JP7307470B2 - 打揚花火用紙器 - Google Patents

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本発明は、打揚花火の玉を筒に固定するための打揚花火用紙器に関する。
火薬類取締法第十九条第一項及び第二十条第二項の規定に基づき、並びに同法を実施するため、火薬類の運搬に関する総理府令を定めている。火薬類の運搬に関する内閣府令の第十二条には、「火薬類を運搬する場合には、次の各号に定める基準に従って積載しなければならない。一 運搬中において摩擦し、動揺し、又は転落することのないようにすること。二 火薬類には、防水性及び防火性の被覆をすること。」と規定されている。非特許文献1、2に示す通り、筒の底側から、導火線を付けた打揚げ火薬、打揚げ玉を仕込み、雨や異物が入らない様に蓋やカバーをしている。
近年では、図10に示す打揚装置300が使用されている。花火の打ち揚げ現場で筒301の底に玉を入れて、打揚火薬に着火させて玉を打ち揚げる。花火の打揚数の増加に対応させるため、火薬工場で筒に玉を予め入れおき、これを、打揚現場まで運搬し、そのまま、打揚火薬に着火させて玉を打ち揚げることが多くなってきている。
三遠煙火株式会社「花火の打ち揚げ」https://san-en-fireworks.com/index/information1/info5/ 加藤煙火株式会社「安全対策」http://www.katoenka.jp/company/safety_measures/index.html
打ち上げ筒の中に入っている花火玉は、押蓋や詰め物で固定している。固定した当初は問題ないが、固定後、数日してから花火現場に運送するので、時間とともに押蓋等がなじんでしまいスカスカになって固定効果がなくなる。車両で筒の中に花火玉が入った状態で運搬することが多く、車両の揺れで花火玉が筒底から浮いた状態になってしまうことがあり、浮いた状態になってしまうと打ち上げ火薬の力が十分に花火玉に伝わらず、推進力不足が生じ、低空での花火玉の開発につながるおそれがある。花火玉には、打上火薬やその他の付属品がついている場合が多く、筒底から一度浮いてしまうと筒内に引っかかってしまい、元に戻らず浮いたままになってしまう場合が多い。このように花火玉の筒内の固定には、安全のために改善すべき課題がある。筒の内側に斜めの状態で引っかかってしまうことがあり、発火時に推進力が生まれず、花火の爆発地点が低空になってしまうなどのトラブルが発生するなどの不都合が生じる。
本発明者は、打揚筒に玉を入れて運搬する場合の玉の安全性を向上させ、打揚の際のトラブルを解消する打揚花火用紙器を開発した。
本発明の打揚花火用紙器は、繊維方向が横向きになっている、横長の厚紙からなり、厚紙の短手方向に設けられる折り目と、厚紙の下辺に長手方向に沿って設ける弧状の切欠と、を備え、前記折り目で折り曲げることができ、前記切欠が打揚花火用の玉の上半球の表面と当接し、前記厚紙の左辺と右辺で打揚花火用の筒の内壁を押し付けることにより、前記玉が前記筒に固定されることを特徴とする。
「横長の厚紙」は短辺と長辺を備える厚紙である。「折り目」は単数、複数のいずれも含む。前記折り目が前記切欠の端部から延び出すことが好ましい。
前記厚紙を一対の第1厚紙と第2厚紙とし、第1厚紙の前記切欠のある辺、及び、第2厚紙の前記切欠のある辺に対向する辺に、それぞれ、短手方向に第1スリットと第2スリットを設け、前記第1スリットと第2スリットが嵌合できることが好ましい。
「厚紙」は、花火に使用される厚紙であり、厚さの範囲は、当業者が適宜選択することができる。厚さが0.3~3mm、例えば、0.98mmが例示されるが、制限されるわけではない。対応する玉皮の寸法で、2.5号玉、3号玉、4号玉等、適宜の大きさに対応するものを選択可能であり、2号~40号まで可能である。
「繊維方向」は、繊維の流れる方向(すき目)によって、縦目(T目)と横目(Y目)がある。横長の厚紙で繊維方向が横向きとは、縦目(長辺に沿って繊維が流れる)であることをいう。
「折り目」は厚紙の表面に圧力を加えること等により、凹凸を設けるか、カッターで切込みを入れるなどによって設けられたものである。
「切欠」の輪郭は、左右対称の形状が好ましい。
「折り目」と「切欠の端部」との位置関係は適宜設定できるが、折り目が切欠の端部から延び出すことが好ましい。
「第1スリット」と「第2スリット」を嵌合することで、2枚の厚紙で玉を筒に固定できるので、玉の固定力を増強させることができる。玉の大型化にも対応できる。
本発明の打揚花火用紙器により、打揚筒に玉を入れて運搬する場合の玉の安全性を向上させ、打揚の際のトラブルを解消することができる。
本発明実施形態1の打揚花火用紙器1の斜視図である。 同じく折り曲げた状態の斜視図である。 本発明実施形態1の打揚花火用紙器1が適用される花火の運搬状態を示す一部断面図である(打上火薬やその他の付属品は図示を略す)。 図3のIV-IV断面図である。 (a)(b)は、本発明実施形態1の打揚花火用紙器1が適用される花火の打揚状態を示す一部断面図である(その他の付属品は図示を略す)。 比較例の斜視図である。 比較例の使用状態の一部断面図である。 (a)(b)は、本発明実施形態2の打揚花火用紙器201の正面図である。 同じく使用状態の斜視図である。 本発明実施形態の打揚花火用紙器が適用される打揚筒の斜視図である。
本発明の第1実施形態の打揚花火用紙器1は、この実施形態では、5号の打揚花火用の玉100に適用される打揚花火用紙器1の例を挙げて説明するが、打揚花火用紙器1のサイズは限定されることはなく、適宜、選択可能である。
打揚花火用紙器1は、繊維方向が横向き(長手方向X)になっている、横長の厚紙であり、上辺1a、下辺1b、左辺1c、右辺1dの略長方形であり、厚紙の短手方向Yに設けられる2つの折り目2a、2bと、厚紙の下辺1bに長手方向Xに沿って設ける弧状の切欠3と、を備えている。図2に示す通り、折り目2a、2bでそれぞれ長手方向Xに2つ折りにして、折り曲げることができることを特徴とする。
切欠3の弧の曲率は、使用する玉100の弧の曲率と一致している。切欠3は玉100の上半球の表面と当接できる。
図1、図2に示す通り、折り目2a、2bが切欠3の端部3a、3bから延び出す構造である。
打揚花火用紙器1の製造方法について説明する。
金型を有するプレス機に長方形状の厚紙を置き、プレス機で厚紙を押圧して、折り目2a、2bを設ける。プレス機で、厚紙の下辺の一部を打ち抜いて切断し、切欠3を設ける。このようにして、打揚花火用紙器1が完成する。
図10に示す打揚装置300は、複数の立設された円筒形の筒301と、筒301に被着可能な蓋302と、筒301を上部で連結する第1枠303と、筒301を下部で連結する第2枠304と、から構成される。
打ち揚げ花火には、主に、a.単発打ち揚げ(単独の打揚筒に打揚火薬と花火玉を入れ、点火は速火線、電気によるほか、火種(落し火)を落とし、一発ずつ打ち揚げる、b.連続打ち揚げ(振り込み式等)(複数の打揚筒に打揚火薬と花火玉を入れておき、点火は速火線、導火線、電気によるほか、その他の火種を直接打揚筒内に落とし、連続して打ち揚げる)の2種類がある。
打揚花火用紙器1の使用方法について図3、図5を参照して説明する。図3は玉100を打揚筒301に収容した状態での運搬状態を示すものである。打揚火薬400を筒301の底に置き、その上に、玉100を置く。打揚花火用紙器1の折れ目2a、2bで折り曲げた状態で、切欠3を玉100の上半球に当接させる。折れ目2a、2bで折り曲げたことから、厚紙を拡開させようとする、ばね復元力が生じて、左辺1c、右辺1dで打揚筒301の内壁を押し付けることで、玉100を確実に固定できる。打揚火薬400と導火線450が接続する。
図6、図7に示す比較例の打揚花火用紙器500を説明する。打揚花火用紙器500は、厚紙の円板をプレス成型によって、皿形状に成形したものである。
実施形態1の打揚花火用紙器1によれば、比較例500と対比しつつ、以下の効果がある。
(1)比較例500は繊維方向とは無関係であるので、バネとは無関係であるが、打揚花火用紙器1は、繊維方向が横向きになっていて、折り曲げた時はバネが効くようになっている。
(2)もう一点は、比較例500は蓋形状であるため、打ちあがったときに圧がかかって遠くまで飛んで行ってしまい、ゴミの回収が難しいが、打揚花火用紙器1は厚紙で折り曲げられ、短手方向が筒301の中心軸方向に平行であるので、打揚に伴い飛んでも近場に落ちるのでゴミの回収がしやすい。
(3)比較例500では嵩張るが、打揚花火用紙器1は平積みにできるので、発送や保管などに便利である。
(4)比較例500では円形の厚紙から作るので、無駄なゴミが出るが、打揚花火用紙器1は横長の略長方形であるので、紙の面積が少なく、厚紙から効率よく取れるので、無駄なゴミが出ない。
(5)比較例500では嵌め込むのに技術がいるが、打揚花火用紙器1は折り曲げて押し込むだけであるので、誰がやっても簡単に装着できる。
(6)比較例500では、玉100の固定が緩んで玉100が筒301の中途半端なところからだと、助走距離が少なくなり、圧力不十分で低く揚がると、安全性が低くなるが、打揚花火用紙器1は玉100の固定力が大きいので、助走距離が長く、圧力が十分で高く揚がると、安全性が高くなる。
(7)比較例500を使用時は、移動時に花火玉が筒底から浮いてしまう可能性が増える。その状態で打ち揚げてしまうと、花火玉への着火ミスが起こる可能性が増え黒玉といって火がつかないで落ちてきてしまう(不発弾)現象を招くことがある。打揚花火用紙器1では、花火玉が筒底から浮くことを防げるので黒玉が発生する可能性が減る。
(8)比較例500は、蓋形状のため、火種の邪魔になり、火種によって点火する方式には適用できないが、本発明では、上方から見たときに、隙間ができるので、隙間から火種を落とすことができ、速火線、導火線または電気による点火、火種による点火のいずれの方式にも適用できる。
本発明の第2実施形態の打揚花火用紙器201は、第1実施形態の打揚花火用紙器1と共通する構成を有するので、部品の符号は前記実施形態の200番台とし、説明は援用し、相違点を主に説明する。
第2実施形態の打揚花火用紙器201は、図8に示す通り、厚紙を一対の第1厚紙201Aと第2厚紙201Bとし、第1厚紙201Aの切欠203-1のある辺、及び、第2厚紙201Bの203-2のある辺に対向する辺に、それぞれ、短手方向に第1スリット204-1と第2スリット204-2を設けている。
図9に示す通り、第1厚紙201Aと第2厚紙201Bを折り曲げて、第1スリット204-1と第2スリット204-2を嵌合させ、平面視で、十字状に重ね、卍形状の構造とする。打揚花火用紙器201は、打揚花火用紙器1に比べて、玉100の固定力が増大する。玉100が大きなサイズになる場合にも対応することができる。
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、改変等を加えることが出来るものであり、それらの改変、均等物等も本発明の技術的範囲に含まれることとなる。
1・・・打揚花火用紙器
1a・・・上辺
1b・・・下辺
1c・・・左辺
1d・・・右辺
X・・・長手方向
Y・・・短手方向
2a、2b・・・折り目
3・・・切欠
100・・・玉
3a、3b・・・端部
300・・・打揚装置
301・・・筒
302・・・蓋
303・・・第1枠
304・・・第2枠
400・・・打揚火薬
450・・・導火線
500・・・打揚花火用紙器
201・・・打揚花火用紙器
201A・・・第1厚紙
201B・・・第2厚紙
201a-1、201a-2・・・上辺
201b-1、201b-2・・・下辺
201c-1、201c-2、・・・左辺
201d-1、201d-2・・・右辺
202a-1、202a-2、202b-1、202b-2・・・折り目
203-1、203-2・・・切欠
204-1・・・第1スリット
204-2・・・第2スリット

Claims (3)

  1. 繊維方向が横向きになっている、横長の厚紙からなり、
    厚紙の短手方向に設けられる折り目と、
    厚紙の下辺に長手方向に沿って設ける弧状の切欠と、
    を備え、前記折り目で折り曲げることができ
    前記切欠が打揚花火用の玉の上半球の表面と当接し、前記厚紙の左辺と右辺で打揚花火用の筒の内壁を押し付けることにより、前記玉が前記筒に固定されることを特徴とする打揚花火用紙器。
  2. 前記折り目が前記切欠の端部から延び出す請求項1の打揚花火用紙器。
  3. 前記厚紙を一対の第1厚紙と第2厚紙とし、第1厚紙の前記切欠のある辺、及び、第2厚紙の前記切欠のある辺に対向する辺に、それぞれ、短手方向に第1スリットと第2スリットを設け、前記第1スリットと第2スリットが嵌合できる請求項1の打揚花火用紙器。
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