JP7224471B2 - 回転電機の回転子、回転電機、回転電機の回転子の製造方法、および回転電機の製造方法 - Google Patents
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Description
このリラクタンスモータは、回転子鉄心において、リラクタンス(磁気抵抗)が小さく磁束の通りやすい部分と、リラクタンスが大きく磁束の通り難い部分とを、極数と同数交互に形成する。そして、回転子鉄心におけるこれらの各部分と、固定子との間の空隙磁束密度の差を利用してリラクタンストルクを発生させる。
しかしながらリラクタンスモータの回転子鉄心は、一般的に回転子鉄心の周縁部に設けられたブリッジ部において磁束の短絡が生じるという欠点がある。そこで、磁束短絡を抑制するための構造として、ブリッジ部分を小さくした以下のような構成のリラクタンスモータが開示されている。
周方向に間隔を隔てて複数の突極を有する回転子コアを備えた回転電機の回転子であって、
前記回転子コアは、設定された離間幅分、径方向に離間して配置される複数のコア形成体を備え、複数の前記コア形成体により、該回転子コアの外周面に向かって前記離間幅を有して延び、前記回転子コアの中心に向かって凸となる円弧状の離間領域が形成され、
軸方向の長さが前記回転子コアの軸方向の長さ以下に構成される非磁性の結合体が、前記離間領域内に配設され、
前記コア形成体あるいは前記結合体の一方に、前記離間幅方向に突出する突出部が形成され、他方に前記突出部に係合する溝部が形成され、該突出部と該溝部との係合により、各前記コア形成体が径方向に固定保持され、
前記溝部は、該溝部に働く遠心力の方向から設定角度分傾斜する方向に延びる第1面が形成され、前記突出部は、前記第1面に当接する第2面が形成され、
前記突極間には、複数の前記離間領域が径方向に形成され、
前記突極間において、それぞれの離間領域に配設された前記結合体は、前記回転子コアの径方向上に並んで配設され、
前記コア形成体は、方向性の電磁鋼板を軸方向に積層して構成され、
前記コア形成体の軸方向に垂直な方向側であって、前記コア形成体における、前記回転子の外周面側の端部同士を結ぶ直線の方向が、該コア形成体を構成する前記電磁鋼板の圧延方向に沿うように構成される、
ようにしたものである。
また、本願に開示される回転電機の回転子は、
周方向に間隔を隔てて複数の突極を有する回転子コアを備えた回転電機の回転子であって、
前記回転子コアは、設定された離間幅分、径方向に離間して配置される複数のコア形成体を備え、複数の前記コア形成体により、該回転子コアの外周面に向かって前記離間幅を有して延びる離間領域が形成され、
軸方向の長さが前記回転子コアの軸方向の長さ以下に構成される非磁性の結合体が、前記離間領域内に配設され、
前記コア形成体あるいは前記結合体の一方に、前記離間幅方向に突出する突出部が形成され、他方に前記突出部に係合する溝部が形成され、該突出部と該溝部との係合により、各前記コア形成体が径方向に固定保持され、
前記溝部は、該溝部に働く遠心力の方向から設定角度分傾斜する方向に延びる第1面が形成され、前記突出部は、前記第1面に当接する第2面が形成され、
前記突極間には、複数の前記離間領域が径方向に形成され、
前記突極間において、複数の前記離間領域に配設される複数の前記結合体は、
それぞれの離間領域において前記回転子コアの径方向上に並んで配設される結合体群と、
前記結合体が設けられた前記コア形成体の内、最も径方向外側に位置する前記コア形成体に設けられた前記結合体における径方向内側端面の、前記回転子コアの外周面から径方向内側への距離以内に位置するようにそれぞれの離間領域において配設される結合体群と、を備える、
ようにしたものである。
また、本願に開示される回転電機は、
上記のように構成された回転電機の回転子を用いて構成される、
ようにしたものである。
また、本願に開示される回転電機の回転子の製造方法は、
各前記コア形成体の、軸方向に垂直な方向側であって、端部同士を結ぶ直線の方向が、電磁鋼板の圧延方向に沿うように、前記電磁鋼板から各前記コア形成体を打ち抜く、
ようにしたものである。
また、本願に開示される回転電機の製造方法は、
上記回転電機の回転子の製造方法を用いて製造された回転子と同軸上に固定子を配置するようにしたものである。
図1は、実施の形態1によるリラクタンスモータ100に用いられる回転子50を、軸方向から見た時の全体形状を示す平面図である。
図2は、図1に示す回転子50の一極部分を拡大した要部拡大図である。
図3は、図1のA-A線矢視による回転子50の断面図である。
図4は、実施の形態1による回転子50を用いたリラクタンスモータ100の概略構成を示す断面図である。
なお、図において、環状の回転子50における各方向を、周方向S、径方向X、径方向内側X1、径方向外側X2、回転子50の回転軸の軸心方向を軸方向Yとし、他の図も当該方向を基準としてそれぞれを示す。
図4に示すように、回転電機としてのリラクタンスモータ100は、回転子50と、固定子80と、シャフト81と、フレーム82とを備える。
固定子80は、フレーム82の内側に固着される。回転子50は、リラクタンスモータ100の軸心位置に貫通されたシャフト81に固着されて、固定子80の径方向内側X1においてこのシャフト81を軸心として回転可能に配設される。
図1、図2に示すように、本実施の形態の回転子50は、磁性体材料により構成される円環状の回転子コア20と、この回転子コア20に取り付けられる非磁性体材料により構成される結合体30(30a、30b、30c)と、を備える。
外側コア21a、21b、21cは、回転子50の外周円とは逆向きの円弧状の外周をなして形成され、その各円弧の外周の頂点が回転子50の半径上にそれぞれ位置する同心円状に、径方向Xに設定された離間幅D1、D2、D3分、互いに離間して配置される。
内側コア22は、これら外側コア21a、21b、21cよりも径方向内側X1において、外側コア21aから設定された離間幅D1分、径方向Xに離間して配置される。
スリット10a、10b、10c内の極中心付近には、外側コア21a、21b、21cを固定保持するため、軸方向Yに延びる結合体30a、30b、30cがそれぞれ配設される。
なお、本実施の形態では、離間幅D1、D2、D3はそれぞれ同じ幅のものを示したが、それぞれ幅が異なるものでもよい。また、離間幅D1、D2、D3は、例えば、その幅が回転子コア20の外周面に向かって延びるにつれて変化してもよい。
なお、回転子コア20は、このように電磁鋼板1を積層して構成するものに限定するものではなく、積層構成でない塊状のバルク品でもよいが、電磁鋼板1を積層する構成とすると渦電流を小さくできるメリットがある。
図2に示すように、各外側コア21および内側コア22には、スリット10に相対する面から径方向X(離間幅D1、D2、D3方向)に窪み、軸方向Yに延在する溝部としての切欠部25が形成される。
各切欠部25の周方向Sの両端には、回転子50の回転による遠心力の方向F1から設定角度分θ分傾斜する方向に延びる第1面25Sが形成される。
この結合体30のアンカー部31の周方向Sの両端には、切欠部25の第1面25Sに当接するように形成された第2面31Sが形成される。
この結合体30のアンカー部31と切欠部25とが係合することで、各外側コア21が径方向Xに機械的に固定保持される。こうして、回転子50の回転時の遠心力による各外側コア21の径方向外側X2への飛散と、周方向Sへの横ずれの防止が可能となる。
なお、結合体30a、30b、30cの軸方向Yの長さは、回転子コア20の軸方向Yの長さと略同一に限定するものではなく、回転子コア20の軸方向Yの長さ以下であればよい。
図5は、比較例の回転子を軸方向から見た時の全体形状を示す平面図である。
この比較例の回転子コアでは、各スリット90a、90b、90cの両端部が、回転子鉄心の外周面に近接しており、当該両端部の、回転子鉄心の外周面側には、幅の狭いブリッジ部91が夫々形成されている。このブリッジ部91の径方向Xの幅が広いほど遠心力に対する強度は高く、回転子の回転による遠心力が作用しても、ブリッジ部91が破壊されずに回転子の強度を維持できる。しかしながら、一般的にはブリッジ部91は、回転子コアと同じ磁気抵抗の低い磁性体材料で構成されるため、このブリッジ部91を介した磁路が形成されて、この磁路を通過する漏れ磁束M1が発生する。
本実施の形態の回転子50は、回転子コア20を構成する外側コア21a、21b、21c、内側コア22はそれぞれ独立しており、その径方向外側X2の外周部にはブリッジ部は存在しない。そのため、漏れ磁束を低減することができ、リラクタンスモータの高トルク化が可能となる。
例えば、外側コア21を構成する電磁鋼板には方向性電磁鋼板を使用し、図2に示すように、外側コア21の外周方向を、方向性電磁鋼板の長手方向に合わせるように、すなわち外側コア21の磁路方向P1aを、方向性電磁鋼板の圧延方向P2に合わせるように配置して打ち抜く。一方で内側コア22には無方向性電磁鋼板を使用する。
このようにして形成された内側コア22と外側コア21とを組み合わせることで、回転子50の磁気的な突極性を更に向上させるメリットがある。
図6は、本実施の形態の回転子50Aの一極部分を拡大した要部拡大図である。
図7は、本実施の形態の回転子50Bの一極部分を拡大した要部拡大図である。
回転子50Aでは、切欠部を外側コア側ではなく、結合体側に備え、且つ、アンカー部を外側コア側に備えている点が特徴である。
また、外側コア21および内側コア22のアンカー部26の周方向Sの両端には、切欠部35の第1面35Sに当接するように形成された第2面26Sが形成される。
このように、必要に応じて一つのスリット10において複数個の結合体30を配置しても良く、これにより大きな遠心力への耐力を付与することも可能である。
回転子コア20の半径上に配設された結合体30に加えて、回転子コア20の外周面から径方向内側X1に設定距離E以内の範囲において配設された結合体30を備える。これにより、例えば、回転子50Bの回転始動時において、応力が付加される回転子50の外周面近傍における剛性を確保でき、回転子コア20の半径上に配設された結合体30にかかる負荷を軽減できる。そのため、結合体30は外周面近傍に配置するのが効果的であり、前記距離Eは回転子コア20の構造上可能な限り小さく設定する。例えば、各結合体30a、30b、30cは、当該結合体30a、30b、30cが設けられた複数のコア形成体21(外側コア21a、21b、21c)の内、最も径方向外側X2に位置するコア形成体21(外側コア21c)に設けられた結合体30cにおける径方向内側端面30c-inの、回転子コア20の外周面から径方向内側への距離E以内に位置するようにそれぞれ配置される。
また、結合体30により係合される、径方向Xに隣り合うコア形成体21のアンカー部26は、スリット10内において互いに対向するように配置される。これにより、例えば、回転子50Bに遠心力が作用する際、結合体30に作用する曲げモーメントを最小に抑えることができるので、結合体30の変形、破壊等を低減できる。
しかしながら、このようなフィラを含んだ熱可塑性樹脂のPPSに限定するものではなく、それ以外の樹脂材料、例えば他の熱可塑性樹脂、さらには熱硬化性樹脂の利用も考えられ、回転子コア20のサイズ、形状等に応じて使い分けられる。
なお、前述の通り、結合体30の軸方向Yの長さは、回転子コア20の軸方向Yの長さ以下であるので、樹脂充填の際に回転子50を構成する結合体30の相互間が、回転子コア20の最上段および最下段である軸方向両端面で互いに繋がるような端板は形成されない。即ち、結合体30は、回転子コア20の軸方向両端面において、当該結合体30の相互間を互いに接続しない構成に形成される。
また圧入による構造形成は、インサート成形では形成できないSUS鋼(stainless steel)、銅のようなアルミニウム以外の非磁性体金属の利用を可能とし、結合体の材料選択の幅を広げるメリットがある。
また、成形方法に関しても、射出成形、ダイカスト、圧入など、回転子コアと非磁性部材の形状の関係に応じて使い分け可能である。
さらに、本実施の形態に示した回転電機としてのリラクタンスモータは、圧縮機、電気自動車に搭載される回転電機を想定しているが、それ以外の用途の回転電機でも良く、更には、磁石を回転子鉄心内に挿入する形態をとるものでも、全てにおいて有効であることは言うまでもない。
周方向に間隔を隔てて複数の突極を有する回転子コアを備えた回転電機の回転子であって、
前記回転子コアは、設定された離間幅分、径方向に離間して配置される複数のコア形成体を備え、複数の前記コア形成体により、該回転子コアの外周面に向かって前記離間幅を有して延びる離間領域が形成され、
軸方向の長さが前記回転子コアの軸方向の長さ以下に構成される非磁性の結合体が、前記離間領域内に配設され、
前記コア形成体あるいは前記結合体の一方に、前記離間幅方向に突出する突出部が形成され、他方に前記突出部に係合する溝部が形成され、該突出部と該溝部との係合により、各前記コア形成体が径方向に固定保持され、
前記溝部は、該溝部に働く遠心力の方向から設定角度分傾斜する方向に延びる第1面が形成され、前記突出部は、前記第1面に当接する第2面が形成される、
ものである。
また、上記のように構成された本実施の形態の回転電機の回転子は、
前記結合体は、前記回転子コアの軸方向両端面において、該結合体の相互間を互いに接続しない構成に形成される、
ものである。
また、上記のように構成された本実施の形態の回転電機は、
上記のように構成された回転電機の回転子を用いて構成される、
ものである。
このように、磁気抵抗が小さい電磁鋼板により構成されるブリッジ部分を設けない構成とすることでトルクに寄与しない短絡磁束を減らし、高トルクの回転電機を得られる。
また、結合体および大気の磁気抵抗は、磁性材料である比較例のブリッジ部分と比較して極めて大きいので、短絡磁束は比較例の回転電機の回転子より大幅に低減される。
また、このように外側コアと結合体とは、第1面と第2面とにより互いに強固に固定保持されている。よって、遠心力に対抗するために、各スリット内に配設された結合体同士を回転子の外側で繋ぐ構造部を不要とできるため、結合体は、その軸方向の長さを回転子コアの軸方向の長さ以下に構成できる。この構造により、結合体の材料の使用量を低減できるだけでなく、回転電機を小型化できる。
こうして、漏れ磁束が低減されて高特性で、回転子の高速回転に耐える高い剛性が確保され、小型で、且つ、低コストの回転電機の提供が可能となる。
径方向に複数の前記離間領域が形成された構成において、
前記結合体は、前記回転子コアの径方向に沿って配設される、
ものである。
このように、結合体を、回転子の径方向、即ち遠心力の方向上に並ぶように配設させることで、遠心力に対しての耐力を更に向上できる。
前記突出部は、前記コア形成体に形成され、前記溝部は、前記結合体に形成される、
ものである。
このような構成とすることで、外側コアにおいて、その幅を局所的に狭める箇所が形成されない。そのため、外側コアを通る磁路の磁気抵抗が低下してトルクが低下することがない。これにより有効に利用できる磁束が増加し、回転子の磁気特性が向上できる。
一つの前記離間領域において複数の前記結合体が配設される、
ものである。
また、上記のように構成された本実施の形態の回転電機の回転子は、
径方向に隣合う前記コア形成体にそれぞれ形成された前記突出部が、前記離間領域において互いに対向するように配置される、
ものである。
このような構成とすることで、回転子の遠心力に対しての耐力を向上でき、高い剛性を確保できる。
各前記結合体は、
前記結合体が設けられた前記コア形成体の内、最も径方向外側に位置する前記コア形成体に設けられた前記結合体における径方向内側端面の、前記回転子コアの外周面から径方向内側への距離以内に位置するようにそれぞれ配置される、
ものである。
これにより、例えば、回転子の回転始動時において、強い応力が付加される回転子の外周面近傍における、回転子の高い剛性を確保できる。
前記回転子コアは、
前記コア形成体よりも径方向内側に前記離間幅分離間して配置され、前記突極が付与されるコア主部を備え、
前記コア主部と前記コア形成体との間の前記離間領域内に前記結合体が配設され、
前記コア形成体あるいは前記結合体の一方に、前記突出部が形成され、他方に前記溝部が形成され、該突出部と該溝部との係合により、前記コア形成体と前記コア主部とが固定保持される、
ものである。
このように、回転子コアは、内側コアと外側とをつなぐ回転子コアの周縁部のブリッジ部分を有さず、非磁性の結合体により、外側コアと内側コアとが直接触れないような相対的な位置が確保された状態で固定保持され、かつ遠心力に対して各外側コアを保持できる。これにより、磁束の漏れを低減することができ、回転電機の更なる高トルク化が可能となる。
前記コア形成体は、方向性の電磁鋼板を軸方向に積層して構成され、
前記コア形成体の、軸方向に垂直な方向側であって、前記回転子の外周面側の端部同士を結ぶ直線の方向が、該コア形成体を構成する前記電磁鋼板の圧延方向に沿うように構成される、
ものである。
また、上記のように構成された本実施の形態の回転電機の回転子の製造方法は、
各前記コア形成体の、軸方向に垂直な方向側であって、前記回転子の外周面側の端部同士を結ぶ直線の方向が、電磁鋼板の圧延方向に沿うように、前記電磁鋼板から各前記コア形成体を打ち抜く、
ものである。
更に、比較例に示す回転子では、内側コア、外側コアがそれぞれ分離されておらず、ブリッジ部分により一体に接続されている。このような構成では、方向性電磁鋼板を打ち抜く際に、それぞれの外側コアの磁路方向を、方向性電磁鋼板の圧延方向沿うように打ち抜くことができない。そのため、回転子コアの磁気的特性が放射方向に不均一になり、回転子の効率を著しく損なうため利用が困難となる。
本実施の形態では、上記のように外側コアが分離されているため、全ての外側コアの磁路方向を、電磁鋼板の圧延方向にそうように打ち抜いて回転子コアを構成できる。これにより、回転電機を更に高効率化できる。
前記コア主部は、無方向性の電磁鋼板を軸方向に積層して構成される、
ものである。
このように、すべての方向にほぼ均一な磁気特性が得られる無方向性の電磁鋼板を内側コアに用いて、外側コアには方向性電磁鋼板を用いることで、回転子の磁気的な突極性向上を更に向上できる。
また、さらに内側コアと外側コアとを分離してプレス打抜き、積層後に組み合わせられる。これによりプレス装置を小型化できる。
前記電磁鋼板における前記コア形成体間の打ち抜き幅は、前記離間幅より小さく構成される、
ものである。
外側コアはそれぞれ独立した構成であるため、回転子が構成された際のスリット幅よりも小さい打ち抜き幅で、各外側コアを電磁鋼板から打ち抜ける。これにより、スリットの幅分の電磁鋼板の端材の量を削減し、材料費を低減できる。
また、上記のように構成された本実施の形態の回転電機の製造方法は、
上記の回転電機の回転子の製造方法を用いて製造された回転子と同軸上に固定子を配置する、
ものである。
これにより、回転電機の製造において、これによりプレス装置を小型化できると共に、スリットの幅分の電磁鋼板の端材の量を削減し、材料費を低減できる。
比較例の回転子コアの形状では、内側コアと外側コアはブリッジでつながっていたため、打ち抜かれる電磁鋼板のプレス穴は環状になり、隣接する打ち抜き穴間に多くの端材が発生していた。これに対し、本実施の形態に示す手法では、内側コアまたは外側コアの形状をそれぞれ集約して電磁鋼板から打ち抜ける。例えば図1の回転子コアを例にとると、内径側コアは四角形に近い形状をしているので、内径側コアの形状のみを集約して格子状に打ち抜くことで、端材の量を削減できる。例示した4極以外の回転子でも、多角形であれば同様の効果が得られる。例えば6極の場合では、打ち抜き穴を蜂の巣状に配置することで歩留まり改善が期待できる。
以下、本願の実施の形態2を、上記実施の形態1と異なる箇所を中心に図を用いて説明する。上記実施の形態1と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。
図8は、実施の形態2による回転子250の一極部分を拡大した要部拡大図である。
本実施の形態の回転子250の構造は、インサート成形により例えばPPS樹脂のような熱可塑性材料、BMCのような熱硬化性樹脂材料を、スリット10a、10b、10cに充填し、固化させることで得られる。これにより、スリット10a、10b、10c内を全て埋める形状の結合体230a、230b、230cが形成される。
前記結合体は、前記離間領域を全て埋める形状に構成される、
ものである。
このように結合体はスリット内を全て埋める構成であるため、回転子の剛性を更に向上できる。また、結合体を内側コアおよび外側コアとの間のスリット内に充填することで、回転時の振動が抑制され、振動による騒音が低減される効果を奏する。
同様に、結合体の形状も上記に示した形状に限定されるものではなく、上記に示した形状以外であってもよい。外側コアと内側コアとが直接触れないような回転子コアの構造において、結合体は、外側コア、内側コア、の相対的な位置関係を保持する形状であって、遠心力に対して外側コア、内側コアを保持できるように、遠心力に対抗できる第1面、第2斜面を備えたアンカー部と溝部が形成されていればよい。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
Claims (12)
- 周方向に間隔を隔てて複数の突極を有する回転子コアを備えた回転電機の回転子であって、
前記回転子コアは、設定された離間幅分、径方向に離間して配置される複数のコア形成体を備え、複数の前記コア形成体により、該回転子コアの外周面に向かって前記離間幅を有して延び、前記回転子コアの中心に向かって凸となる円弧状の離間領域が形成され、
軸方向の長さが前記回転子コアの軸方向の長さ以下に構成される非磁性の結合体が、前記離間領域内に配設され、
前記コア形成体あるいは前記結合体の一方に、前記離間幅方向に突出する突出部が形成され、他方に前記突出部に係合する溝部が形成され、該突出部と該溝部との係合により、各前記コア形成体が径方向に固定保持され、
前記溝部は、該溝部に働く遠心力の方向から設定角度分傾斜する方向に延びる第1面が形成され、前記突出部は、前記第1面に当接する第2面が形成され、
前記突極間には、複数の前記離間領域が径方向に形成され、
前記突極間において、それぞれの離間領域に配設された前記結合体は、前記回転子コアの径方向上に並んで配設され、
前記コア形成体は、方向性の電磁鋼板を軸方向に積層して構成され、
前記コア形成体の軸方向に垂直な方向側であって、前記コア形成体における、前記回転子の外周面側の端部同士を結ぶ直線の方向が、該コア形成体を構成する前記電磁鋼板の圧延方向に沿うように構成される、
回転電機の回転子。 - 周方向に間隔を隔てて複数の突極を有する回転子コアを備えた回転電機の回転子であって、
前記回転子コアは、設定された離間幅分、径方向に離間して配置される複数のコア形成体を備え、複数の前記コア形成体により、該回転子コアの外周面に向かって前記離間幅を有して延びる離間領域が形成され、
軸方向の長さが前記回転子コアの軸方向の長さ以下に構成される非磁性の結合体が、前記離間領域内に配設され、
前記コア形成体あるいは前記結合体の一方に、前記離間幅方向に突出する突出部が形成され、他方に前記突出部に係合する溝部が形成され、該突出部と該溝部との係合により、各前記コア形成体が径方向に固定保持され、
前記溝部は、該溝部に働く遠心力の方向から設定角度分傾斜する方向に延びる第1面が形成され、前記突出部は、前記第1面に当接する第2面が形成され、
前記突極間には、複数の前記離間領域が径方向に形成され、
前記突極間において、複数の前記離間領域に配設される複数の前記結合体は、
それぞれの離間領域において前記回転子コアの径方向上に並んで配設される結合体群と、
前記結合体が設けられた前記コア形成体の内、最も径方向外側に位置する前記コア形成体に設けられた前記結合体における径方向内側端面の、前記回転子コアの外周面から径方向内側への距離以内に位置するようにそれぞれの離間領域において配設される結合体群と、を備える、
回転電機の回転子。 - 前記結合体は、前記回転子コアの軸方向両端面において、該結合体の相互間を互いに接続しない構成に形成される、
請求項1または請求項2に記載の回転電機の回転子。 - 前記突出部は、前記コア形成体に形成され、前記溝部は、前記結合体に形成される、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の回転電機の回転子。 - 一つの前記離間領域において複数の前記結合体が配設される、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の回転電機の回転子。 - 径方向に隣合う前記コア形成体にそれぞれ形成された前記突出部が、前記離間領域において互いに対向するように配置される、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の回転電機の回転子。 - 前記回転子コアは、
前記コア形成体よりも径方向内側に前記離間幅分離間して配置され、前記突極が付与されるコア主部を備え、
前記コア主部と前記コア形成体との間の前記離間領域内に前記結合体が配設され、
前記コア形成体あるいは前記結合体の一方に、前記突出部が形成され、他方に前記溝部が形成され、該突出部と該溝部との係合により、前記コア形成体と前記コア主部とが固定保持される、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の回転電機の回転子。 - 前記コア主部は、無方向性の電磁鋼板を軸方向に積層して構成される、
請求項7に記載の回転電機の回転子。 - 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の回転電機の回転子を用いて構成される回転電機。
- 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の回転電機の回転子の製造方法であって、
各前記コア形成体の、軸方向に垂直な方向側であって、前記回転子の外周面側の端部同士を結ぶ直線の方向が、電磁鋼板の圧延方向に沿うように、前記電磁鋼板から各前記コア形成体を打ち抜く、
回転電機の回転子の製造方法。 - 前記電磁鋼板における前記コア形成体間の打ち抜き幅は、前記回転子の前記離間幅よりも小さく構成される、
請求項10に記載の回転電機の回転子の製造方法。 - 請求項10または請求項11に記載の回転電機の回転子の製造方法を用いて製造された回転子と同軸上に固定子を配置する、
回転電機の製造方法。
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