JP7232474B2 - 高靭性繊維複合エラストマー - Google Patents
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Description
(項1)繊維とガラス転移可能ポリマーとを含む複合材であって、
前記ガラス転移可能ポリマーは、一種またはそれより多種のモノマーを含むモノマー成分を重合することにより形成されるホモポリマーまたはコポリマーであり、
前記モノマー成分は、モノマー(A)と、任意選択的にビニル系モノマー(B)とを含み、
前記モノマー(A)のガラス転移温度が-100℃以上であり、かつ10℃より低い、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項2)前記モノマー(A)のガラス転移温度が-70℃以上であり、かつ10℃より低い、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項3)前記ビニル系モノマー(B)のガラス転移温度が10℃以上であり、かつ120℃以下である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項4)前記ビニル系モノマー(B)のガラス転移温度が10℃以上であり、かつ100℃以下である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項5)前記モノマー(A)が、一般式(1)
(式中、R1は水素であり、R2は、非置換もしくは置換アルキル基、または非置換もしくは置換アリール基であり、X1は酸素であり、X2は酸素または硫黄であり、nは0~3であるが、ただし、R2が非置換C1-4アルキルまたはヒドロキシ置換C1-4アルキルであるとき、nは1~3である。)で表され、前記ビニル系モノマー(B)が、一般式(2)
(項6)前記ガラス転移可能ポリマーのガラス転移温度が、約-70~70℃である、上記項に記載の複合材。
(項7)R2は、非置換もしくは置換C1-18アルキル基、または非置換もしくは置換C6~18アリール基である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項7A)R2は、非置換もしくは置換C6~18アリール基で置換されたC1-18アルキル基、または非置換もしくは置換C6~18アリール基である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項7B)R2は、非置換もしくは置換C6~18アリール基で置換されたC1-18アルキル基、または非置換もしくは置換C6~18アリール基であり、n=0または1である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項7C)R2は、非置換もしくは置換C6~18アリール基で置換されたC1-18アルキル基、または非置換もしくは置換C6~18アリール基であり、n=0である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項7D)R2は、非置換もしくは置換C6~18アリール基で置換されたC1-18アルキル基、または非置換もしくは置換C6~18アリール基であり、n=0または1である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項7E)R2は、非置換もしくは置換C6~18アリール基で置換されたC1-18アルキル基、または非置換もしくは置換C6~18アリール基であり、n=0である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項7F)R2は、非置換もしくは置換C6~18アリール基で置換されたC1-18アルキル基であり、n=0または1である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項7G)R2は、非置換もしくは置換C6~18アリール基で置換されたC1-18アルキル基であり、n=0である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項7H)R2は、フェニル基で置換されたC1-18アルキル基であり、n=0または1である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項7I)R2は、フェニル基で置換されたC1-18アルキル基であり、n=0である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項7J)R2は、ベンジル基であり、n=0または1である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項7K)R2は、ベンジル基であり、n=0である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項8)前記モノマー(A)を約50重量部~100重量部の範囲で使用して前記重合がなされる、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項9)前記モノマー(B)を0重量部超かつ約50重量部以下の範囲で使用して前記重合がなされる、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項10)前記モノマー(B)は、前記複合材を製造する条件において該モノマー(B)のみから構成されるホモポリマーを製造した際に、該ホモポリマーが、約30℃~120℃のガラス転移温度を有するように選択される、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項11)R6は、C1~4アルキル基より選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい、t-ブチル基、イソボルニル基、アダマンチル基、C5~7シクロアルキル基、または5~6員複素環式基である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項12)前記モノマー(B)は、t-ブチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、およびシクロヘキシルアクリレートからなる群から選択される少なくとも1つを含む、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項13)前記繊維が、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド(ケブラー(登録商標))繊維、植物繊維、木質繊維、動物繊維、鉱物繊維、金属繊維、および合成高分子繊維ならびにそれらの組合せからなる群から選択される1種または複数種の繊維である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項14)前記繊維により織物、編物または不織布が形成されている、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A1)繊維とガラス転移可能ポリマーとを含む、複合材。
(項A2)前記ガラス転移可能ポリマーのガラス転移温度が、約-70~30℃または約-50~20℃である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A3)前記ポリマーは、一種またはそれより多種のモノマーを含むモノマー成分を重合することにより形成されるホモポリマーまたはコポリマーである、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A4)前記モノマー成分の粘度が、約0.1~50mPa・sまたは約0.5~30mPa・sである、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A5)前記モノマー成分の表面張力が、約15~55mN/mまたは約20~40mN/mである、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A6)前記ガラス転移可能ポリマーが、(メタ)アクリル系ポリマー、エチレン系ポリマー、ウレタン系ポリマー、エーテル系ポリマー、アミド系ポリマー、カーボネート系ポリマーおよびシリコーン系ポリマー、ならびにこれらの任意の組合せからなる群より選択される、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A7)前記モノマー成分が、一般式(1)
(R1は、水素またはC1~4アルキル基であり、R2は、非置換もしくは置換アルキル基、非置換もしくは置換アルケニル基、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基であり、X1およびX2はそれぞれ独立して、O、S、NRx、およびCRx1Rx2からなる群から選択され、Rxは、水素、C1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、C1~6ハロアルキル基、またはC2~6ハロアルケニル基であり、Rx1およびRx2はそれぞれ独立して、水素、非置換もしくは置換アルキル基、非置換もしくは置換アルケニル基、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基であるか、あるいは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基を形成し、nは0~20である)で表されるモノマー(A)、および/または、一般式(2)
(R3は、水素またはC1~4アルキル基であり、R4は、有機基である)で表されるビニル系モノマー(B)を含む、複合材。
(項A8)X1はOであり、各X2は独立してO、SまたはCH2である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A9)nが0~4である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A10)R1は水素またはメチル基である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A11)R2は、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、C1~10アルキル基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルキルオキシカルボニル基、C1~6ハロアルキル基、C2~6アルケニル基、C2~6ハロアルケニル基、C3~6シクロアルキル基、C3~6ハロシクロアルキル基、3~8員複素環式基およびC6~18アリールチオ基からなる群より選択される1つまたは複数の基で置換されていてもよい、C1~6アルキル基、C2~6アルケニル基、C3~6シクロアルキル基、C6~18アリール、5~18員ヘテロアリール基であるが、ただし、X1がR2と直接結合する場合、R2は、C6~18アリール基でも5~18員ヘテロアリール基でもない、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A12)R2は、ヒドロキシル基、C1~6アルキル基およびC6~18アリールチオ基からなる群より選択される1つまたは複数の基で置換されていてもよい、C1~18アルキル基、C6~18アリールまたは5~18員ヘテロアリール基である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A13)R2は、C1~6アルキル基、フェニル基、ベンジル基またはフェニルチオエチル基である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A14)前記モノマー(A)を約50重量部~100重量部の範囲で使用して前記重合がなされる、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A15)前記モノマー(B)を0重量部超かつ約50重量部以下の範囲で使用して前記重合がなされる、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A16)前記モノマー(A)は、2-メトキシエチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、トリエチレングリコールメチルエーテルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソステアリルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレートおよびシクロヘキシルアクリレートからなる群から少なくとも1つ以上選択されるものを含む、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A17)前記モノマー(B)は、前記複合材を製造する条件において該モノマー(B)のみから構成されるホモポリマーを製造した際に、該ホモポリマーが、約30℃~120℃のガラス転移温度を有するように選択される、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A18)前記R3は水素またはメチル基である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A19)R4は、-C(=O)-O-L-R6であり、Lは、結合または-C1~4アルキレン-であり、R6は、非置換もしくは置換第三級炭素含有C4~8アルキル基、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A20)Lは、結合または-CH2-であり、R6は、非置換もしくは置換第三級炭素含有C4~8アルキル基、非置換もしくは置換C3~12シクロアルキル基、非置換もしくは置換C3~12シクロアルケニル基、非置換もしくは置換5~12員複素環式基、非置換もしくは置換C6~18アリール基、または非置換もしくは置換5~18員ヘテロアリール基である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A21)R6は、C1~4アルキル基より選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい、t-ブチル基、イソボルニル基、アダマンチル基、C5~7シクロアルキル基、または5~6員複素環式基である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A22)前記モノマー(B)は、t-ブチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、アダマンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレートからなる群から選択される少なくとも1つを含む、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A23)前記モノマー成分が架橋剤の非存在下または存在下で重合される、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A24)前記ポリマーは熱重合もしくは光重合されたものであるか、または熱重合されたものである、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A25)前記ホモポリマーまたはコポリマーは重合開始剤としてベンゾフェノンまたはその類似体、あるいはアゾビスイソブチロニトリルまたはその類似体を使用することによって重合されたものである、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A26)前記繊維が、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、植物繊維、木質繊維、動物繊維、鉱物繊維、および合成高分子繊維ならびにそれらの組合せからなる群から選択される、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A27)前記繊維により織物、編物または不織布が形成されている、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A28)前記モノマー成分は、前記複合材を製造する条件において該モノマー成分のみから構成されるホモポリマーまたはコポリマーを製造した際に、該ホモポリマーまたはコポリマーが、約0.05MPa以上の引張係数を有するように選択される、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A29)前記複合材の引張係数が500MPa以上である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A30)前記複合材の曲げ弾性係数が5MPa以上である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A31)50mm/分の引裂速度での引裂試験により複合材を測定した場合、その引裂エネルギーが、約200kJ/m2以上である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A32)50mm/分の引裂速度での引裂試験により前記ガラス転移可能ポリマーを測定した場合、その引裂エネルギーが、約400kJ/m2以上である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A33)50mm/分の引張速度での引張試験により複合材を測定した場合、その引張係数が約0.05~200MPaである、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A34)50mm/分の引張速度での引張試験により前記ガラス転移可能ポリマーを単独で測定した場合、その引張係数が約0.05~100MPa以上である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A35)前記ガラス転移可能ポリマーは、前記モノマー成分を前記繊維に含浸させた後に重合させることによって生成される、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A36)前記含浸工程が、前記繊維を型の内部で固定し、前記モノマー成分を型の内部へ注入し、前記繊維を前記モノマー成分で浸す工程を含む、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項A37)繊維とガラス転移可能ポリマーとを含む複合材を製造する方法。
(項A38)前記ガラス転移可能ポリマーは、一般式(1)
(R1は、水素またはC1~4アルキル基であり、R2は、非置換もしくは置換アルキル基、非置換もしくは置換アルケニル基、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基であり、X1およびX2はそれぞれ独立して、O、S、NRx、およびCRx1Rx2からなる群から選択され、Rxは、水素、C1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、C1~6ハロアルキル基、またはC2~6ハロアルケニル基であり、Rx1およびRx2はそれぞれ独立して、水素、非置換もしくは置換アルキル基、非置換もしくは置換アルケニル基、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基であるか、あるいは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基を形成し、nは0~20である)で表されるモノマー(A)、および/または、一般式(2)
(R3は、水素またはC1~4アルキル基であり、R4は、有機基である)で表されるビニル系モノマー(B)を含むモノマー成分を、架橋剤の存在下または非存在下で重合させて得られるホモポリマーまたはコポリマーである、上記項のいずれか1項に記載の方法。
(項A39)前記モノマー成分は架橋剤の存在下で重合される、上記項のいずれか1項に記載の方法。
(項A40)前記モノマー成分は架橋剤の非存在下で重合される、上記項のいずれか1項に記載の方法。
(項A41)前記モノマー成分を、塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法、および懸濁重合法からなる群より選択される重合法にしたがって重合させる、上記項のいずれか1項に記載の方法。
(項A42)自動車、航空機、船舶、列車、自動二輪、自転車などの乗り物部品、ヘルメット、マスク、ゴーグル、防具、バッド、ゴルフクラブ、テニスラケット、スキー板、ストックなどのスポーツ用品、防弾壁、防弾チョッキ、防弾車などの防護用品、義手、義足などの義肢用品、スーツケース、キャリーケースなどのカバン用品、掃除機、電動工具などの家電製品、傘、杖などの携帯化成品、ベッド、マット、クッションなどの家具製品、食器、玩具、遊具用品、建築材料、衣服材料、電子材料、医療材料、ヘルスケア材料、ライフサイエンス材料、およびロボット材料における、上記項のいずれか1項に記載の複合材の使用。
(項B1)第一の材料と第二の材料とを含む複合材であって、(i)第一の材料についてはJIS R7606に、第二の材料についてはJIS K7161に準ずる引張試験方法により約20℃にて50mm/分の速度で破壊応力を測定した場合に、該第一の材料と該第二の材料との破壊応力の比が約50以上である、および(ii)前記引張試験方法により約20℃にて50mm/分の速度で弾性率(引張係数)を測定した場合に、該第一の材料と該第二の材料との弾性率(引張係数)の比が約100以上であるの少なくとも1つの条件を満たす、複合材。
(項B2)第一の材料と第二の材料とを含む複合材であって、(i)第一の材料についてはJIS R7606に、第二の材料についてはJIS K7161に準ずる引張試験方法により約20℃にて50mm/分の速度で破壊応力を測定した場合に、該第一の材料が、約50MPa以上の破壊応力を有する、および(ii)前記引張試験方法により約20℃にて50mm/分の速度で破断ひずみを測定した場合に、該第二の材料が、約200%以上の破断ひずみを有するの少なくとも1つの条件を満たす、複合材。
(項B3)第一の材料と第二の材料とを含む複合材であって、(i)前記引張試験方法により約20℃にて50mm/分の速度で破壊応力を測定した場合に、該第一の材料が、約100MPa以上の破壊応力を有する、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B4)第一の材料と第二の材料とを含む複合材であって、(ii)前記引張試験方法により約20℃にて50mm/分の速度で破断ひずみを測定した場合に、該第二の材料が、約200%以上の破断ひずみを有する、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B5)前記第一の材料が約250MPa以上または約500MPa以上の破壊応力を有する、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B6)前記第二の材料が約300%以上または約400%以上の破断ひずみを有する、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B7)第一の材料と第二の材料とを含む複合材であって、(i)該第一の材料と該第二の材料との破壊応力の比が50以上である、複合材。
(項B8)第一の材料と第二の材料とを含む複合材であって、(ii)該第一の材料と該第二の材料との引張係数の比が100以上である、複合材。
(項B9)前記破壊応力の比が約100以上または約150以上である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B10)前記引張係数の比が約2500以上または約5000以上である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B11)前記第一の材料と前記第二の材料とは界面が接着している、そして/または物理的にインターロックしている、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B12)前記第一の材料が繊維状の形態を有し、該第一の材料の繊維ユニットは、約1TEX~約1000TEX、約10TEX~約950TEX、約30TEX~約900TEX、約45TEX~約850TEXまたは約60TEX~約800TEXの太さである、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B13)前記第一の材料の繊維ユニットの断面積は、約0.05mm2以上、約0.075mm2以上または約0.1mm2以上である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B14)前記第一の材料が繊維ユニットであり、前記第二の材料がガラス転移可能ポリマーである、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B15)前記ガラス転移可能ポリマーのガラス転移温度が、約-150~150℃、約-100~100℃、約-70~30℃または約-50~20℃である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B16)前記ガラス転移可能ポリマーは、一種またはそれより多種のモノマーを含むモノマー成分を重合することにより形成されるホモポリマーまたはコポリマーである、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B17)前記ガラス転移可能ポリマーが、(メタ)アクリル系ポリマー、エチレン系ポリマー、ウレタン系ポリマー、エーテル系ポリマー、アミド系ポリマー、カーボネート系ポリマーおよびシリコーン系ポリマー、ならびにこれらの任意の組合せからなる群より選択される、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B18)前記モノマー成分が、一般式(1)
(R1は、水素またはC1~4アルキル基であり、R2は、非置換もしくは置換アルキル基、非置換もしくは置換アルケニル基、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基であり、X1およびX2はそれぞれ独立して、O、S、NRx、およびCRx1Rx2からなる群から選択され、Rxは、水素、C1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、C1~6ハロアルキル基、またはC2~6ハロアルケニル基であり、Rx1およびRx2はそれぞれ独立して、水素、非置換もしくは置換アルキル基、非置換もしくは置換アルケニル基、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基であるか、あるいは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基を形成し、nは0~20である)で表されるモノマー(A)、および/または、一般式(2)
(R3は、水素またはC1~4アルキル基であり、R4は、有機基である)で表されるビニル系モノマー(B)を含む、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B19)X1はOであり、各X2は独立してO、SまたはCH2である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B20)nが0~4である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B21)R1は水素またはメチル基である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B22)R2は、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、C1~10アルキル基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルキルオキシカルボニル基、C1~6ハロアルキル基、C2~6アルケニル基、C2~6ハロアルケニル基、C3~6シクロアルキル基、C3~6ハロシクロアルキル基、3~8員複素環式基およびC6~18アリールチオ基からなる群より選択される1つまたは複数の基で置換されていてもよい、C1~6アルキル基、C2~6アルケニル基、C3~6シクロアルキル基、C6~18アリール、5~18員ヘテロアリール基であるが、ただし、X1がR2と直接結合する場合、R2は、C6~18アリール基でも5~18員ヘテロアリール基でもない、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B23)R2は、ヒドロキシル基、C1~6アルキル基およびC6~18アリールチオ基からなる群より選択される1つまたは複数の基で置換されていてもよい、C1~18アルキル基、C6~18アリールまたは5~18員ヘテロアリール基である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B24)R2は、C1~6アルキル基、フェニル基、ベンジル基またはフェニルチオエチル基である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B25)前記モノマー(A)を約50重量部~100重量部の範囲で使用して前記重合がなされる、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B26)前記モノマー(B)を0重量部超かつ約50重量部以下の範囲で使用して前記重合がなされる、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B27)前記モノマー(A)は、2-メトキシエチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、トリエチレングリコールメチルエーテルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソステアリルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレートおよびシクロヘキシルアクリレートからなる群から少なくとも1つ以上選択されるものを含む、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B28)前記モノマー(B)は、前記複合材を製造する条件において該モノマー(B)のみから構成されるホモポリマーを製造した際に、該ホモポリマーが、約30℃~120℃のガラス転移温度を有するように選択される、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B29)前記R3は水素またはメチル基である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B30)R4は、-C(=O)-O-L-R6であり、Lは、結合または-C1~4アルキレン-であり、R6は、非置換もしくは置換第三級炭素含有C4~8アルキル基、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B31)Lは、結合または-CH2-であり、R6は、非置換もしくは置換第三級炭素含有C4~8アルキル基、非置換もしくは置換C3~12シクロアルキル基、非置換もしくは置換C3~12シクロアルケニル基、非置換もしくは置換5~12員複素環式基、非置換もしくは置換C6~18アリール基、または非置換もしくは置換5~18員ヘテロアリール基である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B32)R6は、C1~4アルキル基より選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい、t-ブチル基、イソボルニル基、アダマンチル基、C5~7シクロアルキル基、または5~6員複素環式基である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B33)前記モノマー(B)は、t-ブチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、アダマンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレートからなる群から選択される少なくとも1つを含む、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B34)前記モノマー成分が架橋剤の非存在下または存在下で重合される、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B35)前記ポリマーは熱重合もしくは光重合されたもの、または熱重合されたものである、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B36)前記ホモポリマーまたはコポリマーは重合開始剤としてベンゾフェノンまたはその類似体、あるいはアゾビスイソブチロニトリルまたはその類似体を使用することによって重合されたものである、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B37)前記第一の材料が繊維であり、該繊維がガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、植物繊維、木質繊維、動物繊維、鉱物繊維、金属繊維、および合成高分子繊維ならびにそれらの組合せからなる群から選択される、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B38)前記第一の材料が繊維であり、該繊維がガラス繊維、炭素繊維、およびアラミド(ケブラー(登録商標))繊維からなる群から選択される、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B39)前記第一の材料が、織物、編物または不織布として形成される繊維である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B40)前記モノマー成分は、前記複合材を製造する条件において該モノマー成分のみから構成されるホモポリマーまたはコポリマーを製造した際に、該ホモポリマーまたはコポリマーが、約0.05MPa以上の引張係数を有するように選択される、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B41)前記複合材の引張係数が500MPa以上である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B42)前記複合材の曲げ弾性係数が5MPa以上である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B43)JIS K7128-1に準ずる引裂試験方法により50mm/分の引裂速度での引裂試験により複合材を測定した場合、その引裂エネルギーが、約200kJ/m2以上である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B44)JIS K7128-1に準ずる引裂試験方法により50mm/分の引裂速度での引裂試験により前記ガラス転移可能ポリマーを測定した場合、その引裂エネルギーが、約400kJ/m2以上である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B45)50mm/分の引張速度での前記引張試験方法により複合材を測定した場合、その引張係数が約0.05~200MPaである、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B46)50mm/分の引張速度での前記引張試験方法により前記ガラス転移可能ポリマーを単独で測定した場合、その引張係数が約0.05~100MPa以上である、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B47)前記ガラス転移可能ポリマーは、前記モノマー成分を前記第一の材料を構成する繊維ユニットから構成されるファブリックに含浸させた後に重合させることによって生成される、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B48)前記含浸工程が、前記第一の材料を構成する繊維ユニットから構成されるファブリックを型の内部で固定し、前記モノマー成分を型の内部へ注入し、前記繊維ユニットを前記モノマー成分で浸す工程を含む、上記項のいずれか1項に記載の複合材。
(項B49)繊維とガラス転移可能ポリマーとを含む複合材を製造する方法。
(項B50)前記ガラス転移可能ポリマーは、一般式(1)
(R1は、水素またはC1~4アルキル基であり、R2は、非置換もしくは置換アルキル基、非置換もしくは置換アルケニル基、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基であり、X1およびX2はそれぞれ独立して、O、S、NRx、およびCRx1Rx2からなる群から選択され、Rxは、水素、C1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、C1~6ハロアルキル基、またはC2~6ハロアルケニル基であり、Rx1およびRx2はそれぞれ独立して、水素、非置換もしくは置換アルキル基、非置換もしくは置換アルケニル基、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基であるか、あるいは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基を形成し、nは0~20である)で表されるモノマー(A)、および/または、一般式(2)
(R3は、水素またはC1~4アルキル基であり、R4は、有機基である)で表されるビニル系モノマー(B)を含むモノマー成分を、架橋剤の存在下または非存在下で重合させて得られるホモポリマーまたはコポリマーである、上記項のいずれか1項に記載の方法。
(項B51)前記モノマー成分は架橋剤の存在下または非存在下で重合される、上記項のいずれか1項に記載の方法。
(項B52)前記モノマー成分を、塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法、および懸濁重合法からなる群より選択される重合法にしたがって重合させる、上記項のいずれか1項に記載の方法。
(項B53)自動車、航空機、船舶、列車、自動二輪、自転車などの乗り物部品、ヘルメット、マスク、ゴーグル、防具、バッド、ゴルフクラブ、テニスラケット、スキー板、ストックなどのスポーツ用品、防弾壁、防弾チョッキ、防弾車などの防護用品、義手、義足などの義肢用品、スーツケース、キャリーケースなどのカバン用品、掃除機、電動工具などの家電製品、傘、杖などの携帯化成品、ベッド、マット、クッションなどの家具製品、食器、玩具、遊具用品、建築材料、衣服材料、電子材料、医療材料、ヘルスケア材料、ライフサイエンス材料、およびロボット材料における、上記項のいずれか1項に記載の複合材または上記項のいずれか1項に記載の方法によって製造された複合材の使用。
(項B54)
自動車、航空機、船舶、列車、自動二輪、自転車などの乗り物部品、ヘルメット、マスク、ゴーグル、防具、バッド、ゴルフクラブ、テニスラケット、スキー板、ストックなどのスポーツ用品、防弾壁、防弾チョッキ、防弾車などの防護用品、義手、義足などの義肢用品、スーツケース、キャリーケースなどのカバン用品、掃除機、電動工具などの家電製品、傘、杖などの携帯化成品、ベッド、マット、クッションなどの家具製品、食器、玩具、遊具用品、建築材料、衣服材料、電子材料、医療材料、ヘルスケア材料、ライフサイエンス材料、およびロボット材料として使用するための、上記項のいずれか1項に記載の複合材または上記項のいずれか1項に記載の方法によって製造された複合材、あるいは前記複合材を含む組成物、あるいは、前記複合材を含む、乗り物製品、スポーツ用品、防護用品、義肢用品、カバン用品、家電製品、携帯化成品、家具製品、食器、玩具、遊具、建築物、衣服、電子製品、医療機器、医療製品、ヘルスケア製品、ライフサイエンス製品、ロボット製品などの製品。
により計算した。ここで、Lは、試験中の変位を表し、Lbulkは、引裂試験で引き裂かれた経路の長さを表し、Fは、試験試料を裂くのに必要であった力を表し、tは、試験試料の厚さを表す。
(R1は、水素またはC1~4アルキル基であり、R2は、非置換もしくは置換アルキル基、非置換もしくは置換アルケニル基、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基であり、X1およびX2はそれぞれ独立して、O、S、NRx、およびCRx1Rx2からなる群から選択され、Rxは、水素、C1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、C1~6ハロアルキル基、またはC2~6ハロアルケニル基であり、Rx1およびRx2はそれぞれ独立して、水素、非置換もしくは置換アルキル基、非置換もしくは置換アルケニル基、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基であるか、あるいは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基を形成し、nは0~20である)で表される。
以下に本発明の好ましい実施形態を説明する。以下に提供される実施形態は、本発明のよりよい理解のために提供されるものであり、本発明の範囲は以下の記載に限定されるべきでないことが理解される。従って、当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本発明の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。また、本発明の以下の実施形態は単独でも使用されあるいはそれらを組み合わせて使用することができることが理解される。
1つの局面において、本発明は、第一の材料と第二の材料とを含む複合材を提供し、該複合材は、下記条件(i)および(ii):
(i)第一の材料についてはJIS R7606に、第二の材料についてはJIS K7161に準ずる引張試験方法により約20℃にて50mm/分の速度で破壊応力を測定した場合に、該第一の材料と該第二の材料との破壊応力の比が約50以上である
(ii)前記引張試験方法により約20℃にて50mm/分の速度で弾性率(引張係数)を測定した場合に、該第一の材料と該第二の材料との弾性率(引張係数)の比が約100以上である
の少なくとも1つの条件を満たす。
(i)第一の材料についてはJIS R7606に、第二の材料についてはJIS K7161に準ずる引張試験方法により約20℃にて50mm/分の速度で破壊応力を測定した場合に、該第一の材料が、約50MPa以上の破壊応力を有する
(ii)前記引張試験方法により約20℃にて50mm/分の速度で破断ひずみを測定した場合に、該第二の材料が、約200%以上の破断ひずみを有する
の少なくとも1つの条件を満たす。
一実施形態において、前記ガラス転移可能ポリマーは、(メタ)アクリル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、アミド系ポリマー、エーテル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、カーボネート系ポリマー、それらの任意の組合せからなる群より選択される。任意の組合せの例としては、アクリル系ポリマーとエチレン系ポリマーとの共重合体であるABSなどの任意の共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、三元共重合体、2種もしくはそれより多種のポリマーの混合物などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、前記ガラス転移可能ポリマーは、(メタ)アクリル系ポリマーである。
一般式(1)
(R1は、水素またはC1~4アルキル基であり、R2は、非置換もしくは置換アルキル基、非置換もしくは置換アルケニル基、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基であり、X1およびX2はそれぞれ独立して、O、S、NRx、およびCRx1Rx2からなる群から選択され、Rxは、水素、C1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、C1~6ハロアルキル基、またはC2~6ハロアルケニル基であり、Rx1およびRx2はそれぞれ独立して、水素、非置換もしくは置換アルキル基、非置換もしくは置換アルケニル基、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基であるか、あるいは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基を形成し、nは0~20である)で表されるモノマー(A)を含む。
一実施形態において、前記モノマー(A)のガラス転移温度は、ある下限値とある上限値との間の範囲内であり、下限値の例としては、約-100℃、約-90℃、約-80℃、約-70℃、約-60℃、約-50℃、約-40℃、約-30℃、約-20℃、約-10℃、および約0℃が挙げられ、上限値の例としては、約0℃、約10℃、約20℃、約30℃、約40℃、約50℃、約60℃、約70℃、約80℃、約90℃および約100℃が挙げられる。一実施形態において、モノマー(A)のガラス転移温度は、-100℃以上でありかつ10℃より低く、好ましくは、-70℃以上であり、かつ10℃より低い。
一実施形態において、前記ビニル系モノマー(B)のガラス転移温度は、ある下限値とある上限値との間の範囲内であり、下限値の例としては、約-100℃、約-90℃、約-80℃、約-70℃、約-60℃、約-50℃、約-40℃、約-30℃、約-20℃、約-10℃、および約0℃が挙げられ、上限値の例としては、約0℃、約10℃、約20℃、約30℃、約40℃、約50℃、約60℃、約70℃、約80℃、約90℃および約100℃が挙げられる。一実施形態において、ビニル系モノマー(B)のガラス転移温度は、10℃以上でありかつ120℃以下であり、好ましくは、10℃以上でありかつ100℃以下である。
1つの好ましい実施形態では、上記モノマー成分が、一般式(2)
(R3は、水素またはC1~4アルキル基であり、R4は、有機基である)で表されるビニル系モノマー(B)をさらに含む。
[A-101]2-アクリロイルオキシエチルフタレート、[A-102]2-アクリロイルオキシエチル2-ヒドロキシエチルフタレート、[A-103]2-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタレート、[A-104]2-アクリロイルオキシプロピルフタレート、[A-105]2,2-ジエチルプロパンジオールジアクリレート、[A-106]2-エチルヘキシルアクリレート、[A-107]2-エチルヘキシルカルビトールアクリレート、[A-108]2-ヒドロキシブチルアクリレート、[A-109]2-ヒドロキシエチルアクリレート、[A-110]2-ヒドロキシプロピルアクリレート、[A-111]2-メトキシエチルアクリレート、[A-112]3-メトキシブチルアクリレート、[A-113]4-ヒドロキシブチルアクリレート、[A-119]ベンジルアクリレート、[A-120]ブタンジオールモノアクリレート、[A-121]ブトキシエチルアクリレート、[A-122]ブチルアクリレート、[A-124]セチルアクリレート、[A-128]シクロヘキシルアクリレート、[A-129]ジシクロペンタニルアクリレート(ファンクリルFA-513A、日立化成)、[A-130]ジシクロペンテニルアクリレート(ファンクリルFA-511A、日立化成)、[A-131]ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート(ファンクリルFA-512A、日立化成)、[A-132]ジエチレングリコールジアクリレート、[A-133]ジメチルアミノエチルアクリレート、[A-137]エトキシジエチレングリコールアクリレート、[A-140]エチルアクリレート、[A-141]イソアミルアクリレート、[A-142]イソボルニルアクリレート、[A-143]イソブチルアクリレート、[A-144]イソデシルアクリレート、[A-145]イソオクチルアクリレート、[A-146]イソステアリルアクリレート、[A-147]イソミリスチルアクリレート(Isotetradecyl acrylate)、[A-149]ラウリルアクリレート、[A-153]メトキシトリエチレングリコールアクリレート、[A-154]メチルアクリレート、[A-155]ネオペンチルグリコールアクリレートベンゾエート、[A-162]1H,1H,5H-オクタフルオロペンチルアクリレート(ビスコート8F、大阪有機化学工業)、[A-168]フェノキシジエチレングリコールアクリレート、[A-169]フェノキシエチルアクリレート、[A-170]フェノキシヘキサエチレングリコールアクリレート、[A-171]フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、[A-174]ポリエチレングリコールアクリレート(ブレンマー(登録商標)AEシリーズ、日本油脂)、[A-176]ポリプロピレングリコールアクリレート(ブレンマー(登録商標)AP-400、日本油脂、およびニューフロンティアNFバイソマーPPA6、第一工業製薬)、[A-177]ポリプロピレングリコールアクリレート(ブレンマー(登録商標)AP-550、日本油脂)、[A-178]ポリプロピレングリコールアクリレート(ブレンマー(登録商標)AP-800、日本油脂およびFA-P270A、日立化成)、[A-180]ステアリルアクリレート、[A-182]t-ブチルアクリレート、[A-183]t-ブチルシクロヘキシルアクリレート、[A-184]2,2,3,3-テトラフルオロプロピルアクリレート(ビスコート4F、大阪有機化学工業)、[A-185]テトラヒドロフルフリルアクリレート、[A-187]2,4,6-トリブロモフェニルアクリレート(ニューフロンティアBR-30、第一工業製薬)、[A-189]トリデシルアクリレート、[A-190]2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート(ビスコート3F、大阪有機化学工業)、[A-191]ウレタンモノアクリレート(Ebecryl CL 1039、ダイセルUCB)、[A-192]1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、[A-195]4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、[A-196]2‐[2‐(ビニルオキシ)エトキシ]エチルアクリレート、[A-197]3-ヒドロキシ-1-アダマンチルアクリレート、[A-198]2-メチル-2-アダマンチルアクリレート、[A-199]2-エチル-2-アダマンチルアクリレート、[A-202]1,3-ブチレングリコールジアクリレート、[A-203]1,4-ブタンジオールジアクリレート、[A-205]1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、[A-217]ビスフェノールAジグリシジルエーテル アクリル酸付加物(V#540、大阪有機化学工業)、[A-219]ジエチレングリコールジアクリレート、[A-220]エポキシアクリレート(ビスフェノールAタイプ、MW=52)(リポキシ(登録商標)SP-1509、昭和電工)、[A-221]エポキシアクリレート(MW=460)(リポキシ(登録商標)SP-9000、昭和電工)、[A-222]エポキシアクリレート(PO変性ビスフェノールAタイプ、MW=810)(リポキシ(登録商標)SP-2500、昭和電工)、[A-223]エポキシアクリレート(ビスフェノールAタイプ、MW=560)(リポキシ(登録商標)SP-1563、昭和電工)、[A-224]エポキシアクリレート(ビスフェノールFタイプ、MW=500)(リポキシ(登録商標)SP-1506、昭和電工)、[A-225]エポキシアクリレート(ビスフェノールAタイプ、MW=1950)(リポキシ(登録商標)VR-77、昭和電工)、[A-226]エポキシアクリレート(ビスフェノールAタイプ、MW=1950)(リポキシ(登録商標)VR-60、昭和電工)、[A-227]エポキシアクリレート(ビスフェノールAタイプ、MW=1100)(リポキシ(登録商標)VR-90、昭和電工)、[A-228]エポキシアクリレート(ビスフェノールAタイプ、MW=480)(リポキシ(登録商標)SP-1507、昭和電工)、[A-229]エポキシアクリレート(ビスフェノールAタイプ、MW=520)(リポキシ(登録商標)SP-1519-1、昭和電工)、[A-230]エポキシアクリレート(大豆油変性タイプ)(リポキシ(登録商標)SP-5004、昭和電工)、[A-232]ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジアクリレート(Neopentylglycol hydroxypivalate diacrylate)、[A-233]ネオペンチルグリコールジアクリレート、[A-243]ポリエステルアクリレート(ニューフロンティアR-2201、第一工業製薬)、[A-257]シリコーンジアクリレート(Ebecryl 350、ダイセルUCB)、[A-258]トリエチレングリコールジアクリレート、[A-259]テトラエチレングリコールジアクリレート、[A-267]ジアクリル酸亜鉛(ブレンマーS-122、日本油脂およびSR-111、サートマー)、[A-268]ノナンジオールジアクリレート、[A-304]ペンタエリスリトールトリアクリレート、[A-319]アルコキシ変性トリメチロールプロパントリアクリレート(Laromer PO33F(LR8748)、BASF)、[A-320]ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、[A-329]ジペンタエリスリトールポリアクリレート(ビームセット700、荒川化学)およびネオマーDA-660、三洋化成)、[A-331]ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、[A-332]エポキシアクリレート(ビスフェノールAタイプ、MW=920)(リポキシSP-4010、昭和電工)、[A-333]エポキシアクリレート(リン酸変性タイプ、MW=560)(リポキシSP-6000、昭和電工)、[A-334]ペンタエリスリトールアクリレート混合エステル(SR-9041、サートマー)、[A-337]ペンタエリスリトールテトラアクリレート、[A-338]シリコーンヘキサアクリレート(Ebecryl 1360、ダイセルUCB)、[A-351]ラクトン変性可撓性アクリレート(Caprolactone-modified hydroxyethyl acrylate、MW 344)(FA-2D、ダイセルUCB)、[A-352]ラクトン変性可撓性アクリレート(Caprolactone-modified hydroxyethyl acrylate、MW 230)(FA1DT、ダイセルUCB)、[A-353]ラクトン変性可撓性アクリレート(Caprolactone-modified hydroxyethyl acrylate、MW 458)(FA-3、ダイセルUCB)、[A-354]アミノアクリレート(Ebecryl P115、ダイセルUCB)、[A-356]アミノアクリレート(Ebecryl 7100、ダイセルUCB)、[A-357]4-アクリロイルモルホリン、[A-361]エチル2-(ヒドロキシメチル)アクリレート、[AM-101]1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、[AM-102]2-エチルヘキシルメタクリレート、[AM-103]2-ヒドロキシ-3-(アクリロイルオキシ)プロピルメタクリレート、[AM-105]2-ヒドロキシブチルメタクリレート、[AM-106]2-ヒドロキシエチルメタクリレート、[AM-107]2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、[AM-108]3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、[AM-115]アリルメタクリレート、[AM-116]ベンジルメタクリレート、[AM-117]2-ブトキシエチルメタクリレート、[AM-118]ブチルメタクリレート、[AM-119]セチルメタクリレート、[AM-120]シクロヘキシルメタクリレート、[AM-121]ジシクロペンタニルメタクリレート(ファンクリルFA-513M、日立化成)、[AM-122]ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(ファンクリルFA-512MおよびFA-512MT、日立化成)、[AM-123]2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、[AM-125]2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、[AM-126]ラクトン変性可撓性メタクリレート(Caprolactone-modified hydroxyethyl methacrylate、MW 472)(FM3、ダイセルUCB)、[AM-127]ラクトン変性可撓性メタクリレート(Caprolactone-modified hydroxyethyl methacrylate、MW 244)(FM1、ダイセルUCB)、[AM-128]ラクトン変性可撓性メタクリレート(Caprolactone-modified hydroxyethyl methacrylate、MW 358)(FM2D、ダイセルUCB)、[AM-129]エチルメタクリレート、[AM-130]グリセロール1-メタクリレート、[AM-131]グリセロールポリメタクリレート(グリセロール モノ,ジ,トリメタクリレートなどの混合物)(ブレンマーGDM、日本油脂)、[AM-132]グリシジルメタクリレート、[AM-134]イソボルニルメタクリレート、[AM-135]イソブチルメタクリレート、[AM-136]イソデシルメタクリレート、[AM-138]ラウリルメタクリレート、[AM-139]メタクリル酸、[AM-141]メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、[AM-142]メトキシテトラエチレングリコールメタクリレート、[AM-147]メチルメタクリレート、[AM-155]2-フェノキシエチルメタクリレート、[AM-168]2-(メタクリロイルオキシ)エタンスルホン酸ナトリウム(2-(Methacryloyloxy)ethylsulfonic acid sodium salt)、[AM-170]ステアリルメタクリレート、[AM-174]t-ブチルメタクリレート、[AM-177]テトラフルオロプロピルメタクリレート(ライトエステルM-4F、共栄社化学)、[AM-178]テトラヒドロフルフリルメタクリレート、[AM-179]2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート、[AM-180]2,4,6-トリブロモフェニルメタクリレート、[AM-181]トリデシルメタクリレート、[AM-183]ベヘニルメタクリレート、[AM-185]γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、[AM-191]2-(2-ビニルオキシエトキシ)エチルメタクリレート、[AM-192]2-メチル-2-アダマンチルメタクリレート、[AM-193]2-エチル-2-アダマンチルメタクリレート、[AM-194]3-ヒドロキシ-1-アダマンチルメタクリレート、[AM-201]1,4-ブタンジオールジメタクリレート、[AM-202]1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、[AM-203]1,9-ノナンジオールジメタクリレート、[AM-204]
1,10-デカメチレングリコールジメタクリレート、[AM-216]ジエチレングリコールジメタクリレート、[AM-217]エチレングリコールジメタクリレート、[AM-219]2-ヒドロキシ-3-(アクリロイルオキシ)プロピルメタクリレート、[AM-220]グリセロール1,3-ジメタクリレート、[AM-221]ネオペンチルグリコールジメタクリレート、[AM-238]トリエチレングリコールジメタクリレート、[AM-239]テトラエチレングリコールジメタクリレート、[AM-240]ビスメタクリル酸亜鉛、[AM-301]トリメチロールプロパントリメタクリレート、[C-01]2-エチルヘキシルビニルエーテル、[C-02]1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、[C-03]1,4-シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、[C-04]シクロヘキサン-1,4-ジメタノールモノビニルエーテル、[C-05]ジエチレングリコールモノビニルエーテル、[C-06]ジエチレングリコールジビニルエーテル、[C-07]トリプロピレングリコールジビニルエーテル、[C-08]ジプロピレングリコールジビニルエーテル、[C-09]ドデシルビニルエーテル、[C-10]エチルビニルエーテル、[C-11]1,6-ヘキサンジオールジビニルエーテル、[C-12]4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、[C-13](2-ヒドロキシエチル)ビニルエーテル、[C-14]イソブチルビニルエーテル、[C-15]メチルビニルエーテル、[C-16]オクタデシルビニルエーテル、[C-18]プロピルビニルエーテル、[C-19]トリエチレングリコールジビニルエーテル、[C-20]4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、[C-21]シクロヘキシルビニルエーテル、[C-22]ビニルプロピオネート、[C-23]9-ビニルカルバゾール、[C-24]N-ビニル-2-ピロリドン、[C-33]変性脂環式エポキシ樹脂(Alicylic epoxy resin,modified)(脂環式エポキシベースレジン(セロキサイド2021)、脂肪族ポリオールの配合物)(Uvacure1532、ダイセルUCB)、[C-35]脂環式エポキシ樹脂(セロキサイド3000、ダイセルUCB)、[C-36]脂環式エポキシ樹脂(セロキサイド2000、ダイセルUCB)、[C-37]脂環式エポキシ樹脂(セロキサイド2021A、ダイセルUCB)、[C-38]脂環式エポキシ樹脂(セロキサイド2021P、ダイセルUCB)、[C-39]脂環式エポキシ樹脂(セロキサイド2022P、ダイセルUCB)、[C-40]脂環式エポキシ樹脂(アデカオプトマーKRM-2199、旭電化工業)、[C-41]脂環式エポキシ樹脂(アデカオプトマーKRM-2110、旭電化工業)、[C-42]変性脂環式エポキシ樹脂(ベースレジン(セロキサイド2021)、脂肪族ポリオールの配合物)(Uvacure1531、ダイセルUCB)、[C-43]変性脂環式エポキシ樹脂(脂環式エポキシ、脂肪族ポリオールの配合物)(Uvacure1534、ダイセルUCB)、[C-44]変性脂環式エポキシ樹脂(Uvacure1533、ダイセルUCB)、[C-45]変性脂環式エポキシ樹脂(CAT007、ダイセルUCB)、[C-46]変性脂環式エポキシ樹脂(Uvacure1502、ダイセルUCB)、[C-47]変性脂環式エポキシ樹脂(CAT001、ダイセルUCB)、[C-48]変性脂環式エポキシ樹脂(脂環式エポキシベースレジン(セロキサイド2021)、脂肪族ポリオールの配合物)(Uvacure1530、ダイセルUCB)、[C-49]多官能脂環式エポキシ樹脂(Uvacure 10302、ダイセルUCB)、[C-50]多官能脂環式エポキシ樹脂(Uvacure 10401、ダイセルUCB)、[C-51]1,2-エポキシヘキサデカン(CYACURE UVR-6216、ユニオンカーバイド)、[C-52]脂肪族系エポキシ樹脂(アデカオプトマーKRM-2755、旭電化工業)、[C-53]脂肪族系エポキシ樹脂(アデカオプトマーKRM-2750、旭電化工業)、[C-54]脂肪族系エポキシ樹脂(アデカオプトマーKRM-2722、旭電化工業)、[C-55]脂肪族系エポキシ樹脂(アデカオプトマーKRM-2720、旭電化工業)、[C-56]脂肪族系エポキシ樹脂(CAT003、ダイセルUCB)、[C-57]ビスフェノールA型エポキシ樹脂(アデカオプトマーKRM-2540、旭電化工業)、[C-58]ビスフェノールA型エポキシ樹脂(アデカオプトマーKRM-2400、旭電化工業)、[C-59]ビスフェノールA型エポキシ樹脂(アデカオプトマーKRM-2405、旭電化工業)、[C-60]ビスフェノールA型エポキシ樹脂(アデカオプトマーKRM-2410、旭電化工業)、[C-61]ビスフェノールA型エポキシ樹脂(アデカオプトマーKRM-2510、旭電化工業)、[C-62]ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ゴム変性タイプ(Bisphenol A type epoxy resin, denaturated by rubbe)(アデカオプトマーKRM-2423、旭電化工業)、[C-63]ビスフェノールF型エポキシ樹脂(アデカオプトマーKRM-2490、旭電化工業)、[C-64]クレゾール-ノボラック型エポキシ樹脂(アデカオプトマーKRM-2650、旭電化工業)、[C-68]水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(アデカオプトマーKRM-2408、旭電化工業)、[C-70]多官能内部エポキシ樹脂(Multifunctional cycloaliphatic epoxy resin)(Uvacure13600、ダイセルUCB)、[C-72]部分アクリル化ビスフェノールAエポキシ樹脂(Uvacure1562、ダイセルUCB)、[C-73]部分アクリル化ビスフェノールAエポキシ樹脂(Uvacure1561、ダイセルUCB)、[C-74]フェノール-ノボラック型エポキシ樹脂(アデカオプトマーKRM-2604、旭電化工業)、[C-75]フェノール-ノボラック型エポキシ樹脂(アデカオプトマーKRM-2610、旭電化工業)、[C-76]フェノール-ノボラック型エポキシ樹脂(アデカオプトマーKRM-2620、旭電化工業)、[C-81]3-エチル-3-オキセタンメタノール、[C-82]1,4-ビス[[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル]ベンゼン、[T-02]N-ビニルホルムアミド、[T-05]1,3-ジビニルイミダゾリジン-2-オン、[T-06]1-ビニルイミダゾール、[T-07]N‐ビニルカプロラクタム、[T-08]N-ビニルピロリドン、[T-09]トリアリルイソシアヌレート、[T-10]アジピン酸ジビニル、[T-11]2-メタクリロイルオキシエチルイソシアナート、[T-12]2-アクリロイルオキシエチルイソシアナート、[T-13]1,1-ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアナート、および[T-14]ジエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート、ならびに、
1)表1中の添え字a、b、c、d、l、mおよびnは、特に記載のない限り、それぞれ独立して0以上または1以上の任意の実数または整数である。
2)化学構造が開示されている場合には、化学式を記載した。
一実施形態において、前記モノマー成分が架橋剤の非存在下で重合される。別の実施形態において、前記モノマー成分が架橋剤の存在下で重合される。
本発明のポリマーは、特定のモノマーを1種または2種以上混合して、適宜の重合条件のもと、必要に応じて適宜の重合開始剤等の添加剤を用いて、重合させることにより、製造することができる。以下に、個々の成分や具体的な製造条件などについて詳述する。
(R1は、水素またはC1~4アルキル基であり、R2は、非置換もしくは置換アルキル基、非置換もしくは置換アルケニル基、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基であり、X1およびX2はそれぞれ独立して、O、S、NRx、およびCRx1Rx2からなる群から選択され、Rxは、水素、C1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、C1~6ハロアルキル基、またはC2~6ハロアルケニル基であり、Rx1およびRx2はそれぞれ独立して、水素、非置換もしくは置換アルキル基、非置換もしくは置換アルケニル基、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基であるか、あるいは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、非置換もしくは置換シクロアルキル基、非置換もしくは置換シクロアルケニル基、非置換もしくは置換複素環式基、非置換もしくは置換アリール基、または非置換もしくは置換ヘテロアリール基を形成し、nは0~20である)で表されるモノマー(A)を含むモノマー成分を、架橋剤の存在下または非存在下で重合させて得られるホモポリマーまたはコポリマーを製造する方法に関する。
本発明において使用されるモノマー(A)およびビニル系モノマー(B)は、実施例に例示される製造業者などから市販されるものであってもよく、当業者に周知の方法に従って調製してもよい。
一実施形態では、本発明の複合材は、モノマー成分(1種または複数種のモノマーを含む)を繊維と接触させた状態で、重合開始剤の存在下、露光重合することによって1工程で得られる。本発明の複合材がホモポリマーと繊維を含む場合には、モノマー(A)を繊維と接触させた状態で、重合開始剤の存在下、紫外線を照射することにより製造することができる。本発明の複合材がコポリマーと繊維を含む場合には、モノマー(A)およびモノマー(B)を繊維と接触させた状態で、重合開始剤の存在下、紫外線を照射することにより製造することができる。重合開始剤は、後記に例示される重合開始剤等から選択されるが、好ましい例としては、ベンゾフェノンが挙げられる。本工程は、通常室温にて約10時間で、好ましくはアルゴン雰囲気下で行われる。本発明の複合材はまた、紫外線の代わりに電子線のみを照射することにより製造することができる。電子線を照射する場合、モノマー成分を、光重合開始剤の存在下または非存在下で重合させることができる。また、本発明の製造方法において、紫外線の代わりに電子線を照射してもよく、紫外線と電子線を同時に照射してもよく、紫外線と電子線を交互に照射してもよい。
一実施形態では、本発明の複合材は、モノマー成分(1種または複数種のモノマーを含む)を繊維と接触させた状態で、重合開始剤の存在下、熱重合することによって1工程で得られる。本発明の複合材がホモポリマーと繊維を含む場合には、モノマー(A)を繊維と接触させた状態で、重合開始剤の存在下、加熱することにより製造することができる。本発明の複合材がコポリマーと繊維を含む場合には、モノマー(A)およびモノマー(B)を繊維と接触させた状態で、重合開始剤の存在下、加熱することにより製造することができる。重合開始剤は、後記に例示される重合開始剤等から選択されるが、好ましい例としては、アゾビスイソブチロニトリルが挙げられる。本工程は、通常70℃にて約10時間で、好ましくはアルゴン雰囲気下で行われる。
使用される架橋剤としては、例えば、多官能モノマーとして列挙したものが挙げられる。一実施形態において、架橋剤はエチレングリコールジメタクリレートである。
本明細書において、本発明の複合材がしなやかであるかどうかの判断は、引張係数を測定することによって行うことができる。例えば、JIS K7161に従って、測定することができる。当該測定方法は、例えば、下記のとおりである。
本明細書において、「強靭性」を有するポリマーであるかどうかの判断は、引裂試験により引裂エネルギーを測定することによって(例えば、実施例に記載する試験方法によって)行うことができる。例えば、引裂エネルギーが、少なくとも200kJ/m2であるかどうかを測定することで判断することができる。当該測定方法は、例えば、下記のとおりである。
により計算する。ここで、Tcは複合材の靭性(引裂エネルギー)であり、Fは引き裂き力であり、Lは試験中の変位であり、tは複合材の厚さであり、Lbulkは引き裂かれた経路の長さである。式についての詳細は、〔6〕に記載する。なお、切込みの長さは、複合材の靭性(引裂エネルギー)に影響を与えない。
引裂試験中、裂け目は消費するエネルギーが最も小さい経路を探し、その結果、プロセスゾーンのシフトが起きる。
(6-1)プロセスゾーンの飽和
本明細書において、「プロセスゾーン」とは上述の引裂試験において、複合材が引き裂かれるときにかかる力を伝達できる、ある広さの領域をいう。この範囲において、試験片を引き裂くために加えたエネルギーが散逸される。この範囲が広いほど靭性が高い。プロセスゾーンが全て複合材で十分に飽和している場合に引き裂く方向へ力をかけると、マトリクス(ポリマー)が破壊される前に、繊維が破断する。プロセスゾーンが複合材でほぼ飽和している場合に引き裂く方向へ力をかけると、繊維は破断するか、または抜け出てくる。プロセスゾーンの一部が複合材で飽和している場合に引き裂く方向へ力をかけると、繊維は破断する前に、抜け出てくる。繊維束が無傷で破壊される(すなわち、破断することなく引き出される)場合、プロセスゾーンの一部だけが複合材で飽和していると考えられる。
(6-2)複合材を引き裂くときの仕事量とプロセスゾーンの関係
理論に束縛されることを望まないが、複合材の靭性は、一定の物理学的因子や係数によって決定することができ、その規則を一般化し得ることが本発明において明らかにされた。このような因子や係数は、複合材の系を完全に理解するために重要であり、しかも、様々なマトリクス(ここで、ゲル、本発明の第二の材料、ガラス転移ポリマー等にも該当し得る)およびファブリック(本発明の第一の材料、繊維等に該当し得る)から所望の複合材を製造するために利用することができる。
(i)ファブリックのエネルギー密度を無視できると仮定した場合
理論に束縛されることを望まないが、引裂試験を詳細に調べると、複合材を破断または破壊する全仕事量は、力-変位曲線下面積から得ることができる。マトリクスのエネルギー密度がファブリックのエネルギー密度に比べて著しく高く、ファブリックのエネルギー密度を無視できると仮定すると、この仕事量は、概して、(1)のように表され、マトリクスのエネルギー密度とプロセスゾーンの体積との積に等しく、すなわち、
であり、ここで、Wは複合材を引き裂くために必要とされる仕事量であり、Fは引き裂き力であり、Lは試験中の変位であり、Smはマトリクスのエネルギー密度(本明細書中でSmはWmと表される場合がある)であり、Vはプロセスゾーンの体積である。Vは複合材の形状に関連する。
ここで、Wcは臨界幅であり、tは複合材の厚さであり、Lbulkは引き裂かれた経路の長さであり、これにより、Wとサンプルパラメータとの間の関係を確立することができる。他方、複合材の靭性(引裂エネルギー)は、Wおよびサンプル形状から算出することができる。
ここで、Tcは複合材の靭性(引裂エネルギー)である。したがって、式(1)、(2)および(3)を組み合わせると、TcとSm×Wcとの関係を理解することができる。
上述の状態は、プロセスゾーンが複合材で飽和しているという前提に基づくことに留意すべきである。プロセスゾーンが飽和していない複合材については、プロセスゾーンの大きさが幅により制限されているので、式(4)は、
と修正される。
理論に束縛されることを望まないが、引裂試験を詳細に調べると、複合材を破断または破壊する全仕事量は、力-変位曲線下面積から得ることができる。この仕事量は、マトリクスおよびファブリックの両方のエネルギー密度を考慮した場合、概して、式(6)のように表され、複合材のエネルギー密度とプロセスゾーンの体積との積に等しく、すなわち、
であり、ここで、Wは複合材を引き裂くために必要とされる仕事量であり、Fは引き裂き力であり、Lは試験中の変位であり、S(m+f)はマトリクスおよびファブリックのエネルギー密度の和(ただし、マトリクスのエネルギー密度は、ファブリックおよびマトリクスのずり弾性率により補正される必要があり、また、仕事量は、マトリクスのエネルギー散逸だけではなく、繊維の破断に必要なエネルギーも大きな寄与をしていることが判明しており、必要な補正がなされ得る。この点は、以下に説明する。)であり、Vはプロセスゾーンの体積である。Vは複合材の形状に関連し、次式(2)のように算出することができる。
ここで、Wcは臨界幅であり、tは複合材の厚さであり、Lbulkは引き裂かれた経路の長さであり、これにより、Wとサンプルパラメータとの間の関係を確立することができ、Wは式(8)で表される。
ここで、Gfはファブリックのずり弾性率であり、Gmはマトリクスのずり弾性率であり、Smはマトリクスのひずみエネルギー密度であり、Sfはファブリックのひずみエネルギー密度である。ずり弾性率Gは、均一の材料においては、ヤング率E(引張係数)の三分の一、すなわち、G=E/3である。他方、複合材の靭性(引裂エネルギーTc)は、次式(3)のように、Wおよびサンプル形状から算出することができる。
ここで、Tcは複合材の引裂エネルギーである。したがって、式(8)、(2)および(3)を組み合わせると、TcとS(m+f)×Wcとの関係を理解することができる。
上述の状態は、プロセスゾーンが複合材で飽和しているという前提に基づくことに留意すべきである。プロセスゾーンが飽和していない複合材については、プロセスゾーンの大きさが幅により制限されているので、式(9)は、
と修正することが好ましい。
本明細書において、「臨界幅」は引裂実験において決定され、具体的には、裂け目の端部から、繊維の引き抜きが安定して生じたときの裂け目の先端までの距離の2倍を指す。本発明の複合材の臨界幅を決定するために、例えば、代表的に、下記のような試験が実施される。
本発明の複合材は、好ましくは、このような臨界幅以上の幅をもって提供されることが有利であり得る。
仕事量とプロセスゾーンの関係についてモデルを用いて説明するために、幾何形状を、下記図104に示す。ここで、亀裂先端部付近の一本の繊維がx=0での力(すなわち、F0)により引っ張られている状況を仮定する。(もちろん、亀裂先端部における応力集中は測定されていないため、この力が何であるかを全く知らない状態であると仮定する。この繊維の長さおよび半径をそれぞれwおよびRで表す。また、このモデルでは、この繊維が、厚さdのソフトマトリクスシリンダー内に埋め込まれており、このソフトマトリクスシリンダーの外縁部は、硬い壁に接着剤で接合されていると仮定する。(これは、もちろん、モデル化するためのものであり、実際の状況から細かい条件については捨象した上で作成した非常に大雑把な近似モデルである。)
により与えられるとする。式中、u(x)は、x方向への繊維の変位である(繊維全体にわたって均一である)。なお、dは小さく、その結果、マトリクスのひずみは、たとえ変位uが小さかったとしても大きい可能性がある。繊維の力のバランスは、以下の
を必要とすることになる。式中、τは、繊維-マトリクス界面上の剪断応力であり、σ(x)は、繊維応力である。一般的に、τはマトリクスにおけるひずみに依存する。繊維応力σ(x)は、繊維力Fに対して、
と関係づけられることになる。
である。式中、F0はx=0での力である。したがって、繊維応力/力は、繊維に沿って力が移動する(あるいは、繊維が十分に接着されている限りは、亀裂先端部から離れて移動する)につれて減衰する。繊維が十分に長いのであれば、力は、ある点(x=L)で消失しなければならないことになる。式(15)においてF(x=L)=0とすることにより、
を得る。x>Lの場合、繊維は、如何なる負荷も運ばない。よって、繊維における応力およびひずみは、x>Lの領域で、ゼロである。εは繊維歪みを表し、Eは繊維のヤング率を表すと、
となる。式(12)に式(17)を代入し、式(11)を用いると、
が得られる。マトリクスにおける剪断応力とひずみ間の関係は、図105に示される形をとると算出することができる。
となる。この後、0≦x<Lの間の繊維が、界面間剪断応力から解放される-それは、同じ張力を伝達し、それは、0≦x<Lの間のどこかで破断または破壊し得る。式(13)から、マトリクスが破断ひずみに達したときにおける力F0は、
Lが十分に長く、その結果、Fcが繊維の破壊強度に達する場合、
である。式中、Fbreakは、繊維を破断または破壊する力である(一般的に、これはLに依存するが、Lが十分に長い場合には、この依存性は弱く、力はプラトーFbreakに達する。)。したがって、式(14)は、LがLcに達する場合、繊維が破断することを表す。
複合材を破断または破壊するのに必要なエネルギーは、複合材の靭性と等しい。図104に示した、一つの複合材セルに対してなされた仕事Wは、
であり、L<Lcの場合には、
であるから、
である。L>Lcの場合には、
であるから、
である。したがって、単位セルあたりの仕事は、本発明者らの実験値Tの引裂エネルギーと等しく、
および
となる。
の量は、複合材のひずみエネルギー密度(または伸長から破断までの仕事)と理解され得る。したがって、複合材のひずみエネルギー密度は、ニートのマトリクスおよびニートの繊維と比較して、それぞれα(>>1)およびβ(>>1)の事実により増幅すると理解することができる。このことは、剛直であるが高強度の繊維および柔軟であるが伸縮可能なマトリクスの組合せがなぜ実施例において観察されるような高い破断エネルギーをもたらすかを説明している。
と記載することができる。ここで、kは、複合材の特徴的な長さとして理解され得る、長さ尺度を有する。kは、ニートの材料の引裂エネルギーおよびひずみエネルギー密度と相関する長さ尺度と等しい。
上記モデルは、界面が壊れない(not break)条件に基づく。最大界面剪断応力をτiで、マトリクスの最大破壊応力をτcで表すと、
を満たすはずである。単純重ね剪断試験用のモデルから、最大剪断応力は
であり、ここで、Cはコンプライアンスであり、式(42)のとおり、それはヤング率Em(ヤング率が剪断弾性係数の3倍であるという関係を使用した)および厚さdに関連することになる。
(40)、(41)および(42)を組み合わせると、マトリクスのバルク破損(failure)は、
と表すことができる。ここで、式43は、マトリクス層が薄いほど、界面剥離応力がより高くなることを示す。したがって、薄いものから厚いものまで調整することによって境界面の剥離からマトリクス破壊までの遷移を見ることができる。
不飽和試料についての引裂力最大値Fc対2πRLτcをプロットする(図107)。Lは試料の幅を表し、τcはマトリクスの破壊応力を表し、Rは繊維または繊維束の半径を表す。図107において、Rは繊維束の半径を表し、全てのサンプルの引裂挙動は引き抜きであった。図107に示されるf値が異なるマトリクスの応力-ひずみ曲線は、図14に示されている。図107のプロットは、線形相関を示した。
Lc対
をプロットする(図108)。Lcは、「引き抜き」から「繊維破壊」までの遷移についてのファブリック臨界幅を表し、σcは繊維束の破壊応力を表し、τcはマトリクスの破壊応力を表す。図108において、Rは繊維束の半径を表し、複合材の各種の引裂挙動は、繊維の破断であった。また、図108のプロットは、線形相関を示した。
3) L≦Lcの場合、
T対σcγcLをプロットする(図109)。なお、Tは複合材の引裂エネルギーを表し、σcは繊維の破壊応力を表し、γcはマトリクスの破断ひずみを表し、Lは試料の幅を表す。図109においては、5種の複合材は同じファブリックに由来し、複合材間のRおよびdは同じであるので、x軸の要素に加えていない。また、5種の複合材の引裂挙動は、繊維の破壊であった。したがって、L/Lc=1である。図109のプロットは、線形相関を示した。
図107、108および109に示される相関図は、ほぼ線形相関を示す。これは、上述のシンプルモデルが複合体の強化機構の本質を表していることを意味する。
本明細書において、「剥離性」とは、複合材においてマトリクス(ポリマー)が繊維から剥離しやすい性質をいう。本願発明において、ポリマーの剥離性の低減により、複合材が強靭化された。
本明細書において、「自己再建機能」を有する複合材であるかどうかの判断は、自己再建機能を測定することによって行うことができる。例えば、本発明の複合材を溶媒(例えば、クロロホルム)に溶解させた後、溶媒を揮発させ、残渣を乾燥(例えば、65℃で)させて得られた複合材について引裂試験を行うと、その引裂エネルギーが、本来の複合材の引裂エネルギーに対して少なくとも80%であるかどうかを測定することで判断することができる。
本発明の複合材は、繊維およびガラス転移可能ポリマーを含む複合材であり得る。
炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維(ケブラー(登録商標)繊維)は、株式会社インタークロスから購入した。金属繊維(ステンレス繊維)は、株式会社奥谷金網製作所により作製されたものであり、株式会社相互理化学硝子製作所より購入した。炭素繊維ファブリックについては、別途特定しない限り、炭素繊維(太い)の織物CCP3200-100を使用した。表2に列挙した全てのモノマーは、大阪有機化学工業株式会社(全てのモノマー)に加えて、株式会社日本触媒(IBXAおよび2-MTA)、Eternal Materials CO., LTD.(IBXA)、または共栄社化学株式会社(PHEAおよびPHDEA)から市販されているものを使用した。紫外光重合開始剤として過酸化ベンゾイル(BPO)およびベンゾフェノン(BP)(関東化学株式会社から市販されているもの)を使用した。また、熱重合開始剤として、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(関東化学株式会社から市販されているもの)を使用した。
実施例において使用した、炭素繊維(太い)もしくは(細い)、ガラス繊維、またはアラミド繊維から構成されるファブリックは、多くの繊維がまとまった繊維束から作製されている。ステンレス繊維は、他の繊維とは異なり、一本一本により織られた網目構造をしている。そのため、ステンレス繊維の繊維束の半径、断面積は測定できない。
a) 一本の繊維の直径、b) 一本の繊維ごとの間隔。
炭素繊維織物CCP3200-100(糸:CF3K 200TEX、密度:12.5×12.5本/25mm、質量:200g/m2、平織)、株式会社インタークロスより購入)を0.5mm厚のスペーサー2枚で(サンドイッチのように)挟み、それをさらに疎水性フィルムおよびガラスシートで順に挟み込みことにより、反応セルを準備した。次いで、フェノキシジエチレングリコールアクリレート(ソフトセグメントとして)と、0.1mol%(全モノマーのモル数に対して0.1%のモル数)の紫外光重合開始剤ベンゾフェノンの混合物を、反応セルにアルゴン雰囲気下(酸素濃度は<0.1ppm)注入した。重合をアルゴン雰囲気下で、UVを10時間照射するUVPランプ、東芝、FL15BLB、波長365nm、光強度約4mWcm-2)ことにより実施して、PHDEAのホモポリマー(ポリ(PHDEA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(PHDEA)も調製した。
実施例1において、PHDEA(40重量部以上、100重量部未満)に加えてイソボルニルアクリレート(0重量部より多く、60重量部以下)(ハードセグメントとして)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、PHDEAとIBXAとのコポリマー(ポリ(PHDEA-IBXA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(PHDEA-IBXA)も調製した。
実施例1において、PHDEAの代わりに2-メトキシエチルアクリレート(ソフトセグメントとして)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、2-メトキシエチルアクリレートのホモポリマー(ポリ(2-MTA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(2-MTA-IBXA)も調製した。
実施例1において、PHDEAの代わりに2-メトキシエチルアクリレートおよびイソボルニルアクリレート(ハードセグメントとして)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、2-メトキシエチルアクリレートとIBXAとのコポリマー(ポリ(2-MTA-IBXA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(2-MTA-IBXA)も調製した。
実施例1において、PHDEAの代わりにフェノキシエチルアクリレート(ソフトセグメントとして)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、フェノキシエチルアクリレートのホモポリマー(ポリ(PHEA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(PHEA)も調製した。
実施例1において、PHDEAの代わりにフェノキシエチルアクリレート(PHEA)およびイソボルニルアクリレート(ハードセグメントとして)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、PHEAとIBXAとのコポリマー(ポリ(PHEA-IBXA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(PHEA-IBXA)も調製した。
実施例1において、PHDEAの代わりにベンジルアクリレート(ソフトセグメントとして)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ベンジルアクリレートのホモポリマー(ポリ(BZA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(BZA)も調製した。
実施例1において、PHDEAの代わりにベンジルアクリレート(BZA)とイソボルニルアクリレート(IBXA)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、BZAとIBXAとのコポリマー(ポリ(BZA-IBXA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(BZA-IBXA)も調製した。
実施例1において、PHDEA(50重量部)に加えてt-ブチルアクリレート(50重量部)(ハードセグメントとして)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、PHDEAとTBAとのコポリマー(ポリ(PHDEA-TBA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(PHDEA-TBA)も調製した。
実施例1において、PHDEAに加えてシクロヘキシルアクリレート(ハードセグメントとして)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、PHDEAとCHAとのコポリマー(ポリ(PHDEA-CHA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(PHDEA-CHA)も調製した。
実施例1において、PHDEAの代わりにメトキシトリエチレングリコールアクリレート(ソフトセグメントとして)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、メトキシトリエチレングリコールアクリレートのホモポリマー(ポリ(MTG))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(MTG)も調製した。
実施例1において、PHDEAの代わりにメトキシトリエチレングリコールアクリレートおよびイソボルニルアクリレートを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、MTGとIBXAとのコポリマー(ポリ(MTG-IBXA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(MTG-IBXA)も調製した。
実施例1において、PHDEAの代わりにテトラヒドロフルフリルアクリレート(ソフトセグメントとして)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、テトラヒドロフルフリルアクリレートのホモポリマー(ポリ(THFA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(THFA)も調製した。
実施例1において、PHDEAの代わりにテトラヒドロフルフリルアクリレートおよびイソボルニルアクリレートを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、THFAとIBXAとのコポリマー(ポリ(THFA-IBXA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(THFA-IBXA)も調製した。
実施例1において、PHDEAの代わりにラウリルアクリレート(ソフトセグメントとして)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ラウリルアクリレートのホモポリマー(ポリ(LA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(LA)も調製した。
実施例1において、PHDEAの代わりにラウリルアクリレートおよびイソボルニルアクリレートを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、LAとIBXAとのコポリマー(ポリ(LA-IBXA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(LA-IBXA)も調製した。
実施例1において、PHDEAの代わりにイソステアリルアクリレート(ソフトセグメントとして)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、イソステアリルアクリレートのホモポリマー(ポリ(ISTA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(ISTA)も調製した。
実施例1において、PHDEAの代わりにイソステアリルアクリレートおよびイソボルニルアクリレートを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ISTAとIBXAとのコポリマー(ポリ(ISTA-IBXA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(ISTA-IBXA)も調製した。
実施例1において、PHDEAの代わりにエチルカルビトールアクリレート(ソフトセグメントとして)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、エチルカルビトールアクリレートのホモポリマー(ポリ(CBA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(CBA)も調製した。
実施例1において、PHDEAの代わりにエチルカルビトールアクリレートおよびイソボルニルアクリレートを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、CBAとIBXAとのコポリマー(ポリ(CBA-IBXA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(CBA-IBXA)も調製した。
実施例1において、PHDEAの代わりにフェニルチオエチルアクリレート(ソフトセグメントとして)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、フェニルチオエチルアクリレートのホモポリマー(ポリ(PHSEA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(PHSEA)も調製した。
実施例1において、PHDEAの代わりにフェニルチオエチルアクリレートおよびイソボルニルアクリレートを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、PHSEAとIBXAとのコポリマー(ポリ(PHSEA-IBXA))および炭素繊維の複合材を得た。対照サンプルとして、炭素繊維を含有しないポリ(PHSEA-IBXA)も調製した。
上記実施例1~22の複合材の調製において、炭素繊維ファブリックCCP3200-100の代わりに炭素繊維ファブリックCCP1120-1000(糸:CF1K 68TEX、密度:22×22本/25mm、質量:120g/m2、平織)を用いたこと以外は、各実施例と同様にして、各ポリマーおよび炭素繊維(細い)の複合材を調製した。
上記実施例1~22の複合材の調製において、炭素繊維の代わりにガラス繊維を用いたこと以外は、各実施例と同様にして複合材を調製した。
上記実施例1~22の複合材の調製において、炭素繊維の代わりにアラミド繊維を用いたこと以外は、各実施例と同様にして複合材を調製した。
上記実施例1~22の複合材の調製において、炭素繊維の代わりにステンレス繊維を用いたこと以外は、各実施例と同様にして複合材を調製した。
本実施例では、実施例1~110で製造したポリマーの機械的特性の試験を行った。以下にその方法を示す。
(1-1)ポリマー及び複合材の引張試験(JIS K7161参照)
強靭さ、降伏点、引張係数、破断ひずみ、ヒステリシス比などを決定するために、ポリマーおよび複合材の引張応力-ひずみ測定を引張試験機(Tensilon RTC-1310A、株式会社オリエンテックおよびInstron 5965、Instron)を用いて、空気中で20℃にて50mm/分の引張速度で実施した。規格であるJIS-K6251(ダンベル状7号形)に従って、12mm(長さ)×2mm(幅)×1mm(厚さ)の大きさのダンベル型試料を使用した。
ポリ(PHEA)の破断ひずみは、約1300%(mm/mm)であった。ポリ(PHEA-co-IBXA)の破断ひずみ(PHEAのモル分率f=0.7)は、約1100%(mm/mm)であった。
(1-2)単繊維の引張試験(JIS R7606参照)
引張係数および破壊応力などを決定するために、単繊維の引張応力-ひずみ測定を引張試験機(Tensilon RTC-1310A、株式会社オリエンテックおよびInstron 5965、Instron)を用いて、空気中で50mm/分の引張速度で実施した。
ガラス繊維は約700MPaであり、炭素繊維は約900MPaであった(図80を参照)。
強靭さ、引裂エネルギーなどを測定するために、試料(ポリマーのみ、ファブリックのみ、および複合材)の引裂エネルギーTを引裂試験により測定した。実験を、Instron引張試験機にて250Nロードセルを用いて実施した。ポリマーのみの試験試料は、幅が40mm、長さが60mm、厚さが1mmの直方体であった。ファブリックのみの試験試料は、幅が40mm、長さが60mm、厚さが約1mmの直方体であった。複合材の試験試料は、幅が5~110mmであり、長さは30~100mmであり、厚さが1.3mmの直方体であった。最初の切込みを、かみそり刃を使用して、試料の幅方向に平行な側面の端部の中点から長さ方向と平行に中央方向へ、長さの3分の1だけ入れた。試験片の分けられた2つの端部を、別々のクランプで留めた。上側のクランプを50mm/分の一定速度で上方に引っ張る一方で、下側のクランプは固定しておいた。試料の力-変位曲線を、変形の間、記録した。引裂エネルギーを下記式
により計算した。ここで、Lは、試験中の変位を表し、Lbulkは、引裂試験で引き裂かれた経路の長さを表し、Fは、試験試料を裂くのに必要であった力を表し、tは、試験試料の厚さを表す。
複合材の異方性機械的特性を測定するために、JIS K7074に従って試料(複合材)の曲げ弾性係数を測定した。
(3-1)応力-ひずみ曲線および力-変位曲線(JIS K7161およびJIS K7128-1参照)
PHDEAとIBXAのコポリマーが持つ機械的特性を調べるために、引張係数(図1)、ガラス転移温度および引裂エネルギー(図2)について、PHDEAとIBXAとのモル分率が0.4:0.6~0.9:0.1の5種のコポリマーを測定した。ポリマー調製における重合開始条件は、実施例1と同様にUVである。引裂エネルギーの測定においては、長さ40mm×幅30mm×厚さ約1mmのサンプルを使用し、20mmの切込みを入れた。異なる引裂速度での引裂エネルギーの比較測定においては、長さ65mm×幅30mm×厚さ約1mmのサンプルを使用し、20mmの切込みを入れた。
注)MPD:PHDEAのモル分率、MI:IBXAのモル分率
PHDEAとIBXAのコポリマーとの炭素繊維複合材の引裂エネルギーを測定するために、PHDEAとIBXAとのモル分率が0.4:0.6~0.9:0.1の各コポリマーを測定した。引裂エネルギーの測定においては、長さ50または60mm×幅30mm×厚さ約1mmのサンプルを使用した。
(2-1)ポリマーの機械的特性
PHEAとIBXAのコポリマーが持つ機械的特性を調べるために、PHDEAとIBXAのコポリマーと同様に引張係数(図14)、ガラス転移温度および引裂エネルギー(図15)について、PHDEAとIBXAとのモル分率が0.7:0.3~0.9:0.1である5種のコポリマーを測定した。ポリマー調製における重合開始条件は、実施例1と同様にUVである。引張係数の測定においては、長さ50mm×幅30mm×厚さ約1mmのサンプルを使用した。
注)MP:PHEAのモル分率、MI:IBXAのモル分率
柔軟な繊維強化複合材のエネルギー散逸機序を理解するには、この系のあるパラメータとして臨界幅(Wc)が極めて重要である。ここで、特定の複合材系についてWcの正確な値を得るために簡単な方法を導入する。発明者らは、完全に繊維束が破壊される(例えば、破断する)場合には、プロセスゾーンの一部しか複合材で飽和していないと考えられる可能性があることを示す、複合材の破壊様式遷移状態を検証した。複合材調製における重合開始条件は、実施例1と同様にUVであり、使用したファブリックは、炭素繊維(太い)の織物である。この理解によって、幅が異なる所与の複合材の引裂挙動を比較することで該複合材の正確なWcを得る可能性が開かれる。ここでの例として複合材(MPHEA:MIBXA=0.75:0.25)を採用した場合(図20~図21)、幅が14mmを下回ると、該複合材の引裂挙動は、完全に繊維の引き抜きであることが容易に理解される。なお、繊維の引き抜きでサンプルが破壊される場合、繊維-マトリクス界面の剥離により破壊が生じるのではなく、マトリクスのみが破壊されて生じる。幅が14mmまで増加すると、繊維が破断されており、このことは、プロセスゾーンの一部だけが複合材で飽和していることを示す。したがって、14mmは、この複合材(MPHEA:MIBXA=0.75:0.25)の臨界幅と考えられる。同じ方法を使用して、異なるモル分率を有する複合材の臨界幅を得ることもできる(表6)。MPHEA:MIBXA=0.7:0.3では9mmであり(図18~図19)、MPHEA:MIBXA=0.8:0.2では18mmであり(図22~図23)、MPHEA:MIBXA=0.85:0.15では23mmであり(図25~図26)、MPHEA:MIBXA=0.9:0.1では24mmであった(図27~図28)。
さらに、同じサンプルについて、異なる引裂速度での引裂試験によって臨界幅を調べた(表7および8、図67および68)。
(図110も参照されたい。)
へと修正することができる。ただし、この式は、ファブリックのエネルギー密度を無視して得られる式であるため、ファブリックが異なる複合材間の比較においては成り立たないことが理解されよう。ファブリックが異なる複合材間で比較するためには、式(9)および式(10)を利用することが好ましい。
PHEA-co-IBXA(MPHEA:MIBXA=0.75:0.25)とガラス繊維との複合材の臨界幅を、炭素繊維との複合材の場合と同様に測定した。上記ガラス繊維ベース複合材の臨界幅は12mmであった(図を示さず)。
(1)実験
サンプル調製
上で提案した、繊維ベースの高靭性かつ柔軟な複合材を、様々なマトリクスおよび織物から製造する方法が普遍的であるかどうかを立証するために、数種類のモノマーおよび織物を、繊維ベースの複合材を調製するために選択した。結果として生じる複合材の靭性、ならびに比較としてニートのポリマーおよびニートの織物の靭性を試験した。表9において、「炭素繊維(太い)」は、炭素繊維ファブリックCCP3200-100(糸:CF3K 200TEX、密度:12.5×12.5本/25mm、質量:200g/m2、平織)を指し、「炭素繊維(細い)」は、炭素繊維ファブリックCCP1120-1000(糸:CF1K 68TEX、密度:22×22本/25mm、質量:120g/m2、平織)を指し、ガラス繊維は、ガラス繊維ファブリックR590H 102D(糸:GFロービング 600TEX、密度:12本×12本/25mm、質量:約590g/m2、平織)を指し、「アラミド繊維」は、アラミド繊維ファブリックK300 H100(テクノーラ(登録商標)、密度:1.39g/cm3、単繊維直径12μφ(円形)、引張強度350kg/mm2)を指す。これらのファブリックは、株式会社インタークロスから購入した。「金属繊維」または「ステンレス繊維」は、ステンレス金網(DSM200、200メッシュ、線径0.05mm、平織、材質:SUS316)を指す。
全てのサンプルに対する注記
a.サンプルの幅は40mmである。
b.引裂エネルギーの単位はkJ/m2である。
c.金属繊維以外を用いた複合材試料のプロセスゾーンは飽和していない。金属繊維を用いた複合材試料のプロセスゾーンは飽和している。
d.ND:測定せず。
e.重合開始条件:UV
高靭性かつ柔軟な複合材
これまでの結果において、エネルギー散逸性の柔軟なマトリクスは、高靭性の複合材を構築するのに極めて重要であることが示されてきた。高靭性の複合材を調製するために、CBA-co-IBXA(MCBA:MIBXA=0.4:0.6、弾性率:0.56MPa、ひずみエネルギー密度:8.29MJ/m3、破壊応力:1.86MPa)を選択した(図90)。本発明者らの最近の知見では、強度がありかつ強靭な繊維が、極めて強靭な複合材を形成するのに大きな役割を果たすことも示されている。したがって、アラミド繊維織物(破壊応力:1.08GPa、ひずみエネルギー密度:55.76MJ/m3)を、上記CBA-co-IBXAとの複合材を調製するために使用した(図91および92)。得られた複合材は、プロセスゾーンが飽和するまでは、明らかにサイズ依存性であることを実証した(図94)。飽和した状態では、上記複合材は、亀裂を伝播させることなくほぼ1000Nの力に耐えることができる。この複合材の引裂エネルギーは、2561kJ/m2と極めて高い(図93および94)。
繊維とマトリクスの引張係数の比
マトリクスの引張係数に対する繊維の引張係数の比と引裂エネルギーとの関係を調べるために、異なる試験速度で種々の繊維、コポリマーおよび複合材について引張係数および引裂エネルギーを測定した(表10)。引張係数の比と引裂エネルギー(Tc)または臨界幅(Wc)との間に密接な相関関係は見られなかったが、概ね、比が増加すれば、引裂エネルギーおよび臨界幅も増加する傾向があることが理解される(図99および100)。
(略語)PI: PHEA-co-IBXA、CI: CBA-co-IBXA、f:PHEAまたはCBAのモル分率、Ecf:炭素繊維の引張係数、Egf:ガラス繊維の引張係数、Ekf:アラミド繊維の引張係数、Em:マトリクスの引張係数、Tc:複合材の引裂エネルギー
繊維とマトリクスの破壊応力の比
マトリクスの破壊応力に対する繊維の破壊応力の比と引裂エネルギーとの関係を調べるために、異なる試験速度で種々の繊維、コポリマーおよび複合材について破壊応力および引裂エネルギーを測定した(表11)。同一ファブリックの複合材については、引裂エネルギー(Tc)および臨界幅(Wc)は、繊維とマトリクスの破壊応力と線形相関を示す(図101および102)。これらの結果は、繊維とマトリクス間の力の伝達が、相対的に高い応力を有する繊維と相対的に低い応力を有するマトリクスからなる複合材系において高度に促進され、それにより高い引裂靭性がもたらされることを示す。
(略語)f:PHEAまたはCBAのモル分率、σcf:炭素繊維の破壊応力、σgf:ガラス繊維の破壊応力、σkf:アラミド繊維の破壊応力、σm:マトリクスの破壊応力、Tc:複合材の引裂エネルギー
異なる試験速度でのマトリクスの引裂エネルギーおよびひずみエネルギー密度
(略語)f:PHEAのモル分率、Tm:マトリクスの引裂エネルギー、Sm:マトリクスのひずみエネルギー密度
上記表12中の、応力-ひずみ曲線から見積もられたPHEA-co-IBXAポリマーのひずみエネルギー密度と、異なる試験速度でのPHEA-co-IBXAポリマーの引裂エネルギーは、概ね線形相関している。
複合材の機械的性能に対する温度の効果
柔軟な複合材が異なる温度でも利用可能かどうかを調べるために、PHEA-co-IBXA/炭素繊維複合材について24℃、50℃、100℃、および150℃において引裂試験を実施した(図87および88)。試験温度が高いほど、引裂に必要な力および引裂エネルギーは減少した。図87中の複合材の引裂試験後の状態を見ると、高い温度(100℃および150℃)で繊維からマトリクスが剥離していることが明らかに理解される。この剥離は、望ましくない界面に起因する繊維からマトリクスへの力の不十分な伝達をもたらす。マトリクスは、室温で粘弾性を示すが、その粘性は、相対的に高い温度では消失する可能性があり、その結果、マトリクスは高弾性ポリマーとして挙動することとなり得る。したがって、界面結合は劣化し、その結果、層間剥離および対応する機械的性能の低下が生じる。
ポリマー/繊維複合材の異方性機械的特性
複合材の異方性機械的特性を調べるために、PHEA-co-IBXA(フェノキシエチレングリコールアクリレートとイソボルニルアクリレートとのコポリマー)との炭素繊維複合材(PI/CFC)の引張係数および曲げ弾性係数を測定した。結果を図36に示す。マトリクス成分のモル分率の調節は上記複合材の係数に対してほとんど効果がないと考えられる。全ての複合材は、劇的な異方性機械的特性を示し、その引張係数(約1000MPa)は、その曲げ弾性係数(約10MPa)より2桁大きい。ファブリックのタイプの変更は、複合材の両方の係数に影響を及ぼす(図37)。しかし、各系の異なる方向の係数の異方性は、なおも存在する。すなわち、本発明者らが作製した複合材は、極度に堅い一方で、伸びるが、曲げるか捻った場合にいくらか柔軟でもあり得る。
複合材の靭性に対する開始方法の効果
PHEA対IBXAの様々なモル比を有するPHEA-co-IBXA/炭素繊維複合材を熱開始から調製するために、ベンゾフェノン(BP)の代わりに、全モノマー量に対して0.1mol%のアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を使用して、アルゴン雰囲気下、オーブン中70℃で10時間重合を行った。得られた複合材は、UV開始複合材系と比較して、高い引裂エネルギーを呈した。熱重合による複合材に対する引裂試験の結果を、比較としてのUVで開始された光重合による複合材の結果と共に図38(MPHEA:MIBXA=0.75:0.25)、図39(MPHEA:MIBXA=0.75:0.25)、図43(MPHEA:MIBXA=0.7:0.3)、図44(MPHEA:MIBXA=0.8:0.2)、図45(MPHEA:MIBXA=0.85:0.15)、および図46(MPHEA:MIBXA=0.9:0.1)に示す。熱重合により得た複合材は、光重合により得た複合材と比較して非常に高い引裂耐性を示すので、明らかに、熱開始重合法は、強靭かつ柔軟な複合材を調製する効率的方法である。力-変位曲線および対応する複合材のLbulkに基づく複合材の引裂エネルギーを、図47に提示する。全ての熱重合複合材が、引裂耐性の点で光重合複合材より強靭であった。
型に対して適切な量のポリジメチルシロキサン(PDMS)溶液(架橋剤を10重量%含む)を、炭素繊維(太い)ファブリックを挟んだ型の中へと注入した。これを、オーブン中70℃で2時間加熱して硬化させた。
柔軟な複合材も、本発明者らの調製方法の普遍性を検証するためにポリジメチルシロキサン(PDMS)ポリマーおよび炭素繊維を直接ブレンドすることにより調製した。得られた複合材の引き裂き試験の結果を、比較としてのPHEA-co-IBXA/炭素繊維複合材と共に図41に示す。明らかに、PI/CFC系は、同一の幾何形状の場合には、PDMS/CFC系よりはるかに高い靭性を有する。興味深いことに、PDMSのひずみエネルギー密度(Wm)は約8.39MJ/m3であり、これは、PHEA-co-IBXA(MPHEA:MIBXA=0.8:0.2、約8.49MJ/m3)のそれに匹敵し、PHEA-co-IBXA(MPHEA:MIBXA=0.85:0.15、約7.27MJ/m3)およびPHEA-co-IBXA(MPHEA:MIBXA=0.9:0.1、約6.43MJ/m3)のひずみエネルギー密度よりはるかに高い。一方で、PDMSの引張係数は約1.18MPaであり、これは、PHEA-co-IBXA系のそれより低い。
したがって、複合材の靭性を見積もるために本発明者らの提案した式
に従えば、PDMSのTcは、同一の幾何形状を有するいくつかのPI/CFC系のTcより高いはずである。この異常な結果により、PDMS/CFC系のエネルギー散逸機序を明らかにすることが必須となる。参考としてPI/CFC(MPHEA:MIBXA=0.75:0.25)を用い、PDMS/CFCの引き裂き挙動を調査した。図41に例示したとおり、PI/CFCは著しく変形し、破断されて2つの部分となったが、該部分のどちらも、損なわれていないままの、すなわち、ファブリックからマトリクスが分離していない複合材であった。しかし、引裂試験中のPMDS/CFCにおいて、ファブリックからのマトリクスの剥離が起きた。これは、PMDS/CFCの調製中にPDMSがファブリック中へ浸透することが困難であったためである。これにより、PDMS/CFC系の低い靭性に対する合理的な説明が与えられる。すなわち、理論に束縛されることを望まないが、ポリマーを出発材料として使用して複合材を合成する場合には、ポリマーが繊維の隅々まで浸潤できない、特に、繊維束の隙間まで浸潤しにくいため、引裂時にインターロッキングの機構で力を伝達する(散逸する)ことができない。そのために、PDMS/CFCの引裂エネルギーが低いと考えられる。引き裂き中にファブリックから剥離したマトリクスの大部分は、複合材の靭性にほとんど寄与していない。このことは、本発明者らが提案する「柔軟な複合材」という概念のエネルギー散逸機序とは本質的に異なる。この観点に従って、PDMS/CFC系は、厳密に言えば、柔軟な複合材ではなく、柔軟な化合物である。この結果はまた、ファブリック内部にマトリクスを取り込むことが複合材の強靭化において大きな役割を果たすという本発明者らの考えを強固なものとする。
切れ目を2カ所入れたサンプルの引裂試験
この試験では、MPHEA:MIBXA=0.7:0.3のコポリマーおよび炭素繊維(太い)の複合材を使用した。図96、図97、図98に示したように、切れ目を2カ所入れたサンプルを用いて、引裂試験を行った。図96に示した10mm-20mm-10mmに分かれるように切れ目を入れたサンプルの試験前と後の外観を図95に示す。(1)方法の(1-2)引裂試験に記載の手順と同様に、図96のサンプルであれば、10mm幅の端部を一つのクランプで固定し、内側の20mm幅の端部を別のクランプで固定して180度逆方向になるように50mm/分の一定速度で上方に引っ張って行う。
経路の長さは、2つの切れ目から、引き裂かれるまでの2つ経路の合計の長さとした。
10mm-20mm-10mmのサンプル(図95)、10mm-10mm-10mmのサンプル(図97)および10mm-5mm-10mmのサンプル(図98)の引裂エネルギーはそれぞれ、約487、約359、約261kJ/m2であった。
基準1. 該マトリクスは、それから得られる複合材が大きいプロセスゾーンを生成するように、柔軟でありかつエネルギー散逸性である。
基準2. モノマーの前駆溶液は、ファブリックの隅々まで浸透して望ましい界面を形成することができる。
自己再建性の評価
複合材をクロロホルム中に入れ、撹拌しながらマトリクス部分を溶かす(濃度:2M)。この液中のクロロホルムを、6~24時間にわたって揮発させる。その後、オーブン中で、65度にて3日間乾燥させる。
コポリマーのレオロジー挙動の評価
MPHEA:MIBXA=0:1~1:0のコポリマーのレオロジー挙動を評価するために、以下のとおり試験を行った。
動的な粘弾性スペクトルは、Rheometric Scientific Inc.製のARESレオメーターを用いてレオロジー挙動を測定することにより得た。測定前の準備として、直径15mm、厚さ1.5mmの円盤状のサンプルの上下面を接着剤で直径25mmの平行プレートの中央に位置するように取り付けた。-8℃から128℃まで段階的に温度を上昇させ、それぞれの温度において、0.1~100rad/sの角周波数範囲にて、0.5%のせん断ひずみで周波数掃引測定を行った。その後、24℃を基準温度にし、異なる温度の結果の横軸と縦軸を温度-時間換算則に従ってシフトし、24℃における10-10~107rad/sという広い角周波数範囲のTanδのマスターカーブを作成した。図42に、モル分率が異なるコポリマーごとのTanδ-角周波数のグラフを示す。縦軸のTanδは損失弾性率G”と貯蔵弾性率G’の比であり、すなわち、Tanδ=G”/G’である。横軸は、角周波数で、観察時間の逆数に相当する量である。いずれのモル分率比のコポリマーもある角周波数でTanδが極大を示し、しかも、極大値は1以上である。このことは、この系のコポリマーは非常に強い粘弾性を示すことを意味する。また、MPHEAが増加するとTanδが極大を示す角周波数も増加する。これは、ソフトセグメントのモル分率が増加すると、コポリマー中の側鎖間の結合が弱くなり、結合の寿命(緩和時間)が短くなることを意味する。実際に、緩和時間はMPHEAの増加と共に短くなる(表13)。本明細書において、緩和時間はTanδが極大を示す角周波数の逆数である。
架橋剤の存在下で重合させたフェノキシエチルアクリレート(PHEA)のポリマーの合成
実施例1において、フェノキシジエチレングリコールアクリレートの代わりにフェノキシエチルアクリレート(PHEA)を用いたことおよび架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート(全モノマーの重量に対して5%)を添加したこと以外は、実施例1と同様にして、フェノキシエチルアクリレートの架橋ポリマー(ポリ(PHEA)+架橋剤)を得た。
モノマー、ホモポリマーおよび架橋ポリマーのガラス転移温度
実施例で使用したホモポリマーならびに実施例125の架橋ポリマーについて、ガラス転移温度をJIS K7121に準じて測定した。結果を表14に示す。
a)示差走査熱量測定(DSC)を窒素流の下で、5℃/分の加熱速度で-50℃から150℃まで行った。例外として、CBAについては、-70℃から150℃まで測定した。b)ND:測定せず。
PHEAまたはIBXAのホモポリマーおよびそれらのコポリマーのガラス転移温度を、示差走査熱量測定により決定した。結果を表9に示す。この結果から、fが減少するにしたがって、ガラス転移温度が上昇することが分かる。
a)ガラス転移温度を、示差走査熱量測定(DSC)により窒素流の下で、5℃/分の加熱速度で-50℃から150℃まで行った。
a)ガラス転移温度を、示差走査熱量測定(DSC)により窒素流の下で、5℃/分の加熱速度で-50℃から150℃まで行った。
Claims (10)
- 繊維ユニットから構成されるファブリックとガラス転移可能ポリマーとを含む複合材であって、
前記繊維ユニットは、太さが60TEX~800TEX、及び直径が0.01mm~0.6mmの少なくとも一方を満たす繊維を含み、
前記ガラス転移可能ポリマーは、一種またはそれより多種のモノマーを含むモノマー成分を重合することにより形成されるホモポリマーまたはコポリマーであり、
前記モノマー成分は、モノマー(A)と、任意選択的にビニル系モノマー(B)とを含み、
前記モノマー(A)のガラス転移温度が-100℃以上であり、かつ10℃より低く、
前記モノマー(A)は、一般式(1)
(式中、R1は水素であり、
R2は、非置換もしくは置換アルキル基、または非置換もしくは置換アリール基であり、X1は酸素であり、
X2は酸素または硫黄であり、
nは0~3であるが、ただし、R2が非置換C1-4アルキル基、非置換もしくは置換第三級炭素含有C 4-6 アルキル基、またはヒドロキシ置換C1-4アルキル基であるとき、nは1~3である。)
で表されるものであり、前記ビニル系モノマー(B)が、一般式(2)
(式中、R3は水素であり、R4は、-C(=O)-O-R6であり、R6は、非置換もしくは置換第三級炭素含有C4-6アルキル基、または非置換もしくは置換C3-12シクロアルキル基である。)
で表され、
前記モノマー(A)を、50重量部~100重量部の範囲で使用して前記重合がなされ、
前記モノマー成分が前記モノマー(B)を含む場合、前記モノマー(B)を0重量部超かつ、50重量部以下の範囲で使用して前記重合がなされ、
JIS K7161に準ずる引張試験方法によりダンベル型試験片を用いて測定した弾性率が0.05~200MPaであり、
JIS K7128-1に準ずる引裂試験方法により50mm/分の引裂速度で測定した引裂エネルギーが200kJ/m2以上である、複合材。 - 前記モノマー(A)のガラス転移温度が-70℃以上であり、かつ10℃より低い、請求項1に記載の複合材。
- 前記ビニル系モノマー(B)のガラス転移温度が10℃以上であり、かつ120℃以下である、請求項1又は2に記載の複合材。
- 前記ビニル系モノマー(B)のガラス転移温度が10℃以上であり、かつ100℃以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の複合材。
- 前記ガラス転移可能ポリマーのガラス転移温度が、-70~70℃である、請求項1~4のいずれか1項に記載の複合材。
- 前記R2は、非置換もしくは置換C1-18アルキル基、または非置換もしくは置換C6-18アリール基である、請求項1~5のいずれか1項に記載の複合材。
- R6は、C1-4アルキル基より選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい、t-ブチル基、イソボルニル基、アダマンチル基、C5-7シクロアルキル基、または5-6員複素環式基である、請求項1~6のいずれか1項に記載の複合材。
- 前記モノマー(B)は、t-ブチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、およびシクロヘキシルアクリレートからなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の複合材。
- 前記繊維が、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド(ケブラー(登録商標))繊維、植物繊維、木質繊維、動物繊維、鉱物繊維、金属繊維、および合成高分子繊維ならびにそれらの組合せからなる群から選択される1種または複数種の繊維である、請求項1~8のいずれか1項に記載の複合材。
- 前記繊維により織物、編物または不織布が形成されている、請求項1~9のいずれか1項に記載の複合材。
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