JP7231369B2 - マスク - Google Patents
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マスクを着用すると、マスクにおいて主として濾過の機能を担うマスク本体部と鼻が密着せず、鼻とマスク本体部の間に隙間が発生することがあった。そして、この隙間から塵埃(例えば、PM2.5)や花粉あるいはウイルスなどの本来マスクで取り除きたい濾過対象物が侵入して、マスクの機能が十分に発揮されなくなるという問題があった。また、着用者の呼気が該隙間を通過し易いため、マスク着用時に着用者が不快感を感じたり眼鏡に曇りが生じるという問題があった。
図1に図示する特許文献1に開示されているマスク(4)は、鼻口部位を覆う被覆シート部(5、マスク本体部に相当すると考えられる)の鼻に当接する部位を覆うように、マスク用ノーズフィット部材(1)を接着したマスク(4)である。そして、マスク用ノーズフィット部材(1)を接着した部位を外側から押さえることにより、前記マスク用ノーズフィット部分(1)を鼻の外形に沿って変形かつ維持(以降、合わせて保形と称することがある)して、鼻と被覆シート部(5)の間に隙間が発生するのを防止できることを特徴としている。
つまり、着用者が会話をしたり顔面を動かした際にマスクが着用者の顔面上を移動することがある。このとき、マスク本体部における鼻を覆う部分は、押さえ部材(特許文献1における、マスク用ノーズフィット部材に相当すると考えられる)により当初保形された形状を保ったままである。移動先の顔面形状と、当初保形された形状は一致するものではなく、そのため鼻とマスク本体部との間に隙間が発生するものであった。
そして、マスク本体部に接着している押さえ部材によって、マスク本体部は当初保形された形状を保ち続けているため、隙間は閉塞することなく存在し続けるものであった。
本発明は、鼻とマスク本体部との間に発生した隙間の大きさを小さくできるマスクの提供を目的とする。
「マスク本体部と、前記マスク本体部における横方向の端部に各々設けられた耳掛け部材、ならびに、押さえ部材を備えるマスクであって、
前記押さえ部材は、前記マスク本体部を左右に二分する縦中心線と交点をなすと共に、前記交点から前記耳掛け部材へ向かう方向へ延在して、前記マスク本体部の主面に設けられており、
前記押さえ部材は、前記交点部分において接着剤によって、あるいは、前記マスク本体部および/または前記押さえ部材の構成成分の溶着によって前記マスク本体部と一体化しており、
前記押さえ部材は、前記延在する方向側の端部において前記マスク本体部と一体化していない、マスク。」
である。
また、第二の本発明は、
「板バネとして機能する押さえ部材を備える、請求項1に記載のマスク。」
である。
本発明のマスクは、マスク本体部と、前記マスク本体部における横方向の端部に各々設けられた耳掛け部材、ならびに、押さえ部材を備えるマスクであって、前記押さえ部材は、前記マスク本体部を左右に二分する縦中心線と交点をなすと共に、前記交点から前記耳掛け部材へ向かう方向へ延在して、前記マスク本体部の主面に設けられている。
そのため、押さえ部材によってマスク本体部を鼻へ向い押さえつけることができるため、および/または、押さえ部材によってマスク本体部を鼻の外形に沿って保形できるため、鼻とマスク本体部との間に隙間が発生するのを防止するという効果を発揮可能なマスクである。
マスクが着用者の顔面上を移動することで鼻とマスク本体部との間に隙間が発生するということは、マスクが着用者の顔面上を移動することで鼻とマスク本体部との間の距離が長くなった状態を意味する。しかし、本発明にかかるマスクでは、マスク本体部における「押さえ部材の延在する方向側の端部」の下側にある部分(左右対称となるように重ね合わせて二つ折りした状態のマスクを側面から見た際に、押さえ部材の前記端部の紙面上における奥側にあるマスク本体部の部分)は押さえ部材と一体化しておらず、前記部分は押さえ部材から離れて鼻へ向かい移動できる。
そのため、マスクが着用者の顔面上を移動することで鼻とマスク本体部との間に隙間が発生し得る場合であっても、マスク本体部の前記部分は鼻へ向かい移動して発生した隙間の大きさが小さくなるよう変形し得るものであることから、鼻とマスク本体部との間に発生した隙間の大きさを小さくできるという効果を発揮可能なマスクである。
その結果、マスク本体部を鼻へ向かいより効果的に移動できるため、鼻とマスク本体部が近づくことができ、隙間の大きさをより小さくできるという効果を発揮可能なマスクである。
本発明に係るマスク(100)は、主としてマスク本体部(10)と耳掛け部材(20)を備えており、マスク本体部(10)における横方向(X)の端部に耳掛け部材(20)が接合され構成されている。なお、マスク本体部(10)における横方向(X)とは、着用者がマスク(100)を着用した際のマスク本体部(10)における着用者の上下方向(着用者における重力方向と平行をなす方向)と直交する方向を意味するものであり、図2では方向Xとして図示している。
マスク本体部(10)は、主として外気中の濾過対象物を濾過して、清浄な空気を着用者へ供給可能にする役割を担う部材である。
マスク本体部(10)を構成する素材は、適宜選択して使用でき、限定されるものではない。例えば、布帛(織物や編物あるいは不織布など)や通気性発泡体あるいは通気性フィルムなどの素材を一枚のみ用いて構成する、一種類の素材を複数枚積層して構成する、あるいは、複数の素材を組み合わせて積層することで構成できる。
1.複数の素材を一体化することなく、ただ重ね合わせる方法、
2.複数の素材を重ね合わせてなる積層体を、例えばニードルパンチ装置や水流絡合装置に供することで絡合する方法、
3.複数の素材を重ね合わせてなる積層体を、加熱手段に供することで素材の構成成分を溶融させて一体化する方法、
4.バインダやホットメルト樹脂などの接着剤を素材の間に介在させて、各素材を接着一体化する方法、
5.複数の素材を重ね合わせてなる積層体の周辺を、縫製や接着、あるいは、超音波融着を用いたポイントシール処理などを施して、融着し一体化する方法、
などを用いることができる。
なお、本発明でいう「目付」とは主面における面積1m2あたりの質量をいい、主面とは面積が広い面をいう。また、本発明でいう「厚さ」は、圧縮弾性式厚み計により計測した値であり、具体的には測定対象物の主面に対して5cm2の荷重領域に100gfの荷重をかけた際の前記領域における厚さの値をいう。
本役割を果たすことができるのであれば、その形状や構成する素材は適宜選択でき、耳をかける開口を有するシート状の部材や紐状の部材などであることができる。耳掛け部材(20)が伸縮性を有していると、着用が容易なマスク(100)を実現できると共に、マスク本体部(10)を着用者の顔面上に効果的に固定可能なマスク(100)を実現でき好ましい。このような効果を発揮する耳掛け部材(20)を構成可能な部材として、耳をかける開口を有し伸縮性を有するシート状の部材や、ゴム紐などを挙げることができる。
そして、上述した伸縮性を有する素材と、主面の一方向と前記方向と垂直をなす主面の別の一方向の物性が異なる素材の積層体を備えることで、横方向(X)の伸度が横方向(X)と直交する方向(図2における紙面上の上下方向)の伸度よりも高く、横方向(X)の伸度が横方向(X)と直交する方向(図2における紙面上の上下方向)の伸長回復率よりも高い耳掛け部材(20)を調製できる。なお、複数の素材を積層して耳掛け部材(20)を調製する方法は適宜選択でき、限定されるものではないが、例えば、マスク本体部(10)と同様の方法を用いて調製できる。あるいは、前述したように、伸縮性を有すると共に主面の一方向と前記方向と垂直をなす主面の別の一方向の物性が異なる素材を用いることで、伸縮性を有すると共に方向性を有する耳掛け部材(20)を調製できる。
押さえ部材(30)は、マスク本体部(10)を鼻(52)へ向い押さえつけることができることで、および/または、着用者がマスク(100)を着用した後、押さえ部材(30)の上から鼻(52)を指で摘むようにすることでマスク本体部(10)を鼻(52)の外形に沿って保形して、鼻(52)とマスク本体部(10)との間に隙間(53)が発生するのを防止するという効果を発揮可能な部材である。
本発明において、押さえ部材(30)が板バネとして機能するものであるか否かは、以下の方法へ押さえ部材(30)を供することで判断できる。
(1)直角を有する型(60)の直角を成す部分に、押さえ部材(30)の中心を当てた。なお、ここでいう押さえ部材(30)の中心とは、押さえ部材(30)における短辺と平行を成すと共に、押さえ部材(30)を左右対称となるように二つに折り曲げることができる折り目線を指す。
(2)そして、図7(a)に示すように、押さえ部材(30)へ力を作用させることで直角を有する型(60)に沿わせて、押さえ部材(30)を直角に折り曲げた。
(3)その後、押さえ部材(30)へ作用させた力を解放し、図7(b)に示すように、力が解放された後の押さえ部材(30)が成す内角θを測定した。
(4)内角θが121°以上の大きさであった場合、板バネとして機能する素材からなる押さえ部材(30、換言すれば、板バネとして機能する押さえ部材(30))であると判断した。また、内角θが121°未満の大きさであった場合、板バネとして機能しない素材からなる押さえ部材(30、換言すれば、板バネとして機能しない押さえ部材(30))であると判断した。
なお、本効果が発揮される理由については後述する。
本発明による効果が効果的に発揮されるよう、図示されている態様のように、押さえ部材(30)が縦中心線(40)に対し線対象をなすようにマスク本体部(10)の主面に設けられているのが好ましい。
なお、図示されている態様からも分かるように、押さえ部材(30)はマスク本体部(10)の主面(着用者がマスク(100)を着用した際の、マスク本体部(10)における着用者側と反対側の主面上)に備えることができる。また、マスク(100)が備える押さえ部材(30)の数も適宜調整でき、1つだけ備えたマスク(100)であっても、複数備えたマスク(100)であってもよい。
ここでいう交点(I)部分とは、マスク本体部(10)の主面における縦中心線(40)と押さえ部材(30)がなす交点(I)を含む部分を指す。なお、マスク本体部(10)と押さえ部材(30)が直接接触して重なっていても、後述する接着剤や粘着材などを間に介して重なっていてもよい。押さえ部材(30)と縦中心線(40)を含めたマスク本体部(10)とが重なっている部分(交点(I)部分)の形状は適宜調整するものであるが、例えば、線、点、幅を有する線状、矩形状、楕円などの略円形を有する形状であってもよい。
ここでいう一体化しているとは、マスク本体部(10)の主面に固定されており押さえ部材(30)をマスク本体部(10)から容易に離間できない状態であることを指す。また、一体化していないとは、マスク本体部(10)に固定されておらずマスク本体部(10)が押さえ部材(30)から容易に離間できる状態(例えば、マスク本体部(10)の弾力や圧縮回復力などの物性によって押さえ部材(30)から離間できる状態)であることを指す。
なお、本発明にかかるマスク(100)は、押さえ部材(30)をマスク本体部(10)と交点(I)部分のみで一体化させて提供できるものである。つまり、マスクの提供に際し、押さえ部材(30)におけるマスク本体部(10)側の全面をマスク本体部(10)と固定して一体化する必要がない。そのため、本発明にかかるマスク(100)は提供し易いマスク(100)である。
そして、図4(b)に図示したように、マスク(100)が顔面(51)上を移動することで鼻(52)とマスク本体部(10)との間に新たに隙間(53)が発生し得る場合であっても、マスク本体部(10)における押さえ部材(30)の端部(E)と一体化していない部分(図2に示すように、左右対称となるように重ね合わせて二つ折りした状態のマスク(100)を側面から見た際に、押さえ部材(30)の前記端部(E)の紙面上における奥側にあるマスク本体部(10)の部分)は、鼻(52)へ向かい移動できる。そのため、鼻(52)とマスク本体部(10)が近づくことができ、その結果、鼻(52)とマスク本体部(10)との間に発生した隙間(53)の大きさを小さくできる。
上述の素材は、例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、炭化水素の一部をシアノ基またはフッ素或いは塩素といったハロゲンで置換した構造のポリオレフィン系樹脂など)、スチレン系樹脂、ポリエーテル系樹脂(ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、ユリア系樹脂、エポキシ系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル、芳香族ポリエーテルケトンなど)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、全芳香族ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂など)、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド系樹脂(例えば、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエーテルアミド樹脂、ナイロン樹脂など)、二トリル基を有する樹脂(例えば、ポリアクリロニトリルなど)、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど)、セルロース系樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、アクリル系樹脂(例えば、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルなどを共重合したポリアクリロニトリル系樹脂、アクリロニトリルと塩化ビニルまたは塩化ビニリデンを共重合したモダアクリル系樹脂など)など、公知の有機ポリマーからなることができる。
なお、これらの有機ポリマーは、直鎖状ポリマーまたは分岐状ポリマーのいずれからなるものでも構わず、また有機ポリマーがブロック共重合体やランダム共重合体でも構わず、また有機ポリマーの立体構造や結晶性の有無がいかなるものでも、特に限定されるものではない。更には、複数の有機ポリマーを混ぜ合わせたものでも良く、特に限定されるものではない。
布帛を構成する繊維は、一種類あるいは複数種類の樹脂成分から構成されてなるものでも構わず、一般的に複合繊維と称される、例えば、芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型、オレンジ型などの複合繊維を使用できる。なお、一方の繊維成分が熱接着成分である熱可塑性樹脂を備えた複合繊維や、熱収縮率の異なる複数の樹脂を備えた潜在捲縮性の複合繊維を使用してもよい。
布帛を構成する繊維の繊維径は特に限定するものではないが、前記繊維径は0.01μm~1mmであるのが好ましく、0.1μm~100μmであるのがより好ましい。また、繊維長も特に限定するものではないが、短繊維や長繊維あるいは連続繊維を使用できる。
繊維ウエブを加熱処理する方法として、例えば、カレンダーロールにより加熱加圧する方法、熱風乾燥機により加熱する方法、無圧下で赤外線を照射する方法などを用いることができる。
また、直接紡糸法を用いて、紡糸溶液や溶融した樹脂を細径化して直接紡糸すると共に繊維を捕集して不織布を調製してもよい。
そして、機能性成分は素材の表面及び/又は内部に粒子状、あるいは、前記素材の表面(例えば、繊維表面など)の一部または全部を被覆するように皮膜状で存在していることができる。
素材に機能性成分を担持する方法は適宜選択できるが、例えば、機能性成分の分散液、あるいはバインダを含んだ機能性成分の分散液を、素材の一方の主面あるいは両主面へ、噴霧あるいは既知のコーティング方法(例えば、グラビアロールを用いたキスコーティング法、ダイコーティング法など)を用いて担持した後、素材から溶媒を除去する方法や、素材を上述の分散液に浸漬し引き上げた後、素材から溶媒を除去する方法などを採用できる。
前記素材を帯電させる手段として、例えば、プラズマ帯電処理やコロナ帯電などイオンを注入して帯電させる手段、極性液体を介して力を作用させて帯電させる手段、複数種類の繊維成分を摩擦して帯電させる手段など、公知の手段を適宜選択して、又は組み合わせて利用できる。
体積固有抵抗値が1014Ω・cm以上の有機ポリマーとして、例えば、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリスチレン系樹脂など)、ポリ四フッ化エチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタンなどを挙げることができる。なお、本発明における「体積固有抵抗値」は、JIS K6911「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準じた測定により得られる値をいう。
このようなヒンダードアミン系化合物の具体例として、例えば、ポリ[{(6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル){(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}}、コハク酸ジメチル-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン重縮合物、2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-n-ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)などを挙げることができる。
有機ポリマーに対する、これらの添加剤の添加量は特に限定されるものではないが、有機ポリマーの質量に対して、0.01~5質量%の質量で添加されていることが望ましい。添加剤の添加量が0.01質量%未満では、素材が発揮する帯電効果が小さくなる傾向にあるため、0.05質量%以上の添加量とするのが好ましい。また、当該添加量が5質量%を超えた場合、素材の強度が劣る傾向にある。そのため、当該添加量を4質量%以下とするのがより好ましい。
極性液体を素材へ付与する手段として、例えば、スプレー、シャワー、ノズルなどを用いて極性液体を霧状、液滴状、液流状などの態様として付与する手段や、例えば、含浸装置(例えば、Rodney Hunt社のサチュレーター)を用いて極性液体に素材を浸漬することで付与する手段などが挙げられる。極性液体を素材に付与する手段は、帯電された素材を得られるのであれば限定されるものではなく、適宜選択するのが好ましい。
また、液体帯電過程において使用される極性液体の温度は、素材を帯電できるのであれば、限定されるものではないが、40℃以下であることが好ましい。
乾燥処理に使用する装置は、例えば、キャンドライヤやカレンダなどの加熱ローラ、熱風ドライヤ、熱風乾燥機、電気炉、ヒートプレートなど、公知の装置を挙げられる。乾燥処理における温度は、好ましくは120℃以下、より好ましくは105℃以下、さらに好ましくは90℃以下である。
あるいは、上述の乾燥装置を使用することなく自然乾燥する、または、超音波や振動あるいはサクションの作用により極性液体を除くなど、素材が熱を受け難い乾燥処理を行っても良い。
不織布を帯電させる手段として、複数種類の繊維成分を摩擦して帯電させる手段を利用する場合、フラットカードやローラーカードに代表されるカード装置の他、ガーネット装置或いはエアレイ法に属する装置を用いると、繊維同士が互いに摩擦しやすいため好ましい。また、最終的に得られる帯電された素材の強度を高めると共に帯電量の向上を図るために、ニードルパンチ装置に供してなる不織布であるのが好適である。
具体的には、上述した範囲の厚さを有するマスク本体部(10)を採用することによって、特に、厚さが1mm以上、より好ましくは1.5mm以上のマスク本体部(10)を採用することによって、上述の効果が発揮され好ましい。
以下の繊維組成で混繊し、カード機へ供した後に水圧9MPaで水流絡合することによって、ハーフマット(目付:30g/m2)を調製した。
・レーヨン短繊維A(繊度:1.7デシテックス、繊維長:40mm):55質量部。
・レーヨン短繊維B(繊度:1.6デシテックス、繊維長:44mm):15質量部。
・ポリエステル短繊維(繊度:1.5デシテックス、繊維長:38mm):20質量部。
・ポリオレフィン短繊維(繊度:1.7デシテックス、繊維長:51mm):10質量部。
次いで、以下の繊維組成で混繊し、カード機へ供することで摩擦帯電繊維ウェブ(目付:65g/m2)を調製した。
・ポリプロピレン短繊維(繊度:2.2デシテックス、繊維長:51mm):40質量部。
・アクリル短繊維(繊度:2.2デシテックス、繊維長:51mm):60質量部。
上述のようにして調製したハーフマットの一方の主面に摩擦帯電繊維ウェブを積層し、摩擦帯電繊維ウェブ側から、針番手40のクロスバーブニードルを用いてニードルパンチ処理(針深さ:13mm、針密度:34本/cm2)を施すことで、積層不織布(目付:95g/m2、厚さ:1.5mm)を調製した。
更に、以下の繊維組成で混繊し、カード機へ供した後に水圧9MPaで水流絡合することによって、第一表面材(目付:50g/m2)を調製した。
・ポリプロピレン短繊維(繊度:2.2デシテックス、繊維長:51mm):64質量部。
・芯鞘型複合短繊維(繊度:3.3デシテックス、繊維長:64mm、芯部:ポリプロピレン、鞘部:ポリエチレン):36質量部。
また、芯部がポリプロピレンかつ鞘部がポリエチレンからなる芯鞘型複合繊維からなるスパンボンド不織布(目付:20g/m2)を用意し、第二表面材とした。
上述のようにして用意した各布帛を、第一表面材-積層不織布(積層不織布における摩擦帯電繊維ウェブ側が、第一表面材側に面するようにして配置)-第二表面材の順番で積層し、各布帛の層間にオレフィン系樹脂のホットメルトスプレーを塗布量が目付3g/m2となるように付与することで、各布帛を貼り合わせ、濾材(目付:171g/m2、厚さ:1.8mm)を調製した。
ポリウレタン樹脂からなるメルトブロー不織布(目付:20g/m2、伸縮性を有する不織布)と、ポリエステル短繊維のスパンレース不織布(目付:30g/m2、主面の一方向と前記方向と垂直をなす主面の別の一方向の物性が異なる不織布)とをポイントシール処理(ポイントシール形状:直径1mmの円形状、ポイントシール密度:16個/cm2)へ供することで、前記メルトブロー不織布と前記スパンレース不織布を貼り合わせ、伸縮性を有すると共に主面の一方向と前記方向と垂直をなす主面の別の一方向の物性が異なる積層不織布(以降、伸縮性を有する積層不織布と称する、目付:50g/m2、厚さ:0.4mm、MDおよびCMD方向の50%伸長時伸長回復率(%):65%以上)を調製した。
ポリオレフィンを主成分とした樹脂シートから、長辺82mm×短辺4mm×厚さ約1mmの板状部材を切り出し、短辺と平行を成す折り目を付け左右対称となるよう該折り目で二つに折り曲げ、押さえ部材(押さえ部材A)を調製した。
なお、押さえ部材Aを上述した測定方法へ供した結果、測定された内角θの角度は102°であった。そのため、押さえ部材Aは、板バネとして機能しない素材からなる押さえ部材(換言すれば、板バネとして機能しない押さえ部材)であった。
ポリエステルを主成分とした樹脂シートから、長辺82mm×短辺4mm×厚さ約1mmの板状部材を切り出し、短辺と平行を成す折り目を付け左右対称となるよう該折り目で二つに折り曲げ、押さえ部材(押さえ部材B)を調製した。
なお、押さえ部材Bを上述した測定方法へ供した結果、測定された内角θの角度は150°であった。そのため、押さえ部材Bは、板バネとして機能する素材からなる押さえ部材(換言すれば、板バネとして機能する押さえ部材)であった。
濾材から一辺150mmの正方形形状の濾材を一枚切り出した。
また、伸縮性を有する積層不織布から一辺150mmの正方形形状の伸縮性を有する積層不織布を二枚切り出した。
そして、正方形形状の濾材における対向する両端部の辺の各々に、正方形形状の伸縮性を有する積層不織布における端部の辺を重ね合わせた。そして、重ね合わせた部分を超音波溶着機を用いて直線状に溶着接合して、複合体を調製した。
その後、直線状に溶着接合した両部分を重ねるようにして、濾材部分を中央で折り、複合体を半分に折った。そして、半分に折った複合体の濾材部分における、マスク着用時に着用者の鼻梁部分および口から顎に当たる部分を超音波溶着機を用いて溶着接合すると共に、図2に図示した態様となるように打ち抜き機で裁断し二つ折りマスクを調製した。
図2に図示している、本発明にかかる構成を備えるマスクを調製した。
なお、濾材部分における着用者の上方向(図2における紙面上の上方向)の端部から着用者の下方向(図2における紙面上の下方向)の端部へ向かう縦中心線上の15mmの位置に、濾材部分における縦中心線と押さえ部材Aにおける谷折り部分を重ね合わせ、両面テープを間に介在させて、押さえ部材Aを交点部分において濾材部分と一体化した。
このとき、二つ折りした状態のマスクを側面から見た際に、押さえ部材Aの長辺の長さは40mmであった。
また、押さえ部材Aにおける中心線との交点から端部へ向かう3mmまでの部分を、濾材部分と固定し一体化させ、それ以外の部分(押さえ部材Aにおける端部から前記一体化している部分までの部分)は、濾材部分と一体化させなかった。
押さえ部材Aにおける濾材部分と接触している部分の全面において、両面テープを間に介在させて、濾材部分の主面に押さえ部材Aを固定し一体化させた。
固定し一体化させる態様をこのように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてマスクを調製した。
押さえ部材Aの代わりに押さえ部材Bを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてマスクを調製した。
図2に図示している、本発明にかかる構成を備えるマスクを調製した。
なお、濾材部分における着用者の上方向(図2における紙面上の上方向)の端部から着用者の下方向(図2における紙面上の下方向)の端部へ向かう縦中心線上の15mmの位置に、濾材部分における縦中心線と押さえ部材Aにおける谷折り部分を重ね合わせ、超音波溶着機を用いて押さえ部材Aと濾材部分の接触部分を溶着させることで、押さえ部材Aを交点部分において濾材部分と一体化した。
このとき、二つ折りした状態のマスクを側面から見た際に、押さえ部材Aの長辺の長さは40mmであった。
また、押さえ部材Aにおける中心線との交点から端部へ向かう3mmまでの部分を、濾材部分と固定し一体化させ、それ以外の部分(押さえ部材Aにおける端部から前記一体化している部分までの部分)は、濾材部分と一体化させなかった。
その後、手でマスクを持ちマスクを顔面上で移動させた。
その結果、比較例1のマスクでは鼻とマスク本体部との間に新たに隙間が発生していた。
一方、実施例1および実施例3のマスクでは着用者の鼻とマスク本体部との間に若干の隙間は発生していたものの、その大きさは比較例で発生していた隙間の大きさよりも小さいものであった。また、実施例2のマスクでは着用者の鼻とマスク本体部との間に隙間は発生していなかった。
20・・・耳掛け部材
30・・・押さえ部材
40・・・マスク本体部を左右に二分する縦中心線
51・・・着用者の顔面
52・・・着用者の鼻
53・・・隙間
60・・・直角を有する型
100・・・マスク
X・・・横方向
E・・・押さえ部材の耳掛け部材へ向かい延在する方向側の端部
I・・・マスク本体部の主面における縦中心線と押さえ部材との交点
B・・・押さえ部材とマスク本体部が一体化している部分
Claims (2)
- マスク本体部と、前記マスク本体部における横方向の端部に各々設けられた耳掛け部材、ならびに、押さえ部材を備えるマスクであって、
前記押さえ部材は、前記マスク本体部を左右に二分する縦中心線と交点をなすと共に、前記交点から前記耳掛け部材へ向かう方向へ延在して、前記マスク本体部の主面に設けられており、
前記押さえ部材は、前記交点部分において接着剤によって、あるいは、前記マスク本体部および/または前記押さえ部材の構成成分の溶着によって前記マスク本体部と一体化しており、
前記押さえ部材は、前記延在する方向側の端部において前記マスク本体部と一体化していない、マスク。 - 板バネとして機能する押さえ部材を備える、請求項1に記載のマスク。
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