JP7246655B1 - インタラクティブ・インターンシップシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】留学生と企業との満足度が高いインターンシップを実現するインタラクティブ・インターンシップシステム及びコンピュータ・プログラムを提供する。【解決手段】サーバーと、複数の情報機器とが、通信ネットワークを介して双方に情報通信が可能な、複数の留学生と、複数の企業とのインタラクティブ・インターンシップを実現するためのインタラクティブ・インターンシップシステムISであって、サーバ10は、アプリケーションを介して閲覧可能とされる、複数の留学生のそれぞれの留学生紹介動画及び複数の企業のそれぞれの企業紹介動画を保存する保存部12と、複数の企業による留学生紹介動画及び複数の留学生による企業紹介動画の再生情報を保存部に記録させる記録部14と、再生情報に基づいて、インタラクティブ・インターンシップを実現するための複数の企業毎のカリキュラムの作成に利用されるマッチング情報を提供する提供部16と、を備える。【選択図】図25

Description

本発明は、インタラクティブ・インターンシップシステムに関する。
例えば、特許文献1には、その図2等に示されるように、「インターネット5を介して接続された大学事務局システム10の端末1から志願者情報DB7に対して応募情報の入力処理が行われた場合に、人事部門担当者端末2からの操作で当該入力情報の内容を確認し、登録可能な応募情報を志願者情報DB7に登録するとともに、求人部門担当者端末3に向けて応募情報を配信し、求人部門担当者端末3から志願者情報DB7に対して求人情報の入力処理が行われた場合に、人事部門担当者端末2からの操作で当該入力情報の内容を確認し、登録可能な求人情報を志願者情報DB7に登録するとともに、応募者側の端末1等に向けて求人情報を配信するシステム」が開示されている。
特許文献1に開示されているシステムは、その要約書によれば、インターンシップ情報管理の有用性や効率の改善を図ることを目的としており、その明細書によれば、このシステムは通常の日本人大学生の就職志願者に向けて企業の求人情報を配信するものである。
特開2005-202751号公報
ところで、これまで留学生の県内企業(一例として静岡県内の企業)への就職率を上げるために、留学生の日本企業へのインターンシップ、留学生と日本企業とのマッチングイベント等が行われてきたが、その成果はさほど上がっていなかった。多くの日本企業は留学生のインターンシップの受け入れ経験が少なく、日本人向けのインターンシップをそのまま留学生にも用いていたが、途中でうまく行かず留学生がやめてしまった例も少なくなかった。また、採用目的でインターンシップを行ったところ、留学生の応募すらなかったとショックを受けていた企業もあった。
本願の発明者(藤巻 義博)は、企業において約20年の諸外国での駐在経験を通じて外国人とのコミュニケーションの難しさ、日本企業の文化の特異性を感じてきた。そして、本願の発明者は、このような経験で培われた独自の価値観に基づき従来の留学生のインターンシップを分析してみたところ、留学生のインターンシップには日本人学生向けのものとは別の仕組みや仕掛けが加わったものが必要ではないかと考えた。そこで、本願の発明者は、従来の留学生のインターンシップの問題点に着目して、留学生の日本企業へのインターンシップを見直すことにした。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
従来の留学生のインターンシップの問題点
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(1点目)日本企業は異文化に配慮していない点
(2点目)日本企業は留学生の扱いに慣れていない点
(3点目)日本企業は、インターンシップを、採用を念頭に取り組んでいない点(ワンデー、2~3日程度で行われるインターンシップを除く。)
(4点目)日本の大学は、インターンシップを企業任せにしてきた点
(5点目)留学生は日本企業の提供するインターンシップ・カリキュラムに魅力を感じていない点
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
以上の5点の問題点があることから、大学が留学生のインターンシップに慣れていない日本企業にインターンシップを任せたままでは、留学生の日本企業におけるインターンシップはうまく行かない訳である。
そこで、本願の発明者が上記の問題点をクリアにすべく(又は改善すべく)開発したのが「インタラクティブ・インターンシップ(双方向インターンシップ)プラットフォーム」である。また、「インタラクティブ・インターンシッププラットフォーム」のうち、後述するハードウェアを使用して「インタラクティブ・インターンシッププラットフォーム」の一部又は全部を実施可能にしたシステムが「「インタラクティブ・インターンシップシステム」である。
本発明は、留学生の企業へのインターンにおいて、双方の満足度が高いインターンシップを実現するための、インタラクティブ・インターンシップシステムの提供を目的の一つとする。
本発明の第1の態様のインタラクティブ・インターンシップシステムは、
技術系の講座を専攻する複数の留学生と、少なくとも一名の技術系の講座を専攻する留学生の採用を希望する複数の企業とのインタラクティブ・インターンシップを実現するためのインタラクティブ・インターンシップシステムであって、
アプリケーションを介して閲覧可能とされる、前記複数の留学生のそれぞれの留学生紹介動画及び前記複数の企業のそれぞれの企業紹介動画を保存する保存部と、
前記複数の企業による前記留学生紹介動画及び前記複数の留学生による前記企業紹介動画の再生情報を前記保存部に記録させる記録部と、
前記再生情報に基づいて、前記インタラクティブ・インターンシップを実現するための前記複数の企業毎のカリキュラムの作成に利用されるマッチング情報を提供する提供部と、
を備える。
本発明の第2の態様のインタラクティブ・インターンシップシステムは、
第1の態様のインタラクティブ・インターンシップシステムであって、
前記保存部には、少なくとも、(1)前記複数の留学生のそれぞれの取得技術情報、希望企業像情報及び日本語理解情報、並びに、(2)前記複数の企業のそれぞれの技術情報、希望留学生情報及び過去の留学生採用情報を含む非動画情報が保存されており、
前記提供部は、更に前記非動画情報に基づいて、前記マッチング情報を提供する。
本発明の第3の態様のインタラクティブ・インターンシップシステムは、
第2の態様のインタラクティブ・インターンシップシステムであって、
前記マッチング情報は、(1)前記再生情報から得られる、(1A)前記複数の企業による前記留学生紹介動画の再生回数、及び、(1B)前記複数の留学生による前記企業紹介動画の再生回数、並びに、(2)前記非動画情報から得られる、(2A)前記複数の留学生のそれぞれの取得技術情報と前記複数の企業のそれぞれの技術情報との技術的親和度、及び、(2B)前記複数の留学生のそれぞれの希望企業像情報と前記複数の企業のそれぞれの希望留学生情報との相互希望親和度を含む。
本発明の第4の態様のインタラクティブ・インターンシップシステムは、
第3の態様のインタラクティブ・インターンシップシステムであって、
前記非動画情報には、前記複数の留学生のそれぞれがインターネットを介して閲覧した、前記複数の企業の各ウェブサイトの各ページの閲覧情報を含み、
前記マッチング情報は、更に、前記閲覧情報から得られる、前記複数の留学生による興味技術情報を含む。
本発明の第5の態様のインタラクティブ・インターンシップシステムは、
第1の態様~第4の態様のいずれか一態様のインタラクティブ・インターンシップシステムであって、
前記マッチング情報に基づいて、前記複数の企業毎のカリキュラムを提案する提案部、
を更に備える。
本発明の第6の態様のインタラクティブ・インターンシップシステムは、
第5の態様のインタラクティブ・インターンシップシステムであって、
前記保存部には、前記複数の企業毎のカリキュラムの実施をする際に、前記複数の留学生のそれぞれと、前記複数の企業のそれぞれとの相互のコミュニケーションの支援を行う複数のインターンシップ・アドバイザーのそれぞれの外国語理解情報、外国滞在経験情報、技術的知識情報、企業経験情報及びインターンシップ・アドバイザー経験情報のうちの少なくとも一つの情報を含むアドバイザー情報が保存されており、
前記提案部は、更に前記アドバイザー情報に基づいて、前記複数の企業毎のカリキュラムを提案する。
本発明の第7の態様のインタラクティブ・インターンシップシステムは、
第5の態様又は第6の態様のインタラクティブ・インターンシップシステムであって、
前記非動画情報には、過去に採用して退職した留学生の在籍期間、当該留学生、当該留学生が勤務した企業の当該留学生の管理者、インタラクティブ・インターンシップシステム管理者、及び、当該留学生を支援したインターンシップ・アドバイザーのうちの少なくとも一名の勤務レポートを含み、
前記提案部は、更に前記勤務レポートに基づいて、前記複数の企業毎のカリキュラムを提案する。
本発明の第8の態様のインタラクティブ・インターンシップシステムは、
第7の態様のインタラクティブ・インターンシップシステムであって、
前記非動画情報は、過去の前記インタラクティブ・インターンシップに参加して採用された留学生の在籍期間、並びに、当該留学生、当該留学生が勤務した企業における当該留学生の管理者、インタラクティブ・インターンシップシステム管理者、及び、当該留学生を支援したインターンシップ・アドバイザーのうちの少なくとも一名の勤務レポートを含み、
前記提案部は、更に前記勤務レポートに基づいて、前記複数の企業毎のカリキュラムを提案する。
本発明の第9の態様のインタラクティブ・インターンシップシステムは、
第7の態様又は第8の態様のインタラクティブ・インターンシップシステムであって、
前記提案部は、(1)過去に前記インタラクティブ・インターンシップに参加した留学生の前記取得技術情報、前記希望企業像情報及び前記日本語理解情報、並びに、当該留学生が前記インタラクティブ・インターンシップに参加後に実際に勤務した企業の前記技術情報及び前記希望留学生情報から得られる相性データと、(2)当該留学生の前記勤務レポート及び前記インターンレポートから得られる結果データとを教師データとして機械学習された予測モデルを用いて、前記保存部に保存されている前記非動画情報に基づくデータから予測される、新たに前記インタラクティブ・インターンシップへの参加を希望する前記留学生に対する前記複数の企業のマッチ度を算出するとともに、カリキュラムを提案する
本発明の第10の態様のインタラクティブ・インターンシップシステムは、
第1の態様~第9の態様のいずれか一態様のインタラクティブ・インターンシップシステムであって、
前記マッチング情報、前記非動画情報及び前記カリキュラムは、前記アプリケーションを介して閲覧可能とされている。
本発明の第11の態様のインタラクティブ・インターンシップシステムは、
第1の態様~第10の態様のいずれか一態様のインタラクティブ・インターンシップシステムであって、
前記インタラクティブ・インターンシップは、(1)少なくとも一名の技術系の講座を専攻する留学生の採用を希望する複数の企業にセミナーを行う工程、(2)前記少なくとも一社以上の企業のうちの一部又は全部のうちから前記インタラクティブ・インターンシップに参加する前記複数の企業を確定する工程、(3)複数のインターンシップ・アドバイザーを募集して前記インタラクティブ・インターンシップに参加する前記複数のインターンシップ・アドバイザーを確定する工程、(4)前記インタラクティブ・インターンシップに参加を希望する、前記複数の企業、前記複数のインターンシップ・アドバイザー及び複数の留学生にガイダンスを行う工程、(5)前記留学生紹介動画及び前記企業紹介動画並びに前記非動画情報を作成して前記保存部に保存する工程、(6)前記マッチング情報を作成する工程、(7)前記複数の企業毎のカリキュラムを作成する工程、(8)前記インタラクティブ・インターンシップに参加する前記複数の企業のいずれか一社に対してインターンを希望する留学生の当該一社への面接を行う工程、(9)前記カリキュラムを利用して前記インターンを実施する工程、(10)前記インターンの終了後に、当該インターンに参加した留学生、当該留学生がインターンした企業の当該留学生の管理者、インタラクティブ・インターンシップシステム管理者、及び、当該留学生を支援したインターンシップ・アドバイザーの各インターンレポートを評価する工程を含む。
本発明の第1の態様のコンピュータ・プログラムは、
第1の態様~第11の態様のいずれか一態様のインタラクティブ・インターンシップシステムを実現するためのコンピュータ・プログラムであって、
コンピュータを用いて、
前記アプリケーションを介して閲覧可能とされる、前記留学生紹介動画及び前記企業紹介動画を保存する保存機能、
前記複数の企業による前記留学生紹介動画及び前記複数の留学生による前記企業紹介動画の再生情報を前記保存部に記録させる記録機能、並びに、
前記再生情報に基づいて、前記インタラクティブ・インターンシップを実現するための前記複数の企業毎のカリキュラムの作成に利用されるマッチング情報を提供する提供機能、
を実現させるためのものである。
本発明の第2の態様のコンピュータ・プログラムは、
第1の態様のコンピュータ・プログラムであって、
前記マッチング情報に基づいて、前記複数の企業毎のカリキュラムを提案する提案機能、
を更に実現させるためのものである。
本発明の第1の態様のインタラクティブ・インターンシップシステムによれば、アプリケーションを介して閲覧可能とされる、複数の留学生のそれぞれの留学生紹介動画及び複数の企業のそれぞれの企業紹介動画の再生情報に基づいて、インタラクティブ・インターンシップを実現するための複数の企業毎のカリキュラムを作成しない場合に比べて、より適切な複数の企業毎のカリキュラムを提供することができる。これに伴い、本発明の第1の態様のインタラクティブ・インターンシップシステムによれば、留学生の企業へのインターンにおいて、双方の満足度が高いインターンシップを実現するための、インタラクティブ・インターンシップシステムを提供することができる。
本発明の第2の態様のインタラクティブ・インターンシップシステムによれば、前述の第1の態様のインタラクティブ・インターンシップシステムに比べて、より適切な複数の企業毎のカリキュラムを提供することができる。
本発明の第3の態様のインタラクティブ・インターンシップシステムによれば、前述の第1の態様及び第2の態様のインタラクティブ・インターンシップシステムに比べて、より適切な複数の企業毎のカリキュラムを提供することができる。
本発明の第4の態様のインタラクティブ・インターンシップシステムによれば、前述の第3の態様のインタラクティブ・インターンシップシステムに比べて、より留学生の興味技術情報を反映した複数の企業毎のカリキュラムを提供することができる。
本発明の第5の態様のインタラクティブ・インターンシップシステムによれば、より適切な複数の企業毎のカリキュラムを提案することができる。
本発明の第6の態様のインタラクティブ・インターンシップシステムによれば、複数のインターンシップ・アドバイザーのアドバイザー情報に基づいて複数の企業毎のカリキュラムを提案しないインタラクティブ・インターンシップシステムに比べて、より適切な複数の企業毎のカリキュラムを提案することができる。
本発明の第7の態様のインタラクティブ・インターンシップシステムによれば、過去のインタラクティブ・インターンシップに参加した留学生のインターンレポートに基づいて複数の企業毎のカリキュラムを提案しないインタラクティブ・インターンシップシステムに比べて、より適切な複数の企業毎のカリキュラムを提案することができる。
本発明の第8の態様のインタラクティブ・インターンシップシステムによれば、過去のインタラクティブ・インターンシップに参加した留学生の勤務レポートに基づいて複数の企業毎のカリキュラムを提案しないインタラクティブ・インターンシップシステムに比べて、より適切な複数の企業毎のカリキュラムを提案することができる。
本発明の第9の態様のインタラクティブ・インターンシップシステムによれば、前述の第7の態様及び第8の態様のいずれか一態様のインタラクティブ・インターンシップシステムに比べて、より適切な複数の企業毎のカリキュラムを提供することができる。
本発明の第10の態様のインタラクティブ・インターンシップシステムによれば、マッチング情報、非動画情報及びカリキュラムがアプリケーションを介して閲覧可能とされていない場合に比べて、容易にマッチング情報、非動画情報及びカリキュラムの提供を受けることができる。
本発明の第11の態様のインタラクティブ・インターンシップシステムは、(1)複数の企業にセミナーを行う工程、(2)インタラクティブ・インターンシップに参加する複数の企業を確定する工程、(3)複数のインターンシップ・アドバイザーを確定する工程、(4)複数の企業、複数のインターンシップ・アドバイザー及び複数の留学生にガイダンスを行う工程、(5)留学生紹介動画及び企業紹介動画並びに非動画情報を作成して前記保存部に保存する工程、(6)マッチング情報を作成する工程、(7)複数の企業毎のカリキュラムを作成する工程、(8)複数の企業のいずれか一社に対してインターンを希望する留学生の面接を行う工程、(9)カリキュラムを利用してインターンを実施する工程、(10)インターンの終了後にインターンレポートを評価する工程を含む、インタラクティブ・インターンシップ(プラットフォーム)に、前述の第1態様~第8態様のいずれか一態様のインタラクティブ・インターンシップシステムが利用されることで、前述の(1)~(10)を含むインタラクティブ・インターンシップ(プラットフォーム)を、より適切に実施することができる。
本発明の第1の態様のコンピュータ・プログラムによれば、アプリケーションを介して閲覧可能とされる、複数の留学生のそれぞれの留学生紹介動画及び複数の企業のそれぞれの企業紹介動画の再生情報に基づいて、インタラクティブ・インターンシップを実現するための複数の企業毎のカリキュラムを作成して提供する機能を有さない場合に比べて、より適切な複数の企業毎のカリキュラムを提供することができる。これに伴い、本発明の第1の態様のコンピュータ・プログラムによれば、留学生の企業へのインターンにおいて、双方の満足度が高いインターンシップを実現するための、コンピュータ・プログラムを提供することができる。
本発明の第2の態様のコンピュータ・プログラムによれば、複数のインターンシップ・アドバイザーのアドバイザー情報に基づいて複数の企業毎のカリキュラムを提案する機能を有さないコンピュータ・プログラムに比べて、より適切な複数の企業毎のカリキュラムを提案することができる。
本実施形態のインタラクティブ・インターンシッププラットフォームの概略図である。 本実施形態のインタラクティブ・インターンシッププラットフォームの全体工程(ステップ1~12)のうちのステップ1~4の概略図である。 本実施形態のインタラクティブ・インターンシッププラットフォームの全体工程のうちのステップ5~7の概略図である。 本実施形態のインタラクティブ・インターンシッププラットフォームの全体工程のうちのステップ8~12の概略図である。 成長戦略の「外国人材の活躍推進」に関する施策の広報資料 世界各国文化のハイコンテクスト・ローコンテクストの度合い 2019年インターンシップ調査(引用:パーソル総合研究所資料) 2019年インターン経験者の入社意欲(引用:パーソル総合研究所資料) 2016年外国人留学生/高度外国人材の採用に関する企業調査(引用:ディスコ資料) 2019年日本で働く外国人材の就業実態・意識調査(引用:パーソル総合研究所資料) 2021年日本人スタッフが外国人に求める日本人度(引用:内定ブリッジ株式会社資料) 2019年外国人部下を持つ日本人上司の意識・実態調査(引用:パーソル総合研究所資料) 2019年外国人部下を持つ日本人上司の意識・実態調査(引用:パーソル総合研究所資料) インタラクティブ・インターンシッププラットフォームに含まれる「異文化理解ゲーム」のインターンシップ・アドバイザーによる評価結果 効果的なプログラム例 クラウドマッチングプラットフォームの一例 参加費の流れの例 自己支援型エコモデル(補助金に頼らない永続実施モデル)の概要 大学にて行われる留学生ガイダンスの様子 インターンシップ・アドバイザーの活動の進捗状況を管理するスプレッドシートの例 インターンシップ・アドバイザーの活動の進捗状況を管理するスプレッドシートの他の例 2021年春期インタラクティブ・インターンシップの合同説明会チラシ 合同説明会&マッチング会での面談の一例 ある企業での導入研修時の写真 ある企業での中間報告会の写真 ある企業での最終報告会後の終了証授与式の写真 本実施形態のインタラクティブ・インターンシップステムの概略図である。 本実施形態のインタラクティブ・インターンシップステムのブロック図である。 変形例のインタラクティブ・インターンシップステムのブロック図である。
≪概要≫
以下、本実施形態(本発明の実施をするための形態の一例)について説明する。
まず、本実施形態のインタラクティブ・インターンシップシステムIS(図24及び図25参照)及びインタラクティブ・インターンシップシステムISを実現させるためのコンピュータ・プログラムCP(図24及び図25参照)が利用される、インタラクティブ・インターンシッププラットフォームIPについて説明する。次いで、本実施形態のインタラクティブ・インターンシップシステムIS及びコンピュータ・プログラムCPについて説明する。次いで、本実施形態の変形例について説明する。
なお、本明細書では、「プログラム」という文言を単独又は他の文言と組み合わせて使用するが、「コンピュータ・プログラム」と記載した場合は、コンピュータに定められた動作を実行させるために記述されたコンピュータに対する処理又は命令を意味し、「コンピュータ・プログラム」以外に使用される「プログラム」はある動作の実行計画(別言すると、カリキュラム)を意味する点に留意されたい。
≪インタラクティブ・インターンシッププラットフォーム≫
まず、インタラクティブ・インターンシッププラットフォームIPについて、以下の目次に従って説明する。また、インタラクティブ・インターンシッププラットフォームIPの説明では、適宜図面を参照する。ここで、図1Aは、本実施形態のインタラクティブ・インターンシッププラットフォームIPの概略図である。また、図1B、図1C及び図1Dは、それぞれ、本実施形態のインタラクティブ・インターンシッププラットフォームIPの全体工程(ステップ1~12)のうちの最初(ステップ1~4)、中間(ステップ5~7)及び最終(ステップ8~12)の各ステップ群の概略図である。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
第1章 外国人留学生向けのインタラクティブ・インターンシップ
1.新たなインターンシップの取り組みを始めた背景
2.外国人留学生向けのインターンシップの開発
3.インタラクティブ・インターンシップについて
4.外国人留学生はインタラクティブ・インターンシップで何を学ぶのか

第2章 効果的なインターンシップをするために大切なことは
1.異文化理解の重要性
(1)異文化の問題
(2)特殊な日本の中の外国人留学生
2.導入研修の必要性(異文化理解ゲームと導入レクチャー)
(1)異文化理解ゲーム
(2)導入前レクチャー
3.インターンシップ・プログラム
(1)効果的なプログラム作成の17のポイント
(2)効果的なプログラム例
4.留学生の研修報告
(1)日誌
(2)中間報告
(3)最終報告
(4)不定期報告
5.クラウドマッチングプラットフォーム
6.インタラクティブ・インターンシップ成功のかなめ
7.行政(浜松国際交流協会:HICE)の役割
8.インタラクティブ・インターンシップ研究会/事務局の役割
9.大学の役割

第3章 インタラクティブ・インターンシップの実施手順
1.セミナーを開いて参加企業を募集する
2.企業募集と採択
3.インターンシップ・アドバイザー(IA)の募集と面接採用
4.留学生ガイダンス(大学)
5.インターンシップ・アドバイザー(IA)ガイダンス
6.企業ガイダンス
(1)ガイダンスでの説明
(2)インターンシップ実施要領の説明(日程、段取り)
(3)IAの紹介
7.合同説明会及びマッチング会
8.応募(エントリーシート)と書類選考
9.採用面接(対面・オンライン)
10.インターンシップ事前面談
11.事前準備
(1)大学手続き
(2)インターンシップのための障害保険加入の確認
(3)守秘契約(NDA)
(4)個人情報取り扱い同意書
12.インターンシップの実施
(1)対面、オンライン
(2)通勤
(3)昼休み、食事
(4)服装
(5)挨拶
(6)自己紹介
(7)メモの重要性
(8)時間厳守
(9)ホウレンソウ(報告、連絡、相談)
13.インターンシップ初日の導入研修
14.日誌を書かせる
15.インターンシップ中の想定外の出来事
16.中間発表会
17.最終発表会
18.留学生と修了面談
19.アンケート調査
20.研究会のインターンシップノウハウ共有会
21.ステップアップ・インターンシップ
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
第1章 外国人留学生向けのンタラクティブ・インターンシップ
1.新たなインターンシップの取り組みを始めた背景

静岡大学では留学生(学部生)に2週間のインターンシップを履修科目として課している(アジアブリッジプログラム学部生)。アジアブリッジプログラムABPの現状では、各留学生が受け入れ先を自分で探してきてインターンシップを行っている。これは各留学生が自力で受け入れ先を探すこと自体が学習の一環との考え方から来るが、一方で学校側がなかなか受け入れ先を探す手間に時間、労力を掛けられないとの事情もある。しかしその結果、なかには自力で研修先を探せずに最終学年までインターンシップを履修できない学生が出てきたり、いい加減なインターンシップ先にあたってしまい研修レベルが落ちてしまったりというような問題も起きている。
そもそも日本人学生に比べると、外国人留学生が受け入れ先を見つけるのは、言語的にもネットワーク的にも大変であり、受け入れ先も留学生のみを対象としていない場合もあるので、日本人学生を優先されてしまう傾向がある。そのために、外国人留学生がインターンシップを行うのはかなり難しい。
日本語が得意でない外国人留学生にとっては、いくらインターネットで企業のホームぺージを探しても、その企業が実際のところ本当に良い企業なのか、自分にとって合う企業なのか、特に名前が知られている大企業以外の中小企業の場合は情報不足でわからない。例え短期のインターンシップだとしても不安になってしまう。
企業側からすると、外国人留学生と知り合う機会が乏しい。大学に直接アプローチするには、特に中小企業にとっては敷居が高いという。大学によって就職支援室は日本人への対応が中心で留学生は相手にされない場合もあると聞く。また、就職あっせん会社が行うマッチングは大企業が中心で、その費用が比較的高額であることから、中小企業にとって利用の効果が得られるか不安がある。今回の取り組みは地元(地方)の企業、特に中小企業にとっては様々なタイプの外国人留学生と知り合う機会ができるので良いチャンスであると考えられる。
さらに、現在までのところ、多くの日本企業のインターンシップ・プログラムが日本人学生を対象に作られており、必ずしも留学生を対象としたものでない点からも色々と問題が起きている。留学生がインターンシップを行う場合、日本人のそれとは違い言語や異文化の問題でうまく行かない例がある。そこで、本願の発明者は、留学生を対象として行うインターンシップはどうあるべきかを考え始めた。
そもそも中小企業の中にはインターンシップ自体をした経験がなく、更に、外国人留学生の場合どう受け入れたら良いのかわからないところも多い。日本人のインターンシップでさえわからず、いわんや留学生においてをやである。

・受け入れをどうすれば良いのか
・社内の体制や言語、お祈り等宗教の習慣をどう扱えば良いのか
・どうアピールすれば留学生に効果的なのか
・インターンシップ後の採用はどのように進めれば良いのか
・9月卒業生はいつ受け入れるのか
・面談はオンラインで良いのか
・インターンシップ中の送り迎えは、交通費はどうするか
等わからないことだらけだろう(交通費や送り迎えは、大学としてはできるだけ留学生の負担を減らしたいので企業に負担をお願いしている)。
例えば、食事にしても社員と一緒にとること、場所も社員食堂やオフィスでとることをお願いしている。それにより、人間としての接触も増え、お互いに対する理解度も増える。また、留学生にとってはそこも日本の異文化を知る機会となる。なかにはイスラム系の学生が留学生である場合、食事はハラールに限定されるため、企業で用意が難しい場合は弁当を持参させることも必要である。

(2週間のインターンシップについて)
2019年まで、ワンデーインターンシップ(1日インターン)が主流となっていて、新卒インターンサイトでも85%ぐらいがワンデーであった。しかしながら、実際は学生名簿の獲得が目的化されてしまい、学生が企業をよく知ることができないこと等から見直されている。経団連は、2022年度採用から「ワンデーインターンシップ(1日インターン)の禁止」を発表した。実際の仕事の体験を伴わない「ワンデーインターンシップ」や、学業に影響する平日の開催を原則廃止する、というものである。また、就職サイト マイナビやリクルートキャリアなどは、自社の情報サイトで十分な就業体験が確保されない1日完結の「ワンデーインターンシップ」の取り扱いを停止すると2020年3月に発表した。ワンデー(1日)では就業体験プログラムを盛り込むことが難しく、単なる会社説明会になるケースが多く、『インターン』と名称がつくことで学生が選考の一部だと認識して参加するケースも多いとの情報もある。

(アジアブリッジプログラム)
静岡大学のアジアブリッジプログラム(ABP)は、国際展開を進める静岡県企業及び自治体と連携し、将来、静岡とアジア諸国の架け橋として活躍が期待される「理工系の専門性に経営学的思考、文系の専門性に理工学的思考をあわせ持ち、広い視野のもとでアジアを中心とする海外で活躍する人材」の育成をその目的としている。
静岡県内企業が多く進出するタイ、インドネシア、ベトナム、インド、ミャンマーを重点地域とし、優秀なアジア人留学生および日本人学生の選抜、育成、人材輩出を通じ、地域と産業のグローバル化への貢献を目指している。
学士課程ではアジア5か国(インド、インドネシア、タイ、ベトナム、ミャンマー)の外国人留学生を対象として、対象国の現地及び日本国内における入試選抜に合格した留学生に提供されるユニークなプログラムである。入学後は、「アジアブリッジプログラム(ABP)人材育成コース」の学生として、半年間の基礎教育(ABP基礎日本語、ABP基礎科目)を経て、志望学部の学士課程で日本人学生とともに学ぶことになる。
修士課程では、対象となるアジア16か国からの学生が、全科目英語のみで提供されるABPプログラムに基づいて、情報学専攻、理学専攻、工学専攻、農学専攻のいずれかに所属し、学位を取得できる。
また、日本人学生には、学士課程においてABP副専攻プログラムを履修することで、海外企業研修を含めたアジアグローバル人材としての教育を受け、副専攻修了証を取得することができる(https://www.abp.icsu.shizuoka.ac.jp/参照のこと)。
なお、内閣官房による成長戦略の策定に際し、地方の留学生による地元企業への就職支援に関して本学のABPが優れた取り組みの1つとして紹介されることになった。図2は、成長戦略の「外国人材の活躍推進」に関する施策の広報資料で、地方で活躍する留学生を輩出しているとしてABPがベストプラクティスの一例として2020年にウェブサイトに掲載された。
2.外国人留学生向けのインターンシップの開発

本願の発明者の30数年に亘る海外での就業経験からすると、海外と日本とでは仕事の進め方から段取りまでかなり違ったものがある。そのため、当然インターンシップにおいても、留学生は違和感を持つことが多い。日本人の場合、仕事の指示を出すときに曖昧になることがある。当然日本人は指示を出された側がわかっているものだとの思いで指示を出すのであるが、外国人にはわからないことがある。例えば、留学生には難しい日本語であったり、言い方が「あれやっておいて」「あれどうだったけ」など主語もなかったりして、「あれ」といった指示代名詞は何を指すのか留学生にとってはわからないことがある。インターンシップ中でも当然起こり得る。日本人にとっては何げなく言ったつもりでも留学生にとっては考えてしまうことが多い。
また、指示の仕方についても、
「できたらやってくれないか? 急いでいるので。」
と指示があった場合、「できたら」なので、留学生自身が他のことで忙しくて直ぐに携われない場合は「できたら」(=If possible)なのだから要望に沿えなくても良いと判断して後に回してしまう場合も起こり得る。ただ日本人はへりくだって言っているだけで、本音はすぐに「やってほしい」ということであり、留学生がやっていないと「カチン」とくる場合があり、積もり積もると人間関係に悪影響を与えることになる。
さらに日本人の場合は「ご迷惑をお掛けしました。」や「申し訳ないけど、・・・」等「謝罪」のフレーズを頻繁に使うが、日本人は、例えば外国人留学生がミスをした場合に「すみません」との謝罪がないと、これまた「カチン」とくることがある。
このように日本人同士では分かり合えるところも、外国人留学生とだと理解できない場合が出てくる。日本は世界一のハイコンテクストの文化(図3参照)であるとも言われている所以である(実用日本語表現辞典「ハイコンテクスト文化」)。

「以心伝心」、「忖 度」、「阿吽 の呼吸」、「空気を読む」等の言葉もハイコンテクストを表す表現である。
一例として、以下のような表現がある。
「今晩一杯どう?」 → 今晩飲みに行きませんか?
「月末はちょっと」 → 月末で忙しいので行けません。
「検討します」 → 本当に検討する場合にも、フェイドアウトスタイルで断りたい場合にも使われる。
3.インタラクティブ・インターンシップについて

さらに、インターンシップが一方的なものになっている場合がある。かつてワンデーインターンシップがはやったが、それは企業の採用のためのインターンシップであったり、企業情報の提供のためのイベントであったりした。
日本人学生に比べて外国人留学生が学びたいことの大きな目的の一つとして、日本企業の特殊な企業文化や職場文化があり、将来日本で仕事をする場合、自分が日本企業や職場にうまく適応してやっていけるかどうかをインターンシップで学んで準備をすることがある。そのため、留学生にとっても企業にとっても意味のあるインターンシップが重要であり、それをしないとどちらかに不満が出たり、その不満が積み重なると継続できなくなったりすることもある。双方に得るものがあり、双方が満足することができれば採用にもつながるし、継続して続けることも可能になる。そこで、本願の発明者は、留学生、企業双方にとって学べて、満足のいくインターンシップを「インタラクティブ・インターンシップ」と名付けた。留学生は自分の専門性を活かして学校では学べない実務体験をする、企業はその学生の能力や仕事ぶりを見て採用の判断をしたり、業務のヒントにしたり、活かすことができる。ワンデーや数日ではなかなか判明しにくいことも最低2週間行えば、人柄や能力の潜在性もよりはっきりとしてくる。日本企業は採用する場合に、日本人と同じように外国人留学生に対し、能力よりも人間性や熱意を重視する傾向にある。その意味ではワンデーや数日のインターンシップではつかめないところがある。外国人留学生にとっても2週間職場に身を置いて仕事だけでなくそこで働く人の働き方を観察したり、公私様々な会話をしたりを通して企業人の考え方を知るといったインフォーマルな接触経験から学ぶことも多い。例えば、朝は始業時間前にはきちっと会社に来て、終業後はいつまでも会社にいるといったことや終業後に同僚と飲みに行く(コロナ禍以前)といったことでも外国人留学生にとっては祖国とはかなり違い学ぶべきことが多い。
またそれは入社するにあたって相性が合うかどうかの判断基準にもなる。実際に、ある程度の期間インターンシップを実施した後に留学生が就職すると、定着率が17.6%高くなるとの統計データもある(図4参照)。
2021年4月19日に、経団連は大学と採用や就職活動のあり方などを話し合う「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」が発行した2020年度報告書「ポスト・コロナを見据えた新たな大学教育と産学連携の推進」の中でインターンシップ(就業体験)の定義を見直す報告書を公表した。この報告書は下記の4章で構成されており、特に第3章ではインターンシップについて言及されている。

第1章 ニューノーマルを踏まえた新たな大学教育のあり方
第2章 「組織対組織」による産学連携の推進
第3章 Society 5.0の採用・インターンシップの実現に向けて
第4章 「10のアクションプラン」のフォローアップ状況(2021年度アクションプランの提示)

第3章には、中長期的な視点に立った新たなインターンシップの定義として「学生が、その仕事に就く能力が自らに備わっているかどうか(自らがその仕事で通用するかどうか)を見極めることを目的に、自らの専攻を含む関心分野や将来のキャリアに関連した就業体験(企業の実務を体験すること)を行う活動」であるとすることで、産学間の共通認識が得られたと記載されている。
インターンシップの新たな定義に関する検討と並行して、分科会では、これまで「インターンシップ」として行われてきた活動や取り組みを、大学と企業それぞれが主眼とする目的や効果、対象別に整理・類型化した。また、それぞれを実施するにあたっての課題や配慮すべき点なども特定・整理したうえで、課題克服のために講じるべき工夫を特定した。そして、それぞれの活動の大学・企業にとっての目的を、
(1) 企業・業界・仕事への理解促進
(2) 能力開発/キャリア教育、及び、
(3) マッチング精度の向上/採用選考を視野に入れた評価材料の取得
の3つに大別した。
さらに、(3)を目的とする活動や取り組みのうち、「今後拡大が見込まれるジョブ型採用を見据えた、産学連携の大学院教育」にあたるものを4つのタイプに分類し、各目的に従い、学生のキャリア形成支援における産学協働の取り組みや多種多様なプログラムを4つのタイプに類型化した。
具体的には、
・タイプ1 (オープン・カンパニー)企業や業界について説明し、学生の理解を促す場、
・タイプ2 キャリアや就業観を学ぶキャリア教育
・タイプ3 汎用 的能力・専門活用型インターンシップ(高学年の学部生と大学院生対象)、及び、
・タイプ4 高度専門型インターンシップ(大学院生対象)
の4つに分類に類型化した。このうち、実務体験を伴うタイプ3及びタイプ4のみがインターンシップにあたるとした。
そのうえで、タイプ3は「企業が主として採用選考を視野に入れた評価材料を得るのを目的に、学生が一定期間、実際の業務に従事するプログラム」と明記し、タイプ4は学生が自らの専門性を実践で活かして向上させるとともに、今後拡大が見込まれる「ジョブ型採用」を見据えて試行的に実施予定の産学連携の大学院教育プログラムと位置づけている。
4.外国人留学生はインタラクティブ・インターンシップで何を学ぶのか

外国人留学生のインターンシップの目的は、職場での経験を通じ、日本の働く環境や雰囲気が外国人留学生の出身国と異なることを実感し、その後の進路を決めたり、卒業後日本で就業する場合にその経験を活かして自身を日本の職場環境にうまく適応させたりすることにある。その前提として、日本の企業文化は諸外国で共通して見られる企業文化と異なる点が挙げられる。
「留学生にとってのインターンシップ」という観点から外国人向けインターンシップの目的を考えると、職業に対する自身の適性や仕事のやりがいを理解するだけでなく、日本の企業で働くこととはどういうことかを理解することが重要である。
また、日本の企業で働くということを理解するには、フォーマルな研修を受けるだけでなく、そこで働く人の働き方を観察したり、公私様々な会話を通して企業人の考え方を知ったりといったインフォーマルな接触経験から学ぶことも重要である。
第2章 効果的なインターンシップをするために大切なことは
1.異文化理解の重要性
(1)異文化の問題

本願の発明者は、大手グローバル企業で30数年に亘る期間、北米、欧州等の先進国、アジアや南米等の新興国において通算19年近く海外現地で仕事をしてきた経験を通した実感として、日本人の仕事の仕方や日本の企業文化は世界でも相当異質だと思っている。
それは日本が万世一系、どこの国にも属さない島国であったことが影響しているのだろう。
日本は世界の中でも特殊な文化に根差した企業文化を持っている。これは先に記述したハイコンテクストな日本語をベースにする文化によるものであると考えられる。そして、外国人留学生にとっては、日本の特殊な文化が非常に未知でなかなか慣れ親しむことができないこともある。
例えば「謝罪」においては、日本人はよく「すみません」、「申し訳ありませんが、・・・」等を頻発するが、海外ではそうではない。「I am sorry」は自分の非を認めることであり、それは賠償にもつながる場合がある。日本人の場合のそれは、へりくだることで会話の潤滑油としていることがある。
先日ある企業を訪問した際に、駐車場がわかりにくくて若干遅刻をしたことがある。その際の会話として、
「少し遅れて申し訳ありません。駐車場を間違えてしまい遅れてしまいました。」
「それは大変でした。わかりにくくて申し訳ありませんでした。」
等であるが、それは謝罪というより極端に言えば、日本人の場合には挨拶のようなものである。しかし、外国人はそんな会話はしない。だから、例えばインターンシップにおいて、外国人留学生が何かミスをしたり、勘違いをして指示通り作業をしなかったりした場合に、日本では「すみません」「申し訳ありません」といえば済むことであるが、時として外国人留学生はそんなことを言わない場合がある。外国人にとっては、日本人の指示がわかりにくく自分の責任ではないと考えていると「すみません」が出てこない。これに対して、日本人は、留学生から「すみません」が出てこないことで「カチン」と来ることがある。その外国人留学生が、日本語ができない場合は「ああ外国人だからしょうがない」と理解することもあるが、日本語が流暢な外国人留学生の場合は日本語で会話することが多いので、対応する日本人もついこの留学生を日本人と同じと錯覚して「どうしてひとことすみませんが言えないのか」と思ってしまう。頭でわかっていてもそうである。日本語がどんなにできたとしても所詮外国人であり、特殊な日本文化は理解できていない場合がある。
さらに日本語の問題もある。ある調査では外国人スタッフとのトラブルで一番多いのは日本語をめぐる言語の問題である、次に受入れ体制の問題、三番目に異文化の問題との調査結果がある(図6参照)。

例えば、下記のようなケースがある。
日本人上司:「これ、できたら明日までにお願いできるかな。実はちょっと急いでいてね。」
外国人部下:「はい。」
~翌日~
日本人上司:「昨日の仕事、できたかな?」
外国人部下:「いいえ、とても忙しかったのでできませんでした。」

ここで、外国人部下は、日本人上司の「できたら明日までに」及び「ちょっと急いでいて(ね)」の日本語の指示について、「できたら」は「可能であれば」(if possible)であると理解する。そうすると本来の仕事で忙しい場合に、外国人部下は「今はこの(元々の)仕事をすることで忙しく、日本人上司は『可能であれば』と言っているので、無理してやらなくても良いだろう」と解釈しまう場合がある。外国人部下は「はい」と言ったが、それは「やるかやらないかを考える」といった返事であるかもしれない。あるいはやろうとしたので「はい」と返事をしたが、日本人上司に指示された仕事内容が思った以上に量が多くとてもできないと判断して元々の仕事を優先してしまったのかもしれない。さらにその日はたまたま外国人部下の妻の誕生日で、家族で夕食をする計画だったので残業してまで「できれば(if possible)」と指示された仕事が終わらなかったのかもしれない。外国人は、家族との時間を優先する場合が多いのでなおさらである。しかし、もし日本人の場合は時に家族との約束も反故にして頼まれた仕事に取り掛かってしまう。また、外国人部下は「ちょっと急いでいてね」と言われて「ちょっと(little)」と理解して、それほど急いでないのだろうと理解してしまったのかもしれない。この場合、日本人部下だと、実は「ちょっと」ではなくて本当はものすごく急いでいるのと理解して、残業してでも指示された仕事をするだろう。日本語学校で教える「ちょっと」は、「little」であるが、この場合の日本人上司の「ちょっと」は「へりくだって」の「ちょっと」である。
同じような例で、下記はどうだろう。
A.日本人上司:「じゃあ、できたら一度見せて」
B.日本人上司:「じゃあ、できたら一度見せて」
この場合、AもBも全く同じ指示である。しかし、「できたら」は「できれば(if possible)」と「でき上がったら又は終わったら(after finish(ing))」との2つの解釈があるが、時に外国人部下は後者と取ってしまうことがある。実際、ある講師によれば、授業で外国人留学生に上記の問いをしたところ、ほとんどの留学生が「でき上がったら又は終わったら(after finish(ing))」と回答したという。
もし日本人上司が「できれば(if possible)」という意味で外国人部下に話したときに、外国人留学生が「でき上がったら又は終わったら(after finish(ing))」と捉えて日本人上司に見せなかった場合、日本人上司はどう思うだろうか。実はこのようなことが現場ではたくさん起こっている。前述したが、日本語は「ハイコンテクスト文化」と言われている。「ハイコンテクスト文化」というのは「空気を読む文化」と言える。一方で、「ローテクスト文化」は「言葉で伝えあう文化」と言われている。「ローテクスト文化」は主に欧米が多く、「ハイコンテクスト文化」の最たる国は日本である。日本では「沈黙は金」というように「寡黙」や「謙虚」が尊ばれる文化でもあり、饒舌は出過ぎた証であるからよしとされない傾向にある。さらに、万世一系島国の同じ文化の中「以心伝心」で伝わる日本は、多民族国家の米国や陸続きで移民や移住者が多い欧州とは違う。
もうだいぶ前になるが、本願の発明者が10年近い海外駐在から日本に帰国した時に、久々に東京で通勤電車に乗って気が付いたことがある。吊革に掴まっている当時の本願の発明者の前の席に少しスペースがあった。当時の本願の発明者は何となくそこを見ていたところ、そのスペースの脇に座っている人が、当時の本願の発明者の視線に気が付いてわざわざ横に詰めてくれて一人座れるスペースを作ってくれた。その時、当時の本願の発明者は、「ああ、これが日本だ」と思ったことを覚えている。実は当時の本願の発明者は、物思いに耽っていて何となく目の前の座席を見ていたわけで別に座りたいわけではなかったが、目の前の日本人はスペースを作ってくれた。実は本願の発明者は身長177cmで平均的な日本人よりも体重もある大柄で、その空いたスペースに座ると全体的にかなり窮屈になるので自分では敢えて座るつもりはなかったし、運動不足もあってダイエットのつもりで当時はなるべく座らないようにしていた。しかし。本願の発明者も日本人で、せっかく空けてくれたのでありがたいし、断ると悪いと思って座ったのであるが、実に窮屈でおまけにその列の他の乗客に迷惑そうな顔をされたので非常に居心地悪い思いをしたことを記憶している。『「NO(ノー)」と言える日本』(盛田 昭夫/石原 慎太郎共著(1989/01).「NO(ノー)」と言える日本 光文社)という書籍があったが、海外生活が長い本願の発明者であっても日本に戻ると「NOと言えない日本人」に戻ってしまう。
(2)特殊な日本の中の外国人留学生

ホフステードというオランダの異文化研究家が唱えた「国民文化6次元モデル」というものがある。これは、異文化・組織文化研究の権威であるオランダの社会組織人類者ヘールト・ホフステード博士が、IBMの社員(72か国・11万6千人)を対象に行った調査を利用してその後の長年の研究により確立した理論である。その研究を日本で実施している「日本ホフステード協会」によると、日本は国民文化6次元モデルによりグループ分けされる6つの文化圏のどこにも属さない唯一の国だといわれている。海外在住の長い本願の発明者もそうだと思っている。日本は本当に変わった文化であり、企業文化も独特なのである。

国民文化6次元モデルサイコム・ブレインズのウェブサイト参照)
A.権力格差 (大きい 対 小さい)
B.個人主義 対 集団主義
C.男性性(タフ) 対 女性(やさしい)
D.不確実性の回避度(高い 対 低い)
E.長期志向 対 短期志向
F.人生の楽しみ方 (充足的 対 抑制的)()

そんな日本に来た外国人留学生は、当然日本のあまりにも違う文化に対して大変戸惑う。本願の発明者が所属する大学(静岡大学)にも日本の文化についていけず卒業できなかったり、途中で帰国したり、他の国に移っていった学生も少なくない。それでも、留学生達は母国を出る時に家族、親族、近所の人達等に応援されかつ高い留学費のためのビザ等の渡航費用を借金等して工面してようやくやってきたので、簡単に白旗を上げて帰れない。日本に来た外国人留学生はそれに耐えられず失踪したり、自殺したりする例も年々増えてきている。
東京には自殺したベトナム人の供養寺がある。自殺したベトナム人は期待して送り出してくれた母国の家族と日本でのつらい仕事(全てが異文化に起因しているわけでないが)その板挟みに遭い人知れず命を絶ってしまったとのことである。
図7は、外国人の職場での孤独感について調査した結果をまとめたグラフである。外国人の多くが職場で孤独感を感じている。特に正社員の「私は孤立しているように思う」との比率は32.6%である。そして、孤独感はパフォーマンスや就業意向に悪影響を与えることが明らかになっている。
そんな外国人、特に若い外国人留学生を日本企業が受け入れるには、両者の相互理解が重要である。外国人留学生は元々日本を選んで海を越えて日本に来たわけなので、日本を選択する場合に当然日本のことを事前に勉強して準備し、覚悟を持って来ている。一方で受け入れる日本人の方は、特に外国人と接する機会がなかったり外国人と仕事をしたりする経験がない従業員の場合、時にトラブルを起こし易い。
ある調査では、外国人と関わらないスタッフほど外国人の日本人度(日本語レベル及び日本文化理解度)にこだわり、異文化理解度が少ないといわれている(図8参照)。
また別の調査では、外国人材受け入れに際して、“外国人材受け入れショック(ネガティブな想定外)”を受ける人は3~4割程度と報告されている(図9参照)。
さらに同調査では職場の人間関係トラブル(いじめ、セクシャルハラスメント、暴力、人種・民族差別)については、全体として日本人から外国人へのものが多かったとされている(図10参照)。外国人材のマネジメントに関して、「うまくマネジメントできていない」、「自分には荷が重い」等の“行き詰まり感”を感じている人が2~3割であった。
以上から、本願で提案する、インタラクティブ・インターンシッププラットフォームIPでは、日本企業に対して、外国人留学生や異文化の問題について理解をしたうえで、インターンシップを開始してもらうことにしている。
2.導入研修の必要性(異文化理解ゲームと導入レクチャー)
(1)異文化理解ゲーム

インタラクティブ・インターンシップでは、インターンシップが始まる前に受け入れ企業の従業員を対象に「異文化理解ゲーム」を行っている。それは前述したように受け入れる外国人留学生との間に異文化が存在してそれが時にトラブルに発展して、インターンシップが外国人留学生、企業に双方にとって不調に終わってしまうのを防ぐ(又は抑制する)ためのものである。
前述の異文化理解ゲームの内容の詳細は省略するが、この異文化理解ゲームをすることにより生じる認知面、感情面、行動面の変化を疑似体験することに意義があり、それがその後のインターンシップに活かされた結果、外国人留学生と日本企業の従業員とのにおいて満足のいく成果につながる。

異文化理解ゲームを通して、双方は下記のことを理解する。
・異文化とはどういうものか
・外国人の立場(マイノリティ)の体験
・文化はどういうものなのか
・日本文化について

図12のグラフは、異文化理解ゲームについての評価アンケートの結果をまとめたものである。このアンケートは、外国人留学生と企業の双方を見ている立場のインターンシップ・アドバイザー(IA)へのものであるが、インターンシップを進めるうえで役に立ったとの評価が多い結果となっている。

インターンシップ・アドバイザー(IA)の感想の一例
ある企業の本社にて開催、参加者は同社社員21名、留学生2名、IA1名の合計24名参加で行われた。
「受け入れ企業の社員にとって得るものが多く、また、インターンシップ受け入れ以外の部門からの管理職も参加したため、その後のインターンシップ実施で留学生の受け入れの雰囲気醸成にもつながった。」
(2)導入前レクチャー

インタラクティブ・インターンシップでは、異文化理解ゲームと一緒に導入レクチャーを実施している。導入レクチャーの目的は、企業に外国人、特に留学生や高度外国人材についての理解を得たうえで、インターンシップに臨んでもらうためのものである。

ある企業で実施された導入レクチャーの内容の一例
A.インターンシップの意義を社内で共有
B.満足の行くインターンシップをしてもらうためのご協力依頼
C.高度外国人材およびその活用の正しい理解
D.外国人活用の実例
E.インタラクティブ・インターンシップの説明

外国人を採用する時に「経営層や人事の判断で外国人材を採用したが、現場で受入体制が整っておらず混乱した」との悩みはよく聞かれる。企業のインターンシップでも受け入れ部署のスタッフには、経営者や人事部からの指示でやむなくやらされている者も少なくはない。自分の本来の仕事だけでも忙しいのにそれに加えて外国人留学生を指導する、更に言葉が通じない、異文化の外国人留学生なら日本人学生よりも手間時間が余計にかかる。インターンシップの意義を正しく理解していないと、日本企業のスタッフは、どうしてもやらされ感が出て、インターンシップも中途半端になり、外国人留学生を世話するのが億劫になってしまいかねない。そうなると折角のインターンシップが台無しになり本末転倒になってしまう。

ある企業で実施された導入レクチャーの更なる内容の一例
A.縮小ニッポンの衝撃
B.政府方針 積極的な留学生受け入れ
C.構造的な人手不足
D.外国人留学生の現状
E.言葉と異文化の壁、価値観の違い
F.インターンシップからはじめる
G.インターンシップの活用実例
3.インターンシップ プログラム

多くの日本企業がどんなプログラム(カリキュラム)を作成すれば良いのか悩んでいる。そこで、インタラクティブ・インターンシップ研究会では、主に下記をテーマにプログラムを作成するようにガイドしている。

インタラクティブ・インターンシップ研究会がガイドしているテーマ
・グローバル展開 → 越境ECやライブコマース
・デジタル化 → DX
・社内活性化 → 新商品や新ビジネスモデルの開発、サプライチェーン見直し

新型コロナウイルスのパンデミックにより社会が変わり、人々の価値観と意識が変わり仕事も新たなやり方が出てきた。ロックダウンや外出禁止は人々の移動を制限したり、渡航や出張を禁止しりをしたことから越境ECといった新たな海外展開を生み出し、ライブコマースはPCやスマートフォンを使って対面でなくても簡単に販売ができる新たな手法を生み出した。また、在宅勤務は仕事や人事評価を変えてICT化、DX化を促進させた。
そして、コロナ禍で生き残るために、各企業では、新たなビジネスモデルの構築が必要になってきている。
本願の発明者の授業には、日本人学生と外国人学生とが混在しているが、本願の発明者が知る限り、外国人留学生はグローバル意識や外国語レベルだけでなくデジタルリテラシーもかなり高い。さらに若年で国境を越えて日本に来た外国人留学生は、何より真剣さ、粘り強さ、胆力の点で、日本人学生に比べて圧倒的に強い。このような背景を鑑みると、異文化で違った価値観を持つ外国人留学生には、前述の3つのテーマ(グローバル展開、デジタル化及び社内活性化)の中からテーマを選択することで、効果的なプログラムを作成することができる。
(1)効果的なプログラム作成の17のポイント

A.学生の専門性を活かせるものになっているか
B.学生の論文や所属する研究、研究室を確認したか
C.学生の能力を配慮したレベルになっているか
D.2週間で達成するレベルになっているか
E.オフィス帰宅後にやるべき課題を与えているか
F.外国人留学生ならではの(向けの)プログラムになっているか
G.インターンシップの目的は明確になっているか
H.企業の経営課題になっているか
I.作業になっていないか
J.一方的なインプット中心のものになっていないか
K.双方にとって成果が期待できるものになっているか
L.採用するための学生を見極める視点で作られているか
M.現場がプログラムに合意しているか
N.宗教に配慮しているか
O.通勤に配慮した時間設定になっているか
P.ビジネスマナーを習得できる時間を入れているか
Q.休憩(休憩や食事等)に人間同士の触れ合いがあるか
多くの留学生は、インターンシップを通してビジネスマナーや日本の企業文化を学ぶことのほかに、自分の専門能力や能力をアウトプットしたがっている。そのため、多くの留学生は、プログラムが自分の専攻に合っていることを希望している。ただし、IPのインターン期間は、2週間(土日を除くと10日間)と短いために、多くの留学生は、それが発揮できない場合であっても終了後に自宅で取り組むことが苦痛ではない。日本企業は、多くの外国人留学生がインターンシップを通して各自の能力を発揮できるチャンスを与えられることを希望していることを知る必要がある。また別の視点では、先に挙げたコンテンツ(3.インターンシップ プログラムで説明したテーマ)の例のように、外国人留学生ならではのテーマになっているかどうかをチェックすることが必要である。それが日本人学生とは違う点で最も有効なインターンシップとなる。
また、日本企業にとってはプログラムが自社の経営課題になっているかも重要である。インタラクティブ・インターンシップは双方にとって意義のあるインターンシップを目指しているので、プログラムは企業に負荷がかかるボランテイアであっては意味がない。特に異文化で育った留学生の考えや価値観は、時に同一気質の中で、改革のきっかけとなる場合がある。それは異文化ということではなく、多くの留学生が遠慮なしに発言する姿勢からも出てくる。本願の発明者の授業でも発言をするのは圧倒的に留学生である。日本人学生はどこにいるのかわからないくらいである。
また、プログラムを作成するうえで留意しなければならないことは、それが一方的なものになっていないか、という点である。企業の中には、企業のことを知ってもらおう、事業内容に興味を持ってもらおうとの思いが強くて、企業のコア技術の説明や企業側の従来技術のインプットになっている場合がある。しかし、時に多くの留学生にとっては難解で、興味を持たない場合がある。多くの留学生は、技術そのものに興味を持つというよりも、自分の能力を活かして何か改善や新しいことを見つけるような発展性のある研修を期待している。さらに、多くの留学生は、各自の成果が研修先企業に貢献して称賛を受けることを期待している。
ある大学院生は、研修(インターン)を始めたが、企業側で用意したプログラムが前述のインプット中心のもので物足りなさを感じていて、中間報告会で自分の専攻であるコンピュータサイエンスから大量の量産データを分析して不良予測を検知するプログラムを作成した。これに驚いた企業はすぐにこの学生に採用内定を出したといった例がある。プログラムとして最初の一週間企業側から事業内容のインプットをする。中間報告会で留学生からどの事業内容を深堀したいのか、どんな改善提案をしたいのかをよく話し合い、次の1週間そのプログラムで進める。IPのインターンは、各留学生にとって、1週間では時間が足りない場合には、更に1~2週間延長することも可能とする。また一旦終了してから1か月なり3か月~6か月のステップアップ・インターンシップにつなげて継続していくことも可能としている。
(2)効果的なプログラム例(図11)

2021年3月5日~19日 K社
このインターンシップを行った留学生2名は、同社に入社を希望して内定手続きへ進んだ。

(企業の目的とゴール)
インターンシップを通じて社内に優秀な外国籍の人材と出会い、採用して海外進出への一歩を踏み出す(大きなゴール)。自社製品を使った高度な内容のプログラムを作り、英語や日本語をまじえたコミュニケーションを深めながら、留学生・企業双方が新しい文化を学ぶ場を提供する。

(留学生の目的とゴール)
自分にとって魅力のある同社への就職(大きなゴール)。持っている能力を試す。画像処理やプログラムの書き方など新しい技術を身につける。苦手とする言語(英語/日本語)の修得を目指す。

(成果)
K社のプログラムは、合同説明会・面接を経て、少しずつ参加する留学生の能力に合わせてうまくアレンジされて行なわれ、双方満足度が高い結果となった。また、最終発表会での留学生のストレートな物言いは、日本人社員には異文化を認識させ新鮮なものであった。さらに参加した留学生は、社員からアドバイス、コメント、指摘等を受けて、社会人への心構えが芽生えた。
4.留学生の研修報告

インタラクティブ・インターンシップにおいて留学生に提出を課している報告書としては、以下の4つがある。
(1)日誌、(2)中間報告、(3)最終報告、及び、(4)不定期報告
(1)日誌
日誌は、毎日の研修終了後に留学生が指定のフォーマットに記入する。
・今日新たに学んだことは何ですか?
What was new learned today?

・研修内容でわからなかったことはありますか?
Did you have any Questions about the training content?

・コミュニケーションや文化などでわからなかったことはありますか?
Did you have any Questions about communication or culture?

・ご自身で改善したいと思ったことはありますか?
Have you ever wanted to improve yourself?

・会社に対する改善提案はありますか?
Do you have any suggestions for improvement for the company?

・自分の専攻を活かして会社に提案できることがありますか?
Is there anything you can propose to the company by making use of your major?

この日誌は、言葉(日本語)による問題を回避するための設問と、留学生にアウトプットをさせることを目的とした設問とを回答させるようになっており、日本人学生対象の日誌とは違うものとなっている。
(2)中間報告

中間報告は、企業のインターンシップ担当者、総務、人事等の管理責任者、できればその企業の経営者と、留学生と、インターンシップ・アドバイザー(IA)とで行う。
中間報告会は、前述の4つの報告の中で最も重要である。何故ならば、中間報告会は、プログラムがインターンシップとして効果的に進んでいるのかをチェックする機会になるからである。チェックの結果、うまく行っていない場合には軌道修正をすることができるからである。
例えば、研修内容が企業から留学生に対して、又は、留学生から企業へに対しての一方通行になっていないか? 具体的には、企業紹介や事業の紹介だけになっていないか、留学生を採用するためのチェックするだけになっていないか、留学生にビジネスマナーや仕事の仕方を教えるだけになっていないか? これらの一方的なインターンシップを中間報告会で確認して、双方が学び合えるような、双方にとって満足の行くものになるように軌道修正することが重要である。
(3)最終報告

最終報告は、企業のインターンシップ担当者、総務、人事等の管理責任者、企業の経営者、企業のその他スタッフ等と、留学生と、インターンシップ・アドバイザー(IA)と、インターンシップ事務局と、静岡大学教員とで行う。

A.管理者が全体のインターンシップの流れ、プログラム、何を行ったかの説明を行う
B.留学生が発表する
C.留学生が質問を受ける
D.大学が講評
E.事務局が講評
F.経営者から全体の講評
G.修了証の授与
H.写真撮影
I.個別面談

最終報告会は、留学生の晴れの舞台である。インターンシップ担当者だけでなく経営者、更にその他できるだけ多くの企業スタッフが参加してもらうことが望ましい。2週間で何を得たのか、何を学んだのか等を発表して、双方の気付きに繋げるものである。
なお、最終報告会では、日本語が話せない留学生の場合は発表を英語、資料は日本語が望ましく、資料を作成する場合に、インターンシップ・アドバイザー(IA)はその翻訳(不自然な日本語ではないか)等の支援を行う。
(4)不定期報告

不定期報告は、何か特別なことが起こり、例えば留学生が出社しなくなったり、企業 担当者とトラブルを起こした、事故にあった等の想定外のことが起こった場合に、企業と協力して解決したり、緊急でインターンシップ・アドバイザー(IA)が留学生及び/又は企業と話をして解決に導くためのものである。
5.クラウドマッチングプラットフォーム

クラウドマッチングプラットフォームは、新型コロナウイルス感染リスクを避けながら、できるだけ留学生と企業の出会いの機会を増やすのが目的で構築された。企業は会社紹介、会社風景、インターンシップ・プログラムの説明、外国人従業員のインタビュー動画を提供する。留学生は、自己PR、自己宣伝のビデオを提供する。両者は、アプリケーションを介した情報端末(PC、スマートフォン、タブレット等)を利用して、いつでもどこでも双方の動画を見ることができる。具体的には、各動画はサーバー(保持部の一例)にアップロードされ、例えば「YouTube(登録商標)」(アプリケーション又はウェブコンテンツの一例)を介して、関係者(参加企業、留学生)はパスワードを入れることで視聴することができる(図13参照)。

クラウドマッチング(面談)のメリット

(留学生の自己紹介動画)
多くの企業に自己PRができる。
企業からのスカウトを受けることができる。

(企業紹介動画)
留学生は、企業の色々な顔を見る(様々な情報を得る)ことができる。企業は、留学生に様々な情報を提供することができる。
留学生は、外国人社員の話を聞くことができる。企業は、留学生に、外国人社員の採用実績を知らせることで、留学生に安心感を持ってもらうことができる。
留学生は、会社の雰囲気を理解することができる。
留学生は、いつでも、どこでも企業の動画を見ることができる。
6.インタラクティブ・インターンシップ成功のかなめ

(インターンシップ・アドバイザー(IA)の役割)
インターンシップ・アドバイザー(IA)はインタラクティブ・インターンシップ成功の要でありキーパーソンでもある。特に重要なのは、企業と留学生とが円滑にコミュニケーションをとれるようなブリッジの役割をすることである。
以下、インターンシップ・アドバイザー(IA)について詳細に説明する。
インターンシップ・アドバイザー(IA)の主な役割は、以下のとおりである。

A.企業と諸スケジュール・段取りの作成・管理を支援する。
B.留学生への連絡、相談、諸問題のサポートを行う。
C.企業のプログラム作成を支援する。
D.日本語不得手の留学生や英語ができない企業の通訳サポート
E.企業、留学生の諸課題、問題の相談を行う。
F.企業と留学生のマッチングイベントに参加して留学生獲得の支援をする。
G.留学生採用活動の双方(留学生・企業)の支援(エントリーシート、面談)
H.インターンシップ初日(導入研修)の段取り
I.インターンシップ中の管理・支援(日誌・中間報告会・最終報告会)
J.最終報告会の留学生の発表資料のチェック、翻訳支援
K.上記の事務局、大学への都度報告を行う。
L.アンケートのフォロー、最終報告書の作成
M.その他事務局、大学から依頼されたことのフォロー

インターンシップ・アドバイザー(IA)は、これらの業務に約60時間の時間を費やす。これにより企業担当者の負担を大幅に低減させることができる。

(インターンシップ・アドバイザー(IA)の資格)
・企業と留学生が円滑にコミュニケーションをとれるようにできること
・外国人留学生を支援する基本精神を持つこと
・企業、留学生をきめ細かくフォローして支援することができること
・できれば、一定レベル以上の英語力を有すること
・できれば、企業経験者であって、HICE(浜松国際交流協会)、学校等で留学生支援に携わった経験があること
・運転免許証を持ち自家用車が使えること(推奨)
・副業、兼業が認められていること

(インターンシップ・アドバイザー(IA)の業務の内容)
(1)IAに採用されてから行う事前準備
・担当企業研究
自分が担当になった企業について顔合せ前にできる範囲で調査しておく。

・会社概要
ホームページを閲覧して、創業からの年数/代表者名/主要事業/拠点(特に海外/採用状況/本社所在地(採用担当者の拠点)
事務局が、共有リストに「HP」、「担当者」などの情報を入力しておく。

・採用活動(新卒)
新卒の主な求人媒体を利用して、各サイトで担当企業名を入力して検索しておく。

・採用活動(新卒以外)
新卒以外の採用情報は、その主な求人情報サイトを活用して検索する。そうすると、現在募集している求人情報が表示される。タイトルをクリックすると詳細内容が表示される。
これにより、インターンシップ(新卒)以外に当該企業がどんな職種が募集を出しているのか参考情報として理解することができる。

(2)企業向けガイダンスに参加する

(ガイダンスで自己紹介をする)
事務局で簡単な紹介をパワーポイントで作成しておく。当日1分程度で簡単に自己紹介を行う。IAは、企業と留学生とを繋ぎ円滑なコミュニケーションをとることが求められる。そのため、IAは、企業及び留学生に信頼されないといけない。

自己紹介例
「今回、(株)〇〇様を担当させていただきます〇〇〇○です。〇〇業界での業務経験があります。また、〇〇国に〇年駐在した海外経験があります。現在は日本語学校で外国人の子どもたちに日本語を教える手伝いをしています。ですので、外国人留学生とのコミュニケーションに慣れています。また、片言ですが、英語とスペイン語を話せます。慣れないこともあると思いますが、浜松で学ぶ優秀な留学生に、地元の企業の強みをしっかり知ってもらい、また留学生の優秀さ、意欲の高さが企業様にうまく伝わるようにできる限りサポートしたいと思います。このインターンシップが両者にとってメリットを感じていただけるようお手伝いしますので、宜しくお願いいたします。」

(初回アポイント)
担当者と名刺交換を行い、初回のアポイントを確定する。
※電話番号、メールアドレス等の明記された、自己紹介のカード又は印刷物(担当企業に渡す)を1部用意しておく。
・アポイントの日程は早ければ早いほどよい。
・初回は対面打ち合わせがよい(コロナ感染状況、担当企業事情によりウェブ面談も可)。

(3)初回訪問
・合同説明会までに企業の実施事項を説明する。
A.動画の作成(企業にオーダーする)
B.インターンシップ・プログラムの作成
C.求める人材の明確化

下記項目をヒアリングする。

今回のインターンシップで採用したい人材像について
「事業部」「職種」
静岡大学留学生の参加者が中心で、浜松キャンパスが多く、工学部・情報学部の理系が中心となる。また静岡キャンパスの人文社会学部、理学部、農学部、教育学部、その他大学の参加もある。ただし、文系でも工学部大学院(総合科学技術研究科) 事業マネジメントコース、情報学部 学士課程 情報社会学科がある。
例:工学部電気電子工学科の学生の参加希望。国籍は問わない。日本語レベルはN2が望ましい。
英語でコミュニケーション可能な社員がいるので日本語レベルは問わない。

御社の強みについて(コアコンピタンス)
例えば、製造業の企業では自社で当たり前に行っていることが競合企業には無い「強み」となる場合がある。こういった項目が見つかると留学生へのPRポイントになる。なお、すぐに応えられる担当者は少ないので、今回の取り組みで再発見という形になると思われる。
動画や合同説明会でPRできる項目を探しておく。
例:取り扱う〇〇の部品の国内シェアは60%、5ヵ年計画でASEANの拠点強化が決定しており、海外競合も少ないため、事業拡大の確実性が高い。

・動画制作依頼
企業に動画で伝えてもらう内容を説明する。「企業紹介動画」は必須とする。
3分~5分程度で自社の紹介では、会社概要、事業内容、今回のインターンシップで募集する職種、インターン実施場所、自社の強みをPRする。
なお、本願の発明者とのインタビュー型を希望の場合は事前に質問内容を送付し、動画撮影の日程調整をする。
その他動画としては、会社紹介、会社風景、インターンシップ・プログラムの説明、外国人従業員のインタビュー動画があることが好ましい。
必須ではないが、企業が動画作成に慣れているようであれば依頼する。撮影はスマートフォンでも可能とする。

・「重要」インターンシップ・プログラムの作成
2週間(実質的に10日間)のインターンシップ・プログラムの作成を依頼する。どんなに遅くても合同説明会までには確定しておく。
合同説明会では各企業がプログラムを紹介するので事前作成が必要である。
作成者は企業である。ただし可能な範囲で相談に乗る。
訪問前に不安なとき、困ったときは、事務局に相談可能とする。
完成後、本願の発明者と事務局にて確認し気になる部分があればフィードバックする。
7.行政(浜松国際交流協会(HICE))の役割

浜松国際交流協会(HICE)は、本事業の推進に当たり重要な役割を担う。また、浜松国際交流協会(HICE)には、企業募集のための講演会、セミナーのアレンジ、IAの管理その他不測の事態における臨時対応が求められている。

・インターンシップ参加企業からの参加費用の徴収・管理
・IAの募集、管理、謝金払い
・講演会、セミナーの開催
・収支管理
・臨時支援
8.インタラクティブ・インターンシップ研究会/事務局の役割

インタラクティブ・インターンシップ研究会/事務局の役割は、企業、留学生及びIAを支援しつつ全体のコーディネートをしながら運営が円滑に行くように支援することである。具体的には、以下のとおりである。

・インタラクティブ・インターンシップ研究会の運営
・インターンシップ実施運営
・全体の段取り、コーディネート
・各種イベント(ガイダンス及び合同説明会の段取り、実施等)
・企業の募集
・IA支援
・大学との連携
・広報
・IA採用の書類審査及び面談
・マスコミ招待
・IA、留学生及び企業における諸々の問題の解決
9.大学の役割

大学の役割は、留学生、企業の立場に立ち効果的なインターンシップの開発、デザイン及びクオリティーの向上、インタラクティブ・インターンシップ研究会の運営をはかることである。また、大学は、事務局と同様に、インターンシップ実施、運営の全体コーディネートも担う。特に留学生の参加募集、教育、履修手続き等は大学でしかできないことであり、重要な役割の一つである。

・インタラクティブ・インターンシップ研究会の運営
・インターンシップ実施運営
・インタラクティブ・インターンシップの説明のためのセミナー、講演
・企業、留学生へのガイダンス
・留学生の募集
・参加留学生へインターンシップ事前教育(オリエンテーション)
・留学生の履修及び単位取得支援
・留学生相談(進路・就職活動相談等)
・大学の制度に沿った運営を行うこと
・参加企業の募集支援
・セミナーを行い企業の啓発、アドバイス、相談にのること
・IA採用の書類審査及び面談
・イベント(マッチング、ガイダンス、セミナー等に使う教室・場所の予約、管理
第3章 インタラクティブ・インターンシップの実施手順
1.セミナーを開いて参加企業を募集する

夏期インターンシップ:4月~6月(開催時期の一例)
春期インターンシップ:10月~12月(開催時期の一例)

最初にインターンシップ参加企業の募集のためにセミナーが大学で行われる。このセミナーは行政(HICE)や公的、私的各種団体を通して開催される。実例として2020年夏期は浜松経済同友会及びHICEが主催してこのセミナーが行われた。2021年春期は浜松経済同友会、スズキ協力会、静岡ロータリークラブ等が主催してセミナーを行われ、企業が募集された。
これらのセミナーに参加した企業にはインターンシップ未経験や外国人のインターンシップ未経験の企業が多い。そして、これらの企業からはインターンシップを実施したいが受け入れをどうすれば良いのか、プログラムはどう作成すれば良いのか、日本人受け入れの経験はあるが、外国人留学生のインターンシップは未経験でどうすれば良いのかわからない等の声が多い。
そこで、セミナーでは下記のことが説明される。
・外国人留学生の必要性
・外国人留学生受け入れの政府方針
・外国人留学生の現状と実力(就職状況・実力・将来計画等)
・外国人留学生と日本人留学生の違い
・異文化理解の重要性
・インタラクティブ・インターンシップの説明
・インターンシップの体制、進め方の説明
・留学生をうまく活用したインターンシップ・プログラムの例
・成果が上がったインターンシップ事例の紹介
2.企業募集と採択

夏期インターンシップ:6月(開催時期の一例)
春期インターンシップ:12月(開催時期の一例)

上記1.のセミナー後に参加企業に申込書を渡すこととアンケートの実施とが行われる。アンケート結果から参加したい、参加を検討中との回答の企業を中心にメール、電話等で参加の意思決定のためのフォローをしていく。参加する企業の募集は事務局が行うが、時には大学も参加を迷っている企業に直接説明したり説得したりする。夏期インターンシップは参加費が一社当たり8万円、春期インターンシップは10万円であった。参加費は浜松国際交流協会(HICE)に支払われ、そこから主にIAの謝金(プログラム作成から共有会までIAの一連の活動に対する支払い)、インターンシップの諸費用(IA等の事務管理費、ガイダンスやマッチング会の開催、コロナ対策等)に充当される。ちなみに大学や研究会には、企業からの参加費は一切入らない。

(補助金等に頼らない自己完結型ビジネスモデルの構築)
国立大学のプログラムには、文部科学省や自治体からの期限付きの補助金で実施されるものもある。しかしながら、本実施形態のインタラクティブ・インターンシップの大きな特徴は、大学や補助金等で実施することなく、受益者である企業の参加費によって全体の運営が行われるビジネスエコシステムを確立したことである。そのため、本実施形態のインタラクティブ・インターンシップは、補助金が無くなった途端に休止してしまうようなプロジェクトとは一線を画する。以上のとおりであるから、本実施形態のインタラクティブ・インターンシップは、永続的なイベントの運営を行うことができる(図14参照)。

図14(参加費の流れ)の補足
企業→浜松国際交流協会(HICE)→IA謝金、事務管理費、諸開催費用、業務代行者への支払い

本実施形態のインタラクティブ・インターンシップは、ステークホルダーの参加企業、大学、自治体及びIAそれぞれが提供するサービスは受益となって反映されるために、無理がなく継続性を考慮したビジネスモデルとなっている(図15参照)。
なお、事務局、大学は応募した企業の訪問等をして経営者の姿勢や意識をチェックしてからその企業の参加を認めているが、企業規模やファイナンス等での採択基準は定められていない。このようにしても、外国人の採用意欲、心構えや受け入れ体制については今のところ問題がない。このようにしている理由は、募集対象を無差別に採択しているわけではなく、これらの企業は経済同友会やメーカー会等しっかりとした組織の会員対象となっているためである。
3.インターンシップ・アドバイザー(IA)の募集と面接採用

夏期インターンシップ:6月(開催時期の一例)
春期インターンシップ:12月(開催時期の一例)

企業の募集と同時にIAの募集も始められる。募集はインターンシップ毎に行われる。
募集は事務局を経由してHICEで行われ、書類審査及び面談が行われて、採用が決まる。毎回、20~30人の応募者の中から書類審査において参加企業数+数人に絞られ、面接が行われて、最終的に採用が決まる。審査のポイントは、前述のIAの役割を担うことができるかどうかである。研究会では、企業経験者でどちらかというと企業目線の「実務タイプ」と、外国人支援に携わった外国人留学生目線の「ケアタイプ」とを中心に採用している。IAは、外国人留学生と企業との間で両者にフェアな立場が取れることや両者に寄り添えることができる者が望ましい。これまでの採用者は、結果的に女性が多くなっている。なお、最終的な採用人数は参加企業数と合わせられる。
4.留学生ガイダンス(大学)

夏期インターンシップ:6月(開催時期の一例)
春期インターンシップ:12月(開催時期の一例)

大学では、留学生に春夏の各インターンシップについてメール、ポスター、ホームページ等が告知される。その後、参加希望者にガイダンスを行う(図16参照(大学にて行われる留学生ガイダンスの様子))。
ガイダンスでは、以下の点が説明される。
・日本の就職状況(例えば、コロナ禍による厳しい採用状況)の説明による理解
・日本企業について
・大企業と中小企業との比較
・応募する企業の決め方
・日本企業が求める留学生像
・インターンシップの説明(日時、場所、要領、参加企業等)
・インターンシップ先の見つけ方
・満足の行くインターンシップの受け方
・インターンシップで留学生が必要なこと(マナー、服装、メモ、挨拶等)
・また、採用が決まった留学生には2回目のガイダンスを行う。
・インターンシップの目的とゴールを明確化させる。
・満足の行くインターンシップの受け方の説明
・日本の企業文化の特徴
・インターンシップで注意する点
5.インターンシップ・アドバイザー(IA)ガイダンス

夏期インターンシップ:7月(開催時期の一例)
春期インターンシップ:12月(開催時期の一例)

IAの採用が決まると、研究会によりIAを集めてのガイダンスが行われる。

ガイダンスでは、以下の説明が行われる。
A.外国人留学生についての説明
B.インタラクティブ・インターンシップの概要
C.インターンシップの進め方とIAの役割
D.IAの心構え

なお、IAの業務については、前述の「第2章 効果的なインターンシップをするために必要なことは」、「6.インタラクティブ・インターンシップ成功のかなめ(インターンシップ・アドバイザー(IA)の役割)」の説明を参照されたい。

IAは、元々外国人への日本語教育の経験者、外国人支援の経験者等であり、基本的に外国人留学生に対して理解力を有し、その姿勢はポジティブである。インターンシップへの参加企業の多くは、インターンシップ自体の経験が少ない(又はない)。そのため、参加企業に対してIAがインターンシップの進め方を丁寧にガイドする。初参加のIAには研究会が指導する。

2020年度夏期インターンシップに参加したIA(計9名)
2020年度春期インターンシップに参加したIA(計6名)

研究会は、例えば、インターネット上の共有ファイルにスプレッドシートを作成し、各IAに進捗状況を記入させて、進捗をモニタリングするようにしている(図17及び図18参照)。
6.企業ガイダンス

夏期インターンシップ:7月(開催時期の一例)
春期インターンシップ:12月(開催時期の一例)

企業ガイダンスでは、インターンシップへの参加企業に対してガイダンスが行われる。ガイダンスは、下記段取りに従い、大学で行われる。
A.セミナー
B.インターンシップ実施要領の説明(日程及び段取り)
C.IAの紹介

過去の参加企業は、17社である。

・2019年度春期参加企業(2社)
遠州鉄道(浜松)
ソミック石川(浜松)

・2020年度夏期参加企業(計9社 浜松8社、静岡1社)
遠州信用金庫(浜松)
三栄ハイテックス(株)(浜松)
(株)システック(浜松)
(株)不二(浜松)
カツヤマファインテック(株)(浜松)
(株)ソミック石川(浜松)
(株)浜名湖国際頭脳センター(浜松)
エグジーテック(株)(浜松)
鈴与(株)(静岡)

・2020年度春期参加企業(計6社)
三恵(株)(浜松)
(株)カタナコーポレーション(浜松)
小松工業(株)(浜松)
(株)エヌエスティー(浜松)
ソミック石川(株)(浜松)
浜名部品工業(株)(浜松)

(1)ガイダンスでの説明
ガイダンスでは、一例として、以下の内容が説明される。
・外国人留学生の必要性
・外国人留学生の現状と実力(就職状況・実力・将来計画等)
・外国人留学生と日本人留学生の違い
・静岡大学の留学生の特徴と能力の説明
・異文化理解の重要性
・インタラクティブ・インターンシップの説明
・インターンシップ・プログラムの作成例
・成果が上がったインターンシップ事例の紹介

(2)インターンシップ実施要領の説明(日程、段取り)
事務局より留学生とのマッチング、採用の段取り、インターンシップ要領等の説明が行われる。

(3)IAの紹介
事務局は、各IAの略歴(職歴、経験、留学生支援の実績等)や特徴(英語力、IA経験等)を紹介する。IAと各企業とが顔合わせを行い、自己紹介と初回の詳細打ち合わせの日程を決める。なお、IA初採用の企業においては、できる限り事務局が初回打ち合わせに同行してサポートを行う。
また、事務局は、各IAに企業に渡す名刺を用意する。
なお、企業とIAとの間では、守秘契約を結ぶことが望ましい。
7.合同説明会&マッチング会

夏期インターンシップ:8月(開催時期の一例)
春期インターンシップ:1月(開催時期の一例)

夏期インターンシップは外国人留学生の前期授業が終了した直後、春期インターンシップは冬休み(正月後)の終了直後に行われる。学生は2週間のインターンシップを授業期間中に行うのは難しく、学生がインターンシップに集中して行えるのはこれらの期間に限られる。なお、春期インターンシップは全体の就職説明会解禁である3月に重なり、人事総務は多忙を極め参加企業の数は限られる。ここで、図19は、2021年春期インタラクティブ・インターンシップの合同説明会チラシである。
企業説明会は、一例として、静岡大学浜松キャンパスで行われる。2020年度はコロナ禍ではあったが、感染対策が十分に行われたうえで、対面での説明会及びマッチングが実施されている。
各参加企業は留学生を前に1社ずつステージで会社紹介を行う。持ち時間は5分~10分で、各参加企業は日本語でのプレゼンテーション又はIAのサポートによる英語での通訳を介したプレゼンテーションを行うことができる。基本的に、IAの業務には通訳は含まれておらずオプションとされているが、IAが通訳を行うか否かについてはIAと企業との話し合いによる。各企業は、パソコンの画面を会場のスクリーンに映し出して説明するだけでなく、時間内であれば、実際の製品、商品、生産品等を展示して説明してもよい。

会社紹介で重要なことは、企業説明だけでなく、インターンシップ・プログラムを説明することである。そのために(各企業はIAとともに)2週間のプログラムを作成しておくことが必要である。インターンシップでどのようなことを行うか、どのような留学生を受け入れたいのか等を会社紹介の中で説明する。ある程度受け入れたい留学生像を明確にしておいて説明会では具体的にアナウンスする。具体的なアナウンスの例としては、インドネシアに工場があり、将来は管理者として派遣したいので、インターンシップではインドネシアの留学生を採用したいとか、日本国内の顧客にDXを導入したいので、日本語ができ、かつ、専門性がある情報学部の大学院生を即戦力として採用したいなどである。
全社がそれぞれの会社紹介を終わると、次に参加者は大会議室に移動する。
説明会では、学生は参加人数をベースに参加登録者で来た者順に1組~3組程度に分けられる。最初の1組は会社説明会及びマッチング会の登録者で優先的に前から順に並ぶ。登録していない学生は、登録者の席以降に並ぶ。会社説明会の後に留学生は1組から順にマッチングを行う。残りの2組、3組は待機する。待機中、大学からは就職のことや仕事についてのレクチャーが行われる。
大会議室では参加企業毎にブースが作られ、2名~3名毎に留学生を招いて対面での面接が行われる。1クールは30分で、1ブースでの面談は10分である。各留学生は3社の面談を受けることができる(10分×3社)。既に各企業の会社説明は行われているので、各ブースでの面談では、各企業は留学生からの質問を受けたり、学生に希望や選考を尋ねたりする場合がある。日本語があまり得意でない学生の面談にはIAが面談の支援を行う場合がある。これも事前に企業と話をしておいた方が良い。ここで、図20は、ある企業のブースで行われた面接時の写真である。この面接では、企業は、実際の取り扱い製品をブースに持ち込んで面談を行っており、IAが面談を支援している。実際に製品を会場に持ち込んで説明をおこなうと留学生は理解し易くなるため、留学生の応募が増える。
なお、留学生はその企業が気に入れば面談前に記載したエントリーシートをその企業に提出する。そうすると10分の面談の時間内で時間が無くなって書けないといった問題は多少解消される。1クール30分のうちの最初の面談10分が終わると、留学生は別のブースに移り別の企業と10分の面談を行う。時にブースに入れずあぶれる留学生が出てくるが、その時はIAが自分の担当企業が空いていれば学生を誘導することも必要である。そして、3回目のブースチェンジが行われると、その組の面談は終了となる。留学生は解散し、2組目の留学生達が大会議室に入ってきて3回のブースチェンジで面談を行う。2組目のクールが終わり30分経過すると、休憩をはさんで3組目が大会議室に入ってきて 3回の面談を各ブースで行う。

最後に研究会事務局は、Google form を用意しておいて留学生に出口アンケートを行う。
アンケートの内容は、以下のとおりである。
・基本情報:名前、学部、学科、学年、キャンパス
・応募したい企業を3社選ぶ
・コメント、質問等
これは1企業に応募が集中したり、偏ったりしないように、後で研究会事務局が調整する場合や本人に確認したりするためのものである。各企業及び各留学生の両者にとってバランスよくチャンスが訪れるようにする狙いもある。
8.応募(エントリーシート)と書類選考

夏期インターンシップ:8月(開催時期の一例)
春期インターンシップ:1月(開催時期の一例)

応募用紙(エントリーシート)には、特に定形のものはない。各企業のものがあればそれを使用することができる。なお、大学では留学生にはできるだけ日本語でエントリーシートを記載するように指導している。英語で記載してもよいが、できれば(主)日本語、(従)英語が望ましい。
9.採用面接(対面・オンライン)

夏期インターンシップ:8月(開催時期の一例)
春期インターンシップ:1月(開催時期の一例)

留学生の応募(エントリーシートの提出)から次の面談に進む。エントリーシートの内容確認を面談で行う。面談はコロナ禍においてはオンラインで行うことを推奨している。日本語でも英語でも企業の都合でよい。IAも留学生をサポートするうえで企業に特別の事情がない限り参加をする。
面談ではエントリーシートの記載内容について留学生に確認したり、住まいや宗教等について事務的なことを聞いたりしてもよい。特にインドネシア、インド、バングラデッシュ系の留学生であってイスラム教を信仰している場合、祈祷の場所や食事(ハラール)等に気を付けることが重要である。
10.インターンシップ事前面談

夏期インターンシップ:8月(開催時期の一例)
春期インターンシップ:1月(開催時期の一例)

研究会では留学生及び企業の双方のインターンシップの目的とゴールを確認するために採用面談とは別に直前の事前面談を推奨している。先に書いたが企業は求める留学生像を明確にして、インターンシップでどこまでを求めるのか、何を見極めるのかをはっきりさせておく。そのうえで事前面談をして目的とゴールを双方で確認し合い、IAも事前面談に参加して双方の理解が進み、目的とゴールができるだけ一致するように図ることが重要である。
11.事前準備

夏期インターンシップ:8月(開催時期の一例)
春期インターンシップ:1月(開催時期の一例)

(1)大学手続
静岡大学では、留学生にインターンシップ届を大学に提出させることになっている。手続は2021年4月よりQRコード(登録商標)から登録することとなっている。
A.学務情報システムにログインする。
B.キャンパスライフ→申請受付を開く。
C.該当する項目を開き、情報を入力する。

(2)インターンシップのための障害保険加入の確認
インターンシップには保険の加入が必要であり、留学生は保険に加入済みであることを大学に連絡することになっている。静岡大学の場合は基本入学時に全員が3種類の保険に加入することになっており、また自動更新となっているが、中には途中で解約したりする留学生もいるので確認が必要である。確認は保険証のコピーや領収書の提出で行っている。また、既卒の留学生の場合は大学の保険が切れているので、インターンシップ中に企業が留学生もカバーする保険に入ることを推奨している。通勤での事故やインターンシップ中の怪我、企業の施設やツールの破損等万一の事故をカバーするためである。
・学研災付帯賠償責任保険(学研賠)
・学生賠償責任保険(学賠)
・学生教育研究災害傷害保険(学研災)

インターンシップで第三者に対する補償は学研災付帯賠償責任保険(学研賠)でカバーされるので必ずインターンシップ前に留学生に確認をすることが望ましい。

(3)守秘契約(NDA)
企業によっては守秘契約の締結が必要である場合がある。インターンシップでは企業秘密に属する情報に触れる場合があることから、企業によっては留学生と守秘契約を締結する。内容は簡単なもので十分である。基本的に、企業側で用意することを推奨しているが、必要であれば研究会でそのひな形を提供している。

(4)個人情報取り扱い同意書
インタラクティブ・インターンシップ研究会ではIA及びその関係者に個人情報取り扱いについて同意を求めている。特に留学生及び企業の情報管理には注意を払って運営している。

12.インターンシップの実施

夏期インターンシップ:8月~9月の間の2週間(開催時期の一例)
春期インターンシップ:2月~3月の間の2週間(開催時期の一例)

インタラクティブ・インターンシップは最低2週間(実質10日間)ほど行われる。場合によっては企業と留学生とが合意すれば2週間を超えても構わない。その時間は10:00~15:00が多いが、企業と留学生の都合により変更してもよい。

(1)対面、オンライン
基本的には対面を推奨しているがコロナ禍の中で企業によってはオンラインもある。対面とオンラインとのハイブリッド型も可能であるが、静岡大学ではオンラインの場合は単位を出さない。日本人と違い留学生は日本企業の文化や働くところを見ることも重要であり、それはオンラインでは感じることができないからである。留学生は出社してスタッフの動きを見たり、肌で雰囲気を感じたり、昼休み食事時の雑談から感じ取ったりすることもあるからである。ある留学生は始業時間ギリギリに出社したら、既にほとんどのスタッフが机に座っているのを見て肩身の狭い思いをしたり、また終業時間が過ぎたのにまだ多くのスタッフが仕事をしていたりすることに自国とは違ったものを感じたとも言っていた。こういった体験が就職後の違和感等を減少させる。

(2)通勤
通勤においては、留学生はそのインターン先の企業の最寄り駅まで交通機関を使って行い、そこから必要であれば企業が自動車等を用意する。研究会では交通費は企業に負担をしてもらうことを推奨している。静岡キャンパスの留学生は浜松の企業のインターンシップに参加するために浜松の友人宅に泊まって参加した例もあり、また企業によっては特別に寮を準備した例もある。企業に負担がでてくるが、両者でよく話し合い適切な方法をとることが好ましい。

(3)昼休み、食事
昼休みの食事は、その企業の食堂で提供される飲食物をスタッフと一緒に取ってもよいし、弁当を持参させてもよい。特にイスラム教の留学生はハラール食しか食べられないこともあり、企業の食堂で特に対応していない場合は弁当を持参させてよい。

(4)服装
大学ではガイダンスで服装や清潔感等の身だしなみについても指導する。春期インターンシップでは男性も女性もスーツを着るように指導している。また夏期インタラクティブでは男性は上着無し、ネクタイ着用、女性はジーンズや半ズボン、サンダル等のカジュアルな服装、露出の高い服やミニスカートはNGと指導しているが、最終的には企業との話し合いで決めてもらっている。IAは留学生の相談に乗りサポートすることが望まれる。

(5)挨拶
インターンシップ中は、特に挨拶が重要である。挨拶は自分からするように指導している。「おはようございます」、「よろしくお願いします」、「ありがとうございました」、「お疲れ様です」、「申し訳ありません」、「お先に失礼します」等。
特に「申し訳ありません」は海外では謝辞であり留学生はなかなか言いにくいが、日本では会話の潤滑油であることを教えている。

(6)自己紹介
留学生が、企業出社初日に企業スタッフの前で、日本語で1分~2分ほど自己紹介ができるように準備、指導する。

(7)メモの重要性
最近の大学生は日本人学生も含めてメモを取らない。留学生には、メモは忘れないよう備えるだけでなく、相手の話をじっくり聞いているという姿勢を表すことを教える。

(8)時間厳守
日本社会では時間厳守は極めて重要であることを指導する。世界では亜流、時に発展途上国、南国では時間に対して神経質ではない。

(9)ホウレンソウ(報告、連絡、相談)
留学生は、日本ではチームワークで仕事をするうえで重要であることを留学生オリエンテーションで教わる。インターンシップ実施中に企業からも教育が必要である。
13.インターンシップ初日の導入研修

夏期インターンシップ:インターンシップ実施初日又はそれ以前に最低2時間
春期インターンシップ:インターンシップ実施初日又はそれ以前に最低2時間

この導入研修には、企業のインターンシップ現場担当者、総務人事、経営者管理者、IA、事務局、大学企業から最低20名の参加が望ましい。
この導入研修にはゲームも含まれるので、この導入研修を行う場所としては人の移動もあるので広い場所が望ましい。図21は、ある企業での導入研修時の写真である。

準備:研修用プロジェクター、ゲーム用白板、マイク(新型コロナウイルス感染対策)

導入研修のタイムスケジュール
10:00-11:15 異文化理解ゲーム
11:15-11:20 休憩、レクチャー準備
11:20-12:00 導入レクチャー

研究会では、インターンシップ初日又は前日までに企業スタッフのための導入研修を行っている。導入研修では異文化理解ゲームと事前レクチャーを行っている。
異文化理解ゲームでは、企業担当者を中心に、総務人事、経営者、管理者にも参加を呼びかかけている。研究会では最低20人の参加をお願いしている。前述しているが、ゲームを体験することにより異文化体験をしてもらい、インターンシップでの外国人留学生の受け入れの意識をもってもらいためである。また異文化理解ゲームの後に企業担当者に外国人留学生を扱うために事前に気を付けてもらいたいことを40分程度レクチャーしている。導入研修は企業の負担も考えて2時間で完結するようにしている。なお異文化理解ゲームを体験している人、内容を知っている人はゲームに参加できない。ゲームは体験することにより気付きが起こるからである。
14.日誌を書かせる

夏期インターンシップ:インターンシップ実施期間中の毎日
春期インターンシップ:インターンシップ実施期間中の毎日

留学生は毎日のインターンシップ後に日誌を書くことを義務付けられている。日誌は毎日研修後に書いてもよいし、留学生が自宅に帰ってから書かせてもよい。企業担当者は翌日の研修開始前に日誌を読んでコメントを書く。そして気付いたこと等あれば留学生に確認したり意見交換をして、その日の研修を改善したりする。
留学生のインターンシップでの日誌は重要である。一般的に留学生は遠慮がちで理解できないことや不満があってもなかなか言わない。担当者はできるだけ日誌を注意深く読み、何か理解できないことや不満の兆候があれば留学生に確認した方がよい。また日誌はパソコンで記入するとIAもメールで転送を受けて何か気付くこともあるかもしれない。そのような場合、IAが留学生に確認したり、企業に問い合わせたりすることで問題が大きくなる前に解消できることがある。企業の中にはクラウドツールを使い関係者全員がモニタリングできるようにしているところもある。
15.インターンシップ中の想定外の出来事

IA及び企業は留学生の通勤、研修中の事故、病気、想定外の出来事が発生した場合は連絡を取り合って速やかに対処する。また、IAは事務局に電話で報告、留学生が在学生であれば大学、生協(傷害、損害保険代理店)にも一報する。対応後、IAは報告書を事務局に提出する。
特に新型又は変異型コロナ感染防止には十分気を配り、インターンシップ実施中は毎日の検温と報告、密を避けて研修を行うことが望まれる。幸いにもこれまでの企業、IA及び留学生の協力により過去に感染者は出ていない。
16.中間発表会

・時期:インターンシップ5日目(開始週の最後の日)に1時間程度
・参加者:企業のインターンシップ現場担当者、総務人事、IA、事務局、留学生
・内容:最初の1週間のレビュー

・留学生:1週間の感想(理解できた点、理解できなかった点、満足の点、不満な点、不便な点(研修内容だけでなく通勤、食事等も含む))、目的とゴールの確認
・企業:1週間の感想(理解できた点、理解できなかった点、満足の点、不満な点不便な点(研修内容だけでなく通勤、食事等も含む))、目的とゴールの確認
・IA:MC役を担う。事前に留学生の日誌に目を通して課題等がないか確認しておく。また可能な限り事前に留学生と企業に一週間の様子、問題点、不満等を聞き出しておくことが望まれる。

インタラクティブ・インターンシップの中で中間報告会はある意味最も重要なイベントとして位置づけられる。最初の1週間はプログラムに沿ってインターンシップを進めるが、進めるにつれて留学生、企業のどちらかが不満や違和感を持つ場合がある。留学生及び企業の双方が合意して始めたものの、実際やってみないことにはわからない部分がある。中間報告会では、プログラムが企業から留学生へインプットするだけの一方通行になっていないか、それで留学生は不満をもっていないか、更に、企業担当者は留学生に不満をもってないか、研修の姿勢、遅刻、挨拶、返事、服装、メモ取り、リアクション等をレビューする。
留学生は、日本人との文化や習慣の違いから、時間管理や服装等が日本の常識と違い、また留学生本人も理解していないことがある。頭でわかっていながら不満が積もると人間関係に影響を及ぼすものである。そういった元凶はなるべく早めに取り除くことが重要である。
図22は、ある企業で行われた中間報告会の写真である。
17.最終発表会

・時期:インターンシップ最終日1時間~2時間程度(留学生の人数による)
・参加者:企業のトップ、経営者、インターンシップ現場担当者、総務人事、その他企業スタッフ、IA、大学、事務局、留学生
・内容:留学生によるパワーポイントを使った発表(インターンシップ2週間の成果と振りかえり、目的とゴールの達成度合い、今後の希望と課題等を説明)
なお、資料は日本語が基本であるが、日本語が不得手の留学生はプレゼンを英語で行うことも可能とする。ケースによってはIAが合意すれば通訳も可能とする。
・企業:発表会のMCを行う。発表の準備、会場、プロジェクター&スクリーン
・IA:事前に留学生の発表内容についてアドバイスしておく。また、プレゼン資料の日本語が不自然でないか等も可能な限り事前チェックしておく。
・大学:企業に対してインターンシップ実施の感謝を伝え、発表に対する講評及びインターンシップ全体の感想を説明する。

(インターンシップ終了後に面接)
当日スケジュール 例、留学生2名の場合
10:00-10:10 インターンシップ概要説明(どんなことをやったか、スケジュール)
10:10-10:50 留学生プレゼン 各プレゼン後に質疑応答
10:50-11:10 大学、事務局及びIAから感想、講評、企業への感謝
11:10-11:15 企業トップ、経営者、管理職から総評
11:15-11:30 記念撮影と修了証授与
11:30-12:00 企業、留学生で面談

最終発表会はインタラクティブ・インターンシップの最後のビッグイベントである。できるだけ多くの企業スタッフに参加していただくようにしている。
留学生は当日までに発表資料を日本語で作成してIAにその表現等に問題ないかチェックを依頼しておく。発表資料の内容はインターンシップ2週間の成果と振りかえり、当初の目的とゴールが達成できたか、ビジネスマナーや日本企業の仕事の仕方、仕事に対する取り組み方等がわかったか、また今後の希望と課題(企業、留学生自身、インターンシップ等)、企業への提案等を盛り込むようにする。
留学生の発表及び質疑応答の後は、大学、事務局、IA関係者から感想、講評と企業への感謝を述べ、最後に企業トップ、経営者、管理職から総評をもらう。そして、最後に留学生に対して企業から修了証を授与する(図23の最終報告会後の終了証授与式の写真を参照)。修了証の形式は特にこだわらない。企業体験が初めての留学生にとっては、企業から修了証をもらうことは非常に満足感を得て、企業に対して感謝の気持ちを持つことになるので積極的に導入してほしい。
なお、最後に全員で記念撮影を行い研修での苦労を労い、達成感をもつことが重要である。
18.留学生と修了面談

・時期:最終報告会直後
・対象:企業インターンシップ担当者、経営者及び管理者、留学生並びにIA

最終報告会の後に、企業及び留学生に対してそれぞれ個別に面談を行う。企業の希望があれば大学、事務局、IAも加わる。インターンシップの感想(大勢がいる発表会とは違い細かく聞く)、インターンシップを続けるか(ステップアップ・インターンシップを行うか)、アルバイトをするか、入社意思があるか等を尋ねる。
事務局は企業と連絡をとり、面談後のフォローをしていく。採用の場合はビザの確認と変更、ステップアップ・インターンシップやアルバイトなら進め方の相談等の話をする。
19.アンケート調査

・時期:インターンシップ終了直後
・対象:企業インターンシップ担当者及び管理者、留学生並びにIA(Google form形式)
事務局は、インターンシップ終了後できるだけ早く企業の担当者及び管理者、留学生全員、IA全員にアンケートを行う。アンケート調査の結果は、事務局及び大学が分析して、研究会共有会にて報告をして次に活かすようにする。
20.研究会のインターンシップノウハウ共有会

・時期:全インターンシップ終了後できるだけ速やかに行う。
・場所:大学

2020年夏期インターン:10月、2021年春期インターン:4月
約2時間程度
参加:各企業、HICE、経済同友会、IA、大学及び事務局

インターンシップ終了後できるだけ早い時期に企業に集まってもらい、インターンシップの概要説明、成果等の発表を行う。各企業が10分程度にそれぞれのインターンシップについてプログラム、実施状況、成果、課題点等を発表して研究会メンバーで共有する。

例)2021年春期インタラクティブ・インターンシップ共有会 式次第
15:00~主催者ご挨拶
浜松国際交流協会(HICE) 業務執行理事
事務局より本日の進行案内(事務局)

15:05~16:05(60分) 各社ご報告(共有) 6社参加
16:05~16:10(5分) 休憩
16:10~16:30(20分)アンケート結果報告・今後の工夫点インターンシップ研究会 事務局
16:30~17:00(30分)総評・ディスカッション静岡大学 藤巻教授(本願の発明者)
17:00 閉会
21.ステップアップ・インターンシップ

・時期:2週間のインタラクティブ・インターンシップ後
・参加:企業、留学生、事務局、大学

ステップアップ・インターンシップとは、2週間のインターンシップ後に更に延長して採用を前提に、採用までの繋ぎとしてインターンシップを継続するものである。特に期間、内容、プログラムに決まったものはなく、各企業が目的に沿って実施する。例えば、2週間のインターンシップ後に企業が採用したいと目を付けた留学生を、その能力等をもう少し見極めたいときに行う。例えば、企業が念頭にある留学生に、ある課題を与え3か月間隔週に1回(ステップアップ・インターンシップは休暇外の学期中に行うので授業を考えて週1回又は隔週1日程度が望ましい)通勤させてインターンシップを行う。留学生も更に企業のことや仕事について学びたいときには企業に申し出て双方が合意すればステップアップ・インターンシップに移行する。なお、コロナ禍で留学生がアルバイト等できず生活が苦しい等の場合には、企業には有償のインターンシップ又はアルバイトをお願いしている。実際にステップアップ・インターンシップ後に採用が決まるケースも増えている。
以上が、本実施形態のインタラクティブ・インターンシッププラットフォームIPについての概要である。
≪インタラクティブ・インターンシップシステム及びコンピュータ・プログラム≫
次に、本実施形態のインタラクティブ・インターンシップシステムIS及びコンピュータ・プログラムCPについて図面を参照しながら説明する。まず、インタラクティブ・インターンシップシステムISの構成及び機能並びにコンピュータ・プログラムCPの機能について説明し、次いで、これらによる作用効果について説明する。
<インタラクティブ・インターンシップシステムの構成及び機能>
インタラクティブ・インターンシップシステムISは、図24及び図25に示されるように、サーバー10と、複数の情報機器20(情報機器20A及び情報機器20Bを含む。)と、通信ネットワーク30とを備えている。ここで、サーバー10は、コンピュータの一例である。また、サーバー10、複数の情報機器20及び通信ネットワーク30の組み合わせは、コンピュータの他の一例である。
本実施形態のインタラクティブ・インターンシップは、以下の(1)~(10)の工程を含む。
(1)少なくとも一名の技術系の講座を専攻する留学生Sの採用を希望する複数の企業Cにセミナーを行う工程(図1BのStep1参照)
(2)少なくとも一社以上の企業Cのうちの一部又は全部のうちからインタラクティブ・インターンシップに参加する複数の企業Cを確定する工程(図1BのStep2参照)
(3)複数のインターンシップ・アドバイザーIAを募集してインタラクティブ・インターンシップに参加する前記複数のインターンシップ・アドバイザーを確定する工程(図1BのStep3参照)
(4)前記インタラクティブ・インターンシップに参加を希望する、複数の企業C、複数のインターンシップ・アドバイザーIA及び複数の留学生Cにガイダンスを行う工程(図1BのStep4参照)
(5)留学生紹介動画及び企業紹介動画並びに非動画情報を作成して保存部に保存する工程(図1CのStep5参照)
(6)複数の留学生Sと複数の企業Cとのマッチング情報を作成する工程(図1CのStep6参照)
(7)複数の企業C毎のカリキュラムを作成する工程(図1CのStep6参照)
(8)インタラクティブ・インターンシップに参加する複数の企業Cのいずれか一社に対してインターンを希望する留学生Sの当該一社への面接を行う工程(図1DのStep9参照)
(9)カリキュラムを利用してインターンを実施する工程(図1DのStep10、11等参照)
(10)インターンの終了後に、当該インターンに参加した留学生S、当該留学生Sがインターンした企業Cの当該留学生Sの管理者CO、インタラクティブ・インターンシップシステム管理者、及び、当該留学生Sを支援したインターンシップ・アドバイザーIAの各インターンレポートを評価する工程(図1DのStep12等参照)
サーバー10と、複数の情報機器20とは、通信ネットワーク30を介して双方に情報通信が可能に構成されている。通信ネットワーク30の一例は、インターネットである。
インタラクティブ・インターンシップシステムISは、技術系の講座を専攻する複数の留学生Sと、少なくとも一名の技術系の講座を専攻する留学生の採用を希望する複数の企業C(図24の符号COは、ある企業Cの社員を意味する。)とのインタラクティブ・インターンシップを実現するためのものである。
サーバー10は、図24及び図25に示されるように、保存部12と、記録部14と、提供部16と、提案部18とを備えている。以下、これらの構成要素について説明する。
(保存部及び記録部)
保存部12は、複数の留学生Sのそれぞれの留学生紹介動画及び複数の企業Cのそれぞれの企業紹介動画(図13参照)を保存する機能を有する。保存部12に保存されているこれらの動画、後述する非動画情報及びカリキュラムは、サーバー10からインターネットを経由して、複数の情報機器20から閲覧可能とされている。本実施形態では、一例として、これらの情報は、アプリケーション(図示省略)を介して、複数の情報機器20から閲覧可能となっている。
記録部14は、複数の企業Cによる留学生紹介動画及び複数の留学生Sによる企業紹介動画の再生情報を保存部に記録させる機能を有する。
なお、保存部12には、本実施形態のインタラクティブ・インターンシップを実現するためのコンピュータ・プログラムCPが収容されている。
また、保存部12には、少なくとも、複数の留学生Sのそれぞれの取得技術情報、希望企業像情報及び日本語理解情報、並びに、複数の企業Cのそれぞれの技術情報、希望留学生情報及び過去の留学生採用情報を含む非動画情報が保存されるようになっている。
ここで、「取得技術情報」とは、その留学生Sが過去に取得した技術の情報である。本実施形態では、例えば、定められたフォーマットに従い、取得技術のカテゴリー、取得技術の取得レベル、取得技術に関する大学での成績その他の情報が整理された情報を意味する。「希望企業像情報」とは、例えば、その留学生Sがインターンを希望する企業像に関する情報であって、その留学生Sが取り組んでみたいテーマが実現できる企業像を意味する。「日本語理解情報」とは、その留学生Sの日本語の理解力を示す情報を意味する。企業Cの「技術情報」とは、その企業Cが取り扱っている技術の情報を意味する。「希望留学生情報」とは、その企業Cがインターン又は採用を希望する、留学生Sに対して求める希望像に関する情報を意味する。「留学生採用情報」とは、その企業Cが過去に採用した留学生に関する情報を意味し、過去に採用した留学生Sの取得技術情報、希望企業像情報及び日本語理解情報を含む情報を意味する。
なお、非動画情報には、複数の留学生Sのそれぞれがインターネットを介して閲覧した、複数の企業Cの各ウェブサイトの各ページの閲覧情報を含む。
保存部12には、複数の企業C毎のカリキュラムの実施をする際に、複数の留学生Sのそれぞれと、複数の企業Cのそれぞれとの相互のコミュニケーションの支援を行う複数のインターンシップ・アドバイザーIAのそれぞれの外国語理解情報、外国滞在経験情報、技術的知識情報、企業経験情報及びインターンシップ・アドバイザー経験情報のうちの少なくとも一つの情報を含むアドバイザー情報が保存されている。
非動画情報は、過去のインタラクティブ・インターンシップISに参加した留学生S、当該留学生Sがインターンした企業Cにおける当該留学生Sの管理者CO、インタラクティブ・インターンシップシステム管理者(図示省略)、及び、当該留学生Sを支援したインターンシップ・アドバイザーIAのうちの少なくとも一名のインターンレポートを含む。ここで、インタラクティブ・インターンシップシステム管理者は、インタラクティブ・インターンシップISを主宰する事務局を意味する。
非動画情報は、過去のインタラクティブ・インターンシップISに参加して採用された留学生Sの在籍期間、並びに、当該留学生S、当該留学生Sが勤務した企業Cにおける当該留学生Sの管理者CO、インタラクティブ・インターンシップシステム管理者(図示省略)、及び、当該留学生Sを支援したインターンシップ・アドバイザーIAのうちの少なくとも一名の勤務レポートを含む。
(提供部16)
次に、提供部16について説明する。
提供部16は、記録部14によって保存部12に保存された、複数の企業Cによる留学生紹介動画及び複数の留学生Cによる企業紹介動画の再生情報に基づいて、複数の留学生Sと、複数の企業Cとのマッチング情報を提供する機能を有する。そして、提供部16によって提供されたマッチング情報は、インタラクティブ・インターンシップを実現するための複数の留学生Sの少なくとも一名に対する複数の企業C毎のカリキュラムの作成に利用される。
ここで、「マッチング情報」は、(1)再生情報から得られる、(1A)複数の企業Cによる留学生紹介動画の再生回数、及び、(1B)複数の留学生Sによる企業紹介動画の再生回数、並びに、(2)保存部12に保存されている非動画情報から得られる、(2A)複数の留学生Sのそれぞれの取得技術情報と複数の企業Cのそれぞれの技術情報との技術的親和度、及び、(2B)複数の留学生Sのそれぞれの希望企業像情報と複数の企業Cのそれぞれの希望留学生情報との相互希望親和度を含む。
また、「マッチング情報」は、更に、非動画情報に含まれる、複数の留学生Sのそれぞれがインターネットを介して閲覧した、複数の企業Cの各ウェブサイトの各ページの閲覧情報から得られる、複数の留学生Sによる興味技術情報を含んでもよい。ここで、「興味技術情報」とは、各留学生Sの企業Cの各ページの閲覧回数、閲覧時間から予想される興味度を定量化したものである。
さらに、提供部16は、複数の企業Cによる留学生紹介動画及び複数の留学生Cによる企業紹介動画の再生情報に基づいてのみでなく、例えば、更に以下の情報に基づいて、複数の留学生Sと、複数の企業Cとのマッチング情報を提供してもよい。
例えば、提供部16は、再生情報に加え、更に保存部12に保存されている非動画情報に基づいて、マッチング情報を提供してもよい。また、例えば、提供部16は、再生情報に加え、更に保存部12に保存されている非動画情報に基づいて、マッチング情報を提供してもよい。
(提案部18)
次に、提案部18について説明する。
提案部18は、保存部12に保存されているマッチング情報に基づいて、各留学生Sに対する複数の企業C毎のカリキュラム(図12参照)を提案する機能を有する。この場合、提案部18は、複数の企業Cによる留学生紹介動画及び複数の留学生Cによる企業紹介動画の再生情報に基づくマッチング情報のみでなく、例えば、更に以下のマッチング情報に基づいて、カリキュラムを提供してもよい。
例えば、提案部18は、再生情報から得られるマッチング情報に基づいてのみでなく、前述のアドバイザー情報に基づいて、各留学生Sに対する複数の企業C毎のカリキュラムを提案してもよい。また、例えば、提案部18は、前述のアドバイザー情報に基づいてのみでなく、更に前述のインターンレポートに基づいて、前記カリキュラムを提案する各留学生Sに対する複数の企業C毎のカリキュラムを提案してもよい。また、例えば、提案部18は、前述のインターンレポートに基づいてのみでなく、更に前述の勤務レポートに基づいて、前記カリキュラムを提案する各留学生Sに対する複数の企業C毎のカリキュラムを提案してもよい。
<コンピュータ・プログラムの機能>
次に、本実施形態のコンピュータ・プログラムCPについて説明する。コンピュータ・プログラムCPは、コンピュータに、前述のインタラクティブ・インターンシップシステムISを実現させるためのものである。そのため、コンピュータ・プログラムCPは、そのアルゴリズムにより、保存部12に保存されている情報を用いて、以下の機能を実現させる機能を有する。
(保存機能)
コンピュータ・プログラムCPは、コンピュータを用いて、前述のアプリケーションを介して各情報機器20で閲覧可能とされる、留学生紹介動画及び企業紹介動画を保存する機能(保存機能)を実現させるようになっている。
(記録機能)
また、コンピュータ・プログラムCPは、コンピュータを用いて、複数の企業CPによる留学生紹介動画及び複数の留学生Sによる企業紹介動画の再生情報を保存部12に記録させる機能(記録機能)を実現させるようになっている。
(提供機能)
また、コンピュータ・プログラムCPは、コンピュータを用いて、保存部12に保存されている再生情報に基づいて、インタラクティブ・インターンシップを実現するための複数の企業C毎のカリキュラムの作成に利用されるマッチング情報を提供する機能(提供機能)を実現させるようになっている。
(提案機能)
さらに、コンピュータ・プログラムCPは、コンピュータを用いて、前述のマッチング情報に基づいて、複数の企業C毎のカリキュラムを提案する機能(提案機能)を実現させるようになっている。
以上が、本実施形態のインタラクティブ・インターンシップシステムISの構成及び機能並びにコンピュータ・プログラムCPの機能についての説明である。
<作用効果>
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
(第1の効果)
本実施形態のインタラクティブ・インターンシップシステムISは、前述の説明のとおり、保存部12と、記録部14と、提供部16とを備える。ここで、保存部12は、アプリケーションを介して閲覧可能とされる、複数の留学生Sのそれぞれの留学生紹介動画及び複数の企業Cのそれぞれの企業紹介動画を保存する。また、記録部14は、複数の企業Cによる留学生紹介動画及び複数の留学生Sによる企業紹介動画の再生情報を保存部12に記録させる。さらに、提供部16は、再生情報に基づいて、インタラクティブ・インターンシップを実現するための複数の留学生Sの少なくとも一名に対する複数の企業C毎のカリキュラムの作成に利用されるマッチング情報を提供する。
したがって、本実施形態のインタラクティブ・インターンシップシステムISによれば、アプリケーションを介して閲覧可能とされる、複数の留学生Sのそれぞれの留学生紹介動画及び複数の企業Cのそれぞれの企業紹介動画の再生情報に基づいて、インタラクティブ・インターンシップを実現するための複数の企業C毎のカリキュラムを作成しない場合に比べて、より適切な複数の企業C毎のカリキュラムを提供することができる。これに伴い、本実施形態のインタラクティブ・インターンシップシステムISによれば、留学生Cの企業へのインターンにおいて、双方の満足度が高いインターンシップを実現することができる。
(第2の効果)
本実施形態のインタラクティブ・インターンシップシステムISは、前述の説明のとおり、保存部12には、少なくとも、(1)複数の留学生Sのそれぞれの取得技術情報、希望企業像情報及び日本語理解情報、並びに、(2)複数の企業Cのそれぞれの技術情報、希望留学生情報及び過去の留学生採用情報を含む非動画情報が保存されており、提供部16は、更に非動画情報に基づいて、マッチング情報を提供する。
したがって、本実施形態のインタラクティブ・インターンシップシステムISは、本構成を備えていない場合に比べて、より適切な複数の企業C毎のカリキュラムを提供することができる。
(第3の効果)
本実施形態のインタラクティブ・インターンシップシステムISは、前述の説明のとおり、保存部12に保存されるマッチング情報が、(1)再生情報から得られる、(1A)複数の企業Cによる留学生紹介動画の再生回数、及び、(1B)複数の留学生Sによる企業紹介動画の再生回数、並びに、(2)非動画情報から得られる、(2A)複数の留学生Sのそれぞれの取得技術情報と複数の企業Cのそれぞれの技術情報との技術的親和度、及び、(2B)複数の留学生Sのそれぞれの希望企業像情報と複数の企業Cのそれぞれの希望留学生情報との相互希望親和度を含んでいる。
したがって、本実施形態のインタラクティブ・インターンシップシステムISは、本構成を備えていない場合に比べて、より適切な複数の企業C毎のカリキュラムを提供することができる。
(第4の効果)
本実施形態のインタラクティブ・インターンシップシステムISは、前述の説明のとおり、前述の非動画情報には、複数の留学生Sのそれぞれがインターネットを介して閲覧した、複数の企業Cの各ウェブサイトの各ページの閲覧情報を含み、前述のマッチング情報は、更に、この閲覧情報から得られる、複数の留学生Sによる興味技術情報を含んでいる。
したがって、本実施形態のインタラクティブ・インターンシップシステムISは、本構成を備えていない場合に比べて、より適切な複数の企業C毎のカリキュラムを提供することができる。
(第5の効果)
本実施形態のインタラクティブ・インターンシップシステムISは、前述の説明のとおり、前述のマッチング情報に基づいて、複数の企業C毎のカリキュラムを提案する提案部18を更に備えている。
したがって、本実施形態のインタラクティブ・インターンシップシステムISは、より適切な複数の企業C毎のカリキュラムを提案することができる。
(第6の効果)
本実施形態のインタラクティブ・インターンシップシステムISは、前述の説明のとおり、保存部12には、複数の企業C毎のカリキュラムの実施をする際に、複数の留学生Sのそれぞれと、複数の企業Cのそれぞれとの相互のコミュニケーションの支援を行う複数のインターンシップ・アドバイザーIAのそれぞれの外国語理解情報、外国滞在経験情報、技術的知識情報、企業経験情報及びインターンシップ・アドバイザー経験情報のうちの少なくとも一つの情報を含むアドバイザー情報が保存されており、提案部12は、更にアドバイザー情報に基づいて、複数の企業C毎のカリキュラムを提案する。
したがって、本実施形態のインタラクティブ・インターンシップシステムISは、複数のインターンシップ・アドバイザーIAのアドバイザー情報に基づいて複数の企業C毎のカリキュラムを提案しない場合に比べて、より適切な複数の企業C毎のカリキュラムを提案することができる。
(第7の効果)
本実施形態のインタラクティブ・インターンシップシステムISは、前述の説明のとおり、非動画情報が、過去のインタラクティブ・インターンシップに参加して採用された留学生Sの在籍期間、並びに、当該留学生S、当該留学生Sが勤務した企業Cにおける当該留学生Sの管理者CO、インタラクティブ・インターンシップシステム管理者、及び、当該留学生Sを支援したインターンシップ・アドバイザーIAのうちの少なくとも一名の勤務レポートを含み、提案部12は、更に勤務レポートに基づいて、複数の企業C毎のカリキュラムを提案する。
したがって、本実施形態のインタラクティブ・インターンシップシステムISは、過去のインタラクティブ・インターンシップに参加した留学生Sの勤務レポートに基づいて複数の企業C毎のカリキュラムを提案しない場合に比べて、より適切な複数の企業C毎のカリキュラムを提案することができる。
(第8の効果)
本実施形態のインタラクティブ・インターンシップシステムISは、前述の説明のとおり、非動画情報が、過去のインタラクティブ・インターンシップに参加した留学生S、当該留学生Sがインターンした企業Cにおける当該留学生Sの管理者CO、インタラクティブ・インターンシップシステム管理者、及び、当該留学生Sを支援したインターンシップ・アドバイザーIAのうちの少なくとも一名のインターンレポートを含み、提案部12は、更にインターンレポートに基づいて、カリキュラムを提案する。
したがって、本実施形態のインタラクティブ・インターンシップシステムISは、過去のインタラクティブ・インターンシップに参加した留学生Sのインターンレポートに基づいて複数の企業C毎のカリキュラムを提案しない場合に比べて、より適切な複数の企業C毎のカリキュラムを提案することができる。
(第9の効果)
本実施形態のインタラクティブ・インターンシップシステムISは、前述の説明のとおり、マッチング情報、非動画情報及びカリキュラムが、アプリケーションを介して閲覧可能とされている。
したがって、本実施形態のインタラクティブ・インターンシップシステムISは、マッチング情報、非動画情報及びカリキュラムがアプリケーションを介して閲覧可能とされていない場合に比べて、容易にマッチング情報、非動画情報及びカリキュラムの提供を受けることができる。
以上が、本実施形態の効果についての説明である。また、以上が、本実施形態についての説明である。
≪変形例1≫
次に、前述の実施形態の変形例1について説明する。
本願の発明者によるインタラクティブ・インターンシップの取り組み、過去の海外勤務経験等によれば、以下のことがいえる。
(1)過去にインタラクティブ・インターンシップに参加した留学生Sの情報(例えば、取得技術情報、希望企業像情報、日本語理解情報等)と、当該留学生Sがインタラクティブ・インターンシップに参加後に実際に勤務した企業Cの情報(例えば、技術情報、希望留学生情報等)とを定量的に評価した相性度(相性データD1)と、(2)当該留学生Sの勤務レポート及びインターンレポートから得られる、実際に勤務した後に得られる定量的な評価(結果データD2)との間には、相関関係がみられる。具体的には、前述の相関度が高いほど、その後の評価が高評価である確率が高いことが分かっている。
そこで、提案部18は、保存部12に記録されている複数の留学生Sの情報と、複数の企業Cの情報との相性度(相性データD1)を算出するようにする。そして、提案部18は、保存部12に記録されている(一般的な)機械学習アルゴリズムAを用い、相関関係を有する相性データD1と結果データD2とをそれぞれ入力データと出力データとする教師データとして機械学習を行うことにより、入力に対して対応する出力を推定する予測モデルを生成してもよい。その予測モデルを用いて、提案部18は、新たにインタラクティブ・インターンシップへの参加を希望する留学生Sに対する複数の企業Cのマッチ度を算出するとともに、カリキュラムを提案するようにしてもよい(図26参照)。
以上をまとめると、例えば、次のような形態とすることができる。
「前述の実施形態のインタラクティブ・インターンシップシステムISにおいて、
提案部12は、(1)過去にインタラクティブ・インターンシップに参加した留学生Sの取得技術情報、希望企業像情報及び日本語理解情報、並びに、当該留学生Sが前記インタラクティブ・インターンシップに参加後に実際に勤務した企業Cの技術情報及び希望留学生情報から得られる相性データと、(2)当該留学生Sの勤務レポート及びインターンレポートから得られる結果データとを教師データとして機械学習された予測モデルを用いて、保存部12に保存されている非動画情報に基づくデータから予測される、新たにインタラクティブ・インターンシップへの参加を希望する留学生Sに対する複数の企業Cのマッチ度を算出するとともに、カリキュラムを提案する、
インタラクティブ・インターンシップシステム。」
本変形例によれば、機械学習された予測モデルを用いることで、より適切な複数の企業C毎のカリキュラムを提供することができる。
以上のとおり、本発明について前述の実施形態及び変形例を例示して説明したが、本発明の技術的範囲は、これらに限定されるものではない。
例えば、前述の説明では、提供部16と、提案部18とは別の構成要素であるとしたが、これらは同じ構成要素であってもよい。
≪変形例2≫
次に、前述の実施形態の変形例2について説明する(図26を援用)。
本願の発明者によるインタラクティブ・インターンシップの取り組み、過去の海外勤務経験等によれば、更に、以下のことがいえる。

<保存部>
例えば、保存部12には、以下の(A1)~(A6)が保存されるとする。
(A1)とは、「複数の留学生Sのそれぞれの取得技術情報、希望企業像情報及び日本語理解情報を含む現留学生情報」のことをいう。
(A2)とは、「複数の企業のそれぞれの技術情報及び希望留学生情報を含む現企業情報」のことをいう。
(A3)とは、「過去のインタラクティブ・インターンシップに参加したすべての留学生Sのそれぞれにおけるインタラクティブ・インターンシップへの参加時点での取得技術情報及び日本語理解情報を含む過去留学生情報」のことをいう。
(A4)とは、「過去のインタラクティブ・インターンシップに参加したすべての企業のそれぞれにおけるインタラクティブ・インターンシップへの参加時点での技術情報及び希望留学生情報を含む過去企業情報」のことをいう。
(A5)とは、「過去のインタラクティブ・インターンシップに参加したすべての留学生S、当該すべての留学生Sがインターンした企業における各管理者及び当該すべての留学生Sを支援した各インターンシップ・アドバイザーによる各インターンレポートから得られる過去留学生インターン情報」のことをいう。
(A6)とは、「過去のインタラクティブ・インターンシップに参加したすべての留学生Sに実施されたカリキュラムに関する過去留学生カリキュラム情報」のことをいう。

<提案部>
そして、提案部18は、保存部12に保存されている、過去留学生情報(A3)と過去企業情報(A4)とから得られる相性データD1と、過去留学生インターン情報(A5)と過去留学生カリキュラム情報(A6)とから得られる結果データD2とを教師データとして機械学習された予測モデルを用いて、現留学生情報(A1)と現企業情報(A2)とに基づくデータから予測される、新たにインタラクティブ・インターンシップへの参加を希望する複数の留学生Sに対する複数の企業毎のカリキュラムを提案する。

ここで、「過去留学生情報(A3)と過去企業情報(A4)とから得られる相性データD1」は、(1)互いが有する技術の共通性を定量化した値と、(2)希望留学生情報に含まれる、その企業が留学生Sに求める日本語理解度に対し、留学生Sの日本語理解情報から得られる日本語理解度の不足度とを定量化した値とに基づくデータである。(1)及び(2)は、例えば10段階(1点~10点)評価で表した値である。(1)は共通性が高いほど10点に近づき、(2)は不足度が小さいほど10点に近づくとする。

また、「過去留学生インターン情報(A5)と過去留学生カリキュラム情報(A6)とから得られる結果データD2」とは、(1)過去にインタラクティブ・インターンシップに参加した留学生Sに対し、複数の者から評価したインターンの評価結果をそれぞれ定量化した値と、(2)その留学生Sに対して実施されたカリキュラムの情報とから得られるデータである。結果データD2は、例えば、各カリキュラムに対して複数の者が例えば10段階(1点~10点)評価で表した値といえる。ここで、過去留学生カリキュラム情報(A6)とは、定められた期間で実施されるインタラクティブ・インターンシップに含まれる複数の実習テーマ、日本語学習、打ち合わせ等の割合、順番等についての情報である。そのため、結果データD2の数が多いほど(留学生Sの人数、企業の種類、カリキュラムの種類等が多いほど)、いろいろなパターンのサンプルが集まることになるため、複数の者が高評価したカリキュラムのパターンを見出し易くなる。
例えば、ある企業に対するあるレベルの留学生Sの場合、日本語学習の時間を多くした方が高評価となることもある。また、別の企業に対する別のレベルの留学生Sの場合、日本語教育よりも、より技術的難易度の高い実習テーマの時間を多くした方が高評価になることもある。また、ある組み合わせの場合、毎日最初の定められた期間、日本語教育を行うことが高評価となることもある。つまり、同じようなスペックの留学生Sと同じ企業であれば、より高評価になるカリキュラムを見出すことができる。

そして、提案部18は、相性データD1と、結果データD2とを教師データとして機械学習された予測モデルを用いて、これからインタラクティブ・インターンシップに参加する、各留学生Sの現留学生情報(A1)と、各企業の現企業情報(A2)とに基づくデータから予測される、新たにインタラクティブ・インターンシップへの参加を希望する複数の留学生Sに対する複数の企業毎のカリキュラムを提案する。

提案されるカリキュラムは、過去のインタラクティブ・インターンシップにより蓄積されたデータに基づいて提案されるため、より高評価となる可能性が高い。
以上をまとめると、例えば、実施例2は、次のような形態とすることができる。
「技術系の講座を専攻する複数の留学生と、少なくとも一名の技術系の講座を専攻する留学生の採用を希望する複数の企業とのインタラクティブ・インターンシップを実現するためのインタラクティブ・インターンシップシステムであって、
(A1)前記複数の留学生のそれぞれの取得技術情報、希望企業像情報及び日本語理解情報を含む現留学生情報と、(A2)前記複数の企業のそれぞれの技術情報及び希望留学生情報を含む現企業情報と、(A3)過去の前記インタラクティブ・インターンシップに参加したすべての留学生のそれぞれにおける前記インタラクティブ・インターンシップへの参加時点での取得技術情報及び日本語理解情報を含む過去留学生情報と、(A4)過去の前記インタラクティブ・インターンシップに参加したすべての企業のそれぞれにおける前記インタラクティブ・インターンシップへの参加時点での技術情報及び希望留学生情報を含む過去企業情報と、(A5)過去の前記インタラクティブ・インターンシップに参加したすべての留学生、当該すべての留学生がインターンした企業における各管理者及び当該すべての留学生を支援した各インターンシップ・アドバイザーによる各インターンレポートから得られる過去留学生インターン情報と、(A6)過去の前記インタラクティブ・インターンシップに参加したすべての留学生に実施されたカリキュラムに関する過去留学生カリキュラム情報と、を保存する保存部と、
前記複数の留学生のそれぞれに対する、前記複数の企業毎のカリキュラムを提案する提案部であって、(B1)前記過去留学生情報と前記過去企業情報とから得られる相性データと、(B2)前記過去留学生インターン情報と前記過去留学生カリキュラム情報とから得られる結果データとを教師データとして機械学習された予測モデルを用いて、前記現留学生情報と前記現企業情報とに基づくデータから予測される、新たに前記インタラクティブ・インターンシップへの参加を希望する前記複数の留学生に対する前記複数の企業毎のカリキュラムを提案する提案部と、
を含むインタラクティブ・インターンシップシステム。」
≪変形例3≫
次に、前述の実施形態の変形例3について説明する(図26を援用)。
変形例3は、前述の変形例2の改良である。

変形例3のインタラクティブ・インターンシップシステムは、変形例2のインタラクティブ・インターンシップシステムにおいて、以下の特徴を有する。

まず、保存部12は、アプリケーションを介して閲覧可能とされる、複数の留学生Sのそれぞれの留学生紹介動画及び前記複数の企業のそれぞれの企業紹介動画を保存する。
さらに、記録部14を有する。記録部14は、複数の企業による留学生紹介動画及び複数の留学生Sによる企業紹介動画の再生情報を前記保存部に記録させる。
さらに、提供部16は、再生情報に含まれている、複数の企業による留学生紹介動画の再生回数、及び、複数の留学生Sによる企業紹介動画の再生回数、並びに、非動画情報に含まれている、複数の留学生Sのそれぞれの取得技術情報と複数の企業のそれぞれの技術情報との技術的親和度、複数の留学生Sのそれぞれの希望企業像情報と複数の企業のそれぞれの希望留学生情報との相互希望親和度、及び、複数の留学生のそれぞれが複数の企業のウェブサイトの各ページの閲覧回数及び閲覧時間から予想される興味度、を含むマッチング情報を提供する。
ここで、マッチング情報とは、例えば10段階(1点~10点)評価で表した値である。

以上より、変形例3のインタラクティブ・インターンシップシステムは、変形例2の効果に加えて、マッチング情報(マッチング性の評価結果)を提供する。

なお、変形例3のインタラクティブ・インターンシップシステム及びコンピュータ・プログラムは、それぞれ、以下のような形態となる。

変形例3のインタラクティブ・インターンシップシステムは、
変形例2のインタラクティブ・インターンシップシステムにおいて、
前記保存部は、アプリケーションを介して閲覧可能とされる、(A)前記複数の留学生のそれぞれの留学生紹介動画及び前記複数の企業のそれぞれの企業紹介動画を保存し、
さらに、
(C)前記複数の企業による前記留学生紹介動画及び前記複数の留学生による前記企業紹介動画の再生情報を前記保存部に記録させる記録部と、
(D1)前記再生情報に含まれている、前記複数の企業による前記留学生紹介動画の再生回数、及び、前記複数の留学生による前記企業紹介動画の再生回数、並びに、前記非動画情報に含まれている、前記複数の留学生のそれぞれの取得技術情報と前記複数の企業のそれぞれの技術情報との技術的親和度、(D2)前記複数の留学生のそれぞれの希望企業像情報と前記複数の企業のそれぞれの希望留学生情報との相互希望親和度、及び、(D3)前記複数の留学生のそれぞれが前記複数の企業のウェブサイトの各ページの閲覧回数及び閲覧時間から予想される興味度、を含むマッチング情報を提供する提供部と、
を含む。

変形例3のコンピュータ・プログラムは、
変形例3のインタラクティブ・インターンシップシステムインタラクティブ・インターンシップシステムを実現するためのコンピュータ・プログラムであって、
コンピュータに、
前記アプリケーションを介して閲覧可能とされる、前記留学生紹介動画及び前記企業紹介動画を保存する保存機能、
前記複数の企業による前記留学生紹介動画及び前記複数の留学生による前記企業紹介動画の再生情報を前記保存部に記録させる記録機能、
前記再生情報に基づいて、前記マッチング情報を提供する提供機能、並びに、
新たに前記インタラクティブ・インターンシップへの参加を希望する前記複数の留学生に対する前記複数の企業毎のカリキュラムを提案する提案機能、
を実現させるためのものである。
10 サーバー(コンピュータの一例)
12 保存部
14 記録部
16 提供部
18 提案部
20 複数の情報機器
20A 情報機器
20B 情報機器
30 通信ネットワーク
C 企業
CO 企業Cの社員
CP コンピュータ・プログラム
IP インタラクティブ・インターンシッププラットフォーム
IS インタラクティブ・インターンシップシステム
S 留学生

Claims (2)

  1. 技術系の講座を専攻する複数の留学生と、少なくとも一名の技術系の講座を専攻する留学生の採用を希望する複数の企業とのインタラクティブ・インターンシップを実現するためのインタラクティブ・インターンシップシステムであって、
    (A1)前記複数の留学生のそれぞれの取得技術情報、希望企業像情報及び日本語理解情報を含む現留学生情報と、(A2)前記複数の企業のそれぞれの技術情報及び希望留学生情報を含む現企業情報と、(A3)過去の前記インタラクティブ・インターンシップに参加したすべての留学生のそれぞれにおける前記インタラクティブ・インターンシップへの参加時点での取得技術情報及び日本語理解情報を含む過去留学生情報と、(A4)過去の前記インタラクティブ・インターンシップに参加したすべての企業のそれぞれにおける前記インタラクティブ・インターンシップへの参加時点での技術情報及び希望留学生情報を含む過去企業情報と、(A5)過去の前記インタラクティブ・インターンシップに参加したすべての留学生、当該すべての留学生がインターンした企業における各管理者及び当該すべての留学生を支援した各インターンシップ・アドバイザーによる各インターンレポートから得られる過去留学生インターン情報と、(A6)過去の前記インタラクティブ・インターンシップに参加したすべての留学生に実施されたカリキュラムに関する過去留学生カリキュラム情報と、を保存する保存部と、
    前記複数の留学生のそれぞれに対する、前記複数の企業毎のカリキュラムを提案する提案部であって、(B1)前記過去留学生情報と前記過去企業情報とから得られる相性データと、(B2)前記過去留学生インターン情報と前記過去留学生カリキュラム情報とから得られる結果データとを教師データとして機械学習された予測モデルを用いて、前記現留学生情報と前記現企業情報とに基づくデータから予測される、新たに前記インタラクティブ・インターンシップへの参加を希望する前記複数の留学生に対する前記複数の企業毎のカリキュラムを提案する提案部と、
    を含み、
    前記希望留学生情報には、前記すべての企業のそれぞれが留学生に求める日本語理解度に対し、当該留学生の日本語理解情報から得られる日本語理解度の不足度が含まれており、
    前記過去留学生インターン情報には、前記各管理者及び前記各インターンシップ・アドバイザーが過去に前記インタラクティブ・インターンシップに参加した留学生に対し評価したインターンの評価結果が含まれている、
    ンタラクティブ・インターンシップシステム。
  2. 前記保存部は、アプリケーションを介して閲覧可能とされる、(A)前記複数の留学生のそれぞれの留学生紹介動画及び前記複数の企業のそれぞれの企業紹介動画を保存し、
    さらに、
    (C)前記複数の企業による前記留学生紹介動画及び前記複数の留学生による前記企業紹介動画の再生情報を前記保存部に記録させる記録部と、
    (D1)前記再生情報に含まれている、前記複数の企業による前記留学生紹介動画の再生回数、及び、前記複数の留学生による前記企業紹介動画の再生回数、並びに、非動画情報に含まれている、前記複数の留学生のそれぞれの取得技術情報と前記複数の企業のそれぞれの技術情報との技術的親和度、(D2)前記複数の留学生のそれぞれの希望企業像情報と前記複数の企業のそれぞれの希望留学生情報との相互希望親和度、及び、(D3)前記複数の留学生のそれぞれが前記複数の企業のウェブサイトの各ページの閲覧回数及び閲覧時間から予想される興味度、を含むマッチング情報を提供する提供部と、
    を含む請求項1に記載のインタラクティブ・インターンシップシステム。
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