JP7232936B2 - Ｓｃａｄａシステムを用いた変電所設備の監視 - Google Patents

Description

技術分野
本明細書で提示される実施形態は、変電所設備を監視するための方法、監視制御およびデータ取得（Supervisory Control And Data Acquisition：ＳＣＡＤＡ）システム、コンピュータプログラム、ならびにコンピュータプログラム製品に関する。

背景
従来より、変圧器、回路遮断器などの変電所設備は専用のハードウェア、ソフトウェア、およびそれ自体のインターフェイスによって監視されて、それらの結果、警告およびアラームがユーザに提供されるものであった。一般的には、データ処理および分析が監視ハードウェアにおいてローカルに実行されるべきであり、それらの結果がローカルのヒューマンマシンインターフェイス（Human-Machine Interface：ＨＭＩ）上で、またはウェブインターフェイスを介してリモートで利用可能になるべきであると理解されている。これにより、変電所の所有者、運営者、または資産健全性の担当者にとって選択の余地がなくなり、全ての監視結果を１つの共通のインターフェイスに統合せざるを得なくなるかまたは多くのさまざまなインターフェイスで作業せざるを得なくなり、実際には、このような監視設備の使用が非効率になるかまたはこのような監視設備が全く使用できなくなってしまう。

変電所の一次設備ごとにこのような監視装置が多数あり得るので、変電所設備の健全性状態を追跡することは、多くのさまざまなローカルのＨＭＩおよびウェブインターフェイスにとって難題となる。さまざまなローカルのＨＭＩおよびウェブインターフェイスを統合する場合、サイバーセキュリティ問題に対処することも難題となる可能性がある。変電所ＳＣＡＤＡシステムは、現在、単にデータを他の分析プラットフォームにトンネリングするかまたは監視設備から状態を提示するために用いられている。

したがって、変電所監視の改善が依然として必要とされている。

概要
本明細書における実施形態の目的は、変電所設備の効率的な監視を提供することである。

第１の局面に従うと、変電所設備を監視するための方法が提供される。当該方法はＳＣＡＤＡシステムによって実行される。当該方法は、当該変電所設備において監視されるパラメータに関するデータ値／信号値からパラメータ値を取得するステップを含む。当該方法は、当該パラメータ値のうち少なくともいくつかの各々を少なくとも１つの注意指標に関連付けるステップを含む。当該方法は、それぞれの注意指標に関連付けられたパラメータ値を処理することによって、当該注意指標の各々についての１つの注意指標値を決定するステップを含む。全ての監視されたパラメータについての全ての注意指標は、当該変電所設備の異常挙動についての閾値としての役割を果たす全く同一の公称注意指標値を有する。当該方法は、当該注意指標値のうち少なくとも１つが当該公称注意指標値を上回っている場合にＨＭＩにアラート表示を与えるステップを含む。

第２の局面に従うと、変電所設備を監視するためのＳＣＡＤＡシステムが提供される。ＳＣＡＤＡシステムは処理回路を備える。当該処理回路は、当該ＳＣＡＤＡシステムに、当該変電所設備において監視されるパラメータに関するデータ値／信号値からパラメータ値を取得させるように構成される。当該処理回路は、当該ＳＣＡＤＡシステムに、当該パラメータ値のうち少なくともいくつかの各々を少なくとも１つの注意指標に関連付けさせるように構成される。当該処理回路は、当該ＳＣＡＤＡシステムに、それぞれの当該注意指標に関連付けられたパラメータ値を処理することによって、当該注意指標の各々についての１つの注意指標値を決定させるように構成される。全ての監視されたパラメータについての全ての注意指標は、当該変電所設備の異常挙動についての閾値としての役割を果たす全く同一の公称注意指標値を有する。当該処理回路は、当該ＳＣＡＤＡシステムに、当該注意指標値のうち少なくとも１つが当該公称注意指標値を上回っている場合にＨＭＩにアラート表示を与えさせるように構成される。

第３の局面に従うと、変電所設備を監視するためのコンピュータプログラムが提供される。当該コンピュータプログラムは、ＳＣＡＤＡシステム上で実行されると、当該ＳＣＡＤＡシステムに第１の局面に従った方法を実行させるコンピュータプログラムコードを含む。

第４の局面に従うと、第３の局面に従ったコンピュータプログラムと、当該コンピュータプログラムが格納されているコンピュータ可読記憶媒体とを含むコンピュータプログラム製品が提供される。コンピュータ可読記憶媒体は、非一時的コンピュータ可読記憶媒体であり得る。

有利には、これは変電所設備の効率的な監視を提供する。
有利には、これは、ＳＣＡＤＡシステムを用いた変電所設備の規格化された監視を可能にする。

有利には、これは、場合によってはセンサおよび監視設備の要件がより少なくてすむので、信頼性を高めることを可能にする。

開示された実施形態の他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な開示、添付の従属請求項、および添付の図面から明らかとなるだろう。

概して、添付の特許請求の範囲において用いられる語は全て、本明細書において明確にそれ以外の定義がなされていない限り、当該技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるべきである。「ある（a/an）／当該（the）要素、装置、構成要素、手段、モジュール、動作など」と言及する場合、それらは全て、特に明記されていない限り、その要素、装置、構成要素、手段、モジュール、動作などのうち少なくとも１つの例を言及するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書中に開示されるいずれの方法の動作も、特に明記されていない限り、開示されているのと厳密に同じ順序で実施される必要はない。

図面の簡単な説明
ここで、例示のために添付の図面を参照して本発明の概念を説明する。

一実施形態に従った監視システムを示す概略図である。 いくつかの実施形態に従った方法のフローチャートである。 一実施形態に従ったスクリーンキャプチャを概略的に示す図である。 一実施形態に従ったスクリーンキャプチャを概略的に示す図である。 一実施形態に従ったＳＣＡＤＡシステムの機能ユニットを示す概略図である。 一実施形態に従ったコンピュータ可読記憶媒体を備えるコンピュータプログラム製品の一例を示す図である。

詳細な説明
本発明の概念は、本発明の概念についての特定の実施形態が示されている添付の図面を参照して、以下においてより十分に説明されるだろう。しかしながら、本発明の概念は、多くの異なる形態で具現化され得るものであって、本明細書に記載される実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が完全かつ完璧であるとともに本発明の概念の範囲を当業者に十分に伝えるように、例として提供されるものである。説明全体を通して、同様の番号は同様の要素を指している。破線によって示される動作または特徴はいずれも、任意なものと見なされるべきである。

図１は、本明細書に提示される実施形態を適用することができる監視システム１００を示す概略図である。監視システム１００はＳＣＡＤＡシステム２００を備える。さらに、ＳＣＡＤＡシステムは、ＳＣＡＤＡソフトウェアエンティティ１４０と、通信ドライバ１５０と、ローカルストレージ１６０と、前処理ブロック１７０とを備える。さらに、ＳＣＡＤＡソフトウェアエンティティ１４０は、プロセスオブジェクトストレージ１４１、ＨＭＩ１４２、データオブジェクトストレージ１４３、データ取得（data acquisition：ＤＡ）クライアント１４４、データ分析ブロック１４５、ログ１４６、およびイベントジェネレータ１４７を備える。ＳＣＡＤＡシステム２００は、変電所設備１１０、ヒストリアン（historian）１２０、およびフリート管理エンティティ１３０に動作可能に接続される。当業者に理解されるように、ＳＣＡＤＡシステム２００が動作可能に接続される監視システム１００には複数の変電所設備１１０が存在し得る。

１つ以上の変電所設備１１０（以下、簡潔にするために、「変電所設備１１０」と称する）の処理済みまたは未処理の監視信号値／監視データ値（たとえば、センサ、監視ＩＥＤ（Intelligent Electronic Device）、保護ＩＥＤなどからの信号および／またはデータの値を表わす）は、ＩＥＣ６１８５０－８－１、Ｍｏｄｂｕｓ、分散ネットワークプロトコル（Distributed Network Protocol：ＤＮＰ）などのような標準的な変電所通信プロトコルに基づいてＳＣＡＤＡシステム２００に提供される。信号値／データ値は、ＳＣＡＤＡシステム２００におけるＯＰＣ（処理制御のためのＯＬＥ（OLE for Process Control）：ＯＬＥは、「Object Linking and Embedding（オブジェクトのリンクと埋め込み）」の略語である）サーバなどの通信ドライバ１５０において受信され得る。ＯＰＣは、Ｗｉｎｄｏｗｓ（登録商標）プログラムが産業用ハードウェアデバイスと通信することを可能にするソフトウェアインターフェイス規格である。ＯＰＣは、サーバとクライアントとの対において実現される。通信ドライバ１５０は、プログラマブルロジックコントローラ（programmable logic controller：ＰＬＣ）が用いるハードウェア通信プロトコルをＯＰＣプロトコル等に変換するソフトウェアプログラムとして提供されてもよい。通信ドライバ１５０は、ローカルストレージ１６０およびＯＰＣ ＤＡクライアント１４４にデータ／信号を与える。

上記で開示したように、変電所監視の改善が必要とされている。より詳細には、変電所ＳＣＡＤＡシステム２００がさまざまな種類の監視アルゴリズムをホストし（前処理、処理、およびデータ分析を実行し）、全ての監視済み情報を集約して、制御および保護情報と共にユーザ／オペレータに共通のインターフェイスを提供する可能性がある場合であっても、これら変電所ＳＣＡＤＡシステム２００は、ここでは、他の分析プラットフォームにデータをトンネリングするかまたは監視設備から状態を提示するためだけに用いられている。

したがって、本明細書中に開示される実施形態は、変電所設備１１０を監視するためのメカニズムに関する。このようなメカニズムを得るために、ＳＣＡＤＡシステム２００と、ＳＣＡＤＡシステム２００によって実行される方法と、たとえば、ＳＣＡＤＡシステム２００上で実行されるとＳＣＡＤＡシステム２００に当該方法を実行させるコードをコンピュータプログラムの形態で含むコンピュータプログラム製品とが提供される。

図２は、変電所設備１１０を監視するための方法の実施形態を示すフローチャートである。これらの方法はＳＣＡＤＡシステム２００によって実行される。当該方法は、有利には、コンピュータプログラム６２０として提供される。

Ｓ１０２：ＳＣＡＤＡシステム２００は、変電所設備１１０において監視されるパラメータに関するデータ値／信号値からパラメータ値を取得する。ＳＣＡＤＡシステム２００が変電所設備１１０から信号値／データ値を取得し得る方法を上記にて開示している。

各パラメータ値は、１つ以上のデータ値／信号値から直接取得されてもよいが、１つ以上の前処理済みデータ値／信号値の組み合わせの結果であってもよい。さらに、各々のデータ値／信号値は１つ以上のパラメータ値にマッピングされ得る。

Ｓ１０４：ＳＣＡＤＡシステム２００は、パラメータ値のうち少なくともいくつかの各々を少なくとも１つの注意指標に関連付ける。Ｓ１０４はデータ分析ブロック１４５によって実現され得る。

Ｓ１０６：ＳＣＡＤＡシステム２００は、それぞれの注意指標に関連付けられたパラメータ値を処理することによって、注意指標の各々についての１つの注意指標値を決定する。Ｓ１０６はデータ分析ブロック１４５によって実現され得る。

全ての監視されたパラメータについての全ての注意指標は、変電所設備１１０の異常挙動についての閾値としての役割を果たす全く同一の公称注意指標値を有する。

Ｓ１１０：ＳＣＡＤＡシステム２００は、注意指標値のうち少なくとも１つが公称注意指標値を上回っている場合、ＨＭＩ１４２にアラート表示を与える。Ｓ１１０は、ＨＭＩ１４２とともにデータ分析ブロック１４５によって実現され得る。

非限定的な具体例として、監視されるべきパラメータが変圧器用途における総電力損失であると想定するとともに、１２個の波形（６個の電圧波形および６個の対応する電流波形）が測定されるものと想定する。これらの波形の各々から、基本周波数フェーザ（複素数として与えられる振幅および位相角）が前処理中に抽出され、ＳＣＡＤＡシステム２００に送られる。このため、合計２４のデータ値／信号値（１２個の波形の各々に対して１つの振幅値および１つの位相角値）が提供され、ＳＣＡＤＡシステム２００によって取得される。次いで、ＳＣＡＤＡシステム２００では、総電力損失を得るために、各電圧フェーザに、その対応する電流フェーザの複素共役を乗算し、相電力を取得し、さらに、高電圧側の相電力を合計して変圧器の総電力を取得し、低電圧側でも同様に相電力を合計して変圧器の総電力を取得し、さらに、変圧器に入力される総電力と変圧器から出力される総電力との差を得ることによって、総電力損失を取得する。この差は１つの注意指標の基準となる。このため、フェーザ、またはそれらが表わす波形はデータ値／信号値であり、総電力損失はパラメータの一例となる。同じ１２個の複素フェーザをさまざまな組み合わせで用いて、他のパラメータ値および注意指標を決定することもできる。

ここで、ＳＣＡＤＡシステム２００によって実行されるような変電所設備１１０の監視についてのさらなる詳細に関する実施形態を開示する。

いくつかの局面では、本明細書で開示される実施形態のいくつかの部分は、監視されたパラメータの前処理、処理および分析のためにＳＣＡＤＡソフトウェアエンティティ１４０において提供されるプログラミング能力を用いることによって、均一に変電所設備を監視するための標準化されたソリューションを提供するために、ＳＣＡＤＡシステム２００のＳＣＡＤＡソフトウェアエンティティ１４０において実現される。さらに、ＳＣＡＤＡソフトウェアエンティティ１４０の視覚プログラミング環境を用いて、ユーザに対する詳細かつ迅速な健全性状態の表示（いわゆるダイアログ）を構築することができる。

上記で開示したように、変電所設備１１０は、センサ、監視ＩＥＤおよび／または保護ＩＥＤを備え得る。さらに、データ値／信号値はセンサ、監視ＩＥＤおよび／または保護ＩＥＤから取得され得る。

いくつかの例では、監視されたパラメータと少なくとも同じ数の注意指標が存在する（実際には、監視されたパラメータよりも多くの注意指標が存在し得る）。すなわち、監視される変電所設備に２０個のパラメータが存在する場合、２０個以上の注意指標が存在する。しかしながら、これは、必ずしも、単位時間当たりに２０個のデータ値／信号値（これらはさらに、少なくとも２０個の注意指標値にマッピングされる）が取得されることを意味するものではない。データ値／信号値は、（変電所設備１１０における個々のサンプリング期間、ＳＣＡＤＡシステム２００が変電所設備１１０からデータ値／信号値を取得するのに適用されるプロトコルなどに応じて）異なる相対周波数で取得されてもよい。さらに、タップ操作から得られる値などのいくつかのデータ値／信号値は、不規則な時間間隔でしか利用できない。

いくつかの例では、データ値／信号値は、パラメータ値に関連付けられる前に、ＳＣＡＤＡシステム２００において、たとえば、ローカルストレージ１６０からデータ値／信号値をフェッチする前処理ブロック１７０などにおいて、前処理される。より詳細には、信号／データのタイプに応じて、信号値／データ値は、（ＤＡクライアント１４４を介して）ＳＣＡＤＡソフトウェアの分析ルーチンに直接リンクされてもよく、または、関連するパラメータ値を抽出するために前処理段階に経由させてもよい。前処理手段の例には、振幅、動作時間などの波形からパラメータ値を抽出する波形分析アルゴリズムがある。プロセッサおよびメモリ集約型複合前処理アルゴリズムは、ＳＣＡＤＡシステム２００のハードウェアにおいてホストすることができ、残りの分析ルーチンは、ＳＣＡＤＡシステム２００のソフトウェア環境内で符号化およびホストすることができる。

いくつかの例では、データ値／信号値は、各パラメータ値の公称値が公称注意指標値に関連付けられるようにスケーリングされることによって前処理される。

したがって、監視されたパラメータごとの注意指標値は、データ値／信号値に基づいてスケーリングされた量である可能性もある。いくつかの例では、データ値／信号値は、監視済みパラメータ依存型スケーリング関数でスケーリングされる。

上述したように、公称注意指標値は、変電所設備１１０の異常挙動についての閾値としての役割を果たす。さらに、全ての注意指標は全く同一の公称注意指標値を有する。いくつかの例では、公称注意指標値は１．０である。したがって、注意指標値１．０は、その注意指標のパラメータ値が（パラメータ値の実際の値に関係なく）厳密に許容限度にあることを意味する。これにより、個々の注意指標値のいずれかのうち最大値をとることによって、これら個々の注意指標値の全てを１つの主要な個別注意指標値に集約することが容易になる。したがって、いくつかの例では、最大値を有する注意指標を確認するだけで十分である。すなわち、一実施形態に従うと、ＳＣＡＤＡシステム２００はＳ１０８を実行するように構成される。

Ｓ１０８：ＳＣＡＤＡシステム２００は、全ての注意指標値のうち最大の注意指標値が公称注意指標値を上回っているか否かのみをチェックする。Ｓ１０８は、データ分析ブロック１４５によって実現され得る。

しかしながら、いくつかの例では、公称注意指標値を上回る値を有する各注意指標ごとにアラート表示が与えられており、さらに、全ての注意指標の値がチェックされる必要がある。

いくつかの例では、注意指標（およびそれらの値）は、監視されたパラメータのイベントを生成およびログする、ＳＣＡＤＡシステム２００のイベント処理データベースにリンクされる。すなわち、一実施形態に従うと、ＳＣＡＤＡシステム２００は、Ｓ１１２を実行するように構成される。

Ｓ１１２：ＳＣＡＤＡシステム２００は、特定の値を上回る注意指標値を有する少なくとも１つの注意指標（およびその値）の各々をログする。この特定の値は、公称注意指標値に等しくてもよく、または公称注意指標値の整数因子であってもよい。いくつかの例では、ログされた注意指標（およびその値）にタイムスタンプが付される。少なくとも１つの注意指標（およびその値）はログ１４６に記録されてもよい。

これにより、ヒストリアン１２０またはフリート管理エンティティ１３０などの資産管理またはフリート評価システムに監視済みパラメータおよび解析結果を伝達する必要がある場合、これらの監視済みパラメータおよび解析結果は標準フォーマットで利用可能となり得る。

一例として、注意指標値のうち少なくとも１つが公称注意指標値の少なくとも３倍である場合、アラート表示はアラームである。アラームは、データ分析ブロック１４５と共にイベントブロック１４７において生成されるイベントとしてトリガされてもよい。

具体的な非限定例として、変電所設備１１０の３つのパラメータ、すなわち、温度に関連する１つのパラメータ、第１の電圧に関連する１つのパラメータ、および第２の電圧に関連する１つのパラメータ、が監視されるものと想定する。簡潔にするために、各パラメータがそれぞれの注意指標に対応するものとさらに想定する（但し、実際には、典型的には、１つの監視済みパラメータが２つ以上の注意指標に関連付けられており、監視済みパラメータよりも多くの注意指標が存在する可能性もあり得る）。さらに、温度に関連するパラメータが公称注意指標値１．０に対応する摂氏２０度の公称値を有し、第１の電圧に関連するパラメータが公称注意指標値１．０に対応する１５Ｖの公称値を有し、第２の電圧に関連するパラメータが公称注意指標値１．０に対応する１２０Ｖの公称値を有するものと想定する。さらに、温度に関連するパラメータについての摂氏１５度のデータ値／信号値は１．０未満の注意指標値にマッピングされ得るとともに、第１の電圧に関連するパラメータについての１２０Ｖのデータ値／信号値が１．０を超える注意指標値にマッピングされ得るとともに、第２の電圧に関連するパラメータについての９０Ｖのデータ値／信号値が１．０未満の注意指標値にマッピングされ得る。異なるユニットおよび異なる範囲の３つの異なるパラメータがあるものの、ユーザは、依然として、注意指標のいずれかが１．０未満の値または１．０を上回る値を有するかどうかを考慮するだけでよいだろう。

必要に応じて、分析された監視パラメータ値、警告、アラームなどの詳細なビューが、ＨＭＩ１４２におけるディスプレイを通してユーザにとって利用可能になり得る。このビューは、ＳＣＡＤＡシステム２００における分析アルゴリズムへの入力データの履歴、それらの傾向および設定限度を含む監視済みパラメータ、（表、円グラフ、棒グラフなどのような）さまざまなフォーマットの結果を含み得る。

図３および図４は、保護ＩＥＤにおいて利用可能な電圧信号および電流信号に基づいて完全な変圧器監視システムを構築するために変電所インフラストラクチャが用いられているスクリーンキャプチャ３００、４００の形態の一例を示す。図３は、ディスプレイ３１０と、ボタン、ディスプレイ、メニュー項目、リストなどの任意の組み合わせをシンボル化し得るＨＭＩ構成要素３２０、３３０、３４０、３５０とを概略的に示す。図４は、ディスプレイ４１０と、ボタン、ディスプレイ、メニュー項目、リストなどの任意の組み合わせをシンボル化し得るＨＭＩ構成要素４２０、４３０、４４０とを概略的に示す。データの前処理、処理および分析はＳＣＡＤＡシステム２００において実行される。この特定の場合においては、図３におけるような変圧器性能（インピーダンス、巻数比、磁化電流および電力損失）および図４におけるようなタップ切替器動作は、前処理エンティティ１７０およびＳＣＡＤＡソフトウェアエンティティ１４０において実行されるフェーザおよび波形分析に基づいて監視される。

図５は、一実施形態に従ったＳＣＡＤＡシステム２００の構成要素をいくつかの機能ユニットの観点から概略的に示す。処理回路２１０は、たとえば記憶媒体２３０の形態で（図６におけるような）コンピュータプログラム製品６１０に格納されたソフトウェア命令を実行することができる、好適な中央処理ユニット（central processing unit：ＣＰＵ）、マルチプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ（digital signal processor：ＤＳＰ）などのうちの１つ以上の任意の組合わせを用いて提供される。処理回路２１０はさらに、少なくとも１つの特定用途向け集積回路（application specific integrated circuit：ＡＳＩＣ）またはフィールドプログラマブルゲートアレイ（field programmable gate array：ＦＰＧＡ）として提供されてもよい。

特に、処理回路２１０は、上記で開示したように、ＳＣＡＤＡシステム２００に１セットの動作またはアクションを実行させるように構成される。たとえば、記憶媒体２３０は、上記１セットの動作を格納し得るとともに、処理回路２１０は、記憶媒体２３０から当該１セットの動作を取出して、ＳＣＡＤＡシステム２００に当該１セットの動作を実行させるように構成され得る。当該１セットの動作は実行可能な命令のセットとして提供されてもよい。

このように、処理回路２１０は、本明細書中に開示される方法を実行するように構成される。記憶媒体２３０はまた、たとえば、磁気メモリ、光メモリ、ソリッドステートメモリ、またはさらには遠隔装着型メモリのいずれか１つまたはこれらの組合わせであり得る永続型ストレージを備え得る。ＳＣＡＤＡシステム２００はさらに、少なくとも、他のエンティティ、システム、機能、ノード、デバイス、および機器との通信用に構成された通信インターフェイス２２０を含み得る。したがって、通信インターフェイス２２０は、アナログ構成要素およびデジタル構成要素を備える１つ以上の送信機および受信機を備え得る。処理回路２１０は、たとえば、通信インターフェイス２２０および記憶媒体２３０にデータおよび制御信号を送ることによって、通信インターフェイス２２０からデータおよびレポートを受取ることによって、ならびに、記憶媒体２３０からデータおよび命令を取出すことによって、ＳＣＡＤＡシステム２００の全体的な動作を制御する。本明細書で提示される概念を不明瞭にするのを避けるために、ＳＣＡＤＡシステム２００の他の構成要素および関連する機能は省略されている。

処理回路２１０、記憶媒体２３０、および通信インターフェイス２２０は集合的に、図１のＳＣＡＤＡシステム２００の機能を実現する。

図６は、コンピュータ可読記憶媒体６３０を備えるコンピュータプログラム製品６１０の一例を示す。このコンピュータ可読記憶媒体６３０には、コンピュータプログラム６２０が格納可能であり、当該コンピュータプログラム６２０は、処理回路２１０とそれに動作可能に連結されたエンティティおよびデバイス、たとえば通信インターフェイス２２０および記憶媒体２３０とに、本明細書に記載の実施形態に従った方法を実行させることができる。したがって、コンピュータプログラム６２０および／またはコンピュータプログラム製品６１０は、本明細書で開示するいずれかのアクションを実行するための手段を提供し得る。

図６の例では、コンピュータプログラム製品６１０は、コンパクトディスク（compact disc：ＣＤ）またはデジタル多用途ディスク（digital versatile disc：ＤＶＤ）またはブルーレイディスクなどの光ディスクとして例示されている。コンピュータプログラム製品６１０はまた、ランダムアクセスメモリ（random access memory：ＲＡＭ）、読取り専用メモリ（read-only memory：ＲＯＭ）、消去可能なプログラム可能読取り専用メモリ（erasable programmable read-only memory：ＥＰＲＯＭ）、または、電気的消去可能なプログラム可能読取り専用メモリ（electrically erasable programmable read-only memory：ＥＥＰＲＯＭ）などのメモリとして具現化され得るとともに、より特定的には、ユニバーサル・シリアル・バス（universal serial bus：ＵＳＢ）メモリまたはコンパクトフラッシュ（登録商標）メモリなどのフラッシュメモリなどといった外部メモリにおけるデバイスの不揮発性記憶媒体として具現化され得る。このため、コンピュータプログラム６２０は、ここでは、図示される光ディスク上のトラックとして概略的に示されており、コンピュータプログラム６２０はコンピュータプログラム製品６１０に適した任意の方法で格納することができる。

いくつかの実施形態を参照しながら主に本発明の概念を説明してきた。しかしながら、当業者によって容易に理解されるように、上に開示したもの以外の他の実施形態が、添付の特許請求の範囲によって定義されるように本発明の概念の範囲内で等しく実現可能である。

Claims (14)

1. 変電所設備（１１０）を監視するための方法であって、前記方法は、監視制御およびデータ取得（Supervisory Control And Data Acquisition：ＳＣＡＤＡ）システム（２００）によって実行され、前記方法は、
   前記変電所設備（１１０）において監視されるパラメータに関するデータ値／信号値からパラメータ値を取得するステップ（Ｓ１０２）と、
   前記パラメータ値のうち少なくともいくつかの各々を少なくとも１つの注意指標に関連付けるステップ（Ｓ１０４）と、
   それぞれの前記注意指標に関連付けられたパラメータ値を処理することによって、前記注意指標の各々についての１つの注意指標値を決定するステップ（Ｓ１０６）とを含み、
   全ての監視されたパラメータについての全ての注意指標は、前記変電所設備（１１０）の異常挙動についての閾値としての役割を果たす全く同一の公称注意指標値を有し、前記方法はさらに、
   前記注意指標値のうち少なくとも１つが前記公称注意指標値を上回っている場合にヒューマンマシンインターフェイス（human machine interface：ＨＭＩ）（１４２）にアラート表示を与えるステップ（Ｓ１１０）を含む、方法。
2. 監視されたパラメータと少なくとも同じ数の注意指標がある、請求項１に記載の方法。
3. 前記データ値／信号値は、前記注意指標値に関連付けられる前に前記ＳＣＡＤＡシステム（２００）において前処理される、請求項１または２に記載の方法。
4. 前記データ値／信号値は、各パラメータ値の公称値が前記公称注意指標値に関連付けられるようにスケーリングされることによって前処理される、請求項３に記載の方法。
5. 前記注意指標値が１．０であるとき、前記注意指標のパラメータ値は許容限度にある、請求項４に記載の方法。
6. 全ての前記注意指標値のうち最大の注意指標値が前記公称注意指標値を上回っているか否かのみをチェックするステップ（Ｓ１０８）をさらに含む、請求項１から請求項５のいずれか１項に記載の方法。
7. 特定の値を上回る注意指標値を有する少なくとも１つの注意指標の各々をログするステップ（Ｓ１１２）をさらに含む、請求項１から請求項６のいずれか１項に記載の方法。
8. 前記注意指標値のうち少なくとも１つが前記公称注意指標値の少なくとも３倍である場合、前記アラート表示はアラームである、請求項１から請求項７のいずれか１項に記載の方法。
9. 前記公称注意指標値は１．０である、請求項１から請求項８のいずれか１項に記載の方法。
10. 前記変電所設備（１１０）は、センサ、監視インテリジェント電子デバイス（Intelligent Electronic Device：ＩＥＤ）、および／または保護ＩＥＤを備え、前記データ値／信号値は、前記センサ、監視ＩＥＤ、および／または保護ＩＥＤから取得される、請求項１から請求項９のいずれか１項に記載の方法。
11. 変電所設備（１１０）を監視するための監視制御およびデータ取得（ＳＣＡＤＡ）システム（２００）であって、前記ＳＣＡＤＡシステム（２００）は処理回路（２１０）を備え、前記処理回路は前記ＳＣＡＤＡシステム（２００）に、
    前記変電所設備（１１０）において監視されるパラメータに関するデータ値／信号値からパラメータ値を取得させ、
    前記パラメータ値のうち少なくともいくつかの各々を少なくとも１つの注意指標に関連付けさせ、
    それぞれの前記注意指標に関連付けられたパラメータ値を処理することによって、前記注意指標の各々についての１つの注意指標値を決定させるように構成され、
    全ての監視されたパラメータについての全ての注意指標は、前記変電所設備（１１０）の異常挙動についての閾値としての役割を果たす全く同一の公称注意指標値を有し、前記処理回路は前記ＳＣＡＤＡシステム（２００）に、さらに、
    前記注意指標値のうち少なくとも１つが前記公称注意指標値を上回っている場合にヒューマンマシンインターフェイス（ＨＭＩ）（１４２）にアラート表示を与えさせるように構成される、ＳＣＡＤＡシステム（２００）。
12. 請求項２から１０のいずれか１項に記載の方法を実行するようにさらに構成される、請求項１１に記載のＳＣＡＤＡシステム（２００）。
13. 変電所設備（１１０）を監視するためのコンピュータプログラム（６２０）であって、前記コンピュータプログラムはコンピュータコードを含み、前記コンピュータコードは、監視制御およびデータ取得（ＳＣＡＤＡ）システム（２００）の処理回路（２１０）上で実行されると、前記ＳＣＡＤＡシステム（２００）に、
    前記変電所設備（１１０）において監視されるパラメータに関するデータ値／信号値からパラメータ値を取得すること（Ｓ１０２）と、
    前記パラメータ値のうち少なくともいくつかの各々を少なくとも１つの注意指標に関連付けること（Ｓ１０４）と、
    それぞれの前記注意指標に関連付けられたパラメータ値を処理することによって、前記注意指標の各々についての１つの注意指標値を決定すること（Ｓ１０６）とを実行させ、
    全ての監視されたパラメータについての全ての注意指標は、前記変電所設備（１１０）の異常挙動についての閾値としての役割を果たす全く同一の公称注意指標値を有し、前記ＳＣＡＤＡシステム（２００）にさらに、
    前記注意指標値のうち少なくとも１つが前記公称注意指標値を上回っている場合にヒューマンマシンインターフェイス（ＨＭＩ）（１４２）にアラート表示を与えること（Ｓ１１０）を実行させる、コンピュータプログラム（６２０）。
14. 請求項１３に記載のコンピュータプログラム（６２０）を記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体（６３０）。

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