JP7273987B2 - 腫瘍細胞群の特性を決定する方法、キット及びプログラム - Google Patents
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Description
(乳がん細胞群の薬剤への感受性を決定する方法)
第1の実施形態に従う方法は、乳がん細胞群の薬剤への感受性を決定する方法である。
(S2)乳がん細胞群を培養する培養工程、
(S3)乳がん細胞群に含まれる各乳がん細胞において、レポーター遺伝子から発現するレポータータンパク質からの信号の有無又は量を検出する検出工程、及び
(S4)検出工程の結果から、薬剤感受性を有する腫瘍細胞の数を計測する計数工程。
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、
1,2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン(DPPC)、
1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン(POPC)、
1,2-ジ-O-オクタデシル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DOTMA)、
1,2-ジオレオイル-3-ジメチルアンモニウムプロパン(DODAP)、
1,2-ジミリストイル-3-ジメチルアンモニウムプロパン(14:0 DAP)、
1,2-ジパルミトイル-3-ジメチルアンモニウムプロパン(16:0 DAP)、
1,2-ジステアロイル-3-ジメチルアンモニウムプロパン(18:0 DAP)、
N-(4-カルボキシベンジル)-N,N-ジメチル-2,3-ビス(オレオイロキシ)プロパン(DOBAQ)、
1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DOTAP)、
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホクロリン(DOPC)、
1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホクロリン(DLPC)、
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-L-セリン(DOPS)、又は
コレステロール、
或いはこれらの何れかの組み合わせ等を用いることが好ましい。
Qは、3級窒素を2つ以上含み、酸素を含まない含窒素脂肪族基であり、
Rは、それぞれ独立に、C12~C24の脂肪族基であり、
少なくとも一つのRは、その主鎖中又は側鎖中に、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、-S-C(=O)-、-C(=O)-S-、-C(=O)-NH-、及び-NHC(=O)-からなる群から選択される連結基LRを含む)。
Pは、1つ以上のエーテル結合を主鎖に含むアルキレンオキシであり、
Xは、それぞれ独立に、三級アミン構造を含む2価連結基であり、
Wは、それぞれ独立に、C1~C6アルキレンであり、
Yは、それぞれ独立に、単結合、エーテル結合、カルボン酸エステル結合、チオカルボン酸エステル結合、チオエステル結合、アミド結合、カルバメート結合及び尿素結合からなる群から選ばれる2価連結基であり、
W’は、それぞれ独立に、単結合又はC1~C6アルキレンであり、
Zは、それぞれ独立に、脂溶性ビタミン残基、ステロール残基、又はC12~C22脂肪族炭化水素基である)。
RQRQRGGRRRRRR (配列番号4)。
(M9)(配列番号6)
核酸凝縮ペプチド4を用いる場合、第1核酸3が凝縮され、より多くの第1核酸3を脂質膜2内に内包することが可能であり、また脂質粒子1のサイズを小さくすることができる。その結果、乳がん細胞への第1核酸3の導入効率が高まる。核酸凝縮ペプチド4を用いることが好ましいが、用いる核酸の種類等によっては核酸凝縮ペプチド4を用いなくともよい。
細胞群A:マーカー遺伝子の発現量が多い細胞8aを4個、マーカー遺伝子を発現しない細胞8cを5個含む、
細胞群B:マーカー遺伝子の発現量が少ない細胞8bを4個、細胞8cを5個含む、
細胞群C:マーカー遺伝子の発現量が多い細胞8aを1個、細胞8cを9個含む
を用いる場合、培養する前(培養0時間)においては、図5の(b)に示すように、細胞群全体としてのマーカー遺伝子発現量は、細胞群Aは高く、細胞群B、Cでは低くなり得る。このことから、従来のような、培養を行わず且つ細胞数を数えないPCR法やマイクロアレイ法を用いた場合では、細胞群Bは、マーカー遺伝子を発現する細胞数が細胞群Aと同じであるのにも関わらず陰性と判定される場合がある(偽陰性)。また、細胞群Bと細胞群Cとを比較した場合、細胞群Cはマーカー遺伝子を発現する細胞数が少ないにも関わらずマーカー遺伝子を発現量は細胞群Bと同等の結果となり、薬剤感受性の決定結果が細胞群Bと同じと判定される場合がある(偽陽性)。
第2実施形態によれば、対象の体内に存在する乳がんの薬剤への感受性を決定、例えば、診断する方法が提供される。この方法は、図6に示すように、上記工程S1~S5に加え、決定工程S5(ここでは、「第1決定工程S5」と称する)の結果から、当該対象の体内に存在している乳がんの薬剤への感受性の有無又は程度を決定する第2決定工程S6を含む。
第3実施形態において、複数種類のプロモーター配列を用いた方法が提供される。第3実施形態の方法によれば、複数種類のプロモーター配列について同時に発現レベルを調査することができる。例えば、(i)複数種類のプロモーター配列として、互いに異なる複数の薬剤にそれぞれ対応する複数の感受性予測マーカー遺伝子のプロモーター配列を選択することにより、1つの乳がん細胞群について複数の薬剤への感受性を決定することができる。或いは、(ii)複数種類のプロモーター配列として、1種の薬剤に対応する複数種類の感受性予測マーカー遺伝子のプロモーター配列を選択することにより、当該1種の薬剤への感受性を更に正確に決定することも可能である。
(S12)乳がん細胞群を培養する培養工程、
(S13)乳がん細胞群に含まれる各乳がん細胞において、第1~第nのレポーター遺伝子からそれぞれ発現する第1~第nのレポータータンパク質からの第1~第nの信号の有無又は量をそれぞれ検出する検出工程、及び
(S14)検出工程の結果から、特性を有する乳がん細胞の数を第1~第nの信号毎に個別に計測する計数工程。
(i)複数のプロモーター配列が複数種類の薬剤にそれぞれ対応するものである場合、第1~第nの信号の個別の検出によって得られた各薬剤感受性細胞の数又はその存在率から、上記決定工程S5と同様に、複数種類の薬剤への感受性の有無又は程度を個別に決定する。それによって、複数の薬剤について同時に感受性を決定することができる。
第4実施形態に係る方法は、腫瘍細胞の特性を決定する方法である。即ち、第4実施形態においては、第1実施形態に係る方法の乳がん細胞群に代えて他の腫瘍細胞群を用いてもよく、また第1実施形態に係る方法の薬剤への感受性に代えて、腫瘍細胞の他の特性を決定してもよい。
(S22)腫瘍細胞群を培養する培養工程、
(S23)腫瘍細胞群に含まれる各腫瘍細胞において、レポーター遺伝子から発現するレポータータンパク質からの信号の有無又は量を検出する検出工程、及び
(S24)検出工程の結果から、特性を有する腫瘍細胞の数を計測する計数工程。
(細胞培養検出デバイス)
第5実施形態において、上記第1~第4実施形態における培養工程、検出工程及び計数工程を行うための細胞培養検出デバイスが提供される。図14に示すように、細胞培養検出デバイス10は、例えば、試料収容部11と、光学センサ12とを備える。
更なる実施形態によれば、腫瘍細胞の特性を決定するためのキットが提供される。キットは、例えば、細胞培養検出デバイス10と脂質粒子1とを含む。
更なる実施形態において、細胞特性決定システムが提供される。図16に示すように、細胞特性決定システム100は、例えば、細胞培養検出デバイス10と、光照射装置25と、処理装置101とを備える。処理装置101は、入力部103と、記憶部40と、プロセッサ50と、表示部60と、出力部70とを備える。入力部103と、記憶部40と、プロセッサ50と、表示部60と、出力部70とは、バス102を介して電気的に接続されている。
例1.レポーターベクターの作製
アンピシリン耐性遺伝子配列、ColE1 origin配列、SV40 origin配列、SV40ポリA配列、NanoLuc遺伝子、BGHポリA配列を含む基礎ベクターを用意した。基礎ベクターのNanoLuc遺伝子の上流にあるSacIサイト及びXhoIサイトで制限酵素処理を行って直線化し、0.8%アガロース電気泳動を行い、精製した。
STC2レポーターベクターを含むDNA溶液、及びTOP2Aレポーターベクターを含むDNA溶液にカチオン性ペプチドをそれぞれ加え、DNA-ペプチド凝縮体を形成した。
・ヒト乳腺腫瘍由来細胞株への導入
タモキシフェン感受性のヒト乳腺腫瘍由来細胞株(MCF-7)、及びドキソルビシン感受性のヒト乳腺腫瘍由来細胞株(MDA-MB-231)を、カルチャーフラスコにおいて10%牛胎児血清(FBS)を添加した培地(MCF-7:MEM(GIBCO)、MDA-MB-231:DMEM(GIBCO))を用いて37℃、5%CO2雰囲気下で付着培養した。
ヒト正常乳腺上皮細胞(HMEC)を、カルチャーフラスコで、Mammary Life(Lifeline Cell Technology社)を用いて37℃、5%CO2雰囲気下で付着培養した。培養後、培地を取り除き、PBSで洗浄した後、0.25%のTrypsin-EDTA処理により細胞を剥がした後、Mammary Lifeに細胞を懸濁し、Trypsinを不活性化した。遠心で細胞を回収した後、2.0×105細胞/mLとなるようにMammary Lifeに細胞を懸濁して、96ウェル培養ディッシュ(サーモフィッシャー・サイエンティフィック製)に、4.0×104細胞/ウェルとなるように、細胞縣濁液を200μLずつ加えた。この96ウェル培養ディッシュを2つ用意し、例2で作製した各レポーターベクター内包脂質粒子を、DNAが0.2μg/ウェルとなるようにそれぞれウェルに添加して、37℃、5%CO2雰囲気下で培養した。
プロモーターベクター内包脂質粒子と乳がん細胞とを混合してから24時間後、培養プレートをインキュベータから取り出し、培地を取り除いた後、細胞をPBSで洗浄し、Glo Lysis Buffer(Promega社)を100μL/well加えて、-80℃で30分間凍結させた。室温で融解させた後、細胞溶解液を1.5mL遠心チューブに回収した。15000rpmで10分間遠心分離し、細胞残渣を沈殿させ、上清25μLを96ウェルプレート(Black、Nunc)に分注した。ここにルシフェラーゼ基質溶液(Nano Glo Luciferase Assay System, Promega社)を25μL添加し、混合した後、ルミノメーター(Mithras LB940、Berthold社)を用いて、0.1秒当たりの1ウェルのあたりの発光量を測定した。
図19に、STC2プロモーターベクター内包脂質粒子を導入した各乳がん細胞のNanoLuc発光強度(RLU)の測定結果を示す。タモキシフェン感受性乳がん細胞株であるMCF-7の発光強度は約27×105RLUであり、MDA-MB-231(約0.5×105RLU)及びHMEC(約1×105RLU)と比較して明らかに高かった。この結果からSTC2プロモーターベクター内包粒子により、乳がん細胞のタモキシフェンへの感受性を決定できることが明らかとなった。
・検体細胞の調製及びDNA内包脂質粒子による核酸の導入
乳がんに罹患したヒトから外科的手術によって取り出された腫瘍の一部を乳がん検体として用いた(検体は、倫理委員会の承認を受けた臨床研究の実験計画に基づき、同意を得られた患者から摘出された手術検体の一部であり、適切な管理下で実験に使用した)。検体は、タモキシフェンへの感受性のある乳がん検体A、ドキソルビシンへの感受性のある乳がん検体B、タモキシフェン及びドキソルビシンのどちらにも感受性の無い検体Cであった。採取された後、MACS Tissue Storage Solution(Miltenyi Biotec社)を入れたサンプル瓶中に保管し、4℃で運搬した。検体の細胞分散には、MACS Tissue Dissociation Kits(Miltenyi Biotec社)を用いた。1%のBSAを含むRPMI4.8mlに対し、Kitに付属している酵素Hを100μL(Kitプロトコルの1/2量)、酵素Rを20μL(Kitプロトコルの1/5量)加え、gentle MACS C Tube(Miltenyi Biotec社)に検体とともに入れ、検体をはさみで細切した。これをgentle MACS-Oct Dissociator with heaters(Miltenyi Biotec)にセットし、乳がん検体用に設定したプログラム(表5)を用いて細胞を分散した。
レポーターベクター内包脂質粒子添加の24時間後、NanoCulture dishをインキュベータから取り出し、発光基質(Nano-Glo Luciferase Assay Substrate、Promega社)を1/1000希釈となるように培地に加え、高感度冷却CCDカメラ(ImageM EX、浜松ホトニクス製)を装着した発光顕微鏡(LuminoView LV200、Olympus製)を用いて細胞を観察し、明視野と暗視野の写真を撮影した。画像処理は、MetaMorph(Molecular Device)を用いて行った。
図21、図22に示す通り、STC2プロモーターベクター内包脂質粒子によるNanoLuc発光細胞の写真では、タモキシフェン感受性のある検体Aで発光細胞が明らかに多く、例えば図21、図22に示す視野中では肉眼で約60個観察された。一方、検体Bでは発光細胞が2個、検体Cでは3個観察され、明らかに少なかった。図21及び図22は、それぞれJPEG形式及びビットマップ形式の同一の写真である。
・プロモーターベクター内包脂質粒子使用した薬剤感受性の決定
例4の検体A、B、Cとは別の乳がん検体D、Eを用いて、例4と同様の方法によってSTC2プロモーターベクター内包脂質粒子を細胞に導入し、明視野及び暗視野での写真を撮影した。写真の画像処理を行うことによって発光が観察された細胞数を計測した。画像処理は、MetaMorph(Molecular Device)を用いて行った。次いで発光細胞の存在率をSTC2陽性細胞数/CMV陽性細胞数として算出した。
例4で使用した細胞から、RNAを抽出した。RNA抽出は、RNeasy Mini Kit (Qiagen)で行い、操作は添付のマニュアルに従った。抽出されたRNA溶液は、分光光度計で260nmの吸光度を測定してRNA量を算出した。次いで、First-Strand cDNA synthesis kit(GE Healthcare社)を使用して逆転写PCRを行った。操作は添付のマニュアルに従って行った。各サンプルの全RNAが100ngになるように調製しcDNAを合成した。
[1] 腫瘍細胞群の特性を決定する方法であって、
脂質膜と、前記脂質膜に内包された第1核酸とを含む脂質粒子を前記腫瘍細胞群に接触させる接触工程(前記第1核酸は、前記特性を決定するためのマーカー遺伝子のプロモーター配列と、前記プロモーター配列の下流に機能可能に連結されたレポーター遺伝子とを有する)、
前記腫瘍細胞群を培養する培養工程、
前記腫瘍細胞群に含まれる各腫瘍細胞の、前記レポーター遺伝子から発現するレポータータンパク質からの信号の有無又は量を検出する検出工程、
前記検出工程の結果から、前記特性を有する前記腫瘍細胞の数を計測する計数工程
を含む方法。
[2] 前記計数工程の結果から、前記腫瘍細胞群の前記特性の有無又は程度を決定する第1決定工程を更に含む、[1]に記載の方法。
[3] 前記腫瘍細胞群は、対象の体内の腫瘍から採取されたものであり、
前記計数工程の結果から、前記対象の体内における前記腫瘍の前記特性の有無又は程度を決定する第2決定工程を更に含む、[1]に記載の方法。
[4] 前記腫瘍細胞群は、対象の体内の腫瘍から採取されたものであり、
前記第1決定工程の結果から、前記対象の体内における前記腫瘍の前記特性の有無又は程度を決定する第2決定工程を更に含む、[2]に記載の方法。
[5] 前記第1決定工程の結果及び/又は前記第2決定工程の結果に基づいて、前記対象に投与するための薬剤を選択する第3決定工程を更に含む、[4]に記載の方法。
[6] 前記計数工程は、前記腫瘍細胞群に含まれる全腫瘍細胞の数を計測することを更に含み、
前記第1決定工程は、前記全腫瘍細胞の数及び前記特性を有する前記腫瘍細胞の数から前記特性を有する前記腫瘍細胞の存在率を算出し、前記存在率から、前記腫瘍細胞群の特性の有無又は程度を決定することを含む、
[2]、[4]又は[5]の何れか1項に記載の方法。
[7] 前記第1核酸は、前記特性を決定するための第1~第nのマーカー遺伝子の各プロモーター配列(以下、「前記第1~第nのプロモーター配列」と称する)と、前記第1~第nのプロモーター配列の下流にそれぞれ機能可能に連結された第1~第nのレポーター遺伝子とを有し、前記第1~第nのプロモーター配列は互いに異なり、前記第1~第nのレポーター遺伝子は互いに異なり、前記nは2以上の自然数であり、
前記検出工程は、前記第1~第nのレポーター遺伝子からそれぞれ発現する第1~第nのレポータータンパク質からの第1~第nの信号をそれぞれ検出することを含み、
前記計数工程は、前記特性を有する前記腫瘍細胞の数を第1~第nの信号毎に個別に計測することを含む、
[1]~[6]の何れか1項に記載の方法。
[8] 前記特性は、薬剤への感受性、予後、転移性又は浸潤性である、[1]~[7]の何れか1項に記載の方法。
[9] 前記腫瘍細胞は乳がん細胞であり、前記特性は薬剤への感受性である、[8]に記載の方法。
[10] 前記薬剤はアントラサイクリン系薬剤、微小管作用薬、アルキル化薬、代謝拮抗薬、白金錯体、アロマターゼ阻害剤、LH-RHアゴニスト製剤、抗エストロゲン薬、黄体ホルモン薬又は分子標的薬である、[9]に記載の方法。
[11] 前記薬剤はアントラサイクリン系薬剤であり、前記マーカー遺伝子はTOP2A、RARA、CDC6、THRA、GSDM1、PSMD3、CSF3、MED24、SNORD124、NR1D1、TRNASTOP-UCA、MSL-1、CASC3、RAPGEFL1、WIPF2、LOC100131821、GJD3、LOC390791、LOC728207、IGFBP4、TNS4、CCR7又はSMARCE1である、[10]に記載の方法。
[12] 前記薬剤はアロマターゼ阻害剤であり、前記マーカー遺伝子はSTC2、SLC39A6、CA12、ESR1、PDZK1、NPY1R、CD2、MAPT、QDPR、AZGP1、ABAT、ADCY1、CD3D、NAT1、MRPS30、DNAJC12、SCUBE2、KCNE4、DHA、ATP5J2、VDAC2、DARS、UCP2、UBE2Z、AK2、WIPF2、APPBP2又はTRIM2である、[10]に記載の方法。
[13] 前記脂質膜は、式(I)の脂質:
式(II)の脂質:
[14] 前記検出工程における信号の検出は経時的に行われる、[1]~[13]の何れか1項に記載の方法。
[15] 少なくとも前記検出工程は、細胞培養検出デバイスを用いて行われ、
前記細胞培養検出デバイスは、二次元領域にマトリックス状に並ぶ複数のセンサ素子と、前記複数のセンサ素子と対向する光透過性の底部を有する試料収容部とを備える、
[1]~[14]の何れか1項に記載の方法。
[16] 腫瘍細胞群の特性を決定するためのキットであって、
脂質膜と、前記脂質膜に内包された第1核酸とを含む脂質粒子(前記第1核酸は、前記特性を決定するためのマーカー遺伝子のプロモーター配列と、前記プロモーター配列の下流に機能可能に連結されたレポーター遺伝子とを有する)、及び
二次元領域にマトリックス状に並ぶ複数のセンサ素子と、前記複数のセンサ素子と対向する光透過性の底部を有する試料収容部とを備える細胞培養検出デバイスと、
を含むキット。
[17] 前記レポーター遺伝子から発現するレポータータンパク質からの信号を検出するための試薬を更に含む[16]に記載のキット。
[18] 前記第1核酸は、前記特性を決定するための第1~第nのマーカー遺伝子の各プロモーター配列(以下、「前記第1~第nのプロモーター配列」と称する)と、前記第1~第nのプロモーター配列の下流にそれぞれ機能可能に連結された第1~第nのレポーター遺伝子とを有し、前記第1~第nのプロモーター配列は互いに異なり、前記第1~第nのレポーター遺伝子は互いに異なり、前記nは2以上の自然数である、
[16]又は[17]に記載のキット。
[19] 前記特性は、薬剤への感受性、予後、転移性又は浸潤性である、[16]~[18]の何れか1項に記載のキット。
[20] 前記腫瘍細胞は乳がん細胞であり、前記特性は薬剤への感受性である、[19]に記載のキット。
[21] 前記薬剤はアントラサイクリン系薬剤、微小管作用薬、アルキル化薬、代謝拮抗薬、白金錯体、アロマターゼ阻害剤、LH-RHアゴニスト製剤、抗エストロゲン薬、黄体ホルモン薬又は分子標的薬である、[20]に記載のキット。
[22] 前記薬剤はアントラサイクリン系薬剤であり、前記マーカー遺伝子はTOP2A、RARA、CDC6、THRA、GSDM1、PSMD3、CSF3、MED24、SNORD124、NR1D1、TRNASTOP-UCA、MSL-1、CASC3、RAPGEFL1、WIPF2、LOC100131821、GJD3、LOC390791、LOC728207、IGFBP4、TNS4、CCR7又はSMARCE1である、[21]に記載のキット。
[23] 前記薬剤はアロマターゼ阻害剤であり、前記マーカー遺伝子はSTC2、SLC39A6、CA12、ESR1、PDZK1、NPY1R、CD2、MAPT、QDPR、AZGP1、ABAT、ADCY1、CD3D、NAT1、MRPS30、DNAJC12、SCUBE2、KCNE4、DHA、ATP5J2、VDAC2、DARS、UCP2、UBE2Z、AK2、WIPF2、APPBP2又はTRIM2である、[21]に記載のキット。
[24] 前記脂質膜は、式(I)の脂質:
式(II)の脂質:
[25] [16]に記載のキットを用いて得られた、腫瘍細胞群に含まれる各腫瘍細胞の前記レポーター遺伝子から発現するレポータータンパク質からの信号の有無又は量から、前記特性を有する前記腫瘍細胞を計数し、前記計数の結果から前記腫瘍細胞の前記特性を決定する機能を実現するためのプログラム。
[26] 前記腫瘍細胞は乳がん細胞であり、前記特性は薬剤への感受性である、[25]に記載のプログラム。
6…レポーター遺伝子、9…信号発生細胞、10…細胞培養検出デバイス、
11…試料収容部、12…光学センサ、13…底部、15…細胞群、
17…基板、18…センサ素子、19…センシング部、
30…第1核酸、31…第1プロモーター配列、32…第1レポーター遺伝子、
33…第1転写終結配列、34…第2プロモーター配列、35…第2レポーター遺伝子
36…第2転写終結配列
Claims (21)
- 乳がん細胞群の薬剤への感受性を決定する方法であって、
脂質膜と、前記脂質膜に内包された第1核酸とを含む脂質粒子を前記乳がん細胞群に接触させる接触工程(前記第1核酸は、前記薬剤への感受性を決定するためのマーカー遺伝子のプロモーター配列と、前記プロモーター配列の下流に機能可能に連結されたレポーター遺伝子とを有する)、
前記乳がん細胞群を培養する培養工程、
前記乳がん細胞群に含まれる各乳がん細胞の、前記レポーター遺伝子から発現するレポータータンパク質からの信号の有無又は量を検出する検出工程、
前記検出工程の結果から、前記薬剤への感受性を有する前記乳がん細胞の数を計測する計数工程
を含む方法。 - 前記計数工程の結果から、前記乳がん細胞群の前記薬剤への感受性の有無又は程度を決定する第1決定工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
- 脂質膜と、前記脂質膜に内包された第1核酸とを含む脂質粒子を、対象の体内の乳がんから採取された乳がん細胞群に接触させる接触工程(前記第1核酸は、前記薬剤への感受性を決定するためのマーカー遺伝子のプロモーター配列と、前記プロモーター配列の下流に機能可能に連結されたレポーター遺伝子とを有する)、
前記乳がん細胞群を培養する培養工程、
前記乳がん細胞群に含まれる各乳がん細胞の、前記レポーター遺伝子から発現するレポータータンパク質からの信号の有無又は量を検出する検出工程、
前記検出工程の結果から、前記薬剤への感受性を有する前記乳がん細胞の数を計測する計数工程
前記計数工程の結果と、予め定めた閾値、演算式及び/又は対応付けとに基づいて、プロセッサが、前記対象の体内における前記乳がんの前記薬剤への感受性の有無又は程度を決定する第2決定工程
を含む、対象の体内に存在する乳がんの薬剤への感受性の決定を補助する情報を提供する方法。 - 脂質膜と、前記脂質膜に内包された第1核酸とを含む脂質粒子を、対象の体内の乳がんから採取された乳がん細胞群に接触させる接触工程(前記第1核酸は、前記薬剤への感受性を決定するためのマーカー遺伝子のプロモーター配列と、前記プロモーター配列の下流に機能可能に連結されたレポーター遺伝子とを有する)、
前記乳がん細胞群を培養する培養工程、
前記乳がん細胞群に含まれる各乳がん細胞の、前記レポーター遺伝子から発現するレポータータンパク質からの信号の有無又は量を検出する検出工程、
前記検出工程の結果から、前記薬剤への感受性を有する前記乳がん細胞の数を計測する計数工程、
前記計数工程の結果と、予め定めた閾値、演算式及び/又は対応付けとに基づいて、プロセッサが、前記乳がん細胞群の前記薬剤への感受性の有無又は程度を決定する第1決定工程
前記第1決定工程の結果と、予め定めた閾値、演算式及び/又は対応付けとに基づいて、プロセッサが、前記対象の体内における前記乳がんの前記薬剤への感受性の有無又は程度を決定する第2決定工程
を含む、対象の体内に存在する乳がんの薬剤への感受性の決定を補助する情報を提供する方法。 - 脂質膜と、前記脂質膜に内包された第1核酸とを含む脂質粒子を、対象の体内の乳がんから採取された乳がん細胞群に接触させる接触工程(前記第1核酸は、前記薬剤への感受性を決定するためのマーカー遺伝子のプロモーター配列と、前記プロモーター配列の下流に機能可能に連結されたレポーター遺伝子とを有する)と、
前記乳がん細胞群を培養する培養工程と、
前記乳がん細胞群に含まれる各乳がん細胞の、前記レポーター遺伝子から発現するレポータータンパク質からの信号の有無又は量を検出する検出工程と、
前記検出工程の結果から、前記薬剤への感受性を有する前記乳がん細胞の数を計測する計数工程と、
前記計数工程の結果と、予め定めた閾値、演算式及び/又は対応付けとに基づいて、プロセッサが、前記乳がん細胞群の前記薬剤への感受性の有無又は程度を決定する第1決定工程の結果、及び/又は前記乳がん細胞群からセンサにより得られた信号と、予め定めた閾値、演算式及び/又は対応付けとに基づいて、当該プロセッサが、前記対象の体内における前記乳がんの前記薬剤への感受性の有無又は程度を決定する第2決定工程の結果と、予め定めた閾値、演算式及び/又は対応付けとに基づいて、当該プロセッサが、前記対象に投与するための薬剤候補を選択する第3決定工程、
を含む、対象に投与するための薬剤を選択することを補助する情報の提供する方法。 - 前記計数工程は、前記乳がん細胞群に含まれる全乳がん細胞の数を計測することを更に含み、
前記第1決定工程は、前記全乳がん細胞の数及び前記薬剤への感受性を有する前記乳がん細胞の数から前記薬剤への感受性を有する前記乳がん細胞の存在率を算出し、前記存在率から、前記乳がん細胞群の薬剤への感受性の有無又は程度を決定することを含む、
請求項2、4又は5の何れか1項に記載の方法。 - 前記第1核酸は、前記薬剤への感受性を決定するための第1~第nのマーカー遺伝子の各プロモーター配列(以下、「前記第1~第nのプロモーター配列」と称する)と、前記第1~第nのプロモーター配列の下流にそれぞれ機能可能に連結された第1~第nのレポーター遺伝子とを有し、前記第1~第nのプロモーター配列は互いに異なり、前記第1~第nのレポーター遺伝子は互いに異なり、前記nは2以上の自然数であり、
前記検出工程は、前記第1~第nのレポーター遺伝子からそれぞれ発現する第1~第nのレポータータンパク質からの第1~第nの信号をそれぞれ検出することを含み、
前記計数工程は、前記薬剤への感受性を有する前記乳がん細胞の数を第1~第nの信号毎に個別に計測することを含む、
請求項1~6の何れか1項に記載の方法。 - 前記薬剤はアントラサイクリン系薬剤、微小管作用薬、アルキル化薬、代謝拮抗薬、白金錯体、アロマターゼ阻害剤、LH-RHアゴニスト製剤、抗エストロゲン薬、黄体ホルモン薬又は分子標的薬である、請求項1~7に記載の方法。
- 前記薬剤はアントラサイクリン系薬剤であり、前記マーカー遺伝子はTOP2A、RARA、CDC6、THRA、GSDM1、PSMD3、CSF3、MED24、SNORD124、NR1D1、TRNASTOP-UCA、MSL-1、CASC3、RAPGEFL1、WIPF2、LOC100131821、GJD3、LOC390791、LOC728207、IGFBP4、TNS4、CCR7又はSMARCE1である、請求項8に記載の方法。
- 前記薬剤はアロマターゼ阻害剤であり、前記マーカー遺伝子はSTC2、SLC39A6、CA12、ESR1、PDZK1、NPY1R、CD2、MAPT、QDPR、AZGP1、ABAT、ADCY1、CD3D、NAT1、MRPS30、DNAJC12、SCUBE2、KCNE4、DHA、ATP5J2、VDAC2、DARS、UCP2、UBE2Z、AK2、WIPF2、APPBP2又はTRIM2である、請求項8に記載の方法。
- 前記検出工程における信号の検出は経時的に行われる、請求項1~11の何れか1項に記載の方法。
- 少なくとも前記検出工程は、細胞培養検出デバイスを用いて行われ、
前記細胞培養検出デバイスは、二次元領域にマトリックス状に並ぶ複数のセンサ素子と、前記複数のセンサ素子と対向する光透過性の底部を有する試料収容部とを備える、
請求項1~12の何れか1項に記載の方法。 - 乳がん細胞群の薬剤への感受性を決定するためのキットであって、
脂質分子が非共有結合で配列して中空体を形成している脂質膜と、前記脂質膜に内包された第1核酸とを含む脂質粒子(前記第1核酸は、前記薬剤への感受性を決定するためのマーカー遺伝子のプロモーター配列と、前記プロモーター配列の下流に機能可能に連結されたレポーター遺伝子とを有する)、及び
二次元領域にマトリックス状に並ぶ複数のセンサ素子と、前記複数のセンサ素子と対向する光透過性の底部を有する試料収容部とを備える細胞培養検出デバイスと、
を含むキット。 - 前記レポーター遺伝子から発現するレポータータンパク質からの信号を検出するための試薬を更に含む請求項14に記載のキット。
- 前記第1核酸は、前記薬剤への感受性を決定するための第1~第nのマーカー遺伝子の各プロモーター配列(以下、「前記第1~第nのプロモーター配列」と称する)と、前記第1~第nのプロモーター配列の下流にそれぞれ機能可能に連結された第1~第nのレポーター遺伝子とを有し、前記第1~第nのプロモーター配列は互いに異なり、前記第1~第nのレポーター遺伝子は互いに異なり、前記nは2以上の自然数である、
請求項14又は15に記載のキット。 - 前記薬剤はアントラサイクリン系薬剤、微小管作用薬、アルキル化薬、代謝拮抗薬、白金錯体、アロマターゼ阻害剤、LH-RHアゴニスト製剤、抗エストロゲン薬、黄体ホルモン薬又は分子標的薬である、請求項14~16の何れか1項に記載のキット。
- 前記薬剤はアントラサイクリン系薬剤であり、前記マーカー遺伝子はTOP2A、RARA、CDC6、THRA、GSDM1、PSMD3、CSF3、MED24、SNORD124、NR1D1、TRNASTOP-UCA、MSL-1、CASC3、RAPGEFL1、WIPF2、LOC100131821、GJD3、LOC390791、LOC728207、IGFBP4、TNS4、CCR7又はSMARCE1である、請求項17に記載のキット。
- 前記薬剤はアロマターゼ阻害剤であり、前記マーカー遺伝子はSTC2、SLC39A6、CA12、ESR1、PDZK1、NPY1R、CD2、MAPT、QDPR、AZGP1、ABAT、ADCY1、CD3D、NAT1、MRPS30、DNAJC12、SCUBE2、KCNE4、DHA、ATP5J2、VDAC2、DARS、UCP2、UBE2Z、AK2、WIPF2、APPBP2又はTRIM2である、請求項17に記載のキット。
- 請求項16に記載のキットを用いて得られた、乳がん細胞群に含まれる各乳がん細胞の前記レポーター遺伝子から発現するレポータータンパク質からの信号を光学センサに検知させ、
前記光学センサからの信号の有無又は量から、前記薬剤への感受性を有する前記乳がん細胞を個数演算部に計数させ、
前記計数の結果から前記乳がん細胞の前記薬剤への感受性をプロセッサに決定させる、
ことを含む機能を実現して、前記乳がん細胞の前記薬剤への感受性を決定するプログラム。
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