JP7312446B2 - 金属材料の絞りしごき加工方法及び金属加工物 - Google Patents

金属材料の絞りしごき加工方法及び金属加工物 Download PDF

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本開示は、金属材料の絞りしごき加工方法及び金属加工物に関する。
金属材料の加工方法には、従来から種々の加工方法が提案されている。
例えば、プレス加工が挙げられる。プレス加工とは、金型を含む一対の工具の間に金属等の材料を入れて圧力を加えることで、材料を金型に対応した形状に加工する加工方法である。
プレス加工の一種として、絞り加工が知られている。絞り加工とは、金属板成形法の一種で一枚の金属板から円筒、角筒、円錐等様々な形状の底付き容器を成形する加工法である。絞り加工を用いることで、つなぎ目の無い容器形状の金属を成形することができる。
絞り加工法に用いられる金属材料としては、例えば、チタン、チタン合金、アルミニウム、鉄、ステンレス、銅、マグネシウム等が挙げられる。中でも、チタン及びチタン合金については、高耐食性、高強度、低比重等の性質から、幅広い分野での適用が期待されており、チタン及びチタン合金の加工について、種々の検討がされている。
例えば特許文献1には、工具を用いた絞りスピニング成形によってチタン合金材が成形される絞りスピニング成形加工方法であって、高周波誘導加熱によって、工具によるチタン合金材に対する作用点が、局所的に、加熱される加熱工程と、チタン合金材の外周側から内周側に向けての工具の移動により該チタン合金材の絞り変形が行われる変形工程とを具備することを特徴とするチタン合金材絞りスピニング成形加工方法が記載されている。
また、例えば特許文献2には、付与されたひずみの合計量が、微細構造微細化を開始するのに十分になるまで、加工物を自由プレス鍛造することを繰り返すことと、所望の回転度に加工物を回転させることと、を繰り返すことを含む、金属材料加工物を鍛造する方法が記載されている。
特開2012-192414号公報 特表2016-512173号公報
金属材料に対し、高温(例えば、700℃~870℃)の範囲にて加熱することで延性を付与してから加工する方法は存在するものの、例えばチタン合金等の低温(例えば、400℃以下)の範囲では延性が低い金属材料は、低温において延性が得られないため、低温にて加工することが非常に困難であった。
低温の範囲で延性が低い金属材料(例えばチタン合金)に対して、高温の範囲にて加熱して延性を付与させてから加工する方法として、例えば、バーナー等の加熱手段でチタン合金であるTi-6Al-4V合金を800℃程度にまで加熱し、成形を行う方法がある。しかし、この方法では金型全体を高温まで加熱するために大がかりな加熱装置を用いていると考えられ、コストが高くなり、さらに作業性が悪化しやすい。また、Ti-6Al-4V合金のみならず、装置までもが高温に曝される結果、装置の寿命を縮めやすいと考えられる。
上記特許文献1は、材料を変形する個所のみ簡易に加熱する方法であり、特許文献2は、結晶粒微細化のために、600℃~βトランザス変態点の温度範囲で、少しずつ材料の表面を鍛造する方法である。
以上の特許文献1及び特許文献2に記載の方法は、いずれも高温の範囲でチタン合金を加熱する加工方法であり、高温の範囲でチタン合金を加熱する加工方法では、特殊な金型、特殊な加熱装置等を用いることが通常であると考えられ、製造コスト、作業の簡便性等の点は期待できない。
以上より、金属材料(特に、低温の範囲で延性が低い金属材料)を低温(例えば、400℃未満)にて加工できる技術が求められている。
本開示の実施形態が解決しようとする課題は、低温で金属材料を加工できる金属材料の絞りしごき加工方法及び金属加工物を提供することである。
上記課題を解決する手段には、以下の態様が含まれる。
<1> ブランク材である金属材料をブランク支持材と金型との間に配置した状態で、前記金型を用いて押圧部材によって前記金属材料を絞らず、かつ、前記ブランク支持材を用いて前記金属材料の少なくとも一部を前記金型に押圧する押圧工程と、前記金属材料を前記ブランク支持材と前記金型との間に配置した状態で、前記ブランク支持材を用いて前記金属材料の少なくとも一部を金型に2kN以下で押圧し又は押圧せず、かつ、前記金型を用いて前記押圧部材によって前記金属材料を絞る絞り工程と、を含み、加工前の前記金属材料の厚さに対する、前記押圧部材と前記金型との間のクリアランスの比(本明細書中、クリアランス比ともいう)が1.0未満である金属材料の絞りしごき加工方法(本明細書中、本開示の絞りしごき加工方法ともいう)。
なお、本開示においてクリアランスとは、絞り工程における、金型の表面と押圧部材の表面との間の最短距離を指す。
特許文献1及び特許文献2に示される通り、低温の範囲で延性が低い金属材料は、成形するために高温に加熱される必要があり、低温での成形が困難であった。
しかし、特許文献1又は特許文献2に記載の方法のように、高温(例えば、500℃以上)を付与するためには、別途金属材料、金型等を加熱するための装置及び工程が必要となり、製造コストが増大する点が懸念される。
本開示の絞りしごき加工方法は、上記押圧工程と上記絞り工程とを含み、クリアランス比が1.0未満であることで、低温の範囲で延性が低い金属材料を加工する場合であっても、金属材料を高温に加熱することなく加工することができる。
上記の効果が得られる理由は以下の通りであると考えられる。
クリアランス比が1.0未満の状態にて絞り加工を行うことで、上記絞り工程において、金型と押圧部材との間において厚さが小さくなるように金属材料を絞る、いわゆる絞りしごき加工を行うことができる。
クリアランス比が1.0未満の状態にて上記絞りしごき加工を行う場合、金属材料を金型を用いて絞る際に、金属材料の一部は金型と押圧部材との間に到達せず、曲げ部に留まることとなる。そして、絞りしごき加工の進展に伴って金属材料の流入量を一定の範囲内に制御することで、破断を生じやすい曲げ部の厚さを一定の範囲内とすることができる。その結果、破断を抑制することができる。
また、本開示の絞りしごき加工方法は、クリアランス比が1.0未満の状態にて、押圧工程及び絞り工程を複数回に分けて行うことが好ましい。これによって、本開示の絞りしごき加工方法を、しわが発生しないように、また、壁厚が減少しないように緩やかに進行させることができる。その結果、得られる金属加工物のしわの発生を抑制しつつ、壁厚の均一性の高い金属加工物を得ることができる。
本開示の絞りしごき加工方法は、低温(例えば、400℃未満)で金属材料を絞りしごき加工することが可能であることから、金属材料を高温に加熱する必要はないため、一般的に用いられる簡易な装置を用いて、金属材料を絞り成形することが可能となる。これによって、製造コストの低減、作業の簡便性を向上させることができる。
また、本開示の絞りしごき加工方法は、得られる金属加工物の壁厚が部分的に減少することを抑制できるため、壁厚の均一性に優れた金属加工物を製造することができる。
<2> 前記加工前の前記金属材料の厚さに対する、前記押圧部材と前記金型との間のクリアランスの比が、0.8以下である<1>に記載の金属材料の絞りしごき加工方法。
<3> 前記金属材料が、表面に潤滑剤を含む<1>又は<2>に記載の金属材料の絞りしごき加工方法。
<4> 前記金属材料の形状が直径50mm~80mmの円形の平板形状である<1>~<3>のいずれか1つに記載の金属材料の絞りしごき加工方法。
<5> 前記金属材料が、チタン合金である<1>~<4>のいずれか1つに記載の金属材料の絞りしごき加工方法。
<6> 前記押圧工程及び前記絞り工程の前に、前記金属材料の温度を0℃~400℃に調整する温度調整工程をさらに含む<1>~<5>のいずれか1つに記載の金属材料の絞りしごき加工方法。
<7> 底部と、前記底部の周縁から底部と交差する一方向に延設された側部と、底部側とは反対側の前記側部の周縁に位置する曲げ部と、前記曲げ部を介して前記側部と繋がったフランジ部と、を有し、一方が開口された略円筒形状であり、曲げ部の最大厚さに対する側部の厚さの比率が0.8~1.0である金属加工物。
本開示の実施形態によれば、低温で金属材料を加工できる金属材料の絞りしごき加工方法及び金属加工物を提供することができる。
クリアランス比が1.0以上である状態にて金属材料を絞る場合を説明するための断面図である。 クリアランス比が1.0未満である状態にて金属材料を絞る場合を説明するための断面図である。 本開示における押圧工程を説明するための金型、金属材料、押圧部材及びブランク支持材の断面図である。 本開示における絞り工程を説明するための金型、金属材料、押圧部材及びブランク支持材の断面図である。 本開示における金型の一例を示す断面図である。 本開示におけるブランク支持材の一例を示す断面図である。 本開示における押圧部材の一例を示す断面図である。 本開示における金属加工物の一例を示す断面図である。 本開示の絞りしごき加工方法を用いて金属材料を加工した場合のパンチロード、BHF及びパンチストロークの関係を示すグラフである。 本開示の絞りしごき加工方法を用いて金属材料を加工した場合に得られる金属加工物の壁厚を示すグラフである。
以下、図1~図10を参照して、本開示の絞り加工方法の実施形態について具体的に説明する。但し、本開示においては、以下に示す実施形態に制限されるものではない。
≪絞りしごき加工方法≫
本開示の絞りしごき加工方法は、ブランク材である金属材料をブランク支持材と金型との間に配置した状態で、前記金型を用いて押圧部材によって前記金属材料を絞らず、かつ、前記ブランク支持材を用いて前記金属材料の少なくとも一部を前記金型に押圧する押圧工程と、前記金属材料を前記ブランク支持材と前記金型との間に配置した状態で、前記ブランク支持材を用いて前記金属材料の少なくとも一部を金型に2kN以下で押圧し又は押圧せず、かつ、前記金型を用いて前記押圧部材によって前記金属材料を絞る絞り工程と、を含み、加工前の前記金属材料の厚さに対する、前記押圧部材と前記金型との間のクリアランスの比が1.0未満である。前記押圧工程及び前記絞り工程は、それぞれ複数回に分けて行うことが好ましい。これによって、得られる金属加工物のしわの発生を抑制しつつ、壁厚の均一性の高い金属加工物を得ることができる。
<クリアランス比>
本開示の絞りしごき加工方法において、前記加工前の前記金属材料の厚さ(t)に対する、前記押圧部材と前記金型との間のクリアランス(T)の比(T/t)が、1.0未満である。
これによって、上述の通り、絞りしごき加工を行うことができ、金属材料を金型を用いて絞る際に、金属材料の一部は金型と押圧部材との間に到達せず、曲げ部に留まることとなる。
そして、絞りしごき加工された部分における絞りしごき加工された量と、ブランク支持材及び金型からなる金属材料が流入する部分における金属材料の流入量と、を制御することで、曲げ部の厚さを制御できる。その結果、得られる金属加工物において破断を発生しやすい曲げ部の厚さを大きくすることができる。
上記について、図1及び図2を用いて詳細に説明する。
まず、図1に示す通り、クリアランス比が1.0以上である場合には、クリアランス10の長さは、金属材料11の加工前の厚さt以上である。クリアランス比が1.0以上の状態にて絞りしごき加工を行う場合、金属材料11を金型5を用いて絞る際に、金属材料11は金型5と押圧部材9との間を厚さが減少することなく通過できるため、加工中に金属材料11の一部が曲げ部8に留まりにくい。
一方で、図2に示す通り、クリアランス比が1.0未満である場合には、クリアランス10の長さは、金属材料11の加工前の厚さt未満である。クリアランス比が1.0未満の状態にて絞りしごき加工を行う場合、金属材料11を金型5を用いて絞る際に、金属材料11における絞りしごき加工された部分の全てが金型5と押圧部材9との間に到達することを抑制することができる。そして金属材料11における絞りしごき加工された部分の内、金型5と押圧部材9との間に到達することができなかった金属材料11の一部は、曲げ部に留まることとなり、絞りしごき加工された部分における絞りしごき加工された量と、ブランク支持材及び金型からなる金属材料が流入する部分における金属材料の流入量と、を制御することで、曲げ部の厚さを制御できる。その結果、得られる金属加工物において破断を発生しやすい曲げ部の厚さを大きくすることができる。
以上により、曲げ部の厚さを大きくすることにより、得られる金属加工物における破断の発生を抑制することができる。
加工前の前記金属材料の厚さに対する、前記押圧部材と前記金型との間のクリアランスの比が1.0未満である態様としては、金型を用いて押圧部材によって金属材料を絞る領域の全てにてクリアランスの比が1.0未満である態様であってもよく、金型を用いて押圧部材によって金属材料を絞る領域の一部にてクリアランスの比が1.0未満である態様であってもよい。
目的とする金属加工物の形状、金属材料の種類等により、上記態様は適宜変更することができる。
上記クリアランス比は、曲げ部の厚さを制御することで破断等の不具合なく金属材料を加工する観点から、0.9以下であることが好ましく、0.85以下であることがより好ましく、0.8以下であることがさらに好ましい。
また、上記クリアランス比は、破断を良好に抑制する観点、及び得られる金属加工物の強度を得る観点から、0.7以上であることが好ましく、0.75以上であることがより好ましい。
<押圧工程>
本開示における押圧工程は、ブランク材である金属材料をブランク支持材と金型との間に配置した状態で、前記金型を用いて押圧部材によって前記金属材料を絞らず、かつ、前記ブランク支持材を用いて前記金属材料の少なくとも一部を前記金型に押圧する工程である。
これによって、得られる金属加工物にしわが発生することを抑制することができる。
~押圧工程の一実施形態~
本開示における押圧工程の一実施形態について、図3を参照して説明する。
本開示における押圧工程の一実施形態としては、図3に示すように、金属材料11をブランク支持材7と金型5との間に配置した状態で、ブランク支持材7を用いて前記金属材料11の例えばスクラップ部13をブランク支持材7から金型5へ向かう方向に押圧する。この際、押圧部材9によって金属材料11を金型5の孔5C内に押し上げて孔5Cに絞ることは行わない。
(金属材料)
本開示における金属材料は、本開示の絞りしごき加工方法によって得られる金属加工物の材料である。
本開示の絞りしごき加工方法によれば、低温の範囲で延性が低い金属材料を加工する場合であっても、金属材料を高温に加熱することなく加工することができる。
本開示における金属材料としては、例えば、チタン、チタン合金、アルミニウム、鉄、ステンレス、銅、マグネシウム、ニッケル等が挙げられる。
本開示における金属材料は、上記の中でも、低温の範囲で延性が低い金属材料であるチタン及びチタン合金であることが好ましい。
低温の範囲で延性が低い金属材料を低温の範囲で加工した場合に破断、しわ等の不具合が発生しやすく、良好な加工が困難であるところ、本開示の絞りしごき加工方法によれば、低温の範囲で延性が低い金属材料であるチタン及びチタン合金を、所望の形状に良好に加工することが可能である。
上記の観点から、本開示における金属材料は、チタン合金であることがより好ましい。
チタン合金に含まれる、チタン以外の金属又は非金属としては、Al、V、Mo、Fe、Pd、Ru、Pt、Ni、Cr、Sn等が挙げられる。
本開示におけるチタン合金としては、Ti-6Al-4V、Ti-15V-3Cr-3Sn-3Al等が挙げられ、本開示の効果がより奏される観点から、Ti-6Al-4Vがより好ましい。
本開示における金属材料の形状としては、特に制限はなく、例えば、円形の平板形状のものを用いることができる。
金属材料の形状が円形の平板形状である場合、本開示の絞りしごき加工前の金属材料の厚さは、特に制限はなく、例えば、0.30mm~1.5mmであってもよい。
加工性の点から、厚みは0.35mm~1.2mmが好ましく、0.40mm~1.0mmがより好ましい。
金属材料の形状が円形の平板形状である場合、金属材料の直径は、40mm~80mmが好ましい。
上記直径が、40mm以上であることで、絞りしごき加工中、金属材料の流入量を良好に制御することができる。
上記の観点から、上記直径は45mm以上がより好ましく、60mm以上がさらに好ましい。
また、上記直径が80mm以下であることで、金属材料を破断させずに、金属材料をしごき面へ円滑に流入させることができる。
上記の観点から、上記直径は75mm以下がより好ましく、70mm以下がさらに好ましい。
(潤滑剤)
前記金属材料は、表面に潤滑剤を含むことが好ましい。
これによって、金型及び押圧部材との摩擦を軽減させることで金属材料を保護することができ、金型及び押圧部材への金属材料の凝着を抑制することができる。
具体的には、金属材料の表面に潤滑剤を含むことで、絞り工程において金型及び押圧部材を用いて金属材料を絞る際に、金型及び押圧部材の少なくとも一方と金属材料との間の摺動を抑制することができる。従って、金属材料は、絞り工程を行った場合に金型及び押圧部材の少なくとも一方と接触する部分に潤滑剤を含むことが好ましい。
潤滑剤としては、公知のものを用いることができる。例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PE(ポリエチレン)等が挙げられる。
上記の中でも、摩擦を軽減させる観点、及び凝着を抑制する観点から、潤滑剤は、固形の潤滑剤が好ましく、厚み10~200μmのPTFEがより好ましく、厚み50~100μmのPTFEがさらに好ましい。
金属材料は、表面に酸化被膜を施したものであってもよい。これによって、金属材料を保護することができ、金型への金属材料の凝着を抑制することができる。
金属材料に酸化被膜を施す方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、大気酸化、陽極酸化等の方法が挙げられる。
大気酸化とは、空気中の酸素により、金属表面にアナターゼ型の酸化被膜を形成する酸化被膜形成方法である。
陽極酸化とは、金属を陽極として通電し、金属表面にルチル型の酸化被膜を形成する酸化被膜形成方法である。
(金型)
金型5は、図5に示すように、内部に孔5C及び側壁5Eを有し、金型5と接するようにして金属材料11が配置される側(下面5B側)における孔5Cの開口端に、屈曲部5Dを有することができる。金型5と接するように配置された金属材料11を、押圧部材9を用いて、下面5Bから上面5Aに向かう方向に、上記孔5Cに沿って絞ることで、所望の形状の金属加工物に加工することができる。
上記孔5Cの形状によって、金属加工物の形状を種々選択することができる。本開示における金型5の孔5Cの形状として、例えば、円錐形状、角錐形状、円筒形状、角筒形状等が挙げられる。
金型5の形状としては、例えば、内部に略円筒形状の孔5Cを備える円柱形状であってもよく、金型5の高さ5h、上面側における孔5Cの内径5r及び外径5Rは、目的とする金属加工物の形状等によって適宜調整することができる。
金型5の材質としては、特に制限はないが、例えば、SKD61、SKD11等が挙げられる。
(ブランク支持材)
本工程において、ブランク支持材7が金属材料11に与える圧力(BHF:Blank Holding Force)は、金属材料11の種類によって適宜調整できる。
本工程におけるBHFとしては、例えば100kN~400kNとすることができる。
ブランク支持材7は、図6に示すように、孔7Aを有し、図3に示すように、金型5との間に金属材料11を配置する際に、金属材料11を支持する。また、金属材料11の金型5と接する面とは反対の面の少なくとも一部分に対し、圧力を加える。これによって、金属加工物のしわの発生を抑制することができる。
図6に示すように、ブランク支持材7は、押圧部材が通過するための孔7Aを有するため、後述の絞り工程を行う際、押圧部材9が上記孔7Aを通過し、金属材料11を押圧することで絞り加工を行うことができる。
ブランク支持材7は、図6に示すように、内部に孔7Aを有する円柱形とすることができる。
ブランク支持材7の外径7Rは、金型5の外径5Rと同じ外径とすることが好ましい。
ブランク支持材7の内径7rは、孔7Aを通過する押圧部材9の通過を阻害しない内径が好ましい。
ブランク支持材7の厚み7hは、特に制限はないが、例えば、1cm~2cmとすることができる。
ブランク支持材7の材質は、特に制限はないが、例えば、SKD61、SKD11等が挙げられる。
<絞り工程>
本開示における絞り工程は、前記金属材料を前記ブランク支持材と前記金型との間に配置した状態で、前記ブランク支持材を用いて前記金属材料の少なくとも一部を金型に2kN以下で押圧し又は押圧せず、かつ、前記金型を用いて前記押圧部材によって前記金属材料を絞る工程である。
本工程によって、破断の原因である引張張力に起因するせん断変形を抑制し、かつ、金属材料を所望の形状へと変形させることができる。
絞り工程において、上記ブランク支持材を用いて前記金属材料の少なくとも一部を金型に押圧しない場合、ブランク材である金属材料の周端部側が、ブランク支持材と金型との間に挟持された状態であってもよく、ブランク材である金属材料の周端部側が、ブランク支持材及び金型の少なくとも一方と接触せずにブランク支持材と金型との間に配置された状態であってもよい。
~絞り工程の一実施形態~
本開示における絞り工程の一実施形態について、図4を参照して説明する。
本開示における絞り工程の一実施形態としては、図4に示すように、金属材料11をブランク支持材7と金型5との間に配置した状態で、押圧部材9を動作させることで、押圧部材9がブランク支持材7の孔7Aを通過し、例えば金属材料11の内底面11D(図8参照)を押圧し、チタン合金を金型5の孔5C内に押し上げて金属材料11を絞ることができる。この際、ブランク支持材7を用いてチタン合金11を2kN以下で押圧するか、又は押圧はしない。
ブランク支持材を用いて金属材料を押圧する方法としては、例えば、ブランク支持材を可動させるサーボモーターを設け、サーボモーターによって、ブランク支持材を金型に向かう方向へ可動させていき、ブランク支持材と金型との間に配置した金属材料を押圧することが考えられる。
本工程は、金属材料を、ブランク支持材を用いて2kN以下で押圧し又は押圧せずに行う。これによって、得られる金属加工物の壁厚を均一にすることができる。上記の中でも、金属加工物の側部及び肩部の壁厚を良好に均一にすることができる。
特に肩部は、絞り加工中、押圧部材の押圧面の端部が接触する部分(図8の肩部113)であるために壁厚の減少が顕著であるところ、本開示の絞り加工方法であれば、壁厚(特に肩部)の減少を良好に抑制することができる。
壁厚減少を良好に抑制する観点から、金属材料を2kN以下で押圧し又は押圧しないことが好ましく、押圧しないことがより好ましい。
(押圧部材)
押圧部材9は、図7に示すように、例えば略円筒形状とすることができ、胴体部9Bを有し、胴体部9Bに金属材料11を押圧するための押圧面9Aを備えることができる。押圧部材9は、図4に示す通り、金属材料11の金型5と接する面とは反対の面の一部分を押圧して金属材料11を金型5の孔5Cに絞るためのものである。
押圧部材9の材質は、特に制限はないが、例えば、SKD61、SKD11等が挙げられる。
押圧部材9の形状としては、所望の金属加工物の形状に合わせて適宜選択することができる。例えば、円筒形状、角筒形状等が挙げられる。
押圧部材9が金属材料11を押圧する際の荷重(パンチロード)は、例えば図9に示すように、押圧部材9のストローク(パンチストローク)の長さによって適宜調整することができる。チタン合金11の成形が進行しパンチストロークが長くなるにしたがって、パンチロードを増加させることができる。これによって、所望の形状にチタン合金11を成形することができる。
押圧部材9が金属材料11を押圧する際の荷重の最大値(最大パンチロード)は、金属材料11の種類によって適宜調整できる。例えば、最大パンチロードは3kN~5kNとすることができる。
押圧部材9が金属材料11を押圧する際の速度(パンチスピード)は、金属材料11の種類によって適宜調整できる。例えば、パンチスピードは5mm/分~500mm/分とすることができる。
なお、本開示においてパンチスピードとは、押圧部材により、金属材料が金型の孔に押し込まれる速度を指す。
上記押圧工程と上記絞り工程とは交互に行うことが好ましい。
この点について図9を参照して説明する。図9には、(1)加工前にチタン合金を加熱せず、チタン合金の温度を24℃として上記押圧工程と上記絞り工程とを交互に行った場合、及び、(2)加工前にチタン合金を300℃に加熱して上記押圧工程と上記絞り工程とを交互に行った場合を示す。
図9に示す通り、まず、最大パンチロード付近((1)の場合は58kN付近、(2)の場合は42kN付近)に到達するまで、押圧工程及び絞り工程を交互に繰り返していくことで、パンチストロークが増加していく。この際、最大パンチロード付近におけるパンチストロークは9mm付近である。また、押圧工程において、BHFは50kN付近とし、パンチストロークの値に関わらずほぼ一定の値とする。
最大パンチロード付近までパンチストロークが増加した後、パンチロード-パンチストローク線及びBHF-パンチストローク線は、急激な上下を繰り返さず、連続的になめらかな曲線を描く。
なお、パンチストロークとは、押圧部材によって金属材料を押圧する際の、押圧部材が金属材料に接触し、かつ、BHFが付加されていない状態から材料が破断に至る、又は、絞り加工が終了する位置までの押圧部材の移動距離をいう。
(絞り比)
金属材料11が円形の平板形状であり、かつ、押圧部材9が円筒形状である場合に、押圧部材9の直径(d)に対する金属材料11の直径(D)の比(絞り比:D/d)は1.5以上であることが好ましい。絞り比が1.5以上であることで、一般産業上の実用性を得られやすい。Dの値が大きい程、即ち、絞り比が大きい程、1回の絞りで金属加工物に破断を起こしやすく、絞り比は素材の絞り性の指標となり得る。
上記同様の観点から、上記絞り比が1.7以上であることがより好ましく、1.8以上であることが更に好ましい。
本開示の一実施形態としては、例えば、チタン合金の形状が円形の平板形状であり、押圧部材の形状が円柱形状であり、かつ、前記チタン合金の厚みを0.5mmとし、前記押圧部材の直径に対するチタン合金板の直径の比を1.8以上とすることができる。
なお、本開示の絞り加工方法は、上述以外の加工を加えて金属材料11を種々の形状に構成することができる。
本工程におけるパンチロードは、パンチストロークの長さによって適宜調整できる。例えば、パンチロードは500kN~1000kNとすることができる。
本工程におけるBHFは、チタン合金の種類によって適宜調整することができるが、例えば10kN~50kNとすることができる。
本工程におけるパンチスピードは、チタン合金の種類によって適宜調整することができるが、例えば10mm/分~900mm/分とすることができる。
加工性の観点から、30mm/分~700mm/分であることが好ましく、90mm/分~300mm/分であることがより好ましい。
(温度調整工程)
本開示の絞りしごき加工方法は、広い温度範囲にて金属材料を加工することが可能であるが、前記押圧工程及び前記絞り工程の前に、前記金属材料の温度を0℃~400℃に調整する温度調整工程をさらに含んでいてもよい。
金属材料の温度を0℃未満とする作業を行う場合、コストが増大すると考えられるところ、上記金属材料の温度を0℃以上に調整することで、コストの増大を抑制することができる。
上記の観点から、上記金属材料の温度は15℃以上が好ましい。
また、前記押圧工程及び前記絞り工程の前に、前記金属材料の温度を400℃以下に調整することで、金属材料と金型との焼付きによる摺動性低下を抑制できる。また、金属材料及び金型等の熱による損傷を抑制することができる。さらに、例えばPTFE等の固体潤滑剤を用いる場合に、上記固体潤滑剤の熱による損傷を抑制することができる。
上記の観点から、上記金属材料の温度は310℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましく、200℃以下がさらに好ましく、150℃以下が特に好ましい。
温度調整工程における温度調整の方法としては、特に制限はなく、例えば、ヒーター、炉内加熱等を用いた方法が挙げられる。
なお、室温(例えば25℃)であれば温度調整を行う必要はなく、温度調整を行わない場合においても、本開示の絞りしごき加工方法であれば、金属材料を破断等の不具合なく加工することが可能である。
(壁厚の均一性)
本開示の絞りしごき加工方法の一実施形態を用いた場合の壁厚の均一性について図10を参照して説明する。
図10のグラフは、本開示の絞りしごき加工方法の一実施形態を用いてチタン合金を加工した場合に、得られた金属加工物の壁厚の均一性を示している。図10には、(1)加工前にチタン合金を加熱せず、チタン合金の温度を24℃として本開示の絞りしごき加工方法を実施した場合(図10中、▲で表記)、及び、(2)加工前にチタン合金を300℃に加熱して本開示の絞りしごき加工方法を実施した場合(図10中、◆で表記)を示す。
目的とする壁厚のひずみを-22.5%とした場合に、最も壁厚が減少しやすい肩部(中心からの距離が13mm付近)において、本開示の絞り加工方法の一実施形態では、上記(1)及び(2)の両方の場合において、壁厚のひずみは-25.0%ほどである。
そして側部における壁厚のひずみは、中心からの距離が遠くなるほど、目的とする壁厚のひずみ-22.5%に近づいていく。そして、上記(1)及び(2)の両方の場合において、中心からの距離が35mm付近にて、壁厚のひずみは目的とする壁厚のひずみ-22.5%に到達する。
図10中の(1)及び(2)の絞りしごき加工方法は、金属材料としてTi-6Al-4V(厚み0.5mm)を用いており、絞り比1.81であり、本開示の絞り加工方法の押圧工程におけるBHFは200kNである。
また、壁厚のひずみは、加工前のチタン合金の厚みから、マイクロスコープで測定した加工後の壁厚を引いた値の絶対値を、加工前のチタン合金の厚みで除した百分率とする。
(金属加工物)
本開示の金属加工物は、本開示の絞りしごき加工方法により製造することができる。
本開示の絞りしごき加工方法により製造した金属加工物としては、例えば、以下の態様であることが好ましい。
本開示の金属加工物は、底部と、前記底部の周縁から底部と交差する一方向に延設された側部と、底部側とは反対側の前記側部の周縁に位置する曲げ部と、前記曲げ部を介して前記側部と繋がったフランジ部と、を有し、一方が開口された略円筒形状であり、曲げ部の最大厚さに対する側部の厚さの比率が0.8~1.0である。
本開示の金属加工物は、曲げ部の最大厚さに対する側部の厚さの比率が0.8~1.0である。これによって、破断が容易に発生する傾向にある曲げ部において、破断の発生を良好に抑制することができる。
上記の観点から、本開示の金属加工物は、曲げ部の最大厚さに対する側部の厚さの比率が0.85~0.95であることが好ましく、0.89~0.93であることがより好ましい。
~金属加工物の一実施形態~
本開示の金属加工物の一実施形態について図8を参照して説明する。
図8に示すように、本開示の金属加工物110は、底部111と、前記底部111の周縁から底部111と交差する一方向に延設された側部112と、底部側とは反対側の前記側部112の周縁に位置する曲げ部8と、前記曲げ部8を介して前記側部112と繋がったフランジ部114と、を有し、一方が開口された略円筒形状であり、曲げ部の最大厚さに対する側部の厚さの比率(側部の厚さ/曲げ部の最大厚さ)が0.8~1.0である。
側部の厚さとしては、例えば、0.39mm~0.40mmとしてもよく、曲げ部の最大厚さとしては、例えば、0.42mm~0.45mmとしてもよい。
以下、本開示を実施例により更に具体的に説明するが、本開示はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
以下に記載の絞りしごき加工方法により、金属材料であるチタン合金(Ti-6Al-4V)に対して絞りしごき加工を行った。
なお、本実施例における、金型、押圧部材、金属材料、絞り比、クリアランス及びクリアランス比は以下の通りである。
使用した金型の外形は、水平な面に金型を配置した場合、外径140mm×高さ18mmの円筒形状であり、孔の内径は、33.8mmであった。
使用したブランク支持材の外形は、外径140mm×高さ18mmの円筒形状であり、孔の内径は、36mmであった。
使用した押圧部材の外形は、円形の押圧面の直径(d)が33.0mmであり、胴体部の長さが130mmの円柱形状であった。
使用した金属材料は、円形状の平板形状のチタン合金(Ti-6Al-4V、加工前の厚さ0.50mm)である。上記円筒形状の円形の面における直径(D)は60mmであった。
また、押圧部材の直径(d)に対する金属材料の直径(D)の比(絞り比:D/d)は1.81であった。
上記押圧部材及び金型によって得られるクリアランスは0.4mmであった。また、各実施例又は比較例におけるクリアランス比については表1に記載した。
(実施例1)
-金属材料の配置-
チタン合金をブランク支持材上に配置し、ブランク支持材をサーボモーターにより駆動させることで金型に向けて接近移動させ、チタン合金を金型5とブランク支持材との間で挟持されるように配置した。なお、チタン合金の温度は、室温と同様の24℃であった。
-押圧工程-
図3に示すように、上記でブランク支持材と金型との間に配置したチタン合金を、ブランク支持材を用いて、前記チタン合金のスクラップ部をブランク支持材から金型へ向かう方向に、BHFとして200kNの力で押圧した。この際、押圧部材によってチタン合金を金型の孔に絞ることは行わなかった。
-絞り工程-
図4に示すように、押圧工程後のチタン合金をブランク支持材と金型との間に配置した状態で、押圧部材を動作させることで、押圧部材がブランク支持材の孔を通過して金属材料の内底面を押圧し、チタン合金を金型の孔内に押し上げて孔に絞った。この際、ブランク支持材を用いてチタン合金のフランジ部を押圧しなかった。なお、絞り工程におけるパンチスピードは90mm/分とした。
パンチストローク、BHF及びパンチロードを適宜調整し、上記押圧工程及び絞り工程を交互に繰り返した。そして、得られた金属加工物のフランジ部が水平な面と接触するように配置した場合の、水平面から底面までの長さ(図8の11h)が17mmとなる位置まで内底面11Dを押し込んだ段階で、金属材料11の加工を終了し、金属加工物を製造した。
得られた金属加工物は、底部の直径(図8の11R)が34mmであり、図8のように金属加工物を水平な面に配置した場合の、水平な面から底部までの垂直方向の高さ11hが17.5mmであった。
(実施例2)
押圧工程及び絞り工程の前に、以下の温度調整工程をさらに行ったこと以外は、実施例1と同様にして金属加工物を製造した。
-温度調整工程-
まず、実施例1と同様のチタン合金を、加熱装置(温間用金型、エリクセン株式会社製)を用いて300℃に加熱した。
次に、加熱したチタン合金をブランク支持材上に配置し、ブランク支持材をサーボモーターにより駆動させることで金型に向けて接近移動させ、チタン合金を金型とブランク支持材との間で挟持されるように配置した。
(実施例3)
チタン合金の表面に潤滑剤としてPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を塗布した以外は、実施例1と同様にして金属加工物を製造した。
(比較例1)
押圧部材及び金型を変更することによってクリアランスを調整してクリアランス比を表1の通りとしたこと、及び、チタン合金の表面に潤滑剤としてPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を塗布したこと以外は、実施例2と同様にして金属加工物を製造した。
~評価~
(加工性の評価)
各実施例又は比較例で製造された金属加工物におけるしわ発生の有無やその状態を目視で調べて、下記評価基準に基づいて評価し、評価結果を表1に記載した。
-評価基準-
A:金属加工物に、しわ、割れ等の不良の発生が認められなかった。
B:金属加工物に、割れの発生が認められなかったが、しわの発生が認められた。
C:金属加工物に、割れの発生が認められた。
(曲げ部の最大厚さに対する側部の厚さの比率(側部厚さ/曲げ部最大厚さ)の測定)
各実施例又は比較例で製造された金属加工物を、底部の面積が1/2となるように直線的に切断した。そして、切断した金属加工物の断面について、肩部及び側部の壁の厚み(壁厚ともいう。)をマイクロスコープ(DMI5000、ライカ マイクロシステムズ株式会社製)を用いて測定した。結果は表1に示す。
(金属加工物の壁厚の均一性の評価)
各実施例又は比較例で製造された金属加工物を、底部の面積が1/2となるように直線的に切断した。そして、切断した金属加工物の断面について、肩部及び側部の壁の厚み(壁厚ともいう。)をマイクロスコープ(DMI5000、ライカ マイクロシステムズ株式会社製)を用いて測定し、下記の評価基準に従って評価した。また、評価結果を表1に記載した。
なお、下記評価基準における壁厚のひずみとは、加工前のチタン合金の厚みを基準として、減少又は増加した壁厚の割合を指す。
壁厚のひずみは、加工前のチタン合金の厚みから、マイクロスコープで測定した加工後の壁厚を引いた値の絶対値を、加工前のチタン合金の厚みで除した百分率とする。
-評価基準-
A:肩部の壁厚のひずみが27%未満であり、側部の壁厚のひずみが27%未満であった。
B:肩部の壁厚のひずみが27%以上35%未満であるか、又は側部の壁厚のひずみが27%以上35%未満であった。
C:肩部及び側部の壁厚のひずみが35%以上であるか、又は、得られた金属加工物に破断が発生した。
表1に示す通り、実施例1~実施例3は、加工性及び壁厚の均一性に優れていた。
一方、クリアランス比が1.0以上である比較例1は、加工性及び壁厚の均一性に劣っていた。
5・・・金型
5A・・・上面
5B・・・下面
5C・・・孔
5D・・・屈曲部
5E・・・側壁
5h・・・高さ
5R・・・外径
5r・・・内径
7・・・ブランク支持材
7A・・・孔
7R・・・外径
7r・・・内径
7h・・・高さ
8・・・曲げ部
9・・・押圧部材
9A・・・押圧面
9B・・・胴体部
10・・・クリアランス
11・・・金属材料
11D・・・内底面
11h・・・高さ
11R・・・直径
13・・・スクラップ部
110・・・金属加工物
111・・・底部
112・・・側部
113・・・肩部
114・・・フランジ部

Claims (7)

  1. ブランク材である金属材料をブランク支持材と金型との間に配置した状態で、前記金型を用いて押圧部材によって前記金属材料を絞らず、かつ、前記ブランク支持材を用いて前記金属材料の少なくとも一部を前記金型に押圧する押圧工程と、
    前記金属材料を前記ブランク支持材と前記金型との間に配置した状態で、前記ブランク支持材を用いて前記金属材料の少なくとも一部を金型に2kN以下で押圧し又は押圧せず、かつ、前記金型を用いて前記押圧部材によって前記金属材料を絞る絞り工程と、
    を含み、
    前記押圧工程と前記絞り工程と、を複数回に分けて交互に行い、
    加工前の前記金属材料の厚さに対する、前記押圧部材と前記金型との間のクリアランスの比が1.0未満である金属材料の絞りしごき加工方法。
  2. 前記加工前の前記金属材料の厚さに対する、前記押圧部材と前記金型との間のクリアランスの比が、0.8以下である請求項1に記載の金属材料の絞りしごき加工方法。
  3. 前記金属材料が、表面に潤滑剤を含む請求項1又は請求項2に記載の金属材料の絞りしごき加工方法。
  4. 前記金属材料の形状が直径40mm~80mmの円形の平板形状である請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の金属材料の絞りしごき加工方法。
  5. 前記金属材料が、チタン合金である請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の金属材料の絞りしごき加工方法。
  6. 前記押圧工程及び前記絞り工程の前に、
    前記金属材料の温度を0℃~400℃に調整する温度調整工程をさらに含む請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の金属材料の絞りしごき加工方法。
  7. 底部と、
    前記底部の周縁から底部と交差する一方向に延設された側部と、
    底部側とは反対側の前記側部の周縁に位置する曲げ部と、
    前記曲げ部を介して前記側部と繋がったフランジ部と、を有し、
    一方が開口された略円筒形状であり、曲げ部の最大厚さに対する側部の厚さの比率が0.90.93である金属加工物。
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