JP7281433B2 - プラズマ処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エッチング等、真空容器内の処理室内に形成したプラズマを用いて当該処理室内に配置された半導体ウエハ等の基板状試料を処理するプラズマ処理装置に関する。
半導体デバイスの製造工程において、プラズマ処理は成膜、エッチング、アッシングなどの用途として広く用いられている。最先端の半導体デバイスにはnmレベルの微細構造の加工が求められ、更にこの加工精度を被処理基板全面で確保するために良好な加工均一性が求められる。良好な加工均一性を確保するために、プラズマ処理装置に入力するプラズマ生成用の高周波電力や基板ステージの温度分布等の様々なパラメータの調整が行われる。しかし、プラズマ処理の条件によっては装置の入力パラメータを調整しても被処理基板全面において良好な加工均一性を確保できない場合がある。
プラズマエッチング装置におけるプラズマの生成方式としてはECR(Electron Cyclotron Resonance)や誘導結合や容量結合などが知られている。ECR方式では磁力線を回る電子の回転周波数とマイクロ波周波数が一致する共鳴現象を利用したプラズマ生成方式である。ECRプラズマ生成に用いるコイル磁場の制御によりECRプラズマの生成領域を変えて被処理基板面内のイオンフラックスを調整できるという特徴を持つ。
プラズマ処理装置内で生成したイオンが被処理基板に輸送される過程で装置内壁において失活するため、被処理基板外周部でイオンが不足し、中心高のエッチングレートになる場合がある。外周部のイオンの不足を解消する手段として、例えば、特許文献1記載には、減圧処理室の外部から電磁波を投入してプラズマを生成する装置において、試料台の外周周辺にラジカルを生成するための高周波電力を投入することが記載されている。
また、特許文献2や特許文献3記載には、プラズマ処理装置の内部で被処理基板に対して外縁部より第二のガスを供給する事が記載されている。
特開2013-84653号公報 特開2018-78010号公報 特開2008-124190号公報
プラズマ処理装置内で生成したイオンが被処理基板に輸送される過程で装置内壁において失活するため、被処理基板外周部でイオンが不足し、中心高のエッチングレートになる場合がある。特許文献1では試料外周部にラジカルを供給すること記載されているが、ラジカルと同時にイオンも生成すると考えられるため、試料の外周にイオンを供給可能な方法でもあると推定できる。特許文献1に記載された方法を用いれば、試料外周において不足するイオンを補えるため、中心高のエッチングレート分布の均一化が期待できる。
一方で特許文献1に記載された手法には、半導体デバイス量産における歩留まり悪化の原因となる異物や金属汚染の観点から懸念がある。半導体デバイス製造において、試料に金属粒子や微小異物が付着するとデバイス特性が著しく悪化するため、金属粒子や微小異物の発生を抑制しなければならない。
一般的に、プラズマエッチング装置の試料台の外周部は試料台をイオンによるダメージから保護するために誘電体部材で覆われる。試料台外周部に高周波電力を供給した場合、高周波電力の電界によって前記誘電体部材と試料台の間隙において異常放電が発生するリスクがある。このとき、異常放電によって生成されたイオンで試料台表面がスパッタリングされて、試料台を構成する材料起因の金属粒子や微小異物が発生する可能性がある。
また、特許文献2や特許文献3に記載されているように外縁部より第二のガスを供給する方法では、第二のガスは電離しない状態で装置の内部に供給されるため、単純に装置外縁部から第二のガスを供給しても被処理基板外周部にイオンを供給する手段にはなりえない。
本発明は、上記した従来技術の課題を解決して、ウエハに入射するイオンの分布を制御することを可能にし、従来技術と比べて、被処理基板の外周部付近での処理の均一性を向上させることができるようにして、良品歩留まりが高いプラズマ処理を行うことを可能にするプラズマ処理装置を提供するものである。
上記した従来技術の課題を解決するために、本発明では、試料がプラズマ処理される処理室と、プラズマを生成するためのマイクロ波の高周波電力を供給する高周波電源と、処理室内に磁場を形成する磁場形成機構と、試料が載置される試料台と、処理室内へ第一のガスを供給し処理室の上部に配置された第一のガス供給板とを備えるプラズマ処理装置において、処理室内へ第二のガスを供給し第一のガス供給板の下方に配置された第二のガス供給板をさらに備え、第一のガス供給板は、複数の孔が中心部に形成され、第二のガス供給板は、円状の開口部を中心部に有し、開口部の面積は、孔が配置された領域の面積よりも広いことを特徴とする。
本発明によれば、プラズマ処理装置において、被処理基板の表面付近でのイオンフラックスの分布を制御できるようになった。これにより、従来技術と比べて、被処理基板の外周部付近での処理の均一性を向上させることができ、良品歩留まりが高いプラズマ処理を行うことを可能にした。
第一の実施例に係るプラズマ処理装置の全体の概略構成を示す略断面図である。 第一の実施例に係るシャワープレートの斜視図である。 第一の実施例に係るガス供給板の斜視図である。 (a)第一の実施例に係る装置断面図と、(b)第二のガスのAr流量が低い場合の被処理基板上のイオンフラックス分布を示すグラフである。 (a)第一の実施例に係る装置断面図と、(b)第二のガスのAr流量が高い場合の被処理基板上のイオンフラックス分布を示すグラフである。 ステップAとステップBの時間比によるイオンフラックス分布形状変化を示すグラフである。 マイクロ波導入窓とシャワープレートとガス供給板の外周部の拡大断面図 第一の実施例に係るマイクロ波導入窓を下方から見た平面図である。 第一の実施例に係るガス供給板を上方から見た平面図である。 第二の実施例に係るプラズマ処理装置の全体の概略構成を表す略断面図である。 (a)第二の実施例に係る装置断面図と、(b)第二のガスとしてArを供給したときの被処理基板上のイオンフラックス分布を示すグラフである。 (a)第二の実施例に係る装置断面図と、(b)第三のガスとしてArを供給したときの被処理基板上のイオンフラックス分布を示すグラフである。 第三の実施例に係るプラズマ処理装置の全体の概略構成を示す略断面図である。 第四の実施例に係るプラズマ処理装置の全体の概略構成を示す略断面図である。
本発明は、試料がプラズマ処理される処理室と、プラズマを生成するためのマイクロ波を供給する高周波電源と、処理室内に磁場を形成する磁場形成機構と、試料が載置される試料台と、処理室内へ第一のガスを供給し処理室の上部に配置され、中心部に少なくとも1点以上の孔が形成された第一のガス供給板とを備えるプラズマ処理装置において、第一のガス供給板の下方に配置され、中心に開口部を有する第二のガス供給板をさらに備え、第二のガスが第一のガス供給板と第二のガス供給板の間を通って処理室内へ供給される構成を有することを特徴とする。
また、本発明では、上記した装置を用いて、被処理基板外周部のイオンフラックスを調整し、エッチングレートを均一化する手段は、装置を用いたエッチング処理において、第二のガスとしてArを主成分とするガスを供給する第一のステップを少なくとも1回以上、第二のガスとしてArを主成分としないガスを供給する第二のステップを少なくとも1回以上含み、一連のプラズマ処理によるエッチングレートが径方向均一になるように、第一のステップと第二のステップの時間比を調整することを特徴とする。
また、本発明は、被処理基板を載置する基板電極を備えたプラズマ処理室と、空洞部と、プラズマ処理室と空洞部とを分離する誘電体窓とを備えた真空チャンバと、マイクロ波電力を真空チャンバの空洞部に伝搬するマイクロ波電力供給部と、真空チャンバの内部に磁場を形成する磁場形成部とを備えたプラズマ処理装置において、真空チャンバに、中央部に多数の小孔が形成された領域を有して誘電体窓との間に第1のガス導入部が形成されたシャワープレートと、中央部に開口部を有してシャワープレートとの間に第2のガス導入部が形成されたガス導入板とを備え、ガス導入板の開口部の径を、シャワープレートの多数の小孔が形成された中央部の領域の径よりも大きく、被処理基板の外径よりも小さく形成して、被処理基板の外周部付近での処理の均一性を向上させて、従来と比べて良品歩留まりが高くなるようにしたプラズマ処理装置に関するものである。
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施の形態を説明するための全図において同一機能を有するものは同一の符号を付すようにし、その繰り返しの説明は原則として省略する。
ただし、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の思想ないし趣旨から逸脱しない範囲で、その具体的構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。
本発明の第一の実施例に係るマイクロ波電力を用いたエッチング処理を行うプラズマ処理装置100の概略の構成を、図1の断面図に示す。
図1に示したプラズマ処理装置100において、50は真空チャンバで、下側真空チャンバ51と、中間真空チャンバ52、上側真空チャンバ53で構成されている。中間真空チャンバ52と上側真空チャンバ53との間には、ヘッドピース30が挟まれている。下側真空チャンバ51の内部はプラズマ処理室9が形成されている。
図1に示したプラズマ処理装置100にはマイクロ波源1からマイクロ波が発振され、アイソレータ2と自動整合器3と矩形導波管4、円矩形変換器4-1を介して円形導波管5に伝送される。本実施例では工業的によく用いられる2.45GHzのマイクロ波を使用する。
アイソレータ2は反射波からマイクロ波源1を保護するために用い、自動整合器3は負荷インピーダンスを調整し、反射波を抑制して効率的に電磁波を供給するために用いる。円形導波管5より導入されたマイクロ波は上側真空チャンバ53の内部の空洞部6に伝搬し、マイクロ波導入窓7とシャワープレート8を透過してプラズマ処理室9に導入される。
プラズマ処理室9の周囲には電磁コイル10が、その外周にはヨーク11が設けられている。電磁コイル10に電流を供給することにより、プラズマ処理室9内でECRに必要な磁束密度を満たすように静磁界分布を調整する。ヨーク11は装置外部への磁場の漏洩を防ぐ磁気シールドの役割を持つ。2.45GHzのマイクロ波の場合、ECRに必要な磁束密度は875Gである。静磁界分布を調整して、875Gの等磁場面(ECR面)をプラズマ処理室9内に入るように調整することで、プラズマ12が効率的に生成される。
プラズマ処理室9に面する中間真空チャンバ52の内側の側壁には、プラズマ処理室9の内部に発生するプラズマ12から保護するために、内筒13が設置される。プラズマ12の近傍に位置する内筒13は、プラズマ耐性の高い材料として石英を用いる。あるいはプラズマ耐性が高い材料として、イットリア、アルミナ、フッ化イットリウム、フッ化アルミニウム、窒化アルミニウムなどを用いても良い。
プラズマ処理室9の上方にはマイクロ波導入窓7及びシャワープレート8及びガス供給板14が設置されている。マイクロ波導入窓7及びシャワープレート8及びガス供給板14の外周部はヘッドピース30で支持されている。ヘッドピース30の周辺の詳細構造については後述する。マイクロ波導入窓7及びシャワープレート8及びガス供給板14の材料としては、マイクロ波を透過する材料として石英を用いる。あるいはマイクロ波を透過する材料であれば他の誘電体材料を用いても良い。あるいはプラズマ耐性が高い材料として、イットリア、アルミナ、フッ化イットリウム、フッ化アルミニウム、窒化アルミニウムなどを用いても良い。
マイクロ波導入窓7とシャワープレート8の間には、第一のガス供給手段15から第一のガスが流量が調整された状態で供給される。シャワープレート8の中心部の領域81にはガス孔26が複数設けられており、第一のガスはガス孔26を介してプラズマ処理室9に供給される。
シャワープレート8とガス供給板14の間には、第二のガス供給手段16から第二のガスが流量が調整された状態で供給される。ガス供給板14の中心部には開口部141が形成されており、第二のガス供給手段16から供給された第二のガスは、シャワープレート8とガス供給板14間を通り、ガス供給板14の開口部141からプラズマ処理室9に供給される。
第一のガス供給手段15及び第二のガス供給手段16にはそれぞれマスフローコントローラが備えられており、このマスフローコントローラによって、所望の流量の第一のガス及び第二のガスをプラズマ処理室9に供給する機能が含まれている。
また、使用するガス種は被処理基板19に成膜された被処理膜等に応じて適宜選択され、複数のガス種を所定の流量で組み合わせて供給される。供給されたガスはコンダクタンス調節バルブ17を介してターボ分子ポンプ18により真空排気される。プラズマ処理室9内が所定の圧力となるようコンダクタンス調節バルブ17の開度が調整される。プラズマ処理室9内の圧力として、0.1Pa~数Pa程度の圧力を用いる。
プラズマ処理室9の下部には被処理基板19を載置する基板ステージ兼高周波電極20(以下、基板電極20と記す)とその下部には絶縁板21が備えられている。基板電極20にはイオンを被処理基板19に引き込むためのバイアス電力を供給するバイアス電源23が自動整合器22を介して接続されている。
本実施例ではバイアス電源23の周波数として400kHzのものを用いた。基板電極20には図示しない被処理基板の吸着機構と温調手段が備えられており、所望のエッチングができるように必要に応じて被処理基板の温度が調節される。基板電極20の外周部をプラズマ12から保護するために、サセプタ24とステージカバー25が設置される。サセプタ24及びステージカバー25には、プラズマ耐性の高い材料として石英を用いる。
エッチングは、電磁コイル10によって形成される磁場と、マイクロ波源1から供給したマイクロ波によってプラズマ処理室9に導入される第一のガス及び第二のガスをプラズマ化し、そこで生成したイオンやラジカルを被処理基板19に照射してなされる。
図2Aにシャワープレート8、図2Bにガス供給板14の斜視図を示す。シャワープレート8には中心部の径D1以内の領域81にプラズマ処理室9にガスを導入するためのガス孔26が多数配置されている。マイクロ波源1からマイクロ波を導入したときにガス孔26の内部にて放電を発生させないようにガス孔26内の空間は十分に狭くする必要がある。本実施例ではガス孔26の内径は0.8mm以下とした。ガス供給板14の中心部には径がD2の開口部141が形成されている。
被処理基板19の径をDとすると、D、D1、D2の関係は(数1)に示すような関係となるように設定される。
Figure 0007281433000001
この関係は後述する本実施例の効果から理解できる。
本実施例の効果として、被処理基板19外周部のイオンフラックスを増加する方法及び被処理基板19面内でイオンフラックス分布を均一化する手段について説明する。
まずは、被処理基板19外周部のイオンフラックスを増加させる方法について説明する。図3A及び図3Bは本発明の効果の概略を表す図である。
図3Aの上段(a)は第一のガス供給手段15から第一のガスとして被処理基板19のプラズマ処理に必要なプロセスガスを供給し、第二のガス供給手段16からは第二のガスとしてArを少量ないしは供給しなかったときのプラズマ処理室9の拡大断面図を示す。本実施例ではArを50sccm供給する。このとき、プラズマ12はプラズマ処理室9内で形成される。
図3Aの下段(b)にはそのときの被処理基板19上のイオンフラックスの径方向分布を示す。被処理基板19上のイオンフラックス分布は中心高の分布となる。中心高のイオンフラックス分布はプラズマ12から生成したイオンが被処理基板19への輸送過程においてプラズマ処理室9内壁にてイオンが消失すること、あるいはプラズマ12の生成分布がプラズマ処理室9中央部で高い場合など、一般的によくみられる分布形状である。
図3Bの上段(a)には第二のガス供給手段16から第二のガスとしてArを大流量供給したときのプラズマ処理室9の拡大断面図を示す。図3Bの下段(b)には被処理基板19上のイオンフラックスの径方向分布を表す。本実施例ではArを300sccm供給する。第二のガスとしてArを大流量供給したときに、ガス供給板14の内周面及びシャワープレート8下面の近傍において第二のプラズマ27が形成される。
次に、第二のプラズマ27が形成されるメカニズムを説明する。Arは11.6eVのエネルギーの長寿命の準安定励起原子を生成することが知られている。Arのイオン化エネルギーは15.8eVであることから、Arの準安定励起原子に約4.2eVのエネルギーを与えれば電離する。言い換えると、準安定励起原子の存在により、イオン化しやすくなるため、Arは高密度のプラズマを生成、維持しやすい。したがって、Arのガス密度が局所的に高くなるガス供給板14の内周面とシャワープレート8下面において、第二のプラズマ27が生成、維持される。
第二のプラズマ27の生成にはガス供給板14の内周面とシャワープレート8下面において第一のガスと第二のガスが混合しないことが望ましい。混合してしまうと、Arの準安定励起原子の持つエネルギーが第一のガスの解離等にも使われてしまうため、第二のプラズマ27の効率的生成が妨げられる。
ここで、ガス供給板14の内周面とシャワープレート8下面において第一のガスと第二のガスが混合しない条件として、シャワープレート8の中心部に多数配置されたガス孔26の径D1とガス供給板14の中心部の開口部の径D2との間には、D1<D2を満たす必要がある。また、第二のガスが通るシャワープレート8下面とガス供給板14上面との間隙に第一のガスが逆流しても第二のプラズマ27の効率的生成が妨げられるため、第一のガスが間隙に拡散してこないように間隙を十分に狭くする必要がある。本実施例ではシャワープレート8下面とガス供給板14上面の間隔を0.3mmとした。
また、第二のガスとして供給するAr流量が少ない場合にもシャワープレート8下面とガス供給板14上面との間隙に第一のガスが逆流する恐れがある。したがって、第二のプラズマ27を生成するためには第二のガスのAr流量を高くする必要がある。
本実施例では準安定励起原子を作るガスとして第二のガスにArを用いたが、準安定励起原子を作るガスとしてHeなどの希ガスを用いても良い。また、本実施例では第二のガスとして単一のガスとしてArを用いたが、Arを主成分とするガスと言い換えても差し支えない。
あるいは供給ガスの準安定励起原子の持つエネルギーよりも低いエネルギーで電離するガスを混合して電離を促進させる、いわゆるペニング電離を用いても良い。ペニング電離を用いれば、放電開始電圧が大きく下げられるため、第二のプラズマ27の生成・維持が容易となる。例えばペニング電離が起こるガス系としてよく知られているNeとArの混合ガスを第二のガスとして用いても良い。
図3Bの上段(a)には第二のプラズマ27を通過する磁力線150のみを抽出して記載している。通常、ECRを用いたプラズマの生成では装置の上方から下方に向かって末広がりとなる磁場(拡散磁場)が用いられる。拡散磁場が用いられる主な理由は、ECRプラズマの生成に寄与するマイクロ波の右回りの円偏波(R波)が強磁場側から低磁場側に向かって入射するときにはカットオフがなくプラズマ処理室9内のECR面にまで伝搬でき、効率的なプラズマ生成ができることによる。荷電粒子は磁力線に巻き付き、磁力線に垂直方向の荷電粒子の拡散が抑えられた結果、荷電粒子は磁力線に沿った方向に輸送されやすい。つまり、第二のプラズマ27で生成したイオンは主に磁力線150に沿って輸送される。
図3B(a)に記載の磁力線150の形状だと、第二のプラズマ27で生成したイオンが磁力線150に沿って被処理基板19の外周部にまで輸送され、図3Bの下段(b)に示すようにイオンフラックス分布形状が外周高となる。
第二のプラズマ27からのイオンを効率的に被処理基板19外周に輸送するためには、第二のプラズマ27を通過する磁力線150が被処理基板19外周部を通過する形状であることが望ましい。また、磁力線が装置上方から下方に向かって末広がり形状であることを考慮すると、D2<Dを満たす必要がある。
また、磁力線に垂直方向の荷電粒子の拡散係数はゼロではないため、第二のプラズマ27を通過する磁力線150が例えばサセプタ24などの被処理基板19よりも外周側に伸びていても、第二のプラズマ27で生成したイオンが被処理基板19外周部に到達する。当然ながら第二のプラズマ27を通過する磁力線が被処理基板19外周部よりも外周方向に離れれば離れるほど被処理基板19外周部に第二のプラズマ27で生成したイオンは到達しづらくなる。言い換えると、電磁コイル10の電流を調整して磁力線形状を変えることで被処理基板19外周部のイオンフラックス増加量を調整できる。すなわち、中心高のイオンフラックス分布を均一化できる。
次に、本装置によって一連のプラズマ処理時間で平均したイオンフラックス分布を均一にする別手法について説明する。被処理基板19をプラズマ処理する際に、図3Aに示したように第二のガスとしてArを少量供給もしくは供給しない場合をステップA、図3Bに示したように第二のガスとしてArを大流量供給した場合をステップBとし、一連のプラズマ処理がそれらのステップを組み合わせて構成される場合を考える。
ステップAでは中心高、ステップBでは外周高のイオンフラックスが得られる場合、プラズマ処理を構成するステップAとステップBの時間比を調整することによって時間平均したイオンフラックス分布形状を調整して均一化できる。図3Aの(b)のように、ステップAでは中心部がa、 外周部がbとなるイオンフラックス301が、図3Bの(b)のようにステップBでは中心部がc、外周部がdとなるイオンフラックス302が得られる場合を考える。
簡単のために、時間平均したイオンフラックス均一化の目安として、被処理基板19中心部と外周部において時間平均したイオンフラックスが等しくなる条件を考えると、均一化の目安を与えるステップAとステップBの最適な時間比(tB/tA)として(数2)に示すような関係になる。
Figure 0007281433000002
tA、tBはそれぞれステップAとステップBの処理時間とした。
図4はステップAとステップBの時間比を変えたときの時間平均したイオンフラックス分布の概略図を表す。時間平均したイオンフラックス分布はtB/tA=αのときに均一なイオンフラックス410となり、tB/tA>αのときは外周高の分布のイオンフラックス411、tB/tA<αのときは中心高の分布のイオンフラックス412となる。実際の分布形状は、外周高の分布形状でもアルファベットのUの字の形をしたU字型やV字型、中心高の分布形状でも逆U字型、逆V字型など、曲線の曲率を含め、様々であり、(数2)はあくまでも均一化の目安を与えるに過ぎない。
また、イオンフラックス分布形状がM字型の分布や、W字型の分布が得られる場合も多い。このような場合、tB/tAの時間比調整のみでは高均一なイオンフラックスが得られない場合もある。したがって、実際のプラズマ処理で高均一なイオンフラックスを得るためには本実施例で示したように、tB/tAの時間比の調整に加えて、マイクロ波電力などの装置への入力パラメータも含めて最適化する必要がある。
第一の実施例におけるマイクロ波導入窓7とシャワープレート8とガス供給板14の外周部の具体的構成について述べる。
図5はマイクロ波導入窓7とシャワープレート8とガス供給板14外周部を拡大した断面図である。ヘッドピース30にはOリング31-1~31-3が設置され、それぞれのOリングはマイクロ波導入窓7の段差部32とシャワープレート8外周部とガス供給板14の段差部34に密着する。ヘッドピース30内部には第一のガス供給手段15からの第一のガスと第二のガス供給手段16からの第二のガスを通すための流路37と38が設けられている。周方向均一にガスを供給するために上記ガス流路を周方向に複数本設けても良い。
マイクロ波導入窓7は大気圧と自重によって下方に押し付けられて、マイクロ波導入窓7外周部にある段差部32がOリング31-1と密着し、大気とのシール性を確保している。マイクロ波導入窓7内側の段差部33は、シャワープレート8に密着し、シャワープレート8を下側に押し付けている。段差部33の内側とシャワープレート8との間にはギャップ部71が形成されており、第一のガスの流路を形成している。
シャワープレート8直下のOリング31-2がシャワープレート8に密着することにより、第一のガス供給手段15から流路37を通って供給された第一のガスと第二のガス供給手段16から流路38を通って供給された第二のガスが分離される。シャワープレート8の上面の周辺には段差部34が形成されており、段差部34の内側とシャワープレート8との間にはギャップ部142が形成されており、第二のガスの流路を形成している。ガス供給板14下部のOリング31-3は、第二のガスがガス供給板14とヘッドピース30の間からプラズマ処理室9に漏れ出るのを抑制している。
図6Aにマイクロ波導入窓7を下側から見た平面図を示す。マイクロ波導入窓7内側の段差部33は周方向に断続的になっている。したがって、第一のガスは段差部33の切れ目35の段差がない箇所を通って段差部33の内側のギャップ部71に導入され、シャワープレート8中心部のガス孔26の領域まで流れることができる。
図6Bにはガス供給板14を上側から見た平面図を示す。ガス供給板の段差部34も周方向に断続的に配置されており、第二のガスも段差部34の切れ目36の段差がない箇所を通って段差部34の内側のギャップ部142とシャワープレート8との隙間を通ってガス供給板14に形成された開口部141からプラズマ処理室9の内部に供給される。
以上に説明したように、本実施例では、内部に基板電極を備えてこの基板電極に載置した被処理基板をプラズマ処理するプラズマ処理室と空洞部とプラズマ処理室と空洞部とを分離する誘電体部材で形成された誘電体窓とを備えてプラズマ処理室の内部を真空に排気可能な真空チャンバと、マイクロ波源と円形導波管を備えてマイクロ波源から発振されたマイクロ波電力を円形導波管を介して真空チャンバの空洞部に伝搬するマイクロ波電力供給部と、真空チャンバの外周に配置されて真空チャンバの内部に磁場を形成する磁場形成部とを備えたプラズマ処理装置において、真空チャンバは、プラズマ処理室の内部で誘電体窓の側にあって中央部の第1の径の領域内に多数の小孔が形成されて誘電体窓との間に形成された第1のギャップを介して多数の小孔が形成された第1の径の領域に通じる第1のガス導入部が形成されたシャワープレートと、プラズマ処理室の内部でシャワープレートの側にあって中央に第2の径を有する開口部が形成されてシャワープレートとの間に形成された第2のギャップを介して開口部に通じる第2のガス導入部が形成された第1のガス供給板とを更に備え、第1のガス供給板に形成された開口部の第2の径は、シャワープレートの多数の小孔が形成された中央部の領域の第1の径よりも大きく、基板電極に載置してプラズマ処理する被処理基板の外径よりも小さく形成した。
本実施例によれば、シャワープレート8に形成された多数のガス孔26からプラズマ処理室9に供給する第1のガスの周囲で、ガス供給板14の開口部141から第2のガスを流量を調整して供給できるようにしたことにより、基板電極20上に載置した被処理基板19の上面におけるイオンフラックスの分布を調整することが可能になり、被処理基板19を面内で均一にプラズマ処理を行うことができるようになった。
また、ガス供給板14の開口部141から第2のガスを流量を調整して供給できるようにしたことにより、基板電極20上に載置した被処理基板19を、面内で所望の分布を持たせてエッチング処理することができるようになった。
更に、本実施例のプラズマ処理装置によれば、従来技術と比べて、被処理基板の外周部付近での処理の均一性を向上させることができ、良品歩留まりが高いプラズマ処理を行うことを可能にした。
本実施例によれば、試料への金属粒子や微小異物の付着リスクを抑え、被処理基板面内のイオンフラックスの径方向分布を調整することを可能にして、エッチングレートを均一化することが可能になる。
プラズマ処理においてイオンフラックス分布形状がW型となる場合、被処理基板19の中心と外周の中間にあたる位置のイオンフラックスを調整して均一化することが必要である。第二の実施例では、被処理基板19の外周だけでなく、被処理基板19の中心と外周の中間にあたる位置におけるイオンフラックスも調整し、被処理基板19の径方向の分解能を持ってイオンフラックス分布を調整できる装置の構成を説明する。
図7は第二の実施例に係るプラズマ処理装置200の拡大断面図である。基本的な装置構成は第一の実施例と同様である。本実施例では、ガス供給板14の下側に直径がD3の開口部281を有する第二のガス供給板28を設置して、第三のガス供給手段29から供給される第三のガスをガス供給板14と第二のガス供給板28の間に形成されたギャップ部282を通して、開口部281からプラズマ処理室9に供給する構成とした。第二のガス供給板28にはガス供給板14との間にギャップ部282が形成されて第三のガスの流路が形成されているが、その構成は、図5及び図6Bで説明した同様であるので、説明を省略する。
径方向の分解能を持ってイオンフラックス分布を調整できるようにするためには、シャワープレート8のガス孔26の配置された領域81の径D1とガス供給板14の開口部141の径D2、第二のガス供給板28の開口部281の径D3と被処理基板19の径Dの関係は(数3)を満たすことが望ましい。
Figure 0007281433000003
実施例1で説明したように、拡散磁場の場合に第二のプラズマ27で生成したイオンを被処理基板19外周部に効率的に輸送するためにはD3<Dの関係となることが必要である。また、実施例1で示したようにガス供給板14のギャップ部142とシャワープレート8の下面において第一のガスと第二のガスが混合しない条件としてD1<D2の関係が得られる。D2とD3の関係は後述する本実施例の効果で説明する。
第二の実施例に係る装置の効果を図8A及び図8Bにて説明する。
図8Aの上段(a)には、第一のガス供給手段15から供給する第一のガスとして被処理基板19をプラズマ処理するために必要なプロセスガスを供給し、第二のガス供給手段16から第二のガスとしてArを大流量供給し、第三のガス供給手段29から第三のガスとしてArを第二のガス供給手段16と比べて少量ないしは供給しない状態を示している。
この状態で電磁コイル10に電流を供給して磁場を形成し、マイクロ波源1からマイクロ波電力を供給することにより、プラズマ処理室9内部にプラズマ12が発生するとともに、ガス供給板14の開口部141の内周面とシャワープレート8下面近傍においてAr密度が高くなり、第二のプラズマ27が形成される。
図8Aの下段(b)には、そのときの被処理基板19上のイオンフラックス801の径方向分布を示す。第二のプラズマ27で生成されたイオンが第二のプラズマ27を通過する磁力線150に沿って輸送された結果、被処理基板19の中心部と外周部の中間位置においてイオンフラックス801が増加する効果が得られる。このとき、D2<D3の関係を満たすことが必要である。
仮にD2>D3とすると、第二のプラズマ27を通過する磁力線150上に第二のガス供給板28が存在するために、第二のプラズマ27で生成したイオンは被処理基板19に到達せずに第二のガス供給板28にて消失してしまい所望の効果が得られなくなる。
図8Bの上段(a)は、シャワープレート8とガス供給板14との間を通って開口部141からプラズマ処理室9の内部に供給する第二のガスとしてArを少量ないし供給しない状態で、ガス供給板14と第二のガス供給板28との間を通って開口部281からプラズマ処理室9の内部に供給する第三のガスとしてArを大流量供給したときの状態を表す。
この状態において電磁コイル10に電流を供給して磁場を形成し、マイクロ波源1からマイクロ波電力を供給することにより、プラズマ処理室9内部にプラズマ12が発生するとともに、Ar密度の高くなる第二のガス供給板28の開口部281の内周面とガス供給板14の下面近傍において第二のプラズマ27-1が生成する。このとき、図8Aにおける第二のプラズマ27よりも外周側で第二のプラズマ27-1が生成するため、図8Bの下段(b)に示すように、被処理基板19外周部のイオンフラックス802が増加する。
以上により、第二のガス及び第三のガスとして供給するAr流量を調整することで第二のプラズマの生成位置を変えることができ、被処理基板19面内において、径方向の分解能を持ってイオンフラックスの増加量を調整できる。本実施例ではガス供給板が2枚の場合を示したが、同様の考え方でイオンフラックスの径方向分解能をより高めるために、ガス供給手段の数とガス供給板の枚数を増やしてもよい。
以上に説明したように、本実施例では、、内部に基板電極を備えて基板電極に載置した被処理基板をプラズマ処理するプラズマ処理室と空洞部とプラズマ処理室と空洞部とを分離する誘電体部材で形成された誘電体窓とを備えてプラズマ処理室の内部を真空に排気可能な真空チャンバと、マイクロ波源と円形導波管を備えてマイクロ波源から発振されたマイクロ波電力を円形導波管を介して真空チャンバの空洞部に伝搬するマイクロ波電力供給部と、真空チャンバの外周に配置されて真空チャンバの内部に磁場を形成する磁場形成部とを備えたプラズマ処理装置において、真空チャンバは、プラズマ処理室の内部で誘電体窓の側にあって中央部の第1の径の領域内に多数の小孔が形成されて誘電体窓との間に形成された第1のギャップを介して多数の小孔が形成された第1の径の領域に通じる第1のガス導入部が形成されたシャワープレートと、プラズマ処理室の内部でシャワープレートの側にあって中央に第2の径を有する第1の開口部が形成されてシャワープレートとの間に形成された第2のギャップを介して第1の開口部に通じる第2のガス導入部が形成された第1のガス供給板と、プラズマ処理室の内部で第1のガス供給板の側にあって中央に第3の径を有する第2の開口部が形成されて第1のガス供給板との間に形成された第3のギャップを介して第2の開口部に通じる第3のガス導入部が形成された第2のガス供給板とを更に備え、第1のガス供給板に形成された第1の開口部の第2の径は、シャワープレートの多数の小孔が形成された中央部の領域の第1の径よりも大きく、第2のガス供給板に形成された第2の開口部の第3の径は、第1のガス供給板に形成された第1の開口部の第2の径よりも大きく、基板電極に載置してプラズマ処理する被処理基板の外径よりも小さく形成した。
本実施例によれば、シャワープレート8の多数のガス孔26からプラズマ処理室9に供給する第1のガスの周囲で、ガス供給板14の開口部141と第二のガス供給板28の開口部281とから切り替えの時間を調整して第2のガスと第3のガスを供給できるようにしたことにより、基板電極20上でのイオンフラックスの分布が所望の分布となるように調整することができ、基板電極20上に載置した被処理基板19を、面内で均一にプラズマ処理を行うことができるようになった。
さらに、本実施例において、シャワープレート8に形成した多数のガス孔26からプラズマ処理室9に第1のガスを一定の流量で供給している状態に対して、ガス供給板14の開口部141からプラズマ処理室9の側に供給する第2のガスの流量及び時間と、第二のガス供給板28の開口部281からプラズマ処理室9の側に供給する第3のガスの流量及び時間とを調整することにより、基板電極20上でのイオンフラックスの分布が所望の分布となるように調整することができ、被処理基板19を均一にエッチング処理することができる。
更に、本実施例のプラズマ処理装置によれば、従来技術と比べて、被処理基板の外周部付近での処理の均一性を向上させることができ、良品歩留まりが高いプラズマ処理を行うことを可能にした。
第三の実施例として、第二のプラズマ27の放電維持を容易とする方法について述べる。図9に第三の実施例に係るプラズマ処理装置300の全体概略図を示す。本実施例に係るプラズマ処理装置300の構成は、基本的に第一の実施例と同様の構成であるが、シャワープレート8の下面で、ガス供給板14の開口部141の径D2よりも小さい径D4を有する領域に突起部83が形成されている点が異なる。突起部83の下面は、ガス供給板14の下面とほぼ同じ面に位置している。ガス孔26は、この突起部83を貫通して形成されている。
図9に示したような構成において、第二のガス供給手段16から第二のガスとしてArを大流量供給したとき、第二のプラズマ27-2はシャワープレート8の突起部83の外周壁とシャワープレート8の下面とガス供給板14の開口部141の内周面の三方に囲まれる。三方を壁面で囲まれて第二のプラズマ27-2が閉じ込められる効果により、放電維持が容易となる。したがって、第一の実施例に比べて第二のガスとしてArを大流量供給したときに被処理基板19外周部においてイオンフラックスを増加する効果が得られやすくなる。
本実施例によれば、実施例1で説明したのと同様な効果に加えて、被処理基板19の外周部に発生させたイオンフラックスによりプラズマ12でイオンの拡散が抑えられるので、被処理基板19の上方でのプラズマ密度を高めることができ、プラズマ処理速度を上げることができる。
実施例1においては、ガス供給板14の開口部141からプラズマ処理室9に供給する第2のガスの流量を、予め設定した流量となるように制御したが、本実施例では、エッチング処理中にプラズマ処理室9に発生したプラズマ12の発光状態をモニタして、第二のガス供給手段16から供給する第2のガスの流量を制御するようにした。
図10は、本実施例に係るプラズマ処理装置400の概略の構成を示す、正面の断面図である。図10においては、実施例1で図1を用いて説明した構成と同じものは同じ部品番号を付して、重複する説明を避ける。
図10に示したプラズマ処理装置400の構成において、実施例1において図1で説明したプラズマ処理装置100の構成と異なる点は、円矩形変換器4-1に発光検出器101を取付けてプラズマ処理室9に発生したプラズマ12の発光を検出し、この発光検出器101で検出した信号を処理する分光器102を更に設けた点である。
プラズマ処理室9で発光するプラズマ12は、被処理基板19のエッチングの進行に伴って発光スペクトル成分が変化する。発光検出器101で検出したプラズマの発光検出信号を分光器102で分析することにより、プラズマ12の発光スペクトルの変化を抽出して、図示していない制御部で、予め記憶しておいた発光スペクトルと被処理基板19のエッチング状態との関係に基づいて第二のガス供給手段16から供給する第2のガスの流量を制御することにより、被処理基板19上のイオンフラックスの分布を調整して、被処理基板19に対して均一にエッチング処理を行うことができる。
また、プラズマ処理室9からの発光をモニタリングできることは、装置の状態監視やプラズマ処理の終点検知にも有用である。さらに、プラズマ12からの発光をモニタリングすると、発光強度の経時変化などからプラズマ処理装置400の不具合の予兆を検知することができる。あるいはプラズマ処理中の被処理基板19からの干渉光をモニタリングすることによって被処理基板19表面の被処理膜の膜厚をリアルタイムに予測でき、プラズマ処理で所定の膜厚を必要なだけエッチングできるよう終点を判定できる。
また、実施例2で説明したプラズマ処理装置200と組み合わせることで、プラズマの発光スペクトルの変化に応じてガス供給板14の開口部141から供給する第2のガスと第二のガス供給板28の開口部281からの第3のガスの供給時間や流量を調整して供給することにより、被処理基板19上のイオンフラックスの分布を調整して、被処理基板19に対して均一にエッチング処理を行うことができる。
マイクロ波導入窓7の上方の大気側から発光をモニタリングするためには、マイクロ波導入窓7とシャワープレート8が透明であり、光を透過する必要がある。一般に、石英を切削加工しただけでは、表面粗さが大きく光が乱反射するために材質は不透明であり、追加で透明化処理が必要である。
石英を透明化する手法は大きく分けて、機械的な研磨と火炎で表面を溶融するファイアポリッシュがある。機械的な研磨は対象が単純な平面であれば良好な平面度を実現できるものの、段差部があり、くぼんでいる面に対しては難しい。一方でファイアポリッシュによって透明化する場合、部材が熱によって変形するため、面精度が悪くなりやすい。
マイクロ波導入窓7は大気圧に耐える強度を持たせるため、通常30mm以上と厚く、熱による変形量が小さい。結果、ファイアポリッシュを実施しても平面度50μm以下とでき、工業製品として許容できる低い公差を確保しながら透明化できる。
一方で、シャワープレート8はレーザ加工でガス孔を形成しやすい厚さとして10mm以下に薄くすることが多い。このように部材が薄い場合は熱による変形量が大きく、ファイアポリッシュ後の平面度は数百μm以上となる。
マイクロ波導入窓7とシャワープレート8間は第一のガスが通る流路となっているため、平面度が悪い場合、ガスの流れる空間が部分的に狭くなってガス流れが偏ってしまい、許容できない場合がある。したがってシャワープレート8のような薄い材料を平面度良く透明化するためには機械研磨が必要となる。
図8の構成ではシャワープレート8に段差部がないため、シャワープレート8を機械研磨で平面度良く透明化できる。以上により、工業製品として許容できる公差を持ってシャワープレート8とマイクロ波導入窓7を透明化でき、プラズマ処理室9からの発光を大気側から観測することができる。
本実施例によれば、プラズマ処理室9からの発光をモニタリングできることにより、プラズマ処理の終点検知を確実に検出することができ、過剰な処理や処理不足などによる製品歩留まりの低下を防ぐことができる。
また、発行をモニタリングして装置の状態監視を行うことで装置の異常を事前にキャッチして異常が発生する前に対策を行なうことができるので、異常発生による装置稼働率の低下を防ぐことができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1 マイクロ波源
5 円形導波管
6 空洞部
7 マイクロ波導入窓
8 シャワープレート
9 プラズマ処理室
10 電磁コイル
11 ヨーク
13 内筒
14 ガス供給板
15 第一のガス供給手段
16 第二のガス供給手段
19 被処理基板
20 基板ステージ兼高周波電極(基板電極)
21 絶縁板
26 ガス孔
27,27-1,27-2 第二のプラズマ
28 第二のガス供給板
29 第三のガス供給手段
30 ヘッドピース
32,33,34 段差部
50 真空チャンバ
100,200,300,400 プラズマ処理装置
101 発光検出器
102 分光器

Claims (8)

  1. 試料がプラズマ処理される処理室と、プラズマを生成するためのマイクロ波の高周波電力を供給する高周波電源と、前記処理室内に磁場を形成する磁場形成機構と、前記試料が載置される試料台と、前記処理室内へ第一のガスを供給し前記処理室の上部に配置された第一のガス供給板とを備えるプラズマ処理装置において、
    前記処理室内へ第二のガスを供給し前記第一のガス供給板の下方に配置された第二のガス供給板をさらに備え、
    前記第一のガス供給板は、複数の孔が中心部に形成され、
    前記第二のガス供給板は、円状の開口部を中心部に有し、
    前記開口部の面積は、前記孔が配置された領域の面積よりも広いことを特徴とするプラズマ処理装置。
  2. 請求項1に記載のプラズマ処理装置において、
    前記開口部の直径は、前記試料の直径より小さいことを特徴とするプラズマ処理装置。
  3. 請求項1に記載のプラズマ処理装置において、
    前記処理室内へ第三のガスを供給し前記第二のガス供給板の下方に配置された第三のガス供給板をさらに備え、
    前記第三のガス供給板は、円状の開口部を中心部に有することを特徴とするプラズマ処理装置。
  4. 請求項3に記載のプラズマ処理装置において、
    前記第三のガス供給板における前記開口部の直径は、前記第二のガス供給板における前記開口部の直径より大きいことを特徴とするプラズマ処理装置。
  5. 請求項3または請求項4に記載のプラズマ処理装置において、
    前記第三のガス供給板における前記開口部の直径は、前記試料の直径より小さいことを特徴とするプラズマ処理装置。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置において、
    前記第一のガス供給板は、下方に突き出した突起部を前記領域内に有することを特徴とするプラズマ処理装置。
  7. 請求項1に記載のプラズマ処理装置において、
    前記開口部の直径は、前記磁場形成機構により形成された磁場の所定の磁場勾配を基に規定され、
    前記磁場勾配は、前記処理室の高さ方向における単位長さあたりの磁束密度の変化量であることを特徴とするプラズマ処理装置。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置において、
    前記第二のガス供給板は、上方に突き出し外周部に有する突起部を介して前記第一のガス供給板と接することを特徴とするプラズマ処理装置。
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