以下の説明は、共通の性質および特徴を共有していてよいいくつかの実施形態に関連して提供される。任意の1つの実施形態の1つ以上の特徴は他の実施形態の1つ以上の特徴に組み合わせ可能であってよいことを理解されたい。さらに、いずれかの実施形態の任意の単独の特徴または特徴の組み合わせは追加の実施形態を構成することができる。
本明細書では、「有する」、「備える」という言葉は、「排他的でない」意味として、または「含む」という意味で理解されるべきであり、「排他的な」意味として、または「のみから構成される」という意味に限定されない。
「空気」という用語は、例えば酸素補給(supplemental oxygen)を含む空気といったような呼吸可能なガスを含むものとする。また、本明細書に記載されるPAPデバイスまたは送風機は、空気以外の流体をポンプで押し出すように設計されてよいことも理解されたい。
1.PAPシステム
図1に示されるように、PAPシステム10は、一般に、PAPデバイス15、空気供給導管20(空気供給チューブまたは空気供給管材料とも称される)、および、患者インターフェース100を有する。使用時、PAPデバイス15は、PAPデバイス15の出口に結合される一方の端部と患者インターフェース100に結合される反対側の端部とを含む空気供給導管20を介して患者に供給される加圧空気の供給を生じさせる。患者インターフェース100は患者の顔に快適な状態で係合され、シールを形成する。
2.患者インターフェース
患者インターフェース100は、マスク200と、図1に示されるように使用時にマスクを患者の顔の定位置で維持するような構造のヘッドギア300とを有していてよい。示されるように、マスク200は、シール部分210と、フレーム220と、空気供給チューブ20に連結されるように適合されるエルボー230(例えば、スイベルを備える)と、ヘッドギアアタッチメント240(例えば、ヘッドギアストラップに係合するように設けられた、フレーム上、および/または額支持体上のスロットまたはクリップ)と、額支持体250と、額調節装置260とを有していてよい。
ResMed’社製 Mirage Quattro(商標)などの従来技術の患者インターフェース(図1に示されるような)では、患者の顔の上にあるマスクは嵩張って邪魔である。ヘッドギア300と組み合わされる実質的に剛性のフレーム220は患者の顔の大部分を包み込む。このような構成は患者の治療を心理的に妨げる可能性があり、したがってその適用順守性に不利に影響する可能性がある。
別の従来技術の患者インターフェースは、患者の鼻孔の中または周りを密閉する鼻ピローまたはパフマスクの、ResMed’s Mirage Swift(商標)である。このような構成では、鼻ピローが鼻孔の中または周りに接触することより不快感が生じることがある。さらに、鼻孔内へと上方に方向付けられた高速の層流に起因する「エアジェッティング」効果により不快感が生じる場合があり、それにより、鼻腔通路(nasal passage)内の小さい領域の圧力が増大し、粘膜が乾燥する。
以下の説明の1つ以上の実施形態で開示される患者インターフェースは、より邪魔にならずにより快適であることにより、これを克服する。提案される患者インターフェースは鼻孔内を密閉しないため、この不快感を解消する。また、提案される患者インターフェースは、鼻ピローの患者インターフェースと異なり、呼吸可能なガスを患者の気道内へと誘導する単一の開口部またはアパーチャを有する。単一の開口部により空気流れをより乱れさせることができ、それにより「エアジェッティング」効果が軽減される。
3.マスク
図1-1から1-18は、本技術の一実施形態による、シール部分210と、サスペンションシステム215と、フレーム220とを有するマスク200を示している。マスク200は、フルフェイスマスクまたは鼻のみのマスク(nasal only mask)のいずれかであってよい。マスク200はまた、口のみのマスク(mouth only mask)であってもよい。好適なマスクは鼻構造の下にあるが、本技術の態様は、鼻を囲むマスクまたは鼻および口の両方を囲むマスクなどの、別の形態のマスクに組み込まれてもよい。
3.1 シール部分
使用時にシール部分210が患者と接合し、呼吸可能なガスを患者に供給することが可能となる。示される実施形態では、シール部分210は、使用時に患者の鼻孔とシールを形成することができる。例えば、シール部分210は、鼻翼または外鼻孔のふくらみ部分の各々の外側部分、上唇および/または鼻孔の基部、ならびに、鼻の先端部と接合してそれらと密閉状態を作ることができる。シール部分210は、限定しないが、シリコーン、熱可塑性エラストマ、ゲル、発泡材料、または、任意の別の適切な形状順応性を有する材料を含む材料から作られてよい。この材料は、約1Shore Aから15Shore Aのデュロメータを有していてよい。好適には、この材料は約3Shore Aから10Shore Aのデュロメータを有していてよい。好適には、この材料は約5Shore Aから12Shore Aのデュロメータを有していてよい。最も好適には、この材料は約5Shore Aのデュロメータを有していてよい。したがって、好適なシール部分は、使用時に患者の外鼻孔内へと延在しない非侵襲的な構成を実現する。好適なシール部分210は膨張しないため、シールを形成する際に膨張圧力を必要としない。好適にはシールは圧力によって補助されないが、圧力によって補助されるように修正されてもよい。一形態では、シール部分は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる特許文献3または特許文献4で開示されるように、シールを形成するのを補助するための(例えば、シール部分の面積より大きい投影面積を有する)ガセットを使用することができる。
一実施形態では、シール部分は約0.1~15mmの壁の厚さを有していてよい。好適には、シール部分は約2mmから10mmの壁の厚さを有していてよい。好適には、シール部分は約7mmから12mmの壁の厚さを有していてよい。好適には、シール部分は約1~5mmの壁の厚さを有していてよい。最も好適には、シール部分は約1~3mmの壁の厚さを有していてよい。最も好適には、シール部分は約1.5mmの壁の厚さを有していてよい。壁の厚さはシール部分の種々の領域で異なっていてよく、例えば、薄い領域では約0.5mmの厚さで、厚い領域では最大で約2~10mmの範囲であってよい。別法として、シール部分は例えば約1.2mmの一定の壁の厚さを有してもよい。この壁は種々の材料層で構成されてよく、各材料層は異なる硬度および/または厚さを有する(例えば、2つの層の各々が1.2mmの厚さであるが、異なるデュロメータのシリコーンを有する)。
3.1.1 形状
示される実施形態では、シール部分210(鼻クレードルとも称される)は、概してクレードル形状、カップ形状またはU字形状を有していてよく、したがって、患者の鼻の下に配置されると、患者の鼻翼角に沿うようになるか、または患者の鼻翼角に概して合った形状になる(例えば、図1-1を参照し、さらに、特許文献2として公開されている特許文献1の図19から21および関連する説明を参照されたい)。
シール部分210の概して滑らかな湾曲部、または波形の形状は、種々の鼻の形状およびサイズに順応できるように曲げることができることから、形状順応性を有することができる。シール部分210の概略的な形状はまた、患者に快適さをもたらすことができるとともに患者にとって邪魔にならないことから、適用順守性が増す。
別法として、シール部分210は概して平坦であってもよく、この場合もやはり患者の所望の鼻翼角に合うように曲げることができる。これは、シール部分210に、曲げを容易にするように厚さが薄くされた部分を設けること、および/またはシール部分210を可撓性材料から構成すること、あるいは可撓性材料からなる部分を組み込むことにより達成され得る。
3.1.2 アパーチャ
図1-2から1-7に最も良好に示されているように、シール部分210は、空気供給導管20から患者へと呼吸可能なガスが通過するのを可能にするアパーチャ211を有していてよい。アパーチャ211は、概して、円形、長方形、または、任意の別の所望の形状(例えば、図1-4、1-5および48に示されるような台形状または楕円形状)であってよい。一実施形態では、アパーチャ211は、例えば台形形状または三角形形状といったように、使用時における患者の鼻に対するシール部分210の位置合わせまたは向きを示すような形状であってよい。
シール部分のアパーチャ211は、鼻ピローまたはプロングマスク(prongs mask)のアパーチャと比較して大きくてよい。これは、アパーチャ211から出るときの空気の速度が鼻プロングまたはピローマスクと比較して低くてよいことを意味する。アパーチャ211から出る空気の速度が低いことにより、患者が入ってくる空気に逆らって空気を吐き出すことが容易になり、また、鼻の中および周りにおいて高速の空気流れによる不快感が軽減される。
図48-1の実施形態に示されるように、アパーチャ455は、多様な計測値を有する様々な患者の鼻の幅に対応する寸法d1(幅)および多様な計測値を有する様々な患者の鼻先端部高さ、または上唇からの距離に対応する寸法d2(高さ)を有することができる。好適には、寸法d1は約10~60mmであってよい。好適には、寸法d1は約15~40mmであってよい。最も好適には、寸法d1は約21mmであってよい。最も好適には、寸法d1は約38mmであってよい。最も好適には、寸法d1は約58mmであってよい。好適には、寸法d2は約1~20mmであってよい。最も好適には、寸法d2は約5~15mmであってよい。最も好適には、寸法d2は約11mmであってよい。過度に高いインピーダンスがない状態で十分なガス流れを提供するためにおよび異なるサイズの鼻に適合するために、任意の別の値のd1およびd2が使用されてもよい。角部分457の曲率半径は5mmであってよいが、異なる曲率半径が使用されてもよい。
3.1.3 係合部分
示される実施形態では、シール部分210は、鼻先端部係合部分212および上唇係合部分213を有していてよい。図1-2から1-4および1-8に示されるように、鼻先端部係合部分212は、種々のサイズの鼻に対応するために十分な長さのシール表面を提供できるように、その長手方向に沿って概して平坦であるか、または平面である。上唇係合部分213は、使用時における患者の上唇との接触を最小にするためにその長手方向に沿って概して湾曲している。図20-1が別の実施形態の上面図を示しており、図20-2から20-7に示される部分を示している。一実施形態では、図20-5に示されるように、鼻先端部係合部分212の外側、または患者に接触しない側の曲率半径R4は、上唇係合部分213の外側、または患者に接触しない側の曲率半径R2より大きい。一実施形態では、鼻先端部係合部分212の内側、または、患者に接触する側の曲率半径R3は、上唇係合部分213の内側、または患者に接触する側の曲率半径R1より大きい。患者に接触しない側の曲率半径(例えば、R2、R4)は、患者に接触する側の曲率半径(例えば、R1、R3)と異なっていてよい(例えば、大きくても小さくてもよい)。R1、R2、R3およびR4の曲率半径は1~5mmであってよく、例えば、2mm、3mm、4mmであってよい。一実施例では、R1は約3~3.75mmであってよく、R2は約2mmであってよく、R3は約3.25~4.5mmであってよく、R4は約3.25~4.25mmであってよい。図20-2に示されるように、曲率半径R10およびR11は約8~13mmであってよく、例えば、9mm、11.5mmであってよい。一実施例では、R10は約9.5~11.5mmであってよく、R11は約9~10.5mmであってよい。
3.1.4 外鼻孔係合フラップ
示される実施形態では、シール部分210は、患者の外鼻孔の近くに、または患者の外鼻孔に面して位置合わせされるような構造の、外鼻孔係合フラップ214を有していてよい。使用時、フラップ214は、(例えば、鼻孔の入口で直接に、または、患者の外鼻孔に沿って)鼻孔と密閉状態を作り、そのシールを安定させて固定させるため、さらにはシール部分210を多様な鼻のサイズおよび形状に適合させるのを可能にするために患者の鼻に向かって内側に曲げられるか、または付勢される。
図1-6で実証されるように、外鼻孔係合フラップ214は、概してV字形状となるように、角度α(アパーチャ211の中心から測定され、各外鼻孔係合フラップ214に沿った概して直線の経路を形成する)で示される角度を有していてよい。
一実施形態では、角度αは、例えば約90~180°、約90~120°、約120~180°、約0~90°、約0~45°、約45~90°、約90°、約75°~95°といったように、約0~180°の範囲内にある。角度αは、非使用時の、または緩んだ形態の係合フラップの角度を示している。角度αは、使用時に、または患者がマスクを鼻の上に配置して鼻によりマスクに力が作用するときに増加し、それにより係合フラップが使用位置まで外側に曲げられる。これには約75°~200°の角度が含まれてよい。αによって区切られた概略的な領域で示された曲率半径は約5~8mmであってよい。
外鼻孔係合フラップは、シールを強化するために代替の構成を有することができる。例えば、図6-1に示されるように、外鼻孔フラップ214は、使用時に鼻を「締めつける」ように、または鼻によって外側に曲げられるように、より狭くてよい(例えば、角度αが小さくてよい)。図6-2に示されるように、フラップ214は、使用時に患者の鼻孔上に「引っ掛かって」患者の鼻孔全体を密閉するような構造のフック形状の端部分214(1)を有していてよい。
3.1.5 張り出したシール部分
図1-2から1-8に示されるように、鼻先端部係合部分212、上唇係合部分213および外鼻孔係合フラップ214はすべて、管状支持壁または基部219から外側に向かって湾曲するか、または延在する構造である。すなわち、鼻先端部係合部分212、上唇係合部分213および外鼻孔係合フラップ214は支持壁から張り出しているか、または片持ち梁状態になっており、したがって、これらは、連続する形でかつ中断されない滑らかな形でシール部分210の外側縁部までの空気経路を画定する支持壁から外側に延在または湾曲する。
3.1.6 可鍛性ワイヤを備えるシール部分
図4-1から4-7は、可鍛性ワイヤ270を備えるシール部分210を示している。示されるように、可鍛性ワイヤ270は、シール部分の下側または顔に接触しない部分に設けられ、シール部分の周囲部に沿って(例えば、使用時に患者の顔に接触するのを一切回避するために、シール部分の縁部から内側に離間されて)延在する。しかし、この可鍛性ワイヤは、シール部分の1つ以上の選択された部分に(例えば、フラップのみに沿って)設けられてもよい。この可鍛性ワイヤにより、患者がその特定の鼻形状に合わせてシール部分210を変形させるのを可能にし(すなわち、シール部分の幾何形状を自分で調節する)、また、使用時にその変形されたシール部分の形状を維持するのを可能にする。例えば、図4-8は概してV字形状に変形されたシール部分210を示しており、図4-9は、概して平坦な形状または平面形状に変形されたシール部分210を示している。
この実施形態では、可鍛性ワイヤ270を備えるシール部分210は、フレームに取り付けられるように適合される基部271に設けられる。しかし、このようなシール部分は、後で説明するように、サスペンションシステムに設けられても、直接フレームに設けられてもよい。
可鍛性ワイヤは、任意の方式でシール部分に取り付けられてよく、またはそうでない場合には、任意な形でシーリングワイヤに設けられてよく、例えば、シール部分と共成形(co-molded)されても、後付けであってもよい。
シール部分は別の適当な方式で変形可能であってもよく、例えば、熱成形可能なプラスチック材料のシール部分を構成することにより同じ効果が達成されてもよい。
3.1.7 ゲルのビーズ
図5-1および5-2に示されるように、ゲルのビーズ272(例えば、涙滴形状)が、シール部分を支持するため、適合性をもたらすため、および/または使用時に触知されるようにするために、シール部分210の周囲部の周りまたはシール部分の1つ以上の部分の周りに(例えば、外鼻孔係合フラップに沿って)設けられてよい。ゲルのビーズ272は、シール部分の縁部に沿って(図5-1)、その縁部の一部分に沿って、および/または、その縁部の中に(図5-2)位置されてよい。
3.1.8 フィンガーまたは隆起部
一実施形態では、フィンガーまたは隆起部が、シールを強化して使用時の漏れを防止するために、シール部分の顔に接触する表面に沿って設けられてよい。図7-2がフィンガー273の一実施形態を示しており、図7-3が隆起部724の一実施形態を示している。図7-1に示されるように、フィンガー273/隆起部274は、シール部分210の周りで同心の輪の形で設けられてよい。しかし、フィンガー/隆起部は別の好適な形で配置されてもよく、例えば、シール部分の1つ以上の選択された領域に設けられてよい。各実施形態において、フィンガー/隆起部はシール部分の顔に接触する表面から外側に延在し(例えば、約0.5mmの高さで)、使用時に変形して患者の顔の多様な輪郭に順応するように構成されている。このようなフィンガー/隆起部は、特に、例えば鼻の付け根から上唇に沿った、不利な位置にあるシールを改善することができる。このようなフィンガー/隆起部はまた、使用時に患者の皮膚と摩擦界面(friction interface)/安定界面(stabilizing interface)を形成することができるので、触知性を改善したり位置を維持したりするのを改善することができる。
3.1.9 補強リブ
一実施形態では、補強リブ275(例えば、シール部分と一体に形成される肉厚部)が、使用時にシール部分を支持するためにシール部分210の1つ以上の部分(例えば、外鼻孔係合フラップ214)に設けられてよい。例えば、図9-1に示されるように、補強リブ275は、シール部分の周りで1つ以上の同心状の輪の形で設けられて、周囲部全体の周りの強度を増大させて使用時に患者の鼻からつぶれて離れないようにシール部分210の外側縁部を支持することができる。図9-2に示されるように、補強リブ275は、シール部分の選択された領域、例えば漏れまたは変形が最も起こりやすい領域において支持力を増大させて曲げが起こるのを軽減するために、アパーチャ211から径方向に延在させることができる(例えば、リブの1つ以上の「分岐部」を備える)。別の実施形態では、補強リブまたは肉厚部分はシール部分の離間した箇所に設けられてよく、例えば、漏れまたは変形が最も起こりやすい箇所に設けられてよい。補強リブ275はシール部分210より厚くてよい。別法として、補強リブはシール部分210とは異なる硬度の材料から作られてよく、例えば、シリコーンのデュロメータはシール部分210のシリコーンのデュロメータより高くてよい。
3.1.10 ゲルシール部分
図19は、ゲルで構成されるシール部分210の一実施形態、すなわち、ゲル充填袋またはゲル充填膜(例えば約0.3~5mmの、例としては0.7mmの壁厚さ)を示している。図示されるように、膜または袋276は、1つ以上の層のゲルで充填され、キャップ277(例えば、ポリカーボネート、シリコーン、ポリプロピレン、ナイロンで構成される)が、袋内への開口部を閉じて密閉するために設けられる。また、キャップ277は、ゲル充填袋をフレーム220に配置し、且つ維持するのを補助する。このゲルシール部分は使用時の快適性および形状順応性を向上させる。
3.1.11 変色材料
一実施形態では、シール部分は、例えば熱感応物質などの、色を変化させるように適合される材料で構成されてよい。例えば、シール部分は、熱感応性の変色シリコーンで構成されてよく、例えば、室温において青色(または、任意の第1の色)から始まり、例えば体温などの熱が加えられると白色/透明(または、第1の色とは異なる任意の第2の色)に変わる。
この変色材料は、使用者によってシール部分のサイズを測るために使用され得る。例えば、患者には、最も大きいサイズの鼻のためのシール部分を提供される場合があり、患者がそのシール部分を自分の鼻に適合させる際に、患者は、例えば、熱物質が患者の顔に接触すると第1の色から第2の色に変化することによって、シール部分上に過剰な材料がどのくらいあるかを正確に見ることができる。患者は、その後、マスクを自分の鼻に合わせて個別調整するために過剰な材料を切り落とすことができる。
また、この変色材料は漏れの指標のために使用することができ、例えば、漏れた空気が体温より冷たいと、何らかの漏れ経路が存在する場所において変色材料はその第1の色または元の色を維持する。
この変色材料は、例えば、患者インターフェースまたはPAPシステムのシール部分および/または別の部分のための、別の用途を有してもよい。
例えば、変色材料は殺菌に使用されてよい。使用される洗浄物質(例えば、水)がある特定の温度においてマスクを洗浄するのに最も効果的である場合、シリコーンが、必要とされる殺菌条件が満たされていることを示すためにその特定の温度において変色することができ、例えば、マスクを殺菌する最良の方法がマスクを熱水中で煮沸することである場合、マスクは摂氏100度で有色から白色/透明に変化することができる。別法として、アルコールを用いてマスクを洗浄することが好適である場合、加えられるアルコールによる潜熱反応がシリコーンを変色させる。
変色材料は耐用寿命インジケータとして使用され得る。変色シリコーンが、正常に機能しなくなる前に所定の回数のみ変色する場合、この変色シリコーンは、新しいマスクを用意する時期がきたことを示すのに使用され得る。
変色材料は不可視性を向上させるのに使用され得る。例えば、透明なシリコーンに変色するシリコーンは、マスクをより邪魔にならないようにする。
変色材料は位置を示すための装置(locator)として使用され得る。例えば、シリコーンの色は、落下したまたは失われた部品を配置するのに有用である場合がある。
変色材料はマスクを非対称にするのに使用され得る。例えば、患者が非対称の鼻を有する場合、変色材料を位置合わせの有用なインジケータとすることができる。患者が自分の非対称の鼻を収容するためにマスクを中心から外して位置させる必要があることも考えられる。シリコーンは、鼻がその時点でマスクに接触している箇所において色を変化させ、それにより、患者が、両方の外鼻孔がマスクからの呼吸可能なガスの流れを確実に受けることができるように使用時にマスクの位置を調節できるようになる。
変色材料は、PAPデバイス、加湿装置および/または管材料の温度が限界値にあることまたは所望の温度であることを示すために、PAPデバイス、加湿装置および/または管材料(例えば、加熱されたチューブ)の上で使用され得る。
別の実施形態では、シール部分は、感圧性の変色材料で構成されてよい。このような実施形態では、患者は圧点を特定することができ、それに応じてマスクを修正することができる。
例示の材料は、英国Devon にあるThermographic Measurements Ltd.から入手可能であるChromazone(登録商標)Free Flowing Powderであってよい。
別の例示の材料は、英国ロンドンにあるB&H Colour Change Ltd.から入手可能であるThermochromatic and Liquid Crystal製品であってよい。
別の例示の材料は、英国ノッティンガムにあるSiltech Ltd.から入手可能であるThermochromatic Inksであってよい。
3.1.12 サイジングインジケータ
図27-1および27-2は、サーモクロミックサイジングインジケータ(thermo-chromic sizing indicator)を備えるシール部分210を示している。図27-1は、使用される前の、シール部分210全体がカラー領域358である状態のシール部分210を示している。図27-2は使用後の例示のシール部分210を示しており、カラー領域360で示されるように、患者が触れた領域が変色している。色が変化することにより、シール部分210の患者が接触した部分が示されるようになり、患者が使用後に余分な材料(すなわち、図27-2ではカラー領域360)を除去することが可能になる。変色部分はシール部分を患者に取り付ける人によっても使用され得ることから、色が変化することにより、種々のサイズの予め作られたシール部分からの理想の選択肢が示される。
3.1.13 サイジングオプション
シール部分210は、より小さいサイズに切り落とされ得るか、または縮小され得る単一のサイズのクレードルが作られ得るように構成することができる。例えば、図28に示されるように、異なるサイズの複数の患者のためにシール部分をサイジングすることは、オリフィス開口部362、オリフィス開口部364、またはオリフィス開口部366が患者の鼻のサイズに応じて使用され得るようにオリフィスのサイズに関連している場合があり、すなわち、大きな鼻にはオリフィス開口部366が使用され、小さい鼻にはオリフィス開口部362が使用される。また、膜348の余分な膜材料は患者または臨床医によって切り落とされてよい。サイジング範囲を示すために、ミシン目または切断線がシール部分210に組み込まれてよい。
3.1.14 突出部
図24-1から24-4は、ノズルまたは突出部320を備えるシール部分210(鼻クレードルとも称される)を示している。ノズル320は患者の鼻孔の中またはその近くに位置するようにシール部分210に配置されており、使用時にシール部分を患者の鼻324の下に位置させる。ノズル320は、効果的なシールを形成するのを可能にして患者に適切な治療を施すのを可能にするように、シール部分320を位置決めする。
ノズル320は、ガスを患者の鼻324内へと放出するのに使用され得るオリフィス322を備える。ノズル320は必ずしも患者の鼻孔と密閉状態を作らなくてもよく、代わりに、シール部分210が、例えば上で説明した形で患者の鼻の下側と密閉状態を作ることができる。示される実施形態では、シール部分210は隔壁ロケータ(septum locator)326を備え、患者の隔壁をノズル320の間に位置させることができる。隔壁ロケータ326は、鼻のこの敏感な領域において患者に快適さをもたらすために緩衝材を有していてよい。患者を基準にしてシール部分を位置決めするために、代替のアライメント突出部またはアライメント機構が使用されてもよい。
ノズル320は、異なるサイズの鼻および鼻孔に快適に適合するように、ノズル320の頂部からノズル320の底部にかけて幅が徐々に増大する湾曲外側表面または凹面外側表面321を有するように構成される。図24-2に示されるように、比較的小さい鼻324および鼻孔を有する患者は、快適なシールを形成するように患者の鼻が湾曲外側表面321の一部分に沿って延在するような形で、ノズル320の湾曲表面を使用することができる。図24-3に示されるように、比較的大きい鼻342および鼻孔を有する患者は、やはり快適なシールを形成するように患者の鼻が湾曲外側表面321のさらに下方まで延在するような形で、ノズル320の湾曲表面を使用することができる。加えて、シール部分210は、異なるサイズ、例えば異なる幅を有する鼻に順応するように抵抗しながら曲げられ得る。
3.1.12 シール部分の快適性
図25-1から25-4は、患者に快適さをもたらすような構造の要素を含むシール部分210を示している。例えば、シール部分210は、快適性を向上させて治療の適用順守性を向上させるための柔らかく快適なクッションを備えていてよい。クッションは、40ShoreA未満(、または、タイプA)の硬度を有する材料などの低デュロメータ材料で構成されてよい。例えば、この材料は、約5~60ShoreAの硬度を有していてよい。好適には、この材料は20ShoreA未満の硬度を有していてよい。最も好適には、この材料は10ShoreA未満の硬度を有していてよい。
図25-1では、クッション330または柔らかい材料のポケットがシール膜328の下に配置されている。膜328はシリコーンまたは別の適切な材料で構成されてよい。クッション330は、成形された熱可塑性エラストマ(TPE)、ゲル充填袋、発泡材料、または、別の形状順応性を有する材料、あるいはそれらの組み合わせであってよい。示されるように、膜328は、クッション330の外側縁部の上に引っ掛かるか、またはその上を覆う端部分を有し、したがって、膜328はクッション330を膜328の下方に位置させて、その位置に保持する。また、シール部分210のステム334上の掛止用隆起部332が、クッション330が下方に滑るのを防止することによりクッション330を保持するように設けられてよい。すなわち、掛止用隆起部332は、クッションが下方向に移動するのを防止するための妨害物を提供する。
シール部分210は、呼吸可能なガスがそこを通って患者へと供給され得るオリフィス336を有する。膜328は、患者と接合するとともに、好適にはクッション330が患者と接合するのを防止し、それにより、患者の安全に起因するクッション330の材料選択の際の制約が殆ど無くなる。
図25-2は図25-1と同様の構成を示しているが、クッションを支持するための下側膜340をさらに有する。または、クッション330を定位置で支持するために、上側膜338および下側膜340が設けられる。使用時に患者がシール部分210を位置決めするとき、患者は、患者による力(矢印で示される)をシール部分210およびクッション330に作用させる。クッション330が適切に変位されたところにおいて十分な反力を生み出すようにするために(矢印で示されるように)、下側膜340がクッション330を定位置で支持し、それにより、患者とシールを形成することが可能となり、また、患者に快適さをもたらすことが可能となる。
図25-3では、シール部分は、下側クッション344の上に設けられる上側クッション342を有する。この実施形態では、シール部分は、上で説明したシール膜を有していても有していなくてもよい。上側クッション342がある硬度を有し、下側クッション344が別の硬度を有してよく、例えば、上側クッション342は下側クッション344より低い硬度を有していてよい。一実施例では、上側クッション342は約5~20ShoreA(例えば、約7~15ShoreA、好適には約7ShoreA)の硬度を有していてよく、下側クッション344は約20~80ShoreA(例えば、約40~70ShoreA、好適には約40ShoreA)の硬度を有していてよい。しかし、別の適切な硬度も可能である。上側クッション342および下側クッション344は、例えば、シリコーン、TPE、ゲル、発泡材料、ナイロン、またはそれらの組み合わせから作ることができる。下側クッション344は、使用時に快適となるようなさらには患者とシールを形成することが可能となるような定位置でシール部分210を支持することができる。患者へガスを供給するのを可能にするために、上側クッションおよび下側クッションを通るようにオリフィス336が設けられる。
図25-4では、シール部分210は、鼻先端部分352および外鼻孔係合フラップを緩衝するために(上から見た場合に)蹄鉄形状346を有していてよい。この構成により、成形工具の引抜き線(矢印で示される)が直線になり、したがって成形が容易になることから、クッションとして袋を形成することが可能となる。袋は、ゲル、発泡材料、TPEまたは任意の別の適切な材料で充填されてよい。クッション346に膜348が設けられてよく、この膜348は、使用時に患者の上唇に接触するように位置決めされる。膜348は、種々の上唇構造に対応できるように伸長可能および/または可撓性であってよい。また、この膜は患者の顔に作用する力を小さくして密閉状態を作ることができ、したがって、上唇位置における快適性が向上する。
図47-1から50に示される実施形態では、シール部分450は1つの材料から形成されてよく、また、患者に快適さをもたらすとともに患者の顔に容易に順応できるように柔軟性を有していてよい。例えば、シール部分450は、液体シリコーンゴム材料または例えばTPEなどの別のエラストマ材料であってよい。シール部分は、患者に快適さをもたらすために、約5~40ShoreA(好適には約5~15ShoreA、最も好適には約5ShoreA)のデュロメータを有していてよい。
3.1.15 膜の曲げ
図29および30において断面図で示されているような従来技術のクレードルでは、膜368は、支持壁370から内側に巻かれているか、または湾曲している。このような構成により、患者の鼻がクッション内へと移動することが可能となり、さらに、シールを形成するために膜が下方へ巻かれるか、または下方へ移動することが可能となる。支持壁370により、膜368が確実に支持されるようになり、また、膜368が内側に巻かれるか、または曲げられるための十分な空間を確実に有するようになる。このように巻かれることは、余分な材料が患者の気道を覆う可能性があるので、患者の鼻孔の閉塞を引き起こす場合がある。
対照的に、図31に示されるような本技術の実施形態では、膜348は、使用時に外側に、または患者の鼻の中心から離れるように曲がるように構成されている。あるいは、この構成はトランペット形状またはベル形状として説明されてよい。支持壁372が膜348を非使用位置に維持し、その予定限界点を超えて膜348が外側に曲げられるのを防止する。膜348の余分な材料は外側に曲がるので、材料が患者の外鼻孔を閉塞する可能性が減少する。膜348の余分な材料は、折曲自在の外側壁によって生じる締め付け力を取り除くことにより、または減少させることによって閉塞の可能性を減少させる。
3.1.16 膜支持体
膜の外側壁を上向き位置で支持するため、すなわち、膜が外側に曲げられて患者の鼻孔を閉塞する可能性があるか、またはマスクと患者とのシールを壊す可能性がある下向き位置にくるのを防止するために、ヘッドギアは膜に取り付けられてよい。図32-1の背面図に示されるように、ヘッドギアストラップ378が、ヘッドギア取り付け箇所376においてシール部分に取り付けられてよい。示されるように、ヘッドギア取り付け箇所376はオリフィス374に近接した位置にあり、したがって、ストラップ378がシール部分210の全長を支持することができ、また、使用時に膜348を上向き位置で支持することができる。したがって、膜348は過度に外側に曲げられることがなく、したがって、患者の鼻孔が閉塞されたり、マスクと患者とのシールが壊されたりすることが防止される。ヘッドギアストラップ378は、ヘッドギアストラップ378がヘッドギアアタッチメントを介して取り付けられていないシール部分210の下に曲がるとともに移動することができ、それにより、ヘッドギアが膜の下の複数の位置に静止することができるようになることによって、より大きなフィット感を与えることが可能となる。
図32-2に示されるように、ヘッドギア378は、別法として、オリフィス374からさらに離れた位置に、膜の縁部により近接するヘッドギア取り付け箇所376を介して取り付けられてよい。これにより、種々の形状の鼻(例えば、尖った鼻や平坦な鼻)に対応できるように膜の融通性を向上させることが可能となる。
図33-1は、シール部分210の下に、シール部分210の中に、またはシール部分210の一部として配置された支持部材381(例えば、実質的に剛性の部材)を示している(支持部材381は点線で示されている)。支持部材381は、密閉するのが困難である患者の顔の領域にシール部分210の膜を接触させるように押し込むような構造である。例えば、患者は鼻の角部および外鼻孔のふくらみ部分において多様な幾何形状を有するため、鼻の角部および外鼻孔のふくらみ部分は密閉するのが困難である。支持部材381は膜より高い剛性または硬さを有していてよく、それにより、シール部分が、上唇領域、鼻領域の角部382、および、外鼻孔のふくらみ部分領域384で固定されるようになり、さらに、膜がこれらの領域において患者に密閉係合して保持されるようになる。鼻の先端部は非常に敏感であるため、鼻先端部領域352には支持部材は配置されない。支持部材381は上唇領域350内で少なくとも部分的に延在してよい。
支持部材381はシール部分210と共成形されてよく、また、可鍛性ワイヤまたは別の剛性要素を有していてよい。支持部材381は、支持力を提供するために、共成形された肉厚領域を有していてよい。
図33-2は、膜348が外鼻孔の領域で曲げられるのを可能にするために外鼻孔のふくらみ部分領域を有さない、代替の支持部材381を示している。支持部材381は、シール部分を患者の鼻孔に対して定位置に固定するために鼻先端部領域352までさらに延在する。支持部材381はまた、上唇領域350および鼻の角部領域382の中まで少なくとも部分的に延在していてよい。
支持部材は共成形されてよく、または、分離されて膜に取り付けられてもよい。支持部材は膜384より高い硬度を有する材料から作られてよい。例えば、膜は約10ShoreAであってよく、支持部材は約40ShoreAであってよい。しかし、別の適切な硬度も可能である。
図34-1および34-2に示されるように、シール部分の複数の領域は、膜348を支持することができ、さらには顔の敏感な領域に快適さをもたらすことができる材料を有していてよい。例えば、鼻の角部および鼻の先端部に安定化領域386が設けられてよい。安定化部分は、シール部分の形状を維持して膜348をシール部分に取り付けた状態で、またはシール部分に隣接させた状態で支持するために十分な硬さを有していなければならず、同時に、使用時に快適性をもたらすために十分な柔軟性を有していなければならない。安定化領域386は、ゲル、発泡材料、TPE、シリコーン、または、任意の別の適切な材料で構成されてよい。
3.1.17 可撓性の膜部分
図35-1は図34-1および34-2の代替の構成を示しており、ここでは、可撓性領域または緩衝領域が上唇領域350内にある。図35-2および35-3に示されるように、この可撓性領域または緩衝領域は、鼻先端部領域352などのシール部分の他の領域より低いデュロメータまたは低い硬度を有する。さらに、シール部分の残りの領域は、2つの層、低デュロメータまたは低硬度の上部層L1(すなわち、患者の顔に接触する層)および高デュロメータまたは高硬度の底部層L2、を有する。低デュロメータ材料は底部のより硬い層より高い粘着力または粘着性を有していてよく、したがって、患者の顔と摩擦により密着させることができる。
3.1.18 膜支持体
膜348は、シール部分210の外側フラップ388 (外鼻孔係合フラップ)の下に配置されるストラットまたはタブ390(図36)によって支持され得る。ストラット(struts)390はヘッドギアコネクタ376に取り付けられるか、またはヘッドギアコネクタ376を用いて位置決めされてよい。ストラット390は、シール部分210の外側フラップ388が患者の顔から離れて折り曲げられるのを防止して、患者の顔上のシール部分210の密閉位置を維持することにより、より効果的にシールを形成することが可能となる。
3.1.20 分散通気機能
図37-1および37-2に示されるように、シール部分210は、1つ以上のヘッドギアストラップ390を用いて患者の頭の定位置に固定されてよい。シール部分210はまた、呼吸可能なガスを患者に供給するためのチューブ20に連結されてよい。チューブ20は通気リング392によりシール部分210に連結され得る。図37-2に示されるように、通気リング392は、チューブ20が1つ以上のガス流出用通気孔(gas washout vent)394上に配置されるのを防止するための段差またはフランジ396を備えた、一方の端部においてチューブ20に取り付けられるように適合されるチューブコネクタ398を有する。通気リング392は、もう一方の端部においてシール部分に連結されるように適合されるシール部分コネクタ395を有する。コネクタ395は、シール部分の端部に沿った通気孔部またはトラックに位置合わせされる1つ以上のガス流出用通気孔394を形成し、それにより、シール部分210からガス流出用通気孔を通して大気へと出るようにガスを吐き出すことが可能となる。ガス流出用通気孔または通路は、有利には、患者の顔から離れるように空気を誘導する。ガス流出用通気孔または通路はまた、通気リング392の周囲部の周りの空気を分散させ、それにより、吐き出されたガスを拡散し、噴出しないように防止する。
3.1.21 ステムの支持
図39は、呼吸可能なガスがマスクを通って患者まで流れるのを可能にするためのステム404を有するシール部分210を示している。チューブ連結部406に取り付けられるステム404は、ステム404を支持して、ステム404が場合によっては使用時に折り曲げられてガスの流れを閉塞するのを防止するための1つ以上のリブ402または別の支持機構を有していてよい。リブは肉厚領域であってよく、または、分離して取り付け可能であってもよく、あるいは、ステム404を開位置に保持するための組み込み式ストラットであってよい。リブ402はまた、シール部分210を支持することができ、それにより、シール部分を開位置に保持し、呼吸可能なガスを患者に供給するオリフィスが閉塞されるのが防止することができる。
3.1.22 支持されたシール部分
シール部分210は支持部分によって支持され得る。シール部分は隙間により全体が支持部分から分離されていてよく、または、シール部分の1つ以上の部分が支持部分に接触しており、シール部分の他の部分が1つ以上の隙間により支持部分から分離されていてもよい。このような隙間が使用される場合、シール部分210の対応する部分は、患者の顔に合うように伸びることができる。
3.1.22.1 分離されたシール部分
図40は、一定の空間、または隙間408(1)、408(2)により支持部分409から分離されるシール部分210を示しており、このシール部分210は、支持部分409に到達するまで下方向に曲げることが可能である。支持部分409はシール部分210がその形状を失ったり折り曲げられたりするのを防止し、それにより、患者に対してシールを維持するのを補助する。患者接触部分407は、好適には支持部分409より低い硬度を有し、また、支持部分409より薄くてよい。患者接触部分407および支持部分409は、マルチショット成形、接着、または任意の別の適切な方法によって形成されてよい。
シール部分210の上唇部分350は、患者の上唇の多様な計測値に対応できるように、患者接触部分407と支持部分409との間に隙間408(1)を有していてよい。これにより、非常に敏感な領域である患者の隔壁に隣接する患者接触部分407が柔軟性を有することが可能となる。また、シール部分210の鼻先端領域352が、患者の鼻先端部の多様な測定値に対応できるように、患者接触部分407と支持部分409との間に隙間408(2)を有していてよい。この柔軟性により、さらに患者接触層407を鼻先端部の周りで曲げることが可能となり、それによりシール部分210の密閉性が向上する。
3.1.22.2 部分的に分離されるシール部分
図47-1は、支持部分453によって支持されるか、または位置決めされるシール部分450の図を示している。シール部分450は、前方固定箇所469間の鼻先端部係合部分452の領域内において前方隙間により支持部分453から分離されており、また、シール部分450は、前方固定箇所469外側のシール部分450の側面において支持部分に連結される。
鼻先端部係合部分452は可撓性であり、患者の鼻と接触するときに下方向に伸びることができるが、支持部分453に到達するかどうかによって、どのくらい伸びることができるかが制限される。鼻先端部係合部分は異なるサイズの鼻先端部に適合するようにアパーチャ455から長手方向に伸び、それにより、種々の患者の鼻先端部が異なる位置において鼻先端部係合部分に係合できるようになる。ステム454が支持部分453およびシール部分450を支持する。ステム454はまた、加圧された呼吸可能なガスを患者に供給するための空気供給チューブを受けるように適合される。
シール部分450、ステム454および支持部分453は、液体シリコーンゴム材料、あるいは、例えばTPE、ゲルまたは発泡材料などの、別の材料であってよい。シール部分450は、支持部分453およびステム454を形成する材料とは異なる性質を有する材料から形成されてよい。ステム454および支持部分453は1つの金型などで一体に形成されてよく、シール部分450は別個に形成されてその後、例えば接着などによって支持部分453に一体に接合されてよい。別法として、ステム454および支持部分453は1つの金型などで一体に形成されてよく、その後、シール部分450がその金型内で支持部分453およびステム454に接着されてよい。
シール部分450は、支持部分453およびステム454とは異なる性質を有していてよい。例えば、シール部分450は、支持部分453およびステム454とは異なる(または、同じ)材料から形成されてよく、また、支持部分453およびステム454とは異なる幾何形状および硬度を有していてよい。
支持部分453およびステム454は、シール部分450の硬度(上で説明したように、約5ShoreAデュロメータの硬度を有していてよい)より高い硬度を有する。というのは、支持部分453およびステム454の両方が、シール部分450を支持し、さらに、患者の顔の上の定位置でシール部分450を安定させるために反力を提供するからである。例えば、支持部分453およびステム454は、約20~80ShoreAデュロメータの硬度を有する。好適には、支持部分453およびステム454は約30~65ShoreAデュロメータの硬度を有する。最も好適には、支持部分453およびステム454は約40ShoreAの硬度を有する。
シール部分450、支持部分453およびステム454の硬度は記載される硬度レベルとは異なっていてもよいが、その場合、患者との間に確実にシールが形成されるように材料の厚さを変更する必要がある場合がある。例えば、シール部分450の鼻先端部係合部分452は、約5~20ShoreA(好適には約5~10ShoreA、最も好適には約5ShoreA)デュロメータの硬度を有して、1.2mmの厚さを有していてよいが、シール部分450に対してより硬い材料が使用される場合には、鼻先端部係合部分452は例えば0.3mmまで減少された厚さを有さなければならず、それにより、効果的なシールを形成するために患者の顔に同じ剛性または反力がかけられるようになる。
図47-2はシール部分450の別の図を示している。シール部分450は、後方固定箇所475間の上唇係合部分462の領域内において後方隙間により支持部分453から分離され、また、シール部分450は、後方固定箇所475の外側のシール部分450の側面において支持部分453に連結される。上唇係合部分462は可撓性であり、患者の上唇と接触するときに下方向に伸びることができるが、支持部分453に到達するかどうかによってどのくらい伸び得るかは制限される。
図49(および48-2)はシール部分450の正面図を示している。鼻先端部係合部分452は吊り下げられる可撓性膜として形成される。シール部分450の側面は支持部分453に連結または接着され、一方で、前方固定箇所469間では、シール部分450の中央部分と支持部分453との間に前方隙間が存在する。この吊り下げられた可撓性膜を使用することにより、鼻先端部係合部分452が、患者インターフェースが動いている間も引っ張られる形で鼻との接触状態を維持し、多様な鼻の幾何形状に良好に順応する可撓性表面を形成する。幅広の鼻先端部係合部分452を使用することにより、多様なサイズの鼻に快適性がもたらされるか、または多様なサイズの鼻を効果的に密閉することができ、それにより、アパーチャ455と鼻先端部係合部分452の前方縁部との間の種々の位置に鼻先端部を位置決めできるようになる。鼻先端部係合部分452は、患者の鼻のサイズに応じて支持部分に向かって下方向に伸長することができる。
シール部分450は、上唇係合部分462の両側に位置する肉厚角部領域467を有する。肉厚角部領域467は、使用時に鼻、唇のしわに隣接する患者の鼻の領域において患者の顔と密閉状態を作るように適合される。この2つの肉厚角部領域467は、この領域に効果的なシールを形成するために外側に突出する。この2つの肉厚角部領域467は、各々が、約2.4mmから約6mmの間の曲率半径を有していてよい。上唇係合部分の曲率半径は約5mmである。
シール部分450の幅d5は、最大幅が45mmの鼻に適合できるように約48mmであってよい。最大幅が60mmの鼻に適合させるために、60mmといったような大きい幅d5が使用されもよい。鼻先端部係合部分452と支持部分453との間の距離d6は約5~20mmであってよく、好適には5~15mm、最も好適には約10mmであってよい。この距離d6は、患者インターフェース451が最大で約135°の鼻翼角(nasal alar angle)を有する患者と効果的にシールを形成するのを可能にするが、最大で約200°の鼻翼角(nasal alar angle)を有する患者にも適合され得る。鼻先端部係合部分の幅(および、シール部分450の支持部分453に接着されない部分の距離(幅))である距離d7は約38mmであってよいが、より大きい鼻に対しては、約48mmなど、または最大で約60mmの別の値であってよい。
鼻先端部係合部分452の曲率半径は約30~45mm、好適には30~40mm、最も好適には約35mmであってよいが、より平坦な鼻に適合させる場合、約35mmから50mm、好適には約40~50mm、最も好適には約40mmであってよい。図48の突出した縁部476では、工具を補助するために少なくとも1mmの結合接触用の半径(bond contact radius)が使用されてよく、この場合、突出した縁部476は、シール部分が成形される間、工具によってクランプされ得る。鼻先端部係合部分の距離(高さ)d3は、約10mmから30m、好適には約12~18mm、最も好適には約17mmである。鼻の長手方向領域の距離d4は、約20~40mm、好適には約25~35mm、最も好適には約27mmであり、これは、約12mmから約25mmの鼻の長さに対応する。距離d4は、幅広の/短い鼻(幅が40mmを超え、かつ長さが15mm未満)の場合には約17mmまで減少されてよい。
図48-2はシール部分450の概略的な上面図を示している。シール部分450は、アパーチャ455、前方ストレッチ部分564、後方ストレッチ部分562、側方押圧部分または側方圧縮部分566、および、側方ラップ部分または側方片持ち部分568を有する。前方ストレッチ部分564および後方ストレッチ部分562は、患者の鼻先端部および上唇に接触するときに伸長することができるか、または曲げられ得るシール部分の可撓性部分である。これらの領域では、シール部分450は、引っ張り状態にある薄い膜であり、したがって患者の鼻先端部および上唇の幾何形状に密着するか、または順応する。好適には、前方ストレッチ部分および後方ストレッチ部分は、それぞれ、それらの端部のところで保持され、その中央部分は支持されない。この柔軟性により、敏感である可能性がある上唇および鼻先端部上において所与の変位を得る際の力が最小となる。
側方ラップ部分または側方片持ち部分568は、患者の鼻のふくらみ部分の平面に対して実質的に垂直である実質的に水平方向の力または横方向の力を提供するように適合される。患者の鼻のふくらみ部分が加圧空気で満たされると、これらのふくらみ部分はその空気圧力により外側に付勢される。側方ラップ部分または側方片持ち部分458が、このふくらみ部分の外側への力に対して反力を提供し、それによりこの領域に良好なシールが形成される。このシールを維持し、シールの破裂またはシールの破損を防止するのに十分な反力を得るためには、側方ラップ領域または側方片持ち部分568を補強すること、またはその剛性を(ストレッチ部分562、564と比較して)向上させることが必要となる場合がある。補強は、高剛性材料などを使用することによって、これら側方ラップ部分におけるシール部分450の厚さを増すことにより、または、側方ラップ部分または側方片持ち部分568の下に配置されるヘッドギアアタッチメントまたはリブなどの追加の構造により実現され得る。
側方押圧部分または側方圧縮部分566は、シール部分450を定位置に固定するか、またはシール部分450を定位置で支持するように適合される。使用時、この側方押圧部分または側方圧縮部分566は、大部分が圧縮状態にあってよい。側方押圧部分566から提供される力は、患者の顔の平面に対して垂直であってよく、実質的に水平方向であってよい。患者の顔の、密閉状態で接合しているこの領域は感度が最も低いため、ヘッドギアからの張力は実質的に側方押圧部分566に伝達される。好適には、この部分がシール部分450の最も剛性が高い領域である。側方押圧部分566は、前方ストレッチ部分562または後方ストレッチ部分564より厚くてよい。
シール部分450は、異なる領域、すなわち前方ストレッチ部分、後方ストレッチ部分、側方押圧部分、側方ラップ部分において、異なる剛性を有する。これらの部分の剛性は、材料が異なること、材料の硬度が異なること、材料の厚さが異なること、または、支持部分を使用することにより、多様化される。
図50は、患者インターフェース451の背面図を示している。シール部分450は患者インターフェース451の両側において支持部分453に連結され、また、シール部分450は、使用時に患者の上唇に係合される上唇係合部分462を有する。上唇係合部分462は吊り下げられた可撓性膜として形成され、シール部分450の上唇係合部分462と支持部分453との間に後方隙間が存在する。後方隙間は、シール部分450を支持部分453に固定する後方固定箇所475間に位置する。この吊り下げられた可撓性膜により、患者インターフェースが動いている間も引っ張られる形で患者の上唇との接触状態を維持し、また、上唇係合部分462が移動可能であることにより多様な顔の幾何形状に対応できるように伸長することができる可撓性表面が形成される。
シール部分450の肉厚角部領域467の厚さd8は、約1mmから5mm、好適には約2mmから4mm、最も好適には約3.5mmであってよく、快適性のために、比較的低いデュロメータのShoreA硬度を有する。厚さd8は、下に配置される支持部分453の厚さに応じて、約5mmから10mm、好適には約5mmから8mm、最も好適には約5mmまで増大されてよく、また、約0.25から3mmの、好適には2mm未満の、最も好適には約1.2mmの上唇係合部分462と同じ厚さまで減少されてもよい。
上唇係合部分462におけるシール部分450の結合されていない部分と支持層453との間の距離d9は、非使用時は、約1mmから15mm、好適には約5mmから10mm、最も好適には約7mmであってよく、使用時は、患者の人中に対する接触密閉力(contact seal force)に基づき、0mmから15mmの間で、好適には最大7mmまで変化してよい。シール部分450の頂部と支持部分453との間の距離d10は、約10mmから30mm、好適には約15mmから20mm、最も好適には約18mmであってよい。上唇係合部分462の幅(および、シール部分450の結合されていない部分の距離(幅)d11)は、約10mmから30mm、好適には約15mmから25mm、最も好適には約20mmであってよいが、これは、鼻の幅に応じて、約14mmから約22mmの間で変化してよい。上唇係合部分462の中心の曲率半径は、非使用時には、約5mmから20mm、好適には10mmから15mm、最も好適には約12.5mmであってよいが、使用時は、患者インターフェース451が内側に曲げられることにより減少する。
このように、シール部分450は両側の支持部分453に連結されるが、前方固定箇所469と後方固定箇所475との間の支持部分453から隙間によって分離される。これらの隙間により、シール部分450を使用時に患者の鼻先端部領域および上唇領域において曲げることができ、これによって良好な密着性が実現され、患者に快適さがもたらされる。
図51-1は、患者インターフェース451の側方断面図を示している。シール部分450の前方非接着領域460は、約8mmから15mmの、好適には約10mmから13mmの、最も好適には約12.5mmの曲率半径を有していてよい。シール部分450の後方角部分464は、約1mmから7mmの、好適には約3mmから6mmの、最も好適には約4mmの曲率半径を有していてよい。シール部分450の後方非接着領域463は、約2mmから8mmの、好適には約3mmから6mmの、最も好適には約5mmの曲率半径を有していてよいが、この値は、外側縁部においてほぼ平坦になるように変化してよい。
シール部分450は、患者の顔と密閉状態を作るために、点線の上に外側密閉周辺部534を有していてよく、また、開口部455と外側密閉周辺部との間に遷移領域536を有していてよく、この遷移領域536は開口部から外側密閉周辺部534までそのサイズが徐々に増大する。開口部455が呼吸可能なガスに連通する内部表面を画定し、外側密閉周辺部534は、この内部表面の連続する延長部として形成される。シール部分450の外側縁部は、開口部455から離れるように、および/または呼吸可能なガスの流れ方向に、方向付けられる。外側密閉周辺部534は上から見ると実質的に窪んでいる。
図51-2は患者インターフェース451の側方断面図を示している。この実施形態は、シール部分450と支持部分453との間に配置される中間部分450.1を有する。中間部分450.1は吊り下げられる膜として形成されてよい。中間部分450.1はシール部分450と共に一体に成形されるか、支持部分453と一体に成形されるか、または、シール部分450および支持部分453とは別個に成形されてよい。中間部分450.1はシール部分450を支持することができる。中間部分450.1は、図51-2に示されるように、全体が、隙間によりシール部分450から分離されていてよく、または、中間部分450.1の複数の部分はシール部分450に接触し、中間部分450.1の他の部分は隙間によりシール部分450から分離されていてもよい。
図52-1は、支持部分453およびステム454を有していてよい支持膜465を示している。支持部分453およびステム454は単一の一体要素として形成されてよい。支持膜465は、全体壁区画466、前方肉厚部分468、および、後方肉厚部分470を有していてよい。前方肉厚部分468および後方肉厚部分470は支持部分453の各側に形成される。前方肉厚部分468および後方肉厚部分470は、組立時にシール部分450に異なる程度の支持力を提供する。支持膜465は、約20から90 ShoreAの、好適には約20から60 ShoreAの、最も好適には約40 ShoreAの硬度を有するシリコーンで構成されてよい。支持膜465は、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ナイロン、熱可塑性エラストマ(TPE)、Hytrel(登録商標)などから作られてもよい。
前方肉厚部分468は、図47-2に示されるように、使用時に患者の鼻の側面に接触するシール部分の所定領域に隣接して位置し、効果的なシールを形成するために、ヘッドギアの荷重を患者の鼻の側面の上の締め付け力に変換する。前方肉厚部分468は、頂部から底部まで増大する厚さを有してよく、また、約5mmから20mmの、好適には7mmから14mmの、最も好適には約11mmの高さd12を有してよい。
後方肉厚部分470は、第1の厚さを有する下側部分471と、第1の厚さより大きい第2の厚さを有する上側部分473とを有していてよい。上側部分473の高さd13は、約7mmから20mm、好適には約8mmから12mm、最も好適には約9.5mmであってよいが、荷重を軽減するために約4mmまで減少されてよい。後方肉厚部分470は、約0.5mmから3mmの、好適には約2mmの曲率半径を有していてよい湾曲部分472を有していてよいが、この曲率半径は、患者の上唇に対する剛性を向上させるために、約4mmまで増大されてよい。後方肉厚部分470は、シリコーンの体積を減少させて硬化時間を短縮させるために、孔を開けられた部分477を有していてよい。
後方肉厚部分470は、図47-3に見られるシール部分450の肉厚角部領域467の真下に位置される。後方肉厚部分470は、効果的なシールを形成するのを補助するために、ヘッドギアコネクタからの荷重を肉厚角部領域467に、さらには患者の鼻の下側角部に伝達し、ヘッドギアが引っ張られると、患者の鼻の下側角部に伝達される荷重が増大する。使用時に、ヘッドギアコネクタ456からの曲げ力が後方肉厚部分470によりシール部分450の肉厚角部領域467に伝達され、それにより、鼻、唇のしわに隣接する患者の鼻の領域に固定力としてシーリング力が加えられる。ヘッドギアコネクタ456から後方肉厚部分470への力の伝達は、曲げられると曲げ力を発生させる補強されたヘッドギアコネクタアームにより、および/または、ヘッドギアコネクタ456が後方肉厚部分470に実際に接触することにより、引き起こされ得る。
さらに、側方上唇部分474が全体壁区画466と比較して肉厚であってよく、この側方上唇部分474は、患者の上唇に対する反力の大きさを変化させるために、約3.5mmから1.2mmまで変化する幅d14を有する。
図52-2は支持膜465およびシール部分450の断面図を示している。この断面図は、支持部分453がシール部分の側面においてシール部分450をいかにして支持するかおよびシール部分450にいかにして接触するかを説明している。
図52-3は、支持膜465およびシール部分450の別の断面図を示している。この断面図は、後方肉厚部分470の下側部分471と上側部分473との間の厚さの違いを説明しており、さらに、孔を開けられた部分477を示している。
図52-4は、患者と接合して患者と密閉状態を作っているときの支持膜465およびシール部分450の断面図を示している。鼻先端部係合部分452が患者の鼻先端部に係合して患者の鼻先端部と密閉状態を作っている。鼻先端部係合部分452および上唇係合部分462が患者の鼻先端部および上唇に密着している場合、鼻先端部係合部分452および上唇係合部分462は支持部分453に向かって伸長している。
図52-5は、患者と接合して患者と密閉状態を作っているときの支持膜465およびシール部分450の側面図を示している。シール部分450の側面および支持部分453が患者の鼻の側面を締めつけて、患者の鼻の側面と密閉状態を作っている。肉厚角部領域467が鼻、唇のしわに隣接する患者の鼻の領域において患者と密閉状態を作っている。後方肉厚部分470が肉厚角部領域467に隣接してその下に位置して、追加のシーリング力を提供している。
図52-6は、患者と接合して患者と密閉状態を作っているときの支持膜465およびシール部分450の別の断面図を示している。シール部分450の側面は、患者の鼻の側面との密閉状態を作っており、この領域において、支持部分453、前方肉厚部分468および後方肉厚部分470によって支持されている。
図52-7は、患者の顔と接合しているときの支持膜465およびシール部分450の正面図を示している。鼻先端部係合部分452が患者の鼻に係合して患者の鼻との密閉状態を作っており、支持部分453に向かって伸長している。前方固定箇所が、鼻先端部係合部分452の両側でシール部分450を支持部分453に固定している。シール部分450の側面が患者の鼻の側面に係合して患者の鼻の側面との密閉状態を作っている。
図53は、支持膜465の正面図を示している。前方肉厚部分468間の距離d15は、約25mmから45mm、好適には約35mmから42mm、最も好適には約40mmであってよい。距離d15は、ヘッドギアと膜の側壁との間の接触の剛性を変化させて患者の鼻の側面にかかる締め付け荷重を増大させるために変更されてよい。後方肉厚部分470間の距離d16は、約35mmから55mm、好適には約40mmから50mm、最も好適には約46mmであってよい。d16を変更することにより、ヘッドギアが後方肉厚部分470に接触する位置が変化し、荷重が増加または減少する。
図54は、ヘッドギアコネクタ456を備える支持膜465の正面図を示している。ヘッドギアコネクタ456は支持膜465と共に成形される単一の一体要素として形成されてよく、または別個に形成されて支持膜465に取り付けられてもよい。ヘッドギアコネクタ456は、ヘッドギアを連結するためのヘッドギアタブ458を有していてよい。ヘッドギアコネクタ456の底部から支持膜の頂部までの距離d21は、約10mmから25mm、好適には約12mmから20mm、最も好適には約17mmであってよい。ヘッドギアコネクタの外側端部間の距離d20は、約60mmから100mm、好適には約70mmから90mm、最も好適には約80mmであってよい。ヘッドギアコネクタ456は、角度α1で上向きに角度が付けられていてよく、角度α1は、約2°から15°、好適には約5°から8°、最も好適には約6.5°であってよい。角度α1が大きくなると、患者インターフェースにより加えられる締め付け力のモーメントが小さくなる。
図55に示されるように、ヘッドギアコネクタ456は、側壁上にモーメントによる力(moment force)を発生させるためにシール部分450の基部に向かって配置される。ヘッドギアストラップを締めることによりヘッドギアによる力が加えられると、ヘッドギアコネクタ456およびタブ458上に所定の荷重がかかり、シール部分450の側面にかかる内側方向の力が増大し、患者の鼻の側面に対してシール力が加えられる。ヘッドギアストラップが締められると、シール部分450に加えられる締め付け荷重のモーメント力により、シール部分450を内側に変位させることができ、それにより、ヘッドギアストラップが定位置にない状態で元の幅からほぼ半分だけシール部分の幅を減少させることができる。ヘッドギアコネクタ456からの曲げ力は、使用時に、患者の鼻の側面にかかる締め付け力として支持部分453によりシール部分450へ伝達される。
支持膜465の側壁の剛性、ヘッドギアコネクタ456の剛性、および、ヘッドギアコネクタ456の連結箇所のすべてが、シール部分450に伝達される締め付け力の大きさに影響する。ヘッドギアコネクタ456は約2.5mmから4.0mmの厚さを有していてよく、支持膜465の側壁は約1.2mmから5.0mmの厚さを有し、両方とも、約40ShoreAから65ShoreAデュロメータの硬度を有するシリコーンを使用する。ヘッドギアコネクタ456および支持膜465の側壁は一定の厚さを有する必要はなく、その厚さはその長手方向および幅に沿って変化してよく、あるいは、特定の領域の剛性を調節するために局所的な肉厚領域を有してもよい。また、ヘッドギアコネクタ456が支持膜465に連結される箇所に追加のシリコーンが存在してもよい。ヘッドギアコネクタは、別法として、ナイロン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、または別の適切な材料などの、シリコーンより高い剛性を有する材料で構成されてもよい。これにより、ヘッドギアをヘッドギアコネクタに連結させることが補助され得る。
図55は、ヘッドギアコネクタ456を備える支持膜465の上面図を示している。支持部分453は支持部分453の上側表面内に形成される凹部領域478を有していてよく、支持部分より低い硬度を有する低硬度の充填材料を用いてその凹部を充填することにより、支持部分453の剛性を低下させることが可能である。この凹部は、支持部分453の頂表面から内向きに約8mm×9mmであってよいが、別のサイズの凹部が使用されてもよい。支持部分453の剛性を低下させることにより、患者の鼻に加えられる締め付けング力を(高い剛性を有する支持部分と比較して)減少させることが可能となり、より快適なシールが形成され得るようになる。オリフィス479の中心点とヘッドギアコネクタ456の中心との間の距離d17は、患者インターフェース上の荷重を前方から後方へと付勢するように調節され得、d17は約2.7mmであってよいが、0mmから4.0mmの間の値が使用されてもよい。ヘッドギアの湾曲角(sweep angle)α2は変更されてよく、α2が増加すると、患者インターフェースの後部(上唇領域)に向かうように荷重が付勢される。ヘッドギアの湾曲角α2は約6.6°であってよいが、0°から10°の間の値が使用されてよい。
図56-1は、ヘッドギアコネクタ456を備える支持膜465の側面図を示している。ヘッドギアタブ458の頂部と後方肉厚部分470によって形成される後方角部の荷重がかかる箇所との間の距離d18は、約1~5mm、好適には約1~3mm、最も好適には約2mmであってよく、それにより、患者インターフェースに接触する前にヘッドギアタブ458が所定の量だけ移動することが可能となる。これにより、患者によって最初に合わせられるときにシール部分が閉じるのを阻止することが補助される。角度α3は90°であってよく、これは+/-5°だけ変更され得る。ヘッドギアコネクタ456が支持膜465として成形されない場合、この角度は+/-10°だけ変更され得、α3が変更されることにより、患者インターフェースが患者の鼻の下に位置するときの角度(鼻、唇の角度)が影響を受ける。
図56-2および56-3は、図56-1および図52にそれぞれ示される支持膜465の側方断面図を示している。ステム454は、空気チューブに連結するためのリングに連結されるように適合されていてよい。リングは、ボールジョイントのためのソケットタイプの装着具を有していてよく、および/または通気機能を伴っていてよい。ステム454の基部の直径は、流れ発生器との適合性のために制限された流量で空気が通過するのを可能にするのに十分な大きさである必要があり、8mmから25mm、好適には20mm未満、好適には約15mmの直径を有していてよい。しかし、例えば12mmといったような別の直径が使用されてもよい。
ステム454は薄壁部分481を有していてよく、この薄壁部分は5.5mmの高さd19を有していてよいが、d19は例えば2mmから10mmの間で変更されてよい。この薄壁部分481により、ステム454に連結されたチューブが引っ張られることによりステム454の分離領域を曲げることを可能にする。この薄壁部分は、必要となる曲げ量および強度に応じて、約0.3mmから1.0mmの壁厚さを有してよい。ステム454は、内部または外部のいずれかに、放射状または円周状の補強リブまたは別の補強要素を含んでいてよい。
3.1.23 患者とのシール
シール部分210は、図44~46に示されるように、患者の鼻324と効果的なシールを形成する。シール部分210の外鼻孔のふくらみ部分348が、患者の外鼻孔のふくらみ部分385とシールを形成する。鼻先端部分352が患者の鼻先端部353とシールを形成する。上唇部分350が患者の上唇351とシールを形成する。外鼻孔のふくらみ部分384、鼻先端部分352および上唇部分350はすべて、患者と効果的かつ快適なシールを形成するのを補助し、さらに、患者の鼻孔に隣接してオリフィス336を位置決めするのを補助する。
3.2 サスペンションシステム
例えば図1-1から1-18では、シール部分210はサスペンションシステム215に取り付けられ、そうでない場合はサスペンションシステム215に設けられる。取り付けは永久的なものであってよい(限定しないが、例えば、単一構成要素の成形(例えば、図1-2から1-8を参照)、共成形、インサート成形、接着、または、任意の別の手段が含まれる)。別法として、取り付けは、取り外し可能な手段(限定しないが、例えば、クリップ、Velcro(登録商標)、舌、溝、または、任意の別の適切な手段が含まれる)を用いてよい。一実施形態では、サスペンションシステム215に対するシール部分210の取り付けは、シール部分210上のアパーチャ211およびサスペンションシステム215のアパーチャ216の周囲部に沿って行われてよい。
サスペンションシステム215は、シール部分210および患者インターフェース100の残りの構成要素(例えば、空気供給導管20)からの力を切り離すまたは吸収するために、マスク200に設けられてよい。サスペンションシステム215は、シリコーン、発泡材料、ゲル、または、任意の別の適切な材料などの、概して可撓性の材料から形成されてよい。
3.2.1 形状
サスペンションシステム215は、図1-8および1-14に示されるように、概してウェッジ形状または三角形形状の断面を有してよい。このような形状は、使用時に患者の鼻に対してシール部分を方向付けるのを補助することができる。
サスペンションシステム215のアパーチャ216に隣接する表面は、図1-12および1-13に示されるように、概してU字形状またはV字形状であってよい。このような表面により、90~180°の間、例えば約110~160°の間で角度θを画定することができる。別法として、サスペンションシステム215は比較的平坦であってもよい。
一実施形態では、サスペンションシステム215は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2009年2月19日に公開された特許文献5に開示されるガセットに類似してよい。一実施形態では、サスペンションシステム215は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2009年2月27日に出願された特許文献6に開示される分離要素に類似してよい。
3.2.2 フレームとの連結
図1-1から1-18に示される実施形態では、サスペンションシステム215は、密閉状態においてサスペンションシステム215をフレーム220に取り付けるための連結リング217を有する。連結リング217は、フレーム周囲部に沿って設けられるチャネル227と接合することでき、それにより締まり嵌めが形成される。この締まり嵌めは、舌、溝、スナップ嵌め、または、任意の別の適切な手段によって達成され得る。別の実施形態では、連結リング217は、エルボー230および/または空気供給導管20に取り付けられるように適合されてよい。例えば、エルボー230は、エルボー230または空気供給導管20とサスペンションシステム215との連結部を密閉するために、連結リング217の中で、連結リング217の周りで、または、連結リング217に面して締まり嵌めされてよい。
連結リング217は、フレーム220からの呼吸可能なガスがサスペンションシステム215内へと通過するのを可能にするためのアパーチャ218を画定する。アパーチャ216により、呼吸可能なガスがサスペンションシステム215からシール部分210まで通過することが可能となる。
3.2.3 発泡材料またはゲルのサスペンションシステム
サスペンションシステム215は、順応性、弾性、柔軟性、快適性、および/または、コンシューマアピールを向上させることができる、シリコーンに代わる代替材料で構成されてよい。
例えば、サスペンションシステムは発泡材料で構成されてよい。発泡材料は、使用時にシール部分210を支持するための、さらにはシール部分210を患者の鼻孔に向かうように付勢するためのばねとして機能する。また、発泡材料の順応性により、密閉位置を調節することが可能となる。図3-1から3-6は、シール部分210とフレーム220との間で使用される発泡材料のサスペンションシステム215の種々の図を示している。この発泡材料は、連続気泡発泡材料または独立気泡発泡材料、あるいは、開いたセルと閉じたセルとの組み合わせを有する発泡材料であってよい。この発泡材料は表皮を有していても有していなくてもよい。この発泡材料は、1~50mmの厚さ、例えば30mmの厚さであってよい。
代替実施形態では、サスペンションシステムはゲルで構成されてよい。ゲルは、形状順応性、順応性および快適性を有することができる。一実施形態では、複数のデュロメータを有するゲルが使用されてよい。図8-1が、本技術の一実施形態によるゲルのサスペンションシステム215を示している。示されるように、ゲルのサスペンションシステム215は、シール部分210(例えば、シリコーン)と基部279(例えば、プラスチック)との間に設けられる被包性ゲルジャケット278の形態である。一実施形態では、ゲルのサスペンションシステムは、シール部分の幾何形状を変化させることができ、例えば、シール部分の薄い領域(例えば、鼻先端部係合部分)を曲げることができる。ゲルは、シリコーンゲル、ポリウレタンゲル、または、任意の別の適切なゲルであってよい。ゲルは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2008年11月17日に出願された特許文献7に開示されるゲルであってよい。
一実施形態では、シール部分210は、発泡材料またはゲルのサスペンションシステムを張り出させていてよく、それにより、重量が減少し、シール部分210の縁部に沿って順応性が向上し、それにより、より広い範囲の患者の顔の幾何形状に順応するようになる。例えば、図8-2および8-3は、ゲルのサスペンションシステム215の上に張り出しているシール部分210(例えば、シリコーン)を示している。このような張り出しにより、その向きに応じてシーリング部の縁部が「たわむ」または「締めつける」ことができ、シールを強化することができる。示されるように、シール部分210の縁部は、使用時に患者の顔の隙間および角部を密閉するのを促進するために、ディアドロップ形状のゲルポケットを有していてよい。
別の実施形態では、サスペンションシステムは熱可塑性エラストマ(TPE)から構成されてよい。
3.2.4 可撓性チューブを備えるシール部分
代替実施形態では、サスペンションシステムは、シール部分の基部に設けられる(例えば、共成形される)か、またはそうでない場合には、取り付けられる可撓性チューブの形態であってよい。
図16-1に示されるように、可撓性チューブ280は、チューブが、例えば圧縮される、展伸される、曲げられるといったように、任意の方向においてシール部分210に対して動かされるのを可能にするように、例えば飲用ストローのように、波形であってよい。
図16-2に示されるように、可撓性チューブ280は、チューブがシール部分210に対して弾性的に曲げられるのを可能にする可撓性の螺旋状肋材(spiral ribbing)を備える。
各実施形態では、チューブの端部は、使用時に空気供給導管に直接に結合されてよい。
各実施形態では、可撓性チューブ280は一定の壁区画を有していてよい。別法として、可撓性チューブ280は、例えば特定の領域においてチューブのストレッチ特性、伸び特性、撓み特性を変化させるために、変化する壁の厚さを有してよい。
一実施形態では、1つ以上の通気孔がチューブに設けられてよく(例えば、チューブ内に成形される、チューブにインサート成形される、分離した挿入物としてチューブに取り付けられる)、および/または、1つ以上の通気孔がチューブの端部上のスイベルに設けられてよい。
図26に示されるように、折り畳み式部分354およびヒンジ部分356が、シール部分210とチューブ20との間に設けられてよい。折り畳み式部分354は、使用時にチューブ20が患者の顔から離れるように回転するときにチューブ20の動きを吸収する。、または、シール部分210が位置決めされるとき、チューブ20は患者の顔の方に曲げられることがない。これは、患者の顎または患者の顔の他の部分がこのような動きを妨げるためである。使用時にチューブ20が患者の顔から離れるように曲げられると、ヒンジ部分356がチューブ20の動きを折り畳み式部分354に伝達し、したがって、シール部分210が動くことが防止され、患者との密閉状態は維持される。ヒンジ部分356はまた、折り畳み式部分354が引き伸ばされるのを防止することができ、それにより、折り畳み式部分354が構造的完全性を失うことが防止され、折り畳み式区画がチューブ20の動きを継続して吸収することが可能となる。図26はまた、シール部分の鼻先端部分352および上唇部分351の位置を示している。
3.2.5 ガセット
一実施形態では、図17-1に示されるように、サスペンションシステムは、シール部分210の基部に設けられる(例えば、共成形される)か、またはそうでない場合には、取り付けられるガセットまたは分離チャンバ281の形態であってよい。使用時、ガセット281は調節の範囲を拡大させるために展伸/圧縮/傾斜され得る。
ガセット側壁の厚さは一定であってよく、例えば、0.2mmから3mmの厚さ、好適には0.2mmから1mmの厚さ、最も好適には0.3mmの厚さであってよい。別法として、ガセット側壁は全体を通して変化してよく、例えば、一部の領域は、空気供給導管をガセットに連結させるのを補助するために他の領域より厚くてよく、または、他の領域より薄い一部の領域はその領域における柔軟性を向上させる。
この実施形態では、ガセットの基部は、使用時に空気供給チューブ20に直接に結合されてよい。
別の実施形態では、図17-2に示されるように、ヘッドギアを取り付けるためのヘッドギアコネクタ240がシール部分210に設けられてよい。示されるように、ヘッドギアコネクタは、トランポリンタイプの基部282から延在していてよく、それにより、シール部分がヘッドギアコネクタに対して曲げられる、伸びる、および/または、弾むことが可能となり、したがって、使用時にヘッドギアが圧力を軽減することが可能となる。このような配置構成により、ガセットに伴う調節性が向上する。好適には、ヘッドギアコネクタ240はシール部分210と可撓性基部282との間にあってよく、それにより、チューブの力をシール部分210から分離することが可能となる。
さらに、追加のトランポリンタイプの構成283がガセット281の基部に設けられてよく、それにより、ガセットを基準とした空気供給チューブの追加の調節性が得られる。
3.2.6 チューブ分離機構
シール部分210は、チューブの牽引力を吸収するか、または軽減するためのばね部分413(図41)を備えていてよい。ばね部分413は、シール部分(クレードル)連結部分399およびスイベル連結部分414の幅418より小さい幅416を有していてよい。スイベル連結部分414は、上で説明した実施形態などのスイベルリング415に連結され得る。図41はまた、マスクを患者の頭の定位置で支持するためにシール部分210に取り付けられたヘッドギアストラップ390を示している。
3.2.7 スイベルリングの分散通気機能
スイベルリング415は1つ以上のガス流出用通気孔422を有していてよい。ガス流出用通気孔422は、1つ以上のアパーチャ、孔部、スロットまたはスカラップとして設けられてよい。図42-1および42-2は、エルボー壁426(破線で示される)と接合する内部壁から外へ切り出された1つ以上のガス流出用通気孔422を備えるスイベルリング415を示しており、吐き出されたガスがマスクを通りさらにマスクから大気へと排出されるのを可能にする1つ以上の通気スロットまたはガス流出用通気孔422が形成されている。1つ以上の通気スロットまたはガス流出用通気孔422が存在してよく(3つが示されている)、これらは、支持壁424間に形成される。エルボー壁426はスイベルリング415の内部壁423及び支持壁424と接合する。支持壁424はエルボーが誤って外れるのを防止する。
図42-3は、スイベルリング415がクレードルフランジ430においてシール部分210に連結され、さらにエルボーフランジ432においてエルボーに連結されることを示している。スイベルリング415はシール部分210内のアパーチャに挿入され、シール部分締めしろウェブ434のいずれかの側におけるフランジとの締まり嵌めによって保持される。シール部分締めしろウェブ434はU字形状であってよいが、別の形状も使用され得る。一実施例では、スイベルリング415は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2008年10月22日に出願された特許文献8に示されるスイベルリングに類似の構造であってよい。
図42-4は、代替のガス流出用通気孔422を示しており、ここでは、スイベルリング415内にガス流出用通気孔422として設けられる小さい孔部の列が存在する。ガス流出用通気孔422(例えば、5から50個、または、約15個)は直径が約0.5~1.0mmであってよく、例えば0.7mmであってよい。
図42-5は代替のガス流出用通気孔422を示しており、ここでは、スイベルリング415内に、ガス流出用通気孔422として設けられる単一の通気スロットが存在する。図42-6は別の代替のガス流出用通気孔422を示しており、ここでは、スイベルリング415内に、ガス流出用通気孔422として設けられる複数の通気スロットが存在する(例えば、3個以上、または、約5~20個)。
図42-7は、スイベルリング415の周りに配置されたガス流出用通気孔422として設けられる通気孔部の列を示している。示されるように、ガス流出用通気孔422として2列の通気孔部が設けられており、各列の通気孔は互いにオフセットされているか、または互いに千鳥状になっている。これらの通気孔部は別の構成にいちづけられるか、配置することができる。
図42-8は、図42-7に示されるガス流出用通気孔422として設けられる通気孔部の例示の断面を示している。この実施形態では通気孔部の直径は入口から出口へと変化しており、例えば、通気孔部はその長手方向に沿って先細りになっている。スイベルリング415の、シール部分210に面する側面上の通気孔部の直径D1は、スイベルリング415のもう一方の側面上の直径D2より大きい。直径D1およびD2は同じであってもよく、または、直径D2が直径D1より大きくてもよい。通気孔部の直径は約0.5~1.0mmであってよい。好適には、通気孔部の直径は約0.7mmであってよい。
上記のすべての通気機能の実施例では、通気は下方に、したがって患者の顔から離れるように、エルボーまたは空気供給チューブに沿って方向付けられている。また、通気孔部422はスイベルリング415の半分のみまたは一部分のみに配置されて、使用時に空気が患者の胸部に向かって方向付けられるのを回避することができる。
3.2.8 通気方向
図43に示されるように、通気孔395から放出される空気の方向は、エルボー397のシール部分210への取り付けを、プレナム438を使用して位置決めすることにより修正され得る。プレナム438は、使用時に患者の鼻に係合するように上向き位置でシール部分210を取り付けることができる。プレナム438は、患者に接触するのを回避し、さらに使用時に空気を患者から離れるように方向付けるような位置において、スイベルリング415を介してエルボー397に取り付けられ得る。プレナム438はさらに、チューブの牽引力が加えられるときに縮むことにより、または圧縮されることによりチューブの牽引力を吸収することができ、シール部分210をその密閉位置から取り外すこと、または移動させることはない。
3.3 フレーム
図1-9から1-14が、フレーム220に連結されたサスペンションシステム215を示しており(サスペンションシステム215に設けられるシール部分210は示されない)、図1-15から1-18が、フレーム220に連結されたサスペンションシステム215を示している(サスペンションシステム215に設けられるシール部分210も示される)。示される実施形態では、サスペンションシステム215は、フレーム220上のチャネル227に押圧されて嵌め込まれるように適合される連結リング217を有する。別法として、サスペンションシステム215は、例えば、クリップ、フック、ジップロック(登録商標)、または、任意の別の適切な手段などの、別の着脱自在な手段によってフレーム220に連結されてもよい。また、サスペンションシステム215は、例えば、限定しないが、インサート成形、共成形、接着などを含む、永久的な手段によりフレーム220に取り付けられてもよい。
フレーム220は、一般に、シール部分210および/またはサスペンションシステム215を支持して安定させるためにサスペンションシステム215およびシール部分210より剛性であってよい。フレーム220は、限定しないが、シリコーン、TPE、ポリカーボネート、ポリプロピレン、発泡材料、ゲル、ナイロンなどを含むものから作られてよい。
図1-10で最も良好に見られるように、フレーム220は、エルボー230または空気供給チューブ20に連結されるように適合されるアパーチャ226を有していてよい。フレーム220は、スナップ嵌め、舌、溝機構、または、任意の別の取り外し可能または取り外し不能な連結により、エルボー230または空気供給導管20に連結されてよい。例示の連結が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる特許文献5に開示されている。
3.3.1 ヘッドギアアタッチメント
示される実施形態では、図1-1および1-9から1-18に示されるように、フレーム220は、ヘッドギア150および/またはヘッドギアリジダイザ160をマスク200に着脱自在に取り付けるためのヘッドギアアタッチメントまたはコネクタ240を有する。ヘッドギアアタッチメント240は、限定しないが例えば、シリコーン、TPE、ポリカーボネート、または、任意の別の適切な材料を含むものから作られてよい。ヘッドギアアタッチメントはフレーム220と共に成形されてよい。別法として、ヘッドギアアタッチメントは、後で説明するように、サスペンションシステム215および/またはシール部分210に設けられてもよい。別法として、ヘッドギアアタッチメントは、限定しないが例えば、接着、プッシュクリップ、スナップ嵌めなどを含む手段により、マスク200の任意の部分に取り付けられてよい。
図61から64-2および67に示されるように、患者インターフェース459はヘッドギア484を用いて患者に固定されてよい。ヘッドギア484は、使用時に、患者の頭の両側においてヘッドギアコネクタ456から患者の目と耳の間に延在していてよく、患者の頭頂部分で連結される。調節可能なコネクタ500により、患者に適合するようにヘッドギアを調節することが可能となる。ヘッドギア484は、患者の頭の後部を包むヘッド部分485の後部を有していてよい。
一実施形態では、ヘッドギアアタッチメントには、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2009年2月19日に公開された特許文献5に開示されるヘッドギアアタッチメントが含まれてよい。
3.3.1.1 方向付け
示される実施形態では、ヘッドギアコネクタ240は、図1-12に示されるように、例えばβで示されるようにフレーム220の長手軸に対して概して垂直に延在する。図1-1に示されるように、リジダイザ160は、それぞれのヘッドギアコネクタに(参照により本明細書に組み込まれる特許文献5に記載されるように)回転可能に連結され、それにより、幅広い患者に対して鼻唇角をぴったり合わせるように調節することが可能となる。加えて、この構成により、サスペンションシステムを調節して、サスペンションシステムを患者の上唇から離れるように移動させることが可能となる。
3.3.1.2 代替的な位置決め
一実施形態では、ヘッドギアコネクタは、モーメントアームの長さを排除または減少させてシールの安定性を向上させるために、シール部分により接近して設けられてよい。例えば、図10が、シール部分210に直接に設けられたヘッドギアコネクタ240を示している。
別の実施形態では、ヘッドギアコネクタは、使用時にヘッドギアストラップ/リジダイザが外鼻孔係合フラップ214の下に延在するように位置決めされてよい。例えば、図11に示されるように、ヘッドギアコネクタ240はサスペンションシステム215に設けられてよい。使用時、ヘッドギアストラップ190/リジダイザ160は外鼻孔係合フラップ214の下に位置されてよく、これらのストラップ/リジダイザは、フラップがさらに変形するのを防止するためのおよび/または使用時にフラップを上方向に付勢するための止め具として機能する。ストラップ/リジダイザは、使用時にフラップの特定の領域に係合してシール部分の残りの部分が曲げられるか、または順応するのを可能にするように位置決めされる。示されるように、ストラット284は、ストラップ/リジダイザに係合するようにフラップの下に配置され得る。
図47-3に示される別の実施形態では、患者インターフェース459はヘッドギアコネクタ456を有する。ヘッドギアコネクタ456はタブ458を有していてよい。タブ458はヘッドギアを連結するための連結箇所を形成することができる。ヘッドギアコネクタ456はステム454と一体に成形されてよい。別法として、ヘッドギアコネクタ456は、ステム454および/または支持部分453に着脱自在に取り付け可能であってよい。例えば、ヘッドギアコネクタ456は、ステム454にクリップ留めされるか、巻きつけられるか、またはそうでない場合には連結されてよい。
ヘッドギアコネクタ456は、約20から80ShoreA、好適には約20から60ShoreA、最も好適には約40ShoreAデュロメータの硬度を有していてよい。支持部分453の幾何形状は、ヘッドギアコネクタ456と共に成形されるように調節され得る。
シール部分450に対するヘッドギアタブ458の位置は重要である。ヘッドギアタブ458が低すぎる、すなわちシール部分450から離れている場合、それらは十分な安定性を提供することができない。シール部分450からヘッドギアタブ458までの距離が大きくなると、レバーアームが長くなり、シール部分450が移動する傾向が強くなる。ヘッドギアタブ458がシール部分450の頂部に近すぎる場合、シール部分450がシールに必要となる量を超えて内側にヒンジ式に動く場合があり、それにより患者の鼻にかかる力が増大する。また、これにより、患者の鼻孔が閉塞される可能性が生じ得る。したがって、ヘッドギアタブ458はシール部分から1mmから10mmでなければならない。好適には、ヘッドギアタブ458はシール部分から約2mmから5mmでなければならない。
このようなヘッドギアコネクタおよびタブは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2008年10月22日に出願された特許文献8にさらに詳細に開示されている。
3.3.2 シール部分の支持
一実施形態では、図18-1および18-2に示されるように、フレーム220は、使用時に外鼻孔に向かうように外鼻孔係合フラップ214を付勢するように構成された皮膚骨格または支持構成290を有していてよい。示されるように、皮膚骨格290により形成されるフィンガー291は、シール部分に係合するときにシール部分を支持するとともに形成する。すなわち、皮膚骨格はシール部分より剛性の材料で構成され、したがって、フィンガーは曲げられ得る/変形され得るがその程度はシール部分より小さく、それにより、フィンガーが患者の鼻の上でシール部分を付勢または締めつけることになる。
一実施形態では、シール部分の基部は、皮膚骨格に対するいくらかの調節性(例えば、圧縮されるまたは展伸される)をシール部分にもたらすために皮膚骨格に嵌め込まれるように適合される旋回膜292を有していてよい。
一実施形態では、シール部分および皮膚骨格は一部品の成形物として形成されるか、または、別個に形成されて互いに取り付けられてもよい。
4.ヘッドギア
図1-1に最も良好に示されるように、ヘッドギア150は、側方ストラップ190と、頂部ストラップ170と、後部ストラップ180と、それぞれの側のストラップ190に設けられる(例えば、それぞれの側のストラップに縫い合わせられる)リジダイザ160とを有していてよい。
示される実施形態では、リジダイザが、図1-1に示されるように、例えばスナップ嵌めにより、フレーム上のそれぞれのヘッドギアコネクタ240に係合するように設けられた端部分を有する。しかし、リジダイザは、別の適切な方式でそれぞれのヘッドギアコネクタに結合されてもよく、例えば、リジダイザは、ラグ状のそれぞれのヘッドギアコネクタを受けるように設けられた開口部を有する。
一実施形態では、ヘッドギア150には、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2009年2月19日に公開された特許文献5に開示されるヘッドギアが含まれてよい。
リジダイザは、マスクの選択された領域に支持力を加えるように構成されてよい。例えば、リジダイザは頬支持部(特許文献5に開示されるような)を形成してよく、および/または、リジダイザは、使用時にマスクを支持/配置するために下側頬部分/顎部分に係合するように構成されてよい(図12を参照)。
代替実施形態では、ヘッドギアストラップはシリコーンで構成されてよく、リジダイザは、それぞれのシリコーンストラップに共成形されてよい。
示される実施形態では、ヘッドギアは、マスクに対する2箇所の連結部を形成する。しかし、例えば3箇所またはそれ以上の、別の構成も可能である。
4.1 一部品のヘッドギア
図13-1および13-2が、一部品で構成される、例えば一部品の構造物として材料から切削される、ヘッドギア150を示している。示されるように、ヘッドギア150は、例えばバックル構成を介して互いに係合するように設けられた中央部分185および側方ストラップ190を有する。中央部分185は、シール部分210を収容するとともに支持するための開口部186を有する。図13-3に示されるように、ヘッドギアは、開口部186を囲む外形形成部分187を有し、この外形形成部分187は、使用時にシール部分を支持するように設けることができる。
一実施形態では、図13-4に示されるように、開口部186を囲む領域188が、シール部分210にトランポリンタイプの構成を提供するように構成されてよく、それにより、使用時に圧力を軽減するためにシール部分がヘッドギア150に対して曲がる、伸びる、および/または、弾むことが可能となる。例えば、開口部を囲む領域はヘッドギアの他の部分より薄くてよい。
別の実施形態では、図13-5に示されるように、ヘッドギア150はシール部分210を備える一部品で形成されてよい。
上記の各々の構成では、空気供給チューブ20がシール部分210の基部に直接に連結されてよい。
4.2 接着性ヘッドギア
図15に示されるように、ヘッドギアの代わりに、シール部分210を患者の顔に直接に接着させるために、接着性ストリップ285がそれぞれの外鼻孔係合フラップ214に設けられてもよい。しかし、このストリップは、例えば図15に破線で示されるように、シール部分の下側部分に設けられてもよい。いくつかの例が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2009年6月4日に出願された特許文献9に開示されている。
4.3 別のヘッドギア
図86は、ストラップ527および後部ストラップ529を有するヘッドギア484を示す。ストラップ527は、ヘッドギアコネクタ456(図47-2)に取り付けるためのスロット531、および、調節可能コネクタ500を有する。ストラップ527は、例えばフック・ループタイプのコネクタを使用するといったように、別の連結構造によりヘッドギアコネクタ456に連結され得る。
ストラップ527は、使用時に患者の目と耳の間に延在し、患者の頭頂部において調節可能なコネクタ500を用いて連結されるように構成される。ストラップ527の調節可能コネクタ500の領域において、チューブクリップまたは別の保持手段により、可撓性チューブ486がストラップ527に取り付けられてよく、この可撓性チューブ486は、患者の頭頂部の定位置に保持される。
後部ストラップ529は、使用時にストラップ527を定位置に維持するのを補助するために患者の頭の後部の周りに延在するように構成される。後部ストラップは、患者の頭の後部で連結されるようにコネクタ500を有していてよく、または、別法として一部品のストラップであってもよい。ストラップ527および後部ストラップ529は、シリコーン、あるいは、弾性材料またはTPEなどの別の適切な材料であってよい。
図87-89は、2つの側方部分535と、これら側方部分535の各々に連結される後方部分524とを有するヘッドギア533を示している。側方部分535の各々は、ヘッドギアコネクタ456に連結するための第1のスロットと(図47-2)、後方部分524に連結するための第2のスロット537とを含む。後方部分524は、第2のスロット537を通じて通される端部分526を有していてよい。端部分526は、ループタイプの材料528に連結するためのフックタイプ材料を用いて形成され得る。
側方部分535は、成形することができるシリコーン材料から形成されてよい。シリコーン材料は、より流線形の外観にすることにより側方部分535の視覚的な大きさ(visual bulk)を減少させることができる。後方部分524は、患者に快適さをもたらすために、例えばTPEまたは熱可塑性ウレタン(TPU)といったような柔らかい高分子材料などの、より柔らかい材料から形成されてよい。
後方部分524は、ヘッドギアの形状を維持し、さらには患者の頭頂部および/または後頭部に対してヘッドギアを固定して位置決めするのを補助するために、1つ以上のリジダイザまたは補強材を有していてよい。1つ以上のリジダイザは、ヘッドギアに剛性または硬さを加え、使用時にヘッドギアを定位置に固定するような構造の剛性または半剛性材料で構成されてよい。リジダイザはその長手方向に沿って曲げられ得るか、または変形され得るが、ヘッドギアがリジダイザの長手方向において伸びるのに抵抗するか、またはヘッドギアがそのように伸びるのを防止する。リジダイザは実質的に非伸縮性であってよい。後方部分524は患者の頭の頭頂部周りを包むことができる。リジダイザは弾性であってよい。後方部分は、2009年12月10日に出願された特許文献10に開示されるように、熱成形されるおよび/または超音波でダイカットされてよい。特許文献10に開示されるヘッドギアは、本明細書に開示される本技術と共に使用され得、特許文献10は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
図90から93は、一部品で形成されるヘッドギア539を示している。ヘッドギア539は、領域541において患者インターフェースの前部分を覆っており、また、より流線形の外観となるようにヘッドギアコネクタ456を覆っている。安定性を向上させるために、リジダイザがヘッドギア539内にまたはその上に含まれてよい。
図94は、ヘッドギア539に類似するか、または領域541において患者インターフェースの前部分を覆うヘッドギア543を示している。しかし、ヘッドギア543は、ヘッドギア543の外側においてヘッドギアタブ532が可視となるようにするためのカットアウト部分545を有する。この構成は、患者インターフェースに対してヘッドギアを位置合わせするのを補助することができる。
図110は、本明細書の実施形態のいずれとも使用することができる、フック・ループ式アタッチメントを有するヘッドギア484を示している。ループ材料560がヘッドギア484の第1の部分に位置されていてよく、フック材料562がヘッドギア484の第2の部分に位置されてよい。フック材料562およびループ材料560は一体に押圧されると締結されるが、特定の量の力を加えることにより使用者がそれらを引き離すことが可能である。
使用者がフック材料562の端部分を把持したり探したりするのを補助するために、フィンガーループ558がフック材料562上に含まれてよい。ヘッドギア484のフック材料562の部分をループ材料560上の定位置へと位置合わせして誘導するのを補助するために、ループ材料560を有するヘッドギア484の部分の端部にバックル590が取り付けられていてよい。バックル590およびフィンガーループ558は入れ替えられてもよく、すなわち、フック材料562の端部にバックル590があり、ヘッドギア584のループ材料560の部分にフィンガーループがあってもよい。
5.エルボー
図1-1では、エルボー230(例えば、スイベルを備える)は概略L字形状であり、マスクを空気供給チューブ20に連結させるように設けられている。
代替実施形態では、エルボーは、使用時にチューブ牽引力を阻止または軽減するために、屈曲可能、または可撓性であってよい。例えば、図14-1および14-2に示されるように、エルボー230の中間部分は、使用時にエルボーの端部が互いに対して枢動するのを可能にするために、一連の波形286およびリビングヒンジ(living hinge)287を有していてよい。このような波形エルボーは一部品として成形されてよく(例えば、2ショット成形、共成形、インサート成形)、または、組み立てられてもよい(例えば、2部品または3部品の組立体)。
別の実施形態では、図14-3に示されるように、使用時にエルボーの端部分が互いに対して移動することが可能となるように、可撓性領域288がエルボー230に組み込まれてよい。可撓性領域は、この可撓性領域が圧縮および展伸されるのを可能にするために、可撓性材料(例えば、TPE、軟質ゴム)で構成されてよい。このようなエルボーは、成形、例えば2ショット成形、共成形、インサート成形により、形成されてよい。
別の実施形態では、端部分が、例えば、圧縮、展伸、屈曲などを受けるといったように、任意の方向において互いに対して移動するのを可能にするために、波形領域289がエルボー230の端部分間に設けられてよい。このようなエルボーは、成形、例えば2ショット成形、共成形、インサート成形により形成されてよい。別の実施形態では、図38に示されるように、概してL字形状のエルボー397が、一方の端部においてシール部分またはマスクシステムに連結され、もう一方の端部においてチューブに連結され、例えば、シール部分コネクタ399がシール部分またはマスクに連結され、チューブコネクタ398がチューブに連結される。通気孔395がこれらのコネクタの間に位置されてよい。エルボー397は、患者がマスクを着用するときに、エルボー397がチューブコネクタ398を患者の顔から離れるようにマスクの上方向に移動させるように構成され、それにより、使用時にチューブを患者の頭の上に位置することができるようになる。通気孔395は、有利には、使用時に吐き出される空気を患者から離れるように誘導する。コネクタ398が空気供給チューブに取り付けられ得、コネクタ399がマスクに取り付けられ得、それにより、通気孔395が患者に対して平行になり、患者の気道から離れる方向に直接に面するようになる。
6.サスペンションシステムを備えないシール部分
代替実施形態では、マスク200は、図2-1から2-6に示されるように、シール部分210とフレーム220との間にサスペンションシステムを備えずに、すなわち、シール部分がフレームに直接に取り付けられるように用意されてよい。
このような実施形態では、シール部分210は、限定しないが例えば、スナップ嵌め、舌、溝、クリップなどを含めた方式で、フレーム220に着脱自在に連結されてよい。別法として、シール部分210は、限定しないが例えば、共成形、インサート成形、接着などを含む方式で、フレーム220に永久的に連結されてよい。代替の形態では、シール部分210はフレーム220と一部品となるように構成されてよい。
6.1 形状
シール部分210は、図2-7Bに示されるように、上から見て概して長方形または楕円形であってよい。代替実施形態では、シール部分210は、図2-7Aに示されるように、上から見て概して三角形または台形であってよい。図2-7Aの実施形態は、シール部分210内の、不快感を生み出す可能性がある余分な材料を減少させる、または、より邪魔にならないような構造である。また、この実施形態は患者にアライメントを指示するものであってよい。すなわち、患者は三角形形状のシール部分210を正確に位置合わせしやすくなる。これは、鼻の自然な形状がより三角形であり、したがって、鼻先端部係合部分212および上唇係合部分213がその所望される位置に方向付けされやすいことによる。
図2-8Bおよび2-9Bに示されるように、長方形形状のシール部分の上唇係合部分213は、例えば患者の上唇が使用時にフレームに係合するのを防止するために、その自由端部がフレームの少なくとも一部分を張り出させるくらいに十分に長い。また、上唇係合部分は、多様な鼻形状および上唇形状に対応できるように十分に長くてよい(例えば、図2-8Bに示される実施形態は、患者の適合範囲が図2-8Aに示される実施形態より大きくてよい)。図2-8Aおよび2-9Aに示されるように、三角形形状のシール部分の実施形態では、上唇係合部分213の長さは、例えば余分な材料を減少させるために、縮小、または短縮されている。図2-10は、使用時に患者の顔に係合する三角形形状のシール部分の実施形態を示している。
図2-11は、例えば図2-8Bおよび2-9Bのシール部分を基準にして除去される上唇係合部分213の一部分(斜線区画)を示すシール部分の背面図である。上唇係合部分内の材料を削減することにより、快適性およびマスクの見た目(すなわち、より邪魔にならない外見)を向上させることができ、また、リーク性能を向上させることができる。
7.代替のマスク-チューブ連結部
図57から85および95から101が、本技術と共に使用され得る種々の代替のマスク-チューブ連結部を示している。
7.1 薄膜
図57に示されるように、薄膜482が支持膜465と可撓性チューブ486との間に配置されてよい。この実施形態では、ヘッドギアコネクタ456によりヘッドギア484が連結され得るようになる。図58に示されるように、薄膜482により支持膜465と可撓性チューブ486との間に移動自由度が得られ、それにより可撓性チューブ486がスイベルリング480を介して患者インターフェース459に接合され得るようになる。薄膜482は、支持膜465と可撓性チューブ486との間での移動を可能にするために、伸びたり、曲げられたり、または、そうでない場合は弾性的に変形され得る。薄膜482は、支持膜465より薄い壁厚さを有していてよい。薄膜482は約0.2mmから5mmの壁厚さを有していてよい。好適には、薄膜482は約0.5mmから2mmの壁厚さを有していてよい。最も好適には、薄膜482は0.5mmから1mmの壁厚さを有していてよい。チューブ486とシール部分450との間の移動は膜482の長さによって制限され得、これは、所望される移動量を基準にして調節され得る。追加的な動きはすべて可撓性管材料によるものである。
7.2 多軸エルボー組立体
図59から64は、例えば図59の矢印で示されるように2つの分離した平面において回転するのを可能にすることにより追加の自由度をもたらす多軸エルボー組立体495を示している。多軸エルボー組立体495は、薄膜482または支持膜465に連結され得るフレーム491と、フレーム491に連結されるエルボー488と、スイベル組立体494と、スイベルリング492と、エルボー490とを有する。
多軸エルボー組立体495によってもたらされる追加の自由度は、患者インターフェース459の機能性に多大な影響を与える。例えば、多軸エルボー組立体495により、図60および61に示されるように患者の頭のいずれの側にも可撓性チューブ486を容易に配置することが可能となり、図62に示されるように鼻に沿わせて患者の目の間に位置させることが可能となり、同時に流線形とすることが可能となり(外側に垂れ下がらない)、患者インターフェースに加えられるモーメントがほぼゼロになる。さらに、図63および64に示されるように、可撓性チューブ486も、下向きの配置または外向きの配置においてそれぞれ位置決めされ得る。多軸エルボー組立体495により、患者によって使用され得る多くの異なる位置にチューブ486を配置することが可能となり、同時に、チューブ牽引力により患者インターフェースに有意なモーメントがかかることはなく、それにより、効果的かつ快適なシールが患者との間に形成される。
7.3 ベロー形の短いチューブ分離装置
ベロー形または折り畳み式チューブ分離装置が図65~69に示されている。一連のベロー502が一方の端部で患者インターフェース459に連結され、もう一方の端部でチューブ506に連結される。チューブ506は、例えばガス供給チューブに連結される際に使用され得るスイベルコネクタ504を有していてよい。ベロー502は、窮屈に曲がった状態で空気経路が閉塞されるのを防止するのを補助する複数の支持リングを備える孔を有する。すなわち、ベローは、ベロー部分を有さない孔の部分より厚い壁区画を有していてよい。別法として、ベローおよび孔は一定の壁区画を有していてよい。ベローの長さは、ベロー502が曲がっていても患者インターフェース459のシールを維持するために分離機能を有するように選択されてよい。その場合、ベロー502は患者インターフェース459とチューブ506との間に移動自由度を有する。
ベロー506は、支持膜465を備える一体構造の構造物として成形されてよく、または、分離した着脱自在の取り付け可能な要素であってもよい。ベロー502は、両方の部品が一体に成形され得るように支持膜465に適合するために、約20から80ShoreA、好適には20から60ShoreA、最も好適には40ShoreAデュロメータの硬度を有する材料から形成されてよく、また、ベロー502が別個の要素である場合は、約20~40ShoreA、好適には約20ShoreAデュロメータの別の硬度を有していてよい。好適には、ShoreAデュロメータが40である場合、好適な厚さは約0.3mmである。
ベロー502は、8mmから20mmの、好適には10mmから15mmの、最も好適には12mmから15mmの内部孔を有していてよい。ベロー502と患者インターフェース459の支持膜465との間に薄膜が使用されてもよい。
ベロー502のこの追加の融通性により、管材料506が図67に示されるように頭上において、頭の側部まで外向きまたは下向きに容易に位置決めされ得るようになり、ここでは、患者インターフェース459に加えられる力は最小である。ベロー502は、チューブを用いて十分に曲げられ得るようにリング間に幅広の離隔距離を有する。ベロー502は、チューブがきつく曲げられるときに空気経路が閉塞されるのを防止する。
図69は、図68に示されるベローリングおよび側壁の種々の寸法を示している。各ベローリングは、側壁を含めて、例えば、2mmから6mm、好適には3mmから5mm、最も好適には5mmの高さを有し、例えば、約2mmから8mm、好適には約3mmから6mm、最も好適には約4mmの幅を有する。各ベローリングの間の湾曲部分の半径R1は、約1mmから4mm、好適には約2mmから3mm、最も好適には約2.5mmであってよく、ベローのリングの間の離隔距離は、例えば、約2mmから8mm、好適には約4mmから6mm、最も好適には約5mmであり、ベローリングの側壁の厚さは、例えば、0.2mmから2mm、好適には約0.5mmから1.5mm、最も好適には約0.3mmである。ベローリングの間の各湾曲部分の底部の内側から測定されるベロー502の半径は、例えば、約4mmから12mm、好適には約6mmから10mm、最も好適には約7.5mmである。これらの値は変更されてもよいが、インピーダンスを向上させさらにはチューブ/患者インターフェース全体の適合性を向上させることが分かっており、同時に、約20ShoreAから60ShoreAのデュロメータ、好適には約40ShoreAにおいて高い柔軟性を有するベローが形成される。
7.4 ボール及びソケット
図70が、ボール及びソケット連結部を介して可撓性チューブ486に連結される患者インターフェース459を示している。ボール及びソケット連結部は、ボール508およびソケットコネクタ510を有する。図71にも示されるボール508は、図72にも示されるコネクタ507により可撓性チューブ486に連結され得る。ソケットコネクタ510は患者インターフェース459に連結され得る。ソケットコネクタ510はボール508を受け入れる大きさの従来のエルボーリングであってよい。ソケットコネクタ510はさらに、患者から吐き出される空気を通気させることができる拡散通気孔を有していてよい。
ボール及びソケット連結部は、チューブ牽引力により生成される、患者インターフェース459に加えられるモーメントを解放するために可撓性チューブ486の動きを分離することができる。可撓性チューブ486が多様に動くとき、ボール508がソケットコネクタ510内で多様に動くことができる。
図73および74はエルボー509に連結されたボール508を示している。エルボー508は可撓性チューブに連結され得る。エルボー509は、例えば約90°から150°、好適には約100°から130°、最も好適には約110°であってよい湾曲部を有するが、他の角度も使用され得る。エルボー509は、吐き出される空気を通気させるための1つ以上の通気孔部513を有していてよい通気孔511を有していてよい。通気孔部513は、離間した通気孔部の列であってよい。好適には、湾曲部の内径は約7mmから15mmである。好適には、湾曲部は12mm未満の内径を有してよい。最も好適には、湾曲部は約8mmの内径を有してよい。
ボール508は、好適には、約15mmから19mmの範囲の外径を有してよい。最も好適には、ボール508が約17mmの外径を有してよい。
ボール508は、好適には、約7mmから15mmの内径を有してよい。好適には、ボール508は12mm未満の内径を有してよい。最も好適には、ボール508は約8mmの内径を有してよい。
図75に示されるように、通気孔は取り外し可能な挿入物517の形態であってよい。取り外し可能な挿入物517は、取り外し可能な挿入物517を定位置にロックする、ラグ、舌、溝などの構造により、エルボー509に取り付けられ得る。この挿入物は図76に示される網目状通気孔515であってよい。
図77は、ボール508が一連の通気溝501を有する一実施形態を示している。通気溝501は、吐き出される空気が通気溝501を通って外に出ることができるように、使用時にソケットコネクタ510の両側まで延在する長さを有してよい。通気溝は約2mmから50mmの長さを有してよい。好適には、通気溝519は、長い通気用流れ経路を形成するためにボール508の外側表面に沿って延在することができる。長い通気用流れ経路は、空気の速度を低下させることができることから、出て行くガスのノイズを軽減することができる。好適には、通気溝519は、出て行く空気の流れ経路を拡散させるためにボール508の周りに分布される。好適には、通気溝519はボール508上に成形される。好適には、溝519は約0.2mmから3mmの幅を有する。好適には、溝519は1mm未満の幅を有する。溝が細くなると空気の流れが遅くなり、通気孔がより静かになる。溝519は概して直線状であってよく、または、種々の他の構成を有してもよい。通気用流れ経路の長さを増大させて通気孔のノイズを軽減することができるため、湾曲した、または蛇行性の経路が好適である。溝519に隣接するボール508の壁がコネクタ510と接合することができる。コネクタ510が溝519の頂部の上に位置されて溝519の上にカバーを形成していてよい。
図111は、ボール508が一連の湾曲通気溝564を有する一実施形態を示している。湾曲通気溝564はまた、約0.2mmから3mmの幅を有してよい。好適には、通気溝564は1mm未満の幅を有する。ボール508は、チューブ486またはエルボー509に、あるいは、別の要素に連結され得る。
図112は一実施形態を示しており、ここでは、ボールは、一連の通気孔部570を有する穿孔されたボール568である。穿孔されたボール568は、コネクタ(コネクタ510など)とボール568との間に空気が流れるのを可能にする。ボール508は、チューブ486またはエルボー509に、あるいは別の要素に連結され得る。
図113-1および113-2は、通気溝570を有するボール508を備える一実施形態を示しており、ここでは、流れ経路バリア592がボール508に着脱自在に取り付け可能であってよい。流れ経路バリア592は、バリア592とコネクタ510との間に流れ経路を形成するためにコネクタ510と接合することができる。
図78は代替のソケットコネクタ521を示している。ソケットコネクタ521は通気溝523を有する。通気溝523は吐き出される空気が患者インターフェースから出るのを可能にする。通気溝523は(示されるように)径方向外側に延在していてよい。別法として、通気溝523は軸方向に延在していてよい。別法として、通気溝523はソケットコネクタ521の内部壁の内側表面に沿って延在していてよい。
図79は、ボール508およびソケットコネクタを使用する患者インターフェース459を示している。ボール508はソケットコネクタ内を自由に移動することができ、それにより移動の一自由度が得られ、タブ486を種々の位置に配置することが可能となる。
7.5 複合型エルボー・ボールジョイント
図80から83は複合型エルボー・ボールジョイントを示している。エルボー組立体514はスイベルコネクタ512およびソケットコネクタ518を有する。ボール組立体516はボール522およびスイベルコネクタ520を有する。ボール522はソケットコネクタ518に対合される。
エルボー組立体514は、例えば90°から150°、好適には約100°から130°、最も好適には約110°の角度を使用することができる。エルボー組立体516とボールジョイントとの組み合わせにより、複数の移動自由度が得られる。例えば、ボールジョイントを備えないエルボーを使用すると、連結チューブが下向きの位置で患者の顎の近くになるか、または、上向きの位置であまりにも遠くになる。ボールジョイントを備えるエルボー組立体を使用することにより、チューブをより所望される位置に配置することが可能となる。
図82はボール組立体516を使用するエルボー組立体514を示しており、ここでは可撓性管材料486が下向きに位置している。ボール516により、可撓性チューブ486を患者の顔から離して患者の顔に接触させないように位置させることが可能となる。
図83はボール組立体516を使用するエルボー組立体514を示しており、ここでは可撓性管材料486が上向きに位置している。ボール516により、視覚が遮断されるのを防止するのを補助するために可撓性チューブ486を患者の顔に接近させて位置させることが可能となる。
7.6 エルボーを備える薄膜
図84は、エルボー組立体514およびスイベルコネクタ512と共に使用される薄膜482を示している。シール部分450が水平方向から下向きの角度で出る開口部を有しており、それにより、チューブが上向きになる位置およびチューブが下向きになる位置の両方を実現することが困難となっている。薄膜482は出口角度をより水平な位置に調節することができるような柔軟性を有する。したがって、薄膜482により、シール部分450に過剰なモーメントを加えることなく可撓性チューブ486を下向きに吊り下げることが可能となり、また、可撓性チューブ486を上向きの位置に適切に位置させることも可能となる。
7.7 角度付きエルボー・ボールジョイント
図85は角度付きエルボー・ボールジョイント組立体525を示している。角度付きエルボー・ボールジョイント組立体525は、エルボー514と、ボール516と、可撓性チューブ486に連結するためのスイベルコネクタ520とを有する。角度付きエルボー・ボールジョイント組立体525は、例えば100°から160°、好適には約100°から130°、最も好適には約110°の角度を有してよい。ボール516は、図70に示されるようなソケットコネクタに連結され得る。ボール516により自由に動けるようになり、それにより、可撓性チューブ486が上向き位置または下向き位置に適切に位置決めされることが可能となる。
7.8 ボール及びソケット組立体
図95から101は、ボールジョイント部分およびスイベルリングに組み合わされたボール及びケット組立体561を示している。スイベルリング550はマスクまたは支持膜465と接合することができる。スイベルリング550を軸としてボールジョイント部分548が360°回転するのを可能にするために、および、スイベルリング550を軸としない平面において移動するために、スイベル(図101を参照)内にボール552が配置される。別法として、スイベルリング550が省略され、ボール552がマスクと接合してもよい。
コネクタ556は可撓性のガス供給チューブに連結されるように適合され、それにより、ガスが空気通路560内の矢印558の方向に供給され得るようになる。空気通路は11~15mmの内径を有してよく、コネクタ556も同じ内径を有してよい。患者から吐き出されるガスを通気させるために、通気孔554がボールジョイント部分548に組み込まれてよい。
スイベルリング550は1つの金型内で製造されて固められてよい。その後、スイベルリング550は工具内に配置されてよく、ボールジョイント部分548がスイベルリング550の周り、またはその中で成形される。ボールジョイント部分548の材料が冷却されると、ボールジョイント部分548が収縮してスイベルリング550から外れる。通気孔554がボールジョイント部分548内に成形されてよい。
7.9 側部連結チューブ
図102から104は、側部連結可撓性チューブ486を備える患者インターフェース459を示している。特別に示されていなくても、すべての実施形態において、患者インターフェース459はシール部分450および支持膜465を有していてよい。2つのアパーチャ538が患者インターフェース459の各側に位置され、患者インターフェース456の両側で可撓性チューブ486が連結可能となり、可撓性チューブ486が側方に(横方向に)延在することが可能となる。さらに、患者から吐き出されるガスを通気させるために、複数の通気孔部544が含まれてよい。
エルボー542は可撓性チューブ486の端部に連結され得、また、アパーチャ538に連結されるように適合され得る。このエルボーは、図103に示されるように患者の顔の側面に沿って上向きの位置または図102および104に示されるように下向きの位置などの異なる位置へと可撓性チューブ486が旋回するのを可能にするためのスイベルコネクタを有することができる。アパーチャ538を密閉するために、可撓性チューブ486が連結されないプラグ540がアパーチャ538上で使用されてよい。
側部連結チューブは流線形の外観を有し、チューブ486を患者の顔から離れるように移動させる。また、側部連結チューブは、チューブの牽引力をシール部分450から分離する。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2008年2月29日に出願された特許文献11に、側部連結インターフェースがより詳細に開示されている。
7.10 2つの側部連結チューブ
図105は、2つの側部連結可撓性チューブ548を使用する患者インターフェース459を示している。患者インターフェース459を支持するためにフレーム546が使用されてよい。可撓性チューブ548は、1つの可撓性チューブが使用される場合より小さい直径を有してよい。例えば、可撓性チューブ548は、1つの可撓性チューブが使用される場合の半分の直径を有してよい。これにより、特に患者が寝返りを打ってチューブ548の一方のチューブを下にする場合に、患者により快適さをもたらすことができる。
7.11 患者インターフェースの上の剛性フレーム
図105から107は、患者インターフェース459の上に嵌め込まれて患者インターフェース459を支持するように設けられ得る剛性フレーム546を示している。例えば、剛性フレームは、患者インターフェース459の上に嵌め込まれる形状であってよい。剛性フレーム546は、ヘッドギア484に連結されるためのヘッドギアコネクタ456を有することができる。
フレーム546は、堅固な支持力を提供するために剛性材料から形成されてよい。フレーム546も、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる特許文献11により詳細に開示されている。
7.12 ヘッドギアクレードル
図108および109は、患者インターフェース459に連結されるように適合されるヘッドギアクレードル部分552を示している。ヘッドギアクレードル部分552は、ヘッドギアクレードル部分552を患者インターフェース459に連結するためのアパーチャ554を有することができる。ヘッドギアクレードル部分552は、ヘッドギア484を受けるためのアパーチャをその端部のところに有することができる。
ヘッドギアクレードル部分552はまた、ヘッドギア484を連結および分離するのを容易にするために、患者の把持力を増大させるための触知可能端部550を有することができる。ヘッドギア484は、連結用のフック・ループ材料を使用することができる。ヘッドギアクレードル部分552はまた、ヘッドギアクレードル部分552の内部に形状順応性パッド556を有することができる。形状順応性パッド556は患者インターフェース459を支持し、患者インターフェース459とヘッドギアクレードル部分552とを分離するのを実現する。形状順応性パッド556はまた、患者インターフェース459を使用するときに患者に柔らかい感触を提供する。
7.13 ラグを備えるエルボー
図114は、患者インターフェース459がヘッドギア484およびエルボー582に連結される一実施形態を示している。患者インターフェースはアパーチャ580を有するコネクタ578を含む。ヘッドギア484は、コネクタ578の外側に嵌め込まれることによりコネクタ578と接合するような形状のヘッドギアコネクタ557を有する。エルボー582のラグ586がアパーチャ580内に嵌め込まれる。エルボー582は、コネクタ578と気密連結を形成するように設けられる。ヘッドギア484は、必要に応じて、ラグ586近傍のエルボー582の部分を受けるための開口部をヘッドギアコネクタ557の近くに有することができる。
7.14 通気されているエルボー組立体
図115および116は、通気されているエルボー組立体を示している。通気されているエルボー組立体は、エルボー509、スイベルリング550およびコネクタ556を有する。スイベルリング550は、患者インターフェース459または支持膜465に連結され得、コネクタ556はガスを供給する可撓性チューブに連結され得る。
エルボー509は、患者が吐き出すガスを通気させるための一連の通気用溝558を有していてよい。通気用溝558は種々の長さであってよく、エルボー509を通るガス流れの方向に対して平行または垂直に配置されてよい。
8.追加の実施形態
図23-1から23-7は本技術の追加の実施形態を示している。図23-1は、支持部分1000の上方に、または支持部分1000の頂部上に位置する接合部分(シール部分としても知られる)2000を備える患者インターフェース3000を示している。支持部分1000は図21-1から21-6に示されている。支持部分1000は、鼻先端部分212B、外鼻孔部分214B、および、任意に上唇部分213Bを有することができる。組立時に接合部分2000に追加の支持力を提供するために、また、シール部分210に異なる程度の支持力を提供するために、患者に接触しない側の下または上の複数の領域が隆起部または肉厚区画を有していてよい。支持部分1000は、約20から90ShoreA、好適には約40ShoreAの硬度を有するシリコーンで構成されてよい。支持部分1000は、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ナイロン、熱可塑性エラストマ(TPE)、Hytrel(登録商標)などから作られてもよい。支持部分1000は、約1~15mm、好適には約1.2mmの厚さであってよい。図21-4に最も良好に示されるように、上唇部分213Bは切除されるか、または除去され得る。
図22-1から22-4は接合部分2000を示している。接合部分2000は、鼻係合部分212A、外鼻孔係合部分214Aおよび上唇係合部分213Aを有していてよい。接合部分2000は使用時に患者に係合され得る。接合部分2000は、ShoreAスケールで約7デュロメータの硬度を有するシリコーンから作られてよい。別法として、接合2000の硬度はShoreAスケールで約12デュロメータであってよい。接合部分2000の厚さは約1.2mmであってよい。接合部分2000は、ナイロン、織物、TPEなどの別の適切な材料から作られてもよい。接合部分は、触知性のために、また、使用時に患者の皮膚に「粘着」するか、または付着するように、研磨表面仕上げされていてよい。
図23-1から23-7は、支持部分1000の頂部上に取り付けられた、または配置された接合部分2000を示している。接合部分2000は、支持部分1000に共成形され得る、インサート成形され得る、接着され得る、または、そうでない場合は取り付けられ得る。接合部分2000は永久的に取り付けられても、着脱自在に取り付けられてもよい。
図23-3および23-6に最も良好に示されるように、鼻係合部分212Aは隆起していてよく、または、鼻部分212Bの上方で支持されてよい。この配置構成は、患者の鼻を鼻係合部分212A内へと曲げるのを可能にするのに有利であり、それにより適合範囲が拡大する。鼻部分212Bは接合部分2000の側壁を支持する。図23-5に最も良好に示されるように、上唇係合部分213Aが上唇部分213Bにある隙間の上方で吊られている。これにより、患者の上唇領域において患者インターフェース3000に柔軟性がもたらされ、それにより適合範囲が拡大する。
図117は患者インターフェース600を示している。患者インターフェース600は、患者の顔と密閉状態を作るためのシール部分600と、支持部分608と、可撓性チューブなどのガスの供給物に連結されるための連結部分610とを有する。任意のガセット604が含まれてもよい。
ヘッドギアは、位置606などの領域において動くことができるように、患者インターフェース600に取り付けられ得る。これは、例えば、支持部分608上のシール部分602の下にヘッドギアコネクタを配置することにより達成され得る。任意にガセット604がシール部分602と支持部分608との間に含まれてよい。
図118-1、118-2および118-3が患者インターフェース612を示している。患者インターフェース612は、シール部分602、支持部分616、シール部分602と支持部分616との間にあるガセット614、ならびに、可撓性チューブなどのガスの供給物に対する連結部分618、さらには、アパーチャ620を有する。
シール部分602は、通常は患者の上唇および鼻と接合して患者の顔と密閉状態を作る。シール部分602は、鼻、唇のしわに隣接する患者の鼻の領域で患者と接合するシール部分602の複数の部分などの、補強部分を有することができる。シール部分602の補強部分は、ゲルなどの非圧縮性材料、または、シール部分602の他の部分と比較して高デュロメータのシリコーンなどの材料から形成されてよい。別法として、または加えて、図52-5の実施形態のように、リブまたは肉厚部などの構造的支持体がシール部分の側部または支持部分に追加されてよく、および/または、ガセット614が追加の支持力を提供するために高剛性材料で充填されてよい。
図118-3が、シール部分602の角部領域にあるゲル充填ポケット622を含む断面図を示しており、このようなゲル充填ポケットは各角部領域に位置されていてよい。ゲル充填ポケット622は、補強部分を形成して使用時に患者とより効果的なシールを形成するのに使用され得る。必要に応じて使用者または患者がゲルを追加したり除去したりするのを可能にするためにゲル充填箇所623が含まれてよい。
図119は、患者インターフェースのシール部分602の上面図を示している。シール部分602は、使用時に患者にガスを供給するためのオリフィス602を有していてよい。オリフィス602は示されるように実質的に台形形状を有してよく、または、実質的に三角形形状であってもよい。これらの形状は患者の鼻の形状に近く、それにより、患者が患者インターフェースを正確な向きで容易に着用することが可能となる。
図120は、シール部分632と、支持部分636と、任意のガセット638と、連結部分640とを有する患者インターフェース630を示している。シール部分632は単一の壁状のシール部分であってよく、この実施形態では、追加の支持力を提供するためにシール部分(第1のシーリング壁を形成する)の下に第2のシーリング壁634を有していてよい。
図121は、シール部分644と、支持部分652と、任意のガセット650とを有する患者インターフェース642を示している。この実施形態では、シール部分644の前方部分648(鼻係合部分)が、密閉状態での接合をより深くしてより湾曲させるために下方向に湾曲している。この形状により、より平坦な鼻の場合にはシール部分の側壁を外側に曲げることが可能となり、また、尖った鼻がこの形状により形成される湾曲部内に位置することも可能となる。
図122-1および122-3が、柔らかい形状順応性の支持構造物が追加された患者インターフェース600または642の断面図を示している。支持構造物604はシール部分602の下に設けられる。支持構造物604は発泡材料または別の柔らかい形状順応性の材料であってよく、一方、シール部分602および支持部分606はシリコーンまたは本明細書に記載される別の同様の材料である。支持構造物604は、シール部分602の側壁内または支持部分606内に形成される窪みに嵌め込まれ得る。支持構造物604は示されるように変化する幅を有してよく、または、一定の幅を有してもよい。支持構造物604はリング形状であってよい。
図122-3に示されるように、支持構造物604は、この支持構造物604の材料が柔らかく形状順応性であることから、使用時に患者の上唇に追加的に接触することを可能とし、それにより使用時に患者にさらなる快適さがもたらされ得る。さらに、支持構造物604は患者の上唇とシールを形成するのを補助することができる。図122-2は、シール部分がその外側縁部において外側に湾曲している状態の支持構造物604を示している。
発泡材料リングの断面は異なる領域で異なっていてよい。例えば鼻の先端部領域では、発泡材料リングは小さい断面を有することができ、異なるサイズの鼻に適合できるように容易に曲げられ得る。例えば顔のしわ領域に隣接して位置するように設けられる鼻の側部領域では、発泡材料リングはより厚くてよい。
発泡材料リングは、異なる密度の発泡材料を組み込んでいてよく、異なる領域において支持力の程度が異なっていてよい。
図123は、内側に湾曲したシール部分620の断面図を示している。シール部分620の端部は、鼻の下側のみに密閉状態を作るのではなく、患者の鼻の側部(ふくらみ部分)に対しても密閉状態を作って側方支持部622を形成するために、長くなっている。これにより、より効果的なシールが形成される。
図124および125が、シール部分636の上側表面640上に配置される鼻プロング634を含むシール部分636を有する患者インターフェース630の上面図を示している。鼻プロング634は、使用時に患者の鼻孔とシールを形成するように適合される。任意に、シール部分の下に支持部分638が含まれてよい。
図125に示されるように、シール部分636は、鼻プロング634に隣接して配置される支持部分642を有していてよい。この支持部分は、発泡材料または別の適切な材料であってよく、シール部分636および鼻プロング634を定位置で支持して固定するために、使用時に患者の上唇および鼻の角部と接合するシール部分636の領域内に配置される。
本技術による患者インターフェースは、従来のデザインよりもより多様なサイズおよび形状の顔ならびに鼻に対応することができると考えられる。本技術による患者インターフェースは多様なサイズを揃えておくことの必要性を軽減することができると考えられる。本技術による患者インターフェースは患者により快適さをもたらすことができ、また、その治療法の適用順守性を向上させることができると考えられる。
現在最も実用的であり好適であると考えられる実施形態に関連させて本技術を説明してきたが、本技術は開示される実施形態のみに限定されず、むしろ、本技術の精神および技術範囲内に含まれる種々の修正形態および等価の構成を包含することを意図することを理解されたい。また、上述した種々の実施形態は別の実施形態と併せて実施され得、例えば、さらに別の実施形態を実現するために一実施形態の態様が別の実施形態の態様と組み合わされ得る。さらに、任意の所与の組立体の各々の独立した特徴および構成要素は、別の実施形態を構成することができる。また、本技術がOSAに苦しむ患者に対する特定の用途を有する一方で、別の病気(例えば、鬱血性心不全、糖尿病、病的肥満、発作、肥満手術など)を患う患者も上述の教示内容から恩恵を受けることができることを理解されたい。さらに、上述の教示内容は、非医療用の用途でも同様に患者および患者ではない人に対して適用される。