JP7284474B1 - 有機修飾酸化物微粒子の製造方法及び有機修飾酸化物微粒子 - Google Patents

有機修飾酸化物微粒子の製造方法及び有機修飾酸化物微粒子 Download PDF

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Abstract

【課題】酸化物の種類に関わらず、酸化物粒子の表面全体にわたって共通の手法で均一に有機修飾できるようにすることで、溶媒への分散性をよりいっそう高めた有機修飾酸化物微粒子を簡便に提供可能にする。【解決手段】本発明は、有機修飾酸化物微粒子の製造方法である。この方法は、酸化物粒子の表面に水酸化物等を形成する水酸化物等形成工程と、表面に水酸化物等が形成された酸化物粒子を、超臨界、亜臨界、又は気相の水系溶媒の反応場で有機修飾して有機修飾金属酸化物微粒子を得る有機修飾工程と、を含む。微粒子において、フーリエ変換赤外分光分析法(FT-IR)において、C-Hに起因する2800cm-1と3000cm-1とを両端とする閉区間における最大ピーク強度PI1に対する、O-Hに起因する3000cm-1と3700cm-1とを両端とする閉区間における最大ピーク強度PI2の比PI2/PI1が0.01以上であることが好ましい。【選択図】図3

Description

本発明は、有機修飾酸化物微粒子の製造方法及び有機修飾酸化物微粒子に関する。
微粒子、特にはナノメーターサイズの粒子(ナノ粒子)は、様々な特有の優れた性状・特性・機能を示すことから、材料・製品のすべてに対して、現状よりも高精度で、より小型化、より軽量化の要求を満たしている技術を実現するものとして期待されている。このようにナノ粒子は、セラミックスのナノ構造改質材、光機能コーティング材、電磁波遮蔽材料、二次電池用材料、蛍光材料、電子部品材料、磁気記録材料、研摩材料などの産業・工業材料、医薬品・化粧品材料などの高機能・高性能・高密度・高度精密化を可能にするものとして注目されている。最近のナノ粒子に関する基礎研究から、ナノ粒子の量子サイズ効果による超高機能性や新しい物性の発現、新物質の合成などの発見も相次いでいることから産業界からも大きな関心を集めている。
しかしながら、ナノ粒子を粉体として利用されることはほとんどなく、溶媒に分散させたり、高分子に分散させたり、固体素材に担持させたりして用いられ、そこでの高濃度完全分散、あるいは相分離/自己秩序化構造形成が求められる。このようなナノ粒子の実用化のためには、それぞれの微細粒子に媒体との自在な親和性制御、特有の機能を付加せしめることが必要であり、そのためにはその機能の付加を可能にするため粒子の表面を修飾する技術の確立が求められている。微粒子、特にはナノ粒子に安定して使用・利用できる機能を付加するに便利なものとしては、有機修飾をなすことが挙げられ、特に強固な結合を介して修飾することが求められている。
微粒子は、様々な有用な性質・機能を有することから、超臨界合成法を含めて多くの合成方法が提案・開発されてきている。これらの合成プロセスにおいても、従来のマイクロメーターサイズの粉体ハンドリングプロセスには無かった新たな課題がある。合成された微細粒子やナノ粒子を回収する方法、そして回収後も凝集などさせることなく微粒子のまま分散安定化させておく方法が必要とされている。また、利用する場合にも、樹脂やプラスチックス、溶剤に良分散させる必要もある。特には、水中で合成されたナノ粒子等は、親水性の表面を有していることが多く、水からの回収は容易ではない。また該ナノ粒子等は、有機溶媒や樹脂等になじみが悪いという課題がある。
これらのニーズを満足させるためには、ナノ粒子の表面にそれぞれの目的に応じて、有機物質でもって表面修飾を行う必要があると考えられている。例えば、望ましい修飾としては、樹脂と同様の高分子により修飾するとか、溶剤と同じ官能基を付与するなどが挙げられる。そして、水中で表面修飾を行うことが可能であれば、水からナノ粒子を分離させて回収することも容易になる。ところが、水中で合成されたナノ粒子を有機物質で表面修飾するには、水と有機物質が均一相であることが望ましいが、その場合に使用できる修飾剤は、両親媒性の界面活性剤か、あるいは水にも溶解しうる低級アルコールなどに限られる。さらに、何らかの方法で回収されたとしても、該回収されたナノ粒子も極めて凝集しやすいし、一度、凝集してしまったナノ粒子は、たとえ分散剤を使用しても容易には再分散化させることは難しい。また、こうしたナノ粒子の表面修飾は全く困難である。
高温高圧場で、水と有機物質が均一相を形成することは知られており、例えば、アルコールや糖、カルボン酸とアルコール、そしてカルボン酸とアミンでは高温高圧水中で無触媒下に脱水反応が生起することが知られている。
また、高温高圧の水熱合成場において、有機物質を共存させて金属酸化物粒子を合成すると、粒子表面と有機物質との間での均一相反応の生起により粒子表面に有機物質が強固に結合した表面修飾のなされた微粒子が得られることが報告されている(特許文献1)。そして、得られたナノ粒子は有機修飾されているため、冷却後残存有機物質と共に水から相分離して容易に回収できることも報告されている(特許文献1)。
特許第3925932号公報
しかしながら、金属酸化物は、その製造過程あるいは後処理行程で高温熱処理が行われており、酸化物表面は安定で反応性が低いことも多く、超臨界反応を用いても有機修飾を有効に行えない場合もあった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、酸化物粒子の種類に関わらず、酸化物粒子の表面全体にわたって共通の手法で均一に有機修飾できるようにすることで、溶媒への分散性をよりいっそう高めた有機修飾酸化物微粒子を簡便に提供可能にすることである。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、酸化物粒子の表面に水酸化物及び/又はオキシ水酸化物を形成し、当該水酸化物等を介して有機修飾させることで、微粒子の表面全体にわたって均一に有機修飾できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明では、以下のようなものを提供する。
第1の特徴に係る発明は、酸化物粒子の表面に水酸化物及び/又はオキシ水酸化物を形成する水酸化物等形成工程と、表面に前記水酸化物及び/又は前記オキシ水酸化物が形成された前記酸化物粒子を、超臨界、亜臨界、又は気相の水系溶媒の反応場で有機修飾して有機修飾酸化物微粒子を得る有機修飾工程と、を含む、有機修飾酸化物微粒子の製造方法を提供する。
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、前記水酸化物等形成工程に引き続き前記有機修飾工程を行う方法を提供する。
第3の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、前記水酸化物等形成工程を行う第1装置と前記有機修飾工程を行う第2装置とが物理的に分離されており、前記第1装置で前記水酸化物等形成工程を行い、その後前記第2装置で前記有機修飾工程を行う方法を提供する。
第4の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、前記水酸化物等形成工程及び前記有機修飾工程は、同一反応場で行われ、速度論的に2工程(水酸化物等形成工程及び有機修飾工程)が分離しており、前記水酸化物等形成工程が行われた後に前記有機修飾工程が行われる、方法を提供する。
水中では、酸化物粒子の表面に水酸基が存在する。例えば、原料粒子が金属酸化物である場合、原料粒子の表面に水酸基が存在するのは、以下の反応平衡によるものである。
MO+HO=M(OH) (1)
水中への金属酸化物の溶解度は、高温水、亜臨界水中で高く、すなわち溶解反応の過渡的状態すなわち水酸化物生成は進行しやすくなるが、臨界点以上となると大幅に低下する。すなわち、低温では非常に高い濃度のアルカリ存在下でなければOH基生成は生じないが、亜臨界水中では加水分解同様、OH基生成が生じやすくなる。超臨界域では逆に脱水が生じやすい。
下の有機修飾反応においては、左向きの反応(逆反応)は、アルコキシド等の加水分解でよく知られる反応であり、室温付近でも水の添加により容易に生じる反応である。この反応は、発熱反応であるから高温側では抑制され、逆に右向きの反応(脱水)がより有利となる。
さらに、有機修飾反応において右向きの反応(脱水)では、反応原系と比較して生成物の極性が低いため、溶媒の極性が低いほど有利となる(溶媒効果)。水の誘電率は、高温ほど低く、350℃以下では誘電率は15以下に、特に臨界点近傍以上では誘電率は1~10程度と急激に低くなる。このため、上記の温度効果以上に脱水反応が加速されることとなる。
M(OH)+ROH=M(OR)+HO=M・R+2H
M(OH)+RCOOH=M(OCOR)+HO=MR+HO+CO
M(OH)+RCHO=M(OH)CR+HO=MC=R+2HO,MCR+2HO,MR+H+CO
M(OH)+RSH=MSR+HO(還元)
(これらの式を(2)とする)
すなわち、金属酸化物表面にOH基を提示させるには、亜臨界場が、またさらに有機修飾反応を進行させるには、超臨界場が望ましい。
アミンによる水酸基の攻撃は、室温付近では強力な酸の共存下やClによる置換を介して進行することが知られているが、高温高圧水中ではOHとの交換が生じている。有機物質については、ヘキサンアミドとヘキサノール間でカルボン酸を触媒してヘキサノールのアミノ化が進行することは確認しているが、類似の反応が進行しているものと推察される。本手法の反応機構につき、その一部を例にとり模式的に図1に示す。
チオールの場合には、反応場で還元が生じる可能性が報告されており、金属酸化物表面で一部還元され、それによるチオール付加反応が生じたものと推察される。
上述のように(1)式の酸化物表面の水酸基生成と、(2)式の有機修飾反応の最適反応条件は異なる。そのため、例えば(1)式の反応が左側、すなわち脱水側にある場合、修飾反応を生じさせるために、酸の共存等、反応条件の設定が極めて重要となるし、困難な場合もある。(2)の無機反応が右側(加水)、すなわちOH生成側の亜臨界条件にあっても、修飾反応が脱水を生じさせる条件でなければならない。
金属酸化物ナノ粒子表面に有機修飾を行うには、表面上のOH基の生成プロセスと、有機分子による有機修飾反応プロセスとを分離することが、この矛盾の解決の方法となる。第3の特徴に係る発明のように、水酸化物等形成工程を行う第1装置と有機修飾工程を行う第2装置とを物理的に分離して2つの工程をそれぞれ別の2段プロセスとすることもできるが、第2の特徴に係る発明のように、表面処理プロセス後、引き続き高温場とし有機修飾剤を導入する2段プロセスとすることで連続処理を可能とする。第2の特徴に係る発明の概略図を図2Aに示す。
ただし、超臨界、亜臨界、又は気相の水系溶媒の反応場での有機修飾は、この困難を可能とする方法となりうる場合も設定しうる。例えば、第4の特徴に係る発明のように、原料溶液を金属塩及び有機修飾剤とする。予め加熱した超臨界水を混合させることで、加水分解+脱水反応を生じさせナノ粒子を合成しつつ、共存させた有機修飾剤と脱水反応が生じる場を設定できる。核発生、凝集合体(非古典的核発生)が生じた後、酸化物生成の脱水速度よりも高い速度で有機修飾脱水を生じさせればよく、亜・超臨界反応場であれば有機修飾剤を高濃度で均一相形成できるから、有機反応を制御でき、それを可能としうる。上述の両反応の至適温度条件ゆえ、最適な反応条件は、先に説明した誘電率効果を制御できる臨界点近傍にあることが多い。同様の理由、そして反応条件の設定により、金属塩等の溶液を原料とした場合にも、最適な有機修飾酸化物ナノ粒子合成が可能であり、この制御により本発明では、より高密度の有機修飾をともなう、より微細な有機修飾微粒子を得ることが可能である。第4の特徴に係る発明の概略図を図2Bに示す。
最終的に脱水反応により表面から水酸基が脱水反応によって脱離したとしても、反応前駆体として生成物、あるいはその表面に多くの水酸基が生成する。この反応場に有機修飾剤が共存することで、水酸基が存在する条件で反応を行わせることが可能である。
したがって、第1から第4の特徴に係る発明によると、酸化物の種類に関わらず、酸化物粒子について、原料の表面全体にわたって共通の手法で均一に有機修飾し、有機修飾酸化物微粒子を得ることができる。これにより、有機溶媒への分散性をよりいっそう高めた有機修飾酸化物微粒子を簡便に提供できる。親水基を有する有機分子修飾を行えば、水中をはじめとする極性溶媒への分散も可能となる。また、樹脂中への分散も可能とする。
第5の特徴に係る発明は、酸化物微粒子の表面に水酸化物及び/又はオキシ水酸化物が形成されており、かつ、前記水酸化物層及び/又は前記オキシ水酸化物層を介して有機分子により修飾されている、有機修飾酸化物微粒子を提供する。
第6の特徴に係る発明は、表面が有機分子によって修飾されており、かつ、表面にOH基を有する、有機修飾酸化物微粒子を提供する。
第7の特徴に係る発明は、第5又は第6の特徴に係る発明であって、フーリエ変換赤外分光分析法(FT-IR)において、C-Hに起因する2800cm-1と3000cm-1とを両端とする閉区間における最大ピーク強度PIに対する、O-Hに起因する3000cm-1と3700cm-1とを両端とする閉区間における最大ピーク強度PIの比PI/PIが0.01以上である、有機修飾酸化物微粒子を提供する。
第5から第7の特徴に係る発明によると、酸化物微粒子の表面全体にわたって均一に有機修飾されているため、修飾基と溶媒の親和性を高く設計・選定することで、溶媒の極性に限らず、溶媒へのよりいっそう高い分散性が得られる。
第8の特徴に係る発明は、第5又は第6の特徴に係る発明であって、表面で有機修飾する分子の被覆割合が前記微粒子の表面積に対して1%以上である微粒子を提供する。
第8の特徴に係る発明によると、表面で有機修飾する分子の被覆割合が1%以上であるため、微粒子の露出面の状態がより厳密に制御された有機修飾酸化物微粒子を提供できる。
本発明によると、酸化物粒子の種類に関わらず、酸化物粒子の表面全体にわたって共通の手法で均一に有機修飾できるようにすることで、溶媒への分散性をよりいっそう高めた有機修飾酸化物微粒子を簡便に提供できる。
図1は、本実施形態に係る発明における修飾反応の機構を示した模式図である。 図2Aは、本実施形態に係る製造方法の一例である。 図2Bは、本実施形態に係る製造方法の他の一例である。 図3は、実施例1-1及び1-2で得られた有機修飾酸化物微粒子のIRスペクトルである。 図4は、実施例1-3及び1-4で得られた有機修飾酸化物微粒子のIRスペクトルである。 図5は、試験例2で用いた連続製造装置の模式図である。 図6は、実施例2で得られた有機修飾酸化物微粒子のIRスペクトルである。
以下、本発明の具体的な実施形態について、詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
<有機修飾酸化物微粒子の製造方法>
本実施形態に記載の方法は、酸化物粒子の表面に水酸化物及び/又はオキシ水酸化物を形成する水酸化物等形成工程と、水酸化物等が形成された原料粒子を超臨界等の反応場で有機修飾する有機修飾工程と、を含む。
水酸化物等形成工程を行う第1装置と有機修飾工程を行う第2装置とを物理的に分離して2つの工程をそれぞれ別の2段プロセスとすることもできるが、図2Aに示すように、表面処理プロセス後、引き続き高温場とし有機修飾剤を導入する2段プロセスとすることで連続処理を可能とする。
ただし、超臨界、亜臨界、又は気相の水系溶媒の反応場での有機修飾は、この困難を可能とする方法となりうる場合も設定しうる。例えば、図2Bに示すように、原料溶液を金属塩及び有機修飾剤とする。予め加熱した超臨界水を混合させることで、加水分解+脱水反応を生じさせナノ粒子を合成しつつ、共存させた有機修飾剤と脱水反応が生じる場を設定できる。核発生、凝集合体(非古典的核発生)が生じた後、酸化物生成の脱水速度よりも高い速度で有機修飾脱水を生じさせればよく、亜・超臨界反応場であれば有機修飾剤を高濃度で均一相形成できるから、有機反応を制御でき、それを可能としうる。
〔水酸化物等形成工程〕
水酸化物等形成工程は、酸化物粒子の表面に水酸化物及び/又はオキシ水酸化物を形成する工程である。
[原料]
原料は、酸化物であってもよいし、金属塩であってもよい。
酸化物のうち、無機酸化物としては、例えば金属酸化物が例示される。金属酸化物の具体例として、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化ケイ素、及び酸化セリウム等が挙げられる。酸化物は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
酸化物が無機酸化物である場合、無機成分の種類は特に限定されるものではない。本実施形態に記載の手法によると、得られる微粒子の物性を損なわない観点から、無機成分は、金属又は半金属あるいはこれらの合金であることが好ましい。
原料が金属塩である場合、図2Aで示したように原料スラリーを電気炉で加温することで金属塩が加水分解し水酸化物が生成、さらに高温で脱水反応が生じ金属酸化物が生成する。金属(水)酸化物生成後に、後に示す工程を行うことで、原料それ自体が酸化物でなくても、原料が金属塩であれば、酸化物粒子の表面に最適な水酸化物及び/又はオキシ水酸化物を形成することは、可能である。
また、図2Bのように、原料溶液を金属塩及び有機修飾剤とする。予め加熱した超臨界水を混合させることで、加水分解+脱水反応を生じさせナノ粒子を合成しつつ、共存させた有機修飾剤と脱水反応が生じる場を設定できる。核発生、凝集合体(非古典的核発生)が生じた後、酸化物生成の脱水速度よりも高い速度で有機修飾脱水を生じさせればよく、亜・超臨界反応場であれば有機修飾剤を高濃度で均一相形成できるから、有機反応を制御でき、それを可能としうる。
[水酸化物又はオキシ水酸化物の形成]
(水酸化物の形成)
水酸化物の形成は、酸化物を水熱処理することによって行われる。原料は、高温下におかれるため、原料が無機酸化物である場合、無機酸化物のうち、無機成分は、気体にならず、無機水酸化物として残存する。したがって、原料の分子末端に限らず、表面の全体にわたって均一に水酸化物(水酸化物層)を形成することが可能となる。
水熱処理は、亜臨界状態で行うことが好ましい。また、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等を用いてアルカリ性の条件下で水熱処理を行うことで、より低温でも水酸化物(水酸化物層)を形成することが可能となる。なお、硝酸や硫酸、塩酸といった酸性場でも、酸化物粒子が溶解はするので、水酸化物を形成し得る。
(オキシ水酸化物の形成)
オキシ水酸化物の形成は、若干水蒸気が入っている状態での高温酸化によって行われる。原料は、高温下におかれるため、原料が無機酸化物である場合、無機酸化物のうち、無機成分は、気体にならず、無機オキシ水酸化物として残存する。したがって、原料粒子の分子末端に限らず、表面の全体にわたって均一にオキシ水酸化物(オキシ水酸化物層)を形成することが可能となる。
亜臨界を含め、比較的低温の水熱条件においては、水中であっても平衡論的にオキシ水酸化物が形成される場合もある。ベーマイトAlOOHはその一例である。
オキシ水酸化物の形成においても、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等を用いてアルカリ性の条件下で処理を行うことで、より低温でも水酸化物(水酸化物層)を形成することが可能となる。なお、硝酸や硫酸、塩酸といった酸性場でも、酸化物粒子が溶解はするので、水酸化物を形成し得る。
〔有機修飾工程〕
有機修飾工程は、表面に(オキシ)水酸化物等が形成されて粒子化された原料(以下、「原料粒子」ともいう。)を、超臨界、亜臨界、又は気相の水系溶媒の反応場で有機修飾して有機修飾無機微粒子を得る工程である。この手法により、従来の液相法、気相法と比較して、極めて高い過飽和度を得ることができ、それによって、粒子の微細化すなわち、単位体積(重量)当たりの比表面積を極めて大きくすることができる。
(反応場)
原料粒子の表面を有機修飾する場合には、高温高圧の条件を達成できる装置であれば特に限定されず、当該分野で当業者に広く知られている装置から選択して使用できるが、例えば、回分式装置、流通式装置のいずれをも使用できる。代表的なリアクターとしては、図2で示されるようなものが挙げられ、必要に応じて適宜適切な反応装置を構成できる。
本発明の反応において用いられる水は、超臨界水(SCW)であってもよいし、臨界前の水であってもよい。臨界前の水は、気相の水又は水蒸気(もしくはスチーム)と称される状態の水を含む。また、臨界前の水は、亜臨界水と称される状態の水を含む。臨界前の水である場合、液体状態の水(液相)、あるいは液相を主相として包含していることが好ましい。このような水熱条件下では、比較的重質な炭化水素と共に単一相を形成する能力を有し、また臨界点近傍では温度圧力によって溶媒効果(誘電率、水和構造形成にともなう反応平衡・速度に与える影響)を大幅に制御できる。
本発明による「水熱条件」は、以下の反応温度を有する水共存条件として定義される。ここでの「水熱条件」は、上述のとおり、気相の水又は水蒸気(もしくはスチーム)と称される状態の水が共存する条件を含む。
特に限定されるものではないが、反応温度の下限は、150℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがより好ましく、250℃以上であることがさらに好ましく、300℃以上であることが特に好ましい。
また、反応温度の上限は、1000℃以下であることが好ましく、600℃以下であることがより好ましく、500℃以下であることがさらに好ましく、450℃以下であることが特に好ましい。
本発明の反応圧力は、特に限定されるものではないが、大気圧以上であり、50MPa以下であってよい。反応圧力は、より好ましくは5MPa以上であり、40MPa以下であってよい。
また、本発明の反応時間は、特に限定されるものではないが、例えば1分以上48時間以内であってよく、より一般的には5分以上24時間以内であってよく、より典型的には10分以上12時間以内であってよい。
(反応機構)
本実施形態では、原料粒子の表面に水酸基が存在する。例えば、原料粒子が金属酸化物である場合、原料粒子の表面に水酸基が存在するのは、以下の反応平衡によるものである。
MO+HO=M(OH) (1)
一般に、本反応は発熱であり、高温側では平衡は左側にシフトする。また、用いた表面修飾剤による反応は、以下の通りであり、脱水反応によるものである。
表面修飾剤による反応は、以下の通りであり、脱水反応によるものである。一般に、有機修飾反応は吸熱であり、高温側では平衡は右側にシフトする。
左向きの反応(逆反応)は、アルコキシド等の加水分解でよく知られる反応であり、室温付近でも水の添加により容易に生じる反応である。この逆反応は、一般に発熱反応であるから高温側では抑制され、右向きの反応(脱水)がより有利となる。
有機修飾反応において、右向きの反応(脱水)は、反応原系と比較して生成物の極性が低いため、生成物の水中での安定性は、溶媒の極性が低いほど有利となる。水の誘電率は、高温ほど低く、350℃以下では誘電率は15以下に、特に臨界点近傍以上では誘電率は1-10程度と急激に低くなる。このため、上記の温度効果以上に脱水反応が加速されることとなる。
M(OH)+ROH=M(OR)+HO=M・R+2H
M(OH)+RCOOH=M(OCOR)+HO=MR+HO+CO
M(OH)+RCHO=M(OH)CR+HO=MC=R+2HO,MCR+2HO,MR+H+CO
M(OH)+RSH=MSR+HO(還元)
(これらの式を(2)とする)
アミンによる水酸基の攻撃は、室温付近では強力な酸の共存下やClによる置換を介して進行することが知られているが、高温高圧水中ではOHとの交換が生じている。有機物質については、ヘキサンアミドとヘキサノール間でカルボン酸を触媒してヘキサノールのアミノ化が進行することは確認しているが、類似の反応が進行しているものと推察される。本手法の反応機構につき、その一部を例にとり模式的に図1に示す。
チオールの場合には、反応場で還元が生じる可能性が報告されており、金属酸化物表面で一部還元され、それによるチオール付加反応が生じたものと推察される。
上述のように(1)式の金属酸化物表面の水酸基生成と、(2)式の有機修飾反応の温度依存性は、逆方向にある。そのため、特に(1)式の反応が左側、すなわち脱水側にある場合、修飾反応を生じさせるために、酸の共存等、反応条件の設定が極めて重要となるし、困難な場合もある。
それに対し、超臨界、亜臨界、又は気相の水系溶媒の反応場での有機修飾は、それを可能とする方法である。
一般に、加水分解反応を利用して生成させた微粒子は、水酸化物であり、高温ほど酸化物側に平衡がシフトする。分子配列状態は、高温ほどランダムなアモルファス状態から整列した結晶状態へとシフトする。本実施形態に記載の技術を利用すれば、高い結晶性の微粒子であって有機修飾されたものを得ることが可能である。
微粒子においては粒子径に関連して、表面エネルギーと重力、電場等の外部エネルギーとが拮抗する、すなわち、遠心力や重力沈降、電気泳動等で粒子を分離したり、分散操作を行う場合、粒子径が数100nmサイズ以下となると大きな外場力を与えないと分散しない。50nm以下となると、表面エネルギーの影響がさらに大きくなり、表面性状を制御したり、溶媒の物性を制御する等をしないと、外場エネルギーだけでは極めて困難となる。本実施形態の技術ではこの問題を解決可能である。
特に粒子の大きさを10nm以下とすると、量子状態の重なりがなくなり、また表面の電子状態の影響がバルク物性にも大きく影響する。そのため、バルクの粒子と全く異なる物性が得られること、すなわち量子サイズ効果(久保効果)が現れることがわかってきた。10nm程度以下のサイズの粒子では、特に全く異なる物質とも考えることができるが、本実施形態に記載の技術では好適に該微細な微粒子を有機修飾可能である。
(条件の設定方法)
((反応平衡))
有機修飾の生じる反応条件については、金属種、修飾剤により異なるが、以下のように整理される。
(1)式の平衡が右側にあり、(2)式の平衡が右側にある場合に、反応が進行する。それぞれの平衡が金属種、修飾剤により異なるために、最適な反応条件が異なる。温度を上げると、(2)式の平衡は、右にシフトし、特に350℃以上では急激に進行側にシフトするが、その一方で(1)式の平衡の温度効果は左にシフトする。反応条件については(1)式及び(2)式のDBを参考にする。一般的には、(1)式の可溶化・水付加は亜臨界で、(2)式の脱水反応は臨界点以上、超臨界が好ましいので、これらを同時に行うに場合には臨界点近傍が選択されることが多い。特に、臨界点近傍以上では、(2)式の有機修飾反応に必要な有機修飾剤を超高濃度としても均一相を形成させることができるから、それが可能としうる。
塩基や酸を共存させれば、金属酸化物の表面官能基をOHとすることが可能であるから、その条件下で修飾剤との脱水反応を進行させることが可能である。その場合、酸の存在下で脱水反応が生じやすいから、高温で若干の酸を共存させることで反応を進行させることができる。
((相平衡))
比較的短鎖の炭化水素のアルコール、アルデヒド、カルボン酸、アミンであれば水に可溶であるので、例えば、メタノールによる金属酸化物の表面修飾等は可能である。しかし、より長鎖の炭化水素の場合には、水相と相分離するため、上記の反応平衡が進行側であったとしても、実際には水相にある金属酸化物と有機修飾剤は反応しない場合もある。すなわち、親油基の導入は比較的容易であるが、C3以上の長鎖の炭化水素を対象とする場合には、相挙動を考慮する必要がある。
炭化水素と水との相挙動については、すでに報告があり、それを参考とすることができる。一般に気液の臨界軌跡以上であれば、任意の割合で均一相を形成するから、そのような温度圧力条件を設定することで、良好な反応条件を設定できる。
また、最適な反応温度をより低温としたい場合には、水と有機物とを均一相とするための第3成分を共存させることも可能である。例えば、ヘキサノールと水との共存領域は、水と低温においても均一相を形成するエタノールやエチレングリコールの共存により、より低温で形成させうることは公知である。それを利用して、金属酸化物と有機物質との反応を行わせることができる。ただし、この場合、第3成分による表面修飾反応が生じないように、第3成分の選択が重要となる。
以上、本手法によって、初めて、水中での長鎖の有機修飾が可能となる。
[有機修飾:水熱合成中でのin-situ表面修飾]
上述のように(1)式の金属酸化物表面の水酸基生成と、(2)式以下の有機修飾反応の温度依存性は、逆方向にある。そのため、特に(1)式の反応が左側、すなわち脱水側にある場合、修飾反応を生じさせるために、上述のように均一相形成条件の最適設定、あるいは酸の共存等、反応条件の設定が極めて重要となるし、困難な場合もある。
それに対し、水熱合成in-situ表面修飾は、それを可能とする方法である。
水熱合成は、下記の反応経路で進行する。
Al(NO+3HO=Al(OH)+3HNO
nAl(OH)=nAlO(OH)+nH
nAlO(OH)=n/2Al+n/2H
加水分解に引き続いて脱水((オキシ水)酸化物化)が生じているが、この速度より速い速度で有機修飾脱水反応を生じさせ得れば、これを達成できる。そのためは有機修飾剤濃度を超高濃とする必要がある。
それに対し、亜臨界条件では有機分子と水とが任意の割合で均一相を形成する。その反応条件を設定すれば、有機修飾金属酸化物ナノ粒子のin-situ合成が可能となる。
こうした反応経路で進行することは、他の金属種及び硫酸塩、塩酸塩等を用いた場合も同様である。さらに水熱合成は、高温高圧の水を反応場として行うと、より粒子径の微細な粒子とすることができるから、in-situ表面修飾技法ではより微細な有機修飾粒子を得ることが可能である。また温度や圧力を調節することで、粒子のサイズをコントロールできる。
ここに示したように、最終的に脱水反応により表面から水酸基が脱水反応によって脱離したとしても、反応前駆体として生成物、あるいはその表面に多くの水酸基が生成する。この反応場に有機修飾剤が共存していれば、水酸基が存在する条件で反応を行わせることが可能である。また、反応場には、脱水反応を進行させるための触媒でもある酸が共存するため、修飾反応は加速される。これにより、酸化物に対して行うことができなかった表面修飾を行うことが可能となる。
本実施形態に記載の技術では、前駆体を一旦合成し、それを加水分解等により金属酸化物、金属水酸化物を合成する等という高温場を達成して酸化物への平衡を前提としたものでなく,さらにラジカル重合基質といった,例えば、酸化性物質、温度、光等に感受性のものを使用することなく、微粒子の表面を有機修飾できる。したがって、金属粒子や酸化還元状態の異なる粒子の有機修飾もできる。
本実施形態では、水と有機物質とが均一相を形成するような相状態を使い、しかも、無機-有機複合物質合成を試みるものであり、1nmから50nm以下のサイズの、高結晶性の酸化物微粒子を合成しつつ、その表面を有機分子で修飾する。
超臨界等の反応場で有機分子をキャッピングさせながら反応させることで酸化物のさらなる微粒子化を図ることができる。また、親水性表面を有する酸化物微粒子を炭化水素といった有機基等の疎水性基でその表面を有機修飾することで、水性媒質から回収したりすることが困難な粒子を簡単に且つ確実に有機性の媒質側に移行させて分離・回収することができる。そして、この有機修飾により、結晶の露出面が制御された微粒子を、その形状を変化させることなく回収できる。また、光触媒デバイスの製造は塗布型プロセスで行われることから、溶媒との親和性が高く、高濃度で微粒子を分散させつつ、低粘性を発現させることが可能となる。
有機修飾剤としては、微粒子の表面に炭化水素を強結合せしめることのできるものであれば特には限定されず、有機化学の分野、無機材料分野、高分子化学の分野を含めて微粒子の応用が期待されている分野で広く知られている有機物質から選択することができる。該有機修飾剤としては、例えば、エーテル結合、エステル結合、N原子を介した結合、S原子を介した結合、金属-C-の結合、金属-C=の結合及び金属-(C=O)-の結合等の強結合を形成することを許容するものが挙げられる。該炭化水素としては、その炭素数は特に限定されないが、18以下であることが好ましい。疎水基が短鎖であると、正極合剤を構成するバインダに微粒子を加えたとき、適度に相分離した構造化が生じ、リチウムイオン及び電子の受け渡しが円滑に進み得る結果、より高い電池容量特性が得られ、また、充放電に伴う劣化抑制が期待される。
中でも、芳香族を官能基として持ち、連結炭化水素が2程度であることを考慮すると、疎水性基を構成する炭素数は、30以下であることがより好ましい。
有機修飾剤は、直鎖であってもよいし、分岐鎖であってもよいし、環状であってもよい。また、有機修飾剤は、置換されていてもよいし、非置換のものであってもよい。該置換基としては、有機化学の分野、無機材料分野、高分子化学の分野等で広く知られた官能基の中から選択されたものであってよく、該置換基は1又はそれ以上が存在していてもよいし、複数の場合互いは同じでも異なっていてもよい。
有機修飾剤としては、例えば、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、カルボン酸類、エステル類、アミン類、チオール類、アミド類、オキシム類、ホスゲン、エナミン類、アミノ酸類、ペプチド類、糖類等が挙げられる。
代表的な修飾剤としては、例えば、ペンタノール、ペンタナール、ペンタン酸、ペンタンアミド、ペンタンチオール、ヘキサノール、ヘキサナール、ヘキサン酸、ヘキサンアミド、ヘキサンチオール、ヘプタノール、ヘプタナール、ヘプタン酸、ヘプタンアミド、ヘプタンチオール、オクタノール、オクタナール、オクタン酸、オクタンアミド、オクタンチオール、デカノール、デカナール、デカン酸、デカンアミド、デカンチオール等が挙げられる。
上記炭化水素基としては,置換されていてもよい直鎖又は分岐鎖のアルキル基、置換されていてもよい環式アルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよい飽和又は不飽和の複素環式基等が挙げられる。置換基としては、例えば、カルボキシ基、シアノ基,ニトロ基、ハロゲン、エステル基、アミド基、ケトン基、ホルミル基、エーテル基、水酸基、アミノ基、スルホニル基、-O-、-NH-、-S-等が挙げられる。
(連続製造)
有機修飾工程は、微粒子を構成する構成化学元素を化学量論的割合とは異なる割合で含み、粒子表面への有機修飾の量論以上の量の有機修飾剤の存在下で連続反応器を用いて合成する工程を含むことが好ましい。
連続製造する際、反応場での流体のレイノルズ数は、3,000以上であることが好ましく、4,000以上であることがより好ましく、5,000以上であることがさらに好ましい。これにより、混合速度を反応速度より速く、すなわち反応律速下で反応させ、水系溶媒に対してモノマーを過飽和の状態で溶解できるため、得られる微粒子の平均粒子径を小さくすることができるとともに、粒子径分布をより狭くすることができる。
一般に、古典的な均一核発生成長機構では、濃度を高くすると、過飽和度が高くなり、微粒子が生成しやすい。ところが、非古典的核発生理論によれば、初期液滴核が生成後、それらの合体凝集により液滴核の成長が生じるため、濃度増大にともない生成粒子径が大きくなる。単結晶を生成させつつ、短時間でサイズを大きくする方法として、この機構を用いることができる。結晶化速度よりも速い速度で液滴核、あるいは未成熟微結晶の合体が生じれば、単結晶性の高い微粒子を回収できる。濃度が高いため、生産性も高くなる。それを達成するために、均一混合場の形成が有効であり、その意味でもRe数3,000以上であることが好ましい。その上で、さらに反応時間を0.1秒以下に制御することで、初期核の衝突を抑制しつつ、ナノ粒子を回収できる。
[表面が有機修飾された微粒子の回収]
親水性表面を有する微粒子を炭化水素といった有機基等の疎水性基でその表面を有機修飾することで、水性媒質から回収したりすることが困難な粒子を簡単に且つ確実に有機性の媒質側に移行させて分離・回収することができる。そして、この有機修飾により、結晶の露出面が制御された微粒子を、その形状を変化させることなく回収できる。
本実施形態に記載の方法は、金属酸化物等の表面を有機修飾した後、凍結乾燥または超臨界処理を行ってから、有機修飾された炭素材料を回収することが好ましい。亜臨界水または超臨界水を用いて有機修飾を行った場合には、有機修飾後の炭素材料は疎水化されているため、自動的に水から相分離する。このため、若干の有機溶媒を添加することにより、良好に回収することができる。しかし、有機修飾の際に有機溶媒を使用した場合には、溶媒を乾燥除去する必要があり、その乾燥工程でキャピラリー力が働き、炭素材料が凝集してしまう。そこで、凍結乾燥または超臨界処理を行うことにより、そのキャピラリー力を抑制して凝集を防ぐことができ、有機修飾された炭素材料を高効率で回収することができる。特に、超臨界二酸化炭素乾燥を行うことにより、有機溶媒の完全回収も可能となり、その再利用も可能となる。また、利用されなかった修飾剤との分離も可能となる。
〔1段階プロセスであってもよいこと〕
水酸化物等形成工程及び有機修飾工程は、それぞれの工程を別の反応装置で行う2段階プロセスであってもよいし、それぞれの工程を同じ反応装置で行う1段階プロセスであってもよい。
まずは、原料(酸化物又は金属塩)を反応装置に入れ、低温(亜臨界状態や、若干水蒸気が入っている状態での高温酸化)にて時間をかけて昇温する。昇温している間に水酸化物等形成工程に相当する処理が行われることになる。昇温時間は、金属酸化物の溶解度によって異なり、溶解性の高い粒子の場合5秒でもよいが、特に溶解度が低く、高結晶化した金属酸化物の場合には1分さらには5分以上であることが好ましく、7分以上であることがより好ましい。
その後、反応装置に有機修飾剤を供給し、表面に水酸化物及び/又はオキシ水酸化物が形成された酸化物粒子を、超臨界、亜臨界、又は気相の水系溶媒の反応場で有機修飾する。この有機修飾が有機修飾工程に相当する。
なお、酸化物を昇温する過程で有機修飾剤が分解しづらい場合は、水酸化物等形成工程の段階から有機修飾剤を共存させてもよい。この場合においても、まずは酸化物の水酸化及び/又はオキシ水酸化が行われ、その後、水酸化及び/又はオキシ水酸化された酸化物粒子の有機修飾が行われるため、それぞれの工程を同じ反応装置で行う1段階プロセスであったとしても、当該反応装置にて水酸化物等形成工程及び有機修飾工程の2工程が行われることになる。
<有機修飾酸化物微粒子>
本実施形態に記載の有機修飾酸化物微粒子は、表面に水酸化物及び/又はオキシ水酸化物が形成されており、かつ、水酸化物層及び/又はオキシ水酸化物層を介して有機分子により修飾されている。また、有機修飾酸化物微粒子は、表面が有機分子によって修飾されており、かつ、表面にOH基を有する。
〔C-Hのピーク〕
本実施形態に記載の有機修飾酸化物微粒子は、フーリエ変換赤外分光分析法(FT-IR)において、C-Hに起因する2800~3000cm-1の吸収ピークが得られる。
2800cm-1と3000cm-1とを両端とする閉区間における最大ピーク強度PIは、有機修飾の程度を示す尺度であり、高ければ高いほど好ましい。ピーク強度は、サンプル濃度にもよるが、最大吸収ピーク強度PIを基準とした場合、2800~3000cm-1の吸収ピークを吸収されなかった透過率で表すと、透過率は、80%以下であることが好ましく、70%以下であることがより好ましく、60%以下であることがさらに好ましく、50%以下であることがよりさらに好ましく、40%以下であることが特に好ましく、30%以下であることが最も好ましい。
2800~3000cm-1の吸収ピークの透過率について、下限は特に限定されない。
〔O-Hのピーク〕
本実施形態に記載の有機修飾酸化物微粒子は、フーリエ変換赤外分光分析法(FT-IR)において、O-Hに起因する3000~3700cm-1の吸収ピークがみられる。
3000cm-1と3700cm-1とを両端とする閉区間における最大ピーク強度PIは、酸化物粒子表面における有機修飾基の結合サイトの存在を示す尺度であり、このピーク強度が強いほど結合サイトを多く持つことを意味する。このピーク強度そのものもサンプル濃度に依存するが、先に述べたC-Hピークを基準に考えると、3000~3700cm-1の吸収ピークの透過率は、80%以下であることが好ましく、70%以下であることがより好ましい。
他方で、3000~3700cm-1の吸収ピークの強度が強すぎると、十分な量の有機修飾剤が結合できなかったことを意味する。そのため、有機修飾の判断においては3000~3700cm-1の吸収ピークそのものの強度を基準にするのではなく、CHピークと併せて判断するのが望ましい。
〔C-Hの最大ピーク強度PIに対するO-Hの最大ピーク強度PIの比PI/PI
本実施形態に記載の有機修飾酸化物微粒子は、フーリエ変換赤外分光分析法(FT-IR)において、C-Hに起因する2800cm-1と3000cm-1とを両端とする閉区間における最大ピーク強度PIに対する、O-Hに起因する3000cm-1と3700cm-1とを両端とする閉区間における最大ピーク強度PIの比PI/PIとしては、1以上0.01以上であり、0.05以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましく、0.2以上であることがさらに好ましい。
また、当該比PI/PIの上限は、1以下であることが好ましく、0.8以下であることがより好ましく、0.6以下であることがさらに好ましく、0.4以下であることがよりさらに好ましく、0.3以下であることが特に好ましい。
当該比PI/PIは、酸化物微粒子の表面全体にわたって均一に有機修飾されているかどうかの尺度であり、当該比が適正な範囲内にあることで、表面で有機修飾する分子の被覆割合が微粒子の表面積に対して1%以上であることが示唆される。そして、当該比が適正な範囲内にあることで、微粒子の溶媒へのよりいっそう高い分散性が期待される。
なお、表面で有機修飾する分子の被覆割合は、熱重量分析を用い、有機修飾して官能基化された前後での重量減少の割合から求めるものとする。
〔用途〕
本実施形態に記載の有機修飾無機微粒子は、ユーザーニーズに適合した粒子として機能する。例えば、セラミックスのナノ構造改質材、光機能コーティング材、電磁波遮蔽材料、二次電池用材料、蛍光材料、電子部品材料、磁気記録材料、研摩材料等の産業・工業材料として、あるいは、医薬品・化粧品材料等の高機能・高性能・高密度・高度精密化を可能にする材料として機能する。
中でも、有機修飾無機微粒子は、半導体パッケージング用高濃度チタン酸バリウム分散樹脂、インクジェット用ナノ粒子分散インク、電池材料、触媒材料、潤滑剤などとして有用であり、それらは次のように調製できる。
半導体などの電子部品にはパッケージ外からの電気的外乱を除くために、高誘電率樹脂によるパッケージングが必要である。そのための方法としてチタン酸バリウム粒子分散熱硬化性樹脂が使用される。本半導体などのパッケージング用高濃度チタン酸バリウム分散樹脂においては、チタン酸バリウム粒子を高濃度分散することが求められていた。界面活性剤を用いた樹脂中へのチタバリ分散は可能であるが、界面での誘電損失が生じるという問題がある。本発明の有機修飾微粒子の製造技術を使用すれば、強結合表面修飾した粒子を合成でき、しかも、究極的には樹脂と同じモノマーを導入して、樹脂と無機材料が一体となった材料が合成できる。
ナノ粒子はその色合い、発色の良さ、耐久性など優れた物性を示すことから、ハイテク機器用のインク、例えば、インクジェット用ナノ粒子分散インクに利用する。ナノ粒子を分散させたインクによるインクジェットプリンターは、インクジェットによる配線、回路図等の作製に使用することが期待される。しかし、そのためにはそれに適したナノ粒子合成とその高濃度で溶剤に分散せしめることが必要である。本発明の有機修飾微粒子の製造技術によりインク溶剤と同じ高分子を有する粒子合成が可能となる。
電池材料,例えば、Liイオン電池やキャパシタ材料などの電極材料は、炭素材料と混合して製品用材料化される。電池材料が炭素および溶剤と十分に分散する必要がある。一般には、分散剤を用いた処理が必要となるが、本発明の有機修飾微粒子の製造技術により分散剤を一切用いずに溶剤とも均質分散する材料が合成できる。
担持金属触媒は、金属が持つ電子軌道が酸化物触媒と相互作用して電荷移動が生じることにより活性化する。そこで、ナノメートルオーダーで異種材料を混合できる本発明の有
機修飾微粒子の製造技術を用いれば、金属と酸化物が接触する活性点を高密度に有する触媒の調製が可能となり、優れた触媒材料となる。
また、潤滑剤は固体間にはたらく摩擦を軽減するために用いられているが、ナノ粒子が潤滑剤に含まれることにより、ナノベアリングとして働くことが期待できる。具体的には、せん断力をベアリングの回転運動エネルギーに転化せしめて、もう一方の面にせん断力としてそれが伝達することを防ぐ。従来、潤滑剤としては有機高分子が用いられてきたが、本発明の有機修飾微粒子の製造技術によりこれに強固な構造を持つ酸化物ナノ粒子を分散することが可能となる。
〔平均一次粒子径〕
微粒子の平均一次粒子径の上限は、特に限定されないが、例えば、10μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましく、100nm以下であることがさらに好ましく、50nm以下であることがよりさらに好ましく、30nm以下であることが特に好ましい。
in-situ合成の場合には、さらに小さな有機修飾ナノ粒子合成も可能であり、10nm以下、さらには5nm以下、さらには3nm以下が好ましい。
微粒子の平均一次粒子径の下限も特に限定されない。一般には、微粒子は、圧粉成型によって二次粒子化され、二次粒子を、サイクリックオペレーション用の充填層リアクターで用いられるか、あるいは循環流動層粒子として用いられる。
本実施形態において、微粒子の平均一次粒子径は、TEM(透過型電子顕微鏡)により粒子の画像を撮像し、そのTEM像を画像解析・画像計測ソフトウェアにより解析して求めた値であるものとする。その際、粒子径分布が広い場合には、視野内に入った粒子が全粒子を代表しているか否かに注意を払う必要がある。
〔比表面積〕
有機修飾微粒子合成において微粒子を原料として供給する場合、微粒子の比表面積は、反応活性の観点から、5m/g以上かつ1000m/g以下であってよく、より一般的には10m/g以上かつ500m/g以下であってよく、典型的には20m/g以上かつ400m/g以下であってよく、好ましくは30m/g以上かつ300m/g以下であってよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<試験例1> 有機修飾されている酸化イットリウム担持ZrO微粒子のバッチ式製造
〔実施例1-1〕
ZrO(NO・2HO 0.388mol/L及びY(NO・6HO 0.024mol/Lを含有する水溶液10mLと2-エチルヘキサン酸4.5mLとを加え、50℃で一晩撹拌した。その後、撹拌後液の有機層0.5mLを純水1.5mL及び5mol/Lの水酸化カリウム80μLとともに5ccの管型オートクレーブ(Tube Bomb Reactor)に仕込み、あらかじめ340℃に設定した加熱炉に反応管を入れて10分間反応させた。反応管を冷水に投入することで反応を停止させた。その後、水及びベンゼンを用いて生成物を抽出し、ベンゼン層を回収した後、回収後液から生成物をエタノールで析出させ、析出物を洗浄した。
〔実施例1-2〕
2-エチルヘキサン酸4.5mLの代わりにオクタン酸4.5mLを用いたこと以外は、実施例1-1と同じ手法にて析出物を得た。
〔実施例1-3〕
ZrO(NO・2HO 150.6mg、Y(NO・6HO 13.8mg、KOH 169.8mg及びエチルヘキサン酸0.536mLを純水3mLとともに管型オートクレーブに仕込み、あらかじめ300℃に設定した加熱炉に反応管を入れて10分間反応させた。反応管を冷水に投入することで反応を停止させた。その後、水及びベンゼンとシクロヘキサンとを用いて生成物を抽出し、シクロヘキサン層を回収した後、回収後液から生成物をエタノールで析出させ、析出物を洗浄した。
〔実施例1-4〕
エチルヘキサン酸0.536mLの代わりにオクタン酸0.536mLを用いたこと以外は、実施例1-3と同じ手法にて析出物を得た。
〔評価〕 IRスペクトル
実施例1-1~1-4で得た析出物のそれぞれについて、赤外スペクトル(IRスペクトル)を測定した。図3は、実施例1-1及び1-2に係る析出物のIRスペクトルであり、図4は、実施例1-3及
び1-4に係る析出物のIRスペクトルである。実施例1-1~及び1-4のいずれによっても有機修飾剤に基づくピーク(C-Hに起因する2800~3000cm-1の吸収ピーク)が確認された。表1に示すように、当該ピークの透過率は、いずれも50%以下であった。
また、実施例1-1~1-4のいずれによっても水酸化物及び/又はオキシ水酸化物に基づくピーク(O-Hに起因する3000~3700cm-1の吸収ピーク)が確認された。表1に示すように、当該ピークの透過率は、いずれも50%以上70%以下であった。
そして、C-Hに起因する2800cm-1と3000cm-1とを両端とする閉区間における最大ピーク強度PIに対する、O-Hに起因する3000cm-1と3700cm-1とを両端とする閉区間における最大ピーク強度PIの比PI/PIは、0.36~0.77であった。
Figure 0007284474000002
これにより、実施例1-1~1-4は、いずれも、酸化物微粒子の表面に水酸化物及び/又はオキシ水酸化物が形成されており、かつ、水酸化物層及び/又はオキシ水酸化物層を介して有機分子により修飾されている、有機修飾酸化物微粒子であるといえる。
なお、試験例1で使用したバッチ式製造装置は、水酸化物等形成工程及び有機修飾工程を同じ反応装置で行う1段階プロセスである。まずは、酸化物を低温(亜臨界状態や、若干水蒸気が入っている状態での高温酸化)にて時間をかけて昇温する。その後、表面に水酸化物及び/又はオキシ水酸化物が形成された酸化物粒子を、超臨界、亜臨界、又は気相の水系溶媒の反応場で有機修飾する。試験例1では水酸化物等形成工程の段階から有機修飾剤を共存させているが、試験例1で使用した有機修飾剤は、酸化物を昇温する過程で分解しづらいため、共存しても差し支えない。試験例1では、まずは酸化物の水酸化及び/又はオキシ水酸化が行われ、その後、水酸化及び/又はオキシ水酸化された酸化物粒子の有機修飾が行われるため、それぞれの工程を同じ反応装置で行う1段階プロセスであったとしても、当該反応装置にて水酸化物等形成工程及び有機修飾工程の2工程が行われることになる。
<試験例2> 有機修飾されているCeO微粒子の連続製造
〔実施例2〕
図5は、実施例2で使用した製造装置の模式図である。製造装置は、超臨界水ナノ粒子合成試験機(装置名:MOMI超mini,株式会社アイテック製)を用いた。
オクタン酸セリウム(IV) 0.2mol/L及びオクタン酸0.43mol/Lを含有するベンゼン溶液を流速8mL/分にて1/16インチT字管の第1入口に供給した。また、395℃に予熱した純水を24mL/分にてT字管の第2入口に供給した。T字管内において、原料溶液に含まれるセリウム成分は、急速に高温酸化し、酸化セリウム粒子となる。そして、当該酸化セリウム粒子の表面には水酸化物及び/又はオキシ水酸化物が形成される。
その後、混合後流体をリアクターに供給し、340℃、30MPaの条件で186秒反応させた。この反応により、酸化セリウム粒子の表面が有機修飾され、有機修飾CeO微粒子が得られる。
その後、水及びベンゼンを用いて生成物を抽出し、ベンゼン層を回収した後、回収後液から生成物をエタノールで析出させ、析出物を洗浄した。
〔評価〕 IRスペクトル
実施例2で得た析出物について、赤外スペクトル(IRスペクトル)を測定した。図6は、実施例2に係る析出物のIRスペクトルである。実施例2に係る析出物から有機修飾剤に基づくピーク(C-Hに起因する2800~3000cm-1の吸収ピーク)が確認された。表2に示すように、当該ピークの透過率は、54%であった。
また、実施例2によっても水酸化物及び/又はオキシ水酸化物に基づくピーク(O-Hに起因する3000~3700cm-1の吸収ピーク)が確認された。表2に示すように、当該ピークの透過率は、58%であった。
そして、C-Hに起因する2800cm-1と3000cm-1とを両端とする閉区間における最大ピーク強度PIに対する、O-Hに起因する3000cm-1と3700cm-1とを両端とする閉区間における最大ピーク強度PIの比PI/PIは、0.88であった。
Figure 0007284474000003
これにより、実施例2は、酸化物微粒子の表面に水酸化物及び/又はオキシ水酸化物が形成されており、かつ、水酸化物層及び/又はオキシ水酸化物層を介して有機分子により修飾されている、有機修飾酸化物微粒子であるといえる。
なお、試料31.466mgについて以下の条件で熱重量分析を行ったところ、10.8wt%の重量減少が認められた。
(条件)
室温から105℃:10℃/minで上昇
105℃、30minで保持
105℃から800℃:10℃/minで上昇
800℃から50℃:-10℃/minで冷却
試験例1及び試験例2によると、酸化物の種類に関わらず、また、バッチ式か連続式かによらず、酸化物について、原料の表面全体にわたって共通の手法で均一に有機修飾し、有機修飾酸化物微粒子を得ることができる。これにより、溶媒への分散性をよりいっそう高めた有機修飾酸化物微粒子を簡便に提供できる。
なお、酸化アルミニウムや二酸化ジルコニウムに有機修飾剤を加えて超臨界の反応場で急速昇温反応(数十秒程度の昇温反応)した場合、酸化物をほとんど有機修飾させることができない。これは、酸化物粒子表面への水酸化及び/又はオキシ水酸化が十分でなく、有機修飾剤の量が十分であったとしても、酸化物粒子表面における有機修飾基の結合サイトが十分でないためと考えられる。

Claims (7)

  1. 酸性又はアルカリ性の条件下における水熱処理又は水蒸気が入っている状態での高温酸化によって、酸化物粒子の表面に水酸化物及び/又はオキシ水酸化物を形成する第1工程と、
    表面に前記水酸化物及び/又は前記オキシ水酸化物が形成された前記酸化物粒子を、超臨界、亜臨界、又は気相の水系溶媒の反応場で有機修飾して有機修飾酸化物微粒子を得る第2工程と、を含む、有機修飾酸化物微粒子の製造方法。
  2. 前記第1工程に引き続き前記第2工程を行う、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第1工程を行う第1装置と前記第2工程を行う第2装置とが物理的に分離されており、
    前記第1装置で前記第1工程を行い、その後前記第2装置で前記第2工程を行う、請求項1に記載の方法。
  4. 前記第1工程及び前記第2工程は、同一反応場で行われ、
    速度論的に2工程が分離しており、前記第1工程が行われた後に前記第2工程が行われる、請求項1に記載の方法。
  5. 酸化物微粒子の表面に水酸化物及び/又はオキシ水酸化物が形成されており、かつ、前記水酸化物層及び/又は前記オキシ水酸化物層を介して有機分子により修飾されており、
    フーリエ変換赤外分光分析法(FT-IR)において、C-Hに起因する2800cm -1 と3000cm -1 とを両端とする閉区間における最大ピーク強度PI に対する、O-Hに起因する3000cm -1 と3700cm -1 とを両端とする閉区間における最大ピーク強度PI の比PI /PI が0.01以上である、有機修飾酸化物微粒子。
  6. 表面が有機分子によって修飾されており、かつ、表面にOH基を有し、
    フーリエ変換赤外分光分析法(FT-IR)において、C-Hに起因する2800cm -1 と3000cm -1 とを両端とする閉区間における最大ピーク強度PI に対する、O-Hに起因する3000cm -1 と3700cm -1 とを両端とする閉区間における最大ピーク強度PI の比PI /PI が0.01以上である、有機修飾酸化物微粒子。
  7. 表面で有機修飾する分子の被覆割合が前記微粒子の表面積に対して1%以上である、請求項5又は6に記載の微粒子。
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