JP7250329B2 - 報知音検出装置および報知音検出方法 - Google Patents
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Description
聴覚障害者に対して警報音等が鳴ったことを腕時計の振動あるいは光などで知らせる技術が提案されており、そのために警報音などの報知音を検出する発明が提案されている。
この特許文献1、2に記載された報知音検出装置では、音声信号の処理に用いられる技術のように、複雑な音声処理を行う情報処理が必要であって、大容量のメモリや高い演算機能をもつCPU等を必要とするので装置が高価なものとなる。また、既存の報知音のパターンと比較して、報知音を判定するので、報知音のパターンを収集記憶して比較する必要があり、装置が高価なものになりやすい。
この特許文献3の技術は、一つの周波数であるピークスペクトルが指定時間連続しているときに報知音と認識するため、一つのピークスペクトルが連続するサイレンのような連続音での報知音を検出するには適するが、玄関チャイム等の音の周波数が段階的に変化するチャイム音のような報知音を検出することには適しない。
例えば、音階は、次の式で表される。
f=A4×2n/12
但しnは整数である。
A4 は、一般的に440Hzが用いられているため、周波数解析部の分離する周波数としては、・・・ 391.995Hz(fG4)、415.305Hz(fG#4)、440.000Hz(fA4)、466.164Hz(fA♯4)、493.883Hz(fB4)・・・のように、隣り合う周波数が等比となる周波数にバンドパスフィルタを通過させる。周波数解析部12での、バンドパスフィルタとしての動作は、ディジタルフィルタとして機能させる離散フーリエ変換(DFT)で実現できる。
この音階の周波数に分離された音響信号は後段のピーク判定部13に出力される。
所定の範囲とは、パワーの最大値となる周波数が高い周波数である、例えば1kHz以上である高音や、あるいは100Hzを下回る低音を除いて、報知音として使用される範囲の周波数に限定するものである。JISなどの報知音のガイドラインでは、1kHz以上あるいは100Hz以下の周波数は、報知音の中心周波数として使用が想定されていないので、所定範囲を超える高音、低音は、報知音として除外する。また、閾値は、通常人の耳に報知音として聞こえる程度のパワー値を有する音を選択するためであり、パラメータとして設定することができる。そして、閾値を上回る周波数が複数ある場合は、最大のパワー値を有する周波数の音を一つだけ選択出力する。
ピーク値選択部131は、入力された複数の周波数のパワー値を設定された閾値と比較し、さらに複数の周波数のパワー値を比較するCPUの比較機能を用いることで実現できる。
短時間判定は、ピーク周波数が安定して出ていることを判定するものであり、例えば、72ms間、ピーク周波数が連続して現れているかを判定する。
一方、長時間判定は、ピーク周波数が短時間(例えば72ms)連続したことが、どの程度の頻度で現れているかを判定して、報知音であるかを判定するものである。機械の出す報知音は、「ピーンポーン」、「ピコ、ピコ」というようにその音階が変化しながら連続して発するものがあるので、このような音階が変化しながら連続する報知音を短時間判定と長時間判定とを組み合わせることで判定することができる。
報知音は、ピーク周波数は、時間で変化しても、その変化は、周期的であって、また、ピーク周波数は一定時間連続しているのに対して、雑音などの音は、ピーク周波数が、ランダムに現れており、また、その持続時間も一定時間継続するというものではない。
また、人の音声も、ピーク周波数が一定時間継続することは少ないものであり、報知音のように、ピーク周波数が比較的長い時間連続するというものではないので、ピーク周波数が連続する報知音と区別することができる。例えば、「アー」という音が会話中で長く維持されることは少なく、会話では、常に音声のピーク周波数は移動しており、報知音と区別することができる。さらに、楽器が出す音楽音は、音階を伴う音であるけれども、音階の変化が報知音と異なり、同じピーク周波数の連続が少ない音であるから、ピーク周波数が連続する報知音と区別することができる。
例えば、ピーク周波数選択部131が出力したピーク周波数を8msごとにサンプリングし、ピーク周波数が現れておれば、「1」をシフトレジスタに入れ、サンプリングごとにその値をシフトしていく。ピーク周波数が検出できない場合には、シフトレジスタに「0」を入れる。8msごとのサンプリングの結果を9回シフトレジスタに入れて、9回、すなわち、72msの間シフトレジスタの値が「1」で連続しているかをみる。連続している場合は、連続したことを示す「1」を出力し、シフトレジスタの中身を全て「0」にリセットする。一つでも「0」があり、連続していない場合は、「0」を出力する。
これにより、ピーク周波数が、72ms連続して現れたことを検出できる。
例えば、2.05sのうち、10回、短時間判定部141の出力「1」が現れていたら、報知音が発生したと判定する。
このように、短時間判定部141の判定と、長時間判定部142の判定とから、報知音が発生したことを判定できる。
まず、選択されたピーク周波数をサンプリングして、パワー値を検出して、パワー値が、閾値を超えていれば、短時間判定部141のシフトレジスタに「1」を入れる(ステップS1)。次の8ms後に、同じピーク周波数のパワー値が閾値を超えていれば、短時間判定部142のシフトレジスタに「1」を入れ、前の「1」をシフトする。同じピーク周波数のパワー値が閾値を超えない場合、あるいは、ピーク周波数選択部131において、ピーク周波数が変わってしまい、前回のピーク周波数と同じ周波数ではなくなった場合は、ピーク周波数を検出してないとして、シフトレジスタには、「0」を入れ、前回の「1」をシフトする。この「0」を入れるときは、同じピーク周波数が検出できないときであるから、音階が変化してピーク周波数が変わってしまったときだけでなく、音響信号が小さくなって、ピーク周波数のパワー値が閾値を下回ったときを含む。
このようにピーク周波数が9個連続したときに、「1」を出力するので、72msの間ピーク周波数が連続したことを短時間判定することができる。ピーク周波数を8msごとのサンプリングで検出できないときは、その都度、短時間判定の判定結果として、「0」が出力される。
この例では、長時間判定部142のシフトレジスタには、8msごとの短時間判定部141の出力が入力されるので、72ms、連続した場合のみ、「1」が入力され、「1」になった後、最短でもシフトレジスタは、9個後でなければ、「1」にならない。
また、報知音が音階を変化し、また間欠する音であれば、シフトレジスタには、短時間判定の「1」が全て連続することはなくても、「1」の現れる回数が、2.05s中に所定回数現れることになるから、256個のシフトレジスタ内の「1」の数をカウントすることで、報知音であることを検出できる。
報知音であるかないかの判定は、シフトレジスタとそのレジスタ内のデータのカウントを行う動作で実現できるので、少ないメモリ量と少ない演算量で判定動作を行うことができる。これにより、安価なハードウェアで報知音検出装置を実現できる。
また、和音を含むメロディ音であっても、機械が発生する音であって、各音(周波数)のバランスは一定であり、最大パワー値は安定しているので、ピーク周波数が移り変わっても、その連続性を判定することで報知音であることを検出することができる。
上述の説明では、短時間判定部141で、ピーク判定部13が出力するピーク周波数とパワー値(最大)を8msごとにサンプリングして、閾値を上回るかを判定するものとして説明したが、ピーク判定部13で、8msごとにサンプリングして、閾値を超えた最大のピーク周波数を検出したときは、「1」を、検出しなかったときは、「0」を出力して、短時間判定部141では、ピーク判定部13の出力「1」が所定回数連続して現れたかをカウントするようにしてもよい。
上述の短時間判定部141は、シフトレジスタに、8msごとのサンプリングで、閾値を上回るピーク周波数を検出したときは、シフトレジスタに「1」を入れ、順次サンプリングごとにシフトして、72msごとに、シフトレジスタが全て「1」であるかを判定することで、72msの間、ピーク周波数が連続して現れたかを判定することで説明したが、シフトレジスタを用いることなく、ピーク周波数が連続して安定して現れたかを判定することが可能である。また、サンプリング周波数、ピーク周波数が連続していることの判定時間は、上述の例に限られず、検出したい報知音により自由に設定できる。
この場合、長時間判定部142への出力は、72msごとに出力されなくてもよく、ピーク周波数が72ms連続した場合だけ短時間判定部141のピーク周波数の連続性の出力が現れるようにしてもよい。長時間判定部142側のカウントにより、2.05s間にピーク周波数が連続して現れた頻度をカウントすればよいので、長時間判定部142で、その時間内に現れる短時間判定部141のピーク周波数の連続性の出力の頻度が判定できるから、報知音を判定することは可能である。
11 A/D変換部
12 周波数解析部
13 ピーク判定部
131 ピーク周波数選択部
14 報知音判定部
141 短時間判定部
142 長時間判定部
1411、1421 シフトレジスタ
Claims (6)
- 入力された音響信号に含まれる報知音を検出する報知音検出装置であって、
入力された音響信号を所定の周波数比からなる周波数に分離する周波数解析部と、
分離された周波数のうちで、そのパワー値が所定の閾値を超えた最大である周波数を選択するピーク判定部と、
前記ピーク判定部の出力に基づいて報知音であるかを判定する報知音判定部と
を有し、
前記報知音判定部は、
前記ピーク判定部が選択した周波数が第一の時間連続して現れたかを判定する短時間判定部と、
前記短時間判定部で判定した第一の時間連続して現れた回数が前記第一の時間より長い第二の時間に所定の頻度現れたことを判定する長時間判定部と
を有する、
ことを特徴とする報知音検出装置。 - 請求項1に記載の報知音検出装置であって、
前記周波数解析部は、離散フーリエ解析を行って、前記音響信号を所定の周波数比の音階の周波数に分離する
ことを特徴とする報知音検出装置。 - 請求項1または2に記載の報知音検出装置であって、
前記短時間判定部は、前記ピーク判定部が選択した周波数の信号が第一の時間連続して現れたときは「連続して現れた旨」を出力する判定手段を備え、
前記長時間判定部は、前記短時間判定部の出力を記憶し、前記短時間判定部の「連続して現れた旨」の出力が前記第二の時間内に所定の頻度に達すると報知音の検出出力を行う判定手段を備えた、
ことを特徴とする報知音検出装置。 - 入力された音響信号に含まれる報知音を検出する報知音検出方法であって、
入力された音響信号を所定の周波数比からなる周波数に分離する周波数解析ステップと、
前記周波数解析ステップで、分離された周波数のうちで、そのパワー値が所定の閾値を超えた最大の周波数を選択するピーク判定ステップと、
前記ピーク判定ステップの出力に基づいて報知音であるかを判定する報知音判定ステップと
を有し、
前記報知音判定ステップは、
前記ピーク判定部が選択した周波数が第一の時間連続して現れたかを判定する短時間判定ステップと、
前記短時間判定ステップで判定した第一の時間連続して現れた回数が前記第一の時間より長い第二の時間に所定の頻度現れたことを判定する長時間判定ステップと
を有する、
ことを特徴とする報知音検出方法。 - 請求項4に記載の報知音検出方法であって、
前記周波数解析ステップは、離散フーリエ解析を行って、前記音響信号を所定の周波数比の音階の周波数に分離する
ことを特徴とする報知音検出方法。 - 請求項4または5に記載の報知音検出方法であって、
前記短時間判定ステップは、前記ピーク判定ステップが選択した周波数の信号が第一の時間連続して現れたときは「連続して現れた旨」を出力し、
前記長時間判定ステップは、前記短時間判定ステップの出力を記憶し、前記短時間判定ステップの「連続して現れた旨」の出力が前記第二の時間内に所定の頻度に達すると報知音の検出出力を行う、
ことを特徴とする報知音検出方法。
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織田修平他,聴覚障害者支援を目的とした報知音の振動呈示による伝達方法とその有効性の検証,電子情報通信学会技術研究報告,2004年10月,Vol.104,No.386,pp.41-46 |
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