図1は、本発明に係る記事生成システム5を含む記事提供システム1の全体的な構成を示す概略図である。記事提供システム1は、従来に比べて高度な文章記事を記事生成システム5で自動生成し、各ユーザのユーザ端末T1、T2、T3、T4等へネットワークを通じて提供可能にするものである。記事提供システム1は、各上場企業が発表する決算等の各種企業情報を適時開示情報として、所定の標準化ファイル形式(例えば、XBRL:eXtensible Business Reporting Language)で配信する証券取引所システム2、及び各上場企業の変動する株価を随時配信する株価配信システム3を有する。
また、記事生成システム5は、情報DBシステム10及び記事生成装置20により構成されている。情報DBシステム10は、独自に構築したデータアーカイブを蓄える複数種類のDB(データベース)を備えた情報データベースシステムであり、本実施形態では、該当決算DB15、過去決算DB16、業績予想DB17、理論株価DB18、及び個人投資家株価予想DB19を有する。情報DBシステム10は、証券取引所システム2が配信する各種情報(上場企業の発表された企業情報に相当)を随時取得しており、このような企業情報の取得を、記事生成装置20が監視(検知)し、記事生成装置20は、情報DBシステム10が企業情報を取得したことをトリガーにして、上記の発表された企業情報に基づいた記事の自動生成を行う。以下、記事生成システム5を構成する情報DBシステム10及び記事生成装置20を中心にして、本発明の内容を詳しく説明していく。
図2は、情報DBシステム10の内部構成を概要的に示したものであり、DB管理装置11が、上述した各DB15~19と内部接続線10aで接続された構成になっている。DB管理装置11は、各DB15~19の管理制御を行うものであり、外部のシステム等から配信(提供)される情報及びデータ等を受信(取得)し、受信した情報等を、その内容に応じて振り分けて、所要の各DB15~19に格納する処理を行うと共に、外部からの要求に応じて、各DB15~19に格納されている情報等を読み出し、読み出した情報等を要求元へ送信する処理等を行う。
DB管理装置11は、内部に制御部11a及び通信部11bを有しており、制御部11aが、上述したDB管理装置11の各処理を実質的に担っており、これらの各処理の制御を行う。なお、制御部11aは、内部にメモリ(記憶部)を有しており、処理に伴う情報及びデータ等を一時的に記憶できるようにしている。また、通信部11bは、制御部11aの制御により、外部のネットワーク及び各DB15~19と通信を行うものであり、この通信部11bの通信により、各DB15~19に対して各情報及びデータ等の送受が可能となる。
情報DBシステム10が有する該当決算DB15は、上述した証券取引所システム2が配信する各上場企業により発表された企業情報を、企業ごとに対応づけて記憶するデータベースであり、DB管理装置11は証券取引所システム2(情報配信元に相当)から配信された企業情報を受信して取得すると、その取得した企業情報を該当決算DB15に格納(記憶)する。なお、証券取引所システム2から配信される企業情報は、上述した所定の標準化ファイル形式(XBRL形式)になっており、XBRL形式のファイル内に含まれる数値情報は、数値単位が100万円単位で記載されている(例えば、100億円は”10000”と記される)。そのため、そのままでは、後の段階で企業情報の解析や文章生成が行いにくいことから、DB管理装置11は、取得したXBRL形式の企業情報に含まれる数値情報について、該当決算DB15へ格納する段階で、数値単位の変換処理を行い、その変換処理済みの内容で該当決算DB15への保存(記憶)を行う(例えば、前述の”10000”という数値情報は、”10000000000”という数値単位に変換される)。
また、DB管理装置11は、証券取引所システム2から配信される企業情報を受信したことを、外部から検知できるようにしており、企業情報を受信した場合は、いずれの企業の企業情報を何時受信したかを示す情報信号を発行し、この発行した情報信号を外部に向けて発信する処理を行っている。なお、証券取引所システム2が配信する企業情報としては、各上場企業が発表する決算(通期、上期、下期、四半期累計、四半期等の決算)、業績予想、業績予想の修正、配当予想、配当予想の修正等があり、このような決算、業績予想、業績予想の修正、配当予想、配当予想の修正等と云った企業情報は、企業の業績に係る複数の項目に応じた数値情報(%等の割合又は貨幣単位に応じた数値又は無単位の数値を示す情報)を含み、証券取引所システム2が運営する適時開示情報閲覧サービスに従って情報DBシステム10へ配信される。
企業情報が決算の場合であれば、複数の項目としては、経常利益、営業利益、売上高、純利益等があり、これらの各項目に対する各企業の数値情報(経常利益の数値を示す数値情報、売上高の数値を示す数値情報、営業利益の数値を示す数値情報、純利益を示す数値情報等)を企業情報は含むことになる。なお、証券取引所システム2からの企業情報の配信(発表)は一般に大引け後(15時)や、15時30分頃に発表されることが多く、本発明の記事生成システム5は、このような発表時刻と、ほぼ時間的に同時期に生成記事を提供できるようにしている。
企業情報が修正(業績予想の修正、配当予想の修正等)の場合は、修正対象に応じた項目が含まれることになり、経常利益の修正、最終利益の修正等、利益に関する項目についての修正、配当の修正を示す数値(数値情報)が含まれる。
情報DBシステム10が有する過去決算DB16は、過去分の企業情報(過去企業情報)を記憶するデータベースであり、上述した該当決算DB15に記憶された企業情報を、アーカイブして蓄積したものが、過去企業情報になっている。過去決算DB16への記憶処理は、該当決算DB15の記憶処理と連動したものになっており、DB管理装置11が、該当決算DB15に企業情報を記憶すると、その記憶した企業情報を過去決算DB16にも格納している。そのため、該当決算DB15には、直近に発表された新たな企業情報だけが記憶されているようになっており、古くなった企業情報は随時、消去される(例えば、発表から約2、3週間経過した情報等)。一方、過去決算DB16は、一旦記憶された企業情報は、過去企業情報として企業ごとに対応づけて蓄積されており、過去の業績等を確認するのに好適なデータベースになっている。なお、過去決算DB16に記憶される企業情報も、上述したXBRL形式に含まれる数値情報が変換処理済みの内容になっている。
さらに、DB管理装置11は、過去決算DB16に蓄積された各企業に対する過去分の企業情報に含まれる数値情報ついて、複数の各項目に応じた平均値を算出する処理を行って、算出した各項目に対する平均値を平均数値情報として過去決算DB16に記憶することも行っている。この平均値の算出処理は、一つの企業を除いた他の企業の平均値を算出するという内容で行われる。例えば、企業情報を取得する企業としてA~Z社があると想定すると、A社を除いた平均値の算出処理は、B~Z社の企業情報を用いて行うことになり、B社を除いた平均値の算出処理は、A、C~Z社の企業情報を用いて行い、C社を除いた平均値の算出処理は、A、B、D~Z社の企業情報を用いて行い、また、Z社を除いた平均値の算出処理は、A~Y社の企業情報を用いて行う。
そして、DB管理装置11は、A社を除いた平均値(算出した平均値)を、A社に対応づけて過去決算DB16に記憶し、以下同様に、B社を除いた平均値(算出した平均値)を、B社に対応づけて過去決算DB16に記憶し、C社を除いた平均値(算出した平均値)を、C社に対応づけて過去決算DB16に記憶し、Z社を除いた平均値(算出した平均値)を、Z社に対応づけて過去決算DB16に記憶する。このように平均値を算出して各企業に対応づけて記憶することで、ある企業の業績を、その他の企業の平均値と比較する場合などに、記憶した平均値を使えるようになる。なお、このような平均値の算出処理は、所定の期間単位(例えば、1ヶ月又は3ヶ月ごと等の月単位、半年、1年、3年、又は5年ごと等の年単位)で、各企業からの業績発表に合わせてDB管理装置11が行っており、算出して記憶される平均値としては、3ヶ月平均値、半年平均値、1年平均値、3年平均値、又は5年平均値とうように複数の平均値を準備してもよい。
また、情報DBシステム10が有する業績予想DB17は、各上場企業の業績を予想した数値情報を含む業績予想情報(予測企業情報に相当)を企業ごとに対応づけて記憶したデータベースである。記憶対象となる業績予想情報は、情報DBシステム10の運営事業体又は予想業者等により生成されたものであり、証券取引所システム2から配信される企業情報と同様に、企業の業績に係る複数の項目に応じた予想の数値情報を含む。予想業者の装置等から生成された業績予想情報が情報DBシステム10に送られてくると、DB管理装置11が、その業績予想情報を受信して取得し、業績予想DB17に、企業ごとに区別して記憶する処理を行っている。なお、このような業績予想情報も、上述した所定の標準化ファイル形式に準じたものになっており、数値情報の数値単位も一般的な単位になっている(1桁目が1の位から始まる単位)。
さらに、情報DBシステム10が有する理論株価DB18は、各上場企業の株価を所定の理論等に基づいた数式を用いて算出した株価の数値を示す理論株価(理論株価情報)を企業ごとに対応づけて記憶したデータベースである。このような理論株価情報は、一例として、記事生成装置20を管理運営する事業体、情報DBシステム10を管理運営する事業体、又は外部の事業体により随時算出されて生成されており、このような事業体による装置(算出した理論株価情報を有する装置)から、理論株価情報が情報DBシステム10へ送られてくると、DB管理装置11が、その理論株価情報を受信して取得し、理論株価DB18に、企業ごとに区別して記憶する処理を行っている。
最後に、情報DBシステム10が有する個人投資家株価予想DB19は、複数の個人投資家による各企業の予想株価を示す個人投資家予想株価情報を記憶したデータベースである。記憶対象となる個人投資家予想株価情報は、各個人投資家の予想株価の集計を行う事業体から提供されるものであり、この事業体の有する装置が、各個人投資家の予想株価を集計して統計的な処理(平均化処理等)を行うことで、個人投資家の予想に基づく株価情報(各企業の株価を予想した数値情報を含む個人投資家予想株価情報)を生成し、生成した個人投資家予想株価情報を情報DBシステム10等へ提供(送信)する。なお、このような予想株価の集計を行う事業体の例としては、記事生成装置20を管理運営する事業体、情報DBシステム10を管理運営する事業体、又は外部の事業体等が該当する。また、予想株価の集計を行う事業体の装置から送られてきた個人投資家予想株価情報を、情報DBシステム10が受信すると、受信した個人投資家予想株価情報をDB管理装置11は個人投資家株価予想DB19に、企業ごとに対応づけて記憶する処理を行っている。
情報DBシステム10のDB管理装置11は、上述した各DB15~19の管理制御を行っており、情報DBシステム10の外部から各企業に関する各種情報を受信すると、その情報の中身を検知して、その中身に応じた各DB15~19のいずれかに、受信した情報を、企業ごとに識別できるように記憶(格納)する処理を行う。また、情報DBシステム10のDB管理装置11が、記事の自動生成を行う記事生成装置20から、ある特定の企業に関する情報の要求(企業情報要求)を受信すると、その企業に対応づけて各DB15~19に記憶している各種情報(要求対象となる企業に関する各種情報)を、各DB15~19より読み出して、要求元の記事生成装置20へ送信(提供)する処理を行う(各種情報は、それぞれファイルとして送信される)。
具体的には、上場企業であるA社についての情報要求をDB管理装置11が受信すると、DB管理装置11は、該当決算DB15からA社の最新の企業情報(証券取引所システム2が配信した最新の決算、業績予想、業績予想の修正、配当予想、配当予想の修正等に応じた企業情報ファイル)を読み出し、過去決算DB16からA社の過去分の企業情報(過去分企業情報ファイル)及びA社を除いた他社の平均値を示す情報(平均数値情報)を読み出し、業績予想DB17からはA社の業績予想情報(業績予想情報ファイル)を読み出し、理論株価DB18からはA社の理論株価情報(理論株価情報ファイル)を読み出し、個人投資家株価予想DB19からはA社の個人投資家予想株価情報(個人投資家予想株価情報ファイル)を読み出し、これら読み出したA社の各種情報(各情報のファイル)を記事生成装置20へ送信することになる。なお、本実施形態では、過去決算DB16から読み出す過去分の企業情報は、過去5年分の情報(過去5年以内に発表された決算、業績、配当などに関する情報)にしているが、システムの仕様等によっては、過去10年程度の範囲の中で、適宜の過去分の情報を適用するようにしてもよい。また、情報DBシステム10は、記事生成装置20にとっては外部の情報データベースシステムに該当する。
図3は、本発明の中心的な装置である記事生成装置20の主要な内部構成を示すブロック図である。本実施形態の記事生成装置20は、一般的なサーバコンピュータ(サーバ装置)で構築したものになっているが、分散処理等を行うことで複数のサーバ装置等を組み合わせてシステムを構築することも勿論可能である。記事生成装置20は、上述した情報DBシステム10にアーカイブされた各種情報・データに基づく記事を、独自のプログラム(AI:人工知能)により、企業情報の発表をトリガーにして自動生成する。
記事生成装置20は、全体的な制御及び各種処理を行うMPU20aに、各種デバイス等を内部接続線20hで接続したものになっており、各種デバイス等には、通信モジュール20b、RAM20c、ROM20d、入力インタフェース20e、出力インタフェース20f、及び記憶部20g等がある。
通信モジュール20bは、ネットワークとの接続モジュールに相当する通信デバイスであり、所要の通信規格に応じたものである(例えばLANモジュール)。通信モジュール20bは、所要の通信機器(図示は省略。例えばルータ等が該当)を介してネットワーク(内部、外部、又は他の通信ネットワーク等も含む)と接続されており、株価配信システム3、情報DBシステム10(記事生成装置20にとっては外部の情報データベースシステムに該当)、及びユーザ端末T1、T2、T3等との通信を可能にする。なお、株価配信システム3からは、株式市場が開いている時間帯において、各企業の株価が配信されてくるので、通信モジュール20bで配信株価が受信され、RAM20c又は記憶部20g等に、受信された配信株価が順次記憶されるようになっている。
RAM20cは、MPU20aの処理に伴う内容、ファイル等を一時的に記憶するものであり、ROM20dは、MPU20aの基本的な処理内容を規定したプログラム等を記憶するものである。入力インタフェース20eは、記事生成装置20の管理者等からの操作指示等を受け付けるキーボード21、マウス等が接続されるものである。出力インタフェース20fは、ディスプレイ22(表示出力装置)が接続されるものであり、MPU20aの処理に伴う内容をディスプレイ22へ出力し、記事生成装置20の管理者等が現在の処理内容等を確認できるようにしている。
記憶部20gは、プログラム、及びテーブル等を記憶するものであり、プログラムとしてはOSプログラムP1及び記事生成プログラムP2を記憶し、テーブルとしては、作成記事デーブル24、及び評価基準テーブル25等を記憶する。なお、記事生成プログラムP2を記憶部20gにインストールするには、光ディスク等の記憶媒体に記事生成プログラムP2を記憶しておき、その記憶媒体を通じて、記憶部20gにインストールすること等が考えられる。
記憶部20gに記憶されるプログラムの中のOSプログラムP1は、サーバコンピュータ用のオペレーティングシステムに応じた各種処理を規定したものであり、この規定内容に基づいた処理をMPU20aが行うことで、記事生成装置20は、サーバコンピュータ(サーバ装置)としての各機能を果たす。
また、記憶部20gに記憶される記事生成プログラムP2は、MPU20aが人工知能として記事を自動生成するため各種処理を規定したものであり、MPU20aは、記事生成プログラムP2の規定に従い、情報DBシステム10による企業情報の受信監視、情報DBシステム10から取得した企業情報の分析及び評価等、分析及び評価等の結果に基づく記事見出しの特定、重要項目の特定、及び記事内容の説明順序の特定等を行う手段として機能する。なお、記事に係る文章等の作成のために、記事生成プログラムP2は、文章作成エンジンに応じた処理内容も含んでおり、この文章作成エンジンにより、MPU20aは、文章作成用のAI(人工知能)としても機能する。このような記事生成プログラムP2の詳細については、後述の図6に示すフローチャートに基づき説明し、その前に作成記事テーブル24及び評価基準テーブル25について説明する。
作成記事テーブル24は、記事生成プログラムP2の規定に従って、MPU20aにより自動作成された記事(企業情報記事)を、その記事に応じた企業ごとに格納するものである。また、評価基準テーブル25は、企業情報の分析・評価処理に用いる各種比較に係る条件等を格納したものである。
図4は、評価基準テーブル25の中に含まれる四半期決算テーブル部25aの中身の一例を示す。図4に示す四半期決算テーブル部25aは、発表された新たな企業情報が、四半期決算の場合に用いられるものであり、分析結果として付与する評価を示すポイント(異なる項目間で共通する評価の値に相当)の数値を規定する。四半期決算テーブル部25aは、分析及び評価の事項の例として「(1)四半期決算が修正アリの場合の修正業績予想と従来業績予想の比較」、「(2)四半期決算が修正アリの場合の修正配当予想と従来配当予想の比較」、「(3)四半期決算が修正ナシの場合の実績数値と開示済予想の比較」、「(4)決算数値と過去実績との比較」、「(5)決算数値と過去最高実績との比較」、及び「(6)利益率と過去実績の比較」等を含んでいる。
「(1)四半期決算が修正アリの場合の修正業績予想と従来業績予想の比較」は、発表された新たな企業情報が、四半期決算の修正(業績予想等の修正)の場合に適用される事項であり、修正された業績予想と従来(修正前)の業績予想との対比結果に応じて付与(又は減算)されるポイントの値を規定している。具体的には、業績予想の従来に対する修正率が15%以上で30%未満であれば(15%≦修正率<30%)、1ポイントを付与し(プラス1ポイント)、業績予想の従来に対する修正率が30%以上であれば(30%≦修正率)、2ポイントを付与し(プラス2ポイント)、一方、業績予想の従来に対する修正率がマイナス15%以下で30%未満であれば(-30%<修正率≦-15%)、1ポイントを減算し(マイナス1ポイント)、業績予想の従来に対する修正率がマイナス30%以下であれば(-30%≧修正率)、2ポイントを減算する(マイナス2ポイント)ことが規定される。
「(2)四半期決算が修正アリの場合の修正配当予想と従来配当予想の比較」も、発表された企業情報が、四半期決算の修正(配当予想等の修正)の場合に適用される事項であり、修正された配当予想と従来(修正前)の配当予想との対比結果に応じて付与(又は減算)されるポイントの値を規定している。具体的には、配当予想の従来に対する修正率が15%以上で30%未満であれば(15%≦修正率<30%)、1ポイントを付与し(プラス1ポイント)、配当予想の従来に対する修正率が30%以上であれば(30%≦修正率)、2ポイントを付与する(プラス2ポイント)。一方、配当予想の従来に対する修正率がマイナス15%以下で30%未満であれば(-30%<修正率≦-15%)、1ポイントを減算し(マイナス1ポイント)、配当予想の従来に対する修正率がマイナス30%以下であれば(-30%≧修正率)、2ポイントを減算する(マイナス2ポイント)ことが規定される。
「(3)四半期決算が修正ナシの場合の実績数値と開示済予想の比較」は、発表された企業情報が、修正を含まない四半期決算の場合に適用される事項であり、発表された業績通知と、開示済みの業績予想との対比により得られる進捗率の結果に応じて付与(又は減算)されるポイントの値を規定している。具体的には、開示済みの予想に対して進捗率が80%以上であれば(80%≦進捗率)、1ポイントを付与し(プラス1ポイント)、一方、進捗率が60%未満であれば、1ポイントを減算する(マイナス1ポイント)ことが規定される。
「(4)決算数値と過去実績との比較」は、発表された企業情報が、四半期決算の場合に適用される事項であり、発表された決算数値と、過去の実績(直近の期の実績)との対比結果に応じて付与(又は減算)されるポイントの値を規定している。具体的には、発表された決算数値が過去実績に対してプラス15%以上で30%未満であれば(過去実績のプラス15%≦決算数値<過去実績のプラス30%)、1ポイントを付与し(プラス1ポイント)、発表された決算数値が過去実績に対して30%以上であれば(過去実績のプラス30%≦決算数値)、2ポイントを付与し(プラス2ポイント)、一方、発表された決算数値が過去実績に対してマイナス15%以下で30%未満であれば(過去実績の-30%<決算数値≦過去実績の-15%)、1ポイントを減算し(マイナス1ポイント)、発表された決算数値が過去実績に対してマイナス30%以下であれば(過去実績の-30%≧決算数値)、2ポイントを減算する(マイナス2ポイント)ことが規定される。
「(5)決算数値と過去最高実績との比較」も、発表された企業情報が、四半期決算又は決算予想の場合に適用される事項であり、発表された決算数値を、過去の最高実績と対比して、過去の最高実績を更新しているか(上回っているか)、又は発表に含まれる決算予想値が過去の最高実績の更新を見込んでいるかに応じて、ポイントを付与することを規定したものになっている。具体的には、発表された決算数値が過去の最高実績を更新していれば、1ポイントを付与し(プラス1ポイント)、発表された決算予想値が過去の最高実績の更新を見込んでいれば、1ポイントを付与する(プラス1ポイント)ことが規定される。
「(6)利益率と過去実績の比較」は、発表された企業情報が、四半期決算の場合に適用される事項であり、発表された企業情報に含まれる利益率と、過去実績(例えば、直近の期の利益率、又は前年同期の利益率など。以下同様)との対比結果に応じて付与(又は減算)されるポイントの値を規定している。具体的には、発表された企業情報に含まれる利益率が過去実績に対してプラス15%以上で30%未満であれば(過去実績のプラス15%≦利益率<過去実績のプラス30%)、1ポイントを付与し(プラス1ポイント)、発表された利益率が過去実績に対して30%以上であれば(過去実績のプラス30%≦利益率)、2ポイントを付与し(プラス2ポイント)、一方、発表された企業情報に含まれる利益率が過去実績に対してマイナス15%以下で30%未満であれば(過去実績の-30%<利益率≦過去実績の-15%)、1ポイントを減算し(マイナス1ポイント)、発表された利益率が過去実績に対してマイナス30%以下であれば(過去実績の-30%≧利益率)、2ポイントを減算する(マイナス2ポイント)ことが規定される。
図5は、評価基準テーブル25の中に含まれる通期決算テーブル部25bの中身の一例を示す。図5に示す通期決算テーブル部25bは、分析及び評価対象となる企業情報が、通期決算の場合に用いられるものであり、分析及び評価等の結果として付与するポイント(評価値)の数値を規定する。通期決算テーブル部25bは、分析及び評価の事項として、「(10)今期業績予想と過去実績の比較」、「(11)決算数値と過去最高実績との比較」、「(12)前期実績値と予想の比較」、「(13)3ヶ月単位の決算数値と過去の実績との比較」、及び「(14)利益率の過去分との比較」等を含んでいる。
「(10)今期業績予想と過去実績の比較」は、発表された企業情報(決算)に含まれる今期業績予想(例えば、経常利益の予想)を過去の業績値(例えば、直近の期の経常利益)と対比した結果に応じて付与するポイントの値を規定している。具体的には、発表された企業情報に含まれる今期業績予想が過去実績値に対してプラス30%以上で50%未満であれば(過去実績値のプラス30%≦今期業績予想<過去実績値のプラス50%)、1ポイントを付与し(プラス1ポイント)、今期業績予想が過去実績値に対して50%以上であれば(過去実績値のプラス50%≦今期業績予想)、2ポイントを付与し(プラス2ポイント)、一方、今期業績予想が過去実績値に対してマイナス30%以下で50%未満であれば(過去実績値の-50%<今期業績予想≦過去実績値の-30%)、1ポイントを減算し(マイナス1ポイント)、今期業績予想が過去実績値に対してマイナス50%以下であれば(過去実績値の-50%≧今期業績予想)、2ポイントを減算する(マイナス2ポイント)ことが規定される。
「(11)決算数値と過去最高実績との比較」は、上述した「(5)決算数値と過去最高実績との比較」の場合と同様に、発表された企業情報(決算)に含まれる決算数値を過去の最高実績(過去の最高決算値)と対比して、過去の最高実績を更新しているか(上回っているか)、又は発表された企業情報(決算予想)に含まれる決算予想値が過去の最高実績の更新を見込んでいるかに応じて、ポイントを付与することを規定したものになっている。具体的には、発表された企業情報に含まれる決算数値が過去の最高実績を更新していれば、1ポイントを付与し(プラス1ポイント)、発表された決算予想値が過去の最高実績の更新を見込んでいれば、1ポイントを付与する(プラス1ポイント)ことが規定される。
「(12)前期実績値と予想の比較」は、発表された企業情報(決算)に含まれる前期実績値(例えば、前期の経常利益)を来期の予想値(例えば、来期の経常利益の予想値)と対比した結果に応じて付与するポイントの値を規定している。具体的には、発表された企業情報に含まれる前期実績値が来期予想値に対してプラス30%以上で50%未満であれば(来期予想値のプラス30%≦前期実績値<来期予想値のプラス50%)、1ポイントを付与し(プラス1ポイント)、前期実績値が来期予想値に対して50%以上であれば(来期予想値のプラス50%≦前期実績値)、2ポイントを付与し(プラス2ポイント)、一方、前期実績値が来期予想値に対してマイナス30%以下で50%未満であれば(来期予想値の-50%<前期実績値≦来期予想値の-30%)、1ポイントを減算し(マイナス1ポイント)、前期実績値が来期予想値に対してマイナス50%以下であれば(来期予想値の-50%≧前期実績値)、2ポイントを減算する(マイナス2ポイント)ことが規定される。
「(13)3ヶ月単位の決算数値と過去の実績との比較」は、発表された企業情報(決算)に含まれる3ヶ月単位の決算数値(例えば、3ヶ月単位の決算数値)を、前年同期の実績(例えば、決算数値)と対比した結果に応じて付与するポイントの値を規定している。具体的には、発表された企業情報に含まれる3ヶ月単位の決算数値が、前年同期の実績値に対してプラス30%以上で50%未満であれば(前年同期の四半期の実績値のプラス30%≦3ヶ月単位の決算数値<前年同期の四半期の実績値のプラス50%)、1ポイントを付与し(プラス1ポイント)、3ヶ月単位の決算数値が前年同期の実績値に対して50%以上であれば(前年同期の実績値のプラス50%≦3ヶ月単位の決算数値)、2ポイントを付与し(プラス2ポイント)、一方、3ヶ月単位の決算数値が前年同期の実績値に対してマイナス30%以下で50%未満であれば(前年同期の実績値の-50%<3ヶ月単位の決算数値≦前年同期の実績値の-30%)、1ポイントを減算し(マイナス1ポイント)、3ヶ月単位の決算数値が前年同期の実績値に対してマイナス50%以下であれば(前年同期の実績値の-50%≧3ヶ月単位の決算数値)、2ポイントを減算する(マイナス2ポイント)ことが規定される。
「(14)利益率の過去分との比較」は、上述した「(6)利益率と過去実績の比較」の場合と同様に、発表された企業情報に含まれる利益率と、過去分の実績(前期の利益率)との対比結果に応じて付与(又は減算)されるポイントの値を規定している。具体的には、発表された企業情報に含まれる利益率が過去実績に対してプラス15%以上で30%未満であれば(過去実績のプラス15%≦利益率<過去実績のプラス30%)、1ポイントを付与し(プラス1ポイント)、発表された利益率が過去実績に対して30%以上であれば(過去実績のプラス30%≦利益率)、2ポイントを付与し(プラス2ポイント)、一方、発表された企業情報に含まれる利益率が過去実績に対してマイナス15%以下で30%未満であれば(過去実績の-30%<利益率≦過去実績の-15%)、1ポイントを減算し(マイナス1ポイント)、発表された利益率が過去実績に対してマイナス30%以下であれば(過去実績の-30%≧利益率)、2ポイントを減算する(マイナス2ポイント)ことが規定される。
なお、上述した図4の四半期決算テーブル部25a及び図5の通期決算テーブル部25bに示すポイントに係る条件(条件に伴う数値も含む)は一例に過ぎず、他の条件等を適用することも勿論可能である。例えば、配当に係る条件は、図4の四半期決算テーブル部25aの「(2)四半期決算が修正アリの場合の修正配当予想と従来配当予想の比較」として、四半期決算が修正アリの場合で説明したが、修正が無い場合の四半期決算や通期決算においても、前期比の比較で、今回の発表された配当が5円以上10円未満のアップであれば、プラス1ポイント、10円以上のアップであれば、プラス2ポイント、5円以上10円未満のダウンであれば、マイナス1ポイント、10円以上のダウンであれば、マイナス2ポイントなどの内容も規定されるものとする。
また、図4、5に示す各テーブル部25a、25bは評価基準テーブル25に含まれる一部分であり、他の対象等との比較条件を含まれる。例えば、他の比較対象としては、過去実績(過去最高実績又は過去最低実績等を含む)、来期予想値等の他に、各項目に対する複数企業の平均値(平均数値情報)を用いる場合も評価基準テーブル25に含まれており、この平均数値情報を条件とする場合も、上述した過去実績又は来期予想値のときと同様に、発表された企業情報に含まれる数値情報に対する比較の条件により、プラス1又は2ポイント、若しくはマイナス1又は2ポイント等の付与の規定が含まれる。さらに、評価基準テーブル25は、発表される企業情報が配当予想又は配当予想の修正などの場合についても、図4、5に示すようなポイントに係る条件を規定した内容を含むテーブル部を有するものとする。次に、記憶部20gに記憶される記事生成プログラムP2について詳しく説明する。
図6は、記事生成プログラムP2が規定する記事生成装置20のMPU20aが行う各制御処理を説明したフローチャートであり、このフローチャートで示される処理手順の内容が、記事生成方法に該当する。以下、この図6のフローチャートに従って、記事生成プログラムP2が規定するMPU20aの処理内容を説明していく。
まず、記事生成装置20(MPU20a)は、記事生成プログラムP2の規定により、情報DBシステム10の状況を監視し、情報DBシステム10(DB管理装置11)によって、証券取引所システム2から配信される企業情報が受信されたかについて検知する(S1)。この検知は、上述したように証券取引所システム2から配信される企業情報を情報DBシステム10が受信した場合、いずれの企業の企業情報を何時受信したかを示す情報信号をDB管理装置11は発信し、この情報信号の有無により、情報DBシステム10による企業情報の受信の有無を監視して、記事生成装置20(MPU20a)は上記の検知を行う。
情報DBシステム10が企業情報を受信したことを検知していない場合(S1:NO)、記事生成装置20(MPU20a)は検知待ちの状態となり、一方、情報DBシステム10が企業情報を受信したことを検知した場合(S1:YES)、受信が検知された企業情報に係る企業の各種情報の要求(企業情報要求)を、記事生成装置20(MPU20a)は情報DBシステム10(DB管理装置11)へ送信する(S2)。
そして、記事生成装置20(MPU20a)は、上述した企業情報要求の送信に応じて、情報DBシステム10(DB管理装置11)から送られてきた企業情報(各企業情報のファイル)を受信して取得する(S3)。例えば、上記のS2の段階で、A社についての企業情報要求を送信すると、A社の企業情報(受信が検知されたA社が発表した新たな企業情報)、A社の過去分の企業情報、複数の他社(A社を除く)の平均数値情報、A社の業績予想情報(予想企業情報)、A社の理論株価情報、及びA社の個人投資家予想株価情報等を、企業情報として記事生成装置20は情報DBシステム10から受信して取得することになる。なお、記事生成装置20(MPU20a)は、取得した企業情報を、以降に続く処理を行うために、一時的にRAM20d又は記憶部20gに記憶する。
記事生成装置20(MPU20a)は、要求した企業情報を取得すると、取得した企業情報(企業情報に含まれる数値情報)について演算、比較等の処理を行う(S4)。演算等の中身の具体例としては、取得した企業情報が、四半期決算の発表に基づいたものであれば、業績予想に対し、発表された実績数値の進捗率の算出や、過去の同時点での進捗率の算出などがあり、発表された企業情報が修正を伴うものであれば、修正率の算出などが行われ、さらには上述した図4、5に示す評価基準テーブル25(各テーブル部25a、25b)に規定されるポイントの算出等も行われる。
また、比較等の中身としては、発表された業績値(決算や利益率など)と過去の業績値(過去の決算や利益率など)との比較、新たに発表された企業情報の各項目に応じた業績値(決算や利益率など)と業績予想情報に含まれる各項目に応じた業績予想値(予想決算や予想利益率)との比較、発表された業績予想値と過去実績値との比較、新たに発表された企業情報の各項目に応じた数値情報と平均数値情報との項目ごとの比較、上述した演算で求めた進捗率について、実際の進捗率と予想進捗率との比較、実際の進捗率と同時期の過去進捗率との比較などがある。なお、これらの比較では、同じ項目ごとに数値情報同士の比較を行う。
このような比較内容の中で、取得した企業情報が通期決算のものであれば、新たに発表された今期業績予想と過去実績との比較、発表された前期実績値と予想値との比較、3ヶ月単位の決算数値と過去実績値との比較、発表された利益率と過去利益率との比較などが行われる。なお、このような通期決算に係る比較では、決算数値と過去実績の比較において、過去最高を更新しているか、過去最高の更新を見込んでいるかの比較は必ず行っており、この場合、過去の企業情報に含まれる数値情報(決算数値)の中で、過去の極値(過去最高の決算値又は過去最低の決算値)と、新たに発表された決算値を比較することになる。
また、取得した企業情報が四半期決算であり、業績や配当に関する通期予測の修正が行われていれば、修正された予想業績と従来予想との比較、修正された予想配当と従来予想との比較等が行われ、一方、修正が行われていなければ、予想に対する実績数値の進捗率の比較、過去同時期の決算との進捗率の比較、3ヶ月単位の決算数値と過去実績値との比較、利益率と過去利益率との比較等が行われる。なお、このような四半期決算に係る比較でも、決算数値と過去実績の比較において、過去最高(又は過去最低)を更新しているか、過去最高(又は過去最低)の更新を見込んでいるかの比較は必ず行っており、この場合も、過去の企業情報に含まれる数値情報(決算数値)の中で、過去の極値(過去最高の決算値又は過去最低の決算値)と、新たに発表された決算値を比較することになる。
さらに、S4の段階では、発表された企業情報の中に修正が含まれているかなどの分析も、記事生成装置20(MPU20a)により行われると共に、発表された企業情報に含まれる項目の中で、株価に影響を及ぼす項目(株価ドライバと称す)が、何になるかを分析する処理も記事生成装置20(MPU20a)により行われる。発表される企業情報に含まれる財務に関する項目(売上高、純利益、EBITDA(金利・税金・償却前利益)、純資産、配当金など)の全てが、株価ドライバになり得る対象の候補となり、これらの項目に係る数値と株価(株価配信システム3から配信される株価を含む)の相関性を、情報DBシステム10から送られてくる他企業の平均値と照らし合わせて、記事生成装置20(MPU20a)は株価ドライバを特定する処理を行う。なお、株価ドライバは、株価に影響を及ぼすので、投資家の関心事項となる。
それから、図6に示すフローチャートのS5の段階で、上述したS4の処理内容に基づき、記事生成装置20(MPU20a)は、記事の見出し又は主題を特定する処理を行う。すなわち、S4の処理の中で、記事生成装置20(MPU20a)は、受信した各企業情報の中で、発表された最新の企業情報(決算等)を、過去分の企業情報(決算等)及び業績予想情報(決算等の関する予想)とそれぞれ項目ごとに比較しており、その比較の結果から、自動生成する記事の見出し又は主題内容を特定する処理を、S5の段階で行うことになる。
この特定処理の前提となる比較は、フローチャートのS4の段階で、各情報に含まれる企業の業績に係る複数の数値(数値情報)を項目ごとに比較するものになっており、このように比較した結果に基づき、評価基準テーブル25で規定されるポイントを記事生成装置20(MPU20a)が算出する。そして、記事生成装置20(MPU20a)は、数値情報同士の差に応じた状況が最も大きくなった数値情報に係る項目を特定し、その項目に応じた内容(情報)を、見出し又は主題として特定し、その特定した内容を見出し又は主題に記載することになる。本実施形態では、数値情報同士の差に応じた状況として、算出したポイント(差に応じた評価値に相当)を用いており、算出したポイントの値が最も大きくなった比較対象の項目を特定して、その項目に応じた内容(情報)を、見出し又は主題に記載することになる。
記事生成装置20(MPU20a)が情報DBシステム10から取得する企業情報は、上述したように、所定の標準化ファイル形式(例えば、XBRL形式)で示される情報(但し、数値情報については、上述したように通常の数値単位に変換済み)であり、このような標準化ファイル形式では、業績を表す複数の項目について、項目と数値がセットになった状態で、所定の順序に従って羅列した内容になっている。そのため、発表された企業情報が決算の場合であれば、新たに発表された決算に含まれる各項目に応じた数値情報が示す数値と、過去分の決算に含まれる各項目に応じた数値、及び予想分の決算に含まれる各項目に応じた数値情報が示す数値を、それぞれ順に比較していくことになる。なお、決算に含まれる項目としては、売上高、営業利益、税引前利益、経常利益、資産合計、配当等があるので、これらの各項目に対する数値を順次、比較する。
また、比較結果について、上述した図4、5に示す評価基準テーブル25(各テーブル部25a、25b)に規定に基づきポイント(評価の値)を算出し、そのポイントの絶対値(差の状況に相当)が最も大きくなった比較対象の項目を、記事生成装置20(MPU20a)は特定し、その特定した項目に応じた情報を記事の見出し又は手段に用いることを決定する(S5)。このように本実施形態では、ポイント(評価値)の絶対値が大きいものを特定して、見出し又は手段を決定するので、発表された最新の決算の経常利益が、過去分の決算の経常利益よりプラスの場合だけでなく、マイナスであっても、その差(絶対値の差)に応じた評価値が、複数の項目の中で最も大きければ、「経常利益大幅ダウン」というような内容が、見出し又は主題に用いられることになる。
なお、差に応じた状況(評価の値であるポイント)として絶対値を用いるのは一例であり、システムの仕様等によっては、絶対値を用いずに、差に応じた評価の値(ポイント)がプラスとなる場合のみに絞って、項目を特定するようにしてもよく、このような場合は、企業の最も大きいプラス項目をユーザに分かりやすく伝えたい場合に好適となる。一方、上記とは逆に、差に応じた評価の値(ポイント)がマイナスとなる場合のみに絞って、項目を特定することも可能であり、この場合は、企業の最も大きなマイナス項目(マイナスを取った値が大きい項目)を目立たせてユーザに伝えるようにするときに好適となる。
そして、図6に示すフローチャートのS6の段階で、記事を構成するパラグラフの内容、順序の決定処理を記事生成装置20(MPU20a)は行う。パラグラフの内容の特定において、企業情報に含まれる複数の項目の中で、基本的に経常利益を最も重要な判断基準の項目(重要項目)にしているので、パラグラフの内容に、経常利益の項目は必ず含めるようにしている。また、発表された企業情報に含まれる経常利益は黒字になっているが、純利益は赤字になっている等のように、経常利益の状態と他の利益の状態が反対になっている場合では、経常利益以外の項目が株価に影響を及ぼす要因になり得るので、そのような株価に影響を及ぼす要因となり得る項目を重要項目として扱い、その重要項目に係る情報もパラグラフの内容に含ませることを決定する。
さらに、上述した株価ドライバに関する処理も、パラグラフの内容及び順序等の決定処理に用いられる。すなわち、取得した新たな企業情報に含まれる複数の項目に応じた数値(数値情報)を、情報DBシステム10から取得した中に含まれる平均数値情報と比較し、比較の結果に基づき、両数値情報の差に応じた状況を示すポイント(差に応じた割合:差の評価の値に相当)を評価基準テーブル25に従って算出し、この算出したポイントに係る項目のポイントが大きくなっていく項目の順序を特定し、その特定した項目の順序に従って、各項目に係る情報を記載して記事を自動生成する。この際、各項目に係る情報の記載を、その記載内容ごとにパラグラフに分けることで、パラグラフの内容及び順序等を決定することになる。
そして、図6に示すフローチャートのS7の段階で、記事生成装置20(MPU20a)は、上記のS4、5、6等の処理の内容をふまえて、企業情報の記事を自動生成する。具体的には、記事の見出しについて、S5の段階で特定した項目に応じた情報を記載した見出し文章を、記事生成プログラムP2に含まれる文章作成エンジンに応じた機能(AIによる機能)により、記事生成装置20(MPU20a)が作成する。
また、記事の中身について、記事生成装置20(MPU20a)は、文章作成エンジンに応じた機能により、S5の段階で特定した主題、及びS6の段階で決定した重要項目を含ませた文章を1番目のパラグラフとして作成すると共に、2番目以降のパラグラフの文章も、S6の段階で決定した項目に応じた情報を各パラグラフに含ませた文章を作成していく。
このような文章作成は、情報DBシステム10から取得した企業情報の中で、XBRL形式のものは、上述した各項目と数値情報がセットになっているので、基本的に、これらセットの中で、項目は主語的に認識し、数値情報は目的語的に認識し、主語的な項目と、目的語的な数値情報を繋ぐ助詞、動詞等を文章作成エンジンによる解析で割り出し、各パラグラフに応じた具体的な文章を作成していくことになる。すなわち、各パラグラフで用いる主語及び述語に応じた語句・数値等は、上述したS6等の段階で処理の対象となった経常利益、重要項目等に応じた項目内容及び数値情報を用いると共に、S3の段階で取得した企業情報に含まれる業績予想に関する情報(業績予想DB17に格納される情報)、及びS4の段階で演算により算出した結果の内容(算出事項、及び算出した結果の数値)等も用いて文章を作成することになる。
なお、第1番目のパラグラフの最初の文章に関しては、新たに発表された企業情報に含まれる企業名、発表の日時、発表の種別(決算、業績予想の修正、配当の修正など)を抽出して、これら抽出した語を適宜、繋ぐ助詞、副詞、動詞等を文章作成エンジンによる解析で割り出して1番目のパラグラフの最初の文章を作成することになる。そして、このようにして作成された企業情報記事は、MPU20aによって、記憶部20gに含まれる作成記事テーブル24(図3参照)の中に、その記事に応じた企業ごとに区別して記憶される。
最後に、図6に示すフローチャートのS8の段階で、記事生成装置20(MPU20a)は、上記のS7の段階で生成した記事(企業情報記事)を、図1に示すユーザ端末T1、T2、T3等へネットワークを通じて配信する。この配信は、プッシュ配信的に対象となるユーザ端末へ送信する場合、ユーザ端末側からの要求(リクエスト)に応じて、要求元のユーザ端末へ送信する場合などが想定でき、商業的利用においては、配信に対して課金するようにしてもよい。また、S8の段階の企業情報記事の配信は、S1の段階から、早ければ瞬時(10秒以内の秒単位)、又は1分以内で行われ、通常であれば分単位の2~3分程度で行われ、同時期に多くの発表が行われて並行的に複数の記事生成を行うような場合でも、遅くとも4~6分以内程度で行われる。
図7は、図6に示すフローチャートの処理により自動生成された記事の一例である企業情報記事30を示す。この企業情報記事30は、図14(a)に示す記事K10と同様に、東京証券取引所等の証券取引所システム2により開示(発表)されたA社の決算資料(企業情報:決算)に基づいて、本発明によって自動生成されたものである。
企業情報記事30は、見出し部30a、第1パラグラフ部30b、第2パラグラフ部30c、第3パラグラフ部30d、及び配信時間部30eを有する。見出し部30aは、A社の5~1月期の経常利益が、51%増益であり、11~1月期も2.3倍増益である旨が示されており、これらの経常利益に関する内容は、図6のフローチャートのS5の段階で特定されたものになっている。この見出し部30aの内容は、図7に示す様に、A社の経常利益の状況を端的に示すものとなっており、図14(a)に示す同じA社の従来技術による記事K10の一律的な見出しの内容と異なるものになっている。
また、企業情報記事30の第1パラグラフ部30bは、最初に企業名(A社)、発表の日時(3月1日15時)、及び発表の種別(決算)を示す文章を含み、その後に、主題及び重要事項に該当する第3四半期累計の連結経常利益について、前年同期比と比較した内容(前年同期比51.4%増の175億円に拡大)、通期計画(予想)に対する進捗率、及び過去5年との比較内容等を含む。このような第1パラグラフ部30bにより、経常利益に関する状況が記事の読者に伝わりやすい内容になっていると共に、計画に対する進捗率も示されるので、投資家が注視する企業の情報を的確に伝える記事内容になっている。なお、第1パラグラフ部30bの中の進捗率や5年平均との比較結果は、図6に示すフローチャートのS4の段階における処理内容を用いている。一方、図14(a)の従来技術による記事K10では、最初のパラグラフにおいて、純利益、売上高、経常利益、及び営業利益という4つの項目の内容が羅列的に記載されるので、いずれの項目が重要であるかが記事の読者に伝わりにくい表現になっており、それゆえ、本発明の記事情報記事30では、目立つように記されていた経常利益に関する内容も、記事K10では羅列的な記載の中に埋もれてしまっている。
さらに、企業情報記事30の第2パラグラフ部30cは、2-4月期の連結経常利益の予想値を、前年同期比と対比した内容になっており、投資家が気にする該当企業の来期の状況を予想として示すものとなっている。なお、このような来期の予想状況の内容は、評価基準テーブル25の中で規定される前期実績と来期予想の比較に基づいたものになっている(図6のフローチャートのS4の段階)。一方、図14(a)の従来技術による記事K10では、二つ目のパラグラフにおいて、来期の予想が記載されているが、こちらも最初のパラグラフと同様に、純利益、売上高、経常利益、及び営業利益という4つの項目の予想内容が羅列的に記載されるので、いずれの項目が重要であるかが記事の読者に伝わりにくい表現になっている。
さらにまた、企業情報記事30の第3パラグラフ部30dは、直近三ヶ月の実績である連結経常利益及び売上営業利益率を前年同期比と対比した内容になっており、この第3パラグラフ部30dの内容は、投資家等がA社の直近の業績実績を把握するのに役立つ情報になっている。一方、図14(a)の従来技術による記事K10には、企業情報記事30の第3パラグラフ部30dに応じたような内容は含まれない。
以上のことを整理すると、投資家等が本発明に係る図7に示すA社に関する企業情報記事30を読めば、見出し部30a及び第1パラグラフ部30bの内容より、A社の現況の業績は順調であり、このことは第3パラグラフ部30cの内容からも裏付けられるが、第2パラグラフ部30cの内容より、今後は業績が下降気味になることから、現状が業績のピーク状態であると判断できる材料を分かりやすく伝える内容になっているが、図14(a)の従来技術による記事K10からは、図7の企業情報記事30から判断できるような上記の内容を読み取ることは困難になっていることが分かる。
また、図8は、図6に示すフローチャートの処理により自動生成された記事の他の例である企業情報記事31を示し、この企業情報記事31は、図14(b)に示す記事K11と同様に、東京証券取引所等の証券取引所システム2により開示(発表)されたB社の決算資料(企業情報:決算)に基づき、自動生成されたものである。
企業情報記事31は、図7に示す企業情報記事30と同様に、見出し部31a、第1パラグラフ部31b、第2パラグラフ部31c、第3パラグラフ部31d、及び配信時間部31eを有する。見出し部31aは、B社の今期の経常利益は3%増で5期連続最高益であること、及び配当が11円増す旨が示されており、このような見出し部31aに関する内容は、図6のフローチャートのS5の段階で特定されたものになっている。この見出し部31aの内容は、図14(b)に示す同じB社の従来技術による記事K11の見出しの内容が、純利益に関するものであることから(B社の17年1月期、純利益44.5%増1215億円)、このB社に関する企業情報記事31においても、図7及び図14(a)に示す両記事の場合と同様に、両者の見出し内容は異なるものになっている。
この企業情報記事31の第1パラグラフ部31bは、企業名(B社)、発表の日時(3月9日15時30分)、及び発表の種別(決算)を示す文章の後に、主題又は重要な項目として、2017年1月期の連結経常利益について、前期比と比較した内容(前期比18.9%増の1909億円)を含むと共に、2018年1月期の経常利益も前期比に対して伸びて、5期連続で過去最高益を更新する見込みである内容等を含む文章を有するので、B社の業績が好調であり、それが続きそうであることを記事の読者に伝わりやすい内容になっている。なお、第1パラグラフ部31bの内容(経常利益に関する現状、今後の内容、過去最高であること等)は、図6に示すフローチャートのS4~6の段階における処理内容により得られたものである。
そして、この企業情報記事31の第1パラグラフ部31bの内容は、今後の業績見込みを含むという点において、上述した図7に示す業績情報記事30の第1パラグラフ部30bの内容とも異なっており、それゆえ、本発明では、各企業の業績に応じて、個別の内容の記事が自動で生成されていることが分かる。また、同じB社の記事である図14(b)に示す従来技術による記事K11では、最初のパラグラフにおいて、純利益、売上高、経常利益、及び営業利益という4つの項目の内容が羅列的に記載した定型的な表現に留まるので、図14(a)の記事K11と同様に、いずれの項目が重要であるかが記事の読者に伝わりにくい表現になっている。
さらに、企業情報記事31の第2パラグラフ部31cは、今期の年間配当を増加する旨の内容になっており、投資家が気にする配当の内容を伝えるものとなっている。なお、このような配当に関する内容は、図6のフローチャートのS4等の段階の処理内容で得られたものになっている。このような企業情報記事31の第2パラグラフ部31cも、図7に示す企業情報記事30の第2パラグラフ部30cの内容と異なっており、ここでも企業ごとに、個別の記事内容が生成されていることが分かる。なお、同じB社の記事である図14(b)に示す従来技術による記事K11では、二つ目のパラグラフにおいて、来期の予想が記載されているので、企業情報記事31の第2パラグラフ部31cと全く異なる内容になっている。
さらにまた、企業情報記事31の第3パラグラフ部31dは、直近三ヶ月の実績の連結経常利益及び売上営業利益率を前年同期比と対比した内容になっており、この第3パラグラフ部31dの内容は、投資家等がB社の直近の業績情報を把握するのに役立つ情報になっている。一方、図14(b)の従来技術による記事K11には、企業情報記事31の第3パラグラフ部31dに応じたような内容は含まれない。
図8の企業情報記事31について、以上のことを整理すると、投資家等が本発明に係る図8に示すB社に関する企業情報記事31を読めば、見出し部31a及び第1~第3パラグラフ部31b~31dの内容より、A社の現況の業績は好調であって、今後も暫くは順調な業績が続きそうであると判断できる材料を分かりやすく伝える内容になっているが、図14(b)の従来技術による記事K11からは、図8の企業情報記事31から読み取れるような上記の内容をスムーズに把握することは困難になっていることが分かる。
図9(a)は、図6に示すフローチャートの処理により自動生成された記事の例である企業情報記事40を示し、この企業情報記事40は、東京証券取引所等の証券取引所システム2により開示(発表)されたC社の資料(企業情報:業績予想修正)に基づき、自動生成されたものである。
企業情報記事40は、見出し部40a、第1パラグラフ部40b、第2パラグラフ部40c、及び配信時間部40dを有する。見出し部40aは、C社が今期の経常利益を16%上方修正した旨が示されており、この内容は、図6のフローチャートのS5の段階で特定されたものになっている。また、企業情報記事40の第1パラグラフ部40bは、主題又は重要な項目として、2017年3月期の連結経常利益を従来予想から上方修正し、減益率が減少する見通しになった旨を示すと共に、通期の連結最終利益は従来予想から下方修正となり、減益率も拡大する見通しである旨を示すので、投資家が気にかける企業の業績動向を的確に伝える記事内容になっている。なお、このような第1パラグラフ部40bの内容も図6に示すフローチャートのS4~S6の段階における処理内容に基づいたものになっている。
さらに、企業情報記事40の第2パラグラフ部40cは、今回の修正発表により、下期の連結経常利益及び増益率は、それぞれ拡大になることを示す内容になっており、この内容も図6に示すフローチャートのS4~S6の段階における処理内容に基づいたものになっている。このように本発明では、企業が業績予想修正を発表すると、株価に影響を及ぼすような内容を投資家に伝える記事を自動生成するようになっており、一方、上述した従来技術の非特許文献1で記事を生成するのは、企業が決算資料を発表した場合に限られるので、このように業績予想修正が発表された場合に記事を生成できない。
図9(b)も、図6に示すフローチャートの処理により自動生成された例の企業情報記事41を示し、この企業情報記事41は、東京証券取引所等の証券取引所システム2により開示(発表)されたD社の資料(企業情報:業績予想修正)に基づき、自動生成されたものである。
企業情報記事41も、見出し部41a、第1パラグラフ部41b、第2パラグラフ部41c、及び配信時間部41dを有する。見出し部41aは、D社が今期の経常利益を16%上方修正して最高益を更新する旨が示されており、この内容も、図6のフローチャートのS5等の段階で特定されたものになっている。また、企業情報記事41の第1パラグラフ部41bは、主題又は重要な項目として、2017年3月期の連結経常利益を従来予想から上方修正し、一転して16%の増益を見込んで、2期連続で過去最高益を更新する見通しになった旨を示す文章になっている。そして、第2パラグラフ部40cは、今回の修正発表により、下期の連結経常利益及び増益率は、それぞれ増額及び拡大になることを示す内容になっており、この内容も図6に示すフローチャートのS4~S6の段階における処理により得られている。
図10は、図6に示すフローチャートの処理により自動生成された記事の例である企業情報記事42を示し、この企業情報記事42も、東京証券取引所等の証券取引所システム2により開示(発表)されたE社の資料(企業情報:配当修正)に基づき、自動生成されたものである。
企業情報記事42は、見出し部42a、第1パラグラフ部42b、及び配信時間部42cを有する。見出し部42aは、E社が今期配当を2期ぶりに20円で復配する旨を記しており、この内容は、図6のフローチャートのS5等の段階で特定されたものになっている。また、企業情報記事42の第1パラグラフ部42bは、未定だった2017年3月期の配当を実施して2期ぶりに復配することを示すので、投資家が気にかける企業の状況を的確に伝える記事内容になっている。なお、このような第1パラグラフ部42bの内容も図6に示すフローチャートのS4~S6の段階における処理内容に基づいたものになっている。このように本発明では、企業が配当修正を発表しても、記事を自動生成し、一方、上述した非特許文献1で記事を生成するのは、企業が決算資料を発表した場合に限られるので、このように配当修正が発表された場合は記事を生成できない。
以上のように、本発明では、各企業が決算等の企業情報を発表すると、定型的な内容ではなく、発表内容に合わせて、注目すべき事項に焦点を合わせた記事を自動で作成するので、投資等において検討及び判断等の対象にしなければならない事項を把握しやすい表現にした記事を投資家等に素早く提供できるメリットを有し、また、このような内容の記事は、決算以外の業績予想修正、配当修正等が発表された場合にも生成されることが特徴になっている。
なお、本発明は上述した形態に限定されるものではなく、様々な変形例が想定できる。例えば、上記の説明では、過去決算DB16に記憶する平均値は、一つの企業を除いた残りの他の企業の平均値を算出したものであったが、他の企業としては、一つの企業と同じ業種の企業に絞って、業種ごとに平均値を算出して、業種に合わせた対比等を行うようにしてもよい。また、仕様の簡易化、及び平均値算出処理の負担の低減等を図る場合は、一つの企業を除いた平均値ではなく、一つの企業を除かずに含めた複数の平均値を算出し、このように算出した平均値を対比等に用いるようにしてもよい。
また、生成する記事は、記事の見出しを示す見出し部30a等を設けていたが、生成する記事の仕様等に応じては、見出し部30a等を設けるのを省略する仕様にしてもよく、この場合は、図6のフローチャートのS5の段階で特定する内容は、記事の主題の中に記載するようにし、記事の主題は、第1パラグラフ部30b等の中で、企業名と発表時期の文章の次の文章の中に含ませて、主題を目立つようにする。
さらに、上述した説明では、記事の見出し又は主題は、新たに発表された企業情報に含まれる数値情報を、業績予測情報に含まれる数値情報及び過去分の企業情報に含まれる数値情報の両方と比較して特定するようにしていたが、仕様の簡易化等を図る場合は、いずれか一方のみの比較で特定を行っても良い(新たな企業情報に含まれる数値情報と業績予測情報に含まれる数値情報との比較、又は新たな企業情報に含まれる数値情報と過去分の企業情報に含まれる数値情報との比較のいずれか一方で、見出し等を特定することも可能である)。
また、上記の処理において生成する記事では、株価に関する内容を含んでいなかったが、情報DBシステム10からは、理論株価DB18及び個人投資家株価予想DB19に格納されている株価に関する情報(理論株価、複数の個人投資家による予想株価等)も記事生成装置20へ送られてくると共に、株価配信システム3が配信する各企業の最新の株価(実際の株価)も記事生成装置20は受信して取得するので、これら株価に関する情報を、生成する記事に含ませても良い。
図11(a)は、A社の最新の株価50a(実際の株価)及びA社の理論株価50bを含むA社株価情報50の例を示し、このようなA社株価情報50を例えば、図7に示す企業情報記事30の見出し部30aの下方、又は配信時間部30eの上方などの記事内に配置して、記事と共に、株価に関する内容を提供するようにしてもよい。この場合、A社株株価情報50に含まれるA社の株価50aとしては、記事を生成する際に、株価配信システム3から取得した最新の株価が用いられ、また、A社の理論株価50bは、図6のフローチャートのS3の段階で取得する情報の中に含まれる理論株価DB18から読み出されたA社の理論株価の値が用いられる。
また、図11(b)は、A社の株価51a(実際の株価)及びA社の予想株価51bを含むA社株価情報51の例を示し、このようなA社株価情報51を、図11(a)のA社株価情報50の場合と同様に、例えば、図7に示す企業情報記事30の見出し部30aの下方、又は配信時間部30eの上方などの記事内に配置し、記事と共に、株価に関する内容を提供してもよい。この場合、A社株株価情報51に含まれるA社の株価51aは、図11(a)に示す場合と同様に、A社の最新の株価が用いられ、また、A社の予想株価51bは、図6のフローチャートのS3の段階で取得する情報の中に含まれる個人投資家株価予想DB19から読み出されたA社の予想株価の値が用いられる。
なお、他の変形例としては、図11(a)、(b)を組み合わせたような株価情報を用いることも可能であり、この場合は、例えば、A社の株価(最新の株価)、A社の理論株価、及びA社の予想株価を含む株価情報を記事と共に載せることになる。このような図11(a)(b)等に示す株価情報を記事と共に載せることで、株価と記事の内容について、どのような影響及び関連性が出ているかを一緒に確認できるようになる。
さらに、自動生成する決算に関する記事(図7~10等に示す企業情報記事30、3140~42等)には、その記事を生成する起因となった発表の概要を一目で分かるようにするため、その発表についての総合評価(決算等に関する発表に対する全体評価)を記事と共に示すようにしてもよい。
図11(c)は、A社の発表された決算についての総合評価52の例(全体評価の例)を示し、この例では、5段階評価で決算の内容を評価できるように、5つの星の図柄を表すと共に、5段階評価に応じて、星の図柄の中身を塗りつぶす仕様になっている(例えば、評価が5段階中の3であれば、左から三つ目までの星の図柄を塗りつぶすことになる)。このような5段階評価は、評価基準テーブル25に基づいて算出する各項目のポイントを合計し、その合計したポイントの値に応じて5段階評価を行う。このような評価は、図6のフローチャートにおけるS4の段階でポイントを算出して、合計のポイントの値を求め、その合計のポイントの値に基づき評価の段階を決定することになる。例えば、求めた合計ポイントの値が5であれば、評価も5段階中の5になり、以下同様に、合計ポイントの値が4であれば、評価は5段階中の4、合計ポイントの値が3であれば、評価は5段階中の3、合計ポイントの値が2であれば、評価は5段階中の2、合計ポイントの値が1であれば、評価は5段階中の1になる。
決定した評価に基づいて生成したA社の総合評価52は、例えば、図7に示す企業情報記事30の見出し部30aの下方、又は配信時間部30eの上方などに配置し、記事と共に、発表された決算の評価を提供する。このように総合評価52も記事と共に提供すれば、投資家等は、総合評価52により、一目で発表された決算が好ましいものか、又は良くないものであるかなどを把握でき、それから、より詳しい内容を記事で確認するという流れを作ることができ、投資家等がスムーズな判断を行えることに貢献できる。
なお、評価の仕方としては、上記のような5段階評価以外に、段階数を増やして6段階以上で評価することや、逆に段階数を減らして3段階以下で評価することも考えられる。さらには、全体評価としてプラス又はマイナスの二段階で評価することも可能である。
このようにプラス又はマイナスの二段階等で、発表された企業情報の全体評価を行う場合も、新たな企業情報に含まれる各項目の数値情報を、比較対象となる業績予想情報に含まれる各項目の数値情報、又は過去の企業情報に含まれる各項目の数値情報と比較し、その比較の結果において、上述したように評価基準テーブル25で規定される条件により、各項目に対し算出されるポイントに基づき行うことになる。しかし、算出した複数の項目に対するポイントに、プラスとマイナスが入り交じっている場合、すなわち新たに発表された企業情報に含まれる各項目の数値情報が、比較対象となる数値情報に対して大きくなる場合と小さくなる場合は入り交じっているときは、全体として評価を一律的に行うのが困難となるので、このような場合は、複数の項目の中の重要項目に基づき全体評価を行うことになる。
すなわち、重要項目における数値情報同士の比較で、新たな企業情報に含まれる数値情報が、比較対象となる数値情報に対して大きくなる場合(重要項目において、算出されるポイントがプラスの場合)、発表された新たな企業情報について、プラスの全体評価(総合評価)を行う。一方、新たな企業情報に含まれる数値情報が、比較対象となる数値情報に対して小さくなる場合(重要項目において、算出されるポイントがマイナスの場合)、マイナスの全体評価(総合評価)を行うことになる。そして、このようなプラス又はマイナスの全体評価を、自動生成した記事(企業情報記事30等)に付して、投資家等のユーザに配信すれば、投資家等は、発表された企業情報が、概要的にポジティブなものか、あるいはネガティブなものであるかを、記事に付された全体評価で素早く判断できる。
複数の項目の中の重要項目としては、基本的に経常利益を用いる(経常利益に関する項目を重要項目にする)。しかし、経常利益は黒字であるが、純利益は赤字といったように、利益に関する項目に黒字と赤字が入り交じっているときは、経常利益以外の項目が、企業の業績において影響を及ぼす項目になっていると推測できるので、このような場合は、経常利益以外で業績に影響を及ぼす項目を重要項目にすることになる。このような場合の具体的な重要項目の特定(経常利益以外を重要項目に特定する場合)は、上述した新たに発表された企業情報に含まれる複数の項目に応じた数値情報を、平均数値情報と項目ごとに比較する際、数値情報と平均数値情報の差に応じた状況を示す値(ポイント)が最も大きくなる比較対象の項目を、記事生成装置20は重要項目として特定することになる。
さらに、上記の説明において、生成する記事(図7~10等に示す企業情報記事30、31、40~42等)は、テキストベースのものであったが、グラフや図柄等を用いて記事内容をビジュアル化することも可能である。
図12は、ビジュアル化した例の企業情報記事60(発表された決算に対する記事)を示し、上から順に、要約部61、グラフ部62、評価部63を含む。この変形例では、記事をビジュアル化(図案化)するために、決算内容を「売上高」、「営業利益」、及び「最終利益」の項目に絞った内容にしており、要約部61では、これら3つの項目に対して、要約と共に「Good!」又は「Bad」の評価を示す図柄を付したものにしている。また、グラフ部62では、これら3つの項目を、各期を横軸にしたグラフで表した内容にしている。そして、評価部63は基本的に、図11(c)で示したものと同等にしている。このようなビジュアル化した企業情報記事60では、テキストの記事に比べて、視覚的に内容を把握できるので、スピーディーに企業情報を理解することを望む投資家等に対して好適なものとなる。