JP7305989B2 - 液体吐出装置用のカートリッジ及び液体吐出装置 - Google Patents
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Description
本発明の液体吐出装置用のカートリッジは、液体を収容する液体収容部と、前記液体収容部から液体吐出装置に液体を供給する液体供給口と、前記液体収容部の端部を、前記液体供給口がある側へと押圧するための弾性部材と、を有し、前記液体の粘度が、25℃で7.5[mPa・s]以上であり、前記弾性部材の復元力が1.5N以上であり、更に必要に応じてその他の部材を有する。
前記液体収容部は、液体を収容する部材であり、液体を液体吐出装置に供給する液体供給口を有する。
前記液体収容部は、前記弾性部材から押圧されることにより、内部に収容される前記液体が前記液体供給口から外部へ排出されるため、変形可能な形状が好ましい。
前記液体収容部の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、袋状、パック状などが挙げられる。
前記液体収容部の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム(アルミ)、樹脂フィルムなどが挙げられる。
前記液体供給口としては、前記液体収容部の内部に収容される前記液体が外部へ供給できれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記カートリッジは、液体収容部の端部を、液体供給口がある側へと押圧するための弾性部材を有する。
前記弾性部材は、液体収容部の外部に備えられ、液体収容部を変形させることにより、液体収容部の外部から間接的に液体を移動させることができる。
前記弾性部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、回転可能な軸、板バネ、押圧部材、挟み部材などが挙げられる。
前記回転可能な軸としては、例えば、円筒部材などが挙げられる。
前記円筒部材としては、例えば、車輪型の回転可能な軸、棒状の回転可能な軸(ローラー)などが挙げられる。
前記板バネとしては、例えば、巻き込み型の板バネ、押圧型の板バネなどが挙げられる。
前記挟み部材としては、例えば、液体収容部の長手方向に対して直行する方向から液体収容部を挟み込み、液体収容部に沿って液体供給口の方向に前記摺動することで液体収容部を絞りこむ部材などが挙げられる。具体的には、液体収容部の幅と略同じ幅に切り込みを設けた板材などが挙げられる。なお、上述の回転可能な軸を、液体収容部を挟み込むように複数個設置することで挟み部材としてもよい。
これらの弾性部材は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、これらを組み合せて使用してもよい。
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カートリッジケース、制御手段などが挙げられる。
カートリッジケースとしては、その大きさ、形状、構造、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記形状としては、液体収容部の形状に合わせて形成することができる。
カートリッジケースの材質としては、特に制限はなく、寸法精度がよいものが好ましく、例えば、樹脂が好適に挙げられ、例えば、ポリエステル樹脂,ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル酸、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂などが挙げられる。
図2のカートリッジ20は、弾性部材3として円筒部材である車輪型の回転可能な軸を用いている。弾性部材3は、本実施形態においては円筒形状の部材であり、カートリッジケース11内において、液体供給口1が設けられた位置と反対側の端部近傍に配置されている。そして、液体の消費に伴って液体供給口1側へと徐々に移動することで、液体収容部2内の液体を液体供給口1側へと押し出す。なお、弾性部材3の移動方法は特に限定されない。例えば、カートリッジケース11の長手方向に沿ってカートリッジケース11の内面に巻取りバネ(板バネが好ましい)を設け、巻取りバネが弾性部材3に対して液体供給口1に向かう力を付与し、弾性部材3を液体収容部2の端部付近に常に押し付けていれば、液体の消費に伴って弾性部材3が液体供給口1側へと移動させることができる。また、カートリッジケース11内の長手方向端部にバネを設け、弾性部材3を押圧するような構成でもよい。
カートリッジ使用開始時の液体収容部2は、最大容量の液体を収容しているため、液体の体積により膨張している。そのため、弾性部材3としての押圧型の板バネは、カートリッジ使用開始時においては、液体収容部2により折り畳まれた状態になっている。弾性部材3としての押圧型の板バネは、液体収容部2に収容する液体の消費に伴って、即ち、液体収容部2内の液体の体積の減少に伴って、元の伸びた状態に戻ろうとするため、液体収容部2を押圧する。これにより、液体収容部2内の液体が消費されても、即ち、液体収容部2内の液体の体積が減少しても、残存する液体が弾性部材3としての押圧型の板バネにより液体供給口1の方向に移動させられていくため、液体収容部2内の液体を効率よく液体供給口1に導くことができるが、液体の粘度が高い場合、特に顔料等の分散体を多く含み、液体自体が構造粘性を持つような場合には、液体収容部2を巻き取って内部の液体を液体供給口1から押し出す力が不足しやすく、液体の供給が不十分となり、その結果として正常な吐出ができない状態に至る。特に、液体自体が構造粘性を持つような場合は、液体の静置により粘度が上昇した場合に、供給不良が顕在化しやすい。そこで、本実施形態においては、図5では復元力が1.6Nであり、十分な復元力を有する弾性部材3としての押圧型の板バネ、図6では、復元力が5.2Nであり、極めて強い復元力を有する弾性部材3としての押圧型の板バネを用いることにより、液体収容部2を巻き取り押し出すことで、液体の供給を滞りなく行うことができ、正常な吐出を安定して行うことができるようになるため、安定して地肌色の隠蔽ができるようになる。
カートリッジ使用開始時の液体収容部2は、最大容量の液体を収容しているため、液体の体積により膨張している。そのため、弾性部材3としての挟み部材は、カートリッジ使用開始時においては、液体収容部2の端部に配置された接触した状態になっている。弾性部材3としての挟み部材は、液体収容部2に収容する液体の消費に伴って、即ち、液体収容部2内の液体の体積の減少に伴って、液体供給口1の方向へ液体収容部2に沿って摺動する。弾性部材3としての挟み部材が液体供給口1の方向へ液体収容部2に沿って摺動することにより、液体収容部2を絞りこむ。これにより、液体収容部2内の液体が消費されても、即ち、液体収容部2内の液体の体積が減少しても、残存する液体が弾性部材3としての挟み部材により液体供給口1の方向に移動させられていくため、液体収容部2の内の液体を効率よく液体供給口1に導くことができる。そのため、インクカートリッジ使用終了時におけるインクカートリッジ内に残存するインクの量を少なくすることができるが、弾性部材3としての挟み部材は復元力が1.3Nしかないので、液体の粘度が高い場合、特に顔料等の分散体を多く含み、液体自体が構造粘性を持つような場合には、液体収容部2を巻き取って内部の液体を液体供給口1から押し出す力が不足しやすく、液体の供給が不十分となり、その結果として、正常な吐出ができない状態に至るおそれがある。
液体としては、液体吐出装置で吐出可能な液体であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、インク、インクジェット用インク、光重合性インク、前処理液、定着処理液、レジスト、パターン形成材料などが挙げられる。これらの中でも、インクジェット用インクが特に好ましい。
液体の粘度は、回転式粘度計(東機産業株式会社製、RE-80L)を使用し測定した値で規定される。測定温度は25℃、標準コーンローター(1°34’×R24)を使用し、サンプル液量1.2mL、回転数50rpmとし、回転開始から3分後の値を読み取る。
以下、インクに用いる有機溶剤、水、色材、樹脂、添加剤等について説明する。
本発明に使用する有機溶剤としては、特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、エチル-1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ブタントリオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ε-カプロラクタム、γ-ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレンなどが挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
前記一般式(I)で表されるアミド化合物としては、例えば、エクアミドM100、エクアミドB100(いずれも、出光興産株式会社製)などが挙げられる。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
本発明において、白インクに使用する色材は白色顔料を使用する。白色顔料としては無機顔料あるいは有機樹脂粒子を使用することができ、単独あるいは2種以上併用することができる。
無機顔料としては、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化ケイ素、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。有機樹脂粒子としては、樹脂粒子中に上記無機顔料を分散してなるものや樹脂中空粒子が挙げられる。これらの中で、隠蔽性やインク中での分散安定性の観点から、酸化チタン、酸化ケイ素が好ましい。また、無機顔料粒子として、中空の粒子も使用することができる。
また、白色として赤、青、黄色などの有色を加味するために、白色以外の色材を併用してもよい。白色以外の色材としては特に限定されず、顔料、染料を使用可能である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、混晶を使用してもよい。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンダ顔料、シアン顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
無機顔料として、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
また、有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性のよいものが好ましく用いられる。
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、又は銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられる。
更に、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36などが挙げられる。
前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35などが挙げられる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えばカーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加することで、水中に分散可能とする方法が挙げられる。
顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能とする方法が挙げられる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、インクに配合される顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料がインク中に分散していてもよい。
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。
分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。
竹本油脂株式会社製RT-100(ノニオン系界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。
分散剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
顔料に、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを得ることが可能である。また、顔料と、その他水や分散剤などを混合して顔料分散体としたものに、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを製造することも可能である。
前記顔料分散体は、水、顔料、顔料分散剤、必要に応じてその他の成分を混合、分散し、粒径を調整して得られる。分散は分散機を用いるとよい。
顔料分散体における顔料の粒径については特に制限はないが、顔料の分散安定性が良好となり、吐出安定性、画像濃度などの画像品質も高くなる点から、最大個数換算で最大頻度は、20nm以上500nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。顔料の粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記顔料分散体における顔料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な吐出安定性が得られ、また、画像濃度を高める点から、0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましい。
前記顔料分散体は、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
インク中に含有する樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いてもよい。樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、色材や有機溶剤などの材料と混合してインクを得ることが可能である。前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。また、これらは、1種を単独で用いても、2種類以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
インクには、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えてもよい。
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物などが挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩などが挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3などが挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学株式会社などから入手できる。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。
これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、特に下記一般式(F-1)及び一般式(F-2)で表されるフッ素系界面活性剤が好ましい。
CnF2n+1-CH2CH(OH)CH2-O-(CH2CH2O)a-Y
上記一般式(F-2)で表される化合物において、YはH、又はCmF2m+1でmは1~6の整数、又はCH2CH(OH)CH2-CmF2m+1でmは4~6の整数、又はCpH2p+1でpは1~19の整数である。nは1~6の整数である。aは4~14の整数である。
前記市販品としては、例えば、サーフロンS-111、S-112、S-113、S-121、S-131、S-132、S-141、S-145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC-93、FC-95、FC-98、FC-129、FC-135、FC-170C、FC-430、FC-431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF-470、F-1405、F-474(いずれも、DIC株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN-100、FSN、FSO-100、FSO、FS-300、UR、キャプストーンFS-30、FS-31、FS-3100、FS-34、FS-35(いずれも、Chemours社製);FT-110、FT-250、FT-251、FT-400S、FT-150、FT-400SW(いずれも、株式会社ネオス製)、ポリフォックスPF-136A,PF-156A、PF-151N、PF-154、PF-159(オムノバ社製)、ユニダインDSN-403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、Chemours社製のFS-3100、FS-34、FS-300、株式会社ネオス製のFT-110、FT-250、FT-251、FT-400S、FT-150、FT-400SW、オムノバ社製のポリフォックスPF-151N及びダイキン工業株式会社製のユニダインDSN-403Nが特に好ましい。
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンなどが挙げられる。
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材や無機酸化物部材の腐食防止の観点から、7~12が好ましく、8~11がより好ましい。
前処理液は、凝集剤、有機溶剤、水を含有し、必要に応じて界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤等を含有してもよい。
有機溶剤、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤は、インクに用いる材料と同様の材料を使用でき、その他、公知の処理液に用いられる材料を使用できる。
凝集剤の種類は特に限定されず、水溶性カチオンポリマー、酸、多価金属塩等が挙げられる。
後処理液は、透明な層を形成することが可能であれば、特に限定されない。後処理液は、有機溶剤、水、樹脂、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤等、必要に応じて選択し、混合して得られる。また、後処理液は、記録媒体に形成された記録領域の全域に塗布してもよいし、インク像が形成された領域のみに塗布してもよい。
記録媒体としては、Tシャツなど衣料用等の布、テキスタイル、皮革等を適宜使用することができる。またこれら以外にも、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、汎用印刷紙、壁紙、床材、タイル等の建材、セラミックスやガラス、金属などを使用することもできる。
<酸化チタン顔料分散液の調製>
ビーカー中でアクリルコポリマー(DISPERBYK-2008、BYK社製、有効成分60質量%)37.0gを高純水100.0gに溶解させ、酸化チタン(JR-600A、テイカ社製、一次粒子径250nm)30.0gを添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所製、エクセルオートホモジナイザー)で5,000rpmで30分間、次いで10,000rpmで30分間分散を行った。
得られた酸化チタン顔料分散液を水冷しながら超音波ホモジナイザー(日本精機製作所製、US-300T、チップ直径26mm)にて200μAで1時間分散を行った。その後、平均孔径5μmのメンブランフィルター(セルロースアセテート膜)にて濾過を行い、酸化チタン顔料が18.0質量%の[酸化チタン顔料分散液]を得た。
<ポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンの調製>
撹拌機、還流冷却管、及び温度計を挿入した反応容器に、ポリカーボネートジオール(1,6-ヘキサンジオールとジメチルカーボネートの反応生成物)1,500g、2,2-ジメチロールプロピオン酸(DMPA)220g、及び、N-メチルピロリドン(NMP)1347gを窒素気流下で仕込み、60℃に加熱してDMPAを溶解させた。
次いで、反応容器に、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを1,445g、ジブチルスズジラウリレート(触媒)を2.6g加えて90℃まで加熱し、5時間かけてウレタン化反応を行い、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得た。
次いで、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを含む反応混合物を80℃まで冷却し、これにトリエチルアミン151gを添加・混合したものの中から4,340gを抜き出して、強撹拌しつつ高純水5,100g及びトリエチルアミン14gの混合溶液の中に加えた。
次いで、高純水にて作成した氷1,800gを投入し、35質量%の2-メチル-1,5-ペンタンジアミン水溶液626gを加えて鎖延長反応を行い、固形分濃度が30質量%となるように溶媒を留去して、ポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンを得た。
まず、ビーカー内に以下の組成を投入し、1時間撹拌を行い、均一に混合した。
・界面活性剤(ソフタノールEP-5035、株式会社日本触媒製):1.9質量部
・1,4-ブタンジオール:17.5質量部
・防腐防黴剤(アビシア社製、プロキセルLV):0.1質量部
・下記構造式(I)で示されるアミド化合物:1.7質量部
・上記酸化チタン顔料分散液:45.4質量部
・上記ポリカーボネート変性ウレタン樹脂エマルジョン:25.0質量部
白インクの製造例1において、表1に示すインク組成に変更した以外は、白インクの製造例1と同様にして、白インク2~7を作製した。
インクの25℃での粘度は、回転式粘度計(東機産業株式会社製、RE-80L)を用い、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpmの条件で粘度測定を行い、ローター回転開始から3分後の値を読み取った。
下記の表2に示す弾性部材1~6を有するカートリッジを準備した。弾性部材1~6は図2~図7に対応し、これらの詳細な内容については、上述したとおりである。
弾性部材の復元力を以下のようにして測定した。結果を表2に示した。
インク収容袋をカートリッジから取り除き、各弾性部材をカートリッジの端部側に配置し、この状態でダイヤルゲージを用いて、各弾性部材の高さ方向における中心部分での押圧力を測定し、これを弾性部材の復元力とした。
具体的には、図2、3、4、7の実施形態においては、インク収容袋をカートリッジから取り除き、各弾性部材をカートリッジの端部側に配置し、この状態でダイヤルゲージを用いて、各弾性部材の高さ方向における中心部分での押圧力を測定し、これを弾性部材の復元力とした。即ち、各図中のA方向における力を復元力とした。
図5、6の実施形態においては、図中のA方向と直交する方向(垂直方向)における力を測定した。なお、弾性部材の構成によっては、測定部位によって復元力が異なるが、この場合は最も大きい値を復元力とした。
<印刷>
得られた白インク1を、インク収容部としてのインク収容袋(容積:600mL、アルミニウム製)に収容した。次に、前記インク収容袋を、図2に示すカートリッジ20に装着した。このとき、インク収容袋のインク供給口1を、前記カートリッジ20に接続し、インクが漏れないように装着した上で、長手方向に50回振った後、前記カートリッジ20をインク吐出装置(装置名:SC-F2150、セイコーエプソン株式会社製)のWHスロットに装填した。なお、図2に示すカートリッジ20には弾性部材3として円筒部材である車輪型の回転可能な軸が用いられており、その復元力は2.1Nである。
記録媒体としての布(商品名:ドライカラーVネックT(半袖)、商品番号:408965 ブラック、株式会社ユニクロ製)へ、ホワイトインクモード、Tシャツタイプを「黒色Tシャツ(生地黒色利用)」に設定し、406mm×508mmの白画像を5枚続けて印刷し、単色のベタ画像を得た。インク吐出装置を2時間静置した後、同じ画像を同様に1枚印字した。得られた6枚の画像について、以下の基準で、白隠蔽性を評価した。
[白隠蔽性]
◎:下地部の色が全く見えず印字部は全面白色である
〇:下地部の色がわずかに見えるが概ね印字部は白色である
△:下地部の色が明らかにわかるが、地肌部が露出している部分は見られない
×:下地部の露出している部分が見られる
印刷評価後、インクカートリッジをインク吐出装置から取り外し、長手方向に10回振った後に再びインク吐出装置に装着する動作(脱着操作)を2回行った後、インクカートリッジをインク吐出装置から取り外し、インクカートリッジのインク供給口の様子を観察しインクの溢れ状態を確認した。更に、脱着操作を8回行い(合計10回)、インクカートリッジのインク供給口の様子を観察しインクの溢れ状態を確認した。2回の観察の結果によりインク溢れのしやすさを評価した。
[評価基準]
◎:10回の脱着でも、全く溢れは見られない
〇:2回の脱着ではインクの溢れが見られないが、20回の脱着で溢れが見られる
△:2回の脱着で若干の溢れが見られる
×:2回の脱着でインクが供給口から溢れる
実施例1において、インク及びカートリッジの弾性部材を表3の組み合わせとした以外は、実施例1と同様にして、実施例2~12及び比較例1~2のインク吐出装置を組み立て、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表3に示した。
弾性部材の復元力が5.0Nを超えると、復元力が高すぎてインクカートリッジのインク供給口からインク溢れが発生しやすいことがわかった。
<1> 液体を収容する液体収容部と、
前記液体収容部から液体吐出装置に液体を供給する液体供給口と、
前記液体収容部の端部を、前記液体供給口がある側へと押圧するための弾性部材と、
を有し、
前記液体の粘度が、25℃で7.5[mPa・s]以上であり、
前記弾性部材の復元力が1.5N以上であることを特徴とする液体吐出装置用のカートリッジである。
<2> 前記液体の粘度が、25℃で15[mPa・s]以下である前記<1>に記載の液体吐出装置用のカートリッジである。
<3> 前記弾性部材の復元力が5.0N以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載の液体吐出装置用のカートリッジである。
<4> 前記液体が、白インクである前記<1>から<3>のいずれかに記載の液体吐出装置用のカートリッジである。
<5> 前記<1>から<4>のいずれかに記載の液体吐出装置用のカートリッジを有することを特徴とする液体吐出装置である。
401 画像形成装置の外装
401c 装置本体のカバー
404 カートリッジホルダ
410 メインタンク
410k、410c、410m、410y、410w ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ホワイト(W)の各色用のメインタンク
411 インク収容部
413 インク供給口
414 収容容器ケース
420 機構部
434 吐出ヘッド
436 供給チューブ
Claims (6)
- 液体を収容する液体収容部と、
前記液体収容部から液体吐出装置に液体を供給する液体供給口と、
前記液体収容部の端部を、前記液体供給口がある側へと押圧するための弾性部材と、
を有し、
前記液体の粘度が、25℃で7.5[mPa・s]以上であり、
前記弾性部材がカートリッジの一端部から他端部にかけて押圧する部材であり、
前記液体収容部をカートリッジから取り除き、前記弾性部材をカートリッジの端部側に配置し、この状態でダイヤルゲージを用いて測定した、前記弾性部材の高さ方向における中心部分での前記液体供給口がある側方向への押圧力である前記弾性部材の復元力が1.5N以上であることを特徴とする液体吐出装置用のカートリッジ。 - 液体を収容する液体収容部と、
前記液体収容部から液体吐出装置に液体を供給する液体供給口と、
前記液体収容部の端部を、前記液体供給口がある側へと押圧するための弾性部材と、
を有し、
前記液体の粘度が、25℃で7.5[mPa・s]以上であり、
前記弾性部材がカートリッジの後端部を前記カートリッジの上下方向から押圧する部材であり、
前記弾性部材における前記液体供給口がある側方向と直交する方向の力を、測定部位を変えて測定した最大値である前記弾性部材の復元力が1.5N以上であることを特徴とする液体吐出装置用のカートリッジ。 - 前記液体の粘度が、25℃で15[mPa・s]以下である請求項1から2のいずれかに記載の液体吐出装置用のカートリッジ。
- 前記弾性部材の復元力が5.0N以下である請求項1から3のいずれかに記載の液体吐出装置用のカートリッジ。
- 前記液体が、白インクである請求項1から4のいずれかに記載の液体吐出装置用のカートリッジ。
- 請求項1から5のいずれかに記載の液体吐出装置用のカートリッジを有することを特徴とする液体吐出装置。
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