以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[実施の形態1]
図1及び図2は、実施の形態1に係る定着装置を適用した画像形成装置を示すものである。図1はその画像形成装置の全体の概要を示し、図2はその画像形成装置における要部(作像装置など)を拡大して示している。図中、矢印Xは水平方向に沿った奥行方向を、Yは鉛直方向を、Zは水平方向に沿った幅行方向をそれぞれ示している。
<画像形成装置の全体の構成>
実施の形態1に係る画像形成装置1は、例えばモノクロプリンタとして構成されたものである。この画像形成装置1は、図1に示されるように、現像剤を構成するトナーで現像されるトナー像を形成する画像形成手段の一例としての作像装置10と、作像装置10の転写位置に供給すべき記録媒体の一例としての記録用紙5を収容して供給する給紙装置20と、給紙装置20から供給された記録用紙5を図中に一点鎖線で示す搬送経路に沿って搬送する搬送装置30と、作像装置10で転写された記録用紙5上のトナー像を定着させる本実施の形態に係る定着装置40等を備えている。
作像装置10は、像保持手段の一例としての回転する感光体ドラム11を備えている。感光体ドラム11の周囲には、次のような各装置が主に配置されている。主な装置とは、感光体ドラム11の像形成が可能な周面(像保持面)を所要の電位に帯電させる帯電装置12と、感光体ドラム11の帯電された周面に画像の情報(信号)に基づく光を照射して電位差のある静電潜像を形成する露光装置13と、その静電潜像をブラック色の現像剤のトナーで現像してトナー像にする現像装置14と、そのトナー像を記録用紙5に転写する転写装置15と、転写後における感光体ドラム11の像保持面に残留して付着するトナー等の付着物を取り除いて清掃するドラム清掃装置16等である。
感光体ドラム11は、接地処理される円筒状又は円柱状の基材の周面に感光材料からなる光導電性層(感光層)を有する像保持面を形成したものである。この感光体ドラム11は、図示しない駆動装置から動力が伝達されて矢印Aで示す方向に回転するよう支持されている。
帯電装置12は、感光体ドラム11に接触した状態で配置される接触型の帯電ロールで構成される。帯電装置12には帯電用電圧が供給される。帯電用電圧としては、現像装置14が反転現像を行うものである場合、現像装置14から供給されるトナーの帯電極性と同じ極性の電圧又は電流が供給される。なお、帯電装置12としては、感光体ドラム11の表面に非接触状態で配置されるスコロトロン等の非接触型の帯電装置を用いてもよい。
露光装置13は、感光体ドラム11の軸方向に沿って配列された複数の発光素子としてのLED(Light Emitting Diode)により感光体ドラム11に画像情報に応じた光を照射して静電潜像を形成するLEDプリントヘッドからなる。露光装置13は、感光体ドラム11に近接した露光位置と、感光体ドラム11の周面から離間した図1中に破線で示す退避位置とに移動可能である。なお、露光装置13としては、画像情報に応じて構成されるレーザー光を感光体ドラム11の軸方向に沿って偏向走査するものなどを用いても良い。露光装置13としてレーザー光を偏向走査するものを用いた場合には、感光体ドラム11の周面から離間した位置から露光可能であるため退避させる必要はない。
現像装置14は、開口部と現像剤4の収容室が形成された筐体140の内部に、現像剤4を保持して感光体ドラム11と向き合う現像領域まで搬送する現像剤保持手段の一例としての現像ロール141と、現像剤4を攪拌しながら現像ロール141を通過させるよう搬送する2つのスクリューオーガー等の攪拌搬送部材142,143と、現像ロール141に保持される現像剤の量(層厚)を規制する層厚規制部材144などを配置して構成したものである。この現像装置14には、現像ロール141と感光体ドラム11の間に現像バイアス電圧が図示しない電源装置から供給される。また、現像ロール141や攪拌搬送部材142,143は、図示しない駆動装置から動力が伝達されて所要の方向に回転する。さらに、現像剤4としては、非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤が使用される。
転写装置15は、画像形成時に感光体ドラム11の周囲に記録用紙5を介して接触し回転するとともに転写用電圧が供給される転写ロールを備えた接触型の転写装置である。転写用電圧としては、トナーの帯電極性と逆の極性を示す直流の電圧が図示しない電源装置から供給される。
ドラム清掃装置16は、一部が開口する容器状の本体と、一次転写後の感光体ドラム11の周面に所要の圧力で接触するように配置されて残留トナー等の付着物を取り除いて清掃する清掃板と、清掃板で取り除いたトナー等の付着物を回収して図示しない回収容器に送り出すよう搬送するスクリューオーガー等の送出部材等で構成されている。清掃板としては、ゴム等の材料からなる板状の部材(例えばブレード)が使用される。
定着装置40は、図1に示されるように、記録用紙5の導入口及び排出口が形成された装置ハウジング43の内部に、矢印で示す方向に回転するとともに表面温度が所定の温度に保持されるよう加熱手段によって加熱される加熱用回転体(定着手段)の一例としての加熱ロール41と、この加熱ロール41の軸方向にほぼ沿う状態で所定の圧力で接触して回転する加圧用回転体(無端状のベルト)の一例としての加圧ベルト42などを配置して構成されたものである。この定着装置40では、加熱ロール41と加圧ベルト42が接触する接触部が所要の定着処理(加熱及び加圧)を行う定着ニップ部Nとなる。なお、定着装置40の構成については、後に詳述する。
給紙装置20は、作像装置10の鉛直方向Yに沿った下方側の位置に存在するよう配置される。この給紙装置20は、所望のサイズ、種類等の記録用紙5を積載板21上に積載した状態で収容する単数(又は複数)の用紙収容体22と、用紙収容体22から記録用紙5を1枚ずつ送り出す送出装置23とで主に構成される。給紙装置20は、用紙収容体22に設けられた把持部24を手で把持して引き出すことにより画像形成装置1の装置本体1aに対して着脱可能となっている。
記録用紙5としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙やトレーシングペーパー等の薄紙、あるいはOHPシート等が挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録用紙5の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等の坪量が相対的に大きい所謂厚紙なども好適に使用することができる。
給紙装置20と転写装置15との間には、図1に示されるように、給紙装置20から送り出される記録用紙5を転写位置まで搬送する複数(又は単数)の用紙搬送ロール対31a,31bや図示しない搬送ガイドで構成される給紙搬送路32が、装置本体1aの鉛直方向Yに沿った上方に向かい、途中から装置本体1aの内部(X方向)へ向けて湾曲した形状に設けられている。給紙搬送路32において転写位置の直前の位置に配置される用紙搬送ロール対31bは、例えば記録用紙5の搬送時期を調整するロール(レジストロール)として構成されている。また、転写装置15から定着装置40までは、転写装置15から送り出される転写後の記録用紙5を定着装置40へと搬送するための用紙搬送路33が水平方向Xに沿って設けられている。
また、定着装置40の斜め上方には、1つの搬送ロールを共通とする2組の搬送ロール対34,35のうち、一方の搬送ロール対34を介して用紙排出部36へと搬送して排出する排出搬送路37が設けられている。用紙排出部36は、装置本体1aの上端面に傾斜した状態で設けられている。
排出搬送路37の出口37aには、記録用紙5を排出すると共に表裏を反転させる排出ロール対37bが配置されている。排出ロール対37bは、その回転方向が正転方向と逆転方向に切替可能となっている。
また、排出ロール対37bの手前には、記録用紙5の搬送方向を切り替える図示しない切替ゲートが設けられている。記録用紙5の両面に画像を形成する場合には、記録用紙5の搬送方向が図示しない切替ゲートによって排出搬送路37から両面搬送路38へと切り替えられる。このとき、排出ロール対37bは、排出方向に搬送される記録用紙5の後端が図示しない切替ゲートを通過した後、回転方向が正転方向(排出方向)から逆転方向に切り替わる。排出ロール対37bによって逆転方向に搬送される記録用紙5は、図示しない切替ゲートによって搬送経路が鉛直方向Yの下方に切り替えられ、搬送ロール対35を介して画像形成装置1の装置本体1aの背面に沿って鉛直方向Yから水平方向Xに沿うよう湾曲して形成された両面搬送路38へと搬送される。両面搬送路38は、表裏を反転させた状態で記録用紙5を用紙搬送ロール対31bへと搬送する用紙搬送ロール対39a,39bや図示しない搬送ガイド等を備えている。
現像装置14の上部には、当該現像装置14に供給する少なくともトナーを含む現像剤を収容した現像剤収容容器の一例としてのトナーカートリッジ145が配置されている。トナーカートリッジ145の下方には、当該トナーカートリッジ145に収容されたトナーを現像装置14へ供給する供給ロールを備えた図示しないトナー供給装置が設けられている。
この実施の形態では、感光体ドラム11、帯電装置12、現像装置14、ドラム清掃装置16が一体的に装着されてプロセスカートリッジ300を構成している。プロセスカートリッジ300は、図1に示されるように、露光装置13を退避位置に移動させた状態で、画像形成装置1の装置本体1aに対して着脱可能となっている。また、着脱頻度の高いトナーカートリッジ145は、プロセスカートリッジ300とは別に、画像形成装置1の装置本体1aに対して単独で着脱可能に構成されている。
また、図1中符号200は、画像形成装置1の動作を統括的に制御する制御装置を示している。制御装置200は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、あるいはこれらCPUやROM等を接続するバス、通信インターフェイスなどを備えている。
<画像形成装置の基本的な動作>
以下、画像形成装置1による基本的な画像形成動作について説明する。
画像形成装置1は、制御装置200によって制御され、装置本体1aに装着された図示しない操作パネル、あるいは図示しないユーザインターフェイスやプリンタドライバ等からモノクロの画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、作像装置10、給紙装置20、搬送装置30及び定着装置40等が始動する。
そして、作像装置10においては、図1に示されるように、まず感光体ドラム11が矢印Aで示す方向に回転し、帯電装置12が感光体ドラム11の表面を所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)及び電位に帯電させる。続いて、露光装置13が、帯電後の感光体ドラム11の表面に対し、画像形成装置1に入力される画像の情報に基づいて発光される光を照射し、その表面に所要の電位差で構成される静電潜像を形成する。
続いて、現像装置14が、感光体ドラム11に形成された静電潜像に対し、所要の極性(マイナス極性)に帯電されたブラック色のトナーを現像ロール141から供給して静電的に付着させて現像を行う。この現像により、感光体ドラム11に形成された静電潜像は、ブラック色のトナーで現像されたトナー像として顕像化される。プロセスカートリッジ300の現像装置14には、所要のタイミングでトナーカートリッジ145から図示しないトナー供給装置を介してトナーが供給される。
続いて、感光体ドラム11上に形成されたトナー像が転写位置まで搬送されると、転写装置15が、そのトナー像を記録用紙5に対して転写させる。
また、転写が終了した作像装置10では、ドラム清掃装置16が付着物を掻き取るように除去して感光体ドラム11の表面を清掃する。これにより、作像装置10は、次の作像動作が可能な状態にされる。
給紙装置20は、作像動作に合わせて所要の記録用紙5を給紙搬送路32に送り出す。給紙搬送路32では、レジストロールとしての用紙搬送ロール対31bが記録用紙5を転写時期に合わせて転写位置に送り出して供給する。
続いて、トナー像が転写された記録用紙5は、用紙搬送路33を介して定着装置40まで搬送される。定着装置40では、回転する加熱ロール41と加圧ベルト42との間の定着ニップ部Nに転写後の記録用紙5を導入して通過させることにより、必要な定着処理(加熱及び加圧)を施して未定着のトナー像を記録用紙5に定着させる。定着が終了した後の記録用紙5は、その片面への画像の形成を行うだけの画像形成動作のときは、排出搬送路37に沿って排出ロール対37bにより装置本体1aの上端部に設けられた用紙排出部36へ排出される。
また、記録用紙5の両面に画像を形成する場合は、片面に画像が形成された記録用紙5を図示しない切替ゲートによって排出ロール対37bへと搬送し、排出ロール対37bにより記録用紙5が一旦排出方向に搬送される。その後、排出ロール対37bが記録用紙5の後端を挟持したままの状態で当該排出ロール対37bの回転方向を逆転させ、記録用紙5の表裏を反転させた後に両面搬送路38を介して再度転写装置15へと搬送し、記録用紙5の裏面にトナー像を転写する。裏面にトナー像が転写された記録用紙5は、用紙搬送路33を介して定着装置40へ搬送され、定着装置40により定着処理(加熱及び加圧)を施され、排出ロール対37bにより用紙排出部36へと排出される。
以上の動作により、モノクロ画像が片面又は両面に形成された記録用紙5が出力される。
<定着装置の構成>
図2はこの実施の形態1に係る定着装置を示す断面構成図である。
定着装置40は、所謂フリーベルトニップ方式を採用している。定着装置40は、図2に示されるように、断面略矩形の細長い箱体状に形成された装置ハウジング43を備えている。装置ハウジング43の内部には、回転する無端状のベルトの一例としての加圧ベルト42と、加圧ベルト42と接触して定着ニップ部Nを形成する定着手段の一例としての加熱ロール41が圧接された状態で配置されている。装置ハウジング43は、その左側面の下方に未定着トナー像tが転写された記録用紙5を内部へ導入する導入口431を有している。導入口431の内部には、記録用紙5を加熱ロール41と加圧ベルト42が圧接する定着ニップ部Nへ案内するガイド板432が斜め上方へ向けて傾斜した状態で配置されている。また、装置ハウジング43は、その右側面の上方に加熱ロール41及び加圧ベルト42によって定着処理が施された記録用紙5を外部へ排出する排出口433を有している。排出口433には、記録用紙5を装置ハウジング43の外部へ排出する出口ロール対434が回転可能に設けられている。なお、記録用紙5は、搬送方向と交差する方向に沿った中央を基準(所謂センターレジ)として搬送される。
定着装置40の定着ニップ部Nと出口ロール対434の間に形成された搬送通路435には、記録用紙5の通過を検知する検知手段の一例としてのアクチュエータ436が上端を支点として回転可能に設けられている。アクチュエータ436の回転動作は、図示しない光学センサ等によって記録用紙5の通過として検知される。
定着装置40は、図2に示されるように、大別して、加熱ロール41と、加熱ロール41に対して接離可能に設けられた加圧ベルト42を有する加圧ユニット44を備えている。
加熱ロール41は、図3に示されるように、ステンレスやアルミニウム、あるいは鉄(薄肉高張力鋼管)等の金属からなる円筒形状の芯金411と、芯金411の外周に被覆されたシリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱性を有する弾性体からなる弾性体層412と、弾性体層412の表面に薄く被覆されたポリテトラフロオロエチレン(PTFE)やパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)等からなる離型層413を有している。加熱ロール41の内部には、加熱手段(加熱源)の一例として外径が異なる2本のハロゲンランプ414a,414bが配置されている。
加熱ロール41は、図4に示されるように、その長手方向(軸方向)に沿った両端部が装置ハウジング43のフレーム438に軸受部材439を介して回転可能に支持されている。加熱ロール41は、軸方向に沿った一端部に取り付けられた駆動ギアGを介して図示しない駆動装置により矢印C方向(図3参照)に沿って所要の速度で回転駆動される。なお、加圧ベルト42は、回転駆動される加熱ロール41に圧接されて従動回転する。
加熱ロール41は、図2に示されるように、その表面温度が温度センサ437によって検知される。加熱ロール41は、温度センサ437の検知結果に基づいてハロゲンランプ414a,414bへの通電を図示しない温度制御回路によって制御することにより、その表面が所要の定着温度(例えば、170℃程度)となるよう加熱される。
一方、加圧ユニット44は、図3に示されるように、加圧ベルト42と、加圧ベルト42の内部に配置され、加圧ベルト42を加熱ロール41の表面に圧接させる加圧手段の一例である加圧支持部材45の加圧部451と、同じく加圧ベルト42の内部に配置され、加圧ベルト42の周回軌道の一部において加圧ベルト42を支持する支持手段の一例である加圧支持部材45の支持部452と、加圧支持部材45を保持する保持手段の一例としての第1及び第2の保持部材46,47と、加圧ベルト42の長手方向に沿った両端部をそれぞれ回転可能に案内する案内手段の一例としてのガイド部材48,49と、加圧ベルト42と加圧支持部材45の間に介在されて摺動抵抗を低減するシートの一例としての摺動シート50と、加圧ベルト42の内部に配置され、加圧ベルト42の内周面に付与される潤滑剤を保持する潤滑剤保持手段の一例としての第1及び第2のフェルト部材51,52を備えている。
加圧ベルト42は、図5に示されるように、可撓性を有する材料からなり、装着前の状態である自由形状が薄肉円筒形の無端状ベルトとして構成されている。加圧ベルト42は、基材層と、基材層の表面に被覆された弾性体層と、弾性体層の表面に被覆された離型層とを備える。また、加圧ベルト42は、基材層と、基材層の表面に直接被覆された離型層とから構成しても良い。基材層は、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等の耐熱性を有する合成樹脂や、ステンレス、ニッケル、銅等の金属によって形成される。弾性体層は、耐熱性を有するシリコーンゴムやフッ素ゴム等の弾性体からなる。離型層は、ポリテトラフロオロエチレン(PTFE)やパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)等によって形成される。加圧ベルト42は、例えば、その厚さが50~200μm程度に設定可能である。
この実施の形態1では、上述したように、加圧ベルト42の内部に配置され、加圧ベルト42を加熱ロール41に加圧する加圧手段としての加圧部451と、同じく加圧ベルト42の内部に配置され、加圧ベルト42を支持する支持手段としての支持部452が、加圧支持部材45として一体的に構成されている。
加圧支持部材45は、図6に示されるように、例えば、射出成形等により所要の形状に一体成形された耐熱性を有する合成樹脂からなる。耐熱性を有する合成樹脂としては、例えば、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、あるいはこれらの複合材料などが挙げられる。
加圧支持部材45は、図3に示されるように、定着ニップ部Nにおいて、加圧ベルト42の回転方向に沿った下流側の端部に配置され、加圧ベルト42を加熱ロール41の表面に加圧する加圧部451を備えている。加圧部451は、加圧ベルト42の長手方向に沿って略全長にわたり配設される。加圧部451は、図3に示されるように、加熱ロール41に加圧ベルト42及び摺動シート50を介して圧接される加圧面451a’が形成された加圧壁451aと、加圧壁451aの両端に互いに平行に配置された平板状の両側壁451b,451cとから、背面が開口された略半円筒乃至半角筒形状に形成されている。加圧面451a’は、図6に示されるように、加圧ベルト42の回転方向に沿った上流側が平面状451a”に、加圧ベルト42の回転方向に沿った下流側が曲面状451a”’にそれぞれ形成されている。加圧部451は、図3に示されるように、加圧壁451aによって加圧ベルト42を加熱ロール41の中心Oに向けて加圧するよう配置されている。
加圧部451の内部には、図3及び図6に示されるように、複数の補強用リブ451dが加圧支持部材45の長手方向に沿って互いに平行に設けられている。複数の補強用リブ451dには、第1の保持部材46の先端を嵌め合わせた状態で固定する固定用スリット451eが形成されている。
第1及び第2の保持部材46,47は、例えば、ステンレスやアルミニウム、あるいは鋼鉄等の金属製の板材から構成される。第1の保持部材46は、図3及び図7に示されるように、加熱ロール41の表面に対して略垂直に配置された垂直板部461と、垂直板部461の基端部に対して交差する方向に折り曲げられた水平板部462とから断面L字形状に形成されている。第1の保持部材46の垂直板部461は、加熱ロール41の中心Oを通り半径方向に沿って延びた第1の直線L1に沿って配置されている。また、第2の保持部材47は、第1の保持部材46の垂直板部461と平行に配置された垂直板部471と、垂直板部471の基端部に対して交差する方向に折り曲げられた水平板部472とから断面L字形状に形成されている。第1の保持部材46の水平板部462と第2の保持部材47の水平板部472は、僅かな間隙を介して互いに対向するよう配置されている。
第1及び第2の保持部材46,47は、図7に示されるように、垂直板部461,471の長手方向に沿った両端部に、ガイド部材48,49を位置決め固定するための凸部463,464,473,474を有している。
第1及び第2の保持部材46,47の水平板部462,472には、図3に示されるように、その外側面に第1及び第2のフェルト部材51,52が接着等の手段により設けられている。第1及び第2のフェルト部材51,52は、加圧ベルト42に張力を作用させた際に弾性変形して加圧ベルト42を支持するよう比較的厚肉に形成されている。なお、図3では、便宜上、第1及び第2のフェルト部材51,52の変形前の状態を示している。
第1及び第2のフェルト部材51,52には、加圧ベルト42の内周面に塗布された状態で供給するための潤滑剤が予め定められた量だけ含浸されている。潤滑剤としては、例えば、粘度が100~350csのアミノ変性シリコーンオイル等が用いられる。潤滑剤は、予め第1及び第2のフェルト部材51,52に含浸させることで、加圧ベルト42の内周面に塗布供給されるが、これに限定されるものではなく、初期的に加圧ベルト42の内周面に塗布した状態で供給されるように構成しても良い。
また、加圧支持部材45は、図3及び図6に示されるように、定着ニップ部Nに対して加圧ベルト42の回転方向に沿った上流側に加圧部451から離間して配置され、加圧ベルト42を支持する支持部452を備えている。支持部452は、中間に位置する連結部453を介して加圧部451と一体的に形成されている。
連結部453は、図3に示されるように、加圧部451と支持部452の間に位置する平板状に形成されている。連結部453の背面側には、当該連結部453と交差し、加圧支持部材45の長手方向に沿って配置された平板状の補強板453aと、補強板453aと交差する方向に加圧支持部材45の長手方向に沿って互いに平行に配置された複数の補強用リブ453bを備えている。複数の補強用リブ453bには、第2の保持部材47の垂直板部471を嵌め合わせた状態で取り付ける嵌合用スリット453cが形成されている。
第1及び第2の保持部材46,47の垂直板部461,471の先端は、第1の保持部材46の方が第2の保持部材47より加熱ロール41に近接した位置に配置されている。第1及び第2の保持部材46,47は、加圧支持部材45が加圧ベルト42を加熱ロール41に圧接するとともに加圧ベルト42を支持する際に受ける反力に対向して、当該加圧支持部材45を保持する部材である。第1の保持部材46は、加熱ロール41から直接受ける反力に対して対向し、第2の保持部材47は、主に、加熱ロール41から加圧ベルト42を介して受ける反力に対向する。
連結部453の表面には、補助加圧手段の一例としての板バネ60が配置されている。板バネ60は、図3に示されるように、薄い金属製等のバネ材によって、平板状の基端部601と、基端部601の一端から湾曲部602を介して加熱ロール41の表面に沿った湾曲形状に形成された先端部603とから断面略V字形状に形成されている。板バネ60の先端部603には、その表面に薄いフェルト604が接着等の手段により設けられている。板バネ60の基端部601は、加圧支持部材45の連結部453の表面に設けられた凹部454に嵌め込まれた状態で装着されている。また、板バネ60の先端部603は、バネ性を長期間維持することが可能となるよう長手方向に沿って図示しない複数のスリットにより分割されている。
板バネ60は、摺動シート50を介して加圧ベルト42を加熱ロール41の表面に圧接させることにより、定着ニップ部Nのうち上流側の領域において加熱ロール41からの熱伝導によって記録用紙5を効率良く加熱するためのものである。
加圧支持部材45の支持部452は、図3に示されるように、第1の保持部材46の垂直板部461に沿った第1の直線L1と平行な第2の直線L2に沿って、加圧部451の両側壁451b,451cの背面側端部と略同じ位置から、加熱ロール41側へ向けて突出するよう配置されている。支持部452の先端452dは、加熱ロール41の中心Oを通る第1の直線L1に対して下した垂線L3よりも突出した位置に存在している。別言すれば、支持部452の先端452dは、第1の直線L1に対して90度よりも大きな中心角αを成す位置に設けられている。支持部452の先端452dは、加熱ロール41の外周面に沿った巻き付いた状態で配置される加圧ベルト42の巻き付き長を規定している。
加圧支持部材45の支持部452は、図3及び図6に示されるように、比較的厚肉の平板状に形成されている。支持部452の外側面(加熱ロール41と反対側の面)は、加圧ベルト42の周回軌道に沿って第2のフェルト部材52側へ向けて傾斜した基端部452aと、第1の保持部材46の垂直板部461と略平行に配置された中間部452bと、加熱ロール41側へ向けて傾斜した先端部452cとを備えている。支持部452の基端部452a、中間部452b及び先端部452cからなる外側面は、図6に示されるように、加圧ベルト42との摺動抵抗を低減するため平面ではなく、加圧ベルト42の移動方向に沿って形成された複数のリブ(凸条)452a,452b,452cの表面によって構成されている。また、支持部452の基端部452aと中間部452bの境界、及び中間部452bと先端部452cとの境界は、加圧ベルト42の移動方向と交差する方向に沿って設けられた第1及び第2の仕切り部452e,452fにより仕切られている。
支持部452の先端452dは、図3に示されるように、その断面形状が略円弧状等の曲面形状に形成されている。支持部452の先端452dは、加圧ベルト42が摺動シート50を介して巻き掛けられる部位であり、支持部452の外側面に沿って移動する加圧ベルト42の移動方向を定着ニップ部Nへ向けた方向に変更する部位である。支持部452の先端452dは、定着ニップ部Nに対して、加圧ベルト42の回転方向に沿った上流側に離間して配置される。
摺動シート50は、細長い平面矩形状のシートからなる。摺動シート50としては、例えば、ポリテトラフロオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂からなる基層と、基層の表面又は表裏両面に積層されたガラス繊維やアラミド繊維等からなる織物や編物等からなる組織を備えたものが用いられる。また、摺動シート50としては、ガラス繊維やアラミド繊維等からなる織物や編物等からなる単層のみで構成したものであっても良い。摺動シート50は、その厚さが100~200μm程度に設定可能である。
摺動シート50には、加圧ベルト42の回転方向に沿った上側の端部に、長手方向に沿って図示しない長円形状の係止孔が複数開口されている。摺動シート50は、図3に示されるように、図示しない複数の係止孔を加圧支持部材45の支持部452の背面に設けられた係止凸部455に係止させることで装着される。摺動シート50は、加圧ベルト42の回転方向に沿った上流側が、加圧支持部材45の支持部452の外側面に沿った状態で、加圧支持部材45の支持部452の先端452dを介して定着ニップ部Nへと至るよう配置されている。さらに、摺動シート50は、加圧ベルト42の回転方向に沿った下流側の端部が定着ニップ部Nを通過した後、加圧支持部材45の加圧部451の側壁451cを超えて所要の長さだけ延在するよう配置されている。
ガイド部材48,49は、図4に示されるように、加圧ベルト42の長手方向に沿った両端部にそれぞれ配置される。ガイド部材48,49は、図8(a)(b)及び図9に示されるように、左右対称な形状に形成されている。ガイド部材48,49は、加圧ベルト42の周回軌道に倣った形状であって、且つその外周端が当該加圧ベルト42の周回軌道より加圧ベルト42の長手方向と交差する方向に沿った外側に張り出した平板状の側板部481,491を有している。
ここで、加圧ベルト42の長手方向と交差する方向とは、図5に示されるように、装着前の円筒形状の加圧ベルト42において、その中心軸を想定した場合、当該中心軸と交差する方向である加圧ベルト42の半径方向に沿った方向を意味する。装着後の変形した加圧ベルト42においても、その内部に長手方向に沿った軸を想定した場合、当該軸と交差する方向を意味するものである。
別言すれば、加圧ベルト42の長手方向と交差する方向とは、加圧ベルト42の厚さ方向に沿って内周面側から外周面側へ向かう方向と言える。
ガイド部材48,49の側板部481,491には、図8(a)(b)に示されるように、その加圧ベルト42の長手方向に沿った内側に位置する面である内側面に、加圧ベルト42の周回軌道に倣った形状であって、加圧ベルト42の長手方向に沿った内側へ向けて短い筒状に突出したガイド部482,492(案内部の一例)が一体的に設けられている。
加圧ベルト42は、図4に示されるように、その長手方向に沿った両端部がガイド部材48,49のガイド部482,492に挿通された状態で回転(循環移動)可能に案内される。また、ガイド部材48,49のガイド部482,492には、図8(a)(b)及び図9に示されるように、定着ニップ部Nにおいて、加圧支持部材45の加圧部451が加圧ベルト42を介して加熱ロール41の表面に直接圧接するのを許容する切欠き部483,493が設けられている。
ガイド部482,492は、切欠き部483,493の加圧ベルト42の回転方向に沿った上流側にも設けられているが、加圧ベルト42は、図3に示されるように、定着ニップ部Nにおいて、当該ガイド部482,492から離間した状態で加熱ロール41の表面に圧接される。
更に説明すれば、加圧支持部材45は、図6に示されるように、加圧ベルト42の長手方向に沿って支持部452の幅W1が、ガイド部482,492の長さに略対応した分だけ加圧部451の幅W2より短く設定されている。加圧支持部材45の支持部452は、図8(a)に示されるように、加圧ベルト42の長手方向に沿ってガイド部材48,49のガイド部482,492に隣接して配置される。また、板バネ60も、加圧支持部材45の支持部452と略同様の長さに設定されている。
また、ガイド部材48,49の側板部481,491には、図9に示されるように、第1及び第2の保持部材46,47の凸部463,464,473,474が貫通した状態で装着される貫通孔486,487,496,497が開口されている。
ガイド部材48,49の加圧ベルト42の長手方向に沿った外側面には、図4に示されるように、当該ガイド部材48,49を保持するアーム部材71,72がそれぞれ配置されている。アーム部材71,72は、図10に示されるように、側面形状が略L字形状に形成されている。アーム部材71,72には、第1及び第2の保持部材46,47の凸部463,464,473,474が貫通した状態で装着される貫通孔715,725,716,726が開口されている。
アーム部材71,72は、図3に示されるように、その基端部711,721に設けられた支点712,722を中心にして定着装置40のフレーム438に回転可能に取り付けられている。また、アーム部材71,72の先端部713,723には、加圧ユニット44を加熱ロール41に対して圧接する方向に付勢する付勢手段の一例としての一端部が固定されたコイルスプリング73,74が連結されている。コイルスプリング73,74は、その一端がアーム部材71,72の先端部713,723に設けられた係止孔714,724に係止されている。コイルスプリング73,74の他端部は、定着装置40のフレーム438に固定されている。また、アーム部材71,72の先端部713,723には、当該先端部713,723を加熱ロール41に対して接離する方向に移動させるリトラクト手段の一例としての偏心カム75,76が当接されている。偏心カム75,76は、図示しない駆動モータによって回転駆動される。
加圧ユニット44は、偏心カム75,76を回転駆動することにより、加圧ユニット44をコイルスプリング73,74の付勢力によって加熱ロール41の表面に圧接させた定着位置(図3)と、加圧ユニット44をコイルスプリング73,74の付勢力に抗して加熱ロール41の表面から離間させた退避位置(図11)とに移動可能に構成されている。
加圧ベルト42は、図11に示されるように、退避位置においては張力が付与されていない。加圧ベルト42は、退避位置において加熱ロール41の表面に接触しているものの張力が付与されておらず自由に変形可能であり、定着ニップ部Nにおいて搬送不良(ジャム)が発生した記録用紙5を容易に除去することができる。
これに対して、加圧ベルト42は、図3に示されるように、定着位置に移動して加熱ロール41の表面に所要の定着圧力で圧接されることにより張力が付与される。定着位置において加圧ベルト42に張力が付与されるのは、加圧ベルト42の自由状態における周長よりも定着位置における加圧ベルト42の周回軌道の長さが長く設定されているためである。
加圧ベルト42に付与される張力Tは、加圧ベルト42の自由状態(T=0)に比較して大きい値(T>0)であれば良く、必ずしも大幅に大きな値(T≫0)である必要はない。
加圧ベルト42は、通常、加熱ロール41の軸方向に沿った圧力分布や、加熱ロール41と加圧ベルト42のアライメント(整列具合)、加熱ロール41及び加圧ベルト42の外径や肉厚等のバラツキ(公差)など種々の要因によって、図4に示されるように、長手方向に沿った端部へ向けて移動する所謂ウォーク現象が発生する場合がある。加圧ベルト42に発生するウォーク現象は、記録用紙5のスキュー等の外乱によっても影響を受けて変動する。
加圧ベルト42にウォーク現象が発生すると、加圧ベルト42の端部がガイド部材48,49のいずれかに突き当たり、加圧ベルト42の端部に座屈や内側への折曲がり等の変形が生じたり、極端な場合には加圧ベルト42の折曲げられた端部が破断し、定着装置40が使用不可能となる虞れが有る。
そこで、この実施の形態1に係る定着装置40では、加圧ベルト42にウォーク現象が発生したり、加圧ベルト42の長手方向に沿った端部に座屈や折曲がり等の変形が発生するのを防止乃至抑制するため、案内手段に加圧ベルト42内面の長手方向に沿って突起状に設けられ、加圧ベルトを規制する規制手段を備えるように構成されている。
すなわち、この実施の形態1に係る定着装置40では、図8(a)(b)に示されるように、ガイド部材48,49のガイド部482,492に、加圧ベルト42の長手方向に沿った両端部を部分的に規制する規制手段の一例としての第1の規制部485,495が、加圧ベルト42の長手方向に沿った内側へ向けて突出するように設けられている。
加圧ベルト42にウォーク現象が発生した場合、当該加圧ベルト42の長手方向に沿った端部に座屈や折曲がり等の変形が発生し易い箇所は、加圧ベルト42の端部の内周面が他の部材と接触していない領域である。
そのため、この実施の形態1では、図3に示されるように、第1の規制部485,495を、加圧ベルト42の周回軌道において、当該加圧ベルト42の内周面が他の部材と接触していない非接触領域が最も長い第2のフェルト部材52と加圧支持部材45の支持部452との間に位置するよう設けられている。
第1の規制部485,495は、図8(a)(b)に示されるように、加圧ベルト42の長手方向に沿った端部から中央部へ向け、加圧ベルト42の回転方向に沿った長さが短くなる部分を有するよう構成されている。その結果、第1の規制部485,495は、加圧ベルト42の回転方向に沿った長さが短く、加圧ベルト42の長手方向に沿った端部から中央部へ向けて突出した湾曲した断面略楕円形の細長い板状に形成されている。また、第1の規制部485,495の内面には、加圧支持部材45の補強用リブ453bとの干渉を避けるため、切欠き部485a,495aが設けられて薄肉に形成されている。なお、第1の規制部485,495の先端部は、必要に先細り形状に形成したり、円弧形状等の湾曲形状に形成しても良い。
第1の規制部485,495は、加圧ベルト42の長手方向に沿った端部の内周面に接触することにより、加圧ベルト42にウォーク現象自体が発生するのを規制したり、加圧ベルト42の長手方向に沿った端部に座屈や折曲がり等の変形が発生するのを規制するためのものである。
図示の実施の形態では、第1の規制部485,495の基端部に、加圧ベルト42の回転方向に沿った下流側に切欠き部485b,495bが設けられている。この切欠き部485b,495bは、第1の規制部485,495が加圧支持部材45の支持部452の背面に設けられた係止凸部455等との干渉を避けるためのものである。
また、この実施の形態1では、図8(a)(b)に示されるように、ガイド部材48,49のガイド部482,492に、加圧ベルト42の長手方向に沿った両端部を部分的に規制する規制手段の一例としての第2の規制部484,494が、加圧ベルト42の長手方向に沿った内側へ向けて短く突出するように設けられている。
第2の規制部484,494は、加圧ベルト42の周回軌道において、第1及び第2のフェルト部材51,52に対応した位置に配置されている。第1及び第2のフェルト部材51,52は、加圧ベルト42に張力を作用させることによって弾性変形するが、第1及び第2のフェルト部材51,52自体は、所謂ゴム等のような弾性体ではない。
そこで、加圧ベルト42に張力を作用させた場合に、第1及び第2のフェルト部材51,52が過剰に弾性変形するのを規制するため、ガイド部材48,49のガイド部482,492に第2の規制部484,494が設けられている。
第2の規制部484,494は、第1及び第2のフェルト部材51,52と干渉するのを防止するため、加圧ベルト42の長手方向に沿って相対的に短く設けられている。
更にこの実施の形態1では、加圧ベルト42にウォーク現象自体が発生するのを防止乃至抑制するため、加圧ベルト42に張力を付加し、加圧ベルト42の長手方向に沿った中央部に接する部分が、加圧ベルト42の長手方向に沿った両端部より加圧ベルト42の長手方向と交差する方向に沿った外側にあるよう支持する支持手段を備えるという構成を採用している。
かかる定着装置40は、図12に模式的に示されるように、加圧支持部材45の支持部452の先端452dによって、加圧ベルト42の長手方向に沿った中央部を両端部より大きな張力で支持することにより、加圧ベルト42の長手方向に沿った中央部から両端部に向かう力F1,F2をそれぞれ作用させるとともに、当該中央部から両端部に向かう力F1,F2を釣り合わせる(F1=F2)ことで、加圧ベルト42にウォーク現象が発生するのを防止乃至抑制するものである。
しかし、このように加圧ベルト42に張力を付与し、加圧ベルト42の長手方向に沿った中央部に接する部分が、加圧ベルト42の長手方向に沿った両端部より加圧ベルト42の長手方向と交差する方向に沿った外側にある加圧支持部材45の支持部452を設けた場合には、次のような不具合が生じる虞れがある。
すなわち、加圧ベルト42に長手方向に沿った中央部から両端部へそれぞれ向かう力を作用させることでウォーク現象の発生を抑制するように構成した場合、何らかの要因で加圧ベルト42が長手方向に沿った一端部へ移動しようとすると、加圧ベルト42に対して端部から中央部へ向けて戻す方向の力、当該一端部へ移動を阻止する力を作用させることができない。
また、加圧ベルト42は、その長手方向に沿った両端部の張力が中央部に比較して小さくなるため、加圧ベルト42の両端部に十分な張力を付与することができず、加圧ベルト42の両端部に座屈等の変形が発生し易くなる。
さらに、加圧ベルト42は、長手方向に沿った中央部に接する部分が両端部より加圧ベルトの長手方向と交差する方向に沿った外側で支持されるが、加圧ベルト42の両端部の張力が弱いと、加圧ベルト42を支持手段の長手方向に沿った中央部の形状に倣わせることが困難となる。
更に付言すると、加圧ベルト42は、長手方向に沿った両端部をある程度の張力で支持することによって、その長手方向に沿った中央部を加圧ベルト42の長手方向と交差する方向に沿った外側の位置で良好に支持することが可能となる。
そこで、この実施の形態では、加圧ベルト42の長手方向に沿った両端部に積極的に張力を作用させるため、加圧ベルト42の長手方向に沿った両端部を案内する手段であって、支持手段の加圧ベルト42の長手方向に沿った両端部より加圧ベルト42の長手方向と交差する方向に沿った外側で案内する案内手段を備えるよう構成されている。
すなわち、この実施の形態1では、図6及び図13に示されるように、加圧支持部材45の支持部452の先端452dが、加圧ベルト42の長手方向に沿った中央部が両端部に比較して加圧ベルト42の長手方向と交差する方向に沿った外側に湾曲した形状に突出した所謂クラウン形状に形成されている。
また、加圧支持部材45の支持部452の先端452dは、図14に示されるように、加圧ベルト42の長手方向に沿った中央部が両端部に比較して加圧ベルト42の回転方向に沿って定着ニップ部Nに近接するよう湾曲した形状に形成されている。そのため、先端452dの加圧ベルト42の長手方向に沿った中央部は、定着ニップ部Nとの距離が両端部に比較して短くなるように構成されている。
さらに、この実施の形態1では、加圧ベルト42の長手方向に沿った両端部を案内する案内手段の一例としてのガイド部材48,49が次の様に構成されている。
ガイド部材48,49は、図15に示されるように、加圧支持部材45の支持部452に対応した位置にガイド部482a,492aを備えている。ガイド部482a,492aは、加圧支持部材45の支持部452の外側面に略倣った形状に形成されている。ガイド部482a,492aは、支持部452の基端部452aに対応した着端部482a’,492a’と、支持部452の中間部452bに対応した中間部482a”,492a”と、支持部452の先端部452cに対応した先端部482a”’,492a”’と、支持部452の先端452dに対応した先端482a””,492a””とを備えている。
ガイド部482a,492aの着端部482a’,492a’は、位置も含めて支持部452の基端部452aと同一形状に形成されている。また、ガイド部482a,492aの中間部482a”,492a”及び先端部482a”’,492a”’は、支持部452の先端部452cより加圧ベルト42の長手方向と交差する方向(加圧ベルト42の厚さ方向に沿って内周面側から外周面側へ向かう方向)における外周側に配置されている。さらに、ガイド部482a,492aの先端482a””,492a””は、支持部452の先端452dより加圧ベルト42の長手方向と交差する方向に沿った外周側に配置されている。
また、ガイド部482a,492aの先端482a””,492a””は、加圧支持部材45の加圧ベルト42の長手方向に沿った中央部に位置する支持部452の先端452dより加圧ベルト42の長手方向と交差する方向に沿った内周側に配置されている。
その結果、加圧ベルト42は、図16に模式的に示されるように、加圧支持部材45の加圧ベルト42の長手方向に沿った中央部に位置する支持部452の先端452dに対応して、加圧ベルト42の長手方向に沿った中央部が最も張力Tが大きく、次にガイド部482a,492aの先端482a””,492a””に対応した加圧ベルト42の長手方向に沿った両端部の張力Tが大きく、加圧支持部材45の加圧ベルト42の長手方向に沿った両端部に位置する領域が支持部452の先端452dに対応して張力Tが最も小さい。
そのため、加圧ベルト42は、図16に示されるように、その長手方向に沿って中央部が最も大きな張力T1で支持部452の中央部によって支持され、次いでその長手方向に沿って両端が中央部より小さな張力T2でガイド部材48,49の先端482a””,492a””によって支持され、更にその長手方向に沿った両端より内側に位置する両端部が支持部452の両端部によって最も小さな張力T3(T3<T2<T1)で支持されるよう構成されている。
<定着装置の動作>
この実施の形態に係る定着装置40では、次のようにして、案内手段にベルト内面の長手方向に沿って突起状に設けられ、ベルトを規制する規制手段を備えない場合に比べ、ベルトに移動及び/又は変形が生じることが抑制される。
定着装置40は、モノクロの画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、図11に示されるように、偏心カム75,76が図示しない駆動モータによって回転駆動され、加圧ユニット44が装着されたアーム部材71,72がコイルスプリング73,74の付勢力によって反時計回り方向に回転し、図3に示されるように、加圧ユニット44が加熱ロール41に圧接される。
同時に、定着装置40は、図4に示されるように、加熱ロール41がその軸方向の一端部に装着された駆動ギアGを介して回転駆動される。また、加熱ロール41は、ハロゲンランプ414a,414bに通電されて加熱が開始される。
定着装置40は、図3に示されるように、加熱ロール41の回転に伴い、定着ニップ部Nにおいて当該加熱ロール41に圧接する加圧ベルト42が加熱ロール41との間に作用する摩擦力によって従動回転する。
このとき、加圧ベルト42は、加熱ロール41の軸方向に沿った圧力分布や、加熱ロール41と加圧ベルト42のアライメント(整列具合)、加熱ロール41及び加圧ベルト42の外径や肉厚等のバラツキ(公差)など種々の要因が存在すると、図4に示されるように、長手方向に沿った端部へ向けて移動する所謂ウォーク現象が発生する虞れがある。
ところで、この実施の形態1に係る定着装置40では、図8(a)(b)に示されるように、ガイド部材48,49のガイド部482,492に、加圧ベルト42の長手方向に沿った両端部を部分的に規制する第1の規制部485,495が、加圧ベルト42の長手方向に沿った内側へ向けて長く突出するように設けられている。
そのため、加圧ベルト42に長手方向に沿った端部へ向けて移動するウォーク現象が発生し、加圧ベルト42に長手方向に沿った端部がガイド部材48,49の側板部481,491のいずれかに突き当てられた場合であっても、加圧ベルト42に長手方向に沿った端部の内周面は、図18に示されるように、最も長い非接触領域である第2のフェルト部材52と加圧支持部材45の支持部452との間の領域において、第1の規制部485,495によって内側から支持される。その結果、加圧ベルト42に長手方向に沿った端部がガイド部材48,49の側板部481,491に突き当てられた場合、加圧ベルト42の内周面が第1の規制部485,495によって支持され、折れ曲がりや座屈等の変形が発生することが防止乃至抑制される。
これに対して、ガイド部材48,49に第1の規制部485,495が設けられていない場合には、図19に示されるように、加圧ベルト42の長手方向に沿った端部がガイド部材48,49の側板部481,491に突き当てられると、加圧ベルト42の端部を内面から支持して規制する部材が存在しないため、加圧ベルト42の端部に折れ曲がりや座屈等の変形が発生する虞れがある。
また、この実施の形態1に係る定着装置40では、図6に示されるように、加圧支持部材45の支持部452における先端452dが、加圧ベルト42の長手方向に沿った中央部が両端部に比較して湾曲した形状に突出している。そのため、加圧ベルト42には、図17に示されるように、加圧ベルト42の長手方向に沿った中央部の張力が両端部に比較して大きくなる。
その結果、加圧ベルト42は、加圧支持部材45の支持部452の先端452dによって、加圧ベルト42の長手方向に沿った中央部を両端部より大きな張力で支持することにより、加圧ベルト42の長手方向に沿った中央部から両端部に向かう力F1,F2がそれぞれ作用し、当該中央部から両端部に向かう力F1,F2を釣り合わせる(F1=F2)ことにより、加圧ベルト42にウォーク現象自体が発生することが防止乃至抑制される。
また、この実施の形態では、図15に示されるように、ガイド部材48,49のガイド部482,492のうち、加圧支持部材45の支持部452の先端452dに対応したガイド部482a””,492””が、加圧支持部材45の支持部452における加圧ベルト42の長手方向に沿った両端部に位置する先端452dよりも、加圧ベルト42の長手方向と交差する方向に沿った外周側に位置するよう構成されている。
そのため、ガイド部材48,49のガイド部482a””,492””によって案内される加圧ベルト42の長手方向に沿った両端部には、図17に示されるように、支持部452の先端452dにおいて、加圧ベルト42の長手方向に沿った中央部より小さく、且つ両端部より大きい張力T2が作用する。
その結果、加圧ベルト42は、ガイド部材48,49のガイド部482a””,492””によって、支持部452の加圧ベルト42の長手方向に沿った両端部より大きな張力で支持されることになり、加圧ベルト42の長手方向に沿った両端部から中央部に向かう力F3,F4がそれぞれ作用する。
したがって、加圧ベルト42の長手方向に沿った両端部には、両端部から中央部に向かう力F3,F4を常時作用させることができ、何らかの要因で加圧ベルト42が長手方向に沿った一端部へ移動しようとした場合であっても、加圧ベルト42には、端部から中央部へ向けて戻す方向、つまり一端部への移動を阻止する力F3,F4を作用させることが可能となる。
また、加圧ベルト42には、その長手方向に沿った両端部にある程度の張力T2を作用させることができ、加圧ベルト42の両端部に座屈等の変形が発生するのを抑制することができる。
さらに、加圧ベルト42には、その長手方向に沿った両端部にある程度の張力T2を作用させることができ、加圧ベルト42の長手方向に沿った中央部を加圧支持部材45の支持部452の先端452dの形状に倣わせることができる。
また、加圧ベルト42の回転方向において、ガイド部材48,49のガイド部482a””,492a””は、加圧支持部材45の支持部452の先端452dよりも上流側に設けられている。これにより、ガイド部材48,49のガイド部482a””,492a””を加圧支持部材45の支持部452の先端452dよりも下流側に設けた場合と比べ、より確実に加圧ベルト42を加圧支持部材45の支持部452の先端452dに沿わせることができる。
[実施の形態2]
図20は、実施の形態2に係る定着装置を示すものである。この実施の形態2に係る定着装置では、規制手段は、案内手段のベルトの周方向に沿って複数設けられている。
すなわち、この実施の形態2に係る定着装置40では、図20(a)(b)に示されるように、ガイド部材48,49のガイド部482,492に、加圧ベルト42の長手方向に沿った両端部を部分的に規制する規制手段の一例としての第3の規制部486,496が、加圧ベルト42の長手方向に沿った内側へ向けて突出するように設けられている。
第3の規制部486,496は、図21に示されるように、加圧ベルト42の周回軌道において、当該加圧ベルト42の内周面が他の部材と接触していない非接触領域が2番目に長い加圧支持部材45の加圧部451と第1のフェルト部材51との間に位置するよう設けられている。
第3の規制部486,496は、図20(a)(b)に示されるように、加圧ベルト42の長手方向に沿った端部から中央部へ向け、加圧ベルト42の回転方向に沿った長さが短くなる部分を有するよう構成されている。その結果、第3の規制部486,496は、加圧ベルト42の回転方向に沿った長さが短く、加圧ベルト42の長手方向に沿った端部から中央部へ向けて突出した湾曲した断面略楕円形の細長い板状に形成されている。
また、第3の規制部486,496の先端部には、加圧支持部材45の補強用リブ451dとの干渉を避けるため、切欠き部486a,496aが設けられている。なお、第3の規制部486,496の先端部は、必要に先細り形状に形成したり、円弧形状等の湾曲形状に形成しても良い。
このように、上記実施の形態2に係る定着装置40では、図20(a)(b)に示されるように、ガイド部材48,49のガイド部482,492に、第1の規制部485,495に加えて第3の規制部486,496を備えている。そのため、定着装置40では、加圧ベルト42の周回軌道において、当該加圧ベルト42の内周面が他の部材と接触していない非接触領域が2番目に長い加圧支持部材45の加圧部451と第1のフェルト部材51との間において、加圧ベルト42の長手方向に沿った端部に折れ曲がりや座屈等の変形が発生するのを防止乃至抑制することができる。
また、この実施の形態2に係る定着装置40では、図22に示されるように、加圧ベルト42が傾斜した状態でウォーク現象が発生したとしても、ガイド部材48,49も加圧ベルト42と同様に傾斜して、ガイド部材48,49の第1又は第3の規制部485,495,486,496の先端が加圧ベルト42の内面に接触して、加圧ベルト42の傾斜を矯正する方向に押すことにより、加圧ベルト42のウォーク現象並びに傾斜が抑制される。
なお、加圧ベルト42と同様にガイド部材48,49も傾斜するのは、図9及び図10に示されるように、ガイド部材48,49を嵌め合わせた状態で固定する貫通孔486,496,487,497と、第1及び第2の保持部材46,47の凸部463,464,473,474との間に、ガイド部材48,49の傾斜を許容する間隙が予め設定されているためである。
その他の構成及び作用は、前記実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
[実施の形態3]
図23は、実施の形態3に係る定着装置を示すものである。この実施の形態3に係る定着装置では、複数の規制手段は、ベルトの長手方向に沿って互いに平行に配置され、案内手段は、その基端部にベルトの長手方向と交差する方向に沿った外側へ向けて傾斜した傾斜面を有するように構成されている。
すなわち、この実施の形態3では、図23に示されるように、ガイド部材48,49のガイド部482,492の基端部に加圧ベルト42の中央部へ向けて先細り状の傾斜面489,499が形成されている。傾斜面489,499の基端部は、その周長が加圧ベルト42の周長より長く設定されている。また、ガイド部482,492の傾斜面489,499の先端に、第1又は第3の規制部485,495,486,496が一体的に形成されている。
そのため、この実施の形態3では、加圧ベルト42にウォーク現象が発生して端部へ向けて移動すると、加圧ベルト42の端部がガイド部材48,49の傾斜面489,499に乗り上げて、側壁部481,491へ突き当たり変形が発生することが防止乃至抑制される。
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
[実施の形態4]
図24は、実施の形態4に係る定着装置を示すものである。この実施の形態4に係る定着装置では、規制手段は、ベルトの長手方向に沿った中央部へ向け、且つ長手方向と交差する方向に沿った内側へ向けて傾斜して設けられている。
この実施の形態4では、図24に示されるように、第1の規制部485,495が加圧ベルト42の長手方向に沿った中央部へ向け、且つ長手方向と交差する方向に沿った内側へ向けて傾斜して設けられている。
そのため、この実施の形態4では、加圧ベルト42にウォーク現象が発生して端部へ向けて移動すると、加圧ベルト42の内周がガイド部材48,49の傾斜した第1の規制部485,495に接触して、当該加圧ベルト42に張力が作用することにより、加圧ベルト42が長手方向に沿った端部へ向けて移動することが規制される。
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
[実施の形態5]
図25は、実施の形態5に係る定着装置を示すものである。この実施の形態5に係る定着装置では、複数の規制手段は、ベルトの長手方向に沿った中央部へ向け、且つ長手方向と交差する方向に沿った内側又は外側へ向けて傾斜して設けられている。
この実施の形態5では、図25(a)(b)に示されるように、第1又は第3の規制部485,495,486,496が、加圧ベルト42の長手方向に沿った中央部へ向け、且つ長手方向と交差する方向に沿った内側又は外側へ向けて傾斜するように設けられている。
この実施の形態5では、図25(a)(b)に示されるように、第1及び第3の規制部485,495,486,496が薄肉に形成されており、その先端部が加圧ベルト42の長手方向と交差する方向に沿って弾性変形が可能となるよう構成されている。
そのため、この実施の形態5では、図25(a)における作用は実施の形態4と略同様である。
また、この実施の形態5では、図25(b)に示されるように、加圧ベルト42にウォーク現象が発生して端部へ向けて移動すると、第1及び第3の規制部485,495,486,496の先端部が加圧ベルト42の内面に接触して端部への移動を規制するようになっている。
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
[実施の形態6]
図26は、実施の形態6に係る定着装置を示すものである。この実施の形態6に係る定着装置では、基本的に実施の形態3と同様に、案内手段は、その基端部にベルトの長手方向と交差する方向に沿った外側へ向けて傾斜した傾斜面を有するように構成され、なおかつ、一方の規制手段が他方の規制手段よりも長さが長く設定されている。
すなわち、この実施の形態6では、図26に示されるように、加圧ベルト42の周回軌道において、最も非接触領域が長い部位に配置される第1の規制部485,495が第3の規制部486,496より加圧ベルト42の長手方向に沿って長く設定されている。
この実施の形態6においては、長さが長く設定された第1の規制部485,495によって加圧ベルト42の変形をより一層確実に防止乃至抑制することが可能となる。
その他の構成及び作用は、前記実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
[実施の形態7]
図27は、実施の形態7に係る定着装置を示すものである。この実施の形態7に係る定着装置では、ベルトの内部に配置され、ベルトの長手方向に沿った中央部を両端部よりベルトの長手方向と交差する方向に沿った外側で支持する支持手段として、加圧支持部材を用いるのではなく、潤滑剤塗布手段としてのフェルト部材が兼ねるように構成されている。
第1及び第2のフェルト部材51,52は、図27に示されるように、加圧ベルト42の長手方向に沿った中央部を含む加圧ベルト42の長手方向に沿った全長よりも短く設定されている。そのため、加圧ベルト42には、その長手方向に沿った中央部にのみ第1及び第2のフェルト部材51,52の厚さに応じた張力が作用され、その長手方向に沿った両端部には、第1及び第2のフェルト部材51,52の厚さに応じた張力が作用しないよう構成されている。
また、この実施の形態では、加圧支持部材45の支持部452の先端452dが加圧ベルト42の長手方向に沿って直線状に形成されている。
さらに、この実施の形態では、図15に示されるように、ガイド部材48,49のガイド部482,492において、加圧支持部材45の支持部452の先端452dに対応した形状が、加圧ベルト42の長手方向と交差する方向の外周側に位置する形状に形成されている。
この実施の形態では、加圧支持部材45の支持部452を複雑な形状に形成することなく、加圧ベルト42の長手方向に沿った張力が図16に示されるような関係を満たすように構成することができる。
その他の構成及び作用は、前記実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
[実施の形態8]
図28は、実施の形態8に係る定着装置を適用した画像形成装置を示すものである。前記実施の形態1では、定着手段として加熱ロール41を用い、無端状のベルトとして加圧ベルト42を用いた場合について説明したが、この実施の形態8では、定着手段として加圧ロールを用い、無端状のベルトとして加熱ベルトを用いるように構成したものである。
すなわち、この実施の形態8に係る定着装置40は、図28に示されるように、無端状のベルトの一例として加熱ベルト81と、加圧ロール82を備えている。加熱ベルト81の内部には、加熱ベルト81を加圧ロール82に対して押し付けることで定着ニップ部Nを形成する加圧パッド85が設けられている。また、加圧パッド85には、発熱抵抗体86が設けられている。また、加熱ベルト81は、加熱ベルト81の長手方向に沿った両端部が案内手段としてのガイド部材83,84によって案内される。
加圧パッド85のうち、加熱ベルト81の回転方向において定着ニップ部Nよりも上流側の部分85aは、前記実施の形態1の加圧支持部材45の支持部452の先端452dと同様の形状に形成されている。
ガイド部材83,84は、その定着ニップ部の上流側の一部が前記実施の形態1のガイド部材48,49のガイド部482a””,492a””と同様の形状に形成されている。
その他の構成及び作用は、前記実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
なお、前記実施の形態では、加圧手段と支持手段を一体的に形成した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、加圧手段と支持手段を別々に形成しても良いことは勿論である。
また、前記実施の形態では、支持手段と案内手段を別体として形成した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、支持手段と案内手段を一体的に形成しても良い。
さらに、前記実施の形態では、規制手段を複数設けた例について説明したが、規制手段は必ずしも複数である必要はない。
また、前記実施の形態では、画像形成装置としてモノクロの画像形成装置に適用した場合について説明したが、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置10(Y,M,C,K)を有するフルカラーの画像形成装置についても同様に適用することができることは勿論である。