JP7309585B2 - 慣性力付与装置及び触感提示装置 - Google Patents

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本発明は、慣性力付与装置及び触感提示装置に関する。
近年、スマートフォン、スマートウォッチ、タブレット型PC等の携帯情報端末や、車載用ナビゲーションシステム等の電子機器等には、操作者の操作に対して、振動によって触感を提示する触感提示装置が組み込まれている場合が多い。
例えば下記特許文献1に示されるように、タッチパネルの前面側に配置された接触パネルを指先で触った際に、形状記憶合金ワイヤを利用して接触パネルを瞬間的に移動させて、指先に対して力学的な操作感覚(いわゆるクリック感)を疑似的に作用させる触感提示装置が知られている。
上記接触パネルはタッチパネルを覆った状態で、該接触パネルの面内方向に移動可能に筐体に支持されている。そのため、接触パネルを指先で触った際に、形状記憶合金ワイヤを利用して接触パネルだけを移動させることが可能とされている。
国際公開第2012/023606号
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来の触感提示装置では、筐体に対して接触パネルを移動させる必要があるので、接触パネルと筐体との間に僅かな隙間をあけざるを得なかった。そのため、隙間を通じて例えば塵埃や水分が浸入する可能性があり、改善の余地があった。特に、防水性等の観点から使用範囲が限定されてしまうものであった。
さらに上記従来の触感提示装置を、例えばスマートフォン等の携帯情報端末に適用した場合には、例えば電話或いはメールの着信時に、その旨を知らせるための振動源としてまで、接触パネルを利用するは困難である。そのため、振動モータや振動アクチュエータ等の振動源を別に設ける必要があり、部品点数の増大化、高コスト化を招き易かった。
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、塵埃や水分等の侵入防止に繋げることができると共に、操作者の操作に対して力学的な操作感覚を疑似的に作用させることができ、さらに操作者の操作とは別に必要に応じて振動を発生させることが可能とされた慣性力付与装置及び触感提示装置を提供することである。
(1)本発明に係る慣性力付与装置は、固定子と、前記固定子に対して可動方向に相対移動可能に配置された可動子と、前記可動子に取り付けられた重錘と、前記固定子と前記可動子との間に設けられた形状記憶合金ワイヤを有し、前記可動子を前記可動方向に瞬間的に変位させると共に、該変位に基づいて外部に対して慣性力を作用させるアクチュエータ部と、前記可動子を前記固定子側に向けて、前記可動方向に沿って付勢する弾性部材と、を備え、前記形状記憶合金ワイヤは、温度に応じて長さが変化すると共に、通電加熱に伴う伸縮によって前記可動子と前記固定子との間の間隔を変化させ、前記アクチュエータ部は、前記形状記憶合金ワイヤに接触するように配置された熱伝動体を備え、前記固定子及び前記可動子は、前記熱伝動体として機能し、前記重錘は、前記可動子よりも比重の大きい材料で形成され、前記可動子に対して一体的に組み合わされていることを特徴とする。
本発明に係る慣性力付与装置によれば、アクチュエータ部を利用して、重錘が取り付けられた可動子を瞬間的に変位させることができ、可動子を例えば所定の加速度で可動方向に沿って移動させることができる。具体的には、形状記憶合金ワイヤに対して通電を行うことで、形状記憶合金ワイヤを例えば瞬間的に収縮させることができ、可動子を固定子から離間させることができる。これにより、重錘が取り付けられた可動子を可動方向に沿って瞬間的に移動させることができ、可動子の変位(移動)に基づいて、外部に対して可動子及び重錘の慣性力(推力)を作用させることができる。従って、この慣性力を利用して、例えば操作者の指先に対して、力学的な操作感覚を疑似的に作用させることが可能となり、指先に対してクリック感を与えるかのような触感を作用させることができる。
さらに通電加熱によって生じた熱が形状記憶合金ワイヤから放熱されることで、形状記憶合金ワイヤを例えば瞬間的に伸長させることができ、可動子を固定子側に接近させることができる。このとき、弾性部材による弾性復元力(付勢力)を利用して可動子を付勢できるので、形状記憶合金ワイヤの伸縮に伴って可動子を固定子側に向けて確実に接近させることができる。そのため、可動子を可動方向に沿って瞬間的に逆方向に移動させることが可能であり、同様に操作者の指先に対してクリック感を与えるかのような触感を作用させることができる。
従って、形状記憶合金ワイヤの伸縮を利用して可動子を可動方向に振動させることが可能となるので、必要に応じて振動を発生させることができる。それに加え、インパルス的な振動を発生させることが可能であり、例えば機械スイッチに近い触感を作用させることや、振動モータ等とは違った触感を作用させることも可能である。
さらに、慣性力付与装置を例えばケーシング内に収容したままで、ケーシング全体に可動子及び重錘の慣性力を作用させることが可能となる。従って、例えば従来のように操作パネルとケーシングとの間に隙間を設ける必要がなく、ケーシング内を密封にした状態のままでも、例えばケーシングに触れた操作者の指先に対してクリック感を与えるかのような触感を作用させることができる。そのため、ケーシング内への塵埃や水分等の浸入防止に繋げることができる。従って、特別な防塵、防水構造等が不要となり、簡易な構造でケーシングを密封することが可能となるうえ、使用環境の制限を受けることなく、各種の用途に利用することができる。
さらに、熱伝動体を利用して、例えば形状記憶合金ワイヤを効率良く放熱することができ、通電加熱によって加熱された形状記憶合金ワイヤの温度を速やかに低下させることができる。これにより、形状記憶合金ワイヤに良好な放熱特性を具備させることができ、伸縮動作の応答性を高めることができる。
)前記弾性部材は、前記可動方向における弾性率が、前記可動方向に対して直交する直交方向における弾性率よりも低くなるように形成され、弾性率の違いによって前記可動子を前記可動方向に沿って移動可能に案内しても良い。
この場合には、弾性部材が可動方向に弾性変形し易くなると共に、可動方向に対して直交する直交方向に弾性変形し難くなる。そのため、弾性部材を利用して可動子を可動方向に沿ってがたつき少なく、よりスムーズに移動させることができる。
)前記重錘は、少なくとも一部が、前記可動子、前記形状記憶合金ワイヤ、前記弾性部材及び前記固定子のうちの少なくともいずれか1つに対して、前記可動方向に対して直交する直交方向に重なる位置関係となるように前記可動子に取り付けられても良い。
この場合には、重錘をより大きく設計することが可能であるので、その分だけ重錘をより重くすることができる。従って、外部に対してより大きな慣性力を作用させることができ、例えば操作者の指先に対してより明瞭なクリック感を与えるかのような触感を効果的に作用させることができる。しかも、重錘の少なくとも一部が、可動子、形状記憶合金ワイヤ、弾性部材及び固定子のうちの少なくともいずれか1つに対して直交方向に重なるように配置されているので、これら重錘、可動子、形状記憶合金ワイヤ、弾性部材及び固定子を可動方向にコンパクトに配置することができ、慣性力付与装置全体のサイズが可動方向に大きくなることを防止できる。従って、慣性力付与装置全体のサイズが可動方向に大型化することを防止しながら、重錘を重くすることが可能である。
)前記弾性部材は、少なくとも一部が、前記形状記憶合金ワイヤに対して、前記可動方向に対して直交する直交方向に重なる位置関係となるように設けられても良い。
この場合には、弾性部材の少なくとも一部が、形状記憶合金ワイヤに対して直交方向に重なるように配置されているので、弾性部材及び形状記憶合金ワイヤを可動方向にコンパクトに配置することができる。従って、慣性力付与装置全体のサイズが可動方向に大型化することをさらに効果的に防止し易い。
)前記可動子を前記可動方向に移動可能に案内する案内部材を備えても良い。
この場合には、案内部材を利用して可動子を可動方向に沿ってがたつき少なく、よりスムーズに移動させることができる。
)前記固定子は、前記可動方向に沿って配置された固定プレート、及び前記可動方向に対して直交する直交方向に突出するように前記固定プレートに取り付けられた複数の固定ピンを備え、前記可動子は、前記可動方向に沿って配置されると共に、少なくとも一部分が前記固定プレートに対して前記直交方向に向かい合うように配置された可動プレート、及び前記直交方向に突出するように前記可動プレートに取り付けられた複数の可動ピンを備え、複数の前記固定ピン及び複数の前記可動ピンは、前記可動方向及び前記直交方向に対して直交する方向に沿って、一定の間隔をあけて交互に並ぶように配列され、前記形状記憶合金ワイヤは、前記固定ピン及び前記可動ピンに対して交互に接触しながら、前記固定ピンと前記可動ピンとの間に波状に挟み込まれても良い。
この場合には、形状記憶合金ワイヤが、固定ピン及び可動ピンに対して交互に接触しながら、固定ピンと可動ピンとの間に波状(ジグザグ状)に挟み込まれている。そのため、形状記憶合金ワイヤが伸縮することで、複数の固定ピンと複数の可動ピンとの間隔を可動方向に変化させることができる。これにより、形状記憶合金ワイヤの伸縮を利用して、重錘が取り付けられた可動子を可動方向に瞬間的に変位させることが可能となる。
固定子及び可動子のうち、形状記憶合金ワイヤと接触する部分については、絶縁性が要求されると共に、所定の熱導電率を具備することが要求される。この点、固定子に関しては、固定プレートに固定ピンを取り付けることで固定子を構成しているので、少なくとも固定ピンが絶縁性及び所定の熱導電率を具備すれば良く、固定子を簡便に構成することが可能である。従って、固定子を低コストで製造することができる。それに加え、固定プレートを、固定ピンとは異なる材料、例えば合成樹脂材料等で形成することが可能となるので、材料選択の自由度を向上でき、さらなる低コスト化を図り易い。
なお、可動子についても可動ピンを具備しているので、上述した固定子と同様の作用効果を奏功することができる。
)本発明に係る触感提示装置は、前記慣性力付与装置と、指先で操作される操作パネルを有すると共に、前記慣性力付与装置を内部に収容するケーシングと、前記ケーシングに設けられ、前記操作パネルを通じて情報を表示する表示パネルと、前記ケーシング内に収容され、前記操作パネルの操作に応じて前記表示パネルの表示を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る触感提示装置によれば、表示パネルに表示された情報を視認しながら、操作パネルを指先で操作するときに、ケーシングの内部に収容された慣性力付与装置における可動子の瞬間的な変位に基づいて、ケーシング全体に可動子及び重錘の慣性力を作用させることができる。そのため、操作パネルに触れた指先に対して、力学的な操作感覚を疑似的に作用させることができ、指先に対してクリック感を与えるような触感を作用させることができる。
特に、先に述べたようにケーシングを密封することが可能となるので、使用環境の制限を受けることなく、各種の用途に利用することができる。従って、使い勝手に優れた触感提示装置とすることができ、例えばスマートフォンやスマートウォッチ等の携帯情報端末等として好適に利用することができる。さらに、操作者の操作とは別に必要に応じて可動子を変位させることで、例えばケーシングを振動させることも可能である。これにより、例えば電話やメールの着信等を操作者に報知することが可能となり、そのための専用の振動源(例えば振動モータ等)を設ける必要がない。従って、構成の簡略化及び低コスト化に繋げることができる。
本発明によれば、塵埃や水分等の侵入防止に繋げることができると共に、操作者の操作に対して力学的な操作感覚を疑似的に作用させることができ、さらに操作者の操作とは別に必要に応じて振動を発生させることができる。
本発明に係る携帯情報端末(触感提示装置)の第1実施形態を示す外観斜視図である。 図1に示す携帯情報端末の分解斜視図である。 図1に示すA-A線に沿った携帯情報端末の縦断面図である。 図2に示す慣性力付与装置の斜視図である。 図4に示す慣性力付与装置の上面図である。 図4に示すB-B線に沿った慣性力付与装置の縦断面図である。 図5に示すアクチュエータ部の動作を示す図である。 図5に示す状態から、可動子が固定子から離間するように移動した状態における慣性力付与装置の上面図である。 本発明に係る第2実施形態を示す図であって、慣性力付与装置の上面図である。 図9に示すC-C線に沿った慣性力付与装置の縦断面図である。 本発明に係る第3実施形態を示す図であって、慣性力付与装置の上面図である。 図11に示す慣性力付与装置の斜視図である。 第3実施形態の変形例を示す図であって、慣性力付与装置の上面図である。 本発明に係る第4実施形態を示す図であって、慣性力付与装置の斜視図である。 図14に示すD-D線に沿った慣性力付与装置の縦断面図である。 図15に示す状態から、可動子が固定子から離間するように移動した状態を示す慣性力付与装置の縦断面図である。 本発明に係る第5実施形態を示す図であって、慣性力付与装置の斜視図である。 図17に示すE-E線に沿った慣性力付与装置の縦断面図である。 図18に示す状態から、可動子が固定子から離間するように移動した状態を示す慣性力付与装置の縦断面図である。 本発明に係る第6実施形態を示す図であって、慣性力付与装置の斜視図である。 図20に示す慣性力付与装置の上面図である。 図21に示すF-F線に沿った慣性力付与装置の縦断面図である。 図21に示すG-G線に沿った慣性力付与装置の縦断面図である。 本発明に係る触感提示装置をスマートウォッチに適用した場合の外観図である。
(第1実施形態)
以下、本発明に係る第1実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、触感提示装置としてスマートフォン等の携帯情報端末を例に挙げて説明する。
図1~図3に示すように、本実施形態の携帯情報端末1は、指先で操作されるタッチパネル(本発明に係る操作パネル)2を有するケーシング3と、ケーシング3内に収容された制御基板4と、ケーシング3内に収容され、制御基板4に実装された慣性力付与装置5と、を備えている。
なお、図2及び図3では、慣性力付与装置5の図示を簡略化している。
本実施形態では、ケーシング3の平面視でケーシング3の厚さ方向L1に対して互いに直交する2方向を第1方向L2及び第2方向L3という。よって、第1方向L2及び第2方向L3は、ケーシング3の厚さ方向L1に対して直交する直交方向となる。
ケーシング3は、第1方向L2に沿った長さが第2方向L3に沿った長さよりも長い平面視矩形状に形成されていると共に、厚みの薄い有底筒状に形成されている。ケーシング3には、該ケーシング3に対して厚さ方向L1に重なるように配置された保護カバー6が一体的に組み合わされている。ケーシング3の開口部は、この保護カバー6によって塞がれている。
なお、厚さ方向L1のうち、ケーシング3の底壁部10から保護カバー6に向かう方向を上方といい、その反対を下方という。
ケーシング3は、底壁部10と、底壁部10の周囲を囲むと共に底壁部10から上方に向けて突出した4つの周壁部11とを有する有底筒状に形成され、上方に開口している。4つの周壁部11のうち第1方向L2に向かい合う一対の周壁部11を前壁部12及び後壁部13といい、第2方向L3に向かい合う一対の周壁部11を側壁部14という。
なお、ケーシング3は一部品である必要がなく、例えば複数の部品を一体に組み合わせて構成しても構わない。
保護カバー6は、例えばガラス等の薄型の透明カバーであって、ケーシング3の開口部を上方から塞ぐように、ケーシング3に対して一体に組み合わされている。この際、保護カバー6とケーシング3との間には、所定の防塵及び防水対策が施されている。これにより、ケーシング3の内部は密封された状態とされている。
なお、保護カバー6の材質はガラスに限定されるものではなく、例えば透明な合成樹脂(アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等)を利用しても良く、適宜選択して構わない。
制御基板4は、携帯情報端末1を動作させるための図示しない各種の電子部品が実装されると共に、両面に図示しない回路パターンが形成された例えばプリント基板とされ、ケーシング3の形状に対応して第1方向L2に沿った長さが第2方向L3に沿った長さよりも長い平面視矩形状に形成されている。なお、制御基板4は、図示しない支持部材によってケーシング3内に安定的に支持されている。
タッチパネル2は、保護カバー6に対して重なるように該保護カバー6の下方に配置されている。タッチパネル2は、合成樹脂材或いはガラス材で形成された薄型の透明パネルであって、例えば抵抗膜方式、静電容量方式、光学方式等の公知の接触検知機能を具備している。これにより、タッチパネル2は、保護カバー6を通じて指先で触れた箇所を検知することが可能とされている。従って、タッチパネル2の上面2aは、保護カバー6を通じて操作者の指先等によって操作される操作面、いわゆる触感提示面とされている。
タッチパネル2の下方には、該タッチパネル2に対して重なるように表示パネル15が配置されている。表示パネル15は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等の液晶表示装置であって、タッチパネル2及び保護カバー6を通じて各種の情報を表示可能としている。これにより、表示パネル15に表示された各種情報に対応して、保護カバー6を通じてタッチパネル2を指先で触れることで、触れた場所に対応する操作内容に基づいた入力信号(指令信号)が制御部16に送られる。
制御部16は、携帯情報端末1を総合的に制御するCPU等であって、制御基板4に実装されている。さらに制御基板4には、フラッシュメモリ等の各種記憶部、小型のスピーカ、小型のマイクロフォン、小型のカメラ等が実装されている。なお、これら記憶部、スピーカ、マイクロフォン及びカメラ等については、図示を省略している。
特に制御部16は、タッチパネル2の操作に伴う上記入力信号に基づいて、表示パネル15の表示を制御している。さらに制御部16は、タッチパネル2の操作に基づいて、後述する接続端子62を介して後述する形状記憶合金ワイヤ61に所定の電圧を印加して、形状記憶合金ワイヤ61への通電を制御している。
さらに、ケーシング3内には、各種の構成品に電力を供給する図示しない電源部が配設されていると共に、図示しない取出し可能なメモリカート等が配設されている。なお、電源部としては、例えば充放電可能な二次電池等とされている。
(慣性力付与装置)
図4~図6に示すように、慣性力付与装置5は、制御基板4における中央部の上面に実装されている。ただし、この場合に限定されるものではなく、例えば制御基板4の下面側に慣性力付与装置5が実装されていても構わない。なお、図5では制御基板4の図示を省略している。
慣性力付与装置5は、ベース台20と、ベース台20に固定された固定子30と、固定子30に対して可動方向である第1方向L2に相対移動可能にベース台20に載置された可動子40と、可動子40に取り付けられた重錘50と、可動子40を第1方向L2に瞬間的に変位させると共に該変位に基づいてケーシング3に対して慣性力(推力)を作用させるアクチュエータ部60と、可動子40を固定子30側に向けて第1方向L2に沿って付勢するコイルばね(本発明に係る弾性部材)70と、可動子40を第1方向L2に移動可能に案内するガイドロッド(本発明に係る案内部材)75と、を備えている。
ベース台20は、制御基板4の上面に実装されたベースプレート21と、ベースプレート21から上方に向けて延びたバックプレート22と、を備え、側面視L字形状に形成されている。ただし、ベース台20の形状は、この場合に限定されるものではなく、適宜変更して構わない。
ベースプレート21は、第1方向L2に沿った長さが第2方向L3に沿った長さよりも短い平面視矩形状に形成され、制御基板4の上面に移動不能に固定されている。ただし、ベースプレート21の形状は、この場合に限定されるものではなく、例えば第1方向L2に沿った長さが第2方向L3に沿った長さよりも長い平面視矩形状に形成されても構わない。
バックプレート22は、ベースプレート21のうちケーシング3の後壁部13側に位置する後端部側に形成され、ベースプレート21に対して垂直に立ち上がるように立設されている。なお、バックプレート22の第2方向L3に沿った長さは、ベースプレート21の第2方向L3に沿った長さと同等とされている。
なお、本実施形態の慣性力付与装置5は、ベースプレート21の上面に固定子30、可動子40、アクチュエータ部60、コイルばね70及びガイドロッド75がそれぞれ配置された構成とされている。そのため、固定子30、可動子40、アクチュエータ部60、コイルばね70及びガイドロッド75を内部に収容するように、例えばベース台20を上方から覆う図示しないカバー部材をベース台20に一体的に組み合わせるように構成しても構わない。
固定子30は、ベースプレート21のうちケーシング3の前壁部12側に位置する前端部側の上面に固定されている。
固定子30は、第2方向L3に沿って延びると共にベースプレート21よりも長さの短い基部31と、基部31から可動子40側に向けて突出した複数の突起部32と、を備えている。複数の突起部32は、第2方向L3に一定の間隔をあけて配置されていると共に、可動子40側に向けて所定の突出量で突出するように形成されている。各突起部32の先端部は、平面視で丸みを帯びた形状、例えば円弧状に形成されている。
なお、図示の例では固定子30は4つの突起部32を有しているが、突起部32の数はこの場合に限定されるものではない。
ガイドロッド75は、固定子30とバックプレート22との間に取り付けられている。
具体的にはガイドロッド75は、第1方向L2に延びる円柱状に形成され、基部31のうち第2方向L3の両端部にそれぞれ配置されている。従って、ガイドロッド75は、複数の突起部32を間に挟むように一対設けられている。なお、ガイドロッド75は、ベースプレート21の上面に対して隙間をあけた状態で基部31及びバックプレート22に対して一体的に組み合わされている。
可動子40は、ベースプレート21の上面に第1方向L2にスライド移動可能に載置されていると共に、固定子30に対して第1方向L2に向かい合うように対向配置されている。
可動子40は、第2方向L3に沿って延びる基部41と、基部41から固定子30側に向けて突出した複数の突起部42と、を備えている。第2方向L3に沿う基部41の長さは、固定子30における基部31の長さと同等とされている。
複数の突起部42は、第2方向L3に一定の間隔をあけて配置されていると共に、固定子30側に向けて所定の突出量で突出するように形成されている。各突起部42の先端部は、固定子30側と同様に平面視で丸みを帯びた形状、例えば円弧状に形成されている。
なお、図示の例では、可動子40は3つの突起部42を有しているが、突起部42の数はこの場合に限定されるものではない。
固定子30側の各突起部32間の間隔と、可動子40側の各突起部42間の間隔とは、同じ間隔(ピッチ)とされている。さらに、固定子30側の各突起部32の突出量と、可動子40側の各突起部42の突出量とは、同等とされている。そして、可動子40側の各突起部42の間に、固定子30側の各突起部32がそれぞれ入り込むように、固定子30及び可動子40は対向配置されている。これにより、可動子40側の各突起部42と固定子30側の各突起部32とは、櫛歯状に配列された状態とされている。
可動子40における基部41のうち、複数の突起部42を間に挟んだ第2方向L3の両端部には、該基部41を第1方向L2に貫通するガイド孔43がそれぞれ形成されている。可動子40は、ガイド孔43内にガイドロッド75をそれぞれ挿通させた状態でベースプレート21の上面にスライド移動可能に載置されている。これにより、可動子40は、ガイドロッド75によって第1方向L2に案内(ガイド)されながら、第1方向L2にがたつき少なく直線的に移動可能とされている。
さらに基部41のうちバックプレート22に対して向かい合う後面側には、固定子30側に向けて凹む収容凹部44がガイド孔43に連設するように形成されている。収容凹部44は、バックプレート22側から見た背面視でガイド孔43の直径よりも大きい円形状に形成され、ガイド孔43と同軸に形成されている。
アクチュエータ部60は、固定子30と可動子40との間に配設され、温度に応じて長さが変化する形状記憶合金ワイヤ61を備えている。
形状記憶合金ワイヤ61は、例えばニッケル-チタン合金製のワイヤとされ、可動子40側の各突起部42と固定子30側の各突起部32との間に波状に挟み込まれている。なお、形状記憶合金ワイヤ61の材質は、ニッケル-チタン合金に限定されるものではなく、適宜変更して構わない。
形状記憶合金ワイヤ61の両端部は、可動子40の基部41に設けられた接続端子62に接続されている。接続端子62は、例えば基部41から固定子30側の基部31に向けて突出するように形成されていると共に、ガイドロッド75と固定子30側の突起部32との間に位置するように形成されている。
接続端子62は、可動子40及びベース台20を通じて制御基板4に形成された図示しない回路パターンに導通するように電気的接続されている。これにより、形状記憶合金ワイヤ61は、接続端子62を介して制御基板4に実装された制御部16に電気的接続されており、所定の電圧が印加されることで通電可能とされている。なお、接続端子62は、アクチュエータ部60の一部として機能する。
形状記憶合金ワイヤ61は、通電によって加熱されることで瞬間的に収縮する。これにより、図7に示すように、形状記憶合金ワイヤ61は緩んだ状態から張った状態に移行するので、可動子40を固定子30から離間させるように可動方向である第1方向L2に沿って移動させることが可能となる。このように、形状記憶合金ワイヤ61は、通電加熱に伴う伸縮によって、可動子40と固定子30との間隔を変化させることが可能とされている。
なお、上述した固定子30及び可動子40は、形状記憶合金ワイヤ61の熱伝導率よりも熱伝導率が高い材料で形成されている。具体的には、固定子30及び可動子40は、アルミニウム材料で形成され、その表面にはアルマイト処理等によって、絶縁膜となる陽極酸化膜が形成されている。従って、固定子30及び可動子40は、形状記憶合金ワイヤ61に対して接触するように配置されて、該形状記憶合金ワイヤ61を放熱させる放熱体(本発明に係る熱伝動体)としても機能する。
なお、形状記憶合金ワイヤ61の熱伝導率よりも熱伝導率が高い材料として、アルマイト処理を施したアルミニウム材料を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、例えばその他の金属材料でも構わないし、合成樹脂等を採用しても構わない。
図4~図6に示すように、重錘50は第2方向L3に沿って延びた直方体状(ブロック状)に形成され、可動子40における基部41の後面に対して接着、溶着等によって固定されている。これにより、重錘50は、可動子40に対して一体的に組み合わされ、可動子40と共に形状記憶合金ワイヤ61の伸縮に伴って第1方向L2に移動可能とされている。
重錘50は、可動子40の基部41と同等の厚みとされていると共に、一対のガイドロッド75の間に配置されている。さらに重錘50は、バックプレート22との間に適切な間隔があくように配置されている。これにより、重錘50は形状記憶合金ワイヤ61の伸縮に伴う第1方向L2の移動中に、バックプレート22に対して接触することが防止されている。
なお、重錘50の材質としては、特に限定されるものではないが、例えば比重の大きい金属材料であるタングステンを好適に利用することができる。ただし、重錘50の材質としては、この場合に限定されるものではなく、その他の金属材料で形成しても構わない。なお、比重が大きく、且つ加工性に優れた金属材料を用いることが好ましい。
コイルばね70は、一対のガイドロッド75にそれぞれ外挿された状態で、可動子40の基部41とバックプレート22との間に圧縮状態で配置されている。コイルばね70の一端部側は基部41に形成された収容凹部44内に収容され、コイルばね70の他端部側はバックプレート22に対して接触している。これにより、コイルばね70は、弾性復元力(付勢力)を利用して可動子40を固定子30側に向けて付勢している。
上述のように可動子40が固定子30側に向けて付勢されているので、図5に示すように、形状記憶合金ワイヤ61は可動子40と固定子30との間に挟み込まれた状態とされている。また、コイルばね70によって付勢された可動子40は、形状記憶合金ワイヤ61によって、それ以上固定子30側に変位することが抑制され、図5に示すように位置決めされた状態とされている。
(携帯情報端末の作用)
上述のように構成された、慣性力付与装置5を具備する携帯情報端末1を使用する場合の作用について説明する。
この場合には、図1に示すように、タッチパネル2及び保護カバー6を通じて、表示パネル15に表示された情報を視認しながら、保護カバー6を通じてタッチパネル2を指先で操作することで、触れた場所に対応する操作を行うことができる。これにより、携帯情報端末1が有する各種機能を適宜利用することができる。
特に、保護カバー6を通じてタッチパネル2を操作することで、慣性力付与装置5におけるアクチュエータ部60を利用して、重錘50が取り付けられた可動子40を瞬間的に変位させることができるので、ケーシング3内で可動子40を例えば所定の加速度で可動方向である第1方向L2に沿って移動させることができる。これにより、可動子40の変位に基づいて、ケーシング3全体に可動子40及び重錘50の慣性力(推力)を作用させることができる。そのため、タッチパネル2に触れた指先に対して、力学的な操作感覚を疑似的に作用させることができ、指先に対してクリック感を与えるかのような触感を作用することができる。
より詳細に説明する。
保護カバー6を通じてタッチパネル2が指先で操作されると、制御部16は接続端子62を通じて形状記憶合金ワイヤ61に対して通電を行う。これにより、形状記憶合金ワイヤ61を加熱して、瞬間的に収縮させることができる。そのため、固定子30の各突起部32と可動子40の各突起部42との間に挟み込まれた図5に示す形状記憶合金ワイヤ61を、図8に示すように緩んだ状態から張った状態にすることができ、コイルばね70の弾性復元力(付勢力)に抗して可動子40を固定子30から離間させることができる。
これにより、コイルばね70を弾性変形させながら、重錘50が取り付けられた可動子40をケーシング3に対して可動方向である第1方向L2に沿って瞬間的に移動させることが可能である。そのため、ケーシング3全体に可動子40及び重錘50の慣性力(推力)を作用させることができ、タッチパネル2に触れた指先に対してクリック感を与えるかのような触感を作用させることができる。
さらに、通電加熱によって生じた熱が形状記憶合金ワイヤ61から放熱されることで、形状記憶合金ワイヤ61を例えば瞬間的に伸長させることができ、張った状態から緩んだ状態に移行させることができる。
このとき可動子40は、コイルばね70による弾性復元力(付勢力)によって、固定子30側に向けて接近するように付勢されている。そのため、形状記憶合金ワイヤ61の伸長に伴って、コイルばね70による付勢力を利用して可動子40を固定子30側に向けて確実に接近させることができる。そのため、重錘50が取り付けられている可動子40を可動方向である第1方向L2に沿って瞬間的に逆方向に移動させることができ、図5に示す状態に復帰させることができる。この復帰の際、先ほどと同様にタッチパネル2に触れた指先に対してクリック感を与えるかのような触感を作用させることができる。
従って、形状記憶合金ワイヤ61の伸縮を利用して可動子40を第1方向L2に振動させることが可能となる。特に、インパルス的な振動を発生させることが可能であり、例えば機械スイッチに近い触感を作用させることや、振動モータ等とは違った触感を作用させることが可能である。さらに、形状記憶合金は一般的に伸縮の再現性や応答性に優れている特性を有しているので、タッチパネル2に対して指先を触れた瞬間にクリック感を与えるかのような触感を安定的に作用させることが可能である。
さらに、本実施形態の携帯情報端末1では、慣性力付与装置5をケーシング3内に収容したままで、ケーシング3全体に可動子40及び重錘50の慣性力を作用させることができる。従って、例えば従来のようにタッチパネル2及び保護カバー6とケーシング3との間に隙間を設ける必要がなく、ケーシング3内を密封にした状態のままでも、タッチパネル2に触れた指先に対してクリック感を与えるかのような触感を作用させることができる。そのため、ケーシング3内への塵埃や水分等が浸入防止に繋げることができる。
従って、特別な防塵及び防水構造等が不要となり、簡易な構造でケーシング3を密封することが可能となるうえ、使用環境の制限を受けることなく、各種の用途に利用することができる。従って、使い勝手に優れており、携帯情報端末1として好適に利用することができる。
しかも、操作者の操作とは別に必要に応じて可動子40を変位させることで、例えばケーシング3を振動させることも可能である。これにより、例えば電話やメールの着信等を操作者に報知することが可能となり、そのための専用の振動源(例えば振動モータ等)を設ける必要がない。従って、構成の簡略化及び低コスト化に繋げることもできる。
上述したように、本実施形態の慣性力付与装置5及び携帯情報端末1によれば、塵埃や水分等の侵入防止に繋げることができると共に、操作者の操作に対して力学的な操作感覚を疑似的に作用させることができ、さらに操作者の操作とは別に必要に応じて振動を発生させることができる。
さらに、固定子30及び可動子40が形状記憶合金ワイヤ61を放熱させる放熱体としても機能するので、形状記憶合金ワイヤ61を効率良く放熱することができ、通電加熱によって加熱された形状記憶合金ワイヤ61の温度を速やかに低下させることができる。これにより、形状記憶合金ワイヤ61に良好な放熱特性を具備させることができ、伸縮動作の応答性を高めることができる。従って、指先に対してさらに反応良く触感を作用させることができる。
なお、本実施形態において、形状記憶合金ワイヤ61の伸縮に伴う可動子40の瞬間的な変位は、例えば可動子40を4m/s~8m/sの速度で、50μm~10μmの変位で行うことが可能とされている。また、形状記憶合金ワイヤ61への通電時間としては、例えば数ms~数十msとされ、通電に伴う形状記憶合金ワイヤ61の収縮率としては、例えば数%とされている。
さらに、形状記憶合金ワイヤ61は、接続端子62を介して制御部16に電気的接続されているので、形状記憶合金ワイヤ61に対して容易に通電を行うことが可能となり、構成の簡略化に繋げることができる。また、一対のガイドロッド75を利用して可動子40を第1方向L2に沿ってがたつき少なくスムーズに移動させることができるので、指先に対して狙い通りの触感を確実に作用させ易い。
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第1実施形態では重錘50が可動子40とバックプレート22との間に配置されていたが、本実施形態の重錘は、少なくとも一部が、可動子40、形状記憶合金ワイヤ61及び固定子30に対して、第1方向L2(可動方向)に直交する直交方向である厚さ方向L1に重なる位置関係となるように可動子40に取り付けられている。
図9及び図10に示すように、本実施形態の慣性力付与装置80は、重錘81が側面視L字形状に形成されている。重錘81は、可動子40における基部41の後面に対して固定された第1重錘部82と、第1重錘部82に対して一体に形成されると共に、第1重錘部82から固定子30側に向けて突出した第2重錘部83と、を備えている。なお、図9では制御基板4の図示を省略している。
第1重錘部82は、第2方向L3に沿って延びた直方体状に形成され、一対のガイドロッド75の間に配置された状態で基部41の後面に対して接着、溶着等によって固定されている。第1重錘部82は、可動子40よりも上方に突出するように形成されている。
第2重錘部83は、第1方向L2に沿った長さよりも第2方向L3に沿った長さの方が長い平面視矩形状に形成され、ベースプレート21に対して平行に配置された状態で、第1重錘部82のうち可動子40よりも上方に突出した上端部に一体に連設されている。
これにより、第2重錘部83は、可動子40の一部、形状記憶合金ワイヤ61及び固定子30の一部を上方から覆うように配置されている。なお、第2重錘部83の第2方向L3に沿った長さは、第1重錘部82の第2方向L3に沿った長さと同等とされている。
上述のように重錘81が構成されているので、該重錘81は、第2重錘部83が可動子40、形状記憶合金ワイヤ61及び固定子30に対して厚さ方向L1に重なる位置関係となるように可動子40に取り付けられている。
(慣性力付与装置の作用)
上述のように構成された慣性力付与装置80の場合であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
それに加えて本実施形態の場合には、第2重錘部83の分だけ重錘81を大きく設計することができるので、第1実施形態の場合よりも重錘81をより重くすることができる。従って、可動子40の瞬間的な移動によって、ケーシング3に対してより大きな慣性力を作用させることができ、操作者の指先に対してより明瞭なクリック感を与えるかのような触感を効果的に作用させることができる。
しかも、第2重錘部83が可動子40、形状記憶合金ワイヤ61及び固定子30に対して厚さ方向L1に重なるように、重錘81を可動子40に固定しているので、重錘81、可動子40、形状記憶合金ワイヤ61及び固定子30を第1方向L2にコンパクトに配置することができ、慣性力付与装置80全体のサイズが第1方向L2に長くなることを防止することができる。
従って、本実施形態の慣性力付与装置80によれば、全体のサイズが第1方向L2に大型化することを防止しながら、重錘81をより重くすることができる。
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第3実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第1実施形態ではガイドロッド75及びコイルばね70の両方を具備する構成としたが、本実施形態では、板ばね部材が可動子40を第1方向L2に移動可能に案内する機能を有している。従って、本実施形態ではガイドロッド75を具備していない。
図11及び図12に示すように、本実施形態の慣性力付与装置90は、一対のサイドプレート23を有するベース台20を備えている。なお、図11では制御基板4の図示を省略している。
一対のサイドプレート23は、ベースプレート21のうちケーシング3の側壁部14側に位置する側端部側にそれぞれ形成され、ベースプレート21に対して垂直に立ち上がるように立設されている。これにより、一対のサイドプレート23は、第2方向L3に対して向かい合うように配置されている。なお、サイドプレート23の第1方向L2に沿った長さは、ベースプレート21の第1方向L2に沿った長さと同等とされている。
本実施形態のベース台20は、第1実施形態におけるバックプレート22を具備していない。ただし、この場合に限定されるものではなく、ベース台20は一対のサイドプレート23に加え、バックプレート22をさらに備えていても構わない。
一対のサイドプレート23と可動子40との間には、可動子40を固定子30側に向けて接近させるように第1方向L2に付勢する板ばね部材(本発明に係る弾性部材)91が配置されている。
板ばね部材91は、例えば可動子40における基部41と同等の厚みで形成されると共に、第1方向L2に沿った幅が厚みよりも小さい板片状に形成されている。そして板ばね部材91は、一端部側がサイドプレート23に接続され、他端部側が基部41のうちサイドプレート23に対して向かい合う側面に接続されている。さらに板ばね部材91は、弾性復元力(付勢力)を利用して可動子40を固定子30側に向けて常時付勢している。
特に板ばね部材91は、可動方向である第1方向L2における弾性率が、第1方向L2に対して直交する直交方向、すなわち第2方向L3及び厚さ方向L1における弾性率よりも低くなるように形成され、弾性率の違いによって可動子40を可動方向である第1方向L2に沿って移動可能に案内する機能も果たしている。
(慣性力付与装置の作用)
上述のように構成された慣性力付与装置90の場合であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
それに加えて本実施形態の場合には、板ばね部材91を利用して、可動子40を可動方向である第1方向L2に沿ってがたつき少なくスムーズに移動させることができるので、指先に対して狙い通りの触感を確実に作用させ易い。さらに、ガイドロッド75を設ける必要がないので、構成の簡略化を図り易い。さらには、ガイドロッド75を設けない分、可動子40及び固定子30の第2方向L3に沿った長さを短くすることができるので、慣性力付与装置90の全体を小型化し易い。
なお、本実施形態においても第2実施形態と同様に、例えば図13に示すように、第1重錘部82及び第2重錘部83を備えた側面視L字形状の重錘81としても構わない。
なお、第1重錘部82は、第2方向L3に沿った長さが可動子40よりも長い直方体状に形成されている。これにより、第2重錘部83は、可動子40の一部、形状記憶合金ワイヤ61及び固定子30の一部に加え、板ばね部材91を上方から覆うように配置されている。従って、重錘81は、第2重錘部83が可動子40、形状記憶合金ワイヤ61、固定子30及び板ばね部材91に対して厚さ方向L1に重なる位置関係となるように可動子40に取り付けられている。
上述のように重錘81を構成した場合には、第3実施形態における作用効果を奏功することができることに加えて、第2重錘部83の分だけ重錘81を大きく設計することができるので、第3実施形態の場合よりも重錘81をより重くすることができる。従って、可動子40の瞬間的な移動によって、ケーシング3に対してより大きな慣性力を作用させることができ、操作者の指先に対してより明瞭なクリック感を与えるかのような触感を効果的に作用させることができる。
(第4実施形態)
次に、本発明に係る第4実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第4実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第1実施形態では可動子40を制御基板4の面内に沿った第1方向L2に移動させたが、本実施形態では、制御基板4に対して垂直な方向であるケーシング3の厚さ方向L1に可動子40を移動させる。
図14及び図15に示すように、本実施形態の慣性力付与装置100は、制御基板4の上面に実装された有底筒状の固定子110と、固定子110に対してケーシング3の厚さ方向L1に相対移動可能に配置された可動子120と、可動子120に取り付けられた重錘130と、固定子110と可動子120との間に設けられた形状記憶合金ワイヤ61を有し、可動子120を厚さ方向L1に瞬間的に変位させると共に該変位に基づいてケーシング3に対して慣性力(推力)を作用させるアクチュエータ部60と、可動子120を固定子110側に向けて厚さ方向L1に沿って付勢するコイルばね70と、可動子120を厚さ方向L1に移動可能に案内するガイドロッド75と、を備えている。なお、図14では、制御基板4の図示を省略している。
固定子110は、制御基板4に対して垂直な軸線Oを中心とした有底筒状に形成されている。なお、軸線O方向から見た平面視で軸線Oに対して交差する方向を径方向といい、軸線O回りを周回する方向を周方向という。
固定子110は、平面視円形状に形成された底壁部111と、底壁部111の外周縁部から上方に向かって立設された周壁部112と、を備えた有底筒状に形成され、上方に向けて開口している。底壁部111の中央部分には、ガイドロッド75が軸線Oと同軸に配置された状態で立設されている。なお、ガイドロッド75は、周壁部112よりも上方に僅かに突出している。
周壁部112の上端部には、該周壁部112の開口部を上方から塞ぐ平面視円形状のカバープレート113が取り付けられている。これにより、固定子110の内部を例えば密封することが可能とされている。なお、カバープレート113の中央部分には、該カバープレート113を厚さ方向L1に貫通する貫通孔114が形成されている。カバープレート113は、貫通孔114内にガイドロッド75を挿通させた状態で、周壁部112の上端部に取り付けられている。なお、ガイドロッド75の上端面は、カバープレート113の上端面に対して面一とされている。
可動子120は、二重筒状に形成され、軸線Oと同軸に配置された状態で、固定子110における周壁部112の内側に収容されている。
可動子120は、ガイドロッド75を径方向の外側から囲む内筒部121と、内筒部121をさらに径方向の外側から囲む外筒部122と、内筒部121の下端開口部を塞ぐ平面視円形状の閉塞部123と、内筒部121の上端部と外筒部122の上端部とを径方向に接続する環状の接続リング124と、外筒部122の下端部から径方向の外側に向けて突出した環状のフランジ部125と、を備えている。
閉塞部123の中央部には、該閉塞部123を厚さ方向L1に貫通するガイド孔126が形成されている。可動子120は、ガイド孔126内にガイドロッド75を挿通させた状態で周壁部112の内側に収容されている。従って、可動子120は、ガイドロッド75に案内(ガイド)されながら、厚さ方向L1に直線的に移動可能とされている。
内筒部121の内側は、上方に開口した第1収容部127とされている。内筒部121と外筒部122との間は、下方に開口した環状の第2収容部128とされている。
本実施形態の形状記憶合金ワイヤ61は、軸線Oを中心とした螺旋状(コイル状)に形成され、第2収容部128内に軸線Oと同軸に収容されている。形状記憶合金ワイヤ61の上端部は、可動子120における接続リング124に対して下方から接触し、下端部は固定子110における底壁部111に対して上方から接触している。これにより、可動子120は、コイル状の形状記憶合金ワイヤ61によって下方から支持されている。
なお、本実施形態の形状記憶合金ワイヤ61は、通電によって加熱されることで、図16に示すように瞬間的に伸長するように構成されている。これにより、形状記憶合金ワイヤ61は、可動方向である厚さ方向L1に沿って可動子120を上方に向けて押し上げるように移動させ、可動子120を固定子110における底壁部111から離間させることが可能とされている。
その後、形状記憶合金ワイヤ61は、放熱によって収縮し、図15に示すように元の状態に復帰する。このように、形状記憶合金ワイヤ61は、通電加熱に伴う伸縮によって、可動子120と固定子110との間隔を変化させることが可能とされている。
なお、上述した固定子110及び可動子120は、第1実施形態と同様に、形状記憶合金ワイヤ61の熱伝導率よりも熱伝導率が高い材料で形成されている。具体的には、固定子110及び可動子120は、アルミニウム材料で形成され、その表面にはアルマイト処理等によって、絶縁膜となる陽極酸化膜が形成されている。従って、固定子110及び可動子120は、形状記憶合金ワイヤ61に対して接触するように配置されて、該形状記憶合金ワイヤ61を放熱させる放熱体(本発明に係る熱伝動体)としても機能する。
なお、図15及び図16では、接続端子62の図示を省略している。接続端子62は、例えば固定子110における底壁部111に形成されている。
また、形状記憶合金ワイヤ61の熱伝導率よりも熱伝導率が高い材料として、アルマイト処理を施したアルミニウム材料を例に挙げて説明したが、第1実施形態で説明したように、この場合に限定されるものではなく、例えばその他の金属材料でも構わないし、合成樹脂等を採用しても構わない。
図15に示すように、コイルばね70は、第1収容部127内に軸線Oと同軸に収容されていると共に、圧縮状態で配置されている。コイルばね70の上端部はカバープレート113に対して下方から接触していると共に、下端部は可動子120における閉塞部123に対して上方から接触している。
これにより、コイルばね70は、弾性復元力(付勢力)を利用して可動子120を固定子110における底壁部111側に向けて付勢している。
上述のように可動子120が固定子110における底壁部111側に向けて付勢されているので、可動子120は形状記憶合金ワイヤ61とコイルばね70との間に挟み込まれた状態とされている。また、コイルばね70によって付勢された可動子120は、形状記憶合金ワイヤ61によって、それ以上固定子110における底壁部111側に変位することが抑制され、図15に示すように位置決めされた状態とされている。
重錘130は、可動子120における外筒部122を径方向の外側から囲むリング状に形成され、フランジ部125に対して上方から接触した状態で外筒部122の外側に一体的に組み合わされている。従って、重錘130は、可動子120と共に形状記憶合金ワイヤ61の伸縮に伴って厚さ方向L1に移動可能とされている。
なお、重錘130は可動子120の外筒部122に対して例えば接着、溶着、嵌合等によって一体的に組み合わされても構わない。さらには、可動子120を合成樹脂で形成する場合、例えば重錘130をインサート部品として利用し、重錘130に対する射出成形によって可動子120を成形する、いわゆるインサート成形を行って、可動子120と重錘130とを一体的に組み合わせても構わない。
上述のように慣性力付与装置100が構成されているので、重錘130は、可動子120、形状記憶合金ワイヤ61、コイルばね70、及びガイドロッド75に対して、厚さ方向L1(可動方向)に直交する径方向である直交方向(第1方向L2及び第2方向L3)に重なる位置関係となるように可動子120に取り付けられている。
(慣性力付与装置の作用)
上述のように構成された本実施形態の慣性力付与装置100であっても、可動子120を移動させる方向が第1実施形態と異なるだけで、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
具体的には、形状記憶合金ワイヤ61に対して通電を行うことで、形状記憶合金ワイヤ61を加熱して瞬間的に伸長させることができる。これにより、図16に示すように、形状記憶合金ワイヤ61を利用して可動子120を上方に押し上げることができ、コイルばね70の弾性復元力(付勢力)に抗して可動子120を固定子110における底壁部111から離間させることができる。
従って、コイルばね70を弾性変形させながら、重錘130が取り付けられた可動子120を可動方向である厚さ方向L1に沿って瞬間的に移動させることができ、ケーシング3全体に可動子120及び重錘130の慣性力(推力)を作用させることができ、タッチパネル2に触れた指先に対してクリック感を与えるかのような触感を作用させることができる。
さらに、通電加熱によって生じた熱が形状記憶合金ワイヤ61から放熱されることで、形状記憶合金ワイヤ61を例えば瞬間的に収縮させることができる。そのため、形状記憶合金ワイヤ61の収縮に伴って、コイルばね70による付勢力を利用して可動子120を可動方向である厚さ方向L1に沿って瞬間的に逆方向(下方)に移動させることができ、図15に示す状態に復帰させることができる。
この復帰の際、先ほどと同様にタッチパネル2に触れた指先に対してクリック感を与えるかのような触感を作用させることができる。
従って、本実施形態の場合であっても、形状記憶合金ワイヤ61の伸縮を利用して可動子120を厚さ方向L1に振動させることができ、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
さらに本実施形態の場合では、可動子120、形状記憶合金ワイヤ61、コイルばね70、ガイドロッド75及び重錘130が径方向に重なるように配置されているので、慣性力付与装置100の全体をよりコンパクトに構成でき、薄型化及び小型化を図り易い。それに加え、重錘130を径の大きなリング状に形成できるので、重量をより重くし易い。従って、ケーシング3に対して可動子120及び重錘130の慣性力をより効果的に作用させ易く、指先に対してクリック感を与えるかのような触感を効果的に作用させることができる。
(第5実施形態)
次に、本発明に係る第5実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第5実施形態においては、第4実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第4実施形態では可動子120と重錘130を別体に形成したが、本実施形態では可動子と重錘とを一体に形成している。
図17及び図18に示すように、本実施形態の慣性力付与装置140は、ガイドロッド75が軸線Oを挟んで径方向に並ぶように2つ設けられ、軸線Oと平行に配置されている。なお、図17では制御基板4の図示を省略している。
可動子150は、2つのガイドロッド75を径方向の外側から囲むリング状に形成され、軸線Oと同軸に配置された状態で固定子110における周壁部112の内側に収容されている。重錘160は、厚さ方向L1に沿った長さが直径よりも短い円柱状に形成され、可動子150の内側に配置されている。
なお、可動子150は重錘160と同材質(例えばタングステン)で形成されていると共に、重錘160と一体に形成されている。これにより、本実施形態では、可動子150を重錘160として兼用することができる。なお、可動子150は、重錘160における厚さ方向L1の中央部分に一体的に形成されている。
重錘160には、該重錘160を厚さ方向L1に貫通すると共に、内部にガイドロッド75をそれぞれ挿通させる2つのガイド孔161が形成されている。これにより、重錘160及び可動子150は、ガイドロッド75に案内(ガイド)されながら、厚さ方向L1に直線的に移動可能とされている。しかも、ガイドロッド75が2つ形成されているので、重錘160及び可動子150は、周方向への回り止めがされた状態で厚さ方向L1に移動可能とされている。
形状記憶合金ワイヤ61は、重錘160を径方向の外側から囲んだ状態で、可動子150と固定子110における底壁部111との間に軸線Oと同軸に配置されている。形状記憶合金ワイヤ61の上端部は、可動子150に対して下方から接触し、下端部は固定子110における底壁部111に対して上方から接触している。これにより、可動子150は、コイル状の形状記憶合金ワイヤ61によって下方から支持されている。
コイルばね70は、重錘160を径方向の外側から囲んだ状態で、可動子150とカバープレート113との間に圧縮状態で軸線Oと同軸に配置されている。コイルばね70の上端部はカバープレート113に対して下方から接触していると共に、下端部は可動子150に対して上方から接触している。
これにより、コイルばね70は、弾性復元力(付勢力)を利用して可動子150を固定子110における底壁部111側に向けて付勢している。
上述のように可動子150が固定子110における底壁部111側に向けて付勢されているので、図18に示すように、可動子150は形状記憶合金ワイヤ61とコイルばね70との間に挟み込まれた状態とされている。また、コイルばね70によって付勢された可動子150は、形状記憶合金ワイヤ61によって、それ以上固定子110における底壁部111側に変位することが抑制され、図18に示すように位置決めされた状態とされている。
本実施形態の場合であっても、重錘160は、可動子150、形状記憶合金ワイヤ61、コイルばね70、及びガイドロッド75に対して、厚さ方向L1(可動方向)に直交する径方向である直交方向(第1方向L2及び第2方向L3)に重なる位置関係となるように構成されている。
(慣性力付与装置の作用)
上述のように構成された本実施形態の慣性力付与装置140であっても、形状記憶合金ワイヤ61に通電を行うことで、該形状記憶合金ワイヤ61を瞬間的に伸長させて、図19に示すように可動子150を上方に押し上げることができる。
従って、本実施形態の慣性力付与装置140であっても、第4実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
それに加えて、本実施形態の場合には、可動子150を重錘160として兼用できるので、第4実施形態の場合に比べて、重錘160及び可動子150の全体の重量を重くすることができる。従って、ケーシング3に対して可動子150及び重錘160の慣性力をさらに効果的に作用させ易く、指先に対してクリック感を与えるかのような触感をさらに効果的に作用させることができる。
また、第4実施形態の場合に比べて、慣性力付与装置140の全体のサイズを小径化することができ、さらなる小型化を図り易い。
(第6実施形態)
次に、本発明に係る第6実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第6実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第1実施形態では、基部31から可動子40側に向けて突出した突起部32を有するように固定子30が形成され、基部41から固定子30側に向けて突出した突起部42を有するように可動子40が形成されていたが、本実施形態では固定子が複数の固定ピンを有し、可動子が複数の可動ピンを有している。
図20~図23に示すように、本実施形態の慣性力付与装置170は、複数の固定ピン181を有する固定子180と、複数の可動ピン191を有する可動子190と、を備えている。なお、図21では、制御基板4の図示を省略している。
固定子180は、可動方向である第1方向L2に配置されたベース台20と、厚さ方向L1に突出するようにベース台20におけるベースプレート21に取り付けられた複数の固定ピン181と、を備えている。なお、本実施形態では、第1実施形態におけるベース台20が固定子180としても機能する。
固定ピン181は、円柱状に形成され、ベースプレート21から上方に向けて突出するようにベースプレート21に対して取り付けられている。具体的には、固定ピン181は圧入によってベースプレート21に固定されている。
ただし、ベースプレート21に対する固定ピン181の取付け方法は、この場合に限定されるものではなく、例えば接着等によって固定しても構わない。さらに、例えばベースプレート21を含むベース台20を合成樹脂材料で形成し、固定ピン181を金属材料で形成する場合には、インサート成形によってベースプレート21と固定ピン181とを一体に組み合わせても構わない。
固定ピン181の先端部(上端部)は、丸みを帯びた半球状に形成されている。ただし、この場合に限定されるものではなく、固定ピン181の先端部を平坦状に形成しても構わない。
なお、固定ピン181は、先端部が後述する可動プレート192に対して近接する長さ、或いは先端部と可動プレート192との間に僅かな隙間が確保される長さで形成されている。
上述した固定ピン181は、可動方向である第1方向L2及び、可動方向に対して直交する方向である厚さ方向L1に対して直交する第2方向L3に、一定の間隔をあけて配置されている。図示の例では、ベースプレート21に対して4つの固定ピン181が取り付けられている。ただし、固定ピン181の数は、この場合に限定されるものではない。
可動子190は、ベースプレート21の上面に第1方向L2にスライド移動可能に載置されている。可動子190は、第2方向L3に沿って延びる基部41と、基部41の上端部から前方に向かって突出すると共に、複数の固定ピン181を上方から覆う可動プレート192と、厚さ方向L1に突出するように可動プレート192に取り付けられた複数の可動ピン191と、を備えている。
可動プレート192は、第2方向L3に沿った長さが基部41と同等とされ、第1方向L2に沿ってベースプレート21と平行に配置されている。従って、可動プレート192は、ベースプレート21よりも上方に配置され、且つベースプレート21に対して厚さ方向L1に向かい合うように配置されている。
可動ピン191は、円柱状に形成され、可動プレート192から下方に向けて突出するように可動プレート192に対して取り付けられている。具体的には、可動ピン191は圧入によって可動プレート192に固定されている。
ただし、可動プレート192に対する可動ピン191の取付け方法は、この場合に限定されるものではなく、例えば接着等によって固定しても構わない。さらに、例えば可動プレート192及び基部41を合成樹脂材料で形成し、可動ピン191を金属材料で形成する場合には、インサート成形によって可動プレート192と可動ピン191とを一体に組み合わせても構わない。
可動ピン191の先端部(下端部)は、丸みを帯びた半球状に形成されている。ただし、この場合に限定されるものではなく、可動ピン191の先端部を平坦状に形成しても構わない。
なお、可動ピン191は、先端部がベースプレート21に対して近接する長さ、或いは先端部とベースプレート21との間に僅かな隙間が確保される長さで形成されている。
上述した可動ピン191は、第2方向L3に一定の間隔をあけて配置されている。図示の例では、可動プレート192に対して3つの可動ピン191が取り付けられている。ただし、可動ピン191の数は、この場合に限定されるものではない。
上述した複数の固定ピン181間の間隔と、複数の可動ピン191間の間隔とは、同じ間隔(ピッチ)とされている。さらに、固定ピン181の長さと可動ピン191の長さとは同等とされている。これにより、固定ピン181及び可動ピン191は、第2方向L3に沿って一定の間隔をあけて交互に配列されている。
なお、固定ピン181及び可動ピン191の材質としては、特に限定されるものではないが、例えば形状記憶合金ワイヤ61の熱伝導率よりも熱伝導率が高い材料で形成されている。具体的には、固定ピン181及び可動ピン191は、アルミニウム材料で形成され、その表面にはアルマイト処理等によって絶縁膜となる陽極酸化膜が形成されている。
ただし、固定ピン181及び可動ピン191を、アルミニウム以外の金属材料、例えば真鍮等で形成しても構わないし、合成樹脂材料で形成しても構わない。
なお、本実施形態の固定ピン181及び可動ピン191は、形状記憶合金ワイヤ61に対して接触するように配置されて、該形状記憶合金ワイヤ61を放熱させる放熱体(本発明に係る熱伝動体)としても機能する。
上述のように構成された固定子180及び可動子190に対して、形状記憶合金ワイヤ61は、固定ピン181及び可動ピン191に対して交互に接触しながら、固定ピン181及び可動ピン191の間を縫うように第2方向L3に波状(ジグザグ状)に配置されている。これにより、形状記憶合金ワイヤ61は、固定ピン181と可動ピン191との間に波状に挟み込まれている。
なお、形状記憶合金ワイヤ61の両端部は、基部41に取り付けられた接続端子62に接続されている。
(慣性力付与装置の作用)
上述のように構成された慣性力付与装置170の場合であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
すなわち、形状記憶合金ワイヤ61が固定ピン181と可動ピン191との間に波状に挟み込まれているので、形状記憶合金ワイヤ61が伸縮することで、固定ピン181と可動ピン191との間隔を第1方向L2に変化させることができる。これにより、形状記憶合金ワイヤ61の伸縮を利用して、重錘50が取り付けられている可動子190を第1方向L2に瞬間的に変位させることができる。従って、タッチパネル2に触れた指先に対してクリック感を与えるような触感を作用させることができる。
このように、固定ピン181及び可動ピン191を利用する慣性力付与装置170の場合であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
なお、固定ピン181の上端部及び可動ピン191の下端部は共に丸みを帯びて形成されているうえ、固定ピン181と可動プレート192との間、及び可動ピン191とベースプレート21との間は近接或いは僅かな隙間が確保されている。そのため、固定ピン181及び可動ピン191を利用する場合であっても、可動子190の移動が阻害されることなく、可動子190のスムーズな移動を可能とすることができる。
特に、本実施形態の場合には、ベースプレート21に固定ピン181を取り付けることで固定子180を構成しているので、少なくとも固定ピン181が絶縁性及び所定の熱導電率を具備すれば良く、固定子180を簡便に構成することが可能である。従って、固定子180を低コストで製造することができる。
例えば、中実のアルミニウムの棒材を所定の外径に仕上げた後、所定の長さで切断し、丸みを帯びるように先端部を加工することで、固定ピン181として利用することができる。そのため、低コストで固定子180を製造することが可能となる。
それに加え、ベースプレート21を含むベース台20を、固定ピン181とは異なる材料、例えば合成樹脂材料等で形成することが可能となるので、材料選択の自由度を向上でき、さらなる低コスト化を図り易い。
なお、可動子190についても可動ピン191を具備しているので、上述した固定子180と同様の作用効果を奏功することができる。
なお、上記第6実施形態では、第1実施形態における固定子30の突起部32及び可動子40の突起部42に代えて、固定ピン181及び可動ピン191を採用する場合を例に挙げて説明したが、第2実施形態及び第3実施形態に採用しても構わない。
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
例えば上記各実施形態では、触感提示装置をスマートフォン等の携帯情報端末1に適用した場合に例に挙げて説明したが、例えば図24に示すように、スマートウォッチ200に適用しても構わない。さらに、携帯情報端末に限定されるものではなく、例えば車載用カーナビゲーションシステム等でも良く、タッチ時に指先に対して物理的な操作触感を疑似的に作用させる各種の電子機器等に適用しても構わない。
L1…厚さ方向(可動方向)
L2…第1方向(可動方向)
1…携帯情報端末(触感提示装置)
2…タッチパネル(操作パネル)
5、80、90、100、140、170…慣性力付与装置
15…表示パネル
16…制御部
30、110…固定子、熱伝動体
40、120、150…可動子、熱伝動体
50、81、130、160…重錘
60…アクチュエータ部
61…形状記憶合金ワイヤ
70…コイルばね(弾性部材)
75…ガイドロッド(案内部材)
91…板ばね部材(弾性部材)
180…固定子
181…固定ピン、熱伝動体
190…可動子
191…固定ピン、熱伝動体
200…スマートウォッチ(触感提示装置)

Claims (7)

  1. 固定子と、
    前記固定子に対して可動方向に相対移動可能に配置された可動子と、
    前記可動子に取り付けられた重錘と、
    前記固定子と前記可動子との間に設けられた形状記憶合金ワイヤを有し、前記可動子を前記可動方向に瞬間的に変位させると共に、該変位に基づいて外部に対して慣性力を作用させるアクチュエータ部と、
    前記可動子を前記固定子側に向けて、前記可動方向に沿って付勢する弾性部材と、を備え、
    前記形状記憶合金ワイヤは、温度に応じて長さが変化すると共に、通電加熱に伴う伸縮によって前記可動子と前記固定子との間の間隔を変化させ
    前記アクチュエータ部は、前記形状記憶合金ワイヤに接触するように配置された熱伝動体を備え、
    前記固定子及び前記可動子は、前記熱伝動体として機能し、
    前記重錘は、前記可動子よりも比重の大きい材料で形成され、前記可動子に対して一体的に組み合わされていることを特徴とする慣性力付与装置。
  2. 請求項に記載の慣性力付与装置において、
    前記弾性部材は、前記可動方向における弾性率が、前記可動方向に対して直交する直交方向における弾性率よりも低くなるように形成され、弾性率の違いによって前記可動子を前記可動方向に沿って移動可能に案内する、慣性力付与装置。
  3. 請求項1又は2に記載の慣性力付与装置において、
    前記重錘は、少なくとも一部が、前記可動子、前記形状記憶合金ワイヤ、前記弾性部材及び前記固定子のうちの少なくともいずれか1つに対して、前記可動方向に対して直交する直交方向に重なる位置関係となるように前記可動子に取り付けられている、慣性力付与装置。
  4. 請求項1からのいずれか1項に記載の慣性力付与装置において、
    前記弾性部材は、少なくとも一部が、前記形状記憶合金ワイヤに対して、前記可動方向に対して直交する直交方向に重なる位置関係となるように設けられている、慣性力付与装置。
  5. 請求項1からのいずれか1項に記載の慣性力付与装置において、
    前記可動子を前記可動方向に移動可能に案内する案内部材を備えている、慣性力付与装置。
  6. 請求項1からのいずれか1項に記載の慣性力付与装置において、
    前記固定子は、前記可動方向に沿って配置された固定プレート、及び前記可動方向に対して直交する直交方向に突出するように前記固定プレートに取り付けられた複数の固定ピンを備え、
    前記可動子は、前記可動方向に沿って配置されると共に、少なくとも一部分が前記固定プレートに対して前記直交方向に向かい合うように配置された可動プレート、及び前記直交方向に突出するように前記可動プレートに取り付けられた複数の可動ピンを備え、
    複数の前記固定ピン及び複数の前記可動ピンは、前記可動方向及び前記直交方向に対して直交する方向に沿って、一定の間隔をあけて交互に並ぶように配列され、
    前記形状記憶合金ワイヤは、前記固定ピン及び前記可動ピンに対して交互に接触しながら、前記固定ピンと前記可動ピンとの間に波状に挟み込まれている、慣性力付与装置。
  7. 請求項1からのいずれか1項に記載の慣性力付与装置と、
    指先で操作される操作パネルを有すると共に、前記慣性力付与装置を内部に収容するケーシングと、
    前記ケーシングに設けられ、前記操作パネルを通じて情報を表示する表示パネルと、
    前記ケーシング内に収容され、前記操作パネルの操作に応じて前記表示パネルの表示を制御する制御部と、を備えることを特徴とする触感提示装置。
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