JP7273987B2 - 腫瘍細胞群の特性を決定する方法、キット及びプログラム - Google Patents

腫瘍細胞群の特性を決定する方法、キット及びプログラム Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、腫瘍細胞群の特性を決定する方法、キット及びプログラムに関する。
乳がんの患者数は年々増加している。医療費削減、並びに患者及び医療従事者の負担軽減のために、乳がんの薬剤感受性を正確に予測することが求められている。近年では、乳がんの薬剤感受性を予測するための種々のマーカーが発見されてきている。
例えば、患者から採取された乳がん細胞におけるマーカー遺伝子の転写物(mRNA)量をPCR法やマイクロアレイ法で検出することにより、乳がんの薬剤感受性を予測することができる。
特表2019-514930号公報 特表2012-523828号公報
本発明の実施形態は、腫瘍細胞群の特性を正確に決定することができる方法、キット及びプログラムを提供することを目的とする。
実施形態に従う方法は、腫瘍細胞群の特性を決定する方法である。本方法は、脂質膜と、脂質膜に内包された第1核酸とを含む脂質粒子を腫瘍細胞群に接触させる接触工程(第1核酸は、特性を予測するためのマーカー遺伝子のプロモーター配列と、プロモーター配列の下流に機能可能に連結されたレポーター遺伝子とを有する)、腫瘍細胞群を培養する培養工程、腫瘍細胞群に含まれる各腫瘍細胞において、レポーター遺伝子から発現するレポータータンパク質からの信号の有無又は量を検出する検出工程、及び検出工程の結果から、特性を有する腫瘍細胞の数を計測する計数工程を含む。
図1は、第1実施形態の方法の一例を示すフローチャートである。 図2は、第1実施形態の脂質粒子の一例を示す断面図である。 図3は、第1実施形態の第1核酸の一例を示す模式図である。 図4は、第1実施形態の方法の一例を示すフローチャートである。 図5は、第1実施形態の方法における信号の得られる様式を示す模式図及びグラフである。 図6は、第2実施形態の方法の一例を示すフローチャートである。 図7は、第2実施形態の方法の一例を示すフローチャートである。 図8は、第3実施形態に用いる第1核酸の一例を示す模式図である。 図9は、第3実施形態に用いる第1核酸の一例を示す模式図である。 図10は、第3実施形態の方法の一例を示すフローチャートである。 図11は、第3実施形態の方法の一例を示すフローチャートである。 図12は、第4実施形態の方法の一例を示すフローチャートである。 図13は、第4実施形態の方法の一例を示すフローチャートである。 図14は、第5実施形態の細胞培養検出デバイスの使用時の様子の一例を示す斜視図である。 図15は、図14に示す光学センサをA-A’に沿って切断したときの断面の拡大図である。 図16は、第5実施形態の細胞特性決定システムの一例を示すブロック図である。 図17は、例1において用いたベクターを示す模式図である。 図18は、例1において用いたベクターを示す模式図である。 図19は、例3の実験結果を示すグラフである。 図20は、例3の実験結果を示すグラフである。 図21は、例4の実験結果を示す顕微鏡写真(JPEG形式)である。 図22は、例4の実験結果を示す顕微鏡写真(ビットマップ形式)である。
以下に、図面を参照しながら種々の実施形態について説明する。各図は実施形態とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際と異なる箇所があるが、これらは以下の説明と公知の技術を参酌して適宜、設計変更することができる。
実施形態に従う方法は、腫瘍細胞の特性を予測する方法である。本方法は、脂質膜と、脂質膜に内包された第1核酸とを含む脂質粒子を腫瘍細胞群に接触させる接触工程(第1核酸は、特性を予測するためのマーカー遺伝子のプロモーター配列と、プロモーター配列の下流に機能可能に連結されたレポーター遺伝子とを有する)、腫瘍細胞群を培養する培養工程、腫瘍細胞群に含まれる各腫瘍細胞において、レポーター遺伝子から発現するレポータータンパク質からの信号の有無又は量を検出する検出工程、及び検出工程の結果から、特性を有する腫瘍細胞の数を計測する計数工程を含む。
以下、各実施の形態について説明する。
・第1の実施形態
(乳がん細胞群の薬剤への感受性を決定する方法)
第1の実施形態に従う方法は、乳がん細胞群の薬剤への感受性を決定する方法である。
実施形態に従う乳がんは、例えば、動物の乳腺に形成される悪性腫瘍(新生物)をいう。乳がんは、「乳癌」又は「乳腺腫瘍」等と一般に称されるもの、並びに、乳管がん及び小葉がんを含む。また、乳がんは、何れの病期のものも含み、例えば、がんが乳腺に留まった状態、更に周辺の組織までがんが及んだ状態、更にリンパ節へのがんの転移がある状態、及び更に離れた臓器へのがんの転移がある状態等を含む。
乳がん細胞群とは、好ましくは乳がんに罹患した対象から採取された乳がん細胞群であり、複数の乳がん細胞を含む。乳がん細胞群は、例えば、乳がんの病変部の針による吸引(穿刺吸引、針生検若しくはマンモトーム生検等)又は外科的切除、或いは乳腺分泌液(乳汁)の採取等により得られた試料に含まれるものである。
対象は、例えば哺乳動物であり、好ましくはヒトである。
乳がん細胞群は、採取後に適切に処理したものであってもよい。適切な処理とは、例えば、細切、分散、他の細胞群の除去又は乳がん細胞群の単離等である。或いは、乳がん細胞群は、採取又は前処理された乳がん細胞群を乳がんの特性を失わない方式で培養した培養細胞であってもよい。或いは、乳がん細胞群は、株化した乳がん細胞群等であってもよい。以下、「乳がん細胞群」を単に「細胞群」とも称する。また、「乳がん細胞」を単に「細胞」とも称する。
細胞群の薬剤への感受性とは、細胞群が薬剤の治療効果を受けるか否か又は治療効果を受ける程度をいう。例えば、細胞群が特定の薬剤への感受性を有するとは、細胞群がその薬剤による治療効果を受けることをいい、例えば、その薬剤によって細胞群に含まれる細胞が減少するか又は消滅するか、或いは細胞の増殖が抑制されることを意味する。反対に、細胞群が特定の薬剤への感受性を有しないとは、細胞群がその薬剤に対して抵抗性(耐性)を有し、治療効果が無いか又は少ないことをいう。
薬剤は、例えば乳がんの治療に一般的に用いられる抗腫瘍活性を有する薬剤から選択され得る。例えば、薬剤は、抗がん剤、ホルモン療法剤、分子標的薬又は免疫賦活剤等の何れかから選択される。抗がん剤は、例えば、アントラサイクリン系薬剤、微小管作用薬、アルキル化薬、代謝拮抗薬又は白金錯体等を含み、ホルモン療法剤は、例えば、アロマターゼ阻害剤、LH-RHアゴニスト製剤、抗エストロゲン薬又は黄体ホルモン薬等を含む。しかしながら、薬剤は、上記のものに限定されるものではない。
例えば、実施形態に係る方法においては、乳がん細胞群における感受性が調査される薬剤が上記の何れかから1種選択される。或いは、第3実施形態で説明するように複数種の薬剤が選択されてもよい。以下、1つの薬剤について調査する例を示す。
実施形態に係る乳がん細胞の薬剤への感受性を決定する方法は、例えば、図1に示す次の工程を含む。
(S1)脂質膜と、脂質膜に内包された第1核酸とを含む脂質粒子を乳がん細胞群に接触させる接触工程(第1核酸は、乳がん細胞の薬剤への感受性を決定するためのマーカー遺伝子のプロモーター配列と、プロモーター配列の下流に機能可能に連結されたレポーター遺伝子とを有する)、
(S2)乳がん細胞群を培養する培養工程、
(S3)乳がん細胞群に含まれる各乳がん細胞において、レポーター遺伝子から発現するレポータータンパク質からの信号の有無又は量を検出する検出工程、及び
(S4)検出工程の結果から、薬剤感受性を有する腫瘍細胞の数を計測する計数工程。
まず、接触工程S1で用いる脂質粒子について説明する。図2に示すように、脂質粒子1は、例えば脂質膜2と脂質膜2の内腔2aに内包された第1核酸3とを備える。第1核酸3は、例えば核酸凝縮ペプチド4により凝縮されて脂質膜2に内包されている。詳しくは後述するが、第1核酸3を乳がん細胞内に導入するためのキャリアとして用いられる。
脂質膜2は、複数の脂質分子2bが非共有結合で配列してできた略球状の中空体である。脂質膜2は、脂質単分子膜であってもよいし、脂質二重膜であってもよい。また、脂質膜2は、一層の膜からなっていてもよいし、多重層の膜からなっていてもよい。
脂質膜2の材料となる脂質は、例えば、生体膜の主成分である脂質(以下、「ベース脂質」と称する)を含む。ベース脂質は、リン脂質又はスフィンゴ脂質、例えば、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、ジヒドロスフィンゴミエリン、ケファリン又はセレブロシド、或いはこれらの組み合わせ等である。
例えば、ベース脂質として、
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、
1,2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン(DPPC)、
1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン(POPC)、
1,2-ジ-O-オクタデシル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DOTMA)、
1,2-ジオレオイル-3-ジメチルアンモニウムプロパン(DODAP)、
1,2-ジミリストイル-3-ジメチルアンモニウムプロパン(14:0 DAP)、
1,2-ジパルミトイル-3-ジメチルアンモニウムプロパン(16:0 DAP)、
1,2-ジステアロイル-3-ジメチルアンモニウムプロパン(18:0 DAP)、
N-(4-カルボキシベンジル)-N,N-ジメチル-2,3-ビス(オレオイロキシ)プロパン(DOBAQ)、
1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DOTAP)、
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホクロリン(DOPC)、
1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホクロリン(DLPC)、
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-L-セリン(DOPS)、又は
コレステロール、
或いはこれらの何れかの組み合わせ等を用いることが好ましい。
脂質膜2はベース脂質の他に、以下に説明する第1の脂質化合物、第2の脂質化合物、又はその両方を更に含むことが好ましい。
第1の脂質化合物は、Q-CHRの式で表すことができる。
(式中、
Qは、3級窒素を2つ以上含み、酸素を含まない含窒素脂肪族基であり、
Rは、それぞれ独立に、C12~C24の脂肪族基であり、
少なくとも一つのRは、その主鎖中又は側鎖中に、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、-S-C(=O)-、-C(=O)-S-、-C(=O)-NH-、及び-NHC(=O)-からなる群から選択される連結基LRを含む)。
第1の脂質化合物として、例えば、下記式で表される構造を有する脂質を用いれば、核酸の導入効率がより優れているため好ましい。
Figure 0007273987000001
Figure 0007273987000002
Figure 0007273987000003
第2の脂質化合物は、P-[X-W-Y-W’-Z]の式で表すことができる。
(式中、
Pは、1つ以上のエーテル結合を主鎖に含むアルキレンオキシであり、
Xは、それぞれ独立に、三級アミン構造を含む2価連結基であり、
Wは、それぞれ独立に、C~Cアルキレンであり、
Yは、それぞれ独立に、単結合、エーテル結合、カルボン酸エステル結合、チオカルボン酸エステル結合、チオエステル結合、アミド結合、カルバメート結合及び尿素結合からなる群から選ばれる2価連結基であり、
W’は、それぞれ独立に、単結合又はC~Cアルキレンであり、
Zは、それぞれ独立に、脂溶性ビタミン残基、ステロール残基、又はC12~C22脂肪族炭化水素基である)。
第2の脂質化合物を含む場合、Pに含まれるエーテル結合を構成する酸素が、内包される核酸と水素結合を形成するため、核酸の内包量が多くなる。
例えば、以下の構造を有する第2の脂質化合物を用いれば、核酸内包量がより優れているため好ましい。
Figure 0007273987000004
Figure 0007273987000005
Figure 0007273987000006
脂質膜2に含まれる脂質分子2bの全体に対して100%近くがベース脂質であってもよいが、第1の脂質化合物及び/又は第2の脂質化合物が脂質分子2bの全体に対して約20%~約70%(モル比)で含まれることが好ましい。
脂質膜2は、例えば、PEG修飾した脂質、特にポリエチレングリコール(PEG)ジミリストイルグリセロール(DMG-PEG)、オメガ-アミノ(オリゴエチレングリコール)アルカン酸モノマーから誘導されるポリアミドオリゴマー(例えば、米国特許第6,320,017号に記載のもの)、モノシアロガングリオシドを更に含むことが好ましい。このような脂質は、脂質分子2b全体に対して約1%~約5%(モル比)で含まれることが好ましい。
脂質膜2は、脂質粒子1の生体適合性を調整するための相対的に生体適合性の高い脂質、脂質膜2に配位子を結合させる官能基を有する脂質、コレステロール等の内包物の漏出を抑制するための脂質等の脂質を含んでもよい。
特に、上記式(1-01)を有する第1の脂質化合物及び/又は式(2-01)を有する第2の脂質化合物を用いる場合、乳がん細胞に第1核酸3が導入されやすいため更に好ましい。例えば、脂質粒子1は、式(1-01)の化合物と、式(2-01)の化合物と、DOTAPと、DOPEと、コレステロールと、DMG-PEGとを含む場合、乳がん細胞への導入効率が特に優れているため好ましい。例えば、これらの成分を37:15:10.5:10.5:30:2(モル比)で含むことがより好ましい。
第1核酸3は、例えば、図3に示すように第1レポーター発現ユニットU1を含む。第1レポーター発現ユニットU1は、例えば、プロモーター配列5とレポーター遺伝子6と転写終結配列7とを含む。
プロモーター配列5は、乳がん細胞の薬剤への感受性を決定するためのマーカー遺伝子のプロモーター配列である。
マーカー遺伝子は、本方法で調査される薬剤の種類に対応して選択される。マーカー遺伝子は、例えば、薬剤に対して感受性を有する乳がん細胞と、感受性が無い乳がん細胞とで発現量に差がある遺伝子である。或いは、マーカー遺伝子は、乳がん細胞中において、選択された薬剤の存在によって発現量が変化する遺伝子であってもよい。発現量が変化するとは、発現量が増加することと発現量が減少することとの両方を含む。
例えば、当該マーカー遺伝子として、薬剤の感受性予測マーカー、治療効果予測マーカー又は薬剤選択マーカー等として本分野で知られる遺伝子を用いることも可能である。
例えば、薬剤がアントラサイクリン系薬剤である場合、マーカー遺伝子としてTOP2A、RARA、CDC6、THRA、GSDM1、PSMD3、CSF3、MED24、SNORD124、NR1D1、TRNASTOP-UCA、MSL-1、CASC3、RAPGEFL1、WIPF2、LOC100131821、GJD3、LOC390791、LOC728207、IGFBP4、TNS4、CCR7又はSMARCE1等を用いることができる。
例えば、薬剤がアロマターゼ阻害剤である場合、マーカー遺伝子として、STC2、SLC39A6、CA12、ESR1、PDZK1、NPY1R、CD2、MAPT、QDPR、AZGP1、ABAT、ADCY1、CD3D、NAT1、MRPS30、DNAJC12、SCUBE2、KCNE4、DHA、ATP5J2、VDAC2、DARS、UCP2、UBE2Z、AK2、WIPF2、APPBP2又はTRIM2等を用いることができる。
しかしながら、マーカー遺伝子は上記のものに限定されるものではない。
或いは、薬剤に対して感受性を有する乳がん細胞と感受性が無い乳がん細胞とにおいて発現量に差がある遺伝子、或いは乳がん細胞に薬剤を添加したときに発現量が変化する遺伝子を調査し、それをマーカー遺伝子として用いてもよい。
プロモーター配列5として、マーカー遺伝子のプロモーター配列の全長を用いてもよいし、そのプロモーター活性に影響を与えない限り、その一部や改変した配列を用いてもよい。プロモーター配列5は脂質粒子1内での安定性や、内包量の観点からより短いことが好ましい。
例えば、マーカー遺伝子としてスタニオカルチン2(STC2)を用いる場合、プロモーター配列として下記表1の配列(配列番号1)を用いることが好ましい。
Figure 0007273987000007
例えば、マーカー遺伝子としてトポイソメラーゼ2アルファ(TOP2A)を用いる場合、プロモーター配列として下記表2の配列(配列番号2)を用いることが好ましい。
Figure 0007273987000008
レポーター遺伝子6は、プロモーター配列5の下流に機能可能に連結されている。機能可能に連結されているとは、レポーター遺伝子6がプロモーター配列5のプロモーター活性によりレポータータンパク質を発現することを意味する。
レポーター遺伝子6として、レポーターアッセイにおいて一般的に用いられる遺伝子を用いることができる。レポーター遺伝子6は、検出可能な信号を生ずるレポータータンパク質をコードする遺伝子であり、例えば、ホタルルシフェラーゼ遺伝子、ウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子若しくはNanoLuc(登録商標)ルシフェラーゼ遺伝子などの発光酵素タンパク質をコードした遺伝子、又は緑色蛍光タンパク質遺伝子、青色蛍光タンパク質遺伝子若しくは赤色蛍光タンパク質遺伝子等の蛍光蛋白質をコードする遺伝子等であることが好ましい。或いは、レポーター遺伝子6は、アンピシリン耐性遺伝子又はカナマイシン耐性遺伝子等の薬剤耐性遺伝子;キサンチンオキシダーゼ遺伝子若しくは一酸化窒素合成酵素遺伝子などの活性酸素生成酵素をコードした遺伝子;β-ガラクトシダーゼ遺伝子若しくはクロラムフェニコール・アセチルトランスフェラーゼ遺伝子等の発色酵素タンパク質をコードする遺伝子;又は重金属結合タンパク質をコードする遺伝子等であってもよい。
転写終結配列7は、例えば、レポーター遺伝子6の転写を終結ポリ(A)配列を含む配列であってもよく、例えば、ポリ(A)付加シグナル配列であり得る。ポリ(A)付加シグナル配列は、例えば、シアミン・ウイルス(SV)40のポリ(A)付加シグナル配列、ウシ成長ホルモン遺伝子のポリ(A)付加シグナル配列、これらの配列を転写終結の機能が維持される限りにおいて改変した配列又は人工的に合成されたポリ(A)付加シグナル配列などを用いることができる。
第1核酸3は、例えば環状の二本鎖DNAである。第1核酸3はベクターであってもよい。環状である場合、第1核酸3は脂質粒子1中で安定して存在させることが可能であり、第1核酸3の分解や破損が防止される。又は第1核酸3は直鎖状の核酸であってもよい。直鎖状である場合、第1核酸3のサイズが環状の場合と比較して小さくすることができるため、脂質膜2内により多く内包させることが可能である。
第1核酸3は、上記の配列に加え、更なる配列を含んでもよい。例えば、第1核酸3がベクターである場合、第1核酸3自身の複製をするための複製開始配列及び複製開始に関与する複製開始タンパク質をコードする遺伝子を発現するための配列等を含んでもよい。
核酸凝縮ペプチド4は、例えば、カチオン性のペプチドである。好ましい核酸凝縮ペプチド4は、例えば、カチオン性のアミノ酸を全体の45%以上含むペプチドである。より好ましい核酸凝縮ペプチド4は、一方の端にRRRRRR(第1のアミノ酸配列)を有し、他方の端が配列RQRQR(第2のアミノ酸配列)を有する。そして、両アミノ酸配列の間に、RRRRRR又はRQRQRからなる中間配列を0個又は1個以上含む。また、第1のアミノ酸配列、第2のアミノ酸配列及び中間配列のうち、隣り合う2つの配列の間に2つ以上の中性アミノ酸を含む。中性アミノ酸は、例えば、G又はYである。
上記核酸凝縮ペプチド4は、好ましくは、以下のアミノ酸配列を有する。
RQRQRYYRQRQRGGRRRRRR (配列番号3)
RQRQRGGRRRRRR (配列番号4)。
或いは、核酸凝縮ペプチド4は、一方の端にRRRRRR(第3のアミノ酸配列)を有し、他方の端にRRRRRR(第4のアミノ酸配列)を有する。そして、両アミノ酸配列の間に、RRRRRR又はRQRQRからなる中間配列を0個又は1個以上含む。また、第3のアミノ酸配列、第4のアミノ酸配列及び中間配列のうち、隣り合う2つの配列の間に2つ以上の中性アミノ酸を含む。
このような核酸凝縮ペプチド4は、好ましくは、以下のアミノ酸配列を有する。
RRRRRRYYRQRQRGGRRRRRR (配列番号5)。
更に、次のようなアミノ酸配列を有する核酸凝縮ペプチド4を上記の何れかの核酸凝縮ペプチド4と組み合わせて用いることもできる。
GNQSSNFGPMKGGNFGGRSSGPYGGGGQYFAKPRNQGGY
(M9)(配列番号6)
核酸凝縮ペプチド4を用いる場合、第1核酸3が凝縮され、より多くの第1核酸3を脂質膜2内に内包することが可能であり、また脂質粒子1のサイズを小さくすることができる。その結果、乳がん細胞への第1核酸3の導入効率が高まる。核酸凝縮ペプチド4を用いることが好ましいが、用いる核酸の種類等によっては核酸凝縮ペプチド4を用いなくともよい。
脂質粒子1は、第1核酸3の他に、更なる成分を内包していてもよい。例えば、レチノイン酸、環状アデノシン一リン酸(cAMP)又はアスコルビン酸等の細胞内での核酸の発現を調節する化合物;ペプチド、ポリペプチド、サイトカイン、増殖因子、アポトーシス因子、分化誘発因子、他の細胞表面受容体及びそのリガンド等を内包することも可能である。
脂質粒子1は、次のように製造することができる。例えば、まず第1核酸3を核酸凝縮ペプチド4と撹拌混合することによって第1核酸3を凝縮する。次いで、脂質膜2の材料である脂質を含む溶液に、第1核酸3等の脂質膜に内包されるべき成分を含む水性緩衝液を添加し、撹拌して懸濁する。又は、小分子を脂質粒子等に封入する際に用いられる公知の方法、例えば、バンガム法、有機溶媒抽出法、界面活性剤除去法、凍結融解法等を用いて作製することができる。第1核酸3の内包量の確認は、例えば、市販のDNA及びRNA定量キット等を用いて行うことができる。
脂質粒子1の平均粒子径は、例えば約50nm~約300nmであり、好ましくは約50nm~約200nmである。例えば、超音波処理によって粒子径を小さくすることができる。また、ポリカーボネート膜やセラミック膜を透過させて、脂質粒子1のサイズを調整することも可能である。脂質粒子1の平均粒子径は、例えば動的光散乱法を用いたゼータサイザーによって測定することができる。
脂質粒子1は、例えば適切な溶媒中に含められて組成物として用意されてもよい。溶媒は、例えば、水、生理食塩水のような食塩水、グリシン水溶液又は緩衝液等である。或いは、脂質粒子1は乾燥した状態で提供されてもよい。
以上に説明した脂質粒子1と乳がん細胞群とを接触させる(接触工程S1)。例えば、接触工程S1は、適切な溶媒に懸濁されるか又は培地上に播種された乳がん細胞群に脂質粒子1を添加することにより行われる。或いは、接触工程S1は、脂質粒子1が内側表面に付着又は固定された容器等に乳がん細胞群を添加する方法により行われてもよい。
次に、乳がん細胞群を培養する(培養工程S2)。培養は、乳がん細胞群が乳がんとしての性質を維持し、且つ乳がん細胞群の生存に有利な条件で行われ得る。培養は、例えば、固体培地又は液体培地等の適切な培地を用いて、ディッシュ上又はチューブ内などで行われる。培養条件は、30~37℃、2~5%のCO雰囲気下で行うことが好ましい。培養時間は、2~72時間であることが好ましい。
上記接触工程S1及び培養工程S2を行うことによって、培養工程S2の間にエンドサイトーシス等により脂質粒子1が乳がん細胞群に含まれる乳がん細胞に取り込まれ、細胞内に第1核酸3が放出される。実施形態に従う脂質粒子1によれば、効率よく簡便に第1核酸3を乳がん細胞に導入することが可能である。
その後、乳がん細胞内に存在するマーカー遺伝子のプロモーターの強度に応じて第1核酸3のプロモーター配列5が活性化され、その下流にあるレポーター遺伝子6が発現する。したがって、第1核酸3により、乳がん細胞のマーカー遺伝子のプロモーターの強度がレポータータンパク質の量、即ち、そこから生ずる信号量に反映される。ここで、マーカー遺伝子のプロモーターの強度とは、マーカー遺伝子の発現頻度をいい、プロモーター強度が強いとは、遺伝子の転写量、発現量が多いこと、マーカー遺伝子の発現が誘導される速度が速いこと(初期遺伝子等)を含む。反対に、プロモーター強度が弱いとは、遺伝子の転写量、発現量が少ない又は無いこと、マーカー遺伝子の発現が誘導される速度が遅いこと(後期遺伝子等)を含む。
1つの乳がん細胞群中には薬剤感受性の有無又は程度が異なる複数種の乳がん細胞が含まれ得る。例えば、乳がん細胞群中で薬剤感受性予測マーカー遺伝子が発現している乳がん細胞においては、レポータータンパク質からの信号が得られる。反対に薬剤感受性予測マーカー遺伝子が発現していない乳がん細胞においてはレポータータンパク質からの信号が得られない。また、マーカー遺伝子のプロモーターの強度が高い乳がん細胞においてはより多くの信号が得られる。
培養時間は、上記のように2~72時間であることが好ましいが、所望の信号量(レポータータンパク質の発現量)が得られるまで培養を行うことが好ましい。培養時間を長くするほどより多くのレポータータンパク質が生成して信号量が増加し得るが、その後信号量が減衰する場合もある。例えば、培養時間は、用いるマーカー遺伝子の種類に応じて選択される。例えば、プロモーター強度が高い遺伝子(初期遺伝子等)の場合、培養時間は2~4時間でよい場合もある。反対に、プロモーター強度が低い遺伝子(後期遺伝子等)の場合、24~72時間培養を行うことが好ましい。
培養により、例えば、採取した試料に含まれる乳がん細胞以外の細胞、例えば、血球、線維芽細胞、脂肪細胞等を死滅させて除去してもよい。また、培養により乳がん細胞が増殖してもよい。培養で増加した乳がん細胞も脂質粒子1と接触して第1核酸3が導入されるか、又は第1核酸3が導入された乳がん細胞が増殖した場合には、分裂時に第1核酸3も複製されて分裂した各細胞に含まれ得る。
検出工程S3において、乳がん細胞群に含まれる各乳がん細胞において、レポータータンパク質からの信号を個別に検出する。
レポーター遺伝子6が発光酵素タンパク質をコードした遺伝子である場合、検出の前に乳がん細胞群に当該発光酵素タンパク質の基質を添加し、レポータータンパク質(発光酵素タンパク質)により基質が代謝されて得られた代謝物からの蛍光が信号となり得る。レポーター遺伝子が蛍光タンパク質をコードした遺伝子である場合は、レポータータンパク質自体からの蛍光が信号となり得る。
例えば、次の計数工程S4において信号が得られた細胞の数を数えるために、信号は各乳がん細胞において検出し、信号の有無又は量を乳がん細胞毎に個別に決定することが好ましい。
このような信号の検出は、細胞毎に信号の有無を検出できる光学センサ、顕微鏡、カメラ又はセルソーター等の検出装置を用いて行われることが好ましい。
検出工程S3は培養工程S2後に行ってもよいが、培養を行いながら経時的に行うことが好ましい。それによって、マーカー遺伝子の種類に従う適切な培養時間が不明である場合も、信号量が最大となったときの信号を用いることができる。その結果、後の計数工程において正確に信号が得られた細胞数を計測することが可能である。経時的とは、連続的であってもよいし、間欠的であってもよい。
次に検出工程S3の結果から、薬剤感受性を有する乳がん細胞の数を計測する。例えば、発現量が薬剤の感受性と正の相関にあるマーカー遺伝子を用いる場合、信号が得られた細胞(以下、「信号発生細胞」とも称する)は、プロモーター活性が高いとみなして薬剤への感受性を有する細胞(以下、「薬剤感受性細胞」とも称する)と決定し、その数を計測すればよい。又は、信号が閾値以上得られた細胞を信号発生細胞とみなして、薬剤感受性細胞として計測してもよい。閾値は、例えば、薬剤感受性の有無が既知である乳がん細胞に第1核酸3を導入して得られた信号量に従って決定することができる。
反対に、発現量が薬剤の感受性と負の相関にあるマーカー遺伝子を用いる場合、信号が得られない細胞又は得られた信号量が閾値以下である細胞(以下、「信号非発生細胞」とも称する)を薬剤感受性細胞として計測することができる。
細胞の計数は、得られた顕微鏡画像や映像から目視で行ってもよいし、画像処理ソフトなどを用いて行ってもよい。又は、後述する複数のセンサ素子を有する光学センサやセルソーター等を用いて自動的に行ってもよい。
更に、乳がん細胞群に含まれる全乳がん細胞数を計測してもよい。例えば、全乳がん細胞数を用いて、薬剤感受性細胞の存在率、即ち、乳がん細胞群中の全乳がん細胞数に対する薬剤感受性細胞の数の割合を算出してもよい。
レポーター遺伝子が薬剤耐性遺伝子である場合は、例えば、まず乳がん細胞群に含まれる全細胞数を計測しておき、次に乳がん細胞群を薬剤耐性遺伝子に対応する薬剤で処理し、生存して残った乳がん細胞を信号として検出し、その数を計測すればよい。検出及び細胞数の計測は、光学センサ、顕微鏡、カメラ又はセルソーター等の検出装置を用いて行うことができる。
検出工程S3及び計数工程S4では、必ずしも乳がん細胞群全体において信号発生細胞数を検出及び計数する必要はない。例えば、乳がん細胞群の一部についてそこに含まれる全細胞数と信号発生細胞数とを計数し、その値を代表値とし、乳がん細胞群全体の結果として用いてもよい。例えば、乳がん細胞群の一部を撮影した画像や、乳がん細胞群の一部を含む顕微鏡の視野等を用いて検出工程S3及び計数工程S4を行ってもよい。例えば、一部から得られた結果から、乳がん細胞群の単位数当たりの信号発生細胞数を算出して用いてもよい。また、乳がん細胞群の複数の一部について検出工程S3及び計数工程S4を行い、その結果の平均値を当該乳がん細胞群における結果として用いてもよい。
上記工程S1~S4によって薬剤感受性細胞の数又はその存在率を得ることができる。これらの情報は、例えば、対象から採取された乳がん細胞群又は対象中に存在する乳がんの薬剤感受性を決定するために使用することができる。
更なる実施形態に従う方法は、図4に示すように、計数工程S4の結果から、乳がん細胞群の薬剤への感受性の有無又は程度を決定する決定工程S5を更に含み得る。この工程において「乳がん細胞群」は、工程S1で使用された、対象の体内から体外へ取り出された状態の乳がん細胞群であり得る。
例えば、乳がん細胞群中の薬剤感受性細胞数がより多いほど、乳がん細胞群の薬剤への感受性が高いと決定することができる。反対に、乳がん細胞群中に薬剤感受性細胞が少ないか、又は存在しないとき、乳がん細胞群の薬剤への感受性が低いと決定することができる。
薬剤感受性細胞の存在率を算出した場合は、当該存在率が高いほど乳がん細胞群の薬剤への感受性が高いと決定することができる。或いは、存在率に閾値を設けて、存在率が閾値より高い場合に乳がん細胞群は薬剤への感受性を有すると決定してもよい。閾値は、薬剤の種類やマーカー遺伝子の種類に応じて決定されるものであり限定されるものではないが、例えば、薬剤感受性細胞の存在率が10%以上であるとき乳がん細胞群が薬剤への感受性を有する決定することができる。
決定工程S5においては、本方法実施時点又は乳がん細胞群採取時点での乳がん細胞群の薬剤感受性の有無又は程度を決定してもよいし、乳がん細胞群の将来の薬剤感受性の有無又は程度を決定してもよい。例えば、得られた信号が微弱であっても薬剤感受性細胞数が閾値以上である場合には、将来薬剤感受性を有する可能性があると決定してもよい。「将来」は、例えば、乳がん細胞群が得られた対象の体内に存在する乳がんのその後、又は方法後に生存に適切な状態で維持された乳がん細胞群のその後を含む。本明細書において、「決定」するとは、本方法実施時点での又は乳がん細胞群採取時点での乳がん細胞群の薬剤感受性の決定と、将来の薬剤感受性の決定(即ち、予測)を含む。
また、検出工程S3において信号の強度を更に測定し、強度の情報を乳がん細胞群の薬剤感受性の程度の決定に用いてもよい。例えば、薬剤感受性細胞が同じ数であるが、得られた信号の強度が異なる場合には、信号の強度がより強い細胞群の方が薬剤感受性が高いと判断され得る。
以上に説明した実施形態の方法によれば、脂質粒子1を用いて第1核酸を効率よく乳がん細胞群に導入し、また生きた乳がん細胞群において薬剤感受性細胞の数(存在率)を指標とするため、乳がん細胞群の薬剤への感受性をより正確に決定することができる。
また、実施形態の方法によれば、偽陰性及び偽陽性を防止して正確に決定することができる。その理由の一例について図5を用いて説明する。
例えば、図5の(a)に示す3種類の細胞群、即ち、
細胞群A:マーカー遺伝子の発現量が多い細胞8aを4個、マーカー遺伝子を発現しない細胞8cを5個含む、
細胞群B:マーカー遺伝子の発現量が少ない細胞8bを4個、細胞8cを5個含む、
細胞群C:マーカー遺伝子の発現量が多い細胞8aを1個、細胞8cを9個含む
を用いる場合、培養する前(培養0時間)においては、図5の(b)に示すように、細胞群全体としてのマーカー遺伝子発現量は、細胞群Aは高く、細胞群B、Cでは低くなり得る。このことから、従来のような、培養を行わず且つ細胞数を数えないPCR法やマイクロアレイ法を用いた場合では、細胞群Bは、マーカー遺伝子を発現する細胞数が細胞群Aと同じであるのにも関わらず陰性と判定される場合がある(偽陰性)。また、細胞群Bと細胞群Cとを比較した場合、細胞群Cはマーカー遺伝子を発現する細胞数が少ないにも関わらずマーカー遺伝子を発現量は細胞群Bと同等の結果となり、薬剤感受性の決定結果が細胞群Bと同じと判定される場合がある(偽陽性)。
一方で、実施形態の方法によれば、第1核酸を用いて生きた乳がん細胞のプロモーター活性を検出し、更に培養工程S2を行うことにより、培養期間中にレポータータンパク質が発現し続ける。培養後ではマーカー遺伝子の発現は増強された信号として検出できるため、図5の(c)に示すように細胞群Bにおける細胞8bも細胞8aと同様に信号発生細胞9として検出することができる。その結果、図5の(d)に示すように信号発生細胞の数は、細胞群Bは細胞群Aと同様に薬剤への感受性が有る又は感受性が高いと判定することができ、一方で信号が得られた細胞の少ない細胞群Cを薬剤感受性が無い又は低いと判定することができる。
細胞群Cのようにマーカー遺伝子を多く発現する細胞が僅かに存在するよりも、細胞群Bのように微弱にマーカー遺伝子を発現する細胞数が多い方が、乳がん細胞群全体としての薬剤に対する感受性が高い場合が多い。例えば、マーカー遺伝子の発現量の少ない細胞8bが、将来発現量の多い細胞8aになり得ることも考えられる。また例えば、細胞群Cおける細胞8aは外れ値、異常値であることも考えられる。
したがって、実施形態の方法によれば、細胞群Bのように少なくともマーカー遺伝子が発現している細胞を多く含む乳がん細胞群を偽陰性とせず陽性として検出し、細胞群Cのようにマーカー遺伝子が発現している細胞数が少ない乳がん細胞群を偽陽性とせず陰性として検出することができる。そのため、正確に薬剤感受性を決定することが可能である。乳がん細胞群に含まれる細胞数やマーカー遺伝子の発現量は、図5に示すものに限定されるものではない。
以上のことから、第1実施形態の方法によれば、偽陰性及び偽陽性を防止し、正確に乳がん細胞群の薬剤感受性を決定することが可能である。
更なる実施形態によれば、乳がん細胞群として対象由来の乳がん細胞群を用いる場合、第1実施形態の方法で得られた乳がん細胞群(培養細胞)の薬剤感受性の決定結果は、対象の体内に存在する乳がんの薬剤への感受性の決定を補助するために用いられ得る。
・第2実施形態
第2実施形態によれば、対象の体内に存在する乳がんの薬剤への感受性を決定、例えば、診断する方法が提供される。この方法は、図6に示すように、上記工程S1~S5に加え、決定工程S5(ここでは、「第1決定工程S5」と称する)の結果から、当該対象の体内に存在している乳がんの薬剤への感受性の有無又は程度を決定する第2決定工程S6を含む。
この方法において使用される乳がん細胞群は、当該対象から採取したものである。例えば、この乳がん細胞群における結果を対象の体内の乳がんの代表値とみなすことができる。
従って、例えば、第1決定工程S5で乳がん細胞群に特定の薬剤への感受性がある又は感受性が高いと決定した場合、第2決定工程S6において当該対象の体内の乳がんにおいても同様に当該薬剤への感受性がある又は高いと決定することができる。反対に、第1決定工程S5で乳がん細胞群に特定の薬剤への感受性が無い又は感受性が低いと決定した場合、第2決定工程S6において当該対象の体内の乳がんにおいても同様に当該薬剤への感受性が無い又は低いと決定することができる。
第2実施形態の方法も偽陰性及び偽陽性を防止し、正確に対象の体内の乳がんの薬剤への感受性を決定することが可能である。
更なる実施形態において、第1決定工程S5及び/又は第2決定工程S6の結果に応じて、対象へ投与する薬剤を選択してもよい。この方法は、例えば、図7に示すように、第1決定工程S5又は第2決定工程S6の後に、対象へ投与する薬剤を選択する第3決定工程S7を含む。
第3決定工程S7は、例えば、第1決定工程S5又は第2決定工程S6で決定された乳がん細胞群又は対象の乳がんの特定の薬剤への感受性の有無又は感受性の高さの程度から、当該薬剤を当該対象に投与するか否かを決定すること、他の薬剤を当該対象に投与するか否かを決定すること、又はそれらの薬剤の投与計画を決定すること等を含む。
実施形態の方法によれば、より正確に適切な薬剤を選択することが可能である。本方法によれば、偽陰性及び偽陽性を防止できるため、対象に対して不適切な薬剤を選択することが防止される。
更なる実施形態において、第2決定工程S6は、計数工程S4の後、第1決定工程S5を行わずに行われてもよい。即ち、計数工程S4において得られた薬剤感受性細胞の数及び存在率から、対象の体内の乳がんの薬剤感受性を決定してもよい。
・第3実施形態
第3実施形態において、複数種類のプロモーター配列を用いた方法が提供される。第3実施形態の方法によれば、複数種類のプロモーター配列について同時に発現レベルを調査することができる。例えば、(i)複数種類のプロモーター配列として、互いに異なる複数の薬剤にそれぞれ対応する複数の感受性予測マーカー遺伝子のプロモーター配列を選択することにより、1つの乳がん細胞群について複数の薬剤への感受性を決定することができる。或いは、(ii)複数種類のプロモーター配列として、1種の薬剤に対応する複数種類の感受性予測マーカー遺伝子のプロモーター配列を選択することにより、当該1種の薬剤への感受性を更に正確に決定することも可能である。
第3実施形態に用いる第1核酸は、乳がん細胞の薬剤への感受性を決定するための第1~第nのマーカー遺伝子の各プロモーター配列(以下、「前記第1~第nのプロモーター配列」と称する)と、第1~第nのプロモーター配列の下流にそれぞれ機能可能に連結された第1~第nのレポーター遺伝子とを有する。第1~第nのプロモーター配列は互いに異なり、第1~第nのレポーター遺伝子は互いに異なり、nは2以上の自然数である。
このような第1核酸の一例について図8を用いて説明する。例えば、第1核酸30は、2つのレポーター遺伝子発現ユニットを有する。第1レポーター発現ユニットU1は、第1プロモーター配列31と、第1レポーター遺伝子32と、第1転写終結配列33とを含む。第2レポーター発現ユニットU2は、第2プロモーター配列34と、第2レポーター遺伝子35と、第2転写終結配列36とを含む。
第1プロモーター配列31及び第2プロモーター配列34は、互いに異なるマーカー遺伝子のプロモーター配列をそれぞれ含む。ここで、第1プロモーター配列31及び第2プロモーター配列34は、互いに異なる2つの薬剤の感受性をそれぞれ決定するためのマーカー遺伝子のプロモーター配列(上記(i)に対応)であってもよいし、同じ薬剤の感受性を決定するための、互いに異なる2つのマーカー遺伝子のプロモーター配列(上記(ii)に対応)であってもよい。例えば、薬剤及びマーカー遺伝子は、第1実施形態に列挙したものから選択され得る。
第1レポーター遺伝子32及び第2レポーター遺伝子35は、互いに異なる種類のレポーター遺伝子であり、そこから発現するレポータータンパク質の信号は互いに異なるものであることが好ましい。これらのレポーター遺伝子は、第1実施形態で列挙したものから選択され得る。例えば、蛍光の波長が互いに異なる蛍光タンパク質遺伝子又は代謝物の発する蛍光の波長が互いに異なる発光酵素タンパク質遺伝子等を用いることが好ましい。
第1転写終結配列33及び第2転写終結配列36は、それぞれ上記の何れかの転写終結配列から選択され、互いに同じ配列からなってもよいし、異なる配列からなってもよい。
この例において第1核酸30に含ませるレポーター発現ユニットの種類は、図8に示すように2種に限られるものではなく、3種以上を含んだ第1核酸を用いてもよい。また、各レポーター発現ユニットの向き(5’側から3’側へ向かうか又は3’側から5’側へ向かうか)は、全てのユニットで同じである必要はなく、何れかが異なる向きで配置されてもよい。
更なる実施形態において、第1核酸は、異なるレポーター遺伝子発現ユニットをそれぞれ含む複数のサブ核酸を含んでもよい。例えば、図9に示すように、第1レポーター発現ユニットU1を含む第1サブ核酸37aと、第2レポーター発現ユニットU2を含む第2サブ核酸37bとを用いてもよい。
第1サブ核酸37a及び第2サブ核酸37bは、同じ脂質膜2に内包されて1種の脂質粒子1として調製されてもよい。その場合、各サブ核酸を核酸凝縮ペプチドで一度に凝縮して脂質膜2に内包してもよいし、別々に凝縮して脂質膜2に内包してもよい。或いは、第1サブ核酸37a及び第2サブ核酸37bは、別々の脂質膜2に内包されて2種の脂質粒子1として別々に調製されてもよい。
この例においても用いる複数のプロモーター配列の種類は図9に示すように2種に限られるものではなく、3種以上を用いてもよい。
また、本実施形態においても核酸の形態は図8、図9に示すように環状である必要はなく、直鎖状の核酸であってもよい。
第3実施形態に係る方法は、例えば、図10に示すように、以下の工程を含む。
(S11)脂質膜と、脂質膜に内包された第1核酸とを含む脂質粒子を乳がん細胞群に接触させる接触工程、
(S12)乳がん細胞群を培養する培養工程、
(S13)乳がん細胞群に含まれる各乳がん細胞において、第1~第nのレポーター遺伝子からそれぞれ発現する第1~第nのレポータータンパク質からの第1~第nの信号の有無又は量をそれぞれ検出する検出工程、及び
(S14)検出工程の結果から、特性を有する乳がん細胞の数を第1~第nの信号毎に個別に計測する計数工程。
接触工程S11は、第1核酸として複数のプロモーター配列を含むものを用いることを除いて、上記接触工程S1と同様に行うことができる。別々の脂質膜2に内包された第1サブ核酸37a及び第2サブ核酸37bのような第1核酸を用いる場合は、乳がん細胞群に同時又は順次それぞれを内包する脂質粒子を接触させればよい。その時、培養時間を調節したり検出工程S13を行う適切な時間を合わせたりするために、プロモーター強度が弱いマーカー遺伝子のプロモーター配列を含むサブ核酸をより早く導入し、プロモーター強度が強いマーカー遺伝子のプロモーター配列を含むサブ核酸をより遅く導入してもよい。
培養工程S12は、上記培養工程S2と同様に行うことができる。
検出工程S13においては、各乳がん細胞から第1~第nの信号を個別に検出する。第1~第nの信号はそれぞれ上記検出工程S3と同様の方法で検出する。例えば、信号が光学的信号である場合は、波長の異なる複数の光を検出することができる顕微鏡、光学センサ、カメラ等が用いられ得る。
計数工程S14は、第1~第nの信号毎に、計数工程S4と同様の方法で薬剤感受性細胞の数を計測すればよい。
例えば、培養を行いながら各信号を経時的に検出し、各信号において信号量が最大となるときの薬剤感受性細胞数を計測することが好ましい。その結果、複数のプロモーター配列の強度の差に従う最適な培養時間、検出時間の差に関わらず正確に細胞数を計測することができる。
第3実施形態に係る方法は、図11に示すように、計数工程の結果から、乳がん細胞群の薬剤への感受性の有無又は程度を決定する決定工程(S15)を更に含み得る。決定工程S15においては、
(i)複数のプロモーター配列が複数種類の薬剤にそれぞれ対応するものである場合、第1~第nの信号の個別の検出によって得られた各薬剤感受性細胞の数又はその存在率から、上記決定工程S5と同様に、複数種類の薬剤への感受性の有無又は程度を個別に決定する。それによって、複数の薬剤について同時に感受性を決定することができる。
(ii)複数のプロモーター配列が1種の薬剤に対応する複数のマーカー遺伝子である場合、第1~第nの信号の個別の検出によって得られた各薬剤感受性細胞の数又はその存在率から、総合的に当該薬剤への感受性を決定してもよい。例えば、各信号における薬剤感受性細胞数の平均値から上記決定工程S5と同様の方法で感受性を決定してもよい。それによって、1種の薬剤に対する感受性をより正確に決定することができる。
以上の工程により、複数のプロモーター配列を用いて乳がん細胞群の薬剤感受性を正確に決定することができる。
また、第3実施形態の方法は、第2の実施形態(例えば、図6及び図7に示す例)と同様に、対象の体内に存在する乳がんの薬剤への感受性を決定する第2決定工程、薬剤を選択する第3決定工程を更に含んでもよい。
・第4実施形態
第4実施形態に係る方法は、腫瘍細胞の特性を決定する方法である。即ち、第4実施形態においては、第1実施形態に係る方法の乳がん細胞群に代えて他の腫瘍細胞群を用いてもよく、また第1実施形態に係る方法の薬剤への感受性に代えて、腫瘍細胞の他の特性を決定してもよい。
第4実施形態に係る方法は、図12に示すように、例えば、次の工程を含む。
(S21)脂質膜と、脂質膜に内包された第1核酸とを含む脂質粒子を腫瘍細胞群に接触させる接触工程(第1核酸は、腫瘍細胞の特性を決定するためのマーカー遺伝子のプロモーター配列と、プロモーター配列の下流に機能可能に連結されたレポーター遺伝子とを有する)、
(S22)腫瘍細胞群を培養する培養工程、
(S23)腫瘍細胞群に含まれる各腫瘍細胞において、レポーター遺伝子から発現するレポータータンパク質からの信号の有無又は量を検出する検出工程、及び
(S24)検出工程の結果から、特性を有する腫瘍細胞の数を計測する計数工程。
他の腫瘍とは、動物の体内に形成される何れかの悪性腫瘍であり、肺がん、食道がん、胃がん、大腸がん、胆管がん、膵臓がん、肝臓がん、膀胱がん、卵巣がん、前立腺がん、脳腫瘍、肉腫、子宮体がん、子宮肉腫及び造血器悪性腫瘍等を含むが、これらに限定されるものではない。
他の特性とは、例えば、腫瘍細胞の予後、転移性又は浸潤性等である。また、腫瘍細胞の特性とは、健常細胞が将来腫瘍細胞になるか否かも含む。
この例において、第1核酸3のプロモーター配列5として、所望の腫瘍における、所望の特性を決定するためのマーカー遺伝子のプロモーター配列を用いる。それらは、当分野で知られた所望の腫瘍に関するマーカー遺伝子、例えば、予後マーカー遺伝子、転移性マーカー遺伝子、浸潤性マーカー遺伝子又は腫瘍細胞マーカー遺伝子等のプロモーター配列であり得る。
レポーター遺伝子6及び転写終結配列7として、例えば、第1実施形態において列挙した何れかのものを用いることができる。
脂質膜2の材料として、第1実施形態において説明したベース脂質、第1の脂質化合物、第2の脂質化合物及び/又は他の脂質を含むものを用いることができる。
第4実施形態に従う方法の工程S21~S25は、上記工程S1~S5とそれぞれ同様に行うことができる。ただし、第1実施形態の方法の乳がん細胞群に代えて所望の腫瘍細胞群を用い、薬剤への感受性に代えて当該腫瘍細胞の他の特性を決定するマーカー遺伝子のプロモーター配列を含む第1核酸を用い、決定工程S25において所望の特性を決定する。
第4実施形態に係る方法は、図13に示すように、計数工程の結果から、腫瘍細胞群の特性を決定する決定工程(S25)を更に含み得る。決定工程S25における腫瘍細胞の各特性の決定は、マーカー遺伝子の種類にしたがって当業者の知識にしたがって行うことが可能である。
第4実施形態によれば、偽陰性及び偽陽性を防止して腫瘍細胞の特性をより正確に決定することができる。
また、第4実施形態の方法は、第2実施形態と同様の方法で、対象の体内に存在する腫瘍の特性を決定する工程を更に含んでもよい。また、第3実施形態と同様の方法で、複数のプロモーター配列を用いて本方法を行ってもよい。
・第5実施形態
(細胞培養検出デバイス)
第5実施形態において、上記第1~第4実施形態における培養工程、検出工程及び計数工程を行うための細胞培養検出デバイスが提供される。図14に示すように、細胞培養検出デバイス10は、例えば、試料収容部11と、光学センサ12とを備える。
試料収容部11は、例えば、底部13と、底部13の周縁から立設する壁部14とを備え、上部が開放された液密な容器の形状を有する。底部13及び壁部14は、光透過性材料からなる。光透過性材料は、例えば、可視光、紫外線、赤外線、蛍光、又は化学、生物若しくは化学生物発光などの光を透過する材料であり得る。そのような材料の例は、例えば、ガラス、二酸化ケイ素、ポリスチレン又はポリジメチルシロキサン(PDMS)などを含む。
或いは、例えば、試料収容部11として、市販のガラス、二酸化ケイ素、ポリスチレン又はポリジメチルシロキサン(PDMS)製のシャーレ、ディッシュ若しくはマルチウェルプレート等が使用されてもよい。
試料収容部11の底部13上に細胞群15及び培地16等を収容し、細胞群15の培養を行うことができる。
光学センサ12は、基板17上にマトリックス状に並ぶ複数のセンサ素子18を備える。センサ素子18は、マトリックス状に複数並ぶことによって全体として光学的信号を二次元的に検出できるセンサ面18aを形成している。
図15に図14のA-A’に沿って切断した断面における3つのセンサ素子18の拡大図を示す。センサ素子18は、基板17の試料収容部11側の表面上に埋め込まれたセンシング部19を備える。センシング部19は、例えば、光学的信号を電気的信号に変換することで光を検知する受光素子であり、公知の何れかのものを使用することができる。センシング部19は、例えば、フォトダイオードである。センシング部19の光学的信号を受け取るセンシング面19aが基板17の表面に露出している。
センシング部19のセンシング面19a上には、例えば配線層20が設けられていてもよい。配線層20には、センシング部19で検知された光学的情報を伝達する一層又は複数層の配線22が配置されている。複数の配線22は、例えば、導体材料のビア23により互いに電気的に接続されている。
配線22及びビア23は、光透過層21内に設けられることによって所望の位置に固定されている。光透過層21は、例えば、SiO等の光透過性の材料からなる。配線22及びビア23は、光学センサ12を平面視したとき、試料収容部11からの光が光透過層21を介してセンシング部19まで到達するのを妨害しないような位置、例えば、隣り合う2つのセンシング部19の間に設けられる。
また配線22及びビア23は遮光部材としての役割を有し、センシング部19に、隣り合う他のセンサ素子18で検出されるべき光が侵入するのを防止して、検出の感度を向上させる。
光透過層21の基板17と反対側の表面には、更に保護層24が設けられていてもよい。保護層24は、光透過層21の表面を保護するための部材であり、窒化シリコン膜などの光透過性の材料からなる。
なお、図14において隣り合うセンサ素子18の境界線として描写された実線は、センサ素子18の配列を表現するために便宜上描写されたものであり、必ずしもこれらの実線の部分にセンサ素子18を区画する部材を備えなくてもよい。
当該光学センサ12は、例えば次のように半導体プロセスによって形成され得る。まず、基板17上のセンシング部19が形成される場所に、不純物を打ち込むことによりセンシング部19を形成する。続いてその上に、光透過層21を堆積する。配線22は、光透過層21を堆積する際に、その途中の所望の位置にビア23で接続しながら形成され得る。保護層24は、例えばCVD法により光透過層21の表面に堆積することによって形成され得る。
各センサ素子18の、センサ面18aと平行な面における面積は、例えば、500nm×500nm~10μm×10μmであり得る。光学センサ12に含まれるセンサ素子18の数は、約100個~1億個であり得る。センサ素子18の数及び大きさは、例えば、試料収容部11に収容される細胞群15に含まれる細胞の大きさ、又は取得される画像の所望の解像度などによって決定され得、上記に限定されるものではない。センサ素子18の数及び大きさは、例えば、1つの細胞からの光学的情報を1つのセンサ素子18で検出できるように調整されることが好ましい。
光学センサ12の厚さは、数μm、例えば、1μm~4μmであり得るが、この範囲に限定されるものではない。
光学センサ12として、マトリックス状に並んだ複数のセンサ素子を備える市販の光学センサを使用してもよく、例えば、公知の何れかのCMOSセンサを使用することも可能である。
試料収容部11は、光学センサ12のセンサ面18a上に配置され、センサ面18aと底部13とが対向している。センサ面18aと底部13との間には間隙が設けられてもよく、センサ面18aと底部13との間の距離は、例えば、0~100μmとすることが好ましい。
本細胞培養検出デバイス10を用いて培養工程、検出工程及び計数工程を行う場合、まず、試料収容部11に培地16と、脂質粒子1と接触させた細胞群15とを収容する。次に細胞培養検出デバイス10を所望の培養条件に設定したインキュベータ等に入れて細胞群15を培養する(培養工程)。
検出工程及び計数工程は、例えば、図14に示すように光照射装置25により細胞群15に光を照射して行う。
光照射装置25に備えられた光源26は、例えば、赤色光、緑色光、青色光、白色光などの可視光、紫外光及び赤外光、並びにこれらの中から選択される2つ以上の組み合わせなどの光を発する光源である。光源26は、例えば、有機EL、LED又はレーザーなどである。
光照射装置25は、細胞培養検出デバイス10に固定されていてもよいし、固定されず別体として用意されてもよい。
光源26から照射する光の種類は、レポータータンパク質の種類に応じて選択される。例えば、レポータータンパク質が蛍光タンパク質である場合、光は、それ自体から生じる蛍光の励起光である。レポータータンパク質が発光酵素タンパク質である場合、発光酵素タンパク質の代謝物から生じる蛍光の励起光である。又は、光は明視野観察を行うための光であってもよい。
光は、例えば、図14に示すように底部13と平行な向きで照射することが好ましい。その結果、光は壁部14を介して細胞群15に照射され、細胞群15に当たって散乱する。生じた散乱光のうち、下方に散乱した光を光学センサ12で検出する。このような照射によれば、試料収容部11の上部等から光を照射した場合と比較してノイズとなる光が生じにくく、高感度な検出が可能である。
光学センサ12は、複数のセンサ素子18によって試料収容部11に収容された細胞群15からの光学的情報を二次元的な位置情報と結びつけて得ることができる。例えば、信号が得られたセンサ素子18の位置及び数から、所望の細胞の数を計測することができる。例えば、全てのセンサ素子18から得られた検出結果から画像又は映像を作成してもよい。
例えば、光学的信号が蛍光である場合は、明視野条件において検出を行って細胞群15に含まれる全細胞数を計測し、次に暗視野条件で励起光を照射して光学的信号を検出し、信号発生細胞の数を計測する。レポーター遺伝子6が発光酵素タンパク質遺伝子である場合、検出工程に先立ち試料収容部11に酵素の基質を添加する工程を更に含む。或いは、レポーター遺伝子6が薬剤耐性遺伝子である場合は、まず明視野条件における検出を行って細胞群15に含まれる全細胞数を計測し、対応する薬剤を試料収容部11に添加して、明視野条件で検出を行って残った細胞の数を計測する。
検出工程及び計数工程は培養後に行ってもよいが、細胞培養検出デバイス10によれば試料収容部11で細胞を培養しながら簡単に経時的な検出を行うことができる。
以上に説明した細胞培養検出デバイス10を用いれば、培養工程中の経時的検出を簡単に行うことができ、また細胞の生存に適切な環境で細胞を維持しながら信号を検出することができるため、腫瘍細胞の特性をより正確に決定することが可能である。
更なる実施形態において、光学センサ12は、複数種類のセンサ素子18を含んでもよい。複数種類のセンサ素子18は、例えば、図15に示すセンサ素子18のような第1センサ素子、表面又は内部に所望の波長の光を検出するためのフィルターを更に備える第2センサ素子、及び/又は第2センサ素子とは異なる波長の光を検出するためのフィルターを備える第3センサ素子等である。このような種類の異なるセンサ素子18を1種ずつ含むセンサ素子の集まりを含む1つの基本ブロックが二次元領域にマトリックス状に並んだ光学センサを用いてもよい。
また更なる実施形態において、試料収容部11は底部13を備えなくともよい。この例においては、光学センサ12のセンサ面18a上に直接細胞群15を収容し、細胞群15が培養され得る。このような細胞培養検出デバイス10は、センサ面18a上から立設する壁部14を備え得る。
この場合、センサ面18aと細胞群15とが接触しているため、光学的信号を検出するセンサ素子の他に細胞群15由来の電気的信号を検出する電気センサ素子又は細胞群15由来の化学物質やpH等の化学的信号を検出する化学センサ素子等を更に含む上記基本ブロックを備える光学センサ12を用いてもよい。このような光学センサ12を用いることにより、例えば、レポータータンパク質からの電気的信号や化学的信号が得られた信号発生細胞の個数を計測することが可能である。
(キット)
更なる実施形態によれば、腫瘍細胞の特性を決定するためのキットが提供される。キットは、例えば、細胞培養検出デバイス10と脂質粒子1とを含む。
細胞培養検出デバイス10は、上記の何れかのものであればよい。
脂質粒子1は、上記の何れかのものであり、腫瘍細胞の特性を決定するための試薬として提供される。脂質粒子1は、例えば、適切な溶媒とともに容器に収容されて提供される。
当該試薬は、脂質粒子1の他に保管安定性を向上させる物質を更に含んでもよい。保管安定性を向上させる物質は、限定されるものではないが、例えば、アルブミン、リポタンパク、アポリポタンパク、グロブリン等の糖タンパク等:pH調整剤、緩衝化剤、張度調整剤等;フリーラジカルによるダメージを抑制する、α-トコフェロールのような脂肪親和性フリーラジカルクエンチャー;脂質の過酸化損傷を抑制し、貯蔵安定性を改良するためのフェリオキサミンのような水溶性キレーター等の脂質保護剤等である。
試薬は、一般的な方法によって滅菌されていてもよい。また、試薬は、液体として提供されてもよいし、それを乾燥した粉末として提供されてもよい。粉末の試薬は、例えば、適切な液体に溶解することにより使用可能となる。
試薬中に含まれる脂質粒子1の濃度は、限定されるものではないが、0.01~30質量%、好ましくは0.05~10質量%であることが好ましい。濃度は、目的に応じて適切に選択される。
キットは、更に、レポータータンパク質からの信号を検出するための試薬を含んでもよい。例えば、当該試薬は、前記発光酵素タンパク質の基質又は薬剤耐性遺伝子に対応する薬剤等を含む。
(細胞特性決定システム)
更なる実施形態において、細胞特性決定システムが提供される。図16に示すように、細胞特性決定システム100は、例えば、細胞培養検出デバイス10と、光照射装置25と、処理装置101とを備える。処理装置101は、入力部103と、記憶部40と、プロセッサ50と、表示部60と、出力部70とを備える。入力部103と、記憶部40と、プロセッサ50と、表示部60と、出力部70とは、バス102を介して電気的に接続されている。
細胞培養検出デバイス10は、上に説明した通りである。細胞培養検出デバイス10は、細胞特性決定システム100に取り外し可能に取り付けることができる。細胞特性決定システム100に取り付けられると、光学センサ12が入力部103と電気的に接続される。例えば、細胞培養検出デバイス10は光学センサ12の各センサ素子18と接続された図示しない複数のパッドを備え、各パッドと入力部103とが電気的に接続される。
光照射装置25は、上に説明した通りである。光照射装置25に備えられた光源26は、試料収容部11に光を照射するように配置されている。
入力部103は、光学センサ12と電気的に接続しており、光学センサ12から測定データを受信する。
記憶部40には、光学センサ12から得られた明視野測定データ41及び蛍光測定データ42、明視野測定データ41及び蛍光測定データ42から全細胞数及び信号発生細胞数の個数をそれぞれ計測するための個数演算式43、全粒子個数データ44、信号発生細胞個数データ45、各個数データから信号発生細胞の存在率を算出するための存在率演算式46、信号発生細胞の存在率47、存在率47から細胞特性を決定するための特性決定演算式48、特性決定結果49及び/又はプログラムP等が格納される。
プログラムPには、光学センサ12で得られた明視野測定データ41及び蛍光測定データ42から所望の特性を有する腫瘍細胞の個数を計測し、腫瘍細胞の特性を評価する機能等を実現するためのプログラムが含まれる。プログラムPは、更に、光源26からの光のオンオフを制御するためのプログラム等を含んでもよい。
プロセッサ50は、データ管理部51、個数演算部52、存在率演算部53、評価部54及び光照射管理部55等を備える。データ管理部51は、入力部103経由で受信した測定データを記憶部40に格納する。個数演算部52は、例えば、プログラムPに基づいて個数演算式43を用いて明視野測定データ41から全粒子の個数を計測し、蛍光測定データ42から信号発生細胞の個数を計測する。存在率演算部53は、例えば、プログラムPに基づいて存在率演算式46を用いて全粒子個数データ44及び信号発生細胞の個数データ45から信号発生細胞の存在率を算出する。評価部53は、例えば、プログラムPに基づいて特性決定演算式48を用いて存在率47から細胞特性を決定する。光照射管理部55は、プログラムPに基づいて出力部70を介して光照射装置25の光源26のオンオフを制御する。プロセッサ50は、例えばCPUである。
表示部60は、ディスプレイ又はプリンター等を備え得る。
出力部70は、光照射装置25と電気的に接続されており、光照射管理部55からの命令を光照射装置25に出力する。
また細胞特性決定システム100は、細胞特性決定システム100の各操作の開始又は停止、及びパラメーターを入力するボタン、キーボード及びタッチパネル等を備えてもよい。これらは、例えば入力部103と電気的に接続されている。
また、細胞特性決定システム100は、図示しない培養部を備えてもよい。培養部は、チャンバを備える。この場合、チャンバには、環境条件、例えば、温度、光条件、二酸化炭素濃度及び酸素濃度等を測定する各種環境センサと、チャンバ内のこれらの環境条件を調節するヒーター、照明及びガスボンベ等の設備が設けられている。プロセッサ50は環境センサの測定結果から、プログラムに基づいてチャンバ内の環境条件が培養工程に適切となるように出力部を介して上記各設備を制御する条件変更部を含み得る。例えば、細胞培養検出デバイス10をチャンバ内に取り付けると、チャンバ内で培養工程を行うことができ、また光学センサ12と入力部103とが電気的に接続され得る。また、その場合光源26はチャンバ内に備えられ、試料収容部11に所望の方向から光を照射するように配置されてもよい。
次に、細胞特性決定システム100を用いた方法について説明する。
まず、試料収容部11に培地16と細胞群15を収容し、培養工程を行う。培養工程後の細胞培養検出デバイス10を細胞特性決定システム100に取り付ける。細胞特性決定システム100が培養部を含む場合は、細胞群15及び培地16を収容した細胞培養検出デバイス10を培養部に取り付けて培養工程を行ってもよい。
次に、光照射管理部55が出力部70を介して光源26のスイッチオンを命令し、光源26から試料収容部11に光が照射される。そして、光学センサ12によって検出が行われ、明視野測定データ41及び蛍光測定データ42が得られる。各データは、データ管理部51によって入力部103を介して記憶部40に格納される。この時、全てのセンサ素子18の位置情報と結びつけられた各測定データが記憶部40に格納される。
次に、プロセッサ50の個数演算部52において、記憶部40から明視野測定データ41及び個数演算式43が取り出され個数演算式43に基づいて全脂質粒子の個数が算出される。全粒子個数データ44は記憶部40に格納される。また、記憶部40から蛍光測定データ42及び個数演算式43が取り出され、個数演算式43に基づいて信号発生細胞の個数が算出される。信号発生細胞個数データ45は記憶部40に格納される。
次に、プロセッサ50の存在率演算部53において、記憶部40から全粒子個数データ44、信号発生細胞の個数データ45及び存在率演算式46が取り出され、信号発生細胞の存在率47が算出される。存在率47は、記憶部40に格納される。例えば、表示部60に存在率47が表示されてもよい。
次に、プロセッサ50の評価部53において、記憶部から存在率47及び特性決定演算式48が取り出され、細胞特性が決定される。その結果は、特性決定結果49として記憶部40に格納され、また表示部60に表示される。
例えば、特性決定演算式は、細胞の種類、マーカー遺伝子の種類、決定したい細胞特性によって異なり、これらの何れかの組み合わせに対応した複数の演算式が記憶部40に格納されていてもよい。例えば、入力部から操作者により入力された細胞の種類、マーカー遺伝子の種類、及び/又は決定したい細胞特性に基づいて、特性決定演算式が選択され、それに基づいて細胞特性が決定されてもよい。
上記各手順は、プログラムPにより自動的に行われてもよいし、本装置の操作者の入力等に従って行われてもよい。
本システムによる方法の実行が終了した後、細胞培養検出デバイス10は細胞特性決定システム100から取り外され得る。
本システムは、必ずしも細胞培養検出デバイス10を含む必要はなく、備え付けの試料収容部及び/又は光学センサを含む構成としてもよい。
実施形態の細胞特性決定システムによれば、正確に腫瘍細胞の特性を決定することが可能である。
[例]
例1.レポーターベクターの作製
アンピシリン耐性遺伝子配列、ColE1 origin配列、SV40 origin配列、SV40ポリA配列、NanoLuc遺伝子、BGHポリA配列を含む基礎ベクターを用意した。基礎ベクターのNanoLuc遺伝子の上流にあるSacIサイト及びXhoIサイトで制限酵素処理を行って直線化し、0.8%アガロース電気泳動を行い、精製した。
Human Genomic DNA(Novagen社)を鋳型としてSTC2遺伝子のプロモーター配列を増幅するためのプライマーセット(表3に示す配列番号7、8)及びTOP2A遺伝子のプロモーター配列を増幅するためのプライマーセット(表3に示す配列番号9、10)を用いてPCR法(表4の条件)によってそれぞれ増幅した。増幅により、STC2プロモーター配列(表1に示す配列番号1)及びTOP2Aプロモーター配列(表2に示す配列番号2)がそれぞれ得られた。これらの増幅産物を0.8%アガロース電気泳動によって精製した。
Figure 0007273987000009
Figure 0007273987000010
InFusion(TaKaRa社)を用いて、上記の直線化した基礎ベクターのScaI/XhoIサイトに精製したプロモーター配列をそれぞれ連結し、STC2レポーターベクター(図17)及びTOP2Aレポーターベクター(図18)を得た。
例2.レポーターベクターを内包する脂質粒子の調製
STC2レポーターベクターを含むDNA溶液、及びTOP2Aレポーターベクターを含むDNA溶液にカチオン性ペプチドをそれぞれ加え、DNA-ペプチド凝縮体を形成した。
エタノール溶解脂質溶液(FFT10/SST04/DOTAP/DOPE/コレステロール/PEG-DMG=37/15/10.5/10.5/30/2mol)を調製し、それに上記DNA-ペプチド凝集体をそれぞれ添加した。更に10mMのHEPES(pH7.3)を静かに添加した後、遠心式限外ろ過で洗浄及び濃縮して、STC2レポーターベクター内包脂質粒子及びTOP2Aレポーターベクター内包脂質粒子を得た。各脂質粒子のDNA内包量は、Quant-iT(登録商標)PicoGreen dsDNA Assay Kit(サーモフィッシャー・サイエンティフィック製)で測定した。
例3.レポーターベクターの細胞株への導入
・ヒト乳腺腫瘍由来細胞株への導入
タモキシフェン感受性のヒト乳腺腫瘍由来細胞株(MCF-7)、及びドキソルビシン感受性のヒト乳腺腫瘍由来細胞株(MDA-MB-231)を、カルチャーフラスコにおいて10%牛胎児血清(FBS)を添加した培地(MCF-7:MEM(GIBCO)、MDA-MB-231:DMEM(GIBCO))を用いて37℃、5%CO雰囲気下で付着培養した。
培養後、培地を取り除き、PBSで洗浄した後、0.25%のTrypsin-EDTA処理により細胞を剥がした後、10%FBSを添加した培地に細胞を懸濁し、Trypsinを不活性化した。遠心で細胞を回収した後、2.0×10細胞/mLとなるように10%FBSを添加した培地に細胞を懸濁して、96ウェル培養ディッシュ(サーモフィッシャー・サイエンティフィック製)に、4.0×10細胞/ウェルとなるように、細胞縣濁液を200μLずつ加えた。この96ウェル培養ディッシュを2つ用意し、例2で作製した各レポーターベクター内包脂質粒子を、DNAが0.2μg/ウェルとなるようにそれぞれウェルに添加して、37℃、5%CO雰囲気下で培養した。
・ヒト正常乳腺上皮細胞への導入
ヒト正常乳腺上皮細胞(HMEC)を、カルチャーフラスコで、Mammary Life(Lifeline Cell Technology社)を用いて37℃、5%CO雰囲気下で付着培養した。培養後、培地を取り除き、PBSで洗浄した後、0.25%のTrypsin-EDTA処理により細胞を剥がした後、Mammary Lifeに細胞を懸濁し、Trypsinを不活性化した。遠心で細胞を回収した後、2.0×10細胞/mLとなるようにMammary Lifeに細胞を懸濁して、96ウェル培養ディッシュ(サーモフィッシャー・サイエンティフィック製)に、4.0×10細胞/ウェルとなるように、細胞縣濁液を200μLずつ加えた。この96ウェル培養ディッシュを2つ用意し、例2で作製した各レポーターベクター内包脂質粒子を、DNAが0.2μg/ウェルとなるようにそれぞれウェルに添加して、37℃、5%CO雰囲気下で培養した。
・NanoLuc発現量の測定(NanoLuc発光アッセイ)
プロモーターベクター内包脂質粒子と乳がん細胞とを混合してから24時間後、培養プレートをインキュベータから取り出し、培地を取り除いた後、細胞をPBSで洗浄し、Glo Lysis Buffer(Promega社)を100μL/well加えて、-80℃で30分間凍結させた。室温で融解させた後、細胞溶解液を1.5mL遠心チューブに回収した。15000rpmで10分間遠心分離し、細胞残渣を沈殿させ、上清25μLを96ウェルプレート(Black、Nunc)に分注した。ここにルシフェラーゼ基質溶液(Nano Glo Luciferase Assay System, Promega社)を25μL添加し、混合した後、ルミノメーター(Mithras LB940、Berthold社)を用いて、0.1秒当たりの1ウェルのあたりの発光量を測定した。
・プロモーター活性の比較結果
図19に、STC2プロモーターベクター内包脂質粒子を導入した各乳がん細胞のNanoLuc発光強度(RLU)の測定結果を示す。タモキシフェン感受性乳がん細胞株であるMCF-7の発光強度は約27×10RLUであり、MDA-MB-231(約0.5×10RLU)及びHMEC(約1×10RLU)と比較して明らかに高かった。この結果からSTC2プロモーターベクター内包粒子により、乳がん細胞のタモキシフェンへの感受性を決定できることが明らかとなった。
図20に、TOP2Aプロモーターベクター内包脂質粒子を導入した各乳がん細胞のNanoLuc発光強度の測定結果を示す。ドキソルビシン感受性乳がん細胞株であるMDA-MB-231の発光強度は約7.0×10RLUであり、MCF-7(約3.5×10RLU)及びHMEC(約0.6×10RLU)と比較して明らかに高かった。この結果からTOP2Aプロモーターベクター内包粒子により、乳がん細胞のドキソルビシンへの感受性を決定できることが明らかとなった。
例4.レポーターベクターの患者乳がん検体細胞への導入
・検体細胞の調製及びDNA内包脂質粒子による核酸の導入
乳がんに罹患したヒトから外科的手術によって取り出された腫瘍の一部を乳がん検体として用いた(検体は、倫理委員会の承認を受けた臨床研究の実験計画に基づき、同意を得られた患者から摘出された手術検体の一部であり、適切な管理下で実験に使用した)。検体は、タモキシフェンへの感受性のある乳がん検体A、ドキソルビシンへの感受性のある乳がん検体B、タモキシフェン及びドキソルビシンのどちらにも感受性の無い検体Cであった。採取された後、MACS Tissue Storage Solution(Miltenyi Biotec社)を入れたサンプル瓶中に保管し、4℃で運搬した。検体の細胞分散には、MACS Tissue Dissociation Kits(Miltenyi Biotec社)を用いた。1%のBSAを含むRPMI4.8mlに対し、Kitに付属している酵素Hを100μL(Kitプロトコルの1/2量)、酵素Rを20μL(Kitプロトコルの1/5量)加え、gentle MACS C Tube(Miltenyi Biotec社)に検体とともに入れ、検体をはさみで細切した。これをgentle MACS-Oct Dissociator with heaters(Miltenyi Biotec)にセットし、乳がん検体用に設定したプログラム(表5)を用いて細胞を分散した。
Figure 0007273987000011
処理終了後の検体細胞分散液をセルストレイナー(ポアサイズ70μmのナイロンフィルター、商品名:BD Falcon(登録商標))に通して遠心チューブに回収し、遠心した(300g、5分、4℃)。上清を取り除いた後、赤血球を取り除くために溶血処理を行った。溶血処理は、5mlの溶血バッファー(BD Pharm Lyse Lysing Bufferを滅菌水で1/10希釈したもの)に細胞を懸濁し、37℃で2分間処理することによって行った。次いで再び遠心し(300g、5分、4℃)、細胞を回収した。沈殿物をMammary Life(Lifeline Cell Technology社)に懸濁して、細胞数を計測した。細胞数の計測は、10μLの細胞液と0.4w/v%のTrypan Blue Solution(和光純薬工業製、販売元コード:207-17081)を1:1で混合し、自動細胞計測装置Countess(登録商標、Life Technologies社)で計測し、細胞径5~60μmの生細胞数が5000細胞/ウェル(15μL/ウェル)となるようにNanoCulture dishに播種した。
NanoCulture dishには、NanoCulture Dish MSパターン高接着、35mm(NCD-HS35-5、ORGANO GENIX社)をコーティングしたもの用いた。コーディングは、NanoCulture dishに、3mmΦ、厚み2mmのガスケットを置き、PBSでiMatrix-511(ニッピ製、製品コード:892011)を1/60希釈した溶液、及びAdhesamine(和光純薬工業製、販売元コード:010-23201)を1/10希釈した溶液を15μL入れ、37℃で1時間静置することによって行った。各ウェルへの細胞の播種は、コーティング溶液を取り除いた後に行い、次いで37℃、5%COの条件で培養した。この細胞培養物を2つ作成した。15分後、例2で作製した各プロモーターベクター内包脂質粒子をDNAが0.14μg/ウェルとなるようにウェルにそれぞれ添加して、37℃、5%CO雰囲気で培養した。
・NanoLuc発現量の測定(NanoLuc発光アッセイ)
レポーターベクター内包脂質粒子添加の24時間後、NanoCulture dishをインキュベータから取り出し、発光基質(Nano-Glo Luciferase Assay Substrate、Promega社)を1/1000希釈となるように培地に加え、高感度冷却CCDカメラ(ImageM EX、浜松ホトニクス製)を装着した発光顕微鏡(LuminoView LV200、Olympus製)を用いて細胞を観察し、明視野と暗視野の写真を撮影した。画像処理は、MetaMorph(Molecular Device)を用いて行った。
・検体細胞におけるSTC2/TOP2Aプロモーターの活性評価
図21、図22に示す通り、STC2プロモーターベクター内包脂質粒子によるNanoLuc発光細胞の写真では、タモキシフェン感受性のある検体Aで発光細胞が明らかに多く、例えば図21、図22に示す視野中では肉眼で約60個観察された。一方、検体Bでは発光細胞が2個、検体Cでは3個観察され、明らかに少なかった。図21及び図22は、それぞれJPEG形式及びビットマップ形式の同一の写真である。
TOP2Aプロモーターベクター内包脂質粒子によるNanoLuc発光細胞の写真においては、ドキソルビシン感受性の検体Bでは発光細胞数が明らかに多く、例えば図21、図22に示す視野中には肉眼で約70個観察された。一方で検体Aでは発光細胞2個、検体Cでは4個観察され、明らかに少なかった。
以上の結果から、STC2プロモーターベクター内包脂質粒子及びTOP2Aプロモーターベクター内包脂質粒子を用いることによって生きた乳がん細胞で薬剤の感受性を測定することが可能であることが明らかとなった。
例5.リアルタイムPCR法との比較
・プロモーターベクター内包脂質粒子使用した薬剤感受性の決定
例4の検体A、B、Cとは別の乳がん検体D、Eを用いて、例4と同様の方法によってSTC2プロモーターベクター内包脂質粒子を細胞に導入し、明視野及び暗視野での写真を撮影した。写真の画像処理を行うことによって発光が観察された細胞数を計測した。画像処理は、MetaMorph(Molecular Device)を用いて行った。次いで発光細胞の存在率をSTC2陽性細胞数/CMV陽性細胞数として算出した。
・リアルタイムPCR法を用いた薬剤感受性の決定
例4で使用した細胞から、RNAを抽出した。RNA抽出は、RNeasy Mini Kit (Qiagen)で行い、操作は添付のマニュアルに従った。抽出されたRNA溶液は、分光光度計で260nmの吸光度を測定してRNA量を算出した。次いで、First-Strand cDNA synthesis kit(GE Healthcare社)を使用して逆転写PCRを行った。操作は添付のマニュアルに従って行った。各サンプルの全RNAが100ngになるように調製しcDNAを合成した。
cDNAから、Taqman Gene Expression Assay (Appiled Biosystem社)とTaqMan probe Hs01063215_m1を用いて、StepOnePlus装置(Appiled Biosystems社)でSTC2の発現を検出した。PCRの増幅条件は、50℃2分間、95℃10分間の後、95℃15秒間、60℃1分間を1サイクルとして、22サイクルまで測定し、増幅の有無を濁度によって測定した。
・結果の比較
表6にプロモーターベクター内包脂質粒子使用した方法における発光細胞の存在率と、リアルタイムPCR法におけるSTC2の増幅産物の有無とを示す。
Figure 0007273987000012
検体D、検体Eともにプロモーターベクター内包脂質粒子使用した方法ではSTC2遺伝子の発現を検出できたが、PCR法では検体EのSTC2増幅産物が検出されたが、検体Dでは発現が検出されなかった。
以上の結果から、実施形態に従うプロモーターベクター内包脂質粒子使用した方法ではPCR法を用いるよりも正確に乳がん細胞の薬剤感受性についての情報が得られることが示された。
本発明の幾つかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下に、本願発明の実施態様を付記する。
[1] 腫瘍細胞群の特性を決定する方法であって、
脂質膜と、前記脂質膜に内包された第1核酸とを含む脂質粒子を前記腫瘍細胞群に接触させる接触工程(前記第1核酸は、前記特性を決定するためのマーカー遺伝子のプロモーター配列と、前記プロモーター配列の下流に機能可能に連結されたレポーター遺伝子とを有する)、
前記腫瘍細胞群を培養する培養工程、
前記腫瘍細胞群に含まれる各腫瘍細胞の、前記レポーター遺伝子から発現するレポータータンパク質からの信号の有無又は量を検出する検出工程、
前記検出工程の結果から、前記特性を有する前記腫瘍細胞の数を計測する計数工程
を含む方法。
[2] 前記計数工程の結果から、前記腫瘍細胞群の前記特性の有無又は程度を決定する第1決定工程を更に含む、[1]に記載の方法。
[3] 前記腫瘍細胞群は、対象の体内の腫瘍から採取されたものであり、
前記計数工程の結果から、前記対象の体内における前記腫瘍の前記特性の有無又は程度を決定する第2決定工程を更に含む、[1]に記載の方法。
[4] 前記腫瘍細胞群は、対象の体内の腫瘍から採取されたものであり、
前記第1決定工程の結果から、前記対象の体内における前記腫瘍の前記特性の有無又は程度を決定する第2決定工程を更に含む、[2]に記載の方法。
[5] 前記第1決定工程の結果及び/又は前記第2決定工程の結果に基づいて、前記対象に投与するための薬剤を選択する第3決定工程を更に含む、[4]に記載の方法。
[6] 前記計数工程は、前記腫瘍細胞群に含まれる全腫瘍細胞の数を計測することを更に含み、
前記第1決定工程は、前記全腫瘍細胞の数及び前記特性を有する前記腫瘍細胞の数から前記特性を有する前記腫瘍細胞の存在率を算出し、前記存在率から、前記腫瘍細胞群の特性の有無又は程度を決定することを含む、
[2]、[4]又は[5]の何れか1項に記載の方法。
[7] 前記第1核酸は、前記特性を決定するための第1~第nのマーカー遺伝子の各プロモーター配列(以下、「前記第1~第nのプロモーター配列」と称する)と、前記第1~第nのプロモーター配列の下流にそれぞれ機能可能に連結された第1~第nのレポーター遺伝子とを有し、前記第1~第nのプロモーター配列は互いに異なり、前記第1~第nのレポーター遺伝子は互いに異なり、前記nは2以上の自然数であり、
前記検出工程は、前記第1~第nのレポーター遺伝子からそれぞれ発現する第1~第nのレポータータンパク質からの第1~第nの信号をそれぞれ検出することを含み、
前記計数工程は、前記特性を有する前記腫瘍細胞の数を第1~第nの信号毎に個別に計測することを含む、
[1]~[6]の何れか1項に記載の方法。
[8] 前記特性は、薬剤への感受性、予後、転移性又は浸潤性である、[1]~[7]の何れか1項に記載の方法。
[9] 前記腫瘍細胞は乳がん細胞であり、前記特性は薬剤への感受性である、[8]に記載の方法。
[10] 前記薬剤はアントラサイクリン系薬剤、微小管作用薬、アルキル化薬、代謝拮抗薬、白金錯体、アロマターゼ阻害剤、LH-RHアゴニスト製剤、抗エストロゲン薬、黄体ホルモン薬又は分子標的薬である、[9]に記載の方法。
[11] 前記薬剤はアントラサイクリン系薬剤であり、前記マーカー遺伝子はTOP2A、RARA、CDC6、THRA、GSDM1、PSMD3、CSF3、MED24、SNORD124、NR1D1、TRNASTOP-UCA、MSL-1、CASC3、RAPGEFL1、WIPF2、LOC100131821、GJD3、LOC390791、LOC728207、IGFBP4、TNS4、CCR7又はSMARCE1である、[10]に記載の方法。
[12] 前記薬剤はアロマターゼ阻害剤であり、前記マーカー遺伝子はSTC2、SLC39A6、CA12、ESR1、PDZK1、NPY1R、CD2、MAPT、QDPR、AZGP1、ABAT、ADCY1、CD3D、NAT1、MRPS30、DNAJC12、SCUBE2、KCNE4、DHA、ATP5J2、VDAC2、DARS、UCP2、UBE2Z、AK2、WIPF2、APPBP2又はTRIM2である、[10]に記載の方法。
[13] 前記脂質膜は、式(I)の脂質:
Figure 0007273987000013
及び/又は
式(II)の脂質:
Figure 0007273987000014
を含む、[9]~[12]の何れか1項に記載の方法。
[14] 前記検出工程における信号の検出は経時的に行われる、[1]~[13]の何れか1項に記載の方法。
[15] 少なくとも前記検出工程は、細胞培養検出デバイスを用いて行われ、
前記細胞培養検出デバイスは、二次元領域にマトリックス状に並ぶ複数のセンサ素子と、前記複数のセンサ素子と対向する光透過性の底部を有する試料収容部とを備える、
[1]~[14]の何れか1項に記載の方法。
[16] 腫瘍細胞群の特性を決定するためのキットであって、
脂質膜と、前記脂質膜に内包された第1核酸とを含む脂質粒子(前記第1核酸は、前記特性を決定するためのマーカー遺伝子のプロモーター配列と、前記プロモーター配列の下流に機能可能に連結されたレポーター遺伝子とを有する)、及び
二次元領域にマトリックス状に並ぶ複数のセンサ素子と、前記複数のセンサ素子と対向する光透過性の底部を有する試料収容部とを備える細胞培養検出デバイスと、
を含むキット。
[17] 前記レポーター遺伝子から発現するレポータータンパク質からの信号を検出するための試薬を更に含む[16]に記載のキット。
[18] 前記第1核酸は、前記特性を決定するための第1~第nのマーカー遺伝子の各プロモーター配列(以下、「前記第1~第nのプロモーター配列」と称する)と、前記第1~第nのプロモーター配列の下流にそれぞれ機能可能に連結された第1~第nのレポーター遺伝子とを有し、前記第1~第nのプロモーター配列は互いに異なり、前記第1~第nのレポーター遺伝子は互いに異なり、前記nは2以上の自然数である、
[16]又は[17]に記載のキット。
[19] 前記特性は、薬剤への感受性、予後、転移性又は浸潤性である、[16]~[18]の何れか1項に記載のキット。
[20] 前記腫瘍細胞は乳がん細胞であり、前記特性は薬剤への感受性である、[19]に記載のキット。
[21] 前記薬剤はアントラサイクリン系薬剤、微小管作用薬、アルキル化薬、代謝拮抗薬、白金錯体、アロマターゼ阻害剤、LH-RHアゴニスト製剤、抗エストロゲン薬、黄体ホルモン薬又は分子標的薬である、[20]に記載のキット。
[22] 前記薬剤はアントラサイクリン系薬剤であり、前記マーカー遺伝子はTOP2A、RARA、CDC6、THRA、GSDM1、PSMD3、CSF3、MED24、SNORD124、NR1D1、TRNASTOP-UCA、MSL-1、CASC3、RAPGEFL1、WIPF2、LOC100131821、GJD3、LOC390791、LOC728207、IGFBP4、TNS4、CCR7又はSMARCE1である、[21]に記載のキット。
[23] 前記薬剤はアロマターゼ阻害剤であり、前記マーカー遺伝子はSTC2、SLC39A6、CA12、ESR1、PDZK1、NPY1R、CD2、MAPT、QDPR、AZGP1、ABAT、ADCY1、CD3D、NAT1、MRPS30、DNAJC12、SCUBE2、KCNE4、DHA、ATP5J2、VDAC2、DARS、UCP2、UBE2Z、AK2、WIPF2、APPBP2又はTRIM2である、[21]に記載のキット。
[24] 前記脂質膜は、式(I)の脂質:
Figure 0007273987000015
及び/又は
式(II)の脂質:
Figure 0007273987000016
を含む、[20]~[23]の何れか1項に記載のキット。
[25] [16]に記載のキットを用いて得られた、腫瘍細胞群に含まれる各腫瘍細胞の前記レポーター遺伝子から発現するレポータータンパク質からの信号の有無又は量から、前記特性を有する前記腫瘍細胞を計数し、前記計数の結果から前記腫瘍細胞の前記特性を決定する機能を実現するためのプログラム。
[26] 前記腫瘍細胞は乳がん細胞であり、前記特性は薬剤への感受性である、[25]に記載のプログラム。
1…脂質粒子、2…脂質膜、3…第1核酸、5…プロモーター配列、
6…レポーター遺伝子、9…信号発生細胞、10…細胞培養検出デバイス、
11…試料収容部、12…光学センサ、13…底部、15…細胞群、
17…基板、18…センサ素子、19…センシング部、
30…第1核酸、31…第1プロモーター配列、32…第1レポーター遺伝子、
33…第1転写終結配列、34…第2プロモーター配列、35…第2レポーター遺伝子
36…第2転写終結配列

Claims (21)

  1. 乳がん細胞群の薬剤への感受性を決定する方法であって、
    脂質膜と、前記脂質膜に内包された第1核酸とを含む脂質粒子を前記乳がん細胞群に接触させる接触工程(前記第1核酸は、前記薬剤への感受性を決定するためのマーカー遺伝子のプロモーター配列と、前記プロモーター配列の下流に機能可能に連結されたレポーター遺伝子とを有する)、
    前記乳がん細胞群を培養する培養工程、
    前記乳がん細胞群に含まれる各乳がん細胞の、前記レポーター遺伝子から発現するレポータータンパク質からの信号の有無又は量を検出する検出工程、
    前記検出工程の結果から、前記薬剤への感受性を有する前記乳がん細胞の数を計測する計数工程
    を含む方法。
  2. 前記計数工程の結果から、前記乳がん細胞群の前記薬剤への感受性の有無又は程度を決定する第1決定工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
  3. 脂質膜と、前記脂質膜に内包された第1核酸とを含む脂質粒子を、対象の体内の乳がんから採取された乳がん細胞群に接触させる接触工程(前記第1核酸は、前記薬剤への感受性を決定するためのマーカー遺伝子のプロモーター配列と、前記プロモーター配列の下流に機能可能に連結されたレポーター遺伝子とを有する)、
    前記乳がん細胞群を培養する培養工程、
    前記乳がん細胞群に含まれる各乳がん細胞の、前記レポーター遺伝子から発現するレポータータンパク質からの信号の有無又は量を検出する検出工程、
    前記検出工程の結果から、前記薬剤への感受性を有する前記乳がん細胞の数を計測する計数工程
    前記計数工程の結果と、予め定めた閾値、演算式及び/又は対応付けとに基づいて、プロセッサが、前記対象の体内における前記乳がんの前記薬剤への感受性の有無又は程度を決定する第2決定工程
    を含む、対象の体内に存在する乳がんの薬剤への感受性の決定を補助する情報を提供する方法。
  4. 脂質膜と、前記脂質膜に内包された第1核酸とを含む脂質粒子を、対象の体内の乳がんから採取された乳がん細胞群に接触させる接触工程(前記第1核酸は、前記薬剤への感受性を決定するためのマーカー遺伝子のプロモーター配列と、前記プロモーター配列の下流に機能可能に連結されたレポーター遺伝子とを有する)、
    前記乳がん細胞群を培養する培養工程、
    前記乳がん細胞群に含まれる各乳がん細胞の、前記レポーター遺伝子から発現するレポータータンパク質からの信号の有無又は量を検出する検出工程、
    前記検出工程の結果から、前記薬剤への感受性を有する前記乳がん細胞の数を計測する計数工程、
    前記計数工程の結果と、予め定めた閾値、演算式及び/又は対応付けとに基づいて、プロセッサが、前記乳がん細胞群の前記薬剤への感受性の有無又は程度を決定する第1決定工程
    前記第1決定工程の結果と、予め定めた閾値、演算式及び/又は対応付けとに基づいて、プロセッサが、前記対象の体内における前記乳がんの前記薬剤への感受性の有無又は程度を決定する第2決定工程
    含む、対象の体内に存在する乳がんの薬剤への感受性の決定を補助する情報を提供する方法。
  5. 脂質膜と、前記脂質膜に内包された第1核酸とを含む脂質粒子を、対象の体内の乳がんから採取された乳がん細胞群に接触させる接触工程(前記第1核酸は、前記薬剤への感受性を決定するためのマーカー遺伝子のプロモーター配列と、前記プロモーター配列の下流に機能可能に連結されたレポーター遺伝子とを有する)と、
    前記乳がん細胞群を培養する培養工程と、
    前記乳がん細胞群に含まれる各乳がん細胞の、前記レポーター遺伝子から発現するレポータータンパク質からの信号の有無又は量を検出する検出工程と、
    前記検出工程の結果から、前記薬剤への感受性を有する前記乳がん細胞の数を計測する計数工程と、
    前記計数工程の結果と、予め定めた閾値、演算式及び/又は対応付けとに基づいて、プロセッサが、前記乳がん細胞群の前記薬剤への感受性の有無又は程度を決定する第1決定工程の結果、及び/又は前記乳がん細胞群からセンサにより得られた信号と、予め定めた閾値、演算式及び/又は対応付けとに基づいて、当該プロセッサが、前記対象の体内における前記乳がんの前記薬剤への感受性の有無又は程度を決定する第2決定工程の結果と、予め定めた閾値、演算式及び/又は対応付けとに基づいて、当該プロセッサが、前記対象に投与するための薬剤候補を選択する第3決定工程
    含む、対象に投与するための薬剤を選択することを補助する情報の提供する方法。
  6. 前記計数工程は、前記乳がん細胞群に含まれる全乳がん細胞の数を計測することを更に含み、
    前記第1決定工程は、前記全乳がん細胞の数及び前記薬剤への感受性を有する前記乳がん細胞の数から前記薬剤への感受性を有する前記乳がん細胞の存在率を算出し、前記存在率から、前記乳がん細胞群の薬剤への感受性の有無又は程度を決定することを含む、
    請求項2、4又は5の何れか1項に記載の方法。
  7. 前記第1核酸は、前記薬剤への感受性を決定するための第1~第nのマーカー遺伝子の各プロモーター配列(以下、「前記第1~第nのプロモーター配列」と称する)と、前記第1~第nのプロモーター配列の下流にそれぞれ機能可能に連結された第1~第nのレポーター遺伝子とを有し、前記第1~第nのプロモーター配列は互いに異なり、前記第1~第nのレポーター遺伝子は互いに異なり、前記nは2以上の自然数であり、
    前記検出工程は、前記第1~第nのレポーター遺伝子からそれぞれ発現する第1~第nのレポータータンパク質からの第1~第nの信号をそれぞれ検出することを含み、
    前記計数工程は、前記薬剤への感受性を有する前記乳がん細胞の数を第1~第nの信号毎に個別に計測することを含む、
    請求項1~6の何れか1項に記載の方法。
  8. 前記薬剤はアントラサイクリン系薬剤、微小管作用薬、アルキル化薬、代謝拮抗薬、白金錯体、アロマターゼ阻害剤、LH-RHアゴニスト製剤、抗エストロゲン薬、黄体ホルモン薬又は分子標的薬である、請求項1~7に記載の方法。
  9. 前記薬剤はアントラサイクリン系薬剤であり、前記マーカー遺伝子はTOP2A、RARA、CDC6、THRA、GSDM1、PSMD3、CSF3、MED24、SNORD124、NR1D1、TRNASTOP-UCA、MSL-1、CASC3、RAPGEFL1、WIPF2、LOC100131821、GJD3、LOC390791、LOC728207、IGFBP4、TNS4、CCR7又はSMARCE1である、請求項に記載の方法。
  10. 前記薬剤はアロマターゼ阻害剤であり、前記マーカー遺伝子はSTC2、SLC39A6、CA12、ESR1、PDZK1、NPY1R、CD2、MAPT、QDPR、AZGP1、ABAT、ADCY1、CD3D、NAT1、MRPS30、DNAJC12、SCUBE2、KCNE4、DHA、ATP5J2、VDAC2、DARS、UCP2、UBE2Z、AK2、WIPF2、APPBP2又はTRIM2である、請求項に記載の方法。
  11. 前記脂質膜は、式(I)の脂質:
    Figure 0007273987000017
    及び/又は
    式(II)の脂質:
    Figure 0007273987000018
    を含む、請求項9~12の何れか1項に記載の方法。
  12. 前記検出工程における信号の検出は経時的に行われる、請求項1~11の何れか1項に記載の方法。
  13. 少なくとも前記検出工程は、細胞培養検出デバイスを用いて行われ、
    前記細胞培養検出デバイスは、二次元領域にマトリックス状に並ぶ複数のセンサ素子と、前記複数のセンサ素子と対向する光透過性の底部を有する試料収容部とを備える、
    請求項1~12の何れか1項に記載の方法。
  14. 乳がん細胞群の薬剤への感受性を決定するためのキットであって、
    脂質分子が非共有結合で配列して中空体を形成している脂質膜と、前記脂質膜に内包された第1核酸とを含む脂質粒子(前記第1核酸は、前記薬剤への感受性を決定するためのマーカー遺伝子のプロモーター配列と、前記プロモーター配列の下流に機能可能に連結されたレポーター遺伝子とを有する)、及び
    二次元領域にマトリックス状に並ぶ複数のセンサ素子と、前記複数のセンサ素子と対向する光透過性の底部を有する試料収容部とを備える細胞培養検出デバイスと、
    を含むキット。
  15. 前記レポーター遺伝子から発現するレポータータンパク質からの信号を検出するための試薬を更に含む請求項14に記載のキット。
  16. 前記第1核酸は、前記薬剤への感受性を決定するための第1~第nのマーカー遺伝子の各プロモーター配列(以下、「前記第1~第nのプロモーター配列」と称する)と、前記第1~第nのプロモーター配列の下流にそれぞれ機能可能に連結された第1~第nのレポーター遺伝子とを有し、前記第1~第nのプロモーター配列は互いに異なり、前記第1~第nのレポーター遺伝子は互いに異なり、前記nは2以上の自然数である、
    請求項14又は15に記載のキット。
  17. 前記薬剤はアントラサイクリン系薬剤、微小管作用薬、アルキル化薬、代謝拮抗薬、白金錯体、アロマターゼ阻害剤、LH-RHアゴニスト製剤、抗エストロゲン薬、黄体ホルモン薬又は分子標的薬である、請求項14~16の何れか1項に記載のキット。
  18. 前記薬剤はアントラサイクリン系薬剤であり、前記マーカー遺伝子はTOP2A、RARA、CDC6、THRA、GSDM1、PSMD3、CSF3、MED24、SNORD124、NR1D1、TRNASTOP-UCA、MSL-1、CASC3、RAPGEFL1、WIPF2、LOC100131821、GJD3、LOC390791、LOC728207、IGFBP4、TNS4、CCR7又はSMARCE1である、請求項17に記載のキット。
  19. 前記薬剤はアロマターゼ阻害剤であり、前記マーカー遺伝子はSTC2、SLC39A6、CA12、ESR1、PDZK1、NPY1R、CD2、MAPT、QDPR、AZGP1、ABAT、ADCY1、CD3D、NAT1、MRPS30、DNAJC12、SCUBE2、KCNE4、DHA、ATP5J2、VDAC2、DARS、UCP2、UBE2Z、AK2、WIPF2、APPBP2又はTRIM2である、請求項17に記載のキット。
  20. 前記脂質膜は、式(I)の脂質:
    Figure 0007273987000019
    及び/又は
    式(II)の脂質:
    Figure 0007273987000020
    を含む、請求項14~19の何れか1項に記載のキット。
  21. 請求項16に記載のキットを用いて得られた、乳がん細胞群に含まれる各乳がん細胞の前記レポーター遺伝子から発現するレポータータンパク質からの信号を光学センサに検知させ、
    前記光学センサからの信号の有無又は量から、前記薬剤への感受性を有する前記乳がん細胞を個数演算部に計数させ、
    前記計数の結果から前記乳がん細胞の前記薬剤への感受性をプロセッサに決定させる、
    ことを含む機能を実現して、前記乳がん細胞の前記薬剤への感受性を決定するプログラム。
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