JP7289969B1 - 触媒の選択方法及び触媒の製造方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 0007289969000001
【課題】目的生成物の製造効率が良い触媒を効率的に選択することができる触媒の選択方法を提供する。
【解決手段】触媒の選択方法は、原料から目的生成物を生成する触媒反応の素反応の中間体構造又は遷移状態構造のエネルギーを記述子として選択する工程と、記述子と触媒反応の反応性を表したマップを作成する工程と、候補物質を固定した状態で、候補物質を用いた触媒反応に関する記述子を算出する工程と、記述子を用いて第1プロット付きマップを作成する工程と、第1プロット付きマップを基に候補物質から1次スクリーニング候補物質を選択する工程と、1次スクリーニング候補物質の表面を緩和した状態で、1次スクリーニング候補物質を用いた触媒反応に関する記述子を算出する工程と、算出した記述子を用いて第2プロット付きマップを作成する工程と、第2プロット付きマップを基に2次スクリーニング候補物質を選択する工程とを含む。
【選択図】図4

Description

本発明は、触媒の選択方法、触媒及び触媒の製造方法に関する。
工業的に各種化合物等を合成することが従来からなされている。化合物等の目的生成物は、原料を化学反応させることで合成されるが、原料を化学反応させる際に要するエネルギーを低減する方法として、触媒が利用されている。
目的生成物の合成に触媒を用いた反応の例として、触媒の存在下で窒素及び水素からアンモニアを合成する方法等が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、アンモニア以外にも各種化合物の生成に触媒が用いられている。そして、目的生成物の合成の際のエネルギー等を低減する観点から、さらに性能が優れた新たな触媒の探索が進められている。
特開2021-138587号公報
ここで、触媒の探索手法として、例えば、原料から目的生成物を合成する際に要するエネルギーの計算に密度汎関数理論(DFT)に基づく第一原理計算を用いる方法がある。しかし、第一原理計算を用いる場合、エネルギーの計算時間がかかり過ぎるため、多数(例えば、数千個)の触媒を第一原理計算を用いて計算することは現実的には適用し難く、困難であった。特に、遷移状態構造は触媒反応において重要な意味を持つにも関わらず、計算には極めて多くの時間がかかり、様々な触媒上での遷移状態構造の計算を行うことはほぼ不可能であった。例えば、2000種類の遷移状態構造をDFT基づく第一原理計算で計算しようとした場合、計算が完了するまでに数年以上要することになる。
また、原料から目的生成物を合成する際に要するエネルギーを、触媒及び原料等の物質の構造、特性等の物質のパラメータを記述子として用いて、一般的な回帰モデルにより予測する方法がある。しかし、この予測方法を用いれば、エネルギーの計算を高速で行うことができるが、予測精度に限界があり、エネルギーの予測性能が十分でないという問題があった。
そのため、これまでに検討されている方法では、目的生成物の合成に有効な触媒を探索するには多くの時間と費用を要するため、効率的に触媒を選択できる触媒の選択方法が求められている。
本発明の一態様は、目的生成物の製造効率が良い触媒を効率的に選択することができる触媒の選択方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、
原料から目的生成物を生成する触媒反応のための触媒の選択方法であって、
前記触媒反応の素反応に含まれる中間体構造又は遷移状態構造のエネルギーを記述子として選択する記述子選択工程と、
前記記述子と前記触媒の反応性との関係を表したマップを作成するマップ作成工程と、
前記触媒の候補物質を複数種類準備する準備工程と、
前記候補物質を固定した状態で、前記候補物質を用いた前記触媒反応に関する前記記述子を算出する第1算出工程と、
前記第1算出工程で算出した前記記述子を前記マップ上にプロットして第1プロット付きマップを作成する第1プロット工程と、
前記第1プロット付きマップを基に前記候補物質をスクリーニングして1次スクリーニング候補物質を選択する第1スクリーニング工程と、
前記1次スクリーニング候補物質に対して、前記1次スクリーニング候補物質の表面を緩和した状態で、前記1次スクリーニング候補物質を用いた前記触媒反応に関する前記記述子を算出する第2算出工程と、
前記第2算出工程で算出した前記記述子を前記マップ上にプロットして第2プロット付きマップを作成する第2プロット工程と、
前記第2プロット付きマップを基に前記1次スクリーニング候補物質をスクリーニングして2次スクリーニング候補物質を選択する第2スクリーニング工程と、
を含む。
本発明の一態様は、目的生成物の製造効率が良い触媒を効率的に選択することができる。
本発明の実施形態に係る触媒の選択方法が適用される触媒の選択システムの構成を示す図である。 データテーブルの一例を示す図である。 触媒を用いたNH合成の各素反応におけるエネルギーの大きさの関係の一例を示す図である。 触媒の選択装置の構成を示す機能ブロック図である。 活性マップの一例を示す図である。 触媒が鉄である場合の界面とNHの合成速度との関係の一例を示す図である。 第1算出部の構成の一例を示す機能ブロック図である。 データテーブルの候補物質を並び替える時の説明図である。 第2算出部の構成の一例を示す機能ブロック図である。 触媒の選択装置のハードウェア構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係る触媒の選択方法を示すフローチャートである。 窒素の中間体と触媒との吸着エネルギーと、触媒での窒素の中間体の遷移状態の解離活性化エネルギーとの関係を示す活性マップの一例を示す図である。 第1エネルギー算出工程の一例を示すフローチャートである。 候補物質の記述子をプロットした結果の一例を示す図である。 第2エネルギー算出工程の一例を示すフローチャートである。 30種類の2次スクリーニング候補物質をプロットした活性マップの一例を示す図である。 基準触媒上での中間体又は遷移状態のエネルギーをDFT計算により算出したエネルギーと、横軸と同じ基準触媒上での中間体又は遷移状態のエネルギーを本発明の実施形態に係る触媒の選択方法により算出したエネルギーとの相関を示す図である。 触媒の選択方法により選択された触媒と、DFT計算を用いて作成した触媒の活性マップを比較した図である。 触媒の製造方法の一例を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。なお、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の符号を付して、重複する説明は省略する。また、本明細書において数値範囲を示す「~」は、別段の断わりがない限り、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
本発明の実施形態に係る触媒の選択方法を説明するに当たり、本実施形態に係る触媒の選択方法が適用される触媒の選択システムについて説明する。触媒の選択システムは、原料から所定の目的生成物を生成する触媒反応のために用いられる触媒の候補を1つ以上選択する。
なお、本実施形態では、原料が水素(H)及び窒素(N)であり、目的生成物がNHであり、触媒がアンモニア(NH)合成触媒である場合について説明する。
<触媒の選択システム>
図1は、本実施形態に係る触媒の選択方法が適用される触媒の選択システムの構成を示す図である。図1に示すように、触媒の選択システム1は、触媒の選択装置10と、記憶部20と、機械学習ポテンシャル30とを有している。触媒の選択システム1では、触媒の選択装置10、記憶部20及び機械学習ポテンシャル30は、通信ネットワーク40を介して接続され、触媒の選択装置10、記憶部20及び機械学習ポテンシャル30への入力値と、触媒の選択装置10、記憶部20及び機械学習ポテンシャル30の出力値は、通信ネットワーク40を介して送信されてよい。記憶部20及び機械学習ポテンシャル30の少なくとも一方は、クラウド上に格納されてもよい。
なお、本実施形態では、触媒の選択装置10、記憶部20及び機械学習ポテンシャル30は、通信ネットワーク40を介して接続されているが、有線で接続されてもよい。また、触媒の選択システム1は、各構成を装置内に備えた、PC(Personal Computer)等の単独の装置としてもよい。
触媒の選択装置10は、機械学習ポテンシャル30を用いて、原料であるH及びNから目的生成物であるNHを合成する触媒反応のためのNH合成触媒の候補を選択する。なお、触媒の選択装置10の詳細については後述する。
記憶部20は、触媒及び吸着物質等の情報、機械学習ポテンシャル30を用いて最適化した触媒及び吸着物質の構造及びエネルギーと、スケーリングラインに対する乖離等を含むデータテーブルを記憶している。
データテーブルの一例を図2に示す。図2に示すように、データテーブルには、触媒及び吸着物質等の情報と、機械学習ポテンシャル30を用いて最適化した触媒及び吸着物質の構造及びエネルギーと、スケーリングラインに対する乖離等に関する情報が記録される。
スケーリングラインに対する乖離は、同一触媒組成、同一結晶面において、機械学習ポテンシャル30を用いて最適化したエネルギーの座標(Nの吸着エネルギーと、N-Nの解離活性化エネルギーとの座標)と、Nの吸着エネルギーにおけるスケーリングライン上の座標との間の、N-Nの解離活性化エネルギーの差である。そのため、スケーリングラインとの乖離は、N-Nの解離活性化エネルギーについてのみ算出される。
触媒は、単体の金属等でもよいし、複数の金属を含む合金でもよいし、金属を含む化合物でもよい。
触媒の情報としては、触媒名(触媒組成)、触媒の結晶面の情報等が挙げられる。
触媒名としては、例えば、CoRh等が挙げられる。
触媒の結晶面としては、例えば、[001]、[111]、[211]等が挙げられる。
吸着物質は、目的生成物の生成に用いられる成分であり、窒素(N)、水素(H)である。
吸着物質の情報としては、吸着物質名等が挙げられる。
吸着物質名としては、吸着物質なし、N、N-N等が挙げられる。
最適化した触媒及び吸着物質の構造としては、物質の中間体構造、遷移状態構造等が挙げられる。
最適化した触媒及び吸着物質のエネルギーは、触媒反応のエネルギー等がある。触媒反応のエネルギーとしては、触媒反応において原料であるH及びNから目的生成物であるNHを合成する過程における複数の素反応に登場する反応成分のエネルギー等が挙げられる。反応成分は、原料、原料の中間体及び中間体の遷移状態等である。触媒において原料から目的生成物を合成する過程における素反応で生じる原料の中間体の遷移状態と触媒との解離活性化エネルギー、中間体と触媒との吸着エネルギー等が挙げられる。
NH合成の素反応は、例えば、下記の式(I)~(VII)を含む。なお、式中、「」は、原料に含まれる元素、分子等の反応成分が吸着する触媒の表面の空の吸着サイトを意味する。式(I)~(VII)において、原料は、N、Hであり、原料の中間体は、N 、H、NH、NH 、NH3 であり、中間体の遷移状態は、N-N、N-H、NH-H、NH-Hである。
(g)+→N ・・・(I)
(g)+2→2H ・・・(II)
→N-N→2N ・・・(III)
+H→N-H→NH ・・・(IV)
NH+H→NH-H →NH ・・・(V)
NH +H→NH-H→NH ・・・(VI)
NH ⇔NH(g) ・・・(VII)
これらの式における触媒を用いたNH合成の各素反応におけるエネルギーの大きさの関係の一例を図3に示す。図3に示すように、原料であるH及びNから目的生成物であるNHが合成される過程において、上記式(I)~(VII)のうち、式(III)における、触媒での窒素の中間体の遷移状態であるN-Nの解離活性化エネルギー(EN-N)が最も大きく、窒素の中間体であるNと触媒との吸着エネルギー(E)が略一定になっており最も安定している。上記の各式の中でも、触媒でのN-Nの解離活性化エネルギー(EN-N)とNと触媒との吸着エネルギー(E)とが、NHの合成に大きく影響するため、記述子として好適に用いることができる。
機械学習ポテンシャル30は、原子の構造に関する情報からエネルギーを出力する、機械学習手法を用いた原子間ポテンシャルが適用される。機械学習ポテンシャルとしては、例えば、ニューラルネットワークポテンシャル(NNP:Neural Network Potential)、ガウス近似ポテンシャル(GAP:Gaussian Approximation Potential)、ペクトル隣接解析ポテンシャル(SNAP:Spectral Neighbor Analysis Potential)、モーメントテンソルポテンシャル(MTP:Moment Tensor Potential)等が挙げられる。これらの中でも、機械学習ポテンシャルとしては、ニューラルネットワークの持つ高い柔軟性の点から、NNPが好ましい。NNPとしては、Matlantis(登録商標)を使用してもよい。
[触媒の選択装置]
図4は、触媒の選択装置10の構成を示す機能ブロック図である。図4に示すように、触媒の選択装置10は、記述子選択部11、マップ作成部12、準備部13、第1算出部14、第1プロット部15、第1スクリーニング部16、第2算出部17、第2プロット部18、第2スクリーニング部19、絞り込み部21及び出力部22を有する。
記述子選択部11は、上記式(I)~(VII)のような触媒反応の素反応に含まれる中間体構造又は遷移状態構造のエネルギーを記述子として選択する。
マップ作成部12は、記述子と触媒反応の反応性について表したマップ(活性マップ)を作成する。なお、活性マップに代えて、記述子と触媒反応の選択性について表したマップを作成してもよい。
また、活性マップでは、記述子と触媒の反応性(選択性)の関係性が明らかとなることから、記述子を入力すると触媒の反応性(選択性)を予測するモデルとみなし、直接、記述子から触媒の反応性を予測してもよい。活性マップをモデルとみなすことにより、第1算出部14及び第2算出部17において求めた記述子から直接触媒の反応性を予測し、データテーブル(図8参照)を用いて反応性に応じて候補物質をスクリーニングしてもよい。この場合、触媒の選択装置10は、第1プロット部15及び第2プロット部18を備えなくてもよい。
活性マップの一例を図5に示す。図5は、NH合成における反応成分の素反応(上記の式(I)~(VII)参照)のうちの2つの記述子と、合成されるNHの収率との関係を表す。図5に示す活性マップで用いる2つの記述子を記述子1及び2とする。上述の通り、上記式(I)~(VII)のうち、触媒での窒素の中間体の遷移状態(N-N)の解離活性化エネルギー(EN-N)と窒素の中間体(N)と触媒との吸着エネルギー(E)とが、NHの合成に大きく影響する。このため、記述子1及び2は、Nと触媒との吸着エネルギー(E)と、触媒でのN-Nの解離活性化エネルギー(EN-N)とを用いることが好ましい。
活性マップは、例えば、記述子を用いたMicrokineticsにより作成できる。本実施形態では、触媒がNH合成触媒であり、NH合成反応を生じさせる場合であるため、記述子としては、上述の通り、上記のNH合成における反応成分の素反応(上記の式(I)~(VII)参照)の式中の、NとN-Nのエネルギーを用いることが好ましい。NとN-Nのエネルギーを記述子とすると、触媒の反応速度の大きさに基づいて複数の触媒間に直線関係があるように現すことができるため、反応速度の大きさに基づいて活性が高い領域を視覚的に簡易に把握できるマップが得られる。活性マップに現される直線は、後述するように、触媒の反応速度の閾値となるスケーリングライン(図5参照)として用いることができる。
ここで、記述子を用いたMicrokineticsを説明するに当たり、一般的なMicrokineticsを説明する。一般的なMicrokineticsは、以下の通り、素反応列挙、エネルギー計算及び反応速度計算からなる。
1.素反応列挙:
NH合成に関する素反応を全て書き出す。
2.エネルギー計算:
特定の触媒の表面(例えば、触媒の(111)面)で、書き出した素反応に含まれる全ての中間体及び遷移状態のエネルギーを機械学習ポテンシャル30で計算する。
3.反応速度計算:
求めたエネルギーを反応速度式に変換し、連立常微分方程式を解くことで、上述の「1.素反応列挙」で求めた各素反応の反応速度を得る。そして、NH合成に関する素反応の(VII)式の「NH ⇔NH(g)」の速度を出力して、触媒の表面(例えば、触媒の(111)面)におけるNH合成速度を得る。
次に、記述子を用いたMicrokineticsを説明する。記述子を用いたMicrokineticsの実行手順は、以下の通りである。
1.準備:
1-1.NH合成に関する全ての素反応を記述する。
1-2.NH合成に関する素反応において生じる、全ての中間体と遷移状態を算出する。例えば、いくつかの基準触媒に関して、全ての中間体と遷移状態を算出する。即ち、これらの基準触媒を用いた時に生じる、全ての中間体と遷移状態を計算する。そして、全ての中間体と遷移状態の中から、記述子に用いる2つの反応成分(例えば、中間体又は遷移状態)だけを選んで、2つの記述子(例えば、Nの吸着エネルギー、N-Nの解離活性化エネルギー)を計算する。その他のパラメータ(例えば、中間体のエネルギー、遷移状態のエネルギー)は、記述子からの線形回帰で取得する。
2.活性マップ作成:
2つの記述子の値を定めると、書き出した全ての素反応に含まれる全ての中間体及び遷移状態のエネルギーを線形回帰から得ることができ、上記の、一般的なMicrokineticsの「3.反応速度計算:」で説明したMicrokineticsによりNH合成速度を得ることができる。任意の範囲で2つの記述子の値を変えてNH合成速度をそれぞれ算出することにより、図5に示すような活性マップを得ることができる。
3.新規触媒スクリーニング:
新しい触媒に対しては、既に、上記の「2.活性マップ作成:」で2つの記述子エネルギーとNH合成速度の関係性が明らかとなっていることから、2つの記述子(例えば、Nの吸着エネルギー、N-Nの解離活性化エネルギー)だけを計算することで、その触媒の合成速度を知ることができる。
一般的なMicrokineticsを行うためには、上述の通り、素反応に含まれる全ての中間体及び遷移状態のエネルギーを計算する必要があるため、膨大な数のパラメータを計算する必要がある。これに対し、記述子を用いたMicrokineticsを行う際は、事前に基準触媒上で素反応中の全ての中間体及び遷移状態のエネルギーを計算しておくことで、未知の触媒に対しても二つの記述子に相当する計算だけで済む。二つの記述子をX軸-Y軸でプロットし、活性マップを作成すると、活性マップから直感的に触媒の反応速度が高い領域(後述する、高活性領域)に属するNH合成触媒を把握できる。
なお、記述子は、2つに限定されず、1つ又は3つ以上でもよく、触媒の反応速度に影響のある記述子を用いるのがよい。また、上記の、その他のパラメータの算出には、線形回帰だけでなく、非線形回帰手法等を用いてもよい。
図4に示すように、準備部13は、触媒の候補物質を複数種類準備する。
触媒の候補物質は、NHの合成に使用されている材料、NHの合成への使用が検討されている材料、NHの合成に使用されたことがない材料等でよい。材料は、金属単体でもよいし、複数の金属を含む合金でもよいし、金属の酸化物、窒化物、炭化物等の金属化合物でもよい。候補物質は、一の候補物質の表面の1種類の元素が別の異なる元素に置換された物質を、一の候補物質とは異なる他の候補物質として含んでよい。
触媒の候補物質の数は、特に限定されず適宜選択可能であり、例えば、数十個、数百個、数千個等でもよい。
候補物質は、結晶面が異なる表面を複数有する場合、候補物質は、結晶面が異なる表面毎に複数準備してもよい。候補物質の表面に現れる候補物質の結晶面によって、候補物質と元素との反応速度が異なる傾向にある。例えば、触媒が鉄(Fe)である場合における、鉄の表面の結晶面とNH合成速度との関係の一例を図6に示す。図6に示すように、触媒が鉄である場合、触媒の表面の結晶面によってNHの合成速度は異なり、結晶面が(111)面又は(211)面である場合は、他の結晶面の場合よりも、触媒は、高いNHの合成速度を有する。そのため、候補物質の表面は、結晶面毎に複数準備することが好ましい。
図4に示すように、第1算出部14は、準備部13で用意した候補物質を全て固定した状態で、候補物質を用いた触媒反応に関する記述子を算出する。
本実施形態では、記述子として、候補物質の表面に原料(N、H)由来の物質を含む反応成分の中間体が吸着する第1中間体エネルギー、及び候補物質の表面に反応成分の中間体の遷移状態が吸着した後、反応成分が2以上の物質に分離する分離素反応における第1遷移状態エネルギーを含む第1エネルギーを算出する。
なお、全て固定した状態とは、候補物質がN及びHと反応する際に、候補物質の位置や結晶構造が動かないと仮定し、固定された状態を意味する。
また、第1算出部14は、第1中間体エネルギー又は第1遷移状態エネルギーのみを第1エネルギーとして算出してもよい。
第1算出部14は、機械学習ポテンシャル30を用いて、記述子を算出することが好ましい。第1算出部14は、機械学習ポテンシャル30を用いることで、密度汎関数理論(DFT)に基づく第一原理計算(DFT計算)等を用いた場合と比較して記述子の算出時間を短縮できる。
第1算出部14は、記述子の算出を1回の計算で決めてもよいし、複数回(例えば、10回)の計算で決めてもよい。複数回計算する場合は、複数回の計算値の平均値を用いてもよいし、複数の計算値の最大値又は最小値でもよい。
記述子が第1中間体エネルギーである場合、第1算出部14は、候補物質を全て固定した状態で、素反応に含まれる候補物質の表面における原料由来の物質を含む反応成分の吸着位置を変化させ、候補物質と反応成分とを含む中間構造体について、構造の最適化を行うことが好ましい。これにより、第1算出部14は、安定な構造を有する中間構造体を選択できる。
なお、最適化とは、所定の構造の際のエネルギーが最も低くなるような最適値を求めることをいう。なお、以下の最適化も同様の意味である。
第1算出部14は、候補物質に対する反応成分の吸着位置が最適であり、かつ候補物質と反応成分の中間体との第1中間体エネルギーが最も安定した構造を抽出することが好ましい。これにより、第1算出部14は、低精度であるが短時間で反応成分の中間体の第1中間体エネルギーを取得できる。
また、第1算出部14は、図7に示すように、第1構造最適化部141、第2構造最適化部142及び第1遷移状態エネルギーの取得部143を有することが好ましい。これにより、第1算出部14は、記述子が中間体の遷移状態の遷移状態エネルギーである場合に、低精度であるが短時間で第1遷移状態エネルギーを取得できる。
第1構造最適化部141は、1分子から2分子になる分離素反応に含まれる候補物質の表面における反応成分の候補物質と反応成分とを含む中間構造体について構造の最適化を行い、第1最適化構造を算出する。即ち、第1構造最適化部141は、1分子から2分子になる分離素反応において、候補物質の構造を全て固定した状態で、候補物質と反応成分とを含む中間構造体について構造の最適化を行い、第1最適化構造を算出する。
第2構造最適化部142は、反応成分の候補物質と反応成分とを含む2以上の物質に分離した際の構造の最適化を行い、第2最適化構造を算出する。
第1遷移状態エネルギーの取得部143は、第1構造最適化部141で得られた第1最適化構造と第2構造最適化部142で得られた第2最適化構造とから遷移状態エネルギーである第1遷移状態エネルギーを算出する。
例えば、ABは、候補物質に吸着している状態の分子であり、A-Bは、ABからAとBとに分離する過程におけるABの遷移状態の分子であり、Aは、A分子の中間体であり、Bは、B分子の中間体であるとして、1分子のABがA及びBの2分子になる反応が、以下の反応式(1)のように進行するとする。
AB→A-B→A+B ・・・(1)
上記式(1)のように、ABが1分子から2分子になる分離素反応が生じる場合には、第1構造最適化部141は、候補物質の構造を全て固定した状態で、ABを候補物質の表面上に配置し、候補物質とABとを含む中間構造体の構造の最適化を行う。
第2構造最適化部142は、A及びBからなる2分子になるように、構造の最適化を行う。
第1遷移状態エネルギーの取得部143は、ABである1分子と、A及びBからなる2分子を、NEB(Nudged Elastic Band)法を用いて、ABである1分子がA及びBからなる2分子となる時に要する遷移状態エネルギーを第1遷移状態エネルギーとして算出する。
図4に示すように、第1プロット部15は、第1算出部14で算出した記述子である第1エネルギー(第1中間体エネルギー及び第1遷移状態エネルギーを含むエネルギー)に基づいて候補物質を、マップ作成部12で表示した活性マップ(図5参照)上にプロットして、第1プロット付きマップを作成する。
第1スクリーニング部16は、第1プロット部15で作成した第1プロット付きマップを基に候補物質をスクリーニングして、1次スクリーニング候補物質を選択する。即ち、第1スクリーニング部16は、スクリーニング方法として、活性が高い(NH合成速度が高い)触媒を含む高活性領域にプロットされた候補物質を1次スクリーニング候補物質として絞る。
高活性領域は、候補物質をプロットした活性マップ上にスケーリングライン(図5参照)を設けて、そのスケーリングラインに対して所定値以上小さい範囲としてもよい。また、触媒によるNHの生成エネルギーよりも所定値未満の範囲による候補物質の絞り込みを行ってもよい。NHの合成速度が所定値以上となる範囲としてもよい。合成速度の所定値は、好ましくは10-4[1/s]以上である。
更に絞り込まれる候補物質の数は、設定される高活性領域の範囲等に応じて適宜選択可能であり、例えば、5個~30個が好ましく、8個~55個がより好ましく、10個~20個がさらに好ましい。
なお、活性マップは、上述の通り、記述子を用いたMicrokineticsにより作成できる。記述子としては、上記のNH合成における反応成分の素反応(上記の式(I)~(VII)参照)の式中の、NとN-Nのエネルギーを用いることで、活性マップには、後述する、Co、Rh、Ru、Cu、Fe、Re等の金属単体等の基準触媒に直線関係があるように現すことができる。この直線をスケーリングライン(図5参照)として用いることができる。
なお、生成エネルギーは、下記式(i)より算出される。生成エネルギーが0未満(生成エネルギー<0)の場合は、合金が金属単体より安定であることを示す。
生成エネルギー=EAlloy-N×EA(bulk)-N×EB(bulk) ・・・(i)
(式中、EAlloyは、合金ABのバルクエネルギーであり、EA(bulk)は、金属Aのバルクエネルギーであり、EB(bulk)は、金属Bのバルクエネルギーであり、Nは、合金中の金属Aの原子数であり、Nは、合金中の金属Bの原子数である。)
スケーリングラインに対して所定値以上小さい範囲は、合成する目的生成物、用いる物質の種類等に応じて適宜選択されるが、NH合成触媒の場合、例えば、スケーリングラインに対して0.25eV以上小さい範囲とすることが好ましい。
生成エネルギーよりも所定値未満の範囲は、合成する目的生成物、用いる物質の種類等に応じて適宜選択されるが、NH合成触媒の場合、例えば、生成エネルギーよりも0.05eV/atom未満の範囲とすることが好ましい。
絞られる1次スクリーニング候補物質の数は、候補物質の数と、後述する2次スクリーニング候補物質の数等に応じて適宜選択可能であり、例えば、数十種類でよいし、数百種類でよい。
また、第1スクリーニング部16は、活性マップ上に候補物質をプロットして1次スクリーニング候補物質を絞る際、図8に示すように、候補物質1、2、3・・・N(Nは1以上の整数)に関する情報のみをリストにしたデータテーブルを用いてもよい。候補物質のみをリストにしたデータテーブル中の候補物質を高活性領域に含まれる順に並べ替えて、高活性領域に含まれる閾値以上にある候補物質を1次スクリーニング候補物質と絞ってよい。第1スクリーニング部16は、この並び替えたデータテーブルを用いて、第1プロット部15により活性マップ上に候補物質をプロットして、1次スクリーニング候補物質を絞ってよい。
図4に示すように、第2算出部17は、1次スクリーニング候補物質に対して、1次スクリーニング候補物質の表面を緩和した状態で、1次スクリーニング候補物質を用いた触媒反応に関する記述子を算出する。
本実施形態では、記述子として、第1エネルギーと同様、1次スクリーニング候補物質の表面に記述子に用いられる反応成分(N、H)の中間体が吸着する第2中間体エネルギーと、1次スクリーニング候補物質の表面に反応成分が吸着した後、反応成分が2以上の物質に分離する分離素反応における第2遷移状態エネルギーを含む第2エネルギーを算出する。
なお、触媒の表面を緩和した状態とは、触媒が動くようにした状態であり、触媒の表面から数層(例えば、2層程度)動いて構造が変化できる状態として、実際の触媒の動きに近い状態とすることをいう。
また、第2算出部17は、第2中間体エネルギー又は第2遷移状態エネルギーのみを第2エネルギーとして算出してもよい。
第2算出部17は、第1算出部14と同様、機械学習ポテンシャル30を用いて、記述子を算出することが好ましい。第2算出部17は、機械学習ポテンシャル30を用いることで、DFT計算等を用いた場合と比較して記述子の算出時間を短縮することができる。
記述子が第2中間体エネルギーである場合、第2算出部17は、1次スクリーニング候補物質の表面を緩和した状態で、第1算出部14と同様、素反応に含まれる1次スクリーニング候補物質の表面における原料由来の物質を含む反応成分の吸着位置を変化させ、1次スクリーニング候補物質と反応成分とを含む中間構造体について、構造の最適化を行うことが好ましい。これにより、第2算出部17は、安定な構造を有する中間構造体を選択できる。
第2算出部17は、第1算出部14と同様、1次スクリーニング候補物質に対する反応成分の吸着構造が正しく、かつ1次スクリーニング候補物質と反応成分の中間体との第2中間体エネルギーが最も安定した構造を抽出することが好ましい。構造の最適化を行うことで、第1構造最適化部141において構造の最適化を行う場合と同様に、候補物質に吸着している状態の分子の構造(例えば、AB構造)から変化する場合がある。第2算出部17は、そのような構造を除外できるため、高精度に反応成分の第2中間体エネルギーを取得できる。
また、第2算出部17は、図9に示すように、第1構造最適化部171、第2構造最適化部172及び第2遷移状態エネルギーの取得部173を有することが好ましい。これにより、第2算出部17は、記述子が中間体の遷移状態の遷移状態エネルギーである場合に、高精度に第2遷移状態エネルギーを取得できる。
第1構造最適化部171は、1分子から2分子になる分離素反応に含まれる1次スクリーニング候補物質の表面における、1次スクリーニング候補物質と反応成分とを含む中間構造体について構造の最適化を行い、第1最適化構造を算出する。即ち、第1構造最適化部171は、1分子から2分子になる分離素反応において、1次スクリーニング候補物質の表面を緩和した状態で、1次スクリーニング候補物質と反応成分とを含む中間構造体について構造の最適化を行い、第1最適化構造を算出する。
第2構造最適化部172は、第2構造最適化部142と同様に、反応成分について、2以上の物質に分離した際の分離構造の最適化を行い、第2最適化構造を算出する。
第2遷移状態エネルギーの取得部173は、第1遷移状態エネルギーの取得部143と同様、第1構造最適化部171で得られた第1最適化構造と第2構造最適化部172で得られた第2最適化構造とから遷移状態エネルギーである第2遷移状態エネルギーを算出する。
例えば、上述の通り、ABは、候補物質に吸着している状態の分子であり、A-Bは、ABからAとBとに分離する過程におけるABの遷移状態の分子であり、Aは、A分子の中間体であり、Bは、B分子の中間体であるとして、1分子のABがA及びBの2分子になる反応が、上記の反応式(1)のように進行するとする。
上記式(1)のように、ABが1分子から2分子になる分離素反応において、第1構造最適化部171は、1次スクリーニング候補物質の表面を緩和した状態で、第1構造最適化部141と同様に、ABを1次スクリーニング候補物質の表面上に配置し、1次スクリーニング候補物質とABとを含む中間構造体の構造の最適化を行う。
第2構造最適化部172は、A及びBからなる2分子になるように、分離構造の最適化を行う。
第2遷移状態エネルギーの取得部173は、第1遷移状態エネルギーの取得部143と同様に行い、ABである1分子がA及びBからなる2分子となる時に要する遷移状態エネルギーを第2遷移状態エネルギーとして算出する。
図4に示すように、第2プロット部18は、第2算出部17で算出した記述子である第2エネルギーに基づいて1次スクリーニング候補物質を、活性マップ(図5参照)上にプロットして第2プロット付きマップを作成する。
第2スクリーニング部19は、第2プロット部18で作成した第2プロット付きマップを基に1次スクリーニング候補物質をスクリーニングして、2次スクリーニング候補物質を選択する。即ち、第2スクリーニング部19は、スクリーニング方法により、第2プロット付きマップの高活性領域にプロットされた1次スクリーニング候補物質を2次スクリーニング候補物質として選択できる。
1次スクリーニング候補物質をスクリーニングする方法は、上記の第1スクリーニング部16において候補物質を1次スクリーニング候補物質に絞る場合と同様であるため、詳細は省略する。
選択される2次スクリーニング候補物質の数は、1次スクリーニング候補物質の数等に応じて適宜選択可能であり、例えば、数十種類でよいし、数百種類でよい。
絞り込み部21は、第2スクリーニング部19で選択された2次スクリーニング候補物質を、触媒安定性又は触媒コスト等に基づいて絞り込む。
絞り込まれる2次スクリーニング候補物質の数は、選択される2次スクリーニング候補物質の数等に応じて適宜選択可能であり、例えば、数種類でよいし、数十種類でよい。
出力部22は、第2スクリーニング部19で選択された2次スクリーニング候補物質又は絞り込み部21で絞り込まれた2次スクリーニング候補物質を、表示等により出力する。
なお、本実施形態においては、触媒の選択装置10は、準備部13での候補物質の数に応じて、第1算出部14、第1プロット部15及び第1スクリーニング部16、又は第2算出部17、第2プロット部18及び第2スクリーニング部19を備えなくてもよい。即ち、触媒の選択装置10は、候補物質を全て固定した状態での計算、又は候補物質の表面を緩和した状態での計算を省略して、候補物質を絞り込んでもよい。
(触媒の選択装置10のハードウェア構成)
次に、触媒の選択装置10のハードウェア構成の一例について説明する。図10は、触媒の選択装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。図10に示すように、触媒の選択装置10は、情報処理装置(コンピュータ)で構成され、物理的には、演算処理部であるCPU(Central Processing Unit:プロセッサ)101、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)102及びROM(Read Only Memory)103、入力デバイスである入力装置104、出力装置105、通信モジュール106並びにハードディスク等の補助記憶装置107等を含むコンピュータシステムとして構成することができる。これらは、バス108で相互に接続されている。なお、出力装置105及び補助記憶装置107は、外部に設けられていてもよい。
CPU101は、触媒の選択装置10の全体の動作を制御し、各種の情報処理を行う。CPU101は、ROM103又は補助記憶装置107に格納された、例えば後述する触媒の選択方法や触媒の選択プログラムを実行して、触媒の選択を行うことができる。
RAM102は、CPU101のワークエリアとして用いられ、主要な制御パラメータや情報を記憶する不揮発RAMを含んでもよい。
ROM103は、基本入出力プログラム等を記憶する。触媒の選択プログラムはROM103に保存されてもよい。
入力装置104は、キーボード、マウス、操作ボタン、タッチパネル、表示画面等の入力デバイスであり、使用者に入力された情報を指示信号として受け付け、その指示信号をCPU101に出力する。
出力装置105は、モニタディスプレイ等の表示装置、スピーカー、プリンタ等の印刷装置等である。出力装置105では、例えば、モニタディスプレイ等の表示装置に触媒の選択結果等の情報が表示され、入力装置104や通信モジュール106を介した入力操作に応じて表示する画面が更新される。
通信モジュール106は、ネットワークカード等のデータ送受信デバイスであり、外部のデータ収録サーバ等からの情報を取り込み、他の電子機器に解析情報を出力する通信インタフェースとして機能する。
補助記憶装置107は、SSD(Solid State Drive)、及びHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置であり、例えば、触媒の選択装置10の動作に必要な各種のデータ、ファイル等を格納する。
触媒の選択装置10の各機能は、RAM102等の主記憶装置又は補助記憶装置107から所定のコンピュータソフトウェア(触媒の選択プログラムを含む)を読み込ませ、CPU101により実行することで、RAM102等の主記憶装置又は及び補助記憶装置107等におけるデータの読み出し及び書き込みを行うと共に、入力装置104、出力装置105及び通信モジュール106を動作させることで実現される。
よって、図4に示す、触媒の選択装置10の各部は、触媒の選択装置10を備えたコンピュータにおいて、プロセッサが予め記憶されている所定のコンピュータソフトウェア(触媒の選択プログラムを含む)を実行することで、ソフトウェアおよびハードウェアが協働して実現される。
触媒の選択プログラムは、例えばコンピュータが備える主記憶装置又は補助記憶装置107内に格納させておくことができる。また、触媒の選択プログラムは、インターネット等の通信回線に接続されたコンピュータ上に格納し、触媒の選択プログラムの一部又は全部を通信回線を介してダウンロードさせることで提供してもよい。さらに、触媒の選択プログラムは、通信回線を介して提供又は配布するように構成してもよい。
触媒の選択プログラムは、その一部又は全部が、CD-ROM及びDVD-ROM等の光ディスク、フラッシュメモリ等の半導体メモリ等、持ち運び可能な記憶媒体に格納された状態から、コンピュータ内に記録(インストールを含む)してもよい。
<触媒の選択方法>
本実施形態に係る触媒の選択方法について説明する。本実施形態に係る触媒の選択方法は、上述の触媒の選択システム1を用いて行うことができる。このため、既に説明した事項は説明を一部省略する。
図11は、本実施形態に係る触媒の選択方法を示すフローチャートである。図11に示すように、本実施形態に係る触媒の選択方法は、原料であるH及びNから目的生成物であるNHを生成する触媒反応に用いるNH合成触媒の選択方法である。
本実施形態に係る触媒の選択方法では、記述子選択部11により、上記式(I)~(VII)のような触媒反応の素反応に含まれる中間体構造又は遷移状態構造のエネルギーを記述子として選択する(記述子選択工程:ステップS11)。
触媒反応の記述子としては、候補物質の表面に反応成分が吸着する際の吸着エネルギーと、候補物質の表面に反応成分が吸着した後、反応成分が2以上の物質に分離する分離素反応における遷移状態エネルギーとを用いることが好ましい。候補物質の表面に反応成分が吸着する際の吸着エネルギーとしては、例えば、触媒と窒素の中間体(N)との吸着エネルギー(E)が用いられる。候補物質の表面に反応成分が吸着した後、反応成分が2以上の物質に分離する分離素反応における遷移状態エネルギーとしては、触媒での窒素の遷移状態(N-N)の解離活性化エネルギー(EN-N)が用いられる。
次に、マップ作成部12により、記述子と触媒反応の反応性について表した活性マップを作成する(活性マップ作成工程:ステップS12)。
触媒反応の記述子が、触媒と窒素の中間体(N)との吸着エネルギー(E)と、触媒での窒素の遷移状態(N-N)の解離活性化エネルギー(EN-N)である場合の活性マップの一例を図12に示す。
次に、準備部13により、触媒の候補物質を、数千種類(例えば、2000種類)用意する(準備工程:ステップS13)。
なお、ここでは、用意する候補物質の種類は、数千種類としたが、これに限定されず、適宜任意の数としてよい。
次に、第1算出部14により、準備部13で用意した候補物質を全て固定した状態で、候補物質を用いた触媒反応に関する記述子を算出する(第1算出工程:ステップS14)。
本実施形態では、上述の通り、記述子として、候補物質の表面に記述子に用いられる原料(N、H)由来の物質を含む反応成分の中間体が吸着する第1中間体エネルギー、及び候補物質の表面に反応成分の中間体の遷移状態が吸着した後、中間体の遷移状態が2以上の物質に分離する分離素反応における第1遷移状態エネルギーを含む第1エネルギーを算出してよい。
第1算出工程(ステップS14)は、第1算出部14により、機械学習ポテンシャル30を用いて、候補物質の記述子を算出することが好ましい。
第1エネルギーの算出は、1回の計算で決めてもよいし、複数回(例えば、10回)の計算で決めてもよい。複数回計算する場合は、複数の計算値の平均値を用いてもよいし、複数の計算値の最大値又は最小値でもよい。
第1算出工程(ステップS14)は、記述子が第1中間体エネルギーである場合には、第1算出部14により、候補物質を全て固定した状態で、素反応に含まれる候補物質の表面における原料由来の物質を含む反応成分の吸着位置を変化させ、候補物質と反応成分とを含む中間構造体について、構造の最適化を行うことが好ましい。これにより、安定な構造を有する中間構造体が選択できる。
そして、第1算出工程(ステップS14)は、第1算出部14により、候補物質に対する反応成分の吸着構造が正しく、かつ候補物質と反応成分の中間体との第1中間体エネルギーが最も安定した構造を抽出することが好ましい。これにより、候補物質と反応成分の中間体との第1中間体エネルギーが低精度であるが短時間で算出される。
また、第1算出工程(ステップS14)は、図13に示すように、第1構造最適化工程(ステップS141)、第2構造最適化工程(ステップS142)及び第1遷移状態エネルギーの取得工程(ステップS143)を含むことが好ましい。これにより、記述子が中間体の遷移状態の第1遷移状態エネルギーが低精度であるが短時間で算出される。
第1構造最適化工程(ステップS141)は、第1構造最適化部141により、1分子から2分子になる分離素反応に含まれる候補物質の表面における反応成分の候補物質と反応成分とを含む中間構造体について構造の最適化を行い、第1最適化構造を算出する。即ち、第1構造最適化工程(ステップS141)は、第1構造最適化部141により、1分子から2分子になる分離素反応において、候補物質の構造を全て固定した状態で、候補物質と反応成分とを含む中間構造体について構造の最適化を行い、第1最適化構造を算出する。
第2構造最適化工程(ステップS142)は、反応成分の候補物質と反応成分とを含む2以上の物質に分離した際の構造の最適化を行い、第2最適化構造を算出する。
第1遷移状態エネルギーの取得工程(ステップS143)は、第1構造最適化工程(ステップS141)で得られた第1最適化構造と第2構造最適化工程(ステップS142)で得られた第2最適化構造とから遷移状態エネルギーである第1遷移状態エネルギーを算出する。
例えば、上述の通り、ABは、候補物質に吸着している状態の分子であり、A-Bは、ABからAとBとに分離する過程におけるABの遷移状態の分子であり、Aは、A分子の中間体であり、Bは、B分子の中間体であるとして、1分子のABがA及びBの2分子になる反応が、上記の反応式(1)のように進行するとする。
上記式(1)のように、ABが1分子から2分子になる分離素反応が生じる場合には、第1構造最適化工程(ステップS141)は、第1構造最適化部141により、候補物質の構造を全て固定した状態で、ABを候補物質の表面上に配置し、候補物質とABとを含む中間構造体の構造の最適化を行う。
第2構造最適化工程(ステップS142)は、A及びBからなる2分子になるように、構造の最適化を行う。
第1遷移状態エネルギーの取得工程(ステップS143)は、第1遷移状態エネルギーの取得部143により、ABである1分子と、A及びBからなる2分子を、NEB(Nudged Elastic Band)法を用いて、ABである1分子がA及びBからなる2分子となる時に要する遷移状態エネルギーを第1遷移状態エネルギーとして算出して算出する。
次に、図11に示すように、第1プロット部15により、第1算出工程(ステップS14)で算出した記述子である第1エネルギー(第1中間体エネルギー及び第1遷移状態エネルギーを含むエネルギー)に基づいて候補物質を、マップ作成工程(ステップS12)で作成した活性マップ(図12参照)上にプロットして、第1プロット付きマップを作成する(第1プロット工程:ステップS15)。
次に、第1スクリーニング部16により、第1プロット工程(ステップS15)で作成した第1プロット付きマップを基に候補物質をスクリーニングして、1次スクリーニング候補物質を選択する(第1スクリーニング工程:ステップS16)。
即ち、第1スクリーニング部16により、活性が高い(NH合成速度が高い)触媒を含む高活性領域にプロットされた候補物質が1次スクリーニング候補物質として絞られる。
なお、高活性領域の設定方法及び意味は、上述の通りであるため、詳細は省略する。
1次スクリーニング候補物質は、例えば、100種類~500種類に絞られる。なお、絞られる1次スクリーニング候補物質の数は、上述の通り、候補物質の数と、2次スクリーニング候補物質の数等に応じて適宜選択可能であり、例えば、数十種類でよいし、数百種類でよい。
候補物質の記述子をプロットした結果の一例を図14に示す。なお、図14は、図12と同様、記述子として、触媒と窒素の中間体(N)との吸着エネルギー(E)と、触媒での窒素の遷移状態(N-N)の解離活性化エネルギー(EN-N)との関係を示す活性マップを示す。また、プロットした点を明確に示すため、収率の表示は省略する。
また、第1スクリーニング工程(ステップS16)は、第1スクリーニング部16により、活性マップ上に候補物質をプロットして1次スクリーニング候補物質を絞る際、上述のように、候補物質1、2、3・・・N(Nは1以上の整数)に関する情報のみをリストにしたデータテーブルを用いてよい(図8参照)。そして、候補物質のみをリストにしたデータテーブル中の候補物質を高活性領域に含まれる順に並べ替えて、高活性領域に含まれる閾値以上にある候補物質を1次スクリーニング候補物質として絞ってよい。第1スクリーニング部16により、この並び替えたデータテーブルを用いて、第1プロット部15により活性マップ上に候補物質をプロットして、1次スクリーニング候補物質を絞ってよい。
次に、図11に示すように、第2算出部17により、1次スクリーニング候補物質に対して、1次スクリーニング候補物質の表面を緩和した状態で、1次スクリーニング候補物質を用いた触媒反応に関する記述子を算出する(第2算出工程:ステップS17)。
本実施形態では、記述子として、第1エネルギーと同様、1次スクリーニング候補物質の表面に記述子に用いられる反応成分(N、H)の中間体が吸着する第2中間体エネルギーと、1次スクリーニング候補物質の表面に反応成分が吸着した後、反応成分が2以上の物質に分離する分離素反応における第2遷移状態エネルギーを含む第2エネルギーを算出する。
第2算出工程(ステップS17)は、第1算出工程(ステップS14)と同様、第2算出部17により、機械学習ポテンシャル30を用いて、1次スクリーニング候補物質の第2エネルギーを算出することが好ましい。
第2算出工程(ステップS17)は、記述子が第2中間体エネルギーである場合、第2算出部17により、1次スクリーニング候補物質の表面を緩和した状態で、第1算出工程(ステップS14)と同様、1次スクリーニング候補物質と反応成分とを含む中間構造体について、構造の最適化を行うことが好ましい。これにより、安定な構造を有する中間構造体を選択できる。
そして、第2算出工程(ステップS17)は、第2算出部17により、第1算出工程(ステップS14)と同様、1次スクリーニング候補物質に対する反応成分の吸着位置が正しく、かつ1次スクリーニング候補物質と反応成分の中間体との第2中間体エネルギーが最も安定した構造を抽出することが好ましい。これにより、反応成分の第2中間体エネルギーが高精度に算出される。
また、第2算出部17により、第1算出工程(ステップS14)と同様、図15に示すように、第1構造最適化工程(ステップS171)、第2構造最適化工程(ステップS172)及び第2遷移状態エネルギーの取得工程(ステップS173)を含むことが好ましい。これにより、中間体の遷移状態の遷移状態エネルギーが高精度に算出される。
第1構造最適化工程(ステップS171)は、第1構造最適化部171により、1分子から2分子になる分離素反応に含まれる1次スクリーニング候補物質の表面における、1次スクリーニング候補物質と反応成分とを含む中間構造体について構造の最適化を行い、第1最適化構造を算出する。即ち、第1構造最適化工程(ステップS171)は、第1構造最適化部171により、1分子から2分子になる分離素反応において、1次スクリーニング候補物質の表面を緩和した状態で、1次スクリーニング候補物質と反応成分とを含む中間構造体について構造の最適化を行い、第1最適化構造を算出する。
第2構造最適化工程(ステップS172)は、第2構造最適化部172により、第2構造最適化部142と同様に、反応成分について、2以上の物質に分離した際の分離構造の最適化を行い、第2最適化構造を算出する。
第2遷移状態エネルギーの取得工程(ステップS173)は、第2遷移状態エネルギーの取得部173により、第1遷移状態エネルギーの取得部143と同様、第1構造最適化工程(ステップS171)で得られた第1最適化構造と第2構造最適化工程(ステップS172)で得られた第2最適化構造とから遷移状態エネルギーである第2遷移状態エネルギーを算出する。
例えば、上述の通り、ABは、候補物質に吸着している状態の分子であり、A-Bは、ABからAとBとに分離する過程におけるABの遷移状態の分子であり、Aは、A分子の中間体であり、Bは、B分子の中間体であるとして、1分子のABがA及びBの2分子になる反応が、上記の反応式(1)のように進行するとする。
上記式(1)のように、ABが1分子から2分子になる分離素反応が生じる場合には、第1構造最適化工程(ステップS171)は、第1構造最適化部171により、1次スクリーニング候補物質の表面を緩和した状態で、第1構造最適化工程(ステップS141)と同様、ABを1次スクリーニング候補物質の表面上に配置し、1次スクリーニング候補物質とABとを含む中間構造体の構造の最適化を行う。
第2構造最適化工程(ステップS172)は、A及びBからなる2分子になるように、分離構造の最適化を行う。
遷移状態エネルギーの取得工程(ステップS173)は、第2遷移状態エネルギーの取得部173により、遷移状態エネルギーの取得工程(ステップS143)と同様に行い、ABである1分子がA及びBからなる2分子となる時に要する遷移状態エネルギーを第2遷移状態エネルギーとして算出する。
次に、図11に示すように、第2プロット部18により、第2算出部17で算出した記述子である第2エネルギー(第2中間体エネルギー及び第2遷移状態エネルギーを含むエネルギー)に基づいて1次スクリーニング候補物質を、マップ作成工程(ステップS12)で作成した活性マップ(図12参照)上にプロットして、第2プロット付きマップを作成する(第2プロット工程:ステップS18)。
次に、第2スクリーニング部19により、第2プロット工程(ステップS18)で作成した第2プロット付きマップを基に1次スクリーニング候補物質をスクリーニングして、2次スクリーニング候補物質を選択する(第2スクリーニング工程:ステップS19)。
即ち、第2スクリーニング部19により、第2プロット工程(ステップS18)で活性が高い触媒を含む高活性領域にプロットされた1次スクリーニング候補物質を2次スクリーニング候補物質として選択できる。
2次スクリーニング候補物質は、例えば、30種類~100種類選択される。例えば、30種類の2次スクリーニング候補物質をプロットした活性マップの一例を図16に示す。なお、選択される2次スクリーニング候補物質の数は、上述の通り、1次スクリーニング候補物質の数等に応じて適宜選択可能であり、例えば、数種類でよいし、数十種類でよい。
次に、絞り込み部21により、第2スクリーニング工程(ステップS19)で得られた2次スクリーニング候補物質に対して、触媒安定性又は触媒コストにより、絞り込みを行ってよい(絞り込み工程:ステップS20)。
2次スクリーニング候補物質は、例えば、30種類~50種類に絞り込まれる。なお、絞り込まれる2次スクリーニング候補物質の数は、選択される2次スクリーニング候補物質の数等に応じて適宜選択可能であり、例えば、数種類~数十種類としてよい。
次に、出力部22により、第2スクリーニング部19で選択された2次スクリーニング候補物質又は絞り込み部21で絞り込まれた2次スクリーニング候補物質を表示等により出力する(出力工程:ステップS21)。
本実施形態に係る触媒の選択方法により、NHの製造効率が良いNH合成触媒が選択できる。
本実施形態に係る触媒の選択方法により選択された、NHの製造効率が良いNH合成触媒としては、IrSc、FePd、MnTc、IrY、CrPd、MnPd、RhY、CоPt、CrPt、FeRh、CrRh、NiTi、IrV、PtTi、CоRh、PdTi、NiZr、CоW、NiPd、FeNi、IrMn、IrMn、MnPt、MnNi、IrRe、MnRh、PdV、MnPt、RhV及びRhTi等がある。
本実施形態に係る触媒の選択方法により選択された触媒が、収率が良く、NHの製造効率に優れたNH合成触媒であるか否かは、例えば、本実施形態に係る触媒の選択方法により選択された触媒のエネルギーと、従来より一般的に用いられる量子化学計算によって選択される触媒のエネルギーとを比較して、その乖離を検証することで判断できる。
活性マップを作成する際に必要となる基準触媒においてNH合成に関する素反応に登場する、基準触媒上での中間体又は遷移状態のエネルギーをDFT計算により算出したエネルギーと、横軸と同じ基準触媒上での中間体又は遷移状態のエネルギーを本実施形態に係る触媒の選択方法により算出したエネルギーとの相関を図17に示す。DFT計算は、従来より一般的に用いられる量子化学計算の手法である。活性マップを作成する際に必要となる基準触媒とは、例えば、Co、Rh、Ru、Cu、Fe、Re等の金属単体等である。図17に示すように、プロットされた触媒の間には直線関係があることから、機械学習ポテンシャル30は、DFT計算により得られる計算結果と略同じ結果を再現できる。よって、本実施形態に係る触媒の選択方法を用いることで、様々な触媒上での中間体及び遷移状態のエネルギーを高精度に予測できているといえる。
DFT計算を用いて作成した触媒の活性マップの一例を図18に示す。なお、図18には、本実施形態に係る触媒の選択方法を用いて作成した触媒の活性マップも示す。図18に示すように、本実施形態に係る触媒の選択方法を用いて選択した触媒の活性マップは、DFT計算を用いて作成した触媒の活性マップと略同じ傾向を示す。よって、機械学習ポテンシャル30で計算したエネルギーを用いて作成した活性マップは、DFT計算して算出したエネルギーを用いて作成した活性マップと略同様の活性マップを再現できる。
よって、本実施形態に係る触媒の選択方法により選択された触媒は、NHの製造効率が良いNH合成触媒であるといえる。
なお、本実施形態においては、本実施形態に係る触媒の選択方法は、準備工程(ステップS13)で準備する候補物質の数に応じて、第1算出工程(ステップS14)、第1プロット工程(ステップS15)及び第1スクリーニング工程(ステップS16)、又は第2算出工程(ステップS17)、第2プロット工程(ステップS18)及び第2スクリーニング工程(ステップS19)を含まず、省略してもよい。即ち、本実施形態に係る触媒の選択方法は、候補物質を全て固定した状態での計算、又は候補物質の表面を緩和した状態での計算を省略して、候補物質を絞り込んでもよい。
このように、本実施形態に係る触媒の選択方法は、記述子選択工程(ステップS11)、マップ作成工程(ステップS12)、準備工程(ステップS13)、第1算出工程(ステップS14)、第1プロット工程(ステップS15)、第1スクリーニング工程(ステップS16)、第2算出工程(ステップS17)、第2プロット工程(ステップS18)及び第2スクリーニング工程(ステップS19)を含む。
本実施形態に係る触媒の選択方法は、準備工程(ステップS13)で準備した複数の候補物質の第1エネルギーを第1算出工程(ステップS14)で算出し、第1スクリーニング工程(ステップS16)で、第1プロット工程(ステップS15)で作成した第1プロット付きマップにプロットした候補物質から1次スクリーニング候補物質を絞る。そして、本実施形態に係る触媒の選択方法は、第2算出工程(ステップS17)で選択した1次スクリーニング候補物質の第2エネルギーを算出し、第2スクリーニング工程(ステップS16)で、2次プロット工程(ステップS18)で作成した第2プロット付きマップにプロットした1次スクリーニング候補物質の中から2次スクリーニング候補物質を選択する。
即ち、本実施形態に係る触媒の選択方法は、最初に、第1段階として、候補物質を全て固定した状態で、候補物質を用いた触媒反応に関する記述子を低精度であるが短時間で算出して、活性マップにプロットし、プロットした候補物質から1次スクリーニング候補物質を絞る。次に、本実施形態に係る触媒の選択方法は、第2段階として、1次スクリーニング候補物質の表面を緩和した状態で、絞った1次スクリーニング候補物質を用いた触媒反応に関する記述子を高精度に算出し直す。そして、本実施形態に係る触媒の選択方法は、算出された1次スクリーニング候補物質のより正確な記述子に基づいて1次スクリーニング候補物質をさらに絞り込んで、2次スクリーニング候補物質を選択する。よって、本実施形態に係る触媒の選択方法は、候補物質から有効な触媒を迅速かつ高精度に選択することができるので、原料(H及びN)から目的生成物(NH)を合成する触媒反応のためのNH合成触媒を効率的に選択することができる。
化合物等の目的生成物を合成する際には、工業的に各種化学反応が用いられているが、反応過程で圧力や温度等を加える必要な場合があり、多くのエネルギーを要する。本実施形態に係る触媒の選択方法は、化学反応の活性化エネルギーを抑制することができるため、化学反応に要するエネルギーを低減するための触媒の選択に有効に用いることができる。
特に、目的生成物であるNHは、水素キャリアの有力候補の一つとして注目され始めており、NHを高効率で製造する上で、効率良くNH合成できるNH合成触媒を使用することは重要である。NHは、一般に、ハーバーボッシュ(HB)法を用いて合成されるが、高温高圧で行うため、CO排出量の削減、エネルギー効率の観点から、NH合成方法の改善は重要となっている。本実施形態に係る触媒の選択方法は、目的生成物であるNHの製造効率が良い合成触媒を探索するための選択方法として好適に用いることができる。
本実施形態に係る触媒の選択方法は、第1算出工程(ステップS14)及び第2算出工程(ステップS17)で、機械学習ポテンシャル30を用い、候補物質及び1次スクリーニング反応成分の記述子を算出することができる。これにより、本実施形態に係る触媒の選択方法は、記述子の算出をさらに短時間に短縮することができるため、製造効率が良いNH合成触媒の選択時間を短縮することができる。
本実施形態に係る触媒の選択方法は、第1算出工程(ステップS14)及び第2算出工程(ステップS17)で、素反応に含まれる候補物質又は1次スクリーニング候補物質の表面における反応成分の吸着位置を変化させ、候補物質又は1次スクリーニング候補物質と反応成分とを含む中間構造体について、構造の最適化を行うことができる。これにより、本実施形態に係る触媒の選択方法は、候補物質又は1次スクリーニング候補物質の表面に反応成分が吸着した中間構造体の安定な構造を得ることができるため、記述子として、第1中間体エネルギー及び第2中間体エネルギーが適切に算出し易くなる。
本実施形態に係る触媒の選択方法は、第1算出工程(ステップS14)に、第1構造最適化工程(ステップS141)と、第2構造最適化工程(ステップS142)と、第1遷移状態エネルギーの取得工程(ステップS143)を含めることができる。第1算出工程(ステップS14)は、これらの各工程を含むことで、候補物質の表面に反応成分の中間体の遷移状態が吸着した後、2以上の物質に分離する分離素反応における第1遷移状態エネルギーを記述子として算出することができる。これにより、本実施形態に係る触媒の選択方法は、第1算出工程(ステップS14)で、触媒の種類毎にNHの合成速度をより適切に算出し易くなるため、製造効率が良いNH合成触媒をより適切に選択することができる。
本実施形態に係る触媒の選択方法は、第2算出工程(ステップS17)に、第1構造最適化工程(ステップS171)と、第2構造最適化工程(ステップS172)と、第2遷移状態エネルギーの取得工程(ステップS173)を含むことができる。第2算出工程(ステップS17)は、これらの各工程を含むことで、1次スクリーニング候補物質の表面に反応成分の中間体の遷移状態が吸着した後、2以上の物質に分離する分離素反応における第2遷移状態エネルギーを記述子として算出することができる。これにより、本実施形態に係る触媒の選択方法は、第2算出工程(ステップS17)で、触媒の種類毎にNHの合成速度をより適切に求めることができるため、製造効率が良いNH合成触媒をより適切に選択することができる。
本実施形態に係る触媒の選択方法は、準備工程(ステップS12)で、一の候補物質の表面の1種類の元素を別の異なる元素に置換した物質を他の候補物質として含むことができる。これにより、本実施形態に係る触媒の選択方法は、物質の構造の一部が異なる物質も候補物質として含めることができるため、NHの製造効率が良いNH合成触媒をより詳細に選択することができる。
本実施形態に係る触媒の選択方法は、準備工程(ステップS12)で、候補物質として、結晶面のみが異なる物質も候補物質として含めることができる。これにより、本実施形態に係る触媒の選択方法は、候補物質の表面として、結晶面が異なる表面を複数用意することができる。このため、本実施形態に係る触媒の選択方法は、候補物質の表面の複数の表面のうち、特に反応速度が高い表面を有する候補物質を用いることができるため、NHの合成の効率化を適切に図ることができる。
本実施形態に係る触媒の選択方法は、絞り込み工程(ステップS18)を含むことができる。これにより、本実施形態に係る触媒の選択方法は、第2スクリーニング工程(ステップS16)で得られた2次スクリーニング候補物質を、触媒安定性及び触媒コスト等を考慮してさらに絞り込めるため、NHの製造効率が良いNH合成触媒をNHの合成の安定化及び低コスト化を図りつつ選択することができる。
本実施形態に係る触媒の選択方法は、記述子に、候補物質の表面に反応成分が吸着する際の吸着エネルギーと、候補物質の表面に反応成分が吸着した後、反応成分が2以上の物質に分離する分離素反応における遷移状態エネルギーとを用いることができる。即ち、本実施形態に係る触媒の選択方法は、記述子として、第1中間体エネルギー及び第2中間体エネルギーに、Nの中間体であるNがNH合成触媒に吸着する吸着エネルギーを用い、第1遷移状態エネルギー及び第2遷移状態エネルギーに、Nの中間体の遷移状態であるN-NがNH合成触媒から解離する解離活性化エネルギーを用いることができる。NH合成触媒は、原料であるN及びHからNHが合成される過程において、Nと触媒との吸着エネルギー(E)と、触媒でのN-Nの解離活性化エネルギー(EN-N)とが、NHの合成に大きく影響する。本実施形態に係る触媒の選択方法は、中間体エネルギー及び遷移状態エネルギーに上記の中間体であるNと触媒との吸着エネルギー(E)と触媒での中間体の遷移状態であるN-Nの解離活性化エネルギー(EN-N)を用いた活性マップを用いることで、NHの合成速度を高精度かつ適切に求めることができるため、製造効率が良いNH合成触媒をより適切に選択することができる。
<触媒>
本実施形態に係る触媒は、上記の本実施形態に係る触媒の選択方法により選択される。
本実施形態に係る触媒は、NH合成触媒等のように、原料から目的生成物の製造に用いられる触媒として好適に用いられる。
本実施形態に係る触媒がNH合成触媒として用いられる場合、NH合成触媒としては、上述の通り、IrSc、FePd、MnTc、IrY、CrPd、MnPd、RhY、CоPt、CrPt、FeRh、CrRh、NiTi、IrV、PtTi、CоRh、PdTi、NiZr、CоW、NiPd、FeNi、IrMn、IrMn、MnPt、MnNi、IrRe、MnRh、PdV、MnPt、RhV及びRhTi等を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態に係る触媒は、上記の本実施形態に係る触媒の選択方法により選択できるため、目的生成物を効率良く製造することができる。
<触媒の製造方法>
図19は、本実施形態に係る触媒の製造方法の一例を示すフローチャートである。図19に示すように、本実施形態に係る触媒の製造方法は、触媒を選択する選択工程(ステップS31)と、触媒を調製する調製工程(ステップS32)とを含む。
選択工程(ステップS31)は、上記の本実施形態に係る触媒の選択方法により触媒を選択する。
調製工程(ステップS32)は、選択工程(ステップS31)で選択した触媒を調製する。触媒の調整方法は、特に限定されず、選択される触媒の種類に応じて一般的な調整方法を用いてよい。
本実施形態に係る触媒の製造方法は、上記の本実施形態に係る触媒の選択方法により選択された触媒を調整することができるため、目的生成物の生成を効率良く行える触媒を適切に製造することができる。
以上の通り、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更などを行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
なお、本発明の実施形態の態様は、例えば、以下の通りである。
<1> 原料から目的生成物を生成する触媒反応のための触媒の選択方法であって、
前記触媒反応の素反応に含まれる中間体構造又は遷移状態構造のエネルギーを記述子として選択する記述子選択工程と、
前記記述子と前記触媒の反応性との関係を表したマップを作成するマップ作成工程と、
前記触媒の候補物質を複数種類準備する準備工程と、
前記候補物質を固定した状態で、前記候補物質を用いた前記触媒反応に関する前記記述子を算出する第1算出工程と、
前記第1算出工程で算出した前記記述子を前記マップ上にプロットして第1プロット付きマップを作成する第1プロット工程と、
前記第1プロット付きマップを基に前記候補物質をスクリーニングして1次スクリーニング候補物質を選択する第1スクリーニング工程と、
前記1次スクリーニング候補物質に対して、前記1次スクリーニング候補物質の表面を緩和した状態で、前記1次スクリーニング候補物質を用いた前記触媒反応に関する前記記述子を算出する第2算出工程と、
前記第2算出工程で算出した前記記述子を前記マップ上にプロットして第2プロット付きマップを作成する第2プロット工程と、
前記第2プロット付きマップを基に前記1次スクリーニング候補物質をスクリーニングして2次スクリーニング候補物質を選択する第2スクリーニング工程と、
を含む触媒の選択方法。
<2> 前記第1算出工程及び前記第2算出工程の少なくとも一方は、機械学習ポテンシャルを用いて、前記記述子を算出する<1>に記載の触媒の選択方法。
<3> 前記機械学習ポテンシャルが、ニューラルネットワークポテンシャルである<2>に記載の触媒の選択方法。
<4> 前記第1算出工程及び前記第2算出工程の少なくとも一方は、前記素反応に含まれる前記候補物質の表面における前記原料由来の物質を含む反応成分の吸着位置を変化させ、前記候補物質と前記反応成分とを含む中間構造体について、構造の最適化を行う<1>~<3>の何れか1つに記載の触媒の選択方法。
<5> 前記記述子は、前記触媒の表面に前記原料由来の物質を含む反応成分が吸着した後、前記反応成分が2以上の物質に分離する分離素反応における遷移状態エネルギーを含んでおり、
前記第1算出工程は、
前記分離素反応に含まれる前記候補物質の表面における前記反応成分の前記候補物質と前記反応成分とを含む中間構造体について構造の最適化を行い、第1最適化構造を算出する第1構造最適化工程と、
前記反応成分の前記候補物質と前記反応成分とを含む前記2以上の物質に分離した際の構造の最適化を行い、第2最適化構造を算出する第2構造最適化工程と、
前記第1最適化構造と前記第2最適化構造とから前記遷移状態エネルギーである第1遷移状態エネルギーを算出する第1遷移状態エネルギー算出工程と、
を含む<1>~<4>の何れか一つに記載の触媒の選択方法。
<6> 前記記述子は、前記触媒の表面に前記原料由来の物質を含む反応成分が吸着した後、前記反応成分が2以上の物質に分離する分離素反応における遷移状態エネルギーを含んでおり、
前記第2算出工程は、
前記分離素反応に含まれる前記1次スクリーニング候補物質の表面における、前記1次スクリーニング候補物質と前記反応成分とを含む中間構造体について構造の最適化を行い、第1最適化構造を算出する第1構造最適化工程と、
前記反応成分について、前記2以上の物質に分離した際の分離構造の最適化を行い、第2最適化構造を算出する第2構造最適化工程と、
前記第1最適化構造と前記第2最適化構造とから前記遷移状態エネルギーである第2遷移状態エネルギーを算出する第2エネルギー算出工程と、
を含む<1>~<5>の何れか一つに記載の触媒の選択方法。
<7> 前記準備工程は、一の前記候補物質の表面の1種類の元素を別の異なる元素に置換した物質を他の前記候補物質として含む<1>~<6>の何れか一つに記載の触媒の選択方法。
<8> 前記準備工程は、前記候補物質として、結晶面のみが異なる物質も含む<1>~<7>の何れか一つに記載の触媒の選択方法。
<9> 前記第2スクリーニング工程で得られた前記2次スクリーニング候補物質を、触媒安定性又は触媒コストにより絞り込む絞り込み工程を含む<1>~<8>の何れか一つに記載の触媒の選択方法。
<10> 前記候補物質は、単体の金属、複数の金属を含む合金、又は前記金属を含む金属化合物である<1>~<9>の何れか一つに記載の触媒の選択方法。
<11> 前記原料が窒素と水素であり、前記目的生成物がアンモニアである<1>~<10>の何れか一つに記載の触媒の選択方法。
<12> 前記記述子が、前記候補物質の表面に前記原料由来の物質を含む反応成分が吸着する際の吸着エネルギーと、前記候補物質の表面に前記反応成分が吸着した後、前記反応成分が2以上の物質に分離する分離素反応における遷移状態エネルギーとを含む、<11>に記載の触媒の選択方法。
<13> <1>~<12>の何れか一つに記載の触媒の選択方法により選択された触媒。
<14> <13>に記載の触媒は、アンモニア合成用の触媒であり、IrSc、FePd、MnTc、IrY、CrPd、MnPd、RhY、CоPt、CrPt、FeRh、CrRh、NiTi、IrV、PtTi、CоRh、PdTi、NiZr、CоW、NiPd、FeNi、IrMn、IrMn、MnPt、MnNi、IrRe、MnRh、PdV、MnPt、RhV及びRhTiからなる群から選択された1種以上の成分を含む触媒。
<15> <1>~<12>の何れか一つに記載の触媒の選択方法により触媒を選択する選択工程と、
前記選択工程で選択した触媒を調製する調製工程と、
を含む触媒の製造方法。
1 触媒の選択システム
10 触媒の選択装置
11 記述子選択部
12 マップ作成部
13 準備部
14 第1算出部
15 第1プロット部
16 第1スクリーニング部
17 第2算出部
18 第2プロット部
19 第2スクリーニング部
21 絞り込み部
22 出力部
20 記憶部
30 機械学習ポテンシャル
141、171 第1構造最適化部
142、172 第2構造最適化部
143 第1遷移状態エネルギーの取得部
173 第2遷移状態エネルギーの取得部

Claims (13)

  1. 原料から目的生成物を生成する触媒反応のための触媒の選択方法であって、
    前記触媒反応の素反応に含まれる中間体構造又は遷移状態構造のエネルギーを記述子として選択する記述子選択工程と、
    前記記述子と前記触媒の反応性との関係を表したマップを作成するマップ作成工程と、
    前記触媒の候補物質を複数種類準備する準備工程と、
    前記候補物質を固定した状態で、前記候補物質を用いた前記触媒反応に関する前記記述子を算出する第1算出工程と、
    前記第1算出工程で算出した前記記述子を前記マップ上にプロットして第1プロット付きマップを作成する第1プロット工程と、
    前記第1プロット付きマップを基に前記候補物質をスクリーニングして1次スクリーニング候補物質を選択する第1スクリーニング工程と、
    前記1次スクリーニング候補物質に対して、前記1次スクリーニング候補物質の表面を緩和した状態で、前記1次スクリーニング候補物質を用いた前記触媒反応に関する前記記述子を算出する第2算出工程と、
    前記第2算出工程で算出した前記記述子を前記マップ上にプロットして第2プロット付きマップを作成する第2プロット工程と、
    前記第2プロット付きマップを基に前記1次スクリーニング候補物質をスクリーニングして2次スクリーニング候補物質を選択する第2スクリーニング工程と、
    を含む触媒の選択方法。
  2. 前記第1算出工程及び前記第2算出工程の少なくとも一方は、機械学習ポテンシャルを用いて、前記記述子を算出する請求項1に記載の触媒の選択方法。
  3. 前記機械学習ポテンシャルが、ニューラルネットワークポテンシャルである請求項2に記載の触媒の選択方法。
  4. 前記第1算出工程及び前記第2算出工程の少なくとも一方は、前記素反応に含まれる前記候補物質の表面における前記原料由来の物質を含む反応成分の吸着位置を変化させ、前記候補物質と前記反応成分とを含む中間構造体について、構造の最適化を行う請求項1に記載の触媒の選択方法。
  5. 前記記述子は、前記触媒の表面に前記原料由来の物質を含む反応成分が吸着した後、前記反応成分が2以上の物質に分離する分離素反応における遷移状態エネルギーを含んでおり、
    前記第1算出工程は、
    前記分離素反応に含まれる前記候補物質の表面における前記反応成分の前記候補物質と前記反応成分とを含む中間構造体について構造の最適化を行い、第1最適化構造を算出する第1構造最適化工程と、
    前記反応成分の前記候補物質と前記反応成分とを含む前記2以上の物質に分離した際の構造の最適化を行い、第2最適化構造を算出する第2構造最適化工程と、
    前記第1最適化構造と前記第2最適化構造とから前記遷移状態エネルギーである第1遷移状態エネルギーを算出する第1遷移状態エネルギー算出工程と、
    を含む請求項1に記載の触媒の選択方法。
  6. 前記記述子は、前記触媒の表面に前記原料由来の物質を含む反応成分が吸着した後、前記反応成分が2以上の物質に分離する分離素反応における遷移状態エネルギーを含んでおり、
    前記第2算出工程は、
    前記分離素反応に含まれる前記1次スクリーニング候補物質の表面における、前記1次スクリーニング候補物質と前記反応成分とを含む中間構造体について構造の最適化を行い、第1最適化構造を算出する第1構造最適化工程と、
    前記反応成分について、前記2以上の物質に分離した際の分離構造の最適化を行い、第2最適化構造を算出する第2構造最適化工程と、
    前記第1最適化構造と前記第2最適化構造とから前記遷移状態エネルギーである第2遷移状態エネルギーを算出する第2エネルギー算出工程と、
    を含む請求項1に記載の触媒の選択方法。
  7. 前記準備工程は、一の前記候補物質の表面の1種類の元素を別の異なる元素に置換した物質を他の前記候補物質として含む請求項1に記載の触媒の選択方法。
  8. 前記準備工程は、前記候補物質として、結晶面のみが異なる物質も含む請求項1に記載の触媒の選択方法。
  9. 前記第2スクリーニング工程で得られた前記2次スクリーニング候補物質を、触媒安定性又は触媒コストにより絞り込む絞り込み工程を含む請求項1に記載の触媒の選択方法。
  10. 前記候補物質は、単体の金属、複数の金属を含む合金、又は前記金属を含む金属化合物である請求項1に記載の触媒の選択方法。
  11. 前記原料が窒素と水素であり、前記目的生成物がアンモニアである請求項1に記載の触媒の選択方法。
  12. 前記記述子が、前記候補物質の表面に前記原料由来の物質を含む反応成分が吸着する際の吸着エネルギーと、前記候補物質の表面に前記反応成分が吸着した後、前記反応成分が2以上の物質に分離する分離素反応における遷移状態エネルギーとを含む請求項11に記載の触媒の選択方法。
  13. 請求項1に記載の触媒の選択方法により触媒を選択する選択工程と、
    前記選択工程で選択した触媒を調製する調製工程と、
    を含む触媒の製造方法。
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