JP7237169B2 - Pd-l1免疫調整剤であるフルオロビニルベンズアミド化合物 - Google Patents

Pd-l1免疫調整剤であるフルオロビニルベンズアミド化合物 Download PDF

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Description

本発明は、PD-L1免疫調節剤に関し、具体的には、PD-L1免疫調節剤である式(I)で示される化合物、その薬学的に許容される塩またはその異性体に関するものである。
関連出願の引用
本出願は、以下のような優先権を主張している:
CN201910107946.0、出願日:2019-02-02。
腫瘍細胞の免疫逃避の発生は、複数の因子が関与し、複数のメカニズムによって制御される複雑なプロセスである。腫瘍の発生と進行の促進する過程におけるPD-1/PD-L1の役割には多くの注目が集まっている。近年、肝癌、黒色腫、腎細胞癌、乳癌などの様々な種類の腫瘍患者の病変局所、末梢血免疫細胞、さらには循環腫瘍細胞において、免疫組織化学、フローサイトメトリー及び細胞性免疫蛍光などの方法により、PD-L1の高発現が検出されている。PD-1分子を発現するリンパ球または樹状細胞との組み合わせは、免疫細胞の機能を阻害し、それによって体の抗腫瘍免疫応答を弱める可能性がある。腫瘍細胞の表面のPD-L1は、免疫エフェクター細胞の阻害などの腫瘍細胞の免疫的な殺傷の分子障壁として機能することができる。
PD-1/PD-L1経路をブロックする単剤免疫療法は強力な抗癌作用を示しているが、治療効果の良くない一部の患者もいる。進行性悪性腫瘍の患者の多くは、腫瘍負荷が大きいこと、免疫耐性であること、およびインビボの抗腫瘍免疫抑制の微小環境の形成などの要因により、体は単剤免疫療法に対して感受性が低く、さらに抵抗性が生じる。したがって、抗PD-1/PD-L1免疫療法を併用する総合療法は、単剤療法に比べてより良い治療効果を得ることができるかもしれない。
本発明は、研究により、独特の薬理学的特性を有し、PD-L1の発現を有意に低下させ、免疫チェックポイント薬の薬物効果を増感させ、PD-1/PD-L1との併用で相乗的な抗腫瘍効果を得ることができる、一連の新規構造の小分子を見つけた。これは臨床応用上、非常に価値のあることであり、これまで免疫チェックポイント薬に応答が弱かった、あるいは応答しなかった患者の反応を高めることを可能にし、適応となる患者の人数を増やすことができる。本発明の化合物は、メラノーマ、乳癌、肺癌、肝癌、胃癌など、さまざまな種類の腫瘍に対して潜在的な治療意義を有する。
本発明は、式(I)で示される化合物、その異性体またはその薬学的に許容される塩を提供する。
Figure 0007237169000001
ここで、
は、H、F、Cl、Br、I、OHおよびNHから選ばれている;
およびRは、それぞれ、独立にH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CNおよび1、2または3個のRで任意に置換されたC1-3アルキル基から選ばれている;
は、それぞれ、独立にH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CNおよびCHから選ばれている。
本発明のいくつかの形態では、前記RおよびRは、それぞれ、独立にH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、CHおよびCHCHから選ばれており、前記CHおよびCHCHは、1、2または3個のRで任意に置換されており、他の変数は本発明で定義した通りである。
本発明のいくつかの形態では、上記RおよびRは、それぞれ、独立にH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、CHおよびCHCHから選ばれており、他の変数は本発明で定義されている通りである。
本発明は、更に上記の各変数の任意の組み合わせによるいくつかの形態がある。
本発明のいくつかの形態では、上記の化合物、その異性体またはその薬学的に許容される塩は、以下から選ばれている。
Figure 0007237169000002
ここで、
およびRは、本発明で定義されている通りである。
本発明は、下記の式で示される化合物、その異性体またはその薬学的に許容される塩を更に提供し、前記化合物は以下から選ばれている。
Figure 0007237169000003
Figure 0007237169000004
本発明のいくつかの形態では、上記の化合物、その異性体またはその薬学的に許容される塩は、以下から選ばれている。
Figure 0007237169000005
Figure 0007237169000006
本発明は、活性成分である治療有効量の前記の化合物、その異性体またはその薬学的に許容される塩および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物を更に提供する。
本発明は、PD-L1免疫調節剤関連薬物の調製における、前記の化合物、その異性体またはその薬学的に許容される塩或いは前記の組成物の使用を更に提供する。
本発明のいくつかの形態は、前記PD-L1免疫調節剤関連薬物が固形腫瘍用薬物である。
定義と説明
別の説明がない限り、本書で使用される以下の用語および句は、以下の意味を持つことが意図されている。特定の用語や句は、特定の定義がない場合、不明確または不明瞭と見なされるべきではなく、通常の意味で理解されるべきである。本書で商品名が記載されている場合、それは対応する商品またはその活性成分を指すことを意図している。本明細書で使用されている「薬学的に許容される」という用語は、それらの化合物、材料、組成物および/または剤形に対して、信頼できる医学的判断の範囲内にあり、過度の毒性、刺激性、アレルギー反応、その他の問題または合併症を伴わずに、ヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに適し、合理的な利益とリスクとの比に見合うことを指す。
「薬学的に許容される塩」という用語は、本発明で発見された特定の置換基を有する化合物と比較的に毒性のない酸または塩基から調製される、本発明の化合物の塩を指す。本発明の化合物に比較的に酸性である官能基を含む場合、このような化合物の中性型を、純粋な溶液または適切な不活性溶媒中で十分な量の塩基と接触させることにより、塩基付加塩を得ることができる。薬学的に許容される塩基付加塩には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アンモニアまたはマグネシウムの塩、または類似の塩が含まれる。本発明の化合物が比較的に塩基性である官能基を含む場合、このような化合物の中性形を、純粋な溶液または適切な不活性溶媒中で十分な量の酸と接触させることにより、酸付加塩を得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩の例には、例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸水素イオン、リン酸、リン酸一水素イオン、リン酸二水素イオン、硫酸、硫酸水素イオン、ヨウ化水素酸、亜リン酸などが含まれる無機酸塩;および、例えば、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などの類似の酸が含まれる有機酸塩が含まれ、更に、アミノ酸(アルギニンなど)の塩、およびグルクロン酸などの有機酸の塩が含まれる。本発明のある特定の化合物は、塩基性と酸性との官能基が含まれるので、任意の塩基性または酸性の付加塩に変換することができる。
本発明の薬学的に許容される塩は、通常の化学的方法で、酸基または塩基を含む親化合物から合成することができる。一般的に、このような塩の調製方法は、遊離酸または遊離塩基の形のこれらの化合物を、水または有機溶媒またはその両方の混合物中で、化学量論的な適切な塩基または酸と反応させることによって調製される。
塩の形態の以外、本発明によって提供される化合物は、プレドラッグの形態でも存在する。本書に記載されている化合物のプレドラッグは、生理的条件下で化学的変化が生じることにより、本発明の化合物に容易に変換される。さらに、前駆体薬物は、インビボ環境において化学的または生化学的方法により本発明の化合物に変換することができる。
本発明のある化合物は、非溶媒化形態または水和物形態を含む溶媒化形態で存在することができる。一般的に、溶剤化形態は、非溶剤化形態と同様に、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
本発明の化合物は、特定の幾何学的形態または立体異性体形態が存在することができる。本発明では、このような化合物のすべてを想定しており、シス異性体およびトランス異性体、(-)-および(+)-対のエナンチオマー、(R)-および(S)-エナンチオマー、ジアステレオ異性体、(D)-異性体、(L)-異性体、およびそれらのラセミ混合物、ならびに、エナンチオマーまたはジアステレオマーに富む混合物などの他の混合物が含まれ、これらの混合物のすべてはいずれも本発明の範囲内に属する。アルキル基などの置換基に他の非対称炭素原子が存在してもよい。このような異性体およびその混合物のすべては、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
別の説明がない限り、「エナンチオマー」または「光学異性体」という用語は、互いに鏡像関係にある立体異性体を指す。別の説明がない限り、「シス-トランス異性体」または「幾何学的異性体」という用語は、二重結合または環を形成する炭素原子の単結合が自由に回転できないことにより起因する。
別の説明がない限り、「ジアステレオ異性体」とは、分子が2つ以上のキラル中心を持ち、且つ分子間が非鏡像の関係にある立体異性体を指す。
別の説明がない限り、「(+)」は右旋を示し、「(-)」は左旋を示し、「(±)」はラセミを示す。別の説明がない限り、
Figure 0007237169000007

Figure 0007237169000008
でステレオセンターの絶対的な配置を示し、
Figure 0007237169000009

Figure 0007237169000010
でステレオセンターの相対的な配置を示し、
Figure 0007237169000011

Figure 0007237169000012

Figure 0007237169000013
を示し、または、
Figure 0007237169000014

Figure 0007237169000015

Figure 0007237169000016
を示す。
本発明の化合物は、特定の化合物が存在していてもよい。別の説明がない限り、「互変異性体」または「互変異性体形態」という用語は、室温で、異なる官能基の異性体が動的平衡状態にあり、互いに迅速に変換できることを意味する。(例えば溶液中で)互いに変換が可能であれば、互変異性体の化学的平衡を達することができる。例えば、プロトン互変異性体(プロトン転移互変異性体(prototropic tautomer)とも呼ばれる)には、ケト-エノール異性化やイミノ-エナミン異性化などのプロトリシスによる相互変換が含まれる。価数互変異性体(valence tautomer)には、一部の結合電子の再結合による相互変換が含まれる。ここで、ケト-エノールの互変異性化の具体例は、ペンタン-2,4-ジオンと4-ヒドロキシペンタン-3-エン-2-オンの2つの互変異性体との互いに変換である。
別の説明がない限り、「一種の異性体に富む」、「異性体に富む」、「一種のエナンチオマーに富む」、「エナンチオマーに富む」という用語とは、一種の異性体またはエナンチオマーの含有量が100%未満で、且つ、該異性体またはエナンチオマーの含有量が60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、99.8%以上、或いは、99.9%以上であることを指す。
別の説明がない限り、「異性体過量」または「エナンチオマー過量」という用語とは、二種の異性体または二種のエナンチオマーの相対的な百分率の差を指す。例えば、一方の異性体またはエナンチオマーの含有量が90%であり、他方の異性体またはエナンチオマーの含有量が10%である場合、異性体またはエナンチオマーが80%と過量(ee値)である。
光学活性の(R)-異性体および(S)-異性体ならびにD異性体およびL異性体は、キラル合成またはキラル試薬または他の通常の技術によって調製することができる。本発明のある化合物のエナンチオマーを得たい場合は、不斉合成またはキラル補助剤による誘導体化によって調製することができ、得られたジアステレオマー混合物を分離し、補助基を切断して純粋な所望のエナンチオマーを得ることができる。或いは、分子に塩基性官能基(例えばアミノ基)または酸性官能基(例えばカルボキシル基)を含む場合は、適切な光学活性の酸または塩基とジアステレオ異性体の塩を形成し、その後当技術分野でよく知られている通常の方法でジアステレオ異性体を分割した後、回収して純粋なエナンチオマーを得ることができる。さらに、エナンチオマーとジアステレオアイソマーの分離は、通常、クロマトグラフィーを用いて行われており、前記クロマトグラフィーは、キラル固定相を使用し、且つ、任意に化学的誘導体化法相と結合する(例えばアミンからカルバメートを生成する)。
本発明の化合物は、該化合物を構成する1つ以上原子に不自然な割合の原子同位体を含んでいてもよい。例えば、トリチウム(H)、ヨウ素-125(125I)、C-14(14C)の放射性同位体で化合物を標識してもよい。例えば、重水素で水素を置換して重水素化薬物を形成してもよい。重水素化薬物は、重水素と炭素とからなる結合が、通常、水素と炭素とからなる結合よりも強く、重水素化されていない薬物よりも、毒性の副作用の低減、薬物の安定性の増加、治療効果の増強、薬物の生物学的半減期の延長などのメリットがある。本発明の化合物の同位体組成のすべての変換は、放射性であるかどうかにかかわらず、いずれも本発明の範囲に含まれる。
「任意」または「任意に」という用語は、続いて説明される事件または状況が発生する可能性があるが、必ず発生する必要がないことを指し、且つ、該説明には、前記事件または状況が発生する場合、および前記事件または状況が発生しない場合が含まれる。
「置換された」という用語とは、特定の原子上の任意の1つ以上の水素原子が置換基で置換されていることを指し、重水素および水素の変種を含んでもよく、特定の原子の原子価状態が正常であり且つ置換された化合物が安定であればよい。置換基が酸素(即ち、=O)である場合、2つの水素原子が置換されていることを意味する。酸素置換は、芳香族基では起こらない。「任意に置換された」という用語は、他の規定がされていない限り、置換されていてもいなくてもよいことを指し、置換基の種類や数は、化学的に実現できることに基づいて任意であってもよい。
化合物の組成または構造に、いかなる変数(例えばR)が1回以上出現する場合、それぞれの場合の定義は、いずれも独立している。したがって、例えば、あるグループが0~2個のRで置換されている場合、前記グループは任意に最大2個のRで置換されていてもよく、且つそれぞれの場合のRはいずれも独立した選択肢が存在する。さらに、置換基および/またはその変異体の組み合わせは、そのような組み合わせによって安定した化合物が生ずる場合にのみ許可される。
例えば-(CRR)-のように、連結グループの数が0の場合、連結グループが単結合であることを示す。
1つの変数が単結合から選ばれている場合、連結されている2つのグループが直接に連結されていることを示す。
例えば、A-L-ZにおけるLが単結合を表す場合、該構造が実際にはA-Zであることを示す。
1つの置換基が空いている場合は、該置換基が存在しないことを示す。例えば、A-XにおいてXが空いている場合は、該構造が実際にはAであることを示す。挙げられた置換基において、どの原子を介して被置換のグループに連結するかが指定されていない場合、このような置換基は、いかなる原子を介して互いに結合することができる。例えば、ピリジル基は、置換基としてピリジン環上の任意の1つの炭素原子を介して被置換のグループに結合することができる。挙げられた連結グループがその連結方向を指定していない場合、その連結方向は任意である。例えば、
Figure 0007237169000017
において連結グループLが-M-W-の場合、-M-W-は、環Aと環Bを左から右への読み取り順序と同じ方向に連結して
Figure 0007237169000018
を構成してもよく、環Aと環Bを左から右への読み取り順序と逆方向に連結して
Figure 0007237169000019
を構成してもよい。前記連結グループ、置換基および/またはその変異体の組み合わせは、そのような組み合わせで安定した化合物が得られる場合にのみ許可される。
他の規定がされていない限り、「C1-3アルキル基」という用語は、直鎖または分岐鎖の1乃至3個の炭素原子からなる飽和炭化水素基を示すために使用される。前記C1-3アルキル基は、C1-2およびC2-3アルキル基などを含み、一価(例えばメチル基)、二価(例えばメチレン基)または多価(例えばメチン基)であってもよい。C1-3アルキル基の例は、メチル基(Me)、エチル基(Et)、プロピル基(n-プロピル基、イソプロピル基を含む)などを含むが、これらに限定されるいない。
他の規定がされていない限り、Cn-n+mまたはC-Cn+mには、n乃至n+m個の炭素のいずれか一個の具体的な場合が含まれており、例えばC1-12には、C、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、C12が含まれており、n乃至n+m個のいずれか一個の範囲が含まれており、例えばC1-12には、C1-3、C1-6、C1-9、3-6、C3-9、C3-12、C6-9、C6-12およびC9-12などが含まれている。同様に、n員乃至n+m員は、環上の原子数がn乃至n+m個を示し、例えば3~12員環には、3員環、4員環、5員環、6員環、7員環、8員環、9員環、10員環、11員環、12員環などが含まれており、n乃至n+mのいずれか一個の範囲が含まれており、例えば3-12員環には、3-6員環、3-9員環、5-6員環、5-7員環、6-7員環、6-8員環、6-10員環などが含まれている。
「離脱グループ」という用語とは、置換反応(例えば親和性置換反応)によって別の官能基または原子に置換されることができる官能基または原子を指す。例えば、代表的な離脱グループは、トリフルオロメタンスルホネート;塩素、臭素、ヨウ素;例えばメタンスルホネート、トルエンスルホネート、p-ブロモベンゼンスルホネート、p-トルエンスルホネートなどのスルホネート基;例えばアセトキシ基、トリフルオロアセトキシ基などのアシルオキシ基などを含む。
「保護基」という用語は、「アミノ保護基」、「ヒドロキシ保護基」または「メルカプト保護基」を含むが、これらに限定されていない。「アミノ保護基」という用語は、アミノ窒素位置での副反応を防ぐのに適した保護グループを指す。代表的なアミノ保護基には、ホルミル基;アルカノイル基などのアシル基(例えばアセチル基、トリクロロアセチル基またはトリフルオロアセチル基);例えばtert-ブトキシカルボニル(B℃)のアルコキシカルボニル基;例えばベンジルオキシカルボニル基(Cbz)および9-フルオレニルメトキシカルボニル基(Fm℃)のアリールメトキシカルボニル基;例えばベンジル基(Bn)、トリチル基(Tr)、1,1-ジ-(4’-メトキシフェニル)メチル基のアリールメチル基;例えばトリメチルシリル基(TMS)およびtert-ブチルジメチルシリル基(TBS)などのシリル基などが含まれるが、これらに限定されていない。「ヒドロキシ保護基」という用語とは、ヒドロキシ基の副反応を防ぐのに適した保護基を指す。代表的なヒドロキシ保護基には、例えばメチル基、エチル基、tert-ブチル基のアルキル基;例えばアルカノイル基(例えばアセチル基)のアシル基;例えばベンジル基(Bn)、p-メトキシベンジル基(PMB)、9-フルオレニルメチル基(Fm)およびジフェニルメチル基(DPM)のアリールメチル基;トリメチルシリル基(TMS)およびtert-ブチルジメチルシリル基(TBS)などのシリル基などが含まれるが、これらに限定されていない。
本発明の化合物は、以下に挙げられる具体的な実施形態、他の化学合成方法と組み合わせてなる実施形態および当業者に知られている同等の置換形態を含む、当業者に知られている様々な合成方法によって調製することができ、好ましい実施形態は、本発明の実施例を含むが、これに限定されていない。
本発明の化合物は、当業者に知られている通常の方法によって構造を確認することができる。本発明が化合物の絶対配置に関する場合、該絶対配置は、本技術分野の通常の技術的手段によって確認・証明することができる。例えば、単結晶X線回折法(SXRD)で、Bruker D8 venture回折計を用いて、CuKα線を光源とし、走査モード:φ/ω走査で、培養した単結晶の回折強度データを収集した後、直接に法(Shelxs97)で結晶構造をさらに解明することで、絶対配置を確認・証明することができる。
本発明で使用される溶媒は、市販されているものから得られることができる。本発明では、以下の略語を使用している。aqは、水を代表し;HATUは、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチル尿素ヘキサフルオロホスフェートを代表し;EDCは、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩を代表し;m-CPBAは、3-クロロペルオキシ安息香酸を代表し;eqは、当量、等量を代表し;CDIは、カルボニルジイミダゾールを代表し;DCMは、ジクロロメタンを代表し;PEは、PEを代表し;DIADは、ジイソプロピルアゾジカルボキシレートを代表し;DMFは、N,N-ジメチルホルムアミドを代表し;DMSOは、ジメチルスルホキシドを代表し;EtOAcは、酢酸エチルを代表し;EtOHは、エタノールを代表し;MeOHは、メタノールを代表し;CBzは、アミン保護グループであるベンジルオキシカルボニル基を代表し;B℃は、アミン保護グループであるtert-ブトキシカルボニル基を代表し;HOAcは、酢酸を代表し;NaCNBHは、シアノ水素化ホウ素ナトリウムを代表し;r.t.は、室温を代表し;O/Nは、一晩を代表し;THFは、テトラヒドロフランを代表し;BOCOは、ジ-tert-ブチルジカーボネートを代表し;TFAは、トリフルオロ酢酸を代表し;DIPEAは、ジイソプロピルエチルアミンを代表し;SOClは、塩化スルホキシドを代表し;CSは、二硫化炭素を代表し;TsOHは、p-トルエンスルホン酸を代表し;NFSIは、N-フルオロ-N-(ベンゼンスルホニル)ベンゼンスルホンアミドを代表し;NCSは、N-クロロスクシンイミドを代表し;n-BuNFは、テトラブチルアンモニウムフルオリドを代表し;iPrOHは、2-プロパノールを代表し;mpは、融点を代表し;LDAは、リチウムジイソプロピルアミンを代表し;DIEAは、N,N-ジイソプロピルエチルアミンを代表し;Pd(PPhClは、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリドを代表し;TBSClは、tert-ブチルジメチルクロロシランを代表し;NISは、N-ヨードスクシニミドを代表する。
化合物は、本技術分野の通常の命名原則に従って、或いはChemDrawTMというソフトウェアを使用して命名され、市販の化合物は、サプライヤーのカタログ名を使用する。
技術的効果:本発明の化合物は、対照例1および2に比べて、PD-L1遺伝子発現に効率的な下降(ダウンレギュレーション)作用を有し、本発明の化合物は、PD-L1タンパク質発現レベルに効率的な下降(ダウンレギュレーション)作用を有する;本発明の化合物は、CT26モデルにおいて優れた抗腫瘍作用を示し、且つPD-L1抗体との併用でその抗腫瘍性能性を増強する。
CT26細胞でのPD-L1遺伝子の発現レベルに対する本発明の化合物の影響である。 MCF7細胞でのPD-L1遺伝子の発現レベルに対する本発明の化合物の影響である。 本発明の化合物のPD-L1タンパク質の発現レベルの結果である。GAPDH:(グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase)) マウスのCT26大腸癌腫瘍モデルの腫瘍体積に対する本発明の化合物の影響。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明に不利な限定を課すことを意味するものではない。本明細書では、本発明が詳細に説明されており、その具体的な実施例の形態も開示されており、当業者にとって、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、本発明の具体的な実施形態に様々な変化および改良を行なうことは、自明である。
Figure 0007237169000020
特許WO2017024968A1の実施例32および実施例47に従って調製した。
Figure 0007237169000021
ステップ1
20℃で、1-(3,5-ジクロロピリジン-4-)エタノール(85.60g,445.74mmol)、トリエチルアミン(90.21g,891.47mmol)のジクロロメタン(1.50L)溶液に、塩化アセチル(41.99g,534.88mmol)を滴下し、20℃で1時間撹拌した後、減圧下で溶媒を蒸発させ、残留物を高速シリカゲルカラムで精製して化合物1aを得た。
HNMR(400MHz,CDCl) δ 8.44(s,2H),6.25(q,J=6.8Hz,1H),2.09(s,3H),1.63(d,J=7.2Hz,3H)。
ステップ2
20℃で、化合物1a(31g、243mmol)、DMSO(78mL)および1M NaHPO/NaHPO緩衝液(pH7.5、775mL)の混合溶液に、Novozymeリパーゼ435(31.78g)を加えた。51℃で、129時間攪拌した後、水(1L)を加えて希釈し、酢酸エチル(1L×5)で抽出した。合わせた有機層を水(500mL)、塩水(500mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過し、ろ液を濃縮して得られた残留物を高速シリカゲルカラムで精製して化合物1bを得た。
LCMS(ESI)m/z:233.9[M+1]
ステップ3
20℃で、化合物1b(12.00g、51.26mmol)のテトラヒドロフラン(50mL)およびメタノール(50mL)の混合溶液に、1M水酸化ナトリウム溶液(51.26mL、51.26mmol)を滴下し、20℃で30分間攪拌した後、水(30mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。合わせた有機層を塩水(20mLx2)で洗浄した後、溶媒を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させて化合物1cを得た。
LCMS(ESI)m/z:191.8[M+1]
ステップ4
0℃の氷浴で、化合物1c(18g、94mmol)およびトリエチルアミン(28.45g、281mmol)のジクロロメタン(400mL)混合溶液に、メタンスルホニルクロリド(32.21g、281.2mmol)をゆっくりと加えた。反応液を室温で4時間攪拌した。反応終了後、水を加えて反応を停止させ且つジクロロメタン(500mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させて残留物を得、カラムクロマトグラフィーにより化合物1dを得た。
Figure 0007237169000022
ステップ5
室温で、1-ヒドロ-インダゾール-5-ヒドロキシ(54g、0.4mol)およびイミダゾール(40g、0.6mol)のDMF(1L)溶液に、TBSCl(90g、0.6mol)をバッチに加えた。加えた後、反応は15℃で5時間撹拌した。最終反応液に3リットルの水を加えて希釈し、酢酸エチル(0.8L×3)で抽出し、有機相を合わせて水(0.8L×3)で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して蒸発させた。残留物を高速シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して化合物1eを得た。
LCMS(ESI)m/z:249[M+1]
ステップ6
10℃で、化合物1e(90g、0.36mol)のジクロロメタン(1.2L)の溶液にNIS(88g、0.4mol)をバッチに加えた。反応液を10℃で2時間攪拌した。10%の亜硫酸ナトリウム溶液(100mL)で反応を停止させ、有機層を飽和食塩水(300mL×2)で洗浄し、有機相を合わせた後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し且つ蒸発させた。残留物を高速クロマトグラフィーであるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して化合物1fを得た。
LCMS(ESI)m/z:375[M+1]
ステップ7
まず化合物1f(125g、334mmol)をジクロロメタン(1L)およびテトラヒドロフラン(0.4L)の混合溶媒内に溶解させた後、メタンスルホン酸(6.0g、60mmol)を加え、最後に3,4-テトラヒドロ-2-ヒドロピラン(124.2g、0.92mol)を反応液にバッチに加えた。加えた後、12℃で5時間撹拌した。反応した反応液をジクロロメタン(500mL)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(300mL)で洗浄した。有機層を再び飽和食塩水で洗浄し且つ無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して蒸発させた。残留物を高速クロマトグラフィーであるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して化合物1gを得た。
LCMS(ESI)m/z:459[M+1]
ステップ8
LCMS(ESI)m/z:345[M+1]
10℃で、化合物1g(132g、0.29mol)のテトラヒドロフラン(1.4L)溶液にテトラブチルアンモニウムフルオリドのテトラヒドロフラン溶液(0.35L、0.35mol、1mol/L)を一回的に加えた。混合溶液を10℃で2時間攪拌した。反応液を1.5リットルの氷水に注ぎ、20分間十分に撹拌した。水相を酢酸エチル(400mL×3)で抽出し、有機相を合わせて飽和食塩水(200mL×2)で洗浄し、且つ無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して蒸発させた。残留物を高速クロマトグラフィーであるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して化合物1hを得た。
Figure 0007237169000023
ステップ9
窒素ガス保護下で、化合物1h(24g、88.9mmol)、化合物1d(35g、101.7mmol)および炭酸セシウム(57.9g、177.7mmol)のアセトニトリル(1000mL)溶液をオイルバスで110℃に加熱し且つ12時間撹拌反応させた。反応終了後、濾過し、濾液を取り、蒸発させて残留物を得、カラムクロマトグラフィーにより化合物1iを得た。
LCMS(ESI)m/z:518.0[M+1]
HNMR(400MHz,CDOD) δ 8.44(s,2H),7.46(dd,J=2.8,8.8Hz,1H),7.17(dd,J=2.4,9.2Hz,1H),6.71(s,1H),6.08(d,J=6.8Hz,1H),5.64~5.59(m,1H),4.01~3.97(m,1H),3.73~3.69(m,1H),2.48~2.47(m,1H),2.13~2.11(m,2H),1.83(d,J=6.8Hz,3H),1.75~1.64(m,3H)。
ステップ10
室温窒素ガス下で、化合物1i(24g、46.3mmol)のDMF(500mL)溶液にPd(PPhCl(1.63g、2.32mmol)およびギ酸ナトリウム(9.5g、139.0mmol)を加えた。その後、水素化フラスコを一酸化炭素ガスで置換して、フラスコ内に一酸化炭素ガスを充満させた。反応液を一酸化炭素(50psi)および80℃で12時間攪拌した。ろ過し、ろ液を濃縮乾燥し、残留物をカラムクロマトグラフィーにより化合物1jを得た。
LCMS(ESI)m/z:420.1[M+1]
ステップ11
0℃の条件下で、化合物1j(10g、23.8mmol)のエタノール(180mL)溶液に水和ヒドラジン(2.38g、47.6mmol)を加えた後、該混合物を20℃で3時間撹拌した。エチレンジアミン(2.86g、47.6mmol)および塩化第一銅(2.35.6g、23.8mmol)を加え、10分後に、0℃の条件下で、トリブロモフルオロメタン(16.1g、59.6mmol)をゆっくりと滴下し、滴下終了後、20℃で16時間撹拌した。薄層クロマトプレートで反応終了を検出し、1molのクエン酸を滴下して反応を停止させ、水層を酢酸エチル(50mL×3)で抽出し、有機層を合わせて飽和食塩水(50mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、真空下で濃縮し、残留物を高速クロマトグラフィーであるシリカゲルカラムで精製して化合物1kを得た。
HNMR(400MHz,CDCl) δ 8.41(s,2H),7.46-7.43(m,1H),7.13-7.10(dd,J=2.3,9.0Hz,1H),6.98(d,J=2.5Hz,1H),6.33(d,J=2.5Hz,1H),6.25(d,J=20Hz 1H),6.02(q,J=6.7Hz,1H),5.69-5.57(m,1H),4.04-3.92(m,1H),3.74-3.65(m,1H),2.54-2.40(m,1H),2.19-2.06(m,1H),2.04-1.93(m,1H),1.80(d,J=6.5Hz,3H),1.76-1.60(m,2H)。
Figure 0007237169000024
ステップ1
ジオキサン(4mL)および水(1mL)を、化合物1k(200mg、0.39mmol)および1-カルボン酸メチル4-フェニルボロン酸ピナコールエステル(105mg、0.58mmol)を入れた丸底フラスコに加えた。Pd(dppf)Cl(15mg、0.02mmol)および無水リン酸カリウム(165mg、0.78mmol)を加え;窒素ガスで3回換気し、100℃に加熱して、3時間反応させ;反応液を冷却し、水(5mL)を加え、酢酸エチル(5mL×2)を抽出し、有機相を合わせて飽和食塩水(4mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、ろ液を濃縮し、残留物を薄層分取クロマトプレートにより精製して化合物1Lを得た。
LCMS(ESI)m/z:570.0[M+H]
ステップ2
メタノール(3mL)、テトラヒドロフラン(6mL)および水(2mL)を、化合物1L(200mg、0.35mmol)および水酸化リチウム一水和物(74mg、1.75mmol)を入れた片口フラスコ(50mL)に加え;反応フラスコを室温で6時間撹拌した。水(5mL)、塩酸水溶液(1M)を加えて反応液のpHを5に調整し、ジクロロメタン(5mL×3)を抽出し、有機相を合わせて飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、真空下で回転乾燥させて、化合物1mを得た。
LCMS(ESI)m/z:556.4[M+H]
ステップ3
N-Boc-ピペラジン(90mg、0.48mmol)を、化合物1m(90mg、粗製品)のDMF(3mL)溶液を入れたサムボトル(10mL)に加え;その後HATU(57mg、0.24mmol)およびDIEA(30mg、0.24mmol)を加え、該反応液を室温で16時間撹拌した。反応液に水(5mL)を加え、酢酸エチル(5mL×3)を抽出し、有機相を合わせて飽和食塩水(9mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、真空下で回転乾燥させ、残留物を薄層分取クロマトプレートにより精製して化合物1nを得た。
LCMS(ESI)m/z:724.6[M+H]
ステップ4
化合物1n(60mg、0.08mmol)のエタノール(2mL)溶液に塩化水素酢酸エチル(0.5mL、4N)を加え;該反応液を40℃で30分間撹拌した。反応液を直接に真空下で回転乾燥させ、残留物を分取カラム(塩酸系)により精製して化合物1の塩酸塩を得た。化合物1の塩酸塩に炭酸水素ナトリウム溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して化合物1を得た。
LCMS(ESI)m/z:540.4[M+H]。;
HNMR(400MHz,CDOD) δ 8.59(s,2H),7.97(d,J=8.28Hz,2H),7.59-7.75(m,3H),7.45(dd,J=2.26,9.29Hz,1H),7.33(s,1H),7.01-7.17(m,1H),6.21(q,J=6.53Hz,1H),3.94(br s,4H),3.37(br s,4H),1.86(d,J=6.78Hz,3H)。
Figure 0007237169000025
Figure 0007237169000026
ステップ1
シス-2,6-ジメチルピペラジン(50mg、0.44mmol)を、化合物1m(80mg、粗製品)のDMF(3mL)溶液を入れたサムボトル(10mL)に加え;その後HATU(52mg、0.22mmol)およびDIEA(28mg、0.22mmol)を加え、該反応液を室温で16時間撹拌した。反応液に水(5mL)を加え、酢酸エチル(5mL×3)を抽出し、有機相を合わせて飽和食塩水(6mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、真空下で回転乾燥させ、残留物を薄層分取クロマトプレートで精製して化合物2aを得た。
LCMS(ESI)m/z:652.6[M+H]
ステップ2
0℃の条件下で、塩化アセチル(1mL)を、無水メタノール(4mL)を入れた片口フラスコ(50mL)に加えた後、室温に上昇して10分間撹拌した。上記の撹拌済みの混合溶液(1mL)を、化合物2a(60mg、0.09mmol)のメタノール(1mL)を入れた片口フラスコ(50mL)に加え;反応フラスコを40℃に加熱して1時間撹拌した。冷却し、真空下で濃縮し、分取カラムで精製して、化合物2の塩酸塩を得た。化合物2の塩酸塩を炭酸水素ナトリウム溶液に加え、酢酸エチルで抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して化合物2を得た。
LCMS(ESI)m/z:568.6[M+H]
HNMR(400MHz,CDOD) δ 8.56(s,2H),7.95(d,J=8.03Hz,2H),7.69(d,J=8.03Hz,2H),7.59(d,J=9.03Hz,1H),7.39(dd,J=2.26,9.03Hz,1H),7.30(s,1H),6.98-7.12(m,1H),6.19(q,J=6.69Hz,1H),3.45-3.59(m,2H),3.32-3.33(m,4H),1.81-1.91(m,3H),1.39(br s,6H)。
実験例1
生物学的テストデータ:
実験例1:PD-L1遺伝子の発現に対する本発明の化合物の影響
実験目的:
qPCR実験でMCF7細胞およびCT26細胞に対するPD-L1影響を検出することで、PD-L1遺伝子に対する化合物の下降作用を評価した。
実験方法:
ヒト由来の乳癌(MCF7)細胞(出所:ATCC)およびマウスの大腸癌(CT26)細胞(出所:ATCC)にそれぞれ250nMの化合物およびインターフェロンγを加えて刺激し、48時間培養後にサンプルを採取し、qPCR法を用いて検出し;検出反応におけるDMSOの含有量は、0.1%である。
試薬:
Takara PrimeScriptTM RT Master Mix Kit-RR036A
Thermo Power SYBRTM Green PCR Master Mix Kit-4367659
QIAGEN RNeasy Mini Kit-74106。
化合物:
試験の化合物を100%のDMSO系に溶解し、10mMに希釈して用意した。インターフェロンγをリン酸塩緩衝液(PBS)で希釈し、最終濃度が100ng/mLになるように処理した。
実験手順:
最終濃度がそれぞれ250nMおよび100ng/mLになるように、細胞サンプルにそれぞれ各化合物およびインターフェロンγを添加した。添加して48時間培養した後、RNeasyキットを用いて細胞のRNAを抽出し、且つTakaraリバースキットを用いてcDNAに変換した。cDNAを採取し且つ遺伝子プライマー、SYBRTM Green試薬を加えてqPCR法により目的遺伝子の相対的含有量を検出した。
反応検出:
QuantStudio 7装置を用いてプレートを読み取ることで、目的遺伝子の相対的存在度を得た。
実験結果を図1(CT26細胞)および図2(MCF7細胞)に示した。
実験結論:本発明の化合物は、対照例1および2に比べて、PD-L1遺伝子発現に効率的な下降作用を有する。
実験例2
生物学的テストデータ:
実験例2:PD-L1タンパク質レベルに対する本発明の化合物の影響
実験目的:
イムノブロッティング実験でCT26細胞(出所:ATCC)に対する化合物のPD-L1影響を検出することで、PD-L1遺伝子に対する化合物の下降作用を評価した。
実験方法:
CT26細胞にそれぞれ250nMの化合物およびインターフェロンγを加えて刺激し、48時間培養後にサンプルを採取し、イムノブロッティング実験を用いて検出し;検出反応におけるDMSOの含有量は、0.1%である。
試薬:
ウサギ抗マウスPD-L1抗体:Abcam-ab213480。
化合物:
試験の化合物を100%のDMSO系に溶解し、10mMに希釈して用意した。インターフェロンγをPBSで希釈し、最終濃度が100ng/mLになるように処理した。
実験手順:
最終濃度がそれぞれ250nMおよび100ng/mLになるように、細胞サンプルにそれぞれ各化合物およびインターフェロンγを添加した。添加して48時間培養した後、細胞を分解して全タンパク質を抽出し、且つイムノブロッティング実験方法により目的タンパク質の含有量を検出した。
反応検出:
Bio-Rad装置を用いてスキャンすることで、目的タンパク質の画像を得た。
実験の結果を図3に示した。
実験結論:
本発明の化合物は、対照例1および2に比べて、PD-L1タンパク質の発現レベルに効率的な下降作用を有する。
実験例3
実験例3:動物の体内腫瘍モデルに対する本発明の化合物の抗腫瘍活性の試験
実験目的:
マウスの大腸癌CT26の体内腫瘍モデルにおいて、試験の化合物の単独使用およびマウス抗PD-L1抗体との併用による腫瘍抑制効果を調べた。
実験方法:
メスのBalb/cマウスにCT26(出所:ATCC)マウス大腸癌細胞株を皮下接種し、接種後に体重に応じてランダムにグループ分けし、以下の記載に従って投与処理した。
第1グループ(対照群):接種当日の午後から、溶媒1(0.5%MC(メチルセルロース)+0.2% Tween-80)を0.1mL/10g体重の用量で1日2回胃内投与した。接種後4日目、7日目、10日目および13日目に、溶媒2(DPBS)を0.1mL/10g体重の用量で1回腹腔内注射投与した。
第2グループ:接種後4日目、7日目、10日目および13日目に、抗マウスPD-L1抗体(B7-H1)(出所:BioX Cell)を8mg/kg体重の用量で1回腹腔内注射投与した。
第3グループ:接種当日の午後から、実施例2(0.5% MC(メチルセルロース)+0.2% Tween-80に懸濁混合)を5mg/kg体重の用量で1日2回胃内投与した。
第4グループ:接種当日の午後から、実施例2(0.5% MC+0.2% Tween-80に懸濁混合)を10mg/kg体重の用量で1日2回胃内投与した。
第5グループ:接種当日の午後から、実施例2(0.5% MC+0.2% Tween-80に懸濁混合)を5mg/kg体重の用量で1日2回胃内投与した。同時に、接種後4日目、7日目、10日目および13日目に、それぞれに抗マウスPD-L1抗体(B7-H1)を8mL/kg体重の用量で1回腹腔内注射投与した。
実験期間には、週に3回マウス体重を測定し、腫瘍形成後には、体重と平行して週に3 回腫瘍体積を測定し、腫瘍体積は以下のように算出した。
腫瘍体積(TV)の算出式は、以下の通りである。
TV(mm)=l×w/2
ここで、lは腫瘍の長径(mm)を示し;wは腫瘍の短径(mm)を示す。
腫瘍増殖率(T/C)の算出式は、以下の通りである:T/C=100%×(RTV/RTV
ここで、RTVは治療群のRTVを示し;RTVは溶媒対照群のRTVを示す。
腫瘍抑制率(%)の算出式は、以下の通りである:=100%×(TVt(c)-TVt(T))/TVt(c)
ここで、TVt(T)は治療群のT日目に測定された腫瘍体積を示し;TVt(c)は溶媒対照群のT日目に測定された腫瘍体積を示す。
統計解析はStudent’s t-testを用いてグループ間で行われた。p<0.05は有意な差異があることである。
併用効果は、キム式(Kim formula)で評価した:q=併用群の腫瘍抑制率/(抗体単独使用群の腫瘍抑制率+化合物2(塩酸塩)低用量群の腫瘍抑制率-抗体単独使用群の腫瘍抑制率×化合物2(塩酸塩)低用量群の腫瘍抑制率)、q<0.85は拮抗作用であり、0.85<q<1.15は添加作用であり、q>1.15は併用作用である。
実験結果を図4に示した。
実験結論:
マウスCT26腫瘍モデルにおいて、化合物2の塩酸塩は、低用量(5mg/kg)であっても高用量(10mg/kg)であってもいずれも抗腫瘍活性を示し、22日目の腫瘍増殖率(T/C)は、それぞれ36.21%(p<0.05)および37.03%(p<0.05)であった。一方、併用群は、22日目の腫瘍増殖率(T/C)が11.73%(p<0.01)となり、明らかな抗腫瘍活性を示した。それだけでなく、化合物2と共同投与した抗PD-L1マウス抗体は、有意な増強効果を示した(q値=1.14)。抗PD-L1マウス抗体と併用した化合物2は、明らかな相乗作用を示した(q値=1.14)。
本発明の化合物は、CT26モデルにおいて優れた抗腫瘍作用を示し、且つPD-L1抗体との併用でその抗腫瘍性能性を増強する。

Claims (9)

  1. 式(I)で示される化合物、その異性体またはその薬学的に許容される塩。
    Figure 0007237169000027
    ここで、
    は、H、F、Cl、Br、I、OHおよびNHから選ばれている;
    およびRは、それぞれ、独立にH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CNおよび1、2または3個のRで任意に置換されたC1-3アルキル基から選ばれている;
    Raは、それぞれ、独立にH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CNおよびCHから選ばれている。
  2. およびRは、それぞれ、独立にH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、CHおよびCHCHから選ばれており、前記CHおよびCHCHは、1、2または3個のRで任意に置換されている、請求項1に記載の化合物、その異性体またはその薬学的に許容される塩。
  3. およびRは、それぞれ、独立にH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、CHおよびCHCHから選ばれている、請求項2に記載の化合物、その異性体またはその薬学的に許容される塩。
  4. 以下から選ばれている、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物、その異性体またはその薬学的に許容される塩。
    Figure 0007237169000028
    ここで、
    およびRは、請求項1、2および3のいずれか1項で定義されている通りである。
  5. 化合物は以下から選ばれている、下記の式で示される化合物、その異性体またはその薬学的に許容される塩。
    Figure 0007237169000029
    Figure 0007237169000030
  6. 以下から選ばれている、請求項5に記載の化合物、その異性体またはその薬学的に許容される塩。
    Figure 0007237169000031
    Figure 0007237169000032
  7. 活性成分である治療有効量の請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物、その異性体またはその薬学的に許容される塩および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
  8. PD-L1免疫調節剤関連薬物の調製における、請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物、その異性体またはその薬学的に許容される塩或いは請求項7に記載の組成物の使用。
  9. 前記PD-L1免疫調節剤関連薬物が固形腫瘍用薬物であることを特徴とする、請求項8に記載の使用。
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