いくつかの実施形態において、本発明は、新規CD38調節抗体剤を提供する。いくつかの実施形態において、提供されるCD38調節抗体剤は、CD38、特にヒトCD38、多くの実施形態においてヒトCD38細胞外ドメインの部位と特異的に結合する抗体または抗原結合断片である。
いくつかの実施形態において、提供される抗体または抗原結合断片は、1つ以上のCD38の特徴を調節する。すなわち、いくつかの実施形態において、CD38のレベルおよび/または活性、および/またはその1つ以上の下流の効果は、提供される抗体が存在する場合と存在しない場合とで検出可能なほどに変更される。代替的または追加的に、いくつかの実施形態において、提供される抗体が存在する場合のCD38のレベルおよび/または活性、および/またはその1つ以上の下流の効果は、参照CD38調節抗体剤(例えば、既知の望ましい属性、例えばCD38の1つ以上の特徴を刺激する既知の能力を有するIB-4などの参照抗CD38抗体)を使用した場合に、同等の条件下で観察されるものと同等以上である。
多くの実施形態において、提供されるCD38調節抗体剤(例えば、抗CD38抗体またはその抗原結合断片)が存在する場合、1つ以上のCD38の特徴が増強される。例えば、いくつかの実施形態において、提供されるCD38調節抗体剤(例えば、抗CD38抗体またはその抗原結合断片)の存在は、免疫細胞の活性化および/または増殖の増加と相関する。したがって、提供されるCD38調節抗体剤は、本明細書では多くの場合に「アゴニスト」を指す。しかしながら、当業者は、本開示の教示が、提供される抗体またはその抗原結合断片の特定の作用メカニズムによって制限されないことを理解するであろう。提供される抗体の関連する構造的および/または機能的特徴は、本明細書に記載されており、それ自体を表す。
いくつかの実施形態において、提供されるCD38調節抗体剤(例えば、CD38抗体または抗原結合断片)は、例えば、特定の免疫エフェクター細胞(例えば、NK細胞および/またはT細胞)に対する効果によって特徴付けられ得る。代替的または追加的に、いくつかの実施形態において、提供されるCD38調節抗体剤(例えば、CD38抗体または抗原結合断片)は、例えば、免疫抑制細胞に対する効果によって特徴付けられ得る。例えば、いくつかの実施形態において、CD38調節抗体剤は、NK細胞およびT細胞などの免疫エフェクター細胞に対する活性化特性、ならびに/または免疫抑制細胞などのCD38高発現細胞に対する細胞傷害特性を示す。代替的または追加的に、いくつかの実施形態において、提供されるCD38調節抗体剤は、ヒトCD38細胞外ドメインにおける特定のエピトープとの結合に関連する、ならびに/またはそれらを特に薬学的用途および/もしくは製造に適したものにする1つ以上の特徴を特徴付ける。
提供されるCD38調節抗体剤(例えば、提供される抗体またはその抗原結合断片(またはそのバリアント))、それらを含む組成物、および/またはそれらの使用を含む提供される技術は、医学的に有用である。いくつかの実施形態において、かかる提供される技術は、がん治療および/または予防において有用である。
いくつかの実施形態において、提供されるCD38調節抗体剤は、aCD38-a-323の配列を有する抗体によって例示され、より一般的には、抗体または薬剤は、例えば、可変重鎖の相補性決定領域3としてのaCD38-a-323-HCDR3アミノ酸配列(配列番号3)を含む、1つ以上の抗原結合断片もしくはその一部であるか、またはそれらを含み、および/または、いくつかの実施形態において、aCD38-a-323 HCDR1(配列番号1)およびHCDR2(配列番号2)配列の一方または両方を含み、および/またはヒトCD38細胞外ドメインの結合についてaCD38-a-323と競合する。いくつかの実施形態において、提供される抗体またはその抗原結合断片は、10-8Mの範囲またはそれ以下(10-9mの範囲)内のKdでヒトCD38と結合し、好ましくは、抗体またはその抗原結合断片は、10-8M~10-11Mの範囲内のKdでヒトCD38と結合する。いくつかの実施形態におけるKdは、10-8~10-11である。抗体またはその抗原結合断片の結合親和性を評価するためのKdは、Biacore分析またはForte Bio Octet Systemを使用した分析などの表面プラズモン共鳴(SPR)を含む、標準的な方法論によって取得できる。
いくつかの実施形態において、提供されるCD38調節抗体剤(例えば、提供される抗体またはその抗原結合断片)は、aCD38-a-323により結合されるヒトCD38上のエピトープと結合する。いくつかの実施形態において、かかる提供されるCD38調節抗体剤は、ヒトCD38細胞外ドメインと結合し得る。いくつかの実施形態において、提供されるCD38調節抗体剤は、CD38のエピトープと結合し得る(例えば、本明細書に記載されるか、または当該分野で知られている別の方法の1つ以上のアッセイを使用して評価される場合)。いくつかの実施形態において、提供される抗体またはその抗原結合断片は、10-8Mの範囲のKd値でヒトおよびカニクイザルCD38(例えば、ヒトおよびカニクイザルCD38上の細胞外エピトープと)と結合し得、その抗原結合断片は、10-8~10-11MのKdでヒトCD38と結合する。
いくつかの実施形態において、提供される抗体またはその抗原結合断片は、変異ヒトCD38(非変異ヒトCD38(配列番号9)と比較して)と結合し、変異ヒトCD38において、274位のセリン残基は、フェニルアラニンで置換されている。
いくつかの実施形態において、提供される抗体またはその抗原結合断片は、変異ヒトCD38(非変異ヒトCD38(配列番号9)と比較して)と結合し、変異ヒトCD38において、202位のアスパラギン酸残基は、グリシン残基で置換されている。
いくつかの実施形態において、提供される抗体またはその抗原結合断片は、変異ヒトCD38(非変異ヒトCD38(配列番号9)と比較して)と結合し、変異ヒトCD38において、274位のセリン残基は、フェニルアラニンで置換されており、かつ202位のアスパラギン酸残基は、グリシン残基で置換されている。
とりわけ、本開示は、本明細書に記載される特に有用なCD38調節抗体剤(例えば、抗CD38抗体またはその抗原結合断片)を同定および/または特徴付けるために利用できる手順(図1)を提供する(例えば、ヒトCD38(例えば、その細胞外エピトープ)との特異的結合などの特定の構造的および/または機能的特徴により特徴付けられる抗CD38抗体もしくはその抗原結合断片、本明細書に記載される1つ以上のCDR配列要素の包括((特に、任意でHCDR1および/またはHCDR2要素と組み合わせたHCDR3配列要素の包含)、本明細書に記載される細胞活性化活性、本明細書に記載される細胞傷害活性(例えば、それらの表面上に比較的高レベルのCD38を有する免疫調節細胞に関して)、およびそれらの組み合わせ)。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される特に有用な抗CD38抗体は、複数のかかる特徴によって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上の抗体は、CD38調節抗体剤として特徴付けられ得る。
したがって、本明細書で例示されるように、aCD38-a-323配列(特にaCD38-a-323-HCDR3(配列番号3)および/またはaCD38-a-323-LCDR3(配列番号7))を含む特定の抗体および/または抗原結合断片は、かかる所望される構造的および/または機能的特徴によって特徴付けられ;かかる抗体および/またはその抗原結合断片は、本明細書ではCD38調節抗体剤を指し得る。さらに、本開示によれば、aCD38-a-323と競合する抗体およびその抗原結合断片は、特に有用な抗体であり得、かかる抗体および/またはその抗原結合断片は、本明細書ではCD38調節抗体剤をさらに指し得る。
本明細書に記載される抗体(および/またはその抗原結合断片)は、医学的(例えば、治療および/または予防、例えばがんの治療において)、および/またはヒトCD38細胞外ドメイン内のエピトープの標的化を必要とするか、または関与する方法に関して使用するために特に有用であり得る。提供される抗体またはその抗原結合断片は、最も適切なアイソタイプ、特にIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4アイソタイプ抗体、より具体的にはヒトIgG1からなる群からのヒトアイソタイプを提示するように調製され得る。
一態様において、本発明は、aCD38-a-323-HCDR3アミノ酸配列(配列番号3)およびそれを含むポリペプチド、例えば、可変重鎖の相補性決定領域3としてのaCD38-a-323-HCDR3アミノ酸配列(配列番号3)を含む抗体または抗原結合断片などを提供する。いくつかの実施形態において、かかる抗体または抗原結合断片は、
a)可変重鎖の相補性決定領域1としてのaCD38-a-323-HCDR1アミノ酸配列(配列番号1)、および/または
b)可変重鎖の相補性決定領域2としてのaCD38-a-323-HCDR2アミノ酸配列(配列番号2)のようなさらなるaCD38-a-323アミノ酸配列要素を含むことによってさらに特徴付けられ得る。
いくつかの実施形態において、提供される抗体またはその抗原結合断片は、上記で定義される可変重鎖の相補性決定領域(すなわち、aCD38-a-323アミノ酸配列要素)をさらに正確な順序で含み得、特にその結合および機能特性を正確に発揮するために、aCD38-a-323-HCDR123アミノ酸配列(配列番号4)に含まれるものなど、抗体フレーム配列によって特異的に分離される。例えば、いくつかの実施形態において、提供される抗体またはその抗原結合断片は、aCD38-a-323-HCDR123アミノ酸配列(配列番号4またはそのHCDR1(配列番号1)、HCDR2(配列番号2)、およびHCDR3(配列番号3)配列)、ならびに任意で、
a)可変軽鎖の相補性決定領域1としてのaCD38-a-323-LCDR1アミノ酸配列(配列番号5)、
b)可変軽鎖の相補性決定領域2としてのaCD38-a-323-LCDR2アミノ酸配列(配列番号6)、および
c)可変軽鎖の相補性決定領域3としてのaCD38-a-323-LCDR3アミノ酸配列(配列番号7)を含むことができる。
したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、aCD38-a-323-HCDR123アミノ酸配列(配列番号4)を含む可変重鎖を含む、単離された抗体またはその抗原結合断片を提供する。好ましくは、かかる単離された抗体またはその抗原結合断片は、実施例に記載されるように、aCD38-a-323-LCDR123アミノ酸配列(配列番号8)を含む可変軽鎖をさらに含む。
いくつかの実施形態において、本発明は、以下の配列を含む可変重鎖:
および/または以下の配列を含む可変軽鎖配列:を含む単離された抗体またはその抗原結合断片を提供する
いくつかの実施形態において、aCD38-a-323の可変重鎖配列は、以下の配列を含み:
および、aCD38-a-323の可変軽鎖配列は、以下の配列を含む:
本発明は、HCDR3としてのaCD38-a-323-HCDR3の配列(配列番号3)、およびLCDR3としてのaCD38-a-323-LCDR3の配列(配列番号7)を含む、抗体またはその抗原結合断片をさらに提供する。
本発明は、CDR配列またはaCD38-a-323の重鎖または軽鎖可変配列などの参照配列に対して特定の%同一性を有するバリアント抗体およびその抗原結合断片をさらに提供する。かかる抗体およびその抗原結合断片は、本明細書ではCD38調節抗体剤をさらに指し得る。
例えば、いくつかの実施形態において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖配列を含む。いくつかの実施形態において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖配列を含む。いくつかの実施形態において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4と少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖配列を含む。いくつかの実施形態において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列を含む。
いくつかの実施形態において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、配列番号8と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列を含む。いくつかの実施形態において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、配列番号8と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列を含む。いくつかの実施形態において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、配列番号8と少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列を含む。いくつかの実施形態において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、配列番号8のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列を含む。
いくつかの態様において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖配列と、配列番号8と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列と、を含む。いくつかの態様において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖配列と、配列番号8と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列と、を含む。いくつかの態様において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4と少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖配列と、配列番号8と少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列と、を含む。いくつかの実施形態において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列と、配列番号8のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列と、を含む。
いくつかの実施形態において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、配列番号10と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖配列を含む。いくつかの実施形態において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、配列番号10と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖配列を含む。いくつかの実施形態において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、配列番号10と少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖配列を含む。いくつかの実施形態において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、配列番号10のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列を含む。
いくつかの実施形態において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、配列番11と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列を含む。いくつかの実施形態において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、配列番11と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列を含む。いくつかの実施形態において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、配列番11と少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列を含む。いくつかの実施形態において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、配列番号11のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列を含む。
いくつかの態様において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、配列番号10と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖配列と、配列番号11と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列と、を含む。いくつかの態様において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、配列番号10と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖配列と、配列番号11と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列と、を含む。いくつかの態様において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、配列番号10と少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖配列と、配列番号11と少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列と、を含む。いくつかの実施形態において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、配列番号10のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列と、配列番号11のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列と、を含む。
いくつかの実施形態において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、配列番号12と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖配列を含む。いくつかの実施形態において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、配列番号12と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖配列を含む。いくつかの実施形態において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、配列番号12と少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖配列を含む。いくつかの実施形態において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、配列番号12のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列を含む。
いくつかの実施形態において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、配列番13と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列を含む。いくつかの実施形態において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、配列番13と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列を含む。いくつかの実施形態において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、配列番13と少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列を含む。いくつかの実施形態において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、配列番号13のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列を含む。
いくつかの態様において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、配列番号12と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖配列と、配列番号13と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列と、を含む。いくつかの態様において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、配列番号12と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖配列と、配列番号13と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列と、を含む。いくつかの態様において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、配列番号12と少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖配列と、配列番号13と少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列と、を含む。いくつかの実施形態において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、配列番号12のアミノ酸配列を含む可変重鎖配列と、配列番号13のアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列と、を含む。
かかるバリアント抗体およびその抗原結合断片は、aCD38-a-323について本明細書に開示される重および軽鎖可変配列を有する抗体およびその抗原結合断片について記載されるものと同等(または実質的に同等)の機能的および薬理学的特性を保持または示すことができる。
さらに、aCD38-a-323アミノ酸配列は、上記で定義されたaCD38-a-323アミノ酸配列要素に関する置換数によって定義される抗体配列も指す。例えば、かかる配列は、aCD38-a-323-HCDR3(配列番号3)内に最大1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸置換を含む配列を可変重鎖の相補性決定領域3(HCDR3)として含み得る。さらなる実施形態において、aCD38-a-323アミノ酸配列は、aCD38-a-323-HCDR1、aCD38-a-323-HCDR2、およびaCD38-a-323-HCDR3内に最大1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸置換を含む配列を可変重鎖の相補性決定領域1、2および3(HCDR1、HCDR2、およびHCDR3)として、より好ましくは、aCD38-a-323-HCDR123(配列番号4)内、または配列番号10、または配列番号12内に最大1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸置換を含む配列を含む抗体配列をさらに指す。いくつかの態様において、aCD38-a-323アミノ酸配列は、可変重鎖配列のフレームワーク領域内に最大1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸置換を含む配列を可変重鎖配列として含む抗体配列をさらに指す。かかるaCD38-a-323アミノ酸配列要素およびかかる置換を提示する抗体は、aCD38-a-323、および一般的なCD38調節抗体剤の結合および/または機能特性を依然として提示することができる。
かかるaCD38-a-323アミノ酸配列は、aCD38-a-323-LCDR3(配列番号7)内に最大1、2、3、または4個のアミノ酸置換を含む配列を可変軽鎖の相補性決定領域3(LCDR3)としてさらに含み得る。さらなる実施形態において、aCD38-a-323アミノ酸配列は、aCD38-a-323-LCDR1、aCD38-a-323-LCDR2、およびaCD38-a-323-LCDR3内に最大1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸置換を含む配列を可変軽鎖の相補性決定領域1、2および3(LCDR1、LCDR2、およびLCDR3)として、より好ましくは、aCD38-a-323-LCDR123(配列番号8)内、または配列番号11、または配列番号13内に最大1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸置換を含む配列を含む抗体配列をさらに指す。いくつかの態様において、aCD38-a-323アミノ酸配列は、可変軽鎖配列のフレームワーク領域内に最大1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸置換を含む配列を可変軽鎖配列として含む抗体配列をさらに指す。かかるaCD38-a-323アミノ酸配列要素およびかかる置換を提示する抗体は、aCD38-a-323、および一般的なCD38調節抗体剤の結合および/または機能特性を依然として提示することができる。
したがって、一実施形態において、本発明は、
a.aCD38-a-323の可変重鎖領域配列(またはその親和性成熟バリアントなどのそのバリアント)、もしくはaCD38-a-323の可変重鎖領域配列(またはその親和性成熟バリアントなどのそのバリアント)と比較して最大5個のアミノ酸置換を有する可変重鎖領域配列、および/または
b.aCD38-a-323の可変軽鎖領域配列(またはその親和性成熟バリアントなどのそのバリアント)、もしくはaCD38-a-323の可変軽鎖領域配列(またはその親和性成熟バリアントなどのそのバリアント)と比較して最大5個のアミノ酸置換を有する可変軽鎖領域配列を含む抗CD38抗体剤(すなわち、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片、およびそのバリアント)を提供する。
アミノ酸置換が込みこまれ得るaCD38-a-323重鎖には、配列番号4、10、および12が含まれる。アミノ酸置換が込みこまれ得るaCD38-a-323軽鎖には、配列番号8、11、および13が含まれる。
アミノ酸置換は、抗体の機能特性に悪影響を及ぼさないか、または実質的に悪影響を及ぼさないことが好ましい。したがって、置換は、それらの保存的アミノ酸置換として考慮され得る。好ましくは、アミノ酸置換が発生する場合に、重および/または軽鎖可変領域の全長が変化しないように、それらは1:1の比率で発生する。
本発明は、抗体またはその抗原結合断片をさらに提供し、抗体の軽または重鎖内の任意のメチオニンは、例えばメチオニンの酸化を低減するために改変され得る。例えば、メチオニン残基は、例えば、ロイシンまたはフェニルアラニンなどの異なるアミノ酸で置き換えて改変され得る。
したがって、いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗体またはその断片は、当技術分野で標準的であるように変異させることができる。このように修飾されているかかる抗体は、最終配列に到達する前に、さらなる修飾(例えば、親和性成熟)を受ける必要があり得る。
本発明の一実施形態において、本明細書に開示される抗体のCDR1、CDR2、およびCDR3配列(例えば、aCD38-a-323のCDR1、CDR2、およびCDR3配列)を有するバリアント抗体、または本明細書に開示される任意の抗体の可変重および可変軽鎖(例えば、aCD38-a-323の可変重および可変軽鎖)が提供されるが、ただし、CDR内の少なくとも1つのアミノ酸が変更されているという点で、特定の配列とは異なる。開示されるバリアントは、aCD38-a-323について記載されるように使用および製剤化され得る。
本発明は、親和性成熟抗体、例えば、本明細書に開示される抗体のうちのいずれかに由来する親和性成熟バリアントをさらに提供する。一実施形態において、親和性成熟抗体は、任意のメチオニン残基を除去または変異させるように改変された親和性成熟抗体である。開示される親和性成熟バリアントは、aCD38-a-323について記載されるように使用および製剤化され得る。
いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書に記載される抗体(例えば、aCD38-a-323、またはその抗原結合断片もしくはバリアント)を提供することと、抗体を親和性成熟させることとを含む、抗CD38抗体を調製する方法を提供し、産生された抗体は、親抗体よりも高い親和性でCD38と結合する。好ましくは、産生された抗体は、例えばKdによって測定されるように、親抗体がCD38と結合するよりも少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%高い親和性でCD38と結合する。親和性を測定するための方法は、当技術分野で知られており、以下の実施例において記載される。かかる方法によって産生された親和性成熟抗体は、他の抗CD38抗体剤について本明細書に記載されるように製剤化および使用されることができる。
親和性成熟は、当業者に知られている任意の好適な方法に従って実行され得る。例えば、試験管内抗体表示システムは、高親和性を伴う特定の抗体の生成に広く使用されている。これらのシステムにおいて、表現型(すなわち、抗体断片)が遺伝子型(すなわち、抗体遺伝子)と対になっており、抗体の配列を直接的に決定することが可能である。抗体レパートリの表示を達成して、その後のバインダの選択を可能にし、選択の厳密性を高めることにより、より高い親和性のバリアントのより高い選択を可能にするいくつかのシステムが開発されている。抗体断片は、酵母、リボソーム、ファージディスプレイ粒子において、またはDNAとの直接的な連結により発現されることができる。
現在の抗体親和性成熟の方法は、2つの変異誘発カテゴリに属する:確率的および非確率的。エラーを起こしやすいポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ミューテータ細菌種、および飽和変異誘発は、確率的変異誘発法の典型的な例である。非確率的手法では、多くの場合アラニンスキャニングまたは部位特異的変異誘発を使用して、特定のバリアントの限られた収集物を生成する。さらに、シャッフルされた親抗体のバリアントを取得するためのシャッフル化アプローチも、抗体の親和性をさらに向上させるために使用できる。
したがって、本発明の一実施形態において、親和性成熟の方法は、確率的変異誘発(例えば、エラーを起こしやすいポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ミューテータ細菌種、または飽和変異誘発)、非確率的変異誘発(例えば、アラニンスキャニングまたは部位特異的変異誘発)、シャッフル化(例えば、DNAシャッフル、鎖シャッフル、CDRシャッフル)、および、CRISPR-Cas9システムの使用からなる群から選択され、変更を導入する。
親和性成熟の方法は、例えば、Rajpal et al.,Proc Natl Acad Sci USA,2005,102(24):8466-71、Steinwand et al.,MAbs,2014,6(1):204-18、およびHandbook of Therapeutic Antibodies,Wiley,2014, Chapter 6,Antibody Affinity (pages 115-140)において記載される。
いくつかの実施形態において、上記に記載の方法に従って調製された抗体を提供することと(すなわち、親和性成熟により抗体を産生するため)、少なくとも1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と抗体を共製剤化することとを含む、薬学的組成物を調製する方法が提供される。薬学的組成物の調製に使用される抗体は、aCD38-a-323の親和性成熟バリアントであり得る。かかる方法により産生された薬学的組成物は、他の抗CD38抗体剤について本明細書に記載されるように本発明の治療の方法に使用されることができる。
本明細書に記載の提供される抗体および/またはその抗原結合断片(例えば、aCD38-a-323-HCDR3もしくはaCD38-a-323-HCDR123などの1つ以上のaCD38-a-323アミノ酸配列要素を含み得る、ならびに/または、ヒトCD38、および例えば、カニクイザルCD38のような非ヒト霊長類CD38などとの結合について、aCD38-a-323と競合し得る、CD38調節抗体剤)は、様々な形式のいずれかで提供され得る。例えば、いくつかの実施形態において、好適な形式は、モノクローナル抗体、ドメイン抗体、一本鎖抗体、Fab断片、F(ab’)2断片、一本鎖可変断片(scFv)、scFv-Fc断片、一本鎖抗体(scAb)、アプタマー、もしくはナノボディであり得るか、またはそれを含み得る。いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片(および特にモノクローナル抗体)は、ウサギ、マウス、キメラ、ヒト化、もしくは完全ヒト抗体またはその抗原結合断片であり得る。いくつかの実施形態において、提供される抗体またはその抗原結合断片は、所与の用途に最も好適であり得るとして、IgG、IgA、IgE、またはIgMアイソタイプ(好ましくはヒトのもの)であり得る。いくつかの態様において、提供される抗体またはその抗原結合断片は、IgGアイソタイプであり、より具体的にはIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4アイソタイプ(好ましくはヒトIgG1)である。いくつかの実施形態において、提供される抗体またはその抗原結合断片(例えば、多重特異性結合剤の一部として提供される)は、例えば、aCD38-a-323アミノ酸配列などのCD38調節抗体剤にさらなる結合および/または機能的部分を関連付けることが望ましい場合、単離された抗体または抗原結合は、二重特異性抗体、多重特異性抗体、または当技術分野で利用可能であり得る他の多重特異性形式に含まれ得る。
いくつかの実施形態において、提供されるCD38調節抗体剤は、CD38結合実体(例えば、抗CD38抗体またはその抗原結合断片)、および治療剤または診断剤などの複合化ペイロードを含む。多くのかかる実施形態において、薬剤は、「免疫複合体」として考慮される、および/または示される。抗体薬物などの特定の免疫複合体の生成に使用できる技術および化合物の例は、文献(Beck A et al.,2017)に開示されており、いくつかの既知の抗CD38抗体(WO2016/166304)に好適であるとして記載される。
いくつかの実施形態において、本発明は、提供される抗体またはその抗原結合断片を特定するaCD38-a-323アミノ酸配列を提供する。いくつかの実施形態において、かかる配列は、ヒトCD38の細胞外ドメインにおけるエピトープ、ならびに、任意で、カニクイザルおよび/またはマウスCD38の対応するエピトープ、単離されたタンパク質として、またはCD38を発現する細胞の表面上(免疫細胞、または例えば、Raji細胞などの細胞株)のいずれかと結合する提供される抗体またはその抗原結合断片を特定する。
本発明は、本発明のCD38調節抗体剤により結合されるのと同じ(または類似の)エピトープと結合するCD38調節抗体剤をさらに提供する。例えば、一実施形態において、aCD38-a-323(またはそのバリアント)と同じ(または類似の)エピトープと結合する抗体が提供される。
いくつかの実施形態において、本発明は、ヒトCD38のエピトープと特異的に結合する抗CD38抗体または抗原結合断片を提供し、エピトープは、配列番号9の少なくともアミノ酸120、121、および141を含む。いくつかの実施形態において、抗CD38抗体または抗原結合断片は、配列番号9のアミノ酸241とさらに結合する。
いくつかの実施形態において、本発明は、aCD38-a-323アミノ酸配列を含む抗体またはその抗原結合断片をスクリーニングおよび/もしくは特徴付ける手順、ならびに/または単離されたタンパク質として、およびヒトCD38を発現する細胞の表面上にヒトCD38細胞外ドメインとの結合を可能にする1つ以上のaCD38-a-323アミノ酸配列要素(例えば、aCD38-a-323-HCDR3アミノ酸配列を含む、および/またはaCD38-a-323と競合する)を含み、同じエピトープ、特に実施例で特定されたエピトープに対して競合する、抗体またはその抗原結合断片と同等の結合特徴を示すものを提供する。いくつかの実施形態において、aCD38-a-323(またはそのバリアント)は、配列番号9のアミノ酸残基120、121、および141を含むエピトープと結合し得、任意で配列番号9のアミノ酸残基241と結合し得る。
さらに、本発明は、1つ以上のaCD38-a-323アミノ酸配列要素を含む抗体またはその抗原結合断片と同等の機能的特徴を示す抗体またはその抗原結合断片をスクリーニングするための手順をさらに提供し、かかる特徴は、細胞活性化および細胞傷害活性であり、CD38調節抗体剤として作用する。これらの範囲で、候補抗体は、実施例(図1を参照)に記載されるアッセイ、またはかかる特徴の存在を確立するための当技術分野で即知である他のアッセイで試験することができるが、試験管内/生体外アッセイ、細胞系アッセイ、および/または動物モデルで評価される場合の、それらの全てが可能である。
いくつかの実施形態において、本発明は、aCD38-a-323アミノ酸配列などのCD38調節抗体剤を含む単離された抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸分子を提供する。いくつかの実施形態において、かかる提供される核酸分子は、コドン最適化された核酸配列を含み得、および/または、例えば、細菌、酵母、昆虫、魚類、ネズミ科、サル、またはヒト細胞などの宿主細胞における発現のための好適な核酸ベクター内の発現カセットに含まれ得る。
いくつかの実施形態において、本発明は、例えば、本明細書に記載されるCD38調節抗体剤(例えば、aCD38-a-323アミノ酸配列を含む)の1つ以上の特性を有する提供されるCD38調節抗体剤(例えば、抗体またはその抗原結合断片)を発現する異種性核酸分子(例えば、DNAベクター)を含む宿主細胞を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、例えば本明細書に記載されるCD38調節抗体剤(例えば、aCD38-a-323アミノ酸配列を含む)の1つ以上の特性を有するCD38調節抗体剤(例えば、抗体またはその抗原結合断片)を調製する方法を提供する。いくつかの実施形態において、かかる方法は、核酸を含む宿主細胞(例えば、ベクターを介して宿主細胞を含むおよび/または宿主細胞に送達され得る異種性核酸)を培養することを含み得る。いくつかの実施形態において、かかる宿主細胞(および/または異種性核酸配列)は、CD38調節抗体剤(例えば、抗体またはその抗原結合断片)が宿主細胞から分泌され(例えば、細胞培養上清から単離できるように)、および/または細胞表面上に露出される(例えば、かかるaCD38-a-323のアミノ酸配列および配列要素が、かかる細胞の状況下で、または一緒に、意図的に使用される場合、モノクローナル抗体の特異性をT細胞にグラフトする人工T細胞受容体として)ように配置および構築される。
いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片(またはそのバリアント)は、aフコシル化され得る。抗体のグリコシル化は、抗体(例えば、モノクローナル抗体、組換え抗体、および/または他の方法で操作または単離された抗体)およびFc融合タンパク質の活性、薬物動態、および薬力学に影響を与える可能性があり、特定の技術を利用して、所望されるグリコシル化プロファイルを有する抗体を取得でき得ることは周知である(Liu L,2015)。本発明に従って使用するための抗体(例えば、本明細書に記載される抗CD38抗体、例えばCD38調節抗体剤であり得るか、またはそれとして記載される抗体を含む)の細胞傷害を支持するエフェクター機能は、抗体のフコシル化レベルを低下させる方法を使用して増強することができる。かかる特性を示す特定のaCD38-a-323配列要素を含む抗体は、例えば、細胞株を遺伝子工学的に操作する技術を使用してaCD38-a-323配列を発現させることにより生産でき、それらは、フコシル化の能力が欠如または低下した抗体を産生でき得、それらのいくつかは、Potelligent(Lonza)GlyMAXX(ProBiogen)などの市販品であるか、または例えば、容積オスモル濃度の制御および/もしくは酵素阻害剤の使用など、製造プロセスの操作によるものであり、例えば、EP2480671に記載される方法もさらに参照されたい。
いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書に記載される所望される特性を有する提供される抗体またはその抗原結合断片を含む組成物(例えば、薬学的組成物)を提供する(例えば、本明細書においてCD38調節抗体剤と呼ばれる抗体に関して記載されているように、具体的には、例えば、aCD38-a-323抗体またはその抗原結合断片、およびそのバリアントを含む)。いくつかの実施形態において、かかる提供される組成物は、治療、診断、または予防用途などの医学的用途において意図されるおよび/または使用される。いくつかの実施形態において、かかる提供される組成物は、薬学的に許容される担体または賦形剤をさらに含むことができ、および/またはがんの治療に使用でき得る。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、当技術分野で知られているような1つ以上の担体、賦形剤、塩、緩衝剤などと共に製剤化され得る。当業者は、特定の方法および/または投与の部位、例えば非経口、(例えば、皮下、筋肉内、または静脈内注射)、粘膜、腫瘍内、腫瘍周囲、経口、または局所的投与に特に所望されるおよび/または有用であり得るものを含む、様々な製剤技術を認識し、容易に利用することができるであろう。多くの実施形態において、本明細書に記載されるCD38調節抗体剤例えば、抗CD38抗体またはその抗原結合部分)を含む提供される薬学的組成物は、非経口(例えば、注射および/または注入による)送達用に製剤化される。いくつかの実施形態において、かかる提供される薬学的組成物は、例えば、事前装填されたシリンジまたはバイアル形式で提供され得る。いくつかの実施形態において、かかる提供される薬学的組成物は、例えば、乾燥(例えば、凍結乾燥)形態で提供および/または利用され得、代替的に、いくつかの実施形態において、かかる提供される薬学的組成物は、液体形態(例えば、溶液、懸濁液、分散液、乳剤など)、ゲル形態などで提供および/または利用され得る。
いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書に記載される(例えば、aCD38-a-323アミノ酸配列要素を含む)CD38調節抗体剤(例えば、抗CD38抗体またはその抗原結合断片)、および/またはそれらを含む組成物の、B細胞悪性腫瘍、リンパ腫、(ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ球性、白血病、急性リンパ芽球性白血病、骨髄腫)、骨髄増殖性障害、固形腫瘍(乳がん、扁平上皮がん、結腸がん、頭頸部がん、肺がん、泌尿生殖器がん、直腸がん、胃がん、肉腫、黒色腫、食道がん、肝がん、精巣がん、子宮頸がん、肥満細胞腫、血管腫、眼がん、喉頭がん、口腔がん、中皮腫、皮膚がん、直腸がん、喉がん、膀胱がん、乳がん、子宮がん、前立腺がん、肺がん、膵臓がん、腎がん、胃がん、小細胞肺がん、卵巣がんなど)などのがんの治療および/または治療用薬剤の製造における使用を提供する。がんは、CD20、HER2、PD-1、PD-L1、SLAM7F、CD47、CD137、CD134、TIM3、CD25、GITR、EGFRなどの特定の腫瘍関連マーカーおよび抗原の存在、または高いマイクロサテライト不安定性(MSI-H)もしくはミスマッチ修復欠損(dMMR)として示されるバイオマーカーを有すると特定されているがんに基づいて定義することもできる。さらに、かかる状態は、前がん性、原発性がん、くすぶり型骨髄腫、意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症、子宮頸部上皮内腫瘍、MALT腫/GALT種、および様々なリンパ増殖性疾患などの上記のがんの非侵襲的状態を定義する場合にも考慮され得る。好ましくは、いくつかの実施形態において、治療される対象は、固形腫瘍を有する。一実施形態において、対象は、血液学的がんを有する。いくつかの実施形態において、対象は、CD38陽性腫瘍を有する。
したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書に記載の提供されるCD38調節抗体剤(例えば、抗CD38抗体またはその抗原結合断片)を含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、対象においてがんを治療する方法を提供する(例えば、aCD38-a-323アミノ酸配列を含む)。いくつかの実施形態において、提供される方法は、少なくとも1つの追加の薬剤または療法を任意の順序で同時にまたは連続的に対象に投与することをさらに含み得る(すなわち、対象が併用療法を受けるように)。いくつかの実施形態において、かかる少なくとも1つの追加の薬剤または療法は、抗がん剤(例えば、化学療法剤)、放射線療法(体の外部に放射線を適用するか、または放射性複合化合物を投与することにより)、抗腫瘍抗原もしくはマーカー抗体(抗原またはマーカーは、例えばCD4、CD25、CA125、PSMA、c-MET、VEGF、CD137、VEGFR2、CD20、HER2、HER3、SLAMF7、CD326、CAIX、CD40、CD47、またはEGF受容体である)、チェックポイント阻害剤、または免疫調節抗体(例えば、PD-1、PD-L1、TIM3、CD25、GITR、CD134、CD134L、CD137L、CD80、CD86、B7-H3、B7-H4、B7RP1、LAG3、ICOS、TIM3、GAL9、CD28、AP2M1、SHP-2、OX-40などを標的とする抗体)、ワクチン、アジュバント、使用標準プロトコル、がん細胞を標的とするか、もしくはがん細胞に対する免疫応答を刺激する1つ以上の他の化合物、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。一定の特定の実施形態において、かかる少なくとも1つの追加の薬剤または療法が抗体であるか、または抗体を含む場合に、かかる抗体によって標的化される形式および/または抗原は、文献に列挙され、おそらく特定のがんに適合するものから選択され得る(Sliwkowski M & Mellman I,2013;Redman JM et al.,2015;Kijanka M et al.,2015)。
さらに、本発明は、本明細書に記載の(例えば、aCD38-a-323アミノ酸配列を含む)提供されるCD38調節抗体剤(例えば、抗CD38抗体またはその抗原結合断片)、またはかかる単離された抗体もしくは抗原結合断片の投与、保存、または他の使用が可能な関連する組成物を含む様々なキットまたは製造品を提供する。いくつかの実施形態において、提供されるキットは、容器、シリンジ、バイアル、またはかかる組成物を含む他の容器を、任意で1つ以上の製造品、希釈剤、試薬、固相、および/またはキットの正しい使用のための説明書と一緒に含む。
いくつかの実施形態において、医学的用途などの特定の用途、特にがんの治療のための、本明細書に記載される(例えば、aCD38-a-323アミノ酸配列を含む)特定のCD38調節抗体剤(例えば、抗CD38抗体またはその抗原結合断片)の同定、特徴付け、および/または検証は、本明細書に記載される1つ以上のアッセイまたはシステムを使用することにより実行できる。いくつかの実施形態において、かかる同定、特徴付け、および/または検証は、例えば異なる実験設定および/または選択パネル(例えば、がん由来細胞株)を使用した、1つ以上の細胞系アッセイにおける活性の分析を伴い得る。いくつかの実施形態において、特に、本明細書に記載される特定の所望されるCD38調節抗体剤に関連する提案される免疫学的メカニズムを考慮すると、所望される同定、特徴付け、および/または検証は、がんが誘発されるか、またはがん細胞が異種移植片、または同系/同種のがん由来細胞として移植される動物モデルにおいて生成される関連データの収集を伴う。代替的または追加的に、いくつかの実施形態において、PBMC(すなわち、ヒト化PBMCマウスモデル)またはCD34+造血幹細胞(すなわち、CD34+ヒト化マウス)などのヒト細胞の移植を伴う動物モデルを利用して、モデルシステム内のヒト免疫細胞に対するCD38調節抗体剤の活性を評価でき得る。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるCD38調節抗体剤(例えば、抗CD38抗体またはその抗原結合断片)の関連配列(例えば、aCD38-a-323アミノ酸配列を含むか、または別の方法では本明細書にCD38調節抗体剤として記載される薬剤の構造的および/または機能的特徴を含む)は、薬学的および/または技術的理由のために、さらに好適または所望される抗体フレームの状況下にクローニングおよび/または発現させることができる。例えば、かかる配列(おそらくコドン最適化VHおよびVLコード配列として)は、ヒトIgG1定常領域(hIgG1)と一緒にクローン化され、好適な抗体発現ベクターおよび細胞株(例えば、CHO-SのようなCHO由来の細胞株など)を使用して発現される。いくつかの特定の実施形態において、ヒトIgG1形式の抗体における提供された抗体配列の発現および分泌は、トランスフェクション後の細胞溶解物の還元された状態において、および抗体の精製(親和性クロマトグラフィ、ゲル濾過、および/または他の好適な技術による)に後で使用される上清の非還元化状態において分析できる。提供される抗CD38抗体配列の結合および/または他の機能特性は、ヒトIgG1形式(例えば、CD38調節抗体剤-hIgG1)で、例えば、以下の実施例に記載される1つ以上のアッセイを使用して分析できる。例えば、かかるhIgG1形式で提供される抗体は、例えばフローサイトメトリーを使用して、ヒトおよびカニクイザルのPBMCとの結合について評価することができる。代替的または追加的に、特定の免疫細胞集団との結合は、例えばNK細胞のCD3、CD45、CD56、およびCD159(NKG2A)、CD14(単球)、CD19(B細胞用)、ならびに/またはCD4/CD8(T細胞)のような特定の免疫細胞集団の1つ以上の特定のマーカーを利用し得るフローサイトメトリーを使用して評価できる。
さらに、ヒト原発性腫瘍細胞および/またはヒトの健康なドナーおよび/または患者から単離された免疫細胞に対する本明細書に記載される(例えば、aCD38-a-323アミノ酸配列を含むか、またはCD38調節抗体剤-hIgG1などのCD38調節抗体剤として本明細書に記載される薬剤の構造的および/または機能的特徴を含む)1つ以上のCD38調節抗体剤(例えば、抗CD38抗体またはその抗原結合断片)の効果を評価できる。個々の免疫細胞集団に対する潜在的な影響をより詳細に調査するために、かかるCD38調節抗体剤を使用して、PBMC、ならびに/または、腫瘍から単離された細胞、および/もしくは精製されたヒトCD8およびCD4T細胞、Treg細胞、MDSC細胞、樹状細胞、マクロファージおよび単球、好中球、NK細胞、およびその他の細胞種を治療できる。潜在的な読み出しには、サイトカイン放出、腫瘍細胞殺傷、細胞増殖、まらびに/または活性化、アポトーシス、抗原特異的および/もしくは同種系応答、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。代替的または追加的に、マウスまたは非ヒト霊長類を治療することができ、フローサイトメトリーを使用して、または動物から様々な器官および/または細胞を単離した後、細胞の状態を追跡できる。
代替的または追加的に、本明細書に記載される(例えば、aCD38-a-323アミノ酸配列を含むか、またはCD38調節抗体剤-hIgG1などのCD38調節抗体剤として本明細書に記載される薬剤の構造的および/または機能的特徴を含む)CD38調節抗体剤(例えば、抗CD38抗体またはその抗原結合断片)の1つ以上の特性は、CD38発現細胞(例えば、NK細胞またはT細胞)に対するかかるCD38調節抗体剤の効果を研究することにより、単独または組み合わせて評価でき得る;CD38酵素活性、CD38誘導Ca2+レベルおよびタンパク質リン酸化、CD38脱落および/もしくは内在化、CD38誘導細胞内経路の活性化(例えば、NFκB経路)、ならびに/またはCD31および他の受容体タンパク質との相互作用(例えば、CD16、TCR、BCRなど)。CD38の下流の活性への後のプロセスの関与が、これらのプロセスの特定の阻害剤を使用してさらに評価できる。これらの細胞効果は、aCD38調節抗体剤-hIgG1抗体をカニクイザルに投与した場合、生体内で追跡できる。
本発明のいくつかの実施形態において、抗体(およびそのバリアント)は、有利な活性プロファイルを有し得る。例えば、一実施形態において、抗体またはその抗原結合断片(およびそのバリアント)は、
CD38+標的細胞に対して抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を示し、
補体依存性細胞傷害(CDC)を示し、かつ/または
免疫エフェクター細胞の活性化を誘導し得る。
好ましくは、aCD38-a-323またはその抗原結合断片(またはそのバリアント)は、同じまたは実質的に同じ条件下でのダラツムマブと比較して、CD38+標的細胞に対して低減されたCDC活性を示す。
抗CD38抗体またはその抗原結合断片の抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性は、例えば、標的細胞としてCD38+Daudi細胞、およびエフェクター細胞としてヒトPBMC細胞を使用して、実施例に記載されるアッセイを使用して試験管内で決定され得、エフェクター細胞に対する標的細胞の比率は、約50対1~約25対1である。
CD38+標的細胞に対する補体依存性細胞傷害(CDC)活性は、実施例に記載されるアッセイを使用して、例えば10%補体の存在下でCD38+Daudiおよび/またはRaji細胞を使用して、試験管内で決定できる。CDC活性は、ヒト補体の存在下で最大10μg/mlの濃度まで増加する抗体で標的細胞を処理することにより決定できる。いくつかの実施形態において、CDC活性は、10%の補体の存在下でのCD38+細胞、すなわち、CD38+Daudi細胞の細胞溶解の最大割合を測定することにより決定され得る。所定の抗体の最大溶解は、実験ごとに異なり得る。したがって、CDC活性を測定するための他の指標を考慮することは有益であり、例えば、EC50値、ならびに/または参照抗体(ダラツムマブなど)と比較した最大%溶解および/もしくはEC50の倍数差などが含まれる。したがって、ダラツムマブと比較した低いCDC活性の決定は、最大%溶解、EC50、および/またはいずれかの値のダラツムマブと比較した倍数変化に関連し得る。
本発明の好ましい一実施形態において、CD38調節抗体剤は、
a)ダラツムマブよりも少なくとも0.5倍高い(またはより好ましくは少なくとも1倍高い)EC50、および/または
b)ダラツムマブによって示されるものの半分以下である10%補体の存在下でRajiおよび/またはDaudi細胞で測定された最大%溶解を伴って、CDCを示し得る。
当然であるが、ダラツムマブのCDCは、比較のために同じまたは実質的に同じ条件で決定される。CDC活性は、最大約10μg/mlの抗体濃度を使用して決定できる。当業者が理解するように、細胞の最大溶解を決定する場合、10μg/mLの濃度が必ずしも必要とは限らず、必要であれば10μg/mLを使用してもよいが、より低い抗体濃度で最大細胞溶解が起こり得る。
いくつかの実施形態において、ダラツムマブと比較したCDC活性の低下は、同じまたは実質的に同じ条件下で、ダラツムマブよりも抗体またはその抗体結合断片のEC50が少なくとも約0.5倍大きい(すなわち、少なくとも約1.5倍大きい)、または好ましくは、少なくとも約1倍大きい(すなわち、少なくとも約2倍大きい)ことである。例えば、抗体またはその抗体結合断片のEC50は、10%補体の存在下でのDaudi細胞および/またはRajiに対するダラツムマブよりも少なくとも約0.5倍、または好ましくは約1倍大きい。
いくつかの実施形態において、ダラツムマブと比較したCDC活性の低下は、最大%溶解が、同じまたは実質的に同じ条件下でダラツムマブによって示されるものの半分以下である。例えば、最大%溶解は、10%の補体の存在下でRajiおよび/またはDaudi細胞で測定されるように、ダラツムマブによって示されるものの半分以下であり得る。
いくつかの実施形態において、抗体またはその断片(またはそのバリアント)は、CDCによりCD38+発現Daudi細胞の60%未満の溶解を引き起こす。いくつかの実施形態において、抗体またはその断片は、CDCによりCD38+発現細胞の約50%未満、約40%未満、約30%未満、または約20%未満の溶解を引き起こす。いくつかの実施形態において、抗体またはその断片は、CDCによりCD38+発現細胞の約60%未満の溶解であるが、約10%を超える溶解を引き起こす。溶解パーセンテージは、10%の補体が存在し、抗体の濃度が最大10μg/mLまで増加するDaudi細胞において測定できる。
いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片(またはそのバリアント)は、CD38+Daudiおよび/またはRaji細胞に対して少なくとも約0.05μg/mLのEC50でCDCを誘導する(および任意で、CDCにより、かかるCD38+発現細胞の60%未満の溶解を引き起こす)。いくつかの実施形態において、抗体またはその断片は、CD38+Daudiおよび/またはRaji細胞に対して少なくとも約0.05μg/mL、少なくとも約0.10μg/mL、または少なくとも約0.15μg/mLのEC50でCDCを誘導する(任意で、最大約10μg/mlまでの抗体濃度でのCDCにより、かかるCD38+発現細胞の60%未満の溶解を引き起こす)。
いくつかの実施形態において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片(またはそのバリアント)は、同じまたは実質的に同じ条件下で、ダラツムマブと比較して、より多くの量のT細胞活性化を誘導し得る。いくつかの態様において、T細胞活性化は、luc_レポーターJurkat細胞におけるNFATシグナル伝達を測定することにより決定され得る。いくつかの態様において、luc_レポーターJurkat細胞において測定される、抗CD38抗体またはその抗原結合断片によって誘導されるNFATシグナル伝達は、同じまたは実質的に同じ条件下で測定されるダラツムマブよりも少なくとも約10%高い。いくつかの実施形態において、NFATシグナル伝達は、同じまたは実質的に同じ条件下で測定されるダラツムマブのNFATシグナル伝達よりも少なくとも約15%、少なくとも約20%、または少なくとも約30%高い。
Jurkat細胞でのNFAT luc_レポーターアッセイにおいて、NFATシグナル伝達は、相対発光ユニット(RLU)の可溶性CD3モノクローナル抗体の存在下で測定され得る。CD3モノクローナル抗体は、1μg/mlの濃度であり得、Jurkat細胞は、約5μg/ml~約40μg/ml(例えば、10μg/ml)の濃度の抗CD38抗体で刺激され得る。かかるアッセイを使用すると、CD3のみの刺激のRLUがベースラインとして使用される場合、NFATシグナル伝達は、同じまたは実質的に同じ条件下で測定されるダラツムマブのNFATシグナル伝達よりも少なくとも約10%高い可能性がある。
T細胞の活性化は、T細胞増殖の増加、および/またはサイトカイン分泌の増加によってさらに特徴付けられ、サイトカインは、IL-2、TNF-α、IFN-γ、IL-10、およびGM-CSFからなる群から選択され得る。
T細胞増殖は、実施例で提供されるように、例えば、10μg/mlの抗体濃度で72時間の培養後、0.1μg/mlまたは0.5μg/mlの抗CD3抗体の存在下で決定されるように測定され得る。いくつかの実施形態において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、未処置細胞と比較して、CD4+および/またはCD8+細胞のT細胞増殖を、少なくとも20%増加させる。いくつかの実施形態において、T細胞増殖は、未処理細胞と比較して、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、または少なくとも約40%増加する。
好ましくは、抗CD38抗体またはその抗原結合断片(またはそのバリアント)は、同じまたは実質的に同じ条件で(例えば、同じ抗体濃度で72時間インキュベート)、ヒトIgG1で処理した細胞と比較して、CD4+および/またはCD8+細胞におけるT細胞増殖を、少なくとも約0.5倍(すなわち、少なくとも1.5倍)、または少なくとも1倍(すなわち、少なくとも2倍)、または少なくとも2倍(すなわち、少なくとも3倍)、または少なくとも3倍(すなわち、少なくとも4倍)増加させる。
いくつかの実施形態において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片(またはそのバリアント)は、同じまたは実質的に同じ条件下で、ダラツムマブにより誘導されるよりも多い量のCD4+ならびに/またはCD8+細胞におけるIL-2、TNF-α、IFN-γ、IL-10および/もしくはGM-CSFからなる群から選択されるサイトカインの分泌を誘導する。いくつかの実施形態において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、ダラツムマブと比較してGM-CSFの分泌を増加させる。サイトカイン分泌は、実施例で提供されるように、例えば、10μg/mlの抗体濃度で72時間の培養後に決定されるように測定され得る。
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体またはその抗原結合断片(またはそのバリアント)は、NK細胞の活性化を誘導し得る。NK細胞の活性化は、NK細胞増殖の増加によって特徴付けられる。NK細胞の活性化は、代替的または追加的に、細胞内IFNg産生の増加を示すことにより、および/または脱顆粒マーカーCD107aの発現を増加させることで決定され得る。
いくつかのの実施形態において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片(またはそのバリアント)は、シクラーゼおよび/またはNADase活性に影響を及ぼし得る。CD38 NADase活性に対する効果は、例えば、Jurkat細胞において、E-NAD+の5’-eAMPへの変換を測定することにより、実施例のアッセイのように測定することができる。CD38シクラーゼ活性に対する効果は、例えば、Jurkat細胞において、NGD+のcGDPRへの変換を測定することにより、実施例のアッセイのように測定することができる。
いくつかの実施形態において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片(またはそのバリアント)は、CD38 NADase活性に対する阻害効果を有する。CD38 NADase活性に対する阻害効果は、例えば、Jurkat細胞において、E-NAD+の5’-eAMPへの変換を測定することにより、実施例のアッセイのように測定することができる。いくつかの実施形態において、CD38 NADase活性に対する阻害効果は、Jurkat細胞において、E-NAD+の5’eAMPへの変換により測定される、IgG非結合対照抗体の存在下でのCD38 NADase活性と比較して、少なくとも10%低い。いくつかの実施形態において、阻害効果は、IgG非結合制御活性の存在下でのCD38 NADase活性と比較して、少なくとも約15%、少なくとも約20%、または少なくとも約25%低くなり得る。
いくつかの実施形態において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片(またはそのバリアント)は、Jurkat細胞において、E-NAD+の5’eAMPへの変換により測定される、CD38 NADase活性を、IgG非結合対照抗体の存在下でのCD38 NADase活性の約25%以上で低下させる。好ましくは、抗体は、CD38 NADase活性を、IgG非結合対照抗体の存在下でのCD38 NADase活性の約30%以上、約40%以上、または約50%以上で低下させる。好ましくは、抗体は、CD38 NADase活性を、IgG非結合対照抗体の存在下でのCD38 NADase活性の25%~95%、約30%~90%、または約40%~90%で低下させる。これは、抗CD38抗体またはその抗原結合断片の存在下で、CD38 NADase活性がJurkat細胞において依然として存在することを意味するが、しかしながら、IgG非結合対照抗体の存在下と比較した量は減少された。
いくつかの実施形態において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片(またはそのバリアント)は、CD38シクラーゼ活性に対して刺激効果を有する。CD38シクラーゼ活性に対する刺激効果は、例えば、Jurkat細胞において、NGD+のcGDPRへの変換を測定することにより、実施例のアッセイのように測定することができる。いくつかの実施形態において、CD38シクラーゼ活性に対する刺激効果は、Jurkat細胞において、NGD+のcGDPRへの変換により測定される、IgG非結合対照抗体の存在下でのCD38シクラーゼ活性と比較して、少なくとも10%高くなり得る。いくつかの実施形態において、刺激効果は、IgG非結合制御活性の存在下でのCD38シクラーゼと比較して、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%高く、少なくとも約50%高く、最後に約100%高く、少なくとも約200%高く、少なくとも約300%高く、少なくとも約400%高くなり得る。いくつかの実施形態において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、ダラツムマブと比較してCD38シクラーゼに対してより大きな刺激効果を有する。
いくつかの実施形態において、抗CD38抗体またはその抗原結合断片は、CD38シクラーゼ活性に対する刺激効果およびCD38 NADase活性に対する阻害効果を有する。
ダラツムマブは、Jurkat細胞においてシクラーゼ活性を阻害し、かつNADase活性を刺激することが示されている。対照的に、本発明の抗体は、同じまたは実質的に同じ条件で、CD38シクラーゼに対する刺激効果、およびCD38 NADaseの阻害効果を有し得る。
そのようなものとして、抗CD38抗体またはその抗原結合断片(またはそのバリアント)は、CD38+標的細胞に対して抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を示し、同じまたは実質的に同じ条件下で、ダラツムマブと比較してCD38+標的細胞に対するCDC活性の低下を示し(例えば、本明細書に記載されるように測定される最大%溶解は、ダラツムマブの半分未満であり得る)、免疫エフェクター細胞の活性化を誘導し、T細胞増殖を誘導し、GM-CSFを含むサイトカイン分泌の増加を誘導し、CD38 NADase活性に対する阻害効果を示し、CD38シクラーゼ活性に対する刺激効果を示す。
本発明は、抗体aCD38-a-323のバリアントまたは誘導体をさらに含む。バリアントまたは誘導体抗体またはその抗原結合断片は、それらが由来する抗体と同じ機能的プロファイル(すなわち、薬理学的特性)を共有し得る。同様に、本発明は、CD38との結合についてaCD38-a-323(またはそのバリアント)と競合する抗体または抗原結合断片を含む。かかる競合抗体は、aCD38-a-323と同じ機能的プロファイル(すなわち、薬理学的特性)を有し得る。
提供されるCD38調節抗体剤とヒトCD38との間の分子相互作用についてさらに洞察を得るために、CD38調節抗体剤およびヒトCD38タンパク質の結晶構造が決定され得る(例えば、aCD38-a-323-hIgG1抗体の特定の例を与えるため)。提供されるCD38調節抗体剤(具体的には、例えばaCD38-a-323-hIgG1抗体を含む)の溶解性および/または安定性は、溶解性研究、加速ストレス研究、凍結融解研究、および正式な安定性研究を介して評価できる。抗体の凝集に続いて、目視検査、サイズ排除クロマトグラフィ、動的光散乱、OD280/320吸光度を測定できる。
以下に、本明細書で使用される用語、技術的手法、および実施形態の特定の定義を提供し、それらの多くまたは大部分が、当業者の共通の理解を裏付けるものである。
投与:本明細書で使用される「投与」という用語は、対象への組成物の投与を指す。動物対象(例えば、ヒト)への投与は、任意の好適な経路によるものであり得る。例えば、いくつかの実施形態において、投与は、気管支(気管支滴下による投与を含む)、頬側、経腸、動脈内、皮内、胃内、髄内、筋肉内、鼻腔内、腹腔内、くも膜下腔内、静脈内、脳室内、特定の臓器または組織内(例えば、肝内、腫瘍内、腫瘍周囲など)、粘膜、鼻、口部、直腸、皮下、舌下、局所、気管(気管内滴下を含む)、経皮、膣、および硝子体であり得る。投与は、断続的な投薬を伴い得る。代替的に、投与は、少なくとも選択された期間の連続的投薬(例えば、灌流)を伴い得る。当該技術分野で知られているように、抗体療法は一般に、例えば静脈内、皮下、または腫瘍内注入により非経口的に投与される(例えば、特に腫瘍内の高用量が所望される場合)。
薬剤:本明細書で使用される「薬剤」という用語は、例えば、ポリペプチド、核酸、糖類、小分子、金属、またはそれらの組み合わせを含む任意の化学クラスの化合物または実体を指し得る。本発明に従って利用され得る薬剤の特定の実施形態には、小分子、薬物、ホルモン、抗体、抗体断片、アプタマー、核酸(例えば、siRNA、shRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム)、ペプチド、ペプチド模倣物などが含まれる。薬剤は、ポリマーであっても、ポリマーを含んでもよい。
抗体:本明細書で使用される「抗体」という用語は、CD38、特にヒトCD38、およびヒトCD38細胞外などの特定の標的抗原との特異的結合を付与するのに十分な標準的な免疫グロブリン配列要素を含むポリペプチドを指す。当技術分野で知られているように、自然に産生される無傷の抗体は、相互に関連する2つの同一の重鎖ポリペプチド(各約50kD)および2つの同一の軽鎖ポリペプチド(各約25kD)で構成される、およそ150kDの四量体であり、一般に「Y字型」構造と称されるものである。各重鎖は、少なくとも4つのドメイン(各々約110アミノ酸の長さ)、アミノ末端可変(VH)ドメイン(Y構造の先端に位置する)、それに続く3つの定常ドメイン、CH1、CH2、およびカルボキシ末端CH3(Y’のステムの基部に位置する)で構成される。「スイッチ」として知られる短い領域は、重鎖可変および定常領域を接続する。「ヒンジ」は、CH2およびCH3ドメインを抗体の残りの部分と接続する。このヒンジ領域の2つのジスルフィド結合は、2つの重鎖ポリペプチドを無傷の抗体において互いに接続する。各軽鎖は、2つのドメイン、アミノ末端可変(VL)ドメイン、それに続くカルボキシ末端定常(CL)ドメインで構成され、別の「スイッチ」によって互いに分離されている。無傷の抗体四量体は、重および軽鎖が単一ジスルフィド結合によって互いに結合している2つの重鎖-軽鎖二量体で構成されており、他の2つのジスルフィド結合が重鎖のヒンジ領域を互いに接続するため、二量体が互いに接続され、四量体が形成される。天然に産生された抗体は、典型的にはCH2ドメインがグリコシル化されており、各ドメインは、圧縮逆平行ベータバレル内に互いに密集した2つのベータシート(例えば、3本、4本、または5本鎖シート)から形成された「免疫グロブリンフォールド」を特徴とする構造を有する。各可変ドメインには、「補体決定領域」として知られる3つの超可変ループ(CDR1、CDR2、およびCDR3;当技術分野で理解されているように、例えばKabatナンバリングスキームに従って決定される)、および4つのやや不変の「フレームワーク」領域(FR1、FR2、FR3、FR4)が含まれる。天然の抗体が折り畳まれると、FR領域は、ドメインの構造的フレームワークを提供するベータシートを形成し、重および軽鎖の両方のCDRループ領域が三次元空間に集められ、Y構造の先端に位置する単一の超可変抗原結合部位を作製する。天然の抗体のFc領域は補体系の要素に結合し、さらに、例えば細胞傷害を媒介するエフェクター細胞を含むエフェクター細胞上の受容体にも結合する。当技術分野で知られているように、Fc受容体に対するFc領域の親和性および/または他の結合属性は、抗体の開発可能性を改善できるグリコシル化または他の修飾により調節することができる(Jarasch A et al.,2015)。
いくつかの実施形態において、本発明に従って産生および/または利用される抗体には、かかるグリコシル化が改変または操作されたFcドメインを含むグリコシル化Fcドメインが含まれる。本発明の目的のために、特定の実施形態において、天然の抗体に見られる十分な免疫グロブリンドメイン配列を含むポリペプチドまたはポリペプチドの複合体は、かかるポリペプチドが天然に産生されるかどうかにかかわらず、「抗体」と呼ばれ、および/または使用され得(例えば、抗原に反応する生物によって生成される)、または組換え工学、化学合成、または他の人工システムまたは方法論によって生成される。いくつかの実施形態において、抗体はポリクローナル抗体またはオリゴクローナル抗体であり、抗体のパネルとして生成され、各々が単一の抗体配列に関連付けられ、抗原内の多少の異なるエピトープと結合する(異なる参照抗CD38抗体に関連するヒトCD38細胞外ドメイン内の異なるエピトープなど)。
文献(Kearns JD et al.,2015)に記載されているように、ポリクローナルまたはオリゴクローナル抗体は、医療用途の単一調整で提供できる。いくつかの実施形態において、抗体は、モノクローナルである。いくつかの実施形態において、抗体は、マウス、ウサギ、霊長類、またはヒトの抗体に特質のある定常領域配列を有する。いくつかの実施形態において、抗体配列要素は、当技術分野で知られているように、ヒト化、霊長類化、キメラなどである。さらに、本明細書で使用される「抗体」という用語は、適切な実施形態において(特に明記しない限り、文脈から明らかでない限り)、例えば以下に定義される抗原結合断片として、代替提示で抗体の構造的および機能的特徴を利用するために、当技術分野で既知または開発された構築物または形式のいずれをも参照できる。例えば、本発明に従って利用される抗体は、無傷のIgG、IgEおよびIgM、二重または多重特異性抗体(例えば、Zybodies(登録商標)など)、単鎖可変ドメイン(scFv)、ポリペプチド-Fc融合、Fab、カメロイド抗体、重鎖サメ抗体(IgNAR)、マスクされた抗体(例えば、Probodies(登録商標))、または細胞表面での発現および露出を可能にするポリペプチドとの融合タンパク質(モノクローナル抗体の特異性をT細胞に移植するために使用される人工T細胞受容体を取得するための構築物内のscFvとして)から選択されるがこれらに限定されない形式である。いくつかの実施形態において、抗体は、自然に産生された場合に有するであろう共有結合修飾(例えば、グリカンの付着)を欠く場合がある。代替的に、抗体は、共有結合修飾(例えば、グリカン、ペイロード[例えば、検出可能部分、治療部分、触媒部分など]、または他のペンダント基[例えば、ポリエチレングリコールなど]の付着)を含み得る。
抗原:本明細書で使用される「抗原」という用語は、免疫応答を誘発する、ならびに/またはT細胞受容体(例えば、MHC分子によって提示される場合)、および/もしくはB細胞受容体と結合する因子を指す。液性応答を誘発する抗原は、抗原特異的抗体の産生を伴うか、またはCD38細胞外ドメインに対する実施例に示されるように、抗体ライブラリをスクリーニングし、さらに特徴付けされる候補抗体配列を同定するために使用できる。
抗原結合断片:本明細書で使用される「抗原結合断片」という用語は、抗原結合断片および抗体によって標的化される抗原と特異的に結合する能力を付与するのに十分な本明細書に記載される抗体の1つ以上の部分を含むか、または成る薬剤を包含する。例えば、いくつかの実施形態において、この用語は、特異的結合を付与するのに十分な免疫グロブリン構造要素を含むポリペプチド、またはポリペプチド複合体のいずれをも包含する。例示的な抗原結合フラグメントには、小モジュラー免疫医薬品(「SMIPs(商標)」)、一本鎖抗体、カメロイド抗体、単一ドメイン抗体(例えば、サメ単一ドメイン抗体)、一本鎖またはタンデム型二重特異性抗体(TandAb(登録商標))、VHH、Anticalins(登録商標)、Nanobodies(登録商標)、低分子、BiTE(登録商標)、アンキリンリピートタンパク質またはDARPINs(登録商標)、Avimers(登録商標)、DART、TCR様抗体、Adnectins(登録商標)、Affilins(登録商標)、Trans-bodies(登録商標)、Affibodies(登録商標)、TrimerX(登録商標)、マイクロタンパク質、Centyrins(登録商標)、CoVXボディ、BiCyclicペプチド、Kunitzドメイン由来抗体構築物、または所望される生物学的活性を示す限りの他の抗体断片が含まれるが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、この用語は、例えば文献(Vazquez-Lombardi R et al.,2015)で概説されているように、ステープル化ペプチド、抗体様結合ペプチド模倣体、抗体様結合足場タンパク質、モノボディ、および/または他の非抗体タンパク質足場などの他のタンパク質構造を包含する。いくつかの実施形態において、抗原結合断片は、アミノ酸配列が相補性決定領域(CDR)として当業者によって認識される1つ以上の構造要素を含むポリペプチドであるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態における抗原結合断片は、そのアミノ酸配列が、本明細書に記載される抗CD38抗体に見られるもの(例えば、aCD38-a-323アミノ酸配列要素)と実質的に同一の少なくとも1つの参照CDR(例えば、少なくとも1つの重鎖CDRおよび/または少なくとも1つの軽鎖CDR)、特にHCDR3(例えば、aCD38-a-323-HCDR3配列)などの少なくとも1つの重鎖CDRを含むポリペプチドであるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態における抗原結合断片は、そのアミノ酸配列が、配列が同一であるか、または参照CDRが由来する抗体(例えば、aCD38-a-323)の標的との結合を維持しながら、かかる参照CDRと比較して少数(例えば、1、2、3、または4)のアミノ酸改変(例えば、置換、追加、または欠失、多くの場合は、置換)を含むかのいずれかである、少なくとも1つのCDR(例えば、少なくとも1つの重鎖CDRおよび/または少なくとも1つの軽鎖CDR)を含むポリペプチドであるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態において、抗原結合断片は、参照抗体(例えば、aCD38-a-323)の重鎖もしくは軽鎖からの3つ全てのCDR(またはいくつかの実施形態では、それと実質的に同一の配列)を含むポリペプチドまたはその複合体であるか、またはそれを含み;いくつかの実施形態において、抗原結合断片は、参照抗体(例えば、aCD38-a-323)からの6つ全てのCDR(または、一部の実施形態では、それと実質的に同一の配列)を含むポリペプチドもしくはその複合体であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態において、抗原結合断片は、参照抗体(例えば、aCD38-a-323)の重および/もしくは軽鎖可変ドメイン(または、いくつかの実施形態では、それと実質的に同一の配列)を含むポリペプチドまたはその複合体であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態において、「抗原結合断片」という用語は、例えば、RNAアプタマーおよびDNAアプタマーなどの核酸アプタマーのような、非ペプチドおよび非タンパク質構造を包含する。アプタマーは、ポリペプチドなどの特定の標的と結合するオリゴヌクレオチド(例えば、DNA、RNA、またはその類似体または誘導体)である。アプタマーは、低分子、タンパク質、核酸、さらには細胞および組織などの様々な分子標的と特異的に結合する短い合成一本鎖オリゴヌクレオチドである。これらの小さな核酸分子は、タンパク質または他の細胞標的と特異的に結合可能な二次および三次構造を形成でき、本質的に抗体の化学的同等物である。アプタマーは非常に特異性があり、サイズが比較的小さく、非免疫原性である。アプタマーは一般に、SELEX(指数関数的エンリッチメントによるリガンドの系統的進化)として知られるバイオパニング法から選択される(例えば、Ellington et al.Nature.1990; 346(6287):818-822;Tuerk et al.,Science.1990;249(4968):505-510;Ni et al.,Curr Med Che 2011; 18(27):4206-14を参照されたい)。任意の所与の標的に対してアプタマーを生成する方法は、当技術分野で周知である。アフィマーを含むペプチドアプタマーも含まれる。アフィマーは、特定の標的タンパク質に対して高親和性結合表面を提供するペプチドループを提示するように操作された、小さく、非常に安定したタンパク質である。シスタチンのシステインプロテアーゼ阻害物質ファミリーに由来する、12~14kDaの低分子量のタンパク質である。アフィマータンパク質は足場で構成されており、シスタチンタンパク質の折り畳みに基づいた安定したタンパク質である。それらは、ランダム化して抗体と同様の高い親和性および特異性で異なる標的タンパク質と結合できる、2つのペプチドループならびにN末端配列を表示する。タンパク質足場上でのペプチドの安定化は、ペプチドが取り得る可能性のある立体構造を制限し、したがって、遊離ペプチドのライブラリと比較して、結合親和性および特異性が向上する。
配列同一性の割合(%):2つの配列間の「配列同一性」の割合(%)は、当技術分野で即知の方法を使用して決定できる。ペプチド、ポリペプチド、または抗体配列に関する配列同一性は、配列を整列させてギャップを導入した後、特定のペプチドまたはポリペプチド配列のアミノ酸残基と同一である候補配列のアミノ酸残基の割合として定義でき、必要に応じて、配列同一性の最大割合を達成し、配列同一性の一部として保存的置換を考慮しない。アミノ酸配列同一性の割合を決定する目的のためのアラインメントは、例えば、BLAST、ギャップ付BLASTを含むBLAST-2、およびBLASTp(タンパク質用)(Altschul SF et al(1997))、またはFASTAなどの公的に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して、デフォルトのパラメータを使用して当該技術分野の範囲内である様々な手段で達成することができる。
生物学的試料。本明細書で使用される「生物学的試料」または「試料」という用語は、概して本明細書に記載される目的の生物源(例えば、組織、または生物体、または培養細胞)から取得されるか、または由来する試料を指す。目的の源は、動物またはヒトなどの生物体であり得る。生体試料は、生体組織または体液を含み得る。
がん:「がん」、「悪性腫瘍」、「新生物」、「腫瘍」、「腫」、および「がん種」という用語は、本明細書では互換的に使用され、相対的に異常であり、制御されない、および/または自律的な成長を示す細胞を指し、そのため、細胞増殖の制御が著しく失われることによって特徴付けされる異常な成長表現型を示す。概して、本出願における検出または治療の対象となる細胞には、前がん性(例えば、良性)、悪性、前転移性、転移性、および非転移性細胞が含まれる。本開示の教示は、あらゆる全てのがんに関連し得る。いくつかの非限定的な例を挙げると、いくつかの実施形態において、本開示の教示は、例えば、白血病、リンパ腫(ホジキンおよび非ホジキン)、骨髄腫、および骨髄増殖性障害を含む造血性がん;肉腫、黒色腫、腺腫、固形組織のがん腫、口部、喉、喉頭、および肺の扁平上皮がん、肝臓がん、前立腺などの泌尿生殖器がん、子宮頸がん、膀胱がん、子宮がん、子宮内膜がん、腎細胞がん、骨がん、膵臓がん、皮膚がん、皮膚性または眼内黒色腫、内分泌系のがん、甲状腺のがん、副甲状腺のがん、頭頸部がん、乳がん、胃腸がん、神経系がん、乳頭腫などの良性病変などの1つ以上のがんに適用される。本発明の抗体は、CD38+発現腫瘍の治療において使用できる。
CD38調節抗体剤:「CD38調節抗体剤」という用語は、本明細書に記載される特定の特性を示すCD38調節抗体剤(例えば、抗CD38抗体)を指すために本明細書で使用される。多くの実施形態において、本明細書に記載の所望されるCD38調節抗体剤は、免疫エフェクター細胞を刺激し、および/または免疫細胞機能を改変し、免疫抑制細胞または腫瘍細胞など(例えば、各々の場合に、それらの表面上にCD38を発現する)のCD38発現細胞(例えば、高レベルのCD38を発現する)に対して細胞傷害性または食作用を誘発することを特徴とする。いくつかの実施形態において、CD38調節抗体剤は、免疫細胞(例えば、免疫細胞、特にCD38を発現する免疫細胞と接触した場合)および腫瘍細胞に関してaCD38-a-323の活性と合理的に同等な活性(例えば、レベルおよび/または種類)によって特徴付けされる。いくつかの実施形態において、関連する活性は、ADCP、ADCC、CDCの欠如、直接的殺傷、特定のCD38発現細胞(例えば、高発現細胞)の枯渇、エフェクター免疫細胞活性化、T細胞、B細胞、またはNK細胞の増殖の促進、免疫細胞活性の調節(例えば、抑制性マクロファージの炎症性マクロファージへの再分極)、T細胞レパートリの傾斜など、およびそれらの組み合わせであるか、またはそれらを含む。いくつかの実施形態において、CD38調節抗体剤は、その存在またはレベルがCD38のレベルおよび/または活性、および/またはCD38活性に特徴的な1つ以上の特徴または結果と相関する実体または部分である。いくつかの実施形態において、増加したレベルおよび/または活性は、実体(複数可)または部分(複数可)の非存在下で他の同等な条件下で観察されるものと比較して評価または決定される。代替的または追加的に、いくつかの実施形態において、増加したレベルおよび/または活性は、参照CD38調節抗体剤(例えば、好適な参照抗CD38抗体、多くの実施形態においてはIB4などのCD38アゴニスト抗体)が存在する場合に、同等な条件下で観察されるものと同等またはそれ以上である。多くの実施形態において、本開示に従って使用するためのCD38調節抗体剤は、CD38、典型的にはその細胞外ドメインと直接的もしくは間接的に結合する、実体または部分であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態において、CD38調節抗体剤は、本明細書に例示される抗CD38抗体、その抗原結合断片(例えば、1つ以上のCDR、全ての重鎖CDR、全ての軽鎖CDR、全てのCDR、重鎖可変領域、軽鎖可変領域、または重および軽鎖可変領域の両方を含む)、その親和性成熟バリアント(またはその抗原結合断片)、または前述のうちのいずれかの任意の代替形式(例えば、キメラ、ヒト化、多重特異性、代替アイソタイプなど)とCD38との結合を含むか、または競合する。代替的または追加的に、いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるCD38調節抗体剤は、スクリーニング、製造、(前)臨床治験、および/またはヒトCD38内の関連エピトープを同定するため)、および/または製剤、投与のため、および/または本明細書に開示されるような特定の状況下における有効性(例えば、がん治療のため)に有利な特徴であり得る1つ以上の特徴により特徴付けられ得る。
併用療法:本明細書で使用される「併用療法」という用語は、対象が2つ以上の治療レジメン(例えば、2つ以上の治療剤)に同時に曝露される状態を指す。いくつかの実施形態において、2つ以上の薬剤は、同時に投与され得る。代替的に、かかる薬剤は、連続的に投与され得;別の方法としては、かかる薬剤は、重複した投薬レジメンで投与される。
同等:本明細書で使用される「同等」という用語は、2つ以上の媒介物、実体、状況、効果、条件のセットなどを指し、それらは互いに同一ではない可能性あるが、それらの間の比較を可能にするのに十分に類似している(例えば、レベルおよび/または活性による)ため、観察される差異または類似性に基づいて結論を合理的に引き出すことができ得る。かかる同等な条件のセット、効果、状況、個体、または集団は、複数の実質的に同一な特徴、および1つまたは少数の多様な特徴によって特徴付けられる。当業者は、状況下において、同等とみなされる2つ以上のかかる媒介物、実体、状況、条件のセット、効果、または集団などについて、任意の所与の状況においてどの程度の同一性が必要であるかを理解するであろう。
含む:1つ以上の指定された要素またはステップを「含む」として本明細書で記載される構成または方法は、無制限であり、つまり、指定された要素またはステップは必須であるが、構成または方法の範囲内で他の要素またはステップが追加され得る。さらに、1つ以上の指定された要素またはステップを「含む(comprising)」(または「含む(comprises)」)として、同じ指定された要素またはステップの、より限定された構成または方法を「本質的に~からなる(consisting essentially of)」(または「本質的に~からなる(consists essentially of)」)として記載される構成または方法のいずれをもが、対応するものを記載していることがさらに理解され、つまり、構成または方法には、指定された必須の要素またはステップが含まれ、構成または方法の基本的および新規の特性(複数可)に実質的に影響しない追加の要素またはステップも含み得る。
ダラツムマブ:本明細書で使用される「ダラツムマブ」という用語は、WO2006/099875に公開されるVHおよびVL配列を有し、かつヒトIgG1モノクローナル抗体である抗体を含む。例えば、以下に提供されるそれぞれの配列を含む可変重鎖および軽鎖配列を有する:
重鎖:
軽鎖
剤形:本明細書で使用される「剤形」という用語は、対象への投与のための活性剤(例えば、治療剤または診断剤)の物理的に別個な単位を指す。各単位は、所定量の活性剤を含む。いくつかの実施形態において、かかる量は、関連する集団に投与された場合に、所望されるまたは有益な結果と相関することが決定されている投薬レジメンに従った投与に好適な単位投薬量(またはその全画分)である(すなわち、治療投薬レジメン)。当業者は、特定の対象に投与される治療用組成物または薬剤の総量が、1人以上の担当医によって決定され、複数の剤形の投与を伴い得ることを理解する。
投薬レジメン:本明細書で使用される「投薬レジメン」という用語は、典型的には一定期間で区切られて、対象に個々に投与されるセットの単位用量(典型的には1つ以上)を指す。いくつかの実施形態において、所与の治療剤は、推奨される投薬レジメンを有し、1回以上の用量を伴い得る。いくつかの実施形態において、投薬レジメンは、各々が同じ長さの時間間隔によって互いに区切られている複数の用量を含む。代替的に、投薬レジメンは、複数の用量、および個々の用量を区別する少なくとも2つの異なる期間を含む。いくつかの実施形態において、投薬レジメン内の全ての用量は、同じ単位用量の量である。代替的に、投薬レジメン内の異なる用量は、異なる量である。いくつかの実施形態において、投薬レジメンは、第1の用量の量での第1の用量と、それに続く第1の用量の量とは異なる第2の用量の量での1回以上の追加用量と、を含む。投薬レジメンは、第1の用量の量での第1の用量と、それに続く第1の用量の量と同じ第2の用量の量での1回以上の追加用量と、を含み得る。いくつかの実施形態において、投薬レジメンは、関連する集団にわたって投与された場合の所望されるまたは有益な結果と相関している(すなわち、治療的投薬レジメンである)。
エピトープ:本明細書で使用される「エピトープ」という用語は、抗体または抗原結合断片によって結合される抗原の一部を指す。いくつかの実施形態において、抗原がポリペプチドである場合、エピトープは、抗原内で共有結合的に隣接していないが、抗原が関連する立体構造である場合に三次元空間で互いに近接している抗原の部分から構成されるという点で立体構造的である。例えば、CD38について、立体構造エピトープは、CD38細胞外ドメインにおいて隣接していないアミノ酸残基で構成されるエピトープであり;線状エピトープは、CD38細胞外ドメインにおいて隣接するアミノ酸残基で構成されるエピトープである。いくつかの実施形態において、本発明に従って利用されるエピトープは、本明細書で提供されるCD38調節抗体剤(例えば、aCD38-a-323)によって結合されるものへの参照により提供される。aCD38-a-323に対するエピトープの正確な配列および/または特にアミノ酸残基を決定する手段は、抗原配列からのペプチドとの競合、異なる種からのCD38配列との結合、トランケート、および/または変異誘発(例えば、アラニンスキャニングまたは他の部位特異的変異誘発)、ファージディスプレイ系スクリーニング、または(共)結晶学技術を含む、文献および実施例において即知である。
患者:本明細書で使用される「患者」または「対象」という用語は、例えば実験、診断、予防、美容、および/または治療目的で、提供される組成物が投与されるか、または投与され得る生物体を指す。典型的には、患者には動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、および/またはヒトなどの哺乳動物)が含まれる。いくつかの実施形態において、患者はヒトである。いくつかの実施形態において、患者は、1つ以上の障害または状態に罹患しているか、または罹患しやすい。患者は、障害もしくは状態の1つ以上の症状を示すか、または1つ以上の障害もしくは状態(がん、または1つ以上の腫瘍の存在など)と診断されている可能性がある。いくつかの実施形態において、患者は、かかる疾患、障害、または状態を診断および/または処置するための特定の治療を受けているか、または受けたことがある。
薬学的に許容される:本明細書で使用される場合、本明細書で開示される組成物を製剤化するために使用される担体、希釈剤、または賦形剤に適用される用語「薬学的に許容される」は、担体、希釈剤、または賦形剤が組成物の他の成分と適合し、そのレシピエントに有害であってはならないことを意味する。
薬学的組成物:本明細書で使用される「薬学的組成物」という用語は、活性剤が、1つ以上の薬学的に許容される担体と一緒に製剤化される組成物を指す。いくつかの実施形態において、活性剤は、関連する集団に投与されたときに所定の治療効果を達成する統計的に有意な確率を示す治療的レジメンでの投与に好適な単位用量で存在する。薬学的組成物は、例えば、水薬(水性もしくは非水性の溶液または懸濁液)、錠剤、例えば、口腔、舌下、および全身吸収を対象とするもの、ボーラス、粉末、顆粒、舌に適用するためのペーストなどの経口投与;例えば、無菌溶液、または懸濁液、または徐放性製剤として皮下、筋肉内、静脈内、腫瘍内、または硬膜外注入による非経口投与;例えば、皮膚、肺、または口腔に適用されるクリーム、軟膏、または放出制御パッチまたはスプレーとしての局所適用;膣内、直腸内、舌下、眼、経皮、鼻、肺、および他の粘膜表面へ適合されるものを含む、固体または液体の形態で投与するために製剤化され得る。
固形腫瘍:本明細書で使用される「固形腫瘍」という用語は、通常、嚢胞または液体領域を含まない組織の異常な塊を指す。固形腫瘍は、良性または悪性であり得る。様々な種類の固形腫瘍は、それらを形成する細胞の種類に応じて命名される。固形腫瘍の例は、肉腫(海綿骨、軟骨、脂肪、筋肉、血管、造血、または線維性結合組織などの組織における間葉系の起源の形質転換細胞から生じるがんを含む)、がん腫(上皮細胞から生じる腫瘍を含む)、黒色腫、リンパ腫、中皮腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫などである。固形腫瘍が関与するがんには、脳がん、肺がん、胃がん、十二指腸がん、食道がん、乳がん、結腸および直腸がん、腎がん、膀胱がん、腎臓がん、膵臓がん、前立腺がん、卵巣がん、黒色腫、口部がん、肉腫、眼がん、甲状腺がん、尿道がん、膣がん、頸部がん、リンパ腫などが含まれるが、これらに限定されない。
治療有効量:本明細書で使用される「治療有効量」という用語は、治療投薬レジメンに従って疾患および/または状態に罹患しているか、または罹患しやすい集団に投与した場合に、かかる疾患および/または状態を治療するのに十分な量(例えば、薬剤または薬学的組成物の)を意味する。治療有効量は、疾患、障害、および/または状態の1つ以上の症状の発生率および/または重症度を低下させ、安定させるおよび/または発症を遅らせる量である。当業者は、「治療有効量」が、実際に特定の対象で成功した治療を達成することを必要としないことを理解するであろう。
治療:本明細書で使用される「治療(treatment)」(「治療(treat)」または「治療する(treating)」)という用語は、1つ以上の症状の部分的または完全な緩和、改善、回復、阻害、発症の遅延、重症度の軽減、および/または発生率の低下をもたらす物質(例えば、aCD38-a-323、または他の任意の薬剤によって例示される、提供されるCD38調節抗体剤)の任意の投与を指す。いくつかの実施形態において、治療は、aCD38-a-323などのCD38調節抗体剤(例えば、静脈内、腫瘍内、または腫瘍周囲注入に使用するための、薬学的に許容される担体、賦形剤および/またはアジュバントを任意に含む注入可能な水性組成物として)の直接的投与、または対象から細胞を取得(例えば、血液、組織、または腫瘍から、マーカーの発現の存在または非存在に基づく選択の有無にかかわらず)し、該細胞を生体外でaCD38-a-323などのCD38調節抗体剤と接触させ、かかる細胞を対象(マーカーの発現の存在または非存在に基づく選択の有無にかかわらず)に投与することを含むレジメンを使用した投与を伴い得る。
投薬および投与。本発明に従って使用するための本明細書に記載されるCD38調節抗体剤(例えば、aCD38-a-323-HCDR3アミノ酸配列を含む抗CD38またはその抗原結合断片)を含む薬学的組成物は、当業者に既知および/または利用可能な様々な技法および/または技術のうちのいずれかを使用して保存および/または送達のために調整され得る。いくつかの実施形態において、提供されるCD38調節抗体剤は、米国食品医薬品局(FDA)および/または欧州医薬品庁(EMEA)などの規制当局によって承認された投薬レジメンに従って、例えば関連する適応症のために投与される。いくつかの実施形態において、提供されるCD38調節抗体剤は、1つ以上の他の薬剤または療法と組み合わせて投与され、米国食品医薬品局(FDA)および/または欧州医薬品庁(EMEA)などの規制当局によって承認された投薬レジメンに従って、例えば関連する適応症のために投与され得る。しかしながら、いくつかの実施形態において、提供されるCD38調節抗体剤の使用により、CD38調節抗体剤療法と組み合わせて使用される承認された薬剤または療法の投薬量を減らすことができ得る(例えば、1回以上の服用での活性物質の量の減少、服用回数の減少、および/または服用頻度の減少)。いくつかの実施形態において、投薬および/または投与は、さらに投与される他の薬物、患者の状態、および/またはCD38調節抗体剤の形式(例えば、免疫複合体、ナノボディ、または二重特異性抗体として修飾)に適合され得る。
さらに、いくつかの実施形態において、特定の細胞種、特定の腫瘍もしくはその種類、または特定の患者集団のいずれであっても、CD38のタイミングおよび/または閾値発現レベルに基づいて、投薬レジメンを調整し、特に連続的な投薬レジメンを設計することが望ましい場合がある(例えば、遺伝マーカーを運ぶ)。いくつかのそのような実施形態において、治療投薬レジメンは、治療の前および/または最中に1つ以上の誘導マーカーまたは他の基準の発現を評価する検出方法に照らして組み合わされ得るか、または調整され得る。
いくつかの実施形態において、本発明による投薬および投与は、任意のまたは様々な形態における1つ以上の生理学的に許容される担体、賦形剤、または安定剤と組み合わせた所望される純度を有する活性剤を利用する。これらには、例えば、液体溶液(例えば、注射および注入可能な溶液)、分散液または懸濁液、錠剤、丸薬、粉末、リポソーム、および坐薬などの液体、半固体、ならびに固体剤形が含まれる。好ましい形態は、意図される投与様式および/または治療用途に依存し、典型的には、抗体を用いたヒト対象の治療に使用されるものと同様の組成物などの注射液または注入液の形態である。
いくつかの実施形態において、成分は、インプラント、経皮パッチ、およびマイクロカプセル化送達システムを含む制御放出製剤などの、迅速な放出および/または分解から薬剤(複数可)を保護する担体と共に調製できる。ポリ無水物、ポリグリコール酸、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの生分解性の生体適合性ポリマーが使用され得る。概して、各活性剤は、良好な医療行為と一貫しており、関連する薬剤(複数可)(例えば、抗体などの薬剤)に対して好適な薬学的組成物および投薬レジメンを使用して、治療有効量で処方、服用、および投与される。活性剤を含む薬学的組成物は、経口、粘膜、吸入、局所、頬、鼻、直腸、または非経口を含むがこれらに限定されない、当技術分野で知られている任意の好適な方法によって投与できる(例えば、静脈内、注入、腫瘍内、結節内、皮下、腹腔内、筋肉内、皮内、経皮、または対象の組織の物理的破壊、およびかかる破壊による薬学的組成物の投与を伴う他の種類の投与)。
いくつかの実施形態において、特定の活性剤に対する投薬レジメンは、例えば、対象の1つ以上の目的の組織または体液における、特定の所望される薬物動態プロファイルまたは他の曝露パターンを達成するための断続的または連続的(例えば、灌流または徐放システムによって)な投与を伴い得る。いくつかの実施形態において、組み合わせて投与される異なる薬剤は、異なる送達経路を介しておよび/または異なるスケジュールに従って投与され得る。代替的に、または追加的に、いくつかの実施形態において、第1の活性剤の1回以上の用量は、1つ以上の他の活性薬剤と実質的に同時に、およびいくつかの実施形態では、共通の経路を介して、および/または単一組成物の一部として投与される。
所定の治療レジメンの経路および/または投薬スケジュールを最適化する際に考慮すべき要因には、例えば、治療中の特定のがん(例えば、種類、ステージ、位置など)、対照の臨床状態(例えば、年齢、全体的な健康、体重など)、薬剤の送達部位、薬剤の性質(例えば、抗体または他のタンパク質系化合物)、薬剤の投与の様式および/または経路、併用療法の有無、ならびに医師に即知である他の要因が含まれ得る。
当業者は、例えば、特定の送達経路が用量に影響を与える可能性があること、および/または必要な用量が送達経路に影響を与える可能性があることを理解するであろう。例えば、特定の部位または場所(例えば、組織または器官内)内における特に高濃度の薬剤が目的である場合、集中送達(例えば、腫瘍内送達)が望ましいおよび/または有用であり得る。いくつかの実施形態において、特定の薬学的組成物および/または利用される投薬レジメンの1つ以上の特徴は、例えば、所望される治療効果または応答(例えば、本明細書に記載されるCD38調節抗体剤の機能的特徴に関連する治療的または生物学的反応)を最適化するために、経時的(例えば、任意の個々の服用での活性物質の量の増減、服用間の時間間隔の増減など)に修正され得る。概して、本発明による活性剤の投薬の種類、量、および頻度は、関連する薬剤が哺乳動物、好ましくはヒトに投与される場合に適用される安全性および有効性の要件によって管理される。概して、かかる投薬の特徴は、治療なしで観察されるものと比較して、特定の、典型的には検出可能な治療応答を提供するように選択される。本発明の状況下おいて、例示的な所望される治療応答は、腫瘍成長、腫瘍サイズ、転移、腫瘍に関連する1つ以上の症状および副反応の阻害および/または減少、ならびにがん細胞のアポトーシスの増加、治療に関連する1つ以上の細胞マーカーもしくは循環マーカーの減少または増加などを伴い得るが、これらに限定されない。かかる基準は、文献に開示される様々な免疫学的、細胞学的、およびその他の方法のいずれをもによって容易に評価できる。例えば、CD38調節抗体剤の治療有効量は、単独でまたはさらなる薬剤と組み合わせて、実施例に記載されるようにがん細胞の殺傷を促進するのに十分であるとして決定され得る。
活性剤またはかかる薬剤を含む組成物としてのCD38調節抗体剤の治療的有効量は、例えば、治療される疾患または状態、疾患のステージ、治療される哺乳動物の年齢、および健康、および身体的状態、疾患の重症度、投与される特定の化合物などの1つ以上の要因を考慮することを含む、当技術分野で利用可能な技術を使用して容易に決定できる。
いくつかの実施形態において、治療有効量は、体重の少なくとも約0.01μg/kg、体重の少なくとも約0.05μg/kg体重;体重の少なくとも約0.1μg/kg、体重の少なくとも約1μg/kg、体重の少なくとも約5μg/kg、体重の少なくとも約10μg/kg、またはそれ以上(例えば、体重の100μg/kg)であり得る活性剤の有効用量(および/または単位用量)である。いくつかの実施形態において、かかるガイドラインは、活性剤の分子量について調整され得ることが、当業者によって理解されるであろう。投薬量は、投与経路、治療サイクル、またはその結果に従った用量漸増プロトコルに応じて変化してもよく、増加した用量でaCD38-a-323-HCDR3アミノ酸配列を含む単離抗体またはその抗原結合断片の投与に関連して、最大耐量および用量制限毒性(もしあれば)を決定するために使用できる。
治療用組成物は、典型的には、製造および保管の条件下で無菌および安定でなければならない。組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、分散液、リポソーム、または高薬物濃度に好適な他の秩序構造として製剤化できる。無菌の注入可能な溶液は、好適な溶媒に必要量の抗体を、上記に列挙した成分の1つまたは組み合わせと共に組み込み、続いて濾過滅菌することにより調製できる。概して、分散液は、活性化合物を、基本的な分散媒および上記に列挙したものからの他の必要とされる成分を含む無菌ビヒクルに組み込むことにより調製される。無菌の注入可能な溶液の調製が粉末の場合において、好ましい調製方法は、真空乾燥および凍結乾燥であり、事前に滅菌された濾過溶液から活性成分、さらに任意の追加の所望される成分の粉末が得られる。溶液の適切な流動性は、例えば、コーティングを使用することにより、分散の場合に必要な粒子サイズを維持することにより、および界面活性剤を使用することにより維持することができる。注入可能な組成物の長期の吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸塩およびゼラチンを組成物に含めることによりもたらすことができる。
各薬剤の製剤は、無菌濾過膜を通した濾過により達成でき、その後、ボーラス投与または連続的投与に好適な形態で包装または販売できるように、無菌であることが望ましい。注入可能製剤は、アンプルまたは防腐剤を含む複数回用量容器などの単位剤形で調製、包装、または販売され得る。非経口投与用の製剤には、本明細書で論じられる懸濁液、溶液、油性または水性ビヒクル中のエマルジョン、ペースト、および植込式持続放出または生分解性製剤が含まれるが、これらに限定されない。無菌の注入可能な製剤は、水、または1,3ブタンジオールなどの非毒性の非経口的に許容される希釈剤、または溶媒を使用して調整され得る。有用な他の非経口的に投与可能な製剤には、微結晶形態、リポソーム調製物、または生分解性ポリマー系の成分として有効成分を含むものが含まれる。持続放出または埋め込みのための組成物は、エマルジョン、イオン交換樹脂、難溶性ポリマーもしくは塩などの薬学的に許容されるポリマーまたは疎水性成分を含み得る。
本発明に従って使用するための各薬学的組成物は、利用される用量および濃度で対象に対して無毒である薬学的に許容される分散剤、湿潤剤、懸濁剤、等張剤、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、担体、賦形剤、塩、または安定剤を含み得る。かかる追加の薬学的に許容される化合物の非網羅的なリストには、ホスフェート、シトラート、および他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸、およびメチオニンを含む抗酸化剤;薬理学的に許容されるアニオンを含む塩(酢酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、亜酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオジド、およびバレレート塩など);保存料(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ナトリウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール、レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、およびグルコース、マンノース、またはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、またはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成性対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);ならびに/またはTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)、もしくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤が含まれる。
いくつかの実施形態において、2つ以上の活性剤が本発明に従って利用される場合、かかる薬剤は同時にまたは連続的に投与され得る。いくつかの実施形態において、1つの薬剤の投与は、別の薬剤の投与と関連して特にタイミングがとられている。いくつかの実施形態において、組み合わせて投与される薬剤の所望される相対的な投薬レジメンは、例えば、生体外、生体内および/または試験管内モデルを使用して、評価または経験的に決定され得;いくつかの実施形態では、かかる評価または経験的な決定は、特定の患者または患者集団において生体内で行われる(例えば、相関がなされるように)。
いくつかの実施形態において、本発明の実施において利用される1つ以上の活性剤は、少なくとも2サイクルを含む断続的な投薬レジメンに従って投与される。2つ以上の薬剤が組み合わせて投与され、各々がかかる断続的、サイクル、レジメンによって投与される場合、異なる薬剤の個々の用量は互いに組み合わされ得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるCD38調節抗体剤の用量後の一定期間で、第2の薬剤の1回以上の用量が投与される。いくつかの実施形態において、第2の薬剤の各用量は、本明細書に記載されるCD38調節抗体剤の用量後の一定期間で投与される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるCD38調節抗体剤は、同じ経路によるその後の投与だけでなく、皮下(または筋肉内)投与および腫瘍内投与などの交互投与経路によるレジメンで投与することもでき、患者の応答に応じて、1、2、4、またはそれ以上の週にわたる治療の1回以上のサイクル内で、同じレジメン(または投与間隔を延長することにより)でかかるサイクルを繰り返す。さらに、いくつかの実施形態において、従う的確なレジメン(例えば、服用回数、服用間隔(例えば、相互または他の療法を施すなどの別のイベントと関連して)、服用量などは、1つ以上の他のサイクルと比較して1つ以上のサイクルについて異なり得る。
本明細書に記載される投与経路、用量、および/またはレジメンのうちのいずれをも使用することにより、本明細書に記載されるCD38調節抗体剤は、例えば、生検、血液試料、および/または他の臨床基準を使用して患者において測定される1つ以上の基準を考慮して、同定、特徴付け、および/または検証できる。いくつかの実施形態において、腫瘍サイズおよび/または転移の直接的評価の代替として、または追加して、本明細書に記載されるCD38調節抗体剤の治療効果は、1つ以上の異なる一般的な基準が評価される方法で決定できる:がん細胞での直接的細胞傷害(がん細胞のアポトーシスおよびネクローシス)、腫瘍浸潤、免疫細胞の増加(CD4陽性および/またはCD8陽性の腫瘍浸潤T細胞など)、血液中を循環する免疫細胞の増加(リンパ球、NK細胞、単球、樹状細胞、マクロファージ、B細胞などの総集団または特定の亜集団)、および/または応答患者または非応答患者のいずれかでのみ、治療前と治療後のいくつかの異なる発現を表す(RNAシーケンス、マスフローサイトメトリー、および/または他のマスシーケンスアプローチによって決定される)。代替的または追加的に、いくつかの実施形態において、かかる同定、特徴付け、および/または検証は、1つ以上の特定のタンパク質もしくはタンパク質セットのmRNAおよび/またはタンパク質発現をスクリーニングすることによる分子レベルでのフォローアップを伴い得る。いくつかの実施形態において、1つ以上のかかる技術は、本明細書に記載されるCD38調節抗体剤に対する応答を評価するための同定または関連情報の取得を可能にし得、例えば、それは組織分布ならびに/または腫瘍内(または近く)および/もしくは血中を循環している特定の細胞集団のマーカーに関連し得る。
かかるアプローチおよび免疫生物学的データにより、1つ以上の有効性および/もしくは安全性のパラメータまたは特性だけでない、決定が可能であり得るが、いくつかの実施形態において、特定の用量、経路、または投薬レジメンを選択するための理論的根拠を提供でき、例えば、所定の適応症に対する1つ以上の臨床治験において、単独で、および/または他の薬物、標準ケアプロトコル、またはさらなる治療的有益性を提供できる免疫療法と組み合わせて利用でき得る。したがって、本発明の一連のさらなる実施形態において、本明細書に記載されるCD38調節抗体剤は、患者の細胞もしくは組織(腫瘍、血液試料、血液画分など)中の1つ以上の遺伝子についてのRNAおよび/またはタンパク質レベル、かかる製剤を用いた治療後もしくは治療前での発現の複合された存在(および/または非存在)を決定した後、疾患(がんなど)に罹患する患者を治療する方法または疾患(がんなど)を予防する方法で使用される。したがって、かかる方法は、治療有効量の所望されるCD38調節抗体剤に関連する1つ以上のバイオマーカー、またはより複雑な遺伝子発現シグネチャ(または細胞集団分布)、対象が本明細書に記載されるCD38調節抗体剤を用いた治療後に、抗腫瘍もしくは抗感染症応答を有し得ることを予測する治療関連バイオマーカー(複数可)、または対象がCD38調節抗体剤を用いた治療後に、化合物を用いた治療に応答し得ることを予測する治療関連バイオマーカー(複数可)を定義することを可能にし得る。
代替的または追加的に、いくつかの実施形態において、本明細書に開示される特定のCD38調節抗体剤の投薬および投与は、ヒトがんおよび/または他のヒト組織におけるCD38発現を考慮して、例えば、様々ながん、組織、および/もしくは患者における間質ならびに/または免疫サブセットのCD38分布に関するデータを収集することによって事前に確立および/または後に評価されることができる。かかるデータは、様々な免疫および非免疫亜集団におけるCD38発現の関係を同定するために、一般的ながんの種類および/もしくは組織(中枢神経系、食道、胃、肝臓、結腸、直腸、肺、膀胱、心臓、腎臓、甲状腺、膵臓、子宮、皮膚、乳房、卵巣、前立腺、および精巣)にわたって一般的な技術(フローサイトメトリー、マスサイトメトリー、免疫組織化学、またはmRNA発現ライブラリなど)を使用することで生成でき、ならびに/またはそれは、細胞浸潤測定および/もしくはがん細胞もしくは免疫細胞のサブセットに関連するがん関連マーカー(Foxp3、およびPD-1/PD-L1など)と関係する。CD38発現は、腫瘍組織において免疫サブセット(NK細胞およびその他のエフェクターまたは調節免疫細胞など)に限定(または非限定)でき、かつCD38発現と免疫チェックポイント阻害剤との相関を、陽性である場合に決定でき、したがって、かかる免疫チェックポイント阻害剤を標的とする化合物と組み合わせたCD38調節抗体剤の好適な使用を提案する。
製造品およびキット;本発明のいくつかの実施形態において、本明細書に記載されるCD38調節抗体剤は、別個の製造品で提供される。本発明のいくつかの実施形態において、CD38調節抗体剤を含む製品は、ラベルを備えた容器内または容器と共に提供される。好適な容器には、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、および試験管が含まれ得る。いくつかの実施形態において、容器は、ガラスまたはプラスチックなどの任意のものか、または様々な材料から形成されてもよい。いくつかの実施形態において、容器は、特定の疾患、障害、または状態、またはそのステージもしくは種類を治療するのに有効な組成物を保持する。いくつかの実施形態において、容器は無菌のアクセスポートを有してもよい(例えば、容器は点滴溶液バッグまたは皮下注入針によって貫通可能なストッパーを有するバイアルであってもよい)。例えば、いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるCD38調節抗体剤を含む組成物は、ゴム栓およびアルミニウムシールを備えた透明なガラスバイアルに封入される。容器上のラベルまたは関連付けられているラベルは、選択の状態を治療するために組成物が使用されていることを示す。
いくつかの実施形態において、製造品は、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液、およびデキストロース溶液などの薬学的に許容される緩衝液を含む別個の容器をさらに含んでもよく、および/または他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、および使用説明書付きの添付文書を含む、商業的およびユーザーの観点から所望される他の材料をさらに含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態において、製造品は、合計2mg、5mg、10mg、20mg、50mg、またはそれ以上を含む無菌水溶液として、静脈内製剤で各薬剤または薬剤を提供することが可能であり得、0.1mg/ml、1mg/ml、10mg/mlの最終濃度、またはそれ以上の濃度で、好適な希釈剤および緩衝液を使用して製剤化される。
いくつかの実施形態において、キットの一部内に凍結乾燥の形態で提供することができる本明細書に記載されるCD38調節抗体剤は、キットまたは他の種類の投薬単位を提供されるか、または提供されない任意の適切な水溶液で、適合性のある薬学的担体を使用して再構成される。CD38調節抗体剤の1つ以上の単位剤形は、パックまたはディスペンサデバイス内に提供され得る。かかるパックまたはデバイスは、例えば、ブリスターパックなどの金属またはプラスチックホイルを含み得る。かかる部品キットを正しく使用するために、これは、緩衝液、希釈剤、充填剤、針、シリンジ、およびがんの治療における使用に関する指示を記載した添付文書をさらに含み得る。
いくつかの実施形態において、製品または本明細書に記載されるキットに関連する指示は、正しい使用法について知らせるために使用され得、かつ/または製品および/もしくはキット内の薬剤、製剤、および他の材料の可能な効果を監視するための、ラベル、小冊子、出版物、記録物、図表、または任意の他の手段の形態であり得る。指示は、製品と一緒に提供され得、かつ/またはキット内に提供され得る。
実施例1:試験管内においてCD38と結合する抗体の生成
材料および方法
CD38抗原の調製。ヒト、カニクイザル(Cyno)、およびマウスCD38タンパク質の組換えヒスチジンタグ付き細胞外ドメインを、Sino Biological Inc.から購入した。タンパク質試薬のビオチン化を、EZ-Link Sulfo-NHS-Biotinylation Kit(Thermo Scientific、カタログ番号21425)を使用して行った。CD38抗原を約1mg/mLに濃縮し、緩衝液をPBSに交換した後、1:7.5モル比でビオチン化試薬(EZ-Link Sulfo-NHS-Biotinylation Kit、Thermo Scientific、カタログ番号21425)を添加した。混合物を4℃で一晩保持した後、別の緩衝液に交換して、溶液中の遊離ビオチンを除去した。ビオチン化を、標識タンパク質のストレプトアビジンセンサ結合により確認した。
抗CD38抗体の単離のためのライブラリ照合および選択方法論:各々が約109の多様性の8つのナイーブヒト合成酵母ライブラリを、以前に説明されたように、モノクローナル抗体を発現する酵母細胞株のハイスループットスクリーニングおよび選択のために設計し、生成し、増殖させた(Xu Y et al,2013、WO2009/036379、WO2010/105256、WO20120/09568)。8つの並列選択を、単量体ヒトCD38系の選択のための8つのナイーブライブラリを使用して行った。
第1の2回の選択ラウンドのために、Miltenyi MACsシステムを利用する電磁ビーズ選別技法を、本質的に記載されるように行った(Siegel et al.,2004)。簡潔には、酵母細胞(約1010細胞/ライブラリ)を、0.1%BSAを含むFACS洗浄緩衝液PBS中で、3mLの100nMビオチン化単量体ヒトCD38抗原と室温で15分間インキュベートした。50mLの氷冷洗浄緩衝液で1回洗浄した後、細胞ペレットを40mLの洗浄緩衝液中に再懸濁させ、500μLのStreptavidin MicroBeads(Miltenyi Biotec,Germany、カタログ番号130-048-101)を酵母細胞に添加し、4℃で15分間インキュベートした。次に、酵母細胞をペレット化し、5mLの洗浄緩衝液中に再懸濁させ、MACS LSカラム(Miltenyi Biotec,Germany、カタログ番号130-042-401)に装填した。5mLを装填した後、カラムを3mLのFACS洗浄緩衝液で3回洗浄した。カラムを磁場から除去し、酵母細胞を5mLの成長培地で溶出し、その後、一晩成長させた。
2回のMACSラウンド後、5回の選別ラウンドを、フローサイトメトリー(FACS)を使用して行った。第1のFACS選択ラウンドについて、およそ4×107の酵母細胞をペレット化し、洗浄緩衝液で3回洗浄し、各々100nMのビオチン化単量体ヒト、マウス、およびカニクイザルCD38抗原と室温で10分間インキュベートした。その後、酵母細胞を2回洗浄し、ヤギ抗ヒトF(ab’)2カッパ-FITC(1:100で希釈)(Southern Biotech,USA、カタログ番号2062-02)で、かつ二次試薬としてストレプトアビジンAlexa Fluor 633(Life Technologies,USA、カタログ番号S21375)(1:500で希釈)またはエクストラアビジン(Extravidin)-フィコエリトリン(Sigma-Aldrich,USA、カタログ番号E4011)(1:50で希釈)のいずれかで、4℃で15分間染色した。氷冷洗浄緩衝液で2回洗浄した後、細胞ペレットを0.4mLの洗浄緩衝液中に再懸濁させ、濾過器で蓋をした選別管に移した。選別を、FACS ARIA選別機(BD Biosciences)を使用して行い、選別ゲートを決定して、CD38結合のみを選択した。第1のFACSラウンド由来のマウス選択集団およびカニクイザル選択集団を合わせて2つのプールにした。その後、これらのプールをヒトCD38結合について選別して、試薬多重特異性結合剤を低減するための第2のFACSラウンドにおける交差反応性結合剤を特定した(Xu Y et al.,2013)。第4のFACSラウンドは、100nMのビオチン化単量体CD38を抗原として使用した正の選択から主になった。選択されたクローンの試料をプレーティングし、配列決定した。
ナイーブ選択で同定されたクローンの親和性成熟:第4のFACS選別選択ラウンド出力由来の重鎖を使用して、4つのさらなる選択ラウンドに使用した軽鎖多様化ライブラリを調製した。第1の選択ラウンドは、抗原として100nMのビオチン化単量体ヒトCD38または抗原として200nMのビオチン化単量体マウスCD38のいずれかと複合したMiltenyi MACsビーズを含んだ。MACsビーズ選択後、3回のFACS選別ラウンドを行った。第1のFACSラウンドは、100nMもしくは10nMのヒトCD38または200nMのマウスCD38のいずれかを含んだ。上述の第2のFACSラウンドと並行して、競合選択を、75~100nMの競合IgGを用いて行った。選択ラウンド後、1または10nMのヒトCD38で第3の正の選別を行った後に、プレーティングした。各FACS選択ラウンド由来の個々のコロニーをIgG配列決定のために選択した。
IgGおよびFabの生産および精製:酵母クローンを飽和状態まで増殖させた後、30℃で48時間振盪しながら誘導した。誘導後、酵母細胞をペレット化し、上清を精製のために収集した。IgGを、タンパク質Aカラムを使用して精製し、酢酸(pH2.0)で溶出した。Fab断片をパパイン消化によって生成し、CaptureSelect IgG-CH1親和性マトリックス(Life Technologies、カタログ番号1943200250)で精製した。
抗CD38抗体の親和性測定:CD38抗体の親和性を、Forte BioによりそれらのKDを測定することによって決定した。Forte Bio親和性測定を、記載されるようにIgGをオンラインでAHQセンサに装填することによって行った(Estep P et al.,2013)。簡潔には、センサをアッセイ緩衝液中で30分間、オフラインで平衡化し、その後、ベースライン確立のためにオンラインで60秒間監視した。結合力測定のために、IgGを装填したセンサを、200nMのヒト、カニクイザル、またはマウスCD38に3分間曝露し、その後、それらをオフ速度測定のために3分間にわたってアッセイ緩衝液に移した。一価結合測定結果を、ビオチン化CD38単量体をSAセンサに装填し、その後、200nMの抗体に曝露することによって得た。反応速度データを、Forte Bioから提供されたデータ分析ソフトウェアの1:1結合モデルを使用してフィッティングした。参照アゴニスト抗CD38抗体についてこのアッセイで確立されたKd値は、以下の通りである:IB4について、ヒトCD38の場合では0.9×10-8M、IB4についてカニクイザルCD38とは結合しない。
抗CD38抗体の結合力測定:Ni-NTAセンサをアッセイ緩衝液中で30分間、オフラインで平衡化し、その後、ベースライン確立のためにオンラインで60秒間監視した。それらに4.2nMの抗原(HISタグ付き組換えヒトCD38)を50分間装填し、その後、それらを洗浄のために0.5分間にわたってアッセイ緩衝液に移し、ベースライン決定のために再度アッセイ緩衝液中に1分間置いた。その後、抗体を異なる濃度(図11に記載される)で50分間結合させた。その後、それらをオフ速度測定のために30分にわたってアッセイ緩衝液に移した。反応速度データを、ForteBioから提供されたデータ分析ソフトウェアにおける1:1結合モデルを使用してフィッティングした。
代替的に、抗ヒトCD38抗体の親和性を、25℃の周囲実験温度でCM-5センサチップを使用したBiacore 2000におけるSPRによってそれらのKDを測定することによって決定した。抗ヒト抗体を最初に分析緩衝液(pH7.4、10mM HEPES、150mM NaCl、3mM EDTA、0.05% Tween 20)中で全てのフローセルにわたって固定化して、10分かけて12,000~14,000のRUにした。リガンド(抗体試験物質)を、73RUの捕捉レベルで準連続的に装填した。その後、分析物(Hisタグ付き組換えヒトCD38)を、400nMから始まり最低濃度0.78nMの2倍希釈した分析緩衝液中で6分間結合させた。解離を分析緩衝液中で10分間行った。試料濃度間の再生ステップを3M MgCl2中で0.5分間にわたって3回行った。このプロセスを通して25μL/分の流量を維持した。反応速度データを、基準を差し引いたBiacoreから提供された分析ソフトウェアにおけるグローバルフィッティングを使用してフィッティングした。
エピトープビニング:抗体のエピトープビニングを、標準のサンドイッチビニングアッセイを使用してForte Bio Octet Red384システム(Pall Forte Bio Corp.,USA)で行うことができる。抗ヒトCD38抗体をAHQセンサに装填し、センサ上の非占有Fc結合部位を非関連ヒトIgG1抗体で遮断することができる。センサを100nMの標的抗原に、その後、第2の抗CD38抗体、参照モノクローナルアゴニストマウス抗ヒトCD38抗体(IB4)に曝露することができる。データを、Forte Bio Data Analysis Software 7.0を使用して処理することができる。抗原会合後の第2の抗体によるさらなる結合が非占有エピトープを示す一方で、結合なしはエピトープ遮断を示す。
抗CD38抗体のCD38発現細胞との結合:候補のヒットを、精製したカニクイザルT細胞との結合を分析することにより評価した。この目的のために、カニクイザル汎T細胞を、20μg/mlのaCD38-a-323またはアイソタイプ対照で染色し、その後氷上で30分間片対数連続希釈(7点)した。未結合の一次抗体を洗浄により除去し、その後氷上で二次抗体(5μg/ml)で30分間染色した。全ての試料を、適切なCD3、CD4、およびCD8交差反応性抗体を用いて三連染色した。試料をフローサイトメトリーで測定した。データ分析のために、試料取得中にFSC対SSCパラメータを使用して生細胞をゲート化した。染色した細胞の平均蛍光強度(MFI)を、濃度の対数に対するMFIをグラフ化したXYチャート上にプロットし、データを、EC50が算出される非線形回帰曲線に当てはめた。代替的に、結合をヒトPBMCで評価した。この目的のために、3人のヒトドナーの全血からPBMCを調製し、最終濃度1μM、200nM、40nM、8nM、1.6nM、320pM、64pM、13pM、および2.5pMでのaCD38-a-323またはアイソタイプ対照と共に30分間インキュベートした。次いで、細胞を洗浄し、AF488二次抗体で標識した。次いで、細胞を追加の表面染色化抗体:抗CD3 PE-Cy7、抗CD4 APC、および抗CD8 BV451と共にインキュベートした。試料の取得を、BD FACSDivaソフトウェア(BD Biosciences)で実行される8色(3レーザー)BD FACSCanto IIサイトメーターを使用して実行した。分析後の処理を、FCS Express(v3.0)ソフトウェア(DeNovoソフトウェア)を使用して実施した。異なる細胞集団の相対比率(%)および中央値蛍光強度(MFI)データを、小数点以下2桁までで報告した。
哺乳動物細胞において発現したヒトIgG1としてのaCD38-a-323の再クローニング、生産、および特性評価:抗体のコドン最適化VHおよびVLコード配列の合成をGenewizによって行った。可変領域のcDNAを、ヒトIgG1重鎖およびカッパ軽鎖定常領域(それぞれ、P01857およびP01834)を含む抗体発現ベクター(Icosagen,EST)にクローン化した。全長重鎖および軽鎖cDNAを、最終ベクターにおける配列決定によって示し、その後、CHOに基づく細胞(CHOEBNALT85)を使用する安定したエピソーム発現系であるQMCF Technology(Icosagen)を使用してそれらを発現させるために再クローン化し、組換えタンパク質、抗体、CHOEBNALT85細胞の産生に適切なベクターを、抗体産生のために1μgの発現プラスミドでトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、700μg/mlのG418を添加して、プラスミド含有細胞集団を選択した。産生のために、温度を30℃に変化させ、培養物をさらに供給した。産生の終わりに、培養上清を遠心分離(1000g、30分、および15℃)によって精製し、PMSFを添加し、上清を精製まで処理または凍結した。hIgG1抗体を、MabSelect SuRe親和性クロマトグラフィ、続いてPBSまたはPBS 100nM L-ArgのいずれかでのSuperdex 200ゲル濾過により精製した。CHOEBNALT85細胞で産生されたヒトIgG1抗体を、組換えウサギCD38(65003-T08H-20;Sino Biological)および組換えラットCD38:(80229-R08H-20;Sino Biological)を使用して、組換えヒトCD38に対する親和性、マウス、ラット、ウサギ、およびカニクイザルCD38に対する交差反応性、ならびに選択されたCD38結合抗体に対するエピトープビニングついて特徴付けた。
抗ヒトCD38抗体競合アッセイ:抗体競合は、標準の順次結合アッセイを使用してForte Bio Octet Red96システム(Pall Forte Bio Corp.,USA)で実行できる。0.625ug/mLの組換えヒトCD38Hisタグを300秒間にわたってNi-NTAバイオセンサに装填した。15秒間洗浄し、ベースラインステップを動態緩衝液で60秒間行った後、センサを66.6nMの第1の抗体(ダラツムマブ)に600秒間、続いて、第2の抗CD38抗体(ダラツムマブ(対照)またはaCD38-a-323)に(同様に66.6nMで600秒間)曝露した。データを、Forte Bio Data Analysis Software 9.0を使用して処理した。第2の抗体によるさらなる結合が非占有エピトープ(エピトープにおいて競合なし)を示す一方で、結合なしはエピトープ遮断(エピトープにおいて競合あり)を示す。
結果
組換えヒトCD38細胞外タンパク質配列(rhCD38)と結合するモノクローナル抗体(mAb)を、材料および方法に記載の酵母に基づく抗体提示ライブラリを使用して単離した。これらの抗体を配列決定し、特有のクローンを酵母細胞で産生した(Barnard GC et al.,2010)。特有の抗体配列を発現する各酵母クローンの細胞培養上清をrhCD38結合についてスクリーニングした。
選択した抗体のKD値(親和性および結合力測定結果)および交差ビニング分析を表1Aに提供する:
OctetおよびBiacoreによって測定され、かつダラツムマブと比較した抗CD38抗体の組換え一価ヒトCD38との結合を、図11に示す。組換え一価ヒトCD38に対する抗CD38抗体(IgG1)の結合親和性も、Biacoreによって測定した(より信頼性の高いデータが得られると考えられる)。結果を表1Aおよび図12に示す。
アラニンスキャニングによるエピトープマッピング確認の結果を表1Bに示す。
rhCD38との結合、配列特有性、および発現レベルに基づいて、mAbのパネルを特定した。これらの抗体を組換えカニクイザルおよびマウスCD38細胞外ドメインタンパク質配列との結合についてさらに特徴付けた。クローンを、10-8M~10-10Mからなる一価のrhCD38および/または組換えカニクイザルCD38細胞外タンパク質配列に対するIgG結合値を表すものとして特徴付けた。抗体クローンを、陰性対照としてCHO-S細胞を使用して、フローサイトメトリーによってリンパ芽球様Raji細胞などのCD38を強力に発現するヒト細胞との結合レベルで評価した。さらに、ヒトPBMC(図3B)との結合を確認したが、カニクイザル汎T細胞(図3A)との結合は確認されなかった。
最後に、凝集および非特異的相互作用を起こす傾向がある抗体配列を排除するために、抗体を、多重特異性試薬(PSR)アッセイおよび親和性捕捉自己相互作用ナノ粒子分光法(AC-SINS)(初期段階の抗体開発のためのハイスループットスクリーニングを可能にするアプローチ)でスクリーニングした(Liu Y et al.,2014)。選択した抗体のいずれも後者のアッセイで陽性とスコア化されず、したがって、パネルから排除しなかった。
上述のように配列決定および特徴付けられた選択したヒットのうち、クローンaCD38-a-323が、新規の相補性決定領域(CDR、図2)を提示し、かつ10-8M~1011の範囲のKd値でヒトCD38細胞外タンパク質配列と結合する抗体である。アラニンスキャニングは、aCD38-a-323がヒトCD38(配列番号9)のアミノ酸残基120、121、141、および241と結合すること、または少なくともこれらの残基が抗体結合に必要であることを示した。
したがって、aCD38-a-323配列(図2)は、CD38と特異的に結合する抗体を特定し、その用語が本明細書で使用されるようにCD38調節抗体剤を定義する機能的特徴に関連したそれらのアゴニスト活性を、細胞系のアッセイまたは動物モデルによって機能的に評価することができる。
実施例2:CD38調節抗体剤を検証するための細胞系のモデル
材料および方法
試験管内T細胞活性化アッセイ:予め凍結させた初代ヒト汎T細胞(Stemcell Technologies)をeFluor450蛍光色素(Life Technologies)で標識し、抗CD3抗体(0.1μg/mLのコーティング濃度、クローンOKT3、eBiosciences)を事前にコーティングし、かつ抗CD38調節抗体を、10%FBS(Sigma)、2mMのLグルタミン(Life Technologies)、および10,000U/mLのPen-Strep(Sigma)を含有するRPMI1640(Life Technologies)中10、5、および2.5μg/mLの濃度でコーティングした96ウェルプレート内で72時間インキュベートした。T細胞増殖の読み出しをフローサイトメーターで取得し、生存率色素(Zombie NIR,BioLegend)で標識した死細胞を排除し、蛍光色素標識抗体(CD8-FITCクローンHIT8a eBiosciences、CD25-PEクローンM-A251 Biolegend、CD4-BV510クローンRPA-T4 BioLegend、CD38-PE-Cy7クローンHB_7、eBiosciences、CD137-APCクローン4B4-1 BioLegend)での染色によって表面マーカーを区別した。上清におけるサイトカイン分析を、製造元の指示に従ってMeso Scale Discovery MSDプラットホームを使用して行い、GM-CSFの発現を決定した(Multiplexアッセイキット、Meso Scale Discovery、図中のアスタリスクは適合曲線範囲を超える値を示す)。
NFATシグナル伝達アッセイによる試験管内T細胞活性化:ルシフェラーゼレポーター系(BPS Biosciences)を用いて安定的にトランスフェクトされたJurkat細胞を、CD38(または対照IgG)に対して異なる濃度のmAb(0.2、1、5、10、20、40ug/ml)を伴うPBS(GIBCO)で4℃で20分間インキュベートし、続いて、細胞のペレット化、PBS上清の除去、および40ug/ml F(Ab’)2断片架橋Ab(Jackson ImmunoResearch)を添加した低温増殖培地(RPMI(ATCC)+10%FBS(SIGMA))で、1ug/ml可溶性CD3 mAbの存在下で細胞を再懸濁した。架橋抗体を添加してから10分後に、細胞を37℃のインキュベーションに移した。37℃インキュベーションが開始されてから6~24時間後に、細胞を溶解し、製造元の指示(BPS Bioscienceワンステップルシフェラーゼアッセイキット)に従って、特定のルシフェラーゼ基質の加水分解からの発光放出の平均値によってルシフェラーゼ活性を測定した。NFATシグナル伝達を、相対発光単位(RLU)として測定した。
試験管内NK細胞活性化アッセイ。本明細書に記載される抗CD38抗体は、試験管内NK細胞活性化アッセイを使用して特徴付けることができ、例えば、ヒトPBMCをCell Trace violet proliferation dye(Life Technologies)で標識し、MDA-MB-231細胞の存在下で、100:1の比率で(培養培地IMDM、Life Technologies、10%ヒト血清熱不活性化、Sigma、10,000U/mL Pen-Strep、Sigma)5日間培養した。抗CD38抗体を添加するか、または対照細胞を未処理のままにした。蛍光色素の希釈によって定量化した増殖の読み出しをFACS分析によって行った。細胞を蛍光色素複合化抗体で標識し、NK細胞を、死細胞(Zombie NIR色素、Biolegend)を除外し、CD45+造血細胞(CD45-PE-Cy7、Biolegend)上でゲーティングし、さらにCD3陰性CD56陽性細胞(CD56-BV711クローンHI30 Biolegend、CD3-BV510クローンOKT3 Biolegend)上でゲーティングすることによってゲーティングした。
試験管内ADCPアッセイ:本明細書に記載される抗CD38抗体は、試験管内ADCPアッセイを使用して特徴付けることができ、例えば、抗体依存性細胞食作用(ADCP)は、試験管内で分化したTregを標的細胞として、単球由来マクロファージをエフェクター細胞として使用して実行できる。異なるエフェクターと標的との比率を評価した。標的細胞を1×104細胞/ウェルで添加し、エフェクター細胞を(1×104、2.5×104、5×104、または1×105細胞/ウェル)で添加した。抗ヒトCD38抗体を3つの濃度(1μg/mL、10μg/mL、および50μg/mL)で評価した。以下のプロトコルを使用してアッセイを行った:PBMCをFicoll勾配遠心分離によって白血球錐体から単離した。CD14+細胞を、CD14 Microbeads(CDK006、Miltenyi Biotec)を使用して単離した。単球を、10%FBS(Sigma)、2mM L-グルタミン(Life Technologies)、および10,000U/mL Pen-Strep(Sigma)を含有するRPMI1640(Life Technologies)中50ng/mLのM-CSFの存在下で7日間培養し、4日後にM-CSFを含有する新鮮培地を添加した。制御性T細胞(Treg)を、ヒトTreg細胞分化キット(130-050-201、R&D Systems)を使用して単離した。これらの細胞を37℃、5%CO2の加湿インキュベータ内で5日間インキュベートした。7日目に、マクロファージおよびeFluor450標識(eBiosciences)Tregを上述の比率で、CD38または対照抗体の存在下で一晩共培養した。Treg食作用を、Treg標識(eFluor450色素)に対して陽性のCD14+細胞(CD14-PE-Cy7クローンMfP9で染色、BD Biosciences)上でのフローサイトメトリーゲーティングによって決定した。
試験管内ADCPレポーターアッセイ:Promega Bioassay core kit G9901を使用できる。標的ウェルの5000Raji細胞/ウェルを、96ウェル白色ポリスチレンプレート(Costarカタログ番号3917)を使用して25uL/ウェルの培地中にプレーティングした。試験抗体を別個のプレート内で連続希釈(1:3)した。25uLの連続希釈した抗体を細胞に添加した。エフェクター細胞の50000細胞/ウェルをプレートに添加した(25uL/ウェル)。プレートを37℃で一晩20時間インキュベートした。翌日、プレートをインキュベータから取り出し、室温で20分間保持した。60ulのBio-Gloルシフェラーゼアッセイ基質を各ウェルに添加し、30分間インキュベートした。発光を、GloMax Multi Detection Systemを使用して読み取った。細胞培養培地:RPMI+4%低IgG血清。
試験管内ADCCアッセイ:抗ヒトCD38抗体の特徴付けのために、Daudi(CD38陽性)ヒト細胞株を標的細胞として使用し、かつヒトPBMCをエフェクター細胞源として使用して、抗体依存性細胞傷害アッセイ(ADCCアッセイ)を行った。エフェクターと標的との比率を、10μg/mLの最高濃度、続いて、三連での対数希釈系列(7点)で、37℃、5%CO2で4時間評価した試験物質(抗CD38一次抗体または対照としてのリツキシマブ)を用いて50:1または25:1で評価した。PBMCをIL-2で刺激し、IL-2が共培養アッセイ中に存在した。試験管内培養前に、標的細胞株を1μMのカルセインAMで標識し、2.5mMのプロベネシドとインキュベートした。溶解細胞が装填したカルセインを上清中に放出し、これにより蛍光測定が可能になる。カルセインAM放出をExcelおよびGraphPadソフトウェア分析によって分析して、1%サポニン処置値を使用して最大溶解を決定する正規化によって用量反応曲線を生成した。標的細胞溶解パーセンテージを、濃度の対数に対する正規化カルセインAM放出パーセンテージをグラフ化したXYチャート上にプロットし、データを、EC50が算出される非線形回帰曲線に当てはめた。
試験管内CDCアッセイ:本明細書に記載される抗CD38抗体は、試験管内NK CDCアッセイを使用して特徴付けることができ、例えば、CD38発現ヒト細胞株(Daudi)に対するCDC活性を、細胞を、10μg/mLの最高濃度、続いて、三連での対数希釈系列(7点)(正常ヒト血清補体の最終濃度10%)で、試験物質(抗CD38一次抗体または対照としてのリツキシマブ)で処理することによって試験した。試料を37℃、5%CO2で3時間培養した。フローサイトメトリー分析前に、培養条件に従って、細胞を洗浄し、ヨウ化プロピジウム(PI)を含む1倍PBS中に5μg/mLの最終濃度で再懸濁した。全ての細胞を試料取得中にフローサイトメトリーによって試験した。PI陽性細胞のパーセンテージを、濃度の対数に対するPIパーセンテージをグラフ化したXYチャート上にプロットし、データを、EC50が算出される非線形回帰曲線に当てはめた。
直接細胞死アッセイ。本明細書に記載される抗CD38抗体は、直接的細胞死アッセイを使用して特徴付ることができ、例えば、CD38発現ヒト細胞株(Daudi)に対する直接的プロアポトーシス活性を、細胞を、10μg/mLの最高濃度、続いて、三連での対数希釈系列(7点)で、試験物質(抗CD38一次抗体)または対照としてのリツキシマブで処理することによって試験した。Fcγ受容体媒介性架橋活性による細胞死を、細胞を、10μg/mLの最高濃度、続いて、三連での対数連続希釈(7点)で、対照として試験物質(抗CD38一次抗体またはリツキシマブ)で処理し、その後、5μg/mLのウサギ抗ヒトFcγ F(ab’)2(二次抗体)で処理することによって試験した。試料を37℃、5%CO2で24時間培養した。培養条件に従って、細胞を洗浄し、Annexin V結合緩衝液および7-AAD中に再懸濁させて、細胞死をフローサイトメトリー分析によって試験した。全ての細胞を試料取得中にフローサイトメトリーによって試験した。後期アポトーシス細胞パーセンテージを、濃度の対数に対するAnnexin V陽性細胞および7-AAD陽性細胞パーセンテージをグラフ化したXYチャート上にプロットし、データを、EC50が算出される非線形回帰曲線に当てはめた。
細胞表面(シクラーゼ活性およびNADase/ヒドロラーゼ活性)上でのCD38の酵素活性:Daudi細胞およびJurkat細胞の細胞表面上でのCD38のシクラーゼ活性およびNADase活性の両方を、NGD+(Sigma)およびE-NAD+(Sigma)のそれらのそれぞれの蛍光生成物:cGDPR(NDG+からの環状生成物)および5’-eAMP(E-NAD+の加水分解生成物)へのCD38依存性変換を監視することによって測定した。15万個のDaudi細胞を75μLのPBS(Thermo Fisher)中10μg/mLの抗体と氷上で20分間インキュベートし、20分後、75μLの酵素反応緩衝液(または対照緩衝液)を添加し、Daudi細胞を37℃で45分間インキュベートし、Jurkat細胞を37℃で60分間インキュベートした。酵素反応緩衝液には、20mM UltraPure Tris-HCI緩衝液(Thermo Fisher)、pH 7.5のPBS(Thermo Fisher)、および200μMのNGD+またはE-NAD+のいずれかが含まれる。37℃でインキュベートした後、細胞を、550×gの遠心分離手段によってペレット化し、100μLの上清を、Molecular Device SpectraMax MiniMax 300プレートリーダー(励起波長300および発光波長410)での蛍光測定のために利用した。
統計。Prismソフトウェア(GraphPad)を使用して曲線当てはめを行い、EC50値および最大活性を決定した。
結果
ADCCおよびCDCアッセイからのEC50値および溶解パーセンテージの結果を、同じ実験のダラツムマブの結果と比較して、表2、3、および4に示す:
実施例1において特徴付けされている他の抗体としてのaCD38-a-323候補抗体を、免疫細胞に関してさらに評価した。第1の一連の実験では、aCD38-a-323は、ヒトT細胞との用量依存的結合を示す(図3B)。T細胞を使用して試験する場合、例えば、かかる細胞の培養のためのプレートをコーティングするためにaCD38-a-323を使用する場合、aCD38-a-323がヒトT細胞活性化を増加させる一方で、参照抗CD38抗体(DARA)ははるかに弱いアゴニスト活性を提示する(図4A)。aCD38-a-323のこの強力なヒトT細胞活性化活性は、NFATシグナル伝達アッセイで測定した場合にさらに支持される(図13)。aCD38-a-323のアゴニスト活性は、DARAと比較して、aCD38-a-323によって誘発されたヒトT細胞によるより強力な炎症性サイトカイン分泌によってさらに強まる(図4B)。aCD38-a-323およびDARAは、ADCCアッセイにおいて同等の活性を示す(図5A)。DARAと比較してaCD38-323によって引き起こされるより低いCDC効果(図5B)は、注入部位反応の減少により増強された安全性を有する抗CD38抗体を提供するであろう。試験管内での殺傷活性に加えて、aCD38-a-323はCD38のシクラーゼ活性を強く増加させるが(図6Aおよび図7A)、DARAはDaudi細胞アッセイおよびJurkat細胞アッセイの両方で後期活性を阻害する。aCD38-a-323は、CD38のNADase(NAD+ヒドロラーゼ)活性を低下させるが、DARAは低下しない(図6B)。Jurkat細胞アッセイにおいて、aCD38-a-323はCD38のNADase(NAD+ヒドロラーゼ)活性を低下させるが、DARAは活性を増強させる(図7B)。
結論として、aCD38-a-323を、異なる実験設定において免疫細胞に対してCD38調節抗体剤の活性を提示する例示の抗CD38抗体と特徴付けた。
実施例3:動物モデルにおけるCD38調節抗体剤の検証
材料および方法
リンパ腫細胞系モデル
本明細書に記載される抗CD38抗体は、動物モデルを使用して特徴付けでき、例えば、RamosおよびRaji腫瘍細胞を、10%ウシ胎仔血清を補充した2mMのL-グルタミン+1mMのピルビン酸Na+4.5g/Lのグルコース+10mMのHepesを含有するRPMI1640中で培養した。健常雌cb17 SCIDマウスをCharles Riverから入手した。腫瘍を、200μLのRPMI1640中5x106個のRamos細胞、または1x106個のRaji細胞の動物の尾静脈への静脈内注射によって誘導した。細胞注射をγ線源(1.44Gy/マウス、60Co、BioMep,Bretenieres,France)での全身照射の24~72時間後に行った。マウスを体重によってランダムに処理群分けした(1群当たり8匹のマウス)。全てのモデルにおいて、第1群の動物には、ビヒクルを5mL/kgで週2回3週間連続して(TW×3)静脈内注射した。第2群の動物には、DARAを10mg/kg/注入で週2回3週間連続して(TW×3)静脈内注入した。第3群の動物には、aCD38-a-323を10mg/kg/注入で週2回3週間連続して(TW×3)静脈内注入した。マウスを最大8週後までに屠殺した。
固形腫瘍モデル
雌CB.17 SCIDマウスの側腹部に、0%マトリゲル中1×107個のRamos腫瘍細胞を皮下注入した(n=10/群)。腫瘍が100~130mm3のサイズに達したときに処理を開始し、週2回3週間処理した。マウスを、ダラツムマブおよびビヒクル対照と比較して、抗体aCD38-a-323で静脈内に10mg/kgで処置した。腫瘍体積が2000mm2に達したか、または60日が経過したときに、マウスを屠殺した。
結果
aCD38-a-323の治療的特性を、ヒトがんの動物モデルで、具体的には、ヒト腫瘍細胞の殺傷に関するCD38調節抗体剤の特性をより適切に評価することができる免疫不全マウスを使用して試験することができる。
これらの特性を、動物生存率の観点のみならず、同時免疫学的効果と共に、文献(Morton JJ et al.2016、Holzapfel BM et al.,2015)に記載されるように、固形腫瘍が皮下で増殖するヒトがん株またはヒト初代がん細胞のいずれかの注入に基づくヒト腫瘍(具体的には、固体がん)の他の生体内モデルにおいてさらに調査することができる。
aCD38-a-323は、ダラツムマブと比較して、皮下注入したRamos細胞に対する同等の抗腫瘍活性を示した(図8)。aCD38-a-323は、ダラツムマブと比較して、静脈内注入したRamosおよびRaji細胞に対する同等の抗腫瘍活性をさらに示した(図9および図10)。
特性を、腫瘍細胞および免疫細胞が単離された患者から直接的に単離され、かつ抗CD38抗体に対するそれらの応答(細胞活性化、増殖、サイトカイン産生、および/または細胞死によって測定される)について試験管内で試験された腫瘍試料の使用に基づいて生体外モデルにおいてさらに調査することができる。選択された組織または生体物質におけるアブスコパル効果または遺伝子発現の変化などのさらなる特徴を、恐らく、aCD38-a-323を、異なる用量で、かつ/または他の抗がん剤(キナーゼもしくは他の酵素阻害剤、抗体、放射線/化学療法、アジュバント、またはワクチンなど)と組み合わせて投与することによって評価することができる。
実施例4:変異CD38との抗体結合
材料および方法:ヒトCD38の2つの変異体バージョンを構築した。第1のバージョンでは、202位でDをGに変異させ(D202G)、第2のバージョンでは、274位でSをFに変異させた(S274F)。
変異したCD38タンパク質の各々とのaCD38-a-323の結合を評価し、ダラツムマブと比較した。
結果は、aCD38-a-323の結合が、ヒトCD38への変異D202Gまたは変異S274Fの導入による影響を受けないことが示された。これを、抗体結合が変異S274Fの導入により影響を受けたが、ヒトCD38への変異D202Gの導入によって影響を受けなかったダラツムマブと比較する。これらの結果は、ダラツムマブとは異なるエピトープとのaCD38-a-323の結合を支持する。
等価物および範囲
当業者であれば、本発明が、実施例または本明細書に含まれるある特定の実施形態の他の記述ではなく、添付の特許請求の範囲によって定義されることを理解するであろう。
同様に、「a」、「an」、および「the」という単数形は、文脈が別途明確に示さない限り、複数の指示対象を含む。
別途上記で定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様または同等の任意の方法および材料も、本発明の実施または試験で使用され得る。一般に、本明細書に記載される細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、遺伝学、ならびにタンパク質および核酸化学に関連して使用される命名法、およびそれらの技法は、当技術分野で周知であり、一般に使用されているものであるか、製造元の仕様書に従うものである。
本明細書で言及される全ての刊行物は、それらの刊行物が引用されることに関連して方法および/または材料を開示および説明するために参照により本明細書に組み込まれる。
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