JP7281994B2 - 非破壊解析装置 - Google Patents

非破壊解析装置 Download PDF

Info

Publication number
JP7281994B2
JP7281994B2 JP2019142769A JP2019142769A JP7281994B2 JP 7281994 B2 JP7281994 B2 JP 7281994B2 JP 2019142769 A JP2019142769 A JP 2019142769A JP 2019142769 A JP2019142769 A JP 2019142769A JP 7281994 B2 JP7281994 B2 JP 7281994B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nail
inspected
ray
battery
attenuation coefficient
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019142769A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021025848A (ja
Inventor
真典 国本
法仁 冨樫
雅美 富澤
健 守田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba IT and Control Systems Corp
Original Assignee
Toshiba IT and Control Systems Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba IT and Control Systems Corp filed Critical Toshiba IT and Control Systems Corp
Priority to JP2019142769A priority Critical patent/JP7281994B2/ja
Publication of JP2021025848A publication Critical patent/JP2021025848A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7281994B2 publication Critical patent/JP7281994B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Analysing Materials By The Use Of Radiation (AREA)

Description

本発明の実施形態は、解析対象の物品(以下、被検査物という)に外部から物理的エネルギーを与えた場合に発生する被検査物の内部変化を、X線等の放射線検出器を使用して解析する非破壊解析装置に関する。
X線検出器を使用した非破壊解析装置の被検査物として、電気自動車やプラグインハイブリットに搭載されている高エネルギーで高密度のリチウムイオン電池を対象としている。
リチウムイオン電池は、異物の混入、衝撃などによって発火・発煙・爆発という危険な現象を生じることがある。これを解明するために、例えば、特許文献1に示すように、電池に対して釘刺しのようなピンポイントで圧力・衝撃を加え、釘刺しの度合いと電池内部の膨張、発熱、発煙、発火などの関係を解析することが行われている。
この従来技術によれば、衝撃によって変形する被検査物の内部の形状変化をX線透過像として撮影し、それをスローモーション再生することにより、与えられた圧力・衝撃とそれに対応する被検査物の経時的な変化を視覚的に捕えることができる利点がある。
一方、特許文献1のようなX線検出器を使用することがない釘刺しタイプの検査装置として、特許文献2に示すものも知られている。このタイプの検査装置は、釘を被検査物に挿入することで、被検査物の電気的、物理的特性を計測するものであるが、X線による内部の透視機能を持たないため、検出した特性と被検査物の変形関係を検出することはできない。この特許文献2に使用されている釘は、先端に導電性部材を設けて、その導電性部材を経由して短絡電流や内部発生熱を検出する。
特開2019-90802号公報 特開2010-250954号公報
特許文献2の検査装置に使用されている釘は、特許文献2の段落0039にあるように、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、ステンレス、チタン、炭素材料などである。しかし、X線検出器を使用した検査装置に対して、特許文献2の釘を使用すると、釘の先端の線減弱係数が低いことから、釘の先端と被検査物を構成する材料、例えば電極の銅材料や電極に塗布されているコバルト化合物などとの区別が付きにくく、鮮鋭な透視画像を得ることができない。特に、リチウムイオン電池にあっては、正極としてアルミニウム、負極として銅、セパレータとして樹脂材料のような線減弱係数の低い材料が使用されることから、被検査物の線減弱係数に近い従来技術の釘では、電池材料との判別が難しい。
また、特許文献2の検査装置は、釘の先端に導電性部材が1個所のみ設けられていることから、リチウムイオン電池のように多層にわたって肉厚の薄い単位電池が積層されている場合、導電性部材が接触した1つの階層のデータしか測定できない。すなわち、釘によってある大きさの衝撃を加えた場合に、釘は複数の階層を貫通あるいは変形させることになるが、特許文献2の検査装置では、釘の先端が接触している階層のデータしか検出できない。
このような問題点は被検査物がリチウムイオン電池の場合に限るものではなく、他の物品においても同様に発生する。
本実施形態は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものである。本実施形態の目的は、被検査物と釘とが明確に区別された鮮鋭な透視画像を得ることのできる非破壊解析装置を得ることにある。
第1実施形態の非破壊解析装置は、次のような構成を有する。
(1)被検査物に対してX線を放射するX線発生器。
(2)前記X線の進路に設置され前記被検査物を載置する試料テーブル。
(3)前記被検査物を透過したX線を検出して可視光データとして出力するX線検出器。
(4)前記被検査物に対して物理的エネルギーを加える釘刺し装置。
(5)前記釘刺し装置に設けられ、先端部が線減弱係数の高い材料を含む釘。
(6)前記釘刺し装置からの物理的エネルギーによって変化した被検査物の状態を測定する計測装置。
(7)前記線減弱係数の高い材料は、線減弱係数がX線のエネルギー100keVにおいて10cm -1 以上である。
(8)前記釘が絶縁された複数の導電部を備え、前記釘の先端部において各導電部の先端が釘の軸方向の異なる位置に露出しており、前記釘が前記被検査物に挿入されると前記各導電層が当該被検査物の異なる深さに達することになる。
前記実施形態において、次のような構成を採用すると良い。
(1)釘さし方向と垂直な軸を回転中心としてX線発生器1及びX線検出器3を回転させる回転装置と、前記X線と交差する回転軸に対し前記試料テーブルと前記X線とを相対的に回転させる回転装置と、前記回転の多数の方向で検出された透過像から前記被検査物の断層像を再構成する画像構成装置を設ける。
)前記の釘材料は、電池の内部短絡などによる高温化に耐える必要がり、たとえば融点が1000℃以上である。
)前記の釘材料は、たとえば体積抵抗率が、100℃において10×10-6以下とする。
第1実施形態の非破壊解析装置のブロック図。 第1実施形態における釘の一例を示す側面図。 第1実施形態における釘の他の例を示す断面図。 第1実施形態における釘の更に他の例を示す断面図。 被検査物の一例を示す拡大断面図。 第2実施形態の非破壊解析装置のブロック図。
以下、本発明の実施形態について説明する。実施形態において、被検査物Wは、積層構造をなすリチウムイオン電池(電池と略記する)とする。検査対象の電池としては、通常の市販対象製品はもちろんであるが、電池内部の線減弱係数の低い部材、例えば樹脂製のセパレータなどの状態を鮮明に把握するため、図5に示すような評価用電池を使用することができる。この評価用電池は、アルミニウム製の正極W1、銅製の負極W2及び樹脂製のセパレータW3を備え、セパレータW3の両側に線減弱係数の高い材料、例えば金(Au)の薄膜W4を積層したものである。
[1.第1実施形態]
[1-1.実施形態の構成]
第1実施形態の非破壊解析装置では、図1のブロック図に示すように、放射線源であるX線発生器1と、被検査物Wを載せる試料テーブル2と、X線発生器1から放射されたX線ビームを受光するX線検出器3が、X線の光軸に沿って所定の間隔を保って配置される。
X線発生器1は、水平方向に円錐状のX線ビームを発するもので、X線ビームは試料テーブル2上に載置された被検査物Wを透過して、X線検出器3に達する。X線発生器1には、そのFOD、視野、撮影方向の少なくとも1つを変更するためのX線発生器駆動機構11が設けられる。
試料テーブル2は、垂直方向の軸を中心として試料テーブル2を回転させる回転駆動機構21と、X線の光軸方向X及び光軸と直交する水平方向Yと垂直方向Zに試料テーブル2を移動させるXYZ駆動機構22を備える。XYZ駆動機構22は、回転駆動機構21の上に載置される。回転駆動機構21とXYZ駆動機構22は、起動及び停止と駆動量を制御する制御装置6に接続される。
X線検出器3は、被検査物Wを透過したX線を検出して可視光データとして出力するものであり、その出力側にはX線検出器3から出力された画像データを作業者が希望する形態で図示しないディスプレイに出力する画像構成装置5が接続される。X線検出器3には、X線検出器3を光軸方向に移動させるX線検出器駆動機構7が設けられ、このX線検出器駆動機構7が制御装置6に接続される。
試料テーブル2に載置された被検査物Wの近傍には釘刺し装置8が設けられる。釘刺し装置8は、電池に刺さる釘81と、釘81を電池に対して出没させる操作装置82と、操作装置82の駆動機構83を備える。駆動機構83は制御装置6に接続され、制御装置6は駆動機構83による釘81の移動速度、移動方向及び距離(例えば、電池表面からの角度、侵入距離)、侵入圧力及び移動の開始並びに停止を制御する。
釘81は、図2に示すように、軸部81aと先端部81bを備える。軸部81aは、従来から公知の鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、ステンレス、チタン、炭素材料などによって構成される。先端部81bは、被検査物の素材に比較して線減弱係数が高い材料で、100keVにおいて10cm-1の基準で、例えば、金(Au)、銀(Ag)、金又は銀メッキ素材、タングステン、モリブデン、ロジウムなどから構成される。中でも、被検査物Wが電池の場合には、電極に使用されるアルミニウムや銅を貫通するに十分な強度と、電極の透過線像に比較して濃度が高い映像が得られるタングステンが適している。なお、先端部81bに限らず、釘81の全体を線減弱係数が高い材料で構成しても良い。
釘81の先端は電池内部の正極と負極の短絡による発熱に絶え入るために、銅材料の融点800℃以上であることから、材料融点が1000℃以上で形状を維持する。そして、電気短絡回路であることから、体積抵抗率が100℃基準で10×10-6Ωcm以下の材料により短絡事象に影響しない材料で構成する。
釘81の先端形状は、被検査物の強度、肉厚、貫通孔の寸法や形状に応じて適宜使用できるが、例えば、円錐、三角錐、四角錐、多角形円錐などのコーン形状を使用できる。特に、電池の正極と負極の間に存在する樹脂性のセパレータは、釘の形状により伸びやすいことから円錐、三角錐、四角錐、多角形円錐などの形状で貫通しやすくする。釘81は、先端部の角度αを被検査物によって0°を超える任意の先端角度が違うものを使用することが可能である。例えば、被検査物Wの押される方向に圧力センサーを設置し、圧力ごとに先端角度が違う釘81を使い分けることで、被検査物Wに釘81を確実に貫通することができる。また、先端部の角度αを180°にすると押し潰しが行える。
同様に、釘81の太さYを被検査物Wによって変えることができ、例えば、被検査物Wの押される方向に圧力センサーを設置し、圧力ごとに釘の太さYが違う釘81を使い分けることで被検査物に釘81を確実に貫通することができる。更に、釘81として、その先端部81bの表面粗さμが非常に小さいものを使用することが好ましく、表面粗さμが小さいことで、被検査物Wを確実に貫通することができる。
釘81としては、図2に示すような軸部81aと先端部81bがそれぞれ無垢の素材からなる充実体で構成されるもの以外に、例えば、図3に示すような同心円状の多層構造を有するものを使用することができる。すなわち、図3の釘81は、軸部81aの基部及び中心部に導電性の材料(例えば、銅やアルミニウム)からなる複数の導電層a~eを図示しない絶縁層を挟んで積層し、最外周を絶縁部材Pで被覆したものである。これらの導電層a~eは、釘81の先端部81bまで達しており、コーン形状になった先端部81bの斜面に露出している。なお、図示しないが、導電層a~eの露出部分の表面には、線減弱係数が高い材料が膜状に設けられている。
電池の近傍には計測装置9が設けられる。本実施形態において、計測装置9としては、電池の電圧及び電流を計測する電圧計91と電流計92、電池の周辺及び釘81の温度を計測する温度センサー93、電解液の沸騰状態を判定するガス検出器94、電池の変形量を測定する歪み計95及び光電管96が設けられる。釘刺し装置8には、計測装置9として、釘81が電池に刺さる過程で加わる反力を計測する圧力計97及び加速度センサー98が設けられる。
図3に示す多層構造の釘81を使用した場合、釘81の各導電層a~eは、リード線及び抵抗を経由して電圧計91や電流計92に接続される。電圧計91や電流計92は被検査物Wである電池の正極あるいは負極である各層A~Eに接続され、針81が電池を貫通した場合に、電池の各層A~E、釘81の各導電層a~e、電圧計91または電流計92の回路が閉じて、釘刺し状態における電池各層の電気的特性が計測される。図4に示すように、多層構造の釘81を温度センサー93に接続する場合には、釘81の各導電層a~eを温度センサー93の各チャンネルCH1~CH5にリード線を解して接続することにより、1本の釘81により電池各層の温度特性を同時に計測する。
制御装置6には、X線発生器1の照射角度、試料テーブル2及びX線検出器3の移動位置や移動方向、釘刺し装置8の釘81の移動速度、移動方向及び距離などを作業者が予め設定するための入力装置61が設けられる。入力装置61は、図示しないキーボード、マウスなどの入力装置、ネットワークなどの外部装置などから構成される。制御装置6には、計測装置9で得られたデータ値と、そのデータ値に対応する被制御装置の制御データを保存するメモリやハードディスクなどの記憶装置62が設けられる。
[1-2.実施形態の作用]
(1)X線透視画像の撮影
本実施形態においては、試料テーブル2の上に被検査物である電池を置いた状態で釘刺し装置8を駆動し、釘81を電池に突き刺す。この場合、釘81の進行方向は、電池内の層状に並んだ電極に垂直な方向とする。釘81の突き刺す速度や方向、突き刺す深さについては、入力装置61を用いて制御装置6に予め設定しておく。一例として、釘81の起動から釘81の先端が電池の所定の深さに達するまでの時間は十秒程度である。
釘81の起動と同時にあるいは釘81の起動から一定の時間経過後に、X線発生器1からX線を放射し、釘81の移動状態とそれに伴う電池の変形状態をX線で透視し、X線検出器3によって受光することによって釘81の移動状態とそれに伴う電池の変形状態のX線透視画像を得る。画像構成装置5によって生成されるX線透視画像は、画像構成装置5においてスローモーション映像に変換され、図示しないディスプレイに表示されても良い。
本実施形態では、釘81の先端部81bは、線減弱係数の高い材質から構成されているため、釘81の移動状態とそれによって変形させられる電池の各部位の変形状態とが明確に区別される。その結果、電極の何層目に釘81が刺さったか明確になり、電極1層の詳細な解析が可能になる。この際、図5に示す評価用電池を使用すると、線減弱係数が低い材料のセパレータW3についても、その表面に積層された線減弱係数の高い材料からなる薄膜W4によって輪郭が浮かび上がった状態のX線透視画像が得られる。
図3のような多層構造の釘81を使用した場合は、釘81が電池内部に挿入されると、各導電層a~eが電池の異なる深さに達することになるので、電池の異なる階層ごとの電気負荷等を把握して計測装置9に出力することができる。図4のように、多層構造の釘81を温度センサー93に接続した場合には、電池の異なる階層ごとの温度特性を計測装置9に出力することができる。その結果、X線透視画像による内部の変化の状態と、それに対応する階層単位での釘刺し深さ及び電気的特性や温度特性などの変化を同時に把握することで、釘刺し試験の結果をリアルタイムに測定することが可能となる。
(2)X線発生器1の制御
積層構造を成している電池の電極を一層ずつ分離したX線透視画像を得るためにはそれぞれの電極に平行又は平行に近い角度でX線が透過することを要する。例えば、釘81の先端が電池の外装の表面に接触した状態で、第1層目の電極がそれに隣り合う第2層目の電極と分離して識別できるように設定されている場合を考える。
釘刺しに伴って、電池の外装及び電極は変形する。釘81は電池内部に押し込まれることになるので、そのX線透視画像において第1層目と第2層目の各電極を分離して識別できる状態であったものが分離して識別できない状態になることがある。そこで、本実施形態では、電池の変形量を歪み計95や光電管96によって計測し、その計測値を制御装置6に送信する。
制御装置6においては、予め記憶されている計測値とそれに対応する駆動量に応じて、X線透視画像において第1層目と第2層目の各電極を分離して識別できるようにX線発生器駆動機構11を駆動する。同様に、釘刺しの進行に伴い電池が膨張あるいは爆発し、変形量が撮影当初に意図していた観察状態から外れた場合には、計測装置9によってその変形量を検出し、制御装置6はその変形量に対応した観察状態が得られるようにX線発生器駆動機構11を制御する。
X線発生器1の位置、電池の視野及び撮影方向の制御は必ずしも計測装置9による変形量の計測値に基づいて行う必要はない。例えば、電池に釘81を刺すことによる短絡電流とそれによる発熱量や、電圧変動、外形変化量との間には密接な関係があるので、あらかじめ決めた閾値以上に発熱量などが上昇した場合には、その計測値を受信した制御装置6により、計測値に応じて視野やX線透視角度などを調整することができる。
(3)試料テーブル2の制御
釘刺しに伴って電池が変形した場合、計測装置9の計測値に応じてX線発生器1の位置を制御する代わりに、試料テーブル2を移動させることも可能である。試料テーブル2には回転駆動機構21及びXYZ駆動機構22が設けられているので、計測装置9からの計測値に基づいて制御装置6がこれらの駆動機構21,22を制御することで、試料テーブル2を回転あるいはXYZ方向に移動させる。これにより、X線発生器1は固定のままで、電池を異なる方向や異なる視野で撮影することができる。
(4)釘刺し装置8の制御
釘刺し装置8には、計測装置9として圧力計97や加速度センサー98が設けられているため、釘刺しの進行に伴う電池からの反力や釘刺し時の衝撃を計測することができる。そこで、この計測値が予め決めた閾値を超えた場合には、釘刺しの停止や進入速度の減速を行うように、制御装置6によって釘刺し装置8の駆動機構83を制御する。また、制御装置6に駆動機構83の速度と力を入力し、被検査物Wに釘81を刺したときの圧力を測定し、測定値に応じて太さYや先端部81bの角度αが異なる釘81を選択することにより、被検査物Wの硬度や材質に適した釘81を用いて測定を行うことが可能となる。
これにより、電池からの反力が大きくなることを検出して、破断あるいは貫通などの直前で変形状態を撮影することが可能となる。また、計測装置9として、電圧計91、電流計92、温度センサー93あるいはガス検出器94などを使用し、釘刺しによる電池の急激な電圧・電流変化や発熱、更にはガス漏れ・発煙・発火などの予兆を早い時点で検出し、その検出結果に基づいて制御装置6によって釘刺しの停止や釘81の引き抜きを行うことができる。
(5)X線検出器3
制御装置6は、計測装置9からの計測値に従って、X線検出器3がX線像を収集するタイミングを制御する。すなわち、電池に対する釘刺しが一定の深さに達したり、電池の発熱が予め設定した閾値を超えたりした状態からX線像の収集を開始或いは停止させる。また、制御装置6によるX線発生器1の撮影方向と連動するように、X線検出器3の受光角度を変化させる。
X線検出器3から得られるX線像のデータは、一般に毎秒30コマ程度であるが、例えば、高速に応答するX線イメージインテンシファイアとその出力可視像を撮像する高速度カメラを用いることによって、毎秒30コマを越えて例えば毎秒1000~10000コマ程度の高い時間分解能を得ることができる。
[1-3.実施形態の効果]
本実施形態は、次のような効果を有する。
(1)釘81の先端部81bを線減弱係数の高い材質としたことにより、先端部81bとそれによって変形された銅あるいはアルミニウムなどの電極、樹脂製のセパレータW3などの電池材料とのX線透過画像におけるコントラストを強調することが可能となる。その結果、電池材料の変形度合いを明瞭に観察することが可能となる。
(2)釘81が多層構造になっており、釘81の先端部81bの外周に第1導電部D1及び第2導電部D2が第1絶縁部材P1により互いに絶縁された状態で露出していることから、釘81の先端部81bが電池に挿入された場合に、第1導電部D1及び第2導電部D2が異なる電極に接触する。その結果、複数の電極の短絡状態や温度特性を同時に観察することが可能となり、電池の階層単位での釘刺し深さの把握と、電気的あるいは温度的特性を把握することで、内部の変化をリアルタイムに測定することが可能となる。
(3)被検査物Wとして、図3に示すようなセパレータW3の両側に線減弱係数の高い材料からなる薄膜W4を積層した評価用電池を使用したので、通常では鮮明な透視画像を得にくい線減弱係数の低い材質からなるセパレータW3の輪郭が薄膜W4によって浮かび上がるため、セパレータW3についてもその状態を確実に把握することができる。
(4)計測装置9の計測結果を制御装置6によってX線発生器1や試料テーブル2、更には釘刺し装置8の駆動機構21,22,7,83などにフィードバックすることにより、リアルタイムの透視画像をもとに、釘刺し装置8の釘81の先端及び電池の計測部位を任意に変更することができる。すなわち、釘81の先端又は電池の表面など、任意の箇所が視野の中心に位置するように画像情報をもとに装置の各部を調整することにより、観察すべき電池内の各層のそれぞれの電極が分離して識別できる状態で、しかも解析に適した適正なタイミングで撮影されたX線透視画像を得ることが可能となる。
(5)計測装置9による計測結果と予め設定された安全な状態を確保できる閾値を基に制御装置6が試料テーブル2や釘刺し装置8の釘81の位置を制御することが可能であるため、計測結果に応じて電池の位置を変更したり釘刺し装置の起動・停止を制御することにより、釘刺し試験を安全に実施することが可能となる。
(6)釘刺し試験によって電池の変形や損耗が釘刺し開始時からある程度の時間が経過して発生するような場合、解析対象の現象が発生する予兆を計測装置が検出した時点からX線発生器1及びX線検出器3の起動を開始させることができる。その結果、ごく短時間に発生する被検査物の最も重要な変化を高い時間分解能で集中的に観察することが可能となる。
(7)被検査物Wがリチウムイオン電池のような薄い電極を積層した物品の検査においては、釘刺し試験中に電池の外装及びその内部の電極が変形する。本実施形態では電極の変形にX線発生器1が追従するので、釘刺しによる変形の様子を電極一層ごとに確実に捉えることができる。また、計測装置9からの計測値にもとづいてX線が適切に照射されるように試料テーブル2を調整することで、電池内の電極の各層が識別しやすい角度にX線が照射されることになり、観察すべき電極の各層を分離して識別することができるX線透視画像を得ることができる。
[2.第2実施形態]
図6に示す第2実施形態は、X線CT装置に本発明を適用したものである。第2実施形態の構成は、被検査物Wに対してX線発生器1及びX線検出器3が相対的に回転する部分において第1実施形態とは異なるもので、他の構成は第1実施形態と同様である。第1実施形態と同様な構成については、同一の符号を付し、説明を省略する。
第2実施形態においては、被検査物Wを通る釘さし方向と垂直な軸を回転中心として、X線発生器1及びX線検出器3を回転させるための回転装置10が、試料テーブル2の周囲に設けられている。この回転装置10としては、従来のX線CT装置に使用されているものを適宜使用することができる。例えば、リング状をした大型のターンテーブルの中心開口部にXYZ駆動機構22を有する試料テーブル2を固定すると共に、ターンテーブル上に試料テーブル2を挟むようにX線発生器1とX線検出器3を固定し、試料テーブル2をXYZ駆動機構22によって一定の間隔で移動させながら回転軸を中心としてターンテーブルを回転させる装置を使用することができる。
第2実施形態においては、予め定めた1つあるいは複数のタイミングに従い、電池のCT撮像を行う。このタイミングは、例えば計測装置9によって検出した電池の変形度や温度上昇、あるいは釘刺し装置8の移動ストロークに応じて決定することができる。複数のタイミングにおいてCT撮像を行う場合に電池の同一個所の異なるタイミングのCT撮像を行ってもよいが、XYZ駆動機構22を制御することで、各タイミングにおける被検査物Wの撮像位置を異ならせることも可能である。
このように第2実施形態では、X線発生器1とX線検出器3を被検査物の周囲で回転させ、回転の多数の方向で検出された透過像から電池の断層像を得ることができる。この場合、X線検出器3で受光した透視撮像データを画像構成装置5によって再構成することで、作業者が希望する適切な3D画像を得ることが可能となる。釘さし方向と垂直な軸を回転中心としてX線発生器1及びX線検出器3を回転させる回転装置10は、各X線透過方向のX線透過距離によりS/Nが良く被検査物が、積層リチウム電池イオン電池の場合、その各層をより良く観察することが可能なCT像を得られる効果がえらる。
第2実施形態においては、第1実施形態と共通する効果に加え、次のような効果が発揮される。
(1)CT撮像によって被検査物が釘刺し装置による変化中の任意の時点での3D画像を求めることができる。すなわち、釘刺し装置8における釘刺し中の任意の時点での3D画像の取得が可能となる。
(2)複数のタイミングにおいてCT撮像を行った場合には、CT撮像によって電池が、釘刺し装置8による変化中の任意の2点におけるCT値を求めて、それらを比較することによって、電池の内容の変化を求めることができる。例えば、被検査物が電池の場合には、CT撮像によるCT値の取得を行い、電池の挙動変化に対する成分の変化や、温度の類推を行うことができる。
[3.他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。具体的には、次のような他の実施形態も包含する。
(1)釘81の構成は、図2及び図3に記載のものに限定されない。例えば、釘81の全体を線減弱係数の高い材質としても良いし、釘81の表面にのみ線減弱係数の高い材質の層を設けても良い。
(2)釘81を多層構造とする場合、各導電部の先端が釘81の軸方向の異なる位置に露出しているものであれば、その構成は限定されない。例えば、釘81として、先端が片刃状に斜めにカットされたものを使用し、その斜めの部分に各導電部を多層に露出させても良い。また、釘81の軸部81aを先端がコーン状に形成されたパイプ状の部材から構成し、その内部に絶縁被覆を有する複数のケーブルを挿入することで導電部を設け、ケーブルの先端を釘81の先端部に露出させても良い。多層構造とする導電部の数も3層以上でも良い。
(3)釘刺し装置としては、第1実施形態に示した釘刺し装置に限定されるものではなく、被検査物に対して電流、電圧、温度、衝撃力、曲げ圧力、剪断力、貫通力の少なくとも1つを加えるものが使用できる。その場合、計測装置は被検査物に加えられた電流、電圧、温度、変形度の少なくとも1つを測定する。例えば、電池に対して過電流や過電圧を印加する電源を接続し、温度計により電池の発熱状態を計測したり、光電管などによって電池の膨張や変形度合いを計測し、その計測値に応じて電池と電源の接続を遮断する。
(4)被検査物Wとしては、電池に限らず、釘刺し装置からの物理的エネルギーによって経時的変化を行うもので、X線透視が可能なものであれば、どのような物品でも使用可能である。被検査物Wに線減弱係数の低い複数の部材が構成されている場合、評価用電池と同様に、各部材の表面に線減弱係数の高い薄膜W4を積層することができる。
(5)計測装置の計測結果によって制御する対象は、X線発生器1、試料テーブル2、釘刺し装置のいずれか1つあるいは複数の組み合わせであって、第1実施形態に示したすべての計測装置とそれによって制御される各装置が本発明において必須の構成ではない。
W…被検査物
W1…正極
W2…負極
W3…セパレータ
W4…薄膜
1…X線発生器
11…X線発生器駆動機構
2…試料テーブル
21…回転駆動機構
22…XYZ駆動機構
3…X線検出器
5…画像構成装置
6…制御装置
61…入力装置
62…記憶装置
7…X線検出器駆動機構
8…釘刺し装置
81…釘
81a…軸部
81b…先端部
a~e…導電部
P…絶縁部材
82…操作装置
83…駆動機構
9…計測装置
91…電圧計
92…電流計
93…温度センサー
94…ガス検出器
95…歪み計
96…光電管
97…圧力計
98…加速度センサー

Claims (5)

  1. 被検査物に対してX線を放射するX線発生器と、
    前記X線の進路に設置され前記被検査物を載置する試料テーブルと、
    前記被検査物を透過したX線を検出して可視光データとして出力するX線検出器と、
    前記被検査物に対して物理的エネルギーを加える釘刺し装置と、
    前記釘刺し装置に設けられ、先端部が線減弱係数の高い材料を含む釘と、前記釘刺し装置からの物理的エネルギーによって変化した前記被検査物の状態を測定する計測装置と、
    を備え
    前記線減弱係数の高い材料は、線減弱係数がX線のエネルギー100keVにおいて10cm -1 以上であり、
    前記釘が絶縁された複数の導電部を備え、前記釘の先端部において各導電部の先端が釘の軸方向の異なる位置に露出しており、前記釘が前記被検査物に挿入されると前記各導電層が当該被検査物の異なる深さに達することになる非破壊解析装置。
  2. 釘さし方向と垂直な軸を回転中心としてX線発生器1及びX線検出器3を回転させる回転機構と、
    前記回転の多数の方向で検出された透過像から前記被検査物の断層像を再構成する画像構成装置と、
    を備える請求項1に記載の非破壊解析装置。
  3. 前記線減弱係数の高い材料は、材料融点が1000℃以上である請求項1又は請求項2に記載の非破壊解析装置。
  4. 前記線減弱係数の高い材料は、100℃において体積抵抗率10×10-6Ωcm以下の請求項1から請求項のいずれかに記載の非破壊解析装置。
  5. 前記被検査物が、線減弱係数の低い材質の部位を有し、前記線減弱係数の低い材質の表面に線減弱係数の高い材質の薄膜が設けられた請求項1から請求項のいずれかに記載の非破壊解析装置。
JP2019142769A 2019-08-02 2019-08-02 非破壊解析装置 Active JP7281994B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019142769A JP7281994B2 (ja) 2019-08-02 2019-08-02 非破壊解析装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019142769A JP7281994B2 (ja) 2019-08-02 2019-08-02 非破壊解析装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021025848A JP2021025848A (ja) 2021-02-22
JP7281994B2 true JP7281994B2 (ja) 2023-05-26

Family

ID=74664582

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019142769A Active JP7281994B2 (ja) 2019-08-02 2019-08-02 非破壊解析装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7281994B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013165265A (ja) 2012-01-13 2013-08-22 Zycube:Kk 貫通/埋込電極構造及びその製造方法
JP2017144482A (ja) 2016-02-16 2017-08-24 ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ 積層造形ワークピースの放射線及びct検査方法
JP2019090802A (ja) 2017-11-10 2019-06-13 東芝Itコントロールシステム株式会社 非破壊解析装置

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013165265A (ja) 2012-01-13 2013-08-22 Zycube:Kk 貫通/埋込電極構造及びその製造方法
JP2017144482A (ja) 2016-02-16 2017-08-24 ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ 積層造形ワークピースの放射線及びct検査方法
JP2019090802A (ja) 2017-11-10 2019-06-13 東芝Itコントロールシステム株式会社 非破壊解析装置

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
深野 重男,タングステンによる192Irの遮蔽計算,Isotope News,日本,日本アイソトープ協会,2014年04月01日,第720号,第58頁~第61頁,https://www.jrias.or.jp/books/pdf/201404_ZIKKENSHITSUMEMO_FUKANO.pdf

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021025848A (ja) 2021-02-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7281892B2 (ja) 非破壊解析装置
KR102395033B1 (ko) 내부 단락 촉발에 의한 임계 셀 상태의 결정을 위한 안전성 테스트 방법
Bauermann et al. Scanning acoustic microscopy as a non-destructive imaging tool to localize defects inside battery cells
JP5813923B2 (ja) X線透過検査装置及びx線透過検査方法
US20120148880A1 (en) Method for operating a battery
KR102236815B1 (ko) 이차전지 전극 탭의 누락 및 접힘 결함 검출장치
WO2016034073A1 (zh) X射线产品质量自动检测装置
EP3121591B1 (en) Inspection method and device
US9128030B1 (en) X-ray backscattering battery inspection
WO2016034072A1 (zh) X射线产品质量在线检测装置
CN104126217B (zh) 荷电粒子束装置
Pacheco et al. X-ray computed tomography for non-destructive failure analysis in microelectronics
CN105021636B (zh) 一种识别复合材料制品内部缺陷类型的无损检测方法
JP2019067645A (ja) 電池の検査方法
JP7281994B2 (ja) 非破壊解析装置
EP1052675B1 (en) Apparatus for x-ray generation, and test system
EP0189040A2 (en) Method for monitoring the crystallographic texture of metallic tubes by use of x-ray diffraction
Huang et al. Technology for the Detection of Ablation Defects in Buffer Layers of High-Voltage Cables
EP3600073B1 (en) Programmable motor driven swaging presses for attaching surgical needles to sutures
EP2417659B1 (en) System and method for verifying correct ordering of stack of components
JP7391681B2 (ja) 検査方法、検査装置、検査システム及びプログラム
US20220268735A1 (en) Apparatus and method for inspection of a material
Hubbard et al. Molten-Salt Battery Response to Open-Circuit and Puncture Testing
Svare Forensic Examination of Post-Fire Damaged Electrical Conductors by Using X-Ray Radiographs.
Pitta Bauermann et al. Nondestructive Defect Detection in Battery Pouch Cells: A Comparative Study of Scanning Acoustic Microscopy and X‐Ray Computed Tomography

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220603

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221115

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230113

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230425

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230516

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7281994

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150