以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
(第1の実施形態)
まず、図1を参照して、第1の実施形態に係る無線通信システムの構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係る無線通信システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、無線通信システム1は、送信制御装置10、及び受信制御装置20を備える。送信制御装置10は、合成信号生成部101、及びマルチパス制御部102を備える。受信制御装置20は、マルチパス制御部201、及び信号復元部202を備える。
送信制御装置10及び受信制御装置20は、無線ネットワーク30内に確立された少なくとも1つの無線リンクを介して通信を行う。合成信号生成部101は、所定数K個の信号から少なくとも1つの信号を選択して合成信号を合成する。ここで、所定数Kは、1以上の整数である。マルチパス制御部102は、無線ネットワーク30内に確立された少なくとも1つの無線リンクを介して合成信号を受信制御装置20が受信可能であるように送出する。
受信制御装置20が備えるマルチパス制御部201は、送信制御装置10が備えるマルチパス制御部102から送出された合成信号を、無線ネットワーク30内に確立された少なくとも1つの無線リンクから受信する。信号復元部202は、マルチパス制御部201が受信した合成信号を蓄積し、少なくともK個の合成信号からK個の信号を復元する。
送信制御装置10及び受信制御装置20において通信に使用される信号は、パケット、又は変調信号である。信号がパケットである場合、合成信号生成部101は、信号のエンコードを行う。合成信号生成部101において行われるエンコード方法は、特に限定されない。合成信号生成部101は、例えば、レートレス符号化によるエンコードを行う。レートレス符号化によるエンコードでは、K個のパケットから少なくとも1つのパケットを選択し、排他的論理和(XOR)を取った符号化パケットを生成する。
信号が変調信号である場合、合成信号生成部101は、信号の多重化を行う。合成信号生成部101において行われる多重化方法は、特に限定されない。合成信号生成部101は、例えば、非直交多元接続(Non-Orthogonal Multiple Access; NOMA)を行う。非直交多元接続では、K個の変調信号から少なくとも1つの変調信号を選択し、選択した変調信号ごとに異なる送信電力を付与して多重する。
信号復元部202は、マルチパス制御部201が受信した合成信号を蓄積し、少なくともK個の合成信号からK個の信号を復元する。信号復元部202における信号の復元方法は、特に限定されない。信号復元部202は、例えば、ガウスの消去法を用いて、受信制御装置20が有するマルチパス制御部201が受信した合成信号から、K個の信号を復元する。ガウスの消去法では、少なくともK個の合成信号があれば、K個の信号を復元することができる。したがって、信号復元部202は、マルチパス制御部201が受信した合成信号を少なくともK個蓄積する必要がある。
無線通信システム1は、NACK応答及びACK応答等の確認応答を1送信ごとに行うことなく、合成信号の送出及び受信を行うことができる。したがって、受信制御装置20において受信した合成信号が損失をしている場合に、NACK応答を行う必要がない。さらに、無線通信システム1では、受信制御装置20は、受信した複数の信号に対して1つのACK応答を行う。したがって、無線通信システム1は、ARQ方式の通信システムに比較して、ラウンドトリップ回数を抑制することによって、遅延を抑制可能である。
また、無線通信システム1では、合成信号の到達順序制御を行う必要がない。そのため、無線通信システム1には、大容量のバッファを設ける必要がない。したがって、無線通信システム1は、ラウンドトリップ回数を低減させると共に大容量バッファを必要とせずに、低遅延を実現することができる。
以上、説明したように、本発明の第1の実施形態によれば、ラウンドトリップ回数を低減させると共に大容量バッファを必要とせずに、低遅延を実現することができる。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態は、より具体的な実施形態である。まず、図2を参照して、第2の実施形態に係る無線通信システムの構成について説明する。図2は、第2の実施形態に係る無線通信システムの構成を示すブロック図である。図2に示すように、無線通信システム2は、送信制御装置11、受信制御装置21、無線通信装置40a~40d、無線通信装置50a~50d、装置60、及び装置70を備える。
送信制御装置11及び受信制御装置21は、無線ネットワーク30内に周波数の異なる複数の無線リンクを確立し、当該複数の無線リンクを介して通信を行う。送信制御装置11が備えるマルチパス制御部112は、複数の無線リンクから少なくとも1つの無線リンクを選択して、受信制御装置21が受信可能であるように合成信号を送出する。受信制御装置21が備えるマルチパス制御部211は、送信制御装置11が備えるマルチパス制御部112から送出された合成信号を、複数の無線リンクのそれぞれから受信する。
マルチパス制御部112が複数の無線リンクから少なくとも1つの無線リンクを選択する方法は、特に限定されない。マルチパス制御部112は、複数の無線リンクからランダムに無線リンクを選択してもよい。また、マルチパス制御部112は、複数の無線リンクのそれぞれへの送出回数が均等になるように、複数の無線リンクから少なくとも1つの無線リンクを選択してもよい。
マルチパス制御部112は、好ましくは、送信制御装置11から受信制御装置21に合成信号が到達するのに要する遅延時間に関して保証すべき通信特性と無線ネットワーク30の状態とを用いて、複数の無線リンクから少なくとも1つの無線リンクを選択する。送信制御装置11から受信制御装置21に合成信号が到達するのに要する遅延時間に関して保証すべき通信特性は、好ましくは、遅延時間について許容し得る最大値である最大許容遅延値と当該最大許容遅延値の保証確率を含む。送信制御装置11から受信制御装置21に合成信号が到達するのに要する遅延時間に関して保証すべき通信特性は、さらに好ましくは、最大許容遅延値と保証確率を満たす。
無線通信システム2において、通信に使用される信号は、パケットである。信号がパケットである場合、計測される無線ネットワーク30の特性は、例えば、送信制御装置11と受信制御装置21との間におけるパケットの往伝送遅延、パケットロス率、送信帯域、及びパケットサイズである。したがって、マルチパス制御部112は、好ましくは、送信制御装置11と受信制御装置21との間におけるパケットの往伝送遅延、パケットロス率、送信帯域、及びパケットサイズのうち少なくとも1つに基づいて無線リンクを選択する。
送信制御装置11は、無線通信装置40a、無線通信装置40bと、無線通信装置40c、無線通信装置40d、及び装置60に接続している。受信制御装置21は、無線通信装置50a、無線通信装置50b、無線通信装置50c、無線通信装置50d、及び装置70に接続している。無線通信装置40aは、無線ネットワーク30を介して、無線通信装置50aに接続している。無線通信装置40bは、無線ネットワーク30を介して、無線通信装置50bに接続している。無線通信装置40cは、無線ネットワーク30を介して、無線通信装置50cに接続している。無線通信装置40dは、無線ネットワーク30を介して、無線通信装置50dに接続している。
なお、以下の説明では、送信制御装置11に接続する無線通信装置40a~40dで共通した事項を説明する場合、「無線通信装置40は~」のように述べる。また、受信制御装置21に接続する無線通信装置50a~50dで共通した事項を説明する場合、「無線通信装置50は~」のように述べる。
無線通信システム2は、それぞれ2以上の無線通信装置40、50を備える。さらに、無線通信システム2では、無線通信装置40の数が、無線通信装置50の数と、同じである。例えば図2に示す例では、無線通信システム2は、無線通信装置40、50をそれぞれ4つずつ備える。しかしながら、無線通信システム2は、無線通信装置40、50を、例えば、それぞれ2つずつ備えていてもよい。
無線通信システム2は、装置60、70をそれぞれ1つ以上備える。例えば図2に示す例では、無線通信システム2は、装置60、70をそれぞれ1つずつ備える。しかしながら、無線通信システム2は、装置60、70をそれぞれ複数備えていてもよい。無線通信システム2は、装置60を複数備え、装置70を1つ備えていてもよい。
送信制御装置11及び受信制御装置21は、無線ネットワーク30内に周波数の異なる複数の無線リンクを確立し、当該複数の無線リンクを介して通信を行う。図2に示す例では、4つの無線リンクが確立されている。4つの無線リンクは、無線通信装置40a及び無線通信装置50a、無線通信装置40b及び無線通信装置50b、無線通信装置40c及び無線通信装置50c、及び無線通信装置40d及び無線通信装置50d、を介してそれぞれ確立される。
送信制御装置11及び無線通信装置40は、通信回線ネットワーク(Network; NW)を介して通信可能である。送信制御装置11及び装置60は、通信回線ネットワークを介して通信可能である。受信制御装置21及び無線通信装置50は、通信回線ネットワークを介して通信可能である。受信制御装置21及び装置70は、通信回線ネットワークを介して、通信可能である。通信回線ネットワークは、例えば、ローカルエリアネットワーク(Local Area Network; LAN)である。しかしながら、通信回線ネットワークは、特に限定されず、公知のものを使用可能である。通信回線ネットワークは、例えば、パーソナルエリアネットワーク(Personal Area Network; PAN)、又はCAN(Campus Area Network)である。通信回線ネットワークは、メトロポリタンエリアネットワーク(Metropolitan Area Network; MAN)、ワイドエリアネットワーク(Wide Area Network; WAN)、又はGAN(Global Area Network)等であってもよい。通信回線ネットワークは、インターネットなどの外部ネットワークであってもよい。
なお、送信制御装置11及び無線通信装置40、送信制御装置11及び装置60、受信制御装置21及び無線通信装置50、及び受信制御装置21及び装置70は、通信回線ネットワークに代えて、インターフェースを介しても通信してもよい。インターフェースは、例えば、RS(Recommended Standard)-232やRS-422、RS-485、USB(Universal Serial Bus)、及びIEEE1394などである。
送信制御装置11は、図示しない情報処理装置及び通信インターフェースを備える。情報処理装置は、図示しない中央処理装置(Central Processing Unit; CPU)、及び記憶装置を備える。情報処理装置が備える記憶装置は、メモリ及びハードディスク駆動装置(hard disk drive; HDD)である。送信制御装置11は、例えば、記憶装置に記憶されたプログラムを中央処理装置が実行することにより、後述する機能を実現するように構成される。なお、送信制御装置11は、IPコア(intellectual property core)であってもよい。IPコアは、例えば、FPGA(field-programmable gate array)、IC(Integrated Circuit)、及びLSI(Large Scale Integration)などである。
受信制御装置21は、図示しない情報処理装置及び通信インターフェースを備える。情報処理装置は、図示しない中央処理装置、及び、記憶装置を備える。情報処理装置が備える記憶装置は、メモリ及びハードディスク駆動装置である。受信制御装置21は、例えば、記憶装置に記憶されたプログラムを中央処理装置が実行することにより、後述する機能を実現するように構成される。なお、受信制御装置21は、IPコアであってもよい。
無線通信装置40、50は、無線局である。無線通信装置40、50は、例えば、無線LANルータの無線局である。無線通信装置40、50は、基地局等の無線局であってもよい。無線通信装置40、50は、図示しない情報処理装置及び通信インターフェースをそれぞれ備える。また、無線通信装置40、50は、図示しない中央処理装置、及び、記憶装置を備える。無線通信装置40、50は、記憶装置に記憶されたプログラムを中央処理装置が実行することにより、一般的な通信システムにおける無線通信装置が備える機能を実現するように構成されている。
無線通信システム2において無線ネットワーク30内に確立される複数の無線リンクは、それぞれ周波数の異なるものであれば、どのようなものであってもよい。無線通信装置40、50は、複数の無線リンクのそれぞれの周波数で通信可能なものであれば、どのようなものであってもよい。
例えば図2に示す例では、無線通信装置40a及び無線通信装置50aは、IEEE802.11g準拠の無線LANルータである。IEEE802.11gは、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)により策定された無線LAN(Local Area Network)関連規格の一つである。無線通信装置40aと無線通信装置50aとを介して確立される無線リンクは、2.4GHzの周波数帯に確立される。無線通信装置40b及び無線通信装置50bは、IEEEにより策定された無線LAN関連規格の一つであるIEEE802.11a準拠の無線LANルータである。無線通信装置40bと無線通信装置50bとを介して確立される無線リンクは、5.2GHzの周波数帯に確立される。
無線通信装置40c及び無線通信装置50cは、IEEEにより策定された無線LAN関連規格の一つであるIEEE802.11ac準拠の無線LANルータである。無線通信装置40cと無線通信装置50cとを介して確立される無線リンクは、5.6GHzの周波数帯に確立される。無線通信装置40d及び無線通信装置50dは、IEEEにより策定された無線LAN関連規格の一つであるIEEE802.11ad準拠の無線LANルータである。無線通信装置40dと無線通信装置50dとを介して確立される無線リンクは、60GHzの周波数帯に確立される。
図2に示す例では、無線ネットワーク30内に確立される複数の無線リンクのそれぞれにおいて異なる無線規格を用いている。しかしながら、複数の無線リンクの全てにおいて同一の無線規格を用いてもよい。同一の無線規格を用いる場合、複数の無線リンク間で周波数の異なるチャネルを用いる。例えば、複数の無線リンクの全てがIEEE802.11gを用いる場合、IEEE802.11gが備える13個のチャネル、すなわち1ch~13chから、1ch、5ch、9ch、13chを複数の無線リンクのそれぞれに割り当てる。
装置60は、通信機能を備える。装置60は、例えば、サーバやワークステーション等のIT機器、パーソナル・コンピュータ、センサー、又は製造機器である。装置60は、携帯電話端末、PHS(Personal Handyphone System)端末、又はPDA(Personal Data Assistance、Personal Digital Assistant)等であであってもよい。装置60は、スマートフォン、タブレット端末、カーナビゲーション端末、又はゲーム端末等であってもよい。装置60は、図示しない中央処理装置、及び記憶装置を備える。なお、装置60は、図示しない情報処理装置、トランシーバ、入力装置、及び出力装置等を備えてもよい。トランシーバは、トランスミッター、及びレシーバを備える。入力装置は、キーボタン、及びマイクロフォンを備える。出力装置は、ディスプレイ、及びスピーカを備える。
装置60は、記憶装置に記憶されているプログラムを中央処理装置が実行することにより、装置70に送信するための信号を生成する機能を実現するように構成されている。図2に示す例では、装置60は、装置70に送信するための信号を生成する。生成した信号は、通信回線ネットワークを介して、送信制御装置11に送出される。
装置60は、記憶装置に記憶されているプログラムを中央処理装置が実行することにより、一般的な装置が備える機能を実現するようにも構成されている。なお、一般的な装置とは、例えば、サーバやワークステーションなどのIT機器、パーソナル・コンピュータ、各種センサー、製造機器、又は携帯電話端末等である。一般的な装置が備える機能とは、例えば、装置70を制御するための制御命令情報を生成する機能、又は装置70が制御するために必要な周辺環境情報などを生成する機能等である。
装置70は、通信機能を備える。装置70は、例えば、サーバやワークステーション等のIT機器、パーソナル・コンピュータ、センサー、製造機器、携帯電話端末、PHS端末、PDA、スマートフォン、タブレット端末、カーナビゲーション端末、又はゲーム端末等である。装置70は、図示しない中央処理装置、及び記憶装置を備える。なお、装置60は、図示しない情報処理装置、トランシーバ、入力装置、及び出力装置等を備えてもよい。トランシーバは、トランスミッター、及びレシーバを備える。入力装置は、キーボタン、及びマイクロフォンを備える。出力装置は、ディスプレイ、及びスピーカを備える。
装置70は、記憶装置に記憶されているプログラムを中央処理装置が実行することにより、装置60が装置70に送信するために生成した信号を受信する機能を実現するように構成されている。
装置70は、記憶装置に記憶されているプログラムを中央処理装置が実行することにより、一般的な装置が備える機能を実現するようにも構成されている。なお、一般的な装置とは、例えば、サーバやワークステーションなどのIT機器、パーソナル・コンピュータ、各種センサー、製造機器、及び携帯電話端末等である。一般的な装置が備える機能とは、例えば、装置60から通知された制御命令情報に従って制御する機能、及び装置60から通知された周辺環境情報などを用いて制御する機能等である。
送信制御装置11は、合成信号生成部111、マルチパス制御部112、及び受信信号解析部113を備える。以下、送信制御装置11が備える中央処理装置、トランシーバ、及び記憶装置が互いに協調して動作する場合における、合成信号生成部111、マルチパス制御部112、及び受信信号解析部113の動作について説明する。
合成信号生成部111は、装置60から送出された信号を蓄積することができる。合成信号生成部111は、蓄積した信号からK個の信号を選択し、選択したK個の信号から合成信号を生成することができる。信号がパケットである場合、合成信号生成部111は、蓄積したパケットからK個のパケットを選択し、選択したK個のパケットから符号化パケットを生成する。符号化パケットの生成は、例えば、レートレス符号化によるエンコード処理によって行われる。レートレス符号化によるエンコード処理では、K個のパケットから少なくとも1つのパケットを選択し、排他的論理和(XOR)を取った符号化パケットを生成する。
以下、第2の実施形態では、レートレス符号化によるエンコード処理を行う場合について説明を行う。第2の実施形態では、所定数Kは、送信制御装置11において設定されるものとする。しかしながら、所定数Kは、装置60、装置70、受信制御装置21、無線通信装置40、又は無線通信装置50において設定されてもよい。所定数Kを装置60、装置70、受信制御装置21、無線通信装置40、又は無線通信装置50において設定する場合、所定数Kを設定する装置は、送信制御装置11に所定数Kに係る情報を通知する。送信制御装置11は、通知された情報に基づいて所定数Kを設定する。
合成信号生成部111で生成した符号化パケットは、マルチパス制御部112に送出される。詳細は後述するが、レートレス符号化によるエンコード処理は、受信信号解析部113からACK通知を受けるまで繰り返し行われる。合成信号生成部111は、受信信号解析部113からACK通知を受けると、エンコード処理を終了するとともに、エンコード処理の対象としたK個のパケットを破棄する。
マルチパス制御部112は、無線ネットワーク30内に周波数の異なる複数の無線リンクを確立して、送信制御装置11と受信制御装置21とを通信可能にする。マルチパス制御部112は、無線ネットワーク30内に確立される周波数の異なる複数の無線リンクから少なくとも1つの無線リンクを選択して、合成信号生成部111から送付された符号化パケットを受信制御装置21へ送出する。マルチパス制御部112から送出された符号化パケットは、選択された無線リンク上にある無線通信装置40から送信される。送信された符号化パケットは、同一無線リンク上にある無線通信装置50が受信して、マルチパス制御部211に到着する。
マルチパス制御部112は、詳細は後述するが、送信制御装置11と受信制御装置21との間に確立される周波数の異なる複数の無線リンクのそれぞれから、ACKパケットを受信する。マルチパス制御部112が受信するACKパケットは、受信制御装置21が備えるACK生成部213が生成する。受信されたACKパケットは、受信信号解析部113に送出される。受信信号解析部113は、ACK生成部213が生成するACKパケットが到着すると、合成信号生成部111にACKを通知する。
受信制御装置21は、マルチパス制御部211、信号復元部212、及びACK生成部213を備える。以下、受信制御装置21が備える中央処理装置、トランシーバ、及び記憶装置が互いに協調して動作する場合における、マルチパス制御部211、信号復元部212、及びACK生成部213の動作について説明する。
マルチパス制御部211は、無線ネットワーク30内に周波数の異なる複数の無線リンクを確立して、送信制御装置11と受信制御装置21とを通信可能にする。マルチパス制御部211は、無線ネットワーク30内に確立される周波数の異なる複数の無線リンクのそれぞれから符号化パケットを受信する。マルチパス制御部211が受信した符号化パケットは、信号復元部212に送出される。
マルチパス制御部211は、詳細は後述するが、送信制御装置11と受信制御装置21との間に確立される周波数の異なる複数の無線リンクから少なくとも1つの無線リンクを選択し、ACKパケットを送信制御装置11に送出する。マルチパス制御部211が送出するACKパケットは、ACK生成部213が生成する。マルチパス制御部211から送出されたACKパケットは、選択された無線リンク上にある無線通信装置50から送信される。送信されたACKパケットは、同一無線リンク上にある無線通信装置40が受信して、送信制御装置11に到着する。
信号復元部212は、マルチパス制御部211が送出した符号化パケットを蓄積する。信号復元部212は、蓄積した符号化パケットをデコードして、K個のパケットを復号する。信号復元部212における信号の復元方法は、特に限定されない。信号復元部212は、例えば、ガウスの消去法を用いて、蓄積した符号化パケットからK個のパケットを復号する。ガウスの消去法では、少なくともK個の符号化パケットがあれば、K個のパケットを復元することができる。したがって、信号復元部212は、マルチパス制御部211が送出した符号化パケットを少なくともK個蓄積する必要がある。
デコードされたK個のパケットは、装置70に送付される。信号復元部212は、パケットの復号が完了すると、ACK生成部213にパケットの復号が完了したことを通知する。ACK生成部213は、信号復元部212においてK個のパケットの復号が完了した通知を受けると、ACKパケットを生成する。生成されたACKパケットは、マルチパス制御部211から送信制御装置11に送出される。
<動作の説明>
次に、図3~7を参照して、第2の実施形態に係る無線通信システムの動作について詳細に説明する。図3は、第2の実施形態に係る送信制御装置の符号化処理における動作の一例を説明するフローチャートである。図4は、第2の実施形態に係る受信制御装置の符号化処理における動作の一例を説明するフローチャートである。図5は、第2の実施形態に係る送信制御装置の符号化パケット送出処理における動作の一例を説明するフローチャートである。図6は、第2の実施形態に係る受信制御装置の復号処理における動作の一例を説明するフローチャートである。図7は、第2の実施形態に係る受信制御装置の信号送出処理における動作の一例を説明するフローチャートである。
図3は、送信制御装置11が備える合成信号生成部111が、蓄積したパケットからK個のパケットを選択し、選択されたK個のパケットをエンコードして符号化パケットを生成する動作手順を表す。送信制御装置11は、合成信号生成部111に蓄積しているパケットの数が0から1となった場合に、図3に示す動作を実行する。
まず、送信制御装置11が備える合成信号生成部111は、合成信号生成部111に蓄積しているパケットの数iが、所定数K以上か否かを判定する(ステップS101)。第2の実施形態では、所定数Kを5とする。しかしながら、所定数Kは1以上の整数であれば特に限定されない。
合成信号生成部111に蓄積しているパケットの数iが所定数K以上であった場合(ステップS101、YES)、合成信号生成部111は、蓄積しているi個のパケットからK個のパケットを選択する(ステップS102)。第2の実施形態では、合成信号生成部111における蓄積時間が最長のものから降順にK個のパケットを選択する。
次に、合成信号生成部111は、ステップS102において選択されたパケットから少なくとも1つのパケットを任意に抽出する(ステップS104)。
続いて、合成信号生成部111は、ステップS104において抽出されたパケットに対して排他的論理和(XOR)を取った符号化パケットを生成し(ステップS105)、動作を終了する。
一方、合成信号生成部111に蓄積しているパケットの数iが所定数K未満であった場合(ステップS101、NO)、合成信号生成部111は、蓄積しているi個のパケットをすべて選択する(ステップS103)。
次に、合成信号生成部111は、ステップS103において選択されたパケットから少なくとも1つのパケットを任意に抽出する(ステップS104)。
図4は、送信制御装置11の合成信号生成部111が、蓄積したパケットから所定数Kのパケットを選択し、選択されたK個のパケットをエンコードして符号化パケットを生成する動作手順を表す。送信制御装置11は、合成信号生成部111に蓄積しているパケットの数が1以上の場合に、図4に示す動作を実行する。
図4に示す動作には、図3に示した動作に対して、ステップS201~ステップS203の処理が新たに追加されている。そこで、以下では、追加されたステップS201~ステップS203の動作について説明し、重複した説明は省略する。
まず、送信制御装置11が備える合成信号生成部111は、送信制御装置11が備える受信信号解析部113からACKが通知されているか否かを判定する(ステップS201)
受信信号解析部113からACKが通知されている場合(ステップS201、YES)、合成信号生成部111は、蓄積しているパケットから、ステップS102又はステップS103において選択されたパケットを破棄する(ステップS202)。
次に、合成信号生成部111は、合成信号生成部111に蓄積しているパケットの数iが1未満か否かを判定する(ステップS203)
合成信号生成部111に蓄積しているパケットの数iが1未満の場合(ステップS203、YES)、合成信号生成部111には蓄積しているパケットがないと判断し、動作を終了する。
一方、合成信号生成部111に蓄積しているパケットの数iが1以上の場合(ステップS203、NO)、合成信号生成部111は、合成信号生成部111に蓄積しているパケットの数iが、所定数K以上か否かを判定する(ステップS101)。
また、受信信号解析部113からACKが通知されていない場合(ステップS201、NO)、合成信号生成部111は、ステップS102又はステップS103において選択されたパケットから少なくとも1つのパケットを任意に抽出する(ステップS104)。
図5は、送信制御装置11が備えるマルチパス制御部112が、周波数の異なる複数の無線リンクから少なくとも1つの無線リンクを選択して、合成信号生成部111から送付された符号化パケットを受信制御装置21に送出する動作手順を表す。送信制御装置11は、合成信号生成部111からマルチパス制御部112に符号化パケットを送出する度に、図5に示す動作を実行する。
まず、送信制御装置11が備えるマルチパス制御部112は、送信制御装置11と受信制御装置21との間に確立される周波数の異なる複数の無線リンクから少なくとも1つの無線リンクを選択する(ステップS301)。
第2の実施形態では、ラウンドロビン方式で、4つの無線リンクから1つの無線リンクを選択する。例えば、直近の符号化パケットを送出した無線リンクが無線通信装置40a上の無線リンクである場合、次の符号化パケットを送出する無線リンクは無線通信装置40b上の無線リンクとなる。このように、無線通信装置40a上の無線リンク、無線通信装置40b上の無線リンク、無線通信装置40c上の無線リンク、無線通信装置40d上の無線リンク、無線通信装置40a上の無線リンク、の順に4つの無線リンクから1つの無線リンクを選択する。
次に、マルチパス制御部112は、ステップS301において選択された無線リンクに、合成信号生成部111から送付された符号化パケットを送出し(ステップS302)、動作を終了する。
図6は、受信制御装置21が備える信号復元部212が、マルチパス制御部211が送出した符号化パケットをデコードして、K個のパケットに復号する動作手順を表す。信号復元部212は、マルチパス制御部211が送出した符号化パケットを受け取る度に、図6に示す動作を実行する。
まず、受信制御装置21が備える信号復元部212は、マルチパス制御部211が送出した符号化パケットと、蓄積されている符号化パケットと、を用いてデコード処理を行う(ステップS401)。第2の実施形態では、ガウスの消去法を用いて、符号化パケットからK個のパケットに復号する。
次に、信号復元部212は、ステップS401の処理により、符号化パケットからK個のパケットに復号が完了したか否かを判定する(ステップS402)
符号化パケットからK個のパケットに復号が完了した場合(ステップS402、YES)、信号復元部212は、復号が完了したK個のパケットを装置70に送出する(ステップS403)。
次に、信号復元部212は、ACK生成部213に対し、K個のパケットの復号が完了したことを通知する(ステップS404)。
続いて、信号復元部212は、蓄積していた符号化パケットを破棄し(ステップS405)、動作を終了する。
一方、符号化パケットからK個のパケットに復号が完了していない場合(ステップS402、NO)、信号復元部212は、マルチパス制御部211が送出した符号化パケットを蓄積し(ステップS406)、動作を終了する。
図7は、受信制御装置21が備えるマルチパス制御部211が、周波数の異なる複数の無線リンクから少なくとも1つの無線リンクを選択して、ACK生成部213が生成したACKパケットを送信制御装置11へ送出する動作手順を表す。マルチパス制御部211は、ACK生成部213が送付したACKパケットを受け取る度に、図7に示す動作を実行する。
まず、受信制御装置21が備えるマルチパス制御部211は、送信制御装置11と受信制御装置21との間に確立される周波数の異なる複数の無線リンクから少なくとも1つの無線リンクを選択する(ステップS501)。第2の実施形態では、4つの無線リンクすべてを選択する。
次に、マルチパス制御部211は、ステップS501において選択した無線リンクに、ACK生成部213が送付したACKパケットを送出し(ステップS502)、動作を終了する。
無線通信システム2は、複数の無線リンクを使用しているため、複数の無線リンクのうち一部のチャネルが電波干渉等によってつぶれた場合に、他の無線リンクを介して通信を行うことができる。したがって、無線通信システム2は、単一の無線リンクを使用するシステムに比較して、信頼性が高い。
以上、説明したように、本発明の第2の実施形態によれば、ラウンドトリップ回数を低減させると共に大容量バッファを必要とせずに、低遅延を実現することができる。
<第2の実施形態の変形例>
以下、図8~10を参照して、第2の実施形態の変形例について説明する。図8は、第2の実施形態に係る無線通信システムの一変形例の構成を示すブロック図である。図9は、第2の実施形態に係る無線通信システムの一変形例の構成を示すブロック図である。図10は、第2の実施形態に係る無線通信システムの一変形例の構成を示すブロック図である。
例えば、送信制御装置11が備える合成信号生成部111が選択する所定数Kは、送信制御装置11と受信制御装置21との間に確立される周波数の異なる複数の無線リンクの通信特性を鑑みて設定されてもよい。設定時に鑑みる通信特性は、例えば、各無線リンクの周波数帯域幅、又は、各無線リンクの周波数帯域に基づく伝搬損失等の電波伝搬特性である。設定時に鑑みる通信特性は、各無線リンク上にある無線通信装置40と無線通信装置50とのアンテナ指向性、送信電力、又は信号処理機能、又は各無線リンクで使用する通信規格等であってもよい。所定数Kは、上記に示す通信特性の1つを鑑みて設定されてもよいし、2以上を鑑みて設定されてもよい。また、所定数Kの計算方法は、特に限定されない。
第2の実施形態では、送信制御装置11が備えるマルチパス制御部112は、ステップS301において、送信制御装置11と受信制御装置21との間に確立される周波数の異なる複数の無線リンクから1つの無線リンクをラウンドロビン方式で選択している。しかしながら、選択する無線リンクの数は2以上であってもよい。また、複数の無線リンクからランダムに無線リンクを選択してもよい。複数の無線リンクからランダムに無線リンクを選択する場合、選択する無線リンクの数を任意としてもよい。
送信制御装置11が備えるマルチパス制御部112は、複数の無線リンクの通信特性を鑑みて無線リンクの優先度を決め、決められた優先度に基づき無線リンクを選択しても良い。設定時に鑑みる通信特性は、例えば、各無線リンクの周波数帯域幅、又は各無線リンクの周波数帯域に基づく伝搬損失等の電波伝搬特性である。設定時に鑑みる通信特性は、各無線リンク上にある無線通信装置40と無線通信装置50とのアンテナ指向性、送信電力、又は信号処理機能、又は各無線リンクで使用する通信規格等であってもよい。優先度は、上記に示す通信特性の1つを鑑みて設定されてもよいし、2以上を鑑みて設定されてもよい。また、優先度の計算方法は、特に限定されない。
無線ネットワーク30は、3GPP(Third Generation Partnership Project)で標準化される無線通信システムであってもよい。無線ネットワーク30が3GPPで標準化される無線通信システムである場合、K個のパケットをエンコードして符号化パケットを生成する際に選択した当該K個のパケットに係る情報を、制御信号として送信制御装置11から受信制御装置21に通知してもよい。当該K個のパケットに係る情報は、例えば、ビットマップで通知される。
第2の実施形態に係る無線通信システムは、図8に示すように、送信制御装置11が無線通信部114をさらに備え、受信制御装置21が無線通信部214をさらに備える構成であってもよい。無線通信部114は、無線通信装置40と同様の機能を有する。無線通信部214は、無線通信装置50と同様の機能を有する。
あるいは、第2の実施形態に係る無線通信システムは、図9に示すように、装置60が送信制御装置11を備え、装置70が受信制御装置21を備える構成であってもよい。図9に示す例では、装置60が信号生成部601をさらに備え、装置70が信号受信部701をさらに備える。信号生成部601は、装置70に送信可能な信号を生成する。信号受信部701は、装置60から装置70に送付された信号を受信する。
さらに、第2の実施形態は、図10に示すように、装置60が無線通信装置40を備え、装置70が無線通信装置50を備える構成であってもよい。
なお、第2の実施形態において説明した変形例は、以降の実施形態においても同様に行うことができる。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態は、双方向に通信可能な実施形態である。まず、図11を参照して、第3の実施形態に係る無線通信システムの構成について説明する。図11は、第3の実施形態に係る無線通信システムの構成を示すブロック図である。図11に示すように、無線通信システム3は、無線通信システム2が備える送信制御装置11及び受信制御装置21に代えて、送受信制御装置80a及び送受信制御装置80bを備える。その他の構成については、第1~2の実施形態において説明した構成と同様であるため、重複した説明を適宜省略する。
送受信制御装置80aは、無線通信装置40a、無線通信装置40bと、無線通信装置40c、無線通信装置40d、及び装置60に接続している。送受信制御装置80bは、無線通信装置50a、無線通信装置50b、無線通信装置50c、無線通信装置50d、及び装置70に接続している。なお、以下の説明では、送受信制御装置80a、80bで共通した事項を説明する場合、「送受信制御装置80は~」のように述べる。
無線通信システム3は、それぞれ2以上の無線通信装置40、50を備える。さらに、無線通信システム3では、無線通信装置40の数は、無線通信装置50の数と、同じである。無線通信システム3は、装置60、70をそれぞれ1つ以上備える。例えば図11に示す例では、無線通信システム3は、装置60、70をそれぞれ1つずつ備える。しかしながら、無線通信システム3は、装置60、70をそれぞれ複数備えていてもよい。無線通信システム3は、装置60を複数備え、装置70を1つ備えていてもよい。
送受信制御装置80a及び送受信制御装置80bは、無線ネットワーク30内に周波数の異なる複数の無線リンクを確立し、当該複数の無線リンクを介して通信を行う。つまり、送受信制御装置80bは、送受信制御装置80aの通信相手である。図11に示す例では、4つの無線リンクが確立されている。4つの無線リンクは、無線通信装置40a及び無線通信装置50a、無線通信装置40b及び無線通信装置50b、無線通信装置40c及び無線通信装置50c、及び無線通信装置40d及び無線通信装置50d、を介してそれぞれ確立される。
送受信制御装置80及び無線通信装置40、50は、通信回線ネットワークを介して通信可能である。送受信制御装置80a及び装置60は、通信回線ネットワークを介して通信可能である。送受信制御装置80b及び装置70は、通信回線ネットワークを介して通信可能である。通信回線ネットワークは、例えば、ローカルエリアネットワークである。しかしながら、通信回線ネットワークは、特に限定されず、公知のものを使用可能である。通信回線ネットワークは、パーソナルエリアネットワーク、CAN、メトロポリタンエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、又はGAN等であってもよい。通信回線ネットワークは、インターネットなどの外部ネットワークであってもよい。
なお、送受信制御装置80及び無線通信装置40、50、送受信制御装置80a及び装置60、及び送受信制御装置80b及び装置70は、通信回線ネットワークに代えて、インターフェースを介しても通信してもよい。インターフェースは、例えば、RS-232やRS-422、RS-485、USB、及びIEEE1394などである。
送受信制御装置80は、図示しない情報処理装置及び通信インターフェースを備える。情報処理装置は、図示しない中央処理装置、及び記憶装置を備える。情報処理装置が備える記憶装置は、メモリ及びハードディスク駆動装置である。送受信制御装置80は、例えば、記憶装置に記憶されたプログラムを中央処理装置が実行することにより、後述する機能を実現するように構成される。
なお、送受信制御装置80は、IPコアであってもよい。IPコアは、例えば、FPGA、IC、及びLSIなどである。
送受信制御装置80は、合成信号生成部801、マルチパス制御部802、受信信号解析部803、信号復元部804、及びACK生成部805を備える。以下、中央処理装置、トランシーバ、及び記憶装置が互いに協調して動作する場合における、合成信号生成部801、マルチパス制御部802、受信信号解析部803、信号復元部804、及びACK生成部805の動作について説明する。
合成信号生成部801は、無線通信システム2が備える合成信号生成部111と同様の機能を有する。マルチパス制御部802は、無線通信システム2が備えるマルチパス制御部112と同様の機能を有する。受信信号解析部803は、無線通信システム2が備える受信信号解析部113と同様の機能を有する。信号復元部804は、無線通信システム2が備える信号復元部212と同様の機能を有する。ACK生成部805は、無線通信システム2が備えるACK生成部213と同様の機能を有する。
<動作の説明>
次に、図12を参照して、第3の実施形態に係る無線通信システムの動作について詳細に説明する。図12は、第3の実施形態に係る送受信制御装置の信号送出処理における動作の一例を説明するフローチャートである。
送受信制御装置80が備える合成信号生成部801の動作手順は、送信制御装置11が備える合成信号生成部111の動作手順と同様である。
図12は、送受信制御装置80aが備えるマルチパス制御部802が、周波数の異なる複数の無線リンクから少なくとも1つの無線リンクを選択して、符号化パケットとACKパケットとを、送受信制御装置80bに送出する動作手順を表す。なお、送受信制御装置80bが備えるマルチパス制御部802の動作手順は、送受信制御装置80aが備えるマルチパス制御部802の動作手順と同様である。送受信制御装置80は、合成信号生成部801からマルチパス制御部802に符号化パケットを送出する度に、及び、ACK生成部805からマルチパス制御部802にACKパケットを送出する度に、図12に示す動作を実行する。
図12に示す動作には、図5に示した動作に対して、ステップS601の処理が新たに追加されている。そこで、以下では、追加されたステップS601の動作について説明し、重複した説明は省略する。
まず、送受信制御装置80aが備えるマルチパス制御部112は、ACK生成部805からACKパケットが送出されたか否かを判定する(ステップS601)。
ACK生成部805からACKパケットが送出されている場合(ステップS601、YES)、マルチパス制御部802は、ステップS301の動作を行う。
一方、ACK生成部805からACKパケットが送出されていない場合(ステップS601、NO)、マルチパス制御部802は、ステップS501の動作を行う。
以上の動作手順により、マルチパス制御部802は、符号化パケットに対してACKパケットを優先して送受信制御装置80bに送出する。
以上、説明したように、本発明の第3の実施形態によれば、ラウンドトリップ回数を低減させると共に大容量バッファを必要とせずに、低遅延を実現することができる。
<第3の実施形態の変形例>
以下、図13~15を参照して、第3の実施形態の変形例について説明する。図13は、第3の実施形態に係る無線通信システムの一変形例の構成を示すブロック図である。図14は、第3の実施形態に係る無線通信システムの一変形例の構成を示すブロック図である。図15は、第3の実施形態に係る無線通信システムの一変形例の構成を示すブロック図である。
例えば、送受信制御装置80が備えるマルチパス制御部802は、マルチパス制御部112と同様に、送受信制御装置80間に確立される周波数の異なる複数の無線リンクの中から1つ又は2つ以上の無線リンクをラウンドロビン方式で選択してもよい。また、複数の無線リンクからランダムに無線リンクを選択してもよい。複数の無線リンクからランダムに無線リンクを選択する場合、選択する無線リンクの数を任意としてもよい。
送受信制御装置80が備えるマルチパス制御部802は、複数の無線リンクの通信特性を鑑みて無線リンクの優先度を決め、決められた優先度に基づき無線リンクを選択してもよい。設定時に鑑みる通信特性は、例えば、各無線リンクの周波数帯域幅、又は各無線リンクの周波数帯域に基づく伝搬損失等の電波伝搬特性である。設定時に鑑みる通信特性は、各無線リンク上にある無線通信装置40と無線通信装置50とのアンテナ指向性、送信電力、又は信号処理機能、又は各無線リンクで使用する通信規格等であってもよい。優先度は、上記に示す通信特性の1つを鑑みて設定されてもよいし、2以上を鑑みて設定されてもよい。また、優先度の計算方法は、特に限定されない。なお、ACK生成部805がACKパケットの送出する際にも、上述の方法で無線リンクを選択可能である。
第3の実施形態に係る無線通信システムは、図13に示すように、送受信制御装置80が無線通信部806をさらに備える構成であってもよい。無線通信部806は、無線通信装置40、50と同様の機能を有する。
あるいは、第3の実施形態に係る無線通信システムは、図14に示すように、装置60、70が、送受信制御装置80をそれぞれ備える構成であってもよい。図14に示す例では、装置60が信号動作部681をさらに備え、装置70が信号動作部781をさらに備える。信号動作部681は、装置70に送信可能な信号を生成し、かつ、装置70から装置60に送付された信号を受信する。信号動作部781は、装置60に送信可能な信号を生成し、かつ、装置60から装置70に送付された信号を受信する。
さらに、第3の実施形態は、図15に示すように、装置60が無線通信装置40を備え、装置70が無線通信装置50を備える構成であってもよい。
なお、第3の実施形態において説明した変形例は、以降の実施形態においても同様に行うことができる。
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態は、測定結果に基づいて所定数Kを決定するためにネットワーク環境を測定する実施形態である。まず、図16を参照して、第4の実施形態に係る無線通信システムの構成について説明する。図16は、第4の実施形態に係る無線通信システムの構成を示すブロック図である。図16に示すように、無線通信システム4は、無線通信システム2が備える送信制御装置11及び受信制御装置21に代えて、送信制御装置12及び受信制御装置22を備える。その他の構成については、第1~2の実施形態において説明した構成と同様であるため、重複した説明を適宜省略する。
送信制御装置12は、無線通信装置40a、無線通信装置40bと、無線通信装置40c、無線通信装置40d、及び装置60に接続している。受信制御装置22は、無線通信装置50a、無線通信装置50b、無線通信装置50c、無線通信装置50d、及び装置70に接続している。無線通信システム4は、それぞれ2以上の無線通信装置40、50を備える。さらに、無線通信システム4では、無線通信装置40の数は、無線通信装置50の数と、同じである。例えば図16に示す例では、無線通信システム4は、無線通信装置40、50をそれぞれ4つずつ備える。しかしながら、無線通信システム4は、無線通信装置40、50をそれぞれ2つずつ備えていてもよい。
送信制御装置12及び受信制御装置22は、無線ネットワーク30内に周波数の異なる複数の無線リンクを確立し、当該複数の無線リンクを介して通信を行う。図16に示す例では、4つの無線リンクが確立されている。4つの無線リンクは、無線通信装置40a及び無線通信装置50a、無線通信装置40b及び無線通信装置50b、無線通信装置40c及び無線通信装置50c、及び無線通信装置40d及び無線通信装置50d、を介して確立される。
送信制御装置12及び無線通信装置40は、通信回線ネットワークを介して通信可能である。送信制御装置12及び装置60は、通信回線ネットワークを介して通信可能である。受信制御装置22及び無線通信装置50は、通信回線ネットワークを介して通信可能である。受信制御装置22及び装置70は、通信回線ネットワークを介して通信可能である。通信回線ネットワークは、例えば、ローカルエリアネットワークである。しかしながら、通信回線ネットワークは、特に限定されず、公知のものを使用可能である。通信回線ネットワークは、パーソナルエリアネットワーク、メトロポリタンエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、又はGAN等であってもよい。通信回線ネットワークは、インターネットなどの外部ネットワークであってもよい。
なお、送信制御装置12及び無線通信装置40、送信制御装置12及び装置60、受信制御装置22及び無線通信装置50、及び受信制御装置22及び装置70は、通信回線ネットワークに代えて、インターフェースを介しても通信してもよい。インターフェースは、例えば、RS-232やRS-422、RS-485、USB、及びIEEE1394などである。
送信制御装置12は、図示しない情報処理装置及び通信インターフェースを備える。情報処理装置は、図示しない中央処理装置、及び記憶装置を備える。情報処理装置が備える記憶装置は、メモリ及びハードディスク駆動装置である。送信制御装置12は、例えば、記憶装置に記憶されたプログラムを中央処理装置が実行することにより、後述する機能を実現するように構成される。なお、送信制御装置12は、IPコアであってもよい。IPコアは、例えば、FPGA、IC、及びLSIなどである。
受信制御装置22は、図示しない情報処理装置及び通信インターフェースを備える。情報処理装置は、図示しない中央処理装置、及び、記憶装置を備える。情報処理装置が備える記憶装置は、メモリ及びハードディスク駆動装置である。受信制御装置22は、例えば、記憶装置に記憶されたプログラムを中央処理装置が実行することにより、後述する機能を実現するように構成される。なお、受信制御装置22は、IPコアであってもよい。
受信制御装置22は、マルチパス制御部221、信号復元部222、及びACK生成部223を備える。以下、受信制御装置22が備える中央処理装置、トランシーバ、及び記憶装置が互いに協調して動作する場合における、マルチパス制御部221、信号復元部222、及びACK生成部223の動作について説明する。
マルチパス制御部221は、無線通信システム2が備えるマルチパス制御部211と同様の機能を有する。マルチパス制御部221は、さらに、送信制御装置12と受信制御装置22との間に確立される複数の無線リンクのそれぞれに対して通信特性に係る情報を測定する機能を有する。以下、第4の実施形態では、通信特性に係る情報として、無線リンクにおいてK個のパケットの受信成功までに発生したパケットロスの割合を測定する場合ついて説明を行う。
なお、パケットロスの測定方法は、特に限定されない。パケットロスは、例えば、符号化パケットのヘッダに記載されるシーケンス番号からロスパケットを判定される。パケットロスは、無線リンクに対応する無線通信装置50において検出したロスパケットに係る情報を引き出して判定されてもよい。また、パケットロスに代えて、例えば、所定時間内の受信レート、遅延時間、又は送信回数などを測定することによってパケットロスを判定してもよい。測定された通信特性は、ACK生成部223において使用される。
マルチパス制御部221は、詳細は後述するが、送信制御装置12と受信制御装置22との間に確立される周波数の異なる複数の無線リンクから少なくとも1つの無線リンクを選択する。そして、マルチパス制御部221は、ACK生成部223が生成したステータスパケットに格納される通信特性に対応する無線リンクを選択して、当該ステータスパケットを送信制御装置12に送出する。マルチパス制御部221から送出されたステータスパケットは、選択された無線リンク上にある無線通信装置50から送信される。送信されたステータスパケットは、同一無線リンク上にある無線通信装置40が受信して、送信制御装置12に到着する。
信号復元部222は、無線通信システム2が備える信号復元部212と同様の機能を有する。ACK生成部223は、無線通信システム2が備えるACK生成部213と同様の機能を有する。ACK生成部223は、さらに、送信制御装置12と受信制御装置22との間に確立される複数の無線リンクそれぞれに対して、マルチパス制御部221が測定した通信特性に係る情報を格納したステータスパケットを生成する機能を有する。生成されたステータスパケットは、マルチパス制御部221から送信制御装置12に送出される。
送信制御装置12は、合成信号生成部121、マルチパス制御部122、受信信号解析部123、ネットワーク環境計測部124、保証値入力部125、及びパラメータ計算部126を備える。送信制御装置12は、図示しない情報処理装置及び通信インターフェースを備える。情報処理装置は、中央処理装置、トランシーバ、及び記憶装置を備える。以下、中央処理装置、トランシーバ及び記憶装置が協調して動作する場合における合成信号生成部121、マルチパス制御部122、受信信号解析部123、ネットワーク環境計測部124、保証値入力部125及びパラメータ計算部126の動作について説明する。
合成信号生成部121は、無線通信システム2が備える合成信号生成部111と同様の機能を有する。合成信号生成部121は、さらに、蓄積するパケットからパラメータ計算部126が計算した所定数K個のパケットを選択する機能を有する。合成信号生成部121は、選択されたK個のパケットから符号化パケットを生成する。符号化パケットの生成は、例えば、レートレス符号化によるエンコード処理によって行われる。レートレス符号化によるエンコード処理では、K個のパケットから少なくとも1つのパケットを選択し、排他的論理和(XOR)を取った符号化パケットを生成する。
以下、第4の実施形態では、第2の実施形態と同様に、レートレス符号化によるエンコード処理を行う場合について説明を行う。合成信号生成部121で生成した符号化パケットは、マルチパス制御部122に送付される。レートレス符号化によるエンコード処理は、受信信号解析部123からACK通知を受けるまで繰り返し行われる。合成信号生成部121は、受信信号解析部123からACK通知を受けると、エンコード処理を終了するとともに、エンコード処理の対象としたK個のパケットを破棄する。
マルチパス制御部122は、無線ネットワーク30内に周波数の異なる複数の無線リンクを確立して、送信制御装置12と受信制御装置22とを通信可能にする。マルチパス制御部122は、無線ネットワーク30内に確立される周波数の異なる複数の無線リンクから少なくとも1つの無線リンクを選択して、合成信号生成部121から送付された符号化パケットを受信制御装置22に送出する。マルチパス制御部122から送出された符号化パケットは、選択された無線リンク上にある無線通信装置40から送信される。送信された符号化パケットは、同一無線リンク上にある無線通信装置50が受信して、マルチパス制御部221に到着する。
マルチパス制御部122は、詳細は後述するが、送信制御装置12と受信制御装置22との間に確立される周波数の異なる複数の無線リンクのそれぞれから、ACKパケットを受信する。マルチパス制御部122が受信するACKパケットは、受信制御装置22が備えるACK生成部223が生成する。受信されたACKパケットは、受信信号解析部123に送出される。マルチパス制御部122は、さらに、送信制御装置12と受信制御装置22との間に確立される周波数の異なる複数の無線リンクのそれぞれから、ステータスパケットを受信する。マルチパス制御部122が受信するステータスパケットは、受信制御装置22が備えるACK生成部223が生成する。マルチパス制御部122が受信したステータスパケットは、受信信号解析部123に送出される。
受信信号解析部123は、無線通信システム2が備える受信信号解析部113と同様に、ACKパケットが到着すると、合成信号生成部121にACKを通知する。受信信号解析部123は、さらに、受信制御装置22が備えるACK生成部223が生成するステータスパケットが到着すると、ネットワーク環境計測部124にステータスパケットを送出する。
ネットワーク環境計測部124は、受信信号解析部123が送出したACKパケットから、無線ネットワーク30の通信特性を計測する。第4の実施形態では、ネットワーク環境計測部124は、無線ネットワーク30におけるラウンドトリップタイム(RTT)を計測する。RTTは、数式1に示すように測定される。下記の数式(1)において、受信TSは、送信制御装置12においてACKパケットを受信した時刻(タイムスタンプ)とする。しかしながら、受信TSは、マルチパス制御部122、受信信号解析部123、又はネットワーク環境計測部124においてACKパケットを受信した時刻であってもよい。受信TSは、受信信号解析部123、又はネットワーク環境計測部124においてACKパケットを処理した時刻であってもよい。送信TSは、送信制御装置12においてACKパケットに係る符号化パケットを最初に送信した時刻(タイムスタンプ)である。
送信制御装置12は、受信TS及び送信TSを計測して保持することができる。なお、送信TSは、符号化パケットのヘッダに記載されてもよい。送信TSを符号化パケットのヘッダに記載する場合、ACK生成部223は、生成するACKパケットのヘッダに、当該符号化パケットのヘッダに記載する送信TSを記載してもよい。
数式(1)を、下記の数式(2)のように書き換えてもよい。数式(2)において、ΔTは、送信制御装置12と受信制御装置22との間のデータ送受信以外に係る内部処理時間である。送信制御装置12及び受信制御装置22は、内部処理時間を計測して保持することができる。計測した無線ネットワーク30の通信特性は、パラメータ計算部126において使用される。さらに、ネットワーク環境計測部124は、受信信号解析部123から送出されるステータスパケットから、送信制御装置12と受信制御装置22との間に確立される複数の無線リンクそれぞれに対して通信特性を計測する。第4の実施形態では、ステータスパケットに記載される無線リンクのパケットロス率を計測する。計測した各無線リンクの通信特性は、パラメータ計算部126において使用される。
保証値入力部125は、ユーザにより指定された通信特性を受け付ける。第4の実施形態では、ユーザが指定する通信特性を、遅延時間とする。ユーザが指定する通信特性は、無線区間の送信レート又はパケット送信間隔、パケットロス率、又はパケット受信レート等であってもよい。保証値入力部125は、通信特性を1つ受け付けてもよいし、複数受け付けてもよい。ユーザにより指定された通信特性は、パラメータ計算部126において使用される。
パラメータ計算部126は、ネットワーク環境計測部124が計測した無線ネットワーク30の通信特性と、ネットワーク環境計測部124が計測した各無線リンクの通信特性と、保証値入力部125が受け付けた通信特性と、を用いて所定数Kを計算する。パラメータ計算部126が計算した所定数Kは、合成信号生成部121が蓄積するパケットからK個のパケットを選択する際に使用される。
第4の実施形態では、所定数Kは、下記の数式(3)~(5)から導出される。数式(3)の右辺は、装置60から合成信号生成部121に到着した最終パケットが、装置70に到着するのに要する時間である。数式(3)において、Tは、保証値入力部125において受け付けた遅延時間である。数式(3)の右辺において、Sは、装置60から合成信号生成部121に到着した最終パケットが装置70に到着するのに要する符号化パケットの送信回数である。PacketSizeは、装置60から合成信号生成部121に到着したパケットのサイズである。Bandwidthは、無線ネットワーク30の帯域幅[bps]である。RTTは、ネットワーク環境計測部124が計測した無線ネットワーク30のRTTである。
数式(4)は、装置60から合成信号生成部121に到着した最終パケットが装置70に到着するのに要する符号化パケットの送信回数の累積密度関数である。数式(4)において、p(x)は、送信制御装置12が符号化パケットをx個送信した場合に。受信制御装置22においてK個のパケットに復号することができる確率密度分布を表したものである。p(x)は、数式(5)により計算される。数式(3)~(5)によって決定された所定数Kは、合成信号生成部121において用いられる。
パラメータ計算部126は、さらに、ネットワーク環境計測部124が計測した無線ネットワーク30の通信特性とネットワーク環境計測部124が計測した各無線リンクの通信特性と保証値入力部125が受け付けた通信特性とを用いて、指標を計算可能である。パラメータ計算部126が計算した指標は、合成信号を送信する無線リンクの選択に使用される。
第4の実施形態では、無線リンクの選択に係る指標は、下記の数式(6)を用いて計算される。数式(6)において、iは、無線リンクの識別番号である。Lは、無線リンクの総数である。αは、重みづけ係数である。第4の実施形態では、重みづけ係数αを1とする。しかしながら、重みづけ係数αは、1以外の任意の値であってもよい。PacketLossRatio(i)は、ネットワーク環境計測部124が測定した無線リンクiのパケットロス率である。
数式(6)によって計算された無線リンクの選択に係る指標に基づいて、マルチパス制御部122は、送信制御装置12と受信制御装置22との間に確立される周波数の異なる複数の無線リンクから少なくとも1つの無線リンクを選択する。選択された少なくとも1つの無線リンクは、合成信号生成部121が送付した符号化パケットを、受信制御装置22に送出する。
第4の実施形態では、各無線リンクの選択確率が数式(6)により計算される指標N(i)となるように、送信制御装置12と受信制御装置22との間に確立される周波数の異なる複数の無線リンクの中から少なくとも1つの無線リンクを選択する。なお、無線リンクの選択方法は、各無線リンクの選択確率を数式(6)により計算される指標N(i)となるようにできるものであれば、特に限定されない。選択される無線リンクの数は、各無線リンクの選択確率が数式(6)もより計算される指標N(i)となるようにできるものであれば、特に限定されない。
<動作の説明>
次に、図17~19を参照して、第4の実施形態に係る無線通信システムの動作について詳細に説明する。図17は、第4の実施形態に係る送信制御装置の符号化処理における動作の一例を説明するフローチャートである。図18は、第4の実施形態に係る送信制御装置の符号化処理における動作の一例を説明するフローチャートである。図19は、第4の実施形態に係る受信制御装置の信号送出処理における動作の一例を説明するフローチャートである。
図17は、送信制御装置12が備える合成信号生成部121が、蓄積したパケットから所定数Kのパケットを選択し、選択された所定数Kのパケットをエンコードして符号化パケットを生成する動作手順を表す。送信制御装置12は、合成信号生成部121に蓄積しているパケットの数が0から1となった場合に、図17に示す動作を実行する。
図17に示す動作には、図3に示した動作に対して、ステップS701の処理が新たに追加されている。そこで、以下では、追加されたステップS701の動作について説明し、重複した説明は省略する。
合成信号生成部121に蓄積するパケットの数iが0から1となった場合、送信制御装置12が備えるパラメータ計算部126は、合成信号を生成する際に必要となる所定数Kを計算する(ステップS701)。
ステップS701の処理後、送信制御装置12が備える合成信号生成部121は、合成信号生成部121に蓄積しているパケットの数iが、所定数K以上か否かを判定する(ステップS101)。
図18は、送信制御装置12が備える合成信号生成部121が、蓄積したパケットからK個のパケットを選択し、選択された所定数Kのパケットをエンコードして符号化パケットを生成する動作手順を表す。送信制御装置12は、合成信号生成部121に蓄積しているパケットの数が1以上の場合に、図18に示す動作を実行する。
図18に示す動作には、図4に示した動作に対して、ステップS701の処理が新たに追加されている。そこで、以下では、追加されたステップS701の動作について説明し、重複した説明は省略する。
合成信号生成部121は、ステップS203において、合成信号生成部121に蓄積しているパケットの数iが1未満か否かを判定する。合成信号生成部121に蓄積しているパケットの数iが1以上の場合(ステップS203、NO)、送信制御装置12が備えるパラメータ計算部126は、合成信号を生成する際に必要となる所定数Kを計算する(ステップS701)。
ステップS701の処理後、送信制御装置12が備える合成信号生成部121は、合成信号生成部121に蓄積しているパケットの数iが、所定数K以上か否かを判定する(ステップS101)。
送信制御装置12が備えるマルチパス制御部122の動作手順は、無線通信システム2が備えるマルチパス制御部112の動作手順と同様である。受信制御装置22が備える信号復元部222の動作手順は、無線通信システム2が備える信号復元部212の動作手順と同様である。
図19は、受信制御装置22が備えるマルチパス制御部221が、ACK生成部223が生成したACKパケットを送信制御装置12へ送出すると共に、ACK生成部223が生成したステータスパケットを送信制御装置12へ送出する動作手順を表す。マルチパス制御部221は、ACK生成部223が送付したACKパケット又はステータスパケットを受け取る度に、図19に示す動作を実行する。
図19に示す動作には、図7に示した動作に対して、ステップS801~ステップS803の処理が新たに追加されている。そこで、以下では、追加されたステップS801~ステップS803の動作について説明し、重複した説明は省略する。
まず、受信制御装置22が備えるマルチパス制御部221は、ACK生成部223から送付されたパケットがACKパケットであるか否かを判定する(ステップS801)。
ACK生成部223から送付されたパケットがACKパケットである場合(ステップS801、YES)、マルチパス制御部221は、周波数の異なる複数の無線リンクから少なくとも1つの無線リンクを選択する(ステップS501)。
一方、ACK生成部223から送付されたパケットがACKパケットではない場合(ステップS801、NO)、マルチパス制御部221は、ACK生成部223から送付されたパケットがステータスパケットであると判断する。そして、マルチパス制御部221は、ステータスパケットに対応する無線リンクを選択する(ステップS802)。
次に、マルチパス制御部221は、ステップS802で選択した無線リンクに、ACK生成部223から送付されたステータスパケットを送出(ステップS502)し、動作を終了する。
以上、説明したように、本発明の第4の実施形態によれば、ラウンドトリップ回数を低減させると共に大容量バッファを必要とせずに、低遅延を実現することができる。
第4の実施形態では、通信特性に応じて合成する信号の数を変更可能である。したがって、通信特性が良好な場合に多くの信号を合成できるため、ラウンドトリップ回数をさらに低減することができる。また、第4の実施形態では、通信特性に応じて合成信号を送出する無線リンクを選択できる。したがって、通信特性が良好な無線リンクに多くの合成信号を送出できるため、遅延時間をさらに抑制することができる。
<第4の実施形態の変形例>
例えば、第4の実施形態では、受信制御装置22が備えるACK生成部223が送信制御装置12と受信制御装置22との間に確立される複数の無線リンクそれぞれに対するパケットロス率を測定していた。しかしながら、送信制御装置12が備えるネットワーク環境計測部124が複数の無線リンクそれぞれに対するパケットロス率を測定してもよい。
ネットワーク環境計測部124がパケットロス率を測定する場合、受信制御装置22が備えるACK生成部223は、各無線リンクに対し、K個の符号化パケットを受信した場合に所定数Kを格納したステータスパケットを生成する。送信制御装置12が備えるネットワーク環境計測部124は、各無線リンクにおいて送出した符号化パケットの数をそれぞれ記録しておく。ネットワーク環境計測部124は、ステータスパケットを受け取ると、ステータスパケットから所定数Kを取り出すと共に、無線リンクにおいて送出した符号化パケットの数を用いて、下記の数式(7)によりパケットロス率を求める。
なお、所定数Kは、予め送信制御装置12と受信制御装置22とにおいて設定していてもよい。所定数Kを予め設定する場合、ステータスパケットに所定数Kを格納しなくてもよい。また、パケットロス率に代えて、無線区間の送信レート、無線区間のRTT、到着遅延、パケット受信間隔、又はパケット受信レート等を通信特性として測定してもよい。
通信特性は、受信制御装置22が備えるACK生成部223において測定され、ステータスパケットを用いて送信制御装置12が備えるネットワーク環境計測部124に通知されてもよい。通信特性は、送信制御装置12のネットワーク環境計測部124において測定されてもよい。ネットワーク環境計測部124が通信特性を測定する場合、受信制御装置22が備えるACK生成部223が測定に必要な情報を測定し、ステータスパケットを用いて送信制御装置12が備えるネットワーク環境計測部124に通知してもよい。
また、無線リンクの選択に係る指標を計算する方法は、数式(6)に限定されない。例えば、無線区間の送信レート及びパケット受信レートなど、伝送速度に係る測定値を用いる場合、下記の数式(8)を用いて無線リンクの選択に係る指標を計算する。
無線区間のRTT及び到着遅延など、時間に係る測定値を用いる場合、下記の数式(9)を用いて無線リンクの選択に係る指標を計算する。
なお、数式(6)、(8)~(9)は適宜変形可能である。例えば、各無線リンクの周波数帯域幅及び各無線リンクの周波数帯域に基づく伝搬損失等の電波伝搬特性を考慮した係数及び変数等を追加してもよい。各無線リンク上にある無線通信装置40と無線通信装置50とのアンテナ指向性、送信電力、及び信号処理機能、及び各無線リンクで使用する通信規格等を考慮した係数及び変数等を追加してもよい。
無線リンクの選択に係る指標は、1つの測定値から計算されてもよく、複数の測定値から計算されてもよい。複数の測定値から計算する場合、例えば、数式(6)から計算した値と数式(8)から計算した値との和を、無線リンクの選択に係る指標としてもよい。数式(6)から計算した値と数式(8)から計算した値との積を、無線リンクの選択に係る指標としてもよい。また、係数や変数などを追加した数式から計算した値を、無線リンクの選択に係る指標としてもよい。
第4の実施形態では、符号化パケットを受信制御装置22へ送出する際、数式(6)から計算される指標に基づいて無線リンクを選択していた。しかしながら、無線リンクの選択に係る指標の上記変形例に基づいて無線リンクを選択してもよい。このとき、選択される無線リンクの数は、特に限定されない。
第4の実施形態では、各無線リンクの選択確率が数式(6)で計算される指標となるように無線リンクを選択していた。しかしながら、無線リンクの選択順序が数式(6)で計算される指標となるように無線リンクを選択してもよい。無線リンクの選択回数が数式(6)で計算される指標となるように無線リンクを選択してもよい。
第4の実施形態は、第2の実施形態における変形例の構成や、第3の実施形態における構成や、第3の実施形態における変形例の構成においても実施できる。
なお、第4の実施形態において説明した変形例は、以降の実施形態においても同様に行うことができる。
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態は、アナログ信号を合成する実施形態である。図20を参照して、第5の実施形態に係る無線通信システムの構成について説明する。図20は、第5の実施形態に係る無線通信システムの構成を示すブロック図である。図20に示すように、無線通信システム5は、無線通信システム2が備える送信制御装置11及び受信制御装置21に代えて、送信制御装置13及び受信制御装置23を備える。その他の構成については、第1~4の実施形態において説明した構成と同様であるため、重複した説明を適宜省略する。
送信制御装置13は、無線通信装置40a、無線通信装置40bと、無線通信装置40c、無線通信装置40d、及び装置60に接続している。受信制御装置23は、無線通信装置50a、無線通信装置50b、無線通信装置50c、無線通信装置50d、及び装置70に接続している。無線通信システム5は、それぞれ2以上の無線通信装置40、50を備える。さらに、無線通信システム5では、無線通信システム5が備える無線通信装置40の数は、無線通信システム5が備える無線通信装置50の数と、同じである。無線通信システム5は、装置60、70をそれぞれ1つ以上備える。例えば図20に示す例では、無線通信システム5は、装置60、70をそれぞれ1つずつ備える。しかしながら、無線通信システム5は、装置60、70をそれぞれ複数備えていてもよい。無線通信システム5は、装置60を複数備え、装置70を1つ備えていてもよい。
送信制御装置13及び受信制御装置23は、無線ネットワーク30内に周波数の異なる複数の無線リンクを確立し、当該複数の無線リンクを介して通信を行う。図11に示す例では、4つの無線リンクが確立されている。4つの無線リンクは、無線通信装置40a及び無線通信装置50a、無線通信装置40b及び無線通信装置50b、無線通信装置40c及び無線通信装置50c、及び無線通信装置40d及び無線通信装置50d、を介してそれぞれ確立される。
送信制御装置13及び無線通信装置40は、通信回線ネットワークを介して通信可能である。送信制御装置13及び装置60は、通信回線ネットワークを介して通信可能である。受信制御装置23及び無線通信装置50は、通信回線ネットワークを介して通信可能である。受信制御装置23及び装置70は、通信回線ネットワークを介して通信可能である。通信回線ネットワークは、例えば、ローカルエリアネットワークである。しかしながら、通信回線ネットワークは、特に限定されず、公知のものを使用可能である。通信回線ネットワークは、パーソナルエリアネットワーク、CAN、メトロポリタンエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、又はGAN等であってもよい。通信回線ネットワークは、インターネットなどの外部ネットワークであってもよい。
なお、送信制御装置13及び無線通信装置40、送信制御装置13及び装置60、受信制御装置23及び無線通信装置50、及び受信制御装置23及び装置70は、通信回線ネットワークに代えて、インターフェースを介しても通信してもよい。インターフェースは、例えば、RS-232やRS-422、RS-485、USB、及びIEEE1394などである。
送信制御装置13は、図示しない情報処理装置及び通信インターフェースを備える。情報処理装置は、図示しない中央処理装置、及び記憶装置を備える。情報処理装置が備える記憶装置は、メモリ及びハードディスク駆動装置である。送信制御装置13は、例えば、記憶装置に記憶されたプログラムを中央処理装置が実行することにより、後述する機能を実現するように構成される。なお、送信制御装置13は、IPコアであってもよい。IPコアは、例えば、FPGA、IC、及びLSIなどである。
受信制御装置23は、図示しない情報処理装置及び通信インターフェースを備える。情報処理装置は、図示しない中央処理装置、及び、記憶装置を備える。情報処理装置が備える記憶装置は、メモリ及びハードディスク駆動装置である。受信制御装置23は、例えば、記憶装置に記憶されたプログラムを中央処理装置が実行することにより、後述する機能を実現するように構成される。なお、受信制御装置23は、IPコアであってもよい。
送信制御装置13は、合成信号生成部131、マルチパス制御部132、及び受信信号解析部133を備える。送信制御装置13は、図示しない情報処理装置及び通信インターフェースを備える。情報処理装置は、中央処理装置、トランシーバ、及び記憶装置を備える。以下、送信制御装置13が備える中央処理装置、トランシーバ、及び記憶装置が互いに協調して動作する場合における、合成信号生成部131、マルチパス制御部132、及び受信信号解析部133の動作について説明する。
合成信号生成部131は、装置60から送付された変調信号を蓄積することができる。合成信号生成部131は、さらに、蓄積する変調信号からK個の変調信号を選択し、選択したK個の変調信号を重ね合わせることができる。第5の実施形態では、K個の変調信号から少なくとも1つの変調信号を選択して重ね合わせる。
第5の実施形態では、所定数Kは、送信制御装置13において任意に設定できるものとする。しかしながら、所定数Kは、装置60、装置70、受信制御装置23、無線通信装置40、又は無線通信装置50において設定可能であってもよい。装置60、装置70、受信制御装置23、無線通信装置40、又は無線通信装置50が所定数Kを設定する場合、所定数Kを設定する装置は、送信制御装置13に所定数Kに係る情報を通知する。送信制御装置13は、通知された情報に従い、所定数Kを設定する。
無線通信システム5において、通信に使用する信号は、変調信号である。信号が変調信号である場合、計測される無線ネットワーク30の特性は、例えば、送信制御装置13と受信制御装置23との間における変調信号の往復伝送遅延、ビットエラー率、ブロックエラー率、送信帯域、変調方式、及び符号化率である。したがって、マルチパス制御部132は、好ましくは、往復伝送遅延、ビットエラー率、ブロックエラー率、送信帯域、変調方式、及び符号化率のうち少なくとも1つに基づいて無線リンクを選択する。
合成信号生成部131において重ね合わせた変調信号(以後、重合変調信号と称する)は、マルチパス制御部132に送付される。重ね合わせ処理は、後述する受信信号解析部133からACK通知を受けるまで繰り返し行われる。合成信号生成部131は、受信信号解析部133からACK通知を受けると、重ね合わせ処理を終了し、重ね合わせ処理の対象としたK個の変調信号を破棄する。
マルチパス制御部132は、無線ネットワーク30内に周波数の異なる複数の無線リンクを確立して、送信制御装置13と受信制御装置23とを通信可能にする。マルチパス制御部132は、無線ネットワーク30内に確立される周波数の異なる複数の無線リンクから少なくとも1つの無線リンクを選択して、合成信号生成部131から送付された重合変調信号を受信制御装置23に送出する。マルチパス制御部132から送出された重合変調信号は、選択された無線リンク上にある無線通信装置40から送信される。送信された重合変調信号は、同一無線リンク上にある無線通信装置50が受信して、マルチパス制御部231に到着する。
マルチパス制御部132は送信制御装置13と受信制御装置23との間に確立される周波数の異なる複数の無線リンクのそれぞれから、ACK通知信号を受信する。マルチパス制御部132が受信するACK通知信号は、受信制御装置23が備えるACK生成部233が生成する。受信されたACK通知信号は、受信制御装置23が備える受信信号解析部133に送出される。マルチパス制御部132は、受信信号解析部133は、ACK通知信号が到着すると、合成信号生成部131にACKを通知する。
受信制御装置23は、マルチパス制御部231、信号復元部232、及びACK生成部233を備える。以下、受信制御装置23が備える中央処理装置、トランシーバ、及び記憶装置が互いに協調して動作する場合における、マルチパス制御部231、信号復元部232、及びACK生成部233の動作について説明する。
マルチパス制御部231は、無線ネットワーク30内に周波数の異なる複数の無線リンクを確立して、送信制御装置13と受信制御装置23とを通信可能にする。マルチパス制御部231は、無線ネットワーク30内に確立される周波数の異なる複数の無線リンクのそれぞれから重合変調信号を受信する。マルチパス制御部231が受信した重合変調信号は、信号復元部232に送出される。
マルチパス制御部231は、送信制御装置13と受信制御装置23との間に確立される周波数の異なる複数の無線リンクから少なくとも1つの無線リンクを選択し、ACK通知信号を送信制御装置13に送出する。マルチパス制御部231が送出するACK通知番号は、ACK生成部233が生成する。マルチパス制御部231から送出されたACK通知信号は、選択された無線リンク上にある無線通信装置50から送信される。送信されたACKパケットは、同一無線リンク上にある無線通信装置40が受信して、送信制御装置13に到着する。
信号復元部232は、マルチパス制御部231が送出した重合変調信号を蓄積する。信号復元部232は、蓄積した重合変調信号に対し、干渉キャンセラによりK個のパケットに復号する。信号復元部232における信号の復元方法は、特に限定されない。信号復元部232は、例えば、ガウスの消去法を用いて、蓄積した重合変調信号からK個のパケットを復号する。ガウスの消去法では、少なくともK個の重合変調信号があれば、K個の変調信号を復元することができる。したがって、信号復元部232は、マルチパス制御部231が送出した重合変調信号を少なくともK個蓄積する必要がある。
復元されたK個のパケットは、装置70に送付される。信号復元部232は、パケットの復号の完了をACK生成部233に通知する。ACK生成部233は、K個のパケットの復号が完了したことが通知されると、ACKパケットを生成する。生成されたACKパケットは、マルチパス制御部231から送信制御装置13に送出される。
<動作の説明>
次に、第5の実施形態に係る無線通信システムの動作について詳細に説明する。送信制御装置13が備える合成信号生成部131は、蓄積した変調信号からK個の変調信号を選択し、選択したK個の変調信号を重ね合わせて重合変調信号を生成する。合成信号生成部131は、重合変調信号を生成する際に、送信制御装置11が備える合成信号生成部111が符号化パケットを生成する際に行うパケットをエンコードする動作に代えて、変調信号を重ね合わせる動作を行う。
送信制御装置13が備えるマルチパス制御部132は、送信制御装置13と受信制御装置23との間に確立される周波数の異なる複数の無線リンクから少なくとも1つの無線リンクを選択する。そして、合成信号生成部131から送付された多重変調信号を受信制御装置23に送出する。送信制御装置13が備えるマルチパス制御部132は、多重変調信号を受信制御装置23に送出する際に、送信制御装置11のマルチパス制御部112が行う符号化パケットを送出する動作に代えて、多重変調信号を送出する動作を行う。
受信制御装置23が備える信号復元部232は、マルチパス制御部231が送出した重合変調信号を、干渉キャンセラによりK個の変調信号に復元する。信号復元部232は、K個の変調信号に復元する際に、受信制御装置21が備える信号復元部212が行う符号化パケットをデコードして所定数K個のパケットに復号する動作に代えて、重合変調信号をデコードする動作を行う。
受信制御装置23が備えるマルチパス制御部231は、送信制御装置13と受信制御装置23との間に確立される周波数の異なる複数の無線リンクから少なくとも1つの無線リンクを選択する。そして、ACK生成部233が生成したACK通知信号を送信制御装置13に送出する。マルチパス制御部231は、受信制御装置21が備えるマルチパス制御部211が行うACKパケットを送出する動作に代えて、ACK通知信号を送出する動作を行う。
以上、説明したように、本発明の第5の実施形態によれば、ラウンドトリップ回数を低減させると共に大容量バッファを必要とせずに、低遅延を実現することができる。
<第5の実施形態の変形例>
例えば、第5の実施形態では、複数の変調信号を重ね合わせる際に、個々の変調信号の振幅、位相、又は電力スペクトル密度等を変更してもよい。個々の変調信号の振幅、位相、又は電力スペクトル密度等を変更する場合、変更した振幅、位相、又は電力スペクトル密度等に関する情報を制御情報として通知する。
また、信号復元部232が用いる干渉キャンセルは、特に限定されない。干渉キャンセルは、例えば、並列型(PIC;Parallel Interference Cancellation)である。干渉キャンセルは、遂次型(SIC;Successive Interference Cancellation)、又は干渉抑制合成型(IRC;Interference Rejection Combining)であってもよい。
第5の実施形態は、変形例を含む、第2の実施形態から第4の実施形態における各構成においても実施できる。
以上で説明した本実施の形態に係る発明により、ラウンドトリップ回数を低減させると共に大容量バッファを必要とせずに、低遅延を実現する無線通信システム、無線通信方法、送信制御装置、受信制御装置、送信制御プログラム、及び受信制御プログラムを提供することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。上記実施形態は、各々独立に実施されてもよいし、適宜組み合わせて実施されてもよい。
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
(付記A1)
無線ネットワーク内に確立された少なくとも1つの無線リンクを介して通信を行う、送信制御装置と、受信制御装置と、を備え、
前記送信制御装置は、所定数の信号から少なくとも1つの信号を選択して合成信号を生成する合成信号生成部と、前記少なくとも1つの無線リンクを介して前記合成信号を送出するマルチパス制御部と、を有し、
前記受信制御装置は、前記少なくとも1つの無線リンクから前記合成信号を受信するマルチパス制御部と、受信した前記合成信号を蓄積して前記所定数以上の前記合成信号から信号を前記所定数復元する信号復元部と、を有し、
前記所定数は、1以上である、
無線通信システム。
(付記A2)
前記無線ネットワーク内に、周波数の異なる複数の無線リンクが確立されており、
前記送信制御装置が有する前記マルチパス制御部は、前記複数の無線リンクから少なくとも1つの無線リンクを選択して前記合成信号を送出し、
前記受信制御装置が有する前記マルチパス制御部は、前記複数の無線リンクのそれぞれから前記合成信号を受信する、
付記A1に記載の無線通信システム。
(付記A3)
前記無線ネットワークの状態を計測するネットワーク環境計測部を備え、
前記送信制御装置が有する前記マルチパス制御部は、
前記送信制御装置から前記受信制御装置に信号が到達するのに要する通信特性に関して保証すべき通信特性と、前記ネットワーク環境計測部が計測した前記無線ネットワークの状態と、を用いて、前記複数の無線リンクの中から少なくとも1つの無線リンクを選択する、
付記A2に記載の無線通信システム。
(付記A4)
前記送信制御装置が有する前記合成信号生成部は、
前記ネットワーク環境計測部が計測した前記無線ネットワークの状態に基づいて、前記所定数を決定する、
付記A3に記載の無線通信システム。
(付記A5)
前記信号は、パケットであり、
前記ネットワーク環境計測部が計測する前記無線ネットワークの状態は、前記送信制御装置と前記受信制御装置との間におけるパケットの往伝送遅延、パケットロス率、送信帯域、及びパケットサイズから成る群より少なくとも1つ選択され、
付記A3又はA4に記載の無線通信システム。
(付記A6)
前記信号は、パケットであり、
前記合成信号生成部は、前記所定数のパケットから少なくとも1つのパケットを選択し、排他的論理和(XOR)を取った符号化パケットを生成する、
付記A1~A5のいずれか一項に記載の無線通信システム。
(付記A7)
前記通信特性は、前記送信制御装置と前記受信制御装置との間における変調信号の往復伝送遅延、ビットエラー率、ブロックエラー率、送信帯域、変調方式、及び符号化率から成る群より少なくとも1つ選択される
付記A3又はA4に記載の無線通信システム。
(付記A8)
前記信号は、変調信号であり、
前記合成信号生成部は、前記所定数の変調信号から少なくとも1つの変調信号を選択し、選択した前記変調信号ごとに異なる送信電力を付与して多重する、
付記A1~A4、A7のいずれか一項に記載の無線通信システム。
(付記B1)
所定数の信号から少なくとも1つの信号を選択して合成信号を生成する合成信号生成部と、
無線ネットワーク内に確立された少なくとも1つの無線リンクを介して前記合成信号を送出するマルチパス制御部と、を備える、
送信制御装置。
(付記B2)
前記マルチパス制御部は、前記無線ネットワーク内に確立された周波数の異なる複数の無線リンクから少なくとも1つの無線リンクを選択して前記合成信号を送出する、
付記B1に記載の送信制御装置。
(付記C1)
無線ネットワーク内に確立された少なくとも1つの無線リンクから合成信号を受信するマルチパス制御部と、
受信した前記合成信号を蓄積して前記所定数以上の前記合成信号から信号を前記所定数復元する信号復元部と、を備え、
前記所定数は、1以上である、
受信制御装置。
(付記C2)
前記マルチパス制御部は、前記無線ネットワーク内に確立された周波数の異なる複数の無線リンクのそれぞれから前記合成信号を受信する、
付記C1に記載の受信制御装置。
(付記D1)
無線ネットワーク内に確立された少なくとも1つの無線リンクを介して通信を行う、2つの送受信制御装置を備え、
前記2つの送受信制御装置のそれぞれは、
所定数の信号から少なくとも1つの信号を選択して合成信号を生成する合成信号生成部と、
前記少なくとも1つの無線リンクを介して前記合成信号を送出し、かつ、前記少なくとも1つの無線リンクを介して通信相手から送信された合成信号を受信する、マルチパス制御部と、
受信した前記合成信号を蓄積して前記所定数以上の前記合成信号から信号を前記所定数復元する信号復元部と、を有し、
前記所定数は、1以上である、
無線通信システム。
(付記D2)
前記無線ネットワーク内に、周波数の異なる複数の無線リンクが確立されており、
前記マルチパス制御部は、前記複数の無線リンクから少なくとも1つの無線リンクを選択して前記合成信号を送出し、かつ、前記複数の無線リンクのそれぞれから前記合成信号を受信する、
付記D1に記載の無線通信システム。
(付記E1)
所定数の信号から少なくとも1つの信号を選択して合成信号を生成する合成信号生成部と、
無線ネットワーク内に確立された少なくとも1つの無線リンクを介して前記合成信号を送出し、かつ、前記少なくとも1つの無線リンクを介して通信相手から送信された合成信号を受信するマルチパス制御部と、
受信した前記合成信号を蓄積して前記所定数以上の前記合成信号から信号を前記所定数復元する信号復元部と、を備え、
前記所定数は、1以上である、
送受信制御装置。
(付記E2)
前記マルチパス制御部は、前記無線ネットワーク内に確立された周波数の異なる複数の無線リンクから少なくとも1つの無線リンクを選択して前記合成信号を送出し、かつ、前記複数の無線リンクのそれぞれを介して通信相手から送信された合成信号を受信する、
付記E1に記載の送受信制御装置。
(付記F1)
送信制御装置が有する合成信号生成部において、所定数の信号から少なくとも1つの信号を選択して合成信号を生成するステップと、
送信制御装置が有するマルチパス制御部において、無線ネットワーク内に確立された少なくとも1つの無線リンクを介して前記合成信号を受信制御装置に送出するステップと、
前記受信制御装置が有するマルチパス制御部において、前記少なくとも1つの無線リンクから前記合成信号を受信するステップと、
前記受信制御装置が有する信号復元部において、受信した前記合成信号から信号を前記所定数復元するステップと、を備える、
無線通信方法。
(付記G1)
所定数の信号から少なくとも1つの信号を選択して合成信号を生成するステップと、
無線ネットワーク内に確立された少なくとも1つの無線リンクを介して受信制御装置が受信可能であるように前記合成信号を送出するステップと、を備える、
送信制御方法。
(付記H1)
送信制御装置から送出された合成信号を、無線ネットワーク内に確立された少なくとも1つの無線リンクから受信するステップと、
受信した前記合成信号から所定数の信号を復元するステップと、を備える、
受信制御方法。
(付記I1)
2つの送受信制御装置のうち一方の送受信制御装置が有する合成信号生成部において、所定数の信号から少なくとも1つの信号を選択して合成信号を生成するステップと、
前記一方の送受信制御装置が有するマルチパス制御部において、無線ネットワーク内に確立された少なくとも1つの無線リンクを介して前記合成信号を他方の送受信制御装置に送出するステップと、
前記他方の送受信制御装置が有するマルチパス制御部において、前記少なくとも1つの無線リンクから前記合成信号を受信するステップと、
前記他方の送受信制御装置が有する信号復元部において、受信した前記合成信号から信号を前記所定数復元するステップと、を備える、
無線通信方法。
(付記J1)
所定数の信号から少なくとも1つの信号を選択して合成信号を生成する処理と、
無線ネットワーク内に確立された少なくとも1つの無線リンクを介して、受信制御装置が受信可能であるように前記合成信号を送出する処理と、
をコンピュータに実行させる送信制御プログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
(付記K1)
送信制御装置から送出された合成信号を、無線ネットワーク内に確立された少なくとも1つの無線リンクから受信する処理と、
受信した前記合成信号から所定数の信号を復元する処理と、
をコンピュータに実行させる受信制御プログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
(付記L1)
所定数の信号から少なくとも1つの信号を選択して合成信号を生成する処理と、
無線ネットワーク内に確立された少なくとも1つの無線リンクを介して通信相手が受信可能であるように前記合成信号を送出する処理と、
通信相手から送信された合成信号を、無線ネットワーク内に確立された周波数の異なる複数の無線リンクのそれぞれから受信する処理と、
受信した前記合成信号から信号を前記所定数復元する処理と、
をコンピュータに実行させる送受信制御プログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
この出願は、2019年3月28日に出願された日本出願特願2019-063951を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。