JP7296025B1 - センサ装置、及び減衰力可変サスペンションシステム - Google Patents

センサ装置、及び減衰力可変サスペンションシステム Download PDF

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Abstract

センサ装置(SE)は、対象物(200)の変位量に応じてインダクタンスが変化すると共に、温度に応じて直流抵抗が変化するコイル(108)と、コイルに電気的に接続されたLC共振用のコンデンサ(134)を備える発振部(132)と、を有するLC発振回路(150)と、コイルの一端(N20)を、所定の直流電位に電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチ(SW)を有する切替部(138)と、を有し、スイッチがオフの場合は、LC発振回路は、対象物の変位量に応じて周波数が変化する発振信号(Iout)を出力する第1の状態となり、スイッチがオンの場合は、LC発振回路は、発振が停止し、かつ発振部の構成要素である所定の抵抗(R24)とコイル(108)の他端(N30)との共通接続点(N1)から、コイルの温度に応じて電圧値が変化する直流電圧(Vtemp)が出力される第2の状態となる。

Description

本発明は、センサ装置、及び減衰力可変サスペンションシステム等に関する。
特許文献1の[0041]、図2には、ストロークセンサを構成するLC発振回路が示されている。
特許文献2の[0019]、図1、図2には、自動二輪車のフロントサスペンションにおいて、減衰力可変部としてのソレノイドバルブを、サスペンションに一体的に取り付けた構成が示されている。
特許文献3の[0045]、図3には、LC発振回路を用いたストロークセンサにおいて、コイルとコンデンサを筒体内部に配置し、筒体内の温度が高くなると、コイルのインダクタンスは増加するが、コンデンサの容量は減少することを利用して、共振周波数の温度による変動を抑制した構成が示されている。
特許文献4の[0017]、[0018]、図3、図4には、コイルの抵抗値が、温度とともに上昇すること、及び、コイルへの印加電圧値とコイルを流れる電流値に基づいて、作動油の温度を推定することが示されている。
特許第6663086号公報 特許第6983619号公報 特許第6625791号公報 特開2004-316848号公報
本発明者らの検討によって、下記の課題が明らかとなった。すなわち、サスペンションの作動により、流体を収容しているサスペンション内の流体の温度が上昇すると、サスペンションの減衰力特性が変化する。
例えば、車両の運転当初は流体の温度が標準温度であったが、時間の経過と共に温度が上昇したとすると、当初は適正な減衰力が発生していたとしても、温度上昇後においては、減衰力が適正範囲から外れてしまう場合があり得る。
この場合、例えば、サスペンションに取り付けられているソレノイドを有する減衰力可変部、言い換えればソレノイドバルブを用いて流体の抵抗を調整することで、温度の変化に応じて減衰力を補正することが可能である。
但し、この場合、流体の温度を温度センサで測定する必要がある。しかし、近年、サスペンションの小型化が進展しており、流体を収容するサスペンション内に、新たに温度センサを設置するスペースを確保することが困難な場合がある。
上記特許文献1は、ストロークセンサを構成するLC発振回路の一例を示しているにすぎない。流体の温度上昇に伴う減衰力可変部における減衰力の補正の必要性、及び、その減衰力の補正とLC発振回路との関係等については何ら記載されていない。
上記特許文献2は、流体の温度上昇に伴う減衰力可変部における減衰力の補正の必要性については記載がない。
上記特許文献3は、LC発振回路を用いたストロークセンサにおいて、コイルとコンデンサを同じ温度環境に設置して、各素子の特性が異なることを利用して変位の測定誤差を抑制するものである。但し、特許文献2の技術は、温度変化に伴う減衰力の変動についての対策とはなり得ない。
上記特許文献4は、コイルへの印加電圧値とコイルを流れる電流値に基づいて、作動油の温度を推定するものである。この特許文献3では、作動油の温度を推定するために、新たに印加電圧が可変である基準電圧源、あるいは電流源等を用意する必要があり、回路的負担が増大するのは否めない。
本発明は、温度センサを新たに追加することなく、例えば流体の温度を測定することが可能なセンサ装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、減衰力を温度に応じて補正することが可能な減衰力可変サスペンションシステムを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、LC発振回路の発振を停止させると共に、LC発振回路における発振部の所定の抵抗とコイルの直流抵抗とで抵抗分圧回路を形成することで、上記問題を解消できるとの知見を得た。
本発明は、これらの知見に基づいて完成された。
以下、本開示について説明する。
本開示の1つの態様によれば、対象物(200)の変位量に応じてインダクタンスが変化すると共に、温度に応じて直流抵抗が変化するコイル(108)と、コイルに電気的に接続されたLC共振用のコンデンサ(134)を備える発振部(132)と、を有するLC発振回路(150)と、コイルの一端(N20)を、所定の直流電位に電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチ(SW)を有する切替部(138)と、を有し、スイッチがオフの場合は、LC発振回路は、対象物の変位量に応じて周波数が変化する交流信号(Iout)を出力する第1の状態となり、スイッチがオンの場合は、LC発振回路は、発振が停止し、かつ発振部の構成要素である所定の抵抗(R24)とコイル(108)の他端(N30)との共通接続点(N1)から、コイルの温度に応じて電圧値が変化する直流電圧(Vtemp)が出力される第2の状態となる、センサ装置(SE)が提供される。
ここで、コイルの温度は、コイルの周囲の流体、例えば作動油の温度を反映している。よって、直流電圧(Vtemp)は、実質的に流体の温度に応じて電圧値が変化する電圧ということができ、よって、流体の温度の測定が可能である。
また、コイルの温度に応じて電圧値が変化する直流電圧(Vtemp)は、所定の抵抗(R24)とコイル(108)の他端(N30)との共通接続点(N1)から直接に得られる直流電圧であってもよく、その直流電圧を増幅回路(139)により増幅して得られる直流電圧であってもよい。
本開示の他の態様によれば、筒状の第1の部材(100)と、第1の部材に対して、第1の部材の軸方向において相対的に移動可能に設けられる筒状の第2の部材(200)と、を備えると共に、内部に流体が収容されるサスペンション(19)と、ソレノイド(133)を有すると共に、第1、第2の各部材の相対的位置関係に応じて移動する流体の抵抗を、ソレノイドの駆動電流、又は駆動電圧によって可変に制御可能であり、かつサスペンションに一体的に取り付けられている電子制御式の減衰力可変部(130)と、サスペンション内に配置されると共に、第1、第2の部材の何れか一方を対象物とする、第1乃至第6の何れか1つの態様のセンサ装置(SE)と、切替部におけるスイッチのオン/オフを制御する機能と、電子制御式の減衰力可変部を制御する機能とを有するサスペンション制御部(300)と、を有し、サスペンション制御部(300)は、サスペンション(19)内に設けられている、又は、サスペンション(19)に一体的に取り付けられている減衰力可変サスペンションシステム(400)が提供される。
本発明によれば、切替部のスイッチのオン/オフによって、センサ装置の動作状態を切り替えることで、新たな構成の追加無しで、対象物の変位を検出するストロークセンサ、及び、コイルの温度を測定する温度センサの双方を実現することができる。
また、本発明によれば、機電一体化の設計によって、サスペンション制御部(制御基板)をサスペンションに集約して温度環境の共通化を実現し、また、ストロークセンサと温度センサとを兼ねるセンサ装置を活用することで、従来困難であった、温度に依存した減衰力特性の補正が可能となる。
フロントサスペンション、及びリヤサスペンションが取り付けられた自動二輪車の一例の側面図である。 減衰力可変サスペンションシステムの構成の一例を示す図である。 減衰力可変サスペンションシステムの構成の他の例を示す図である。 減衰力可変サスペンションシステムの構成の、さらに他の例を示す図である。 センサ装置の回路構成の一例を示す図である。 (A)、(B)は、直流バイアス電圧生成回路の回路構成例を示す図である。 スイッチを備える切替部の構成例を示す図である。 切替部のスイッチがオフの場合に実現されるストロークセンサの検出出力の一例を示す図である。 切替部のスイッチがオンの場合に実現される温度センサの動作、温度センサの検出出力、及び検出出力の温度に対する特性の一例を示す図である。 ソレノイド駆動電流を、検出された温度に基づいて校正することによる効果を示す図である。 サスペンション制御部による、減衰力可変サスペンションシステムの制御手順の一例を示すフローチャートである。
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。添付図に示した形態は本発明の一例であり、本発明は当該形態に限定されない。
<実施例1>
図1を参照する。図1は、フロントサスペンション、及びリヤサスペンションが取り付けられた自動二輪車の一例の側面図である。
なお、図1の上方に示される符号、L、R、U、Dは各々、左、右、上、下を表す。この点は、図2~図4においても同様である。
図1において、自動二輪車1は、前側の車輪である前輪2と、後側の車輪である後輪3と、自動二輪車1の骨格をなす車体フレーム11、ハンドル12及びエンジン13などを有する車両本体15と、を備えている。
また、自動二輪車1は、前輪2と車両本体15とを連結するフロントサスペンションとしてのフロントフォーク19を、前輪2の左側と右側にそれぞれ1つずつ有している。また、自動二輪車1は、後輪3と車両本体15とを連結するリヤサスペンション22を、後輪3の左側と右側にそれぞれ1つずつ有している。図1では、左側に配置されたフロントフォーク19及びリヤサスペンション22のみを示している。
フロントフォーク19は、上部に配置され上端が不図示の蓋体によって閉じられているアウタチューブ100と、このアウタチューブ100の内部から下方に延び、かつアウタチューブ100に対して相対的に移動可能に設けられているインナチューブ200と、インナチューブ200の下端に設けられるサスペンションアーム210と、サスペンションアーム210に一体的に組み込まれて設けられると共に、ソレノイド133を内蔵する、減衰力可変部としての電子制御式のソレノイドバルブ130と、を有する。
アウタチューブ100は、上部が車体本体15に支持される筒状の部材である。インナチューブ200は、上側の一部がアウタチューブ100内に挿入され、アウタチューブ100に対して相対的に移動可能であると共に、図示されないバネによって、アウタチューブ100から離間する方向に付勢されている。
アウタチューブ100、及びインナチューブ200は、フロントサスペンションとしてのフロントフォーク19の構成要素であり、アウタチューブ100、及びインナチューブ200によって、内部に、作動流体としての作動油が収容される収容容器が構成される。なお、作動流体は、液体であってもよく、空気のような気体であってもよい。
アウタチューブ100を第1の部材と称し、インナチューブを第2の部材と称する場合において、フロントフォーク19は、筒状の第1の部材100と、第1の部材100に対して、第1の部材100の軸方向において相対的に移動可能に設けられる筒状の第2の部材200と、を備えると共に、内部に流体が収容されるサスペンションである。
また、ソレノイドバルブ130は、ソレノイド133を有すると共に、上記の第1、第2の各部材100、200の相対的位置関係に応じて移動する流体、すなわち作動油の抵抗を、ソレノイド133の駆動電流、又は駆動電圧によって可変に制御可能であり、かつサスペンション19に一体的に取り付けられている電子制御式の減衰力可変部ということができる。
なお、サスペンション19は、広義には衝撃を吸収する機構であり、具体的には緩衝器と不図示のバネとで構成される。緩衝器の減衰力は、図1では不図示のピストンの運動に応じて作動流体が狭い流路を通過するときの抵抗力によって発生する。
上記の説明において、「移動する流体、すなわち作動油の抵抗」と記載しているが、これは、作動流体としての作動油が流路を流れる場合の抵抗力と言い換えることができる。
ソレノイドバルブ130に内蔵されるソレノイド133にソレノイド駆動電流が流れると電磁石の作用が生じ、例えば、不図示の可動鉄心等が所定方向に移動し、これによって流体が流路を流れる際の抵抗、すなわち抵抗力が調整され得る。
したがって、ソレノイドバルブ130を用いると、電子制御によって、減衰力を可変に制御することができる。なお、上記の構成は一例であり、電子制御式の減衰力可変部としては、種々の構成のバルブ等を使用することができる。
次に、図2を参照する。減衰力可変サスペンションシステムの構成の一例を示す図である。図2において、図1と共通する部分には同じ符号を付している。この点は、図3、図4においても同様である。
また、上述のとおり、インナチューブ200は、バネによって、アウタチューブ100から離間する方向に付勢されるが、図2では、図の複雑化を避けるために、上記のバネの図示を省略している。この点は、図3、図4においても同様である。
まず、ストロークセンサ120に関係する構成について説明する。
フロントフォーク19のアウタチューブ100内には、ピストン102、ロッド104、コイル108を備えるコイル部材106と、が設けられている。
コイル部材106は、例えば銅製のコイル108を電気的な絶縁材で被覆した1つの電気部品である。コイル部材106は、コイルコンポーネントと称される場合がある。
ピストン102はロッド104によって支持され、コイル部材106はロッド104に一体化され、ロッド104は不図示の機械構造によりアウタチューブ100に固定されている。すなわち、ピストン102、ロッド104、及びコイル部材106は、アウタチューブ100に一体化、言い換えれば固定されている。
一方、インナチューブ200の、アウタチューブ100に挿入されている部分の内部には、ロッド104をガイドするロッドガイド110と、金属からなる導体筒112が設けられている。導体筒112は、広義には導体部材であり、その形状は、板状、あるいは棒状であってもよい。
ロッドガイド110は、インナチューブ200に固定されており、導体筒112はロッドガイド110に固定されている。よって、導体筒112は、インナチューブ200と一体化されており、インナチューブ200が移動すれば、その移動に伴って導体筒112の変位が生じる。
アウタチューブ100とインナチューブ200は相対的に移動可能であり、ここでは、インナチューブ200が、アウタチューブ100に対して相対的に移動するものとして説明する。
図2では、コイル108と導体筒112は、筒状のインナチューブ200の軸方向に沿って嵌合長Dで嵌合している。インナチューブ200が上側に移動すれば、導体筒112も上方に移動することから、嵌合長Dが増大する。
一方、インナチューブ200が下側に移動すれば、導体筒112も下方に移動することから、嵌合長Dが減少する。
コイル108には、図2では不図示の発振回路が電気的に接続されている。嵌合長Dが増減すると、導体筒112に生じる渦電流によって消費される電力が変化し、実質的にコイル108のインダクタンスが変化し、発振回路の発振周波数、言い換えれば共振周波数が変動する。
ストロークセンサ120は、その周波数の変化を検出することで、計測の対象物としてのインナチューブ200の変位量を検出することができる。なお、計測の対象物はアウタチューブ100であってもよい。
ここで、インナチューブ200とアウタチューブ100との相対的位置関係が変化すると、その変化の分だけピストン102の位置が移動し、よって、流体としての作動油の移動が生じる。
図2に示されるように、インナチューブ200の内部は、ピストン102によって、第1の油室CHM1と、第2の油室CHM2に区分されている。
作動油の流路としては、第2の油室CHM2から、チェック弁205、配管51、減衰力可変部としてのソレノイドバルブ130、チューブ53、チェック弁105を経由して第1の油室CHM1へと流れる第1の流路と、第1の油室CHM1から、チェック弁107、チューブ53、減衰力可変部としてのソレノイドバルブ130、配管51、チェック弁207を経由して第2の油室CHM2へと流れる第2の流路と、が設けられている。なお、チューブ53にはリザーバ61が接続されてもよい。
また、アウタチューブ100内には、制御基板140が所定位置に固定されて設けられている。制御基板140には、後述する図5に示されるような、LC発振回路等を含む回路が形成されている。詳細な回路構成と動作については、図5にて説明する。
図2では、制御基板140の左側に、LC発振回路の発振部132が設けられており、右側にインタフェース部142が設けられている。
発振部132は、LC発振に用いられる共振用のコンデンサ134と、コイル108を駆動する駆動回路としてのインバータ136と、LC発振回路をストロークセンサとしての動作状態とするか、温度センサとしての動作状態とするかを切り替える切替部138と、が設けられている。
コイル108とコンデンサ134は、配線L11により電気的に接続されている。
また、インタフェース部142には、インタフェース回路144が設けられている。
制御基板140に搭載される発振部132、インタフェース部142等によって、センサ装置SEが構成される。センサ装置SEの詳細については、図5を用いて後述する。
次に、サスペンション制御部300について説明する。
サスペンション制御部300は、フロントサスペンションとしてのフロントフォーク19の動作を制御するものであり、例えば、サスペンション用のECU(Electronic Control Unit)として実現され得る。
図2に示されるサスペンション19と、サスペンション制御部300とによって、減衰力可変サスペンションシステム400が構成される。
サスペンション制御部300には、各種のセンサ302から、例えば、車両の運転状態に応じて変化する各種の情報が入力される。各種のセンサ302としては、例えば、リヤサスペンション用ストロークセンサ303、車輪速センサ305、加速度センサ307を例示することができる。
サスペンション制御部300は、入力インタフェース(I/F)310と、プロセッサとしてのCPU(Central Processing Unit)320と、ソレノイド駆動部330と、切替部138におけるスイッチのオン/オフを制御する切替制御部334と、出力インタフェース(I/F)340と、を有する。なお、「CPU」は「制御部」と称することもできる。
CPU320は、ストロークセンサ120から出力される電流信号としての交流信号Ioutの周波数に基づいて、対象物としてのインナチューブ200の変位、すなわち、嵌合長Dの変化を検出する変位測定部319と、走行状態検出部321と、温度測定部322と、ソレノイド駆動信号校正部324と、校正テーブル328と、を有する。
なお、「ソレノイド駆動信号校正部」は、単に「校正部」と称する場合がある。
走行状態検出部321は、減衰力可変サスペンションシステムが搭載される車両の走行状態を検出する。
好ましい一例では、走行状態検出部321は、リヤサスペンション用ストロークセンサ303、車輪速センサ305、及び加速度センサ307の検出信号に基づいて、車両1の走行状態を検出する。
例えば、温度測定部322は、走行状態検出部321の検出結果に基づいて、車両1が温度測定に適した状態であるか否か、言い換えれば、温度測定に適した走行期間であるか否かを判定する。
例えば、車両1が停止している場合や、車両1の挙動の変化が少なく、安定した走行状態である場合は、温度測定に適した状態であると判定してもよい。
車両の挙動は、具体的には、車両が直線的に走行している場合の車速変動や横揺れ等の挙動、あるいは、車両が回転(旋回)していることを示す回転挙動等が想定され得る。
なお、車両が、例えば走行路のカーブを曲がって旋回している場合は、進行方向が変化し続けており、車速も激しく変化する可能性があり、よって、温度測定に適した状態には該当しない場合が多いと考えられる。
車両が一定速度で直線的に走行している場合、あるいは、車両が、直線的に、基準速度以下で低速走行しているような場合は、温度測定に適した状態であると判定してもよい。
車両の走行が停止されている場合、例えば、走行継続中において車両が一時的に停止された状態である場合は、ストロークセンサの検出信号が得られなくても、特に問題はない。
また、車両が安定して、好ましくは直線的に走行している場合、サスペンションは、圧縮/伸長を一定の周期で繰り返していると考えられる。よって、しばらくの間、ストロークセンサの検出信号が得られなくても、その期間においては、例えば、直前に検出された周期を維持して減衰力の調整を実施することで、特に問題はないと考えられる。
温度測定部322は、温度測定の開始を決定すると、切替制御部334に、温度測定開始の通知信号SCを送出する。
この通知信号SCを受信した切替制御部334は、センサ装置SEにおける切替部138に、切替制御信号TCを送出する。言い換えれば、切替制御部334は、切替部138のスイッチをオンさせる切替制御を実施する。これにより、温度測定が開始される。
すなわち、この切替制御によって、センサ装置SEのLC発振回路は一時的に発振を停止し、交流信号(発振信号)Ioutは停止され、代わりに、センサ装置SEから、コイル108の温度に依存して電圧値が変化する、温度検出信号としての直流電圧Vtempが出力される。
温度測定部322は、直流電圧Vtempに基づいて、コイル108の温度を測定する。
ソレノイド駆動信号校正部(校正部)324は、温度測定結果に応じて、ソレノイド133の駆動電流値、又は駆動電圧値を変更する。
例えば、ソレノイド駆動信号校正部324には、銅からなるコイル108の、標準温度20℃におけるソレノイドの駆動電流値、あるいは駆動電圧値が、標準値として記憶されている。
また、校正テーブル328には、コイルの温度に対応したソレノイド駆動電流、又は駆動電圧の補正値が記憶されている。この校正テーブル328は、例えば不揮発性メモリにより構成される。
サスペンションの製造メーカは、製品の出荷前に、例えば、環境温度が常温(標準温度)である状態の減衰力特性と、高温である状態の減衰力特性を測定する。そして、高温の状態においても、標準温度におけるソレノイドの理想的な減衰力特性とほぼ同じ減衰力特性を実現するべく、温度毎の補正値を取得し、その補正値を校正テーブル328に、例えばマップ形式で記憶しておく。
校正部324は、校正テーブル328を参照して、測定された温度に対応する補正値を取得し、その補正値に基づいてソレノイド駆動信号の電流値や電圧値を算出する。
算出されたソレノイド駆動信号の電流値や電圧値は、ソレノイド駆動部330に供給される。図2の例では、ソレノイド駆動部330は、校正後の駆動電流値に基づいて、ソレノイド駆動電流信号I-SLDを生成し、そのソレノイド駆動電流信号I-SLDをソレノイドバルブ130におけるソレノイド133に供給する。
これにより、温度差に基づく減衰力のばらつきが是正され、コイル108の温度に依存しない適切な減衰力を、常に発生することが可能である。
ストロークセンサ120が動作している状態では、車両1の走行中は、そのストロークセンサ120から、電流信号としての交流信号(発振信号)Ioutが出力される。
ソレノイド駆動部330は、減衰力を変化させる必要がある場合には、変位測定部319で測定された変位量、すなわちストローク量に基づいて、減衰力を変化させる適切なタイミングを判断する。そして、その適切なタイミングにおいて、適宜、ソレノイド133の駆動電流値や駆動電圧値を更新する。
なお、変位測定部319が、変位量、すなわちストローク量を測定する際、直近の時期に測定された温度に基づいて、測定されたストローク量を補正してもよい。これにより、ストローク量の検出精度が向上する。
また、図2の例では、サスペンション制御部300は、サスペンション19の内部には搭載されていない。
この場合、サスペンション制御部300の環境温度を、コイル108、ソレノイド133、制御基板140の環境温度に近づけるために、例えば、サスペンション制御部300が搭載される制御基板を、サスペンション19のサスペンションアーム210の空きスペースに一体的に取り付けたり、あるいは、インナチューブ200の底部の外面に一体的に取り付けたりするのが好ましい。
これによって、温度特性の補償に関係する構成要素の環境温度をほぼ同様とすることで、温度特性の補償の精度を向上させることができる。
次に、図3を参照する。図3は、減衰力可変サスペンションシステムの構成の他の例を示す図である。図3において、図2と共通する部分には同じ符号を付し、共通する部分については説明を省略する。
図3の例では、図2においてサスペンション19の外に位置していたサスペンション制御部300が、サスペンション19内に取り込まれている。すなわち、図3では、図2に示したサスペンション制御部300は、サスペンション19内、言い換えれば、第1の部材としてのアウタチューブ100内に設けられている。
図3の例では、図2の制御基板140が、制御基板350に置換されている。制御基板350には、図2で示したサスペンション制御部300が搭載されている。制御基板350は、ECU基板ということもできる。
これにより、サスペション制御部300の環境温度を、コイル108の温度、すなわち流体としての作動油の温度に、より近づけることができ、温度特性の補償の精度をより高めることができる。
次に、図4を参照する。図4は、減衰力可変サスペンションシステムの構成の、さらに他の例を示す図である。図4において、図2、図3と共通する部分には同じ符号を付し、共通する部分については説明を省略する。
先に示した図3では、制御基板350に切替部138が搭載されており、また、図3には図示されていないが、温度測定時に得られる直流電圧Vtempを増幅する増幅部も制御基板350に搭載されている。
図4では、増幅部に符号139を付している。図4の例では、切替部138、及び増幅部139は、コイル108を備える電気部品としてのコイル部材106に設けられている。言い換えれば、切替部138、及び増幅部139は、コイル部材106に一体化されている。
但し、これに限定されるものではなく、切替部138、及び増幅部139の少なくとも一方がコイル部材106に設けられてもよい。
図4では、切替部138、及び増幅部139がコイル部材106に設けられるため、図4の制御基板350’には、切替部138、増幅部139を搭載不要である。
よって、例えば、サスペンション19の小型化、軽量化が促進されて、制御基板における回路の専有面積がさらに縮小された場合でも、切替部や増幅部の設置スペースが不要であるため、対応が可能である。
また、図4では、切替部138がコイル108の一端の近くに配置できるため、切替部138のスイッチがオンされたときに、コイル108の一端を低インピーダンスで所定の電位、例えば接地電位に接続することができ、よって、発振状態の発振回路を、発振が停止した状態に移行させるのに要する時間を短縮することができる。
また、図4では、増幅部139がコイルの一端の近くに配置可能であり、よって、コイル106の温度を反映した直流電圧Vtempを、減衰が少ない状態で、あるいは、ノイズが少ない状態で増幅することができる。
次に、図5を参照する。図5は、センサ装置の回路構成の一例を示す図である。図5において、前掲の図と共通する部分には同じ符号を付している。
図5に示されるセンサ装置SEは、発振部132と、波形整形部135と、分周部137と、インタフェース部142と、LC発振回路150を構成するコイル108と、を有する。分周部137を省略する場合も想定され得る。
LC発振回路150は、対象物の変位を検出するストロークセンサ120を構成する。ここでは、「対象物」は、先に示した図2~図4における第2の部材としてのインナチューブ200であり、「変位」は、先に図2に示したコイル108と導体部材としての導体筒112との嵌合長Dである。
コイル108は、対象物の変位量に応じてインダクタンスが変化すると共に、温度に応じて直流抵抗が変化するコイルである。
このコイル108に、LC共振用のコンデンサ134が電気的に接続されてLC共振回路150が構成される。
発振部132は、一端が接地電位に接続され、他端が配線L11に接続されたコンデンサC31と、一端が接地電位に接続され、他端が配線L12に接続されたコンデンサC32と、一端が配線L11に接続され、他端が配線L12に接続されたコンデンサC30と、正帰還回路を構成するために交差結合された2つのインバータINV1、INV2と、抵抗R22~R25と、を有する。インバータINV1、INV2の各々の電源電圧は例えば5Vである。
コンデンサC30~C32は、LC発振回路150の共振用のコンデンサ134を構成する。なお、共振用のコンデンサ134は、単に、コンデンサ134と記載する場合がある。
また、インバータINV1、INV2によってインバータ回路136が構成される。なお、インバータINV1、INV2の各々は、インバータ素子、あるいは増幅素子ということもできる。また、インバータ回路136は、交流信号を発振している状態では、励振用の増幅回路ということもできる。
また、発振部132を構成する発振器は、インバータを使用したフランクリン型発振器である。但し、発振器の種類は問わない。LC発振を行うものであれば特に限られるものではない。例えば、コルピッツ型発振器を使用してもよい。
また、発振部132には、切替部138が設けられている。この切替部138は、コイル108の一端、すなわち、コイル108の、配線L12側の端部を、所定の直流電位、ここでは接地電位に電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチSWを有する。
スイッチSWは、言い換えれば、コイル108の一端を強制的に地絡させる地絡スイッチということができる。
このスイッチSWのオン/オフは、先に図2に示したサスペンション制御部300における切替制御部334が発出する切替制御信号TCによって切り替えられる。
スイッチSWがオフの場合は、LC発振回路150は、対象物の変位量に応じて周波数が変化する発振信号を出力する第1の状態となる。
一方、スイッチSWがオンの場合は、LC発振回路150は、発振が停止し、かつ発振部132の構成要素である所定の抵抗、すなわち抵抗R24とコイル108の他端、すなわちコイル108の、配線L11側の端部との共通接続点N1から、コイル108の温度、言い換えれば、流体としての作動油の温度に応じて電圧値が変化する直流電圧が出力される第2の状態となる。
スイッチSWがオンされた場合の回路動作、及びスイッチSWがオフされた場合の回路動作については、図8、図9を用いて後述する。
図5において、波形整形部104は、入力容量C20と、コンパレータCMP1と、抵抗R20、R21と、抵抗R26と、を有する。抵抗R26は、コンパレータCMP1の出力端に接続される抵抗である。コンパレータCMP1は、電源電圧5Vで動作する。コンパレータCMP1の出力信号は、急峻な立ち上がり、立ち下りの各エッジをもつ、波形整形された電圧パルス信号となる。
分周部106は、コンデンサC40と、カウンタ(例えばバイナリカウンタ)CTと、を有する。コンデンサC40は、入力保持コンデンサとして機能する。この分周部106は省略してもよい。
また、図5に示されるセンサ装置SEにおいて、所定の抵抗R24とコイル108の他端との共通接続点N1から出力される、コイル108の温度に応じて電圧値が変化する直流電圧を増幅する増幅部139が設けられている。この増幅部は省略される場合も想定され得る。
この増幅部139は、抵抗R1、R2を備える、オフセット付きの非反転のオペアンプOP1と、5Vの電源電位と接地電位との間に直列に接続されたダイオードDF1、DF2からなる電圧リミッタと、を有する。
直流バイアス電圧Vbiasは、抵抗R1を介してオペアンプOP1の反転端子に印加される。オペアンプOP1の入力電圧(配線L20を経由してオペアンプOP1の非反転端子に入力される電圧)をVinとし、出力電圧をVoutとするとき、Voutは、下記式にて表される。
Vout=Vin・(R1+R2)/R1+Vbias
ここで、Vbiasは、出力電圧Voutの直流電圧レベルを調整するオフセット電圧として機能する。
但し、オフセットが不要である場合は、直流バイアス電圧Vbiasを0とする、すなわち、Vbiasを接地電位としてもよい。
オペアンプOP1によって、直流電圧Vtempを増幅することで、サスペンション制御部300における電圧値の判定が容易化され、また、ノイズによる判定精度の低下を抑制することもできる。
なお、直流バイアス電圧Vbiasを生成する直流バイアス電圧生成回路の構成例については、図6を用いて後述する。
インタフェース部142は、インタフェース回路144を有する。なお、インタフェース回路144は、波形整形された電圧パルス信号を電流信号である交流信号に変換する機能を有する。
インタフェース部144から、センサ装置SEの検出信号、すなわち、電流信号としての交流信号Iout、及び、直流電圧信号Vtempが得られる。これらの検出信号は、サスペンション制御部300に入力される。
サスペンション制御部300は、先に図2に示したように、入力インタフェース回路310と、プロセッサとしてのCPU(Central Processing Unit)320と、を有する。
入力インタフェース回路310は、直流電圧信号Vtempが入力されるバッファ311と、電流信号としての交流信号Ioutを、電圧信号に変換する電流/電圧変換抵抗RDが設けられている。交流の電流信号Ioutが抵抗RDを流れることで、その電流信号Ioutに対応した電圧降下が抵抗RDに生じ、この結果、抵抗RDの、5Vに接続されている端点とは反対側の端点N10から、変換された電圧信号が得られる。
次に、図6を参照する。図6(A)、(B)は、直流バイアス電圧生成回路の回路構成例を示す図である。
図6(A)では、電源電圧5Vを、抵抗R50、R60で分圧して得られる分圧電圧Vaを、バッファ回路BF1でインピーダンス変換して出力することで、直流バイアス電圧Vbiasが得られる。
なお、バッファ回路BF1は、オペアンプOP2を用いたボルテージフォロワで構成される。
図6(B)では、電源電圧5Vを、抵抗R70、R80で分圧して分圧電圧Vbを発生させ、この分圧電圧Vbを、エミッタ接地のNPNバイポーラトランジスタ(以下、単にトランジスタと称する)Tr1のベースに印加する。トランジスタTR1のコレクタには負荷抵抗R71が接続され、エミッタにはエミッタ抵抗R81が接続されている。
トランジスタTR1のコレクタと負荷抵抗R71との共通接続点から直流バイアス電圧Vbiasが出力される。
なお、トランジスタTR1、負荷抵抗R71、エミッタR81は、バッファ回路BF2を構成する。
次に、図7を参照する。図7は、スイッチを備える切替部の構成例を示す図である。図7のA-1に示される切替部138は、一端が接地電位に接続されているスイッチSWを有する。
このスイッチSWは、図7のA-2に示すように、バイポーラトランジスタで構成されてもよく、図7のA-3に示すように、電界効果トランジスタ(FET)で構成されてもよく、図7のA-4で示すようにフォトカプラで構成されてもよく、図7のA-5で示すように、リレーで構成されてもよい。また、A-2~A-5に示される各スイッチ素子を、適宜、組み合わせて構成されてもよい。
すなわち、切替部138は、コイル108の他端を所定の直流電位、すなわち接地電位に電気的に接続するスイッチSWを有し、このスイッチSWは、バイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタ(FET)、フォトカプラ、及びリレーの中から選択される少なくとも1つで構成されてもよい。
切替部138は、1個のスイッチ素子で構成することができ、回路基板に搭載された場合の専有面積を小さく抑えることができる。よって、例えば、フロントサスペンションとしてのフロントフォーク19の小型化、軽量化が促進され、第1、第2の部材としての筒状のアウタチューブ100、インナチューブ200の径がさらに縮小されたとしても、切替部138は、サスペンション19の内部に搭載することが可能である。
すなわち、切替部138は構成が簡素化されて小型であり、よって、先に図2~図4に示した制御基板(回路基板)140、350、350’に、容易に搭載することが可能である。
次に、図8を参照する。図8は、切替部のスイッチがオフの場合に実現されるストロークセンサの検出出力の一例を示す図である。
図8のA-1には、センサ装置SEの、発振部132を含む要部の構成を示している。この構成は、先に図5で示したものと同じである。
図8のA-1では、切替部138のスイッチSWはオフされている。よって、センサ装置SEは、対象物の変位を検出するストロークセンサとして動作する。
この結果、図8のA-2に示すように、対象物の変位に対応して周波数が変化する、電流信号としての発振信号(交流信号)Ioutが、センサ装置SEから出力される。
次に、図9を参照する。図9は、切替部のスイッチがオンの場合に実現される温度センサの動作、温度センサの検出出力、及び検出出力の温度に対する特性の一例を示す図である。
図9のA-1には、センサ装置SEの、発振部132を含む要部の構成を示している。この構成は、先に図5で示したものと同じである。
図9のA-1では、切替部138のスイッチSWはオンされている。よって、センサ装置SEは、コイルの温度、すなわち流体としての作動油の温度を検出する温度センサとして動作する。
図9のA-1では、発振部132を構成する回路における配線の電位を明確化するために、接地電位の配線は太線の実線で、5Vの電源電位である配線は一点鎖線で、抵抗分圧回路による分圧電位である配線は太線の破線で示している。
先に図5にて説明したように、LC発振回路150の発振部132は、コイル108を励振するインバータ回路136を有し、インバータ回路136は、一対の第1、第2のインバータINV1、INV2を有している。
第1のインバータINV1は、交流発振時においては、コイル108の他端N30を駆動する。すなわち、第1のインバータNV1の出力端は、所定の抵抗R24介して、コイル108の他端N30に電気的に接続されている。
第2のインバータINV2は、交流発振時においては、コイル108の一端N10を駆動する。すなわち、第2のインバータNV2の出力端は、他の抵抗R25介して、コイル108の一端N20に電気的に接続されている。
また、第1、第2のインバータINV1、INV2は、交差結合されて正帰還回路を構成している。すなわち、第1のインバータの出力端は、所定の抵抗R24、及び抵抗R22を経由する第1の信号経路を介して第2のインバータINV2の入力端に電気的に接続されている。
前記第2のインバータの出力端は、他の抵抗R25、及び抵抗R23を経由する第2の信号経路を介して第1のインバータINV2の入力端に電気的に接続されている。
第1、第2の信号経路は、互いに交差しており、この交差する第1、第2の信号経路により第1、第2のインバータINV1、INV2は交差結合され、これによって、正帰還回路、言い換えれば、具体的にはフリップフロップ回路が構成されている。
図9のA-1において、切替部138のスイッチSWがオンされると、コイル108の一端N20が強制的に接地電位に接続される。言い換えれば、強制地絡回路として機能するスイッチSWがオンされると、発振中のLC共振回路150を構成している共振コイル108の一端N20が強制的に地絡される。
すると、LC発振回路150は、発振を継続するために必要なループゲインを維持することができず、発振が停止される。
続いて、配線L12の電位が低下し、その電位が第1のインバータINV1の閾値電圧(例えば2.5V)未満となると、第1のインバータINV1の出力端から5Vの電源電圧が出力され、この5Vの電源電圧は、第2のインバータINV2の入力端に帰還されることから、第2のインバータINV2の出力端は接地電位となり、この正帰還作用によって、コイル108の一端N20の電位は急速に接地電位に収束し、速やかに地絡状態へと移行する。
このとき、第1のインバータINV1からは、安定した5Vの電源電圧が出力されている。ここで、第1のインバータINV1の出力端と、コイル108の他端N30とを電気的に接続する経路に着目する。
すなわち、第1のインバータINV1の出力端と、コイル108の他端との間には、所定の抵抗R24が介在している。ここで、発振が停止されたLC発振回路150においては、コイル108は、直流抵抗R108として機能する。
よって、第1のインバータINV1が出力する直流電圧(5V)と所定の直流電位(接地電位)との間に、所定の抵抗24とコイルの直流抵抗R108とが直列に接続された回路構成が実現されていることになる。
そして、この回路構成を、抵抗分圧回路として利用することで、コイル108の温度に対応して電圧値が変化する直流電圧(直流電圧信号)Vtempを得ることができる。
ここで、図9のA-2を参照する。図9のA-2において、第1のインバータINV1が出力する直流電圧(5V)と所定の直流電位(接地電位)との間に、所定の抵抗R24とコイル108の直流抵抗R108とが直列に接続されて抵抗分圧回路500が構成されている。
そして、所定の抵抗24とコイル108の他端N30との共通接続点N1から、コイル108の温度に応じて電圧値が変化する直流電圧としての分圧電圧が出力される。
所定の抵抗24の抵抗値をR24と表記し、コイル108の直流抵抗値をR108と表記し、電源電圧を5Vとする場合、分圧電圧(V)は、5・{R108/(R24+R108)}により算出できる。
図9の例では、この電圧信号を、増幅部139で増幅する。これによって、コイル108の温度に応じて電圧値が変化する直流電圧Vtempが得られる。
ここで、図9のA-3を参照する。図9のA-3には、温度センサの検出出力である直流電圧Vtempの温度に対する特性を示す特性線Q1が示されている。この例では、直流電圧Vtempは、温度に比例して電圧が増加する特性を示している。但し、これは一例であり、この例に限定されるものではない。
次に、図10を参照する。図10は、ソレノイド駆動電流を、検出された温度に基づいて校正することによる効果を示す図である。
図10のA-1には、温度による校正を実施しない場合における、ソレノイド駆動電流値と発生する減衰力との関係を示す、2つの特性線Q10、Q20が示されている。
特性線Q10は、コイル108の温度、言い換えれば、コイル108が配置されている環境の環境温度が標準値である場合の特性を示し、特性線Q20は、環境温度が高温値である場合の特性を示す。
特性線Q10が示す特性と、特性線Q20が示す特性とは、かなり異なっている。すなわち、特性線Q10と特性線Q20は不一致であり、かつ、その程度がかなり大きい。
図10のA-1には、高温時に特性の校正を実施する場合における、ソレノイド駆動電流値と発生する減衰力との関係を示す、2つの特性線Q10、Q20’が示されている。
特性線Q20’は、特性線Q10とほぼ一致しており、温度による減衰力の変動が是正されている。
次に、図11を参照する。図11は、サスペンション制御部による、減衰力可変サスペンションシステムの制御手順の一例を示すフローチャートである。
ステップS1では、例えば車両の走行開始に伴い、LC発振回路を励振する。
ステップS2では、ストロークセンサを用いて変位量、言い換えればストローク量を測定する。
ステップS3では、ソレノイドバルブの制御が実施される。これにより、減衰力が可変に制御される。すなわち、ステップS2で検出された変位量に基づき、サスペンションのストローク工程が検出される。
この検出結果に基づいて、例えば、サスペンションの圧縮工程においては減衰力が第1の値に設定され、伸長工程では第2の値に設定される、というような減衰力の調整が実施される。
ステップS4では、リヤサスペンション用ストロークセンサ、車輪速センサ、加速度センサ等から出力されるセンサ情報、すなわち各種センサよる検出情報が取得される。
ステップS5では、取得されたセンサ情報に基づいて、車両の走行状態が検出される。
ステップS6において、車両の走行が継続中であるか否かが判定される。ここで、車両の一時的な停止は、走行の継続中に含まれる。例えばイグニションスイッチがオフされた場合は、走行終了と判定される。
ステップS6において、Nのときは処理を終了し、Yのときは、ステップS7に移行する。
ステップS7では、車両の走行状態の検出結果に基づいて、現在の車両の状態が、温度測定に適した状態であるか否かが判定される。この判定結果がNのときは、ステップS2に戻り、Yのときは、ステップS8に移行する。
このステップS7においては、例えば、車両が停止していると判定される場合、又は、車両の挙動が、判定用の所定の基準と比較して少ない状態であり、車両が安定的に走行していると判定される場合は、車両が温度測定に適した状態であると判定されてもよい。
ステップS8では、切替部のスイッチがオンされる。
これにより、センサ装置のLC発振回路におけるコイルの一端が所定電位に接続され、LC発振回路は地絡が発生した状態となる。これに伴い、センサ装置の機能は、ストロークセンサとしての機能から、温度センサとしての機能へと移行する。
ステップS9では、温度センサから得られる直流電圧に基づいて、コイルの温度が測定される。
コイルの温度は、流体としての作動油の温度、言い換えればサスペンション内の温度を反映している。よって、実質的には流体の温度、あるいは、サスペンション内の温度が測定されたことになる。
ステップS10では、測定された温度に対応する、校正用の補正値が取得される。
ステップS11では、ソレノイド駆動信号の電流値や電圧値が校正(補正)される。その後、ステップS2に戻る。
以上説明したように、本発明の第1の態様によれば、対象物(200)の変位量に応じてインダクタンスが変化すると共に、温度に応じて直流抵抗が変化するコイル(108)と、コイルに電気的に接続されたLC共振用のコンデンサ(134)を備える発振部(132)と、を有するLC発振回路(150)と、コイルの一端(N20)を、所定の直流電位に電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチ(SW)を有する切替部(138)と、を有し、スイッチがオフの場合は、LC発振回路は、対象物の変位量に応じて周波数が変化する交流信号(Iout)を出力する第1の状態となり、スイッチがオンの場合は、LC発振回路は、発振が停止し、かつ発振部の構成要素である所定の抵抗(R24)とコイルの他端(N30)との共通接続点(N1)から、コイルの温度に応じて電圧値が変化する直流電圧(Vtemp)が出力される第2の状態となる、センサ装置(SE)が提供される。
第1の態様によれば、切替部138のスイッチSWのオン/オフによって、センサ装置SEの動作状態を切り替えることで、新たな構成の追加無しで、対象物の変位を検出するストロークセンサ、及び、コイルの温度を測定する温度センサの双方を実現することができる。
第1の態様に従属する第2の態様では、LC発振回路(150)の発振部(132)は、コイル(108)を励振するインバータ回路(134)を有し、インバータ回路は、コイルの他端を駆動するインバータ(INV1)を有し、インバータ(INV1)とコイル(108)の他端(N30)との間に所定の抵抗(R24)が電気的に接続されていてもよい。
第2の態様では、LC発振回路150が第2の状態であるとき、すなわちコイル108の一端が地絡されて発振が一時的に停止された状態であるときに、温度センサとして機能する回路構成の要部を例示している。
LC発振回路150は、励振、及び発振状態の維持のために正帰還回路を有しているが、本態様では、その正帰還回路は、発振が停止された状態においても、新しい機能を発揮して有効に機能する。
切替部138のスイッチSWがオンして、コイル108の一端が地絡電位、例えば接地電位に接続されると、正帰還回路を構成する、クロスカップリングされた一対のインバータINV1、INV2のうちの、コイル108の他端N30に電気的に接続されたインバータ(第1のインバータ)INV1の入力端が接地電位となり、そのインバータINV1の出力端から、そのインバータINV1の電源電圧が出力される。電源電圧は、例えば5Vである。
この電源電圧は、所定の抵抗R24を介して、コイル108の他端N30に印加されることになる。ここで、上記のインバータINV1とコイル108の他端N30との間に介在する所定の抵抗R24は、好ましい一例では、本発明において特別に付加された抵抗ではなく、通常のLC発振回路150に備わっているものである。
この所定の抵抗R24は、例えば、LC発振回路150が発振状態であるときに、コイル108の電圧が直接的にインバータINV1の出力端に加わるのを抑制する保護抵抗として機能する、あるいは、コイル108の両端が短絡されたときに、無制限に電流が流れるのを抑制する電流制限抵抗として機能する、もしくは、正帰還回路のループゲインを調整する抵抗として機能するものである。
本態様では、この所定の抵抗R24を、抵抗分圧回路500を構成する分圧抵抗として利用する。
すなわち、インバータINV1の出力端の電源電位(5V)と、地絡電位である接地電位との間には、所定の抵抗R24と、コイルの直流抵抗R108と、が直列に接続されており、よって、上記の2つの抵抗の共通接続点N1から電圧を取り出せば、その取り出された電圧が、上記の2つの抵抗により構成される抵抗分圧回路500の出力電圧となる。
そして、コイル108の直流抵抗R108は温度に応じて変化することから、抵抗分圧回路500の出力電圧は、コイル108の温度に依存して変化する直流電圧(直流電圧信号)となる。
よって、本態様によれば、切替部138のスイッチSWをオンし、所定の抵抗R24とコイルの他端N30との共通接続点から直流電圧を取り出すだけで、温度センサの検出信号Vtempを得ることができる。
従来のLC発振回路に追加する構成要素は、ほとんどないため、構成が極めて簡単であり、制御基板は複雑化しない。よって、小型化が促進されたサスペンションの内部にも制御基板を容易に搭載できる。
また、本態様では、ストロークセンサが温度センサを兼ねることから、温度測定のために、サーミスタ等の温度測定素子を、作動油の中に設けることも不要となる。よって、サスペンション内に空きスペースがなく、サーミスタ等を配置できないといった従来の問題も解消される。
第1の態様に従属する第3の態様では、LC発振回路(150)の発振部(132)は、コイル(108)を励振するインバータ回路(134)を有し、インバータ回路は、一対の第1、第2のインバータ(INV1、INV2)を有し、第1のインバータ(INV1)の出力端は、所定の抵抗(R24)を介して、コイルの他端(N30)に電気的に接続され、第2のインバータ(INV2)の出力端は、他の抵抗(R25)を介して、コイルの一端(N20)に電気的に接続され、第1のインバータ(INV1)の出力端と第2のインバータ(INV2)の入力端とが電気的に接続され、第2のインバータ(INV2)の出力端と第1のインバータ(INV1)の入力端とが電気的に接続されることで、第1、第2のインバータ(INV1、INV2)が交差結合されて正帰還回路が構成され、LC発振回路150が第2の状態である場合において、第1のインバータ(INV1)の出力端の直流電位と所定の直流電位との間に、所定の抵抗(R24)とコイルの直流抵抗(R108)とが直列に接続されて抵抗分圧回路(400)が構成され、所定の抵抗(R24)とコイルの他端(N30)との共通接続点(N1)から、コイルの温度に応じて電圧値が変化する直流電圧(Vtemp)としての分圧電圧が出力されてもよい。
第3の態様では、インバータ回路は、一対の、交差結合された第1、第2のインバータ(INV1、INV2)を有している点が明確化されている。
第1のインバータの動作は、第2の態様にて説明したとおりである。
本態様では、第1のインバータINV1の出力端から、そのインバータINV1の電源電圧(5V)が出力されると、その電源電圧は、交差結合されている第2のインバータINV2の入力端に印加され、第2のインバータINV2の出力が接地電位へと急速に変化する。
すなわち、切替部138のスイッチSWがオンされてコイル108の一端が地絡されると、コイル108の一端の電位が低下し、このとき、正帰還回路の働きによって、第2のインバータINV2の出力端が急速に接地電位となり、これによって、コイル108の一端N20は、速やかに接地電位へと収束する。よって、コイル108の一端N20の接地(地絡)が完了するまでの時間が短縮される。
つまり、本態様では、正帰還回路は、コイル108の一端N20の接地電位(地絡電位)への収束を高速化し、所定のタイミングでの接地(地絡)を実現するという、新しい第1の効果を奏する。
また、第1、第2のインバータINV1、INV2の各出力の電圧レベルは、正帰還回路の正帰還作用によって安定化されている。
つまり、回路にノイズが重畳されたとしても、そのノイズが、第1、第2のインバータINV1、INV2の閾値を超える電圧レベルのノイズでないかぎり、第1、第2の各インバータINV1、INV2の出力電圧は変化しない。よって、第1のインバータINV1から出力される電源電圧は、ノイズに対して強い、安定した電源電圧となる。
つまり、本態様では、正帰還回路は、温度測定時において、抵抗分圧回路500に供給される電源電圧を安定化させるという、新しい第2の効果を有する。
このように、本態様によれば、所定のタイミングで、迅速にLC発振回路150の発振を停止して、ストロークセンサを温度センサに変更することができる。また、正帰還回路によって電源電圧を安定化することで、精度の高い温度検出が可能となる。
第1乃至第3の何れか1つの態様に従属する第4の態様では、所定の抵抗とコイルの他端との共通接続点から出力される、コイルの温度に応じて電圧値が変化する直流電圧を増幅する増幅部(139)を有してもよい。
第4の態様によれば、コイルの温度に依存して電圧値が変化する直流電圧を、増幅部139により増幅することができる。この増幅によって、制御部としてのCPU320が、温度変化による電圧値の変化を検出し易くなり、検出精度が向上する。
第4の態様に従属する第5の態様では、増幅部(139)、及び切替部(138)の少なくとも一方は、コイルを備える電気部品としてのコイル部材(106)に一体的に設けられてもよい。
本態様では、切替部138、及び増幅部139の少なくとの一方が、コイル部材に一体的に設けられるため、制御基板には、切替部や増幅部を搭載する必要がない。よって、例えば、サスペンションの小型化、軽量化が促進されて、制御基板における回路の専有面積がさらに縮小された場合でも、切替部や増幅部の設置スペースが不要であるため、対応が可能である。
また、本態様によれば、切替部138が、コイル108の一端N20の近くに配置できるため、切替部138のスイッチSWがオンされたときに、コイル108の一端N20を低インピーダンスで所定の電位、例えば接地電位に接続することができ、よって、発振状態のLC発振回路150を、発振が停止した状態に移行させるのに要する時間を短縮することができる。
また、本態様によれば、増幅部139がコイル108の一端N20の近くに配置可能であり、よって、コイル108の温度を反映した直流電圧を、減衰が少ない状態で、あるいは、ノイズが少ない状態で増幅することができる。よって、検出精度が向上する。
第1乃至第5の態様に従属する第6の態様では、切替部(138)におけるスイッチ(SW)は、バイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタ、フォトカプラ、及びリレーの中から選択される少なくとも1つで構成されてもよい。
本態様では、切替部138のスイッチSWは、スイッチ素子としてのバイポーラトランジスタで構成されてもよく、電界効果トランジスタ(FET)で構成されてもよく、フォトカプラで構成されてもよく、リレーで構成されてもよく、また、各スイッチ素子を、適宜、組み合わせて構成されてもよい。
すなわち、本態様の切替部138は、構成が簡素化されて小型であり、よって、制御基板140、350、350’に容易に搭載することができる。
本発明の第7の態様では、筒状の第1の部材(100)と、第1の部材に対して、第1の部材の軸方向において相対的に移動可能に設けられる筒状の第2の部材(200)と、を備えると共に、内部に流体が収容されるサスペンション(19)と、ソレノイド(133)を有すると共に、第1、第2の各部材の相対的位置関係に応じて移動する流体の抵抗を、ソレノイドの駆動電流、又は駆動電圧によって可変に制御可能であり、かつサスペンションに一体的に取り付けられている電子制御式の減衰力可変部(130)と、サスペンション内に配置されると共に、第1、第2の部材の何れか一方を対象物とする、第1乃至第6の何れか1つの態様のセンサ装置(SE)と、切替部におけるスイッチのオン/オフを制御する機能と、電子制御式の減衰力可変部を制御する機能とを有するサスペンション制御部(300)と、を有し、サスペンション制御部(300)は、サスペンション(19)内に設けられている、又は、サスペンション(19)に一体的に取り付けられている減衰力可変サスペンションシステム(400)が提供される。
本態様によれば、機械的な構造であるサスペンション19に、電子制御式の減衰力可変部130、センサ装置SE、及びサスペンション制御部300が集約される。
すなわち、「機械的な構成」と「電気的な構成」とを一体化するという「機電一体化の設計」によって、温度に依存した減衰力特性を補正することに関係するすべての構成要素を、熱源としての流体(作動油)の近くに配置可能となり、これにより、各構成要素の温度環境が共通化される。
つまり、上記の温度に依存した減衰力特性の補正に必要な、前提条件としての、温度環境を共通化するという条件を満足することができる。
また、流体(作動油)の温度測定に関しては、上記の温度センサを兼ねるセンサ装置SEを使用することで、サーミスタ等の温度計測用素子、及び温度計測用の配線は不要となり、サスペンション19内に、サーミスタ等を配置するスペースがないというような、従来の問題も解消される。
なお、制御基板(回路基板)140(図3参照)は、サスペンション19内に配置してもよく、あるいは、例えば、サスペンション19を構成する部材の外側の面に一体的に取り付けてもよい。
このように、本態様によれば、機電一体化の設計によって制御基板をサスペンションに集約すると共に、ストロークセンサと温度センサとを兼ねるセンサ装置を活用することで、従来困難であった、温度に依存した減衰力特性の補正が可能となる。
第7の態様に従属する第8の態様において、サスペンション制御部(300)は、センサ装置(SE)から出力される、対象物の変位量に応じて周波数が変化する交流信号(Iout)に基づいて、対象物の変位を測定する変位測定部(319)と、センサ装置から出力される、コイルの温度に応じて電圧値が変化する直流電圧(Vtemp)に基づいてコイルの温度を測定する温度測定部(322)と、温度測定結果に応じてソレノイドの駆動電流値、又は駆動電圧値を変更する校正部(324)と、校正後のソレノイドの駆動電流、又は駆動電圧で、電子制御式の減衰力可変部におけるソレノイドを駆動するソレノイド駆動部(330)と、切替部におけるスイッチのオン/オフを制御する切替制御部(334)と、を有してもよい。
第8の態様によれば、変位量の測定機能、温度の測定機能、電子制御式の減衰力可変部のソレノイドの駆動信号を温度に応じて補正する機能等を有する、高機能であるサスペンション制御部300を実現できる。
このサスペンション制御部300は、例えば、サスペンション用のECU(Electronic Control Unit)基板に搭載されてもよい。
第8の態様に従属する第9の態様において、サスペンション制御部(300)は、減衰力可変サスペンションシステム(400)が搭載される車両(1)の走行状態を検出する走行状態検出部(321)を、さらに有してもよい。
第9の態様では、走行状態検出部321が、減衰力可変サスペンションシステム400が搭載される車両1の走行状態を検出する。
車両1の走行中において、温度測定のためにLC発振回路150の発振を停止すると、ストロークセンサの出力は得られなくなり、サスペンションの圧縮/伸長のストロークの周期がわからなくなる。したがって、車両1の運行状態が激しく変動しているような状況で、温度測定を実施すると、適正な減衰力の制御が実施できない場合もあり得る。
そこで、走行状態検出部321が、例えば各種のセンサ302から得られる車両1の走行に関するセンサ情報を収集し、それらの情報に基づいて、車両1の走行状態(運行状態)を検出する。
そして例えば、温度測定に適した走行状態であると判定される場合に、温度測定を実施する。これによって、上記の問題が解消される。
第9の態様に従属する第10の態様において、前記走行状態検出部(321)による車両の走行状態の検出の結果、車両が停止していると判定される場合、又は、車両の挙動の変化が少なく、安定した走行状態であると判定される場合において、切替制御部(334)が、切替部(138)のスイッチ(SW)をオンさせてもよい。
第10の態様では、車両1が温度測定に適した状態であると判定される場合を例示している。
例えば、車両が停止している場合や、車両の挙動の変化が少なく、安定した走行状態である場合が該当する。なお、車両の挙動は、具体的には、車両が直線的に走行している場合の車速変動や横揺れ等の挙動、あるいは、車両が回転(旋回)していることを示す回転挙動等が想定され得る。
なお、車両が、例えば走行路のカーブを曲がって旋回している場合は、進行方向が変化し続けており、車速の原則や加速も激しく変化する可能性があり、よって、温度測定に適した状態には該当しない場合が多いと考えられる。
車両の走行が停止されている場合は、ストロークセンサの検出信号が得られなくても、特に問題はない。
また、車両が安定して走行している場合、サスペンションは、圧縮/伸長を一定の周期で繰り返していると考えられる。よって、しばらくの間、ストロークセンサの検出信号が得られなくても、その期間においては、例えば、直前に検出された周期を維持して減衰力の調整を実施することで、特に問題はないと考えられる。
そして、この温度測定用の期間において、温度測定を迅速に実施し、温度計測の完了後、ストロークセンサを再度動作させてサスペンションの圧縮/伸長の工程を検出し、適切なタイミングで減衰力の調整を実施する。
この際、検出された温度に対応して、ソレノイドの駆動信号を補正することで、例えば高温時であっても、標準温度時と同様の減衰力特性を実現することができる。よって、自動二輪車等における緩衝性能を改善することができる。
このように、本発明によれば、温度センサを新たに追加することなく、例えば流体の温度を測定することが可能なセンサ装置を提供することができる。
また、本発明によれば、減衰力を温度に応じて補正することが可能な減衰力可変サスペンションシステムを提供することができる。
なお、上記の説明では、自動二輪車を例にとり説明したが、本発明の平面コイルアレイは、自動三輪車や四輪車等にも適用可能であり、また、現在開発が進んでいる電気自動車にも適用可能であり、車両の種類は問わない。
発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
本発明は、各種用途に使用可能なセンサ装置、及び減衰力可変サスペンションシステムとして好適である。
1…車両(自動二輪車)
2…前輪
3…後輪
11…車体フレーム
12…ハンドル
13…エンジン
15…車体本体
19…フロントフォーク(フロントサスペンション、サスペンション)
22…リヤサスペンション
51…配管
53…チューブ
61…リザーバ
100…アウタチューブ(第1の部材)
102…ピストン
104…ロッド、
105、107、205、207…チェック弁
106…コイル部材
108…コイル(共振コイル)
110…ロッドガイド
112…導体筒(導体部材、板状の導体部材、棒状の導体部材)
120…ストロークセンサ
130…電子制御式の減衰力可変部(減衰力可変部、減衰力発生部、減衰力可変機構、ソレノイドバルブ)
132…発振部
133…ソレノイド(制御ソレノイド)
134…コンデンサ(共振コンデンサ)
135…波形整形部
136…インバータ(インバータ回路、増幅回路、励振用の増幅回路)
137…分周部
138…切替部
139…増幅部
140…制御基板(回路基板)
142…インタフェース部
144…インタフェース回路
150…LC発振回路
200…インナチューブ(第2の部材)
205…チェック弁
210…サスペンションアーム
300…サスペンション制御部
302…各種のセンサ
303…リヤサスペンション用ストロークセンサ
305…車輪速センサ
307…加速度センサ
310…入力インタフェース
311…バッファ
319…変位測定部
320…CPU(プロセッサ、制御部)
330…ソレノイド駆動部
334…切替制御部
340…出力インタフェース
350、350’…制御基板(ECU基板)
400…減衰力可変サスペンションシステム
SE…センサ装置
SW…スイッチ
Iout…電流信号としての交流信号(交流信号、発振信号、対象物の変位量に応じて周波数が変化する交流信号)
Vtemp…温度検出信号としての直流電圧(直流電圧、コイルの温度に応じて電圧値が変化する直流電圧、直流電圧信号)
INV1…第1のインバータ(インバータ素子、インバータ)
INV2…第2のインバータ(インバータ素子、インバータ)
R24…所定の抵抗(抵抗分圧回路を構成する分圧抵抗)
R25…他の抵抗
L11、L12、L20…配線
CHM1…第1の油室
CHM2…第2の油室
D…嵌合長
RD…電流/電圧変換抵抗
OP…オペアンプ
Vbias…バイアス電圧(直流バイアス電圧)
N1…所定の抵抗とコイルの他端との共通接続点
N20…コイルの一端
N30…コイルの他端
I-SLD…ソレノイド駆動電流信号
SC…温度測定開始の通知信号
TC…切替制御信号

Claims (10)

  1. 対象物の変位量に応じてインダクタンスが変化すると共に、温度に応じて直流抵抗が変化するコイルと、前記コイルに電気的に接続されたLC共振用のコンデンサを備える発振部と、を有するLC発振回路と、
    前記コイルの一端を、所定の直流電位に電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチを有する切替部と、を有し、
    前記スイッチがオフの場合は、前記LC発振回路は、前記対象物の変位量に応じて周波数が変化する交流信号を出力する第1の状態となり、
    前記スイッチがオンの場合は、前記LC発振回路は、発振が停止し、かつ前記発振部の構成要素である所定の抵抗と前記コイルの他端との共通接続点から、前記コイルの温度に応じて電圧値が変化する直流電圧が出力される第2の状態となる、センサ装置。
  2. 前記LC発振回路の前記発振部は、前記コイルを励振するインバータ回路を有し、
    前記インバータ回路は、前記コイルの他端を駆動するインバータを有し、
    前記インバータと前記コイルの他端との間に前記所定の抵抗が電気的に接続されている、
    請求項1に記載のセンサ装置。
  3. 前記LC発振回路の前記発振部は、前記コイルを励振するインバータ回路を有し、
    前記インバータ回路は、一対の第1、第2のインバータを有し、
    前記第1のインバータの出力端は、前記所定の抵抗を介して、前記コイルの他端に電気的に接続され、
    前記第2のインバータの出力端は、他の抵抗を介して、前記コイルの一端に電気的に接続され、
    前記第1のインバータの出力端と前記第2のインバータの入力端とが電気的に接続され、前記第2のインバータの出力端と前記第1のインバータの入力端とが電気的に接続されることで、前記第1、第2のインバータが交差結合されて正帰還回路が構成され、
    前記LC発振回路が第2の状態である場合において、
    前記第1のインバータの出力端の直流電位と前記所定の直流電位との間に、前記所定の抵抗と前記コイルの直流抵抗とが直列に接続されて抵抗分圧回路が構成され、
    前記所定の抵抗と前記コイルの他端との共通接続点から、前記コイルの温度に応じて電圧値が変化する直流電圧としての分圧電圧が出力される、
    請求項1に記載のセンサ装置。
  4. 前記所定の抵抗と前記コイルの他端との共通接続点から出力される、前記コイルの温度に応じて電圧値が変化する直流電圧を増幅する増幅部を有する、
    請求項1に記載のセンサ装置。
  5. 前記増幅部、及び前記切替部の少なくとも一方は、前記コイルを備える電気部品としてのコイル部材に一体的に設けられている、
    請求項4に記載のセンサ装置。
  6. 前記切替部における前記スイッチは、バイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタ、フォトカプラ、及びリレーの中から選択される少なくとも1つで構成される、
    請求項1に記載のセンサ装置。
  7. 筒状の第1の部材と、前記第1の部材に対して、前記第1の部材の軸方向において相対的に移動可能に設けられる筒状の第2の部材と、を備えると共に、内部に流体が収容されるサスペンションと、
    ソレノイドを有すると共に、前記第1、第2の各部材の相対的位置関係に応じて移動する前記流体の抵抗を、前記ソレノイドの駆動電流、又は駆動電圧によって可変に制御可能であり、かつ前記サスペンションに一体的に取り付けられている電子制御式の減衰力可変部と、
    前記サスペンション内に配置されると共に、前記第1、第2の部材の何れか一方を前記対象物とする、請求項1乃至6の何れか1項に記載のセンサ装置と、
    前記切替部における前記スイッチのオン/オフを制御する機能と、前記電子制御式の減衰力可変部を制御する機能とを有するサスペンション制御部と、
    を有し、
    前記サスペンション制御部は、前記サスペンション内に設けられている、又は、前記サスペンションに一体的に取り付けられている、
    減衰力可変サスペンションシステム。
  8. 前記サスペンション制御部は、
    前記センサ装置から出力される、前記対象物の変位量に応じて周波数が変化する交流信号に基づいて、前記対象物の変位を測定する変位測定部と、
    前記センサ装置から出力される、前記コイルの温度に応じて電圧値が変化する直流電圧に基づいて前記コイルの温度を測定する温度測定部と、
    温度測定結果に応じて前記ソレノイドの駆動電流値、又は駆動電圧値を変更する校正部と、
    校正後のソレノイドの駆動電流、又は駆動電圧で、前記電子制御式の減衰力可変部における前記ソレノイドを駆動するソレノイド駆動部と、
    前記切替部における前記スイッチのオン/オフを制御する切替制御部と、
    を有する、
    請求項7に記載の減衰力可変サスペンションシステム。
  9. 前記サスペンション制御部は、
    前記減衰力可変サスペンションシステムが搭載される車両の走行状態を検出する走行状態検出部を、さらに有する、
    請求項8に記載の減衰力可変サスペンションシステム。
  10. 前記走行状態検出部による前記車両の走行状態の検出の結果、
    前記車両が停止していると判定される場合、
    又は、
    前記車両の挙動の変化が少なく、安定した走行状態であると判定される場合において、
    前記切替制御部が、前記切替部の前記スイッチをオンさせる、
    請求項9に記載の減衰力可変サスペンションシステム。
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