JP7273868B2 - ディーゼルエンジンのための排気システム - Google Patents

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Description

本発明は、ディーゼルエンジン用の排気システムに関する。本発明はまた、排気システムを備える車両、及びディーゼルエンジンによって生じる排気ガスを処理する方法に関する。
ディーゼルエンジンは、世界中で政府間機関によって規制立法措置が取られる少なくとも4種類の汚染物質、すなわち:一酸化炭素(CO)、未燃炭化水素(HC)、窒素酸化物(NO)及びパティキュレート・マター(PM)を一般に含有する排気を生じる。各種汚染物質の1つ以上を処理するための様々な排出制御装置が存在する。これらの排出制御装置は多くの場合、排出ガスの環境への排出の前に4種類の汚染物質全てが確実に処理されるように、排気システムの一部として組み合わされる。
ディーゼルエンジン、特に大型(HD)ディーゼルエンジンは、燃費を改善するように設計されている。このような設計の結果として、ディーゼルエンジンはより高レベルの窒素酸化物(NO)を出力し、当該エンジンの排気システムは、排出ガス規制を満たすためにますます高いNO転化率を提供することが要求される。
選択的触媒還元(SCR)は、ディーゼルエンジン、特にHDディーゼルエンジンのNO排出要件及び規制を満たすための有効な解決策であることが実証されている。高まる燃費向上要求に伴うSCRシステムのNOx排出削減の進行は、エンジンのより多くのNO排出を可能にするであろう。しかしながら、このような要求は、典型的にはディーゼル酸化触媒(DOC)、触媒化スートフィルター(CSF)及びSCR触媒から成る現在の排気システム設計にとっては困難である。
1つのアプローチは、フロースルーSCR触媒を下流に保ちながら、CSFをSCR触媒組成物でコーティングされたディーゼル微粒子フィルター(DPF)で置き換えることである。このような排気システムの一例がSAE2014-01-1525に記載されている。フィルター基材上の選択的触媒還元触媒は、高いNO変換能力を有することが示されている(AE2008-01-0072、SAE2011-01-1312及びSAE2012-01-0843参照)。
また、排気ガス中の亜酸化窒素(NO)の量を最小限にすることが望ましい。米国環境保護庁は、1ポンドの亜酸化窒素(NO)が大気を暖めることの影響が、1ポンドの二酸化炭素(CO)のそれの300倍以上であると述べている。亜酸化窒素(NO)も、オゾン層破壊物質(ODS)である。亜酸化窒素(NO)分子は除去又は破壊される前に約120年間大気中に留まると推定されている。エンジン排気物質を規制する現行の法律は、温室効果ガス(GHG)として個別に規制されているため、亜酸化窒素(NO)については制限していない。
本発明は、特に低温(例えば「コールドスタート」-ディーゼルエンジンが低温から始動する場合)で、非常に高いNO転化率を提供することができる排気システムに関する。排気システムはまた、NO還元反応中に副生成物として生じるNOの量を最小にすることができる。
本発明は、ディーゼルエンジンによって生じる排気ガスを処理するための排気システムであって、
(a) 白金族金属(PGM)及び基材を含む、一酸化炭素(CO)及び/又は炭化水素(HC)を酸化するための排出制御装置であって、白金族金属(PGM)が白金(Pt)、パラジウム(Pd)及びこれらの組み合わせから選択される排出制御装置と;
(b) 排気ガスにアンモニア前駆物質を導入するためのインジェクターであって、一酸化炭素(CO)及び/又は炭化水素(HC)を酸化するための排出制御装置の下流にあるインジェクターと;
(c) 排気ガスにアンモニア前駆物質を導入するためのインジェクターの下流の、基材と第1の選択的触媒還元組成物とを含む第1の選択的触媒還元触媒であって、基材がフロースルー基材かフィルタリング基材のいずれかである第1の選択的触媒還元触媒と;
(d) 第1の選択的触媒還元触媒の下流の、フロースルー基材及び第2の選択的触媒還元(SCR)組成物を含む第2の選択的触媒還元触媒と
を備え、かつ、
排出制御装置及び第1の選択的触媒還元触媒の少なくとも一方がフィルタリング基材を有する排気システムを提供する。
本発明者らは、本発明の排気システムを用いて、優れたNO転化率を得ることができることを見出した。本発明の排気システムによって提供されるNO転化率は(a)NHガスを、特に低温で、第1の選択的触媒還元触媒の直ぐ上流に供給すること、並びに/又は(b)特に排気ガス温度が比較的低い場合に、一酸化炭素(CO)及び/若しくは炭化水素(HC)を酸化するための排出制御装置からの排気ガスを加熱することによってさらに改善できることが、見出された。本発明の排気システムは、過渡FTP試験サイクル(transient FTP test cycle)下で>95%のNo転化率を提供することができ、これは、ディーゼルエンジンが将来の排出ガス規制及び燃費目標を満たすことを可能にするであろう。
本発明は、さらに車両を提供する。本発明の車両は、本発明によるディーゼルエンジン及び排気システムを備える。
本発明はまた、ディーゼルエンジンによって生じる排ガスを処理する方法に関する。この方法は、ディーゼルエンジンによって生じる排気ガスを、排気システム、特に本発明による排気システムに通す工程を含む。
図1から5は、本発明による排気システムの態様の概略図である。
ディーゼルエンジンのターボチャージャーからの排気ガス(1)出口がディーゼル酸化触媒(DOC)又はコールドスタートコンセプト(dCSCTM)触媒であり得る酸化触媒(10)に流れ込む排気システムを示す。酸化触媒からの排気ガス(2)出口は、選択的触媒還元フィルター触媒(40)である第1の選択的触媒還元触媒に向かう導管を通り流れる。サイドフローNH供給体(20)は、気体NHを導管へ導入することができる。また、通常の尿素供給体(25)も導管内に位置している。サイドフローNH供給体(20)と尿素供給体(25)の両方が、ミキサー(30)の上流にある。ミキサーは、選択的触媒還元フィルター触媒(SCR-DPF)(40)の入口面に隣接している。第2の選択的触媒還元(SCR)触媒(50)。SCR-DPF(40)及びSCR触媒(50)は、密結合しており、同じ容器(60)内に配置することができる。その後、SCR触媒(50)の出口からの排気ガスは、任意選択のアンモニアスリップ触媒(70)に送られてもよい。 図1の酸化触媒(10)が触媒化スートフィルター(80)で置き換えられている点を除いて、図1に示した排気システムと同じ排気システムを示す。第1のSCR触媒は、フロースルー基材を有する。 触媒化スートフィルター(80)に加えて酸化触媒(10)が存在する点を除いて、図2の排気システムと同様の排気システムを示す。酸化触媒は、ディーゼル酸化触媒(DOC)又はコールドスタートコンセプト(dCSCTM)触媒であり得る。 サイドフローNH供給体装置を示す概略図である。ディーゼルエンジンからの排気ガスは、排気システム内をエキゾーストマニホールド(5)からターボチャージャー(15)へと流れる。バイパス(35)は、排気ガス(3)の一部がサイドフローNH供給のために装置に入ることを可能にする。装置は、任意選択的に触媒化スートフィルター(45)を包含してもよい。サイドフローNH供給体(20)は、ターボチャージャー(15)から主排気ガス流(1)へ導入されるNHを生成するための通常の尿素供給体(55)及び尿素加水分解触媒(65)を包含する。 図1に示した排気システムと類似の排気システムを示す。酸化触媒(10)は、ディーゼル酸化触媒(DOC)、触媒化スートフィルター(CSF)、コールドスタートコンセプト(dCSCTM)触媒、又はディーゼル酸化触媒(DOC)と触媒化スートフィルター(CSF)との組み合わせであってもよい。排気システムは、サイドフローNH供給体(20)に加えて又はその代替として、電気加熱器(75)を包含してもよく、これは、酸化触媒(10)から排出される排気ガスを加熱するために使用することができる。 実施例1及び2の重負荷過渡FTPサイクル(heavy duty transient FTP cycle)でのNox転化%を示すヒストグラムである。
以下、本発明をさらに説明する。以下のセクションは、本排気システムの様々な部分に関連し、各部分をより詳細に定義し、また、本発明の車両及び方法にも関する。そのように定義された本発明の各部分又は態様は、反対のことが明記されていない限り、本発明の他の部分又は態様と組み合わせることができる。特に、好ましい又は有利であると示される任意の特徴は、好ましい又は有利であると示される他の特徴と組み合わせてもよい。
一酸化炭素(CO)及び/又は炭化水素(HC)を酸化するための排出制御装置
この排出制御装置は、一酸化炭素(CO)及び/又は炭化水素(HC)、好ましくはCO及びHCを酸化するのに適している。排出制御装置はさらに、一酸化窒素(NO)を二酸化窒素に二酸化窒素(NO)酸化するのに適している。
一酸化炭素(CO)及び/又は炭化水素(HC)を酸化するための排出制御装置は、
(i) ディーゼル酸化触媒(DOC);
(ii) 触媒化スートフィルター(CSF);
(iii) コールドスタートコンセプト(dCSCTM)触媒;
(iv) ディーゼル酸化触媒(DOC)及び触媒化スートフィルター(CSF);並びに
(v) コールドスタートコンセプト(dCSCTM)触媒及び触媒化スートフィルター(CSF)
から成る群より選択され得る。
排出制御装置がディーゼル酸化触媒(DOC)及び触媒化スートフィルター(CSF)である場合、好ましくはDOCがCSFの上流、好ましくはすぐ上流にある。したがって、DOCの出口は、CSFの入口に接続(例えば、排ガス導管により流体接続)される。
排出制御装置がコールドスタートコンセプト(dCSCTM)触媒及び触媒化スートフィルター(CSF)である場合、好ましくはコールドスタートコンセプト触媒がCSFの上流、好ましくはすぐ上流にある。したがって、コールドスタートコンセプト触媒の出口は、CSFの入口に接続(例えば、排ガス導管により流体接続)される。
排出制御装置が(i)ディーゼル酸化触媒(DOC)及び触媒化スートフィルター(CSF)か、(ii)コールドスタートコンセプト(dCSCTM)触媒及び触媒化スートフィルター(CSF)のいずれかである場合、好ましくはDOCとCSF又はコールドスタートコンセプト触媒とCSFは密結合している。これは、ディーゼル酸化触媒又はコールドスタートコンセプト触媒の出口端と触媒化スートフィルターの入口端の間の距離が1.0mmから300mm、好ましくは3mmから200mm、より好ましくは5mmから150mm(例えば8mmから100mm)、例えば10mmから80mm(例えば12mmから70mm)、より一層好ましくは15mmから50mm.であることを意味する。これは、熱伝導及び省スペースのために有利である。
排出制御装置が(i)触媒化スートフィルター(CSF)、(ii)フィルタリング基材を有するコールドスタートコンセプト(dCSCTM)触媒、(iii)ディーゼル酸化触媒(DOC)及び触媒化スートフィルター(CSF)、(iv)コールドスタートコンセプト(dCSCTM)触媒及び触媒化スートフィルター(CSF)のいずれかである場合、第1の選択的触媒還元触媒は、フロースルー基材を好ましくは有する。
排出制御装置が(i)ディーゼル酸化触媒(DOC)か(ii)フロースルー基材を有するコールドスタートコンセプト(dCSCTM)触媒のいずれかである場合、第1の選択的触媒還元触媒は、フィルタリング基材を好ましくは有する(すなわち、第1のSCR触媒はSCR-DPFである)。
本発明の排気システムは通常、単一のフィルタリング基材を含むことが好ましい。
排気制御装置の入口は通常、ターボチャージャーに接続(例えば流体接続)、好ましくは直接流体接続される。したがって、主排気ガス流は、ディーゼルエンジンからターボチャージャーを通って排出制御装置へ移動する。
典型的には、ディーゼル酸化触媒(DOC)及び/又は触媒化スートフィルター(CSF)はそれぞれ、基材上に配置又は担持された触媒組成物を含む。触媒組成物は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)及びこれらの組み合わせから選択される白金族金属(PGM)を含む。
排出制御装置がディーゼル酸化触媒及び/又は触媒化スートフィルターである場合、(各)触媒組成物は独立に、少なくとも一の担体物質をさらに含む。(各)担体物質は独立に、耐火性酸化物を含むか、又は本質的にそれから成っていてもよい。
(各)耐火性酸化物は、典型的には、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリア及びこれらの混合又は複合酸化物(例えばこれらの2種類以上の混合酸化物又は複合酸化物)から成る群より独立に選択される。例えば、耐火性酸化物は、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリア、シリカ-アルミナ、チタニア-アルミナ、ジルコニア-アルミナ、セリア-アルミナ、チタニア-シリカ、ジルコニア-シリカ、ジルコニア-チタニア、セリア-ジルコニア及びアルミナ-酸化マグネシウムから成る群より選択され得る。各耐火性酸化物は、アルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、セリア-アルミナ及びセリア-ジルコニアから成る群より独立に選択されることが好ましい。より好ましくは、(各)耐火性酸化物は、アルミナ及びシリカ-アルミナから成る群より独立に選択される。
各白金族金属(PGM)は典型的には、担体物質上に配置又は担持される。PGMは、担体物質の上に直接配置されてもよく、又は担体物質によって直接担持されてもよい。例えば、白金及び/又はパラジウムは、担体物質上に分散させることができる。
排出制御装置がディーゼル酸化触媒及び/又は触媒化スートフィルターである場合、各触媒組成物の白金族金属(PGM)は、白金(Pt)及び白金(Pt)とパラジウム(Pd)との組み合わせから好ましくは選択される。各触媒組成物の白金族金属(PGM)は、白金(Pt)とパラジウム(Pd)との組み合わせであることが好ましい。
白金族金属(PGM)が白金(Pt)とパラジウム(Pd)との組み合わせである場合、白金及びパラジウムの個々の粒子が存在してもよく、これらは分離されていても混合されていてもよく、又は白金及びパラジウムは、合金、好ましくは二元金属合金の形態である。
ディーゼル酸化触媒は通常、総充填量が20から200g ft-3、好ましくは25から175g ft-3より好ましくは30から160g ft-3の白金族金属を有し得る。
触媒化スートフィルターは、総充填量が0.5から10g ft-3、好ましくは1から7.5g ft-3、より好ましくは4から6g ft-3の白金族金属を有し得る。
ディーゼル酸化触媒及び/又は触媒化スートフィルターはそれぞれ独立に、白金の総質量対パラジウムの総質量の比が5:1から1:5(例えば3:1から1:3)、例えば2:1から1:2の比率の白金を含み得る。白金の総質量は、パラジウムの総質量よりも大きいことが好ましい。白金の総質量対パラジウムの総質量の比は、好ましくは5:1から1.1:1(例えば4:1から7:6)、例えば3:1から1.25:1(例えば2.5:1から1.25:1)である。
ディーゼル酸化触媒及び/又は触媒化スートフィルターはそれぞれ独立に、総量が0.1から4.5g in-3(例えば0.25から4.0g in-3)、好ましくは0.5から3.0g in-3、より好ましくは0.6から2.5g in-3(例えば0.75から1.5g in-3)の担体物質を含む。
排出制御装置がディーゼル酸化触媒である場合、ディーゼル酸化触媒は、下流区域を含んでもよい。下流区域は、基材の出口端に配置される。下流区域は、例えば揮発した白金を補足及び/又は捕集する、あるいは一酸化窒素(NO)を二酸化窒素(NO)に酸化するといった特定の機能を実行するように構成されてもよい。
下流区域は、揮発した白金を補足及び/又は捕集するための組成物を有し得る。このような区域は、揮発した白金が下流の選択的触媒還元触媒上で凝縮するのを低減又は防止する。揮発した白金を補足及び/又は捕集するための組成物は、国際公開第2013/088133号、国際公開第2013/088132、国際公開第2013/088128号、国際公開第2013/050784、及びPCT国際特許出願GB第2016/050285号に開示される。
下流区域は、白金、マンガン又はその酸化物、及びアルミナを含む担体物質を含み得る。白金及びマンガン又はその酸化物は好ましくは、担体物質上に配置又は担持される。下流にマンガン又はその酸化物が含まれていると、優れたNO酸化活性が得られることが判明した。
下流区域がマンガンを含む場合、担体物質は好ましくは、シリカアルミナ又はシリカをドープしたアルミナを含むか、又は本質的にそれから成る。
下流区域がマンガンを含む場合、下流区域は、パラジウム、例えば担体物質上に配置又は担持されたパラジウムをさらに含み得る。下流は、白金対パラジウムの重量比が≧2:1(例えばPt:Pdが1:0から2:1)、より好ましくは≧4:1(例えばPt:Pdが1:0から4:1)であり得る。
ディーゼル酸化触媒は、炭化水素吸着材をさらに含み得る。炭化水素吸着材は、ゼオライトであり得る。ゼオライトは好ましくは、遷移金属交換ゼオライトではない。
ゼオライトは、中細孔ゼオライト(例えば最大環サイズが10の四面体原子であるゼオライト)又は大細孔ゼオライト(例えば最大環サイズが12の四面体原子であるゼオライト)であることが好ましい。ゼオライトは、小細孔ゼオライト(例えば最大環サイズが8の四面体原子であるゼオライト)ではないことが好ましい場合がある。
適切なゼオライト又はゼオライトの種類の例としては、フージャサイト、クリノプチロライト、モルデナイト、シリカライト、フェリエライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、超安定Y型ゼオライト、AEI型ゼオライト、ZSM-5型ゼオライト、ZSM-12型ゼオライト、ZSM-20型ゼオライト、ZSM-34型ゼオライト、CHA型ゼオライト、SSZ-3型ゼオライト、SAPO-5型ゼオライト、オフレタイト、ベータゼオライト又はCHA型銅ゼオライトが挙げられる。ゼオライトは、好ましくはZSM-5型、ベータゼオライト又はY型ゼオライトである。
ディーゼル酸化触媒が炭化水素吸着材を含む場合、炭化水素吸着材の総量は、一般的に0.05から3.00g in-3、特に0.10から2.00g in-3、より具体的には0.2から1.0g in-3である。例えば、炭化水素吸着材の総量は、0.8から1.75g in-3、例えば1.0から1.5g in-3であり得る。
排気システム内にディーゼル酸化触媒(DOC)を含めることの利点は、DOCによって生成されるNOの量が最小限である点にある。
排気システム内に触媒化スートフィルター(CSF)を含めることの利点は、CSFがスート(すなわちパティキュレート・マター)を除去する点にある。CSFは、スート除去に単独で関与することも(例えば第1のSCR触媒がフロースルー基材を有する場合)、又は排気システムの全体的なスート除去に関与することもできる(例えば第1のSCR触媒がSCR-DPFである場合)。
排出制御装置は、コールドスタートコンセプト(dCSCTM)触媒を(単独で又は触媒化スートフィルター(CSF)と共に)備えていてもよい。コールドスタートコンセプト触媒(以下、「コールドスタート触媒」という)は、DOC及びCSFと比較して、相対的に低い温度で高い貯蔵効率でNOを貯蔵することができる。コールドスタート触媒は、(排気ガスの組成物が「リッチ」になるとNOを放出するリーンNOトラップ(LNT)又はNO貯蔵触媒(NSC)とは異なり)特定の温度に達するとNOを放出する。
コールドスタート触媒の利点は、第1の選択的触媒還元触媒及び第2の選択的触媒還元触媒がNOを還元するための有効作動温度に達しないように、排気システムの温度が比較的低いときにNOを貯蔵することができる点にある。コールドスタート触媒のNO放出温度は、第1の選択的触媒還元触媒及び/又は第2の選択的触媒還元触媒の有効作動温度以上であってもよい。これは、第1の選択的触媒還元触媒及び/又は第2の選択的触媒還元触媒が効果的にNOを還元できる温度に排気システムが達したら、コールドスタート触媒がNOを放出できることを意味する。
典型的には、コールドスタート触媒は、基材上に配置又は担持された触媒物質を含む。触媒物質は、モレキュラーシーブ触媒を含むか、又は本質的にそれから成っていてもよい。モレキュラーシーブ触媒は、貴金属及びモレキュラーシーブを含むか、又は本質的にそれから成る。モレキュラーシーブ触媒は、国際公開第2012/166868号に記載される方法に従って調製することができる。
モレキュラーシーブ触媒は一般に、貴金属交換モレキュラーシーブを含むか、又は本質的にそれから成る。
貴金属は通常、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)及びこれらの2種類以上の混合物から成る群より選択される。貴金属は、より好ましくは、パラジウム(Pd)、白金(Pt)及びこれらの混合物から選択される。
貴金属は一般に、パラジウム(Pd)と、任意選択的に、白金(Pt)及びロジウム(Rh)から成る群より選択される第2の金属とを含むか、又はこれらから成ることが好ましい。より一層好ましくは、貴金属は、パラジウム(Pd)と、任意選択的に白金(Pt)とを含むか、又はこれらから成る。より好ましくは、モレキュラーシーブ触媒は、唯一の貴金属としてパラジウムを含む。
貴金属がパラジウム(Pd)と第2の金属とを含むか又はこれらから成る場合、パラジウム(Pd)の第2の金属に対する質量比は、>1:1である。より好ましくは、パラジウム(Pd)の第2の金属に対する質量比は>1:1であり、パラジウム(Pd)の第2の金属に対するモル比も>1:1である。
モレキュラーシーブ触媒は、卑金属をさらに含んでいてもよい。よって、モレキュラーシーブ触媒は、貴金属、モレキュラーシーブ、及び任意選択的に卑金属を含んでもよく、又は本質的にこれらから成ってもよい。モレキュラーシーブ触媒は、貴金属交換モレキュラーシーブ及び卑金属交換モレキュラーシーブを含んでもよく、又は本質的にこれらから成ってもよい。
卑金属は、鉄(Fe)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)及びスズ(Sn)、並びにこれらの2種類以上の混合物から成る群より選択され得る。卑金属は、鉄、銅及びコバルト、より好ましくは鉄及び銅から成る群より選択されることが好ましい。より一層好ましくは、卑金属は、鉄である。
あるいは、モレキュラーシーブ触媒は、卑金属、例えば鉄(Fe)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)及びスズ(Sn)、並びにこれらの2種類以上の混合物から成る群より選択される卑金属を実質的に含まなくてもよい。よって、ゼオライト触媒は、卑金属を含まないことがあり得る。
一般に、モレキュラーシーブ触媒は卑金属を含まないことが好ましい。
モレキュラーシーブは通常、アルミニウム、ケイ素、及び/又はリンで構成される。モレキュラーシーブは一般に、酸素原子の共有により結合されているSiO、AlO及び/又はPOの三次元構造(例えば骨格)を有する。モレキュラーシーブは、アニオン型骨格を有し得る。アニオン型骨格の電荷は、アルカリ及び/又はアルカリ土類元素(例えばNa、K、Mg、Ca、Sr及びBa)のカチオン、アンモニウムのカチオン及び/又はプロトンなど、カチオンによって相殺され得る。
典型的には、モレキュラーシーブは、アルミノシリケート骨格、アルミノホスフェート骨格又はシリコ-アルミノホスフェート骨格を有する。モレキュラーシーブは、アルミノシリケート骨格又はアルミノホスフェート骨格を有してもよい。モレキュラーシーブは、アルミノシリケート骨格又はアルミノホスフェート骨格を有することが好ましい。より好ましくは、モレキュラーシーブは、アルミノシリケート骨格を有する。
モレキュラーシーブは、アルミノシリケート骨格を有する場合、好ましくはゼオライトである。
一般に、モレキュラーシーブは、貴金属交換モレキュラーシーブ(例えば、アルミノシリケート又はアルミノホスフェート骨格を有する貴金属交換モレキュラーシーブ)である。貴金属は、モレキュラーシーブの外部表面上又はモレキュラーシーブのチャネル、キャビティ若しくはケージ内の余分な骨格部位に存在してもよい。
モレキュラーシーブ触媒は一般に、(例えば、モレキュラーシーブの細孔の内側に位置するような交換による)少なくとも1重量%の貴金属(すなわちモレキュラーシーブ触媒の貴金属の量)、好ましくは少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも10重量%、例えば少なくとも25重量%、より一層好ましくは少なくとも50重量%を有する。
モレキュラーシーブは、小細孔モレキュラーシーブ(すなわち最大環サイズが8つの四面体原子を有するモレキュラーシーブ)、中細孔モレキュラーシーブ(すなわち最大環サイズが10の四面体原子を有するモレキュラーシーブ)、及び大細孔モレキュラーシーブ(すなわち最大環サイズが12の四面体原子を有するモレキュラーシーブ)から選択され得る。モレキュラーシーブは、より好ましくは、小細孔モレキュラーシーブ及び中細孔モレキュラーシーブから選択される。
第1のモレキュラーシーブ触媒の実施態様において、モレキュラーシーブは、小細孔モレキュラーシーブである。小細孔モレキュラーシーブは、好ましくは、ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、GIS、GOO、IHW、ITE、ITW、LEV、KFI、MER、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAV、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUG及びZON、並びにこれらの任意の2種類以上の混合物又は連晶から成る群より選択される骨格型コード(FTC)で表される骨格構造を有する。連晶は、好ましくはKFI-SIV、ITE-RTH、AEW-UEI、AEI-CHA、及びAEI-SAVから選択される。小細孔モレキュラーシーブは、より好ましくは、AEI、CHA又はAEI-CHA連晶のFTCを有する骨格構造を有する。小細孔モレキュラーシーブは、より一層好ましくは、AEI又はCHA、特にAEIのFTCを有する骨格構造を有する。
小細孔モレキュラーシーブは、好ましくは、アルミノシリケート骨格又はシリコ-アルミノホスフェート骨格を有する。小細孔モレキュラーシーブは、特に小細孔モレキュラーシーブがAEI、CHA又はAEI-CHA連晶のFTC、特にAEI又はCHAのFTCで表される骨格構造を有する場合、アルミノシリケート骨格をより好ましくは有する。
第2のモレキュラーシーブ触媒の実施態様では、モレキュラーシーブは、AEI、MFI、EMT、ERI、MOR、FER、BEA、FAU、CHA、LEV、MWW、CON及びEUO、並びにこれらの2種類以上の混合から成る群より選択されるFTCで表される骨格構造を有する。
第3のモレキュラーシーブ触媒の実施態様において、モレキュラーシーは、中細孔モレキュラーシーブである。中細孔モレキュラーシーブは、好ましくはMFI、FER、MWW及びEUOから成る群より選択されるFTC、さらに好ましくはMFIであるFTCで表される骨格構造を有する。
第4のモレキュラーシーブ触媒の実施態様において、モレキュラーシーブは、大細孔モレキュラーシーブである。大細孔モレキュラーシーブは、好ましくはCON、BEA、FAU、MOR及びEMTから成る群より選択されるFTC、さらに好ましくはBEAであるFTCで表される骨格構造を有する。
第1から第4のモレキュラーシーブ触媒の実施態様のそれぞれにおいて、モレキュラーシーブは、好ましくはアルミノシリケート骨格を有する(例えばモレキュラーシーブはゼオライトである)。前述の三文字コードの各々は、「ゼオライト命名に関するIUPAC委員会」及び/又は「国際ゼオライト学会の構造委員会」に従った骨格型を表す。
モレキュラーシーブは、典型的には、10から200(例えば10から40)、例えば10から100、より好ましくは15から80(例えば15から30)のシリカ対アルミナのモル比(SAR)を有する。SARは一般に、アルミノシリケート骨格(例えばゼオライト)又はシリコ-アルミノホスフェート骨格、好ましくはアルミノシリケート骨格(例えばゼオライト)を有する分子に関する。
第1、第3及び第4のモレキュラーシーブ触媒の実施態様(及び、第2のモレキュラーシーブ触媒の実施態様の一部の骨格型)のモレキュラーシーブ触媒は、750cm-1から1050cm-1の範囲の特徴的な吸収ピークを(モレキュラーシーブ自体の吸収ピークに加えて)有する赤外線スペクトルを有し得る。好ましくは、特徴的な吸収ピークは、800cm-1から1000cm-1の範囲であり、より好ましくは850cm-1から975cm-1の範囲である。
一般に、コールドスタート触媒は、貴金属の(すなわち、特に第1の領域におけるモレキュラーシーブ触媒の)総充填量が≧1g ft-3、好ましくは>1g ft-3、より好ましくは>2g ft-3である。
コールドスタート触媒は、典型的には、貴金属の(すなわちモレキュラーシーブ触媒の)総充填量が1から250g ft-3、好ましくは5から150g ft-3、より好ましくは10から100g ft-3である。
一般に、(各)基材(すなわち排出制御装置の基材)は、モノリス(本明細書では基材モノリスともいう)である。このようなモノリスは、当該技術分野でよく知られている。
基材、特に基材モノリスは、好ましくは≧7インチ(例えば≧17.8cm)の直径を有する。このような基材モノリスは、大型ディーゼルの用途に使用される傾向がある。
典型的には、ディーゼル酸化触媒は、フロースルー基材(例えばフロースルーモノリス)である基材を含む。触媒化スートフィルターは、フィルタリング基材(例えばフィルタリングモノリス)である基材を含む。コールドスタート触媒は、フロースルー基材(例えばフロースルーモノリス)又はフィルタリング基材(例えばフィルタリングモノリス)である基材を含む。コールドスタート触媒は、フロースルー基材である基材を含むことが好ましい。
フロースルーモノリスは、典型的には、両端が開口し、それを通って延びる複数のチャネルを有するハニカム型モノリス(例えば、金属製又はセラミック製のハニカム型モノリス)を含む。
フィルタリングモノリスは、ウォールフロー型フィルター基材モノリスであってもよい。ウォールフロー型フィルター基材モノリスは一般に、複数の入口チャネルと複数の出口チャネルとを通常含み、入口チャネルは上流端(すなわち排気ガスの入口側)で開口し、下流端(すなわち排気ガスの出口側)で塞栓されるか封止され、出口チャネルは上流端部で塞栓されるか封止され、下流端で開口しており、各入口チャネルは、ウォール(例えば多孔質構造を有するウォール)によって出口チャネルから隔てられている。
ウォールフロー型フィルター基材モノリスでは、各入口チャネルが、(例えば多孔質構造の)ウォールによって出口チャネルから交互に隔てられ、逆もまた同様である。入口チャネルと出口チャネルは、ハニカム構造に配置されていることが好ましい。ハニカム構造が存在する場合、入口チャネルに垂直方向及び横方向に隣接するチャネルが上流端で塞栓され、逆もまた同じである(すなわち、出口チャネルに垂直方向及び横方向に隣接するチャネルは下流端で塞栓される)ことが好ましい。いずれの端部から見ても、交互に塞栓及び開口されているチャネルの端部は、チェス盤の外観を呈する。
一般に、基材は、管状、繊維状又は粒状の形態を有することができる。適切な担持基材の例としては、モノリスハニカムコーディエライト型の基材、モノリスハニカムSiC型の基材、層状の繊維又は編地型の基材、発泡体型の基材、クロスフロー型の基材、金属ワイヤーメッシュ型の基材、金属多孔体型の基材、及びセラミック粒子型の基材が挙げられる。
典型的には、ディーゼル酸化触媒及び/又は触媒化スートフィルター及び/又はコールドスタート触媒は、ロジウムを実質的に含まず、かつ/又はアルカリ金属、アルカリ土類金属及び/若しくは希土類金属の酸化物、炭酸塩若しくは水酸化物を含むか若しくは本質的にこれらから成るNO貯蔵成分を実質的に含まない。より好ましくは、ディーゼル酸化触媒及び/又は触媒化スートフィルター及び/又はコールドスタート触媒は、ロジウムを含まず、かつ/又はアルカリ金属、アルカリ土類金属及び/若しくは希土類金属の酸化物、炭酸塩若しくは水酸化物を含むか若しくは本質的にこれらから成るNO貯蔵成分を含まない。
モレキュラーシーブ触媒は白金を実質的に含まないことが好ましい場合がある。モレキュラーシーブ触媒は、より好ましくは、白金を含まない。
排気ガスにアンモニア前駆物質を導入するためのインジェクター
本発明の排気システムは、排気ガスにアンモニア前駆物質を導入するためのインジェクターを備える。疑義を避けるために、排気ガスにアンモニア前駆物質を導入するためのインジェクターは、後述するような、排気ガスにアンモニアガスを導入するための手段ではない(例えばそれは、この手段とは異なる成分を含む)。
インジェクターは典型的には、アンモニア前駆物質を含む溶液を排気ガスに導入するのに適した液体インジェクターである。
アンモニア前駆物質は、好ましくは尿素又はギ酸アンモニウム、より好ましくは尿素である。SCR触媒のための尿素供給システムは、当該技術分野で既知である。
インジェクターは一般に、例えばアンモニア前駆物質又はアンモニア前駆物質を含む溶液をスプレーすることにより、排気ガスに噴射する際にアンモニア前駆物質又はアンモニア前駆物質を含む溶液を噴霧する。インジェクターは、エアレスインジェクター又はエアアシストインジェクターであり得る。
インジェクターは、選択的触媒還元フィルター触媒の上流の排気ガスにアンモニア前駆物質を導入するように構成される。インジェクターは、選択的触媒還元フィルター触媒の上流の排気ガスに一定量のアンモニア前駆物質を制御可能に導入するように構成されることが好ましい。より好ましくは、インジェクターは、0.7から1.3(例えば0.9から1.2)、例えば1.0から1.2(例えば約1:1)のアンモニア対NOモル比(ANR)を供給するために、選択的触媒還元フィルター触媒の上流の排気ガスに一定量のアンモニア前駆物質を制御可能に導入するように構成される。
アンモニア前駆物質を排気ガスに導入するためのインジェクターは、一酸化炭素(CO)及び/又は炭化水素(HC)を酸化するための排出制御装置の下流、好ましくは該装置の出口の下流にある(例えば位置する)。排出制御装置が(i)ディーゼル酸化触媒(DOC)及び触媒化スートフィルター(CSF)か、(ii)コールドスタートコンセプト(dCSCTM)触媒及び触媒化スートフィルター(CSF)である場合、インジェクターは好ましくは、CSFの出口の下流にある(例えば位置する)。
一酸化炭素(CO)及び/又は炭化水素(HC)を酸化するための排出制御装置は、典型的には、排ガス導管によって選択的触媒還元フィルター触媒の入口に接続されており、好ましくは流体接続されている出口を有する。アンモニア前駆物質を排気ガスに導入するためのインジェクターは、好ましくは、排出制御装置の出口と第1の選択的触媒還元触媒の入口との間に位置している。インジェクターは、好ましくは、排出制御装置の出口と第1の選択的触媒還元触媒の入口との間で排ガス導管に接続されている。
通常、アンモニア前駆物質を排気ガスに導入するためのインジェクターは、アンモニア前駆物質貯蔵タンクに接続されており、好ましくは流体接続されている。したがって、本発明の排気システムは、アンモニア前駆物質貯蔵タンクをさらに備えていてもよい。
アンモニア前駆物質を排気ガスに導入するためのインジェクターは、エンジン管理システムに電気的に接続されていてもよい。エンジン管理システムは、排気ガスの温度が≧T(ここでTは200℃、好ましくは215℃、より好ましくは230℃)であるときにインジェクターがアンモニア前駆物質を排気ガスに噴射するように構成されてもよい。エンジン管理システムは、排気ガスの温度が≧Tであり、かつ、排気ガスのモルANRが0.7、好ましくは<0.9であるときにインジェクターがアンモニア前駆物質を排気ガスに噴射するように構成されるのが特に好ましい。
エンジン管理システム及び/又はアンモニア前駆物質を排気ガスに導入するためのインジェクターは、選択的触媒還元フィルター触媒の上流、好ましくはすぐ上流に位置している温度センサーに電気的に接続(例えば熱電対)されていてもよい。この温度センサーは、一酸化炭素(CO)及び/又は炭化水素(HC)を酸化するための排出制御装置の下流に位置する。温度センサーは、Tを決定するのに適している。
追加的に又は代替的に、エンジン管理システム及び/又はアンモニア前駆物質を排気ガスに導入するためのインジェクターは、第1の選択的触媒還元触媒の上流、好ましくはすぐ上流に位置するNOセンサーに電気的に接続されていてもよい。Noxセンサーは好ましくは、アンモニア前駆物質を排気ガスに導入するためのインジェクターの下流に位置する。
排気システムはミキサーをさらに含んでもよく、該ミキサーは、第1の選択的触媒還元触媒の上流及びアンモニア前駆物質を排気ガスに導入するためのインジェクターの下流にある(例えば、排ガス導管の中に位置する)。
第1の選択的触媒還元(SCR)触媒
本発明の排気システムは、第1の選択的触媒還元触媒を備える。第1のSCR触媒は、アンモニア前駆物質を排気ガスに導入するためのインジェクターの下流にある(例えば位置する)。第1のSCR触媒は、第2の選択的触媒還元(SCR)触媒の上流にある。
第1のSCR触媒は、基材と第1のSCR触媒組成物とを備える。基材は、フロースルー基材又はフィルタリング基材である。「第1の選択的触媒還元組成物」という表現における「第1の」という用語は、排気システム内に存在する他の選択的触媒還元組成物からの組成物を表すのに用いられる。
第1のSCR触媒がフロースルー基材を有する場合、該基材は第1のSCR触媒組成物を含むことができ(すなわち第1のSCR触媒は押出によって得られる)、又は第1のSCR触媒組成物は基材上に配置若しくは担持され得る(すなわち第1のSCR触媒組成物はウオッシュコート法によって基材上に塗布される)。第1のSCR触媒組成物は、基材上に配置又は担持されることが好ましい。
一般的に、第1のSCR触媒はフィルタリング基材であることが好ましい。第1のSCR触媒がフィルタリング基材を有する場合、それは、本明細書では「SCR-DPF」と略される選択的触媒還元フィルター触媒である。SCR-DPFは、フィルタリング基材と第1の選択触媒還元(SCR)組成物とを備える。
第1の選択的触媒還元組成物は、金属酸化物系SCR触媒配合物、モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物又はこれらの混合物を含んでもよく、又は本質的にこれらから成っていてもよい。かかるSCR触媒配合物は、当該技術分野で知られている。
第1の選択的触媒還元組成物は、金属酸化物系SCR触媒配合物を含んでもよく、又は本質的にこれから成ってもよい。金属酸化物系SCR触媒配合物は、耐火性酸化物に担持されているバナジウム若しくはタングステン又はこれらの混合物を含む。耐火性酸化物は、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリア及びこれらの組み合わせから成る群より選択され得る。
金属酸化物系SCR触媒配合物はチタニア(例えばTiO)、セリア(例えばCeO)及びセリウムとジルコニウムとの混合又は複合酸化物(例えばCeZr(1-x)、式中、x=0.1~0.9、好ましくはx=0.2~0.5)から成る群より選択される耐火性酸化物に担持されたバナジウムの酸化物(例えばV)及び/又はタングステンの酸化物(例えばWO)を含むか又は本質的にこれらから成ることが好ましい場合がある。
耐火性酸化物がチタニア(例えばTiO)である場合、バナジウムの酸化物の濃度は好ましくは、(例えば金属酸化物系SCR配合物の)0.5から6重量%であり、かつ/又はタングステンの酸化物(例えばWO)の濃度は5から20重量%である。より好ましくは、バナジウムの酸化物(例えばV)及びタングステンの酸化物(例えばWO)は、チタニア(例えばTiO)上に担持されている。
耐火性酸化物がセリア(例えばCeO)である場合、バナジウムの酸化物の濃度は好ましくは、(例えば金属酸化物系SCR配合物の)0.1から9重量%であり、かつ/又はタングステンの酸化物(例えばWO)の濃度は0.1から9重量%である。
一般的に、金属酸化物系SCR触媒配合物は、チタニア(例えばTiO)に担持されているバナジウムの酸化物(例えばV)及び、任意選択的に、タングステンの酸化物(例えばWO)を含むか又は本質的にこれらから成る。金属酸化物系SCR触媒配合物は、特に金属酸化物系SCR触媒配合物が銅含有モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物の上流に配置される場合、副生成物として著しく少ないNOを生じることが見出された。
第1の選択的触媒還元組成物は、モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物を含んでもよく、又は本質的にこれから成ってもよい。モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物は、任意選択的に遷移金属交換モレキュラーシーブであるモレキュラーシーブを含む。SCR触媒配合物は遷移金属交換モレキュラーシーブを含むことが好ましい。
一般的に、モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物は、アルミノシリケート骨格(例えばゼオライト)、アルミノホスフェート骨格(例えばAlPO)、シリコアルミノホスフェート骨格(例えばSAPO)、ヘテロ原子含有アルミノシリケート骨格、ヘテロ原子含有アルミノホスフェート骨格(例えばMeAlPO、ここでMeは金属である)又はヘテロ原子含有シリコアルミノホスフェート骨格(例えばMeAPSO、ここでMeは金属である)を有するモレキュラーシーブを含んでもよい。(例えばヘテロ原子含有骨格中の)ヘテロ原子は、例えばホウ素(B)、ガリウム(Ga)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、バナジウム(V)、及びそれらの任意の2種類以上の組み合わせから成る群より選択され得る。ヘテロ原子は金属であることが好ましい(例えば上記のヘテロ原子含有骨格の各々は、金属含有骨格であってもよい)。
モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物はアルミノシリケート骨格(例えばゼオライト)若しくはシリコアルミノホスフェート骨格(例えばSAPO)を有するモレキュラーシーブを含むか又は本質的にこれから成ることが好ましい。より好ましくは、モレキュラーシーブは、アルミノシリケート骨格(例えばゼオライト)を有する。
モレキュラーシーブがアルミノシリケート骨格を有する(例えばモレキュラーシーブがゼオライトである)場合、モレキュラーシーブは、典型的には5から200(例えば10から200)、好ましくは10から100(例えば10から30又は20から80)、例えば12から40、より好ましくは15から30のシリカ対アルミナモル比(SAR)を有する。
通常、モレキュラーシーブは微多孔質である。 微多孔質モレキュラーシーブは、(例えばIUPACの「微多孔質」の定義に従って)2nm未満の直径を有する細孔を有する[Pure & Appl. Chem., 66(8), (1994), 1739-1758)]参照)。
モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物は、小細孔モレキュラーシーブ(例えば最大環サイズが8つの四面体原子を有するモレキュラーシーブ)、中細孔モレキュラーシーブ(例えば最大環サイズが10の四面体原子を有するモレキュラーシーブ)又は大細孔モレキュラーシーブ(例えば最大環サイズが12の四面体原子を有するモレキュラーシーブ)又はこれらの2種類以上の組み合わせを含み得る。
モレキュラーシーブが小細孔モレキュラーシーブである場合、小細孔モレキュラーシーブは、ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、GIS、GOO、IHW、ITE、ITW、LEV、KFI、MER、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAV、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUG及びZON、並びにこれらの2種類以上の混合物又は連晶から成る群より選択される骨格型コード(FTC)で表される骨格構造を有し得る。小細孔モレキュラーシーブは、CHA、LEV、AEI、AFX、ERI、SFW、KFI、DDR及びITEから成る群より選択されるFTCで表される骨格構造を好ましくは有する。小細孔モレキュラーシーブは、CHA及びAEIから成る群より選択されるFTCで表される骨格構造をより好ましくは有する。小細孔モレキュラーシーブは、FTC CHAで表される骨格構造を有してもよい。小細孔モレキュラーシーブは、FTC AEI.で表される骨格構造を有してもよい。小細孔モレキュラーシーブがゼオライトであるとき、小細孔モレキュラーシーブはFTC CHAで表される骨格構造を有し、ゼオライトはチャバザイトであり得る。
モレキュラーシーブが中細孔モレキュラーシーブである場合、中細孔モレキュラーシーブは、AEL、AFO、AHT、BOF、BOZ、CGF、CGS、CHI、DAC、EUO、FER、HEU、IMF、ITH、ITR、JRY、JSR、JST、LAU、LOV、MEL、MFI、MFS、MRE、MTT、MVY、MWW、NAB、NAT、NES、OBW、PAR、PCR、PON、PUN、RRO、RSN、SFF、SFG、STF、STI、STT、STW、SVR、SZR、TER、TON、TUN、UOS、VSV、WEI及びWEN、又はこれらの2種類以上の混合物及び/又は連晶からなる骨格型の群より選択される骨格型コード(FTC)で表される骨格構造を有し得る。中細孔モレキュラーシーブは、好ましくはFER、MEL、MFI及びSTTから成る群より選択されるFTCで表される骨格構造を有する。中細孔モレキュラーシーブは、さらに好ましくはFER及びMFIから成る群より選択され、特にMFIであるFTCで表される骨格構造を有する。中細孔モレキュラーシーブがゼオライであり、かつ、FTC、FER又はMFIで表される骨格を有する場合、ゼオライトは、フェリエライト、シリカライト又はZSM-5であり得る。
モレキュラーシーブが大細孔モレキュラーシーブである場合、大細孔モレキュラーシーブは、AFI、AFR、AFS、AFY、ASV、ATO、ATS、BEA、BEC、BOG、BPH、BSV、CAN、CON、CZP、DFO、EMT、EON、EZT、FAU、GME、GON、IFR、ISV、ITG、IWR、IWS、IWV、IWW、JSR、LTF、LTL、MAZ、MEI、MOR、MOZ、MSE、MTW、NPO、OFF、OKO、OSI、RON、RWY、SAF、SAO、SBE、SBS、SBT、SEW、SFE、SFO、SFS、SFV、SOF、SOS、STO、SSF、SSY、USI、UWY及びVET、又はこれらの2種類以上の混合物及び/若しくは連晶からなる群より選択される骨格型コード(FTC)で表される骨格構造を有し得る。大細孔モレキュラーシーブは、好ましくはAFI、BEA、MAZ、MOR及びOFFから成る群より選択されるFTCで表される骨格構造を有する。大細孔モレキュラーシーブは、より好ましくはBEA、MOR及びMFIから成る群より選択されるFTCで表される骨格構造を有する。大細孔モレキュラーシーブがゼオライトであり、かつ、FTC BEA、FAU又はMORで表される骨格を有する場合、ゼオライトは、ベータゼオライト、フージャサイト、ゼオライトY、ゼオライトX又はモルデナイトであり得る。
一般的に、モレキュラーシーブは小細孔モレキュラーシーブであることが好ましい。
モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物は、遷移金属交換モレキュラーシーブを好ましくは含む。遷移金属は、コバルト、銅、鉄、マンガン、ニッケル、パラジウム、白金、ルテニウム及びレニウムから成る群より選択され得る。遷移金属は、銅及び鉄から成る群より選択されることが好ましい。
遷移金属は、鉄であってもよい。鉄交換モレキュラーシーブを含有するSCR触媒配合物の利点は、そのような配合物が、例えば銅交換モレキュラーシーブよりも高い温度で優れたNO還元活性を有することである。鉄交換モレキュラーシーブはまた、(他のタイプのSCR触媒配合物と比較して)最小量のNOを生成することができる。
遷移金属は銅であってもよい。銅交換モレキュラーシーブを含有するSCR触媒配合物の利点は、優れた低温iNO還元活性を有することである(例えば鉄交換モレキュラーシーブの低温iNO還元活性よりも優れている場合がある)。
遷移金属は、モレキュラーシーブの外部表面上又はモレキュラーシーブのチャネル、キャビティ若しくはケージ内の余分な骨格部位に存在してもよい。
典型的には、遷移金属交換モレキュラーシーブは、遷移金属交換分子の0.10から10重量%、好ましくは0.2から5重量%の量を含む。
第1の選択的触媒還元触媒は一般的に、第1の選択的触媒還元組成物を0.5から4.0g in-3、好ましくは1.0から3.0 4.0g in-3の全濃度で含む。
第1のSCR触媒組成物は金属酸化物系SCR触媒配合物とモレキュラーシーブ系SCR触媒配合物との混合物を含むことが好ましい場合がある。(a)金属酸化物系SCR触媒配合物は、チタニア(例えばTiO)に担持されているバナジウムの酸化物(例えばV)と、任意選択的にタングステンの酸化物(例えばWO)とを含むか又は本質的にこれらから成り、(b)モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物は遷移金属交換モレキュラーシーブを含むことが好ましい。より好ましくは、遷移金属交換モレキュラーシーブの遷移金属は鉄である。ゼオライトは、MFIで表される骨格構造を好ましくは有する。
第1のSCR触媒がSCR-DPFである場合、フィルタリング基材は好ましくは、例えば触媒化スートフィルターに関連して上述したようなウォールフローフィルター基材モノリスである。
(例えばSCR-DPFの)ウォールフローフィルター基材モノリスは典型的には、60から400セル/平方インチ(cpsi)のセル密度を有する。ウォールフローフィルター基材モノリスのセル密度は100から350cpsiであることが好ましく、200から300cpsiであることがより好ましい。
ウォールフローフィルター基材モノリスは、0.20から0.50mm、好ましくは0.25から0.35mm(例えば約0.30mm)の壁厚(例えば平均内壁厚)を有し得る。
一般に、コーティングされていないウォールフローフィルター基材モノリスは、50から80%、好ましくは55から75%、より好ましくは60から70%の気孔率を有する。
コーティングされていないウォールフローフィルター基材モノリスは典型的には、少なくとも5μmの平均細孔径を有する。平均細孔径は10から40μm、例えば15から35μm、より好ましくは20から30μmであることが好ましい。
ウォールフローフィルター基材は、対称セル設計又は非対称セル設計を有することができる。
一般に、SCR-DPFの場合、第1の選択的触媒還元組成物は、ウォールフローフィルター基材モノリスの壁内に配置される。さらに、第1の選択的触媒還元組成物は、入口チャネルの壁及び/又は出口チャネルの壁に配置されてもよい。
第2の選択的触媒還元(SCR)触媒
本発明の排気システムは、第2の選択的触媒還元(SCR)触媒を備える。第2のSCR触媒は、第1のSCR触媒の下流、好ましくはすぐ下流にある。したがって、第1のSCR触媒の出口は通常、第2のSCR触媒の入口に接続(例えば流体接続)されている。
第1のSCR触媒及び第2のSCR触媒は、密結合であってもよい。第1のSCR触媒の出口と第2のSCR触媒との距離は、1.0mmから300mm、好ましくは3mmから200mm、より好ましくは5mmから150mm(例えば8mmから100mm)、例えば10mmから80mm(例えば12mmから70mm)、より一層好ましくは15mmから50mmである。これは、熱伝導及び省スペースのために有利である。
第2のSCR触媒は、フロースルー基材と第2の選択触媒還元(SCR)組成物とを備える。「第2の選択的触媒還元組成物」という表現における「第2の」という用語は、排気システム内に存在する他の選択的触媒還元組成物からの組成物を表すのに用いられる。第2のSCR触媒は2以上の選択的触媒還元組成物を有することを必要としない。
第2の選択的触媒還元組成物は、金属酸化物系SCR触媒配合物、モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物又はこれらの混合物を含んでもよく、又は本質的にこれらから成っていてもよい。第2の選択的触媒還元組成物は、第1の選択的触媒還元組成物と同じでも異なっていてもよい。
第2の選択的触媒還元組成物は、金属酸化物系SCR触媒配合物を含んでもよく、又は本質的にこれから成ってもよい。金属酸化物系SCR触媒配合物は、耐火性酸化物に担持されているバナジウム若しくはタングステン又はこれらの混合物を含む。耐火性酸化物は、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリア及びこれらの組み合わせから成る群より選択され得る。
金属酸化物系SCR触媒配合物はチタニア(例えばTiO)、セリア(例えばCeO)及びセリウムとジルコニウムとの混合又は複合酸化物(例えばCeZr(1-x)、式中、x=0.1~0.9、好ましくはx=0.2~0.5)から成る群より選択される耐火性酸化物に担持されたバナジウムの酸化物(例えばV)及び/又はタングステンの酸化物(例えばWO)を含むか又は本質的にこれらから成ることが好ましい場合がある。
耐火性酸化物がチタニア(例えばTiO)である場合、バナジウムの酸化物の濃度は好ましくは、(例えば金属酸化物系SCR配合物の)0.5から6重量%であり、かつ/又はタングステンの酸化物(例えばWO)の濃度は5から20重量%である。より好ましくは、バナジウムの酸化物(例えばV)及びタングステンの酸化物(例えばWO)は、チタニア(例えばTiO)上に担持されている。
耐火性酸化物がセリア(例えばCeO)である場合、バナジウムの酸化物の濃度は好ましくは、(例えば金属酸化物系SCR配合物の)0.1から9重量%であり、かつ/又はタングステンの酸化物(例えばWO)の濃度は0.1から9重量%である。
一般的に、金属酸化物系SCR触媒配合物は、チタニア(例えばTiO)に担持されているバナジウムの酸化物(例えばV)及び、任意選択的に、タングステンの酸化物(例えばWO)を含むか又は本質的にこれらから成る。金属酸化物系SCR触媒配合物は副生成物として著しく少ないNOを生じさせることが見出された。
第2の選択的触媒還元組成物は、モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物を含んでもよく、又は本質的にこれから成ってもよい。モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物は、任意選択的に遷移金属交換モレキュラーシーブであるモレキュラーシーブを含む。SCR触媒配合物は遷移金属交換モレキュラーシーブを含むことが好ましい。
一般的に、モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物は、アルミノシリケート骨格(例えばゼオライト)、アルミノホスフェート骨格(例えばAlPO)、シリコアルミノホスフェート骨格(例えばSAPO)、ヘテロ原子含有アルミノシリケート骨格、ヘテロ原子含有アルミノホスフェート骨格(例えばMeAlPO、ここでMeは金属である)又はヘテロ原子含有シリコアルミノホスフェート骨格(例えばMeAPSO、ここでMeは金属である)を有するモレキュラーシーブを含んでもよい。(例えばヘテロ原子含有骨格中の)ヘテロ原子は、例えばホウ素(B)、ガリウム(Ga)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、バナジウム(V)、及びこれらの任意の2種類以上の組み合わせから成る群より選択され得る。ヘテロ原子は金属であることが好ましい(例えば上記のヘテロ原子含有骨格の各々は、金属含有骨格であってもよい)。
モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物はアルミノシリケート骨格(例えばゼオライト)若しくはシリコアルミノホスフェート骨格(例えばSAPO)を有するモレキュラーシーブを含むか又は本質的にこれから成ることが好ましい。より好ましくは、モレキュラーシーブは、アルミノシリケート骨格(例えばゼオライト)を有する。
モレキュラーシーブがアルミノシリケート骨格を有する(例えばモレキュラーシーブがゼオライトである)場合、モレキュラーシーブは、典型的には5から200(例えば10から200)、好ましくは10から100(例えば10から30又は20から80)、例えば12から40、より好ましくは15から30のシリカ対アルミナモル比(SAR)を有する。
通常、モレキュラーシーブは微多孔質である。微多孔質モレキュラーシーブは、(例えばIUPACの「微多孔質」の定義に従って)2nm未満の直径を有する細孔を有する[Pure & Appl. Chem., 66(8), (1994), 1739-1758)]参照)。
モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物は、小細孔モレキュラーシーブ(例えば最大環サイズが8つの四面体原子を有するモレキュラーシーブ)、中細孔モレキュラーシーブ(例えば最大環サイズが10の四面体原子を有するモレキュラーシーブ)又は大細孔モレキュラーシーブ(例えば最大環サイズが12の四面体原子を有するモレキュラーシーブ)又はこれらの2種類以上の組み合わせを含み得る。
モレキュラーシーブが小細孔モレキュラーシーブである場合、小細孔モレキュラーシーブは、ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、GIS、GOO、IHW、ITE、ITW、LEV、KFI、MER、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAV、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUG及びZON、並びにこれらの2種類以上の混合物又は連晶から成る群より選択される骨格型コード(FTC)で表される骨格構造を有し得る。小細孔モレキュラーシーブは、CHA、LEV、AEI、AFX、ERI、SFW、KFI、DDR及びITEから成る群より選択されるFTCで表される骨格構造を好ましくは有する。小細孔モレキュラーシーブは、CHA及びAEIから成る群より選択されるFTCで表される骨格構造をより好ましくは有する。小細孔モレキュラーシーブは、FTC CHAで表される骨格構造を有してもよい。小細孔モレキュラーシーブは、FTC AEIで表される骨格構造を有してもよい。小細孔モレキュラーシーブがゼオライトであるとき、小細孔モレキュラーシーブはFTC CHAで表される骨格構造を有し、ゼオライトはチャバザイトであり得る。
モレキュラーシーブが中細孔モレキュラーシーブである場合、中細孔モレキュラーシーブは、AEL、AFO、AHT、BOF、BOZ、CGF、CGS、CHI、DAC、EUO、FER、HEU、IMF、ITH、ITR、JRY、JSR、JST、LAU、LOV、MEL、MFI、MFS、MRE、MTT、MVY、MWW、NAB、NAT、NES、OBW、PAR、PCR、PON、PUN、RRO、RSN、SFF、SFG、STF、STI、STT、STW、SVR、SZR、TER、TON、TUN、UOS、VSV、WEI及びWEN、又はこれらの2種類以上の混合物及び/又は連晶からなる骨格型の群より選択される骨格型コード(FTC)で表される骨格構造を有し得る。中細孔モレキュラーシーブは、好ましくはFER、MEL、MFI及びSTTから成る群より選択されるFTCで表される骨格構造を有する。中細孔モレキュラーシーブは、さらに好ましくはFER及びMFIから成る群より選択されるFTCで表される骨格構造を有する。中細孔モレキュラーシーブがゼオライであり、かつ、FTC、FER又はMFIで表される骨格を有する場合、ゼオライトは、フェリエライト、シリカライト又はZSM-5であり得る。
モレキュラーシーブが大細孔モレキュラーシーブである場合、大細孔モレキュラーシーブは、AFI、AFR、AFS、AFY、ASV、ATO、ATS、BEA、BEC、BOG、BPH、BSV、CAN、CON、CZP、DFO、EMT、EON、EZT、FAU、GME、GON、IFR、ISV、ITG、IWR、IWS、IWV、IWW、JSR、LTF、LTL、MAZ、MEI、MOR、MOZ、MSE、MTW、NPO、OFF、OKO、OSI、RON、RWY、SAF、SAO、SBE、SBS、SBT、SEW、SFE、SFO、SFS、SFV、SOF、SOS、STO、SSF、SSY、USI、UWY及びVET、又はこれらの2種類以上の混合物及び/若しくは連晶からなる群より選択される骨格型コード(FTC)で表される骨格構造を有し得る。大細孔モレキュラーシーブは、好ましくはAFI、BEA、MAZ、MOR及びOFFから成る群より選択されるFTCで表される骨格構造を有する。大細孔モレキュラーシーブは、より好ましくはBEA、MOR及びMFIから成る群より選択されるFTCで表される骨格構造を有する。大細孔モレキュラーシーブがゼオライトであり、かつ、FTC BEA、FAU又はMORで表される骨格を有する場合、ゼオライトは、ベータゼオライト、フージャサイト、ゼオライトY、ゼオライトX又はモルデナイトであり得る。
一般的に、モレキュラーシーブは小細孔モレキュラーシーブであることが好ましい。
モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物は、遷移金属交換モレキュラーシーブを好ましくは含む。遷移金属は、コバルト、銅、鉄、マンガン、ニッケル、パラジウム、白金、ルテニウム及びレニウムから成る群より選択され得る。遷移金属は、銅及び鉄から成る群より選択されることが好ましい。
遷移金属は、鉄であってもよい。鉄交換モレキュラーシーブを含有するSCR触媒配合物の利点は、そのような配合物が、例えば銅交換モレキュラーシーブよりも高い温度で優れたNO還元活性を有することである。鉄交換モレキュラーシーブはまた、(他の種類のSCR触媒配合物と比較して)最小量のNOを生成することができる。
遷移金属は銅であってもよい。銅交換モレキュラーシーブを含有するSCR触媒配合物の利点は、優れた低温iNO還元活性を有することである(例えば鉄交換モレキュラーシーブの低温iNO還元活性よりも優れている場合がある)。
遷移金属は、モレキュラーシーブの外部表面上又はモレキュラーシーブのチャネル、キャビティ若しくはケージ内の余分な骨格部位に存在してもよい。
典型的には、遷移金属交換モレキュラーシーブは、遷移金属交換分子の0.10から10重量%、好ましくは0.2から5重量%の量を含む。
第2のSCR触媒組成物は金属酸化物系SCR触媒配合物とモレキュラーシーブ系SCR触媒配合物との混合物を含むことが好ましい場合がある。(a)金属酸化物系SCR触媒配合物は、チタニア(例えばTiO)に担持されているバナジウムの酸化物(例えばV)と、任意選択的にタングステンの酸化物(例えばWO)とを含むか又は本質的にこれらから成り、(b)モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物は遷移金属交換モレキュラーシーブを含むことが好ましい。より好ましくは、遷移金属交換モレキュラーシーブの遷移は鉄である。
第2のSCR触媒は一般的に、第2の選択的触媒還元組成物を0.5から4.0g in-3、例えば1.0から3.5g in-3の全濃度で含む。
第2のSCR触媒は、フロースルー基材を含む。フロースルー基材は好ましくは、例えばディーゼル酸化触媒に関連して上述したようなフロースルーモノリスである。
(例えば第2のSCR触媒の)フロースルーモノリスは、典型的には200から1000セル/平方インチ(cpsi)のセル密度を有する。フロースルーモノリスのセル密度は400から1000cpsiであるのが好ましく、500から900cpsi(例えば600から800cpsi)であるのがより好ましい。
フロースルーモノリスは、0.05から0.35mm、好ましくは0.06から0.25mm、より好ましくは0.07から0.15mm(例えば約0.07から0.12mm)の壁厚(例えば平均内壁厚)を有し得る。
第2のSCR触媒の基材は第2のSCR触媒組成物を含むことができ(すなわち第2のSCR触媒は押出によって得られる)、又は第2のSCR触媒組成物は基材上に配置若しくは担持され得る(すなわち第2のSCR触媒組成物はウオッシュコート法によって基材上に塗布される)。第2のSCR触媒組成物は、基材上に配置又は担持されるのが好ましい。
一般に、コーティングされていないフロースルーモノリスは、20から80%、好ましくは40から70%、より好ましくは45から60%の気孔率を有する。比較的高い濃度の第2のSCR触媒組成物を基材上に配置することができるため、コーティングされていないフロースルーモノリスは高い気孔率を有するのが有利である。
第2のSCR触媒は、好ましくは基材の出口端に下流区域を含んでもよい。下流区域は典型的には、アンモニアスリップ触媒(ASC)配合物を含む。アンモニアスリップ触媒(ASC)配合物は、アンモニア(例えば、第2の選択的触媒還元組成物によって酸化されていないアンモニア)を酸化するのに適している。アンモニアスリップ触媒(ASC)配合物は、当該技術分野で知られている。
電気加熱可能な導管
本発明の排気システムは電気加熱可能な導管をさらに備えていてもよい。電気加熱可能な導管は、一酸化炭素(CO)及び/又は炭化水素(HC)を酸化するための排出制御装置と第1の選択的触媒還元触媒との間(すなわち排出制御装置の下流で第1のSCR触媒の上流)にある(例えば位置する)。電気加熱可能な導管は、比較的低温のときに排出制御装置から排出される排気ガスを加熱するためのものである。この位置で排気ガスを電気的に加熱することにより、下流の第1のSCR触媒と第2のSCR触媒のNOの処理のための有効作動温度まで排気ガスの温度を急速にもっていくことができる。
電気加熱可能な導管は通常、排出制御装置の出口と選択的触媒還元フィルター触媒の入口との間の排ガス導管の一部である(すなわち一部でしかない)。排出制御装置が(i)ディーゼル酸化触媒(DOC)及び触媒化スートフィルター(CSF)か、(ii)コールドスタートコンセプト(dCSCTM)触媒及び触媒化スートフィルター(CSF)である場合、電気加熱可能な導管は好ましくは、CSFの出口の下流にある(例えば位置する)。
電気加熱可能な導管は排出制御装置の出口に接続(例えば流体接続)されており、好ましくは直接接続されていることが好ましい。
電気加熱可能な導管は典型的には、アンモニア前駆物質を排気ガスに導入するためのインジェクターの上流にある。排気システムが温度センサー(例えばTを決定するためのもの)及び/又はNOセンサーを備える場合、電気加熱可能な導管は好ましくは、温度センサー(例えばTを決定するためのもの)及び/又はNOセンサーの上流にある(例えば位置する)。
電気加熱可能な導管は典型的には、電源接続、好ましくは少なくとも2つの電源接続、より好ましくは2つのみの電源接続を有する。各電源接続は、電気加熱可能な基材及び電源に電気的に接続され得る。電気加熱可能な導管は、抵抗器を通った電流が電気エネルギーを熱エネルギーに変換する、ジュール加熱によって加熱され得る。
電気加熱可能な導管は、使用中の電気加熱導管である。
電気加熱可能な導管はエンジン管理システムに電気的に接続されてもよい。エンジン管理システムは、排気ガスの温度が<T(ここでTは230℃、好ましく215℃、より好ましくは200℃)であるときに電気加熱可能な導管を活性化するように構成されてもよい。
追加的に又は代替的に、電気加熱可能な導管は、選択的触媒還元フィルター触媒の上流、好ましくはすぐ上流に位置する温度センサーに接続する(例えば熱電対)ことができる。この温度センサーは、一酸化炭素(CO)及び/又は炭化水素(HC)を酸化するための排出制御装置の下流に位置する。温度センサーは、Tを決定するのに適している。
気体アンモニア供給体
本発明の排気システムは、排気ガスに気体アンモニアを導入するための手段をさらに備えていてもよい。気体アンモニアを排気ガスに導入するための手段は好ましくは、特に排気ガスの温度が<T(ここでTは230℃、好ましく215℃、より好ましくは200℃)であるときに気体アンモニアを排気ガスに直接導入するための手段である。疑義を避けるために、気体アンモニアを排気ガスに導入するための手段は、気体状態のアンモニアを排気ガス流に直接導入する。気体アンモニアは、例えばアンモニア前駆物質からのように、主排気ガス流内でin situで生成されない。
気体アンモニアを排気ガスに導入するための手段は、一酸化炭素(CO)及び/又は炭化水素(HC)を酸化するための排出制御装置の下流、並びに第1の選択的触媒還元触媒の上流に配置される。気体アンモニアを排気ガスに導入するための手段は、0.7から1.3(例えば0.9から1.2)、例えば1.0から1.2(例えば約1:1)のアンモニア対NOモル比(ANR)を供給するために、第1の選択的触媒還元フィルター触媒の上流の排気ガスに一定量の気体アンモニアを制御可能に導入するように構成される。
特に比較的低温での気体アンモニアの排気ガスへの導入は、第1のSCR触媒及び/又は第2のSCR触媒上でのNOの変換を促進することができることが見出された。例えば尿素などのアンモニア前駆物質を比較的低温で排気ガスに噴射するのは、アンモニアはそのような温度ではin situで形成されないため、不可能である。実際、尿素は低温で排気システム内で結晶化する可能性がある。
気体アンモニアを排気ガスに導入するための手段は、アンモニア供給体(例えば気体アンモニア供給体)を備えていてもよい。アンモニア供給体は通常、一酸化炭素(CO)及び/又は炭化水素(HC)を酸化するための排出制御装置と選択的触媒還元フィルター触媒との間(すなわち排出制御装置の出口の下流で第1のSCR触媒の入口の上流)で導管に接続(例えば流体接続)される。排出制御装置が(i)ディーゼル酸化触媒(DOC)及び触媒化スートフィルター(CSF)か、(ii)コールドスタートコンセプト(dCSCTM)触媒及び触媒化スートフィルター(CSF)である場合、アンモニア供給体は好ましくは、CSFの出口の下流にある(例えば位置する)。
排気システムがミキサーを備える場合、アンモニア供給体は好ましくは、ミキサーの上流に配置される。
アンモニア供給体は、アンモニア前駆物質を排気ガスに導入するためのインジェクターの上流又は下流に配置され得る。アンモニア供給体は、アンモニア前駆物質を排気ガスに導入するためのインジェクターの上流に配置されるのが好ましい。
排気システムが電気加熱可能な導管を備える場合、アンモニア供給体は、電気加熱可能な導管の上流又は下流に配置されてもよい。アンモニア供給体は電気加熱可能な導管の下流に配置されるのが好ましい。
気体アンモニアを排気ガスに導入するための手段は、アンモニア前駆物質から気体アンモニアを生成するための手段をさらに備えていてもよい。アンモニア前駆物質から気体アンモニアを生成するための手段は、アンモニア供給体に接続(例えば流体接続)されている。アンモニア前駆物質から気体アンモニアを生成するための手段は、二次排ガス導管内に配置されている。アンモニア供給体は、主排気システム内に位置する。
アンモニア前駆物質から気体アンモニアを生成するための手段は典型的には、
(i) アンモニア前駆物質を二次排ガス導管に導入するためのインジェクター;及び
(ii) アンモニア前駆物質を気体アンモニアに変換するための加水分解触媒
を備え、
アンモニア前駆物質を二次排ガス導管に導入するためのインジェクターは、加水分解触媒の上流にある(例えば位置する)。
疑義を避けるために、アンモニア前駆物質を二次排ガス導管に導入するためのインジェクターは、アンモニア前駆物質を主排気ガス流に導入するための上記のインジェクターへの追加のインジェクターである。アンモニア前駆物質を二次排ガス導管に導入するためのインジェクターは、本明細書では「第2のインジェクター」という。
第2のインジェクターは典型的には、アンモニア前駆物質を含む溶液を二次排ガス導管に導入するのに適した液体インジェクターである。アンモニア前駆物質は、好ましくは尿素又はギ酸アンモニウム、より好ましくは尿素である。
二次インジェクターは、例えばアンモニア前駆物質又はアンモニア前駆物質を含む溶液をスプレーすることにより、加水分解触媒の上流の二次排ガス導管に噴射する際にアンモニア前駆物質又はアンモニア前駆物質を含む溶液を噴霧する。二次インジェクターは、エアレスインジェクター又はエアアシストインジェクターであり得る。
二次インジェクターは、加水分解触媒の上流の二次排ガス導管にアンモニア前駆物質を導入するように構成される。二次インジェクターは、加水分解触媒の上流の二次排ガス導管に一定量のアンモニア前駆物質を制御可能に導入するように構成されることが好ましい。
二次インジェクターは典型的には、アンモニア前駆物質貯蔵タンクに接続(例えば流体接続)されており、アンモニア前駆物質貯蔵タンクは好ましくは、アンモニア前駆物質を排気ガスに導入するためのインジェクター(すなわちメインのインジェクター)に接続されている。
アンモニア前駆物質を気体アンモニアに変換するための加水分解触媒は、基材と基材上に配置又は担持されている加水分解触媒組成物とを含む。基材は、好ましくはフロースルー基材、より好ましくはコーディエライトフロースルー基材である。尿素を加水分解するための触媒組成物は、当該技術分野で知られている。
加水分解触媒組成物は、例えばAuドープTiOなどの二酸化チタン(TiO)を含んでもよく、又は本質的にこれから成ってもよい。
加水分解触媒組成物の出口は典型的には、アンモニア供給体に接続(例えば流体接続)されている。
一般に、二次排ガス導管は、ディーゼルエンジンのエキゾーストマニホールドに接続(例えば流体接続)されている。第2の排ガス導管はターボチャージャーの上流のエキゾーストマニホールドに接続されているのが好ましい。二次排ガス導管は、ターボチャージャーをバイパスする。この構成では、少量の高温排気ガス(約1.5から7.0%)がエンジンから二次排ガス導管(すなわちサイドフローシステム)に引き込まれる。排気ガスがターボチャージャーから二次排ガス導管に迂回されるとき、二次排ガス導管内の温度は、主排気ガス流の温度よりも著しく高い。
アンモニア前駆物質から気体アンモニアを生成するための手段は、パーティキュレート・フィルター、好ましくは触媒化スートフィルター(CSF)をさらに備えてもよい。
パーティキュレート・フィルター又はCSFは、アンモニア前駆物質を二次排ガス導管に導入するためのインジェクターの上流の、第2の排ガス導管内に配置される。パーティキュレート・フィルター又はCSFはまた、アンモニア前駆物質を気体アンモニアに変換するための加水分解触媒の上流にある。
二次排ガス導管は、(例えば排出制御装置と第1のSCR触媒との間の排気ガスの温度(T)が≧200℃、好ましくは215℃、より好ましくは230℃である場合)二次排ガス導管を閉めるためのバルブを含む場合がある。バルブはエンジン管理システムに電気的に接続されてもよい。
バルブは典型的には、二次インジェクターの上流、好ましくはパーティキュレート・フィルター又はCSFの上流に配置される。
アンモニアスリップ触媒(ASC)
SCR触媒の下流区域に存在するアンモニアスリップ触媒(ASC)配合物に加えて又はその代わりとして、排気システムは、アンモニアスリップ触媒(ASC)(すなわち別個のASC)をさらに備えていてもよい。ASCは、基材(すなわち第2のSCR触媒の基材とは別の基材)上に配置されたアンモニアスリップ触媒配合物を含む。
アンモニアスリップ触媒は典型的には、第2のSCR触媒の下流、好ましくはすぐ下流にある。したがって、第2のSCR触媒の出口は典型的には、アンモニアスリップ触媒の入口に接続(例えば流体接続)される。
アンモニアスリップ触媒の基材は好ましくは、フロースルーモノリスである。
車両
本発明は、さらに車両を提供する。本発明の車両は、本発明のディーゼルエンジン及び排気システムを備える。典型的には、ディーゼルエンジンは通常の(すなわち従来の)ディーゼルエンジンである。
ディーゼルエンジンは、エンジン管理システムを備えていてもよい。
車両は、米国又は欧州の法律で規定されるような軽量ディーゼル車両(LDV)である。軽量ディーゼル車両は、典型的には<2840kgの重量、より好ましくは<2610kgの重量を有する。
米国では、軽量ディーゼル車両(LDV)とは、≦8500ポンド(米国ポンド)の総重量を有するディーゼル車両を指す。欧州では、軽量ディーゼル車両(LDV)という用語は、(i)運転席の他に8席以下の座席を備え、5トン以下の最大質量を有する乗用車両、及び(ii)12トン以下の最大質量を有する貨物輸送車両を指す。
車両は、米国の法律で規定されている、例えば>8500ポンド(米国ポンド)の総重量を有するディーゼル車のような、大型ディーゼル車両(HDV)であることが好ましい。
ディーゼルエンジンは、≦50ppmの硫黄、より好ましくは、≦15ppmの硫黄、例えば≦10ppmの硫黄、より一層好ましくは≦5ppmの硫黄を含むディーゼル燃料で動く。このようなディーゼル燃料は、「超低硫黄ディーゼル」(ULSD)と呼ばれることが多い。
定義
本明細書で用いられる「混合酸化物」という用語は通常、当該技術分野で従来から知られているような、単一相の酸化物の混合物を指す。本明細書で用いられる「複合酸化物」という用語は通常、当該技術分野で従来から知られているような、二相以上の相を有する酸化物の組成物を指す。
疑義を避けるために、本明細書で領域、区域又は層に関連して使用される「白金(Pt)とパラジウム(Pd)の組み合わせ」という用語は、白金とパラジウム双方の存在を指す。「組み合わせ」という語は、白金及びパラジウムが混合物又は合金として存在することを必要としないが、このような混合物又は合金はこの用語に包含される。
本明細書で用いられる「本質的に成る」という表現は、例えば少量の不純物など、技術的特徴の基本的特性に実質的影響を及ぼさない特定の材料及び任意の他の材料又は工程を含むようにその技術的特徴の範囲を限定する。「本質的に~から成る」という表現は、「~から成る」という表現を包含する。
材料に関して、典型的にはウオッシュコート領域、ウオッシュコート層又はウオッシュコート区域の含量の文脈において、本明細書で用いられる「実質的に含まない」という表現は、例えば≦5重量%、好ましくは≦2重量%、より好ましくは≦1重量%など、少量の材料を意味する。「~を実質的に含まない」という表現は、「~を含まない」という表現を包含する。
数値範囲の終端点に関して本明細書で使用される「約」という表現は、指定された数値範囲の正確な終端点を含む。したがって、例えば、「約0.2」までのパラメーターを定義する表現は、0.2までで0.2を含めたパラメーターを含む。
次に、以下の非限定的な実施例によって本発明を例証する。
実施例1
ディーゼル酸化触媒(DOC)、選択的触媒還元フィルター触媒及び高気孔率基材を有するSCR触媒の組み合わせを含む排気システムを下記のように試験した。
ディーゼル酸化触媒及びSCR触媒は、例えば国際公開第9/47260号、国際公開第2011/080525号、及び国際公開第2014/195685に記載される通常の方法を用いて製造された。選択的触媒還元フィルター触媒は、国際公開第2015/145122号に記載の方法を用いて製造された。
ディーゼル酸化触媒(DOC)の基材は、10.5”x4”の大きさであった。基材は、400cpsiのセル密度及び7ミルの壁厚を有した。触媒組成物の充填量は、40g ft-3であった。触媒組成物は、Pt、Pd及びAlを含有していた。
選択的触媒還元フィルター触媒の基材は、10.5”x12”の大きさであった。ウォールフロー基材は、300cpsiのセル密度及び12ミルの壁厚を有した。ウオッシュコート充填量は、1.7g in-3であった。触媒組成物は、CHA骨格を有するCuゼオライトを含有していた。銅充填量は3.33重量%であった。
選択的触媒還元(SCR)触媒の基材は、10.5”x6”の大きさであった。基材は、600cpsiのセル密度及び4ミルの壁厚を有した。ウオッシュコート充填量は、4g in-3であった。触媒組成物は、CHA骨格を有するCuゼオライトを含有していた。銅充填量は3.33重量%であった。
排気システムを試験する前に、DOC、SCR-DPF及びSCR触媒を650℃で100時間それぞれ水熱熟成(hydrothermally aged)(10%水を使用)させた。
実施例2
ディーゼル酸化触媒(DOC)をコールドスタートコンセプト(dCSCTM)触媒で置き換えたことを除いて、実施例1の排気システムを下記のように試験した。
コールドスタートコンセプト(dCSCTM)触媒の基材は、10.5”x6”の大きさであった。基材は、400cpsiのセル密度及び4ミルの壁厚を有した。コールドスタートコンセプト触媒は、2つの層、すなわち最下層及び最上層を有していた。最下層(すなわち基材に直接コーティングされている)は、触媒組成物のウオッシュコート充填量が3g in-3であった。触媒組成物は、Pdを含有するゼオライトであり、ゼオライトはCHA骨格を有していた。Ptの充填量は、100g ft-3であった。最上層(最下層にコーティングされている)は、Pt(50g ft-3)及びアルミナ(1.12g in-3)を含有していた。触媒中のPt対Pd全体重量比は、1:2であった。
コールドスタートコンセプト(dCSCTM)触媒、SCR-DPF及びSCR触媒を、実施例1と同じ方法でそれぞれ水熱熟成させた。
試験条件
2007年モデルのCummins ISLディーゼルエンジンを使用して、実施例1から3の排気システムをそれぞれ試験した。エンジンの詳細を表1に示す。この試験中、4.0g/hp-hrエンジンアウトNOを有するようにEGRを調整した。尿素を送達し、エアアシストグルンドフォスポンプによって排気に噴射した。6インチスタティックミキサーを各排気システムのSCR-DPFの前、噴射ノズルの後ろに配置し、良好な混合と均一な尿素分布を確実に行った。
Figure 0007273868000001
本試験で使用した動力計は、Horibaの800HP ACモータリングダイナモであった。吸気流量は、フルスケールの+/-1%の正確度で測定範囲が0-2400kg/hrのSierra空気流量計で測定した。エンジンアウト排出物は、Horiba MEXA 7500Dデュアルベンチ(CO、HC及びNO)分析装置を使用し、フルスケールの+/-1%の正確度で測定した。システムアウト排出物もまた、FTIR(MKSモデル2030 HS)使用して測定した。圧力変換器、Setra Model 206を用いて、SCR-DPF SCR-DPF背圧をモニターした。Kタイプ熱電対を用いてシステム内の温度を測定した。
本システムの性能を測定するために、重負荷過渡サイクル(FTP)試験を実施した。コールド及びホットサイクルを、試験の異なる部分で用いた。過渡サイクル中の尿素供給の平均アンモニア対NOx比(ANR)は、1.2から1.3であった。
結果
コールドFTPサイクル下でのNO還元
実施例1及び2の排気システムのそれぞれについて、アンモニア対NOx比(ANR)が1.2から1.3であるHDDコールドFTPサイクル中の全NO転化率を測定した。試験の開始前に、システムを積極的に再生してスートを除去し、その後FTPサイクルの開始前にシステムを3時間冷却した。これらの試験中に標準尿素噴射(standard urea injection)を使用した。
コールドFTP中、DOCシステム(実施例1)で達成されたNO転化率は75%であった。コールドスタートコンセプト(dCSCTM)触媒を備えたシステム(実施例2)を試験すると、NO転化率は80%に上昇した。この上昇は、コールドスタートコンセプト(dCSCTM)触媒によるNOの貯蔵及び放出によるものであった。コールドスタートコンセプト(dCSCTM)触媒は、システムが冷たくなったサイクルの最初の200秒でNOを貯蔵した。貯蔵されたNOは、サイクルに入って約300秒でシステム温度が上昇したため、放出された。この時点で、SCR-DPFは温かく、NOを還元することが可能であった。たとえサイクルのコールド・セクション中に尿素供給がなかったとしても、NOの貯蔵及びその後のウォーム期間中の放出によって、尿素供給が行われたときのNO変換が可能になった。システム(実施例1)でDOCを使用すると、最初の200秒では還元は達成されなかった。前述のシステム(実施例2)と同様に、尿素の供給には温度が低すぎたため、このセクション中で未貯蔵NOxは変換されなかった。
コールドFTP試験中の結果は、コールドスタートコンセプト(dCSCTM)触媒を備えて設計されたシステム(実施例2)が、コールドスタートコンセプト(dCSCTM)触媒の貯蔵及び放出能力のためにより高いNOx転化率を有することを示した。これら2つのシステムの比較を図6に示す。この成績は、将来の高NO変換システムにとってのコールドスタートコンセプト(dCSCTM)触媒を備える排気システムの利点を実証した。
コールドFTPサイクルにおける気体NHの効果
コールドFTPサイクルの低温条件下におけるNHガスの供給の効果を評価した。
非常な低温のために尿素を供給できないときにNHガスを生成して主排気に噴射するために、サイドフローNH供給体が設計された。サイドフローNH供給体をエンジンプレターボに接続し、少量の高温排気流(約1.5から7.0%(例えば15-25kg/hr))をエンジンからサイドフローシステムに引き込んだ。フローがプレターボからサイドフロー供給体に迂回されたため、排気流温度は主排気温度よりも著しく高かった。尿素をサイドフロー反応器に噴射し、加水分解触媒上でNHガスに変換した。生成されたNHは、ミキサー及びSCR-DPFの上流の主排気に戻された。
コールドFTPサイクルの開始時(すなわち尿素供給には低すぎる温度)からSCR-DPF入口温度が215℃に達するまでサイドフローNH供給体制御を使用して、主排気ガス流にNHを噴射した。温度が215℃を超えると、NH供給は停止され、サイクルの残りの間、主(標準)尿素供給システムが起動されて、排気ガスに尿素が噴射された。システム噴射制御の両戦略は、約1.2のアンモニア対NO全体比(ANR)を維持するように設定された。この装置の概略を図4に示す。
DOC(実施例1)を備える排気システムの場合、NO還元は50秒後に観察された。これは、排気流中のNHガスの早期利用可能性に起因していた。
コールドスタートコンセプト(dCSCTM)触媒を備える排気システム(実施例2)を使用して、実験を繰り返した。コールドスタートコンセプト(dCSCTM)触媒は最初の200秒でNOを貯蔵した。触媒温度が上がるにつれて、NO が放出された。サイクルの開始時に利用可能なNHが存在したため、サイドフローNH 供給体を用いた場合、サイドフローNH供給体からNHを添加することなしにコールドFTPサイクル下でNO還元を行った場合と比較して、SCR-DPFでより多くのNOが変換された。
コールドFTPサイクルの間にサイドフローNH供給体を用いてNHを添加すると、DOC(実施例1)を含有する排気システムのNO転化率はベースラインから80%に上昇した。コールドスタートコンセプト(dCSCTM)触媒を備える排気システム(実施例2)の場合、NO転化率は83%に上昇した。この試験は、サイクルの初期段階におけるNHの存在がNO転化率をさらに上昇させることを示した。
コールドFTPサイクルにおける予め貯蔵されたNHの効果
コールドFTPサイクル下、標準尿素供与と併せて予め貯蔵されたNHの効果を評価した。気体NHの早期かつ十分な利用可能性をシミュレーションするために、システムをFTP試験の前にアンモニアで予め飽和させた。事前飽和試験は、コールドFTPの開始前の準備サイクル中に実施した。
事前飽和は、SCR-DPF及びSCR触媒がNHで飽和していると考えられるまで、約1.2から1.3のANRで、複数のホットFTPサイクルを実行することによって実施された。システムの飽和後、エンジンを停止し、システムを3時間冷却した。冷却後、通常の尿素供給と併せて、システムで1回のコールドFTP試験を行った。この間、側方反応器からのNH供給は利用されなかった。
前と同様に、排気温度は低温であり、サイクルの前半の大部分は尿素が噴射されなかった。実施例1(DOC)の排気システムの場合、平均温度は約245℃であった。しかし、温度上昇があったときに、100秒でNO還元が始まった。Nox変換の大部分はサイクルに入って約230秒で始まった。これは、システム内に事前飽和したNH(SCR-DPF及びSCR触媒)が存在するためであった。
実施例2の排気システム(コールドスタートコンセプト(dCSCTM)触媒)の場合、サイクルの始めにNOが貯蔵され、予め貯蔵されたNHが利用可能であるため、SCR-DPFは最初の150秒の間にさらにNOを還元することができる。サイクルに入って約250秒後にNOが放出されるため、SCR-DPFは、予め貯蔵されたNHにより全てのNOを還元することができる。
コールドFTPの間に、NO転化率が、DOC含有システム(実施例1)では88%に上昇し、事前飽和NH戦略を用いるコールドスタートコンセプト(dCSCTM)触媒含有システム(実施例2)では少なくとも91%に上昇した。この試験は、サイクルの初期段階から十分なNHが存在すれば、コールドFTPサイクル中にはるかに高いNO転化率が可能であることを示した。
コールドFTPサイクルにおける予め貯蔵されたNH及び温度管理の効果
DOC(実施例1)又はコールドスタートコンセプト(dCSCTM)触媒(実施例2)のいずれかの後ろ、尿素噴射及びSCR-DPFの前に、電気加熱器を設置した(図5参照)。
NHを予め貯蔵するために、ANR1.2-1.3の尿素噴射を伴う5つの連続したFTPサイクルを実施し、各システムを前処理した。コールドFTPサイクルを実行する前に、システムを3時間冷却した。このサイクル中に1.2-1.3の同じANRを用いて、システムのNO還元能力を決定した。
電気加熱器を使用して、コールドFTPサイクルの最初の400秒(すなわちコールドセクション)で排気を暖めた。加熱器の最大出力は20KWであった。電気加熱器をサイクルに入って400秒でオフにした。この試験は、早期のNH-NO反応を可能にする温度管理の存在及びNHの事前飽和を伴う条件をシミュレーションすることであった。温度管理の存在はまた、尿素の早期供給を可能にした。
電気加熱器をオンにすることにより、排気温度は急速に上昇し、サイクルに入って200秒で200℃に達した。平均温度は約270℃であった。NHはSCR-DPF及びSCR触媒に予め貯蔵されていたため、サイクルの始めから十分な還元剤が利用可能であった。温度が200℃未満である間、尿素の供給はなかった。SCR触媒の温度が200℃に達すると、尿素供給がサイクルに入ってから200秒後に可能になった。
DOC(実施例1)を含有する排気システムの場合、これにより94%のNO還元が可能になった。NOの還元は、より高い温度のためにサイクルに入って80秒で始まった。このサイクルに入って100秒後にはNO排出ピークはほとんどなかった。
コールドスタートコンセプト(dCSCTM)触媒(実施例2)を含む排気システムの場合、コールドスタートコンセプト(dCSCTM)触媒は、サイクルの開始j時に最初の100秒でかなりの量のNOを貯蔵することができた。100秒後、温度上昇とともに、コールドスタートコンセプト(dCSCTM)触媒はいくらかのNO放出を始め、250秒後にはほとんど放出した。一方、加熱器を用いると、SCR-DPFの入口温度はサイクルに入って約100秒後に200℃に達し、SCR-DPFからSCR触媒にかけてNOを還元することができた。これは、利用可能な貯蔵されたNHによってもサポートされた。結果として、最初の100秒後に排気管にNOの漏出はなく、全てのNOが変換された。これは、コールドスタートコンセプト(dCSCTM)触を含有する排気システムである実施例2のNO転化率98%をもたらした。
上記テストの結果を、表2に示す。この表は、コールドFTP下で試験された全ての選択肢について、コールドスタートコンセプト(dCSCTM)触媒(実施例2)を含有する排気システムのNO転化率をDOC(実施例1)を含有する排気システムと比較している。コールドスタートコンセプト(dCSCTM)触媒に関する結果は、DOC含有システムと比較してより高いシステムNO還元を常に示し、コールドスタートコンセプト(dCSCTM)触媒の利点を実証している。
Figure 0007273868000002
実施例3
SCR-DPFの触媒組成物をCuゼオライトからバナジウム含有触媒に変更することによって、実施例2の排気システムを改良した。使用したウォールフロー基材は、実施例1の選択的触媒還元フィルター触媒で使用したウォールフロー基材と同じであった。
SCR-DPFの触媒組成物は、バナジウムの充填量が24g ft-3であり、タングステンの充填量が303g ft-3であり、チタニアの充填量が1.12g in-3であるバナジウム-タングステン-チタニア触媒を含有していた。触媒組成物はまた、鉄交換ゼオライトも含有し、ゼオライトはMFI骨格を有していた。Feの充填量は10g ft-3であり、ゼオライトの充填量は0.16g in-3であった。
コールドスタートコンセプト(dCSCTM)触媒は、実施例2で使用したコールドスタートコンセプト触媒と同じであった。SCR触媒は、実施例1で使用したSCR触媒と同じであった。
コールドスタートコンセプト(dCSCTM)触媒、SCR-DPF及びSCR触媒を、実施例1と同じ方法でそれぞれ水熱熟成させた。
実施例3の排気システムは、実施例1及び2で用いたのと同じ方法及び条件を用いて試験し、コールドFTPサイクルでの予め貯蔵されたNHの効果と予め貯蔵されたNH及び温度管理の効果を評価した。実施例2の排気システムは、比較のために再試験した。実施例2及び3の排気システムにより排出されたNOの量もまた決定された。その結果を表3に示す。
Figure 0007273868000003
実施例3の排気システムは、実施例2の排気システムに匹敵するNo転化率を示す。しかし、実施例3の排気システムによって排出されたNOの量は、実施例2の排気システムによって排出されたNOの量より有意に低かった。
実験はまた、実施例3のCu-ゼオライト系CR触媒が押出バナジウム系SCR触媒で置き換えられた排気システムから得られた排出物が、実施例3の排気システムと比較して、同等のNO転化率を提供しつつ、少量のNOを排出できることを示している。
疑義を避けるために、本明細書で引用した全ての文献の全内容は、参照により本願に援用される。

Claims (5)

  1. ディーゼルエンジンによって生じる排気ガスを処理するための排気システムであって、
    (a) 白金族金属(PGM)及び基材を含む、一酸化炭素(CO)及び/又は炭化水素(HC)を酸化するための排出制御装置であって、白金族金属(PGM)が白金(Pt)、パラジウム(Pd)及びこれらの組み合わせから選択される排出制御装置と;
    (b) 排気ガスにアンモニア前駆物質を導入するためのインジェクターであって、一酸化炭素(CO)及び/又は炭化水素(HC)を酸化するための排出制御装置の下流にあるインジェクターと;
    (c) 排気ガスにアンモニア前駆物質を導入するためのインジェクターの下流の、基材と第1の選択的触媒還元組成物とを含む第1の選択的触媒還元触媒であって、基材がフロースルー基材かフィルタリング基材のいずれかである第1の選択的触媒還元触媒と;
    (d) 第1の選択的触媒還元触媒の下流の、フロースルー基材及び第2の選択的触媒還元(SCR)組成物を含む第2の選択的触媒還元触媒と
    (e) 気体アンモニアを排気ガスに導入するための手段であり、一酸化炭素(CO)及び/又は炭化水素(HC)を酸化するための排出制御装置の下流且つ第1の選択的触媒還元触媒の上流に配置されている手段と
    を備え、かつ、
    排出制御装置が
    (i) フィルタリング基材を有するコールドスタートコンセプト触媒;又は
    (ii) コールドスタートコンセプト触媒及び触媒化スートフィルター(CSF)
    のいずれかであり、
    第1の選択的触媒還元触媒がフロースルー基材を有し、
    コールドスタートコンセプト触媒が基材上に担持されている触媒物質を含み、
    触媒物質が、貴金属とモレキュラーシーブとを含むモレキュラーシーブ触媒を含み、
    モレキュラーシーブが、AEI又はCHAによって表されるFTCを有する骨格構造を有する小細孔モレキュラーシーブであり、
    貴金属がパラジウムを含む、排気システム。
  2. 気体アンモニアを排気ガスに導入するための手段が、アンモニア前駆物質から気体アンモニアを生成するための手段を含み、
    アンモニア前駆物質から気体アンモニアを生成するための手段が
    (i) アンモニア前駆物質を二次排ガス導管に導入するためのインジェクター;及び
    (ii) アンモニア前駆物質を気体アンモニアに変換するための加水分解触媒
    を備え、
    アンモニア前駆物質を二次排ガス導管に導入するためのインジェクターが加水分解触媒の上流にある、請求項に記載の排気システム。
  3. 二次排気ガス導管がターボチャージャーの上流のディーゼルエンジンのエキゾーストマニホールドに接続されている、請求項に記載の排気システム。
  4. 一酸化炭素(CO)及び/又は炭化水素(HC)を酸化するための排出制御装置と第1の選択的触媒還元触媒との間に電気加熱可能な導管をさらに備える、請求項1からのいずれか一項に記載の排気システム。
  5. 電気加熱可能な導管が、一酸化炭素(CO)及び/又は炭化水素(HC)を酸化するための排出制御装置の出口と第1の選択的触媒還元触媒の入口との間の排気ガス導管の一部である、請求項に記載の排気システム。
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