本開示において「誘電体材料」は、セラミック材料及び樹脂材料の何れかを組成として含み得る。セラミック材料は、酸化アルミニウム質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、ガラスセラミック焼結体、ガラス母材中に結晶成分を析出させた結晶化ガラス、及び、雲母若しくはチタン酸アルミニウム等の微結晶焼結体を含む。樹脂材料は、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、及び、液晶ポリマー等の未硬化物を硬化させたものを含む。
本開示において「導電性材料」は、金属材料、金属材料の合金、金属ペーストの硬化物、及び、導電性高分子の何れかを組成として含み得る。金属材料は、銅、銀、パラジウム、金、白金、アルミニウム、クロム、ニッケル、カドミウム鉛、セレン、マンガン、錫、バナジウム、リチウム、コバルト、及び、チタン等を含む。合金は、複数の金属材料を含む。金属ペースト剤は、金属材料の粉末を有機溶剤、及び、バインダとともに混練したものを含む。バインダは、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、及び、ポリエーテルイミド樹脂を含む。導電性ポリマーは、ポリチオフェン系ポリマー、ポリアセチレン系ポリマー、ポリアニリン系ポリマー、及び、ポリピロール系ポリマー等を含む。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。図1乃至図22に示す構成要素において、同一構成要素には、同一符号を付す。
本開示の実施形態では、図1等に示す第1アンテナ素子31と第2アンテナ素子32とが広がる平面は、XY平面として示す。図2等に示す第1グラウンド導体61から図1等に示す第1放射導体41に向かう方向をZ軸の正方向として示し、その反対方向をZ軸の負方向として示す。本開示の実施形態では、X軸の正方向とX軸の負方向とを特に区別しない場合、X軸の正方向とX軸の負方向は、まとめて「X方向」と記載する。Y軸の正方向とY軸の負方向とを特に区別しない場合、Y軸の正方向とY軸の負方向は、まとめて「Y方向」と記載する。Z軸の正方向とZ軸の負方向とを特に区別しない場合、Z軸の正方向とZ軸の負方向は、まとめて「Z方向」と記載する。
[アンテナの構造例1]
図1は、一実施形態に係るアンテナ10の斜視図である。図2は、図1に示すアンテナ10をZ軸の負方向側から見た斜視図である。図3は、図1に示すアンテナ10の一部を分解した斜視図である。図4は、図1に示すL1-L1線に沿ったアンテナ10の断面図である。図5は、図1に示すL2-L2線に沿ったアンテナ10の断面図である。
図1に示すように、アンテナ10は、基体20と、第1アンテナ素子31と、第2アンテナ素子32と、第1結合体70と、第2結合体73とを有する。
基体20は、第1アンテナ素子31及び第2アンテナ素子32を支持する。基体20は、図1及び図2に示すように、四角柱である。ただし、基体20は、第1アンテナ素子31及び第2アンテナ素子32を支持可能であれば、任意の形状であってよい。
基体20は、誘電体材料を含み得る。基体20の比誘電率は、アンテナ10の所望の共振周波数に応じて、適宜調整されてよい。基体20は、図1及び図2に示すように、上面21及び下面22を含む。
第1アンテナ素子31は、第1周波数帯で共振する。第2アンテナ素子32は、第2周波数帯で共振する。第1周波数帯と第2周波数帯とは、アンテナ10の用途等に応じて、同一周波数帯に属してよいし、異なる周波数帯に属してよい。アンテナ10の用途等に応じて、第1アンテナ素子31及び第2アンテナ素子32の各々には、第1給電線51及び第2給電線52の各々から、第1アンテナ素子31及び第2アンテナ素子32を、同相で励振させる信号が給電されてよい。第1アンテナ素子31及び第2アンテナ素子32の各々には、第1給電線51及び第2給電線52の各々から、第1アンテナ素子31及び第2アンテナ素子32を、異なる位相で励振させる信号が給電されてよい。
第1アンテナ素子31は、図4に示すように、第1放射導体41及び第1給電線51を含む。第1アンテナ素子31は、第1グラウンド導体61をさらに含んでよい。第1アンテナ素子31は、第1グラウンド導体61を含むことで、マイクロストリップ型のアンテナとなる。第2アンテナ素子32は、図4に示すように、第2放射導体42と、第2給電線52を含む。第2アンテナ素子32は、第2グラウンド導体62をさらに含んでよい。第2アンテナ素子32は、第2グラウンド導体62を含むことで、マイクロストリップ型のアンテナとなる。
図1に示す第1放射導体41は、第1給電線51から供給された電力を、電磁波として放射する。第1放射導体41は、外部からの電磁波を、電力として第1給電線51に供給する。図1に示す第2放射導体42は、第2給電線52から供給された電力を、電磁波として放射する。第2放射導体42は、外部からの電磁波を、電力として第2給電線52に供給する。
第1放射導体41及び第2放射導体42の各々は、導電性材料を含み得る。第1放射導体41、第2放射導体42、第1給電線51、第2給電線52、第1グラウンド導体61、第2グラウンド導体62、第1結合体70及び第2結合体73の各々は、同一の導電性材料を含んでよいし、異なる導電性材料を含んでよい。
第1放射導体41及び第2放射導体42は、図1に示すように、平板状であってよい。第1放射導体41及び第2放射導体42は、XY平面に沿って広がり得る。第1放射導体41及び第2放射導体42は、基体20の上面21に位置する。第1放射導体41及び第2放射導体42の一部は、基体20の中に位置してよい。
本実施形態では、第1放射導体41及び第2放射導体42は、同一型の長方形状である。ただし、第1放射導体41及び第2放射導体42は、任意の形状であってよい。また、第1放射導体41及び第2放射導体42の各々は、異なる形状であってよい。
第1放射導体41及び第2放射導体42の長手方向は、Y方向に沿う。第1放射導体41及び第2放射導体42の短手方向は、X方向に沿う。第1放射導体41は、長辺41a及び短辺41bを含む。第2放射導体42は、長辺42a及び短辺42bを含む。
第1放射導体41と第2放射導体42とは、長辺41aと長辺42aとが対向するように、並ぶ。ただし、第1放射導体41と第2放射導体42とが並ぶ態様は、これに限定されない。例えば、第1放射導体41と第2放射導体42とは、長辺41aの一部と長辺42aの一部とが対向するように、並んでよい。換言すると、第1放射導体41と第2放射導体42とは、Y方向においてずれて並んでよい。
第1放射導体41と第2放射導体42とは、短辺41bと短辺42bとが対向するように、並んでよい。ただし、第1放射導体41と第2放射導体42とが並ぶ態様は、これに限定されない。例えば、第1放射導体41と第2放射導体42とは、短辺41bの一部と短辺42bの一部とが対向するように、並んでよい。換言すると、第1放射導体41と第2放射導体42とは、対向する短辺41bと短辺42bとがずれて、並んでよい。
第1放射導体41と第2放射導体42は、アンテナ10の共振波長の2分の1以下の間隔で並ぶ。本実施形態では、図1に示すように、第1放射導体41と第2放射導体42は、互い対向する長辺41aと長辺42aとの間の隙間g1がアンテナ10の共振波長の2分の1以下となるように、並ぶ。ただし、第1放射導体41と第2放射導体42とがアンテナ10の共振波長の2分の1以下の間隔で並ぶ態様は、これに限定されない。例えば、第1放射導体41及び第2放射導体42が短辺41bと短辺42bとが対向するように並ぶ構成では、短辺41bと短辺42bとの間の隙間がアンテナ10の共振波長の2分の1以下となってよい。
第1放射導体41にはY方向に沿って電流が流れる。電流が第1放射導体41をY方向に沿って流れると、XZ平面において第1放射導体41を囲む磁界が変化する。第2放射導体42にはY方向に沿って電流が流れる。電流が第2放射導体42をY方向に沿って流れると、XZ平面において第2放射導体42を囲む磁界が変化する。第1放射導体41を囲む磁界と、第2放射導体42を囲む磁界とは、相互に影響する。例えば、第1放射導体41及び第2放射導体42が同一又は互いに近い位相で励振すると、第1放射導体41及び第2放射導体42の各々を流れる電流の多くのが、同じ向きになる。互いに近い位相としては、双方の位相が、例えば、±60°以内、±45°以内、±30°以内の範囲にあるときが挙げられる。第1放射導体41及び第2放射導体42を流れる電流の多くが同じ向きになるとき、第1放射導体41と第2放射導体42の間において、磁界結合が大きくなる。
第1放射導体41及び第2放射導体42の共振周波数が同一又は互いに近い場合、共振時に、第1放射導体41と第2放射導体42との間において結合が生じる。この共振時の結合は、偶モード及び奇モードという。偶モード及び奇モードは、まとめて「偶奇モード」ともいう。第1放射導体41及び第2放射導体42の間に偶奇モードが生じると、結合が生じていない場合とは異なる共振周波数で、第1放射導体41及び第2放射導体42の各々が共振する。第1放射導体41及び第2放射導体42が結合する多くの場合、磁界結合及び電界結合が同時に生じる。磁界結合及び電界結合のどちらかが支配的となると、最終的に第1放射導体41と第2放射導体との間の結合は、支配的な一方である磁界結合又は電界結合とみなし得る。
本開示では、第2放射導体42は、容量結合及び磁界結合の一方が優位な第1結合方式で、第1放射導体41に結合される。本実施形態では、第1放射導体41及び第2放射導体42は、マイクロストリップ型のアンテナであり、長辺41aと長辺42aとが対向している。第1放射導体41を囲む磁界及び第2放射導体42を囲む磁界の相互影響は、第1放射導体41及び第2放射導体42の間の電界による相互影響より支配的となる。第1放射導体41及び第2放射導体42の間の結合は、磁界結合とみなされる。従って、本実施形態では、第2放射導体42は、磁界結合が優位な第1結合方式で、第1放射導体41に結合される。
図3に示す第1給電線51は、第1放射導体41に電気的に接続される。第1給電線51は、インダクタンス成分が優位に第1放射導体41に結合される。ただし、第1給電線51は、第1放射導体41に磁気的に結合されてよい。この場合、第1給電線51は、キャパシタンス成分が優位に第1放射導体41に結合される。第1給電線51は、図2に示す第1グラウンド導体61の開口61aから、外部の機器等へ延在し得る。
図3に示す第2給電線52は、第2放射導体42に電気的に接続される。第2給電線52は、インダクタンス成分が優位に第2放射導体42に結合される。ただし、第2給電線52は、第2放射導体42に磁気的に結合されてよい。この場合、第2給電線52は、キャパシタンス成分が優位に第2放射導体42に結合される。第2給電線52は、図2に示す第2グラウンド導体62の開口62aから、外部の機器等へ延在し得る。
第1給電線51は、第1放射導体41に電力を給電する。第1給電線51は、第1放射導体41からの電力を、外部の機器等に給電する。第2給電線52は、第2放射導体42に電力を給電する。第2給電線52は、第2放射導体42からの電力を、外部の機器等に給電する。
第1給電線51及び第2給電線52は、導電性材料を含み得る。第1給電線51及び第2給電線52の各々は、スルーホール導体又はビア導体等であってよい。第1給電線51及び第2給電線52は、図4に示すように基体20の中に位置し得る。第1給電線51は、第1結合体70の第1導体71を貫通する。第2給電線52は、第1結合体70の第2導体72を貫通する。
第1給電線51は、図4に示すように、基体20の中において、Z方向に沿って延びる。第1給電線51にはZ方向に沿って電流が流れる。電流が第1給電線51をZ方向に沿って流れると、XY平面において第1給電線51を囲む磁界が変化する。
第2給電線52は、図4に示すように、基体20の中において、Z方向に沿って延びる。第2給電線52にはZ方向に沿って電流が流れる。電流が第2給電線52をZ方向に沿って流れると、XY平面において第2給電線52を囲む磁界が変化する。
第1給電線51を囲む磁界と、第2給電線52を囲む磁界とは、干渉し得る。例えば、第1給電線51及び第2給電線52の各々を流れる電流の多くが同じ向きになるとき、第1給電線51を囲む磁界と、第2給電線52を囲む磁界は、干渉する。第1給電線51と第2給電線52は、第1給電線51を囲む磁界と第2給電線52を囲む磁界が干渉することにより、磁界結合され得る。
本開示では、第2給電線52は、キャパシタンス成分及びインダクタンス成分の何れかの第1成分を優位に、第1給電線51に結合される。上述のように、本実施形態では、第1給電線51と第2給電線52は、第1給電線51を囲む磁界と第2給電線52を囲む磁界が干渉することにより、磁界結合され得る。つまり、本実施形態では、第2給電線52は、第1成分としてのインダクタンス成分を優位に、第1給電線51に結合される。
図2に示す第1グラウンド導体61は、第1アンテナ素子31において基準となる電位を提供する。図2に示す第2グラウンド導体62は、第2アンテナ素子32において基準となる電位を提供する。第1グラウンド導体61及び第2グラウンド導体62の各々は、アンテナ10を備える機器のグラウンドに接続されてよい。
第1グラウンド導体61及び第2グラウンド導体62は、導電性材料を含み得る。第1グラウンド導体61及び第2グラウンド導体62は、平板状であってよい。第1グラウンド導体61及び第2グラウンド導体62は、基体20の下面22に位置する。第1グラウンド導体61及び第2グラウンド導体62の一部は、基体20の中に位置してよい。
第1グラウンド導体61は、第2グラウンド導体62に接続されてよい。第1グラウンド導体61及び第2グラウンド導体62は、図2に示すように、一体であってよい。第1グラウンド導体61及び第2グラウンド導体62は、単一の基体20と一体化されてよい。ただし、第1グラウンド導体61及び第2グラウンド導体62は、独立した別個の部材であってよい。この構成では、第1グラウンド導体61及び第2グラウンド導体62の各々は、別個に、基体20と一体化され得る。
第1グラウンド導体61及び第2グラウンド導体62は、図2に示すように、XY平面に沿って広がる。第1グラウンド導体61及び第2グラウンド導体62の各々は、Z方向において、第1放射導体41及び第2放射導体42の各々と離れて位置する。第1グラウンド導体61及び第2グラウンド導体62と、第1放射導体41と第2放射導体42との間には、図4に示すように、基体20が介在する。第1グラウンド導体61は、Z方向において、第1放射導体41と対向する。第2グラウンド導体62は、Z方向において、第2放射導体42と対向する。本実施形態では、第1グラウンド導体61及び第2グラウンド導体62は、第1放射導体41及び第2放射導体42に応じた、長方形状である。ただし、第1グラウンド導体61及び第2グラウンド導体62は、第1放射導体41及び第2放射導体42に応じた、任意の形状であってよい。
本開示では、第1結合体70は、第1成分とは異なる第2成分を優位に、第1給電線51と第2給電線52とを結合する。上述のように、本実施形態では、第1成分は、インダクタンス成分である。従って、本実施形態では、第1結合体70は、第1成分とは異なる第2成分としてのキャパシタンス成分を優位に、第1給電線51と第2給電線52とを結合する。
具体的には、第1結合体70は、図4に示すように、第1導体71及び第2導体72を含む。第1導体71及び第2導体72の各々は、導電性材料を含み得る。第1導体71及び第2導体72の各々は、XY平面に沿って広がる。第1導体71及び第2導体72の各々は、図3に示すように、平板状である。第1導体71は、第1導体71を貫通する第1給電線51と、電気的に接続される。第2導体72は、第2導体72を貫通する第2給電線52と、電気的に接続される。図4に示すように、第1導体71の端部71aと、第2導体72の端部72aは、互いに対向する。第1導体71の端部71aと、第2導体72の端部72aとは、基体20を介して、静電容量を構成し得る。当該静電容量が構成されることにより、第1結合体70は、キャパシタンス成分を優位に、第1給電線51と第2給電線52とを結合する。
ここで、第1放射導体41に対して第1給電線51が直接給電し、且つ第2放射導体42に対して第2給電線52が直接給電しているため、第1給電線51と第2給電線52との間の結合は、インダクタンス成分が優位の結合となる。この結合のインダクタンス成分と第1結合体70によるキャパシタンス成分とが回路的に並列関係となることにより、当該インダクタンス成分と当該キャパシタンス成分を含む反共振回路が構成される。この反共振回路によって、第1アンテナ素子31及び第2アンテナ素子32の間の透過特性において減衰極が生じる。この透過特性は、第1アンテナ素子31の入力ポートとなる第1給電線51から、第2アンテナ素子32の入力ポートとなる第2給電線52へ透過する電力の特性である。この透過特性に生じる減衰極によって、第1アンテナ素子31及び第2アンテナ素子32の間の干渉が少なくなる。
このように第1結合体70は、第1アンテナ素子31の入力ポートとなる第1給電線51と、第2アンテナ素子32の入力ポートとなる第2給電線52とを、第2成分を優位に結合する。第2成分は、第1給電線51自身と第2給電線52自身との間の結合において優位となる第1成分と異なる。第1成分と第2成分とが回路的に並列関係となることで、アンテナ10は、入力ポートに反共振回路を有する。
本開示では、第2結合体73は、第1結合方式とは異なる第2結合方式で、第1放射導体41と第2放射導体42とを結合する。本実施形態のように第1結合方式が磁界結合が優位な結合方式である場合、第2結合方式は、容量結合が優位な結合方式となる。第2結合体73は、容量結合が優位な第2結合方式で、第1放射導体41と第2放射導体42とを結合する。
具体的には、第2結合体73は、導電性材料を含み得る。第2結合体73は、図5に示すように、基体20の中に位置する。第2結合体73は、Z方向において、第1放射導体41及び第2放射導体42から離れて位置する。第2結合体73は、図1に示すように、XY平面に沿って広がる。XY平面において、第2結合体73の一部は、第1放射導体41の一部と重なり得る。重なり合う第2結合体73の一部及び第1放射導体41の一部は、基体20を介して、静電容量を構成し得る。同様に、XY平面において、第2結合体73の一部は、第2放射導体42の一部と重なり得る。重なり合う第2結合体73の一部及び第2放射導体42の一部は、基体20を介して、静電容量を構成し得る。第1放射導体41と第2放射導体42は、第1放射導体41と第2結合体73とが構成する静電容量及び第2放射導体42と第2結合体73とが構成する静電容量を介して、結合され得る。換言すると、第2結合体73は、容量結合が優位な第2結合方式で、第1放射導体41と第2放射導体42とを結合する。
第1放射導体41の両端及び第2放射導体42の両端では、電界が大きくなる。第1放射導体41及び第2放射導体42の各々を流れる電流の多くが逆向きになるとき、第1放射導体41と第2放射導体42との間の電位差が大きくなる。第2結合体73が第1放射導体41及び第2放射導体42の各々と対向する位置によって、第2結合方式による容量結合の大きさが変化する。第2結合体73が第1放射導体41及び第2放射導体42の各々と対向する位置及び対向する面積によって、第2結合方式による容量結合の大きさが調整され得る。
このように、本実施形態に係るアンテナ10では、第2給電線52は、第1成分としてのインダクタンス成分を優位に、第1給電線51に結合される。第1結合体70は、第2成分としてのキャパシタンス成分を優位に、第1給電線51と第2給電線52とを結合する。ここで、第1給電線51と第2給電線52との間のキャパシタンス成分及びインダクタンス成分による結合係数K1は、結合係数Ke1と結合係数Km1とを用いて算出され得る。結合係数Ke1は、第1給電線51と第2給電線52との間のキャパシタンス成分による結合係数である。結合係数Km1は、第1給電線51と第2給電線52との間のインダクタンス成分による結合係数である。例えば、式:K1=(Ke12-Km12)/(Ke12+Km12)と表される。
結合係数Km1は、第1給電線51及び第2給電線52の構成に応じて、決まり得る。例えば、結合係数Km1は、図4に示す第1給電線51と第2給電線52との間の隙間g2のX方向における長さが変わると、変化し得る。アンテナ10では、第1結合体70を適宜構成することにより、結合係数Ke1の大きさを調整することできる。アンテナ10では、結合係数Km1に応じて結合係数Ke1の大きさを調整することで、結合係数Km1と結合係数Ke1とが打ち消し合う程度を変更できる。アンテナ10では、結合係数Km1に応じた大きさの結合係数Ke1によって、結合係数Km1と結合係数Ke1とが打ち消し合い、結合係数K1が小さくなり得る。換言すると、アンテナ10では、第1給電線51と第2給電線52との間の相互結合が低減され得る。第1給電線51と第2給電線52との間の相互結合が低減されことで、第1アンテナ素子31及び第2アンテナ素子32の各々は、第1給電線51及び第2給電線52の各々からの電力によって、電磁波を効率良く放射することができる。
本実施形態に係るアンテナ10では、第2放射導体42は、磁界結合が優位な第1結合方式で、第1放射導体41に結合される。第2結合体73は、容量結合が優位な第2結合方式で、第1放射導体41と第2放射導体42とを結合する。ここで、第1放射導体41と第2放射導体42との間の容量結合及び磁界結合による結合係数K2は、結合係数Ke2と結合係数Km2とを用いて算出され得る。結合係数Ke2は、第1放射導体41と第2放射導体42との間の容量結合の結合係数である。結合係数Km2は、第1放射導体41と第2放射導体42との間の磁界結合の結合係数である。例えば、式:K2=(Ke22-Km22)/(Ke22+Km22)と表される。
結合係数Km2は、第1放射導体41及び第2放射導体42の構成に応じて、決まり得る。例えば、図1に示すような第1放射導体41と第2放射導体42とがY方向において揃って並ぶ構成と、第1放射導体41と第2放射導体42とがY方向においてずれて並ぶ構成とでは、結合係数Km2が異なり得る。結合係数Km2は、図1に示す隙間g1のX方向における長さが変わると、変化し得る。アンテナ10では、第2結合体73を適宜構成することにより、結合係数Ke2の大きさを調整することできる。アンテナ10では、結合係数Km2に応じて結合係数Ke2の大きさを調整することで、結合係数Km2と結合係数Ke2が打ち消し合う程度を変更できる。アンテナ10では、結合係数Km2と結合係数Ke2が打ち消し合い、結合係数K2が小さくなり得る。換言すると、アンテナ10では、第1放射導体41及び第2放射導体42の間の相互結合が低減され得る。第1放射導体41及び第2放射導体42の間の相互結合が低減されることで、第1アンテナ素子31及び第2アンテナ素子32の各々は、第1放射導体41及び第2放射導体42の各々から電磁波を効率良く放射することができる。
<シミュレーション結果>
図6は、図1に示すアンテナ10のシミュレーション結果の一例を示す図である。破線は、反射係数S11を示す。実線は、透過係数S21を示す。
反射係数S11は、第1給電線51から第1放射導体41へ供給される電力のうち、第1放射導体41で反射されて第1給電線51へ返ってくる電力の割合を示す。本実施形態では、詳細は後述するが、第1放射導体41と第2放射導体42との間の相互結合が低減されることにより、反射係数S11は、1つの極小値を有し得る。反射係数S11は、周波数が28[GHz]となる付近において、-11[dB]程度の極小値をとる。
透過係数S21は、第1給電線51へ供給された電力のうち、第2給電線52へ透過する電力の割合を示す。本実施形態では、詳細は後述するが、第1給電線51と第2給電線52との間の相互結合が低減されることにより、透過係数S21のピーク値が低下し得る。透過係数S21は、周波数が28[GHz]となる付近において、-12[dB]程度のピーク値をとる。
[比較例に係るアンテナ]
図7は、比較例に係るアンテナ10Xの斜視図である。アンテナ10Xは、図1に示すアンテナ10とは異なり、第1結合体70及び第2結合体73を有さない。
比較例における第1給電線51と第2給電線52との間のキャパシタンス成分及びインダクタンス成分による結合係数は、結合係数Kx1とする。第1給電線51と第2給電線52との間のキャパシタンス成分による結合係数は、Kex1とする。第1給電線51と第2給電線52との間のインダクタンス成分による結合係数は、結合係数Kmx1とする。本実施形態と同様に、比較例でも、結合係数Kx1は、結合係数Kex1と、結合係数Kmx1とを用いて算出され得る。例えば、式:Kx1=(Kex12-Kmx12)/(Kex12+Kmx12)と表される。
比較例のアンテナ10Xは、第1結合体70を有さない。比較例のアンテナ10Xでは、結合係数Kmx1と結合係数Kex1とが打ち消し合う程度を調整できない。比較例のアンテナ10Xでは、結合係数Kmx1と結合係数Kex1とが打ち消し合う程度を調整できないため、結合係数Kx1を調整できない。これに対して、アンテナ10は、第1結合体70を有するため、結合係数K1を調整して小さくすることができる。換言すると、比較例のアンテナ10Xでは、第1給電線51と第2給電線52との間の相互結合がアンテナ10より大きくなり得る。
比較例における第1放射導体41と第2放射導体42との間の容量結合及び磁界結合による結合係数は、結合係数Kx2とする。第1放射導体41と第2放射導体42との間の容量結合の結合係数は、結合係数Kex2とする。第1放射導体41と第2放射導体42との間の磁界結合の結合係数は、結合係数Kmx2とする。本実施形態と同様に、比較例でも、結合係数Kx2は、結合係数Kex2と、結合係数Kmx2とを用いて算出され得る。例えば、式:Kx2=(Kex22-Kmx22)/(Kex22+Kmx22)と表される。
比較例のアンテナ10Xは、第2結合体73を有さない。比較例のアンテナ10Xでは、結合係数Kmx2と結合係数Kex2とが打ち消し合う程度を調整できない。比較例のアンテナ10Xは、結合係数Kmx2と結合係数Kex2とが打ち消し合う程度を調整できないため、結合係数Kx2を調整できない。これに対し、アンテナ10は、第2結合体73を有するため、結合係数K2を調整して小さくすることができる。換言すると、比較例のアンテナ10Xでは、第1放射導体41と第2放射導体42との間の相互結合が、アンテナ10よりも、大きくなり得る。
一般的に、同じ共振周波数を持つ共振器が近づくと結合が生じる。比較例のアンテナ10Xでは、第1放射導体41と第2放射導体42との間の相互結合が大きいため、偶奇モードが生じる。比較例のアンテナ10Xは、偶モード及び奇モードで、異なる共振周波数で共振する。比較例のアンテナ10Xでは、異なる共振周波数の偶奇モードで共振することにより、電磁波の放射効率が低くなり得る。
<シミュレーション結果>
図8は、比較例に係るアンテナ10Xのシミュレーション結果の一例を示す図である。換言すると、図8は、図7に示すアンテナ10Xのシミュレーション結果の一例を示す図である。
破線は、比較例に係るアンテナ10Xの反射係数S11xを示す。実線は、比較例に係るアンテナ10Xの透過係数S21xを示す。
反射係数S11xは、周波数が27[GHz]となる付近で、-9[dB]程度の極小値をとる。反射係数S11xは、周波数が29[GHz]となる付近で、-10[dB]程度の極小値をとる。つまり、比較例では、反射係数S11xは、2つの極小値を示す。
反射係数S11xが2つの極小値を示すことは、アンテナ10Xの共振周波数が2つあることを示す。アンテナ10Xの当該2つの共振は、偶モード及び奇モードによって生じる。アンテナ10Xが偶奇モードで共振することは、第1アンテナ素子31及び第2アンテナ素子32の間の相互結合が大きいことを示す。第1アンテナ素子31及び第2アンテナ素子32の各々は、偶奇モードで共振することにより、第1放射導体41と第2放射導体42の各々によって、電磁波を放射する効率が低くなる。
透過係数S21xは、27[GHz]から29[GHz]までの周波数の範囲内において、-5[dB]程度のピーク値をとる。透過係数S21xのピーク値は、図6に示す本実施形態の透過係数S21よりも、大きい。透過係数S21xが大きいことは、第1給電線51から第2給電線52へ透過する電力の割合が大きいことを示す。
このような比較例に対し、アンテナ10は、図1に示すように、第1結合体70を有する。本実施形態では、アンテナ10が第1結合体70を有することで、第1給電線51と第2給電線52との間の相互結合が低減され得る。第1給電線51と第2給電線52との間の相互結合が低減されるため、本実施形態では、例えば第1給電線51から第2給電線52へ、透過する電力が低減され得る。第1給電線51から第2給電線52へ透過する電力が低減されることで、第1給電線51及び第2給電線52の各々からの供給電力に対して、電磁波の放射比率を大きくすることができる。
このような比較例に対し、本実施形態では、アンテナ10は、図1に示すように、第2結合体73を有する。本実施形態では、アンテナ10が第2結合体73を有することにより、第1放射導体41と第2放射導体42との間の相互結合を低減させることができる。第1放射導体41と第2放射導体42との間の相互結合を低減させることで、第1放射導体41及び第2放射導体42の各々からの電磁波の放射効率を高めることができる。本実施形態では、第1放射導体41と第2放射導体42との間の相互結合を低減させることで、アンテナ10が偶奇モードで共振することにより生じる共振周波数の変化を小さくできる。
アンテナ10は、第1給電線51と第2給電線52との間の相互結合を低減する第1結合体70と、第1放射導体41と第2放射導体42との間の相互結合を低減する第2結合体73とを有する。アンテナ10は、2つの相互結合を、異なる結合体である第1結合体70及び第2結合体73で別々に低減している。第1結合体70及び第2結合体73は、互いに独立した構成である。アンテナ10は、第1結合体70及び第2結合体73を有することで、相互結合を低減する際の設計自由度を広くし得る。
[アンテナの構造例2]
図9は、一実施形態に係るアンテナ110の斜視図である。図10は、図9に示すアンテナ110の一部を分解した斜視図である。
図9に示すように、アンテナ110は、基体20と、第1アンテナ素子131と、第2アンテナ素子132と、第1結合体170とを有する。
図10に示すように、第1アンテナ素子131は、第1放射導体41及び第1給電線51を含む。第1アンテナ素子131は、第1グラウンド導体61をさらに含んでよい。第2アンテナ素子132は、第2放射導体42と、第2給電線52を含む。第2アンテナ素子132は、第2グラウンド導体62をさらに含んでよい。
第1放射導体41と第2放射導体42は、長辺方向すなわちY方向において、ずれて並ぶ。第1放射導体41と第2放射導体42とがY方向において、ずれて並ぶことにより、長辺41aの一部と長辺42aの一部とが対向する。長辺41aの一部と長辺42aの一部とが対向することにより、隙間g3が生じる。第1放射導体41と第2放射導体42の間の磁界結合の結合係数Km3は、隙間g3のY方向における長さに依拠する。隙間g3のY方向における長さは、図10に示す間隔d1に相当する。具体的には、結合係数Km3は、間隔d1が小さくなるほど、小さくなり得る。
第1放射導体41と第2放射導体42とがY方向において、ずれて並ぶことにより、短辺41bと短辺41bとの間の間隔d1が近付けられ得る。第1放射導体41と第2放射導体42の間の容量結合の結合係数Ke3は、図10に示す短辺41bと短辺41bとの間の間隔d1に依拠する。具体的には、結合係数Ke3は、間隔d1が小さくなるほど、大きくなり得る。
第1放射導体41と第2放射導体42との間の容量結合及び磁界結合による結合係数K3は、結合係数Km3と結合係数Ke3とが打ち消し合うことにより、小さくなり得る。アンテナ110では、Y方向における第1放射導体41と第2放射導体42の間のずれ量を適宜調整することにより、図4に示す間隔d1を適宜調整することができる。間隔d1が小さくなるほど、結合係数Km3は小さくなり得、結合係数Ke3は大きくなり得る。アンテナ110では、間隔d1を適宜調整することにより、結合係数Km3と結合係数Ke3とが打ち消し合う程度を変更できる。つまり、アンテナ110では、間隔d1を適宜調整することにより、結合係数Km3と結合係数Ke3が打ち消し合い、結合係数K3が小さくなり得る。結合係数K3が小さくなることで、第1アンテナ素子131と第2アンテナ素子132の各々は、第1放射導体41及び第2放射導体42の各々によって、電磁波を効率良く放射することができる。
図10に示す第2給電線52は、図1に示す構成と同様に、第1成分としてのインダクタンス成分を優位に、第1給電線51に結合される。
図9に示す第1結合体170は、図4に示す第1結合体70と同様に、第2成分としてのキャパシタンス成分を優位に、第1給電線51と第2給電線52とを結合する。具体的には、図10に示す第1結合体170は、第1導体171及び第2導体172を含む。第1導体171及び第2導体172は、同一型の長方形であってよい。第1導体171は、第1導体171を貫通する第1給電線51と、電気的に接続される。第2導体172は、第2導体172を貫通する第2給電線52と、電気的に接続される。図10に示すように、第1導体171の端部171aと、第2導体172の端部172aは、互いに対向する。端部171aと端部172aとが対向することにより、図4に示す第1結合体70と同様に、第1結合体170は、第2成分としてのキャパシタンス成分を優位に、第1給電線51と第2給電線52とを結合する。
第1給電線51と第2給電線52との間のキャパシタンス成分及びインダクタンス成分による結合係数K4は、結合係数Km4と結合係数Ke4とが打ち消し合うことにより、小さくなり得る。結合係数Km4は、第1給電線51と第2給電線52との間のインダクタンス成分による結合係数である。結合係数Ke4は、第1給電線51と第2給電線52との間のキャパシタンス成分による結合係数である。図1に示す構成と同様に、第1結合体170を適宜構成することにより、結合係数Km4と結合係数Ke4が打ち消し合う程度を変更することができる。つまり、結合係数Km4と結合係数Ke4とが打ち消し合い、結合係数K4が小さくなり得る。換言すると、本実施形態でも、図1に示す構成と同様に、第1給電線51と第2給電線52との間の相互結合が低減され得る。
アンテナ110のその他の構成及び効果は、図1に示すアンテナ10の構成及び効果と同様である。
[アンテナの構造例3]
図11は、一実施形態に係るアンテナ210の斜視図である。図12は、図11に示すアンテナ210の一部を分解した斜視図である。図13は、図11に示すL3-L3線に沿ったアンテナ210の断面図である。図14は、図11に示すL4-L4線に沿ったアンテナ210の断面図である。
図11に示すように、アンテナ210は、基体20と、第1アンテナ素子31と、第2アンテナ素子32と、第1結合体70と、第3結合体74とを有する。アンテナ210は、第4結合体75をさらに有してよい。
第3結合体74は、第1放射導体41と第2給電線52とを結合する。第3結合体74は、第1放射導体41及び第2給電線52の構成に応じて、第1放射導体41と第2給電線52とを、キャパシタンス成分及びインダクタンス成分の何れかの成分を優位に、結合してよい。本実施形態では、第3結合体74は、第2成分としてのキャパシタンス成分を優位に、第1放射導体41と第2給電線52とを結合する。
具体的には、第3結合体74は、導電性材料を含み得る。第3結合体74は、基体20の中に位置する。第3結合体74は、Z方向において、第1放射導体41及び第2放射導体42の各々と離れて位置する。第3結合体74は、図12に示すように、L字型であってよい。L字型である第3結合体74は、片74a及び片74bを含む。片74aには、図13に示すように、第2給電線52が貫通する。片74aは、第2給電線52が貫通することにより、第2給電線52と電気的に接続される。図12に示すように、片74bは、片74aのY軸の負方向側の端部から、X軸の負方向に向けて延在することにより、XY平面において、第1放射導体41の一部と重なる。第3結合体74は、片74bがXY平面において第1放射導体41の一部と重なることにより、第1放射導体41に容量結合される。第3結合体74は、片74aが第2給電線52と電気的に接続され、且つ片74bが第1放射導体41と容量的に接続されることにより、第2成分としてのキャパシタンス成分を優位に、第1放射導体41と第2給電線52とを結合する。
第1放射導体41と第2給電線52との間のキャパシタンス成分及びインダクタンス成分による結合係数K5は、結合係数Ke5と結合係数Km5とが打ち消し合うことにより、小さくなり得る。結合係数Ke5は、第1放射導体41と第2給電線52との間のキャパシタンス成分による結合係数である。結合係数Km5は、第1放射導体41と第2給電線52との間のインダクタンス成分による結合係数である。ここで、アンテナ210で使用される周波数及びアンテナ210の構成によっては、結合係数Km5が、結合係数Ke5よりも、大きくなることがある。このような構成において、第3結合体74を適宜構成することにより、結合係数Ke5と結合係数Km5とが打ち消し合う程度を変更することができる。つまり、第3結合体74を適宜構成することにより、結合係数Ke5と結合係数Km5とが打ち消し合い、結合係数K5が小さくなり得る。換言すると、第1放射導体41と第2給電線52との間の相互結合が小さくなり得る。
第4結合体75は、第2放射導体42と第1給電線51とを結合する。第4結合体75は、第2放射導体42及び第1給電線51の構成に応じて、第2放射導体42と第1給電線51とを、キャパシタンス成分及びインダクタンス成分の何れかの成分を優位に、結合してよい。本実施形態では、第4結合体75は、第2成分としてのキャパシタンス成分を優位に、第2放射導体42と第1給電線51とを結合する。
具体的には、第4結合体75は、導電性材料を含み得る。第4結合体75は、基体20の中に位置する。第4結合体75は、Z方向において、第1放射導体41及び第2放射導体42の各々と離れて位置する。第4結合体75は、図12に示すように、L字型であってよい。L字型である第4結合体75は、片75a及び片75bを含む。第4結合体75は、第3結合体74と同様に、片75aが第1給電線51と電気的に接続され、且つ片75bが第2放射導体42に容量結合されることにより、第2成分としてのキャパシタンス成分を優位に、第2放射導体42と第1給電線51とを結合する。
第2放射導体42と第1給電線51との間のキャパシタンス成分及びインダクタンス成分による結合係数K6は、結合係数Ke6と結合係数Km6が打ち消し合うことにより、小さくなり得る。結合係数Ke6は、第2放射導体42と第1給電線51との間のキャパシタンス成分による結合係数である。結合係数Km6は、第2放射導体42と第1給電線51との間のインダクタンス成分による結合係数である。ここで、アンテナ210で使用される周波数及びアンテナ210の構成によっては、結合係数Km6が、結合係数Ke6よりも、大きくなることがある。このような構成において、第3結合体74を適宜構成することにより、結合係数Ke6と結合係数Km6とが打ち消し合う程度を変更することができる。つまり、第4結合体75を適宜構成することにより、結合係数Ke6と結合係数Km6とが打ち消し合い、結合係数K6が小さくなり得る。換言すると、第2放射導体42と第1給電線51との間の相互結合が小さくなり得る。
アンテナ210のその他の構成及び効果は、図1に示すアンテナ10の構成及び効果と同様である。
[アンテナの構造例4]
図15は、一実施形態に係るアンテナ310の斜視図である。アンテナ310は、基体20と、第1アンテナ素子31と、第2アンテナ素子32と、第1結合体70と、第2結合体73と、第3結合体74と、第4結合体75とを有する。
アンテナ310の構成及び効果は、図1に示すアンテナ10の構成及び効果、並びに、図11に示すアンテナ210の構成及び効果と同様である。
[アレイアンテナの構造例1]
図16は、一実施形態に係るアンテナ410の平面図である。図16において、第1方向は、X方向とする。第2方向は、Y方向とする。
アンテナ410は、アレイアンテナであり得る。アンテナ410は、リニアアレイアンテナであってよい。
アンテナ410は、基体20と、複数のアンテナ素子としてのn個(n:3以上の整数)のアンテナ素子とを有する。本実施形態では、アンテナ410は、4つのアンテナ素子(n=4)、すなわち、第1アンテナ素子431と、第2アンテナ素子432と、第3アンテナ素子433と、第4アンテナ素子434とを有する。
第1アンテナ素子431、第2アンテナ素子432、第3アンテナ素子433及び第4アンテナ素子434の各々には、第1給電線51乃至第4給電線54の各々から、第1アンテナ素子431乃至第4アンテナ素子434を、同相で励振させる信号が給電されてよい。又は、第1アンテナ素子431、第2アンテナ素子432、第3アンテナ素子433及び第4アンテナ素子434の各々には、第1給電線51乃至第4給電線54の各々から、第1アンテナ素子431乃至第4アンテナ素子434を、異なる位相で励振させる信号が給電されてよい。
アンテナ410は、第1アンテナ素子431等の構成に応じて、図1に示す第1結合体70、図1に示す第2結合体73、図11に示す第3結合体74及び第4結合体75を適宜有してよい。
第1アンテナ素子431は、図1に示す第1アンテナ素子31又は図9に示す第1アンテナ素子131であってよい。第1アンテナ素子431は、第1放射導体441及び第1給電線51を有する。第1放射導体441は、図1に示す第1放射導体41と同様の構成であってよい。
第2アンテナ素子432は、図1に示す第2アンテナ素子32又は図9に示す第2アンテナ素子132であってよい。第2アンテナ素子432は、第2放射導体442及び第2給電線52を有する。第2放射導体442は、図1に示す第2放射導体42と同様の構成であってよい。
第3アンテナ素子433は、アンテナ410の用途等に応じて、第1周波数帯又は第2周波数帯で共振する。第3アンテナ素子433は、第1アンテナ素子431又は第2アンテナ素子432と同様の構成であってよい。第3アンテナ素子433は、第3放射導体443及び第3給電線53を有する。第3放射導体443は、図1に示す第1放射導体41又は第2放射導体42と同様の構成であってよい。第3給電線53は、図3に示す第1給電線51又は第2給電線52と同様の構成であってよい。
第4アンテナ素子434は、アンテナ410の用途等に応じて、第1周波数帯又は第2周波数帯で共振する。第4アンテナ素子434は、第1アンテナ素子431又は第2アンテナ素子432と同様の構成であってよい。第4アンテナ素子434は、第4放射導体444及び第4給電線54を有する。第4放射導体444は、図1に示す第1放射導体41又は第2放射導体42と同様の構成であってよい。第4給電線54は、図3に示す第1給電線51又は第2給電線52と同様の構成であってよい。
第1アンテナ素子431と、第2アンテナ素子432と、第3アンテナ素子433と、第4アンテナ素子434とは、X方向に沿って並ぶ。第1アンテナ素子431、第2アンテナ素子432、第3アンテナ素子433及び第4アンテナ素子434は、X方向において、アンテナ410の共振波長の4分の1以下の間隔で並んでよい。本実施形態では、第1放射導体441、第2放射導体442、第3放射導体443及び第4放射導体444は、間隔D1を置いて、X方向に沿って並ぶ。間隔D1は、アンテナ410の共振波長の4分の1以下である。
第nアンテナ素子としての第4アンテナ素子434が第1周波数で共振する構成では、第n放射導体としての第4放射導体444は、X方向において、アンテナ410の共振波長の2分の1以下の間隔で、第1放射導体441と並んでよい。本実施形態では、第1放射導体441と第4放射導体444は、間隔D2を置いて、X方向に沿って並ぶ。間隔D2は、アンテナ410の共振波長の2分の1以下である。第4放射導体444は、直接的又は間接的に、第2放射導体442に結合されてよい。
隣り合う第1アンテナ素子431及び第2アンテナ素子432は、Y方向において、ずれていてよい。この構成では、アンテナ410は、当該ずれに応じて適宜調整された図1に示す第1結合体70を有してよい。同様に、隣り合う第2アンテナ素子432及び第3アンテナ素子433、並びに、隣り合う第3アンテナ素子433及び第4アンテナ素子434は、Y方向にずれていてよい。アンテナ410は、これらの間のずれ量に応じて適宜調整された第1結合体70を、有してよい。
[アレイアンテナの構造例2]
図17は、一実施形態に係るアンテナ510の平面図である。図17において、第1方向は、X方向とする。第2方向は、Y方向とする。
アンテナ510は、アレイアンテナであり得る。アンテナ510は、プレーナアレイアンテナであってよい。
アンテナ510は、基体20と、第1アンテナ素子群81と、第2アンテナ素子群82とを有する。アンテナ510は、第2結合体571,572,573,574,575,576,577をさらに有してよい。アンテナ510は、第1アンテナ素子群81等の構成に応じて、図1に示す第1結合体70、図11に示す第3結合体74及び第4結合体75を適宜有してよい。
第1アンテナ素子群81及び第2アンテナ素子群82の各々は、X方向に沿って広がる。第1アンテナ素子群81と第2アンテナ素子群82は、Y方向に沿って並ぶ。第1アンテナ素子群81及び第2アンテナ素子群82の各々は、図16に示すアンテナ素子群と同様の構成であってよい。図16に示すアンテナ素子群とは、第1アンテナ素子431、第2アンテナ素子432、第3アンテナ素子433及び第4アンテナ素子434を含むものである。
第1アンテナ素子群81は、アンテナ素子531,532,533,534を含む。アンテナ素子531~543の各々は、図1に示す第1アンテナ素子31、図1に示す第2アンテナ素子32、図9に示す第1アンテナ素子131又は図9に示す第2アンテナ素子132と同様の構成であってよい。アンテナ素子531,532,533,534の各々は、放射導体541,542,543,544を各々含む。放射導体541~544の各々は、図1に示す第1放射導体41又は第2放射導体42と同様の構成であってよい。
第2アンテナ素子群82は、アンテナ素子535,536,537,538を含む。アンテナ素子535~538の各々は、図1に示す第1アンテナ素子31、図1に示す第2アンテナ素子32、図9に示す第1アンテナ素子131又は図9に示す第2アンテナ素子132と同様の構成であってよい。アンテナ素子535,536,537,538の各々は、放射導体545,546,547,548を各々含む。放射導体545~548の各々は、図1に示す第1放射導体41又は第2放射導体42と同様の構成であってよい。
アンテナ510の用途等に応じて、アンテナ素子531~538の各々には、アンテナ素子531~538の各々が含む給電線から、アンテナ素子531~538を、同相で励振させる信号が給電されてよい。又は、アンテナ素子531~538の各々には、アンテナ素子531~538の各々が含む給電線から、アンテナ素子531~538を、異なる位相で励振させる信号が給電されてよい。
第1アンテナ素子群81において、アンテナ素子531~534は、X方向に沿って並ぶ。アンテナ素子531~534は、Y方向において、ずれて並んでよい。アンテナ素子531~534のうち、アンテナ素子533が、第2アンテナ素子群82の方に突出する。
第2アンテナ素子群82において、アンテナ素子535~538は、X方向に沿って並ぶ。アンテナ素子535~538は、Y方向において、ずれて並んでよい。アンテナ素子535~538のうち、アンテナ素子537が、第1アンテナ素子群81の方に突出する。
第1アンテナ素子群81の少なくとも1つは、第1結合方式又は第2結合方式で、第2アンテナ素子群82の少なくとも1つに結合される。本実施形態では、第1アンテナ素子群81のアンテナ素子533の放射導体543が、容量結合が優位な第2結合方式で、第2アンテナ素子群82のアンテナ素子537の放射導体547に結合される。具体的には、放射導体543の短辺543bと、放射導体547の短辺547bとが、互いに対向する。互いに対向する短辺543bと短辺547bは、基体20を介して、静電容量を構成し得る。当該静電容量が構成されることにより、アンテナ素子533の放射導体543は、容量結合が優位な第2結合方式で、アンテナ素子537の放射導体547に結合される。
第1アンテナ素子群81は、第1放射導体群91として、放射導体541,542,543,544を含む。第2アンテナ素子群82は、第2放射導体群92として、放射導体545,546,547,548を含む。
第1放射導体群91において、隣り合う放射導体541と放射導体542は、図1に示す第1放射導体41及び第2放射導体42と同様に、磁界結合が優位な第1結合方式で、結合される。同様に、隣り合う放射導体542と放射導体543は、磁界結合が優位な第1結合方式で、結合される。同様に、隣り合う放射導体543と放射導体544は、磁界結合が優位な第1結合方式で、結合される。
第2放射導体群92において、隣り合う放射導体545と放射導体546は、図1に示す第1放射導体41及び第2放射導体42と同様に、磁界結合が優位な第1結合方式で、結合される。同様に、隣り合う放射導体546と放射導体547は、磁界結合が優位な第1結合方式で、結合される。同様に、隣り合う放射導体547と放射導体548は、磁界結合が優位な第1結合方式で、結合される。
第2結合体571は、図5に示す第2結合体73と同様にして、隣り合う放射導体541と放射導体542を、容量結合が優位な第2結合方式で、結合する。第2結合体571が隣り合う放射導体541と放射導体542を第2結合方式で結合することにより、隣り合う放射導体541と放射導体542の間の相互結合が低減され得る。
第2結合体571と同様に、第2結合体572は、隣り合う放射導体542と放射導体543を、容量結合が優位な第2結合方式で、結合する。第2結合体573は、隣り合う放射導体543と放射導体544を、容量結合が優位な第2結合方式で、結合する。第2結合体574は、隣り合う放射導体545と放射導体546を、容量結合が優位な第2結合方式で、結合する。第2結合体575は、隣り合う放射導体546と放射導体547を、容量結合が優位な第2結合方式で、結合する。第2結合体576は、隣り合う放射導体547と放射導体548を、容量結合が優位な第2結合方式で、結合する。このような構成によって、隣り合う放射導体間の相互結合が低減され得る。
第2結合体577は、第1放射導体群91の放射導体543と、第2放射導体群92の放射導体547とを、磁界結合する。第2結合体577は、コイル等を含み得る。第2結合体577が放射導体543と放射導体547とを磁界結合することにより、放射導体543と放射導体547の間の相互結合が低減され得る。
[無線通信モジュール]
図18は、一実施形態に係る無線通信モジュール1のブロック図である。図19は、図18に示す無線通信モジュール1の概略構成図である。
無線通信モジュール1は、アンテナ11と、RFモジュール12と、回路基板14とを備える。回路基板14は、グラウンド導体13A及びプリント基板13Bを有する。
アンテナ11は、図1に示すアンテナ10を備える。ただし、アンテナ11は、図1に示すアンテナ10の代わりに、図9に示すアンテナ110、図11に示すアンテナ210、図15に示すアンテナ310、図16に示すアンテナ410及び図17に示すアンテナ510の何れかを備えてよい。アンテナ11は、第1給電線51及び第2給電線52を有する。アンテナ11は、グラウンド導体60を有する。グラウンド導体60は、図2に示す第1グラウンド導体61と第2グラウンド導体62とが一体化されたものである。
アンテナ11は、図19に示すように、回路基板14の上に位置する。アンテナ11の第1給電線51は、図19に示す回路基板14を介して、図18に示すRFモジュール12に接続される。アンテナ11の第2給電線52は、図19に示す回路基板14を介して、図18に示すRFモジュール12に接続される。アンテナ11のグラウンド導体60は、回路基板14が有するグラウンド導体13Aに電磁気的に接続される。
アンテナ11は、第1給電線51及び第2給電線52の両方を有するものに限られない。アンテナ11は、第1給電線51及び第2給電線52の一方の給電線を有するものであってよい。この構成では、回路基板14の構成は、1つの給電線を有するアンテナ11の構成に対応して、適宜変更され得る。例えば、RFモジュール12の接続端子は、1つであってよい。例えば、回路基板14は、RFモジュール12の接続端子と、アンテナ11の給電線とを接続する1つの導電線を有してよい。
グラウンド導体13Aは、導電性材料を含み得る。グラウンド導体13Aは、XY平面に広がり得る。
アンテナ11は、回路基板14と一体であってよい。アンテナ11と回路基板14とが一体である構成では、アンテナ11のグラウンド導体60は、回路基板14のグラウンド導体13Aと一体であってよい。
RFモジュール12は、アンテナ11に給電する電力を制御する。RFモジュール12は、ベースバンド信号を変調して、アンテナ11に供給する。RFモジュール12は、アンテナ11が受信した電気信号を、ベースバンド信号に変調する。
このような無線通信モジュール1は、アンテナ11を備えることにより、電磁波を効率良く放射することができる。
[無線通信機器]
図20は、一実施形態に係る無線通信機器2のブロック図である。図21は、図20に示す無線通信機器2の平面図である。図22は、図20に示す無線通信機器2の断面図である。
無線通信機器2は、基板3の上に位置し得る。基板3の材料は、任意の材料であってよい。無線通信機器2は、図20に示すように、無線通信モジュール1と、センサ15と、バッテリ16と、メモリ17と、コントローラ18とを備える。無線通信機器2は、図21に示すように、筐体19を備える。
センサ15は、例えば、速度センサ、振動センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、回転角センサ、角速度センサ、地磁気センサ、マグネットセンサ、温度センサ、湿度センサ、気圧センサ、光センサ、照度センサ、UVセンサ、ガスセンサ、ガス濃度センサ、雰囲気センサ、レベルセンサ、匂いセンサ、圧力センサ、空気圧センサ、接点センサ、風力センサ、赤外線センサ、人感センサ、変位量センサ、画像センサ、重量センサ、煙センサ、漏液センサ、バイタルセンサ、バッテリ残量センサ、超音波センサ又はGPS(Global Positioning System)信号の受信装置等を含んでよい。
バッテリ16は、無線通信モジュール1に電力を供給する。バッテリ16は、センサ15、メモリ17、及び、コントローラ18の少なくとも1つに電力を供給し得る。バッテリ16は、1次バッテリ及び二次バッテリの少なくとも一方を含み得る。バッテリ16のマイナス極は、図19に示す回路基板14のグラウンド端子に電気的に接続される。バッテリ16のマイナス極は、アンテナ11のグラウンド導体40に電気的に接続される。
メモリ17は、例えば半導体メモリ等を含み得る。メモリ17は、コントローラ18のワークメモリとして機能し得る。メモリ17は、コントローラ18に含まれ得る。メモリ17は、無線通信機器2の各機能を実現する処理内容を記述したプログラム、及び、無線通信機器2における処理に用いられる情報等を記憶する。
コントローラ18は、例えばプロセッサを含み得る。コントローラ18は、1以上のプロセッサを含んでよい。プロセッサは、特定のプログラムを読み込ませて特定の機能を実行する汎用のプロセッサ、及び、特定の処理に特化した専用のプロセッサを含んでよい。専用のプロセッサは、特定用途向けICを含んでよい。特定用途向けICは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)ともいう。プロセッサは、プログラマブルロジックデバイスを含んでよい。プログラマブルロジックデバイスは、PLD(Programmable Logic Device)ともいう。PLDは、FPGA(Field-Programmable Gate Array)を含んでよい。コントローラ18は、1つ又は複数のプロセッサが協働するSoC(System-on-a-Chip)、及び、SiP(System In a Package)の何れかであってよい。コントローラ18は、メモリ17に、各種情報又は無線通信機器2の各構成部を動作させるためのプログラム等を格納してよい。
コントローラ18は、無線通信機器2から送信する送信信号を生成する。コントローラ18は、例えば、センサ15から測定データを取得してよい。コントローラ18は、測定データに応じた送信信号を生成してよい。コントローラ18は、無線通信モジュール1のRFモジュール12にベースバンド信号を送信し得る。
図21に示す筐体19は、無線通信機器2の他のデバイスを保護する。筐体19は、第1筐体19A及び第2筐体19Bを含み得る。
図22に示す第1筐体19Aは、XY平面に広がり得る。第1筐体19Aは、他のデバイスを支える。第1筐体19Aは、無線通信機器2を支持し得る。無線通信機器2は、第1筐体19Aの上面19aの上に位置する。第1筐体19Aは、バッテリ16を支持し得る。バッテリ16は、第1筐体19Aの上面19aの上に位置する。第1筐体19Aの上面19aの上には、無線通信モジュール1とバッテリ16とが、X方向に沿って並んでよい。
図22に示す第2筐体19Bは、他のデバイスを覆い得る。第2筐体19Bは、アンテナ11のZ軸の負方向側に位置する下面19bを含む。下面19bは、XY平面に沿って広がる。下面19bは、平坦に限られず、凹凸を含み得る。第2筐体19Bは、導体部材19Cを有し得る。導体部材19Cは、第2筐体19Bの内部、外側及び内側の少なくとも一方に位置する。導体部材19Cは、第2筐体19Bの上面及び側面の少なくとも一方に位置する。
図22に示す導体部材19Cは、アンテナ11と対向する。アンテナ11は、導体部材19Cと結合し、導体部材19Cを二次放射器として電磁波を放射することができる。アンテナ11と導体部材19Cが対向すると、アンテナ11と導体部材19Cとの間の容量的な結合が大きくなり得る。アンテナ11の電流方向が、導体部材19Cの延在する方向に沿うと、アンテナ11と導体部材19Cとの間の電磁気的な結合が大きくなり得る。この結合は、相互インダクタンスとなり得る。
本開示に係る構成は、以上説明してきた実施形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形又は変更が可能である。例えば、各構成部等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
例えば、上述の実施形態では、図5に示すように、第2結合体73は、第1放射導体41及び第2放射導体42よりも、Z軸の負方向側に位置するものとして説明した。ただし、第2結合体73は第2結合方式で第1放射導体41と第2放射とを結合できれば、Z軸の負方向側に位置しなくてよい。例えば、第2結合体73は、第1放射導体41及び第2放射導体42よりも、Z軸の正方向側に位置してよい。
本開示に係る構成を説明する図は、模式的なものである。図面上の寸法比率等は、現実のものと必ずしも一致しない。
本開示において「第1」、「第2」、「第3」等の記載は、当該構成を区別するための識別子の一例である。本開示における「第1」及び「第2」等の記載で区別された構成は、当該構成における番号を交換することができる。例えば、第1周波数は、第2周波数と識別子である「第1」と「第2」とを交換することができる。識別子の交換は同時に行われる。識別子の交換後も当該構成は区別される。識別子は削除してよい。識別子を削除した構成は、符号で区別される。本開示における「第1」及び「第2」等の識別子の記載のみに基づいて、当該構成の順序の解釈、小さい番号の識別子が存在することの根拠、及び、大きい番号の識別子が存在することの根拠に利用してはならない。