JP7297075B2 - 光偏向装置および光学装置 - Google Patents

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Description

本発明は、小型化および軽量化に適した単純な構造にできる高偏向角化が可能な光偏向装置、および、この光偏向装置を利用する光学装置に関する。
今日、レーザ光の光偏向の技術は、様々な分野で応用されている。例えば、自由空間光通信用の光行差補正、および、レーザレーダ用の走査系などが例として挙げられる。
従来、レーザ光の光偏向器およびポインティング用光学系などとして、ジンバルミラーおよびガルバノミラー等が多く用いられている。これらの方法は、ミラーを機械的に動かしてレーザ光の光方向制御をおこなうため、直接的でかつ簡単な方法である。
また、光偏向器としては、特許文献1に記載されるような、光源と受光器を回転ステージに設け、光学系全体を回転させる構成も知られている。
米国特許7969558号
しかしながら、上記従来の方法にあっては、比較的大きなミラーおよび回転ステージを大きな物理的動作を伴って制御する必要があることから、軽量化および小型化が必要なシステム、および、低消費電力を必要とする用途には適していないという問題点があった。
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、小型化および軽量化に適した単純な構造で、かつ、高偏向角化が可能な光偏向装置、および、この光偏向装置を用いる光学装置を提供することにある。
この課題を解決するために、本発明の光偏向装置は、以下の構成を有する。
[1] 入射された光を偏向して出射する光偏向素子と、
光偏向素子を駆動する駆動手段と、
光偏向素子よりも光の進行方向の下流側に配置され、光偏向素子から出射した光の偏向角の角度範囲を拡大する角度拡大光学素子と、を備え、
角度拡大光学素子が、面内で周期構造ピッチが異なる回折素子からなり、
光偏向素子よりも光の進行方向の下流側に配置された集光素子と、
を備えたことを特徴とする光偏向装置。
[2] 角度拡大光学素子と集光素子の素子中心間の光路長が集光素子の焦点距離よりも短い、[1]に記載の光偏向装置。
[3] 角度拡大光学素子における、回折素子の周期構造ピッチが、光偏向素子による偏向角の中心から外側に向かって、漸次、変化する、回折素子である、[1]または[2]に記載の光偏向装置。
[4] 角度拡大光学素子が、液晶回折素子である、[1]~[3]のいずれかに記載の光偏向装置。
[5] 液晶回折素子が、液晶化合物を含む組成物を用いて形成された、液晶化合物由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有する光学異方性層を備える、[4]に記載の光偏向装置。
[6] 光学異方性層の液晶配向パターンが、液晶化合物由来の光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する一方向を、内側から外側に向かう同心円状に有する、同心円状のパターンである、[5]に記載の光偏向装置。
[7] 光学異方性層が、厚さ方向に沿って伸びる螺旋軸に沿って捩れ配向した液晶化合物を有する、[5]~[6]のいずれかに記載の光偏向装置。
[8] 液晶回折素子が、厚さ方向に沿って伸びる螺旋軸に沿って捩れ配向した液晶化合物の捩れ方向が、互いに逆である、2層の光学異方性層を有する、[7]に記載の光偏向装置。
[9] 2層の光学異方性層の間に、液晶化合物がねじれ配向しない光学異方性層を有する、[8]に記載の光偏向装置。
[10] 集光素子が集光レンズ素子である、[1]~[9]のいずれかに記載の光偏向装置。
[11] 集光素子が面内で周期構造ピッチが異なる回折素子である、[1]~[10]のいずれかに記載の光偏向装置。
[12] 集光素子が、液晶回折素子である、[11]に記載の光偏向装置。
[13] 集光素子が、液晶化合物を含む組成物を用いて形成された、液晶化合物由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有する光学異方性層を備えた液晶回折素子である、[12]に記載の光偏向装置。
[14] 集光素子における、光学異方性層の液晶配向パターンが、液晶化合物由来の光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する一方向を、内側から外側に向かう同心円状に有する、同心円状のパターンである、[13]に記載の光偏向装置。
[15] 集光素子における、光学異方性層が、厚さ方向に沿って伸びる螺旋軸に沿って捩れ配向した液晶化合物を有する、[13]~[14]のいずれかに記載の光偏向装置。
[16] 光偏向素子が、光位相変調素子である、[1]~[15]のいずれかに記載の光偏向装置。
[17] 光偏向素子が、液晶光位相変調素子である、[1]~[16]のいずれかに記載の光偏向装置。
[18] 光偏向素子が、MEMS光偏向素子である、[1]~[15]のいずれかに記載の光偏向装置。
[19] [1]~[18]のいずれかに記載される光偏向装置と、光偏向装置の光偏向素子に光を入射する光源と、受光素子とを有することを特徴とする光学装置。
本発明によれば、小型化および軽量化に適した単純な構造で、かつ、高偏向角化が可能な光偏向装置、および、この光偏向装置を用いる光学装置を提供できる。
図1は、本発明の光偏向装置の一例の概念図である。 図2は、本発明の光偏向装置の別の例の概念図である。 図3は、図1に示す光偏向装置の作用を説明するための概念図である。 図4は、本発明の光偏向装置の別の一例の概念図である。 図5は、液晶回折素子の概念図である。 図6は、光学異方性層の概略平面図である。 図7は、光学異方性層の作用を説明するための概念図である。 図8は、光学異方性層の別の例の概略平面図である。 図9は、配向膜を露光する露光装置の概念図である。 図10は、配向膜を露光する露光装置の別の例の概念図である。 図11は、光学異方性層の他の例の概念図である。 図12は、光学異方性層の他の例の概念図である。 図13は、本発明の光偏向装置の一例の作用を説明するための概念図である。 図14は、本発明の光偏向装置の一例の概念図である。 図15は、本発明の光偏向素子の別の例の概念図である。 図16は、本発明の光学装置の一例を概念的に示す図である。
以下、本発明の光偏向装置について図面を参照して説明する。なお、各図面においては、視認しやすくするため、構成要素の縮尺は実際のものとは適宜、異ならせてある。
本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、角度について「直交」および「平行」とは、厳密な角度±10°の範囲を意味するものとする。
本明細書において、Re(λ)は、波長λにおける面内のリターデーションを表す。特に記載がないときは、波長λは、550nmとする。
本明細書において、Re(λ)は、AxoScan(Axometrics社製)において、波長λで測定した値である。AxoScanにて平均屈折率((nx+ny+nz)/3)と膜厚(d(μm))を入力することにより、
遅相軸方向(°)
Re(λ)=R0(λ)
が算出される。
なお、R0(λ)は、AxoScanで算出される数値として表示されるものであるが、Re(λ)を意味している。
(光偏向装置)
本発明の実施の形態にかかる光偏向装置の構成を、図1~図3の概念図を用いて説明する。
図1に示すように、本発明の光偏向装置100は、光(光ビーム)の進行方向の上流側(図1中左側)から、光偏向素子101と、集光素子131と、角度拡大光学素子120と、を有する。光偏向素子101は、駆動装置141が接続されている。
以下の説明では、上流および下流とは、光の進行方向の上流および下流とする。
集光素子131および角度拡大光学素子120は、図1に示すように、光偏向素子101の出射側(下流)に配置する。
集光素子131、および、角度拡大光学素子120は、図1に示すように、当接して配置してもよく、さらに、接着剤などを用いて固定してもよい。
また、集光素子131、および、角度拡大光学素子120は、図2に示すように、光偏向素子101から出射される光の偏向角の範囲から外れない程度に間隔102を空けて配置しても、本発明と同じ効果を得ることができる。
光の種類によっては、通過する際に熱を発する場合が有るが、間隔102を設けることにより、通過する光によって発せられる熱が、光偏向素子101と集光素子131、および、集光素子131と角度拡大光学素子120とを固定した接着剤などを溶かすといった問題を回避できる。この間隔102は、0.1~100mmが好ましい。
この間隔102を有する場合には、角度拡大光学素子120の入射面103が空気層と接するため、出射面161および/または入射面103に、必要に応じて無反射コートを形成するとよい。
図3は、本発明の実施の形態における光偏向装置100の作用を説明するための概念図である。
図3に示すように、液晶光位相変調素子101は、図示しない光源から出射された光を所定の角度θだけ偏向する(実線の矢印参照)。液晶光位相変調素子101による偏光角θは、後述する駆動装置141によって変更される。すなわち、図3中破線の矢印で示すように、液晶光位相変調素子101による偏光角θは、駆動装置141によって適宜変更され光の進行方向が変えられる。
光偏向素子101によって偏向された光は、集光素子131を通過した後、次いで、面内で周期構造ピッチが異なる回折素子からなる角度拡大光学素子120によって回折されて、偏向角を拡大される。集光素子131については後に詳述する。
図3において、光偏向素子101による偏向の角度θが、図3を紙面に垂直な方向から見て光の進行方向に対して反時計方向である場合をプラス方向として、光偏向素子101における角度θの可変範囲の最大値を最大偏向角θmaxとする。本発明の光偏向装置100では、最大偏向角θmaxの光が角度拡大光学素子120に入射する際における出射角度が、光偏向装置100において目的とする最大の出射角度θmaxoutになるように、後述する角度拡大光学素子120の周期構造ピッチ(後述する周期p)を決める。
このようにすると、光偏向素子101の最大偏向角θmaxが小さくても、角度拡大光学素子120によって、光偏向素子101による最大偏向角θmaxを、光偏向装置100において目的とする最大の出射角度θmaxoutに拡大することが可能となる。
同様に、角度θがマイナス方向すなわち時計方向である場合にも、角度θの可変範囲の最大値である最大偏向角θmaxの際に、出射角度が、光偏向装置100において目的とする最大の出射角度θmaxoutになるように、周期構造ピッチを決めることで、角度θがマイナス方向の場合にも最大偏向角θmaxを目的とする最大の出射角度θmaxoutに拡大することが可能となる。
後に詳述するが、回折素子からなる角度拡大光学素子120においては、周期構造ピッチが小さいほど、回折角度が大きくなる。また、光偏向装置100においては、出射光の偏向角度を大きくするために、光偏向素子101による偏向(偏向方位)の中心から外側(両端部)に向かって、漸次、角度拡大光学素子120の回折角度を大きくする。
このことは、図3において、角度拡大光学素子120の一領域である120a、120b、120cのそれぞれの周期構造ピッチ(回転周期p)をpa、pb、pcとすると、pa<pb<pc、の関係があることを意味する。同様に、120d、120eのそれぞれの周期構造ピッチをpd、peとすると、pe<pd<pcの関係があることを意味する。
この様に、角度θの絶対値が0から最大偏向角θmaxの間の場合は、光偏向素子101から出射される光の角度θが小さい場合には、光が角度拡大光学素子120で小さく回折するように周期構造ピッチを大きくしておき、光偏向素子101から出射される光の角度θが最大偏向角θmaxに近づくにしたがって、光が角度拡大光学素子120で大きく回折するように周期構造ピッチを、漸次、小さくする。
このようにすると、光偏向素子101の出射光の角度範囲が±θmaxだったのに対し、角度拡大光学素子120を出射する時には±θmaxoutに拡大されることになる。
ここで、回折素子からなる角度拡大光学素子120に入射する前の光の入射角度をθ、入射側の媒質の屈折率をn、角度拡大光学素子120を出射した後の光の出射角度をθ、出射側の媒質の屈折率をn、光の波長をλ、角度拡大光学素子の周期構造ピッチをp、回折次数をm、とすると、以下の式(101)によって、これらの値は関係づけられる。
・sinθ-n・sinθ=m・λ/p(101)
後述するように、角度拡大光学素子120の周期構造ピッチp(周期p)を変えることによって、角度拡大光学素子120からの出射光の角度を変えることができる。
スネル則を考慮すると、最終的に空気に出射されるときの角度は絶対値80°程度まで可能であるため、非常に大きな角度まで角度θを拡大することが可能である。また、角度拡大光学素子120の周期構造ピッチ(周期)pを、面内で連続的に変化させることによって、連続的に任意の方向に光を出射できる。
(集光素子)
前述のように、光偏向装置100は、光の進行方向の上流側から、光偏向素子101と、本発明における集光素子131と、角度拡大光学素子120とを有する。
集光素子131は、公知の集光素子であって、光偏向素子101に入射する光を、若干、集光するものである。
本発明の光偏向装置100は、集光素子131を有することにより、光偏向装置100(角度拡大光学素子120)から出射する光(光ビーム)を、適正な平行光にして、直進性を向上できる。集光素子131の作用に関しては、後に詳述する。
本発明において、集光素子は、特に制限はなく、光(光ビーム)を集光可能な公知の光学素子が、全て、利用可能である。
なお、本発明の光偏向装置100は、光の進行方向の上流側から、光偏向素子101と、角度拡大光学素子120と、集光素子131とを有する構成も好ましく用いられる。
(光偏向素子)
[MEMS偏向素子]
図4に、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems、微小機器電気システム)光偏向素子を用いる本発明の光偏向装置の一例を概念的に示す。
MEMS光偏向素子は圧電アクチュエータ等を用いてミラー(鏡)を揺動させることにより、光を偏向(偏向走査)する。
図4に示す光偏向装置100において、図示しない光源から出射された光は、MEMS光偏向素子101Aのミラーに入射し、MEMS光偏向素子101Aのミラー面の角度に応じた方向に反射され、集光素子131および角度拡大光学素子120に入射する。MEMS光偏向素子101Aの偏向角は入射光に対するミラー面の角度によって決められ、圧電アクチュエータ等を用いてミラーを揺動させることにより、光を偏向(偏向走査)する。
本発明の光偏向装置100において、光偏向素子として用いられるMEMS光偏向素子101Aには制限はなく、特開2012-208352号公報に記載されるMEMS光偏向素子、特開2014-134642号公報に記載されるMEMS光偏向素子、および、特開2015-22064号公報に記載されるMEMS光偏向素子等、圧電アクチュエータ等を用いてミラー(鏡)を揺動させることにより、光を偏向(偏向走査)する、公知のMEMS光偏向素子(MEMS(光)スキャナー、MEMS光偏向器、MEMSミラー、DMDが、全て、利用可能である。
(駆動装置)
光偏向素子101には、駆動装置141が接続される。駆動装置141は、光偏向素子101を駆動する、光偏向素子101の構成に応じた公知の駆動装置である。駆動装置141が光偏向素子101を駆動することによって、光偏向素子101による偏向角θを変更することができる。光偏向装置100は、駆動装置141が光偏向素子101による偏向角θを順次変更することで、光を用いた走査を行うことができる。
(角度拡大光学素子)
[液晶回折素子]
図5に、回折素子からなる角度拡大光学素子の一例として液晶回折素子121の一部を拡大して示す概念的に示す。図5は、液晶回折素子121を、図1~図3と同方向に見た図であり、液晶回折素子121の側面図である。
液晶回折素子121は、シート状のものであって、支持体12と、配向膜13と、光学異方性層14と、を有する。
上述したように、角度拡大光学素子である液晶回折素子121は、光偏向素子101が偏向した光を、光偏向素子101による偏向方向に回折することにより、光偏向素子101が偏向した光を、さらに偏向するものである。光偏向装置100は、光偏向素子101に、このような液晶回折素子121を組み合わせるにより、光偏向素子101の最大偏向角θmaxよりも遥かに大きい、最大の出射角度θmaxoutの偏向角による光の偏向を可能にしている。
なお、図示例においては、液晶回折素子121のシート面方向をx-y方向、厚さ方向をz方向として定義している。図5においては、図中横方向が液晶化合物由来の光学軸が一方向に向かって回転する方向(後述する軸A方向)であり、この方向をx方向とする。従って、y方向は、図5の紙面と直交する方向になる。
また、図1~図3においては、図中上下方向がx方向に、紙面と直交する方向がy方向に、図中横方向がz方向に、それぞれ、対応する。x方向は、光偏向素子101による偏向方向と一致する。この点に関しては、図4も同様である。
図1~図3において、液晶回折素子121は、平面状であるが、液晶回折素子121は、平面状に制限はされず、曲面状でもよい。
<支持体>
支持体12は、配向膜および光学異方性層を支持できるものであれば、各種のシート状物(フィルム、板状物)が利用可能である。
支持体12としては、透明支持体が好ましく、ポリメチルメタクリレート等のポリアクリル系樹脂フィルム、セルローストリアセテート等のセルロース系樹脂フィルム、およびシクロオレフィンポリマー系フィルム等を挙げることができる。シクロオレフィンポリマー系フィルムとしては、例えば、JSR社製の商品名「アートン」、および、日本ゼオン社製の商品名「ゼオノア」等が例示される。
支持体12は、可撓性のフィルムであってもよく、または、例えばガラス基板等の非可撓性の基板であってもよい。
<配向膜>
液晶回折素子121において、支持体12の表面には配向膜13が形成される。
配向膜13は、光学異方性層14を形成する際に、液晶化合物20を、所定の液晶配向パターンに配向するための配向膜である。
後述するが、液晶回折素子121において、光学異方性層14は、液晶化合物20に由来する光学軸22の向きが、面内の一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有する。従って、液晶回折素子121の配向膜13は、光学異方性層14が、この液晶配向パターンを形成できるように、形成される。
液晶回折素子121の光学異方性層14においては、液晶配向パターンにおける、光学軸22の向きが連続的に回転しながら変化する一方向(後述する軸Aに沿う方向)において、光学軸22の向きが180°回転する長さを1周期(光学軸22の回転周期p)とする。本発明の光偏向装置100において、光学異方性層14は、偏向素子101による偏向(偏向方位(偏向方向))の中心から外側に向かって、1周期が、漸次、短くなる。
また、液晶化合物20の光学軸の回転方向は、軸Aに沿う方向(矢印x方向)に向かって、偏向素子101による偏向の中心で逆転する。従って、液晶回折素子121の配向膜13は、光学異方性層14が、この液晶配向パターンを形成できるように、形成される。
配向膜13は、公知の各種のものが利用可能である。
光学異方性層14の配向膜13としては、例えば、ポリマーなどの有機化合物からなるラビング処理膜、無機化合物の斜方蒸着膜、マイクログルーブを有する膜、ならびに、ω-トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライドおよびステアリル酸メチルなどの有機化合物のラングミュア・ブロジェット法によるLB(Langmuir-Blodgett:ラングミュア・ブロジェット)膜を累積させた膜、等があげられる。
配向膜13としては、ポリマー層の表面をラビング処理して形成されたものが例示される。ラビング処理は、ポリマー層の表面を紙や布で一定方向に数回こすることにより実施される。配向膜に使用するポリマーの種類は、ポリイミド、ポリビニルアルコール、特開平9-152509号公報に記載された重合性基を有するポリマー、特開2005-97377号公報、特開2005-99228号公報、および、特開2005-128503号公報記載の配向膜等を好ましく使用することができる。
なお、本発明で言う直交配向膜とは、本発明の重合性棒状液晶化合物の分子の長軸を、直交配向膜のラビング方向と実質的に直交するように配向させる配向膜を意味する。配向膜の厚さは配向機能を提供できれば厚い必要はなく、0.01~5μmであることが好ましく、0.05~2μmであることがさらに好ましい。
配向膜13としては、光配向性の素材に偏光または非偏光を照射して配向膜とした、いわゆる光配向膜も利用可能である。すなわち、支持体12上に、光配光材料を塗布して光配向膜を作製してもよい。
偏光の照射は、光配向膜に対して、垂直方向または斜め方向から行うことができ、非偏光の照射は、光配向膜に対して、斜め方向から行うことができる。
本発明に利用可能な光配向膜に用いられる光配向材料としては、例えば、特開2006-285197号公報、特開2007-76839号公報、特開2007-138138号公報、特開2007-94071号公報、特開2007-121721号公報、特開2007-140465号公報、特開2007-156439号公報、特開2007-133184号公報、特開2009-109831号公報、特許第3883848号、特許第4151746号に記載のアゾ化合物、特開2002-229039号公報に記載の芳香族エステル化合物、特開2002-265541号公報、特開2002-317013号公報に記載の光配向性単位を有するマレイミドおよび/またはアルケニル置換ナジイミド化合物、特許第4205195号、特許第4205198号に記載の光架橋性シラン誘導体、特表2003-520878号公報、特表2004-529220号公報、特許第4162850号に記載の光架橋性ポリイミド、ポリアミド、またはエステル、特開平9-118717号公報、特表平10-506420号公報、特表2003-505561号公報、WO2010/150748号公報、特開2013-177561号公報、ならびに、特開2014-12823号公報に記載の光二量化可能な化合物、特にシンナメート化合物、カルコン化合物およびクマリン化合物が好ましい例として挙げられる。特に好ましくは、アゾ化合物、光架橋性ポリイミド、ポリアミド、エステル、および、シンナメート化合物、カルコン化合物である。
本発明においては、光配向膜を用いるのが好ましい。
光配向材料を支持体12上に塗布して乾燥させた後、配向膜を露光して配向パターンを形成する、配向膜の露光装置の模式図を図9に示す。
露光装置50は、レーザ52を備えた光源54と、レーザ52からのレーザ光70を2つに分離する偏光ビームスプリッター56と、分離された2つの光線72A、72Bの光路上にそれぞれ配置されたミラー58A、58Bおよびλ/4板60A、60Bを備える。
なお、光源64は直線偏光P0を出射する。λ/4板60Aは、直線偏光Pを右円偏光Pに、λ/4板60Bは直線偏光Pを左円偏光Pに変換する。
配向パターンを形成される前の配向膜13を備えた支持体12が露光部に配置され、2つの光線72A、72Bを配向膜13上で交差させて干渉させ、その干渉光を配向膜13に照射して露光する。この際の干渉により、配向膜13に照射される光の偏光状態が干渉縞状に周期的に変化するものとなる。これによって、配向状態が周期的に変化する配向パターンが得られる。
露光装置50において、2つの光線72Aおよび72Bの交差角βを変化させることにより、配向パターンの周期を変化させることができる。すなわち、露光装置50においては、交差角βを調節することにより、液晶化合物20に由来する光学軸22が一方向に沿って連続的に回転する配向パターンにおいて、光学軸22が回転する1方向における、光学軸22が180°回転する1周期の長さ(回転周期p=周期p)を調節できる。
このように配向状態が周期的に変化した配向パターンを有する配向膜13上に、後述する光学異方性層14を形成することにより、この周期に応じた液晶配向パターンを備えた光学異方性層14を形成することができる。
また、λ/4板60Aおよびλ/4板60Bの光学軸を各々90°回転することにより、光学軸22の回転方向を逆にすることができる。
また、配向膜13の露光には、図10に概念的に示す露光装置80も、好適に利用される。図10に示す露光装置80は、後述する図8に示すような、同心円状の液晶配向パターンを形成する場合にも用いられる露光装置である。
露光装置80は、レーザ82を備えた光源84と、レーザ82からのレーザ光MをS偏光MSとP偏光MPとに分割する偏光ビームスプリッター86と、P偏光MPの光路に配置されたミラー90AおよびS偏光MSの光路に配置されたミラー90Bと、S偏光MSの光路に配置されたレンズ92(凸レンズ)と、偏光ビームスプリッター94と、λ/4板96と、を有する。
偏光ビームスプリッター86で分割されたP偏光MPは、ミラー90Aによって反射されて、偏光ビームスプリッター94に入射する。他方、偏光ビームスプリッター86で分割されたS偏光MSは、ミラー90Bによって反射され、レンズ92によって集光されて偏光ビームスプリッター94に入射する。
P偏光MPおよびS偏光MSは、偏光ビームスプリッター94で合波されて、λ/4板96によって偏光方向に応じた右円偏光および左円偏光となって、支持体12の上の配向膜13に入射する。
ここで、右円偏光と左円偏光との干渉により、配向膜13に照射される光の偏光状態が干渉縞状に周期的に変化するものとなる。同心円の内側から外側に向かうにしたがい、左円偏光と右円偏光の交差角が変化するため、内側から外側に向かってピッチが変化する露光パターンが得られる。これにより、配向膜13において、配向状態が周期的に変化する同心円状の配向パターンが得られる。
この露光装置80において、液晶化合物20の光学軸22が一方向に沿って連続的に180°回転する1周期の長さ(回転周期p)は、レンズ92の屈折力(レンズ92のFナンバー)レンズ92の焦点距離、および、レンズ92と配向膜13との距離等を変化させることで、制御できる。
また、レンズ92の屈折力(レンズ92のFナンバー)を調節することによって、光学軸22が連続的に回転する一方向において、光学軸22が180°回転する1周期の長さを変更できる。具体的には、平行光と干渉させる、レンズ92を透過した光の集光の程度によって、光学軸22が180°回転する1周期の長さを変えることができる。より具体的には、レンズ92の屈折力を弱くすると、平行光に近づくため、光学軸22が180°回転する1周期の長さは、内側から外側に向かって緩やかに短くなり、Fナンバーは大きくなる。逆に、レンズ92の屈折力を強めると、光学軸22が180°回転する1周期の長さは、内側から外側に向かって急に短くなり、Fナンバーは小さくなる。
このように、光学軸22が連続的に回転する1方向において、光学軸22が180°回転する1周期(回転周期p)を変更する構成は、矢印X方向の一方向のみに液晶化合物20の光学軸22が連続的に回転して変化する構成でも、利用可能である。
例えば、光学軸22が180°回転する1周期を、矢印X方向に向かって、漸次、短くすることにより、集光するように光を透過する光学素子を得ることができる。また、液晶配向パターンにおいて、光学軸22が180°回転する方向を逆にすることにより、矢印X方向にのみ拡散するように光を透過する光学素子を得ることができる。なお、入射する円偏光の旋回方向を逆にすることでも、矢印のX方向にのみ拡散するように光を透過する光学素子を得ることができる。
さらに、例えば透過光に光量分布を設けたい場合など、光学素子の用途によって、矢印X方向に向かって、光学軸22が180°回転する1周期を漸次、変更するのではなく、矢印X方向において、部分的に光学軸22が180°回転する1周期が異なる領域を有する構成も利用可能である。例えば、部分的に光学軸22が180°回転する1周期を変更する方法として、集光したレーザー光の偏光方向を任意に変えながら、光配向膜をスキャン露光してパターニングする方法等を利用することができる。
なお、液晶回折素子121において、配向膜13は、好ましい態様として設けられるものであり、必須の構成要件ではない。
例えば、支持体12をラビング処理する方法、支持体12をレーザ光等で加工する方法等によって、支持体12に配向パターンを形成することにより、光学異方性層14が、液晶化合物20に由来する光学軸22の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有する構成とすることも、可能である。
<光学異方性層>
液晶回折素子121において、配向膜13の表面には、液晶化合物20を含む液晶組成物の硬化層である光学異方性層14を備えている。
光学異方性層14においては、液晶化合物の光学軸(遅相軸)が、光学異方性層の面内の少なくとも一方向に沿って配列された液晶パターンであって、液晶化合物20の光学軸22の向きが、一方向に向かって回転変化した液晶配向パターンを有する。
本実施形態の液晶回折素子121は、波長λの光に対する光学異方性層14の厚さ方向(図中z方向)のリターデーションR(=Δn・d1)が、0.36λ~0.64λである。リターデーションRは0.4λ~0.6λが好ましく、0.45λ~0.55λがより好ましく、0.5λであることが特に好ましい。Δnは光学異方性層14の複屈折率、d1は厚さである。例えば、940nmの光を入射光として想定する場合には、940nmの光に対するリターデーションRが338~602nmの範囲であればよく、470nmであることが特に好ましい。
このようなリターデーションRを有するので、光学異方性層14は、一般的なλ/2板としての機能、すなわち、入射光の直交する直線偏光成分の間に180°(=π=λ/2)の位相差を与える機能を発現する。
液晶回折素子121は、透過型の回折格子として機能する。回折格子として機能する原理について、図5および図6を参照して説明する。
なお、図6は、光学異方性層14の概略平面図であり、すなわち、図5を、図中上方からみた図である。
図5および図6に示すように、光学異方性層14においては、液晶化合物20が、一方向に連続的に光学軸22が回転変化した液晶配向パターンで固定化されている。図示例では、矢印x方向に一致する、図6中の軸Aに沿った方向に、光学軸22が連続的に回転変化している。すなわち、光学軸22として定義される液晶化合物20の長軸(異常光の軸:ダイレクタ)の面内成分と、軸Aとが成す角度が、回転変化するように液晶化合物20が配向されている。
なお、図6に示すように、光学異方性層14において、液晶化合物20の光学軸22の方向は、軸Aと直交する方向すなわち矢印y方向に配列される液晶化合物20では、一致している。光学異方性層14は、このy方向の液晶化合物20の光学軸22の方向が一致する領域毎に、上述のような一般的なλ/2板としての機能を発現する。
光学軸22の向きが回転変化した液晶配向パターンとは、軸Aに沿って配列されている液晶化合物20の光学軸22と軸Aとのなす角度が、軸A方向の位置によって異なっており、軸Aに沿って光学軸22と軸Aとのなす角度がφからφ+180°あるいはφ-180°まで徐々に変化するように配向され固定化されたパターンである。
以下において、図6に示すような、光学異方性層14において、液晶化合物20の光学軸22が光学異方性層14の面に平行であり、さらに、光学軸22の向きが一定である局所領域(単位領域)すなわち液晶化合物20が矢印y方向に配列される領域が、矢印y方向と直交するx方向に配列されており、かつ、矢印x方向に配列される複数の局所領域間において、光学軸22の向きが一方向(軸Aに沿う方向)に向かって連続的に回転変化するように配向されている液晶配向パターンを、水平回転配向と称する。
なお、連続的に回転変化するとは、図5および図6に示す通り、30°刻みなどの一定の角度の領域が隣接して0°から180°(=0°)まで回転するものであってもよい。または、軸A方向に向かう光学軸22の角度変化は、一定の角度間隔ではなく、不均一な角度間隔で回転する物であってもよい。本発明においては、単位領域の光学軸22の向きの平均値が一定の割合で線形に変化していれば徐々に変化していることになる。ただし、軸A方向に隣接する、光学軸22が異なる傾きを有する単位領域同士における光学軸の傾きの変化は、45°以下とするのが好ましい。隣接する単位領域の傾きの変化は、より小さい方が好ましい。
光学異方性層14において、軸A方向に向かって光学軸22と軸Aとがなす角度がφからφ+180°(元に戻る)まで変化する距離、すなわち、光学軸22が180°回転する周期を、回転周期pとする。この回転周期pは、0.5~5μmであるのが好ましい。回転周期pが短いほど、光学異方性層14すなわち液晶回折素子121による回折角が大きくなる。従って、回転周期pは、液晶回折素子121への入射光の波長および所望の出射角に応じて定めればよい。
液晶回折素子121は、上述した光学異方性層14の構成により、入射光に対してλ/2の位相差を与える共に、入射角0°で入射した、すなわち垂直入射した入射光を出射角θで出射させる。
すなわち、図7に示すように、光学異方性層14の面に垂直に右円偏光PRの光L1を入射させると、法線方向と角度θ2をなす方向に左円偏光PLの光L2が出射される。なお、光学異方性層14の面に垂直に光を入射するとは、言い換えれば、面の法線に沿って光を入射する、ということである。また、以下の説明では、光学異方性層14に入射する右円偏光PRの光L1を『入射光L1』ともいう。さらに、以下の説明では、光学異方性層から出射する左円偏光PLの光L2を『出射光L2』ともいう。
液晶回折素子121は、所定の波長の光を入射させる場合、光学異方性層14における回転周期pが小さいほど、回折角すなわち出射光L2の出射角が大きくなる。出射光L2の出射角とは、光学異方性層14の法線方向と出射光L2とが成す角度である。
なお、液晶回折素子121は右円偏光と左円偏光とは回折する方位が異なるので、液晶回折素子121からの出射光L2の回折方向は、液晶回折素子121に入射する光の円偏光の状態を制御して入射する。したがって、入射光が直線偏光の場合は、λ/4板を挿入して、左右どちらかの円偏光に変換してから入射することで、光の回折の方位をどちらかのみにすることができる。
液晶回折素子121(光学異方性層14)により回折作用を生じさせる光の波長λは、紫外から可視光、赤外、さらには、電磁波レベルであってもよい。
同一の回転周期pに対し、入射光の波長が大きいほど回折角が大きく、入射光の波長が小さいほど回折角が小さくなる。
なお、液晶化合物20としては、棒状液晶化合物および円盤状液晶化合物が利用可能である。
図7に示すように、液晶回折素子121の表面の法線に沿って右円偏光PRの入射光L1を入射させると、法線方向と角度θ2をなす方向に左円偏光PLの出射光L2が出射される。
一方、液晶回折素子121に左円偏光を入射光として入射させた場合には、入射光は光学異方性層14において右円偏光に変換されると共に図7の出射光L2の矢印の方向とは、左右方向が逆向きに進行方向が変化される。
上記説明では入射光を光学異方性層に対して垂直に入射する例を示したが、入射光が斜めになった場合も同様に透過回折の効果が得られる。
斜め入射の場合には、入射角θ1を考慮に入れて上記式(101)を満たすように、所望の回折角θ2を得られるように回転周期の設計をすればよい。
上述したように、本発明の光偏向装置100は、光偏向素子101が偏向した光を、液晶回折素子121(光学異方性層14)によって回折することで、光偏向素子101の最大偏向角θmaxよりも遥かに大きい、最大の出射角度θmaxoutの偏向角による光の偏向を可能にしている。
光学異方性層14による光の回折角は、液晶化合物20の光学軸22が180°回転する1周期すなわち回転周期pが短いほど、大きくなる。
また、入射する円偏光の偏向方向(旋回方向)が同じ場合には、光学異方性層14による光の回折方向は、液晶化合物20の光学軸22の回転方向によって、逆になる。
すなわち、入射光L1が右円偏光PRである場合に、出射面側から見て、光学軸22の回転方向が、図5~図7に示すように軸A方向(矢印x方向)に向かって時計回りである場合には、出射光Lは、例えば、軸A方向に回折される。
これに対して、入射光L1が右円偏光PRである場合に、出射面側から見て、光学軸22の回転方向が、軸A方向に向かって反時計回りである場合には、出射光Lは、軸A方向とは逆方向に回折される。
これに応じて、本発明の光偏向装置100においては、光学異方性層14は、軸A方向に向かう液晶化合物20の光学軸22の回転周期pを、光偏向素子101による偏向(偏向方位)の中心から外側に向かって、漸次、短くする。すなわち、光学異方性層14による光の回折角は、偏向方向の外側に向かうにしたがって、大きくなる。例えば、図3に示す例では、角度拡大光学素子120が液晶回折素子121である場合には、領域120a、120b、120cの回転周期pは、pa<pb<pc、の関係であり、領域120c、120d、120eの回転周期pは、pe<pd<pcの関係である。
加えて、本発明の光偏向装置100においては、光学異方性層14は、軸A方向に向かう液晶化合物20の光学軸22の回転方向を、光偏向素子101による偏向の中心において、逆転する。例えば、図示例であれば、軸A方向に向かって、軸A方向の上流側から、偏向方向の中心までは、軸A方向に向かう光学軸22の回転方向を反時計回りとし、偏向の中心で光学軸22の回転方向を逆転して、偏向の中心から軸A方向の下流に向かっては、軸A方向に向かう光学軸22の回転方向を時計回りとする。
本発明の光偏向装置100は、このような構成を有することにより、光偏向素子101の最大偏向角θmaxよりも遥かに大きい、最大の出射角度θmaxoutの偏向角による光の偏向を可能にしている。
なお、光学軸22の回転方向を逆転するのは、通常、光学異方性層14における、軸A方向(矢印x方向)すなわち光学軸22が回転する一方向の中心である。すなわち、光偏向装置100においては、通常、光偏向素子101における偏向の中心と、光学異方性層14における軸A方向の中心とを、一致させる。
なお、本発明において、回転周期pは、偏向の中心から外側に向かって、連続的に短くなってもよく、または、段階的に短くなってもよい。
<光学異方性層の形成>
光学異方性層14は、一例として、液晶化合物を含む液晶組成物によって形成する。
光学異方性層14を形成するための、液晶化合物を含む液晶組成物は、液晶化合物の他に、レベリング剤、配向制御剤、重合開始剤および配向助剤などのその他の成分を含有していてもよい。支持体上に配向膜を形成し、その配向膜上に液晶組成物を塗布、硬化することにより、液晶組成物の硬化層からなる、所定の液晶配向パターンが固定化された光学異方性層を得ることができる。
次に、本発明の液晶組成物の各構成成分について詳述する。
光学異方性層14は、棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物を含む液晶組成物の硬化層からなり、棒状液晶化合物の光学軸または円盤状液晶化合物の光学軸が、上記のように配向された液晶配向パターンを有している。
支持体12上に配向膜を形成し、配向膜上に液晶組成物を塗布、硬化することにより、液晶組成物の硬化層からなる光学異方性層を得ることができる。なお、いわゆるλ/2板として機能するのは光学異方性層であるが、本発明は、支持体12および配向膜を一体的に備えた積層体がλ/2板として機能する態様を含む。
また、光学異方性層を形成するための液晶組成物は、棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物を含有し、さらに、レベリング剤、配向制御剤、重合開始剤および配向助剤などのその他の成分を含有していてもよい。
また、光学異方性層は、入射光の波長に対して広帯域であるのが望ましく、複屈折率が逆分散となる液晶材料を用いて構成されているのが好ましい。
さらに、液晶組成物に捩れ成分を付与することにより、また、異なる位相差層を積層することにより、入射光の波長に対して光学異方性層を実質的に広帯域にすることも好ましい。例えば、光学異方性層において、捩れ方向が異なる2層の液晶を積層することによって広帯域のパターン化されたλ/2板を実現する方法が特開2014-089476号公報等に示されており、本発明において好ましく使用することができる。
―棒状液晶化合物―
棒状液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、および、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性分子だけではなく、高分子液晶性分子も用いることができる。
棒状液晶化合物を重合によって配向を固定することがより好ましく、重合性棒状液晶化合物としては、Makromol. Chem., 190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許4683327号明細書、同5622648号明細書、同5770107号明細書、国際公開第95/22586号、同95/24455号、同97/00600号、同98/23580号、同98/52905号、特開平1-272551号公報、同6-16616号公報、同7-110469号公報、同11-80081号公報、および、特願2001-64627号公報などに記載の化合物を用いることができる。さらに棒状液晶化合物としては、例えば、特表平11-513019号公報および特開2007-279688号公報に記載のものも好ましく用いることができる。
―円盤状液晶化合物―
円盤状液晶化合物としては、例えば、特開2007-108732号公報および特開2010-244038号公報に記載のものを好ましく用いることができる。
なお、光学異方性層に円盤状液晶化合物を用いた場合には、光学異方性層において、液晶化合物20は厚さ方向に立ち上がっており、液晶化合物に由来する光学軸22は、円盤面に垂直な軸、いわゆる進相軸として定義される。
光学異方性層14は、配向膜13上に液晶組成物を多層塗布することにより形成することができる。
多層塗布とは、配向膜の上に液晶組成物を塗布し、加熱し、さらに冷却した後に紫外線硬化を行って1層目の液晶固定化層を作製した後、2層目以降はその液晶固定化層に重ね塗りして塗布を行い、同様に加熱し、冷却後に紫外線硬化を行うことを繰り返すことをいう。光学異方性層14を上記のように多層塗布して形成することにより、光学異方性層14の総厚が厚くなった場合でも、配向膜13の配向方向を、光学異方性層14の下面から上面にわたって反映させることができる。
図8は、液晶回折素子の設計変更例における光学異方性層の平面模式図である。
図8に示す光学異方性層14Aにおける液晶配向パターンは、上述した光学異方性層14における液晶配向パターンと異なる。図8においては、光学軸22のみを示している。図8の光学異方性層14Aは、光学軸22の向きが中心側から外側の多方向、例えば、軸A1、A2、A3…に沿って徐々に回転して変化している液晶配向パターンを有している。
すなわち、図8に示す光学異方性層14Aの液晶配向パターンは、放射状に光学軸22が回転する液晶配向パターンである。言い換えれば、図8に示す光学異方性層14Aの液晶配向パターンは、光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する一方向を、内側から外側に向かう同心円状に有する、同心円状のパターンである。
図8に示す液晶配向パターンによって、入射光は光学軸22の向きが異なる局所領域間では、異なる変化量で絶対位相が変化する。図8に示すような放射状に光学軸が回転変化する液晶配向パターンを備えれば、入射した光を、発散光または集光光として透過させることができる。すなわち、光学異方性層14中の液晶配向パターンによって凹レンズまたは凸レンズとしての機能を実現できる。
本発明の光偏向装置の好ましい態様としては、図8に示す光学異方性層14Aの凹レンズの機能を液晶回折素子121に用いる。このときに、レンズの中心を光偏向素子101の出射光の中心に合わせると、光偏向素子から出射した最大偏向角θmaxの角度を最も効率的に光を広げることができる。
なお、液晶回折素子121の分割領域(120a~120eに例示)の大きさは小さいほど滑らかに変化するので好ましいが、照射するレーザ光のビーム径によっては実用上問題ない程度に有限の値であってもよい。たとえば、10~数百μm程度であってもよい。
本発明の光偏向装置は、図8に示す光学異方性層14Aの凹レンズの機能を液晶回折素子121Aに用いることにより、中心から放射状に拡散するように、光を偏向させることができる。
例えば、本発明の光偏向装置において、図13に概念的に示すように、凹レンズとして機能する光学異方性層14Aを有する液晶回折素子121Aと、光偏向素子として、放射状に光を偏向する光偏向素子101Aとを用いる。光偏向素子101Aは、例えば、方位0~360°、極角0~35°の範囲で、光を偏向する。
これにより、図13に示すように、光偏向素子101Aで放射状に偏向した光Lを、液晶回折素子121Aによって回折させることで、偏向角すなわち光偏向素子101Aによる方位角を拡大して、広い範囲に放射状に光を偏向できる。
また、本発明の光偏向装置においては、好ましい態様として集光素子131を設ける。光Lを光偏向素子101Aに入射して偏向し、集光素子によって、集光光として液晶回折素子121Aに入射することにより、液晶回折素子121Aによって屈折した光を、平行光として偏向、出射できる。
なお、このように放射状に光を偏向する光偏向素子101Aとしては、一例として、2012-208352号公報に記載されるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems、微小機器電気システム)光偏向素子、特開2014-134642号公報に記載されるMEMS光偏向素子、および、特開2015-22064号公報に記載されるMEMS光偏向素子等、圧電アクチュエータ等を用いてミラー(鏡)を揺動させることにより、光を偏向(偏向走査)する、公知のMEMS光偏向素子(MEMS(光)スキャナー、MEMS光偏向器、MEMSミラー、および、DMD(Digital MicromirrorDevice)等が例示される。
以上の例では、液晶回折素子の液晶化合物20は、厚さ方向には一方向を向いているが、本発明は、これに制限はされない。
本発明の光偏向装置において、液晶回折素子を構成する光学異方性層は、図11に示す液晶回折素子220の第1光学異方性層215および第2光学異方性層216のように、厚さ方向に沿って伸びる螺旋軸に沿って捩れ配向した液晶化合物20を有するものであってもよい。以下の説明では、厚さ方向に沿って伸びる螺旋軸に沿った捩れ配向を、単に『捩れ配向』ともいう。
液晶化合物20が捩じれ配向している第1光学異方性層215および第2光学異方性層216は、液晶回折素子220の断面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)で観察した断面SEM像において、液晶化合物20の捩れ配向に由来する明暗線が、図11に示すように、第1光学異方性層215と第2光学異方性層216との界面の法線に対して傾いた、傾斜光学異方性層である。
なお、上述のように、液晶配向パターンにおいて、液晶化合物の光学軸が180°回転する1周期(回転周期p)、光学軸22が回転する方向に向かって、漸次、短くなる場合には、第1光学異方性層215および第2光学異方性層216の法線に対する明暗線の傾斜角度は、光学軸22が回転する方向に向かって、漸次、小さくなる。すなわち、この場合には、光学異方性層の主面に対して、明暗線の傾斜角度は、立ち上がっていく。さらに、この場合には、第1光学異方性層215および第2光学異方性層216の明暗線のパターンは、光学軸22が回転する方向に向かって、周期が短くなる。
このように、捩れ配向した液晶化合物20を有する光学異方性層によれば、高角度回折であっても、光の回折効率を向上できる。その結果、図5に示す、液晶化合物が捩じれ配向されない光学異方性層に比して、光学異方性層における光量低下を抑制して、出射光の光量を向上できる。
液晶回折素子220において、第1光学異方性層215と第2光学異方性層216とでは、液晶化合物20の捩れ配向における捩れ方向が異なる。すなわち、第1光学異方性層215においては、光の進行方向に向かって、時計回りに、液晶化合物20が捩れ配向されている。他方、第2光学異方性層216では、光の進行方向に向かって、反時計回りに、液晶化合物20が捩れ配向されている。
そのため、第1光学異方性層215と第2光学異方性層216とでは、断面SEM像における、捩れ配向に由来する明暗線の傾きの方向が、異なっている。
このような第1光学異方性層215では、例えば入射光が右円偏光である場合には、実線で示す図中左側(外側)に向かって進行する光に対しては、回折効率の向上効果が大きく得られる。しかしながら、第1光学異方性層215は、例えば入射光が右円偏光である場合には、破線で示す図中右側(中心側)に向かって進行する光に対しては、回折効率の向上効果は小さい。
これに対して、第2光学異方性層216では、入射光が右円偏光である場合には、逆に、実線で示す図中左側(外側)に向かって進行する光に対する回折効率の向上効果は小さい。しかしながら、第2光学異方性層216は、入射光が右円偏光である場合には、破線で示す図中右側(中心側)に向かって進行する光に対する回折効率の向上効果は大きい。
この作用効果は、入射光が左円偏光である場合には、逆になる。
液晶回折素子220は、偏光の中心の領域では、光学異方性層に対する入射光の入射角度が小さいので、第1光学異方性層215および第2光学異方性層216が、共に、回折効率の向上に寄与する。
その結果、液晶化合物20の捩れ配向における捩れ方向が互いに異なる第1光学異方性層215および第2光学異方性層216を有する液晶回折素子220によれば、光の偏向方向の全域で、回折効率の向上効果を得られ、偏向角の全域において、高い光量の光を出射できる。
液晶化合物20が捩れ配向する光学異方性層において、液晶化合物の捩れ角には、制限はない。液晶化合物の捩れ角は、光偏向素子による偏向角、および、目的とする回折効率等に応じて、適宜、設定すればよい。
液晶化合物20が捩れ配向する光学異方性層において、液晶化合物20の捩れ角は、10~200°が好ましく、20~190°がより好ましく、40~170°がさらに好ましい。
なお、捩れ配向した液晶化合物20の捩れ角(厚さ方向の捩れ角)とは、光学異方性層における、厚さ方向に沿って伸びる螺旋軸に沿って捩れ配向された液晶化合物20の、下面から上面に到るまでの捩れ角度である。
このように、液晶化合物20が螺旋状に捩れ配向した第1光学異方性層215および第2光学異方性層216を有する液晶回折素子は、図12に示す液晶回折素子224のように、第1光学異方性層215と第2光学異方性層216との間に、液晶化合物20がねじれ配向しない第3光学異方性層219を有してもよい。
液晶化合物が捩じれ配向していない第3光学異方性層219は、明暗線が法線方向に沿って延びる非傾斜光学異方性層である。
第1光学異方性層215と第2光学異方性層216との間に、このような第3光学異方性層219を有することにより、第3光学異方性層219による回折が相乗されて、より広い偏向角で高い光量の光を出射できる。
以上は、液晶回折素子121を透過型の回折素子として説明したが、本発明の光偏向装置では、反射型の液晶回折素子も用いることができる。
その場合は、液晶組成物が異なるだけで、同様の形成方法を採用することができる。液晶にはコレステリック液晶を用い、透過型と同様の配向膜を用いることで、反射型の回折光を発生させ、角度拡大に用いることができる。
[集光素子の作用]
上述したように、図示例の光偏向装置100は、好ましい態様として、光偏向素子101の下流側に、集光素子131を有する。
光学異方性層14(液晶回折素子121)による光の回折は、偏向方向の中心から外側に向かって、漸次、大きくなる。
一方で、光偏向装置100が偏向する光すなわち光ビームは、実際には太さを有する。そのため、光学異方性層14による光の回折角は、厳密には、偏向方向の内側(偏向の中心側)と外側とで異なり、回折角は外側の方が、大きい。そのため、液晶回折素子121によって回折された光は、若干、拡散するように拡径する光になってしまう。
これに対して、集光素子131を設け、液晶回折素子121に入射する光を、若干、縮径した光とすることで、光偏向装置100(液晶回折素子121)から出射する光を、平行光にして、直進性を向上できる。
その結果、集光素子131を設けることで、光による走査対象が、光偏向装置100から遠方であっても、光偏向装置100による光の走査を、正確に行うことができる。
集光素子131の屈折力(レンズパワー)には、制限はない。
すなわち、集光素子131の屈折力は、液晶回折素子121による光の回折角とその面内の分布(すなわち回折ピッチの面内分布関数)、光偏向装置100による光の偏向角、光偏向装置100と光走査対象との距離、入射光の光径(ビーム径)等に応じて、好適な光を出射できる屈折力を、適宜、設定すればよい。
また、集光素子131の位置は、光偏向素子101よりも下流であればよい。
なお、集光素子131の位置は、液晶回折素子121よりも上流でもよく、下流でもよい。
集光素子131と液晶回折素子121の互いの素子中心を通る光の光路長は集光素子131の焦点距離よりも短いことが好ましい。集光素子131と液晶回折素子121の光路長を集光素子131の焦点距離よりも短くすることで、光偏向装置100(液晶回折素子121)から出射する光の直進性を好適に向上できる。
本発明の光偏向装置において、集光素子は、屈折レンズ、回折素子等、公知の集光素子が、各種、利用可能である。
屈折レンズの材料は、光を適切に屈折できるものであれば、各種の光学ガラス、光学プラスチックおよび結晶材料等レンズ材料として用いられるものは種々材料が利用可能である。
光学ガラスとしてはクラウンガラスやフリントガラス等に使われる材料等、種々のガラス材料を挙げることができる。
光学プラスチックとしては、透明なものが好ましく、ポリメチルメタクリレート等のポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレンおよびシクロオレフィンポリマー等を挙げることができる。
回折素子を用いた集光素子としては、上述の液晶回折素子を好ましく用いることができる。具体的には、上述した液晶回折素子において、回折された光の進行方向が、液晶回折素子の中心側に向くように回折するようにして、光偏向素子101による偏向の中心から外側に向かって、回転周期pを漸次、短くする。すなわち、液晶回折素子による光の回折角が、偏向方向の外側に向かうにしたがって、大きくなるようにする。これにより、凸レンズ(集光素子)としての機能を実現できる。
また、回折素子を用いた集光素子の好適な一例として、上述の液晶回折素子と同じ原理で、液晶材料を用いずにフォトニック結晶を用いた方法も用いることができる。
例えば、特開2017-111277号公報に述べられている方法で、上述した液晶配向パターンと同じような回折の効果を得る事ができる。
また、回折素子を用いた集光素子の別の好適な一例として、ホログラフィによって感光性物質等にパターン形状を露光し、感光した部分の屈折率の違いに応じて光を回折させる、ホログラム回折素子が例示される。
例えば、特開2016-184124号公報に記載されるホログラムシート等、公知のホログラム回折素子(ホログラフィック回折素子(回折格子))が、全て、利用可能である。
また、回折素子を用いた集光素子のさらに別の好適な一例として、表面に形成した微細な凹凸によって光を回折させる、表面レリーフ回折素子も利用可能である。
例えば、特開2015-93439号公報に記載される構造等、公知の表面レリーフ回折素子(表面レリーフ型回折格子)が、全て、利用可能である。
[λ/4板]
上述の液晶回折素子を角度拡大光学素子で用いる場合、図14に示すように、λ/4板が好適に用いられる。
λ/4板111は、光偏向素子101によって偏向された直線偏光を、円偏光にする、公知のλ/4板(1/4位相差板)である。
λ/4板111としては、公知のものを制限なく用いることができる。従って、λ/4板111は、ポリマー由来のものであってもよいし、液晶由来のものであってもよい。
図14に示す光偏向装置100において、図示しない光源から出射された、λ/4板111によって、例えば、右円偏光に変換され、MEMS光偏光素子101Aに入射する。
なお、MEMS光偏向素子101Aを用いる光偏向装置100において、λ/4板111は、MEMS光偏向素子101Aと液晶回折素子121との間に配置してもよい。しかしながら、λ/4板111を小型化できる等の点で、MEMS光偏向素子101Aを用いる光偏向装置100においては、λ/4板111は、MEMS光偏向素子101Aよりも上流に設けるのが好ましい。
また、MEMS光偏向素子101Aを用いる光偏向装置100においては、円偏光の光が入射される場合には、λ/4板111を設けなくてもよい。
この光偏向装置100において、MEMS光偏向素子101Aのミラーは、偏光解消しないものであるのが好ましい。具体的には、鏡面を示す金属ミラー等である。金属ミラーの場合には、円偏光が反射するときに円偏光の捩れ(センス)が反転するので、液晶回折素子に入射するときに所望の円偏光の捩れになるように予め反対の捩れの円偏光をMEMS光偏向素子に入射するのが好ましい。
MEMS光偏向素子101Aのミラー面に対する入射角度が大きい場合には、P偏光(P波)とS偏光(S波)とで反射率および位相が異なることが原因で光の偏光状態が変化する。これに対応して、ミラーによる反射後の偏光が所望の円偏光になるように、予め偏光状態を調節しても良い。偏光状態の調節としては、例えば、光を楕円偏光にしておく方法が例示される。また、MEMS光偏向素子101Aのミラーによる反射後に所望の円偏光になるように、位相調節用の位相差板を配置しても良い。
さらに、MEMS光偏向素子101Aのミラーには円偏光ミラー、例えばコレステリック液晶層を用いてもよい。円偏光ミラー、例えばコレステリック液晶層の場合には、反射時に円偏光の捩れの向きが保たれるので、液晶回折素子121に入射するときに所望の円偏光の捩れになるように、予め、同じ捩れの円偏光をMEMS光偏向素子101Aに入射するのが好ましい。
λ/4板111によって円偏光に変換された光は、MEMS光偏向素子101Aによって偏向される。なお、MEMS光偏向素子101Aによる光の偏向方向は、上述した光偏向装置100と同様、軸A方向(矢印x方向)と一致させる。
図14において、符号141は、MEMS光偏向素子101Aの駆動装置である。駆動装置141は、MEMS光偏向素子101Aの構成等に応じた、公知のものを用いればよい。
MEMS光偏向素子101Aによって偏向された光は、液晶回折素子121によって回折され、上述したように偏向角を拡大され、MEMS光偏向素子101Aの最大偏向角θmaxよりも大きな、目的とする最大の出射角度θmaxoutで、光偏向装置100から出射される。
本発明の光偏向装置において、光偏向素子は、MEMS光偏向素子101Aに制限はされず、ガルバノミラー、ポリゴンミラー、および、光フェーズドアレー偏向素子(光位相変調素子)等、公知の光偏向素子が、各種、利用可能である。
中でも、機械的な可動部が小さく、かつ、機械的な可動部が少ないという点で、光偏向素子としては、上述したMEMS光偏向素子101Aおよび光フェーズドアレー偏向素子が、好適に利用される。
[液晶光位相変調素子]
光フェーズドアレー偏光素子の一例として、液晶光位相変調素子132の構造を説明する。
図15は、本発明に用いられる液晶光位相変調素子の構造の一例を示す断面図である。ここで例示する液晶光位相変調素子は、特開2003-295153号公報の実施例1の液晶光位相変調素子を引用している。なお、本発明において、液晶光位相変調素子は、図示例のものに制限はされず、光偏向素子として利用される公知の液晶光位相変調素子が、全て、利用可能である。
図15において、液晶層の一例として示すネマティック液晶層501は、液晶光位相変調素子132の第1の透明基板201の複合電極211を覆って形成した配向層209、および、第2の透明基板203の共通電極213を覆って形成した配向層209によって電場無印加時のp型(ポジ型)液晶分子のダイレクタ207のティルト角γが5°以下となるようにホモジニアス配向させる。
図15で示す液晶光位相変調素子132の場合、矢印171で示す方向の直線偏光である入射光151は、液晶光位相変調素子132による光の偏向方向に平行な直線偏光となるようにする。この入射光151は、液晶回折素子121の出射面161からみるとP偏光となる。
ネマティック液晶層501が数μmから数十μmの所定の一定厚さを保持するように、第1の透明基板201と第2の透明基板203とは、図示しないスペーサを介して固定する。
また、図15には示していないが、複合電極211と共通電極213とが短絡するのを防ぐために、複合電極211の上および共通電極213の上の少なくとも一方に、五酸化タンタルおよび二酸化シリコン等の透明絶縁膜を形成してもよい。また、透明絶縁膜を高屈折率膜と低屈折率膜からなる多層膜化して、透過率を向上することも望ましい。
第2の透明基板203上に形成する共通電極213は透明導電膜からなる全面電極であってよい。
この様な構造にすると、透明電極に別々の電圧をかけることができる。そのため、電場を印加して、所定の屈折率分布となるように液晶分子のダイレクタ207の面内分布を制御することにより、レンズの効果によって、入射光を所定の角度θだけ偏向して出射させることができる。
この原理は液晶レンズとして知られており、本態様以外の構造でも様々な構造で同様な効果を得ることができる。
図15に示す液晶光位相変調素子132は1つであるが、本発明は、これに制限はされず、このような液晶光位相変調素子132を、複数個、備えるようにしてもよい。
また、液晶光位相変調素子132において、液晶セル(液晶化合物)の配向方向は平行、垂直のどちらでもよい。液晶セルの配向方向が平行の場合は、最大偏向角θmaxを増やすことに寄与し、液晶光位相変調素子132による偏向角、すなわち、光偏向装置132による偏向角の拡大に寄与する。
(駆動装置)
液晶光位相変調素子132には、駆動装置が接続される。
駆動装置は、液晶光位相変調素子132を駆動する、液晶光位相変調素子132の構成に応じた公知の駆動装置である。
以上、説明した本発明の光偏向装置は、好ましい態様として、液晶化合物由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを持つ光学異方性層14を有する、液晶回折素子121を回折素子(角度拡大光学素子)として用いているが、本発明は、これに制限はされない。
すなわち、本発明の光偏向装置における角度拡大光学素子としては、光偏向素子による偏向の中心から外側に向かって、回折角が大きくなるように、周期構造ピッチが、漸次、変化する物であれば、公知の回折素子が、全て、利用可能である。
好適な一例として、上述の液晶回折素子と同じ原理で、液晶材料を用いずにフォトニック結晶を用いた方法も用いることができる。
例えば、特開2017-111277号公報に述べられている方法の様に、無機材料で形成される透明基板と、Si等で形成される複数の突条で形成される凹凸パターン形成部とを一定間隔ずつ空けて複数描くことで構造複屈折を生じさせ、面内で方位角を変化させることによって、上述した液晶配向パターンと同じような回折の効果を得る事ができる。
別の好適な回折素子として、ホログラフィによって感光性物質等にパターン形状を露光し、感光した部分の屈折率の違いに応じて光を回折させる、ホログラム回折素子が例示される。
ホログラム回折素子は、例えば、光偏向素子の偏向の中心から外側に向かって、回折角が大きくなるように、光偏向素子による偏向の中心から両端部に向かって、漸次、変化する、周期的な屈折率分布を有すればよい。
ホログラム回折素子は、上述の限定を満たすものであれば、制限はなく、例えば、特開2016-184124号公報に記載されるホログラムシート等、公知のホログラム回折素子(ホログラフィック回折素子(回折格子))が、全て、利用可能である。
さらに別の好適な回折素子として、表面に形成した微細な凹凸によって光を回折させる、表面レリーフ回折素子も利用可能である。
表面レリーフ回折素子は、例えば、光偏向素子の偏向の中心から両端部に向かって、回折角が大きくなるように、凹凸の格子周期(レリーフパターン)が、光偏向素子による偏向の中心から両端部に向かって、漸次、変化すればよい。
表面レリーフ回折素子も、上述の限定を満たすものであれば、制限はなく、例えば、特開2015-93439号公報に記載される構造等、公知の表面レリーフ回折素子(表面レリーフ型回折格子)が、全て、利用可能である。
なお、回折素子として、ホログラム回折素子および表面レリーフ回折素子を用いる場合には、回折素子に入射する光は、円偏光である必要はない。従って、この場合には、λ/4板111は、不要である。
以上の説明から明らかなように、本発明の光偏向装置は、単純な構造を持ち、駆動も単純に、大きな角度の偏向が可能な自由空間光通信やレーザレーダまたは、光スキャナに適する機械的な可動部の無い、軽量小型化の光偏向装置を実現することができる。
このように本実施の形態にかかる本発明の光偏向装置では、単純な構成で簡便な駆動方法により高機能な光偏向装置を実現できる。
このような本発明の光偏向装置は、各種の光学装置に利用可能である。
図16に本発明の光偏向装置を用いる、本発明の光学装置の一例を概念的に示す。
図16に示す光学装置110は、光源112と、本発明の光偏向装置100と、受光素子114とを有する。
光学装置110においては、光源112が出射した光を、本発明の光偏向装置100によって偏向する。偏向された光は、光学装置110から出射され、測定対象Oによって反射される。測定対象Oによる反射光は、再度、光学装置110に入射して、受光素子114によって受光され、測光される。
このような本発明の光学装置110は、各種のセンサとして利用される。光学装置110を利用するセンサとしては、一例として、いわゆるLiDAR(Light Detection and Ranging)を用いる測距センサ、形状計測センサ、および、認識センサ等が例示される。
光学装置110において、光源112には制限はなく、測定対象、および、光学装置110の用途等に応じて、適宜、選択すればよい。光源112としては、一例として、半導体レーザ、レーザーダイオード(LD)、および、発光ダイオード(LED)等が例示される。一例として、光学装置110を測距センサとして利用する場合には、光源112として、赤外線を出射する光源が好ましく例示される。また、測定する対象や環境によっては、赤外線以外の波長の光または電磁波を用いることも、好ましく例示される。例えば、光源112として、可視光のレーザー光源を用いても良い。
受光素子114にも、制限はなく、光源112が出射した光を測光可能なものであれば、公知の受光素子が、各種、利用可能である。受光素子114としては、一例として、CCD(Charge Coupled Device)センサ、および、フォトマルチプライヤ等が例示される。
また、本発明の光偏向装置は、単純構造、単純駆動で、大きな角度偏向が可能なため、軽量小型化が望まれる、光をスキャン(走査)するあらゆる用途に応用が可能である。
本発明の光偏向装置の用途としては、例えば、ビームースキャンを用いた描画装置、ビームスキャン型プロジェクションディスプレイ、ビームスキャン型ヘッドアップディスプレイ、および、ビームスキャン型AR(Augmented Reality)グラス等が例示される。この場合、可視光を初め広い波長域で光を光偏向させる装置として応用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、使用量、物質量、割合、処理内容、および、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
<光偏向素子の作製>
特開2014-134642号公報に記載されるマイクロミラーデバイスを、光偏向素子として用いた。
<角度拡大光学素子の作製>
角度拡大光学素子として下記液晶回折素子を作製した。
(配向膜の形成)
支持体としてガラス基板を用意した。支持体上に、下記の配向膜形成用塗布液をスピンコートで塗布した。この配向膜形成用塗布液の塗膜が形成された支持体を60℃のホットプレート上で60秒間乾燥し、配向膜を形成した。
配向膜形成用塗布液
―――――――――――――――――――――――――――――――――
光配向用素材A 1.00質量部
水 16.00質量部
ブトキシエタノール 42.00質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 42.00質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
-光配向用素材A-
Figure 0007297075000001
(配向膜の露光)
図10に示す露光装置を用いて配向膜を露光して、配向パターンを有する配向膜P-1を形成した。
露光装置において、レーザとして波長(325nm)のレーザ光を出射するものを用いた。干渉光による露光量を300mJ/cm2とした。なお、図10に示す露光装置を用いることによって、配向パターンの1周期が、外方向に向かって、漸次、短くなるようにした。
(光学異方性層の形成)
光学異方性層を形成する液晶組成物として、下記の組成物A-1を調製した。
組成物A-1
――――――――――――――――――――――――――――――――
液晶化合物L-1 100.00質量部
重合開始剤(BASF製、Irgacure(登録商標)907)
3.00質量部
光増感剤(日本化薬製、KAYACURE DETX-S)
1.00質量部
レベリング剤T-1 0.08質量部
メチルエチルケトン 936.00質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
液晶化合物L-1
Figure 0007297075000002
レベリング剤T-1
Figure 0007297075000003
光学異方性層は、組成物A-1を配向膜P-1上に多層塗布することにより形成した。多層塗布とは、先ず配向膜の上に1層目の組成物A-1を塗布、加熱、冷却後に紫外線硬化を行って液晶固定化層を作製した後、2層目以降はその液晶固定化層に重ね塗りして塗布を行い、同様に加熱、冷却後に紫外線硬化を行うことを繰り返すことを指す。多層塗布により形成することにより、光学異方性層の総厚が厚くなった時でも配向膜の配向方向が光学異方性層の下面から上面にわたって反映される。
先ず1層目は、配向膜P-1上に組成物A-1を塗布して、塗膜をホットプレート上で80℃に加熱し、窒素雰囲気下で高圧水銀灯を用いて波長365nmの紫外線を300mJ/cm2の照射量で塗膜に照射することにより、液晶化合物の配向を固定化した。
2層目以降は、この液晶層に重ね塗りして、上と同じ条件で加熱、冷却後に紫外線硬化を行って液晶固定化層を作製した。このようにして、総厚が所望の膜厚になるまで重ね塗りを繰り返して、光学異方性層を形成することで、支持体、配向膜、および、光学異方性層を有する、液晶回折素子を作製した。
光学異方性層は、最終的に液晶のΔn940×厚さ(Re(940))が470nmになり、かつ、図8に示すような同心円状の周期的な液晶配向パターンになっており、さらに、光学軸が回転する一方向において、中心から外側に向かって、光学異方性層における液晶化合物の光学軸の回転周期が、漸次、短くなっていること、および、中心で光学軸の回転方向が逆転していることを、偏光顕微鏡で確認した。
なお、この光学異方性層の液晶配向パターンにおいて、液晶化合物の光学軸が180°回転する回転周期(1周期)は、中心部の回転周期が非常に大きく、中心から1.0mmの距離での回転周期が11.0μm、中心から2.5mmの距離での回転周期が4.6μm、中心から5.0mmの距離での回転周期が2.5μmであり、中心から外方向に向かって、回転周期が、漸次、短くなっていた。
<集光素子の準備>
焦点距離が16mmの集光レンズ(凸レンズ)を準備した。
<λ/4板の作製>
光源からの直線偏光を、円偏光に変換して液晶回折素子に入射するために、λ/4板を作製した。
まず、上記と同様にガラス基板上に光配向膜P-10を用意した。
(配向膜の露光)
得られた配向膜P-10に偏光紫外線を照射(100mJ/cm2、超高圧水銀ランプ使用)することで、配向膜P-10の露光を行った。
[λ/4板の作製]
上述した組成物A-1において、メチルエチルケトンを193質量部に変更し、組成物A-10を調整した。
光学異方性層は、上述した組成物A-10を配向膜P-10上に塗布することにより形成した。
塗布した塗膜をホットプレート上で80℃に加熱し、窒素雰囲気下で高圧水銀灯を用いて波長365nmの紫外線を500mJ/cm2の照射量で塗膜に照射することにより、液晶化合物の配向を固定化して、光学異方性層を作製した。これをλ/4板とした。得られたλ/4板のΔn940×d(Re(940))は470nmであった。
<光偏向装置の組み立て>
手前から、λ/4板、マイクロミラーデバイス光偏向素子、集光素子および、液晶回折素子、の順番で配置し、図14に示すような光偏向装置を作製した。また、マイクロミラーデバイス光偏向素子には、駆動装置を接続した。
マイクロミラーデバイスと集光レンズの距離は5mm、マイクロミラーデバイスと液晶回折素子の距離は9mmとした。ここで、集光レンズと液晶回折素子の距離は4mmとした。
また、光源として、赤外線レーザ(波長940nm、直線偏光)を用意した。レーザー光の光径は1mmとした。
また、赤外線レーザの出射光の偏光方位とλ/4板の面内遅相軸とを45°で交差させ、円偏光に変換されるようにした。また、光偏向素子の偏向方位の中心を、液晶回折素子の中心と合わせて、光の偏向角の増幅効果が最も大きくなるように配置した。
[比較例1]
実施例1において、集光素子を除いて光偏向装置を作製した。
[評価]
実施例1の光偏向装置について、赤外線レーザ光を光偏向装置のマイクロミラーデバイス光偏向素子に入射し、マイクロミラーデバイスによる偏向角が、-35~+35°の範囲になるように設定し、液晶回折素子からの出射光の角度を確認した。
その結果、液晶回折素子から出射した光の偏向角は拡大され、±55°の偏向角で光が出射されることを確認した。
また、実施例1および比較例1の光偏向装置について、液晶回折素子から50cm離れた位置にスクリーンを設置し、スクリーンに投影されたビーム径を評価することで、出射光の直進性を評価した。
その結果、実施例1の光偏向装置は比較例1に対して、出射光のビーム広がりを抑制できており、出射光の直進性が大幅に改善されることを確認した。
[実施例2]
<液晶回折素子の作製>
図11に概念的に示すような、第1光学異方性層および第2光学異方性層の2層の光学異方性層を有する液晶回折素子を作製した。
第1光学異方性層および第2光学異方性層は、共に、液晶化合物が捩れ配向している層であり、液晶回折素子の断面をSEMで観察した断面SEM像において、液晶化合物の捩れ配向に由来する明暗線が、図11に示すように、第1光学異方性層と第2光学異方性層との界面の法線に対して傾いた、傾斜光学異方性層である。
さらに、第1光学異方性層と第2光学異方性層とでは、液晶化合物の捩れ配向における捩れ方向が異なる。その結果、断面SEM像における、捩れ配向に由来する明暗線の傾きの方向が異なる。
以下の説明では、『捩じれ配向に由来する明暗線』を、単に『明暗線』とも言う。また、『第1光学異方性層と第2光学異方性層との界面の法線』を、単に『法線』とも言う。
(第1光学異方性層の形成)
第1光学異方性層を形成する液晶組成物として、下記の組成物A-2を調製した。
組成物A-2
―――――――――――――――――――――――――――――――――
液晶化合物L-1 100.00質量部
カイラル剤A 0.13質量部
重合開始剤(BASF製、Irgacure(登録商標)907)
3.00質量部
光増感剤(日本化薬製、KAYACURE DETX-S)
1.00質量部
レベリング剤T-1 0.08質量部
メチルエチルケトン 936.00質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
カイラル剤A
Figure 0007297075000004
この組成物A-2を用いた以外は、実施例1の光学異方性層と同様にして、配向膜P-1の上に第1光学異方性層を形成した。
(第2光学異方性層の形成)
第2光学異方性層を形成する液晶組成物として、下記の組成物A-3を調製した。
組成物A-3
―――――――――――――――――――――――――――――――――
液晶化合物L-1 100.00質量部
カイラル剤B 0.22質量部
重合開始剤(BASF製、Irgacure(登録商標)907)
3.00質量部
光増感剤(日本化薬製、KAYACURE DETX-S)
1.00質量部
レベリング剤T-1 0.08質量部
メチルエチルケトン 936.00質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
カイラル剤B
Figure 0007297075000005
組成物A-3を用いた以外は実施例1の光学異方性層と同様にして、第1光学異方性層の上に第2光学異方性層を形成した。これにより、図11に示すような2層の光学異方性層を有する液晶回折素子を作製した。
作製した液晶回折素子において、第1光学異方性層および第2光学異方性層は、共に、最終的に液晶のΔn940×厚さ=Re(940)が470nmになり、かつ、図8に示すような同心円状の周期的な液晶配向パターンになっており、さらに、光学軸が回転する一方向において、中心から外側に向かって、液晶化合物の光学軸の回転周期が、漸次、短くなっていること、および、中心で光学軸の回転方向が逆転していることを、偏光顕微鏡で確認した。
なお、第1光学異方性層の液晶配向パターンにおいて、液晶化合物の光学軸が180°回転する回転周期(1周期)は、中心部で非常に大きく、中心から1.0mmの距離での回転周期が11.0μm、中心から2.5mmの距離での回転周期が4.6μm、中心から5.0mmの距離での回転周期が2.5μmであり、中心から外方向に向かって、回転周期が、漸次、短くなっていた。
第1光学異方性層と第2光学異方性層とでは、液晶化合物の捩れの方向は逆であった。第1光学異方性層の厚さ方向の捩れ角は、右捩れ80°であった。他方、第2光学異方性層の厚さ方向の捩れ角は、左捩れ80°であった。
液晶回折素子の断面SEM像において、第1光学異方性層および第2光学異方性層では、共に、法線に対して斜めに傾斜した明暗線が観察された。また、第1光学異方性層と第2光学異方性層とでは、法線に対する明暗線の傾き方向は、逆であった。なお、法線とは、第1光学異方性層と第2光学異方性層との界面の法線であるのは、上述のとおりである。
第1光学異方性層および第2光学異方性層は、共に、法線に対する明暗線の傾斜角度は、中心から外側に向かって、漸次、小さくなっていた。さらに、第1光学異方性層および第2光学異方性層の明暗線のパターンは、共に、中心から外側に向かって周期が短くなる様子が観察された。
液晶回折素子を、このような第1光学異方性層および第2光学異方性層の2層の光学異方性層を有する液晶回折素子に変更した以外は、実施例1と同様にして、光偏向装置を作製した。
[比較例2]
実施例2において、集光素子を除いて光偏向装置を作製した。
[評価]
実施例2の光偏向装置について、実施例1と同様にして、液晶回折素子からの出射光の角度を確認、評価した。
評価の結果、同様に、マイクロミラーデバイスによる偏向角が、入射角-35~+35°の範囲から液晶回折素子で拡大され、±55°の偏向角で光を出射されることが確認できた。また、実施例1よりも実施例2の方が、より広い角度範囲で強い出射光が得られた。
また、実施例2および比較例2の光偏向装置について、実施例1と同様にして、出射光の直進性を評価した。
その結果、実施例2の光偏向装置は比較例2に対して、出射光のビーム広がりを抑制できており、出射光の直進性が大幅に改善されることを確認した。
[実施例3]
<液晶回折素子の作製>
図12に概念的に示すような、第1光学異方性層と第2光学異方性層との間に、第3光学異方性層を有する、3層の光学異方性層を有する液晶回折素子を作製した。
第1光学異方性層および第2光学異方性層は、いずれも、液晶化合物が捩じれ配向した層である。そのため、第1光学異方性層および第2光学異方性層は、断面SEM像において、図12に示すように明暗線が法線に対して傾いた、傾斜光学異方性層である。
さらに、第1光学異方性層と第2光学異方性層とでは、液晶化合物の捩れ配向における捩れ方向が異なる。その結果、断面SEM像における、捩れ配向に由来する明暗線の傾きの方向が異なる。
これに対して、第1光学異方性層と第2光学異方性層との間に配置された第3光学異方性層は、液晶化合物が捩じれ配向しておらず、明暗線が法線方向に沿って延びる非傾斜光学異方性層である。なお、法線とは、第1光学異方性層と第2光学異方性層との界面の法線であるのは、上述のとおりである。
上述のように、第1光学異方性層と第2光学異方性層とでは、液晶化合物の捩れ配向における捩れ方向が異なる。その結果、断面SEM像における、捩れ配向に由来する明暗線の傾きの方向が異なる。
(第1光学異方性層の形成)
第1光学異方性層を形成する液晶組成物として、下記の組成物A-4を調製した。
組成物A-4
―――――――――――――――――――――――――――――――――
液晶化合物L-1 100.00質量部
カイラル剤A 0.19質量部
重合開始剤(BASF製、Irgacure(登録商標)907)
3.00質量部
光増感剤(日本化薬製、KAYACURE DETX-S)
1.00質量部
レベリング剤T-1 0.08質量部
メチルエチルケトン 936.00質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
この組成物A-4を用いた以外は、実施例1の光学異方性層と同様にして、配向膜P-1の上に第1光学異方性層を形成した。
(第3光学異方性層の形成)
膜厚を変更した以外は、上述した組成物A-1を用い、実施例1の光学異方性層と同様にして、第1光学異方性層の上に第3光学異方性層を塗布することにより形成した。
(第2光学異方性層の形成)
第2光学異方性層を形成する液晶組成物として、下記の組成物A-5を調製した。
組成物A-5
―――――――――――――――――――――――――――――――――
液晶化合物L-1 100.00質量部
カイラル剤B 0.32質量部
重合開始剤(BASF製、Irgacure(登録商標)907)
3.00質量部
光増感剤(日本化薬製、KAYACURE DETX-S)
1.00質量部
レベリング剤T-1 0.08質量部
メチルエチルケトン 936.00質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
この組成物A-5を用いた以外は、実施例1の光学異方性層と同様にして、第3光学異方性層の上に第2光学異方性層を形成した。これにより、図12に示すような、3層の光学異方性層を有する液晶回折素子を作製した。
作製した液晶回折素子において、第1光学異方性層および第2光学異方性層は、共に、最終的に液晶のΔn940×厚さ=Re(940)が470nmであり、第3光学異方性層はΔn940×厚さ(Re(940))が564nmであった。
第1光学異方性層、第2光学異方性層および第3光学異方性層は、いずれも、図8に示すような同心円状の周期的な液晶配向パターンになっており、さらに、光学軸が回転する一方向において、中心から外側に向かって、液晶化合物の光学軸の回転周期が、漸次、短くなっていること、および、中心で光学軸の回転方向が逆転していることを、偏光顕微鏡で確認した。
なお、この第1光学異方性層の水平回転配向パターンにおいて、液晶化合物の光学軸が180°回転する回転周期(1周期)は、中心部で非常に大きく、中心から1.0mmの距離での回転周期が11.0μm、中心から2.5mmの距離での回転周期が4.6μm、中心から5.0mmの距離での回転周期が2.5μmであり、中心から外方向に向かって、回転周期が、漸次、短くなっていた。
第1光学異方性層と第2光学異方性層とでは、液晶化合物の捩れの方向は逆であった。また、第1光学異方性層の厚さ方向の捩れ角は、右捩れ130°であった。第3光学異方性層の厚さ方向の捩れ角は、0°であった。第2光学異方性層の厚さ方向の捩れ角は、左捩れ130°であった。
液晶回折素子の断面SEM像において、第1光学異方性層および第2光学異方性層は、共に、法線に対し、斜めに傾斜した明暗線が観察され、第3光学異方性層では、法線に沿って延びる明暗線が観察された。第1光学異方性層と第2光学異方性層とでは、法線に対する明暗線の傾き方向は、逆であった。なお、法線とは、第1光学異方性層と第2光学異方性層との界面の法線であるのは、上述のとおりである。
第1光学異方性層および第2光学異方性層は、共に、法線に対する明暗線の傾斜角度は、中心から外側に向かって、漸次、小さくなっていた。さらに、第1光学異方性層および第2光学異方性層の明暗線のパターンは、共に、中心から外側に向かって周期が短くなる様子が観察された。
<光偏向装置の作製>
液晶回折素子を、このような第1光学異方性層、第3光学異方性層および第2光学異方性層の3層の光学異方性層を有する液晶回折素子に変更した以外は、実施例1と同様にして、光偏向装置を作製した。
[比較例3]
実施例3において、集光素子を除いて光偏向装置を作製した。
[評価]
実施例3の光偏向装置について、実施例1と同様にして、液晶回折素子からの出射光の角度を確認、評価した。
評価の結果、同様に、マイクロミラーデバイスによる偏向角が、入射角-35~+35°の範囲から液晶回折素子で拡大され、±55°の偏向角で光を出射されることが確認できた。また、実施例1よりも実施例3の方が、より広い角度範囲で強い出射光が得られた。
また、実施例3および比較例3の光偏向装置について、実施例1と同様にして、出射光の直進性を評価した。
その結果、実施例3の光偏向装置は比較例3に対して、出射光のビーム広がりを抑制できており、出射光の直進性が大幅に改善されることを確認した。
[実施例4]
<集光素子の作製>
実施例2の液晶回折素子作製において、配向膜の露光を変えることにより、配向パターンの周期を変更し、液晶回折素子を用いた集光素子を作製した。
なお、第1光学異方性層の液晶配向パターンにおいて、液晶化合物の光学軸が180°回転する回転周期(1周期)は、中心部で非常に大きく、中心から1.0mmの距離での回転周期が15.1μm、中心から2mmの距離での回転周期が7.6μm、中心から4mmの距離での回転周期が3.9μmであり、中心から外方向に向かって、回転周期が、漸次、短くなっていた。
また、作製した液晶回折素子を用いた集光素子の焦点距離は16mmであった。
<光偏向装置の組み立て>
実施例2の光偏向装置において、集光素子を上記で作製した集光素子に変更し、λ/4板の面内遅相軸を90°回転して配置することで、λ/4板から出射する光が実施例2と逆の円偏光になるようにした以外は実施例2と同様にして光偏向装置を作製した。
[比較例4]
実施例4において、集光素子を除いて光偏向装置を作製した。
[評価]
実施例4の光偏向装置について、実施例1と同様にして、液晶回折素子からの出射光の角度を確認、評価した。
評価の結果、同様に、マイクロミラーデバイスによる偏向角が、入射角-35~+35°の範囲から液晶回折素子で拡大され、±55°の偏向角で光を出射されることが確認できた。
また、実施例4の光偏向装置について、実施例1と同様にして、出射光の直進性を評価した。
その結果、実施例4の光偏向装置は比較例4に対して、出射光のビーム広がりを抑制できており、出射光の直進性が大幅に改善されることを確認した。
以上、説明したように、本発明によれば、小型・軽量化に適した単純な構造にできる高偏向角化が可能な光偏向装置が得られるという効果を奏することを確認できた。
測距センサ等の各種の光学装置に好適に利用可能である。
12 支持体
13 配向膜
14,14A 光学異方性層
20 液晶化合物
22 光学軸
50,80 露光装置
52,82 レーザ
54,84 光源
56 ビームスプリッター
58A,58B,90A,90B ミラー
60A,60B,96,111 λ/4板
70 レーザ光
72A,72B 光線
86,94 偏光ビームスプリッター
92 レンズ
100 光偏向装置
101 光偏向素子
101A MEMS光偏向素子
102 間隔
103 入射面
110 光学装置
112 光源
114 受光素子
120 角度拡大光学素子
120a~120e 分割領域
121,121A,220,224 液晶回折素子
131 集光レンズ
132 液晶光位相変調素子
141 駆動装置
151 入射光
161 出射面
171 矢印
201 第1の透明基板
203 第2の透明基板
207 ダイレクタ
209 配向層
211 複合電極
213 共通電極
215 第1光学異方性層
216 第2光学異方性層
219 第3光学異方性層
501 ネマティック液晶層
L 光
1 入射光
2 出射光
O 直線偏光
R 右円偏光
L 左円偏光
M レーザ光
MP P偏光
MS S偏光
β 交差角
p 回転周期
A、A1、A2、A3
θ 偏向角
θmax 最大偏向角
θmaxout 出射角度

Claims (19)

  1. 入射された光を偏向して出射する光偏向素子と、
    前記光偏向素子を駆動する駆動手段と、
    前記光偏向素子よりも光の進行方向の下流側に配置され、前記光偏向素子から出射した光の偏向角の角度範囲を拡大する角度拡大光学素子と、を備え、
    前記角度拡大光学素子が、面内で周期構造ピッチが異なる回折素子からなり、
    前記光偏向素子よりも光の進行方向の下流側に配置された集光素子と、
    を備え、
    前記角度拡大光学素子と前記集光素子の素子中心間の光路長が集光素子の焦点距離よりも短く、
    前記角度拡大光学素子と前記集光素子とが接していることを特徴とする光偏向装置。
  2. 前記角度拡大光学素子における、回折素子の周期構造ピッチが、前記光偏向素子による偏向角の中心から外側に向かって、漸次、変化する、回折素子である、請求項1に記載の光偏向装置。
  3. 前記角度拡大光学素子が、液晶回折素子である、請求項1または2に記載の光偏向装置。
  4. 前記液晶回折素子が、液晶化合物を含む組成物を用いて形成された、前記液晶化合物由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有する光学異方性層を備える、請求項3に記載の光偏向装置。
  5. 前記光学異方性層の前記液晶配向パターンが、前記液晶化合物由来の光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する前記一方向を、内側から外側に向かう同心円状に有する、同心円状のパターンである、請求項4に記載の光偏向装置。
  6. 前記光学異方性層が、厚さ方向に沿って伸びる螺旋軸に沿って捩れ配向した液晶化合物を有する、請求項4または5に記載の光偏向装置。
  7. 前記液晶回折素子が、前記厚さ方向に沿って伸びる螺旋軸に沿って捩れ配向した液晶化合物の捩れ方向が、互いに逆である、2層の光学異方性層を有する、請求項6に記載の光偏向装置。
  8. 前記2層の光学異方性層の間に、前記液晶化合物がねじれ配向しない前記光学異方性層を有する、請求項7に記載の光偏向装置。
  9. 前記集光素子が集光レンズ素子である、請求項1~8のいずれか1項に記載の光偏向装置。
  10. 前記集光素子が面内で周期構造ピッチが異なる回折素子である、請求項1~9のいずれか1項に記載の光偏向装置。
  11. 前記集光素子が、液晶回折素子である、請求項10に記載の光偏向装置。
  12. 前記集光素子が、液晶化合物を含む組成物を用いて形成された、前記液晶化合物由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有する光学異方性層を備えた液晶回折素子である、請求項11に記載の光偏向装置。
  13. 前記集光素子における、前記光学異方性層の前記液晶配向パターンが、前記液晶化合物由来の光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する前記一方向を、内側から外側に向かう同心円状に有する、同心円状のパターンである、請求項12に記載の光偏向装置。
  14. 前記集光素子における、前記光学異方性層が、厚さ方向に沿って伸びる螺旋軸に沿って捩れ配向した液晶化合物を有する、請求項12または13に記載の光偏向装置。
  15. 前記光偏向素子が、光位相変調素子である、請求項1~14のいずれか1項に記載の光偏向装置。
  16. 前記光偏向素子が、液晶光位相変調素子である、請求項1~15のいずれか1項に記載の光偏向装置。
  17. 前記光偏向素子が、MEMS光偏向素子である、請求項1~14のいずれか1項に記載の光偏向装置。
  18. 前記角度拡大光学素子および前記集光素子のいずれもが液晶回折素子である、請求項1~17のいずれか1項に記載の光偏向装置。
  19. 請求項1~18のいずれか1項に記載される光偏向装置と、前記光偏向装置の前記光偏向素子に光を入射する光源と、受光素子とを有することを特徴とする光学装置。
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