JP7256525B2 - 給湯器 - Google Patents

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本発明は、フィンチューブ式の熱交換器用いた給湯器関する。
給湯器に使用される熱交換器には、特許文献1に開示されるように、厚み方向に所定間隔をおいて並設される複数のフィンに複数の伝熱管を蛇行状に貫通させて、フィン間にバーナの燃焼排気等の高温の気体を通過させることで、気体と伝熱管内を流れる流体との間で顕熱を回収可能としたフィンチューブ式が知られている。
一方、この熱交換器を一次熱交換器として、潜熱を回収するための二次熱交換器を併設して高い熱効率を実現する潜熱回収型の給湯器も知られている。
特許第6151146号公報
潜熱回収型の給湯器では、90%を超える熱効率が得られるが、二次熱交換器で発生するドレン(結露)を排水する必要があり、排水設備が用意できない場所には設置できないという問題がある。
一方、顕熱回収型となるフィンチューブ式の熱交換器では、伝熱管の列を上下に並べた2段式も普及しており、この方式ではフィンが比較的小さくても80%程度の熱効率が確保でき、コンパクトな器具となる。よって、フィンチューブ式の熱交換器のみで熱効率の向上を図ることが考えられる。
しかし、2段式の場合、上段側(燃焼排気の下流側)の伝熱管の温度が低くなるため、ドレンが発生しないように上段側への流入温度を少なくとも露点温度以上とする必要がある。ところが、流入温度を高くすると、熱交換器からの出口温度が高くなり、器具の出湯温度を下げるためにバイパス管から水を混合することになる。この結果、高いバイパス率で出湯量が少なくなった際には、熱交換器で沸騰が生じ、耐久性を低下させるおそれがある。よって、フィンチューブ式の熱交換器では、2段式でも流入温度を上げるには限界があり、熱効率は高くても83%程度にとどまっていた。
そこで、本発明は、フィンチューブ式の熱交換器を用いてもドレンの発生や耐久性の低下を招くことなく高い熱効率を実現することができる給湯器を提供することを目的としたものである。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、バーナと、
上下方向に立設され、厚み方向に所定間隔をおいて並設される複数のフィンに、複数の伝熱管を貫通させて各伝熱管を蛇行状に接続し、フィン間を上下方向に通過するバーナの燃焼排気と各伝熱管内を流れる湯水との間で熱交換可能とすると共に、
フィン及び伝熱管を、燃焼排気の通過方向の上流側で互いに平行に配設される複数の上流側伝熱管と、各上流側伝熱管が貫通する上流側フィンとを含む上流側の段と、通過方向の下流側で互いに平行に配設される複数の下流側伝熱管と、各下流側伝熱管が貫通する下流側フィンとを含む下流側の段との上下2段に分けて設置したフィンチューブ式の熱交換器と、を有し、
上流側の段の最初の上流側伝熱管に入水管を、下流側の段の最後の下流側伝熱管に出湯管をそれぞれ接続した給湯器であって、
バーナの燃焼を制御する制御手段を備え、制御手段は、下流側の段の最初の下流側伝熱管への湯水の流入温度が、下流側フィンにおける露点温度以上となるようにバーナの燃焼を制御することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、上流側フィンと前記下流側フィンとは分離していることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項1又は2の構成において、制御手段は、上流側の段での上流側伝熱管の吸熱率の合計が80%以上、下流側の段での下流側伝熱管の吸熱率の合計が20%未満となるようにバーナの燃焼を制御することを特徴とする。
本発明によれば、下流側の段の最初の下流側伝熱管への湯水の流入温度が、下流側フィンにおける露点温度以上となるようにバーナの燃焼を制御すれば、出口温度の上昇を抑えつつドレンの発生を防止することができる。よって、バイパス率が高くなりにくく、出湯量が少なくても沸騰が生じにくくなる。すなわち、顕熱を回収するフィンチューブ式の熱交換器を用いてもドレンの発生や耐久性の低下を招くことなく高い熱効率を実現することができる。
特に、請求項2に記載の発明によれば、上記効果に加えて、上流側フィンと下流側フィンとは分離しているので、上流側フィンから下流側フィンへの熱移動がなくなり、出口温度の上昇抑制により効果的となる。
給湯器の概略図である。 熱交換器の断面図である。 各伝熱管の吸熱率を示す表である。 熱交換器の変更例の断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、給湯器の一例を示す概略図である。
この給湯器1は、筐体2内に、下部に給気ファン4を、上部に排気口5をそれぞれ備えた内胴3を収容してなる。内胴3の内部下側には、図示しないガス管から供給される燃料ガスと給気ファン4から供給される燃焼用空気との混合気を燃焼させるバーナ6が設置されて、バーナ6の上側には、熱交換器7が設置されている。
この熱交換器7は、図2に示すように、複数のフィン8を厚み方向へ所定間隔をおいて並設すると共に、各フィン8を直交状に貫通する12本の伝熱管9,9・・を上下2段で配設してなるフィンチューブ式で、各伝熱管9の端部同士は、内胴3の外側で互い違いにU字管に連結されて蛇行状に繋がっている。ここで各伝熱管9を区別するためにA~Lの符号を付して説明すると、下段では、図2の左端の伝熱管9Aから右へ9B,9C,9D,9E,9Fの順に繋がった後、右端の伝熱管9Fが上段右端の伝熱管9Gと繋がり、そこから左へ9H,9I,9J,9K,9Lの順に繋がっている。
また、ここでのフィン8は、下段の6本の伝熱管9A~9Fが貫通する下フィン8Aと、上段の6本の伝熱管9G~9Lが貫通する上フィン8Bとに分離しており、上下フィン8A,8Bは、互いに非接触で内胴3内に支持されている。
この下フィン8Aと上フィン8Bとは同じ形態で、各フィン8A,8Bにおける各伝熱管9,9の間は、両側の伝熱管9の外形に沿って上方へ逆V字状に切れ込む切込み10,10・・が形成されている。また、各切込み10の上側には、上下で大きさが異なる横長長方形状の切り起こし部11,11がそれぞれ形成されている。
一方、下段左端の伝熱管9Aには入水管12が接続され、上段左端の伝熱管9Kには出湯管13が接続されて、入水管12と出湯管13との間には、熱交換器7をバイパスするバイパス管14が接続されて、バイパス弁15によって所定のバイパス率で水を出湯管13へ供給可能となっている。入水管12には水量センサ16が、出湯管13におけるバイパス管14の上流側と下流側とには、内胴3からの出口温度を検出する内胴温センサ17と、出湯管13からの出湯温度を検出する出湯温センサ18とがそれぞれ設けられている。また、熱交換器7における上段最初の伝熱管9Gの上流側となるU字管には、伝熱管9Gへの流入温度を検出する流入温センサ(図示略)が設けられている。これらのセンサは、制御手段としてのコントローラ20へ電気的に接続されている。
以上の如く構成された給湯器1においては、器具の外部で出湯管13の下流端に設けた図示しない給湯栓を開いて器具内に通水させると、コントローラ20は、ガス管の元電磁弁やガス比例弁等を開いてバーナ6に燃料ガスを供給し、イグナイタを作動させて点火電極によってバーナ6の点火制御を行う。
次に、コントローラ20は、出湯温センサ18で検出された出湯温度と、図示しないリモコンで設定された設定温度との差に応じて、ガス比例弁の開度を制御してガス量を連続的に変化させ、出湯温度を設定温度に一致させる出湯温制御を行う。また、コントローラ20は、ガス比例弁の制御によるガス量の変化に応じて給気ファン4の回転数を変化させて、ガス量と空気量との比率を制御する。
また、コントローラ20は、出湯温制御において、流入温センサからの検出温度が、上フィン8Bにドレンが発生しない露点温度(例えば50℃)以上となるようにバーナ6の燃焼量を制御する。このため内胴温センサ17から得られる出口温度が高くなると、バイパス弁15の開度を大きくしてバイパス率を調整する。
こうして上段の伝熱管9G~9Lへの流入温度が露点温度以上となることで、上フィン8Bでのドレンの発生が防止される。また、下フィン8Aと分離していることで、下フィン8Aからの伝熱がなく、過剰な温度上昇は生じないため、出口温度の上昇は抑えられてバイパス率も大きくなりすぎることがない。
図3は、12本の伝熱管9A~9Lそれぞれにおいて、上段最初の伝熱管9Gへの流入温度を50℃として、入口温度と出口温度とを測定し、入口と出口との間での上昇温度と吸熱率とをそれぞれ算出したもので、下段の伝熱管9A~9Fでは吸熱率が全て10%を上回り、合計で約92%となっている。これに対して上段の伝熱管9G~9Lでは吸熱率が全て1%台で、合計で約8%となっている。
また、伝熱管9への入水温度が20℃、出口温度が52.6℃での上昇温度32.6℃、排気温度72.4℃から計算した熱効率は、88.3%となっている。
このように、上記形態の熱交換器7及び給湯器1によれば、フィン8及び伝熱管9を、燃焼排気の通過方向の上流側で互いに平行に配設される伝熱管9A~9F(上流側伝熱管)と、伝熱管9A~9Fが貫通する下フィン8A(上流側フィン)とを含む下段と、通過方向の下流側で互いに平行に配設される伝熱管9G~9L(下流側伝熱管)と、伝熱管9G~9Lが貫通する上フィン8B(下流側フィン)とを含む上段との上下2段に分けて設置し、下段の伝熱管9Aに入水管12を、上段の伝熱管9Lに出湯管13をそれぞれ接続して、フィン8,8間を通過するバーナ6の燃焼排気と各伝熱管9内を流れる水との間で熱交換可能としたことで、コントローラ20によって上段最初の伝熱管9Gへの湯水の流入温度が、上フィン8Bにおける露点温度以上となるようにバーナ6の燃焼を制御すれば、出口温度の上昇を抑えつつドレンの発生を防止することができる。よって、バイパス率が高くなりにくく、出湯量が少なくても沸騰が生じにくくなる。すなわち、顕熱を回収するフィンチューブ式であってもドレンの発生や耐久性の低下を招くことなく高い熱効率を実現することができる。
特にここでは、下フィン8Aと上フィン8Bとは分離しているので、下フィン8Aから上フィン8Bへの熱移動がなくなり、出口温度の上昇抑制により効果的となる。
なお、下段の伝熱管9A~9Fの吸熱率の合計は、図3のように90%以上、上段の伝熱管9G~9Lの吸熱率の合計は、図3のように10%未満とするのが望ましいが、下段の吸熱率の合計を80%以上、上段の吸熱率の合計を20%未満となるようにバーナ6の燃焼を制御しても、出口温度が高くなりすぎることがなく、バイパス率を上げる必要がなくなるので、沸騰が生じにくい効果は得られる。
また、フィン8は、上記形態のように上下で完全に分離する形態に限定せず、例えば図4に示す熱交換器7Aのように、上下にオーバーラップする伝熱管9,9の間に接続部分19,19・を設けて下フィン8Aと上フィン8Bとを部分的に接続してもよい。この場合、同じ出湯温制御を行っても、下段の吸熱率の合計は約88%となり、上段の吸熱率の合計は約12%まで増加する。しかし、接続部分19は、下フィン8Aの比較的温度が低い箇所に形成されているので、上フィン8Bへの熱移動は抑えられる。よって、熱効率は88.3%と高くできる上、バイパス率の増加による沸騰が生じにくくなる効果も得られる。
このように下フィン8Aと上フィン8Bとを部分的に接続すれば、プレス成型等の製造工程の効率が良くなる。但し、接続部分はできるだけ小さくするのが望ましい。
そして、上記各例に共通して、下段と上段との伝熱管の数や配置は適宜変更可能で、下段の伝熱管を上段よりも多くしたり、上下方向で下段の伝熱管の間に上段の伝熱管が位置するように千鳥状に配置したりしても差し支えない。伝熱管の断面形状も円形に限らず、長円形や楕円形も採用できる。
また、フィンも、上記各例では上フィンと下フィンとを同じ形態としているが、例えば下フィンを上フィンよりも大きくする等、上下で異なる形態としてもよい。
さらに、燃焼排気が上から下に通過する逆燃焼式の給湯器であっても本発明は適用可能である。
1・・給湯器、2・・筐体、3・・内胴、4・・給気ファン、6・・バーナ、7,7A・・熱交換器、8・・フィン、8A・・下フィン、8B・・上フィン、9(A~L)・・伝熱管、12・・入水管、13・・出湯管、14・・バイパス管、18・・出湯温センサ、20・・コントローラ。

Claims (3)

  1. バーナと、
    上下方向に立設され、厚み方向に所定間隔をおいて並設される複数のフィンに、複数の伝熱管を貫通させて各前記伝熱管を蛇行状に接続し、前記フィン間を上下方向に通過するバーナの燃焼排気と各前記伝熱管内を流れる湯水との間で熱交換可能とすると共に、
    前記フィン及び前記伝熱管を、燃焼排気の通過方向の上流側で互いに平行に配設される複数の上流側伝熱管と、各前記上流側伝熱管が貫通する上流側フィンとを含む上流側の段と、前記通過方向の下流側で互いに平行に配設される複数の下流側伝熱管と、各前記下流側伝熱管が貫通する下流側フィンとを含む下流側の段との上下2段に分けて設置したフィンチューブ式の熱交換器と、を有し、
    前記上流側の段の最初の前記上流側伝熱管に入水管を、前記下流側の段の最後の前記下流側伝熱管に出湯管をそれぞれ接続した給湯器であって、
    前記バーナの燃焼を制御する制御手段を備え、前記制御手段は、前記下流側の段の最初の前記下流側伝熱管への湯水の流入温度が、前記下流側フィンにおける露点温度以上となるように前記バーナの燃焼を制御することを特徴とする給湯器。
  2. 前記上流側フィンと前記下流側フィンとは分離していることを特徴とする請求項1に記載の給湯器
  3. 前記制御手段は、前記上流側の段での前記上流側伝熱管の吸熱率の合計が80%以上、前記下流側の段での前記下流側伝熱管の吸熱率の合計が20%未満となるように前記バーナの燃焼を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の給湯器。
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