JP7291516B2 - 車体フロア構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、車体フロア構造体に関する。
自動車の車体軽量化を図るために車体フロア構造体の一部に樹脂部材を用いることがある。例えば、特許文献1には、複数の金属部材同士を接合した車体フロア構造体が記載されている。特許文献1に記載された車体フロア構造体においても、一部の金属部材を樹脂部材に置き換えて、金属部材と樹脂部材とを連結(接合)した構造とすることにより、車体フロア構造体の軽量化を図ることが可能であると考えられる。
ただし、特許文献1に記載の車体フロア構造体では、製品形状に応じた凸部が形成された金属部材と、凸部の周囲を覆うとともに凸部と接触するように配置された他の金属部材とが連結されている。そのため、特許文献1に記載の車体フロア構造体において、一部の金属部材を樹脂部材に置き換えることによって軽量化を図る場合、次のような課題が発生し得る。
米国特許出願公開第2013/0257103号明細書
樹脂部材の線膨張係数は金属部材の線膨張係数よりも大きい。そのため、使用環境の温度変化の影響を受けて車体フロア構造体が熱膨張した際、樹脂部材と金属部材との間には熱膨張差(熱膨張に伴う変形量の差)が生じる。前述したように、特許文献1の車体フロア構造体では、金属部材の凸部には他の金属部材が接触している。また、金属部材の凸部の周囲は他の金属部材により覆われている。そのため、凸部が形成された金属部材を樹脂部材に置き換えた場合、車体フロア構造体が熱膨張した際に樹脂部材と金属部材の熱膨張差により、樹脂部材の変形が阻害されて、樹脂部材と金属部材の連結部分に応力集中が生じる。車体フロア構造体は、樹脂部材の変形量が熱膨張差を吸収できない程度まで過剰に大きくなると、樹脂部材と金属部材の連結を保つことが難しくなる。その結果、樹脂部材と金属部材が剥離してしまう。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、金属部材と、金属部材に接合された樹脂部材とを備え、樹脂部材及び金属部材が熱膨張した際、樹脂部材と金属部材が剥離することを抑制できる車体フロア構造体を提供することを目的とする。
本発明は、車体に設置される車体フロア構造体であって、板状の樹脂部材と、樹脂部材の周囲を囲む金属部材と、を有する。樹脂部材は、金属部材と連結された連結部と、連結部よりも車体の上方側又は下方側に配置された頂面と、頂面と連結部とを繋ぐ壁部と、を有している。樹脂部材の壁部の全ては、金属部材から離間しており、樹脂部材は、連結部から突出した複数のリブを有する。
上記のように構成した車体フロア構造体は、樹脂部材及び金属部材が熱膨張した際、樹脂部材と金属部材が剥離することを抑制できる。
第1実施形態に係る車体フロア構造体を示す概観斜視図である。 第1実施形態に係る車体フロア構造体を簡略化して示す平面図である。 図2に示す矢印3A-3Aに沿う断面図である。 図2に示す矢印3B-3Bに沿う断面図である。 図3に示す破線部4Aを拡大して示す断面図である。 図3に示す破線部4Bを拡大して示す断面図である。 図1に示す破線部5Aを拡大して示す斜視図である。 図5Aに示す矢印5B-5Bに沿う断面図である。 第2実施形態に係る車体フロア構造体の断面図である。 第2実施形態に係る車体フロア構造体の断面図である。 第3実施形態に係る車体フロア構造体を示す概観斜視図である。 第3実施形態に係る車体フロア構造体の断面図である。 第4実施形態に係る車体フロア構造体を示す概観斜視図である。 第4実施形態に係る車体フロア構造体の断面図である。 第5実施形態に係る車体フロア構造体の樹脂部材の平面図である。
<第1実施形態>
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の第1実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
図1は、第1実施形態に係る車体フロア構造体10の概観斜視図である。図2は、第1実施形態に係る車体フロア構造体10を簡略化して示す平面図である。図3Aは、図2に示す矢印3A-3A線に沿う断面図(長手方向に沿う断面図)である。図3Bは、図2に示す矢印3B-3B線に沿う断面図(長手横方向に沿う断面図)である。図4A、図4Bは、図2に示す破線部4A、4B部分の拡大断面図である。図5Aは、図1に示す破線部5A部分の拡大斜視図である。図5Bは、図5Aに示す矢印5B-5B線に沿う断面図である。
本実施形態に係る車体フロア構造体10は、例えば、自動車の車体(図示省略)のフロアを構成する構成部材として用いることができる。
車体フロア構造体10は、図1、図2に示すように、板状の樹脂部材(以下、「樹脂部材」とも記載する)100と、樹脂部材100の周囲を囲む金属部材200と、を有している。
本明細書の説明では、車体フロア構造体10の長手方向を矢印X1-X2で示し、車体フロア構造体10の長手方向と交差する長手横方向を矢印Y1-Y2で示し、車体フロア構造体10の高さ方向を矢印Z1-Z2で示す。車体フロア構造体10の高さ方向は、車体の高さ方向(車体の上方及び下方)と同一方向を意味する。
(樹脂部材)
樹脂部材100は、図2、図3A、図3Bに示すように、金属部材200と連結された連結部110と、連結部110よりも車体の上方側(図3A、図3Bの上側)に配置された頂面130と、頂面130と連結部110とを繋ぐ壁部140と、を有している。樹脂部材100の壁部140の全ては、図3A、図3Bに示すように、金属部材200から離間している。つまり、頂面130の全周囲と連結部110を繋ぐ壁部140の全てが金属部材200から離間している。
図2に示すように、樹脂部材100の頂面130は、平面視において、長方形状を有している。樹脂部材100の長手方向(長辺に沿う方向)は、車体フロア構造体10の長手方向と同一方向である。樹脂部材100の長手横方向(短辺に沿う方向)は、車体フロア構造体10の長手横方向と同一方向である。
車体フロア構造体10は、例えば、車体フロア構造体10の長手方向が車体の長手方向と一致する向きで車体に設置することができる。このように車体フロア構造体10を車体に設置する場合、例えば、車体の前側に壁部140の前側(第1縦壁部140a側)を配置し、車体の後側に壁部140の後側(第2縦壁部140b側)を配置することができる。
樹脂部材100の壁部140は、頂面130の周囲を囲むように配置されている。壁部140は、頂面130の周囲の異なる位置にそれぞれ配置された第1縦壁部140aと、第2縦壁部140bと、第3縦壁部140cと、第4縦壁部140dと、を有している。
第1縦壁部140aと第2縦壁部140bは、頂面130を間に挟むようにして、車体フロア構造体10の長手方向で互いに対向した位置に配置されている。第3縦壁部140cと第4縦壁部140dは、頂面130を間に挟むようにして、車体フロア構造体10の長手横方向で互いに対向した位置に配置されている。
各縦壁部140a、140b、140c、140dは、図3A、図3Bに示すように、頂面130側に向けて傾斜している。
樹脂部材100の連結部110は、図2、図3A、図3Bに示すように、金属部材200側に延びた第1フランジ部120aと、第2フランジ部120bと、第3フランジ部120cと、第4フランジ部120dと、を有している。
図3Aに示すように、第1フランジ部120aは、第1縦壁部140aを介して頂面130と繋がっている。第2フランジ部120bは、第2縦壁部140bを介して頂面130と繋がっている。
図3Bに示すように、第3フランジ部120cは、第3縦壁部140cを介して頂面130と繋がっている。第4フランジ部120dは、第4縦壁部140dを介して頂面130と繋がっている。
図1、図3Aに示すように、連結部110の第1フランジ部120aと、連結部110の第2フランジ部120bには、各連結部110から高さ方向に突出したリブ150が設けられている。
リブ150は、各フランジ部120a、120bの面方向に沿って格子状のパターンで形成されている。リブ150は、各フランジ部120a、120bの剛性を補強する。リブ150は、例えば、樹脂部材100を成形により製造する場合、リブ150に相当する形状を賦形することで付加することができる。なお、リブ150の形状、大きさ、材質、配置等は特に限定されない。
樹脂部材100は、図4A、図4Bに示すように、熱可塑性の樹脂で構成された基材101と、基材101に含浸された樹脂製の強化繊維102により構成することができる。
基材101の材料は、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。
強化繊維102の材料は、特に限定されないが、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ポリアミド(PA)繊維、ポリプロピレン(PP)繊維、アクリル繊維等を用いることができる。強化繊維102に炭素繊維を使用する場合、炭素繊維はレギュラートゥでもよいし、ラージトゥでもよい。また、強化繊維は、リサイクル材や不織布を用いてもよい。
強化繊維としては、樹脂部材100の強度を向上させる観点より、不連続繊維を用いることが好ましい。樹脂部材100の製造において、不連続繊維は、ペレット状のものを溶解して使用してもよい。また、樹脂部材100は、連続繊維または不連続繊維と基材101を構成する樹脂とを攪拌機で混練し、混練された材料を一体成形して製造してもよい。
また、樹脂部材100の製造には、強化繊維102が含浸されたシート状の樹脂(中間基材)を用いてもよい。
図4A、図4Bに示すように、強化繊維102は、樹脂部材100の連結部110の外周側から樹脂部材100の壁部140に向かう方向及び壁部140の突出方向に沿って配向されている。つまり、強化繊維102は、図3A、図3B、図4A、図4Bに示す矢印A1方向に沿って繊維長の長手方向が配置されている。例えば、樹脂部材100の頂面130の中央から放射状に樹脂を射出成形したり、または樹脂部材100の頂面130の中央から放射状に半固形樹脂をプレス成型したりすることにより、強化繊維102の配向を上記で説明した方向に調整することができる。
(金属部材)
図1、図2に示すように、金属部材200は、樹脂部材100の周囲(長手方向及び長手横方向の4方向)を囲むようにそれぞれ配置された第1金属部材210と、第2金属部材220と、第3金属部材230と、第4金属部材240と、を有している。
第1金属部材210は、図5Aに示すように、樹脂部材100の第1フランジ部120aと連結されたフランジ部211a、212aを有している。
第1金属部材210のフランジ部211aは、図5Aに示すように、車体フロア構造体10の長手方向の位置で樹脂部材100の第1フランジ部120aと連結されている。第1金属部材210のフランジ部212aは、図5A、図5Bに示すように、車体フロア構造体10の長手横方向の位置で樹脂部材100の第1フランジ部120aと連結されている。
第1金属部材210は、図5Aに示すように、フランジ部211aに繋がるとともに車体の上方側に突出した壁部211bと、フランジ部212aに繋がるとともに車体の上方側に突出した壁部212bと、を有している。
図5A、図5Bに示すように、第1金属部材210の壁部212bと樹脂部材100の第1フランジ部120a(第1フランジ部120aの長手横方向側の端部)との間には隙間g1が設けられている。また、図5Aに示すように、第1金属部材210の壁部211bと樹脂部材100の第1フランジ部120a(第1フランジ部120aの長手方向側の端部)との間には隙間g2が設けられている。
第1金属部材210は、図5Bに示すように、壁部212bにより囲まれた空間部213aが形成された中空構造部213を有している。中空構造部213の車体の上方側(壁部211bが突出した側)及び下方側は樹脂部材100から露出している。つまり、中空構造部213の上面部213b及び下面部213cには樹脂部材100が配置されていない。
第2金属部材220は、図3Aに示すように、樹脂部材100の第2フランジ部120bと連結されたフランジ部221aを有している。
第3金属部材230は、図3Bに示すように、樹脂部材100の第3フランジ部120cと連結されたフランジ部231aを有している。
第4金属部材240は、図3Bに示すように、樹脂部材100の第4フランジ部120dと連結されたフランジ部241aを有している。
金属部材200の各フランジ部211a、212a、221a、231a、241aは粗面加工が施されている。そのため、各フランジ部211a、212a、221a、231a、241aには微小な凹凸部が形成されている。車体フロア構造体10は、各フランジ部211a、212a、221a、231a、241aに形成された凹凸部に対する樹脂部材100のアンカー効果によって金属部材200と樹脂部材100がより強固に連結されている。
金属部材200(各金属部材210、220、230、240)の材料は、特に限定されないが、例えば、鉄、アルミ、ステンレス等を用いることができる。なお、金属部材200は、一つの金属部材で構成してもよいし、接合された複数の金属部材で構成してもよい。
樹脂部材100は、一体成形により金属部材200に連結(接合)している。成形方法は、特に限定されないが、例えば、射出成形を採用することができる。射出成形により樹脂部材100と金属部材200を連結させる場合、金属部材200が配置された成形型内へ樹脂部材100を構成する樹脂材料を注入する。前述したように、中空構造部213の車体の上方側及び下方側は樹脂部材100から露出している(図5Bを参照)。そのため、射出成形を実施した際、中空構造部213の上方側及び下方側には樹脂材料が流し込まれない。したがって、成形型内に注入した樹脂材料の圧力により中空構造部213の断面形状が変形することを防止できる。また、半固形の樹脂に対してプレス加工を施す成形工法によっても、射出成形を実施する場合と同様に、中空構造部213の変形を抑制することができる。
本実施形態に係る車体フロア構造体10の一部は、樹脂部材100により構成されている。そのため、車体フロア構造体10の軽量化を図ることができる。また、樹脂部材100の壁部140は、図1、図3A、図3Bに示すように、樹脂部材100の周囲を囲むように配置された金属部材200から離間している。そのため、車体フロア構造体10は、使用環境の温度変化の影響を受けて樹脂部材100と金属部材200が熱膨張した際、樹脂部材100の壁部140が金属部材200と接触することを防止でき、樹脂部材100と金属部材200とが連結された連結部110に応力集中が生じることを抑制できる。したがって、樹脂部材100と金属部材200との間の熱膨張差に起因して、樹脂部材100と金属部材200が剥離することを抑制できる。
以上、本実施形態に係る車体フロア構造体10は、板状の樹脂部材100と、樹脂部材100の周囲を囲む金属部材200と、を有し、樹脂部材100は、金属部材200と連結された連結部110と、連結部110よりも車体の上方側に配置された頂面130と、頂面130と連結部110とを繋ぐ壁部140と、を有している。そして、樹脂部材100の壁部140の全ては、金属部材200から離間している。このように構成された車体フロア構造体10は、樹脂部材100及び金属部材200が熱膨張した際、樹脂部材100と金属部材200が剥離することを抑制できる。
また、本実施形態において、樹脂部材100の連結部110は、金属部材200側に延びた第1フランジ部120aを有している。金属部材200は、樹脂部材100の第1フランジ部120aと連結されたフランジ部211a、212aと、金属部材200のフランジ部211aに繋がるとともに車体の上方側に延びた壁部211bと、金属部材200のフランジ部212aに繋がるとともに車体の上方側に延びた壁部212bと、を有している。そして、樹脂部材100の第1フランジ部120aと金属部材200の壁部211bとの間には隙間g2が設けられており、樹脂部材100の第1フランジ部120aと金属部材200の壁部212bとの間には隙間g1が設けられている。このように構成した車体フロア構造体10は、樹脂部材100及び金属部材200が熱膨張した際、樹脂部材100の第1フランジ部120aと金属部材200の各壁部211b、212bとが干渉することを防止できる。そのため、樹脂部材100の連結部110に応力集中が生じることを抑制でき、樹脂部材100と金属部材200が剥離することをより一層効果的に抑制できる。
また、本実施形態において、金属部材200は、金属部材200の壁部221bにより囲まれた空間部213aが形成された中空構造部213を有している。中空構造部213の上方側及び下方側は樹脂部材100から露出している。そのため、樹脂部材100と金属部材200とを射出成形により連結した際、射出成形用の成形型内に注入した樹脂材料の圧力により中空構造部213の断面形状が変形することを防止できる。
また、本実施形態において、金属部材200の各フランジ部211a、212a、221a、231a、241aは粗面化されている。そのため、各フランジ部211a、212a、221a、231a、241aに形成された凹凸部に対する樹脂部材100のアンカー効果によって金属部材200と樹脂部材100とをより強固に連結することができる。したがって、金属部材200と樹脂部材100の剥離をより一層効果的に抑制することができる。また、樹脂部材100は一体成形により金属部材200に連結している。接着剤を使用して樹脂部材100と金属部材200とを連結した場合、樹脂部材100と金属部材200の熱膨張による変形量が接着剤の許容可能な変形量を超えると、樹脂部材100と金属部材200が容易に剥離してしまう。それに対して、車体フロア構造体10は、樹脂部材100が熱膨張した際、壁部140が変形して、樹脂部材100の全体の変形量を吸収することができる。したがって、車体フロア構造体10は、接着剤を使用して樹脂部材100と金属部材200を連結した場合と比較して、樹脂部材100と金属部材200の間の接合力を高めることができるとともに、熱膨張した際に樹脂部材100と金属部材200が剥離することをより一層効果的に抑制できる。また、ボルトやリベット等の締結具を使用して金属部材200と樹脂部材100とを連結する場合と比較して、短時間で連結することができ、かつ、部品点数を削減することもできる。
また、本実施形態において、樹脂部材100は、連結部110から突出した複数のリブ150を有する。樹脂部材100の連結部110にリブ150を設けることにより、連結部110の剛性を補強することができる。そのため、樹脂部材100は、熱膨張した際、連結部110よりも壁部140が変形し易くなる。したがって、樹脂部材100は、熱膨張した際に壁部140がより大きく変形することにより、連結部110に応力集中が生じることを防止できる。
また、本実施形態において、樹脂部材100は、熱可塑性の樹脂で構成された基材101と、基材101に含浸された樹脂製の強化繊維102と、を有している。そのため、車体フロア構造体10の軽量化とともに、車体フロア構造体10の強度を高めることができる。
また、強化繊維102は、樹脂部材100の連結部110の外周側から樹脂部材100の壁部140に向かう方向及び樹脂部材100の壁部140の突出方向に沿って配向されている。そのため、樹脂部材100は、強化繊維102が樹脂部材100の形状とは無関係にランダムに配向されているなど強化繊維102の配向を考慮しない場合でも強化繊維102による強度の向上を図ることができるが、このような構造と比較して、強化繊維102によって効果的に強度を補強することができる。
以下、本発明の第2~第5実施形態に係る車体フロア構造体を説明する。以下の各実施形態及の説明では、前述した第1実施形態で既に説明した部材等についての詳細な説明は省略する。また、以下の各実施形態の説明で特に説明がない内容については、前述した第1実施形態と同一のものとすることができる。
<第2実施形態>
図6A及び図6Bには、第2実施形態に係る車体フロア構造体10Aを示す。図6Aは、図3Aに対応する車体フロア構造体10Aの断面図を示しており、図6Bは図3Bに対応する車体フロア構造体10Aの断面図を示している。
図6A、図6Bに示すように、車体フロア構造体10Aは、樹脂部材100の壁部140において頂面130の長手方向側に位置する第1縦壁部140a及び第2縦壁部140bの突出高さ(車体の上方側への突出高さ)H1と、壁部140において頂面130の長手横方向側に位置する第3縦壁部140c及び第4縦壁部140dの突出高さH2とが異なる。具体的には、第1縦壁部140a及び第2縦壁部140bの突出高さH1は、第3縦壁部140c及び第4縦壁部140dの突出高さH2よりも大きい。
樹脂部材100が熱膨張した際、第1縦壁部140a及び第2縦壁部140bは、第3縦壁部140c及び第4縦壁部140dよりも大きく変形することができる。そのため、使用環境の温度変化の影響を受け易い樹脂部材100の長手方向側で樹脂部材100の変形をより多く吸収することができる。したがって、樹脂部材100の長手方向と長手横方向での熱膨張差による変形量の差を吸収することができ、車体フロア構造体10Aの残留応力の分布のばらつきを低減することができる。
<第3実施形態>
図7A及び図7Bには、第3実施形態に係る車体フロア構造体10Bを示す。図7Aは、車体フロア構造体10Bの概観斜視図であり、図7Bは図3Aに対応する車体フロア構造体10Bの断面図を示している。
図7A、図7Bに示すように、車体フロア構造体10Bが備える樹脂部材100の壁部140において頂面130の長手方向側に位置する第1縦壁部140aは、第1傾斜面161aと、第2傾斜面161bと、第1傾斜面161aと第2傾斜面161bとを繋ぐとともに頂面130と略平行に延びる接続面162aと、を有している。
また、車体フロア構造体10Bが備える樹脂部材100の第1縦壁部140aは、第2傾斜面161bから頂面130側に延びる接続面162bと、接続面162bから頂面130側に延びる第3傾斜面161cと、をさらに有している。
樹脂部材100の頂面130には、車体の上方側に突出する凸部170を設けている。凸部170は、例えば、車体に設置される座席の設置位置に対応した箇所に設けることができる。
第1縦壁部140aは階段状の断面を有している。そのため、樹脂部材100が熱膨張した際、第1縦壁部140aは、他の縦壁部140b、140c、140dよりもよりも容易に変形することができる。したがって、樹脂部材100の長手方向側で樹脂部材100の変形をより多く吸収することが可能になる。なお、前述した第2実施形態と同様に、第1縦壁部140aの突出高さH1を第3縦壁部140c及び第4縦壁部140dの突出高さH2(図6Bを参照)よりも大きくすることにより、樹脂部材100が熱膨張した際に第1縦壁部140aの変形をより一層誘導し易くなる。
本実施形態では、第1傾斜面161aは、第2傾斜面161bと比較して、車体の高さに沿う長さが大きい。また、第2傾斜面161bは、第3傾斜面161cと比較して、車体の高さに沿う長さが大きい。そのため、第1縦壁部140aは、頂面130側よりも連結部110(第1フランジ部120a)側がより変形し易い。したがって、頂面130の上方側に座席を設置する場合に、座席の設置位置のずれなどが生じることを防止できる。
<第4実施形態>
図8A及び図8Bには、第4実施形態に係る車体フロア構造体10Cを示す。図8Aは、車体フロア構造体10Cの概観斜視図であり、図8Bは図3Aに対応する車体フロア構造体10Cの断面図を示している。
車体フロア構造体10Cは、樹脂部材100の壁部140において頂面130の長手方向側で対向する第1縦壁部140aの突出高さH3と第2縦壁部140bの突出高さH4とが異なる。具体的には、車体の後側に配置される第1縦壁部140aの突出高さH3は、車体の前側に配置される第2縦壁部140bの突出高さH4よりも大きい。
車体フロア構造体10Cは、車体の前側に配置されるエンジン等から発生した熱の影響により樹脂部材100が熱膨張した際、車体の後側に配置された第2縦壁部140bよりも車体の前側に配置された第1縦壁部140aがより大きく変形する。そのため、エンジン等から離れた車体の後側での樹脂部材100の熱膨張を抑制することにより、車体の前側から発生した熱の影響で頂面130の形状が大きく変化することを抑制できる。したがって、車体に車体フロア構造体10Cを設置する際に頂面130の設置箇所の設計自由度が広がる。
<第5実施形態>
図9には、第5実施形態に係る車体フロア構造体10Dの樹脂部材100を示す。図9は、車体フロア構造体10Dの樹脂部材100の簡略化した平面図である。
車体フロア構造体10Dが備える樹脂部材100の頂面130には、平面視において、角部が湾曲した形状(つまりR状)に形成されている。図9に示すように、平面視上における長方形状の各角部に相当する部分131、132、133、133、134は湾曲した形状を有している。樹脂部材100は、頂面130に角部が湾曲した形状に形成されているため、壁部140(各縦壁部140a、140b、140c、140d)が変形した際、各部分131、132、133、134に応力集中が生じることを防止できる。
また、車体フロア構造体10Dが備える樹脂部材100の頂面130は、平面視において、樹脂部材100の連結部110よりも大きな面積を有する。樹脂部材100は、樹脂部材100の外周縁(連結部110の外周縁)111と壁部140との間の距離dをより小さくするために、平面視における頂面130の面積を大きくしている。樹脂部材100は、樹脂部材100の頂面130の面積よりも連結部110の面積も小さくすることにより、距離dをより小さく設計することができる。樹脂部材100が熱膨張した際、樹脂部材100の変形は、壁部140で吸収される。したがって、連結部110の面積を頂面130の面積よりも小さくして、距離dを小さくすることにより、樹脂部材100が熱膨張した際に連結部110に応力集中が発生することを抑制することができる。
本発明は、上述した各実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において種々改変することができる。
樹脂部材は、強化繊維を含まなくてもよい。また、樹脂部材は、熱硬化性樹脂材料のみで構成してもよい。
樹脂部材の頂面の配置(車体の上方側又は下方側の位置)や金属部材の中空構造の突出方向は、車体の下方側であってもよい。
各実施形態で説明した樹脂部材及び金属部材の形状(外形形状、断面形状)、配置、大きさ、寸法関係等は例示であり、図面等で説明した内容に限定されない。
各実施形態で説明した構成は、発明の効果が発揮される限り、一つの車体フロア構造体に組み合わせることが可能である。
10、10A、10B、10C、10D 車体フロア構造体、
100 樹脂部材、
101 基材、
102 強化繊維、
110 連結部、
120a 第1フランジ部(フランジ部)、
120b 第2フランジ部(フランジ部)、
120c 第3フランジ部(フランジ部)、
120d 第4フランジ部(フランジ部)、
130 頂面、
140 壁部、
140a 第1縦壁部、
140b 第2縦壁部、
140c 第3縦壁部、
140d 第4縦壁部、
150 リブ、
161a 第1傾斜面、
161b 第2傾斜面、
161c 第3傾斜面、
162a、162b 接続面、
170 凸部、
200 金属部材、
210 第1金属部材、
211a、212a フランジ部、
211b、212b 壁部、
213 中空構造部、
220 第2金属部材、
221a フランジ部、
230 第3金属部材、
231a フランジ部、
240 第4金属部材、
241a フランジ部、
g1、g2 隙間。

Claims (11)

  1. 車体に設置される車体フロア構造体であって、
    板状の樹脂部材と、
    前記樹脂部材の周囲を囲む金属部材と、を有し、
    前記樹脂部材は、前記金属部材と連結された連結部と、前記連結部よりも前記車体の上方側又は下方側に配置された頂面と、前記頂面と前記連結部とを繋ぐ壁部と、を有し、
    前記樹脂部材の前記壁部の全ては、前記金属部材から離間しており、
    前記樹脂部材は、前記連結部から突出した複数のリブを有する、車体フロア構造体。
  2. 車体に設置される車体フロア構造体であって、
    板状の樹脂部材と、
    前記樹脂部材の周囲を囲む金属部材と、を有し、
    前記樹脂部材は、前記金属部材と連結された連結部と、前記連結部よりも前記車体の上方側又は下方側に配置された頂面と、前記頂面と前記連結部とを繋ぐ壁部と、を有し、
    前記樹脂部材の前記壁部の全ては、前記金属部材から離間しており、
    前記壁部において前記頂面の長手方向側に位置する部分は、前記壁部において前記頂面の長手横方向側に位置する部分よりも、前記車体の上方側又は下方側に突出する突出高さが大きい車体フロア構造体。
  3. 車体に設置される車体フロア構造体であって、
    板状の樹脂部材と、
    前記樹脂部材の周囲を囲む金属部材と、を有し、
    前記樹脂部材は、前記金属部材と連結された連結部と、前記連結部よりも前記車体の上方側又は下方側に配置された頂面と、前記頂面と前記連結部とを繋ぐ壁部と、を有し、
    前記樹脂部材の前記壁部の全ては、前記金属部材から離間しており、
    前記樹脂部材の前記壁部において前記頂面の長手方向側に位置する部分は、第1傾斜面と、第2傾斜面と、前記第1傾斜面と前記第2傾斜面とを繋ぐとともに前記頂面と略平行に延びる接続面と、を有する車体フロア構造体。
  4. 車体に設置される車体フロア構造体であって、
    板状の樹脂部材と、
    前記樹脂部材の周囲を囲む金属部材と、を有し、
    前記樹脂部材は、前記金属部材と連結された連結部と、前記連結部よりも前記車体の上方側又は下方側に配置された頂面と、前記頂面と前記連結部とを繋ぐ壁部と、を有し、
    前記樹脂部材の前記壁部の全ては、前記金属部材から離間しており、
    前記樹脂部材の前記壁部において前記頂面の長手方向側に位置して互いに対向する第1縦壁部及び第2縦壁部の突出高さと、前記壁部において前記頂面の長手横方向側に位置して互いに対向する第3縦壁部及び第4縦壁部の突出高さとが異なる、車体フロア構造体。
  5. 前記樹脂部材の前記連結部は、前記金属部材側に延びたフランジ部を有し、
    前記金属部材は、前記樹脂部材の前記フランジ部と連結されたフランジ部と、前記金属部材の前記フランジ部に繋がるとともに前記車体の上方側又は下方側に延びた壁部と、を有し、
    前記樹脂部材の前記フランジ部と、前記金属部材の前記壁部との間には、隙間が設けられている、請求項1~4のいずれか1項に記載の車体フロア構造体。
  6. 前記金属部材は、前記金属部材の前記壁部により囲まれた空間部が形成された中空構造部を有し、
    前記中空構造部の前記車体の上方側及び下方側は前記樹脂部材から露出している、請求項に記載の車体フロア構造体。
  7. 前記樹脂部材は、熱可塑性の樹脂で構成された基材と、前記基材に含浸された樹脂製の強化繊維と、を有する請求項1~のいずれか1項に記載の車体フロア構造体。
  8. 前記強化繊維は、前記樹脂部材の前記連結部の外周側から前記樹脂部材の前記壁部に向かう方向及び前記樹脂部材の前記壁部の突出方向に沿って配向されている、請求項に記載の車体フロア構造体。
  9. 前記樹脂部材の前記頂面は、平面視において、角部が湾曲した形状に形成されている、請求項1~のいずれか1項に記載の車体フロア構造体。
  10. 前記樹脂部材の前記頂面は、平面視において、前記樹脂部材の前記連結部よりも大きな面積を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の車体フロア構造体。
  11. 前記樹脂部材は前記金属部材に連結されており、前記金属部材において前記樹脂部材と連結されたフランジ部は粗面化されている、請求項1~1のいずれか1項に記載の車体フロア構造体。
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