JP7277780B2 - クランクシャフトの形状検査方法及び形状検査装置 - Google Patents
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Description
図1に示すように、クランクシャフトSは、クランクシャフトSの回転中心軸Lに設けられたフロントSAと、回転中心軸Lに設けられた複数のジャーナルSB(図1に示す例では、第1ジャーナルSB1~第5ジャーナルSB5)と、回転中心軸Lに設けられた回転バランスを取るための複数のカウンタウェイトSC(図1に示す例では、第1カウンタウェイトSC1~第8カウンタウェイトSC8)と、回転中心軸L周りの所定角度の位置に設けられたコネクティングロッド(図示せず)を取り付けるための複数のピンSD(図1に示す例では、第1ピンSD1~第4ピンSD4)と、回転中心軸Lに設けられたフランジSEと、を備えている。ピンSDの断面形状は、回転中心軸Lから離間した位置を中心とする円形であり、エンジンの軸部に相当するクランクシャフトSの軸部であるフロントSA、ジャーナルSB及びフランジSEの断面形状は、クランクシャフトSの回転中心軸Lを中心とする円形である。カウンタウェイトSCの断面形状は、左右対称の複雑な形状である。
上記(a)及び(b)は、クランクシャフトの最終製品としての寸法精度や重量バランスを達成するために必要な条件として設定されている。クランクシャフトの曲がりが大きい、又は、ねじれが大きくピンの設置位置が所定角度から大きくずれていると、後工程でどのような加工を施したとしても、クランクシャフトの最終製品としての寸法精度や重量バランスを達成することが困難になるからである。また、欠肉や凹み疵によってカウンタウェイトの形状が設計通りにはならずに重心がずれた場合にも、同様に、クランクシャフトの最終製品としての重量バランスを達成することが困難になるからである。
上記(c)は、機械加工を施すために必要な条件として設定されている。如何に重量バランスの取れたクランクシャフトであっても、十分な加工代が無ければ、機械加工後の寸法精度を達成し難い上に、表面性状の悪い鍛造表面が残存してしまい、エンジンの構成部品として使用することができないからである。
また、カウンタウェイトの形状の合否は、図1(a)に示すようなクランクシャフトの回転中心軸方向から見たカウンタウェイトの側面寸法(幅、高さ、外周径)を管理指標として判定される。この管理指標は、クランクシャフトの回転バランスを確保するために必要である。また、カウンタウェイトの形状の合否は、図1(b)に示すようなクランクシャフトの回転中心軸に直交する方向から見たカウンタウェイトの長手方向位置も管理指標として判定される。この管理指標は、カウンタウェイトの厚み(回転軸方向に沿った寸法)や倒れを検出するために必要である。上記のカウンタウェイトの形状に関する管理指標には、それぞれ公差が決められている(例えば、±1mm、±2mm)。
さらに、軸部の形状の合否については、型鍛造の精度を把握可能な鍛造厚みや鍛造型ずれが、製造工程における管理指標として使用されている。
しかしながら、従来の形状検査方法には、ショットブラスト処理を施した直後の表面が金属光沢を有するクランクシャフトの形状、特に、カウンタウェイトの側面寸法及び長手方向位置を精度良く算出可能な方法が提案されていない。
(1)第1ステップ:光学式の3次元形状測定装置によってクランクシャフトの表面形状を測定することで、前記クランクシャフト表面の3次元点群データを取得する。
(2)第2ステップ:前記第1ステップで取得した前記3次元点群データに対して、最近接データ点までの距離が第1しきい値以上のデータ点を除去する孤立点除去処理を施して第1点群データを生成すると共に、最近接データ点までの距離が前記第1しきい値よりも大きな第2しきい値以上のデータ点を除去する孤立点除去処理を施して第2点群データを生成する。
(3)第3ステップ:前記第2ステップで生成した前記第1点群データ及び前記第2点群データと、前記クランクシャフトの設計仕様に基づき予め用意された前記クランクシャフトの表面形状モデルとの距離が最小となるように、前記第1点群データ及び前記第2点群データを平行移動及び回転移動させて、前記表面形状モデルに重ね合わせる。
(4)第4ステップ:前記第3ステップで前記表面形状モデルに重ね合わせられた前記第1点群データ及び前記第2点群データから、予め決められた加工基準部位の点群データである加工基準部位点群データを抽出し、前記抽出した加工基準部位点群データによって定まる加工基準の座標が、前記クランクシャフトの機械加工時の座標系において予め決められた座標と合致するように、前記第1点群データ及び前記第2点群データを平行移動及び回転移動させる。
(5)第5ステップ:前記第4ステップで移動した後の前記第1点群データ及び前記第2点群データのそれぞれから、前記クランクシャフトのカウンタウェイトの点群データであるカウンタウェイト点群データを抽出し、前記第1点群データから抽出した前記カウンタウェイト点群データを用いて前記カウンタウェイトの側面寸法を算出し、前記第2点群データから抽出した前記カウンタウェイト点群データを用いて前記カウンタウェイトの長手方向位置を算出する。
次いで、本発明に係る第1の方法によれば、第2ステップを実行することにより、3次元点群データに孤立点除去処理が施される。本発明者らの知見によれば、ショットブラスト処理を施した直後の表面が金属光沢を有するクランクシャフトの場合、第1ステップで取得された3次元点群データに、クランクシャフト表面に対応する本来の3次元点群データ以外のデータ点が本来の3次元点群データから孤立して発生する場合があり、この孤立したデータ点が測定精度の悪化の原因になっている。したがい、3次元点群データに孤立点除去処理を施すことで、測定精度の悪化を抑制可能である。特に、本発明に係る第1の方法の第2ステップでは、最近接データ点(注目しているデータ点に最も近いデータ点)までの距離が第1しきい値以上のデータ点が除去された第1点群データが生成されると共に、最近接データ点までの距離が第2しきい値(第2しきい値>第1しきい値)以上のデータ点が除去された第2点群データが生成される。本発明者らの知見によれば、第1点群データは、カウンタウェイトの側面寸法(幅、高さ、外周径等)を精度良く算出する上で有効であり、第2点群データは、カウンタウェイトの長手方向位置(クランクシャフトの回転中心軸に平行な方向の位置)を精度良く算出する上で有効である。
次いで、本発明に係る第1の方法によれば、第3ステップを実行することにより、第1点群データ及び第2点群データが、例えば、設計仕様に基づく3次元CADデータを変換することにより三角メッシュ等で構成された表面形状モデルに重ね合わせられる。すなわち、第1点群データ及び第2点群データと表面形状モデルとの距離が最小となるように、第1点群データ及び第2点群データが平行移動及び回転移動する。なお、本発明に係る第1の方法における「クランクシャフトの表面形状モデルとの距離が最小となる」とは、第1点群データ及び第2点群データを構成する各データ点と表面形状モデルとの距離の総和、又は、距離の二乗和の総和が最小となることを意味する。
そして、第4ステップを実行することにより、抽出した加工基準部位点群データによって定まる加工基準(クランクシャフトの2箇所の軸部それぞれの中心等)の座標が、クランクシャフトの機械加工時の座標系において予め決められた座標と合致するように、第1点群データ及び第2点群データが平行移動及び回転移動する。これにより、クランクシャフトの機械加工時の座標系でクランクシャフトの第1点群データ及び第2点群データが表される、換言すれば、クランクシャフトの機械加工時の状態を再現することが可能になる。
そして、本発明に係る第1の方法によれば、第5ステップを実行することにより、第1点群データから抽出したカウンタウェイト点群データを用いてカウンタウェイトの側面寸法を算出し、第2点群データから抽出したカウンタウェイト点群データを用いてカウンタウェイトの長手方向位置を算出することで、前述の本発明者らの知見の通り、カウンタウェイトの側面寸法及び長手方向位置を精度良く算出可能である。
すなわち、前記課題を解決するため、本発明は、第2の方法として、以下の第1~第5ステップを含むクランクシャフトの形状検査方法としても提供される。
(1)第1ステップ:光学式の3次元形状測定装置によってクランクシャフトの表面形状を測定することで、前記クランクシャフト表面の3次元点群データを取得する。
(2)第2ステップ:前記第1ステップで取得した前記3次元点群データと、前記クランクシャフトの設計仕様に基づき予め用意された前記クランクシャフトの表面形状モデルとの距離が最小となるように、前記3次元点群データを平行移動及び回転移動させて、前記表面形状モデルに重ね合わせる。
(3)第3ステップ:前記第2ステップで前記表面形状モデルに重ね合わせられた前記3次元点群データに対して、最近接データ点までの距離が第1しきい値以上のデータ点を除去する孤立点除去処理を施して第1点群データを生成すると共に、最近接データ点までの距離が前記第1しきい値よりも大きな第2しきい値以上のデータ点を除去する孤立点除去処理を施して第2点群データを生成する。
(4)第4ステップ:前記第3ステップで生成した前記第1点群データ及び前記第2点群データから、予め決められた加工基準部位の点群データである加工基準部位点群データを抽出し、前記抽出した加工基準部位点群データによって定まる加工基準の座標が、前記クランクシャフトの機械加工時の座標系において予め決められた座標と合致するように、前記第1点群データ及び前記第2点群データを平行移動及び回転移動させる。
(5)第5ステップ:前記第4ステップで移動した後の前記第1点群データ及び前記第2点群データのそれぞれから、前記クランクシャフトのカウンタウェイトの点群データであるカウンタウェイト点群データを抽出し、前記第1点群データから抽出した前記カウンタウェイト点群データを用いて前記カウンタウェイトの側面寸法を算出し、前記第2点群データから抽出した前記カウンタウェイト点群データを用いて前記カウンタウェイトの長手方向位置を算出する。
なお、本発明に係る第2の方法における「クランクシャフトの表面形状モデルとの距離が最小となる」とは、3次元点群データを構成する各データ点と表面形状モデルとの距離の総和、又は、距離の二乗和の総和が最小となることを意味する。
具体的には、本発明に係る第1及び第2の方法では、前記3次元形状測定装置は、前記クランクシャフトの回転中心軸周りに90°ピッチで配置され、前記クランクシャフトの回転中心軸に平行な方向に相対的に移動しながら前記クランクシャフトに対して光を投受光することで前記クランクシャフトの3次元形状を測定する4つの光学式の3次元形状測定装置であり、前記4つの3次元形状測定装置のうち、前記クランクシャフトの回転中心軸周りに隣り合う3次元形状測定装置は、光の投光方向が前記クランクシャフトの回転中心軸に直交する方向に対して互いに逆向きに角度βだけ傾斜しており、前記第1ステップにおいて、前記4つの3次元形状測定装置による測定結果を合成することで、前記クランクシャフト表面の3次元点群データを生成し、前記第5ステップにおいて、前記3次元点群データの長手方向(クランクシャフトの回転中心軸に平行な方向)の測定ピッチをΔxとし、前記第1しきい値をTh1とし、前記第2しきい値をTh2とした場合に、以下の式(1)を満足する前記第1しきい値Th1を用いて生成した前記第1点群データから抽出した前記カウンタウェイト点群データを用いて前記カウンタウェイトの側面寸法を算出し、以下の式(2)を満足する前記第2しきい値Th2を用いて生成した前記第2点群データから抽出した前記カウンタウェイト点群データを用いて前記カウンタウェイトの長手方向位置を算出することが好ましい。
Δx<Th1<4Δx ・・・(1)
Δx/tan(abs(β))<Th2 ・・・(2)
上記の式(2)において、abs(β)はβの絶対値を意味する。
具体的には、前記課題を解決するため、本発明は、第1の手段として、前記何れかに記載のクランクシャフトの形状検査方法を実行するためのクランクシャフトの形状検査装置であって、クランクシャフトの回転中心軸周りに90°ピッチで配置され、前記クランクシャフトの回転中心軸に平行な方向に相対的に移動しながら前記クランクシャフトに対して光を投受光することで前記クランクシャフトの3次元形状を測定する4つの光学式の3次元形状測定装置と、前記4つの3次元形状測定装置による測定結果が入力され、所定の演算を実行する演算装置と、を備え、前記4つの3次元形状測定装置のうち、前記クランクシャフトの回転中心軸周りに隣り合う3次元形状測定装置は、光の投光方向が前記クランクシャフトの回転中心軸に直交する方向に対して互いに逆向きに傾斜しており、前記演算装置には、前記クランクシャフトの設計仕様に基づき作成された前記クランクシャフトの表面形状モデルが予め記憶されており、前記演算装置は、以下の第1~第5ステップを実行するクランクシャフトの形状検査装置を提供する。
(1)第1ステップ:前記4つの3次元形状測定装置による測定結果を合成することで、前記クランクシャフト表面の3次元点群データを生成する。
(2)第2ステップ:前記第1ステップで取得した前記3次元点群データに対して、最近接データ点までの距離が第1しきい値以上のデータ点を除去する孤立点除去処理を施して第1点群データを生成すると共に、最近接データ点までの距離が前記第1しきい値よりも大きな第2しきい値以上のデータ点を除去する孤立点除去処理を施して第2点群データを生成する。
(3)第3ステップ:前記第2ステップで生成した前記第1点群データ及び前記第2点群データと、前記クランクシャフトの設計仕様に基づき予め用意された前記クランクシャフトの表面形状モデルとの距離が最小となるように、前記第1点群データ及び前記第2点群データを平行移動及び回転移動させて、前記表面形状モデルに重ね合わせる。
(4)第4ステップ:前記第3ステップで前記表面形状モデルに重ね合わせられた前記第1点群データ及び前記第2点群データから、予め決められた加工基準部位の点群データである加工基準部位点群データを抽出し、前記抽出した加工基準部位点群データによって定まる加工基準の座標が、前記クランクシャフトの機械加工時の座標系において予め決められた座標と合致するように、前記第1点群データ及び前記第2点群データを平行移動及び回転移動させる。
(5)第5ステップ:前記第4ステップで移動した後の前記第1点群データ及び前記第2点群データのそれぞれから、前記クランクシャフトのカウンタウェイトの点群データであるカウンタウェイト点群データを抽出し、前記第1点群データから抽出した前記カウンタウェイト点群データを用いて前記カウンタウェイトの側面寸法を算出し、前記第2点群データから抽出した前記カウンタウェイト点群データを用いて前記カウンタウェイトの長手方向位置を算出する。
すなわち、前記課題を解決するため、本発明は、第2の手段として、前記何れかに記載のクランクシャフトの形状検査方法を実行するためのクランクシャフトの形状検査装置であって、クランクシャフトの回転中心軸周りに90°ピッチで配置され、前記クランクシャフトの回転中心軸に平行な方向に相対的に移動しながら前記クランクシャフトに対して光を投受光することで前記クランクシャフトの3次元形状を測定する4つの光学式の3次元形状測定装置と、前記4つの3次元形状測定装置による測定結果が入力され、所定の演算を実行する演算装置と、を備え、前記4つの3次元形状測定装置のうち、前記クランクシャフトの回転中心軸周りに隣り合う3次元形状測定装置は、光の投光方向が前記クランクシャフトの回転中心軸に直交する方向に対して互いに逆向きに傾斜しており、前記演算装置には、前記クランクシャフトの設計仕様に基づき作成された前記クランクシャフトの表面形状モデルが予め記憶されており、前記演算装置は、以下の第1~第5ステップを実行するクランクシャフトの形状検査装置としても提供される。
(1)第1ステップ:前記4つの3次元形状測定装置による測定結果を合成することで、前記クランクシャフト表面の3次元点群データを生成する。
(2)第2ステップ:前記第1ステップで生成した前記3次元点群データと、前記クランクシャフトの設計仕様に基づき予め用意された前記クランクシャフトの表面形状モデルとの距離が最小となるように、前記3次元点群データを平行移動及び回転移動させて、前記表面形状モデルに重ね合わせる。
(3)第3ステップ:前記第2ステップで前記表面形状モデルに重ね合わせられた前記3次元点群データに対して、最近接データ点までの距離が第1しきい値以上のデータ点を除去する孤立点除去処理を施して第1点群データを生成すると共に、最近接データ点までの距離が前記第1しきい値よりも大きな第2しきい値以上のデータ点を除去する孤立点除去処理を施して第2点群データを生成する。
(4)第4ステップ:前記第3ステップで生成した前記第1点群データ及び前記第2点群データから、予め決められた加工基準部位の点群データである加工基準部位点群データを抽出し、前記抽出した加工基準部位点群データによって定まる加工基準の座標が、前記クランクシャフトの機械加工時の座標系において予め決められた座標と合致するように、前記第1点群データ及び前記第2点群データを平行移動及び回転移動させる。
(5)第5ステップ:前記第4ステップで移動した後の前記第1点群データ及び前記第2点群データのそれぞれから、前記クランクシャフトのカウンタウェイトの点群データであるカウンタウェイト点群データを抽出し、前記第1点群データから抽出した前記カウンタウェイト点群データを用いて前記カウンタウェイトの側面寸法を算出し、前記第2点群データから抽出した前記カウンタウェイト点群データを用いて前記カウンタウェイトの長手方向位置を算出する。
図2~図4に示すように、本実施形態に係る形状検査装置100は、光学式の3次元形状測定装置1と、演算装置2と、移動機構3と、支持装置4と、を備えている。
例えば、図3(b)に示すように、3次元形状測定装置1aの投光手段11aからの光の投光方向は、クランクシャフトSの回転中心軸Lに直交する方向LV1に対してフランジSE側に角度βだけ傾斜しているのに対して、3次元形状測定装置1aに隣り合う3次元形状測定装置1bの投光手段11bからの光の投光方向は、クランクシャフトSの回転中心軸Lに直交する方向LV2に対してフロントSA側に角度βだけ傾斜している。図4を参照すれば分かるように、3次元形状測定装置1aに隣り合う3次元形状測定装置1dの投光手段11dからの光の投光方向は、クランクシャフトSの回転中心軸Lに直交する方向に対してフロントSA側に傾斜(図示を省略するが角度βだけ傾斜)しており、3次元形状測定装置1b及び1dに隣り合う3次元形状測定装置1cの投光手段11cからの光の投光方向は、クランクシャフトSの回転中心軸Lに直交する方向に対してフランジSE側に傾斜(図示を省略するが角度βだけ傾斜)している。
また、演算装置2には、クランクシャフトSの設計仕様に基づき作成されたクランクシャフトSの表面形状モデルが予め記憶されている。具体的には、演算装置2には、設計仕様に基づく3次元CADデータが入力され、演算装置2は、この入力されたCADデータを三角メッシュ等で構成された表面形状モデルに変換して記憶する。表面形状モデルはクランクシャフトSの品種毎に作成し記憶しておけばよいので、同じ品種のクランクシャフトSを連続して検査する場合には、検査毎に表面形状モデルを作成する必要はない。
なお、4つの3次元形状測定装置1a~1dのX軸方向の測定位置が互いに近いと、各3次元形状測定装置1a~1dから投光される光が互いに干渉して誤測定が発生するおそれがある。このため、例えば、4つの各移動機構3は、各3次元形状測定装置1a~1dがX軸方向に200mm程度の間隔を隔てるように、各3次元形状測定装置1a~1dを移動させる。
本実施形態に係る形状検査方法は、第1ステップ~第5ステップを含むことを特徴としている。以下、各ステップについて順次説明する。
第1ステップでは、3次元形状測定装置1によってクランクシャフトSの表面形状を測定することで、クランクシャフトS表面の3次元点群データを取得する。
具体的には、クランクシャフトSを支持装置4上に配置し、移動機構3で4つの3次元形状測定装置1a~1dをX軸方向にフロントSA側に移動させる。そして、移動機構3で4つの3次元形状測定装置1a~1dをX軸方向にフランジSE側に移動させながらクランクシャフトSに対して光を投受光することで、クランクシャフトSの3次元形状を測定する。この際、各3次元形状測定装置1a~1dから投光される光が互いに干渉して誤測定が発生しないように、例えば、各3次元形状測定装置1a~1dがX軸方向に200mm程度の間隔を隔てるように、各3次元形状測定装置1a~1dを移動させる。例えば、各3次元形状測定装置1a~1dを200mm/sで移動させる場合には、1secずつ遅らせて各3次元形状測定装置1a~1dを移動させる。クランクシャフトSの長さは3~6気筒のエンジン用であれば、最大700mm程度であるので、移動距離を800mmとしても、8sec以内でクランクシャフトSの全長に亘る3次元点群データを取得可能である。
図5は、第1ステップで取得される3次元点群データの一例を示す図である。図5(a)は表面が錆びた状態のクランクシャフトSについて取得される3次元点群データの一例を、図5(b)はショットブラスト処理を施した直後の表面が金属光沢を有するクランクシャフトSについて取得される3次元点群データの一例を示す。なお、図5には、4つの3次元形状測定装置1a~1dによる測定結果を合成するとき等に使用する位置合わせターゲットの3次元点群データも表示されているが、この位置合わせターゲットは特許文献6に記載のものと同様の機能を奏するため、ここでは詳細な説明を省略する。
図5(b)に示すように、ショットブラスト処理を施した直後の表面が金属光沢を有するクランクシャフトSについて取得される3次元点群データにおいては、図5(a)に示す表面が錆びた状態のクランクシャフトSについて取得される3次元点群データでは生じていないノイズ(破線で囲んだデータ点)が、カウンタウェイト近傍に生じている。このノイズがカウンタウェイトの形状に関する測定精度を悪化させることになる。
上記の迷光に起因したノイズを低減する対策としては、投光手段11から投光するレーザ光の強度を下げたり、受光手段11での光の検出しきい値を上げることも考えられる。しかしながら、このような対策では、カウンタウェイトSCの側面など、元々反射光の強度が小さい部位の形状測定が更に困難になる。そこで、本発明では、投光手段11や受光手段12に対する対策ではなく、迷光に起因したノイズを含んだ3次元点群データを取得した後に、後述の第2ステップにおいて、この3次元点群データに孤立点除去処理を施すことで、ノイズを低減する対策を採用している。
第2ステップでは、演算装置2が、第1ステップで取得した3次元点群データに対して、最近接データ点までの距離が第1しきい値Th1以上のデータ点を除去する孤立点除去処理を施して第1点群データを生成すると共に、最近接データ点までの距離が第1しきい値Th1よりも大きな第2しきい値Th2以上のデータ点を除去する孤立点除去処理を施して第2点群データを生成する。
具体的には、第1点群データについては、演算装置2が、3次元点群データに対して、最近接データ点までの距離が第1しきい値Th1未満の点群データを一つの塊として連結し、その塊毎にラベリング処理を施す。次いで、演算装置2が、ラベリングされた各塊のデータ点数と寸法(最外データ点間の距離)とを演算して、小さな塊(例えば、データ点数10以下、寸法10mm以下)を除去して、残った大きな塊のみを結合する。このような処理により、クランクシャフト表面に対応する本来の3次元点群データ(大きな塊)以外の第1しきい値Th1以上離れた位置にあるデータ点(小さな塊を構成するデータ点)のみが除去されることになる。第2点群データについても、しきい値として第1しきい値Th1よりも大きな第2しきい値Th1を用いる点を除き同様である。
Δx<Th1<4Δx ・・・(1)
Δx/tan(abs(β))<Th2 ・・・(2)
例えば、Δx=0.4mm、β=5°とすると、0.4mm<Th1<1.6mmとなり、4.5mm<Th2となる。
第3ステップでは、演算装置2が、第2ステップで生成した図7に示すような第1点群データ及び第2点群データと、クランクシャフトSの設計仕様に基づき予め用意されたクランクシャフトSの表面形状モデルとの距離が最小となるように、第1点群データ及び第2点群データを平行移動及び回転移動させて、表面形状モデルに重ね合わせる。すなわち、演算装置2は、第1点群データ及び第2点群データを構成する各データ点と表面形状モデルとの距離の総和、又は、距離の二乗和の総和が最小となるように、第1点群データ及び第2点群データを平行移動及び回転移動させて、表面形状モデルに重ね合わせる。
第4ステップでは、演算装置2が、第3ステップで表面形状モデルに重ね合わせられた第1点群データ及び第2点群データから、予め決められた加工基準部位の点群データである加工基準部位点群データを抽出し、前記抽出した加工基準部位点群データによって定まる加工基準の座標が、クランクシャフトSの機械加工時の座標系において予め決められた座標と合致するように、第1点群データ及び第2点群データを平行移動及び回転移動させる。
図8~図10に示すように、本実施形態では、加工基準部位は、クランクシャフトSの2箇所の軸部(具体的には、第1ジャーナルSB1及びフランジSE)、1箇所のピン(具体的には、第1ピンSD1)及び隣り合う2箇所のカウンタウェイト(具体的には、第4カウンタウェイトSC4及び第5カウンタウェイトSC5)に設定されている。また、加工基準は、2箇所の軸部(第1ジャーナルSB1及びフランジSE)それぞれの中心PK0、PK1、1箇所のピン(第1ピンSD1)の中心PA及び2箇所のカウンタウェイト(第4カウンタウェイトSC4及び第5カウンタウェイトSC5)の対向する側面PN0、PN1に設定されている。
なお、点群データBK0、BK1の抽出には、第1点群データを用いるのが好ましい。
yT=(xK0・yK1-yK0・xK1)/(xK0-xK1) ・・・(3)
zT=(xK0・zK1-yK0・xK1)/(xK0-xK1) ・・・(4)
yR=-180/π・tan-1((zK1-zK0)/(xK1-xK0)) ・・・(5)
zR=180/π・tan-1((yK1-yK0)/(xK1-xK0)) ・・・(6)
なお、点群データBAの抽出には、第1点群データを用いるのが好ましい。
xR=180/π・tan-1(zA/yA) ・・・(7)
なお、点群データBN0、BN1の抽出には、第2点群データを用いるのが好ましい。
xT=-(xN0+xN1)/2 ・・・(8)
以上に説明した第4ステップを実行することで、クランクシャフトSの機械加工時の座標系でクランクシャフトSの第1点群データ及び第2点群データが表される、換言すれば、クランクシャフトSの機械加工時の状態を再現することが可能になる。
第5ステップでは、演算装置2が、第4ステップで移動した後の第1点群データ及び第2点群データのそれぞれから、クランクシャフトSのカウンタウェイトSCの点群データであるカウンタウェイト点群データを抽出する。カウンタウェイト点群データの位置は、機械加工時の座標系で認識可能である一方、第4ステップを実行することで第1点群データ及び第2点群データがクランクシャフトSの機械加工時の座標系で表されているため、第1点群データ及び第2点群データにおけるカウンタウェイト点群データの位置も認識可能である。
以下、第5ステップで算出するカウンタウェイトSCの側面寸法及び長手方向位置について、具体的に説明する。
図11は、カウンタウェイトSCの側面寸法の一種であるカウンタウェイトSCの幅W及び高さH1、H2を説明する説明図である。
演算装置2は、図11(a)に破線で示すカウンタウェイト点群データを、カウンタウェイトSCの向きがY軸の正方向となるように、X軸周りに回転させる。図11(a)に示す例では、-180°(反時計回りに180°)回転させることになる。図11(b)に示す破線は、回転後のカウンタウェイト点群データである。次いで、演算装置2は、回転後のカウンタウェイト点群データから、予め決められた幅・高さ測定範囲(例えば、Y軸方向の基準位置±10mmの範囲)に含まれる点群データを抽出し、その点群データを構成するデータ点のZ軸座標の最大値zmax及び最小値zminを算出する。
そして、演算装置2は、カウンタウェイトSCの幅Wを以下の式(9)によって算出し、カウンタウェイトSCの高さH1、H2を以下の式(10)及び式(11)によって算出する。
W=zmax-zmin ・・・(9)
H1=abs(zmax) ・・・(10)
H2=abs(zmin) ・・・(11)
上記の式(10)において、abs(zmax)はzmaxの絶対値を意味する。上記の式(11)において、abs(zmin)はzminの絶対値を意味する。
図12は、カウンタウェイトSCの側面寸法の一種であるカウンタウェイトSCの外周径Rを説明する説明図である。
演算装置2は、図12(a)に破線で示すカウンタウェイト点群データを、予め決められた外周径測定方向の向きがY軸の正方向となるように、X軸周りに回転させる。図12(a)に示す例では、-θR(反時計回りにθR)回転させることになる。図12(b)に示す破線は、回転後のカウンタウェイト点群データである。次いで、演算装置2は、回転後のカウンタウェイト点群データから、予め決められた外周径測定範囲(例えば、Z軸方向の0±5mmの範囲)に含まれる点群データを抽出し、その点群データを構成するデータ点のY軸座標の最大値ymaxを算出する。
そして、演算装置2は、カウンタウェイトSCの外周径Rを以下の式(12)によって算出する。
R=abs(ymax) ・・・(12)
上記の式(12)において、abs(ymax)はymaxの絶対値を意味する。
図13は、カウンタウェイトSCの長手方向位置nFR、nFLを説明する説明図である。
演算装置2は、図13に破線で示すカウンタウェイト点群データから、予め決められた長手方向位置測定範囲(例えば、X軸方向の基準位置±2.5mm、Y軸方向の基準位置±2.5mm、Z軸方向の基準位置±5mmの範囲)に含まれる点群データを抽出し、その点群データを構成するデータ点のX軸座標の平均値を算出する。カウンタウェイトSCのフロントSA側の側面に位置する点群データの平均値をxFR、カウンタウェイトSCのフランジSE側の側面に位置する点群データの平均値をxFLとし、表面形状モデルにおけるカウンタウェイトSCのフロントSA側の側面のX軸座標をxFR0、表面形状モデルにおけるカウンタウェイトSCのフランジSE側の側面のX軸座標をxFL0とすると、演算装置2は、カウンタウェイトSCの長手方向位置nFR、nFLを以下の式(13)及び式(14)によって算出する。
nFR=xFR0-xFR ・・・(13)
nFL=xFL-xFL0 ・・・(14)
長手方向位置nFR、nFLは、カウンタウェイトSCが表面形状モデルよりも厚くなる(X軸方向の寸法が大きくなる)ときに正となる値である。
図14(a)に示すように、表面が錆びた状態のクランクシャフトSの場合、迷光に起因したノイズが生じないため、孤立点除去処理におけるしきい値に関わらず、カウンタウェイトSCの幅を100%測定可能であった。一方、カウンタウェイトSCの長手方向位置については、カウンタウェイトSCの側面の測定ピッチ(Y軸方向の測定ピッチ)が4.5mmであるため、しきい値が5mmよりも小さくなるにつれて測定成功率が低下している。
以上の結果から、前述のように、カウンタウェイトSCの幅等の側面寸法を算出する際に、式(1)を満足する第1しきい値Th1を用いて生成した第1点群データを用い、カウンタウェイトSCの長手方向位置を算出する際に、式(2)を満足する第2しきい値Th2を用いて生成した第2点群データを用いるのが好ましいことが分かる。
図15は、クランクシャフトSの曲がりmを説明する説明図である。
演算装置2は、第1点群データから、クランクシャフトSの軸部(フロントSA、ジャーナルSB及びフランジSE)の点群データを抽出する。図15には、一例として、ジャーナルSBの点群データを破線で示している。
次いで、演算装置2は、抽出した軸部の点群データに対して、円筒をフィッティングさせるフィッティング処理を施し、フィッティングされた円筒の中心Cを算出する。この算出した中心Cの座標をC(xC,yC,zC)とすると、演算装置2は、クランクシャフトの曲がりmを以下の式(15)によって算出する。
m=(yC 2+zC 2)1/2 ・・・(15)
図16は、クランクシャフトSの鍛造厚みT及び鍛造型ずれDTを説明する説明図である。図16(a)は鍛造厚みTを、図16(b)は鍛造型ずれDTを説明する説明図である。
演算装置2は、第1点群データから、クランクシャフトSの軸部(フロントSA、ジャーナルSB及びフランジSE)の点群データを抽出する。図16には、一例として、ジャーナルSBの点群データを破線で示している。
次いで、演算装置2は、図16(a)に示すように、抽出した軸部の点群データを内包する直方体(直方体を構成する各面がX軸、Y軸又はZ軸の何れかに直交する直方体)を作成し、その直方体のZ軸座標の最大値zmax及び最小値zminを算出する。演算装置2は、クランクシャフトSの鍛造厚みTを以下の式(16)によって算出する。
T=zmax-zmin ・・・(16)
また、演算装置2は、図16(b)に示すように、図16(a)に示す軸部の点群データをX軸周りに45°(時計回りに45°)回転させ、回転後の軸部の点群データを内包する直方体(直方体を構成する各面がX軸、Y軸又はZ軸の何れかに直交する直方体)を作成し、その直方体のZ軸座標の最大値zmax及び最小値zminと、その直方体のY軸座標の最大値ymax及び最小値yminとを算出する。T+45=zmax-zminとし、T-45=ymax-yminとすると、演算装置2は、クランクシャフトSの鍛造型ずれDTを以下の式(17)によって算出する。
DT=T+45-T-45 ・・・(17)
図17は、クランクシャフトSのねじれαPを説明する説明図である。
演算装置2は、第1点群データから、クランクシャフトSのピンSDの点群データを抽出する。図17には、ピンSDの点群データを破線で示している。
次いで、演算装置2は、抽出したピンSDの点群データに対して、円筒をフィッティングさせるフィッティング処理を施し、フィッティングされた円筒の中心Cを算出する。この算出した中心Cの座標をC(xC,yC,zC)とすると、演算装置2は、クランクシャフトのねじれαPを以下の式(18)によって算出する。
2・・・演算装置
3・・・移動機構
4・・・支持装置
100・・・形状検査装置
S・・・クランクシャフト
SC・・・カウンタウェイト
Claims (7)
- 光学式の3次元形状測定装置によってクランクシャフトの表面形状を測定することで、前記クランクシャフト表面の3次元点群データを取得する第1ステップと、
前記第1ステップで取得した前記3次元点群データに対して、最近接データ点までの距離が第1しきい値以上のデータ点を除去する孤立点除去処理を施して第1点群データを生成すると共に、最近接データ点までの距離が前記第1しきい値よりも大きな第2しきい値以上のデータ点を除去する孤立点除去処理を施して第2点群データを生成する第2ステップと、
前記第2ステップで生成した前記第1点群データ及び前記第2点群データと、前記クランクシャフトの設計仕様に基づき予め用意された前記クランクシャフトの表面形状モデルとの距離が最小となるように、前記第1点群データ及び前記第2点群データを平行移動及び回転移動させて、前記表面形状モデルに重ね合わせる第3ステップと、
前記第3ステップで前記表面形状モデルに重ね合わせられた前記第1点群データ及び前記第2点群データから、予め決められた加工基準部位の点群データである加工基準部位点群データを抽出し、前記抽出した加工基準部位点群データによって定まる加工基準の座標が、前記クランクシャフトの機械加工時の座標系において予め決められた座標と合致するように、前記第1点群データ及び前記第2点群データを平行移動及び回転移動させる第4ステップと、
前記第4ステップで移動した後の前記第1点群データ及び前記第2点群データのそれぞれから、前記クランクシャフトのカウンタウェイトの点群データであるカウンタウェイト点群データを抽出し、前記第1点群データから抽出した前記カウンタウェイト点群データを用いて前記カウンタウェイトの側面寸法を算出し、前記第2点群データから抽出した前記カウンタウェイト点群データを用いて前記カウンタウェイトの長手方向位置を算出する第5ステップと、
を含むクランクシャフトの形状検査方法。 - 光学式の3次元形状測定装置によってクランクシャフトの表面形状を測定することで、前記クランクシャフト表面の3次元点群データを取得する第1ステップと、
前記第1ステップで取得した前記3次元点群データと、前記クランクシャフトの設計仕様に基づき予め用意された前記クランクシャフトの表面形状モデルとの距離が最小となるように、前記3次元点群データを平行移動及び回転移動させて、前記表面形状モデルに重ね合わせる第2ステップと、
前記第2ステップで前記表面形状モデルに重ね合わせられた前記3次元点群データに対して、最近接データ点までの距離が第1しきい値以上のデータ点を除去する孤立点除去処理を施して第1点群データを生成すると共に、最近接データ点までの距離が前記第1しきい値よりも大きな第2しきい値以上のデータ点を除去する孤立点除去処理を施して第2点群データを生成する第3ステップと、
前記第3ステップで生成した前記第1点群データ及び前記第2点群データから、予め決められた加工基準部位の点群データである加工基準部位点群データを抽出し、前記抽出した加工基準部位点群データによって定まる加工基準の座標が、前記クランクシャフトの機械加工時の座標系において予め決められた座標と合致するように、前記第1点群データ及び前記第2点群データを平行移動及び回転移動させる第4ステップと、
前記第4ステップで移動した後の前記第1点群データ及び前記第2点群データのそれぞれから、前記クランクシャフトのカウンタウェイトの点群データであるカウンタウェイト点群データを抽出し、前記第1点群データから抽出した前記カウンタウェイト点群データを用いて前記カウンタウェイトの側面寸法を算出し、前記第2点群データから抽出した前記カウンタウェイト点群データを用いて前記カウンタウェイトの長手方向位置を算出する第5ステップと、
を含むクランクシャフトの形状検査方法。 - 前記第4ステップにおいて、
前記加工基準部位は、前記クランクシャフトの2箇所の軸部、1箇所のピン及び隣り合う2箇所のカウンタウェイトであり、
前記加工基準は、前記2箇所の軸部それぞれの中心、前記1箇所のピンの中心及び前記2箇所のカウンタウェイトの対向する側面である、
請求項1又は2に記載のクランクシャフトの形状検査方法。 - 前記第4ステップにおいて、
前記加工基準部位のうち、前記2箇所の軸部及び前記1箇所のピンについて、加工基準部位点群データとして、前記クランクシャフトを固定するための固定チャックが接触する部位の点群データを抽出する、
請求項3に記載のクランクシャフトの形状検査方法。 - 前記3次元形状測定装置は、前記クランクシャフトの回転中心軸周りに90°ピッチで配置され、前記クランクシャフトの回転中心軸に平行な方向に相対的に移動しながら前記クランクシャフトに対して光を投受光することで前記クランクシャフトの3次元形状を測定する4つの光学式の3次元形状測定装置であり、
前記4つの3次元形状測定装置のうち、前記クランクシャフトの回転中心軸周りに隣り合う3次元形状測定装置は、光の投光方向が前記クランクシャフトの回転中心軸に直交する方向に対して互いに逆向きに角度βだけ傾斜しており、
前記第1ステップにおいて、前記4つの3次元形状測定装置による測定結果を合成することで、前記クランクシャフト表面の3次元点群データを生成し、
前記第5ステップにおいて、前記3次元点群データの長手方向の測定ピッチをΔxとし、前記第1しきい値をTh1とし、前記第2しきい値をTh2とした場合に、以下の式(1)を満足する前記第1しきい値Th1を用いて生成した前記第1点群データから抽出した前記カウンタウェイト点群データを用いて前記カウンタウェイトの側面寸法を算出し、以下の式(2)を満足する前記第2しきい値Th2を用いて生成した前記第2点群データから抽出した前記カウンタウェイト点群データを用いて前記カウンタウェイトの長手方向位置を算出する、
請求項1から4の何れかに記載のクランクシャフトの形状検査方法。
Δx<Th1<4Δx ・・・(1)
Δx/tan(abs(β))<Th2 ・・・(2)
上記の式(2)において、abs(β)はβの絶対値を意味する。 - 請求項1から5の何れかに記載のクランクシャフトの形状検査方法を実行するためのクランクシャフトの形状検査装置であって、
クランクシャフトの回転中心軸周りに90°ピッチで配置され、前記クランクシャフトの回転中心軸に平行な方向に相対的に移動しながら前記クランクシャフトに対して光を投受光することで前記クランクシャフトの3次元形状を測定する4つの光学式の3次元形状測定装置と、
前記4つの3次元形状測定装置による測定結果が入力され、所定の演算を実行する演算装置と、を備え、
前記4つの3次元形状測定装置のうち、前記クランクシャフトの回転中心軸周りに隣り合う3次元形状測定装置は、光の投光方向が前記クランクシャフトの回転中心軸に直交する方向に対して互いに逆向きに傾斜しており、
前記演算装置には、前記クランクシャフトの設計仕様に基づき作成された前記クランクシャフトの表面形状モデルが予め記憶されており、
前記演算装置は、
前記4つの3次元形状測定装置による測定結果を合成することで、前記クランクシャフト表面の3次元点群データを生成する第1ステップと、
前記第1ステップで取得した前記3次元点群データに対して、最近接データ点までの距離が第1しきい値以上のデータ点を除去する孤立点除去処理を施して第1点群データを生成すると共に、最近接データ点までの距離が前記第1しきい値よりも大きな第2しきい値以上のデータ点を除去する孤立点除去処理を施して第2点群データを生成する第2ステップと、
前記第2ステップで生成した前記第1点群データ及び前記第2点群データと、前記クランクシャフトの設計仕様に基づき予め用意された前記クランクシャフトの表面形状モデルとの距離が最小となるように、前記第1点群データ及び前記第2点群データを平行移動及び回転移動させて、前記表面形状モデルに重ね合わせる第3ステップと、
前記第3ステップで前記表面形状モデルに重ね合わせられた前記第1点群データ及び前記第2点群データから、予め決められた加工基準部位の点群データである加工基準部位点群データを抽出し、前記抽出した加工基準部位点群データによって定まる加工基準の座標が、前記クランクシャフトの機械加工時の座標系において予め決められた座標と合致するように、前記第1点群データ及び前記第2点群データを平行移動及び回転移動させる第4ステップと、
前記第4ステップで移動した後の前記第1点群データ及び前記第2点群データのそれぞれから、前記クランクシャフトのカウンタウェイトの点群データであるカウンタウェイト点群データを抽出し、前記第1点群データから抽出した前記カウンタウェイト点群データを用いて前記カウンタウェイトの側面寸法を算出し、前記第2点群データから抽出した前記カウンタウェイト点群データを用いて前記カウンタウェイトの長手方向位置を算出する第5ステップと、
を実行するクランクシャフトの形状検査装置。 - 請求項1から5の何れかに記載のクランクシャフトの形状検査方法を実行するためのクランクシャフトの形状検査装置であって、
クランクシャフトの回転中心軸周りに90°ピッチで配置され、前記クランクシャフトの回転中心軸に平行な方向に相対的に移動しながら前記クランクシャフトに対して光を投受光することで前記クランクシャフトの3次元形状を測定する4つの光学式の3次元形状測定装置と、
前記4つの3次元形状測定装置による測定結果が入力され、所定の演算を実行する演算装置と、を備え、
前記4つの3次元形状測定装置のうち、前記クランクシャフトの回転中心軸周りに隣り合う3次元形状測定装置は、光の投光方向が前記クランクシャフトの回転中心軸に直交する方向に対して互いに逆向きに傾斜しており、
前記演算装置には、前記クランクシャフトの設計仕様に基づき作成された前記クランクシャフトの表面形状モデルが予め記憶されており、
前記演算装置は、
前記4つの3次元形状測定装置による測定結果を合成することで、前記クランクシャフト表面の3次元点群データを生成する第1ステップと、
前記第1ステップで生成した前記3次元点群データと、前記クランクシャフトの設計仕様に基づき予め用意された前記クランクシャフトの表面形状モデルとの距離が最小となるように、前記3次元点群データを平行移動及び回転移動させて、前記表面形状モデルに重ね合わせる第2ステップと、
前記第2ステップで前記表面形状モデルに重ね合わせられた前記3次元点群データに対して、最近接データ点までの距離が第1しきい値以上のデータ点を除去する孤立点除去処理を施して第1点群データを生成すると共に、最近接データ点までの距離が前記第1しきい値よりも大きな第2しきい値以上のデータ点を除去する孤立点除去処理を施して第2点群データを生成する第3ステップと、
前記第3ステップで生成した前記第1点群データ及び前記第2点群データから、予め決められた加工基準部位の点群データである加工基準部位点群データを抽出し、前記抽出した加工基準部位点群データによって定まる加工基準の座標が、前記クランクシャフトの機械加工時の座標系において予め決められた座標と合致するように、前記第1点群データ及び前記第2点群データを平行移動及び回転移動させる第4ステップと、
前記第4ステップで移動した後の前記第1点群データ及び前記第2点群データのそれぞれから、前記クランクシャフトのカウンタウェイトの点群データであるカウンタウェイト点群データを抽出し、前記第1点群データから抽出した前記カウンタウェイト点群データを用いて前記カウンタウェイトの側面寸法を算出し、前記第2点群データから抽出した前記カウンタウェイト点群データを用いて前記カウンタウェイトの長手方向位置を算出する第5ステップと、
を実行するクランクシャフトの形状検査装置。
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