以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の構成例を表すブロック図である。図1に示される超音波診断装置1は、装置本体10、及び超音波プローブ20を備える。装置本体10は、ネットワーク100を介して外部装置30と接続される。また、装置本体10は、表示機器40及び入力装置50と接続される。
超音波プローブ20は、プローブヘッド21、ケーブル22、及びコネクタ23を有する。プローブヘッド21は、ケーブル22及びコネクタ23により装置本体10と電気的に接続されている。コネクタ23は、装置本体10に対し、着脱自在となるように形成されている。
プローブヘッド21は、単結晶又は多結晶の圧電材料からなる複数の超音波振動子(圧電振動子)を有している。超音波振動子は、装置本体10が有する超音波送信回路11から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。超音波振動子により超音波が発生されることで、プローブヘッド21から生体へ超音波が送信される。
プローブヘッド21から生体へ超音波が送信されると、送信された超音波は、生体の体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号としてプローブヘッド21の複数の超音波振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。また、送信された超音波パルスが、移動している血流又は心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向の速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。超音波振動子は、反射波信号を電気信号に変換して装置本体10へ送信する。
また、超音波プローブ20は、記憶回路24を備えている。記憶回路24は、例えば、半導体メモリ等のデータを書き込み可能、かつ、書き込まれたデータを読み出し可能な記憶媒体を含む。記憶回路24は、例えば、プローブヘッド21及びコネクタ23のいずれか1つに設けられている。記憶回路24には、例えば、測定条件に関する測定条件情報が予め書き込まれている。測定条件は、例えば、超音波プローブ20のチャンネル毎の感度を測定するための条件等を含む。測定条件情報は、要求に応じて記憶回路24から読み出され、要求元へ出力される。また、測定条件情報は、必要に応じて更新される。
なお、本実施形態においては、超音波プローブ20は、例えば、複数の超音波振動子が所定の方向に沿って配列された一次元アレイプローブであるとする。しかしながら、当該例に拘泥されず、超音波プローブ20は、ボリュームデータを取得可能なものとして、二次元アレイプローブ(複数の超音波振動子が二次元マトリックス状に配列されたプローブ)、又はメカニカル4Dプローブ(超音波振動子列をその配列方向と直交する方向に機械的に煽りながら超音波走査を実行可能なプローブ)であってもよい。
また、図1においては、撮影に用いられる超音波プローブ20と装置本体10との接続関係のみを例示している。しかしながら、装置本体10には、複数の超音波プローブを接続することが可能である。接続された複数の超音波プローブのうちいずれを撮影に使用するかは、切り替え操作によって任意に選択することができる。
図1に示される装置本体10は、超音波プローブ20により受信された反射波信号に基づいて超音波画像を生成する装置である。装置本体10は、図1に示されるように、超音波送信回路11、超音波受信回路12、Bモード処理回路13、ドプラ処理回路14、3次元データ発生回路15、画像処理回路16、表示処理回路17、内部記憶回路18、画像メモリ19(シネメモリ)、入力インタフェース111、通信インタフェース112、及び制御回路113を有する。
超音波送信回路11は、超音波プローブ20に駆動信号を供給するプロセッサである。超音波送信回路11は、例えば、トリガ発生回路、遅延回路、及びパルサ回路等により実現される。トリガ発生回路は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。遅延回路は、超音波プローブ20から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な圧電振動子毎の遅延時間を、トリガ発生回路が発生する各レートパルスに対し与える。パルサ回路は、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ20に設けられる複数の超音波振動子へ駆動信号(駆動電圧)を印加する。例えば、複数の超音波振動子それぞれが送受信チャンネルとして機能するように設定されている場合、パルサ回路は、複数の超音波振動子それぞれへ駆動信号を印加する。また、予め設定された数の超音波振動子群が送受信チャンネルとして機能するように設定されている場合、パルサ回路は、超音波振動子群毎に駆動信号を印加する。遅延回路により各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面からの送信方向が任意に調整可能となる。
超音波受信回路12は、超音波プローブ20が受信した反射波信号に対して各種処理を施し、受信信号を生成するプロセッサである。超音波受信回路12は、例えば、アンプ回路、A/D変換器、受信遅延回路、及び加算器等により実現される。アンプ回路は、超音波プローブ20が受信した反射波信号をチャンネル毎に増幅してゲイン補正処理を行う。A/D変換器は、ゲイン補正された反射波信号をデジタル信号に変換する。受信遅延回路は、デジタル信号に受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与える。加算器は、遅延時間が与えられた複数のデジタル信号を加算する。加算器の加算処理により、受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調された受信信号が発生する。
Bモード処理回路13は、超音波受信回路12から受け取った受信信号に基づき、Bモードデータを生成するプロセッサである。Bモード処理回路13は、超音波受信回路12から受け取った受信信号に対して包絡線検波処理、及び対数増幅処理等を施し、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。生成されたBモードデータは、2次元的な超音波走査線上のBモードRAWデータとして不図示のRAWデータメモリに記憶される。
ドプラ処理回路14は、超音波受信回路12から受け取った受信信号に基づき、ドプラ波形、及びドプラデータを生成するプロセッサである。ドプラ処理回路14は、受信信号から血流信号を抽出し、抽出した血流信号からドプラ波形を生成すると共に、血流信号から平均速度、分散、及びパワー等の情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。生成されたドプラデータは、2次元的な超音波走査線上のドプラRAWデータとして不図示のRAWデータメモリに記憶される。
3次元データ発生回路15は、Bモード処理回路13、及びドプラ処理回路14により生成されたデータに基づき、3次元画像データを生成するプロセッサである。3次元データ発生回路15は、例えば、RAWデータメモリに記憶されたBモードRAWデータに基づき、ピクセルから構成される2次元画像データ、又は、ボクセルから構成される3次元の画像データ(以下、ボリュームデータと称する。)を生成する。
画像処理回路16は、2次元画像データ又はボリュームデータに対し、所定の画像処理を施すプロセッサである。所定の画像処理には、例えば、ボリュームレンダリング、多断面変換処理(MPR:Multi Planar Reconstruction)、及び最大値投影処理(MIP:Maximum Intensity Projection)等が含まれる。また、画像処理回路16は、ノイズ低減や画像の繋がりを良くすることを目的として、画像処理の後に二次元的なフィルタを挿入し、空間的なスムージングを行う。
表示処理回路17は、画像処理回路16で生成・処理された各種画像データをビデオ信号へ変換するプロセッサである。具体的には、表示処理回路17は、画像処理回路16で生成・処理された各種画像データに対し、ダイナミックレンジ、輝度(ブライトネス)、コントラスト、γカーブ補正、及びRGB変換等の各種処理を実行することで、画像データをビデオ信号に変換する。表示処理回路17は、ビデオ信号を表示機器40に表示させる。なお、表示処理回路17は、操作者が入力インタフェース111により各種指示を入力するためのユーザインタフェース(GUI:Graphical User Interface)を生成し、GUIを表示機器40に表示させてもよい。表示機器40としては、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
内部記憶回路18は、例えば、磁気的若しくは光学的記憶媒体、又は半導体メモリ等のプロセッサにより読み取り可能な記憶媒体等を有する。内部記憶回路18は、超音波送受信を実現するためのプログラム、画像処理を行うためのプログラム、表示処理を行なうためのプログラム、及び超音波プローブ20の感度を管理するためのプログラム等を記憶している。また、内部記憶回路18は、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)、診断プロトコル、送信条件、受信条件、信号処理条件、画像生成条件、画像処理条件、ボディマーク生成プログラム、表示条件、及び映像化に用いるカラーデータの範囲を診断部位毎に予め設定する変換テーブル等のデータ群を記憶している。なお、上記プログラム、及びデータ群は、例えば、内部記憶回路18に予め記憶されていてもよい。また、例えば、非一過性の記憶媒体に記憶されて配布され、非一過性の記憶媒体から読み出されて内部記憶回路18にインストールされてもよい。また、内部記憶回路18は、装置本体10を特定可能な識別ID等の測定装置情報を記憶している。
また、内部記憶回路18は、入力インタフェース111を介して入力される記憶操作に従い、3次元データ発生回路15で発生された2次元画像データ及びボリュームデータ、画像処理回路16で生成・処理された画像データ、並びに、制御回路113で生成された画像データを記憶する。内部記憶回路18は、記憶しているデータを、通信インタフェース112を介して外部装置30へ転送することも可能である。
また、内部記憶回路18は、CD-ROMドライブ、DVDドライブ、及びフラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であってもよい。内部記憶回路18は、記憶しているデータを可搬性記憶媒体へ書き込み、可搬性記憶媒体を介してデータを外部装置30に記憶させることも可能である。
画像メモリ19は、例えば、磁気的若しくは光学的記憶媒体、又は半導体メモリ等のプロセッサにより読み取り可能な記憶媒体等を有する。画像メモリ19は、入力インタフェース111を介して入力されるフリーズ操作直前の複数フレームに対応する画像データを保存する。画像メモリ19に記憶されている画像データは、例えば、連続表示(シネ表示)される。
内部記憶回路18及び画像メモリ19は、必ずしもそれぞれが独立した記憶装置により実現される訳ではない。内部記憶回路18及び画像メモリ19は単一の記憶装置により実現されても構わない。また、内部記憶回路18及び画像メモリ19は、それぞれが複数の記憶装置により実現されても構わない。
入力インタフェース111は、入力装置50を介して、ユーザからの各種指示を受け付ける。入力装置50は、例えば、マウス、キーボード、パネルスイッチ、スライダースイッチ、トラックボール、ロータリーエンコーダ、操作パネル、及びタッチコマンドスクリーン(TCS)である。入力インタフェース111は、例えばバスを介して制御回路113に接続され、操作者から入力される操作指示を電気信号へ変換し、電気信号を制御回路113へ出力する。なお、本実施形態において入力インタフェース111は、マウス及びキーボード等の物理的な操作部品と接続するものだけに限られない。例えば、超音波診断装置1とは別体に設けられた外部の入力機器から入力される操作指示に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路113へ出力する処理回路も入力インタフェース111の例に含まれる。
通信インタフェース112は、ネットワーク100等を介して外部装置30と接続され、外部装置30との間でデータ通信を行う。外部装置30は、例えば、各種の医用画像のデータを管理するシステムであるPACS(Picture Archiving and Communication System)、医用画像が添付された電子カルテを管理する電子カルテシステム等のデータベースである。また、外部装置30は、例えば、X線CT(Computed Tomography)装置、及びMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、核医学診断装置、及びX線診断装置等、本実施形態に係る超音波診断装置1以外の各種医用画像診断装置であっても構わない。なお、外部装置30との通信の規格は、如何なる規格であっても良いが、例えば、DICOM(digital imaging and communication in medicine)が挙げられる。
制御回路113は、例えば、超音波診断装置1の中枢として機能するプロセッサである。制御回路113は、内部記憶回路18に記憶されているプログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を実現する。具体的には、例えば、制御回路113は、内部記憶回路18に記憶されている、超音波プローブ20の感度を管理するためのプログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を実現する。制御回路113は、例えば、初期測定機能1131、管理測定機能1132、計算機能1133、比較機能1134、表示制御機能1135、及び補正処理機能1136を有する。
初期測定機能1131は、超音波プローブ20についての初期データを取得する機能であり、初期測定部の一例である。具体的には、例えば、制御回路113は、超音波診断装置1が製造されてから出荷されるまでの間、又は出荷後の所定の時点に初期測定機能1131を実行する。制御回路113は初期測定機能1131を実行すると、例えば、超音波プローブ20の製造時に記憶回路24に記憶された測定条件情報を読み出す。製造時に記憶された測定条件情報には、例えば、超音波プローブ20のチャンネル毎の感度を測定するための条件が含まれている。具体的に、ここでの測定条件には、例えば、超音波送信回路11のパルサ回路の駆動電圧が含まれる。また、駆動周波数が含まれてもよい。また、印加波形が含まれてもよい。また、超音波受信回路12のアンプ回路のゲインが含まれてもよい。また、波形取得区間(ゲート位置)が含まれてもよい。また、超音波プローブ20を識別するプローブIDが含まれてもよい。また、超音波プローブ20におけるチャンネル数が含まれてもよい。また、超音波プローブ20のプローブノイズデータが含まれてもよい。プローブノイズデータは、超音波プローブに固有のデータであり、表面反射波以外の波形を示すデータである。なお、測定条件に含まれる情報はこれらの限定される訳ではない。
制御回路113は、読み出した測定条件情報に基づき、超音波送信回路11を制御する。制御回路113は、取得された測定条件の設定下における、チャンネル毎の反射波信号を取得する。制御回路113は、反射波信号を測定した際の環境を表す情報を、記憶回路24に記憶されている測定条件情報に追加する。ここで、測定条件情報に追加される情報としては、例えば、測定年月日及び時刻が含まれる。また、測定を実施した装置本体10を特定可能な測定装置情報が含まれてもよい。また、超音波プローブ20内の温度が含まれてもよい。制御回路113は、取得した反射波信号に基づいて計算機能1133で算出される特徴値を、初期データとして記憶回路24に記憶する。
管理測定機能1132は、超音波プローブ20の感度を測定する機能であり、管理測定部の一例である。具体的には、例えば、制御回路113は、出荷後の任意のタイミングで管理測定機能1132を実行する。制御回路113は管理測定機能1132を実行すると、超音波プローブ20の記憶回路24に記憶されている測定条件情報に基づき、超音波送信回路11を制御する。制御回路113は、測定条件の設定下における、チャンネル毎の反射波信号を取得する。
計算機能1133は、取得された反射波信号に基づいて特徴値を算出する機能であり、計算部の一例である。具体的には、例えば、制御回路113は、チャンネル毎の反射波信号が取得されると計算機能1133を実行する。制御回路113は計算機能1133を実行すると、取得された反射波信号の反射波系を解析することで、特徴値を算出する。特徴値としては、各チャンネルの感度ピーク値、中心周波数、波連長、及び比帯域、並びに、これらの値の各チャンネルにおける平均値又は標準偏差等の代表値等が想定される。制御回路113は、これらの値のうち、少なくとも1つ以上の値を特徴値として算出する。
比較機能1134は、異なる二つの時点で取得された特徴値同士を比較する機能であり、比較部の一例である。具体的には、例えば、制御回路113は、比較機能1134を実行すると、記憶回路24に記憶されている初期データに含まれる特徴値と、測定により得られた特徴値とを比較する。なお、比較対象となる時点はこれらに限られない。制御回路113は、入力インタフェース111から入力される指示に応じた2時点の特徴値を比較してもよい。例えば、制御回路113は、ある時点に取得された特徴値と、それ以後に取得された特徴値とを比較してもよい。
表示制御機能1135は、特徴値の比較結果をユーザへ報知する報知部の一例であり、比較結果を表示機器40に表示させる機能である。具体的には、例えば、制御回路113は、表示制御機能1135を実行すると、表示処理回路17を制御し、特徴値の比較結果を表示機器40に表示させる。
補正処理機能1136は、超音波プローブ20が有する超音波振動子間の感度のばらつきを抑制するための補正をする機能であり、補正処理部の一例である。具体的には、例えば、制御回路113は、補正処理機能1136を実行すると、特徴値の比較結果に基づき、超音波プローブ20に設けられる超音波振動子の感度のばらつきを補正する。例えば、制御回路113は、測定により得られた特徴値が所定の基準値に対する要件を満たすように、超音波送信回路11のパルサ回路の駆動電圧を変更する。制御回路113は、パルサ回路の変更後の駆動電圧を、記憶回路24に記憶されている測定条件情報に記憶する。
なお、超音波振動子の感度のばらつきを補正するための処理は、パルサ回路の駆動電圧の変更に限定されない。制御回路113は、基準値に基づき、超音波受信回路12のアンプ回路のゲインを変更しても構わない。
また、制御回路113は、超音波振動子を再分極することで超音波振動子の感度のばらつきを補正してもよい。例えば、制御回路113は、超音波送信回路11のパルサ回路から超音波振動子へ、所定の大きさの直流又は交流電圧を、予め設定された期間負荷するようにパルサ回路を制御する。
図2及び図3は、図1で示される超音波プローブ20のプローブヘッド21が有する超音波トランスデューサの構成例を表す図である。図2は超音波トランスデューサの斜投影図の例を表し、図3は図2の切断線A-Aにおける超音波トランスデューサの断面図の例を表す。なお、図2の例では、超音波トランスデューサが模式的に示されており、図3で表されるフレキシブル配線板215、基板216、及び音響レンズ217等の図示は省略されている。
図2及び図3の例に示すように、超音波トランスデューサは、複数の超音波振動子211、音響整合層212、背面負荷材(バッキング材)214、フレキシブル配線板215、基板216、及び音響レンズ217を有する。
本実施形態において、超音波振動子211は、背面負荷材214の所定の面に、1次元状に配列されて設けられている。超音波振動子211の超音波が放射される側の面(超音波の放射面)には、第一の電極211aが設けられている。また、超音波振動子211の超音波の放射面側とは反対側の面(背面)には、第一の電極とは独立した電位を持つことができる第二の電極211bが設けられている。超音波振動子211は、基板216に設けられる送受信回路216aからの駆動信号によって駆動されて、超音波を放射する。また、超音波振動子211は、反射波を受信すると、受信した反射波を反射波信号に変換し、変換した反射波信号を出力する。
第二の電極211bの面のうち超音波振動子211側と反対側の面は、背面負荷材214の導電性の導電膜214aと電気的に接続されている。
第一の電極211aの超音波振動子211側とは反対側の面には、音響整合層212が設けられている。音響整合層212は、少なくとも1層以上の音響整合層である。音響整合層212は、超音波振動子211から放射される超音波が生体内に効率よく入射されるように、超音波振動子211と被検体との間の音響インピーダンスの不整合を緩和する。
音響整合層212の超音波振動子211側とは反対側の面には、フレキシブル配線板215が電気的に接続される。フレキシブル配線板215は、可撓性を有する配線板の一例である。フレキシブル配線板215は、例えば、両面FPC(Flexible printed circuits)又は片面FPCである。フレキシブル配線板215には、複数の超音波振動子211のそれぞれに接続される配線パターンが設けられている。それぞれの配線パターンは、接続される対象の超音波振動子211に電気的に接続された音響整合層212と接続する。これにより、音響整合層212及びフレキシブル配線板215を介して、超音波振動子211の第一の電極211aと送受信回路216aとが電気的に接続される。
なお、図2及び図3では、フレキシブル配線板215に設けられた配線パターンが音響整合層212と接続する場合を例に説明した。しかしながら、214aをフレキシブルプリント基板とし、フレキシブル配線板215を設けないように超音波トランスデューサを設計しても構わない。
フレキシブル配線板215の背面側の面には、配線パターン215aが露出した状態で設けられている。配線パターン215aは、電位が所定の基準電位であるグランドパターンである。フレキシブル配線板215は、背面負荷材214の側面と略平行になるように、折り曲げられている。
配線パターン215aと背面負荷材214の導電膜214aとは、電気的に接続されている。配線パターン215aと導電膜214aとが接続されていることにより、配線パターン215aと導電膜214aとを介して、超音波振動子211の第二の電極211bと送受信回路216aとが電気的に接続される。
背面負荷材214は、超音波振動子211から背面方向(後方)への超音波の伝播を抑制する。背面負荷材214は、タングステン等の金属やアルミナ、酸化亜鉛等の金属酸化物を充填した樹脂(例えば、エポキシ樹脂)、又は、ゴム等を含む非導電体である。背面負荷材214の表面には、メッキ等の手段により、導電性を有する導電膜214aが形成されている。
基板216は、送受信回路216aを有する。送受信回路216aは、基板216上に設けられた配線パターン(図示せず)に接続されている。送受信回路216aに接続された配線パターンは、フレキシブル配線板215に超音波振動子211ごとに設けられた配線パターンに電気的に接続されている。さらに、送受信回路216aに接続された配線パターンは、配線パターン215aに電気的に接続されている。これにより、送受信回路216aと、超音波振動子211の第一の電極211a及び第二の電極211bとは電気的に接続される。
送受信回路216aは、超音波振動子211と各種の信号の送受信を行う。例えば、送受信回路216aは、装置本体10から送信された駆動信号を受信すると、受信した駆動信号を、駆動対象の超音波振動子211に対して送信する。これにより、駆動対象の超音波振動子211の両電極(第一の電極211a及び第二の電極211b)間に、駆動信号の振幅に応じた電圧が印加される。超音波振動子211の両電極間に電圧が印加されることにより、超音波振動子211が駆動され、超音波が放射される。
また、送受信回路216aは、複数の超音波振動子211から出力された反射波信号を受信すると、受信した反射波信号に対して公知の束ね処理を施して、束ね処理が施された反射波信号を装置本体10の超音波受信回路12へ送信する。
音響レンズ217は、超音波を集束させる。音響レンズ217は、フレキシブル配線板215の、超音波が放射される方向側の面に設けられる。
なお、図2及び図3では、超音波トランスデューサに送受信回路216aが設けられる場合を例に説明したが、これに限定されない。超音波トランスデューサに送受信回路216aが設けられず、装置本体10の超音波送信回路11から送信される駆動信号が超音波振動子211へ供給されるようにしても構わない。
また、送受信回路216aは、更に、装置本体10の超音波送信回路11、及び超音波受信回路12の各種の機能を有するようにしてもよい。この場合、装置本体10から、超音波送信回路11、及び超音波受信回路12が省かれることになる。
次に、以上のように構成された超音波診断装置1の動作を説明する。
(初期データの取得)
図4は、図1に示される制御回路113が超音波プローブ20の感度についての初期データを取得する際のフローチャートの例を表す。
まず、超音波診断装置1が製造されてから出荷されるまでの間において、超音波プローブ20のコネクタ23が装置本体10に接続される。なお、このとき、超音波プローブ20の記憶回路24には、超音波プローブ20のチャンネル毎の感度を測定するための測定条件情報が記憶されている。超音波診断装置1の製造者は、例えば、初期データを取得する旨の指示を、入力インタフェース111から入力する。超音波診断装置1の制御回路113は、初期データを取得する旨の指示が入力されると、初期測定機能1131を実行する。初期測定機能1131を実行すると制御回路113は、測定装置としての装置本体10を特定可能な測定装置情報を内部記憶回路18から読み出し、超音波プローブ20の記憶回路24に記憶させる(ステップS41)。
続いて、制御回路113は、超音波プローブ20の記憶回路24に記憶されている測定条件情報を読み出す(ステップS42)。制御回路113は、読み出した測定条件情報に基づき、チャンネル毎の反射波信号を取得する(ステップS43)。
具体的には、制御回路113は、測定条件情報に記憶されている、例えば、超音波送信回路11のパルサ回路の駆動電圧に基づき、超音波送信回路11に駆動電圧を発生させる。このとき、制御回路113は、算出する特徴値に応じ、駆動電圧の印加波形及び駆動周波数を設定している。超音波送信回路11により発生された駆動電圧が超音波プローブ20の送受信回路216aを介して超音波振動子211へ供給されることで、超音波振動子211が駆動され、超音波が発生する。
発生した超音波は、音響レンズ217表面と空気との界面SFで反射する。反射した反射波は、超音波振動子211群へ到達し、それぞれで受信される。超音波振動子211は、受信した反射波を、超音波プローブ20の送受信回路216aを介して反射波信号として装置本体10へ出力する。
図5は、図1に示される装置本体10が受信する反射波信号の例を表す模式図である。なお、図5は、超音波プローブ20の中心周波数に応じた駆動周波数の駆動信号が超音波振動子211へ供給された際の反射波信号を表している。反射波信号は、チャンネル毎に収集される。反射波信号には、送信波形Wa、多重反射及び不要振動波形Wb、第1反射波W1、及び第2反射波W2が含まれている。本実施形態において第1反射波W1は、超音波が超音波振動子211と界面SFとの間で往復した一往復目の反射波を表す。本実施形態において第2反射波W2は、超音波が超音波振動子と界面SFとの間で往復した二往復目の反射波を表す。送受信感度測定のための表面反射波としては、第1反射波W1又は第2反射波W2が用いられる。第1反射波W1と第2反射波W2とのどちらが用いられるかは、超音波プローブ20の機種ごとに予め定められている。ここでは、第1反射波W1が用いられる例について説明する。
制御回路113は、測定条件情報に含まれる波形取得区間T1に基づき、第1反射波W1を特定する。制御回路113は、反射波信号のうち、波形取得区間T1に含まれる信号を抽出することで、第1反射波W1を特定する。
なお、制御回路113が第1反射波W1を取得する手法は上記に限定されない。制御回路113は、反射波信号から、測定条件情報に含まれているプローブノイズデータを差し引くことで、第1反射波W1を取得してもよい。
制御回路113は、反射波信号における第1反射波W1が取得されると、計算機能1133を実行する。計算機能1133を実行すると制御回路113は、取得した第1反射波W1に基づき、特徴値を算出する(ステップS44)。例えば、制御回路113は、特徴値として感度ピーク値を算出する。具体的には、制御回路113は、第1反射波W1の内の最大振幅値(Vp-p)を求める。制御回路113は、チャンネル毎に感度ピーク値を取得する。
制御回路113は、取得した感度ピーク値を初期データとして超音波プローブ20の記憶回路24に記憶する。また、制御回路113は、超音波プローブ20の送受信感度を測定した際の測定年月日及び時刻、並びに超音波プローブ20内の温度等を、記憶回路24に記憶されている測定条件情報に追加して記憶し(ステップS45)、処理を終了させる。図6は、初期データとして記憶回路24に記憶される、チャンネル毎の感度ピーク値の例を表す図である。
(超音波プローブ20の送受信感度の劣化の管理:表示)
図7は、図1に示される制御回路113が超音波プローブ20の感度に関する情報を表示機器40に表示させる際のフローチャートの例を表す。
まず、制御回路113は、任意のタイミングで管理測定機能1132を実行する。任意のタイミングとは、例えば、ユーザ又はサービスマンが保守点検を実施する際に入力する指示信号を受信したタイミングを含む。また、任意のタイミングは、予め設定した時間であっても構わない。例えば、深夜等の超音波プローブ20の使用時間外が設定される。また、任意のタイミングは、超音波プローブ20が装置本体10に接続されたタイミングであってもよい。また、任意のタイミングは、ネットワーク100経由でサービスマンが入力する遠隔的な測定の指示信号を受信したタイミングであってもよい。
管理測定機能1132を実行すると制御回路113は、記憶回路24に記憶される測定条件情報を読み出す(ステップS71)。制御回路113は、読み出した測定条件情報に含まれる、初期データを測定した測定装置情報と、装置本体10の内部記憶回路18に記憶されている測定装置情報とを照合し、測定条件の補正が必要か否かを判断する(ステップS72)。この判断には一般的な技術が援用されてよい。例えば、制御回路113は、装置本体10の超音波送信回路11の出力特性に応じて測定条件の補正をするか判断する。なお、測定条件情報の照合は必須ではない。
測定条件の補正が不要である場合(ステップS72のNo)、制御回路113は、読み出した測定条件に従い、超音波プローブ20の送受信感度を測定する(ステップS73)。具体的には、制御回路113は、測定条件情報に記憶されている、例えば、超音波送信回路11のパルサ回路の駆動電圧、及び駆動周波数に基づき、超音波送信回路11に駆動電圧を発生させる。制御回路113は、駆動電圧により発生した超音波の、音響レンズ217表面と空気との界面SFでの反射波についての反射波信号を受信する。制御回路113は、測定条件情報に記憶されている、例えば、波形取得区間、又はプローブノイズデータに基づき、反射波信号から所望の信号を抽出する。
ステップS73において送受信感度を測定するチャンネルは任意のチャンネルで構わない。例えば、制御回路113は、全チャンネルについての送受信感度を測定してもよい。また、制御回路113は、送受信感度を測定するチャンネルを選択してもよい。このとき、選択するチャンネルは、例えば、画質に大きく寄与するチャンネルである。チャンネルを選択して送信感度を測定することで、送受信感度の測定時間が短縮されることになる。
測定条件の補正が必要である場合(ステップS72のYes)、制御回路113は、読み出した測定条件を、例えば、装置本体10の超音波送信回路11の出力特性に基づいて補正し(ステップS74)、処理をステップS73へ進める。
ステップS73において送受信感度を測定すると、制御回路113は、計算機能1133を実行する。計算機能1133を実行すると制御回路113は、ステップS73で取得した信号に基づき、初期データにおいて記憶されている特徴値と同様の種類の特徴値を算出する(ステップS75)。例えば、初期データにおいて感度ピーク値が特徴値として記憶されている場合、制御回路113は、感度ピーク値を算出する。制御回路113は、算出した特徴値、及び特徴値を取得した際の測定条件情報を記憶回路24に記憶させる。ここで記憶回路24に記憶した特徴値、及び測定条件情報は、後の時点における超音波プローブ20の送受信感度の評価測定で利用され得る。なお、後の時点における評価測定では、初期データにおける特徴値を基準としてもよいし、出荷後の所定時点において取得された特徴値を基準としてもよい。
続いて、制御回路113は、比較機能1134を実行する。比較機能1134を実行すると制御回路113は、初期データを記憶回路24から読み出す。制御回路113は、読み出した初期データに含まれる特徴値と、算出した特徴値とを比較する(ステップS76)。図8は、初期データとしての感度ピーク値と、感度測定の際に取得された特徴値との比較例を表す図である。図8において、破線が初期データとしてのチャンネル毎の感度ピーク値を表し、実線が所定のタイミングで取得したチャンネル毎の特徴値を表す。
制御回路113は、読み出した初期データに含まれる特徴値と、算出した特徴値とを比較することで、特徴値間の差異が表される指標値を算出してもよい。特徴値間の差が表される指標値には、例えば、差分値、及び変化率等が挙げられる。図9は、初期データとしての感度ピーク値と、所定のタイミングで取得した特徴値との差分の例を表す図である。
制御回路113は、読み出した初期データに含まれる特徴値と、算出した特徴値とを比較すると、表示制御機能1135を実行する。表示制御機能1135を実行すると制御回路113は、特徴値の比較結果に関する画像を表示機器40に表示させるように、表示処理回路17を制御する(ステップS77)。具体的には、例えば、制御回路113は、比較結果を表示機器40の所定の位置に表示させた画像データを生成する。制御回路113は、生成した画像データを表示処理回路17へ出力し、画像データに基づく画像を表示機器40に表示させる。表示機器40に表示される比較結果は、図8に示されるような、経時変化の可視化、すなわち2時点の特徴値であってもよいし、特徴値間の差異を表す指標値(差分又は変化率等)であってもよい。図10は、図9に示される特徴値の差分を表示する際の表示機器40の表示例を表す図である。
なお、表示機器40に表示される比較結果は、2時点の特徴値の比較結果に限定されず、3時点以上の複数の時点の特徴値の比較結果であってもよい。制御回路113は、初期データにおける特徴値、及び出荷後の任意の時点で取得された特徴値を記憶回路24から読み出す。制御回路113は、読み出した特徴値と、算出した特徴値とを比較する。
また、制御回路113が表示機器40に表示させる画像は、比較結果に限定されない。制御回路113は、比較結果と共に、記憶回路24に記憶されている測定条件を、表示機器40に表示させてもよい。また、制御回路113は、比較結果と共に、感度測定を実施した過去の時点から現時点までの超音波プローブ20の使用履歴を表示機器40に表示させてもよい。超音波プローブ20の使用履歴とは、例えば、駆動時刻、モード、送信出力、温度の履歴等であり、例えば、記憶回路24に記憶されている。
また、制御回路113は、比較結果の代わりに、比較結果が存在することを表し、かつ、この比較結果の表示要求を入力するための入力アイコンを表す画像データを生成し、この画像データに基づく画像を表示機器40に表示させてもよい。制御回路113は、入力インタフェース111を介して入力アイコンから表示要求が入力されると、比例結果を表す画像を表示機器40に表示させる。
また、比較結果及び測定条件の少なくともいずれか1つを外部へ報知する手法は、表示機器40への表示のみに限られない。制御回路113は、比較結果及び測定条件の少なくともいずれか1つを、通信インタフェース112を介し、外部装置30へ出力しても構わない。このとき、制御回路113は、内部記憶回路18に記憶されている、超音波プローブ20の感度を管理するためのプログラムを実行することで、報知部のさらなる一例である通信制御機能1137を実現する。通信制御機能1137は、特徴値の比較結果等を外部装置30へ出力する機能である。
例えば、制御回路113は、読み出した初期データに含まれる特徴値と、算出した特徴値とを比較すると、通信制御機能1137を実行する。通信制御機能1137を実行すると制御回路113は、特徴値の比較結果等に関するデータを外部装置30へ出力するように、通信インタフェース112を制御する。
また、制御回路113が超音波プローブ20の感度に関する情報を表示機器40に表示させる際のフローチャートは、図7に限定されない。例えば、制御回路113は、記憶回路24から読み出した初期データに含まれる特徴値と、算出した特徴値とを比較すると(ステップS76)、表示制御機能1135を実行する前に、超音波プローブ20の感度が劣化しているか否かを判断しても構わない。このとき、制御回路113は、内部記憶回路18に記憶されている、超音波プローブ20の感度を管理するためのプログラムを実行することで、判断機能1138を実現する。判断機能1138は、超音波プローブ20の感度が劣化しているか否かを判断する機能であり、判断部の一例である。
例えば、制御回路113は、読み出した初期データに含まれる特徴値と、算出した特徴値とを比較すると、判断機能1138を実行する。判断機能1138を実行すると制御回路113は、特徴値の比較結果に基づき、超音波プローブ20の感度が劣化しているか否かを判断する。
具体的には、例えば、制御回路113は、読み出した初期データに含まれる特徴値と、算出した特徴値との差異を表す指標値(差分又は変化率等)が所定の要件を満たすか否かを判断することで、超音波プローブ20の感度が劣化しているか否かを判断する。例えば、制御回路113は、指標値が差分である場合、特徴値間の差分が予め設定した値以上であるチャンネルが所定数以上あるか否かを判断する。また、制御回路113は、例えば、指標値が変化率である場合、変化率が予め設定した値以上であるチャンネルが所定数以上あるか否かを判断する。
また、例えば、制御回路113は、読み出した初期データに含まれる特徴値に基づいて取得される基準値と、算出した特徴値との差異が所定の要件を満たすか否かを判断することで、超音波プローブ20の感度が劣化しているか否かを判断してもよい。ここで、特徴値に基づいて取得される基準値とは、例えば、特徴値の平均値、中央値、最小値、又は最大値等である。制御回路113は、例えば、基準値と、算出した特徴値との差が予め設定した値以上であるチャンネルが所定数以上あるか否かを判断する。
制御回路113は、超音波プローブ20の感度が劣化していると判断すると、表示制御機能1135を実行する。一方、制御回路113は、超音波プローブ20の感度が劣化していないと判断すると、例えば、表示制御機能1135を実行せず、比較結果を表示しない。
(超音波プローブ20の送受信感度の劣化の管理:補正)
図11は、図1に示される制御回路113が超音波プローブ20の感度を補正する際のフローチャートの例を表す。
制御回路113は、図7のステップS76で示されるように、初期データに含まれる特徴値と、算出した特徴値とを比較すると、補正処理機能1136を実行する。補正処理機能1136を実行すると制御回路113は、特徴値の比較結果に基づき、超音波プローブ20に設けられる超音波振動子211の感度のばらつきを補正するための処理を実施する。
具体的には、制御回路113は、記憶回路24から読み出した初期データに含まれる特徴値から基準値を算出する(ステップS111)。ここで、算出される基準値とは、例えば、特徴値の平均値、中央値、最小値、又は最大値等である。なお、特徴値が中心周波数等である場合、基準値は、例えば、平均スペクトラム又は特定の周波数等である。
制御回路113は、例えば、測定により得られた特徴値が、算出した基準値と略一致するように、超音波振動子211の感度のばらつきを補正する(ステップS112)。制御回路113は、補正後の情報を、記憶回路24に記憶されている測定条件情報に記憶し(ステップS113)、処理を終了させる。具体的には、例えば、制御回路113は、超音波送信回路11のパルサ回路の駆動電圧を基準値に基づいてチャンネル毎に変更し、パルサ回路の駆動電圧についての変更値を、記憶回路24に記憶されている測定条件情報に記憶する。
図12は、図8に示される比較例において補正した超音波プローブ20の感度の例を表す図である。図12において、破線が初期データとしてのチャンネル毎の感度ピーク値を表し、実線が所定のタイミングで取得したチャンネル毎の特徴値を表し、太い実線が感度を補正した後のチャンネル毎の感度ピーク値を表す。
なお、制御回路113が超音波プローブ20の感度を補正する際のフローチャートは、図11に限定されない。例えば、制御回路113は、記憶回路24から読み出した初期データに含まれる特徴値と、算出した特徴値とを比較すると(ステップS76)、補正処理機能1136を実行する前に、超音波プローブ20の感度が劣化しているか否か、すなわち、補正処理を実施する必要があるか否かを判断しても構わない。
図13は、図1に示される制御回路113が超音波プローブ20の感度を補正する際のその他のフローチャートの例を表す。
制御回路113は、図7のステップS76で示されるように、初期データに含まれる特徴値と、算出した特徴値とを比較すると、判断機能1138を実行する。判断機能1138を実行すると制御回路113は、特徴値の比較結果に基づき、超音波振動子211についての補正処理の要否を判断する(ステップS131)。
具体的には、例えば、制御回路113は、読み出した初期データに含まれる特徴値と、算出した特徴値との差異を表す指標値(差分又は変化率等)が所定の要件を満たすか否かを判断することで、超音波振動子211についての補正処理の要否を判断する。例えば、制御回路113は、指標値が差分である場合、特徴値間の差分が予め設定した値以上である超音波振動子211に対し、補正処理が必要であると判断する。また、制御回路113は、例えば、指標値が変化率である場合、変化率が予め設定した値以上である超音波振動子211に対し、補正処理が必要であると判断する。
また、例えば、制御回路113は、読み出した初期データに含まれる特徴値に基づいて基準値を算出し、算出した基準値と、算出した特徴値との差異が所定の要件を満たすか否かを判断することで、超音波振動子211についての補正処理の要否を判断してもよい。例えば、制御回路113は、基準値と、算出した特徴値との差が予め設定した値以上である超音波振動子211に対し、補正処理が必要であると判断する。
制御回路113は、補正処理が必要な超音波振動子211があると判断すると、補正処理機能1136を実行する。
具体的には、制御回路113は、記憶回路24から読み出した初期データに含まれる特徴値から基準値を算出する(ステップS132)。なお、ステップS131で基準値が既に算出されていれば、このステップは不要である。制御回路113は、補正処理が必要と判断した超音波振動子211に対し、例えば、測定により得られた特徴値を、算出した基準値と略一致させるための補正処理を実施する(ステップS133)。制御回路113は、補正後の情報を、記憶回路24に記憶されている測定条件情報に記憶し(ステップS134)、処理を終了させる。具体的には、例えば、制御回路113は、補正処理が必要と判断した超音波振動子211へ供給する駆動電圧を基準値に基づいて変更し、駆動電圧についての変更値を、記憶回路24に記憶されている測定条件情報に記憶する。
なお、ステップS132において、基準値は、例えば、計算機能1133により算出した特徴値に基づいて算出されても構わない。例えば、制御回路113は、算出した特徴値の平均値、中央値、最小値、又は最大値等を基準値としてもよい。また、特徴値が中心周波数等である場合、基準値は、例えば、平均スペクトラム又は特定の周波数等である。
また、基準値は、算出した特徴値の最小値に基づいて算出されてもよい。例えば、制御回路113は、超音波振動子211へ供給される駆動電圧を段階的に複数回増加させ、駆動電圧を増加させる度に特徴値を算出する。このとき、劣化している超音波振動子211について算出される特徴値は、駆動電圧を増加させても初期の特徴値には戻らず、初期の特徴値よりも小さい所定の特徴値までしか戻らない。制御回路113は、例えば、駆動電圧を増加させた超音波振動子211について算出した特徴値のうち、最小の値を基準値とする。
また、超音波振動子211の感度のばらつきを補正するための処理は、基準値に基づく補正に限定されない。制御回路113は、例えば、超音波振動子211の再分極を経て超音波振動子211の感度のばらつきを補正しても構わない。
図14は、図1に示される制御回路113が超音波振動子211の再分極を経て超音波プローブ20の感度を補正する際のフローチャートの例を表す。
制御回路113は、図7のステップS76で示されるように、初期データに含まれる特徴値と、算出した特徴値とを比較すると、判断機能1138を実行する。判断機能1138を実行すると制御回路113は、特徴値の比較結果に基づき、超音波振動子211についての再分極の要否を判断する(ステップS141)。このとき、例えば、指標値に基づいて再分極の要否が判断される場合、指標値についての閾値は、ステップS131における閾値よりも大きい。また、例えば、初期データに含まれる特徴値から算出される基準値に基づいて再分極の要否が判断される場合、基準値と特徴値との差異についての閾値は、ステップS131における閾値よりも大きい。
再分極が必要な超音波振動子211があると判断すると、制御回路113は、補正処理機能116を実行する。補正処理機能116を実行すると制御回路113は、再分極が必要と判断した超音波振動子211を再分極する(ステップS142)。具体的には、制御回路113は、再分極が必要と判断した超音波振動子211へ、例えば、予め設定された大きさの直流又は交流電圧を、予め設定された期間負荷する。
続いて、制御回路113は、先に読み出した測定条件情報に基づき、再分極した後の超音波プローブ20の送受信感度を測定する(ステップS73)。送受信感度を測定すると、制御回路113は、計算機能1133により、測定で取得した信号に基づいて特徴値を算出する(ステップS75)。
続いて、制御回路113は、比較機能1134により、初期データに含まれる特徴値と、算出した特徴値とを比較する(ステップS76)。制御回路113は、特徴値同士を比較すると、補正処理機能1136により、特徴値の比較結果に基づき、超音波プローブ20に設けられる超音波振動子211の感度のばらつきを補正するための処理(ステップS111~ステップS113)を実施し、処理を終了させる。
なお、制御回路113が超音波振動子211の再分極を経て超音波プローブ20の感度を補正する際のフローチャートは、図14に限定されない。例えば、制御回路113は、記憶回路24から読み出した初期データに含まれる特徴値と、算出した特徴値とを比較すると(ステップS76)、補正処理機能1136を実行する前に、超音波振動子211についての補正処理を実施する必要があるか否かを判断しても構わない。
なお、図11、図13、及び図14の説明では、初期データに含まれる特徴値に基づく基準値を利用して超音波振動子211の感度のばらつきを補正する場合を例に示した。しかしながら、基準値を算出する際に用いる特徴値は、初期データに含まれるものに限定されない。例えば、制御回路113は、出荷後の所定時点で取得された特徴値と、算出した特徴値とを比較する。そして、制御回路113は、出荷後の所定時点で取得された特徴値に基づき、基準値を算出してもよい。
以上のように第1の実施形態では、超音波診断装置1の制御回路113は、製造出荷時又は製造出荷後の所定時点である第1時点に、超音波プローブ20の記憶回路24に、反射波信号に係る情報を記憶する。反射波信号に係る情報には、例えば、超音波プローブ20の送受信感度に係る特徴値と、この特徴値を取得した際の測定条件とが含まれる。制御回路113は、第1時点後の任意のタイミング(第2時点)で記憶回路24に記憶されている測定条件に基づいて超音波プローブ20の送受信感度に係る特徴値を取得する。そして、制御回路113は、記憶回路24に記憶されている初期の特徴値と、新たに取得した特徴値との比較結果をユーザに報知するようにしている。これにより、超音波診断装置1は、出荷後、所定の期間が経過した後の超音波プローブ20の送受信感度の変化を、ユーザへ知らせることが可能となる。また、現行の構成を変更する必要がないため、音響特性に制限が生じない。また、設計変更によるコスト増も生じない。
また、第1の実施形態では、制御回路113は、超音波プローブ20の感度が劣化しているか否かを判断し、劣化している場合、初期の特徴値と、新たに取得した特徴値との比較結果をユーザに報知するようにしている。これにより、超音波プローブ20の送受信感度が劣化した場合にのみ、比較結果がユーザへ報知されることになるため、ユーザは超音波プローブ20の送受信感度が劣化したことを直感的に認識することが可能となる。
また、第1の実施形態では、制御回路113は、特徴値の比較結果に基づき、超音波プローブ20に設けられる超音波振動子211の感度のばらつきを抑制するための補正を行うようにしている。これにより、超音波プローブ20の感度が基準とする時点の感度と同等程度に回復すると共に、超音波振動子211の感度のばらつきを抑えることが可能となる。
また、第1の実施形態では、制御回路113は、2時点で取得された特徴値を比較することで、超音波振動子211に対する補正処理が必要であるか否かを判断する。そして、必要である場合、制御回路113は、超音波振動子211の感度のばらつきを補正するようにしている。これにより、第1時点から第2時点までの間で送受信感度が劣化した超音波プローブ20に対し、超音波振動子211の感度のばらつきを補正することになるため、制御回路113の処理負担を抑えることが可能となる。
なお、第1の実施形態では、制御回路113が、超音波診断装置1の製造出荷時又は製造出荷後の所定時点に取得した特徴値を記憶回路24に記憶させる場合を説明した。超音波診断装置1の製造出荷時又は製造出荷後の所定時点に記憶回路24に記憶されるデータは、所定の特徴値に限定されない。制御回路113は、特徴値の代わりに反射波信号の波形情報を記憶回路24に記憶させても構わない。すなわち、反射波信号に係る情報に、特徴値に代えて波形情報が含まれていても構わない。
図15は、図1に示される制御回路113が波形情報を初期データとして記憶させる際のフローチャートの例を表す。
超音波診断装置1の制御回路113は、図4に示されるステップS41~ステップS43を実施することで、超音波プローブ20のチャンネル毎の反射波信号を取得する。制御回路113は、取得した反射波信号についての波形情報を取得し(ステップS151)、取得した波形情報を初期データとして記憶回路24に記憶する。また、制御回路113は、波形情報を取得した際の測定年月日及び時刻、並びに超音波プローブ20内の温度等を、記憶回路24に記憶されている測定条件情報に追加して記憶する(ステップS152)。なお、制御回路113は、反射波信号から所望の信号を抽出し、抽出した信号についての波形情報を取得しても構わない。
図16は、図1に示される制御回路113が超音波プローブ20の感度に関する情報を表示機器40に表示させる際のフローチャートのその他の例を表す。
ステップS72において、測定条件の補正が不要である場合、制御回路113は、初期データとしての波形情報を記憶回路24から読み出し、計算機能1133を実行する。計算機能1133を実行すると制御回路113は、読み出した波形情報に基づいて特徴値を算出する(ステップS161)。
特徴値を算出すると、制御回路113は、記憶回路24から読み出した測定条件に従い、超音波プローブ20の送受信感度を測定することで、反射波信号を取得する(ステップS73)。制御回路113は、取得した反射波信号についての波形情報を取得する(ステップS162)。制御回路113は、取得した波形情報、及び超音波プローブ20の送受信感度を測定した際の測定条件情報を記憶回路24に記憶させる。ここで記憶回路24に記憶した波形情報、及び測定条件情報は、後の時点における超音波プローブ20の送受信感度の測定で利用され得る。
制御回路113は、ステップS75で、取得した波形情報に基づいて特徴値を算出すると、ステップS76、及びステップS77の処理を経て特徴値の比較結果を表示機器40に表示させる。
このように、波形情報を記憶回路24に記憶しておくことで、任意のタイミングで波形情報に基づく特徴値を算出することが可能となる。
なお、記憶回路24に波形情報が記憶されている場合、表示機器40に表示される情報は特徴値の比較結果に限られない。表示機器40には、所定の時点の波形情報と、任意のタイミングで受信された反射波信号の波形情報との比較結果が表示されてもよい。
また、第1の実施形態では、記憶回路24に初期データ及び測定条件情報が記憶される場合を例に説明した。記憶回路24に記憶される情報はこれらに限定されない。記憶回路24には、製造出荷基準として定められた種々の値がさらに記憶されてもよい。種々の値には、例えば、感度ピーク値、中心周波数、波連長、及び比帯域等が含まれる。
記憶回路24に製造出荷基準で定められた値が記憶されている場合、制御回路113は、例えば、比較機能1134において、製造出荷基準で定められた値と、測定により得られた特徴値とを比較してもよい。
また、記憶回路24に製造出荷基準で定められた値が記憶されている場合、制御回路113は、例えば、表示制御機能1135において、製造出荷基準で定められた値と、特徴値との比較結果を表示機器40に表示させてもよい。また、制御回路113は、超音波プローブ20の感度の劣化傾向を取得し、この劣化傾向が維持された場合、取得される特徴値が、製造出荷基準で定められた値を未達となる時期を表示機器40に表示させてもよい。
また、記憶回路24に製造出荷基準で定められた値が記憶されている場合、制御回路113は、補正処理機能1136において、製造出荷基準で定められた値になるように超音波プローブ20の感度を補正してもよい。なお、制御回路113は、法規上許容される最大出力になるように超音波プローブ20の感度を補正してもよい。
また、記憶回路24に製造出荷基準で定められた値が記憶されている場合、制御回路113は、判断機能1138において、製造出荷基準で定められた値と、特徴値との比較結果に基づいて超音波プローブ20の感度が劣化しているか否かを判断してもよい。
また、第1の実施形態では、記憶回路24が超音波プローブ20のプローブヘッド21又はコネクタ23のいずれかに設けられている場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。超音波プローブ20に記憶回路24は設けられず、外部装置30に設けられる記憶回路に初期データ、及び測定条件情報等が記憶されてもよい。また、装置本体10に設けられる内部記憶回路18に初期データ、及び測定条件情報等が記憶されてもよい。
(変形例)
第1の実施形態では、超音波プローブ20の感度を管理するためのプログラムが装置本体10の制御回路113により実行される場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。超音波プローブ20の感度を管理するためのプログラムは、超音波プローブ20aの制御回路25により実行されても構わない。図17は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1aの構成例を表すブロック図である。制御回路25は、内部記憶回路18に記憶されている、超音波プローブ20の感度を管理するためのプログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を実現する。制御回路25は、例えば、初期測定機能251、管理測定機能252、計算機能253、比較機能254、補正処理機能255を有する。また、制御回路25は、通信制御機能256及び判断機能257を有してもよい。
初期測定機能251は、超音波プローブ20についての初期データを取得する機能である。初期測定機能251を実行すると制御回路25は、例えば、超音波プローブ20の製造時に記憶回路24に記憶された測定条件情報を読み出す。制御回路25は、読み出した測定条件情報に基づき、送受信回路216aを制御する。制御回路25は、取得された測定条件の設定下における、チャンネル毎の反射波信号を取得する。制御回路25は、反射波信号を測定した際の測定条件情報と、反射波信号に基づく初期データとを記憶回路24に記憶する。
管理測定機能252は、超音波プローブ20の感度を測定する機能である。管理測定機能252を実行すると制御回路25は、超音波プローブ20の記憶回路24に記憶されている測定条件情報に基づき、送受信回路216aを制御する。制御回路25は、測定条件の設定下における、チャンネル毎の反射波信号を取得する。
計算機能253は、取得された反射波信号に基づいて特徴値を算出する機能である。計算機能253を実行すると制御回路25は、取得された反射波信号の反射波系を解析することで、特徴値を算出する。
比較機能254は、異なる二つの時点で取得された特徴値同士を比較する機能である。制御回路25は比較機能254を実行すると、記憶回路24に記憶されている初期データに含まれる特徴値と、測定により得られた特徴値とを比較する。比較結果は、装置本体10へ出力され、装置本体10の制御回路113により、表示機器40に表示される。
補正処理機能255は、超音波プローブ20が有する超音波振動子211間の感度のばらつきを補正する機能である。補正処理機能255を実行すると制御回路25は、特徴値の比較結果に基づき、超音波プローブ20に設けられる超音波振動子211の感度のばらつきを補正する。例えば、制御回路25は、測定により得られた特徴値が所定の基準値に対する要件を満たすように、送受信回路216aの駆動電圧を変更する。制御回路25は、送受信回路216aの変更後の駆動電圧を、記憶回路24に記憶されている測定条件情報に記憶する。
なお、超音波振動子211の感度のばらつきを補正するための処理は、送受信回路216aの駆動電圧の変更に限定されない。制御回路25は、基準値に基づき、送受信回路216aのゲインを変更しても構わない。
また、制御回路25は、送受信回路216aから超音波振動子211へ、所定の大きさの直流又は交流電圧を、予め設定された期間負荷することで、超音波振動子211を再分極させてもよい。
通信制御機能256は、特徴値の比較結果等を外部装置30へ出力する機能である。通信制御機能256を実行すると制御回路25は、特徴値の比較結果等に関するデータを、例えば無線で、外部装置30へ出力する。
判断機能257は、超音波プローブ20の感度が劣化しているか否かを判断する機能である。判断機能257を実行すると制御回路25は、特徴値の比較結果に基づき、超音波プローブ20の感度が劣化しているか否かを判断する。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、超音波プローブ20の感度を管理するためのプログラムが超音波診断装置1の制御回路113,25により実行される場合を例に説明した。第2の実施形態では、このプログラムが、例えば、サービスマンが保持する管理装置60の制御回路65により実行される場合を説明する。
図18は、第2の実施形態に係るプローブ感度管理システムの構成例を表すブロック図である。図18に示されるプローブ感度管理システムは、超音波診断装置1b、及び管理装置60を備える。
管理装置60は、サービスマンが保守点検を実施する際に超音波診断装置1bと無線、又は有線により接続し、超音波診断装置1に備えられる超音波プローブ20の感度を管理する。管理装置60は、記憶回路61、ディスプレイ62、入力インタフェース63、通信インタフェース64、及び制御回路65を備える。
記憶回路61は、例えば、磁気的若しくは光学的記憶媒体、又は半導体メモリ等のプロセッサにより読み取り可能な記憶媒体等を有する。記憶回路61は、超音波プローブ20の感度を管理するためのプログラム等を記憶している。
入力インタフェース63は、ユーザからの各種指示を受け付ける、マウス、キーボード、パネルスイッチ、及び操作パネル等である。入力インタフェース63は、例えばバスを介して制御回路65に接続され、操作者から入力される操作指示を電気信号へ変換し、電気信号を制御回路65へ出力する。
通信インタフェース64は、無線、又は有線により装置本体10bと接続され、装置本体10bとの間でデータ通信を行う。
制御回路65は、例えば、管理装置60の中枢として機能するプロセッサである。制御回路65は、記憶回路61に記憶されている、超音波プローブ20の感度を管理するためのプログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を実現する。制御回路65は、例えば、測定制御機能651、計算機能652、比較機能653、表示制御機能654、及び補正制御機能655を有する。
測定制御機能651は、超音波診断装置1bに超音波プローブ20の感度を測定させる機能である。具体的には、例えば、制御回路65は、超音波プローブ20の感度管理の開始指示が入力されると、測定制御機能651を実行する。測定制御機能651を実行すると制御回路65は、装置本体10bに対し、超音波プローブ20の感度を測定させる。
計算機能652は、超音波診断装置1bで取得された反射波信号に基づいて特徴値を算出する機能である。具体的には、例えば、制御回路65は、超音波診断装置1bから、チャンネル毎の反射波信号が出力されると計算機能652を実行する。制御回路65は計算機能652を実行すると、反射波信号の反射波系を解析することで、特徴値を算出する。
比較機能653は、異なる二つの時点で取得された特徴値同士を比較する機能である。具体的には、例えば、制御回路65は、比較機能653を実行すると、超音波診断装置1bから読み出した特徴値と、測定により得られた特徴値とを比較する。
表示制御機能654は、特徴値の比較結果を、報知部の一例であるディスプレイ62に表示させる機能である。具体的には、例えば、制御回路65は、表示制御機能654を実行すると、特徴値の比較結果をディスプレイ62に表示させる。
補正制御機能655は、超音波プローブ20が有する超音波振動子211間の感度のばらつきの補正を制御する機能である。具体的には、例えば、補正制御機能655を実行すると制御回路65は、特徴値の比較結果に基づき、超音波プローブ20に設けられる超音波振動子211の感度のばらつきを補正するように超音波診断装置1bへ指示を出す。超音波診断装置1bの制御回路113は、管理装置60から出力された指示に基づき、超音波プローブ20に設けられる超音波振動子211の感度のばらつきを補正する。
図19は、図18に示される制御回路65が超音波プローブ20の感度に関する情報をディスプレイ62に表示させる際のフローチャートの例を表す。
まず、超音波診断装置1bのサービスマンは、超音波診断装置1bの保守点検の際、管理装置60の入力インタフェース63を介し、超音波プローブ20の感度を管理する処理の開始指示を入力する。管理装置60の制御回路65は、開始指示が入力されると、測定制御機能651を実行する。測定制御機能651を実行すると制御回路65は、超音波プローブ20の感度を測定する指示を装置本体10bへ出力する(ステップS191)。
装置本体10bの制御回路113は、管理装置60から測定指示を受けると、管理測定機能1132を実行する。管理測定機能1132を実行すると制御回路113は、記憶回路24に記憶される測定条件情報に従い、超音波プローブ20の任意のチャンネルの送受信感度を測定する。装置本体10bは、測定により得られた反射波信号の波形情報、及び記憶回路24に記憶される初期データを管理装置60へ出力する。
管理装置60の制御回路65は、装置本体10bから出力される波形情報及び初期データを受信する(ステップS192)。波形情報及び初期データを受信すると制御回路65は、計算機能652を実行する。計算機能652を実行すると制御回路65は、波形情報に基づき、初期データとして記憶されている特徴値と同様の種類の特徴値を算出する(ステップS193)。制御回路65は、算出した特徴値を超音波診断装置1bへ出力し、超音波診断装置1bの記憶回路24に、この特徴値と、この特徴値を取得した際の測定条件情報を記憶させる。ここで記憶回路24に記憶させた特徴値、及び測定条件情報は、後の時点における超音波プローブ20の送受信感度の測定で利用され得る。なお、後の時点における評価測定では、初期データにおける特徴値を基準としてもよいし、出荷後の所定時点において取得された特徴値を基準としてもよい。
続いて、制御回路65は、比較機能653を実行する。比較機能653を実行すると制御回路65は、初期データに含まれる特徴値と、算出した特徴値とを比較する(ステップS194)。制御回路65は、初期データに含まれる特徴値と、算出した特徴値とを比較すると、表示制御機能654を実行する。表示制御機能654を実行すると制御回路65は、特徴値の比較結果に関する画像をディスプレイ62に表示させる(ステップS195)。
なお、ディスプレイ62に表示される比較結果は、2時点の特徴値の比較結果に限定されず、3時点以上の複数の時点の特徴値の比較結果であってもよい。制御回路65は、初期データに含まれる特徴値、及び出荷後の任意の時点で取得された特徴値を記憶回路24から読み出す。制御回路65は、読み出した特徴値と、算出した特徴値とを比較する。
また、制御回路65がディスプレイ62に表示させる画像は、比較結果に限定されない。制御回路65は、超音波診断装置1bから測定条件情報を読み出し、読み出した測定条件を比較結果と共にディスプレイ62に表示させてもよい。また、制御回路65は、比較結果と共に、感度測定を実施した過去の時点から現時点までの超音波プローブ20の使用履歴をディスプレイ62に表示させてもよい。
また、制御回路65は、比較結果をディスプレイ62へ表示するのみでなく、比較結果情報として通信インタフェース64を介して装置本体10bへ出力してもよい。装置本体10bの制御回路113は、管理装置60から出力された比較結果情報を内部記憶回路18に記憶する。
また、制御回路65が超音波プローブ20の感度に関する情報をディスプレイ62に表示させる際のフローチャートは、図19に限定されない。例えば、制御回路65は、初期データに含まれる特徴値と、算出した特徴値とを比較すると(ステップS194)、表示制御機能654を実行する前に、超音波プローブ20の感度が劣化しているか否かを判断しても構わない。制御回路65は、初期データに含まれる特徴値と、算出した特徴値とを比較すると、判断機能656を実行する。判断機能656を実行すると制御回路65は、特徴値の比較結果に基づき、超音波プローブ20の感度が劣化しているか否かを判断する。制御回路65は、超音波プローブ20の感度が劣化していると判断すると、表示制御機能654を実行し、比較結果をディスプレイ62に表示する。一方、制御回路65は、超音波プローブ20の感度が劣化していないと判断すると、劣化していない旨をディスプレイ62に表示する。
図20は、図18に示される制御回路65が超音波プローブ20の感度補正を超音波診断装置1bへ指示する際のフローチャートの例を表す。
制御回路65は、図19のステップS194で示されるように、初期データに含まれる特徴値と、算出した特徴値とを比較すると、補正制御機能655を実行する。補正制御機能655を実行すると制御回路65は、特徴値の比較結果に基づき、超音波プローブ20に設けられる超音波振動子211の感度のばらつきを補正するように超音波診断装置1bへ指示を出す。
具体的には、制御回路65は、超音波診断装置1bから読み出した初期データに含まれる特徴値から基準値を算出する(ステップS201)。制御回路65は、例えば、測定により得られた特徴値、及び算出した基準値と共に、超音波プローブ20の感度を補正する旨の指示を超音波診断装置1bへ出力する(ステップS202)。
装置本体10bの制御回路113は、管理装置60から補正の指示を受信すると、補正処理機能1136を実行する。補正処理機能1136を実行すると制御回路113は、測定により得られた特徴値が、算出した基準値と略一致するように、超音波振動子211の感度のばらつきを補正する。制御回路113は、補正後の情報を、記憶回路24に記憶されている測定条件情報に記憶する。具体的には、制御回路113は、例えば、超音波送信回路11のパルサ回路の駆動電圧を基準値に基づいてチャンネル毎に変更し、パルサ回路の駆動電圧についての変更値を、記憶回路24に記憶されている測定条件情報に記憶する。
なお、制御回路65が超音波プローブ20の感度補正を超音波診断装置1bへ指示する際のフローチャートは、図20に限定されない。例えば、制御回路65は、初期データに含まれる特徴値と、算出した特徴値とを比較すると(ステップS194)、補正制御機能655を実行する前に、超音波プローブ20の感度が劣化しているか否か、すなわち、補正処理を実施する必要があるか否かを判断しても構わない。例えば、制御回路65は、初期データに含まれる特徴値と、算出した特徴値とを比較すると、判断機能656を実行する。判断機能656を実行すると制御回路65は、特徴値の比較結果に基づき、超音波振動子211についての補正処理の要否を判断する。制御回路65は、補正処理を必要とする超音波振動子211に対し、補正制御機能655を実行する。
また、超音波振動子211の感度のばらつきを補正するための処理は、基準値に基づく補正に限定されない。制御回路113は、例えば、超音波振動子211の再分極を経て超音波振動子211の感度のばらつきを補正しても構わない。
以上のように第2の実施形態では、超音波診断装置1bの制御回路113は、製造出荷時又は製造出荷後の所定時点である第1時点に、超音波プローブ20の記憶回路24に、反射波信号に係る情報を記憶する。反射波信号に係る情報には、例えば、超音波プローブ20の送受信感度に係る特徴値と、この特徴値を取得した際の測定条件とが含まれる。管理装置60は、第1時点後の保守点検等のタイミング(第2時点)で超音波診断装置1bと接続する。管理装置60の制御回路65は、超音波診断装置1bと接続すると、記憶回路24に記憶されている測定条件に基づいて超音波プローブ20の送受信感度に係る特徴値を取得する。そして、制御回路65は、記憶回路24に記憶されている初期の特徴値と、新たに取得した特徴値との比較結果をディスプレイ62に表示するようにしている。これにより、管理装置60は、出荷後、所定の期間が経過した後の超音波プローブ20の送受信感度の変化を、即座に操作者へ知らせることが可能となる。このため、操作者は、超音波プローブ20の劣化に迅速に対応可能となり、サービス性が向上することになる。
また、第2の実施形態では、制御回路65は、超音波プローブ20の感度が劣化しているか否かを判断し、劣化している場合には比較結果をディスプレイ62に表示し、劣化していない場合にはその旨をディスプレイ62に表示するようにしている。これにより、操作者は、超音波プローブ20の送受信感度が劣化したか否かを容易に判断することが可能となる。
また、第2の実施形態では、制御回路65は、特徴値の比較結果に基づき、超音波プローブ20に設けられる超音波振動子211の感度のばらつきを、超音波診断装置1bに補正させるようにしている。これにより、超音波プローブ20の感度が基準とする時点の感度と同等程度に回復すると共に、超音波振動子211の感度のばらつきを抑えることが可能となる。
また、第2の実施形態では、制御回路65は、2時点で取得された特徴値を比較することで、超音波振動子211に対する補正処理が必要であるか否かを判断する。そして、必要である場合、制御回路65は、超音波振動子211の感度のばらつきを、超音波診断装置1bに補正させるようにしている。これにより、第1時点から第2時点までの間で送受信感度が劣化した超音波プローブ20に対し、超音波振動子211の感度のばらつきを補正することになるため、超音波診断装置1bの処理負担を抑えることが可能となる。
なお、第2の実施形態においても、制御回路113は、製造出荷時又は製造出荷後の所定時点に受信した反射波信号の波形情報を記憶回路24に記憶させても構わない。また、超音波プローブ20の記憶回路24は、装置本体10bに設けられる内部記憶回路18で代用されても構わないし、外部装置30に設けられる記憶回路で代用されても構わない。
したがって、上記実施形態に係る超音波診断装置1,1a及びプローブ感度管理システムによれば、超音波プローブの経時的な劣化を補正できる。また、超音波診断装置1,1a及びプローブ感度管理システムによれば、超音波プローブの経時的な劣化を評価できる。
実施形態の説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central processing unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、上記各実施形態の各プロセッサは、プロセッサ毎に単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、上記各実施形態における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。