以下、本開示に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態において互いに共通する要素には同一符号を付しており、共通する要素についての重複する説明は省略する。
(第1実施形態)
(1)概要
まず、本実施形態に係る推定システム、受信システム、制御システム、推定方法及びプログラムの概要について、図1を参照して説明する。本実施形態の推定システム1は、送信器が送信する無線信号を複数のアンテナA1~A4で受信する。ここで、送信器は、例えばBLE(Bluetooth(登録商標)Low Energy)(以下、「BLE」と記載する。)の規格に従ったビーコン信号(無線信号)を送信するビーコン装置である。ただし、送信器4は、BLEの規格に従ったビーコン信号を送信するビーコン装置に限られない。送信器4は、例えばWiFi(登録商標)の規格に従った無線信号を送信する装置であってもよい。
本実施形態の推定システム1は、複数のアンテナA1~A4でBLEの規格に従った無線信号を受信可能なシステムで構成される。ただし、推定システム1は、BLEの規格に従った無線信号を受信可能なシステムに限られない。推定システム1は、例えばWiFi(登録商標)の規格に従った無線信号を受信可能なシステムであってもよい。本実施形態の推定システム1は、複数のアンテナA1~A4で受信した無線信号の受信信号強度(RSSI)に基づいて、無線信号を送信した送信器4(図2参照)の位置方向を推定する。
(2)詳細
以下、本実施形態に係る推定システム1の詳細について図1を参照しつつ説明する。
(2.1)推定システム1の構成
図1に示すように、本実施形態の推定システム1は、受信システム2と、推定部3とを備える。受信システム2は、送信器が送信する無線信号を受信する。受信システム2は、無線信号を受信すると、無線信号に基づいて、無線信号の到来方向を推定するための複数の合成信号SS1~SS8を生成する。受信システム2は、生成した複数の合成信号SS1~SS8を推定部3に出力する。
なお、本実施形態では、受信システム2が8つの合成信号SS1~SS8を生成する場合を例示する。ただし、受信システム2は、少なくとも4つの合成信号SS1~SS4を生成するシステムであればよい。
推定部3は、受信システム2から出力される8つの合成信号SS1~SS8に基づいて無線信号の到来方向を推定する。推定部3が無線信号の到来方向を推定する方法については、「(3)到来方向推定」の欄で説明する。
(2.2)受信システム2の構成
受信システム2は、図1に示すように、複数(図示例では4つ)のアンテナA1~A4と、複数(図示例では4つ)の合成部S1~S4とを備える。
複数のアンテナA1~A4は、上述したように、BLE等の規格に従った無線信号を受信する。本実施形態では、図2に示すように、アンテナA1(第1アンテナ)とアンテナA4(第2アンテナ)とが第1仮想直線L1上に位置する。また、アンテナA4(第3アンテナ)とアンテナA3(第4アンテナ)とが第2仮想直線L2上に位置する。なお、第1仮想直線L1と第2仮想直線L2とは角度θ0で交差する。
図1に示す複数の合成部S1~S4は、アンテナA1~A4が受信した無線信号に基づく複数の入力信号IS1~IS4に対して合成処理を行い、複数の合成信号SS1~SS8を生成する。
合成部S1(第3合成部)は、アンテナA1が受信した無線信号に基づく入力信号IS1(第5入力信号)と、アンテナA2が受信した無線信号に基づく入力信号IS2(第6入力信号)との入力を受け付ける。本実施形態の合成部S1は、例えば180度ハイブリッドユニット(ハイブリッド素子)などで構成される。合成部S1は、2つの合成信号SS1,SS2を生成する。より詳細には、合成部S1は、入力信号IS1の位相を90度遅らせた信号と、入力信号IS2の位相を90度遅らせた信号と、を足し合わせて電力値を1/2倍することによって、合成信号SS1(第5合成信号)を生成する。また、合成部S1は、入力信号IS1と、入力信号IS2の位相を180度遅らせた信号と、を足し合わせて電力値を1/2倍することによって、合成信号SS2(第6合成信号)を生成する。そして、合成部S1は、生成した合成信号SS1,SS2を推定部3に出力する。
合成部S2(第4合成部)は、アンテナA2が受信した無線信号に基づく入力信号IS2と、アンテナA3が受信した無線信号に基づく入力信号IS3との入力を受け付ける。本実施形態の合成部S2は、例えば180度ハイブリッドユニットなどで構成される。合成部S2は、2つの合成信号SS3,SS4を生成する。より詳細には、合成部S2は、入力信号IS2の位相を90度遅らせた信号と、入力信号IS3の位相を90度遅らせた信号と、を足し合わせて電力値を1/2倍することによって、合成信号SS3を生成する。また、合成部S1は、入力信号IS2と、入力信号IS3の位相を180度遅らせた信号と、を足し合わせて電力値を1/2倍することによって、合成信号SS4を生成する。そして、合成部S2は、生成した合成信号SS3,SS4を推定部3に出力する。
合成部S3(第2合成部)は、アンテナA3(第4アンテナ)が受信した無線信号に基づく入力信号IS3(第4入力信号)と、アンテナA4(第3アンテナ)が受信した無線信号に基づく入力信号IS4(第3入力信号)との入力を受け付ける。本実施形態の合成部S3は、例えば90度ハイブリッドユニットなどで構成される。合成部S3は、合成信号SS5(第3合成信号)及び合成信号SS6(第4合成信号)を生成する。合成部S3は、入力信号IS3の位相を90度遅らせた信号と、入力信号IS4と、を足し合わせて電力値を1/2倍することによって、合成信号SS5を生成する。また、合成部S3は、入力信号IS3と、入力信号IS4の位相を90度遅らせた信号と、を足し合わせて電力値を1/2倍することによって、合成信号SS6を生成する。そして、合成部S3は、生成した合成信号SS5,SS6を推定部3に出力する。
合成部S4(第1合成部)は、アンテナA1(第1アンテナ)が受信した無線信号に基づく入力信号IS1(第1入力信号)と、アンテナA4(第2アンテナ)が受信した無線信号に基づく入力信号IS4(第2入力信号)との入力を受け付ける。本実施形態の合成部S4は、例えば90度ハイブリッドユニットなどで構成される。合成部S4は、合成信号SS7(第1合成信号)及び合成信号SS8(第2合成信号)を生成する。合成部S4は、入力信号IS1の位相を90度遅らせた信号と、入力信号IS4と、を足し合わせて電力値を1/2倍することによって、合成信号SS7を生成する。また、合成部S4は、入力信号IS1と、入力信号IS4の位相を90度遅らせた信号と、を足し合わせて電力値を1/2倍することによって、合成信号SS8を生成する。そして、合成部S4は、生成した合成信号SS7,SS8を推定部3に出力する。
(3)到来方向推定
次に、推定部3が無線信号の到来方向を推定する方法について図2を参照しつつ説明する。図2は、複数のアンテナA1~A4及び送信器4のxy平面上での位置関係を示している。ここで、図2中のx方向、y方向、及びz方向は互いに直交する方向である。また、z方向は複数のアンテナA1~A4の高さ方向である。また、図2中の矢印AR0は、送信器4が送信する無線信号を表している。
図2に示すように、本実施形態の複数のアンテナA1~A4は、略四角形の頂点に位置するように配置される。複数のアンテナA1~A4は、アンテナA1とアンテナA2とが隣り合い、アンテナA2とアンテナA3とが隣り合い、アンテナA3とアンテナA4とが隣り合い、アンテナA4とアンテナA1とが隣り合うように位置する。本実施形態では、アンテナA1及びアンテナA2間の間隔d1と、アンテナA2及びアンテナA3間の間隔d2と、アンテナA3及びアンテナA4間の間隔d3(第2間隔)と、アンテナA4及びアンテナA1間の間隔d4(第1間隔)とが等しい場合を例示する。また、隣り合う各アンテナ間の間隔d1~d4が、無線信号の波長の1/2倍である場合を例示する。
アンテナA1(第1アンテナ)とアンテナA4(第2アンテナ)とを結ぶ第1仮想直線L1と、アンテナA2とアンテナA3とを結ぶ仮想直線L1aとは、y方向に沿った直線である。また、アンテナA4(第3アンテナ)とアンテナA3(第4アンテナ)とを結ぶ第2仮想直線L2と、アンテナA1とアンテナA2とを結ぶ仮想直線L2aとは、x方向に沿った直線である。本実施形態では、第1仮想直線L1及び第2仮想直線L2がなす角度θ0が90度である場合を例示する。すなわち、本実施形態の複数のアンテナA1~A4は正方形の各頂点(同一円周上)に位置する。
図2に示すように、アンテナA1及びアンテナA2と、合成部S1とが電気的に接続されている。また、アンテナA2及びアンテナA3と、合成部S2とが電気的に接続されている。また、アンテナA3(第4アンテナ)及びアンテナA4(第3アンテナ)と、合成部S3(第2合成部)とが電気的に接続されている。また、アンテナA4(第2アンテナ)及びアンテナA1(第1アンテナ)と、合成部S4(第1合成部)とが電気的に接続されている。
上述のように、本実施形態の推定部3は、8つの合成信号SS1~SS8に基づいて、送信器4によって送信される無線信号の到来方向(送信器4の位置方向)を推定する。図2に示すように、無線信号の到来方向は、第1仮想直線L1に対する無線信号の角度θ1(θ1a)で表すことができる。また、無線信号の到来方向は、第2仮想直線L2に対する無線信号の角度θ2(θ2a)で表すことができる。すなわち、推定部3が、無線信号の到来方向を角度θ1又は角度θ2と推定するように構成されている。
アンテナA1と送信器4の送信アンテナとの間の伝播チャネルをh1、アンテナA2と送信アンテナとの間の伝播チャネルをh2、アンテナA3と送信アンテナとの間の伝播チャネルをh3、アンテナA4と送信アンテナとの間の伝播チャネルをh4とする。この場合、伝播チャネルh1~h4はまとめて、式(1)と表すことができる。
ここで、アンテナA1及びアンテナA2の組で観測されるチャネル情報で定義される相関行列R12は、式(2)と表すことができる。
また、アンテナA3(第4アンテナ)及びアンテナA4(第3アンテナ)の組で観測されるチャネル情報で定義される相関行列R34は、式(3)と表すことができる。
ここで、式(1)~式(3)中の記号*は複素共役を表す。通常、相関行列R12,R34の対角項は実数となり、非対角項は複素数となる。相関行列R12,R34を求めることで、推定部3は、無線信号の到来方向すなわち角度θ2(θ2a)を推定することができる。推定部3は、受信信号強度に基づいて、相関行列R12,R34を求める。合成部S1が出力する合成信号SS1,SS2で観測される伝播チャネルをそれぞれhss1,hss2とする。また、合成部S3(第2合成部)が出力する合成信号SS5,SS6で観測される伝播チャネルをそれぞれhss3,hss4とする。4つの合成信号SS1,SS2,SS5,SS6で観測される伝播チャネルはそれぞれ、式(4)~式(7)で表すことができる。
実際には、推定部3は受信信号強度のみを観測する。そのため、推定部3が観測可能な情報は、式(1)より、式(8)~式(11)と表すことができる。
式(8)~式(11)より、式(2)及び式(3)は、それぞれ式(12)~式(13)と近似することができる。
式(12)及び式(13)の行列の要素は、式(14)~式(17)と表すことができ、式(8)~式(11)に示した受信信号強度だけを用いて近似的に求めることができる。
相関行列R12は、アンテナA1とアンテナA2とが受信する受信信号強度に基づいて近似的に求まる。ここで、アンテナA1とアンテナA2とは、x方向に沿った仮想直線L2a上に位置する2素子アレーアンテナであり、x方向(仮想直線L2a)を対称軸とする。そのため、推定部3は、相関行列R12に基づいて無線信号の到来方向を推定する場合、+y方向と-y方向との区別をすることができない。すなわち、求めるべき無線信号の到来方向である角度θ2aの他に、角度π-θ2aも無線信号の到来方向の候補となる。また、式(15)で得られる相関行列R12の位相αは解が2つ存在する。そのため、推定部3は、相関行列R12に基づいて、求めるべき無線信号の到来方向である角度θ2aを含む4つの候補を推定する。すなわち、アンテナA1とアンテナA2の位置を原因とする虚像と、振幅(受信信号強度)のみを用いて無線信号の到来方向を推定することを原因とする虚像とが発生する。
推定部3が相関行列R34に基づいて無線信号の到来方向を推定する処理(第2推定処理)の場合も同様である。すなわち、求めるべき無線信号の到来方向である角度θ2の他に、角度π-θ2も無線信号の到来方向の候補となる。また、式(17)で得られる相関行列R34の位相βは解が2つ存在する。そのため、推定部3は、相関行列R34に基づいて、求めるべき無線信号の到来方向である角度θ2を含む4つの候補を推定する。すなわち、アンテナA3とアンテナA4の位置を原因とする虚像と、振幅(受信信号強度)のみを用いて無線信号の到来方向を推定することを原因とする虚像とが発生する。
また、アンテナA2及びアンテナA3の組で観測されるチャネル情報で定義される相関行列R23は、式(18)と表すことができる。
また、アンテナA1(第1アンテナ)及びアンテナA4(第2アンテナ)の組で観測されるチャネル情報で定義される相関行列R14は、式(19)と表すことができる。
通常、相関行列R23,R14の対角項は実数となり、非対角項は複素数となる。相関行列R23,R14を求めることで、推定部3は、無線信号の到来方向である角度θ1(θ1a)を推定することができる。推定部3は、受信信号強度に基づいて、相関行列R23,R14を求める。合成部S2が出力する合成信号SS3,SS4で観測される伝播チャネルをそれぞれhss3,hss4とする。合成部S4(第1合成部)が出力する合成信号SS7,SS8で観測される伝播チャネルをそれぞれhss7,hss8とする。4つの合成信号SS3,SS4,SS7,SS8で観測される伝播チャネルはそれぞれ、式(20)~式(23)で表すことができる。
実際には、推定部3は受信信号強度のみを観測する。そのため、推定部3が観測可能な情報は、式(1)より、式(24)~式(27)と表すことができる。
式(24)~式(27)より、式(18)及び式(19)は、それぞれ、式(28)及び式(29)と近似することができる。
式(28)及び式(29)の行列の要素は、式(30)~式(33)と表すことができ、式(24)~式(27)に示した受信信号強度だけを用いて近似的に求めることができる。
相関行列R23は、アンテナA2とアンテナA3とが受信する受信信号強度に基づいて近似的に求まる。ここで、アンテナA2とアンテナA3とは、y方向に沿った仮想直線L1a上に位置する2素子アレーアンテナであり、y方向(仮想直線L1a)を対称軸とする。そのため、推定部3は、相関行列R23に基づいて無線信号の到来方向を推定する場合、+x方向と-x方向との区別をすることができない。すなわち、求めるべき無線信号の到来方向である角度θ1aの他に、角度π-θ1aも無線信号の到来方向の候補となる。また、式(31)で得られる相関行列R23の位相γは解が2つ存在する。そのため、推定部3は、相関行列R23に基づいて、求めるべき無線信号の到来方向である角度θ1aを含む4つの候補を推定する。すなわち、アンテナA2とアンテナA3の位置を原因とする虚像と、振幅(受信信号強度)のみを用いて無線信号の到来方向を推定することを原因とする虚像とが発生する。
推定部3が相関行列R14に基づいて無線信号の到来方向を推定する処理(第1推定処理)を行う場合も同様である。すなわち、求めるべき無線信号の到来方向である角度θ1の他に、角度π-θ1も無線信号の到来方向の候補となる。また、式(33)で得られる相関行列R14の位相δは解が2つ存在する。そのため、推定部3は、相関行列R14に基づいて、求めるべき無線信号の到来方向である角度θ1を含む4つの候補を推定する。すなわち、アンテナA1とアンテナA4の位置を原因とする虚像と、振幅(受信信号強度)のみを用いて無線信号の到来方向を推定することを原因とする虚像とが発生する。
本実施形態の推定部3は、以下の2つの方法で、無線信号の到来方向を特定する。第1の方法は、式(15)及び式(17)の解と式(31)及び式(33)の解との選択を行う方法である。式(15)及び式(17)において、アンテナA1とアンテナA2とで構成されるアレーアンテナと、アンテナA3とアンテナA4とで構成されるアレーアンテナとは共にx方向に沿って各アンテナが位置する。すなわち、第2仮想直線L2及び仮想直線L2aは、x方向に沿った互いに平行な仮想直線であるため、観測される相関行列R12,R34は等しくなる。したがって、αとβは等しい値になる。複数存在するαとβとの解のうち、αとβとが一致する解を選択することで、相関行列R12,R34を決定することができる。なお、実際には観測誤差が生ずるため、αとβとの解のうち、αとβとが一致する解がない場合がある。このような場合、推定部3は、値が最も近いαとβの解を選択する。
式(31)及び式(33)において、アンテナA2とアンテナA3とで構成されるアレーアンテナと、アンテナA1とアンテナA4とで構成されるアレーアンテナとは共にy方向に沿って各アンテナが位置する。すなわち、第1仮想直線L1及び仮想直線L1aは、y方向に沿った互いに平行な仮想直線であるため、観測される相関行列R23,R14は等しくなる。したがって、γとδは等しい値になる。複数存在するγとδとの解のうち、γとδとが一致する解を選択することで、相関行列R23,R14を決定することができる。なお、実際には観測誤差が生ずるため、γとδとの解のうち、γとδとが一致する解がない場合がある。このような場合、推定部3は、値が最も近いγとδの解を選択する。
次に、推定部3は、上述のようにして求めた相関行列R12,R23,R34,R14に基づいて無線信号の到来方向を推定する。例えば、推定部3がMUSIC法を用いて無線信号の到来方向を推定する場合、相関行列R12,R23,R34,R14を、式(34)~式(37)のように固有値分解する。記号Hは複素共役転置を表す。
ここで、式(34)~式(37)における固有ベクトル行列U12,U34,U23,U14及び対角行列Λ12,Λ23,Λ34,Λ14は、式(38)~式(41)で表されるとおりである。
固有ベクトル行列U12,U23,U34,U14は、信号空間ベクトルU12S,U23S,U34S,U14Sと、雑音空間ベクトルU12N,U23N,U34N,U14Nとに分けられる。対角行列Λ12,Λ23,Λ34,Λ14は固有値を対角要素に持つ。このような固有ベクトルのうち雑音空間ベクトルを用いることで、式(42)によってスペクトラムを求める。ここで、al1は式(43)であり、al2は式(44)であり、al3は式(45)であり、al4は式(46)である。akl(θ)はアンテナkとアンテナlに対して平面波がθ方向から到来する場合に定義されるステアリングベクトルである。これによって全ての虚像を消去することができ、Pmusic1(θ)が最大になる方向が無線信号の到来方向となる。
なお、推定部3はCapon法を用いて無線信号の到来方向を推定しても良い。この場合、推定部3は、式(47)によって無線信号の到来方向を求める。ここで、ここで、al5は式(48)であり、al6は式(49)であり、al7は式(50)であり、al8は式(51)である。
また、推定部3は、Beamformer法を用いて無線信号の到来方向を推定しても良い。この場合、推定部3は、式(52)によって無線信号の到来方向を求める。PCapon1(θ)もPBF1(θ)も関数の値が最大になるθが無線信号の到来方向である。
第2の方法は、直接解を選択しない方法である。式(12)及び式(13)と、式(28)及び式(29)の相関行列R12,R34,R23,R14について、各解に対応する相関行列を、相関行列R12+,R12-,R34+,R34-,R23+,R23-,R14+,R14-とおく。相関行列R12+,R12-,R34+,R34-,R23+,R23-,R14+,R14-に対して固有値分解を行うことで雑音空間ベクトルU12N+,U12N-,U34N+,U34N-,U23N+,U23N-,U14N+,U14N-が得られる。これらを用いて、Pmusic2(θ)は、式(53)に示すとおりとなる。ここで、al9は式(53)であり、al10は式(54)であり、al11は式(55)であり、al14は式(56)である。推定部3は、このような関数を用いて、最大値をとるθを探索することで無線信号の到来方向を求めることができる。なお、推定方法はCapon法でもBeamformer法でも良い。
第1の方法及び第2の方法において、ステアリングベクトルakl(θ)の代わりにアンテナの複素指向性関数Dkl(θ)を用いてもよい(式(58)参照)。
ただし、その場合は振幅の規格化が必要であるため、複素指向性関数Dkl(θ)を式(59)のようにする必要がある。
以上のように、推定部3は、合成信号SS1と合成信号SS2とに基づく推定処理を行い、無線信号の到来方向の複数の候補を推定する。また、推定部3は、合成信号SS3と合成信号SS4とに基づく推定処理を行い、無線信号の到来方向の複数の候補を推定する。また、推定部3は、合成信号SS5(第3合成信号)と合成信号SS6(第4合成信号)とに基づく第2推定処理を行い、無線信号の到来方向の複数の候補を推定する。また、推定部3は、合成信号SS7(第1合成信号)と合成信号SS8(第2合成信号)とに基づく第1推定処理を行い、無線信号の到来方向の複数の候補を推定する。そして、推定部3は、第1推定処理及び第2推定処理を含む複数の推定処理における複数の候補のうちから無線信号の到来方向を選択(特定)し、無線信号の到来方向を推定する。
第1仮想直線L1と第2仮想直線L2とが交差するため、第1推定処理の基準となる角度(対称軸)と、第2推定処理の基準となる角度(対称軸)が異なる。そのため、無線信号の到来方向の複数の候補のうちから、無線信号の到来方向を特定することができる。したがって、一の直線上に複数のアンテナが位置するアレーアンテナのみで受信した無線信号の到来方向を推定していた装置より無線信号の到来方向の推定精度が向上する。
(第2実施形態)
(1)推定システム1の構成
本実施形態の推定システム1の詳細について図3を参照しつつ説明する。ここで、図3中のx方向、y方向、及びz方向は互いに直交する方向である。また、z方向は複数のアンテナA1~A4の高さ方向である。また、図3中の矢印AR0は、送信器4が送信する無線信号を表している。本実施形態の推定システム1は、受信システム2と推定部3とを備える。図3に示すように、本実施形態の受信システム2は、アンテナA1(第1アンテナ)と、アンテナA2(第2アンテナ)と、アンテナA3(第3アンテナ)と、アンテナA4(第4アンテナ)とを備える。アンテナA1及びアンテナA2は第1仮想直線L1上に位置する。また、アンテナA3及びアンテナA4は第2仮想直線L2上に位置する。第1仮想直線L1と第2仮想直線L2は角度θ0で交差する。本実施形態では、角度θ0が90度である場合を例示する。また、アンテナA1及びアンテナA2間の間隔d1(第1間隔)と、アンテナA3及びアンテナA4間の間隔d2(第2間隔)とが等しい場合を例示する。また、アンテナA1及びアンテナA2の間隔d1と、アンテナA3及びアンテナA4の間隔d2とは、無線信号の波長のX/2倍(Xは自然数)であることが好ましい。本実施形態では、アンテナA1及びアンテナA2の間隔d1と、アンテナA3及びアンテナA4の間隔d2とが無線信号の波長の1/2倍である場合を例示する。このように、Xを「1」とすることで、間隔d1,d2を短くすることができるため、推定システム1(受信システム2)をコンパクトにすることができる。
また、受信システム2は、合成部S1(第1合成部)と、合成部S2(第2合成部)とを備える。
合成部S1は、入力信号IS1(第1入力信号)と入力信号IS2(第2入力信号)とを用いて、合成信号SS1(第1合成信号)と合成信号SS2(第2合成信号)とを生成する。より詳細には、合成部S1は、入力信号IS1の位相をθ1遅らせた信号と入力信号IS2とを合成して合成信号SS1を生成する。また、合成部S1は、入力信号IS1と入力信号IS2の位相をθ1遅らせた信号とを合成して合成信号SS2を生成する。そして、合成部S1は、生成した合成信号SS1と合成信号SS2とを推定部3に出力する。
本実施形態の合成部S1は、例えば90度ハイブリッドユニットなどで構成される。この場合、合成部S1は、入力信号IS1の位相を90度遅らせた信号と、入力信号IS2と、を足し合わせて電力値を1/2倍することによって、合成信号SS1を生成する。また、合成部S1は、入力信号IS1と、入力信号IS2の位相を90度遅らせた信号と、を足し合わせて電力値を1/2倍することによって、合成信号SS2を生成する。
合成部S2は、入力信号IS3(第3入力信号)と入力信号IS4(第4入力信号)とを用いて、合成信号SS3(第3合成信号)と合成信号SS4(第4合成信号)とを生成する。より詳細には、合成部S2は、入力信号IS3と入力信号IS4とのうちの少なくとも一方の信号の位相を遅らせた状態で、入力信号IS3と入力信号IS4とを合成して合成信号SS3を生成する。また、合成部S2は、入力信号IS3と入力信号IS4とのうちの少なくとも一方の信号の位相を遅らせた状態で、入力信号IS3と入力信号IS4とを合成して合成信号SS4を生成する。ここで、合成信号SS3と合成信号SS4とは異なった信号である。そして、合成部S2は、生成した合成信号SS3と合成信号SS4とを推定部3に出力する。
一例として、合成部S2は、入力信号IS3の位相をθ1遅らせた信号と入力信号IS4とを合成して合成信号SS3を生成する。また、合成部S2は、入力信号IS3と入力信号IS4の位相をθ1遅らせた信号とを合成して合成信号SS4を生成する。
また、別の例として、合成部S2は、入力信号IS3の位相をθ1遅らせた信号と入力信号IS4の位相をθ1遅らせた信号とを合成して合成信号SS3を生成する。また、合成部S2は、入力信号IS3と入力信号IS4の位相をθ2遅らせた信号と合成して合成信号SS4を生成する。
本実施形態の合成部S2は、例えば90度ハイブリッドユニットなどで構成される。この場合、合成部S2は、入力信号IS3の位相を90度遅らせた信号と、入力信号IS4と、を足し合わせて電力値を1/2倍することによって、合成信号SS3を生成する。また、合成部S2は、入力信号IS3と、入力信号IS4の位相を90度遅らせた信号と、を足し合わせて電力値を1/2倍することによって、合成信号SS4を生成する。
また、合成部S2は、例えば180度ハイブリッドユニットなどで構成されてもよい。この場合、合成部S2は、入力信号IS3の位相を90度遅らせた信号と、入力信号IS4の位相を90度遅らせた信号と、を足し合わせて電力値を1/2倍することによって、合成信号SS3を生成する。また、合成部S2は、入力信号IS3と、入力信号IS4の位相を180度遅らせた信号と、を足し合わせて電力値を1/2倍することによって、合成信号SS4を生成する。
(2)到来方向推定
本実施形態の推定部3は、第1推定処理及び第2推定処理を行い、第1推定処理における無線信号の到来方向の複数の候補と、第2推定処理における無線信号の到来方向の複数の候補とのうちから無線信号の到来方向を選択(特定)する。ここで、第1推定処理は、推定部3が合成部S1から出力される合成信号SS1,SS2に基づいて無線信号の到来方向の複数の候補を推定する処理である。また、第2推定処理は、推定部3が合成部S2から出力される合成信号SS3,SS4に基づいて無線信号の到来方向の複数の候補を推定する処理である。
図3に示すように、無線信号の到来方向は、第1仮想直線L1に対する無線信号の角度θ1で表すことができる。また、無線信号の到来方向は、第2仮想直線L2に対する無線信号の角度θ2で表すことができる。
本実施形態の推定部3は、第1推定処理における無線信号の到来方向の複数の候補と、第2推定処理における無線信号の到来方向の複数の候補と、を用いた多数決処理を行うことで無線信号の到来方向を推定する。この多数決処理について、図4A~図4Cを参照して説明する。
推定部3が第1推定処理を行うと、図4Aに示すように、無線信号の到来方向の推定候補として候補O1~O4の複数の候補が得られる。なお、図3における+y方向が図4A中の0度方向であり、図3における+x方向が図4A中の90度方向である。推定部3が求めるべき無線信号の到来方向は、角度θ1の候補O2である。しかし、候補O2以外に、候補O1、候補O3及び候補O4も無線信号の到来方向の候補となっており、推定部3は、第1推定処理を行っただけでは候補O1~O4のうちの、どれが真の解であるのかを求めることができない。推定部3は、第1推定処理における複数の候補のうちから真の解を求めるため、又は、複数の候補を限定するために第2推定処理を行う。
まず、合成部S2が180度ハイブリッドユニットである場合に、推定部3が第2推定処理を行う場合について説明する。この場合に、推定部3が第2推定処理を行うと、図4Bに示すように、候補O5~O8の複数の候補が得られる。なお、図3における-x方向が図4B中の0度方向であり、図3における+y方向が図4B中の90度方向である。推定部3が求めるべき無線信号の到来方向は、角度θ2の候補O6である。しかし、候補O6以外に、候補O5、候補O7及び候補O8も無線信号の到来方向の候補となっている。
ここで、推定部3は、第1推定処理における候補O1~O4と、第2推定処理における候補O5~O8とを用いた多数決処理を行う。すなわち、推定部3は、候補O1~O4と候補O5~O8とのうちで推定方向(角度)が重複する候補を選択する。なお、推定部3は、第1仮想直線L1(第1推定処理の対称軸)と第2仮想直線L2(第2推定処理の対称軸)とが90度ずれていることを考慮して、推定方向(角度)が重複する候補を選択する。図4A及び図4Bの例では、候補O2と候補O6との推定方向(角度)が重複する。さらに、図4A及び図4Bの例では、候補O3と候補O7との推定方向(角度)が重複する。推定部3は、無線信号の到来方向を、候補O2(O6)及び候補O3(O7)の2つの方向(角度)と推定する。
このように、推定部3は、第1推定処理に加えて第2推定処理を行うことにより、第1推定処理における到来方向の推定方向の候補を限定することができる。
次に、合成部S2が90度ハイブリッドユニットである場合に、推定部3が第2推定処理を行う場合について説明する。この場合に、推定部3が第2推定処理を行うと、図4Cに示すように、候補O9~O12の複数の候補が得られる。なお、図3における-x方向が図4C中の0度方向であり、図3における+y方向が図4C中の90度方向である。推定部3が求めるべき無線信号の到来方向は、角度θ2の候補O11である。しかし、候補O11以外に、候補O9、候補O10及び候補O12も無線信号の到来方向の候補となっている。
推定部3は、第1推定処理における候補O1~O4と、第2推定処理における候補O9~O12とを用いた多数決処理を行う。図4A及び図4Cの例では、候補O2と候補O11との推定方向(角度)が重複する。推定部3は、無線信号の到来方向を、候補O2(O11)の方向(角度)と推定する。このように、推定部3は、第1推定処理に加えて第2推定処理を行うことにより、第1推定処理における到来方向の推定方向の候補を一の候補に限定することができる。
以上のように、本実施形態の推定システム1は、受信システム2と、推定部3とを備える。受信システム2は、第1仮想直線L1上に位置するアンテナA1及びアンテナA2と、第1仮想直線L1と角度θ0で交差する第2仮想直線L2上に位置するアンテナA3及びアンテナA4と、合成部S1と、合成部S2とを備えている。4つのアンテナA1~A4は無線信号を受信する。合成部S1は、アンテナA1で受信される無線信号に基づく入力信号IS1の位相がθ1遅らせた信号とアンテナA2で受信される無線信号に基づく入力信号IS2とを合成することによって合成信号SS1を生成する。また、合成部S1は、入力信号IS1と入力信号IS2の位相をθ1遅らせた信号とを合成することによって合成信号SS2を生成する。合成部S2は、アンテナA3で受信される無線信号に基づく入力信号IS3とアンテナA4で受信される無線信号に基づく入力信号IS4とのうちの少なくとも一方の位相を遅らせた状態で入力信号IS3と入力信号IS4とを合成して合成信号SS3を生成する。また、合成部S2は、入力信号IS3と入力信号IS4とのうちの少なくとも一方の位相を遅らせた状態で、入力信号IS3と入力信号IS4とを合成して、合成信号SS3とは異なる信号である合成信号SS4を生成する。
推定部3は、合成信号SS1,SS2に基づく第1推定処理、及び、合成信号SS3,SS4に基づく第2推定処理を行い無線信号の到来方向を推定する。第1仮想直線L1と第2仮想直線L2とが角度θ0で交差する(角度が異なる)ため、第1推定処理の基準となる角度と、第2推定処理の基準となる角度が異なる。推定部3は、基準となる角度が異なる複数の推定処理にて推定する無線信号の到来方向の複数の候補のうちから無線信号の到来方向を選択(特定)する。そのため、一の直線上に複数のアンテナが位置するアレーアンテナのみで受信した無線信号の到来方向を推定していた装置より無線信号の到来方向の推定精度が向上する。
また、本実施形態の推定システム1は、第1推定処理における無線信号の到来方向の複数の候補と、第2推定処理における無線信号の到来方向の複数の候補とを用いた多数決処理を行うことで、無線信号の到来方向を推定する。推定部3が複数の推定処理における複数の候補を用いた多数決処理を行うことで、複数の候補のうちから無線信号の到来方向を選択(特定)することができる。そのため、推定部3による無線信号の到来方向の推定精度が向上する。
(変形例1)
また、推定システム1は、図5に示すように、合成部S3(第3合成部)及び合成部S4(第4合成部)を更に備えていてもよい。本変形例では、合成部S1及び合成部S2が90度ハイブリッドユニットで構成され、合成部S3及び合成部S4が180度ハイブリッドユニットで構成される場合を例示する。
合成部S1は、入力信号IS1の位相を90度遅らせた信号と入力信号IS2とを足し合わせて電力値を1/2倍することによって、合成信号SS1を生成する。また、合成部S1は、入力信号IS1と入力信号IS2の位相を90度遅らせた信号とを足し合わせて電力値を1/2倍することによって、合成信号SS2を生成する。
合成部S2は、入力信号IS3の位相を90度遅らせた信号と入力信号IS4とを足し合わせて電力値を1/2倍することによって、合成信号SS3を生成する。また、合成部S2は、入力信号IS3と入力信号IS4の位相を90度遅らせた信号とを足し合わせて電力値を1/2倍することによって、合成信号SS4を生成する。
合成部S3は、入力信号IS1(第5入力信号)の位相を90度遅らせた信号と入力信号IS2(第6入力信号)の位相を90度遅らせた信号と、を足し合わせて電力値を1/2倍することによって、合成信号SS5(第5合成信号)を生成する。また、合成部S3は、入力信号IS1と入力信号IS2の位相を180度遅らせた信号とを足し合わせて電力値を1/2倍することによって、合成信号SS6(第6合成信号)を生成する。
合成部S4は、入力信号IS3(第7入力信号)の位相を90度遅らせた信号と入力信号IS4(第8入力信号)の位相を90度遅らせた信号とを足し合わせて電力値を1/2倍することによって、合成信号SS7(第7合成信号)を生成する。また、合成部S4は、入力信号IS3と入力信号IS4の位相を180度遅らせた信号とを足し合わせて電力値を1/2倍することによって、合成信号SS8(第8合成信号)を生成する。
本変形例の推定部3は、第1推定処理、第2推定処理、第3推定処理、及び第4推定処理を行う。推定部3は、第1推定処理~第4推定処理のそれぞれの推定処理における無線信号の到来方向の複数の候補のうちから無線信号の到来方向を選択(特定)する。ここで、第1推定処理は、推定部3が合成部S1から出力される合成信号SS1,SS2に基づいて無線信号の到来方向の複数の候補を推定する処理である。また、第2推定処理は、推定部3が合成部S2から出力される合成信号SS3,SS4に基づいて無線信号の到来方向の複数の候補を推定する処理である。また、第3推定処理は、推定部3が合成部S3から出力される合成信号SS5,SS6に基づいて無線信号の到来方向の複数の候補を推定する処理である。また、第4推定処理は、推定部3が合成部S4から出力される合成信号SS7,SS8に基づいて無線信号の到来方向の複数の候補を推定する処理である。
推定部3は、第1推定処理及び第2推定処理に加えて第3推定処理及び第4推定処理を行い、無線信号の到来方向の複数の候補を推定する。推定部3が第3推定処理及び第4推定処理を行うことにより、無線信号の到来方向の複数の候補が増える。そのため、推定部3が第1推定処理及び第2推定処理のみを行った場合と比べて、無線信号の到来方向の複数の候補のうちから無線信号の到来方向を選択(特定)しやすくなる。したがって、推定部3による無線信号の到来方向の推定精度が向上する。
なお、合成部S3及び合成部S4を更に備える場合を例示したが、合成部S3及び合成部S4のうちの一方のみを更に備えていてもよい。この場合でも、推定部3が第3推定処理を行うことにより、無線信号の到来方向の複数の候補が増える。そのため、推定部3が第1推定処理及び第2推定処理のみを行った場合と比べて、無線信号の到来方向の複数の候補のうちから無線信号の到来方向を選択(特定)しやすくなる。
(変形例2)
また、推定システム1は、アンテナA3、アンテナA4及び合成部S2を備えないシステムであってもよい。例えば、本変形例の推定システム1は、アンテナA1と、アンテナA2と、90度ハイブリッドユニットなどで構成される合成部S1と、第1仮想直線L1のxy平面上における角度を変化させることができる機構を備える。本変形例の推定システム1は、例えば、第1期間では、第1仮想直線L1が第1の角度の状態で、アンテナA1及びアンテナA2で無線信号を受信する。そして推定システム1は、第1仮想直線L1が第1の角度の状態で受信した無線信号に基づいて、無線信号の到来方向の複数の候補を推定する(第1推定処理)。そして、第1期間とは異なる第2期間では、第1仮想直線L1が第1の角度とは異なる第2の角度の状態で、アンテナA1及びアンテナA2で無線信号を受信する。そして推定システム1は、第1仮想直線L1が第2の角度の状態で受信した無線信号に基づいて、無線信号の到来方向の複数の候補を推定する(第2推定処理)。そして、推定システム1は、第1推定処理における複数の候補と、第2推定処理における複数の候補とのうちから、前記無線信号の到来方向を選択(特定)する。このように、期間毎に第1仮想直線L1の角度を変化させることで、本変形例の推定システム1は、基準となる角度が異なる複数の推定処理にて無線信号の到来方向の複数の候補を推定することができる。そして推定システム1は、無線信号の到来方向を選択(特定)する。そのため、一の直線上に複数のアンテナが位置するアレーアンテナのみで受信した無線信号の到来方向を推定していた装置より無線信号の到来方向の推定精度が向上する。また、推定システム1(受信システム2)が備えるアンテナ及び合成部の数を低減することができるため、システムをコンパクトにすることが可能である。
また、推定システム1は、第1期間及び第2期間と異なる第3期間では、第1仮想直線L1が第1の角度及び第2の角度とは異なる第3の角度の状態で、アンテナA1及びアンテナA2で無線信号を受信するようにしてもよい。
そして推定システム1は、第1仮想直線L1が第3の角度の状態で受信した無線信号に基づいて、無線信号の到来方向の複数の候補を推定する(第3推定処理)。そして、推定システム1は、第1推定処理~第3推定処理のそれぞれの推定処理における複数の候補のうちから、前記無線信号の到来方向を選択(特定)する。推定部3が第3推定処理を行うことにより、無線信号の到来方向の複数の候補が増える。そのため、推定部3が第1推定処理及び第2推定処理のみを行った場合と比べて、無線信号の到来方向の複数の候補のうちから無線信号の到来方向を選択(特定)しやすくなる。
なお、第1仮想直線L1のみの角度を変化させる場合について記載したが、アンテナA3、アンテナA4、及び合成部S2などを備え、例えば図2や図3に示す第2仮想直線L2(アンテナA3及びアンテナA4)の角度を変化させてもよい。
(その他の変形例)
本実施形態の推定システム1は、受信システム2を備えているが、受信システム2は必須ではない。推定システム1は、少なくとも、推定部3を備えていればよい。
また、本実施形態では、推定システム1は、受信システム2及び推定部3を含む1つのシステムで実現されているが、2つ以上のシステムで実現されていてもよい。例えば、受信システム2及び推定部3の機能が、2つ以上のシステムに分散されて設けられていてもよい。また、受信システム2及び推定部3のうち少なくとも1つの機能が、2つ以上のシステムに分散されて設けられていてもよい。また、受信システム2及び推定部3の各機能が、複数の装置に分散されて設けられていてもよい。例えば、受信システム2の機能が2つ以上の装置に分散されて設けられていてもよい。また、推定システム1の少なくとも一部の機能が、例えばクラウドコンピューティングにより実現されていてもよい。
(第3実施形態)
(1)推定システム1の構成
本実施形態の推定システム1の詳細について図6を参照しつつ説明する。ここで、図6中のx方向、y方向、及びz方向は互いに直交する方向である。また、z方向は複数のアンテナA1~A3の高さ方向である。また、図6中の矢印AR0は、送信器4が送信する無線信号を表している。本実施形態の推定システム1は、受信システム2と推定部3とを備える。図6に示すように、本実施形態の受信システム2は、アンテナA1(第1アンテナ)と、アンテナA2(第2アンテナ、第3アンテナ)と、アンテナA3(第4アンテナ)とを備える。アンテナA1及びアンテナA2(第2アンテナ)は第1仮想直線L1上に位置する。また、アンテナA2(第3アンテナ)及びアンテナA3は第2仮想直線L2上に位置する。第1仮想直線L1と第2仮想直線L2は角度θ0で交差する。本実施形態では、角度θ0が90度である場合を例示する。また、アンテナA1及びアンテナA2の間隔d1(第1間隔)と、アンテナA2及びアンテナA3の間隔d2(第2間隔)とは等しく、無線信号の波長の1/2倍である場合を例示する。
また、受信システム2は、合成部S1(第1合成部)と、合成部S2(第2合成部)とを備える。
合成部S1は、入力信号IS1(第1入力信号)と入力信号IS2(第2入力信号)とを用いて、合成信号SS1(第1合成信号)と合成信号SS2(第2合成信号)とを生成する。合成部S1は、入力信号IS1の位相をθ1遅らせた信号と入力信号IS2とを合成して合成信号SS1を生成する。また、合成部S1は、入力信号IS1と入力信号IS2の位相をθ1遅らせた信号とを合成して合成信号SS2を生成する。そして、合成部S1は、生成した合成信号SS1と合成信号SS2とを推定部3に出力する。なお、本実施形態の合成部S1は、例えば90度ハイブリッドユニットなどで構成される。
合成部S2は、入力信号IS2(第3入力信号)と入力信号IS3(第4入力信号)とを用いて、合成信号SS3(第3合成信号)と合成信号SS4(第4合成信号)とを生成する。合成部S2は、入力信号IS2と入力信号IS3とのうちの少なくとも一方の信号の位相を遅らせた状態で、入力信号IS2と入力信号IS3とを合成して合成信号SS3を生成する。また、合成部S2は、入力信号IS2と入力信号IS3とのうちの少なくとも一方の信号の位相を遅らせた状態で、入力信号IS2と入力信号IS3とを合成して合成信号SS4を生成する。ここで、合成信号SS3と合成信号SS4とは異なった信号である。そして、合成部S2は、生成した合成信号SS3と合成信号SS4とを推定部3に出力する。合成部S2は、例えば、90度ハイブリッドユニットや、180度ハイブリッドユニットで構成される。
(2)到来方向推定
本実施形態の推定部3は、第1推定処理及び第2推定処理を行い、第1推定処理における無線信号の到来方向の複数の候補と、第2推定処理における無線信号の到来方向の複数の候補とのうちから無線信号の到来方向を選択(特定)する。詳細については、「(第2実施形態)における(2)到来方向推定」において説明したため、説明を省略する。本実施形態の推定システム1においても、推定部3は、基準となる角度が異なる複数の推定処理にて推定する無線信号の到来方向の複数の候補のうちから無線信号の到来方向を選択(特定)する。そのため、一の直線上に複数のアンテナが配置するアレーアンテナのみで受信した無線信号の到来方向を推定していた装置より無線信号の到来方向の推定精度が向上する。
本実施形態では、第2アンテナと第3アンテナとが同一のアンテナA2である場合を例示した。第2アンテナと第3アンテナとを同一のアンテナとすることで、推定システム1(受信システム2)が備える複数のアンテナの数を低減することができる。受信システム2が少なくとも3本のアンテナを備えていれば、本実施形態のように、一の直線上に複数のアンテナが位置するアレーアンテナのみで受信する無線信号の到来方向を推定していた装置より推定精度を向上させることができる。
(第4実施形態)
(1)推定システム1の構成
本実施形態の推定システム1の詳細について図7を参照しつつ説明する。ここで、図7中のx方向、y方向、及びz方向は互いに直交する方向である。また、z方向は複数のアンテナA1~A3の高さ方向である。また、図7中の矢印AR0は、送信器4が送信する無線信号を表している。本実施形態の推定システム1は、受信システム2と推定部3とを備える。図7に示すように、本実施形態の受信システム2は、アンテナA1(第1アンテナ、第6アンテナ)と、アンテナA2(第2アンテナ、第3アンテナ)と、アンテナA3(第4アンテナ、第5アンテナ)とを備える。アンテナA1(第1アンテナ)及びアンテナA2(第2アンテナ)は第1仮想直線L1上に位置する。また、アンテナA2(第3アンテナ)及びアンテナA3(第4アンテナ)は第2仮想直線L2上に位置する。また、アンテナA3(第5アンテナ)及びアンテナA1(第6アンテナ)は第3仮想直線L3上に位置する。第1仮想直線L1と第2仮想直線L2は角度θ0で交差する。本実施形態では、角度θ0が60度であり、第1仮想直線L1と第2仮想直線L2と第3仮想直線L3とがそれぞれ60度で交差する場合を例示する。すなわち、本実施形態のアンテナA1とアンテナA2とアンテナA3とは、正三角形の頂点(同一円周上)に位置する。また、アンテナA1及びアンテナA2の間隔d1(第1間隔)と、アンテナA2及びアンテナA3の間隔d2(第2間隔)と、アンテナA3及びアンテナA1の間隔d3とが無線信号の波長の1/2倍である場合を例示する。
また、受信システム2は、合成部S1(第1合成部)と、合成部S2(第2合成部)と、合成部S3(第3合成部)とを備える。
合成部S1は、「(第3実施形態)における(1)推定システム1の構成」において説明した合成部S1と同様のため、説明を省略する。
合成部S2は、「(第3実施形態)における(1)推定システム1の構成」において説明した合成部S2と同様のため、説明を省略する。
合成部S3は、入力信号IS3(第5入力信号)と、入力信号IS1(第6入力信号)とを用いて、合成信号SS5(第5合成信号)と、合成信号SS6(第6合成信号)とを生成する。合成部S3は、入力信号IS3と入力信号IS1とのうちの少なくとも一方の信号の位相を遅らせた状態で、入力信号IS3と入力信号IS1とを合成して合成信号SS5を生成する。また、合成部S3は、入力信号IS3と入力信号IS1とのうちの少なくとも一方の信号の位相を遅らせた状態で、入力信号IS3と入力信号IS1とを合成して合成信号SS6を生成する。ここで、合成信号SS5と合成信号SS6とは異なった信号である。そして、合成部S3は、生成した合成信号SS5と合成信号SS6とを推定部3に出力する。
一例として、合成部S3は、入力信号IS3の位相をθ1遅らせた信号と入力信号IS1とを合成して合成信号SS5を生成する。また、合成部S3は、入力信号IS3と入力信号IS1の位相をθ1遅らせた信号とを合成して合成信号SS6を生成する。
また、別の例として、合成部S3は、入力信号IS3の位相をθ1遅らせた信号と入力信号IS1の位相をθ1遅らせた信号とを合成して合成信号SS5を生成する。また、合成部S3は、入力信号IS3と入力信号IS1の位相をθ2遅らせた信号と合成して合成信号SS6を生成する。
本実施形態の合成部S3は、例えば90度ハイブリッドユニットなどで構成される。この場合、合成部S3は、入力信号IS3の位相を90度遅らせた信号と入力信号IS1と、を足し合わせて電力値を1/2倍した合成信号SS5を生成する。また、合成部S3は、入力信号IS3と入力信号IS1の位相を90度遅らせた信号と、を足し合わせて電力値を1/2倍した合成信号SS6を生成する。
また、合成部S3は、例えば180度ハイブリッドユニットなどで構成されてもよい。この場合、合成部S3は、入力信号IS3の位相を90度遅らせた信号と入力信号IS1の位相を90度遅らせた信号と、を足し合わせて電力値を1/2倍した合成信号SS5を生成する。また、合成部S3は、入力信号IS3と入力信号IS1の位相を180度遅らせた信号と、を足し合わせて電力値を1/2倍した合成信号SS6を生成する。
(2)到来方向推定
本実施形態の推定部3は、第1推定処理と第2推定処理とに加えて、第3推定処理を行う。ここで、第3推定処理は、推定部3が合成部S3から出力される合成信号SS5,SS6に基づいて無線信号の到来方向の複数の候補を推定する処理である。本実施形態の推定部3は、第1~第3推定処理を行い、第1~第3推定処理における無線信号の到来方向の複数の候補のうちから無線信号の到来方向を選択(特定)する。本実施形態の推定部3は第1~第3推定処理における複数の候補を用いた多数決処理を行うことで無線信号の到来方向を推定する。無線信号の到来方向を推定する詳細については、「(第2実施形態)における(2)到来方向推定」において説明したため、説明を省略する。本実施形態の推定システム1においても、推定部3が基準となる角度が異なる複数の推定処理にて推定する無線信号の到来方向の複数の候補のうちから無線信号の到来方向を選択(特定)する。そのため、一の直線上に複数のアンテナが位置するアレーアンテナのみで受信する無線信号の到来方向を推定していた装置より推定精度を向上させることができる。また、推定部3は、第1推定処理及び第2推定処理に加えて第3推定処理を行い、無線信号の到来方向の複数の候補を推定する。推定部3が第3推定処理を行うことにより、無線信号の到来方向の複数の候補が増える。そのため、推定部3が第1推定処理及び第2推定処理のみを行った場合と比べて、無線信号の到来方向の複数の候補のうちから無線信号の到来方向を選択(特定)しやすくなる。
(第5実施形態)
(1)概要
本実施形態の制御システム5及び推定システム7の概要について図8を参照して説明する。ここで、図8中のx方向、y方向、及びz方向は互いに直交する方向である。また、z方向は複数のアンテナA5~A8の高さ方向である。また、図8中の矢印AR1~AR4はそれぞれ、制御システム5が送信する第1無線信号~第4無線信号を表している。また図8中の矢印AR5は、制御システム5(第1仮想直線L1及び第2仮想直線L2の交点8)からみた推定システム7の位置方向を表している。本実施形態の制御システム5は、例えばBLEやWiFi(登録商標)などの規格に従ったビーコン信号などの無線信号を送信する。制御システム5は、4つのアンテナA5~A8と、2つの合成部S5,S6とを備える。
第1無線信号を送信するアンテナA5(第1アンテナ)及び第2無線信号を送信するアンテナA6(第2アンテナ)は図8中のy方向に沿う第1仮想直線L1上に位置する。また、第3無線信号を送信するアンテナA7(第3アンテナ)及び第4無線信号を送信するアンテナA8(第4アンテナ)は図8中のx方向に沿う第2仮想直線L2上に位置する。第1仮想直線L1と第2仮想直線L2とは角度θ0で交差する。本実施形態では、角度θ0が90度の場合について例示する。
アンテナA5及びアンテナA6の間隔d1(第1間隔)は、第1無線信号及び第2無線信号の波長のX/2倍(Xは自然数)であることが好ましい。本実施形態では、間隔d1が第1無線信号及び第2無線信号の波長の1/2倍である場合を例示する。また、アンテナA7及びアンテナA8の間隔d2(第2間隔)は、第3無線信号及び第4無線信号の波長のX/2倍(Xは自然数)であることが好ましい。本実施形態では、間隔d2が第3無線信号及び第4無線信号の波長の1/2倍である場合を例示する。また、本実施形態では、アンテナA5及びアンテナA6の間隔d1と、アンテナA7及びアンテナA8の間隔d2とが等しい場合を例示する。また、本実施形態では、正方形の各頂点にアンテナA5~A8が位置する場合を例示する。
本実施形態の推定システム7は、制御システム5が送信する第1無線信号,第2無線信号,第3無線信号,第4無線信号を受信する受信アンテナを備える。推定システム7は、受信した各無線信号RS1~RS4の受信信号強度に基づいて、制御システム5の位置方向を推定するシステムである。推定システム7は、例えばスマートフォンなどで構成される。
(2)制御システム5の構成
次に、本実施形態の制御システム5の構成について図9を参照しつつ説明する。図9に示すように、制御システム5は、4つのアンテナA5~A8と、2つの合成部S5,S6と、制御部6と、複数の元信号生成部11~14とを備える。
複数の元信号生成部11~14は、第1無線信号~第4無線信号の元となる信号であって、例えば識別情報などの所定の情報を含む元信号IS5~IS8を生成する。元信号生成部11は、元信号IS5を生成し、合成部S5に出力する。元信号生成部12は、元信号IS6を生成し、合成部S5に出力する。元信号生成部13は、元信号IS7を生成し、合成部S6に出力する。元信号生成部14は、元信号IS8を生成し、合成部S6に出力する。
合成部S5は、2つの元信号IS5,IS6に基づいて第1無線信号及び第2無線信号を生成する。合成部S5は、元信号IS5の位相をθ1遅らせた信号と元信号IS6とを合成して第1無線信号を生成する。また、合成部S5は、元信号IS5と元信号IS6の位相をθ1遅らせた信号とを合成して第2無線信号を生成する。合成部S5は、生成した第1無線信号をアンテナA5に出力する。また、合成部S5は、生成した第2無線信号をアンテナA6に出力する。
本実施形態の合成部S5は、例えば90度ハイブリッドユニットなどで構成される。合成部S5は、元信号IS5の位相を90度遅らせた信号と元信号IS6とを足し合わせて電力値を1/2倍することによって第1無線信号を生成する。また、合成部S5は、元信号IS5と元信号IS6の位相を90度遅らせた信号とを足し合わせて電力値を1/2倍することによって、第2無線信号を生成する。
合成部S6は、2つの元信号IS7,IS8に基づいて第3無線信号及び第4無線信号を生成する。合成部S6は、元信号IS7と元信号IS8とのうちの少なくとも一方の位相を遅らせた状態で、元信号IS7と元信号IS8とを合成して第3無線信号を生成する。また、合成部S6は、元信号IS7と元信号IS8とのうちの少なくとも一方の位相を遅らせた状態で元信号IS7と元信号IS8とを合成して、第3無線信号とは異なる第4無線信号を生成する。合成部S6は、生成した第3無線信号をアンテナA7に出力する。また、合成部S6は、生成した第4無線信号をアンテナA8に出力する。
本実施形態の合成部S6は、例えば180度ハイブリッドユニットなどで構成される。合成部S6は、元信号IS7の位相を90度遅らせた信号と元信号IS8の位相を90度遅らせた信号とを足し合わせて電力値を1/2倍することによって第3無線信号を生成する。また、合成部S6は、元信号IS7と元信号IS8の位相を180度遅らせた信号とを足し合わせて電力値を1/2倍することによって第4無線信号を生成する。なお、合成部S6は、90度ハイブリッドユニットなどで構成されてもよい。
制御部6は、4つのアンテナA5~A8に第1無線信号~第4無線信号を送信させる処理部である。制御部6は、アンテナA5に第1無線信号を送信させ、アンテナA6に第2無線信号を送信させる。また、制御部6は、アンテナA7に第3無線信号を送信させ、アンテナA8に第4無線信号を送信させる。
アンテナA5は、合成部S5によって生成される第1無線信号を送信する。また、アンテナA6は、合成部S5によって生成される第2無線信号を送信する。また、アンテナA7は、合成部S6によって生成される第3無線信号を送信する。また、アンテナA8は、合成部S6によって生成される第4無線信号を送信する。
(3)到来方向推定
次に、推定システム7が受信した第1無線信号~第4無線信号に基づいて、制御システム5の位置方向を推定する方法について図8を参照しつつ説明する。なお、上述の第1実施形態~第4実施形態において説明した事項については、適宜説明を省略する。受信アンテナとアンテナA5との間の伝播チャネルをh5、受信アンテナとアンテナA6との間の伝播チャネルをh6とする。また、受信アンテナとアンテナA7との間の伝播チャネルをh7、受信アンテナとアンテナA8との間の伝播チャネルをh8とする。また、第1仮想直線L1に対する推定システム7の位置方向(角度)を角度θ1とする。また、第2仮想直線L2に対する推定システム7の位置方向(角度)を角度θ2とする。この場合、伝播チャネルh5~h8はまとめて、式(60)と表すことができる。
ここで、式(60)の伝播チャネルを用いると、推定システム7で観測されるチャネル情報で定義される相関行列R56は、式(61)と表すことができる。
また、推定システム7で観測されるチャネル情報で定義される相関行列R78は、式(62)と表すことができる。
通常、相関行列R56,R78の対角項は実数となり、非対角項は複素数となる。推定部3は、相関行列R56を求めることで、無線信号の到来方向すなわち角度θ1を推定することができる。また、推定部3は、相関行列R78を求めることで、無線信号の到来方向すなわち角度θ2を推定することができる。
推定部3は、受信信号強度に関する情報(以下、「信号強度情報」と記載する。)に基づいて、相関行列R56,R78を求める。推定システム7で観測される伝播チャネルをそれぞれhss1,hss2,hss3,hss4とする。4つの伝播チャネルはそれぞれ、式(63)~式(66)で表すことができる。
第1実施形態で説明したように、相関行列R56は、式(63)及び式(64)に基づいて近似的に求まる。推定システム7は、相関行列R56を近似的に求めることによって、無線信号の到来方向の複数の候補を推定する(第1推定処理)。この複数の候補には、第1仮想直線L1に対する推定システム7の位置方向である角度θ1が含まれる。
また、相関行列R78も、式(65)及び(式66)に基づいて近似的に求まる。推定システム7は、相関行列R78を近似的に求めることによって、無線信号の到来方向の複数の候補を推定する(第2推定処理)。この複数の候補には、第2仮想直線L2に対する推定システム7の位置方向である角度θ2が含まれる。
本実施形態の第1仮想直線L1と第2仮想直線L2とは交差する。そのため、推定システム7は、第1実施形態~第4実施形態のいずれかで説明したように、無線信号の到来方向の複数の候補のうちから、無線信号の到来方向を選択(特定)することができる。そのため、一の直線上に複数のアンテナが位置するアレーアンテナのみを用いて無線信号を送信する場合と比べて、受信側で送信装置の位置を推定する際の推定精度を向上させることができる。
なお、本実施形態では、制御システム5の構成が図8のような構成である場合を例示した。しかし、制御システム5の構成は、第1実施形態~第4実施形態において示した受信システム2のような構成であっても構わない。例えば、制御システム5は、合成部S5及び合成部S6に加えて、第3合成部や第4合成部を更に備えていてもよい。
この場合、例えば第3合成部は、2つの元信号IS5,IS6に基づいて第5無線信号及び第6無線信号を生成する。第3合成部は例えば180度ハイブリッドユニット(合成部S5と異なるハイブリッドユニット)などで構成される。第3合成部は、元信号IS5の位相を90度遅らせた信号と元信号IS6の位相を90度遅らせた信号とを足し合わせて電力値を1/2倍することによって第5無線信号を生成する。また、第3合成部は、元信号IS5と元信号IS6の位相を180度遅らせた信号とを足し合わせて電力値を1/2倍することによって第6無線信号を生成する。第3合成部は、生成した第5無線信号をアンテナA5に出力する。また、第3合成部は、生成した第6無線信号をアンテナA6に出力する。
また、例えば第4合成部は、2つの元信号IS7,IS8に基づいて第7無線信号及び第8無線信号を生成する。第4合成部は、例えば90度ハイブリッドユニット(合成部S6と異なるハイブリッドユニット)などで構成される。第4合成部は、元信号IS7の位相を90度遅らせた信号と元信号IS8とを足し合わせて電力値を1/2倍することによって第7無線信号を生成する。また、第4合成部は、元信号IS7と元信号IS8の位相を90度遅らせた信号とを足し合わせて電力値を1/2倍することによって、第8無線信号を生成する。第4合成部は、生成した第7無線信号をアンテナA7に出力する。また、第4合成部は、生成した第8無線信号をアンテナA8に出力する。
そして、制御部6は、4つのアンテナA5~A8に第1無線信号~第8無線信号を送信させる。制御部6は、アンテナA5に第1無線信号及び第5無線信号を送信させ、アンテナA6に第2無線信号及び第6無線信号を送信させる。また、制御部6は、アンテナA7に第3無線信号及び第7無線信号を送信させ、アンテナA8に第4無線信号及び第8無線信号を送信させる。
例えば、制御部6は、アンテナA5が第1無線信号を送信するタイミングと、第5無線信号を送信するタイミングとを切り替えるように制御する。制御部6は、他のアンテナに対しても同様に、異なる無線信号を送信するタイミングを切り替えるように制御する。
推定システム7側では、第5無線信号及び第6無線信号に基づいて推定システム7の位置方向を推定し(第3推定処理)、第7無線信号及び第8無線信号に基づいて推定システム7の位置方向を推定(第4推定処理)する。これにより、推定システム7が第1推定処理及び第2推定処理のみを行った場合と比べて、推定システム7の位置方向の複数の候補のうちから正しい位置方向を選択(特定)しやすくなる。
(受信方法、プログラム)
上述の実施形態(各変形例も含む)は、様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計などに応じて種々の変更が可能である。また、推定システム1と同様の機能は、受信方法、プログラム又はプログラムを記録した記録媒体などで具現化されてもよい。
本実施形態に係る推定方法は、第1推定ステップと、第2推定ステップと、選択ステップとを有する。第1推定ステップでは、合成信号SS1と合成信号SS2とに基づいて、無線信号の到来方向の複数の候補を推定する。合成信号SS1は第1仮想直線L1上に位置するアンテナA1で受信される無線信号に基づく入力信号IS1の位相がθ1遅れた信号と第1仮想直線L1上に位置するアンテナA2で受信される無線信号に基づく入力信号IS2とが合成された信号である。合成信号SS2は、入力信号IS1と入力信号IS2の位相がθ1遅れた信号とが合成された信号である。第2推定ステップでは、合成信号SS3と合成信号SS4とに基づいて、無線信号の到来方向の複数の候補を推定する。合成信号SS3は、入力信号IS3と入力信号IS4とのうちの少なくとも一方の位相が遅れた状態で入力信号IS3と入力信号IS4とが合成された信号である。入力信号IS3は、第1仮想直線L1と交差する第2仮想直線L2上に位置するアンテナA3で受信される無線信号に基づく信号である。入力信号IS4は、第2仮想直線L2上に位置するアンテナA4で受信される無線信号に基づく信号である。合成信号SS4は、合成信号SS3とは異なる信号であって、入力信号IS3と入力信号IS4とのうちの少なくとも一方の位相が遅れた状態で入力信号IS3と入力信号IS4とが合成された信号である。選択ステップでは、第1推定ステップにおける複数の候補と、第2推定ステップにおける複数の候補とのうちから、無線信号の到来方向を選択する。
また、本実施形態に係る(コンピュータ)プログラムは、上述した第1推定ステップ、第2推定ステップ及び選択ステップを1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
推定システム1、受信システム2,制御システム5及び推定方法の実行主体は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって推定システム1、受信システム2,制御システム5及び推定方法の実行主体としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリにあらかじめ記録されていてもよい。また、プログラムは、電気通信回線を通じて提供されてもよいし、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブなどの記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1又は複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散されて設けられていてもよい。
(まとめ)
上記実施形態から明らかなように、本開示は、下記の第1から第18の態様を含む。以下では、実施形態との対応関係を明示するためだけに、符号を括弧付きで付している。
第1態様に係る推定システム(1)は、第1推定処理及び第2推定処理を行って無線信号の到来方向を推定する推定部(3)を備える。第1推定処理は、第1合成信号と第2合成信号とに基づいて無線信号の到来方向の複数の候補を推定する処理である。第1合成信号は、第1アンテナで受信される無線信号に基づく第1入力信号の位相がθ1遅れた信号と第2アンテナで受信される無線信号に基づく第2入力信号とが合成された信号である。第2合成信号は、第1入力信号と第2入力信号の位相がθ1遅れた信号とが合成された信号である。第2推定処理は、第3合成信号と第4合成信号とに基づいて無線信号の到来方向の複数の候補を推定する処理である。第3合成信号は、第3アンテナで受信される無線信号に基づく第3入力信号と第4アンテナで受信される無線信号に基づく第4入力信号とのうちの少なくとも一方の位相が遅れた状態で第3入力信号と第4入力信号とが合成された信号である。第4合成信号は、第3合成信号とは異なる信号であって、第3入力信号と第4入力信号とのうちの少なくとも一方の位相が遅れた状態で第3入力信号と第4入力信号とが合成された信号である。第1アンテナ及び第2アンテナは第1仮想直線(L1)上に位置し、第3アンテナ及び第4アンテナは第1仮想直線(L1)と交差する第2仮想直線(L2)上に位置する。推定部(3)は、第1推定処理と第2推定処理とを行い、第1推定処理における複数の候補と、第2推定処理における複数の候補とのうちから、無線信号の到来方向を選択する。
この態様によれば、推定部(3)は、第1及び第2合成信号に基づく第1推定処理を行い、第3及び第4合成信号に基づく第2推定処理を行う。第1仮想直線(L1)と第2仮想直線(L2)とが交差する(角度θ)ため、第1推定処理の基準となる角度と、第2推定処理の基準となる角度が異なる。推定部(3)は、基準となる角度が異なる複数の推定処理にて推定する無線信号の到来方向の複数の候補のうちから無線信号の到来方向を選択する。そのため、一の直線上に複数のアンテナが位置するアレーアンテナのみで受信した無線信号の到来方向を推定していた装置より無線信号の到来方向の推定精度が向上する。
第2態様に係る推定システム(1)では、第1態様において、第3合成信号は、第3入力信号の位相がθ1遅れた信号と第4入力信号とが合成された信号である。また、第4合成信号は、第3入力信号と第4入力信号の位相がθ1遅れた信号とが合成された信号である。
この態様によれば、推定部(3)は、第3入力信号の位相がθ1遅れた信号と第4入力信号とが合成された第3合成信号と、第3入力信号と第4入力信号の位相がθ1遅れた信号とが合成された第4合成信号とに基づいて第2推定処理を行うことができる。そのため、推定部(3)による第2推定処理の推定精度が向上する。
第3態様に係る推定システム(1)では、第1態様において、第3合成信号は、第3入力信号の位相がθ1遅れた信号と第4入力信号の位相がθ1遅れた信号とが合成された信号である。また、第4合成信号は、第3入力信号と第4入力信号の位相がθ2遅れた信号とが合成された信号である。
この態様によれば、推定部(3)による第2推定処理の推定精度が向上する。
第4態様に係る推定システム(1)では、第1態様から第3態様のいずれかにおいて、推定部(3)は、第5合成信号及び第6合成信号に基づいて、無線信号の到来方向の複数の候補を推定する第3推定処理を更に行う。推定部(3)は、第1推定処理における複数の候補と、第2推定処理における複数の候補と、第3推定処理における複数の候補とのうちから、無線信号の到来方向を選択する。第5合成信号は、第5アンテナで受信される無線信号に基づく第5入力信号と第6アンテナで受信される無線信号に基づく第6入力信号とのうちの少なくとも一方の位相が遅れた状態で第5入力信号と第6入力信号とが合成された信号である。また、第6合成信号は、第5合成信号とは異なる信号であって、第5入力信号と第6入力信号とのうちの少なくとも一方の位相が遅れた状態で第5入力信号と第6入力信号とが合成された信号である。
この態様によれば、推定部(3)は、第1推定処理及び第2推定処理に加えて、第5合成信号及び第6合成信号に基づく第3推定処理を行うことができる。そのため、推定部(3)が第1推定処理及び第2推定処理のみを行う場合と比べて、無線信号の到来方向の推定精度が向上する。
第5態様に係る推定システム(1)では、第4態様において、第5合成信号は、第5入力信号の位相がθ1遅れた信号と第6入力信号とが合成された信号である。また、第6合成信号は、第5入力信号と第6入力信号の位相がθ1遅れた信号とが合成された信号である。
この態様によれば、推定部(3)は、第5入力信号の位相がθ1遅れた信号と第6入力信号とが合成された第5合成信号と、第5入力信号と第6入力信号の位相がθ1遅れた信号とが合成された第6合成信号とに基づいて第3推定処理を行う。そのため、推定部(3)による第3推定処理の推定精度が向上する。
第6態様に係る推定システム(1)では、第4態様において、第5合成信号は、第5入力信号の位相がθ1遅れた信号と第6入力信号の位相がθ1遅れた信号とが合成された信号である。また、第6合成信号は、第5入力信号と第6入力信号の位相がθ2遅れた信号とが合成された信号である。
この態様によれば、第5合成信号は、第5入力信号の位相がθ1遅れた信号と第6入力信号の位相がθ1遅れた信号とが合成された信号である。また、第6合成信号は、第5入力信号と第6入力信号の位相がθ2遅れた信号とが合成された信号である。推定部(3)は、このような第5合成信号及び第6合成信号に基づいて第3推定処理を行うことができる。そのため、推定部(3)による第3推定処理の推定精度が向上する。
第7態様に係る推定システム(1)では、第1態様から第6態様のいずれかにおいて、推定部(3)は、第1推定処理における複数の候補と、第2推定処理における複数の候補とを用いた多数決処理を行うことで、無線信号の到来方向を推定する。
この態様によれば、推定部(3)は、基準となる角度が異なる複数の推定結果を用いた多数決処理を行う。そのため、推定部(3)は、複数の候補の中から、無線信号の到来方向を選択(特定)することが可能となる。
第8態様に係る推定システム(1)では、第3態様又は第6態様において、θ1は90度であり、θ2は180度である。
この態様によれば、推定部(3)による第1推定処理及び第2推定処理の推定精度が向上する。
第9態様に係る推定システム(1)は、第1態様から第8態様のいずれかにおいて、第1アンテナと、第2アンテナと、第3アンテナと、第4アンテナと、を更に備える。
この態様によれば、この態様によれば、推定システム(1)は、第1仮想直線(L1)上に位置する第1及び第2アンテナと、第1仮想直線(L1)と交差する第2仮想直線(L2)に位置する第3及び第4アンテナで無線信号を受信することができる。
第10態様に係る推定システム(1)では、第9態様において、第2アンテナと第3アンテナとは同一のアンテナである。
この態様によれば、第2アンテナと第3アンテナとが同一のアンテナであるため、受信システム(2)の大きさを小さくすることができる。
第11態様に係る推定システム(1)は、第9態様又は第10態様において、第1合成信号及び第2合成信号を生成する第1合成部と、第3合成信号及び第4合成信号を生成する第2合成部とを更に備える。
この態様によれば、推定システム(1)は、4つの合成信号(SS1,SS2,SS3,SS4)を生成することができる。
第12態様に係る推定システム(1)では、第9態様から第11態様のいずれかにおいて、第1アンテナと第2アンテナとの第1間隔と、第3アンテナと第4アンテナとの第2間隔が等しい。
この態様によれば、第1アンテナと第2アンテナとの第1間隔と、第3アンテナと第4アンテナとの第2間隔が等しいため、推定部(3)による第1推定処理及び第2推定処理で用いる数式を流用することができる。
第13態様に係る推定システム(1)では、第9態様から第12態様のいずれかにおいて、第1アンテナと第2アンテナとの第1間隔、及び、第3アンテナと第4アンテナとの第2間隔は、無線信号の波長をX/2倍(Xは自然数)した長さである。
この態様によれば、第1アンテナ及び第2アンテナの第1間隔と、第3アンテナ及び第4アンテナの第2間隔とを無線信号の波長の1/2とすることで、推定部(3)による推定処理の推定精度が向上する。
第14態様に係る推定システム(1)では、第13態様において、第1間隔及び第2間隔は、無線信号の波長を1/2倍した長さである。
この態様によれば、各アンテナの間隔を無線信号の波長の1/2とすることで、推定部(3)による推定処理の推定精度が向上する。また、Xを「1」とすることで、推定システム(1)をコンパクトにすることができる。
第15態様に係る受信システム(2)は、第1アンテナと、第2アンテナと、第3アンテナと、第4アンテナと、第1合成部と、第2合成部とを備える。第1アンテナ及び第2アンテナは第1仮想直線(L1)上に位置し、無線信号を受信する。第3アンテナ及び第4アンテナは、第1仮想直線(L1)と交差する第2仮想直線(L2)上に位置し、無線信号を受信する。第1合成部は、第1合成信号と第2合成信号とを生成する。第1合成信号は、第1アンテナで受信される無線信号に基づく第1入力信号の位相がθ1遅れた信号と第2アンテナで受信される無線信号に基づく第2入力信号とが合成された信号である。第2合成信号は、第1入力信号と第2入力信号の位相がθ1遅れた信号とが合成された信号である。第2合成部は、第3合成信号と第4合成信号とを生成する。第3合成信号は、第3アンテナで受信される無線信号に基づく第3入力信号と第4アンテナで受信される無線信号に基づく第4入力信号とのうちの少なくとも一方の位相が遅れた状態で第3入力信号と第4入力信号とが合成された信号である。第4合成信号は、第3合成信号とは異なる信号であって、第3入力信号と第4入力信号とのうちの少なくとも一方の位相が遅れた状態で第3入力信号と第4入力信号とが合成された信号である。
この態様によれば、受信システム(2)は、第1アンテナ及び第2アンテナと、第3アンテナ及び第4アンテナとで、異なる角度で無線信号を受信することができる。また、受信システム(2)は、第1の角度で受信した無線信号に基づく第1合成信号及び第2合成信号と、第2の角度で受信した無線信号に基づく第3合成信号及び第4合成信号と、を生成することができる。
第16態様に係る制御システム(5)は、第1アンテナと、第2アンテナと、第3アンテナと、第4アンテナと、制御部とを備える。第1アンテナ及び第2アンテナは、第1仮想直線(L1)上に位置する。第3アンテナ及び第4アンテナは、第1仮想直線(L1)と交差する第2仮想直線(L2)上に位置する。制御部は、第1アンテナに第1元信号の位相がθ1遅れた信号と第2元信号とが合成された第1無線信号を送信させる。制御部は、第2アンテナに、第1元信号と第2元信号の位相がθ1遅れた信号とが合成された第2無線信号を送信させる。制御部は、第3アンテナに、第3元信号と第4元信号とのうちの少なくとも一方の位相が遅れた状態で第3元信号と第4元信号とが合成された第3無線信号を送信させる。制御部は、第4アンテナに、第3無線信号とは異なる信号であって、第3元信号と第4元信号とのうちの少なくとも一方の位相が遅れた状態で第3元信号と第4元信号とが合成された第4無線信号を送信させる。
この態様によれば、制御システム(5)は、角度が異なる2組のアレーアンテナで無線信号を送信することができる。
第17態様に係る推定方法は、第1推定ステップと、第2推定ステップと、選択ステップとを有する。第1推定ステップでは、第1合成信号と第2合成信号とに基づいて、無線信号の到来方向の複数の候補を推定する。第1合成信号は第1仮想直線(L1)上に位置する第1アンテナで受信される無線信号に基づく第1入力信号の位相がθ1遅れた信号と第1仮想直線(L1)上に位置する第2アンテナで受信される無線信号に基づく第2入力信号とが合成された信号である。第2合成信号は、第1入力信号と第2入力信号の位相がθ1遅れた信号とが合成された信号である。第2推定ステップでは、第3合成信号と第4合成信号とに基づいて、無線信号の到来方向の複数の候補を推定する。第3合成信号は、第3入力信号と第4入力信号とのうちの少なくとも一方の位相が遅れた状態で第3入力信号と第4入力信号とが合成された信号である。第3入力信号は、第1仮想直線(L1)と交差する第2仮想直線(L2)上に位置する第3アンテナで受信される無線信号に基づく信号である。第4入力信号は、第2仮想直線(L2)上に位置する第4アンテナで受信される無線信号に基づく信号である。第4合成信号は、第3合成信号とは異なる信号であって、第3入力信号と第4入力信号とのうちの少なくとも一方の位相が遅れた状態で第3入力信号と第4入力信号とが合成された信号である。選択ステップでは、第1推定ステップにおける複数の候補と、第2推定ステップにおける複数の候補とのうちから、無線信号の到来方向を選択する。
この態様によれば、第1仮想直線(L1)と第2仮想直線(L2)とが交差する(角度θ)ため、第1推定ステップの基準となる角度と、第2推定ステップの基準となる角度が異なる。基準となる角度が異なる複数の推定ステップにて推定する無線信号の到来方向の複数の候補のうちから無線信号の到来方向を選択する。そのため、一の直線上に複数のアンテナが位置するアレーアンテナのみで受信した無線信号の到来方向を推定していた方法より無線信号の到来方向の推定精度が向上する。
第18態様に係るプログラムは、第17態様の推定方法を、1以上のプロセッサに実行させる。
この態様によれば、第1仮想直線(L1)と第2仮想直線(L2)とが交差する(角度θ)ため、第1推定ステップの基準となる角度と、第2推定ステップの基準となる角度が異なる。基準となる角度が異なる複数の推定ステップにて推定する無線信号の到来方向の複数の候補のうちから無線信号の到来方向を選択する。そのため、一の直線上に複数のアンテナが位置するアレーアンテナのみで受信した無線信号の到来方向を推定していたプログラムより無線信号の到来方向の推定精度が向上する。