図1は、本開示の1以上の例に係るゴルフクラブヘッドの概略斜視図である。
図2は、本開示の1以上の例に係る、図1のゴルフクラブヘッドの概略斜視図である。
図3は、本開示の1以上の例に係る、図1のゴルフクラブヘッドの概略側面立面図である。
図4は、本開示の1以上の例に係る、図1のゴルフクラブヘッドの別の概略側面立面図である。
図5は、本開示の1以上の例に係る、図1のゴルフクラブヘッドの概略正面図である。
図6は、本開示の1以上の例に係る、図1のゴルフクラブヘッドの概略背面図である。
図7は、本開示の1以上の例に係る、図1のゴルフクラブヘッドの概略上面図である。
図8は、本開示の1以上の例に係る、図1のゴルフクラブヘッドの概略底面図である。
図9Aは、本開示の1以上の例に係る、図5の線9-9に沿う、図1のゴルフクラブヘッドの概略断面側面立面図である。
図9Bは、本開示の1以上の例に係る、図9Aのゴルフクラブヘッドの詳細の概略断面側面立面図である。
図10は、本開示の1以上の例に係る、図1のゴルフクラブヘッドの概略分解斜視図である。
図11は、本開示の1以上の例に係る、図1のゴルフクラブヘッドの別の概略分解斜視図である。
図12は、本開示の1以上の例に係る、図1のゴルフクラブヘッドのボディの概略上面図である。
図13は、本開示の1以上の例に係る、図1のゴルフクラブヘッドのボディの概略底面図である。
図14は、本開示の1以上の例に係る、図1のゴルフクラブヘッドのボディの概略分解斜視図である。
図15は、本開示の1以上の例に係る、図1のゴルフクラブヘッドのボディの別の概略分解斜視図である。
図16は、本開示の1以上の例に係る、別のゴルフクラブヘッドの概略斜視図である。
図17は、本開示の1以上の例に係る、図16の線16-16に沿う、図16のゴルフクラブヘッドの概略断面側面立面図である。
図18は、本開示の1以上の例に係る、別のゴルフクラブヘッドの概略分解斜視図である。
図19は、本開示の1以上の例に係る、更に別のゴルフクラブヘッドの概略分解斜視図である。
図20は、本開示の1以上の例に係る、図19のゴルフクラブヘッドの概略分解斜視図である。
図21は、本開示の1以上の例に係る、図19のゴルフクラブヘッドのリングの概略正面立面図である。
図22は、本開示の1以上の例に係る、ゴルフクラブヘッドの面部分の概略背面図である。
図23は、本開示の1以上の例に係る、ゴルフクラブヘッドの面部分の概略背面図である。
図24は、本開示の1以上の例に係る、図56の面部分の概略斜視図である。
図25は、本開示の1以上の例に係る、ゴルフクラブヘッドの面部分の概略背面図である。
図26は、本開示の1以上の例に係る、ゴルフクラブヘッドの打撃プレートの概略正面立面図である。
図27は、本開示の1以上の例に係る、ゴルフクラブヘッドの打撃プレートの概略底面図である。
図28Aは、本開示の1以上の例に係る、ゴルフクラブヘッドの打撃プレートのヒール部分の概略底面断面図である。
図28Bは、本開示の1以上の例に係る、ゴルフクラブヘッドの打撃プレートのトウ部分の概略底面断面図である。
図29は、本開示の1以上の例に係る、ゴルフクラブヘッドの打撃プレートのポリマー層の概略断面図である。
図30は、本開示の1以上の例に係る、図9Bの線30-30と同様の線に沿う、ゴルフクラブヘッドの概略断面底面平面図である。
図31は、本開示の1以上の例に係る、図30の線31-31に沿う、図30のゴルフクラブヘッドの前方部分及びクラウン部分の概略断面側面立面図である。
図32は、本開示の1以上の例に係る、図30の線32-32に沿う、図30のゴルフクラブヘッドの前方部分及びクラウン部分の概略断面側面立面図である。
図33は、本開示の1以上の例に係る、第1のレーザーによってレーザーアブレーションされているゴルフクラブヘッドの第1の部分の概略側面立面図である。
図34は、本開示の1以上の例に係る、第2のレーザーによってレーザーアブレーションされているゴルフクラブヘッドの第2の部分の概略側面立面図である。
図35は、本開示の1以上の例に係る、ゴルフクラブヘッドの第2の部分に結合された、ゴルフクラブヘッドの第1の部分の概略側面立面図である。
図36は、本開示の1以上の例に係る、ゴルフクラブヘッドの一部のアブレーションされた表面の、山と谷のアブレーションパターンの概略斜視図である。
図37は、本開示の1以上の例に係る、ゴルフクラブヘッドの一部のアブレーションされた表面の、山と谷のアブレーションパターンの概略側面立面図である。
図38は、本開示の1以上の例に係る、レーザーによってレーザーアブレーションされているゴルフクラブヘッドの打撃プレートの概略斜視図である。
図39は、本開示の1以上の例に係る、レーザーによってレーザーアブレーションされているゴルフクラブヘッドのボディの概略斜視図である。
図40は、本開示の1以上の例に係る、ゴルフクラブヘッドの打撃プレート及びボディの概略斜視分解図である。
図41は、本開示の1以上の例に係る、ゴルフクラブヘッドの打撃プレート及びボディの概略斜視分解図である。
図42は、本開示の1以上の例に係る、ゴルフクラブヘッドを製造する方法の概略フロー図である。
図43は、本開示の1以上の例に係る、ゴルフクラブヘッドを製造する方法の概略フロー図である。
図44は、本開示の1以上の例に係る、ゴルフクラブヘッドの第2の部分に結合された、ゴルフクラブヘッドの第1の部分の概略側面立面図である。
図45は、本開示の1以上の例に係る、ゴルフクラブヘッドの一部のアブレーションパターンの概略上面図である。
図46は、本開示の1以上の例に係る、ゴルフクラブヘッドの一部のアブレーションパターンの概略上面図である。
詳細な説明
以下は、マルチピース構造を有するドライバータイプのゴルフクラブヘッドの文脈におけるゴルフクラブヘッドの例について記載するが、記載される原理、方法、及び設計は、全部又は一部を、フェアウェイウッドゴルフクラブヘッド、ユーティリティゴルフクラブヘッド(ハイブリッドゴルフクラブヘッドとしても知られる)、アイアンタイプのゴルフクラブヘッドに適用可能であり得る。これは、かかるゴルフクラブヘッドもまた、マルチピース構造を有するように作製され得るからである。
本明細書に開示されるいくつかの例では、ゴルフクラブヘッドは、繊維強化ポリマー材料などの非金属材料で形成された打撃面を有する。ゴルフクラブヘッドのボディと非金属製の打撃プレートとの間に形成された接着性接合部の破損は、特性時間(CT)クリープを引き起こし得る。USGAの規制は、ゴルフクラブヘッドがゴルフボールに与える衝撃の数に関わらず、ゴルフクラブヘッドのCTが規制された制限内に収まることを要求している。従来のドライバータイプのゴルフクラブヘッドのCTは、ゴルフボールに多数回衝撃を与えた後、上昇する傾向がある。ゴルフボールとの衝突によるCTの上昇は、CTクリープとして知られている。本明細書に開示される特定の例では、ゴルフクラブヘッドは、ゴルフクラブヘッドの表面構造をより強い接着結合のために最適化するなどによって、ゴルフクラブヘッドのボディと非金属打撃プレートとの間に形成される接着性接合部を強化するように構成される。
参照によりその全体を本明細書に援用する、2014年10月9日公開の米国特許出願公開第2014/0302946A1明細書(‘946出願)は、本願全体を通して議論される各種パラメータを測定するために使用されるアドレス位置と同様の「レファレンス位置」を記載している。アドレス位置又はレファレンス位置は、United States Golf Association and R&A Rules Limited,“Procedure for Measuring the Club Head Size of Wood Clubs,” Revision 1.0.0,(Nov.21,2003)に記載されている手順に基づく。特段の断りがない限り、パラメータはいずれも、クラブヘッドがレファレンス位置にある状態で特定される。
図3、4、5、及び9Aは、アドレス位置又はレファレンス位置にあるゴルフクラブヘッド100を示す例である。ゴルフクラブヘッド100のホーゼル軸191が、地面181に対して60度のライ角θにあるとき(例えば、図5を参照)、ゴルフクラブヘッド100は、アドレス位置又はレファレンス位置にあり、ゴルフクラブヘッド100の打撃面145は、仮想のターゲットライン101に対して正方形である(例えば、図7を参照)。図3、4、5、及び9Aに示されるように、ゴルフクラブヘッド100をアドレス位置又はレファレンス位置にポジショニングすることは、様々な測定を行う際に、打撃面145の幾何学中心(例えば、中心フェイス183)を中心とするクラブヘッド原点座標系185を使用するのに役立つ。ゴルフクラブヘッドがアドレス位置又はレファレンス位置にある状態で、USGA手法を使用して、ヘッドの高さ、クラブヘッドの重心(CG)位置、慣性モーメント(MOI)など、本願全体を通して記載されている各種パラメータを、クラブヘッド原点座標系185に対して又は別の1つ若しくは複数のレファレンスに対して測定することができる。
更なる詳細又は明確さに関して、‘946出願及びUSGA手順に記載されている測定方法を参照することが推奨される。なお、本願で使用されるクラブヘッド原点座標系185に関連付けられた原点と軸は、必ずしも、‘946出願又はUSGA手順で記載されているものと同一の方法で位置合わせ又は方向付けされなくてもよい。クラブヘッド原点座標系185の位置を特定することに関する更なる詳細を、以下に記載する。
いくつかの例では、本明細書に記載のゴルフクラブヘッドは、ドライバータイプのゴルフクラブヘッドを含み、これは、少なくとも3,500mm2、好ましくは少なくとも3,800mm2、更により好ましくは少なくとも3,900mm2(例えば、一例では、3,500mm2~5,000mm2、様々な例では、5,000mm2未満、別の例では、3,700mm2~4,300mm2)の総表面積を有する打撃面を有するゴルフクラブヘッドとして、少なくとも一部特定することができる。打撃面が非金属材料によって定義される場合などのいくつかの例では、打撃面の総表面積は、4,300mm2以下3,300mm2以上である。打撃面の総表面積は、打撃面の最も外側の領域であり、いくつかの例では、面インサートの最も外側の面積であり得る。特定の例では、打撃面の総表面積は、実質的に均一なバルジ半径(即ち、面のヒール-トウ曲率半径)及び実質的に均一なロール半径(即ち、面のクラウン-ソール曲率半径)からゴルフクラブヘッドのボディに面が移行する、全ての点による周囲上に境界を有する打撃面の表面の表面積である。特定の例では、本明細書に開示されるゴルフクラブヘッドの打撃面は、その全体を参照により本明細書に援用する、2019年10月22日出願の米国特許出願公開第2020/0139208号明細書、2014年8月12日発行の米国特許第8,801,541号明細書、及び2011年9月6日発行の米国特許第8,012,039号明細書のうちの1以上と同一の方法で定義される。更にいくつかの例では、打撃面は、例えば、その全体を参照により本明細書に援用する、2020年8月28日出願の米国特許出願第17/006,561号明細書、2017年11月14日発行の米国特許第9,814,944号明細書、2019年4月23日発行の米国特許第10,265,586号明細書、及び2018年10月15日出願の米国特許出願公開第2019/0076705号明細書に記載されているように、より高いロフトトウ(lofted toe)及びより低いロフトヒール(lofted heel)を有する部分を除き、均一なバルジ半径及び均一なロール半径を有する。
更に、特定の例では、ドライバータイプのゴルフクラブヘッドは、水平(y軸)に平行な重心(CG)投影を含み、これは、一例では、垂直軸(z軸)に沿って測定される、打撃面の中心フェイスの上下最大3mm、好ましくは前記中心フェイスの上下最大1mmであり、別の例では、垂直軸(z軸)に沿って測定される、打撃面の中心フェイスの最大5mm下、好ましくは前記中心フェイスの最大4mm下である。いくつかの例では、CG投影は、打撃面の幾何学中心のトウ側にある。更に、いくつかの例では、ドライバータイプのゴルフクラブヘッドは、垂直軸の周りに比較的高い慣性モーメント(例えば、CGを通り、クラブヘッド原点座標系185のz軸と平行なCGのz軸)(例えば、特定の実施では、Izz>400kg・mm2、好ましくはIzz>450kg・mm2、より好ましくはIzz>500kg・mm2であるが、590kg・mm2未満)、水平軸の周りの比較的高い慣性モーメント(例えば、CGを通り、クラブヘッド原点座標系185のx軸と平行なCGのx軸)(例えば、いくつかの例では、Ixx>250kg・mm2、好ましくはIxx>300kg・mm2、又は320kg・mm2、より好ましくはIxx>350kg・mm2、より好ましくはIxx>375kg・mm2、より好ましくはIxx>385kg・mm2、より好ましくはIxx>400kg・mm2、より好ましくはIxx>415kg・mm2、より好ましくはIxx>430kg・mm2、より好ましくはIxx>450kg・mm2であるが、590kg・mm2以下)、及び好ましくはIxx/Izz>0.70の比を有する。慣性Izz及びIxxに関する詳細は、その全体を参照により本明細書に援用する2020年5月7日公開の米国特許出願公開第2020/0139208号明細書にみることができる。
特定の例によれば、IxxとIzzの合計は、780kg・mm2、800kg・mm2、820kg・mm2、825kg・mm2、850kg・mm2、860kg・mm2、875kg・mm2、900kg・mm2、925kg・mm2、950kg・mm2、975kg・mm2、又は1000kg・mm2超であるが、1,100kg・mm2未満である。例えば、IxxとIzzの合計は、740kg・mm2~1,100kg・mm2、例えば、約869kg・mm2であり得る。いくつかの例では、Ixxは、Izzの少なくとも65%であり、更により好ましくは、いくつかの例では、Ixxは、Izzの少なくとも68%である。いくつかの例では、ゴルフクラブヘッド質量は、190グラム~210グラム、好ましくは195グラム~205グラム、更により好ましくは203グラム以下であり得る。ゴルフクラブヘッドの質量は、FCTシステムと、FCTシステムを締めるための留め具との質量を含むが、ゴルフクラブヘッドのシャフト又はゴルフクラブヘッドのグリップは含まない。y軸に平行に測定されたクラブヘッドの前縁から後縁までの最大距離は、好ましくは112mm~127mm、好ましくは115mm~127mm、更により好ましくは119mm~127mmである。
より大きな慣性値及びより低いCG投影(例えば、中心フェイスの上方3mm以下)を、以下に詳細に記載されるように、前方ウェイトと後方ウェイトを含めることによって達成することができる。前方ウェイトは、単一の前方ウェイト又は2以上の前方ウェイトとすることができる。前方ウェイトは、y軸を通る仮想垂直面の近傍に配置することができる、又は、前方ウェイトは、y軸を通る仮想垂直面のトウ側若しくはヒール側、又はゴルフクラブヘッドのy軸を通る仮想垂直面のトウ側とヒール側の両方に対してオフセットさせることができる。前方ウェイトは、別々に形成され、ゴルフクラブヘッドにねじで取り付けられる、溶接される、若しくは結合させることができる、又は前方ウェイトは、ゴルフクラブヘッドの厚みのある領域であることもできる、又は、いくつかの場合には、前方ウェイトを、ゴルフクラブヘッドの前方部分に成形又はオーバーモールドすることができる。前方及び後方ウェイトの様々な位置に関する更なる議論については、以下の記載及び2019年3月5日発行の米国特許第10,220,270号明細書(その全体を参照により本明細書に援用する)を参照されたい。前方ウェイトは、ゴルフクラブヘッドの重心の前方にあり、後方ウェイトは、ゴルフクラブヘッドの重心の後方にある。
いくつかの例では、本明細書に記載のゴルフクラブヘッドは、25mm以下、好ましくは20mm~25mmのデルタ-1値を有する。ドライバータイプのゴルフクラブヘッドのデルタ-1は、ゴルフクラブヘッドのCGとXZ面との間の、ヘッド中心フェイス原点座標系185のy軸に沿う距離であり、前記XZ面は、ヘッド中心フェイス原点座標系185のX軸及びZ軸を通り且つホーゼル軸191を通る。特定の例では、ゴルフクラブヘッドのIxxが少なくとも335kg・mm2であり、デルタ-1が25mm以下であり、ゴルフクラブヘッドのIxxが少なくとも345kg・mm2であり、デルタ-1が25mm以下であり、ゴルフクラブヘッドのIxxが少なくとも355kg・mm2であり、デルタ-1が25mm以下であり、ゴルフクラブヘッドのIxxが少なくとも365kg・mm2であり、デルタ-1が25mm以下である、又はゴルフクラブヘッドのIxxが少なくとも375kg・mm2であり、デルタ-1が25mm以下である。
いくつかの例では、本明細書に記載のゴルフクラブヘッドは、20mm~35mmのデルタ-1値を有する。特定の例では、ゴルフクラブヘッドのIxxが少なくとも335kg・mm2であり、デルタ-1が22mm~32mmであり、ゴルフクラブヘッドのIxxが少なくとも345kg・mm2であり、デルタ-1が22mm~32mmであり、ゴルフクラブヘッドのIxxが少なくとも355kg・mm2であり、デルタ-1が22mm~32mmであり、ゴルフクラブヘッドのIxxが少なくとも365kg・mm2であり、デルタ-1が22mm~32mmであり、ゴルフクラブヘッドのIxxが少なくとも375kg・mm2であり、デルタ-1が23mm~32mmであり、ゴルフクラブヘッドのIxxが少なくとも385kg・mm2であり、デルタ-1が24mm~32mmであり、ゴルフクラブヘッドのIxxが少なくとも395kg・mm2であり、デルタ-1が25mm~32mmであり、又はゴルフクラブヘッドのIxxが少なくとも405kg・mm2であり、デルタ-1が27mm~32mmである。
図1及び図2を参照すると、いくつかの例によれば、本開示のゴルフクラブヘッド100は、トウ部分114と、トウ部分114の反対側のヒール部分116とを含む。更に、ゴルフクラブヘッド100は、前方部分112(例えば、面部分)と、前方部分112の反対側の後方部分118とを含む。ゴルフクラブヘッド100は、ゴルフクラブヘッド100の下部領域にあるソール部分117と、ソール部分117の反対側でゴルフクラブヘッド100の上部領域にあるクラウン部分119とを更に含む。また、ゴルフクラブヘッド100は、ゴルフクラブヘッド100が、クラウン部分119とソール部分117との間を移る移行領域を画定するスカート部分121を含む。したがって、スカート部分121は、クラウン部分119とソール部分117との間に配置され、ゴルフクラブヘッド100の周囲に延びる。図9Aを参照すると、ゴルフクラブヘッド100は、前方部分112と、後方部分118と、クラウン部分119と、ソール部分117と、ヒール部分116と、トウ部分114と、スカート部分121が共に画定し、囲む内部空洞113を更に含む。
打撃面145は、前方部分112に沿って、ソール部分117からクラウン部分119まで、及びトウ部分114からヒール部分116まで延びる。更に、打撃面145、及び打撃面145の反対側の前方部分112の内表面166の少なくとも一部は、上下方向において平面状である。更に定義されるように、打撃面145は、概して前方方向を向いている。いくつかの例では、打撃面145は、ボディ102と共成形される。かかる例では、打撃面145での前方部分112の最小厚みは、1.5mm~2.5mmであり、打撃面145での前方部分112の最大厚みは、3.7mm未満である。打撃面145の反対側の前方部分112の内表面166は、化学的にエッチングされておらず、いくつかの例では、0.30mm以下のアルファケース厚み(alpha case thickness)を有する。
図9B及び41を参照すると、いくつかの例では、ゴルフクラブヘッド100は、ボディ102と共成形されていない打撃プレート143を含む。打撃プレート143は、ボディ102と別に形成され、結合、溶接、ろう付け、締結などによって、ボディ102に取り付けられる。図示されるように、打撃プレート143は、ゴルフクラブヘッド100の打撃面145を画定する。これらの例では、ボディ102は、ゴルフクラブヘッド100の前方部分112にプレート開口部149と、プレート開口部149の周りに連続的に延びるプレート開口部凹状レッジ147とを含む。プレート開口部凹状レッジ147は、いくつかの例では、非平面状、即ち、湾曲している。プレート開口部凹状レッジ147の内周は、プレート開口部149を画定する。プレート開口部凹状レッジ147は、ゴルフクラブヘッド100のクラウン部分119に沿って隣接してヒールからトウ方向に延びる少なくとも上部プレート開口部凹状レッジ147Aと、ゴルフクラブヘッド100のソール部分117に沿って隣接してヒールからトウ方向に延びる下部プレート開口部凹状レッジ147Bとに分割される。図示されていないが、プレート開口部凹状レッジは、更に、トウ及びヒールプレート開口部凹状レッジに分割される。プレート開口部凹状レッジのいくつかの特性は、その全体を参照により本明細書に援用する2016年3月8日発行の米国特許第9,278,267号明細書にみることができる。
図9Bに示されるように、上部プレート開口部凹状レッジ147Aは、幅(TPLW)及び厚み(TPLT)を有する。幅TPLWは、プレート開口部149を画定するレッジ147Aの内周から、前記内周から離れたレッジ147Aの接着面の最も遠い範囲までの距離として定義される。厚みTPLTは、レッジ147Aの接着面を画定する材料の厚みとして定義される。いくつかの例では、凹部190(例えば、内側凹部)は、ボディ102の内面に形成され、ソールからクラウン方向に、凹部190が、上部プレート開口部凹状レッジ147Aとゴルフクラブヘッド100の上部との間にあるように、後方から前方に延びる深さを有する。換言すれば、凹部190は、上部プレート開口部凹状レッジ147Aと、クラウンからソール方向で重なっている。特に、凹部190の後方では、クラウンの厚みが局所的に増加し、クラウンインサートがクラブヘッドと接合する場所に近接するクラウン部分の厚みを、凹部190における厚みより厚くすることができる。これは、クラウンジョイントの全体構造を堅固にし、複合クラウンジョイントにおける応力を軽減するために行われる。このようにしないと、複合クラウンジョイントは、その領域でひび割れを起こし易く、鋳造物のひび割れ及び/又は接着不良のために複合クラウンジョイントの早期破損に至ることがある。
図30~32を参照すると、いくつかの例では、ゴルフクラブヘッド100は、上部プレート開口部凹状レッジ168に隣接する位置でクラウン部分119に形成された内部マスパッド129を更に含む。内部マスパッド129もまた、ゴルフクラブヘッド100のヒール部分116とトウ部分114との間に配置され、それらからオフセットされる(例えば、離間される)。いくつかの例では、凹部190の一部が内部マスパッド129に形成される。内部マスパッド129は、上部プレート開口部凹状レッジ168の長さの一部分のみに沿って延びる。上部プレート開口部凹状レッジ168の長さは、ヒールからトウ方向に延びる。更に、いくつかの例では、上部プレート開口部凹状レッジ168は、非平面状、即ち湾曲している。いくつかの例によれば、凹部190におけるクラウン部分の厚み(WT)は、内部マスパッド129から遠去かる場合(例えば、図32を参照)より、内部マスパッド129(例えば、図31を参照)で厚い。
特定の例では、上部プレート開口部凹状レッジ147Aの幅TPLWは、4.5mm超(例えば、いくつかの例では5.0mm超、他の例では5.5mm超であるが、いくつかの例では8.0mm未満、好ましくは7.0mm未満)である。いくつかの例では、打撃プレート143の最大高さに対する前記幅TPLWの比は、0.08~0.15である。同一又は異なる例では、プレート開口部149の最大高さに対する前記幅TPLWの比は、0.07~0.15、例えば0.1であり、いくつかの例では、プレート開口部149の最大高さは、50~60mm、例えば53mmである。
いくつかの例によれば、上部プレート開口部凹状レッジ147Aの厚みTPLTは、最小値0.8mm~最大値1.7mm(例えば、いくつかの例では0.9mm~1.6mm、他の例では0.95mm~1.5mm)である。図示されるように、厚みTPLTは、レッジ147Aの内周よりもレッジ147Aの内周から遠去かるほど大きい。したがって、いくつかの例では、厚みTPLTは、レッジ147Aの幅TPLWに沿って変化する。例えば、図示されるように、厚みTPLTは、クラウンからソール方向に(例えば、プレート開口部149の中心に向かって)テーパー状になる又は減少する。いくつかの例では、上部プレート開口部凹状レッジ147Aの上部レッジ厚みTPLTは、上部レッジ厚みTPLTの最大値が上部レッジ厚みTPLTの最小値より30%~60%大きくなるように変化する。特定の例では、打撃プレートの厚みに対するTPLTの厚みの比は、0.2~1.2である。特定の例によれば、厚みTPLTに対する幅TPLWの比は、2.6~10である。
下部プレート開口部凹状レッジ147Bは、幅(BPLW)及び厚み(BPLT)を有する。幅BPLWは、プレート開口部149を画定するレッジ147Bの内周から、内周から離れたレッジ147Bの接着面の最も遠い範囲までの距離として定義される。厚みBPLTは、レッジ147Bの接着面を画定する材料の厚みとして定義される。
特定の例では、下部プレート開口部凹状レッジ147Bの幅BPLWは、4.5mm超(例えば、いくつかの例では5.0mm超、他の例では5.5mm超であるが、いくつかの例では8.0mm未満、好ましくは7.0mm未満)である。いくつかの例では、打撃プレート143の最大高さに対する前記幅BPLWの比は、0.08~0.15である。同一又は異なる例では、プレート開口部149の最大高さに対する前記幅BPLWの比は、0.07~0.15、例えば0.1であり、いくつかの例では、プレート開口部149の最大高さは、50~60mm、例えば53mmである。
いくつかの例によれば、下部プレート開口部凹状レッジ147Bの厚みBPLTは、0.8mm~1.7mm(例えば、いくつかの例では0.9mm~1.6mm、他の例では0.95mm~1.5mm)である。図示されるように、厚みBPLTは、レッジ147Bの内周よりもレッジ147Bの内周から遠去かるほど大きい。したがって、いくつかの例では、厚みBPLTは、レッジ147Bの幅BPLWに沿って変化する。例えば、図示されるように、厚みBPLTは、ソールからクラウン方向に(例えば、プレート開口部149の中心に向かって)テーパー状になる又は減少する。いくつかの例では、下部プレート開口部凹状レッジ147Bの下部レッジ厚みBPLTは、下部レッジ厚みBPLTの最大値が下部レッジ厚みBPLTの最小値より30%~60%大きくなるように変化する。特定の例では、打撃プレートの厚みに対するBPLTの厚みの比は、0.2~1.2である。特定の例によれば、厚みBPLTに対する幅BPLWの比は、2.6~10である。
図示されるように、打撃プレート143は、少なくとも上部プレート開口部凹状レッジ147A及び下部プレート開口部凹状レッジ147Bに着座係合する(seated engagement)ように打撃プレート143を固定することによって、ボディ102に取り付けられる。このようにして、上部プレート開口部凹状レッジ147Aと下部プレート開口部凹状レッジ147Bとを接合すると、打撃プレート143は、プレート開口部149を覆う又は囲む。更に、上部プレート開口部凹状レッジ147Aと打撃プレート143は、ゴルフクラブヘッド100のクラウン部分119に対して、打撃プレート143が、上部プレート開口部凹状レッジ147Aに着座可能に係合したときに、クラウン部分119に当接するようなサイズ、形状、及び配置とされる。クラウン部分119に当接する打撃プレート143は、ゴルフクラブヘッド100のトップラインを画定する。更に、いくつかの例では、打撃プレート143の目に見える外観は、ゴルフクラブヘッド100のクラウン部分119の外観と十分に対照的であり、ゴルフクラブヘッド100のトップラインが視覚的に強調される。打撃プレート143は、ボディ102とは別に形成されるので、打撃プレート143は、ボディ102の材料と異なる材料から形成することができる。一例では、打撃プレート143は、以下に説明するような繊維強化ポリマー材料で形成される。
特に、TPLW、TPLT、BPLW、及びBPLTの寸法は、クラブヘッドの局所的な剛性を制御し、打撃プレートをボディ102に結合するのに十分な結合面積を確保する。繊維強化ポリマー材料から形成された打撃プレートの弾性率は、金属材料から形成されるボディの弾性率と大きく異なり、これらの2つの剛性又は柔軟性が異なり、剛性の差を考慮して設計に注意が払われない限り、衝撃時に、弾性率が異なるため、打撃プレートとボディは異なる速度で移動する。凹部190、TPLW、TPLT、BPLW、及びBPLTの寸法はいずれも、衝撃時に面とボディが動く速度と全体的な柔軟性を制御する役割をする。更に、TPLWとBPLWは、十分な結合面積と面性能の確保に貢献する。結合面積が小さ過ぎると、接着剤接合が成功裏に行われず、結合面積が大き過ぎると、面の性能が低下する。即ち、反発係数が最適化されず、いくつかの例では、結合面積が多き過ぎることで、剛性の差により、面がクラブヘッドから剥離する。したがって、TPLW、TPLT、BPLW、及びBPLTの寸法は、クラブヘッドの全体的な性能に貢献し、結合又は接着剤接合の破損を回避する。いくつかの例では、結合面積は、850mm2~1800mm2、好ましくは1300mm2~1500mm2である。いくつかの例では、打撃プレートの内側表面積(打撃プレートの裏側表面積)に対する結合面積の比は、21%~45%である。いくつかの例では、打撃プレートの総結合面積は、クラウンインサートの総結合面積よりも小さい。いくつかの例では、レッジ幅TPLW及び/又はBPLWは、前方クラウン開口部凹状レッジ168Aのレッジ幅(y軸に沿って測定される前後)よりも小さい。
図31を参照すると、接着剤144の層は、打撃プレート143をボディ102に接着結合する。前方部分112は、プレート開口部凹状レッジ147の深さを規定し、プレート開口部149の中心から離れたプレート開口部凹状レッジ147の半径方向外周を規定する側壁146を含む。側壁146は、プレート開口部凹状レッジ147に対して角度が付けられている(例えば、鋭角、鈍角、又は垂直)。いくつかの例では、側壁146とプレート開口部凹状レッジ147との間の角度は、70°~120°である。特定の例では、側壁146とプレート開口部凹状レッジ147との間の角度は、90°より大きい。ボディ102は、プレート開口部凹状レッジ147と側壁146との間の移行部分を更に含む。移行部分は、いくつかの例では、プレート開口部凹状レッジ147と側壁146の表面を相互に結合させる丸みを帯びた表面(radiused surface)を画定する。接着剤144の層は、プレート開口部凹状レッジ147と打撃プレート143との間に挿入され、側壁146と打撃プレート143との間に挿入される。プレート開口部凹状レッジ147と打撃プレート143との間の接着剤144の層の厚み(LT)は、いくつかの例では、側壁146と打撃プレート143との間の接着剤144の層の厚み(ST)よりも大きい。1つの特定の例によれば、プレート開口部凹状レッジ147と打撃プレート143との間の接着剤144の層の厚み(LT)は、0.25mm~0.45mmであり、側壁146と打撃プレート143との間の接着剤144の層の厚み(ST)は、0.15mm~0.25mmである。
いくつかの例では、打撃プレートは、クラブヘッドの原点を通るz軸に沿って測定したときに、55mm以下、好ましくは55mm以下40mm以上、更により好ましくは49mm~54mmの最大面プレート高さを有し得る。いくつかの例では、繊維強化ポリマー材料で形成された打撃プレートは、4,180mm2以下、好ましくは3,200mm2~4,180mm2、より好ましくは3,500mm2~4,180mm2の前面面積を有し得る。特定の例によれば、打撃面145は、少なくとも300mmの第1のバルジ半径及び少なくとも250mmの第1のロール半径を有する。一般に、バルジ半径が300mmを超えると、CTクリープ率が向上し、300mm以上のバルジ半径及びバルジ半径の30~50mm以内のロール半径を有するクラブヘッドは、良好な性能を示す。
ゴルフクラブヘッド100は、ボディ102、ゴルフクラブヘッド100の上部でボディ102に取り付けられたクラウンインサート108(又はクラウンパネル)、及びゴルフクラブヘッド100の底部でボディ102に取り付けられたソールインサート110(又はソールパネル)を含む(例えば、図10及び11を参照)。したがって、ボディ102は、事実上、1以上のインサート、パネル、又はプレートが取り付けられるフレームを提供する。ボディ102は、鋳造カップ104及びリング106(例えば、後部リング)を含む。リング106は、トウ側ジョイント112A及びヒール側ジョイント112Bで鋳造カップ104に接合される。鋳造カップ104は、ゴルフクラブヘッド100の前方部分112の少なくとも一部を画定する。リング106は、ゴルフクラブヘッド100の後方部分118の少なくとも一部を画定する。更に、鋳造カップ104は、クラウン部分119、ヒール部分116、トウ部分114、及びスカート部分121の一部を画定する。同様に、リング106は、ヒール部分116、トウ部分114、及びスカート部分121の一部を画定する。
鋳造カップ104(又は単にカップ)は、カップ形状である。より具体的には、図14に示されように、打撃面145を含む鋳造カップ104は、一端が打撃面145によって囲まれ、4つの側面(例えば、クラウン部分119、ソール部分117、トウ部分114、及びヒール部分116)によって囲まれており、打撃面145から実質的に横方向に延び、打撃面145の反対側の端部で開放する。したがって、鋳造カップ104は、打撃面145と結合されると、カップ又はカップ様ユニットに類似する。
リング106は、円周方向に閉じられていない、又は連続的な環状若しくは円状の形状を形成していない。これに代えて、リング106は円周方向に開放しており、実質的に半円形の形状を画定する。したがって、本明細書に定義されるように、リング106は、リング様の半円形形状を有し、鋳造カップ104に接合されると、鋳造カップ104と円周方向に閉じた又は環状の形状を形成するので、リングと称される。
鋳造カップ104は、リング106と別に形成され、リング106は、その後、鋳造カップ104に接合される。したがって、ボディ102は、鋳造カップ104がボディ102の1ピースを画定し、リング106がボディ102の別のピースを画定する、2ピース構造を少なくとも有する。したがって、継ぎ目は、鋳造カップ104及びリング106が隣接する、トウ側ジョイント112A及びヒール側ジョイント112Bのそれぞれにおいて規定される。鋳造カップ104及びリング106は、様々な製造技術のうちのいずれかを使用して別々に形成される。一例では、鋳造カップ104及びリング106は、鋳造プロセスを使用して形成される。鋳造カップ104とリング106は別々に形成されるので、鋳造カップ104とリング106は異なる材料で形成することができる。例えば、鋳造カップ104は、第1の材料で形成することができ、リング106は、第1の材料と異なる第2の材料で形成することができる。
図14及び15を参照すると、鋳造カップ104は、トウ側リング係合表面150A及びヒール側リング係合表面150Bを含む。同様に、リング106は、トウ側カップ係合表面152A及びヒール側カップ係合表面152Bを含む。トウ側ジョイント112Aは、鋳造カップ104のトウ側リング係合表面150Aと、リング106のトウ側カップ係合表面152Aとを互いに当接させ固定し、鋳造カップ104のヒール側リング係合表面150Bと、リング106のヒール側カップ係合表面152Bとを互いに当接させ固定することにより形成される。係合表面は、溶接、ろう付け、接着剤、機械的留め具などの任意の好適な固定技術によって互いに固定することができる。
トウ側ジョイント112A及びヒール側ジョイント112Bを強化する及び堅固にするのを助けるために、相補的な嵌合要素を係合表面に組み込む又は結合させることができる。図示の例では、鋳造カップ104は、トウ側リング係合表面150Aから突出するトウ突起154Aと、ヒール側リング係合表面150Bから突出するヒール突起154Bとを含む。対照的に、図示の例では、リング106は、トウ側カップ係合表面152Aに形成されたトウレセプタクル156Aと、ヒール側カップ係合表面152Bに形成されたヒールレセプタクル156Bとを含む。係合表面が互いに当接してジョイントを形成するとき、トウ突起154Aは、トウレセプタクル156Aと嵌合し(例えば、内部に受容される)、ヒール突起154Bは、ヒールレセプタクル156Bと嵌合する(例えば、内部に受容される)。図示の例では、トウ突起154A及びヒール突起154Bは、鋳造カップ104の一部を形成し、トウレセプタクル及びヒールレセプタクル156Bは、リング106の一部を形成するが、他の例では、嵌合要素は、トウ突起154A及びヒール突起154Bがリング106の一部を形成し、トウレセプタクル及びヒールレセプタクル156Bが鋳造カップ104の一部を形成する。更に、突起及びレセプタクルに追加的又は代替的に、タブ及びノッチなどの各種タイプの相補的な嵌合要素を使用することができる。
いくつかの例では、トウ側ジョイント112A及びヒール側ジョイント112Bは、ゴルフボールを打つときにゴルフクラブヘッド100が受ける激しい衝撃による潜在的な破損を避けるために、打撃面145から十分な距離に配置される。例えば、トウ側ジョイント112A及びヒール側ジョイント112Bは、それぞれ、クラブヘッド原点座標系185のy軸(前後方向)に沿って測定したとき、打撃面145の中心フェイス183の後方に少なくとも20mm、少なくとも30mm、少なくとも40mm、少なくとも50mm、少なくとも60mm、及び/又は20mm~70mmの間隔を空けることができる。図14を参照すると、特定の例によれば、打撃面145からヒール側リング係合表面150Bまでの第1の距離D1は、打撃面145からトウ側リング係合表面150Aまでの第2の距離D2未満である。換言すれば、いくつかの例では、鋳造カップ104は、打撃面145から、トウ部分114よりもヒール部分116で、より短い距離、後方に延びる。
図10~13を参照すると、ボディ102は、クラウン開口部162及びソール開口部164を含む。クラウン開口部162は、ゴルフクラブヘッド100のクラウン部分119に配置され、開放されると、ゴルフクラブヘッド100の上部からゴルフクラブヘッド100の内部空洞113へのアクセスを提供する。対照的に、ソール開口部164は、ゴルフクラブヘッド100のソール部分117に配置され、開放されると、ゴルフクラブヘッド100の下部からゴルフクラブヘッド100の内部空洞113へのアクセスを提供する。クラウン開口部162及びソール開口部164の対応するセクションは、鋳造カップ104及びリング106によって画定される。より具体的には、図10~15を参照すると、クラウン開口部162の前方セクション162A及びソール開口部164の前方セクション164Aは、鋳造カップ104によって画定され、クラウン開口部162の後方セクション162B及びソール開口部164の後方セクション164Bは、リング106によって画定される。したがって、鋳造カップ104及びリング106が互いに接合されると、前方セクション162Aと後方セクション162Bとが共にクラウン開口部162を画定し、前方セクション164Aと後方セクション164Bとが共にソール開口部164を画定する。
鋳造カップ104は、前方クラウン開口部凹状レッジ168A及び前方ソール開口部凹状レッジ170Aを更に含む。リング106は、後方クラウン開口部凹状レッジ168B及び後方ソール開口部凹状レッジ170Bを含む。前方ソール開口部凹状レッジ170A及び後方ソール開口部凹状レッジ170Bは、ゴルフクラブヘッド100のソール開口部凹状レッジ170を形成する。更に、いくつかの例では、ソール開口部凹状レッジ170は、非平面状、即ち、湾曲している。レッジは、クラウンインサート108及びソールインサート110の厚みに対応する距離だけ、レッジを取り囲むボディ102の外表面から、内部空洞113に向かって内側にオフセットされている。いくつかの例では、ボディ102の外表面からのレッジのオフセットは、クラウンインサート108及びソールインサート110の対応する厚みにほぼ等しく、その結果、各インサートは、レッジに取り付けられたときに、ボディ102の対応する周囲の外表面と同一平面になる。しかし、いくつかの例では、クラウンインサート108及びソールインサート110は、対応するレッジに着座可能に係合するとき、ボディ102の周囲の外表面と同一平面である必要はない(例えば、それに対して突出する又は窪むことができる)。いくつかの例では、ソールインサート110の厚みは、クラウンインサート108の厚みより大きい。更に、ソールインサート110は、それぞれが繊維強化ポリマー材料で形成された層の第1の積層体で構成されている。クラウンインサート108は、それぞれが繊維強化ポリマー材料で形成された層の第2の積層体で構成されている。いくつかの例では、第1の積層体の層数は、第2の積層体の層数より多い。
鋳造カップ104とリング106が接合されると、前方クラウン開口部凹状レッジ168Aと後方クラウン開口部凹状レッジ168Bとが共にボディ102のクラウン開口部凹状レッジ168を画定し、前方ソール開口部凹状レッジ170Aと後方ソール開口部凹状レッジ170Bとが共にボディ102のソール開口部凹状レッジ170を画定する。前方クラウン開口部凹状レッジ168Aの内周は、クラウン開口部162の前方セクション162Aを画定し、後方クラウン開口部凹状レッジ168Bの内周は、クラウン開口部162の後方セクション162Bを画定する。同様に、前方ソール開口部凹状レッジ170Aの内周は、ソール開口部164の前方セクション164Aの周囲を画定し、後方ソール開口部凹状レッジ170Bの内周は、ソール開口部164の後方セクション164Bの周囲を画定する。したがって、クラウン開口部凹状レッジ168の内周は、クラウン開口部162の周囲を画定し、ソール開口部凹状レッジ170の内周は、ソール開口部164の周囲を画定する。
図31を参照すると、クラウン部分119におけるボディ102の厚みは、クラウン開口部凹状レッジ168の前方範囲132から、後方から前方方向に減少し、クラウン開口部凹状レッジ168の前方範囲132から、前方から後方方向に減少する。これは、前方範囲132で局所的な厚みの増加をもたらし、ボディ102とクラウンインサート108との間の接合を強化する及び堅固にするのに役立つ。
クラウンインサート108及びソールインサート110は、互いに対して別々に且つボディ102と別に形成される。したがって、クラウンインサート108及びソールインサート110は、図10及び図11に示されるようにボディ102に取り付けられる。いくつかの例では、クラウンインサート108は、接着剤などでクラウン開口部凹状レッジ168に着座して接着され、ソールインサート110は、接着剤などでソール開口部凹状レッジ170に着座して接着される。このようにして、クラウンインサート108は、クラウン開口部162を囲み又は覆い、ゴルフクラブヘッド100のクラウン部分119を少なくとも一部画定し、ソールインサート110は、ソール開口部164を囲み又は覆い、ゴルフクラブヘッド100のソール部分117を少なくとも一部画定する。
クラウンインサート108及びソールインサート110は、任意の様々な形状を有することができる。図4を参照すると、一例では、クラウンインサート108は、ゴルフクラブヘッド100のピーククラウン高さに対応する位置(PCH)が、ゴルフクラブヘッド100のホーゼル120の後方且つゴルフクラブヘッド100のホーゼル120のホーゼル軸191の後方になるように成形される。ピーククラウン高さは、ゴルフクラブヘッドの最大クラウン高さであり、ゴルフクラブヘッドに沿った所定位置でのクラウン高さは、ゴルフクラブヘッドが地面のアドレス位置にあるときの地面181から所定位置のクラウン部分の最上点までの距離である。いくつかの例では、ゴルフクラブヘッド100のクラウン高さは、打撃面145から遠去かる前から後ろ方向に増加し、次いで減少する。特定の例では、ピーククラウン高さを定義するクラウン部分の一部又は外表面は、少なくとも1つの第1の材料から形成される。いくつかの例によれば、第1のクラウン高さは、クラブ面がクラブヘッドのクラウン部分に接続する前方クラウン領域における、面からクラウンへの移行領域で定義され、第2のクラウン高さは、クラウン部分がゴルフクラブヘッドの後端近傍のゴルフクラブヘッドのスカートに接続し、最大クラウン高さが第1のクラウン高さの後方及び第2のクラウン高さの前方である、クラウンからスカートへの移行領域で定義され、最大クラウン高さは、第1のクラウン高さと第2のクラウン高さのいずれよりも大きい。いくつかの例では、最大クラウン高さは、打撃面の幾何学中心のトウ方向に生じる。特定の例によれば、最大クラウン高さは、非金属複合クラウンインサートによって形成される。
図3を参照すると、ピークスカート高さ(位置(PSH)に関連付けられて示される)は、ゴルフクラブヘッドの最大スカート高さであり、ゴルフクラブヘッドに沿った所定位置でのスカート高さは、ゴルフクラブヘッドが地面のアドレス位置にあるときの地面から、ゴルフクラブヘッドのスカート部分の最後部のスカート部分の最上点までの距離である。
いくつかの例によれば、スカート部分121のピークスカート高さのクラウン部分119のピーククラウン高さに対する比は、約0.45~0.59、好ましくは0.49~0.55であり、一例では、スカート高さは約34mmであり、ピーククラウン高さは約65mmであり、ピークスカート高さのピーククラウン高さに対する比は約0.52になる。ピークスカート高さは、通常、28mm~38mmであり、好ましくは31mm~36mmである。ピーククラウン高さは、通常、60mm~70mm、好ましくは62mm~67mmである。ピーククラウン高さとピークスカート高さとの差を、40mm以下、好ましくは27mm~35mmに制限することが望ましい。ピークスカート高さは、ゴルフクラブヘッドのZ-up値、即ち、地面181から重心までのz軸に沿った垂直距離と同一又はそれより大きいことが望ましい。ピーククラウン高さは、ゴルフクラブヘッドのZ-up値の2倍(2×)であることが望ましい。ピークスカート高さが高いほど、特に高速のスイングスピードの場合には、空気力学と気流アタッチメント(air flow attachment)の向上を助長することができる。同様に、ピーククラウン高さとピークスカート高さとの差が大き過ぎると、流れがゴルフクラブヘッドから早期に分離する可能性が高くなる、即ち、乱流の可能性が高くなる。
ゴルフクラブヘッド100の構造及び材料の多様性により、ゴルフクラブヘッド100は、望ましい重心(CG)位置及びピーククラウン高さ位置を有することができる。一例では、クラブヘッド原点座標系185のy軸上の、ピーククラウン高さの位置(PCH)のy軸座標は、約26mm~約42mmである。同一又は異なる例では、ゴルフクラブヘッド100がアドレス位置にあるときの、ピーククラウン高さの位置(PCH)のクラブヘッド原点座標系185のz軸に平行な、地面181からの距離は、前記したように60mm~70mm、好ましくは62mm~67mmである。いくつかの例によれば、ゴルフクラブヘッド100の重心(CG)の、クラブヘッド原点座標系185のy軸上のy軸座標は、25mm~50mm、好ましくは32mm~38mm、より好ましくは36.5mm~42mmであり、ゴルフクラブヘッド100の重心(CG)の、クラブヘッド原点座標系185のx軸上のx軸座標は、-10mm~10mm、好ましくは-6mm~6mm、より好ましくは-7mm~7mmであり、ゴルフクラブヘッド100の重心(CG)の、クラブヘッド原点座標系185のz軸上のz軸座標は、2mm未満であり、例えば、-10mm~2mm、好ましくは-7mm~-2mmである。
更に、ゴルフクラブヘッド100の構造及び材料の多様性により、ゴルフクラブヘッド100が望ましい質量分布特性を有することを可能にする。図3、5、及び6を参照すると、ゴルフクラブヘッド100は、後方質量及び前方質量を含む。ゴルフクラブヘッド100の後方質量は、クラウンからソール方向に平行な(ゴルフクラブヘッド原点座標系185のz軸に平行な)高さ(HRB)35mm、前から後ろ方向(ゴルフクラブヘッド原点座標系185のy軸に平行な)深さ(DRB)35mm、及びトウからヒール方向の(ゴルフクラブヘッド原点座標系185のx軸に平行な)ゴルフクラブヘッド100の最大幅より大きい幅(WRB)を有する仮想後方ボックス133内のゴルフクラブヘッド100の質量として定義される。図示されるように、ゴルフクラブヘッド100が地面181上のアドレス位置にあるとき、仮想後方ボックス133の後側は、ゴルフクラブヘッド100の最後端と同一の広がりを有し、仮想後方ボックス133の下側は、地面181と同一の広がりを有する。ゴルフクラブヘッド100の前方質量は、クラウンからソール方向に平行な高さ(HFB)20mm、前から後ろ方向の深さ(DFB)35mm、及びゴルフクラブヘッド100の最大幅より大きい、トウからヒール方向の幅(WFB)を有する仮想前方ボックス135内のゴルフクラブヘッド100の質量として定義される。図示されるように、ゴルフクラブヘッド100が地面181上のアドレス位置にあるとき、仮想前方ボックス135の前側は、ゴルフクラブヘッド100の最前端と同一の広がりを有し、仮想前方ボックス135の下側は、地面181と同一の広がりを有する。
いくつかの例によれば、後方質量の重心(RMCG)からドライバータイプのゴルフクラブヘッドのCGまでの第1のベクトル距離(V1)は、49mm~64mm(例えば、55.7mm)であり、前方質量の重心(FMCG)からドライバータイプのゴルフクラブヘッドのCGまでの第2のベクトル距離(V2)は、22mm~34mm(例えば、29.0mm)であり、後方質量のCG(RMCG)から前方質量のCG(FMCG)までの第3のベクトル距離(V3)は、75mm~82mm(例えば、79.75mm)である。特定の例では、V1は56.3mm以下である。いくつかの例では、V2は、23.7mm以上、好ましくは25mm以上、又は更により好ましくは27mm以上である。ゴルフクラブヘッド100の様々な例のZup及びCGy値に対するV1及びV2のいくつかの更なる値を、以下の表1に示す。本明細書に定義されるように、Zupは、ゴルフクラブヘッド100が地面181上の適切なアドレス位置にあるときの、垂直軸に沿った(例えば、クラブヘッド原点座標系185のz軸に平行な)地面181に対するゴルフクラブヘッド100の重心である。CGyは、クラブヘッド原点座標系185のy軸上のゴルフクラブヘッド100の重心の座標である。
クラウンインサート108は、クラウン部分119の外向き表面又は外表面を画定するクラウンインサート外表面を有する。同様に、ソールインサート110は、ソール部分117の外向き表面又は外表面を画定するソールインサート外表面を有する。本明細書に定義されるように、クラウンインサート外表面及びソールインサート外表面は、複数のクラウンインサート又は複数のソールインサートを使用する場合、それぞれ、複数のクラウンインサート及び複数のソールインサートが組み合わせられた外表面を含む。一例では、ソールインサートの外表面の総表面積は、クラウンインサートの外表面の総表面積より小さい。一例によれば、クラウンインサートの外表面の総表面積は、少なくとも9,482mm2である。一例では、ソールインサートの外表面の総表面積は、少なくとも8,750mm2であり、ソールインサートは、ヒールからトウ方向に平行な、少なくとも80mm~120mmの最大幅を有する。クラウンインサートの外表面の総表面積は、5,300mm2~11,000mm2、好ましくは9,200mm2~10,300mm2、好ましくは5,300mm2~7,000mm2であることができる。ソールインサートの外表面の総表面積は、4,300mm2~10,200mm2、好ましくは7,700mm2~9,900mm2、好ましくは4,300mm2~6,600mm2であることができる。
好ましくは、ソールの少なくとも一部が複合材料で形成されている場合、クラウンインサートの外表面の総表面積は、ソールインサートの外表面の総表面積より大きい。複合材料で形成されたクラウンインサートの外表面の総表面積の、複合材料で形成されたソールインサートの外表面の総表面積に対する比は、いくつかの例では、少なくとも2:1であることができ、他の例では、0.95~1.5、より好ましくは1.03~1.4、更により好ましくは1.05~1.3であることができる。この場合、複合材料は、通常、約1g/cc~約2g/cc、好ましくは約1.3g/cc~約1.7g/ccの密度を有する。
いくつかの実施形態では、平方センチメートル単位の総露出複合表面積にセンチメートル単位のCGyを乗じ、得られた積を立方センチメートル単位の体積で除した値は、1.22~2.1、好ましくは1.24~1.65、更により好ましくは1.49~2.1、更により好ましくは1.7~2.1であることができる。
更に、いくつかの例では、クラウンインサート108の総質量は、ソールインサート110の総質量より小さい。クラウンインサート108及びソールインサート110が繊維強化ポリマー材料で形成され、ボディ102が金属材料で形成されるいくつかの例によれば、ボディ102の総露出表面積の、クラウンインサート108及びソールインサート110の総露出表面積(例えば、外向き表面の表面積)に対する比は、0.95~1.25(例えば、1.08)である。いくつかの例では、クラウンインサート108は、単一ピースであるか複数ピースに分割されるかにかかわらず、9グラムの質量を有し、ソールインサート110は、単一ピースであるか複数ピースに分割されるかにかかわらず、13グラムの質量を有する。更に、特定の例では、クラウンインサート108は約0.65mm厚であり、ソールインサート110は約1.0mm厚である。しかし、特定の例では、クラウン部分119の最小厚みは、0.6mm未満である。いくつかの例によれば、ゴルフクラブヘッド100のクラウン部分119の面積重量は、クラウン部分119の全表面積の50%超に亘って0.35g/cm2未満である、及び/又はクラウン部分119の少なくとも一部が、約1g/cm3~約2g/cm3の密度を有する非金属材料で形成される。クラウンインサート108及びソールインサート110のこれらの及び他の性質は、その全体が参照により本明細書に援用される2020年4月23日公開の米国特許出願公開第2020/0121994号明細書にみることができる。特定の例では、ソール部分117の面積重量は、ソール部分117の全表面積の約50%超に亘って約0.35g/cm2未満である。特定の例では、クラウンインサート108の面積重量は、ソールインサート110の面積重量より小さい。特定の例では、クラウン部分119の少なくとも50%は、クラウン部分119の少なくとも50%に沿って少なくとも25%変化する可変厚みを有する。
ボディ102の鋳造カップ104はまた、ホーゼル120を含み、これは、ホーゼル120のボア193を通って同軸に延びるホーゼル軸191を画定する(例えば、図14を参照)。ホーゼル120は、ゴルフクラブのシャフトに取り付けられるように構成されている。いくつかの例では、ホーゼル120は、ホーゼル120とシャフトとの間に飛行制御技術(FCT)システム123を含めることを容易にして、シャフトに対するゴルフクラブヘッド100の位置を制御する。
FCTシステム123は、鋳造カップ104のソール領域に形成された下部開口部195を通してアクセス可能なファスナ125を含み得る。FCTシステム123の更なる例を、図19及び20のゴルフクラブヘッド400に関連して示す。図示の例は、ホーゼル420と、FCTシステム123のボディ102への取り付けを容易にする下部開口部495とを有する。FCTシステム123は、ホーゼル120内に嵌合され、ホーゼル120から延びる複数の可動部品を含む。ファスナ125は、ファスナ125を緩め、ファスナ125を締めることによりシャフトに対するゴルフクラブヘッドの調整可能位置を維持して、FCTシステム123システムの調整可能性を容易にする。下部開口部195は、ホーゼル120のボア193に対して開放されている。裁量質量の増加を促進するために、ホーゼル120の内部部分127(即ち、内部空洞113内にあるホーゼル120の部分)は、内部空洞113に対して開放する横方向開口部189を含む。横方向開口部189のために、ホーゼル120の内部部分127は、ホーゼル120のボア193を通って延びるFCTコンポーネントを部分的にのみ取り囲む。いくつかの例では、ホーゼル軸191に平行な方向の横方向開口部189の高さは、10mm~15mmであり、ホーゼル軸191に垂直な方向の横方向開口部189の幅は、少なくとも1ラジアンであり、及び/又は横方向開口部189の投影面積は、少なくとも75mm2である。
図15を参照すると、いくつかの例では、鋳造カップ104は、打撃面145を含む。換言すれば、これらの例では、打撃面145は、鋳造カップ104のその他の部分全体と共成形(例えば、共鋳造)される。したがって、これらの例では、打撃面145は、鋳造カップ104の残りの部分と同一材料で形成される。しかし、他の例では、図17及び18のゴルフクラブヘッドに関連するものと同様に、打撃面145は、鋳造カップ104と別に形成され、鋳造カップ104に別に取り付けられた打撃プレートによって画定される。特定の例によれば、打撃面145を画定するゴルフクラブヘッド100の部分又は打撃面145を画定する打撃プレートは、その全体を参照により本明細書に援用する、米国特許出願第12/006,060号明細書;並びに米国特許第6,997,820号明細書;同第6,800,038号明細書;及び同第6,824,475号明細書に、より詳細に記載されるものと同様の可変厚みの特徴を含む。
図21は、本明細書に開示されるゴルフクラブヘッドの1以上の面部分600の例示的な裏表面を示す。図21では、裏表面は、ホーゼル/ヒールが左側に、トウが右側にある状態で裏側から描写されている。図22及び23は、可変厚みプロファイルを有する別の例示的な面部分700を示し、図24は、可変厚みプロファイルを有する更に別の例示的な面部分800を示す。面部分700の可変厚みプロファイルは、円錐形突起によって形成され、これは、いくつかの例では、打撃面の幾何学中心のトウ方向にある幾何学中心を有することができる。本明細書に開示される面部分は、鋳造プロセス及び任意の鋳造後の面部分への調整の結果として形成することができる。したがって、面部分は、多種多様な新規な厚みプロファイルを有することができる。例えば、一例では、打撃面での前方部分の厚みは、打撃面に沿って少なくとも25%変化する。従来プロセスで平らな圧延金属シートから面プレートを形成するのではなく、面を目的の所望のジオメトリに鋳造することにより、面は、様々なジオメトリで作製することができ、異なるグレイン方向(grain direction)及び化学的不純物含量などの様々な材料特性を有することができ、ゴルフ性能と製造に利点をもたらし得る。
従来のプロセスでは、面プレートは、均一な厚みの平らな金属シートから形成される。かかるな金属シートは、通常、1つの軸に沿って圧延され、厚みを、シート全体に亘って特定の均一な厚みにする。この圧延プロセスは、圧延方向に垂直な方向に対する圧延軸方向に異なる材料特性をもたらすグレイン方向をシートに与えることができる。材料特性のこのばらつきは望ましくないことがあり、これに代えて、開示された鋳造方法を使用して面部分を作製することによって回避することができる。
更に、従来の面プレートは、均一な厚みの平らなシートから作製するため、シート全体の厚みは、少なくとも、所望の最終製品の面プレートの最大厚みと同じである必要があり、このことは、出発シート材料の多くを除去して浪費するため、材料コストが増加することを意味する。対照的に、開示の鋳造方法では、面部分は、初期段階で、最終形状及び質量に遥かに近い状態で形成され、除去して浪費しなければならない材料は遥かに少ない。これにより、時間とコストを節約することができる。
更に、従来のプロセスでは、初期段階の平らな金属シートを特別なプロセスで曲げて、面プレートに所望のバルジ及びロール曲率を与える必要がある。開示の鋳造方法を使用する場合、かかる曲げプロセスは必要とされない。
図22~25に示されるユニークな厚みプロファイルは、その全体を参照により援用する2020年12月29日発行の米国特許第10,874,915号明細書に開示される方法などの鋳造方法を使用することにより可能となり、この厚みプロファイルは、均一な厚みの金属シートを出発材料として用いて、旋盤又は類似の機械にシートを取り付け、シートを旋削して面プレートの裏部に亘り可変厚みプロファイルを作製することなどの従来プロセスでは、これまで達成することができなかった厚みプロファイルである。かかる旋削プロセスでは、付与された厚みプロファイルは、中心の旋削軸に対して対称である必要があり、これにより、厚みプロファイルは、中心点から任意の半径で均一な厚みを有する同心円形リング形状の構成に制限される。これとは異なり、開示の鋳造方法には、かかる制限はなく、より複雑な面ジオメトリを作製することができる。
鋳造法を使用することにより、開示のクラブヘッドを多数、より速くより効率的に製造することができる。例えば、50個以上のヘッドを1つの鋳造ツリー(casting tree)に同時に鋳造できるが、旋盤を使用した従来の切削法を使用して、面プレートに新規な面厚プロファイルを1つずつ作製することは、遥かに長い時間がかかり、より多くの原料を必要とする。
図22では、面部分600の裏面表面又は内表面は、非対称の可変厚みプロファイルを含み、開示の鋳造方法で可能な多種多様な可変厚みプロファイルのほんの一例を示す。面の中心602は、中心厚みを有することができ、面の厚みは、半径方向外向きに、中心から内側ブレンド領域603を横切って、円形であり得る最大厚みリング604まで徐々に増加することができる。面の厚みは、半径方向外向きに、最大厚みのリング604から内側ブレンド領域606を横切って、非円形、例えば楕円形であり得る第2のリング608まで徐々に減少することができる。面の厚みは、半径方向外向きに、第2のリング608から外側のブレンド領域609を横切って、一定厚み(例えば、面部分の最小厚み)のヒール及びトウ領域610まで、及び/又は面がゴルフクラブヘッド100の残りの部分に移行する面部分600の範囲を画定する半径周囲領域612まで徐々に減少することができる。
第2のリング608は、それ自体が可変厚みプロファイルを有することができ、第2のリング608の厚みは、中心602の周りの円周位置の関数として変化する。同様に、可変ブレンド領域606は、中心602の周りの円周位置の関数として変化する厚みプロファイルを有することができ、最大厚みリング604から第2のリング608の可変及びより薄い厚みへの厚みの移行をもたらす。例えば、第2のリング608までの可変ブレンド領域606は、図22においてA~Hでラベルされた8つのセクター、即ち、トップ領域A、トップ-トウ領域B、トウ領域C、ボトム-トウ領域D、ボトム領域E、ボトム-ヒール領域F、ヒール領域G、及びトップ-ヒール領域Hに分割することができる。これらの8つの領域は、図示されているように異なる角度幅を有することができる、又はそれぞれ同一の角度幅(例えば、360度の8分の1)を有することができる。8つの領域はそれぞれ、それ自体の厚みバリアンスを有することができ、それぞれ、リング604に隣接する共通最大厚みから第2のリング608における異なる最小厚みに亘る。例えば、第2のリングは、領域A及びEでより厚く、領域C及びGでより薄く、領域B、D、F、及びHで中間の厚みを有することができる。この例では、領域B、D、F、及びHの厚みは、半径方向に沿って(半径方向外側に向かって薄くなる)及び円周方向に沿って(領域A及びEから領域C及びGに向かって薄くなる)変化し得る。
面部分600の一例は、以下の厚みを有することができる。中心602で3.1mm、リング604で3.3mm、第2のリング608は、領域Aの2.8mmから、領域Cの2.2mm、領域Eの2.4mm、領域Gの2.0mm、並びにヒール及びトウ領域610の1.8mmまで変化し得る。
一例によれば、リング604は、中心602から約8mm離れていることができ、リング608は、中心602から約19mm離れていることができる。中心602における面部分600の厚みは、2.8mm~3.0mmであることができる。リング604に沿った面部分600の厚みは、2.9mm~3.1mmであることができる。領域A近接のリング608に沿った面部分600の厚みは、2.35mm~2.55mmであることができ、領域C近接のリング608に沿った面部分600は、2.3mm~2.5mm、領域E近接のリング608に沿った面部分600は、2.1mm~2.3mm、及び領域G近接のリング608に沿った面部分600は、2.6mm~2.8mmであることができる。中心602から約35mm離れた面部分600の厚みは、1.7mm~1.9mmであることができる。
更に別の例によれば、中心602での面部分600の厚みは、2.95mm~3.35mmであり、中心602から約9mm離れた位置で3.3mm~3.65mmであり、中心602から約16mm離れた位置で2.95mm~3.36mmであり、中心602から約28mm離れた位置で2.03mm~2.27mmである。中心602から28mm超離れた位置の面部分600の厚みは、面部分600のトウ側で1.8mm~1.95mmであることができ、面部分600のヒール側で1.83mm~1.98mmであることができる。
図23及び24は、非対称の可変厚みプロファイルを含む別の例示的な面部分700の裏面表面を示す。面の中心702は、中心厚みを有することができ、面の厚みは、半径方向外向きに、中心から内側ブレンド領域703を横切って、円形であり得る最大厚みリング704まで徐々に増加することができる。面の厚みは、半径方向外向きに、可変ブレンド領域705を横切って、最大厚みリング704から、様々な厚みを有する複数の楔状セクターA~Hからなる外側領域706まで徐々に減少することができる。図24に最もよく図示されているように、セクターA、C、E、及びGは、比較的厚くすることができ、一方、セクターB、D、F、及びHは、比較的薄くすることができる。外側領域706を取り囲む外側ブレンド領域708は、厚みが、可変セクターから、比較的小さいが一定の厚みを有する周囲リング710まで移行する。外側領域706はまた、あるセクターから隣接するセクターへと厚みが徐々に移行するセクターA~Hのそれぞれの間のブレンド領域を含むことができる。
面部分700の一例は、以下の厚みを有することができる:中心702で3.9mm、リング704で4.05mm、領域Aで3.6mm、領域Bで3.2mm、領域Cで3.25mm、領域Dで2.05mm、領域Eで3.35mm、領域Fで2.05mm、領域Gで3.00mm、領域Hで2.65mm、及び周囲リング710で1.9mm。
図25は、ヒール側(左側)に向かってオフセットされた目標厚みを有する非対称の可変厚みプロファイルを含む別の例示的な面部分800の裏面を示す。面の中心802は中心厚みを有し、トウ/上部/下部に向かって、厚みは、内側ブレンド領域803を横切って、中心802よりも厚い内側リング804まで徐々に増加する。次いで、厚みは、半径方向外向きに、第2のブレンド領域805を横切って、内側リング804よりも薄い厚みを有する第2のリング806まで減少する。次いで、厚みは、半径方向外向きに、第3のブレンド領域807を横切って、第2のリング806よりも薄い厚みを有する第3のリング808まで減少する。次いで、厚みは、半径方向外向きに、第4のブレンド領域810を横切って、第3のリング808よりも薄い厚みを有する第4のリング811まで減少する。トウ端部領域812は、外側ブレンド領域813を横切って、比較的薄い厚みを有する外周814と一体化する。
ヒール側では、厚みは、設定された量(例えば、0.15mm)だけオフセットされ、トウ側の対応する領域に比べて僅かに厚くなる。肥厚領域820(破線)は、全ての厚みがヒール側のより厚いオフセット領域822(破線)に向かって増加する移行をもたらす。オフセット領域822において、リング823は、ヒール側のリング806よりも設定された量(例えば、0.15mm)だけ厚く、リング825は、リング808よりも同じ設定量だけ厚い。ブレンド領域824及び826は、半径方向外向きに徐々に厚みが減少し、それぞれ、トウ側の対応するブレンド領域807及び810より厚い。肥厚領域820において、内側リング804は、ヒールに向かって徐々に厚みが増加する。
面部分800の一例は、以下の厚みを有することができる:中心802で3.8mm、内側リング804で4.0mm、肥厚領域820を横切って4.15mmまでの厚み、第2のリング806で3.5mm、リング823で3.65mm、第3のリング808で2.45mm、リング825で2.55mm、第4のリング811で2.0mm、及び周囲リング814で1.8mm。
図25に示される目標オフセット厚みプロファイルは、面に亘って望ましいCTプロファイルを提供するのに役立ち得る。ヒール側を厚くすると、面のヒール側にCTスパイクが発生するのを防ぐことができ、例えば、これにより、面に亘って不適合なCTプロファイルが発生するのを避けることができる。かかるオフセット厚みプロファイルは、同様に、面のトウ側又は面のトウ側及びヒール側の両方に適用して、面のヒール側及びトウ側の両方でのCTスパイクを避けることができる。他の実施形態では、オフセット厚みプロファイルは、面の上側に及び/又は面の下側に向かって適用することができる。
図2、4、8、9A、及び13に示されるように、いくつかの例では、鋳造カップ104は、ゴルフクラブヘッド100のソール部分117に位置するスロット171を更に含む。スロット171は、ゴルフクラブヘッド100の外部に開放しており、ヒール部分116からトウ部分114まで長さ方向に延びる。より具体的には、スロット171は、打撃面145に実質的に平行であるが、それからオフセットされた長さ方向に細長い形状である。一般に、スロット171は、ゴルフクラブヘッド100のソール部分117の鋳造カップ104に形成された溝又はチャネルである。いくつかの実施形態では、スロット171は、貫通スロット、又はゴルフクラブヘッド100の外側から内部空洞113に開放しているスロットである。しかし、他の実施では、スロット171は貫通スロットではなく、スロット171の内部空洞側又は内部側で閉じられている。例えば、スロット171は、内部空洞113内に突出し、実質的にU字形状、V字形状などの様々な任意の断面形状を有する凹状外表面を有するボディ102のソール部分117の側壁の一部によって画定することができる。
いくつかの例では、スロット171は、オフセット距離だけ打撃面145からオフセットされており、オフセット距離は、打撃面145の中心を通る第1の垂直面と、打撃面145の中心と同一のx軸座標におけるスロットとの間の最小距離であり、約5mm~約50mm、例えば、約5mm~約35mm、例えば、約5mm~約30mm、例えば、約5mm~約20mm、又は約5mm~約15mmなどである。
図示されていないが、鋳造カップ104及び/又はリング106は、スロット171と同様の構成で、後方スロットを含み得るが、ヒールからトウ方向ではなく、前方から後方方向に向いている。鋳造カップ104は、後方スロットを含むが、いくつかの例ではスロット171を含まず、他の例では後方スロットとスロット171の両方を含む。一例では、後方スロットは、スロット171の後方に配置される。後方スロットは、いくつかの実施では、ウェイトトラックとして機能することができる。更に、後方トラックは、オフセット距離だけ打撃面145からオフセットすることができ、オフセット距離は、打撃面145の中心を通る第1の垂直面と、打撃面145の中心と同じx軸座標における後方トラックとの間の最小距離であり、約5mm~約50mm、例えば、約5mm~約40mm、例えば、約5mm~約30mmの間、又は約10mm~約30mmである。
特定の実施形態では、スロット171、及び存在する場合、後方スロットは、特定のスロット幅を有し、これは、第1のスロット壁と第2のスロット壁との間の水平距離として測定される。スロット171及び後方スロットの場合、スロット幅は、約5mm~約20mm、例えば、約10mm~約18mm、又は約12mm~約16mmであることができる。いくつかの実施形態によれば、スロット171の深さ(即ち、下部スロット壁と、スロット171の対向するスロット壁に隣接するソール部分117の領域を含む仮想平面との間の垂直距離)は、約6mm~約20mm、例えば、約8mm~約18mm、又は、例えば、約10mm~約16mmであることができる。
更に、スロット171、及び存在する場合、後方スロットは、特定のスロット長さを有し、これは、スロット端壁と別のスロット端壁との間の水平距離として測定することができる。スロット171及び後方スロットの両方について、それらの長さは、約30mm~約120mm、例えば、約50mm~約100mm、又は、例えば、約60mm~約90mmであることができる。追加的又は代替的に、スロット171の長さは、打撃面145の全長のパーセンテージとして表すことができる。例えば、スロット171は、打撃面145の長さの約30%~約100%であることができ、例えば、打撃面145の長さの約50%~約90%、又は、例えば、約60%~約80%mmであることができる。
いくつかの例では、スロット171は、打撃面145に亘る反発係数(COR)を改善及び/又は増加させる特性がある。COR特性に関して、スロット171は、チャネル又は貫通スロットなどの様々な形態をとることができる。ゴルフクラブヘッド100のCORは、ゴルフボールがゴルフクラブヘッド100によって打撃されたときのゴルフクラブヘッド100とゴルフボールとの間のエネルギー損失又は保持の尺度である。望ましくは、ゴルフクラブヘッド100のCORは高く、ボールとの衝突中にゴルフクラブヘッド100からボールへのエネルギーの効率的な伝達を促進する。したがって、ゴルフクラブヘッド100のCOR特性は、ゴルフクラブヘッド100のCORの上昇を促進する。一般に、スロット171は、打撃面145の周囲の柔軟性を上昇又は向上させることによって、ゴルフクラブヘッド100のCORを増加させる。本明細書に開示のゴルフクラブヘッドのいくつかの例では、以下に定義されるように、中央領域内の打撃面の少なくとも25%について、CORが少なくとも0.8である。
ゴルフクラブヘッド100のCOR特性としてスロット171に関する更なる詳細は、それぞれ参照により本明細書に援用する、2011年12月27日、2012年5月10日、及び2013年3月14日出願の米国特許出願第13/338号明細書、197号明細書、同第13/469,031号明細書、及び同第13/828,675号明細書、並びに2013年3月15日出願の米国特許出願第13/839,727号明細書、2010年6月1日出願の米国特許第8,235,844号明細書、2011年12月13日出願の米国特許第8,241,143号明細書、2011年12月14日出願の米国特許第8,241,144号明細書にみることができる。
スロット171は、その全体を参照により本明細書に援用する2013年3月14日出願の米国特許第9,044,653号明細書に記載される様々な可撓性境界構造(FBS)のいずれかであることができる。追加的又は代替的に、ゴルフクラブヘッド100は、ゴルフクラブヘッド100上の他の様々な場所のいずれかに1以上の他のFBSを含むことができる。スロット171は、湾曲したセクション、又は湾曲セグメントとストレートセグメントとの組合せであり得るいくつかのセグメントから構成され得る。更に、スロット171は、ゴルフクラブヘッド100に機械加工又は鋳造することができる。ゴルフクラブヘッド100のソール部分117に示されているが、スロット171は、代替的又は追加的に、ゴルフクラブヘッド100のクラウン部分119に組み込むことができる。
いくつかの例では、スロット171は充填材料で満たされている。しかし、他の例では、スロット171は充填材料で満たされておらず、スロット171内に開放された空の空間を維持する。いくつかの実施では、充填材料は、熱可塑性材料、熱硬化性樹脂などの非金属から形成することができる。スロット171が貫通スロットである場合、スロット171は、汚れ及び他の破片がスロット及び場合によってはゴルフクラブヘッド100の内部空洞113に入るのを防ぐための材料で満たすことができる。充填材料は、ポリウレタン、エラストマーゴム、ポリマー、様々なゴム、発泡体、及びフィラーを含む任意の比較的低弾性率の材料であることができる。充填材料は、ゴルフクラブヘッド100の柔軟性を打ち消すので、使用時におけるゴルフクラブヘッド100の変形を実質的に防止するべきではない。
一実施形態によれば、充填材料は、初期段階では、スロット171に注入される又は挿入される粘性材料である。スロット、チャネル、又は他の可撓性境界構造に配されるフィラーとしての使用に好適な材料の例としては、限定するものではないが、粘弾性エラストマー;無機フィラー含有又は不含ビニルコポリマー;硫酸バリウムなどの鉱物フィラー含有又は不含ポリ酢酸ビニル;アクリル;ポリエステル;ポリウレタン;ポリエーテル;ポリアミド;ポリブタジエン;ポリスチレン;ポリイソプレン;ポリエチレン;ポリオレフィン;スチレン/イソプレンブロックコポリマー;水素化スチレン系熱可塑性エラストマー;金属化ポリエステル;金属化アクリル;エポキシ;エポキシとグラファイトの複合材料;天然及び合成ゴム;圧電セラミック;熱硬化性及び熱可塑性ゴム;発泡ポリマー;アイオノマー;低密度グラスファイバー;ビチューメン;シリコーン;及びそれらの混合物が挙げられる。金属化ポリエステル及びアクリルは、金属としてアルミニウムを含むことができる。市販材料としては、3MのScotchweldTM(例えば、DP-105TM)及びScotchdampTM、Sorbothane,Inc.のSorbothaneTM、Soundcoat Company Inc.のDYADTM及びGPTM、DynamatControl of North America,Inc.のDynamatTM、Pole Star Maritime Group,LLCのNoViFlexTMSylomerTM、The Dow Chemical CompanyのIsoplastTM、Piqua Technologies,Inc.のLegetolexTM、及びKuraray Co.,Ltd.のHybrarTMなどの弾性のある高分子材料が挙げられる。いくつかの実施形態では、固体充填材料を、スロット、チャネル、又は他の可撓性境界構造に圧入又は接着結合することができる。他の実施形態では、充填材料を、スロット又はチャネル内に注ぐ、注入する、又は挿入し、所定位置で硬化させて、十分硬化された又は弾性のある外表面を形成することができる。更に他の実施形態では、充填材料をスロット又はチャネル内に配し、金属、金属合金、金属複合材料、硬質プラスチック、弾性エラストマー、又は他の好適な材料で形成された弾性キャップ又は他の構造で所定位置に封止することができる。
図4、8、9A、及び14を参照すると、いくつかの例では、ゴルフクラブヘッド100は、鋳造カップ104に取り付けられたウェイト173を更に含む。鋳造カップ104、ウェイト173を受容し保持するねじ山付きポート175を含む。ねじ山付き175は、ゴルフクラブヘッド100の外部及び内部空洞113に開放しており、特定の例では、雌ねじを含む。他の例では、ねじ山付きポート175は、内部空洞113に閉じている。ウェイト173は、ねじ山付きポート175の雌ねじと、螺号可能に係合してウェイト173をねじ山付きポート175内に保持する雄ねじを含む。ねじ山付きポート175が内部空洞113に開放している場合、ウェイト173は、ねじ山付きポート175内の鋳造カップ104に螺号可能に取り付けられたときに内部空洞113へのアクセスを防ぐために、ねじ山付きポート175を効果的に閉じる。図示されるように、ねじ山付きポート175が内部空洞113に対して開放しているとき、ウェイト173の一部は内部空洞113の外部に配され、別の部分は内部空洞113内に配される。対照的に、ねじ山付きポート175が内部空洞113に対して閉じている場合などの他の例では、ウェイト173の全体が内部空洞113の外部に配される。図示されていないが、一例では、ねじ山付きポート175は、内部空洞113に対して開放しており、ゴルフクラブヘッド100の外部に対して閉じている(例えば、ねじ山付きポート175は、外側ではなく内側を向いている)。かかる例では、ウェイト173の全体が内部空洞113の内部に位置する。本明細書に定義されるように、ウェイト173の任意の部分が内部空洞113に対して内部にある又は内部空洞113内である場合、ウェイト173は内部空洞113の内部であるとみなされ、ウェイト173の任意の部分が内部空洞113に対して外部にある場合、ウェイト173は、代替的に又は追加的に、内部空洞113の外部とみなされる。
いくつかの例では、図示されるように、ねじ山付きポート175、延いては、ウェイト173は、ゴルフクラブヘッド100のソール部分117に配される。更に、特定の例によれば、ねじ山付きポート175及びウェイト173は、トウ部分114よりヒール部分116の近くに配される。一例では、ねじ山付きポート175及びウェイトは、スロット171よりヒール部分116の近くに配される。ウェイト173は、いくつかの例では、約3g~約23g(例えば、6g)の質量を有する。
図9A、11、及び14を参照すると、鋳造カップ104は、鋳造カップ104の残りの部分に取り付けられた又はそれと共成形されたマスパッド186を更に含む。マスパッド186は、鋳造カップ104の他の部分よりも厚い厚みを有する。図示される例では、マスパッド186は、ゴルフクラブヘッド100のソール部分117、延いては、鋳造カップ104のソール領域に近接して配される。更に、特定の例では、マスパッド186の一部は、ゴルフクラブヘッド100のヒール部分116、延いては、鋳造カップ104のヒール領域に近接して配される。本明細書に定義されるように、ゴルフクラブヘッド100のソール部分117に配される場合、マスパッド186は、ソールマスパッドとみなされ、ゴルフクラブヘッド100のヒール部分116に配されるとき、マスパッド186は、ヒールマスパッドとみなされる。マスパッド186がソール部分117とヒール部分116の両方に配される場合、マスパッド186は、ソールマスパッド及びヒールマスパッドとみなされることが認識される。
図11及び14を参照すると、いくつかの例では、鋳造カップ104は、鋳造カップ104の他の部分と共成形された内部リブ187を更に含む。内部リブ187は、鋳造カップ104内の任意の様々な位置にあることができる。図示される例では、内部リブ187は、鋳造カップ104のヒール領域より鋳造カップ104のトウ領域に近い鋳造カップ104のソール領域に配される(例えば、成形される)。内部リブ187は、硬化及びゴルフクラブヘッド100の望ましい音響特性を促進するのに役立つ。
図11、14、及び15を参照すると、リング106は、カンチレバー部分(cantilevered portion)161、並びにカンチレバー部分161から延びるトウアーム部分163A及びヒールアーム部分163Bを含む。トウアーム部分163A及びヒールアーム部分163Bは、ゴルフクラブヘッド100の両側にあり、カンチレバー部分161で始まり、トウ側カップ係合表面152A及びヒール側カップ係合表面152Bのうちの対応する1つで終わる。カンチレバー部分161は、ゴルフクラブヘッド100の後方部分118の少なくとも一部を画定し、更に、ゴルフクラブヘッド100の最後端を画定する。更に、図示される例では、カンチレバー部分161は、クラウン部分119からソール部分117に延びる。したがって、カンチレバー部分161は、いくつかの例では、ゴルフクラブヘッド100のソール部分117の外向き表面を画定するなど、ゴルフクラブヘッド100のソール部分117の一部を画定する。
いくつかの例では、カンチレバー部分161は、ゴルフクラブヘッド100がアドレス位置にあるとき、地面181の近くにある。特定の例によれば、ピーククラウン高さからリング106のカンチレバー部分161の最も低い表面までの垂直距離に対するピーククラウン高さの比は、少なくとも6.0、少なくとも5.0、少なくとも4.0、又はより好ましくは少なくとも3.0である。代替的又は追加的に、いくつかの例では、ゴルフクラブヘッド100がアドレス位置にあるとき、スカート部分のピークスカート高さからリング106のカンチレバー部分161の最も低い表面までの垂直距離は、20mm~30mm以上である。
トウアーム部分163A及びヒールアーム部分163Bは、それぞれ、スカート部分121のトウ側及びスカート部分121のヒール側、並びに、ゴルフクラブヘッド100のそれぞれトウ部分114及びヒール部分116の一部を画定する。カンチレバー部分161は、トウアーム部分163A及びヒールアーム部分163Bから離れて下向きに延び、トウアーム部分163A及びヒールアーム部分163Bは、カンチレバー部分161から離れて前方に延びる。したがって、ゴルフクラブヘッド100がアドレス位置にあるとき、カンチレバー部分161は、トウアーム部分163A及びヒールアーム部分163Bより地面181に近い。換言すれば、図3、4、及び9Aを参照すると、カンチレバー部分161に沿った任意の位置において、ゴルフクラブヘッド100がアドレス位置にあるときの垂直方向における、地面181上方のリング106の最も底い表面の高さ(HR)は、トウアーム部分163A及びヒールアーム部分163Bに沿ったどの位置よりも小さい。
いくつかの例では、ゴルフクラブヘッド100のトウ部分114におけるトウアーム部分163Aの最も低い表面の高さHRは、ゴルフクラブヘッド100のヒール部分116におけるヒールアーム部分163Bの最も低い表面の高さHRと異なる。より具体的には、一例では、ゴルフクラブヘッド100のトウ部分114におけるトウアーム部分163Aの最も低い表面の高さHRは、ゴルフクラブヘッド100のヒール部分116におけるヒールアーム部分163Bの最も低い表面の高さHRより大きい。
特定の例によれば、図3、4、及び9Aに示されるように、ゴルフクラブヘッド100がアドレス位置にあるときに垂直方向で測定されるリング106の幅(WR)は、前から後ろ方向に(例えば、リング106の長さに沿って)変化する。一例では、幅WRは、前から後ろ方向に最小幅から最大幅に増加する。換言すれば、特定の例では、リング106の幅WRは、前から後ろ方向に変化する。いくつかの例では、リング106の最大幅WRは、ゴルフクラブヘッド100の最後端にある。一例では、リング106の最大幅WRは、少なくとも20mmである。特定の例によれば、図14に示されるように、トウ部分114におけるリング106の幅WRは、ヒール部分116におけるリング106の幅WRより小さい。いくつかの更なる例によれば、リング106の厚みは、リング106に沿って前から後ろ方向に変化することができる。
図2~4、6、8、9A、及び11~15を参照すると、いくつかの例では、ゴルフクラブヘッド100は、ゴルフクラブヘッド100の最後端などに、リング106のカンチレバー部分161に取り付けられたマスエレメント159を更に含む。マスエレメント159は、カンチレバー部分161から選択的に取り外し可能である(例えば、異なる重量のマスエレメントと交換可能)又は恒久的にそれに取り付けることができる。一例によれば、マスエレメント159及びウェイト173は、鋳造カップ104及びリング106のカンチレバー部分161に交換可能に結合可能である。したがって、いくつかの例では、ゴルフクラブヘッド100の飛行制御技術コンポーネント、マスエレメント159、及びウェイト173は、ゴルフクラブヘッド100に対して調整可能である。特定の例では、ゴルフクラブヘッド100の飛行制御技術コンポーネント、マスエレメント159、及びウェイト173は、単一又は同一のツールを介して調整可能であるように構成される。
一例では、マスエレメント159は、雄ねじを含む。ゴルフクラブヘッド100は、リング106のカンチレバー部分161に取り付けられたマスレセプタクル157を更に含むことができる。マスレセプタクル157は、マスエレメント159と螺号可能に係合してマスエレメント159をカンチレバー部分161に固定する雌ねじを有するねじ山付きアパチャを含むことができる。いくつかの例では、マスレセプタクル157は、カンチレバー部分161に溶接され、他の例ではカンチレバー部分161に接着される。特定の例では、マスレセプタクル157は、カンチレバー部分161と共成形される。カンチレバー部分161はまた、マスパッド155(例えば、図9A、12、及び15を参照)又はカンチレバー部分161の一部を含み、厚み、延いては、質量が局所的に増加する。マスレセプタクル157は、カンチレバー部分161のマスパッド155内に形成することができる。いくつかの例では、マスエレメント159は、約15g~約35g(例えば、24g)の質量を有する。
図示される例におけるマスエレメント159及びウェイト173の一方又は両方の外周形状は、円形である。したがって、マスエレメント159及びウェイト173の一方又は両方の向きは、それぞれ、マスエレメント159及びウェイト173の中心軸の周りで、0°~360°の間の様々な任意の向きで回転可能である。しかし、他の例では、マスエレメント159及びウェイト173の少なくとも一方又は両方の外周形状は、卵形、三角形、台形、正方形などの非円形である。例えば、図16に示されるように、ウェイト273は、台形又は長方形である外周形状を有する。特定の例では、非円形の外周形状を有するマスエレメント159及び/又はウェイト173は、マスエレメント159及びウェイト173の中心軸を中心に、それぞれ、0°から少なくとも90°の間の様々な任意の向きで回転可能であり、他の実施では、0°から少なくとも180°の間の様々な任意の向きで回転可能である。
ゴルフクラブヘッド100の構造及び材料の多様性は、マスエレメント159(例えば、第2のウェイト又は後方のウェイト)の位置に対するウェイト173(例えば、第1のウェイト又は前方のウェイト)の位置のフレキシビリティを可能にする。いくつかの例では、ウェイト173とマスエレメント159の相対位置は、2020年1月24日出願の米国特許出願第16/752,397号明細書に開示されているものと同様であることができる。図9Aを参照すると、一例によれば、クラブヘッド原点座標系185のz軸上の第1のウェイトのCG(FWCG)のz軸座標は、-30mm~-10mm(例えば、-21mm)であり、クラブヘッド原点座標系185のy軸上の第1のウェイトのCG(FWCG)のy軸座標は、10mm~30mm(例えば、23mm)であり、クラブヘッド原点座標系185のx軸上の第1のウェイトのCG(FWCG)のx軸座標は、15mm~35mm(例えば、22mm)である。同一又は異なる例によれば、クラブヘッド原点座標系185のz軸上の第2のウェイトのCG(SWCG)のz軸座標は、-30mm~10mm(例えば、-11mm)であり、クラブヘッド原点座標系185のy軸上の第2のウェイトのCG(SWCG)のy軸座標は、90mm~120mm(例えば、110mm)であり、クラブヘッド原点座標系185のx軸上の第2のウェイトのCG(SWCG)のx軸座標は、-20mm~10mm(例えば、-7mm)である。
特定の例では、ゴルフクラブヘッド100のソール部分117は、長さ方向に延びる慣性発生フィーチャ177を含む。長さ方向は、打撃面145に対して垂直又は斜めである。いくつかの例によれば、慣性発生フィーチャ177は、その全体を参照により本明細書に援用する2019年10月22日出願の米国特許出願第16/660,561号明細書に開示の慣性発生器と同一のフィーチャを含み、同一の利点を提供する。図示される例では、ソールインサート110は、慣性発生フィーチャ177の少なくとも一部を形成する。より具体的には、いくつかの例では、ソールインサート110は、慣性発生フィーチャ177の全部又は大部分を形成する。特定の例では、リング106のカンチレバー部分161もまた、慣性発生フィーチャ177の一部(例えば、最後部)を形成する。慣性発生フィーチャ177は、ゴルフクラブヘッド100の慣性を増加させ、ゴルフクラブヘッド100の重心(CG)を低下させるのに役立つ。
慣性発生フィーチャ177は、ホーゼル120の後方の位置からゴルフクラブヘッド100の後方部分118の近接位置まで延びる隆起又は突出したプラットフォームを含む。慣性発生フィーチャ177は、ソール部分117の周囲外表面の上方に隆起する(即ち、ゴルフクラブヘッド100の向きに応じて突出している)実質的に平坦又は平面状の表面を含む。特定の例では、慣性発生フィーチャ177の少なくとも一部は、ソール部分117の周囲外表面の上方に、少なくとも1.5mm、少なくとも1.8mm、少なくとも2.1mm、又は少なくとも3.0mm隆起している。慣性発生フィーチャ177はまた、ソール部分117の全幅より小さい幅(例えば、全幅の半分未満)を有する。前述の観点から、慣性発生フィーチャ177は、複数の変曲点を有する複雑な湾曲ジオメトリを有する。したがって、慣性発生フィーチャ177を画定するソールインサート110は、複数の変曲点を有する複雑な曲面を有する。
図1~3及び5を参照すると、いくつかの例では、ゴルフクラブヘッド100は、ボディ102のトウ部分114に貫通アパチャ172を含む。貫通アパチャ172は、内部空洞113がアパチャ172を介してアクセス可能であるように、ボディ102の壁を完全に貫通して延びる。アパチャ172を使用して、前方部分112の内表面に対する、内部空洞113に補強材を挿入し、打撃面145のCTを設定するのを助けることができる。補強材、挿入プロセス、及び打撃面145のCTに対する補強材の効果の更なる詳細は、その全体を参照により本明細書に援用する2019年7月4日公開の米国特許出願公開第2019/0201754号明細書にみることができる。図示されるように、貫通アパチャ172は、前方部分112(例えば、打撃面145)に配されていない。したがって、いくつかの例では、打撃面145は、ゴルフクラブヘッド100の内部空洞113又は中空内部領域に開放した貫通アパチャを有しない。更に、いくつかの例では、ショアD値が10より大きい、5より大きい、又は1より大きい材料は、打撃面145の幾何学中心のトウ方向及び/又はヒール方向の位置で、打撃面145の反対側にあり、中空の内部領域に開放する前方部分112の内表面166に接触しない。更に他の例では、硬度に関係なく、打撃面145の反対側にあり、中空の内部領域に開放する前方部分112の内表面166に接触する材料がない。
本明細書に開示されるゴルフクラブヘッドのCT特性は、打撃面145の中央領域内のCT値として定義することができる。中央領域は、打撃面の中心を中心とし、ヒールからトウ方向に延びる40mm×20mmの長方形領域である。いくつかの例では、打撃面145の中心は、打撃面145の幾何学中心であることができる。中央領域内では、打撃面145は、257マイクロ秒以下の特性時間(CT)を有する。いくつかの例では、中央領域内の打撃面の少なくとも60%のCTが、少なくとも235マイクロ秒である。いくつかの例によれば、中央領域内の打撃面の少なくとも35%のCTが、少なくとも240マイクロ秒である。
打撃面の幾何学中心にある打撃面145のCTは、初期CT値を有する。初期CT値は、標準的なゴルフボールと衝突する前の打撃面145のCT値である。本明細書においては、標準的なゴルフボールとの衝突は、ゴルフボールが毎秒52メートルの速度で移動しているときの標準的なゴルフボールの衝突である。いくつかの例によれば、初期CT値は、少なくとも244マイクロ秒である。特定の例では、ゴルフクラブヘッド100を含む、本明細書に開示されるドライバータイプのゴルフクラブヘッドは、打撃面145の幾何学中心での標準的なゴルフボールの500回の衝突の後、中央領域内の任意の点における打撃面のCTが256マイクロ秒未満であり、打撃面の幾何学中心でのCTは、初期CT値と5マイクロ秒以内で異なる(例えば、より大きくなる)ように構成される。
特定の例では、ゴルフクラブヘッド100を含む、本明細書に開示されるドライバータイプのゴルフクラブヘッドは、打撃面の幾何学中心での標準的なゴルフボールの1,000回、1,500回、2,000回、2,500回、又は3,000回の衝突の後に、中央領域内の任意の点における打撃面のCTが256マイクロ秒未満であるように構成される。いくつかの例によれば、打撃面の幾何学中心での標準的なゴルフボールの2000回の衝突の後、中央領域内の任意の点における打撃面145のCTは、初期CT値と7マイクロ秒又は9マイクロ秒以内で異なる。更に、特定の例では、打撃面の幾何学中心での標準的なゴルフボールの2000回の衝突の後、打撃面の幾何学中心での打撃面145のCTは、249マイクロ秒以上であり、10マイクロ秒以下、初期CT値と異なる。いくつかの例によれば、打撃面の幾何学中心での標準的なゴルフボールの3000回の衝突の後、中央領域内の任意の点での打撃面145のCTは、初期CT値と9マイクロ秒又は13マイクロ秒以内で異なる。打撃面145が金属材料から形成されている例などの特定の例では、打撃面145の内向き面の進行は、打撃面の幾何学中心での標準的なゴルフボールの500回の衝撃の後、0.01インチ未満である。
図16及び17を参照すると、本明細書に開示されるゴルフクラブヘッドの別の例によれば、ゴルフクラブヘッド200が示される。ゴルフクラブヘッド200は、ゴルフクラブヘッド100の特徴と同様の特徴を含み、同一の参照番号(例えば、同一番号ではあるが200番台のもの)は、同一の特徴を指す。例えば、ゴルフクラブヘッド100と同様に、ゴルフクラブヘッド200は、トウ部分214と、前記トウ部分214の反対側にヒール部分216とを含む。更に、ゴルフクラブヘッド200は、前方部分212と、前記前方部分212の反対側に後方部分218とを含む。ゴルフクラブヘッド200は、ゴルフクラブヘッド200の下部領域にあるソール部分217と、ソール部分217の反対側でゴルフクラブヘッド200の上部領域にあるクラウン部分219とを更に含む。ゴルフクラブヘッド200は、ゴルフクラブヘッド200がクラウン部分219とソール部分217との間で移行する移行領域を画定するスカート部分221を含む。ゴルフクラブヘッド200は、前方部分212と、後方部分218と、クラウン部分219と、ソール部分217と、ヒール部分216と、トウ部分214と、スカート部分221とが共に画定し、囲む内部空洞213を更に含む。更に、前方部分212は、ソール部分217からクラウン部分219まで、及びトウ部分214からヒール部分216まで前方部分212に沿って延びる打撃面245を含む。更に、ゴルフクラブヘッド200は、ボディ202、ゴルフクラブヘッド200の上部でボディ202に取り付けられたクラウンインサート208、及びゴルフクラブヘッド200の下部でボディ202に取り付けられたソールインサート210を更に含む。ボディ202は、鋳造カップ204及びリング206を含む。リング206は、トウ側ジョイント212A及びヒール側ジョイント212Bで鋳造カップ204に接合されている。ボディ202の鋳造カップ204はまた、ゴルフクラブヘッド200のソール部分217にスロット271を含む。更に、ゴルフクラブヘッド200は、ボディ202のリング206に取り付けられたマスエレメント259及びマスレセプタクル257、並びに鋳造カップ204に取り付けられたウェイト273を更に含む。したがって、前述の観点から、ゴルフクラブヘッド200は、ゴルフクラブヘッド100といくつかの類似点を有している。
しかし、ゴルフクラブヘッド100とは異なり、ゴルフクラブヘッド200の打撃面245は、鋳造カップ204と共成形されていない。打撃面245は、鋳造カップ204と別に形成され、例えば、結合、溶接、ろう付け、締結などによって鋳造カップ204に取り付けられる打撃プレート243の一部を形成する。したがって、打撃プレート243は、打撃面245を画定する。鋳造カップ204は、ゴルフクラブヘッド200の前方部分212にプレート開口部249と、プレート開口部249の周りに連続的に延びるプレート開口部凹状レッジ247とを含む。プレート開口部凹状レッジ247の内周は、プレート開口部249を画定する。打撃プレート243は、プレート開口部凹状レッジ247に着座係合して打撃プレート243を固定することによって鋳造カップ204に取り付けられる。このようにプレート開口部凹状レッジ247と接合されると、打撃プレート243は、プレート開口部249を覆う又は囲む。更に、プレート開口部凹状レッジ247及び打撃プレート243は、プレート開口部凹状レッジ247に着座可能に係合したときに、打撃プレート243がクラウン部分219に当接するように、ゴルフクラブヘッド200のクラウン部分219に対するサイズ、形状、及び配置とされる。クラウン部分219に当接する打撃プレート243は、ゴルフクラブヘッド200のトップラインを画定する。更に、いくつかの例では、打撃プレート243の目に見える外観は、ゴルフクラブヘッド200のクラウン部分219の外観と十分に対照的であり、ゴルフクラブヘッド200のトップラインが視覚的に強調される。打撃プレート243は、鋳造カップ204とは別に形成されるので、打撃プレート143は、鋳造カップ204の材料と異なる材料から形成することができる。一例では、打撃プレート143が繊維強化ポリマー材料で形成される。更に別の例では、打撃プレート243がチタン合金(例えば、Ti6-4、Ti9-1-1、及びZA1300)などの金属材料で形成される。
更に、ゴルフクラブヘッド100とは異なり、鋳造カップ204は、ゴルフクラブヘッド200のソール部分217にウェイトトラック279を含む。ウェイトトラック279は、ソール部分217に沿ってヒールからトウ方向に長さ方向に延びる。図示されるように、鋳造カップ204がスロット271も含む例では、ウェイトトラック279は、スロット271に実質的に平行であり、前から後ろ方向にスロット271からオフセットされている。ウェイトトラック279は、ウェイトトラック279の長さに沿って長さ方向に延びる少なくとも1つのレッジを含む。図示される例では、ウェイトトラック279は、前方レッジ297A及び後方レッジ297Bを含み、これらは、前から後ろ方向に互いに対して離間している。ウェイトトラック279内に配されたウェイト273は、ウェイトトラック279の1以上のレッジに選択的にクランプ可能であり、ウェイト273をウェイトトラック279に解放可能に固定する。図示される例では、ウェイト273は、前方レッジ297Aと後方レッジ297Bの両方に選択的にクランプ可能である。ウェイトトラック279の1以上のレッジに対するクランプを解除すると、ウェイト273は、図16の方向矢印によって示されるように、1以上のレッジに沿ってスライド可能であり、ウェイトトラック279に対するウェイト273の位置を変更し、1以上のレッジに再クランプされると、ゴルフクラブヘッド200の質量分布、重心(CG)、及び他の性能特性を調整する。
一例によれば、ウェイト273は、ワッシャ273A、ナット273B、及びワッシャ273A及びナット273Bと相互接続してウェイトトラック279のレッジ297A、297Bをクランプダウンする固定ボルト273Cを含む。ワッシャ273Aは、ねじ山が付いていないアパチャを有し、ナット273Bは、ねじ山が付いたアパチャを有する。固定ボルト273Cはねじ山が付いており、ワッシャ273Aのねじ山が付いていない開口部を通って、ナット273Bのねじ山の付いた開口部に螺号可能に係合する。固定ボルト273Cとナット273Bとの間の螺号可能な係合により、ワッシャ273Aとナット273Bとの間のギャップを狭くする(これにより、ワッシャ273Aとナット273Bとの間の1以上のレッジのクランピングが容易になる)又は広げることができ、ワッシャ273Aとナット273Bとの間からの1以上のレッジのクランプ解除を容易にする。固定ボルト273Cは、ワッシャ273A及びナット273Bの両方に対して回転可能である、又は一体のモノリシック構造を形成し、ワッシャ273A及びナット273Bのうちの1つと共回転可能とすることができる。
ゴルフクラブヘッド200の重量及びウェイトトラック279の深さを低減するために、固定ボルト273Cは短い。例えば、ウェイト273がレッジ297A、297Bにクランプされたときの固定ボルト273Cの長さは、ナット273B(又は、ナット273B及びワッシャ273Aの位置が逆の場合、ワッシャ273A)を3mm以下だけ、超えて延びる。いくつかの例では、固定ボルト273Cの全長は、ワッシャ273Aと、ナット273Bと、レッジ297A、297Bのうちの1つとを合わせた厚みより、15%以下大きい。
図示されるように、ワッシャ273Aの外周形状は、台形又は長方形などの非円形である。同様に、ナット273Bの外周形状は、台形又は長方形などの非円形であることができる。或いは、図示されるように、ナット273Bの外周形状は円形であり、ワッシャ273Aの外周形状は非円形である。
図18を参照すると、本明細書に開示されるゴルフクラブヘッドの別の例によれば、ゴルフクラブヘッド300が示される。ゴルフクラブヘッド300は、ゴルフクラブヘッド100及びゴルフクラブヘッド200の特徴と同様の特徴を含み、同一の参照番号(例えば、同一番号ではあるが300番台のもの)は、同一の特徴を指す。例えば、ゴルフクラブヘッド100及びゴルフクラブヘッド200と同様に、ボディ302、ゴルフクラブヘッド300の上部でボディ302に取り付けられたクラウンインサート308、及びゴルフクラブヘッド300の下部でボディ302に取り付けられたソールインサート310を含む。ボディ302は、鋳造カップ304及びリング306を含む。リング306は、トウ側ジョイント及びヒール側ジョイントで鋳造カップ304に接合される。ボディ302の鋳造カップ304はまた、ゴルフクラブヘッド300のソール部分にスロット371を含む。更に、ゴルフクラブヘッド300は、ボディのリング306に取り付けられたマスエレメント359及びマスレセプタクル357、並びにファスナ379によって鋳造カップ304に取り付けられたウェイト373を更に含む。更に、ゴルフクラブヘッド200と同様に、ゴルフクラブヘッド300は、打撃面145を画定し、鋳造カップ304と別に形成されてこれに取り付けられる打撃プレート343を含む。いくつかの例では、打撃プレート343は、繊維強化ポリマーで形成され、基部347と、基部347上に適用されたカバー349とを含む。いくつかの例では、基部347は、カバー349より厚く、基部347は、繊維強化ポリマーで形成され、カバー349は繊維を含まないポリマーで形成される。特定の例では、カバー349は、ポリウレタンで形成される。また、カバー349は、繊維を含まないポリマー中に形成された溝351又はスコアラインを含む。打撃面345を画定するカバー349の部分の表面粗さは、ボディ302の表面粗さよりも大きい。したがって、前述の観点から、ゴルフクラブヘッド300は、ゴルフクラブヘッド100及びゴルフクラブヘッド200といくつかの類似点を有する。
しかし、ゴルフクラブヘッド100の鋳造カップ104及びゴルフクラブヘッド200の鋳造カップ204の図示の例と異なり、鋳造カップ304は、マルチピース構造を有する。より具体的には、鋳造カップ304は、上部カップピース304A及び下部カップピース304Bを含む。上部カップピース304Aは、下部カップピース304Bと別に形成される。したがって、上部カップピース304A及び下部カップピース304Bは、互いに接合又は取り付けられて、鋳造カップ304を形成する。上部カップピース304A及び下部カップピース304Bは別々に形成されるので、上部カップピース304Aを、下部カップピース304Bの材料と異なる材料で形成することができる。鋳造カップ304は、ホーゼル320の一部が上部カップピース304Aに形成され、ホーゼル320の別の部分が下部カップピース304Bに形成されるホーゼル320を含む。
いくつかの例によれば、上部カップピース304Aは、下部カップピース304Bの材料と異なる材料で形成される。例えば、上部カップピース304Aを、下部カップピース304Bの材料よりも低い密度を有する材料で形成することができる。一例では、上部カップピース304Aがチタン合金で形成され、下部カップピース304Bが鋼合金で形成される。別の例によれば、上部カップピース304Aがアルミニウム合金で形成され、下部カップピース304Bが鋼合金、又は10-17密度タングステンなどのタングステン合金で形成される。かかる構成は、ゴルフクラブヘッド100の一体型鋳造カップ104と比較して、鋳造カップ304の質量を増加させ、鋳造カップ304及びゴルフクラブヘッド300の重心(CG)を低下させるのに役立つ。代替構成では、いくつかの例によれば、上部カップピース304Aがアルミニウム合金で形成され、下部カップピース304Bがチタン合金で形成される。これらの後者の構成は、鋳造カップ304の全体的な質量を減少させるのに役立つ。いくつかの例によれば、上部カップピース304A及び下部カップピース304Bは、異なる製造技術を使用して製造される。例えば、上部カップピース304Aは、スタンピング、鍛造、及び/又は金属射出成形(MIM)によって形成することができ、下部カップピース304Bは、スタンピング、鍛造、及び/又は金属射出成形(MIM)のうちの1つ又は各種組合せによって形成することができる。上部カップピース304A及び下部カップピース304Bの材料及び質量特性の組合せの様々な例を、以下の表2に示す。
図示されるように、鋳造カップ304は、ウェイト373を受容し保持するポート375を含む。ポート375は、ゴルフクラブヘッド300のソール部分の固定位置にウェイト373を保持するように構成される。しかし、他の例では、ポート375は、ゴルフクラブヘッド200のウェイトトラック279と同様に、ウェイトトラックと交換することができ、ウェイト373は、選択的に調整可能であり、ウェイトトラックに沿った様々な任意の位置に移動させることができる。このようにして、ウェイトトラック、及びウェイトトラックの対応する1以上のレッジは、マルチピース鋳造カップの1つのピースの一部を形成することができる。
鋳造カップ304は2ピース構造を有することが示されているが、他の例では、鋳造カップ304は3ピース構造を有する、又は3超のピースで構成される。一例によれば、鋳造カップ304は、クラウン-トウピース、クラウン-ヒールピース、及びソールピースを有する。特定の実施では、クラウン-トウピースとクラウン-ヒールピースは、チタン合金で形成され、ソールピースは、鋼合金で形成される。クラウン-トウピースのチタン合金は、クラウン-ヒールピースのチタン合金と同一でも異なってもよい。
図19及び20を参照すると、本明細書に開示されるゴルフクラブヘッドの別の例によれば、ゴルフクラブヘッド400が示される。ゴルフクラブヘッド400は、ゴルフクラブヘッド100、ゴルフクラブヘッド200、及びゴルフクラブヘッド300の特徴と同様の特徴を含み、同一の参照番号(例えば、同一番号ではあるが400番台のもの)は、同一の特徴を指す。例えば、ゴルフクラブヘッド100、ゴルフクラブヘッド200、及びゴルフクラブヘッド300と同様に、ゴルフクラブヘッド400は、ボディ402、ゴルフクラブヘッド400の上部でボディ402に取り付けられたクラウンインサート408、及びゴルフクラブヘッド400の下部でボディ402に取り付けられたソールインサート410を含む。ボディ402は、鋳造カップ404及びリング406を含む。リング406は、トウ側ジョイント412A及びヒール側ジョイント412Bで鋳造カップ404に接合される。更に、ゴルフクラブヘッド200及びゴルフクラブヘッド300と同様に、ゴルフクラブヘッド400は、打撃面445を画定し、鋳造カップ404と別に形成されてこれに取り付けられる打撃プレート443を含む。したがって、前述の観点から、ゴルフクラブヘッド400は、ゴルフクラブヘッド100、ゴルフクラブヘッド200、及びゴルフクラブヘッド300といくつかの類似点を有する。
更に、ゴルフクラブヘッド400は、ファスナ479によって鋳造カップ404に取り付けられたウェイト473を更に含む。図示されるように、鋳造カップ404は、ウェイト473を受容し保持するポート475を含む。ポート475は、ゴルフクラブヘッド400のソール部分の固定位置にあるウェイト473を保持するように構成されている。しかし、他の例では、ポート475は、ゴルフクラブヘッド200のウェイトトラック279と同様のウェイトトラックと交換することができ、ウェイト473は、選択的に調整可能で、ウェイトトラックに沿った様々な任意の位置に移動させることができる。このようにして、ウェイトトラック、及びウェイトトラックの対応する1以上のレッジは、鋳造カップ404の一部を形成することができる。
また、ゴルフクラブヘッド100、ゴルフクラブヘッド200、及びゴルフクラブヘッド300と同様に、ゴルフクラブヘッド400は、マスエレメント459及びマスレセプタクル457を更に含む。前述のゴルフクラブヘッドのレセプタクルのいくつかの例と異なり、ゴルフクラブヘッド400のマスレセプタクル457は、リング406のカンチレバー部分461と一体のモノリシック構造を形成する。したがって、特定の例では、マスレセプタクル457は、リング406と共鋳造される。マスレセプタクル457は、マスエレメント459を入れ子状に受容するように構成された開口部又は凹部を含む。マスエレメント459は、リング406の材料と異なる(例えば、より高密度の)タングステンなどの材料で形成することができる。マスエレメント459は、接着剤によって、リング406に結合されて、マスエレメント459をマスレセプタクル457内に固定する。いくつかの例では、マスエレメント459は、リング406に結合されたときに、マスレセプタクル457における対応するアパチャと係合するプロング463を含む。プロング463とマスレセプタクル457の対応するアパチャとの間の係合は、マスエレメント459とリング406との間の結合を強化する及び堅固にするのに役立つ。
図21を参照すると、リング406は、ゴルフクラブヘッド400のスカート部分421のトウ側を画定するトウアーム部分463Aと、スカート部分421のヒール側を画定するヒールアーム部分463Bとを含む。更に、トウアーム部分463A及びヒールアーム部分463Bは、それぞれ、ゴルフクラブヘッド400のトウ部分414及びヒール部分416の一部を画定する(例えば、図19及び20を参照)。カンチレバー部分461は、トウアーム部分463A及びヒールアーム部分463Bから下向きに延び、一方、トウアーム部分463A及びヒールアーム部分463Bは、カンチレバー部分461から前方に延びる。したがって、カンチレバー部分461は、ゴルフクラブヘッド400がアドレス位置にあるとき、トウアーム部分463A及びヒールアーム部分463Bより地面181のより近くにある。図21では、リング406は、ゴルフクラブヘッド400が地面181に対してアドレス位置にあるときのリング406の位置に対応する位置に示されている。
いくつかの例では、ゴルフクラブヘッド400のトウ部分414におけるトウアーム部分463Aの最も低い表面(及びいくつかの例ではその全体)の高さHRは、ゴルフクラブヘッド400のヒール部分416におけるヒールアーム部分463Bの最も低い表面(及びいくつかの例ではその全体)の高さHRと異なる。より具体的には、一例では、ゴルフクラブヘッド400のトウ部分414でのトウアーム部分463Aの最も底い表面の高さHRは、ゴルフクラブヘッド100のヒール部分416でのヒールアーム部分463Bの最も低い表面の高さHRより大きい。
特定の例によれば、トウ部分414でのリング406のトウアーム部分463Aの幅WRは、ヒール部分416でのリング406のヒールアーム部分463Bの幅WRより小さい。いくつかの更なる例によれば、リング406の厚み(TR)は、リング406に沿って前方から後方への方向に変化し得る。例えば、いくつかの例では、リング406の厚みTRは、前方から後方への方向で最小厚みから最大厚みまで変化する。特定の例では、図示されるように、トウ部分414でのリング406のトウアーム部分463Aの厚みTRは、ヒール部分416でのリング406のヒールアーム部分463Bの厚みTRより小さい。
ゴルフクラブヘッド100、ゴルフクラブヘッド200、及びゴルフクラブヘッド300を含む、本明細書に開示のゴルフクラブヘッドは、それぞれ、ゴルフクラブヘッドの体積変位に等しい390立方センチメートル(cm3又はcc)~約600cm3の体積を有する。より具体的な例では、本明細書に開示されるゴルフクラブヘッドのそれぞれの体積は、約350cm3~約500cm3又は約420cm3~約500cm3である。本明細書に開示されるゴルフクラブヘッドのそれぞれの総質量は、いくつかの例では、約145g~約245gであり、他の例では、185g~210gである。
本明細書に開示されるゴルフクラブヘッドは、マルチピース構造を有する。例えば、ゴルフクラブヘッド100に関して、鋳造カップ104、リング106、クラウンインサート108、及びソールインサート110は、それぞれ、マルチピース構造の1つのピースを含む。マルチピース構造の各ピースは別々に形成され、互いに取り付けられるので、各ピースは、他のピースの少なくとも1つと異なる材料で形成することができる。かかるマルチマテリアル構造は、ゴルフクラブヘッドの材料組成、延いては、質量構成及び分布のフレキシビリティを可能にする。
本明細書に開示されるゴルフクラブヘッドの以下の特性は、ゴルフクラブヘッド100に関して記載される。しかし、特段の断りがない限り、ゴルフクラブヘッド100に関して記載される特性は、ゴルフクラブヘッド200、ゴルフクラブヘッド300、及びゴルフクラブヘッド400にも適用される。ゴルフクラブヘッド100は、0.9g/cc~3.5g/ccの密度を有する少なくとも1つの第1の材料、3.6g/cc~5.5g/ccの密度を有する少なくとも1つの第2の材料、及び5.6g/cc~20.0g/ccの密度を有する少なくとも1つの第3の材料から形成される。第1の例では、鋳造カップ104は第3の材料で形成され、リング106は第2の材料で形成され、クラウンインサート108及びソールインサート110は第1の材料で形成される。この第1の例では、一例によれば、鋳造カップ104が鋼合金で形成され、リング106がチタン合金で形成され、クラウンインサート108及びソールインサート110が繊維強化ポリマー材料で形成される。第2の例では、鋳造カップ104が第2及び第3の材料で形成され、リング106が第1又は第2の材料で形成され、クラウンインサート108及びソールインサート110が第1の材料で形成される。この第2の例では、一例によれば、鋳造カップ104が鋼合金及びチタン合金で形成され、リング106がチタン合金、アルミニウム合金、又はプラスチックで形成され、クラウンインサート108及びソールインサート110が繊維強化ポリマー材料で形成される。
いくつかの例によれば、少なくとも1つの第1の材料は、ゴルフクラブヘッド100の総質量の55%以下且つゴルフクラブヘッド100の総質量の25%以上(例えば、50g~110g)の第1の質量を有する。特定の例では、少なくとも1つの第1の材料の第1の質量は、ゴルフクラブヘッド100の総質量の45%以下且つゴルフクラブヘッド100の総質量の30%以上である。少なくとも1つの第1の材料の第1の質量は、少なくとも1つの第2の材料の第2の質量よりも大きいことがあり得る。代替的又は追加的に、少なくとも1つの第1の材料の第1の質量は、少なくとも1つの第2の材料の第2の質量の10g以内であり得る。
いくつかの例では、少なくとも1つの第2の材料は、ゴルフクラブヘッド100の総質量の65%以下且つゴルフクラブヘッド100の総質量の20%以上(例えば、40g~130g)の第2の質量を有する。特定の例によれば、少なくとも1つの第2の材料の第2の質量は、ゴルフクラブヘッド100の総質量の50%以下である。特定の例では、少なくとも1つの第2の材料の第2の質量は、少なくとも1つの第1の材料の第1の質量の2倍未満である。いくつかの例では、少なくとも1つの第2の材料の第2の質量は、少なくとも1つの第1の材料の第1の質量の0.9倍~1.8倍である。一例では、少なくとも1つの第2の材料の第2の質量は、少なくとも1つの第1の材料の第1の質量の0.9倍未満又は1.8倍未満である。
少なくとも1つの第3の材料は、少なくとも1つの第1の材料の第1の質量及び少なくとも1つの第2の材料の第2の質量を減じたゴルフクラブヘッド100の総質量に等しい第3の質量を有する。一例では、少なくとも1つの第3の材料の第3の質量は、ゴルフクラブヘッド100の総質量の5%以上であり、ゴルフクラブヘッド100の総質量の50%以下(例えば、10g~100g)である。別の例によれば、少なくとも1つの第3の材料の第3の質量は、ゴルフクラブヘッド100の総質量の10%以上であり、ゴルフクラブヘッド100の総質量の20%以下である。
一例によれば、ゴルフクラブヘッド100のボディ102の鋳造カップ104は、少なくとも1つの第1の材料から形成され、少なくとも1つの第1の材料は、4.0g/cc~8.0g/ccの密度を有する第1の金属材料である。この例では、ゴルフクラブヘッド100のボディ102のリング106は、0.5g/cc~4.0g/ccの密度を有する材料で形成される。特定の実施によれば、鋳造カップ104の第1の金属材料は、チタン合金及び/又は鋼合金であり、リング106の材料は、アルミニウム合金及び/又はマグネシウム合金である。いくつかの実施では、鋳造カップ104の第1の金属材料は、チタン合金及び/又は鋼合金であり、リング106の材料は、プラスチック又はポリマー材料などの非金属材料である。したがって、いくつかの例では、リング106は、チタン合金、アルミニウム合金、及び繊維強化ポリマー材料などの様々な任意の材料で形成される。
リング106は、いくつかの例では、6000シリーズ、7000シリーズ、又は8000シリーズのアルミニウムのうちの1つで形成されており、鋳造カップ104と同一又は異なる特定の色を有するように陽極酸化することができる。いくつかの例によれば、リング106を、青、赤、オレンジ、緑、紫などを含む一連の色のいずれかを有するように陽極酸化することができる。リング105と鋳造カップ104との間の対照的な色は、位置合わせに役立つ、又はユーザの好みに合わせることができる。一例では、リング106は、7075アルミニウムで形成される。いくつかの例によれば、リング106は、繊維強化ポリカーボネート材料で形成される。リング106は、非導電性の真空メタライゼーションコーティングを有するプラスチックから形成することができ、これもまた、様々な任意の色を有することができる。したがって、特定の例では、リング106は、チタン合金、鋼合金、ホウ素注入鋼合金、銅合金、ベリリウム合金、複合材料、硬質プラスチック、弾性エラストマー材料、短繊維又は長繊維を有する炭素繊維強化熱可塑性材料で形成される。リング106は、射出成形、鋳造成形、物理蒸着、又はCNCフライス盤技術によって形成することができる。
本明細書に記載されるように、本明細書に開示されるクラブヘッドのいずれかのリング(例えば、リング106)は、様々な異なる材料及び特徴を含むことができ、異なる材料で形成することができ、別に形成されて後にリングに結合される鋳造カップ(例えば、鋳造カップ104)と異なる特性を有することができる。本明細書に記載の他の材料に追加的又代替的に、リングは、金属材料、ポリマー材料、及び/又は複合材料を含むことができ、様々な外部コーティングを含むことができる。
いくつかの実施形態では、リングは、6000、7000、及び8000シリーズのアルミニウムなどの陽極酸化アルミニウムを含む。1つの特定の例では、リングは、7075グレードのアルミニウムを含む。陽極酸化アルミニウムは、赤、緑、青、グレー、白、オレンジ、紫、ピンク、フクシア、黒、透明、黄色、金、銀、又はメタリックカラーなどに着色することができる。いくつかの実施形態では、リングは、クラブヘッドの他の部分(例えば、クラウンインサート、ソールインサート、カップ、リアウェイトなど)の主要な色と対照的な色を有することができる。
いくつかの実施形態では、リングは、金属、金属合金(例えば、Ti合金、鋼、ホウ素注入鋼、アルミニウム、銅、ベリリウム)、複合材料(例えば、短繊維又は長繊維を有する炭素繊維強化ポリマー)、硬質プラスチック、弾性エラストマー、他の高分子材料、及び/又は他の好適な材料の任意の組合せを含むことができる。リングの材料の選択は、鋳造、射出成形、焼結、機械加工、フライス盤、鍛造、押し出し、スタンピング、圧延などの任意の組合せなどの様々な成形方法のいずれかと組み合わせることもできる。
プラスチックリング(繊維強化ポリカーボネートリング)は、両質量の低減をもたらすことができる。例えば、アルミニウムリングと比較して約5グラムであり、コストも節約でき、リングの形成に使用されるプロセスにより、設計のフレキシビリティが向上する(例えば、射出成形された熱可塑性プラスチック)。乱用試験(abuse testing)、例えば、クラブヘッドをコンクリートのカートパスに叩きつけること(極端な乱用)又は他の金属クラブが繰り返し衝撃を与え得るバッグ内で揺り動かすこと(通常の乱用)においてアルミニウムリングと同様の性能を示す。
いくつかの実施形態では、リングは、非導電性真空メタライゼーション(NCVM)コーティングを有するポリマー材料(例えば、プラスチック)を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、リングは、約5~11マイクロメートル(μm)又は約8.5μmの平均厚みを有するプライマー層と、約5~11μm又は約8.5μmの平均厚みを有するプライマー層の上のアンダーコーティング層と、約1.1~3.5μm又は約2.5μmの平均厚みを有するアンダーコーティング層の上のNCVM層と、約25~35μm又は約29μmの平均厚みを有するNCVM層の上のカラーコーティング層と、約20~35μm又は約26μmの平均厚みを有するカラーコーティング層の上のトップコーティング(UV保護コート)外層とを含む。一般に、NCVMコーティングされた部分又はリングでは、NCVM層が最も薄くなり、カラーコーティング層とトップコーティング層が最も厚くなり、通常、NCVM層より約8~15倍厚くなる。一般に、全ての層が組み合わせられて、約60~90μm又は約75μmの総平均厚みを有する。記載した各層とNCVMコーティングは、クラウン、ソール、前方カップ、取り外し可能ウェイトなど、リング以外の他の部分に適用でき、組立て前に適用できる。
いくつかの実施形態では、リングは、物理蒸着(PVD)コーティング又はフィルム層を含むことができる。いくつかの実施形態では、リングは、ペイント層、又は他の外側の着色層を含むことができる。従来、ゴルフクラブヘッドのペインティングは、全て手作業で行われており、不要な表面への不要な噴霧を防ぐために様々なコンポーネントをマスキングする必要がある。しかし、ハンドペインティングは、クラブごとに大きなばらつきを引き起こし得る。リングを別に形成することは、フライス盤処理の面の後方部分にアクセスして不要なアルファケースを除去することができ、様々な面パターンでの加工を可能にするだけでなく、様々なコンポーネントをマスキングする必要をなくす。リングは、組立て前に単独でペイントすることができる。又は、陽極酸化アルミニウムの場合、ペイントが不要な場合があり、プロセスにおける工程を不要にし、完全に仕上がっていることもあるカップにリングを簡単に結合又は取り付けることができる。同様に、リングがPVD又はNCVMを使用してコーティングされる場合、このコーティングは組立て前にリングに適用することができ、ここでもいくつかの工程が不要になる。これはまた、エンドユーザが選択できる様々な着色リングの取り付けを可能にし、ユーザに位置合わせ又は美的利益を提供する。リングがNCVMコーティングされたリングであるかPVDコーティングされたリングであるかにかかわらず、前述のように、赤、緑、青、グレー、白、オレンジ、紫、ピンク、フクシア、黒、透明、黄色、金、銀、又はメタリックカラーなど、様々な色に着色することができる。
本明細書に開示されるゴルフクラブヘッドの以下の特性は、ゴルフクラブヘッド100に関して記載される。しかし、特段の断りがない限り、ゴルフクラブヘッド100に関して記載される特性は、ゴルフクラブヘッド200、ゴルフクラブヘッド300、及びゴルフクラブヘッド400にも適用される。ゴルフクラブヘッド100は、0.9g/cc~3.5g/ccの密度を有する少なくとも1つの第1の材料、3.6g/cc~5.5g/ccの密度を有する少なくとも1つの第2の材料、及び5.6g/cc~20.0g/ccの密度を有する少なくとも1つの第3の材料のうちの2つから形成される。第1の例では、鋳造カップ104が第2の材料で形成され、リング106、クラウンインサート108、及びソールインサート110が第1の材料で形成される。この第1の例では、一例によれば、鋳造カップ104がチタン合金で形成され、リング106がアルミニウム合金で形成され、クラウンインサート108及びソールインサート110が繊維強化ポリマー材料で形成される。この第1の例では、別の例によれば、鋳造カップ104がチタン合金で形成され、リング106がプラスチックで形成され、クラウンインサート108及びソールインサート110が繊維強化ポリマー材料で形成される。第2の例によれば、鋳造カップ104が第2の材料で形成され、リング106が第2の材料で形成され、クラウンインサート108及びソールインサート110が第1の材料で形成される。この第2の例では、一例によれば、鋳造カップ104及びリング106がチタン合金で形成され、クラウンインサート108及びソールインサート110が繊維強化ポリマー材料で形成される。
いくつかの例では、少なくとも1つの第1の材料は、いくつかの例において熱硬化性ポリマーであるポリマーマトリックス(例えば、エポキシ又は樹脂)に埋め込まれた連続繊維を含む繊維強化ポリマー材料である。連続繊維は、各繊維が繊維強化ポリマー材料によって形成された部分の長さ、幅、又は対角線に亘って連続しているため、連続しているとみなされる。連続繊維は、少なくとも3ミリメートル、10ミリメートル、更には50ミリメートルの長さを有する長繊維であることができる。他の実施形態では、0.5~2.0ミリメートルの長さを有するより短繊維を使用することができる。繊維強化材を含有させると引張強度が高まるが、伸びが低下して破断することがあるので、十分な伸びを維持するために注意深くバランスがとられ得る。したがって、一実施形態は、35~55%の長繊維強化材を含み、一方で、更に別の実施形態では、40~50%の長繊維強化材を含む。連続繊維及び繊維強化ポリマー材料は、通常、その全体を参照により本明細書に援用する2016年6月30日公開の米国特許出願公開第2016/0184662号明細書、現在は、2016年10月18日発行の米国特許第9,468,816号明細書の295段落に記載されるものと同一又は同様のものであることができる。いくつかの例では、クラウンインサート108及びソールインサート110は、繊維強化ポリマー材料で形成される。したがって、いくつかの例では、繊維強化ポリマー材料の各連続繊維は、ゴルフクラブヘッド100のクラウン部分119からソール部分117に延びない。代替的又は追加的に、特定の例では、繊維強化ポリマー材料の各連続繊維は、ゴルフクラブヘッド100のクラウン部分119から前方部分112に延びない。一例では、クラウンインサート108は、0.5g/cc~4.0g/ccの間の密度を有する材料で形成される。一例では、ソールインサート110は、0.5g/cc~4.0g/ccの密度を有する材料で形成される。
特定の例では、第1の材料は、2020年8月28日出願の米国特許出願第17/006,561号明細書に記載される繊維強化ポリマー材料である。クラブヘッドコンポーネントを形成するのに有用な複合材料は、繊維部分及び樹脂部分を含む。一般に、樹脂部分は、繊維が定義された方法で埋め込まれる「マトリックス」として機能する。クラブヘッド用の複合材料では、繊維部分は、樹脂成分が含浸された複数の繊維層(fibrous layers or plies)として構成される。各層の繊維はそれぞれの向きを有し、これは通常、層ごとに異なり、正確に制御される。打撃面の層の通常の数は多く、例えば、40以上である。しかし、ソール又はクラウンの場合、層の数は、例えば、3層以上、4層以上、5層以上、6層以上に大幅に減らすことができ、その例を以下に記載する。複合材料の製造において、複数の層(それぞれが未硬化又は部分的に硬化した樹脂に含浸されたそれぞれの向きを有する繊維を含む;かかる各層は「プリプレグ」層と称される)が「レイアップ」方式で重ねて配される。プリプレグレイアップを形成した後、樹脂を硬化して剛性な状態にする。関心がある場合、引張強度を材料の密度で除することによって比強度を計算することができる。これは、強度対重量比又は強度/重量比としても知られる。
特定のクラブヘッド構成を伴う試験では、繊維面積重量(FAW)が比較的低いプリプレグ層で形成される複合部分が、耐衝撃性、耐久性、及び全体的なクラブ性能などの、いくつかの領域において優れた属性をもたらすことが分かっている。FAWは、g/m2単位の、所定量のプリプレグの繊維部分の重量である。100g/m2未満、より望ましくは70g/m2未満のFAW値が、特に有効である。前述のように、プリプレグ層の形成における使用に特に好適な繊維材料は、炭素繊維である。1超の繊維材料を使用することができる。しかし、他の実施形態では、70g/m2未満及び100g/m2超のFAW値を有するプリプレグ層を使用することができる。一般に、70g/m2未満のFAW値を有するプリプレグ層では、コストが主要な禁止要因(prohibitive factor)である。
特定の実施形態では、複数の低FAWプリプレグ層を重ねることができ、依然として、重ねられた層の厚みに亘って繊維の比較的均一な分布を有することができる。これとは異なり、同等の樹脂含量(R/C、パーセント単位)レベルでは、FAWがより高いプリプレグ材料が重ねられた層は、低FAW材料が重ねられた層より、特に隣接する層の界面で、より著しく樹脂に富む領域を有する傾向がある。樹脂に富む領域は、特にゴルフボールの衝撃から生じる力が、通常、繊維強化材の繊維の向きに対して横方向であるので、繊維強化材の効果を低下させる傾向がある。パネルを形成するために使用されるプリプレグ層は、望ましくは、エポキシなどの好適な樹脂を含浸させた炭素繊維を含む。
図26は、本明細書に開示される打撃プレートのいずれか1つに置き換わることができる打撃プレート943の正面立面図である。いくつかの例では、打撃プレート943は複合材料で形成されており、複合打撃プレートと称することができる。打撃プレート943の非金属又は複合材料は、樹脂に埋め込まれた繊維を含む繊維強化ポリマーを含む。繊維強化ポリマー中の樹脂のパーセント組成は、38%~44%である。複合打撃プレート943の構築及び製造プロセスに関する更なる詳細は、参照により本明細書に援用される、米国特許第7,871,340号明細書並びに米国公開特許出願第2011/0275451号明細書、同第2012/0083361号明細書、及び同第2012/0199882号明細書に記載される。複合打撃プレート943は、本明細書に開示されるものなど、ゴルフクラブヘッドの前部の開口部に配されたインサート支持構造に取り付けられる。
いくつかの例では、打撃プレート943は、複合プラークから機械加工することができる。一例では、複合プラークは、長さが約90mm~約130mm、又は約100mm~約120mm、好ましくは約110mm±1.0mmであり、幅が約50mm~約90mm又は約6mm~約80mm、好ましくは約70mm±1.0mmのプラークサイズ及び寸法を有する、実質的に長方形であることができる。次いで、打撃プレート943をプラークから機械加工して、所望の面プロファイルを形成する。例えば、面プロファイルの長さ912は、約80mm~約120mm又は約90mm~約110mm、好ましくは約102mmであることができる。面プロファイル幅911は、約40mm~約65mm又は約45mm~約60mm、好ましくは約53mmであることができる。打撃プレート943によって画定され、打撃面の幾何学中心を中心とする、打撃面上の好ましい打撃領域953の高さ913は、約25mm~約50mm、約30mm~約40mm、又は約17mm~約45mm、例えば、好ましくは約34mmであることができる。好ましい打撃領域953の長さ914は、約40mm~約70mm、約28mm~約65mm、又は約45mm~約65mm、好ましくは約55.5mm~又は56mmであることができる。特定の例では、打撃プレート943によって画定される打撃面の好ましい打撃領域953は、500mm2~1,800mm2の面積を有する。或いは、打撃プレート943は、所望の面寸法及びプロファイルを提供するように成形することができる。
所望の面プロファイルを作製するために、更なるフィーチャを打撃プレート943の面に機械加工又は成形することができる。例えば、図27に示されるように、ノッチ920を、打撃プレート943のヒール部分の後側に機械加工又は成形することができる。いくつかの例では、打撃プレート943の後部のノッチ920は、ゴルフクラブヘッドがホーゼルにおける飛行制御技術(FCT)を利用することを可能にする。ノッチ920は、打撃プレート943内にホーゼルの少なくとも一部を受容するように構成することができる。代替的又は追加的に、ノッチ920は、打撃プレート943内にクラブヘッドボディの少なくとも一部を受容するように構成することができる。打撃プレート943内にホーゼルの少なくとも一部及び/又はクラブボディの少なくとも一部を収容することによって、中心フェイスのy軸位置(CFY)の低減を可能にすることができ、打撃プレート943の好ましい打撃領域953を、ホーゼルの中心点の位置を通る面により近づけさせる。打撃プレート943は、約18mm以下及び約9mm以上、好ましくは約11.0mm~約16.0mm、より好ましくは約15.5mm以下及び約11.5mm以上のCFYを提供するように構成することができる。打撃プレート943は、約21mm以下及び約12mm以上、好ましくは約19.5mm以下及び約13mm以上、より好ましくは約18mm以下及び約14.5mm以上の面進行(face progression)を提供するように構成することができる。いくつかの実施形態では、CFYと面進行との間の差は、少なくとも3mmであり、12mm以下である。
別の例では、裏側バンプ4230A、4230B、4230C、4230Dを、打撃プレート943の裏側に機械加工又は成形することができる。裏側バンプ4230A、4230B、4230C、4230Dは、結合ギャップを提供するように構成することができる。結合ギャップは、クラブヘッドボディと打撃プレート943との間の中空の空間であり、製造中に接着剤が充填される。裏側バンプ4230A、4230B、4230C、4230Dは、製造中に打撃プレート943をクラブヘッドボディに結合するときに、面をクラブヘッドボディから分離するように突出する。いくつかの例では、結合ギャップが大き過ぎる又は小さ過ぎると、クラブヘッド、打撃プレート943、又はその両方の耐久性の問題が生じることがある。更に、結合ギャップが大き過ぎると、製造中に使用される接着剤が多過ぎて、クラブヘッドに不要な追加の質量を加えることがある。裏側バンプ4230A、4230B、4230C、4230Dは、約0.1mm~0.5mm、好ましくは約0.25mm突出することができる。いくつかの実施形態では、裏側バンプは、約0.25mmの最小結合ギャップなどの最小結合ギャップ及び約0.45mmの最大結合ギャップを提供するように構成される。
更に、打撃プレート943のエッジの1以上を、面取りで機械加工又は成形することができる。一例では、打撃プレート943は、打撃プレート943の内周縁の実質的に周囲に面取り、例えば、約0.5mm~約1.1mm、好ましくは0.8mmの面取りを含む。
図27は、打撃プレート943の底部斜視図である。打撃プレート943は、ヒール部分941及びトウ部分942を有する。ノッチ920は、ヒール部分941に機械加工又は成形される。この例では、打撃プレート943は、好ましいインパクト領域953内のピーク厚み947など、可変厚みを有する。ピーク厚み947は、約2mm~約7.5mm、約4.3mm~5.15mm、約4.0mm~約5.15若しくは5.5mm、又は約3.8mm~約4.8mm、好ましくは4.1mm±0.1mm、4.25mm±0.1mm、若しくは4.5mm±0.1mmであることができる。ピーク厚み947は、打撃プレート943によって画定される打撃面の幾何学中心に位置することができる。いくつかの例では、打撃プレート943の最小厚みは、3.0mm~4.0mmである。
更に、特定の例では、好ましいインパクト領域953は、打撃面の幾何学中心に対してオフセンターされている(off-center)又はオフセットされており、打撃面の幾何学中心のトウ方向でより厚くすることができる。いくつかの例では、好ましいインパクト領域953内の打撃プレート943の厚みは可変であり(例えば、約3.5mm~約5.0mm)、好ましいインパクト領域953の外側の打撃プレート943の厚みは一定である(例えば、約3.5mm~4.2mm)、好ましいインパクト領域953内よりも小さい。いくつかの例では、打撃プレート943は、3.5mm~6.0mmの厚みを有する。
打撃プレート943は、好ましいインパクト領域がトウエッジ領域とヒールエッジ領域との間になるように、好ましいインパクト領域953の外側にトウエッジ領域及びヒールエッジ領域を有する。トウエッジ領域は、ヒールエッジ領域よりトウ部分に近い。ヒールエッジ領域は、トウエッジ領域よりヒール部分に近い。トウエッジ領域の厚みは、最大厚みより薄い。打撃プレート943の厚みは、好ましいインパクト領域953内の最大厚みから、トウエッジ領域内の3.85mm~4.5mmのトウエッジ領域厚みに移行する。
いくつかの実施形態では、打撃プレート943は、複合材料の複数の層から製造される。打撃プレート943を製造するための例示的な複合材料及び方法は、参照により援用する米国特許出願第13/452,370号明細書(米国特許出願公開第2012/0199882号として公開)に記載される。いくつかの実施形態では、複合面の内面及び外面は、スクリム織りを構成するガラス繊維で打撃プレート943を補強するなどのために、スクリム層を含むことができる。複数の準等方性パネル(Q)を含有させることもでき、各Qパネルは、互いにオフセットされた一方向複合パネルを複数層使用している。例示的な4層Qパネルでは、一方向複合パネルは、90°、-45°、0°、及び45°に配向され、各方向における構造安定性を提供する。一方向ストリップ(C)のクラスタを含有させることもでき、各Cは複数の一方向複合ストリップを使用している。例示的な4ストリップCでは、4つの27mmストリップが0°、125°、90°、及び55°で配向されている。Cは、好ましいインパクト領域の中央面などの局所的な領域で打撃プレート943の厚みを増加させるために設けることができる。一部のQ及びCは、厚み、質量、局所的な厚みを微調整するなどのために、更なる又はより少ない層(例えば、4層ではなく3層)を有することができ、打撃プレート943のCORを増加又は減少させるなどのために、打撃プレート943の他の性質を提供することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるゴルフクラブヘッドのいくつかの例の打撃プレート243などの打撃面は、複合材料の複数層から製造される。それを製造するための例示的な複合材料及び方法は、参照により援用する米国特許出願第13/452,370号明細書(米国特許出願公開第2012/0199882号として公開)に記載される。いくつかの実施形態では、複合面の内面及び外面は、スクリム織りを構成するガラス繊維で打撃面を補強するなどのために、スクリム層を含むことができる。複数の準等方性パネル(Q)を含有させることもでき、各Qパネルは、互いにオフセットされた一方向複合パネルを複数層使用している。例示的な4層Qパネルでは、一方向複合パネルは、90°、-45°、0°、及び45°に配向され、各方向における構造安定性を提供する。一方向ストリップ(C)のクラスタを含有させることもでき、各Cは複数の一方向複合ストリップを使用している。例示的な4ストリップCでは、4つの27mmストリップが0°、125°、90°、及び55°で配向されている。Cは、好ましいインパクト領域の中央面などの局所的な領域で打撃面又は他の複合フィーチャの厚みを増加させるために設けることができる。一部のQ及びCは、厚み、質量、局所的な厚みを微調整するなどのために、更なる又はより少ない層(例えば、4層ではなく3層)を有することができ、打撃面のCORを増加又は減少させるなどのために、打撃面の他の性質を提供することができる。
それを製造するための更なる複合材料及び更なる方法は、参照により援用される米国特許第8,163,119号明細書及び同第10,046,212号明細書に記載されている。例えば、打撃プレート用の層の通常の数が多く、例えば、50層以上である。しかし、層数を30~50層に減少することができるように、当技術分野で改善がなされている。
以下の表3は、本明細書に開示されるゴルフクラブヘッドの1以上の複合部分の可能なレイアップの例を示す。これらのレイアップは、織り層として記載されない限り、可能な一方向層を示す。示される構造は、準等方性レイアップ用である。単一層は、約36%~約40%の樹脂含量で70gsmの標準FAWに対して約0.065mm~約0.080mmの厚みを有する。各層の厚みは、FAW又は樹脂含量のいずれかを調整することによって変更することができ、したがって、レイアップ全体の厚みは、これらのパラメータを調整することによって変更することができる。
面積重量(AW)は、密度に厚みを乗じて計算される。複合材料から形成された前記層の場合、密度は約1.5g/cm3であり、チタンの場合、密度は約4.5g/cm3である。
一般に、複合面プレート又は複合面インサートは、約3.8mm~5.15mmのピーク厚みを有することができる。一般に、複合面プレートは、複数の複合層から形成される。複合打撃面の層の通常の数は多く、例えば、40層以上、好ましくは30~75層、より好ましくは50~70層、更により好ましくは55~65層である。
一例では、第1の複合フェースインサートは、12個のQ及び2個のCを含む、4.1mmのピーク厚み及び3.65mmのエッジ厚みを有することができ、その結果、質量は24.7gになる。別の例では、第2の複合面インサートは、12個のQ及び2個のCを含む、4.25mmのピーク厚み及び3.8mmのエッジ厚みを有することができ、その結果、質量は25.6gになる。追加の厚みと質量は、2つの3層のQに代えて2つの4層のQを使用するなどして、Q又はCの1以上に更なる層を含ませることによって提供される。更に別の例では、12個のQ及び3個のCを含む、第3の複合面インサートは、4.5mmのピーク厚み及び3.9mmのエッジ厚みを有することができ、その結果、質量は26.2gになる。QとCの追加の異なる組合せを、約20g~約30g又は約15g~約35gの質量を有する複合面インサート110に対して設けることができる。いくつかの例では、打撃プレート943などの打撃プレートは、22グラム~28グラムの総質量を有する。
図28Aは、打撃プレート943のヒール部分41の断面図である。ヒール部分941は、ノッチ920を含むことができる。打撃プレート943の内側エッジに面取りを有する実施形態では、ノッチ920上に面取り950は設けられない。ノッチ920は、フェースインサート110のエッジ厚み945より薄いノッチエッジ厚み944を有することができる(例えば、図28Bを参照)。例えば、ノッチエッジ厚み944は、1.5mm~2.1mm、好ましくは1.8mmであることができる。
図28Bは、打撃プレート943のトウ部分942の断面図である。トウ部分942は、打撃プレート943の内側エッジに面取り951を含む。いくつかの実施形態では、エッジ厚み945は、約3.35mm~約4.2mm、好ましくは3.65mm±0.1mm、3.8mm±0.1mm、又は3.9mm±0.1mmであることができる。
図29は、打撃プレート943のポリマー層900の断面図である。ポリマー層900は、湿った状態などで打撃プレート943のより良好な性能を提供するために、打撃プレート943の外表面に設けることができる。例示的なポリマー層は、参照により援用する米国特許出願第13/330,486号明細書(米国特許第8,979,669号として特許取得)に記載される。ポリマー層900は、ポリウレタン及び/又は他のポリマー材料を含むことができる。ポリマー層は、約0.2mm~0.7mm又は約0.3mm~約0.5mm、好ましくは0.40mm±0.05mmのポリマー最大厚み960を有することができる。ポリマー層は、約0.05mm~0.15mm、好ましくは0.09mm±0.02mmのポリマー最小厚み970を有することができる。ポリマー層は、打撃プレート943上にスコアラインを作製するために、交互とされた最大厚み960及び最小厚み970で構成することができる。更に、いくつかの実施形態では、歯及び/又は別のテクスチャが、スコアライン間のポリマー層900のより厚い領域に設けられ得る。
いくつかの例では、クラウンインサート108などのクラウンインサート、及びソールインサート110などのソールインサートは、炭素繊維強化ポリマー材料で形成される。一例では、クラウンインサートは、一方向テープ、織布、及び複合層の層で形成される。
図4を参照すると、ゴルフクラブヘッド100は、打撃面145の中心フェイス183を通り、打撃面145に平行である仮想平面169と、仮想平面169に垂直なフェースバック方向165のゴルフクラブヘッド100の最後部点との間の距離として定義されるフェースバック寸法(FBD)を有する。本明細書に定義されるように、中心フェイス183は、フェースバック寸法(FBD)の0%に位置し、最後部点は、フェースバック寸法(FBD)の100%に位置する。この定義において、ゴルフクラブヘッド100は、フェースバック方向165で、フェースバック寸法(FBD)の0%からフェースバック寸法(FBD)の25%まで延びるフェースセクションと、フェースバック方向165でフェースバック寸法(FBD)の25%から75%まで延びるミドルセクションと、フェースバック方向165でフェースバック寸法(FBD)の75%から100%まで延びるバックセクションとに分割することができる。いくつかの例によれば、ミドルセクションの少なくとも95重量%が、0.9g/cc~4.0g/ccの密度を有する材料で形成される。特定の例では、ミドルセクションの少なくとも95重量%が、0.9g/cc~2.0g/ccの密度を有する材料で形成される。いくつかの例では、取り付けられたウェイト及び取り付けられたウェイトのためのハウジングは除いて、ミドルセクションの少なくとも95重量%及びバックセクションの少なくとも95重量%が、0.9g/cc~2.0g/ccの密度を有する材料で形成される。様々な例によれば、ミドルセクションの20重量%以下及びバックセクションの20重量%以下が、4.0g/cc~20.0g/ccの密度を有する材料で形成される。
いくつかの例では、ゴルフクラブヘッド100は、以下の材料のうちの1以上を含む:炭素鋼、ステンレス鋼(例えば、17-4PHステンレス鋼)、合金鋼、Fe-Mn-Al合金、ニッケル系合金鉄、鋳鉄、超合金鋼、アルミニウム合金(限定するものではないが、3000シリーズ合金、5000シリーズ合金、6061-T6などの6000シリーズ合金、及び7075などの7000シリーズ合金が挙げられる)、マグネシウム合金、銅合金、チタン合金(限定するものではないが、6-4チタン、3-2.5、6-4、SP700、15-3-3-3、10-2-3、Ti9-1-1、ZA1300、又はその他のアルファ/ニアアルファ、アルファ-ベータ、及びベータ/ニアベータチタン合金が挙げられる)、又はそれらの混合物。
一例では、打撃プレートの一部を形成する場合など、本明細書に開示されるゴルフクラブヘッドの一部を形成する場合、チタン合金は9-1-1チタン合金である。アルミニウム(例えば、8.5~9.5%のAl)、バナジウム(例えば、0.9~1.3%のV)、及びモリブデン(例えば、0.8~1.1%のMo)を、任意に、他の微量の合金元素及び不純物と共に含むチタン合金を、本明細書ではまとめて「9-1-1Ti」と称し、これは、従来の6-4Ti及びその他のチタン合金から形成された面に対して、わずかなアルファケースしか有さず、HF酸エッチングを不要にする又は少なくとも必要性を低くすることができる。更に、9-1-1Tiは、820MPaの降伏強度、958MPaの引張強度、及び10.2%の伸び率という最小の機械的性質を有することができる。これらの最小の性質は、812MPaの降伏強度、936MPaの引張強度、及び~6%の伸び率という最小の機械的性質を有し得る6-4Tiなどの典型的な鋳造チタン合金よりも大幅に優れていることができる。特定の例では、チタン合金は8-1-1Tiである。
別の例では、打撃プレートの一部を形成する場合など、本明細書に開示されるゴルフクラブヘッドの一部を形成する場合、チタン合金は、6.5重量%~10重量%のAl、0.5%重量%~3.25重量%のMo、1.0重量%~3.0重量%のCr、0.25重量%~1.75重量%のV、及び/又は0.25重量%~1重量%のFeを含み、残部はTiを含むアルファ-ベータチタン合金である(一例は、「1300」又は「ZA1300」チタン合金と称されることがある)。アルファベータチタン合金又はZA1300チタン合金は、いくつかの例では少なくとも1,000MPaであり、他の例では少なくとも1,100MPaの第1の極限引張強度を有する。打撃面145以外のボディ102を形成する材料の極限引張強度は、第1の極限引張強度より少なくとも10%小さくすることができる。別の代表的な例では、合金は、6.75重量%~9.75重量%のAl、0.75重量%~3.25重量%又は2.75重量%のMo、1.0重量%~3.0重量%のCr、0.25重量%~1.75重量%のV、及び/又は0.25重量%~1重量%のFeを含み、残部はTiを含む。更に別の代表的な例では、合金は、7重量%~9重量%のAl、1.75重量%~3.25重量%のMo、1.25重量%~2.75重量%のCr、0.5重量%~1.5重量%のV、及び/又は0.25重量%~0.75重量%のFeを含むことができ、残部はTiを含む。更なる代表的な例では、合金は、7.5重量%~8.5重量%のAl、2.0重量%~3.0重量%のMo、1.5重量%~2.5重量%のCr、0.75重量%~1.25重量%のV、及び/又は0.375重量%~0.625重量%のFeを含むことができ、残部はTiを含む。別の代表的な例では、合金は、8重量%のAl、2.5重量%のMo、2重量%のCr、1重量%のV、及び/又は0.5重量%のFeを含むことができ、残部はTiを含む(係るチタン合金は、式Ti-8Al-2.5Mo-2Cr-1V-0.5Feを有することができる)。本明細書においては、「Ti-8Al-2.5Mo-2Cr-1V-0.5Fe」は、前記比率のいずれかで、言及される元素を含むチタン合金を意味する。特定の例では、微量のK、Mn、及び/又はZr、及び/又は様々な不純物を含むこともできる。
Ti-8Al-2.5Mo-2Cr-1V-0.5Feは、1150MPaの降伏強度、1180MPaの極限引張強度、及び8%の伸び率という最小の機械的性質を有することができる。これらの最小の特性は、前記した最小の機械的性質を有することができる6-4Ti及び9-1-1Tiを含む、他の鋳造チタン合金よりも大幅に優れていることができる。いくつかの例では、Ti-8Al-2.5Mo-2Cr-1V-0.5Feは、約1180MPa~約1460MPaの引張強度、約1150MPa~約1415MPaの降伏強度、約8%~約12%の伸び率、約110GPaの弾性率、約4.45g/cm3の密度、ロックウェルCスケールで約43の硬度(43HRC)を有することができる。特定の例では、Ti-8Al-2.5Mo-2Cr-1V-0.5Fe合金は、約1320MPaの引張強度、約1284MPaの降伏強度、及び約10%の伸び率を有することができる。Ti-8Al-2.5Mo-2Cr-1V-0.5Fe合金は、特にゴルフクラブヘッドボディの鋳造に使用される場合、他の材料と比較して極限引張強度が高いので、同一厚みで撓みが小さくなる。いくつかの実施では、同一厚みでより小さい撓みをもたらすことは、ゴルフクラブヘッドの面が経時で元の形状を維持するので、より高いスイングスピードのゴルファーに利益をもたらす。
更に特定の例では、ゴルフクラブヘッド100は、約1g/cm3~約2g/cm3など、約2g/cm3未満の密度を有する非金属材料で形成される。非金属材料は、繊維強化ポリマー材料などのポリマーを含み得る。ポリマーは、熱硬化性又は熱可塑性のいずれかであることができ、アモルファス、結晶性、及び/又は半結晶性構造であることができる。ポリマーはまた、結晶性又は半結晶性のエンジニアリングプラスチック又はアモルファスエンジニアリングプラスチックなどのエンジニアリングプラスチックから形成することもできる。潜在的なエンジニアリングプラスチック候補としては、ポリフェニレンスルフィドエーテル(PPS)、ポリエテリピド(PEI)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリル-ブタジエンスチレンプラスチック(ABS)、ポリオキシメチレンプラスチック(POM)、ナイロン6、ナイロン6-6、ナイロン12、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、又はそれらの混合物が挙げられる。ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維などの有機繊維をエンジニアリングプラスチックに添加して、構造強度を高めることができる。強化繊維は、連続した長繊維又は短繊維であることができる。PSUの利点の1つは、比較的剛性で減衰が比較的低く、過剰に減衰することがある他のポリマーと比較して、より良好な音響又はより金属的な音響のゴルフクラブが製造される。更に、PSUは、最終的に完成したゴルフクラブヘッドを実現するために仕上げ又は塗装を必要としない点で、後処理が少なくて済む。
ソールインサート110、クラウンインサート108、鋳造カップ103、リング106、及び/又は打撃プレート243などの打撃面のいずれか1以上を形成することができる1つの例示的材料は、PPS(ポリフェニレンスルフィド)マトリックス又はベースに長い整列した炭素繊維を含む熱可塑性連続炭素繊維複合ラミネート材料である。ソールインサート110、クラウンインサート108、及び/又は打撃面を形成することができる繊維強化ポリマーの市販の例は、Lanxess(登録商標)によって製造されたTEPEX(登録商標)DYNALITE207である。TEPEX(登録商標)DYNALITE207は、シート状に配列された高強度で軽量の材料であり、繊維を埋め込むPPS熱可塑性マトリックス又はポリマーに複数の連続炭素繊維強化層を有する。材料は、54%の繊維体積を有し得るが、他の繊維体積(42%~57%など)を有することができる。一例によれば、材料の重量は200g/m2である。ソールインサート110、クラウンインサート108、及び/又は打撃面が形成される繊維強化ポリマーの別の市販の例は、TEPEX(登録商標)DYNALITE208である。この材料はまた、42~57%の炭素繊維体積範囲(一例では45%の体積など)及び200g/m2の重量を有する。DYNALITE208は、ポリフェニレンスルフィド(PPS)マトリックスではなく、TPU(熱可塑性ポリウレタン)マトリックス又はベースを有するという点で、DYNALITE207と異なる。
例として、TEPEX(登録商標)DYNALITE207シート(又はDYNALITE208などの他の繊維強化ポリマー材料)の各シートの繊維は同一方向を向いており、シートは互いに異なる方向を向いている。シートは2ピース(オス/メス)マッチドダイに配され、溶融温度を超えて加熱され、ダイが閉じられて成形される。このプロセスは、熱成形と称されることがあり、ソールインサート110、クラウンインサート108、及び/又は打撃面を形成するのに特に適している。ソールインサート110、クラウンインサート108、及び/又は打撃面が熱成形プロセスによって(いくつかの実施では別々に)形成された後、それぞれが冷却され、マッチドダイから取り出される。いくつかの実施では、ソールインサート110、クラウンインサート108、及び/又は打撃面は均一な厚みを有し、このことは、熱成形プロセスの使用及び製造容易性を担保する。しかし、他の実施では、ソールインサート110、クラウンインサート108、及び/又は打撃面は、例えば、各インサートの耐久性、音響特性、又は他の性質を高めるために選択された領域に追加の層を加えることによって、インサートの選択された局所領域を強化するために可変厚みを有することができる。
いくつかの例では、ソールインサート110、クラウンインサート108、鋳造カップ103、リング106、及び/又は打撃プレート243などの打撃面の任意の1以上は、熱成形以外のプロセス、例えば、射出成形又は熱硬化によって形成することができる。熱硬化プロセスでは、ソールインサート110、クラウンインサート108、鋳造カップ103、リング106、及び/又は打撃プレート243などの打撃面の任意の1以上を、加熱すると活性化する樹脂及び硬化剤配合物が事前に含浸された、織布又は一方向複合繊維布(例えば、炭素繊維複合布)の「プリプレグ」層から形成することができる。プリプレグ層は、ブラダーモールド又はコンプレッションモールドなどの熱硬化プロセスに好適なモールドに配され、カーボン又は他の繊維が異なる方向に配向された状態で、積層/配向される。各層は、化学反応を活性化するために加熱され、クラウンインサート126及び/又はソールインサートを形成する。各インサートは冷却され、それぞれのモールドから取り出される。
熱硬化製造プロセスによって製造された、ソールインサート110、クラウンインサート108、鋳造カップ103、リング106、及び/又は打撃プレート243などの打撃面の任意の1以上のための炭素繊維強化材料は、カリフォルニア州サクラメントのGrafil,Inc.から入手可能な「34-700」繊維として知られる炭素繊維であることができ、これは、234Gpa(34Msi)の引張弾性率及び4500Mpa(650Ksi)の引張強度を有する。Grafil,Inc.からも入手可能な別の好適な繊維は、240Gpa(35Msi)の引張弾性率及び4900Mpa(710Ksi)の引張強度を有する「TR50S」繊維として知られる炭素繊維である。熱硬化クラウン及びソールインサートを形成するために使用されるプリプレグ層用の例示的なエポキシ樹脂としては、Newport301及び350が挙げられ、カリフォルニア州アーバインのNewport Adhesives&Composites,Inc.から入手可能である。一例では、プリプレグシートは、約20g/m2~約200g/m2、好ましくは約70g/m2の面積重量を有し、エポキシ樹脂(例えば、Newport301)で含浸された34~700繊維の準等方性繊維強化材を有し、樹脂含量(R/C)は約40%になる。参照の都合上、プリプレグシートの繊維組成物は、その繊維面積重量、繊維のタイプ、例えば、70FAW34-700を特定することによって、省略形で特定することができる。省略形は、樹脂系及び樹脂含量を更に特定することができる(例えば、70FAW34-700/301、R/C40%)。
いくつかの例では、ゴルフクラブヘッド100の製造に使用されるポリマーは、限定するものではないが、合成及び天然ゴム、熱硬化ポリウレタン又は熱硬化ポリウレアなどの熱硬化ポリマー、並びに熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリウレアなどの熱可塑性エラストマーを含む熱可塑性ポリマー、メタロセン触媒ポリマー、単峰性(unimodal)エチレン/カルボン酸コポリマー、単峰性エチレン/カルボン酸/カルボキシレートターポリマー、二峰性エチレン/カルボン酸コポリマー、二峰性エチレン/カルボン酸/カルボキシレートターポリマー、ポリアミド(PA)、ポリケトン(PK)、コポリアミド、ポリエステル、コポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリオレフィン、ハロゲン化ポリオレフィン[例えば、塩素化ポリエチレン(CPE)]、ハロゲン化ポリアルキレン化合物、ポリアルケナマー、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ジアリルフタレートポリマー、ポリイミド、ポリビニルクロリド、ポリアミド-アイオノマー、ポリウレタンアイオノマー、ポリビニルアルコール、ポリアリレート、ポリアクリレート、ポリフェニレンエーテル、衝撃修飾されたポリフェニレンエーテル(impact-modified polyphenylene ethers)、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー、スチレン-アクリロニトリル(SAN)、アクリロニトリル-スチレン-アクリロニトリル、スチレン-マレイン酸無水物(S/MA)ポリマー、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)、及びスチレン-エチレン-プロピレン-スチレン(SEPS)を含むスチレンブロックコポリマー、スチレン系ターポリマー、ヒドロキシル化、官能化スチレン系コポリマーを含む官能化スチレン系ブロックコポリマー及びターポリマー、セルロース系ポリマー、液晶ポリマー(LCP)、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)、エチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレン-プロピレンコポリマー、プロピレンエラストマー(その全内容を参照により本明細書に援用する米国特許第6,525,157号明細書(Kimら)に記載されているものなど)、エチレン酢酸ビニル、ポリウレア、及びポリシロキサン、並びにそれらの任意のあらゆる組合せが挙げられる。
これらのうち、ポリアミド(PA)、ポリフタルイミド(PPA)、ポリケトン(PK)、コポリアミド、ポリエステル、コポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリフェニレンオキシド、ジアリルフタレートポリマー、ポリアリレート、ポリアクリレート、ポリフェニレンエーテル、及び衝撃修飾されたポリフェニレンエーテルが好ましい。本発明のゴルフクラブヘッドにおける使用のための特に好ましいポリマーは、高温での靭性及び安定性で知られる、いわゆる高性能エンジニアリング熱可塑性プラスチックのファミリーである。これらのポリマーとしては、ポリスルホン、ポリエテリピド(polyethelipides)、及びポリアミドイミドが挙げられる。これらの中で、最も好ましいのはポリスルホンである。
芳香族ポリスルホンは、4,4’-ジクロロジフェニルスルホンとそれ自体又は1以上の二価フェノールとの縮合重合から生成されるポリマーのファミリーである。芳香族ポリスルホンとしては、ポリエーテルスルホンとも称されることがある熱可塑性プラスチックが挙げられ、それらの繰り返し単位の一般的な構造は、-アリーレン-SO2-アリーレン-として表され得るジアリールスルホン構造を有する。これらの単位は、炭素-炭素結合、炭素-酸素-炭素結合、炭素-硫黄-炭素結合によって、又は短いアルキレン結合を介して互いに結合し、熱的に安定な熱可塑性ポリマーを形成することができる。このファミリーのポリマーは十分にアモルファスであり、高いガラス転移温度を示し、高温でも高い強度と剛性を提供し、要求の高いエンジニアリング用途に有用である。ポリマーはまた、良好な延性と靭性を有し、十分にアモルファス性であるので、天然状態で透明である。更なる重要な性質としては、温水/蒸気による加水分解に対する耐性、及び酸と塩基に対する優れた耐性が挙げられる。ポリスルホンは完全に熱可塑性であるので、射出成形、押出成形、及び熱成形などの大部分の標準的な方法で製造できる。それらはまた、幅広い高温エンジニアリング用途を有する。
3つの商業的に重要なポリスルホンは、a)ポリスルホン(PSU);b)ポリエーテルスルホン(PESUとも称されるPES);及びc)ポリフェニレンスルホン(PPSU)である。
特に重要で好ましい芳香族ポリスルホンは、構造-C
6H
4SO
2-C
6H
4-O-の繰り返し単位から構成されるものであり、式中、C
6H
4は、m-又はp-フェニレン構造を表す。ポリマー鎖はまた、-C
6H
4-、C
6H
4-O-、-C
6H
4-(低級-アルキレン)-C
6H
4-O-、-C
6H
4-O-C
6H
4-O-、-C
6H
4-S-C
6H
4-O-、及びエンジニアリング熱可塑性プラスチックの分野で知られる他の熱的に安定な実質的に芳香性の二官能基などの繰り返し単位も含むことができる。また、個々の芳香環が、以下を含む1以上の置換基に更に置換された、いわゆる修飾ポリスルホンも含まれる。
又は
又は
式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、若しくは炭化水素基、又はそれらの組合せである。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子が挙げられる。炭化水素基としては、例えば、C1-C20アルキル基、C2-C20アルケニル基、C3-C20シクロアルキル基、C3-C20シクロアルケニル基、及びC6-C20芳香族炭化水素基が挙げられる。これらの炭化水素基は、1以上のハロゲン原子によって部分的に置換することができる、又は1以上のハロゲン原子以外の1以上の極性基によって部分的に置換することができる。C1-C20アルキル基の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、アミル、ヘキシル、オクチル、デシル、及びドデシル基を挙げることができる。C2-C20アルケニル基の具体例としては、プロペニル、イソプロペピル、ブテニル、イソブテニル、ペンテニル、及びヘキセニル基を挙げることができる。C3-C20シクロアルキル基の具体例としては、シクロペンチル及びシクロヘキシル基を挙げることができる。C3-C20シクロアルケニル基の具体例として、シクロペンテニル基及びシクロヘキセニル基を挙げることができる。芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、又はそれらの組合せを挙げることができる。
個々の好ましいポリマーとしては、(a)塩基の存在下で、ビスフェノールA及び4,4’-ジクロロジフェニルスルホンの縮合重合によって生成され、下記:
の主な繰り返し構造を有し、PSFと略され、商品名Udel(登録商標)、Ultrason(登録商標)S、Eviva(登録商標)、RTP PSUとして販売されているポリスルホン、(b)塩基の存在下で、4,4’-ジヒドロキシジフェニル及び4,4’-ジクロロジフェニルスルホンの縮合重合によって生成され、下記:
の主な繰り返し構造を有し、PPSFと略され、商品名RADEL(登録商標)樹脂として販売されているポリスルホン、及び(c)塩基の存在下で、4,4’-ジクロロジフェニルスルホンから生成され、下記:
の主な繰り返し構造を有し、PPSFと略され、「ポリエーテルスルホン」と称されることがあり、商品名Ultrason(登録商標)E、LNP
TM、Veradel(登録商標)PESU、Sumikaexce、及びVICTREX(登録商標)樹脂として販売されている縮合ポリマー、及びそれらのあらゆる組合せが挙げられる。
いくつかの例では、ソールインサート110、クラウンインサート108、鋳造カップ103、リング106、及び/又は打撃プレート243などの打撃面の任意の1以上を、繊維材料(例えば、グラファイト、又は乱層状(turbostratic)若しくはグラファイト状の炭素繊維を含む炭素繊維、又はグラファイト状及び乱層状の部分が両方存在するハイブリッド構造)の複数の層を含む複合体で形成される、カーボンファイバー強化ポリマー材料などの複合材料から形成することができる。使用できるこれらの複合材料のいくつかの例及びそれらの製造手順は、参照により本明細書に援用する、米国特許出願第10/442,348号明細書(現在の米国特許第7,267,620号)、同第10/831,496号明細書(現在の米国特許第7,140,974号)、同第11/642,310号明細書、同第11/825,138号明細書、同第11/998,436号明細書、同第11/895,195号明細書、同第11/823,638号明細書、同第12/004,386号明細書、同第12,004,387号明細書、同第11/960,609号明細書、同第11/960,610号明細書、及び同第12/156,947号明細書に記載される。複合材料は、その全内容は参照により本明細書に援用する、少なくとも米国特許出願第11/825,138号明細書に記載の方法にしたがって製造することができる。
或いは、前記したポリマーの短繊維又は長繊維強化配合物を使用することができる。例示的な配合物としては、炭素繊維が30%充填されており、商品名RTP285としてRTP Companyから市販されているNylon6/6ポリアミド配合物が挙げられる。この材料は、ASTM D638で測定される35000psi(241MPa)の引張強度;ASTM D638で測定される2.0~3.0%の引張伸び率;ASTM D638で測定される3.30×106psi(22754MPa)の引張弾性率;ASTM D790で測定される50000psi(345MPa)の曲げ強度;及びASTM D790で測定される2.60×106psi(17927MPa)の曲げ弾性率を有する。
他の材料としては、炭素繊維が40%充填されており、商品名RTP4087UPとしてRTP Companyから市販されているポリフタルアミド(PPA)配合物が挙げられる。この材料は、ISO527で測定される360MPaの引張強度;ISO527で測定される1.4%の引張伸び率;ISO527で測定される41500MPaの引張弾性率;ISO178で測定される580MPaの曲げ強度;及びISO178で測定される34500MPaの曲げ弾性率を有する。
更に他の材料としては、炭素繊維が30%充填されており、商品名RTP1385UPとしてRTP Companyから市販されているポリフェニレンスルフィド(PPS)配合物が挙げられる。この材料は、ISO527で測定される255MPaの引張強度;ISO527で測定される1.3%の引張伸び率;ISO527で測定される28500MPaの引張弾性率;ISO178で測定される385MPaの曲げ強度;及びISO178で測定される23,000MPaの曲げ弾性率を有する。
特に好ましい材料としては、炭素繊維が20%充填されており、商品名RTP983としてRTP Companyから市販されているポリスルホン(PSU)配合物が挙げられる。この材料は、ISO527で測定される124MPaの引張強度;ISO527で測定される2%の引張伸び率;ISO527で測定される11032MPaの引張弾性率;ISO178で測定される186MPaの曲げ強度;及びISO178で測定される9653MPaの曲げ弾性率を有する。
また、好ましい材料としては、炭素繊維が30%充填されており、商品名RTP985としてRTP Companyから市販されているポリスルホン(PSU)配合物を挙げることができる。この材料は、ISO527で測定される138MPaの引張強度;ISO527で測定される1.2%の引張伸び率;ISO527で測定される20685MPaの引張弾性率;ISO178で測定される193MPaの曲げ強度;及びISO178で測定される12411MPaの曲げ弾性率を有する。
更に好ましい材料としては、炭素繊維が40%充填され、商品名RTP987としてRTP Companyから市販されているポリスルホン(PSU)配合物が挙げられる。この材料は、ISO527で測定される155MPaの引張強度;ISO527で測定される1%の引張伸び率;ISO527で測定される24132MPaの引張弾性率;ISO178で測定される241MPaの曲げ強度;及びISO178で測定される19306MPaの曲げ弾性率を有する。
ソールインサート110、クラウンインサート108、鋳造カップ103、リング106、及び/又は打撃プレート243などの打撃面の任意の1以上は、ゴルフクラブヘッド100の所望の形状及び曲率にほぼ対応する複雑な三次元形状及び曲率を有することができる。フェアウェイウッドタイプのクラブヘッド、ハイブリッドクラブヘッド、及びアイアンタイプのクラブヘッドなどの他のタイプのクラブヘッドを、本明細書に記載されている原理、方法、及び材料の1以上を用いて製造できることが理解される。
図33、34、及び42を参照すると、いくつかの例によれば、ゴルフクラブヘッド100などの本開示のゴルフクラブヘッドを製造する方法550は、(ブロック552)第1部分アブレーション表面522が第1部分502に形成されるように、ゴルフクラブヘッドの第1部分502の第1部分表面520をレーザーアブレーションすることを含む。前記方法550はまた、(ブロック554)第2部分アブレーション表面526が第2部分504に形成されるように、ゴルフクラブヘッド100の第2部分504の第2部分表面524をレーザーアブレーションすることを含む。前記方法550は更に、(ブロック556)第1部分アブレーション表面522と第2部分アブレーション表面526とを互いに結合することを含む。通常、前記方法550は、結合表面間の強力で信頼性のある結合を促進するフィーチャを有するゴルフクラブヘッドの結合表面(即ち、接合表面)を生成するのに役立つ。より具体的には、ゴルフクラブヘッドの結合表面をレーザーでアブレーションすることによって形成されるフィーチャは、結合表面のパターン均一性及び表面エネルギーの増加を促進し、これは、結合表面間の結合を強化し、ゴルフクラブヘッドの全体的な信頼性及び性能を高めるのに役立つ。また、結合表面をレーザーでアブレーションすることにより、複数の部分及び部分のバッチに亘る表面特性を再現することができる。本明細書に定義されるように、第1部分アブレーション表面522及び/又は第2部分アブレーション表面526のそれぞれは、単一の連続表面又は間隔を置いた(例えば、断続的な)複数の表面であることができる。
非レーザーアブレーション法による表面処理などの、ゴルフクラブヘッドの表面を互いに結合するための従来プロセスは、強力で信頼性のある結合を生成するための十分なパターン均一性及び表面エネルギーを提供しない場合がある。例えば、化学的アブレーション及びメディアブラストアブレーションプロセスは、本開示のレーザーアブレーションによって達成可能な結合表面のパターン均一性及び表面エネルギーを達成することができない。化学的アブレーションプロセス又はメディアブラストアブレーションプロセスによってアブレーションされた結合表面の山と谷のパターンは不規則で一貫性がなく、結合表面間の結合全体で結合強度が低く不均一である。
図33に示されるように、第1部分レーザー506は、第1部分レーザービーム508を生成し、第1部分レーザービーム508を第1部分502の第1部分表面520に向けるように構成される。第1部分レーザービーム508は、第1部分表面520に衝撃を与え、第1部分表面520の一部を所望の深さまで昇華させる。より具体的には、第1部分レーザービーム508のエネルギーは、第1部分表面520の一部を固体状態から直接、気体状態に変化させるのに十分である。いくつかの例では、所望の深さは、5マイクロメートル~100マイクロメートル、20マイクロメートル~50マイクロメートル、又は約30マイクロメートルである。第1部分表面520から昇華したガスは、真空ポンプ(図示せず)などによって吸引除去することができる。
昇華される(例えば、除去される)第1部分表面520の一部の深さは、第1部分表面520の材料及び第1部分レーザービーム508の特性に依存する。第1部分レーザービーム508の特性としては、第1部分レーザービーム508による第1部分表面520への衝撃の強度(例えば、単位面積当たりの光パワー)、パルス周波数、及び持続時間が挙げられる。第1部分表面520が除去された後、第1部分アブレーション表面522が露出される。したがって、一般的に言えば、第1部分レーザービーム508は、第1部分502の新たな表面が露出されるように、第1部分502の上面を除去する。第1部分アブレーション表面522(例えば、新たな表面又は露出した表面)は、第1部分表面520上に存在する汚染物質(例えば、酸化物、水分など)を比較的含まない。
同様に、図34に示されるように、第2部分レーザー510は、第2部分レーザービーム512を生成し、第2部分レーザービーム512を第2部分504の第2部分表面524に向けるように構成される。第2部分レーザービーム512は、第2部分表面524に衝撃を与え、第2部分表面524の一部を所望の深さまで昇華させる。より具体的には、第2部分レーザービーム512のエネルギーは、第2部分表面524の一部を固体状態から直接、気体状態に変化させるのに十分である。第2部分表面524から昇華したガスは、真空ポンプ(図示せず)などによって吸引除去することができる。昇華される第2部分表面524の一部の深さは、第2部分表面524の材料及び第2部分レーザービーム512の特性に依存する。第1部分レーザービーム508と同様に、第2部分レーザービーム512の特性としては、第2部分レーザービーム512による第2部分表面524への衝撃の強度(例えば、単位面積当たりの光パワー)、パルス周波数、及び持続時間が挙げられる。通常、第1部分レーザービーム508及び第2部分レーザービーム512は、レーザー放射の高度に集束されたビームである。第2部分表面524が除去された後、第2部分アブレーション表面526が露出される。したがって、一般的に言えば、第2部分レーザービーム512は、第2部分504の新たな表面が露出されるように、第2部分504の上面を除去する。第2部分アブレーション表面526は、第2部分表面524上に存在する汚染物質を比較的含まない。
前記方法550の特定の例では、第1部分レーザービーム508は、第1部分速度で第1部分表面520に沿って移動し、第1部分502に第1部分アブレーション表面522を形成する。同様に、いくつかの例では、第2部分レーザービーム510は、第2部分速度で第2部分表面524に沿って移動し、第2部分504に第2部分アブレーション表面526を形成する。このようにして、比較的小さなフットプリントを有するレーザービームを、比較的大きな表面積を有するアブレーション表面を形成するために使用することができる。更に、様々な例では、レーザービームを、光学系を使用して別々のサブビームに分割して、アブレーション表面の別々の部分に沿って移動し、形成することができる。また、いくつかの例によれば、複数のレーザーから生成された複数のレーザービームを使用して、単一部分にアブレーション表面を形成することができる。レーザービームが対応する部分に沿って移動する速度は、部分の材料の種類に依存する。例えば、所定部分の材料が他の部分の材料よりも速く昇華する場合、所定のレーザービームは、他の部分と比較して、より速い速度で所定部分に沿って移動する必要がある場合がある。対照的に、所定部分の材料が他の部分の材料よりも遅く昇華する場合、所定のレーザービームは、他の部分と比較して、より遅い速度で所定部分に沿って移動する必要がある場合がある。
昇華速度、延いては、部分に沿ったレーザービームの移動速度は、レーザービームを生成するレーザーのタイプと生成されるレーザービームの特性とに依存する。異なるタイプのレーザーが、異なるタイプのレーザービームを生成する。例えば、炭酸ガスレーザーは、ファイバーレーザーによって生成されるものとは異なるレーザービームを生成する。同様に、Nd-YAG(ネオジムをドープしたイットリウムアルミニウムガーネット)レーザーは、炭酸ガスレーザーとファイバーレーザーのそれぞれによって生成されるものとは異なるレーザービームを生成する。更に、いくつかの例では、生成されたレーザーの特性を調整するために、レーザーを選択的に制御することができる。例えば、レーザーを選択的に制御して、生成されたレーザーの強度又はパルス周波数の一方又は両方を調整することができる。一般に、レーザービームの強度又はレーザービームのパルス周波数が高いほど、昇華率が高い。
第1部分502がレーザーアブレーションされて第1部分アブレーション表面522を形成し、第2部分504がレーザーアブレーションされて第2部分アブレーション表面526を形成した後、第1部分アブレーション表面522及び第2部分アブレーション表面526が互いに結合される。図35を参照すると、第1部分アブレーション表面522及び第2部分アブレーション表面526は、互いに向き合い、結合線528に沿って互いに結合され、結合されたジョイントを形成する。結合線528は、第1部分アブレーション表面522と、第2部分アブレーション表面526との間に、限定するものではないが材料を含む構造として定義される。したがって、特定の例では、第1部分アブレーション表面522及び第2部分アブレーション表面526は、結合線528に沿って互いに直接結合される。換言すれば、かかる例では、結合線528の材料以外に、第1部分アブレーション表面522と第2部分アブレーション表面526との間に他の介在層は挿入されない。いくつかの例では、第1部分アブレーション表面522と第2部分アブレーション表面526とが接着結合される場合、結合線528は接着剤530を含む。接着剤530は、グルー、エポキシ、樹脂などの当技術分野で知られている様々な接着剤のいずれかであり得る。更に、接着剤530は、結合線528に沿って、最大厚み及び最小厚み、又は平均厚みを有する。
いくつかの例では、第1部分レーザー506のタイプ、第1部分レーザービーム508の移動速度(即ち、第1部分速度)、及び/又は第1部分レーザービーム508の特性は、第1部分502の材料のタイプに依存する。同様に、いくつかの例では、第2部分レーザー510のタイプ、第2部分レーザービーム512の移動速度(即ち、第2部分速度)、及び/又は第2部分レーザービーム512の特性は、第2部分504の材料のタイプに依存する。
特定の例によれば、第1部分502は、第1の材料で形成され、第2部分は第2の材料で形成され、第1の材料は第2の材料と異なる。一例では、第1部分502は、第1のタイプの金属材料で形成され、第2部分504は、第2のタイプの金属材料で形成される。別の例では、第1部分502は、第1のタイプの非金属材料で形成され、第2部分504は、第2のタイプの非金属材料で形成される。更に別の例では、第1部分502は、非金属材料で形成され、第2部分504は、金属材料で形成される。前記の例では、第1部分レーザー506のタイプ、第1部分レーザービーム508の移動速度、又は第1部分レーザービーム508の特性のうちの少なくとも1つが、第2部分レーザー510のタイプ、第2部分レーザービーム512の移動速度、又は第2部分レーザービーム512の特性とそれぞれ異なる。いくつかの例によれば、第1部分レーザー506のタイプは、第2部分レーザー510のタイプとは異なる(例えば、第1部分レーザー506が、第2部分レーザー510と異なり且つ別である)。いくつかの例では、第1部分速度が第2部分速度と異なる。一例では、第1部分レーザービーム508の強度が第2部分レーザービーム512と異なる。追加的に又は代替的に、特定の例によれば、第1部分レーザービーム508のパルス周波数が第2部分レーザービーム512のパルス周波数と異なる。
いくつかの例によれば、第1の材料が繊維強化ポリマー材料であり、第2の材料が金属材料である。一例では、繊維強化ポリマー材料が、前記のものなどの、ガラス繊維強化ポリマー材料又は炭素繊維強化ポリマー材料のうちの少なくとも1つであり、金属材料が、鋳造チタン材料などのチタン合金である。これらの例では、以下のうちの少なくとも1つである:第1部分レーザー506が炭酸ガスレーザーであり、第2部分レーザー510がファイバーレーザーである;第1部分速度が第2部分速度より遅い;第1部分レーザービーム508の強度が第2部分レーザービーム512の強度より低い;又は、第1部分レーザービーム508のパルス周波数が第2部分レーザービーム512のパルス周波数より低い。第1部分速度が第2部分速度より遅い場合、いくつかの例では、第1部分速度が600mm/s~800mm/s(例えば、700mm/s)であり、第2部分速度が600mm/s~800mm/s(例えば、700mm/s)である。第1部分レーザービーム508の強度が第2部分レーザービーム512の強度より低い場合、特定の例では、第1部分レーザービーム508の強度が40ワット~60ワットであり、第2部分レーザービーム512の強度が40ワット~60ワットである。第1部分レーザービーム508のパルス周波数が第2部分レーザービーム512のパルス周波数より低い場合、いくつかの例では、第1部分レーザービーム508のパルス周波数が40kHz~60kHzであり、第2部分レーザービーム512のパルス周波数が40kHz~60kHzである。
第1部分502の第1の材料又は第2部分504の第2の材料のいずれかが、樹脂又はエポキシマトリックスに埋め込まれた複数の強化繊維を含む繊維強化ポリマー材料である場合、対応する第1部分表面520又は第2部分表面524は、繊維強化ポリマー材料の樹脂又はエポキシマトリックスによって完全に画定される。したがって、第1部分レーザービーム508又は第2部分レーザービーム512は、その中に埋め込まれた強化繊維をアブレーションすることなく、樹脂又はエポキシマトリックスのみに衝撃を与えてアブレーションする。更に、いくつかの例では、第1部分502又は第2部分504は、ガラス繊維強化ポリマー材料の対向する外側の層の間に挟まれた炭素繊維強化ポリマー材料の層で形成される。かかる例では、対応するレーザービームが、ガラス繊維強化ポリマー材料の樹脂又はエポキシマトリックスのみに衝撃を与えてアブレーションする。
これまでに示したように、レーザーのエネルギー、パルス周波数、及び指向性を正確に制御することができることにより、表面のレーザーアブレーションは、山と谷の高い均一性と高い表面エネルギーとを有する新たな(例えば、比較的汚染されていない)表面をもたらすことができる。一般に、レーザービームの各パルスは、アブレーションされる表面の局所部分を昇華させて除去する。表面の除去された部分は、レーザービームの断面形状に対応する形状並びにレーザービームの強度及び周波数に対応する深さを有する谷(例えば、窪み又は凹部)を画定する。レーザービームはアブレーションされる表面に対して移動するので、レーザービームの各パルスは表面の異なる部分に接触し、その結果、除去された部分に対応する、異なる離間された谷が生じる。除去された部分間の表面部分は除去されないので、表面の除去されていない部分は、谷の対角線間のピークを画定する。このようにして、レーザービームが表面を移動するにつれて、表面に山と谷のパターンが形成される。
図33を参照すると、第1部分表面520の昇華は、山と谷の第1部分アブレーションパターンを有する第1部分アブレーション表面522をもたらす。同様に、図34を参照すると、第2部分表面524の昇華は、山と谷の第2部分アブレーションパターンを有する第2部分アブレーション表面526をもたらす。第1部分アブレーションパターン及び第2部分アブレーションパターンで表され得る谷のピークのアブレーションパターンの例が、図36、37、45、及び46に示される。
アブレーションパターン540は、複数の谷544によって離間された複数の山542を含む。一般に、レーザービームは、谷が互いに対して位置し、所望パターンを形成するように移動及びパルスされる。谷のパターンは、対称又は非対称であることができる。更に、谷と谷との間の間隔は、均一又は不均一であることができる。一例では、図36、45、及び46に示される場合などのように、アブレーションパターン540は対称であり、アブレーションパターン540の谷と谷と間の間隔は均一である。図36に示されるように、対称パターンの一例では、アブレーションパターン540の谷は、等間隔であり、互いに近接して離間されている。これは、谷のそれぞれが、山及び谷のパターンの少なくとも1つの隣接する谷及び少なくとも1つの隣接する山と連続していることを意味する。図36の図示の例では、山及び谷のアブレーションパターン540のいくつかの谷は、4つの隣接する谷及び4つの隣接する山と隣接している。同様に、図36の図示の例では、山と谷のアブレーションパターン540のいくつかの山は、4つの隣接する山と4つの隣接する谷と隣接している。
いくつかの例では、谷544のそれぞれは、山542の1つを横切って、部分の長さL(又は幅)に沿って、谷544の隣接する1つから谷間距離Dvvだけ分離されている。谷間距離Dvvは、谷544の1つの中心点及び谷544の隣接する1つの中心点の距離として定義される。更に、谷544のそれぞれは、レーザーアブレーションされる前に表面とほぼ同一平面である仮想境界546から測定された谷深さdvを有する。図45及び46を参照すると、谷544のそれぞれは、長寸法D1(例えば、最大寸法)及び短寸法D2(例えば、最小寸法)を有する。長寸法D1は短寸法D2以下である。例えば、図45を参照すると、谷544のそれぞれが実質的に円形である場合、長寸法D1は、短寸法D2に等しい。しかし、他の例では、図46に示されるように、谷544のそれぞれは、長寸法D1が短寸法D2よりも大きい非円形の形状(例えば、楕円形)を有する。いくつかの例では、レーザービームでアブレーションされた表面が平坦である場合など、生じるアブレーションパターンは、円形である谷544を含む。しかし、特定の例によれば、レーザービームでアブレーションされた表面が湾曲状又は曲線状である場合、表面の曲率により、生じるアブレーションパターンの谷544は楕円形を有する。
いくつかの例では、谷544の少なくとも1つの長寸法D1は、40マイクロメートル~80マイクロメートルであり、短寸法D2は長寸法D1に等しい又は最大10%又は20%だけ、即ち、10~20マイクロメートルだけ変わり得る。追加的又は代替的に、2つの谷544間の谷間距離Dvvは、2つの谷544のいずれか1つの長寸法D1の80%~200%(好ましくは少なくとも120%)であり得る。本明細書に定義されるように、谷544に関して、第2の谷が第1の谷の最も近い位置で隣接している場合、第1の谷は第2の谷に隣接している。更に、谷と谷との間の間隔が均一である場合などのいくつかの例では、所定の谷は、複数の谷に隣接しているとみなすことができる。谷544の中心点は、谷544の最大深さの位置と定義され、これは、通常、谷544の外周から内向きに、長寸法の半分になる。谷544の外周(例えば、周囲)は、アブレーションされていない表面に対する谷544の谷の深さdvの変化が5マイクロメートル以下、好ましくはアブレーションされていない表面に対して0~2マイクロメートルである移行領域として定義される。
一例によれば、本明細書における山と谷のアブレーションパターンの均一性は、アブレーションパターンの谷のサイズのばらつきで定義することができる。前述のように、メディアブラストアブレーションプロセスなどの一部のアブレーションプロセスによって形成される実質的に制御不能なアブレーションパターンは、大きく異なるサイズ、形状、及び間隔の谷を含む。レーザーのエネルギー、パルス周波数、及び指向性を正確に制御することができることにより、パターンの全ての谷が均一なサイズを有するアブレーションパターンが得られる。レーザービームによって形成されたアブレーションパターンの谷のサイズの均一性は、アブレーションパターンの谷の任意の他の1つ(例えば、他の全ての谷)に対するアブレーションパターンの1つの谷のサイズの差(%)によって表すことができる。谷のサイズに関連する差(%)は、パターン内の1つの谷のサイズとパターン内の任意の他の1つの谷のサイズの比(パーセンテージで表される)に等しい。アブレーションパターンの谷のサイズとの差(%)が小さいほど、アブレーションパターンの均一性は高い。いくつかの例では、所定パターンの1つの谷のサイズと所定パターンの任意の他のサイズとの差(%)は、20%以下である。換言すると、1つの谷のサイズは、任意の他の谷のサイズ又は他の全ての谷のサイズの20%以内である。他の例では、所定パターンの1つの谷のサイズと所定パターンの任意の他の谷のサイズとの差(%)は、10%以下である。
谷のサイズは、断面積、長寸法D1、短寸法D2、深さdv、又は谷のサイズのその他の特性として表すことができる。特定の例では、1つの谷の長寸法D1又は短寸法D2は、谷の任意の他の1つ又は他の全ての対応する長寸法D1又は短寸法D2の20%以内である。一例によれば、1つの谷の長寸法D1は、谷の任意の他の1つ又は他の全ての長寸法D1の20%以内であり、1つの谷の短寸法D2は、谷の任意の他の1つ又は他の全ての短寸法D2の20%以内である。特定の例では、1つの谷の長寸法D1又は短寸法D2は、谷の任意の他の1つ又は他の全ての対応する長寸法D1又は短寸法D2の10%以内である。一例によれば、1つの谷の長寸法D1は、谷の任意の他の1つ又は他の全ての長寸法D1の10%以内であり、1つの谷の短寸法D2は、谷の任意の他の1つ又は他の全ての短寸法D2の10%以内である。前記の例は、谷の長寸法D1と短寸法D2について言及しているが、断面積や深さなど、谷のサイズのその他の特性を、長寸法D1と短寸法D2と交換することができる。
追加的又は代替的に、いくつかの例では、本明細書における山と谷のアブレーションパターンの均一性は、アブレーションパターンの隣接する谷と谷との間の距離のばらつきで定義することができる。レーザーのエネルギー、パルス周波数、及び指向性を正確に制御することができることにより、パターンの全ての谷が互いに均等に離間されたアブレーションパターンが得られる。レーザービームによって形成されたアブレーションパターンの谷と谷との間の距離の均一性は、アブレーションパターンの2つの隣接する谷間の距離の、アブレーションパターンの他の任意の2つの隣接する谷と谷(例えば、全ての隣接する谷と谷)との間の距離に対する差(%)によって表すことができる。谷間の距離に関する差(%)は、パターン内の2つの隣接する谷と谷との間の距離と、パターン内の任意の他の2つの隣接する谷と谷との間の距離の比(パーセンテージで表される)に等しい。アブレーションパターンの谷と谷との間の距離の差(%)が小さいほど、アブレーションパターンの均一性は高い。いくつかの例では、所定パターンの2つの隣接する谷と谷との間の距離及び所定パターンの任意の他の2つの隣接する谷と谷との間の距離の差(%)は、20%以下である。換言すると、2つの隣接する谷と谷との間の距離は、任意の他の2つの隣接する谷と谷との間の距離の20%以下である。他の例では、所定パターンの2つの隣接する谷と谷との間の距離及び所定パターンの任意の他の2つの隣接する谷と谷との間の距離の差(%)は、10%以下である。
本明細書に開示される部分のアブレーション表面上のアブレーションパターンの山と谷の均一性に対応して、ゴルフクラブヘッドの部分の表面をレーザーアブレーションすることはまた、他のタイプのアブレーションプロセスを使用して処理される表面と比較してより高い表面エネルギーを有することを促進する。前記したように、結合される表面の表面エネルギーがより高いと、表面間により強くより信頼性のある結合を可能にする。表面の表面エネルギーは、表面の水接触角に反比例する。換言すれば、表面の水接触角が小さいほど、その表面の表面エネルギーは高い。水接触角は、表面上の水滴が表面となす(水を通る)角度として定義される。水接触角が小さいほど、表面の濡れ性は高く、接着剤の接着性と接着剤の表面結合能が高まる。したがって、水接触角が小さいほど、結合が良好になり、結合の強度が高くなる。いくつかの例では、水接触角は、ゴニオメーター又は他の測定装置を使用することによって測定することができる。以下の表4には、結合されたジョイントを形成する前の、ゴルフクラブヘッドのいくつかの例の様々なレーザーアブレーション後の表面の水接触角が示される。
表4において、クラウン-ホーゼル表面は、ソール部分117よりクラウン部分119に近く且つトウ部分114よりホーゼル120に近い、ボディ102の前部レッジアブレーション表面179Aの部分であり;クラウン-トウ表面は、ソール部分117よりクラウン部分119に近く且つホーゼル120よりトウ部分114に近い、ボディ102の前部レッジアブレーション表面179Aの部分であり;ソール-ホーゼル表面は、クラウン部分119よりソール部分117に近く且つトウ部分114よりホーゼル120に近い、ボディ102の前部レッジアブレーション表面179Aの部分であり;ソール-トウ表面は、クラウン部分119よりソール部分117に近く且つホーゼル120よりトウ部分114に近い、ボディ102の前部レッジアブレーション表面179Aの部分である。表4を参照すると、いくつかの例では、ゴルフクラブヘッド100の第2部分アブレーション表面526又は任意のレーザーアブレーション表面は、2°~25°又は5°~18°の水接触角を有する。更に特定の例によれば、ゴルフクラブヘッド100のアブレーション表面の水接触角は、50°未満、45°未満、40°未満、35°未満、30°未満、25°未満、又は20°未満である。いくつかの例では、ゴルフクラブヘッド100のアブレーション表面の水接触角は、0°超30°未満又は0°超25°未満である。特定の例では、ゴルフクラブヘッド100のアブレーション表面の水接触角は、1°~18°である。
図38、40、及び41を参照すると、いくつかの例では、第1部分502は、ゴルフクラブヘッド100の打撃プレート143であり、第2部分504は、ゴルフクラブヘッド100のボディ102である。特定の例では、打撃プレート143は、繊維強化ポリマー材料で形成することができ、ボディ102は、鋳造チタン材料、非鋳造チタン材料、アルミニウム材料、鋼材料、タングステン材料、プラスチック材料、及び/又はその他の材料などの様々な材料で形成することができる。特定の例では、打撃プレート143は、繊維強化ポリマー材料の複数の重ねられた層で形成される。一例では、打撃プレート143は、繊維強化ポリマー材料の重ねられた35~70の層(それぞれが所定角度で連続繊維を有する)で形成され、3.5mm以上6.0mm以下の厚みを有する。層の繊維の角度は、層ごとに異なる。或いは、打撃プレート143は、チタン合金などの金属材料で形成することができ、ボディ102は、同一金属材料又は各種チタン合金などの各種金属材料で形成することができる。また、ボディ102は、上に示したように、各ピースが異なる材料で形成される複数の、別々に形成され、後に取り付けられるピースで形成することができる。
第1部分502がゴルフクラブヘッド100の打撃プレート143である場合、第1部分表面520は、打撃プレート143の打撃面145の反対側にある打撃プレート143の内表面166、即ち、裏表面を含む。したがって、図38に示されるように、第1部分レーザー506は、第1部分レーザービーム508を生成し、内表面166上の少なくとも一部で、指定の第1部分結合領域548内及びそれに沿って、内表面166に衝撃を与えるように第1部分レーザービーム508を指向し、打撃プレート内部アブレーション表面179Cを形成する。したがって、打撃プレート143の内表面166全体の一部(例えば、外周部分)のみがレーザーアブレーションされ、内表面166の残りの部分はアブレーションされない。第1部分アブレーション表面522は、少なくとも一部、打撃プレート内部アブレーション表面179Cを含む。いくつかの例では、第1部分表面520はまた、打撃プレート145の周囲エッジ表面167を含み、第1部分レーザー506は、第1部分レーザービーム508を生成し、第1部分レーザービーム508を指向させ、打撃プレートエッジアブレーション表面179Dが形成されるように、周囲エッジ表面167(例えば、その全体)に衝撃を与える。したがって、第1部分アブレーション表面522は、打撃プレートエッジアブレーション表面179Dを更に含むことができ、指定の第1部分結合領域548は、周囲エッジ表面167を更に含むことができる。特定の例において、打撃プレート内部アブレーション表面179C及び打撃プレートエッジアブレーション表面179Dは、同一のアブレーションパターンを有する。いくつかの例では、周囲エッジ表面167の内表面166に対する角度のために、内表面166をレーザーアブレーションする場合と比較して、周囲エッジ表面167をレーザーアブレーションする場合、第1部分レーザー506に対する打撃プレート143の向きが調整される。
第2部分504がボディ102である場合、第2部分表面524は、ボディ102のプレート開口部凹状レッジ147を含む。したがって、図39に示されるように、第2のレーザー510は、第2部分レーザービーム512を生成し、指定の第2部分結合領域内及びそれに沿って、第2部分レーザービーム512を指向し、プレート開口部凹状レッジ147に衝撃を与え、前部レッジアブレーション表面179Aを形成する。第2部分アブレーション表面526は、少なくとも一部、前部レッジアブレーション表面179Aを含む。いくつかの例では、第2部分表面524はまた、プレート開口部凹状レッジ147の周りに延びる側壁146を含み、第2部分レーザー510は、第2部分レーザービーム512を生成し、第2部分レーザービーム512を指向し、前部側壁アブレーション表面179Bが形成されるように側壁146(例えば、その全体)に衝撃を与える。したがって、第2部分アブレーション表面526は、前部側壁アブレーション表面179Bを更に含むことができ、指定の第2部分接合領域は、側壁146を更に含むことができる。特定の例では、前部レッジアブレーション表面179A及び前部側壁アブレーション表面179Bは、同一のアブレーションパターンを有する。いくつかの例では、側壁146のプレート開口部凹状レッジ147に対する角度のために、プレート開口部凹状レッジ147をレーザーアブレーションする場合と比較して、側壁146をレーザーアブレーションする場合、第2部分レーザー510に対するボディ102の向きが調整される。
前記に鑑みて、図18のゴルフクラブヘッド300などのいくつかの例によれば、第2部分アブレーション表面526は、異なる材料で形成された2つのサブコンポーネント(例えば、上部カップピース304A及び下部カップピース304B)によって画定される。したがって、第2部分アブレーション表面526がレーザーアブレーションされる場合、第2部分アブレーション表面526を画定する各種材料を、単一の連続工程でレーザーアブレーションすることができる。各種材料のうちの第1の材料は、第2部分アブレーション表面526の第1表面積を画定することができ、各種材料のうちの第2の材料は、第2部分アブレーション表面の第2の表面積を画定することができる。いくつかの例では、第1の表面積と第2の表面積は異なることがある。特定の例によれば、第1の表面積は第2の表面積より大きく、第1の表面積を定義する第1の材料は、第2の表面積を定義する第2の材料より密度が低い。上部カップピース304A及び下部カップピース304Bの両方は、第2部分アブレーション表面526を画定するためにレーザーアブレーションすることができる前部レッジ及び側壁(プレート開口部凹状レッジ147及び側壁146に類似)を含む。
図10~13を参照すると、いくつかの例では、第1部分502は、クラウンインサート108又はソールインサート110のうちの1つであり、第2部分504は、ボディ102である。特定の例では、クラウンインサート108及び/又はソールインサート110は、繊維強化ポリマー材料で形成することができ、ボディ102は、鋳造チタン材料、非鋳造チタン材料、アルミニウム材料、鋼材料、タングステン材料、プラスチック材料、及び/又はその他の材料などの異なる材料で形成することができる。或いは、クラウンインサート108及び/又はソールインサート110は、チタン合金などの金属材料で形成することができ、ボディ102は、同一金属材料又は異なるチタン合金などの異なる金属材料で形成することができる。
第1部分502がクラウンインサート108である場合、第1部分表面520は、クラウンインサート108の内表面108Aを含む。したがって、第1部分レーザー506は、第1部分レーザービーム508を生成し、クラウンインサート108の内表面108A上の少なくとも一部で、指定の第1部分結合領域内及びそれに沿って、第1部分レーザービーム508を指向し、クラウンインサート108の内表面108Aに衝撃を与えて、クラウンインサートアブレーション表面108Bを形成する。第1部分アブレーション表面522は、少なくとも一部、クラウンインサートアブレーション表面108Bを含む。したがって、クラウンインサート108の内表面全体の一部(例えば、外周部分)のみがレーザーアブレーションされ、クラウンインサート108の内表面の残りの部分はアブレーションされない。いくつかの例では、クラウンインサート108の内表面108A上の結合領域は、2000mm2~2500mm2であり、例えば、少なくとも2,248mm2である。更に、特定の例では、クラウンインサート108の内表面108Aの総表面積は、7000mm2~12,000mm2又は9,000mm2~11,000mm2(例えば、7000mm2~9,000mm2の最小表面積)であり、例えば、9,379mm2~10,366mm2(例えば、約9,873mm2)である。いくつかの例では、クラウンインサート108の内表面108A上の結合領域によって占められる内表面108Aの総表面積のパーセンテージは、25%、30%、35%、又は40%以下であり、10%、15%、20%、又は25%以上である。特定の例によれば、クラウンインサート108の内表面108A上の結合領域によって占められる内表面108Aの総表面積のパーセンテージは、20%~25%(例えば、22%)、20%~27%、又は22%~25%である。
いくつかの例では、ソールインサート110の内表面110A上の結合面積は、1,800mm2~2,200mm2、例えば、少なくとも2,076mm2である。更に、特定の例では、ソールインサート110の内表面110Aの総表面積は、7000mm2~12,000mm2又は9,000mm2~11,000mm2(例えば、7000mm2~9,000mm2の最小表面積)であり、例えば、8,182mm2~9,043mm2(例えば、約8,613mm2)である。いくつかの例では、ソールインサート110の内表面110A上の結合領域によって占められる内表面110Aの総表面積のパーセンテージは、25%、30%、35%、又は40%以下であり、10%、15%、20%、又は25%以上である。特定の例によれば、ソールインサート110の内表面110A上の結合領域によって占められる内表面110Aの総表面積のパーセンテージは、20%~27%、22%~25%、又は21%~26%、例えば、24%である。
いくつかの例では、打撃プレート143の内表面上の結合面積は、1,770mm2~2,170mm2であり、例えば、少なくとも1,976mm2である。更に、特定の例では、打撃プレート143の内表面の総表面積は、7,000mm2未満であり、例えば、1500mm2~7000mm2、3,200mm2~4,700mm2、又は3,572mm2~3,949mm2である(例えば、約3,761mm2)。いくつかの例では、打撃プレート143の内表面の結合領域によって占められる打撃プレート143の内表面の総表面積のパーセンテージは、55%、60%、65%、又は70%以下であり、30%、35%、40%、又は45%以上である。特定の例によれば、打撃プレート143の内表面の結合領域によって占められる打撃プレート143の内表面の総表面積のパーセンテージは、47%~58%、例えば、52%である。
いくつかの例では、第1部分表面520はまた、クラウンインサート108の周囲エッジ表面を含み、第1部分レーザー506は、第1部分レーザービーム508を生成し、クラウンインサートエッジアブレーション表面108Cが形成されるように、第1部分レーザービーム508を指向し、クラウンインサート108の周囲エッジ表面(例えば、その全体)に衝撃を与える。したがって、第1部分アブレーション表面522は、クラウンインサートエッジアブレーション表面108Cを更に含むことができ、指定の第1部分結合領域548は、クラウンインサート108の周囲エッジ表面を更に含むことができる。特定の例では、クラウンインサートアブレーション表面108B及びクラウンインサートエッジアブレーション表面108Cは、同一のアブレーションパターンを有することができる。いくつかの例では、内表面108Aに対する周囲エッジ表面の角度のため、内表面108Aをレーザーアブレーションする場合と比較して、クラウンインサート108の周囲エッジ表面をレーザーアブレーションする場合、第1部分レーザー506に対するクラウンインサート108の向きが調整される。
第1部分502がクラウンインサート108である場合、第2部分表面524は、上部プレート開口部凹状レッジ168を含む。したがって、第2部分レーザー510は、第2部分レーザービーム512を生成し、上部プレート開口部凹状レッジ168上の少なくとも一部で、指定の第2部分結合領域内及びそれに沿って、第2部分レーザービーム512を指向し、上部プレート開口部凹状レッジ168に衝撃を与え、上部レッジアブレーション表面141Aを形成する。第2部分アブレーション表面526は、少なくとも一部、上部レッジアブレーション表面141Aを含む。いくつかの例では、第2部分表面520はまた、上部プレート開口部凹状レッジ168の円周方向を囲み、深さを画定する上部凹状レッジ側壁を含み、第2部分レーザー510は、第2部分レーザービーム512を生成し、上部側壁アブレーション表面141Bが形成されるように、第2部分レーザービーム512を指向し、上部凹状レッジ側壁(例えば、その全体)に衝撃を与える。したがって、第2部分アブレーション表面526は、上部側壁アブレーション表面141Bを更に含むことができ、指定の第2部分結合領域は、上部凹状レッジ側壁を更に含むことができる。特定の例では、上部レッジアブレーション表面141A及び上部側壁アブレーション表面141Bは、同一のアブレーションパターンを有することができる。いくつかの例では、上部プレート開口部凹状レッジ168に対する上部凹状レッジ側壁の角度のため、上部プレート開口部凹状レッジ168をレーザーアブレーションする場合と比較して、上部凹状レッジ側壁をレーザーアブレーションする場合、第2部分レーザー510に対するボディ102の向きが調整される。
前記に鑑みて、いくつかの例によれば、第2部分アブレーション表面526は、異なる材料で形成された2つのサブコンポーネント(例えば、上部カップ104及びリング106)のアブレーション表面によって画定される。したがって、第2部分アブレーション表面526がレーザーアブレーションされる場合、第2部分アブレーション表面526を画定する各種材料を、単一の連続工程でレーザーアブレーションすることができる。
第1部分502がソールインサート110である場合、第1部分表面520は、ソールインサート110の内表面110Aを含む。したがって、第1部分レーザー506は、第1部分レーザービーム508を生成し、ソールインサート110の内表面110A上の少なくとも一部で、指定の第1部分結合領域548内及びそれに沿って、第1部分レーザービーム508を指向し、ソールインサート110の内表面110Aに衝撃を与えて、ソールインサートアブレーション表面110Bを形成する。第1部分アブレーション表面522は、少なくとも一部、ソールインサートアブレーション表面110Bを含む。したがって、ソールインサート110の内表面全体の一部(例えば、外周囲部分)のみがレーザーアブレーションされ、ソールインサート110の内表面の残りの部分はアブレーションされない。いくつかの例では、第1部分表面520はまた、ソールインサート110の周囲エッジ表面を含み、第1部分レーザー506は、第1部分レーザービーム508を生成し、ソールインサートエッジアブレーション表面110Cが形成されるように、ソールインサート110の周囲エッジ表面(例えば、その全体)に衝撃を与える。したがって、第1部分アブレーション表面522は、ソールインサートエッジアブレーション表面110Cを更に含むことができ、指定の第1部分結合領域548は、ソールインサート110の周囲エッジ表面を更に含むことができる。特定の例において、ソールインサートアブレーション表面110B及びソールインサートエッジアブレーション表面110Cは、同一のアブレーションパターンを有することができる。いくつかの例では、内表面110Aに対する周囲エッジ表面の角度のため、内表面110Aをレーザーアブレーションする場合と比較して、ソールインサート110の周囲エッジ表面をレーザーアブレーションする場合、第1部分レーザー506に対するソールインサート110の向きが調整される。
更に、第1部分502がソールインサート110である場合、第2部分表面524は、ソール開口部凹状レッジ170を含む。したがって、第2部分レーザー510は、第2部分レーザービーム512を生成し、ソール開口部凹状レッジ170上の少なくとも一部で、指定の第2部分結合領域内及びそれに沿って、第2部分レーザービーム512を指向し、ソール開口部凹状レッジ170に衝撃を与えて、下部レッジアブレーション表面142Aを形成する。第2部分アブレーション表面526は、少なくとも一部、下部レッジアブレーション表面142Aを含む。いくつかの例では、第2部分表面524はまた、ソール開口部凹状レッジ170の円周方向を囲み、その深さを画定する下部凹状レッジ側壁を含み、第2部分レーザー510は、第2部分レーザービーム512を生成し、下部側壁アブレーション表面142Bが形成されるように、第2部分レーザービーム512を指向し、下部凹状レッジ側壁(例えば、その全体)に衝撃を与える。したがって、第2部分アブレーション表面526は、下部側壁アブレーション表面142Bを更に含むことができ、指定の第2部分結合領域は、下部凹状レッジ側壁を更に含むことができる。特定の例では、下部レッジアブレーション表面142A及び下部側壁アブレーション表面142Bは、同一のアブレーションパターンを有することができる。いくつかの例では、ソール開口部凹状レッジ170に対する下部凹状レッジ側壁の角度のため、ソール開口部凹状レッジ170をレーザーアブレーションする場合と比較して、下部凹状レッジ側壁をレーザーアブレーションする場合、第2部分レーザー510に対するボディ102の向きが調整される。
前記開示したように、いくつかの例では、レーザーアブレーションされている部分の向きを、部分をアブレーションしているレーザーに対して調整することができる。一例では、図39において、破線の方向矢印で示されるように、部分は静止状態に保たれ、レーザーの向き又はレーザービームの指向性が部分に対して変更される。レーザーの向きは、数値制御ロボットを介するなどしてレーザーを移動させる、又は電子制御可能な光学コンポーネントを使用するなどして、レーザーによって生成されるレーザービームの指向性を調整することによって変更することができる。
別の例によれば、図39において、実線の方向矢印で示されるように、レーザーは静止状態に保たれ(又はレーザービームの指向性は一定に保たれ)、部分の向きが調整される又は部分がレーザービームに対して移動される。部分の向きは、部分を調整可能なプラットフォームに固定することによって調整することができ、プラットフォームを並進移動又は回転して、部分をレーザービームに対して並進移動又は回転させることができる。
いくつかの例では、本明細書に開示される方法は手動で実行することができるが、他の例では、前記方法は自動化される。本明細書においては、「自動化された」は、コンピュータ数値制御(CNC)機械などの自動装置によって少なくとも一部操作されることを意味する。いくつかの例では、レーザービームの指向性及び/又は特性を含む、レーザーを制御するプロセス、及び/又はレーザービームに対する部分の向き/位置を制御するプロセスが自動化される。例えば、電子コントローラは、部分の向き/位置を保持及び調整するレーザー及び部分調整コンポーネント(例えば、モーター、シリンダー、ギア、レールなど)を制御することができる。
ゴルフクラブヘッド100は、ボディ102に取り付けられたクラウンインサート108及びソールインサート110の両方を有するので、いくつかの例では、前記方法550を実行して、1超の第1部分502が第2部分504に結合されたゴルフクラブヘッドを製造することができる。換言すれば、少なくとも1つの例では、ゴルフクラブヘッド100は、第2部分504に結合された少なくとも2つの第1部分502を含む。更に、ゴルフクラブヘッド100はまた、ボディ102に取り付けられた打撃プレート148を含むので、特定の例では、前記方法550を実行して、少なくとも3つの第1部分502が第2部分504に結合されたゴルフクラブヘッドを製造することができる。
前述のように、ゴルフクラブヘッド100のボディ102は、互いに取り付けられてマルチピース構造を形成する複数のピースを含む。例えば、図14及び15を参照すると、ゴルフクラブヘッド100のボディ102は、鋳造カップ104及びリング106を含む。したがって、いくつかの例では、方法550を実行して、第1部分502及び第2部分504を含むゴルフクラブヘッドのボディを製造することができる。特定の例では、第1部分502がリング106であり、第2部分504が鋳造カップ104である。前記開示したように、リング106及び鋳造カップ104は、異なる材料で形成することができる。例えば、リング106は、鋳造チタン材料で形成することができる鋳造カップ104の材料より、比較的密度が低い金属材料又はプラスチック材料で形成することができる。
第1部分502がリング106であり、第2部分504が鋳造カップ104である場合、第1部分表面520は、トウ側カップ係合表面152A及びヒール側カップ係合表面152Bを含む。したがって、第1部分レーザー506は、第1部分レーザービーム508を生成し、トウ側カップ係合表面152A及びヒール側カップ係合表面152B上の少なくとも一部で、指定の第1部分結合領域内及びそれに沿って、第1部分レーザービーム508を指向し、トウ側カップ係合表面152A及びヒール側カップ係合表面152Bに衝撃を与えて、トウ側カップ係合アブレーション表面148C及びヒール側カップ係合表面148Dをそれぞれ形成する。第1部分アブレーション表面522は、少なくとも一部、トウ側カップ係合アブレーション表面148C及びヒール側カップ係合表面148Dを含む。特定の例では、トウ側カップ係合アブレーション表面148C及びヒール側カップ係合表面148Dは、同一のアブレーションパターンを有することができる。
これに対応して、第1部分502がリング106であり、第2部分504が鋳造カップ104である場合、第2部分表面524は、トウ側リング係合表面150A及びヒール側リング係合表面150Bを含む。したがって、第2部分レーザー510は、第2部分レーザービーム512を生成し、トウ側リング係合表面150A及びヒール側リング係合表面150B上の少なくとも一部で、指定の第2部分結合領域内及びそれに沿って、第2部分レーザービーム512を指向し、トウ側リング係合表面150A及びヒール側リング係合表面150Bに衝撃を与えて、トウ側リング係合アブレーション表面148A及びヒール側リング係合表面148Bをそれぞれ形成する。第1部分アブレーション表面522は、少なくとも一部、トウ側リング係合アブレーション表面148A及びヒール側リング係合表面148Bを含む。特定の例では、トウ側リング係合アブレーション表面148A及びヒール側リング係合表面148Bは、同一のアブレーションパターンを有することができる。
リング106が鋳造カップ104に結合された後、リング106及び鋳造カップ104は、方法550にしたがって第1部分502が結合される第2部分504を共に画定することができる。換言すれば、第2部分504は、マルチピース構造を有することができる。実際に、図18を参照すると、鋳造カップは、マルチピース構造を有することができ、鋳造カップの1つのピースが第1部分502であり、鋳造カップの別のピースが第2部分504であり、鋳造カップの(例えば、同一又は異なる材料で形成される)複数の部分は、方法550の後に互いに結合されるアブレーション表面を有する。
本明細書においては、破線の引出線は、前の状態の特徴を示すために使用される。例えば、破線の引出線で参照される表面は、実線の引出線で参照される表面に変更される前の表面を示す。この方法は、アブレーション前後の表面間の相互関係を理解するのに役立つ。
いくつかの例では、第1部分表面520をレーザーアブレーションする工程又は第2部分表面524をレーザーアブレーションする工程は、第1部分502又は第2部分504の対応する1つからアルファケースを除去するために実行される。かかる例では、第1部分502又は第2部分504の対応する1つは、対応する部分の製造(例えば、鋳造)中、それぞれ第1部分表面520又は第2部分表面524上にアルファケースの層を発達させる傾向があるチタン合金で形成される(例えば、参照により本明細書に援用する2020年9月22日発行の米国特許第10,780,327号明細書を参照)。第1部分表面520又は第2部分表面524の対応する1つは、対応する部分からアルファケースの層を除去するのに十分な深さまでアブレーションされる。本明細書に開示されるレーザーアブレーション法を使用することにより、アルファケースを、化学エッチング、コンピュータ数値制御(CNC)機械、又は摩耗技術などの従来法より高精度、高効率、及び少ない廃棄材料で除去することができる。
図43及び44を参照すると、代替例では、結合線528を形成する2つの表面のうちの一方のみがレーザーアブレーションされる。一例によれば、ゴルフクラブヘッド100などの本開示のゴルフクラブヘッドを製造する方法560は、(ブロック562)第2部分アブレーション表面526が第2部分504に形成されるように、ゴルフクラブヘッド100の第2部分504の第2部分表面524をレーザーアブレーションすることを含む。前記方法560は、(ブロック564)ゴルフクラブヘッド100の第1部分502の第1部分表面520と第2部分504の第2部分アブレーション表面526とを互いに結合することを更に含む。換言すれば、第2部分アブレーション表面526が第1部分502の第1部分アブレーション表面に結合されることに代えて、第2部分504の第2部分アブレーション表面526が第1部分502のアブレーションされていない表面(即ち、第1部分表面520)に結合される。
特定の例では、方法560の第2部分504は、鋳造合金などのチタン合金で形成されており、方法560の第1部分502は、繊維強化ポリマー材料で形成される。例えば、第1部分502は打撃プレート143であることができ、第2部分504はボディ102であることができ、第2部分アブレーション表面526は、ボディ102のプレート開口部凹状レッジ147を画定することができる。しかし、図38に示される打撃プレート143と異なり、方法560で使用される打撃プレート143の内表面166は、レーザーアブレーションされていない。代わりに、打撃プレート143の内表面166は、未処理である又はメディアブラスト若しくは化学エッチングなどの異なるタイプの表面処理を用いて処理される。別の例によれば、第1部分502は、クラウンインサート108又はソールインサート110のうちの1つであることができ、第2部分504は、ボディ102であることができ、第2部分アブレーション表面526は、上部プレート開口部凹状レッジ又はソール開口部凹状レッジのうちの1つを画定することができる。
いくつかの例によれば、前記方法560は、打撃プレート143、クラウンインサート108、及び/又はソールインサート110がレーザーアブレーションされた表面を有しないことを除いて、ゴルフクラブヘッド100と同様のゴルフクラブヘッドを製造するために使用される。代わりに、いくつかの例では、鋳造チタン合金で形成することができるボディ102のみが、レーザーアブレーションされた表面を含む。一例によれば、ボディ102は、上部レッジアブレーション表面141A、下部レッジアブレーション表面142A、及び前部レッジアブレーション表面179Aを含むが、クラウンインサート108は、クラウンインサートアブレーション表面108Bを含まず、ソールインサート110は、ソールインサートアブレーション表面110Bを含まず、打撃プレート143は、打撃プレート内部アブレーション表面179Cを含まない。
ゴルフクラブヘッド100の各結合ジョイントは、2つの結合面(例えば、接合面)によって画定される。結合されたジョイントは、等しく且つ反対側にある2つの結合面を有するので、各結合されたジョイントの表面積(即ち、各結合されたジョイントの結合面積)は、2つの結合された表面の1つだけの表面積として定義される。換言すれば、本明細書に定義されるように、各結合されたジョイントの結合面積は、結合されたジョイントの両方の結合表面の表面積を含まない。したがって、本明細書においては、本明細書に開示されるゴルフクラブヘッドの2つの表面間に画定される結合ジョイントの結合面積は、2つの表面間の接着剤で覆われている又は直接接触している結合ジョイントの2つの表面のうちの任意の一方(1つだけ)の部分の表面積である。この定義に鑑みると、結合面積は、結合されたジョイントを画定する接着剤(例えば、接着剤530)の2つの表面のうちの1つの表面積に等しい。
いくつかの例では、ゴルフクラブヘッド100の少なくとも1つの結合ジョイントの2つの結合表面のうちの少なくとも1つは、レーザーアブレーションされた表面である。したがって、レーザーアブレーションされた表面によって画定される結合ジョイントの結合面積は、レーザーアブレーションされた表面の表面積であり得る。したがって、特段の断りがない限り、アブレーションされた表面の表面積は、レーザーアブレーションされた表面によって画定される結合ジョイントの結合面積に等しい。更に、アブレーションされていない表面(例えば、図44の第1部分表面520)及びアブレーションされた表面によって画定される結合ジョイントの結合面積は、アブレーションされた表面に結合されるアブレーションされていない表面の部分又は接着剤530によって覆われている若しくは接着剤530と直接接触しているアブレーションされていない表面の部分である。したがって、アブレーションされていない表面は、結合されたジョイントのアブレーションされた表面に結合されたアブレーションされていない表面の部分の表面積より大きくなり得る。
本明細書に定義されるように、レーザーアブレーションされた表面の表面積は、レーザービームによって形成された山と谷のパターンによって覆われた表面の部分の面積である。したがって、レーザーアブレーションされた表面の表面積は、山と谷のパターンを含む表面の部分の長さと幅とを乗じた積として計算することができる、又は山と谷のパターンの山と谷の合計表面積によって計算することができる。更に、いくつかの例では、結合されたジョイントの結合表面は輪郭を有するので、本明細書に定義されるように、結合された表面の面積を計算するより便利な方法を提供するために、表面の表面積は投影表面積であり、これは、実質的に表面に面する仮想平面に投影された表面の表面積である。
一般に、ゴルフクラブヘッド100の総結合面積は、従来のゴルフクラブヘッドより大きい。更に、ゴルフクラブヘッド100の総結合面積の50%~100%などの高いパーセンテージが、レーザーアブレーションされた表面によって画定される。一例によれば、ゴルフクラブヘッド100の第2部分アブレーション表面526は、800mm
2~2,880mm
2の表面積を有する。この例又は他の例では、ゴルフクラブヘッド100の第2部分アブレーション表面526は、少なくとも1,560mm
2、少なくとも1,770mm
2、少なくとも2,062mm
2、又は少なくとも2,600mm
2の表面積を有する。前に定義したように、ゴルフクラブヘッド100の第1部分表面520又は第1部分アブレーション表面522は、第2部分アブレーション表面526の反対側の結合ジョイントの側面を画定するので、対応する表面積を有することができる。以下の表5を参照すると、表4の例と同一であっても異なっていてもよい、本明細書に開示されるゴルフクラブヘッドのいくつかの例の結合ジョイントの結合表面のいくつかのフィーチャの面積及び結合面積(mm
2)が示されている。
いくつかの例では、前方ソール開口部凹状レッジ170A(例えば、表5のカップ下部レッジアブレーション表面積)は、約1,054mm2の結合面積を画定し、前方クラウン開口部凹状レッジ168A(例えば、表5のカップ上部レッジアブレーション表面積)は、約1,910mm2の結合面積を画定し、トウ側リング係合表面150A及びヒール側リング係合表150Bの面積(例えば、表5のリング係合アブレーション表面積)又はトウ側カップ係合表面152A及びヒール側カップ係合表面152B(例えば、表5のカップ係合アブレーション表面積)は、約98mm2であり、プレート開口部凹状レッジ147及び側壁146(例えば、前部レッジアブレーション表面積及び前部側壁アブレーション表面積)は、約2,240mm2の結合面積を画定し、鋳造カップ104によって画定される総結合面積は、5,300mm2である。同一又は代替の例によれば、後方クラウン開口部凹状レッジ168B(例えば、表5のリング上部レッジアブレーション表面積)は、約928mm2の結合面積を画定し、後方ソール開口部凹状レッジ170B(例えば、表5のリング下部レッジアブレーション表面積)は、約1,222mm2の結合面積を画定し、リング106によって画定される総結合面積は、2,250mm2である。
前記に鑑みると、いくつかの例では、ゴルフクラブヘッド100は、ゴルフクラブヘッド100の他の3つのコンポーネント又はピースに結合される1つのコンポーネント又はピース(例えば、リング106)を含み、ゴルフクラブヘッド100のこれらの4つのコンポーネント又はピース間の総結合面積は、1,950mm2~2500mm2、又はより好ましくは2,100mm2~2,400mm2である。いくつかの例によれば、ゴルフクラブヘッド100は、ゴルフクラブヘッド100の他の3つのコンポーネント又はピースに結合される1つのコンポーネント又はピース(例えば、鋳造カップ104)を含み、ゴルフクラブヘッド100のこれらの4つのコンポーネント又はピース間の総結合面積は、2,250mm2~3,400mm2、又はより好ましくは2,900mm2~3,200mm2である。更にいくつかの例によれば、ゴルフクラブヘッド100は、ゴルフクラブヘッド100の他の4つのコンポーネント又はピースに結合される1つのコンポーネント又はピース(例えば、鋳造カップ104)を含み、ゴルフクラブヘッド100のこれらの5つのコンポーネント又はピース間の総結合面積は、4,750mm2~6,200mm2、又はより好ましくは4,900mm2~5,500mm2である。特定の例では、ゴルフクラブヘッドは、ゴルフクラブヘッド100の他の5つのコンポーネント又はピースに結合される1つのコンポーネント又はピース(例えば、上部カップピース304A)を含み、ゴルフクラブヘッド100のこれらの6つのコンポーネント又はピース間の総結合面積は、5,500mm2~7,000mm2、又はより好ましくは5,700mm2~6,300mm2である。
本開示のゴルフクラブヘッドは、ゴルフクラブヘッドの体積に対して、ゴルフクラブヘッドの複数のピース間に高い結合面積を有する。換言すれば、ゴルフクラブヘッドの所定サイズについて、結合面積は、従来のゴルフクラブヘッドより大幅に大きい。いくつかの例によれば、本明細書に開示されるゴルフクラブヘッド100などのゴルフクラブヘッドの体積は、450cc~600ccであり、より好ましくは450cc~470ccである。更に、特定の例では、結合体積比、即ち、ゴルフクラブヘッドの複数の結合ジョイントの合計結合面積の、ゴルフクラブヘッドの体積に対する比は、少なくとも3.75mm2/cc、最大15.5mm2/ccである(例えば、少なくとも9.1mm2/cc以上で最大14.0mm2/cc)。いくつかの例では、本明細書に開示されるゴルフクラブヘッドの例の少なくともいくつかの結合体積比は、少なくとも7.9mm2/ccで最大13.7mm2/cc(例えば、少なくとも8.1mm2/ccで最大12.2mm2/cc)である。更にいくつかの例では、本明細書に開示されるゴルフクラブヘッドの例の少なくともいくつかの結合体積比は、少なくとも3.75mm2/ccで最大7.5mm2/cc(例えば、少なくとも4.8mm2/ccで最大7.1mm2/cc)である。
いくつかの代替例によれば、結合体積比、即ち、ゴルフクラブヘッドの複数の結合ジョイントの合計結合面積の、ゴルフクラブヘッドの体積に対する比は、少なくとも10mm2/ccで最大18.8である(例えば、少なくとも10mm2/ccで最大15.5mm2/cc又は少なくとも11.6mm2/ccで最大17.7mm2/cc)。いくつかの例では、本明細書に開示されるゴルフクラブヘッドの例の少なくともいくつかの結合体積比は、少なくとも10.5mm2/ccで最大15.3mm2/ccであり、少なくとも11.6mm2/ccで最大18.8mm2/ccであり、又は少なくとも12.1mm2/ccで最大17.5mm2/ccである。
本明細書に開示されるゴルフクラブヘッドは、互いに接着結合された複数のピースで形成されている。したがって、いくつかの例では、本明細書に開示されるゴルフクラブヘッドは、ゴルフクラブヘッドの部分又はピースが互いに溶接されないように、接着剤を介して互いに結合された複数のピースを含む。
結合ジョイントの結合面積は、結合ジョイントの幅(WBA)及び長さ(LBA)によって決まる(例えば、図15を参照)。幅WBAは、結合ジョイントの長さLBAに沿って可変であることができる。一般に、結合ジョイントの結合領域の長さLBAは、結合ジョイントの結合領域の幅WBAより大きい。結合ジョイントは、結合ジョイントの結合領域の長さLBAが連続的であるように連続的であることができる。しかし、いくつかの例では、結合ジョイントは、結合ジョイントの結合領域の長さLBAが結合ジョイントの間隔の長さの合計であるように、非連続的又は断続的である。2つの結合ジョイントのみの結合領域(例えば、前方クラウン開口部凹状レッジ168A及び後方クラウン開口部凹状レッジ168Bに関連する結合領域)の幅WBA及び長さLBAが図15に示されるが、特に標示していないものの、ゴルフクラブヘッド100の結合ジョイントのそれぞれの結合領域は、図15に示されるものと同様に、対応する幅WBA及び長さLBAを有し、これらは、ゴルフクラブヘッド100の他の特徴を示し、他の標示を容易にするために標示していないことが認識される。更に、本明細書に定義される長さLBAに関して、結合ジョイントの結合領域の長さLBAは、結合領域の最大長さである。したがって、結合領域が、最大長さ(例えば、図15に示されるような結合領域の外周に沿う長さ)及び最小長さ(例えば、結合領域の内側周囲長に沿う長さ)などの2つの異なる長さを有するとみなすことができる場合、結合領域の長さLBAは、本明細書では、結合領域の最長又は最大の長さであると定義される。
いくつかの例によれば、ゴルフクラブヘッド100の少なくとも1つの結合ジョイントの結合領域は、174mm~405mm、例えば、少なくとも250mmの連続長LBAを有する。例えば、前方クラウン開口部凹状レッジ168A及び後方クラウン開口部凹状レッジ168Bによって画定される合計結合領域は、少なくとも268mm、少なくとも300mm、少なくとも316mm、少なくとも353mm、又は少なくとも370mmの連続長LBAを有する。別の例として、前方ソール開口部凹状レッジ170A及び後方ソール開口部凹状レッジ170Bによって画定される合計結合領域は、少なくとも281mm、少なくとも314mm、少なくとも331mm、少なくとも350mm、又は少なくとも367mmの連続長LBAを有する。更に別の例によれば、プレート開口部凹状レッジ147によって画定される結合領域は、少なくとも174mm、少なくとも194mm、少なくとも205mm、少なくとも250mm、又は少なくとも262mmの連続長LBAを有する。いくつかの例によれば、複数の結合ジョイントの合計長さは、少なくとも723mmで最大で1,094mmであり、例えば、852mm~953mmである。
いくつかの例では、前方クラウン開口部凹状レッジ168A及び後方クラウン開口部凹状レッジ168Bによって画定される結合の、結合ジョイントの結合面積に対する長さLBAの比に等しい長さ対面積比は、0.13~0.16、例えば、約0.15である。更にいくつかの例では、前方ソール開口部凹状レッジ170A及び後方ソール開口部凹状レッジ168Bによって画定される結合の長さ対面積比は、0.13~0.16、例えば、約0.15である。
更にいくつかの例では、前方ソール開口部凹状レッジ170A及び後方ソール開口部凹状レッジ168Bによって画定される結合の長さ対面積比は、0.13~0.16、例えば、約0.15である。
更にいくつかの例では、プレート開口部凹状レッジ147によって画定される結合の長さ対面積比は、0.10~0.13、例えば、約0.11である。
具体的には示さないが、本開示のゴルフクラブヘッド100は、ゴルフクラブヘッド100の性能特性を高める他のフィーチャを含むことができる。例えば、ゴルフクラブヘッド100は、いくつかの実施では、そのそれぞれの全内容を参照により本明細書に援用する、米国特許第6,773,360号明細書;同第7,166,040号明細書号明細書;同第7,452,285号明細書;同第7,628,707号明細書;同第7,186,190号明細書;同第7,591,738号明細書;同第7,963,861号明細書;同第7,621,823号明細書;同第7,448,963号明細書;同第7,568,985号明細書;同第7,578,753号明細書;同第7,717,804号明細書;同第7,717,805号明細書;同第7,530,904号明細書;同第7,540,811号明細書;同第7,407,447号明細書;同第7,632,194号明細書;同第7,846,041号明細書;同第7,419,441号明細書;同第7,713,142号明細書;同第7,744,484号明細書;同第7,223,180号明細書;同第7,410,425号明細書;及び同第7,410,426号明細書に、より詳細に記載されるものと同様の可動ウェイトフィーチャを含む。
特定の実施では、例えば、ゴルフクラブヘッド100は、そのそれぞれの全内容を参照により本明細書に援用する、米国特許第7,775,905号明細書及び同第8,444,505号明細書;2013年5月20日出願の米国特許出願第13/898,313号明細書;2013年10月7日出願の米国特許出願第14/047,880号明細書;2012年9月18日出願の米国特許出願第61/702,667号明細書;2013年3月15日出願の米国特許出願第13/841,325号明細書;2013年7月19日出願の米国特許出願第13/946,918号明細書;2015年7月1日出願の米国特許出願第14/789,838号明細書;2014年7月3日出願の米国特許出願第62/020,972号明細書;2014年10月17日出願の特許出願第62/065,552号明細書;及び2015年3月31日出願の特許出願第62/141,160号明細書に、より詳細に記載されるものと同様のスライド可能なウェイトフィーチャを含む。
いくつかの実施形態によれば、ゴルフクラブヘッド100は、その全内容を参照により本明細書に援用する米国特許出願公開第2013/0123040A1号明細書に、より詳細に記載されるものと同様の空力形状のフィーチャを含む。
特定の実施では、ゴルフクラブヘッド100は、その全内容を参照により本明細書に援用する米国特許第8,303,431号明細書に、より詳細に記載されるものと同様の取り外し可能なシャフトフィーチャを含む。
更にいくつかの実施によれば、ゴルフクラブヘッド100は、その全内容を参照により本明細書に援用する、米国特許第8,025,587号明細書;米国特許第8,235,831号明細書;米国特許第8,337,319号明細書;米国特許出願公開第2011/0312437A1号明細書;米国特許出願公開第2012/0258818A1号明細書;米国特許出願公開第2012/0122601A1号明細書;米国特許出願公開第2012/0071264A1号明細書;及び米国特許出願第13/686,677号明細書に、より詳細に記載されるものと同様の調節可能なロフト/ライ(loft/lie)フィーチャを含む。
更に、いくつかの実施では、ゴルフクラブヘッド100は、そのそれぞれの全内容を参照により本明細書に援用する、米国特許第8,337,319号明細書;米国特許出願公開番号2011/0152000A1号明細書、同第2011/0312437号明細書、同第2012/0122601A1号明細書;及び米国特許出願第13/686,677号明細書に、より詳細に記載されるものと同様の調節可能なソールフィーチャを含む。
いくつかの実施では、ゴルフクラブヘッド100は、その全内容を参照により本明細書に援用する、米国特許出願第11/998,435号明細書;同第11/642,310号明細書;同第11/825,138号明細書;同第11/823,638号明細書;同第12/004,386号明細書;同第12/004,387号明細書;同第11/960,609号明細書;同第11/960,610号明細書;及び米国特許第7,267,620号明細書に、より詳細に記載されものと同様の複合面部分フィーチャを含む。
一実施形態によれば、ゴルフクラブヘッド100などのゴルフクラブヘッドを製造する方法は、以下の工程のうちの1以上を含む:(1)ソール開口部を有するボディを形成し、複合ラミネートソールインサートを形成し、前記ソールインサート上に、熱可塑性複合ヘッドコンポーネントを射出成形してソールインサートユニットを作製し、前記ソールインサートユニットを前記ボディに接合すること;(2)クラウン開口部を有するボディを形成し、複合ラミネートクラウンインサートを形成し、前記クラウンインサート上に、熱可塑性複合ヘッドコンポーネントを射出成形してクラウンインサートユニットを作製し、前記クラウンインサートユニットを前記ボディに接合すること;(3)前記ボディに、1以上のスライド可能なウェイトを支えることができるウェイトトラックを形成すること;(4)前記ボディとの結合に適合性のあるマトリックスを有する熱可塑性複合材料から、前記ソールインサート及び/又は前記クラウンインサートを形成すること;(5)ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される連続繊維を有し、且つポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアミド、ポリプロピレン、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリウレア、ポリアミドアミド(PAI)、ポリエーテルアミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、及びそれらの任意の組合せからなる熱可塑性マトリックスを有する連続繊維複合材料からソールインサート及び/又はクラウンインサートを形成すること;(6)適合性のあるマトリックスを有する熱可塑性複合材料からソールインサートとウェイトトラックの両方を形成すること;(7)熱硬化性材料からソールインサートを形成し、熱活性化接着剤で前記ソールインサートをコーティングし、コーティング工程後に前記ソールインサート上に射出成形することができる熱可塑性材料から、ウェイトトラックを形成すること;(8)チタン、1以上のチタン合金、アルミニウム、1以上のアルミニウム合金、鋼、1以上の鋼合金、ポリマー、プラスチック、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される材料から前記ボディを形成すること;(9)クラウン開口部を有する前記ボディを形成し、複合積層材料から前記クラウンインサートを形成し、前記クラウンインサートがクラウン開口部の上に重なるように前記クラウンインサートを前記ボディに接合すること;(10)ゴルフクラブヘッドを補強するための1以上のリブ、ゴルフクラブヘッドの音響特性を調整するための1以上のリブ、ゴルフクラブヘッドのソール部分に固定ウェイトを受容するための1以上のウェイトポート、スライド可能なウェイトを受容するための1以上のウェイトトラック、及びそれらの組合せからなる群から複合ヘッドコンポーネントを選択すること;(11)連続炭素繊維複合材料からソールインサートとクラウンインサートを形成すること;(12)熱硬化性に好適な材料を使用して熱硬化によりソールインサートとクラウンインサートを形成し、ソールインサートを熱活性化接着剤でコーティングすること;及び(13)ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアミド、ポリプロピレン、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリウレア、ポリアミドアミド(PAI)、ポリエーテルアミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択されるマトリックスを有する熱可塑性炭素繊維材料のクラウン開口部、ソールインサート、及びウェイトトラックを有するように、ボディを、チタン、チタン合金、又はそれらの組合せから形成すること;(13)クラウン開口部を有するフレームを形成し、熱可塑性複合材料からクラウンインサートを形成し、クラウンインサートがクラウン開口部の上に重なるようにクラウンインサートをボディに接合すること。
本明細書全体を通して、「一実施形態」、「実施形態」、又は類似の用語は、実施形態に関連して記載される具体的な特徴、構造、又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書全体における「一実施形態では」、「実施形態では」、及び類似の用語は、常にではないが、いずれも同一の実施形態を意味することがある。同様に、用語「実施」の使用は、本開示の1以上の実施形態に関連して記載される具体的な特徴、構造、又は特性を有する実施を意味するが、そうではないことを示す明確な相関関係がない場合、実施は、1以上の実施形態に関連付けられ得る。
前記記載では、「上方」、「下方」、「上部」、「下部」、「水平」、「垂直」、「左」、「右」、「上」、「下」などの特定の用語が使用されることがある。これらの用語は、該当する場合、相対的な関係を扱うときに説明を明確にするために使用される。但し、これらの用語は、絶対的な関係、位置、及び/又は方向を意味することが意図されるものではない。例えば、物体に関して、前記物体を単に裏返すことで、「上部」表面が「下部」表面になり得る。それにもかかわらず、この物体は、依然として、同一物体である。更に、用語「含む(including)」、「含む(comprising)」、「有する(having)」、及びそれらの変形は、特段の断りがない限り、「含むが、これらに限定されない」ことを意味する。列挙された項目の一覧は、特段の断りがない限り、項目の一部又は全てが相互に排他的及び/又は相互に包括的であることを意味するものではない。用語「a」、「an」、及び「the」は、特段の断りがない限り、「1以上」も意味する。更に、用語「複数」は、「少なくとも2つ」として定義され得る。いくつかの実施形態では、用語「約」は、所定の値の+/-5%以内を意味すると定義することができる。
更に、ある要素が別の要素に「結合」されている本明細書における例は、直接結合と間接結合を含むことができる。直接結合は、ある要素が別の要素と結合している及びある程度接触していると定義できる。間接結合は、互いに直接接触しておらず、結合された要素間に1以上の更なる要素を有する2つの要素間の結合として定義できる。更に、本明細書では、ある要素を別の要素に固定することは、直接固定及び間接固定を含むことができる。更に、本明細書では、「隣接する」は必ずしも接触を意味する訳ではない。例えば、ある要素が別の要素と接触していなくても、その別の要素に隣接することが可能である。
本明細書では、「少なくとも1つ」という句は、項目の一覧と共に使用される場合、一覧の項目の1以上の異なる組合せを使用することができること、及び一覧中の項目のうちの1つのみが必要とされ得ることを意味する。項目は、特定の物体、物、又はカテゴリであり得る。換言すると、「少なくとも1つ」は、一覧から項目の任意の組合せ又は項目の任意の数を使用できることを意味するが、一覧中の全項目が必要という訳ではない。例えば、「項目A、項目B、及び項目Cの少なくとも1つ」は、項目A;項目A及び項目B;項目B;項目A、項目B、及び項目C;又は項目B及び項目Cを意味し得る。いくつかの場合では、「項目A、項目B、及び項目Cのうちの少なくとも1つ」は、例えば、限定するものではないが、項目Aのうちの2個、項目Bのうちの1個、及び項目Cのうちの10個;項目Bのうちの4個及び項目Cのうちの7個;又は他の好適な組合せを意味し得る。
特段の断りがない限り、用語「第1の」、「第2の」などは、本明細書では、単にラベルとして使用され、これらの用語が言及する項目に対する序数、位置、又は階層の要件を課すことが意図されるものではない。更に、例えば、「第2の」項目との表現は、例えば、「第1の」、即ち、より小さい番号の項目、及び/又は、例えば、「第3の」、即ち、より大きい番号の項目の存在を必要としないし排除もしない。
本明細書では、特定の機能を実行するように「構成された」システム、装置、構造、物品、要素、コンポーネント、又はハードウェアは、実際に、更なる変更の後に特定の機能を実行する能力を有するに過ぎないというのではなく、いかなる変更もなしに特定の機能を実行することができる。換言すれば、特定の機能を実行するように「構成された」システム、装置、構造、物品、要素、コンポーネント、又はハードウェアは、特定の機能を実行する目的で具体的に選択、作製、実装、利用、プログラム、及び/又は設計される。本明細書では、「構成された」とは、システム、装置、構造、物品、要素、コンポーネント、又はハードウェアが、更なる変更なしに特定の機能を実行することを可能にするシステム、装置、構造、物品、要素、コンポーネント、又はハードウェアの既存の特性を示す。本開示の目的のために、特定の機能を実行するように「構成された」と記述されるシステム、装置、構造、物品、要素、コンポーネント、又はハードウェアは、追加的又は代替的に、その機能を実行するように「適合された」及び/又は「動作可能である」と記述される。
本主題は、その精神又は本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化することができる。記載された実施形態は、全ての点において、単なる例示として考慮されるべきであり、限定的ではない。請求項の意味及び等価範囲内にある変更はいずれも、それらの範囲内に含まれるものとする。