以下、添付図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。なお、以下説明する実施形態は、本発明を具体的に実施した場合の一例を示すもので、特許請求の範囲に記載した構成の具体的な実施形態の1つである。
[第1の実施形態]
先ず、本実施形態に係る撮像システムの機能構成例について、図1のブロック図を用いて説明する。図1に示す如く、本実施形態に係る撮像システムは、撮像装置101と画像処理装置103とを有する。撮像装置101と画像処理装置103とは、無線および/または無線のネットワーク102に接続されており、該ネットワーク102を介して互いにデータ通信が可能なように構成されている。ネットワーク102は、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)であり、Ethernet(登録商標)等の通信規格を満足するルータ等から構成される。
先ず、撮像装置101について説明する。撮像部104は、外界の光をズームレンズ群110を介して撮像素子111の受光面で受光する。撮像素子111からは受光した光に応じたアナログ電気信号が出力され、該アナログ電気信号は増幅器112で増幅されて画像処理部105に入力される。
処理部113は、増幅器112によって増幅されたアナログ電気信号に対してA/D変換や現像処理等の画像処理を行うことで、ディジタル画像(撮像画像)を取得する。このような撮像部104および処理部113の動作により、動画像を構成する各フレームの撮像画像もしくは定期的/不定期的に撮像された撮像画像を取得することができる。
マスク処理部114は、マスク領域の設定情報に従って撮像画像上にマスク領域を設定し、該設定したマスク領域に対してマスク処理を行う。マスク処理には様々な処理があり、特定の処理に限らない。例えば、マスク領域内を暈かす処理であっても良いし、マスク領域と同サイズのマスク画像(単色若しくは複数色の画像)を該マスク領域に配置する処理であっても良い。
通信部106は、ネットワーク102を介して画像処理装置103との間のデータ通信を行うための通信インターフェースである。駆動部107は、駆動制御部108からの指示に基づいて、撮像部104のパン角、チルト角、ズーム量を制御する。変更部118は、制御部109からの指示に従ってズームモータ115の駆動を制御する。ズームモータ115は、変更部118による駆動制御に従ってズームレンズ群110を駆動して撮像倍率を変更する。変更部119は、制御部109からの指示に従ってパンモータ116およびチルトモータ117の駆動を制御する。パンモータ116は、変更部119による駆動制御に従って撮像部104のパン角を変更する。チルトモータ117は、変更部119による駆動制御に従って撮像部104のチルト角を変更する。
制御部109は、撮像装置101全体の動作制御を行う。例えば制御部109は、通信部106を介して画像処理装置103からズーム量/パン角/チルト角の変更指示を受信すると、ズーム量の変更指示については変更部118に転送し、パン角の変更指示やチルト角の変更指示については変更部119に転送する。また制御部109は、通信部106を介して画像処理装置103からマスク領域の設定情報を受信すると、該設定情報をマスク処理部114に送出する。マスク処理部114は、この設定情報に従って撮像画像上にマスク領域を設定する。
次に、画像処理装置103について説明する。画像処理装置103は、PC(パーソナルコンピュータ)、タブレット型端末装置、スマートフォンなどのコンピュータ装置である。
通信部120は、ネットワーク102を介して撮像装置101との間のデータ通信を行うための通信インターフェースである。設定部122は、キーボード、マウス、タッチパネルなどのユーザインターフェースにより構成されており、ユーザが操作することで各種の指示を画像処理装置103に対して入力することができる。例えばユーザは設定部122を操作して、マスク領域に係る様々な設定操作を行うことができる。
表示部121は、液晶画面やタッチパネル画面を有する表示装置であり、表示領域124,125,126を含む表示画面を有する。表示領域124は、通信部120を介して撮像装置101から受信した撮像画像を表示するための表示領域である。表示領域125は、マスク領域を設定した撮像画像の撮像倍率を下限とする撮像倍率範囲を表す第1のオブジェクトと、該撮像倍率以下の撮像倍率の撮像画像に設定されたマスク領域に係る情報を表す第2のオブジェクトと、を表示するための表示領域である。表示領域126は、マスク領域を設定した撮像画像の部分領域を撮像した場合に該マスク領域が含まれる画像が撮像される撮像方向の範囲を表すオブジェクトと、該マスク領域を表すオブジェクトと、を表示するための表示領域である。
制御部123は、画像処理装置103全体の動作制御を行う。例えば制御部123は、ユーザによる設定部122の操作に応じて表示部121の表示を制御したり撮像装置101との間のデータ通信の制御したりする。
なお、図1では、撮像装置101と画像処理装置103とは別個の装置としているが、撮像装置101と画像処理装置103とを一体化させても良い。また、撮像装置101および画像処理装置103の機能を3台以上の機器で実装しても良い。
次に、画像処理装置103におけるマスク領域の設定処理について説明する。画像処理装置103においてマスク領域の設定処理を行う場合には、その旨を撮像装置101に送信するので、その場合、マスク処理部114は動作せず、撮像装置101からはマスク処理が施されてない撮像画像が送出される。
本実施形態に係るマスク領域の設定処理では、ユーザは撮像画像上でマスク領域の位置を指定し、該マスク領域に係る情報と、該撮像画像の撮像倍率と、を対応付けた設定情報を作成する。
例えば、表示領域124には撮像装置101から出力された撮像画像が表示されており、ユーザはこの表示領域124に表示されている撮像画像上でマスク領域の位置を指定する操作を行う。撮像画像上で位置を指定済みのマスク領域については、該マスク領域に係る情報と、該撮像画像の撮像倍率と、が対応付けて設定情報に登録されている。設定情報の構成例を図2(a)に示す。
「マスク番号」は、撮像画像上で位置を指定済みのマスク領域のそれぞれに固有の番号であり、例えば、指定順に1,2,3,…というように順次発行される番号である。「マスク名」は、撮像画像上で位置を指定済みのマスク領域のそれぞれの名称であり、例えば、指定順にM1,M2,M3,…というように順次発行される名称である。「マスク名」は、ユーザが設定部122を操作して適宜編集可能である。「有効倍率」は、マスク領域の位置を指定した撮像画像の撮像倍率である。例えば「マスク番号」が「1」のマスク領域(マスク名は「M1」)は、撮像倍率「1」で撮像された撮像画像上でユーザが位置を指定したマスク領域である。また、「マスク番号」が「2」のマスク領域(マスク名は「M2」)は、撮像倍率「2」で撮像された撮像画像上でユーザが位置を指定したマスク領域である。「マスク位置」は撮像画像上でユーザが指定したマスク領域の位置であり、本実施形態では、マスク領域の左上隅の位置と右下隅の位置の組であるものとする。
現在の設定情報が図2(a)に示す設定情報であるとする。この場合、表示領域125には、図3(a)に示す如く、マスク領域を設定するために取得する撮像画像の撮像倍率を指定(変更)するためにユーザが操作する指示部390と、指示部390が移動可能な範囲301と、が表示される。ユーザは設定部122を操作することで指示部390を範囲301の一端から他端までの間を移動させることができ、指示部390を左端に移動させると撮像倍率=1が指定され、指示部390を右端に移動させると撮像倍率=Rm(Rm>1)が指定される。ユーザが設定部122を操作して指示部390を範囲301内で移動させたことで撮像倍率が指定されると、制御部123は該撮像倍率を通信部120を介して撮像装置101に送信する。撮像装置101は上記の構成により現在の撮像倍率を該送信した撮像倍率に変更し、該変更後の撮像倍率で撮像した撮像画像を出力するので、表示領域124には、該変更後の撮像倍率で撮像した撮像画像が表示される。このように、表示領域124にはユーザが指示部390を操作したことで指定した撮像倍率で撮像された撮像画像を表示させることができる。
そしてユーザは設定部122を操作し、表示領域124に表示されている撮像画像上でマスク領域の位置を指定する。例えばユーザは設定部122を操作してマスク領域の左上隅の位置と右下隅の位置とを「マスク領域の位置」として指定する。ユーザが設定部122を操作してマスク領域の位置を指定すると、制御部123は、該指定した位置に従って、表示領域124内の撮像画像上にマスク領域を表すオブジェクト(例えばマスク領域の枠)を表示する。図2(b)は、撮像画像201上で位置が指定されたマスク領域M1~M4の一例を示しており、図2(b)では、マスク領域M1~M4のそれぞれは黒で塗りつぶした矩形として表されている。さらに制御部123は、指示部390によって指定されている現在の撮像倍率と、表示領域124内の撮像画像上で位置が指定されているマスク領域に係る情報(図2(a)の例では、マスク番号、マスク名、マスク位置)と、を対応付けて設定情報に登録する。
また、図3(a)に示す如く、範囲301において上記の設定情報に登録されている有効倍率に対応する位置近傍には、該有効倍率を表すオブジェクトが表示される。図2(a)の設定情報には、有効倍率として「1」、「2」の2つの有効倍率が登録されている。この場合、図3(a)に示す如く、有効倍率=1に対応する位置の近傍(図3(a)では該位置の上部)には「倍率1」という文字が記されたオブジェクト380が配置される。また、図3(a)に示す如く、有効倍率=2に対応する位置の近傍(図3(a)では該位置の上部)には「倍率2」という文字が記されたオブジェクト381が配置される。
また、図3(a)に示す如く、設定情報に登録されている有効倍率ごとに、該有効倍率を下限とする範囲を表すオブジェクトと、該有効倍率以下の有効倍率と対応付けて設定情報に保持されているマスク名を表すオブジェクトと、が表示される。図3(a)の場合、範囲301内には、有効倍率=1を下限とする範囲(範囲Aと称する)と、有効倍率=2を下限とする範囲(範囲Bと称する)と、が存在する。範囲Bは範囲Aの一部であるため、範囲Aは有効倍率=1を下限とし、有効倍率=2を上限とする範囲となる。図3(a)では範囲Aを白抜きの矩形オブジェクト395として表示し、該矩形オブジェクト395の近傍には「範囲Aの下限以下の有効倍率と対応付けられているマスク名M1,M3,M4が有効マスク名である」ことを表すオブジェクト302を表示している。図3(a)では範囲Bを斜線の矩形オブジェクト396として表示し、矩形オブジェクト396の近傍に「範囲Bの下限以下の有効倍率と対応付けられているマスク名M1,M2,M3,M4が有効マスク名である」ことを表すオブジェクト304を表示している。このような図3(a)の表示(倍率範囲表示)に係る処理は、制御部123によって行われる。
ここで、指示部390によって現在指定されている撮像倍率が「2」であり、現在の設定情報が図2(a)に示す設定情報であるとする。ユーザが設定部122を操作して、表示領域124に表示されている撮像画像上でマスク領域の位置を指定すると、制御部123は、該指定した位置に従って、表示領域124内の撮像画像上にマスク領域を表すオブジェクト(例えばマスク領域の枠)を表示する。さらに制御部123は、現在の撮像倍率である「2」と、該マスク領域のマスク番号「5」、マスク名「M5」、マスク位置(x、y)と、を対応付けて設定情報に登録することで該設定情報を更新する。そして制御部123は、更新後の設定情報に従って図3(a)の倍率範囲表示を更新し、図3(a)においてオブジェクト304にマスク名「M5」を追加表示する。
このような設定情報がマスク処理部114に送出されると、マスク処理部114は、現在の撮像倍率R以下の撮像倍率と対応付けて設定情報に登録されてるマスク位置を取得する。そしてマスク処理部114は、撮像部104からの撮像画像上の該マスク位置にマスク領域を設定し、該マスク領域に対してマスク処理を行う。
図2(a)の設定情報がマスク処理部114に送出されたとする。このとき、現在の撮像倍率が「1」であれば、図3(b)に示す如く、撮像倍率「1」以下の撮像倍率と対応付けて設定情報に登録されているマスク領域M1,M3,M4が撮像画像305上に設定される。一方、現在の撮像倍率が「2」であれば、図3(c)に示す如く、撮像倍率「2」以下の撮像倍率と対応付けて設定情報に登録されているマスク領域M1,M2,M3,M4が撮像画像305上に設定される。
図3(a)の倍率範囲表示を表示領域125に表示するための処理について、図4のフローチャートに従って説明する。図4のフローチャートに従った処理は、設定情報が更新される度に行われる。例えば、設定情報に新たに「マスク番号、マスク名、有効倍率、マスク位置」のセットを登録したり、登録済みのセットを編集したりするたびに図4のフローチャートに従った処理は行われる。また、ユーザが設定部122を操作して設定情報に登録されているセットを削除した場合にも、図4のフローチャートに従った処理は行われる。
ステップS401では制御部123は、現在の(最新の)設定情報を取得する。そしてステップS402では、制御部123は、表示領域125内に範囲301を表示し、該範囲301内の規定の位置に指示部390を表示する。また制御部123は、範囲301において設定情報に登録されている有効倍率に対応する位置の近傍に、該有効倍率を表すオブジェクト380,381を表示する。また制御部123は、設定情報に登録されている有効倍率を下限とする範囲を表す矩形オブジェクト395,396と、該有効倍率以下の有効倍率と対応付けて設定情報に保持されているマスク名を表すオブジェクト302,304と、を表示する。
[第2の実施形態]
本実施形態を含む以下の各実施形態では、第1の実施形態との差分について説明し、以下で特に触れない限りは第1の実施形態と同様であるものとする。本実施形態では、ズームの中心位置をユーザが撮像画像上で指定可能としている。例えば、図5に示す如く、マスク領域M1~M4が設定されている撮像画像201に対してユーザが設定部122を操作してズーム中心位置501を指定することができる。なお、ユーザがズームの中心位置を指定しない限りは、第1の実施形態と同様に、撮像画像の中心位置がズームの中心位置となる。
マスク領域M1~M4とズーム中心位置501とが設定されている撮像画像305の一例を図6(b)に示す。図6(b)の撮像画像305にはマスク領域M1~M4が含まれている。
図6(b)の撮像画像305をズーム中心位置501を中心としてズームアップ(撮像倍率を上げる)した撮像画像305を図6(c)に示す。図6(b)の撮像画像305をズーム中心位置501を中心としてズームアップしたことで、図6(c)の撮像画像305では、マスク領域M1~M4のうちマスク領域M4が外れてしまっている。
図6(c)の撮像画像305をズーム中心位置501を中心としてズームアップ(撮像倍率を上げる)した撮像画像305を図6(d)に示す。図6(c)の撮像画像305をズーム中心位置501を中心としてズームアップしたことで、図6(d)の撮像画像305では、マスク領域M1~M4のうちマスク領域M3とマスク領域M4が外れてしまっている。
このようなマスク領域の表示を行うための設定情報に従って表示される倍率範囲表示の一例を図6(a)に示す。図6(a)の倍率範囲表示では、指示部390および範囲301に加え、次のような情報が表示される。設定情報に登録されている有効倍率ごとに、該有効倍率を下限とする範囲を表す矩形オブジェクト695,696,697、該有効倍率以下の有効倍率と対応付けて設定情報に保持されているマスク名を表すオブジェクト601,602,604、が表示される。さらに図6(a)の倍率範囲表示では、ズーム中心位置501が「ズーム基準位置(x、y)」603として表示される。
設定情報に基づく倍率範囲表示の表示に係る処理については、ズームの中心位置をユーザが指定していない場合には、第1の実施形態と同様である。一方、ズームの中心位置をユーザが指定した場合には、オブジェクト380,381の代わりに「ズーム基準位置(x、y)」603を表示すること以外は、第1の実施形態と同様である。
なお、本実施形態では、撮像画像上でズームの中心位置が指定されると、該中心位置を示す情報が制御部123によって撮像装置101に送信される。撮像装置101の制御部109は、駆動部107を制御し、該中心位置が撮像中心位置(ズームの中心位置)となるようにパン角やチルト角などを制御する。
[第3の実施形態]
本実施形態では、マスク領域を設定した画像の部分領域を撮像画像として撮像した場合に該マスク領域が含まれる撮像画像が撮像される撮像方向の範囲を表すオブジェクトと、該マスク領域を表すオブジェクトと、を表示する。
本実施形態では、例えば、図5に示す如く、マスク領域M1~M4が設定されている撮像画像201に対して撮像領域502とパン/チルトの基準位置503とが指定される。撮像領域502と基準位置503の指定はユーザが設定部122を操作して設定しても良いし、制御部123が撮像画像から検出したオブジェクトの領域とその重心位置をそれぞれ撮像領域502、基準位置503としても良い。
制御部123は、撮像領域502を示す情報と基準位置503を撮像装置101に対して送信する。制御部109は駆動部107を制御し、基準位置503が撮像中心位置(ズームの中心位置)となるようにパン角やチルト角を制御し、撮像領域502内の画像を上記の撮像画像のサイズで取得するべくズームアップする。これにより画像処理装置103は、基準位置503を撮像中心位置(ズームの中心位置)とし且つ撮像領域502内の画像を上記の撮像画像のサイズの画像として撮像した画像が撮像装置101から得られることになり、この画像が表示領域124に表示される。
撮像領域502および基準位置503を撮像装置101に送信した後に撮像装置101から送出された撮像画像の一例を図8(b)に示す。図8(b)では、撮像画像305は上記の撮像画像201内の撮像領域502内の画像に対応しており、画像の中心位置に基準位置503が位置している。図8(b)の撮像画像305にはマスク領域M1~M4のうちマスクM1のみが含まれている。
図8(b)の撮像画像305が表示されている状態でユーザが設定部122を操作してパン角の変更操作を行うと、パン角の変更指示が制御部123によって撮像装置101に対して送出される。撮像装置101は上記の動作によりパン角の変更を行い、変更後に撮像された撮像画像を画像処理装置103に対して送信する。図8(b)の撮像画像305が表示されている状態でユーザが設定部122を操作してパン角の変更操作を行ったことで撮像装置101から送信された撮像画像305の一例を図8(c)に示す。図8(c)の撮像画像305は図8(b)の撮像画像305からパン角が変更された撮像画像であり、含むマスク領域が図8(b)の撮像画像305と異なっている。図8(c)の撮像画像305にはマスク領域M1~M4のうちマスク領域M1とマスク領域M2とが含まれている。
図8(c)の撮像画像305が表示されている状態でユーザが設定部122を操作してパン角の変更操作を行ったことで撮像装置101から送信された撮像画像305の一例を図8(d)に示す。図8(d)の撮像画像305は図8(c)の撮像画像305からパン角が変更された撮像画像であり、含むマスク領域が図8(c)の撮像画像305と異なっている。図8(d)の撮像画像305にはマスク領域M1~M4のうちマスク領域M1とマスク領域M3とが含まれている。このように、パン角を変更させると、撮像画像内に写るマスク領域も変化する。
ユーザは、第1の実施形態と同様にして撮像画像上でマスク領域の位置を指定すると、該マスク領域が撮像画像上に登場するパン角の範囲(パン角範囲)を設定部122を用いて入力する。パン角範囲は、例えば、該パン角範囲の一端のパン角と他端のパン角との組である。そして制御部123は、該パン角範囲と、該設定したマスク領域の情報(マスク番号、マスク名、マスク位置)と、を対応付けて設定情報に登録する。
このような設定情報に従って表示領域126に表示されるパン角範囲表示の一例を図8(a)に示す。制御部123は、パン角を変更するためにユーザが操作する指示部890と、指示部890が移動可能な範囲801と、を表示する。ユーザは設定部122を操作して指示部890を範囲801の一端から他端までの間を移動させることができ、指示部890を左端に移動させると規定の最小パン角が指定され、指示部890を右端に移動させると撮像領域502の規定の最大パン角が指定される。ユーザが設定部122を操作して指示部890を範囲801内で移動させたことでパン角が指定されると、制御部123は該パン角を通信部120を介して撮像装置101に送信する。そして、上記の如く、撮像装置101からは、変更後のパン角で撮像した撮像画像が出力され、表示領域124に表示される。
そして制御部123は、範囲801を設定情報に登録されているパン角(パン角範囲の両端のパン角)で複数の区間に分割する。そして制御部123は、区間ごとに、該区間を表すオブジェクトと、該区間の全体を含むパン角範囲と対応付けられているマスク名を表すオブジェクトと、を表示する。図8(a)の例では、マスク名が「M1」のマスク領域に対しては、パン角範囲として「範囲801の左端に対応するパン角P0から右端に対応するパン角P3」が対応付けて設定情報に登録されている。また、マスク名が「M2」のマスク領域に対しては、パン角範囲として「パン角P1からパン角P3」が対応付けて設定情報に登録されている。また、マスク名が「M3」のマスク領域に対しては、パン角範囲として「パン角P2からパン角P3」が対応付けて設定情報に登録されている。この場合、制御部123は、範囲801を3つの区間P0~P1、P1~P2、P2~P3に分割する。
そして制御部123は、区間P0~P1に対しては、区間P0~P1を表す斜線の矩形オブジェクト895と、区間P0~P1の全体を含むパン角範囲に対応するマスク名M1を表すオブジェクト802と、を表示する。
また制御部123は、区間P1~P2に対しては、区間P1~P2を表す白抜きの矩形オブジェクト896と、区間P1~P2の全体を含むパン角範囲に対応するマスク名M1、M2を表すオブジェクト809と、を表示する。
また制御部123は、区間P2~P3に対しては、区間P2~P3を表す斜線の矩形オブジェクト897と、区間P2~P3の全体を含むパン角範囲に対応するマスク名M1、M2、M3を表すオブジェクト804と、を表示する。さらに制御部123は、パン/チルトの基準位置503を「パンチルト基準位置(x、y)」808として表示する。
また、撮像領域502および基準位置503を撮像装置101に送信した後に撮像装置101から送出された撮像画像の一例を図9(b)に示す。図9(b)の撮像画像305にはマスク領域M1~M4のうちマスクM1のみが含まれている。
図9(b)の撮像画像305が表示されている状態でユーザが設定部122を操作してチルト角の変更操作を行うと、チルト角の変更指示が制御部123によって撮像装置101に対して送出される。撮像装置101は上記の動作によりチルト角の変更を行い、変更後に撮像された撮像画像を画像処理装置103に対して送信する。図9(b)の撮像画像305が表示されている状態でユーザが設定部122を操作してチルト角の変更操作を行ったことで撮像装置101から送信された撮像画像305の一例を図9(c)に示す。図9(c)の撮像画像305は図9(b)の撮像画像305からチルト角が変更された撮像画像であり、含むマスク領域が図9(b)の撮像画像305と異なっている。図9(c)の撮像画像305にはマスク領域M1~M4のうちマスク領域M1とマスク領域M4とが含まれている。
図9(c)の撮像画像305が表示されている状態でユーザが設定部122を操作してチルト角の変更操作を行ったことで撮像装置101から送信された撮像画像305の一例を図9(d)に示す。図9(d)の撮像画像305は図9(c)の撮像画像305からチルト角が変更された撮像画像であり、含むマスク領域が図9(c)の撮像画像305と異なっている。図9(d)の撮像画像305にはマスク領域M1~M4のうちマスク領域M4のみが含まれている。このように、チルト角を変更させると、撮像画像内に写るマスク領域も変化する。
ユーザは、第1の実施形態と同様にして撮像画像上でマスク領域の位置を指定すると、該マスク領域が撮像画像上に登場するチルト角の範囲(チルト角範囲)を設定部122を用いて入力する。チルト角範囲は、例えば、該チルト角範囲の一端のチルト角と他端のチルト角との組である。そして制御部123は、該チルト角範囲と、該設定したマスク領域の情報(マスク番号、マスク名、マスク位置)と、を対応付けて設定情報に登録する。
このような設定情報に従って表示領域126に表示されるチルト角範囲表示の一例を図9(a)に示す。制御部123は、チルト角を変更するためにユーザが操作する指示部990と、指示部990が移動可能な範囲901と、を表示する。ユーザは設定部122を操作することで指示部990を範囲901の一端から他端までの間を移動させることができ、指示部990を上端に移動させると規定の最大チルト角が指定され、指示部990を下端に移動させると規定の最小チルト角が指定される。ユーザが設定部122を操作して指示部990を範囲901内で移動させたことでチルト角が指定されると、制御部123は該チルト角を通信部120を介して撮像装置101に送信する。そして、上記の如く、撮像装置101からは、変更後のチルト角で撮像した撮像画像が出力され、表示領域124に表示される。
そして制御部123は、範囲901を設定情報に登録されているチルト角(チルト角範囲の両端のチルト角)で複数の区間に分割する。そして制御部123は、区間ごとに、該区間を表すオブジェクトと、該区間の全体を含むチルト角範囲と対応付けられているマスク名を表すオブジェクトと、を表示する。図9(a)の例では、マスク名が「M1」のマスク領域に対しては、チルト角範囲として「範囲901の上端に対応するチルト角T0からチルト角T2」が対応付けて設定情報に登録されている。また、マスク名が「M4」のマスク領域に対しては、チルト角範囲として「チルト角T1から範囲901の下端に対応するチルト角T3」が対応付けて設定情報に登録されている。この場合、制御部123は、範囲901を3つの区間T0~T1、T1~T2、T2~T3に分割する。そして制御部123は、区間T0~T1に対しては、区間T0~T1を表す斜線の矩形オブジェクト995と、区間T0~T1の全体を含むチルト角範囲に対応するマスク名M1を表すオブジェクト902と、を表示する。また制御部123は、区間T1~T2に対しては、区間T1~T2を表す白抜きの矩形オブジェクト996と、区間T1~T2の全体を含むチルト角範囲に対応するマスク名M1、M4を表すオブジェクト909と、を表示する。また制御部123は、区間T2~T3に対しては、区間T2~T3を表す斜線の矩形オブジェクト997と、区間T2~T3の全体を含むチルト角範囲に対応するマスク名M4を表すオブジェクト904と、を表示する。さらに制御部123は、パン/チルトの基準位置503を「パンチルト基準位置(x、y)」808として表示する。
図8のパン角範囲表示、図9のチルト角範囲表示は、並べて表示領域126に表示しても良い。また、表示領域126には図8のパン角範囲表示、図9のチルト角範囲表示のうち何れか一方を表示し、ユーザ操作に応じて他方に切り替えて表示するようにしても良い。また、画像処理装置103は、パン角範囲表示およびチルト角範囲表示のうち一方のみを表示するような構成であっても良い。
図8のパン角範囲表示、図9のチルト角範囲表示を表示領域126に表示するための処理について、図10のフローチャートに従って説明する。図10のフローチャートに従った処理は、設定情報が更新される度に行われる。例えば、設定情報に新たに「マスク番号、マスク名、パン角範囲/チルト角範囲、マスク位置」のセットを登録したり、登録済みのセットを編集したりするたびに図10のフローチャートに従った処理は行われる。また、ユーザが設定部122を操作して設定情報に登録されているセットを削除した場合にも、図10のフローチャートに従った処理は行われる。
ステップS1001では制御部123は、現在の(最新の)設定情報を取得する。そしてステップS1002では、制御部123は、表示領域126内に範囲801/901を表示し、該範囲801/901内の規定の位置に指示部890/990を表示する。制御部123は、設定情報に登録されているパン角/チルト角で範囲801/901を複数の区間に分割し、区間ごとに、該区間を表すオブジェクト、該区間の全体を含むパン角範囲/チルト角範囲と対応付けられているマスク名を表すオブジェクト、を表示する。さらに制御部123は、パン/チルトの基準位置503を「パンチルト基準位置(x、y)」808として表示する。
[第4の実施形態]
撮像画像の取得元は撮像装置101に限らない。例えば、ネットワークを介して外部のサーバ装置やクライアント端末装置から撮像画像を受信するようにしても良い。また、撮像装置101やその他の装置から受信して画像処理装置103内に保持しておいた撮像画像を読み出して使用するようにしても良い。
また、上記の倍率範囲表示は、マスク領域を設定した撮像画像の撮像倍率を下限とする撮像倍率範囲を表すオブジェクトと、該撮像倍率以下の撮像倍率の撮像画像に設定されたマスク領域に係る情報を表すオブジェクトと、を表示する画面の一例に過ぎない。つまり、倍率範囲表示は図3(a)に示した構成に限らない。例えば倍率範囲表示は図11に示すような表示であっても良い。図11の倍率範囲表示は図2の設定情報に基づいている。つまり、範囲301、指示部390、オブジェクト380,381については第1の実施形態と同様に表示する。そして、設定情報に登録されているそれぞれのマスク名を範囲301の下に縦に並べて表示し、該マスク名の右側には、該マスク名と対応付けて設定情報に登録されている有効倍率を下限とする範囲を表す矩形オブジェクト1101~1104を表示する。
パン角範囲表示/チルト角範囲表示はマスク領域を設定した画像の部分領域を撮像画像として撮像した場合に該マスク領域が含まれる撮像画像が撮像される撮像方向の範囲を表すオブジェクトと該マスク領域を表すオブジェクトを表示する画面の一例に過ぎない。
また、上記の各実施形態において説明したそれぞれのオブジェクトの構成は一例であり、上記の構成に限らない。例えば、マスク名を表すオブジェクトの代わりに若しくは加えてマスク領域の位置やマスク領域のサイズなど、マスク領域に係る他の情報を表すオブジェクトを表示しても良い。また、マスク領域に係る情報に含まれる情報は上記の情報に限らない。また、設定情報を生成するための処理や、そのためにユーザが行う操作についても上記の例に限らない。
また、図1に示した画像処理装置103には、例えば、図7に示すようなハードウェア構成例を有するコンピュータ装置を適用することができる。CPU701は、RAM702やROM703に格納されているデータを用いて、RAM702やROM703に格納されているコンピュータプログラムを実行する。これによりCPU701は、コンピュータ装置全体の動作制御を行うと共に、画像処理装置103が行うものとして上述した各処理を実行若しくは制御する。CPU701は、上記の制御部123として動作することができ、上記の倍率範囲表示、パン角範囲表示、チルト角範囲表示、撮像画像の表示制御を行ったり、撮像装置101との間のデータ通信を制御したりすることができる。
RAM702は、ROM703や外部記憶装置706からロードされたコンピュータプログラムやデータ、I/F(インターフェース)707を介して外部(例えば撮像装置101)から受信したデータ(例えば撮像画像)、を格納するためのエリアを有する。またRAM702は、CPU701が各種の処理を実行する際に用いるワークエリアを有する。このようにRAM702は、各種のエリアを適宜提供することができる。
ROM703には、コンピュータ装置の設定データや起動プログラムなどの書換不要の情報が格納されている。操作部704は、キーボード、マウス、タッチパネルなどのユーザインターフェースにより構成されており、ユーザが操作することで各種の指示をCPU701に対して入力することができる。操作部704は、上記の設定部122として利用することが可能であり、例えば、ユーザが倍率範囲表示、パン角範囲表示、チルト角範囲表示に関して行う操作(撮像倍率、パン角、チルト角の変更操作)を行う際に操作される。
表示部705は、液晶画面やタッチパネル画面などにより構成されており、CPU701による処理結果を画像や文字などでもって表示することができる。表示部705は、上記の表示部121として機能することができ、撮像画像、倍率範囲表示、パン角範囲表示、チルト角範囲表示を対応する表示領域に表示することができる。
外部記憶装置706は、ハードディスクドライブ装置などの大容量情報記憶装置である。外部記憶装置706には、OS(オペレーティングシステム)や、画像処理装置103が行うものとして上述した各処理をCPU701に実行若しくは制御させるためのコンピュータプログラムやデータが保存されている。外部記憶装置706に保存されているデータには、上記の設定情報や、既知の情報として説明したものが含まれる。
外部記憶装置706に保存されているコンピュータプログラムやデータは、CPU701による制御に従って適宜RAM702にロードされ、CPU701による処理対象となる。
I/F707は、外部とのデータ通信を行うための通信インターフェースとして機能するものであり、例えば、上記のネットワーク102を介して撮像装置101との間で行うデータ通信は、このI/F707を介して行われる。
CPU701、RAM702、ROM703、操作部704、表示部705、外部記憶装置706、I/F707は何れもバス708に説明されている。なお、図7に示した構成は、画像処理装置103に適用可能なコンピュータ装置のハードウェア構成の一例に過ぎず、適宜変形/変更が可能である。
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。