森林資源の管理・利用を行うためには、いわゆる「森林計測」を行うことが重要である。この「森林計測」には、森林の構造の調査、森林の材積の推定、一定期間における森林の変化量の把握等が含まれ得る。従来の森林計測のような、林木の一本一本を計測し、得られたデータから様々な集計・分析を行っていくことは非常に人手と時間がかかる。そこで、無人航空機にレーザ測距装置(LiDARセンサ)を搭載し、LiDARセンサを用いて空中から森林計測を行うことが進められている。
無人航空機を利用して山間部の深い森林、特に斜面の森林、を計測する場合には、無人航空機が飛行中に山の斜面や斜面に植生する樹木に接触しないように飛行させることが求められる。
航空機等の飛行方法として、地形に追従しながら(すなわち絶対高度を一定に保った状態で)飛行すること、または、余裕のある海抜高度を維持しながら飛行すること、が考えられる。
前者の場合、真下を計測対象とする場合のLiDARセンサによる計測点密度を均一化できるというメリットがあるが、斜面からの距離が大きく変動し得る。斜面に入射するレーザビームのパルスの計測点密度が均一にならずに偏る、という新たな問題が生じる。斜面の森林に関する森林計測として改善の余地がある。
後者の場合、一般には観測(測定、測量、捜索)の対象エリア内で最も高い山の標高点に基づいて飛行高度(海抜高度)を決定することになる。比較的高い位置を飛行するため真下ですらLiDARセンサによる計測点密度が低下する。斜面に入射するパルスの計測点密度はより少なくなる。計測方法として改善の余地が大きい。
本開示の実施形態を説明する前に、本明細書において使用する用語の定義を説明する。
<用語>
本明細書では、LiDARセンサを用いて上空から森林をスキャンし、スキャンデータを取得すること自体を「森林計測」に含む。スキャンデータは、典型的には、スキャンごとに取得される点群(point cloud)を構成する各点の位置座標によって表現され得る。スキャンごとに取得される点の位置座標は、無人航空機とともに移動するローカル座標系によって規定される。このようなローカル座標系は、移動体座標系またはセンサ座標系と呼ばれ得る。一般的には、「森林計測」は、ローカル座標系で表現された各反射点の位置を地理座標系に変換することを含む。「森林計測」はさらに、地理座標系への変換後に、森林の構造を解析すること、森林および/または樹木の形を視覚的に表示すること、森林内の樹木の種類ごとの存在比率を求めること、森林の容積密度を求めること等を含み得る。
「無人航空機」(UAV;Unmanned aerial vehicle)とは、操縦者としての人が搭乗しない航空機であり、ドローンと呼ばれることもある。航空機は回転翼機および固定翼機を含み得る。回転翼を有する無人航空機の一例は、無人ヘリコプターまたは無人マルチコプターである。回転翼はエンジン(内燃機関)によって回転してもよいし、電動モータによって回転してもよい。無人航空機の飛行は、コンピュータプログラムによる自律飛行、一部を自動化する半自律飛行、無線を用いた人による遠隔操作による飛行のいずれかを行い得る。無人航空機は、GNSS(Global Navigation Satellite System)を援用して、現在位置を三次元的に測定、修正しながら飛行することが可能である。以下に説明する例示的な実施形態においては、「無人航空機」は「無人ヘリコプター」である。
「無人」の用語は、航空機の操縦のために人が搭乗する必要がないことを意味しており、無人航空機が操縦者でない人を運搬することは除外しない。
「等高線」とは、地図上で、土地の起伏を正確に表すために、標準海面から等しい高さの点を結んだ曲線を言う。日本では、東京湾の平均海面を標準海面(0m)とする高さが測量されている。標準海面からの高さは「標高」と呼ばれる。日本の地図では、縮尺によっては標高差10mごとに主曲線が引かれ、50mごとに計曲線が引かれる。しかしながら本明細書において「等高線」は、標準海面から等しい高さの点を結んだ曲線であればよく、地図に掲載されていない曲線も含む。例えば、標高563mの高さの点を結んだ曲線も等高線であり得る。
さらに本明細書では、「等高線」は、実際の地形上で、標準海面から等しい高さの位置を結んだ仮想的な曲線を含む。ここでいう「標準海面から等しい高さ」は厳密でなくてよい。例えば、「標準海面から等しい高さ」の±30メートルの範囲に入る高さの位置を結んだ仮想的な曲線も等高線であり得る。さらに、無人航空機が飛行しながらLiDARセンサを用いて所定位置の標高(等高線)を計測する場合には、測定誤差を考慮して±50メートルの範囲に入る高さの位置を結んだ仮想的な曲線を等高線として含めてもよい。
「絶対高度」とは、地表面または水面からの距離をいい、「AGL」(Above Ground Level)とも表現され得る。航空機が山岳地を飛行しているときは,山岳の地表面から航空機までの垂直距離が「絶対高度」になる。「絶対高度」は、一般には電波高度計を用いて測定された値であるが、本明細書では後述するLiDAR(ライダー)センサを用いて測定された値も絶対高度として採用することを含む。また本明細書では、「絶対高度」は例えば、数値表層モデルまたはDSM(Digital Surface Model)で表現される表層からの距離も含む。つまり、絶対高度Hメートル、というときは、地表面から計測した距離がHメートルであってもよいし、樹冠の表層から計測した距離がHメートであってもよい。
「真高度」とは、平均海面(MSL;Mean Sea Level)からの高さをいう。本明細書では説明の便宜のため、「真高度」と「標高」とは等しいとする。すなわち「真高度」を定義する「平均海面」は、東京湾の平均海面であるとする。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明による森林計測方法の実施形態を説明する。
図1は、森林計測を行う無人ヘリコプター1を示している。例示的な実施形態において、森林計測は、山50の斜面52の森林54を対象として行われる。山50または斜面52を含む、森林計測を行う対象として選択された領域を「観測対象エリア」と呼ぶことがある。「観測対象エリア」は斜面52の森林54、および/または山50の地表面を含み、さらに平坦地の森林、地表面を含んでもよい。
無人ヘリコプター1は後述のライダー(LiDAR)センサを搭載している。図2は、LiDARセンサ(ライダーセンサ)20を搭載した無人ヘリコプター1の外観側面図である。また図3は、無人ヘリコプター1の正面図である。
LiDARセンサ20はレーザビームのパルス(以下「レーザパルス」と略記する。)22を、出射方向を変えながら次々と出射し、出射時刻と各レーザパルスの反射パルスを取得した時刻との時間差から各反射点の位置までの距離を計測することができる。「反射点」は、森林54を構成する各樹木の樹冠および/または幹、または、山50の斜面52、平坦地等の地表面であり得る。
LiDARセンサ20には、レーザパルスを出射する方法の違いに応じて複数の方式が存在する。複数の方式とは、例えば機械回転方式、MEMS方式、フェーズドアレイ方式である。機械回転方式のLiDARセンサは筒状であり、レーザおよびレーザパルスの反射光を検出する検出器を回転させて、回転軸の周囲360度全方位の計測対象物をスキャンする。MEMS方式のLiDARセンサは、MEMSミラーを用いてレーザパルスの出射方向を揺動させ、揺動軸を中心とした所定の角度範囲内の計測対象物をスキャンする。フェーズドアレイ方式のLiDARセンサは、光の位相を制御して光の出射方向を揺動させ、揺動軸を中心とした所定の角度範囲内の計測対象物をスキャンする。
本実施形態では、LiDARセンサの回転軸または揺動軸は、無人ヘリコプター1の機体進行方向を向くように搭載されている。本実施形態にかかる森林計測方法は、(i)無人ヘリコプター1を第1等高線60aに沿って所定の絶対高度で飛行させながら、斜面52の森林54をLiDARセンサでスキャンさせること、および(ii)無人ヘリコプター1を第1等高線60aとは異なる第2等高線60bに沿って同じ絶対高度で飛行させながら、LiDARセンサで森林54を再度スキャンさせること、を包含する。絶対高度は森林54を構成する各樹木の高さに応じて適宜決定され得る。絶対高度の一例は50mである。無人ヘリコプター1は絶対高度を一定に保つため、急な高低差のある山間部でも無人ヘリコプター1と樹木との距離を十分に確保することができる。
LiDARセンサは、その回転軸または揺動軸が無人ヘリコプター1の機体進行方向を向くよう、無人ヘリコプター1に搭載されているため、回転軸または揺動軸は等高線が伸びる方向に概ね一致する。特に斜面52においては、森林54を構成する木々の幹に概ね垂直に、すなわち木々の横方向から、レーザパルスを照射できる。これにより、基本的に日光を受けるために水平に生えている葉の間をレーザパルスが通りやすくなるため、木々の樹冠だけでなく、幹も計測することが可能になる。
上述の森林計測方法において、等高線に沿って無人ヘリコプター1を飛行させる意義は、無人ヘリコプター1のLiDARセンサから斜面52までの距離を概ね一定に保つことにある。当該距離を概ね一定に保つことにより、斜面52の方向に出射されるレーザパルスの単位面積あたりの個数密度、すなわち計測点密度、を概ね一定に保つことができる。これにより、得られる点群データの空間密度も概ね一定になり、斜面52の森林54を対象とする森林計測の品質を均一化できる。
上述の飛行方法は、第1等高線60aに関しては第1等高線60aが表す標高または真高度と絶対高度とを同時に一定に保ちながら飛行することを意味し、第2等高線60bに関しては第2等高線60bが表す標高または真高度と絶対高度とを同時に一定に保ちながら飛行することを意味する。
そこで上述の飛行方法は次のように言い換えることができる。すなわち森林計測を行う方法は、(i)無人航空機を所定の絶対高度および所定の第1真高度で飛行させながら、斜面の森林をLiDARセンサでスキャンさせること、および(ii)無人航空機を所定の絶対高度および、所定の第1真高度とは異なる所定の第2真高度で飛行させながら、森林をLiDARセンサで森林を再度スキャンさせること、である。
本発明者は、森林計測の品質を均一化するために好適な森林計測方法についてさらに検討を進めた。その結果、以下のように無人ヘリコプター1を飛行させることを見出した。なお、LiDARセンサの無人ヘリコプター1への搭載方法は先に説明したとおりである。
本発明者が見出した他の森林計測方法は、(i)LiDARセンサを用いて、パルスの出射方向を所定角度ピッチで変化させながら出射して周囲の空間を計測すること、(ii)斜面までの距離をL、無人ヘリコプター1の飛行速度をV、同じ角度方向に同時に出射されるレーザパルスの個数をN、同じ角度方向に出射されるレーザパルスの周波数をf、所定角度ピッチをαとするとき、V/(f・N)に対するα・Lの相対値が所定の範囲内に収まるように、無人航空機を飛行させながらLiDARセンサを用いて斜面の森林を対象とする森林計測を行うこと、を包含する。
ここで「α・L」は所定角度ピッチαの間隔で出射された2個のレーザパルスが距離Lだけ離れた地表面に到達したときの、2個の到達位置の間隔である。また「V/(f・N)」のうちのV/fは、LiDARセンサのある放射口から1個のレーザパルスが放射されてから、その1周期後に同じ放射口から次の1個のレーザパルスが放射されるまでの微小時間の間に無人ヘリコプター1が飛行する距離である。この距離は、これら2個のレーザパルスが地表面に到達したときの、2つの到達位置の間隔を意味する。レーザパルスが同時にN個出射される場合には、距離V/fだけ離れた2つの位置の間にN個のレーザパルスが到達する。つまり、「V/(f・N)」はN個の到達位置の中で隣り合う2つの到達位置の平均距離であると言える。
つまり、「V/(f・N)に対するα・Lの相対値が所定の範囲内に収まること」の意味は、無人ヘリコプター1の飛行方向に関して地表面に入射するレーザパルスの間隔(A)に対する、進行方向と直角な方向に関して地表面に入射するレーザパルスの間隔(B)の相対値が所定の範囲内に収まっていることを意味している。「所定の範囲」の一例は、「相対値」が比B/Aまたは比A/Bで表される場合には、比が0.9から1.1の範囲であり、より広い0.8から1.3の範囲、さらに広い0.5-2.0程度の範囲であってもよい。なお、範囲が広いと解析時にデータ量に対して解析精度が下がるため、計算効率が悪くなることが想定される。しかしながら、0.5未満の値および/または2.0より大きい値を境界値として有する範囲を採用してもよい。当業者であれば、解析精度および計算効率等を考慮して適切な比の範囲を設定し得る。「相対値」は、上述した間隔(A)と間隔(B)との差を用いても定義し得る。ただし「差」の大きさは、LiDARセンサ20を動作させている条件、および/または飛行速度等に応じて大きく変わり得る。よって差に関する「所定の範囲内」の例示は省略する。
比が1の場合、または差が0の場合には、上述の間隔(A)と間隔(B)とが等しいことを表す。このときは、計測点群は正方形のメッシュ状またはグリッド状に分布することになり、概ね均等な計測点密度を確保することができる。相対値を比で表すとしても差で表すとしても、V/(f・N)およびα・Lの具体的な値は、必要とされる計測点密度から決定し得る。
なお「α・L」の「L」は、無人ヘリコプター1の真下に近いほど短く、無人ヘリコプター1から離れるほど大きくなる。そのため、所望の計測点密度を確保したい位置または方向の地表面までの距離を、「L」として設定すればよい。ここで言う「方向」の一例は、飛行中の無人ヘリコプター1の飛行方向に垂直な平面を想定したとき、当該平面上の、鉛直下向きから45度の方向である。
図2を参照する。無人ヘリコプター1が平坦な地面に静止しているとき、図示されるようにX軸、Y軸およびZ軸を取る。X軸の正の方向は紙面手前から奥に向かう方向であるとする。+Y方向は飛行時の機体4の進行方向であり、+Z方向は鉛直上向き、-Z方向は鉛直下向きである。
無人ヘリコプター1は、メインボディ2およびテールボディ3を有する機体4を備えている。機体4の前方(+Y方向)で、かつ機体4の下方(-Z方向)にはLiDARセンサ20が取り付けられている。メインボディ2の上方(+Z方向)にはメインロータ5が設けられ、テールボディ3の後部にテールロータ6が設けられる。メインボディ2の前部にはラジエータ7が設けられている。メインボディ2内には、いずれも図示しないエンジン、吸気系、メインロータ軸、燃料タンクが収容されている。
メインボディ2の後部上側にはコントロールパネル10が設けられ、後部下側に表示灯11が設けられる。コントロールパネル10は、飛行前のチェックポイントやセルフチェック結果等を表示する。コントロールパネル10の表示は地上局でも確認できる。表示灯11は、GNSS制御の状態や機体の異常警告等の表示を行う。メインボディ2の中央部下側には、着陸時に機体4を支える脚であるスキッド16が設けられている。
メインボディ2には飛行制御ボックス15が搭載される。
図4は、飛行制御ボックス15のハードウェア構成例を示している。飛行制御ボックス15は、GPSモジュール15a、加速度センサ15b、気圧センサ15c、地磁気センサ15d、超音波センサ15e、通信回路15f、信号処理回路15g、および、ROM15h、RAM15i等の記憶装置15jを収容する。各構成要素は、例えば配線または内部バス15kを介して相互にデータを送受信し得る。なお、GPSモジュール15aを初めとする各種のセンサを設ける位置は、常に飛行制御ボックス15内である必要はない。例えばGPS衛星からの信号を取得しやすくするため、GPSモジュール15aをテールボディ3上部に設けてもよい。
飛行制御ボックス15は、GNSSモジュールの一例としてGPSモジュール15aを備える。GPSモジュール15aは、GPS(Global Positioning System)を用いて現在位置および飛行速度等の飛行データを取得する。GPSモジュール15aの数は1個であってもよいし、複数(例えば2個)であってもよい。加速度センサ15bは、X軸、Y軸およびZ軸の各方向の加速度を検出する三軸加速度センサである。加速度センサ15bが六軸加速度センサであれば、さらに無人ヘリコプター1のロール加速度、ピッチ角速度およびヨー加速度を検出可能である。気圧センサ15cは気圧を検出する。検出された気圧から現在の標高を知ることができる。なお気圧と標高との関係式は公知であるから、本明細書では説明は省略する。地磁気センサ15dは無人ヘリコプター1の現在の方位を検出する。加速度センサ15bおよび地磁気センサ15dの各々から出力されるデータ(機体データ)を利用することにより、無人ヘリコプター1の現在の姿勢を判断することができる。飛行データおよび機体データは、信号処理回路15gに提供される。
通信回路15fは、Bluetooth(登録商標)および/またはWi-Fi(登録商標)規格に準拠した無線通信を行う通信回路を有する。通信回路15fはさらに、携帯電話回線または人工衛星を経由する回線を利用した無線通信を行ってもよい。通信回路15fは、飛行前においては飛行経路のデータを受信し、飛行時には無線によって地上と必要な通信を行う。なお本実施形態では、飛行経路のデータは、無人ヘリコプター1が沿って飛行すべき等高線および絶対高度の各データを含む。
記憶装置15jは、信号処理回路15gの動作を制御するコンピュータプログラムを記憶している。記憶装置15jは、無人ヘリコプター1の飛行の制御および後述する森林計測の制御を信号処理回路15gに実行させるためのコンピュータプログラムを記憶し得る。そのようなコンピュータプログラムは、それが記録された記録媒体(半導体メモリ、光ディスク等)から無人ヘリコプター1へインストールしてもよいし、インターネット等の電気通信回線を介してダウンロードしてもよい。また、無線通信を介してそのようなコンピュータプログラムを無人ヘリコプター1へインストールしてもよい。このようなコンピュータプログラムは、パッケージソフトウェアとして販売され得る。
信号処理回路15gは、記憶装置15jに記憶された制御プログラムを実行して無人ヘリコプター1を飛行させる。より具体的には信号処理回路15gは、上述した飛行データ、機体データ、エンジン回転数やスロットル開度などの運転状態データ等を監視しながら、予め用意された飛行経路に沿って無人ヘリコプター1を飛行させる。
本実施形態では、飛行制御ボックス15はLiDARセンサ20と接続されている。飛行制御ボックス15は、例えば、GPSモジュール15aが取得した、無人ヘリコプター1の飛行位置を示す位置データをLiDARセンサ20に提供してもよい。これにより、LiDARセンサ20は自らがGPSモジュール15aを搭載しなくても、スキャンを行った時刻における位置データとスキャン結果(時刻データ、方角データおよび距離データの組)とを用いて、例えば地理座標系で表現された位置を算出できる。
なお、無人ヘリコプター1の飛行・運用を管理するオペレータは、飛行状態を目視しながら、予め用意した飛行経路に沿って無人ヘリコプター1を飛行させることもできる。テールボディ3の後端部には、リモコン操縦機からの指令信号を受信するリモコン受信アンテナ23が設けられている。
再び図2を参照する。LiDARセンサ20は、たとえば近赤外線のレーザパルス22を放射し、当該レーザパルス22の反射光を検出することにより、反射点までの距離を測定する光学機器である。
例示的な実施形態ではLiDARセンサ20は機械回転方式であり、レーザおよびレーザパルスの反射光を検出する検出器を回転させて、360度全方位をスキャンすることができる。ただし本実施形態では、LiDARセンサ20のスキャン可能範囲のうち無人ヘリコプター1の機体4に遮られる範囲、例えばLiDARセンサ20の+Z方向を中心とした±60度(計120度)の範囲、は計測結果に反映しない。
レーザパルスは、ある角度方向について1回転ごとに1個ずつ出射されてもよいし、同時に複数個出射されてもよい。図2では、同時にN個のレーザパルス22が出射される様子を表している。ただし記載の便宜上、パルス状ではなくビーム状で記載している。Nの一例は12である。Nが2以上の場合、LiDARセンサ20にはN個のレーザパルスの出射口が設けられる。
図3を参照しながら、ある1つの出射口から出射されるレーザパルスを説明する。LiDARセンサ20は、所定角度ピッチα(rad)ごとに方向を変化させながら回転してレーザパルス22を放射し、各レーザパルス22の反射光を検出する。これにより、当該所定角度ピッチαごとの方向における反射点までの距離のデータを得ることができる。1つの出射口についてLiDARセンサ20の単位時間当たりのパルスの出射回数をM、単位時間当たりの回転数をRとするとき、所定角度ピッチαはα(rad)=2・π・R/Mによって求められる。
所定角度ピッチαは固定値であってもよいし、可変値であってもよい。単位時間当たりの出射回数M、および単位時間当たりの回転数Rもまた、固定値であってもよいし、可変値であってもよい。
同じ角度方向に同時に出射されるレーザパルスの個数をNとする(図2)。例示的な実施形態では、M・N=60万(個/秒)、R=10(回転/秒)、N=16のとき、所定角度ピッチαは約0.0017(rad)、約0.096度である。ただし計算の簡単化のため、スキャン範囲は360度であるとした。
図5は、LiDARセンサ20を利用して斜面52の森林54を対象とする森林計測を行う無人ヘリコプター1を示している。無人ヘリコプター1から放射状に伸びる各直線は、図3と同様、各レーザパルス22を模式的に表している。各レーザパルス22は各直線に沿ってLiDARセンサ20と反射点との間を往復する。なお以下では、斜面52の森林54を「斜面林54」と記述する。
無人ヘリコプター1は、後述する方法によって決定された飛行経路に沿って飛行するよう、プログラミングされている。当該飛行経路を飛行することにより、LiDARセンサ20から出射されたレーザパルスは、斜面林54の樹冠だけでなく幹にも到達し、反射される。例えば斜面林54を構成する樹木56に注目すると、レーザパルス22は、樹木56の樹冠56aおよび幹56bのいずれにも当たっている。幹56bには、水平方向より下に出射されたレーザパルスだけでなく、水平方向に出射されたレーザパルス、および、水平方向よりも上に出射されたレーザパルス22が幹56bに入射している。これにより、森林、特に斜面林54、の木々の樹冠および幹を計測することが可能になる。なお、ここでいう「水平方向」とは、無人ヘリコプター1が図2に示す姿勢で飛行している状況であれば、鉛直方向に直交する平面(水平面)が広がる方向を言う。なお、鉛直方向に関する水平面の位置は、LiDARセンサ20の出射口の位置である。また「水平方向よりも上」は、鉛直上向き(真上の方向)を除き、「斜め上方向」とも言う。さらに「水平方向よりも下」は鉛直下向き(真下の方向)を除き、「斜め下方向」とも言う。「斜め上方向」と「斜め下方向」を包括して「斜め方向」とも呼ぶ。
LiDARセンサ20は、その回転軸(または揺動軸)20aが無人ヘリコプター1の機体4の進行方向を向くよう、無人ヘリコプター1に搭載されている。回転軸または揺動軸が「機体4の進行方向を向く」とは、回転軸または揺動軸がY軸と平行であることを含むが、厳密にY軸と平行でなくてもよい。回転軸または揺動軸が、例えばYZ平面に平行な方向であって、かつ機体4の進行方向から所定の角度範囲内に入っていれば、回転軸または揺動軸が機体4の進行方向を向いていると言える。「所定の角度範囲」の一例は、機体4の進行方向から±30度の範囲である。このような搭載方法を許容する理由は、無人ヘリコプター1は機首側を若干下げた状態(前傾姿勢)で飛行し得るからである。
さらに、上述の例における「YZ平面に平行な方向」であることも必須ではない。+X方向または-X方向にずれていても森林計測を行うことは可能だからである。つまり、LiDARセンサ20の回転軸または揺動軸は、「YZ平面に平行な方向」に加え、森林計v測を行うことが可能な範囲内であれば「YZ平面に平行ではない方向」を向いてもよい。
図6は、LiDARセンサ20の搭載位置に関する変形例を示している。LiDARセンサ20は、無人ヘリコプター1の機体4の中央部付近の下部と、スキッド16とに囲まれるように搭載されている。LiDARセンサ20の回転軸または揺動軸に関する説明は図2の例と同じである。なお、図6の例では、取り付けられたLiDARセンサ20の向きが図2の例とは逆である。しかしながら、図6の例もまた、回転軸または揺動軸が機体4の進行方向を向いていると言える。
図6の設置例の場合、LiDARセンサ20のスキャン範囲に無人ヘリコプター1のスキッド16が入る。そのため、LiDARセンサ20は常にスキッドまでの距離を検出することになる。スキッドからの反射光を計測結果に反映することなく、その他の反射点について、その位置までの距離を算出してもよい。
LiDARセンサ20のスキャン範囲に無人ヘリコプター1のスキッド16が入らないようにするため、LiDARセンサ20をテールボディ3の下部に設けてもよい。この場合も、LiDARセンサ20の回転軸または揺動軸に関する説明は図2の例と同じである。
以下、例示的な実施形態における森林計測方法を説明する。
図7Aは、例示的な実施形態における飛行経路60の一部を示す斜視図であり、図7Bは、飛行経路60の一部を示す上面図である。説明の便宜のため、山50の斜面52における森林54の記載は省略した。
飛行経路は多数のセグメントを含み得る。図7Aおよび図7Bには、多数のセグメントのうちの一部が示されている。具体的には、第1等高線60aに沿って飛行する経路セグメント、および、第2等高線60bに沿って飛行する経路セグメントである。本実施形態では、等高線に沿って飛行する多数の経路セグメントが設定され、それにより観測対象エリアの森林を対象とした森林計測を行う。このような飛行経路60の経路セグメントは、無人ヘリコプター1の飛行・運用を管理するオペレータによって設定され得る。第1等高線60aに沿う経路セグメントから、第2等高線60bに沿う経路セグメントに移るときは、無人ヘリコプター1は、例えば等高線に直角な方向に斜面を下る経路セグメント60cに沿って飛行する。経路セグメント60cもまたオペレータによって設定されてもよいし、第1等高線60aに沿う経路セグメントおよび第2等高線60bに沿う経路セグメントの設定後に、後述のタブレットコンピュータ、基地局操縦装置等によって自動的に設定されてもよい。なお図7Bに示されている長破線60dの説明は後述する。
図8は、第1等高線60aに沿って飛行する無人ヘリコプター1と、第2等高線60b上に沿って飛行する無人ヘリコプター1とを示す、斜面52の断面図である。断面は、図7Aおよび図7BのA-A線に沿う。
無人ヘリコプター1が飛行する絶対高度(AGL)は、第1等高線60a上および第2等高線60b上のいずれの場合も一定(AGL=Ha)である。第1等高線60aおよび第2等高線60bの水平方向のオフセットはDである。
図8には、第2等高線60bに沿って飛行する無人ヘリコプター1の真高度(MSL)がHmであることが示されている。図8の例では、真高度Hmは、第1等高線60aが示す標高と概ね同じである。そのため、第2等高線60bに沿って飛行する無人ヘリコプター1のLiDARセンサ20から出射されるレーザパルスは、第1等高線60a付近の樹木(図示せず)の幹に概ね直角に入射することが理解される。これにより、LiDARセンサ20の樹冠および幹を計測することが可能になる。
なお、計測対象エリアが森林54の端部を含む場合がある。その場合、飛行経路60の決定に当たっては、森林54の端部から、非森林地帯の方向に所定距離離れた位置の上空を通過する飛行経路を採用してもよい。「所定距離離れた位置」の一例が、図7Bに示す長破線60dである。そのような飛行経路を採用すると、森林54の端部の木々の幹は、無人ヘリコプター1の進行方向に向かって右斜め下方向または左斜め下方向に位置する。これにより、LiDARセンサ20を用いて森林54の端部の木々の幹をスキャンし、反射点の点群を取得することが可能になる。
ここで、図9Aおよび図9Bを参照しながら、絶対高度Haを一定に維持する他の利点を説明する。
図9Aは、絶対高度AGLを一定にしたとき(AGL=Ha)の、斜面52に入射するレーザパルスの分布を示している。図9Bは、真高度MSLを一定に維持したとき(MSL=Hm)の、斜面52に入射するレーザパルスの分布を示している。いずれの図でも、無人ヘリコプターは紙面の奥から手前または手前から奥に向かって飛行している。
絶対高度AGLを一定に維持する場合(図9A)、どの等高線に沿って飛行するかにかかわらず、無人ヘリコプター1と斜面52との距離は概ね一定である。その結果、LiDARセンサ20から斜面52に到達するレーザパルスの計測点密度を概ね一定に維持できる。
一方、真高度MSLを一定に維持する場合(図9B)、無人ヘリコプター1が低い等高線に沿って飛行するほど、無人ヘリコプター1は斜面52から離れる。その結果、斜面52上の計測点密度は低下する。つまり、計測点密度を均一化することは困難である。
したがって、計測点密度を均一化するために絶対高度Haを一定に維持することが好適である。
図10は、例示的な実施形態にかかる方法によって行われた森林計測の結果を示している。図8に例示した斜面に類似する斜面の森林を対象として森林計測を行った。図10に示されるように、森林の各樹木の樹冠のみならず、幹も計測されていることが理解される。本発明者は、得られた結果から、本実施形態にかかる森林計測方法が有効であることを確認した。
オペレータは、タブレットコンピュータ、基地局操縦装置等のコンピュータ装置を利用して、上述のような等高線および絶対高度が指定された飛行経路60を設定し得る。本明細書では、無人ヘリコプター1と、そのようなコンピュータ装置とを合わせて「森林計測システム」と呼ぶ。
図11Aは、無人ヘリコプター1とタブレットコンピュータ70とを含む森林計測システム100の一例を示している。また図11Bは、無人ヘリコプター1と基地局操縦装置80とを含む森林計測システム100の一例を示している。タブレットコンピュータ70および基地局操縦装置80はいずれも、内蔵された、または外付けの記憶装置を有しており、当該記憶装置に後述の等高線データ90を記憶している。タブレットコンピュータ70および基地局操縦装置80は、等高線データ90をディスプレイに表示してオペレータから飛行経路60の指定を受け付ける。タブレットコンピュータ70はタッチスクリーンパネルを有しており、オペレータからのタッチ操作により、無人ヘリコプター1を飛行させるべき等高線(経路セグメント)の指定、および絶対高度の指定を受け付ける。なお、本実施形態による基地局操縦装置80はノート型PCであり、かつタブレットコンピュータ70と同様のタッチ操作に対応しているとする。
以下、図11Aに示すタブレットコンピュータ70を例示して説明する。タブレットコンピュータ70の基本的な構成と基地局操縦装置80の基本的な構成とは概ね同じである。よって、下記の説明は基地局操縦装置80の説明として読み替えることができる。
図12は、タブレットコンピュータ70のハードウェア構成例を示している。
タブレットコンピュータ70は、CPU71と、メモリ72と、通信回路73と、画像処理回路74と、ディスプレイ75と、タッチスクリーンパネル76と、通信バス77とを有する。CPU71、メモリ72、通信回路73、画像処理回路74およびタッチスクリーンパネル76は通信バス77で接続されており、通信バス77を介して相互にデータを授受することが可能である。
CPU71は、タブレットコンピュータ70の動作を制御する信号処理回路(コンピュータ)である。典型的にはCPU71は半導体集積回路である。CPU71を単に「処理回路」と呼ぶこともある。
メモリ72は、CPU71の動作を制御するコンピュータプログラムを記憶している。メモリ72は、森林計測の制御をCPU71に実行させるためのコンピュータプログラムを記憶し得る。メモリ72は、無人ヘリコプター1の飛行の制御をCPU71に実行させるためのコンピュータプログラムを記憶していてもよい。上述したコンピュータプログラムと同様に、そのようなコンピュータプログラムは、それが記録された記録媒体からタブレットコンピュータ70へインストールしてもよいし、インターネット等の電気通信回線を介してダウンロードしてもよい。また、無線通信を介してそのようなコンピュータプログラムをタブレットコンピュータ70へインストールしてもよい。このようなコンピュータプログラムは、パッケージソフトウェアとして販売され得る。
メモリ72は、CPU71が実行するコンピュータプログラムを記憶する揮発性の記憶装置(例えばRAM)、および、等高線データ90を記憶する不揮発性の記憶装置(例えばフラッシュメモリ)であり得る。RAMは、CPU71が演算を行う際のワークメモリとしても利用され得る。コンピュータプログラムは、フラッシュメモリに格納されていてもよい。CPU71は、タブレットコンピュータ70の起動時にフラッシュメモリからコンピュータプログラムを読み出してRAMに展開し、実行する。
通信回路73は、たとえば、Bluetooth(登録商標)および/またはWi-Fi(登録商標)規格に準拠した無線通信を行う無線通信回路である。無人ヘリコプター1の通信回路15fと同様、本明細書では、タブレットコンピュータ70は、Bluetooth(登録商標)規格および/またはWi-Fi規格に準拠した無線通信を行い、1対1で無人ヘリコプター1と通信する。通信回路73は、無人ヘリコプター1に送信すべきデータを、通信バス77を介してCPU71から受信する。また通信回路73は、無人ヘリコプター1から受信したデータ(例えばLiDARセンサ20の計測結果)を、通信バス77を介してCPU71および/またはメモリ72に送信する。
画像処理回路74は、CPU71の指示に従い、ディスプレイ(表示装置)75に表示する画像を生成する。たとえば画像処理回路74は、等高線データ90を利用して等高線が例示された山50の画像を表示し、タッチスクリーンパネル76を介して受け付けたオペレータのタッチ操作に応じて、ディスプレイ75上に飛行経路60を描画する。
タッチスクリーンパネル76は、指やペンなどで行われたオペレータのタッチを検出することができる。検出方式として、静電式、抵抗膜式、光学式、超音波方式、電磁式などが知られている。たとえば、静電容量方式のタッチスクリーンパネル76の場合、タッチスクリーンパネル76は、特定の位置における静電容量の変化を検出し、当該変化に関するデータを、通信バス77を介してCPU71に送信する。CPU71は、送られてきたデータに基づいて、オペレータによるタッチの有無を判断する。「変化に関するデータ」の例は、静電容量が変化した位置および変化した時間長のデータである。
「タッチ」は、短押し(またはタップ)、長押し、スライド等の種々の操作を含む。例えば短押しは、オペレータがタッチスクリーンパネル76に指を触れた後、予め定められた基準時間以内に指を離す操作である。長押しは、オペレータがタッチスクリーンパネル76に指を触れてから指を動かさずにその状態を維持し、当該基準時間よりも長い時間が経過した後、指を離す操作である。
本実施形態では、タッチスクリーンパネル76はディスプレイ75に重畳して設けられている。オペレータは、ディスプレイ75に表示された山50と等高線の画像を見ながら、所望の等高線の画像へのタッチを行う。CPU71は、タッチスクリーンパネル76から出力された検出位置のデータが、ディスプレイ75に表示されている画像のどの位置を示しているかを判定する。判定の結果、CPU71は、位置に表示されている画像に対応付けられた等高線の位置を決定することができる。なお、タッチスクリーンパネル76に代えて、またはタッチスクリーンパネル76とともに、マウス、キーボード、ジョイスティック、マイク等の他の入力装置を有していてもよい。
図13は、メモリ72に読み込まれた、観測対象エリア内の等高線データ90の一例を示している。等高線データは、一定の標高ごと(例えば10mごと)に用意されていればよい。等高線データは、図13に示すような画像データでなくてもよく、標高データと座標データとが関係付けられていればよい。本明細書では、「等高線データ」を「等高線に関する情報」と呼ぶことがある。
オペレータがある等高線(第1等高線)と隣接する等高線(第2等高線)との間を指定した場合、タブレットコンピュータ70のCPU71は、指定された位置の標高を計算によって求めることができる。例えば第1等高線の標高をZ1とし、第2等高線の標高をZ2とする。オペレータが、第1等高線と第2等高線との間をW1:W2に分ける位置Wを指定したとする。比例関係を利用すると、位置Wの標高は、(W1・Z2+W2・Z1)/(W1+W2)と表すことができる。このようにして、CPU71は指定された任意の位置の標高および当該標高を有する複数点を結ぶ等高線を抽出できる。CPU71は、抽出した等高線の候補をオペレータに提示してもよい。
以下、森林計測システム100のタブレットコンピュータ70を利用した飛行経路の設定方法と、設定された飛行経路に沿った無人ヘリコプター1の飛行方法を説明する。
図14は、例示的な実施形態による飛行経路の設定処理の手順を示すフローチャートである。図14に示す手順は、タブレットコンピュータ70または基地局操縦装置80のCPU71(図12)の制御により実行される。なお、複数の観測対象エリアが選択され得る場合には、そのうちの一つが予め指定されているとする。
ステップS2において、CPU71はその観測対象エリアに関する等高線に関する情報を取得する。
ステップS4において、CPU71はタッチスクリーンパネル76を介して等高線の指定を受け付ける。等高線の指定方法は種々考えられる。例えば、オペレータは、タブレットコンピュータ70に表示された所望の等高線上の複数の位置を短押しして指定する。指定された順序は、無人ヘリコプター1の飛行経由点の順序であり得る。また他の例として、オペレータがタブレットコンピュータ70に表示された地図上のある位置を長押しすると、タブレットコンピュータ70のCPU71がタッチされた位置に対応する標高を決定する。CPU71は、決定した標高を有する複数の位置を抽出し、それらをつなぐ等高線を自動的に表示する。オペレータは、表示された等高線をタッチすることで、その等高線に沿う飛行経路を経路セグメントとして指定できる。オペレータがさらに異なる標高の位置を長押しすると、同様の手順でさらに新たな等高線が決定され、経路セグメントが追加されてもよい。さらに他の例として、CPU71が観測対象エリア内の複数の等高線を自動的に抽出して表示してもよい。オペレータからの承認が得られた場合には、各等高線を経路セグメントとして設定し、1つの飛行経路を決定すればよい。
ステップS6において、CPU71は等高線の設定が完了したか否かを判定する。例えばCPU71は、等高線の設定を完了したことを示す入力をオペレータから受け付けるまでは、等高線の設定が完了していないとして、ステップS4およびS6の処理を繰り返す。一方、等高線の設定を完了したことを示す入力を受け付けると、CPU71は等高線の設定が完了したと判定し、ステップS8に進む。ステップS8において、CPU71はタッチスクリーンパネル76を介して絶対高度の指定を受け付ける。図11Aには、絶対高度の数値を増加させる「+」ボタンと減少させる「-」ボタンとが表示されている。なお、ソフトウェアキーボードを表示させて数値を直接入力できるようにしてもよいし、ダイヤルまたはスライダ等のGUIを利用して入力できるようにしてもよい。
以上の処理により、無人ヘリコプター1の飛行経路60(図7Aおよび図7B)が設定される。飛行経路60を示すデータは、例えば無線でタブレットコンピュータ70の通信回路73から送信され、無人ヘリコプター1の通信回路15f(図4)によって受信される。無人ヘリコプター1の信号処理回路15g(図4)は、受信したデータをRAM15iに格納する。その後、図15および図16に示す手順で森林計測を実行する。
図15は、飛行経路が設定された無人ヘリコプター1の飛行動作の手順を示すフローチャートである。図15に示す手順は、無人ヘリコプター1の信号処理回路15gの制御により実行される。
ステップS10において、無人ヘリコプター1の信号処理回路15gは、GPSモジュール15a等を利用して自己位置を取得しながら、森林計測の開始位置まで無人ヘリコプター1を飛行させる。なお、ここで言う「開始位置」は、飛行経路60の等高線上の、森林計測を開始する位置の経度および緯度に加え、絶対高度も含む。森林計測の開始位置に到達すると、ステップS12において、信号処理回路15gはLiDARセンサ20を用いた森林計測を開始する。
ステップS14において、信号処理回路15gは、設定された等高線に沿って、かつ、設定された絶対高度で無人ヘリコプター1を飛行させる。ステップS14の処理の詳細は、後に図16を参照しながら説明する。
ステップS16において、信号処理回路15gは、森林計測が終了したか否かを判定する。具体的には信号処理回路15gは、予め設定された飛行経路60に沿って飛行したか否かを判定する。森林計測が終了するまでステップS14およびステップS16の処理を繰り返す。
森林計測が終了すると、無人ヘリコプター1は、例えば自律飛行を行って帰還する。
図16は、図15におけるステップS14の処理の詳細を示している。
ステップS140において、信号処理回路15gは、飛行位置(緯度および経度)および高度(標高)を検出する。例えば信号処理回路15gは、GPSモジュール15aの出力を利用して飛行位置を検出し、気圧センサ15cの出力を利用して高度を検出する。
ステップS142において、信号処理回路15gは、等高線からのずれ量が第1所定値以内か否かを判定する。「ずれ量」とは、現在の飛行位置から等高線までの距離を表す。「第1所定値」の一例は10mである。ずれ量が第1所定値以内であれば処理は次のステップS146に進み、ずれ量が第1所定値以内でなければ処理はステップS144に進む。
ステップS144において、信号処理回路15gは、ずれ量が第1所定値以内になるよう飛行位置を修正する。これにより、無人ヘリコプター1の飛行位置は等高線に近付く。
次のステップS146において、信号処理回路15gは、絶対高度のずれ量が第2所定値以内か否かを判定する。「絶対高度のずれ量」とは、現在の飛行位置における絶対高度と、予め設定された絶対高度との差を表す。なお、現在の飛行位置における絶対高度は、現在の飛行位置における標高と設定された飛行経路の等高線の標高との差である。「第2所定値」の一例は10mである。
絶対高度のずれ量が第2所定値以内であれば処理はステップS16(図15)に進む。ずれ量が所定値以内でなければ処理はステップS148に進む。
ステップS148において、信号処理回路15gは、絶対高度のずれ量が第2所定値以内になるよう、現在の絶対高度を修正する。
本実施形態では、無人ヘリコプター1は等高線に沿って飛行する。等高線に沿って飛行することで、地表面および/または樹冠の表層までの距離の変動を抑えることができる。地表面および/または樹冠の表層までの距離を一定に保つために、無人ヘリコプター1を頻繁に上昇および下降させる必要はないため、エネルギ消費量を低減させることができ、航続距離を長くすることができる。
また、斜面52の森林54を対象とする森林計測では、斜面52の反対側の点群データは不要となる。このため、斜面52の反対側の点群データについては記憶装置に記憶しないようにしてもよい。これにより、点群データの解析時のデータ量を減らすことができ、解析速度を向上させることができる。斜面52の反対側の点群データについては、例えば、無人ヘリコプター1の記憶装置15jに記憶しないようにしてもよいし、タブレットコンピュータ70のメモリ72に記憶しないようにしてもよい。また、タブレットコンピュータ70または他のコンピュータで点群データを解析する際に、斜面52側の点群データのみを用いるようにしてもよい。これにより、解析速度を向上させることができる。
絶対高度を一定に維持しながら無人ヘリコプター1を等高線に沿って飛行させることの利点の一つは、斜面52上の計測点密度を概ね一定に維持できることにあった。本発明者は、計測点密度を概ね一定に維持するための、さらなる飛行方法を検討した。
図17は、飛行中の無人ヘリコプター1によってスキャンされる山50の斜面52を示している。説明の便宜のため、森林の記載は省略した。斜面52上には破線が示されている。破線を構成する各点は、レーザパルスの入射位置を模式的かつ概略的に示している。また図18は、図17中の領域Sを構成する2辺の関係を説明するための図である。なお、図17および図18では領域Sを長方形で表現しているが、これはレーザパルスを出射する位相のずれや飛行時の外乱等が存在しない場合の理想的な形状である。領域Sは長方形になるとは限らない。
LiDARセンサ20が1回転するのに要する時間をΔtとする。ある時刻tから時刻t+Δtの間に、LiDARセンサ20は、概ね、無人ヘリコプター1の飛行方向に垂直な平面内でレーザパルスを放射状に出射する。各レーザパルスは上述した平面と斜面52とが交わる位置に次々と入射する。
一方、無人ヘリコプター1は飛行しているため、LiDARセンサ20が1回転する期間Δtの間に無人ヘリコプター1の位置が変化する。位置が変化した後の時刻t+Δtから次の時刻t+2Δtの間に、再びLiDARセンサ20が1回転してレーザパルスを放射状に出射する。その結果、これらのレーザパルスは、時刻tから時刻t+Δtの間に斜面52に入射したレーザパルスの入射位置からは進行方向にわずかにずれた位置に入射する。無人ヘリコプター1が飛行を継続することにより、斜面52上に入射したレーザパルスはメッシュ状またはグリッド状に分布することになる。なお、レーザパルスが入射した位置(入射点)は、レーザパルスの反射位置(反射点)である。
部分拡大図に示す領域Sは、時刻tから時刻t+2Δtの間に斜面52に入射した4つの隣接するレーザパルスの入射点ak、ak+1、bk、bk+1によって囲まれる領域である。入射点akおよびak+1は、時刻tから時刻t+Δtの間に出射されたレーザパルス群のうちの互いに隣接する2個のレーザパルスの入射点を示している。LiDARセンサ20は、これら2個のレーザパルスを、所定角度ピッチαだけ開けて出射する(図18)。入射点bkおよびbk+1は、時刻t+Δtから時刻t+2Δtの間に出射されたレーザパルス群のうちの互いに隣接する2個のレーザパルスの入射点を示している。
入射点akおよび入射点bkは、LiDARセンサ20からみて同じ角度方向に、時間間隔Δtを開けて出射された2つのレーザパルスのそれぞれの入射点である。入射点ak+1と入射点bk+1との関係も同じである。
上述の説明は、ある時刻においてLiDARセンサ20から出射されるレーザパルスの個数が1つであることを想定している。しかしながら、図2に示すように、N個の出射口を有し、各出射口から同時にN個のレーザパルス22を出射可能なLiDARセンサ20も存在する。そのような場合でも、各出射口から出射されるレーザパルスについて上述の説明が適用可能である。
図18を参照する。入射点akとak+1との距離(または入射点bkとbk+1との距離)をZdとおき、入射点akとbkとの距離(または入射点ak+1とbk+1との距離)をYdとおく。領域Sが長方形にならない場合を踏まえると、距離Zdは、入射点akとak+1とをY方向に垂直なXZ平面に投影した場合のXZ平面上での距離を意味する。また距離Ydは、Y方向に沿った入射点akとbkとの距離または入射点akとbkとをX方向に垂直なYZ平面に投影した場合のYZ平面上での距離を意味する。
無人ヘリコプター1の飛行速度をV(m/s)、同じ角度方向に同時に出射されるレーザパルスの個数をN、同じ角度方向に出射されるレーザパルスの周波数をf(Hz)、所定角度ピッチをα(rad)、LiDARセンサ20から入射点akまでの距離をL(m)とする。「同じ角度方向に出射されるレーザパルス」は、例えば、上述の入射点akと入射点bkとに入射する2個のレーザパルスを表している。以下ではこれらの値を「パラメータ」と呼ぶことがある。
上述のようなパラメータを利用すると、間隔YdはV/fと表すことができる。間隔Ydの間にはN個の入射点が存在する。隣接する2つの入射点の間の距離をydとおくと、ydはV/(f・N)と表すことができる。また間隔Zdはα・Lと近似される。
本発明者は、間隔Zdと間隔ydとを等しくすると、LiDARセンサ20のスキャン方向に関する計測点密度と、無人ヘリコプター1の飛行方向に関する計測点密度とを一定に維持できると判断した。ただし、間隔Zdおよびydを厳密に等しくする必要はない。そこで本発明者は、V/(f・N)に対するα・Lの相対値が所定の範囲内に収まるように、無人ヘリコプター1を飛行させながらLiDARセンサ20を用いて斜面52の森林を対象とする森林計測を行うこととした。ここでいう「V/(f・N)に対するα・Lの相対値」は、比で表すこともできるし、差で表すこともできる。図1を参照しながら説明したように、「所定の範囲」の一例は、「相対値」が比で表される場合には0.9から1.1の範囲であり、より広い0.8から1.2の範囲であってもよいし、さらに広い0.5-2.0程度の範囲であってもよい。このとき、計測点群は概ね正方形のメッシュ状またはグリッド状に分布する。これにより、概ね均等な計測点密度を確保することができる。
上述のパラメータV、N、f、α、Lはいずれも可変値であり得る。例えば無人ヘリコプター1の飛行速度Vは明らかに可変値である。またパラメータN、fおよびαは、LiDARセンサ20の仕様によって、および/または、オペレータが設定することによって変化させ得る。距離Lは、所望の計測点密度を確保したい位置または方向の地表面までの距離として任意に設定し得る。無人ヘリコプター1の飛行速度Vは無人ヘリコプター1の信号処理回路15gが自律的に調整し得る。一方、パラメータN、f、αおよびLは、オペレータが上述の森林計測システム100(図11Aおよび図11B)のタブレットコンピュータ70または基地局操縦装置80を操作することによって予め設定または指定され得る。パラメータN、f、αおよびLは、無人ヘリコプター1の記憶装置15jに記憶され得る。なお、パラメータLを無人ヘリコプター1の信号処理回路15gが自律的に調整してもよい。必要なパラメータを受け付け、当該パラメータに従って無人ヘリコプター1に飛行速度等を調整させながら森林計測を行わせることも、森林計測システム100の範疇である。
V/(f・N)およびα・Lの値が小さいほど、計測点密度を高めることが可能である。そのため、例えば所定角度ピッチαが可変の場合にはその取り得る最小値に固定することが考えられる。このとき、飛行に支障のない範囲で飛行速度Vも低下させ、および/または、周波数fおよび/または個数Nを大きくすればよい。
LiDARセンサ20が機械回転式の場合、単位時間当たりのパルスの出射回数をM、および単位時間当たりの回転数をRとするとき、所定角度ピッチαはα(rad)=2・π・R・N/Mによって求められる。よって上述したパラメータαを以下のように置き換えてもよい。すなわち、V/(f・N)に対する(2・π・R・N/M)・Lの相対値が所定の範囲内に収まるように、無人ヘリコプター1を飛行させ森林計測を行わせてもよい。
図19は、パラメータを変更することにより、計測点密度を均一化するための処理の手順を示すフローチャートである。図19に示す手順は、無人ヘリコプター1が森林計測を行う空域に到着した後、無人ヘリコプター1の信号処理回路15g(図4)の制御により実行される。
ステップS20において、信号処理回路15gはLiDARセンサ20を用いた森林計測を開始する。
ステップS22において、信号処理回路15gは、現在の無人ヘリコプター1の飛行速度V、および、所望の計測点密度を確保したい位置までの距離Lを検出する。例えば信号処理回路15gは、GPSモジュール15aの出力を利用して、単位時間当たりの移動量を求めて飛行速度Vを取得してもよい。または、信号処理回路15gは、加速度センサ15bの出力を利用して、飛行方向の加速度を時間積分することによって飛行速度Vを取得してもよい。さらに信号処理回路15gは、LiDARセンサ20の出力から、所望の計測点密度を確保したい位置までの距離Lを取得する。
ステップS24において、信号処理回路15gは、V/(f・N)に対するα・Lの相対値(以下「相対値」と略記する。)は所定の範囲内か否かを判定する。「所定の範囲」は飛行前にオペレータによって設定され得る。信号処理回路15gは、オペレータによって設定されたパラメータf,N,αの各値をRAM15i等に保持しておいてもよいし、LiDARセンサ20からリアルタイムでパラメータf,N,αを取得してもよい。相対値が所定の範囲内であれば処理はステップS28に進み、相対値が所定の範囲内でなければ処理はステップS26に進む。
ステップS26において、信号処理回路15gは、V、f、N、α、Lの少なくとも一つを調整する。例えば、飛行中はパラメータf、N、α、Lが固定されている場合には、信号処理回路15gは無人ヘリコプター1の飛行速度Vを調整する。
ステップS28において、信号処理回路15gは行うべき森林計測が終了したか否かを判定する。森林計測が終了するまで、信号処理回路15gはステップS22以降の処理を繰り返し実行する。
図20は、図19に示す処理の具体例を示すフローチャートである。図20では、図19のステップS24およびS26をより具体的にしたステップS30、S32、S34およびS36が設けられている。以下、ステップS30~36を説明する。
ステップS30において、信号処理回路15gは、相対値が下限値Qmin以上であるか否かを判定する。相対値が下限値Qmin未満であれば処理はステップS32に進み、相対値が下限値Qmin以上であれば処理はステップS34に進む。
ステップS32において、信号処理回路15gは、無人ヘリコプター1の飛行速度Vを減少させる、および/または、距離Lを増加させる。その後処理はステップS30に戻る。
ステップS34において、信号処理回路15gは、相対値が上限値Qmax未満であるか否かを判定する。相対値が下限値Qmin未満であれば処理はステップS28に進み、相対値が上限値Qmax以上であれば処理はステップS36に進む。
ステップS36において、信号処理回路15gは、無人ヘリコプター1の飛行速度Vを増加させる、および/または、距離Lを減少させる。その後処理はステップS30に戻る。
以上の処理によれば、相対値が所定の範囲内に入るようパラメータVおよび/またはLを調整することにより、飛行方向およびスキャン方向に関する計測点密度を均一化することができる。
次に、森林54などの計測対象物に満遍なくレーザパルス22を照射させる方法を説明する。
LiDARセンサ20から出射されたレーザパルス22は計測対象物に照射され、計測対象物の表面にレーザスポットを形成する。LiDARセンサ20から出射されたレーザパルス22は、レーザビームがコリメートされている場合でも、所定の発散角で発散しながら進行する。このため、計測対象物上に形成されるレーザスポットのサイズは、LiDARセンサ20と計測対象物との間の距離に比例して大きくなる。LiDARセンサ20と計測対象物との間の距離を短くすると、計測対象物上に形成されるレーザスポットのサイズは小さくなる。
例えば計測対象物を詳細に計測するために、LiDARセンサ20と計測対象物との間の距離を短くすると、計測対象物上に形成されるレーザスポットのサイズは小さくなる。レーザスポットのサイズが小さくなると、互いに隣接するレーザスポット同士の間に隙間が生じることになる。森林を計測するときは、樹冠だけでなく、幹および地表にもレーザパルス22を照射させたい。レーザスポットが葉と葉の隙間を外すことが無いようにするには、森林に対して隙間なくレーザパルス22を照射させることが望ましい。
図21は、飛行中の無人ヘリコプター1を正面から見たときのLiDARセンサ20から出射される複数のレーザパルス22を模式的に示す図である。
図21は、レーザパルス22として、レーザパルス22a、22b、22cを示している。図21中の実線で挟まれたドットパターンで示される領域は、発散角θ1で発散しながら進行する一本のレーザパルス22aを表している。破線で挟まれたドットパターンで示される領域は、発散角θ1で発散しながら進行する一本のレーザパルス22bを表している。一点鎖線で挟まれたドットパターンで示される領域は、発散角θ1で発散しながら進行する一本のレーザパルス22cを表している。
図22は、飛行中の無人ヘリコプター1を側面から見たときのLiDARセンサ20から出射される複数のレーザパルス22を模式的に示す図である。
図22は、レーザパルス22として、レーザパルス22a、22i、22pを示している。図22中の実線で挟まれたドットパターンで示される領域は、発散角θ2で発散しながら進行する一本のレーザパルス22aを表している。破線で挟まれたドットパターンで示される領域は、発散角θ2で発散しながら進行する一本のレーザパルス22iを表している。一点鎖線で挟まれたドットパターンで示される領域は、発散角θ2で発散しながら進行する一本のレーザパルス22pを表している。レーザパルス22の発散角θ1およびθ2はLiDARセンサ20の仕様により予め決まっており、固定値である。
図21および図22では、本実施形態を分かりやすく説明するために、計測対象物51が平坦な地表である例を示しているが、計測対象物51はそれに限定されない。例えば、計測対象物51は、斜面52、森林54、斜面52の森林54(斜面林)であってもよい。
図23は、レーザパルス22により計測対象物51上に形成されるレーザスポットを示す図である。図23は、レーザパルス22aにより計測対象物51上に形成されるレーザスポット24a、レーザパルス22bにより計測対象物51上に形成されるレーザスポット24b、レーザパルス22cにより計測対象物51上に形成されるレーザスポット24cを示している。図23はさらに、レーザパルス22iにより計測対象物51上に形成されるレーザスポット24i、レーザパルス22pにより計測対象物51上に形成されるレーザスポット24pを示している。本実施形態では、レーザパルス22の進行方向に垂直な方向の平面に沿ったレーザパルス22の断面形状は、略矩形である。このため、レーザパルス22が形成するレーザスポット24の形状も略矩形となる。
レーザスポット24の形状は矩形に限定されないが、レーザスポット24を面内に隙間なく効率的に並べるには、個々のレーザスポット24の形状が矩形または概略的に矩形の形状を有していることが、例えば楕円形状を有している場合に比べて、望ましい。レーザスポット24は、レーザ光源(典型的には半導体レーザ素子のアレイ)の発光領域の形状を調整することにより、任意の形状を有し得る。
図3を参照しながら上述したように、LiDARセンサ20は、レーザパルス22の出射方向を所定角度ピッチαで変化させながらレーザパルス22を出射する。図21を参照して、レーザパルス22aは、LiDARセンサ20のある1つの出射口から出射されたレーザパルスである。レーザパルス22bは、レーザパルス22aが出射されたタイミングからLiDARセンサ20が角度αだけ回転したタイミングで、同じ出射口から出射されたレーザパルスである。レーザパルス22cは、LiDARセンサ20が角度αだけさらに回転したタイミングで、同じ出射口から出射されたレーザパルスである。
レーザパルス22a、22b、22cのそれぞれは、LiDARセンサ20の回転軸20a(図21、図22)に垂直な方向において発散角θ1で発散する。本実施形態では、LiDARセンサ20の所定角度ピッチαを発散角θ1よりも小さくなるように調整する。これにより、図21に示すように、LiDARセンサ20の回転軸20aに垂直な平面(ZX平面)において、レーザパルス22aとレーザパルス22bとをオーバーラップさせることができる。また、レーザパルス22bとレーザパルス22cとをオーバーラップさせることができる。すなわち、レーザパルス22aにより計測対象物51上に形成されるレーザスポット24a(図23)と、レーザパルス22bにより計測対象物51上に形成されるレーザスポット24bとをオーバーラップさせることができるとともに、レーザスポット24bとレーザパルス22cにより計測対象物51上に形成されるレーザスポット24cとをオーバーラップさせることができる。図23では、角度ピッチαと発散角θ1との関係をレーザスポット上に仮想的に示している。
次に、無人ヘリコプター1の機体進行方向(飛行方向)において、レーザスポット同士をオーバーラップさせる方法を説明する。図22を参照して、レーザパルス22aは、LiDARセンサ20のある1つの出射口から出射されたレーザパルスである。レーザパルス22iは、レーザパルス22aが出射されたタイミングからLiDARセンサ20が1回転したタイミングで、同じ出射口から出射されたレーザパルスである。レーザパルス22pは、LiDARセンサ20がさらにもう1回転したタイミングで、同じ出射口から出射されたレーザパルスである。
レーザパルス22aは、機体進行方向201およびレーザパルス22aの出射方向の両方に平行な平面において発散角θ2で発散する。レーザパルス22iは、機体進行方向201およびレーザパルス22iの出射方向の両方に平行な平面において発散角θ2で発散する。レーザパルス22pは、機体進行方向201およびレーザパルス22pの出射方向の両方に平行な平面において発散角θ2で発散する。発散角θ2で発散するレーザパルス22a、22i、22pのそれぞれは、計測対象物51にレーザスポットを形成する。図22に示す例では、各レーザスポットにおける機体進行方向201に平行な方向の長さをKで表している。また、LiDARセンサ20が1回転する間に無人ヘリコプター1が飛行する飛行距離をJで表している。
レーザスポットの長さKは、LiDARセンサ20と計測対象物51との間の距離Lに比例するため、距離Lが分かればレーザスポットの長さKを把握することができる。距離Lは、例えば絶対高度Hである。上述したように、絶対高度Hは、気圧センサ15c、LiDARセンサ20、電波高度計等を用いて検出され得る。また、上述したように、絶対高度Hは、地表面からの距離であってもよいし、樹冠の表層からの距離であってもよい。
本実施形態では、無人ヘリコプター1の飛行距離Jが、レーザスポット24の長さKよりも短くなるように、無人ヘリコプター1の飛行速度V、LiDARセンサ20の単位時間当たりの回転数Rおよび無人ヘリコプター1の高度Hのうちの少なくとも一つを調整する。例えば、無人ヘリコプター1の飛行速度Vを調整して、飛行距離Jが長さKよりも短くなるようにする。これにより、無人ヘリコプター1の機体進行方向201において、レーザパルス22aにより計測対象物51上に形成されるレーザスポット24a(図23)と、レーザパルス22iにより計測対象物51上に形成されるレーザスポット24iとをオーバーラップさせることができるとともに、レーザスポット24iとレーザパルス22pにより計測対象物51上に形成されるレーザスポット24pとをオーバーラップさせることができる。
図22および図23を参照して、レーザスポット24jは、レーザパルス22iが出射されたタイミングからLiDARセンサ20が角度αだけ回転したタイミングで、同じ出射口から出射されたレーザパルスが形成するレーザスポットである。レーザスポット24kは、LiDARセンサ20が角度αだけさらに回転したタイミングで、同じ出射口から出射されたレーザパルスが形成するレーザスポットである。レーザスポット24qは、レーザパルス22pが出射されたタイミングからLiDARセンサ20が角度αだけ回転したタイミングで、同じ出射口から出射されたレーザパルスが形成するレーザスポットである。レーザスポット24rは、LiDARセンサ20が角度αだけさらに回転したタイミングで、同じ出射口から出射されたレーザパルスが形成するレーザスポットである。
本実施形態では、飛行距離Jをレーザスポットの長さKよりも短くするとともに、所定角度ピッチαをレーザパルス22の発散角θ1よりも小さくする。これにより、図23に示すように、無人ヘリコプター1の機体進行方向201および機体進行方向201に垂直な方向の両方において、レーザスポット同士をオーバーラップさせることができる。レーザスポット同士がオーバーラップすることにより、計測対象物51に満遍なくレーザパルス22を照射させることができ、計測対象物51の計測を詳細に行うことができる。
上述したように、LiDARセンサ20は、回転軸20aが延びる方向に沿って配置されたN個の出射口を有し、最大でN個のレーザパルス22を同時に出射可能である。上記の説明では、レーザスポット24の長さKは、1つの出射口から出射された1つのレーザパルスが形成するレーザスポットの長さであったが、2つ以上の出射口から同時に出射された2つ以上のレーザパルスによって形成されるレーザスポットの長さであってもよい。この場合、その同時に出射された2つ以上のレーザパルスのそれぞれが形成するレーザスポットがオーバーラップし、全体として一つのレーザスポットを形成する。長さKは、その2つ以上のレーザパルスから形成された一つのレーザスポットの長さとなる。この場合も、上記と同様に、無人ヘリコプター1の機体進行方向201および機体進行方向201に垂直な方向の両方において、レーザスポット同士をオーバーラップさせることができる。
図24は、計測対象物51の一例である森林54に満遍なくレーザパルス22を照射させながら行う森林計測の手順を示すフローチャートである。
ステップS40において、所定角度ピッチαがレーザパルス22の発散角θ1よりも小さくなるように、所定角度ピッチαを調整する。所定角度ピッチαの調整は、例えばタブレットコンピュータ70のCPU71(図12)により実行される。
上述したように、所定角度ピッチαは、α=2・π・R/Mで表される。発散角θ1は予め分かっている固定値である。CPU71は、単位時間当たりのレーザパルス22の出射回数MおよびLiDARセンサ20の回転数Rのうちの少なくとも一つを変更することより、発散角θ1よりも小さくなるように所定角度ピッチαを調整する。例えば、回転数Rを変更することより、所定角度ピッチαを発散角θ1よりも小さくする。なお、飛行前にオペレータが、所定角度ピッチαの値をタブレットコンピュータ70に入力することにより、所定角度ピッチαを設定してもよい。
次に、ステップS42において、CPU71は、無人ヘリコプター1の飛行距離Jが、レーザスポット24の長さKよりも短くなるように、飛行速度V、回転数Rおよび高度Hのうちの少なくとも一つを調整する。例えば、飛行速度Vを調整して、飛行距離Jが長さKよりも短くなるようにする。回転数Rを調整する場合は、α<θ1の関係が維持できる範囲で調整する。
例えば、森林計測時にLiDARセンサ20と森林54との間の距離Lがとる値の範囲を予め設定して計測を行う場合、レーザスポット24の長さKがとる値の範囲を予め把握することができる。例えば、飛行前にオペレータがタブレットコンピュータ70に距離Lがとる値の範囲を入力する。CPU71は、距離Lがとる値の範囲から、長さKがとる値の範囲の下限値を演算する。CPU71は、演算した下限値を飛行距離Jとの比較に用いる長さKの値として設定する。なお、飛行前にオペレータが、長さKの値をタブレットコンピュータ70に入力することにより、飛行距離Jとの比較に用いる長さKの値を設定してもよい。CPU71は、設定した長さKよりも飛行距離Jが短くなるように、例えば飛行速度Vを設定する。
次に、ステップS44において、森林計測を開始する。森林計測は、図15および図16を参照しながら説明した手順、図19および図20を参照しながら説明した手順のいずれか、またはそれらの手順の組み合わせにより行われる。
森林計測中、CPU71は、飛行距離Jと長さKとを比較する(ステップS46)。CPU71は、飛行距離Jは長さK未満であると判定した場合は、森林計測を継続する(ステップS48)。森林計測が終了するまでステップS46の処理を繰り返す(ステップS52)。
ステップS46において、飛行距離Jは長さK以上であると判定した場合、CPU71は、飛行距離Jが長さKよりも短くなるように、飛行速度V、回転数Rおよび高度Hのうちの少なくとも一つを調整する(ステップS50)。例えば、飛行速度Vを低くする、回転数Rを高くする、高度Hを高くするのうちの少なくとも一つを行うことにより、飛行距離Jが長さKよりも短くなるように調整する。例えば、飛行速度Vを低くすることにより、飛行距離Jを長さKよりも短くする。回転数Rを高くする場合は、α<θ1の関係が維持できる範囲で調整する。高度Hを高くする場合は、距離Lが予め設定された範囲内を維持できるように調整する。調整後は、ステップS46の処理を再び実行する。
上記の処理を実行することにより、森林54に満遍なくレーザパルス22を照射させながら森林計測を行うことができる。
なお、森林計測中に、LiDARセンサ20と森林54との間の距離Lを測定し、測定した距離Lから長さKを演算してもよい。例えば、距離Lは、レーザパルス22の出射時刻とレーザパルス22の反射パルスを取得した時刻との差から演算することができる。長さKは距離Lに比例するため、距離Lから長さKを演算することができる。
上記の説明では、ステップS40、S42、S46およびS50の処理はCPU71が実行するとしたが、無人ヘリコプター1の信号処理回路15g(図4)が実行してもよい。また、これらの処理は、CPU71と信号処理回路15gとが分担して行ってもよい。
本実施形態によれば、無人ヘリコプター1が従来の航空機よりも低い高度を飛ぶことにより、レーザスポットの面内個数密度を高めるとともに、レーザスポット中心間隔を縮小することができる。
低い高度の飛行に伴い飛行速度を低下させた場合、バッテリから供給される電力で電動モータを動作させるマルチコプターでは、航続距離が短いため、計測対象エリアが狭くなってしまう。一方、内燃機関により飛行する無人ヘリコプターは、航続距離が長いため、飛行速度を低下させても、十分な計測対象エリアを確保することができる。
なお、本明細書では、LiDARセンサを搭載した無人航空機を例示して説明した。機械回転方式、MEMS方式、フェーズドアレイ方式のLiDARセンサを例示したが、フラッシュLiDARセンサを用いてもよい。フラッシュLiDARセンサには回転軸または揺動軸は存在しないが、斜面の森林を対象とする森林計測を行い得るような位置および角度で無人ヘリコプター1に取り付けられればよい。
LiDARセンサおよびミリ波等のレーダ測距装置、アンテナおよび撮像装置(カメラ)は「観測器」と呼び得る。上述の実施形態では、観測器としてLiDARセンサを例示して説明したが、他の観測器を無人航空機に搭載してもよい。この場合、観測器を用いて観測する山、森林、斜面、平坦地等が「観測対象エリア」である。例えば、無人航空機にカメラを搭載する場合、上述の実施形態で例示した飛行方法は、斜面の遭難者の捜索に好適である。撮影時にカメラが取得する光は、LiDARセンサが取得する、反射点からの反射パルスに対応する。無人航空機を上述の飛行方法で飛行させると、斜面からの距離を概ね維持しながら斜面の遭難者を含む映像をカメラで撮影できる。よって遭難者を緻密に捜索できる。なお、カメラはLiDARのようにレーザパルスを出射しないため、カメラには回転軸または揺動軸は存在しない。カメラの視野が少なくとも森林の斜面を含むよう、カメラを無人航空機に搭載すればよい。
さらに、観測器とは異なる機器を無人航空機に搭載してもよい。そのような機器の一例は、薬剤の散布装置である。無人航空機は、除草剤、殺虫剤等の薬剤の散布に既に利用されている。森林の管理・利用のために斜面の森林に薬剤を散布することがあり得る。その際、散布対象エリアを決定し、無人航空機を上述の飛行方法で散布対象エリアを飛行させながら散布装置で薬剤を斜面に散布する。すると、斜面からの距離を概ね維持しながら、概ね均一な密度で薬剤を散布できる。なお、散布装置もLiDARのようにレーザパルスを出射しないため、散布装置には回転軸または揺動軸は存在しない。散布装置が薬剤を散布する範囲が少なくとも森林の斜面を含むよう、散布装置を無人航空機に搭載すればよい。
上述の実施形態の説明では、森林計測の対象は主に斜面52の森林54であったが、森林計測の対象はそれに限定されない。森林計測の対象は平坦地の森林であってもよい。
以上、本発明の例示的な実施形態を説明した。
上述したように、本発明のある実施形態に係る方法は、ライダー(LiDAR)センサ20を搭載した無人航空機1を飛行させて斜面の森林54を対象とする森林計測を行う方法であって、ライダーセンサ20の回転軸20aまたは揺動軸20aは、機体進行方向を向くよう無人航空機1に搭載されており、(i)無人航空機1を第1等高線60aに沿って所定の絶対高度で飛行させながら、森林54をライダーセンサ20でスキャンさせること、および(ii)無人航空機1を第1等高線60aとは異なる第2等高線60bに沿って所定の絶対高度で飛行させながら、ライダーセンサ20で森林54を再度スキャンさせることを実行する。
ある実施形態において、上記方法は、工程(i)および(ii)の前に、第1等高線60a、第2等高線60bおよび所定の絶対高度を予め指定することをさらに包含してもよい。
ある実施形態において、上記方法は、森林54の端部においては、無人航空機1を端部から所定距離離れた位置の上空を飛行させながら、ライダーセンサ20で端部をスキャンさせることをさらに包含してもよい。
ある実施形態において、ライダーセンサ20は森林54の各樹木の樹冠および幹をスキャンしてもよい。
ある実施形態において、工程(i)および(ii)は、水平方向に出射されたレーザパルス22を用いてライダーセンサ20に森林54をスキャンさせることを含んでもよい。
ある実施形態において、工程(i)および(ii)は、斜め方向に出射されたレーザパルス22を用いてライダーセンサ20に森林54をスキャンさせることを含んでもよい。
ある実施形態において、無人航空機1は無人ヘリコプターまたは無人マルチコプターであってもよい。
本発明のある実施形態に係る方法は、観測器20を備える無人航空機1の飛行経路を決定する方法であって、観測器20による観測対象エリアを特定すること、観測対象エリアが斜面を含む場合、観測対象エリア内の等高線データを参照し、無人航空機1が等高線のいずれかに沿って所定の絶対高度で飛行する複数の経路セグメントを決定すること、および複数の経路セグメントを含む飛行経路を決定すること、を実行する。
ある実施形態において、複数の経路セグメントを決定することは、選択された1または複数の等高線上に複数の通過点を設定すること、および、絶対高度を指定することを包含してもよい。
ある実施形態において、観測対象エリアは斜面の森林54を含んでもよい。
ある実施形態において、観測器20はライダー(LiDAR)センサ20であってもよい。
ある実施形態において、飛行経路を決定することは、森林54の端部において、端部から所定距離離れた位置の上空を通過する飛行経路を決定することを含んでもよい。
ある実施形態において、観測器20は赤外線カメラであってもよい。
本発明のある実施形態に係る方法は、ライダー(LiDAR)センサ20を搭載した無人航空機1を飛行させて斜面の森林54を対象とする森林計測を行う方法であって、ライダーセンサ20の回転軸20aまたは揺動軸20aは、機体進行方向を向くよう無人航空機1に搭載されており、(i)無人航空機1を所定の絶対高度および所定の第1真高度で飛行させながら、森林54をライダーセンサ20でスキャンさせること、および(ii)無人航空機1を所定の絶対高度および、所定の第1真高度とは異なる所定の第2真高度で飛行させながら、森林54をライダーセンサ20で森林54を再度スキャンさせることを実行する。
本発明のある実施形態に係る森林計測システム100は、無人航空機1とコンピュータ装置70とを有し、無人航空機1を飛行させて斜面の森林54を対象とする森林計測を行うための森林計測システム100であって、無人航空機1は、ライダー(LiDAR)センサ20と、第1信号処理回路15gと、第1記憶装置15jと、第1通信回路15fとを有し、ライダーセンサ20の回転軸20aまたは揺動軸20aは、機体進行方向を向くよう無人航空機1に搭載されており、コンピュータ装置70は、表示装置75と、入力装置76と、第2信号処理回路71と、等高線に関する情報を記憶した第2記憶装置72と、第2通信回路73とを有し、第2信号処理回路71は、等高線に関する情報を第2記憶装置72から取得し、入力装置76を介して第1等高線60a、第2等高線60bおよび絶対高度の指定を受け付け、指定された第1等高線60a、第2等高線60bおよび絶対高度のデータを、第2通信回路73を介して無人航空機1に送信し、第1信号処理回路15gは、第1通信回路15fを介して、第1等高線60a、第2等高線60bおよび絶対高度のデータを受信し、受信した第1等高線60a、第2等高線60bおよび絶対高度のデータを第1記憶装置15jに格納し、無人航空機1を第1等高線60aに沿って絶対高度で飛行させながら、森林54をライダーセンサ20でスキャンさせ、無人航空機1を第2等高線60bに沿って絶対高度で飛行させながら、ライダーセンサ20で森林54を再度スキャンさせる。
本発明のある実施形態に係る撮影方法は、撮像装置20を備える無人航空機1を用いて観測対象を撮影する方法であって、観測対象エリアを特定すること、観測対象エリアが斜面を含む場合、観測対象エリア内の等高線データを参照し、無人航空機1が等高線のいずれかに沿って所定の絶対高度で飛行する複数の経路セグメントを決定すること、複数の経路セグメントを含む飛行経路を決定すること、決定された飛行経路に沿って無人航空機1を飛行させながら撮像装置20で撮影することを実行する。
本発明のある実施形態に係る散布方法は、薬剤の散布装置20を備える無人航空機1を用いて薬剤を散布する方法であって、散布装置20による散布対象エリアを特定すること、散布対象エリアが斜面を含む場合、散布対象エリア内の等高線データを参照し、無人航空機1が等高線のいずれかに沿って所定の絶対高度で飛行する複数の経路セグメントを決定すること、複数の経路セグメントを含む飛行経路を決定すること、決定された飛行経路に沿って無人航空機1を飛行させながら薬剤を散布することを実行する。
本発明のある実施形態に係るコンピュータプログラムは、ライダー(LiDAR)センサ20を搭載した無人航空機1を飛行させて行う斜面の森林54を対象とする森林計測の制御をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであって、ライダーセンサ20の回転軸20aまたは揺動軸20aは、機体進行方向を向くよう無人航空機1に搭載されており、コンピュータプログラムは、(i)無人航空機1を第1等高線60aに沿って所定の絶対高度で飛行させながら、森林54をライダーセンサ20でスキャンさせること、および(ii)無人航空機1を第1等高線60aとは異なる第2等高線60bに沿って所定の絶対高度で飛行させながら、ライダーセンサ20で森林54を再度スキャンさせることの制御をコンピュータに実行させる。
本発明のある実施形態に係る方法は、ライダー(LiDAR)センサ20を搭載した無人航空機1を飛行させて森林54を対象とする森林計測を行う方法であって、ライダーセンサ20の回転軸20aまたは揺動軸20aは、機体進行方向を向くよう無人航空機1に搭載されており、ライダーセンサ20を用いて、レーザパルス22の出射方向を所定角度ピッチで変化させながら出射して周囲の空間を計測すること、森林54までの距離をL、無人航空機1の飛行速度をV、同じ角度方向に同時に出射されるレーザパルス22の個数をN、同じ角度方向に出射されるレーザパルス22の周波数をf、所定角度ピッチをαとするとき、V/(f・N)に対するα・Lの相対値が所定の範囲内に収まるように、無人航空機1を飛行させながらライダーセンサ20を用いて森林54を対象とする森林計測を行うことを実行する。
ある実施形態において、所定角度ピッチαは固定値であってもよい。
ある実施形態において、所定角度ピッチαは設定可能な最小値に固定されていてもよい。
ある実施形態において、ライダーセンサ20は機械回転方式であり、レーザパルス22を出射する1つの出射口における単位時間当たりのレーザパルス22の出射回数をM、および単位時間当たりの回転数をRとするとき、所定角度ピッチαはα(rad)=2・π・R/Mによって求められ、森林計測を行うことは、V/(f・N)に対する(2・π・R/M)・Lの相対値が所定の範囲内に収まるように、無人航空機1を飛行させることを包含してもよい。
ある実施形態において、単位時間当たりの出射回数M、および単位時間当たりの回転数Rは可変値であってもよい。
ある実施形態において、単位時間当たりの出射回数M、および単位時間当たりの回転数Rは固定値であってもよい。
ある実施形態において、ライダーセンサ20は機械回転方式であり、所定角度ピッチαは、レーザパルス22の回転軸20aに垂直な方向の発散角θ1よりも小さく、上記方法は、ライダーセンサ20が1回転する間に無人航空機1が飛行する飛行距離Jが、森林54に形成されるレーザスポット24における機体進行方向に平行な方向の長さKよりも短くなるように、無人航空機1の飛行速度V、ライダーセンサ20の単位時間当たりの回転数Rおよび無人航空機1の高度Hのうちの少なくとも一つを調整することを包含してもよい。
ある実施形態において、上記方法は、レーザパルス22を出射する1つの出射口における単位時間当たりのパルスの出射回数Mおよび回転数Rのうちの少なくとも一つを変更することより、発散角θ1よりも小さくなるように所定角度ピッチαを調整することを包含してもよい。
ある実施形態において、無人航空機1は無人ヘリコプターまたは無人マルチコプターであってもよい。
ある実施形態において、森林54は、斜面の森林であってもよい。
本発明のある実施形態に係る森林計測システム100は、無人航空機1とコンピュータ装置70とを有し、無人航空機1を飛行させて森林54を対象とする森林計測を行うための森林計測システム100であって、無人航空機1は、ライダー(LiDAR)センサ20と、第1信号処理回路15gと、記憶装置15jと、第1通信回路15fとを有し、ライダー(LiDAR)センサ20の回転軸20aまたは揺動軸20aは、機体進行方向を向くよう無人航空機1に搭載されており、コンピュータ装置70は、表示装置75と、入力装置76と、第2信号処理回路71と、第2通信回路73とを有し、第2信号処理回路71は、入力装置76を介して、同じ角度方向に同時に出射されるレーザパルス22の個数N、同じ角度方向に出射されるレーザパルス22の周波数f、および所定角度ピッチαの指定を受け付け、指定された個数N、周波数fおよび所定角度ピッチαのデータを、第2通信回路73を介して無人航空機1に送信し、第1信号処理回路15gは、第1通信回路15fを介して、個数N、周波数fおよび所定角度ピッチαのデータを受信し、受信した個数N、周波数fおよび所定角度ピッチαのデータを記憶装置15jに格納し、森林54までの距離をL、無人航空機1の飛行速度をVとするとき、V/(f・N)に対するα・Lの相対値が所定の範囲内に収まるように、無人航空機1を飛行させて、ライダーセンサ20を用いて森林54を対象とする森林計測を行う。
本発明のある実施形態に係るコンピュータプログラムは、ライダー(LiDAR)センサ20を搭載した無人航空機1を飛行させて行う森林54を対象とする森林計測の制御をコンピュータ15、70に実行させるコンピュータプログラムであって、ライダーセンサ20の回転軸20aまたは揺動軸20aは、機体進行方向を向くよう無人航空機1に搭載されており、コンピュータプログラムは、ライダーセンサ20を用いて、レーザパルス22の出射方向を所定角度ピッチで変化させながら出射して周囲の空間を計測すること、森林54までの距離をL、無人航空機1の飛行速度をV、同じ角度方向に同時に出射されるレーザパルス22の個数をN、同じ角度方向に出射されるレーザパルス22の周波数をf、所定角度ピッチをαとするとき、V/(f・N)に対するα・Lの相対値が所定の範囲内に収まるように、無人航空機1を飛行させながらライダーセンサ20を用いて森林54を対象とする森林計測を行うことの制御をコンピュータ15、70に実行させる。