以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する各実施の形態は一例であり、本開示はこれらの実施の形態により限定されるものではない。
(実施の形態1)
[送信装置および受信装置の構成]
図1Aは、本開示の実施の形態1に係る送信装置1の構成の一例を示す図である。図1Bは、本開示の実施の形態1に係る受信装置2の構成の一例を示す図である。なお、以下の説明において、送信装置1および受信装置2の構成要素に用いる「・・・部」、「・・・器」という表記は、「・・・回路(circuitry)」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されてもよい。
図1Aに示す送信装置1は、例えば、デジタル送信処理部10と、D/A(Digital to Analog)変換処理部11と、NT個(NTは、1以上の整数)のアナログ送信処理部12(アナログ送信処理部12-1~アナログ送信処理部12-NT)と、参照周波数発振部13と、LO(Local Oscillator)周波数発振部14と、を有する。
アナログ送信処理部12-1~アナログ送信処理部12-NTは、同一の構成を有する。以下では、アナログ送信処理部12-1を例に挙げて説明する。アナログ送信処理部12-1は、例えば、移相器15と、送信ミクサ(MIX:Mixer)16と、パワーアンプ(PA)17と、アンテナ18と、を有する。
デジタル送信処理部10は、送信データに、例えば、符号化処理及び変調処理を含む所定のデジタル送信処理を施し、ベースバンドデジタル送信信号を生成し、D/A変換処理部11に出力する。
D/A変換処理部11は、ベースバンドデジタル送信信号をベースバンドアナログ送信信号に変換する。D/A変換処理部11は、ベースバンドアナログ送信信号を、アナログ送信処理部12-1~アナログ送信処理部12-NTへ出力する。
参照周波数発振部13は、局部発振信号fLO1の生成に用いる参照周波数信号fREF_LO1を生成し、LO周波数発振部14に出力する。
LO周波数発振部14は、参照周波数信号fREF_LO1に基づいて、局部発振信号fLO1を生成して送信ミクサ16へ出力する。
移相器15は、ベースバンドアナログ送信信号の位相を制御する。例えば、移相器15は、ベースバンドアナログ送信信号の位相を、送信装置1が形成するビームの方向に対応する位相へ制御する。移相器15は、位相制御後のベースバンドアナログ送信信号を送信ミクサ16に出力する。移相器15によって制御される位相の大きさは、例えば、図示しない制御部によって指示される。
なお、移相器15の構成および動作の一例については後述する。
送信ミクサ16は、局部発振信号fLO1に基づいて、位相制御後のベースバンドアナログ送信信号をRF周波数(無線周波数)にアップコンバートし、RF周波数にアップコンバートされたアナログ送信信号をパワーアンプ17に出力する。
パワーアンプ17は、RF周波数にアップコンバートされたアナログ送信信号の電力を増幅し、アンテナ18に出力する。
アンテナ18は、電力増幅後のアナログ送信信号を放射する。
アナログ送信処理部12-1~アナログ送信処理部12-NTのそれぞれが有する移相器15が、ベースバンドアナログ送信信号の位相を制御することによって、アナログ送信処理部12-1~アナログ送信処理部12-NTのそれぞれが有するアンテナ18から送信される信号(ビーム)の指向性が所望の方向に制御される。
図1Bに示す受信装置2は、例えば、NR個(NRは、1以上の整数)のアナログ受信処理部20(アナログ受信処理部20-1~アナログ受信処理部20-NR)と、A/D(Analog to Digital)変換処理部21と、デジタル受信処理部22と、参照周波数発振部23と、LO周波数発振部24と、を有する。
アナログ受信処理部20-1~アナログ受信処理部20-NRは、同一の構成を有する。以下では、アナログ受信処理部20-1を例に挙げて説明する。アナログ受信処理部20-1は、例えば、アンテナ25と、低雑音増幅器(LNA:Low Noise Amplifier)26と、受信ミクサ(MIX:Mixer)27と、移相器28と、を有する。
アンテナ25は、図示しない送信装置からRF周波数のアナログ受信信号を受信し、低雑音増幅器26へ出力する。
低雑音増幅器26は、受信したRF周波数のアナログ受信信号を増幅し、受信ミクサ27へ出力する。
参照周波数発振部23は、局部発振信号fLO2の生成に用いる参照周波数信号fREF_LO2を生成し、LO周波数発振部24に出力する。
LO周波数発振部24は、参照周波数信号fREF_LO2に基づいて、局部発振信号fLO2を生成して受信ミクサ27へ出力する。
受信ミクサ27は、局部発振信号fLO2に基づいて、RF周波数のアナログ受信信号をベースバンドアナログ受信信号に周波数変換し、移相器28に出力する。
移相器28は、ベースバンドアナログ受信信号の移相を制御する。例えば、移相器28は、ベースバンドアナログ受信信号の位相を、受信装置2が形成するビームの方向に対応する位相へ制御する。移相器28は、位相制御後のベースバンドアナログ受信信号をA/D変換処理部21に出力する。移相器28によって制御される位相は、例えば、図示しない制御部によって指示される。
A/D変換処理部21には、アナログ受信処理部20-1~アナログ受信処理部20-NRの移相器28において位相制御が施されたベースバンドアナログ受信信号が合成されたものが入力される。そして、A/D変換処理部21は、合成されたベースバンドアナログ受信信号をベースバンドデジタル受信信号に変換し、デジタル受信処理部22に出力する。なお、図1Bでは、アナログ受信処理部20-1~アナログ受信処理部20-NRの移相器28のそれぞれにおいて位相制御が施されたベースバンドアナログ受信信号の合成を1つのA/D変換処理部21によって行った。例えば、アナログ受信処理部20-1~アナログ受信処理部20-NRの移相器28のそれぞれにおいて位相制御が施された複数のベースバンドアナログ受信信号それぞれをベースバンドデジタル受信信号に変換する複数のA/D変換処理部21が備えられてもよい。そして、複数のA/D変換処理部21において変換されたベースバンドデジタル受信信号が、合成されてもよい。
デジタル受信処理部22は、ベースバンドデジタル受信信号に対して、例えば、復調処理及び復号処理等を含む所定のデジタル受信処理を行って受信データを生成し、出力する。
なお、図1Aに示す送信装置1および図1Bに示す受信装置2は、ダイレクトコンバージョンの構成を有する。本実施の形態1に係る送信装置1または受信装置2は、ミクサを1つ以上追加し、中間周波数(IF:Intermediate Frequency)での処理を用いる構成でもよい。
また、図1Aに示す送信装置1および図1Bに示す受信装置2が1つの通信装置に含まれる場合、参照周波数信号fREF_LO1、および、参照周波数信号fREF_LO2は、送信信号処理と受信信号処理とに共用されてもよい。あるいは、参照周波数発振部13及び参照周波数発振部23は、送信装置1及び受信装置2に共用されてもよいし、LO周波数発振部14及びLO周波数発振部24は、送信装置1及び受信装置2に共用されてもよい。
なお、図1Aの送信装置1では、移相器15がD/A変換処理部11と送信ミクサ16との間に設けられる例を示した。本開示はこれに限定されない。移相器15は、送信ミクサ16とパワーアンプ17との間に設けられてもよいし、LO周波数発振部14と送信ミクサ16との間に設けられてもよい。
なお、移相器15が、送信ミクサ16とパワーアンプ17との間に設けられる場合、移相器15は、RF周波数にアップコンバートされたアナログ送信信号の位相を制御する。
また、移相器15がLO周波数発振部14と送信ミクサ16との間に設けられる場合、移相器15は、局部発振信号fLO1の位相を制御する。局部発振信号fLO1の位相を制御することによって、送信ミクサ16において局部発振信号fLO1に基づいてアップコンバードされたアナログ送信信号の位相は、間接的に制御される。
また、図1Bの受信装置2では、移相器28が受信ミクサ27とA/D変換処理部21との間に設けられる例を示した。本開示はこれに限定されない。移相器28は、低雑音増幅器26と受信ミクサ27との間に設けられてもよいし、LO周波数発振部24と受信ミクサ27との間に設けられてもよい。
なお、移相器28が、低雑音増幅器26と受信ミクサ27との間に設けられる場合、移相器28は、RF周波数のアナログ受信信号の位相を制御する。
また、移相器28がLO周波数発振部24と受信ミクサ27との間に設けられる場合、移相器28は、局部発振信号fLO2の位相を制御する。局部発振信号fLO2の位相を制御することによって、受信ミクサ27において局部発振信号fLO2に基づいてダウンコンバードされたアナログ受信信号の位相は、間接的に制御される。
なお、移相器15及び/又は移相器28は、ゲイン制御の機能が追加された可変利得増幅器であってもよい。あるいは、移相器15及び/又は移相器28に、フィルタの機能及び/又はイコライザの機能が追加されてもよい。例えば、移相器15及び/又は移相器28の構成を変更することによって、ゲイン制御の機能、フィルタの機能およびイコライザの機能の少なくとも1つの機能を追加してもよい。あるいは、ゲイン制御の機能を追加する場合は可変増幅器を追加し、フィルタ機能を追加する場合はフィルタを追加し、イコライザ機能を追加する場合は、イコライザを追加してもよい。
[移相器100の構成と動作]
次に、図2を参照して、本実施の形態1に係る移相器100の構成の一例について説明する。以下に説明する移相器100は、図1Aの移相器15及び/又は図1Bの移相器28に相当する。
図2は、本実施の形態1に係る移相器100の構成の一例を示す図である。図2に示す移相器100は、例えば、TA(Transconductance Amplifier:トランスコンダクタンスアンプ:電圧電流変換回路)110-1と、TA110―2と、容量120-1と、容量120-2と、合成回路130と、を有する。
移相器100の入力端子TIN_I及び入力端子TIN_Qには、それぞれ、ベースバンドのアナログ信号VIN_I及びアナログ信号VIN_Qが入力される。そして、移相器100は、アナログ信号VIN_Iの位相を変化させた出力信号VOUTを出力端子TOUTから出力する。
アナログ信号VIN_I及びアナログ信号VIN_Qは、例えば、図示しないIQミクサ(IQ生成回路)によって変換された正相成分(In-phase:以下、I成分と称されてもよい)と、直交成分(Quadrature:以下、Q成分と称されてもよい)に対応する。アナログ信号VIN_Iとアナログ信号VIN_Qとの位相差は、例えば、90度である。なお、移相器100に入力されるアナログ信号VIN_Iとアナログ信号VIN_Qとは、それぞれ、入力信号VIN_Iと入力信号VIN_Qと称されてもよい。
なお、上述では、IQミクサが出力するI成分とQ成分の組み合わせが、入力信号に用いられる例を示した。例えば、IQミクサは、I,Q,IB(I成分に対する逆相成分),QB(Q成分に対する逆相成分)の4相の信号を出力するものでもよい。この場合、IとQ、IとQB、IBとQ、および、IBとQBの4つの組み合わせのうちのいずれかが、入力信号に用いられてもよい。移相器100に入力される2つの入力信号の位相差は、n×π/2となる(nは1以上の整数)。
なお、図2のTA110-1と容量120-1とを含み、入力信号VIN_Iに対して動作する系は、I系回路と称されてもよい。また、図2のTA110-2と容量120-2とを含み、入力信号VIN_Qに対して動作する系は、Q系回路と称されてもよい。
TA110-1は、I系回路の電圧電流変換回路であり、入力信号VIN_Iを電流(gm×VIN_I)に変換する。なお、gmは、TA110-1のトランスコンダクタンス(相互コンダクタンス)の値である。
容量120-1は、一方の端子がTA110-1の出力に接続され、他方の端子がGNDに接地される。容量120-1の容量値は、C1である。
TA110-2は、Q系回路の電圧電流変換回路であり、入力信号VIN_Qを電流(gm×VIN_Q)に変換する。なお、gmは、TA110-2のトランスコンダクタンス(相互コンダクタンス)の値である。
容量120-2は、一方の端子がTA110-2の出力に接続され、他方の端子がGNDに接地される。容量120-2の容量値は、C2である。
なお、容量120-1と容量120-2の少なくとも一方は、容量値の調整に対応する可変容量であってもよい。
合成回路130は、容量120-1と容量120-2のGNDと接続される端子と反対の端子の電位の和または差を算出し、出力端子TOUTから出力信号VOUTを出力する。出力信号VOUTは、出力電圧信号と称されてもよい。
移相器100の動作の一例を説明する。V
IN_I=sinωt、V
IN_Q=cosωtが移相器100に入力された場合、出力信号V
OUTは式(1)によって示される。なお、ωは、入力信号の角周波数であり、入力信号の周波数f
inを用いて、ω=2πf
inと表される。
ここで、入力信号V
IN_I=sinωtに対する出力信号V
OUTの位相のずれの大きさαは、式(2)によって示される。
式(2)により、出力信号VOUTの位相は容量の比によって決まることがわかる。なお、以下では、入力信号VIN_Iに対する出力信号VOUTの位相のずれの大きさαを、位相制御量と称されてもよい。
本実施の形態1における位相制御は、例えば、以下の理論に従って行われる。なお、この理論は、以降の実施の形態でも同じである。
移相器100のI系回路が入力信号V
IN_I=sinωtに対して振幅Aを与え、Q系回路が入力信号V
IN_Q=cosωtに対して振幅Bを与える場合、出力電圧信号V
OUTは式(3)によって示される。
ここで、A及びBは、実数又は複素数の値をとる。なお、Aは、I系回路の伝達関数によって表されてもよく、Bは、Q系回路の伝達関数によって表されてもよい。
そして、位相制御量αは、式(4)によって示される。
次に、移相器100の位相制御特性について説明する。図3は、本実施の形態1に係る移相器100の出力波形のシミュレーションの結果を示す図である。図3の横軸は時間を示し、縦軸は出力電圧を示す。図3のシミュレーションは、入力信号の周波数fin=1[GHz]、入力信号の電力Pin=-30[dBm]、gm=20[mS]、C1=50[fF]とし、C2=50[fF]又はC2=500[fF]の場合の結果である。図3は、C2=50[fF]又はC2=500[fF]に設定することによって、C1とC2の容量比を変化させた2種類の結果を示している。
図3では、容量比の違いに応じて、出力信号の位相が異なっていることが示される。図3より、移相器100は、C1とC2の容量比を変化させることによって、出力信号の位相を調整できる。
ここで、図3では、容量比の違いに応じて、振幅が異なっていることが示される。つまり、図3では、出力信号の位相を変化させた場合に、出力信号の振幅が変化することが示される。
移相器100の出力には、増幅器(例えば、図1Aのパワーアンプ17)が設けられることを想定している。移相器100の出力に設けられる増幅器が振幅を調整することによって、出力信号の位相の変化に応じて変化する出力信号の振幅が、補正されてもよい。増幅器には、可変利得増幅器を用いられてもよい。あるいは、増幅器には、出力信号の振幅がある閾値を超えた場合に、一定の出力レベルに調整するデジタルアンプが用いられてもよい。
以上のように、本実施の形態1では、2個の電圧電流変換回路(110-1、110-2)、2個の容量(容量120-1、120-2)、合成回路130を有する移相器100の構成について説明した。図2に示した構成では、2個の容量の容量値C1と容量値C2を制御することによって、位相の制御を実現することができる。
本実施の形態1に係る移相器100は、簡易な構成であり、信号経路に直列にスイッチが設けられないことによって、広帯域信号に対して高速に動作できる。
また、例えば、プロセス、電源電圧及び/又は温度のバラツキが大きいCMOSプロセスであっても、容量の比のバラツキは小さくできる。そのため、容量の比によって位相を制御する本実施の形態1の移相器100は、CMOSプロセスで製造した場合に、設計値からのバラツキの小さい位相制御を実現できる。これによって、例えば、設計値からのバラツキを調整するキャリブレーション回路を削減、または、簡易にすることができ、無線通信装置の小型化及び/又は消費電力の削減を達成できる。
(実施の形態2)
本実施の形態2では、実施の形態1において示した移相器100に対して電荷共有回路を設ける、連続時間(CT:Continuous Time)/離散時間(DT:Discrete Time)ハイブリッド型の移相器を示す。本実施の形態2における移相器は、容量比の制御に加えて、電荷共有回路に入力される制御信号によっても位相を制御できる。
[送信装置および受信装置の構成]
図4Aは、本開示の実施の形態2に係る送信装置3の構成の一例を示す図である。図4Bは、本開示の実施の形態2に係る受信装置4の構成の一例を示す図である。なお、以下の説明において、送信装置3および受信装置4の構成要素に用いる「・・・部」、「・・・器」という表記は、「・・・回路(circuitry)」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されてもよい。
図4Aに示す送信装置3は、例えば、デジタル送信処理部10と、D/A変換処理部11と、NT個(NTは、1以上の整数)のアナログ送信処理部32(アナログ送信処理部32-1~アナログ送信処理部32-NT)と、参照周波数発振部33と、LO周波数発振部14と、を有する。
アナログ送信処理部32-1~アナログ送信処理部32-NTは、同一の構成を有する。以下では、アナログ送信処理部32-1を例に挙げて説明する。アナログ送信処理部32-1は、移相器35と、送信ミクサ16と、パワーアンプ17と、アンテナ18と、を有する。
デジタル送信処理部10は、送信データに、例えば、符号化処理及び変調処理を含む所定のデジタル送信処理を施し、ベースバンドデジタル送信信号を生成し、D/A変換処理部11に出力する。
D/A変換処理部11は、ベースバンドデジタル送信信号をベースバンドアナログ送信信号に変換する。D/A変換処理部11は、ベースバンドアナログ送信信号を、アナログ送信処理部32-1~アナログ送信処理部32-NTへ出力する。
参照周波数発振部33は、移相器35に用いる参照周波数信号fREF1を生成し、移相器35に出力する。また、参照周波数発振部33は、局部発振信号fLO1の生成に用いる参照周波数信号fREF_LO1を生成し、LO周波数発振部14に出力する。移相器35に出力する参照周波数信号fREF1の周波数とLO周波数発振部14に出力する参照周波数信号fREF_LO1の周波数は、同じ周波数であってもよく、異なる周波数であってもよい。
LO周波数発振部14は、参照周波数信号fREF_LO1に基づいて、局部発振信号fLO1を生成して送信ミクサ16へ出力する。
移相器35は、参照周波数信号fREF1を使用し、ベースバンドアナログ送信信号の位相を制御する。例えば、移相器35は、ベースバンドアナログ送信信号の位相を、送信装置3が形成するビームの方向に対応する位相へ制御する。移相器35は、位相制御後のベースバンドアナログ送信信号を送信ミクサ16に出力する。移相器35によって制御される位相は、例えば、図示しない制御部によって指示される。
なお、移相器35の構成および動作については後述する。
送信ミクサ16は、局部発振信号fLO1に基づいて、位相制御後のベースバンドアナログ送信信号をRF周波数にアップコンバートし、RF周波数にアップコンバートされたアナログ送信信号をパワーアンプ17に出力する。
パワーアンプ17は、RF周波数にアップコンバートされたアナログ送信信号の電力を増幅し、アンテナ18に出力する。
アンテナ18は、電力増幅後のアナログ送信信号を放射する。
アナログ送信処理部32-1~アナログ送信処理部32-NTのそれぞれが有する移相器35が、ベースバンドアナログ送信信号の位相を制御することによって、アナログ送信処理部32-1~アナログ送信処理部32-NTのそれぞれが有するアンテナ18から送信される信号の指向性が所望の方向に制御される。
図4Bに示す受信装置4は、例えば、NR個(NRは、1以上の整数)のアナログ受信処理部40(アナログ受信処理部40-1~アナログ受信処理部40-NR)と、A/D変換処理部21と、デジタル受信処理部22と、参照周波数発振部43と、LO周波数発振部24と、を有する。
アナログ受信処理部40-1~アナログ受信処理部40-NRは、同一の構成を有する。以下では、アナログ受信処理部40-1を例に挙げて説明する。アナログ受信処理部40-1は、例えば、アンテナ25と、低雑音増幅器26と、受信ミクサ27と、移相器48と、を有する。
アンテナ25は、図示しない送信局からRF周波数のアナログ受信信号を受信し、低雑音増幅器26へ出力する。
低雑音増幅器26は、受信したRF周波数のアナログ受信信号を増幅し、受信ミクサ27へ出力する。
参照周波数発振部43は、移相器48に用いる参照周波数信号fREF2を生成し、移相器48に出力する。また、参照周波数発振部43は、局部発振信号fLO2の生成に用いる参照周波数信号fREF_LO2を生成し、LO周波数発振部24に出力する。移相器48に出力される参照周波数信号fREF2の周波数とLO周波数発振部24に出力される参照周波数信号fREF_LO2の周波数は同じ周波数でもよく、異なる周波数でもよい。
LO周波数発振部24は、参照周波数信号fREF_LO2に基づいて、局部発振信号fLO2を生成して受信ミクサ27へ出力する。
受信ミクサ27は、局部発振信号fLO2に基づいて、RF周波数のアナログ受信信号をベースバンドアナログ受信信号に周波数変換し、移相器48に出力する。
移相器48は、参照周波数信号fREF2を使用して、ベースバンドアナログ受信信号の位相を制御する。例えば、移相器48は、ベースバンドアナログ受信信号の位相を、受信装置4が形成するビームの方向に対応する位相へ制御する。移相器48は、位相制御後のベースバンドアナログ受信信号をA/D変換処理部21に出力する。移相器48によって制御される位相は、例えば、図示しない制御部によって指示される。
A/D変換処理部21は、アナログ受信処理部40-1~アナログ受信処理部40-NRの移相器48において位相制御が施されたベースバンドアナログ受信信号を合成する。そして、A/D変換処理部21は、合成したベースバンドアナログ受信信号をベースバンドデジタル受信信号に変換し、デジタル受信処理部22に出力する。
デジタル受信処理部22は、ベースバンドデジタル受信信号に対して、例えば、復調処理及び復号処理等を含む所定のデジタル受信処理を行って受信データを生成し、出力する。
なお、図4Aに示す送信装置3および図4Bに示す受信装置4は、ダイレクトコンバージョンの構成を有する。本実施の形態2に係る送信装置3または受信装置4は、ミクサを1つ以上追加し、中間周波数(IF:Intermediate Frequency)での処理を用いる構成でもよい。
また、図4Aに示す送信装置3および図4Bに示す受信装置4が1つの通信装置に含まれる場合、参照周波数信号fREF_LO1、参照周波数信号fREF_LO2、参照周波数信号fREF1、および参照周波数信号fREF2のいずれか2つ以上の信号は、送信信号処理と受信信号処理とに共用されてもよい。あるいは、参照周波数発振部33及び参照周波数発振部43は、送信装置3及び受信装置4に共用されてもよいし、LO周波数発振部14及びLO周波数発振部24は、送信装置3及び受信装置4に共用されてもよい。
なお、図4Aの送信装置3では、移相器35がD/A変換処理部11と送信ミクサ16との間に設けられる例を示した。本開示はこれに限定されない。移相器35は、送信ミクサ16とパワーアンプ17との間に設けられてもよいし、LO周波数発振部14と送信ミクサ16との間に設けられてもよい。
なお、移相器35が、送信ミクサ16とパワーアンプ17との間に設けられる場合、移相器35は、RF周波数にアップコンバートされたアナログ送信信号の位相を制御する。
また、移相器35がLO周波数発振部14と送信ミクサ16との間に設けられる場合、移相器35は、局部発振信号fLO1の位相を制御する。局部発振信号fLO1の位相を制御することによって、送信ミクサ16において局部発振信号fLO1に基づいてアップコンバードされたアナログ送信信号の位相は、間接的に制御される。
また、図4Bの受信装置4では、移相器48が受信ミクサ27とA/D変換処理部21との間に設けられる例を示した。本開示はこれに限定されない。移相器48は、低雑音増幅器26と受信ミクサ27との間に設けられてもよいし、LO周波数発振部24と受信ミクサ27との間に設けられてもよい。
なお、移相器48が、低雑音増幅器26と受信ミクサ27との間に設けられる場合、移相器48は、RF周波数のアナログ受信信号の位相を制御する。
また、移相器48がLO周波数発振部24と受信ミクサ27との間に設けられる場合、移相器48は、局部発振信号fLO2の位相を制御する。局部発振信号fLO2の位相を制御することによって、受信ミクサ27において局部発振信号fLO2に基づいてダウンコンバードされたアナログ受信信号の位相は、間接的に制御される。
なお、移相器35及び/又は移相器48は、ゲイン制御の機能が追加された可変利得増幅器であってもよい。あるいは、移相器35及び/又は移相器48に、フィルタの機能及び/又はイコライザの機能が追加されてもよい。例えば、移相器35及び/又は移相器48の構成を変更することによって、ゲイン制御の機能、フィルタの機能およびイコライザの機能の少なくとも1つの機能を追加してもよい。あるいは、ゲイン制御の機能を追加する場合は可変増幅器を追加し、フィルタ機能を追加する場合はフィルタを追加し、イコライザ機能を追加する場合は、イコライザを追加してもよい。
[移相器200の構成と動作]
次に、図5を参照して、本実施の形態2に係る移相器200の構成の一例について説明する。以下に説明する移相器200は、図4Aの移相器35及び/又は図4Bの移相器48に相当する。
図5は、本実施の形態2に係る移相器200の構成の一例を示す図である。図5に示す移相器200は、例えば、TA210-1と、TA210-2と、容量220-1と、容量220-2と、電荷共有回路230-1と、電荷共有回路230-2と、合成回路240と、クロック生成回路250-1と、クロック生成回路250-2と、を有する。
図5のTA210-1と、TA210-2と、容量220-1と、容量220-2と、合成回路240とは、それぞれ、図2のTA110-1と、TA110-2と、容量120-1と、容量120-2と、合成回路130と同様である。容量220-1の容量値及び容量220-2の容量値は、ぞれぞれ、CH1及びCH2である。
クロック生成回路250-1は、参照周波数発振部33(図4A参照)から出力される参照周波数信号fREF1又は参照周波数発振部43(図4B参照)から出力される参照周波数信号fREF2を用いて、制御信号CK1-1及び制御信号CK2-1を生成し、電荷共有回路230-1へ出力する。
クロック生成回路250-2は、参照周波数発振部33(図4A参照)から出力される参照周波数信号fREF1又は参照周波数発振部43(図4B参照)から出力される参照周波数信号fREF2を用いて、制御信号CK1-2及び制御信号CK2-2を生成し、電荷共有回路230-2へ出力する。
電荷共有回路230-1は、一方の端子がTA210-1の出力に接続され、他方の端子がGNDに接地される。電荷共有回路230-1には、クロック生成回路250-1によって生成される制御信号CK1-1及び制御信号CK2-1が入力される。なお、電荷共有回路230-1には、制御信号CK1-1及び制御信号CK2-1の一方が入力されてもよい。
電荷共有回路230-2は、一方の端子がTA210-2の出力に接続され、他方の端子がGNDに接地される。電荷共有回路230-2には、クロック生成回路250-2によって生成される制御信号CK1-2及び制御信号CK2-2が入力される。なお、電荷共有回路230-2には、制御信号CK1-2及び制御信号CK2-2の一方が入力されてもよい。
なお、図5のTA210-1と、容量220-1と、電荷共有回路230-1とを含み、入力される入力信号VIN_Iに対して動作する系は、I系回路と称されてもよい。また、図5のTA210-2と、容量220-2と、電荷共有回路230-2とを含み、入力される入力信号VIN_Qに対して動作する系は、Q系回路と称されてもよい。
また、電荷共有回路230-1と電荷共有回路230-2は、区別することなく、電荷共有回路230と称されてもよい。また、クロック生成回路250-1とクロック生成回路250-2は、区別することなく、クロック生成回路250と称されてもよい。なお、制御信号CK1-1と制御信号CK1-2は、区別することなく、制御信号CK1と称されてもよい。また、制御信号CK2-1と制御信号CK2-2は、区別することなく、制御信号CK2と称されてもよい。
次に、電荷共有回路230の例、及び、クロック生成回路250から出力される制御信号CK1と制御信号CK2の例について説明する。
図6Aは、本実施の形態2に係る電荷共有回路230を示すブロック図である。図6Aに示す電荷共有回路230は、例えば、接続端子A及び接続端子Bを有する。また、電荷共有回路230には、クロック生成回路250によって生成される制御信号CK1及び制御信号CK2が入力される。なお、制御信号は、クロックと称されてもよい。また、図6Aでは、制御信号CK1及び制御信号CK2が入力される電荷共有回路230を示すが、電荷共有回路230には、制御信号CK1及び制御信号CK2の一方が入力されてもよい。
図6Bは、図6Aに例示した電荷供給回路230に入力される制御信号の一例を示す図である。図6Bの横軸は時間を示し、縦軸は振幅を示す。制御信号CK1及び制御信号CK2のDUTY比(=パルス幅Ts/制御信号の周期TCK)は、1/2である。制御信号CK2は、制御信号CK1に対して、180度位相が異なる信号である。制御信号CK1及び制御信号CK2のクロック周波数fCK(fCK=1/TCK)は、参照周波数信号(fREF)の周波数と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
なお、以下の説明において、制御信号CK1が図6Bに示す「high」の値をとる時間を、制御信号CK1のハイ期間と称されてもよい。制御信号CK1が、図6Bに示す「low」の値をとる時間を、制御信号CK1のロー期間と称されてもよい。同様に、制御信号CK2の「high」の値をとる時間及び制御信号CK2の「low」の値をとる時間を、それぞれ、制御信号CK2のハイ期間及び制御信号CK2のロー期間と称されてもよい。
[電荷共有回路230の第1の例]
図7Aは、本開示の実施の形態2に係る電荷共有回路230の第1の例を示す図である。図7Aに示す電荷共有回路230aは、例えば、容量231aと、スイッチ232-1と、スイッチ232-2と、を有する。
容量231aは、容量値の調整に対応する可変容量である。容量231aの容量値は、CRである。
スイッチ232-1は、容量231aの一方の端子と端子Aとの間に設けられる。スイッチ232-2は、容量231aの他方の端子と端子Bとの間に設けられる。
スイッチ232-1とスイッチ232-2は、制御信号CK1によって、オンとオフとが制御される。例えば、スイッチ232-1とスイッチ232-2とは、制御信号CK1のハイ期間において、オン状態となり、ハイ期間以外の時間において、オフ状態となる。
なお、以下の説明においても、スイッチは、制御信号のハイ期間において、オン状態となり、ハイ期間以外の期間において、オフ状態となる。
例えば、スイッチ232-1は、制御信号CK1のハイ期間において、容量231aの一方の端子と端子Aとを接続する。スイッチ232-2は、制御信号CK1のハイ期間において、容量231aの他方の端子と端子Bとを接続する。制御信号CK1のハイ期間以外の期間では、スイッチ232-1及びスイッチ232-2はオフとなり、接続は開放される。
電荷共有回路230aでは、制御信号CK1のハイ期間において、容量231aが端子Aと端子Bに接続され、制御信号CK1のロー期間において、容量231aの接続が開放される。
次に、図5の電荷共有回路230-1及び電荷共有回路230-2のそれぞれに、図7Aに示す電荷共有回路230aを用いた場合の、図5に示す移相器200の動作例を説明する。
なお、電荷共有回路230-1に電荷共有回路230aを用いた場合、容量231aは容量231a-1と称され、電荷共有回路230-2に電荷共有回路230aを用いた場合、容量231aは、容量231a-2と称されてもよい。
制御信号CK1のハイ期間において、TA210-1から出力される出力電荷は、容量220-1と容量231a-1との両方に蓄積される。そして、制御信号CK1のロー期間において、TA210-1から出力される出力電荷は、容量220-1に蓄積される。
同様に、制御信号CK1のハイ期間において、TA210-2から出力される出力電荷は、容量220-2と容量231a-2との両方に蓄積される。そして、制御信号CK1のロー期間において、TA210-2から出力される出力電荷は、容量220-2に蓄積される。
[電荷共有回路230の第2の例]
図7Bは、本開示の実施の形態2に係る電荷共有回路230の第2の例を示す図である。図7Bに示す電荷共有回路230bは、例えば、容量231bと、スイッチ232-1~スイッチ232-4と、を有する。
容量231bは、容量値の調整に対応する可変容量である。容量231bの容量値は、CRである。
スイッチ232-1は、容量231bの一方の端子と端子Aとの間に設けられる。スイッチ232-2は、容量231bの他方の端子と端子Bとの間に設けられる。スイッチ232-3及びスイッチ232-4は、容量231bの一方の端子と他方の端子との間に設けられる。
スイッチ232-1とスイッチ232-2は、制御信号CK1によって、オンとオフとが制御される。スイッチ232-3とスイッチ232-4とは、制御信号CK2によって、オンとオフとが制御される。
例えば、スイッチ232-1は、制御信号CK1のハイ期間において、容量231の一方の端子と端子Aとを接続する。スイッチ232-2は、制御信号CK1のハイ期間において、容量231bの他方の端子と端子Bとを接続する。制御信号CK1のハイ期間以外の期間では、スイッチ232-1及びスイッチ232-2はオフとなり、接続は開放される。
例えば、スイッチ232-3及びスイッチ232-4は、制御信号CK2のハイ期間において、容量231bの一方の端子と他方の端子とを接続する。制御信号CK2のハイ期間以外の期間では、スイッチ232-3及びスイッチ232-4はオフとなり、接続は開放される。
なお、制御信号CK2のハイ期間において容量231bの一方の端子と他方の端子とを接続する構成であれば、例えば、スイッチ232-3とスイッチ232-4とのいずれか一方は省略されてもよい。
図6Bに示したように、制御信号CK1と制御信号CK2とは、位相が180度異なる信号である。そのため、制御信号CK1のハイ期間は制御信号CK2のロー期間に相当し、制御信号CK1のロー期間は制御信号CK2のハイ期間に相当する。
電荷共有回路230bでは、制御信号CK1のハイ期間において、容量231bが端子Aと端子Bとに接続され、制御信号CK1のロー期間において、容量231bの一方の端子と他方の端子とが接続される。容量231bの一方の端子と他方の端子とが接続されることにより、容量231bの2つの端子が等電位となり、容量231bに蓄積されていた電荷は放電される。
次に、図5の電荷共有回路230-1及び電荷共有回路230-2が、それぞれ、図7Bに示す電荷共有回路230bである場合の、図5に示す移相器200の動作例を説明する。
なお、電荷共有回路230-1に電荷共有回路230bを用いた場合、容量231bは容量231b-1と称されてもよい。電荷共有回路230-2に電荷共有回路230bを用いた場合、容量231bは容量231b-2と称されてもよい。
制御信号CK1のハイ期間において、TA210-1から出力される出力電荷は、容量220-1と容量231b-1との両方に蓄積される。そして、制御信号CK1のロー期間において、TA210-1から出力される出力電荷は、容量220-1に蓄積される。また、制御信号CK1のロー期間(制御信号CK2のハイ期間)において、容量231b-1に蓄積された電荷は放電される。
同様に、制御信号CK1のハイ期間において、TA210-2から出力される出力電荷は、容量220-2と容量231b-2との両方に蓄積される。そして、制御信号CK1のロー期間において、TA210-2から出力される出力電荷は、容量220-2に蓄積される。また、制御信号CK1のロー期間(制御信号CK2のハイ期間)において、容量231b-2に蓄積された電荷は放電される。
[図7Aと図7Bの違い]
図7Aと図7Bでは、構成の複雑さと利得の変化の程度が異なり、構成選択の自由度がある。図7Aの電荷共有回路230aでは、制御信号CK1のロー期間において、容量231aには、電荷が保持される。図7Bの電荷共有回路230bでは、制御信号CK1のロー期間に相当する制御信号CK2のハイ期間において、容量231bの電荷が放電される。
図7Aの電荷共有回路230aを図5の電荷共有回路230-1に適用した場合の、図5のTA210-1と容量220-1と電荷共有回路230-1とを含むI系回路の伝達関数は、式(5)によって示される。
ここで、C
Hは、容量220-1の容量値(C
H1)であり、C
Rは、電荷共有回路230-1に電荷共有回路230aを採用した場合の容量231a-1の容量値である。また、パルス幅T
Sは、制御信号CK1-1及びCK2-1のクロック周波数によって決まる。また、D
1は、式(6)によって示される。
式(5)および式(6)のK
1は、式(8)によって示される。
同様に、図5のTA210-2と容量220-2と電荷共有回路230-2の系(Q系回路)の伝達関数は、式(5)によって示される。Q系回路の伝達関数の場合、式(5)のCHは、容量220-2の容量値CH2であり、CRは、電荷共有回路230-2に電荷共有回路230aを採用した場合の容量231a-2の容量値である。
なお、電荷共有回路230-1に入力される制御信号CK1-1と電荷共有回路230-2に入力される制御信号のCK2-1のクロック周波数は、同じ周波数であってもよいし、異なる周波数であってもよい。また、電荷共有回路230-1に入力される制御信号CK1-1と電荷共有回路230-2に入力される制御信号のCK2-1のDUTY比は、同じDUTY比であってもよいし、異なるDUTY比であってもよい。
式(5)において、伝達関数が示す回路の利得が、クロック周波数、および容量比によって決まることがわかる。これより、図5に示す移相器200の位相が、クロック周波数、および容量比の少なくとも1つによって制御できることがわかる。
また、図7Bの電荷共有回路230bを図5の電荷共有回路230-1及び電荷共有回路230-2に採用した場合、I系回路及びQ系回路のゲインが、クロック周波数、および容量比によって決まることがわかる。これより、図5に示す移相器200の位相が、クロック周波数、および容量比の少なくとも1つによって制御できることがわかる。
[位相制御の方法]
図7Aの電荷共有回路230aを採用した移相器200、および、図7Bの電荷共有回路230bを採用した移相器200の両方において、下記に例示する制御方法(2-1)~(2-3)のうち、少なくとも1つの制御を行うことによって、I系回路のゲインとQ系回路のゲインとの間に、差(ゲイン差)を与えることができ、合成回路240から出力される出力信号の位相を制御できる。
・制御方法(2-1)
容量220-1の容量値と容量220-2の容量値を調整する。
・制御方法(2-2)
容量220-1と電荷共有回路230-1の容量231-1との容量比と、容量220-2と電荷共有回路230-2の容量231-2との容量比を調整する。
・制御方法(2-3)
電荷共有回路230-1と電荷共有回路230-2に入力する制御信号のクロック周波数を調整する。
上述した制御方法(2-1)~(2-3)の少なくとも1つによって、出力信号の位相を制御できる。
次に、移相器200の位相制御特性について説明する。
図8は、本実施の形態2に係る移相器200の出力波形のシミュレーション結果の例を示す図である。図8の横軸は時間を示し、縦軸は出力電圧を示す。
図8のシミュレーションは、入力信号の周波数fin=0.1[GHz]、入力信号の電力Pin=-30[dBm]、gm=20[mS]、CR=100[fF]、CH1=50[fF]とし、CH2=50[fF]又はCH2=500[fF]の場合の結果である。図8は、CH1を50[fF]に固定し、CH2を50[fF]又は500[fF]に変化させることによって、CH1とCH2の容量比を変化させた2つの結果を示している。
図8では、容量比の違いに応じて、出力信号の移相が異なっていることが示される。図8より、移相器200は、CH1とCH2の容量比を変化させることによって、出力信号の位相を調整できる。
なお、図8において、容量比の違いに応じて、振幅が異なっていることが示される。つまり、図8では、出力信号の位相を調整した場合に、出力信号の振幅が変化することが示される。
移相器200の出力には、増幅器(例えば、図4Aのパワーアンプ17)が設けられることを想定している。移相器200の出力に設けられる増幅器が振幅を調整することによって、出力信号の位相を調整した場合に変化する出力信号の振幅が補正されてもよい。増幅器には、可変利得増幅器を用いられてもよい。あるいは、増幅器には、出力信号の振幅がある閾値を超えた場合に、一定の出力レベルに調整するデジタルアンプが用いられてもよい。
以上のように、本実施の形態2では、2個の電圧電流変換回路(210-1、210-2)、2個の容量(容量220-1、220-2)、2個の電荷共有回路(230-1、230-2)、合成回路240及びクロック生成回路250を有する移相器200の構成について説明した。図5に示した構成では、容量比、及び/又は、制御信号のパラメータ(例えば、クロック周波数)を制御することによって、位相の制御を実現することができる。
本実施の形態2に係る移相器200は、簡易な構成であり、スイッチの個数が少なく、信号経路に直列にスイッチが設けられないため、広帯域信号に対して高速に動作できる。
また、例えば、プロセス、電源電圧及び/又は温度のバラツキが大きいCMOSプロセスであっても、容量の比のバラツキは小さくできる。そのため、クロック周波数または容量の比によって位相を制御する本実施の形態2の移相器200は、CMOSプロセスで製造した場合に、設計値からのバラツキの小さい位相制御を実現できる。これによって、例えば、設計値からのバラツキを調整するキャリブレーション回路を削減、または、簡易にすることができ、無線通信装置の小型化及び/又は消費電力の削減を達成できる。
なお、本実施の形態2において、電荷共有回路230aの容量231a及び電荷共有回路230bの容量231bが可変容量であると説明した。本開示はこれに限定されない。例えば、電荷共有回路230aを図5の電荷共有回路230-1及び電荷共有回路230-2に採用する場合、電荷共有回路230-1及び電荷共有回路230-2のいずれか一方の容量231aが可変容量であり、他方の容量231aが固定された容量値を有する容量であってもよい。この場合、可変容量の容量値を調整することによって、容量比が調整されてもよい。
(実施の形態3)
本実施の形態3では、実施の形態2における移相器200に対してイコライザ特性を有することによって、周波数特性を広帯域にできる移相器を説明する。
なお、本実施の形態3に係る送信装置及び受信装置は、図4Aに示した送信装置3及び図4Bに示した受信装置4と同様であるので、説明は省略する。本実施の形態3において示す移相器は、例えば、図4Aの移相器35及び/又は図4Bの移相器48に相当する。なお、以下の説明において、送信装置3および受信装置4の構成要素に用いる「・・・部」、「・・・器」という表記は、「・・・回路(circuitry)」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されてもよい。
[移相器300の構成と動作]
図9は、本実施の形態3に係る移相器300の構成の一例を示す図である。図9に示す移相器300は、例えば、TA310-1と、TA310-2と、容量320-1と、容量320-2と、電荷共有回路330-1と、電荷共有回路330-2と、合成回路340と、クロック生成回路350-1と、クロック生成回路350-2と、を有する。
図9のTA310-1と、TA310-2と、容量320-1と、容量320-2と、合成回路340とは、それぞれ、図2のTA110-1と、TA110-2と、容量120-1と、容量120-2と、合成回路130と同様である。容量320-1の容量値及び容量320-2の容量値は、ぞれぞれ、CH1及びCH2である。
クロック生成回路350-1は、参照周波数発振部33(図4A参照)から出力される参照周波数信号fREF1又は参照周波数発振部43(図4B参照)から出力される参照周波数信号fREF2を用いて、制御信号S1-1、S2-1、S3-1及びS4-1を生成し、電荷共有回路330-1へ出力する。制御信号S1-1、S2-1、S3-1及びS4-1のクロック周波数は、例えば、fCK1である。
クロック生成回路350-2は、参照周波数発振部33(図4A参照)から出力される参照周波数信号fREF1又は参照周波数発振部43(図4B参照)から出力される参照周波数信号fREF2を用いて、制御信号S1-2、S2-2、S3-2及びS4-2を生成し、電荷共有回路330-2へ出力する。制御信号S1-2、S2-2、S3-2及びS4-2のクロック周波数は、例えば、fCK2である。
電荷共有回路330-1は、一方の端子がTA310-1の出力に接続され、他方の端子がGNDに接地される。電荷共有回路330-1には、クロック生成回路350-1によって生成される制御信号が入力される。
電荷共有回路330-2は、一方の端子がTA310-2の出力に接続され、他方の端子がGNDに接地される。電荷共有回路330-2には、クロック生成回路350-2によって生成される制御信号が入力される。
なお、図9のTA310-1と、容量320-1と、電荷共有回路330-1とを含み、入力される入力信号VIN_Iに対して動作する系は、I系回路と称されてもよい。また、図9のTA310-2と、容量320-2と、電荷共有回路330-2とを含み、入力される入力信号VIN_Qに対して動作する系は、Q系回路と称されてもよい。
また、電荷共有回路330-1と電荷共有回路330-2は、区別することなく、電荷共有回路330と称されてもよい。また、クロック生成回路350-1とクロック生成回路350-2は、区別することなく、クロック生成回路350と称されてもよい。なお、制御信号S1-1と制御信号S1-2は、区別することなく、制御信号S1と称されてもよい。他の制御信号についても、同様である。
次に、電荷共有回路330の例、及び、クロック生成回路350から出力される制御信号S1、S2、S3及びS4の例について説明する。
図10Aは、本実施の形態3に係る電荷共有回路330を示すブロック図である。図10Aに示す電荷共有回路330は、例えば、接続端子A及び接続端子Bを有する。また、電荷共有回路330には、クロック生成回路350によって生成される制御信号S1~制御信号S4が入力される。なお、制御信号は、クロックと称されてもよい。
図10Bは、図10Aに例示した電荷供給回路330に入力される制御信号の一例を示す図である。図10Bの横軸は時間を示し、縦軸は振幅を示す。制御信号S1~制御信号S4のDUTY比は、1/4である。制御信号S2は、制御信号S1に対して、90度位相が異なる信号である。制御信号S3は、制御信号S1に対して、180度位相が異なる信号である。制御信号S4は、制御信号S1に対して、270度位相が異なる信号である。制御信号S1~制御信号S2のクロック周波数fCK(fCK=1/TCK)は、参照周波数信号(fREF)の周波数と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
なお、以下の説明において、制御信号S1が図10Bに示す「high」の値をとる時間を、制御信号S1のハイ期間と称されてもよい。制御信号S1が、図10Bに示す「low」の値をとる時間を、制御信号S1のロー期間と称されてもよい。制御信号S2~制御信号S4についても同様である。
[電荷共有回路330の例]
図11は、本開示の実施の形態3に係る電荷共有回路330の一例を示す図である。図11に示す電荷共有回路330は、例えば、スイッチ332-1~スイッチ332-8と、容量331-1と、容量331-2と、を有する。
容量331-1は、端子X1と端子Y1を有する。容量331-2は、端子X2と端子Y2を有する。容量331-1の容量値および容量331-2の容量値は、CRである。なお、容量331-1の容量値は、容量331-2の容量値と異なっていてもよい。また、容量331-1と容量331-2の少なくとも1つは、可変容量であってもよい。
スイッチ332-1は、端子X1と端子Aとの間に設けられる。スイッチ332-2は、端子Y1と端子Bとの間に設けられる。スイッチ332-1とスイッチ332-2とは、制御信号S1によって制御される。
スイッチ332-3は、端子X2と端子Aとの間に設けられる。スイッチ332-4は、端子Y2と端子Bの間に設けられる。スイッチ332-3とスイッチ332-4とは、制御信号S2によって制御される。
スイッチ332-5は、端子X1と端子Bとの間に設けられる。スイッチ332-6は、端子Y1と端子Aとの間に設けられる。スイッチ332-5とスイッチ332-6は、制御信号S3によって制御される。
スイッチ332-7は、端子X2と端子Bとの間に設けられる。スイッチ332-8は、端子Y2と端子Aとの間に設けられる。スイッチ332-7とスイッチ332-8は、制御信号S4によって制御される。
図11に示す電荷共有回路330は、図10Bに示した制御信号S1~制御信号S4に基づくスイッチ332-1~332-8の制御(オンとオフ)によって、次の4つの動作を1周期(1TCK)内に行い、周期TCK毎に繰り返す。
第1の動作:制御信号S1がハイ期間中は、容量331-1の端子X1が端子Aに接続され、端子Y1が端子Bに接続される(以下、容量331-1の正相接続と記載する)。なお、制御信号S1がハイ期間中は、制御信号S2~制御信号S4はロー期間であるため、容量331-2の端子は開放され、容量331-2には、後述する第4の動作において蓄積した電荷が保持されている。
第2の動作:制御信号S2がハイ期間中は、容量331-2の端子X2が端子Aに接続され、端子Y2が端子Bに接続される(以下、容量331-2の正相接続と記載する)。なお、制御信号S2がハイ期間中は、制御信号S1、制御信号S3及び制御信号S4はロー期間であるため、容量331-1の端子は開放され、容量331-1には第1の動作において蓄積した電荷が保持されている。
第3の動作:制御信号S3がハイ期間中は、容量331-1の端子Y1が端子Aに接続され、端子X1が端子Bに接続される(以下、容量331-1の逆相接続と記載する)。なお、制御信号S3がハイ期間中は、制御信号S1、制御信号S2及び制御信号S4はロー期間であるため、容量331-2の端子は開放され、容量331-2には第2の動作において蓄積した電荷が保持されている。
第4の動作:制御信号S4がハイ期間中は、容量331-2の端子Y2が端子Aに接続され、端子X2が端子Bに接続される(以下、容量331-2の逆相接続と記載する)。なお、制御信号S4がハイ期間中は、制御信号S1~制御信号S3はロー期間であるため、容量331-1の端子は開放され、容量331-1には第3の動作において蓄積した電荷が保持されている。
容量331-1が正相接続され、容量331-2が逆相接続により電荷共有された電荷を保持する第1の動作、容量331-2が正相接続され、容量331-1が正相接続により電荷共有された電荷を保持する第2の動作、容量331-1が逆相接続され、容量331-2が正相接続により電荷共有された電荷を保持する第3の動作、および、容量331-2が逆相接続され、容量331-1が逆相接続により電荷共有された電荷を保持する第4の動作、という4つの動作がTs期間毎に行われる。
容量331-1および容量331-2は、それぞれ、正相接続(逆相接続)により電荷共有された電荷を逆相接続(正相接続)することによって、保持している電荷の極性を反転させて接続する動作を行う。
つまり、上記第1の動作から第4の動作によって、電荷共有回路330は、容量331-1が保持している電荷の極性を反転させて接続し、容量331-2の接続が開放されて電荷を保持する動作(第1の動作及び第3の動作)と、容量331-2が保持している電荷の極性を反転させて接続し、容量331-1の接続が開放されて電荷を保持する動作(第2の動作及び第4の動作)とが、Ts期間毎に交互に繰り返される。
次に、図9の電荷共有回路330-1及び電荷共有回路330-2のそれぞれに、図11に示す電荷共有回路330を用いた場合の、図9に示す移相器300の動作例を説明する。
図9のI系回路(TA310-1と容量320-1と電荷共有回路330-1とを含む系の回路)において、容量320-1と電荷共有回路330-1は、Ts期間毎に電荷共有を繰り返し行い、サンプル値を生成する。容量320-1と電荷共有回路330-1は、次の3種類の電荷を共有する。
(a)TA310-1が入力電圧信号VIN_Iを電流に変換した電荷(以下、入力電荷と記載する)
(b)容量320-1が保持している1サンプル前の電荷
(c)電荷共有回路330-1が保持している2サンプル前の電荷
なお、3種類の共有において、電荷共有回路330は、保持している2サンプル前の電荷の極性を反転させることによって電荷を共有する。
図9のI系回路(TA310-1と容量320-1と電荷共有回路330-1とを含む系の回路)の伝達関数は、式(9)によって示される。
ここで、C
Hは、容量320-1の容量値(C
H1)であり、C
Rは、電荷共有回路330-1の容量331-1及び容量331-2の容量値である。なお、パルス幅T
Sは、制御信号のクロック周波数によって決まる。また、Dは、式(10)によって示される。
式(9)および式(10)のK
1は、式(12)によって示される。
I系の回路のDCゲインは、式(9)の伝達関数から式(13)によって示される。
ここで、fS=1/TSである。例えば、DUTY比が1/4の場合、fS=4fCKである。
同様に、図9のTA310-2と容量320-2と電荷共有回路330-2との系(Q系回路)の伝達関数は、式(9)によって示され、Q系回路のDCゲインは、式(13)によって示される。なお、Q系回路の伝達関数の場合、式(9)~式(13)のCHは、容量320-2の容量値CH2であり、CRは、電荷共有回路330-2の容量331-1及び容量331-2の容量値である。
[位相制御の方法]
図11の電荷共有回路330を適用した図9の移相器300において、下記に例示する制御方法(3-1)~(3-3)のうち、少なくとも1つの制御を行うことによって、I系回路のゲインとQ系回路のゲインとの間に、ゲイン差を与えることができ、合成回路340から出力される信号の位相を制御できる。
・制御方法(3-1)
容量320-1の容量値CH1と容量320-2の容量値CH2を調整する。
・制御方法(3-2)
「容量320-1の容量値CH1と電荷共有回路330-1の容量331の容量値CRの比」と「容量320-2の容量値CH2と電荷共有回路330-2の容量331の容量値CRの比」を調整する。
・制御方法(3-3)
電荷共有回路330-1と電荷共有回路330-2に入力する制御信号のクロック周波数を調整する。
上述した制御方法(3-1)~(3-3)の少なくとも1つによって、出力信号の位相を制御できる。
例えば、制御方法(3-1)及び/又は制御方法(3-2)の制御を用いて出力信号の移相を制御する場合、容量値と出力信号の位相との関係は式(14)によって示される。
式(14)において、CH1は、容量320-1の容量値であり、CR1は、電荷共有回路330-1に含まれる容量331-1及び容量331-2の容量値である。CH2は、容量320-2の容量値であり、CR2は、電荷共有回路330-2に含まれる容量331-1及び容量331-2の容量値である。また、K0_Iは、式(11)のCHとCRのそれぞれにCH1とCR1を代入して得られる。K1_Iは、式(12)のCHとCRのそれぞれにCH1とCR1を代入して得られる。また、K0_Qは、式(11)のCHとCRのそれぞれにCH2とCR2を代入して得られる。K1_Iは、式(12)のCHとCRのそれぞれにCH2とCR2を代入して得られる。なお、式(14)は、クロック生成回路350-1において生成される制御信号のクロック周波数と、クロック生成回路350-2において生成される制御信号のクロック周波数とを同じ周波数に設定した場合に、式(13)に基づいて得られる。
また、例えば、制御方法(3-3)の制御を用いて出力信号の移相を制御する場合、制御信号のクロック周波数と出力信号の位相制御量αとの関係は、式(15)によって示される。
式(15)において、fCK1は、クロック生成回路350-1において生成される制御信号のクロック周波数であり、fCK2は、クロック生成回路350-2において生成される制御信号のクロック周波数である。なお、式(15)は、例えば、式(14)の値が1となるように容量値又は容量比を設定した場合に、式(13)に基づいて得られる。
次に、移相器300の位相制御特性について説明する。
図12Aは、本実施の形態3に係る移相器300の出力波形のシミュレーション結果の第1の例を示す図である。図12Bは、本実施の形態3に係る移相器300の出力波形のシミュレーション結果の第2の例を示す図である。図12A及び図12Bの横軸は時間を示し、縦軸は出力電圧を示す。
図12Aのシミュレーションは、入力信号の周波数fin=1[GHz]、入力信号の電力Pin=-30[dBm]、gm=20[mS]、CR=100[fF]、CH1=50[fF]、fCK=fCK1=fCK2=2[GHz]とし、CH2=50[fF]又はCH2=500[fF]の場合の結果である。図12Aは、CH1を50[fF]に固定し、CH2を50[fF]又は500[fF]に変化させることによって、CH1とCH2の容量比を変化させた2つの結果を示している。
図12Aでは、容量比の違いに応じて、出力信号の移相が異なっていることが示される。図12Aより、移相器300は、CH1とCH2の容量比を変化させることによって、出力信号の位相を調整できる。
また、図12Bのシミュレーションは、入力信号の周波数fin=1[GHz]、入力信号の電力Pin=-30[dBm]、gm=20[mS]、CR=100[fF]、CH1=CH2=50[fF]、fCK1=2[GHz]とし、fCK2=2[GHz]又はfCK2=4[GHz]の場合の結果である。図12Bは、fCK1を2[GHz]に固定し、fCK2を2[GHz]又は4[GHz]に変化させることによって、fCK1とfCK2とのクロック周波数の比を変化させた2つの結果を示している。
図12Bでは、クロック周波数の比の違いに応じて、出力信号の移相が異なっていることが示される。図12Bより、移相器300は、クロック周波数を変化させることによって、出力信号の位相を調整できる。
なお、図12Aにおいて、容量比の違いに応じて、振幅が異なっていることが示される。また、図12Bにおいて、クロック周波数の比の違いに応じて、振幅が異なっていることが示される。つまり、図12A及び図12Bでは、出力信号の位相を調整した場合に、出力信号の振幅が変化することが示される。
移相器300の出力には、増幅器(例えば、図4Aのパワーアンプ17)が設けられることを想定している。移相器300の出力に設けられる増幅器が振幅を調整することによって、出力信号の位相を調整した場合に変化する出力信号の振幅が補正されてもよい。増幅器には、可変利得増幅器を用いられてもよい。あるいは、増幅器には、出力信号の振幅がある閾値を超えた場合に、一定の出力レベルに調整するデジタルアンプが用いられてもよい。
以上のように、本実施の形態3では、2個の電圧電流変換回路(310-1、310-2)、2個の容量(容量320-1、320-2)、2個の電荷共有回路(330-1、330-2)、合成回路340及びクロック生成回路350を有する移相器300の構成について説明した。図9に示した構成では、容量比、及び/又は、制御信号のパラメータ(例えば、クロック周波数)を制御することによって、位相の制御を実現することができる。
本実施の形態3に係る移相器300は、簡易な構成であり、スイッチの個数が少なく、信号経路に直列にスイッチが設けられないため、広帯域信号に対して高速に動作できる。
また、例えば、プロセス、電源電圧及び/又は温度のバラツキが大きいCMOSプロセスであっても、容量の比のバラツキは小さくできる。そのため、容量の比によって位相を制御する本実施の形態3の移相器300は、CMOSプロセスで製造した場合に、設計値からのバラツキの小さい位相制御を実現できる。これによって、例えば、設計値からのバラツキを調整するキャリブレーション回路を削減、または、簡易にすることができ、無線通信装置の小型化及び/又は消費電力の削減を達成できる。
また、本実施の形態3に係る移相器300は、イコライザ特性を有するため、周波数特性の補正をすることも可能である。周波数特性を調整するイコライザを別に設けなくてもよく、装置の小型化を達成できる。
(実施の形態4)
上述した実施の形態3では、移相器300において、入力信号VIN_Iが入力される経路に電荷共有回路330-1が設けられ、入力信号VIN_Qが入力される経路に電荷共有回路330-2が設けられる構成を説明した。本実施の形態4では、実施の形態3の移相器300において、入力信号VIN_Iが入力される経路と、入力信号VIN_Qが入力される経路との間に電荷共有回路が設けられる構成を説明する。本実施の形態4において説明する構成は、実施の形態3を簡略化した構成の一例に相当する。
なお、本実施の形態4に係る送信装置及び受信装置は、図4Aに示した送信装置3及び図4Bに示した受信装置4と同様であるので、説明は省略する。本実施の形態3において示す移相器は、例えば、図4Aの移相器35及び/又は図4Bの移相器48に相当する。なお、以下の説明において、送信装置3および受信装置4の構成要素に用いる「・・・部」、「・・・器」という表記は、「・・・回路(circuitry)」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されてもよい。
[移相器400の構成と動作]
図13は、本実施の形態4に係る移相器400の構成の一例を示す図である。図13に示す移相器400は、例えば、TA410-1と、TA410-2と、容量420-1と、容量420-2と、電荷共有回路430と、合成回路440と、クロック生成回路450と、を有する。
図13のTA410-1と、TA410-2と、容量420-1と、容量420-2と、合成回路440とは、それぞれ、図2のTA110-1と、TA110-2と、容量120-1と、容量120-2と、合成回路130と同様である。容量420-1の容量値及び容量420-2の容量値は、ぞれぞれ、CH1及びCH2である。
クロック生成回路450は、参照周波数発振部33(図4A参照)から出力される参照周波数信号fREF1又は参照周波数発振部43(図4B参照)から出力される参照周波数信号fREF2を用いて、制御信号S1、S2、S3及びS4を生成し、電荷共有回路430へ出力する。制御信号S1、S2、S3及びS4のクロック周波数は、例えば、fCKである。
電荷共有回路430は、一方の端子がTA410-1の出力に接続され、他方の端子がTA410-2の出力に接続される。電荷共有回路430には、クロック生成回路450によって生成される制御信号が入力される。
なお、図13のTA410-1と、容量420-1とを含み、入力される入力信号VIN_Iに対して動作する系は、I系回路と称されてもよい。また、図13のTA410-2と、容量420-2とを含み、入力される入力信号VIN_Qに対して動作する系は、Q系回路と称されてもよい。実施の形態4では、電荷共有回路430は、I系回路とQ系回路の両方において共有されると捉えてよい。
次に、電荷共有回路430の例、及び、クロック生成回路350から出力される制御信号S1、S2、S3及びS4の例について説明する。
電荷共有回路430の構成の一例としては、図10Aおよび図11に示す電荷共有回路330と同様の構成が挙げられる。電荷共有回路430には、クロック生成回路450によって生成される制御信号S1~制御信号S4が入力される。なお、制御信号は、クロックと称されてもよい。制御信号としては、例えば、図10Bに示す波形が挙げられる。
なお、以下の説明において、制御信号S1が図10Bに示す「high」の値をとる時間を、制御信号S1のハイ期間と称されてもよい。制御信号S1が、図10Bに示す「low」の値をとる時間を、制御信号S1のロー期間と称されてもよい。制御信号S2~制御信号S4についても同様である。
次に、図13の電荷共有回路430に、図11に示す電荷共有回路330を用いた場合の、図13に示す移相器400の動作例を説明する。なお、以下では、図11における端子Aが容量420-1と接続し、端子Bが容量420-2と接続する場合の動作例である。
移相器400は、制御信号S1、制御信号S2、制御信号S3および制御信号S4のハイ期間での動作を繰り返す。それぞれ、以下のような動作を行う。
制御信号S1のハイ期間では、容量331-1(CR)の端子X1が容量420-1(CH1)と接続され、容量331-1(CR)の端子Y1が容量420-2(CH2)と接続される。
制御信号S2のハイ期間では、容量331-2(CR)の端子X2が容量420-1(CH1)と接続され、容量331-2(CR)の端子Y2が容量420-2(CH2)と接続される。
制御信号S3のハイ期間では、容量331-1(CR)の端子Y1が容量420-1(CH1)と接続され、容量331-1(CR)の端子X1が容量420-2(CH2)と接続される。S3のハイ期間では、容量420-1と容量420-2との間での容量331-1の接続の向きが、S1のハイ期間の接続の向きと反転する。
制御信号S4のハイ期間では、容量331-2(CR)の端子Y2が容量420-1(CH1)と接続され、容量331-2(CR)の端子X2が容量420-2(CH2)と接続される。S4のハイ期間では、容量420-1と容量420-2との間での容量331-2の接続の向きが、S2のハイ期間における接続の向きと反転する。
容量331-1および容量331-2を介して、TA410-1から入力されるI系の信号とTA410-2から入力される90度位相のずれたQ系の信号とが合成されることによって、出力信号の位相を制御することができる。
[位相制御の方法]
図13の移相器400において、電荷共有回路430に、図11の電荷共有回路330を適用した場合、下記に例示する制御方法の制御を行うことによって、I系回路のゲインとQ系回路のゲインとの間に、ゲイン差を与えることができ、合成回路440から出力される信号の位相を制御できる。
・制御方法
「容量420-1の容量値CH1と電荷共有回路430の容量331(図11参照)の容量値CRの比」と「容量420-2の容量値CH2と電荷共有回路430の容量331(図11参照)の容量値CRの比」を調整する。
次に、移相器300の位相制御特性について説明する。
図14Aは、本実施の形態4に係る移相器400の出力波形のシミュレーション結果の第1の例を示す図である。図14Bは、本実施の形態4に係る移相器400に低域通過フィルタを接続した場合の出力波形のシミュレーション結果の例を示す図である。図14A及び図14Bの横軸は時間を示し、縦軸は出力電圧を示す。
図14Aのシミュレーションは、入力信号の周波数fin=1[GHz]、入力信号の電力Pin=-30[dBm]、gm=20[mS]、CR=100[fF]、CH1=50[fF]、fCK=2[GHz]とし、CH2=50[fF]又はCH2=500[fF]の場合の結果である。図14Aは、CH1を50[fF]に固定し、CH2を50[fF]又は500[fF]に変化させることによって、CH1とCH2の容量比を変化させた結果を示している。
図14Aでは、容量比の違いに応じて、出力信号の移相が異なっていることが示される。図14Aより、移相器400は、CH1とCH2の容量比を変化させることによって、出力信号の位相を調整できる。
また、図14Bは、移相器400に低域通過フィルタを接続した場合の出力波形のシミュレーション結果を示している。移相器400に低域通過フィルタが接続されることによって、移相器400の出力波形(例えば、図14A)の低域成分が、低域通過フィルタから出力され、移相器400の出力波形の高域成分が、抑圧される。例えば、図14Aに示される出力波形の振幅における急峻な変化(例えば、鋭いピーク)が、図14Bでは抑圧され、滑らかな出力波形が示される。
移相器400の出力には、増幅器(例えば、図4Aのパワーアンプ17)が設けられることを想定している。移相器400の出力に設けられる増幅器が振幅を調整することによって、出力信号の位相を調整した場合に変化する出力信号の振幅が補正されてもよい。増幅器には、可変利得増幅器を用いられてもよい。あるいは、増幅器には、出力信号の振幅がある閾値を超えた場合に、一定の出力レベルに調整するデジタルアンプが用いられてもよい。
以上のように、本実施の形態4では、2個の電圧電流変換回路(410-1、410-2)、2個の容量(容量420-1、420-2)、1個の電荷共有回路(430)、合成回路440及びクロック生成回路450を有する移相器400の構成について説明した。図13に示した構成では、容量比を制御することによって、位相の制御を実現することができる。
本実施の形態4に係る移相器400は、簡易な構成であり、スイッチの個数が少なく、信号経路に直列にスイッチが設けられないため、広帯域信号に対して高速に動作できる。
以上説明した各実施の形態において示した容量は、容量値が固定の固定容量であってもよいし、容量値が変更可能な可変容量であってもよい。
本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。
上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部または全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
本開示は、通信機能を持つあらゆる種類の装置、デバイス、システム(通信装置と総称)において実施可能である。通信装置の、非限定的な例としては、電話機(携帯電話、スマートフォン等)、タブレット、パーソナル・コンピューター(PC)(ラップトップ、デスクトップ、ノートブック等)、カメラ(デジタル・スチル/ビデオ・カメラ等)、デジタル・プレーヤー(デジタル・オーディオ/ビデオ・プレーヤー等)、着用可能なデバイス(ウェアラブル・カメラ、スマートウオッチ、トラッキングデバイス等)、ゲーム・コンソール、デジタル・ブック・リーダー、テレヘルス・テレメディシン(遠隔ヘルスケア・メディシン処方)デバイス、通信機能付きの乗り物又は移動輸送機関(自動車、飛行機、船等)、及び上述の各種装置の組み合わせがあげられる。
通信装置は、持ち運び可能又は移動可能なものに限定されず、持ち運びできない又は固定されている、あらゆる種類の装置、デバイス、システム、例えば、スマート・ホーム・デバイス(家電機器、照明機器、スマートメーター又は計測機器、コントロール・パネル等)、自動販売機、その他IoT(Internet of Things)ネットワーク上に存在し得るあらゆる「モノ(Things)」をも含む。
通信には、セルラーシステム、無線LANシステム、通信衛星システム等によるデータ通信に加え、これらの組み合わせによるデータ通信も含まれる。
また、通信装置には、本開示に記載される通信機能を実行する通信デバイスに接続又は連結される、コントローラやセンサー等のデバイスも含まれる。例えば、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスが使用する制御信号やデータ信号を生成するような、コントローラやセンサーが含まれる。
また、通信装置には、上記の非限定的な各種装置と通信を行う、あるいはこれら各種装置を制御する、インフラストラクチャ設備、例えば、基地局、アクセスポイント、その他あらゆる装置、デバイス、システムが含まれる。
なお、本開示は、無線通信装置、または制御装置において実行される制御方法として表現することが可能である。また、本開示は、かかる制御方法をコンピュータにより動作させるためのプログラムとして表現することも可能である。更に、本開示は、かかるプログラムをコンピュータによる読み取りが可能な状態で記録した記録媒体として表現することも可能である。すなわち、本開示は、装置、方法、プログラム、記録媒体のうち、いずれのカテゴリーにおいても表現可能である。
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
<本開示のまとめ>
本開示における移相器は、第1の入力信号が入力される第1のラインに接続された第1の容量と、前記第1の入力信号に対して第1の位相差を有する第2の入力信号が入力される第2のラインに接続された第2の容量と、前記第1のラインと前記第2のラインに接続し、前記第1の容量と前記第2の容量との第1の容量比に応じて定まる位相を有する合成信号を出力する合成回路と、を備える。
本開示の移相器において、前記第1の位相差は、n×π/2である(nは1以上の整数)。
本開示の移相器において、第1の周期において、前記第1のラインに対して接続および開放が繰り返される第3の容量と、第2の周期において、前記第2のラインに対して接続および開放が繰り返される第4の容量と、を備え、前記合成信号は、前記第1の容量比、前記第3の容量と前記第4の容量との第2の容量比、前記第1の周期、及び、前記第2の周期に応じて定まる位相を有する。
本開示の移相器において、前記第3の容量は、前記第1の周期の1/2の期間ずつ、前記第1のラインに対して接続および開放され、前記第4の容量は、前記第2の周期の1/2の期間ずつ、前記第2のラインに対して接続および開放される。
本開示の移相器において、前記第3の容量は、前記第1のラインに対して開放されている間、前記第1のラインに接続された期間に蓄積された電荷を保持し、前記第4の容量は、前記第2のラインに対して開放されている間、前記第2のラインに接続された期間に蓄積された電荷を保持する。
本開示の移相器において、前記第3の容量は、前記第1のラインに対して開放されている間、前記第1のラインに接続された期間に蓄積された電荷を放電し、前記第4の容量は、前記第2のラインに対して開放されている間、前記第2のラインに接続された期間に蓄積された電荷を放電する。
本開示の移相器において、2つの端子を有し、第3の周期で一方の端子が前記第1のラインと接続し、前記第3の周期を半周期シフトした周期で他方の端子が前記第1のラインと接続する第5の容量と、2つの端子を有し、前記第3の周期を1/4周期シフトした周期で一方の端子が前記第1のラインと接続し、前記第3の周期を3/4周期シフトした周期で他方の端子が前記第1のラインと接続する第6の容量と、2つの端子を有し、第4の周期で一方の端子が前記第2のラインと接続し、前記第4の周期を半周期シフトした周期で他方の端子が前記第2のラインと接続する第7の容量と、2つの端子を有し、前記第4の周期を1/4周期シフトした周期で一方の端子が前記第2のラインと接続し、前記第4の周期を3/4周期シフトした周期で他方の端子が前記第2のラインと接続する第8の容量と、を有し、前記合成信号は、前記第1の容量比、前記第5から第8の容量の値から決まる第3の容量比、前記第3の周期及び第4の周期に応じて定まる位相を有する。
本開示の移相器において、前記第5の容量の前記一方の端子は、前記第3の周期の1/4の期間、前記第1のラインと接続され、前記第7の容量の前記一方の端子は、前記第4の周期の1/4の期間、前記第2のラインと接続される。
本開示の移相器において、第1の端子および第2の端子を有し、第5の周期で前記第1の端子が前記第1のラインと接続し、前記第2の端子が前記第2のラインと接続し、前記第5の周期を半周期シフトした周期で前記第2の端子が前記第1のラインと接続し、前記第1の端子が前記第2のラインと接続する第9の容量と、第3の端子および第4の端子を有し、前記第5の周期を1/4周期シフトした周期で前記第3の端子が前記第1のラインと接続し、前記第4の端子が前記第2のラインと接続し、前記第5の周期を3/4周期シフトした周期で前記第4の端子が前記第1のラインと接続し、前記第3の端子が前記第2のラインと接続する第10の容量と、を有し、前記合成信号は、前記第1の容量比、前記第9および前記第10の容量の値から決まる第4の容量比に応じて定まる位相を有する。
本開示における無線通信装置は、本開示の移相器を複数備え、前記複数の移相器のそれぞれの前記合成信号の位相を制御することによって、指向性を制御したビームを形成する。