JP7265929B2 - 保守工程フロー生成装置及び保守工程フローの生成方法 - Google Patents

保守工程フロー生成装置及び保守工程フローの生成方法 Download PDF

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Description

本発明は、プラントの保守の工程フローを生成する装置及び方法に関する。
石油精製プラント、有機材料プラント、及び発電プラント等のプラントには、生産のための反応機器、材料、中間生成物、生産物、及び廃棄物等を運ぶ配管、並びに、配管の流れを制御するための弁及びポンプ等から構成される。配管同士は継手等の部品で連結される。
プラント操業によって、これらの機器及び配管は劣化する。機器は生産に応じて、例えば故障の防止や品質を維持する等の目的で、保守が行われる。配管の劣化は、流量、流速や流体、また温度等の環境に依存する腐食等が原因となり、使用の経年で減肉する。生産性、品質の影響や破損、事故発生等のリスクのため、点検し、交換の保守が必要である。
配管の外面の劣化は、例えば保守作業員が目視観察すれば判断できるが、内面の劣化は目視では確認できない。プラントが稼働中で、配管内に流れがある場合には、分解検査はできない。そのため事前に設計された配管の寿命設定に対して、定期的に交換の保守を実施する必要がある。保守計画では、数年以上の長期に亘って、プラント内のまとまった配管の範囲に対する保守の工程が決定される。保守の方式としては定期メンテナンス(Scheduled Maintenance)である。
配管の減肉量を評価する手段としては、CAE(Computer-aided Engineering)解析技術、さらに超音波及びレーザーを用いた計測技術があり、減肉評価のエンジニアリングサービスが近年普及してきた。これらの技術によれば、評価時点での減肉量、すなわち、配管肉厚が分り、これまでの利用による減肉量から、配管の使用限界時期までの期間である余寿命を予測できる。
設備の状態を監視して保守を行う方式である状態監視保全CBM(Condition-based Maintenance)、センサ情報等をモニタして異常検知されたら故障発生前に保守を行う予知メンテナンス(Predictive Maintenance)が知られている。これらは定期的に実施する保守による不要な保守作業を無くし、また故障を未然に防ぐ方式である。配管の減肉評価により余寿命を予測できれば、余寿命に応じた保守を計画でき、不要な定期メンテナンスを無くし、事故等のリスクを防止できる。
プラントは、ビルディングのような建築物、又はそれ以上の大規模な構造物である。建設工事で揚重機、足場が必要なように、保守でも揚重機、足場が必要である。配管の減肉検査をする場合でも目的の配管に行くためには足場が必要となる場合がある。さらに、配管は長く接続されており、保守の際には、配管の中を空にしなければならないため、同時に稼動する系統ラインを停止する必要がある。配管の入り組んだ構造に対して、段取りと解体、据付の作業性を評価する必要がある。そのために、プラントのCADの配管及び機器の情報、配管の接続情報、並びに3次元位置情報を活用する。
一方、作業の観点からは、余寿命が短い一つの配管のみを交換する場合であっても、足場、揚重機が必要となり大きな費用がかかる。また系統ラインを停止する必要もあるため、隣接する配管もまとめて同時に保守したほうが、個々に保守するよりも、段取りの観点で費用が少なく、また系統ラインの停止による生産性低下も防げる。
特許文献1では、プラント建設支援装置として、既設プラントのCAD部品を機能、空間、設計情報に基づいてグループ化して、対応する工程テンプレートを作成する。新設プラントのCAD部品をグループ化して、既設プラントのCAD部品グループと類似判定し、新設プラント用の工程を生成する技術が提案される。
特許文献2では、プラントを構成する複数の配管についての点検を実施するために設置する足場の情報を得るための配管保全システムが提案される。配管毎の点検項目、点検計画と、配管の3次元位置情報より、点検の際の足場を3次元的に表示して足場と配管との干渉チェックを行う技術である。
特開2012-230586号公報 特開2015-125523号公報
プラントの入り組んだ配管構造に対して、足場及びクレーンの設置等の段取り工程の要否と、解体及び据付の保守作業性を評価するためにCADデータを活用する。そして余寿命予測に基づいて決定された保守対象の配管に対して、配管ラインの範囲を取りまとめて、段取りと保守作業性を総合して保守工程フローを設計すること課題である。保守工程フローが決まれば、実際の日程に展開する日程計画を行えば、日程、コストが評価できる。
特許文献1は、過去に建設したプラントの部品グループから、新設プラント用の工程を生成するものであり、余寿命予測によって指示される配管と系統ラインといったプラントの部分的な保守の工程を生成できない。
特許文献2の技術により、点検での足場構築位置が判断できるが、点検での作業性評価についての提案は無い。プラントの配管保守では、段取りと保守作業性の評価を総合して工程を設計する必要があるため、足場構築だけで保守工程を設計できない。また揚重機の選定ができるだけでも、作業性を評価するだけでも工程を設計できない。段取りと保守作業性を総合する手段が必要である。
本発明の目的は、配管の余寿命の予測結果に基づいてプラントの保守の工程フローを自動的に設計する技術を提供することである。
本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。複数の配管及び複数の機器を要素として含むプラントに対して行われる保守の工程フローを生成する保守工程フロー生成装置であって、前記保守工程フロー生成装置は、
プロセッサ、前記プロセッサに接続される記憶装置、及び前記プロセッサに接続されるインタフェースを備え、対象プラントに含まれる前記複数の要素、前記複数の要素の接続、並びに前記複数の要素の座標に関する構成情報と、前記複数の配管の各々の寿命に関する寿命情報と、前記保守の作業である工程の順序関係を定義したマスタ工程フロー情報と、を保持し、前記マスタ工程フロー情報は、前記要素に関する工程の順序関係、前記要素の設置場所の高さに応じた工程の順序関係、前記要素及び前記要素の設置場所に依存しない工程の順序関係を定義した情報であって、工程名称、部品名称、高さ情報、固有作業時間、及び高さ判定の要素から構成されるエントリを格納し、前記要素に関する工程の順序関係は、前記要素の解体及び据付の工程と、前記要素に対する準備及び後処理の段取りの工程との順序を定義したものであり、前記要素の設置場所の高さに応じた工程の順序関係は、高さ判定に応じて定義される、揚重機の設置及び撤去の工程と、足場の設置及び解体の工程との順序を定義したものであり、前記要素及び前記要素の設置場所に依存しない工程の順序関係は、特定の工程の前又は後に挿入される工程を定義したものであり、前記保守工程フロー生成装置は、前記寿命情報に基づいて対象配管を特定し、前記構成情報に基づいて、前記対象配管を含む、保守対象とする前記要素の組合せである保守範囲を抽出し、前記構成情報に基づいて、まとめて保守を行える前記複数の要素に対する保守に必要な工程の要否を判定し、前記工程の要否判定の結果及び前記マスタ工程フロー情報に基づいて、前記対象プラントの保守で行われる工程の順序関係を定義した工程フローを生成し、前記構成情報に基づいて、前記工程フローに含まれる工程の作業性を評価し、前記作業性の評価の結果に基づいて、前記工程フローの作業時間を算出し、前記保守範囲、前記工程フロー、及び前記作業時間を提示する情報を出力する。
本発明よれば、配管の余寿命の予測結果に基づいてプラントの保守の工程フローを自動的に設計できる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
実施例1の計算機システムが実行する保守工程フローの設計処理の一例を説明するフローチャートである。 実施例1の計算機システムの構成の一例を示す図である。 保守計画を生成するためのシステムを実現するための要件を示す図である。 実施例1の保守工程フロー設計システムが実行する処理におけるデータの流れを示す図である。 実施例1の構成情報により定義されるプラントの構造の一例を示す図である。 実施例1の保守工程フロー設計システムにより生成された工程フローの一例を示す図である。 実施例1の保守工程フロー設計システムにより生成された工程フローの一例を示す図である。 実施例1の保守工程フロー設計システムが用いる制約条件の一覧を示す図である。 実施例1の保守工程フロー設計システムが実行する処理と制約条件との関係を示す図である。 P&IDの一例を示す図である。 実施例1の構成情報のデータ構造の一例を示す図である。 実施例1の構成情報のデータ構造の一例を示す図である。 実施例1の余寿命情報のデータ構造の一例を示す図である。 実施例1のマスタ工程フロー情報のデータ構造の一例を示す図である。 実施例1のマスタ工程フロー情報の一例を示す図である。 実施例1のマスタ工程フロー情報の一例を示す図である。 実施例1のマスタ工程フロー情報の一例を示す図である。 実施例1の系統ライン意味情報のデータ構造の一例を示す図である。 配管及び機器の接続の一例を示す図である。 実施例1の流れの経路の特定方法を示す図である。 稜線及び節点の関係を示す図である。 実施例1の配管に沿った経路の特定方法を示す図である。 巡回路となっている外周における要素の状態を示す図である。 高さ範囲の定義の一例を示す図である。 高さレベルが異なる配管が囲む領域の一例を示す図である。 高さレベルが異なる配管が囲む領域の一例を示す図である。 揚重機及び配管の位置関係の一例を示す図である。 保守範囲に対する揚重機の配置の一例を示す図である。 配管を含む領域の一例を示す図である。 配管を含む領域の一例を示す図である。 作業可能領域の評価方法の概念を示す図である。 作業可能領域の一例を示す図である。 配管を含む領域の決め方の一例を示す図である。 作業空間の制約条件を管理するのデータの構成を示す。 作業空間の制約条件を管理するのデータの構成を示す。 作業空間の制約条件を管理するのデータの構成を示す。 作業空間の制約条件を管理するのデータの構成を示す。 実施例2の計算機システムが実行する保守工程フローの設計処理の一例を説明するフローチャートである。 実施例1又は実施例2で説明した計算機システムを活用したビジネスモデルの一例を示す図である。
図1は、実施例1の計算機システムが実行する保守工程フローの設計処理の一例を説明するフローチャートである。図2は、実施例1の計算機システムの構成の一例を示す図である。
計算機システムは、保守計画(保守工程フロー)を生成するためのシステムであり、保守工程フロー設計システム201、日程計画システム202、及びO&M(Operation and Maintenance)シミュレータ203から構成される。
保守工程フロー設計システム201、日程計画システム202、及びO&Mシミュレータ203は、例えば、プロセッサ205、メモリ206、及びネットワークインタフェース207を備える計算機を用いて実現される。なお、保守工程フロー設計システム201、日程計画システム202、及びO&Mシミュレータ203は、複数の計算機を用いて実現してもよい。
プロセッサ205は、メモリ206に格納されるプログラムを実行する。プロセッサ205がプログラムにしたがって処理を実行することによって、特定の機能を実現する機能部(モジュール)として動作する。以下の説明では、機能部を主語に処理を説明する場合、プロセッサ205が当該機能部を実現するプログラムを実行していることを示す。
メモリ206は、プロセッサ205が実行するプログラム及びプログラムが使用する情報を格納する。また、メモリ206は、プログラムが使用するワークエリアを含む。
ネットワークインタフェース207は、ネットワークを介して外部装置と通信するためのインタフェースである。ネットワークは、例えば、LAN(Local Area Network)及びWAN(Wide Area Network)である。
なお、計算機は、HDD(Hard Disk Drive)及びSSD(Solid State Drive)等の記憶装置、キーボード及びマウス等の入力装置、ディスプレイ等の出力装置を備えてもよい。
保守工程フロー設計システム201、日程計画システム202、及びO&Mシミュレータ203は、プラントの配管及び機器の組合せに対する工程フローを生成する。
日程計画システム202は、工程フローに基づいて保守作業の日程計画を生成する。すなわち、保守計画が生成される。日程計画システム202は、生成された日程計画を評価してもよい。
O&Mシミュレータ203は、プラントの生産性及び保守作業のコスト等のプラント操業の観点から保守作業の実施の良否を判定する。
ここで、保守工程フロー設計システム201が実行する処理について説明する。
保守工程フロー設計システム201は、工程フローを生成するために必要な各種情報を取得する(ステップS101)。
例えば、プラントにおける配管及び機器に関する情報、配管の寿命に関する情報、保守実施時期に関する情報、実施する工程に関する情報、工程に用いる設備に関する情報、及び、工程の評価値を算出するためのアルゴリズム(算出式)等が取得される。
プラントにおける配管及び機器に関する情報には、プラントに存在する要素(配管及び機器)、要素間の接続関係、及び要素の座標等が含まれる。これらの情報は、例えば、3次元CADデータから取得することができる。
配管の寿命に関する情報には、配管の余寿命の予測値が含まれる。配管の余寿命の予測値は公知の技術を用いて算出されるものとする。
保守実施時期に関する情報には、保守を実施する時期等が含まれる。当該情報は、保守対象とする配管を特定するために用いられる。例えば、保守実施時期が現在から一ヶ月後及び半年後である場合、余寿命が半年より短い配管が一ヶ月後の保守対象として特定される。なお、当該情報は、具体的な値ではなく、配管の余寿命の予測値から、保守時期を振り分ける演算処理を実現するアルゴリズムとして設定されてもよい。
実施する工程に関する情報には、工程の内容及び順序等の定義が含まれる。
工程に用いる設備に関する情報には、揚重機、切断機、溶接機等の設備の性能及び大きさ等が含まれる。例えば、揚重機が到達できる高さ、移動距離等が含まれる。切断機の切断性能等は、作業時間の算出に用いるパラメータとして利用できる。これによって、作業時間を考慮した工程を生成することができる。
工程の評価値を算出するためのアルゴリズムには、作業時間を算出するための式が含まれる。当該式は、保守の施工能力、実行能力、及び負荷等を示すパラメータにより定義された式である。
次に、保守工程フロー設計システム201は、保守を行う必要がある必須配管を選択する(ステップS102)。
例えば、保守実施時期が与えられている場合、保守工程フロー設計システム201は、当該時期に寿命を迎える可能性がある配管を必須配管として選択する。また、配管の余寿命から保守実施時期を算出するアルゴリズムが与えられている場合、保守工程フロー設計システム201は、算出時に参照した余寿命に対応する配管を必須配管として選択する。
次に、保守工程フロー設計システム201は、保守対象となる配管及び機器の組合せ(保守範囲)を抽出する(ステップS103)。
具体的には、保守工程フロー設計システム201は、後述する配管の制約条件に基づいて、必須配管を含む系統ライン、並びに、系統ラインに付随する機器、配管、及び他の系統ラインを組み合わせることによって保守範囲を抽出する。ここでは、複数の保守範囲が抽出される。
なお、保守工程フロー設計システム201は、必須配管以外の配管を含む系統ラインを除外した保守範囲を抽出してもよい。
ステップS104からステップS111までの処理は保守範囲のループ処理である。まず、保守工程フロー設計システム201は対象の保守範囲を選択する(ステップS104)。
次に、保守工程フロー設計システム201は、揚重機要否判定処理を実行する(ステップS105)。
具体的には、保守工程フロー設計システム201は、後述する作業空間の制約条件に基づいて、保守作業において揚重機が必要であるか否かを判定する。
例えば、保守作業が点検だけであるならば、揚重機は不要と判定される。配管若しくは機器が高所にある場合、配管若しくは機器が大きい場合、又は、配管若しくは機器が重い場合、揚重機は必要であると判定される。
次に、保守工程フロー設計システム201は、可達性(アクセス)判定処理を実行する(ステップS106)。
具体的には、保守工程フロー設計システム201は、可達性の制約条件及び作業空間の制約条件に基づいて、保守範囲に含まれる配管又は機器に、作業員又は揚重機が到達できるか否かを判定する。
例えば、高さあり、かつ、大きな配管に囲まれた保守範囲内にある配管に作業員がアクセスする場合、はしご又は足場の設置が必要となる。また、高所に配管がある場合も足場の構築が必要となる。
例えば、揚重機が必要な場合、配管に吊り金具が到達可能な位置に揚重機を設置するためには、設置位置に障害物があってはならない。また、保守工程フロー設計システム201は、揚重機が設置可能な領域内において、所定の揚重機が配管にアクセス可能か判定し、又は、配管にアクセス可能な揚重機の仕様を判定する。
次に、保守工程フロー設計システム201は、足場要否判定処理を実行する(ステップS107)。
具体的には、保守工程フロー設計システム201は、可達性の制約条件及び作業空間の制約条件に基づいて、保守のために足場の設置が必要か否かを判定する。
例えば、配管が高所にある場合等、地上で作業を行うことができない位置に配管がある場合、足場を設置する必要がある。足場は段々に階層的に構築されるものであるため、高所に配管がある場合、複数階層の足場が設置される。足場が設置された配管の直上の配管を保守するためには、当該足場の上に新たな足場を設置すればよい。水平に連結された配管又は近接する配管の保守は、特定の範囲で同時に足場を設置すれば、足場の設置に要する労力及びコスト等を削減できる。
次に、保守工程フロー設計システム201は、作業負荷算出処理を実行する(ステップS108)。
具体的には、保守工程フロー設計システム201は、ステップS105からステップS107の処理結果に基づいて、対象の保守範囲において実施する工程を特定する。さらに、保守工程フロー設計システム201は、後述する作業空間の制約条件に基づいて、特定された各工程の作業性を評価するためのパラメータの値の算出又は特定を行う。
次に、保守工程フロー設計システム201は、工程フロー生成処理を実行する(ステップS109)。
具体的には、保守工程フロー設計システム201は、後述するマスタ工程フロー情報234に基づいて各工程の実行順序を決定することによって保守範囲に対する工程フローを生成する。
例えば、高所の配管の保守を行うための工程フローは、足場の構築、配管への揚重機の吊り金具の取付け、配管の解体、配管の除去、吊り金具の取り外し、交換用の配管への吊り金具を取り付け、交換用の配管の据付け、吊り金具の取り外し、足場の解体、となる。
次に、保守工程フロー設計システム201は、工程フローの作業時間及び作業費用を算出する(ステップS110)。
具体的には、保守工程フロー設計システム201は、アルゴリズム(数式)に基づいて、ステップS108で算出又は特定されたパラメータ値から、工程フローに含まれる各工程の作業時間を算出し、各工程の作業時間の総和を工程フローの作業時間として算出する。また、保守工程フロー設計システム201は、工程フローの作業時間に作業単価を乗算することによって作業費用を算出する。なお、設備使用に関する工程については、設備固有の費用を加算してもよい。
次に、保守工程フロー設計システム201は、全ての保守範囲について処理が実行されたか否かを判定する(ステップS111)。
全ての保守範囲について処理が実行されていないと判定された場合、保守工程フロー設計システム201はステップS104に戻り、同様の処理を実行する。
全ての保守範囲について処理が実行されたと判定された場合、保守工程フロー設計システム201は、各保守範囲の工程フローの中から、日程計画システム202に出力する工程フローを決定する(ステップS112)。
例えば、コストに基づいて工程フローを決定する場合、保守工程フロー設計システム201は、作業費用が小さい順に保守範囲の工程フローをソートし、作業費用が最も小さい保守範囲の工程フローを日程計画システム202に出力する。
なお、保守工程フロー設計システム201は、全ての工程フローの一覧、又は、任意の条件を満たす工程フローの一覧をユーザに提示してもよい。この場合、ユーザが、当該一覧を参照して、予算、工数、及び日数等の観点に基づいて工程フローを決定する。
なお、情報及びプログラムは、任意のタイミングで取得してもよい。なお、作業負荷算出処理及び工程フロー生成処理の処理順番は入れ替えてもよいし、同時に実行されてもよい。
次に、保守工程フロー設計システム201の機能構成について説明する。
保守工程フロー設計システム201は、情報取得部211、必須配管選択部212、工程計画器213、評価値算出部214、及び工程フロー選択部215を機能部として有する。
また、保守工程フロー設計システム201は、構成情報231、余寿命情報232、設備情報233、マスタ工程フロー情報234、作業時間算定式情報235、系統ライン意味情報241、配管連結情報242、流れ経路情報243、巡回経路情報244、アクセシビリティ(グラフ)情報251、アクセシビリティ(作業員)情報252、高さ範囲情報253、配管周辺領域情報254、配管領域情報261、作業可能領域情報262、配管大きさ情報263、及び配管密集度情報264を保持する。
構成情報231は、プラントにおける配管及び機器の構成を管理するための情報である。余寿命情報232は、配管の寿命を管理するための情報である。設備情報233は、揚重機等の設備の大きさ及び性能等を管理するための情報である。
マスタ工程フロー情報234は、工程の順序関係の定義を管理するための情報である。作業時間算定式情報235は、工程の作業時間を算出するための作業時間算定式を管理するための情報である。
系統ライン意味情報241は、反応炉、原料供給、及び生成物出力等、特定の用途又は機能を実現する配管及び機器の接続を系統ラインとして管理するための情報である。
配管連結情報242は、配管の連結性に関する制約条件を管理するための情報である。
流れ経路情報243は、流れの経路に関する制約条件を管理するための情報である。
巡回経路情報244は、配管に沿った経路に関する制約条件を管理するための情報である。
アクセシビリティ(グラフ)情報251は、アクセシビリティ(グラフ)に関する制約条件を管理するための情報である。
アクセシビリティ(作業員)情報252は、アクセシビリティ(作業員)に関する制約条件を管理するための情報である。
高さ範囲情報253は、高さ違い範囲の重複に関する制約条件を管理するための情報である。
配管周辺領域情報254は、配管の周囲の領域に関する制約条件を管理するための情報である。
配管領域情報261は、配管を含む領域に関する制約条件を管理するための情報である。
作業可能領域情報262は、作業可能領域に関する制約条件を管理するための情報である。
配管大きさ情報263は、配管の大きさに関する制約条件を管理するための情報である。
配管密集度情報264は、配管の密集度に関する制約条件を管理するための情報である。
以下の説明では、系統ライン意味情報241、配管連結情報242、流れ経路情報243、巡回経路情報244、アクセシビリティ(グラフ)情報251、アクセシビリティ(作業員)情報252、高さ範囲情報253、配管周辺領域情報254、配管領域情報261、作業可能領域情報262、配管大きさ情報263、及び配管密集度情報264をまとめて制約条件情報とも記載する。
情報取得部211は、各種情報を取得する機能部である。具体的には、情報取得部211は、構成情報231、余寿命情報232、設備情報233、マスタ工程フロー情報234、及び作業時間算定式情報235を取得する。
なお、情報取得部211は、保守工程フロー設計システム201に接続される外部システム又は端末を介して、情報を取得する。なお、取得するデータの形式に限定されない。例えば、テキスト形式又はCSV形式のデータから、所定のデータ形式に変換し、格納してもよい。また、情報取得部211は、一度に情報を取得しなくてもよい。例えば、情報取得部211は、所定の情報が必要となった場合に当該情報を取得してもよい。
必須配管選択部212は、余寿命情報232に基づいて必須配管を選択する機能部である。
工程計画器213は、各種制約条件に基づいて保守範囲を抽出し、保守範囲の工程フローを生成する機能部である。工程計画器213は、保守範囲抽出部221、揚重機要否判定部222、可達性判定部223、足場要否判定部224、作業負荷算出部225、工程フロー生成部226から構成される。
保守範囲抽出部221は、構成情報231(特に、配管及び機器、並びに配管の接続に関する情報)、必須配管、系統ライン意味情報241、配管連結情報242、流れ経路情報243、及び巡回経路情報244に基づいて、保守範囲を抽出する機能部である。
揚重機要否判定部222は、構成情報231(特に、配管及び機器の重量、大きさ、及び配置に関する情報)に基づいて、揚重機の要否を判定する機能部である。
可達性判定部223は、保守範囲に対する作業員及び揚重機の可達性を判定する機能部である。具体的には、可達性判定部223は、構成情報231(特に、配管及び機器、配管の接続、並びに位置に関する情報)及びアクセシビリティ(作業員)情報252に基づいて、作業員が保守範囲に含まれる機器及び配管に到達できるか否かを判定する。また、可達性判定部223は、構成情報231(特に、配管及び機器、配管の接続、並びに位置に関する情報)、アクセシビリティ(グラフ)情報251、高さ範囲情報253、及び配管周辺領域情報254に基づいて、揚重機が保守範囲に含まれる機器及び配管に到達できるか否かを判定する。
足場要否判定部224は、構成情報231(特に、配管の接続及び位置に関する情報)及び高さ範囲情報253に基づいて、足場が必要か否かを判定する機能部である。例えば、高さが異なる配管に対する足場、又は近接する配管に対する足場が共有されるように、足場の要否の判定が行われる。また、高所に設置された配管については、低い位置の足場の必要性が判定される。
作業負荷算出部225は、構成情報231、揚重機要否判定部222の処理結果、及び足場要否判定部224の処理結果と、配管領域情報261、作業可能領域情報262、配管大きさ情報263、及び配管密集度情報264とに基づいて、算定式に代入するための各種パラメータ値を算出する機能部である。
工程フロー生成部226は、構成情報231、マスタ工程フロー情報234、揚重機要否判定部222の処理結果、及び足場要否判定部224の処理結果に基づいて、工程フローを生成する機能部である。
以上が工程計画器213の説明である。
評価値算出部214は、作業負荷算出部225によって算出されたパラメータ値に基づいて、各保守範囲の工程フローの評価値を算出する機能部である。具体的には、評価値算出部214は、作業負荷算出部225によって算出されたパラメータ値に基づいて、各保守範囲の工程フローの作業時間を算出する。また、評価値算出部214は、作業時間、作業時間単価、及び工程固有の情報に基づいて作業費用を算出する。
なお、複数の保守範囲の工程フローの作業時間を算出することを想定し、工程計画器213と評価値算出部214とを別々の構成としたがこれに限定されない。例えば、工程計画器213の作業負荷算出部225又は工程計画器213に評価値算出部214を含めてもよい。
工程フロー選択部215は、工程フローを選択する機能部である。例えば、工程フロー選択部215は、作業費用に基づいて工程フローを選択する。なお、日程計画システム202又はO&Mシミュレータ203の処理結果に基づいて、工程フローが選択されてもよい。
次に、プラントO&Mにおいて、配管の劣化の評価結果から算出された各配管の余寿命に基づいて保守計画を生成するシステムを実現するために必要となる手法及び技術について説明する。図3は、保守計画を生成するためのシステムを実現するための要件を示す図である。図3では、四角は処理を示し、矢印は処理の流れを示し、吹出は処理によって得られるデータを意味する。
ここでは、CAD300を用いてプラントが設計されることを想定する。CAD300を用いて設計されたプラントの設計情報(CADデータ)には、要素(配管及び機器)のリスト、要素の形状及び位置、並びに、要素間の接続関係等を示すデータが含まれる。
以下で説明する処理の主体は計算機であるものとする。なお、各処理を実行する計算機は同一でもよいし、異なっていてもよい。
計算機は、プラントの設計情報から、配管の余寿命予測及び保守計画の生成に必要となるデータを抽出するためにデータ抽出処理を実行する(P310)。
工程を特定するための情報を抽出する技術が必要である。例えば、公知の技術を用いることによって、プラントの設計情報からP&ID(Piping & Instrumentation Flow Diagram)及び3次元座標情報を処理結果として取得することができる。P&IDは配管計装図とも呼ばれる。
ここでは、P&IDは、プラントの要素のリスト及び要素間の接続関係を示す情報を意味しており、特定のデータ形式及びファイルフォーマットを表しているものではない。3次元座標情報には、寸法等、座標値から算出される情報が含まれてもよい。
計算機は、P&ID及び3次元座標情報を用いて、余寿命予測処理を実行する(P320)。
余寿命を予測するための技術が必要である。より具体的には、配管の腐食等の劣化による余寿命を予測するためには、腐食モデルが必要である。これは、物理的な理論から得られるCAE(Computer-Aided Engineering)シミュレーションのための解析モデル、又は、実際のデータ及び理論的に導出したばらつきを反映した統計モデルを利用すればよい。なお、配管の余寿命を予測する場合、実際の配管の検査結果及び保守実績も参照する必要がある。余寿命予測処理の結果として、各配管の余寿命を取得することができる。
計算機は、P&ID、3次元座標情報、及び各配管の余寿命に基づいて、保守範囲(配管及び機器の組合せ)の抽出処理を実行する(P330)。
効率的かつ効果的な保守作業を実現するための保守範囲を抽出する技術が必要である。そこで、実施例1では、保守範囲を抽出するために配管連結の制約条件を定義する。計算機は、配管連結の制約条件に基づいて保守範囲を抽出する。ステップS103の処理が保守範囲の抽出処理に対応する。
計算機は、保守範囲及び作業領域を組み合わせて、工程要否判定処理及び作業性評価処理を実行する(P340)。
保守範囲に対する保守に必要な工程を特定する技術及び保守範囲における作業性を評価するための技術が必要である。そこで、実施例1では、工程の特定及び作業性の評価を実現するために、可達性の制約条件及び作業空間の制約条件を定義する。計算機は、可達性の制約条件及び作業空間の制約条件に基づいて、必要な工程を特定し、また、工程の作業時間を算出するためのパラメータ値を算出する。ステップS105からステップS107の処理が工程要否判定処理に対応し、ステップS108の処理が作業性評価処理に対応する。
計算機は、特定された工程に基づいて、工程フロー生成処理を実行する(P350)。
具体的な工程の内容を決定し、また、工程の順序を決定するための技術が必要である。そこで、実施例1では、工程の内容及び順序関係、並びに、工程のまとめ関係を定義するマスタ工程フロー情報234を設定する。ステップS109の処理が工程フロー生成処理に対応する。
なお、工程要否判定において工程をまとめる場合、計算機は、工程要否判定処理においてマスタ工程フロー情報234を参照してもよい。
計算機は、P&ID及び3次元座標情報と、工程要否判定処理及び作業性評価処理によって算出されたパラメータ値とに基づいて、作業時間算出処理を実行する(P360)。
工程の施工能力をパラメータ化する技術と、作業時間を算出するためのアルゴリズムとが必要である。実施例1では、P350において、作業性を評価するパラメータ値が算出され、また、後述するアルゴリズムに基づいて作業時間が算出される。なお、パラメータ値はP&ID及び3次元座標情報から直接算出してもよい。ステップS110の処理が作業時間算出処理に対応する。
計算機は、作業時間及び工程フローを用いて、保守計画設計処理及び保守計画評価処理を実行する(P370)。
保守計画を評価するためのKPI(Key Performance Indicator)を定義する必要がある。当該処理によって、工程及び日程等を含む保守計画と、保守コスト等のKPIとが出力される。ユーザは、当該出力に基づいて、保守計画を比較することができる。
なお、計算機は、工程フローを作業時間又は作業コスト等でソートしたリストを提示することもできる。ユーザは、リストを参照することによって、工程フローを比較し、最適な工程フローから保守計画を生成し、また、KPIを求めることができる。
実施例1では、P310、P320、P370の処理は公知の技術を用いている。実施例1で説明する発明は、P330、P340、P350、P360を実現する技術を提供する。
図4は、実施例1の保守工程フロー設計システム201が実行する処理におけるデータの流れを示す図である。図5は、実施例1の構成情報231により定義されるプラントの構造の一例を示す図である。図6A及び図6Bは、実施例1の保守工程フロー設計システム201により生成された工程フローの一例を示す図である。
ここでは、図5に示すようなプラントの構成情報231が入力されるものとする。まず、プラントの構造の一例を説明する。図5は、3次元空間におけるプラントの機器及び配管の配置を表したグラフである。
図5では、左から右の方向をx座標軸の正、下から上の方向をy座標軸の正、右斜め上の方向をz座標軸の正とする。また、点線はx座標及びy座標の格子である。太い実線は配管を表し、四角は継手を表し、丸は弁(バルブ)を表し、三角はエルボを表す。エルボは上下の方向を90度変化させた継手である。
また、図5では、配管と、継手、バルブ、及びエルボ等の機器とを識別するために、アルファベット一文字と二桁の数字とを組み合わせた記号を付している。「P」は配管の識別記号であり、「J」は継手の識別記号であり、「V」はバルブの識別記号であり、「E」はエルボの識別記号である。
以下の説明では、ステップS102の処理において、パイプP16及びパイプP17が必須配管として選択されたものとする。
保守工程フロー設計システム201は、ステップS103の処理を実行することによって保守範囲を抽出する。
ここでは、保守範囲1(411)、保守範囲2(412)、保守範囲3(413)、及び保守範囲4(414)が抽出されたものとする。
例えば、保守範囲1(411)は、要素J01、P02、J02、P04、J04、P07、J05、P19、E02、P18、J09、P17、V06、P16、J08、P15、E01、P14の組合せである。また、保守範囲2(412)は、要素P16、V06、P17の組合せであり、必須配管P16、P17を含む最小の保守範囲である。保守範囲3(413)及び保守範囲4(414)も、同様に、必須配管P16、P17を含む要素の組合せである。
保守工程フロー設計システム201は、保守範囲1(411)に対して、可達性の制約条件及び作業空間の制約条件に基づいてステップS105からステップS108の処理を実行する。これによって、段取り、要素の保守作業をまとめた工程群1が特定され、また、工程の作業性を評価するパラメータ値1が算出される。保守工程フロー設計システム201は、マスタ工程フロー情報234に基づいてS109の処理を実行し、また、作業時間算定式情報235に基づいてステップS110の処理を実行する。これによって、工程群1から工程フロー1が生成され、また、パラメータ値1から工程フロー1の作業時間1が算出される。
保守工程フロー設計システム201は、保守範囲2(412)、保守範囲3(413)、保守範囲4(414)のそれぞれに対して同様の処理を実行する。
保守工程フロー設計システム201は、工程フローの良否を判定するための情報として、工程フローに含まれる作業時間の合計値又は標準偏差等に基づいてソートされた工程フローのリストを提示する。
保守工程フロー設計システム201により生成された工程フローの一例を図6A及び図6Bに示す。
図6Aに示す工程フロー1は、保守実施時期を3回に分けた例である。なお、図6Aに示すような工程フローの生成方法については実施例2で説明する。図6Bに示す工程フロー2は、同一の対象を1回で保守する例である。
図6Aに示す工程フロー1では、1回目の保守作業時間が158時間、2回目の保守作業時間が204時間、3回目の保守作業時間が231時間であり、図6Bに示す工程フロー2では、1回の保守作業時間が334時間である。工程フロー1は、各回の作業時間は231時間より少なく、1回の保守作業の費用が低い。ただし、全ての保守作業時間は593時間となる。一方、工程フロー2の保守作業時間は334時間であり、工程フロー1より保守作業の費用を抑えることができることが分かる。このように、保守範囲毎に工程フローを生成することによって、工程フローの良否を判断できる。
次に、制約条件及び処理について説明する。
保守工程フローの設計では、プラントの系統に対して保守対象を決定し、保守実施時期毎の範囲を決定することが必要である。点検だけでなく、解体と据付をする場合には揚重機が必要である。また、足場の設置も必要である。作業領域は系統ごとに、また近い範囲でまとめると、同時、連続して作業できる。足場の共通化もできる。
作業領域の設定は作業の内容及び負荷に影響する。全ての要因は保守工程フローの設計に必要であるため、工程フローを設計するための制約条件を、配管連結に関する制約条件と空間に関する制約条件に分ける。そして空間に関しては、作業員及び揚重機が配管に対して作業ができるかという可達性の制約条件と、作業領域をまとめた場合の作業性を評価するための作業空間の制約条件で整理した。本発明では、配管連結、可達性、作業空間の三つの制約条件を以下のように設定する。
配管の制約条件は、系統ラインの意味、配管の連結性、流れの経路、及び配管に沿った経路に関する制約条件を含む。
(1)系統ラインの意味
配管及び機器の接続に関する情報として、反応炉、原料供給、生成物出力等の系統ラインの意味を示す情報がCADデータに定義される場合、配管及び機器は一連で機能することを意味する。実施例1では、前述の情報を制約条件として用いる。当該制約条件は、保守する配管及び機器の組合せを選択するために用いられる。
(2)配管の連結性
当該制約条件は、必須配管と連結している配管、すなわち、隣接している配管を特定するために用いられる。
(3)流れの経路
当該制約条件は、配管の流れの方向と機器における入出力関係とから、一連の流れの配管の繋がりを抽出するために用いられる。
(4)配管に沿った経路
作業を連続的に進める場合、配管に沿って作業をすれば効率的である。特に、点検といった作業では、経路が開始位置から一回りして元の開始位置まで戻る巡回経路であれば効率的である。当該制約条件は、巡回路を求めるために用いられる。
可達性の制約条件は、アクセシビリティ(グラフ)、作業員アクセシビリティ、高さ違いの範囲の重複、及び配管の周囲の領域に関する制約条件を含む。
(5)アクセシビリティ(グラフ)
地上と同じ高さに配管が配置されている場合を想定する。当該配管に囲まれた領域の内側には、移動式の揚重機又はトラック等は入れない。このように配管の繋がりの最も外周となる配管の巡回路の内側における保守対象の配管の有無に基づいて可達性を判断できる。当該制約条件は、最も外側の配管の巡回路に基づいて可達性を評価するために用いられる。
(6)作業員アクセシビリティ
配管に囲まれた領域であっても、作業員の大きさならば通過しうる。配管が大きく、地面と配管との間にすき間が無い場合、作業員が通過できない。しかし、このような状態であっても、足場を作れば、配管を乗り越えて移動が可能である。また、高所にある配管については足場を作る必要がある。当該制約条件は、作業員が目的の配管に行き着くまでに障害となる配管の繋がり及び高さに基づいて可達性を評価するために用いられる。この制約条件は、作業員が配管に到達できるが、到達するまでの困難さを評価する条件と考えてもよい。可達である目的の配管の到達の困難度を表す条件と考えてもよい。
(7)高さ違いの範囲の重複
低所の配管及び高所の配管が保守対象である場合を想定とする。低所の配管でも足場は必要な高さであるとする。これら2つの配管の水平方向の位置は、一致はしていないが、近接している(例えば、1m程度しか離れていない)ものとする。前述のような配管に対する作業を行う場合、低所の配管の足場及び高所の配管の足場を別々に設置するよりも、低所の配管の足場を高所の配管の水平範囲まで設置しておき、さらにそれより高いところの高所の配管の足場を設置したほうが、足場設置の工程を共通にできる。すなわち、作業効率が高まる。当該制約条件は、高さが異なっても範囲(領域)に重複があることを利用して工程をまとめるために用いられる。
(8)配管の周囲の領域
揚重機を設置する場所は配管から離れていなければならない。したがって、保守対象の配管の周りに他の配管がある場合、他の配管の外側に揚重機を設置することになる。揚重機の設置位置から作業半径の範囲内に保守対象の配管が無ければ作業ができない。当該制約条件は、保守対象の配管に対して揚重機が設置可能な位置の範囲、又は保守対象の配管と揚重機設置位置の作業半径とを評価するために用いられる。
作業空間の制約条件は、配管を含む領域、作業可能領域、配管の大きさ、及び配管の密集度に関する制約条件を含む。
(9)配管を含む領域
作業は配管の周囲で行われるため、保守の作業性は配管の周囲の領域の状態に依存する。配管の周囲の領域を評価するため、配管の直進方向及び左右の方向(半径方向)に、作業領域に相当するオフセットをとり、配管を含む領域を設定する。所定のオフセットに基づいて設定された領域内に保守対象でない他の配管が存在する場合、作業性が悪いと判断できる。当該制約条件は、配管周りの作業領域の作業性を評価するために用いられる。
(10)作業可能領域
配管に対する作業では配管の左右の領域の広さが作業性に影響する。他の配管が領域に無ければ作業性はよいことになる。一方、領域の近くに別の配管がある場合、作業員は領域と当該配管との間の距離の範囲内でしか作業できない。当該制約条件は、領域から別の配管までの距離又は領域と別の配管との間の面積に基づいて、作業性を評価するために用いられる。
(11)配管の大きさ
配管のオフセット領域又は左右の作業可能領域が作業性に影響する。配管の長さ、大きさによって、作業性を判定する領域の評価も異なる。当該制約条件は、配管の大きさを反映して作業性を評価するために用いられる。
(12)配管の密集度
配管同士が近い範囲に並んでいる場合には、個別には作業領域をとることができないため、まとめて保守の対象とする必要がある。このとき作業領域内にある対象の配管の密集度は作業の効率に影響する。また、配管を含む範囲の配管についてのオフセット領域内に配管の数が多ければそれだけ作業性は悪くなる。当該制約条件は、領域に対する配管の数から作業性を評価するための制約条件である。
以上の制約条件の一例を図7に示す。上から1段目が配管接続の制約条件を示し、2段目が可達性の制約条件を示し、3段目が作業空間の制約条件を示す。
図8は、実施例1の保守工程フロー設計システム201が実行する処理と制約条件との関係を示す図である。
図8の左側には保守工程フローの設計処理の処理を示し、図8の右側には制約条件を示す。図8の破線は処理が使用する制約条件を示す。12個の制約条件は、配管連結の制約条件、可達性の制約条件、作業空間の制約条件の三つに分類している。制約条件の分類の四角との間に破線がある処理は、当該分類に含まれる全ての制約条件を用いることを示す。一つの制約条件との間に破線がある処理は、当該制約条件を用いることを示す。
ステップS103の処理では、配管の制約条件が用いられる。
ステップS105の処理では、構成情報231と、作業空間の制約条件に分類される配管の大きさに関する制約条件とが用いられる。揚重機の吊り金具を固定する作業を評価するために、作業空間の制約条件が用いられる。
ステップS106では、可達性の制約条件と、作業空間の制約条件に分類される配管を含む領域に関する制約条件とが用いられる。配管等へのアクセスの困難性を評価するために、配管を含む領域に関する制約条件が用いられる。
ステップS107では、構成情報231と、可達性の制約条件に分類される高さ違い範囲の重複に関する制約条件と、作業空間の制約条件に分類される配管を含む領域に関する制約条件とが用いられる。構成情報231は、配管の高さを特定するために用いられ、高さ違い範囲の重複に関する制約条件は、足場領域の重複を判定するために用いられる。また、同じ高さでも近傍にある配管の作業を同時に実施する場合があることから、足場領域の重複を判定するために、配管を含む領域に関する制約条件も用いられる。
ステップS108では、構成情報231と、作業空間の制約条件とが用いられる。保守対象の要素の大きさ及び重量は作業のしやすさに影響することから、構成情報231が用いられる。
以上が、保守工程設計の一連の処理内容についての説明である。
次に、マスタ工程フロー及び作業時間の算定式の定義について説明する。これは、データ抽出処理の出力であるP&ID及び3次元座標情報、余寿命予測処理の出力である配管の余寿命、工程フロー生成処理で用いるマスタ工程フローの定義、作業時間算出処理で用いるパラメータ及び作業時間の算定式の定義の説明に該当する。
図9は、P&IDの一例を示す図である。図9に示すP&IDは、本明細書において必要となる情報を示すための一例である。
図9では、配管はPipe、ポンプはPump、弁はValve、流量権はF、温度計はT、圧力計はPで表される。数字は前述の要素を識別子である。外部の系統ラインにつながる要素はBND(Boundary:境界)とした。蒸留塔はStripper、供給はFeed、水流はStream、排出はEx、製品はProductで表される。なお、流量計、温度計、圧力計といった計器はグラフ的に表現するために配管からら引き出して表している。この引き出しをLineとしている。なお、計器は配管に直接設置されているとして、配管の属性情報としてもよい。
図9では、一つの矢印は一つの配管を意味しない。Pipe1(901)はBND(914)からStripper(911)までの一連の矢印である。Pipe2(902)はStripper(911)から分岐継手(920)までの矢印である。Pipe3(903)は分岐継手(920)からProduct(1018)までの一連の矢印である。Pipe4(904)はFeed(915)からStripper(911)までの一連の矢印である。Pipe5(905)、Pipe6(906)、Pipe7(907)は一つの矢印で示している。Pipe8(908)は流入Stream(916)から要素1021までの一連の矢印である。Pipe9(909)はStripper(911)から分岐継手(1019)までの一連の矢印である。Pipe10(910)はBND(913)からBND(912)までの一連の矢印である。
弁、ポンプ、継手で結合されている配管は、結合の単位で分けて配管を扱えば、各機器と配管の連結関係を要素ごとに識別できる。また、図9は要素の構成と接続関係だけを持つものであり、矢印が曲がっているからといって配管そのものが曲がっているとは限らず、矢印が直線でも配管は曲がっていることもある。
工程フロー生成処理で用いる3次元座標は、3次元CADデータから直接取得される。配管及び機器等の要素の接続関係は、図9に示すようなP&IDから得られる。3次元座標及び要素の接続関係を統合することによって、図10A及び図10Bに示すようなテーブル1000、1010を含む構成情報231を生成できる。
テーブル1000は、配管を管理するためのテーブルであり、ID1001、種別1002、直径1003、厚み1004、長さ1005、材質1006、始点要素1007、及び終点要素1008から構成されるエントリを格納する。一つの配管に対して一つのエントリが存在する。
ID1001は、配管を一意に識別するための識別情報を格納するフィールドである。ID1001には、記号P及び数字の組合せが格納される。
種別1002、直径1003、厚み1004、長さ1005、及び材質1006は、配管の構造に関する情報であり、配管の種別、直径、厚み、長さ、及び材質を格納するフィールドである。本実施例では、直径、厚み、長さ、及び材質から配管の重量は計算されるものとしている。なお、エントリに配管の重量を格納するフィールドを含めてもよい。
始点要素1007及び終点要素1008は、流れの入出の方向を示す機器の識別情報の組合せを格納するフィールドである。なお、配管の座標は、始点要素1007及び終点要素1008と、テーブル1010とを組み合わせることによって特定できる。
なお、配管は長さ方向に真っ直ぐであることを仮定しており、経路の曲がりは継手、エルボ、T字分岐といった手段で機器と連結して実現されるとした。曲がった配管を扱う場合、例えば、曲がる箇所の座標値を格納するフィールドをエントリに含めてもよい。
テーブル1010は、機器を管理するためのテーブルであり、ID1011、種別1012、重量1013、X座標1014、Y座標1015、及びZ座標1016から構成されるエントリを格納する。一つの機器に対して一つのエントリが存在する。
ID1011は、機器を一意に識別するための識別情報を格納するフィールドである。ID1011には、記号及び数字の組早生が格納される。入力装置を表す記号はSRC、出力機器を表す記号はSNK、弁を表す記号はVLVとしている。
種別1012及び重量1013は、機器の種別及び重量を格納するフィールドである。
X座標1014、Y座標1015、及びZ座標1016は、機器の3次元座標を格納するフィールドである。
P&ID及び3次元座標を用いて算出された配管の余寿命は、図11に示すようなデータ形式の余寿命情報232として管理される。
余寿命情報232は、ID1101及び余寿命1102から構成されるエントリを格納する。一つの配管に対して一つのエントリが存在する。
ID1101はID1001と同一のフィールドである。余寿命1102は、配管の余寿命を格納するフィールドである。余寿命1102には、劣化により配管が使用できなくなる期間又は日数が格納される。
次に、マスタ工程フローについて説明する。保守作業で行われる工程は、要素の解体及び据付、足場の設置及び解体、揚重機による作業、揚重機の設置及び撤去、保守を行うために必要となる系統ラインの停止及び復旧等が含まれる。
揚重機に関する工程の要否は、要素の設置場所の高さと要素の重量等から決まる。足場に関する工程の要否は、要素の設置場所の高さから決まる。したがって、マスタ工程フローに定義される工程の情報としては、工程(作業)の種別、要素、及び高さが主要な項目となる。図12は、実施例1のマスタ工程フロー情報234のデータ構造の一例を示す図である。
データ1200は、一つの工程を定義するデータであり、工程名称1201、部品名称1202、高さレベル1203、固有作業時間1204、及び高さレベル判定1205から構成される。
工程名称1201は、工程の名称を格納するフィールドである。部品名称1202は、要素の種類を格納するフィールドである。なお、部品名称1202が空欄の工程は、部品とは関係がない工程であることを示す。
高さレベル1203は、工程の高さを表す情報を格納するフィールドである。本実施例では、高さの範囲がレベルで分類される。例えば、5m以上10m未満の範囲をLEVEL2と設定している。高さレベル1203にはレベルが格納される。なお、高さレベル1203が空欄の工程は、高さに関係しない工程であることを示す。
固有作業時間1204は、作業に固有の時間を格納するフィールドである。例えば、揚重機の設置の場合、揚重機の型式によって設置に要する時間が決まる。また、作業を実行するための準備作業及び段取り作業に関する時間も当該フィールドに設定される。
高さレベル判定1205は、高さレベルに応じた工程の要否を判定するための情報を格納するフィールドである。例えば、高さレベルがLEVEL1の場合、揚重機が不要であり、高さレベルがLEVEL2の場合、揚重機が必要となる工程を定義するデータでは、高さレベル判定1205に「LEVEL2」が設定される。これによって、揚重機を設置に関する工程を工程フローに挿入できる。また、足場がLEVEL2である場合には、その足場の下のLEVEL1にも足場が必要となるため、LEVEL1の足場の設置及び解体を、LEVEL2の足場の設置及び解体の前後に挿入できる。
図13A、13B、13Cは、実施例1のマスタ工程フロー情報234の一例を示す図である。
マスタ工程フロー情報234には、図13A、図13B、及び図13Cに示すような、複数のデータ1200から構成されるマスタ工程フローの情報が格納される。
図13Aは、要素に関する工程の順序関係を定義したマスタ工程フローを定義するテーブル1300である。具体的には、高さレベルがLEVEL2かつ揚重機を利用した、PIPEに関する工程フローが定義される。
テーブル1300には、揚重機の吊り金具の取り付け、解体後の揚重機の吊り金具の取り外し、揚重機への交換部品の取り付け、据付後の吊り金具の取り外し、といった解体作業から据付作業までの一連の工程フローが定義される。
各要素の解体作業及び据付作業をマスタ工程フローとして定義することによって、規模の大きい工程フローを生成できる。
図13Bは、高さレベルに応じた工程の順序関係を定義したマスタ工程フローを定義するテーブル1310である。具体的には、揚重機の設置及び撤去、並びに、足場の設置及び解体に関する工程フローが定義される。なお、上から二番目のエントリの高さレベル判定1205のLEVEL1及びLEVEL2の間の演算子は論理和を表す記号である。すなわち、「LEVEL1又はLEVEL2」を表す。
高さレベルがLEVEL2となる要素が保守対象に含まれる場合、図13Bで定義した工程フローを実行する必要がある。
保守対象に高さレベルがLEVEL1の要素のみが含まれる場合、LEVEL2の工程フローは不要であり、LEVEL1の足場設置の工程(ERECTION_STAGE_LEVEL1)と、LEVEL1の足場解体の工程(DISMANTLE_STAGE_LEVEL1)からなる工程フローが実行される。要素の解体作業及び据付作業の工程は、足場設置の工程と足場解体の工程との間に挿入される。
保守対象に高さレベルがLEVEL2の要素が含まれる場合、LEVEL2の足場設置(ERECTION_STAGE_LEVEL2)が実行された後、LEVEL2の要素解体、LEVEL1の要素解体、LEVEL1の要素据付、LEVEL2の要素据付、LEVEL2の足場解体が実行される工程フローとなる。
離れた領域の工程については、連続的に実行した場合と、個々に実行した場合とでは、作業工数及び作業時間の違いはない。離れた領域であるため、同時に並行に作業を行い、また、資材搬入後にまとめて足場を構築することは合理的であるが、これは日程計画の問題として取り扱えばよい。
図13Cは、要素及び高さレベルと無関係な工程の順序関係を定義したマスタ工程フローを定義するテーブル1320である。具体的には、系統ラインの配管内の液体抜き(DRAIN)及び資材搬入(CARRY_IN_MATERIAL)等、保守の開始前に実行される工程フローが定義される。なお、マスタ工程フロー情報234には、保守の終了後に実行される工程フローを定義したテーブルも含まれる。
マスタ工程フローに含まれる工程の順序づけ及び各マスタ工程フロー間のフローの挿入は、処理のロジック又はアルゴリズムとして実装される。なお、工程を定義するデータ1200に順序を設定するフィールドを設けてもよい。この場合、当該フィールドに設定される値に基づいて工程フローを生成することができる。但し、要素の数は入力となる保守範囲に含まれる要素の数であるため、順序設定は前後が明確になる工程の設定であり、例えば、要素間で順序に制約が無い場合には順序は設定できない。
以上がマスタ工程フローの説明である。
次に、作業時間算出のための作業時間算定式について説明する。作業時間の単位は時間であるが、プラントの保守、改修、建設は長い期間に亘るため日数で管理される。作業時間の算定式は式(1)のように定式化される。
Figure 0007265929000001
ここで、Dは労働日数(日)、Qは施工数量(施工単位)、Aは施工能力(施工単位、日、投入数)、Sは投入数量(投入数)である。施工能力とは1日の施工量、一単位実施量等歩掛、原単位である。施工数量は対象の規模であり、数や大きさの単位で表される。投入数量は作業員といったリソースの数量であり、人員数及び班の数等を意味する。
作業時間には要素を取り扱う以外に、工程固有の段取りといった、ある工程の実行に必要な工程固有の時間があると考える。そこで作業時間を対象作業時間と工程固有時間とに分ける。
Figure 0007265929000002
targetは対象作業時間であり、Duniqueが工程固有時間である。
投入数、つまり作業員が多ければ作業時間が短縮されることは期待されるが、保守作業では作業対象が部分的な領域に限定される。新設のプラントやビルディングのように広い作業領域を同時、並行して整然と作業を進めることは想定しない。広い作業領域を同時変更に保守するような場合、対象別に保守作業を進めるとして保守工程設計の後に、並列可能範囲を定めて、日程計画の問題として扱えばよい。そこで投入数量は無視すれば、施工数量は施工能力一単位に対する施工の作業の負荷と考えられる。
施工対象となる要素の大きさ及び重さは、施工作業の負荷に相当する。また、移動の距離は、作業の時間的な負荷に相当する。設備を利用すれば負荷を軽減できる。作業のしやすさは、作業空間の広さ、障害物の有無、及び高さが影響する。対象の大きさ等によって必要な付帯作業量が変わることも負荷である。
以上の考察から、対象作業時間の算定式は、一例として式(3)のようにモデル化できる。
Figure 0007265929000003
施工作業の負荷の要因は、保守対象及び作業空間に関するものであり、ステップS108において評価できるものである。そこで、対象作業時間の算定式を作業の負荷の要因としてパラメトリックな式として定義し、パラメータ値を求めればよい。
対象作業時間の算定式は式(4)となる。
Figure 0007265929000004
関数fは計算機や言語等に依存して実装できる範囲で任意である。一例としては式(5)であり、Dは重量、Dは移動距離、Dは作業空間の広さで決まる値である。
Figure 0007265929000005
以上が、作業時間算定式の説明である。
以上が、マスタ工程フロー及び作業時間の算定式の定義について説明である。
次に、配管の制約条件の詳細について説明する。工程計画器213は、配管の制約条件に基づく処理を実行することによって、必須配管を含む保守範囲を抽出する。
まず、系統ラインの意味について説明する。系統ラインの意味は、系統ライン(一連で機能する配管及び機器の組合せ)を特定するための情報である。3次元CADで予め系統ラインの意味を表す属性(系統ライン意味情報241)がP&IDの接続関係に設定されているものとする。系統ライン意味情報241に基づいて要素をまとめることによって、保守する要素を選択できる。
図9に示すP&IDにおいて、Pipe1(901)は、外部境界BND(914)からPump1及びValve1を経由してStripper(911)へと流れ込む系統ラインである。Pipe2(902)は、Pipe5(905)とPipe3(903)に分岐するStripper(911)からの出力の系統ラインの一つである。Pipe2を保守する場合、Stripper(911)と、Pipe3(903)、Pipe5(905)に繋がる系統ラインを停止し、配管内を空にしておく必要がある。ただし、Valve3で流れが遮断されている場合、Stream(916)からの系統ラインは停止する必要はない。また、Stripper(911)を停止する場合でも、Pipe1(901)の系統ラインは、Valve1を遮断するなら停止する必要はない。
このように、要素の保守時に停止する必要がある要素が関連付けられていれば、要素を選択できる。
図14は、実施例1の系統ライン意味情報241のデータ構造の一例を示す図である。
系統ライン意味情報241は、テーブル形式のデータであり、テーブル1400はライン属性の意味を定義するテーブルであり、テーブル1410は要素毎のライン属性を定義するテーブルである。
ステップS103において、特定の反応装置への入力となる系統といった意味に基づいて保守範囲を抽出する場合、保守範囲抽出部221は、当該意味をキーワードとしてテーブル1400を参照してエントリを検索し、さらに、テーブル1410を参照して、要素を検索する。
テーブル1400から、LINE001は「材料1入力」、LINE002は「材料2入力」と意味づけられていることが分かる。また、テーブル1410から、LINE001に属する要素は、P001、P003、SRC001、VLV003、JNT008であることが分かる。
系統ラインに複合的な意味を設定する場合、テーブル1400のエントリに必要なだけ意味のフィールドを設ければよい。なお、テーブル1410において、各配管に属する要素は重複してもよい。
以上が系統ラインの意味の説明である。
次に、配管の連結性に関する制約条件について説明する。当該制約条件は、指定された配管を全て含む配管の連結、すなわち、グラフを取得するために用いられる。当該制約条件は、(1)指定された要素に対して一つ以上の要素が接続され、(2)選択された要素が全て連結され、系統ラインが単一であること、の2つを満たすことである。
図15は、配管及び機器の接続の一例を示す図である。図15では、同一構造のプラントの5つの接続(A)、(B)、(C)、(D)、(E)を示す。
図15の(A)は要素が選択された状態を示す。ここで、直線分は配管を表す。指定された配管1501、1502は、太い実線で表している。また、選択された配管は細い実線で表し、選択されていない配管は点線で表す。機器は丸又は四角で表している。白抜きは選択されていないことを表し、黒抜きは選択されたことを表す。
図15の(B)に示す要素の組合せは、指定された配管1501、1502に対して一つ以上の要素が接続され、また、選択された要素が全て連結され、系統ラインが単一である。したがって、図15の(B)に示す要素の組合せは配管の連結性に関する制約条件を満たす。
図15の(C)に示す要素の組合せは、要素1501に対して一つ以上の機器が接続されていない。したがって、図15の(C)に示す要素の組合せは配管の連結性に関する制約条件を満たさない。
図15の(D)に示す要素の組合せは、要素1501、1502に対して一つ以上の機器が接続され、かつ、全ての要素が連結されているが、系統ラインが単一ではない。したがって、図15の(D)に示す要素の組合せは配管の連結性に関する制約条件を満たさない。
図15の(E)に示す要素の組合せは、要素1501、1502に対して一つ以上の機器が接続され、かつ、全ての要素が連結されているが、要素1503、1504、1505からなる系統ラインが要素1501、1502を含む系統ラインのいずれの要素とも連結していない。すなわち、系統ラインが単一ではない。したがって、図15の(E)に示す要素の組合せは配管の連結性に関する制約条件を満たさない。
配管の連結性に関する制約条件を情報処理として実装する場合、以下の(条件1)及び(条件2)ように表される。
(条件1)選択された要素は、少なくとも一つの他の選択された要素と隣接する。
(条件2)選択された要素は、指定された要素と連結する。
ここで、隣接は、要素間が他の要素を介することなく直接接続されることを意味する。
(条件1)を満たす要素は以下のようなアルゴリズムに基づいて求められる。
要素iが選択された場合、値「1」となり、要素iが選択されない場合、値「0」となる要素値eを設定する。要素値eは式(6)のように定義される。なお、必須配管の要素値eは「1」と設定される。
Figure 0007265929000006
要素iに隣接する要素は、集合として式(7)のように表現できる。
Figure 0007265929000007
は要素iに隣接する要素の数である。関数adjは、要素iに隣接する要素のインデックスを取得するための関数である。
ここで、要素i及び隣接する要素jの要素値e、eの差の絶対値を考える。要素jが選択されている場合、要素値の差の絶対値は0となる。一方、要素jが選択されていない場合、要素値の差の絶対値は1となる。これを利用して、ある要素iに対して、隣接する要素が一つ以上の選択される条件は式(8)のように表現できる。なお、関数cdtは式(9)で定義される。
Figure 0007265929000008
Figure 0007265929000009
ここで関数sgn(d)は、dが正の場合には「1」、dが0の場合には「0」、dが負の場合には「-1」を返す関数である。
要素iが選択されなかった場合、隣接する他の要素が全て選択されるなら、式(8)は満たさないが、そのような要素iは隣接する複数の要素全てを連結されないことを意味する。要素iが配管の場合、両端の機器が選択されるならば、その配管iは必ず選択することを意味する。また、要素iが機器の場合、当該機器に接続する全ての配管が選択されている場合には、当該機器を必ず選択することを意味する。したがって、式(8)を(条件1)として用いる。
(条件1)に基づく要素の選択には、整数制約プログラミング技術、又は混合整数計画(MIP: Mixed Integer Programing)技術を使って、制約充足問題を解けばよい。
(条件2)は以下のようなアルゴリズムとなる。
(条件1)を満たす要素には要素値eが与えられている。必須配管の要素値eは1である。そこで、要素値eが1の要素iに対して、必須配管に隣接する一つの要素から他の要素が連結されているかを確認すればよい。
具体的には、式(7)を用いて確認する。すなわち、式(7)の隣接関係を用いて、必須配管に隣接する一つの要素に隣接する要素の内、選択された要素をリストアップする。リストアップされた要素に隣接する要素の内、選択された要素をリストアップする。前述のような処理を繰り返した場合、リストアップされた要素は一定となる。リストアップされた要素に他の選択された要素が含まれる場合、その要素は連結ではない。
以上が配管の連結性に関する制約条件の説明である。
次に、流れの経路に関する制約条件について説明する。流れの経路とは、指定された開始点から指定された配管を通って指定された終了点に至る経路である。流れの経路に関する制約条件は、圧力が高い又は流量が速い等が起因して劣化が進みやすい配管を特定する場合に用いられる。
図16は、実施例1の流れの経路の特定方法を示す図である。
図16の要素の表示の規則は、図15で説明したものと同一である。ここでは、配管を稜線(Edge)、機器を節点(Node)と呼ぶ。稜線には始点及び終点が設定され、節点は稜線の始点又は終点となる。また、図16の(A)では、各稜線に、始点から終点の方向への矢印が付されている。
図16の(A)は、稜線1601、1602が指定され、始点1603が流れ経路の開始点として指定され、終点1604が流れ経路の終了点として指定された状態を示す。図16の(B)は流れの経路を示す。稜線1601、1602を通過する流れの経路は図16の(B)に示す経路のみである。稜線1601及び稜線1602のいずれかのみが指定されている場合、流れの経路は2つ得られる。
流れの経路に関する制約条件は、開始点として指定された始点が設定される稜線、指定された稜線、及び終了点として指定された終点が設定される稜線の連結が一本につながっていること、を満たすことである。
流れの経路に関する制約条件を情報処理として実装するための方法について説明する。
まず、情報処理で扱うために稜線及び節点の関係を定義する。図17は、稜線及び節点の関係を示す図である。図17の(A)は、一つの稜線に対する始点及び終点の関係を示し、図17の(B)は、一つの節点と稜線の終点及び始点との関係を示す。
稜線に設定された始点は、配管に流入する点であるためsourceと表し、稜線に設定された終点は、配管から流入する点であるためtargetと表す。また、節点の流入する側の配管、すなわち、節点が終点となる配管をinと表し、節点が始点となる配管をoutと表す。
稜線iが選択された場合、値「1」となり、稜線iが選択されない場合、値「0」となる値edgeを設定する。値edgeは式(10)のように定義される。
Figure 0007265929000010
目的の経路(要素の組合せ)は開始点から終了点に至る、一連の配管の連結である。この連結では節点で分岐及び結合ができない。
節点iが終点となる稜線jの数をnin 、節点iが始点となる稜線jの数をnout とする。ここで、inij、outijは節点iに隣接する稜線jの値であり、式(11)及び式(12)のように定義する。
Figure 0007265929000011
Figure 0007265929000012
流入側を負、流出側を正として総和を取り、節点iにおける入出の数を式(13)を用いて求める。
Figure 0007265929000013
なお、式(14)、式(15)、及び式(16)に示すように、経路の中間にある節点では入出の数は0であり、開始点stは1、終了点enは-1でなければならない。
Figure 0007265929000014
Figure 0007265929000015
Figure 0007265929000016
なお、機器において複数の流入配管と複数の流出配管が隣接することは無いものとしている。実際の機器、配管のつながりに対しては、複数の流入配管が一つの機器に隣接し、その機器から一つの配管で別と見なした機器を接続し、接続先の機器に複数の流出配管が隣接するようにモデル化すれば、上制約条件を満足する連結が得られる。
結果として値が1となった稜線が選択された配管であり、稜線の始点、終点となった節点が選択された機器となる。
制約条件に基づく要素の選択には、整数制約プログラミング技術、又はMIP技術を使って、制約充足問題を解けばよい。
以上が流れの経路に関する制約条件の説明である。
次に、配管に沿った経路に関する制約条件について説明する。配管に沿った経路は、指定された開始点から、指定された配管を通って、再び開始点まで巡回する経路である。保守作業において、作業終了時の位置が開始位置と同じ場合、車等の運送手段の観点から保守の効率化が可能な場合がある。配管に沿った経路に関する制約条件は、このような経路を特定する場合に用いられる。
なお、開始点及び終了点を分けて指定しても、本配管に沿った経路に関する制約条件に、流れの経路に関する制約条件と同様の終端条件を設けれることによって、当該制約条件を情報処理として実装することできる。
図18は、実施例1の配管に沿った経路の特定方法を示す図である。
要素の表示の規則は図15で説明したものと同一である。図18の(A)は、開始点1801と、二つの配管1802、1803が指定された状態を示す。配管は稜線として流れの向きに対応する始点及び終点が設定されているが、配管に沿った経路の巡回では考慮しない。
図18の(B)、(C)は配管に沿った経路の一例である。開始点1801及び配管1802、1803を含む巡回路としては、経路1810、1811のような巡回路を取ることができる。
経路1811は、経路1810とは異なり、節点1804を通過した後、節点1805から再度節点1804を通過し、そこから開始点1801に向かって進む経路である。このように、いわゆる一筆書きが成立するならば、巡回路になっていると扱う。
巡回路における稜線iの値edgeは式(10)で定義する。稜線及び節点の関係は図17で示したとおりである。
巡回路では、稜線を通って節点に入った場合、別の稜線から出て行くことになる。節点iに対して、始点又は終点となっている稜線jの値をin_outijとし、式(17)のように定義する。
Figure 0007265929000017
節点iにおいて、入ってくる稜線と出て行く稜線の数の総和を式(18)から算出する。nin_out は節点iに接続する稜線の数を表す。
Figure 0007265929000018
入出力の総和は0である。但し、図18の(C)に示したように、何度でも同じ節点を通過してもよい。よって、式(19)に示すように2の剰余を取った制約条件となる。
Figure 0007265929000019
結果として値が1となった稜線が選択された配管であり、当該稜線の始点又は終点となる節点が選択された機器となる。
制約条件に基づく要素の選択には、整数制約プログラミング技術、又はMIP技術を使って、制約充足問題を解けばよい。
以上が配管に沿った経路に関する制約条件に基づく処理の説明である。
以上が配管の制約条件に基づく保守範囲の抽出方法の説明である。
次に、可達性の制約条件の詳細について説明する。工程計画器213は、可達製の制約条件に基づく処理を実行することによって、選択された保守範囲に必要な工程を特定し、工程で扱う要素及び領域をまとめる。
可達性の制約条件は、可達性判定処理及び足場要否判定処理で用いられる。具体的には、可達性判定処理では可達性の制約条件の全てが用いられ、足場要否判定処理では、高さ範囲の重複に関する制約条件が用いられる。
まず、アクセシビリティ(グラフ)に関する制約条件について説明する。当該制約条件は、保守範囲を、稜線及び節点から構成されるグラフとした場合、グラフの外周となる巡回路の内部にある要素をリストアップするために用いられる。
配管及び機器が地表に設置され、外周の内側に入る隙間が無く、かつ、外周を乗り越えることもできない場合、外周の要素を解体しないと内側には入れない、という意味である。実際のプラントでは、配管及び機器は、立体的に配置されているため、必ず外周の要素を解体する処理ではない。
当該制約条件は、揚重機を設置できる範囲を決定する場合、要素の込み入り具合を評価するため部分的な巡回路において内側の要素を求める場合、等のグラフ的及び空間的な構成の内外を分けるために用いられる。
図19は、巡回路となっている外周における要素の状態を示す図である。
図19の(A)は外周の一例を示す。太い実線は外周の要素を示し、破線は外周の内側の要素を示し、実線は外周の外側の要素を示す。図19の(B)は、保守対象の配管1901を内側に含む外周を示す。ここで、外周に含まれる要素を解体しないと配管1901に到達できない場合を想定する。この場合、要素1902を解体し、次に、要素1903を解体すれば、要素1901を含む外周が巡回路1900となるため、要素1901に到達できる。つまり、要素1902、1903の解体が要素1901の保守作業に必要な工程となることが分かる。また、作業員が点検のために要素1901に移動する場合、要素1902、1903に足場又は階段を設置する工程が必要となることが分かる。
本実施例では、外周を決める巡回路を求めるために、配管に沿った経路に関する制約条件を用いる。
まず、工程計画器213は、保守範囲から得られるグラフを用いて全ての巡回路を特定する。工程計画器213は、面積が最大となる巡回路を外周とする。全ての要素が地表上に配置されている場合には、工程計画器213は面積の最大値を評価すればよい。しかし、要素が3次元的に配置されている場合、地表の鉛直方向の射影をとると複数の巡回路が相互の領域内におさまらないことがある。このような場合、領域の和集合から外周を決定すればよい。
外周は任意の頂点が配置された多角形である。この面積を算出する場合には、以下の処理にしたがって、外周を2単体分割(三角形分割)すればよい。
(S1)工程計画器213は、外周の頂点を反時計回りに巡回の順序として、方向付きの稜線を構成する。
(S2)工程計画器213は、連結する三つの頂点が反時計回りに三角形を構成するなら2単体とする。
(S3)工程計画器213は、2単体を巡回路から除去し、除去後の稜線を追加する。
(S4)工程計画器213は、巡回路が三角形を構成するなら、それを2単体とする。
工程計画器213は、得られた2単体の面積の総和を求めて、終了する。
(S5)工程計画器213は(S2)に戻る。
なお、巡回路に対する要素の内外判定は、全ての2単体に対する頂点の内外判定として解くことができる。
以上がアクセシビリティ(グラフ)に関する制約条件の説明である。
次に、作業員アクセシビリティに関する制約条件について説明する。当該制約条件は、作業員が到達できない要素の巡回路及び足場の設置場所を特定するために用いられる。要素の巡回路の内部に保守対象の要素がある場合、当該要素にアクセスするためには足場等を設置する必要がある。また、要素が高所に設置されている場合、足場を設置する必要がある。
保守対象の要素が地表上にあり、障害となる配管等がない場合、当該要素へのアクセスには問題は発生しない。ここで、障害となる配管とは地表上にあって、大きな配管(例えば直径が1m以上の配管)をいう。
工程計画器213は、障害となる配管及び当該配管に隣接する機器のみからグラフを構成し、アクセシビリティ(グラフ)に関する制約条件に基づいて、保守対象の配管のアクセシビリティを評価する。障害となる配管から構成される外周の内側に保守対象の配管が存在する場合、工程計画器213は、障害となる配管を超えるための足場の設置が工程として必要と判定する。
足場の設置については、アクセシビリティ(グラフ)に関する制約条件で説明したように、保守対象の配管が外周を構成するように、外周となる配管を除去していけばよい。除去する配管が足場の設置場所となる。
保守対象の配管が高所にある場合、足場が必要である。足場の設置要否は保守対象の配管の設置場所の高さから決まる。配管の設置場所の高さは、足場の段数と対応させるために、高さの範囲として図20に示すように離散的に定義する。図20に示すように、実施例1では、高さ範囲をLEVELとして設定する。下限以上、かつ、上限未満の範囲に対して各LEVELが設定される。例えば、0m以上かつ1m未満の場合、LVL01、1m以上かつ3m未満の場合、LVL02、10m以上の場合LVL04となる。足場を設置できる場合、作業員のアクセスが可能な保守対象の要素と扱われる。
なお、足場の共用については高さ範囲の重複に関する制約条件を用いて処理される。
以上が作業員アクセシビリティに関する制約条件の説明である。
次に、高さ違い範囲の重複に関する制約条件について説明する。当該制約条件は、共用可能な足場の設置の要否を判定するために用いられる。保守対象の要素同士が隣接又は近傍の状態にある場合、足場を共有できる。また、設置場所の高さが異なる要素であっても、平面的に、すなわち、X、Y座標のみの範囲において、足場領域が重複する場合、上層及び下層で足場を共有できる。
近接する配管及び足場の共用の可否を判定するために、一つの配管の隣接を評価する。同じ高さレベルに設置された配管が隣接している場合、足場を共有できるものと定める。配管同士が近傍に存在することを評価することは、作業領域の重複の評価することに対応する。すなわち、同時に作業できるか否かを判定することと等価である。
そこで、作業空間の制約条件に含まれる配管を含む領域に関する制約条件を利用する。配管を含む領域に関する制約条件に基づく処理では、工程計画器213は、一つの配管を含む領域を生成し、当該領域内の他の要素の有無、又は、別の配管の領域との重複に基づいた評価を行う。処理の詳細は後述する。配管を線分で表現した場合、配管を含む領域は、当該線分をオフセットして囲む長方形として表すことができる。
足場を共用できる場合、作業員は、足場を先行して設置した後に、順次、複数の配管の解体及び据付を行い、据付完了後、まとめて足場を解体すればよい。
高さレベルが異なる配管の領域が平面的に重複している状態の一例を図21A及び図21Bに示す。
図21Aは、高さレベルが異なる配管が囲む領域2101、2102を示している。領域2101は2層目に設置された配管が囲む領域であり、領域2102は3層目に設置された配管が囲む領域である。なお、配管が囲む領域は、配管を含む領域と解釈してもよく、この領域を保守作業を行う作業空間とする。
領域2101、2102の鉛直上方からの射影は、領域2111、2112となる。図21Aに示すように、領域2111及び領域2112は重複する部分がある。領域2111及び領域2112は、図21Bのような三つの領域2121、2122、2123に分割できる。
領域2121は、領域2111から、領域2111及び領域2121の重複部分を除いた領域であり、領域2122は、領域2112から、領域2111及び領域2121の重複部分を除いた領域である。領域2123は、領域2111及び領域2121の重複部分である。
上層の足場を設置する場合、同じx,y座標の領域でも足場が設置されるので、2層目では、領域2121、領域2122、及び領域2123を足し合わせた領域に足場を一度に設置する。3層目では、領域2112にだけ足場を設置すればよい。一般的に、k層における足場の全領域Aは、k層よりも上にm層まで作業領域があるとした場合、式(20)のように表される。
Figure 0007265929000020
ここでA はj層におけるi番目の部分的な領域である。j層における部分的な領域の総数はnである。
以上が高さ範囲の重複に関する制約条件の説明である。
次に、配管の周囲の領域に関する制約条件について説明する。当該制約条件は、配管の周りの領域、特に、配管の外周となる巡回路の外側の領域への揚重機の配置の可否、又は吊り金具が配管にアクセス可能となる作業半径を判定するために用いられる。
図22は、揚重機及び配管の位置関係の一例を示す図である。揚重機は、点2201に配置されているものとする。作業半径2202は、揚重機の吊り金具が到達できる距離である。作業領域2203は、点2201を中心、作業半径2202を半径とする円として表される。配管2211、2212、2213のうち、配管2212のみが作業領域2203に包含されている。したがって、工程計画器213は、配管2212に対する揚重機の作業が可能であると判定する。配管2211、2213に対する揚重機の作業を行うためには、揚重機の配置を変更するか、又は、作業半径を大きくする必要がある。
図23は、保守範囲に対する揚重機の配置の一例を示す図である。
図23の保守範囲は、配管の外周2301として設定されている。なお、外周2301は、外周の外部にある配管を含む。保守作業に必要な領域は、オフセット領域2302として設定されている。揚重機は、オフセット領域2302の外側にしか配置できない。
工程計画器213は、可能な限り多くの配管が所定の作業半径の作業領域に含まれるように、揚重機の配置場所を検索し、作業領域2311を特定する。また、工程計画器213は、同様の処理を行うことによって、作業領域2312、2313、2314を特定する。
別の方法としては、工程計画器213は、揚重機の配置場所を指定し、全ての要素を含むように作業領域を決定する。この場合、工程計画器213は、各揚重機の間の作業半径のばらつきが小さくするための調整を行ってもよい。例えば、工程計画器213は、揚重機の運用費用を最小とすることを目的として揚重機の仕様の組合せを最適化する。
以上が配管の周囲の領域に関する制約条件の説明である。
以上が、可達性の制約条件についての説明である。
次に、作業空間の制約条件の詳細について説明する。工程計画器213は、作業空間の制約条件に基づく処理を実行することによって、工程の作業性を評価するための作業時間を算出する。
まず、配管を含む領域に関する制約条件について説明する。当該制約条件は、保守範囲に含まれる配管を含む領域の面積及び当該領域における配管有無を評価するために用いられる。また、当該制約条件は、領域の面積を評価し、作業性を評価するためにも通られる。例えば、領域が広いほど作業時間が長くなり、一方、作業性はよくなると判定される。
図24A及び図24Bは、配管を含む領域の一例を示す図である。
矢印2401は配管を表す。矢印の向きは流れの向きを表している。工程計画器213は、矢印方向に対して、右側に右オフセット2411、左側に左オフセット2412、始点側に始オフセット2413、終点側に終オフセット2414をとり、領域(矩形)2410を構成する。オフセットの量は、作業に必要なスペースとして予め定義されている。
領域2410のオフセットの線は、反時計回りの四角形を構成する稜線として扱われる。これによって、工程計画器213は、配管がつながっている場合等、複数のオフセットの重なりに対して、稜線が重なる点に頂点を生成し、稜線を頂点において分割する。そして、工程計画器213は、反時計回りの外周となる稜線のつながりを求めることによって、図23のオフセット領域2302のような、複数の配管が連結したオフセット領域を生成できる。
配管のオフセット領域は、領域の面積に基づく作業性の評価に用いられる。また、オフセット領域内の他の配管の有無、又は、オフセット領域内の配管の数等から配管の密集度を求め、作業のしやすさを評価するためにも用いられる。
図24Bに示すように、オフセット領域2410に配管2431、2432、2433、2434が含まれる場合、工程計画器213は、オフセット領域2410の境界と配管とが交差する数から、オフセット領域2410に含まれる配管の数を求めることができる。
なお、オフセット領域2410に他の配管が含まれるか否かの判定は、3次元CADに基づく干渉計算でも求めることができる。この場合、構成情報231に予め作業領域に関連する要素の情報を含めておけばよい。
以上が、配管を含む領域に関する制約条件の説明である。
次に、作業可能領域に関する制約条件について説明する。当該制約条件は、ある配管から別の配管までの距離を評価するために用いられる。ある配管から別の配管までの距離が近い、又は、別の配管までの領域の面積が近い場合、作業性が低いと判定される。
図25は、作業可能領域の評価方法の概念を示す図である。対象となる配管の右側及び左側の所定の大きさの領域に対する別の配管の有無で作業可能領域を評価する。工程計画器213は、図25に示すように、配管2500の垂直方向に、左右のオフセットをとって領域を形成する。工程計画器213は、領域内に別の配管が存在する場合、領域に制限があると判定し、領域内に別の配管が存在しない場合、領域に制限がないと判定する。図25では、配管2500の右側の領域には別の配管2501が存在するため、領域に制限があると判定される。
図26は、作業可能領域の一例を示す図である。
図26の(A)では、配管2600の左側の領域2602は制限がないと判定され、右側の領域2601は制限ありと判定される。この場合、左側から配管2600への作業を行えば作業性を確保できる。
図26の(B)では、配管2600の右側の領域2603及び左側の領域2604のいずれも制限ありと判定される。この場合、広い領域で作業を行うことが望ましい。
図26の(C)では、配管2600の右側の領域2605の部分2606に別の配管が存在する。このような領域では、制限のある部分における作業性を評価する必要がある。この場合、工程計画器213は、制限がある部分2606における左側の領域の面積及び右側の領域の面積、又は、配管の終点までの所定の位置における別の配管までの距離に基づいて作業性を評価すればよい。
以上が作業可能領域に関する制約条件に基づく処理の説明である。
次に、配管の大きさに関する制約条件に基づく処理について説明する。当該制約条件は、配管の直径、長さ、肉厚による重量に応じたオフセット量を定めるために用いられる。配管を含む領域は、配管のオフセットに基づいて設定される。オフセット量は、作業に必要なスペースとして予め定義される。配管の大きさにより必要となるスペースは変わることが考えられる。例えば、配管が大きい場合、作業空間は大きい分だけ広く取る必要があるが、配管の径が小さくても人が作業するためには必要最低限の広さが必要である。重量が大きい場合、吊り金具又はつり上げるための方法に応じて作業空間を設定する必要がある。
配管の径、長さ、重さに応じたオフセット量の定義が配管の大きさに関する制約条件として設定される。例えば、径の範囲をφ10cm、φ20cm、φ30cm、φ50cmと分類し、また、長さの範囲、重量の範囲に応じて、右オフセット、左オフセット、始オフセット、終オフセットの値が配管の大きさに関する制約条件として定義される。
以上が配管の大きさに関する制約条件の説明である。
次に、配管の密集度に関する制約条件について説明する。当該制約条件は、一度に作業する領域(保守範囲)が決まったとき、その領域内部にある配管の数に基づいて、作業のしやすさに関する評価を補正するために用いられる。
作業領域に別の配管が入ることによる作業性の評価は、配管を含む領域に関する制約条件において説明した。ある配管の近傍に存在する複数の配管をまとめて保守する場合の作業性の評価は、複数の配管を保守する領域の和において保守する配管の数で評価する必要がある。
図27は、配管を含む領域の決め方の一例を示す図である。
図27では、同じ配置の配管に対して設定された異なる領域を示す。図27の(A)の領域は、全ての配管を囲む凸領域であり、図27の(B)の領域は、各配管のオフセットの和から構成される領域であり、図27の(C)の領域は、全ての配管を囲む四角形領域である。
配管の長さによっていずれの範囲の取り方を採用すればよいかは異なる。配管の大きさ、長さの領域が作業領域に対して小さい場合、図27の(A)又は(C)の領域を用いた評価の方がよい。特に、作業員があまり移動しない場合、図27の(C)で示す四角形領域を用いた評価で十分である。
面積は領域に応じて求まる。したがって、工程計画器213は、面積に対する配管の数に基づいて作業のしやすさを評価できる。
以上が配管の密集度に関する制約条件の説明である。
工程の作業時間は式(4)の作業算定式で求める。対象作業時間算定式はパラメトリックな式として定義され、工程計画器213は、S108においてパラメータ値を算出する。すなわち、作業空間の制約条件を用いて作業時間が求められる。そこで作業性を評価する制約条件はパラメータ値と関連付けられる。
図28A、図28B、図28C、及び図28Dは、作業空間の制約条件を管理するのデータの構成を示す。
図28A、図28B、図28C、及び図28Dに示すテーブル2801、2802、2803、2804は、同一のデータ構造であり、ID2811、係数項2812、評価項目2813、下限2814、上限2815、及び係数2816から構成されるエントリを格納する。
ID2811は、エントリの識別情報を格納するフィールドである。係数項2812は、パラメータの情報を格納するフィールドである。評価項目2813は、制約条件の種類に応じて定義された評価項目の情報を格納するフィールドである。下限2814及び上限2815は、評価項目の下限値及び上限値を格納するフィールドである。係数2816は、係数項に設定する値を格納するフィールドである。
例えば、2801のID2811が1のエントリは、配管領域が0.0以上かつ10.0未満の場合、係数項D1の値が1.0であることを示す。
テーブル2801は、配管を含む領域に関する制約条件に基づく処理で用いるパラメータ値を定義したテーブルである。テーブル2802は、作業可能性領域に関する制約条件に基づく処理で用いられるパラメータを定義したテーブルである。テーブル2803は、配管の大きさに関する制約条件に基づく処理で用いられるパラメータを定義したテーブルである。テーブル2804は、配管の密集度に関する制約条件に基づく処理で用いられるパラメータを定義したテーブルである。
以上が作業空間の制約条件と、作業時間算定式のパラメータとの関係の説明である。
以上が作業空間の制約条件の説明である。
実施例1で説明した保守工程フロー設計システム201は、配管の余寿命に基づいて保守の優先順位を決定し、また、配管の制約条件に基づいて、まとめて保守する機器及び配管の組合せ、すなわち、保守範囲を決定できる。また、保守工程フロー設計システム201は、3次元CADの情報を活用して、可達性の制約条件に基づいて、揚重機、足場の段取り要否を判定し、さらに、作業空間の制約条件に基づいて、各工程の作業性を評価することによって、工程フローを生成できる。
また、保守工程フロー設計システム201は、施工能力をパラメータ化することによって定義される作業時間算定式と、作業空間の制約条件に基づいて算出されるパラメータ値とを用いて各工程における作業時間を算出できる。
以上のように、保守工程フロー設計システム201は、複数の保守範囲の各々に対して、作業時間を含む保守工程フローを設計できる。これによって、保守範囲の保守の日程、コストを評価できる。これは、保守作業の負荷が工数、日程を満足するように、点検、保守対象のまとめを評価することを意味する。
不具合及び故障のリスクが小さく、コストが低く、作業効率のよい、又は保守作業を実施可能な保守対象のまとめと保守日程を計画できる。
実施例1では、各保守範囲に対して工程フローが生成されていた。実施例2では、保守実施時期毎に分割された保守範囲の保守を行うための工程フローが生成される。より具体的には、要素が重複しない複数の保守範囲に対して一つの工程フローが生成される。
保守工程フロー設計システム201は、工程フローの良否の判断基準となる情報として、作業実施時期毎の工程の組合せの作業時間のばらつき等を提示する。例えば、各作業実施時期の作業時間を均等にして、作業時間のばらつきが小さくした場合、保守費用は平準化される。一方、いずれかの作業実施時期の保守に対して、多くの費用をかけて多くの要素の保守を行い、他の作業実施時期では通常の機械修繕の費用程度に保守費用を抑えた場合、作業時間のばらつきは大きくなる。保守工程フロー設計システム201は、前述のような判断を行うための尺度として標準偏差を提示する。
実施例2の計算機システムの構成は実施例1と同一である。実施例2では、計算機システムが実行する処理が一部異なる。図29は、実施例2の計算機システムが実行する保守工程フローの設計処理の一例を説明するフローチャートである。
ステップS101及びステップS102の処理が実行された後、保守工程フロー設計システム201は、保守対象となる配管及び機器の組合せ(保守範囲)を抽出し、保守範囲を分割する(ステップS2901)。保守範囲の抽出方法は実施例1と同一である。
具体的には、保守工程フロー設計システム201は、保守実施時期の数だけ保守範囲を分割する。分割された配管及び要素の組合せを分割範囲と呼ぶ。保守工程フロー設計システム201は、各分割範囲に含まれる要素が重複しないように、保守範囲を分割する。なお、分割範囲の組合せは、複数生成される。
次に、保守工程フロー設計システム201は、対象の分割範囲の組合せを選択する(ステップS2902)。次に、保守工程フロー設計システム201は、選択された分割範囲の組合せの中から、対象の分割範囲を選択する(ステップS2903)。
保守工程フロー設計システム201は、対象の分割範囲に対してステップS105からステップS110の処理を実行する。
ステップS110の処理が実行された後、保守工程フロー設計システム201は、分割範囲の組合せに含まれる全ての分割範囲について処理が実行されたか否かを判定する(ステップS2904)。
分割範囲の組合せに含まれる全ての分割範囲について処理が実行されていないと判定された場合、保守工程フロー設計システム201はステップS2903に戻り、同様の処理を実行する。
分割範囲の組合せに含まれる全ての分割範囲について処理が実行されたと判定された場合、保守工程フロー設計システム201は、分割範囲の組合せの作業時間の合計値、及び各分割範囲の作業時間のばらつきを算出する(ステップS2905)。
次に、保守工程フロー設計システム201は、全ての分割範囲の組合せについて処理が実行されたか否かを判定する(ステップS2906)。
全ての分割範囲の組合せについて処理が実行されていないと判定された場合、保守工程フロー設計システム201は、ステップS2902に戻り、同様の処理を実行する。
全ての分割範囲の組合せについて処理が実行されたと判定された場合、保守工程フロー設計システム201はステップS112に進む。
ステップS112では、保守工程フロー設計システム201は、作業費用の合計値及び作業時間のばらつきに基づいて、分割範囲の組合せの工程フローをソートし、工程フローの一覧を生成する。保守実施時期は異なるが、保守範囲に含まれる全ての要素について保守が行われるため、作業費用の合計値には大きな違いはない。そのため、作業時間のばらつきに基づいて工程フローがソートされる。
実施例2によれば、保守実施時期が異なる、効率的な工程フローを設定できる。
実施例3では、実施例1及び実施例2で説明した計算機システムの具体的な活用方法について説明する。
各制約条件、マスタ工程フロー情報234、作業時間算定式は、工程フローを生成するプラント、施設、及び建築物等の対象システムに応じて、データ、プログラム処理のサブルーチン、関数、オブジェクト指向プログラミングならばクラスとして登録して、可変な構成とできる。そこで、様々な顧客のシステムに応じて各制約条件、マスタ工程フロー情報234、作業時間算定式をカスタマイズすることによって、対象の保守日程を計画する。
図30は、実施例1又は実施例2で説明した計算機システムを活用したビジネスモデルの一例を示す図である。
保守工程フロー設計システム201は、顧客毎にシステム情報群3000を保持する。
システム情報群3000には、構成情報231、余寿命情報232、設備情報23、マスタ工程フロー情報234、作業時間算定式情報235、及び制約条件情報3012が含まれる。制約条件情報3012は、顧客のシステムにおける配管の制約条件、可達性の制約条件、及び作業空間の制約条件を定義した情報である。これらの情報は、SI(システムインテグレーション)を利用して設定される。なお、SI以外に、システム導入サービス又はコンサルティングサービス等を利用して設定してもよい。
また、システム情報群3000には、入出力及び工程フロー設計の処理手順等を定義したカスタマイズロジック3010及び制約条件処理部3011が含まれる。これらは、プログラミングにより設定される。
保守工程フロー設計システム201は、工程フローを生成し、日程計画システム202に出力する。日程計画システム202は、工程フローの日程計画を生成し、O&Mシミュレータ203に出力する。O&Mシミュレータ203は、日程計画のKPIを出力する。
日程計画を生成する処理を提供サービスとして販売対象のサービスメニューとする。また、ソフトウェエアシステムとして販売してもよい。さらにシステムインテグレーションもサービスメニューとしてよい。
以上が、本発明における保守工程フロー設計システム201を活用したビジネスモデルの説明である。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。また、例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために構成を詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成に追加、削除、置換することが可能である。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、本発明は、実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードによっても実現できる。この場合、プログラムコードを記録した記憶媒体をコンピュータに提供し、そのコンピュータが備えるプロセッサが記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施例の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそれを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD-ROM、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、光ディスク、光磁気ディスク、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等が用いられる。
また、本実施例に記載の機能を実現するプログラムコードは、例えば、アセンブラ、C/C++、perl、Shell、PHP、Python、Java(登録商標)等の広範囲のプログラム又はスクリプト言語で実装できる。
さらに、実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを、ネットワークを介して配信することによって、それをコンピュータのハードディスクやメモリ等の記憶手段又はCD-RW、CD-R等の記憶媒体に格納し、コンピュータが備えるプロセッサが当該記憶手段や当該記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行するようにしてもよい。
上述の実施例において、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。全ての構成が相互に接続されていてもよい。
201 保守工程フロー設計システム
202 日程計画システム
203 O&Mシミュレータ
205 プロセッサ
206 メモリ
207 ネットワークインタフェース
211 情報取得部
212 必須配管選択部
213 工程計画器
214 評価値算出部
215 工程フロー選択部
221 保守範囲抽出部
222 揚重機要否判定部
223 可達性判定部
224 足場要否判定部
225 作業負荷算出部
226 工程フロー生成部
231 構成情報
232 余寿命情報
233 設備情報
234 マスタ工程フロー情報
235 作業時間算定式情報
241 系統ライン意味情報
242 配管連結情報
243 経路情報
244 巡回経路情報
251 アクセシビリティ(グラフ)情報
252 アクセシビリティ(作業員)情報
253 高さ範囲情報
254 配管周辺領域情報
261 配管領域情報
262 作業可能領域情報
263 配管大きさ情報
264 配管密集度情報
300 CAD
3000 システム情報群
3010 カスタマイズロジック
3011 制約条件処理部
3012 制約条件情報

Claims (18)

  1. 複数の配管及び複数の機器を要素として含むプラントに対して行われる保守の工程フローを生成する保守工程フロー生成装置であって、
    前記保守工程フロー生成装置は、
    プロセッサ、前記プロセッサに接続される記憶装置、及び前記プロセッサに接続されるインタフェースを備え、
    対象プラントに含まれる前記複数の要素、前記複数の要素の接続、並びに前記複数の要素の座標に関する構成情報と、前記複数の配管の各々の寿命に関する寿命情報と、前記保守の作業である工程の順序関係を定義したマスタ工程フロー情報と、を保持し、
    前記マスタ工程フロー情報は、
    前記要素に関する工程の順序関係、前記要素の設置場所の高さに応じた工程の順序関係、前記要素及び前記要素の設置場所に依存しない工程の順序関係を定義した情報であって、
    工程名称、部品名称、高さ情報、固有作業時間、及び高さ判定の要素から構成されるエントリを格納し、
    前記要素に関する工程の順序関係は、前記要素の解体及び据付の工程と、前記要素に対する準備及び後処理の段取りの工程との順序を定義したものであり、
    前記要素の設置場所の高さに応じた工程の順序関係は、高さ判定に応じて定義される、揚重機の設置及び撤去の工程と、足場の設置及び解体の工程との順序を定義したものであり、
    前記要素及び前記要素の設置場所に依存しない工程の順序関係は、特定の工程の前又は後に挿入される工程を定義したものであり、
    前記保守工程フロー生成装置は、
    前記寿命情報に基づいて対象配管を特定し、
    前記構成情報に基づいて、前記対象配管を含む、保守対象とする前記要素の組合せである保守範囲を抽出し、
    前記構成情報に基づいて、まとめて保守を行える前記複数の要素に対する保守に必要な工程の要否を判定し、
    前記工程の要否判定の結果及び前記マスタ工程フロー情報に基づいて、前記対象プラントの保守で行われる工程の順序関係を定義した工程フローを生成し、
    前記構成情報に基づいて、前記工程フローに含まれる工程の作業性を評価し、
    前記作業性の評価の結果に基づいて、前記工程フローの作業時間を算出し、
    前記保守範囲、前記工程フロー、及び前記作業時間を提示する情報を出力することを特徴とする保守工程フロー生成装置。
  2. 複数の配管及び複数の機器を要素として含むプラントに対して行われる保守の工程フローを生成する保守工程フロー生成装置であって、
    前記保守工程フロー生成装置は、
    プロセッサ、前記プロセッサに接続される記憶装置、及び前記プロセッサに接続されるインタフェースを備え、
    対象プラントに含まれる前記複数の要素、前記複数の要素の接続、並びに前記複数の要素の座標に関する構成情報と、前記複数の配管の各々の寿命に関する寿命情報と、前記保守の作業である工程の順序関係を定義したマスタ工程フロー情報と、を保持し、
    前記寿命情報に基づいて対象配管を特定し、
    前記構成情報に基づいて、前記対象配管を含む、保守対象とする前記要素の組合せである保守範囲を抽出し、
    前記構成情報に基づいて、まとめて保守を行える前記複数の要素に対する保守に必要な工程の要否を判定し、
    前記工程の要否判定の結果及び前記マスタ工程フロー情報に基づいて、前記対象プラントの保守で行われる工程の順序関係を定義した工程フローを生成し、
    前記構成情報に基づいて、前記工程フローに含まれる工程の作業性を評価し、
    前記作業性の評価の結果及び工程の施工能力をパラメータとする数式を用いて前記工程フローの作業時間を算出し、
    前記保守範囲、前記工程フロー、及び前記作業時間を提示する情報を出力し、
    前記数式は、工程の対象となる要素の数及び大きさ、工程が行われる空間の広さ、高さ、及び障害の有無、並びに前記対象プラントの設備に関する作業負荷をパラメータとする数式により算出される対象作業時間と、工程に固有の工程固有時間と、の和として定義されることを特徴とする保守工程フロー生成装置。
  3. 複数の配管及び複数の機器を要素として含むプラントに対して行われる保守の工程フローを生成する保守工程フロー生成装置であって、
    前記保守工程フロー生成装置は、
    プロセッサ、前記プロセッサに接続される記憶装置、及び前記プロセッサに接続されるインタフェースを備え、
    対象プラントに含まれる前記複数の要素、前記複数の要素の接続、並びに前記複数の要素の座標に関する構成情報と、前記複数の配管の各々の寿命に関する寿命情報と、前記保守の作業である工程の順序関係を定義したマスタ工程フロー情報と、を保持し、
    前記寿命情報に基づいて対象配管を特定し、
    前記構成情報を参照し、前記要素の選択によって連結状態を判定して系統ラインを抽出するための配管の制約条件を用いて前記対象配管を含む、保守対象とする前記要素の組合せである保守範囲を抽出し、
    前記構成情報に基づいて、まとめて保守を行える前記複数の要素に対する保守に必要な工程の要否を判定し、
    前記工程の要否判定の結果及び前記マスタ工程フロー情報に基づいて、前記対象プラントの保守で行われる工程の順序関係を定義した工程フローを生成し、
    前記構成情報に基づいて、前記工程フローに含まれる工程の作業性を評価し、
    前記作業性の評価の結果に基づいて、前記工程フローの作業時間を算出し、
    前記保守範囲、前記工程フロー、及び前記作業時間を提示する情報を出力し、
    前記保守範囲の抽出では、前記要素の選択によって連結状態を判定して系統ラインを抽出するための配管の制約条件を用いて前記保守範囲が抽出され、
    前記行程の要否の判定では、作業員及び揚重機が要素にアクセスして作業できることを空間的に判定するための可達性の制約条件を用いて、まとめて保守を行える前記複数の要素に対する足場及び揚重機に関する工程の要否が判定され、
    前記作業性の評価では、前記要素の大きさ及び重さ、並びに、工程が行われる空間の広さを判定して、作業性を定量化するための作業空間の制約条件を用いて、前記工程フローに含まれる前記工程の作業性が評価されることを特徴とする保守工程フロー生成装置。
  4. 請求項3に記載の保守工程フロー生成装置であって、
    前記配管の制約条件は、
    前記構成情報に設定された、前記複数の要素の接続の意味を表す属性値を制約条件とする系統ラインの意味に関する制約条件と、
    前記対象配管を含む配管の連結を表すグラフを取得するための、配管の連結性に関する制約条件と、
    開始点として指定された前記要素から、指定された配管を経由して終了点として指定された要素に至る流れの経路を取得するための流れの経路に関する制約条件と、
    開始点から指定された配管を経由して前記開始点まで巡回する経路を取得するための配管に沿った経路に関する制約条件と、を含むことを特徴とする保守工程フロー生成装置。
  5. 請求項3に記載の保守工程フロー生成装置であって、
    前記可達性の制約条件は、
    前記保守範囲の外周となる巡回路の内部にある要素をリストアップするためのアクセシビリティに関する制約条件と、
    作業員が到達できない前記要素の巡回路及び足場の設置場所を特定するための作業員アクセシビリティに関する制約条件と、
    共用可能な足場の設置の要否を判定するための高さ範囲の重複に関する制約条件と、
    前記揚重機のアクセスに関連し、前記保守範囲の外側の領域における前記揚重機の配置可能性、又は吊り金具が前記配管にアクセス可能となる作業半径を判定するための配管の周囲の領域に関する制約条件と、を含むことを特徴とする保守工程フロー生成装置。
  6. 請求項3に記載の保守工程フロー生成装置であって、
    前記作業空間の制約条件は、
    前記保守範囲に含まれる前記配管のオフセット領域の面積を評価し、前記オフセット領域における配管の有無を評価するための配管を含む領域に関する制約条件と、
    前記配管から別の配管までの距離を評価するための作業可能領域に関する制約条件と、
    前記配管の直径、長さ、及び肉厚による重量に応じたオフセット量を定めるための配管の大きさに関する制約条件と、
    一度に作業する領域の内部にある配管の数に基づいて作業性を評価するための配管の密集度に関する制約条件と、を含むことを特徴とする保守工程フロー生成装置。
  7. 請求項3記載の保守工程フロー生成装置であって、
    前記構成情報に基づいて、まとめて保守を行える前記複数の要素に対する足場及び揚重機に関する工程の要否を判定する場合に、前記構成情報及び前記配管の大きさに関する制約条件に基づいて、前記揚重機の要否を判定し、前記構成情報及び前記高さの範囲の重複に関する制約条件に基づいて前記足場の要否を判定することを特徴とする保守工程フロー生成装置。
  8. 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の保守工程フロー生成装置であって、
    前記保守範囲に対する前記工程フローのコストを評価し、
    前記コストの評価の結果に基づいて、最適な工程フローを選択することを特徴とする保守工程フロー生成装置。
  9. 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の保守工程フロー生成装置であって、
    前記工程フローに含まれる工程に、作業員、資材、及び設備のリソースを割り付けることによって、日程計画を生成し、
    前記対象プラントにおけるコスト及び収益を評価し、
    前記対象プラントにおけるコスト及び収益の評価の結果に基づいて、前記日程計画の良否を判定することを特徴とする保守工程フロー生成装置。
  10. 複数の配管及び複数の機器を要素として含むプラントに対して行われる保守の工程フローを生成する装置が実行する保守工程フローの生成方法であって、
    前記装置は、
    プロセッサ、前記プロセッサに接続される記憶装置、及び前記プロセッサに接続されるインタフェースを有し、
    対象プラントに含まれる前記複数の要素、前記複数の要素の接続、並びに前記複数の要素の座標に関する構成情報と、前記複数の配管の各々の寿命に関する寿命情報と、前記保守の作業である工程の順序関係を定義したマスタ工程フロー情報と、を保持し、
    前記マスタ工程フロー情報は、
    前記要素に関する工程の順序関係、前記要素の設置場所の高さに応じた工程の順序関係、前記要素及び前記要素の設置場所に依存しない工程の順序関係を定義した情報であって、
    工程名称、部品名称、高さ情報、固有作業時間、及び高さ判定の要素から構成されるエントリを格納し、
    前記要素に関する工程の順序関係は、前記要素の解体及び据付の工程と、前記要素に対する準備及び後処理の段取りの工程との順序を定義したものであり、
    前記要素の設置場所の高さに応じた工程の順序関係は、高さ判定に応じて定義される、揚重機の設置及び撤去の工程と、足場の設置及び解体の工程との順序を定義したものであり、
    前記要素及び前記要素の設置場所に依存しない工程の順序関係は、特定の工程の前又は後に挿入される工程を定義したものであり、
    前記保守工程フローの生成方法は、
    前記装置が、前記寿命情報に基づいて対象配管を特定する第1のステップと、
    前記装置が、前記構成情報に基づいて、前記対象配管を含む、保守対象とする前記要素の組合せである保守範囲を抽出する第2のステップと、
    前記装置が、前記構成情報に基づいて、まとめて保守を行える前記複数の要素の保守に必要な工程の要否を判定する第3のステップと、
    前記装置が、前記工程の要否判定の結果及び前記マスタ工程フロー情報に基づいて、前記対象プラントの保守で行われる工程の順序関係を定義した工程フローを生成する第4のステップと、
    前記装置が、前記構成情報に基づいて、前記工程フローに含まれる前記工程の作業性を評価する第5のステップと、
    前記装置が、前記作業性の評価の結果に基づいて、前記工程フローの作業時間を算出する第6のステップと、
    前記装置が、前記保守範囲、前記工程フロー、及び前記作業時間を提示する情報を出力する第7のステップと、を含むことを特徴とする保守工程フローの生成方法。
  11. 複数の配管及び複数の機器を要素として含むプラントに対して行われる保守の工程フローを生成する装置が実行する保守工程フローの生成方法であって、
    前記装置は、
    プロセッサ、前記プロセッサに接続される記憶装置、及び前記プロセッサに接続されるインタフェースを有し、
    対象プラントに含まれる前記複数の要素、前記複数の要素の接続、並びに前記複数の要素の座標に関する構成情報と、前記複数の配管の各々の寿命に関する寿命情報と、前記保守の作業である工程の順序関係を定義したマスタ工程フロー情報と、を保持し、
    前記保守工程フローの生成方法は、
    前記装置が、前記寿命情報に基づいて対象配管を特定する第1のステップと、
    前記装置が、前記構成情報に基づいて、前記対象配管を含む、保守対象とする前記要素の組合せである保守範囲を抽出する第2のステップと、
    前記装置が、前記構成情報に基づいて、まとめて保守を行える前記複数の要素の保守に必要な工程の要否を判定する第3のステップと、
    前記装置が、前記工程の要否判定の結果及び前記マスタ工程フロー情報に基づいて、前記対象プラントの保守で行われる工程の順序関係を定義した工程フローを生成する第4のステップと、
    前記装置が、前記構成情報に基づいて、前記工程フローに含まれる前記工程の作業性を評価する第5のステップと、
    前記装置が、前記作業性の評価の結果に基づいて、前記工程フローの作業時間を算出する第6のステップと、
    前記装置が、前記保守範囲、前記工程フロー、及び前記作業時間を提示する情報を出力する第7のステップと、を含み、
    前記第6のステップは、前記装置が、前記作業性の評価の結果及び工程の施工能力をパラメータとする数式を用いて前記工程フローの作業時間を算出するステップを含み、
    前記数式は、工程の対象となる要素の数及び大きさ、工程が行われる空間の広さ、高さ、及び障害の有無、並びに前記対象プラントの設備に関する作業負荷をパラメータする数式により算出される対象作業時間と、工程に固有の工程固有時間と、の和として定義されることを特徴とする保守工程フローの生成方法。
  12. 複数の配管及び複数の機器を要素として含むプラントに対して行われる保守の工程フローを生成する装置が実行する保守工程フローの生成方法であって、
    前記装置は、
    プロセッサ、前記プロセッサに接続される記憶装置、及び前記プロセッサに接続されるインタフェースを有し、
    対象プラントに含まれる前記複数の要素、前記複数の要素の接続、並びに前記複数の要素の座標に関する構成情報と、前記複数の配管の各々の寿命に関する寿命情報と、前記保守の作業である工程の順序関係を定義したマスタ工程フロー情報と、を保持し、
    前記保守工程フローの生成方法は、
    前記装置が、前記寿命情報に基づいて対象配管を特定する第1のステップと、
    前記装置が、前記構成情報に基づいて、前記対象配管を含む、保守対象とする前記要素の組合せである保守範囲を抽出する第2のステップと、
    前記装置が、前記構成情報に基づいて、まとめて保守を行える前記複数の要素の保守に必要な工程の要否を判定する第3のステップと、
    前記装置が、前記工程の要否判定の結果及び前記マスタ工程フロー情報に基づいて、前記対象プラントの保守で行われる工程の順序関係を定義した工程フローを生成する第4のステップと、
    前記装置が、前記構成情報に基づいて、前記工程フローに含まれる前記工程の作業性を評価する第5のステップと、
    前記装置が、前記作業性の評価の結果に基づいて、前記工程フローの作業時間を算出する第6のステップと、
    前記装置が、前記保守範囲、前記工程フロー、及び前記作業時間を提示する情報を出力する第7のステップと、を含み、
    前記第2のステップは、前記装置が、前記要素の選択によって連結状態を判定して系統ラインを抽出するための配管の制約条件を用いて前記保守範囲を抽出するステップを含み、
    前記第3のステップは、前記装置が、作業員及び揚重機が要素にアクセスして作業できることを空間的に判定するための可達性の制約条件を用いて、まとめて保守を行える前記複数の要素に対する足場及び揚重機に関する工程の要否を判定するステップを含み、
    前記第5のステップは、前記装置が、前記要素の大きさ及び重さ、並びに、工程が行われる空間の広さを判定して、作業性を定量化するための作業空間の制約条件を用いて、前記工程フローに含まれる前記工程の作業性を評価するステップを含む、ことを特徴とする保守工程フローの生成方法。
  13. 請求項12に記載の保守工程フローの生成方法であって、
    前記配管の制約条件は、
    前記構成情報に設定された、前記複数の要素の接続の意味を表す属性値を制約条件とする系統ラインの意味に関する制約条件と、
    前記対象配管を含む配管の連結を表すグラフを取得するための、配管の連結性に関する制約条件と、
    開始点として指定された前記要素から、指定された配管を経由して終了点として指定された要素に至る流れの経路を取得するための流れの経路に関する制約条件と、
    開始点から指定された配管を経由して前記開始点まで巡回する経路を取得するための配管に沿った経路に関する制約条件と、を含むことを特徴とする保守工程フローの生成方法。
  14. 請求項12に記載の保守工程フローの生成方法であって、
    前記可達性の制約条件は、
    前記保守範囲の外周となる巡回路の内部にある要素をリストアップするためのアクセシビリティに関する制約条件と、
    作業員が到達できない前記要素の巡回路及び足場の設置場所を特定するための作業員アクセシビリティに関する制約条件と、
    共用可能な足場の設置の要否を判定するための高さ範囲の重複に関する制約条件と、
    前記揚重機のアクセスに関連し、前記保守範囲の外側の領域における前記揚重機の配置可能性、又は吊り金具が前記配管にアクセス可能となる作業半径を判定するための配管の周囲の領域に関する制約条件と、を含むことを特徴とする保守工程フローの生成方法。
  15. 請求項12に記載の保守工程フローの生成方法であって、
    前記作業空間の制約条件は、
    前記保守範囲に含まれる前記配管のオフセット領域の面積を評価し、前記オフセット領域における配管の有無を評価するための配管を含む領域に関する制約条件と、
    前記配管から別の配管までの距離を評価するための作業可能領域に関する制約条件と、
    前記配管の直径、長さ、及び肉厚による重量に応じたオフセット量を定めるための配管の大きさに関する制約条件と、
    一度に作業する領域の内部にある配管の数に基づいて作業性を評価するための配管の密集度に関する制約条件と、を含むことを特徴とする保守工程フローの生成方法。
  16. 請求項12記載の保守工程フローの生成方法であって、
    前記第3のステップは、
    前記装置が、前記構成情報及び前記配管の大きさに関する制約条件に基づいて、前記揚重機の要否を判定するステップと、
    前記装置が、前記構成情報及び前記高さの範囲の重複に関する制約条件に基づいて前記足場の要否を判定するステップと、を含むことを特徴とする保守工程フローの生成方法。
  17. 請求項10乃至請求項12のいずれか一項に記載の保守工程フローの生成方法であって、
    前記装置が、前記保守範囲に対する前記工程フローのコストを評価するステップと、
    前記装置が、前記コストの評価の結果に基づいて、最適な工程フローを選択するステップと、を含むことを特徴とする保守工程フローの生成方法。
  18. 請求項10乃至請求項12のいずれか一項に記載の保守工程フローの生成方法であって、
    前記装置が、前記工程フローに含まれる工程に、作業員、資材、及び設備のリソースを割り付けることによって、日程計画を生成するステップと、
    前記装置が、前記対象プラントにおけるコスト及び収益を評価するステップと、
    前記装置が、前記対象プラントにおけるコスト及び収益の評価の結果に基づいて、前記日程計画の良否を判定するステップと、を含むことを特徴とする保守工程フローの生成方法。
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