JP7291531B2 - 粒子設計プログラム、設計支援プログラム、検査方法および極板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、粒子設計プログラム、設計支援プログラム、検査方法、極板の製造方法および蓄電素子の製造方法に関する。
電池用の極板設計では、極板に含まれる材料、例えば活物質や導電助剤、結着剤、添加剤などの配合比を最適化する側面から、材料の各相の大きさや形状、体積率などの様々な条件を変更して、極板の導電性の計算が繰り返し試行される。
例えば、導電性の計算には、有効媒質近似または有効媒質理論と呼ばれるMaxwell-garnett式やBruggeman式などの計算式が用いられることがある。これらの計算式を用いる場合、その計算式が導かれた前提、すなわち各相の配置が均一であり、かつ各相の形状が単純であるといった単純な組織構造を有する制約の下でしか正しい計算結果を得ることができない。それ故、極板の材料設計に用いるには実用性に欠ける一面がある。
一方、近年では、コンピュータの能力向上や計算技術の向上に伴って、いわゆるシミュレーションと呼ばれる方法が用いられることもある。シミュレーションでは、活物質と導電助剤を粒子としてモデル化し、これらを含む組織構造を分割してグリッドで表現し、ラプラス方程式やポアソン方程式などの基本法則を満たすように各グリッドの物理量が決定される。
このようなシミュレーションの代表例として、差分型の計算方法や有限要素法と呼ばれる方法が挙げられる。例えば、差分型の計算方法では、組織構造を直交格子で分割し、隣接する格子点位置との間の物理量の勾配を計算する。また、有限要素法では、組織構造を四面体などで分割し、分割された要素内部の物理量の分布を形状関数で補完することにより全要素の連立一次方程式に帰着して計算する。
特開2003-323466号公報
しかしながら、上記のシミュレーションでは、あくまで活物質や導電助剤などの一部の材料の粒子がモデル化された組織構造を対象にグリッド分割による計算が行われるに過ぎない。このため、上記のシミュレーションの計算に用いられる組織構造では、極板の作製に用いられる他の材料、例えば結着剤や添加剤等の抵抗値は無視される。このように、結着剤や添加剤等の影響を無視する粒子設計が行われることにより、上記のシミュレーションの計算値と極板から測定される実測値との誤差が拡大する。
1つの側面では、本発明は、シミュレーションの計算値を実測値に近似させる粒子設計を実現できる粒子設計プログラム、設計支援プログラム、検査方法、極板の製造方法および蓄電素子の製造方法を提供することを目的とする。
一態様では、粒子設計プログラムは、活物質の粒子をモデル化し、前記活物質以外の混合材から作製されるスラリーから、前記活物質の粒子を所定数含有する計算領域においてモデル化された粒子モデルの周囲を被覆するコーティング剤をモデル化する、処理をコンピュータに実行させる。
シミュレーションの計算値を実測値に近似させる粒子設計を実現できる。
図1は、実施例1に係るサーバ装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。 図2は、活物質及び導電助剤のサイズ比と計算時間との関係の一例を示す図である。 図3は、実施例1に係る第1モデル化処理の手順を示すフローチャートである。 図4Aは、活物質の粒子径分布の一例を示す図である。 図4Bは、活物質の粒子モデルの一例を示す図である。 図4Cは、活物質の粒子モデルの一例を示す図である。 図5は、実施例1に係る第2モデル化処理の手順を示すフローチャートである。 図6Aは、第1の粒子設計の一例を示す模式図である。 図6Bは、第2の粒子設計の一例を示す模式図である。 図7は、固体に液体が濡れた平衡状態の一例を示す模式図である。 図8は、合成抵抗の実測値の一例を示す図である。 図9Aは、極板モデルの断面図の一例を示す図である。 図9Bは、極板モデルの断面図の一例を示す図である。 図9Cは、極板モデルの断面図の一例を示す図である。 図10は、実施例1に係るシミュレーション処理の手順を示すフローチャートである。 図11は、極板における実測値およびシミュレーションの計算値の一例を示す図である。 図12Aは、活物質モデルの一例を示す図である。 図12Bは、活物質モデルの一例を示す図である。 図12Cは、活物質モデルの一例を示す図である。 図13は、活物質量および結着剤投入量と電気伝導性との関係の一例を示す図である。 図14は、結着剤投入量および導電助剤添加量と極板の抵抗率との関係の一例を示す図である。 図15Aは、シミュレーションの計算値と実測値との関係の一例を示す図である。 図15Bは、シミュレーションの計算値と実測値との関係の一例を示す図である。 図16Aは、活物質モデルの一例を示す図である。 図16Bは、活物質モデルの一例を示す図である。 図17Aは、ラミネート型蓄電素子の外観図である。 図17Bは、ラミネート型蓄電素子の内部構造の概略を示す分解斜視図である。 図18は、コンピュータのハードウェア構成例を示す図である。
以下に添付図面を参照して本願に係る粒子設計プログラム、設計支援プログラム、検査方法、極板の製造方法および蓄電素子の製造方法について説明する。なお、この実施例は開示の技術を限定するものではない。そして、各実施例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
[システム構成]
図1は、実施例1に係るサーバ装置10の機能的構成の一例を示すブロック図である。図1に示すCAE(Computer Aided Engineering)システム1は、あくまで一例として、電池用の極板の材料設計を支援する各種の機能がパッケージ化されたCAEツールを提供するシステムである。
図1に示すように、CAEシステム1には、サーバ装置10と、クライアント端末50とが含まれ得る。これらサーバ装置10及びクライアント端末50は、ネットワークNWを介して通信可能に接続される。ネットワークNWは、有線または無線を問わず、インターネットやLAN(Local Area Network)などの任意の種類の通信網であってかまわない。
サーバ装置10は、各種の機能をクライアント端末50に提供するコンピュータの一例である。
一実施形態として、サーバ装置10は、パッケージソフトウェア又はオンラインソフトウェアとして、上記のCAEツールの機能を提供するCAEソフトウェアを任意のコンピュータにインストールさせることによって実装できる。例えば、サーバ装置10は、上記のCAEツールに関する各種の機能をオンプレミスに提供するサーバとして実装することができる。これに限定されず、サーバ装置10は、SaaS(Software as a Service)型のアプリケーションとして実装することで、上記のCAEツールに関する各種の機能をクラウドサービスとして提供することとしてもかまわない。
このようなCAEツールのあくまで一例として、下記に挙げる複数の機能がパッケージで提供される例を挙げて以下の説明を行う。例えば、上記のCAEツールとしてパッケージ化される機能の例として、電池用の極板の作製に用いる材料をモデル化する粒子設計機能、及び、モデル化が行われた組織構造にグリッド分割による導電性、例えば抵抗値や抵抗率などの計算を行うシミュレーション機能などが挙げられる。
クライアント端末50は、上記のCAEツールに関する各種の機能の提供を受けるクライアントにより使用されるコンピュータの一例に対応する。このようなクライアントのあくまで一例として、極板材料の設計や開発を行う関係者全般が挙げられる。また、クライアント端末50には、デスクトップ型またはラップトップ型のパーソナルコンピュータなどが対応する。これはあくまで一例であり、クライアント端末50は、携帯端末装置やウェアラブル端末などの任意のコンピュータであってかまわない。
なお、図1には、あくまで一例として、上記のCAEツールに関する各種の機能を提供するクライアントサーバシステムを例示したが、上記のCAEツールに関する各種の機能は、スタンドアローンで提供されることとしてもかまわない。例えば、後述の図5を用いて説明する第2モデル化処理において、活物質と導電助剤の粒子径の比が所定の閾値以下である場合、後述する図1における第2モデル化部17Cをスタンドアローンで提供してもよい。
[近似式を用いる伝導計算の課題の一側面]
材料を混合した場合や酸化膜、不純物など母材と異なる相が形成されている場合、または空孔が存在する場合など、物性の異なる領域が混在している状態において、各相の物性から全体の伝導性を計算する取り組みは古くから行われてきた。
例えば、上記の背景技術の欄でも説明した通り、伝導計算には、有効媒質近似または有効媒質理論と呼ばれるMaxwell-garnett式やBruggeman式などの計算式が用いられることがある。これらの計算式は、誘電率や熱伝導率、電気抵抗など材料の様々な伝導性について、各相の体積率が変化した場合の物性の変化を説明するのによく用いられてきた実績がある。また、電気抵抗の直列・並列接続的な考え方を適用して、積層構造や粒状組織などを抵抗モデルとして再現する方法もある。
ただし、これらの方法は、その計算式が導かれた前提が成り立つような、比較的各相の配置が均一で形状が単純である条件でないと正しい値が得られない。例えば、実例として、活物質、導電助剤、結着剤の3相の組織構造に関する有効媒質理論に基づく伝導計算をBruggeman式で行ったところ、導電助剤の投入量の変化による電極材料の抵抗変化を再現できない結果となった。
このような結果の一因として、上記の計算式では、結着剤表面の表面張力や活物質との濡れ性が存在するため、結着剤が単純に分散した構成とはならないことや、導電助剤の形状の影響が正しく考慮されていないことが挙げられる。他にも、上記の計算式では、活物質の形状(凸面体で球状とは異なる)や配向性、分散性の影響を考慮していないことも誤差を生む要因として挙げられる。さらに、各相のサイズや形状が一様でなく、分布を持っている複雑な組織構造は、多くの計算式で考慮されていない。
なお、抵抗モデルの延長として、組織構造を模した空間回路網を形成する手法も提案されているが、上記のような複雑で多種の要因を含む組織構造を再現することは難しく、その割に回路網の作成や計算が煩雑になってしまう短所があるため、一般に定着した方法とはなっていない。
[シミュレーションの課題の一側面]
一方、上記の背景技術の欄でも説明した通り、コンピュータの能力向上や計算技術の向上に伴って、いわゆるシミュレーションと呼ばれる方法が用いられることもある。シミュレーションでは、活物質と導電助剤を粒子としてモデル化し、これらを含む組織構造を分割してグリッドで表現し、ラプラス方程式やポアソン方程式などの基本法則を満たすように各グリッドの物理量が決定される。
このようなシミュレーションの代表例として、差分型の計算方法や有限要素法と呼ばれる方法が挙げられる。例えば、差分型の計算方法では、組織構造を直交格子で分割し、隣接する格子点位置との間の物理量の勾配を計算する。また、有限要素法では、組織構造を四面体などで分割し、分割された要素内部の物理量の分布を形状関数で補完することにより全要素の連立一次方程式に帰着して計算する。
しかしながら、上記のシミュレーションでは、あくまで活物質や導電助剤などの一部の材料の粒子がモデル化された組織構造を対象にグリッド分割による計算が行われるに過ぎない。このため、上記のシミュレーションの計算に用いられる組織構造では、極板の作製に用いられる他の材料、例えば結着剤や添加剤等の抵抗値は無視される。このように、結着剤や添加剤等の影響を無視する粒子設計が行われることにより、上記のシミュレーションの計算値と極板から測定される実測値との誤差が拡大する。
ここで、上述の通り、既存のシミュレーションには、計算精度の一面で課題を有する他、次に説明する通り、計算時間の面においても課題がある。
例えば、差分型の計算方法には、収束計算が必要であり、計算時間が安定しないという課題と、直交格子であるため、形状の再現性が低いという課題がある。また、有限要素法では、四面体など、より現実の組織構造に即した領域分割が行えるが、分割した領域の数、いわゆるメッシュ数が大きくなりやすい。さらに、有限要素法は、全要素の解をマトリクス計算により一括して得る方式であるため、要素数が増えると計算に必要なコンピュータのメモリが増え、計算時間が大幅に増加する問題がある。なお、有限要素法でも直交格子で分割することは可能であるが、その場合は差分法を用いる計算時間の面で有利である。なぜなら、差分法は、全体に要素数に比例して計算時間が増加し、コンピュータの並列計算時の効率低下も小さく抑えられるからである。
図2は、活物質及び導電助剤のサイズ比と計算時間との関係の一例を示す図である。図2には、電極材料の導電率を差分法により計算する場合の計算時間が示されている。
導電性を正しく計算するために必要な計算領域の大きさは、材料の中で最も粒子径の大きな相(活物質)のサイズで決まる。粒子の配置や形状は分布を持っており、これらがある程度平均化されるだけの領域サイズを持っている必要がある。一方、計算領域を分割する要素サイズは、材料の中で最も寸法の小さな相(導電助剤)の形状を再現できるように決める必要がある。以上の条件から決められた要素数に対して、差分法で良好に収束した状況を想定して必要な計算時間を推定した。計算時間は、科学技術計算に用いられるハイエンドなPC(Personal Computer)一台で計算される場合の推定値となっている。
一例として、活物質および導電助剤のサイズ比が10対1であるとする場合、例えば活物質の粒子径を32μmとし、導電助剤の粒子径を3.2μmとする場合を例に挙げる。この場合、直交格子で分割した場合の要素数は1億2500万要素となって、図2に示す通り、計算には、約2.6時間かかる見込みとなる。他の一例として、活物質および導電助剤のサイズ比が20対1であるとする場合、例えば活物質の粒子径を32μmとし、導電助剤の粒子径を1.6μmとする場合、図2に示す通り、計算には、約21時間かかる見込みとなる。更なる一例として、活物質および導電助剤のサイズ比が50対1であるとする場合、例えば活物質の粒子径を32μmとし、導電助剤の粒子径を0.64μmとする場合、図2に示す通り、計算には、約326時間かかる見込みとなる。このように、導電助剤の粒子径が小さくなるにつれて計算時間は増加する。
さらに、導電性のシミュレーション計算が並列処理される場合の計算時間は次の通りとなる。例えば、並列時の計算効率の低下がないと仮定し、10台のハイエンドPCで並列分散して計算を行った場合は各計算時間が10分の1になるので、導電助剤の粒子径が1.6μm、0.64μmでそれぞれ2.1時間、32.6時間となる。なお、有限要素法は、上述の通り、差分法に比べて要素数が増えたときの計算負荷の増大が大きく、並列計算を行ったときの計算効率の低下も大きい。差分法で良好に収束し、並列計算の効率も極めてよく多数(10台)のコンピュータを利用できた場合、すなわち理想的に計算が行えた場合を考えても、活物質と導電助剤のサイズ比が50を超えると一回の計算に32時間以上の時間が必要になる。現実の導電助剤は大小様々あるが、粒子径が10μm程度のものもあり、その時のサイズ比は3200(=推定計算時間8500万時間)となって現実的に計算不能である。また、導電性のシミュレーション手法として一般的に普及している有限要素法では、前述したように全要素の解をマトリクス計算により一括して解を得る方式であるため、要素数が増えるとマトリクスのデータを保持するために必要なメモリが増えるという問題もある。一般的なメモリ性能を持つPCでは、計算の手法やPCの能力による差異はあるものの、概ね200万要素を超えるとメモリの不足により計算不能となってしまう。そのため、現実にはサイズ比が5倍程度でも導電性を計算することは難しい。
極板の材料設計時には、材料の各相の大きさや形状とその分布、そしてその材料の配合比率や利用する材料の組み合わせなどの多種の条件を変更して、極板の導電性の計算が繰り返し試行される。これらの条件から最適の条件を探索するために、繰り返しの試行、例えば数十回程度にわたる試行が必要になるため、前記した理想的な計算環境を利用できたとしても、活物質と導電助剤のサイズ比が20以下(一回の計算時間が2時間)程度でないと実用的とはいえない。
以上で説明したように、電極材料の導電性を計算して最適な組織構造を得る目的において、既存のシミュレーションを用いる場合、正確な導電性の計算値が得られないという計算精度の課題、導電助剤の粒子サイズが活物質の粒子サイズに比べて小さいために現実的な時間の範囲で計算結果を得ることが困難であるという計算時間の課題がある。
[課題解決のアプローチの一側面]
これらの課題を解決するアプローチの一側面として、本実施例では、電池のスラリー塗布で作製される極板において、活物質以外の混合材、例えば導電助剤や結着剤、添加剤などを活物質の粒子モデルの周囲を被覆するコーティング剤としてモデル化する粒子設計機能を提供する。
このような課題解決のアプローチは、次のような知見があって始めて採用することができる。すなわち、電極材料は3つの主要な部材からなり、このうち、導電助剤のみ著しく小さなサイズとなっていることに着目する。活物質の様々に分布を持つ形状及びサイズと結着剤の表面張力や活物質界面への親和性(濡れ性)からなる複雑な組織構造は上記の近似計算の適用が困難であるので、領域分割によるシミュレーション計算が必要になる。このとき、結着剤とその中に分散する導電助剤を一つの相として扱うことができれば現実的な領域分割数の範囲内で計算を行うことが可能になる。前記の混合相において、その導電率は導電助剤の種類(形状、サイズ、導電率)とその含有割合で決まる。そのため、各導電助剤に対してその含有率を種々に変えたときの導電率の系列をデータとしてあらかじめ取得しておけば、活物質と混合相の2相で形成される組織構造に対して領域分割による抵抗計算を実用充分な計算時間で実現できる。混合相の導電率データベースの作成は、上記の近似計算を利用することもできるが、含有率のみを変えた条件のみであればそれほど多数の試作を行う必要もないため、実際に結着剤と導電助剤の混合相を作成して導電性の測定を行って取得することも可能である。
[サーバ装置10の機能的構成]
次に、本実施例に係るサーバ装置10の機能的構成について説明する。図1に示すように、サーバ装置10は、通信インタフェイス11と、記憶部13と、制御部15とを有する。なお、図1には、データの授受の関係を表す実線が示されているが、説明の便宜上、最小限の部分について示されているに過ぎない。すなわち、各処理部に関するデータの入出力は、図示の例に限定されず、図示以外のデータの入出力、例えば処理部及び処理部の間、処理部及びデータの間、並びに、処理部及び外部装置の間のデータの入出力が行われることとしてもかまわない。
通信インタフェイス11は、他の装置、例えばクライアント端末50との間で通信制御を行うインタフェイスである。
あくまで一例として、通信インタフェイス11には、LANカードなどのネットワークインタフェイスカードを採用することができる。例えば、通信インタフェイス11は、クライアント端末50から活物質やその他の混合材のモデル化に用いるパラメータの他、シミュレーションのリクエストを受け付けたり、また、シミュレーションの計算結果をクライアント端末50へ送信したりする。
記憶部13は、制御部15で実行されるOS(Operating System)を始め、上記のCAEソフトウェア、あるいは上記のCAEツールの機能の一部がモジュール化された粒子設計プログラムやシミュレーションプログラムなどの各種プログラムに用いられるデータを記憶する機能部である。
あくまで一例として、記憶部13は、サーバ装置10における補助記憶装置に対応する。例えば、HDD(Hard Disk Drive)や光ディスク、SSD(Solid State Drive)などが補助記憶装置に対応する。この他、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)などのフラッシュメモリも補助記憶装置に対応する。
記憶部13は、制御部15で実行されるプログラムに用いられるデータの一例として、走査電子顕微鏡、いわゆるSEM(Scanning Electron Microscope)を用いて表面観察が行われることによって撮影されたSEM画像13Aなどを記憶する。SEM画像13A以外にも、上記のCAEツールによって参照または生成が行われるデータ、例えば極板の材料、例えば活物質、導電助剤、結着剤または添加剤の含有率が異なる配合比が列挙された配合比パターンなどが記憶部13に記憶されることとしてもかまわない。なお、SEM画像13Aの説明は、SEM画像13Aの参照が行われる制御部15の説明と合わせて行うこととする。
制御部15は、サーバ装置10の全体制御を行う機能部である。
一実施形態として、制御部15は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などのハードウェアプロセッサにより実装することができる。ここでは、プロセッサの一例として、CPUやMPUを例示したが、汎用型および特化型を問わず、任意のプロセッサにより実装することができる。この他、制御部15は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードワイヤードロジックによって実現されることとしてもかまわない。
制御部15は、上記のCAEソフトウェアを実行することにより、図示しない主記憶装置として実装されるDRAM(Dynamic Random Access Memory)などのRAMのワークエリア上に図1に示す処理部を仮想的に実現する。なお、ここでは、上記のCAEツールのパッケージソフトウェアが実行される例を挙げるが、サーバ装置10上で動作するプログラムはこれに限定されない。例えば、上記のCAEツールのうち任意の機能、例えば粒子設計機能やシミュレーション機能を抜粋してプログラムモジュールとして実行したり、あるいはライブラリとして参照されたりすることとしてもかまわない。
例えば、制御部15は、図1に示すように、粒子設計部17と、シミュレーション部19とを有する。
このうち、粒子設計部17は、電池用の極板の作製に用いる材料をモデル化する処理部である。図1に示すように、粒子設計部17は、配合比設定部17Aと、第1モデル化部17Bと、第2モデル化部17Cとを有する。
配合比設定部17Aは、活物質および活物質以外の混合材の各々に関する配合比を設定する処理部である。
あくまで一例として、配合比設定部17Aは、極板内で最も重要な活物質を選択・決定する。さらに、配合比設定部17Aは、活物質に導電性を持たす側面から、導電助剤、粒子同士や集電体を密着させる為に結着剤、その他必要に応じ、添加剤を決定し、各材料の配合比を設定する。このように配合比を設定する際には、配合比設定部17Aは、クライアント端末50から電池用の極板の作製に用いる活物質、導電助剤、結着剤、添加剤ごとにその含有量の設定を手動で受け付けることができる。この他、配合比設定部17Aは、活物質、導電助剤、結着剤または添加剤の含有率が異なる配合比が列挙された配合比パターンの中から1つを選択させることもできる。
このとき、配合比設定部17Aは、極板の材料のうち一部の材料の含有量のデフォルト値をテンプレートとして設定し、特定の材料の含有量を所定の範囲から選択させるGUI(Graphical User Interface)などを提供できる。例えば、極板における導電助剤の添加量を変化させてシミュレーション計算を繰り返すユースケースの場合、導電助剤以外の他の材料の含有量のデフォルト値を表示し、導電助剤の添加量の指定を受け付けるスクロールバーやプルダウンメニュー、テキスト入力などのGUIコンポーネントをクライアント端末50に表示させる。このようなユーザインタフェイスを提供することによって、極板の材料設計時に導電助剤の添加量の最適化を支援することもできる。
この他、配合比設定部17Aは、配合比を定める因子、例えば電池の設計容量やコスト、寿命などのレベルごとに各材料の含有率のテンプレートを設定しておくことができる。その上で、配合比設定部17Aは、テンプレートの中からレベルの選択により配合比を指定させたり、テンプレートの編集により配合比を設定させたりすることができる。
第1モデル化部17Bは、活物質の粒子をモデル化する処理部である。
ここで、電池は、正極、負極、セパレータおよび電解液を含んで構成される。電池の特性を決める重要な要素は、正極及び負極の活物質量及び導電性である。より多くの活物質を詰め込み、且つ導電性のよい極板にする事が求められている。このように、極板のモデル化に於いて、活物質は最も利用率が高く重要であり、また、その他の混合材は活物質の位置や形状に合わせてその位置が決まる性質がある。このことから、以下では、あくまで一例として、初めに活物質について、モデル化を開始する例を挙げる。
図3は、実施例1に係る第1モデル化処理の手順を示すフローチャートである。この処理は、あくまで一例として、クライアント端末50から活物質の粒子設計のリクエストを受け付けた場合に開始することができる。
(1)第1モデル化処理
図3に示すように、第1モデル化部17Bは、SEMを用いて活物質の表面観察が行われることにより活物質の粒子の表面形状が撮像されたSEM画像に対する解析結果、例えば活物質形状および粒子径分布を取得する(ステップS301)。
例えば、第1モデル化部17Bは、記憶部13に記憶されたSEM画像13Aのうち、配合比設定部17Aにより極板の作製に用いる材料として決定された活物質のSEM画像を取得する。このとき、活物質形状および粒子径分布の画像解析を実行する画像解析ソフトが動作するコンピュータが画像解析サービスを提供する外部サーバである場合、第1モデル化部17Bは、活物質のSEM画像もしくはSEM画像を識別する識別情報を指定し、画像解析を外部サーバへリクエストする。その上で、第1モデル化部17Bは、上記の画像解析のリクエストの応答として外部サーバから得られる解析結果を取得する。なお、上記の画像解析が実行されるコンピュータは、クライアント端末50であってもよく、この場合、クライアント端末50から解析結果のアップロードを受け付けることとすればよい。また、上記の画像解析は、サーバ装置10により実行されることとしてもかまわない。
続いて、第1モデル化部17Bは、活物質形状および粒子径分布の解析結果に基づいて活物質の粒子をモデル化する(ステップS302)。図4Aは、活物質の粒子径分布の一例を示す図である。また、図4Bは、活物質の粒子モデルの一例を示す図である。図4Aに示すグラフの縦軸は、頻度を指し、横軸は、粒子径を指す。図4Aに示すように、活物質の粒子径分布の解析結果として、活物質のSEM画像から測定された活物質の粒子径ごとの存在確率の分布が得られる。例えば、第1モデル化部17Bは、配合比設定部17Aにより設定された配合比に対応する含有量の分にわたって活物質の粒子モデルがシミュレーションに用いられる計算領域Cに配置された段階で活物質の粒子モデルの径の分布が図4Aに示す活物質の粒子径分布に従うように、図4Bに示す活物質の粒子モデルP1やP2の径を設定する。これによって、計算領域Cに配置される活物質の粒子モデルの径の分布を図4Aに示す活物質の粒子径分布に近付けることができる。
そして、第1モデル化部17Bは、ステップS302でモデル化された活物質の粒子モデルをシミュレーションに用いられる計算領域に配置する(ステップS303)。ここで、上記の計算領域Cは、材料の中で最も粒子径の大きな相を持つ活物質のサイズに基づいて設定される。例えば、活物質の粒子の配置や形状は分布を有するので、上記の計算領域Cには、これらがある程度平均化されるだけの領域サイズ、例えば活物質の粒子10個分や20個分のサイズなどが設定される。
その上で、第1モデル化部17Bは、シミュレーションの計算領域に配置された活物質の粒子モデルの含有量が配合比(wt.%)に達するか否かを判定する(ステップS304)。図4Cは、活物質の粒子モデルの一例を示す図である。図4Cには、計算領域Cに配置された活物質の粒子モデルの含有量が配合比(wt.%)に到達した段階の例が示されている。図4Cに示すように、計算領域Cに配置された活物質の粒子モデルP3をはじめとする活物質の粒子モデルの含有量が配合比(wt.%)に到達するまで(ステップS304No)、第1モデル化部17Bは、上記のステップS302及びステップS303の処理を繰り返す。このとき、第1モデル化部17Bは、活物質の粒子モデル同士が重なって表現される場合や粒子径分布が反映されていない場合も、上記のステップS302及びステップS303の処理をやり直す。
その後、計算領域Cに配置された活物質の粒子モデルの含有量が配合比(wt.%)に到達した場合(ステップS304Yes)、第1モデル化部17Bは、活物質のモデル化を終了する。
図1の説明に戻り、第2モデル化部17Cは、混合材から作製されるスラリーを活物質の粒子モデルの周囲を被覆するコーティング剤としてモデル化する処理部である。
(2)第2モデル化処理
図5は、実施例1に係る第2モデル化処理の手順を示すフローチャートである。この処理は、あくまで一例として、上記の第1モデル化処理により活物質の粒子モデルの生成が終了した後であれば任意のタイミングで開始することができる。
図5に示すように、第2モデル化部17Cは、SEMを用いて活物質の表面観察が行われることにより導電助剤の粒子の表面形状が撮像されたSEM画像に対する解析結果、例えば導電助剤形状および粒子径分布を取得する(ステップS501)。
例えば、第2モデル化部17Cは、記憶部13に記憶されたSEM画像13Aのうち、配合比設定部17Aにより極板の作製に用いる材料として決定された導電助剤のSEM画像を取得する。このとき、導電助剤形状および粒子径分布の画像解析を実行する画像解析ソフトが動作するコンピュータが画像解析サービスを提供する外部サーバである場合、第2モデル化部17Cは、導電助剤のSEM画像もしくはSEM画像を識別する識別情報を指定し、画像解析を外部サーバへリクエストする。その上で、第2モデル化部17Cは、上記の画像解析のリクエストの応答として外部サーバから得られる解析結果を取得する。なお、上記の画像解析が実行されるコンピュータは、クライアント端末50であってもよく、この場合、クライアント端末50から解析結果のアップロードを受け付けることとすればよい。また、上記の画像解析は、サーバ装置10により実行されることとしてもかまわない。
続いて、第2モデル化部17Cは、活物質および導電助剤の粒子径の比が所定の閾値、例えば1/20あるいは0.23以下であるか否かを判定する(ステップS502)。
あくまで一例として、第2モデル化部17Cは、上記のステップS301で得られた活物質の粒子径分布から算出されるメディアン径d50、あるいは平均粒子径と、上記のステップS501で得られた導電助剤の粒子径分布から算出されるメディアン径d50、あるいは平均粒子径との間で粒子径の比、例えば活物質の粒子径に対する導電助剤の粒子径の比率を算出する。このように算出された粒子径の比が1/20あるいは0.23以下であるか否かが第2モデル化部17Cにより算出される。
ここで、活物質および導電助剤の粒子径の比が上記の閾値以下である場合(ステップS502Yes)、導電助剤を粒子としてモデル化したのでは実用的な計算時間、例えば2時間以内のシミュレーション計算を実現できない可能性が高い。この場合、第2モデル化部17Cは、下記のステップS503から下記のステップS509までの処理を実行することにより、導電助剤を活物質の粒子モデルの周囲を被覆するコーティング剤としてモデル化する第1の粒子設計を行う。図6Aは、第1の粒子設計の一例を示す模式図である。図6Aに示すように、第1の粒子設計では、導電助剤を始め、結着剤や添加剤、希釈剤などを含む混合材から作製されたスラリーが図4Cに示された活物質の粒子モデル群の周囲を被覆するコーティング剤としてモデル化される。例えば、図4Cに示された活物質の粒子モデル群のうち活物質の粒子モデルP3の例で言えば、図6Aに示すように、活物質の粒子モデルP3はスラリーS1によりコーティングされる。なお、ここでは、活物質の粒子モデルP3を例に挙げて説明したが、他の活物質の粒子モデルについてもスラリーにより被覆される。
一方、活物質および導電助剤の粒子径の比が上記の閾値を超える場合(ステップS502No)、導電助剤を粒子としてモデル化しても実用的な計算時間、例えば2時間以内のシミュレーション計算を実現できる可能性が高い。この場合、第2モデル化部17Cは、下記のステップS510から下記のステップS513までの処理を実行することにより、導電助剤を粒子としてモデル化する第2の粒子設計を行う。図6Bは、第2の粒子設計の一例を示す模式図である。図6Bに示すように、第2の粒子設計では、導電助剤の粒子の各々が導電助剤の粒子モデルP3を始めとする粒子モデル群としてモデル化される。
(2.1)第1の粒子設計
まず、下記のステップS503から下記のステップS509までの処理に対応する第1の粒子設計について説明する。ここでは、あくまで一例として、混合材からスラリーを作製してスラリーから合成抵抗を測定することにより、スラリーの合成抵抗の実測値をコーティング剤に設定する例を挙げる。
(2.1.1)スラリーの作製方法の一例
ここで、スラリーは、活物質以外の混合材、すなわち導電助剤、結着剤、添加剤(増粘剤)、希釈剤から配合比設定部17Aにより設定された配合比にしたがって作製される。あくまで一例として、以下では、スラリーの作製に用いる混練機の一例として、薄膜旋回方式のものを用いる例を挙げる。
例えば、スラリーは、混練機に希釈剤と増粘剤を投入して混練する工程と、増粘剤が溶解した後に導電助剤をさらに投入して混練する工程と、結着剤をさらに投入して混練する工程とによって作製することができる。これらの工程でスラリーを作製する際、スラリーは真空脱泡をおこないながら、混練をおこなった。さらに、フィルミックスでは高せん断が掛かるので、スラリーの内部温度が30℃以上にならない様にチラーで制御することもできる。
なお、ここでは、混練機のあくまで一例として、薄膜旋回方式のものを例に挙げたが、他の方式の混練機、例えばプラネタリミキサーや遊星式撹拌・脱泡装置などを用いてスラリーを作製することができるのは言うまでもない。
このように作製されたスラリーが図5に示すステップS503の処理に用いられる。すなわち、図5に示すように、第2モデル化部17Cは、活物質(粉体)に対する濡れ性の評価、例えば接触角および表面張力の実測値を取得する(ステップS503)。これら接触角および表面張力は、接触角計や表面張力計で測定された測定値が手動入力されることにより取得されることとしてもよいし、あるいは接触角計や表面張力計から取得されることとしてもかまわない。なお、本実施形態において、接触角および表面張力の代わりに、撥水性を表現する他のパラメータを用いてもよい。また、ここでは、濡れ性の評価に接触角および表面張力の2つを用いる例を挙げたが、濡れ性の評価に用いるパラメータの数は2つに限定されず、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。例えば、接触角、表面張力、または、撥水性を表現する他のパラメータのいずれか1つ以上を濡れ性の評価に用いることとしてもよい。また、撥水性を表現する他のパラメータも1種類に限定されず、2種類以上であってかまわない。
(2.1.2)スラリーの濡れ性評価
上記のステップS503におけるスラリーの濡れ性評価には、あくまで一例として、接触角測定の濡れ性評価2/θ法を用いることができる。
このように活物質に対するスラリーの濡れ性を評価するのは、極板(電極)の組織構造を複雑化する要因の1つとして、活物質界面への親和性(濡れ性)が挙げられるからである。このことから、第2モデル化部17Cは、スラリーの体積率と濡れ性に基づいてコーティング剤としてモデリングされる液状部分の形状を決定する。これによって、複雑な組織構造が精密に表現されたコーティング剤のモデリングを実現する。
より具体的には、スラリーの形状は、活物質の表面に作用する力が釣り合う形状として定まる。液体の濡れ性を表す式(youngの式)は、下記の式(1)となる。図7は、固体に液体が濡れた平衡状態の一例を示す模式図である。図7に示すように、下記の式(1)における「γsl」は、液体と固体の接触面の表面エネルギーを指す。また、下記の式(1)における「γsv」は、固体の表面エネルギーを指す。また、下記の式(1)における「γlv」は、液体の表面エネルギー(表面張力)を指す。また、下記の式(1)における「θ」は、液体および固体表面の境界線と、液体表面および固体表面の境界点を通る液体の接線とがなす角度、いわゆる接触角を指す。
γsl-γsv+γlvcosθ=0・・・(1)
上記の式(1)の通り、接触角は、固体と液体の界面エネルギーのつりあいで表される。液体がぬれ広がろうとする力、固体がはじく力、液体自身が縮まろうとする力がつりあう角度として理解できる。
ここで、単位面積当たりの表面エネルギーは、下記の式(2)と表すことができる。各界面の表面エネルギー、すなわちγsv及びγslを直接測定することは困難であるので、γsv及びγslを接触角と表面張力を代替して表現できることを利用する。すなわち、上記の式(1)を用いてγsvを消去すると、下記の式(2)は下記の式(3)に変形できる。このように、液体の形状は、表面の各位置において表面張力と濡れ力を作用させ、その力が釣り合うときの形状として決められる。この事実は、数学的には、各界面の表面エネルギーが最小になる形状としても求められることと同義である。
Wa=γlv+γsv+γsl・・・(2)
Wa=γlv(1+cosθ)・・・(3)
例えば、接触角および表面張力の測定には、濡れ上がりや濡れ広がりの形状と接触角を測定して表面張力を測定できる2/θ法の他、接触角に影響されずに表面張力を測定できる懸滴法などを利用した接触角計や表面張力計を用いることができる。
このようにスラリーの濡れ性の評価、例えば接触角および表面張力の実測値が取得された後、スラリーの合成抵抗の実測値を測定する側面から、スラリーは、非導電性シートに塗布される。あくまで一例を挙げると、スラリーをPETフィルムに塗布し、60℃-30min高温層で乾燥することにより、シートが作製される。例えば、シート厚みは20μm以上であり、極板を10mm×15mmの短冊状に切断した。
図5の説明に戻り、第2モデル化部17Cは、スラリーが塗布されることにより作製されたシートの合成抵抗の実測値を取得する(ステップS504)。あくまで一例として、シートの合成抵抗の測定には、4探針の抵抗測定器を用いることができる。このように測定された合成抵抗の実測値は、手動入力されることにより取得されることとしてもよいし、あるいは抵抗測定器から取得されることとしてもかまわない。
図8は、合成抵抗の実測値の一例を示す図である。図8に示すグラフの縦軸は、抵抗値を指し、横軸は、導電助剤の濃度を指す。図8には、導電助剤Aを含むスラリーの合成抵抗値が白丸のマークでプロットされる一方で、導電助剤Bを含むスラリーの合成抵抗値が黒丸のマークでプロットされている。なお、導電助剤Aまたは導電助剤Bを含むスラリーでは、導電助剤Aまたは導電助剤B以外の材料の含有量は一定であることとする。図8に示すように、導電助剤Aを含むスラリーは、導電助剤Aの濃度が低いうちは導電助剤Bを含むスラリーに比べて合成抵抗値が高い。しかしながら、導電助剤Aの濃度が高くなるにつれて導電助剤Aを含むスラリーと導電助剤Bを含むスラリーとの合成抵抗値の差が縮まり、最終的には、導電助剤Aを含むスラリーの合成抵抗値は、導電助剤Bを含むスラリーの合成抵抗値よりも低くなる。
続いて、第2モデル化部17Cは、活物質の粒子モデルの周囲を被覆するコーティング剤の体積率の累積値に所定のピッチ量、例えば5%や10%を加算する(ステップS505)。例えば、第2モデル化部17Cは、コーティング剤の体積率が加算される度に、下記のアルゴリズムにしたがって加算分のコーティング剤を分布させる。すなわち、第2モデル化部17Cは、活物質の粒子モデルの表面が被覆されるようにコーディング剤を分布させる。さらに、第2モデル化部17Cは、活物質の粒子モデルを被覆するコーディング剤同士が全体で繋がるようにコーディング剤を分布させる。このとき、第2モデル化部17Cは、活物質の粒子モデルの間隔が狭い部分を優先する一方で、活物質の粒子モデルの間隔が広い部分を空隙として残すようにコーディング剤を分布させる。
その上で、第2モデル化部17Cは、ステップS504で取得された濡れ性、例えば接触角および表面張力に基づいて単位面積当たりの表面エネルギーが最小となるコーディング剤の厚み形状を設定する(ステップS506)。例えば、第2モデル化部17Cは、接触角および表面張力が小さいほど、スラリーおよび活物質の界面の面積を広く設定することでコーディング剤の厚みに小さい値を設定する。また、第2モデル化部17Cは、接触角および表面張力が大きいほど、スラリーおよび活物質の界面の面積を狭く設定することでコーディング剤の厚みに大きい値を設定する。なお、ここでは、あくまで一例として、単位面積当たりの表面エネルギーが最小となるコーティング剤の厚みを計算する例を挙げたが、計算領域C内の表面エネルギーの総和が最小となるように厚みの計算を行うこととしてもかまわない。
図9A~図9Cは、極板モデルの断面図の一例を示す図である。図9A~図9Cに示す凡例の通り、薄いグレーの塗り潰し部分は、活物質の粒子モデルに対応し、濃いグレーの塗り潰し部分は、コーディング剤のモデルに対応し、ホワイトの塗り潰し部分は、空隙に対応する。これら図9A~図9Cには、説明の便宜上、接触角を0°とし、コーディング剤の厚み形状が設定された例が示されている。このうち、図9Aには、スラリーの体積率[vol%]が10[%]である時点のコーディング剤の厚み形状が示されている。また、図9Bには、スラリーの体積率[vol%]が20[%]である時点のコーディング剤の厚み形状が示されている。また、図9Cには、スラリーの体積率[vol%]が40[%]である時点のコーディング剤の厚み形状が示されている。このようにコーティング剤の体積率が10%、20%、・・・、40%と更新される度に、第2モデル化部17Cは、図9Aに示す状態、図9Bに示す状態、図9Cに示す状態の順にコーディング剤の厚み形状を更新する。
図5の説明に戻り、スラリーの体積率が混合材の含有量に対応する体積率になるまで(ステップS507No)、第2モデル化部17Cは、上記のステップS505および上記のステップS506の処理を繰り返して実行する。
その後、スラリーの体積率が混合材の含有量に対応する体積率に到達した場合(ステップS507Yes)、第2モデル化部17Cは、活物質の粒子モデルにバルク抵抗を設定する(ステップS508)。さらに、第2モデル化部17Cは、コーティング剤のモデルにステップS504で取得された合成抵抗の実測値を設定する(ステップS509)。
この結果、上記のステップS503から上記のステップS509までの第1の粒子設計により得られた活物質の粒子モデルおよびコーティング剤のモデルが極板モデルとしてシミュレーション部19へ出力される。
このように、第1の粒子設計によれば、活物質以外の混合材から作製されたスラリーを活物質の粒子モデルを被覆するコーティング剤としてモデル化すると共にスラリーの合成抵抗の実測値をコーティング剤のモデルに設定する。これによって、導電助剤の抵抗値のみならず、その他の結着剤や添加剤、希釈剤などの抵抗値もシミュレーション計算に用いることが可能である。
(2.2)第2の粒子設計
まず、下記のステップS510から下記のステップS513までの処理に対応する第2の粒子設計について説明する。すなわち、活物質および導電助剤の粒子径の比が上記の閾値を超える場合(ステップS502No)、第2モデル化部17Cは、ステップS501で取得された導電助剤形状および粒子径分布の解析結果に基づいて導電助剤の粒子をモデル化する(ステップS510)。
具体的には、第2モデル化部17Cは、配合比設定部17Aにより設定された配合比に対応する含有量の分にわたって導電助剤の粒子モデルが計算領域Cに配置された段階で導電助剤の粒子モデルの径の分布が導電助剤の粒子径分布に従うように、導電助剤の粒子モデルの径を設定する。これによって、計算領域Cに配置される導電助剤の粒子モデルの径の分布を導電助剤の粒子径分布に近付けることができる。
続いて、第2モデル化部17Cは、ステップS510でモデル化された導電助剤の粒子モデルを図3に示す第1モデル化処理の結果として得られた活物質モデル、すなわち活物質の粒子モデル群が配置された計算領域C内に配置する(ステップS511)。
その上で、第2モデル化部17Cは、シミュレーションの計算領域Cに配置された導電助剤の粒子モデルの含有量が配合比(wt.%)に達するか否かを判定する(ステップS512)。そして、計算領域Cに配置された導電助剤の粒子モデルの含有量が配合比(wt.%)に到達するまで(ステップS512No)、第2モデル化部17Cは、上記のステップS510及びステップS511の処理を繰り返す。このとき、第2モデル化部17Cは、活物質の粒子モデルと重なって表現される場合、導電助剤の粒子モデル同士が重なって表現される場合、あるいは粒子径分布が反映されていない場合も、上記のステップS510及びステップS511の処理をやり直す。
その後、計算領域Cに配置された活物質の粒子モデルの含有量が配合比(wt.%)に到達した場合(ステップS512Yes)、第2モデル化部17Cは、活物質の粒子モデルおよび導電助剤の粒子モデルにバルク抵抗を設定する(ステップS513)。
この結果、上記のステップS510から上記のステップS513までの第2の粒子設計により得られた活物質の粒子モデルおよび導電助剤の粒子モデルが極板モデルとしてシミュレーション部19へ出力される。
このように、第2の粒子設計によれば、導電助剤単独でモデル化されるので、結着剤や添加剤、希釈剤などはモデル化されない。このため、導電助剤以外の結着剤や添加剤、希釈剤などの抵抗値はシミュレーション計算に使用されない。
図1の説明に戻り、シミュレーション部19は、粒子設計部17により生成された極板モデルにグリッド分割による導電性の計算を実行する処理部である。
(3)シミュレーション処理
図10は、実施例1に係るシミュレーション処理の手順を示すフローチャートである。図10には、あくまで一例として、差分法により導電性を計算する場合のシミュレーション処理の手順が示されているが、これに限定されず、他のシミュレーション方法、例えば有限要素法により導電性を計算することとしてもかまわない。
図10に示すシミュレーション処理は、あくまで一例として、図5に示す第2モデル化処理により極板モデルの生成が終了した後であれば任意のタイミングでシミュレーションのリクエストをクライアント端末50から受け付けて開始することができる。なお、シミュレーションのリクエストは必ずしも受け付けずともかまわず、第2モデル化処理の終了後に自動的に開始することができるのは言うまでもない。
図10に示すように、シミュレーションのリクエストを受け付けた極板モデルでコーティング剤がモデリングされている場合(ステップS701Yes)、シミュレーション部19は、活物質の粒子モデルの径に基づいて計算領域を分割するメッシュサイズを設定する(ステップS702)。
例えば、シミュレーション部19は、活物質の粒子が粒子径の小さい順にソートされた場合に活物質の粒子全体のうちより下位の粒子径を持つ粒子が存在する割合が10%に対応する活物質の粒子径d10がメッシュサイズの設定に用いられる。あくまで一例として、所定数、例えば3つ以上のボクセルに粒子径d10の活物質の粒子が含まれるように計算領域のメッシュサイズが設定される。さらに、コーティング剤の形状が十分に再現できる程度のメッシュサイズ、例えば1.6μmが設定されることとしてもかまわない。
一方、シミュレーションのリクエストを受け付けた極板モデルで導電助剤の粒子モデルがモデリングされている場合(ステップS701No)、シミュレーション部19は、導電助剤の粒子モデルの径に基づいて計算領域を分割するメッシュサイズを設定する(ステップS703)。
例えば、シミュレーション部19は、導電助剤の粒子が粒子径の小さい順にソートされた場合に導電助剤の粒子全体のうちより下位の粒子径を持つ粒子が存在する割合が10%に対応する導電助剤の粒子径d10がメッシュサイズの設定に用いられる。あくまで一例として、所定数、例えば3つ以上のボクセルに粒子径d10の導電助剤の粒子が含まれるように計算領域のメッシュサイズが設定される。
その後、シミュレーション部19は、ステップS702またはステップS703で設定されたメッシュサイズにしたがって極板モデルを含む計算領域にメッシュ分割を行う(ステップS704)。
そして、シミュレーション部19は、ステップS704のメッシュ分割で得られた要素、例えばボクセルのうち計算領域の端面に位置する境界のボクセルに電位境界条件、例えば1Vと0Vを設定すると共に、境界のボクセル以外の各ボクセルに初期電位分布を設定する(ステップS705)。
続いて、シミュレーション部19は、各要素、すなわちボクセルで電位勾配を計算し(ステップS706)、ラプラス方程式に沿うように各ボクセルの電位分布を修正する(ステップS707)。
そして、所定の収束条件を満たすまで、例えば電位分布の修正量が所定値以下に収束するまで(ステップS708No)、シミュレーション部19は、上記のステップS707の処理を繰り返して実行する。
その後、所定の収束条件を満たす場合、例えば電位分布の修正量が所定値以下に収束した場合(ステップS708Yes)、シミュレーション部19は、計算領域の端面の電位差から導電性を算出する(ステップS709)。例えば、シミュレーション部19は、電位境界条件が設定された計算領域端面の電流密度平均値より導電率を算出する。
このようにステップS709で算出された極板の導電性は、クライアント端末50を始め、任意の出力先、例えば極板から測定された実測値との間で比較を行う検査プログラムへ出力することができる。このような検査プログラムでは、一例として、シミュレーションの計算値と実測値との差が所定の閾値を超えるか否かを判定し、差が閾値を超える場合、所定のアラート、例えば混練手順や乾燥条件の見直しを促すメッセージ等を出力することができる。
[効果の一側面]
上述してきたように、本実施例に係るサーバ装置10は、電池のスラリー塗布で作製される極板において、活物質以外の混合材、例えば導電助剤や結着剤、添加剤などを活物質の粒子モデルの周囲を被覆するコーティング剤としてモデル化する粒子設計機能を提供する。このような粒子設計機能によって、導電助剤の抵抗値のみならず、その他の結着剤や添加剤、希釈剤などの抵抗値もシミュレーション計算に用いることができる。したがって、本実施例に係るサーバ装置10によれば、シミュレーションの計算値を実測値に近似させる粒子設計並びにシミュレーションを実現できる。
図11は、極板における実測値およびシミュレーションの計算値の一例を示す図である。図11に示すグラフの縦軸は、抵抗値を指し、また、横軸は、導電助剤の添加量を指す。図11には、極板から測定された実測値が白丸のマークでプロットされている。さらに、図11には、活物質の粒子および導電助剤の粒子がモデル化された極板モデルから算出された旧シミュレーションの計算値(旧計算値)が斜線の網掛け状の丸印でプロットされている。さらに、図11には、導電助剤を始めとする活物質以外の混合材から作製されたスラリーが活物質の粒子モデルのコーティング剤としてモデル化された極板モデルから算出された新シミュレーションの計算値(新計算値)が黒丸のマークでプロットされている。図11に示すグラフによれば、旧計算値は、導電助剤の添加量が少なくなるほど実測値との乖離が大きいことが明らかである一方で、新計算値は、導電助剤の添加量の大小とは無関係に実測値との乖離が小さいことが明らかである。したがって、新シミュレーションは、旧シミュレーションよりも計算精度が向上していることも明らかである。
さらに、新シミュレーションは、活物質の粒子モデルの径に基づいて計算領域を分割して実行される。このため、結着剤とその中に分散する導電助剤を一つの相として扱ってシミュレーションを実行するので、現実的な領域分割数の範囲内で計算を行うことが可能になる。したがって、新シミュレーションは、計算時間の増大を抑制することが可能である。
以下、新シミュレーションが活用されるユースケースを例示する。
[ユースケース1]
例えば、新シミュレーションは、活物質粒子径の影響を評価するために用いることで、活物質粒子径の影響評価を旧シミュレーションよりも短時間かつ正確に行うことができる。図12A~図12Cは、活物質モデルの一例を示す図である。これら図12A~図12Cには、活物質の粒度分布の視認性を高める側面から、活物質の粒子モデルが抜粋して示されている。ここで、図12A~図12Cに示す活物質モデルの間では、活物質の体積率はいずれも同一である。その一方で、図12Aに示す活物質の平均粒子径は「大」であり、図12Bに示す活物質の平均粒子径は「中」であり、また、図12Cに示す活物質の平均粒子径は「小」である。図12A~図12Cに示す活物質モデルを含む極板モデルに新シミュレーションを適用した場合、次のような抵抗率が得られた。すなわち、抵抗率は、図12A~図12Cの順に100%、108%、98%となる。このような結果から、活物質の粒度は、導電助剤の投入量に比べて抵抗率への影響が小さいことがわかる。
[ユースケース2]
また、新シミュレーションは、活物質量および結着剤投入量の影響を評価するために用いることで、活物質量および結着剤投入量の影響評価を旧シミュレーションよりも短時間かつ正確に行うことができる。図13は、活物質量および結着剤投入量と電気伝導性との関係の一例を示す図である。図13に示すグラフの縦軸は、電気伝導性を指し、また、横軸は、結着剤の投入量を指す。図13には、活物質量が「多」である極板モデルから算出された新シミュレーションの計算値が菱形のマークでプロットされている。さらに、図13には、活物質量が「中」である極板モデルから算出された新シミュレーションの計算値が三角のマークでプロットされている。さらに、図13には、活物質量が「少」である極板モデルから算出された新シミュレーションの計算値が丸印でプロットされている。なお、いずれの極板モデルにおいても導電助剤の添加量は一定であることとする。図13に示すグラフによれば、活物質量の増加によって導電性が向上し、かつ結着剤投入量の増量によっても導電性が向上する効果があることが明らかである。
[ユースケース3]
また、新シミュレーションは、結着剤投入量および導電助剤添加量の影響を評価するために用いることで、結着剤投入量および導電助剤添加量の影響評価を旧シミュレーションよりも短時間かつ正確に行うことができる。図14は、結着剤投入量および導電助剤添加量と極板の抵抗率との関係の一例を示す図である。例えば、極板材料のうち導電助剤の含有量および結着剤の含有量が異なる配合比が列挙された配合比パターンごとに当該配合比パターンに対応する極板モデルに新シミュレーションを適用する。これによって、図14に示すように、結着剤および導電助剤の配合比パターン別の極板の抵抗率(新計算値)を得ることができる。このように、結着剤および導電助剤の配合比パターン別の極板の抵抗率を算出しておくことにより、極板設計で要求される抵抗率が定まれば、当該抵抗率を満たす結着剤および導電助剤の配合比パターンを速やかに検索することができる。
[ユースケース4]
上述の通り、新シミュレーションは、極板材料の配合比を最適化する材料設計に有効活用できる他、極板作製時における品質管理にも有効活用できる。図15A及び図15Bは、シミュレーションの計算値と実測値との関係の一例を示す図である。図15A及び図15Bに示すグラフの縦軸は、抵抗値を指し、また、横軸は、導電助剤の添加量を指す。図15A及び図15Bには、混合材から作製されたスラリーが活物質の粒子モデルのコーティング剤としてモデル化された極板モデルから算出された新シミュレーションの計算値がプロットされている。ここで、極板に含まれる活物質の能力が最大限に発揮された状態をシミュレーションする側面から、新シミュレーションに用いられる極板モデルは、分散性が良好である活物質モデルを有することとする。さらに、図15A及び図15Bには、極板モデルと同一の配合比で作製された極板から測定された実測値がプロットされている。これら図15A及び図15Bのうち、図15Aには、導電助剤Aが極板の作製に用いられる例が示される一方で、図15Bには、導電助剤Bが極板の作製に用いられる例が示されている。
ここで、図15A及び図15Bのいずれのグラフにおいても、新シミュレーションの計算値と実測値との間にギャップが生まれている。例えば、ギャップが生まれる一因として、極板の材料設計時あるいは製造段階で混練手順や乾燥条件がばらつくことによって活物質の分散性にもばらつきが生じる点が挙げられる。このような分散性の良否によって生じる導電性の差を評価する側面から、分散性が良好である活物質モデルを有する極板モデルと、凝集性が高い活物質モデルを有する極板モデルとの間で生じる新計算値の差を対比する。
図16A及び図16Bは、活物質モデルの一例を示す図である。図16Aには、分散性が良好である活物質モデルが示される一方で、図16Bには、凝集性が高い活物質モデルが示されている。このうち、図16Aに示す活物質モデルを有する極板モデルに新シミュレーションが行われたときの抵抗率を100%としたとき、図16Bに示す活物質モデルを有する極板モデルに新シミュレーションが行われたときの抵抗率は113%となる。
以上のように、図15A及び図15Bにおける新計算値と実測値の対比により、新シミュレーションの計算値と実測値との比較によって活物質の分散性の評価を実現できることが明らかである。さらに、図16A及び図16Bにおける抵抗率の対比から、分散性の良否が導電性に与える影響は大きいことが明らかである。それ故、活物質の分散性の評価をシミュレーションによって実現できることの技術的意義は大きいという結論が得られる。
さて、これまで開示の装置に関する実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では、本発明に含まれる他の実施例を説明する。
[極板の製造方法]
上記の実施例1で説明したCAEツールにより配合比等の材料設計が行われる極板は、あくまで一例として、次のように作製することができる。最初に材料を混練し、スラリーを作製する工程である。スラリーを作製する工程には、一例として、電池の作製で一般的に使用される混練機(プラネタリミキサー、遊星式撹拌・脱泡装置、薄膜旋回法等)を使用することができる。上記の実施例1で説明したCAEツールを用いて定められた配合比に対応する活物質、導電助剤、結着剤及び添加剤に希釈剤を投入しながら活物質、導電助剤、結着剤及び添加剤を混練してスラリー化し、スラリーを集電体に塗布する。塗布後、乾燥炉で極板乾燥を行う。乾燥後の極板について四探針の抵抗測定を行うことにより得られた実測値と、シミュレーション部19で得られた計算値とを比較することにより評価を行う。このとき、実測値と計算値との差が所定の閾値を超える場合、極板内に凝集が多発しており、分散性に問題がある可能性がある。このため、混練手順や乾燥条件の見直しをおこない、実測値と計算値との差が上記の閾値以内に近似するまで同作業を続ける。これによって、スラリー状の電極材料が得られる。
[電池の製造方法]
図17A及び図17Bに、上記のスラリー状の電極材料を用いて作製される電池の一例として、ラミネート型蓄電素子2を示した。図17Aは、ラミネート型蓄電素子2の外観図であり、図17Bは、当該蓄電素子2の内部構造の概略を示す分解斜視図である。ラミネート型蓄電素子2は、図17Aに示したように平板状の外観形状を有し、アルミラミネートフィルム211a、211bが扁平な矩形袋状に成形されてなる外装体211内に発電要素が密封されている。また、ここに示したラミネート型蓄電素子2では、矩形の外装体211の一辺213から正極端子板223および負極端子板233が外方に導出されている。
次に、図17Bを参照しつつラミネート型蓄電素子2の構造について説明する。なお、図17Bでは一部の部材や部位にハッチングを施し、他の部材や部位と区別しやすいようにしている。図17Bに示したように、外装体211は、互いに重ね合わせた矩形状の二枚のアルミラミネートフィルム(211a、211b)において図17B中網掛けのハッチングまたは点線の枠で示した周縁領域212が熱圧着法により溶着されて内部が密閉されたものである。
外装体211内には、シート状の正極板220とシート状の負極板230とがセパレータ240を介して積層されてなる電極体210が電解液とともに封入されている。正極板220は金属箔などからなるシート状の正極集電体221の一主面に正極活物質を含んだスラリー状の正極材料222を塗工して乾燥させたものである。正極集電体221には、正極端子板223が接続され、正極端子板223の一方の端部は外装体211の外側に露出し、他方の端部は正極集電体221の一部に超音波溶着などの方法によって接続されている。正極材料222は正極集電体221のセパレータ240と対面する側の面に塗工されている。なお、正極活物質は、ラミネート型蓄電素子2がリチウム一次電池であれば、二酸化マンガンなどを採用することができる。
負極板230は金属板や金属箔などからなるシート状の負極集電体231の一主面に負極活物質を含んだ負極材料232を配置したものである。負極集電体231は、正極集電体221と同様に、負極端子板233が接続され、その負極端子板233の一方の端部が外装体211の外側に露出している。負極材料232は、負極活物質を含んだスラリー状の材料を塗工して乾燥させたものであってもよいし、ラミネート型蓄電素子2がリチウム一次電池であれば、金属リチウムあるいはリチウム金属からなる負極活物質そのものであってもよい。そして、正極板220と負極板230の双方の電極材料同士(222-232)がセパレータ240を介して対面している。このように、一般的なラミネート型蓄電素子は、金属箔や金属板からなるシート状の集電体にスラリー状の電極材料が塗工された電極板を備えている。
[粒子設計プログラム]
また、上記の実施例で説明した各種の処理は、予め用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、図18を用いて、上記の実施例1と同様の機能を有する粒子設計プログラムを実行するコンピュータの一例について説明する。
図18は、コンピュータのハードウェア構成例を示す図である。図18に示すように、コンピュータ100は、操作部110aと、スピーカ110bと、カメラ110cと、ディスプレイ120と、通信部130とを有する。さらに、このコンピュータ100は、CPU150と、ROM160と、HDD170と、RAM180とを有する。これら110~180の各部はバス140を介して接続される。
HDD170には、図18に示すように、上記の実施例1で示した粒子設計部17と同様の機能を発揮する粒子設計プログラム170aが記憶される。図18には、HDD170に粒子設計プログラム170aが記憶される例を挙げたが、上記の実施例1で示したシミュレーション部19と同様の機能を発揮するシミュレーションプログラム、あるいは上記の実施例1で示した粒子設計部17及びシミュレーション部19と同様の機能を発揮するCAEプログラムが記憶されることとしてもかまわない。
このような環境の下、CPU150は、HDD170から粒子設計プログラム170aを読み出した上でRAM180へ展開する。この結果、粒子設計プログラム170aは、図18に示すように、粒子設計プロセス180aとして機能する。この粒子設計プロセス180aは、RAM180が有する記憶領域のうち粒子設計プロセス180aに割り当てられた領域にHDD170から読み出した各種データを展開し、この展開した各種データを用いて各種の処理を実行する。例えば、粒子設計プロセス180aが実行する処理の一例として、図3や図5、図10に示す処理などが含まれる。なお、CPU150では、必ずしも上記の実施例1で示した全ての処理部が動作せずともよく、実行対象とする処理に対応する処理部が仮想的に実現されればよい。
なお、図18では、あくまで一例として、粒子設計プログラム170aを粒子設計プロセス180aとして機能させる例を挙げたが、シミュレーションプログラムをシミュレーションプロセスとして機能させたり、あるいは設計支援プログラムを設計支援プロセスとして機能させたりすることができるのは言うまでもない。
なお、上記の粒子設計プログラム170aを始めとする各種のプログラムは、必ずしも最初からHDD170やROM160に記憶されておらずともかまわない。例えば、コンピュータ100に挿入されるフレキシブルディスク、いわゆるFD、CD-ROM、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」に粒子設計プログラム170aを記憶させる。そして、コンピュータ100がこれらの可搬用の物理媒体から粒子設計プログラム170aを取得して実行するようにしてもよい。また、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータ100に接続される他のコンピュータまたはサーバ装置などに粒子設計プログラム170aを記憶させておき、コンピュータ100がこれらから粒子設計プログラム170aを取得して実行するようにしてもよい。
1 CAEシステム
10 サーバ装置
11 通信インタフェイス
13 記憶部
13A SEM画像
15 制御部
17 粒子設計部
17A 配合比設定部
17B 第1モデル化部
17C 第2モデル化部
19 シミュレーション部
50 クライアント端末

Claims (12)

  1. 活物質の粒子径および前記粒子径の存在確率が対応付けられた粒子径分布にしたがって前記活物質の粒子径が設定された活物質の粒子モデルをシミュレーションの計算領域に配置し、
    前記活物質以外の混合材から作製されるスラリーの前記活物質に対する撥水性に基づいて、前記活物質および前記スラリーの間の界面の面積を決定し、
    前記界面の面積に対応する厚みで、前記活物質の粒子モデルを被覆するコーティング剤のモデルを分布させ、
    前記活物質の粒子モデルにバルク抵抗を設定するとともに、前記コーティング剤のモデルに前記スラリーの合成抵抗を設定する処理をコンピュータに実行させる粒子設計プログラム。
  2. 前記混合材は、導電助剤および結着剤を含むか、前記導電助剤、前記結着剤および添加剤を含むか、あるいは前記導電助剤、前記結着剤、前記添加剤および希釈剤を含むことを特徴とする請求項に記載の粒子設計プログラム。
  3. 前記決定する処理は、前記活物質の粒子の径に対する、前記混合材に含まれる導電助剤の粒子の径の比率が所定の閾値以下であることを条件に実行されることを特徴とする請求項1または2に記載の粒子設計プログラム。
  4. 前記撥水性に関するパラメータは、接触角及び/又は表面張力であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の粒子設計プログラム。
  5. 前記コーティング剤は、前記計算領域内の表面エネルギーの総和が最小となる形状にモデル化されることを特徴とする請求項1~のいずれか1つに記載の粒子設計プログラム。
  6. 前記混合材に含まれる導電助剤の粒子の径が前記活物質の粒子の径の1/20以下であることを特徴とする請求項1~のいずれか1つに記載の粒子設計プログラム。
  7. 前記コーティング剤は、前記計算領域における単位面積当たりの表面エネルギーが最小となる形状にモデル化されることを特徴とする請求項1~のいずれか1つに記載の粒子設計プログラム。
  8. 活物質の粒子径および前記粒子径の存在確率が対応付けられた粒子径分布にしたがって前記活物質の粒子径が設定された活物質の粒子モデルをシミュレーションの計算領域に配置し、
    前記活物質以外の混合材から作製されるスラリーの前記活物質に対する撥水性に基づいて、前記活物質および前記スラリーの間の界面の面積を決定し、
    前記界面の面積に対応する厚みで、前記活物質の粒子モデルを被覆するコーティング剤のモデルを分布させ、
    前記活物質の粒子モデルにバルク抵抗を設定するとともに、前記コーティング剤のモデルに前記スラリーの合成抵抗を設定し、
    前記活物質の粒子モデルおよび前記粒子モデルを被覆するコーティング剤のモデルを含む計算領域を分割して導電性を計算するシミュレーションを実行する処理をコンピュータに実行させる設計支援プログラム。
  9. 前記シミュレーションは、前記活物質の粒子モデルの径に基づいて前記計算領域を分割して実行されることを特徴とする請求項に記載の設計支援プログラム。
  10. 活物質および前記活物質以外の混合材の配合比を設定し、
    前記配合比に設定された活物質の含有量と、前記活物質の粒子径および前記粒子径の存在確率が対応付けられた粒子径分布とにしたがって前記活物質の粒子径が設定された活物質の粒子モデルをシミュレーションの計算領域に配置し、
    記混合材から作製されるスラリーの前記活物質に対する撥水性に基づいて、前記活物質および前記スラリーの間の界面の面積を決定し、
    前記配合比に設定された混合材の含有量に基づいて、前記活物質の粒子モデルを被覆するコーティング剤のモデルを前記界面の面積に対応する厚みで分布させ、
    前記活物質の粒子モデルにバルク抵抗を設定するとともに、前記コーティング剤のモデルに前記スラリーの合成抵抗を設定し、
    前記活物質の粒子モデルおよび前記粒子モデルを被覆するコーティング剤のモデルを含む計算領域を分割して導電性を計算するシミュレーションを実行し、
    前記シミュレーションの計算値と、前記配合比で作製された極板から前記導電性が測定された実測値との差が所定の閾値以内であるか否かを判定する処理をコンピュータが実行する検査方法。
  11. 活物質および前記活物質以外の混合材を混練してスラリー化する工程と、
    前記活物質および前記混合材がスラリー化されたスラリーを集電体に塗布する工程と、
    前記集電体にスラリーが塗布された極板を乾燥させる工程と、
    前記活物質および前記活物質以外の混合材の配合比を設定し、前記配合比に設定された活物質の含有量と、前記活物質の粒子径および前記粒子径の存在確率が対応付けられた粒子径分布とにしたがって前記活物質の粒子径が設定された活物質の粒子モデルをシミュレーションの計算領域に配置し、前記混合材から作製されるスラリーの前記活物質に対する撥水性に基づいて、前記活物質および前記スラリーの間の界面の面積を決定し、前記配合比に設定された混合材の含有量に基づいて、前記活物質の粒子モデルを被覆するコーティング剤のモデルを前記界面の面積に対応する厚みで分布させ、前記活物質の粒子モデルにバルク抵抗を設定するとともに、前記コーティング剤のモデルに前記スラリーの合成抵抗を設定し、前記活物質の粒子モデルおよび前記粒子モデルを被覆するコーティング剤のモデルをモデル化した極板モデルを含む計算領域を分割して導電性を計算するシミュレーションを実行し、前記シミュレーションにより得られる計算値と、乾燥後の極板から導電性が測定された実測値との差が所定の閾値以内に収まるまでスラリー化、塗布および乾燥の各工程を繰り返す工程とを含むことを特徴とする極板の製造方法。
  12. 請求項11に記載の極板の製造方法において、
    前記極板は、正極板及び負極板を含み、
    前記正極板及び前記負極板をセパレータを介して積層する工程と、
    前記正極板及び前記負極板が前記セパレータを介して積層された電極体を電解液と共に封入する工程とをさらに含むことを特徴とする極板の製造方法
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