JP7250534B2 - エンコーダおよびエンコーダ付きモータ - Google Patents

エンコーダおよびエンコーダ付きモータ Download PDF

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Description

本発明は、感磁素子が搭載される基板を備えたエンコーダおよびエンコーダ付きモータに関する。
特許文献1には、ロータの回転を検出するエンコーダが開示されている。特許文献1のエンコーダは、基板に搭載される感磁素子(磁気センサ)と、モータの出力軸と一体に回転する磁石を備える。基板はモータケースに固定されたホルダによって支持される。感磁素子を搭載した基板はエンコーダカバー(カバー部材)によって覆われる。エンコーダカバーは、エンコーダケースの内側面に固定される。
特許文献1では、エンコーダカバーの内側に弾性変形可能な防塵部材が配置される。防塵部材は、エンコーダカバーと基板との間で圧縮されて基板に押し付けられている。防塵部材で基板を覆うことにより、基板に付着していた導電性の異物の移動や新たな異物の付着が抑制されるため、導電性の異物によって基板上の回路が短絡することを抑制できる。
特開2016-3888号公報
特許文献1では、防塵部材は基板全体を覆っている。このため、基板全体に防塵部材からの圧力がかかっており、基板上の電子部品への影響が懸念される。特に、高性能な電子部品の性能への影響が無視できなくなっており、感磁素子においても、基板に加わる応力による抵抗値の変化の影響が無視できなくなっている。このため、感磁素子の感度の変化により精度の良い検出ができないおそれがある。
また、エンコーダカバーで基板全体を覆うと、基板上のコネクタまでエンコーダカバーで覆うことになるため、エンコーダカバーの高さをコネクタより大きくしなければならず、エンコーダカバーとコネクタの間に隙間を作らなくてはならない。従って、エンコーダが大型化するという問題がある。
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、基板を覆うエンコーダカバーおよび防塵部材を備えたエンコーダにおいて、防塵部材から基板へ加わる圧力による感磁素子の感度の変化を抑制し、且つ、エンコーダの大型化を抑制することにある。
上記の課題を解決するために、本発明のモータは、回転軸と一体に回転する磁石と、前記磁石と対向する感磁素子と、前記感磁素子およびコネクタが搭載される基板と、前記磁石と反対側から前記基板を覆うエンコーダカバーと、前記エンコーダカバーと前記基板との間に配置される防塵部材と、を有し、前記基板は、前記磁石と反対側から見て前記カバーの開口部から前記エンコーダカバーの外側へ延びている露出部分、および、前記エンコーダカバーに覆われた収容部分を備え、前記露出部分に前記コネクタが配置され、前記磁石は、周方向にN極とS極が1極ずつ着磁された第1磁石を含み、前記収容部分に配置される少なくとも1つの前記感磁素子のうち、最も前記コネクタ側に位置する前記感磁素子を前記第1磁石に対向する第1感磁素子とした場合に、前記防塵部材は、前記第1感磁素子の中心に対して前記開口部側に配置され、前記エンコーダカバーと前記基板との間で圧縮されて前記開口部を塞ぐことを特徴とする。
本発明では、このように、感磁素子が搭載された基板を覆うエンコーダカバーが開口部を備えており、開口部からエンコーダカバーの外側に延びている基板の部分(露出部分)にコネクタが配置される。従って、エンコーダカバーとコネクタの間に必要以上な隙間を作らなくてもよく、また、エンコーダカバーの高さをコネクタより低くすることもできるので、エンコーダカバーを設けたことによるエンコーダの大型化を抑制できる。また、開口部を塞ぐ防塵部材を備えているので、基板上へ異物が移動することを抑制できる。さらに、防塵部材は、最もコネクタ側に位置する感磁素子の中心より開口部側に配置されているため、防塵部材の使用量が少なくて済む配置でありながら、基板上への異物の侵入を効果的に抑制できる。また、防塵部材からの応力が感磁素子の配置領域全体に加わることがないため、基板に加わる応力による感度の変化を抑制でき、検出精度の低下を抑制できる。
本発明において、前記開口部は、前記磁石と反対側から見て直線状の直線部を備え、前記防塵部材は、前記直線部に沿う形状であることが好ましい。このようにすると、防塵部材の形状を単純にすることができるため、部品としての材料取りがよく、材料コストを低減させることができ、製造も容易である。また、開口部への位置決めが容易であるため、防塵部材の取付作業が容易である。
本発明において、前記直線部は、前記コネクタの長手方向に沿って延びていることが好ましい。このように、コネクタの長手方向が開口部に沿う方向となるようにコネクタを配置することにより、開口部の外側に基板を大きく突出させる必要がない。従って、基板の大型化を抑制でき、エンコーダの大型化を抑制できる。
本発明において、前記磁石は、前記第1磁石、および、N極とS極が周方向に交互に複数着磁された第2磁石を備え、前記感磁素子は、前記第1磁石と対向する前記第1感磁素子、および、前記第2磁石と対向する第2感磁素子を備え、前記第2感磁素子は、前記磁石と反対側から見て、前記防塵部材と重ならない位置にあることが好ましい。このように、複数着磁された磁石の磁界を検出する感磁素子を防塵部材から離して配置することにより、応力による感度変化に敏感な感磁素子への応力の影響を抑制できる。従って、検出精度の低下を抑制できる。
本発明において、前記防塵部材は、多孔体であることが好ましい。このようにすると、基板や電子部品との接触によって変形しやすい。従って、感磁素子への応力の影響を抑制しつつ、異物の移動を抑制できる。また、弾性変形可能な多孔体であれば、簡易な打ち抜き加工によって所望の形状を得ることができる。また、形状精度が低くても開口部を塞ぐことができる。従って、防塵部材を安価に製造できる。
本発明において、前記防塵部材は、半独立半連続気泡体であることが好ましい。半独立半連続気泡体は、独立気泡体より柔らかいので、基板や電子部品との接触によって独立気泡体より変形させやすい。従って、感磁素子への応力の影響を抑制しつつ、異物の移動を抑制できる。
次に、本発明のエンコーダ付きモータは、上記のエンコーダと、前記回転軸を備えたモータと、を有することを特徴とする。
本発明によれば、感磁素子が搭載された基板を覆うエンコーダカバーが開口部を備えており、開口部からエンコーダカバーの外側に延びている基板の部分(露出部分)にコネク
タが配置される。従って、エンコーダカバーとコネクタの間に必要以上な隙間を作らなくてもよく、また、エンコーダカバーの高さをコネクタより低くすることもできるので、エンコーダカバーを設けたことによるエンコーダの大型化を抑制できる。また、開口部を塞ぐ防塵部材を備えているので、開口部から基板上へ異物が移動することを抑制できる。さらに、防塵部材は、最もコネクタ側に位置する感磁素子の中心より開口部側に配置されているため、防塵部材の使用量が少なくて済む配置でありながら、開口部からの異物の侵入を効果的に抑制できる。また、防塵部材からの応力が感磁素子の配置領域全体に加わることがないため、基板に加わる応力による感度の変化を抑制でき、検出精度の低下を抑制できる。
本発明を適用したエンコーダを備えたエンコーダ付きモータの外観斜視図である。 エンコーダ、第1軸受ホルダ、および回転軸の断面図(図1のA-A断面図)およびその部分拡大図である。 エンコーダ、第1軸受ホルダ、および回転軸の断面図(図1のB-B断面図)である。 エンコーダ、第1軸受ホルダ、および回転軸を反出力側から見た分解斜視図である。 エンコーダ、第1軸受ホルダ、および回転軸を出力側から見た分解斜視図である。 エンコーダケースを取り外したエンコーダおよび第1軸受ホルダの斜視図である。 エンコーダカバーの固定構造および防塵部材の配置領域の説明図である。 回路基板組を反出力側から見た分解斜視図である。 回路基板組を出力側から見た分解斜視図である。
以下に、図面を参照して、本発明を適用したエンコーダおよびエンコーダ付きモータの実施形態を説明する。図1は本発明を適用したエンコーダ10を備えたエンコーダ付きモータ1の外観斜視図である。図2はエンコーダ10、第1軸受ホルダ42A、および回転軸2の断面図(図1のA-A断面図)およびその部分拡大図であり、図3はエンコーダ10、第1軸受ホルダ42A、および回転軸2の断面図(図1のB-B断面図)である。また、図4、図5はエンコーダ10、第1軸受ホルダ42A、および回転軸2の分解斜視図であり、図2は反出力側L2から見た分解斜視図、図3は出力側L1から見た分解斜視図である。
エンコーダ付きモータ1は、回転軸2を備えるモータ3と、回転軸2の回転を検出するエンコーダ10を備える。本明細書において、XYZの3方向は互いに直交する方向であり、これら3方向の一方側をそれぞれX1、Y1、Z1とし、他方側をそれぞれX2、Y2、Z2とする。Z方向は回転軸2の中心軸線Lと平行であり、X方向およびY方向は中心軸線Lと直交する。
(モータ)
モータ3は、ロータおよびステータ(図示省略)を収容するモータケース4を備える。ロータは回転軸2と一体に回転し、ステータはモータケース4に固定される。モータケース4から外部へ突出する回転軸2の端部には、被駆動部材が連結される。本明細書において、モータケース4から回転軸2が突出する方向を出力側L1とし、出力側L1の反対側を反出力側L2とする。エンコーダ10は、モータ3の反出力側L2の端部に固定される。
図1に示すように、モータケース4は、中心軸線L方向に延びる筒状ケース41と、筒状ケース41の反出力側L2の端部に固定される第1軸受ホルダ42Aと、筒状ケース41の出力側L1の端部に固定される第2軸受ホルダ(図示省略)を備える。エンコーダ10は、第1軸受ホルダ42Aに対して反出力側L2から固定される。図4に示すように、第1軸受ホルダ42Aは、出力側L1に凹む円形凹部44と、円形凹部44の外周側に拡がるフランジ45と、円形凹部44の縁に沿って反出力側L2に突出する環状壁46を備える。
図2~図4に示すように、円形凹部44の底部中央には軸受43が保持される。軸受43は、回転軸2の反出力側L2の端部を回転可能に支持する。また、円形凹部44の底部には、軸受43の外周部分を反出力側L2から押さえるように環状のプレート47が取り付けられる。回転軸2は、プレート47の中心に設けられた貫通孔48に通され、軸受43に支持される。プレート47は、3本のねじによって円形凹部44の底部に固定される。
本形態では、プレート47は磁性材からなり、モータ3側からエンコーダ10側へ侵入する磁気ノイズを遮蔽する。プレート47の外周縁には、等角度間隔の3箇所に切り欠き471が形成されている。切り欠き471には、後述するエンコーダホルダ14の脚部150が配置される。
(エンコーダ)
図2~図5に示すように、エンコーダ10は、第1軸受ホルダ42Aに固定されるエンコーダケース11と、エンコーダケース11の内側に配置されるエンコーダカバー12と、エンコーダカバー12の内側に配置される回路基板組13と、回路基板組13が固定されるエンコーダホルダ14と、エンコーダホルダ14の内周側に配置される磁石組立体15と、エンコーダケース11とエンコーダカバー12の間に配置されるケーブル案内部材20を備える。
磁石組立体15は、反出力側L2の面に配置される磁石16を備えており、回転軸2の反出力側L2の先端に固定される。従って、磁石16は回転軸2と一体に回転する。回路基板組13は、基板ホルダ50と、基板ホルダ50に固定される基板60とを備える。回路基板組13は、回転軸2に固定された磁石16と対向する感磁素子17を備えており、感磁素子17の信号は、基板60上のエンコーダ回路に入力される。本形態では、感磁素子17としてMR素子を用いる。
(エンコーダケース)
エンコーダケース11は、中心軸線L方向に見た場合に略矩形の端板部111と、端板部111の外周縁から出力側L1へ延びる筒状の側板部112を備える。図1に示すように、側板部112のX1側を向く側面には、エンコーダケーブル5を通すための配線取り出し部113が設けられている。図4、図5に示すように、配線取り出し部113は、側板部112に形成された切り欠き部117と、切り欠き部117に取り付けられる保持部材118と、保持部材118および切り欠き部117を覆うエンコーダケーブルホルダ119を備える。
エンコーダケース11と第1軸受ホルダ42Aは、側板部112の出力側L1の端面とフランジ45との間にシール部材114を介在させて、4箇所の角部に固定ねじを締め込むことによって固定される。本形態では、エンコーダケース11およびモータケース4はアルミなどの非磁性材からなる。
(エンコーダホルダ)
図4、図5に示すように、エンコーダホルダ14は、円形の磁石配置孔141が形成された胴部140と、胴部140から外周側に突出する3本の脚部150を備える。図5に示すように、脚部150の出力側L1の端面は、胴部140の出力側L1の端面よりも出力側L1に突出している。脚部150は、第1軸受ホルダ42Aの円形凹部44の内側に配置され、プレート47の外周縁に形成された切り欠き471に配置されて、円形凹部44の底面に当接する。脚部150には、ホルダ固定ねじ145を通す固定孔147が設けられている。エンコーダホルダ14は、3本のホルダ固定ねじ145によって脚部150が円形凹部44の底面にねじ止めされることにより、第1軸受ホルダ42Aに固定される。エンコーダホルダ14を第1軸受ホルダ42Aに固定すると、磁石配置孔141の中央に、回転軸2および磁石組立体15が配置される。
エンコーダホルダ14には、回路基板組13が固定される。図4に示すように、エンコーダホルダ14は、胴部140の反出力側L2の端面である環状面143を備えており、環状面143から突出するボス部144を3箇所に備えている。回路基板組13は、3本の基板固定ねじ65によってボス部144にねじ止めされる。回路基板組13は、ボス部144の先端面に反出力側L2から当たることにより、中心軸線L方向に位置決めされる。エンコーダホルダ14に回路基板組13を固定することにより、回路基板組13に搭載された感磁素子17と、磁石組立体15の磁石16とが所定のギャップで対向する。
エンコーダホルダ14に回路基板組13を固定する際、回路基板組13の周方向の位置決めは、位置決めピン66を用いて行われる。図5に示すように、回路基板組13は、位置決めピン66の端部が嵌まる2箇所の位置決め孔131を備える。位置決め孔131は、基板ホルダ50に設けられている。一方、図4に示すように、エンコーダホルダ14は、環状面143よりも反出力側L2に突出する凸部を2箇所に備えており、各凸部は、位置決めピン66の端部が嵌まる位置決め孔146を備える。エンコーダホルダ14と回路基板組13は、周方向に離間した2箇所において、2本の位置決めピン66の一端および他端をそれぞれエンコーダホルダ14の位置決め孔146と回路基板組13の位置決め孔131に嵌め込むことにより、周方向に位置決めされる。位置決めピン66はスプリングピンであるため、回路基板組13の周方向のがたつきを防止して位置決めを行うことができる。
(磁石組立体)
磁石組立体15は、磁石ホルダ19と、磁石ホルダ19に保持される磁石16を備える。図2~図5に示すように、磁石ホルダ19は、略円板状の磁石保持部191と、磁石保持部191の中心から出力側L1に突出する筒状の軸部192を備える。軸部192には、回転軸2の先端が圧入、接着剤、および止めネジの何れか、あるいは、これらを併用して固定される。本形態では、軸部192を径方向に貫通するねじ孔に止めネジが締め込まれ、軸部192の中心を通る軸孔に配置される回転軸2を側面から固定する。図2~図4に示すように、磁石16は、磁石保持部191の中央に形成された凹部に嵌合する円形の第1磁石161、および、磁石保持部191の外周縁に形成された段部に嵌合する環状の第2磁石162を備える。第1磁石161は周方向にN極とS極が1極ずつ着磁されている。一方、第2磁石162はN極とS極が周方向に交互に複数極ずつ着磁されている。
磁石ホルダ19は磁性材からなる。磁石保持部191は、第1磁石161と第2磁石162の磁気干渉を抑制するためのシールド部193と、第2磁石162の出力側L1に位置するヨーク部194(図8、図9参照)を備える。磁石組立体15において、第1磁石161と第2磁石162は径方向に離間しており、シールド部193は、第1磁石161と第2磁石162の間に配置される。シールド部193は、反出力側L2に突出する環状凸部であり、ヨーク部194は、第2磁石162の出力側L1において径方向外側へ環状
に延びている。
(エンコーダカバー)
図6は、エンコーダケースを取り外したエンコーダおよび第1軸受ホルダの斜視図である。図7は、エンコーダカバーの固定構造および防塵部材の配置領域の説明図である。図2~図7に示すように、エンコーダカバー12は、回路基板組13に対して磁石16とは反対側(反出力側L2)から対向する端板部121と、端板部121の外周縁から出力側L1へ延びる側板部122を備える。図2、図3に示すように、エンコーダカバー12は、回路基板組13を磁石16とは反対側(反出力側L2)から覆っている。側板部122は回路基板組13の外周側を囲んでおり、回路基板組13に搭載された感磁素子17の外周側を囲んでいる。側板部122の先端は、回路基板組13よりも出力側L1まで延びている。図3、図6に示すように、エンコーダカバー12は、側板部122の先端がエンコーダホルダ14の環状面143に当接することにより、中心軸線L方向に位置決めされる。
エンコーダカバー12は、配線取り出し部113とは反対側(X2側)を向く開口部123を備える。開口部123は、端板部121および側板部122の周方向の一部を径方向と直交する平面で直線状に切り欠いた切り欠き部である。回路基板組13は、X2側の端部がエンコーダカバー12の外部に配置される。従って、基板60は、開口部123の外側に配置される露出部分61Aと、エンコーダカバー12に収容される収容部分61Bを備える。回路基板組13は、基板60の露出部分61Aに配置されたコネクタ18を備える。コネクタ18をエンコーダカバー12の外側に配置することにより、エンコーダカバー12の高さを小さくすることができ、エンコーダ10の全体高さを小さくすることができる。
図6に示すように、エンコーダカバー12の開口部123は、反出力側L2から見て回路基板組13と重なる直線部127を備える。直線部127は、端板部121の端部であり、Y方向に延びている。コネクタ18は、長手方向をY方向に向けて、直線部127の中央部分に沿って配置される。直線部127の中央には、端板部121のエッジをX1側へ折り曲げた折り曲げ部128が設けられている。後述するように、エンコーダカバー12とエンコーダケース11の間には、コネクタ18に接続されるエンコーダケーブル5が通るケーブル通路23が設けられている。ケーブル通路23はX方向に延びており、反出力側L2から見て直線部127の中央部分と重なっている。折り曲げ部128は、ケーブル通路23に面した範囲に設けられている。
エンコーダカバー12は、導電性の固定部材125により、回路基板組13に固定される。図4、図7に示すように、エンコーダカバー12には、端板部121を貫通する固定孔124が2箇所に設けられている。また、回路基板組13には、エンコーダカバー12の固定孔124と対向する2箇所に、固定孔132が設けられている。2本の固定部材125の一端を固定孔132に嵌め込み、他端をエンコーダカバー12の固定孔124に嵌め込むことにより、エンコーダカバー12が回路基板組13に対して固定される。固定孔124、132は、周方向に離間した2箇所に設けられている。固定部材125はスプリングピンであり、固定部材125の端部は、固定孔124、132に圧入される。固定部材125としてスプリングピンを用いることにより、エンコーダカバー12の周方向のがたつきが防止される。従って、固定部材125により、エンコーダカバー12の周方向の位置決めを行うことができる。
固定部材125は導電性の金属(例えば、SUS)からなる導通部材である。固定孔132は基板60に設けられており、2箇所のうちの1箇所は、基板60上のエンコーダ回路のシグナルグランドと電気的に接続されるランドが設けられたグランドスルーホール1
33である。従って、2箇所の固定孔132に固定部材125を嵌め込むことにより、2本の固定部材125のうちの1本は、基板60上のエンコーダ回路のシグナルグランドと電気的に接続される。
エンコーダカバー12は、導電性を有する磁性材からなり、シールド部材(第1シールド部材)として機能する。例えば、エンコーダカバー12は鉄、パーマロイなどで形成されている。本形態では、エンコーダカバー12は、SPCCやSPCEなどの磁性金属板をプレス加工して形成されている。このように、磁性材で形成されたエンコーダカバー12によって感磁素子17を備えた回路基板組13を覆うことにより、磁性材によって外乱磁界などの磁気ノイズおよび電磁波ノイズを吸収し、感磁素子17およびエンコーダ回路を磁気ノイズおよび電磁波ノイズから遮蔽することができる。また、エンコーダカバー12は、2本の固定部材125のうちの1本を介して、エンコーダ回路のシグナルグランドと電気的に接続される。このように、シグナルグランド電位の部材によって回路基板組13を覆うことにより、感磁素子17およびエンコーダ回路をモータケース4からのフレームグランドノイズなどの電気的ノイズから遮蔽することができる。
また、後述するように、回路基板組13は、基板60を出力側L1から覆う基板ホルダ50を備えており、基板ホルダ50には、感磁素子17を覆うようにシールド部材80(第2シールド部材)が取り付けられている。基板ホルダ50およびシールド部材80は、導電性の金属、例えばアルミからなり、エンコーダ回路のシグナルグランドと接続されている。従って、感磁素子17およびエンコーダ回路は、磁石16側からも電気的ノイズから遮蔽されているため、開口部123を除く全方位で電気的ノイズから遮蔽されている。
(防塵部材)
図2に示すように、エンコーダカバー12と基板60との間には、開口部123を塞ぐ防塵部材126が配置される。防塵部材126は弾性部材からなり、回路基板組13に対してエンコーダカバー12を固定した状態では、エンコーダカバー12の端板部121と基板60との間で圧縮されている。図5~図7に示すように、防塵部材126は直線状の部材であり、開口部123の縁に沿って直線状に延びている。開口部123に防塵部材126を配置することにより、導電性の異物が基板60上へ侵入することを抑制することができる。
図6に示すように、防塵部材126は、開口部123の直線部127に沿ってY方向に延びている。図5に示すように、防塵部材126は、X方向の幅およびZ方向の高さが一定の直方体状の部材である。図7に示すように、防塵部材126の配置領域Cは、基板60の中心よりも開口部123側(X2側)である。後述するように、感磁素子17は、基板60の中心に搭載された第1感磁素子171と、基板ホルダ50のX1側の縁に配置された第2感磁素子172を備える。2つの感磁素子のうち、最もコネクタ18側に配置される感磁素子は第1感磁素子171であり、防塵部材126は、第1感磁素子171の中心に対して開口部123側(X2側)に位置する。第2感磁素子172は、基板60の中心に対して防塵部材126が配置される側とは反対側の端部に配置され、反出力側L2から見て防塵部材126と全く重ならない位置に配置されている。
防塵部材126は絶縁性の多孔体である。例えば、防塵部材126は、ゴムやウレタン等の絶縁材料からなる発泡体である。本形態では、防塵部材126は半独立半連続気泡体であり、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)からなる。このように、防塵部材126はスポンジ状の柔らかい弾性部材であるため、基板60とエンコーダカバー12との間で両部材に密着する形状に変形して、開口部123を塞いでいる。防塵部材126は、組立前の形状はエンコーダカバー12と基板60との隙間より大きく、組み立てることによって圧縮されている。
なお、防塵部材126として多孔体を用いる代わりに、絶縁性の充填剤をエンコーダカバー12と基板60との隙間に注入して隙間を塞いでもよい。例えば、充填剤として、常温で硬化するシリコーンゴム系の弾性接着剤を用いることができる。
(ケーブル案内部材)
図2~図5に示すように、エンコーダケース11とエンコーダカバー12の間には、同一形状の2個のケーブル案内部材20が配置される。ケーブル案内部材20は、XZ面と平行な案内面21と、案内面21とは反対側を向く円弧面22を備える。2個のケーブル案内部材20は、円弧面22が同一円上に位置し、且つ、案内面21がY方向に対向するように位置決めされて、エンコーダケース11に固定される。エンコーダケース11の端板部111には、2個のケーブル案内部材20を図2、図3に示す配置で位置決めするための位置決め部が設けられている。
図3に示すように、エンコーダケース11は、端板部111から出力側L1へ突出する円弧状のリブ115と、リブ115の内周側に設けられた凸部116を備える。リブ115および凸部116は、ケーブル案内部材20を位置決めするための位置決め部である。リブ115は、ケーブル案内部材20の円弧面22と接触し、凸部116は、ケーブル案内部材20を貫通する位置決め孔24に配置される。ケーブル案内部材20は、例えば、接着剤によって端板部111に固定される。
ケーブル案内部材20は、弾性部材からなり、エンコーダカバー12の端板部121とエンコーダケース11の端板部111との間で圧縮される。ケーブル案内部材20は、防塵部材126と同様に、絶縁性の多孔体である。本形態では、防塵部材126は独立気泡体であり、マイクロセルポリマーシートからなる。エンコーダカバー12は、ケーブル案内部材20の弾性復帰力により、エンコーダホルダ14に押し付けられる。従って、振動等によってエンコーダカバー12が回路基板組13から外れるおそれを少なくすることができる。
2個のケーブル案内部材20の間の空間は、X方向に延びるケーブル通路23となる。図4に示すように、回路基板組13は、基板60の中心を挟んで配線取り出し部113とは反対側の端部(X2側の端部)にコネクタ18が配置され、コネクタ18の差し込み口181は、配線取り出し部113とは反対側(X2側)を向いている。エンコーダケーブル5の先端に設けられたケーブル側コネクタ6は、配線取り出し部113とは反対側からコネクタ18の差し込み口181に接続される。エンコーダケーブル5は、コネクタ18からX2側へ引き出され、コネクタ18のX2側でX1側へ折り返す形状に屈曲させられ、ケーブル通路23を通って配線取り出し部113へ引き回される。従って、エンコーダケーブル5は、コネクタ18から配線取り出し部113とは反対側へ引き出されて配線取り出し部113の側へ折り返される第1部分5Aと、ケーブル案内部材20に沿って配線取り出し部113の側へ直線状に延びる第2部分5Bを備える。
上記のように、エンコーダカバー12の開口部123は、ケーブル通路23に面した範囲に折り曲げ部128が設けられている。従って、エンコーダケーブル5は端板部121のエッジに接触することはなく、折り曲げ部128に接触するので、エンコーダケーブル5が損傷するおそれが少ない。
(回路基板組)
図8は回路基板組13を反出力側L2から見た分解斜視図であり、図9は回路基板組13を出力側L1から見た分解斜視図である。図8、図9に示すように、回路基板組13は、基板ホルダ50と、基板ホルダ50に対して反出力側L2から当接する基板60と、基
板ホルダ50に対して基板60を固定する導電性の固定部材70と、基板ホルダ50に出力側L1から固定されるシールド部材80を備える。基板60は、中心軸線L方向に見て略円形であり、X2側の縁にコネクタ18が搭載されている。コネクタ18は、基板60の縁を直線状に切り欠いた直線部61に沿って配置されている。基板ホルダ50は、中心軸線L方向に見て基板60と略同一形状であり、基板60と基板ホルダ50は、中心軸線L方向に当接する。
基板60には、基板ホルダ50に対する固定用の固定孔62が2箇所に形成されている。2箇所の固定孔62は、基板ホルダ50の中心を挟んで反対側に配置されている。また、2箇所の固定孔62のうちの一方は、基板60に搭載されたエンコーダ回路のシグナルグランドと電気的に接続されたグランドスルーホール621である。なお、2箇所の固定孔62のどちらをグランドスルーホール621にしても良い。また、固定孔62を3か所以上設け、3か所で基板60と基板ホルダ50を固定してもよい。
基板ホルダ50は、基板60と対向する平面部53と、平面部53の外周縁から反出力側L2に立ち上がる縁部54を備える。平面部53には、基板60の固定孔62と対向する2箇所に固定孔51が形成されている。固定部材70の一端および他端を、それぞれ、基板60の固定孔62と基板ホルダ50の固定孔51に嵌め込むことにより、基板ホルダ50に基板60が固定される。固定部材70はスプリングピンである。固定部材70としてスプリングピンを用いることにより、基板ホルダ50に対する基板60のがたつきが防止される。また、上記のように、固定部材70は導電性の金属、例えばSUSで形成された導通部材であり、固定孔62のうちの1つはグランドスルーホール621であるため、固定部材70を介して基板ホルダ50に基板60が取り付けられると、固定部材70およびグランドスルーホール621を介して、基板ホルダ50が基板60に搭載されたエンコーダ回路のシグナルグランドと電気的に接続される。なお、固定部材70を半田接合により固定孔62に固定してもよい。
基板ホルダ50には、エンコーダホルダ14のボス部144に対応する3か所に基板固定ねじ65を通すためのボス部52が形成されている。本形態では、ボス部52の反出力側L2の先端面が、基板60と当接する当接面となっている。また、ボス部52の出力側L1の端面は、エンコーダホルダ14と当接する当接面となっている。
基板60には、ボス部52と対向する3か所に固定孔63が形成されている。回路基板組13は、3本の基板固定ねじ65をそれぞれ基板60の固定孔63および基板ホルダ50のボス部52に通して、その先端をエンコーダホルダ14のボス部144にねじ止めすることにより、エンコーダホルダ14に固定される。エンコーダホルダ14は樹脂などの絶縁材からなる。従って、エンコーダホルダ14を介して第1軸受ホルダ42Aに回路基板組13を固定すると、基板ホルダ50は第1軸受ホルダ42Aから絶縁される。
基板60は、反出力側L2を向く反出力側基板面60a、および、出力側L1を向く出力側基板面60bを備える。反出力側基板面60aには、エンコーダ回路を構成する回路素子、エンコーダケーブル5を接続するためのコネクタ18、および、接続端子173などが搭載されている。接続端子173は、基板60の外周縁に配置され、基板60の中心を挟んでコネクタ18とは反対側に配置されている。基板60の外周縁には、接続端子173の径方向外側に切り欠き部64が形成されている。図9に示すように、感磁素子17は、出力側基板面60bの中央に配置される第1感磁素子171、および、フレキシブル配線基板174を介して接続端子173と接続される第2感磁素子172を備える。フレキシブル配線基板174は、基板60の切り欠き部64を通り、基板60の出力側L1に引き回されている。第1感磁素子171および第2感磁素子172は、それぞれ、基板60上に構成されたエンコーダ回路のシグナルグランドと接続されるグランド端子(図示省
略)を備える。また、出力側基板面60bには、第1感磁素子171の近傍に2つのホール素子175が搭載されている。2つのホール素子175は、感磁素子17の位置を基準として90度離れた角度位置に配置されている。
基板ホルダ50の平面部53の中央には、円形の貫通孔56が形成されている。また、平面部53の出力側L1の面には、出力側L1に突出する段差部57が形成されている。段差部57は、貫通孔56を囲む領域から平面部53の外周縁に向かって帯状に延びている。段差部57には、略矩形の貫通孔58が形成されている。基板ホルダ50に基板60を固定したとき、貫通孔56に第1感磁素子171およびホール素子175が配置される。また、貫通孔58には、フレキシブル配線基板174を介して基板60上の接続端子173と接続された第2感磁素子172が配置される。第2感磁素子172は、貫通孔58の縁に固定され、基板ホルダ50に搭載されている。
回路基板組13をエンコーダホルダ14に対して固定すると、図2、図3に示すように、第1感磁素子171と第1磁石161が対向し、第2感磁素子172と第2磁石162が対向する。エンコーダ10は、第1感磁素子の出力側L1の表面と第1磁石161との間、および、第2感磁素子172の出力側L1の表面と第2磁石162の間に所定のギャップが形成されるように組み立てられている。
第1感磁素子171およびその近傍に配置される2個のホール素子175と第1磁石161は、1回転で得られる第1感磁素子171の出力の周期を2個のホール素子175により判別することでアブソリュートエンコーダとして機能する。一方、第2感磁素子172と第2磁石162は、1回転で複数周期の出力が得られるため、インクリメンタルエンコーダとして機能する。エンコーダ10は、これらの2組のエンコーダの出力を処理することにより、高分解能で、且つ、高精度な位置検出を行うことができる。
(シールド部材)
シールド部材80は、基板ホルダ50の段差部57に出力側L1から取り付けられている。シールド部材80は可撓性のシート材であり、段差部57に形成された貫通孔56および貫通孔58を完全に塞ぐ大きさである。段差部57は出力側L1を向くシールド取付面59を備えており、シールド部材80は、導電性接着剤を介してシールド取付面59に固定される。上記のように、シールド部材80は、基板ホルダ50と同様に、導電性の非磁性金属、例えばアルミで形成されている。このため、シールド部材80は、基板ホルダ50を介して、基板60に搭載されたエンコーダ回路のシグナルグランドと電気的に接続される。
シールド部材80は、貫通孔56に配置された第1感磁素子171、および、貫通孔58に配置された第2感磁素子172を覆っている。従って、第1感磁素子171および第2感磁素子172は、シールド部材80を介して第1磁石161および第2磁石162と対向する。基板ホルダ50にシールド部材80を取り付けたことにより、第1感磁素子171と第2感磁素子172は、シグナルグランド電位の部材(基板ホルダ50およびシールド部材80)によってモータ3から遮蔽される。従って、第1磁石161および第2磁石162との隙間から回り込んでくるフレームグランドノイズや電源ノイズなどを効果的に遮蔽できる。なお、第1感磁素子171と第2感磁素子172は、シールド部材80を介して第1磁石161および第2磁石162と対向するが、シールド部材80は非磁性金属であるため、電磁波ノイズについては良好に遮蔽しつつ、磁気式のエンコーダとしての機能が損なわれることはない。
(ターミナル部材)
エンコーダケーブル5は、複数の信号線を金属製の網状のシールドで覆ったシールドケ
ーブルである。エンコーダケーブル5の端部には、信号線から絶縁されて信号線を覆うシールドと接続されたフレームグランド線が複数の信号線と並んで引き出されている。フレームグランド線は、基板60上にエンコーダ回路と絶縁されて設けられたパターンおよびターミナル部材9を介して、モータ3のフレームグランド電位と電気的に接続される。
図6、図7に示すように、エンコーダホルダ14を第1軸受ホルダ42Aに固定する3本のホルダ固定ねじ145のうちの1本は、エンコーダホルダ14の脚部150とターミナル部材9とを重ねて固定するターミナル固定ねじ145Aとなっている。エンコーダホルダ14の胴部140のX2側の部分には、出力側L1へ凹んだ形状の切り欠き部149が設けられている。切り欠き部149の外周側には3箇所の脚部150のうちの1つが配置され、ターミナル部材9は切り欠き部149および脚部150と重なっている。
ターミナル部材9は導電性の板金部材であり、本形態では、銅製である。ターミナル部材9は、エンコーダホルダ14の切り欠き部149から脚部150の上へ延びる固定部91と、固定部91から回路基板組13の側へ延びる腕部92を備える。固定部91には、脚部150に設けられた固定孔147(図5参照)と重なる長孔93が設けられている。固定部91は、導電性の固定部材であるターミナル固定ねじ145Aの頭部と脚部150との間に挟まれ、ターミナル固定ねじ145Aによって脚部150と共に第1軸受ホルダ42Aにねじ止めされる。従って、ターミナル部材9は、ターミナル固定ねじ145Aを介してモータケース4のフレームグランドと電気的に接続される。
基板60には、コネクタ18と周方向で並ぶ位置に第1貫通孔7が形成されている。また、基板ホルダ50には、基板60の第1貫通孔7と中心軸線L方向で重なる位置に第2貫通孔8が形成されている。ターミナル部材9の腕部92は、固定部91から周方向に延びる第1部分94と、第1部分94に対して略直角に屈曲して反出力側L2へ延びる第2部分95を備える。回路基板組13をエンコーダホルダ14に固定すると、第2部分95の先端部96が第1貫通孔7および第2貫通孔8に配置される。第2部分95の先端部96を第1貫通孔7に半田付けすると、ターミナル部材9は、第1貫通孔7の縁に設けられたランド7aと電気的に接続される。
図2、図6に示すように、エンコーダケーブル5の端部には、基板60上のコネクタ18に接続されるケーブル側コネクタ6が設けられている。ケーブル側コネクタ6は、複数の信号線およびフレームグランド線のそれぞれに対応する端子を備える。
図8に示すように、基板60上のコネクタ18には、複数の端子接続部182がコネクタ18の幅方向に一列に並んで設けられている。複数の端子接続部182のうちの1箇所の端子接続部182bは、基板60に設けられたパターンを介して、第1貫通孔7の縁に設けられたランド7aと電気的に接続されている。また、他の端子接続部182aの一部あるいは全部が、基板60上に設けられたエンコーダ回路と接続されている。ここで、ランド7aと端子接続部182bとを接続するパターンは、エンコーダ回路および他の端子接続部182aからは絶縁され、エンコーダ回路のシグナルグランドとは絶縁されている。なお、第1貫通孔7は、パターンと電気的に接続されたスルーホールであってもよい。
ケーブル側コネクタ6を基板60上のコネクタ18に接続すると、エンコーダケーブル5のフレームグランド線に対応する端子は、ランド7aと電気的に接続されている端子接続部182bと接続される。従って、エンコーダケーブル5のフレームグランド線は、ランド7aおよび基板60上のパターンを介して、第1貫通孔7に半田付けされたターミナル部材9と電気的に接続され、ターミナル部材9を介して、モータケース4のフレームグランドと接続される。一方、基板ホルダ50に形成された第2貫通孔8は基板60の第1貫通孔7より一回り大きく、ターミナル部材9は第2貫通孔8の縁とは接触しない。従っ
て、基板ホルダ50は、ターミナル部材9を介してモータケース4のフレームグランドと電気的に接続されることはない。
このように、本形態では、エンコーダケーブル5を基板60に接続する際に、ケーブル側コネクタ6を基板60上のコネクタ18に差し込むだけで、エンコーダケーブル5がモータケース4のフレームグランドと電気的に接続される。エンコーダケーブル5をモータケース4のフレームグランドと電気的に接続することにより、エンコーダケーブル5の外部から侵入する電気的ノイズの遮蔽効果を高めることができる。従って、エンコーダ10のノイズ耐性を高めることができる。
(本形態の主な作用効果)
以上のように、本形態のエンコーダ10は、回転軸2と一体に回転する磁石16と、磁石16と対向する感磁素子17と、感磁素子17およびコネクタ18が搭載される基板60と、磁石16と反対側から基板60を覆うエンコーダカバー12と、エンコーダカバー12と基板60との間に配置される防塵部材126とを有する。また、基板60は、磁石16と反対側から見てカバーの開口部123からエンコーダカバー12の外側へ延びている露出部分61A、および、エンコーダカバー12に覆われた収容部分61Bを備え、露出部分61Aにコネクタ18が配置され、収容部分61Bに感磁素子17が配置される。そして、最もコネクタ18側に位置する感磁素子17は基板60の中央に配置される第1感磁素子171であるが、防塵部材126は、第1感磁素子171の中心に対して開口部123側に配置され、エンコーダカバー12と基板60との間で圧縮されて開口部123を塞いでいる。
本形態では、このように、感磁素子17が搭載された基板60を覆うエンコーダカバー12が開口部123を備えており、開口部123からエンコーダカバー12の外側に延びている基板60の部分(露出部分61A)にコネクタ18が配置される。従って、エンコーダカバーとコネクタの間に必要以上な隙間を作らなくてもよく、また、エンコーダカバー12の高さをコネクタ18より低くすることもできるので、エンコーダカバー12を設けたことによるエンコーダ10の大型化を抑制できる。また、開口部123を塞ぐ防塵部材126を備えているので、開口部123から基板60上のエンコーダ回路側へ異物が移動することを抑制できる。さらに、防塵部材126は、最もコネクタ18側(最もX2側)に位置する感磁素子17の中心より開口部123側に配置されているため、防塵部材126の使用量が少なくて済む配置でありながら、開口部123からの異物の侵入を効果的に抑制できる。また、防塵部材126からの応力が感磁素子17の配置領域全体に加わることがないため、基板60に加わる応力による感度の変化を抑制でき、検出精度の低下を抑制できる。
本形態では、エンコーダカバー12の開口部123は、磁石16と反対側から見て直線状の直線部127を備え、防塵部材126は、直線部127に沿う形状である。従って、防塵部材126の形状が単純であるため、部品としての材料取りがよく、材料コストを低減させることができ、製造も容易である。また、開口部123への位置決めが容易であるため、防塵部材126の取付作業が容易である。
本形態では、直線部127は、コネクタ18の長手方向に沿って延びている。このように、コネクタ18の長手方向が開口部123に沿う方向となるようにコネクタ18を配置することにより、開口部123の外側に基板60を大きく突出させる必要がない。従って、基板60の大型化を抑制でき、エンコーダ10の大型化を抑制できる。
本形態では、磁石16は、周方向にN極とS極が1極ずつ着磁された第1磁石161、および、N極とS極が周方向に交互に複数着磁された第2磁石162を備え、感磁素子1
7は、第1磁石161と対向する第1感磁素子171、および、第2磁石162と対向する第2感磁素子172を備え、第2感磁素子172は、磁石16と反対側から見て、防塵部材126と重ならない位置にある。従って、複数着磁された磁石16の磁界を検出する感磁素子17が防塵部材126から最も遠い側に配置されているので、応力による感度変化に敏感な第2感磁素子172への応力の影響を抑制できる。従って、検出精度の低下を抑制できる。
本形態では、防塵部材126は多孔体であって柔らかいため、基板60や基板60上の電子部品との接触によって防塵部材126が変形しやすい。従って、感磁素子17への応力の影響を抑制しつつ、異物の移動を抑制できる。また、単なる多孔体でなく、半独立半連続気泡体であるため、独立気泡体より柔らかい。従って、基板60や電子部品との接触によって独立気泡体より変形させやすい。また、弾性変形可能な多孔体は、簡易な打ち抜き加工によって所望の形状に加工できる。さらに、形状精度が低くても開口部123を塞ぐことができる。従って、製造コストが安価である。
本形態では、エンコーダカバー12は、導電性の第1シールド部材として機能する。また、磁石16側から基板60を覆う導電性の基板ホルダ50を有し、基板ホルダ50には、磁石16側から感磁素子17を覆うシールド部材(第2シールド部材)が固定される。従って、基板60を磁石16側および磁石16とは反対側から導電性のシールド部材で覆うことができるので、電磁波ノイズの影響による検出精度の低下を抑制できる。また、基板ホルダ50およびシールド部材80は、磁石16側から感磁素子17が露出する部分を覆うため、防塵部材としても機能している。
(変形例)
上記形態では、回路基板組13が基板60と基板ホルダ50を備えており、第1感磁素子171は基板60に搭載され、第2感磁素子172は基板ホルダ50に固定されてフレキシブル配線基板174によって基板60に接続されているが、回路基板組13は、基板ホルダ50を備えていない構成であってもよい。例えば、第1感磁素子171および第2感磁素子172を基板60に搭載し、エンコーダホルダ14に基板60を当接させて固定する構造を採用してもよい。
1…エンコーダ付きモータ、2…回転軸、3…モータ、4…モータケース、5…エンコーダケーブル、6…ケーブル側コネクタ、7a…ランド、7…第1貫通孔、8…第2貫通孔、9…ターミナル部材、10…エンコーダ、11…エンコーダケース、12…エンコーダカバー、13…回路基板組、14…エンコーダホルダ、15…磁石組立体、16…磁石、17…感磁素子、18…コネクタ、19…磁石ホルダ、20…ケーブル案内部材、21…案内面、22…円弧面、23…ケーブル通路、24…位置決め孔、41…筒状ケース、42A…第1軸受ホルダ、43…軸受、44…円形凹部、45…フランジ、46…環状壁、47…プレート、48…貫通孔、50…基板ホルダ、51…固定孔、52…ボス部、53…平面部、54…縁部、56…貫通孔、57…段差部、58…貫通孔、59…シールド取付面、60…基板、60a…反出力側基板面、60b…出力側基板面、61…直線部、61A…露出部分、61B…収容部分、62、63…固定孔、64…切り欠き部、65…基板固定ねじ、66…位置決めピン、70…固定部材、80…シールド部材、90…折り曲げ位置、91…固定部、92…腕部、93…長孔、94…第1部分、95…第2部分、96…先端部、111…端板部、112…側板部、113…配線取り出し部、114…シール部材、115…リブ、116…凸部、117…切り欠き部、118…保持部材、119…エンコーダケーブルホルダ、121…端板部、122…側板部、123…開口部、124…固定孔、125…固定部材、126…防塵部材、127…直線部、128…折り曲げ部、131…位置決め孔、132…固定孔、133…グランドスルーホール、140…胴
部、141…磁石配置孔、143…環状面、144…ボス部、145…ホルダ固定ねじ、145A…ターミナル固定ねじ、146…位置決め孔、147…固定孔、149…切り欠き部、150…脚部、161…第1磁石、162…第2磁石、171…第1感磁素子、172…第2感磁素子、173…接続端子、174…フレキシブル配線基板、175…ホール素子、181…差し込み口、182、182a、182b…端子接続部、191…磁石保持部、192…軸部、193…シールド部、194…ヨーク部、471…切り欠き、621…グランドスルーホール、C…防塵部材の配置領域、L…中心軸線、L1…出力側、L2…反出力側

Claims (7)

  1. 回転軸と一体に回転する磁石と、
    前記磁石と対向する感磁素子と、
    前記感磁素子およびコネクタが搭載される基板と、
    前記磁石と反対側から前記基板を覆うエンコーダカバーと、
    前記エンコーダカバーと前記基板との間に配置される防塵部材と、を有し、
    前記基板は、前記磁石と反対側から見て前記エンコーダカバーの開口部から前記エンコーダカバーの外側へ延びている露出部分、および、前記エンコーダカバーに覆われた収容部分を備え、
    前記露出部分に前記コネクタが配置され、
    前記磁石は、周方向にN極とS極が1極ずつ着磁された第1磁石を含み、
    前記収容部分に配置される少なくとも1つの前記感磁素子のうち、最も前記コネクタ側に位置する前記感磁素子を前記第1磁石に対向する第1感磁素子とした場合に、
    前記防塵部材は、前記第1感磁素子の中心に対して前記開口部側に配置され、前記エンコーダカバーと前記基板との間で圧縮されて前記開口部を塞ぐことを特徴とするエンコーダ。
  2. 前記開口部は、前記磁石と反対側から見て直線状の直線部を備え、
    前記防塵部材は、前記直線部に沿う形状であることを特徴とする請求項1に記載のエンコーダ。
  3. 前記直線部は、前記コネクタの長手方向に沿って延びていることを特徴とする請求項2に記載のエンコーダ。
  4. 前記磁石は、前記第1磁石、および、N極とS極が周方向に交互に複数着磁された第2磁石を備え、
    前記感磁素子は、前記第1磁石と対向する前記第1感磁素子、および、前記第2磁石と対向する第2感磁素子を備え、
    前記第2感磁素子は、前記磁石と反対側から見て、前記防塵部材と重ならない位置にあることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のエンコーダ。
  5. 前記防塵部材は、多孔体であることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載のエンコーダ。
  6. 前記防塵部材は、半独立半連続気泡体であることを特徴とする請求項5に記載のエンコーダ。
  7. 請求項1から6の何れか一項に記載のエンコーダと、
    前記回転軸を備えたモータと、を有することを特徴とするエンコーダ付きモータ。
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