以下、本発明が適用されたデータ処理システムについて図面を参照して説明する。
〔第1実施形態〕
〔全体構成〕
データ処理システムは、図1および図2に示すようなステージで映像が上映される。具体的に、実在するステージ1(以下、「実ステージ1」ともいう。)は、実空間に存在するペッパーズゴーストを利用した映像表示システムが設けられている。実ステージ1は、ハーフミラー性能を有するスクリーン2と、スクリーン2に投影される映像を表示する表示体3とを備えている。さらに、実ステージ1は、スクリーン2などの舞台装置などを取り付けるための支持フレーム1a、ステージ床面1b、ステージ背面1cなどに設置される実在する照明器具4(以下、「実照明器具4」ともいう。)と、ステージ床面1b、ステージ背面1cなどの有面体5に映像を投影するプロジェクタ6とを備えている。
スクリーン2は、上下方向に斜めに、ステージ床面1bに対して斜め45°に設置される。スクリーン2は、一例として、Eyeliner(登録商標)である。表示体3は、フラットパネルディスプレイであって、例えば液晶表示パネル、有機ELパネルである。表示体3は、スクリーン2の下方において、表示体3における表示面を上方に向けて配置されている。表示体3の表示面は、スクリーン2の下側に位置し、スクリーン2は、表示体3の表示面に対して斜め45°である。また、表示体3は、スクリーン2の前方の天井に下方に向けて映像を投射するようにフロントプロジェクタを設置し、フロントプロジェクタによって映像が投影される反射型スクリーンであってもよい。
実ステージ1は、スクリーン2の観客席7側の面が前方であり、スクリーン2のステージ背面が後方である。実ステージ1には、表示体3に映像が表示されると、表示体3に表示された照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8の虚像8aがスクリーン2を通して投影される。すなわち、スクリーン2の前方の観客席7にいる観測者からは、スクリーン2を通してスクリーン2よりも後方の空間に、表示体3に表示された照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8の虚像8aが現れる。また、ステージ床面1bやステージ背面1cなどの有面体5には、照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8などの影などの疑似照明効果オブジェクト9が投影される。これにより、観測者からは、スクリーン2よりも後方の空間に照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8があたかも実在するかのように見える。ステージ背面1cには、反射型スクリーンを配置しておいてもよい。ここで、キャラクタは、芸能人などの有名人、著名人の像、アニメーションにおける主要キャラクタ、被写体となっている人物や動物などである。
表示体3に対しては、映像処理装置11から再生する照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8の映像データが出力される。また、プロジェクタ6に対しても、映像処理装置11から再生する疑似照明効果オブジェクト9の映像データが出力される。
また、実照明器具4は、照明制御装置12から出力される照明制御信号によって制御される。照明制御信号は、ここでは、照明や舞台効果を制御するための通信プロトコルに従ったDMX信号である。照明制御装置12では、各実照明器具4のオンオフおよび調光の制御を行うことができ、また、LED照明に対しては色温度やカラーチェンジの制御を行うことができる。照明制御装置12から出力された照明制御信号は、映像処理装置11を通じて実照明器具4に出力される。実照明器具4を制御する照明制御信号は、再生する再生映像に合わせて予めプログラミングされたものであってもよい。
〔映像処理装置〕
図3に示すように、映像処理装置11は、一例として、コンピュータであり、入力IF21と、出力IF22と、メモリ23と、操作部25と、モニタ26と、コントローラ27とを備えている。入力IF21は、一例として、照明制御装置12と有線または無線のネットワークを介して接続され、照明制御装置12から照明制御信号が入力される。出力IF22は、表示体3に対して照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8の映像データを出力するとともに、プロジェクタ6に対して疑似照明効果オブジェクト9の映像データを出力する。また、照明制御装置12からの照明制御信号を実照明器具4に出力する。
メモリ23は、HDDやSSDなどの記憶装置であって、コントローラ27によって各処理が実行される映像処理プログラム24がインストールされている。映像処理プログラム24は、実ステージ1での実照明効果を反映させた疑似照明効果をリアルタイムで再生キャラクタオブジェクト34aに付加して照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8の映像データを生成する。これとともに、疑似照明効果オブジェクト9の映像データを生成する。すなわち、実ステージ1に現れる照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8の虚像8aは、有体物でないため、実照明器具4による実照明効果は反映されない。そこで、映像処理プログラム24は、再生キャラクタオブジェクト34aに対して実照明効果に合わせた疑似照明効果を付加した照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8を生成する処理を行う。照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8の映像データは、装飾効果(花びら、雨、雪が降る様子など)などの装飾効果オブジェクトも含まれる。
また、映像処理プログラム24は、実照明器具4による実照明効果によっても、映像処理プログラム24は、キャラクタオブジェクトが実在したならば現れるであろう実照明器具4による照明効果である疑似照明効果オブジェクト9の映像データを生成する処理を行う。疑似照明効果オブジェクト9の映像データは、照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8から延びる影であり、ステージ床面1bやステージ背面1cなどの有面体5に投影される。
メモリ23は、さらに、キャラクタオブジェクトを含む二次元の素材映像のデータが格納されている。素材映像のデータとしては、背景の中にキャラクタオブジェクトが配置されている映像であってもよいし、グリーンバックやブルーバックなどの単色バックの中にキャラクタオブジェクトが配置されたクロマキー合成用映像であってもよい。素材映像のデータは、入力IFを介してビデオカメラから入力された映像データであってもよいし、光ディスクなどの記録媒体の再生ドライブや配信サーバからダウンロードした映像データであってもよい。配信サーバを通じてストリーミングされるライブデータなどであってもよい。そして、素材映像のデータとしては、完成された二次元の素材映像であって、キャラクタオブジェクトのマスクを生成可能な映像である。素材映像がクロマキー合成用映像であれば精度の高いマスクを生成することができる。映像処理プログラム24では、既存の二次元映像データに対して、そこに含まれるキャラクタオブジェクトに対して疑似装飾効果を付加することができる。
操作部25は、キーボード、マウス、タッチパネルなどの入力装置であり、モニタ26は、液晶表示パネル、有機ELパネルなどのフラットパネルなどの表示装置である。コントローラ27は、CPU、ROM、RAMなどにより構成されており、操作部25からの操作信号に応じて映像処理プログラム24を実行する。そして、処理画面をモニタ26に表示する。
〔映像処理プログラム〕
次に、図4を用いて、コントローラ27によって実行される映像処理プログラム24の処理について説明する。ステップS1において、コントローラ27は、映像処理プログラム24が備える再生映像生成部を実行して、カラーの素材映像31(図5(a)参照)に対してクロマキー、ルミナンスキーなどのキーイング処理を適用し、アルファチャンネルを設定する。ここでは、FILL&KEY処理でアルファチャンネルを設定する。すなわち、カラーの素材映像31(図5(a)参照)に対してマスク32(図5(b)参照)を重ねてアルファチャンネルを設定する。このような処理によって、キャラクタオブジェクト31aの周囲が透明領域に設定された再生映像34のデータが生成される(図6参照)。
ステップS2において、コントローラ27は、映像処理プログラム24が備える照明効果用マスク設定部を実行し、照明効果用マスクを生成する。具体的に、コントローラ27は、マスク32において、キャラクタオブジェクトの輪郭線内側領域を不透明化し、輪郭線部分に対して、モノクロのグラデーション領域33を付加することにより、照明効果用マスク33a~33dを生成する。キャラクタオブジェクトの輪郭線内側領域は、不透明、一例として、ベタの黒色に設定され、そこにグラデーション領域33が付加される。なお、輪郭線部分とは、例えばキャラクタオブジェクトの輪郭線から幅を有した内側および/または外側の領域である。
照明効果用マスクは、再生キャラクタオブジェクトに対して照明が正面から当てられた状態を表現するための正面用照明効果用マスク33aを備えている(図7(a))。正面用照明効果用マスク33aは、再生キャラクタオブジェクトの正面に多くの照明光が当たることから、輪郭線部分に明るいグラデーション領域33が幅広となるように多く設けられる。そして、正面用照明効果用マスク33aにおいて、グラデーション領域33は、基準となる明暗のグラデーションに対して正面から基準より強い照明光が当てられたときは、明るい領域が多いグラデーションに変化し、基準となる明暗のグラデーションに対して正面から基準より弱い照明光が当てられたときは、明るい領域が少ないグラデーションに変化する。
すなわち、正面用照明効果用マスク33aは、時間的に変化する再生キャラクタオブジェクトの正面から当たる照明光の強度に合わせて、基準となるグラデーション領域33に対して幅やグラデーションが変化する。また、正面右寄りからの照明に対しては、右側のグラデーション領域33において明るい領域が増え、正面左寄りからの照明に対しては、左側のグラデーション領域33において明るい領域が増えるように変化する。また、正面上寄りからの照明に対しては、上側のグラデーション領域33において明るい領域が増え、正面下寄りからの照明に対しては、下側のグラデーション領域33において明るい領域が増えるように変化する。
また、照明効果用マスクは、再生キャラクタオブジェクトに対して照明が背面から当てられた状態を表現するための背面用照明効果用マスク33bを備えている(図7(b))。背面用照明効果用マスク33bは、再生キャラクタオブジェクトの背面に多くの照明光が当たり正面にはあまり当たらないことから、輪郭線部分に明るいグラデーション領域33が幅狭となるように設けられる。そして、背面用照明効果用マスク33bも、グラデーション領域33は、基準となる明暗のグラデーションに対して基準より強い照明光が背面から当てられたときは、明るい領域を若干増やしたグラデーションに変化し、基準となる明暗のグラデーションに対して基準より弱い照明光が背面から当てられたときは、明るい領域を若干少なくしたグラデーションに変化する。
すなわち、背面用照明効果用マスク33bは、時間的に変化する再生キャラクタオブジェクトの背面から当たる照明光の強度に合わせて、基準となるグラデーション領域33に対して幅やグラデーションが変化する。また、背面右寄りからの照明に対しては、右側のグラデーション領域33において明るい領域が若干増え、背面左寄りからの照明に対しては、左側のグラデーション領域33において明るい領域が若干増えるように変化する。また、背面上寄りからの照明に対しては、上側のグラデーション領域33において明るい領域が若干増え、背面下寄りからの照明に対しては、下側のグラデーション領域33において明るい領域が若干増えるように変化する。
また、照明効果用マスクは、再生キャラクタオブジェクトに対して照明が右側から当てられた状態を表現するための右側用照明効果用マスク33cを備えている(図7(c))。右側用照明効果用マスク33cは、再生キャラクタオブジェクトの右側に多くの照明光が当たり左側にはあまり当たらないことから、右側の輪郭線部分に明るいグラデーション領域33が幅広となるように設けられ左側の輪郭線部分に明るいグラデーション領域33が幅狭となるように設けられる。そして、右側用照明効果用マスク33cも、グラデーション領域33は、基準となる明暗のグラデーションに対して基準より強い照明光が右側から当てられたときは、明るい領域を増やしたグラデーションに変化し、基準となる明暗のグラデーションに対して基準より弱い照明光が右側から当てられたときは、明るい領域を少なくしたグラデーションに変化する。
すなわち、右側用照明効果用マスク33cは、時間的に変化する再生キャラクタオブジェクトの右側から当たる照明光の強度に合わせて、基準となるグラデーション領域33に対して幅やグラデーションが変化する。また、上寄りからの照明に対しては、上側のグラデーション領域33において明るい領域が増え、下寄りからの照明に対しては、下側のグラデーション領域33において明るい領域が増えるように変化する。
また、照明効果用マスクは、再生キャラクタオブジェクトに対して照明が左側から当てられた状態を表現するための左側用照明効果用マスク33dを備えている(図7(d))。左側用照明効果用マスク33dは、再生キャラクタオブジェクトの左側に多くの照明光が当たり右側にはあまり当たらないことから、左側の輪郭線部分に明るいグラデーション領域が33幅広となるように設けられ右側の輪郭線部分に明るいグラデーション領域33が幅狭となるように設けられる。そして、左側用照明効果用マスク33dも、グラデーション領域33は、基準となる明暗のグラデーションに対して基準より強い照明光が左側から当てられたときは、明るい領域を増やしたグラデーションに変化し、基準となる明暗のグラデーションに対して基準より弱い照明光が左側から当てられたときは、明るい領域を少なくしたグラデーションに変化する。
すなわち、左側用照明効果用マスク33dは、時間的に変化する再生キャラクタオブジェクトの左側から当たる照明光の強度に合わせて、基準となるグラデーション領域33に対して幅やグラデーションが変化する。また、上寄りからの照明に対しては、上側のグラデーション領域33において明るい領域が増え、下寄りからの照明に対しては、下側のグラデーション領域33において明るい領域が増えるように変化する。
ステップS3において、コントローラ27は、映像処理プログラム24が備える仮想空間設定部を実行し、仮想ステージ35に対して再生キャラクタオブジェクト34aおよび仮想照明器具36を設定する処理を行う。ここでの仮想ステージ35は、仮想照明器具を設定するための仮想空間である。具体的に、図8に示すように、コントローラ27は、操作部25の操作に従って、モニタ26に仮想ステージ35を設定し表示する。この仮想ステージ35は、実際の実ステージ1に相当するものである。そして、コントローラ27は、板ポリゴンにテクスチャとして、再生対象オブジェクトである再生キャラクタオブジェクト34aを貼り付け、操作部25の操作に従って、仮想ステージ35におけるキャラクタオブジェクトを表示する際の基準位置を設定する。また、コントローラ27は、操作部25の操作に従って、仮想ステージ35に仮想照明器具36を設定する。仮想照明器具36は、一例として、実ステージ1に設けられた実照明器具4に倣って設定される。
一例として、実ステージ1に設置された実照明器具4に対応した仮想照明器具36が仮想ステージ35における実ステージ1の実照明器具4の同じ位置で、同じ向きに設定される。これにより、実ステージ1を模した仮想ステージ35には、実ステージ1と同じように仮想照明器具36が設定される。モニタ26には、仮想ステージ35に設置された仮想照明器具36および再生キャラクタオブジェクト34aが表示される。なお、あわせて、再生対処オブジェクトには、照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8の他に、再生対象オブジェクトとして、装飾効果(花びら、雨、雪が降る様子など)などの装飾効果オブジェクトが付加されていてもよい。
ステップS4において、コントローラ27は、操作部25の操作に従ってマスク設定部を実行し、仮想ステージ35に設定された再生キャラクタオブジェクト34aに対して、照明効果用マスク33a~33dを設定する。具体的に、コントローラ27は、再生キャラクタオブジェクト34aに対して正面から当たる照明範囲を正面用照明効果用マスク33aで設定する。また、コントローラ27は、再生キャラクタオブジェクト34aに対して背面から当たる照明範囲を背面用照明効果用マスク33bで設定する。さらに、コントローラ27は、再生キャラクタオブジェクト34aに対して右側から当たる照明範囲を右側用照明効果用マスク33cで設定し、左側から当たる照明範囲を左側用照明効果用マスク33dで設定する。これにより、仮想ステージ35において、再生キャラクタオブジェクト34aには、各照明効果用マスク33a~33dのグラデーションに従って、仮想照明器具36による疑似照明効果が付加される。これにより、疑似照明効果を確認できるようになる。また、コントローラ27は、照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8の映像データを生成し、表示体3に出力する。
また、コントローラ27は、映像処理プログラム24が備える疑似照明効果生成部を実行する。これにより、疑似照明効果オブジェクト9として、再生キャラクタオブジェクト34aの設定位置と仮想照明器具36との位置関係や照明制御信号に含まれる照明強度や色などの情報から再生キャラクタオブジェクト34aから延びる影オブジェクトを生成する。影オブジェクトは、例えば再生キャラクタオブジェクト34aとは異なる位置に形成されるオブジェクトである。コントローラ27は、疑似照明効果オブジェクト9の映像データを、照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8の映像データと同期をとってキャッシュメモリにバッファしてから出力する。
映像処理装置11は、照明制御装置12と有線または無線のネットワークで接続されており、照明制御装置12からは、実照明器具4を制御する照明制御信号が入力される。コントローラ27は、仮想空間設定部および疑似照明効果生成部を実行し、照明制御信号に合わせて、仮想照明器具36を制御し、疑似照明効果を再生キャラクタオブジェクト34aに付加した照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8の映像データを生成し、表示体3に出力する。また、疑似照明効果オブジェクト9の映像データを生成し、プロジェクタ6に出力する。
一例として、図9に示すように、実照明器具4に白色の照明光を照光させる照明制御信号が入力された場合、モニタ26には、仮想ステージ35において、再生キャラクタオブジェクト34aに白色の疑似照明効果が付加された状態が表示される。また、一例として、図10に示すように、実照明器具4に赤色の照明光を照光させる照明制御信号が入力された場合、モニタ26には、仮想ステージ35において、再生キャラクタオブジェクト34aに赤色の疑似照明効果が付加された状態が表示される。さらに、図11に示すように、再生キャラクタオブジェクト34aの正面側から実照明器具4に青色の照明光を照光する照明制御信号が入力された場合、モニタ26には、仮想ステージ35において、再生キャラクタオブジェクト34aに青の疑似照明効果が付加された状態が表示される。あわせて、モニタ26の同画面には、再生キャラクタオブジェクト34aの後方に位置する仮想ステージの床面や背面には、再生キャラクタオブジェクト34aの影オブジェクトなどの疑似照明効果オブジェクト9が表示される。
コントローラ27は、一例として、このようにモニタ26に表示された仮想ステージ35の状態を実ステージ1で再現する。すなわち、実ステージ1に現れる照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8は、照明制御装置12からの照明制御信号により制御される実照明器具4の実照明効果に合わせた疑似照明効果がリアルタイムで付加され、その状態が実ステージ1に虚像8aとして投影される。また、実ステージ1の有面体5には、照明制御装置12からの照明制御信号により制御される実照明器具4の実照明効果に合わせた疑似照明効果オブジェクト9がリアルタイムに投影される。
ステップS5において、コントローラ27は、映像処理プログラム24の補正部を実行して、再生映像34の再生タイミングや照明制御信号のタイミングを補正するための補正処理を行う。ここでは、一例として、コントローラ27は、第1補正処理と第2補正処理とを行い、これらの補正処理は、本番前のリハーサル時などに行われる。
リハーサル時などに、再生映像34を再生し、入力された照明制御信号に基づく照明効果が時間的にずれなく再生キャラクタオブジェクト34aに反映されているか確認することがある。この際、その時々の通信環境やハードウェアの性能によって、再生キャラクタオブジェクト34aの再生タイミングと照明制御信号の適用タイミングとが同期しないことがある。例えば、再生映像34のスタートから5秒00フレームで適用されるべき照明制御信号が例えばスタートから4秒20フレームに適用されてしまい、再生キャラクタオブジェクト34aに対して反映されるべき照明効果が早まってしまうことがある。また、これとは逆に、例えばスタートから5秒10フレームに適用されてしまい、再生キャラクタオブジェクト34aに対して反映されるべき照明効果が遅延してしまうことがある。
このため、コントローラ27は、第1補正処理として、映像処理プログラム24が備える再生映像34のデータをフレームキャッシュにキャッシュするキャッシュ部と、照明制御装置12からの照明制御信号の適用を遅延させる第1ディレイ部とを選択的に実行する。コントローラ27は、仮想ステージ35において、照明制御信号の適用タイミングが再生キャラクタオブジェクト34aの再生に対して早いときは、第1ディレイ部で照明制御信号の適用を遅延させる。また、仮想ステージ35において、照明制御信号が再生キャラクタオブジェクト34aの再生に対して遅延しているときは、キャッシュ部が再生キャラクタオブジェクト34aを含む再生映像34をキャッシュして再生タイミングを遅延させてから照明制御信号を適用する。この場合の補正量は、照明プログラマなどの操作者が仮想ステージ35の映像を見ながら判定し、秒、フレームの単位で操作部25から入力される。これにより、モニタ26に表示される仮想ステージ35において、再生キャラクタオブジェクト34aの再生タイミングに照明制御信号の適用タイミングを同期させることができる。
また、映像処理装置11では、上述した再生キャラクタオブジェクト34aに対して照明制御信号に合わせた疑似照明効果や疑似照明効果オブジェクト9を生成する処理を行うことになる。このため、映像処理装置11のハードウェア性能にもよるが、同じ照明制御信号による実照明器具4に基づく実ステージ1の実照明効果と、照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8や疑似照明効果オブジェクト9の表示が時間的にずれてしまうことがある。一例として、実ステージ1の実照明効果に対して照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8や疑似照明効果オブジェクト9の表示が遅延してしまうことがある。
そこで、第2補正処理として、このような時間的ずれを補正すべく、コントローラ27は、映像処理プログラム24が備える実照明器具4への照明制御信号の出力タイミングを遅延させる第2ディレイ部を実行する。この場合の補正量は、一例として、実ステージ1における実照明効果と照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8および疑似照明効果オブジェクト9とを照明プログラマなどが見ながらその補正量を判定し、秒、フレームの単位で操作部25から入力される。コントローラ27は、入力された補正量に応じて、実照明器具4への照明制御信号の出力タイミングを遅延させる。これにより、同じ照明制御信号に基づく実照明器具4による実照明効果と照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8および疑似照明効果オブジェクト9とを時間的に揃えることができる。
なお、コントローラ27は、仮想ステージ35における仮想照明器具36の設定、照明効果用マスク33a~33dが設定された再生キャラクタオブジェクト34aの映像データ、疑似照明効果オブジェクト9の設定、補正量の設定などをファイルに格納しメモリ23に保存する。このファイルには楽曲データなども含まれていてもよい。
ステップS6において、コントローラ27は、映像処理プログラム24が備える再生制御部を実行する。これにより、メモリ23に保存されているファイルを読み出し、映像処理プログラム24を実行して、再生処理を実行する。再生処理は、本番などで実行される。具体的に、コントローラ27は、再生キャラクタオブジェクト34aの映像データを再生する。このとき、実ステージ1では、照明プログラマなどの操作者による操作に従った照明制御信号が照明制御装置12から映像処理装置11に出力される。実照明器具4は、出力タイミングが補正された照明制御信号に従って動作され実ステージ1を照光する。これと同時に、コントローラ27は、照明制御信号に従った疑似照明効果を再生キャラクタオブジェクト34aに付加して照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8の映像データを生成し、表示体3に出力する。あわせて、コントローラ27は、疑似照明効果オブジェクト9の映像データをプロジェクタ6に出力する。
かくして、実ステージ1には、表示体3に表示された照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8の虚像8aがスクリーン2を通して投影される。また、ステージ床面やステージ背面などの有面体5には、照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8などの影オブジェクトなどの疑似照明効果オブジェクト9がプロジェクタ6によって投影される。照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8および疑似照明効果オブジェクト9は、実照明器具4による照明効果に合わせ投影される。
図12は、実ステージ1において、再生キャラクタオブジェクト34aの虚像8aがスクリーン2を通して投影された状態であって、照明制御信号に従って実照明器具4が動作していない状態を示している。図13は、照明制御信号に従って実照明器具4が赤色を照光した状態であって、再生キャラクタオブジェクト34aに照明制御信号による疑似照明効果を付加していない状態を示している。実照明器具4が赤色を照光しているのに対して、再生キャラクタオブジェクト34aの虚像8aに赤色の疑似照明効果が付加されていないので、実ステージ1の色環境と再生キャラクタオブジェクト34aの虚像8aの色が不自然である。
これに対して、図14は、照明制御信号に従って実照明器具4が赤色を照光した状態であって、再生キャラクタオブジェクト34aに照明制御信号による疑似照明効果を付加した状態、すなわち照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8の虚像8aを示している。これにより、実ステージ1の実照明効果に合った照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8の虚像8aとなる。
図15は、照明制御信号に従って左側の実照明器具4が緑色を照光し右側の実照明器具4が青色を照光した状態であって、再生キャラクタオブジェクト34aに照明制御信号による疑似照明効果を付加していない状態を示している。実照明器具4が青色や緑色を照光しているのに対して、再生キャラクタオブジェクト34aに青色や緑色の疑似照明効果が付加されていないので、実ステージ1の色環境と再生キャラクタオブジェクトの虚像8aの色が不自然な状態となっている。
これに対して、図16は、照明制御信号に従って左側の実照明器具4が緑色を照光し右側の実照明器具4が青色を照光した状態であって、再生キャラクタオブジェクト34aに照明制御信号による疑似照明効果を付加した状態、すなわち照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8の虚像8aを示している。さらに、プロジェクタ6によって、有面体5に疑似照明効果オブジェクト9を投影した状態を示している。これにより、実ステージ1の照明にあった状態で照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8の虚像8aが投影される。
以上のように構成された第1実施形態におけるデータ処理システムは、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1-1)実ステージ1において、実照明器具4による実照明効果に合わせた照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8の虚像8aを投影することができる。したがって、実在感が高く、かつ、立体感の高い照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8の虚像8aを実ステージ1で再現できる。
(1-2)実ステージ1において、照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8に対する疑似照明効果オブジェクト9を投影することができる。
(1-3)第1補正処理において、再生キャラクタオブジェクト34aの再生タイミングと照明制御信号の適用タイミングとを同期させることができる。したがって、仮想ステージ35の映像を見ながら照明制御信号に基づく再生キャラクタオブジェクト34aに対する照明効果のタイミングを確認する作業が容易なものとなる。
(1-4)第2補正処理において、同じ照明制御信号による実照明器具4による照明効果と、照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8の再生タイミング(照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8の疑似照明効果)とを時間的に揃えることができる。
(1-5)正面用照明効果用マスク33aを再生キャラクタオブジェクト34aに適用することで、再生キャラクタオブジェクトに対して照明が正面から当てられた疑似照明効果を付加することができる。
(1-6)背面用照明効果用マスク33bを再生キャラクタオブジェクト34aに適用することで、再生キャラクタオブジェクトに対して照明が背面から当てられた疑似照明効果を付加することができる。
(1-7)右側用照明効果用マスク33cを再生キャラクタオブジェクト34aに適用することで、再生キャラクタオブジェクトに対して照明が右側から当てられた疑似照明効果を付加することができる。
(1-8)左側用照明効果用マスク33dを再生キャラクタオブジェクト34aに適用することで、再生キャラクタオブジェクトに対して照明が左側から当てられた疑似照明効果を付加することができる。
(1-9)ペッパーズゴーストを利用した実ステージ1において、実照明器具4の実照明効果に合わせた照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8の虚像8aを投影することができる。
(1-10)ペッパーズゴーストを利用した実ステージ1において、実照明器具4の実照明効果に合わせた照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8の虚像8aと疑似照明効果オブジェクト9を投影することができる。
〔第2実施形態〕
図17に示すように、第2実施形態におけるデータ処理システムは、スタジオなどの第1地点101と、会議室、オフィスなどの第2地点102と、ステージなどの第3地点103をネットワークを繋ぐものである。第1地点101では、一例として、第1被写体101aが居り、第1被写体101aは、パフォーマンスを行うパフォーマである。第1地点101では、第1被写体101aを撮影する第1被写体カメラ111aと、スタジオセットを撮像する環境撮影カメラ111bとが設置されている。
第2地点102では、一例として、第2被写体102aが居り、第2被写体102aは、第1被写体101aと共演するパフォーマである。第2地点102では、第2被写体102aを撮影する第2被写体カメラ112aが設置されている。第3地点103は、第1実施形態における実ステージ1が設けられており、実ステージ1では、第1被写体101aおよび第2被写体102aが投影される。一例として、第1被写体101aおよび第2被写体102aは、楽曲を演奏する音楽グループであり、また、演芸を行うコンビ芸人である。また、財界人などの有名人や著名人などあってもよい。
また、第2実施形態におけるデータ処理システムは、ネットワークを介して、映像処理装置11と、照明制御信号生成装置121とをさらに備えている。第1被写体カメラ111a、環境撮影カメラ111bおよび第2被写体カメラ112aは、一例としてビデオカメラである。第1被写体カメラ111aは、第1被写体101aの映像データを映像処理装置11に出力する。また、環境撮影カメラ111bは、スタジオセットの映像データを照明制御信号生成装置121に出力する。環境撮影カメラ111bは、スタジオセット内において照明効果の変化が大きい箇所を含んで撮影できるように設定されている。第2被写体カメラ112aは、第2被写体102aの映像データを映像処理装置11に出力する。第1被写体カメラ111a、環境撮影カメラ111bおよび第2被写体カメラ112aは、各々が複数台であってもよい。また、第2地点102での撮影は、グリーンバックやブルーバックなどの単色バックの中にキャラクタオブジェクトが配置されたクロマキー合成用映像撮影であってもよい。
映像処理装置11では、第1被写体101aおよび第2被写体102aの映像データから各被写体のマスクを生成し、各被写体の照明効果用マスク33a~33dを生成する。そして、映像処理装置11は、各被写体の再生キャラクタオブジェクト34aを生成し、照明効果用マスク33a~33dを適用する。映像処理装置11は、第3地点103の仮想ステージ35に、第3地点103の実照明器具4に対応する仮想照明器具36を設定する。
照明制御信号生成装置121は、一例として、コンピュータであり、映像処理装置11と同様、入力IF、出力IF、メモリ119、操作部、モニタ、コントローラ120などを備えている。そして、メモリ119には、照明制御信号生成プログラム122がインストールされている。第1地点101のスタジオと第3地点103の実ステージ1とは、照明設備、ステージの規模が同じであることは少なく、第1地点101の照明効果を第3地点103で再現することは困難である。照明制御信号生成プログラム122は、第1地点101での照明効果から第3地点103での照明設備にあった照明制御信号を生成する。
図18に示すように、照明制御信号生成プログラム122は、コントローラに120によって、処理が実行される。照明制御信号生成プログラム122は、領域設定部123と、成分抽出部124と、照明制御信号生成部125とを備えている。
領域設定部123は、環境撮影カメラ111bからのスタジオセットの映像データに基づいて第1地点101の中で実照明器具の照明効果の大きい領域を複数箇所選択し、その領域を操作部を使って設定する。照明効果の大きい領域は、例えば、第1被写体101aがパフォーマンスを行っているとき、照明器具109a~109dによる照明効果が目立つように変化し、また、頻繁に変化する領域である。そして、観客から見て照明効果の変化が目立つ領域である。設定される領域の数は、一例として、第3地点における実照明器具の数に対応させる。
図19では、一例として、第1地点101において、照明器具109aは、スタジオの天井などに8台設置されており、照明器具109bは、スタジオの床面などに6台設置されており、照明器具109cは、スタジオの左側面などに2台設置されており、照明器具109dは、スタジオの右側面などに2台設置されている。また、第3地点103において、一例として、実照明器具4aは、実ステージ1の天井などに5台設置されており、実照明器具4bは、実ステージ1の床面などに2台設置されており、実照明器具4cは、実ステージ1の左側面などに1台設置されており、実照明器具4dは、実ステージ1の右側面などに1台設置されている。
図19において、領域A~Iが設定されており、領域A~Iは、第3地点103における実照明器具4a~4dのa~iの設置位置に対応付けられている。そして、領域設定部123は、操作部での操作に応じて、第1地点101における各領域A~Iを第3地点103における実照明器具4a~4dのa~iに関連付ける。例えば、領域Aを実照明器具4aのaに、領域Bを実照明器具4aのbに、といったように関連付ける。
成分抽出部124は、各領域A~Iにおける赤(R)、緑(G)、青(B)の成分を抽出し、各領域A~Iについて平均化して色情報を生成する。または、輝度成分(Y)と青色差成分(Cb)、赤色差成分(Cr)を抽出し、各領域A~Iについて平均化して色情報を生成する。照明制御信号生成部125は、各領域A~Iの色情報に基づいて、第3地点103における実照明器具4a~4dのa~iの照明制御信号を生成し、映像処理装置11に出力する。
第3地点103における実ステージ1では、映像処理装置11は、照明制御信号生成装置121で生成された照明制御信号に従って実照明器具4を動作させる。これに合わせて、実ステージ1では、表示体3に表示された第1被写体101aおよび第2被写体102aに対応する照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8の虚像8aがスクリーン2を通して投影される。また、ステージ床面やステージ背面などの有面体5には、照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8などの影などの疑似照明効果オブジェクト9がプロジェクタ6によって投影される。
以上のように構成された第2実施形態におけるデータ処理システムは、以下に列挙する効果を得ることができる。
(2-1)第1地点101における第1被写体101aの映像と第2地点102における第2被写体102aの映像とを、第3地点103で合成して、再生することができる。
(2-2)照明制御信号生成装置121によって、第1地点101での照明効果に類似した照明効果を第3地点103で再現できる。例えば、第1地点101での照明効果の変化を第3地点103で再現することができる。
〔第2実施形態の変形例〕
なお、上記第2実施形態は、さらに、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・領域A~Iの中の隣接する複数の領域を、実照明器具4a~4dのa~iの中の1つの実照明器具に割り当てるようにしてもよい。
・第1被写体カメラ111aおよび環境撮影カメラ111bを1台にまとめ、1つのカメラで、第1地点101のスタジオセットと第1被写体101aを撮影するようにしてもよい。この場合、映像処理装置11は、このカメラからの映像データから第1被写体101aのマスクや再生キャラクタオブジェクトなどを生成し、照明制御信号生成装置121が照明制御信号を生成することになる。
・第1地点101も、第2地点102のような会議室、オフィスなどであってもよい。この場合、環境撮影カメラ111bは省略することができる。この場合、第1地点101および第2地点102での撮影は、グリーンバックやブルーバックなどの単色バックの中に被写体が配置されたクロマキー合成用映像撮影であってもよい。そして、この場合、照明制御信号生成装置121も省略できる。第3地点103の実ステージ1では、第1実施形態のように、照明制御装置12によって、実ステージ1の実照明器具4を制御し、その照明制御信号に従って、第1地点101に居る第1被写体101aおよび第2地点102に居る第2被写体102aの再生キャラクタオブジェクト34aに対して疑似照明効果を付加することになる。
・第1地点101は、ライブ会場やコンサート会場で、第3地点103は、ライブビューイングを行う小型の劇場や飲食店などであってもよい。照明制御信号生成装置121は、第1地点101の照明効果の雰囲気を持った類似の照明効果を第3地点103の実照明器具4a~4dを使って再現することができる。
・被写体が存在する地点は、2地点に限定されるのではなく、3地点以上であってもよく、この場合、第3地点103に相当する場所で、各地点にいる被写体が第3地点の実照明器具4に合わせて照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8として投影されることになる。
〔第1実施形態および第2実施形態の変形例〕
また、上記第1実施形態および第2実施形態は、さらに、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・照明効果用マスクは、正面用照明効果用マスク33a、背面用照明効果用マスク33b、右側用照明効果用マスク33c、および、左側用照明効果用マスク33dよりもさらに多く設けるようにしてもよい。例えば、正面用であっても、正面上段、正面下段に細かく分けるようにしたり、左側用や右側用も、上段と下段に分けるようにしてもよい。これにより、照明効果がより細かい照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8とすることができる。
・照明効果用マスクは、正面用照明効果用マスク33aおよび背面用照明効果用マスク33bとしてもよいし、正面用照明効果用マスク33a、右側用照明効果用マスク33c、および、左側用照明効果用マスク33dとしてもよい。さらに、正面用照明効果用マスク33aだけとしてもよい。
・第1補正処理において、第1ディレイ部だけを省略してもよいし、キャッシュ部だけを省略してもよい。さらに、第1ディレイ部とキャッシュ部を省略してもよい。
・第2ディレイ部を省略してもよい。
・プロジェクタ6はいわゆるリアプロジェクタであってもよい。この場合、ステージ背面1cなどの有面体5には、透過型スクリーンを配置すればよい。
・実ステージ1において、疑似照明効果オブジェクト9を投影するプロジェクタ6は省略してもよい。
・表示体3は、フラットパネルディスプレイではなく、プロジェクタであってもよい。この場合、スクリーン2の前方の天井に下方に向けて映像を投射するようにプロジェクタを設置し、スクリーン2の前方の床面であってスクリーン2の下方に反射型のスクリーンを設置すればよい。
・スクリーン2は、表示体3の表示面に対して斜め45°に限定されるものではなく、設置環境によっては、表示体3の表示面に対して90°未満であれば斜め45°以外の角度であってもよい。
・対象オブジェクトとしては、上述のようなキャラクタオブジェクトの他に、雨、雪、雲、花びら、落ち葉、飛ぶ鳥など周辺環境オブジェクトであってもよい。また、実ステージ1にセットされた家、城などのセットに対して付加される雪、花びら、落ち葉、小動物などの付加的オブジェクトであってもよい。すなわち、キャラクタオブジェクト無しにして付加的オブジェクトだけとしてもよい。
・実ステージ1は、ペッパーズゴースト方式に限定されるものではない。例えば、映写機やプロジェクタなどの表示体で反射型のスクリーンに照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8を投影するようにしてもよい。
・照明制御信号としては、DMX信号に限定されるものではない。その他に、照明制御信号としては、ネットワークを経由するArt-Net信号、sACN信号などであってもよい。
・映像処理プログラム24は、コントローラ27によって次のような処理を実行するように構成してもよい。すなわち、コントローラ27は、ステップS4において、映像処理プログラム24に従って、仮想ステージ35に対して再生キャラクタオブジェクト34aおよび仮想照明器具36を設定し、ステップS5において、再生キャラクタオブジェクト34aに対して、照明効果用マスク33a~33dを設定する。
そして、照明効果用マスク33a~33dが設定された再生キャラクタオブジェクト34aは、仮想ステージ35とは別の配信用仮想空間に出力される。配信用仮想空間とは、仮想のステージセットが配置された仮想ステージ空間であり、また、草原など自然の中を表した自然仮想空間などである。そして、仮想空間での再生キャラクタオブジェクト34aは、照明制御装置12ではなく、照明プログラマなどの操作者が映像処理装置11や他の機器を通じて入力した照明制御信号に合わせて照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8が生成される。
一例として、照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8が仮想ステージ空間に配置されている場合、当該仮想ステージに配置された仮想照明器具を制御する照明制御信号に従って疑似照明効果が再生キャラクタオブジェクトに付加される。また、照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8が自然仮想空間に配置されている場合、太陽の位置が仮想照明器具の位置であり、照明制御信号によって朝日、夕日など太陽の位置に合わせた日光の当たり方などが表現される。そして、それに合わせた疑似照明効果が再生キャラクタオブジェクトに付加される。このような配信用仮想空間および照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8を含む映像のデータが出力制御部より配信サーバに出力され、配信サーバを通じて配信される。
この場合、視聴者は、配信映像のデータを小型で携帯型の情報処理装置(スマートホン、タブレットなど)で視聴することができる。情報処理装置では、照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8を含む配信映像のデータをストリーミング再生する他、メモリ(リムーバル記録媒体(光ディスクなど)や内蔵の内部記録媒体(HDDやSSD))にダウンロードした当該データを再生することができる。
・実ステージ1で照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8の虚像8aがスクリーン2を通して投影するライブを行っているときに(第1実施形態)、そのときの照明制御装置12から入力された照明制御信号に従った照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8を含む映像のデータを配信するようにしてもよい。すなわち、コントローラ27は、出力制御部を実行し、仮想ステージ35での照明効果付き再生キャラクタオブジェクト8を含む映像のデータを配信する。このデータは、実ステージ1で行われるライブ配信時に配信され、情報処理装置において、ストリーミング再生される。また、データは、情報処理装置において、ライブ後にダウンロードされたり、ストリーミング再生される。
・第1実施形態におけるライブ中の実ステージ1を撮影し配信するようにしてもよい。この場合における配信は、ライブ配信であってもよい。このデータも、実ステージ1で行われるライブ配信時に配信され、情報処理装置において、ストリーミング再生される。また、データは、情報処理装置において、ライブ後にダウンロードされたり、ストリーミング再生される。