以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る回転ドラム式乾燥機を示し、(a)は回転ドラム式乾燥機100の斜視図、(b)はその正面図を示す。回転ドラム式乾燥機100の筐体は、操作パネル部110、乾燥処理室120、排気室130によって構成されている。乾燥処理室120の前面には、被処理物を出し入れするため、ヒンジ機構124によって回動する開閉扉122が取り付けられている。乾燥処理室120内には、被処理物を収容する回転ドラムと、前記回転ドラムを収納するシェルとを少なくとも備える。排気室130は、乾燥処理室120の下側に設けられ、回転ドラムから出た排気中のリントを捕獲回収するリントフィルタを備える。
操作パネル部110内には、CPU基板(不図示)が実装されている。CPU基板には、CPUと操作系回路が実装されている。操作パネル部110のパネル部には、フレッシュブロー用のスイッチ112が設けられている。回転ドラム式乾燥機100を使用する顧客は、衣類等を乾燥処理室120に挿入する前にスイッチ112を押すと、例えば15秒間だけ空運転が実行され、乾燥処理室120内の換気及び洗浄が行われる。この操作により乾燥処理室120が清潔に保たれ、顧客は安心して回転ドラム式乾燥機100を使用することが出来る。また、操作パネル部110のパネル部には、100円で利用可能な「乾燥時間」の表示部が設けられている。「乾燥時間」は、回転ドラム式乾燥機100の近くに設けられる集中精算機(不図示)によってリモート操作により設定することができる。コインランドリーやクリーニング店のサービス日に応じて、簡単に時間設定(変更)することができ、サービス提供がスムーズに実施できる。
図2(a)は、乾燥処理室120の開閉扉122と、操作パネル部110及び排気室130のカバーを取り除いた斜視図を示す。乾燥処理室120内には、横向きの円筒状の回転ドラム200が回転自在に取り付けられている。回転ドラム200は、被処理物が投入される開放側(開閉扉側とも言う)と、回転駆動軸が取り付けられる回転軸側を有する。回転ドラム200の外側には、回転ドラム200の外周面との間に隙間を隔てて、ドラム外周を囲繞している横向きの円筒状のシェル(外胴)205が設けられている。回転ドラム200の内側には、乾燥対象の濡れた衣類等(被処理物)を回転ドラム200の下面から上方に持ち上げるハット210が設けられている。ハット210は、回転ドラム200の大きさに応じて、円周上に等間隔で3箇所又は4箇所の位置に深さ方向(円筒方向)に設けられている。排気室130の上面には、リントフィルタ400が引き出し式に交換可能に設けられている。リントフィルタ400は、回転ドラム200から出た排気中のリントを捕獲回収するフィルタである。
図2(b)は、乾燥処理室120の背面と、排気室130の背面を示す斜視図である。乾燥処理室120の背面のほぼ中央部には、回転ドラム200の回転軸215と、その回転軸215に固定接続されるプーリー220が取り付けられている。回転軸215は、背面壁部217に回転自在に固定接続されている。プーリー220は、回転ドラム用モータ(図13の符号545)のプーリー225とVベルト230によって摩擦接続されており、プーリー225の回転に応じてVベルト230を介してプーリー220が回転し、回転ドラム200を回転する。排気室130の背面にはシロッコファン式の排気ファン(送風機)235が設けられ、排気ファン235の回転により排気室130に導かれた空気が排気ダクト240から外部に排気される。
さらに、乾燥処理室120の背面のプーリー220の右側(後述する回転駆動機構と右側板との間)には加熱ユニット245が設けられている。加熱ユニット245の詳細は後述する。ここでは、加熱ユニット245をプーリー220の右側に設けているが、プーリー220の左側に設けても良い。加熱ユニット245を乾燥処理室120の背面に配置することにより、乾燥処理室120の高さを低く設計することが出来ると共に、加熱ユニット245から乾燥処理室120内の回転ドラム200の温風入口までの距離を短く設計することが出来るため、商品のコストダウンと乾燥効率の改善に繋がる。なお、回転ドラム用モータ、プーリー220、225、Vベルト230の回転駆動機構は、乾燥処理室120の背面に設けられ、回転ドラム200を回転駆動する構造であればどのようなものであっても良い。
また、乾燥処理室120の背面の左下側にはON/OFF動作する風量センサ(フローバルブ)535が設けられている。風量センサ535を取付けた際、風量センサ535がバタつかない様にテープ等で固定すると共に、そのテープと風量センサ535の間に保護シートを設けるとよい。更に、排気室130の排気ファン235の左下側近傍に出口側温度センサ530が設けられている。なお、風量センサ535と出口側温度センサ530の機能については、後述する。
次に、図3乃至図6を参照して、回転ドラム200の構成について説明する。図3(a)は、回転軸215と回転ドラム200の接続構造を示す背面図、図3(b)は図3(a)の側面図である。図4(a)は、実施形態に係る回転ドラムの背面板の側面図、図4(b)は背面板を後ろから見た図で、加熱ユニットからの温風の取込口(開口)を示す図である。図5(a)は、回転ドラム200を上面図、図5(b)は、回転ドラム200の開閉扉側に形成して通気孔の形状を示す図である。図6は、回転ドラム200の外周端に取付けられるフェルトの取付構造を示す図である。
図3(a),(b)において、横向きの円筒形の回転ドラム200は、開閉扉側を除きシェル205に囲われている。開閉扉側から見たシェル205の背面板205aには、回転軸215が貫通し、その回転軸の先端部250には、円形状の取付板255が溶接等により固定接続されている。円形状の取付板255には、長方形の接続金属板260a~260dの一端が溶接等により固定接続されている。また、長方形の接続金属板260a~260dの他端は、シェル205の背面板205aに対向する回転ドラム200の外周面200aにネジ等により固定接続されている。即ち、長方形の接続金属板260a~260dは、回転軸から放射状の固定部材を構成している。これにより、プーリー220の回転により回転軸215を回転させ、さらに回転ドラム200を回転させる機構を形成する。そして、開閉扉側から見た回転ドラム200の背面外周面200aの内側の内周面200bは、外周面200aに比べ開閉扉側に突出している。つまり、シェル205の背面板205aと回転ドラム200の内周面200bとにより形成される間隙(一部、背面板205aと外周面200aの隙間も含む)は、加熱ユニット245から送風される温風の通過道(送風道)となる。なお、図3では、内周面200bを開閉扉側に突出した形状としたが、背面板205aを回転軸側に突出した形状としてもよい。
図4(a)は、実施形態に係る回転ドラムの背面板の側面図、図4(b)は背面板を後ろから見た図で、加熱ユニットからの温風の取込口(開口)を示す図である。図4はまた、回転ドラム200の背面板の外周面200aと、その内側の内周面200bの形状を示している。図4(b)に示すように、回転軸を中心とする内側の内周面200bには、加熱ユニット245から送風される温風270を、回転ドラム200内の乾燥対象の濡れた衣類等(被処理物)に向けて温風が通過する多数の通気孔(又は貫通孔、多孔とも言う)265が形成されている。多数の通気孔265は、プレス加工によって回転軸側に打ち抜きされた孔であり、内周面200bを4等分したエリア毎に格子状に孔が空けられ、ダボは有していない。プレス加工時には、表面にバリや傷が無いことを確認し、もしもバリを見つけたら、当該バリを除去する作業を行う。また、通気孔265の孔の大きさは約7mmが最適である。図4(b)に示すシェル205の開口275は、加熱ユニット245から送風される温風270の取込口である。開口275から取り込まれた温風270は、さらに温風270a~270bのように、段差が設けられた内周面200bに流れ、内周面200bのほぼ全領域の通気孔265に向けて吹き込まれる。
図4(a)に示すように、回転ドラム200の直径に対し、内側の内周面200bの直径はその50%以上~80%以下が好ましい。例えば、回転ドラム200の直径が約900mmの大容量タイプの場合、内側の内周面200bの直径は約570mmが最適である。また、回転ドラム200の直径が約760mmの小容量タイプでも、内側の内周面200bの直径は約570mmが最適である。また、図4(a)に示すように、シェル205の背面板205aと回転ドラム200の内周面200bとにより形成される間隙Saは、40~60mm(50mmが最適)程度が好ましい。また、背面外周面200aとその内側の内周面200bの段差幅Dsは、20~40mm(30mmが最適)程度が好ましい。
このように実施形態によれば、回転ドラム200の背面板は、温風が通過する多数の通気孔が形成されている内周面200bと、内周面200bの外側の外周面200aとで構成され、且つ内周面200bは開閉扉側に突出する(段差を有する)特徴を有している。これにより、回転ドラム200の内周面200bのほぼ全領域の通気孔265から回転ドラム内の被処理物に向けて温風を吹き込むことができる。回転ドラム200の内周面200bの広さは、背面板の全面積の25%以上~65%以下が好ましい。外周面200aは、長方形の接続金属板260a~260dを固定する領域、およびハット210を固定する領域を確保している。
図5(a)は、回転ドラム200だけの上面図を示している。図5(a)に示すように、回転ドラム200の横向きの側面板は、回転軸(背面)側の第1領域200cと、開閉扉側の第2領域200dとを有し、第2領域200dにだけに空気(温風)が通過する通気孔280が多数形成されている。つまり、回転ドラム200の内周面200bのほぼ全領域の通気孔265から回転ドラム内の被処理物に向けて吹き付けられる温風は、ロスなく第1領域200cに送風される。一方、回転ドラム200の開閉扉側の第2領域200dは、回転ドラム200内の空気が排気される排気領域となる。そして、回転ドラム200の開閉扉側の第2領域(排気領域)200dの下側には、乾燥処理室120と排気室130と接続する排気口290が形成されている。よって、回転ドラム200の内周面200bのほぼ全領域の通気孔265から回転ドラム内の被処理物に向けて吹き付けた後の空気(温度が下がった温風)は、回転ドラム200の第1領域200cを介して第2領域(排気領域)200dの通気孔280を通過して、乾燥処理室120と排気室130と接続する排気口290を通り排気室130に排気(吸引)される。
図5(b)は、回転ドラム200の第2領域(排気領域)200dに形成されている通気孔280の詳細な形状を示す図である。図5(b)に示すように、通気孔280は千鳥状に上下左右に整列して配置されている。通気孔280の直径は、約8mm程度が最適である。また、1つの通気孔と隣り合う通気孔の横方向の間隔Za(段違いの孔の中心間)は約9.2mm程度が最適であり、同じく縦方向の間隔Zb(同じ列の中心間)は約12mm程度が最適である。さらに、A-A断面図に示すように、通気孔280には、外側に向けてダボ280aが形成されている。ダボ280a(深さ方向)の長さは、約2.5mm程度が最適である。ダボ280aの形成により、回転ドラム200の第2領域(排気領域)200dの強度を確保することができる。即ち、乾燥運転時、第2領域(排気領域)200dには被処理物が投入されて回転する。従って、通気孔280が単なる貫通孔とした場合、強度が弱くなる。これに対し、本実施形態では、ダボ280aの形成により第2領域(排気領域)200dの強度を強くすることができる。
図6は、回転ドラム200の外周端に取付けられているフェルト295の取付構造を示す図である。図3(b)に示すシェル205の背面板205aと、それに対向する回転ドラム200の外周端との間には、回転のための隙間が必要である。この隙間を塞ぐように、回転ドラム200の外周端の全端部にフェルト295が円形状に設けられている。フェルト295は、回転ドラム200の外周端に円形状の金板298によってリベット等で固定接続されている。このように、フェルト295を取付けることで、シェル205の背面板205aと、それに対向する回転ドラム200の外周端との間に生じている隙間から回転ドラム200内の温風が漏れることが防止できる。
次に、図7乃至図10を参照して、回転駆動機構の横に取付けられる加熱ユニットの構成について説明する。図7(a),(b)は、加熱ユニット245の斜視図と正面図を示している。図8は、加熱ユニット245の分解図を示している。図9(a),(b)は、加熱ユニット245の側面図と、そのA-A断面図を示している。図10は、加熱ユニット245内の温風の流れ方向を示している。
図7(a),(b)に示すように、加熱ユニット245は、底面部が開放された縦長の立方体の形状を有している。加熱ユニット245の底面部には、ガス栓300が取付けられている。また、前面の下側には、内部に設けられるガスバーナーの着火状況を確認できる覗き穴305が設けられている。
図8は、図7に示した加熱ユニット245の分解図を示している。加熱ユニット245の前面板310を取り外すと、内部の下側から中央部にかけてバーナーユニット315が設けられ、バーナーユニット315の上側にダクト部317が設けられている。バーナーユニット315は、立方体の形状を有し、その上面の温風出口320は、傾斜板325によって狭い温風の出口を形成している。つまり、バーナーユニット315は、上方に向けて開口面積が小さい形状をなしている。傾斜板325によって形成される温風出口320は、底面の3/5~1/2程度の大きさが好ましい。これにより、バーナーユニット315により暖められた空気が勢いよく、温風出口320から送風することができる。
図9(a),(b)は、加熱ユニット245の側面図と、そのA-A断面図を示している。バーナーユニット315の上部のダクト部317には、水平板330、縦板335、水平板330と縦板335を取付ける傾斜板340、加熱ユニット送風口345が設けられている。傾斜板340は、バーナーユニット315の後部上面に取付けられている。また、水平板330の近傍で温風出口320と少し離れた位置には、入口側温度センサ(サーミスタ)525が設けられている。入口温度センサ(サーミスタ)525の機能については、動作時に説明する。
図10は、加熱ユニット245内の温風の流れ方向を示している。バーナーユニット315内のガスバーナー350によって暖められた空気が、温風出口320から送風され、ダクト部317の水平板330に当たり、前方方向に押し返される。そして、加熱ユニット245とバーナーユニット315の間に形成される隙間(両側および前側の間隙)から取り込まれる外気と混合した温風は、縦板335に当たって上昇し、加熱ユニット送風口345から回転ドラム200側のシェル205の開口275に向けて送風される。
図11は、回転ドラム式乾燥機100の乾燥空気の流れを示している。図11に示すように、加熱ユニット245のガスバーナー350によって暖められた空気が、図4(a)に示す開口275から回転ドラム200の段差が設けられた内周面200bのほぼ全領域の通気孔265を通り、回転ドラム200内の被処理物(被乾燥物)に向けて吹き付けられる。一方、排気室130の背面に設けられたシロッコファン式の排気ファン235の回転によって、排気室130に排気される空気が吸引されている。これにより、回転ドラム200内の被処理物(被乾燥物)に向けて吹き出された空気は、図5(a)に示した排気口290から排気室130に排気(吸引)される。排気室130の上面には、リントフィルタ400が設けられており、排気される空気に含まれる糸屑等が除去されて排気ファン235内に吸引され、排気ダクト240から外部に排気される。
図12は、排気室130のリントフィルタ400の交換を示す図である。排気室130の上面に設けられリントフィルタ400には、排気される空気に含まれる糸屑等が堆積される。従って、リントフィルタ400を定期的に交換する必要がある。そこで、排気室130の前面蓋130aを開けて、その上面に設けられるリントフィルタ400を引き出して、新しいフィルタに交換することができる。
図13は、回転ドラム式乾燥機100の制御装置500の構成を示す図である。制御装置500は、図1の操作パネル部110内に収納されるCPU基板に実装されている。そして、制御装置500は、CPU505,ROM510,RAM515等からなるマイクロコンピュータにより構成されている。制御装置500は、図1の操作パネル部110により設定された運転コースに基づいて、安全かつ効率良く乾燥工程の制御を行う。CPU505は、入力インタフェース520を介して入口側温度センサ525、出口側温度センサ530(図2を参照)、風量センサ535(図2を参照)からの検出信号を受信する。そして、出力インタフェース540を介して排気ファン235の駆動、回転ドラム200のモータ545の駆動、及び加熱ユニット245を制御する。
上記ROM510には、各センサ等からの信号に基づいて乾燥工程を行うプログラムが書き込まれている。CPU505は、入口側温度センサ525からの信号により入口側温度を検知する入口側温度検知手段と、入口側温度検知手段で検知した検出温度と予め設定された制御基準温度とを比較して、検出温度が制御基準温度の上限値よりも高い場合に排気ファン235の回転周波数を増加させる信号を送出し、検出温度が制御基準温度の下限値よりも低い場合には排気ファン235の回転周波数を減少させる信号を送出するファン制御手段と、出口側温度センサ530による出口側温度を検知する出口側温度検知手段と、をプログラムモジュールとして備える。そして、乾燥工程において入口側温度センサ525により排気ファン235の回転周波数を制御しながら加熱ユニット245のガスバーナー350を連続燃焼して被乾燥物の乾燥を行う。
図14は、制御装置500の処理の流れを説明するフローチャートである。制御装置500は、まず、排気室130の背面に設けられる排気ファン235を作動させる(ステップS10)。なお、本実施形態においては、排気ファン235の回転数として、4段階(低速、中速、中高速、高速)に設定可能となっており、初期回転数は中速に設定される。
排気ファン235を中速で作動させると、排気ダクト240に負圧が発生し、これにより乾燥処理室120内の空気は、排気口290(図5参照)から吸い出されて排気室130に流入し、途中でリントフィルタ400によって濾過(糸屑や綿屑の除去)が行なわれる。濾過された空気は、排気室130の背面に設けられる排気ファン235を通って排気ダクト240から排気される。この時点では、加熱ユニット245のガスバーナー350の点火は行われない。
排気ファン235の中速で作動を開始させたならば、制御装置500は風量センサ535を監視する(ステップS20)。そして、風量センサ535がONになったか否かを判定する(ステップS30)。ステップS30において、風量センサ535がONになっていない(No)と判定した場合、制御装置500は、排気ファン235の作動開始時から、又は、排気ファン235の回転数の変更時から、予め定められた風量判定時間が経過したか否かを判定する(ステップS40)。この風量判定時間は、例えば、排気ファン235の作動開始後の最初の判定では15秒に、排気ファン235の回転数の変更時からの判定では5秒に、それぞれ設定している。ステップS40において、風量判定時間が経過していない(No)と判定した場合、制御装置500は、ステップS20に戻り、風量センサ535のON/OFFの監視を引き続き行う。
一方、ステップS40において、制御装置500は、風量判定時間が経過した(Yes)と判定した場合、即ち、排気ファン235の作動開始時から15秒が経過した、又は、前回の排気ファン235の回転数の変更時から5秒が経過した、と判定した場合、排気ファン235の現時点の回転数が、高速であるか否かを判定する(ステップS50)。このステップS50において、現時点の回転数が高速である(Yes)と判定した場合、回転数を高速に設定した後も風量が十分に得られていないことから、ガスバーナー350の点火は行わない。そして、風量不足である旨を使用者に対して報知する等のエラー処理(ステップS60)を行い、乾燥工程を終了する。
一方、ステップS50において、現時点の回転数が高速に達していない(No)と判定した場合、制御装置500は、排気ファン235の回転数を一段階、例えば中速から中高速に上げた後(ステップS70)、ステップS20に戻り、以降の処理を行う。
上記ステップS30において風量センサ535がONになった(Yes)と判定した場合、制御装置500は、加熱ユニット245のガスバーナー350を点火させる(ステップS70)。この際、燃焼に必要な風量が予め確保されているため、ガスバーナー350を不完全燃焼させることなく円滑に点火させることができる。このようにして、加熱ユニット245によって熱せられた温風が、開口275(図4参照)から回転ドラム200の内周面200bの通気孔を介して回転ドラム10内に導かれる。乾燥処理では、所定の回転速度で回転ドラム200を一方向へ回転させて被処理物を攪拌するとともに、回転ドラム200内に導入した温風に晒して(温風を吹き掛けて)被処理物の乾燥動作が行われる。
ガスバーナー350を点火したならば、制御装置500は、第1入口側温度制御を行う(ステップS80)。この第1入口側温度制御では、排気ファン235の回転数を中速に維持した状態で、温風を予め定められた制御基準温度の範囲内に保つようにガスバーナー350のオン・オフ制御を行う。
具体的には、制御装置500は、入口側温度センサ525を監視し、この入口側温度センサ525の検出温度Tが第1制御基準温度の上限値(第1上限温度Tmx1(例えば165℃))を超えた場合にはガスバーナー350の燃焼を停止する。停止後に検出温度Tが第1制御基準温度の下限値(第1下限温度Tmn1(例えば125℃))を下回った場合には、ガスバーナー350を再度点火するように制御を行う。この第1入口側温度制御は、ガスバーナー350bの点火後から一定時間、例えば、5分間行われる。
第1入口側温度制御を一定時間行った後、続いて、ファン可変速制御に移行する(ステップS90)。このファン可変速制御では、入口側温度センサ525で検知した検出温度と予め設定された制御基準温度(第2制御基準温度)とを比較して(温度判別)、検出温度が第2制御基準温度の上限値(第2上限温度Tmx2(例えば、135℃))よりも高い場合には、排気ファン235の回転数を増加させる。検出温度が第2制御基準温度の下限値(第2下限温度Tmn2(例えば、105℃))よりも低い場合には、排気ファン235の回転数を減少させるように制御を行う。
図15は、ファン可変速制御の処理を説明するフローチャートである。制御装置500は、ステップS200及びステップS240において温度判別を行う。即ち、ステップS200では、入口側温度センサ525による検出温度Tが第2上限温度Tmx2を超えたか否かを判定する(ステップS200)。このステップS200において、検出温度Tが第2上限温度Tmx2を超えていない(No)と判定した場合、検出温度Tが第2下限温度Tmn2を下回ったか否かを判定する(ステップS240)。そして、ステップS240において、検出温度Tが第2上限温度Tmn2を下回っていない(No)と判定した場合は、検出温度Tが制御基準温度範囲内であるとみなして、ステップS200に戻り、温度判別を継続する。
一方、ステップS240において、検出温度Tが第2上限温度Tmn2を下回った(Yes)と判定した場合は、制御装置500は、今回の温度判別がファン可変速制御に移行して最初の判別であるか否かを判定する(ステップS250)。今回の温度判別が1回目の判別である場合(Yes)、排気ファン235の回転数を変更せずに、ステップS200に戻り、温度判別を継続する。
上記ステップS250において、今回の温度判別が1回目の判別ではない(No)と判定した場合、制御装置500は、排気ファン235の回転数を一段階低下させる(ステップS260)。例えば、排気ファン235の回転数を中速から低速に下げる。これにより、風量が低下するので、制御基準温度範囲内に入るように入口側温度を上昇させることができる。排気ファン235の回転数を変更したならば、制御装置500は、予め定められている保留時間(例えば、1分)が経過するまで当該回転数を維持して温度判別を保留する(ステップS270)。このように回転数変更後の保留期間を設けることで、排気ファン235の回転数の不必要な変動を防止することができる。
この様にして乾燥処理の初期を過ぎると装置内が温まってくるので、入口温度が上限温度を超えることがある。即ち、ステップS200で検出温度Tが第2上限温度Tmx2を超えた(Yes)と判定した場合、制御装置500は、排気ファン235の現時点の回転数が高速であるか否かを判定する(ステップS210)。このステップS210において、制御装置500は、現時点の回転数が高速である(Yes)と判定した場合、リントフィルタ400の目詰まり等が原因で風量不足となっている可能性があるため、風量不足エラー扱いとする。この場合、制御装置500は、ファン可変速制御を行わずに、第2入口側温度制御(ステップS220)に移り、ガスバーナー350のオン・オフ制御による乾燥工程を行う。即ち、この第2入口側温度制御では、第1入口側温度制御と同様に、入口側温度センサ525の検出温度Tが第2上限温度Tmx2を超えた場合には、ガスバーナー350の燃焼を停止する。一方、消火後に検出温度Tが第2下限温度Tmn2を下回った場合にはガスバーナー350を再度点火するように制御を行う。
一方、上記ステップS210において、最初の判別の場合などにおいて現時点の回転数が高速に達していない(No)と判定した場合、制御装置500は、排気ファン235の回転数を一段階高める(ステップS230)。例えば、排気ファン235の回転数を中高速から高速に高める。これにより、風量が増加するので、制御基準温度範囲内に入るように入口側温度を低下させることができる。排気ファン235の回転数を変更したならば、上記ステップS270の温度判別保留処理に移行する。
なお、ステップS270での温度判別の保留中においても、制御装置500は入口側温度センサ525を監視し、検出温度Tがバーナー停止基準温度(例えば、155℃)を超えた場合には、ガスバーナー350の燃焼を停止させる。この場合、排気ファン235の回転数を強制的に高速に設定する。また、停止後に検出温度Tがバーナー点火基準温度(例えば105℃)を下回った場合には、ガスバーナー350を再度点火するように制御を行う。検出温度Tがバーナー停止基準温度を超えることなく保留時間が経過したならば、ステップS200に戻り、同様な処理が行われる。
以上のようにしてファン可変速制御が行われる。これにより、正常な乾燥運転が行われている間は、ガスバーナー350のオン・オフ制御を行うことなく排気ファン235の回転数の変更により風量を増減して制御基準温度範囲内に入るように温度の調整を行える。これにより、シェル205内の温度の急激な変化を抑制しつつ効率良く被処理物の乾燥を行うことができ、その結果、乾燥処理の所要時間を短縮することができる。また、リントフィルタ400が多少目詰まりすることにより風量が低下した場合においても、排気ファン235の回転周波数の変更により最適な風量を確保することができる。これにより、リントフィルタ400の清掃作業の頻度を少なく抑えることができる。
上記のファン可変速制御(又は、第2入口側温度制御)の一連の処理において、制御装置500は出口側温度センサ530を監視し、この出口側温度センサ530の検出温度が、予め定められた乾燥基準温度に達した場合には、図14のステップS100の出口側温度制御に移行する。この出口側温度制御において、制御装置500は、この出口側温度制御に移行した時点での排気ファン235の回転数を維持しつつ、一定の温度を保つように、ガスバーナー350のオン・オフ制御を行う(例えば、75℃でオフ、70℃でオン)。予め設定した乾燥時間が終了したならば、ガスバーナー350の燃焼を停止して乾燥工程を終了し、冷却工程に移行する。この冷却工程では、乾燥工程終了時点での排気ファン235の回転数を維持した状態で、シェル205内に引き続き風を送り込んで、被処理物の冷却を所定時間行う。
本発明の実施形態によれば、加熱ユニットを回転ドラムの背面側(プーリー215の横側)に取り付けて、加熱ユニットから最短距離で回転ドラム内に温風を導くことが出来るので、温風の温度を下げることなく乾燥作業を実施することが出来る。また、開口から取り込まれた温風を段差が設けられた内周面に流れ、内周面のほぼ全領域の通気孔に吹き込むことができる。また、回転ドラムの開閉扉側の第2領域(排気領域)にのみ排気用の通気孔(貫通孔)が多数形成されているので、回転ドラムの背面上面から開閉扉側の底部開口に向けて温風を送風(対角線の方向)することができる。即ち、温風を回転ドラム背面の内周面のほぼ全領域に形成される通気孔(貫通孔)から開閉扉側の底部開口に向けて温風が送風(対角線の方向)されるため、回転ドラム内の乾燥対象の衣類等(被処理物)の落下途中(ハットにより回転ドラムの下面から上方に持ち上げられて落下する工程)で温風を吹き掛けることができる。これにより、乾燥効率が高まり、乾燥作業時間を短く設定することが出来る。
また、加熱ユニットを回転ドラムの背面側(プーリー215の横側)に取り付けているので、ガスバーナーの着火確認や、加熱ユニットのメインテナンスが容易に実施することができる。
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。