JP7274124B2 - クランクシャフトの鍛造金型構造及びこれを用いたクランクシャフトの鍛造方法 - Google Patents

クランクシャフトの鍛造金型構造及びこれを用いたクランクシャフトの鍛造方法 Download PDF

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Description

本発明は、クランクシャフトの鍛造金型構造及び、その鍛造金型を用いたクランクシャフトの鍛造方法に関する。
従来から、車両に搭載されるエンジンのクランクシャフトには、円柱状の鋼製の素材を熱間鍛造して、クランクジャーナルとクランクアームとクランクピンとカウンターウエイトを一体的に形成しているものがある。具体的には、加熱して軟化させた素材を上型と下型の合わせ面から夫々凹設された成形凹部でプレス(鍛造)して成形する。
このようなクランクシャフトの鍛造方法として、例えば特許文献1のように、潰し成形工程と荒成形工程と仕上成形工程を有するクランクシャフトの製造方法が知られている。各工程で夫々上型と下型により構成される分割式の鍛造金型を用いて、素材を熱間鍛造してクランクシャフトが成形される。
特許第5992064号公報
特許文献1のように熱間鍛造によって成形されるクランクシャフトは、潰し成形工程で潰した素材を荒成形工程で荒成形型によってクランクシャフトに近似する形状に鍛造成形した後、仕上成形工程で仕上成形型によってクランクシャフトに一層近似する形状に鍛造成形し、その後余分なバリ等が除去されている。
通常、鍛造金型の成形凹部には、鍛造後に容易に素材を離型させることができるように抜き勾配と呼ばれる傾斜が設けられている。クランクシャフトの鍛造金型には、クランクアームやカウンターウエイト等を成形する部分に抜き勾配が設けられている。クランクジャーナルやクランクピン等の円柱状の部分は、その円柱の軸を含む平面で分けられるように上型と下型の成形凹部が形成されており、その円柱の側面形状が抜き勾配として機能する。
合わせ面に垂直な方向に離型させる際に引っ掛かり等が無く容易に離型できるように抜き勾配が形成され、その傾斜角は合わせ面の法線に対して1~3度程度の場合が多い。また、特許文献1のように荒成形工程と仕上成形工程で鍛造する場合には、特許文献1には記載はないが、通常はカウンターウエイトの荒成形型の成形凹部と仕上成形型の成形凹部とで対応する部分の抜き勾配を略同じにして、仕上成形型の耐久性を確保するようにしている。
また、成形凹部表面や合わせ面には、鍛造時の大きな圧力による素材の固着を防ぎ且つ離型を容易にして鍛造金型の耐久性を向上させるために、例えば炭素を主成分とする離型剤層が形成されている。離型剤層は、鍛造によって温度が上昇した鍛造金型に液状離型剤を塗布し、乾燥させて形成されるため、温度上昇が小さい場合には液状離型剤が乾燥せずに流れ落ちてしまい、十分な離型剤層が形成されないことがある。
一方、クランクシャフトには、振動等の原因となる回転アンバランスの解消の要求と共に、軽量化の要求がある。カウンターウエイトの質量増加による慣性モーメントの増加によって回転アンバランスを小さくすることができるが、クランクシャフトの軽量化と両立させることが困難である。
本発明の目的は、カウンターウエイトによる慣性モーメントの増加とクランクシャフトの軽量化を両立させることができるクランクシャフトの鍛造金型構造、及びその鍛造金型構造を用いたクランクシャフトの鍛造方法を提供することである。
請求項1の発明のクランクシャフトの鍛造金型構造は、外周面が円弧状のカウンターウエイトを有するクランクシャフトをクランクシャフトの軸心とクランクピンの軸心を含む第1合せ面で分割した分割式の荒成形型及びクランクシャフトの軸心とクランクピンの軸心を含む第2合せ面で分割した分割式の仕上成形型を用いて熱間鍛造するためのクランクシャフトの鍛造金型構造において、前記分割式の荒成形型の前記第1合せ面から夫々凹設された荒成形凹部に、前記カウンターウエイトの前記軸心に略直交する1対の側面部を成形する1対の荒成形面を有し、前記分割式の仕上成形型の前記第2合わせ面から夫々凹設された仕上成形凹部に、前記1対の荒成形面に対応する前記カウンターウエイトの前記1対の側面部を成形する1対の仕上成形面を有し、前記1対の仕上成形面は、前記1対の荒成形面よりも抜き勾配傾斜角が小さく形成されると共に、前記1対の仕上成形型によって第2合せ面の近傍の素材が絞られて第2合せ面から遠ざかるように移動して前記カウンターウエイトの周方向両端側へ移動するように、前記1対の仕上成形面間の間隔が、前記1対の荒成形面間の間隔よりも、前記第2合わせ面側では小さく且つ前記第2合わせ面と反対側では大きく形成されたことを特徴としている。
上記構成によれば、クランクシャフトのカウンターウエイトの1対の側面部を成形する1対の仕上成形面は1対の荒成形面よりも抜き勾配傾斜角が小さく形成されている。また、1対の仕上成形面間の間隔が1対の荒成形面間の間隔よりも、第2合わせ面側で小さく且つその反対側では大きい。従って、荒成形型によって成形されたカウンターウエイトを構成する第2合わせ面側に近い部分の素材を、仕上成形型によって第2合わせ面から離れるように移動させることができる。これにより、カウンターウエイトを構成する素材を一層多くクランクシャフトの軸心から遠ざけることができる。その結果、従来の同質量のクランクシャフトよりも慣性モーメントを増加させることができ、従来と同じ慣性モーメントのクランクシャフトを形成する場合にカウンターウエイトの質量を減少させて従来よりも軽量化することができる
請求項2の発明のクランクシャフトの鍛造金型構造は、請求項1の発明において、前記1対の仕上成形面間の間隔は、前記仕上成形凹部の深さ方向中央近傍で前記1対の荒成形面間の間隔に等しくなることを特徴としている。
上記構成によれば、仕上成形型は、仕上成形凹部の深さ方向中央近傍部よりも浅い合わせ面側の部分のカウンターウエイトを構成する素材を絞って、仕上成形凹部の深さ方向中央近傍部よりも深い合わせ面と反対側の部分にカウンターウエイトを構成する素材を移動させることができる。仕上成形型によってカウンターウエイトを構成する素材の移動元と移動先が確保され、カウンターウエイトにおける素材の充填性を向上させることができる。
請求項3の発明のクランクシャフトの鍛造金型構造は、請求項1又は2の発明において、前記荒成形型及び前記仕上成形型は、前記軸心方向視にて前記カウンターウエイトを前記軸心から離れる程広がる扇形状に成形することを特徴としている。
上記構成によれば、クランクシャフトの軸心方向視にてカウンターウエイトを軸心から離れる程広がる扇形状に成形するので、クランクシャフトの軸心から遠い部分の質量を大きくして、カウンターウエイトによる慣性モーメントを増加させることができる。
請求項4の発明のクランクシャフトの鍛造方法は、請求項1に記載のクランクシャフトの鍛造金型構造を用いてクランクシャフトを熱間鍛造するクランクシャフトの鍛造方法において、前記分割式の荒成形型を用いて前記クランクシャフトを鍛造成形する荒鍛造工程と、前記荒鍛造工程の後に前記分割式の仕上成形型を用いて前記クランクシャフトを鍛造成形する仕上鍛造工程を有することを特徴としている。
上記構成によれば、荒鍛造工程で成形したカウンターウエイトを構成する素材を、次の仕上鍛造工程によって移動させて、カウンターウエイトを構成する素材を一層多くクランクシャフトの軸心から遠ざけることができる。従って、カウンターウエイトによる慣性モーメントの増加とクランクシャフトの軽量化を両立させることができる。
請求項5の発明のクランクシャフトの鍛造方法は、請求項4の発明において、前記仕上鍛造工程において、温度上昇した前記仕上成形型の前記仕上成形凹部に液状離型剤を塗布して乾燥させることにより離型剤層を形成することを特徴としている。
上記構成によれば、仕上鍛造工程で温度上昇した仕上成形型の仕上成形凹部に液状離型剤を塗布し、乾燥させて、この仕上成形型による次のクランクシャフトの鍛造のための離型剤層を形成することができる。特に、カウンターウエイトの1対の側面部における成形抵抗の増加によって仕上成形型の1対の仕上成形面における温度を上昇させることができるので、塗布した液状離型剤が流れ落ちる前に乾燥させて離型剤層を形成することができる。
本発明のクランクシャフトの鍛造金型構造及びその鍛造金型構造を用いたクランクシャフトの鍛造方法によれば、カウンターウエイトの慣性モーメントの増加とクランクシャフトの軽量化を両立させることができる。
本発明の実施例に係るクランクシャフトの鍛造工程を示す図である。 本実施例に係るクランクシャフトの平面図である。 図2のクランクシャフトを出力側から軸心方向に見た側面図である。 図1の分割式の仕上成形型の下型を合わせ面側から見た平面図である 図4のV-V線断面を模式的に示した断面模式図である。 図5に対応する荒成形型の断面模式図である。 図5の仕上成形面の断面形状に対応する図6の荒成形面の断面形状を仮想的に重ねて示した図である。
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
最初にクランクシャフト1について説明する。
図1はクランクシャフト1の平面図である。矢印Fはクランクシャフト1を有するエンジンが車両に縦置きに搭載された場合の車両前方を示し、矢印Lは鍛造工程における姿勢で矢印Fを前方としたときの左方を示す。この場合、後側がクランクシャフト1の出力側である。尚、このクランクシャフト1は、縦置きエンジン用に限定されるものではない。
クランクシャフト1は、クランクシャフト1の主軸部を形成する複数のクランクジャーナルと、コネクティングロッドのビッグエンドが連結される複数のクランクピンを有し、クランクシャフト1の軸心Aの方向に隣り合うクランクジャーナルとクランクピンが、クランクアームによって連結される。ここでは、5つのクランクジャーナル2a~2eと4つのクランクピン3a~3dが8つのクランクアーム4a~4hによって一続きに連結された4気筒エンジン用のクランクシャフト1である。クランクピン3aとクランクピン3dの軸線Bが互いに一致するように設けられ、クランクピン3bとクランクピン3cの軸線B’が互いに一致するように設けられて、クランクシャフト1の軸心Aと軸線Bと軸線B’が同一平面(平面S)内にある。
クランクシャフト1が軸心Aの周りに回転するときに、クランクピン3aとクランクピン3dが同位相になり、それらに対してクランクピン3b,3cが180度ずれた位相になる。エンジンにおける工程サイクルでは、クランクピン3aに対してクランクピン3dは位相が360度異なり、クランクピン3bに対してクランクピン3cは位相が360度異なることになる。クランクアーム4a~4hは、クランクシャフト1が軸心Aの周りに回転したときにクランクピン3a~3dの慣性力とのバランスをとるためのカウンターウエイト5a~5hを夫々備えている。
図2は、クランクアーム4hをクランクシャフト1の出力側から軸心Aの方向に見た要部断面図である。軸心Aからずらして配設するクランクピン3dに連結するクランクアーム4hがクランクジャーナル2eから延びている。軸心Aに対してクランクピン3dと反対側に軸心Aから離れる程広がる扇形状のカウンターウエイト5hがクランクアーム4hに設けられている。カウンターウエイト5hの扇形状における円弧は、軸心Aを中心とした円の一部である。尚、各カウンターウエイトの質量、形状等は、クランクアーム毎に最適化される。平面Sは、軸心Aと軸線Bと図示外の軸線B’を含む平面である。
次にクランクシャフト1の鍛造方法を鍛造工程順に説明する。
図3は、熱間鍛造により成形するクランクシャフト1の鍛造工程を模式的に示している。最初に円柱状に形成された鋼製の素材M1を、例えば1200℃程度に加熱して軟化させておく。次に、上型6aと下型6bを有する分割式の潰し成形型6を用いて、上型6aと下型6bの間に載置した素材M1をプレス(鍛造成形)して潰した素材M2に成形する(潰し成形工程)。
次に、上型7aと下型7bを有する分割式の荒成形型7を用いて、素材M2をクランクシャフト1の外形に近似した形状の素材M3に鍛造成形する(荒鍛造工程)。次に、上型8aと下型8bを有する分割式の仕上成形型8を用いて、この素材M3をクランクシャフト1の外形に一層近似した形状の素材M4に鍛造成形する(仕上鍛造工程)。そして、この素材M4が有するバリ等の不要部分をトリム型9を用いて分離してクランクシャフト1を得る(トリム工程)。
荒成形型7等の成形型には、鍛造時の大きい圧力によって素材が成形型に固着して離型が困難にならないように、離型剤層が形成される。離型剤層は、各鍛造工程において鍛造による成形型の温度上昇を利用して、例えば鍛造によって150℃~300℃程度の温度になった荒成形型7にスプレー塗布した液状離型剤を乾燥させることにより形成される。他の成形型にも同様にして離型剤層が形成される。
次に、クランクシャフト1の鍛造成形に用いられる成形型の構造について、特に鍛造金型構造として仕上成形型8及び荒成形型7の構造について説明する。
図4は、仕上鍛造工程で用いられる図3の分割式の仕上成形型8の下型8bを、鍛造成形時に上型8aと合わせる合わせ面8c側から見た平面図である。下型8bは、クランクシャフト1の軸心Aと軸線Bと軸線B’を含む平面Sより下側のクランクシャフト1の下半分を成形し、残りの上半分を上型8aが成形する。合わせ面8cは、平面Sを含むと共にクランクシャフト1の軸心Aに平行に設けられた面を有する。
下型8bには、合わせ面8cから凹設させた仕上成形凹部8dが形成されている。図示を省略するが、上型8aには、平面Sを対称面として、クランクシャフト1の上半分を形成するために下型8bの仕上成形凹部8dと略鏡像関係の仕上成形凹部が形成されている。以下では下型8bについて説明し、上型8aの説明を省略する。尚、図示を省略するが、荒成形型7の上型7a及び下型7bにも同様の荒成形凹部が凹設されている。
図5は、図4の仕上成形型8の下型8bにおける仕上成形凹部8dであって、カウンターウエイト5hを成形する部分の軸心Aに平行且つ合わせ面8c(平面S)に垂直な断面を模式的に示した断面模式図である。仕上成形凹部8dは、扇形状のカウンターウエイト5hの下側を成形する部分に、軸心Aに略直交する扇形状のカウンターウエイト5hの1対の側面部を成形するための1対の仕上成形面8eを有する。この1対の仕上成形面8eに連なる底面8fは、軸心Aに略平行なカウンターウエイト5hの外周面部を成形する。
容易に離型できるように設けられる抜き勾配は、1対の仕上成形面8eにおける抜き勾配傾斜角θ8が例えば夫々0.75度で形成されている。抜き勾配傾斜角θ8は、合わせ面8c(平面S)の法線Nに対する傾斜角であり、法線Nに平行な抜き勾配が無い状態が0度である。熱間鍛造の成形型には少なくとも0.5度の傾斜角で抜き勾配が設けられ、1~3度程度の傾斜角で抜き勾配が設けられることが多い。尚、図5では、理解が容易なように抜き勾配傾斜角θ8を実際よりも大きく表している。
図6は、荒成形型7の下型7bにおける荒成形凹部の図5に対応する断面模式図であって、カウンターウエイト5hを形成する部分の軸心Aに平行且つクランクシャフト対称面に垂直な断面を模式的に示している。この荒成形凹部は、扇形状のカウンターウエイト5hの下側を成形する部分に、軸心Aに略直交する扇形状のカウンターウエイト5hの1対の側面部を成形するための1対の荒成形面7eを有する。この1対の荒成形面7eでは、抜き勾配傾斜角θ7は例えば夫々1.5度で形成されている。尚、図6でも理解が容易なように抜き勾配傾斜角を実際よりも大きく表している。
1対の仕上成形面8eでは、抜き勾配傾斜角θ8が例えば夫々0.75度であり、1対の荒成形面7eでは、抜き勾配傾斜角θ7は例えば夫々1.5度である。故に、カウンターウエイト5hの扇形状の1対の側面部を成形する1対の仕上成形面8eは、対応する1対の荒成形面7eよりも抜き勾配傾斜角が小さく形成されている。尚、抜き勾配傾斜角θ8が抜き勾配傾斜角θ7より小さくなるように且つ容易に離型できるように、抜き勾配傾斜角θ7,θ8を適宜設定することができる。
図7は、カウンターウエイト5hの扇形状の1対の側面部を成形するための図5の仕上成形型8の1対の仕上成形面8eの断面形状を実線で、対応する図6の荒成形型7の1対の荒成形面7eの断面形状を破線で、平面Sが一致するように仮想的に重ねて表示している。
1対の仕上成形面8e間の間隔は、抜き勾配によって合わせ面8c(平面S)から深さ方向(下方)に進むにつれて小さくなっている。1対の荒成形面7e間の間隔も同様に、抜き勾配によって合わせ面7c(平面S)から深さ方向に進むにつれて小さくなっている。そして、1対の仕上成形面8e間の間隔は、1対の荒成形面7e間の間隔よりも、合わせ面8c側では小さく且つ合わせ面8cと反対側では大きく形成されている。また、1対の仕上成形面8e間の間隔は、1対の仕上成形面8eを有する仕上成形凹部8dの深さ方向中央近傍で1対の荒成形面7e間の間隔に等しくなる。つまり、1対の仕上成形面8eと1対の荒成形面7eを仮想的に重ね合せると、深さ方向中央近傍で交差する。
荒鍛造工程において、カウンターウエイト5hになる部分は、荒成形型7の1対の荒成形面7eによって、合わせ面7cに近い部分が厚く、合わせ面7cから遠ざかるほど薄くなる形状に形成される。このカウンターウエイト5hになる部分は、次の仕上鍛造工程において、仕上成形型8の1対の仕上成形面8eによって、合わせ面8cの近傍の素材が絞られて合わせ面8cから遠ざかるように移動される。上型8aでも同様であり、仕上成形型8によってカウンターウエイト5hの扇形状の中央部分(合わせ面8cの近傍)の素材が扇形状の円弧の両端側(周方向両端側)に移動される。
扇形状のカウンターウエイト5hによって軸心Aから離して素材を配設して、カウンターウエイトに5hによる慣性モーメントを大きくしている。このカウンターウエイト5hを構成する素材を扇形状の円弧の両端側(周方向の両端側)に移動させることによって、一層多くの素材をクランクシャフト1の軸心Aから遠ざけられるので、軸心Aの周りに回転させたときに、カウンターウエイト5hによる慣性モーメントを大きくすることができる。他のカウンターウエイト5a~5gについても同様に素材を一層多く軸心Aから遠ざけることができ、慣性モーメントを大きくすることができる。
カウンターウエイト5a~5h構成する素材を一層多くクランクシャフト1の軸心Aから遠ざけられるので、従来の同質量のクランクシャフト1よりも慣性モーメントを増加させることができ、従来と同じ慣性モーメントのクランクシャフト1を形成する場合にカウンターウエイト5a~5hの質量を減少させて従来よりも軽量化することができる。また、仕上鍛造工程においてカウンターウエイト5hの扇形状の1対の側面部を成形するときの成形抵抗を増加させて仕上成形型8の温度を一層上昇させることができるので、この仕上成形型8による次のクランクシャフトの鍛造のための離型剤層の形成に有利である。
次に、本発明の作用、効果について説明する。
仕上成形凹部8dは荒成形凹部よりも抜き勾配傾斜角が小さく形成されていると共に、カウンターウエイト5hの1対の側面部を成形する1対の仕上成形面8e間の間隔が1対の荒成形面7e間の間隔よりも合わせ面8c側で小さく且つその反対側では大きい。従って、荒成形型7によって成形されたカウンターウエイトを構成する合わせ面7c側に近い部分の素材を、仕上成形型8によって合わせ面8cから離れるように移動させることができる。これにより、カウンターウエイト5hを構成する素材を一層多くクランクシャフト1の軸心Aから遠ざけることができる。他のカウンターウエイト5a~5gに関しても同様である。その結果、従来の同質量のクランクシャフトよりも慣性モーメントを増加させることができ、従来と同じ慣性モーメントのクランクシャフトを形成する場合にカウンターウエイトの質量を減少させて従来よりも軽量化することができる。故に、カウンターウエイトによる慣性モーメントの増加とクランクシャフトの軽量化を両立させることができる。
仕上成形型8は、仕上成形凹部8dの深さ方向中央近傍部よりも浅い合わせ面8c側の部分のカウンターウエイト5hを構成する素材を絞って、仕上成形凹部8dの深さ方向中央近傍部よりも深い合わせ面8cと反対側の部分にカウンターウエイト5hを構成する素材を移動させることができる。仕上成形型8によってカウンターウエイト5hを構成する素材の移動元と移動先が確保され、カウンターウエイト5hにおける素材の充填性を向上させることができる。他のカウンターウエイト5a~5gに関しても同様である。
荒成形型7及び仕上成形型8は、クランクシャフト1の軸心方向視にてカウンターウエイト5hを軸心Aから離れる程広がる扇形状に成形するので、クランクシャフト1の軸心Aから遠い部分の質量を大きくして、カウンターウエイトによる慣性モーメントを増加させることができる。他のカウンターウエイト5a~5gに関しても同様である。
荒鍛造工程で分割式の荒成形型7を用いて成形したカウンターウエイト5hを構成する素材を、次の仕上鍛造工程で分割式の仕上成形型8を用いて移動させて、カウンターウエイト5hを構成する素材を一層多くクランクシャフト1の軸心Aから遠ざけることができる。他のカウンターウエイト5a~5gに関しても同様である。従って、カウンターウエイト5a~5hによる慣性モーメントの増加とクランクシャフト1の軽量化を両立させることができる。
仕上鍛造工程において、温度上昇した仕上成形型8の仕上成形凹部8dに液状離型剤を塗布して乾燥させることにより離型剤層を形成するので、この仕上成形型8による次のクランクシャフトの鍛造のための離型剤層を形成することができる。特に、カウンターウエイトの1対の側面部の成形における成形抵抗の増加によって仕上成形型8の温度を上昇させることができるので、塗布した液状離型剤が流れ落ちる前に乾燥させて離型剤層を形成することができる。
その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく上記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はその種の変更形態をも包含するものである。
1 :クランクシャフト
2a~2e :クランクジャーナル
3a~3d :クランクピン
4a~4h :クランクアーム
5a~5h :カウンターウエイト
6 :潰し成形型
7 :荒成形型
7a :上型
7b :下型
7c :合わせ面(第1合わせ面)
7e :荒成形面
8 :仕上成形型
8a :上型
8b :下型
8c :合わせ面(第2合わせ面)
8d :仕上成形凹部
8e :仕上成形面
8f :底面
9 :トリム型
A :軸心
θ7,θ8 :抜き勾配傾斜角

Claims (5)

  1. 外周面が円弧状のカウンターウエイトを有するクランクシャフトをクランクシャフトの軸心とクランクピンの軸心を含む第1合せ面で分割した分割式の荒成形型及びクランクシャフトの軸心とクランクピンの軸心を含む第2合せ面で分割した分割式の仕上成形型を用いて熱間鍛造するためのクランクシャフトの鍛造金型構造において、
    前記分割式の荒成形型の前記第1合せ面から夫々凹設された荒成形凹部に、前記カウンターウエイトの前記軸心に略直交する1対の側面部を成形する1対の荒成形面を有し、
    前記分割式の仕上成形型の前記第2合わせ面から夫々凹設された仕上成形凹部に、前記1対の荒成形面に対応する前記カウンターウエイトの前記1対の側面部を成形する1対の仕上成形面を有し、
    前記1対の仕上成形面は、前記1対の荒成形面よりも抜き勾配傾斜角が小さく形成されると共に、前記1対の仕上成形型によって第2合せ面の近傍の素材が絞られて第2合せ面から遠ざかるように移動して前記カウンターウエイトの周方向両端側へ移動するように、
    前記1対の仕上成形面間の間隔が、前記1対の荒成形面間の間隔よりも、前記第2合わせ面側では小さく且つ前記第2合わせ面と反対側では大きく形成されたことを特徴とするクランクシャフトの鍛造金型構造。
  2. 前記1対の仕上成形面間の間隔は、前記仕上成形凹部の深さ方向中央近傍で前記1対の荒成形面間の間隔に等しくなることを特徴とする請求項1に記載のクランクシャフトの鍛造金型構造。
  3. 前記荒成形型及び前記仕上成形型は、前記軸心方向視にて前記カウンターウエイトを前記軸心から離れる程広がる扇形状に成形することを特徴とする請求項1又は2に記載のクランクシャフトの鍛造金型構造。
  4. 請求項1に記載のクランクシャフトの鍛造金型構造を用いてクランクシャフトを熱間鍛造するクランクシャフトの鍛造方法において、
    前記分割式の荒成形型を用いて前記クランクシャフトを鍛造成形する荒鍛造工程と、
    前記荒鍛造工程の後に前記分割式の仕上成形型を用いて前記クランクシャフトを鍛造成形する仕上鍛造工程を有することを特徴とするクランクシャフトの鍛造方法。
  5. 前記仕上鍛造工程において、温度上昇した前記仕上成形型の前記仕上成形凹部に液状離型剤を塗布して乾燥させることにより離型剤層を形成することを特徴とする請求項4に記載のクランクシャフトの鍛造方法。
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