以下、本実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本明細書における課題及び実施例は一例であり、本願の権利範囲を限定するものではない。特に、記載の表現が異なっていたとしても技術的に同等であれば、異なる表現であっても本願の技術を適用可能であり、権利範囲を限定するものではない。そして、各実施の形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
また、本明細書で使用している用語や記載した技術的内容は、3GPPなど通信に関する規格として仕様書や寄書に記載された用語や技術的内容が適宜用いられてもよい。このような仕様書としては、例えば、上述した3GPP TS 38.211 V15.4.0(2018-12)がある。
なお、3GPPの仕様書は、随時、更新される。従って、上述した仕様書は、本願出願時における最新の仕様書が用いられてよい。
以下に、本願の開示する基地局、端末、及び通信システムの実施例を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例は開示の技術を限定するものではない。
[第1の実施の形態]
<通信システムの構成例>
図1は、第1の実施の形態における通信システム10の構成例を表す図である。
通信システム10は、基地局装置(以下、「基地局」と称する場合がある。)100と、端末装置(以下、「端末」と称する場合がある。)200-1,200-2を備える。
基地局100は、例えば、端末200-1,200-2と無線通信を行う通信装置である。基地局100は、自局のサービス提供可能範囲(又はセル範囲)に在圏する端末200-1,200-2と無線通信を行って、通話サービスやWeb閲覧サービスなど、種々のサービスを提供する。基地局100は、例えば、5Gで規定されるgNB(next generation Node B)であってもよいし、4Gで規定されるeNB(evolved Node B)であってもよい。以下では、基地局100は、gNBとして説明する場合がある。
端末200-1,200-2は、例えば、フィーチャーフォン、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、ゲーム装置などの通信装置である。端末200-1,200-2は、基地局100のサービス提供可能範囲で様々なサービスの提供を受けることが可能である。
なお、図1の例では、端末200-1,200-2の台数は、2台の例を表しているが、1台でもよいし、3台以上でもよい。以下では、端末200-1,200-2を、端末200と称する場合がある。
基地局100から端末200への通信を、下り通信又はDL(Down Link)、端末200から基地局100への通信を、上り通信又はUL(Up Link)と称する場合がある。
また、例えば、下り通信で利用される周波数を下り周波数、上り通信で利用される周波数を上り周波数とそれぞれ称する場合がある。
さらに、例えば、周波数は、一定の帯域幅を有していてもよい。本第1の実施の形態においては、周波数に関して、例えば、そのような一定の帯域幅を有する場合と、帯域幅を有しないその周波数そのものである場合とで、区別しないで用いる場合がある。
本第1の実施の形態における端末200は、SULを利用して基地局100と上り通信を行うことが可能である。端末200がSULを利用して上り通信を行う際に使用する周波数のことを、例えば、SUL周波数と称する場合がある。
また、本第1の実施の形態における端末200は、上り周波数と下り周波数とを組みとして、基地局100との間で、上り通信と下り通信とをそれぞれ行うことが可能である。このような組の例としては、例えば、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)として利用する場合の下り周波数と、PUSCHを利用する場合の上り周波数との関係がある。この場合、基地局100は、制御信号を下り周波数(PDCCH)を利用して送信し、端末200は、PDCCHを利用して送信された制御信号に含まれるULグラントにより示された上り周波数(PUSCH)を利用してユーザーデータを送信する、などである。
例えば、図27の例では、「Duplex Mode」が「FDD」や「TDD」として用いられる周波数は、組である周波数であり、「SUL」として用いられる周波数は、SUL周波数となる。
以下では、上り周波数と下り周波数とが組となって上り通信と下り通信に用いられる場合において、上り周波数を、組である上り周波数、下り周波数を、組である下り周波数とそれぞれ称する場合がある。組である上り周波数と組である下り周波数とを、合わせて、組の周波数、と称する場合がある。
図5(A)は、FDD(Frequency Division Duplex)の場合における、組の周波数とSUL周波数との関係例を表し、図5(B)は、TDD(Time Division Duplex)の場合における組の周波数とSUL周波数との関係例を表す図である。
図5(A)と図5(B)に示すように、組である上り周波数は、図中「UL」内に含まれる全部又は一部の周波数であってよく、組である下り周波数は、図中「DL」内に含まれる全部又は一部の周波数であってよい。組となる周波数は、1つの上り周波数に対して、複数の下り周波数があってもよいし、1つの下り周波数に対して、複数の上り周波数があってもよい。或いは、複数の下り周波数に対して複数の上り周波数が組の周波数となっていてもよい。
なお、図5(B)に示すように、TDDの場合、組となる上り周波数と下り周波数は、同一の周波数となる場合がある。この場合、2つの周波数は、厳密には同一の周波数と言うことができる。しかし、本第1の実施の形態では、利用されるタイミングが異なることなどを考慮して、同一の周波数であっても、「組となる上り周波数」と「組となる下り周波数」と、異なる表現で表す場合がある。
また、図5(A)や図5(B)に示すように、SUL周波数は、組の周波数とは異なる周波数が用いられる。この場合、SUL周波数は、組の周波数よりも低くてもよいし、高くてもよい。
さらに、SULを用いることで、例えば、同一セルにおいて、1つのDLに対して2つのULが形成可能である。2つのULのうち、例えば、1つが組である上り周波数であり、1つがSUL周波数である。
SULが用いられる場合、「SUL周波数」も、「組となる下り周波数」との関係では、2つの周波数が「組」となって、基地局100や端末200で用いられる場合がある。従って、そのような関係の中においては、「SUL周波数」も「組」に含めることも可能である。しかし、本第1の実施の形態では、SUL周波数と組の周波数とで、利用される周波数が異なるため、「SUL周波数」と「組の周波数」とを区別して説明する場合がある。
<基地局の構成例>
図2は、基地局100の構成例を表す図である。
基地局100は、アンテナ101と、受信無線部102、受信ベースバンド処理部103、制御情報抽出部104、無線品質測定部105、無線制御部106、メモリ107、制御信号作成部108、送信ベースバンド処理部109、及び送信無線部110を備える。
なお、基地局100は、受信部120、制御部130、及び送信部140を含む。受信部120は、受信無線部102、受信ベースバンド処理部103、制御情報抽出部104、及び無線品質測定部105を含む。また、制御部130は、無線制御部106を含む。さらに、送信部140は、制御信号作成部108、送信ベースバンド処理部109、及び送信無線部110を含む。
例えば、制御部130は、メモリ107に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、無線制御部106の機能を実現することが可能である。制御部130は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのコントローラやプロセッサであってもよい。
アンテナ101は、端末200から送信された無線信号を受信し、受信した無線信号を受信無線部102へ出力する。この場合、上り通信となる。また、アンテナ101は、送信無線部110から出力された無線信号を、端末200へ送信する。この場合、下り通信となる。
受信無線部102は、アンテナ101から出力された無線信号に対して、A/D(Analogue to Digital)変換や周波数変換などを行い、無線帯域の無線信号を、ベースバンド帯域の受信信号へ変換(ダウンコンバート)する。受信無線部102には、A/D変換回路や周波数変換回路などが含まれてもよい。受信無線部102は、無線制御部106により指示(又は設定)された下り周波数の無線信号を受信できるように、指示された下り周波数を用いて、周波数変換などの受信処理を行う。
受信ベースバンド処理部103は、受信無線部102から出力された受信信号に対して、復調処理や誤り訂正復号処理などを施して、ユーザーデータや制御信号、SRSなどを抽出(又は再生)する。受信ベースバンド処理部103は、抽出したユーザーデータや制御信号をUPF(User Plane Function)やAMF(Access and Mobility Management Function)へそれぞれ出力する。また、受信ベースバンド処理部103は、端末200で測定された下り通信の無線回線品質情報などの制御情報を制御情報抽出部104へ出力する。さらに、受信ベースバンド処理部103は、参照信号(又はリファレンス信号)を無線品質測定部105へ出力する。
本第1の実施の形態では、参照信号として、SRSが用いられる。上述したように、SRSは、無線回線設定がなされていない場合であっても、送受信することが可能な参照信号であって、データや制御信号の送信がなくても、送信可能な参照信号である。ただし、他の参照信号、例えば、Demodulation RS for PUSCHや、Phase-tracking RS for PUSCH、或いはDemodulation RS for PUCCH(Physical Uplink Control Channel)が用いられてもよい。
制御情報抽出部104は、受信ベースバンド処理部103から出力された信号から制御情報を抽出する。このような制御情報としては、例えば、上述したように、端末200で測定された下り通信における無線回線品質に関する情報などがある。制御情報抽出部104は、抽出した制御情報を無線制御部106へ出力する。
無線品質測定部105は、受信ベースバンド処理部103から出力されたSRSを利用して、端末200との間の無線回線の品質を測定する。受信ベースバンド処理部103から出力されるSRSには、組となる上り周波数を利用して送信されたSRSと、SUL周波数を利用して送信されたSRSがある。また、複数のSUL周波数の各々の周波数を利用して送信されたSRSがある。
無線品質測定部105では、SUL周波数を用いて送信されたSRSを利用して無線品質を測定することで、SUL周波数の無線品質を測定する。また、無線品質測定部105は、組である上り周波数を用いて送信されたSRSを利用して無線品質を測定することで、組である上り周波数の無線品質を測定する。さらに、無線品質測定部105は、複数のSUL周波数の各々を用いて送信されたSRSを利用して無線品質を測定することで、複数のSUL周波数の各々の無線品質を測定する。このように、無線品質測定部105は、SRSを利用して、上り周波数の無線回線品質を直接測定することが可能である。
なお、無線品質測定部105は、例えば、受信したSRSに基づいて、RSRP(reference Signal Received Power)を測定することで、無線回線品質を測定してもよい。或いは、無線品質測定部105は、例えば、無線品質測定部105が作成したSRSと受信したSRSとを比較して得たRSRQ(Reference Signal Received Quality)により、無線回線品質を測定してもよい。無線品質測定部105は、測定結果を、無線制御部106へ出力する。
無線制御部106は、無線回線に関する制御を行う。例えば、無線制御部106は、以下の処理を行う。
すなわち、無線制御部106は、無線回線設定に関する制御情報(メッセージ)を端末200との間で交換して、無線回線を設定し、設定した無線回線で用いる周波数を、送信無線部110と受信無線部102へ出力する。
また、無線制御部106は、組である上り周波数とSUL周波数とをそれぞれ用いて第1及び第2のSRSの送信を要求するSRS送信要求(又は上り参照信号送信要求)と、第1及び第2のSRS送信に関する制御情報とを作成する。無線制御部106は、作成したこれらの情報を、制御信号作成部108を介して、下り周波数を用いて端末200へ送信する。
さらに、無線制御部106は、複数のSUL周波数を各々用いて各SRSの送信を要求するSRS送信要求と、各SRS送信に関する制御情報とを、端末200へ送信する。
また、無線制御部106は、組である上り周波数とSUL周波数のうち、端末200との無線通信に使用するいずれか一方の上り周波数を選択する。さらに、無線制御部106は、複数のSUL周波数のうち、端末200との無線通信に使用する、いずれかのSUL周波数を選択する。無線制御部106は、選択結果(又は上り周波数に関する周波数制御情報)を、上り周波数設定情報として、制御信号作成部108へ出力する。無線制御部106は、上り周波数選択に際して、無線品質測定部105からの測定結果を利用して、選択してもよい。選択の詳細などについては、動作例で説明する。
図3(A)は、無線制御部106の構成例を表す図である。
無線制御部106は、上り周波数制御部1060と、システム情報設定管理部1061、無線制御部1062、ランダムアクセス制御部1063、HO(Hand Over)制御部1064、及び無線リソース制御部1065を含む。
上り周波数制御部1060は、上り周波数に関する制御を行う。例えば、上り周波数制御部1060は、以下の処理を行う。すなわち、上り周波数制御部1060は、端末200との無線通信に利用する上り周波数(SUL周波数か組となる上り周波数か、或いは、複数のSUL周波数の中から1つのSUL周波数)を選択し、選択結果を、上り周波数設定情報として、制御信号作成部108へ出力する。また、上り周波数制御部1060は、選択した上り周波数を、上り周波数を受信無線部102へ出力する。これにより、上り周波数制御部1060で選択した上り周波数で、基地局100は端末200と上り通信が可能となる。
システム情報設定管理部1061は、システム情報の作成や設定などを行う。例えば、システム情報設定管理部1061は、以下の処理を行う。すなわち、システム情報設定管理部1061は、SULとして使用する1又は複数のSUL周波数に関する情報を含むシステム情報を作成し、作成したシステム情報を制御信号作成部108へ出力する。また、システム情報設定管理部1061は、SRS送信要求とSRS送信に関する制御情報を作成し、これらの情報を含むシステム情報を作成する場合がある。詳細は、動作例で説明する。さらに、システム情報設定管理部1061は、例えば、隣接する基地局に関する情報など、種々の情報を含むシステム情報を作成し、制御信号作成部108へ出力する。
無線制御部1062は、無線回線に関する制御を行う。例えば、無線制御部1062は、以下の処理を行う。
すなわち、無線制御部1062は、SRSの送信要求とSRS送信に関する制御情報を作成し、作成したSRS送信要求とSRS送信に関する制御情報を、制御信号作成部108へ出力する。SRS送信に関する制御情報としては、例えば、端末200においてSRSシーケンスを作成するときに用いられるパラメータと、端末200においてSRS送信に用いる無線リソースを算出するときに用いられるパラメータがある。無線制御部1062は、作成したSRS送信要求とSRS送信に関する制御情報とを制御信号作成部108へ出力する。なお、無線制御部1062は、SRS送信要求を作成しないで、SRS送信に関する制御情報を作成し、作成したSRS送信に関する制御情報を制御信号作成部108へ出力する場合がある。また、無線制御部1062は、下り通信用の参照信号を作成する。無線制御部1062は、作成した参照信号を制御信号作成部108へ出力する。
ランダムアクセス制御部1063は、無線回線設定に関する制御を行う。例えば、ランダムアクセス制御部1063は、端末200との間で、ランダムアクセスに関する制御情報(メッセージ)を交換する。このような制御情報としては、例えば、LTEや5Gなどで規定されている「Contention based Random Access」や「Non-contention based Random Access」などのランダムアクセス手順(procedure)に規定されたメッセージがある。ランダムアクセス制御部1063は、このようなランダムアクセス手順によりメッセージを交換することで、ある特定の周波数の無線回線を設定することが可能となる。ランダムアクセス制御部1063は、設定した周波数を、送信無線部110と受信無線部102へ出力(又は設定した周波数で送信処理と受信処理とを行うように指示)する。これにより、以後、設定された周波数で基地局100と端末200は無線通信が可能となる。
なお、本第1の実施の形態においては、ランダムアクセス手順の際に、SRS送信が行われ、ランダムアクセス手順の段階で上り周波数選択が行われる場合がある。詳細は動作例で説明する。
HO制御部1064は、端末200がハンドオーバを行う際の制御を行う。例えば、HO制御部1064は、ハンドオーバに関する制御情報(メッセージ)を端末200との間で交換する。
無線リソース制御部1065は、例えば、制御情報抽出部104から出力された下り無線回線品質情報に基づいて、端末200に対して無線リソースの割り当てなどを行う。このような無線リソースの割り当てのことをスケジューリングと称する場合がある。無線リソース制御部1065は、スケジューリング結果を表すスケジューリング情報を、制御信号作成部108へ出力する。
図2に戻り、メモリ107は、例えば、無線制御部106において処理を行う際に利用される情報が記憶される。例えば、メモリ107には、SRS送信に関する制御情報などが記憶されてもよく、この場合、無線制御部106は、メモリ107からこの制御情報を適宜読み出すことが可能である。
制御信号作成部108は、無線制御部106から出力された情報などを含む制御信号を作成し、作成した制御信号を送信ベースバンド処理部109へ出力する。無線制御部106から出力される情報としては、例えば、SRS送信要求、SRS送信に関する制御情報、上り周波数設定情報、スケジューリング情報などがある。
なお、制御信号作成部108は、システム情報設定管理部1061から出力されたシステム情報や無線制御部1062から出力された参照信号については、制御信号としてではなく、そのままシステム情報や参照信号として送信ベースバンド処理部109へ出力してもよい。
送信ベースバンド処理部109は、UPFやAPFから出力されたユーザーデータや制御信号、制御信号作成部108から出力された制御信号やシステム情報などに対して、誤り訂正符号化処理や変調処理などを施し、これらのデータや信号などをベースバンド信号へ変換する。送信ベースバンド処理部109は、変換後のベースバンド信号を送信無線部110へ出力する。
送信無線部110は、ベースバンド信号に対して、D/A(Digital to Analogue)変換や周波数変換処理などを施すことで、ベースバンド帯域のベースバンド信号を無線帯域の無線信号へ変換(アップコンバート)する。送信無線部110は、無線制御部106により指示(又は設定)された下り周波数の無線信号となるように、周波数変換などの送信処理を行う。送信無線部110は、無線信号をアンテナ101へ出力する。
<端末の構成例>
図4は、端末200の構成例を表す図である。
端末200は、アンテナ201と、受信無線部202、受信ベースバンド処理部203、制御信号抽出部204、無線品質測定部205、無線制御部206、メモリ207を備える。また、端末200は、制御情報作成部208、SRS作成部209、送信ベースバンド処理部210、及び送信無線部211を備える。
なお、端末200は、受信部220、制御部230、送信部240を含む。受信部220は、受信無線部202、受信ベースバンド処理部203、制御信号抽出部204、及び無線品質測定部205を含む。また、制御部230は、無線制御部206を含む。さらに、送信部240は、制御情報作成部208、SRS作成部209、送信ベースバンド処理部210、及び送信無線部211を含む。
例えば、制御部230は、メモリ207に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、無線制御部206の機能を実現することが可能である。制御部230は、例えば、CPUやDSP、FPGAなどのコントローラやプロセッサであってもよい。
アンテナ201は、基地局100から送信された無線信号を受信し、受信した無線信号を受信無線部202へ出力する。この場合、下り通信となる。また、アンテナ201は、送信無線部211から出力された無線信号を、基地局100へ送信する。この場合、上り通信となる。
受信無線部202は、アンテナ201から出力された無線信号に対して、A/D変換や周波数変換などを行い、無線帯域の無線信号を、ベースバンド帯域の受信信号へ変換(ダウンコンバート)する。受信無線部202には、A/D変換回路や周波数変換回路などが含まれてもよい。また、受信無線部202は、無線制御部206により指示(又は設定)された下り周波数の無線信号を受信できるように設定し、設定した下り周波数を用いて基地局100から送信された無線信号に対して周波数変換などの受信処理を行う。受信無線部202は、変換後の受信信号を受信ベースバンド処理部203へ出力する。
受信ベースバンド処理部203は、受信無線部202から出力された受信信号に対して、復調処理や誤り訂正復号処理などを施して、ユーザーデータや制御信号、参照信号などを抽出(又は再生)する。受信ベースバンド処理部203は、抽出したユーザーデータなどを上位レイヤへ出力する。また、受信ベースバンド処理部203は、抽出した制御信号などを制御信号抽出部204へ出力する。さらに、受信ベースバンド処理部203は、抽出した参照信号を、無線品質測定部205へ出力する。
制御信号抽出部204は、受信ベースバンド処理部203から出力された制御信号から、SRS送信要求やSRS送信に関する制御情報、上り周波数設定情報、スケジューリング情報などを抽出する。制御信号抽出部204は、抽出したこれらの情報を無線制御部206へ出力する。また、制御信号抽出部204は、受信ベースバンド処理部203から出力されたシステム情報を受け取り、システム情報を無線制御部206へ出力する。
無線品質測定部205は、受信ベースバンド処理部203から出力された参照信号に基づいて、下り通信の無線回線品質を測定する。無線品質測定部205は、例えば、RSRPやRSRQを測定することで、無線回線品質を測定してもよい。
無線制御部206は、無線回線に関する制御を行う。
図3(B)は無線制御部206の構成例を表す図である。
無線制御部206は、SRS送信制御部2060と、システム情報設定管理部2061、無線制御部2062、ランダムアクセス制御部2063、HO制御部2064、及び無線リソース制御部2065を含む。
SRS送信制御部2060は、SRSの送信を制御する。例えば、SRS送信制御部2060は、以下の処理を行う。すなわち、SRS送信制御部2060は、SRS送信要求とSRS送信に関する制御情報を、制御信号抽出部204から受け取ると、SRS送信に関する制御情報に含まれるSRS作成用のパラメータに従って、SRSを作成するよう、SRS作成部209へ指示する。この際、SRS送信制御部2060は、このSRS作成用のパラメータをSRS作成部209へ出力する。また、SRS送信に関する制御情報には、SRS送信に利用する無線リソースを算出するためのパラメータが含まれる。SRS送信制御部2060は、このパラメータを用いて、SRS送信に用いる無線リソースを算出する。SRS送信制御部2060は、SRSを送信するときは、算出した無線リソースで送信するように、送信無線部211へ指示する。
システム情報設定管理部2061は、基地局100から送信されたシステム情報に従って、設定などを行う。例えば、システム情報設定管理部2061は、隣接基地局に関する情報などをシステム情報として受け取ったときは、このシステム情報を無線制御部2062へ通知する。なお、端末200は、SRS送信要求とSRS送信に関する制御情報もシステム情報に含まれて受信する場合がある。この場合、システム情報設定管理部2061は、これらの情報を、SRS送信制御部2060へ通知する。
無線制御部2062は、無線回線に関する制御を行う。例えば、無線制御部2062は、以下の処理を行う。すなわち、無線制御部2062は、制御信号抽出部204から出力された上り周波数設定情報を受け取ると、上り周波数設定情報に含まれる上り周波数を、送信無線部211へ出力する。これにより、無線制御部2062は、上り周波数の設定を行い、以後、送信無線部211は設定された上り周波数で無線通信を行う。また、無線制御部2062は、無線品質測定部205から出力された下り無線回線品質の測定結果を、制御情報作成部208へ出力する。
ランダムアクセス制御部2063は、無線回線設定に関する制御を行う。例えば、ランダムアクセス制御部2063は、基地局100との間で、ランダムアクセス手順に関する制御情報(メッセージ)を交換する。上述したように、ランダムアクセス制御部2063は、「Contention based Random Access」や「Non-contention based Random Access」で規定されたメッセージを交換する。ランダムアクセス制御部2063は、ランダムアクセス手順によって、ある特定の周波数の無線回線を設定しても良い。その場合、設定した周波数(例えば、ランダムアクセス手順で用いていない周波数)を受信無線部202と送信無線部211へ通知する。これにより、無線回線設定で設定された周波数で、端末200は基地局100と無線通信が可能となる。
HO制御部2064は、端末200がハンドオーバを行う際の制御を行う。例えば、HO制御部2064は、ハンドオーバに関する制御情報(メッセージ)を基地局100と交換する。
無線リソース制御部2065は、制御信号抽出部204から出力されたスケジューリング情報を受け取る。そして、無線リソース制御部2065は、スケジューリング結果に含まれる、端末200に割り当てられた無線リソースを利用して、端末200において送信や受信が行われるよう、受信無線部202や送信無線部211を制御する。例えば、無線リソース制御部2065は、無線リソースに関する情報を受信無線部202や送信無線部211へ出力する。これにより、端末200は、割り当てられた無線リソースで端末200との間でユーザーデータの送受信などを行うことが可能となる。
図4に戻り、メモリ207は、例えば、無線制御部206が処理を行う際に利用する情報などが記憶される。無線制御部206は、これらの情報などをメモリ207から適宜読み出して、処理を行うことが可能である。
制御情報作成部208は、無線制御部206から出力された情報を含む制御情報を作成し、作成した制御情報を送信ベースバンド処理部210へ出力する。無線制御部206から出力される情報としては、例えば、下り通信の無線回線品質などがある。
SRS作成部209は、無線制御部206からの指示に従って、SRS送信に関する制御情報に含まれるパラメータに基づいて、SRSを作成する。SRS作成部209は、作成したSRSを送信ベースバンド処理部210へ出力する。
送信ベースバンド処理部210は、上位レイヤ(例えば、MAC:Media Access Control、非特許文献21参照)から出力されたユーザーデータ、制御情報作成部208から出力された制御情報、SRS作成部209から出力されたSRSなどに対して、誤り訂正符号化処理や変調処理などを施し、これらの信号などをベースバンド信号へ変換する。送信ベースバンド処理部210は、変換後のベースバンド信号を送信無線部211へ出力する。
送信無線部211は、ベースバンド信号に対して、D/A変換処理や周波数変換処理などを施すことで、ベースバンド帯域のベースバンド信号を無線帯域の無線信号へ変換する。この際、送信無線部211は、無線制御部206から指示された上り周波数の信号となるように無線信号への変換を行う。送信無線部211は、無線信号をアンテナ101へ出力する。
なお、送信無線部211は、例えば、SRS送信制御部2060から指示された上り周波数で、変調等の処理が行われたSRSを送信する。指示される上り周波数としては、組となる上り周波数やSUL周波数がある。これにより、例えば、送信無線部211からは、組となる上り周波数を用いたSRSと、SUL周波数を用いたSRSと送信することが可能となる。また、SRS送信制御部2060は、複数のSUL周波数をそれぞれ用いた複数のSRSを送信することが可能となる。
<動作例>
動作例は、以下の4つがある。
1)動作例1 上り無線回線品質を用いた上り周波数選択
2)動作例2 ランダムアクセス手順における上り周波数選択
3)動作例3 SUL周波数の端末毎の設定
4)動作例4 ランダムアクセス手順が失敗した場合のSUL周波数の端末毎の設定
5)動作例5 測定ギャップを利用したSRS送信
以下では、この順番で動作例を説明する。
<1.動作例1 上り無線回線品質を用いた上り周波数選択>
図6と図7は動作例1のシーケンス例を表す図である。
図6に示すように、基地局(gNB)100は、組である上り周波数f0uとSUL周波数f1uとを用いたSRS送信要求(又は上り参照信号送信要求)と、SRS送信に関する制御情報とを、組である下り周波数f0dを用いて、端末(UE)200へ送信する(S10)。
例えば、基地局100は、以下の処理を行う。すなわち、無線制御部1062は、組である上り周波数f0uとSUL周波数f1uとを用いたSRS送信要求と、SRS送信に関する制御情報とを作成する。この際、無線制御部1062は、SRS送信の無線リソースとして、組である上り周波数f0uが算出されるパラメータと、SUL周波数f1uが算出されるパラメータとを含む、SRS送信に関する制御情報を作成する。無線制御部1062は、作成したSRS送信要求とSRS送信に関する制御情報とを制御信号作成部108へ出力する。そして、無線制御部1062は、送信無線部110に対して、組である下り周波数f0dを用いて、SRS送信要求とSRS送信に関する制御情報を送信するように制御する。これにより、送信無線部110からは、組の上り周波数f0uとSUL周波数f1uとを用いたSRS送信要求と、SRS送信に関する制御情報とを、組である下り周波数f0dを用いて、端末200へ送信することが可能となる。
次に、端末200は、組である上り周波数f0uを用いてSRSを送信する(S11)。端末200では、組である上り周波数f0uのSRS送信要求に従って、組である上り周波数f0uを用いてSRSを送信する。
例えば、端末200は、以下の処理を行う。すなわち、SRS送信制御部2060は、S10で受信した、SRS送信に関する制御情報に含まれるパラメータに従って、組の上り周波数f0uを算出する。SRS送信制御部2060は、算出した組の上り周波数f0uを、送信無線部211へ出力する。また、SRS作成部209は、無線制御部206からの指示に従って、SRS送信に関する制御情報に含まれるパラメータに従って、SRSを作成し、作成したSRSを、送信ベースバンド処理部210を介して送信無線部211へ出力する。これにより、送信無線部211からは、組である上り周波数f0uを用いてSRSを送信することが可能となる。
図8(A)は、組である上り周波数f0uを用いたSRS送信の例を表している。このように、端末200は、上り周波数f0uを用いてSRSを送信することが可能である。
図6に戻り、次に、基地局100は、上り無線回線品質を測定する(S12)。例えば、無線品質測定部105は、組である上り周波数f0uを用いて送信されたSRSを利用して、上り無線回線品質を測定する。
次に、端末200は、SUL周波数f1uを用いてSRSを送信する(S13)。端末200では、S10における、SUL周波数f1uを用いたSRS送信要求に従って、SRSを送信する。
例えば、端末200では、以下の処理を行う。すなわち、SRS送信制御部2060は、S10で受信した、SRS送信に関する制御情報に含まれるパラメータに従って、SUL周波数f1uを算出する。SRS送信制御部2060は、算出したSUL周波数f1uを、送信無線部211へ出力する。また、SRS作成部209は、無線制御部206からの指示に従って、SRS送信に関する制御情報に含まれるパラメータを用いて、SRSを作成し、作成したSRSを、送信ベースバンド処理部210を介して送信無線部211へ出力する。これにより、送信無線部211は、SUL周波数f0uを用いてSRSを送信することが可能となる。
図8(A)は、SUL周波数f1uを用いたSRS送信の例を表している。このように、端末200は、SUL周波数f1uを用いてSRSを送信することが可能である。
図6に戻り、次に、基地局100は、上り無線回線品質を測定する(S14)。例えば、無線品質測定部105は、SUL周波数f1uを用いて送信されたSRSを利用して、上り無線回線品質を測定する。
次に、基地局100は、上り周波数を選択する(S15)。例えば、上り周波数制御部1060は、無線品質測定部105から出力された、組である上り周波数f0uに対する無線回線品質測定結果とSUL周波数f1uに対する無線回線品質測定結果とに基づいて、選択する。例えば、上り周波数制御部1060は、無線回線品質の良い方の上り周波数を選択する。ここでは、上り周波数制御部1060は、SUL周波数f1uを選択したものとして、以下説明する。
次に、基地局100は、選択した上り周波数f1uを端末200へ送信する(S16)。例えば、上り周波数制御部1060は、選択したSUL周波数f1uに関する情報を、制御信号作成部108などを介して、下り周波数を用いて端末200へ送信する。
次に、基地局100と端末200は、上り周波数f1uと、組である下り周波数f0dとを用いた無線回線を設定する(S17)。例えば、基地局100のランダムアクセス制御部1063と、端末200のランダムアクセス制御部2063との間で、ランダムアクセス手順が実行され、ランダムアクセスに関する制御情報(メッセージ)が交換される。これにより、上り周波数f1uと下り周波数f0dを用いた無線回線が設定され、以後、これらの周波数を用いた無線通信が可能となる。
次に、基地局100は、SUL周波数f1uにおけるSRS送信に関する制御情報を端末200へ送信する(S18)。S18以降の処理は、例えば、上りユーザデータ(上りデータ)を送信するために使用するためにSUL周波数f1u内(帯域内)における無線リソースを選択するための処理である。
図8(B)は、SUL周波数f1u内におけるPUSCH(上り無線共有チャネル又は上り無線データチャネル)とPUCCH(上り無線制御チャネル)の例を表す図である。S18以降の処理では、PUSCHに含まれるSRSを、端末200が送信し、基地局100では、そのSRSに基づいて、SUL周波数f1u内のPUSCHの無線リソースを選択して、端末200に割り当てることになる。
本処理(S18)では、基地局100は、無線リソース選択のためのSRSを端末200から送信させるために、SRS送信に関する制御情報を送信する。この場合も、S10と同様に、無線制御部1062は、無線リソースの算出の際に周波数f1uとなるパラメータなどを含むSRS送信に関する制御情報を作成し、作成した制御情報を、端末200へ送信すればよい。
なお、基地局100が端末200に対して、無線リソース選択のためにSRS送信を行わせる場合のSRS送信に関する制御情報を「SRS送信制御情報#2」と称する場合がある。また、S10のように、基地局100が端末200に対して、上り周波数選択のためにSRS送信を行わせる場合のSRS送信に関する制御情報を「SRS送信制御情報#1」と称する場合がある。なお、SRS送信制御情報#2は、上り周波数選択後に選択した周波数(帯域幅を持つ周波数)内の無線リソースから使用する無線リソースを選択するものであり、SRS送信制御情報#1は上り周波数を選択するものであることから、両者は明確に区別される。
図6に戻り、次に、端末200は、SUL周波数を利用してSRSを送信する(S19)。例えば、端末200では、以下の処理を行う。すなわち、SRS作成部209は、無線制御部206の指示により、SRSを作成し、送信無線部211へ出力する。また、SRS送信制御部2060は、SRS送信制御情報#2(S18)に含まれるパラメータを利用して、SRS送信のリソースとして、SUL周波数f1uを作成し、送信無線部211へ出力する。送信無線部211は、f1uを利用して、SRSを送信することができる。
次に、基地局100は、上り無線回線品質を測定する(図7のS20)。例えば、無線品質測定部105は、S19で受信したSRSを用いて、上り周波数f1uの無線回線品質を測定する。
次に、基地局100は、端末200の上り無線リソースを選択する(S21)。例えば、無線リソース制御部1065は、無線品質測定部105から測定結果を受け取り、受け取った測定結果に基づいて、端末200に対する、上り通信における無線リソースを選択する。
次に、基地局100は、上り送信用無線リソースを、端末200へ送信する(S22)。例えば、無線リソース制御部1065は、選択した上り通信における無線リソースを、制御信号作成部108などを介して、端末200へ送信する。
次に、端末200は、受信した上り送信用無線リソースを利用して、ユーザーデータを基地局100へ送信する(S23)。例えば、端末200では、以下の処理を行う。すなわち、無線リソース制御部2065は、制御信号から、上り送信用無線リソースを抽出し、抽出した無線リソースでユーザーデータを送信するように、送信無線部211へ指示する。送信無線部211は、その指示に従って、上位レイヤから出力されたユーザーデータを、基地局100へ送信する。
このように動作例1では、端末200は、組である上り周波数を使用したSRSとSUL周波数を使用したSRSを基地局100へ送信する。そして、基地局100は、組である上り周波数又はSUL周波数を選択するようにしている。従って、基地局100は、2つのSRSを用いて、組である上り周波数とSUL周波数の2つの無線回線品質を測定することができ、その結果に応じて、いずれか一方の上り周波数を選択することが可能となる。
よって、本通信システム10では、下り周波数の無線回線品質を利用して、上り周波数を選択する場合と比較して、例えば、上り通信の無線回線品質が劣化している周波数を利用することがなくなり、上り通信の無線回線品質の良い周波数を選択することが可能となる。そのため、本通信システム10では、上り通信における伝送速度を改善させ、上り通信のスループットを改善させることが可能となる。
<2.動作例2 ランダムアクセス手順における上り周波数選択>
図9は動作例2のシーケンス例を表す図である。動作例2では、無線回線未設定の端末200に対して、上り周波数の選択を可能とする動作例である。図9に示すシーケンス例は、「Non-contention based Random Access」によるランダムアクセス手順に対応する。
ただし、図9に示すシーケンスが行われる前に、システム情報が基地局100から送信(又は報知)され、端末200においてシステム情報を受信したものとする。システム情報には、例えば、SRS送信要求と、組となる上り周波数、複数のSUL周波数候補、SRS送信に関する制御情報、SRS送信用プリアンブル(又は上り制御信号送信用プリアンブル)などが含まれる。
上述したように、SRS送信に関する制御情報には、SRS送信に利用される無線リソースを端末200において作成することが可能なパラメータが含まれる。本動作例2では、SRS送信に関する制御情報には、例えば、複数の無線リソースが端末200において作成可能なパラメータが含まれる。すなわち、この制御情報には、例えば、組となる上り周波数の無線リソースが作成可能なパラメータと、1又は複数のSUL周波数の無線リソースが作成可能なパラメータとが含まれる。後述するが、図9に示すランダムアクセス手順(S30~S35)は、複数回行われる場合がある。このとき、毎回、異なる周波数でSRSが送信されるようにするために、基地局100では、システム情報として、複数の無線リソースが可能なパラメータを含むSRS送信に関する制御情報を送信する。
また、システム情報には、SRS送信用プリアンブルが含まれる。SRS送信用プリアンブルは、例えば、ランダムアクセス手順において、端末200からSRSを送信させて、基地局100において上り周波数を選択させる場合において利用されるプリアンブルとなっている。SRS送信用プリアンブルは、例えば、通常のランダムアクセス手順において用いられるプリアンブルとは識別可能となっており、端末200に対して個別、又は複数の端末200で使用可能なプリアンブルである。
このようなシステム情報の送受信に関して、基地局100と端末200は、例えば、以下の処理を行う。すなわち、基地局100のシステム情報設定管理部1061は、組となる上り周波数と、複数のSUL周波数候補、SRS送信に関する制御情報、SRS送信用プリアンブルなどを、メモリ107から読み出して、作成したSRS送信要求とを含むシステム情報を作成する。そして、システム情報設定管理部1061は、作成したシステム情報を送信(又は報知(不特定多数又は特定多数の端末に対して共通情報として送信))する。端末200のシステム情報設定管理部2061は、このシステム情報を受信し、SRS送信要求と、組となる上り周波数、複数のSUL周波数候補、SRS送信に関する制御情報、SRS送信用プリアンブルなどを、メモリ207に記憶する。なお、システム情報の送信は、ブロードキャストまたはマルチキャストを用いて送信される。
システム情報送受信後、端末200は、Random Access Preamble(RAP)(又はMessage 1)を基地局100へ送信する(S30)。例えば、ランダムアクセス制御部2063は、メモリ107に記憶されたSRS送信用プリアンブルを読み出して、これを、送信する。
次に、基地局100は、SRS request(又はSRS送信要求)を含むRandom Access Response(RAR)(Message 2)を端末200へ送信する(S31)。RARは、例えば、回線設定要求を表している。
図10は、RARのMAC(Media Access Control)レイヤにおけるペイロード領域の構成例を表す図である。図10に示すように、RARには、Reserved bit(又は予約(又は予備)ビット)を表す「R」領域がある。本第1の実施の形態では、この「R」領域を利用して、SRS Requestの有無を表すようにする。例えば、「R」領域が「1」のときは、SRS Requestあり、「0」のときは、SRS Requestなし、とする。例えば、ランダムアクセス制御部1063は、RAPを受信すると、その応答として、「R」領域に「1」を含むSRSを作成する。
なお、図10に示すように、RARには、その後のScheduled Transmission(Message 3)(以下では、「Message 3」と称する場合がある。)を端末200が送信するときに利用する無線リソースに関する情報が「UL grant」に含まれる。基地局100では、複数の無線リソースが作成可能なパラメータを含むSRS送信に関する制御情報をシステム情報として送信した。そのため、基地局100では、この複数の無線リソースの中から、選択した無線リソースに関する情報を、「UL Ggrant」に含めるようにする。これにより、端末200がMessage 3を送信する際に、Message 3の送信に利用する無線リソースと、SRSの送信に利用する無線リソースとを、基地局100において一致させるようにすることが可能となる。なお、Message 3は、例えば、RRC(Radio Resource Control)接続要求メッセージ(又は接続要求)でもある。
図9に戻り、次に、端末200は、Message 3とSRSとを送信する(S32)。例えば、端末200は、以下の処理を行う。
すなわち、ランダムアクセス制御部2063は、SRS Requestを含むRARを受信すると、「R」領域に含まれるビットを確認して、RARにSRS送信要求が含まれることを確認する。そして、ランダムアクセス制御部2063は、メモリ207から、SRS送信に関する制御情報を読み出して、この制御情報に含まれるパラメータに従ったSRS作成を、SRS作成部209へ指示する。また、ランダムアクセス制御部2063は、このパラメータに従って、SRS送信に利用する無線リソースを算出する。この際、上述したように、ランダムアクセス制御部2063は、複数の無線リソースを算出することが可能である。ランダムアクセス制御部2063は、複数の無線リソースの中で、S31で受信したRARに含まれる「UL grant」により示された無線リソースと一致する無線リソースがあるか否かを確認する。ランダムアクセス制御部2063は、一致することを確認すると、その無線リソースを利用して、Message 3とSRSとを送信するように送信無線部211へ指示する。また、ランダムアクセス制御部2063は、Message 3を作成して、送信無線部211へ向けて出力する。また、SRS作成部209は、ランダムアクセス制御部2063からの指示に従って、SRSを作成し、送信無線部211へ向けて出力する。送信無線部211からは、指示された無線リソースを利用して、Message 3とSRSとが送信される。この場合、SRSは、例えば、Message 3の送信に利用されるPUSCHの最後のシンボルを用いて送信されてもよい。
次に、基地局100は、上り無線回線品質を測定する(S33)。例えば、無線品質測定部105は、S32で受信したSRSを利用して無線回線品質を測定する。SRSは、SRS送信に関する制御情報に含まれる無線リソースのパラメータを用いて送信されているため、ある特定の周波数を利用して送信されたSRSとなっている。そのため、無線品質測定部105は、その周波数を用いて送信されたSRSに対する無線回線品質を測定することで、その上り周波数の無線回線品質を測定することが可能となる。
次に、基地局100は、上り周波数を選択する(S34)。例えば、上り周波数制御部1060が、S33で測定した上り無線回線品質が所要品質(又は閾値)以上となっているか否かにより選択してもよい。ここでは、上り無線回線品質が閾値未満となり、所要品質を満たさないとして、以下説明する。
次に、基地局100は、up link frequecy change requestを含むContention Resolution(Message 4)(以下、「Message 4」と称する場合がある。)を、端末200へ送信する(S35)。up link frequecy change requestは、例えば、SRSを送信する周波数の変更を要求するSRS送信周波数変更要求メッセージである。S32で、端末200が送信したSRSに関し、そのSRS送信に用いた上り周波数の無線回線品質は、所要品質を満たさなかった。そのため、up link frequecy change requestにより、S32でSRS送信に用いた上り周波数と異なる上り周波数を用いてSRSを送信することを、基地局100が端末200に要求するようにしている。up link frequecy change requestには、例えば、変更後のSRS送信周波数が含まれる。例えば、上り周波数制御部1060は、上り無線回線品質が閾値未満であることを確認すると、メモリ107から、変更後の上り周波数の情報を読み出して、この情報を含むup link frequecy change requestを作成して、端末200へ送信する。この場合も、上り周波数は、例えば、システム情報として基地局100が送信した、SRS送信に関する制御情報において無線リソース作成のパラメータにより作成される無線リソースに含まれる周波数となっている。なお、Message 4は、例えば、RRC接続設定要求(又は接続セットアップメッセージ)でもある。
そして、処理は、再び、S30へ移行する。すなわち、端末200は、SRS送信用プリアンブルを、基地局100へ送信する(S30)。
次に、基地局100は、SRS requestを含むRARを、端末200へ送信する(S31)。この際、RARの「UL grant」には、例えば、S35で送信したSRS送信周波数と同じ無線リソースに関する情報が含まれる。例えば、ランダムアクセス制御部1063は、このような無線リソースを選択して、RARの「UL grant」領域に挿入すればよい。
次に、端末200は、S35で指定された上り周波数で、Message 3とSRSを送信する(S32)。
次に、基地局100は、受信したSRSを利用して上り無線回線品質を測定し(S33)、上り周波数を選択する(S34)。ここでは、例えば、基地局100は、上り無線回線品質は閾値以上であり、所要品質を満たすと判断する。
次に、基地局100は、所要品質を満たす上り周波数を含むup link frequecy change requestを作成する。そして、基地局100は、up link frequecy change requestを含むMessage 4を、端末200へ送信する(S35)。例えば、上り周波数制御部1060は、上り無線回線品質が閾値以上と判断したとき、S32でSRSを受信した際に用いた上り周波数(又はS35で指定した上り周波数、或いはS31で「UL Ggrant」で送信した上り周波数)を選択する。
例えば、1回目のS32でSRSを送信した周波数が、組の上り周波数のとき、基地局100では、組の上り周波数による上り無線回線品質は所要品質を満たさないと判断する。
一方、例えば、2回目のS32でSRSを送信した周波数が、SUL周波数のとき、基地局100では、SUL周波数による上り無線回線品質は所要品質を満たすと判断する。この場合、基地局100と端末200は、SUL周波数を用いた無線回線の設定を行うことになる。
このように、本動作例2では、ランダムアクセス手順において、組となる上り周波数を用いたSRSと、SUL周波数を用いたSRSとを、端末200が送信することが可能となっている。そして、ランダムアクセス手順において、基地局100は、組である上り周波数かSUL周波数かいずれかを選択することができる。
これにより、例えば、動作例2においても、動作例1と同様に、2つの周波数を利用して送信されたSRSにより、2つの上り無線回線品質を測定し、無線回線品質のよい上り周波数を選択することが可能となる。従って、下り無線回線品質から上り周波数を選択する場合と比較して、上り通信のスループットを改善させることが可能となる。
なお、上述した例は、S30からS35の処理を2回繰り返した例について説明した。例えば、S30からS35の処理を3回以上繰り返してもよい。この場合、基地局100は、毎回、S32において送信されるSRSの送信周波数を変更し、異なる送信周波数で端末200からSRSを送信させるようにする。基地局100では、毎回、上り無線回線品質を測定し、全ての上り周波数の中で、最良となる上り周波数を選択してもよい。或いは、基地局100は、閾値を超えたときの上り周波数を選択するようにしてもよい。或いは、基地局100と端末200は、S30からS35の処理を1回だけ行い、そのときの上り無線回線品質が閾値以上となっているときは、その上り周波数(例えば、組となる上り周波数)を選択するようにしてもよい。
また、上述した例では、SRS送信用のランダムアクセスプリアンブルについて説明した。このSRS送信用のランダムアクセスプリアンブルは、例えば、端末200個別に1つのプリアンブルであってもよいし、複数のプリアンブルであってもよい。複数の場合、端末200は、システム情報として送信された、複数のSRS送信用ランダムアクセスプリアンブルから任意の1つを選択して、送信する(S30)ことになる。
さらに、上述した例では、SRSがS32で送信される例を説明した。例えば、S30により、SRS送信用のランダムアクセスプリアンブルとともにSRSが送信されてもよい。この場合、端末200は、例えば、システム情報で受信した、SRS送信に関する制御情報に含まれるパラメータを利用して無線リソースを算出し、算出した無線リソースを用いて、RAPとSRSを送信する。
具体的には、端末200では、例えば、以下の処理を行う。すなわち、SRS送信制御部2060は、SRS送信に関する制御情報に含まれるパラメータを利用して無線リソースを算出して、送信無線部211へ指示する。また、ランダムアクセス制御部2063は、RAPを作成して、送信無線部211へ向けて出力する。さらに、SRS作成部209は、SRS送信制御部2060の指示に従って、SRSを作成して、送信無線部211へ向けて出力する。送信無線部211からは、指示された無線リソースを利用して、RAPとSRSが送信される。
<3.動作例3 SUL周波数の端末毎の設定>
図11と図12は、動作例3におけるシーケンス例を表す図である。動作例3は、例えば、SUL周波数を端末200毎に設定する動作例である。
図11に示すように、端末200は、セル選択により、基地局100を選択する(S40)。
次に、基地局100は、組である上り周波数fxと、組である下り周波数fyを含むシステム情報を送信する(S41)。例えば、システム情報設定管理部1061は、メモリ107から2つの周波数fx,fyを読み出し、これらの周波数を含むシステム情報を作成して送信する。端末200は、基地局100から送信されたシステム情報を受信する。
次に、基地局100と端末200は、組である上り周波数fxと、組である下り周波数fyとによる無線回線設定を行う(S42)。基地局100と端末200は、通常のランダムアクセス手順に従って、2つの周波数fx,fyによる無線回線を設定する。
次に、基地局100は、上り周波数fxにおけるSRS送信に関する制御情報(「SRS送信制御情報#2」)を、端末200へ送信する(S43)。基地局100は、SRS送信に関する制御情報とともに、上り周波数fxを用いたSRS送信要求を端末200へ送信してもよい。
次に、端末200は、S43で受信したSRS送信に関する制御情報を利用して、SRSを作成し、上り周波数fxを算出し、作成したSRSを上り周波数fxを用いて送信する(S44)。この場合のSRSは、例えば、図8(B)に示すように、上り周波数fx内の無線リソースを基地局100において選択するためのものである。
図11に戻り、次に、基地局100は、上り無線回線品質を測定する(S45)。例えば、無線品質測定部105は、上り周波数fxを用いて送信されたSRSを用いて、上り無線回線品質を測定する。
次に、基地局100は、上り無線リソースを選択する(S46)。例えば、無線リソース制御部1065は、上り無線回線品質を無線品質測定部105から受け取り、上り無線回線品質が閾値(又は所要品質)以上であれば、S44で用いた上り周波数fxを選択し、そうでないときは、上り周波数fxを選択しない。ここでは、無線リソース制御部1065は、上り無線回線品質が閾値より低いため、上り周波数fxを選択しないものとして、以下説明する。
例えば、上り周波数fxの無線回線品質は、ランダムアクセス手順が成功できるレベルではあるものの、ユーザーデータを送信するレベル(QoS(Quality of Service)など)ではない場合となっている。従って、閾値は、このQoSに対応する値であってもよい。
基地局100は、組である上り周波数fxによる上り無線回線品質が所要品質を満たさない場合、複数のSUL周波数候補(f1,f2,f3,…)通知を送信する(S47)。例えば、無線制御部1062は、メモリ107から、複数のSUL周波数候補を読み出して、SUL周波数候補通知を作成し、端末200へ向けて送信する。この際、無線制御部1062は、S42で設定した下り周波数fyを用いてSUL周波数候補通知を送信するように、送信無線部110へ指示する。これにより、送信無線部110からは、SUL周波数候補通知が下り周波数fyを用いて送信される。
次に、基地局100は、SUL周波数候補f1,f2,…におけるSRS送信に関する制御情報を端末200へ送信する(S48)。このとき、基地局100は、例えば、端末200を識別するSRS送信用端末識別子を、SRS送信に関する制御情報に含めてもよい。図11では、SRS送信用端末識別子として、RNTI(Radio Network Temporary Identification)(又はSRS送信用RNTI)を用いている。これにより、例えば、基地局100では、後段のSRS送信において、端末200から送信された複数のSRSと、他の端末から送信された複数のSRSとを識別することが可能となる。なお、基地局100は、SRS送信に関する制御情報とともに、SRS送信要求を、端末200へ送信してもよい。
例えば、基地局100では、以下の処理を行う。すなわち、無線制御部1062は、メモリ107から、SUL周波数候補f1におけるSRS送信に関する制御情報、SUL周波数候補f2におけるSRS送信に関する制御情報などを読み出す。また、無線制御部1062は、メモリ107から、SRS送信用RNTIを読み出す。無線制御部1062は、SRS送信用RNTIを含むSRS送信に関する制御情報を作成し、端末200へ向けて送信する。さらに、無線制御部1062は、SRS送信要求を作成し、制御情報とともに、端末200へ送信してもよい。なお、SRS送信用RNTIの値は、SUL周波数や上り周波数fxと組である下り周波数fyに対してそれぞれ異なる値であってもよいし、少なくとも一部の周波数に対して同一の値であってもよい。
次に、端末200は、複数のSUL周波数候補を各々用いてSRSを送信する(S49)。例えば、SRS送信制御部2060は、SUL周波数候補f1に関する制御情報(S48)を利用して、SUL周波数候補f1のSRSを送信し、SUL周波数候補f2に関する制御情報(S48)を利用して、SUL周波数候補f2のSRSを送信する。
なお、端末200は、複数のSUL周波数候補f1,f2,…のうち、端末200において対応していない(又は送信することができない)周波数が存在する場合がある。この場合、端末200は、対応していないSUL周波数を用いたSRSを送信しなくてもよく、対応するSUL周波数を用いて、SRSを送信すればよい。
次に、基地局100は、複数のSUL周波数候補を各々用いて送信されたSRSを利用して、複数の上り無線回線品質を測定する(S50)。
そして、基地局100は、複数のSUL周波数候補の中から、上り周波数を選択する(S51)。例えば、上り周波数制御部1060は、複数の上り無線回線品質のうち、最良の上り無線回線品質を有するSUL周波数候補を選択する。図11の例では、上り周波数制御部1060は、SUL周波数候補f2を選択する。以後、SUL周波数候補f2は、候補ではなく、SUL周波数f2として用いられる。
次に、基地局100は、周波数変更通知を端末200へ送信する(図12のS52)。上り周波数は、図12の例では、S42で無線回線設定した、組である上り周波数fxから、S51で選択したSUL周波数f2へ変更される。例えば、上り周波数制御部1060は、S51で選択したSUL周波数f2を変更後の周波数として、制御信号作成部108などを介して、端末200へ送信する。
次に、基地局100と端末200は、変更後の上り周波数(SUL周波数f2)と、組である下り周波数fyとを用いた無線回線設定を行う(S53)。ここでは、例えば、SUL周波数f2と下り周波数fyとを用いた通常のランダムアクセス手順を行って、無線回線設定を行えばよい。
以降、S54からS56までは、例えば、図8(B)で説明した上り無線リソースの選択のための処理である。
すなわち、基地局100は、SUL周波数f2におけるSRS送信に関する制御情報(「SRS送信制御情報#2」)を端末200へ送信する(S54)。この際、基地局100は、SRS送信要求を、制御情報とともに送信してもよい。端末200は、受信したSRSに関する制御情報を利用して、SUL周波数f2を用いてSRSを送信する(S55)。基地局100は、受信したSRSを利用して、SUL周波数f2内における上り無線リソースを選択する(S56)。そして、基地局100は、スケジューリング結果として、選択した上り無線リソースを含む上り送信用無線リソースを端末200へ送信する(S57)。端末200は、上り送信用無線リソースを利用して、ユーザーデータを基地局100へ送信する(S58)。
このように本動作例3では、無線回線設定した、組である上り周波数fxが所要品質を満たさないとき、基地局100は、複数のSUL周波数候補の中から、端末200毎にSUL周波数を設定することが可能となっている。図11の例では、基地局100は、端末200に対しては、SUL周波数f2を設定したが、SUL周波数候補f1,f2,…の中から、他のSUL周波数を設定してもよい。また、基地局100は、他の端末に対しても、SUL周波数候補f1,f2,…の中から、いずれかのSUL周波数を設定するようにしてもよい。
従って、例えば、動作例3においても、動作例1と同様に、組である上り周波数fx(S44)とSUL周波数(S49)とを利用して送信されたSRSにより、無線回線品質の良い上り周波数を選択することが可能となる。
また、本動作例3では、基地局100では、複数のSUL周波数の中から、SUL周波数を選択することが可能である。さらに、基地局100と端末200は、SUL周波数を変更し、変更後のSUL周波数を用いて上り通信が可能となる。この際、基地局100では、端末200毎に、SRSを用いて、最適なSUL周波数を選択することができ、端末200個別にSUL周波数を制御することが可能である。
よって、本動作例3における通信システム10では、下り無線回線品質から上り周波数を選択する場合と比較して、上り通信のスループット改善を図ることが可能となる。
<4.動作例4 ランダムアクセス手順が失敗した場合のSUL周波数の端末毎の設定>
動作例3では、ランダムアクセス手順が成功した場合の例について説明した。動作例4では、ランダムアクセス手順が失敗した場合のSUL周波数の端末毎の設定について説明する。
なお、動作例4には、2つの動作例がある。1番目は、基地局100が複数のSUL周波数候補f1,f2,…の中からSUL周波数を設定する例(動作例4-1)である。2番目は、基地局100がSUL周波数f1による無線回線を設定後、所要品質を満たさないため、他の複数のSUL周波数候補f2,f3,…からSUL周波数を設定する例(動作例4-2)である。最初に動作例4-1を説明する。
<4.1 動作例4-1>
図13と図14は動作例4-1のシーケンス例を表す図である。
図13に示すように、端末200は、セル選択により、基地局100を選択する(S60)。
次に、基地局100は、SUL周波数候補f1,f2,f3,…を含むシステム情報を送信(又は報知)する(S61)。端末200は、このシステム情報を受信する。
例えば、基地局100のシステム情報設定管理部1061は、メモリ107からSUL周波数候補f1,f2,f3,…を読み出し、これらを含むシステム情報を作成して、端末200へ送信する。また、例えば、端末200のシステム情報設定管理部2061は、基地局100から送信されたシステム情報を受信する。
次に、基地局100と端末200は、通常のランダムアクセス手順により無線回線設定を行うが、ランダムアクセス手順を失敗する(S62)。この場合に無線回線設定を行おうとした周波数は、FDDの場合、組である上り周波数fxと組みである下り周波数fy、TDDの場合、周波数fxである。
次に、基地局100は、複数のSUL周波数候補f1,f2,…におけるSRS送信に関する制御情報(「SRS送信制御情報#1」)を、端末200へ送信する(S63)。この場合も、基地局100は、動作例3(図11のS48)と同様に、各端末200を識別するために、SRS送信用端末識別子として、SRS送信用RNTIを含む、SRS送信に関する制御情報を送信する。また、基地局100は、SRS送信要求も、制御情報とともに送信してもよい。
次に、端末200は、複数のSUL周波数候補の各々を用いてSRSを送信する(S64)。
次に、基地局100は、各SUL周波数候補を用いた送信されたSRSに基づいて、各上り無線回線品質を測定し(S65)、上り周波数を選択する(S66)。この場合も、基地局100は、複数の上り無線回線品質のうち最良の品質を有するSUL周波数候補を選択してもよい。図13の例では、基地局100は、SUL周波数候補f2を選択する。
次に、基地局100は、選択したSUL周波数(f2)を端末200へ送信する(S67)。
そして、基地局100と端末200は、SUL周波数f2に対する無線回線設定を行う(S68)。無線回線設定対象の周波数は、FDDの場合、SUL周波数f2と、組である下り周波数fy、TDDの場合、SUL周波数f2と組みである下り周波数fxとなる。
以降、S69から図14のS71は、SUL周波数f2内における無線リソース選択のための処理となる。すなわち、基地局100は、SUL周波数f2におけるSRS送信に関する制御情報(「SRS送信制御情報#2」)を、端末200へ送信する(S69)。この際、基地局100は、制御情報とともに、SRS送信要求を送信してもよい。次に、端末200は、SUL周波数f2を用いてSRSを、基地局100へ送信する(S70)。基地局100は、制御情報とともに、SRS送信要求を送信してもよい。そして、基地局100は、SRSに基づいて、SUL周波数f2内における上り無線リソースを選択し(図14のS71)、選択した上り無線リソースを、上り送信用無線リソースとして、端末200へ送信する(S72)。端末200は、SUL周波数f2を用いて、ユーザーデータを送信する(S73)。
<4.2 動作例4-2>
図15と図16は、動作例4-2のシーケンス例を表す図である。
図15に示すように、端末200は、セル選択により、基地局100を選択する(S80)。
次に、基地局100は、システム情報を送信(又は報知)する(S81)。FDDの場合、システム情報には、SUL周波数f1と、組の周波数(組である上り周波数fxと組みである下り周波数fy)とが含まれる。また、TDDの場合、システム情報には、SUL周波数f1と、周波数fxとが含まれる。例えば、システム情報設定管理部1061は、メモリ107からこれらの周波数に関する情報を読み出して、システム情報に含めて送信すればよい。端末200は、基地局100から送信されたシステム情報を受信する。
次に、基地局100と端末200は、通常の無線回線設定を行うが、失敗する(S82)。無線回線設定の対象周波数は、FDDの場合、組である上り周波数fxと組みである下り周波数fy、TDDの場合、周波数fxである。
なお、TDDの場合の周波数fxは、例えば、そのタイミングによって、下り周波数と上り周波数となり得るため、周波数fxは、組である下り周波数と、組である上り周波数に分けることも可能である。
次に、基地局100と端末200は、SULを用いたランダムアクセス手順により無線回線設定を行う(S83)。この場合、無線回線設定の対象周波数は、FDDの場合、SUL周波数と組みである下り周波数fy、TDDの場合、SUL周波数と組みである下り周波数fxとなる。
S84からS87までは、無線回線設定されたSUL周波数f1に対する、上り無線リソース選択のための処理となる。すなわち、基地局100は、SUL周波数f1におけるSRS送信に関する制御情報(「SRS送信制御情報#2」)を端末200へ送信する(S84)。この際、基地局100は、制御情報とともにSRS送信要求を送信してもよい。次に、端末200は、この制御情報に基づいて、SUL周波数f1を用いて、SRSを送信する(S85)。そして、基地局100は、受信したSRSに基づいて、上り無線回線品質を測定し(S86)、SUL周波数f1内の上り無線リソースを選択する(S87)。しかし、基地局100は、図15の例では、SUL周波数f1が所要品質を満たすことができず、SUL周波数f1を選択することができないと判断する。
次に、基地局100は、複数のSUL周波数候補f2,f3,…を送信する(S88)。また、基地局100は、複数のSUL周波数候補f2,f3,…におけるSRS送信に関する制御情報(「SRS送信制御情報#1」)を送信する(S89)。このとき、基地局100は、制御情報とともに、SRS送信要求を送信してもよい。次に、端末200は、複数のSUL周波数候補f2,f3,…の各々の周波数を用いてSRSを送信する(S90)。
基地局100は、複数のSRSに基づいて、複数の上り無線回線品質を測定し(S91)、SUL周波数候補からSUL周波数を選択する(図16のS92)。図16の例では、基地局100は、SUL周波数f2を選択する。
次に、基地局100は、変更後のSUL周波数f2を送信する(S93)。
そして、基地局100と端末200は変更後のSUL周波数f2を用いた無線回線設定を行う(S94)。この場合、無線回線設定の対象周波数は、FDDの場合、上り周波数はSUL周波数f2、下り周波数は組である周波数fy、TDDの場合、上り周波数はSUL周波数f2、下り周波数は組である周波数fyとなる。
以降は、変更後のSUL周波数f2内における無線リソース選択のための処理となる。すなわち、基地局100は、SUL周波数f2におけるSRS送信に関する制御情報(「SRS送信制御情報#2」)を端末200へ送信する(S95)。このとき、基地局100は、制御情報とともに、SRS送信要求を送信してもよい。端末200は、SUL周波数f2を用いてSRSを送信する(S96)。基地局100は、受信したSRSに基づいて、SUL周波数f2が所要品質を満たすものとして、SUL周波数f2内の上り無線リソースを選択し(S97)、上り送信用無線リソースを端末200へ送信する(S98)。端末200は、SUL周波数f2を用いて、ユーザーデータを送信する(S99)。
動作例4-1,4-2においては、通常のランダムアクセス手順が失敗した場合、基地局100は、複数のSUL周波数候補の中から、端末200毎に、SUL周波数を設定することが可能となる。その際、基地局100は、複数のSUL周波数候補におけるSRS送信に関する制御情報を送信し、端末200は、複数のSUL周波数候補の各々を利用したSRSを送信する。そして、基地局100は、複数のSUL周波数候補の中からSUL周波数を選択している。
従って、動作例4-1,4-2においても、基地局100は、例えば、複数のSUL周波数の中から、SUL周波数を選択することが可能となる。また、基地局100と端末200は、SUL周波数を変更し、変更後のSUL周波数で上り通信が可能となる。この際、基地局100では、端末200毎に、SRSを用いて、最適なSUL周波数を選択することが可能となり、端末200個別にSUL周波数を設定することが可能となる。
よって、本動作例3における通信システム10では、下り無線回線品質から上り周波数を選択する場合と比較して、上り通信のスループット改善を図ることが可能となる。
なお、動作例4-1,4-2は、例えば、下り周波数を変更することなく上り周波数を変更しているため、上り周波数については、異周波数へのハンドオーバと考えることも可能である。
<5.動作例5 測定ギャップを利用したSRS送信>
LTEでは、例えば、端末200が接続先の基地局100ではなく他の基地局へハンドオーバするとき、他の基地局との間の下り無線回線品質を測定するために、測定ギャップ(measurement gap)と呼ばれる無通信期間(GAP)が設定されている。端末200は、無通信期間を利用して、他の基地局から送信された信号を受信して、その通信品質を測定する。
本動作例5では、例えば、無通信期間(new GAP)を設ける。端末200は、無通信期間で、測定対象の周波数を利用してSRSを送信する。測定対象の周波数としては、例えば、組である上り周波数とSUL周波数がある。従来の(LTEの)測定ギャップは、端末200が下り無線回線品質を測定するための無通信期間であるが、ここでは、基地局100が上り無線回線品質を測定するために、端末200がSRSを送信するための期間である。接続中(接続先)の基地局100との通信を停止することから無通信期間とも言える。
図17(A)と図17(B)はTDDの場合の無通信期間の設定例を表す図である。図17(A)は通信中の周波数faにおける設定例、図17(B)は測定対象の周波数fbにおける設定例をそれぞれ表す。なお、図17(A)などにおける1つの枠は、例えば、サブフレーム(期間)を表す。
図17(A)に示すように、基地局100は、あるタイミングで下り通信を利用して、SRS送信に関する制御情報を送信し、端末200は、SRS送信に関する制御情報を受信する。
基地局100は、SRS送信に関する制御情報に、無通信期間の開始時間や長さなど、無通信期間に関する情報を含めて、端末200へ送信する。これにより、図17(B)に示すように、無通信期間(GAP)において、端末200は、測定対象周波数fbを用いてSRSを送信する。
基地局100では、例えば、以下の処理を行う。すなわち、無線制御部1062は、測定対象の周波数fbが算出可能なパラメータと、無通信期間に関する情報などを含む、SRS送信に関する制御情報を作成する。無線制御部1062は、送信無線部110を制御して、通信中の周波数faにおける、ある下り通信の期間において、SRS送信に関する制御情報を送信する。一方、端末200のSRS送信制御部2060では、SRS送信に関する制御情報に基づいて、SRSを作成し、測定周波数fbを算出し、測定周波数fbを用いてSRSを送信する。
図17(C)から図17(F)はFDDの場合の無通信期間の設定例を表す図である。このうち、図17(C)と図17(D)は、通信中の周波数faにおける下り通信(fa_dl)と上り通信(fa_ul)の設定例をそれぞれ表す。また、図17(E)と図17(F)は、測定周波数fbにおける下り通信(fb_dl)と上り通信(fb_ul)の設定例をそれぞれ表す。
図17(C)に示すように、基地局100は、通信中の周波数faを用いて、SRS送信に関する制御情報を端末200へ送信する。制御情報には、TDDの場合と同様に、無通信期間の開始時間や長さなど、無通信期間に関する情報が含まれる。そして、図17(F)に示すように、端末200は、SRS送信に関する制御情報に基づいて、SRSを作成し、測定用の上り周波数fbを算出し、上り通信期間において、上り周波数fbを用いて、SRSを送信する。
TDDの場合でも、FDDの場合でも、基地局100は、測定周波数fbを、組である上り周波数やSUL周波数とすることが可能である。これにより、端末200は、端末200は、設定された無通信期間において、組である上り周波数を用いてSRSを送信し、次の設定された無通信期間において、SUL周波数を用いてSRSを送信することが可能となる。以後、動作例1などと同様に、基地局100は、例えば、SRSに基づいて上り無線回線品質を測定し、組である上り周波数又はSUL周波数を選択すればよい。なお、上記では、組である上り周波数とSUL周波数の間で上り周波数を変更する場合で説明したが、同様に複数のSUL周波数間で上り周波数を変更することも可能である。
図18(A)から図18(F)は、無通信期間の他の設定例を表す。図17(A)から図17(F)では、通信中の周波数faを用いて、制御情報を送信した。図18(A)から図18(F)では、測定対象の周波数fbを用いて、制御情報を送信する例を表している。
すなわち、最初の無通信期間で、基地局100が、SRS送信に関する制御情報を、測定対象の周波数fb(又はfb_dl)を利用して送信する。そして、次の無通信期間で、端末200が、周波数fb(又はfb_ul)を利用して、SRSを送信する。この場合も、測定対象周波数fbを、組である上り周波数やSUL周波数とすることで、端末200では、組である上り周波数やSUL周波数を用いてSRSを送信することが可能となる。
以上、動作例1~5まで説明した。
<6.動作例2における基地局の動作例>
次に、動作例2の基地局100における動作例について説明する。動作例2は説明したため、主に、上り周波数選択の処理(図9のS34)について説明する。
図19と図20は、基地局100における動作例を表すフローチャートである。
基地局100は、処理を開始すると(S100)、システム情報を送信する(S101)。システム情報には、組である上り周波数fu_0と、複数のSUL周波数fu_1,…,fu_k、ランダムアクセス制御情報、及びSRS送信に関する制御情報等が含まれる。
次に、基地局100は、nに「0」を設定し(n=0)、RSRP_maxに「0」を設定する(S102)。ここで、例えば、nは、繰り返し回数(1≦n≦k)であり、RSRP_maxは、上り無線回線品質の最大値をそれぞれ表す。無線回線品質としては、例えば、RSRPを用いる。例えば、ランダムアクセス制御部1063は、メモリ107に、n=0とRSRP_max=0を記憶する。
次に、基地局100は、組である上り周波数fu_0(fu_nにおいて、n=0)を用いて、端末200から送信されたRAPを受信する(S103)。図9のS30に対応する処理である。例えば、ランダムアクセス制御部1063が、RAPを受信する。
図19に戻り、次に、基地局100は、組である下り周波数fd_0を用いて、RARを送信する(S104)。図9のS31で説明したように、例えば、ランダムアクセス制御部1063は、RARのMACペイロードにおける「R」領域に「1」を含ませて、RARを送信する。
図19に戻り、次に、基地局100は、組である上り周波数fu_0を用いて、端末200から送信された、Message 3とSRSを受信する(S105)。図9のS32に対応する。例えば、ランダムアクセス制御部1063は、周波数fu_0でSRSを受信する。
図19に戻り、次に、基地局100は、無線回線品質を測定する(S106)。図9のS33に対応する。例えば、上り周波数制御部1060は、S105で受信したSRSに基づいて、RSRPを測定し、無線回線品質RSRP_fu_0として、メモリ107に記憶する。
次に、基地局100は、測定した無線回線品質RSRP_fu_0が、無線回線品質の最大値RSRP_maxより大きいか否かを判定する(S107)。例えば、上り周波数制御部1060は、メモリ107から、測定した無線回線品質RSRP_fu_0と、無線回線品質の最大値RSRP_maxとを読み出して、比較すればよい。
基地局100は、測定した無線回線品質RSRP_fu_0が無線回線品質の最大値RSRP_maxよりも大きいとき(S107でYes)、無線回線品質の最大値RSRP_maxを、測定した無線回線品質RSRP_fu_0とし、fu=0とする(S108)。ここで、fuは、例えば、上り周波数の番号を表す。例えば、上り周波数制御部1060は、無線回線品質の最大値RSRP_maxに測定した無線回線品質RSRP_fu_0を代入し、RSRP_max=RSRP_fu_0と、fu=0とをメモリ107に記憶する。
一方、基地局100は、測定した無線回線品質RSRP_fu_0が無線回線品質の最大値RSRP_max以下のとき(S107でNo)、S108の処理を行うことなく、図20のS109へ移行する。
基地局100は、図19のS108を終了したとき、又は、S107でNoと判定したとき、繰り返し回数nが「k」になったか否かを判定する(図20のS109)。
基地局100は、繰り返し回数n=kではないとき(S109でNo)、下り周波数fd_0を用いて、up link frequency change requestを含むMessage 4を送信する(S110)。上り周波数変更要求には、例えば、変更後の上り周波数fu_1とSRS送信要求とが含まれる。そして、再び、図19のS103へ移行して、変更後の上り周波数fu_1によるランダムアクセス手順を行う(S103~S105)。
そして、基地局100は、上り周波数fu_1で送信されたSRSを利用して、無線回線品質を測定し(S106)、測定した無線回線品質RSRP_fu_1が無線回線品質の最大値RSRP_maxを超えるか否かを判定する(S107)。基地局100は、超えると(S107でYes)、無線回線品質の最大値RSRP_maxを、測定した無線回線品質RSRP_fu_1とするとともに、fu=1に設定し(S108)、そうでないと(S107でNo)、無線回線品質の最大値RSRP_maxを維持する。
以後、このように、SUL周波数候補の全て(n=k)について、無線回線品質を測定し、最良の周波数を上り周波数として選択する(図20のS111)。
例えば、図19のS108により、無線回線品質の最大値が、RSRP_maxとしてメモリ107に記憶され、無線回線品質が最大値となるときの上り周波数の番号nがメモリ107に記憶される。基地局100は、メモリ107に記憶された番号nを確認することで、上り周波数を設定する。
すなわち、基地局100は、fu=nの番号を持つ上り周波数fu_nを、上り周波数に設定する。例えば、上り周波数制御部1060は、メモリ107から、fu=nを読み出して、n=0のとき、組の上り周波数fu_0を上り周波数fu=n、n≠0のとき、無線回線品質が最良のSUL周波数fu_1,…,fu_kを上り周波数fu_nに設定する。上り周波数制御部1060は、設定した上り周波数fu_nを送信無線部110へ出力する。
次に、基地局100は、Message 4と、設定した上り周波数fu_nとを、端末200へ送信する(S112)。そして、基地局100は、無線回線設定を終了し(S113)、一連の処理を終了する(S114)。
このように、図19及び図20の例は、最良の上り無線回線品質を有する上り周波数fu_nを選択する場合の動作例を表している。
図21と図22も、動作例2における基地局100の動作例を表すフローチャートである。図21と図22では、基地局100が、閾値よりも大きい測定無線回線品質を上り周波数fu_nに設定する例を表している。
すなわち、基地局100は、n=0に設定し(S121)、一連のランダムアクセス手順を行って(S103~S105)、無線回線品質を測定し(S106)、測定無線回線品質RSRP_fu_nが、閾値RSRP_thよりも大きいか否かを判定する(S122)。
基地局100は、測定無線回線品質RSRP_fu_nが、閾値RSRP_thよりも大きいとき(S122でYes)、fu=nに設定し(S123)、fu=nの番号を持つ上り周波数fu_nを、上り周波数に設定する(S111)。
一方、基地局100は、測定無線回線品質RSRP_fu_nが、閾値RSRP_th以下のとき(S122でNo)、S103へ移行して、上述した処理を繰り返す(S103からS110のループ)。
このような判定(S122)や上り周波数fu_nの設定(S123,図22のS111)などは、例えば、上り周波数制御部1060で行われる。
図23と図24も、動作例2における基地局100における動作例を表すフローチャートである。図23と図24では、基地局100が、上り無線回線品質が最良で、かつ、閾値以上の上り周波数を選択する例を表している。
すなわち、基地局100は、無線回線品質を測定し(S106)、測定無線回線品質RSRP_fu_nが、無線回線品質の最大値RSRP_maxよりも大きく、かつ、閾値RSRP_thよりも大きいか否かを判定する(S131)。
基地局100は、測定無線回線品質RSRP_fu_nが、無線回線品質の最大値RSRP_maxよりも大きく、かつ、閾値RSRP_thよりも大きいとき(S131でYes)、最大値RSRP_maxを、測定無線回線品質RSRP_fu_nにする。また、基地局100は、fu=nに設定する(S108)。そうでないとき(S131でNo)、無線回線品質の最大値RSRP_maxとfuとを維持する。
そして、基地局100は、全てのSUL周波数fu_1,…,fu_kまで、繰り返し(S109でYes)、上り周波数fu_nを設定する。すなわち、基地局100は、n=0のとき、組となる上り周波数fu_0を上り周波数fu_nに設定する。また、基地局100は、n≠0のとき、最良のSUL周波数fu_1,…,fu_kを上り周波数fu_0に設定する(S111)。
このような判定(S131)や設定(S108,S111)は、例えば、上り周波数制御部1060で行われる。
[その他の実施の形態]
次に、その他の実施の形態について説明する。
図25は、通信システム10の構成例を表す図である。
通信システム10は、基地局100と端末200とを備える。基地局100は、セル範囲に在圏する端末200に対してサービスを提供する無線通信装置である。一方、端末200は、スマートフォンやフィーチャーフォン、タブレット端末などの無線通信装置である。基地局100と端末200は、下り周波数と組となる第1の上り周波数と、第1の上り周波数とは異なる第2の上り周波数の何れかと、下り周波数とを用いて、無線通信を行うことが可能である。
基地局100は、第1の無線制御部150と第1の受信部155とを備える。
第1の無線制御部150は、第1及び第2の上り周波数をそれぞれ用いて第1及び第2の上り参照信号を送信することを要求する上り参照信号送信要求と第1及び第2の上り参照信号に関する制御情報とを端末200へ送信する。また、第1の無線制御部150は、第1又は第2の上り周波数に関する周波数制御情報を端末200へ送信する。
第1の受信部155は、端末200から第1及び第2の上り周波数をそれぞれ用いて送信された第1及び第2の上り参照信号を受信する。
端末200は、第2の受信部250と第2の無線制御部255を備える。
第2の受信部250は、基地局100から送信された、上り参照信号送信要求と第1及び第2の上り参照信号に関する制御情報とを受信する。また、第2の受信部250は、周波数制御情報を受信する。
第2の無線制御部255は、上り参照信号送信要求と制御情報に基づいて、第1及び第2の上り周波数をそれぞれ用いて第1及び第2の上り制御信号を基地局100へ送信する。
このように、本実施の形態では、基地局100は、第1及び第2の上り周波数をそれぞれ用いて第1及び第2の上り参照信号を端末200から送信させるようにしている。例えば、第1の上り周波数が組となる上り周波数、第2の上り周波数がSUL周波数の場合、基地局100は、組となる上り周波数を用いた第1の参照信号と、SUL周波数を用いた第2の参照信号とを、端末200から送信させている。この場合、基地局100は、第1及び第2の参照信号を受信して、第1の上り周波数又は第2の上り周波数を選択するようにしている。そして、基地局100は、2つの参照信号から、第1の上り周波数における無線回線品質と、第2の上り周波数における無線回線品質を測定することが可能となり、この2つの測定結果に基づいて、第1又は第2の上り周波数を選択することが可能となる。
よって、本通信システム10は、第1及び第2の上り周波数をそれぞれ用いて第1及び第2の上り参照信号を端末200から送信させているため、これらを利用して、上り周波数を選択することが可能となる。したがって、本通信システム10は、下り無線回線品質から上り周波数を選択する場合と比較して、上り通信のスループット改善を図ることが可能となる。
なお、第1の無線制御部150と第1の受信部155は、例えば、第1の実施の形態における無線制御部106と受信部120にそれぞれ対応する。また、第2の無線制御部255と第2の受信部250は、例えば、第1の実施の形態における無線制御部206と受信部220にそれぞれ対応する。
なお、上り周波数および下り周波数の設定は、例えば、非特許文献39に記載の周波数を用いることが想定されるがそれ以外の周波数でもよい。例えば、新たな周波数帯が定義された場合は、その周波数を用いてもよい。