JP7233103B2 - 癌免疫療法用mr1制限t細胞受容体 - Google Patents

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Description

本発明は、非多型抗原提示分子MR1に制限された腫瘍反応性ヒトT細胞抗原受容体(TCR)の同定に関する。機能的なTCR転写配列は、任意の添加された外来性抗原がない状態及びMR1依存的様式においてMR1発現腫瘍細胞と反応する、ヒトT細胞(発明者によって発見され、MR1T細胞と命名された)の新規な集団を代表するクローンから単離された。本発明は、癌治療におけるMR1制限腫瘍反応性TCR遺伝子配列の使用にも関する。
Tリンパ球は、非多型細胞表面分子によって提示される脂質及びリン酸化されたイソプレノイドを含む、種々の範囲の非ペプチド抗原を検出することができる。これらのT細胞の異種混合表現型及び機能特性は、感染、自己免疫及び癌に対する宿主保護において特別な役割を支援する。非ペプチド抗原に特異的なT細胞のレパートリーは粘膜関連不変T(MAIT)細胞を含めることで最近増加し、それは、広範囲の酵母及びバクテリアによって生産された小さなリボフラビン前駆体に応答し、MHCクラスI関連タンパク質MR1によって提示される。MAIT細胞はヒト血液、腎臓及び腸において頻発し、肝臓中でT細胞常在の主要分画を含む。活性化に続き、MAIT細胞は多くの炎症促進性及び免疫調節性のサイトカインを放出し、直接、微生物感染細胞の死滅を媒介することができる。MR1の役割が微生物代謝産物の提示を越えてMAIT細胞まで及ぶかどうかは、未だ知られていない。
MR1は、多くの細胞型の表面上に低レベルで発現される非多型MHCクラスI様タンパク質である。MR1は、多数の種にわたって高度に保存され、ヒト及びマウスMR1はタンパク質レベルで>90%の配列相同性を共有する。
発明者は、MR1によって提示された腫瘍関連抗原を認識するヒトT細胞の存在を提案した。これらの新規なT細胞は腫瘍免疫監視に関与し、したがって、癌免疫療法用の新規なツールとなり得る。選択された腫瘍関連抗原に特異的なTCRを発現するように設計されたドナー又は患者由来のT細胞を用いた養子療法は、癌患者において臨床的に関係のある抗腫瘍免疫反応を引き起こすような見込みがありかつ安全な戦略となる。しかしながら、これまでに同定された腫瘍関連抗原の大多数は、多型MHC分子によって提示されたペプチドである。MHC遺伝子の極度な多型は、固有なMHC対立遺伝子を発現する患者へのこのアプローチの適用を制限する。MR1のように、分子を提示する非多型抗原に結合された腫瘍抗原を標的とすることは、この制約を克服し、MR1を発現する腫瘍を有するすべての患者に原則として適用可能であり得る。MR1提示抗原を認識する腫瘍反応性T細胞受容体の使用は、同じタイプの提示分子と結合するための腫瘍抗原のクロス競合を除いて、MHC提示ペプチド抗原によって伝達される抗腫瘍反応を補完する長所をさらに有し得る。さらに、この戦略は、同じ腫瘍細胞上の異なる性質の抗原を標的とする可能性を提供し、それにより、選択的な免疫圧の下、腫瘍エスケープ変異株の潜在的な発生を最小化し得る。したがって、MR1提示腫瘍関連抗原の同定及びこれらの抗原を認識するMR1制限TCRの特徴は、癌免疫療法にとって重要な意味合いを有し得る。
この先端技術に基づき、本発明の目的は、癌治療の新規な手段及び方法を提供することである。この目的は、ここで開示される従属クレーム、実施例及び図によって提供されるさらに有利な解決策と共に独立クレームの主題によって達成される。
[定義]
本明細書の文脈における用語「MR1」は、MR1遺伝子(Entrez 3140)又はMR1遺伝子産物(Uniprot Q95460)のいずれかを指す。
本明細書の文脈における用語「MR1T細胞」は、癌細胞によって提示されたMR1分子に特異的に結合することができるT細胞受容体を発現するT細胞を指す。
本明細書の文脈における用語「MR1T細胞受容体」は、MR1分子に関連する癌細胞によって提示された抗原に特異的に結合することができるT細胞受容体を指す。
本明細書中において、用語「ポジティブ」は、マーカの発現の文脈において使用された場合、蛍光標識抗体によってアッセイされた抗原の発現を指し、同じ標的に特異的に結合しないアイソタイプ一致抗体での染色との比較における中央蛍光値において、少なくとも30%より高い(≧30%)、特に≧50%又は≧80%である。そのようなマーカの発現は、マーカの名前に続いて上付きの「プラス」()によって示される、例えばCD4
本明細書において、用語「ネガティブ」は、マーカの発現の文脈において使用された場合、蛍光標識抗体によってアッセイされた抗原の発現を指し、同じ標的と特異的に結合しないアイソタイプ一致抗体の中央蛍光値よりその中央蛍光値が30%より低く、特に15%より低いことを特徴とする。そのようなマーカの発現は、マーカの名前に続いて上付きのマイナス()によって示される、例えばCD127
用語「抗体」は、免疫グロブリンタイプG(IgG)、タイプA(IgA)、タイプD(IgD)、タイプE(IgE)又はタイプM(IgM)を含むが限定されない全ての抗体を指し、任意の抗原結合性フラグメント又はその単一鎖及び関係又は由来するコンストラクトを指す。用語はいわゆるナノボディ又は単一ドメイン抗体を包含し、抗体フラグメントは1つの単量体の可変抗体ドメインから成る。
[発明の要約]
広い意味において、本発明は癌の治療法に関するものであって、MR1発現癌細胞に反応するT細胞(MR1T細胞)から単離されたTCR配列は、患者のT細胞の集団中に遺伝子導入した後に発現される。これらの外来の、遺伝子導入で発現されたTCR配列は、患者の腫瘍に対する治療法としてT細胞へのMR1発現癌細胞の特異的認識を与えるために使用される。
本発明は、MR1T細胞特異的TCR遺伝子で形質導入された、T細胞および複数のT細胞を含むT細胞調合液を同様にもたらす。特定の実施形態では、MR1T細胞TCR遺伝子を用いて形質導入されたT細胞は、他の治療的介入と組み合わせて養子細胞免疫療法に使用することができる。
本発明は、また、本発明で使用されたMR1発現癌細胞(MR1T細胞)に反応するT細胞から単離されたTCR配列の同定を促進する研究方法にも関する。これは、腫瘍関連抗原を認識するMR1制限T細胞を単離する方法を包含する。正常なドナー又は癌患者の末梢血からのT細胞は、患者の中で同じ型の腫瘍を代表する腫瘍細胞株を用いて刺激される。これらの腫瘍細胞株は、MR1遺伝子を用いてトランスフェクトされ、したがって、それらの原形質膜上に大量のMR1タンパク質を発現する。活性化T細胞は、活性化マーカ(例えばCD137、CD150、CD69、又はICOS)の発現によってソートされ、公表されるとおりクローニングされる(De Libero,Methods for the generation of T cell clones and epithelial cell lines from excised human biopsies or needle aspirates.In MHC 123-140(IRL,Oxford;1997))。個々のクローンは、MR1制限的様式で、腫瘍細胞を認識するそれらの能力、腫瘍細胞の死滅、及び炎症性サイトカインの放出に関してテストされる。MR1制限的及び腫瘍特異的T細胞クローンのTCR遺伝子が、配列決定及び同定される。
本発明は、また、本発明者らの以前に確立しているプロトコル(De Libero、同書中)による、同じ癌組織生検から腫瘍浸潤T細胞を調整する方法にも関する。個々のT細胞クローンを、MR1タンパク質を発現する腫瘍細胞株のパネルに対してテストする。本発明者らはMR1制限、腫瘍致死及び炎症性サイトカインの放出に関し、最も反応するT細胞クローンを研究する。選択されたT細胞クローンのTCR遺伝子を配列決定する。
MR1T細胞は、微生物抗原を認識しない。(A)CCRFSB、THP-1及びA375-MR1細胞によるMR1の表面発現。グレーヒストグラムは、アイソタイプ一致のコントロールmAbsで染色したものを示す。E.coli溶解物のない状態(no Ag)又はある状態(E.coli)及び/又は抗MR1ブロックmAbs(α-MR1)のない状態又はある状態での、図1Aにおける3つの細胞株による、(B)MR1T細胞クローンDGB129又は(C)MAIT細胞クローンSMC3の刺激。MAITクローンSMC3は、健康なドナーのPBMCから前もって単離され、古典的なMAIT表現型及び機能を発現する。カラムはIFN-γ放出を示す(mean+SD)。抗MR1 mAbsの有無で、合成6,7-ジメチル-8-D-リビチルマジン(RL-6,7-diMe)を添加し、恒常的に表面MR1を発現しているTHP-1細胞による(D)DGB129 MR1T細胞又は(E)SMC3 MRIT細胞の刺激。カラムはmean IFN-γ放出+SDを示す。データは、4つ(A,B及びC)及び2つ(D及びE)の代表である。P<0.05(対応なしスチューデントt検定)。 末梢血T細胞からのMR1T細胞クローンの単離ストラテジー。(A)外来性の抗原のない状態でA375-MR1細胞と一晩共培養した後に、放射線を照射されたA375-MR1細胞と前もって増殖させた精製T細胞のFACS分析。左のドットプロットは、生細胞におけるCD3及びCellTrace violet(CTV)染色を示す。右のドットプロットは、CD3ポジティブCTVネガティブでゲートされた細胞のCD69及びCD137の発現を示す。矢印は、ゲーティング階層を示す。数は、ゲート内における細胞のパーセンテージを示す。ドナーAからの細胞は、代表的ドナーとして示される。(B及びD)ドナーA及びBからスクリーニングされたT細胞クローンの累積結果。T細胞クローンは、図2Aで示されたCD3CTVCD137ソートされたT細胞から生成された。グラフは、個々のクローン(x軸)及びそれらのIFN-γ放出(y軸)を示し、A375-MR1細胞対A375 WT細胞に応じて分泌されたサイトカインの量の間の比率として表される。各ドットは単一のT細胞クローンを表し、同時に指示された実験条件で調べられた。垂直線はMR1制限反応性を示すT細胞(すなわち、任意の2のカットオフよりも高いIFN-γ放出比を示すクローン)の数を示す。結果は、2つの独立した実験の代表である。(C及びE)A375 WT、A375-MR1及び抗MR1 mAbs(α-MR1)ブロックのある状態でのA375-MR1を用いた刺激後のドナーAからの14の代表的なクローン及びドナーBからの11のクローンによるIFN-γ放出。ドットは各クローンによるIFN-γ放出を示す(複製の培養のmean±SD)。結果は、3つの独立した実験の代表である。P<0.05(対応なしスチューデントt検定)。 MR1T細胞は、健常な個体の血液において共通である。(A)A375 WT又はA375-MR1細胞と一晩共培養した後、代表的なドナー(ドナーC)から精製されたT細胞の流動細胞計測法解析。ドットプロットは、生きているCD3細胞上のCD69及びCD137発現を示す。数は、ゲート中の細胞のパーセンテージを示す。(B)A375 WT又はA375-MR1細胞と一晩共培養した後、5人の異なるドナーからのCD69CD137T細胞の頻度。(C)ドナーCからのT細胞クローン刺激アッセイの累積結果。T細胞クローンは、図3Aの右のドットプロットの中で描かれるようなCD3CD69CD137ソートされたT細胞から生成される。グラフは、テストされたクローンの数(x軸)及びA375-MR1対A375 WT細胞に応じて分泌されたサイトカインの量の間の比率として発現されたIFN-γ放出(y軸)を示す。各ドットは単一のT細胞クローンを表し、同時に指示された実験条件で調べられた。垂直線は、MR1を制限された反応(すなわち、任意の2のカットオフよりも高いIFN-γ放出比を示すクローン)を表示するT細胞の数を示す。結果は2つの独立した実験の代表である。(D)ドナーCからの8の代表的なMR1制限T細胞クローンによる外来性の抗原のない状態における、A375WTではないA375-MR1の認識。抗MR1mABS(α-MR1)のブロックによるA375-MR1細胞と反応するT細胞クローンの阻害。ドットは、3つの実験条件中でテストされた各クローンによるIFN-γ放出(複製の培養のmean±SD)を表わす。結果は3つの独立した実験の代表である。P<0.05(対応なしスチューデントt検定)。 MR1T TCR遺伝子導入は、A375細胞のMR1制限認識を与える。E.coli溶解物及び抗MR1 mAbsの有無での(A)DGB129TCRを発現するSKW-3細胞(SKW3-DGB129)及び(B)MAIT MRC25 TCRを発現するJ.RT-3T3.5細胞(J.RT3-MAIT)の刺激。抗MR1 mAbsの有無中で、A375-MR1又はA375 WT細胞を用いた3つの個々のMR1T細胞クローン(C)DGA4(SKW3-DGA4)、(D)DGB70(SKW3-DGB70)及び(E)JMA(SKW3-JMA)のTCRが発現しているSKW-3細胞の刺激。形質導入されたT細胞の複製の培養のCD69の中央蛍光値(MFI)+SDが示される。APCがない状態で培養された、形質導入されたT細胞のCD69 MFIも示される。A375-MR1又はA375 WT(図示しない)で培養された時、Mock形質導入されたT細胞は、CD69発現のバックグラウンド強度を示した。データは3つの独立した実験の代表である。P<0.05(対応なしスチューデントt検定) MR1T細胞クローンによる腫瘍細胞の多種類の特異的認識。(A)抗MR1ブロックmAbs(α-MR1)の有無で大腸菌溶解物(大腸菌)がない状態(Agなし)又はある状態での代表的なSMC3 MAIT細胞クローンによってMR1の構成する表面レベルを発現する、4つのヒト細胞株の認識。(B)抗MR1 mAbs(α-MR1)の有無で13のMR1T細胞クローンによる図5Aでのような同じ細型の認識。グラフはIFN-γ放出を示す(複製の培養のmean±SDを意味する)。 MR1T細胞クローンは、微生物のリガンド又は6-FPに反応しない。(A)大腸菌溶解物がある又はない状態において、MR1を発現するA375細胞(A375-MR1)又はMR1を発現しないA375細胞(A375 WT)で共培養された7つのMR1T細胞クローン及び1つの対照MAIT細胞クローンの応答。抗MR1 mAbs(α-MR1)によるT細胞クローン反応のブロックも示される。(B)6-ホルミルプテリン(6-FP)が存在する中でWT MR1分子(A375-MR1)又はK43A変異MR1分子(A375-MR1 K43A)のいずれかを発現するA375細胞に対するMR1T細胞クローンの反応。(C)6-FPがない状態又はある状態のいずれかで、それぞれ大腸菌溶解物又はゾレドロネートの有無で、前もって培養されたA375-MR1又はA375-MR1 K43A細胞を用いた、対照MAIT細胞クローンMRC25又は対照TCR Vγ9Vδ2クローンG2B9の刺激。結果は、複製の培養中で測定されたIFN-γのmean±SDとして発現される。結果は3つの独立した実験の代表である。P<0.05(対応なしスチューデントt検定) MR1T細胞クローンはAc-6-FPを認識しない。(A)アセチル-6-ホルミルプテリン(Ac-6-FP)がない状態かある状態でのA375-MR1細胞クローンの3つの代表的なMR1T細胞クローンの刺激。(B)A375-MR1細胞クローンの2つのMAIT細胞クローン(MRC25とSMC3)の刺激は、Ac-6-FPがない状態又はある状態での大腸菌溶解物でパルスした。(C)A375-MR1細胞は、Ac-6-FP(25μg/ml)がない状態又はある状態でゾレドロネート(Zol)で処理され、TCR Vγ9Vδ2細胞クローン(G2B9)を使用して刺激した。(D)Ac-6-FP(25μg/ml)がない状態又はある状態において、K43A突然変異体MR1分子(A375-MR1 K43A)を発現するA375細胞を用いて、Aで示される3つのMR1T細胞クローンを刺激する。(E)A375-MR1 K43A細胞によってBの中で使用される、2つのMAIT細胞クローンの刺激は、Ac-6-FP(25μg/ml)がない状態又はある状態での大腸菌溶解物でパルスした。結果はIFN―γ放出のmean±SDとして発現される、複製の培養中で評価され、また3つの独立した実験の代表である。P<0.05(対応なしスチューデントt検定) MR1T細胞は腫瘍細胞に存在し、RPMI 1640培地に由来しない抗原を認識する。いずれも5%ヒト血清が添加されたRPMI1640又はPBS中で4日間育成されたMR1過剰発現(A)A375(A375-MR1)細胞及び(B)THP-1(THP1-MR1)細胞によるDGB129 MR1T細胞の刺激。抗MR1ブロックmAbs(α―MR1)によるT細胞クローン反応性の阻害が示される。DGB129細胞は、(C)THP-1細胞ライセート又は(D)生体内で育成されたマウス胸腫瘍EMTから武運利された分画とローディングされたAPCを認識する。分画E1及びE2は疎水性分子を含み、分画N1~N4は親水性分子を含む。(E)DGB70 MR1T細胞は、THP-1溶解物のN3分画と反応する。(F)可塑性結合組換えMR1上にロードされたTHP-1由来分画N3及びN4によるDGB129及びDGB70細胞の刺激。IFN-γ又はGM-CSFのT細胞放出が示される複製の培養のmean±SD。(3つの独立した実験の代表)。総サイトカイン放出は、パネルA、B、Fにおいて示される;バックグラウンドに対する倍数増加はパネルC、D、Eで示される。P<0.05(対応なしスチューデントt検定) MR1T細胞は抗腫瘍反応の差異。MR1発現腫瘍細胞株THP-1及びA375は、示されたエフェクタ:ターゲット(E:T)比率でMR1T細胞クローン(A)DGB129又は(B)DGB70とともに一晩培養された。グラフは、Annexin V及びプロピジウムヨウ化物染色を使用して流動細胞計測法によって評価され、個々の実験条件におけるアポトーシスの標的細胞の割合を示す。MR1T細胞は抗CD3 mAbsを用いた染色によって同定され、解析から除外された。抗MR1(α-MR1)mAbsによるMR1T細胞クローン死滅能力の阻害も、1:1のE:T比率で示される。(C)抗MR1 mAbs(α-MR1)の有無で13のMR1T細胞クローンによって健常人から単離されたMo-DCの認識。グラフはIFN-γ放出を示す(複製の培養の±SD)。(D)抗MR1(α-MR1)mAbsがない状態又はある状態での代表的なDGB129 MR1T細胞クローンによる3人のドナーからのMo-DCの認識。上清中のIFN-γ放出は中間の±SDとして示され発現される。(E)抗MR1 mAbs(α-MR1)の有無でDGB129 MR1T細胞と共培養した後、Mo-DC上での共刺激的な分子CD83及びCD86の流動細胞計測法解析。T細胞がない状態でLPS(10ng/ml)を用いて刺激されたMoDCから成る対照群も示される。数は、各象限中の細胞のパーセンテージを示す。(F)LS174T及びHCT116胃腸腫瘍細胞株、並びに抗MR1 mAbs(α-MR1)のある状態又はない状態での正常な腸上皮細胞(GEC)によるJMAN MR1T細胞クローンの刺激。カラムはIFN-γ放出を示す(複製の培養のmean±SDを意味する)。結果はすべて少なくとも3つの独立した実験の代表である。P<0.05(対応なしスチューデントt検定) MR1T細胞クローンの機能的な不均質。(A)A375-MR1細胞で刺激された、7つの選択されたMR1T細胞クローンによるIFN-γ放出。ELISAの結果は、複製の培養中で測定されたIFN-γ放出のmean±SDとして表現される。(B)MR1T細胞クローンの機能的な不均質。図10Aで示されたIFN―γのために同じ上清で実行される多重のサイトカインアッセイによる16の追加のサイトカインの解析。結果は、2つの独立した実験の代表である。 図11は、MR1T細胞クローンは多数のケモカイン受容体発現プロフィールを表示する。7つの選択された静止したMR1T細胞クローンによるCXCR3、CCR4及びCCR6表面発現の流動細胞計測法解析。グラフは、対応するアイソタイプ対照のMFIによって染色される特異的なmAbの中央蛍光値(MFI)の分割により計算された相対的な蛍光強度を示す。データは2つの独立した実験の代表である。 図12は、MR1T細胞は、マウス中のヒト黒色腫肺小結節の数を減少する。免疫無防備のNSGマウスは、MR1(A375-MR1)を発現するヒト黒色腫A375細胞及びMR1T細胞を注入された。14日目に、マウスが犠牲にされた。また、肺小結節は墨汁灌流の後に数えられた。P<0.0001(対応なしスチューデントt検定)(表1)表1は、選択したMR1反応的なT細胞クローンの発現型。(表2)表2は、MR1T細胞によって認識された腫瘍細胞系統のリスト。(表3)表3は、TCR蛋白質配列のリスト。(表4)表4は、TCRヌクレオチド配列のリスト。
発明の詳述
本発明の第1の態様は、非多型MHCI関連MR1抗原提示分子と関連する癌細胞によって提示された癌抗原と特異的に結合することができるT細胞受容体を発現するT細胞を同定及び/又は単離する方法に関する。この方法は以下のステップを含む
a.患者又は健康なドナーから単離されたT細胞の調合液を提供するステップ、そして、
b.接触するステップにおいて外因性の微生物由来抗原がない状態でMR1タンパク質を発現する癌細胞と、単離されたT細胞のこの調合液を接触するステップ、特に共培養するステップ、そして、
c.単離するステップにおいてMR1依存的様式で前記癌細胞に特に反応するT細胞を単離するステップ。
非腫瘍関連患者の生理的な文脈中のMR1は、細菌のリボフラビン副産物を表し(「外因性の微生物由来抗原」と上述された)、かつ粘膜不変T細胞にそれらを提示する。
特定の実施形態では、接触するステップは増殖するステップを含み、そこでは単離されたT細胞の調合液はMR1を発現する癌細胞がある状態で増殖する。特定の実施形態では、癌細胞はT細胞と接触させられる前にそれらの成長を妨げるために放射線を照射される。2つの細胞型が長期間共培養中で維持されるのが目的の場合、これは有利だろう。また、癌細胞による培養の異常増殖は極力回避されたい。
他の環境において、特に臨床用途において(以下参照)、培養時間が短い場合、癌細胞は放射線の照射なしで使用されてもよい。
特定の実施形態では、増殖するステップは、IL-2、IL-7及びIL-15が存在する状態で行なわれる。
特定の実施形態では、単離するステップは1以上のリガンド、具体的にはCD3、CD69、CD137、CD150及び/又はICOSから選択された細胞表面マーカに特異的な1以上の(モノクローナル)抗体を用いて染色するステップを含む。特に好ましい実施形態では、単離するステップは、CD3CD137及び/又はCD3CD69及び/又はCD3CD150及び/又はCD3TCOST細胞を選択するステップを含み、特にFACS又は磁気分離(MACS)の使用による流動細胞解析及び細胞選別を後に続ける。ここで、マーカのポプジティブ発現()は、同じ細胞を特異的に結合しないアイソタイプ一致抗体で染色することによる中央蛍光値の少なくとも30%の増加を意味する。換言すると、CD3及びCD137並びに/又はCD3及びCD69並びに/又はCD3及びCD150、並びに/又はCD3及びICOSを発現するT細胞はFACS又はMACSを使用して単離される。当業者は、細胞がFACSによって単離される実例では、2つの(又はより多くの)異なるマーカの発現がポジティブな細胞は単一ステップで単離されることができることを承知している。磁気分離が使用される場合、2つの異なるマーカの発現がポジティブな細胞を単離するために、2つの別個のステップを行なわなければならない。
単離するステップは、MR1制限活性を表示するT細胞を選択するステップを含む。換言すると、このステップは、MR1上で提示された抗原によって活性化されるT細胞を単離するステップを含む。
特定の実施形態では、単離するステップは、MR1を発現する細胞をもちいた刺激がMR1を発現していない細胞を用いた刺激と比較した場合、IFN-γ及び/又はGM-CSF放出から選択されるサイトカインの発現が2倍増加したことを示すT細胞を選択するステップを含む。
当業者は、MR1発現癌細胞がMR1の上に特定の癌抗原、又は多くの特定の癌抗原を提示することを承知している。
特定の実施形態では、単離するステップはMR1を発現する腫瘍細胞を用いた刺激がMR1を発現していない腫瘍細胞(同じ起源又は同じ細胞株)を用いた刺激と比較した場合、IFN-γ及び/又はGM-CSF放出から選択されるサイトカインの発現が2倍増加したことを示すT細胞を選択するステップを含む。
反応する細胞は、MR1発現癌細胞(MR1制限的様式における癌抗原を提示する)に接触したことに応じて、活性化マーカ(特に前節に引用されたマーカ)を上方制御し、サイトカインを放出し、増殖し始めるものである。
換言すると、MR1制限活性を表示するT細胞は、MR1によって表示された腫瘍関連抗原によって活性化されることができるT細胞である。
これらの細胞は、マーカ特異的な適切な蛍光標識抗体を用いて染色後、蛍光活性化細胞分類(FACS)によって、又は適切な抗体で標識された磁気ビーズによってソートすることによって分類されることができる(臨床環境中の通常の分類方法である)。
特定の実施形態では、単離するステップはそれらの活性状態の機能としてソートされた細胞の個々のクローンを増殖するステップ、そして、MR1制限活性を表示するT細胞クローン、特にMR1を発現する細胞を用いた刺激がMR1を発現していない細胞を用いた刺激と比較した場合、IFN-γ及び/又はGM-CSF放出から選択されるサイトカインの発現が2倍増加したことを示す細胞を選択するステップを含む。
特定の実施形態では、方法は、単離するステップにおいて単離されたT細胞のT細胞受容体をコードする核酸配列を決定するステップをさらに含む。特定の実施形態では、方法は、単離するステップで単離されたT細胞の両方のT細胞受容体鎖をコードする2つの核酸配列を決定するステップを含む。
本発明の別の態様は、外因性抗原がない状態においてMR1に反応する遺伝子組換えMR1T細胞の調合液を生産する方法に関する。方法は、第1に、患者の中でどのT細胞受容体がMR1発現癌に特異的に反応する可能性が最もありそうか決定するステップ、そして、細胞の中へ導入された発現コンストラクトからこれらの特異的T細胞受容体遺伝子を発現しているT細胞集団を準備するステップ、これらの設計されたT細胞を患者に投与するステップを包含する。
この方法は、以下のステップを含む。
a.患者から得られた腫瘍サンプルを提供するステップ
b.MR1と反応する、下記のいずれかの複数のMR1T細胞受容体分子を用いて前記腫瘍サンプルと接触するステップ
- 複数のT細胞クローン上で提示され、各T細胞クローンはMR1に反応するMR1T細胞受容体分子によって特徴付けられる;又は
- 標識される可溶性MR1T細胞受容体分子のようにかつそれらの認識が、非細胞依存的様式で分析される;
c.前記腫瘍サンプルに特異的に反応する多くのT細胞クローンを同定するステップ
d.T細胞調合液、特に同じ患者から得られたT細胞調合液を提供するステップ
e.ステップcにおいて、前記T細胞調合液中で前記腫瘍サンプルと特異的に反応するとして同定されたT細胞クローン上で発現するMR1反応性T細胞受容体分子をコードする核酸発現コンストラクトを導入するステップ、遺伝子組換えT細胞調合液を産出するステップ。
したがって、患者に対する遺伝子組換えT細胞調合液を、患者に投与することができるかもしれない。
特定の実施形態では、前記T細胞調合液は同じ患者から得られる(自己由来の養子関係のT細胞療法)。この方法は、副作用の危険、特に設計されたT細胞調合液の内因的なT細胞受容体によってドライブされるアロ免疫反応の回避という利点を有する。
特定の実施形態では、前記T細胞調合液は、別の患者、特にHLA一致患者から得られる(同種異型の養子関係のT細胞療法)。HLA一致の質に依存する一方、アロ免疫の危険は重要であり得、選択できるあらかじめ作製されたT細胞(TC)調合液を数多く揃える物流及び手続き的な長所は、はるかに高いコスト及び特注の患者個人療法の規定上の障害と比較して、はるかにより大きな患者群集へのこの療法を促進し得る。
T細胞調合液の中へのMR1T細胞受容体発現コンストラクトの導入は、レンチウイルスの形質導入によって(発明者は、MR1T細胞の研究の中で慣例的にそれを使用した)、又はDNA発現ベクター(プラスミド)又はRNAトランスフェクションの標準分析法によって実現されてもよい。当業者は適切な試験計画書及び手続きを承知している。
任意に、遺伝子組換えT細胞調合液は、それらの数を増殖するために患者に投与される前に培養液中でしばらくの間維持されてもよく、また任意に、特に所望のT細胞集合へそれらの分化を刺激するために患者に投与される前にさらに培養液中でしばらくの間維持されてもよい。
特定の実施形態では、前記患者から得られたT細胞調合液は患者の末梢血から得られ、特に、前記T細胞調合液は、CD4、CD8、CD27、CD45RA及びCD57を含むグループから選択された、1つ又はいくつかのT細胞マーカの発現に関する末梢血単核細胞(PBMC)を選択することによって得られる。
特定の実施形態では、前記患者から得られたT細胞調合液は、腫瘍生検から得られ、その後に生体外での増殖が続く。特定の実施形態では、T細胞は、フィトヘマグルチニン、IL-2、IL-7及びIL-15が存在する状態で増殖される。増殖するT細胞は、磁気選別によって単離され、設計されたT細胞受容体又は腫瘍特異的MR1制限T細胞のクローニング及び単離に使用される。単離されたMR1T細胞は、TCR遺伝子クローニングに使用される。
複数のMR1特異的T細胞クローンは手順に先立って準備されることができ、腫瘍の迅速なキャラクタリゼーションの必要が発生する場合は常に、その場限りの使用に関するライブラリ又はパネルの形式で保持することができる。このステップは、本質的に特定の腫瘍実体を認識するMR1特異的T細胞受容体分子の同定である。
代わりに、可溶性MR1T TCRが生成され、かつ多量体化されてもよい(Subbramanian et al、Nature Biotechnology、22、1429(2004)を参照)。TCR多量体は蛍光色素で標識され、腫瘍生検から単離された腫瘍細胞を染色するのに使用されるだろう。可溶性MR1T TCR多量体の結合は、腫瘍細胞を認識するそのMR1T TCRの能力を示し、したがってその患者における遺伝子療法にふさわしいMR1T TCRの選択を容易にするだろう。
本発明の別の態様は、機能的なT細胞受容体ヘテロ二量体、又はT細胞受容体β鎖と共に機能的なT細胞受容体ヘテロ二量体を形成することができるT細胞受容体α鎖、及び/又はT細胞受容体α鎖と共に機能的なT細胞受容体ヘテロ二量体を形成することができるT細胞受容体β鎖をコードする核酸配列を含む発現ベクターに関し、また転写におよぶ。注目すべきは、さらにMR1特異的γ-δヘテロ二量体が発明者によって発見され、したがって、同様のことがこれらの鎖に当てはまる。
発現ベクターがT細胞受容体α鎖又はT細胞受容体β鎖(又はγ又はδ鎖)をコードする核酸配列を含む実施形態では、前記細胞による機能性T細胞受容体ヘテロ二量体の発現を可能にするために細胞へ2つの異なる発現ベクター(1つはα鎖(γ鎖)をコードし、1つはβ鎖(δ鎖)をコードする)を導入しなければならない。T細胞受容体ヘテロ二量体は、MR1分子と特異的に結合し、前記MR1分子は腫瘍細胞上で発現され、腫瘍関連抗原を提示する。
上記で言及された核酸配列の発現は、哺乳動物細胞、特にヒトT細胞において操作可能なプロモータ配列によって制御される。特定の実施形態では、プロモータは本質的に活性化されたプロモータであり、例えば、CMV前初期プロモータが分子生物学の中で一般に使用される。特定の他の実施形態では、プロモータは誘導プロモータである。
本発明のこの態様の特定の実施形態では、発現ベクター内に含まれた核酸配列が配列番号027~038から選択された核酸配列であり又は含み、及び/又は配列番号001~012(α鎖)から選択されたアミノ酸配列をコードする。
本発明のこの態様の特定の実施形態では、発現ベクター内に含まれた核酸配列が配列番号039~050から選択された核酸配列であり又は含み、及び/又は配列番号013~024(β鎖)から選択されたアミノ酸配列をコードする。
特定の実施形態では、核酸配列は、配列番号051によってコードされたT細胞受容体γ鎖をコードする又は配列番号025によって指定されたT細胞受容体γ鎖をコードする。
特定の実施形態では、核酸配列は、配列番号052によってコードされたT細胞受容体δ鎖をコードする又は配列番号026によって指定されたT細胞受容体δ鎖をコードする。
本発明の別の態様は、機能性T細胞受容体ヘテロ二量体をコードする核酸配列に関する。T細胞受容体ヘテロ二量体は、腫瘍関連抗原を提示する腫瘍細胞上で発現された非多型MHCI関連(MR1)抗原提示分子と特異的に結合する。
特定の実施形態では、核酸配列はT細胞受容体α鎖をコードしかつ配列番号027~038から選択され、又は配列番号001~012から選択されたアミノ酸配列によって指定されたT細胞受容体α鎖をコードする。
特定の実施形態では、核酸配列はT細胞受容体β鎖をコードし、配列番号039~050から選択され、又は配列番号013~024から選択されたアミノ酸配列によって指定されたT細胞受容体β鎖をコードする。
特定の実施形態では、MR1T細胞受容体は、ここに開示された1つのα鎖及び1つのβ鎖から構成される。発明者は、驚いたことに機能性TCR分子をMR1を認識することができるようにするために、α及びβ鎖が組み合わせられ得ることを発見した。
特定の実施形態では、MR1T細胞受容体は、次のリストの配列によって指定されるような1つのα鎖及び1つのβ鎖から構成される:
a.配列番号001及び023、
b.配列番号002及び022、
c.配列番号003及び021、
d.配列番号004及び020、
e.配列番号005及び019、
f.配列番号006及び017、
g.配列番号007及び018、
h.配列番号008及び016、
i.配列番号009及び015、
j.配列番号010及び014、
k.配列番号011及び013、
l.配列番号012及び024、又は
m.配列番号025及び026。
本発明の別の態様は、非多型MHCI関連MR1抗原提示分子と結合するT細胞受容体タンパク質に関する。MR1分子は腫瘍細胞上で発現され、腫瘍関連抗原を提示する。特定の実施形態では、非多型MHCI関連MR1抗原提示分子と結合するT細胞受容体タンパク質は、本発明の最初の態様による方法によって同定される。
特定の実施形態では、T細胞受容体タンパク質は、配列番号001~012から選択されたアミノ酸配列によって特徴付けられたT細胞受容体α鎖及び配列番号013~024から選択されたアミノ酸配列によって特徴付けられたT細胞受容体β鎖を含む。
特定の実施形態では、T細胞受容体タンパク質は、アミノ酸配列配列番号25によって特徴付けられたT細胞受容体γ鎖及びアミノ酸配列番号26によって特徴付けられたT細胞受容体δ鎖を含む。
本発明の別の態様は、本発明による発現ベクターを含む組換え細胞及び/又は前節中で指定されるような本発明によるT細胞受容体ポリペプチドに関する。当業者は、発現ベクターがT細胞受容体α鎖(又はγ鎖)又はT細胞受容体β鎖(又はδ鎖)の両方ではなく一方のみをコードする核酸配列を含む場合では、前記細胞による機能性T細胞受容体ヘテロ二量体の発現を可能にするために組換え細胞へ2つの異なる発現ベクター(1つはα/γ鎖をコードし、1つはβ/δ鎖をコードする)が導入されなければならないことを承知している。特定の実施形態では、組換え細胞は末梢血に由来したT細胞である。特定の実施形態では、組換え細胞は腫瘍浸潤リンパ球に由来する。
しかし、本発明の別の態様は、癌の療法又は予防の方法で使用される本発明の以前に指定された態様による組換え細胞の使用に関する。方法は、組換え細胞の投与を含む。
特定の実施形態では、癌はMR1発現によって特徴付けられる。
特定の実施形態では、投与は養子関係のT細胞免疫療法によってもたらされる。
本発明は、癌の治療法又は再発の予防にさらに関し、本発明による組換え細胞の投与を含む。特定の実施形態では、癌はMR1発現によって特徴付けられる。
特定の実施形態では、投与は養子関係のT細胞免疫療法によって達成される。
本発明は、核酸配列のコレクションにも関し、コレクションの各メンバは異なるT細胞受容体α鎖、T細胞受容体β鎖、T細胞受容体γ鎖、T細胞受容体δ鎖又はT細胞受容体α鎖及びβ鎖状の組合せ、若しくはT細胞受容体γ鎖及びδ鎖状の組合せをコードすることを特徴とし、前記組合せは、癌抗原を提示するMR1分子と特異的に結合することができる。核酸配列は、哺乳動物細胞中でT細胞受容体α鎖、β鎖若しくはα及びβ鎖の組合せの発現を促進することができる。
そのようなコレクションは、患者から集められたT細胞の中への導入に関する遺伝子組換えコンストラクトを選択するのに使用されるだろう。治療法の第1段階において腫瘍によって提示された腫瘍抗原の特定のセットへの反応に適合するのに最適なTCR配列の同定後、医師は迅速に患者のT細胞へ遺伝子導入を達成するためにGMPの下で製造されたそのようなコレクションからあらかじめ生成された発現ベクターを選択する必要があるだろう。
特定の実施形態では、コレクションは、配列番号27~52から選択された配列及び/又は配列番号1~26から選択されたT細胞受容体分子(又はα鎖又はβ鎖、若しくはγ鎖又はδ鎖を構成するT細胞受容体)をコードする配列を含む。
しかし、本発明の別の態様は組換えT細胞のコレクションに関し、コレクションの各メンバは、癌抗原を提示するMR1分子と特異的に結合することができる遺伝子組換えT細胞受容体として発現する。特定の実施形態では、コレクションは、本発明のそれぞれの態様によるT細胞受容体タンパク質ヘテロ二量体を含む組換えT細胞を含む。
発明者は、MR1依存的様式で様々な腫瘍細胞と反応するヒトMR1制限T細胞の新規な集団を同定し単離した。MR1T細胞クローンは、一般に異なる健常人の血液中で見つかり、種々のTCR遺伝子を発現させて、以前に同定されたMR1の微生物又は葉酸由来のリガンドを認識しなかった。代わりに、それらは、腫瘍細胞から単離され、MR1によって提示された未知の抗原の種々のセットを認識した。腫瘍細胞に関連した刺激性抗原の同定及びキャラクタリゼーションは、現在進行中である。MR1T細胞クローンは異なる型の腫瘍細胞を認識して殺し、したがって、標識された抗腫瘍活性を生体外で表示した。さらに、それらは、Th1、Th2、及びTh17サイトカインの異なる組合せを放出し、多数のケモカイン受容体発現プロフィールを表示し、発現型・機能的な多様性を示唆する。重要なことには、対になったTCRα及びβ遺伝子若しくは個々のMR1T細胞クローンから単離されたTCRγ及びδ遺伝子がTCR欠損T細胞へ導入された場合、受容体T細胞はMR1発現腫瘍細胞を認識する能力を獲得し、それにより、MR1T細胞TCR遺伝子導入がこの種の腫瘍認識に十分でありかつMR1発現腫瘍細胞を認識するように選択したT細胞に指示するために使用され得ることを示す。
まとめると、これらの発見は、腫瘍免疫中で種々の潜在的な役割を有する非多型MR1分子に制限された腫瘍反応性ヒトT細胞の新規な機能的に多様な集団を明らかにし、それにより、癌免疫監視及び免疫療法に新規な概念フレームワークを提供する。
本明細書では、次の略語が使用される:
APC:抗原提示細胞
β2m:β2ミクログロブリン
DC:樹状細胞
GM-CSF:顆粒球マクロファージコロニー刺激因子
HPLC:高圧液体クロマトグラフィー
IFN-γ:インターフェロン-γ
mAb:モノクローナル抗体
MAIT細胞:粘膜関連不変T細胞
MHC:腫瘍組織適合遺伝子複合体
MR1:MHCI関連分子
MR1T細胞:MR1制限T細胞
PBMC:末梢血単核細胞
TCR:T細胞受容体
TIL:腫瘍浸潤リンパ球
本発明は、以下の例及び図によってさらに説明され、それらからさらなる実施形態及び長所が説明される。これらの例は、発明を示すのが目的であり、その範囲を制限するものではない。
方法
細胞。次のヒト細胞株がアメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)から得られた:A375(メラノーマ)、THP-1(骨髄単球性白血病)、J.RT3-T3.5(TCRβ欠損T細胞白血病)、LS 174T(結腸腺癌)、HCT116(結腸癌)、Huh7(肝細胞癌)、HEK 293(ヒト胚腎臓)及びCCRF-SB(急性B細胞リンパ芽球性白血病)。SKW-3細胞(TCRα、β、γ及びδ遺伝子が欠損しているヒトT細胞白血病)は、ライプニッツ研究所DSMZ・ドイツ微生物細胞培養コレクション(Leibniz-Institute DSMZ-German Collection of Microorganisms and Cell Cultures)から得られた。2つの代表的なMAITクローン(MRC25及びSMC3)及び1つのTCRγδクローン(G2B9)(Gober et al.,The Journal of experimental medicine 197,163-168(2003))は対照細胞としてこの研究の中で使用され、2人の健康なドナーの血液から生成され、以前に記述される(Lepore et al.,NatCommun 5 3866(2014))ような培養液中で維持された。MR1T細胞は、「Ethikkommision Nordwest und Zentralschweiz/EKNZ(139/13)」の承認のもと、血液採取の時にインフォームドコンセントがドナーから得られた後に健常人の末梢血から単離された。簡潔に、ネガティブセレクション(EasySepTMHuman T Cell Enrichment Kit、StemCell)によって精製されたT細胞は、3週間放射線を照射された(80グレイ)A375-MR1細胞(比率2:1)で週に一度刺激された。ヒトrIL-2(5U/ml;Hoffmann-La Roche)、rIL-7及びrIL-15(両方とも5ng/ml、Peprotech)は、各刺激の後に+2日及び+5日で加えられた。最後の刺激の12日後、細胞は洗浄され、そしてA375-MR1細胞(比率2:1)と一晩共培養された。その後、CD3CD69CD37細胞は、PHA(1μg/ml、Wellcome Research Laboratorie)、ヒトrIL-2(100U/ml、Hoffmann-La Roche)及び照射されたPBMC(5x10細胞/ml)がある状態で限界希釈法によって分類されクローニングされた。他の実験では、MR1T細胞クローンは、A375-MR1細胞(比率2:1)を用いた単一の一晩の刺激を受けてソートされたCD3CD69CD137からの同じプロトコルを使用して生成された。T細胞クローンは同じプロトコルに従い周期的に再度刺激された(Lepore et al.,同書中)。単球及びB細胞は、製造者の取扱説明書によってEasySep Human CD14 and CD19 positive selection kits(Stemcell Technologies)を使用して、健康なドナーのPBMCから精製された(>90% 純度)。Mo-DCは、以前に記述されるとおり(Lepore et al.,同書中)GM-CSF及びIL-4がある状態で培養によって精製されたCD14モノサイトから分化された。ヒト正常腸上皮細胞(GEC)は、公表されたプロトコルによる腫瘍のない個体の腸生検から単離された(Graves et al.,Journal of immunological methods 414,20-31(2014))。
β2mと共有結合で結合されたMR1A遺伝子を発現させる細胞の生成。柔軟なGly-Serリンカーを介してβ2mにリンクされたヒトMR1A相補的DNAコンストラクトは、以前に記述される(Leporeら、同書中)ようなPCRによって生成された。MR1A相補的DNAの中のK43A置換は、次のプライマーを使用して融合コンストラクトへ導入された:MR1K43A_f 5’-CTCGGCAGGCCGAGCCACGGGC(配列番号53)及びMR1K43A_r 5’-GCCCGTGGCTCGGCCTGCCGAG(配列番号54)。得られたWT及び突然変異体コンストラクトは、双方向レンチウイルスベクター(LV)(Leporeら、同書中)へクローニングされた。HEK293細胞は、製造者の取扱説明書に従いMetafectenePro(Biontex)を使用して、個々のLV-MR1A-β2mコンストラクトで、レンチウイルス・パッケージング・プラスミド pMD2.G、pMDLg/pRRE及びpRSV-REV(Addgene)と共に、トランスフェクトされた。A375細胞及びTHP-1細胞は、8μg/ml 硫酸プロタミンが存在する上清を含むウィルス粒子によるスピンインフェクションによって形質転換された。MR1の表面発現は流動細胞計測法によって評価され、陽性細胞はFACSソートされた。
可溶性組換えβ2m-MR1-Fc融合タンパク質。β2m-MR1-Fc融合コンストラクトは、テンプレートとして上記されたヒトMR1A-β2mコンストラクトを使用して得られた。β2m-MR1A遺伝子に相補的なDNAは、プライマーを使用するPCRによって増幅された:β2mXhoI_f 5’-CTCGAGATGTCTCGCTCCGTGGCCTTA(配列番号55)及びMR1-IgG1_r 5’-GTGTGAGTTTTGTCGCTAGCCTGGGGGACCTG(配列番号56)、そのため、MR1膜貫通及び細胞内ドメインを除外する。ヒトIgG1重鎖のヒンジ領域及びCH2-CH3領域へ相補的なDNAは次のプライマーを使用して生成された:pFUSE-hIgG1-Fc1(InvivoGen)からのNheI-ヒンジ-f 5’-CAGGTCCCCCAGGCTAGCGACAAAACTCACAC(配列番号57)及びIgG1NotI_r 5’-GCGGCCGCTCATTTACCCGGAGACAGGGAGA(配列番号58)。β2mMR1A及びIgG1 PCRプロダクトは、オーバーラップエクステンションPCRを用いたツーステップスプライシングを使用して連結され、得られたコンストラクトはBCMGSNeo発現ベクターのXhoI/NotIサイトへサブクローニングされた。CHO-K1細胞は、MetafectenePro(Biontex)を使用し、最終コンストラクトでトランスフェクトされ、限界希釈法によってクローニングされ、そしてβ2m-MR1-Fc融合蛋白質の生成をELISAによってスクリーニングした。EX-CELL ACF CHO無血清培地(Sigma)へ導入された、選択されたクローンは、タンパク質産生に使用され、β2m-MR1-Fcは、製造者の取扱説明書によってProtein-A-Sepharose(Thermo Fisher Scientific)を使用して精製された。タンパク質の完全性及び精製は、抗MR1 mAb 25.6(Biolegend)を使用するウエスタンブロット及びSDS-PAGEによって確認された。
流動細胞計測法と抗体。細胞表面標識化は標準プロトコルを使用して行なわれた。細胞内の標識化は製造者の取扱説明書によるTrue-NuclearTM Transcription Factor Buffer Setを使用して行なわれた。次の抗ヒトmAbsがBiolegendから得られた:CD4-APC(OKT4)、CD8α-PE(TuGh4)、CD161-Alexa Fluor647(HP-3G10)、CD69-PE(FN50)、CD3-PE/Cy7、Brilliant Violet-711、又はAlexa-700(UCHT1)、CD137ビオチン(n4b4-1)、CXCR3-Brilliant Violet421(G025H7)、CD83ビオチン(HB15e)、MR1-PE(26.5)及びTRAV1-2-PE(10C3)。CD86-FITC(2331)、CCR4-PECy7(1G1)及びCCR6-PE(11A9)のmAbsは、BD Pharmingenからだった。これらのmAbsはすべて5μg/mlで使用された。ビオチン化されたmAbsは、ストレプトアビジン-PE及びAlexa Fluor488、又はBrilliant Violet421(2μg/ml、Biolegend)で明らかにされた。サンプルはLSR Fortessaフローサイトメーター(Becton Dickinson)上で得られた。細胞選別実験はInflux instrument(Becton Dickinson)を使用して行なわれた。死細胞とダブレットは、前方散乱エリア及び幅の基礎、側方散乱及びDAPI染色上で除外された。データはすべてFlowJoソフトウェア(TreeStar)を使用して分析された。
MR1T細胞クローンのTCR遺伝子分析。TCRα及びβ、又はMR1T細胞クローンによる遺伝子TCRγ及びδの発現は、合計の相補的DNA及び特異なプライマーを使用するRT-PCRによって、又は製造者の取扱説明書に従いIOTest(登録商標)Beta Mark TCR Vβ Repertoire Kit(Beckman Coulter)又はpanγδのTCRに特有の単クローン抗体(B1、Biolegend)を使用する流動細胞計測法によってのどちらかで評価された。RT-PCRについては、RNAはNucleoSpin RNA II Kit(Macherey Nagel)を使用して準備された。また、相補的DNAはSuperscript III reverse transcriptase(Invitrogen)を使用して合成された。TCRα、β、γ及びδ相補的DNAは、製造社(TCR typing amplimer kit,Clontech)の指示どおりVα、Vβ、Vγ、及びVδのプライマーのセットを使用して増幅された。機能的な転写物はシーケンスにより識別され、次に、ImMunoGeneTics情報システム(http://www.imgt.org)を使用して分析された。
TCR遺伝子導入。MAIT細胞クローンMRC25からのTCRα及びβの機能的な相補的DNAは、BCMGSNeo発現ベクター(Karasuyama and Melchers Eur.J.Immunol.1988 18:97-104)のXhoI/NotIサイトへクローンを作られた。また、得られたコンストラクトは、標準手順によるエレクトロポレーションによってJ.RT3-T3.5細胞を共同トランスフェクトするために使用された。TRAV1-2及びCD3を発現するトランスフェクタントはFACSソートされた。TCRα及びβ、又はMR1TクローンからのTCRγ及びδの機能的な相補的DNAは、プラスミド52962(Addgene)発現ベクターの改変版のXmaI/BamHIサイトへクローンを作られた。SKW-3細胞は上述されるように生成されたウィルス粒子を含んでいる上清で形質導入された。細胞は、CD3発現に基づいてFACSソートされた。
細胞及び全腫瘍溶解物の分画。細胞溶解物の全量は穏やかな超音波処理を用いて水中で破砕することで2.5×10のTHP-1細胞の単一のペレットから生成された。その後、超音波で処理された物質は遠心分離機にかけられ(4℃、15分間、15,000g)、上清は集められた(S1)。次に、ペレットはメタノール中で再懸濁され、超音波で処理され、前述のように遠心分離機にかけられ、得られた上清は、S1上清でプールされた。メタノールの最終濃度は10%だった。その後、細胞抽出液の合計はC18 Sep-Pakカートリッジ(Waters Corporation)に充填され、結合していない物質は集められ、乾燥された(分画E-FT)。結合された物質は、75%(分画E1)及び100%のメタノール(分画E2)を有するバッチ中で溶出された。E-FT物質はアセトニトリル/水(9:1vol/vol)中で再懸濁され、NH Sep-Pakカートリッジ(Waters Corporation)に充填された。結合していない物質(分画N-FT)及び4つの追加の分画が増加する多量の水で溶出された。分画N1は35%のHO、分画N2は60%のHO、分画N3は100%のHO、分画N4は100%のHO及び50mM酢酸アンモニウム(pH7.0)で溶出された。分画はすべて乾燥され、そして、-70℃で格納される前に20%のメタノール(分画E1、E2及びN-FT)又は100%のHO(他のすべての分画)中で再懸濁された。
記述される(Zippelius et al、Cancer Immunol Res3、236-244(2015))ように、マウスEMT6胸腫瘍が準備された。新鮮に切除された腫物は、食塩水中で広範囲に洗浄され、重さを計測され、4gの塊は加圧型組織グラインダーを使用して、7mlのHPLCグレード水の中でホモジナイズされた。腫瘍ホモジェネートは2回の結氷融解サイクルを行い、4℃で10分間で遠心分離機にかけ(3,250g)、そして上清は集められ、-70℃で保管された。ペレットは2回2mlのHPLCグレード水で抽出され、4℃10分間で遠心分離機にかけられ(5,100g)、上清は集められて-70℃で格納された。ペレットは、攪拌により室温で5分間、9mlのHPLCグレードメタノールでさらに抽出され、4℃で10分間遠心分離機にかけられ(5,100g)、上清は集められた。3つの上清は貯留され、乾燥され、水:メタノール(10:1)の中へ再懸濁された。物質は、上記のようにC18及びNH2Sep-Pakカートリッジを使用して分画された。
T細胞活性化アッセイ。MR1制限T細胞(もし他の方法で示されなければ5×10/well)は、二重または三重中の200μl全容積の中で示された標的細胞(5×10/well)で共培養された。T細胞は、示されたAPCで24時間培養された。いくつかの実験では、抗MR1 mAbs(クローン26.5)又はマウスIgG2aアイソタイプ対照mAbs(両方とも30μg/ml)は、T細胞の追加に先立って添加され30分インキュベートされた。大腸菌溶解物は、LB培地の中で育てられるH5α株(Invitrogen)から準備され、指数的生長中に集められた、Dた。細菌細胞は、PBSの中で2度洗浄され、次に、超音波処理によって溶解された。遠心分離(15分間、15,000g)の後、上清は集められ、乾燥され、-70℃で保管された。APCは、T細胞の追加の前に10CFU/ml(もし、他の方法で示されなかったならば)と等価な大腸菌溶解物で4時間パルス化された。いくつかの実験では、APCは、T細胞を備えた共培養の前に4時間、6-FP又はAc-6-FP(Schircks Laboratories)であらかじめ培養された。TCRVγ9及びVδ2鎖を発現するTCRγδ細胞を備えた対照実験では、APCは、最初にT細胞追加前にゾレドロネート(10μg/ml)で6時間処理された。プレート結合組換えヒトβ2m-MR1-Fcの活性化実験は96ウェルプレートの上にβ2m-MR1-Fcをコーティングすることにより行なわれ(4μg/ml)、2度洗浄しT細胞を添加する前に37℃で4時間カートリッジ精製された細胞溶解物で充填する。上清は24時間後に集められ、IFN-γ又はGM-CSFはELISAによって評価された。細胞培養上澄みの中の多数のサイトカイン及びケモカインは、Milliplex MAPヒトサイトカイン/ケモカイン磁気ビーズパネルを使用して分析された。製造者の取扱説明書によって41 plex(HCYTMAG-60K-PX41;Merck Millipore)を前もって混合した。サンプルはFlexmap 3Dシステム(Merck Millipore)上で得られた。また、Milliplexアナリスト・ソフトウェアは、中間蛍光強度及び被検体濃度を決定するために使用された。
腫瘍細胞の死滅。死滅アッセイは、抗MR1 mAb(30μg/ml、クローン26.5)がある状態又はない状態で、24時間、異なるE/T比率で単独で又はT細胞とともに培養された標的細胞株(2×10細胞/ml)を使用して行なわれた。以前に記述されたように、標的細胞はPE-Annexin V(BD)及びプロピジウムヨウ化物(PI)(Sigma-Aldrich)で染色された。T細胞は抗CD3 mAbsで染色されることにより同定され、解析から除外した。アポトーシスは以下のように評価された:
Annexin VPI=アポトーシス進行及びAnnexin VPI=ネクローシス。T細胞がない状態(自発的アポトーシス;T細胞はない)でのアポトーシスの+壊死細胞のパーセンテージも示される。
統計。データは対応なしスチューデントt検定(Prism6(GraphPadsoftware))を使用して分析された。
健康なドナーの中の新規な腫瘍反応性MR1制限T細胞の同定及びキャラクタリゼーション
発明者は、ヒトMAIT細胞のレパートリーに関する初期の研究の間に微生物のリガンドに反応しなかった異型のMR1制限T細胞クローンを検出した。このT細胞クローン(DGB129)は、表面のMR1(CCRF-SBリンパ芽球性白血病細胞又はTHP-1単球性白血病細胞;図1A)を本質的に表示する細胞株を認識し又は任意の外来性の追加の抗原がない状態でMR1遺伝子(A375メラノーマ細胞;A375-MR1;図1A)を用いてトランスフェクトされた(図1B)。MR1標的細胞の無菌の(sterile)認識は、抗MR1単クローン抗体(mAbs)(図1B)でブロックすることにより完全に阻害され、したがって同時にアッセイされた大腸菌由来抗原へのMAIT細胞応答に似ていた(図1C)。重要なことには、DGB129 T細胞は、合成MAIT細胞アゴニスト6,7-ジメチル-8-D-リビチルルマジン(RL-6、7-diMe;図1D)を認識せず、対照MAIT細胞クローンとは異なり、その代りに、この化合物によってMR1依存的様式で刺激された(図1E)。DGB129細胞は、MAIT細胞に典型的な古典的な半不変のTCRを発現しなかった(表1)。
発明者は、DGB129クローンが微生物反応的MAIT細胞と異なる腫瘍反応的MR1制限T細胞の新規な集団の代表かどうか調査した。したがって、これらの予測されないMR1制限T細胞を単離し研究する方法を樹立した。2人の健康なドナーから精製されたT細胞は、増殖マーカCellTrace violet(CTV)で標識され、また外因性抗原がない状態で放射線を照射されたA375-MR1細胞を用いて刺激された。増殖細胞はA375-MR1細胞を用いて再誘発され、これらの活性化マーカCD137高いレベルの発現は、限界希釈法(図2A)によって分類及びクローンニングされた。その後、個々のT細胞クローンは、A375-MR1細胞及びMR1欠損A375(A375-WT)細胞を認識するそれらの能力に関して調べられた。両方のドナーにおいて、発明者は、T細胞クローン(それぞれ126/195及び37/57)の主要分画がA375-MR1細胞(図2B、D)の特異的認識を表示し、それは抗MR1ブロックmAbs(図2C、E)によって阻害されたことがわかった。12のMR1反応的なT細胞クローンをTCRVβ特異的mAbsで染色することは、同じTRBV遺伝子を共有するクローンのうちのいくつかでそれらが7つの異なるTRBV鎖(TRBV4-3、6-5/6-6/6-9、9、18、25-1、28、29-1)を発現することを明らかにした。さらに、古典的MAIT細胞についていずれも、TRAV1-2鎖を発現しなかった。
特異的マーカの欠損は、標準の流動細胞計測法による生体外のこれらの新規なT細胞の一義的な同定をできなかった。したがって、それらの頻度は、超短時間の生体外の刺激及び単一のT細胞クローン作成実験の後に流動細胞計測法解析を組み合わせることにより推定された。5人の健康なドナーから精製された血液T細胞は、MR1欠損又はMR1十分なA375細胞で一晩共培養され、活性化マーカCD69及びCD137(図3A)の発現に関して分析された。スクリーニングされた5人のドナーのすべてでは、検出されたCD69CD137T細胞の割合は、A375-WT細胞(0.015-0.032%に及ぶ)(図3A、B)との共培養の後によりもA375-MR1細胞(T細胞の0.034-0.072%に及ぶ)での刺激の後に一貫してより高かった。MR1発現の異なる2つのタイプのAPCのように、MR1反応性T細胞はMR1ポジティブAPCで刺激の後に活性化T細胞の増大数の主な原因であった。このアプローチを使用して、発明者は、1:2,500(0.072-0.032=0.04%)と1:5,000(0.034-0.015=0.019%)の範囲に及ぶ頻度で分析された個体の循環するT細胞プールがA375-MR1反応性T細胞を含むと推測した。この予測頻度は、抗原暴露(Lucas et al.,J Virol 78:7284-7287;Su et al.,Immunity 38:373-383)の後にペプチドに特有のCD4T細胞の度数より高い。これらの観察は、並列の実験によって支援され、それはこれらのドナー(ドナーC、図3A、右のパネル)のうちの1人からソートされたCD69CD137一晩活性化T細胞がクローニングされた。確かに、96のスクリーニングされたT細胞クローンのうち31(32%)がA375-MR1細胞(図3C)への反応性を示し、それは抗MR1 mAbsによって阻害された(図3D)。したがって、このドナーの血液T細胞の中のA375-MR1反応するT細胞の計算された頻度は、1:5,000(0.065x0.32=0.02%)、評価された範囲と一致する値だった。3人のドナーに由来した代表的なT細胞クローンの詳細解析は、それらが種々のTCRα及びβ鎖、及びCD4、CD8及びCD161(表1)の示された差異の発現を表示することを確認した。
まとめると、これらの調査結果は、同定された腫瘍反応的MR1制限T細胞が健康なヒト個体(今後、MR1T細胞と名付ける)の血液中のリンパ球の新規でさらに共通の多クローンの集団であることを示唆した。
MR1T細胞TCR遺伝子導入は、腫瘍細胞のMR1を制限された認識を与える
発明者は、次に腫瘍細胞へのMR1T細胞応答性がTCRによってもたらされるかどうか調査した。TCR欠損SKW-3細胞の異なるMR1T細胞クローンからクローニングされた対になったTCRα及びβ遺伝子の発現は、腫瘍細胞のMR1認識を与え、オリジナルのMR1T細胞によって表示されたそれに匹敵し、それは完全に抗MR1-mAbsによってブロックされた(図4A-C)。対照実験では、代表的なMAIT細胞クローンのTCRα及びβ遺伝子の導入は、大腸菌抗原がある状態でのみMR1依存的様式でA375-MR1細胞を認識する能力を与えた(図4D)。これらのデータは、腫瘍細胞のMR1T細胞認識を媒介する際のTCRの重大な役割を強調し、MR1T細胞TCR遺伝子導入がMR1発現腫瘍細胞への選択されたT細胞の反応性を有効に再指示することができることを示唆した。
MR1T細胞クローンによる腫瘍細胞の特異的認識
MR1を発現するA375メラノーマ細胞に反応するMR1T細胞クローンの大きなパネルを生成したことで、発明者は次に、THP-1骨髄単核細胞、Huh7ヘパトーマ細胞、HCT116結腸癌細胞及びLSの174Tのゴブレット状の結腸腺癌細胞を含む表面のMR1を本質的に発現する他のタイプの腫瘍細胞を認識することができたかどうかを調査した。すべてのこれらの細胞型は、微生物抗原がある状態及びMR1依存の方法(図5A)でMAIT細胞活性化を支援した。同じ細胞は、様々な程度まで選択したMR1T細胞クローンの無菌の活性化を引き起こすことができた。THP-1細胞は、大多数のテストされたMR1T細胞クローンによって、続いてHuh7ヘパトーマ細胞、LSの174Tのゴブレット状の細胞及びHCT116結腸癌細胞(図5B)によって認識された。重要なことには、反応はすべて抗MR1 mAbsによってブロックされた。
これらのデータは、MR1T細胞が非多形性の抗原提示分子MR1に制限された腫瘍反応性T細胞の新しく不均一な集団であることをさらに確認した。
MR1T細胞は腫瘍細胞の中にあるMR1に結合された抗原を認識する
発明者は、次に腫瘍細胞へのMR1T細胞応答性の基準を検討した。まず、MAIT細胞との相似で、MR1T細胞クローンが微生物抗原を認識することができた可能性を決定的に除外しようと努力した。対照MAIT細胞クローンは大腸菌溶解物がある状態でのみA375-MR1細胞と反応したが、異なるMR1T細胞クローンの活性化は大腸菌溶解物によって増強されなかった(図6A)。これらのデータと一致して、MR1ネガティブのA375-WT細胞は大腸菌溶解物が添加されたかどうかに関係なく、一方のタイプのT細胞を刺激しなかった(図6A)。また、重要なことには、抗MR1 mAbsは効率的にMR1T及びMAIT細胞応答の両方をブロックした(図6A)。これらの発見は、大腸菌及び刺激性MAIT細胞の中にある微生物のリガンドがテストされるMR1T細胞を刺激しないことを確認した。
その後、発明者は、既知のMR1リガンド6-FP及びAc-6-FPに対するMR1T細胞の反応をテストした。それは、TRAV1-2-ネガティブT細胞の希少なサブセットを刺激し、かつ微生物抗原によるMAIT細胞活性化阻害することが以前に報告されていた。MR1T細胞刺激は、6-FP又はAc-6-FPリガンド(さらに、それらは対照MAIT細胞の大腸菌刺激を妨害した)がある状態で妨害されが、同じAPCによって示された同種抗原への対照TCRγδ細胞応答を妨害させず、それにより、化合物毒性(図6B、図6C及び図7A-C)を除外した。顕著に、標的A375細胞が不完全なリガンド結合能力(リジン43のアラニンへの突然変異(A375-MR1 K34A)によるリガンドを備えたシッフ塩基形成のブロック;図6B、C及び図7D、E)を備えた突然変異体MR1分子を発現するために形質導入された場合6-FP又はAc-6-FPは、MR1T細胞又はMAIT細胞の活性化を阻害できない。6-FP又はAc-6-FPで観察された特異的抑制は、MR1T細胞はi)6-FP及びAc-6-FPを認識しない、ii)MR1に結合された細胞性抗原に反応し、iii)MR1を備えたシッフ塩基の形成を要求しないリガンドによって刺激されることを示す。
認識された抗原の起源についてのさらに詳しい情報を獲得するために、発明者は、いくつかのMR1リガンド(例えば6-FP)が細胞培養に使用されたRPMI1640培地中のフォラシンの存在に由来してもよいので、腫瘍標的細胞の刺激能が培地要素に依存するかどうか調査した。THP-1及びA375-MR1細胞の両方は、もっぱら5%のヒト血清で補充されたリン酸塩緩衝食塩水溶液(PBS)で広範囲に4日洗浄及び培養された。細胞は、DGB129 MR1T細胞を刺激するために使用される前に毎日洗浄された。また、T細胞活性化アッセイはPBSの中で行なわれた。RPMI1640又はPBS中で育てられたTHP-1及びA375-MR1細胞は、同じ刺激能(図8A、B)を示し、それにより、培地組成がMR1T細胞活性化の原因ではないことを示した。その後、刺激する抗原が標的腫瘍細胞の中にあったかどうか直接調査するために、発明者は抗原の源として2タイプの腫瘍溶解物を使用し、T細胞活性化アッセイを行なった。第2の溶解物が切除直後にマウス胸腫物から準備された一方、第1の溶解物は生体外で培養されたTHP-1細胞から得られた。疎水性の2つの分画及び4つの親水性の分画が、本質的に低レベルのMR1を発現するAPC THP-1細胞として使用して得られテストされた。DGB129クローンは、分画N4とのみ反応し、それは新鮮に移植されたマウス腫瘍及び生体外の培養されたTHP-1細胞(図8C、D)の両方から単離された親水性化合物を大いに含んでいる。これらの結果は、刺激性抗原がRPMI1640の成分に由来する可能性を除外し、それらの細胞起源を示した。発明者は、DGB70、別の代表的なMR1T細胞クローンとともに、THP-1溶解物から生成された分画もテストした。DGB70細胞は、N4ではなく分画N3を認識し(図8E)、少なくとも2つの別個の化合物が差別的に2つのMR1Tクローンを刺激したことを示唆する。同じ分画も可塑性結合のMR1分子に充填され、選択肢及び特異な刺激能を示した、つまりN3はDGB70細胞だけを刺激した。その一方でN4はDGB129細胞だけ(図8F)を刺激し、N3とN4の分画がない状態で、2つのクローンはさらに特異性抗原の要求を示し、MR1に反応しなかった。
結論として、これらのデータは、MR1T細胞が培地に由来しないリガンドで組み合わせられたMR1を認識し、生体内で育成した腫瘍細胞内にも提示することを示した。
MR1T細胞は差異の抗腫瘍反応を表示する
MR1T細胞の抗腫瘍活性を評価するために、発明者は、生体外で腫瘍細胞を直接殺す能力をテストした。2つの代表的なMR1T細胞クローン(DGB129及びDGB70)が、効率的に様々なエフェクタ:ターゲット比率でMR1発現THP-1及びA375細胞の両方を殺した(図9A、B)。ターゲットが大腸菌感染した場合、それは完全に殺すことができたが(図示しない)、対照MAIT細胞クローンはこれらの2つの細胞タイプを殺さなかった。これらの結果は、MR1T細胞がMR1を発現する腫瘍細胞に対する特異的な細胞毒性活性を表示することを示した。
発明者は、MR1T細胞が骨髄単球性の腫瘍細胞系統THP-1を認識し殺したと分かったので、次に、それらが異なるドナーから単球を含む正常な骨髄性細胞及び単球由来の樹状細胞(MoDC)も認識することができるかどうかに取り組んだ。単球はテストされたMR1T細胞クローンのうちのどれによっても認識されなかった(図示しない)。対照的に、いくつかのMR1T細胞クローンはMR1依存的様式でMoDCに反応した(図9C)。興味深いことには、代表的なDGB129 MR1T細胞クローンで行なわれた実験は、MoDCの認識がMoDC死滅(図示しない)を結果的にもたらさないがMoDCによるCD83とCD86の活性化マーカの促進された上方制御をもたらしたことを明らかにした(図9D)。著しく、DGB129細胞によって引き起こされたMoDCの活性化は、抗MR1 mAbsによって完全に阻害された(図9D)。これらのデータは、いくつかの腫瘍反応的なMR1T細胞が直接の抗腫瘍活性を誘発しさらに、有効な抗腫瘍免疫反応の樹立での重要な関係と共に、生得の免疫細胞の活性化を促進することを示唆した。
いくつかのMR1T細胞クローンがHCT116とLSの174Tの腸の腫瘍細胞へ反応したと発明者が観察したとともに、それらは次にさらに、腸生検から準備された正常な腸上皮細胞(GEC)を認識し得るかどうか調査した。GEC細胞はテストされたHCT116又はLS174T反応性MR1T細胞クローンのうちのどれにも刺激性でなく(図9F、G)、したがって、正常な腸上皮細胞に反応しない一方、MR1T細胞クローンが胃腸の腫瘍細胞の特異的認識を表示し得ることを示唆した。
さらにMR1T細胞によって腫瘍認識の特異性を評価するために、発明者は、好中球、ナチュラルキラー細胞、B細胞及びT細胞を含む他のタイプの正常細胞に反応するかどうかを最後に調査した。これらの細胞のどれもテストされたMR1T細胞によって認識されなかった(図示しない)。
まとめると、これらのデータは、ヒトMR1制限Tリンパ球の新しく不均一な集団としてのMR1T細胞を同定する、(1)腫瘍細胞の多種類に異なって反応する、(2)腫瘍細胞に対して細胞毒性活性を示す、(3)生体外の区別されたMoDCの例外を備えた正常細胞を認識しない、及び(4)MoDCを殺さないが、代わりに、それらの活性化を引き起こす。これらの調査結果は、MR1T細胞が重要な抗腫瘍特性を表示しそれらの免疫療法のポテンシャルのために開発されて当然であることを示唆した。
MR1T細胞は機能的に異種混合である
発明者は、最後にA375-MR1腫瘍細胞によって刺激時の代表的なMR1T細胞クローンのサイトカイン分泌プロフィールを分析した。テストされたクローンはすべてIFN-γを放出した(図10A)。しかしながら、発明者は、さらにTh1(IL-α及びTNF-α及び、TNF-β)、Th2(IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-13)及びTh17サイトカイン(IL-17A、G-CSF、GM-CSF)の種々の発現プロフィール及び他の可溶性因子(MIP-1β及び可溶のCD40L PDGF-AA及びVEGF;図10B)を観察した。可変組合せ及びMR1T細胞によって発現された多量のサイトカインは、この集団内の相当な機能的可塑性を示唆した。例えば、クローンDGA4は、IL-17A、IL-6、TNF-α及びGM-CSFを大量分泌したが、プロトタイプのTh2サイトカインIL-4、IL-5、IL-10又はIL-13を分泌せず、したがって「異型の」Th17のような発現型を表示した。対照的に、クローンTC5A87は相当な量のVEGF及びPGDF-AAを放出したが、Th1又はTh2サイトカインをほとんど放出せず、IL-17Aは放出しなかった。顕著に、研究された7つのクローンのうちの4つは(DGB129、CH9A3、DGB70、JMA)、サイトカイン放出のTh2に優位に傾いたプロフィールを表示し、それは最近保護抗腫瘍免疫に関係している機能的な発現型である。
発明者は、次に別個の機能を備え、その発現が組み合わせられた選択肢はT細胞再循環及びホーミングサイトへの遊走を制限する可変T細胞サブセットによって発現されると知られていた3つの選択されたケモカイン受容体の発現を調査した。DGA4以外のすべてのMR1T細胞クローンは高いレベルのCXCR3(図11)を表示した。さらに、発明者は、CCR4及びCCR6(図11)の分岐する発現パターンを観察した。それは、MR1T細胞が異種混合であることをさらに示唆した。
一連の研究の最後では、MR1T細胞が生体内で肺充実性腫瘍モデルを使用して、それらの腫瘍死滅能力を維持するかどうかが調査された。マウスは、DGB129細胞を受け取るMR1発現A375メラノーマ細胞を静脈注射されるか、処置されないままであった。14日においては、マウスが屠殺され、肺の中の腫瘍結節の数が数えられた。治療していないマウスは200-250の結節を示したが、MR1T細胞で処理されたものは1-6の結節(図12)を示した。これらの結果は、生体内で育成する腫瘍細胞がMR1T細胞を刺激する抗原を生産することを確認した。重要なことには、それらは、充実性腫瘍細胞を生体内で殺すためにMR1T細胞の効率能力の強い証拠を提供した。
まとめると、これらのデータは、腫瘍、MR1T細胞が別個の再循環パターン及び組織ホーミング能力を備えた多数の部分集合及び腫瘍免疫中の有望な異なる役割を含むことを提案し、したがって、ここでテストされたMR1反応性Tクローンは、発現型及び機能的に多様であることを示した。結論として、これらのデータはMR1T細胞を、MR1を認識するヒトTリンパ球の新規な集団であると確認する:腫瘍関連抗原は複合体を形成し、多数のエフェクタ機能を備えた抗腫瘍免疫反応に参加してもよい。
Figure 0007233103000001
Figure 0007233103000002
以下の例は、本発明が適用される臨床のワークフローをさらに示す:
MR1を発現する癌のスクリーニング
癌患者の新鮮な組織又は新鮮な凍結組織の生検は、ヒトMR1特異的なAbs及びMR1 mRNAのPCR増幅を使用して、MR1発現について分析される。
癌治療(実施例1):主要なMR1を発現する癌細胞の認識用の最良のMRT1 TCR遺伝子の選択。
- 生体外で単離された初代MR1癌細胞は以前に特徴付けられたMR1T細胞クローンのライブラリを刺激するために使用される。各クローンは異なるTCR遺伝子を発現し、異なるタイプの癌細胞を認識する。
- 患者の癌細胞に最も良く応答するMR1T細胞クローンが選択され、それらのTCR遺伝子はTCR遺伝子療法に使用される。応答は、サイトカイン放出機能及び/又は表面マーカ発現としてアッセイされる。細胞は、CD3、CD69、CD137、CD150及び/又はICOS(表面マーカ)及びINF-γ及びGM-CSF(サイトカイン)に例証されるが制限されずに、分析された活性化マーカに反応的な抗体で染色される内部(サイトカイン)又は表面マーカによってアッセイされる。
- 利用可能な場合、可溶性MR1T TCRは多量体化され、腫瘍生検から単離された腫瘍細胞を染色するのに使用されるだろう。腫瘍細胞と結合するMR1T TCR多量体は、その患者の中の遺伝子療法にふさわしいMR1T TCRの迅速な選択ができるだろう。
- いくつかの患者の循環T細胞個体群は、受容体T細胞(ナイーブ、セントラルメモリ、エフェクタメモリ、CD4、CD8、又はCD4、CD8ダブルネガティブT細胞)として使用され得る。ナイーブT細胞は、MR1腫瘍抗原を認識するTCR遺伝子で形質導入される場合に、刺激されていないTリンパ球が、腫瘍細胞がある状態で成熟することを可能にするために選択されている。MR1を発現する腫瘍細胞の認識で即時の増殖及びエフェクタ機能(腫瘍致死)を提供するので、セントラル及びエフェクタメモリ細胞が使用される。CD4細胞は動員を促進するTヘルパー細胞の十分な数及び抗腫瘍機能を備えた他の細胞の増殖を提供するために選択される。CD8 T細胞は腫瘍細胞の死滅を促進するために選択される。CD4-CD8ダブルネガティブT細胞は、大量のキラー・エフェクタ分子(TNFα、グランザイム及びグラニュリシン)の即時放出のようなそれらの自然様の機能に選択される。
- 形質導入されたTCR遺伝子を発現し選択されたエフェクタ機能を有するT細胞は、養子関係の細胞治療(ACT)に使用される。
患者の末梢血からのT細胞は、表面マーカ(CD4、CD8、CD27、CD45RA、CD57)特異的なモノクローナル抗体で染色され、ソートされる。ソートされた集団はそれぞれ、Dynabeads(登録商標)Human T-Activator CD3/CD28(ThermoFisher)で活性化され、個人の患者に選択されたMR1T TCRをコードするTCR遺伝子で24時間後にトランスフェクトされる。これは修飾済(modified)のT細胞調合液(レシピエントT細胞)を産出する。ある場合には、レシピエントT細胞も、PD1、ILT2及びILT4抑制遺伝子を不活性化する遺伝子編集方法によって就職されるか、又は細胞生存、細胞膨張を促進し、癌治療エフェクタ機能を増強するためにCD137とCD134の遺伝子で形質導入された。
リンパ球の枯渇(Lymphodepletion)は、非骨髄機能廃絶化学療法の前処置療法(2日間60mg/kgでシクロホスファミド及び5日間25mg/mでフルダラビンを投与する)を使用して、レシピエント癌患者の中で作られ、患者に720,000IU/kgで与えられたT細胞及びIL-2の導入が後続する。いくつかの実例では、200又は1200センチグレイ(cGy;1Gy=100rad)の全身照射が、前処置療法に追加される。MR1Tの外因性のTCR遺伝子(修正済のT細胞準備)を発現するT細胞は、レシピエントへ導入される。
TCR遺伝子は、安全な組換えのレンチウイルスベクター(例えばProvasi et al.,Nat Med 18,807-815(2012)を参照)中でクローニングされる。それは自殺遺伝子を含んでおり、他の介助ウィルスがない状態での成熟したウィルス粒子を生むことができない。ある場合には、TCR遺伝子が、自殺遺伝子(例に関しては、Greco et al.,Front Pharmacol 6,95(2015)を参照)を含んでいるベクター中でクローニングされ、それにより、望まれない遺伝子挿入に由来した危険を減らす。ある場合には、TCR MR1T遺伝子をコードするRNAが、受容細胞(例に関してはZhao et al.Molecular therapy 13,151,(2006)を参照)中でトランスフェクトされる。
癌治療(実施例2):治療される患者の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)からのMR1T細胞の単離。
- 自己由来のTILは、我々の以前に確立しているプロトコル(De Libero、同書中に)による癌組織生検から準備されている。
- T細胞は、IL-2、IL-7及びIL-15を補充された培地を使用して、2~3週間生体外で増殖する。
- 増殖したT細胞は、自己由来のMR1癌細胞に対する反応に関してテストされる。
- 活性化マーカ(CD137、CD150、CD69、ICOS)の表面発現を増加させるT細胞は、癌に特有であると考えられる。また、抗MR1単クローン抗体のある状態によって阻害される場合、それらはMR1依存的であると考えられる。
- 上に概説されるように、癌反応的なT細胞は上記の活性化マーカのうちの1つの発現によってソートされ、増殖し、ACTのために使用される。

Claims (5)

  1. MR1分子に関連する癌細胞によって提示される抗原と特異的に結合することができるT細胞受容体を発現するT細胞を単離する方法であって、
    a.患者又は健康なドナーから単離されたT細胞の調製液を提供するステップ、そして
    b.接触工程においてMR1を発現する癌細胞とT細胞の前記調製液を接触させるステップ、そして
    c.単離工程において前記癌細胞と特異的に反応するT細胞を単離するステップであって、該単離工程はCD3 CD69 CD137 T細胞を選択することを含む前記ステップ
    を含むことを特徴とする、前記方法。
  2. 前記接触させるステップは増殖させるステップを含み、単離されたT細胞の前記調製液はMR1を発現する癌細胞が存在する状態で増殖することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 単離するステップにおいて単離されたT細胞のT細胞受容体をコードする核酸配列を決定することをさらに含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
  4. MR1分子に関連する癌細胞によって提示される抗原と結合することができるT細胞受容体を発現するMR1T細胞の調製液を調製する方法であって、
    a.患者から獲得された腫瘍サンプルを提供するステップ;
    b.前記腫瘍サンプルを
    i.各T細胞クローンがMR1分子と関連する癌細胞によって提示される抗原と特異的に結合することができるMR1T細胞受容体分子によって特徴付けられる、請求項1に記載の方法を実施し、それによって得られるT細胞の複数のクローン;又は、
    ii.MR1T細胞受容体分子から単離された標識化及び多量体化された複数の可溶性TCR
    と接触させるステップ、
    c.前記腫瘍サンプルと特異的に反応するMR1T細胞受容体を同定するステップ;
    d.T細胞調製液を提供するステップ;
    e.ステップcにおいて前記腫瘍サンプルと特異的に反応するとして同定されたT細胞クローン上で発現されたMR1反応性T細胞受容体分子をコードする核酸発現コンストラクトを前記T細胞調製液へ導入し、導入遺伝子T細胞調製液を産出するステップ
    を含むことを特徴とする、前記方法。
  5. 癌の治療法又は予防方法で用いる、請求項4に記載の方法によって獲得されたMR1特異的T細胞の調製液。
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