド(220)を近位方向に待避させたことにより、トロカール(330)とアンビル(400)とを待避させることができる。トロカール作動ロッド(220)が、図12Aに図示される位置から図12Bに図示される位置に動く間、ブラケット(500)は静止したままである。これは、図12Aに図示されている段階では、クリップ(222)が直立特徴部(510)から離間されており、トロカール作動ロッド(220)が、図12Bに図示されている位置に達するまでは、クリップ(222)が直立特徴部(510)に係合していないという事実によるものである。
図12Bに図示されている段階に達した後も操作者は、ノブ(130)とナット(160)とを回転させ続け得るが、それにより、図12Cに示すように、トロカール作動ロッド(220)は更に近位方向に待避する。もちろん、このことにより、トロカール(330)とアンビル(400)とが更に近位方向に待避する。トロカール作動ロッド(220)が、図12Bに図示されている位置から図12Cに図示されている位置に移動するにつれて、クリップ(222)はブラケット(500)に当接して、ブラケット(500)を近位方向に駆動する。このブラケット(500)の近位方向への動きにより、フランジ(516)のスロット(514)内にピン(528)が位置づけられるため、インジケータ部材(520)が、図12Bに図示されている位置から図12Cに図示されている位置へと枢動する。
インジケータ部材(520)が図12Bに図示されている位置から図12Cに図示されている位置に枢動する間、操作者は、ハンドル組立体(110)の窓部(114)を通して、インジケータ針(526)の位置を観察し得る。上に記したように、一連の符号、着色領域、及び/又はその他の固定インジケータが窓部(114)に隣接して位置して、インジケータ針(526)に対する視覚的背景を提供し、それによって、窓部(114)内で針(526)がどの位置にいるのかを操作者が評価するのを容易にし得る。窓部(114)内での針(526)の位置は、トロカール(330)とアンビル(400)との長手方向位置を示すということが理解されるはずである。しかるに窓部(114)内での針(526)の位置は、アンビル(400)とステープル留めヘッド組立体(300)との対向する表面(412、322)どうしの間の間隙距離(d)を示す。窓部(114)内の針(526)の位置を観察している間、操作者は、ノブ(130)を時計回り又は反時計回りに回して、トロカール(330)とアンビル(400)とを更に待避させるか又は前進させ得るが、それにより、適切な範囲内の所望の間隙距離(d)に到達するまで、間隙距離(d)を微調整することができる。
図12Cに図示されている段階における間隙距離(d)の微調整を提供するためには、細目螺旋ねじ山(226)がノブ(130)の補完的特徴部に係合し、かつ並目螺旋ねじ山(224)がナット(160)の補完的特徴部との係合を解除された状態になる長手方向位置に、トロカール作動ロッド(220)が存在する。一部の形態では、トロカール作動ロッド(220)が、図12Bに図示されている長手方向位置に到達すると(すなわち、クリップ(222)が直立部材(510)と最初に係合するとき)、並目螺旋ねじ山(224)はナット(160)との係合を解除され、かつ細目螺旋ねじ山(226)がノブ(130)に係合し始める。一部の他の形態では、並目螺旋ねじ山(224)による係合から、細目螺旋ねじ山(226)による係合への移行は、図12Bに図示されている段階と図12Cに図示されている段階との間のどこかで起こっている。並目から細目への移行が起こり得る、他の好適な段階については、本明細書の教示を鑑みると、当業者には明らかであろう。また、トロカール作動ロッド(220)のいくつかの代替的な形態が、ねじ山の全長にわたりねじ山のピッチが一貫している、単一のねじ山区域のみを有し得るということも理解されるはずである。言い換えると、トロカール作動ロッド(220)は、異なるピッチの、2つの異なるねじ山区域(224、226)を、必ずしも有する必要はない。
図12Cに図示されている段階において、スロット(506)は上端(146)に位置揃えされ、それによって、第1直立部材(144)の上方への動きに対してクリアランスを提供する。同様に、スロット(504)は上端(156)に位置揃えされ、それによって、第2直立部材(154)の上方への動きに対してクリアランスを提供する。本例では、間隙距離(d)が臨床的に許容可能な範囲にあるという場合に、スロット(504、506)が直立部材(144、154)の上方への動きに対するクリアランスを提供するのみであるようなサイズ及び位置に、スロット(504、506)がなっている。あくまでも例として、間隙距離(d)について「臨床的に許容可能な範囲」とは、約0.110インチと約0.040インチ)との間であり得る。別の単に例示的な例として、間隙距離(d)について「臨床的に許容可能な範囲」とは、約0.110インチと約0.020インチとの間であり得る。図12Cに示すように、スロット(504、506)が直立部材(144、154)の上方への動きに対するクリアランスを提供するように位置づけされた場合でも、安全トリガー(140)が図12Cに図示されている非作動位置にある場合には、安全トリガー(140)は発射トリガー(150)が、ピン(152)(図9)周りに枢動するのを依然としてブロックする。かくして、発射トリガー(150)の動きを可能にするためには、操作者は、まず安全トリガー(140)をピン(142)(図9)周りに、図12Cに図示されている位置から図12Dに図示されている位置へと作動させる必要がある。
図12Dに示すように、安全トリガー(140)が図12Cに図示されている位置から図12Dに図示されている位置に枢動されるにつれて、上端(146)は、スロット(506)を通過する。この上端(146)の動きは、図12A~12Bに図示されている段階では(間隙距離(d)が大きすぎる場合)不可能であるが、それは、本体(502)が直立部材(144)の上方への動きを物理的にブロックし、それにより安全トリガー(140)の枢動を物理的にブロックするからであるということが理解されるはずである。本例では、ノブ(130)に組み込まれたキャップ(不図示)が、アンビル(400)が、近位方向にあまりに遠く待避させられる(間隙距離(d)が小さすぎるような)地点まで、ノブ(130)が回転するのを防止する。別の一部の形態では、たとえノブ(130)がアンビル(400)に、近位方向にあまりに遠く(間隙距離(d)が小さすぎるように)待避させられるのを可能にしたとしても、操作者がトロカール(330)とアンビル(400)とを、近位方向にあまりに遠く待避させた(間隙距離(d)が小さすぎる)場合には、本体(502)が直立部材(144)の上方への動きを物理的にブロックし、それにより、安全トリガー(140)の枢動を物理的にブロックする。間隙距離(d)が小さすぎる場合、本体(502)、ノブ(130)、又は、別の何らかの特徴部が、作動を防止するかどうかにかかわらず、器具(10)が安全トリガー(140)の作動を許すのは、間隙距離(d)が臨床的に許容可能な範囲内にある場合のみであるということが理解されるはずである。
上に記したように、安全トリガー(140)が作動されるまで、安全トリガー(140)は、発射トリガー(150)の作動を防止するように構成されている。安全トリガー(140)が作動されると、操作者は発射トリガー(150)を、図12Dに図示されている位置から図12Eに図示されている位置に作動させ得る。図12Eに示すように、発射トリガー(150)が、図12Dに図示されている位置から図12Eに図示されている位置に枢動されるにつれて、上端(156)は、スロット(504)を通過する。安全トリガー(140)が完全に存在しないという場合においても、この上端(156)の動きは、図12A~12Bに図示されている段階では(間隙距離(d)が大きすぎる場合)不可能であるが、それは、本体(502)が直立部材(154)の上方への動きを物理的にブロックし、それにより発射トリガー(150)の枢動を物理的にブロックするからであるということが理解されるはずである。また、操作者がトロカール(330)とアンビル(400)とを、近位方向にあまりに遠く待避させる(間隙距離(d)が小さすぎるように)場合にも、本体(502)が、直立部材(154)の上方への動きを物理的にブロックし、それにより、発射トリガー(150)の枢動を物理的にブロックするということも理解されるはずである。かくして、安全トリガー(140)が完全に存在しないという場合においても、発射トリガー(150)は、間隙距離(d)が臨床的に許容可能な範囲にある場合にのみ作動され得る。
本例の発射トリガー(150)は、一体型の作動パドル(158)を含む。発射トリガー(150)が図12Dに図示されている位置から図12Eに図示されている位置に枢動するにつれて、パドル(158)が前方に枢動する。パドル(158)は、発射トリガー(150)が図12Dに図示されている位置から図12Eに図示されている位置に枢動した場合に、図9に図示されているモータ作動モジュール(180)のスイッチを作動させるように構成されている。モータ作動モジュール(180)は、バッテリパック(120)とモータ(160)とに通信しており、パドル(158)がモータ作動モジュール(180)のスイッチを作動させるのに反応して、モータ作動モジュール(180)が、バッテリパック(120)からの電力でモータ(160)を作動させるように構成されている。かくして、発射トリガー(150)が図12Dに図示されている位置から図12Eに図示されている位置に枢動された場合に、モータ(160)が作動される。後で詳述するように、このモータ(160)の作動により、ステープル留めヘッド組立体(300)が作動される。
3.例示的なステープル留めヘッド作動組立体
図13~20Dは、ステープル留めヘッド組立体(300)を作動させるよう動作可能である、様々な構成部品を示す。これらの構成部品には、モータ(160)、ギヤボックス(162)、ロータリーカム部材(700)、カム従動子(600)、駆動ブラケット(250)、及びステープル留めヘッド組立体ドライバー(240)が含まれる。ギヤボックス(162)は、モータ(160)の駆動シャフトに連結され、更に、カム部材(700)に連結される。かくして、モータ(160)の作動により、ギヤボックス(162)を介して、カム部材(700)が回転する。ギヤボックス(162)に用い得る様々な好適な構成が、本明細書の教示を鑑みると、当業者には明らかであろう。後で詳しく説明するように、カム部材(700)は、カム従動子(160)と相互作用して、カム従動子(160)を、ピン(118)の周りで2とおりの角方向に枢動させるように構成されている。ピン(118)は、ケーシング(110)に連結される。ブッシング(701)は、カム部材(700)に、ケーシング(110)に対して回転する支持を提供する。
カム従動子(600)は、駆動ブラケット(250)の補完ノッチ(252)に受容される一対の統合ピン(602)を介して、駆動ブラケット(250)に枢動可能に連結されている。図14~15に示すように、カム従動子(600)は、第1ベアリング特徴部(604)と第2ベアリング特徴部(610)とを含む。第1ベアリング特徴部(604)は、丸みのある、水平延伸表面からなる。第2ベアリング特徴部(610)は、直線垂直表面(612)と、水平延伸表面(614)と、湾曲表面(616)とによって画定される4分の1サイズのパイのような形状である。第2ベアリング特徴部(610)は、第1ベアリング特徴部(504)に対して近位側に突き出している。
図16~17は、カム部材(700)をより詳細に図示している。カム部材(700)は、遠位端面(702)と、遠位方向に突き出しているポスト(704)と、外周面(706)とを備える。第1カム特徴部(710)と第2カム特徴部(720)とは、遠位端面(702)から遠位方向に突き出している。ポスト(704)は、ブッシング(701)と係合する。第1カム特徴部(710)は、第1表面領域(712)と、第2表面領域(714)と、第3表面領域(716)とを備える。第1表面領域(712)は、第1表面領域(712)がほぼ平坦になるように比較的大きな曲率半径で、凸状に画定されている。第2表面領域(714)は、次第に増加する曲率半径で、凸状に画定されている。第3表面領域(716)は、比較的大きな曲率半径で、凹状に画定されている。遠位端面(702)から遠位方向に突き出していることに加えて、第2カム特徴部(720)は、外周面(706)から外側に突き出している。第2カム特徴部(720)は、第1表面領域(722)と第2表面領域(724)とを含む。第1表面領域(722)は、実質的に平坦であり、他方、第2表面領域(724)は、凹状に湾曲している。各湾曲表面領域(712、714、716、724)の曲率半径の起点は、ポスト(704)の中心からずれた位置にある。
図18A~18Bは、カム従動子(600)と第1及び第2カム特徴部(710、720)との間の一般的な相互作用を図示しているが、この相互作用については、図20A~20Dを参照しながら、後でより詳しく説明される。カム部材(700)が、図18Aに図示されている位置から図18Bに図示されている位置に回転するにつれて、第1カム特徴部(710)はカム従動子(600)の第1ベアリング特徴部(604)に当接して、カム従動子(600)をピン(118)の周りで枢動させる。図18A~18Bに示す図において、カム部材(700)が図18Aに図示されている位置から図18Bに図示されている位置に回転させられるにつれて、カム従動子(600)は反時計回りに枢動する。図18Aから図18Bへの移行に見られるように、カム従動子(600)のこの反時計回りの枢動が、駆動ブラケット(250)とステープル留めヘッド組立体ドライバー(240)とを遠位方向に駆動し、それによって、ステープル留めヘッド組立体(300)を作動させる。カム部材(700)が、図18Aに図示されている位置に向かって戻るように同じ方向に回転し続けるにつれて、第2カム特徴部(720)がカム従動子(600)の第2ベアリング特徴部(610)に係合して当接し、カム従動子(600)をピン(118)の周りで、時計回りに枢動させる。このようにカム従動子(600)がピン(118)の周りで時計回りに枢動すると、駆動ブラケット(250)とステープル留めヘッド組立体ドライバー(240)とが、図18Aに図示されている位置に戻るように近位方向に待避する。
再びここで図16~17を参照すると、第3カム特徴部(730)は、外周面(706)から外側に向かって突き出している。第3カム特徴部(730)は、第1表面領域(732)と第2表面領域(734)とを備える。第1表面領域(732)は平坦であり、外周面(706)に対して概ね接線方向に配向されている。第2表面領域(732)もまた平坦であり、外周面(706)に対して径方向外側に配向されている。第3カム特徴部(730)は、図19A~19Bに示すように、振動部材(800)と相互作用するように構成されている。振動部材(800)は、統合ピン(802)と、ベアリング部材(804)と、パドル(806)とを備える。振動部材(800)が、ケーシング(110)内で、ピン(802)によって画定される長手方向軸線の周りで枢動可能なように、ピン(802)はケーシング(110)に枢動可能に連結されている。後で詳しく説明するように、ベアリング部材(804)は、第3カム特徴部(730)と相互作用するように構成されている。パドル(806)は、後でまたより詳しく説明するように、モータ停止モジュール(190)の一対のスイッチボタン(192)を作動させるように構成されている。
図19Aは、カム部材(700)を、図18Aに示すのと同じ位置に図示している。この段階では、第3カム特徴部(730)の第2表面領域(734)は、振動部材(800)のベアリング部材(804)に隣接している。図19Bは、カム部材(700)が図18Bに図示されている位置を通過して、図18Aに図示されている位置に向かって戻ろうとするように回転された位置にあるカム部材(700)を図示している。しかしながら、カム部材(700)はまだ丸一回転を完了した状態ではない。図19Bに図示されている段階において、第1表面領域(732)は、ベアリング部材(804)に既に係合し、当接した状態であるが、それにより、ピン(802)によって画定される長手方向軸線の周りに、振動部材(800)を枢動させている。これにより、パドル(806)が、モータ停止モジュール(190)のスイッチボタン(192)を作動させた状態である。モータ停止モジュール(190)は、スイッチボタン(192)が作動された場合に、モータ(160)が更に起動されるのを防止するように構成されている。いくつかの様式では、モータ停止モジュール(190)は、スイッチボタン(192)が作動させられると短絡回路を作成し、それにより、モータ(160)の更なる起動を阻止する。更にいくつかの様式では、モータ停止モジュール(190)は、スイッチボタン(192)が作動させられると、モータ(160)を短絡させることに加えて、バッテリパック(120)を受電回路に連結する。これは、ステープル留めヘッド組立体(300)の作動ストロークが完了すると、結果として、モータ(160)の作動を停止することに加えて、バッテリパック(120)の放電をもたらす場合があり得る。あくまでも例として、モータ停止モジュール(190)は、開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2015/0083774号の教示の少なくとも一部に従って構成され、かつ動作可能であってもよい。他の好適な構成は、本明細書の教示を考慮することにより当業者に明らかとなろう。
図20A~20Dは、カム部材(700)が回転するにつれて、カム部材(700)と、カム従動子(600)の特徴部と、振動部材(800)の特徴部との間に起こる相互作用を、模式的に図示している。図20A~20Dに図示されている段階を通じて、カム部材(700)の回転は、モータ(160)とギヤボックス(162)とによって駆動されるということが理解されるはずである。図20Aは、図18A及び19Aに図示されている位置と同じ位置にあるカム部材(700)を図示している。この段階では、カム従動子(600)の第1ベアリング特徴部(604)が、第1表面領域(712)上に位置し、かつベアリング部材(804)又は振動部材(800)が、第3カム特徴部(730)の第2表面領域(734)に隣接している。またこの段階では、ナイフ部材(340)とステープル駆動部材(350)とが、近位位置にあり、ステープル留めヘッド組立体(300)が、非作動位置に存在している。カム部材(700)が図20Bに図示されている位置に回転するにつれて、第2表面領域(714)がベアリング部材(610)に当接し、それによってベアリング部材(610)を上方に駆動する。これにより、カム従動子(600)がピン(118)の周りで、図18Bに図示されている位置まで枢動する。かくしてカム従動子(600)がナイフ部材(340)とステープル駆動部材(350)とを遠位方向に、駆動ブラケット(250)とステープル留めヘッド組立体ドライバー(240)とを介して駆動する。かくしてステープル留めヘッド組立体(300)は、図20Bに図示されている段階で、作動された状態にある。一部の形態では、カム部材(700)は、ステープル留めヘッド組立体(300)を非作動状態から作動状態へと移行させるため、約270°の角範囲を通って回転する。
ステープル留めヘッド組立体(300)が作動された後で、カム部材(700)は、図20Cに図示されている位置まで回転を続ける。この段階では、第2カム部材(720)の第1表面領域(722)が、カム従動子(600)の第2ベアリング特徴部(610)の湾曲表面(616)に係合を開始する。カム部材(700)が、図20Dに図示されている位置まで回転し続けるにつれて、第2表面領域(724)が第2ベアリング特徴部(610)の湾曲表面(616)に係合し、第2ベアリング特徴部(610)を下方に駆動する。これにより、カム従動子(600)が、図18Bに図示されている位置から図18Aに図示されている位置に向かって戻るように、ピン(118)の周りに枢動する。かくしてカム従動子(600)がナイフ部材(340)とステープル駆動部材(350)とを近位方向に、駆動ブラケット(250)とステープル留めヘッド組立体ドライバー(240)とを介して駆動する。加えて、第1表面領域(732)は、既にベアリング部材(804)と係合し、当接した状態であるが、それにより、振動部材(800)を、図20Dに図示されている段階において、ピン(802)によって画定される長手方向軸線の周りに枢動させる。かくして振動部材(800)は、図20Dでは、図19Bに示すのと同じ状態である。かくしてモータ停止モジュール(190)は、図20Dに図示されている段階において、作動されている。
前述のことから、カム部材(700)は、ナイフ部材(340)とステープル駆動部材(350)とを遠位方向に駆動し、次に、ナイフ部材(340)とステープル駆動部材(350)とを近位側に駆動し、更に、図20A~図20Dに図示されている動きの範囲を通して単一の角方向に回転させることによって、モータ停止モジュール(190)を作動するように動作可能である、ということが理解されるはずである。ナイフ部材(340)と、ステープル駆動部材(350)と、モータ停止モジュール(190)とが作動され得る他の好適な方法は、本明細書の教示を鑑みると、当業者には明らかであろう。
E.例示的な吻合手順
図21A~21Eは、2つの筒状解剖学的構造(20、40)どうしの間の吻合(70)を形成するために用いられている器具(10)を図示している。あくまでも例として、筒状解剖学的構造(20、40)は、患者の食道の区域、患者の大腸の区域、患者の消化管のその他の区域、又は他の任意の筒状解剖学的構造を含み得る。図21Aに示すように、アンビル(400)は、1つの筒状解剖学的構造(20)内に位置づけられ、かつステープル留めヘッド組立体(300)は、別の筒状解剖学的構造(40)内に位置づけられる。筒状解剖学的構造(20、40)が、患者の大腸の区域を含む形態では、ステープル留めヘッド組立体(300)は、患者の直腸を介して挿入され得る。また、図21A~21Eに図示されている処置は開腹手術であるが、その処置は腹腔鏡手術としても実施され得るということも理解されるはずである。吻合(70)を腹腔鏡手術で形成するために器具(10)が用いられ得る様々な好適な方法が、本明細書の教示を鑑みると、当業者には明らかであろう。
図21Aに示すように、アンビル(400)は、柄(420)が筒状解剖学的構造(20)の開放切断端(22)から突き出すように筒状解剖学的構造(20)内に位置づけられる。巾着縫合糸(30)が、柄(420)の中央領域の周りに提供され、アンビル(400)の筒状解剖学的構造(20)内での位置を大まかに確保する。同様に、ステープル留めヘッド組立体(300)は、トロカール(330)が筒状解剖学的構造(20)の開放切断端(42)から突き出すように、筒状解剖学的構造(40)内に位置づけられる。巾着縫合糸(50)が、シャフト(332)の中央領域周りに提供され、ステープル留めヘッド組立体(300)の筒状解剖学的構造(40)内での位置を大まかに確保する。
次に、図21Bに示すように、トロカール(330)を穴(422)に挿入することによって、アンビル(400)が、トロカール(330)に取り付けられる。ラッチ部材(430)が、トロカール(330)のヘッド(334)に係合し、それによって、アンビル(400)とトロカール(330)との間のしっかりとした嵌合を提供する。次に操作者は、ピストルグリップ(112)を介して、ケーシング(110)を静止状態に保ちつつ、ノブ(130)を回転させる。このノブ(130)の回転により、(図12A~12Cを参照しつつ既に説明したように)トロカール(330)とアンビル(400)とが近位側に待避する。図21Cに示すように、上のようにトロカール(330)とアンビル(400)とが近位側に待避することによって、筒状解剖学的構造(20、40)の組織が、アンビル(400)とステープル留めヘッド組立体(300)との表面(412、322)どうしの間で圧縮される。操作者は、窓部(114)内での針(526)の位置を観察して、アンビル(400)とステープル留めヘッド組立体(300)との互いに対向する表面(412、322)どうしの間の間隙距離(d)が適切であるかどうかを判断し、調整が必要な場合には、ノブ(130)を介して調整を行う。
操作者がノブ(130)を介して間隙距離(d)を適切に設定した後、操作者は、(図12Dに示すように)安全トリガー(140)を作動させて、発射トリガー(150)の作動を可能にする。次に、操作者は発射トリガー(150)を、(図12Dに示すように)作動させる。これにより、パドル(158)が、モータ作動モジュール(180)のスイッチを作動させ、それによってモータを作動させてカム部材(700)を(図20A~20Dに示すように)回転させる。このようにカム部材(700)が回転することによって、図21Dに示すように、ナイフ部材(340)とステープル駆動部材(350)とを遠位方向に駆動することで、ステープル留めヘッド組立体(300)が作動する。ナイフ部材(340)が遠位方向に移動するにつれて、ナイフ部材(340)の切断縁部(342)がアンビル(400)の内縁部(416)と協働し、それによって、アンビル(400)の環状凹部(418)内でかつナイフ部材(340)の内部に位置づけられた余分な組織を切断する。
図4に示すように、本例のアンビル(400)は、環状凹部(418)内の脱離ワッシャ(417)を含む。ナイフ部材(340)が、図21Cに図示されている位置から図21Dに図示されている位置まで、完全に遠位方向の範囲一杯に動いた場合には、このワッシャ(417)は、ナイフ部材(340)によって破壊される。第2表面領域の次第に増加する曲率半径は、ナイフ部材(340)がその遠位方向の動きの終端に到達するにつれて、増加する機械的利益を提供するが、それによって、ワッシャ(417)を破壊するために必要な、より大きな力が提供され得る。もちろん、一部の形態では、脱離ワッシャ(417)は完全に省略され得る。ワッシャ(417)が含まれる形態では、ワッシャ(417)は、ナイフ部材(340)が組織の切断をアシストするためのカッティングボードとしても役立ち得るということが理解されるはずである。そのようなカッティング技術が、既に説明した、内縁部(416)とナイフ部材(340)との間での切断アクションに加えて、又はそれに代えて採用され得る。
ステープル駆動部材(350)が、図21Cに図示されている位置から図21Dに図示されている位置に遠位方向に移動するにつれて、ステープル駆動部材(350)がステープル(90)を、筒状解剖学的構造(20、40)の組織を通って、アンビル(400)のステープル成形ポケット(414)の中に駆動する。ステープル成形ポケット(414)は、当該技術分野では既知のように、駆動されたステープル(90)を、B字形状に変形する。成形されたステープル(90)はこのようにして、組織の端部どうしをしっかり閉じる。
図21Dに示すように、操作者がテープル留めヘッド組立体(300)を作動させた後、操作者はノブ(130)を回転させて、アンビル(400)を遠位方向に、ステープル留めヘッド組立体(300)から離れる方向に駆動し、間隙距離(d)を増加させて、表面(412、322)どうしの間の組織のリリースを容易にする。操作者は次に、アンビル(400)がまだトロカール(330)に取り付けられている状態で、器具(10)を患者から取り外す。筒状解剖学的構造(20、40)が患者の大腸の区域を含む例を再び参照すると、器具(10)は、患者の直腸を介して取り外され得る。器具(10)が取り外されると、筒状解剖学的構造(20、40)は、図21Eに示すように、吻合(70)部にあるステープル(90)の2列の環状アレイによって、しっかりと閉じられた状態に残される。吻合(70)部の内径は、ナイフ部材(340)によって残された切断された縁部(60)によって画定される。
II.後続発射用の器具をリセットするための代表的方法
場合によっては、発射後に器具(10)のリセットを可能にさせることが望ましい場合がある。例えば、試験又は品質管理設定において、単一の器具(10)を複数回発射することが望ましい場合がある。別の単に例示的な例として、実習訓練に関連して器具(10)の操作を実演するために、単一の器具(10)を複数回発射することが望ましい場合もある。その他の状況では、器具(10)が操作にて使用されてきた後に、器具(10)の洗浄、消毒、及び/又は後続の再利用のための別の再処理前、その間、あるいはその後に、器具(10)をリセットすることが望ましい場合がある。次の実施例は、既に発射された器具(10)を、後続発射のためにリセットしてよい技術を提供する。
A.反転したモータ回転による手動器具の例示的な電動リセット
図22は、内部構成部品が見えるように移動されるケーシングの一部を伴う、代表的な代替器具(2010)のピストルグリップ(2212)を示す。器具(2010)は、実質的に器具(10)と同様に作動するよう構成される。したがって、同一の又は実質的に同様の構成部品は、更なる考察なく、同一の参照番号で印をつけられる。以下で明瞭には記載されていない器具(2010)の構成部品及び作動性は、上記の器具(10)の構成部品及び作動性と同一であってよいと、理解すべきである。実質的に器具(10)の発射トリガー(150)と同様に作動するよう構成される、発射トリガー(図示せず)の作動等により、モータ(2160)を含む器具(2010)を上記のモータ(160)と同様に起動させてよい。更に、本実施例の器具(2010)は、上記の安全トリガー(140)と同様に構成されかつ作動する安全トリガーを含む。器具(2010)は、上述しかつ図9~12Eに最良に示す、その他のトリガーロックアウト組立体の特徴を更に含む。
器具(2010)は、器具(2010)がモータ(2160)と通信しているスイッチ(2164)を含むという点で、器具(10)とは異なる。スイッチ(2164)は、スイッチ(2164)を作動させる場合に、モータ(2160)の極性を反転させるように作動する。かくして、スイッチ(2164)の作動は、モータ(2160)が発射トリガー(140)の作動により起動される場合に、モータ(2160)、ギヤボックス(2162)、カム(700)、及びブッシング(701)の回転方向を変化させると理解されるであろう。更に、ステープル留めヘッド組立体(300)の作動ストロークが完了した後のモータ(2160)の再作動を可能にするために、器具(2010)は、いくつかの実施例において、モータ停止モジュール、受電回路などを含まず、また、ステープル留めヘッド組立体(300)の作動ストロークが完了するとその後のモータ(2160)の作動を妨げる、他の特徴部も含まない。その他の実施例では、器具(2010)はモータ(2160)の再作動を防ぐこのような特徴を含んでよいが、このような特徴が不能になるように(即ち、モータ(2160)の再作動を防ぐことができないように)構成されてもよい。
本実施例では、スイッチ(2164)はピストルグリップ(2212)の下端に位置している。いくつかの様式では、スイッチ(2164)は、スイッチ(2164)が分解器具(2010)を有することなく接触可能となるように露出している。その他のいくつかの様式では、スイッチ(2164)は、器具(2010)の少なくとも一部がスイッチ(2164)に接触するために分解されなければならなくなるよう、ピストルグリップ(2212)内又は器具(2010)内の他の場所に配置される。更に別の単なる例示的実施例としては、スイッチ(2164)がピストルグリップ(2212)内で小形の開口部を介して挿入された用具に接触してよいように、更にスイッチ(2164)が目立たない又は器具(2010)の臨時操作員に容易に接触しないように、スイッチ(2164)はピストルグリップ(2212)内に置かれてよい。スイッチ(2164)を配置し接近可能とし得る他の好適な方法は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかとなるであろう。同様に、スイッチ(2164)が取り得る様々な好適な形態は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかとなるであろう。
図23は、器具(10、2010)のステープル留めヘッド組立体(300)の作動ストローク後などの発射後に、器具(10、2010)をリセットする方法の第1実施例を示す。示すように、本方法はモータ(160、2160)の極性を反転させる工程を含む(ブロック2200)。いくつかの様式では、極性の反転は、器具(2010)のスイッチ(2164)を作動させることを含み、かくして上述のようにモータ(2160)の極性を反転させる。モータ(160、2160)の極性を反転できるその他の適切な方法は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかとなるであろう。方法は、トリガー(150)の発射、ひいてはモータ(160、2160)の起動を可能にするために、上述のようにトリガーロックアウト組立体を係合解除する(例えば、安全トリガー(140)を作動させることによる)工程(ブロック2202)を更に含む。一度トリガーロックアウト組立体が係合解除されると、操作員は発射トリガー(140)を作動させてモータ(160、2160)を起動させてよい(ブロック2204)。モータ(160、2160)の極性がこの段階で反転するので、ステープル留めヘッド組立体(300)を発射することに関連して、モータ(160、2160)及び付随する駆動構成部品が、上記の動作方向に対して反対側の方向へと移動すると理解すべきである。
図25A~図25Dは、モータ(160、2160)の極性が反転する場合に、カム部材(700)がモータ(160、2160)の起動に対応して回転するような、カム部材(700)、カム従動子(600)の特徴部、及び振動部材(800)の特徴部との間の相互作用(ブロック2204)を概略的に示したものである。図25A~25Dに図示されている段階を通じて、カム部材(700)の回転は、モータ(160)とギヤボックス(162)とによって駆動されるということを理解するべきである。カム部材(700)、カム従動子(600)、及び振動部材(800)の特徴との間の相互作用は、本質的に、図20A~20Dに示すような及び上記のような反対の方法にて生じると、更に理解すべきである。特に、図25Aのカム(700)は、図20Dに示すカム従動子(600)及び振動部材(800)に対して同一の位置であり、図25Bでは、図20Cに示すカム従動子(600)及び振動部材(800)に対して同一の位置であり、図25Cでは、図20Bに示すカム従動子(600)及び振動部材(800)に対して同一の位置であり、かつ図25Dでは、図20Aに示すカム従動子(600)及び振動部材(800)に対して同一の位置である。当然、上記のとおり、本実施例では、振動部材(800)の作動は、器具(10、2010)のその後の使用を防ぐモータ停止モジュール及び/又は他の特徴部の起動をもたらすことはない。モータ(160、2160)の反転した極性故に、モータ(160、2160)の駆動は、モータ(160、2160)の優先起動の間に発生する、反対の回転方向でのカム(700)の回転(例えば、図20A~20D)を生じさせて、図25Aに示す位置から図25Dに示す位置へとカム(700)を回転させる。
反転した極性にてモータ(160、2160)が起動するので、カム(700)が図25Aに示す位置から図25Bに示す位置へと回転する。第1カム特徴部(710)の第3表面領域(716)が、カム従動子(600)の第2ベアリング特徴部(610)に当接し、第2ベアリング特徴部(610)を上向きに駆動させる。これにより、カム従動子(600)が、図18Bに図示されている位置から図18Aに図示されている位置に向かって、ピン(118)の周りに枢動する。カム部材(700)が図25Cに図示されている位置に向かって更に回転するにつれて、第2表面領域(714)がベアリング部材(610)に当接し、これによりカム従動子(60)が図18Bに示す位置に到達する。カム従動子(600)はかくして、駆動ブラケット(250)及びテープル留めヘッド組立体ドライバー(240)を介して、ナイフ部材(340)及びステープル駆動部材(350)を遠位方向に駆動させ、図25Cに示す工程にてステープル留めヘッド組立体(300)が作動位置に戻るように遷移させる。
カム(700)が更に回転するので、カム従動子(600)の第1ベアリング特徴部(604)は、徐々にカム(700)の第1表面領域(712)に到達する。第2カム特徴部(720)の第2表面領域(724)は、カム従動子(600)の第2ベアリング特徴部(610)に係合する。これにより、カム従動子(600)が、図18Bに図示されている位置から図18Aに図示されている位置に向かって戻るように、ピン(118)の周りに枢動する。かくしてカム従動子(600)がナイフ部材(340)とステープル駆動部材(350)とを近位方向に、駆動ブラケット(250)とステープル留めヘッド組立体ドライバー(240)とを介して駆動する。したがって、カム従動子(600)の第1ベアリング特徴部(604)が、第1表面領域(712)上に再び位置し、かつベアリング部材(610)又は振動部材(800)が、第3カム特徴部(730)の第2表面領域(734)に隣接している。またこの段階では、ナイフ部材(340)とステープル駆動部材(350)とが、近位位置にあり、これによりステープル留めヘッド組立体(300)が、非作動状態に戻される。いくつかの様式では、弾力部材(例えば、ステープル留めヘッド組立体ドライバー(240)及び/又は駆動ブラケット(250))などの、直線的に平行移動する、駆動組立体の構成部品に係合する、コイルばね、及び/又はカム従動子(600)に係合するトーションばね、など)は、バイアスを提供して、図25C及び図18Bに示す位置から図25D及び図18A位置へとカム従動子(600)が戻るのを手助けする。
図20A~20Dに示す反対の方法におけるカム(700)の回転は、図25A~Dに示すように、器具(10、2010)のリセットという結果をもたらすと、前述から理解すべきである。本様式における器具(10、2010)のリセットにより、ステープル留めヘッド組立体(300)は非作動状態であり、またカム(700)及びカム従動子(600)は発射前の状態である。図24へ戻ると、本段階では操作員は次にステープル留めヘッド組立体(300)をステープル(90)と共に再装填してよく(ブロック2206)、またトリガーロックアウト組立体を再係合して(ブロック2208)、器具(10、2010)が意図的に発射される準備が整った状態及び位置となるまで、器具(10、2010)の好ましくない発射を防いでよい。
B.器具の例示的な手動リセット
上記の方法に加えて、又は上記の方法の代わりに、操作員は、モータ(160、2160)を全く駆動することなく、後続発射のために器具(10、2010)をリセットしてよい。例えば、図24は器具(10、2010)をリセットする別の代表的な方法を示す。本実施例では、操作員はバッテリパック(例えば、バッテリパック(120))を取り除いてよく(ブロック2210)、またケーシング(110)の少なくとも一部を取り除いて、例えばカム(700)などの、器具(10、2010)の特定の内部構成部品を露出させてよい(ブロック2212)。一度カム(700)が露出すると、操作員は、図25Aに示す位置(これは本明細書においては「発射位置」と称する)から図25Dに示す位置(これは本明細書においては「定位置」と称する)へとカム(700)を手動で回転させてよい(ブロック2214)。使用者は、手又はいくつかの工具若しくは装置の種類(レンチ、スクリュードライバー、又はカム(700)に回転力を提供するよう構成されたその他の工具など)により、カム(700)を手動で回転させてよい。更に、カム(700)は、このような工具又は装置の使用が可能な特徴を含んでよい。このような特徴及び工具が取り得る様々な好適な形態については、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかとなるであろう。
カム(700)が手動で反対に回転する場合、ステープル留めヘッド組立体(300)と同様に、カム(700)、カム従動子(600)、及び振動部材(800)との間の相互作用は、カム(700)と、図23に関して記載されているようなモータ駆動によるカム(700)の反対回転を伴う、このような構成部品との間の相互作用と、実質的に同一である、と理解されるであろう。図20A~図20Dに示したものとは反対の態様でカム(700)を手動で回転させることは、かくして図25A~図25Dに示す動きを提供し、上記のような器具(10、2010)のリセットをもたらす。カム(700)を反対に回転させるために、操作員は、カム(700)がその他の構成部品(カム従動子(600)、振動部材(800)、及びステープル留めヘッド組立体(300)など)からの抵抗を克服する、十分なレベルの回転力を受けるようにしなければならないことも、更に理解されるであろう。一度カム(700)が図25Dに示す位置へと手動で回転すると、操作員は、次にケーシング(110)を交換し(ブロック2216)、ステープル留めヘッド組立体(300)をステープル(90)と共に再装填し(ブロック2218)、またトリガーロックアウト組立体を再係合して(ブロック2219)、器具(10、2010)が意図的に発射させる準備が整った状態及び位置となるまで、器具(10、2010)の好ましくない発射を防ぐ。
図26は、モータ(160、2160)を起動することなく後続発射をさせるための、器具(10、2010)をリセットする別の代表的な方法を示す。器具(10、2010)をリセットするその他の方法に加えて、又はその他の方法に代えて、図26に示す方法を実施してよい。示すように、操作員はバッテリパック(120)を取り除き(ブロック2220)、またケーシング(110)の少なくとも一部を取り除いて(ブロック2222)、カム(700)などの、器具(10、2010)の特定の内部構成部品を露出させてよい。一度カム(700)が露出すると、操作員はカム従動子(600)を置き換える又は取り除き(ブロック2224)、これにより、実質的にカム従動子(600)、ステープル留めヘッド組立体(300)、及びその他の構成部品との相互作用なしに、カム(700)を図20D及び25Aに示す位置から図20A及び25Dへと、より容易に移動させることができる(ブロック2226)。操作員は、手又はいくつかの工具若しくは装置の種類(レンチ、スクリュードライバー、又はカム(700)に回転力を提供するよう構成されたその他の工具など)により、カム(700)を手動で回転させてよい。更に、カム(700)は、このような工具又は装置の使用が可能な特徴を含んでよい。
一度カム(700)が発射位置から定位置へと手動で回転して戻ると、操作員はカム従動子(600)を置き換えてよく(ブロック2227)、これによりカム従動子(600)はカム(700)と再係合する。次にケーシング(110)を交換し(ブロック2228)、ステープル留めヘッド組立体(300)をステープル(90)と共に再装填し(ブロック2230)、またトリガーロックアウト組立体を再係合して(ブロック2231)、器具(10、2010)が意図的に発射させる準備が整った状態及び位置となるまで、器具(10、2010)の好ましくない発射を防ぐ。
図27は、モータ(160、2160)を起動することなく後続発射をさせるための、器具(10、2010)をリセットする別の例示的な方法を示す。外科用器具をリセットするその他の方法に加えて、又はその他の方法に代えて、図26に示す方法を実施してよい。示すように、操作員はバッテリパック(120)を取り除き(ブロック2232)、またケーシング(110)の少なくとも一部を取り除いて(ブロック2234)、カム(700)などの、器具(10、2010)の特定の内部構成部品を露出させる。操作員は、次にモータ(160、2160)、ギヤボックス(162、2162)、及びカム(700)をハンドル組立体(200)から取り除く(ブロック2236)。一度これらの構成部品がハンドル組立体(200)から取り除かれると、操作員は、カム(700)を回転させて図20A及び25Dに示す定位置へと戻す(ブロック2238)。この関連で、モータ(160、2160)、ギヤボックス(162)、及び/又はカム(700)は、角度の付いた状態で位置づけられてモータ(160、2160)及び/又はギヤボックス(162)に対するカム(700)の定位置を示す、表示を含んでよい。
一度カム(700)が手動で定位置へと再配置されると、操作員は、次にカム(700)、モータ(160、2160)、及びギヤボックス(162)をハンドル組立体(200)へと挿入して戻し(ブロック2240)、かつ標準構造に対するカム(700)の正確な位置を確認する(ブロック2242)。例えば、操作員は、ベアリング部材(804)に対する第3カム特徴部(730)の正確な位置を確認してよい。カム(700)の位置が適切ではない場合(例えば、図20A及び25Dに示すように)、操作員はカム(700)の位置を更に調節してよい。一度カム(700)の適切な位置が確認されると、操作員は、次にケーシング(110)を交換し(ブロック2244)、ステープル留めヘッド組立体(300)をステープル(90)と共に再装填し(ブロック2246)、またトリガーロックアウト組立体を再係合して(ブロック2247)、器具(10、2010)が意図的に発射させる準備が整った状態及び位置となるまで、器具(10、2010)の好ましくない発射を防ぐ。いくつかの代替的実施例では、操作員はカム(700)を取り除いてよく、かつモータ(160、2160)及び/又はギヤボックス(162)を取り除いてはいけない。操作員は、器具(10、2010)のその他の構造に対して、図20A及び25Dに示す位置にてカム(700)を置き換えてよい。
図23~24及び26~27に示す工程のいずれかが完了後に、器具(10、2010)を再び使用して、図21A~21Eに示す操作及び上記の操作などの吻合操作を実施してよい、と理解すべきである。換言すれば、正に以前は決して使用されてこなかった器具(10、2010)の型同様に、リセットされた器具(10、2010)を使用してよい。
C.継続したモータ回転による手動器具の例示的な電動リセット
上記の実施例では、モータ停止モジュール(190)は、パドル(806)が(図20A~図20Dに示されているような)作動ストロークの終わりにスイッチボタン(192)を作動させた後、短絡回路を作成し、それにより、モータ(160)が更に起動するのを防ぐように、構成されている。いくつかのこのような様式は、開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2015/0083774号の教示の少なくとも一部に従って構成され、かつ動作可能であってもよい。また上記のとおり、いくつかのこのような様式は、駆動回路の極性を反転させて、それによりモータ(160)を反転方向に(図25A~図25Dに示されているように)回転させることによって、ステープル留めヘッド組立体(300)用の作動駆動列が定位置(即ち、図20A及び図25Dに示されている状態)に戻されることを可能にし得る。
いくつかの代替駆動回路は、作動ストロークの終わりにモータ(160)を停止させるために異なる構成及び方法を提供し得る。例えば、いくつかの代替駆動回路は、作動ストロークの終わりに駆動回路内で(短絡回路を提供する代わりに)極性反転を提供して、それにより、モータ(160)を作動ストロークの終わりに制動し得る。あくまでも例として、このような回路は、開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2017年9月14日に公開された米国特許出願公開第2017/0258471号、発明の名称「Methods and Systems for Performing Circular Stapling」の教示の少なくとも一部に従って構築され、かつ動作可能であってもよい。極性が作動ストロークの終わりに自動的に反転される様式では、ステープル留めヘッド組立体(300)用の作動駆動列を定位置(即ち、図20A及び図25Dに示されている状態)に戻すために、別の技術が正当化され得る。
極性反転によるモータ(160)の制動を提供する回路(2600)の実施例が、図29A~図29Hに示されており、モータ停止モジュール(190)は、モータ停止モジュール(2690)となるように修正がなされている。モータ停止モジュール(2690)は、モータ停止モジュール(190)と同様にスイッチボタン(192)を含む。モータ停止モジュール(2690)はまた、構成及び位置づけもモータ停止モジュール(190)と同様に行われ得、その結果、スイッチボタン(192)は、図19A~図19Dに示されているように、作動ストロークの終わりにパドル(806)によって作動させられる。後で詳しく説明するように、スイッチボタン(192)は、スイッチボタン(192)が作動ストロークの終わりにパドル(806)によって作動させられるまで、第1の極性状態(図29A~図29B及び図20A~図20C)で、その後、スイッチボタン(192)がパドル(806)によって作動させられている間、第2の極性状態(図29C~図29F、図20D、及び図30A)で、その後、スイッチボタン(192)がもはやパドル(806)によって作動させられていなくなった後、再び第1の極性状態(図29G~図29H及び図30B)で、駆動回路(2600)を提供するように構成されている。
図28は、器具が、図29A~図29Hに示されている回路(2600)のような駆動回路を含むとき、ステープル留めヘッド組立体(300)用の作動駆動列を定位置まで戻すために、作動ストロークの完了後に器具(10)内で使用され得る例示的なバッテリパック(2500)を示している。バッテリパック(2500)は、バッテリパック(120)と同様にソケット(116)内に嵌合するように構成されている。バッテリパック(2500)もまた、ラッチ(122)と同様に、バッテリパック(2500)をソケット(116)内に解放可能に保持するラッチ(2502)を含む。バッテリパック(2500)は、バッテリパック(2500)が、バッテリパック(120)の極性の反転した極性で提供されているという点においてのみ、バッテリパック(120)と異なっている。
図29A~図29Hは、動作の様々な状態における回路(2600)を示している。回路(2600)は、モータ停止モジュール(2690)、一対のバッテリ端子(2620、2622)、モータ(160)、及び発射スイッチ(2610)を含む。回路(2600)はまた、数ある他の従来の構成要素の中で特に、様々なトランジスタ、ダイオード、LED、及びコンデンサも含む。回路(2600)に組み込むことのできる、様々な種類の構成要素、このような構成要素の特性、及びこのような構成要素の構成は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかになるであろう。本実施例のバッテリ端子(2620、2622)は、バッテリパック(120)がソケット(116)内に完全に着座したときにはバッテリパック(120)の対応する端子と、バッテリパック(2500)がソケット(116)内に完全に着座したときにはバッテリパック(2500)の対応の端子と、連結するように構成されている。モータ(160)は、上記の同じモータ(160)であり、したがって、モータ(160)は、カム部材(700)を回転させるように動作可能である。発射スイッチ(2610)は、トリガー(150)が作動させられたときは、パドル(158)が発射スイッチ(2610)を閉状態に到達させるように、トリガー(150)が作動させられていないときは常に、発射スイッチ(2610)が開状態にあるように(例えば、押下されていたトリガー(150)が解放された後、発射スイッチ(2610)は開状態に戻り得る)、発射トリガー(150)に連結されている。
図29Aは、器具(10)が初期の使用準備済みの状態にある状態での回路(2600)を示している。この段階では、バッテリパック(120)はソケット(116)内に配設されており、カム部材(700)は図20Aに示されている位置にあり、発射トリガー(150)は非作動状態にあり、モータ停止モジュール(2690)は第1の極性状態を提供している。図29Bは、操作員がトリガー(150)を作動させ、それにより、発射スイッチ(2610)を開状態から閉状態に遷移させた後の回路(2600)を示している。結果として、モータ(160)は、カム部材(700)を第1の角度方向に回転させるように起動されており、その結果、カム部材(700)は、図20A~図20Cに示されている段階を通って回転する。
カム部材(700)が全駆動ストロークにわたって回転すると、カム部材(700)は、最終的に、第3カム特徴部(730)がベアリング部材(804)を係合する、図20Dに示されている位置に到達する。第3カム特徴部(730)がベアリング部材(804)を上方に駆動させると、パドル(806)は、スイッチボタン(192)を作動させるように駆動され、それにより、スイッチボタン(192)を図29Cに示されている状態に遷移させる。回路(2600)は、このように第2の極性状態に遷移させられる。第2の極性状態に到達すると、モータ(160)は、もはや起動されている状態ではなく、その結果、操作員が発射トリガー(150)を作動させ続けて発射スイッチ(2610)を閉状態に維持したとしても、カム部材(700)は回転を停止する。図29Dは、作動ストロークの完了後、操作員が発射トリガー(150)を解放しており、それにより、発射スイッチ(2610)が開いている状態にある、回路(2600)を示している。
発射スイッチ(2610)は、カム部材(700)の完全な作動ストロークにわたって閉状態にあり、作動ストロークの完了後まで開状態に戻らないものとして示されているが、回路(2600)のいくつかの様式は、カム部材(700)の完全な作動ストロークが完了する前に、操作員が発射トリガー(150)を解放し、それにより、発射スイッチ(2610)を開いたとしても、依然としてカム部材(700)の完全な作動ストロークを完了し得る。あくまでも例として、このような機能性は、開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2015/0083774号の教示の少なくとも一部に従って提供されてよい。
図29Dに示されている状態に到達した後、操作員は、作動組立体をホーム状態に戻して、それにより、作動組立体が新たな完全な作動ストロークにわたって動作すること(例えば、訓練に関連して製品の操作を実演することなど)が可能となることを所望し得る。そのため、図29Eは、操作員がバッテリパック(120)を取り外し、バッテリパック(120)をバッテリパック(2500)と交換した状態にある、回路(2600)を示している。したがって、端子(2620、2622)における極性は、反転されたものになっている。回路(2600)の極性が第2の状態にあり(スイッチボタン(192)の状態に基づく)、かつ、バッテリパック(2500)がソケット(116)内に挿着されているとき、操作員は、図29Fに示されているように、発射トリガー(150)を再び作動させて、発射スイッチ(2610)を再び閉じ得る。これにより、モータ(160)が再び起動する。カム部材(700)の回転方向が定位置に戻るように反転させられる前述の実施例とは異なり、本実施例では、モータ(160)は、図20A~図20Dに示されている作動ストロークの間に使用されたのと同じ第1の角度方向にカム部材(700)を回転させる。
図30A~図30Bは、カム部材(700)を完全作動位置(図30A)から定位置(図30B)まで遷移させる運動の範囲にわたって回転しているカム部材(700)を示している。図30Aに示されている完全作動位置は、図20Dに示されている完全作動位置と同じである。同様に、図30Bに示されている定位置は、図20Aに示されている定位置と同じである。カム部材(700)が図30Aに示されている位置から図30Bに示されている位置まで回転するとき、ベアリング部材(804)は、ベアリング部材(804)が最後に第1表面領域(732)を越えるまで、第3カム特徴部(732)の第1表面領域(732)に沿って乗り続け、その結果、ベアリング部材(804)は、最終的に、図30Bに示されている位置まで下方に急速に戻る。この運動の間、ベアリング部材(804)及び/又は振動部材(800)のいくらかの他の部分は、ベアリング部材(804)が第1表面領域(732)のピークを乗り越えることができるように変形し得る。また、この運動の間、パドル(806)は、ベアリング部材(804)が最後に第1表面領域(732)のピークを超えるまで、スイッチボタン(192)を作動状態に維持する。
図29Fは、カム部材(700)が図30A~図30Bに示されている運動の範囲にわたって移動するときの回路(2600)を示しており、図29Gは、パドル(806)がもはやボタン(192)を作動状態に維持していないような、カムベアリング部材(804)が第1表面領域(732)のピークを超えた後の回路(2600)を示している。図29Gに示されているように、スイッチボタン(192)は、これにより、回路(2600)を第1の極性状態に戻す。第1の極性状態へのこの逆遷移が起こると、モータ(160)はもう起動されなくなる。次いで、操作員は発射トリガー(150)を解放し、これにより、発射スイッチ(2610)が、図29Hに示されているように開状態に戻る。上記のとおり、回路(2600)のいくつかの様式は、カム部材(700)が図30A~図30Bに描写されている移動の全範囲を完了する前に、操作員が発射トリガー(150)を解放し、これにより、発射スイッチ(2610)を開いたとしても、スイッチボタン(192)が回路(2600)を第1の極性状態に戻すまで、モータ(160)の起動を維持するラッチング特徴部を含み得る。
図29Hに示されている状態に到達した後、カム部材(700)は定位置(図20A及び図30B)に戻されており、回路(2600)は第1の極性状態に戻っており(スイッチボタン(192)の状態による)、発射スイッチ(2610)は開状態に戻っている。次いで、操作員は、バッテリパック(2500)をソケット(116)から取り外し、バッテリパック(120)をソケット(116)内に挿着し、これにより、回路(2600)を図29Aに示されている状態に戻し得る。次いで、操作員は、図29A~図29Hを参照して所望の回数だけ上記のシーケンスを繰り返し得る。
III.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる、様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の出願におけるどの時点でも提示され得る、いずれの請求項の適用範囲をも限定することを目的としたものではない、と理解すべきである。一切の棄権をも意図するものではない。以下の実施例は、単なる例示の目的で与えられるものにすぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で構成及び適用が可能であると考えられている。また、一部の変形では、以下の実施例において言及される特定の特徴を省略してよいことも、考えられる。したがって、本発明者又は本発明者の利益の継承者により、後日、そうである旨が明示的に示されないかぎり、以下に言及される態様又は特徴のいずれも重要なものとして見なされるべきではない。以下に言及される特徴以外の更なる特徴を含む特許請求の範囲が本出願において、又は本出願に関連する後の出願において示される場合、これらの更なる特徴は、特許性に関連するいずれかの理由により追加されたものとしても、仮定されるべきではない。
(実施例1)
組織をステープル留めするために構成された機器をリセットする方法であって、本機器は、(a)ステープル留めヘッド組立体であって、(i)ステープルの環状配置アレイ、及び(ii)組織を切断するように構成された、環状切断縁部を伴うナイフ、を具備するステープル留めヘッド組立体、(b)ステープル留めヘッド組立体に連結したシャフト組立体、(c)シャフト組立体に連結した本体であって、(i)モータ、及び(ii)モータの起動に対応して回転するよう構成されたカム部材であって、カム部材が定位置から発射位置へと第1方向に回転可能であり、ステープル留めヘッド組立体を作動させ、それにより組織にわたってステープル及びナイフを駆動する、カム部材、を含む、本体、(d)モータと電気通信している回路、を含み、本方法は(a)発射位置にてカム部材を含む機器を提供すること、(b)回路の極性を変化させること、及び(c)カム部材が発射位置から定位置へと回転するようにモータを起動させること、を含む、方法。
(実施例2)
定位置と発射位置との間で回転する場合に、カム部材が360度未満回転する、実施例1の方法。
(実施例3)
カム部材が、定位置から発射位置に遷移するために第1の運動範囲にわたって回転し、カム部材が、発射位置から定位置に遷移するために第2の運動範囲にわたって回転する、実施例1~2のいずれか1つ又は2つ以上の方法。
(実施例4)
カム部材が、第1の運動範囲の間に第1の角度方向に回転し、カム部材が、第2の運動範囲の間に第1の角度方向に回転し続ける、実施例3の方法。
(実施例5)
カム部材が、第1及び第2の運動範囲の単一の組み合わせの間に完全な360度の角運動にわたって回転する、実施例4の方法。
(実施例6)
カム部材が、第1の運動範囲の間に第1の角度方向に回転し、カム部材が、第2の運動範囲の間に第2の角度方向に回転し、第2の角度方向が第1の角度方向と反対である、実施例3の方法。
(実施例7)
回路が少なくとも1つの極性スイッチを更に含み、回路の極性を変化させることが、少なくとも1つの極性スイッチを作動させることを含む、実施例1~6のいずれか1つ又は2つ以上の方法。
(実施例8)
カム部材が、少なくとも1つの極性スイッチを作動させるように構成されている、実施例7の方法。
(実施例9)
機器がトリガーを更に含み、モータが、トリガーの作動に対応して起動するように構成されており、方法が、トリガーを作動させることを更に含む、実施例1~8のいずれか1つ又は2つ以上の方法。
(実施例10)
第1のバッテリパックが、モータを起動してカム部材を定位置から発射位置まで駆動させるために使用されており、第2のバッテリパックが、モータを起動してカム部材を発射位置から定位置まで駆動させるために使用されており、第1のバッテリパックが第1の極性を有し、第2のバッテリパックが、第1の極性と反対である第2の極性を有する、実施例1~9のいずれか1つ又は2つ以上の方法。
(実施例11)
(a)第1のバッテリパックを本体にあるソケットから取り外すことと、(b)第2のバッテリパックを本体にあるソケット内に挿着することと、を更に含み、カム部材が発射位置から定位置まで回転するようにモータを起動させる動作は、第2のバッテリパックが本体のソケット内にある間に実施される、実施例10の方法。
(実施例12)
器具を洗浄することを更に含む、実施例1~11のいずれか1つ又は2つ以上の方法。
(実施例13)
ステープル留めヘッド組立体にステープルを再装填することを更に含む、実施例1~12のいずれか1つ又は2つ以上の方法。
(実施例14)
容器に器具を詰め込むことを更に含む、実施例1~13のいずれか1つ又は2つ以上の方法。
(実施例15)
外科手術においてリセットされた器具を使用することを更に含む、実施例1~14のいずれか1つ又は2つ以上の方法。
(実施例16)
外科手術においてリセットされた器具を使用することが、吻合処置においてリセットされた器具を使用することを更に含む、実施例15の方法。
(実施例17)
組織をステープル留めするために構成された機器をリセットする方法であって、本機器は、(a)ステープル留めヘッド組立体であって、(i)ステープルの環状配置アレイ、及び(ii)組織を切断するように構成された、環状切断縁部を伴うナイフ、を具備する、ステープル留めヘッド組立体と、(b)ステープル留めヘッド組立体に連結されているシャフト組立体と、(c)シャフト組立体に連結されている本体であって、同本体が、(i)ソケット、(ii)モータ、及び(iii)モータの起動に対応して回転するように構成されているカム部材を含み、同カム部材が、ステープル留めヘッド組立体を作動させて、それにより、ステープル及びナイフを組織にわたって駆動するように、定位置から発射位置まで第1方向に回転可能であり、同カム部材が、発射位置から定位置まで第1方向に更に回転可能である、本体と、を含み、本方法は、(a)発射位置にあるカム部材を含む機器を提供することであって、第1の極性を有する第1のバッテリが、ソケット内に位置づけられ、かつ、モータを起動して、それにより、カム部材を定位置から発射位置まで第1方向に駆動するために使用された、ことと、(b)第2のバッテリをソケット内に挿着することであって、第2のバッテリが、第1の極性と反対である第2の極性を有する、ことと、(c)モータを第2のバッテリで起動して、それにより、カム部材を発射位置から定位置まで第1方向に駆動させることと、を含む、方法。
(実施例18)
機器が、少なくとも1つの極性スイッチを更に含み、極性スイッチは、カム部材が発射位置に提供されているとき、回路を第1の極性状態にするように位置づけられ、極性スイッチは、カム部材が、モータを第2のバッテリで起動させることに対応して発射位置から定位置までの移動範囲を完了したとき、回路を第2の極性状態にするように作動させられる、実施例17の方法。
(実施例19)
外科用キットであって、同外科用キットは、(a)ステープル留め器具であって、(i)ステープル留めヘッド組立体であって、(A)ステープルの環状配置アレイ、及び(B)組織を切断するように構成された、環状切断縁部を伴うナイフ、を具備する、ステープル留めヘッド組立体と、(ii)ステープル留めヘッド組立体に連結されているシャフト組立体と、(iii)シャフト組立体に連結されている本体であって、同本体が、(A)モータ、及び(B)モータの起動に対応して回転するように構成されているカム部材を含み、同カム部材が、ステープル留めヘッド組立体を作動させて、それにより、ステープル及びナイフを組織にわたって駆動するように、定位置から発射位置まで第1方向に回転可能であり、同カム部材が、発射位置から定位置まで第1方向に更に回転可能である、本体と、(iv)モータと電気通信している回路であって、同回路は、第1の極性状態と第2の極性状態との間を遷移するように構成されており、モータは、回路が第1の極性状態にあるとき、カム部材を定位置から発射位置まで駆動させるように構成されており、カム部材は、回路が第2の極性状態にあるとき、カム部材を発射位置から定位置まで駆動させるように更に構成されている、回路と、を含む、ステープル留め器具と、(b)回路が第1の極性状態にあるときにモータを起動するように構成されている第1のバッテリパックであって、第1のバッテリパックが、回路の第1の極性状態に関連付けられている第1の極性を有する、第1のバッテリパックと、(c)回路が第2の極性状態にあるときにモータを起動するように構成されている第2のバッテリパックであって、第2のバッテリパックが、回路の第2の極性状態に関連付けられている第2の極性を有する、第2のバッテリパックと、を含む、外科用キット。
(実施例20)
本体がソケットを更に画定しており、ソケットが、第1のバッテリパックを取り外し可能に受容するように構成されており、ソケットが、第2のバッテリパックを取り外し可能に受容するように更に構成されている、実施例19の外科用器具。
IV.その他
本明細書で述べる教示、表現、実施形態、例などのうちいずれか1つ以上は、本明細書で述べるその他の教示、表現、実施形態、例などのうちいずれか1つ以上と組み合わせることができることもまた理解されたい。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法が、当業者には直ちに明らかとなろう。このような改変及び変形は、特許請求の範囲内に含まれるものとする。
本明細書の教示の少なくとも一部は、2010年9月14日に発行された米国特許第7,794,475号、発明の名称「Surgical Staples Having Compressible or Crushable Members for Securing Tissue Therein and Stapling Instruments for Deploying the Same」(この開示内容は参照により本明細書に組み込まれる);同2014年6月5日に公開された米国特許出願公開第2014/0151429号、発明の名称「Trans-Oral Circular Anvil Introduction System with Dilation Feature」(この開示内容は参照により本明細書に組み込まれる);同2014年5月29日に公開された米国特許出願公開第2014/0144968号、発明の名称「Surgical Staple with Integral Pledget for Tip Deflection」(この開示内容は参照により本明細書に組み込まれる);同2014年6月12日に公開された米国特許出願公開第2014/0158747号、発明の名称「Surgical Stapler with Varying Staple Widths along Different Circumferences」(この開示内容は参照により本明細書に組み込まれる);同2014年5月29日に公開された米国特許出願公開第2014/0144969号、発明の名称「Pivoting Anvil for Surgical Circular Stapler」(この開示内容は参照により本明細書に組み込まれる);同2014年6月5日に公開された米国特許出願公開第2014/0151430号、発明の名称「Circular Anvil Introduction System with Alignment Feature」(この開示内容は参照により本明細書に組み込まれる);同2014年6月19日に公開された米国特許出願公開第2014/0166717号、発明の名称「Circular Stapler with Selectable Motorized and Manual Control,Including a Control Ring」(この開示内容は参照により本明細書に組み込まれる);同2014年6月19日に公開された米国特許出願公開第2014/0166728号、発明の名称「Motor Driven Rotary Input Circular Stapler with Modular End Effector」(この開示内容は参照により本明細書に組み込まれる);2014年6月19日に公開された米国特許出願公開第2014/0166718号、発明の名称「Motor Driven Rotary Input Circular Stapler with Lockable Flexible Shaft」(この開示内容は参照により本明細書に組み込まれる);の1つ以上の教示と容易に組み合わせることができる。このような教示を組み合わせることができる種々の適切な方法が当業者に明らかになるであろう。
本明細書の実施例は、円形ステープリング機器の文脈で説明されているが、本明細書の様々な教示は、様々な他の種類の外科用機器に容易に適用され得ることを理解すべきである。単なる一例として、本明細書の様々な教示は、直線状のステープル留め装置(例えばエンドカッター)に容易に適用され得る。例えば、当業者には明らかであるように、本明細書の教示の少なくとも一部は、2012年9月20日に公開された米国特許出願公開第2012/0239012号、発明の名称「Motor-Driven Surgical Cutting Instrument with Electric Actuator Directional Control Assembly」(この開示内容は参照により本明細書に組み込まれる);及び/又は2010年10月21日に公開された米国特許出願公開第2010/0264193号、発明の名称「Surgical Stapling Instrument with An Articulatable End Effector」(この開示内容は参照により本明細書に組み込まれる);の様々な教示と容易に組み合わせることができる。別の単なる例示的な例として、本明細書の様々な教示は、電動式電気的外科装置に容易に適用できる。例えば、当業者には明らかであるように、本明細書の教示の少なくとも一部は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる2012年5月10日に公開された米国特許出願公開第2012/0116379号、発明の名称「Motor Driven Electrosurgical Device with Mechanical and Electrical Feedback」の様々な教示と容易に組み合わせることができる。本明細書の教示を適用できるその他の適切な種類の器具、及びそのような器具に本明細書の教示を適用できる様々な方法が、当業者には明らかになるであろう。
本明細書に参考として組み込まれると言及されたいかなる特許、公報、又は他の開示内容も、全体的に又は部分的に、組み込まれた内容が現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれている、と理解されなければならない。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれるものとするが、既存の定義、記述、又は本明細書に記載される他の開示文献と矛盾する任意の文献、又はそれらの部分は、組み込まれる文献と既存の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ組み込まれるものとする。
上記のデバイスの変形は、医療専門家により行われる従来の治療及び処置における用途のみではなく、ロボット支援された治療及び処置における用途をも有してよい。単なる例として、本明細書の様々な教示は、ロボット外科用システム、例えばIntuitive Surgical,Inc.(Sunnyvale、California)によるDAVINCI(商標)システムなどに容易に組み込まれてよい。
上述のバージョンは、1回の使用後に処分するように設計することができ、又はそれらは、複数回使用するように設計することができる。バージョンは、一方又はその両方の場合において、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整されてよい。再調整は、デバイスの分解工程、それに続く特定の部分の洗浄又は交換工程、及びその後の再組み立て工程の、任意の組み合わせを含んでよい。特に、デバイスのいくつかのバージョンは分解することができ、かつ、デバイスの任意の数の特定の部品若しくは部分を、任意の組み合わせにおいて選択的に交換又は取り外してもよい。特定の部品の洗浄及び/又は交換後、デバイスの特定の変形形態を、再調整用の施設において、又は処置の直前に使用者によってのいずれかで、その後の使用のために再組み立てすることができる。当業者であれば、デバイスの再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用することができることを、理解するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイは、全て本発明の範囲内にある。
単なる例として、本明細書に記載されるバージョンは、処置の前及び/又は後に滅菌されてもよい。1つの滅菌技術では、デバイスをプラスチック製又はTYVEK製のバックなどの閉鎖及び密封された容器に入れる。次いで、容器及びデバイスを、γ線、X線、又は高エネルギー電子線などの、容器を透過し得る放射線場に置いてよい。放射線は、デバイス上及び容器内の細菌を死滅させ得る。次に、滅菌されたデバイスを、後の使用のために、滅菌容器中に保管してよい。デバイスは、これらに限定されないが、β線及びγ線、エチレンオキシド、又は水蒸気を含む、当該技術分野で周知の他の任意の技術を用いて、デバイスを滅菌してもよい。
以上、本発明の様々な実施形態を図示及び説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者による適切な改変により、本明細書に記載される方法及びシステムの更なる適合化を実現することができる。このような可能な改変のうちのいくつかについて述べたが、他の改変も当業者には明らかであろう。例えば、上記の実施例、実施形態、形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであって、必須のものではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面において図示され、説明された構造及び動作の細部に限定されないものとして、理解されたい。
〔実施の態様〕
(1) 組織をステープル留めするために構成された機器をリセットする方法であって、前記機器は、
(a)ステープル留めヘッド組立体であって、前記ステープル留めヘッド組立体が、
(i)ステープルの環状配置アレイと、
(ii)組織を切断するように構成された環状切断縁部を伴うナイフと、を具備する、ステープル留めヘッド組立体と、
(b)前記ステープル留めヘッド組立体に連結されているシャフト組立体と、
(c)前記シャフト組立体に連結されている本体であって、前記本体が、
(i)モータと、
(ii)前記モータの起動に対応して回転するように構成されているカム部材であって、前記カム部材が、前記ステープル留めヘッド組立体を作動させて、それにより、前記ステープル及び前記ナイフを組織にわたって駆動するように、定位置から発射位置まで第1方向に回転可能である、カム部材と、を含む、本体と、
(d)前記モータと電気通信している回路と、を含み、
前記方法は、
(a)前記発射位置にある前記カム部材を含む機器を提供することと、
(b)前記回路の前記極性を変化させることと、
(c)前記カム部材が前記発射位置から前記定位置へと回転するように前記モータを起動させることと、を含む、方法。
(2) 前記定位置と発射位置との間で回転する場合に、前記カム部材が360度未満回転する、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記カム部材が、前記定位置から前記発射位置に遷移するために第1の運動範囲にわたって回転し、前記カム部材が、前記発射位置から前記定位置に遷移するために第2の運動範囲にわたって回転する、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記カム部材が、前記第1の運動範囲の間に第1の角度方向に回転し、前記カム部材が、前記第2の運動範囲の間に前記第1の角度方向に回転し続ける、実施態様3に記載の方法。
(5) 前記カム部材が、前記第1及び第2の運動範囲の単一の組み合わせの間に完全な360度の角運動にわたって回転する、実施態様4に記載の方法。
(6) 前記カム部材が、前記第1の運動範囲の間に第1の角度方向に回転し、前記カム部材が、前記第2の運動範囲の間に第2の角度方向に回転し、前記第2の角度方向が前記第1の角度方向と反対である、実施態様3に記載の方法。
(7) 前記回路が少なくとも1つの極性スイッチを更に含み、前記回路の前記極性を変化させることが、前記少なくとも1つの極性スイッチを作動させることを含む、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記カム部材が、前記少なくとも1つの極性スイッチを作動させるように構成されている、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記機器がトリガーを更に含み、前記モータが、前記トリガーの作動に対応して起動するように構成されており、前記方法が、前記トリガーを作動させることを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(10) 第1のバッテリパックが、前記モータを起動して前記カム部材を前記定位置から前記発射位置まで駆動させるために使用されており、第2のバッテリパックが、前記モータを起動して前記カム部材を前記発射位置から前記定位置まで駆動させるために使用されており、前記第1のバッテリパックが第1の極性を有し、前記第2のバッテリパックが、前記第1の極性と反対である第2の極性を有する、実施態様1に記載の方法。
(11) 前記方法が、
(a)前記第1のバッテリパックを前記本体にあるソケットから取り外すことと、
(b)前記第2のバッテリパックを前記本体にある前記ソケット内に挿着することと、を更に含み、
前記カム部材が前記発射位置から前記定位置まで回転するように前記モータを起動させる動作は、前記第2のバッテリパックが前記本体の前記ソケット内にある間に実施される、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記器具を洗浄することを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(13) 前記ステープル留めヘッド組立体にステープルを再装填することを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(14) 前記器具を容器に詰め込むことを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(15) 外科手術において前記リセットされた器具を使用することを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(16) 外科手術において前記リセットされた器具を使用することが、吻合処置において前記リセットされた器具を使用することを更に含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 組織をステープル留めするために構成された機器をリセットする方法であって、前記機器は、
(a)ステープル留めヘッド組立体であって、前記ステープル留めヘッド組立体が、
(i)ステープルの環状配置アレイと、
(ii)組織を切断するように構成された環状切断縁部を伴うナイフと、を具備する、ステープル留めヘッド組立体と、
(b)前記ステープル留めヘッド組立体に連結されているシャフト組立体と、
(c)前記シャフト組立体に連結されている本体であって、前記本体が、
(i)ソケットと、
(ii)モータと、
(iii)前記モータの起動に対応して回転するように構成されているカム部材であって、前記カム部材が、前記ステープル留めヘッド組立体を作動させて、それにより、前記ステープル及び前記ナイフを組織にわたって駆動するように、定位置から発射位置まで第1方向に回転可能であり、前記カム部材が、前記発射位置から前記定位置まで前記第1方向に更に回転可能である、カム部材と、を含む、本体と、を含み、
前記方法は、
(a)前記発射位置にある前記カム部材を含む機器を提供することであって、第1の極性を有する第1のバッテリが、前記ソケット内に位置づけられ、かつ、前記モータを起動して、それにより、前記カム部材を前記定位置から前記発射位置まで前記第1方向に駆動するために使用された、ことと、
(b)第2のバッテリを前記ソケット内に挿着することであって、前記第2のバッテリが、前記第1の極性と反対である第2の極性を有する、ことと、
(c)前記モータを前記第2のバッテリで起動して、それにより、前記カム部材を前記発射位置から前記定位置まで前記第1方向に駆動させることと、を含む、方法。
(18) 前記機器が、少なくとも1つの極性スイッチを更に含み、前記極性スイッチは、前記カム部材が前記発射位置に提供されているとき、前記回路を第1の極性状態にするように位置づけられ、前記極性スイッチは、前記カム部材が、前記モータを前記第2のバッテリで起動させることに対応して前記発射位置から前記定位置までの移動範囲を完了したとき、前記回路を第2の極性状態にするように作動させられる、実施態様17に記載の方法。
(19) 外科用キットであって、前記外科用キットは、
(a)ステープル留め器具であって、前記ステープル留め器具は、
(i)ステープル留めヘッド組立体であって、前記ステープル留めヘッド組立体が、
(A)ステープルの環状配置アレイと、
(B)組織を切断するように構成された環状切断縁部を伴うナイフと、を具備する、ステープル留めヘッド組立体と、
(ii)前記ステープル留めヘッド組立体に連結されているシャフト組立体と、
(iii)前記シャフト組立体に連結されている本体であって、前記本体が、
(A)モータと、
(B)前記モータの起動に対応して回転するように構成されているカム部材であって、前記カム部材が、前記ステープル留めヘッド組立体を作動させて、それにより、前記ステープル及び前記ナイフを組織にわたって駆動するように、定位置から発射位置まで第1方向に回転可能であり、前記カム部材が、前記発射位置から前記定位置まで前記第1方向に更に回転可能である、カム部材と、を含む、本体と、
(iv)前記モータと電気通信している回路であって、前記回路は、第1の極性状態と第2の極性状態との間を遷移するように構成されており、前記モータは、前記回路が前記第1の極性状態にあるとき、前記カム部材を前記定位置から前記発射位置まで駆動させるように構成されており、前記カム部材は、前記回路が前記第2の極性状態にあるとき、前記カム部材を前記発射位置から前記定位置まで駆動させるように更に構成されている、回路と、を含む、ステープル留め器具と、
(b)前記回路が前記第1の極性状態にあるときに前記モータを起動するように構成されている第1のバッテリパックであって、前記第1のバッテリパックが、前記回路の前記第1の極性状態に関連付けられている第1の極性を有する、第1のバッテリパックと、
(c)前記回路が前記第2の極性状態にあるときに前記モータを起動するように構成されている第2のバッテリパックであって、前記第2のバッテリパックが、前記回路の前記第2の極性状態に関連付けられている第2の極性を有する、第2のバッテリパックと、を含む、外科用キット。
(20) 前記本体がソケットを更に画定しており、前記ソケットが、前記第1のバッテリパックを取り外し可能に受容するように構成されており、前記ソケットが、前記第2のバッテリパックを取り外し可能に受容するように更に構成されている、実施態様19に記載の外科用キット。