以下の実施形態は、一般に、点灯装置、照明器具、及びプログラムに関する。より詳細には、以下の実施形態は、外部電源から供給される交流電圧を直流電圧に変換して、光源を点灯させる点灯装置、照明器具、及びプログラムに関する。
以下に本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。
(1)基本構成
図1は、本実施形態の点灯装置1の回路構成を示す。
点灯装置1は、電源回路11と、電流可変回路12と、制御回路13とを、主構成として備える。
電源回路11の一対の入力端子P1、P2は、外部電源9に電気的に接続している。外部電源9は、100V系又は200V系の商用電力系統である。電源回路11は、外部電源9から交流電力を供給され、交流電力を電力変換して直流電力を生成し、生成した直流電力を光源2へ供給する。外部電源9の電圧は交流電圧Viであり、交流電圧Viが電源回路11の一対の入力端子P1、P2に入力され、外部電源9から電源回路11には交流電流Iiが供給される。
電源回路11は、昇降圧機能、及び昇圧機能のいずれかを有するワンコンバータ(又はシングルステージコンバータ)のスイッチング電源回路である。ワンコンバータでは、交流電力の力率を改善する力率改善回路と、交流電力を直流電力に変換する電力変換回路とが一体に構成されており、部品点数の低減、及び高効率化を図っている。すなわち、電源回路11は、力率改善回路、及び電力変換回路として機能することができる。電源回路11が昇降圧機能を有する場合、電源回路11は、SEPIC(Single Ended Primary Inductor Converter)回路、CUK回路、及びZETA回路のいずれかの構成を備えることが好ましい。
図1の電源回路11は、整流回路111、及びコンバータ112を備えており、コンバータ112は、SEPIC回路を構成している。
整流回路111は、フルブリッジ接続された4個のダイオードを有するダイオードブリッジ11a、及びコンデンサ11bを備える。コンデンサ11bは、ダイオードブリッジ11aの出力端間に接続される。ダイオードブリッジ11aは、外部電源9から一対の入力端子P1、P2を介して入力された交流電圧Viを全波整流し、コンデンサ11bの両端間には直流の脈流電圧が生成される。整流回路111が出力する脈流電圧は、コンバータ112に入力される。
コンバータ112は、整流回路111から脈流電圧を入力されて、直流の出力電圧(直流電圧)Voを出力する。コンバータ112は、制御回路13によって制御される。
具体的に、コンバータ112は、インダクタ11c、11h、コンデンサ11d、ダイオード11e、出力コンデンサ11f、及びスイッチング素子11gを備えて、SEPIC回路を構成する。インダクタ11cとインダクタ11hとは、同じ鉄心に巻き回されていてもよいし、それぞれ別の鉄心に巻き回されていてもよい。コンデンサ11bの正極(脈流電圧の高電位)と負極(脈流電圧の負電位)との間には、正極からインダクタ11c、コンデンサ11d、ダイオード11e、出力コンデンサ11fを順に接続した直列回路が接続されている。インダクタ11cとコンデンサ11dとの接続点とコンデンサ11bの負極との間には、スイッチング素子11gが接続されている。図1のスイッチング素子11gは、Nチャネルのエンハンスメント型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)である。スイッチング素子11gのドレインは、インダクタ11cとコンデンサ11dとの接続点に接続され、スイッチング素子11gのソースは、コンデンサ11bの負極に接続される。なお、スイッチング素子11gは、MOSFET以外に、例えばバイポーラトランジスタなどの他の半導体スイッチング素子であってもよい。
コンデンサ11dとダイオード11eとの接続点とコンデンサ11bの負極との間には、インダクタ11hが接続されている。そして、出力コンデンサ11fの両端電圧が出力電圧Voになる。なお、ダイオード11eのアノードはコンデンサ11dに接続され、ダイオード11eのカソードは出力コンデンサ11fの正極に接続されている。
そして、スイッチング素子11gがオンすると、コンデンサ11bの正極、インダクタ11c、スイッチング素子11g、コンデンサ11bの負極の順序で電流が流れて、インダクタ11cにエネルギー(磁気エネルギー)が蓄積される。また、スイッチング素子11gがオンすると、コンデンサ11d、スイッチング素子11g、インダクタ11h、コンデンサ11dの順序で電流が流れて、インダクタ11hにエネルギー(磁気エネルギー)が蓄積される。
次に、スイッチング素子11gがオフすると、インダクタ11c及びインダクタ11hに蓄積されているエネルギーによって、出力コンデンサ11fが充電される。また、スイッチング素子11gがオフすると、インダクタ11cを通じて脈流電圧によってコンデンサ11dが充電される。
そして、スイッチング素子11gがオンオフすることによって、脈流電圧を入力とする昇降圧動作が行われ、出力コンデンサ11fの両端間に直流の出力電圧Voが発生する。電源回路11は、一対の出力端子P3、P4を備えており、出力端子P3は、出力コンデンサ11fの正極(出力電圧Voの高電位)に接続し、出力端子P4は、出力コンデンサ11fの負極(出力電圧Voの低電位)に接続する。すなわち、電源回路11は、一対の出力端子P3、P4から出力電圧Voを出力する。
一対の出力端子P3、P4の間には、光源2と電流可変回路12との直列回路が接続されている。光源2と電流可変回路12との直列回路には、出力電圧Voが印加される。光源2に流れる負荷電流Ioの大きさは、電流可変回路12によって制御される。電流可変回路12は、負荷電流Ioの大きさを制御することで光源2の光出力を調整し、光源2の点灯、消灯、及び調光を行うことができる。
光源2は、固体発光素子としてLED(Light Emitting Diode)を用いており、1個以上のLEDを備える。図1では、光源2として1個のLEDのみを図示しているが、直列接続された複数のLEDを備えてもよい。直列接続された複数のLEDを備える場合、隣り合う一対のLEDでは、一方のLEDのカソードが、他方のLEDのアノードに接続している。光源2は、高電位側をアノード側とし、低電位側をカソード側とする。この場合、光源2のアノード側は、出力コンデンサ11fの正極に接続している。光源2のカソード側は、電流可変回路12に接続している。
電流可変回路12は、FET121(トランジスタ)と、電流制御部122とを備える。
FET121は、Nチャネルのエンハンスメント型のMOSFETであり、FET121のドレインは、光源2のカソード側に接続している。なお、FET121の代わりに、例えばバイポーラトランジスタなどの他のトランジスタを用いてもよい。
電流制御部122は、オペアンプ12aと、抵抗12b、12cと、検出抵抗12dとを備える。
FET121のソースは、検出抵抗12dの一端に接続している。検出抵抗12dの他端は、出力コンデンサ11fの負極に接続している。すなわち、電源回路11の一対の出力端子P3、P4の間には、光源2とFET121と検出抵抗12dとの直列回路が接続している。
抵抗12bの一端は、FET121のソースに接続し、抵抗12bの他端は、オペアンプ12aの-側入力端子に接続している。すなわち、FET121のソースと検出抵抗12dとの接続点は、抵抗12bを介してオペアンプ12aの-側入力端子に接続している。また、オペアンプ12aの+側入力端子には、制御回路13のDCポートP12から基準電圧Vr1が入力される。また、オペアンプ12aの出力端子と-側入力端子との間には、抵抗12cが接続されている。さらに、オペアンプ12aの出力端子は、FET121のゲートに接続している。そして、電流制御部122は、FET121のゲート電圧を制御することで、FET121と検出抵抗12dとの直列回路に流れる負荷電流Ioの大きさを調節できる。
すなわち、電流可変回路12は、負荷電流Ioが流れるFET(トランジスタ)121と検出抵抗12dとの直列回路、及び検出抵抗12dの両端電圧が基準電圧に一致するようにFET121を制御して負荷電流Ioを調節する電流制御部122を、備える。
さらに、本実施形態では、FET121と検出抵抗12dとの直列回路の両端電圧(FET121のドレインと出力コンデンサ11fの負極との間の電圧)をフィードバック電圧Vaとする。このフィードバック電圧Vaは、FET121の両端電圧(ドレイン-ソース間電圧)を含む。本実施形態では、フィードバック電圧Vaは、FET121と検出抵抗12dとの直列回路の両端電圧である。フィードバック電圧Vaは、制御回路13の入力ポートP13に入力される。入力ポートP13には、例えば制御回路13のFB(Feedback)ポートを用いることができる。制御回路13は、フィードバック電圧Vaに基づいて、スイッチング素子11gのスイッチング動作を制御する。
図1の制御回路13は、例えばプロセッサ及びメモリを有するマイクロコンピュータなどのコンピュータを有する。この場合、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータが制御回路13の機能の少なくとも一部を実現する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではコンピュータのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。また、制御回路13は、コンピュータにディスクリート部品を組み合わせて構成されてもよい。
そして、制御回路13は、電源回路11が、外部電源9から供給される交流電力の力率を改善する力率改善回路、及び交流電力を直流電力に変換する電力変換回路として機能するように、スイッチング素子11gをスイッチング制御する。すなわち、制御回路13は、電源回路11を制御することで、出力電圧Voを制御することができる。
さらに、制御回路13は、基準電圧Vr1を生成し、DCポートP12から基準電圧Vr1を電流制御部122へ出力する。すなわち、制御回路13は、基準電圧Vr1の値を調整することで、負荷電流Io(負荷電流Ioの大きさ)を制御することができる。
なお、光源2は、LEDに限らず、有機EL(Organic ElectroLuminescence、OEL)、または半導体レーザ(Laser Diode、LD)などの他の固体発光素子を有していてもよい。
(2)電流フィードバック制御
以下、負荷電流Ioのフィードバック制御(電流フィードバック制御)について説明する。
電流可変回路12のオペアンプ12aの+側入力端子には基準電圧Vr1が入力されている。そして、オペアンプ12aは、イマジナリショート(Imaginary Short)の作用によって、オペアンプ12aの-側入力端子の電圧が基準電圧Vr1に等しくなるように出力電圧を調整する。つまり、負荷電流Ioによって生じる検出抵抗12dの両端電圧が基準電圧Vr1に等しくなるように、オペアンプ12aは出力電圧を調整する。
そして、オペアンプ12aの出力電圧はFET121のゲートに印加されるため、基準電圧Vr1によってFET121のゲート電圧(ゲート-ソース間電圧)が決まる。電流制御部122は、FET121のゲート電圧を調整することで、負荷電流Io(FET121のドレイン電流)を制御することができる。
制御回路13は、入力ポートP14を介して、外部のコントローラから調光指示信号X2を受け取る。調光指示信号X2は、光源2の調光レベルを指示する信号である。制御回路13は、調光指示信号X2によって指示された調光レベルに応じて、基準電圧Vr1の大きさを設定する。指示された調光レベルが高いほど、基準電圧Vr1は高くなり、指示された調光レベルが低いほど、基準電圧Vr1は低くなる。したがって、制御回路13が、調光指示信号X2に応じた基準電圧Vr1を設定することで、光源2の光出力が制御される。
すなわち、基準電圧Vr1は負荷電流Ioの目標値に相当し、電流可変回路12は、負荷電流Ioの値を目標値に一致させる電流フィードバック制御を実行する。
電流フィードバック制御のゲインである電流フィードバックゲインは、抵抗12b、12cの各抵抗値で決まる。抵抗12bの抵抗値をRb、抵抗12cの抵抗値をRcとすると、電流フィードバックゲインの絶対値(大きさ)はRc/Rbとなる。
(3)電圧フィードバック制御
以下、出力電圧Voのフィードバック制御(電圧フィードバック制御)について説明する。
制御回路13は、入力ポートP13を介してフィードバック電圧Vaを受け取る。そして、制御回路13は、フィードバック電圧Vaが目標電圧に一致するように駆動信号X1を生成し、駆動信号X1を出力ポートP11からスイッチング素子11gのゲートへ出力する。駆動信号X1は、スイッチング素子11gをスイッチング制御するための電圧信号である。駆動信号X1の電圧値がH(High)レベルであれば、スイッチング素子11gはオンし、駆動信号X1の電圧値がL(Low)レベルであれば、スイッチング素子11gはオフする。
制御回路13は、スイッチング素子11gを繰り返しオンオフさせるスイッチング制御を駆動信号X1によって行うことで、電源回路11を力率改善回路及び電力変換回路として機能させる。具体的に、制御回路13は、スイッチング素子11gを一定のスイッチング周期毎にターンオンさせ、フィードバック電圧Vaが目標電圧に一致するように(フィードバック電圧Vaと目標電圧との差分が0(ゼロ)になるように)、スイッチング素子11gのオン時間を調整することで、出力電圧Voをフィードバック制御する。目標電圧は、光源2を点灯可能、かつ、できるだけ低い値に設定されることが好ましく、光源2の順方向電圧Vfの最大値に一定値(例えば2~3V程度)を加算した値になる。したがって、FET121のドレイン-ソース間電圧は、目標電圧から検出抵抗12dでの電圧降下を引いた値に維持され、FET121の電力損失を抑制することができる。
すなわち、制御回路13は、フィードバック電圧Vaが目標電圧に一致するように、出力電圧Voの電圧フィードバック制御を実行する。
本実施形態では、制御回路13による電圧フィードバック制御は、比例積分制御(以降、PI制御と称す)であることが好ましい。制御回路13は、スイッチング素子11gのオン時間(又はオンデューティ)をPI制御の制御値として求めるために、離散値を扱うデジタル演算によるPI制御を実行する。
具体的に、フィードバック電圧Vaと目標電圧との差分を誤差E、オン時間の演算値をY、積分時間をTi、比例制御のフィードバックゲイン(比例ゲイン)をKpとする。この場合、演算値Yは、PI制御の伝達関数を用いて、以下の式1で表される。
そして、離散値のサンプル番号をn、積分制御のフィードバックゲイン(積分ゲイン)をKi、オン時間の更新周期(制御回路13の演算周期)をTs、整数をmとして、式1をデジタル演算式に変換すると、演算値Ynは、以下の式2で表される。
上述の式2では、比例ゲインKp及び積分ゲインKiが、電圧フィードバック制御のフィードバックゲインである電圧フィードバックゲインに相当する。制御回路13は、実行するプログラム中のパラメータを変更することで、比例ゲインKp及び積分ゲインKi(式2参照)を変化させることができる。本実施形態では、制御回路13は、式2に示すように、比例ゲインKpを変化させることで、積分ゲインKiも併せて変化させることができる。
(4)電圧フィードバックゲインの設定
制御回路13は、PI制御でスイッチング素子11gのオン時間を調整することで、フィードバック電圧Vaを目標電圧に一致させ、かつ、基準電圧Vr1の値を調整することで、負荷電流Ioを指示された調光レベルに対応する値に制御する。
そして、調光指示信号X2の変化時又は点灯装置1の起動時には、指示される調光レベルが変わる。指示される調光レベルが変わると、負荷電流Ioが変化する。負荷電流Ioが変化しているときにフィードバック電圧Vaが目標電圧に一致するように電圧フィードバック制御を実行するためには、電圧フィードバックゲインを比較的大きくして、電圧フィードバック制御の応答速度を比較的速くする必要がある。しかしながら、電圧フィードバックゲインを大きくすると、指示される調光レベルが一定で、負荷電流Ioが変化していないときに、交流電圧Viのリプル、及びノイズなどによって、交流電流Iiの歪み(入力歪み)が生じやすくなり、力率が低下することがある。
このような入力歪みを抑制するためには、電圧フィードバックゲインを小さくすることが考えられる。しかし、電圧フィードバックゲインを小さくするほど、電圧フィードバック制御の応答速度がより遅くなり、電圧フィードバック制御(スイッチング素子11gのオン時間の制御)がコンバータ112の入力の変化に追従し難くなる。この結果、フィードバック電圧Vaが電流可変回路12の制御限界である限界値未満にまで低下して、負荷電流Ioが一瞬落ち込み、光源2の光量も一瞬低下して、光源2の光がちらつくことがある。
そこで、本実施形態の制御回路13は、負荷電流Ioの制御精度を向上させ、かつ、入力歪みを抑制するために、図2に示す電圧フィードバックゲイン(比例ゲインKp及び積分ゲインKi)の調整処理を実行する。負荷電流Ioの制御精度は、例えば負荷電流Ioの値と目標値との差分を指標とすることができ、負荷電流Ioの値と目標値との差分が小さいほど、負荷電流Ioの制御精度が高くなる(向上する)。
なお、式2に示すように、比例ゲインKpを変化させることで、積分ゲインKiも同様に変化させることができる。そこで、制御回路13は、電圧フィードバックゲインを増加させるときには、比例ゲインKpを増加させ、電圧フィードバックゲインを減少させるときには、比例ゲインKpを減少させる。また、図2中の「FBゲイン」は、電圧フィードバックゲインを表す。
制御回路13は、電圧フィードバックゲインを調整しながら、電圧フィードバック制御を行う。そして、更新周期Ts毎に、制御回路13は、指示される調光レベルが変わって負荷電流Ioが変化する過渡期間であるか否かを判定する(S1)。例えば、制御回路13は、調光指示信号X2によって指示される調光レベルが変化(増大又は低下)する期間、及び指示される調光レベルの変化によって負荷電流Ioが変化(増加又は減少)する期間を過渡期間とする。本実施形態では、制御回路13は、基準電圧Vr1(指示される調光レベル)の変化中、及び基準電圧Vr1の変化が完了してから一定時間が経過するまでを過渡期間であると判定する。過渡期間は、調光指示信号X2の変化、及び点灯装置1の起動などによって発生する。また、制御回路13は、指示される調光レベルに一定時間以上に亘って変化がなければ、定常期間であると判定する。
制御回路13は、過渡期間であると判定した場合、現状の電圧フィードバックゲインから所定値だけ増加させた電圧フィードバックゲインを第1仮ゲインとして求める(S2)。次に、制御回路13は、ステップS2で求めた第1仮ゲインが予め決められた上限値(電圧フィードバックゲインの上限値)を上回っているか否かを判定する(S3)。制御回路13は、第1仮ゲインが上限値を上回っていれば、電圧フィードバックゲインを上限値に設定する(S4)。制御回路13は、第1仮ゲインが上限値以下であれば、電圧フィードバックゲインを、第1仮ゲインの値に設定する(S8)。
また、制御回路13は、過渡期間でないと判定した場合(定常期間であると判定した場合)、現状の電圧フィードバックゲインから所定値だけ減少させた電圧フィードバックゲインを第2仮ゲインとして求める(S5)。次に、制御回路13は、ステップS5で求めた第2仮ゲインが予め決められた下限値(電圧フィードバックゲインの下限値)を下回っているか否かを判定する(S6)。制御回路13は、ステップS5で求めた第2仮ゲインが下限値を下回っていれば、電圧フィードバックゲインを下限値に設定する(S7)。制御回路13は、第2仮ゲインが下限値以上であれば、電圧フィードバックゲインを、第2仮ゲインの値に設定する(S8)。
そして、制御回路13は、設定した電圧フィードバックゲインを用いて、上述の式2に基づいて、オン時間の演算値Ynを求める(S9)。制御回路13は、演算値Ynが0未満(負の数)であるか否かを判定する(S10)。制御回路13は、ステップS9で求めた演算値Ynが0未満であれば、演算値Ynを0に変更し(S11)、演算値Yn(=0)をスイッチング素子11gのオン時間とする(S14)。この場合、スイッチング素子11gのデューティは0%になる。制御回路13は、ステップS9で求めた演算値Ynが0以上であれば、演算値Ynがスイッチング素子11gのスイッチング周期を上回っているか否かを判定する(S12)。制御回路13は、演算値Ynがスイッチング素子11gのスイッチング周期を上回っていれば、演算値Ynをスイッチング周期に変更し(S13)、演算値Yn(=スイッチング周期)をスイッチング素子11gのオン時間とする(S14)。この場合、スイッチング素子11gのデューティは100%になる。制御回路13は、演算値Ynがスイッチング素子11gのスイッチング周期以下であれば、ステップS9で求めた演算値Ynをスイッチング素子11gのオン時間とする(S14)。この場合、スイッチング素子11gのデューティは0%より大きく、100%より小さくなる。
制御回路13は、図2の処理を更新周期Ts毎に繰り返すことで、過渡期間の電圧フィードバックゲインが定常期間の電圧フィードバックゲインより大きくなるように、電圧フィードバックゲインを調整することができる。したがって、過渡期間には定常期間に比べて電圧フィードバック制御の応答速度が速くなるので、電圧フィードバック制御がコンバータ112の入力の変化に追従しやすくなる。この結果、フィードバック電圧Vaが限界値未満にまで低下し難くなるので、負荷電流Ioの落ち込みが生じ難く、光源2の光のちらつきが抑制される。また、定常期間には過渡期間に比べて電圧フィードバック制御の応答速度が遅くなるので、交流電圧Viのリプル、及びノイズなどによる入力歪みが生じ難くなり、力率の低下が抑制される。
上述のように、本実施形態の点灯装置1は、負荷電流Ioの制御精度を向上させ、かつ、外部電源9から供給される交流電流Iiの歪みを抑制することができる。
また、制御回路13は、ステップS2によって電圧フィードバックゲインを段階的に大きくし、ステップS5によって電圧フィードバックゲインを段階的に小さくする。この結果、電圧フィードバックゲインの大きな変化が生じ難くなり、電圧フィードバック制御の安定性を向上させることができる。例えば、電圧フィードバックゲインを段階的に小さくすることで、フィードバック電圧Vaが限界値未満にまで低下することを抑制できる。
図3は、上述の式2の比例ゲインKpの時間変化を示す。
時間t1以前の過渡期間T1では、制御回路13は、比例ゲインKpを第1値Kp1に設定している。時間t1~t2の定常期間T2では、制御回路13は、比例ゲインKpを第1値Kp1から第2値Kp2に低下させる。このとき、制御回路13は、比例ゲインKpを第1値Kp1から第2値Kp2まで段階的に小さくすることで、比例ゲインKpを緩やかに低下(漸減)させている。時間t2~t3の過渡期間T3では、制御回路13は、比例ゲインKpを第2値Kp2から第1値Kp1に増加させる。このとき、制御回路13は、比例ゲインKpを第2値Kp2から段階的に大きくすることで、比例ゲインKpを緩やかに増加(漸増)させている。時間t3以降の定常期間T4では、制御回路13は、比例ゲインKpを第1値Kp1から第2値Kp2に段階的に低下させる。
制御回路13は、比例ゲインKpを緩やかに低下させることで、比例ゲインKpの低下による光源2のちらつきの発生をより抑制できる。また、制御回路13は、比例ゲインKpを緩やかに増加させることで、比例ゲインKpの増加による入力歪みの発生をより抑制できる。
また、比例ゲインKpの時間経過に伴う変化の傾きの絶対値をゲイン傾きとする。この場合、比例ゲインKpを漸増させる際のゲイン傾きΔKp1と、比例ゲインKpを漸減させる際のゲイン傾きΔKp2とは、互いに異なることが好ましい。例えば、ゲイン傾きΔKp2をゲイン傾きΔKp1より小さくする。このとき、比例ゲインKpを第1値Kp1から第2値Kp2まで低下させるのに要する時間は、比例ゲインKpを第2値Kp2から第1値Kp1まで増加させるのに要する時間よりも長くなる。
さらに、電源回路11を力率改善回路として機能させるためには、電圧フィードバックゲインを低く抑えたい。そこで、定常期間の電圧フィードバック制御の応答速度は、電流フィードバック制御の応答速度より遅いことが好ましい。具体的には、上述の比例ゲインKp及び積分ゲインKiのうち、少なくとも比例ゲインKpの絶対値(大きさ)が、電流フィードバックゲイン(=Rc/Rb)より小さくなる。
さらに、比例ゲインKpの第1値Kp1は、第2値Kp2の10倍以上であることが好ましい。この構成によって、負荷電流Ioの制御精度の向上と、外部電源9から供給される交流電流Iiの歪みの抑制との両立が容易になる。
なお、制御回路13は、比例ゲイン及び積分ゲインのうち、比例ゲインのみを変化させてもよい。
(5)照明器具
図4は、天井パネルに設置された給電ダクト4に取り付けられる照明器具B1を示す。照明器具B1は、給電ダクト4に固定される固定部31と、光源2を保持した筐体32とを備える。筐体32は、円柱形状であって、光源2の光を軸方向の一面から出射させる。点灯装置1は、固定部31又は筐体32に収納される。また、点灯装置1は、固定部31及び筐体32に分散して収納されてもよい。照明器具B1の点灯装置1には、給電ダクト4内の導電体(図示せず)を介して、交流電圧Viが入力される。
さらに、筐体32は、固定部31に対して回転可能に連結されている。具体的に説明すると、照明器具B1は、第1連結部33と、第2連結部34とを備える。第1連結部33は、固定部31に対して鉛直方向の周りに回転可能に連結される。第2連結部34は、第1連結部33に対して筐体32を水平方向の周りに回転可能に連結する。つまり、固定部31に対して第1連結部33を回転させることで、筐体32の水平方向の向きを変更することができる。また、第2連結部34によって筐体32を回転させることで、筐体32の鉛直方向の向きを変更することができる。
(6)まとめ
以上のように、実施形態に係る第1の態様の点灯装置(1)は、電源回路(11)と、電流可変回路(12)と、制御回路(13)と、を備える。電源回路(11)は、外部電源(9)から供給される交流電圧(Vi)を直流電圧(Vo)に変換し、一対の出力端子(P3、P4)から直流電圧(Vo)を出力する。電流可変回路(12)は、一対の出力端子(P3、P4)の間で光源(2)に直列接続されて、光源(2)に流れる負荷電流(Io)の値を目標値に一致させる電流フィードバック制御を実行する。制御回路(13)は、電源回路(11)を制御する。制御回路(13)は、指示される光源(2)の調光レベルに応じた目標値を電流可変回路(12)に設定し、直流電圧(Vo)を調整するための電圧フィードバック制御を実行する。制御回路(13)は、電圧フィードバック制御のフィードバックゲインを電圧フィードバックゲインとし、調光レベルが変わって負荷電流(Io)が変化している過渡期間(T1、T3)における電圧フィードバックゲインを、調光レベルが変わらない定常期間(T2、T4)における電圧フィードバックゲインより大きくする。
上述の点灯装置(1)は、負荷電流(Io)の制御精度を向上させ、かつ、外部電源(9)から供給される交流電流(Ii)の歪みを抑制することができる。
実施形態に係る第2の態様の点灯装置(1)では、第1の態様において、フィードバック制御は、比例積分制御であることが好ましい。
上述の点灯装置(1)は、比例積分制御において、負荷電流(Io)の制御精度を向上させ、かつ、外部電源(9)から供給される交流電流(Ii)の歪みを抑制することができる。
実施形態に係る第3の態様の点灯装置(1)では、第2の態様において、電圧フィードバックゲインは、比例制御のフィードバックゲイン及び積分制御のフィードバックゲインのうち、少なくとも比例制御のフィードバックゲインを含むことが好ましい。
上述の点灯装置(1)は、比例積分制御の電圧フィードバックゲインを調整できる。
実施形態に係る第4の態様の点灯装置(1)では、第1乃至第3の態様のいずれか一つにおいて、定常期間(T2、T4)において、電圧フィードバック制御の応答速度は、電流フィードバック制御の応答速度より遅いことが好ましい。
上述の点灯装置(1)は、電源回路(11)を力率改善回路として機能させることができる。
実施形態に係る第5の態様の点灯装置(1)では、第1乃至第4の態様のいずれか一つにおいて、電流フィードバック制御のフィードバックゲインを電流フィードバックゲインとする。定常期間(T2、T4)において、電圧フィードバックゲインは電流フィードバックゲインより小さいことが好ましい。
上述の点灯装置(1)は、電源回路(11)を力率改善回路として機能させることができる。
実施形態に係る第6の態様の点灯装置(1)では、第1乃至第5の態様のいずれか一つにおいて、電源回路(11)は、SEPIC回路を備えることが好ましい。
上述の点灯装置(1)は、SEPIC回路において、負荷電流(Io)の制御精度を向上させ、かつ、外部電源(9)から供給される交流電流(Ii)の歪みを抑制することができる。
実施形態に係る第7の態様の点灯装置(1)では、第1乃至第6の態様のいずれか一つにおいて、過渡期間(T1、T3)における電圧フィードバックゲインは、定常期間(T2、T4)における電圧フィードバックゲインの10倍以上であることが好ましい。
上述の点灯装置(1)は、負荷電流(Io)の制御精度の向上と、交流電流(Ii)の歪みの抑制との両立が容易になる。
実施形態に係る第8の態様の点灯装置(1)では、第1乃至第7の態様のいずれか一つにおいて、定常期間(T2、T4)から過渡期間(T1、T3)へ移行するとき、電圧フィードバックゲインは漸増し、過渡期間(T1、T3)から定常期間(T2、T4)へ移行するとき、電圧フィードバックゲインは漸減することが好ましい。
上述の点灯装置(1)は、電圧フィードバックゲインを緩やかに低下させることで、電圧フィードバックゲインの低下による光源(2)のちらつきの発生をより抑制できる。また、点灯装置(1)は、電圧フィードバックゲインを緩やかに増加させることで、電圧フィードバックゲインの増加による交流電流(Ii)の歪みの発生をより抑制できる。
実施形態に係る第9の態様の点灯装置(1)では、第8の態様において、電圧フィードバックゲインの時間経過に伴う変化の傾きの絶対値をゲイン傾きとする。電圧フィードバックゲインを漸増させる際のゲイン傾き(ΔKp1)と、電圧フィードバックゲインを漸減させる際のゲイン傾き(ΔKp2)とは、互いに異なることが好ましい。
上述の点灯装置(1)は、電圧フィードバックゲインの低下による光源(2)のちらつきの発生、及び電圧フィードバックゲインの増加による交流電流(Ii)の歪みの発生を、それぞれ抑制できる。
実施形態に係る第10の態様の点灯装置(1)では、第1乃至第9の態様のいずれか一つにおいて、電源回路(11)は、外部電源(9)の力率を改善する力率改善回路及び交流電圧(Vi)を直流電圧(Vo)に変換する電力変換回路として機能することが好ましい。
上述の点灯装置(1)は、力率改善回路及び電力変換回路として機能しながら、各負荷電流(Io)の制御精度を向上させ、かつ、外部電源(9)から供給される交流電流(Ii)の歪みを抑制することができる。
実施形態に係る第11の態様の照明器具(B1)は、第1乃至第10の態様のいずれか一つの点灯装置(1)と、負荷電流(Io)が流れる光源(2)と、点灯装置(1)及び光源(2)の少なくとも一方を支持する筐体(32)とを備える。
上述の照明器具(B1)は、負荷電流(Io)の制御精度を向上させ、かつ、外部電源9から供給される交流電流(Ii)の歪みを抑制することができる。
実施形態に係る第12の態様のプログラムは、コンピュータを、第1乃至第10の態様のいずれか一つの点灯装置(1)が備える制御回路(13)として機能させる。
上述のプログラムは、負荷電流(Io)の制御精度を向上させ、かつ、外部電源9から供給される交流電流(Ii)の歪みを抑制することができる。
また、上述の実施形態は本開示の一例である。このため、本開示は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外であっても、本開示に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。