(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る撮像装置の一例である電子カメラ1(以下、カメラ1と称する)の構成例を示す図である。カメラ1は、カメラボディ2と交換レンズ3とにより構成される。カメラ1は、カメラボディ2と交換レンズ3とから構成されるので、カメラシステムと称することもある。
カメラボディ2には、交換レンズ3が取り付けられるボディ側マウント部201が設けられる。交換レンズ3には、カメラボディ2に取り付けられるレンズ側マウント部301が設けられる。レンズ側マウント部301及びボディ側マウント部201には、それぞれレンズ側接続部302、ボディ側接続部202が設けられる。レンズ側接続部302及びボディ側接続部202には、それぞれクロック信号用の端子やデータ信号用の端子、電源供給用の端子等の複数の端子が設けられている。交換レンズ3は、レンズ側マウント部301及びボディ側マウント部201により、カメラボディ2に着脱可能に装着される。
カメラボディ2に交換レンズ3が装着されると、ボディ側接続部202に設けられた端子とレンズ側接続部302に設けられた端子とが電気的に接続される。これにより、カメラボディ2から交換レンズ3への電力供給や、カメラボディ2及び交換レンズ3間の通信が可能となる。
交換レンズ3は、撮影光学系(結像光学系)31と、レンズ制御部32と、レンズメモリ33とを備える。撮影光学系31は、焦点距離を変更するズームレンズ(変倍レンズ)31aやフォーカスレンズ(焦点調節レンズ)31bを含む複数のレンズと絞り31cとを含み、カメラボディ2の撮像素子22の撮像面22aに被写体像を形成する。なお、図1では、ズームレンズ31aとフォーカスレンズ31bとを模式的に図示したが、通常の撮影光学系は、一般に多数の光学素子から構成される。なお、撮像素子22の撮像面22aは、例えば、後述する光電変換部が配置される面、またはマイクロレンズが配置される面である。
レンズ制御部32は、CPUやFPGA、ASIC等のプロセッサ、及びROMやRAM等のメモリによって構成され、制御プログラムに基づいて交換レンズ3の各部を制御する。レンズ制御部32は、カメラボディ2のボディ制御部210から出力される信号に基づき、ズームレンズ31a、フォーカスレンズ31b、及び絞り31cの駆動を制御する。レンズ制御部32は、ボディ制御部210からフォーカスレンズ31bの移動方向や移動量などを示す信号が入力されると、その信号に基づいてフォーカスレンズ31bを光軸OA1方向に進退移動させて撮影光学系31の焦点位置を調節する。また、レンズ制御部32は、カメラボディ2のボディ制御部210から出力される信号に基づき、ズームレンズ31aの位置や絞り31cの開口径を制御する。
レンズメモリ33は、例えば、不揮発性の記憶媒体等により構成される。レンズメモリ33には、交換レンズ3に関連する情報がレンズ情報として記憶(記録)される。レンズ情報には、撮影光学系31の光学特性(射出瞳距離やF値)に関するデータや、フォーカスレンズ31bの無限遠位置や至近位置に関するデータや、その交換レンズ(ズームレンズ)3の最短焦点距離と最長焦点距離に関するデータなどが含まれる。射出瞳距離とは、撮影光学系31の射出瞳と撮影光学系31による像の像面との間の距離である。なお、レンズ情報は、レンズ制御部32の内部のメモリに記憶するようにしてもよい。
レンズメモリ33へのデータの書き込みや、レンズメモリ33から出力されるデータの読み出しは、レンズ制御部32によって制御される。交換レンズ3がカメラボディ2に装着されると、レンズ制御部32は、レンズ側接続部302及びボディ側接続部202の端子を介して、レンズ情報をボディ制御部210に送信する。また、レンズ制御部32は、制御したズームレンズ31aの位置情報(焦点距離情報)や、制御したフォーカスレンズ31bの位置情報や、制御した絞り31cのF値の情報などをボディ制御部210に送信する。
次に、カメラボディ2の構成について説明する。カメラボディ2は、撮像素子22と、ボディメモリ23と、表示部24と、操作部25と、ボディ制御部210とを備える。撮像素子22は、CMOSイメージセンサやCCDイメージセンサである。撮像素子22は、撮影光学系31により形成される被写体像を撮像する。撮像素子22には、光電変換部を有する複数の画素が行方向(±X方向)及び列方向(±Y方向)に配置される。光電変換部は、フォトダイオード(PD)によって構成される。撮像素子22は、受光した光を光電変換部で光電変換して信号を生成し、生成した信号をボディ制御部210に出力する。
撮像素子22は、後に説明するように、画像生成に用いる信号を出力する画素(撮像画素)と、焦点検出に用いる信号(焦点検出信号)を出力するAF画素(焦点検出画素)と、画像生成および焦点検出に用いる信号を出力する画素(撮像兼AF画素)とを有する。撮像兼AF画素は、撮像画素の一部であるが、その信号が画像生成および焦点検出に用いられるので、撮像兼AF画素とも称するものである。撮像画素には、入射した光のうち第1の波長域の光(赤(R)の光)を分光する分光特性を有するフィルタを有する画素(以下、R画素と称する)と、入射した光のうち第2の波長域の光(緑(G)の光)を分光する分光特性を有するフィルタを有する画素(以下、G画素と称する)と、入射した光のうち第3の波長域の光(青(B)の光)を分光する分光特性を有するフィルタを有する画素(以下、B画素と称する)とがある。R画素とG画素とB画素とは、ベイヤー配列に従って配置されている。AF画素は、撮像画素の一部に置換して配置され、撮像素子22の撮像面22aのほぼ全面に分散して配置される。
ボディメモリ23は、例えば、不揮発性の記憶媒体等により構成される。ボディメモリ23には、画像データや制御プログラム等が記録される。ボディメモリ23へのデータの書き込みや、ボディメモリ23から出力されるデータの読み出しは、ボディ制御部210によって制御される。表示部24は、画像データに基づく画像、AF枠などの焦点検出領域(AFエリア)を示す画像、シャッター速度やF値等の撮影に関する情報、及びメニュー画面等を表示する。操作部25は、レリーズボタン、電源スイッチ、各種モードを切り替えるためのスイッチなどの各種設定スイッチ等を含み、それぞれの操作に応じた操作信号をボディ制御部210へ出力する。
ボディ制御部210は、CPUやFPGA、ASIC等のプロセッサ、及びROMやRAM等のメモリによって構成され、制御プログラムに基づいてカメラ1の各部を制御する。ボディ制御部210は、画像データ生成部211と、領域設定部212と、画素選択部213と、焦点検出部220とを有する。画像データ生成部211は、撮像素子22の撮像画素から出力される信号に各種の画像処理を行って画像データを生成する。なお、画像データ生成部211は、AF画素から出力される信号も用いて画像データを生成してもよい。
領域設定部212は、図2に示した撮像素子22の撮像面22aに設けられた複数の焦点検出領域100のうち、少なくとも一つの焦点検出領域100を設定(選択)する。表示部24に表示される複数のAF枠は、撮像素子22に設けられた複数の焦点検出領域100とそれぞれ対応している。領域設定部212は、表示部24に表示された複数のAF枠のうち、ユーザが操作部25の操作によって選択したAF枠に対応する焦点検出領域100、又はカメラ1が自動的に選択した焦点検出領域100を、焦点検出を行う焦点検出領域として設定する。後述するが、焦点検出部220は、領域設定部212により設定された焦点検出領域100内の画素から出力される信号を用いて、撮影光学系31による像と撮像面22aとのずれ量(デフォーカス量)を検出する。
各焦点検出領域100は、図3に示したように、3つの第1、第2、及び第3の小領域91、92、93を有する。後述するように、各小領域91~93には、撮像画素とAF画素と撮像兼AF画素とが設けられているが、少なくともAF画素と撮像兼AF画素は、小領域毎にその構造が異なっている。
なお、図2に示すように、複数の焦点検出領域100は、行方向及び列方向に配置されており、それぞれ異なる像高の位置に設けられている。例えば、撮像素子22の中央位置の焦点検出領域100a内の小領域92(図3参照)は、撮影光学系31の光軸OA1上に位置し、その像高Hは略ゼロである。焦点検出領域100は、撮像面22aの中央(撮影光学系31の光軸OA1)から離れるに従って、その像高Hは高くなる。換言すると、焦点検出領域100は、撮像面22aの中央からの距離が長くなるに従って、その像高Hは高くなる。従って、焦点検出領域100aがある行において撮影光学系31の光軸OA1から最も離れた(像高Hが最も高い)焦点検出領域100は、行の左端(-X方向における端)及び右端(+X方向における端)に位置する焦点検出領域100b、100cである。撮像素子22において像高Hが最も高い焦点検出領域100は、撮像面22aの隅にある4つの焦点検出領域100である。
なお、焦点検出領域100は、所定の面積を有するので、焦点検出領域100内での位置によって、AF画素毎に像高は異なる。しかし、本実施の形態において、1つの焦点検出領域100の中心位置の像高Hの値を、その焦点検出領域100全体の像高の値としている。撮像面22aの中央の焦点検出領域100aの像高はゼロであり、焦点検出領域100b、100cの像高は所定の像高Hである。
画素選択部213は、領域設定部212により設定された焦点検出領域100について、撮影光学系31の射出瞳距離に基づき、第1~第3の小領域91~93のいずれかに属するAF画素と撮像兼AF画素とを選択する。例えば、画素選択部213は、撮影光学系31の射出瞳距離が第1の閾値以上である場合、第1の小領域91に属するAF画素と撮像兼AF画素とを選択する。画素選択部213は、射出瞳距離が第2の閾値未満である場合、第3の小領域93に属するAF画素と撮像兼AF画素とを選択する。そして、画素選択部213は、射出瞳距離が第2の閾値以上かつ第1の閾値未満である場合、第2の小領域92に属するAF画素と撮像兼AF画素とを選択する。
焦点検出部220は、撮影光学系31の自動焦点調節(AF)に必要な焦点検出処理を行う。焦点検出部220は、撮影光学系31による像が撮像面22a上に合焦(結像)するためのフォーカスレンズ31bの合焦位置(合焦位置までのフォーカスレンズ31bの移動量)を検出する。後述するが、焦点検出部220は、画素選択部213により選択されたAF画素および撮像兼AF画素から出力される焦点検出信号に基づき、瞳分割型の位相差検出方式によりデフォーカス量を算出する。焦点検出部220は、算出したデフォーカス量を用いて、合焦位置までのフォーカスレンズ31bの移動量を算出する。
焦点検出部220は、デフォーカス量が許容値以内か否かを判定する。焦点検出部220は、デフォーカス量が許容値以内であれば合焦していると判断する。一方、焦点検出部220は、デフォーカス量が許容値を超えている場合は合焦していないと判断し、交換レンズ3のレンズ制御部32へフォーカスレンズ31bの移動量とレンズ駆動を指示する信号を送信する。焦点検出部220から出力される指示を受けたレンズ制御部32が、移動量に応じてフォーカスレンズ31bを移動することにより、焦点調節が自動で行われる。
また、焦点検出部220は、位相差検出方式の焦点検出処理に加えて、コントラスト検出方式の焦点検出処理を行うこともできる。ボディ制御部210は、撮影光学系31のフォーカスレンズ31bを光軸OA1方向に移動させながら、撮像画素から出力される信号に基づき被写体像のコントラスト評価値を順次算出する。ボディ制御部210は、交換レンズ3から送信されるフォーカスレンズ31bの位置情報を用いて、フォーカスレンズ31bの位置とコントラスト評価値との対応付けを行う。そして、ボディ制御部210は、コントラスト評価値がピーク、即ち極大値を示すフォーカスレンズ31bの位置を合焦位置として検出する。ボディ制御部210は、検出した合焦位置に対応するフォーカスレンズ31bの位置の情報を、レンズ制御部32に送信する。レンズ制御部32は、フォーカスレンズ31bを合焦位置に移動して焦点調節を行う。
図4は、焦点検出領域100内の第1の小領域91の画素の配置例を示す図である。図4において、R画素13とG画素13とが±X方向、即ち行方向に交互に配置された第1の画素群401と、G画素13とB画素13とが行方向に交互に配置された第2の画素群402とが±Y方向、即ち、列方向に交互に配置されている。撮像画素13は、ベイヤー配列に従って配置されている。
複数の第2の画素群402のうちの一部の第2の画素群402は、第1または第2のAF画素11、12を含んでいる。第1および第2のAF画素11、12は遮光部43をそれぞれ有する。第1のAF画素11を含む第2の画素群402を、第1のAF画素ライン402Ra、402Rb、402Rc、402Rdと称する。第1のAF画素ライン402Ra~402Rdでは、第1のAF画素11とG画素13とが交互に配置されている。第1のAF画素11は、列方向と、行方向とにおいて、2つの撮像画素13の間に設けられる。図4に示す例では、第1のAF画素11は、2つの撮像画素13の間に設けられ、これら2つの撮像画素13に隣接して配置されている。また、少なくとも一つの撮像画素13が、列方向に並ぶ2つの第1のAF画素11の間に配置される。なお、少なくとも一つの撮像画素13が、行方向に並ぶ2つの第1のAF画素11の間に配置されてもよい。
第1のAF画素11の光電変換部は、撮影光学系31の射出瞳の第1及び第2の瞳領域のうちの第1の瞳領域を通過した光束を受光する。G画素13の光電変換部は、撮影光学系31の射出瞳の第1及び第2の瞳領域の両方を通過した光束を受光する。後述するように、焦点検出部220は、焦点検出のために第1のAF画素11の信号とG画素13の信号との位相差を算出するので、第1のAF画素ライン402Ra~402RdのG画素13は、撮像兼AF画素として働く。なお、第1のAF画素11は、B画素13を置換して配置されるが、緑(G)の分光特性を有するカラーフィルタ51を有する。第1のAF画素11が緑の分光特性を有するように構成する理由は、第1のAF画素11の分光特性を撮像兼AF画素13の分光特性に一致させて、焦点検出精度を高めるためである。なお、撮影光学系31の射出瞳の一部の領域である第1の瞳領域を、第1領域と称してもよい。撮影光学系31の射出瞳の第1及び第2の瞳領域を、第2領域と称してもよい。撮影光学系31の射出瞳の他の一部の領域である第2の瞳領域を、第3領域と称してもよい。
また、第1のAF画素ライン402Ra~402Rdは、焦点検出領域100の第1の小領域91内で、ほぼ等間隔に設けられている。即ち、互いに隣り合う第1のAF画素ライン402Ra~402Rdの間隔は、互いに等しい。
また、第2のAF画素12を含む第2の画素群402を、第2のAF画素ライン402La、402Lb、402Lc、402Ldと称する。第2のAF画素ライン402La~402Ldでは、第2のAF画素12とG画素13とが交互に配置されている。第2のAF画素12は、列方向と、行方向とにおいて、2つの撮像画素13の間に設けられる。図4に示す例では、第2のAF画素12は、2つの撮像画素13の間に設けられ、これら2つの撮像画素13に隣接して配置されている。また、少なくとも一つの撮像画素13が、列方向に並ぶ2つの第2のAF画素12の間に配置される。なお、少なくとも一つの撮像画素13が、行方向に並ぶ2つの第2のAF画素12の間に配置されてもよい。
第2のAF画素12の光電変換部は、撮影光学系31の射出瞳の第1及び第2の瞳領域のうちの第2の瞳領域を通過した光束を受光する。後に詳述するように、焦点検出部220は、焦点検出のために第2のAF画素12の信号とG画素13の信号との位相差を算出するので、第2のAF画素ライン402La~402LdのG画素13も、撮像兼AF画素として働く。なお、第2のAF画素12も、B画素13に置換して配置されるが、緑(G)の分光特性を有するカラーフィルタ51を有する。
また、第2のAF画素ライン402La~402Ldも、焦点検出領域100の第1の小領域91内で、ほぼ等間隔に設けられ、隣り合う第1のAF画素ライン402Ra~402Rdの中間位置に位置する。第1及び第2のAF画素ラインは、列方向に、交互に、ほぼ等間隔に配置されている。
本実施の形態では、第1及び第2のAF画素ライン402Ra~402Rd、402La~402Ldは、第1の小領域91内に8本、設けられているが、この本数は、第1の小領域91の大きさ等に応じて、増減することができる。
なお、第1のAF画素ライン402Ra~402Rdにおいて、第1のAF画素11は、第2の画素群402のB画素を置換して配置されるので、同一列に位置している。同様に、第2のAF画素ライン402La~402Ldにおいても、第2のAF画素12は、第2の画素群402のB画素を置換して配置されるので、第1のAF画素11の列と同一の列に位置している。
焦点検出領域100内の第1の小領域91内の画素配置は、上述の通りであり、焦点検出領域100の残りの第2及び第3の小領域92、93内の画素配置は、第1の小領域91と同一である。第1、第2、及び第3の小領域91、92、93の間の相違点は、後述するが、第1のAF画素11及び第2のAF画素12の画素構造である。
図5は、第1の実施の形態に係る撮像素子22に設けられるAF画素および撮像画素の構成例を説明するための図である。図5(a)は、第1のAF画素11の断面の一例を示し、図5(b)は、第2のAF画素12の断面の一例を示す。図5(c)は、撮像画素13(R画素、G画素、B画素)の断面の一例を示す。
図5において、第1及び第2のAF画素11、12と撮像画素13は共に、マイクロレンズ44と、カラーフィルタ51と、マイクロレンズ44及びカラーフィルタ51を透過(通過)した光を光電変換する光電変換部42(PD42)とを有する。第1の光束61は、撮影光学系31の射出瞳を略2等分する第1の瞳領域を通過した光束である。第2の光束62は、撮影光学系31の射出瞳を略2等分する第2の瞳領域を通過した光束である。
図5(a)において、第1のAF画素11には、第1及び第2の光束61、62のうちの第2の光束62を遮光する遮光部43Lが設けられる。遮光部43Lは、カラーフィルタ51と光電変換部42との間に位置し、光電変換部42の上に設けられている。図5(a)に示す例では、遮光部43Lは、光電変換部42の左半分(-X方向側)を遮光するように配置される。遮光部43Lの右端(+X方向における端)は、光電変換部42を左右に2等分する中心線に略一致する。第1のAF画素11の領域46は、光電変換部42のほぼ右半分(+X方向側)の領域に対応した領域であり、マイクロレンズ44及びカラーフィルタ51を通過した第1の光束61が光電変換部42に入射することを許容する開口として作用する。この右側の開口に着目して、第1のAF画素を右開口AF画素11と称することもある。第1のAF画素11の光電変換部42は、第1の光束61を受光する。第1のAF画素11の光電変換部42は第1の光束61を光電変換して電荷を生成し、第1のAF画素11は光電変換部42で生成された電荷に基づく第1の焦点検出信号を出力する。
なお、遮光部43Lの面積は、撮影光学系31の光軸OA1(撮像面22aの中心)周辺にある第1のAF画素11を除いて、第1のAF画素11の位置(像高)によって異なる。第1のAF画素11の位置が異なる、即ち像高が異なると、第1のAF画素11に入射する光の入射角が異なる。像高が高くなると入射角は大きくなり、像高が低いと入射角は小さくなり、像高が0であれば入射角は0°である。像高によって異なる入射角で入射する光のうち第2の光束62を遮光するために、遮光部43Lの面積は像高によって異なる。
図5(b)において、第2のAF画素12には、第1及び第2の光束61、62のうちの第1の光束61を遮光する遮光部43Rが設けられる。遮光部43Rは、カラーフィルタ51と光電変換部42との間に位置し、光電変換部42の上に設けられている。図5(b)に示す例では、遮光部43Rは、光電変換部42の右半分(+X方向側)を遮光するように配置される。遮光部43Rの左端(-X方向における端)は、光電変換部42を左右に2等分する中心線に略一致する。また、第2のAF画素12の領域46は、光電変換部42のほぼ左半分の領域に対応した領域であり、マイクロレンズ44及びカラーフィルタ51を通過した第2の光束62が光電変換部42に入射することを許容する開口として作用する。この左側の開口に着目して、第2のAF画素を左開口AF画素12と称することもある。第2のAF画素12の光電変換部42は、第2の光束62を受光する。第2のAF画素12の光電変換部42は第2の光束62を光電変換して電荷を生成し、第2のAF画素12は光電変換部42で生成された電荷に基づく第2の焦点検出信号を出力する。
なお、第1のAF画素11と同様に、遮光部43Rの面積は、撮影光学系31の光軸OA1(撮像面22aの中心)周辺にある第2のAF画素12を除いて、第2のAF画素12の位置(像高)によって異なる。像高によって異なる入射角で入射する光のうち第1の光束61を遮光するために、遮光部43Rの面積は像高によって異なる。
図5(c)において、撮像画素13の光電変換部42は、撮影光学系31の射出瞳の第1及び第2の瞳領域をそれぞれ通過した第1及び第2の光束61、62を受光する。撮像画素13の光電変換部42は第1及び第2の光束61、62を光電変換して電荷を生成し、撮像画素13は光電変換部42で生成された電荷に基づく信号を出力する。なお、上述のように、第1のAF画素ライン402Ra~402RdのG画素13、及び第2のAF画素ライン402La~402LdのG画素13は撮像兼AF画素として働く。第1及び第2のAF画素ラインのG画素13は、光電変換部42で生成された電荷に基づく第3の焦点検出信号を出力する。
図6は、図2の焦点検出領域100a内の第1~第3の小領域91~93にそれぞれ配置されるAF画素の断面図である。図6(a)は、第1の小領域91に配置された第1及び第2のAF画素11a、12aを示す。図6(b)は、第2の小領域92に配置された第1及び第2のAF画素11b、12bを示す。図6(c)は、第3の小領域93に配置された第1及び第2のAF画素11c、12cを示す。図6に示すように、第1のAF画素11a~11c及び第2のAF画素12a~12cの各々は、光電変換部42の中心を通る線とマイクロレンズ44の光軸とが略一致している。マイクロレンズ44の光軸OA2に対して0°の入射角で入射した光は、マイクロレンズの光軸OA2上に集光する。光電変換部42の中心を通る線とマイクロレンズ44の光軸OA2とが一致することで、マイクロレンズ44に入射した光は、光電変換部42の中心を通る線上に集光する。即ち、撮影光学系31を透過した光は、光電変換部42の中心を通る線上に集光する。
図6(a)において、第1のAF画素11aは、遮光部43Lの右端(+X方向における端)が、マイクロレンズ44の光軸OA2に略一致する。第1のAF画素11aの遮光部43Lは、光電変換部42の左半分(-X方向側)を遮光する。マイクロレンズ44を透過した第2の光束62は、光電変換部42に入射する前に、遮光部43Lにより遮光される。これにより、第1のAF画素11aの光電変換部42は、第1の光束61を受光する。第2のAF画素12aは、遮光部43Rの左端(-X方向における端)が、マイクロレンズ44の光軸OA2に略一致する。マイクロレンズ44を透過した第1の光束61は、光電変換部42に入射する前に、遮光部43Rにより遮光される。これにより、第2のAF画素12aの光電変換部42は、第2の光束62を受光する。
図6(b)、(c)に示すように、第1のAF画素11b、11cの各々は、遮光部43Lの右端(+X方向における端)が、マイクロレンズ44の光軸OA2に略一致する。したがって、第1のAF画素11aと同様に、第1のAF画素11b、11cの各々の光電変換部42は、第1の光束61を受光する。また、第2のAF画素12b、12cの各々は、遮光部43Rの左端(-X方向における端)が、マイクロレンズ44の光軸OA2に略一致する。したがって、第1のAF画素12aと同様に、第2のAF画素12b、12cの各々の光電変換部42は、第2の光束62を受光する。
図7は、図2の焦点検出領域100aから+X方向に離れた焦点検出領域100cの第1~第3の小領域91~93にそれぞれ配置されるAF画素の断面図である。図7(a)は、第1の小領域91に配置された第1及び第2のAF画素11a、12aを示す。図7(b)は、第2の小領域92に配置された第1及び第2のAF画素11b、12bを示す。図7(c)は、第3の小領域93に配置された第1及び第2のAF画素11c、12cを示す。
図7において、第1のAF画素11a~11c及び第2のAF画素12a~12cの各々は、光電変換部42の中心を通る線がマイクロレンズ44の光軸OA2に対して+X方向にずれている。本実施の形態では、焦点検出領域100aから+X方向に離れて配置された第1及び第2のAF画素は、光電変換部42の中心を通る線がマイクロレンズ44の光軸OA2に対して+X方向にずれている。また、焦点検出領域100aから-X方向に離れて配置された第1及び第2のAF画素は、光電変換部42の中心を通る線がマイクロレンズ44の光軸OA2に対して-X方向にずれている。
また、図7において、第1のAF画素11a~11cの各々が有する遮光部43Lの面積は異なる。第1のAF画素11aの遮光部43Lの面積は、第1のAF画素11bの遮光部43Lの面積よりも小さい。第1のAF画素11bの遮光部43Lの面積は、第1のAF画素11cの遮光部43Lの面積よりも小さい。第2のAF画素12a~12cの各々が有する遮光部43Rの面積は異なる。第2のAF画素12aの遮光部43Rの面積は、第2のAF画素12bの遮光部43Rの面積よりも大きい。第2のAF画素12bの遮光部43Rの面積は、第2のAF画素12cの遮光部43Rの面積よりも大きい。
図7において、光電変換部42の中心を通る線とマイクロレンズ44の光軸OA2とがずれ、かつ、第1及び第2のAF画素の遮光部43の面積が異なるため、第1及び第2のAF画素の遮光部の端とマイクロレンズ44の光軸OA2とがずれる。図7(a)において、例えば、第1のAF画素11aは、遮光部43Lの右端(+X方向における端)が、マイクロレンズ44の光軸OA2よりもずれ量d1だけ+X方向側に位置する。また、第2のAF画素12aは、遮光部43Rの左端(-X方向における端)が、マイクロレンズ44の光軸OA2よりもずれ量d1だけ+X方向側に位置する。
図7に示すように、第2及び第3の小領域92、93にそれぞれ配置されるAF画素と第1の小領域91に配置されるAF画素とは、ずれ量が相違する。第1及び第2のAF画素11b、12bのずれ量d2は、第1のAF画素11a、12aのずれ量d1よりも大きい。第1及び第2のAF画素11c、12cのずれ量d3は、第1及び第2のAF画素11b、12bのずれ量d2よりも大きい。即ち、d1<d2<d3である。
図6及び図7に示したように、光電変換部42の中心を通る線とマイクロレンズ44の光軸OA2とのずれ量は、像高によって異なる。像高が高いほど、ずれ量は大きくなり、像高が低いほど、ずれ量は小さくなる。像高が高い位置において、撮影光学系31を透過した光はマイクロレンズ44へ斜めに入射する。即ち、光は、マイクロレンズ44の光軸OA2に対して0°より大きい入射角で入射する。したがって、光のマイクロレンズ44への入射角が大きくなるほど、ずれ量が大きくなるとも言える。マイクロレンズ44の光軸OA2に対して0°より大きい入射角で入射した光は、マイクロレンズの光軸OA2上から+X方向または-X方向にずれて集光する。光電変換部42の中心を通る線とマイクロレンズ44の光軸OA2とがずれることで、マイクロレンズ44に入射した光は、光電変換部42の中心を通る線上に集光する。即ち、撮影光学系31を透過した光は、光電変換部42の中心を通る線上に集光する。これにより、撮影光学系31を透過して光電変換部42に入射する光量を多くできる。
図6及び図7に示したように、遮光部43の面積は第1~第3の小領域91~93に配置されるAF画素によって異なる。第1~第3の小領域91~93に配置される第1及び第2のAF画素の各々は、面積が異なる遮光部43を有する。これにより、焦点検出部220は、異なる射出瞳距離でも精度良くデフォーカス量を検出できる。
第1のAF画素11a~11c及び第2のAF画素12a~12cのずれ量は、焦点検出領域100aから+X方向に像高が高い領域ほど、大きくなる。例えば、像高がHa、Hb、Hc(Ha<Hb<Hc)の三つの小領域91、92、93の第1及び第2のAF画素のずれ量を比べると、次のようになる。像高Hbの第1の小領域91の第1及び第2のAF画素のずれ量は、像高Haの第1の小領域91の第1及び第2のAF画素のずれ量よりも大きく、像高Hcの第1の小領域91の第1及び第2のAF画素のずれ量よりも小さい。同様に、像高Hbの第2及び第3の小領域92、93の第1及び第2のAF画素のずれ量は、それぞれ、像高Haの第2及び第3の小領域92、93の第1及び第2のAF画素のずれ量よりも大きく、像高Hcの第2及び第3の小領域92、93の第1及び第2のAF画素のずれ量よりも小さい。
図2の焦点検出領域100aから-X方向に離れた像高が高い焦点検出領域100bに配置される第1及び第2のAF画素では、図7に示したずれ方向と反対方向にずれ量d1~d3と同様のずれ量が付与される。中央の焦点検出領域100aから-X方向に離れた焦点検出領域のずれ量も、像高が大きくなる程、大きくなる。
上述のように、第1、第2、及び第3の小領域91、92、93にそれぞれ配置される第1及び第2のAF画素は、ずれ量が相違する。光が入射する方向と交差する面において、第1のAF画素11a~11cの各々の光電変換部42が光を受光する面積は互いに異なり、第2のAF画素12a~12cの各々の光電変換部42が光を受光する面積は互いに異なる。このように、本実施の形態では、第1、第2、及び第3の小領域91、92、93にそれぞれ配置される第1及び第2のAF画素は、光電変換部42の受光面積が相違するために、互いに異なる入射角に対応して瞳分割を行うことができる。これにより、焦点検出部220は精度良くデフォーカス量を検出できる。
次に、第1の実施の形態のカメラボディ2の焦点検出部220の構成例を説明する。図8では、焦点検出部220が実行する複数の機能を機能毎にブロック化して示している。図8において、焦点検出部220は、擬似焦点検出信号生成部220aと、画素加算部220bと、相関演算部220cと、信頼度判定部220dと、相関波形処理部220eと、像ズレ量算出部220fと、像ズレ量加算部220gと、デフォーカス量算出部220hと、レンズ移動量算出部220iと、焦点検出領域拡大部220jと、を有する。なお、これら複数のブロックを1つのブロックで構成してもよいし、いずれかのブロックを複数のブロックに分けて構成してもよい。また、擬似焦点検出信号生成部220aや画素加算部220b等を焦点検出部220の一部とせずに、独立の構成とすることもできる。
上述のように、画素選択部213は、領域設定部212により設定された焦点検出領域100において、撮影光学系31の射出瞳距離に基づき、第1~第3の小領域91~93のいずれかに属する第1及び第2のAFライン402R、402Lを選択する。焦点検出部220は、画素選択部213によって選択された第1及び第2のAF画素ラインの第1及び第2のAF画素11、12及び撮像兼AF画素13(G画素13)から出力される第1~第3の焦点検出信号を用いて焦点検出処理を行う。なお、後述するが、焦点検出部220は、焦点検出領域拡大部220jによって拡大された焦点検出領域内の画素から出力される焦点検出信号に基づく焦点検出も行う。
擬似焦点検出信号生成部220aは、第1のAF画素ライン402Ra~402Rdの第1のAF画素11及び撮像兼AF画素13から出力される第1及び第3の焦点検出信号を用いて、擬似的な第2の焦点検出信号(第2の擬似焦点検出信号)を生成する。また、擬似焦点検出信号生成部220aは、第2のAF画素ライン402La~402Ldの第2のAF画素12及び撮像兼AF画素13から出力される第2及び第3の焦点検出信号を用いて、擬似的な第1の焦点検出信号(第1の擬似焦点検出信号)を生成する。
より具体的には、擬似焦点検出信号生成部220aは、第1のAF画素ライン402Ra~402Rdの各々において、第1のAF画素11と行方向で隣り合う2つの撮像兼AF画素13の第3の焦点検出信号の平均値から当該第1のAF画素11の第1の焦点検出信号を減算して、第2の擬似焦点検出信号を算出する。この2つの撮像兼AF画素13の第3の焦点検出信号の平均値は、第1のAF画素11の位置に仮想的に配置された撮像兼AF画素13の第3の焦点検出信号(図5の第1及び第2の光束61、62に対応)とほぼ同一であると見做すことができる。上述の平均値から第1のAF画素11の第1の焦点検出信号(図5の第1の光束61に対応)を減算して算出した第2の擬似焦点検出信号(図5の第2の光束62に対応)は、第1のAF画素11の位置に仮想的に置換配置された第2のAF画素12による第2の焦点検出信号(図5の第2の光束62に対応)とほぼ同一の信号となる。なお、擬似焦点検出信号生成部220aは、第1のAF画素11の左隣(-X方向側)または右隣(+X方向側)の撮像兼AF画素13の第3の焦点検出信号から当該第1のAF画素11の第1の焦点検出信号を減じた信号を、第2の擬似焦点検出信号として算出してもよい。また、擬似焦点検出信号生成部220aは、第1のAF画素11と列方向で隣り合う2つ、または第1のAF画素11の周囲にある8つの撮像画素13から出力される信号を用いて、第2の擬似焦点検出信号を算出してもよい。
上述のように、第1の焦点検出信号は、第1のAF画素11から出力され、第2の擬似焦点検出信号は、当該第1のAF画素11の位置に仮想的に配置された第2のAF画素12から出力された信号と見做すことができる。第1の焦点検出信号と第2の擬似焦点検出信号との対は、図9(a)に示したマイクロレンズを透過した光を光電変換する2つの光電変換部を備えた仮想的なAF画素110から出力される一対の焦点検出信号と同等である。
図9(a)に示した仮想的なAF画素110は、撮影光学系の射出瞳の第1及び第2の瞳領域をそれぞれ通過した第1及び第2の光束61、62が入射するマイクロレンズ44と、第1及び第2の光束61、62をそれぞれ受光する第1及び第2の光電変換部42a、42bとを有する。この仮想的なAF画素110は、第1の焦点検出信号(図5の第1の光束61に対応)と第2の焦点検出信号(図5の第2の光束62に対応)とをそれぞれ出力する。
本実施の形態の第1の焦点検出信号と第2の擬似焦点検出信号とは、図9(a)に示した仮想的なAF画素110が出力する信号と同等と見做せる。そこで、以下では、必要に応じて、第1の焦点検出信号及び第2の擬似焦点検出信号が図9(a)の仮想的なAF画素110から出力されたものとして説明する。
なお、第1の焦点検出信号と第2の擬似焦点検出信号との対は、第1の光束61による像と第2の光束62による像との像ズレ量を算出するために用いられる。
同様に、擬似焦点検出信号生成部220aは、第2のAF画素ライン402La~402Ldの各々において、第2のAF画素12と行方向で隣り合う2つの撮像兼AF画素13の第3の焦点検出信号の平均値から当該第2のAF画素12の第2の焦点検出信号を減算して、第1の擬似焦点検出信号を算出する。この2つの撮像兼AF画素13の第3の焦点検出信号の平均値は、第2のAF画素12の位置に仮想的に配置された撮像兼AF画素13の第3の焦点検出信号(図5の第1及び第2の光束61、62に対応)とほぼ同一であると見做すことができる。上述の平均値から第2のAF画素12の第2の焦点検出信号(図5の第2の光束62に対応)を減算して算出した第1の擬似焦点検出信号(図5の第1の光束61に対応)は、第2のAF画素12の位置に仮想的に置換配置された第1のAF画素11による第1の焦点検出信号(図5の第1の光束61に対応)とほぼ同一の信号となる。なお、擬似焦点検出信号生成部220aは、第2のAF画素12の左隣(-X方向側)または右隣(+X方向側)の撮像兼AF画素13の第3の焦点検出信号から当該第2のAF画素12の第2の焦点検出信号を減じた信号を、第1の擬似焦点検出信号として算出してもよい。また、擬似焦点検出信号生成部220aは、第2のAF画素12と列方向で隣り合う2つ、または第2のAF画素12の周囲にある8つの撮像画素13から出力される信号を用いて、第1の擬似焦点検出信号を算出してもよい。
上述のように、第2の焦点検出信号は、第2のAF画素12から出力され、第1の擬似焦点検出信号は、当該第2のAF画素12の位置に仮想的に配置された第1のAF画素11から出力された信号と見做すことができる。第2の焦点検出信号と第1の擬似焦点検出信号との対は、図9(b)に示したマイクロレンズを透過した光を光電変換する2つの光電変換部を備えた仮想的なAF画素120から出力される一対の焦点検出信号と同等である。
図9(b)に示した仮想的なAF画素120は、撮影光学系の射出瞳の第1及び第2の瞳領域をそれぞれ通過した第1及び第2の光束61、62が入射するマイクロレンズ44と、第1及び第2の光束61、62をそれぞれ受光する第1及び第2の光電変換部42a、42bとを有する。この仮想的なAF画素120は、第1の焦点検出信号(図5の第1の光束61に対応)と第2の焦点検出信号(図5の第2の光束62に対応)とをそれぞれ出力する。
本実施の形態の第1の擬似焦点検出信号と第2の焦点検出信号とは、図9(b)に示した仮想的なAF画素120が出力する信号と同等と見做せる。そこで、以下では、必要に応じて、第1の擬似焦点検出信号と第2の焦点検出信号が図9(b)の仮想的なAF画素120から出力されたものとして説明する。
なお、第1の擬似焦点検出信号と第2の焦点検出信号との対は、第1の光束61による像と第2の光束62による像との像ズレ量を算出するために用いられる。
このように、擬似焦点検出信号生成部220aは、第1の擬似焦点検出信号と第2の擬似焦点検出信号とを生成する。本実施の形態では、相関演算対象の一対の焦点検出信号として、第1の焦点検出信号及び第3の焦点検出信号の対と、第2の焦点検出信号及び第3の焦点検出信号の対とに加えて、第1の焦点検出信号及び第2の擬似焦点検出信号の対と、第1の擬似焦点検出信号及び第2の焦点検出信号の対が存在する。
本実施の形態に係る焦点検出部220は、これら複数の一対の焦点検出信号のうち、少なくとも一つの一対の焦点検出信号を用いて、デフォーカス量を算出する。例えば、焦点検出部220は、第1の焦点検出信号及び第3の焦点検出信号の対に基づく一対の焦点検出信号の位相差(像ズレ量)を算出し、像ズレ量に所定の換算係数を乗じてデフォーカス量を算出する。また、同様に、焦点検出部220は、第2の焦点検出信号及び第3の焦点検出信号の対に基づく一対の焦点検出信号の位相差に基づいて、デフォーカス量を算出するようにしてもよい。さらに、焦点検出部220は、第1の焦点検出信号及び第3の焦点検出信号の対に基づく一対の焦点検出信号の位相差と、第2の焦点検出信号及び第3の焦点検出信号の対に基づく一対の焦点検出信号の位相差とに基づいて、デフォーカス量を算出するようにしてもよい。
焦点検出部220は、第1の焦点検出信号及び第3の焦点検出信号の差の信号(第2の擬似焦点検出信号)及び第3の焦点検出信号の対に基づく一対の焦点検出信号の位相差に基づいて、デフォーカス量を算出することもできる。また、同様に、焦点検出部220は、第2の焦点検出信号及び第3の焦点検出信号の差の信号(第1の擬似焦点検出信号)及び第3の焦点検出信号の対に基づく一対の焦点検出信号の位相差に基づいて、デフォーカス量を算出するようにしてもよい。さらに、焦点検出部220は、第1の擬似焦点検出信号及び第3の焦点検出信号の対に基づく一対の焦点検出信号の位相差と、第2の擬似焦点検出信号及び第3の焦点検出信号の対に基づく一対の焦点検出信号の位相差とに基づいて、デフォーカス量を算出するようにしてもよい。
焦点検出部220は、第1の焦点検出信号及び第2の擬似焦点検出信号の対に基づく一対の焦点検出信号の位相差に基づいて、デフォーカス量を算出することもできる。また、同様に、焦点検出部220は、第1の擬似焦点検出信号及び第2の焦点検出信号の対に基づく一対の焦点検出信号の位相差に基づいて、デフォーカス量を算出するようにしてもよい。
上述した一対の焦点検出信号の相関(一致度)は、例えば被写体像のボケの程度によって変化する。被写体像がボケた状態の場合、図5の第1の光束61による像又は図5の第2の光束62による像と、図5の第1及び第2の光束61、62による像とでボケ方が異なる。このため、複数の第1の焦点検出信号(又は第2の焦点検出信号)に基づく信号の波形と複数の第3の焦点検出信号に基づく信号の波形の形状の差が大きくなり、第1の焦点検出信号(又は第2の焦点検出信号)と第3の焦点検出信号との相関が低くなる。
本実施の形態では、例えば被写体像のボケが比較的小さい場合、焦点検出部220は、第1の焦点検出信号(又は第2の焦点検出信号)及び第3の焦点検出信号の対を選択して、デフォーカス量の算出を行う。一方、被写体像のボケが比較的大きい場合、焦点検出部220は、第1の焦点検出信号及び第2の擬似焦点検出信号の対、第1の擬似焦点検出信号及び第2の焦点検出信号の対、或いは、後述する加算された焦点検出信号の対のいずれかを選択して、デフォーカス量の算出を行う。このように、焦点検出部220は、被写体像の状態に基づいて、焦点検出に用いる焦点検出信号の対を切り替える。このため、焦点検出精度を向上させることができる。
画素加算部220bは、第1のAF画素ライン402Ra、402Rb、402Rc、402Rdの同一列に位置する4つの第1のAF画素11の第1の焦点検出信号を加算すると共に、同一列に位置する4つの撮像兼AF画素13の第3の焦点検出信号を加算する。即ち、画素加算部220bは、図4で、列方向に並んだ、4つの第1のAF画素ライン402Ra~402Rdの第1のAF画素11の第1の焦点検出信号を加算する。また、画素加算部220bは、列方向に並んだ、第1のAF画素ライン402Ra~402Rdの4つの撮像兼AF画素13の第3の焦点検出信号を加算する。こうして、画素加算部220bは、複数の第1の焦点検出信号を加算した信号(加算第1の焦点検出信号)と、複数の第3の焦点検出信号を加算した信号(加算第3の焦点検出信号)とを生成する。なお、上述のように、4つの第1のAF画素ラインRa、402Rb、402Rc、402Rdに属する4つの第1のAF画素11の第1の焦点検出信号を加算することを、以下では、4ライン分の第1の焦点検出信号を加算すると言う。
同様に、画素加算部220bは、第2のAF画素ライン402La、402Lb、402Lc、402Ldの同一列に位置する4つの第2のAF画素12の第2の焦点検出信号を加算すると共に、同一列に位置する4つの撮像兼AF画素13の第3の焦点検出信号を加算する。こうして、画素加算部220bは、複数の第2の焦点検出信号を加算した信号(加算第2の焦点検出信号)と、複数の第3の焦点検出信号を加算した信号(加算第3の焦点検出信号)とを生成する。なお、上述のように、4つの第2のAF画素ライン402La、402Lb、402Lc、402Ldに属する4つの第2のAF画素12の第2の焦点検出信号を加算することを、以下では、4ライン分の第2の焦点検出信号を加算すると言う。
また、画素加算部220bは、第2のAF画素ライン402La~402Ldの同一列に位置する第2のAF画素12の位置における4つの第1の擬似焦点検出信号を加算する。こうして、画素加算部220bは、複数の第1の擬似焦点検出信号を加算した信号(加算第1の擬似焦点検出信号)を生成する。さらに、画素加算部220bは、加算第1の焦点検出信号と加算第1の擬似焦点検出信号とを加算した信号(混合第1の焦点検出信号)を生成する。
同様に、画素加算部220bは、第1のAF画素ライン402Ra~402Rdの同一列に位置する第1のAF画素11の位置における4つの第2の擬似焦点検出信号を加算する。こうして、画素加算部220bは、複数の第2の擬似焦点検出信号を加算した信号(加算第2の擬似焦点検出信号)を生成する。さらに、画素加算部220bは、加算第2の焦点検出信号と加算第2の擬似焦点検出信号とを加算した信号(混合第2の焦点検出信号)を生成する。
上述の第1の焦点検出信号と第1の擬似焦点検出信号との加算、及び第2の焦点検出信号と第2の擬似焦点検出信号との加算を、図9(a)、(b)に示した仮想的なAF画素110、120を用いて説明する。なお、仮想的なAF画素110は、第1のAF画素ライン402Ra~402Rdの各々に対応し、仮想的なAF画素120は、第2のAF画素ライン402La~402Ldに対応するので、それぞれ4ライン分存在する。同一列の4つの仮想的なAF画素110とこれと同列の4つの仮想的なAF画素120とについて、仮想的なAF画素110から出力される4つの第1の焦点検出信号と仮想的なAF画素120から出力される4つの第1の擬似焦点検出信号とが加算される。
同様に、同一列の4つの仮想的なAF画素110とこれと同列の4つの仮想的なAF画素120とについて、仮想的なAF画素110から出力される4つの第2の擬似焦点検出信号と仮想的なAF画素120から出力される4つの第2の焦点検出信号とが加算される。
相関演算部220cは、一対の焦点検出信号、即ち一対の信号列に対して相関演算処理を行う。ここで、一対の焦点検出信号(一対の信号列)とは、例えば、第1のAF画素ライン402Raに属する複数の第1のAF画素11からそれぞれ出力される複数の第1の焦点検出信号から生成される焦点検出信号(信号列)と、第1のAF画素ライン402Raに属する複数の撮像兼AF画素13からそれぞれ出力される複数の第3の焦点検出信号から生成される焦点検出信号(信号列)とである。以下、複数の第1の焦点検出信号から生成される焦点検出信号を単に第1の焦点検出信号、複数の第3の焦点検出信号から生成される焦点検出信号を単に第3の焦点検出信号とも称する。
また、例えば、一対の焦点検出信号とは、第1のAF画素ライン402Ra以外の第1のAF画素ライン402(402Rb、402Rc又は402Rd)に属する複数の第1のAF画素11からそれぞれ出力される複数の第1の焦点検出信号から生成される焦点検出信号(信号列)と、第1のAF画素ライン402Ra以外の第1のAF画素ライン402に属する複数の撮像兼AF画素13からそれぞれ出力される複数の第3の焦点検出信号から生成される焦点検出信号(信号列)とである。また、一対の焦点検出信号には、第2のAF画素ライン402(402La、402Lb、402Lc又は402Ld)に属する複数の第2のAF画素12からそれぞれ出力される複数の第2の焦点検出信号から生成される焦点検出信号(信号列)と、当該第2のAF画素ライン402に属する複数の撮像兼AF画素13からそれぞれ出力される複数の第3の焦点検出信号から生成される焦点検出信号(信号列)とがある。同様に、加算第1及び第2及び第3の焦点検出信号や、加算第1及び第2の擬似焦点検出信号、混合第1及び第2の焦点検出信号の各々から生成される焦点検出信号(信号列)が一対の焦点検出信号(一対の信号列)に用いられる。
相関演算部220cは、一対の信号列の相対的なシフト量を変化させながら相関演算を行い、相関量(相関値)とシフト量との対応関係を表すデータ(相関波形)を生成する。相関演算部220cは、一対の信号列に対して、例えば次式(1)の相関演算を行い、相関量C(k)を算出する。
C(k)=Σ|An-Bn+k| …(1)
式(1)において、An(n=1~m)は、一方の焦点検出信号であり、Bn+k(n=1~m)は、他方の焦点検出信号である。kは、AF画素の画素ピッチ(画素の間隔)を単位とした相対的なシフト量である。図10は、式(1)の演算を行って得られる相関波形の一例を示す。この相関波形は、相関量C(k)の値が小さいほど、一対の信号列の相関が高いことを表している。相関演算部220cは、公知の3点内挿の手法を用いて、連続的な相関量に対する極小値(最小値)C(x)と、極小値C(x)を与えるシフト量xを算出する。相関演算部220cは、シフト量xを用いて像ズレ量Δを算出する。
相関演算部220cは、第1のAF画素ライン402Ra~402Rdの各々について、第1の焦点検出信号と第3の焦点検出信号との相関演算を行う。即ち、相関演算部220cは、相関演算を第1のAF画素ライン402Ra~402Rdの4ラインそれぞれで行って、4つの第1の相関波形C1を算出する。第1の相関波形C1は、第1のAF画素ラインの第1の焦点検出信号と第3の焦点検出信号とを相関演算して算出した相関量とシフト量との関係を示すデータとなる。
相関演算部220cは、第2のAF画素ライン402La~402Ldの各々について、第2の焦点検出信号と第3の焦点検出信号との相関演算を行い、4つの第2の相関波形C2を算出する。第2の相関波形C2は、第2のAF画素ラインの第2の焦点検出信号と第3の焦点検出信号とを相関演算して算出した相関量とシフト量との関係を示すデータとなる。
相関演算部220cは、第1のAF画素ライン402Ra~402Rdの各々について、第1の焦点検出信号と第2の擬似焦点検出信号との相関演算を行い、4つの第3の相関波形C3を算出する。第3の相関波形C3は、第1のAF画素ラインの第1の焦点検出信号と第2の擬似焦点検出信号とを相関演算して算出した相関量とシフト量との関係を示すデータとなる。
相関演算部220cは、第2のAF画素ライン402La~402Ldの各々について、第1の擬似焦点検出信号と第2の焦点検出信号との相関演算を行い、4つの第4の相関波形C4を算出する。第4の相関波形C4は、第2のAF画素ラインの第2の焦点検出信号と第1の擬似焦点検出信号とを相関演算して算出した相関量とシフト量との関係を示すデータとなる。
相関演算部220cは、画素加算部220bによって第1のAF画素ライン402Ra~402Rdの4ライン分が加算された加算第1の焦点検出信号と加算第3の焦点検出信号とを相関演算して、第1の相関波形C10を算出する。また、相関演算部220cは、画素加算部220bによって第2のAF画素ライン402La~402Ldの4ライン分が加算された加算第2の焦点検出信号と加算第3の焦点検出信号とを相関演算して、第2の相関波形C20を算出する。
相関演算部220cは、加算第1の焦点検出信号と加算第1の擬似焦点検出信号が加算された混合第1の焦点検出信号と、加算第2の焦点検出信号と加算第2の擬似焦点検出信号が加算された混合第2の焦点検出信号とを相関演算して、第5の相関波形C5を算出する。
信頼度判定部220dは、相関演算の信頼度、即ち生成された相関波形の信頼度(信頼性)を判定する。一般的に、相関演算の対象である一対の信号列の相関度(一致度)が高い場合には、図10(a)に示したように、相関量の最小値C(x)が小さくなる。逆に、一対の信号列の相関度(一致度)が低い場合、例えば、ボケやケラレなどによって、第1又は第2の焦点検出信号の波形と第3の焦点検出信号の波形とが大きく異なった場合は、図10(b)に示したように、相関量の最小値C(x)が大きくなってしまう。
信頼度判定部220dは、相関波形から相関量の最小値を算出し、相関量の最小値に基づいて相関波形の信頼度を判定する。例えば、信頼度判定部220dは、相関量の最小値が所定の閾値Thよりも大きい場合は、相関波形の信頼度は低いと判定し、相関量の最小値が所定の閾値Thよりも小さい場合は、相関波形の信頼度は高いと判定する。
相関波形処理部220eは、信頼度判定部220dによる判定結果に基づいて、複数の相関波形を加算する処理や、2つの相関波形の一方を反転して反転波形を作成し、この反転波形と他方の相関波形とを加算する処理を行う。例えば、相関波形処理部220eは、4つの第1の相関波形C1を加算したり、第2の相関波形C2を加算したりする。また、例えば、図11に示すように、黒点でプロットされた第1の相関波形C1と、×でプロットされた第2の相関波形C2とは、位相が所定量Dずれている。そこで、相関波形処理部220eは、例えば第1の相関波形C1を中心軸(上記所定量Dの中心)で、左右反転する。反転された第1の相関波形C1と第2の相関波形C2とを加算する。
相関波形処理部220eは、上述のように、第1の相関波形C1及び第2の相関波形C2の一方を反転し、反転された相関波形と他方の相関波形とを加算した相関波形(第1の加算相関波形)を生成する。また、相関波形処理部220eは、第1の相関波形C10及び第2の相関波形C20の一方を反転し、反転された相関波形と他方の相関波形とを加算した相関波形(第2の加算相関波形)を生成する。後述するように、加算された相関波形に基づき、像ズレ量が算出され、デフォーカス量に変換される。
第1及び第2の相関波形C1、C2の一方を反転して、それを他方の相関波形に加算し、加算相関波形に基づきデフォーカス量を算出する理由は、以下の通りである。即ち、この方法は、第1及び第2の相関波形C1、C2の各々に基づきデフォーカス量を算出し、それらのデフォーカス量の平均値を算出するよりも、焦点検出精度が高くなるためである。
なお、上述の第1及び第2の相関波形C1、C2の一方を反転して他方に加算する処理は、図11に示したように、第1の相関波形C1と第2の相関波形C2とがほぼ左右対称である必要がある。このような左右対称性のある相関波形は、像高が比較的小さい(撮像面22aの中心付近の)焦点検出領域の焦点検出信号から得られる。
なお、第1及び第2の相関波形C10、C20の一方を反転して、それを他方の相関波形に加算し、加算相関波形に基づきデフォーカス量を算出する理由についても同様である。
像ズレ量算出部220fは、一対の焦点検出信号を用いて生成された相関波形に基づき、一対の焦点検出信号の位相差、即ち像ズレ量を算出する。像ズレ量算出部220fは、相関量が最小となるシフト量に基づき像ズレ量を算出する。
像ズレ量算出部220fは、第1の相関波形C1を用いて、第1の光束61による像と第1の光束61及び第2の光束62による像との像ズレ量Δ1、即ち、第1の光束61による像と第2の光束62による像との像ズレ量の半分となる像ズレ量を算出する。同様に、像ズレ量算出部220fは、第2の相関波形C2を用いて、第2の光束62による像と第1の光束61及び第2の光束62による像との像ズレ量Δ2、即ち、第1の光束61による像と第2の光束62による像との像ズレ量の残り半分となる像ズレ量を算出する。
像ズレ量算出部220fは、第3の相関波形C3を用いて、第1の光束61による像と第2の光束62による像との像ズレ量(Δ1+Δ2)を算出する。また、像ズレ量算出部220fは、第4の相関波形C4を用いて、第1の光束61による像と第2の光束62による像との像ズレ量(Δ1+Δ2)を算出する。
像ズレ量算出部220fは、第1の相関波形C10を用いて、第1の光束61による像と第1及び第2の光束61、62による像との像ズレ量Δ1、即ち、第1の光束61による像と第2の光束62による像との像ズレ量の半分となる像ズレ量を算出する。同様に、像ズレ量算出部220fは、第2の相関波形C20を用いて、第2の光束62による像と第1及び第2の光束61、62による像との像ズレ量Δ2、即ち、第1の光束61による像と第2の光束62による像との像ズレ量の残り半分となる像ズレ量を算出する。
像ズレ量算出部220fは、第5の相関波形C5を用いて、第1の光束61による像と第2の光束62による像との像ズレ量(Δ1+Δ2)を算出する。
像ズレ量算出部220fは、第1の加算相関波形を用いて、像ズレ量Δ1(又はΔ2)を算出する。また、像ズレ量算出部220fは、第2の加算相関波形を用いて、像ズレ量Δ1(又はΔ2)を算出する。
像ズレ量加算部220gは、第1の相関波形C1から算出される像ズレ量Δ1と、第2の相関波形C2から算出される像ズレ量Δ2とを加算することで、第1及び第2の光束61、62による像の像ズレ量(Δ1+Δ2)を算出する。
また、像ズレ量加算部220gは、第1の相関波形C10から算出される像ズレ量Δ1と、第2の相関波形C20から算出される像ズレ量Δ2とを加算することで、第1及び第2の光束61、62による像の像ズレ量(Δ1+Δ2)を算出する。
デフォーカス量算出部220hは、換算式を用いて、像ズレ量をデフォーカス量に換算する、即ち、像ズレ量に換算係数(変換係数)を乗じて、デフォーカス量を算出する。第1の光束61による像と第2の光束62による像との像ズレ量(Δ1+Δ2)をデフォーカス量Defに換算する換算式は、換算係数Kを用いて以下のように表すことができる。
Def=K×(Δ1+Δ2) …(2)
なお、像ズレ量Δ1又はΔ2をデフォーカス量Defに換算する換算係数は、像ズレ量(Δ1+Δ2)をデフォーカス量Defに換算する換算係数Kの2倍、即ち2Kである。
レンズ移動量算出部220iは、デフォーカス量算出部220hにより算出されたデフォーカス量に基づき、フォーカスレンズ31bの移動量を算出する。交換レンズ3のレンズ制御部32は、算出されたフォーカスレンズ31bの移動量に基づき、フォーカスレンズ31bを駆動して焦点調節を行う。
上述のように、相関演算部220cは、相関演算を行って、4つの第1の相関波形C1、4つの第2の相関波形C2、4つの第3の相関波形C3、4つの第4の相関波形C4、1つの第1の相関波形C10、1つの第2の相関波形C20、及び1つの第5の相関波形C5の合計19個の相関波形(データ)を生成する。焦点検出部220は、信頼度判定部220dによる判定結果に基づいて、これら19個の相関波形から焦点検出に用いる相関波形を選択する。即ち、焦点検出部220は、被写体像の状態に応じて焦点検出に用いる相関波形を切り替える。このため、本実施の形態によるカメラ1は、焦点検出の精度の低下を抑制し、正確な焦点調節を行うことができる。これにより、カメラ1は、焦点検出精度を向上させることができる。
なお、本実施の形態に係る焦点検出部220は、焦点検出領域(AFエリア)を拡大する焦点検出領域拡大部220jを有し、拡大された焦点検出領域内の画素から出力される焦点検出信号を用いて像ズレ量の算出を行う。この焦点検出領域拡大部220jは、ユーザによる操作部25の操作等によって、その機能の有効/無効を切り替えられる。焦点検出領域拡大部220jが有効となっている場合、例えば、領域設定部212により設定された焦点検出領域100と、この焦点検出領域100と±Y方向で隣接した2つの焦点検出領域100との合計3つの焦点検出領域100に焦点検出領域を拡大する。
この場合、画素加算部220bは、3つの焦点検出領域100の各々について、撮像素子22から出力される第1~第3の焦点検出信号を用いて、混合第1の焦点検出信号及び混合第2の焦点検出信号を生成する。そして、画素加算部220bは、焦点検出領域100毎に生成された3つの混合第1の焦点検出信号を加算する。この加算された混合第1の焦点検出信号は、3つの焦点検出領域100の同一列に位置する第1のAF画素11の第1の焦点検出信号と第2のAF画素12の位置における第1の擬似焦点検出信号とを加算した信号、即ち、合計24個の焦点検出信号を加算した信号となる。
同様に、画素加算部220bは、焦点検出領域100毎に生成された3つの混合第2の焦点検出信号を加算する。この加算された混合第2の焦点検出信号も、合計24個の焦点検出信号を加算した信号となる。
相関演算部220cは、画素加算部220bによって24ライン分加算された混合第1の焦点検出信号と混合第2の焦点検出信号とを相関演算して、第5の相関波形C50を算出する。像ズレ量算出部220fは、第5の相関波形C50から像ズレ量(Δ1+Δ2)を算出し、デフォーカス量算出部220hは、この像ズレ量からデフォーカス量を算出する。
図12は、本実施の形態のカメラ1の動作例を示したフローチャートである。この図12のフローチャートを参照して、カメラ1の動作例について説明する。図12に示す処理は、例えばユーザにより操作部25が操作されてオートフォーカス(AF)モードが設定された場合に、ボディ制御部210の制御プログラムに基づいて開始される。
ステップS100において、擬似焦点検出信号生成部220aは、画素選択部213によって選択された第1及び第2のAF画素11、12及び撮像兼AF画素13の第1~第3の焦点検出信号に基づき、第1及び第2の擬似焦点検出信号を生成する。画素加算部220bは、第1~第3の焦点検出信号を用いて加算処理を行い、加算第1の焦点検出信号、加算第2の焦点検出信号、及び加算第3の焦点検出信号を生成する。また、画素加算部220bは、第1の焦点検出信号と第1の擬似焦点検出信号を加算して、混合第1の焦点検出信号を生成し、第2の焦点検出信号と第2の擬似焦点検出信号を加算して、混合第2の焦点検出信号を生成する。
相関演算部220cは、上述の相関演算を行って、4つの第1の相関波形C1、4つの第2の相関波形C2、4つの第3の相関波形C3、4つの第4の相関波形C4、1つの第1の相関波形C10、1つの第2の相関波形C20、及び1つの第5の相関波形C5の合計19個の相関波形を生成する。
ステップS110において、信頼度判定部220dは、19個の相関波形のうち、4つの第1の相関波形C1及び4つの第2の相関波形C2の相関波形の信頼度を判定する。より詳しくは、信頼度判定部220dは、4つの第1の相関波形C1及び4つの第2の相関波形C2を4組に分類して、4組の相関波形ペアについて信頼度を判定する。信頼度判定部220dは、図4に示した第1のAF画素ライン402Raの焦点検出信号に基づく第1の相関波形C1と、第2のAF画素ライン402La~402Ldのうちで第1のAF画素ライン402Raに最も近い第2のAF画素ライン402Laの焦点検出信号に基づく第2の相関波形C2とを1つの相関波形ペアとする。同様に、信頼度判定部220dは、第1のAF画素ライン402Rbの第1の相関波形C1及び第2のAF画素ライン402Lbの第2の相関波形C2と、第1のAF画素ライン402Rcの第1の相関波形C1及び第2のAF画素ライン402Lcの第2の相関波形C2とを、それぞれ1つの相関波形ペアとする。また、信頼度判定部220dは、第1のAF画素ライン402Rdの第1の相関波形C1及び第2のAF画素ライン402Ldの第2の相関波形C2を1つの相関波形ペアとする。
信頼度判定部220dは、4組の相関波形ペアのうち、相関波形ペアを構成する2つの相関波形が共に信頼度が高い相関波形ペアが所定数(例えば2つ)以上であるか否かを判定する。信頼度判定部220dは、4組の相関波形ペアのうち、信頼度が高い相関波形ペアが所定数以上あると判定すると、ステップS120へ進み、ステップS110で否定判定すると、ステップS210へ進む。なお、信頼度判定部220dは、4つの第1の相関波形C1及び4つの第2の相関波形C2のそれぞれの信頼度を判定してもよい。例えば、信頼度判定部220dは、信頼度の高い相関波形が所定数(例えば8つ)であるか否かを判定する。上述のように、信頼度判定部220dは、相関波形から算出した相関量の最小値が所定の閾値Thよりも大きい場合は、相関波形の信頼度は低いと判定し、相関量の最小値が所定の閾値Thよりも小さい場合は、相関波形の信頼度は高いと判定する。信頼度判定部220dは、8つの相関波形のうち、信頼度が高い相関波形が所定数であると判定すると、ステップS120へ進み、S110で否定判定をすると、ステップS210へ進む。
ステップS120において、焦点検出部220は、領域設定部212により設定されている焦点検出領域(AFエリア)100が、中央の焦点検出領域100aであるか否かを判定する。焦点検出部220は、中央の焦点検出領域100aが設定されている場合は、ステップS130へ進み、ステップS120で否定判定すると、ステップS170へ進む。焦点検出部220は、ステップS100~ステップS120で処理された信号が、中央の焦点検出領域100aから出力される焦点検出信号である場合と、中央の焦点検出領域100a以外から出力される焦点検出信号である場合とで、後述するようにデフォーカス量の算出方法を切り替える。なお、ステップS120の処理はなくてもよい。この場合、ステップS110の後にステップS170へ進むようにしてもよい。
ステップS130において、相関波形処理部220eは、信頼度が高いと判定された複数の相関波形ペアの第1の相関波形C1を加算すると共に、この複数の相関波形ペアの第2の相関波形C2を加算する。ステップS140において、相関波形処理部220eは、加算した第1の相関波形C1及び第2の相関波形C2の一方を反転し、その反転した相関波形と他方の相関波形とを加算した相関波形(第1の加算相関波形)を生成する。
ステップS150において、像ズレ量算出部220fは、相関波形処理部220eにより生成された第1の加算相関波形から、像ズレ量Δ1(又はΔ2)を算出する。
ステップS160において、デフォーカス量算出部220hは、第1及び第2の光束61、62による像の像ズレ量(Δ1+Δ2)をデフォーカス量に換算するための換算係数Kの2倍の換算係数2Kを用いて、像ズレ量Δ1(又はΔ2)をデフォーカス量Defに変換する。レンズ移動量算出部220iは、算出されたデフォーカス量Defに基づき、フォーカスレンズ31bの移動量を算出する。レンズ制御部32は、算出されたフォーカスレンズ31bの移動量に基づき、フォーカスレンズ31bを駆動して焦点調節を行う。
領域設定部212により設定されている焦点検出領域(AFエリア)100が、中央の焦点検出領域100a以外の焦点検出領域である場合には、ステップS170において、相関波形処理部220eは、信頼度が高いと判定された複数の相関波形ペアの第1の相関波形C1を加算すると共に、この複数の相関波形ペアの第2の相関波形C2を加算する。
ステップS180において、像ズレ量算出部220fは、加算した第1の相関波形C1から、像ズレ量Δ1を算出する。また、像ズレ量算出部220fは、加算した第2の相関波形C2から、像ズレ量Δ2を算出する。像ズレ量加算部220gは、像ズレ量Δ1と像ズレ量Δ2とを加算することで、第1及び第2の光束61、62による像の像ズレ量(Δ1+Δ2)を算出する。
ステップS190において、デフォーカス量算出部220hは、像ズレ量加算部220gにより算出された像ズレ量(Δ1+Δ2)に、換算係数Kを乗じて、デフォーカス量Defを算出する。レンズ移動量算出部220iは、デフォーカス量Defに基づいてフォーカスレンズ31bの移動量を算出する。レンズ制御部32は、算出されたフォーカスレンズ31bの移動量に基づいて焦点調節を行う。
領域設定部212により設定されている焦点検出領域(AFエリア)100が、中央の焦点検出領域100a以外の焦点検出領域である場合に、ステップS140~S160の代わりに、ステップS180、S190の処理を行う理由は、以下の通りである。像高が高い焦点検出領域100では、ケラレの影響によって、図11に示した第1の相関波形C1及び第2の相関波形C2の左右対称性がないので、一方の相関波形の反転及びその後の加算処理を用いることができない。
上述のように、ステップS130又はS170において加算処理が行われ、加算された第1の相関波形C1及び加算された第2の相関波形C2を用いて、ステップS150又はステップS180において像ズレ量の算出が行われる。このため、複数の第1の相関波形C1及び第2の相関波形C2の各々から像ズレ量を算出する場合と比較して、焦点検出部220の演算量を低減することができる。
上述のように、ステップS110において、信頼度判定部220dは、4組の相関波形ペアのうち、信頼度が高い相関波形ペアが所定数以上存在しないと判定すると、ステップS210へ進む。信頼度が高い相関波形ペアが所定数以上存在しない理由は、例えば、設定された焦点検出領域100の被写体像のボケが比較的大きいことが考えられる。即ち、被写体像のボケが比較的大きいと、図5(c)に示した撮像兼AF画素13上の被写体像は、第1及び第2の光束61、62によるので、ボケが相対的に大きい。他方、図5(a)、(b)に示した第1又は第2のAF画素11、12上の被写体像はそれぞれ、第1又は第2の光束61、62によるので、ボケが撮像兼AF画素13上の被写体像に比べて小さい。第1及び第2の焦点検出信号の波形と第3の焦点検出信号の波形とが比較的大きく異なり、相関波形ペアの信頼度が低下してしまう。
そこで、ステップS210において、信頼度判定部220dは、第1の焦点検出信号と第2の擬似焦点検出信号とに基づく第3の相関波形C3と、第1の擬似焦点検出信号と第2の焦点検出信号とに基づく第4の相関波形C4との相関波形の信頼度を判定する。信頼度判定部220dは、4つの第3の相関波形C3及び4つの第4の相関波形C4を4組に分類して、4組の相関波形ペアについて信頼度を判定する。信頼度判定部220dは、図4に示した第1のAF画素ライン402Raの第3の相関波形C3と、第2のAF画素ライン402La~402Ldのうちで第1のAF画素ライン402Raに最も近い第2のAF画素ライン402Laの第4の相関波形C4とを1つの相関波形ペアとする。同様に、信頼度判定部220dは、第1のAF画素ライン402Rbの第3の相関波形C3及び第2のAF画素ライン402Lbの第4の相関波形C4と、第1のAF画素ライン402Rcの第3の相関波形C3及び第2のAF画素ライン402Lcの第4の相関波形C4とを、それぞれ1つの相関波形ペアとする。また、信頼度判定部220dは、第1のAF画素ライン402Rdの第3の相関波形C3及び第2のAF画素ライン402Ldの第4の相関波形C4を、1つの相関波形ペアとする。
信頼度判定部220dは、4組の相関波形ペアのうち、相関波形ペアを構成する2つの相関波形が共に信頼度が高い相関波形ペアが所定数(例えば2つ)以上であるか否かを判定する。信頼度判定部220dは、4組の相関波形ペアのうち、信頼度が高い相関波形ペアが所定数以上あると判定すると、ステップS220へ進み、ステップS210で否定判定すると、ステップS310へ進む。なお、信頼度判定部220dは、4つの第3の相関波形C3及び4つの第4の相関波形C4のそれぞれの信頼度を判定してもよい。例えば、信頼度判定部220dは、信頼度の高い相関波形が所定数(例えば8つ)であるか否かを判定する。上述のように、信頼度判定部220dは、相関波形から算出した相関量の最小値が所定の閾値Thよりも大きい場合は、相関波形の信頼度は低いと判定し、相関量の最小値が所定の閾値Thよりも小さい場合は、相関波形の信頼度は高いと判定する。信頼度判定部220dは、8つの相関波形のうち、信頼度が高い相関波形が所定数であると判定すると、ステップS220へ進み、S210で否定判定をすると、ステップS310へ進む。
ステップS220において、相関波形処理部220eは、信頼度が高いと判定された複数の相関波形ペアの第3の相関波形C3を加算すると共に、この複数の相関波形ペアの第4の相関波形C4を加算する。ステップS230において、像ズレ量算出部220fは、加算した第3の相関波形C3に基づき像ズレ量(Δ1+Δ2)を算出し、加算した第4の相関波形C4に基づき像ズレ量(Δ1+Δ2)を算出し、両像ズレ量の平均値を算出する。
ステップS240において、デフォーカス量算出部220hは、像ズレ量加算部220gにより算出された平均化された像ズレ量(Δ1+Δ2)に、換算係数Kを乗じて、デフォーカス量Defを算出する。レンズ移動量算出部220iは、デフォーカス量Defに基づいてフォーカスレンズ31bの移動量を算出する。レンズ制御部32は、算出されたフォーカスレンズ31bの移動量に基づいて焦点調節を行う。
上述のように、被写体像のボケが比較的大きい場合、焦点検出部220は、第1の焦点検出信号及び第2の擬似焦点検出信号に基づく第3の相関波形C3と、第1の擬似焦点検出信号及び第2の焦点検出信号に基づく第4の相関波形C4を用いて、デフォーカス量を算出する。このため、第1及び第2の焦点検出信号と第3の焦点検出信号を用いてデフォーカス量を算出する場合よりも、焦点検出精度を向上させることができる。
また、上述のように、焦点検出部220は、ステップS220で、第3及び第4の相関波形C3、C4を加算し、加算した第3の相関波形C3及び加算した第4の相関波形C4を用いてデフォーカス量の算出を行う。このため、1つの第3の相関波形C3又は1つの第4の相関波形C4を用いてデフォーカス量を算出する場合よりも、S/N比を向上させることができ、焦点検出精度を向上させることができる。
上述のように、ステップS210において、信頼度判定部220dは、第3の相関波形C3と第4の相関波形C4との相関波形ペアについて、信頼度が高い相関波形ペアが所定数以上存在しないと判定すると、ステップS310へ進む。第1及び第2の相関波形C1、C2の信頼性が低く、かつ第3及び第4の相関波形C3、C4の信頼性が低い一つの理由は、例えば、設定された焦点検出領域100の被写体像が低輝度であり、第1~第3の焦点検出信号がノイズを多く含むためと考えられる。そこで、ステップS310以降では、画素加算部220bによって加算された焦点検出信号を用いる、即ち、SN比を向上させた焦点検出信号を用いる。
ステップS310において、信頼度判定部220dは、19個の相関波形のうち、加算第1の焦点検出信号と加算第3の焦点検出信号とに基づく第1の相関波形C10と、加算第2の焦点検出信号と加算第3の焦点検出信号とに基づく第2の相関波形C20のそれぞれの相関波形の信頼度を判定する。信頼度判定部220dは、1つの第1の相関波形C10及び1つの第2の相関波形C20が共に信頼度が高いと判定すると、ステップS320へ進み、ステップS310で否定判定すると、ステップS410へ進む。
ステップS320において、焦点検出部220は、領域設定部212により中央の焦点検出領域100aが設定されている場合は、ステップS330へ進み、ステップS320で否定判定すると、ステップS360へ進む。
ステップS330において、相関波形処理部220eは、第1の相関波形C10及び第2の相関波形C20の一方を反転し、その反転した相関波形と他方の相関波形とを加算した相関波形(第2の加算相関波形)を生成する。
ステップS340において、像ズレ量算出部220fは、相関波形処理部220eにより生成された第2の加算相関波形から、像ズレ量Δ1(又はΔ2)を算出する。
ステップS350において、デフォーカス量算出部220hは、換算係数2Kを用いて、像ズレ量Δ1(又はΔ2)をデフォーカス量Defに変換する。レンズ移動量算出部220iは、デフォーカス量Defに基づいてフォーカスレンズ31bの移動量を算出する。レンズ制御部32は、フォーカスレンズ31bの移動量に基づいて焦点調節を行う。
領域設定部212により設定されている焦点検出領域(AFエリア)100が、中央の焦点検出領域100a以外の焦点検出領域である場合には、ステップS360において、像ズレ量算出部220fは、第1の相関波形C10から、像ズレ量Δ1を算出する。また、像ズレ量算出部220fは、第2の相関波形C20から、像ズレ量Δ2を算出する。像ズレ量加算部220gは、像ズレ量Δ1と像ズレ量Δ2とを加算することで、第1及び第2の光束61、62による像の像ズレ量(Δ1+Δ2)を算出する。
ステップS370において、デフォーカス量算出部220hは、像ズレ量加算部220gにより算出された像ズレ量(Δ1+Δ2)に、換算係数Kを乗じて、デフォーカス量Defを算出する。レンズ移動量算出部220iは、デフォーカス量Defに基づいてフォーカスレンズ31bの移動量を算出する。レンズ制御部32は、フォーカスレンズ31bの移動量に基づいて焦点調節を行う。
上述のように、ステップS310において、信頼度判定部220dは、第1の相関波形C10又は第2の相関波形C20の信頼度が低いと判定すると、ステップS410へ進む。第1の相関波形C10又は第2の相関波形C20の信頼度が低い理由は、例えば、設定された焦点検出領域100の被写体像のボケが比較的大きく、そのために、第1及び第2の焦点検出信号の波形と第3の焦点検出信号の波形とが比較的大きく異なることが考えられる。
そこで、ステップS410において、信頼度判定部220dは、19個の相関波形のうち、混合第1の焦点検出信号と混合第2の焦点検出信号とに基づく第5の相関波形C5の信頼度を判定する。信頼度判定部220dは、第5の相関波形C5の信頼度が高いと判定すると、ステップS420へ進み、ステップS310で否定判定すると、ステップS510へ進む。
ステップS420において、像ズレ量算出部220fは、第5の相関波形C5から、像ズレ量(Δ1+Δ2)を算出する。ステップS430において、デフォーカス量算出部220hは、像ズレ量加算部220gにより算出された像ズレ量(Δ1+Δ2)に、換算係数Kを乗じて、デフォーカス量Defを算出する。レンズ移動量算出部220iは、デフォーカス量Defに基づいてフォーカスレンズ31bの移動量を算出する。レンズ制御部32は、フォーカスレンズ31bの移動量に基づいて焦点調節を行う。
上述のように、ステップS410において、信頼度判定部220dは、第5の相関波形C5の信頼度が低いと判定すると、ステップS510へ進む。第5の相関波形C5の信頼度が低い理由は、例えば、設定された焦点検出領域100の被写体像が非常に低輝度であり、第1~第3の焦点検出信号が非常に多くのノイズを含むためと考えられる。
ステップS510において、焦点検出部220は、上述した焦点検出領域拡大部220jが有効な場合に、ステップS520へ進む。なお、ステップS510で否定判定された場合には、デフォーカス量の算出は行われない。
ステップS520において、画素加算部220bは上述のように、焦点検出領域拡大部220jにより拡大された焦点検出領域において、混合第1の焦点検出信号及び混合第2の焦点検出信号を生成する。画素加算部220bは、生成した3つの混合第1の焦点検出信号を加算すると共に、生成した3つの混合第2の焦点検出信号を加算する。相関演算部220cは、加算された混合第1の焦点検出信号と混合第2の焦点検出信号とに基づいて、第5の相関波形C50を生成する。像ズレ量算出部220fは、第5の相関波形C50から像ズレ量(Δ1+Δ2)を算出する。
ステップS530において、デフォーカス量算出部220hは、像ズレ量加算部220gにより算出された像ズレ量(Δ1+Δ2)に、換算係数Kを乗じて、デフォーカス量Defを算出する。レンズ移動量算出部220iは、デフォーカス量Defに基づいてフォーカスレンズ31bの移動量を算出する。レンズ制御部32は、フォーカスレンズ31bの移動量に基づいて焦点調節を行う。
図13及び図14を参照して、第1の実施の形態に係る撮像素子22の回路構成及び動作について説明する。図13は、第1の実施の形態に係る撮像素子22の画素の構成を示す図である。画素13は、光電変換部42と、転送部52と、リセット部53と、フローティングディフュージョン(FD)54と、増幅部55と、選択部56とを有する。光電変換部42は、フォトダイオードPDであり、入射した光を電荷に変換し、光電変換された電荷を蓄積する。
転送部52は、信号TXにより制御されるトランジスタM1から構成され、光電変換部42で光電変換された電荷をFD54に転送する。トランジスタM1は、転送トランジスタである。FD54の容量Cは、FD54に転送された電荷を蓄積(保持)する。
増幅部55は、FD54の容量Cに蓄積された電荷による信号を出力する。増幅部55と選択部56とは、光電変換部42により生成された電荷に基づく信号を生成し出力する出力部を構成する。
リセット部53は、信号RSTにより制御されるトランジスタM2から構成され、FD54に蓄積された電荷を排出し、FD54の電圧をリセットする。トランジスタM2は、リセットトランジスタである。
選択部56は、信号SELにより制御されるトランジスタM4から構成され、増幅部55と垂直信号線60とを電気的に接続又は切断する。トランジスタM4は、選択トランジスタである。
上述のように、光電変換部42で光電変換された電荷は、転送部52によってFD54に転送される。そして、FD54に転送された電荷に応じた信号が、垂直信号線60に出力される。画素信号は、光電変換部42によって光電変換された電荷に基づいて生成されるアナログ信号である。撮像画素13から出力される信号は、デジタル信号に変換された後に、ボディ制御部210に出力される。
なお、本実施の形態にあっては、第1のAF画素11(11a~11c)及び第2のAF画素12(12a~12c)の回路構成は、撮像画素13の回路構成と同一である。第1のAF画素11及び第2のAF画素12から出力される信号は、デジタル信号に変換された後に、焦点検出に用いる信号としてボディ制御部210に出力される。
図14は、第1の実施の形態に係る撮像素子の構成例を示す図である。撮像素子22は、複数の撮像画素13及び第1のAF画素11及び第2のAF画素12と、垂直制御部70と、複数のカラム回路部80とを有する。なお、図14においては、説明を簡略化するために、行方向(±X方向)8画素×列方向(±Y方向)16画素の128個の画素のみ図示している。図14では、左上隅の画素を第1行第1列の撮像画素13(1,1)とし、右下隅の撮像画素を第16行第8列の撮像画素13(16,8)としている。撮像素子22は、複数の垂直信号線60(垂直信号線60a~垂直信号線60h)が設けられる。複数の垂直信号線60は、列方向、即ち垂直方向に並んだ複数の画素の列である画素列(第1列~第8列)にそれぞれ接続される。垂直信号線60a、60c、60e、60gは、同一列の並ぶ複数の撮像画素13が接続され、接続された撮像画素13の信号をそれぞれ出力する。垂直信号線60b、60d、60f、60hは、同一列に並ぶ複数の撮像画素13及び複数の第1のAF画素11及び複数の第2のAF画素12が接続され、接続された撮像画素13及び第1のAF画素11及び第2のAF画素12の信号をそれぞれ出力する。なお、図14に示す構成は、焦点検出領域100のうち、例えば第1の小領域91の一部の回路構成を表すものである。なお、第2及び第3の小領域92、93も、図14に示す構成と同様の構成である。
垂直制御部70は、複数の画素列に共通に設けられる。垂直制御部70は、図13に示した信号TX、信号RST、信号SELを各画素に供給して、各画素の動作を制御する。垂直制御部70は、画素の各トランジスタのゲートに信号を供給して、トランジスタをオン状態(接続状態、導通状態、短絡状態)又はオフ状態(切断状態、非導通状態、開放状態、遮断状態)とする。
カラム回路部80は、アナログ/デジタル変換部(AD変換部)を含んで構成され、各画素から垂直信号線60を介して入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換して出力する。デジタル信号に変換された画素の信号は、不図示の信号処理部に入力されて、相関二重サンプリングや信号量を補正する処理等の信号処理が施された後に、カメラ1のボディ制御部210に出力される。
ボディ制御部210は、垂直制御部70を制御して、全ての画素群を順次選択して各画素の信号を読み出す第1の読み出しモードと、AF画素が配置される画素群(第1及び第2のAF画素ライン)の各画素の信号の読み出しとAF画素が配置されていない画素群(第1の画素群401、第2の画素群402)の各画素の信号の読み出しとを分けて行う第2の読み出しモードとを行う。
垂直制御部70は、ボディ制御部210により第1の読み出しモードが設定された場合、複数の画素群を順次選択して各画素から信号を出力させる。垂直駆動部70は、図14では第1行目から第16行目に向かって、画素群を順次選択する。垂直制御部70は、選択した画素群の各画素から信号を垂直信号線60に出力させる。以下に、第1の読み出しモードの場合の信号の読み出し方法の一例について説明する。
垂直駆動部70は、第1行目の第1の画素群401の画素であるR画素13(1,1)~G画素13(1,8)の選択部56をそれぞれオン状態とする。垂直駆動部70は、第1行目以外の他の行の画素の選択部56をそれぞれオフ状態とする。これにより、第1行目のR画素13(1,1)~G画素13(1,8)の各々の信号は、各々の画素の選択部56を介して、各々の画素に接続された垂直信号線60a~垂直信号線60hに出力される。
次に、垂直制御部70は、第2行目の第1のAF画素ライン402Raの画素であるG画素13(2,1)~第1のAF画素11(2,8)の選択部56をオン状態とする。また、垂直制御部70は、第2行目以外の他の行の画素の選択部56をオフ状態とする。これにより、第2行目のG画素13(2,1)~第1のAF画素11(2,8)の信号は、それぞれ垂直信号線60a~垂直信号線60hに出力される。
同様に、垂直制御部70は、第3行目以降の画素群を、第3行、第4行、第5行、第6行の順に1行ずつ順次選択する。垂直制御部70は、選択した画素群の各画素から信号を垂直信号線60に出力させる。
このように、第1の読み出しモードでは、垂直制御部70は、全ての画素群の各画素から信号を読み出す。各画素から読み出される信号は、カラム回路部80等によって信号処理が施された後に、ボディ制御部210に読み出される。
垂直駆動部70は、ボディ制御部210により第2の読み出しモードが設定された場合、第1及び第2のAF画素ラインの各画素の信号の読み出しとAF画素が配置されていない画素群の各画素の信号の読み出しとを分けて行う。
AF画素ラインから信号の読み出しを行う場合、垂直駆動部70は、領域設定部212により設定された1つ(又は複数)の焦点検出領域100において、画素選択部213により選択されたAF画素および撮像兼AF画素が配置された第1及び第2のAF画素ラインを最上行から最下行に向かって順次選択して、各画素の信号を読み出す。
AF画素が配置されていない画素群から信号の読み出しを行う場合、垂直駆動部70は、AF画素が配置されていない画素群を最上行から最下行に向かって順次選択して、各画素の信号を読み出す。
このように、第2の読み出しモードでは、AF画素ラインの各画素の信号がAF画素が配置されていない画素群の各画素の信号とは別に読み出されるため、焦点検出に用いる信号を効率的に得ることができ、AFのための信号処理の負担を軽減することができる。また、本実施の形態に係るカメラ1は、撮影光学系31の射出瞳距離に基づいて選択されたAF画素の信号を読み出して、焦点検出処理を行う。このため、精度の高い焦点検出ができる。
なお、ボディ制御部210は、第2の読み出しモードを設定してAF画素が配置されていない画素群から信号の読み出しを行う場合、全撮像画素のうちの特定の行や列の画素を間引いて信号を読み出す、間引き読み出しを行ってもよい。間引き読み出しを行う場合、ボディ制御部210は、全撮像画素のうちの特定の行や列の撮像画素を選択し、選択した撮像画素から信号を読み出す。ボディ制御部210は、垂直制御部70を制御して、特定の行や列の画素の信号を読み飛ばすことで、高速に信号を読み出すことができる。なお、ボディ制御部210は、複数の撮像画素の信号を加算して読み出すようにしてもよい。
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
(変形例1)
上述した実施の形態では、ステップS100において、焦点検出部220が、第1及び第2の擬似焦点検出信号と、加算第1、加算第2、及び加算第3の焦点検出信号と、混合第1及び混合第2の焦点検出信号と、これらの信号による19個の相関波形とを生成する例を説明した。しかし、焦点検出部220は、ステップS110、S210、S310、S410の各判定処理の前に、その判定処理に必要な焦点検出信号及び相関波形を算出するようにしてもよい。
例えば、焦点検出部220は、ステップS100において、4つの第1の相関波形C1及び4つの第2の相関波形C2を生成する。焦点検出部220は、ステップS100で否定判定してステップS210に進む場合に、第1及び第2の擬似焦点検出信号を生成すると共に、4つの第3の相関波形C3及び4つの第4の相関波形C4を生成する。焦点検出部220は、ステップS210で否定判定してステップS310に進む場合に、加算第1、加算第2、及び加算第3の焦点検出信号を生成すると共に、1つの第1の相関波形C10及び1つの第2の相関波形C20を生成する。また、焦点検出部220は、ステップS310で否定判定してステップS410に進む場合に、混合第1及び混合第2の焦点検出信号を生成すると共に、1つの第5の相関波形C5を生成する。
(変形例2)
上述した実施の形態にあっては、ステップS110において、信頼度判定部220dが、信頼度が高い相関波形ペアが例えば2つ以上であるか否かを判定し、判定結果に応じてステップS120又はステップS210に進む例について説明した。ステップS120及びステップS210のいずれのステップに進むかを判断するための相関波形ペアの数の基準は、2つ以上であるか否かに限らず、任意の数であってよい。例えば、ステップS110において、信頼度判定部220dは、信頼度が高い相関波形ペアが3つ以上であるか否かを判定するようにしてもよい。また、例えば、ステップS110において、信頼度判定部220dは、信頼度が高い相関波形ペアが1つ以上であるか否かを判定するようにしてもよい。このとき、信頼度が高い相関波形ペアが1つであった場合、ステップS130やステップS170における相関波形の加算処理は不要となる。このため、焦点検出部220における演算量を低減することができる。
ステップS210についても同様に、ステップS220及びステップS310のいずれのステップに進むかを判断するための相関波形ペアの数の基準は、2つ以上であるか否かに限らず、任意の数であってよい。例えば、ステップS210において、信頼度判定部220dは、信頼度が高い相関波形ペアが1つ以上であるか否かを判定するようにしてもよい。このとき、信頼度が高い相関波形ペアが1つであった場合、ステップS220における相関波形の加算処理は不要となり、演算量を低減することができる。
また、上述した実施の形態では、ステップS310において、信頼度判定部220dが、1つの第1の相関波形C10及び1つの第2の相関波形C20が共に信頼度が高いかを判定し、判定結果に応じてステップS320又はステップS410に進む例について説明した。しかし、ステップS310において、信頼度判定部220dは、1つの第1の相関波形C10及び1つの第2の相関波形C20の少なくとも一方の信頼度が高いと判定すると、ステップS320へ進むようにしてもよい。このとき、一方の相関波形のみが信頼度が高い場合、焦点検出部220は、ステップS320~S370の処理の代わりに、その一方の相関波形から像ズレ量Δ1(又はΔ2)を算出し、換算係数2Kを用いてデフォーカス量Defを算出する。
(変形例3)
上述した実施の形態では、ステップS130、S170において、相関波形処理部220eは、相関波形ペアを構成する2つの相関波形が共に信頼度が高いと判定された複数の相関波形ペアの第1の相関波形C1を加算すると共に、この複数の相関波形ペアの第2の相関波形C2を加算する例について説明した。しかし、ステップS130、S170の処理の代わりに、相関波形処理部220eは、相関波形ペアを構成する2つの相関波形が共に信頼度が高いか否かに関係なく、信頼度が高いと判定された全ての第1の相関波形C1を加算すると共に、信頼度が高いと判定された全ての第2の相関波形C2を加算してもよい。なお、焦点検出部220は、第1の相関波形C1の加算数と第2の相関波形C2の加算数とに応じて、加算された第1の相関波形C1及び第2の相関波形C2の各々の信号レベルを補正する処理等を行うようにしてもよい。
なお、相関波形処理部220eは、信頼度判定部220dによる判定結果に関係なく、第1の相関波形C1の加算処理と第2の相関波形C2の加算処理とを行うようにしてもよい。この場合、ステップS130、S170において、相関波形処理部220eは、例えば、4つの第1の相関波形C1を加算する。また、相関波形処理部220eは、4つの第2の相関波形C2を加算する。
(変形例4)
上述した実施の形態では、ステップS130~S150において、複数の相関波形ペアの第1の相関波形C1を加算すると共に、複数の相関波形ペアの第2の相関波形C2を加算し、加算した第1及び第2の相関波形C1、C2から像ズレ量を算出する例について説明した。しかし、焦点検出部220は、ステップS130~S150の処理の代わりに、複数の相関波形ペアの各々から像ズレ量を算出して、算出した複数の像ズレ量の平均値をデフォーカス量に換算してもよい。
具体的には、相関波形処理部220eは、複数の相関波形ペアの各々について、第1の相関波形C1及び第2の相関波形C2の一方を反転し、その反転した相関波形と他方の相関波形とを加算した加算相関波形を生成する。像ズレ量算出部220fは、生成された複数の加算相関波形の各々から、像ズレ量Δ1(又はΔ2)を算出する。ステップS160において、デフォーカス量算出部220hは、算出された複数の像ズレ量Δ1(又はΔ2)の平均値に、2倍の換算係数2Kを乗じて、デフォーカス量Defを算出する。
なお、焦点検出部220は、複数の相関波形ペアの各々から算出した像ズレ量をそれぞれデフォーカス量に換算し、算出した複数のデフォーカス量Defの平均値を用いて、フォーカスレンズ31bの移動量を算出するようにしてもよい。
焦点検出部220は、ステップS170~S180の処理の代わりに、複数の相関波形ペアの第1及び第2の相関波形C1、C2の各々から像ズレ量を算出して、算出した複数の像ズレ量に基づいてデフォーカス量を算出するようにしてもよい。具体的には、像ズレ量算出部220fは、複数の相関波形ペアの第1の相関波形C1の各々から、像ズレ量Δ1を算出すると共に、その複数の相関波形ペアの第2の相関波形C2の各々から、像ズレ量Δ2を算出する。像ズレ量加算部220gは、複数の像ズレ量Δ1の平均値と、複数の像ズレ量Δ2の平均値とを加算することで、像ズレ量(Δ1+Δ2)を算出する。ステップS190において、デフォーカス量算出部220hは、算出された像ズレ量(Δ1+Δ2)に、換算係数Kを乗じて、デフォーカス量Defを算出する。
なお、焦点検出部220は、上述の複数の像ズレ量Δ1の平均値及び複数の像ズレ量Δ2の平均値の各々をデフォーカス量に換算し、算出した複数のデフォーカス量Defの平均値を用いて、フォーカスレンズ31bの移動量を算出するようにしてもよい。
焦点検出部220は、ステップS220~S230の処理の代わりに、複数の相関波形ペアの第3及び第4の相関波形C3、C4の各々から像ズレ量を算出して、算出した複数の像ズレ量に基づいてデフォーカス量を算出するようにしてもよい。具体的には、像ズレ量算出部220fは、複数の相関波形ペアの第3の相関波形C3の各々から、像ズレ量(Δ1+Δ2)を算出すると共に、その複数の相関波形ペアの第4の相関波形C4の各々から、像ズレ量(Δ1+Δ2)を算出する。ステップS240において、デフォーカス量算出部220hは、算出された全ての像ズレ量(Δ1+Δ2)の平均値に、換算係数Kを乗じて、デフォーカス量Defを算出する。
なお、焦点検出部220は、第3の相関波形C3の各々から算出された像ズレ量(Δ1+Δ2)の平均値、及び第4の相関波形C4の各々から算出された像ズレ量(Δ1+Δ2)の平均値をそれぞれデフォーカス量に換算し、算出した複数のデフォーカス量Defの平均値を用いて、フォーカスレンズ31bの移動量を算出するようにしてもよい。
(変形例5)
焦点検出部220は、ステップS140~S150の処理の代わりに、加算した第1の相関波形C1及び第2の相関波形C2の各々から像ズレ量を算出し、算出した2つの像ズレ量をそれぞれデフォーカス量に換算し、算出した2つのデフォーカス量Defの平均値を算出するようにしてもよい。この場合、ステップS160において、焦点検出部220は、デフォーカス量Defの平均値に基づき、フォーカスレンズ31bの移動量を算出する。
焦点検出部220は、ステップS170~S180の処理の代わりに、加算した第1の相関波形C1及び第2の相関波形C2の各々から像ズレ量を算出し、算出した2つの像ズレ量をそれぞれデフォーカス量に換算し、算出した2つのデフォーカス量Defの平均値を算出するようにしてもよい。この場合、ステップS190において、焦点検出部220は、デフォーカス量Defの平均値に基づき、フォーカスレンズ31bの移動量を算出する。
また、焦点検出部220は、ステップS220~S230の処理の代わりに、加算した第3の相関波形C3及び第4の相関波形C4の各々から像ズレ量を算出し、算出した2つの像ズレ量をそれぞれデフォーカス量に換算し、算出した2つのデフォーカス量Defの平均値を算出するようにしてもよい。この場合、ステップS240において、焦点検出部220は、デフォーカス量Defの平均値に基づき、フォーカスレンズ31bの移動量を算出する。
(変形例6)
上述した実施の形態では、信頼度判定部220dは、相関量の最小値に基づいて、相関波形の信頼度(信頼性)を判定する例について説明したが、信頼度の判定方法はこれに限らない。例えば、信頼度判定部220dは、相関量が最小となるシフト量に基づいて、相関波形の信頼度を判定するようにしてもよい。例えば、信頼度判定部220dは、相関量が最小となるシフト量が所定の閾値よりも大きい場合は、相関波形の信頼度は低いと判定し、相関量が最小となるシフト量が所定の閾値よりも小さい場合は、相関波形の信頼度は高いと判定する。
(変形例7)
上述した実施の形態にあっては、画素選択部213は、領域設定部212により設定された焦点検出領域100について、撮影光学系31の射出瞳距離に基づき、第1~第3の小領域91~93のいずれかに属するAF画素と撮像兼AF画素とを選択する。焦点検出部220は、選択された1つの小領域のAF画素および撮像兼AF画素から出力される焦点検出信号に基づいて、デフォーカス量を算出する。このように、カメラ1では、撮影光学系31の射出瞳距離に適したAF画素と撮像兼AF画素が配置される1つの小領域についての焦点検出が行われる。しかし、焦点調節対象の被写体像が残り2つの小領域による撮像範囲に含まれる場合が想定される。また、焦点調節対象の被写体像が、その1つの小領域から残り2つの小領域に移動する場合なども考えられる。そこで、ボディ制御部210は、被写体の大きさ等の被写体の状態に基づいて、位相差検出方式の焦点検出を行うか、コントラスト検出方式の焦点検出を行うかを決定するようにしてもよい。
例えば、ボディ制御部210は、被写体認識技術などにより特定の被写体を主要被写体として検出する被写体検出部を有し、被写体検出部による検出結果に基づいて、位相差検出方式の焦点検出処理またはコントラスト検出方式の焦点検出処理を選択する。ボディ制御部210は、主要被写体像(例えば顔)の大きさが第1~第3の小領域91~93から構成される焦点検出領域100よりも大きい場合は、位相差検出方式の焦点検出を行う。一方、ボディ制御部210は、主要被写体像の大きさが焦点検出領域100の範囲内である場合は、コントラスト検出方式の焦点検出を行うようにする。コントラスト検出方式の場合には、上述の残り2つの小領域についても撮像画素から出力される信号を用いて焦点検出を行うことで、主要被写体像が比較的小さい場合に焦点検出精度が低下することを防ぐことができる。
(変形例8)
上述した実施の形態では、ボディ制御部210は、焦点検出を行う焦点検出領域として、第1~第3の小領域91~93から構成される焦点検出領域100を設定する例について説明した。しかし、焦点検出領域の大きさは、第1~第3の小領域91~93から構成される焦点検出領域100の大きさよりも小さくてもよい。例えば、表示部24に表示され、操作部25の操作によって選択可能なAF枠の大きさは、焦点検出領域100の1つの小領域に対応する大きさであってよい。この場合、選択された1つの小領域に属するAF画素と撮像兼AF画素が撮影光学系31の射出瞳距離に適していない場合、ボディ制御部210は、位相差検出方式の焦点検出を行わずに、コントラスト検出方式の焦点検出を行うようにしてもよい。
(変形例9)
上述した実施の形態では、撮像素子22に、原色系(RGB)のカラーフィルタを用いる場合について説明したが、補色系(CMY)のカラーフィルタを用いるようにしてもよい。
(変形例10)
上述の実施の形態及び変形例で説明した撮像装置は、カメラ、スマートフォン、タブレット、PCに内蔵のカメラ、車載カメラ、無人航空機(ドローン、ラジコン機等)に搭載されるカメラ等に適用されてもよい。
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
次の優先権基礎出願の開示内容は引用文としてここに組み込まれる。
日本国特願2018-137263号(2018年7月20日出願)