JP2014041805A - 電池解析装置及び電池解析方法 - Google Patents

電池解析装置及び電池解析方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014041805A
JP2014041805A JP2012255168A JP2012255168A JP2014041805A JP 2014041805 A JP2014041805 A JP 2014041805A JP 2012255168 A JP2012255168 A JP 2012255168A JP 2012255168 A JP2012255168 A JP 2012255168A JP 2014041805 A JP2014041805 A JP 2014041805A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
battery
active material
electrolyte
data
analysis method
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012255168A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroki Hayamizu
弘樹 速水
Hidesato Kanamori
英里 金森
Tomohiro Kawai
友博 川井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2012255168A priority Critical patent/JP2014041805A/ja
Publication of JP2014041805A publication Critical patent/JP2014041805A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Secondary Cells (AREA)

Abstract

【課題】活物質に導電助剤を含有するリチウムイオン二次電池の挙動を実情に則して解析する。
【解決手段】極の活物質粒子間の隙間にある相の電解質が導電助剤による電子が移動可能なパスを有すると仮定して、導電助剤を含有する極における電子及びリチウムイオンの移動を算出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池内部の電気化学的状態を解析する装置及び方法、並びにそれを用いた電池のシミュレーション方法及び製造方法に関する。
リチウムイオン電池の性能を予測する電気化学シミュレーション技術において、多孔質電極における導電経路のモデル化として、リチウムイオン電池を構成する各要素(集電板、負極、正極、セパレータ、電解液、導電助剤、バインダーなど)を1次元にモデル化したものがよく用いられてきた。例えば、非特許文献1にそのモデル化の例が示されている。この一次元モデルでは、セパレータを除いた電池の要素は導通が取れるものとして仮定した計算がなされていた。電極は厚み方向の1次元で近似されており、活物質粒子等、電池を構成する部材の立体的な配置に起因する電流分布、電位分布、リチウム濃度分布などによる電池性能への影響を解析することができなかった。
そこで、リチウムイオン電池を構成する各要素の構造について、2次元や3次元で形状を作成し、この作成した空間をメッシュによって分割し、支配方程式を有限要素法などで離散化してシミュレーションする技術が開発されている。例えば、非特許文献2でそのモデル化の例が示されている。この非特許文献2で取り扱うリチウムイオン電池は、負極をリチウム金属、正極をLi1+xMn2O4、電解液にポリマー電解液を用い、セパレータは使用していない。所謂リチウムポリマー二次電池である。このような二次元又は三次元モデルでは、モデルの一部に導電パスが途切れて絶縁された箇所が生じうる。
ところで、正極の活物質に用いられるLi1+xMn2O4などのリチウム含有酸化遷移金属は一般に、集電体に用いられる金属よりも電気伝導率が著しく低い。例えば、ニッケルの電気伝導率が1.25×105S/cmであるのに対して、Li1+xMn2O4は5.56×10-2S/cmである。このため、正極板において電子の移動経路が正極活物質のみとすると大きな過電圧を生じることとなる。これを解決するため、電極の中に活物質やバインダーとともにカーボンなどの導電助剤を僅かに加えることで、導電助剤を通して電子を移動させて正極活物質に電子を供給する工夫を行っている(例えば特許文献1、2)。
特開2008−147024号公報 特開2007−311057号公報
Thomas F. Fuller, Marc Doyle, and John Newman, J.Electrochem.Soc., 141.1.(1994) Chia-Wei Wanga, and Ann Marie Sastry,J.Electrochem.Soc.,154.11.A1035-A1047(2007)
しかしながら、非特許文献2に示されているシミュレーション方法では、導電助剤に関するモデル化は行われていない。このため、非特許文献2の方法をそのままに導電助剤が入っている正極に適用しようとしても、導電助剤の間やその中を電子が移動できない物理モデルとなってしまう。一方で、Li1+xMn2O4の電気伝導率は導電助剤の電気伝導率よりも著しく小さいにもかかわらず、正極の粒子同士を結合して、粒子間を電子とLiイオンの両方が移動できるという、現実の現象とは異なる物理モデルとなっている。
また仮に、正極活物質のみが電子を移動させるとすると、正極活物質同士が接触していない、すなわち、導電パスが途切れている箇所にある正極活物質の粒子では、電子が移動できない以上、リチウムイオンの電荷移動反応が行われないということになってしまう。このような場合、導電助剤を介して電子が移動するように導電助剤の形状を作成すれば、活物質への電子の移動が可能になるが、導電助剤は活物質に比べて粒子径が小さく、典型的には1/100程度の大きさになるため、導電助剤の形状を解析対象として作成すると離散化において非常に多くのメッシュを作成しなければならないという問題がある。メッシュ数の制約から導電助剤をモデル化せずに正極の活物質内のみを電子が移動するモデル化を行う場合は、上記のように接触しておらず隔離された箇所にある正極活物質の粒子での反応が行われないということになり、現実の現象を正確に表現することが出来なかった。
これは正極活物質だけでなく、負極活物質に導電助剤の粒子が介在している場合でも同様に現実の現象を正確に表現することが出来なかった。
そこで本発明は、リチウムイオン二次電池の電極材料、電解質、又はそれらの両方に導電助剤を含ませる形態での内部構造を2次元あるいは3次元で形状作成して電池性能を予測するシミュレーションを行う場合において、離散化において導電助剤の形状を考慮する場合に問題となるメッシュ数の増大や、導電助剤を考慮しなかった場合に導電パスが切れてリチウムイオンの吸脱着が行われない孤立活物質粒子が生成される問題を解決し、適度なメッシュ数で電子が導電助剤を移動可能であることを踏まえたモデル化を行って、リチウムイオン二次電池の正極側の現象を、より現実に近づけて表現することで、正極側の現象をより的確に解析できるようにすることを目的とする。
本発明は、導電助剤の形状そのものを考慮して離散化して計算するのではなく、
導電助剤を含有する活物質粒子間の空隙における電子及びリチウムイオンの挙動を表現するにあたって、導電助剤が活物質粒子間の隙間に存在する電解質中に分散することで、孤立活物質粒子にも導電助剤によって電子の導通が取れると仮定した上で、電子及びリチウムイオンの移動を計算して電池全体の電流密度及び電位を算出することで、上記の課題を解決したのである。いわば、電解質を電気伝導体と仮定するものである。活物質粒子間に導電助剤があれば、導通が取れると仮定する方が現実の挙動に近くなる。このようにして孤立活物質を原則として全て電極反応可能な環境にあるとすることで、理論容量に準じた容量を算出可能な解析ができるようになる。
また、解析結果をより現実に近づけるには、電解質中におけるリチウムイオンの拡散や伝導が自由ではなく、導電助剤やバインダーによる抵抗を受けるものと仮定するとよい。この抵抗を解析に組み込む方法としては、例えば拡散係数に所定のパラメータを乗算する。
これらの仮定を全ての粒子について個別に適用して算出するとメッシュ数が膨大になり計算負荷が増大する。そこで、活物質粒子間の電解質の状態は、導電助剤とバインダーとが均一分散した、一体のポーラスメディア(ポーラスメディア)に電解質が含浸した状態を仮想すると、メッシュ数を抑えて算出できる。このポーラスメディアは、孔をリチウムイオンが通過できるが、その通過に抵抗がかかると仮定することで、リチウムイオンの拡散、伝導、又はそれらの両方も的確に表現できる。
なお、セパレータはポーラスメディア(多孔質体)であるが、上記の仮想的なポーラスメディアとは異なり、導電助剤による導通は当然に存在していない。
これらの要素を加味した、電荷移動反応速度、電解質での物質移動、活物質での物質移動、オームの法則、電解質中でのイオン伝導、電解質での電気的中性、固相間界面のポテンシャル差、集電体と電解質界面との境界条件、活物質とセパレータとの界面での境界条件、周期境界条件、についての連立偏微分方程式と境界条件を、有限要素法や有限体積法などの数値計算手法を用いて計算する。
その解析を行う電池解析装置は、上記の算出を行うための基礎データを記録する記憶装置とそれらを読み込むデータ読込手段とを有するか、それらを入力される入力手段を有するか、又はそれらの両方を有する。必要な基礎データは定数であったり、実験データからの算出値であったり、モデリングする条件値であったりする。
本発明により、導電助剤を含むリチウムイオン二次電池の放電性能を、従来よりも実際の現象に近づけて精度良く算出することができる。
正極側電解質が導電助剤を含む構造の模式図 正極側も負極側も導電助剤がない構造の模式図 ユニットの境界を示す模式図 本発明にかかる電池解析装置の例を示す概念図 本発明で実行する電池解析方法のフロー例図 実施例及び比較例における電位変遷の算出結果を示すグラフ
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、リチウムイオン二次電池の充放電性能を現実に近づけて予測可能にする解析方法、それをコンピュータに実行させるプログラム、及びその方法をプログラムとして実行するコンピュータである電池解析装置である。
その際に考慮する要素として、電池内でのリチウムイオンの活物質内及び電解質内での移動、活物質表面での電荷移動反応、電子の移動などの電気化学的現象を、これらを微分方程式等としてモデル化し初期値問題として数値積分することで、電池としての電流、電圧の時間推移を予測する。
本発明で挙動が予測可能となるリチウムイオン二次電池は、正極活物質及び負極活物質の少なくともいずれか、又はその両方とともに導電助剤を用いているものである。通常、正極活物質の電気伝導率が低いために正極の電解質に対して導電助剤を添加する場合が多いため、以下の説明でもその場合を主として説明する。ただし実際には、負極活物質に電気伝導率が小さいものが用いられる場合や、寿命特性を向上させる場合などにおいては負極に対しても導電助剤を添加するため、負極材についても導電助剤が添加されているのであれば、本発明の方法の対象となる。
なお、ここで導電助剤とは、正極又は負極の活物質の電気伝導率が低い場合に、集電体から離れた箇所にある活物質粒子や、集電体からの導電パスが途切れて電解質中に浮いているような活物質粒子にも、電子を伝導できるようにするために添加するもので、それぞれの極で電極反応を起こさないか、または実質的に無視できる程度の反応しか起こさない材料であって、抵抗率が十分に低く、活物質よりも粒子径が十分に小さいものである。具体的には、粒子状カーボン、カーボンファイバー、ナノホーンなどの炭素材料が有用であるがこれに限定されない。
本発明では、正極又は負極の少なくとも一方が、多孔質電極を用いる系を対象とする。一般には正極材は、Li1+XMn2O4などのリチウム含有酸化遷移金属である多孔質電極であり、正極活物質粒子間に電解質が介在している。一方。負極材はリチウム金属か又はグラファイトを用いるのが一般的であるが、電気伝導率が比較的低い材質による多孔質電極でも本発明を適用することは可能である。
本発明で対象とする系は、正極及び負極の集電体に金属板又は金属箔を想定するが、特に限定はされない。例えば、正極集電板にアルミニウム、負極集電板に銅を用いる系が挙げられる。また、正極活物質と負極活物質との間には、セパレータを挟んでいてもよい。用いるセパレータは、例えばポリオレフィン系多孔質膜などの一般的なセパレータを解析可能であるが、セパレータとしての機能を有するものであれば基本的には限定されない。
本発明の対象となるリチウムイオン二次電池の例として、正極側電解質が導電助剤を含む構造の模式図を図1に示す。左側が正極、右側が負極であり、両端はそれぞれ正極集電体21、負極集電体31である。正極活物質22と負極活物質32との間には、Liイオンを通過可能なセパレータ41が設けてある。正極活物質22の粒子間は導電助剤を含む電解質23aで満たされており、正極活物質同士が接触していない正極活物質の粒子(孤立活物質22a)に対しても、導電助剤を通して電子が導電するため、正極反応が起こりえる。一方、本発明の対象とならないリチウムイオン二次電池の例の模式図を図2に示す。正極活物質22の粒子間にある電解質23bは導電助剤を含んでいない。すなわち、正極側も負極側も導電助剤がなく、導電パスが途切れている孤立活物質22aまでは電流が流れない。この構造では導電助剤による影響を考慮する必要が無いため、本件発明が適用されない。
以下、本発明で解析に用いうる電気化学現象を表現する構成方程式を示す。これは代表的な例として示すもので、さらに別の現象を示すモデル式を加えても良い。あるいは、上記導電助剤を含む領域をポーラスメディアとして仮想してその電気伝導率を考慮しうるものであれば、以下に記載の現象に対するモデル式の代わりに、異なる表現の式やより詳細な挙動を表現可能な式を用いても良い。本発明の骨子は式の型にあるのではなく、電子導電を考慮する領域を従来の活物質粒子の存在する領域だけではなく、導電助剤を含む活物質粒子間の領域にも拡張するという手法にある。
本発明において電荷移動反応速度を算出する際には、下記式(数1)、(数2)及び(数3)を用いることができる。なお、(数1)はButler-Volmer式である。これらは後述する電流密度分布算出手段313に相当する。
αA,i、αC,iは移動係数、Fはファラデー定数、ji,2は活物質と電解質の界面の電気化学反応によって発生する電流密度、ii,2は活物質と電解質との間の交換電流密度、ηi,2は活物質iと電解質との間の電荷移動反応に対する表面過電圧を示し、添え字のiは1:負極活物質、2:電解質、3:正極活物質を表す。
Φiは活物質と電解質界面との活物質i表面での電位、Φ2は活物質と電解質界面との電解質の電位、Ui:電極iの開回路電位を示す(i=1は負極、i=3は正極)。
ci:活物質表面でのLiイオン濃度、c2:活物質表面での電解質のLiイオン濃度、ci max:Liイオンの最大インターカレーション濃度、c max:電解質で許容されるLiイオンの最大濃度、K:表面反応速度定数を示す。
本発明において電解質内での物質移動を解析する際には、下記式の(数4)で表される質量保存則を前提として、電解質中の移動種(カチオン(N+,2)とアニオン(N-,2))のモル流束の算出を下記式(数5)及び(数6)により行うことができる。この解析したモル流束の値は、電解質電位分布算出手段315で後述する(数9)に代入して用いる。また、電解質内イオン濃度分布算出手段317においては、モル流束の算出を前提として、下記式(数4)の微分方程式を解いて濃度cを算出する。
ciは移動種の濃度を示し、iが+のときはカチオン、iが−のときはアニオンを示す。cTは全濃度、c0は溶媒の濃度を示す。D2は電解質中のイオンの拡散係数、κ2は電解質のイオン伝導率、f±は活量係数を示す。cは塩(LiPF6)の濃度を示し、前記の活量係数はdlnf±/dlncとして濃度依存性を持つ定数として表される。そして、ν+は電解質が乖離したカチオンの数、ν-は電解質が乖離したアニオンの数、t0 +はカチオンの輸率、t0 -はアニオンの輸率、zはカチオンの価数、zはアニオンの価数を示す。
上記の従来、電解質相のみであると仮定されてきた、活物質粒子の間に存在する相を、電解質が存在する導電助剤を含むバインダーからなるポーラスメディアとして仮定する。この電解質は粒子間の隙間を満たしているものと仮定すると定義しやすい。具体的には、電解質を、導電助剤とバインダーとを含んだ導電性を持つポーラスメディアとして定義することで、電解質と導電助剤、バインダーを分けたモデル化や設定が不要になり、個々の導電助剤の粒子までメッシュ化することなく、ある程度の塊として捉えることができ、計算負荷を下げることができる。なお、セパレータが存在する場合は当然にそれもポーラスメディアとなるが、このポーラスメディアは導電助剤を含まない絶縁体であり、解析の際に代入する物性データや挙動が異なる。この仮定されるポーラスメディアではLiイオンの拡散やイオン伝導が可能ではあるが抵抗をもって阻害される。この阻害される要素を、拡散係数Dを補正する補正係数τ、イオン伝導率κ2を補正する補正係数τ’として数5及び数6に含ませる。この式に影響させる補正係数τやτ’自体の算出方法は空隙率を具体的に反映できることが好ましく、例えば、非特許文献1で電解質中の活物質を除いた空隙率εに対して用いられているτ=ε0.5、τ’=ε1.5に対して、活物質粒子間の空隙体積をa、この空隙から導電助剤とバインダーの体積を除いた空隙体積をbとしたときの空隙率をε=b/aとして適用してもよい。
本発明において活物質内のLiイオンなどの物質移動を解析する際には、質量保存則に従って電解質内のカチオンやアニオンなどの物質移動と同様に上記式(数4)で表される。また、活物質内部のLiイオンのモル流束N+,jは下記式(数7)で、活物質内部の電子のモル流速N-,jは、オームの法則と同等になり、下記式(数8)で算出される。これらは後述する活物質内イオン濃度分布算出手段316で算出を行う。
σjは活物質の電気伝導率を表す。j=1は正極を表し、通常、正極活物質+導電助剤およびバインダーからなるポーラスメディアを指す。j=2は負極を表し、通常、負極活物質+バインダーからなるポーラスメディアを表す。j=1の場合は、正極活物質+導電助剤およびバインダーからなるポーラスメディアに対して1つの電気伝導度を与えることもできるが、正極活物質と導電助剤およびバインダーからなるポーラスメディアとで、それぞれ異なる電気伝導率を与えることも出来る。このうち導電助剤およびバインダーからなるポーラスメディアの電気伝導率は、導電助剤とバインダーの電気伝導率と、活物質粒子間の空隙に占める導電助剤とバインダーの体積分率から求めても良い。
負極も正極同様に導電助剤を使う場合があり、負極活物質+導電助剤およびバインダーからなるポーラスメディアに対して1つの電気伝導度を与えることもできるが、負極活物質と導電助剤およびバインダーからなるポーラスメディアとで、それぞれ異なる電気伝導率を与えることも出来る。このうち導電助剤およびバインダーからなるポーラスメディアの電気伝導率は、導電助剤とバインダーの電気伝導率と、活物質粒子間の空隙に占める導電助剤とバインダーの体積分率から求めても良い。
本発明において、電解質中の電流は下記式(数9)で表すことができる。ziは移動種(カチオンとアニオン)の電荷数、Fはファラデー定数を示す。Niには上記式(数5)のN+と上記式(数6)のN-を用いる。この式は、電解質電位分布算出手段315で用いる。
本発明においても、電解質では電気的に中性になるよう、移動するカチオンとアニオンの電荷量が等しくなるようにする必要がある。その電解質での電気的中性は一般的な下記式(数10)で表すことができる。
本発明においても、集電体の電流密度と電位との関係はオームの法則による。式としては下記式(数11)のようになる。i=1は正極集電体、i=2は負極集電体を示す。
本発明において、活物質と集電体の固相界面での境界条件は導電である。その電位差は、接触抵抗Rcを考慮して下記式(数12)で求めると好ましい。Φiは電位、ji,i+1は固相間の電流密度を示し、i=1は正極集電体、i=2は正極活物質、i=3は負極活物質、i=4は負極集電体を示し、i=1とi=2の組合せとi=3とi=4の組合せのみ存在する。Rcは固相間の接触抵抗を示す。集電体と活物質間のLiイオンの移動は考えない。
本発明において使用する条件として、次のような境界条件がある。まず、集電体と電解質界面の境界条件については、その界面は電解質領域を導電性を持つポーラスメディアと仮定しているので導電とする。次に、活物質とセパレータとの境界条件については、両極ともに導電助剤の有無に関わらず、絶縁として取り扱う。さらに、算出するユニットは正極集電体から負極集電体まで到達する図3に示すような直方体型で、他のユニットと隣接することになる上下左右四面の断面I,II、III、IVのそれぞれについて、周期境界条件を与える。
これらの式及び境界条件に、用いる活物質の粒子径や電解質の濃度や挙動などの諸条件を代入し、有限要素法や有限体積法などの数値計算手法を用いて計算することで、本発明で対象とする導電助剤を含むリチウムイオン二次電池の充放電特性を、数値解析により得ることができる。
本発明にかかる電池解析方法の実行は、上記の式の算出に必要なデータを読み込み可能な電池解析装置によって行うとよい。その実施形態の例を図4に示す。基本的には一般的なコンピュータに、後述するプログラムを実行させることで電池解析装置300として使用可能である。プログラムを実行する際には、まず、外部記憶装置又は内部記憶装置(図示せず)である記憶装置304からデータ読込手段309によりデータを読み込むか、又は、キーボードやマウスなどの入力装置を介した入力手段301からデータを直接入力されて一時記憶(図示せず)に読み込む。読み込む、又は入力するデータとしては、電池解析用形状データ306,物性データ307、電池使用条件データ308が主要な要素となる。
このうち、電池解析用形状データ306とは、例えば上記ポーラスメディアの厚さや孔径等、両極活物質の粒径や厚さ、配置などであり、単純な値であってもよいし、それらの値を生成するための形状生成プログラム305に別途条件を入力して生成するものでもよい。例えば、MSC社製のNASTRAN(登録商標)のバルクデータなどの汎用のプリプロセッサーにより作成できるものであり、3次元ソリッド要素などで表現される。もちろん、節点、要素、要素プロパティ、材料プロパティなどで記述される利用可能なデータであれば、電池解析用形状データ306として形式は特に限定されない。物性データ307とは、導電助剤により導通が取れたと仮定する部分も含む活物質や電解質の電気伝導度、拡散係数、イオンの拡散や伝導の抵抗が存在すると仮定する場合にその抵抗を表す係数、電解質中のリチウムイオン濃度などが挙げられる。また、電池使用条件データ308とは、設定電流、設定時間などの、充放電の条件である。
電池解析装置300はこれらのデータを用いて、データ読込手段309や入力手段301とともに一連のプログラムである電池解析手段310を実行する。そのうちわけは、少なくとも電流密度分布算出手段313、活物質内電位分布算出手段314を含み、電解質電位分布算出手段315、活物質内イオン濃度分布算出手段316、電解質内イオン濃度分布算出手段317を併せて実行すると、微分方程式の解を収束させやすく好ましい。これらを実行するフロー例を図5に示す。ここで、イオンはリチウムイオンである。
まず(S100)、入力手段301からの入力又はデータ読込手段309により、電池解析用形状データ306の読み込み(S101)、物性データ307の読み込み(S102)、電池使用条件データ308の読み込み(S103)を行う。すなわち、この時点で解析すべきリチウムイオン二次電池の条件は決定している。これらは記載の都合上における仮の順序であり、各データの読み込み順番が前後しても構わない。
活物質内電位分布算出手段314及び活物質内イオン濃度分布算出手段316を実行するにあたっては、電池解析用形状データ306,物性データ307、電池使用条件データ308として読み込まれる、又は入力されるデータを、上記式(数7)及び(数8)に代入してモル流束N+,jとN-,jを求める。(数7)を上記式(数4)に代入してc+を求め、(数8)をオームの法則としてΦjを求める。また、固相界面の電位差は、(数12)を用いて算出する。
電解質電位分布算出手段315及び電解質内イオン濃度分布算出手段317を実行するにあたっては、電池解析用形状データ306,物性データ307、電池使用条件データ308として読み込まれる、又は入力されるデータを、上記式(数5)及び(数6)に代入してモル流束N+,2とN-,2とを求める。さらに上記式(数4)及び(数9)、(数10)を用いてc+、c-及びΦ2を求める(S114)。
電流密度分布算出手段313を実行するにあたっては(S111)、活物質内電位分布算出手段314と電解質電位分布算出手段315、活物質内イオン濃度分布算出手段316、電解質内イオン濃度分布算出手段317を用いて上記式(数1〜3)から活物質と電解質の界面に発生する電流密度分布jiを求め、電流密度を活物質表面で面積分した値が設定電流Iになるように、これら全ての偏微分方程式を連立して収束計算を行う。この際、(数11)および(数12)を考慮して得られる集電板の電位差がリチウムイオン電池の電圧となって求められる。
ここで、放電の完了として設定した終了電圧に到達していれば、すなわち、放電完了として設定した終了電圧未満であれば(S115)、ここで解析を終了してそこまでの各々の時点で算出した電位をまとめて出力する(S121)。終了電圧以上であれば、放電を続けるため、電流が流れて放電進行中の次の時点におけるLiイオンの濃度分布を算出するため、次のステップ(S111〜)を実行する。このように、単位時間の間に流れた電流によって変化した活物質内と電解質でのイオン濃度cを算出し、単位時間の経過をカウントしその分の電荷移動を次の代入データの前提として、次の電流密度分布算出手段313(S111)を実行する際に代入する。
上記の流れは放電を基本として記載したが、充電の一例として、流れる電流値Iから同様に電位の変遷を解析していき、充電終了電圧まで電圧が上昇したところで同様に終了するという計算も可能である。
なお、上記S121で出力する出力手段303とは、例えば電池解析装置300に接続されるディスプレイやプリンタなどである。実際には直接に出力手段303へ出力するのではなく、データ書込手段(図示せず)が算出された電位データを記憶装置304に一旦記録した後に、記憶装置304から電位データを読み出して出力されることとなる。
本発明について、実施例を挙げてより具体的に説明する。なお、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、上記仮定を考慮して計算できるのであれば、式が違っても本発明を実施できる。
上記の図4の構成を有する電池解析装置を用い、図5のフローに従って、図1の構成を有する、すなわち、導電助剤を正極側に含有する、リチウムイオン二次電池の定電流放電の際の電位の変化を解析した。
正極活物質、負極活物質、セパレータ、電解液、集電箔についてCADによって作成した形状データをメッシュに離散化し、下記材料の物性データを用いて、0.2Cの定電流放電を4.1V→3Vまで実施した。なお、1Cは電池の設計容量に対して設定電位差(4.1Vから3.0V)まで定電流で放電する際に、放電終了までに1時間を要する場合の電流値を示し、0.2Cとはその1/5の電流値での放電を行うことを意味する。
・負極活物質:グラファイト系活物質
・正極活物質:ニッケル・マンガン・コバルト複合化合物
・セパレータ:ポリオレフィン系多孔質膜
・電解液:有機溶媒系電解液
・集電箔:Cu(負極)、Al(正極)
・導電助剤:カーボン
このときの放電曲線を図6に示す。図6のSODはState of dischargeを表し、理論的に放電出来る時間(設計容量)を1.0として表す。実施例では孤立した活物質に対して導電助剤を通して電流が流れるため、設計した通りの容量が得られた。したがって、このポーラスメディアによる仮定によって、電池の設計に適合した挙動の解析ができることが示された。
比較例として、導電助剤を添加しない以外は実施例と同様の条件により解析を行った。すなわちこれは、導電助剤が介在するポーラスメディアとの仮定を行わないことを意味し、具体的には、上記の式のうち、τ及びτ’を1.0、すなわち考慮しない係数とし、孤立活物質粒子は導通が取れないものとした。
その結果を同じく図6に示す。孤立した活物質粒子への導電パスが失われるため、設計容量よりも容量が少なくなる結果となった。これは孤立活物質粒子への導通があるとの仮定を行わないことで、電池の設計に適合させることができなかったことが示された。
21 正極集電体
22 正極活物質
22a 孤立正極活物質粒子
23a 電解質(導電助剤あり)
23b 電解質(導電助剤なし)
31 負極集電体
32 負極活物質
41 セパレータ
300 コンピュータ(電池解析装置)
301 入力手段
304 記憶装置
305 形状生成プログラム
306 電池解析用形状データ
307 物性データ
308 電池使用条件データ
309 データ読込手段
310 電池解析手段
313 電流密度分布算出手段
314 活物質内電位分布算出手段
315 電解質電位分布算出手段
316 活物質内イオン濃度分布算出手段
317 電解質内イオン濃度分布算出手段

Claims (7)

  1. 正極と負極との少なくとも一方の活物質に導電助剤を添加したリチウムイオン二次電池の充放電挙動を解析する電池解析方法であって、
    導電助剤を含有する極の活物質粒子間に存在する電解質が導電助剤による電子伝導可能なパスを有し、当該極の孤立活物質粒子にも電子導通がとれると仮定して、
    解析する電池の寸法と形状とに関する電池解析用形状データと、用いる材料の上記の仮定に従う物性データと、充放電の電流値及び時間についての使用条件データとを、入力手段により入力され、又は読込手段により読み込み、
    電流密度分布を算出する電流密度分布算出手段と、活物質内の電位分布を算出する活物質内電位分布算出手段とを実行して、
    孤立活物質粒子についても電子導通が取れてリチウムイオンによる電極反応を起こさせることを特徴とする、電池解析方法。
  2. 上記電解質中におけるリチウムイオンの拡散が抵抗を受けると仮定して上記の解析を行う、請求項1に記載の電池解析方法。
  3. 上記電解質中におけるリチウムイオンの伝導が抵抗を受けると仮定して上記の解析を行う、請求項1または2に記載の電池解析方法。
  4. 上記電解質中におけるリチウムイオンの拡散および伝導が抵抗を受けると仮定して上記の解析を行う、請求項1または2に記載の電池解析方法。
  5. 電解質の電位分布を算出する電解質電位分布算出手段と、
    電解質内のイオン濃度を算出するための電解質内イオン濃度分布算出手段と、
    活物質内のイオン濃度を算出するための活物質内イオン濃度分布算出手段と
    を備えた請求項1から4のいずれかに記載の電池解析方法。
  6. 上記仮定を前提として、
    上記電池解析用形状データと、上記物性データと、上記使用条件データとからなるデータ群の少なくとも一部を、入力されることが可能な入力手段、上記データ群の少なくとも一部を記憶する記憶装置及びそれを読み込むデータ読込手段、又はこれらの両方を有し、
    それらのデータを元に、上記電流密度分布算出手段と、上記活物質内電位分布算出手段とを実行することで
    請求項1から5のいずれかに記載の電池解析方法を実施する電池解析装置。
  7. 請求項1から5のいずれかに記載の電池解析方法に基づいて、コンピュータに
    解析する電池の寸法と形状とに関する電池解析用形状データと、用いる材料の上記仮定に従う物性データと、充放電の電流値及び時間についての使用条件データとについて、これらを読み込む読込手段を実行させ、又は入力手段から入力され、
    上記電流密度分布算出手段、及び
    上記活物質内電位分布算出手段を実行させて、リチウムイオン電池の充放電時の挙動を解析させるプログラム。
JP2012255168A 2012-07-26 2012-11-21 電池解析装置及び電池解析方法 Pending JP2014041805A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012255168A JP2014041805A (ja) 2012-07-26 2012-11-21 電池解析装置及び電池解析方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012166004 2012-07-26
JP2012166004 2012-07-26
JP2012255168A JP2014041805A (ja) 2012-07-26 2012-11-21 電池解析装置及び電池解析方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014041805A true JP2014041805A (ja) 2014-03-06

Family

ID=50393894

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012255168A Pending JP2014041805A (ja) 2012-07-26 2012-11-21 電池解析装置及び電池解析方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014041805A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016058255A (ja) * 2014-09-10 2016-04-21 トヨタ自動車株式会社 電池システム
JP2020184419A (ja) * 2019-04-26 2020-11-12 Fdk株式会社 粒子設計プログラム、設計支援プログラム、検査方法、極板の製造方法および蓄電素子の製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016058255A (ja) * 2014-09-10 2016-04-21 トヨタ自動車株式会社 電池システム
JP2020184419A (ja) * 2019-04-26 2020-11-12 Fdk株式会社 粒子設計プログラム、設計支援プログラム、検査方法、極板の製造方法および蓄電素子の製造方法
JP7291531B2 (ja) 2019-04-26 2023-06-15 Fdk株式会社 粒子設計プログラム、設計支援プログラム、検査方法および極板の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Stephenson et al. Modeling of particle-particle interactions in porous cathodes for lithium-ion batteries
Hutzenlaub et al. Three-dimensional electrochemical Li-ion battery modelling featuring a focused ion-beam/scanning electron microscopy based three-phase reconstruction of a LiCoO2 cathode
Torchio et al. Lionsimba: a matlab framework based on a finite volume model suitable for li-ion battery design, simulation, and control
Dash et al. Retracted article: Theoretical limits of energy density in silicon-carbon composite anode based lithium ion batteries
Zielke et al. A combination of x‐ray tomography and carbon binder modeling: reconstructing the three phases of LiCoO2 Li‐ion battery cathodes
Chen et al. Probing the role of electrode microstructure in the lithium-ion battery thermal behavior
Zhang et al. Two-dimensional GeP 3 as a high capacity electrode material for Li-ion batteries
Martínez-Rosas et al. Modeling and simulation of lithium-ion batteries
Abraham et al. Modeling the impedance versus voltage characteristics of LiNi0. 8Co0. 15Al0. 05O2
Mistry et al. Analysis of long-range interaction in lithium-ion battery electrodes
Golmon et al. Multiscale design optimization of lithium ion batteries using adjoint sensitivity analysis
Kosch et al. A computationally efficient multi-scale model for lithium-ion cells
Chandrasekaran Quantification of contributions to the cell overpotential during galvanostatic discharge of a lithium-ion cell
Trembacki et al. Mesoscale electrochemical performance simulation of 3D interpenetrating lithium-ion battery electrodes
JP6001823B2 (ja) 二次電池のシミュレーション装置
KR102636362B1 (ko) 배터리 상태 추정 방법 및 장치
Moyles et al. Asymptotic reduction of a porous electrode model for lithium-ion batteries
Ferrese et al. Modeling lithium movement over multiple cycles in a lithium-metal battery
Moye et al. A design-based predictive model for lithium-ion capacitors
Pereira et al. A Mechano-Electrochemical battery model that accounts for preferential lithiation inside blended silicon graphite (Si/C) anodes
JP2014041805A (ja) 電池解析装置及び電池解析方法
JP2014041816A (ja) 電池解析装置及び電池解析方法
Esfahanian et al. An efficient thermal-electrochemical simulation of lithium-ion battery using proper mathematical-physical CFD schemes
Bermejo et al. An implicit-explicit Runge-Kutta-Chebyshev finite element method for the nonlinear Lithium-ion battery equations
Zhou External pressure: An overlooked metric in evaluating next-generation battery performance