JP7232474B2 - 高靭性繊維複合エラストマー - Google Patents

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Description

本発明は、繊維およびポリマーを含む、強靭かつ柔軟な複合材に関する。
従来の繊維強化材料は、硬く高強度の繊維を骨格とし、マトリクスとして硬いプラスチックが使用されてきた(硬いプラスチックについては、プラスチック・機能性高分子材料事典、産業調査会事典出版センター、2004年、第5章(非特許文献1)を参照されたい)。
プラスチック・機能性高分子材料事典、産業調査会事典出版センター、2004年、第5章
本発明者らは、特定のモノマー(本明細書において「ソフトセグメント」ともいう。)の組合せを、必要に応じてもう一種のモノマー(本明細書において「ハードセグメント」ともいう)と組み合わせて、必要に応じて繊維と接触させた状態で重合させることで得られる新規クラスの強靭でありかつ柔軟な複合材を成功裏に合成した。このポリマー組成を最適化することにより、本発明者らは、最も強靭なポリマーを用いた場合、複合材の引裂エネルギーが、1000kJ/mを超える高い値を達成することができることを見出した。
本発明は、柔らかく、高靭性な物質をマトリクス(高靭性エラストマーなど)として使用する複合材およびその応用技術を提供する。これにより、以下の利点を得ることができる。(1)界面の剥離を回避することができる。(2)マトリクス相がエネルギーを散逸させることができる。(3)軟物質と硬物質との複合化により大きいプロセスゾーンを稼ぐことができる。本発明では繊維に代表される硬物質およびマトリクスに代表される軟物質のいずれかまたはその両方の物性あるいはその相互関係が重要でありうる。
本発明は、以下の項目を提供する。
(項1)繊維とガラス転移可能ポリマーとを含む複合材であって、
前記ガラス転移可能ポリマーは、一種またはそれより多種のモノマーを含むモノマー成分を重合することにより形成されるホモポリマーまたはコポリマーであり、
前記モノマー成分は、モノマー(A)と、任意選択的にビニル系モノマー(B)とを含み、
前記モノマー(A)のガラス転移温度が-100℃以上であり、かつ10℃より低い、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項2)前記モノマー(A)のガラス転移温度が-70℃以上であり、かつ10℃より低い、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項3)前記ビニル系モノマー(B)のガラス転移温度が10℃以上であり、かつ120℃以下である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項4)前記ビニル系モノマー(B)のガラス転移温度が10℃以上であり、かつ100℃以下である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項5)前記モノマー(A)が、一般式(1)
Figure 0007232474000001

(式中、Rは水素であり、Rは、非置換もしくは置換アルキル基、または非置換もしくは置換アリール基であり、Xは酸素であり、Xは酸素または硫黄であり、nは0~3であるが、ただし、Rが非置換C1-4アルキルまたはヒドロキシ置換C1-4アルキルであるとき、nは1~3である。)で表され、前記ビニル系モノマー(B)が、一般式(2)
Figure 0007232474000002
(式中、Rは水素であり、Rは、-C(=O)-O-Rであり、Rは、非置換もしくは置換第三級炭素含有C4-6アルキル基、または非置換もしくは置換C3~12シクロアルキル基である。)で表される、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項6)前記ガラス転移可能ポリマーのガラス転移温度が、約-70~70℃である、上記項に記載の複合材。
(項7)Rは、非置換もしくは置換C1-18アルキル基、または非置換もしくは置換C6~18アリール基である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項7A)Rは、非置換もしくは置換C6~18アリール基で置換されたC1-18アルキル基、または非置換もしくは置換C6~18アリール基である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項7B)Rは、非置換もしくは置換C6~18アリール基で置換されたC1-18アルキル基、または非置換もしくは置換C6~18アリール基であり、n=0または1である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項7C)Rは、非置換もしくは置換C6~18アリール基で置換されたC1-18アルキル基、または非置換もしくは置換C6~18アリール基であり、n=0である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項7D)Rは、非置換もしくは置換C6~18アリール基で置換されたC1-18アルキル基、または非置換もしくは置換C6~18アリール基であり、n=0または1である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項7E)Rは、非置換もしくは置換C6~18アリール基で置換されたC1-18アルキル基、または非置換もしくは置換C6~18アリール基であり、n=0である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項7F)Rは、非置換もしくは置換C6~18アリール基で置換されたC1-18アルキル基であり、n=0または1である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項7G)Rは、非置換もしくは置換C6~18アリール基で置換されたC1-18アルキル基であり、n=0である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項7H)Rは、フェニル基で置換されたC1-18アルキル基であり、n=0または1である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項7I)Rは、フェニル基で置換されたC1-18アルキル基であり、n=0である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項7J)Rは、ベンジル基であり、n=0または1である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項7K)Rは、ベンジル基であり、n=0である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項8)前記モノマー(A)を約50重量部~100重量部の範囲で使用して前記重合がなされる、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項9)前記モノマー(B)を0重量部超かつ約50重量部以下の範囲で使用して前記重合がなされる、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項10)前記モノマー(B)は、前記複合材を製造する条件において該モノマー(B)のみから構成されるホモポリマーを製造した際に、該ホモポリマーが、約30℃~120℃のガラス転移温度を有するように選択される、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項11)Rは、C1~4アルキル基より選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい、t-ブチル基、イソボルニル基、アダマンチル基、C5~7シクロアルキル基、または5~6員複素環式基である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項12)前記モノマー(B)は、t-ブチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、およびシクロヘキシルアクリレートからなる群から選択される少なくとも1つを含む、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項13)前記繊維が、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド(ケブラー(登録商標))繊維、植物繊維、木質繊維、動物繊維、鉱物繊維、金属繊維、および合成高分子繊維ならびにそれらの組合せからなる群から選択される1種または複数種の繊維である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項14)前記繊維により織物、編物または不織布が形成されている、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
本発明はまた、以下の項目を提供する。
(項A1)繊維とガラス転移可能ポリマーとを含む、複合材。
(項A2)前記ガラス転移可能ポリマーのガラス転移温度が、約-70~30℃または約-50~20℃である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A3)前記ポリマーは、一種またはそれより多種のモノマーを含むモノマー成分を重合することにより形成されるホモポリマーまたはコポリマーである、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A4)前記モノマー成分の粘度が、約0.1~50mPa・sまたは約0.5~30mPa・sである、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A5)前記モノマー成分の表面張力が、約15~55mN/mまたは約20~40mN/mである、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A6)前記ガラス転移可能ポリマーが、(メタ)アクリル系ポリマー、エチレン系ポリマー、ウレタン系ポリマー、エーテル系ポリマー、アミド系ポリマー、カーボネート系ポリマーおよびシリコーン系ポリマー、ならびにこれらの任意の組合せからなる群より選択される、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A7)前記モノマー成分が、一般式(1)
Figure 0007232474000003

(Rは、水素またはC1~4アルキル基であり、Rは、非置換もしくは置換アルキル基、非置換もしくは置換アルケニル基、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基であり、XおよびXはそれぞれ独立して、O、S、NR、およびCRx1x2からなる群から選択され、Rは、水素、C1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、C1~6ハロアルキル基、またはC2~6ハロアルケニル基であり、Rx1およびRx2はそれぞれ独立して、水素、非置換もしくは置換アルキル基、非置換もしくは置換アルケニル基、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基であるか、あるいは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基を形成し、nは0~20である)で表されるモノマー(A)、および/または、一般式(2)
Figure 0007232474000004

(Rは、水素またはC1~4アルキル基であり、Rは、有機基である)で表されるビニル系モノマー(B)を含む、複合材。
(項A8)XはOであり、各Xは独立してO、SまたはCHである、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A9)nが0~4である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A10)Rは水素またはメチル基である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A11)Rは、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、C1~10アルキル基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルキルオキシカルボニル基、C1~6ハロアルキル基、C2~6アルケニル基、C2~6ハロアルケニル基、C3~6シクロアルキル基、C3~6ハロシクロアルキル基、3~8員複素環式基およびC6~18アリールチオ基からなる群より選択される1つまたは複数の基で置換されていてもよい、C1~6アルキル基、C2~6アルケニル基、C3~6シクロアルキル基、C6~18アリール、5~18員ヘテロアリール基であるが、ただし、XがRと直接結合する場合、Rは、C6~18アリール基でも5~18員ヘテロアリール基でもない、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A12)Rは、ヒドロキシル基、C1~6アルキル基およびC6~18アリールチオ基からなる群より選択される1つまたは複数の基で置換されていてもよい、C1~18アルキル基、C6~18アリールまたは5~18員ヘテロアリール基である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A13)Rは、C1~6アルキル基、フェニル基、ベンジル基またはフェニルチオエチル基である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A14)前記モノマー(A)を約50重量部~100重量部の範囲で使用して前記重合がなされる、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A15)前記モノマー(B)を0重量部超かつ約50重量部以下の範囲で使用して前記重合がなされる、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A16)前記モノマー(A)は、2-メトキシエチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、トリエチレングリコールメチルエーテルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソステアリルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレートおよびシクロヘキシルアクリレートからなる群から少なくとも1つ以上選択されるものを含む、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A17)前記モノマー(B)は、前記複合材を製造する条件において該モノマー(B)のみから構成されるホモポリマーを製造した際に、該ホモポリマーが、約30℃~120℃のガラス転移温度を有するように選択される、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A18)前記Rは水素またはメチル基である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A19)Rは、-C(=O)-O-L-Rであり、Lは、結合または-C1~4アルキレン-であり、Rは、非置換もしくは置換第三級炭素含有C4~8アルキル基、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A20)Lは、結合または-CH-であり、Rは、非置換もしくは置換第三級炭素含有C4~8アルキル基、非置換もしくは置換C3~12シクロアルキル基、非置換もしくは置換C3~12シクロアルケニル基、非置換もしくは置換5~12員複素環式基、非置換もしくは置換C6~18アリール基、または非置換もしくは置換5~18員ヘテロアリール基である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A21)Rは、C1~4アルキル基より選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい、t-ブチル基、イソボルニル基、アダマンチル基、C5~7シクロアルキル基、または5~6員複素環式基である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A22)前記モノマー(B)は、t-ブチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、アダマンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレートからなる群から選択される少なくとも1つを含む、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A23)前記モノマー成分が架橋剤の非存在下または存在下で重合される、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A24)前記ポリマーは熱重合もしくは光重合されたものであるか、または熱重合されたものである、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A25)前記ホモポリマーまたはコポリマーは重合開始剤としてベンゾフェノンまたはその類似体、あるいはアゾビスイソブチロニトリルまたはその類似体を使用することによって重合されたものである、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A26)前記繊維が、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、植物繊維、木質繊維、動物繊維、鉱物繊維、および合成高分子繊維ならびにそれらの組合せからなる群から選択される、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A27)前記繊維により織物、編物または不織布が形成されている、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A28)前記モノマー成分は、前記複合材を製造する条件において該モノマー成分のみから構成されるホモポリマーまたはコポリマーを製造した際に、該ホモポリマーまたはコポリマーが、約0.05MPa以上の引張係数を有するように選択される、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A29)前記複合材の引張係数が500MPa以上である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A30)前記複合材の曲げ弾性係数が5MPa以上である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A31)50mm/分の引裂速度での引裂試験により複合材を測定した場合、その引裂エネルギーが、約200kJ/m以上である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A32)50mm/分の引裂速度での引裂試験により前記ガラス転移可能ポリマーを測定した場合、その引裂エネルギーが、約400kJ/m以上である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A33)50mm/分の引張速度での引張試験により複合材を測定した場合、その引張係数が約0.05~200MPaである、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A34)50mm/分の引張速度での引張試験により前記ガラス転移可能ポリマーを単独で測定した場合、その引張係数が約0.05~100MPa以上である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A35)前記ガラス転移可能ポリマーは、前記モノマー成分を前記繊維に含浸させた後に重合させることによって生成される、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A36)前記含浸工程が、前記繊維を型の内部で固定し、前記モノマー成分を型の内部へ注入し、前記繊維を前記モノマー成分で浸す工程を含む、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A37)繊維とガラス転移可能ポリマーとを含む複合材を製造する方法。
(項A38)前記ガラス転移可能ポリマーは、一般式(1)
Figure 0007232474000005

(Rは、水素またはC1~4アルキル基であり、Rは、非置換もしくは置換アルキル基、非置換もしくは置換アルケニル基、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基であり、XおよびXはそれぞれ独立して、O、S、NR、およびCRx1x2からなる群から選択され、Rは、水素、C1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、C1~6ハロアルキル基、またはC2~6ハロアルケニル基であり、Rx1およびRx2はそれぞれ独立して、水素、非置換もしくは置換アルキル基、非置換もしくは置換アルケニル基、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基であるか、あるいは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基を形成し、nは0~20である)で表されるモノマー(A)、および/または、一般式(2)
Figure 0007232474000006

(Rは、水素またはC1~4アルキル基であり、Rは、有機基である)で表されるビニル系モノマー(B)を含むモノマー成分を、架橋剤の存在下または非存在下で重合させて得られるホモポリマーまたはコポリマーである、上記項のいずれか1項に記載の方法。
(項A39)前記モノマー成分は架橋剤の存在下で重合される、上記項のいずれか1項に記載の方法。
(項A40)前記モノマー成分は架橋剤の非存在下で重合される、上記項のいずれか1項に記載の方法。
(項A41)前記モノマー成分を、塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法、および懸濁重合法からなる群より選択される重合法にしたがって重合させる、上記項のいずれか1項に記載の方法。
(項A42)自動車、航空機、船舶、列車、自動二輪、自転車などの乗り物部品、ヘルメット、マスク、ゴーグル、防具、バッド、ゴルフクラブ、テニスラケット、スキー板、ストックなどのスポーツ用品、防弾壁、防弾チョッキ、防弾車などの防護用品、義手、義足などの義肢用品、スーツケース、キャリーケースなどのカバン用品、掃除機、電動工具などの家電製品、傘、杖などの携帯化成品、ベッド、マット、クッションなどの家具製品、食器、玩具、遊具用品、建築材料、衣服材料、電子材料、医療材料、ヘルスケア材料、ライフサイエンス材料、およびロボット材料における、上記項のいずれか1項に記載の複合材の使用。
本発明はさらに、以下の項目を提供する。
(項B1)第一の材料と第二の材料とを含む複合材であって、(i)第一の材料についてはJIS R7606に、第二の材料についてはJIS K7161に準ずる引張試験方法により約20℃にて50mm/分の速度で破壊応力を測定した場合に、該第一の材料と該第二の材料との破壊応力の比が約50以上である、および(ii)前記引張試験方法により約20℃にて50mm/分の速度で弾性率(引張係数)を測定した場合に、該第一の材料と該第二の材料との弾性率(引張係数)の比が約100以上であるの少なくとも1つの条件を満たす、複合材。
(項B2)第一の材料と第二の材料とを含む複合材であって、(i)第一の材料についてはJIS R7606に、第二の材料についてはJIS K7161に準ずる引張試験方法により約20℃にて50mm/分の速度で破壊応力を測定した場合に、該第一の材料が、約50MPa以上の破壊応力を有する、および(ii)前記引張試験方法により約20℃にて50mm/分の速度で破断ひずみを測定した場合に、該第二の材料が、約200%以上の破断ひずみを有するの少なくとも1つの条件を満たす、複合材。
(項B3)第一の材料と第二の材料とを含む複合材であって、(i)前記引張試験方法により約20℃にて50mm/分の速度で破壊応力を測定した場合に、該第一の材料が、約100MPa以上の破壊応力を有する、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B4)第一の材料と第二の材料とを含む複合材であって、(ii)前記引張試験方法により約20℃にて50mm/分の速度で破断ひずみを測定した場合に、該第二の材料が、約200%以上の破断ひずみを有する、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B5)前記第一の材料が約250MPa以上または約500MPa以上の破壊応力を有する、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B6)前記第二の材料が約300%以上または約400%以上の破断ひずみを有する、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B7)第一の材料と第二の材料とを含む複合材であって、(i)該第一の材料と該第二の材料との破壊応力の比が50以上である、複合材。
(項B8)第一の材料と第二の材料とを含む複合材であって、(ii)該第一の材料と該第二の材料との引張係数の比が100以上である、複合材。
(項B9)前記破壊応力の比が約100以上または約150以上である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B10)前記引張係数の比が約2500以上または約5000以上である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B11)前記第一の材料と前記第二の材料とは界面が接着している、そして/または物理的にインターロックしている、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B12)前記第一の材料が繊維状の形態を有し、該第一の材料の繊維ユニットは、約1TEX~約1000TEX、約10TEX~約950TEX、約30TEX~約900TEX、約45TEX~約850TEXまたは約60TEX~約800TEXの太さである、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B13)前記第一の材料の繊維ユニットの断面積は、約0.05mm以上、約0.075mm以上または約0.1mm以上である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B14)前記第一の材料が繊維ユニットであり、前記第二の材料がガラス転移可能ポリマーである、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B15)前記ガラス転移可能ポリマーのガラス転移温度が、約-150~150℃、約-100~100℃、約-70~30℃または約-50~20℃である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B16)前記ガラス転移可能ポリマーは、一種またはそれより多種のモノマーを含むモノマー成分を重合することにより形成されるホモポリマーまたはコポリマーである、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B17)前記ガラス転移可能ポリマーが、(メタ)アクリル系ポリマー、エチレン系ポリマー、ウレタン系ポリマー、エーテル系ポリマー、アミド系ポリマー、カーボネート系ポリマーおよびシリコーン系ポリマー、ならびにこれらの任意の組合せからなる群より選択される、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B18)前記モノマー成分が、一般式(1)
Figure 0007232474000007

(Rは、水素またはC1~4アルキル基であり、Rは、非置換もしくは置換アルキル基、非置換もしくは置換アルケニル基、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基であり、XおよびXはそれぞれ独立して、O、S、NR、およびCRx1x2からなる群から選択され、Rは、水素、C1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、C1~6ハロアルキル基、またはC2~6ハロアルケニル基であり、Rx1およびRx2はそれぞれ独立して、水素、非置換もしくは置換アルキル基、非置換もしくは置換アルケニル基、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基であるか、あるいは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基を形成し、nは0~20である)で表されるモノマー(A)、および/または、一般式(2)
Figure 0007232474000008

(Rは、水素またはC1~4アルキル基であり、Rは、有機基である)で表されるビニル系モノマー(B)を含む、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B19)XはOであり、各Xは独立してO、SまたはCHである、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B20)nが0~4である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B21)Rは水素またはメチル基である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B22)Rは、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、C1~10アルキル基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルキルオキシカルボニル基、C1~6ハロアルキル基、C2~6アルケニル基、C2~6ハロアルケニル基、C3~6シクロアルキル基、C3~6ハロシクロアルキル基、3~8員複素環式基およびC6~18アリールチオ基からなる群より選択される1つまたは複数の基で置換されていてもよい、C1~6アルキル基、C2~6アルケニル基、C3~6シクロアルキル基、C6~18アリール、5~18員ヘテロアリール基であるが、ただし、XがRと直接結合する場合、Rは、C6~18アリール基でも5~18員ヘテロアリール基でもない、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B23)Rは、ヒドロキシル基、C1~6アルキル基およびC6~18アリールチオ基からなる群より選択される1つまたは複数の基で置換されていてもよい、C1~18アルキル基、C6~18アリールまたは5~18員ヘテロアリール基である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B24)Rは、C1~6アルキル基、フェニル基、ベンジル基またはフェニルチオエチル基である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B25)前記モノマー(A)を約50重量部~100重量部の範囲で使用して前記重合がなされる、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B26)前記モノマー(B)を0重量部超かつ約50重量部以下の範囲で使用して前記重合がなされる、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B27)前記モノマー(A)は、2-メトキシエチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、トリエチレングリコールメチルエーテルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソステアリルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレートおよびシクロヘキシルアクリレートからなる群から少なくとも1つ以上選択されるものを含む、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B28)前記モノマー(B)は、前記複合材を製造する条件において該モノマー(B)のみから構成されるホモポリマーを製造した際に、該ホモポリマーが、約30℃~120℃のガラス転移温度を有するように選択される、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B29)前記Rは水素またはメチル基である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B30)Rは、-C(=O)-O-L-Rであり、Lは、結合または-C1~4アルキレン-であり、Rは、非置換もしくは置換第三級炭素含有C4~8アルキル基、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B31)Lは、結合または-CH-であり、Rは、非置換もしくは置換第三級炭素含有C4~8アルキル基、非置換もしくは置換C3~12シクロアルキル基、非置換もしくは置換C3~12シクロアルケニル基、非置換もしくは置換5~12員複素環式基、非置換もしくは置換C6~18アリール基、または非置換もしくは置換5~18員ヘテロアリール基である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B32)Rは、C1~4アルキル基より選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい、t-ブチル基、イソボルニル基、アダマンチル基、C5~7シクロアルキル基、または5~6員複素環式基である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B33)前記モノマー(B)は、t-ブチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、アダマンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレートからなる群から選択される少なくとも1つを含む、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B34)前記モノマー成分が架橋剤の非存在下または存在下で重合される、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B35)前記ポリマーは熱重合もしくは光重合されたもの、または熱重合されたものである、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B36)前記ホモポリマーまたはコポリマーは重合開始剤としてベンゾフェノンまたはその類似体、あるいはアゾビスイソブチロニトリルまたはその類似体を使用することによって重合されたものである、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B37)前記第一の材料が繊維であり、該繊維がガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、植物繊維、木質繊維、動物繊維、鉱物繊維、金属繊維、および合成高分子繊維ならびにそれらの組合せからなる群から選択される、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B38)前記第一の材料が繊維であり、該繊維がガラス繊維、炭素繊維、およびアラミド(ケブラー(登録商標))繊維からなる群から選択される、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B39)前記第一の材料が、織物、編物または不織布として形成される繊維である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B40)前記モノマー成分は、前記複合材を製造する条件において該モノマー成分のみから構成されるホモポリマーまたはコポリマーを製造した際に、該ホモポリマーまたはコポリマーが、約0.05MPa以上の引張係数を有するように選択される、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B41)前記複合材の引張係数が500MPa以上である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B42)前記複合材の曲げ弾性係数が5MPa以上である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B43)JIS K7128-1に準ずる引裂試験方法により50mm/分の引裂速度での引裂試験により複合材を測定した場合、その引裂エネルギーが、約200kJ/m以上である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B44)JIS K7128-1に準ずる引裂試験方法により50mm/分の引裂速度での引裂試験により前記ガラス転移可能ポリマーを測定した場合、その引裂エネルギーが、約400kJ/m以上である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B45)50mm/分の引張速度での前記引張試験方法により複合材を測定した場合、その引張係数が約0.05~200MPaである、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B46)50mm/分の引張速度での前記引張試験方法により前記ガラス転移可能ポリマーを単独で測定した場合、その引張係数が約0.05~100MPa以上である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B47)前記ガラス転移可能ポリマーは、前記モノマー成分を前記第一の材料を構成する繊維ユニットから構成されるファブリックに含浸させた後に重合させることによって生成される、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B48)前記含浸工程が、前記第一の材料を構成する繊維ユニットから構成されるファブリックを型の内部で固定し、前記モノマー成分を型の内部へ注入し、前記繊維ユニットを前記モノマー成分で浸す工程を含む、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B49)繊維とガラス転移可能ポリマーとを含む複合材を製造する方法。
(項B50)前記ガラス転移可能ポリマーは、一般式(1)
Figure 0007232474000009

(Rは、水素またはC1~4アルキル基であり、Rは、非置換もしくは置換アルキル基、非置換もしくは置換アルケニル基、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基であり、XおよびXはそれぞれ独立して、O、S、NR、およびCRx1x2からなる群から選択され、Rは、水素、C1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、C1~6ハロアルキル基、またはC2~6ハロアルケニル基であり、Rx1およびRx2はそれぞれ独立して、水素、非置換もしくは置換アルキル基、非置換もしくは置換アルケニル基、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基であるか、あるいは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基を形成し、nは0~20である)で表されるモノマー(A)、および/または、一般式(2)
Figure 0007232474000010

(Rは、水素またはC1~4アルキル基であり、Rは、有機基である)で表されるビニル系モノマー(B)を含むモノマー成分を、架橋剤の存在下または非存在下で重合させて得られるホモポリマーまたはコポリマーである、上記項のいずれか1項に記載の方法。
(項B51)前記モノマー成分は架橋剤の存在下または非存在下で重合される、上記項のいずれか1項に記載の方法。
(項B52)前記モノマー成分を、塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法、および懸濁重合法からなる群より選択される重合法にしたがって重合させる、上記項のいずれか1項に記載の方法。
(項B53)自動車、航空機、船舶、列車、自動二輪、自転車などの乗り物部品、ヘルメット、マスク、ゴーグル、防具、バッド、ゴルフクラブ、テニスラケット、スキー板、ストックなどのスポーツ用品、防弾壁、防弾チョッキ、防弾車などの防護用品、義手、義足などの義肢用品、スーツケース、キャリーケースなどのカバン用品、掃除機、電動工具などの家電製品、傘、杖などの携帯化成品、ベッド、マット、クッションなどの家具製品、食器、玩具、遊具用品、建築材料、衣服材料、電子材料、医療材料、ヘルスケア材料、ライフサイエンス材料、およびロボット材料における、上記項のいずれか1項に記載の複合材または上記項のいずれか1項に記載の方法によって製造された複合材の使用。
(項B54)
自動車、航空機、船舶、列車、自動二輪、自転車などの乗り物部品、ヘルメット、マスク、ゴーグル、防具、バッド、ゴルフクラブ、テニスラケット、スキー板、ストックなどのスポーツ用品、防弾壁、防弾チョッキ、防弾車などの防護用品、義手、義足などの義肢用品、スーツケース、キャリーケースなどのカバン用品、掃除機、電動工具などの家電製品、傘、杖などの携帯化成品、ベッド、マット、クッションなどの家具製品、食器、玩具、遊具用品、建築材料、衣服材料、電子材料、医療材料、ヘルスケア材料、ライフサイエンス材料、およびロボット材料として使用するための、上記項のいずれか1項に記載の複合材または上記項のいずれか1項に記載の方法によって製造された複合材、あるいは前記複合材を含む組成物、あるいは、前記複合材を含む、乗り物製品、スポーツ用品、防護用品、義肢用品、カバン用品、家電製品、携帯化成品、家具製品、食器、玩具、遊具、建築物、衣服、電子製品、医療機器、医療製品、ヘルスケア製品、ライフサイエンス製品、ロボット製品などの製品。
本発明において、上記の一つ又は複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、明示されたもの以外の組み合わせもさらに提供され得ることが意図される。本発明のさらなる実施形態及び利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。
本発明の複合材は、高い靭性および柔軟性が必要とされるあらゆる分野において、例えば、その分野は、金属材料、高分子材料、無機材料といった従来の物質種別の材料工学分野はもとより、界面科学、プロセス工学、生産工学、機械工学、航空宇宙工学、船舶工学、建築土木工学等々、極めて広範囲に及び、より具体的には、二輪車(自転車、オートバイなど)、自動車、飛行機、電車、船、ロケット、宇宙船、運送、レジャー家具、寝具、衣服、防護服、スポーツ用品、浴槽、キッチン、食器、調理用具、容器および包装材、建築(建造物、道路、建築部品など)、農業フィルム、工業フィルム、上下水道、塗料、化粧料、電機産業および電子産業分野(電化製品、コンピュータ用部品、プリント基板、絶縁体、導電体、配線被膜材、発電素子、スピーカー、マイクロフォン、ノイズキャンセラ、トランスデューサなど)、光通信ケーブル、医療用材料および器具(カテーテル、ガイドワイヤー、人工血管、人工筋肉、人工臓器、透析膜、内視鏡など)、小型ポンプ、アクチュエータ、ロボット材料(産業用ロボットなどに使用されるセンサなど)、エネルギー生成装置およびプラント(太陽光発電、風力発電など)など幅広い分野に応用することができる。
図1は、フェノキシジエチレングリコールアクリレート(PHDEA)およびイソボルニルアクリレート(IBXA)のモル分率が異なる、PHDEAとIBXAとのコポリマー(PHDEA-co-IBXA)の引張試験の応力-ひずみ曲線である。灰色実線はPHDEA:IBXA=0.4:0.6であり、黒破線はPHDEA:IBXA=0.45:0.55であり、灰色一点鎖線はPHDEA:IBXA=0.5:0.5であり、黒実線はPHDEA:IBXA=0.6:0.4であり、灰色点線はPHDEA:IBXA=0.7:0.3である。 図2は、PHDEAおよびIBXAのモル分率が異なるPHDEA-co-IBXAの切込みを入れたものの引裂試験の力-変位曲線である。灰色実線はPHDEA:IBXA=0.4:0.6であり、黒一点鎖線はPHDEA:IBXA=0.45:0.55であり、灰色破線はPHDEA:IBXA=0.5:0.5であり、黒実線はPHDEA:IBXA=0.6:0.4であり、灰色点線はPHDEA:IBXA=0.7:0.3である。 図3は、PHDEAおよびIBXAのモル分率が異なるPHDEA-co-IBXAとの炭素繊維複合材の切込みを入れたものの引裂試験の力-変位曲線である。PHDEA:IBXA=0.4:0.6、0.45:0.55、および0.7:0.3では、試験サンプルのサイズは、長さ50mm×幅30mm×厚さ約1.3mmであり、切込みは10mmである。PHDEA:IBXA=0.5:0.5、0.6:0.4では、試験サンプルのサイズは、長さ60mm×幅30mm×厚さ約1.3mmであり、切込みは20mmである。灰色点線はPHDEA:IBXA=0.7:0.3であり、灰色実線はPHDEA:IBXA=0.6:0.4であり、黒破線はPHDEA:IBXA=0.5:0.5であり、黒点線はPHDEA:IBXA=0.45:0.55であり、黒実線はPHDEA:IBXA=0.4:0.6である。 図4は、PHDEAおよびIBXAのモル分率が異なるPHDEA-co-IBXAごとの、コポリマー(点線)および複合材(実線)の引裂エネルギー対PHDEAのモル分率のグラフである。コポリマーの引裂試験サンプルの大きさは、長さ40mm×幅30mm×厚さ約1mmであり、切込みは20mmである。複合材の引裂試験サンプルの大きさは、図3の場合と同じである。 図5は、MPHDEA:MIBXA=0.7:0.3のコポリマーの、引張速度が異なる場合の応力-ひずみ曲線である。灰色実線は引張速度が1000mm/分であり、黒実線は500mm/分であり、灰色破線は100mm/分であり、黒一点鎖線(太い破線のようにも見える)は50mm/分であり、灰色点線は10mm/分であり、細い黒破線は2mm/分である。 図6は、MPHDEA:MIBXA=0.4:0.6のコポリマーの、引張速度が異なる場合の応力-ひずみ曲線である。黒実線は引張速度が1000mm/分であり、黒点線は500mm/分であり、灰色点線は100mm/分であり、灰色実線は50mm/分であり、黒破線は10mm/分であり、灰色破線は2mm/分である。 図7は、MPHDEA:MIBXA=0.7:0.3のコポリマーの、引裂速度が異なる場合の引裂試験の力-変位曲線である。黒二重線は引裂速度が1000mm/分であり、黒点線は500mm/分であり、灰色実線は100mm/分であり、黒実線は50mm/分であり、灰色点線は10mm/分であり、黒破線は2mm/分である。 図8は、MPHDEA:MIBXA=0.4:0.6のコポリマーの、引裂速度が異なる場合の引裂試験の力-変位曲線である。黒二重線は引裂速度が1000mm/分であり、灰色破線は500mm/分であり、黒破線は100mm/分であり、灰色点線は50mm/分であり、黒実線は10mm/分であり、灰色実線は2mm/分である。 図9は、MPHDEA:MIBXA=0.7:0.3のコポリマーとの炭素繊維複合材の、引裂速度が異なる場合の引裂試験の力-変位曲線である。黒二重線は引裂速度が1000mm/分であり、黒点線は500mm/分であり、黒破線は100mm/分であり、灰色実線は50mm/分であり、灰色点線は10mm/分であり、黒実線は2mm/分である。 図10は、MPHDEA:MIBXA=0.4:0.6のコポリマーとの炭素繊維複合材の、引裂速度が異なる場合の引裂試験の力-変位曲線である。黒実線は引裂速度が1000mm/分であり、黒点線は500mm/分であり、黒破線は100mm/分であり、灰色実線は50mm/分であり、灰色点線は10mm/分であり、黒二重線は2mm/分である。 図11は、MPHDEA:MIBXA=0.7:0.3のコポリマー(四角)、およびそのコポリマーとの炭素繊維複合材(丸)の、引裂エネルギー対引裂速度の比較グラフである。 図12は、MPHDEA:MIBXA=0.4:0.6のコポリマー(四角)、およびそのコポリマーとの炭素繊維複合材(丸)の、引裂エネルギー対引裂速度の比較グラフである。 図13は、マトリクスの引裂エネルギー(Tm)と、そのマトリクスおよび炭素繊維の複合材との引裂エネルギー(Tc)の相関グラフである。最も柔らかいポリマーは四角で表され、最も硬いポリマーは丸で表される。図中の点線の直線は、最も柔らかいポリマーの近似直線であり、Tc=220×Tm^0.64の式で表される。 図14は、フェノキシエチルアクリレート(PHEA)およびIBXAのモル分率が異なる、PHEAとIBXAとのコポリマー(PHEA-co-IBXA)の引張試験の応力-ひずみ曲線である。黒二点鎖線(一部、太い黒実線のように見える)はPHEA:IBXA=0.7:0.3であり、灰色破線はPHEA:IBXA=0.75:0.25であり、黒破線はPHEA:IBXA=0.8:0.2であり、灰色実線はPHEA:IBXA=0.85:0.15であり、細い黒実線はPHEA:IBXA=0.9:0.1である。 図15は、PHEAおよびIBXAのモル分率が異なる、PHEAとIBXAとのコポリマー(PHEA-co-IBXA)の引裂試験の力-変位曲線である。黒二点鎖線(一部、太い黒一点鎖線のように見える)はPHEA:IBXA=0.7:0.3であり、灰色二点鎖線(一部、太い灰色破線のように見える)はPHEA:IBXA=0.75:0.25であり、黒実線はPHEA:IBXA=0.8:0.2であり、細い灰色破線はPHEA:IBXA=0.85:0.15であり、灰色実線はPHEA:IBXA=0.9:0.1である。 図16は、PHEAおよびIBXAのモル分率が異なるコポリマーの引張係数および応力を示すグラフである。一つの測定対象において、左側の棒グラフは引張係数を表し、右側は応力を表す。 図17は、PHEAおよびIBXAのモル分率が異なるコポリマーのひずみエネルギー密度および引裂エネルギーを示すグラフである。一つの測定対象において、左側の棒グラフはひずみエネルギー密度を表し、右側は引裂エネルギーを表す。 図18は、MPHEA:MIBXA=0.7:0.3のコポリマーと炭素繊維との複合材の、サンプル幅が5mm~80mmの場合の引裂試験の力-変位曲線である。灰色二重線の破線は、サンプル幅5mmの結果を表し、黒実線は7.5mm、黒二重線の破線は10mm、細い灰色実線は15mm、黒点線は20mm、二重線の灰色実線は30mm、太い黒実線は35mm、灰色点線は45mm、太い灰色実線は60mm、黒破線は70mm、二重線の黒実線は80mmの結果をそれぞれ表す。 図19は、MPHEA:MIBXA=0.7:0.3のコポリマーと炭素繊維との複合材の、引裂試験による引裂エネルギー対サンプル幅の相関図である。 図20は、MPHEA:MIBXA=0.75:0.25のコポリマーと炭素繊維との複合材の、サンプル幅が5mm~80mmの場合の引裂試験の力-変位曲線である。灰色二重線の破線は、サンプル幅5mmの結果を表し、二重線の黒破線は10mm、細い灰色実線は15mm、黒点線は20mm、二重線の灰色実線は25mm、太い黒実線は30mm、灰色点線は40mm、太い灰色実線は50mm、黒破線は65mm、二重線の黒実線は80mmの結果をそれぞれ表す。 図21は、MPHEA:MIBXA=0.75:0.25のコポリマーとの炭素繊維複合材の、引裂試験による引裂エネルギー対サンプル幅の相関図である。 図22は、MPHEA:MIBXA=0.8:0.2のコポリマーとの炭素繊維複合材の、サンプル幅が5mm~85mmの場合の引裂試験の力-変位曲線である。灰色二重線の破線は、サンプル幅5mmの結果を表し、二重線の黒破線は10mm、細い灰色実線は15mm、黒点線は20mm、二重線の灰色実線は30mm、太い黒実線は40mm、灰色点線は55mm、太い灰色実線は65mm、黒破線は75mm、二重線の黒実線は85mmの結果をそれぞれ表す。 図23は、MPHEA:MIBXA=0.8:0.2のコポリマーとの炭素繊維複合材の、引裂試験による引裂エネルギー対サンプル幅の相関図である。 図24は、図23の相関図における、サンプル幅と、プロセスゾーンとの関係を表す模式図を示す。サンプル幅がWより小さいときは、繊維が引き出されるのみであり、サンプル幅がWより大きいときは、繊維の引き出しと繊維の破断が共存し、サンプル幅がWよりはるかに大きいときは、主として繊維の破断が起こる。 図25は、MPHEA:MIBXA=0.85:0.15のコポリマーとの炭素繊維複合材の、サンプル幅が5mm~110mmの場合の引裂試験の力-変位曲線である。灰色二重線の破線は、サンプル幅5mmの結果を表し、二重線の黒破線は10mm、灰色破線は15mm、黒点線は20mm、二重線の灰色実線は30mm、太い黒実線は35mm、灰色点線は40mm、太い灰色実線は50mm、黒破線は65mm、二重線の黒実線は110mmの結果をそれぞれ表す。 図26は、MPHEA:MIBXA=0.85:0.15のコポリマーとの炭素繊維複合材の、引裂試験による引裂エネルギー対サンプル幅の相関図である。 図27は、MPHEA:MIBXA=0.9:0.1のコポリマーとの炭素繊維複合材の、サンプル幅が5mm~120mmの場合の引裂試験の力-変位曲線である。灰色二重線の破線は、サンプル幅5mmの結果を表し、二重線の黒破線は10mm、黒点線は15mm、二重線の灰色実線は20mm、太い黒実線は30mm、灰色点線は40mm、太い灰色実線は50mm、黒破線は70mm、二重線の黒実線は120mmの結果をそれぞれ表す。 図28は、MPHEA:MIBXA=0.9:0.1のコポリマーとの炭素繊維複合材の、引裂試験による引裂エネルギー対サンプル幅の相関図である。 図29は、PHEAおよびIBXAのモル分率が異なるコポリマーとの炭素繊維複合材における、引裂エネルギー(Tc,kJ/m2)対マトリクスのエネルギー密度(Wm)×幅(kJ/m2)との相関図である。ひし形はPHEA:IBXA=0.7:0.3の結果を表し、灰色三角はPHEA:IBXA=0.75:0.25、灰色丸はPHEA:IBXA=0.8:0.2、黒三角はPHEA:IBXA=0.85:0.15、黒四角はPHEA:IBXA=0.9:0.1の結果をそれぞれ表す。太い黒破線、黒点線、灰色破線、灰色点線、細い黒破線は、PHEA:IBXA=0.9:0.1、PHEA:IBXA=0.85:0.15、PHEA:IBXA=0.8:0.2、PHEA:IBXA=0.75:0.25、およびPHEA:IBXA=0.7:0.3の近似直線をそれぞれ表す。 図30は、硬いマトリクス(MPHEA:MIBXA=0.7:0.3のコポリマー)を有する複合材の、引裂試験における変形の小ささを示す模式図である。 図31は、柔らかいマトリクス(MPHEA:MIBXA=0.85:0.15のコポリマー)を有する複合材の、引裂試験における変形の小ささを示す模式図である。 図32は、PHEAおよびIBXAのモル分率が異なるコポリマーとの炭素繊維複合材における、引裂エネルギー(Tc,kJ/m2)対前因子(D)×マトリクスのエネルギー密度(Wm)×幅(kJ/m2)との相関図である。ひし形はPHEA:IBXA=0.7:0.3の結果を表し、灰色三角はPHEA:IBXA=0.75:0.25、灰色丸はPHEA:IBXA=0.8:0.2、黒三角はPHEA:IBXA=0.85:0.15、黒四角はPHEA:IBXA=0.9:0.1の結果をそれぞれ表す。黒破線は、全ての点に対する近似直線を表す。 図33は、MPHEA:MIBXA=0.75:0.25のコポリマーと炭素繊維またはガラス繊維との複合材における、引裂エネルギー(Tc,kJ/m2)対マトリクスのエネルギー密度(Wm)×幅(kJ/m2)との相関図である。炭素繊維複合材(CFC)は灰色三角で示され、ガラス繊維複合材(GFC)は黒丸で示される。 図34は、PHEAおよびIBXAのモル分率が異なるコポリマーとの炭素繊維複合材ならびにMPHEA:MIBXA=0.75:0.25のコポリマーとガラス繊維との複合材における、引裂エネルギー(Tc,kJ/m2)対マトリクスのエネルギー密度(Wm)×幅(kJ/m2)との相関図である。ひし形はPHEA:IBXA=0.7:0.3の結果を表し、黒丸はPHEA:IBXA=0.75:0.25(GFC:ガラス繊維複合材)、灰色三角はPHEA:IBXA=0.75:0.25、灰色丸はPHEA:IBXA=0.8:0.2、黒三角はPHEA:IBXA=0.85:0.15、黒四角はPHEA:IBXA=0.9:0.1の結果をそれぞれ表す。太い黒破線、黒点線、灰色破線、灰色点線、黒一点鎖線は、細い黒破線は、PHEA:IBXA=0.9:0.1、PHEA:IBXA=0.85:0.15、PHEA:IBXA=0.8:0.2、PHEA:IBXA=0.75:0.25、PHEA:IBXA=0.75:0.25(GFC:ガラス繊維複合材)、およびPHEA:IBXA=0.7:0.3の近似直線をそれぞれ表す。 図35は、PHEAおよびIBXAのモル分率が異なるコポリマーとの炭素繊維複合材ならびにMPHEA:MIBXA=0.75:0.25のコポリマーとガラス繊維との複合材における、引裂エネルギー(Tc,kJ/m2)対前因子(D)×マトリクスのエネルギー密度(Wm)×幅(kJ/m2)との相関図である。ひし形はPHEA:IBXA=0.7:0.3の結果を表し、黒丸はPHEA:IBXA=0.75:0.25(GFC:ガラス繊維複合材)、灰色三角はPHEA:IBXA=0.75:0.25、灰色丸はPHEA:IBXA=0.8:0.2、黒三角はPHEA:IBXA=0.85:0.15、黒四角はPHEA:IBXA=0.9:0.1の結果をそれぞれ表す。黒破線は、全ての点に対する近似直線を表す。 図36は、マトリクス成分が異なるモル分率を有するPHEA-co-IBXA/炭素繊維複合材の引張係数および曲げ弾性係数を表すグラフである。MPHEA:MIBXA=0.7:0.3~0.9:0.1である。一つの測定対象において、左側の棒グラフは引張係数を表し、右側は曲げ弾性係数を表す。 図37は、炭素繊維(CF)、ガラス繊維(GF)、またはアラミド繊維(ケブラー(登録商標)繊維、KF)によりそれぞれ強化されたPHEA-co-IBXAベースの複合材の引張係数および曲げ弾性係数を表すグラフである。MPHEA:MIBXA=0.75:0.25である。一つの測定対象において、左側の棒グラフは引張係数を表し、右側は曲げ弾性係数を表す。 図38は、熱開始またはUV開始により重合させたPHEA-co-IBXA/炭素繊維複合材(MPHEA:MIBXA=0.75:0.25)(幅40mm)の引裂試験の力-変位曲線である。黒実線は、UVで重合を開始した場合であり、灰色破線は、熱により重合を開始した場合である。 図39は、熱開始またはUV開始により重合させたPHEA-co-IBXA/炭素繊維複合材(MPHEA:MIBXA=0.75:0.25)(幅40mm)の引裂エネルギーを表すグラフである。 図40は、幅40mmのPDMS(ポリジメチルシロキサン)ポリマー/炭素繊維複合材およびPHEA-co-IBXA/炭素繊維複合材の引裂試験の力-変位曲線である。黒一点鎖線はポリジメチルシロキサンとの炭素繊維複合材(PDMS/CFC)であり、灰色実線はPHDEA:IBXA=0.7:0.3の炭素繊維複合材であり、灰色破線はPHDEA:IBXA=0.75:0.25の炭素繊維複合材、黒破線はPHDEA:IBXA=0.8:0.2の炭素繊維複合材、黒点線はPHDEA:IBXA=0.85:0.15の炭素繊維複合材、黒実線はPHDEA:IBXA=0.9:0.1の炭素繊維複合材をそれぞれ表す。 図41は、幅40mmのPDMS(ポリジメチルシロキサン)ポリマー/炭素繊維複合材およびPHEA-co-IBXA/炭素繊維複合材の引裂エネルギー対マトリクスの引裂エネルギーの相関図である。エックスマークはポリジメチルシロキサンとの炭素繊維複合材(PDMS/CFC)であり、黒四角はPHDEA:IBXA=0.7:0.3の炭素繊維複合材であり、黒三角はPHDEA:IBXA=0.75:0.25の炭素繊維複合材、黒ひし形はPHDEA:IBXA=0.8:0.2の炭素繊維複合材、黒中抜き四角はPHDEA:IBXA=0.85:0.15の炭素繊維複合材、黒丸はPHDEA:IBXA=0.9:0.1の炭素繊維複合材をそれぞれ表す。 図42は、MPHEA:MIBXA=0:1~1:0のPHEA-co-IBXAのレオロジー挙動を示す、Tanδ-角周波数のグラフである。黒丸はMPHEA:MIBXA=0:1の場合のレオロジー挙動を示し、灰色三角は0.3:0.7、白丸は0.5:0.5、灰色四角は0.6:0.4、白三角は0.7:0.3、黒三角は0.8:0.2、白ひし形は0.9:0.1、灰色ひし形は1:0の場合をそれぞれ示す。 図43は、熱開始またはUV開始により重合させたPHEA-co-IBXA/炭素繊維複合材(MPHEA:MIBXA=0.7:0.3)(幅40mm)の引裂試験の力-変位曲線である。黒実線は、熱により重合を開始した場合であり、灰色破線は、UVで重合を開始した場合である。 図44は、熱開始またはUV開始により重合させたPHEA-co-IBXA/炭素繊維複合材(MPHEA:MIBXA=0.8:0.2)(幅40mm)の引裂試験の力-変位曲線である。黒実線は、熱により重合を開始した場合であり、灰色破線は、UVで重合を開始した場合である。 図45は、熱開始またはUV開始により重合させたPHEA-co-IBXA/炭素繊維複合材(MPHEA:MIBXA=0.85:0.15)(幅40mm)の引裂試験の力-変位曲線である。黒実線は、熱により重合を開始した場合であり、灰色破線は、UVで重合を開始した場合である。 図46は、熱開始またはUV開始により重合させたPHEA-co-IBXA/炭素繊維複合材(MPHEA:MIBXA=0.9:0.1)(幅40mm)の引裂試験の力-変位曲線である。黒実線は、熱により重合を開始した場合であり、灰色破線は、UVで重合を開始した場合である。 図47は、熱開始またはUV開始により重合させたPHEA-co-IBXA/炭素繊維複合材(MPHEA:MIBXA=0.7:0.3、0.75:0.25、0.8:0.2、0.85:0.15、または0.9:0.1)(幅40mm)の引裂エネルギーを表すグラフである。一つの測定対象において、左側の熱開始重合(AIBN使用)由来の複合材を表し、右側はUV開始重合(ベンゾフェノン使用)由来の複合材を表す。 図48は、熱開始またはUV開始により重合させたPHEA-co-IBXA(MPHEA:MIBXA=0.7:0.3)の引張試験の応力-ひずみ曲線である。黒実線は、熱により重合を開始した場合であり、灰色破線は、UVで重合を開始した場合である。 図49は、熱開始またはUV開始により重合させたPHEA-co-IBXA(MPHEA:MIBXA=0.75:0.25)の引張試験の応力-ひずみ曲線である。黒実線は、熱により重合を開始した場合であり、灰色破線は、UVで重合を開始した場合である。 図50は、熱開始またはUV開始により重合させたPHEA-co-IBXA(MPHEA:MIBXA=0.8:0.2)の引張試験の応力-ひずみ曲線である。黒実線は、熱により重合を開始した場合であり、灰色破線は、UVで重合を開始した場合である。 図51は、熱開始またはUV開始により重合させたPHEA-co-IBXA(MPHEA:MIBXA=0.85:0.15)の引張試験の応力-ひずみ曲線である。黒実線は、熱により重合を開始した場合であり、灰色破線は、UVで重合を開始した場合である。 図52は、熱開始またはUV開始により重合させたPHEA-co-IBXA(MPHEA:MIBXA=0.9:0.1)の引張試験の応力-ひずみ曲線である。黒実線は、熱により重合を開始した場合であり、灰色破線は、UVで重合を開始した場合である。 図53は、熱開始またはUV開始により重合させたPHEA-co-IBXA/炭素繊維複合材におけるマトリクス(MPHEA:MIBXA=0.7:0.3、0.75:0.25、0.8:0.2、0.85:0.15、または0.9:0.1)のひずみエネルギー密度を表すグラフである。一つの測定対象において、左側の棒グラフは熱開始の結果を表し、右側はUV開始の結果を表す。 図54は、熱開始またはUV開始により重合させたPHEA-co-IBXA/炭素繊維複合材におけるマトリクス(MPHEA:MIBXA=0.7:0.3、0.75:0.25、0.8:0.2、0.85:0.15、または0.9:0.1)の弾性率を表すグラフである。一つの測定対象において、左側の棒グラフは熱開始の結果を表し、右側はUV開始の結果を表す。 図55は、PHEAおよびIBXAのモル分率が異なる、PI/CFCの引裂エネルギー(Tc)対ひずみエネルギー密度(Sm)×臨界幅(Wc)のプロットである。四角は、引裂エネルギーの高い順に、PHEA:IBXA=0.85:0.15、0.9:0.1、0.8:0.2、0.75:0.25、および0.7:0.3であるPI/CFCを表す。 図56は、異なる速度での引張試験による、PHEAおよびIBXAのモル分率が異なる、PHEAとIBXAとのコポリマー(PHEA-co-IBXA)の応力-ひずみ曲線である。黒実線はPHEA:IBXA=0.7:0.3(引張速度=500mm/min)であり、灰色一点鎖線はPHEA:IBXA=0.7:0.3(5mm/min)であり、灰色点線はPHEA:IBXA=0.75:0.25(500mm/min)であり、黒一点破線はPHEA:IBXA=0.75:0.25(5mm/min)であり、黒破線はPHEA:IBXA=0.8:0.2(500mm/min)であり、灰色実線はPHEA:IBXA=0.85:0.15(500mm/min)であり、黒点線はPHEA:IBXA=0.9:0.1(500mm/min)である。単位mm/minは、ミリメートル毎分である。 図57は、異なる速度での引裂試験による、PHEAおよびIBXAのモル分率が異なる、PHEAとIBXAとのコポリマー(PHEA-co-IBXA)の力-変位曲線である。黒破線はPHEA:IBXA=0.7:0.3(引裂速度=500mm/min)であり、黒実線はPHEA:IBXA=0.7:0.3(5mm/min)であり、灰色実線はPHEA:IBXA=0.75:0.25(500mm/min)であり、黒一点鎖線はPHEA:IBXA=0.75:0.25(5mm/min)であり、灰色点線はPHEA:IBXA=0.8:0.2(500mm/min)であり、灰色一点鎖線はPHEA:IBXA=0.85:0.15(500mm/min)であり、黒点線はPHEA:IBXA=0.9:0.1(500mm/min)である。 図58は、500mm/minまたは5mm/minの速度での試験による、PHEAおよびIBXAのモル分率が異なるコポリマーの引張係数および応力を示すグラフである。一つの測定対象において、左側の棒グラフは引張係数を表し、右側は応力を表す。 図59は、500mm/minまたは5mm/minの速度での試験による、PHEAおよびIBXAのモル分率が異なるコポリマーと炭素繊維との複合材のひずみエネルギー密度および引裂エネルギーを示すグラフである。一つの測定対象において、左側の棒グラフはひずみエネルギー密度を表し、右側は引裂エネルギーを表す。 図60は、MPHEA:MIBXA=0.7:0.3のコポリマーとの炭素繊維複合材の、サンプル幅が5mm~40mmの場合の引裂試験の力-変位曲線である。細い黒実線は、サンプル幅5mmの結果を表し、太い灰色実線は10mm、黒破線は15mm、灰色点線は20mm、細い灰色実線は25mm、細い黒破線は30mm、太い黒実線は35mm、灰色一点鎖線は40mmの結果をそれぞれ表す。引裂速度は500mm/minである。 図61は、MPHEA:MIBXA=0.7:0.3のコポリマーとの炭素繊維複合材の、サンプル幅が5mm~65mmの場合の引裂試験の力-変位曲線である。細い灰色点線は、サンプル幅5mmの結果を表し、細い灰色実線は10mm、太い黒破線は15mm、太い灰色一点鎖線は20mm、細い黒実線は25mm、太い灰色実線は30mm、細い灰色一点鎖線は35mm、太い黒実線は40mm、細い灰色点線は50mm、細い黒破線は65mmの結果をそれぞれ表す。引裂速度は5mm/minである。 図62は、MPHEA:MIBXA=0.75:0.25のコポリマーとの炭素繊維複合材の、サンプル幅が5mm~40mmの場合の引裂試験の力-変位曲線である。細い灰色点線は、サンプル幅5mmの結果を表し、細い黒破線は10mm、太い黒点線は15mm、灰色実線は20mm、灰色破線は25mm、太い黒実線は30mm、細い黒実線は35mm、灰色一点鎖線は40mmの結果をそれぞれ表す。引裂速度は500mm/minである。 図63は、MPHEA:MIBXA=0.75:0.25のコポリマーとの炭素繊維複合材の、サンプル幅が5mm~65mmの場合の引裂試験の力-変位曲線である。太い黒一点鎖線は、サンプル幅5mmの結果を表し、灰色破線は10mm、太い黒実線は15mm、細い灰色実線は20mm、黒点線は25mm、太い灰色実線は30mm、黒破線は35mm、細い黒実線は45mm、細い灰色一点鎖線は50mm、灰色点線は65mmの結果をそれぞれ表す。引裂速度は5mm/minである。 図64は、MPHEA:MIBXA=0.8:0.2のコポリマーとの炭素繊維複合材の、サンプル幅が5mm~50mmの場合の引裂試験の力-変位曲線である。黒破線は、サンプル幅5mmの結果を表し、灰色点線は10mm、太い黒一点鎖線は15mm、太い黒実線は20mm、太い灰色実線は25mm、細い黒実線は30mm、細い黒一点鎖線は35mm、黒点線は40mm、細い灰色実線は50mmの結果をそれぞれ表す。引裂速度は500mm/minである。 図65は、MPHEA:MIBXA=0.85:0.15のコポリマーとの炭素繊維複合材の、サンプル幅が5mm~65mmの場合の引裂試験の力-変位曲線である。黒一点鎖線は、サンプル幅5mmの結果を表し、細い灰色破線は10mm、黒一点鎖線は15mm、灰色点線は20mm、太い灰色実線は25mm、黒点線は30mm、細い灰色実線は35mm、太い黒実線は40mm、細い黒実線は45mm、灰色破線は50mmの結果をそれぞれ表す。引裂速度は500mm/minである。 図66は、MPHEA:MIBXA=0.9:0.1のコポリマーとの炭素繊維複合材の、サンプル幅が5mm~45mmの場合の引裂試験の力-変位曲線である。細い黒二点鎖線は、サンプル幅5mmの結果を表し、灰色破線は10mm、太い黒二点鎖線は15mm、太い灰色実線は20mm、細い黒実線は25mm、細い灰色点線は30mm、太い黒実線は35mm、細い灰色実線は40mm、細い黒破線は45mmの結果をそれぞれ表す。引裂速度は500mm/minである。 図67は、5mm/minでの引裂試験における引裂エネルギー(Tc)-サンプル幅のグラフを示す。MPHEA:MIBXA=0.75:0.25(灰色三角)のコポリマーとの炭素繊維複合材における引裂エネルギーのプラトーは856kJ/m2であり、MPHEA:MIBXA=0.7:0.3(黒丸)では760kJ/m2である。 図68は、500mm/minでの引裂試験における引裂エネルギー(Tc)-サンプル幅のグラフを示す。MPHEA:MIBXA=0.7:0.3(黒丸)のコポリマーとの炭素繊維複合材(黒丸)における引裂エネルギーのプラトーは453kJ/m2であり、MPHEA:MIBXA=0.75:0.25(灰色丸)では552kJ/m2であり、MPHEA:MIBXA=0.8:0.2(黒四角)では576kJ/m2であり、MPHEA:MIBXA=0.85:0.15(灰色四角)では682kJ/m2であり、MPHEA:MIBXA=0.9:0.1(半白半黒丸)では750kJ/m2である。 図69は、BZA-co-IBXA(MBZA:MIBXA=0.85:0.15、黒実線)およびPHEA-co-IBXA(MPHEA:MIBXA=0.75:0.25、灰色破線)の引張試験での応力-ひずみ曲線を示す。引張速度は50mm/minである。 図70は、BZA-co-IBXA(MBZA:MIBXA=0.85:0.15、黒実線)およびPHEA-co-IBXA(MPHEA:MIBXA=0.75:0.25、灰色破線)の引裂試験での力-変位曲線を示す。引裂速度は50mm/minである。 図71は、BZA-co-IBXA(MBZA:MIBXA=0.85:0.15)およびPHEA-co-IBXA(MPHEA:MIBXA=0.75:0.25)の引張試験での引張係数(E、MPa、白)および破壊応力(σ、MPa、、斜線付)を示す。引張速度は50mm/minである。 図72は、BZA-co-IBXA(MBZA:MIBXA=0.85:0.15)およびPHEA-co-IBXA(MPHEA:MIBXA=0.75:0.25)の引裂試験でのひずみエネルギー密度(Sm、MJ/m3、白)および引裂エネルギー(Tm、kJ/m2、斜線付)を示す。引裂速度は50mm/minである。 図73は、MBZA:MIBXA=0.85:0.15のコポリマーとの炭素繊維複合材の、サンプル幅が5mm~70mmの場合の引裂試験の力-変位曲線である。細い黒一点鎖線は、サンプル幅5mmの結果を表し、灰色点線は7.5mm、太い黒一点鎖線は10mm、太い黒実線は15mm、太い灰色実線は20mm、黒点線は30mm、細い灰色実線は35mm、細い黒破線は45mm、細い黒実線は55mm、灰色破線は70mmの結果をそれぞれ表す。引裂速度は50mm/minである。 図74は、MPHEA:MIBXA=0.75:0.25のコポリマーとのガラス繊維複合材の、サンプル幅が3mm~60mmの場合の引裂試験の力-変位曲線である。太い黒一点鎖線は、サンプル幅3mmの結果を表し、灰色点線は5mm、細い黒破線は8mm、太い灰色実線は10mm、細い灰色実線は15mm、太い黒実線は20mm、太い黒破線は30mm、細い黒実線は40mm、黒点線は50mm、細い灰色一点鎖線は60mmの結果をそれぞれ表す。引裂速度は50mm/minである。 図75は、50mm/minでの引裂試験における引裂エネルギー(Tc)-サンプル幅のグラフを示す。MBZA:MIBXA=0.85:0.15のコポリマーとの炭素繊維複合材における引裂エネルギーのプラトーは599kJ/m2である。 図76は、50mm/minでの引裂試験における引裂エネルギー(Tc)-サンプル幅のグラフを示す。MPHEA:MIBXA=0.75:0.25のコポリマーとのガラス繊維複合材における引裂エネルギーのプラトーは300kJ/m2である。 図77は、5種の複合材についての引裂エネルギー(Tc)-ひずみエネルギー密度(Sm)×臨界幅(Wc)のグラフを示す。黒三角、黒丸、および黒四角はそれぞれ、500mm/min、50mm/minおよび5mm/minの引裂速度でのMPHEA:MIBXA=0.75:0.25のコポリマーとの炭素繊維複合材の引裂試験の結果に基づき、白丸は、50mm/minの引裂速度でのMBZA:MIBXA=0.85:0.15のコポリマーとの炭素繊維複合材、星は、50mm/minの引裂速度でのMPHEA:MIBXA=0.75:0.25のコポリマーとのガラス繊維複合材の場合の結果にそれぞれ基づく。 図78は、5種の複合材についての引裂エネルギー(Tc)-前因子(D)×ひずみエネルギー密度(Sm)×臨界幅(Wc)のグラフを示す。黒四角、黒丸、および黒三角はそれぞれ、5mm/min、50mm/minおよび500mm/minの引裂速度でのMPHEA:MIBXA=0.75:0.25のコポリマーとの炭素繊維複合材の引裂試験の結果に基づき、白丸は、50mm/minの引裂速度でのMBZA:MIBXA=0.85:0.15のコポリマーとの炭素繊維複合材、星は、50mm/minの引裂速度でのMPHEA:MIBXA=0.75:0.25のコポリマーとのガラス繊維複合材の場合の結果にそれぞれ基づく。 図79は、繊維束の引裂試験の力-変位曲線を示す。炭素繊維束(CF)については、5mm/min(黒破線)、50mm/min(灰色実線)または500mm/min(黒実線)の速度で測定し、ガラス繊維束(GF)については、50mm/min(灰色一点鎖線)で測定した。 図80は、2種の繊維束の引張試験の応力-ひずみ曲線を示す。 図81は、引裂エネルギー(Tc)-前因子(D)×(マトリクスのひずみエネルギー密度(Sm)+繊維束のひずみエネルギー密度(Sf))×臨界幅(Wc)のグラフを示す。黒四角、黒丸、および黒三角はそれぞれ、5mm/min、50mm/minおよび500mm/minの引裂速度でのPHEA-co-IBXAとの炭素繊維複合材の引裂試験の結果に基づき、白丸は、5mm/minの引裂速度でのBZA-co-IBXAとの炭素繊維複合材、星は、50mm/minの引裂速度でのPHEA-co-IBXAとのガラス繊維複合材の場合の結果にそれぞれ基づく。 図82は、引裂エネルギー(Tc)-(前因子(D)×マトリクスのひずみエネルギー密度(Sm)+繊維束のひずみエネルギー密度(Sf))×臨界幅(Wc)のグラフを示す。灰色四角、黒丸、および黒三角はそれぞれ、5mm/min、50mm/minおよび500mm/minの引裂速度でのPHEA-co-IBXAとの炭素繊維複合材の引裂試験の結果に基づき、白丸は、50mm/minの引裂速度でのBZA-co-IBXAとの炭素繊維複合材、星は、50mm/minの引裂速度でのPHEA-co-IBXAとのガラス繊維複合材の場合の結果にそれぞれ基づく。 図83は、繊維の厚みから計算した引裂エネルギー(Tc)-((繊維のずり弾性率(Gf)/マトリクスのずり弾性率(Gf))×マトリクスのひずみエネルギー密度(Sm)+繊維束のひずみエネルギー密度(Sf))×臨界幅(Wc)のグラフを示す。黒四角、灰色丸、および黒三角はそれぞれ、5mm/min、50mm/minおよび500mm/minの引裂速度でのPHEA-co-IBXAとの炭素繊維複合材の引裂試験の結果に基づき、白丸は、50mm/minの引裂速度でのBZA-co-IBXAとの炭素繊維複合材、星は、50mm/minの引裂速度でのPHEA-co-IBXAとのガラス繊維複合材の場合の結果にそれぞれ基づく。 図84は、複合材の厚みから計算した引裂エネルギー(Tc)-((繊維のずり弾性率(Gf)/マトリクスのずり弾性率(Gf))×マトリクスのひずみエネルギー密度(Sm)+繊維束のひずみエネルギー密度(Sf))×臨界幅(Wc)のグラフを示す。黒四角、灰色丸、および黒三角はそれぞれ、5mm/min、50mm/minおよび500mm/minの引裂速度でのPHEA-co-IBXAとの炭素繊維複合材(PI/CFC)の引裂試験の結果に基づき、白丸は、50mm/minの引裂速度でのBZA-co-IBXAとの炭素繊維複合材(BI/CFC)、星は、50mm/minの引裂速度でのPHEA-co-IBXAとのガラス繊維複合材(PI/GFC)の場合の結果にそれぞれ基づく。 図85は、臨界幅(Wc)-引張係数のグラフを示す。灰色四角、黒丸、および黒三角はそれぞれ、5mm/min、50mm/minおよび500mm/minの引裂速度でのPHEA-co-IBXAとの炭素繊維複合材の引裂試験の結果に基づき、星は、50mm/minの引裂速度でのBZA-co-IBXAとの炭素繊維複合材(BI/CFC)の場合の結果に基づく。 図86は、臨界幅(Wc)-破壊応力のグラフを示す。黒四角、黒丸、および黒三角はそれぞれ、5mm/min、50mm/minおよび500mm/minの引裂速度でのPHEA-co-IBXAとの炭素繊維複合材の引裂試験の結果に基づき、半白半黒丸は、50mm/minの引裂速度でのBZA-co-IBXAとの炭素繊維複合材の場合の結果に基づく。 図87は、MPHEA:MIBXA=0.8:0.2のコポリマーとの炭素繊維複合材(幅=Lbulk=40mm)の、異なる温度での引裂試験後の外観である。引裂速度は50mm/minである。左上サンプルは24℃での引裂試験後のものであり、右上は50℃、左下は100℃、右下は150℃の場合のものである。 図88は、MPHEA:MIBXA=0.8:0.2のコポリマーとの炭素繊維複合材(幅=Lbulk=40mm)の、異なる温度での引裂試験の力-変位曲線を示す。黒実線は24℃での引裂試験後のものであり、灰色一点鎖線は50℃、黒破線は100℃、灰色実線は150℃の場合のものである。 図89は、MPHEA:MIBXA=0.8:0.2のコポリマーとの炭素繊維複合材(幅=Lbulk=40mm)の、異なる温度での引裂エネルギー-温度相関図を示す。 図90は、CBA-co-IBXA(MCBA:MIBXA=0.4:0.6)の引張試験の応力-ひずみ曲線を示す。引張係数Eは0.56MPaであり、ひずみエネルギー密度は8.29MJ/m-3であり、破壊応力σは1.86MPaである。 図91は、単一のアラミド繊維の引裂試験の力-変位曲線を示す。試験されたアラミド繊維の断面積は、0.396mmである。 図92は、単一のアラミド繊維の引張試験の応力-ひずみ曲線を示す。試験されたアラミド繊維のひずみエネルギー密度は、0.396MJ/m-3である。 図93は、種々のサンプル幅のCBA-co-IBXAとアラミド繊維との複合材の引裂試験の力-変位曲線を示す。細い黒実線はサンプル幅5mmの結果を表し、細い灰色実線は10mm、細い黒点線は15mm、灰色点線は20mm、太い黒一点鎖線は25mm、灰色一点鎖線は30mm、細い黒一点鎖線は35mm、太い黒実線は40mm、細い黒破線は50mm、太い黒点線は65mm、太い黒破線は85mm、太い灰色実線は110mmの結果をそれぞれ表す。引裂速度は50mm/minである。 図94は、MCBA:MIBXA=0.4:0.6のコポリマーとのアラミド繊維複合材の引裂エネルギー(Tc)とサンプル幅の相関図を示す。3回の試験の結果、Tcの最大値は約2784kJ/m2であり、平均値は約2561kJ/m2であった。 図95は、MPHEA:MIBXA=0.7:0.3のコポリマーとの炭素繊維複合材の2カ所引裂試験前と後の外観である。 図96は、MPHEA:MIBXA=0.7:0.3のコポリマーとの炭素繊維複合材の2カ所引裂試験用のサンプルの寸法を示す。tは複合材の厚さである。試験前に入れる切込みの長さは20mmである。引裂速度は50mm/minである。 図97は、MPHEA:MIBXA=0.7:0.3のコポリマーとの炭素繊維複合材の2カ所引裂試験用の別のサンプルの寸法を示す。試験前に入れる切込みの長さは20mmである。引裂速度は50mm/minである。右側の写真は、引裂試験後のサンプルの外観である。 図98は、MPHEA:MIBXA=0.7:0.3のコポリマーとの炭素繊維複合材の2カ所引裂試験用のさらに別のサンプルの寸法を示す。右側の写真は、引裂試験後のサンプルの外観である。試験前に入れる切込みの長さは20mmであり、引裂速度は50mm/minである。 図99は、引裂エネルギーと、マトリクスの引張係数に対する繊維の引張係数の比との相関図を示す。星は、PHEA-co-IBXAと炭素繊維との複合材(PI/CFC)を5mm/minで測定した場合の値を表し、黒丸はPHEA-co-IBXAと炭素繊維との複合材を50mm/minで、四角はPHEA-co-IBXAと炭素繊維との複合材を500mm/minで、白丸はPHEA-co-IBXAと炭素繊維との複合材を50mm/minで、三角はCBA-co-IBXAと炭素繊維との複合材(CI/CFC)を50mm/minで測定した場合の値を表す。 図100は、臨界幅と、マトリクスの引張係数に対する繊維の引張係数の比との相関図を示す。星は、PI/CFCを5mm/minで測定した場合の値を表し、黒丸はPI/CFCを50mm/minで、四角はPI/CFCを500mm/minで、白丸はPHEA-co-IBXAとガラス繊維との複合材(PI/GFC)を50mm/minで測定した場合の値を表す。 図101は、引裂エネルギーと、マトリクスの破壊応力に対する繊維の破壊応力の比との相関図を示す。星は、PI/CFCを5mm/minで測定した場合の値を表し、黒丸はPI/CFCを50mm/minで、灰色四角はPI/CFCを500mm/minで、白丸はPI/GFCを50mm/minで、三角はCI/CFCを50mm/minで測定した場合の値を表す。 図102は、臨界幅と、マトリクスの破壊応力に対する繊維の破壊応力の比との相関図を示す。星は、PI/CFCを5mm/minで測定した場合の値を表し、黒丸はPI/CFCを50mm/minで、四角はPI/CFCを500mm/minで、白丸はPI/GFCを50mm/minで測定した場合の値を表す。 図103は、マトリクスの引裂エネルギーとひずみエネルギー密度の相関図を示す。白三角、黒四角および丸は、PIを5mm/min、50mm/min、500mm/minで測定した場合の値をそれぞれ表す。 図104は、仕事量とプロセスゾーンの関係を説明するためのモデルの幾何形状を示す。 図105は、接着の応力/ひずみ挙動γcおよびτcは剪断におけるマトリクスの破断ひずみおよび破壊応力を表す。ここで、γcおよびτcは剪断におけるマトリクスの破断ひずみおよび破壊応力を表す。 図106は、剛直な繊維および柔らかいマトリクスから得られると仮定される、引張試験の応力-ひずみ曲線を示す。 図107は、F-2πRLτcのグラフを示す。黒四角、黒三角、星、灰色四角、および黒丸はそれぞれ、PI/CFC(f=0.7)、PI/CFC(f=0.75)、PI/CFC(f=0.8)、PI/CFC(f=0.85)、およびPI/CFC(f=0.90)について50mm/minの引裂速度での試験結果のプロットである。 図108は、PI/CFC(f=0.7,0.75, 0.8,0.85, 0.9)のLc-Rσ/2τのグラフを示す。黒四角、黒丸、および黒三角はそれぞれ、PI/CFCについての500mm/min、50mm/min、および5mm/minの引裂速度での試験結果である。 図109は、複合材の引裂エネルギー(T)-繊維の破壊応力(σ)×マトリクスの破断ひずみ(γ)のグラフを示す。黒四角、黒丸、および灰色三角はそれぞれ、PI/CFC(f=0.7)を500mm/min、50mm/min、および5mm/minの引裂速度での試験結果についてのプロットである。星は、PI/GFC(f=0.7)を50mm/minの引裂速度での試験結果、白丸はPI/KFC(f=0.7)を50mm/minの引裂速度での試験結果についてのプロットである(PI/KFC:PHEA-co-IBXAとアラミド繊維との複合材)。図中の点線の直線は近似直線であり、傾きは0.16である。 図110は、MPHEA:MIBXA=0.7:0.3、0.75:0.25、0.8:0.2、0.85:0.15、または0.9:0.1のコポリマーとの炭素繊維複合材における、サンプル幅と引裂エネルギーとの相関図を示す。黒四角は、PI/CFC(f=0.7)の結果を表し、灰色三角はPI/CFC(f=0.75)、星はPI/CFC(f=0.8)、灰色ひし形はPI/CFC(f=0.85)、黒丸はPI/CFC(f=0.90)の結果をそれぞれ表す。 図111は、2-メトキシエチルアクリレート(2-MTA)とIBXAとのコポリマー(M2-MTA:MIBXA=0.6:0.4)の引張試験の応力-ひずみ曲線である。 図112は、テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)とIBXAとのコポリマー(MTHFA:MIBXA=0.7:0.3)の引張試験の応力-ひずみ曲線である。 図113は、ラウリルアクリレート(LA)とIBXAとのコポリマー(MLA:MIBXA=0.6:0.4)の引張試験の応力-ひずみ曲線である。 図114は、イソステアリルアクリレート(ISTA)とIBXAとのコポリマー(MISTA:MIBXA=0.7:0.3)の引張試験の応力-ひずみ曲線である。 図115は、PHDEAとtert-ブチルアクリレート(TBA)とのコポリマー(MPHDEA:MTBA=0.5:0.5)の引張試験の応力-ひずみ曲線である。
以下、本発明を最良の形態を示しながら説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語及び科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
本明細書における各用語及び各置換基の定義は以下のとおりである。
〔1〕用語の定義
本明細書において、「ガラス転移可能(glass transitionable)」とは、ガラス転移を生じ得る性質をいい、ガラス転移可能物質は、物質がガラス転移を起こすことを確認することによって判断することができ、例えば、肉眼で行うことができる場合もあるし、あるいは、示差走査熱量計(DSC)などで測定した場合にガラス転移点を有することを確認することによって判断することができる。本明細書において、ガラス転移可能なポリマーは、「ガラス転移可能ポリマー」という。本発明において使用されるまたは含まれるガラス転移可能ポリマーは、例えば、(メタ)アクリル系ポリマー(ポリ(メタ)アクリル、アクリル樹脂、メタクリル樹脂)、エチレン系ポリマー(ポリエチレン)、ウレタン系ポリマー(ポリウレタン)、アミド系ポリマー(ポリアミド)、エステル系ポリマー(ポリエステル)、エーテル系ポリマー(ポリエーテル)、イミド系ポリマー(ポリイミド)、アミド-イミド系ポリマー(ポリ(アミド-イミド))、カーボネート系ポリマー(ポリカーボネ-ト)、アセタール系ポリマー(ポリアセタール、ポリオキシメチレン)、スルホン系ポリマー(ポリスルホン、ポリエーテルスルホン)、フェニレンスルフィド系ポリマー(ポリフェニレンスルフィド)、エーテルエーテルケトン系ポリマー(ポリエーテルエーテルケトン)、シリコーン系ポリマー(シリコーン、ポリシロキサン)、およびそれらのコポリマー、ならびにAES樹脂(アクリロニトリル・エチレン-プロピレン-ジエン・スチレン樹脂)、ジアリルフタレート樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)、シリコーン樹脂などを包含する。
本明細書において、「繊維」は、単一の繊維、フィラメントもしくは糸、または複数の繊維、フィラメントもしくは糸、あるいはこれらの組合せなどの細い糸状(すなわち、細長くなった固体)の物質から構成された材料または素材を意味する。一実施形態では、用語「繊維」は、無撚りまたは撚りの繊維、フィラメントまたは糸の状態の材料を包含する。一実施形態では、用語「繊維」は、ストランド、トウ又はヤーンを包含する。繊維の例としては、植物繊維、動物繊維、鉱物繊維、食物繊維などの天然繊維、合成繊維、半合成繊維、再生繊維、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、人造鉱物繊維(ロックウール、グラスウール、セラミックファイバーなど)などの化学繊維、およびステンレス繊維、アルミニウム繊維、鉄繊維、ニッケル繊維、銅繊維、タングステン繊維、モリブデン繊維、ベリリウム繊維、金繊維、銀繊維、チタン繊維、黄銅繊維などの金属繊維が挙げられる。一実施形態では、本発明の繊維は、例えば、直径が約3μm以上であり、長軸方向の長さが直径より長いものをいう。
本明細書において、「繊維状の形態」は、ある材料の形状について特定の状態(繊維として定義される細長い固体の状態)をいい、一本の繊維構造を有する形態であってもよく、2本以上の繊維構造が一つにまとまっている繊維束の形態であってもよい。一実施形態において、繊維状の形態の材料は、一本の繊維構造を有する。一実施形態において、繊維状の形態の材料は、2本以上の繊維構造から構成される一束の繊維束である。
本明細書において、「繊維ユニット」は、挙動を一緒にする繊維構造の一つのまとまりである。繊維ユニットの具体例としては、炭素繊維、ガラス繊維、および/またはアラミド繊維を構成する繊維束の構造、ならびに金属繊維を構成する一本の繊維構造などが挙げられる。
本明細書において、「ファブリック」は、繊維により構成される織物、編物、不織布または布地を指す。一実施形態では、用語「ファブリック」は、織物である。
本明細書において使用される「破断」または「破壊」(英語ではいずれも「fracture」または「breaking」に該当する)は、金属などの構造物が、衝撃や疲労などの原因で2つまたはそれより多くの部分に分かれることをいう。「破壊応力」(「破断応力」)は、圧縮,引張り,せん(剪)断によって材料が破壊されるのに要する応力をいう(英語では、「破壊応力」および「破断応力」はいずれも、「fracture stress」に該当する。)。
本明細書において使用される「破壊応力」は、引張試験において、試験開始から試験片の破断までの間の最大応力であり、代表的には、破断時の応力である。本発明のポリマーおよび複合材の破壊応力についてはJIS K7161に準じて、繊維についてはJIS R7606に準じて、引張試験機(例えば、Tensilon RTC-1310A、株式会社オリエンテックおよびInstron 5965、Instron)を用いて空気中で約20℃で引張試験を行って、各試料の破壊応力を測定する。ポリマーおよび複合材の試料については、規格であるJIS-K6251(ダンベル状7号形)に従って、12mm(長さ)×2mm(幅)×1mm(厚さ)の大きさのダンベル型試料を使用する。繊維の試料については、直径12φの単繊維を使用した(長さ12mm×幅2mm×厚さ1mmのダンベル状7号形の単繊維)。引張試験では、試験試料の1つの端部および反対側の端部を、別々のクランプで留める。上側のクランプを50mm/分の一定速度で上方に引っ張る一方で、下側のクランプは固定しておく。試料の応力-ひずみ曲線を、試験開始から、通常、試料の破断まで記録する。
本明細書において、ポリマーおよび複合材の「弾性率(引張係数)」は、JIS K7161に準じて、ダンベル型試験片を用いて引張試験を行ったときの、引張比例限度内における引張応力とこれに対応するひずみの比を意味する。本明細書において、本発明のポリマーおよび複合材の弾性率(引張係数)を測定するときの引張試験条件は、別途指定のない限り、その破壊応力の引張試験条件と同じである。
本明細書において、繊維の「弾性率(引張係数)」は、JIS R7606に準じて引張試験を行って測定された、単繊維の弾性率(引張係数)を意味する。本明細書において、本発明の繊維の弾性率(引張係数)を測定するときの引張試験条件は、別途指定のない限り、その破壊応力の引張試験条件と同じである。
本明細書において、「破断ひずみ」は、JIS K7161に準ずる引張試験を行ったときの、本発明のポリマーおよび複合材の試験片の初期長さに対する、破断したときの試験片の長さの増加量を意味し、百分率で表される。例えば、試験部分の初期長さが1であり、破断時の長さが2.5の場合、破断ひずみは150%である。本明細書において、本発明のポリマーおよび複合材の破断ひずみを測定するときの引張試験条件は、別途指定のない限り、その破壊応力の引張試験条件と同じである。
本明細書において、「引裂エネルギー」は、引裂試験を行って、試験片を完全に引き裂くのに必要としたエネルギーを意味する。本発明のポリマー、複合材、およびファブリックの引裂エネルギーについては、JIS K7128-1に準じて、引張試験機(例えば、Tensilon RTC-1310A、株式会社オリエンテックおよびInstron 5965、Instron)を用いて空気中で約20℃で引裂試験を行って、各試料の引裂エネルギーを測定する。ポリマーのみの試験試料として、幅が40mm、長さが60mm、厚さが1mmの直方体試料が使用される。ファブリックのみの試験試料として、幅が40mm、長さが60mm、厚さが約1mmの直方体試料が使用される。複合材の試験試料として、幅が5~110mmであり、長さは30~100mmであり、厚さが1.3mmの直方体試料が使用される。引裂試験では、最初の切込みを、かみそり刃を使用して、試料の幅方向に平行な側面の端部の中点から長さ方向と平行に中央方向へ、長さの3分の1だけ入れた。試験片の分けられた2つの端部を、別々のクランプで留めた。上側のクランプを50mm/分の一定速度で上方に引っ張る一方で、下側のクランプは固定しておいた。試料の力-変位曲線を、変形の間、記録する。引裂エネルギーを下記式
Figure 0007232474000011

により計算した。ここで、Lは、試験中の変位を表し、Lbulkは、引裂試験で引き裂かれた経路の長さを表し、Fは、試験試料を裂くのに必要であった力を表し、tは、試験試料の厚さを表す。
本明細書において、「曲げ弾性係数」は、JIS K7074に準じて曲げ試験を行ったときの、曲げ弾性係数(曲げ弾性率)を意味する。
本明細書において、「粘度」は、別途指定しない限り、JIS Z8803に従って測定した粘度をいい、B型粘度計またはE型粘度計(例えば、東機産業製)を用いて測定される。
本明細書において、「表面張力」は、別途指定しない限り、Wilhelmy法に従って測定した値をいう。本明細書における粘度は、代表的には、表面張力計(例えば、協和界面科学社製 CBVP-A3、Wilhelmy法)を使用してプレート法により25℃で測定された値である。
本明細書において、「自己再建性」または「自己再建機能」とは、あるポリマーについて言及するとき、そのポリマーを任意の溶媒(代表的には、クロロホルム)に溶解させた後、溶媒(代表的には、そのほとんど)を除去(代表的には、揮発、蒸発、圧縮、風乾)し、残渣を乾燥させること(代表的には、オーブンでの加熱乾燥)によって、もとの通常の状態またはそれに近似する状態に戻ることで、再度そのポリマーが有していた機能を同程度に、またはそれを超える機能を再度発揮することができること、性質または機能をいう。本明細書において、あるポリマーが「自己再建性」を有するというときは、代表的には、そのポリマーを任意の溶媒に溶解させた後、溶媒のほとんどを除去し、残渣を乾燥させてから、引張試験を行うと、ポリマーの引張係数または破壊応力が、溶解前の最初のポリマーの少なくとも約80%まで回復するポリマーを意味する。この用語の詳細は、後述の「〔8〕自己再建機能の測定」において記載する。
本明細書において、「ポリマー」とは、複数のモノマーが重合することによってできた化合物をいう。この場合、モノマーは「出発物質(材料)」であり、ポリマーは生成物(最終生成物)である。本明細書において、「ホモポリマー」とは、1種のみのモノマーが重合することによってできた化合物であり、「コポリマー」とは、2種もしくは2種超のモノマーが重合することによってできた化合物である。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはメタクリレートを意味し、アクリレートおよびメタクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよい。「(メタ)アクリロイルオキシ」は、アクリロイルオキシまたはメタクリロイルオキシを意味し、アクリロイルオキシおよびメタクリロイルオキシは、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよい。「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸またはメタクリル酸を意味し、アクリル酸およびメタクリル酸は、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよい。
本明細書において、「(メタ)アクリルポリマー」および「(メタ)アクリル系ポリマー」は、アクリル酸もしくはアクリレートまたはその塩もしくは誘導体などのホモポリマーまたはコポリマーをいう。
本明細書において、「モノマー」とは、それが2個以上重合してポリマーを生ずる化合物をいう。本発明のモノマーの例としては、(メタ)アクリル系モノマー、エチレン系モノマー、ウレタン系モノマー、アミド系モノマー、エステル系モノマー、エーテル系モノマー、イミド系モノマー、アミド-イミド系モノマー、カーボネート系モノマー、アセタール系モノマー、スルホン系モノマー、フェニレンスルフィド系モノマー、エーテルエーテルケトン系モノマー、シリコーン系モノマー、およびAES樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ABS樹脂、もしくはシリコーン樹脂などを重合により形成するモノマーが挙げられる。
本明細書においてモノマー(A)は、一般式(1)
Figure 0007232474000012

(Rは、水素またはC1~4アルキル基であり、Rは、非置換もしくは置換アルキル基、非置換もしくは置換アルケニル基、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基であり、XおよびXはそれぞれ独立して、O、S、NR、およびCRx1x2からなる群から選択され、Rは、水素、C1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、C1~6ハロアルキル基、またはC2~6ハロアルケニル基であり、Rx1およびRx2はそれぞれ独立して、水素、非置換もしくは置換アルキル基、非置換もしくは置換アルケニル基、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基であるか、あるいは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基を形成し、nは0~20である)で表される。
本明細書においてビニル系モノマー(B)は、一般式(2)
Figure 0007232474000013

(Rは、水素またはC1~4アルキル基であり、Rは、有機基である)で表される。モノマー(B)はビニル系モノマーの一種である。
本明細書において「ビニル系モノマー」とは、末端メチレン(HC=CH-)またはエキソメチレン(HC=C<)を少なくとも一つ含有するモノマーをいう。
一つの実施形態において、「モノマー成分」は、モノマー(A)のみで構成されていてもよく、モノマー(A)と一種または複数種の他のモノマーとの混合物であってもよい。
本明細書において、ハロゲン原子、ハロおよびハロゲンとしては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。アルキル基に含まれるハロゲン原子の数は、当該アルキル基の炭素数などによって異なるので一概には決定することができないことから、本発明の目的が阻害されない範囲内で適宜調整することが好ましい。
本明細書において「アルキル基」とは、メタン、エタン、プロパンのような脂肪族炭化水素(アルカン)から水素原子が一つ失われて生ずる1価の基をいい、一般にC2n+1-で表される(ここで、nは正の整数である)。アルキル基は、直鎖または分枝鎖であり得る。炭素数1~4のアルキル(C1~4アルキル)基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。炭素数1~6のアルキル(C1~6アルキル)基としては、例えば、C1~4アルキル基、n-ペンチル基、イソアミル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。炭素数1~10のアルキル(C1~10アルキル)基としては、例えば、C1~6アルキル基、n-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、分岐型ノニル基、n-デカニル基、イソデシル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。炭素数1~18のアルキル(C1~18アルキル)基としては、例えば、C1~10アルキル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、ミリスチル基、ペンタデシル基、パルミチル基、ヘプタデシル基、ステアリル基、イソステアリル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
本明細書において、「第三級炭素含有アルキル基」とは、4個以上の炭素を有し、かつ1個以上の第三級炭素を含有するアルキル基をいう。第三級炭素含有C4~5アルキル基の例としては、t-ブチル基、1,1-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基が挙げられる。第三級炭素含有C4~6アルキル基の例としては、第三級炭素含有C4~5アルキル基、1,1,2-トリメチルプロピル基、1-エチル-1-メチル-プロピル基、1,2,2-トリメチルプロピル基、1,1-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基が挙げられる。第三級炭素含有C4~7アルキル基の例としては、第三級炭素含有C4~6アルキル基、1,1,2,2-テトラメチルプロピル基、1,1,3,3-テトラメチルプロピル基、1,1,2-トリメチルブチル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
本明細書において「アルケニル基」とは、エテン、プロペン、ブテンのような二重結合を少なくとも一つ含有する脂肪族炭化水素(アルケン)から水素原子が一つ失われて生ずる1価の基をいい、一般にC2m-1で表される(ここで、mは2以上の整数である)。アルケニル基は、直鎖または分枝鎖であり得る。炭素数2~6のアルケニル基としては、例えば、エテニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。炭素数2~10のアルケニル基としては、例えば、炭素数2~6のアルケニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
本明細書において「アルコキシ基」とは、アルコール類のヒドロキシ基の水素原子が失われて生ずる1価の基をいい、一般にC2n+1O-で表される(ここで、nは1以上の整数である)。炭素数1~6のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソアミルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
本明細書において「ハロアルキル基」とは、上記アルキル基上の1個もしくは複数個の水素原子がハロゲン原子で置換されているアルキル基をいう。また、「ペルハロアルキル」は、上記アルキル基上の全ての水素原子がハロゲン原子で置換されているアルキル基をいう。炭素数1~6のハロアルキル基(C1-6ハロアルキル基)としては、例えば、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基(2,2,2-トリフルオロエチル基など)、ペルフルオロエチル基、トリフルオロn-プロピル基、テトラフルオロプロピル基(2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基など)、ペルフルオロn-プロピル基、トリフルオロイソプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、トリフルオロn-ブチル基、ペルフルオロn-ブチル基、トリフルオロイソブチル基、ペルフルオロイソブチル基、トリフルオロtert-ブチル基、ペルフルオロtert-ブチル基、トリフルオロn-ペンチル基、オクタフルオロペンチル基(2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチル基など)、ペルフルオロn-ペンチル基、トリフルオロn-ヘキシル基、ペルフルオロn-ヘキシル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。炭素数1~8のハロアルキル基(C1-8ハロアルキル基)としては、C1-6ハロアルキル基、ウンデカフルオロn-ヘプチル基、ペルフルオロn-ヘプチル基、トリデカフルオロオクチル基(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチル基など)、ペルフルオロn-オクチル基、などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
本明細書において「シクロアルキル基」とは、単環又は多環式飽和炭化水素基を意味し、架橋された構造のものも含まれる。例えば、「C3-12シクロアルキル基」とは炭素原子数が3~12の環状アルキル基を意味する。C6-12シクロアルキル基の具体例としては、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、アダマンチル基、イソボルニル基、2-メチル-2-アダマンチル基、2-エチル-2-アダマンチル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。C5-12シクロアルキル基の具体例としては、シクロペンチル基、C6-12シクロアルキル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。C3-12シクロアルキル基の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、C5-12シクロアルキル基などが挙げられる。好ましくは、「C6-12シクロアルキル基」が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
本明細書において「シクロアルケニル基」とは、二重結合を含む単環又は多環式不飽和炭化水素基を意味し、架橋された構造のものも含まれる。上記「シクロアルキル基」の炭素間結合の1つ以上が二重結合になったものが挙げられる。例えば、「C3-12シクロアルケニル基」とは炭素原子数が3~12の環状アルケニル基を意味する。具体例として、「C6-12シクロアルケニル基」の場合には、1-シクロへキセニル基、2-シクロへキセニル基、3-シクロへキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基、シクロノネニル基等が挙げられる。「C3-12シクロアルキル基」の場合には、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、C6-12シクロアルケニル基等が挙げられる。好ましくは、「C6-12シクロアルケニル基」が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
本明細書において「複素環式基」とは、その環内に窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択される同種または異種の原子を1~3個有する環式基を意味し、該基は、1つまたは複数の不飽和結合を含んでいてもよいが、芳香族基を含まない。例えば、「3~8員複素環式基」とは、環構成原子数が3~8個の複素環式基を意味する。「複素環式基」の具体例としては、オキセタニル基、ピラニル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、ピペリジニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、ヘキサメチレンイミニル基、チアゾリジニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピリジニル基、オキセタニル基、テトラヒドロピラニル基、1,3-ジオキソラニル基、1,3-ジオキサニル基、1,4-ジオキサニル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。尚、該基には架橋構造を有する複素環式基も含まれる。
本明細書において「アリール基」は、芳香族炭化水素の環に結合する水素原子が1個離脱して生ずる基をいう。例えば、ベンゼンからはフェニル基(C-)、トルエンからはトリル基(CH-)、キシレンからはキシリル基((CH-)、ナフタレンからはナフチル基(C10-)が誘導される。「C6~14アリール基」は、炭素数が6~14の芳香族炭化水素基を意味する。「C6~14アリール基」の具体例としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、アズレニル基、アセナフテニル基、アセナフチル基、アントリル基、フルオレニル基、フェナレニル基、フェナントリル基等が挙げられる。「C6~18アリール基」の具体例としては、例えば、C6~14アリール基、ベンゾ[a]アントリル基、ベンゾ[a]フルオレニル基、ベンゾ[c]フェナントリル基、クリセニル基、フルオランテニル基、ピレニル基、テトラセニル基、トリフェニレニル基などが挙げられる。アリールチオ基とは、アリール-S-基をいう。例えば、フェニル-S-基(フェニルチオ基)などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
本明細書において「ヘテロアリール基」は、単環式もしくは多環式のヘテロ原子含有芳香族基を意味し、該基は、窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選択される同種または異種のヘテロ原子を1個以上(例えば1~4個)含む。例えば、「5~18員ヘテロアリール基」は、環構成原子数が5~18個のヘテロアリール基を意味する。「ハロヘテロアリール基」は、環構成原子上の1個または複数個の水素がハロゲンで置換されているものを指す。「ヘテロアリール基」の具体例としては、例えば、ピロリル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、ピリダジル基、キノリル基、イソキノリル基、トリアゾリル基、トリアジニル基、テトラゾリル基、インドリル基、イミダゾ[1,2-a]ピリジル基、ピラゾロ[1,5-a]ピリジル基、[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジル基、ベンゾイミダゾリル基、キノキサリル基、シンノリル基、キナゾリル基、インダゾリル基、ナフチリジル基、キノリノリル基、イソキノリノリル基等が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
本明細書において「アルキレン基」とは、メタン、エタン、プロパンのような脂肪族炭化水素(アルカン)から水素原子が二つ失われて生ずる2価の基をいい、一般に-(C2m)-で表される(ここで、mは正の整数である)。アルキレン基は、直鎖または分枝鎖であり得る。炭素数1~10のアルキレン基(C1~10アルキレン基)としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基、n-ブチレン基、イソブチレン基、tert-ブチレン基、n-ペンテン基、n-ヘキシレン基、イソヘキシレン基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。炭素数1~6のアルキレン基(C1~6アルキレン基)が好ましく、炭素数1~4のアルキレン基(C1~4アルキレン基)がより好ましく、メチレン基およびエチレン基がさらに好ましく、メチレン基がさらに一層好ましい。
本明細書において「アルケニレン基」とは、エテニレン、プロペニレン、ブテニレンのような、二重結合を少なくとも一つ含有する脂肪族炭化水素(アルケン)から水素原子が二つ失われて生ずる2価の基をいい、一般に-(C2m-2)-で表される(ここで、mは2以上の整数である)。アルケニレン基は、直鎖または分枝鎖であり得る。炭素数2~10のアルケニレン基(C2~10アルケニレン基)としては、例えば、エテニレン基、n-プロペニレン基、イソプロペニレン基、n-ブテニレン基、イソブテニレン基、n-ペンテニレン基、n-ヘキセニレン基、イソヘキセニレン基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。炭素数2~6のアルケニレン基(C2~6アルケニレン基)が好ましく、炭素数2~4のアルケニレン基(C2~4アルケニレン基)がより好ましく、エテニレン基およびn-プロペニレン基がさらに好ましく、エテニレン基がさらに一層好ましい。
通常、用語「置換(されている)」は、特定の置換基のラジカルによる、所与の構造における1つ以上の水素ラジカルとの置き換えのことを指す。句「置換されていてもよい」は、句「非置換または置換(の)」と互換的に使用されることが認識される。例えば、「C1~10アルキル基で置換されていてもよいC6~18アリール基」は、「非置換C6~18アリール基、またはC1~10アルキル基で置換されているC6~18アリール基」と同義である。本明細書において、「置換(されている)」または「置換されていてもよい」を用いて定義される基における置換基の数は、置換可能であれば特に制限はなく、1または複数である。また、特に指示した場合を除き、各々の基の説明はその基が他の基の一部分または置換基である場合にも該当する。「置換基」の定義における炭素原子の数を、例えば、「C1-6」等と表記する場合もある。具体的には、「C1-6アルキル」なる表記は、炭素数1から6のアルキル基と同義である。また、本明細書において、「置換(されている)」または「置換されていてもよい」なる用語を特に明示していない置換基については、「非置換」の置換基を意味する。
「置換アルキル基」、「置換されていてもよいアルキル基」、「置換アルケニル基」、「置換シクロアルキル基」、「置換シクロアルケニル基」、「置換複素環式基」、「置換アリール基」、および「置換ヘテロアリール基」を含む本明細書中に記載の基上の置換基の例としては、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~18アルキル基、C1~18アルコキシ基、C2~10アルケニル基、C1~18ハロアルキル基、C2~18ハロアルケニル基、C6~18アリール基、C6~12アリールチオ基、C6~12アリール基で置換されたC1~10アルキル基、-CN、オキソ基(=O)、-O(CHO-、-OC(CHO-、-OCHO-、-O-、C1~6アルキレン基、C2~6アルケニレン基、-N(CH(Cl)などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。上記置換基の好ましい例としては、ハロゲン、C1~10アルキル基、C1~6アルコキシ基、C2~6アルケニル基、C1~6ハロアルキル基、C2~6ハロアルケニル基、C6~18アリール基、-S-C6~18アリール基、C6~18アリール基で置換されたC1~6アルキル基が挙げられる。
本明細書において「有機基」とは、炭素、酸素、窒素、または硫黄のいずれかを含む一価官能基を意味する。有機基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基、アルキルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アリールアルキルオキシカルボニル基、複素環式基、アミノ基、シアノ基、スルホ基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。一実施形態では、Rの有機基は、非置換もしくは置換C1~10アルキル基、非置換もしくは置換C2~10アルケニル基、非置換もしくは置換C3-12シクロアルキル基、非置換もしくは置換C3-12シクロアルケニル基、非置換もしくは置換C6~18アリール基、非置換もしくは置換3~8員複素環式基、-C(=O)-O-(非置換もしくは置換C1~10アルキル基)、-C(=O)-O-(非置換もしくは置換C2~10アルケニル基)、-C(=O)-O-(非置換もしくは置換C3-12シクロアルキル基)、-C(=O)-O-(非置換もしくは置換C3-12シクロアルケニル基)、-C(=O)-O-(非置換もしくは置換C3-12シクロアルケニル基)、または-C(=O)-O-(非置換もしくは置換C6~18アリール基)である。
本明細書において、「ハードセグメント」は、それが重合して生ずるポリマーに対して弾性を付与するモノマー化合物を意味する。例えば、一般式(2)のモノマー(B)は、ハードセグメントである。ハードセグメントは、「ガラス状部分」と呼ばれる場合もある。
本明細書において、「ソフトセグメント」は、それが重合して生ずるポリマーが受けたエネルギーを消散させるのに役立つモノマー化合物を意味する。例えば、一般式(1)のモノマー(A)は、ソフトセグメントである。
本明細書において、「エラストマー」とは、常温付近でゴム状弾性を有する材料の総称であり、例えば、弾性的性質を有することで外部の圧力に対して速やかに伸縮応答する弾性高分子をいう。ゴム弾性の本性は伸長によってエントロピーの小さい状態になったものが、エントロピーの大きい状態に戻ろうとする回復力である(エントロピー弾性)。しかし、すべてがエントロピー弾性ではなく、温度や圧力によっては内部エネルギーからの寄与も含む。エラストマーは通常ポリマーで構成される。弾性率(引張係数)が小さい、高伸長、高復元性があるといった特徴を有する。「エラストマー」はまた、「粘弾性エラストマー」を包含する。本明細書において、「粘弾性エラストマー」は、粘弾性のあるエラストマーをいう。エラストマーの粘弾性は、レオメーターで動的な粘弾性スペクトルを測定することで評価することができる。動的な粘弾性スペクトルは、温度-時間換算則に基づき、角周波数10-10rad/s~10rad/sの範囲において測定することができる。粘弾性エラストマーは、この周波数範囲の中で、ある周波数において損失弾性率G”と貯蔵弾性率G’との比G”/G’(=Tanδ)が、0.1以上である、望ましくは0.5以上である、最も望ましくは1.0以上であるエラストマーをいう。粘弾性エラストマーは高分子間である程度の相互作用を呈し、多くの場合、その相互作用は分子間の動的物理結合による。好ましい実施形態では本発明は粘弾性エラストマーを利用する。粘弾性エラストマーにおいては、この動的な物理相互作用が粘性を生み出し、高分子のエントロピー弾性と合わせて、粘弾性を示す。このような粘弾性エラストマーは変形時にエネルギーを散逸し、高い靭性を示す。繊維と複合するマトリックスとして、高靭性の粘弾性エラストマーが有効である。
本明細書において、「マトリクス」とは、本願発明の複合材に含まれる繊維以外の部分をいう。例えば、本発明の一実施形態では、マトリクスはポリマーである。本発明の一実施形態では、マトリクスはホモポリマーであり、別の実施形態では、コポリマーである。
本明細書において、「f」は、ハードセグメント(すなわちモノマー(B))とソフトセグメント(すなわちモノマー(A))との重合におけるソフトセグメントのモル分率(本明細書では、1であり得、その場合は、モノマー(A)のホモポリマーが生じる。)である。例えば、イソボルニルアクリレートとフェノキシエチルアクリレートとの組合せでは、フェノキシエチルアクリレートのモル分率を意味する。
本明細書において、「M(モノマーの略語)」は、ポリマー中に含まれるモノマーの総モル数に対する、あるモノマーのモル分率を表す。用語中の「モノマーの略語」とは、PHDEAなどのモノマーの略称自体が表示されることをいい、PHDEAの場合、「MPHDEA」と表示される。例えば、「MPHDEA」は、フェノキシジエチレングリコールアクリレート(PHDEA)のモル分率を表し、「MPHDEA:MIBXA」は、フェノキシジエチレングリコールアクリレートとイソボルニルアクリレート(IBXA)のモル分率の比を表す。同様に、「MPHEA:MIBXA」は、フェノキシエチルアクリレート(PHEA)とイソボルニルアクリレートのモル分率の比を表す。「MPHDEA:MIBXA」の代わりに、「PHDEA:IBXA」と記載される場合もある。この表記は、コポリマー単体中のあるモノマーのモル分率であってもよく、複合材のマトリクスに使用されたモノマーのモル分率であってもよい。fとMの関係は、例えば、PHEAとIBXAとのコポリマーにおいて、f=MPHEA/(MPHEA+MIBXA)と表される。
引張係数は、フックの法則が成立する弾性範囲における、同軸方向のひずみと応力の比例定数である。縦弾性係数とも呼ばれる。低引張係数とは、弾性範囲における応力-ひずみ曲線の傾きが小さいことを示す。
ゴムの例としては、天然ゴム(アラビアゴム、トラガカントゴム、グアーゴムなど;通常ジエン系ポリマーである。)、塊状重合により製造された合成ゴム、乳化重合で製造された合成ラテックスゴムなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
〔2〕好ましい実施形態の説明
以下に本発明の好ましい実施形態を説明する。以下に提供される実施形態は、本発明のよりよい理解のために提供されるものであり、本発明の範囲は以下の記載に限定されるべきでないことが理解される。従って、当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本発明の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。また、本発明の以下の実施形態は単独でも使用されあるいはそれらを組み合わせて使用することができることが理解される。
(2-1)複合材
1つの局面において、本発明は、第一の材料と第二の材料とを含む複合材を提供し、該複合材は、下記条件(i)および(ii):
(i)第一の材料についてはJIS R7606に、第二の材料についてはJIS K7161に準ずる引張試験方法により約20℃にて50mm/分の速度で破壊応力を測定した場合に、該第一の材料と該第二の材料との破壊応力の比が約50以上である
(ii)前記引張試験方法により約20℃にて50mm/分の速度で弾性率(引張係数)を測定した場合に、該第一の材料と該第二の材料との弾性率(引張係数)の比が約100以上である
の少なくとも1つの条件を満たす。
1つの局面において、本発明は、第一の材料と第二の材料とを含む複合材を提供し、該複合材は、下記条件(i)および(ii):
(i)第一の材料についてはJIS R7606に、第二の材料についてはJIS K7161に準ずる引張試験方法により約20℃にて50mm/分の速度で破壊応力を測定した場合に、該第一の材料が、約50MPa以上の破壊応力を有する
(ii)前記引張試験方法により約20℃にて50mm/分の速度で破断ひずみを測定した場合に、該第二の材料が、約200%以上の破断ひずみを有する
の少なくとも1つの条件を満たす。
一実施形態において、前記第一の材料は、繊維であり、前記第二の材料は、ガラス転移可能ポリマーである。別の実施形態において、前記第一の材料は、ファブリックであり、前記第二の材料は、ガラス転移可能なポリマーであると表現することもできる。
本発明の好ましい実施形態について、以下詳述する。
一実施形態において、第一の材料についてはJIS R7606に、第二の材料についてはJIS K7161に準ずる引張試験方法により約20℃にて50mm/分の速度で破壊応力を測定した場合に、前記第一の材料と前記第二の材料との破壊応力の比は、ある下限値以上の範囲であり、下限値の例としては、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約50、約60、約70、約80、約90、約100、約110、約120、約130、約140、約150、約160、約170、約180、約190、および約200が挙げられる。一実施形態において、第一の材料と第二の材料とを含む複合材は、該第一の材料と該第二の材料との破壊応力の比が約50以上である。好ましい実施形態において、第一の材料と第二の材料との破壊応力の比は、約100以上であり、より好ましくは約150以上である。本明細書において、「第一の材料と第二の材料との破壊応力の比」は、上記引張試験方法により得られる第一の材料の破壊応力の値(MPa単位)を第二の材料の破壊応力の値(MPa単位)で除することにより得られる値である。
一実施形態において、第一の材料についてはJIS R7606に、第二の材料についてはJIS K7161に準ずる引張試験方法により約20℃にて50mm/分の速度で弾性率(引張係数)を測定した場合に、前記第一の材料と前記第二の材料との引張係数の比は、ある下限値以上の範囲であり、下限値の例としては、約10、約50、約100、約500、約1000、約1500、約2000、約2500、約3000、約3500、約4000、約4500、約5000、約5500、約6000、約6500、約7000、約7500、約8000、約8500、約9000、約9500、および約10000が挙げられる。一実施形態において、第一の材料と第二の材料とを含む複合材は、該第一の材料と該第二の材料との引張係数の比が約100以上である。好ましい実施形態において、第一の材料と第二の材料との引張係数の比は、約2500以上であり、より好ましくは約5000以上である。本明細書において、「第一の材料と第二の材料との引張係数の比」は、上記引張試験方法により得られる第一の材料の引張係数の値(MPa単位)を第二の材料の引張係数の値(MPa単位)で除することにより得られる値である。
一実施形態において、第一の材料についてJIS R7606に準ずる引張試験方法により約20℃にて50mm/分の速度で破壊応力を測定した場合に、前記第一の材料の破壊応力は、ある下限値以上の範囲であり、下限値の例としては、約50MPa、約100MPa、約150MPa、約200MPa、約250MPa、約300MPa、約350MPa、約400MPa、約450MPa、約500MPa、約650MPa、約700MPa、約750MPa、約800MPa、約850MPa、約900MPa、約950MPa、および約1000MPaが挙げられる。一実施形態において、前記引張試験方法により約20℃にて50mm/分の速度で破壊応力を測定した場合に、該第一の材料が、約100MPa以上の破壊応力を有する。好ましい実施形態において、前記引張試験方法により約20℃にて50mm/分の速度で破壊応力を測定した場合に、該第一の材料が、約250MPa以上、より好ましくは約500MPa以上の破壊応力を有する。一実施形態において、第二の材料についてJIS K7161に準ずる引張試験方法により約20℃にて50mm/分の速度で破壊応力を測定した場合に、前記第二の材料の破壊応力は、ある下限値以上の範囲であり、下限値の例としては、約1.5MPa、約1.6MPa、約1.7MPa、約1.8MPa、約1.9MPa、約2.0MPa、約2.1MPa、約2.2MPa、約2.3MPa、約2.4MPa、約2.5MPa、約3MPa、約4MPa、約5MPa、約6MPa、約7MPa、約8MPa、約9MPa、および約10MPaが挙げられる。一実施形態において、前記引張試験方法により約20℃にて50mm/分の速度で破壊応力を測定した場合に、該第二の材料が、約1.5MPa以上の破壊応力を有する。好ましい実施形態において、前記引張試験方法により約20℃にて50mm/分の速度で破壊応力を測定した場合に、該第二の材料が、約2.0MPa以上、より好ましくは約2.5MPa以上の破壊応力を有する。
一実施形態において、第一の材料についてはJIS R7606に、第二の材料についてはJIS K7161に準ずる引張試験方法により約20℃にて50mm/分の速度で破断ひずみを測定した場合に、前記第二の材料の破断ひずみは、ある下限値以上の範囲であり、下限値の例としては、約10%、約50%、約100%、約150%、約200%、約250%、約300%、約350%、約400%、約450%、約500%、約650%、約700%、約750%、約800%、約850%、約900%、約950%、約1000%、約1100%、約1200%、約1300%、および約1400%が挙げられる。一実施形態において、前記引張試験方法により約20℃にて50mm/分の速度で破断ひずみを測定した場合に、該第二の材料が、約200%以上の破断ひずみを有する。好ましい実施形態において、前記引張試験方法により約20℃にて50mm/分の速度で破断ひずみを測定した場合に、該第二の材料が、約300%以上、より好ましくは約400%以上の破断ひずみを有する。
一実施形態において、第二の材料についてはJIS K7128-1に準ずる引裂試験方法により約20℃にて50mm/分の引裂速度で測定した場合に、力の最大値が、6、7、8、9、または10MPa以上である。
一実施形態において、第二の材料についてはJIS K7128-1に準ずる引裂試験方法により約20℃にて50mm/分の引裂速度で測定した場合に、変位が、150mmまたは160mm以上である。
一実施形態において、第一の材料と第二の材料とは界面が接着している、そして/または物理的にインターロックしている。一実施形態において、第一の材料と第二の材料とは界面が接着している。一実施形態において、第一の材料と第二の材料は、物理的にインターロックしている。
一実施形態において、前記繊維状の形態の材料の繊維ユニットの太さは、ある下限値とある上限値との間の範囲内であり、下限値の例としては、約1TEX、約5TEX、約10TEX、約15TEX、約20TEX、約25TEX、約30TEX、約35TEX、約40TEX、約45TEX、約50TEX、約55TEX、約60TEX、約65TEX、約70TEX、約75TEX、約80TEX、約85TEX、約90TEX、約95TEX、および約100TEXが挙げられ、上限値の例としては、約100TEX、約150TEX、約200TEX、約250TEX、約300TEX、約350TEX、約400TEX、約450TEX、約500TEX、約550TEX、約600TEX、約650TEX、約700TEX、約750TEX、約800TEX、約850TEX、約900TEX、約950TEX、および約1000TEXが挙げられる。一実施形態において、第一の材料が繊維状の形態を有し、該一の材料の繊維ユニットは、約1TEX~約1000TEXの太さである。好ましい実施形態において、該繊維状の形態の材料の繊維ユニットは、約10TEX~約950TEX、より好ましくは約30TEX~約900TEX、さらに好ましくは約45TEX~約850TEX、よりさらに好ましくは約60TEX~約800TEXの太さである。
一実施形態において、前記繊維状の形態の材料の繊維ユニットの直径(繊維の断面が楕円の場合には長径、多角形の場合には外接円の直径)は、ある下限値とある上限値との間の範囲内であり、下限値の例としては、約0.001mm、約0.005mm、約0.01mm、約0.05mm、約0.10mm、約0.15mm、約0.20mm、約0.25mm、約0.30mm、約0.35mm、約0.40mm、約0.45mm、および約0.50mmが挙げられ、上限値の例としては、約0.5mm、約0.6mm、約0.7mm、約0.8mm、約0.9mm、約1.0mm、約1.1mm、約1.2mm、約1.3mm、約1.4mm、約1.5mm、約1.6mm、約1.7mm、約1.8mm、約1.9mm、および約2.0mmが挙げられる。一実施形態において、第一の材料が繊維状の形態を有し、該一の材料の繊維ユニットの直径は、約0.001mm~約2.0mmである。好ましい実施形態において、該繊維状の形態の材料の繊維ユニットの直径は、約0.01mm~約1.0mm、より好ましくは約0.05mm~約0.90mm、さらに好ましくは約0.1mm~約0.8mm、よりさらに好ましくは約0.20mm~約0.8mmである。
一実施形態において、前記繊維状の形態の材料の繊維ユニットの断面積は、ある下限値以上の範囲であり、下限値の例としては、約0.001mm2、約0.0025mm2、約0.005mm、約0.0075mm2、約0.01mm2、約0.025mm2、約0.05mm2、約0.075mm2、約0.1mm2、約0.25mm2、約0.5mm2、約0.75mm2、および約1.0mm2が挙げられる。一実施形態において、前記繊維状の形態の材料の繊維ユニットの断面積は、約0.05mm2以上である。好ましい実施形態において、該繊維状の形態の材料の繊維ユニットの断面積は、約0.075mm2以上、より好ましくは約0.1mm2以上である。
一実施形態において、前記繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド(ケブラー(登録商標))繊維、植物繊維、木質繊維、動物繊維、鉱物繊維、金属繊維および合成高分子繊維ならびにそれらの組合せからなる群から選択される1種または複数種の繊維である。好ましい実施形態において、前記繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、または金属繊維であり、より好ましくは、ガラス繊維、炭素繊維、またはアラミド繊維であり、最も好ましくは、炭素繊維である。一実施形態において、前記繊維により織物、編物または不織布が形成されている。
ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、および金属繊維は、実施例に例示される製造業者などから市販されるのものであってもよく、当業者に周知の方法に従って調製してもよい。
ガラスの紡糸方法には原料から溶解されたガラスを直接紡糸するDirect Melt法と、溶解されたガラスを一旦球状やロッドに成形し、再度紡糸工程において溶解、繊維化するMarble Melt法がある。ガラス繊維は形状としてロービング、ロービングクロス、チョップドストランド、ミルドファイバー、チョップドストランドマット、コンティニュアストランドマッド、ヤーン、ガラスクロス、ガラステープ等の種類がある。
炭素繊維の原料は主にポリアクリロニトリル系を炭素化したもの(PAN系炭素繊維)とピッチプリカーサーを炭素化したもの(ピッチ系炭素繊維)があり、形状としては、フィラメント、トウ、ステープルヤーン、クロス、ブレード、チョップド糸、ミルド、フェルト・マット、ペーパー等の種類がある。
金属繊維の原料の例としては、ステンレス,アルミニウム,鉄,ニッケル,銅などが挙げられる。金属繊維の具体例としては、SUS316製のステンレス金網などが挙げられる。
1つの局面において、本発明は、繊維とガラス転移可能ポリマーとを含む複合材を提供する。一実施形態において、前記ガラス転移可能ポリマーは、一種またはそれより多種のモノマーを含むモノマー成分を重合することにより形成されるホモポリマーまたはコポリマーであり、好ましくは、前記モノマー成分が、モノマー(A)と、任意選択的にビニル系モノマー(B)とを含み、より好ましくは、前記モノマー(A)のガラス転移温度が-100℃以上であり、かつ10℃より低い。
(2-2)ガラス転移可能ポリマー
一実施形態において、前記ガラス転移可能ポリマーは、(メタ)アクリル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、アミド系ポリマー、エーテル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、カーボネート系ポリマー、それらの任意の組合せからなる群より選択される。任意の組合せの例としては、アクリル系ポリマーとエチレン系ポリマーとの共重合体であるABSなどの任意の共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、三元共重合体、2種もしくはそれより多種のポリマーの混合物などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、前記ガラス転移可能ポリマーは、(メタ)アクリル系ポリマーである。
一実施形態において、前記ガラス転移可能ポリマーのガラス転移温度は、ある下限値とある上限値との間の範囲内であり、下限値の例としては、約-100℃、約-90℃、約-80℃、約-70℃、約-60℃、約-50℃、約-40℃、約-30℃、約-20℃、約-10℃、および約0℃が挙げられ、上限値の例としては、約0℃、約10℃、約20℃、約30℃、約40℃、約50℃、約60℃、約70℃、約80℃、約90℃および約100℃が挙げられる。一実施形態において、前記ガラス転移可能ポリマーのガラス転移温度は、約-90~40℃であり、好ましくは、約-70~30℃であり、より好ましくは、約-50~20℃であり、なおさらに好ましくは、約-20~20℃である。一実施形態において、前記ガラス転移可能ポリマーのガラス転移温度は、約-70~70℃であり、好ましくは、約-60~50℃であり、より好ましくは、約-50~40℃であり、なおさらに好ましくは、約-40~40℃である。
一実施形態において、前記ポリマーは、一種またはそれより多種のモノマーを含むモノマー成分を重合することにより形成されるホモポリマーまたはコポリマーである。
一実施形態において、前記モノマー成分の粘度は、ある下限値とある上限値との間の範囲内であり、下限値の例としては、約0.1、約0.5、約1.0、約1.5、約2.0、約2.5、約3.0、約3.5、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、約6.5、約7.0、約7.5、約8.0、約8.5、約9.0、約9.5および約10mPa・sが挙げられ、上限値の例としては、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55および約60mPa・sが挙げられる。一実施形態において、前記モノマー成分の粘度は、約0.1~50mPa・sであり、好ましくは、約0.5~30mPa・sである。
一実施形態において、前記モノマー成分の表面張力は、ある下限値とある上限値との間の範囲内であり、下限値の例としては、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19および約20mN/mが挙げられ、上限値の例としては、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約53、約54、約55、約56、約57、約58、約59および約60mN/mが挙げられる。一実施形態において、前記モノマー成分の表面張力は、約15~55mN/mであり、好ましくは、約20~40mN/mである。
一実施形態において、前記モノマー成分が、モノマー(A)と、任意選択的にビニル系モノマー(B)とを含む。
一実施形態において、前記モノマー成分は、
一般式(1)
Figure 0007232474000014

(Rは、水素またはC1~4アルキル基であり、Rは、非置換もしくは置換アルキル基、非置換もしくは置換アルケニル基、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基であり、XおよびXはそれぞれ独立して、O、S、NR、およびCRx1x2からなる群から選択され、Rは、水素、C1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、C1~6ハロアルキル基、またはC2~6ハロアルケニル基であり、Rx1およびRx2はそれぞれ独立して、水素、非置換もしくは置換アルキル基、非置換もしくは置換アルケニル基、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基であるか、あるいは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基を形成し、nは0~20である)で表されるモノマー(A)を含む。
(2-3)モノマー(A)
一実施形態において、前記モノマー(A)のガラス転移温度は、ある下限値とある上限値との間の範囲内であり、下限値の例としては、約-100℃、約-90℃、約-80℃、約-70℃、約-60℃、約-50℃、約-40℃、約-30℃、約-20℃、約-10℃、および約0℃が挙げられ、上限値の例としては、約0℃、約10℃、約20℃、約30℃、約40℃、約50℃、約60℃、約70℃、約80℃、約90℃および約100℃が挙げられる。一実施形態において、モノマー(A)のガラス転移温度は、-100℃以上でありかつ10℃より低く、好ましくは、-70℃以上であり、かつ10℃より低い。
一般式(1)の一実施形態において、Rは、水素またはメチル基である。好ましい実施形態において、Rは、メチル基である。別の好ましい実施形態において、Rは、水素である。
一般式(1)の一実施形態において、Rは、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、C1~10アルキル基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルキルオキシカルボニル基、C1~6ハロアルキル基、C2~6アルケニル基、C2~6ハロアルケニル基、C3~6シクロアルキル基、C3~6ハロシクロアルキル基、3~8員複素環式基およびC6~18アリールチオ基からなる群より選択される1つまたは複数(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくはそれより多数)の基で置換されていてもよい、C1~6アルキル基、C2~6アルケニル基、C3~6シクロアルキル基、C6~18アリール、5~18員ヘテロアリール基であるが、ただし、XがRと直接結合する場合、Rは、C6~18アリール基でも5~18員ヘテロアリール基でもない。好ましくは、Rは、ヒドロキシル基、C1~10アルキル基およびC6~18アリールチオ基からなる群より選択される1つまたは複数の基で置換されていてもよい、C1~6アルキル基、C6~18アリールまたは5~18員ヘテロアリール基である。より好ましくは、Rは、C1~6アルキル基、フェニル基、ベンジル基またはフェニルチオエチル基である。よりさらに好ましくは、Rは、C1~4アルキル基、フェニル基、ベンジル基またはフェニルチオエチル基である。一実施形態において、Rは、非置換もしくは置換C1-18アルキル基、または非置換もしくは置換C6~18アリール基である。一実施形態において、Rは、非置換もしくは置換C1~18アルキル基であり、より好ましくは、非置換もしくは置換C1~10アルキル基であり、よりさらに好ましくは、非置換もしくは置換C1~6アルキル基である。一実施形態において、Rは、非置換C1-18アルキル基、5もしくは6員複素環式基またはC6~18アリールで置換されているC1~6アルキル、またはヒドロキシル基、C1~6アルキル基、およびC1~6アルコキシ基からなる群より選択される1つまたは複数の基で置換されていてもよいC6~18アリールであるが、ただし、XがRと直接結合する場合、RはC6~18アリール基ではない。一実施形態において、Rは、非置換C1~18アルキル基、5もしくは6員複素環式基またはCアリールで置換されているC1~3アルキル、または非置換C6~10アリールである。一実施形態において、Rは、メチル基、エチル基、ラウリル基、イソステアリル基、テトラヒドロフルフリル基、フェニル基、またはベンジル基である。
一般式(1)の一実施形態において、Rは、水素、C1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、C1~6ハロアルキル基、またはC2~6ハロアルケニル基である。一実施形態において、Rは、水素、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、またはペンタフルオロエチル基である。一実施形態において、Rは、水素、メチル基、またはトリフルオロメチル基である。一実施形態において、Rは、水素である。一実施形態において、Rは、メチルである。
一般式(1)の一実施形態において、Rx1およびRx2はそれぞれ独立して、水素、非置換もしくは置換アルキル基、非置換もしくは置換アルケニル基、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基であるか、あるいは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基を形成する。一実施形態において、Rx1およびRx2はそれぞれ独立して、水素、C1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、C1~6ハロアルキル基、またはC1~6ハロアルコキシ基であり、好ましくは、水素、C1~4アルキル基、C1~4アルコキシ基、C1~4ハロアルキル基、またはC1~4ハロアルコキシ基であり、さらに好ましくは、水素、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、トリフルオロメチル基、またはペンタフルオロエチル基であり、よりさらに好ましくは、水素、メチル基、またはトリフルオロメチル基である。一実施形態において、Rx1およびRx2はそれぞれ独立して、水素またはC1~6アルキル基であり、好ましくは、水素またはC1~4アルキル基であり、さらに好ましくは、水素、メチル基またはエチル基であり、よりさらに好ましくは、水素またはメチル基である。
一般式(1)の一実施形態において、XおよびXはそれぞれ独立して、O、SまたはCHであり、より好ましくは、XはOであり、XはO、SまたはCHであり、よりさらに好ましくは、XはOであり、XはOまたはCHである。一実施形態において、XおよびXはそれぞれ独立して、OまたはSである。一実施形態において、XはOであり、XはOまたはSである。一実施形態において、XはOであり、XはSである。一実施形態において、XおよびXは、CHである。好ましい実施形態において、XおよびXは、Oである。一実施形態において、XはOであり、XはCHである。
一般式(1)の一実施形態において、nは、0~20、0~19、0~18、0~17、0~16、0~15、0~14、0~13、0~12、0~11、0~10、0~9、0~8、0~7、0~6、0~5、0~4、0~3、0~2、0~1、または0、1、2、3、4もしくは5である。好ましい実施形態において、nは0~4である。一般式(1)の別の好ましい実施形態において、nは0~3である。さらに別の好ましい実施形態において、nは0~2である。より好ましい実施形態において、nは0または1である。さらに好ましい実施形態において、nは1である。一実施形態において、nは0~3であるが、ただし、Rが非置換C1-4アルキルまたはヒドロキシ置換C1-4アルキルであるとき、nは1~3である。
一般式(1)の一実施形態において、nは1以上であるか、またはn=0のとき、Rが、非置換もしくは置換アルキル基、非置換もしくは置換アルケニル基、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、または非置換もしくは置換複素環式基である。一実施形態において、n=0のとき、Rが非置換もしくは置換アルキル基である。一実施形態において、n=0のとき、Rが、フェニル基で置換されているアルキル基である。
一般式(1)の一実施形態において、Rは、非置換もしくは置換C1-18アルキル基、または非置換もしくは置換C6~18アリール基であり、好ましくは、Rは、非置換もしくは置換C6~18アリール基で置換されたC1-18アルキル基、または非置換もしくは置換C6~18アリール基である。好ましい実施形態において、Rは、非置換もしくは置換C6~18アリール基で置換されたC1-18アルキル基、または非置換もしくは置換C6~18アリール基であり、n=0または1であり、より好ましくは、Rは、非置換もしくは置換C6~18アリール基で置換されたC1-18アルキル基、または非置換もしくは置換C6~18アリール基であり、n=0であり、さらに好ましくは、Rは、非置換もしくは置換C6~18アリール基で置換されたC1-18アルキル基、または非置換もしくは置換C6~18アリール基であり、n=0または1であり、よりさらに好ましくは、Rは、非置換もしくは置換C6~18アリール基で置換されたC1-18アルキル基、または非置換もしくは置換C6~18アリール基であり、n=0であり、なおもさらに好ましくは、Rは、非置換もしくは置換C6~18アリール基で置換されたC1-18アルキル基であり、n=0または1である。さらに好ましい実施形態において、Rは、非置換もしくは置換C6~18アリール基で置換されたC1-18アルキル基であり、n=0であり、より好ましくは、Rは、フェニル基で置換されたC1-18アルキル基であり、n=0または1であり、さらに好ましくは、Rは、フェニル基で置換されたC1-18アルキル基であり、n=0であり、よりさらに好ましくは、Rは、ベンジル基であり、n=0または1であり、なおもさらに好ましくは、Rは、ベンジル基であり、n=0である。
一般式(1)の好ましい実施形態において、前記モノマー(A)は、2-メトキシエチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート(または2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート)、トリエチレングリコールメチルエーテルアクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレートおよびフェノキシジエチレングリコールアクリレートから少なくとも1つ以上選択されるものを含む。別の好ましい実施形態において、前記モノマー(A)は、2-メトキシエチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート(または2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート)、トリエチレングリコールメチルエーテルアクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリルレートおよびフェノキシジエチレングリコールアクリレートからなる群より選択される1種のモノマーである。
一般式(1)の好ましい実施形態において、前記モノマー(A)は、2-メトキシエチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、トリエチレングリコールメチルエーテルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソステアリルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレートおよびテトラヒドロフルフリルアクリレートからなる群から少なくとも1つ以上選択されるものを含む。
一般式(1)の好ましい実施形態において、前記モノマー(A)は、2-メトキシエチルアクリレート、トリエチレングリコールメチルエーテルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソステアリルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレートおよびテトラヒドロフルフリルアクリレートからなる群から少なくとも1つ以上選択されるものを含む。
一般式(1)の好ましい実施形態において、前記モノマー(A)は、トリエチレングリコールメチルエーテルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソステアリルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレートおよびテトラヒドロフルフリルアクリレートからなる群から少なくとも1つ以上選択されるものを含む。
一般式(1)の好ましい実施形態において、前記モノマー(A)は、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、およびフェノキシジエチレングリコールアクリレートからなる群から少なくとも1つ以上選択されるものを含む。
一般式(1)の好ましい実施形態において、Rは水素であり、Rはメチル基であり、XはOであり、かつnは1である。このとき、モノマー(A)は、2-メトキシエチルアクリレートである。
一般式(1)の好ましい実施形態において、Rは水素であり、Rはフェニル基であり、XはOであり、かつnは1である。このとき、モノマー(A)は、フェノキシエチルアクリレートである。
一般式(1)の別の好ましい実施形態において、Rは水素であり、Rはフェニル基であり、XはOであり、かつnは2である。このとき、モノマー(A)は、フェノキシジエチレングリコールアクリレートである。
(2-4)ビニル系モノマー(B)
一実施形態において、前記ビニル系モノマー(B)のガラス転移温度は、ある下限値とある上限値との間の範囲内であり、下限値の例としては、約-100℃、約-90℃、約-80℃、約-70℃、約-60℃、約-50℃、約-40℃、約-30℃、約-20℃、約-10℃、および約0℃が挙げられ、上限値の例としては、約0℃、約10℃、約20℃、約30℃、約40℃、約50℃、約60℃、約70℃、約80℃、約90℃および約100℃が挙げられる。一実施形態において、ビニル系モノマー(B)のガラス転移温度は、10℃以上でありかつ120℃以下であり、好ましくは、10℃以上でありかつ100℃以下である。
1つの好ましい実施形態では、上記モノマー成分が、一般式(2)
Figure 0007232474000015

(Rは、水素またはC1~4アルキル基であり、Rは、有機基である)で表されるビニル系モノマー(B)をさらに含む。
一実施形態において、前記モノマー(B)は、前記複合材を製造する条件において該モノマー(B)のみから構成されるホモポリマーを製造した際に、該ホモポリマーが、約30℃~120℃のガラス転移温度を有するように選択される。
本発明のビニル系モノマー(B)の具体例としては、下記の単官能モノマーおよび多官能モノマーが挙げられる。
単官能モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、メタクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸tert-ブチル、アクリル酸ネオペンチル、メタクリル酸ネオペンチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸セチル、メタクリル酸セチルなどのアルキル基の炭素数が1~18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;アクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘプチル、メタクリル酸シクロヘプチル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、アクリル酸アダマンチル、メタクリル酸アダマンチル、アクリル酸2-メチル-2-アダマンチル、メタクリル酸2-メチル-2-アダマンチル、アクリル酸2-エチル-2-アダマンチル、メタクリル酸2-エチル-2-アダマンチルなどの炭素数5~12のシクロアルキル基を有するシクロアルキル(メタ)アクリレート;アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジルなどのアラルキル基の炭素数が7~12の(メタ)アクリル酸アリールエステル;アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシブチルなどのヒドロキシアルキル基の炭素数が2~6の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル;アクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシエチル、アクリル酸メトキシブチル、メタクリル酸メトキシブチルなどのアルコキシアルキル基の炭素数が2~8の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル;アクリル酸エチルカルビトール、メタクリル酸エチルカルビトールなどのアルキル基の炭素数が1~4の(メタ)アクリル酸アルキルカルビトール;N-メチルアクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N-エチルメタクリルアミド、N-プロピルアクリルアミド、N-プロピルメタクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-イソプロピルメタクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、N-tert-ブチルメタクリルアミド、N-オクチルアクリルアミド、N-オクチルメタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N,N-ジエチルメタクリルアミドなどのアルキル基の炭素数が1~12のアルキル(メタ)アクリルアミド:N-ブトキシメチルアクリルアミド、N-ブトキシメチルメタクリルアミドなどのアルコキシ基の炭素数が1~6のアルコキシ(メタ)アクリルアミド;アクリロイルモルホリン、メタクリロイルモルホリンなどの(メタ)アクリロイルモルホリン;ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンジメタクリルアミドなどのジアセトン(メタ)アクリルアミド;スチレン、メチルスチレンなどのスチレン系モノマー;イタコン酸メチル、イタコン酸エチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外のアルキル基の炭素数が1~4の脂肪酸アルキルエステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどの脂肪酸ビニルエステル;N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタムなどの窒素原子含有モノマー;ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、メタクリルアミドメチルスルホン酸などのスルホン酸類;エチレンオキシド変性リン酸アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸メタクリレートなどのアルキレンオキシド変性リン酸(メタ)アクリレート;N-アクリロイルオキシエチル-N,N-ジメチルアンモニウム-α-N-メチルカルボキシベタイン、N-メタクリロイルオキシエチル-N,N-ジメチルアンモニウム-α-N-メチルカルボキシベタイン、N-アクリロイルオキシエチル-N,N-ジエチルアンモニウム-α-N-メチルカルボキシベタイン、N-メタクリロイルオキシエチル-N,N-ジエチルアンモニウム-α-N-メチルカルボキシベタイン、N-アクリロイルオキシエチル-N,N-ジメチルアンモニウム-β-N-エチルカルボキシベタイン、N-メタクリロイルオキシエチル-N,N-ジメチルアンモニウム-β-N-エチルカルボキシベタイン、N-アクリロイルオキシエチル-N,N-ジエチルアンモニウム-β-N-エチルカルボキシベタイン、N-メタクリロイルオキシエチル-N,N-ジエチルアンモニウム-β-N-エチルカルボキシベタイン、N-アクリルアミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-α-N-メチルカルボキシベタイン、N-メタクリルアミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-α-N-メチルカルボキシベタイン、N-アクリルアミドプロピル-N,N-ジエチルアンモニウム-α-N-メチルカルボキシベタイン、N-メタクリルアミドプロピル-N,N-ジエチルアンモニウム-α-N-メチルカルボキシベタイン、N-アクリルアミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-β-N-エチルカルボキシベタイン、N-メタクリルアミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-β-N-エチルカルボキシベタイン、N-アクリルアミドプロピル-N,N-ジエチルアンモニウム-β-N-エチルカルボキシベタイン、N-メタクリルアミドプロピル-N,N-ジエチルアンモニウム-β-N-エチルカルボキシベタインなどのベタイン系モノマーなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
多官能モノマーとしては、例えば、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミドなどのアルキレン基の炭素数が1~4のアルキレンビス(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリロイル基を2個以上、好ましくは2個有する(メタ)アクリルアミド化合物;ジビニルベンゼン、ジアリルベンゼン、などの炭素-炭素二重結合を2個以上、好ましくは2個または3個有する芳香族化合物;エチレンジアクリレート、エチレンジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジメタクリレート、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジアクリレート、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ビスフェノールA エチレンオキシド(3.8)付加物ジアクリレート(大阪有機化学工業株式会社からビスコート#700HVの商品名で市販されている)、ビスフェノールA ジグリシジルエーテルアクリル酸付加物(大阪有機化学工業株式会社からビスコート#540の商品名で市販されている)、トリメチロールプロパンエチレンオキシド(3.5)付加物トリアクリレート(大阪有機化学工業株式会社からビスコート#360の商品名で市販されている)、トリペンタエリスリトールアクリレート(大阪有機化学工業株式会社からビスコート#802の商品名で市販されている)などの(メタ)アクリロイル基を2個以上、好ましくは2個または3個有する(メタ)アクリレート化合物;ジアリルアミン、トリアリルアミンなどの炭素-炭素二重結合を2個以上、好ましくは2個または3個有するアミン化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの多官能モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの多官能モノマーはまた、架橋剤として使用されてもよい。
一般式(2)の一実施形態において、Rは、水素またはメチル基である。好ましい実施形態において、Rはメチル基である。別の好ましい実施形態において、Rは水素である。
一般式(2)の一実施形態において、Rは、-C(=O)-L-Rであり、ここで、Lは、結合または-C1~4アルキレン-であり、Rは、非置換もしくは置換第三級炭素含有C4~7アルキル基、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基である。一実施形態において、Lは結合である。一実施形態において、Lは-C1~4アルキレン-であり、好ましくは、-C1~3アルキレン-であり、より好ましくは、-(CH-、-CH(CH)-または-CH-であり、さらに好ましくは、-CH-である。一実施形態において、Rは、非置換もしくは置換第三級炭素含有C4~7アルキル基、非置換もしくは置換C5~12シクロアルキル基、または非置換もしくは置換5~6員複素環式基であり、好ましくは、t-ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、イソボルニル基、2-メチル-2-アダマンチル基、2-エチル-2-アダマンチル基、テトラヒドロフラニル基、1,3-ジオキサン-5-イル、または5-エチル-1,3-ジオキサン-5-イル基、1,1,2,2-テトラメチルプロピル基である。一実施形態において、Rは、-C(=O)-O-(C5~12シクロアルキル基)であり、好ましくは、-C(=O)-O-(イソボルニル基)である。一実施形態において、Rは、、C1~4アルキル基より選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい、t-ブチル基、イソボルニル基、アダマンチル基、C5~7シクロアルキル基、または5~6員複素環式基である。
本発明の好ましい実施形態では、ビニル系モノマー(B)は、C5~12シクロアルキル(メタ)アクリレートであり、より好ましい実施形態では、イソボルニルアクリレートまたはイソボルニルメタクリレートである。別の好ましい実施形態では、モノマー(B)は、t-ブチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、およびシクロヘキシルアクリレートからなる群から選択される少なくとも1つを含む。
実施形態において、モノマー(A)および/またはモノマー(B)として使用可能な化合物を、下記に列挙する。これらは、単なる例示であり、本発明を限定するものではない。
[A-101]2-アクリロイルオキシエチルフタレート、[A-102]2-アクリロイルオキシエチル2-ヒドロキシエチルフタレート、[A-103]2-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタレート、[A-104]2-アクリロイルオキシプロピルフタレート、[A-105]2,2-ジエチルプロパンジオールジアクリレート、[A-106]2-エチルヘキシルアクリレート、[A-107]2-エチルヘキシルカルビトールアクリレート、[A-108]2-ヒドロキシブチルアクリレート、[A-109]2-ヒドロキシエチルアクリレート、[A-110]2-ヒドロキシプロピルアクリレート、[A-111]2-メトキシエチルアクリレート、[A-112]3-メトキシブチルアクリレート、[A-113]4-ヒドロキシブチルアクリレート、[A-119]ベンジルアクリレート、[A-120]ブタンジオールモノアクリレート、[A-121]ブトキシエチルアクリレート、[A-122]ブチルアクリレート、[A-124]セチルアクリレート、[A-128]シクロヘキシルアクリレート、[A-129]ジシクロペンタニルアクリレート(ファンクリルFA-513A、日立化成)、[A-130]ジシクロペンテニルアクリレート(ファンクリルFA-511A、日立化成)、[A-131]ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート(ファンクリルFA-512A、日立化成)、[A-132]ジエチレングリコールジアクリレート、[A-133]ジメチルアミノエチルアクリレート、[A-137]エトキシジエチレングリコールアクリレート、[A-140]エチルアクリレート、[A-141]イソアミルアクリレート、[A-142]イソボルニルアクリレート、[A-143]イソブチルアクリレート、[A-144]イソデシルアクリレート、[A-145]イソオクチルアクリレート、[A-146]イソステアリルアクリレート、[A-147]イソミリスチルアクリレート(Isotetradecyl acrylate)、[A-149]ラウリルアクリレート、[A-153]メトキシトリエチレングリコールアクリレート、[A-154]メチルアクリレート、[A-155]ネオペンチルグリコールアクリレートベンゾエート、[A-162]1H,1H,5H-オクタフルオロペンチルアクリレート(ビスコート8F、大阪有機化学工業)、[A-168]フェノキシジエチレングリコールアクリレート、[A-169]フェノキシエチルアクリレート、[A-170]フェノキシヘキサエチレングリコールアクリレート、[A-171]フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、[A-174]ポリエチレングリコールアクリレート(ブレンマー(登録商標)AEシリーズ、日本油脂)、[A-176]ポリプロピレングリコールアクリレート(ブレンマー(登録商標)AP-400、日本油脂、およびニューフロンティアNFバイソマーPPA6、第一工業製薬)、[A-177]ポリプロピレングリコールアクリレート(ブレンマー(登録商標)AP-550、日本油脂)、[A-178]ポリプロピレングリコールアクリレート(ブレンマー(登録商標)AP-800、日本油脂およびFA-P270A、日立化成)、[A-180]ステアリルアクリレート、[A-182]t-ブチルアクリレート、[A-183]t-ブチルシクロヘキシルアクリレート、[A-184]2,2,3,3-テトラフルオロプロピルアクリレート(ビスコート4F、大阪有機化学工業)、[A-185]テトラヒドロフルフリルアクリレート、[A-187]2,4,6-トリブロモフェニルアクリレート(ニューフロンティアBR-30、第一工業製薬)、[A-189]トリデシルアクリレート、[A-190]2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート(ビスコート3F、大阪有機化学工業)、[A-191]ウレタンモノアクリレート(Ebecryl CL 1039、ダイセルUCB)、[A-192]1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、[A-195]4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、[A-196]2‐[2‐(ビニルオキシ)エトキシ]エチルアクリレート、[A-197]3-ヒドロキシ-1-アダマンチルアクリレート、[A-198]2-メチル-2-アダマンチルアクリレート、[A-199]2-エチル-2-アダマンチルアクリレート、[A-202]1,3-ブチレングリコールジアクリレート、[A-203]1,4-ブタンジオールジアクリレート、[A-205]1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、[A-217]ビスフェノールAジグリシジルエーテル アクリル酸付加物(V#540、大阪有機化学工業)、[A-219]ジエチレングリコールジアクリレート、[A-220]エポキシアクリレート(ビスフェノールAタイプ、MW=52)(リポキシ(登録商標)SP-1509、昭和電工)、[A-221]エポキシアクリレート(MW=460)(リポキシ(登録商標)SP-9000、昭和電工)、[A-222]エポキシアクリレート(PO変性ビスフェノールAタイプ、MW=810)(リポキシ(登録商標)SP-2500、昭和電工)、[A-223]エポキシアクリレート(ビスフェノールAタイプ、MW=560)(リポキシ(登録商標)SP-1563、昭和電工)、[A-224]エポキシアクリレート(ビスフェノールFタイプ、MW=500)(リポキシ(登録商標)SP-1506、昭和電工)、[A-225]エポキシアクリレート(ビスフェノールAタイプ、MW=1950)(リポキシ(登録商標)VR-77、昭和電工)、[A-226]エポキシアクリレート(ビスフェノールAタイプ、MW=1950)(リポキシ(登録商標)VR-60、昭和電工)、[A-227]エポキシアクリレート(ビスフェノールAタイプ、MW=1100)(リポキシ(登録商標)VR-90、昭和電工)、[A-228]エポキシアクリレート(ビスフェノールAタイプ、MW=480)(リポキシ(登録商標)SP-1507、昭和電工)、[A-229]エポキシアクリレート(ビスフェノールAタイプ、MW=520)(リポキシ(登録商標)SP-1519-1、昭和電工)、[A-230]エポキシアクリレート(大豆油変性タイプ)(リポキシ(登録商標)SP-5004、昭和電工)、[A-232]ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジアクリレート(Neopentylglycol hydroxypivalate diacrylate)、[A-233]ネオペンチルグリコールジアクリレート、[A-243]ポリエステルアクリレート(ニューフロンティアR-2201、第一工業製薬)、[A-257]シリコーンジアクリレート(Ebecryl 350、ダイセルUCB)、[A-258]トリエチレングリコールジアクリレート、[A-259]テトラエチレングリコールジアクリレート、[A-267]ジアクリル酸亜鉛(ブレンマーS-122、日本油脂およびSR-111、サートマー)、[A-268]ノナンジオールジアクリレート、[A-304]ペンタエリスリトールトリアクリレート、[A-319]アルコキシ変性トリメチロールプロパントリアクリレート(Laromer PO33F(LR8748)、BASF)、[A-320]ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、[A-329]ジペンタエリスリトールポリアクリレート(ビームセット700、荒川化学)およびネオマーDA-660、三洋化成)、[A-331]ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、[A-332]エポキシアクリレート(ビスフェノールAタイプ、MW=920)(リポキシSP-4010、昭和電工)、[A-333]エポキシアクリレート(リン酸変性タイプ、MW=560)(リポキシSP-6000、昭和電工)、[A-334]ペンタエリスリトールアクリレート混合エステル(SR-9041、サートマー)、[A-337]ペンタエリスリトールテトラアクリレート、[A-338]シリコーンヘキサアクリレート(Ebecryl 1360、ダイセルUCB)、[A-351]ラクトン変性可撓性アクリレート(Caprolactone-modified hydroxyethyl acrylate、MW 344)(FA-2D、ダイセルUCB)、[A-352]ラクトン変性可撓性アクリレート(Caprolactone-modified hydroxyethyl acrylate、MW 230)(FA1DT、ダイセルUCB)、[A-353]ラクトン変性可撓性アクリレート(Caprolactone-modified hydroxyethyl acrylate、MW 458)(FA-3、ダイセルUCB)、[A-354]アミノアクリレート(Ebecryl P115、ダイセルUCB)、[A-356]アミノアクリレート(Ebecryl 7100、ダイセルUCB)、[A-357]4-アクリロイルモルホリン、[A-361]エチル2-(ヒドロキシメチル)アクリレート、[AM-101]1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、[AM-102]2-エチルヘキシルメタクリレート、[AM-103]2-ヒドロキシ-3-(アクリロイルオキシ)プロピルメタクリレート、[AM-105]2-ヒドロキシブチルメタクリレート、[AM-106]2-ヒドロキシエチルメタクリレート、[AM-107]2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、[AM-108]3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、[AM-115]アリルメタクリレート、[AM-116]ベンジルメタクリレート、[AM-117]2-ブトキシエチルメタクリレート、[AM-118]ブチルメタクリレート、[AM-119]セチルメタクリレート、[AM-120]シクロヘキシルメタクリレート、[AM-121]ジシクロペンタニルメタクリレート(ファンクリルFA-513M、日立化成)、[AM-122]ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(ファンクリルFA-512MおよびFA-512MT、日立化成)、[AM-123]2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、[AM-125]2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、[AM-126]ラクトン変性可撓性メタクリレート(Caprolactone-modified hydroxyethyl methacrylate、MW 472)(FM3、ダイセルUCB)、[AM-127]ラクトン変性可撓性メタクリレート(Caprolactone-modified hydroxyethyl methacrylate、MW 244)(FM1、ダイセルUCB)、[AM-128]ラクトン変性可撓性メタクリレート(Caprolactone-modified hydroxyethyl methacrylate、MW 358)(FM2D、ダイセルUCB)、[AM-129]エチルメタクリレート、[AM-130]グリセロール1-メタクリレート、[AM-131]グリセロールポリメタクリレート(グリセロール モノ,ジ,トリメタクリレートなどの混合物)(ブレンマーGDM、日本油脂)、[AM-132]グリシジルメタクリレート、[AM-134]イソボルニルメタクリレート、[AM-135]イソブチルメタクリレート、[AM-136]イソデシルメタクリレート、[AM-138]ラウリルメタクリレート、[AM-139]メタクリル酸、[AM-141]メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、[AM-142]メトキシテトラエチレングリコールメタクリレート、[AM-147]メチルメタクリレート、[AM-155]2-フェノキシエチルメタクリレート、[AM-168]2-(メタクリロイルオキシ)エタンスルホン酸ナトリウム(2-(Methacryloyloxy)ethylsulfonic acid sodium salt)、[AM-170]ステアリルメタクリレート、[AM-174]t-ブチルメタクリレート、[AM-177]テトラフルオロプロピルメタクリレート(ライトエステルM-4F、共栄社化学)、[AM-178]テトラヒドロフルフリルメタクリレート、[AM-179]2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート、[AM-180]2,4,6-トリブロモフェニルメタクリレート、[AM-181]トリデシルメタクリレート、[AM-183]ベヘニルメタクリレート、[AM-185]γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、[AM-191]2-(2-ビニルオキシエトキシ)エチルメタクリレート、[AM-192]2-メチル-2-アダマンチルメタクリレート、[AM-193]2-エチル-2-アダマンチルメタクリレート、[AM-194]3-ヒドロキシ-1-アダマンチルメタクリレート、[AM-201]1,4-ブタンジオールジメタクリレート、[AM-202]1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、[AM-203]1,9-ノナンジオールジメタクリレート、[AM-204]
1,10-デカメチレングリコールジメタクリレート、[AM-216]ジエチレングリコールジメタクリレート、[AM-217]エチレングリコールジメタクリレート、[AM-219]2-ヒドロキシ-3-(アクリロイルオキシ)プロピルメタクリレート、[AM-220]グリセロール1,3-ジメタクリレート、[AM-221]ネオペンチルグリコールジメタクリレート、[AM-238]トリエチレングリコールジメタクリレート、[AM-239]テトラエチレングリコールジメタクリレート、[AM-240]ビスメタクリル酸亜鉛、[AM-301]トリメチロールプロパントリメタクリレート、[C-01]2-エチルヘキシルビニルエーテル、[C-02]1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、[C-03]1,4-シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、[C-04]シクロヘキサン-1,4-ジメタノールモノビニルエーテル、[C-05]ジエチレングリコールモノビニルエーテル、[C-06]ジエチレングリコールジビニルエーテル、[C-07]トリプロピレングリコールジビニルエーテル、[C-08]ジプロピレングリコールジビニルエーテル、[C-09]ドデシルビニルエーテル、[C-10]エチルビニルエーテル、[C-11]1,6-ヘキサンジオールジビニルエーテル、[C-12]4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、[C-13](2-ヒドロキシエチル)ビニルエーテル、[C-14]イソブチルビニルエーテル、[C-15]メチルビニルエーテル、[C-16]オクタデシルビニルエーテル、[C-18]プロピルビニルエーテル、[C-19]トリエチレングリコールジビニルエーテル、[C-20]4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、[C-21]シクロヘキシルビニルエーテル、[C-22]ビニルプロピオネート、[C-23]9-ビニルカルバゾール、[C-24]N-ビニル-2-ピロリドン、[C-33]変性脂環式エポキシ樹脂(Alicylic epoxy resin,modified)(脂環式エポキシベースレジン(セロキサイド2021)、脂肪族ポリオールの配合物)(Uvacure1532、ダイセルUCB)、[C-35]脂環式エポキシ樹脂(セロキサイド3000、ダイセルUCB)、[C-36]脂環式エポキシ樹脂(セロキサイド2000、ダイセルUCB)、[C-37]脂環式エポキシ樹脂(セロキサイド2021A、ダイセルUCB)、[C-38]脂環式エポキシ樹脂(セロキサイド2021P、ダイセルUCB)、[C-39]脂環式エポキシ樹脂(セロキサイド2022P、ダイセルUCB)、[C-40]脂環式エポキシ樹脂(アデカオプトマーKRM-2199、旭電化工業)、[C-41]脂環式エポキシ樹脂(アデカオプトマーKRM-2110、旭電化工業)、[C-42]変性脂環式エポキシ樹脂(ベースレジン(セロキサイド2021)、脂肪族ポリオールの配合物)(Uvacure1531、ダイセルUCB)、[C-43]変性脂環式エポキシ樹脂(脂環式エポキシ、脂肪族ポリオールの配合物)(Uvacure1534、ダイセルUCB)、[C-44]変性脂環式エポキシ樹脂(Uvacure1533、ダイセルUCB)、[C-45]変性脂環式エポキシ樹脂(CAT007、ダイセルUCB)、[C-46]変性脂環式エポキシ樹脂(Uvacure1502、ダイセルUCB)、[C-47]変性脂環式エポキシ樹脂(CAT001、ダイセルUCB)、[C-48]変性脂環式エポキシ樹脂(脂環式エポキシベースレジン(セロキサイド2021)、脂肪族ポリオールの配合物)(Uvacure1530、ダイセルUCB)、[C-49]多官能脂環式エポキシ樹脂(Uvacure 10302、ダイセルUCB)、[C-50]多官能脂環式エポキシ樹脂(Uvacure 10401、ダイセルUCB)、[C-51]1,2-エポキシヘキサデカン(CYACURE UVR-6216、ユニオンカーバイド)、[C-52]脂肪族系エポキシ樹脂(アデカオプトマーKRM-2755、旭電化工業)、[C-53]脂肪族系エポキシ樹脂(アデカオプトマーKRM-2750、旭電化工業)、[C-54]脂肪族系エポキシ樹脂(アデカオプトマーKRM-2722、旭電化工業)、[C-55]脂肪族系エポキシ樹脂(アデカオプトマーKRM-2720、旭電化工業)、[C-56]脂肪族系エポキシ樹脂(CAT003、ダイセルUCB)、[C-57]ビスフェノールA型エポキシ樹脂(アデカオプトマーKRM-2540、旭電化工業)、[C-58]ビスフェノールA型エポキシ樹脂(アデカオプトマーKRM-2400、旭電化工業)、[C-59]ビスフェノールA型エポキシ樹脂(アデカオプトマーKRM-2405、旭電化工業)、[C-60]ビスフェノールA型エポキシ樹脂(アデカオプトマーKRM-2410、旭電化工業)、[C-61]ビスフェノールA型エポキシ樹脂(アデカオプトマーKRM-2510、旭電化工業)、[C-62]ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ゴム変性タイプ(Bisphenol A type epoxy resin, denaturated by rubbe)(アデカオプトマーKRM-2423、旭電化工業)、[C-63]ビスフェノールF型エポキシ樹脂(アデカオプトマーKRM-2490、旭電化工業)、[C-64]クレゾール-ノボラック型エポキシ樹脂(アデカオプトマーKRM-2650、旭電化工業)、[C-68]水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(アデカオプトマーKRM-2408、旭電化工業)、[C-70]多官能内部エポキシ樹脂(Multifunctional cycloaliphatic epoxy resin)(Uvacure13600、ダイセルUCB)、[C-72]部分アクリル化ビスフェノールAエポキシ樹脂(Uvacure1562、ダイセルUCB)、[C-73]部分アクリル化ビスフェノールAエポキシ樹脂(Uvacure1561、ダイセルUCB)、[C-74]フェノール-ノボラック型エポキシ樹脂(アデカオプトマーKRM-2604、旭電化工業)、[C-75]フェノール-ノボラック型エポキシ樹脂(アデカオプトマーKRM-2610、旭電化工業)、[C-76]フェノール-ノボラック型エポキシ樹脂(アデカオプトマーKRM-2620、旭電化工業)、[C-81]3-エチル-3-オキセタンメタノール、[C-82]1,4-ビス[[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル]ベンゼン、[T-02]N-ビニルホルムアミド、[T-05]1,3-ジビニルイミダゾリジン-2-オン、[T-06]1-ビニルイミダゾール、[T-07]N‐ビニルカプロラクタム、[T-08]N-ビニルピロリドン、[T-09]トリアリルイソシアヌレート、[T-10]アジピン酸ジビニル、[T-11]2-メタクリロイルオキシエチルイソシアナート、[T-12]2-アクリロイルオキシエチルイソシアナート、[T-13]1,1-ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアナート、および[T-14]ジエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート、ならびに、
Figure 0007232474000016
Figure 0007232474000017
Figure 0007232474000018
Figure 0007232474000019
Figure 0007232474000020
Figure 0007232474000021
Figure 0007232474000022
Figure 0007232474000023
Figure 0007232474000024
Figure 0007232474000025
Figure 0007232474000026
Figure 0007232474000027
Figure 0007232474000028
Figure 0007232474000029
Figure 0007232474000030
Figure 0007232474000031
注記
1)表1中の添え字a、b、c、d、l、mおよびnは、特に記載のない限り、それぞれ独立して0以上または1以上の任意の実数または整数である。
2)化学構造が開示されている場合には、化学式を記載した。
(2-5)モノマー成分の重合方法
一実施形態において、前記モノマー成分が架橋剤の非存在下で重合される。別の実施形態において、前記モノマー成分が架橋剤の存在下で重合される。
一実施形態において、前記ポリマーは熱重合または光重合されたものである。別の実施形態において、前記ポリマーは熱重合されたものである。別の実施形態において、前記ポリマーは光重合されたものである。
モノマーを重合させる方法としては、例えば、塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合法のなかでは、塊状重合法および溶液重合法が好ましい。
また、モノマーの重合は、例えば、ラジカル重合法、リビングラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法、付加重合法、重縮合法、触媒重合などの方法によって行うことができる。
モノマーを溶液重合法によって重合させる場合には、例えば、モノマーを溶媒に溶解させ、得られた溶液を攪拌しながら重合開始剤を当該溶液に添加することによってモノマーを重合させることができるほか、重合開始剤を溶媒に溶解させ、得られた溶液を撹拌しながらモノマーを当該溶液に添加することによってモノマーを重合させることができる。溶媒は、モノマーと相溶する有機溶媒であることが好ましい。
本発明のポリマーの製造において、上記モノマー(A)を約70重量部以上かつ100重量部未満の範囲、および上記ビニル系モノマー(B)を0重量部超かつ約30重量部以下の範囲で使用して共重合がなされることが好ましい。本発明の一実施形態において、モノマー(A)を50重量部、60重量部、70重量部、80重量部または90重量部~100重量部の範囲で使用して前記重合がなされる。本発明の一実施形態において、モノマー(B)を0重量部超かつ50重量部、40重量部、30重量部、20重量部または10重量部以下の範囲で使用して前記重合がなされる。
モノマーを重合させる際には、分子量を調整するために連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤は、通常、モノマーと混合することによって用いることができる。連鎖移動剤としては、例えば、2-(ドデシルチオカルボノチオイルチオ)-2-メチルプロピオン酸、2-(ドデシルチオカルボノチオイルチオ)プロピオン酸、メチル2-(ドデシルチオカルボノチオイルチオ)-2-メチルプロピオネート、2-(ドデシルチオカルボノチオイルチオ)-2-メチルプロピオン酸3-アジド-1-プロパノールエステル、2-(ドデシルチオカルボノチオイルチオ)-2-メチルプロピオン酸ペンタフルオロフェニルエステル、ラウリルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、チオグリセロールなどのメルカプタン基含有化合物、次亜リン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムなどの無機塩などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの連鎖移動剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。連鎖移動剤の量は、特に限定されないが、通常、全モノマーの100重量部あたり約0.01重量部~約10重量部であればよい。
モノマーを重合させる際には、重合開始剤を用いることが好ましい。重合開始剤としては、例えば、熱重合開始剤、光重合開始剤、レドックス重合開始剤、ATRP(原子移動ラジカル重合)開始剤、ICAR ATRP開始剤、ARGET ATRP開始剤、RAFT(可逆的付加-開裂連鎖移動重合)剤、NMP(ニトロキシドを介した重合)剤、高分子重合開始剤などが挙げられる。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
熱重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス(イソ酪酸メチル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)などのアゾ系重合開始剤、過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過酸化物系重合開始剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
重合開始剤として熱重合開始剤を用いる場合、当該熱重合開始剤の量は、全モノマーの100重量部あたり、通常、約0.01重量部~約20重量部であることが好ましい。
AIBNなどの、重合反応時に窒素(N)が発生する重合開始剤を使用した場合、結果として生じる複合材は気泡を含む。このような気泡は破断の起点となりうるため、複合材の伸長性などの性質が低下するおそれがある一方で、衝撃吸収能は向上し得ることが予測される。なお、複合材に含まれる気泡は、重合開始剤に由来するものに限定されず、発泡剤を添加することで得られるものや、溶媒の除去により得られるものなど、樹脂等に気泡を含ませることができる公知の方法により得られる気泡であってよい。
光重合開始剤としては、例えば、2-オキソグルタル酸、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2-メチル[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ベンゾフェノン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル1-プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシドなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
重合開始剤として光重合開始剤を用いる場合、当該光重合開始剤の量は、全モノマーの100重量部あたり、通常、約0.01重量部~約20重量部であることが好ましい。
本発明において使用可能な他の重合開始剤としては、例えば、過酸化水素と鉄(II)塩、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムなどのレドックス重合開始剤、金属触媒下でハロゲン化アルキルを用いるATRP(原子移動ラジカル重合)開始剤、金属と窒素含有配位子を用いるICAR ATRP開始剤やARGET ATRP開始剤、RAFT(可逆的付加-開裂連鎖移動重合)剤、NMP(ニトロキシドを介した重合)剤、ポリジメチルシロキサンユニット含有高分子アゾ重合開始剤、ポリエチレングリコールユニット含有高分子アゾ重合開始剤などの高分子重合開始剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
本願発明の複合材に含まれるホモポリマーまたはコポリマーは、重合開始剤として過酸化物系の開始剤(例えば、過酸化ベンゾイル、およびアゾビスイソブチロニトリル、ならびにそれらの類似体)を使用することによって重合されたものである。
重合開始剤として上記使用可能な重合開始剤を用いる場合、当該重合開始剤の量は、全モノマーの100重量部あたり、通常、約0.01重量部~約20重量部であることが好ましい。
一実施形態では、モノマーに電子線を照射することにより、電子線重合が行われる。一実施形態では、電子線のみの照射によってモノマー成分を重合させることができる。電子線重合において、電子線は、一実施形態では、光重合開始剤の存在下で照射され、別の実施形態では光重合開始剤の非存在下で照射される。いずれの実施形態も、本発明の範囲内である。
モノマーを重合させる際の重合反応温度および雰囲気については、特に限定がない。通常、重合反応温度は、約50℃~約120℃である。重合反応時の雰囲気は、例えば、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気であることが好ましい。また、モノマーの重合反応時間は、重合反応温度などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、約3~20時間である。
本発明において使用されるモノマー(A)の単独重合により得られるホモポリマーは、-100℃~50℃の範囲のガラス転移温度を有し得る。一実施形態では、上記ホモポリマーのガラス転移温度の下限値として、約-100℃、約-90℃、約-80℃、約-70℃、約-60℃、約-50℃、約-40℃、約-30℃、約-20℃および約-10℃などが例示され、上限値として、約10℃、約20℃、約30℃、約40℃および約50℃などが例示される。好ましい実施形態では、ガラス転移温度は約-70℃~30℃の範囲である。別の好ましい実施形態では、ガラス転移温度は約-60℃~30℃の範囲である。さらに別の好ましい実施形態では、ガラス転移温度は約-50℃~20℃の範囲である。なおさらに好ましい実施形態では、ガラス転移温度は約-20℃~20℃の範囲である。
本発明において使用されるモノマー(A)の単独重合により得られるホモポリマーは、一実施形態において約0.1~50mPa・s、好ましい実施形態において約0.5~30mPa・sあるいは約0.3~40mPa・sあるいは約0.4~35mPa・sの粘度を有し得る。
本発明において使用されるモノマー(A)は、一実施形態において約15~55mN/m、好ましい実施形態において約20~40mN/mあるいは約20~45mN/mあるいは約20~50mN/mの表面張力を有し得る。
本発明のポリマーの重量平均分子量は、ゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)で測定した場合、100万~1000万であり、好ましくは、100万~500万であり、より好ましくは、100万~300万である。
〔3〕複合材の製造方法
本発明のポリマーは、特定のモノマーを1種または2種以上混合して、適宜の重合条件のもと、必要に応じて適宜の重合開始剤等の添加剤を用いて、重合させることにより、製造することができる。以下に、個々の成分や具体的な製造条件などについて詳述する。
1つの局面において、本発明は、一般式(1)
Figure 0007232474000032

(Rは、水素またはC1~4アルキル基であり、Rは、非置換もしくは置換アルキル基、非置換もしくは置換アルケニル基、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基であり、XおよびXはそれぞれ独立して、O、S、NR、およびCRx1x2からなる群から選択され、Rは、水素、C1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、C1~6ハロアルキル基、またはC2~6ハロアルケニル基であり、Rx1およびRx2はそれぞれ独立して、水素、非置換もしくは置換アルキル基、非置換もしくは置換アルケニル基、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基であるか、あるいは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基を形成し、nは0~20である)で表されるモノマー(A)を含むモノマー成分を、架橋剤の存在下または非存在下で重合させて得られるホモポリマーまたはコポリマーを製造する方法に関する。
本発明の一実施形態において、上記モノマー成分は、一般式(2)
Figure 0007232474000033

(Rは、水素またはC1~4アルキル基であり、Rは、有機基である)で表されるビニル系モノマー(B)をさらに含む。
本発明の一実施形態において、上記モノマー成分は架橋剤の存在下で重合される。一実施形態において、上記モノマー成分は架橋剤の非存在下で重合される。
本発明の一実施形態において、架橋剤は、モノマーに対して10mol%以下、9mol%以下、8mol%以下、7mol%以下、6mol%以下、5mol%以下、4mol%以下、3mol%以下、2mol%以下、1mol%以下、0.9mol%以下、0.8mol%以下、0.7mol%以下、0.6mol%以下、0.5mol%以下、0.4mol%以下、0.3mol%以下、0.2mol%以下、または0.1mol%以下の量で添加されてもよい。本発明の一実施形態において、溶媒がモノマー成分に加えられて濃厚溶液(>1~2モル濃度)を調製する場合に、架橋剤は、モノマーに対して10mol%以下、9mol%以下、8mol%以下、7mol%以下、6mol%以下、5mol%以下、4mol%以下、3mol%以下、2mol%以下、1mol%以下、0.9mol%以下、0.8mol%以下、0.7mol%以下、0.6mol%以下、0.5mol%以下、0.4mol%以下、0.3mol%以下、0.2mol%以下、または0.1mol%以下の量で添加されてもよい。
本発明の一実施形態において、上記重合は、開始剤の存在下で行われる。好ましい実施形態において、上記開始剤は、ベンゾフェノンまたはその類似体であり、さらに好ましくは、ベンゾフェノンである。別の好ましい実施形態において、上記開始剤は、アゾビスイソブチロニトリルまたはその類似体であり、さらに好ましくは、アゾビスイソブチロニトリルである。一実施形態において、本発明のホモポリマーまたはコポリマーは重合開始剤としてベンゾフェノンもしくはその類似体、またはアゾビスイソブチロニトリルまたはその類似体を使用することによって重合されたものである。
本発明の一実施形態において、前記モノマー成分の重合は、塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法、および懸濁重合法からなる群より選択される重合法にしたがって行われる。理論により拘泥されることを望むものではないが、本願発明のモノマーは、連鎖重合、逐次重合、またはリビング重合により重合され得る。
(3-1)モノマーの調製方法
本発明において使用されるモノマー(A)およびビニル系モノマー(B)は、実施例に例示される製造業者などから市販されるものであってもよく、当業者に周知の方法に従って調製してもよい。
(3-2)光重合による製造方法
一実施形態では、本発明の複合材は、モノマー成分(1種または複数種のモノマーを含む)を繊維と接触させた状態で、重合開始剤の存在下、露光重合することによって1工程で得られる。本発明の複合材がホモポリマーと繊維を含む場合には、モノマー(A)を繊維と接触させた状態で、重合開始剤の存在下、紫外線を照射することにより製造することができる。本発明の複合材がコポリマーと繊維を含む場合には、モノマー(A)およびモノマー(B)を繊維と接触させた状態で、重合開始剤の存在下、紫外線を照射することにより製造することができる。重合開始剤は、後記に例示される重合開始剤等から選択されるが、好ましい例としては、ベンゾフェノンが挙げられる。本工程は、通常室温にて約10時間で、好ましくはアルゴン雰囲気下で行われる。本発明の複合材はまた、紫外線の代わりに電子線のみを照射することにより製造することができる。電子線を照射する場合、モノマー成分を、光重合開始剤の存在下または非存在下で重合させることができる。また、本発明の製造方法において、紫外線の代わりに電子線を照射してもよく、紫外線と電子線を同時に照射してもよく、紫外線と電子線を交互に照射してもよい。
本発明の複合材の製造方法の一実施形態では、重合は、架橋剤を使用せずに行われる。本発明の複合材の製造方法の一実施形態では、重合は、溶媒を使用せずに行われる。本発明の複合材の製造方法の好ましい実施形態では、ダブルネットワークエラストマーの製造方法と異なり、溶剤も架橋剤も使用せずにモノマー混合物をそのまま紫外線(UV)により硬化させることができるので、非常に操作が簡便である。あるいは、少量の架橋剤(一般にモノマーに対して約1mol%以下)を入れた場合でもよい物性を示すことがあり得ることから、架橋剤を用いる態様も本発明の範囲内に入ることが理解される。場合によっては、少量の架橋剤を含ませることが好ましくあり得る。したがって、この場合、溶媒が入った濃厚溶液(1~2M)に架橋剤を加えた場合でもよい物性を示すことがあり得る。
所望の成型品は、所望の形状に対応した型枠を形成し、その型枠に出発物質モノマーを投入し、紫外線を照射して、ポリマーを形成し、型枠から生成したポリマーを取り出すことによって得られる。この方法は、出発物質モノマーが低粘度である場合に使用され得る。
出発物質モノマーが高粘度である場合、平面上に出発物質モノマーを塗布し、紫外線を照射して、ポリマーを形成することによって、所望の膜製品を得てもよい。例えば、モノマーを基板上に流延し、形成されたモノマーの被膜に紫外線を照射することなどによってモノマーを重合させることにより、(メタ)アクリレートポリマーからなるフィルムを得ることができる。
(3-3)熱重合による製造方法
一実施形態では、本発明の複合材は、モノマー成分(1種または複数種のモノマーを含む)を繊維と接触させた状態で、重合開始剤の存在下、熱重合することによって1工程で得られる。本発明の複合材がホモポリマーと繊維を含む場合には、モノマー(A)を繊維と接触させた状態で、重合開始剤の存在下、加熱することにより製造することができる。本発明の複合材がコポリマーと繊維を含む場合には、モノマー(A)およびモノマー(B)を繊維と接触させた状態で、重合開始剤の存在下、加熱することにより製造することができる。重合開始剤は、後記に例示される重合開始剤等から選択されるが、好ましい例としては、アゾビスイソブチロニトリルが挙げられる。本工程は、通常70℃にて約10時間で、好ましくはアルゴン雰囲気下で行われる。
(3-4)架橋剤の使用
使用される架橋剤としては、例えば、多官能モノマーとして列挙したものが挙げられる。一実施形態において、架橋剤はエチレングリコールジメタクリレートである。
〔4〕引張係数の測定
本明細書において、本発明の複合材がしなやかであるかどうかの判断は、引張係数を測定することによって行うことができる。例えば、JIS K7161に従って、測定することができる。当該測定方法は、例えば、下記のとおりである。
繊維を0.5mm厚のスペーサー2枚で(サンドイッチのように)挟み、それをさらに疎水性フィルムおよびガラスシートで順に挟み込みことにより、反応セルを用意する。モノマーと光重合開始剤の混合物を前記セルに入れ、その側面から紫外線照射機〔UVP(株)製、品番:95-0042-12〕を用いて照度4mW/cm2、照射時間10時間、積算光量144J/cm2にて紫外線を照射することにより、樹脂フィルム上に複合材料を得る。あるいは、前記セルにモノマーと熱重合開始剤の混合物を入れたのち、室温または加熱条件(例えば、70℃)に供することにより複合材を得る。規格であるJIS-K6251(ダンベル状7号形)に従って、12mm(長さ)×2mm(幅)×1mm(厚さ)の大きさのダンベル型試験片を作製する。引張速度は50mm/分である。上記方法で得られた試験片の引張り強さおよび引張係数を引張試験機〔オリエンテック(株)製、品番:Tensilon RTC-1310A〕で測定する。
ポリマー(マトリクス)の引張係数を測定する場合は、上述の方法において、繊維を使用しないことを除いて同様の手順にて測定される。
本発明の複合材の引張係数は、代表的には、5MPa以上、10MPa以上、15MPa以上、20MPa以上である。一実施形態において、複合材の引張係数は、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1200、1400、1600、1800、2000、2500、3000MPa以上である。
上記ポリマーの引張係数は、代表的には、0.005MPa以上、0.01MPa以上、0.02MPa以上、0.03MPa以上である。一実施形態において、複合材の引張係数は、0.05、0.1、0.5、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、300、400、500MPa以上である。
〔5〕強靭性(引裂エネルギー)の測定(JIS K7128-1参照)
本明細書において、「強靭性」を有するポリマーであるかどうかの判断は、引裂試験により引裂エネルギーを測定することによって(例えば、実施例に記載する試験方法によって)行うことができる。例えば、引裂エネルギーが、少なくとも200kJ/m2であるかどうかを測定することで判断することができる。当該測定方法は、例えば、下記のとおりである。
引張係数を測定する場合と同様に、反応セルを用意する。モノマーと光重合開始剤の混合物を前記セルに入れ、その側面から紫外線照射機〔UVP(株)製、品番:95-0042-12〕を用いて照度4mW/cm2、照射時間10時間、積算光量144J/cm2にて紫外線を照射することにより、樹脂フィルム上に複合材を得る。あるいは、前記セルにモノマーと熱重合開始剤の混合物を入れたのち、室温または加熱条件(例えば、70℃)に供することにより該複合材を得る。直方体(例えば、長さ50mm×幅30mm×厚さ約1.3mm)の複合材のサンプルを作製し、切込みを入れる(例えば、幅方向と厚さ方向の辺に囲まれた側面の真ん中から、幅方向に対して垂直かつ厚さ方向に対して平行に10~20mmの切込みを一つ入れる)。切込みを入れた側の2つの端部を別々のクランプで留める。上側のクランプを一定速度(例えば、50mm/分)で上方へ引っ張る一方で、下側のクランプは固定する。サンプルの力-変位曲線を、変形の間、記録する。引裂エネルギーを下記式
Figure 0007232474000034

により計算する。ここで、Tcは複合材の靭性(引裂エネルギー)であり、Fは引き裂き力であり、Lは試験中の変位であり、tは複合材の厚さであり、Lbulkは引き裂かれた経路の長さである。式についての詳細は、〔6〕に記載する。なお、切込みの長さは、複合材の靭性(引裂エネルギー)に影響を与えない。
一実施形態では、本発明の複合材の強靭性を評価する際に参照する引裂エネルギーは、例えば、約100、約200、約300、約400、約500、約600、約700、約800、約900、もしくは約1000kJ/m2、またはそれより高い値である。一実施形態では、本発明の複合材の上記引裂エネルギーは、約200kJ/m2以上である。一実施形態では、本発明の複合材の上記引裂エネルギーは、約300kJ/m2以上である。好ましい実施形態では、本発明の複合材の上記引裂エネルギーは、約400kJ/m2以上である。より好ましい実施形態では、本発明の複合材の上記引裂エネルギーは、約500kJ/m2以上である。
引裂試験中、裂け目は消費するエネルギーが最も小さい経路を探し、その結果、プロセスゾーンのシフトが起きる。
〔6〕プロセスゾーンについて
(6-1)プロセスゾーンの飽和
本明細書において、「プロセスゾーン」とは上述の引裂試験において、複合材が引き裂かれるときにかかる力を伝達できる、ある広さの領域をいう。この範囲において、試験片を引き裂くために加えたエネルギーが散逸される。この範囲が広いほど靭性が高い。プロセスゾーンが全て複合材で十分に飽和している場合に引き裂く方向へ力をかけると、マトリクス(ポリマー)が破壊される前に、繊維が破断する。プロセスゾーンが複合材でほぼ飽和している場合に引き裂く方向へ力をかけると、繊維は破断するか、または抜け出てくる。プロセスゾーンの一部が複合材で飽和している場合に引き裂く方向へ力をかけると、繊維は破断する前に、抜け出てくる。繊維束が無傷で破壊される(すなわち、破断することなく引き出される)場合、プロセスゾーンの一部だけが複合材で飽和していると考えられる。
(6-2)複合材を引き裂くときの仕事量とプロセスゾーンの関係
理論に束縛されることを望まないが、複合材の靭性は、一定の物理学的因子や係数によって決定することができ、その規則を一般化し得ることが本発明において明らかにされた。このような因子や係数は、複合材の系を完全に理解するために重要であり、しかも、様々なマトリクス(ここで、ゲル、本発明の第二の材料、ガラス転移ポリマー等にも該当し得る)およびファブリック(本発明の第一の材料、繊維等に該当し得る)から所望の複合材を製造するために利用することができる。
(i)ファブリックのエネルギー密度を無視できると仮定した場合
理論に束縛されることを望まないが、引裂試験を詳細に調べると、複合材を破断または破壊する全仕事量は、力-変位曲線下面積から得ることができる。マトリクスのエネルギー密度がファブリックのエネルギー密度に比べて著しく高く、ファブリックのエネルギー密度を無視できると仮定すると、この仕事量は、概して、(1)のように表され、マトリクスのエネルギー密度とプロセスゾーンの体積との積に等しく、すなわち、
Figure 0007232474000035

であり、ここで、Wは複合材を引き裂くために必要とされる仕事量であり、Fは引き裂き力であり、Lは試験中の変位であり、Smはマトリクスのエネルギー密度(本明細書中でSmはWmと表される場合がある)であり、Vはプロセスゾーンの体積である。Vは複合材の形状に関連する。
Figure 0007232474000036

ここで、Wcは臨界幅であり、tは複合材の厚さであり、Lbulkは引き裂かれた経路の長さであり、これにより、Wとサンプルパラメータとの間の関係を確立することができる。他方、複合材の靭性(引裂エネルギー)は、Wおよびサンプル形状から算出することができる。
Figure 0007232474000037

ここで、Tは複合材の靭性(引裂エネルギー)である。したがって、式(1)、(2)および(3)を組み合わせると、TとSm×Wcとの関係を理解することができる。
Figure 0007232474000038

上述の状態は、プロセスゾーンが複合材で飽和しているという前提に基づくことに留意すべきである。プロセスゾーンが飽和していない複合材については、プロセスゾーンの大きさが幅により制限されているので、式(4)は、
Figure 0007232474000039

と修正される。
(ii)ファブリックのエネルギー密度を考慮した場合
理論に束縛されることを望まないが、引裂試験を詳細に調べると、複合材を破断または破壊する全仕事量は、力-変位曲線下面積から得ることができる。この仕事量は、マトリクスおよびファブリックの両方のエネルギー密度を考慮した場合、概して、式(6)のように表され、複合材のエネルギー密度とプロセスゾーンの体積との積に等しく、すなわち、
Figure 0007232474000040

であり、ここで、Wは複合材を引き裂くために必要とされる仕事量であり、Fは引き裂き力であり、Lは試験中の変位であり、S(m+f)はマトリクスおよびファブリックのエネルギー密度の和(ただし、マトリクスのエネルギー密度は、ファブリックおよびマトリクスのずり弾性率により補正される必要があり、また、仕事量は、マトリクスのエネルギー散逸だけではなく、繊維の破断に必要なエネルギーも大きな寄与をしていることが判明しており、必要な補正がなされ得る。この点は、以下に説明する。)であり、Vはプロセスゾーンの体積である。Vは複合材の形状に関連し、次式(2)のように算出することができる。
Figure 0007232474000041

ここで、Wcは臨界幅であり、tは複合材の厚さであり、Lbulkは引き裂かれた経路の長さであり、これにより、Wとサンプルパラメータとの間の関係を確立することができ、Wは式(8)で表される。
Figure 0007232474000042

ここで、Gfはファブリックのずり弾性率であり、Gmはマトリクスのずり弾性率であり、Smはマトリクスのひずみエネルギー密度であり、Sfはファブリックのひずみエネルギー密度である。ずり弾性率Gは、均一の材料においては、ヤング率E(引張係数)の三分の一、すなわち、G=E/3である。他方、複合材の靭性(引裂エネルギーT)は、次式(3)のように、Wおよびサンプル形状から算出することができる。
Figure 0007232474000043

ここで、Tは複合材の引裂エネルギーである。したがって、式(8)、(2)および(3)を組み合わせると、TとS(m+f)×Wcとの関係を理解することができる。
Figure 0007232474000044

上述の状態は、プロセスゾーンが複合材で飽和しているという前提に基づくことに留意すべきである。プロセスゾーンが飽和していない複合材については、プロセスゾーンの大きさが幅により制限されているので、式(9)は、
Figure 0007232474000045

と修正することが好ましい。
(6-3)臨界幅の決定方法
本明細書において、「臨界幅」は引裂実験において決定され、具体的には、裂け目の端部から、繊維の引き抜きが安定して生じたときの裂け目の先端までの距離の2倍を指す。本発明の複合材の臨界幅を決定するために、例えば、代表的に、下記のような試験が実施される。
長さ(例えば、約50mm)と厚さ(例えば、約1.3mm)は同一であるが、幅が異なる(例えば、約5mm~約110mm)複合材サンプルを用意する。各サンプルに対し引裂試験を行い、引裂挙動を観察する。複合材に固有の臨界幅より狭い幅のサンプルでは、引き裂き開始時点から繊維が完全な状態で引き抜かれる。固有の臨界幅とほぼ同じかそれより広い幅のサンプルでは、特に引き裂き開始直後に、繊維の破断が生じる。引裂挙動の観察から、サンプルの臨界幅は、繊維の破断が生じる最低の幅と決定される。
本発明の複合材は、好ましくは、このような臨界幅以上の幅をもって提供されることが有利であり得る。
(仕事量とプロセスゾーンの関係のモデルによる説明)
仕事量とプロセスゾーンの関係についてモデルを用いて説明するために、幾何形状を、下記図104に示す。ここで、亀裂先端部付近の一本の繊維がx=0での力(すなわち、F0)により引っ張られている状況を仮定する。(もちろん、亀裂先端部における応力集中は測定されていないため、この力が何であるかを全く知らない状態であると仮定する。この繊維の長さおよび半径をそれぞれwおよびRで表す。また、このモデルでは、この繊維が、厚さdのソフトマトリクスシリンダー内に埋め込まれており、このソフトマトリクスシリンダーの外縁部は、硬い壁に接着剤で接合されていると仮定する。(これは、もちろん、モデル化するためのものであり、実際の状況から細かい条件については捨象した上で作成した非常に大雑把な近似モデルである。)
図104を参照して、剪断-遅延モデルを使用して、繊維に沿った負荷の伝達を説明する。例えば、上記ソフトマトリクスは、長さLのある区域において剪断のみを運び、剪断ひずみγは、
Figure 0007232474000046

により与えられるとする。式中、u(x)は、x方向への繊維の変位である(繊維全体にわたって均一である)。なお、dは小さく、その結果、マトリクスのひずみは、たとえ変位uが小さかったとしても大きい可能性がある。繊維の力のバランスは、以下の
Figure 0007232474000047

を必要とすることになる。式中、τは、繊維-マトリクス界面上の剪断応力であり、σ(x)は、繊維応力である。一般的に、τはマトリクスにおけるひずみに依存する。繊維応力σ(x)は、繊維力Fに対して、
Figure 0007232474000048

と関係づけられることになる。
次に、式(12)を積分して、繊維応力/力を得ることができ、それは、
Figure 0007232474000049

Figure 0007232474000050

である。式中、F0はx=0での力である。したがって、繊維応力/力は、繊維に沿って力が移動する(あるいは、繊維が十分に接着されている限りは、亀裂先端部から離れて移動する)につれて減衰する。繊維が十分に長いのであれば、力は、ある点(x=L)で消失しなければならないことになる。式(15)においてF(x=L)=0とすることにより、
Figure 0007232474000051

を得る。x>Lの場合、繊維は、如何なる負荷も運ばない。よって、繊維における応力およびひずみは、x>Lの領域で、ゼロである。εは繊維歪みを表し、Eは繊維のヤング率を表すと、
Figure 0007232474000052

となる。式(12)に式(17)を代入し、式(11)を用いると、
Figure 0007232474000053

が得られる。マトリクスにおける剪断応力とひずみ間の関係は、図105に示される形をとると算出することができる。
図105において、差し当たり、繊維は剛体であると仮定する。この場合、Eは無限大に近づき、繊維におけるひずみはゼロであり、その結果、繊維の変位uは、位置から独立して、0≦x<Lの全てにおいて定数(これはu0と呼ばれる)であることになる。式(11)によれば、この領域における剪断ひずみは均一であり、γ0により与えられる。したがって、式(16)は、
Figure 0007232474000054

となる。この後、0≦x<Lの間の繊維が、界面間剪断応力から解放される-それは、同じ張力を伝達し、それは、0≦x<Lの間のどこかで破断または破壊し得る。式(13)から、マトリクスが破断ひずみに達したときにおける力F0は、
Figure 0007232474000055

Lが十分に長く、その結果、Fcが繊維の破壊強度に達する場合、
Figure 0007232474000056

である。式中、Fbreakは、繊維を破断または破壊する力である(一般的に、これはLに依存するが、Lが十分に長い場合には、この依存性は弱く、力はプラトーFbreakに達する。)。したがって、式(14)は、LがLcに達する場合、繊維が破断することを表す。
Figure 0007232474000057
本発明では、1つの実施形態において、上記モデルに基づいて、靭性のモデルを作成して、剛直であるが砕けやすい繊維と柔らかいが高度に伸縮可能なマトリクスの組合せが非常に高い靭性を与える理由を明確に示すことができる。
剛直な繊維および柔らかいマトリクスは図106に示すような応力-ひずみ曲線を示すと仮定することができる。この場合、図106において、αは剛直な繊維と柔らかいマトリクスの破壊応力の比を表し、βは柔らかいマトリクスと剛直な繊維の破断ひずみ比を表す。説明の簡略化のために、上述の説明と異なるパラメータとして、繊維の破壊応力に対してσcを用いる。
靭性について
複合材を破断または破壊するのに必要なエネルギーは、複合材の靭性と等しい。図104に示した、一つの複合材セルに対してなされた仕事Wは、
Figure 0007232474000058

であり、L<Lcの場合には、
Figure 0007232474000059

であるから、
Figure 0007232474000060

である。L>Lcの場合には、
Figure 0007232474000061

であるから、
Figure 0007232474000062

である。したがって、単位セルあたりの仕事は、本発明者らの実験値Tの引裂エネルギーと等しく、
Figure 0007232474000063

および
Figure 0007232474000064

となる。
ここで、式(37)は、複合材の靭性が繊維の強度とマトリクスの伸展性の積(図105における(0,0)、(0,σ)、(γ)、(γ,0)の4点で囲まれる四角い領域に該当する)に比例することを表している。
Figure 0007232474000065

の量は、複合材のひずみエネルギー密度(または伸長から破断までの仕事)と理解され得る。したがって、複合材のひずみエネルギー密度は、ニートのマトリクスおよびニートの繊維と比較して、それぞれα(>>1)およびβ(>>1)の事実により増幅すると理解することができる。このことは、剛直であるが高強度の繊維および柔軟であるが伸縮可能なマトリクスの組合せがなぜ実施例において観察されるような高い破断エネルギーをもたらすかを説明している。
ここで、幾何形状因子をkとすると、
Figure 0007232474000066

と記載することができる。ここで、kは、複合材の特徴的な長さとして理解され得る、長さ尺度を有する。kは、ニートの材料の引裂エネルギーおよびひずみエネルギー密度と相関する長さ尺度と等しい。
(マトリクス破壊かつ界面の剥離(debonding)の条件)
上記モデルは、界面が壊れない(not break)条件に基づく。最大界面剪断応力をτで、マトリクスの最大破壊応力をτで表すと、
Figure 0007232474000067

を満たすはずである。単純重ね剪断試験用のモデルから、最大剪断応力は
Figure 0007232474000068

であり、ここで、Cはコンプライアンスであり、式(42)のとおり、それはヤング率E(ヤング率が剪断弾性係数の3倍であるという関係を使用した)および厚さdに関連することになる。
Figure 0007232474000069

(40)、(41)および(42)を組み合わせると、マトリクスのバルク破損(failure)は、
Figure 0007232474000070

と表すことができる。ここで、式43は、マトリクス層が薄いほど、界面剥離応力がより高くなることを示す。したがって、薄いものから厚いものまで調整することによって境界面の剥離からマトリクス破壊までの遷移を見ることができる。
理論に束縛されることを望まないが、上記モデルは本発明の複合材の本質を説明し得る。これが正当であることは、以下に説明するように、プロットの直線性を見るためにデータをプロットすることで証明することができる。
Figure 0007232474000071

不飽和試料についての引裂力最大値F対2πRLτをプロットする(図107)。Lは試料の幅を表し、τはマトリクスの破壊応力を表し、Rは繊維または繊維束の半径を表す。図107において、Rは繊維束の半径を表し、全てのサンプルの引裂挙動は引き抜きであった。図107に示されるf値が異なるマトリクスの応力-ひずみ曲線は、図14に示されている。図107のプロットは、線形相関を示した。
Figure 0007232474000072

Lc対
Figure 0007232474000073

をプロットする(図108)。Lcは、「引き抜き」から「繊維破壊」までの遷移についてのファブリック臨界幅を表し、σは繊維束の破壊応力を表し、τはマトリクスの破壊応力を表す。図108において、Rは繊維束の半径を表し、複合材の各種の引裂挙動は、繊維の破断であった。また、図108のプロットは、線形相関を示した。
3) L≦Lcの場合、
Figure 0007232474000074

T対σγLをプロットする(図109)。なお、Tは複合材の引裂エネルギーを表し、σは繊維の破壊応力を表し、γはマトリクスの破断ひずみを表し、Lは試料の幅を表す。図109においては、5種の複合材は同じファブリックに由来し、複合材間のRおよびdは同じであるので、x軸の要素に加えていない。また、5種の複合材の引裂挙動は、繊維の破壊であった。したがって、L/L=1である。図109のプロットは、線形相関を示した。
図107、108および109に示される相関図は、ほぼ線形相関を示す。これは、上述のシンプルモデルが複合体の強化機構の本質を表していることを意味する。
本発明では、界面接着強度τを測定するための新しい実験を設計することができ、
Figure 0007232474000075

を確認することができる。
単純重ね剪断試験を用いることによりG(これは本発明の場合には粘弾性の寄与を含む)を測定できる。界面接着強度τに対するdの効果は、繊維を、dを制御した二つのガラスプレートの間に挟み、次いで、マトリクス重合を行う。種々のdで行い、τを測定することにより証明することができる。
〔7〕剥離性の改善
本明細書において、「剥離性」とは、複合材においてマトリクス(ポリマー)が繊維から剥離しやすい性質をいう。本願発明において、ポリマーの剥離性の低減により、複合材が強靭化された。
〔8〕自己再建機能の測定
本明細書において、「自己再建機能」を有する複合材であるかどうかの判断は、自己再建機能を測定することによって行うことができる。例えば、本発明の複合材を溶媒(例えば、クロロホルム)に溶解させた後、溶媒を揮発させ、残渣を乾燥(例えば、65℃で)させて得られた複合材について引裂試験を行うと、その引裂エネルギーが、本来の複合材の引裂エネルギーに対して少なくとも80%であるかどうかを測定することで判断することができる。
一実施形態では、本発明の複合材の自己再建性を評価する際に参照する1回の自己再建後の引裂エネルギーは、例えば、溶解前の最初の複合材の値に対して約80%、約90%、約100%、約110%、約120%、約130%、約140%、約150%、約160%、約170%、約180%、約190%もしくは約200%、またはそれより高い値である。好ましい実施形態では、1回の自己再建後の引裂エネルギーは、溶解前の最初の複合材の値に対して約100%またはそれより高い値である。より好ましい実施形態では、1回の自己再建後の引裂エネルギーは、溶解前の最初の複合材の値に対して約150%またはそれより高い値である。最も好ましい実施形態では、1回の自己再建後の引裂エネルギーは、溶解前の最初の複合材の値に対して約200%またはそれより高い値である。一実施形態では、本発明の複合材の自己再建性を評価する際に参照する2回の自己再建後の引裂エネルギーは、例えば、1回目の溶解前の最初のポリマーの値に対して、約80%、約90%、約100%、約110%、約120%、約130%、約140%、約150%、約160%、約170%、約180%、約190%もしくは約200%、またはそれより高い値である。好ましい実施形態では、2回の自己再建後の引裂エネルギーが、1回目の溶解前の最初の複合材の値に対して約100%またはそれより高い値である。より好ましい実施形態では、2回の自己再建後の引裂エネルギーが、1回目の溶解前の最初の複合材の値に対して約120%またはそれより高い値である。最も好ましい実施形態では、2回の自己再建後の引裂エネルギーが、1回目の溶解前の最初の複合材の値に対して約150%またはそれより高い値である。
1回の自己再建後の測定値は、溶解前の最初の複合材の値と同じであってもそれより大きくてもよく、2回の自己再建後の測定値は、溶解前の最初の複合材の値と同じであっても、それより大きくても小さくてもよい。1回の自己再建後の引裂エネルギーの測定値は、2回の自己再建後の値と同じであっても、それより大きくても小さくてもよい。一実施形態では、2回の自己再建後の引裂エネルギーの測定値は、1回の自己再建後の値より大きい。別の実施形態では、2回の自己再建後の引裂エネルギーの測定値は、1回の自己再建後の値より小さい。一実施形態では、1回の自己再建後の引裂エネルギーの測定値は、溶解前の最初の複合材の値より大きく、かつ、2回の自己再建後の測定値は、1回の自己再建後の値より小さいものの、溶解前の最初の複合材の測定値より大きい。一実施形態では、1回の自己再建後の引裂エネルギーの測定値は、溶解前の最初の複合材の値と同じであるかそれより大きく、かつ、2回の自己再建後の測定値は、溶解前の最初の複合材の値および1回の自己再建後の値より小さい。一実施形態では、1回の自己再建後の引裂エネルギーの測定値は、溶解前の最初の複合材の値と同じであるかそれより大きく、かつ、2回の自己再建後の測定値は、1回の自己再建後の値と同じであるかまたはそれより大きい。
〔9〕用途
本発明の複合材は、繊維およびガラス転移可能ポリマーを含む複合材であり得る。
本発明の複合材は、二輪車(自転車、オートバイなど)、自動車、飛行機、電車、船、ロケット、宇宙船、運送、レジャー、家具(例えば、テーブル、いす、机、棚など)、寝具(例えば、ベッド、ハンモックなど)、衣服、防護服、スポーツ用品、浴槽、キッチン、食器、調理用具、容器および包装材(食品用容器、化粧品用容器、貨物用コンテナ、ごみ箱など)、建築(建造物、道路、建築部品など)、農業フィルム、工業フィルム、上下水道、塗料、化粧料、電機産業および電子産業分野(電化製品、コンピュータ用部品、プリント基板、絶縁体、導電体、配線被膜材、発電素子、スピーカー、マイクロフォン、ノイズキャンセラ、トランスデューサなど)、光通信ケーブル、医療用材料および器具(カテーテル、ガイドワイヤー、人工血管、人工筋肉、人工臓器、透析膜、内視鏡など)、小型ポンプ、アクチュエータ、ロボット材料(産業用ロボットなどに使用されるセンサ)、エネルギー生成装置およびプラント(太陽光発電、風力発電など)など幅広い分野に応用できる。
本発明の複合材は、自動車、航空機、船舶、列車、自動二輪、自転車などの乗り物部品、ヘルメット、マスク、ゴーグル、防具、バッド、ゴルフクラブ、テニスラケット、スキー板、ストックなどのスポーツ用品、防弾壁、防弾チョッキ、防弾車などの防護用品、義手、義足などの義肢用品、スーツケース、キャリーケースなどのカバン用品、掃除機、電動工具などの家電製品、傘、杖などの携帯化成品、ベッド、マット、クッションなどの家具製品、食器、玩具、遊具用品、建築材料、衣服材料、電子材料、医療材料、ヘルスケア材料、ライフサイエンス材料、またはロボット材料などに使用され得る。本発明の複合材は、例えば、カテーテル、ガイドワイヤー、医薬品用容器、チューブなどの材料として使用され得る。
本発明の複合材は、自動車部品(車体パネル、バンパー帯、ロッカーパネル、サイドモール、エンジン部品、駆動部品、伝導部品、操縦装置部品、スタビライザー部品、懸架・制動装置部品、ブレーキ部品、シャフト部品、パイプ類、タンク類、車輪、シート、シートベルトなど)に使用され得る。本発明の複合材は、自動車用防振材、自動車用塗料、自動車用合成樹脂などに使用され得る。
本明細書において引用された、科学文献、特許、特許出願などの参考文献は、その全体が、各々具体的に記載されたのと同じ程度に本明細書において参考として援用される。
以上、本発明を、理解の容易のために好ましい実施形態を示して説明してきた。以下に、実施例に基づいて本発明を説明するが、上述の説明および以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本発明を限定する目的で提供したものではない。したがって、本発明の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
以下の実施例および参考例に従って本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定解釈されるものではなく、各実施例に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施例も、本発明の範囲に含まれるものとする。
(材料)
炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維(ケブラー(登録商標)繊維)は、株式会社インタークロスから購入した。金属繊維(ステンレス繊維)は、株式会社奥谷金網製作所により作製されたものであり、株式会社相互理化学硝子製作所より購入した。炭素繊維ファブリックについては、別途特定しない限り、炭素繊維(太い)の織物CCP3200-100を使用した。表2に列挙した全てのモノマーは、大阪有機化学工業株式会社(全てのモノマー)に加えて、株式会社日本触媒(IBXAおよび2-MTA)、Eternal Materials CO., LTD.(IBXA)、または共栄社化学株式会社(PHEAおよびPHDEA)から市販されているものを使用した。紫外光重合開始剤として過酸化ベンゾイル(BPO)およびベンゾフェノン(BP)(関東化学株式会社から市販されているもの)を使用した。また、熱重合開始剤として、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(関東化学株式会社から市販されているもの)を使用した。
Figure 0007232474000076
繊維、繊維束、およびファブリックの特徴について
実施例において使用した、炭素繊維(太い)もしくは(細い)、ガラス繊維、またはアラミド繊維から構成されるファブリックは、多くの繊維がまとまった繊維束から作製されている。ステンレス繊維は、他の繊維とは異なり、一本一本により織られた網目構造をしている。そのため、ステンレス繊維の繊維束の半径、断面積は測定できない。
Figure 0007232474000077

Figure 0007232474000078

a) 一本の繊維の直径、b) 一本の繊維ごとの間隔。
実施例1:フェノキシジエチレングリコールアクリレート(PHDEA)のホモポリマーおよび炭素繊維(太い)の複合材の調製
炭素繊維織物CCP3200-100(糸:CF3K 200TEX、密度:12.5×12.5本/25mm、質量:200g/m2、平織)、株式会社インタークロスより購入)を0.5mm厚のスペーサー2枚で(サンドイッチのように)挟み、それをさらに疎水性フィルムおよびガラスシートで順に挟み込みことにより、反応セルを準備した。次いで、フェノキシジエチレングリコールアクリレート(ソフトセグメントとして)と、0.1mol%(全モノマーのモル数に対して0.1%のモル数)の紫外光重合開始剤ベンゾフェノンの混合物を、反応セルにアルゴン雰囲気下(酸素濃度は<0.1ppm)注入した。重合をアルゴン雰囲気下で、UVを10時間照射するUVPランプ、東芝、FL15BLB、波長365nm、光強度約4mWcm-2)ことにより実施して、PHDEAのホモポリマー(ポリ(PHDEA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(PHDEA)も調製した。
実施例2:フェノキシジエチレングリコールアクリレート(PHDEA)とイソボルニルアクリレート(IBXA)とのコポリマーおよび炭素繊維(太い)の複合材の調製
実施例1において、PHDEA(40重量部以上、100重量部未満)に加えてイソボルニルアクリレート(0重量部より多く、60重量部以下)(ハードセグメントとして)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、PHDEAとIBXAとのコポリマー(ポリ(PHDEA-IBXA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(PHDEA-IBXA)も調製した。
実施例3:2-メトキシエチルアクリレート(2-MTA)のホモポリマーおよび炭素繊維(太い)の複合材の調製
実施例1において、PHDEAの代わりに2-メトキシエチルアクリレート(ソフトセグメントとして)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、2-メトキシエチルアクリレートのホモポリマー(ポリ(2-MTA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(2-MTA-IBXA)も調製した。
実施例4:2-メトキシエチルアクリレート(2-MTA)とイソボルニルアクリレート(IBXA)とのコポリマーおよび炭素繊維(太い)の複合材の調製
実施例1において、PHDEAの代わりに2-メトキシエチルアクリレートおよびイソボルニルアクリレート(ハードセグメントとして)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、2-メトキシエチルアクリレートとIBXAとのコポリマー(ポリ(2-MTA-IBXA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(2-MTA-IBXA)も調製した。
実施例5:フェノキシエチルアクリレート(PHEA)のホモポリマーおよび炭素繊維(太い)の複合材の調製
実施例1において、PHDEAの代わりにフェノキシエチルアクリレート(ソフトセグメントとして)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、フェノキシエチルアクリレートのホモポリマー(ポリ(PHEA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(PHEA)も調製した。
実施例6:フェノキシエチルアクリレート(PHEA)とイソボルニルアクリレート(IBXA)とのコポリマーおよび炭素繊維(太い)の複合材の調製
実施例1において、PHDEAの代わりにフェノキシエチルアクリレート(PHEA)およびイソボルニルアクリレート(ハードセグメントとして)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、PHEAとIBXAとのコポリマー(ポリ(PHEA-IBXA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(PHEA-IBXA)も調製した。
実施例7:ベンジルアクリレート(BZA)のホモポリマーおよび炭素繊維(太い)の複合材の調製
実施例1において、PHDEAの代わりにベンジルアクリレート(ソフトセグメントとして)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ベンジルアクリレートのホモポリマー(ポリ(BZA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(BZA)も調製した。
実施例8:ベンジルアクリレート(BZA)とイソボルニルアクリレート(IBXA)とのコポリマーおよび炭素繊維(太い)の複合材の調製
実施例1において、PHDEAの代わりにベンジルアクリレート(BZA)とイソボルニルアクリレート(IBXA)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、BZAとIBXAとのコポリマー(ポリ(BZA-IBXA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(BZA-IBXA)も調製した。
実施例9:フェノキシジエチレングリコールアクリレート(PHDEA)とt-ブチルアクリレート(TBA)とのコポリマーおよび炭素繊維(太い)の複合材の調製
実施例1において、PHDEA(50重量部)に加えてt-ブチルアクリレート(50重量部)(ハードセグメントとして)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、PHDEAとTBAとのコポリマー(ポリ(PHDEA-TBA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(PHDEA-TBA)も調製した。
実施例10:フェノキシジエチレングリコールアクリレート(PHDEA)とシクロヘキシルアクリレート(CHA)(ハードセグメントとして)とのコポリマーおよび炭素繊維(太い)の複合材の調製
実施例1において、PHDEAに加えてシクロヘキシルアクリレート(ハードセグメントとして)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、PHDEAとCHAとのコポリマー(ポリ(PHDEA-CHA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(PHDEA-CHA)も調製した。
実施例11:メトキシトリエチレングリコールアクリレート(MTG)のホモポリマーおよび炭素繊維(太い)の複合材の調製
実施例1において、PHDEAの代わりにメトキシトリエチレングリコールアクリレート(ソフトセグメントとして)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、メトキシトリエチレングリコールアクリレートのホモポリマー(ポリ(MTG))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(MTG)も調製した。
実施例12:メトキシトリエチレングリコールアクリレート(MTG)とイソボルニルアクリレート(IBXA)とのコポリマーおよび炭素繊維(太い)の複合材の調製
実施例1において、PHDEAの代わりにメトキシトリエチレングリコールアクリレートおよびイソボルニルアクリレートを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、MTGとIBXAとのコポリマー(ポリ(MTG-IBXA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(MTG-IBXA)も調製した。
実施例13:テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)のホモポリマーおよび炭素繊維(太い)の複合材の調製
実施例1において、PHDEAの代わりにテトラヒドロフルフリルアクリレート(ソフトセグメントとして)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、テトラヒドロフルフリルアクリレートのホモポリマー(ポリ(THFA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(THFA)も調製した。
実施例14:テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)とイソボルニルアクリレート(IBXA)とのコポリマーおよび炭素繊維(太い)の複合材の調製
実施例1において、PHDEAの代わりにテトラヒドロフルフリルアクリレートおよびイソボルニルアクリレートを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、THFAとIBXAとのコポリマー(ポリ(THFA-IBXA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(THFA-IBXA)も調製した。
実施例15:ラウリルアクリレート(LA)のホモポリマーおよび炭素繊維(太い)の複合材の調製
実施例1において、PHDEAの代わりにラウリルアクリレート(ソフトセグメントとして)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ラウリルアクリレートのホモポリマー(ポリ(LA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(LA)も調製した。
実施例16:ラウリルアクリレート(LA)とイソボルニルアクリレート(IBXA)とのコポリマーおよび炭素繊維(太い)の複合材の調製
実施例1において、PHDEAの代わりにラウリルアクリレートおよびイソボルニルアクリレートを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、LAとIBXAとのコポリマー(ポリ(LA-IBXA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(LA-IBXA)も調製した。
実施例17:イソステアリルアクリレート(ISTA)のホモポリマーおよび炭素繊維(太い)の複合材の調製
実施例1において、PHDEAの代わりにイソステアリルアクリレート(ソフトセグメントとして)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、イソステアリルアクリレートのホモポリマー(ポリ(ISTA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(ISTA)も調製した。
実施例18:イソステアリルアクリレート(ISTA)とイソボルニルアクリレート(IBXA)とのコポリマーおよび炭素繊維(太い)の複合材の調製
実施例1において、PHDEAの代わりにイソステアリルアクリレートおよびイソボルニルアクリレートを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ISTAとIBXAとのコポリマー(ポリ(ISTA-IBXA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(ISTA-IBXA)も調製した。
実施例19:エチルカルビトールアクリレート(CBA)のホモポリマーおよび炭素繊維(太い)の複合材の調製
実施例1において、PHDEAの代わりにエチルカルビトールアクリレート(ソフトセグメントとして)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、エチルカルビトールアクリレートのホモポリマー(ポリ(CBA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(CBA)も調製した。
実施例20:エチルカルビトールアクリレート(CBA)とイソボルニルアクリレート(IBXA)とのコポリマーおよび炭素繊維(太い)の複合材の調製
実施例1において、PHDEAの代わりにエチルカルビトールアクリレートおよびイソボルニルアクリレートを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、CBAとIBXAとのコポリマー(ポリ(CBA-IBXA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(CBA-IBXA)も調製した。
実施例21:フェニルチオエチルアクリレート(PHSEA)のホモポリマーおよび炭素繊維(太い)の複合材の調製
実施例1において、PHDEAの代わりにフェニルチオエチルアクリレート(ソフトセグメントとして)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、フェニルチオエチルアクリレートのホモポリマー(ポリ(PHSEA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(PHSEA)も調製した。
実施例22:フェニルチオエチルアクリレート(PHSEA)とイソボルニルアクリレート(IBXA)とのコポリマーおよび炭素繊維(太い)の複合材の調製
実施例1において、PHDEAの代わりにフェニルチオエチルアクリレートおよびイソボルニルアクリレートを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、PHSEAとIBXAとのコポリマー(ポリ(PHSEA-IBXA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(PHSEA-IBXA)も調製した。
実施例23~44
上記実施例1~22の複合材の調製において、炭素繊維ファブリックCCP3200-100の代わりに炭素繊維ファブリックCCP1120-1000(糸:CF1K 68TEX、密度:22×22本/25mm、質量:120g/m2、平織)を用いたこと以外は、各実施例と同様にして、各ポリマーおよび炭素繊維(細い)の複合材を調製した。
実施例45~66
上記実施例1~22の複合材の調製において、炭素繊維の代わりにガラス繊維を用いたこと以外は、各実施例と同様にして複合材を調製した。
実施例67~88
上記実施例1~22の複合材の調製において、炭素繊維の代わりにアラミド繊維を用いたこと以外は、各実施例と同様にして複合材を調製した。
実施例89~110
上記実施例1~22の複合材の調製において、炭素繊維の代わりにステンレス繊維を用いたこと以外は、各実施例と同様にして複合材を調製した。
実施例111:ポリマーのみの機械的特性の試験
本実施例では、実施例1~110で製造したポリマーの機械的特性の試験を行った。以下にその方法を示す。
(1)方法
(1-1)ポリマー及び複合材の引張試験(JIS K7161参照)
強靭さ、降伏点、引張係数、破断ひずみ、ヒステリシス比などを決定するために、ポリマーおよび複合材の引張応力-ひずみ測定を引張試験機(Tensilon RTC-1310A、株式会社オリエンテックおよびInstron 5965、Instron)を用いて、空気中で20℃にて50mm/分の引張速度で実施した。規格であるJIS-K6251(ダンベル状7号形)に従って、12mm(長さ)×2mm(幅)×1mm(厚さ)の大きさのダンベル型試料を使用した。
ポリ(PHEA)の破断ひずみは、約1300%(mm/mm)であった。ポリ(PHEA-co-IBXA)の破断ひずみ(PHEAのモル分率f=0.7)は、約1100%(mm/mm)であった。
(1-2)単繊維の引張試験(JIS R7606参照)
引張係数および破壊応力などを決定するために、単繊維の引張応力-ひずみ測定を引張試験機(Tensilon RTC-1310A、株式会社オリエンテックおよびInstron 5965、Instron)を用いて、空気中で50mm/分の引張速度で実施した。
ガラス繊維は約700MPaであり、炭素繊維は約900MPaであった(図80を参照)。
(1-3)引裂試験(JIS K7128-1参照)
強靭さ、引裂エネルギーなどを測定するために、試料(ポリマーのみ、ファブリックのみ、および複合材)の引裂エネルギーTを引裂試験により測定した。実験を、Instron引張試験機にて250Nロードセルを用いて実施した。ポリマーのみの試験試料は、幅が40mm、長さが60mm、厚さが1mmの直方体であった。ファブリックのみの試験試料は、幅が40mm、長さが60mm、厚さが約1mmの直方体であった。複合材の試験試料は、幅が5~110mmであり、長さは30~100mmであり、厚さが1.3mmの直方体であった。最初の切込みを、かみそり刃を使用して、試料の幅方向に平行な側面の端部の中点から長さ方向と平行に中央方向へ、長さの3分の1だけ入れた。試験片の分けられた2つの端部を、別々のクランプで留めた。上側のクランプを50mm/分の一定速度で上方に引っ張る一方で、下側のクランプは固定しておいた。試料の力-変位曲線を、変形の間、記録した。引裂エネルギーを下記式
Figure 0007232474000079

により計算した。ここで、Lは、試験中の変位を表し、Lbulkは、引裂試験で引き裂かれた経路の長さを表し、Fは、試験試料を裂くのに必要であった力を表し、tは、試験試料の厚さを表す。
(1-4)曲げ試験(JIS K7074参照)
複合材の異方性機械的特性を測定するために、JIS K7074に従って試料(複合材)の曲げ弾性係数を測定した。
(3)ポリマーの機械的特性の結果
(3-1)応力-ひずみ曲線および力-変位曲線(JIS K7161およびJIS K7128-1参照)
PHDEAとIBXAのコポリマーが持つ機械的特性を調べるために、引張係数(図1)、ガラス転移温度および引裂エネルギー(図2)について、PHDEAとIBXAとのモル分率が0.4:0.6~0.9:0.1の5種のコポリマーを測定した。ポリマー調製における重合開始条件は、実施例1と同様にUVである。引裂エネルギーの測定においては、長さ40mm×幅30mm×厚さ約1mmのサンプルを使用し、20mmの切込みを入れた。異なる引裂速度での引裂エネルギーの比較測定においては、長さ65mm×幅30mm×厚さ約1mmのサンプルを使用し、20mmの切込みを入れた。
モル分率が異なるニートのポリ(PHDEA-IBXA)の応力-ひずみ曲線および力-変位曲線を、図1および図2に示す。明らかに、ハードセグメント(IBXA)のモル分率が高いほど、生じたポリマーはより高硬度かつより高靭性であった。詳細なパラメータを表4にまとめた。引張係数の差異に基づいて、これらのポリマーをそれぞれ、最も硬いポリマー(MPHDEA:MIBXA=0.4:0.6)、比較的硬いポリマー(MPHDEA:MIBXA=0.45:0.55)、柔らかいポリマー(MPHDEA:MIBXA=0.5:0.5)、より柔らかいポリマー(MPHDEA:MIBXA=0.55:0.45)および最も柔らかいマトリクス(MPHDEA:MIBXA=0.7:0.3)と呼ぶ。
Figure 0007232474000080

注)MPD:PHDEAのモル分率、M:IBXAのモル分率
(3-2)複合材の靭性に対するマトリクスおよびプロセスゾーンの影響
PHDEAとIBXAのコポリマーとの炭素繊維複合材の引裂エネルギーを測定するために、PHDEAとIBXAとのモル分率が0.4:0.6~0.9:0.1の各コポリマーを測定した。引裂エネルギーの測定においては、長さ50または60mm×幅30mm×厚さ約1mmのサンプルを使用した。
図3は、モル分率が異なる複合材の力-変位曲線である。これらの曲線から、相関性がある引裂エネルギーを算出することができる。図4に示したとおり、PHDEA(ソフトセグメント)のモル分率が増加した場合、ニートのポリマーの靭性は単調に減少していく。しかし、複合材の靭性(引裂エネルギー)は、ピークに達した後、減少する。このことは、マトリクスの靭性(引裂エネルギー)が複合材の靭性を決定する唯一の因子ではないことを示している。
プロセスゾーン(損傷領域)は、複合材間で著しく異なる(図を示さず)。マトリクスが柔らかいほど、得られる複合材のプロセスゾーンはより大きくなる。したがって、マトリクスおよびプロセスゾーンは両方とも、複合材の靭性に影響を及ぼすと結論付けられる。
図5および図6は、最も柔らかいポリマー(MPHDEA:MIBXA=0.7:0.3)および最も硬いポリマー(MPHDEA:MIBXA=0.4:0.6)の、異なる速度での引張試験結果をそれぞれ表す。図7および図8は、最も柔らかいポリマー(MPHDEA:MIBXA=0.7:0.3)および最も硬いポリマー(MPHDEA:MIBXA=0.4:0.6)(b2)の、異なる速度での引裂試験結果をそれぞれ表す。
図9および図10は、最も柔らかいマトリクスとの複合材(MPHDEA:MIBXA=0.7:0.3)および最も硬いマトリクスとの複合材(MPHDEA:MIBXA=0.4:0.6)の、異なる速度での引裂試験結果をそれぞれ表す。図11は、引裂速度の関数としての、最も柔らかいポリマー(MPHDEA:MIBXA=0.7:0.3)および対応する複合材の引裂エネルギーを表す。図12は、引裂速度の関数としての、最も硬いポリマー(MPHDEA:MIBXA=0.4:0.6)および対応する複合材を表す。
マトリクスおよびプロセスゾーンの役割については、最も柔らかいマトリクスとの複合材および最も硬いマトリクスとの複合材において両方の因子がどのように異なって作用するかを比較することによってさらに理解される。図5~図8に示したとおり、引張係数および引裂エネルギーのような機械的エネルギーは、試験速度が増加するにつれて、両方の複合材において明らかに改善されていく。最も柔らかいマトリクスとの複合材の引裂エネルギーもまた、ポリマーと同じ傾向を有している(図9および図10)。最も硬いマトリクスとの複合材に関しては、驚くべきことに、該複合材の引裂エネルギーは、ポリマーの引裂エネルギーが上昇するにつれて降下した(図11および図12)。これは、2種類の複合材間の引裂挙動の違いから説明することが可能である。引裂速度を上昇させても、最も柔らかいマトリクスとの複合材のエネルギー散逸ゾーンは減少しない(図を示さず)。これは、その複合材が非常に大きなプロセスゾーンを有するからである。この場合、プロセスゾーンの大きさは、マトリクスの、高速度におけるより高い引張係数に起因して減少するけれども、それはサンプルの形状よりもさらに広く、複合材が、試験中に複合材全体にわたってエネルギーを散逸させることを可能にする。すなわち、マトリクスは、この状況において複合材の靭性に影響を及ぼす重要な因子である。反対に、最も硬いマトリクスとの複合材のプロセスゾーンは、高速度における引張係数が増大するにつれて、劇的に縮小する。それどころか、最も硬いマトリクスとの複合材のプロセスゾーンは、高速度における引張係数が増大するにつれて、劇的に縮小し、その結果、試験中には非常に限定されたエネルギー散逸ゾーンが生じる(図を示さず)。マトリクスでさえ、試験速度がより高いほど、はるかにより大きいエネルギーを散逸させることができ、複合材の靭性(引裂エネルギー)は、マトリクスが寄与することを可能にするプロセスゾーンにより大いに制限される。
上記理解に基づいて、マトリクスおよびプロセスゾーンの両方ともが、複合材の靭性に影響を及ぼすと結論付けられ、このことは、図13にも反映され得る。
実施例112:複合材の靭性、マトリクス特性およびプロセスゾーン間の数学的相関関係
(1)実験
サンプル調製
Figure 0007232474000081
この実施例では、ソフトセグメントのモノマーをPHEAに変更した。理由は、生じてくるポリマーがより高い剛性を有し、より容易に同定され得る複合材のより小さいプロセスゾーンをもたらすからである。調製方法および測定は、上述の実施例と同じである。サンプル形状の唯一の差異は、複合材の幅が、5mm~110mmの範囲で様々であることであった。他の条件は、上述の実施例と同じであった。
(2)結果および関連する内容
(2-1)ポリマーの機械的特性
PHEAとIBXAのコポリマーが持つ機械的特性を調べるために、PHDEAとIBXAのコポリマーと同様に引張係数(図14)、ガラス転移温度および引裂エネルギー(図15)について、PHDEAとIBXAとのモル分率が0.7:0.3~0.9:0.1である5種のコポリマーを測定した。ポリマー調製における重合開始条件は、実施例1と同様にUVである。引張係数の測定においては、長さ50mm×幅30mm×厚さ約1mmのサンプルを使用した。
ニートのポリマーの機械的特性を図16に示す(MPHEA:MIBXA=0.7:0.3~0.9:0.1)。同様に、ハードセグメント(IBXA)のモル分率が大きいほど、より硬くかつより靭性のポリマーが生じる(図17)。詳細なパラメータは、表5にまとめる。
Figure 0007232474000082

注)M:PHEAのモル分率、M:IBXAのモル分率
(2-2)複合材の正確な臨界幅を得るための方法
柔軟な繊維強化複合材のエネルギー散逸機序を理解するには、この系のあるパラメータとして臨界幅(Wc)が極めて重要である。ここで、特定の複合材系についてWcの正確な値を得るために簡単な方法を導入する。発明者らは、完全に繊維束が破壊される(例えば、破断する)場合には、プロセスゾーンの一部しか複合材で飽和していないと考えられる可能性があることを示す、複合材の破壊様式遷移状態を検証した。複合材調製における重合開始条件は、実施例1と同様にUVであり、使用したファブリックは、炭素繊維(太い)の織物である。この理解によって、幅が異なる所与の複合材の引裂挙動を比較することで該複合材の正確なWcを得る可能性が開かれる。ここでの例として複合材(MPHEA:MIBXA=0.75:0.25)を採用した場合(図20~図21)、幅が14mmを下回ると、該複合材の引裂挙動は、完全に繊維の引き抜きであることが容易に理解される。なお、繊維の引き抜きでサンプルが破壊される場合、繊維-マトリクス界面の剥離により破壊が生じるのではなく、マトリクスのみが破壊されて生じる。幅が14mmまで増加すると、繊維が破断されており、このことは、プロセスゾーンの一部だけが複合材で飽和していることを示す。したがって、14mmは、この複合材(MPHEA:MIBXA=0.75:0.25)の臨界幅と考えられる。同じ方法を使用して、異なるモル分率を有する複合材の臨界幅を得ることもできる(表6)。MPHEA:MIBXA=0.7:0.3では9mmであり(図18~図19)、MPHEA:MIBXA=0.8:0.2では18mmであり(図22~図23)、MPHEA:MIBXA=0.85:0.15では23mmであり(図25~図26)、MPHEA:MIBXA=0.9:0.1では24mmであった(図27~図28)。
さらに、同じサンプルについて、異なる引裂速度での引裂試験によって臨界幅を調べた(表7および8、図67および68)。
Figure 0007232474000083

(図110も参照されたい。)
Figure 0007232474000084

Figure 0007232474000085
(2-3)複合材の靭性、マトリクス特性およびエネルギー散逸ゾーンの間の実験に基づく相関関係の立証
PHEA-co-IBXAのモル分率が異なる各ポリマーと炭素繊維との複合材における、T(kJ/m2)対Wm×幅(kJ/m2)のグラフを図29に示す。図29に示されるとおり、Tは、全ての複合材においてW×幅と直線関係を示す。しかし、各系列の傾きは、互いに異なる。このことは、式に影響を及ぼす前因子が存在することを示している。硬いマトリクスとの複合材および柔らかいマトリクスとの複合材の引裂挙動を振り返ってみると、各マトリクスの変形が互いに区別されることは明白である(図30および図31)。硬いマトリクスほど、より高いエネルギー密度を有するが、引裂試験中の変形はわずかである。このことは、硬いマトリクス中に蓄えられたエネルギーが効果的に放出され得ないことを示す。対照的に、柔らかいマトリクスは著しく破壊または破断される。このことは、柔らかいマトリクスは、そのエネルギー密度が低いとしても、はるかに高いエネルギー放出速度を有することを示唆する。これらの結果は、次に、異なるマトリクスのWmを標準化する助けとなる。引張係数(E)は変形能力の指標であるので、異なるマトリクスをベースとする複合材のエネルギー密度を標準化するためにEをさらに使用する。この目的上、相対パラメータD=E0/Eと定義する。ここで、分子のE0は、標準的基準としてのPHEA-co-IBXA(MPHEA:MIBXA=0.7:0.3)との炭素繊維複合材(PI/CFC)の引張係数であり、分母のEは、関心のある任意のサンプルの引張係数である。
上で提案した前提に従って、式(4)および(5)を式(51)および(52)
Figure 0007232474000086

へと修正することができる。ただし、この式は、ファブリックのエネルギー密度を無視して得られる式であるため、ファブリックが異なる複合材間の比較においては成り立たないことが理解されよう。ファブリックが異なる複合材間で比較するためには、式(9)および式(10)を利用することが好ましい。
Figure 0007232474000087
式(51)(または式(52))の結果を図32に示す。Tは、予想どおり、D×Wm×幅の関数としての良好な直線関係に従った。この場合、複合材の靭性の源が理解され、これにより、任意の繊維ベースの複合材のTを見積もることの可能性が開かれる。さらに、この法則はまた、高靭性の複合材を製造するようにマトリクスを選択する原則も明らかにする。すなわち、DおよびWmの値を可能な限り大きくするために、理想的なマトリクスは柔軟性(大きいD)および高い靭性(大きいWm)の両方を有すべきであることを意味する。
(2-4)ガラス繊維との複合材における臨界幅の測定およびT対Wm×幅
PHEA-co-IBXA(MPHEA:MIBXA=0.75:0.25)とガラス繊維との複合材の臨界幅を、炭素繊維との複合材の場合と同様に測定した。上記ガラス繊維ベース複合材の臨界幅は12mmであった(図を示さず)。
図33に、PHEA-co-IBXA(MPHEA:MIBXA=0.75:0.25)と炭素繊維またはガラス繊維との複合材のT対Wm×幅のグラフを示す。図33のグラフにおける2種の複合材についての傾きはほぼ同じであるので、ファブリックを変更しても傾き(前因子)には何の影響もないことが分かる。このことは、複合材の靭性に影響を及ぼすという点でマトリクスが重要な役割を果たしていること示す。理論に束縛されることを望まないが、繊維の物性も重要であり得る。繊維の破壊応力が高いほど、より遠く力が伝わることから、プロセスゾーンが広くなると考えられるからである。例えば、アラミド繊維(例えば、ケブラー(登録商標)繊維)が炭素繊維よりよいことが本明細書において示されている。
図34は、図29のグラフに上記ガラス繊維ベース複合材のデータを加えたものであり、図35は、図34のグラフを元にX軸をD×Wm×幅としたグラフである。図35に示すとおり、繊維が炭素繊維であってもガラス繊維であっても、同じ線形則に従うことが分かる。繊維複合材の靭性の本質的源を理解することで、引き出し機序の下で、任意の繊維ベース複合材のTを見積もるために、この線形則を使用することができる。したがって、強靭な複合材を作製するためには、マトリクスの選択は非常に重要である。大きいDを達成するためには引張係数が低いこと、すなわち、柔らかいことが必要である。あるいは、繊維とマトリクスの破壊応力の比が重要でありうる。また、大きいWmを達成するためにはエネルギー密度が高いこと、すなわち、靭性が高いことが必要である。よって、強靭な複合材を作製するためには、柔らかくかつ強靭なマトリクスが必要である。
実施例113:高靭性の複合材を様々なマトリクスおよび繊維から製造する方法論の普遍性
(1)実験
サンプル調製
Figure 0007232474000088


上で提案した、繊維ベースの高靭性かつ柔軟な複合材を、様々なマトリクスおよび織物から製造する方法が普遍的であるかどうかを立証するために、数種類のモノマーおよび織物を、繊維ベースの複合材を調製するために選択した。結果として生じる複合材の靭性、ならびに比較としてニートのポリマーおよびニートの織物の靭性を試験した。表9において、「炭素繊維(太い)」は、炭素繊維ファブリックCCP3200-100(糸:CF3K 200TEX、密度:12.5×12.5本/25mm、質量:200g/m2、平織)を指し、「炭素繊維(細い)」は、炭素繊維ファブリックCCP1120-1000(糸:CF1K 68TEX、密度:22×22本/25mm、質量:120g/m2、平織)を指し、ガラス繊維は、ガラス繊維ファブリックR590H 102D(糸:GFロービング 600TEX、密度:12本×12本/25mm、質量:約590g/m2、平織)を指し、「アラミド繊維」は、アラミド繊維ファブリックK300 H100(テクノーラ(登録商標)、密度:1.39g/cm3、単繊維直径12μφ(円形)、引張強度350kg/mm2)を指す。これらのファブリックは、株式会社インタークロスから購入した。「金属繊維」または「ステンレス繊維」は、ステンレス金網(DSM200、200メッシュ、線径0.05mm、平織、材質:SUS316)を指す。
Figure 0007232474000089

Figure 0007232474000090

Figure 0007232474000091

Figure 0007232474000092

全てのサンプルに対する注記
a.サンプルの幅は40mmである。
b.引裂エネルギーの単位はkJ/m2である。
c.金属繊維以外を用いた複合材試料のプロセスゾーンは飽和していない。金属繊維を用いた複合材試料のプロセスゾーンは飽和している。
d.ND:測定せず。
e.重合開始条件:UV
表9に示したとおり、ニートのポリマーおよび織物と比較して、製作した複合材の全てが、極めて高い靭性を呈し、その靭性は、個々の成分の靭性より2桁または3桁大きい。この結果は、モノマー成分の溶液が織物の隅々まで浸透してインターロック構造が形成され得る限り、上記調製方法を、多種多様なマトリクスおよび織物に由来する高靭性でありかつ柔軟な複合材の製作へとさらに拡大することが可能であることを示唆している。これにより、多くの分野でのそれらの応用へ向けての明るい展望が開かれる。
また、表9から、芳香環を有するポリマーとの複合材の強靭度は、芳香環が無いポリマーとの複合材より高いことが理解される。強靭性とモノマーもしくはポリマーの各パラメータとの相関関係については、芳香環が1個の場合に、モノマーの分子量に対する芳香環(例えば、C6)の重量割合に比例して複合材の強靭度が上がることも理解される。
実施例114:
高靭性かつ柔軟な複合材
これまでの結果において、エネルギー散逸性の柔軟なマトリクスは、高靭性の複合材を構築するのに極めて重要であることが示されてきた。高靭性の複合材を調製するために、CBA-co-IBXA(MCBA:MIBXA=0.4:0.6、弾性率:0.56MPa、ひずみエネルギー密度:8.29MJ/m3、破壊応力:1.86MPa)を選択した(図90)。本発明者らの最近の知見では、強度がありかつ強靭な繊維が、極めて強靭な複合材を形成するのに大きな役割を果たすことも示されている。したがって、アラミド繊維織物(破壊応力:1.08GPa、ひずみエネルギー密度:55.76MJ/m3)を、上記CBA-co-IBXAとの複合材を調製するために使用した(図91および92)。得られた複合材は、プロセスゾーンが飽和するまでは、明らかにサイズ依存性であることを実証した(図94)。飽和した状態では、上記複合材は、亀裂を伝播させることなくほぼ1000Nの力に耐えることができる。この複合材の引裂エネルギーは、2561kJ/m2と極めて高い(図93および94)。
実施例115:
繊維とマトリクスの引張係数の比
マトリクスの引張係数に対する繊維の引張係数の比と引裂エネルギーとの関係を調べるために、異なる試験速度で種々の繊維、コポリマーおよび複合材について引張係数および引裂エネルギーを測定した(表10)。引張係数の比と引裂エネルギー(Tc)または臨界幅(Wc)との間に密接な相関関係は見られなかったが、概ね、比が増加すれば、引裂エネルギーおよび臨界幅も増加する傾向があることが理解される(図99および100)。
Figure 0007232474000093

(略語)PI: PHEA-co-IBXA、CI: CBA-co-IBXA、f:PHEAまたはCBAのモル分率、Ecf:炭素繊維の引張係数、Egf:ガラス繊維の引張係数、Ekf:アラミド繊維の引張係数、Em:マトリクスの引張係数、Tc:複合材の引裂エネルギー
実施例116:
繊維とマトリクスの破壊応力の比
マトリクスの破壊応力に対する繊維の破壊応力の比と引裂エネルギーとの関係を調べるために、異なる試験速度で種々の繊維、コポリマーおよび複合材について破壊応力および引裂エネルギーを測定した(表11)。同一ファブリックの複合材については、引裂エネルギー(Tc)および臨界幅(Wc)は、繊維とマトリクスの破壊応力と線形相関を示す(図101および102)。これらの結果は、繊維とマトリクス間の力の伝達が、相対的に高い応力を有する繊維と相対的に低い応力を有するマトリクスからなる複合材系において高度に促進され、それにより高い引裂靭性がもたらされることを示す。
Figure 0007232474000094

(略語)f:PHEAまたはCBAのモル分率、σcf:炭素繊維の破壊応力、σgf:ガラス繊維の破壊応力、σkf:アラミド繊維の破壊応力、σm:マトリクスの破壊応力、Tc:複合材の引裂エネルギー
実施例117:
異なる試験速度でのマトリクスの引裂エネルギーおよびひずみエネルギー密度
Figure 0007232474000095

(略語)f:PHEAのモル分率、Tm:マトリクスの引裂エネルギー、Sm:マトリクスのひずみエネルギー密度
上記表12中の、応力-ひずみ曲線から見積もられたPHEA-co-IBXAポリマーのひずみエネルギー密度と、異なる試験速度でのPHEA-co-IBXAポリマーの引裂エネルギーは、概ね線形相関している。
実施例118:
複合材の機械的性能に対する温度の効果
柔軟な複合材が異なる温度でも利用可能かどうかを調べるために、PHEA-co-IBXA/炭素繊維複合材について24℃、50℃、100℃、および150℃において引裂試験を実施した(図87および88)。試験温度が高いほど、引裂に必要な力および引裂エネルギーは減少した。図87中の複合材の引裂試験後の状態を見ると、高い温度(100℃および150℃)で繊維からマトリクスが剥離していることが明らかに理解される。この剥離は、望ましくない界面に起因する繊維からマトリクスへの力の不十分な伝達をもたらす。マトリクスは、室温で粘弾性を示すが、その粘性は、相対的に高い温度では消失する可能性があり、その結果、マトリクスは高弾性ポリマーとして挙動することとなり得る。したがって、界面結合は劣化し、その結果、層間剥離および対応する機械的性能の低下が生じる。
実施例119:
ポリマー/繊維複合材の異方性機械的特性
複合材の異方性機械的特性を調べるために、PHEA-co-IBXA(フェノキシエチレングリコールアクリレートとイソボルニルアクリレートとのコポリマー)との炭素繊維複合材(PI/CFC)の引張係数および曲げ弾性係数を測定した。結果を図36に示す。マトリクス成分のモル分率の調節は上記複合材の係数に対してほとんど効果がないと考えられる。全ての複合材は、劇的な異方性機械的特性を示し、その引張係数(約1000MPa)は、その曲げ弾性係数(約10MPa)より2桁大きい。ファブリックのタイプの変更は、複合材の両方の係数に影響を及ぼす(図37)。しかし、各系の異なる方向の係数の異方性は、なおも存在する。すなわち、本発明者らが作製した複合材は、極度に堅い一方で、伸びるが、曲げるか捻った場合にいくらか柔軟でもあり得る。
従来の繊維またはファブリック強化複合材、例えば、マトリクスとして堅いセラミックまたは樹脂を有する複合材は、任意の方向に(GPa程度の)高い引張係数の疑似等方性を実証している。すなわち、それらは本質的に、マトリクスと繊維との間の相乗的強靭化の乏しさおよびマトリクスの限定的なエネルギー散逸に起因して低い靭性を有する硬い材料である。対照的に、「柔軟な複合材」の革新的概念の下での本発明のエネルギー散逸性の高い、柔軟なマトリクスを有する複合材は、靭性の点で圧倒的利点を示す。
実施例120:
複合材の靭性に対する開始方法の効果
PHEA対IBXAの様々なモル比を有するPHEA-co-IBXA/炭素繊維複合材を熱開始から調製するために、ベンゾフェノン(BP)の代わりに、全モノマー量に対して0.1mol%のアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を使用して、アルゴン雰囲気下、オーブン中70℃で10時間重合を行った。得られた複合材は、UV開始複合材系と比較して、高い引裂エネルギーを呈した。熱重合による複合材に対する引裂試験の結果を、比較としてのUVで開始された光重合による複合材の結果と共に図38(MPHEA:MIBXA=0.75:0.25)、図39(MPHEA:MIBXA=0.75:0.25)、図43(MPHEA:MIBXA=0.7:0.3)、図44(MPHEA:MIBXA=0.8:0.2)、図45(MPHEA:MIBXA=0.85:0.15)、および図46(MPHEA:MIBXA=0.9:0.1)に示す。熱重合により得た複合材は、光重合により得た複合材と比較して非常に高い引裂耐性を示すので、明らかに、熱開始重合法は、強靭かつ柔軟な複合材を調製する効率的方法である。力-変位曲線および対応する複合材のLbulkに基づく複合材の引裂エネルギーを、図47に提示する。全ての熱重合複合材が、引裂耐性の点で光重合複合材より強靭であった。
式(6)により示したとおり、複合材の靭性(Tc)は、マトリクスの変形能(D)×マトリクスの歪みエネルギー密度(Wm)×幅または臨界幅(Wc)に比例する(すなわち、Tc~D×Wm×幅またはTc~D×Wm×Wc)。上述の複合材は全て、同じファブリックを使用しているので、熱調製複合材とUV調製複合材との間の靭性の不一致は、それらのマトリクスの機械的特性の差異に由来すると考えられる。したがって、PHEA-co-IBXA(MPHEA:MIBXA=0.7:0.3~0.9:0.1)もまた調製し、試験した。これらの機械的特性を、光重合により製造されたものと比較する(図54)。同じモノマー比であるが異なる重合法によるコポリマーを比較すると、予想外に、機械的特性において劇的な差異が存在することが実証されている。このことから、上記熱重合において、酸素が、ポリマーの機械的特性に大きく影響を及ぼすことが理解される。実際に、熱重合が行われるオーブン中の残存酸素量は、光重合が行われるグローブボックス内の残存酸素量より数千倍大きい。したがって、著しく低い分子量の生成物が生じ、あまり望ましくない機械的特性をもたらす可能性がある。工業的生産においては、酸素濃度が十分制御可能である限り、再現性が十分良好であると考えられる。
上述のポリマーのWmおよび弾性率(引張係数)(E)を、図53および図54にそれぞれ示す。図中に明示されるとおり、熱重合由来のポリマーの全ては、光重合由来のポリマーより強靭さが低く(相対的に低いWm)、一方で相対的に柔軟である(相対的に低いE)。振り返って式Tc~D×Wm×幅またはTc~D×Wm×Wcを見ると、DはD=E0/Eであり相対的なパラメータとして定義されている。ここで、E0は、標準的な基準としての光重合由来のPHEA-co-IBXA/CFC(MPHEA:MIBXA=0.7:0.3)の弾性率(引張係数)であり、Eは、含まれる任意の試料の弾性率(引張係数)である。この場合、Eが低いほど、Dはより高くなる。すなわち、熱重合由来のエラストマーは、光重合由来のエラストマーと比較して、より高いDを有するが、より低いWmを有する。したがって、DおよびWmの間の競合は、熱重合複合材およびUV重合複合材の間の異なる引裂エネルギーの原因である。
実施例121:PDMSとの炭素繊維複合材の調製
型に対して適切な量のポリジメチルシロキサン(PDMS)溶液(架橋剤を10重量%含む)を、炭素繊維(太い)ファブリックを挟んだ型の中へと注入した。これを、オーブン中70℃で2時間加熱して硬化させた。
複合材の靭性に対する調製方法の効果
柔軟な複合材も、本発明者らの調製方法の普遍性を検証するためにポリジメチルシロキサン(PDMS)ポリマーおよび炭素繊維を直接ブレンドすることにより調製した。得られた複合材の引き裂き試験の結果を、比較としてのPHEA-co-IBXA/炭素繊維複合材と共に図41に示す。明らかに、PI/CFC系は、同一の幾何形状の場合には、PDMS/CFC系よりはるかに高い靭性を有する。興味深いことに、PDMSのひずみエネルギー密度(Wm)は約8.39MJ/m3であり、これは、PHEA-co-IBXA(MPHEA:MIBXA=0.8:0.2、約8.49MJ/m3)のそれに匹敵し、PHEA-co-IBXA(MPHEA:MIBXA=0.85:0.15、約7.27MJ/m3)およびPHEA-co-IBXA(MPHEA:MIBXA=0.9:0.1、約6.43MJ/m3)のひずみエネルギー密度よりはるかに高い。一方で、PDMSの引張係数は約1.18MPaであり、これは、PHEA-co-IBXA系のそれより低い。
したがって、複合材の靭性を見積もるために本発明者らの提案した式
Figure 0007232474000096

に従えば、PDMSのTは、同一の幾何形状を有するいくつかのPI/CFC系のTより高いはずである。この異常な結果により、PDMS/CFC系のエネルギー散逸機序を明らかにすることが必須となる。参考としてPI/CFC(MPHEA:MIBXA=0.75:0.25)を用い、PDMS/CFCの引き裂き挙動を調査した。図41に例示したとおり、PI/CFCは著しく変形し、破断されて2つの部分となったが、該部分のどちらも、損なわれていないままの、すなわち、ファブリックからマトリクスが分離していない複合材であった。しかし、引裂試験中のPMDS/CFCにおいて、ファブリックからのマトリクスの剥離が起きた。これは、PMDS/CFCの調製中にPDMSがファブリック中へ浸透することが困難であったためである。これにより、PDMS/CFC系の低い靭性に対する合理的な説明が与えられる。すなわち、理論に束縛されることを望まないが、ポリマーを出発材料として使用して複合材を合成する場合には、ポリマーが繊維の隅々まで浸潤できない、特に、繊維束の隙間まで浸潤しにくいため、引裂時にインターロッキングの機構で力を伝達する(散逸する)ことができない。そのために、PDMS/CFCの引裂エネルギーが低いと考えられる。引き裂き中にファブリックから剥離したマトリクスの大部分は、複合材の靭性にほとんど寄与していない。このことは、本発明者らが提案する「柔軟な複合材」という概念のエネルギー散逸機序とは本質的に異なる。この観点に従って、PDMS/CFC系は、厳密に言えば、柔軟な複合材ではなく、柔軟な化合物である。この結果はまた、ファブリック内部にマトリクスを取り込むことが複合材の強靭化において大きな役割を果たすという本発明者らの考えを強固なものとする。
実施例122:
切れ目を2カ所入れたサンプルの引裂試験
この試験では、MPHEA:MIBXA=0.7:0.3のコポリマーおよび炭素繊維(太い)の複合材を使用した。図96、図97、図98に示したように、切れ目を2カ所入れたサンプルを用いて、引裂試験を行った。図96に示した10mm-20mm-10mmに分かれるように切れ目を入れたサンプルの試験前と後の外観を図95に示す。(1)方法の(1-2)引裂試験に記載の手順と同様に、図96のサンプルであれば、10mm幅の端部を一つのクランプで固定し、内側の20mm幅の端部を別のクランプで固定して180度逆方向になるように50mm/分の一定速度で上方に引っ張って行う。
経路の長さは、2つの切れ目から、引き裂かれるまでの2つ経路の合計の長さとした。
10mm-20mm-10mmのサンプル(図95)、10mm-10mm-10mmのサンプル(図97)および10mm-5mm-10mmのサンプル(図98)の引裂エネルギーはそれぞれ、約487、約359、約261kJ/m2であった。
本発明者らは、上記実施例の結果から、強靭かつ柔軟な複合材は、下記の二つの基準の下で、多様なマトリクスおよびファブリックから容易に製作することができると結論付けた。
基準1. 該マトリクスは、それから得られる複合材が大きいプロセスゾーンを生成するように、柔軟でありかつエネルギー散逸性である。
基準2. モノマーの前駆溶液は、ファブリックの隅々まで浸透して望ましい界面を形成することができる。
実施例123:
自己再建性の評価
複合材をクロロホルム中に入れ、撹拌しながらマトリクス部分を溶かす(濃度:2M)。この液中のクロロホルムを、6~24時間にわたって揮発させる。その後、オーブン中で、65度にて3日間乾燥させる。
最初の溶解前の試料と、溶解、揮発および乾燥のサイクルを一回行った後の試料と、前記サイクルを二回繰り返した後の試料の引裂試験を行う。
実施例124:
コポリマーのレオロジー挙動の評価
MPHEA:MIBXA=0:1~1:0のコポリマーのレオロジー挙動を評価するために、以下のとおり試験を行った。
レオロジー試験
動的な粘弾性スペクトルは、Rheometric Scientific Inc.製のARESレオメーターを用いてレオロジー挙動を測定することにより得た。測定前の準備として、直径15mm、厚さ1.5mmの円盤状のサンプルの上下面を接着剤で直径25mmの平行プレートの中央に位置するように取り付けた。-8℃から128℃まで段階的に温度を上昇させ、それぞれの温度において、0.1~100rad/sの角周波数範囲にて、0.5%のせん断ひずみで周波数掃引測定を行った。その後、24℃を基準温度にし、異なる温度の結果の横軸と縦軸を温度-時間換算則に従ってシフトし、24℃における10-10~107rad/sという広い角周波数範囲のTanδのマスターカーブを作成した。図42に、モル分率が異なるコポリマーごとのTanδ-角周波数のグラフを示す。縦軸のTanδは損失弾性率G”と貯蔵弾性率G’の比であり、すなわち、Tanδ=G”/G’である。横軸は、角周波数で、観察時間の逆数に相当する量である。いずれのモル分率比のコポリマーもある角周波数でTanδが極大を示し、しかも、極大値は1以上である。このことは、この系のコポリマーは非常に強い粘弾性を示すことを意味する。また、MPHEAが増加するとTanδが極大を示す角周波数も増加する。これは、ソフトセグメントのモル分率が増加すると、コポリマー中の側鎖間の結合が弱くなり、結合の寿命(緩和時間)が短くなることを意味する。実際に、緩和時間はMPHEAの増加と共に短くなる(表13)。本明細書において、緩和時間はTanδが極大を示す角周波数の逆数である。
Figure 0007232474000097
以上の結果から、この系のコポリマーは優れた粘弾性エラストマーであるとみなすことができる。
実施例125:
架橋剤の存在下で重合させたフェノキシエチルアクリレート(PHEA)のポリマーの合成
実施例1において、フェノキシジエチレングリコールアクリレートの代わりにフェノキシエチルアクリレート(PHEA)を用いたことおよび架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート(全モノマーの重量に対して5%)を添加したこと以外は、実施例1と同様にして、フェノキシエチルアクリレートの架橋ポリマー(ポリ(PHEA)+架橋剤)を得た。
実施例126:
モノマー、ホモポリマーおよび架橋ポリマーのガラス転移温度
実施例で使用したホモポリマーならびに実施例125の架橋ポリマーについて、ガラス転移温度をJIS K7121に準じて測定した。結果を表14に示す。
Figure 0007232474000098

a)示差走査熱量測定(DSC)を窒素流の下で、5℃/分の加熱速度で-50℃から150℃まで行った。例外として、CBAについては、-70℃から150℃まで測定した。b)ND:測定せず。
ガラス転移温度
PHEAまたはIBXAのホモポリマーおよびそれらのコポリマーのガラス転移温度を、示差走査熱量測定により決定した。結果を表9に示す。この結果から、fが減少するにしたがって、ガラス転移温度が上昇することが分かる。
Figure 0007232474000099

a)ガラス転移温度を、示差走査熱量測定(DSC)により窒素流の下で、5℃/分の加熱速度で-50℃から150℃まで行った。
実施例で使用したコポリマーのガラス転移温度を、示差走査熱量測定により決定した。結果を表10に示す。この結果から、エチレングリコール鎖が長くなると、ガラス転移温度が低くなることが分かる。
Figure 0007232474000100

a)ガラス転移温度を、示差走査熱量測定(DSC)により窒素流の下で、5℃/分の加熱速度で-50℃から150℃まで行った。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願及び他の文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
本発明の繊維などの第一の材料とガラス転移可能ポリマーなどの第二の材料とを含み、特定の破壊応力特性などを有する複合材は、しなやかさと強靭さの両立を実現する材料として利用され得る。

Claims (10)

  1. 繊維ユニットから構成されるファブリックとガラス転移可能ポリマーとを含む複合材であって、
    前記繊維ユニットは、太さが60TEX~800TEX、及び直径が0.01mm~0.6mmの少なくとも一方を満たす繊維を含み、
    前記ガラス転移可能ポリマーは、一種またはそれより多種のモノマーを含むモノマー成分を重合することにより形成されるホモポリマーまたはコポリマーであり、
    前記モノマー成分は、モノマー(A)と、任意選択的にビニル系モノマー(B)とを含み、
    前記モノマー(A)のガラス転移温度が-100℃以上であり、かつ10℃より低く、
    前記モノマー(A)は、一般式(1)
    Figure 0007232474000101

    (式中、Rは水素であり、
    は、非置換もしくは置換アルキル基、または非置換もしくは置換アリール基であり、Xは酸素であり、
    は酸素または硫黄であり、
    nは0~3であるが、ただし、Rが非置換C1-4アルキル基、非置換もしくは置換第三級炭素含有C 4-6 アルキル基、またはヒドロキシ置換C1-4アルキルであるとき、nは1~3である。)
    で表されるものであり、前記ビニル系モノマー(B)が、一般式(2)
    Figure 0007232474000102

    (式中、Rは水素であり、Rは、-C(=O)-O-Rであり、Rは、非置換もしくは置換第三級炭素含有C4-6アルキル基、または非置換もしくは置換C3-12シクロアルキル基である。)
    で表され、
    前記モノマー(A)を、50重量部~100重量部の範囲で使用して前記重合がなされ、
    前記モノマー成分が前記モノマー(B)を含む場合、前記モノマー(B)を0重量部超かつ、50重量部以下の範囲で使用して前記重合がなされ、
    JIS K7161に準ずる引張試験方法によりダンベル型試験片を用いて測定した弾性率が0.05~200MPaであり、
    JIS K7128-1に準ずる引裂試験方法により50mm/分の引裂速度で測定した引裂エネルギーが200kJ/m以上である、複合材。
  2. 前記モノマー(A)のガラス転移温度が-70℃以上であり、かつ10℃より低い、請求項1に記載の複合材。
  3. 前記ビニル系モノマー(B)のガラス転移温度が10℃以上であり、かつ120℃以下である、請求項1又は2に記載の複合材。
  4. 前記ビニル系モノマー(B)のガラス転移温度が10℃以上であり、かつ100℃以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の複合材。
  5. 前記ガラス転移可能ポリマーのガラス転移温度が、-70~70℃である、請求項1~4のいずれか1項に記載の複合材。
  6. 前記Rは、非置換もしくは置換C1-18アルキル基、または非置換もしくは置換C6-18アリール基である、請求項1~5のいずれか1項に記載の複合材。
  7. は、C1-4アルキル基より選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい、t-ブチル基、イソボルニル基、アダマンチル基、C5-7シクロアルキル基、または5-6員複素環式基である、請求項1~のいずれか1項に記載の複合材。
  8. 前記モノマー(B)は、t-ブチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、およびシクロヘキシルアクリレートからなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1~のいずれか1項に記載の複合材。
  9. 前記繊維が、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド(ケブラー(登録商標))繊維、植物繊維、木質繊維、動物繊維、鉱物繊維、金属繊維、および合成高分子繊維ならびにそれらの組合せからなる群から選択される1種または複数種の繊維である、請求項1~のいずれか1項に記載の複合材。
  10. 前記繊維により織物、編物または不織布が形成されている、請求項1~のいずれか1項に記載の複合材。
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