以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、車両異常判定システムSの概略的な構成を示した説明図である。車両異常判定システムSは、情報端末10aを有する第1車両10と、情報端末30aを有する第2車両30と、通信基地局50aを有する通信網50と、サーバ装置100とを含んで構成される。
第1車両10は、複数の動力源(エンジンおよびモータ)を備えたハイブリッド自動車で構成される。第2車両30は、第1車両10と同様に、複数の動力源(エンジンおよびモータ)を備えたハイブリッド自動車で構成される。ここで、第2車両30は、第1車両10と同型あるいは同系の車両であり、動力源を含む主たる部品が第1車両10と共通する車両である。なお、図1では、車両異常判定システムSに3台の第2車両30が含まれる例について示しているが、第2車両30の台数はこれに限定されない。例えば、車両異常判定システムSには、2以上の複数台の第2車両30が含まれてもよいし、1台(単数)のみの第2車両30が含まれてもよい。
情報端末10a、30aは、通信基地局50aおよび通信網50を介してサーバ装置100との通信を確立することができ、専用の画像を表示可能な電子機器を広く含む。情報端末10aとしては、例えば、スマートフォン、携帯電話、パーソナルコンピュータ、専用端末、さらには、ナビゲーションシステムを有する車両情報端末等が挙げられる。本実施形態では、情報端末10a、30aとして、ナビゲーションシステムを有する車両情報端末が用いられる場合について説明する。
通信基地局50aは、通信網50と接続され、情報端末10a、30aと無線により情報の送受信を行う。また、通信基地局50aは、情報端末10a、30aから無線により送信された情報を、通信網50を介してサーバ装置100に送信する。また、通信基地局50aは、サーバ装置100で生成された情報を情報端末10a、30aに送信する。通信網50は、携帯電話網、インターネット、LAN(Local Area Network)、専用回線等で構成され、通信基地局50aを介して情報端末10a、30aとサーバ装置100との通信を接続する。
サーバ装置100は、情報端末10a、30aから入力された情報(データ)を蓄積する。また、詳しくは後述するが、サーバ装置100は、蓄積された情報から、第1車両10の車両異常判定を行う。
図2は、第1車両10の概略的な構成を示した説明図である。なお、第2車両30は、第1車両10と同様の構成を備えているため、以下では、第1車両10の構成について詳細に説明し、第2車両30の構成については説明を省略する。
図2に示すように、第1車両10は、情報端末10aと、エンジン13と、モータ15と、各種センサ17と、ECU19とを含んで構成される。情報端末10aの詳細な説明については後述する。
エンジン13は、燃料を燃焼して生成される熱エネルギーをピストンの往復運動に変換し、回転運動として出力する原動機である。モータ15は、バッテリ(不図示)から供給される電気エネルギー(電力)を回転運動として出力する原動機である。このように、第1車両10は、エンジン13およびモータ15を動力源として走行するハイブリッド自動車で構成される。
各種センサ17は、複数種類のセンサを含んで構成される。各種センサ17は、第1車両10の周辺環境状態、車両状態や走行状態を検出する。各種センサ17は、ECU19に接続されており、検出値を示す信号をECU19に出力する。各種センサ17の詳細な説明については後述する。
ECU19は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含むマイクロコンピュータでなり、第1車両10全体を統括制御する。
図3は、情報端末10aの概略的な構成を示したブロック図である。図3に示すように、情報端末10aは、端末表示部301と、端末操作部303と、端末通信部305と、端末記憶装置307と、端末制御部309とを備える。
端末表示部301は、液晶ディスプレイで構成され、端末制御部309の制御によってさまざまな画像が表示される。
端末操作部303は、情報端末10aの操作を受け付けるものであり、ボタンや端末表示部301に設けられるタッチパネル、あるいはこれらの組み合わせで構成される。ここでは、端末操作部303がタッチパネルで構成される場合について説明する。ただし、端末操作部303は、ユーザの操作を受け付けることができれば、その構成は特に限定されるものではない。
端末通信部305は、外部への情報の出力、および、外部からの情報の入力に係る処理を行う。端末通信部305は、情報端末10aから外部に情報を送信する際に送信部として機能し、外部から情報端末10aに情報を受信する際に受信部として機能する。
端末記憶装置307は、第1車両10に関する第1車両データを記憶する。第1車両データは、車高、全長、全幅、車種タイプ、メーカー、車両識別番号等に関する情報、第1車両10に搭載される各部品に関する情報、各種センサ17により検出されるさまざまな情報を含む。
なお、第2車両30に備えられる情報端末30aに含まれる端末記憶装置307は、第2車両30に関する第2車両データを記憶する。第2車両データは、車高、全長、全幅、車種タイプ、メーカー、車両識別番号等に関する情報、第2車両30に搭載される各部品に関する情報、各種センサ17により検出されるさまざまな情報を含む。
端末制御部309は、情報端末10aの全体を制御する。端末制御部309は、情報取得部309aおよび表示制御部309bとして機能する。
情報取得部309aは、外部から送信される情報を取得する。表示制御部309bは、端末表示部301における画像の表示制御を行う。
各種センサ17は、車速センサ311と、アクセル開度センサ313と、バッテリ状態検出センサ315と、外気温センサ317と、大気圧センサ319と、湿度計321と、GNSS(Global Navigation Satellite System)センサ323と、走行距離計325と、燃費計327と、加速度センサ329と、ブレーキ開度センサ331とを含んで構成される。
車速センサ311は、第1車両10の車速を検出する。アクセル開度センサ313は、第1車両10のアクセルペダル(不図示)の開度を検出する。バッテリ状態検出センサ315は、第1車両10のバッテリ(不図示)の充電率(以下、単にSOC:States Of Chargeという)を検出する。
外気温センサ317は、第1車両10の外部の気温(外気温)を検出する。大気圧センサ319は、第1車両10の外部の気圧(大気圧)を検出する。湿度計321は、第1車両10の外部の湿度を検出する。GNSSセンサ323は、第1車両10の位置(緯度、経度)を検出する。
走行距離計325は、第1車両10の総走行距離を検出する。燃費計327は、第1車両10の燃費(平均燃費)を検出する。加速度センサ329は、第1車両10の加速度を検出する。ブレーキ開度センサ331は、第1車両10のブレーキペダル(不図示)の開度を検出する。
各種センサ17は、端末制御部309に接続されており、検出値を示す信号を端末制御部309に出力する。情報取得部309aは、各種センサ17から出力された検出値を示す信号を取得する。端末通信部305は、各種センサ17から出力された検出値を示す信号を含む第1車両データをサーバ装置100に出力する。
図4は、サーバ装置100の概略的な構成を示したブロック図である。図4に示すように、サーバ装置100は、サーバ通信部401、サーバ記憶装置(記憶部)403、サーバ制御部405を備える。
サーバ通信部401は、外部への情報の出力、および、外部からの情報の入力に係る処理を行う。具体的に、サーバ通信部401は、情報端末10a、30aから出力される第1車両データおよび第2車両データを受信する。また、サーバ通信部401は、後述する異常判定信号や第2車両データを情報端末10aに出力する。
サーバ記憶装置403は、サーバ通信部401が受信した情報を記憶する。例えば、サーバ記憶装置403は、情報端末10a、30aから出力された第1車両データおよび第2車両データを記憶する。
サーバ制御部405は、第1車両データおよび第2車両データに基づいて、第1車両10の車両異常判定処理を行う。車両異常判定処理の詳細については後述する。サーバ制御部405は、車両異常判定処理を行う際に、第1車両データ取得部405a、第2車両データ取得部405b、比較部405c、判定部405d、出力部405eとして機能する。
第1車両データ取得部405aは、少なくとも第1車両10のエンジン13が再始動した(以下、単にエンジン再始動という)時における第1車両データを取得する。ここで、エンジン再始動時は、例えば、信号待ちなどで第1車両10を停止させた際に自動的にエンジン13を切り、発進時にエンジン13を再始動させるアイドリングストップ時や、車両がモータ走行からエンジン走行に切り替わる時などである。第2車両データ取得部405bは、少なくとも第2車両30のエンジン再始動時における第2車両データを取得する。
比較部405cは、取得した第1車両データと、第2車両データとを比較する。比較部405cの詳細な説明については後述する。
判定部405dは、第1車両10に搭載されている部品の異常判定を行う。例えば、判定部405dは、比較部405cによる比較結果に基づいて、第1車両データと、第2車両データとの差が、所定値以上である場合、第1車両10の部品に異常が生じていると判定する。判定部405dの詳細な説明については後述する。
出力部405eは、判定部405dによって第1車両10の部品に異常が生じていると判定された場合、異常判定信号および少なくとも第2車両データの一部を第1車両10に出力する。出力部405eの詳細な説明については後述する。以下、サーバ制御部405が行う車両異常判定処理について説明する。
図5は、サーバ制御部405が行う車両異常判定処理のフローチャート図である。まず、第1車両10に搭載される情報端末10aは、端末記憶装置307に記憶される第1車両データを、端末通信部305、通信基地局50a、通信網50を介して、サーバ装置100に出力する。ここで、情報端末10aは、少なくとも第1車両10のエンジン再始動時に、第1車両データをサーバ装置100に出力する。ただし、これに限定されず、情報端末10aは、一定期間ごとに第1車両データをサーバ装置100に出力してもよいし、第1車両データが更新されるごとにサーバ装置100に出力してもよい。サーバ装置100に出力された第1車両データは、サーバ記憶装置403に記憶される。
また、第2車両30に搭載される情報端末30aは、端末記憶装置307に記憶される第2車両データを、端末通信部305、通信基地局50a、通信網50を介して、サーバ装置100に出力する。ここで、情報端末30aは、少なくとも第2車両30のエンジン再始動時に、第2車両データをサーバ装置100に出力する。ただし、これに限定されず、情報端末30aは、一定期間ごとに第2車両データをサーバ装置100に出力してもよいし、第2車両データが更新されるごとにサーバ装置100に出力してもよい。サーバ装置100に出力された第2車両データは、サーバ記憶装置403に記憶される。
図5に示すように、第1車両データ取得部405aは、サーバ記憶装置403から第1車両10のエンジン再始動時の第1車両データ(以下、単に第1車両データという)を取得する(ステップS501)。このとき、第1車両データ取得部405aは、サーバ記憶装置403から第1車両10のエンジン再始動時のエンジン再始動条件(例えば、周辺環境状態(外気温、大気圧、湿度、位置)、車両状態(車速、SOC)、走行状態(走行距離))も取得する。
第2車両データ取得部405bは、サーバ記憶装置403から第2車両30のエンジン再始動時の第2車両データ(以下、単に第2車両データという)を取得する(ステップS501)。このとき、第2車両データ取得部405bは、サーバ記憶装置403から第2車両30のエンジン再始動時のエンジン再始動条件(例えば、周辺環境状態(外気温、大気圧、湿度、位置)、車両状態(車速、SOC)、走行状態(走行距離))も取得する。
比較部405cは、エンジン再始動条件に応じて、第1車両データおよび第2車両データを分類する(ステップS503)。具体的に、比較部405cは、第1車両データを第1車両10の周辺環境状態(外気温、大気圧、湿度、位置)に応じて分類する。例えば、比較部405cは、第1車両10の外気温センサ317が検出した外気温に応じて、所定範囲の外気温ごとに第1車両データを分類する。比較部405cは、第1車両10の大気圧センサ319が検出した大気圧に応じて、所定範囲の大気圧ごとに第1車両データを分類する。
比較部405cは、第1車両10の湿度計321が検出した湿度に応じて、所定範囲の湿度ごとに第1車両データを分類する。比較部405cは、第1車両10のGNSSセンサ323が検出した位置に応じて、所定範囲の地域ごとに第1車両データを分類する。ここで、比較部405cは、上述した外気温、大気圧、湿度、位置の少なくともいずれかを組み合わせて第1車両データを分類してもよい。
比較部405cは、第1車両データを第1車両10の車両状態(車速、SOC)に応じて分類する。例えば、比較部405cは、第1車両10の車速センサ311が検出した車速に応じて、所定範囲の車速ごとに第1車両データを分類する。比較部405cは、第1車両10のバッテリ状態検出センサ315が検出したSOCに応じて、所定範囲のSOCごとに第1車両データを分類する。ここで、比較部405cは、上述した車速、SOCの少なくともいずれかを組み合わせて第1車両データを分類してもよい。
また、比較部405cは、第1車両データを第1車両10の走行状態(走行距離)に応じて分類する。例えば、比較部405cは、第1車両10の走行距離計325が検出した走行距離に応じて、所定範囲の走行距離ごとに第1車両データを分類する。なお、比較部405cは、第1車両10の周辺環境状態、車両状態、および、走行状態に応じて分類した第1車両データをサーバ記憶装置403に記憶させてもよい。
同様に、比較部405cは、第2車両データを第2車両30の周辺環境状態、車両状態、および、走行状態に応じて分類する。比較部405cは、第2車両30の周辺環境状態、車両状態、および、走行状態に応じて分類した第2車両データをサーバ記憶装置403に記憶させてもよい。
比較部405cは、ステップS503で分類した第1車両データと第2車両データとを比較する(ステップS505)。例えば、比較部405cは、ステップS501で第1車両10のエンジン再始動条件が取得されると、取得したエンジン再始動条件と同じあるいは近似したエンジン再始動条件の第1車両データを、ステップS503で分類した第1車両データから抽出する。また、比較部405cは、ステップS501で第1車両10のエンジン再始動条件が取得されると、取得したエンジン再始動条件と同じあるいは近似したエンジン再始動条件の第2車両データを、ステップS503で分類した第2車両データから抽出する。比較部405cは、抽出した第1車両データと第2車両データとを比較する。ここで比較する第2車両データは、第1車両10のエンジン13が再始動されたときの周辺環境状態、車両状態、および、走行状態と、同じあるいは近似する周辺環境状態、車両状態、および走行状態の第2車両データである。
本実施形態では、第1車両データは、第1車両10のエンジン再始動時のアクセル開度に関するデータである。また、第2車両データは、第2車両30のエンジン再始動時のアクセル開度に関するデータである。比較部405cは、第1車両10のエンジン再始動時のアクセル開度に関するデータ分布(以下、正規分布という)と、第2車両30のエンジン再始動時のアクセル開度に関するデータ分布(正規分布)とを比較する。一例として、比較部405cは、第1車両10のSOCが60~80%、かつ、車速が0~20km/hのときの正規分布と、第2車両30のSOCが60~80%、かつ、車速が0~20km/hのときの正規分布とを比較する。
図6は、第1車両10および第2車両30のエンジン再始動時のアクセル開度の正規分布を比較する図である。図6中、縦軸は不図示のアクセルペダルが操作されたときにエンジン13が再始動した頻度を示し、横軸は不図示のアクセルペダルが操作されたときのアクセル開度を示す。本実施形態では、図6中、横軸がアクセル開度である例について説明するが、これに限定されず、横軸は、加速度やEV走行時間であってもよい。
また、図6中、第1車両10のエンジン再始動時のアクセル開度の正規分布(以下、第1車両正規分布という)SLを実線で示し、第2車両30のエンジン再始動時のアクセル開度の正規分布(以下、第2車両正規分布という)DLを破線で示す。
図6に示すように、比較部405cは、第1車両正規分布SLの平均値μ1および第2車両正規分布DLの平均値μ2を導出する。また、比較部405cは、平均値μ1と平均値μ2との差Δμを導出する。
つぎに、判定部405dは、差Δμが所定値以上(例えば、第2車両正規分布DLの標準偏差+2σ以上、あるいは、-2σ以上)であるか否か判定する(ステップS507)。つまり、判定部405dは、第1車両正規分布SLの平均値μ1が図6に示す正常範囲にあるか異常範囲にあるか判定する。ここで、正常範囲は、第2車両正規分布DLの標準偏差+2σ未満の範囲、および、標準偏差-2σ未満の範囲である。また、異常範囲は、第2車両正規分布DLの標準偏差+2σ以上の範囲、および、標準偏差-2σ以上の範囲である。
図6では、第1車両正規分布SLの平均値μ1は、第2車両正規分布DLの平均値μ2より小さい。これは、第1車両10が第2車両30よりも小さいアクセル開度で、エンジン13を再始動させていることを示す。つまり、第1車両10は、第2車両30と比較してモータ15の出力が得られずに、小さいアクセル開度でエンジン13を再始動させてしまっていることが推定される。このことから、第1車両10は、第2車両30と比較して、バッテリ(不図示)が劣化(あるいは故障)していると推定される。
そのため、判定部405dは、差Δμが第2車両正規分布DLの標準偏差+2σ以上、あるいは、-2σ以上である場合(ステップS507のYES)、第1車両10の部品(ここでは、バッテリ)に異常(劣化または故障)が生じていると判定する。差Δμが所定値以上(ここでは、第2車両正規分布DLの標準偏差+2σ以上、あるいは、-2σ以上)であるときに異常が生じていると判定することで、第1車両10の異常の誤判定を低減することができる。
一方、判定部405dは、差Δμが第2車両正規分布DLの標準偏差+2σ未満、あるいは、-2σ未満である場合(ステップS507のNO)、第1車両10の部品に異常が生じていないと判定する。サーバ制御部405は、判定部405dが第1車両10の部品に異常が生じていないと判定した場合、車両異常判定処理を終了する。
第1車両10の部品に異常が生じていると判定されると、出力部405eは、第1車両10の部品の異常を示す異常判定信号を、サーバ通信部401、通信網50、通信基地局50aを介して第1車両10の情報端末10aに出力(通知)する(ステップS509)。このとき、出力部405eは、第1車両データとの比較に用いられた第2車両データに含まれる、第2車両30の燃費に関する情報(すなわち、第2車両データの一部)を、第1車両10の情報端末10aに出力する。本実施形態では、出力部405eは、第2車両30の平均燃費に関す情報を第1車両10の情報端末10aに出力する。サーバ制御部405は、出力部405eが異常判定信号および第2車両データの一部(平均燃費に関する情報)を出力すると、車両異常判定処理を終了する。
情報端末10a(情報取得部309a)は、出力部405eから出力された異常判定信号および第2車両データの一部(平均燃費に関する情報)を取得する。表示制御部309bは、異常判定信号が取得されると、第1車両10の部品(ここでは、バッテリ)に異常が生じていることを表す画像を端末表示部301に表示させる。
また、表示制御部309bは、第2車両30の平均燃費に関する情報を取得すると、第1車両10の燃費(平均燃費)に関する情報と、第2車両30の燃費(平均燃費)に関する情報との比較結果を端末表示部301に表示させる。例えば、表示制御部309bは、第1車両10の燃費(平均燃費)と第2車両30の燃費(平均燃費)を端末表示部301に同時に表示させてもよいし、第1車両10と第2車両30の燃費(平均燃費)の差を端末表示部301に表示させてもよい。
上述したように、第1車両10の異常が判定されている状態では、第1車両10は、第2車両30と比較してモータ15の出力が得られずに、小さいアクセル開度でエンジン13を再始動させてしまっていることが推定される。このことから、第1車両10は、第2車両30と比較して、燃費(平均燃費)が悪化していると推定される。
ドライバは、端末表示部301に燃費の比較結果(すなわち、悪化)が表示されると、第1車両10が第2車両30よりも燃料代が増大していることから、第1車両10を修理しようとする心理が働く。その結果、端末表示部301は、燃費の比較結果を表示することで、ドライバがディーラーや整備工場などで第1車両10のメンテナンスを行うことを促すことができる。
以上、本実施形態によれば、サーバ装置100は、エンジン再始動時における第1車両データと第2車両データとを比較することで、第1車両10の部品の異常を早期的に判定することができる。
また、比較部405cは、第1車両データおよび第2車両データをエンジン再始動条件に基づいて分類している。これにより、比較部405cは、第1車両10のエンジン再始動条件と同じあるいは近似したエンジン再始動条件で、第1車両データと第2車両データを比較することができる。例えば、比較部405cは、第1車両10の周辺環境状態と同様の周辺環境状態にある第2車両30から得られる第2車両データを第1車両データの比較対象とすることで、判定部405dは、第1車両10の部品の異常の誤判定を低減することができる。また、比較部405cは、第1車両10の車両状態と同様の車両状態にある第2車両30から得られる第2車両データを第1車両データの比較対象とすることで、判定部405dは、第1車両10の部品の異常の誤判定を低減することができる。さらに、比較部405cは、第1車両10の走行状態と同様の走行状態にある第2車両30から得られる第2車両データを第1車両データの比較対象とすることで、判定部405dは、第1車両10の部品の異常の誤判定を低減することができる。このように、判定部405dは、第1車両10の部品の異常判定の正確性を向上させることができる。
また、サーバ装置100は、第1車両10の部品に異常が発生したと判定される場合に、異常判定信号のみならず、第2車両データの一部(例えば、燃費に関する情報)を情報端末10aに出力することで、第1車両10のメンテナンスを促進させることができる。
(変形例)
図7は、第1車両10および第2車両30の加速度とアクセル開度との関係を比較する図である。上記実施形態と実質的に等しい構成要素については、同一符号を付して説明を省略する。本変形例では、上記実施形態の車両異常判定システムSと同じ構成を備える。ただし、本変形例では、比較部405cの比較方法および判定部405dの異常判定方法が、上記実施形態と異なる。
比較部405cは、エンジン再始動条件(例えば、周辺環境状態(外気温、大気圧、湿度、位置)、車両状態(車速、SOC)、走行状態(走行距離))に応じて、第1車両データおよび第2車両データを分類する。
比較部405cは、分類した第1車両データと第2車両データとを比較する。例えば、比較部405cは、第1車両10のエンジン再始動条件が取得されると、取得したエンジン再始動条件と同じあるいは近似したエンジン再始動条件の第1車両データを、分類された第1車両データから抽出する。また、比較部405cは、第1車両10のエンジン再始動条件が取得されると、取得したエンジン再始動条件と同じあるいは近似したエンジン再始動条件の第2車両データを、分類された第2車両データから抽出する。比較部405cは、抽出した第1車両データと第2車両データとを比較する。
本変形例では、第1車両データは、第1車両10の加速度およびアクセル開度に関するデータである。また、第2車両データは、第2車両30の加速度およびアクセル開度に関するデータである。比較部405cは、第1車両10の加速度およびアクセル開度に関するデータ分布と、第2車両30の加速度およびアクセル開度に関するデータ分布とを比較する。つまり、比較部405cは、第1車両10のエンジン再始動条件と同じあるいは近似したエンジン再始動条件で、第1車両データと第2車両データを比較する。
図7中、縦軸は不図示のアクセルペダルが操作されたときの車両の加速度を示し、横軸は不図示のアクセルペダルが操作されたときのアクセル開度を示す。なお、本変形例では、縦軸が加速度、横軸がアクセル開度である例について説明するが、これに限定されず、縦軸は、減速度、横軸は、ブレーキ開度であってもよい。
図7中、第1車両10の加速度とアクセル開度との分布の平均値(以下、第1車両分布平均値という)SLを実線で示し、第2車両30の加速度とアクセル開度との分布の平均値(以下、第2車両分布平均値という)DLを破線で示す。図7では、第1車両10のバッテリ(不図示)のSOCに応じて分類される複数の第1車両分布平均値SLが示される。また、図7では、第2車両30のバッテリ(不図示)のSOCに応じて分類される複数の第2車両分布平均値DLが示される。
図7に示すように、比較部405cは、第1車両分布平均値SL(SOC:60~80%)の所定の加速度aにおけるアクセル開度A1および第2車両分布平均値DL(SOC:60~80%)の所定の加速度aにおけるアクセル開度A2を導出する。また、比較部405cは、アクセル開度A1とアクセル開度A2との差ΔAを導出する。
つぎに、判定部405dは、差ΔAが所定値以上(例えば、第2車両分布平均値DL(SOC:60~80%)の標準偏差+2σ以上、あるいは、-2σ以上)であるか否か判定する。図7では、第1車両分布平均値SL(SOC:60~80%)のアクセル開度A1は、第2車両分布平均値DL(SOC:60~80%)のアクセル開度A2より大きい。これは、第1車両10が第2車両30と同じ加速度を得るために、大きいアクセル開度を要することを示している。つまり、第1車両10は、第2車両30と比較してモータ15の出力が得られずに、小さい加速度しか得られていないと推定される。このことから、第1車両10は、第2車両30と比較して、バッテリ(不図示)が劣化(あるいは故障)していると推定される。
そのため、判定部405dは、差ΔAが第2車両分布平均値DL(SOC:60~80%)の標準偏差+2σ以上、あるいは、-2σ以上である場合、第1車両10の部品(ここでは、バッテリ)に異常(劣化または故障)が生じていると判定する。
一方、判定部405dは、差ΔAが第2車両分布平均値DL(SOC:60~80%)の標準偏差+2σ未満、あるいは、-2σ未満である場合、第1車両10の部品に異常が生じていないと判定する。サーバ制御部405は、判定部405dが第1車両10の部品に異常が生じていないと判定した場合、車両異常判定処理を終了する。
第1車両10の部品に異常が生じていると判定されると、出力部405eは、第1車両10の部品の異常を示す異常判定信号を、サーバ通信部401、通信網50、通信基地局50aを介して第1車両10の情報端末10aに出力(通知)する。このとき、出力部405eは、第1車両データとの比較に用いられた第2車両データに含まれる、第2車両30の燃費(平均燃費)に関する情報(すなわち、第2車両データの一部)を、第1車両10の情報端末10aに出力する。
情報端末10a(情報取得部309a)は、出力部405eから出力された異常判定信号および第2車両30の燃費(平均燃費)に関する情報を取得する。表示制御部309bは、異常判定信号が取得されると、第1車両10の部品(ここでは、バッテリ)に異常が生じていることを表す画像を端末表示部301に表示させる。
また、表示制御部309bは、第2車両30の燃費(平均燃費)に関する情報を取得すると、第1車両10の燃費(平均燃費)に関する情報と、第2車両30の燃費(平均燃費)に関する情報との比較結果を端末表示部301に表示させる。例えば、表示制御部309bは、第1車両10の燃費(平均燃費)と第2車両30の燃費(平均燃費)を端末表示部301に同時に表示させてもよいし、第1車両10と第2車両30の燃費(平均燃費)の差を端末表示部301に表示させてもよい。
上述したように、第1車両10の異常が判定されている状態では、第1車両10は、第2車両30と比較してモータ15の出力が得られずに、小さい加速度しか得られていないと推定される。このことから、第1車両10は、第2車両30と比較して、燃費(平均燃費)が悪化していると推定される。
ドライバは、端末表示部301に燃費の比較結果(すなわち、悪化)が表示されると、第1車両10が第2車両30よりも燃料代が増大していることから、第1車両10を修理しようとする心理が働く。その結果、端末表示部301は、燃費の比較結果を表示することで、ドライバがディーラーや整備工場などで第1車両10のメンテナンスを行うことを促すことができる。
このように、本変形例によれば、上記実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
以上、添付図面を参照しながら説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
上記実施形態および変形例では、第1車両10のバッテリの異常が判定される例について説明した。しかし、これに限定されず、サーバ装置100は、第1車両10の他の部品(例えば、エンジン13やモータ15)の異常を判定してもよい。
上記実施形態および変形例では、第1車両10から離隔した位置に設けられるサーバ装置100が車両異常判定処理を行う例について説明した。しかし、これに限定されず、車両異常判定処理は、第1車両10で行われてもよい。つまり、第1車両10は、サーバ装置100と同等の機能(第1車両データ取得部405a、第2車両データ取得部405b、比較部405c、判定部405d、出力部405e)を有し、車両異常判定処理を行うようにしてもよい。このとき、上記「第1車両」は「自車両」と読み替え、上記「第2車両」は「他車両」と読み替える。また、上記「第1車両データ」は「自車両データ」と読み替え、上記「第2車両データ」は「他車両データ」と読み替える。上記「第1車両データ取得部」は「自車両データ取得部」と読み替え、上記「第2車両データ取得部」は「他車両データ取得部」と読み替える。上記「第1車両正規分布」は「自車両正規分布」と読み替え、上記「第2車両正規分布」は「他車両正規分布」と読み替える。上記「第1車両分布平均値」は「自車両分布平均値」と読み替え、上記「第2車両分布平均値」は「他車両分布平均値」と読み替える。例えば、第1車両(自車両)10は、第2車両(他車両)30と車車間通信により他車両データを取得する。また、端末記憶装置307は、取得した他車両データおよび自車両データを記憶する。そして、第1車両(自車両)10は、自車両データと、取得した他車両データとに基づいて、第1車両(自車両)10の部品の異常を判定する。
上記実施形態および変形例では、出力部405eが第2車両30の燃費(平均燃費)に関する情報を第1車両10に出力する例について説明した。しかし、これに限定されず、出力部405eは、第2車両30の電費(平均電費)に関する情報を第1車両10に出力してもよいし、第2車両30の航続可能距離に関する情報を第1車両10に出力してもよい。
上記実施形態および変形例では、比較部405cが大凡等しいエンジン再始動条件の第1車両データと第2車両データとを比較する例について説明した。しかし、これに限定されず、比較部405cは、互いに異なるエンジン再始動条件の第1車両データと第2車両データとを比較してもよい。