JP7271436B2 - 細胞医薬品移送方法 - Google Patents

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Description

本発明は、細胞医薬品送方法に関する。特に、本発明は、細胞医薬品の閉鎖系の移送システムに用いることができ、細胞医薬品容器内に充填された細胞医薬品の残渣を低減可能な細胞医薬品送方法に関する。
従来、外部環境からの汚染物質の混入が防止された状態で医薬品を移送可能な閉鎖系の移送システムが種々提案されている。
閉鎖系の移送システムは、医薬品が充填されたバイアル等の医薬品容器に取り付けられるバイアルアダプタ等のアダプタを備え、このアダプタを介して医薬品容器内の医薬品を外部に取り出し、他の容器に移送するシステムである。
上記のようなアダプタとして、例えば、特許文献1に記載のバイアルアダプタが提案されている。
特許文献1に記載のアダプタは、液体(及び空気)が流通可能な一方の流路(開口部24a)と、空気のみが流通可能な他方の流路(開口部24b)とを備え、他方の流路を介してバイアル内に流入した空気の分だけ、バイアル内の医薬品を一方の流路から外部に流出させることが可能な構造になっている(特許文献1の段落0069等)。他方の流路には、汚染物質がバイアル内に流入することを防止するためにフィルタ部材が取り付けられており、このフィルタ部材が疎水性を有することで、他方の流路には液体が流通できない(空気のみが流通可能な)構成になっている(特許文献1の段落0070、0107等)。
ところで、近年、人体組織と近似の機能を有する細胞医薬品が注目されている。細胞医薬品は外部環境からの汚染物質の混入を防止する必要があり、特許文献1に記載のような従来のアダプタを備えた閉鎖系の移送システムを適用すること自体は可能であると考えられる。
しかしながら、移送する対象が細胞医薬品の場合、細胞が液体(保存液等)中で均一に拡散せずに沈殿し易い。このため、従来のアダプタを用いるとバイアル内に残渣が生じる問題がある。すなわち、従来のアダプタのように、バイアル内に流入した空気の分だけバイアル内の医薬品を外部に流出させる構成では、細胞がバイアルの内壁に付着して移送されずに残存する問題がある。
細胞医薬品は、患者に投与する細胞の数が効能面で重要である。しかしながら、残渣が生じると予定した数の細胞を患者に投与できずに期待する効能が得られないおそれがある。
以上のように、細胞医薬品の場合、移送する過程で生じる残渣は、従来の医薬品に比べて大きな問題となる。
特許第5509097号公報
本発明は、細胞医薬品の閉鎖系の移送システムに用いることができ、細胞医薬品容器内に充填された細胞医薬品の残渣を低減可能な細胞医薬品送方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明者らは、細胞医薬品が充填されるバイアル等の細胞医薬品容器に取り付けられるアダプタを工夫することに着眼した。そして、本発明者らは鋭意検討を繰り返した結果、従来と同様に2つの流路を備えるアダプタであるものの、従来と異なり、そのいずれの流路も液体及び細胞が流通可能な構成のアダプタにすれば、前記課題を解決できることを見出した。
本発明は、本発明者らの上記の知見に基づき完成されたものである。
すなわち、前記課題を解決するため、本発明は、予め細胞医薬品が充填される細胞医薬品容器に取り付け可能なアダプタであって、前記細胞医薬品容器に取り付けられた状態において、それぞれ一端が前記細胞医薬品容器の内部に連通し、他端が前記細胞医薬品容器の外部に連通する、第1流路及び第2流路を備え、前記第1流路及び前記第2流路は、いずれも液体及び細胞が流通可能である、ことを特徴とする細胞医薬品容器用アダプタを提供する。
なお、本発明に係る細胞医薬品容器用アダプタは、後述する本発明に係る細胞医薬品移送システムを構成する回収容器及び投与媒体収容容器に対するアダプタとしても使用可能である。本明細書において、「細胞医薬品容器」とは、細胞医薬品が充填(収容)される容器を意味する。また、本明細書において、「投与媒体収容容器」とは、細胞を懸濁させる水性の液体、好ましくは細胞医薬品を生体に投与する際に用いられる媒体(これらを総称して、本明細書では、「投与媒体」という)が収容される容器を意味する。さらに、本明細書において、「回収容器」は細胞医薬品を回収するための容器を意味する。
ここで、液体が流通可能であるとは、少なくとも、アダプタが備える流路(第1流路及び第2流路)内を一方側から他方側へ液体が流通可能であることを意味し、必ずしも両方向へ液体が流通可能でなくてもよい。すなわち、アダプタの流路中にいずれの方向からの液体の流通をも阻害する疎水性フィルタ等は存在していないが、一方側から他方側への液体の流通を阻止する逆止弁等が存在していてもよい。
また、細胞が流通可能であるとは、アダプタの流路の直径が、細胞医薬品の対象とする細胞の直径以上であることを意味する。少なくとも、アダプタの流路内を一方側から他方側へ細胞が流通可能であればよく、必ずしも両方向へ細胞が流通可能でなくてもよい。また、具体的には、アダプタが備える流路の直径が5μm以上であり、好ましくは、10μm、20μm、50μm、100μm又は200μm以上(例えば、1mm、2mm又は3mm)である。
本発明に係るアダプタを細胞医薬品容器に取り付け、アダプタの第1流路から投与媒体等の液体を細胞医薬品容器に流入させれば、流入した液体の分だけ、当該細胞医薬品容器内の細胞医薬品を第2流路から当該細胞医薬品容器の外部に流出させることが可能である。具体的には、例えば、本発明に係るアダプタの第1流路及び第2流路の一端(図1(a)における符号11a及び符号12aに相当)を共に含む針部(図1(a)における符号13に相当)を細胞医薬品に挿入し、アダプタの第1流路の他端(図1(a)における符号11bに相当)から投与媒体等の液体を細胞医薬品容器に流入させれば、流入した液体の分だけ、当該細胞医薬品容器内の細胞医薬品を第2流路の他端(図1(a)における符号12bに相当)から当該細胞医薬品容器の外部(例えば、当該アダプタの第2流路に連結された別の細胞医薬品容器)に流出させることが可能である。細胞医薬品の場合、貴重な細胞を無駄にすることなく移送する必要があるが、第1流路から液体を連続的に及び/又は複数回流入させれば、細胞医薬品容器内は、流入した液体によって複数回洗浄されるため、細胞医薬品容器内に残存する細胞(例えば、細胞医薬品容器の内壁に付着した細胞)をより多く移送することが可能である。このため、空気を流入させる従来のアダプタを用いる場合に比べて、細胞医薬品容器内の細胞医薬品の残渣を大幅に低減可能である。すなわち、本発明に係るアダプタを使用すれば、第1流路からの細胞医薬品容器内への液体の流入と、第2流路からの細胞医薬品の当該細胞医薬品容器の外部への流出を繰り返すことが可能であるため、液体の流入と流出とを繰り返すことにより、閉鎖系のままで細胞医薬品容器内を複数回洗浄し、細胞医薬品容器内の細胞医薬品の残渣を低減可能となる。
なお、前記第1流路及び前記第2流路は、いずれも液体及び細胞が流通可能であるため、いずれも当然に気体(例えば、空気)が更に流通可能である。
好ましくは、前記第1流路に設けられ、前記第1流路を介した前記細胞医薬品容器の内部から前記細胞医薬品容器の外部への液体及び細胞の流通を阻止する逆止弁を更に備える。
上記の好ましい構成によれば、アダプタが取り付けられた細胞医薬品容器内の細胞医薬品をアダプタの第2流路から当該細胞医薬品容器の外部に流出させる際に、第1流路からも当該細胞医薬品容器の外部に流出(逆流)するおそれがなくなり、第2流路から確実に流出させることが可能である。
好ましくは、前記第2流路に設けられ、前記第2流路を介した前記細胞医薬品容器の外部から前記細胞医薬品容器の内部への気体の流通を阻止する逆止弁を更に備える。
上記の好ましい構成によれば、アダプタが取り付けられた細胞医薬品容器内に第1流路から液体を流入させる際に、第2流路から当該細胞医薬品容器内に気体が流入(逆流)するおそれがなくなり、細胞医薬品容器内に液体を確実に流入させることが可能である。
また、前記課題を解決するため、本発明は、前記何れかに記載の細胞医薬品容器用アダプタを複数備え、隣り合う一対の前記アダプタのうち、一方の前記アダプタの前記第2流路と、他方の前記アダプタの前記第1流路とが連結されている、細胞医薬品容器用多連アダプタとしても提供される。
本発明に係る細胞医薬品容器用多連アダプタにおいて、後述する本発明に係る細胞医薬品移送システムの外部への液体及び細胞の流出を防止するためには、両端に位置するアダプタの流路であって、細胞医薬品移送システムの外部と連通している流路には、逆止弁を備えることが好ましい。
上記の多連アダプタは、複数のアダプタのいずれもが本発明に係る細胞医薬品容器用アダプタであるが、一端又は両端を他のアダプタにした多連アダプタとすることも可能である。
すなわち、前記課題を解決するため、本発明は、前記何れかに記載の細胞医薬品容器用アダプタである少なくとも1つ以上の第1アダプタと、投与媒体が収容される投与媒体収容容器又は前記細胞医薬品を回収するための回収容器に取り付けられた状態において、それぞれ一端が前記投与媒体収容容器又は前記回収容器の内部に連通し、他端が前記投与媒体収容容器又は前記回収容器の外部に連通する、第1流路及び第2流路を備える第2アダプタであって、前記第2アダプタの前記第1流路及び前記第2流路のうち、少なくとも前記第1アダプタと連結された流路は、液体及び細胞が流通可能である、1つ又は2つの前記第2アダプタとを備え、前記第2アダプタが一端又は両端に位置し、前記第1アダプタ及び前記第2アダプタのうち、一方のアダプタの前記第1流路と他方のアダプタの前記第2流路とが連結されている、ことを特徴とする細胞医薬品容器用多連アダプタとしても提供される。
上記多連アダプタの一態様としては、少なくとも1つ以上の第1アダプタ(本発明に係る細胞医薬品容器用アダプタ)と、1つの第2アダプタ(本発明に係る細胞医薬品容器用アダプタとは別のアダプタ)とを備え、第2アダプタが多連アダプタの一端に位置する多連アダプタを例示できる。
具体的には、第1アダプタの第1流路と第2アダプタの第2流路とが連結された2連アダプタや、第1アダプタの第2流路と第2アダプタの第1流路とが連結された2連アダプタを挙げることができる。また、別の具体例として、2つ以上(例えば、2つ、3つ、4つ、又は5つ)の第1アダプタを備え、隣り合う一対の第1アダプタのうち、一方の第1アダプタの第2流路と、他方の第1アダプタの第1流路とが連結されており、これら2つ以上の連続した第1アダプタの一端に第2アダプタが連結された多連アダプタを挙げることもできる。前述のように、第2アダプタは、2つの流路(第1流路及び第2流路)を備え、少なくとも一方の流路(第1アダプタと連結された流路)に液体及び細胞が流通可能であれば、その種類は特に限定されない。例えば、第2アダプタとして、液体が流通可能な一方の流路と、空気のみが流通可能な他方の流路とを備えた従来のアダプタを用いることも可能である。第2アダプタの第1アダプタと連結されていない側の流路(多連アダプタの外部に開放している流路)については、細胞医薬品移送システム(後述する本発明に係る細胞医薬品移送システム)の外部への液体の流出を防止するために、疎水性のフィルタ部材等が取り付けられて空気のみが流通する流路であるか、逆止弁が設けられた流路であることが好ましい。細胞医薬品移送システム(後述する本発明に係る細胞医薬品移送システム)の外部からの微生物等の汚染物質の混入を防止するために、フィルタ部材が取り付けられた流路であることがより好ましく、フィルタ部材としては、例えばメンブレンフィルタ等が用いられる。
また、上記多連アダプタの別の態様として、中央に少なくとも1つ以上の第1アダプタ(本発明に係る細胞医薬品容器用アダプタ)と、2つの第2アダプタ(本発明に係る細胞医薬品容器用アダプタとは別のアダプタ)とを備え、2つの第2アダプタのそれぞれが多連アダプタの両端に位置する多連アダプタを例示できる。
具体的には、第1アダプタの第1流路と一方の第2アダプタの第2流路とが連結され、第1アダプタの第2流路と他方の第2アダプタの第1流路とが連結された3連アダプタを挙げることができる。また、別の具体例として、2つ以上(例えば、2つ、3つ、4つ、又は5つ)の第1アダプタを備え、隣り合う一対の第1アダプタのうち、一方の第1アダプタの第2流路と、他方の第1アダプタの第1流路とが連結されており、これら2つ以上の連続した第1アダプタの両端に第2アダプタが連結された多連アダプタを挙げることもできる。前述のように、第2アダプタは、2つの流路(第1流路及び第2流路)を備え、少なくとも一方の流路(第1アダプタと連結された流路)に液体及び細胞が流通可能であれば、その種類は特に限定されない。例えば、第2アダプタとして、液体が流通可能な一方の流路と、空気のみが流通可能な他方の流路とを備えた従来のアダプタを用いることも可能である。第2アダプタの第1アダプタと連結されていない側の流路(多連アダプタの外部に開放している流路)については、液体の細胞医薬品移送システム(後述する本発明に係る細胞医薬品移送システム)の外部への流出を防止するために、疎水性のフィルタ部材等が取り付けられて空気のみが流通する流路であるか、逆止弁が設けられた流路であることが好ましい。細胞医薬品移送システム(後述する本発明に係る細胞医薬品移送システム)の外部からの微生物等の汚染物質の混入を防止するために、フィルタ部材が取り付けられた流路であることがより好ましく、フィルタ部材としては、例えばメンブレンフィルタ等が用いられる。
また、前記課題を解決するため、本発明は、前記何れかに記載の細胞医薬品容器用アダプタと、前記アダプタが取り付けられ、移送される細胞医薬品が収容される前記細胞医薬品容器と、前記アダプタが具備する前記第1流路に連通し、投与媒体が収容される投与媒体収容容器と、前記アダプタが具備する前記第2流路に連通し、前記細胞医薬品を回収するための回収容器と、前記投与媒体を前記投与媒体収容容器から前記第1流路を介して前記細胞医薬品容器に移送し、前記細胞医薬品及び前記投与媒体を前記細胞医薬品容器から前記第2流路を介して前記回収容器に移送するための動力を与える動力手段と、を備え、前記第1流路と前記第2流路とが異なる流路であることを特徴とする細胞医薬品移送システムとしても提供される。
本発明に係る細胞医薬品移送システムによれば、動力手段によって、投与媒体収容容器からアダプタの第1流路を介して細胞医薬品容器に投与媒体を移送し(流入させ)、移送した投与媒体の分だけ、細胞医薬品容器からアダプタの第2流路を介して回収容器に細胞医薬品及び投与媒体を移送する(流出させる)ことが可能である。前述のように、アダプタの第1流路から液体を連続的に及び/又は複数回流入させれば、細胞医薬品容器内は、流入した液体によって複数回洗浄されるため、細胞医薬品容器内の細胞医薬品の残渣を大幅に低減可能である。
なお、本発明に係る細胞医薬品移送システムにおいて、例えば、投与媒体収容容器及び回収容器にも流体及び細胞が流通可能な流路を具備するアダプタを取り付け、投与媒体収容容器に取り付けられたアダプタと、細胞医薬品容器に取り付けられた本発明に係るアダプタの第1流路とを例えば公知のチューブやコネクタを介して連結し、回収容器に取り付けられたアダプタと、細胞医薬品容器に取り付けられた本発明に係るアダプタの第2流路とを例えば公知のチューブやコネクタを介して連結すれば、容易に閉鎖系の移送システムとすることができる。
そして、アダプタの付け替えを行うことなく移送システムの閉鎖系を維持しながら、簡便且つ短時間に細胞医薬品及び投与媒体を回収容器に移送することができる。
投与媒体収容容器及び回収容器に取り付けるアダプタとしては、本発明に係るアダプタを用いてもよいが、これに限られるものではなく、従来のアダプタ(流体が流通可能な一方の流路と、空気のみが流通可能な他方の流路とを備えたアダプタ)を用いることも可能である。投与媒体収容容器及び回収容器に取り付けるアダプタとして従来のアダプタを用いる場合には、投与媒体収容容器に取り付けられたアダプタの一方の流路(流体が流通可能な流路)と、細胞医薬品容器に取り付けられた本発明に係るアダプタの第1流路とを例えば公知のチューブやコネクタを介して連結し、回収容器に取り付けられたアダプタの一方の流路(流体が流通可能な流路)と、細胞医薬品容器に取り付けられた本発明に係るアダプタの第2流路とを例えば公知のチューブやコネクタを介して連結すればよい。
本発明に係る細胞医薬品移送システムの外部への液体の流出を防止するために、投与媒体収容容器及び回収容器に取り付けるアダプタの外部に開放している流路については、疎水性のフィルタ部材等が取り付けられて空気のみが流通する流路であるか、逆止弁が設けられた流路であることが好ましい。外部からの微生物等の汚染物質の混入を防止するために、フィルタ部材が取り付けられた流路であることがより好ましく、フィルタ部材としては、例えばメンブレンフィルタ等が用いられる。
また、動力手段は、投与媒体を投与媒体収容容器から細胞医薬品容器に移送し、細胞医薬品容器の内容物を回収容器に移送するための動力を与えることができれば、その種類は特に限定されない。一態様として、各容器内の圧力を変化させる手段を挙げることができる。例えば、動力手段として、シリンジを用いることが可能である。そして、例えば、回収容器に取り付けられたアダプタにシリンジを連結して、回収容器内の空気をシリンジで吸引することで、投与媒体及び細胞医薬品を移送するための動力を与えることが可能である。また、例えば、投与媒体収容容器に取り付けられたアダプタにシリンジを連結して、投与媒体回収容器内に空気をシリンジで押し込むことで、投与媒体及び細胞医薬品を移送するための動力を与えることも可能である。さらには、シリンジ自体を投与媒体収容容器としての機能も奏する動力手段として用いることも可能である。すなわち、細胞医薬品容器に取り付けられた本発明に係るアダプタの第1流路にシリンジを連結し、シリンジ内に収容された投与媒体をシリンジで押し込むことで、投与媒体及び細胞医薬品を移送するための動力を与えることも可能である。
本発明に係る細胞医薬品移送システムにおいて、前記回収容器にも、前記細胞医薬品容器に取り付けられた前記アダプタとは別個に本発明に係るアダプタが取り付けられる場合には、前記細胞医薬品容器に取り付けられた前記アダプタの前記第2流路と、前記回収容器に取り付けられた前記アダプタの前記第1流路とが連結されることになる。
各容器内の圧力を変化させる手段として、細胞医薬品容器自体に圧力を付加する手段を挙げることができる。例えば、好ましくは、前記細胞医薬品容器が、可撓性を有し、撓ませられることで前記動力手段としての機能を奏する。
上記の好ましい構成によれば、細胞医薬品容器が動力手段としての機能を奏するため、細胞医薬品容器とは別にシリンジ等の動力手段を備える必要がなく、移送システムを簡易な構成にすることが可能である。
可撓性を有する細胞医薬品容器としては、可撓性を有する材料から形成された容器であれば特に限定はなく、可撓性を有する樹脂から形成された容器を例示できる。この樹脂としては、容器が前記動力手段としての機能を奏する限り当業者に周知の樹脂を適宜用いることができる。可撓性を有する樹脂から形成された細胞医薬品容器としては、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、エチレン酢酸ビニル共重合体、シリコーン等の樹脂から形成された容器を例示できる。
また、各容器内の圧力を変化させる手段として、投与媒体収容容器自体に圧力を付加する手段を挙げることができる。例えば、好ましくは、前記投与媒体収容容器が、可撓性を有し、撓ませられることで前記動力手段としての機能を奏する。
上記の好ましい構成によっても、投与媒体収容容器が動力手段としての機能を奏するため、投与媒体収容容器とは別にシリンジ等の動力手段を備える必要がなく、移送システムを簡易な構成にすることが可能である。
好ましくは、前記細胞医薬品容器に取り付けられる複数の前記アダプタと、前記アダプタと同数の複数の前記細胞医薬品容器とを備え、隣り合う一対の前記アダプタのうち、一方の前記アダプタの前記第2流路と、他方の前記アダプタの前記第1流路とが連結されている。
上記の好ましい構成によれば、複数の細胞医薬品容器に収容された細胞医薬品を回収容器にまとめて移送することができる。このため、細胞医薬品容器の数を調整することで、回収する細胞の数(患者に投与する細胞の数)を所望する値に容易に調整可能である。
また、前記課題を解決するため、本発明は、前記何れかに記載の細胞医薬品移送システムを用いて細胞医薬品を移送する方法であって、前記投与媒体収容容器の前記第1流路に連通している側が下方となるように前記投与媒体収容容器を配置し、前記細胞医薬品容器の前記アダプタが取り付けられている側が上方となるように前記細胞医薬品容器を配置し、前記動力手段を用いて、前記投与媒体を前記投与媒体収容容器から前記第1流路を介して前記細胞医薬品容器に移送する第1手順と、前記投与媒体収容容器の前記第1流路に連通している側が上方となるように前記投与媒体収容容器を配置し、前記細胞医薬品容器の前記アダプタが取り付けられている側が下方となるように前記細胞医薬品容器を配置し、前記動力手段を用いて、前記細胞医薬品及び前記投与媒体を前記細胞医薬品容器から前記第2流路を介して前記回収容器に移送する第2手順と、を含むことを特徴とする細胞医薬品の第1の移送方法としても提供される。
本発明に係る細胞医薬品の第1の移送方法によれば、第1手順において、投与媒体収容容器の下方から流出した投与媒体を、アダプタの第1流路を介して細胞医薬品容器の上方から細胞医薬品容器内に移送することが可能である。この際、細胞医薬品容器内の空気は、細胞医薬品容器の上方からアダプタの第2流路を介して回収容器に移送されることになる。
次いで、第2手順において、細胞医薬品容器の下方から流出した細胞医薬品及び投与媒体を、アダプタの第2流路を介して回収容器に移送することが可能である。この際、投与媒体収容容器内の空気は、細胞医薬品容器の下方からアダプタの第1流路を介して細胞医薬品容器内に移送されることになる。
第1手順及び第2手順を繰り返し、細胞医薬品容器内を複数回洗浄することが好ましい。
本発明に係る細胞医薬品の第1の移送方法によれば、第1手順及び第2手順を順に実行することで、容易に細胞医薬品容器内の細胞医薬品を外部の汚染物質に晒すことなく回収容器に移送することが可能である。また、第1の移送方法によれば、第1手順において、細胞医薬品容器内は、移送された投与媒体によって洗浄され、細胞医薬品容器内の細胞医薬品の残渣を大幅に低減可能である。
また、前記課題を解決するため、本発明は、前記何れかに記載の細胞医薬品移送システムを用いて細胞医薬品を移送する方法であって、前記投与媒体収容容器の前記第1流路に連通している側が下方となるように前記投与媒体収容容器を配置し、前記細胞医薬品容器の前記アダプタが取り付けられている側が下方となるように前記細胞医薬品容器を配置し、前記動力手段を用いて、前記投与媒体を前記投与媒体収容容器から前記第1流路を介して前記細胞医薬品容器に移送すると共に、前記細胞医薬品及び前記投与媒体を前記細胞医薬品容器から前記第2流路を介して前記回収容器に移送する、ことを特徴とする細胞医薬品の第2の移送方法としても提供される。
本発明に係る細胞医薬品の第2の移送方法によれば、投与媒体収容容器の下方から流出した投与媒体を、アダプタの第1流路を介して細胞医薬品容器の下方から細胞医薬品容器内に移送することが可能である。これと同時に、細胞医薬品容器の下方から流出した細胞医薬品及び投与媒体を、アダプタの第2流路を介して回収容器に移送することが可能である。
本発明に係る細胞医薬品の第2の移送方法によれば、第1の移送方法のように第1手順及び第2手順を順に実行しなくても、一度の動作でより一層容易且つ短時間に細胞医薬品容器内の細胞医薬品を外部の汚染物質に晒すことなく回収容器に移送することが可能である。また、第2の移送方法によれば、細胞医薬品容器内は、移送された投与媒体によって洗浄され、細胞医薬品容器内の細胞医薬品の残渣を大幅に低減可能である。第2の移送方法を複数回繰り返すことも可能である。
本発明に係る細胞医薬品の第2の移送方法において、好ましくは、前記細胞医薬品容器が、可撓性を有し、前記細胞医薬品容器を撓ませた状態から元に戻すことで、前記投与媒体を前記投与媒体収容容器から前記第1流路を介して前記細胞医薬品容器に移送し、前記細胞医薬品容器を撓ませることで、前記細胞医薬品及び前記投与媒体を前記細胞医薬品容器から前記第2流路を介して前記回収容器に移送する。
上記の好ましい方法によれば、細胞医薬品容器を撓ませた状態から元に戻す(例えば、細胞医薬品容器を摘まんで押し潰していた作業者の指を離す)ことで、細胞医薬品容器の容積が増加するので吸引力が作用し、増加した容積の分だけ、投与媒体が投与媒体収容容器から第1流路を介して細胞医薬品容器に移送される。また、細胞医薬品容器を撓ませる(例えば、細胞医薬品容器を作業者の指で摘まんで押し潰す)ことで、細胞医薬品容器の容積が減少するので、減少した容積の分だけ、細胞医薬品及び投与媒体が細胞医薬品容器から第2流路を介して回収容器に移送される。
上記の好ましい方法によれば、細胞医薬品容器を撓ませる(及び元に戻す)だけでよいため、極めて容易且つ短時間に細胞医薬品容器内の細胞医薬品を回収容器に移送することが可能である。また、上記の好ましい方法においても、細胞医薬品容器内の細胞医薬品の残渣を大幅に低減可能である。上記の好ましい方法を複数回繰り返すことも可能である。
以上を纏めると、本発明は、以下の事項に関する。
胞医薬品移送システムを用いて細胞医薬品を移送する方法であって、
前記細胞医薬品移送システムは、
予め細胞医薬品が充填される細胞医薬品容器に取り付け可能なアダプタであって、前記細胞医薬品容器に取り付けられた状態において、それぞれ一端が前記細胞医薬品容器の内部に連通し、他端が前記細胞医薬品容器の外部に連通する、第1流路及び第2流路を備え、前記第1流路及び前記第2流路は、いずれも液体及び細胞が流通可能である、細胞医薬品容器用アダプタと、
前記アダプタが取り付けられ、移送される細胞医薬品が収容される前記細胞医薬品容器と、
前記アダプタが具備する前記第1流路に連通し、投与媒体が収容される投与媒体収容容器と、
前記アダプタが具備する前記第2流路に連通し、前記細胞医薬品を回収するための回収容器と、
前記投与媒体を前記投与媒体収容容器から前記第1流路を介して前記細胞医薬品容器に移送し、前記細胞医薬品及び前記投与媒体を前記細胞医薬品容器から前記第2流路を介して前記回収容器に移送するための動力を与える動力手段と、を備え、
前記第1流路と前記第2流路とが異なる流路であり、
前記投与媒体収容容器の前記第1流路に連通している側が下方となるように前記投与媒体収容容器を配置し、前記細胞医薬品容器の前記アダプタが取り付けられている側が下方となるように前記細胞医薬品容器を配置し、前記動力手段を用いて、前記投与媒体を前記投与媒体収容容器から前記第1流路を介して前記細胞医薬品容器に移送すると共に、前記細胞医薬品及び前記投与媒体を前記細胞医薬品容器から前記第2流路を介して前記回収容器に移送する、
ことを特徴とする細胞医薬品移送方法。
]細胞医薬品が充填される細胞医薬品容器に取り付け可能なアダプタであって、前記細胞医薬品容器に取り付けられた状態において、それぞれ一端が前記細胞医薬品容器の内部に連通し、他端が前記細胞医薬品容器の外部に連通する、第1流路及び第2流路を備え、前記第1流路及び前記第2流路は、いずれも液体及び細胞が流通可能である、細胞医薬品容器用アダプタと、
前記アダプタが取り付けられ、移送される細胞医薬品が収容される前記細胞医薬品容器と、
前記アダプタが具備する前記第1流路に連通し、投与媒体が収容される投与媒体収容容器と、
前記アダプタが具備する前記第2流路に連通し、前記細胞医薬品を回収するための回収容器と、
前記投与媒体を前記投与媒体収容容器から前記第1流路を介して前記細胞医薬品容器に移送し、前記細胞医薬品及び前記投与媒体を前記細胞医薬品容器から前記第2流路を介して前記回収容器に移送するための動力を与える動力手段と、
を備える細胞医薬品移送システムを用いて前記細胞医薬品を移送する方法であって、
前記細胞医薬品容器が、可撓性を有し、撓ませられることで前記動力手段としての機能を奏し、
前記投与媒体収容容器の前記第1流路に連通している側が下方となるように前記投与媒体収容容器を配置し、前記細胞医薬品容器の前記アダプタが取り付けられている側が下方となるように前記細胞医薬品容器を配置し、前記細胞医薬品容器を撓ませた状態から元に戻すことで、前記投与媒体を前記投与媒体収容容器から前記第1流路を介して前記細胞医薬品容器に移送し、前記細胞医薬品容器を撓ませることで、前記細胞医薬品及び前記投与媒体を前記細胞医薬品容器から前記第2流路を介して前記回収容器に移送する、
ことを特徴とする細胞医薬品移送方法。
本発明によれば、細胞医薬品の閉鎖系の移送システムに用いることができ、細胞医薬品容器内に充填された細胞医薬品の残渣を低減可能な細胞医薬品送方法を提供可能である。
本発明の一実施形態に係る細胞医薬品容器用アダプタの概略構成例を示す図である。 図1に示すアダプタを用いた細胞医薬品移送システムの概略構成例を示す図である。 図2(a)に示す細胞医薬品移送システムを用いて細胞医薬品を移送する第1の移送方法を説明するための説明図である。 図2(a)に示す移送システムを用いて細胞医薬品を移送する第2の移送方法を説明するための説明図である。 変形例に係る細胞医薬品移送システムの概略構成を示す図である。 他の変形例に係る移送システムの概略構成を示す図である。 図6に示す移送システムを用いて細胞医薬品を移送する移送方法を説明するための説明図である。 更に他の変形例に係る移送システムの概略構成を示す図である。
以下、添付図面を適宜参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る細胞医薬品容器用アダプタ(以下、適宜、「アダプタ」と略称する)の概略構成例を示す図である。図1(a)は本実施形態に係るアダプタの概略構成例を、図1(b)は参考のために従来のアダプタの概略構成例を示す。
図1(a)に示すように、本実施形態に係るアダプタ1は、第1流路11及び第2流路12を備えている。
第1流路11は、細胞医薬品が充填されるバイアル等の細胞医薬品容器(図示せず)にアダプタ1が取り付けられた状態(アダプタ1が具備する針部13が細胞医薬品容器に挿入された状態)において、一端(針部13に位置する側の端)11aが細胞医薬品容器の内部に連通し、他端11bが当該細胞医薬品容器の外部に連通する。
同様に、第2流路12は、細胞医薬品容器にアダプタ1が取り付けられた状態において、一端(針部13に位置する側の端)12aが細胞医薬品容器の内部に連通し、他端12bが当該細胞医薬品容器の外部に連通する。
なお、本実施形態に係るアダプタ1は、第1流路11の他端11b側及び/又は第2流路12の他端12b側にルアーロック14を備えてもよい(図1に示す例では、第1流路11の他端11b側にルアーロック14を備えている)。このルアーロック14により、第1流路11及び/又は第2流路12と細胞医薬品容器の外部に延びるチューブ(図示せず)とが容易に連結可能になっている。
図1(b)に示す従来のアダプタ1’も同様の第1流路11’及び第2流路12’を備えている。しかしながら、従来のアダプタ1’は、第1流路11’の他端11b’側に疎水性のフィルタ部材15を備えている。このため、従来のアダプタ1’の第1流路11’には液体が流通しない構成になっている。
これに対し、図1(a)に示す本実施形態に係るアダプタ1は、フィルタ部材15を備えない構成(従来のアダプタ1’が備えるフィルタ部材15を取り外した構成)であるため、第2流路12のみならず、第1流路11も液体が流通可能になっている。また、第1流路11及び第2流路12は、液体だけではなく、細胞及び空気も流通可能である。
なお、第1流路11及び第2流路12には、液体及び細胞の意図しない方向への移送を防止するために、逆止弁を設けることも可能である。
図2は、以上に説明した本実施形態に係るアダプタ1(以下、適宜、「第1アダプタ1」という)を用いた細胞医薬品移送システムの概略構成例を示す図である。図2(a)は回収容器側に動力手段を備える細胞医薬品移送システムの例を、図2(b)は投与媒体収容容器側に動力手段を備える細胞医薬品移送システムの例を示す。
図2に示すように、本実施形態に係る細胞医薬品移送システム(以下、適宜、「移送システム」と略称する)10(10A、10B)は、第1アダプタ1及び第2アダプタ6と、細胞医薬品容器2と、投与媒体収容容器3と、回収容器4と、動力手段5とを備えている。第1アダプタ1は、細胞医薬品容器2に取り付けられる(図2は、第1アダプタ1が細胞医薬品容器2に取り付けられる前の状態を示している)。一方、第2アダプタ6は、投与媒体収容容器3及び回収容器4に取り付けられる。なお、第2アダプタ6は、2つの流路(第1流路及び第2流路)を備え、少なくとも一方の流路(第1アダプタと連結された流路)に液体及び細胞が流通可能であれば、その種類は特に限定されない。例えば、第2アダプタ6として、本実施形態に係るアダプタ1や従来のアダプタ1’を用いることも可能である。図2(a)に示す移送システム10Aの場合、回収容器4に取り付けられた第2アダプタ6は、本実施形態に係るアダプタ1である(このため、図2(a)では、回収容器4に取り付けられた第2アダプタ6の符号を「6(1)」と記載。以下、同じ)。また、図2(a)に示す移送システム10Aの場合、投与媒体収容容器3に取り付けられた第2アダプタ6は、本実施形態に係るアダプタ1や従来のアダプタ1’とは別の種類のアダプタである。また、図2(b)に示す移送システム10Bの場合、回収容器4に取り付けられた第2アダプタ6は、従来のアダプタ1’である(このため、図2(b)では、回収容器4に取り付けられた第2アダプタ6の符号を「6(1’)」と記載。以下、同じ)。また、図2(b)に示す移送システム10Bの場合、投与媒体収容容器3に取り付けられた第2アダプタ6は、本実施形態に係るアダプタ1や従来のアダプタ1’とは別の種類のアダプタである。ただし、何れの第2アダプタ6も、図2に示すものに限定されず、前述のように、少なくとも一方の流路(第1アダプタと連結された流路)に液体及び細胞が流通可能であればよい。
なお、第2アダプタ6の移送システム10A、10Bの外部に開放している流路については、液体の外部への流出を防止するために、疎水性のフィルタ部材15等が取り付けられて空気のみが流通する流路であるか、逆止弁が設けられた流路であることが好ましい。外部からの微生物等の汚染物質の混入を防止するためには、図2に示すように、フィルタ部材15が取り付けられた流路であることが好ましく、フィルタ部材15としては、例えばメンブレンフィルタ等が用いられる。
細胞医薬品容器2には、移送される細胞医薬品が収容され、第1アダプタ1が取り付けられている。本実施形態の細胞医薬品容器2としては、例えばガラス製のバイアルが用いられるが、細胞医薬品を収容するための容器であれば、特に限定されない。
投与媒体収容容器3は、投与媒体が収容され、第1アダプタ1が具備する第1流路11に連通している。具体的には、第1アダプタ1が具備する第1流路11と、投与媒体収容容器3に取り付けられた第2アダプタ6の液体及び細胞が流通可能な第2流路62とが、直接接続されているか、又は例えば公知のチューブやコネクタ(図示せず)を介して連結されている。
回収容器4は、細胞医薬品を回収するための容器(例えば、バイアル)であり、第1アダプタ1が具備する第2流路12に連通している。
具体的には、図2(a)に示す移送システム10Aの場合、細胞医薬品容器2に取り付けられた第1アダプタ1が具備する第2流路12と、回収容器4に取り付けられた第2アダプタ6が具備する第1流路61とが、直接接続されているか、又は例えば公知のチューブやコネクタ(図示せず)を介して連結されている。
また、図2(b)に示す移送システム10Bの場合、細胞医薬品容器2に取り付けられた第1アダプタ1が具備する第2流路12と、回収容器4に取り付けられた第2アダプタ6が具備する第1流路61とが、直接接続されているか、又は例えば公知のチューブやコネクタ(図示せず)を介して連結されている。
回収容器4は、細胞医薬品の回収に適した容器であれば特に限定されないが、細胞医薬品の回収後に行う操作に適した素材・形状であることが好ましい。一態様において、細胞医薬品の回収後に遠心分離を行うことが挙げられるため、回収容器4は遠心分離に耐え得る素材を用いたバイアル等の容器であって、市販の遠心分離機に設置できる形状であることが好ましい。
動力手段5は、投与媒体を投与媒体収容容器3から第1流路11を介して細胞医薬品容器2に移送し、細胞医薬品及び投与媒体を細胞医薬品容器2から第2流路12を介して回収容器4に移送するための動力を与える。動力手段5は、移送するための動力を与えることができれば、その種類は特に限定されないが、図2に示す例では、動力手段5としてシリンジが用いられている。
図2(a)に示す移送システム10Aの場合、動力手段5は、回収容器4側に設けられている。具体的には、回収容器4に取り付けられた第2アダプタ6の第2流路62と、動力手段5とが、直接接続されているか、又は例えば公知のチューブやコネクタ(図示せず)を介して連結されている。動力手段5であるシリンジで回収容器4内の空気を吸引することで、投与媒体及び細胞医薬品を移送するための動力を与えることが可能である。具体的な移送方法については後述する。
図2(b)に示す移送システム10Bの場合、動力手段5は、投与媒体収容容器3側に設けられている。具体的には、投与媒体収容容器3に取り付けられた第2アダプタ6の第1流路61と、動力手段5とが、直接接続されているか、又は例えば公知のチューブやコネクタ(図示せず)を介して連結されている。動力手段5であるシリンジで投与媒体回収容器3内に空気を押し込むことで、投与媒体及び細胞医薬品を移送するための動力を与えることが可能である。
以下、図2(a)に示す移送システム10Aを用いて細胞医薬品を移送する方法の例について説明する。
図3は、図2(a)に示す移送システム10Aを用いて細胞医薬品を移送する第1の移送方法を説明するための説明図である。図3に示す第1の移送方法は、図3(a)に示す第1手順と、図3(b)に示す第2手順と、を含んでいる。
図3(a)に示すように、第1手順では、投与媒体収容容器3の第1アダプタ1の第1流路11に連通している側が下方となるように(第2アダプタ6が取り付けられている側が下方となるように)、投与媒体収容容器3を配置する。換言すれば、第2アダプタ6が取り付けられていない投与媒体収容容器3の底部が上方となるように、投与媒体収容容器3を配置する。また、細胞医薬品容器2の第1アダプタ1が取り付けられている側が上方となるように、細胞医薬品容器2を配置する。換言すれば、第1アダプタ1が取り付けられていない細胞医薬品容器2の底部が下方となるように、細胞医薬品容器2を配置する。この配置状態で、動力手段5であるシリンジで回収容器4内の空気を吸引すれば、回収容器4に連通する細胞医薬品容器2内の空気も吸引される。第1手順では、この吸引された細胞医薬品容器2内の空気の分だけ、投与媒体が、投与媒体収容容器3から細胞医薬品容器2に取り付けられた第1アダプタ1の第1流路11を介して細胞医薬品容器2に移送される。
なお、動力手段5であるシリンジの容積に応じて、第2手順を実行する前に、シリンジ内の空気を押し出すことにより、第2手順においてシリンジにより再度空気が吸引可能な状態に戻しておくことが好ましい。シリンジから押し出された空気は、投与媒体収容容器3に取り付けられた第2アダプタ6の第1流路61から外部に排出される。
図3(b)に示すように、第2手順では、投与媒体収容容器3の第1アダプタ1の第1流路11に連通している側が上方となるように(第2アダプタ6が取り付けられている側が上方となるように)、投与媒体収容容器3を配置する。換言すれば、第2アダプタ6が取り付けられていない投与媒体収容容器3の底部が下方となるように、投与媒体収容容器3を配置する。また、細胞医薬品容器2の第1アダプタ1が取り付けられている側が下方となるように、細胞医薬品容器2を配置する。換言すれば、第1アダプタ1が取り付けられていない細胞医薬品容器2の底部が上方となるように、細胞医薬品容器2を配置する。この配置状態で、動力手段5であるシリンジで回収容器4内の空気を吸引すれば、この吸引された回収容器4内の空気の分だけ、細胞医薬品容器2内の細胞医薬品及び投与媒体が、細胞医薬品容器2に取り付けられた第1アダプタ1の第2流路12を介して回収容器4に移送される。
以上に説明した第1の移送方法によれば、図3(a)に示す第1手順及び図3(b)に示す第2手順を順に実行することで、容易に細胞医薬品容器2内の細胞医薬品を回収容器4に移送することが可能である。また、第1の移送方法によれば、第1手順において、投与媒体が細胞医薬品容器2内に移送され細胞医薬品が希釈されると共に、細胞医薬品容器2内は、移送された投与媒体によって洗浄されるため、細胞医薬品容器2内の細胞医薬品の残渣を大幅に低減可能である。
なお、第1の移送方法においては、図3(a)に示す第1手順及び図3(b)に示す第2手順を順に繰り返して実行することが好ましい。細胞医薬品容器2が複数回洗浄されることにより、細胞医薬品容器2内の細胞医薬品の残渣を大幅に低減可能である。
図4は、図2(a)に示す移送システム10Aを用いて細胞医薬品を移送する第2の移送方法を説明するための説明図である。
図4に示すように、第2の移送方法では、投与媒体収容容器3の第1アダプタ1の第1流路11に連通している側が下方となるように(第2アダプタ6が取り付けられている側が下方となるように)、投与媒体収容容器3を配置する。換言すれば、第2アダプタ6が取り付けられていない投与媒体収容容器3の底部が上方となるように、投与媒体収容容器3を配置する。また、細胞医薬品容器2の第1アダプタ1が取り付けられている側が下方となるように、細胞医薬品容器2を配置する。換言すれば、第1アダプタ1が取り付けられていない細胞医薬品容器2の底部が上方となるように、細胞医薬品容器2を配置する。この配置状態で、動力手段5であるシリンジで回収容器4内の空気を吸引すれば、この吸引された回収容器4内の空気の分だけ、投与媒体が、投与媒体収容容器3から細胞医薬品容器2に取り付けられた第1アダプタ1の第1流路11を介して細胞医薬品容器2に移送されると共に、細胞医薬品容器2内の細胞医薬品及び投与媒体が、細胞医薬品容器2に取り付けられた第1アダプタ1の第2流路12を介して回収容器4に移送される。
以上に説明した第2の移送方法によれば、第1の移送方法のように第1手順及び第2手順を順に実行しなくても、一度の動作でより一層容易に細胞医薬品容器2内の細胞医薬品を回収容器4に移送することが可能である。また、第2の移送方法によれば、投与媒体が細胞医薬品容器2内に移送されるため、細胞医薬品容器2内は、移送された投与媒体によって洗浄され、細胞医薬品容器2内の細胞医薬品の残渣を大幅に低減可能である。
なお、第2の移送方法においても、図4に示す手順を繰り返して実行することが好ましい。細胞医薬品容器2が複数回洗浄されることにより、細胞医薬品容器2内の細胞医薬品の残渣を大幅に低減可能である。動力手段5であるシリンジの容積に応じて、シリンジ内の空気を押し出すことにより、シリンジにより再度空気が吸引可能な状態に戻しておくことが好ましい。これにより、シリンジの容積に関わらず、第2の移送方法を繰り返すことができる。シリンジから押し出された空気は、投与媒体収容容器3に取り付けられた第2アダプタ6の第1流路61から外部に排出される。
以上の説明では、図2(a)に示す移送システム10Aを用いる場合を例に挙げたが、図2(b)に示す移送システム10Bを用いる場合も同様の方法で細胞医薬品容器2内の細胞医薬品を回収容器4に移送することが可能である。そして、投与媒体収容容器3から移送された投与媒体によって細胞医薬品容器2内は洗浄されるため、細胞医薬品容器2内の細胞医薬品の残渣を大幅に低減可能である。
以下、本実施形態に係るアダプタ1を用いた細胞医薬品移送システムの変形例について説明する。
図5は、変形例に係る移送システム10Cの概略構成を示す図である。
図5に示すように、移送システム10Cは、図2(a)に示す移送システム10Aと異なり、細胞医薬品容器2に取り付けられる複数(図5に示す例では5つ)の第1アダプタ1と、第1アダプタ1と同数の複数(図5に示す例では5つ)の細胞医薬品容器2とを備えている(図5は、第1アダプタ1が細胞医薬品容器2に取り付けられる前の状態を示している)。隣り合う一対のアダプタ1(例えば、アダプタ1a、1b)のうち、一方のアダプタ1(1b)の第2流路12と、他方のアダプタ1(1a)の第1流路11とが連結されている。
移送システム10Cによれば、複数の細胞医薬品容器2に収容された細胞医薬品を回収容器4にまとめて移送することができる。このため、細胞医薬品容器2の数を調整することで、回収する細胞の数(患者に投与する細胞の数)を所望する値に容易に調整可能である。
図6は、他の変形例に係る移送システム10D、10E、10Fの概略構成を示す図である。
図6(a)に示すように、移送システム10Dが備える細胞医薬品容器2Aは、図2や図5に示すガラス製の細胞医薬品容器2と異なり、ポリプロピレンやポリエチレン等の樹脂から形成されており、可撓性を有する。この可撓性を有する細胞医薬品容器2Aは、撓ませられることで、動力手段5としての機能を奏する。
また、移送システム10Dは、細胞医薬品容器2Aに取り付けられた第1アダプタ1の第1流路11に設けられ、細胞医薬品容器2Aの内部から細胞医薬品容器2Aの外部への(図6の左側から右側への)液体及び細胞の流通を阻止する逆止弁7を備えている。また、移送システム10Dは、第2アダプタ6(1’)の第2流路62に設けられ、回収容器4の外部から回収容器4の内部への(図6の左側から右側への)空気の流通を阻止する逆止弁7’を備えている。
逆止弁7、7’としては、特に限定されるものではないが、例えばメンブレン式やダックビル式の逆止弁を使用可能である。逆止弁7、7’は、同じ形式の逆止弁であってもよいし、互いに異なる形式の逆止弁であってもよい。
図6(a)に示す移送システム10Dは、可撓性を有する細胞医薬品容器2Aが動力手段5としての機能を奏するが、図6(b)に示す移送システム10Eでは、投与媒体収容容器3Aが、可撓性を有し、撓ませられることで動力手段5としての機能を奏する。同様に、図6(c)に示す移送システム10Fでは、投与媒体収容容器3Bが、可撓性を有し、撓ませられることで動力手段5としての機能を奏する。
図6(b)に示すように、移送システム10Eが備える投与媒体収容容器3Aは、ポリ塩化ビニルやエチレン酢酸ビニル共重合体等の樹脂から形成されており、可撓性を有する医療用バッグである。この可撓性を有する投与媒体収容容器3Aは、撓ませられることで、動力手段5としての機能を奏する。特に、投与媒体収容容器3Aは、撓ませた場合に復元力が働かない(撓ませた状態から元に戻らない)柔らかいバッグである。
移送システム10Eが備える投与媒体収容容器3Aは、第2アダプタ6を介さずに、第1アダプタと直接連結されている。
図6(c)に示すように、移送システム10Fが備える投与媒体収容容器3Bは、ポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂から形成されており、可撓性を有する医療用バッグである。この可撓性を有する投与媒体収容容器3Bも、投与媒体収容容器3Aと同様に、撓ませられることで、動力手段5としての機能を奏する。ただし、投与媒体収容容器3Bは、投与媒体収容容器3Aと異なり、撓ませた場合に復元力が働く(撓ませた状態から元に戻る)硬さのあるバッグである。
また、移送システム10Fは、投与媒体収容容器3Bに取り付けられた第2アダプタ6の第2流路62に設けられ、投与媒体収容容器3Bの外部から投与媒体収容容器3Bの内部への液体及び細胞の流通を阻止する逆止弁7を備えている。また、移送システム10Fは、投与媒体収容容器3Bに取り付けられた第2アダプタ6の第1流路61に設けられ、投与媒体収容容器3Bの内部から投与媒体収容容器3Bの外部への液体又は空気の流通を阻止する逆止弁7’を備えている。
以下、図6(a)に示す移送システム10Dを用いて細胞医薬品を移送する方法の例について説明する。
図7は、図6(a)に示す移送システム10Dを用いて細胞医薬品を移送する移送方法を説明するための説明図である。
移送システム10Dを用いた移送方法では、図7(a)に示すように、細胞医薬品容器2Aを撓ませた状態から元に戻す(例えば、細胞医薬品容器2Aを摘まんで押し潰していた作業者の指を離す)。これにより、細胞医薬品容器2Aの容積が増加するので吸引力が作用し、増加した容積の分だけ、投与媒体が投与媒体収容容器3から第1アダプタ1の第1流路11を介して細胞医薬品容器2Aに移送される。
この際、回収容器4に取り付けられた第2アダプタ6の第2流路62に逆止弁7’が設けられていなければ、回収容器4の外部から第2アダプタ6のフィルタ部材15を介して回収容器4の内部に空気が流入(逆流)し、第2アダプタ6の第1流路61及び第1アダプタ1の第2流路12を介して、細胞医薬品容器2Aに空気が流入(逆流)するおそれがある。これにより、投与媒体が投与媒体収容容器3から細胞医薬品容器2Aに十分に移送されないおそれがある。しかしながら、移送システム10Dでは、第2アダプタ6の第2流路62に逆止弁7’が設けられているため、上記のような空気の逆流が生じるおそれがなく、投与媒体を投与媒体収容容器3から細胞医薬品容器2Aに十分に移送することができる。
次いで、移送システム10Dを用いた移送方法では、図7(b)に示すように、細胞医薬品容器2Aを撓ませる(例えば、細胞医薬品容器2Aを作業者の指で摘まんで押し潰す)。これにより、細胞医薬品容器2Aの容積が減少するので、減少した容積の分だけ、細胞医薬品容器2A内の細胞医薬品及び投与媒体が細胞医薬品容器2Aから第1アダプタ1の第2流路12を介して回収容器4に移送される。
この際、細胞医薬品容器2Aに取り付けられた第1アダプタ1の第1流路11に逆止弁7が設けられていなければ、第1アダプタ1の第1流路11から投与媒体収容容器3に細胞医薬品及び投与媒体が流出(逆流)するおそれがある。これにより、細胞医薬品が細胞医薬品容器2Aから回収容器4に十分に移送されないおそれがある。しかしながら、移送システム10Dでは、第1アダプタ1の第1流路11に逆止弁7が設けられているため、上記のような細胞医薬品及び投与媒体の逆流が生じるおそれがなく、細胞医薬品を回収容器4に十分に移送することができる。
上記の図7(a)及び図7(b)の動作を一回又は必要に応じて複数回繰り返すことで、細胞医薬品容器2A内の細胞医薬品は回収容器4に移送される。
以上に説明した移送システム10Dを用いた移送方法によれば、細胞医薬品容器2Aを撓ませる(及び元に戻す)だけでよいため、極めて容易に細胞医薬品容器2内の細胞医薬品を回収容器4に移送することが可能である。また、投与媒体が細胞医薬品容器2A内に移送されるため、細胞医薬品容器2A内は、移送された投与媒体によって洗浄され、細胞医薬品容器2A内の細胞医薬品の残渣を大幅に低減可能である。
なお、移送システム10Dは、回収容器4の外部から回収容器4の内部への空気の流通を阻止する逆止弁7’が第2アダプタ6の第2流路62に設けられた構成であるが、これに限定されるものではなく、図8に示す移送システム10Gのような位置に逆止弁7’を設けることも可能である。
すなわち、図8に示す移送システム10Gは、第1アダプタ1の第2流路12に設けられ、第2流路12を介した細胞医薬品容器2Aの外部から細胞医薬品容器2Aの内部への気体の流通を阻止する逆止弁7’を備えている。
移送システム10Gによれば、第1アダプタ1が取り付けられた細胞医薬品容器2A内に第1流路11から投与媒体を流入させる際に、第2流路12から細胞医薬品容器2A内に気体が流入(逆流)するおそれがなくなり、細胞医薬品容器2A内に投与媒体を確実に流入させることが可能である。
以上、移送システム10Dを用いて細胞医薬品を移送する方法を例に挙げて説明したが、移送システム10E、10Fを用いる場合には、投与媒体収容容器3A、3Bを撓ませる(例えば、投与媒体収容容器3A、3Bを作業者の指で摘まんで押し潰す)ことで、投与媒体を投与媒体収容容器3A、3Bから細胞医薬品容器2に移送すればよい。
本発明に係る移送システムは、以上に説明した移送システム10、10A、10B、10C、10D、10E、10F、10Gに何ら限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
例えば、図2(a)に示す移送システム10Aでは、動力手段5としてのシリンジが回収容器4に連結(回収容器4に取り付けられた第2アダプタ6に連結)されているが、これに限定されない。回収容器4と細胞医薬品容器2との間(回収容器4に取り付けられた第2アダプタ6と細胞医薬品容器2に取り付けられた第1アダプタ1との間)や、細胞医薬品容器2と投与媒体収容容器3との間(細胞医薬品容器2に取り付けられた第1アダプタ1と投与媒体収容容器3に取り付けられた第2アダプタ6との間)に動力手段5としてのシリンジを設けることも可能である。そして、シリンジを押し引きすることで、投与媒体を投与媒体収容容器3から細胞医薬品容器2に移送し、投与媒体及び細胞医薬品を細胞医薬品容器2から回収容器4に移送することができる。
ただし、上記のように、回収容器4と細胞医薬品容器2との間や、細胞医薬品容器2と投与媒体収容容器3との間に動力手段5を設ける場合には、回収容器4から細胞医薬品容器2に向けて、液体、細胞、空気が逆流しないように図6に示す逆止弁7、7’と同様の逆止弁を設けたり、細胞医薬品容器2から投与媒体収容容器3に向けて、液体、細胞、空気が逆流しないよう、図6に示す逆止弁7、7’と同様の逆止弁を設けることが好ましい。
また、図5に示す移送システム10Cでは、複数の細胞医薬品容器2がガラス製のバイアルとされているが、例えば、この複数の細胞医薬品容器2の全て又は一部を図6に示す可撓性を有する細胞医薬品容器2Aに置き換えた移送システムにすることも可能である。この場合、置き換えた細胞医薬品容器2Aが動力手段5としての機能を奏するため、図5に示す動力手段5としてのシリンジを取り外すことが可能である。
さらに、投与媒体収容容器3及び回収容器4が、第2アダプタ6を介さずに直接第1アダプタ1と連結できる場合には、第2アダプタ6は不要である。具体的には、移送システム10等において、投与媒体収容容器3として可撓性を有する容器(例えば、医療用バッグ)を用いる例(例えば、図6(b)に示す投与媒体収容容器3A)を挙げることができる。この場合、投与媒体収容容器3の連結には、第2アダプタ6ではなく、一般的な注射針等を用いることができる。
1,1’,6・・・アダプタ
2,2A・・・細胞医薬品容器
3・・・投与媒体収容容器
4・・・回収容器
5・・・動力手段
7・・・逆止弁
11,11’・・・第1流路
12,12’・・・第2流路
15・・・フィルタ部材
10,10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G・・・移送システム

Claims (2)

  1. 胞医薬品移送システムを用いて細胞医薬品を移送する方法であって、
    前記細胞医薬品移送システムは、
    予め細胞医薬品が充填される細胞医薬品容器に取り付け可能なアダプタであって、前記細胞医薬品容器に取り付けられた状態において、それぞれ一端が前記細胞医薬品容器の内部に連通し、他端が前記細胞医薬品容器の外部に連通する、第1流路及び第2流路を備え、前記第1流路及び前記第2流路は、いずれも液体及び細胞が流通可能である、細胞医薬品容器用アダプタと、
    前記アダプタが取り付けられ、移送される細胞医薬品が収容される前記細胞医薬品容器と、
    前記アダプタが具備する前記第1流路に連通し、投与媒体が収容される投与媒体収容容器と、
    前記アダプタが具備する前記第2流路に連通し、前記細胞医薬品を回収するための回収容器と、
    前記投与媒体を前記投与媒体収容容器から前記第1流路を介して前記細胞医薬品容器に移送し、前記細胞医薬品及び前記投与媒体を前記細胞医薬品容器から前記第2流路を介して前記回収容器に移送するための動力を与える動力手段と、を備え、
    前記第1流路と前記第2流路とが異なる流路であり、
    前記投与媒体収容容器の前記第1流路に連通している側が下方となるように前記投与媒体収容容器を配置し、前記細胞医薬品容器の前記アダプタが取り付けられている側が下方となるように前記細胞医薬品容器を配置し、前記動力手段を用いて、前記投与媒体を前記投与媒体収容容器から前記第1流路を介して前記細胞医薬品容器に移送すると共に、前記細胞医薬品及び前記投与媒体を前記細胞医薬品容器から前記第2流路を介して前記回収容器に移送する、
    ことを特徴とする細胞医薬品移送方法。
  2. 細胞医薬品が充填される細胞医薬品容器に取り付け可能なアダプタであって、前記細胞医薬品容器に取り付けられた状態において、それぞれ一端が前記細胞医薬品容器の内部に連通し、他端が前記細胞医薬品容器の外部に連通する、第1流路及び第2流路を備え、前記第1流路及び前記第2流路は、いずれも液体及び細胞が流通可能である、細胞医薬品容器用アダプタと、
    前記アダプタが取り付けられ、移送される細胞医薬品が収容される前記細胞医薬品容器と、
    前記アダプタが具備する前記第1流路に連通し、投与媒体が収容される投与媒体収容容器と、
    前記アダプタが具備する前記第2流路に連通し、前記細胞医薬品を回収するための回収容器と、
    前記投与媒体を前記投与媒体収容容器から前記第1流路を介して前記細胞医薬品容器に移送し、前記細胞医薬品及び前記投与媒体を前記細胞医薬品容器から前記第2流路を介して前記回収容器に移送するための動力を与える動力手段と、
    を備える細胞医薬品移送システムを用いて前記細胞医薬品を移送する方法であって、
    前記細胞医薬品容器が、可撓性を有し、撓ませられることで前記動力手段としての機能を奏し、
    前記投与媒体収容容器の前記第1流路に連通している側が下方となるように前記投与媒体収容容器を配置し、前記細胞医薬品容器の前記アダプタが取り付けられている側が下方となるように前記細胞医薬品容器を配置し、前記細胞医薬品容器を撓ませた状態から元に戻すことで、前記投与媒体を前記投与媒体収容容器から前記第1流路を介して前記細胞医薬品容器に移送し、前記細胞医薬品容器を撓ませることで、前記細胞医薬品及び前記投与媒体を前記細胞医薬品容器から前記第2流路を介して前記回収容器に移送する、
    ことを特徴とする細胞医薬品移送方法。
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