JP7283197B2 - アレイアンテナ - Google Patents

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本発明は、複数の放射素子を有するアレイアンテナに関する。
近年、アレイアンテナは、誘電体等のプリント基板上に導体パッチで放射素子を形成したマイクロストリップアンテナ(MSA:MicroStrip Antenna)を用いるようになっている。MSAは、厚さが薄く(低背)、高性能のアンテナ特性を有し、低コスト化が可能である。
MSAの従来技術として、誘電体基板上にパッチ素子を配列し、パッチ素子を誘電体板で被覆する技術が開示されている(例えば、下記特許文献1参照。)。また、基板上に給電パッチ素子と無給電パッチ素子を配列し、高誘電率の誘電体で被覆する技術が開示されている(例えば、下記特許文献2参照。)。
実開昭63-59413号公報 特開2007-37077号公報
アレイアンテナの放射素子間の中心距離(放射素子中心距離)dは、一般的にd=λ/2が選定される。λは空気中の波長である。ここで、d>λ/2の場合、グレーティングローブ(不要方向へのエネルギー放射)が発生するため好ましくない。また、d<λ/2の場合、素子間相互結合が起こり、アンテナ特性が変わるため好ましくない。
ここで、MSAを使用した実際のアレイアンテナでは、放射素子間の中心距離(放射素子中心距離)dがλ/2であっても、隣接する放射素子の端面同士の間隔(実質的な素子間隔)d’が放射素子中心距離dよりも大幅に小さくなる(d’≪λ/2)。これにより、放射素子間に非常に大きな素子間相互結合(結合率の増大)が発生する問題がある。これは、アンテナベーシックでは、放射素子を点と仮定しているが、実際には放射素子が有限の大きさを持つため、放射素子中心距離dに対し実質的な素子間隔d’が大幅に小さくなるためである。
また、放射素子の素子面積を大きくして単独利得を大きくし、伝送損失(フィーダーロス)を低減するために、低比誘電率および低誘電正接のプリント基板が選定される場合がある。このような構造の場合には、アレイアンテナの放射素子中心距離がさらに狭くなり、素子間相互結合がさらに増大してしまう悪循環が生じる。素子間相互結合の増大は、アンテナ放射効率の極端な低下をもたらす。この際、アレイアンテナ全体(アレイファクター)ではなく、放射素子単体の放射効率が低下することになり、放射効率が半減する場合もある。
一つの側面では、本発明は、素子間相互結合を低減し放射効率を改善できることを目的とする。
一つの案では、アレイアンテナは、誘電体基板上に複数の放射素子を設けたマイクロストリップ構造のアレイアンテナにおいて、所定の比誘電率を有し、前記誘電体基板上に密着され複数の前記放射素子を気密する薄膜状の誘電体オーバレイ膜を有し、複数の前記放射素子の中心は、互いにλ/2(λ:空気中の波長)の放射素子中心距離を有し、かつ、前記誘電体オーバレイ膜により複数の前記放射素子の間隔を大きくした、ことを要件とする。
一つの実施形態によれば、素子間相互結合を低減し放射効率を改善できるという効果を奏する。
図1は、実施の形態にかかるアレイアンテナを示す図である。 図2は、実施の形態にかかるアレイアンテナのアンテナ制御部の構成例を示す図である。 図3は、実施の形態のアレイアンテナが設けられる無線通信装置のハードウェア構成例を示す図である。 図4は、既存のアレイアンテナを示す図である。 図5は、実施の形態のアレイアンテナの特性を示す図表である。
(実施の形態)
図1は、実施の形態にかかるアレイアンテナを示す図である。図1(a)は平面図、図1(b)は側面図である。アレイアンテナ100は、複数の放射素子を所定配列、例えば、マトリクス状に配置してなるMSAである。
アレイアンテナ100は、誘電体基板101と、放射素子102と、フィード103と、誘電体オーバレイ膜104と、を含む。
実施の形態のアレイアンテナ100は、隣接する放射素子102,102同士は、従来同様、規定した(ベーシックな)放射素子中心距離d(d=λ/2)を保持しつつ、実質的な放射素子間隔d’をできるだけλ/2に近づけている。実質的な放射素子間隔d’をできるだけλ/2に近づける程、放射素子102の大きさは小さくなる。このために、実施の形態では、アレイアンテナ100の表面上に薄膜状の誘電体を密着させたオーバレイ構造のアンテナとする。このオーバレイ構造により、放射素子102の大きさを小さくし、素子間相互結合を低減させ、放射効率の改善を図る。
誘電体基板101は、所定の比誘電率を有する誘電体からなり、縦横に所定の大きさ(長さL,幅W)、および所定の厚さHを有する。図1の例では、誘電体基板101は、平面でみて正方形状に形成されている。厚さHはλ/4以下である。
放射素子102は、誘電体基板101上に導電体を印刷配線等により形成したものである。この放射素子102は、所定の大きさ(長さL1,幅W1)、および所定の厚さH1を有する。例えば、厚さH1は、10μmである。
図1の例では、放射素子102は、マトリクス状に配置され、正方形状の誘電体基板101を4等分した各領域A1~A4に設けられる。ここで、誘電体基板101を4等分した各領域A1~A4は、大きさ(長さL2,幅W2)を有している。そして、複数の放射素子102は、各領域A1~A4の中心位置Oを中心とした位置にそれぞれ形成されている。
ここで、従来のMSAのアレイアンテナが実施の形態と同じ大きさ(長さL,幅W)の誘電体基板を有し、同様に4つの放射素子を有するとする。この場合、実施の形態の放射素子102は、大きさ(長さL1,幅W1)が長さおよび幅のいずれにおいても従来よりも小さく形成できる。すなわち、実質的な放射素子間隔d’をできるだけλ/2に近づける程、放射素子102の大きさを小さくする。この点は、実施の形態において、誘電体オーバレイ膜104を設けることに起因する(詳細は後述する)。
フィード103は、複数の放射素子102に対応して設けられる複数の導電体であり、誘電体基板101の内部を貫通し、一端が誘電体基板101の表面の放射素子102に接続され、他端が誘電体基板101の裏面の給電点Pに接続される。フィード103は、例えば、スルーホールである。
誘電体オーバレイ膜104は、所定の比誘電率を有する誘電体膜であり、アレイアンテナ100の表面側において、誘電体基板101および複数の放射素子102上を覆いこれらの面に密着される。誘電体オーバレイ膜104は所定の膜厚H2を有する。膜厚H2は、例えば、50μmと薄膜であり、波長に対して非常に小さい(波長の1/100~1/200)。
誘電体オーバレイ膜104は、誘電体基板101と同じ材質および同じ比誘電率でもよいし、異なる材質や比誘電率でもよい。好ましくは、誘電体オーバレイ膜104の比誘電率は、誘電体基板101の比誘電率より高い方がよい。例えば、誘電体基板101の比誘電率が2~10のとき、誘電体オーバレイ膜104の比誘電率は3~20とする。
実施の形態のアレイアンテナ100は、例えば、誘電体基板101上に導電性の電極材料(導電体)を、エッチングを含む印刷配線により、放射素子102を形成する。この後、誘電体基板101の表面全体を誘電体オーバレイ膜104の誘電体膜を圧着等により設ける。これにより、誘電体オーバレイ膜104は、放射素子102を覆う。
実施の形態では、放射素子102は、誘電体基板101と誘電体オーバレイ膜104とに挟まれる形で気密され、誘電体オーバレイ膜104は、放射素子102を覆って外部(空気)との接触を遮断する。
これにより、実施の形態のアレイアンテナ100は、実効比誘電率が下がることがなく波長短縮が大きいものとなる。したがって、実施の形態では、放射素子102の大きさを従来に比して小さくできる。なお、従来技術の構成、および実効比誘電率と波長短縮の作用については後述する。
したがって、実施の形態によれば放射素子102は大きさ(長さL1,幅W1)が長さおよび幅のいずれにおいても、従来のものより小さく形成できるようになる。すなわち、隣接する放射素子102,102間は、従来同様の放射素子中心距離d(d=λ/2)を有するが、放射素子102自体の大きさ(長さL1,幅W1)を長さおよび幅のいずれにおいても従来よりも小さく形成できる。
これにより、アレイアンテナ100の放射素子102の実質的な放射素子間隔d’について、従来技術の放射素子よりも大きい間隔を取ることができるようになり、できるだけλ/2に近づけることができる。ここで、実施の形態の放射素子102は、放射素子中心距離dが従来と同じであるため、アレイアンテナ100の開口面(誘電体基板101の大きさWとLに相当)は小さくならない。これにより、放射素子102の素子間相互結合を低減でき、放射効率を改善でき、アンテナ利得を向上できるようになる。
上記構成のアレイアンテナ100として、放射素子102の下部の誘電体基板101に低比誘電率および低誘電正接の材料を用い、放射素子102の表面上の誘電体オーバレイ膜104を誘電体基板101よりも高比誘電率および高誘電正接の材料を用いてもよい。この構成によれば、誘電体基板101に比較的高コストな低比誘電率および低誘電正接の材料を用いるが、誘電体オーバレイ膜104として比較的低コストである高比誘電率および高誘電正接の材料を用いることができる。
このような誘電体(誘電体基板101と誘電体オーバレイ膜104)の材料選定により、アレイアンテナ100の伝送損失(フィーダーロス)を低減できる。加えて、放射素子102の実質的な放射素子間隔d’を拡げることで、素子間相互結合を小さくでき放射効率を改善することができる。
図2は、実施の形態にかかるアレイアンテナのアンテナ制御部の構成例を示す図である。アンテナ制御部200は、図1に示したアレイアンテナ100が送受信する無線電波(ビーム)の送受信を制御する。アンテナ制御部200は、例えば、アレイアンテナ100とともに装置側、例えば、無線通信装置や、無線通信機能を有する端末装置、さらには、IoT(Internet of Things)のセンサ機器の筐体に収容される。
アンテナ制御部200は、RF(Radio Frequency)部201と、電力分配器202と、受信機203と、送信機204と、送受信切替スイッチ(SW)205と、制御部206と、を含む。
図2には、図1に示したアレイアンテナ100が有する複数の放射素子102を記載してある。放射素子102の数に対応する数のRF部201が設けられている。放射素子102に接続されたフィード103の給電点Pは、複数のうち一つのRF部201に接続される。
複数のRF部201は、所定周波数の無線電波(電磁波)に対する信号処理を行う。受信機203および送信機204は、ベースバンド帯域における信号処理を行う。複数のRF部201は、電力分配器202に接続される。電力分配器202は、信号の送受信において、複数のRF部201に対する電力分配を行う。
電力分配器202と、受信機203および送信機204との間には、送受信切替スイッチ(SW)205が設けられる。送受信切替スイッチ(SW)205は、信号の受信時には、受信機203側に切り替え、また、信号の送信時には、送信機204側に切り替える。
RF部201は、サーキュレータ211と、受信側可変増幅器212と、送信側可変増幅器213と、送受信切替スイッチ(SW)214と、移相器215と、を含む。
サーキュレータ211は、放射素子102が受信した受信信号を受信側可変増幅器212に出力し、送信側可変増幅器213が出力する送信信号を放射素子102に出力する。受信側可変増幅器212は、受信信号の振幅(利得)を可変自在に増幅する。送信側可変増幅器213は、送信信号の振幅(利得)を可変自在に増幅する。
送受信切替スイッチ(SW)214は、受信側可変増幅器212および送信側可変増幅器213と、移相器215との間に設けられ、装置の信号の送受信タイミングに対応して信号の流れを切り替える。送受信切替スイッチ(SW)214は、信号の受信時には、受信側可変増幅器212側に切り替え、信号の送信時には、送信側可変増幅器213側に切り替える。移相器215は、送受信する信号の位相を変化させる。
制御部206は、ビーム走査制御器221と、送受信切替部222と、を含む。ビーム走査制御器221は、複数のRF部201を介して複数の放射素子102に対する送受信時のビーム走査を制御する。このビーム走査時、複数のRF部201の受信側可変増幅器212および送信側可変増幅器213に対する振幅制御を行い、移相器215に対する位相制御を行う。このように、制御部206は、アレイアンテナ100の複数の放射素子102に対応するRF部201のそれぞれに対応する振幅および位相を独立した制御を行う。
送受信切替部222は、信号の送受信タイミングに対応して送受信切替スイッチ205,214を送信側あるいは受信側に切り替える制御を行う。
アンテナ制御部200は、アレイアンテナ100が送受信する無線電波(ビーム)に対する各種制御を行う。例えば、アレイアンテナ100の複数の放射素子102を組み合わせて指向性の適応制御や、受信波の到来方向推定のためのアンテナ制御を行う。
図2に示すアンテナ制御部200を用いたアレイアンテナ100は、アクティブフェーズドアレイアンテナ装置であり、制御部206が複数のRF部201を上記振幅および位相制御することにより、複数の放射素子102に対するビームの電子走査を行う。
図3は、実施の形態のアレイアンテナが設けられる無線通信装置のハードウェア構成例を示す図である。無線通信装置300は、制御部として機能するCPU等のプロセッサ301、ROM、RAM等のメモリ302、HDD、SSD、フラッシュメモリ等の記憶部303、入出力インタフェース(IF)304、無線通信部305、を含む。306は、CPU301と、周辺装置(メモリ302、記憶部303、入出力IF304)、および無線通信部305との間でデータ転送を行うためのバスである。
上記のCPUはCentral Processing Unit、ROMはRead Only Memory、RAMはRandom Access Memoryの略である。HDDはHard Disk Drive、SSDはSolid State Driveの略である。
CPU301は、ROM等のメモリ302に格納されたプログラムを実行し、この際、RAM等のメモリ302の一部を作業領域に使用することで無線通信装置の各機能、例えば、無線通信により送受信するデータ処理を行う。この際、CPU301は、記憶部303をメモリ302の拡張領域やバックアップ領域として使用してもよい。
CPU301は、主に無線通信装置の各種機能のアプリケーションを実行し、ユーザデータのユーザ側での入出力およびデータ処理を行う。これに限らずCPU301は、アンテナ制御部200の制御を実行し、外部の無線通信装置との間の無線通信を制御してもよい。
例えば、外部の無線通信装置との無線通信において、CPU301は、多数の放射素子102のアレイアンテナ100のアンテナ指向性を適応的に制御することで伝送損失を補償する。また、CPU301は、上記のアンテナ制御により、特定のエリアの無線通信装置との接続の優先制御や、エリアに限らず多数の携帯端末のうち特定の携帯端末との間で優先して送受信を行うトラヒック制御等を行うことができる。
入出力インタフェース(IF)304は、無線通信装置300に対するデータの入出力を行う。例えば、入出力IF304には、タッチパネルやキーボード、マイク等が接続され、ユーザ操作によるデータ入力が行える。また、入出力IF304には、LCD等の表示部が接続され、表示データを画面出力できる。LCDはLiquid Crystal Displayの略である。
無線通信部305は、無線通信装置300を他の無線通信装置との間でそれぞれ無線通信によりデータを送受信する通信部である。無線通信部305には、上述したアレイアンテナ100が接続され、アレイアンテナ100を介して他の無線通信装置と無線電波によりデータを送受信する。
無線通信部305は、図2に記載したアンテナ制御部200に相当する。また、図2の制御部206のアンテナ制御にかかる機能は、図3に記載したCPU301が実行する構成としてもよい。
(実施の形態と従来例との対比)
次に、上述した実施の形態のアレイアンテナ100と、既存のアレイアンテナとを対比説明する。
図4は、既存のアレイアンテナを示す図である。図4(a)は平面図、図4(b)は側面図である。実施の形態(図1)同様のマイクロストリップ構造のアレイアンテナ400の例であり、複数の放射素子をマトリクス状に配置してなるMSAを示す。
アレイアンテナ400は、誘電体基板401と、複数の放射素子402と、フィード403と、を有する。隣接する放射素子402,402同士は、実施の形態と同様に、規定した(ベーシックな)放射素子中心距離d(d=λ/2)を有する。
誘電体基板401は、実施の形態と同様に、所定の比誘電率を有する誘電体からなり、縦横に所定の大きさ(長さL,幅W,厚さH)、および所定の厚さHを有し、平面でみて正方形状に形成されている。
また、誘電体基板401の各領域A1~A4は、実施の形態同様の大きさ(長さL2,幅W2)を有している。そして、複数の放射素子402は、各領域A1~A4の中心位置Oを中心とした位置にそれぞれ形成されている。
このように、従来のアレイアンテナ400が実施の形態と同じ大きさ(長さL,幅W)の誘電体基板を有し、同様に4つの放射素子を有する場合、放射素子402は、大きさ(長さL1,幅W1)が長さおよび幅のいずれにおいても実施の形態よりも大きくなる。
すなわち、従来例では、誘電体基板401上の放射素子402が直接空気に触れる状態である。この場合、例えば、誘電体基板401の比誘電率が3、空気中の比誘電率1のとき実効比誘電率εeffは2.4程度に下がる。
そのため、波長短縮が小さく、相対的に放射素子402の大きさ(L1,W1)が実施の形態よりも大きくなる。これにより、放射素子402の実質的な放射素子間隔d’が実施の形態よりも大幅に小さくなる(d’≪λ/2)。この際、放射素子402の実質的な放射素子間隔d’は、λ/2に近づけることができず、逆に離れていく。これにより、従来例のアレイアンテナ400では、実施の形態のアレイアンテナ100に比べて放射素子402間の素子間相互結合(結合率)が大きくなる。
ここで、放射素子402単独利得(開口面に相当)を大きくしつつ、伝送損失(フィーダーロス)を低減するために低比誘電率および低誘電正接の誘電体基板401を選定したとする。この場合、放射素子402の実質的な放射素子間隔d’がさらに狭くなるという悪循環が生じる。
素子間相互結合が増大すると、アンテナ放射効率が極端に低下してしまう。この際、アレイアンテナ400全体(アレイファクター)ではなく、放射素子402単体の放射効率が低下することになり、放射効率が半減する場合もある。
このように、従来例のアレイアンテナ400では、実施の形態のアレイアンテナ100に対し、フィーダーロスおよび素子間相互結合が大きく、放射効率が低い。
これに対し、上述した実施の形態では、図1に示したように、放射素子102が誘電体基板101と誘電体オーバレイ膜104とに挟まれる形となり、誘電体オーバレイ膜104は、放射素子102を覆って空気との接触を遮断する。これにより、実施の形態のアレイアンテナ100は、実効比誘電率が下がることがなく波長短縮が大きいものとなる。したがって、実施の形態では、放射素子102の大きさを従来に比して小さくできる。
そして、実施の形態によれば放射素子102は大きさ(長さL1,幅W1)が長さおよび幅のいずれにおいても従来に比べて小さく形成できる。すなわち、隣接する放射素子102,102間は、従来同様の放射素子中心距離d(d=λ/2)を有するが、放射素子102自体の大きさ(長さL1,幅W1)を長さおよび幅のいずれにおいても従来よりも小さくできる。
これにより、アレイアンテナ100の放射素子102の実質的な放射素子間隔d’について、従来技術の放射素子よりも大きい間隔を取ることができるようになり、できるだけλ/2に近づけることができる。ここで、実施の形態の放射素子102は、放射素子中心距離dが従来と同じであるため、アレイアンテナ100の開口面(大きさWとLに相当)は小さくならない。放射素子102の実質的な放射素子間隔d’を拡げることで、素子間相互結合を小さくでき、放射効率を改善することができる。
例えば、従来の特許文献1の技術では、MSAに対し、保護用レドーム誘電体板を装荷した構造であるが、レドームは一般的に厚みのある誘電体が用いられている。このような厚いレドームでは、電気的特性が劣化する問題を有する。一般的には、レドームの厚さは1/2波長の整数倍または1/20波長以下が望まれる。
これに対し、実施の形態の誘電体オーバレイ膜104は、アンテナ保護(レドーム)を主目的としておらず、誘電体オーバレイ膜104の厚みは波長に対して非常に小さく(波長の1/100~1/200)である。この誘電体オーバレイ膜104は、板を装荷する構造ではなく薄膜であり、誘電体による電気的性能劣化を最小限に抑えることができ、また、誘電体基板101との一体形成によりアレイアンテナ100全体を薄型にでき、軽量化できる。
また、従来の特許文献2の技術では、アレイアンテナ上に厚さ0.1~0.2mm程度の高誘電率(比誘電率100~200程度)の誘電体を被せている。これにより、波長短縮を図り、アンテナ素子を小さくし、アンテナ素子の中心間隔(上記放射素子中心距離d)を狭くしている。この特許文献2のMSAは、無給電素子を利用したアレイアンテナであり、素子間隔を近づけることで、一つの給電素子に近接した他の無給電素子との間の素子間相互結合を利用した放射を行っている。
これに対し、実施の形態のアレイアンテナ100は、放射素子102を小さくする点では特許文献2と共通する構成である。しかし、特許文献2に対し、素子間相互結合の抑制を目的とする点で相違する。また、アンテナ素子の放射素子中心距離dは、規定のλ/2のまま変更せず、狭くしない点でも相違する。仮に、実施の形態を特許文献2同様に、アンテナ素子の放射素子中心距離dを狭くすると、素子間相互結合が増大し、アンテナ利得が低下する問題を生じる。また、アレイアンテナの開口面積も小さくなり、この点でもアンテナ利得が低下してしまう。
図5は、実施の形態のアレイアンテナの特性を示す図表である。アンテナ特性のシミュレーション結果を示す。この図5には、対比用に従来の一般的なMSA(例えば、図4のアレイアンテナ400相当)の特性も示している。
実施の形態のアレイアンテナ100によれば、周波数帯域のLch~Hchの全体において、従来のアレイアンテナに対し、約0.7dB(1.18倍)のアンテナ利得の向上を図ることができた。これは、実施の形態の構成によれば、放射素子102間の素子間相互結合(結合率)の低下によって得られた。
上記の実施形態では、アレイアンテナ100として2×2のアレイ配列を例に説明した。これに限らず、アレイアンテナ100は、4×4、8×8、16×16等、n×mのアレイ配列としてもよい。
以上説明した実施の形態のアレイアンテナは、誘電体基板上に複数の放射素子を設けたマイクロストリップ構造であり、所定の比誘電率を有し、誘電体基板上に密着され複数の放射素子を気密する薄膜状の誘電体オーバレイ膜を有する。また、複数の放射素子の中心は、互いにλ/2の放射素子中心距離dを有する。これにより、複数の放射素子間の間隔d’をλ/2に近づけることができる。
上記構成によれば、放射素子は誘電体基板と誘電体オーバレイ膜とに挟まれる形で気密され、誘電体オーバレイ膜は、放射素子を覆って外部(空気)との接触を遮断する。これにより、実効比誘電率が下がることがなく波長短縮が大きいものとなる。そして、放射素子の素子間相互結合を低減でき、放射効率を改善でき、アンテナ利得を向上できるようになる。
また、複数の放射素子は、それぞれ放射素子間の間隔(実質的な放射素子間隔)d’に対応する大きさを有する。この場合、複数の放射素子間の間隔d’をλ/2に近づけることで、複数の放射素子の大きさをいずれも小さくすることができる。
このような構成においても、放射素子の放射素子中心距離dが規定のλ/2のまま変わらないため、アレイアンテナの開口面(大きさWとLに相当)は小さくならない。これにより、放射素子の素子間相互結合を低減でき、放射効率を改善し、アンテナ利得を向上できるようになる。
また、誘電体オーバレイ膜は、波長λに対し1/100~1/200の膜厚としてもよい。このように、誘電体オーバレイ膜の膜厚を波長λに対し非常に小さいものとすることで、誘電体による電気的性能劣化を最小限に抑えることができ、アレイアンテナ全体を薄型および軽量化できる。
また、誘電体オーバレイ膜の比誘電率は、誘電体基板の比誘電率と同じあるいは高いものを用いてもよい。例えば、誘電体オーバレイ膜の比誘電率を3~20とし、誘電体基板の比誘電率は2~10としてもよい。これにより、放射素子の素子間相互結合を低減でき、放射効率を改善でき、アンテナ利得を向上できるようになる。
また、誘電体基板に低比誘電率および低誘電正接の材料を用い、誘電体オーバレイ膜に誘電体基板よりも高比誘電率および高誘電正接の材料を用いてもよい。この場合、高比誘電率および高誘電正接の材料により、安価な誘電体オーバレイ膜を用いることができる。また、フィーダーロスを低減したまま、素子間相互結合を小さくして放射効率を改善し、アンテナ利得を向上できるようになる。
また、複数の放射素子のフィードがそれぞれ接続され、複数の放射素子が送受信する信号に対する振幅および位相制御を行うアンテナ制御部を備えてもよい。これにより、アレイアンテナが有する複数の放射素子を用いた指向性の適応制御や、受信波の到来方向推定のためのアンテナ制御を行うことができる。
これらのことから、実施の形態にかかるアレイアンテナによれば、放射素子が形成された誘電体基板上を薄膜の誘電体オーバレイで気密密着させた簡単な構成で、フィーダーロスおよび素子間相互結合を低減でき、放射効率を改善できるようになる。また、アレイアンテナの製造も簡単に行える。
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)誘電体基板上に複数の放射素子を設けたマイクロストリップ構造のアレイアンテナにおいて、
所定の比誘電率を有し、前記誘電体基板上に密着され複数の前記放射素子を気密する薄膜状の誘電体オーバレイ膜を有し、
複数の前記放射素子の中心は、互いにλ/2(λ:空気中の波長)の放射素子中心距離を有することを特徴とするアレイアンテナ。
(付記2)複数の前記放射素子は、それぞれ前記放射素子間の間隔で所定の大きさを有することを特徴とする付記1に記載のアレイアンテナ。
(付記3)前記誘電体オーバレイ膜は、前記波長λに対し1/100~1/200の膜厚であることを特徴とする付記1または2に記載のアレイアンテナ。
(付記4)前記誘電体オーバレイ膜の比誘電率は、前記誘電体基板の比誘電率と同じことを特徴とする付記1~3のいずれか一つに記載のアレイアンテナ。
(付記5)前記誘電体オーバレイ膜の比誘電率は、前記誘電体基板の比誘電率より高いことを特徴とする付記1~3のいずれか一つに記載のアレイアンテナ。
(付記6)前記誘電体オーバレイ膜の比誘電率は3~20であり、前記誘電体基板の比誘電率は2~10であることを特徴とする付記5に記載のアレイアンテナ。
(付記7)前記誘電体基板に低比誘電率および低誘電正接の材料を用い、前記誘電体オーバレイ膜に前記誘電体基板よりも高比誘電率および高誘電正接の材料を用いることを特徴とする付記1~6のいずれか一つに記載のアレイアンテナ。
(付記8)複数の前記放射素子のフィードがそれぞれ接続され、複数の前記放射素子が送受信する信号に対する振幅および位相制御を行うアンテナ制御部を備えたことを特徴とする付記1~7のいずれか一つに記載のアレイアンテナ。
100 アレイアンテナ
101 誘電体基板
102 放射素子
103 フィード
104 誘電体オーバレイ膜
200 アンテナ制御部
201 RF部
202 電力分配器
203 受信機
204 送信機
205,214 送受信切替スイッチ
206 制御部
211 サーキュレータ
212 受信側可変増幅器
213 送信側可変増幅器
215 移相器
221 ビーム走査制御器
222 送受信切替部
300 無線通信装置
d 放射素子中心距離
d’実質的な放射素子間隔

Claims (6)

  1. 誘電体基板上に複数の放射素子を設けたマイクロストリップ構造のアレイアンテナにおいて、
    所定の比誘電率を有し、前記誘電体基板上に密着され複数の前記放射素子を気密する薄膜状の誘電体オーバレイ膜を有し、
    複数の前記放射素子の中心は、互いにλ/2(λ:空気中の波長)の放射素子中心距離を有し、かつ、前記誘電体オーバレイ膜により複数の前記放射素子の間隔を大きくした、
    とを特徴とするアレイアンテナ。
  2. 前記誘電体オーバレイ膜は、前記波長λに対し1/100~1/200の膜厚であることを特徴とする請求項1に記載のアレイアンテナ。
  3. 前記誘電体オーバレイ膜の比誘電率は、前記誘電体基板の比誘電率と同じことを特徴とする請求項1または2に記載のアレイアンテナ。
  4. 前記誘電体オーバレイ膜の比誘電率は、前記誘電体基板の比誘電率より高いことを特徴とする請求項1または2に記載のアレイアンテナ。
  5. 前記誘電体オーバレイ膜の比誘電率は3~20であり、前記誘電体基板の比誘電率は2~10であることを特徴とする請求項4に記載のアレイアンテナ。
  6. 前記誘電体基板に低比誘電率および低誘電正接の材料を用い、前記誘電体オーバレイ膜に前記誘電体基板よりも高比誘電率および高誘電正接の材料を用いることを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載のアレイアンテナ。
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