JP7222902B2 - オリゴ糖転移酵素ポリペプチド - Google Patents

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Description

本開示は、オリゴ糖転移酵素ポリペプチド及び細菌細胞における複合糖質の合成におけるその使用と、当該複合糖質を含むワクチン及び免疫原性組成物ならびに細菌感染症の予防及び/または治療におけるそれらの使用とに関する。当該オリゴ糖転移酵素を含む細菌発現系も開示される。未改変のオリゴ糖転移酵素ポリペプチドと比較して、グリカン特異性が変化しており、及び/または酵素活性が増強している改変オリゴ糖転移酵素ポリペプチドも開示する。
グリカン抗原を含むワクチンまたは免疫原性組成物は、さまざまな病原性細菌に対する防御をもたらすための特異的抗体の産生を誘導することができる。サブユニットワクチンは、典型的には、不活化または弱毒化された病原体よりも好まれ、この理由は、サブユニットワクチンの示す副作用が、多くの場合でより弱いことによるものであるが、サブユニットワクチンの免疫原性は低いことが多く、典型的には、メモリーB細胞応答を十分に生成することができない。多糖抗原をタンパク質担体に結合させて複合糖質を生成すると、免疫原性が著しく増加することが知られている。現在認可されているヒト複合糖質ワクチンには、Haemophilus influenzae、Neisserria meningitidis、及びStreptococcus pneumoniaに対するものが含まれる。
複合糖質ワクチンの開発及び化学合成は、手間と費用がかかり、天然の病原体からの多糖グリカンの精製及び適切なタンパク質担体への当該糖の化学的結合を含めて、いくつかのステップを必要とするものである。多くの場合、有機系を使用することは、複合糖質のより迅速かつ経済的な製造方法である。Campylobacter jejuniは、リポオリゴ糖及びN結合型糖タンパク質の合成に関与する遺伝子クラスターを有しており、この遺伝子クラスターは、30を超えるタンパク質の糖鎖付加に関与する。C.jejuniにおいて同定されたオリゴ糖転移酵素であるPglBは、グリカンのタンパク質アクセプタータンパク質及び遺伝子クラスターの一部への転移に関与する酵素であり、種とは無関係なさまざまな異なるタンパク質アクセプターへのグリカンの転移を触媒することも明らかとなっている。
PglB、担体ポリペプチド、及び抗原性の糖を利用するE.coliなどの細菌系における複合糖質ワクチンの生産は、WO2009/104074において開示されている。WO2014/111724では、グリカン転移能を有する関連種であるCampylobacter sputorumから単離されたさらなるオリゴ糖転移酵素が開示されている。
細菌発現系において複合糖質を生産するには、アクセプタータンパク質、多糖生合成遺伝子座、及びオリゴ糖転移酵素という3つの遺伝子[「トリプラスミド」]を同時発現させることが必要である。WO2014/111724では、複合糖質を適正なレベルで生成させるための転移因子を使用して、アクセプタータンパク質をコードする遺伝子、グリカン生合成遺伝子座をコードする遺伝子、及びオリゴ糖転移酵素をコードする遺伝子を細菌ゲノムに安定的に組み込む方法が開示されている。
本開示は、密接な相同性を有するオリゴ糖転移酵素と比較した場合にグリカン転移活性が増強された、WO2014/111724に開示されるオリゴ糖転移酵素と配列が密接に関連する代替のC.sputorumオリゴ糖転移酵素の同定に関する。さらに、オリゴ糖転移酵素、毒性担体タンパク質、またはグリカン生合成に必要なタンパク質をコードする遺伝子を含む翻訳効率が低下した組換え発現系も開示される。リボソーム結合部位[RBS]と翻訳開始コドンとの間の距離を長くしたベクターを提供することによって翻訳効率が低下し、それによって、細菌の高密度増殖が可能となり、発現する組換えタンパク質が細菌細胞に毒性を示す濃度で組換えタンパク質を発現させる有害な作用が回避される。さらに、本開示は、未改変のオリゴ糖転移酵素ポリペプチドと比較した場合に、グリカン特異性及び/または酵素活性が変化した改変オリゴ糖転移酵素ポリペプチドの特徴付けに関する。
本発明の態様によれば、転写カセットが提供され、当該転写カセットは、
i)配列番号1もしくは配列番号2に示される、オリゴ糖転移酵素ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子、または
ii)配列番号1もしくは配列番号2に示されるヌクレオチド配列に縮重し、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子、または
iii)オリゴ糖転移酵素ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子であって、当該ヌクレオチド配列が、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して少なくとも97%の同一性を有する、当該核酸分子、または
iv)オリゴ糖転移酵素ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子であって、当該ヌクレオチド配列が、配列番号2に示されるヌクレオチド配列に対して少なくとも77%の同一性を有する、当該核酸分子
を含み、
当該核酸分子は、細菌宿主細胞における発現に適したプロモーターに動作可能なように連結される。
本発明の好ましい実施形態では、当該核酸分子は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して98%または99%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
本発明の代替の実施形態では、当該核酸分子は、配列番号2に示されるヌクレオチド配列に対して少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
本発明の好ましい実施形態では、オリゴ糖転移酵素をコードする核酸分子を含む転写カセットが提供され、当該オリゴ糖転移酵素は、配列番号3に示されるアミノ酸配列に対して97%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
好ましくは、当該オリゴ糖転移酵素は、配列番号3に示されるアミノ酸配列に対して98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
本発明の好ましい実施形態では、当該転写カセットは、担体ポリペプチドをコードする核酸分子をさらに含み、当該担体ポリペプチドは、当該オリゴ糖転移酵素のための1つまたは複数の糖鎖付加モチーフを含む。
本発明の別の好ましい実施形態では、当該転写カセットは、異種グリカン抗原の合成に必要な1つまたは複数のポリペプチドを含む生合成遺伝子座をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を、追加で含むか、または代替的に含む。
本発明の好ましい実施形態では、当該オリゴ糖転移酵素及び/または当該担体ポリペプチド及び/または生合成遺伝子座は、制御可能なプロモーターに動作可能なように連結されることで、当該ポリペプチドをコードするそれぞれまたはすべての核酸分子の発現が制御される。
本発明の好ましい実施形態では、異種グリカン抗原の合成に必要な当該1つまたは複数のポリペプチドは、1つまたは複数の制御可能なプロモーターに動作可能なように連結されることで、当該ポリペプチドをコードするそれぞれまたはすべての核酸分子の発現が制御される。
本発明の好ましい実施形態では、当該プロモーターは、誘導物質に応じて発現を制御する誘導性ヌクレオチド要素を含む。
本発明の代替の実施形態では、当該プロモーターは、リプレッサーに応じて発現を制御する抑制性ヌクレオチド要素を含む。
本発明の好ましい実施形態では、当該プロモーターは、リボソーム結合部位に動作可能なようにさらに連結され、当該リボソーム結合部位の3’プライム末端と、当該オリゴ糖転移酵素をコードする核酸分子の5’開始コドンと、の間にヌクレオチドスペーサー配列が設けられ、当該オリゴ糖転移酵素をコードする核酸分子からの翻訳は、当該ヌクレオチドスペーサー配列を含まない、当該組換えポリペプチドをコードする対照核酸分子と比較すると低減される。
別の好ましい実施形態では、当該オリゴ糖転移酵素は、配列番号1、配列番号2、または配列番号18に示される配列を含む。
本発明の好ましい実施形態では、当該プロモーターは、リボソーム結合部位に動作可能なようにさらに連結され、当該リボソーム結合部位の3’プライム末端と、当該担体ポリペプチドをコードする核酸分子の5’開始コドンと、の間にヌクレオチドスペーサー配列が設けられ、当該担体ポリペプチドをコードする核酸分子からの翻訳は、当該ヌクレオチドスペーサー配列を含まない、当該組換えポリペプチドをコードする対照核酸分子と比較すると低減される。
本発明の好ましい実施形態では、当該担体ポリペプチドは、Asn-X-SerまたはAsn-X-Thrであって、ここでXは、プロリンを除く任意のアミノ酸である、アミノ酸モチーフを含む。
本発明の代替の実施形態では、当該担体ポリペプチドは、D/E-X-N-X-S/Tであって、ここでXは、プロリンを除く任意のアミノ酸である、アミノ酸モチーフを含む。
本発明の代替の好ましい実施形態では、当該担体ポリペプチドは、D/E-X-N-X-S/Tであって、ここでXは、プロリンを除く任意のアミノ酸である、アミノ酸モチーフを含み、このアミノ酸モチーフは、DVNVT(配列番号19)、EVNAT(配列番号20)、DQNAT(配列番号21)、DNNNT(配列番号22)、DNNNS(配列番号23)、DQNRT(配列番号24)、ENNFT(配列番号25)、DSNST(配列番号26)、DQNIS(配列番号27)、DQNVS(配列番号28)、DNNVS(配列番号29)、DYNVS(配列番号30)、DFNVS(配列番号31)、DFNAS(配列番号32)、DFNSS(配列番号33)、DVNAT(配列番号34)、DFNVT(配列番号35)、またはDVNAS(配列番号36)からなる群から選択される。
別の好ましい実施形態では、当該担体ポリペプチドは、配列番号4または配列番号6または配列番号8に示されるヌクレオチド配列を含む、当該ポリペプチドをコードする核酸を含む。
本発明の好ましい実施形態では、当該プロモーターは、リボソーム結合部位に動作可能なようにさらに連結され、当該リボソーム結合部位の3’プライム末端と、異種グリカン抗原の合成に必要な当該1つまたは複数のポリペプチドをコードする核酸分子の5’開始コドンと、の間にヌクレオチドスペーサー配列が設けられ、当該生合成遺伝子座をコードする核酸分子からの翻訳は、当該ヌクレオチドスペーサー配列を含まない、当該組換えポリペプチドをコードする対照核酸分子と比較すると低減される。
本発明の好ましい実施形態では、当該異種グリカン抗原は、七糖である。
本発明の好ましい実施形態では、当該生合成遺伝子座は、Pgl遺伝子座である。
好ましくは、当該Pgl遺伝子座は、PglGと、PglFと、PglEと、任意選択のCj1122cと、PglDと、PglCと、PglAと、PglJと、PglIと、PglHと、PglKと、Gneと、からなる群から選択される当該1つまたは複数のポリペプチドをコードする遺伝子を含む。
本発明の別の好ましい実施形態では、異種グリカン抗原の合成に必要な1つまたは複数のポリペプチドをコードする当該核酸分子は、配列番号10に示されるヌクレオチド配列を含み、当該配列番号10は、PglB(配列番号18)の機能性バージョンを含まない。
原核生物の核酸分子におけるリボソーム結合部位[RBS]は、シャイン・ダルガーノ[SD]配列と称され、典型的には、核酸分子の開始コドンの5~13ヌクレオチド上流に位置するコンセンサス配列である。コンセンサスRBS配列は、A及びTの含量が高い翻訳スペーサー領域が後に続くプリン高含量領域からなるものであり、例えば、コンセンサスAGGAGGまたはコンセンサスAGGAGGUである。開始コドンは、AUGであることが一般的であるが、GUG、UUG、AUU、またはCUGなどのコドンにおいても翻訳が開始され得る。
本発明の好ましい実施形態では、当該ヌクレオチドスペーサー配列は、少なくとも13ヌクレオチドの長さを有する。
本発明の好ましい実施形態では、当該ヌクレオチドスペーサー配列は、13~40ヌクレオチドの長さを有し、好ましくは、ヌクレオチドスペーサー配列は、13~20ヌクレオチドの長さを有する。
本発明の好ましい実施形態では、当該ヌクレオチドスペーサー配列は、16ヌクレオチドの長さを有する。
本発明の好ましい実施形態では、当該ヌクレオチドスペーサー配列は、13ヌクレオチド、14ヌクレオチド、15ヌクレオチド、16ヌクレオチド、17ヌクレオチド、18ヌクレオチド、19ヌクレオチド、20ヌクレオチド、21ヌクレオチド、22ヌクレオチド、23ヌクレオチド、24ヌクレオチド、25ヌクレオチド、26ヌクレオチド、27ヌクレオチド、28ヌクレオチド、29ヌクレオチド、30ヌクレオチド、31ヌクレオチド、32ヌクレオチド、33ヌクレオチド、34ヌクレオチド、35ヌクレオチド、36ヌクレオチド、37ヌクレオチド、38ヌクレオチド、39ヌクレオチド、または40ヌクレオチドの長さを有する。
本発明の好ましい実施形態では、当該ヌクレオチドスペーサー配列は、少なくとも40ヌクレオチドの長さを有する。
本発明の好ましい実施形態では、当該ヌクレオチドスペーサー配列は、40~75ヌクレオチドの長さを有する。
本発明の好ましい実施形態では、当該ヌクレオチドスペーサー配列は、40ヌクレオチド、45ヌクレオチド、50ヌクレオチド、55ヌクレオチド、60ヌクレオチド、65ヌクレオチド、70ヌクレオチド、または75ヌクレオチドの長さを有する。
本発明の代替の実施形態では、当該オリゴ糖転移酵素及び/または当該担体ポリペプチド及び/または生合成遺伝子座の核酸分子の翻訳の減少は、当該オリゴ糖転移酵素及び/または当該担体ポリペプチド及び/または生合成遺伝子座をコードするが、当該スペーサーヌクレオチド配列は含まない対照核酸分子と比較すると、少なくとも10%の減少である。
本発明の好ましい実施形態では、核酸の翻訳の減少は、当該組換えポリペプチドをコードするが、当該スペーサーヌクレオチド配列は含まない対照核酸と比較すると、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%または90%の減少である。
遺伝子発現の誘導物質及びリプレッサーを利用する細菌発現系は、当該技術分野においてよく知られており、遺伝子発現の誘導または抑制を増進するよく確立された改変を含む。例えば、lacIqは、細胞内でLacリプレッサーの転写を増加させ、そのレベルを上昇させる変異をlacI遺伝子のプロモーター領域に有する。さらに、Ptacは、trpプロモーターの-35領域と、lacUV5プロモーター/オペレーターの-10領域とから構成される強力なハイブリッドプロモーターであり、強力な誘導性を有する。
代替の異種グリカン抗原は、O抗原を含む。反復性のグリカンポリマーを含むO抗原は、グラム陰性細菌の外膜と結合して見られるリポ多糖(LPS)の多糖成分である。O抗原は、典型的には、動物において強力な免疫応答を誘発する。O鎖の組成は、細菌株によって異なる。例えば、異なるE.coli株によって生成される異なる既知O抗原構造の数は160を超える。O抗原は、細菌細胞の外表面に露出しており、宿主抗体による認識のための標的として働く。多糖合成遺伝子座の例は、当該技術分野においてよく知られており、“Genetic analysis of the capsular biosynthetic locus from all 90 pneumococcal serotypes”,Bentley SD,Aanensen DM,Mavroidi A,Saunders D,Rabbinowitsch E,Collins M,Donohoe K,Harris D,Murphy L,Quail MA,Samuel G,Skovsted IC,Kaltoft MS,Barrell B,Reeves PR,Parkhill J,Spratt BG.PLoS Genet.2006 Mar:2(3):e31、“Gene content and diversity of the loci encoding biosynthesis of capsular polysaccharides of the 15 serovar reference strains of Haemophilus parasuis.”Howell KJ,Weinert LA,Luan SL,Peters SE,Chaudhuri RR,Harris D,Angen O,Aragon V,Parkhill J,Langford PR,Rycroft AN,Wren BW,Tucker AW,Maskell DJ;BRaDP1T Consortium.J Bacteriol.2013 Sep:195(18):4264-73.doi:10.1128/JB.00471-13.Epub 2013 Jul 19、“Exploitation of bacterial N-linked glycosylation to develop a novel recombinant glycoconjugate vaccine against Francisella tularensis”.Cuccui J,Thomas RM,Moule MG,D’Elia RV,Laws TR,Mills DC,Williamson D,Atkins TP,Prior JL,Wren BW.Open Biol.2013 May 22;3(5):130002、及び“Characterization of the structurally diverse N-linked glycans of Campylobacter species”.Jervis AJ,Butler JA,Lawson AJ,Langdon R,Wren BW,Linton D.J Bacteriol.2012 May:194(9):2355-62において見つけることができる。
本発明の別の態様によれば、オリゴ糖転移酵素ポリペプチドが提供され、当該オリゴ糖転移酵素ポリペプチドは、
i)配列番号1もしくは配列番号2に示される、オリゴ糖転移酵素ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子、または
ii)配列番号1もしくは配列番号2に示されるヌクレオチド配列に対して縮重し、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子、または
iii)オリゴ糖転移酵素ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子であって、当該ヌクレオチド配列が、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して少なくとも97%の同一性を有する、当該核酸分子、または
iv)オリゴ糖転移酵素ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子であって、当該ヌクレオチド配列が、配列番号2に示されるヌクレオチド配列に対して少なくとも77%の同一性を有する、当該核酸分子
からなる群から選択され、
当該オリゴ糖転移酵素は、少なくとも1つの担体ポリペプチドへの1つまたは複数の異種グリカンの転移において使用するためものものである。
本発明の好ましい実施形態では、当該核酸分子は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して98%または99%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
本発明の代替の実施形態では、当該核酸分子は、配列番号2に示されるヌクレオチド配列に対して少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
本発明の好ましい実施形態では、オリゴ糖転移酵素をコードする核酸分子を含む転写カセットが提供され、当該オリゴ糖転移酵素は、配列番号3に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも97%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
好ましくは、当該オリゴ糖転移酵素は、配列番号3に示されるアミノ酸配列に対して98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
本発明の好ましい実施形態では、当該使用は、微生物宿主細胞におけるものであり、当該オリゴ糖転移酵素ポリペプチドは、当該微生物宿主細胞に形質転換される。
本発明の別の態様によれば、本発明による転写カセットを含むベクターが提供される。
本発明の好ましい実施形態では、当該ベクターは、プラスミドである。
本発明の代替の好ましい実施形態では、当該ベクターは、トランスポゾンである。
本発明の好ましい実施形態では、当該トランスポゾンは、Tn5、Tn10、Himar1及び他のマリナー因子、Tn7、Tn917、ならびにTn916からなる群から選択される。
本発明の好ましい実施形態では、当該トランスポゾンは、Tn5である。
本発明の別の態様によれば、本発明による転写カセットまたはベクターで遺伝子改変された細菌細胞が提供される。
本発明の好ましい実施形態では、当該オリゴ糖転移酵素をコードする当該核酸分子は、当該細菌細胞のゲノムに安定的に組み込まれる。
本発明の別の好ましい実施形態では、当該担体ポリペプチドをコードする当該核酸分子は、当該細菌細胞のゲノムに安定的に組み込まれる。
本発明のさらに別の好ましい実施形態では、当該生合成遺伝子座をコードする当該核酸分子は、当該細菌細胞のゲノムに安定的に組み込まれる。
本明細書に開示の転写カセットを使用する本発明による弱毒化病原性細菌細胞の遺伝子形質転換は、弱毒化病原性細菌細胞のゲノムとは別に複製されて遺伝子(複数可)のコピーを複数生成するエピソームベクターを使用する形質転換を介するものであり得る。あるいは、弱毒化病原性細菌細胞のゲノムとの組換えを起こし、当該弱毒化病原性細菌細胞のゲノムと共に複製される組み込みベクターである。
本発明の好ましい実施形態では、オリゴ糖転移酵素ポリペプチド、担体ポリペプチド、及び異種グリカン抗原の合成に必要な1つまたは複数のポリペプチドを含む生合成遺伝子座をコードする当該核酸分子は、当該細菌細胞のゲノムにそれぞれ組み込まれる。
本発明の好ましい実施形態では、当該細菌細胞は、病原性グラム陽性細菌細胞である。
本発明の好ましい実施形態では、当該細菌細胞は、病原性グラム陰性細菌細胞である。
本発明の好ましい実施形態では、当該細菌細胞は、ヒト病原体である。
本発明の好ましい実施形態では、当該ヒト病原体は、Neisseria、Moraxella、Escherichia、Salmonella、Shigella、Pseudomonas、Helicobacter、Legionella、Haemophilus、Klebsiella、Enterobacter、Cronobacter、及びSerratiaからなる群から選択される。
本発明の好ましい実施形態では、当該細菌細胞は、非ヒト病原体である。
本発明の好ましい実施形態では、当該非ヒト病原体は、Mannheimia属の種、Actinobacillus属の種(例えば、Actinobacillus pleuropneumoniae)、Pasteurella属の種、Haemophilus属の種、またはEdwardsiella属の種からなる群から選択される。
本発明の好ましい実施形態では、当該細菌細胞は、人畜共通感染性細菌種である。
本発明の好ましい実施形態では、当該人畜共通感染性細菌種は、Brucella属の種、Campylobacter属の種、Vibrio属の種、Yersinia属の種、及びSalmonella属の種からなる群から選択される。
本発明の別の態様によれば、本発明による遺伝子改変細菌細胞を含む細菌細胞培養物が提供される。
本発明の態様によれば、1つまたは複数の複合糖質の生成において使用するための、本発明による転写カセットまたはベクターが提供される。
本発明の別の態様によれば、1つまたは複数の複合糖質を生成させるためのプロセスが提供され、当該プロセスは、
i)本発明による細菌細胞培養物を得ること、
ii)細胞培養条件を得ること、ならびに
iii)細菌細胞または細胞培地から1つまたは複数の複合糖質を単離すること、
を含む。
本発明の別の態様によれば、本発明による細菌細胞培養物を含む細胞培養容器が提供される。
本発明の好ましい実施形態では、当該細胞培養容器は、発酵槽である。
本発明によるプロセスで使用される細菌培養物は、宿主生物に応じて、当業者に知られる方法で増殖または培養される。原則として、通常は、糖の形態の炭素源、通常は、酵母抽出物などの有機窒素源の形態の窒素源、または硫酸アンモニウムなどの塩、鉄塩、マンガン塩、マグネシウム塩など微量元素、及び、適切な場合はビタミンを含む液体培地において、酸素含有ガスを導入しながら0℃~100℃、好ましくは10℃~60℃の温度で細菌の増殖培養が行われる。
液体培地のpHは、一定に保つこと、すなわち、培養期間中に制御することもできるし、また、保たないようにすることもできる。培養物の増殖培養は、バッチ式、半バッチ式、または連続式のものであり得る。栄養素は、発酵の開始時点で供給するか、または半連続的もしくは連続的に供給することができる。生成した生成物は、当業者に知られるプロセスによって上記のように細菌から単離することができ、例えば、抽出、蒸留、結晶化、適切な場合は、塩を用いる沈降、及び/またはクロマトグラフィーによって単離することができる。このプロセスでは、pH値は、pH4~12、好ましくはpH6~9、特に好ましくはpH7~8に保つことが有利である。
既知の培養方法の概要は、Bioprocess technology 1.Introduction to Bioprocess technology](Gustav Fischer Verlag,Stuttgart,1991))という教科書、またはStorhasによる教科書(Bioreaktoren und periphere Einrichtungen[Bioreactors and peripheral equipment](Vieweg Verlag,Brunswick/Wiesbaden,1994))にあります。
使用する培地は、問題の細菌株の要件を適切に満たさなくてはならない。さまざまな細菌のための培地の説明は、“Manual of Methods for General Bacteriology”of the American Society for Bacteriology(Washington D.C.,USA,1981)という教科書にあります。
上記のように、本発明に従って利用することができるこれらの培地は、通常、1つまたは複数の炭素源、窒素源、無機塩、ビタミン、及び/または微量元素を含む。
好ましい炭素源は、単糖類、二糖類または多糖類などの糖である。炭素源の例は、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、リボース、ソルボース、リブロース、ラクトース、マルトース、スクロース、ラフィノース、デンプン、またはセルロースである。糖蜜などの複雑な化合物または糖精製に由来するその他の副産物を介して糖を培地に添加することもできる。さまざまな炭素源の混合物を添加することも有利であり得る。他の可能な炭素源は、例えば、大豆油、ヒマワリ油、ピーナッツ油、及び/またはココナッツ油脂などの油及び脂肪、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、及び/またはリノール酸などの脂肪酸、例えば、グリセロール、メタノール、及び/またはエタノールなどのアルコール及び/または多価アルコール、ならびに/もしくは、例えば、酢酸及び/または乳酸などの有機酸である。
窒素源は、通常、有機窒素化合物または無機窒素化合物であるか、もしくはこれらの化合物を含む材料である。窒素源の例には、液体状または気体状のアンモニア、もしくは硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、または硝酸アンモニウムなどのアンモニウム塩、硝酸塩、尿素、アミノ酸、またはコーンスティープリカー、大豆ミール、大豆タンパク質、酵母エキス、肉エキス、及び他のものなどの複合窒素源が含まれる。窒素源は、個別に使用するか、または混合物として使用することができる。
培地に存在し得る無機塩化合物には、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、コバルト、モリブデン、カリウム、マンガン、亜鉛、銅、及び鉄の塩化物、リン含有塩、及び硫酸塩が含まれる。
例えば、硫酸塩、亜硫酸塩、亜ジチオン酸塩、テトラチオン酸塩、チオ硫酸塩、硫化物などの無機硫黄含有化合物、またはメルカプタンやチオールなどの有機硫黄化合物が、含硫ファインケミカル、とりわけ、メチオニンを生成させるための硫黄源として使用され得る。
リン酸、リン酸二水素カリウム、もしくはリン酸水素二カリウム、または対応するナトリウム含有塩が、リン源として使用され得る。
金属イオンを溶液中に留めるためにキレート剤が培地に添加され得る。特に適したキレート剤は、カテコールまたはプロトカテク酸などのジヒドロキシフェノール及びクエン酸などの有機酸を含む。
細菌を培養するために本発明に従って使用される発酵培地は、通常、ビタミンなどの他の増殖因子または増殖促進物質も含み、こうした増殖因子または増殖促進物質には、例えば、ビオチン、リボフラビン、チアミン、葉酸、ニコチン酸、パントテン酸、及びピリドキシンが含まれる。増殖因子及び塩は、酵母エキス、糖蜜、コーンスティープリカー等のような複合培地成分から得られることが多い。さらに、適当な前駆物質を培地に添加することも可能である。培地化合物の正確な組成は、特定の実験に大きく依存するものであり、それぞれの特定の事例ごとに個別に決定される。培地の最適化に関する情報は、“Applied Microbiol.Physiology,A Practical Approach”(Editors P.M.Rhodes,P.F.Stanbury,IRL Press(1997)pp.53-73,ISBN 0 19 963577 3)という教科書にあります。商業的なサプライヤーから増殖培地を入手することもでき、こうした増殖培地は、例えば、Standard 1(Merck)またはBHI(brain heart infuson、DIFCO)及び同様のものである。
培地成分はすべて、熱(20分、1.5バール、及び121℃)またはろ過滅菌によって滅菌処理される。こうした成分は、一緒に滅菌処理されるか、または必要に応じて別々に滅菌処理され得る。培地成分はすべて、培養の開始時点で存在するか、または必要に応じて連続式もしくはバッチ式で添加され得る。
培養温度は、通常、15℃~45℃、好ましくは25℃~40℃であり、一定に保たれ得るか、または実験中に変更され得る。培地のpHは、5~8.5の範囲、好ましくは7.0付近にするべきである。培養中のpHは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、アンモニア水などの塩基性化合物、またはリン酸や硫酸などの酸性化合物を添加することによって制御することができる。起泡は、例えば、脂肪酸ポリグリコールエステルなどの消泡剤を利用することによって制御できる。プラスミドの安定性を維持するために、選択的な作用を有する適切な物質、例えば、抗生物質を培地に添加することが可能である。好気条件は、酸素または酸素含有ガス混合物、例えば、周囲の空気などを培養物に導入することによって維持される。培養温度は、通常、20℃~45℃であり、好ましくは25℃~40℃である。培養は、所望の生成物の形成が最大となるまで継続される。この目標は、通常、10~160時間以内に達成される。
次に、発酵ブロスをさらに処理することができる。バイオマスは、必要に応じて、例えば、遠心分離、ろ過、デカント、もしくはこれらの方法の組み合わせなどの分離方法によって発酵ブロスから完全または部分的に取り出されるか、もしくは当該ブロスに完全に残してもよい。バイオマスは、それを分離した後に処理することが有利である。
しかしながら、例えば、ロータリーエバポレーター、薄膜式エバポレーター、流下膜式エバポレーター、逆浸透、またはナノろ過などの既知の方法を利用して、細胞を分離せずに発酵ブロスを増粘させるか、または濃縮することもできる。最終的に、この濃縮発酵ブロスを処理することで、そこに存在する脂肪酸を得ることができる。
本発明の別の態様によれば、新規の複合糖質を同定するためのプロセスが提供され、当該プロセスは、
i)本発明による細菌細胞及びトランスポゾンを含む細胞培養調製物を形成させること、
ii)調製物をインキュベートしてトランスポゾンが安定的に組み込まれるようにすること、
iii)安定的に組み込まれているトランスポゾンを有する細菌細胞を、安定な組み込み体である細菌細胞を選択する培養条件を使用して選択すること、
iv)トランスポゾンが安定的に組み込まれている細菌細胞をクローニングすること、
v)クローニングした細菌細胞または細胞培地から複合糖質を単離すること、ならびに
vi)当該単離複合糖質の単糖含量または多糖含量を分析すること、
を含む。
本発明の別の態様によれば、本発明によるプロセスによって形成された複合糖質が提供される。
本発明の態様によれば、配列番号3に示されるアミノ酸配列またはその多型配列変異体を含む単離されたオリゴ糖転移酵素ポリペプチドが提供され、アミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失または置換によって改変され、当該改変ポリペプチドは、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含む未改変のオリゴ糖転移酵素ポリペプチドと比較すると、基質特異性が改変されており、及び/またはオリゴ糖転移酵素活性が増加している。
本発明の好ましい実施形態では、当該改変は、配列番号3に示されるアミノ酸残基86及び/またはアミノ酸残基293及び/またはアミノ酸残基316からなる群から選択されるアミノ酸残基のうちの1つまたは複数の欠失または置換である。
本発明の好ましい実施形態では、当該改変は、アミノ酸置換であり、置換は、配列番号3に示されるアミノ酸残基86に対するものであり、アミノ酸残基セリンがアミノ酸残基アルギニンで置換される。
本発明の代替の実施形態では、当該改変は、アミノ酸置換であり、置換は、配列番号3に示されるアミノ酸残基293に対するものであり、アミノ酸残基アスパラギンがアミノ酸残基プロリンで置換される。
本発明の別の代替の実施形態では、当該改変は、アミノ酸置換であり、置換は、配列番号3に示されるアミノ酸残基316に対するものであり、アミノ酸残基アスパラギンがアミノ酸残基バリンで置換される。
本発明の好ましい実施形態では、当該改変ポリペプチドまたは多型配列変異体は、配列番号43に示されるアミノ酸配列を含む。
本発明の別の好ましい実施形態では、当該改変核酸配列は、配列番号43に示される配列を含むポリペプチドをコードする。
本発明の態様によれば、本発明によるポリペプチドをコードする単離核酸分子が提供される。
本発明の好ましい実施形態では、当該単離核酸分子は、
i)配列番号42に示されるヌクレオチド配列を含むか、または当該ヌクレオチド配列からなる核酸分子と、
ii)配列番号42に示されるヌクレオチド配列に対して縮重するヌクレオチド配列を含むか、または当該ヌクレオチド配列からなり、本発明による改変アミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子と、
からなる群から選択される。
本発明の好ましい実施形態では、当該単離核酸分子は、配列番号42に示されるヌクレオチド配列を含むか、または当該ヌクレオチド配列からなる。
本発明の好ましい実施形態では、当該核酸分子は、転写カセットの一部である。
本発明の態様によれば、本発明による核酸分子を含むベクターが提供される。
本発明の好ましい実施形態では、当該ベクターは、発現ベクターである。
本発明の好ましい実施形態では、当該ベクターは、トランスポゾンである。
本発明の別の態様によれば、本発明による核酸分子または発現ベクターで形質転換または遺伝子導入された細胞が提供される。
本発明の好ましい実施形態では、当該細胞は、微生物細胞であり、例えば、細菌細胞である。
本明細書の説明及び特許請求の範囲を通じて、「含む(comprise)」及び「含む(contain)」という言葉ならびにこれらの言葉の異形(例えば、「含む(comprising)」及び「含む(comprises)」は、「含むが、限定はされない(including but not limited to)」を意味し、他の部分、添加物、成分、整数値、またはステップを除外することは意図されない(それらを除外しない)。「本質的になる」は、本質的な整数値を有するが、本質的な整数値の機能に実質的に影響を与えない整数値を含むことを意味する。
本明細書の説明及び特許請求の範囲を通じて、文脈上異なる解釈を要する場合を除き、単数形は、複数形を包含する。具体的には、不定冠詞が使用される場合、文脈上異なる解釈を要する場合を除き、本明細書は、単数の存在だけでなく複数の存在も企図するものであることが理解されよう。
本発明の特定の態様、実施形態、または実施例と関連付けて説明される特性、整数値、特徴、化合物、化学部分、または群は、適用対象と不適合でない限り、本明細書に記載の任意の他の態様、実施形態、または実施例に適用可能であることが理解されよう。
ここでは、下記の図面を参照して本発明の実施形態が説明されることになるが、説明される実施形態は例示にすぎない。
C.jejuni pglB及びCspglB2の発現誘導後のE.coli CLM24の増殖を比較したものを示す。増殖曲線を描くことで、CjpglBまたはCspglB2の誘導後のE.coli細胞の光学密度を監視した(図1A)。我々は、CspglB2とC.jejuni pglBとが非常に類似した毒性レベルを有すると思われることを見出した。 単一の糖鎖付加部位(DQNRTのみ)を有する外毒素Aが糖鎖付加を受ける糖鎖付加効率をE.coli CLM24において試験したものを示す。 生存弱毒化株PoulVac E.coliにおいてC.sputorum PglBが糖タンパク質をどのように生成できるかを示す。この図は、C.jejuniの七糖による糖鎖付加がAcrAタンパク質の移動度にどのような影響を及ぼすかを示す。 構築されたコンストラクトに対応するDNA配列を示す。pEXT21配列(atttcacacaggaaaca)、EcoRI制限酵素認識部位(GAATTC)、10ヌクレオチドの挿入(GATTATCGCC)、C.sputorum pglBの配列(ATGGCGTCAAATTTTAATTTCGCTAAA)。コンティグは、構築されたコンストラクトを示し、予測は、C.sputorum pglBの予測配列である。
材料及び方法
C.sputorum pglB2発現プラスミドpELLA1の構築
DNA合成によってC.sputorum pglB2のコドン最適化バージョンを生成し、クローニングベクターpUC57kmに導入した。このコドン最適化バージョンは、当該コンストラクトの5’末端及び3’末端にEcoRI(GAATTC)制限酵素認識部位を有するように設計した。E.coli DH5α細胞においてプラスミドpEXT21を増殖させ、プラスミド抽出(QIAGEN Ltd UK)によって精製した。CsPglB2を含む1μgのpUC57Km及び1μgのpEXT21をEcoRIHF(New England Biolabs U.K.)で消化し、ベクターpELLA1を生成するためにIPTG誘導性発現ベクターpEXT21のEcoRI部位へクローニングした。
pELLA2の構築
C.sputorum PglB2をコードする遺伝子を、テンプレートとしてプラスミドpEXT21由来のpTacプロモーター及びLacIリプレッサーを用いたPCRにより、フォワードプライマーとしての(配列番号11:5’-TTTTGCGGCCGCTTCTACGTGTTCCGCTTCC-3’)とリバースプライマーとしての(配列番号12:5’-TTTTGCGGCCGCATTGCGTTGCGCTCACTGC-3’)と共にAccuprime Taq Hifiを使用し、以下のサイクリング条件、94℃、2分間に続いて、94℃で30秒間、56℃で30秒間、及び68℃で4分間の35サイクルで実施し、PCR増幅し、Zeocin(登録商標)耐性トランスポゾンであるpJCUSA1に固有のNotI部位に連結した。このZeocin(登録商標)耐性トランスポゾンでは、抗生物質マーカーにloxP部位が隣接しており、これによって、CRE酵素を導入することで最終標的株から抗生物質マーカーを後に除去することが可能である。このトランスポゾンは、pMB1複製起点を有していることから、任意のE.coli株において維持することができ、その後に、SfiIによる制限酵素消化を使用してZeocin(登録商標)耐性カセットと共に切り出し、移動させ、pUT送達ベクターに導入することで、機能性トランスポゾンを得ることができる。このトランスポゾンの配列は、以下に示される(配列番号13):
Figure 0007222902000001
このトランスポゾンへのCspglB2の挿入及びpUT送達ベクターへの導入は、プラスミドpELLA2を生成し、Transformax E.coli株EC100D pir+(Cambio U.K.)において維持した。
細菌接合
レシピエントであるE.coli株または任意の他の細菌の染色体へとCspglB2トランスポゾンカーゴを導入することを可能にするために、プラスミドpELLA2をE.coli MFD(ジアミノピメリン酸(DAP)要求株)に導入した。Zeocin(登録商標)(100μg/ml)及びアンピシリン(100μg/ml)を増殖培地に添加した。ドナー細菌とレシピエント細菌との両方を、対数増殖後期に到達するまで増殖させた。遠心分離によって細菌細胞をペレットにし、PBSで3回洗浄してから、レシピエントとドナーとの比を1:3として一緒に混合した後、抗生物質を含まない乾燥LB寒天プレートにスポットし、4~8時間保持した。細胞を剥離させてからPBSに浮遊させ、希釈液を、適当な選択抗生物質を含むLB寒天培地に播種することでトランスコンジュゲートを選択した。個々のコロニーをピッキングし、pUT骨格の消失及びトランスポゾンの存在についてスクリーニングを実施した。
マーカーが除去されたpglB挿入物の生成
CspglB2と、Zeocin(登録商標)耐性カセット周囲のloxP組換え部位と、を含むトランスポゾンをPoulVAc E.coliに導入した。Zeocin(登録商標)耐性コロニーを選択した後、電気穿孔を介して温度感受性ベクターpCRE5を導入することによって当該抗生物質選択マーカーを除去した(参考文献:Appl Environ Microbiol.2008 February;74(4):1064-1075.Genetic Tools for Select-Agent-Compliant Manipulation of Burkholderia pseudomallei.Kyoung-Hee Choi,Takehiko Mima,Yveth Casart,Drew Rholl,Ayush Kumar,Ifor R.Beacham and Herbert P.Schweizer)。
50μg/mlのカナマイシンの存在下でPoulVAc E.coliを28℃で培養し、ラムノースを最終濃度が0.2%となるよう添加して発現誘導を行い、当該生物を数回継代培養することで、Zeocin(登録商標)耐性は消失しているが、ブレオマイシン耐性遺伝子が染色体から反転されたことを示すカナマイシンへの耐性を維持しているコロニーを選択した。
次いで、このE.coli変異体を42℃で継代培養して、pCRE5プラスミドを除去した。再びカナマイシン感受性となったコロニーをスクリーニングすることにより、pCRE5の消失が確認され、E.coliの染色体上にマーカーが除去されたpglBの誘導性コピーの生成が完了した。
担体ポリペプチド
改変された担体ポリペプチド[GT-ExoA]をコードするプラスミドpGVXN150:GT-ExoAで弱毒化細菌株を形質転換した。当該GT-ExoAコンストラクトは、ベクターpGHにおいてP.aeruginosaの外毒素Aの改変バージョンを発現するように操作し、制限酵素NheIと制限酵素EcoRI(NEB)とを使用して、pEC415に由来するベクターにクローニングした。合成されたタンパク質には、N末端にN結合型糖鎖付加シークオンを4つ含み、かつC末端に4つの糖鎖タグ(glycotag)をさらに含むことに加えて、Pglによる当該タンパク質への糖鎖付加を可能にする内部改変を2つ含む。さらに、当該タンパク質のC末端にヘキサヒスチジンタグを付加することで、精製を容易にすると共に、N末端配列にE.coli DsbAシグナルペプチドを付加することで、ペリプラズムへのSec依存性の分泌を可能にした。pGVXN150:GT-ExoAは、アンピシリン耐性を有し、L-(+)-アラビノース誘導性である。次いで、プライマーGTExoA NF(配列番号14;GCGCTGGCTGGTTTAGTTT)、プライマーGTExoA NR(配列番号15;CGCATTCGTTCCAGAGGT)、プライマーGTExoA CF(配列番号16;GACAAGGAACAGGCGATCAG)、及びプライマーGTExoA CR(配列番号17;TGGTGATGATGGTGATGGTC)を用いたサンガーシークエンス法を使用して当該コンストラクトの配列を確認した。
PglBの毒性の低減
タンパク質糖鎖カップリング技術では、Campylobacter jejuni PglBの使用が必要である。この酵素は、13回膜貫通型ドメインを有しており、E.coliにおいて過剰発現すると毒性を示す。pglB遺伝子はもともと、オリゴヌクレオチドPglBEcoRI(EcoRI作用部位は太字で示す)(配列番号37:
Figure 0007222902000002
)及びオリゴヌクレオチドPglBNcoI-HA(配列番号38:AACCATGGTTAAGCGTAATCTGGAACATCGTATGGGTAAATTTTAAGTTTAAAAACCTTAGC)をプライマーとして使用し、PCRによって増幅された。この増幅では、テンプレートとしてのpACYC(pgl)と一緒にPfuポリメラーゼを使用した。オリゴヌクレオチドPglBNcoI-HAは、ウエスタンブロットによってPglBの発現を追跡するためにHAタグをコードする。当該PCR産物をEcoRIとNcoIとで消化し、ベクターpMLBADの同一部位にクローニングした。得られたプラスミドをpMAF10と命名した。PglBがアラビノース依存性に発現することをウエスタンブロットによって確認した(Feldman et al.2005)。このコンストラクトを、ベクターpEXT21のEcoRI部位にサブクローニングすることで、CjpglBのIPTG依存性誘導性発現が可能になる。このプラスミドとオープンリーディングフレーム(ORF)との組み合わせは、いくつかの複合糖質ワクチンを生成するために数年間使用されているものである。Campylobacter sputorumに由来するPglBを使用した最近の改変では、我々は試験を実施し、リボソーム結合部位がpEXT21ベクター自体にコードされていることを発見した。このことは、翻訳効率がRBSとpglBのATG開始コドンとの間の距離によって部分的に制御されることを意味する。PglBをコードする遺伝子を、DNA配列を10塩基対延長したベクターpEXT21に挿入することで、当該酵素の毒性が減少し、それに伴い、光学密度によって測定したときの担体E.coli株の増殖が増加することが明らかとなった。したがって、ATG開始コドンの前に追加のヌクレオチドを挿入するという単純な改変、または発現プラスミド中に含まれるRBSから遺伝子をさらに遠ざけてクローニングすることによって、C.jejuni PglBの毒性を低減することが可能であり得る。
pELLA3の構築
Accuprime Taq Hifiを使用し、プライマーとしてCsPglB1fwd:TTTTGAATTCGATTATCGCCATGGCGTCAAATTTTAATTTCGCTAAA(配列番号39)及びリバースプライマーCsPglB1rev:TTTT GAATTC TTATTTTTTGAGTTTATAAATTTTAGTTGAT(配列番号40)を使用して、C.sputorumに由来するpglB遺伝子を増幅した。この増幅では、94℃、30秒間に続いて、94℃で30秒間、53℃で30秒間、68℃で2分間を24サイクル実施するサイクル条件を使用した。PCR産物を制限酵素EcoRI HFを用いて37℃で16時間切断処理した。PCR精製キット(QIAGEN UK)を用いて、プラスミドとPCR産物との両方を精製し、アンタークティックホスファターゼ(Antarctic phosphatase)(NEB UK Ltd)を用いて37℃、1時間処理することによってプラスミドpEXT21の脱リン酸化処理を実施した。80℃で2分間加熱することによって当該酵素を熱失活させた後、T4 DNAリガーゼ(Promega UK)を使用して上記プラスミドと上記挿入断片とを共に連結し、この反応液を4℃で一晩インキュベートした。このライゲーション反応物をE.coli Dh10β細胞(NEB UK Ltd)に形質転換し、LBスペクチノマイシンプレート(80μg/ml)で回収した。次いで、コンストラクトを配列決定し、クローニングされたC.sputorum PglBがクローニングプロセス中にいずれの変異も生じなかったことを確認した。この新たなコンストラクトをpELLA3と命名した。
pACYC184にクローニングされたC.jejuni 81116 pgl遺伝子座へのインビトロ変異導入
pACYC184(pACYCpgl)にクローニングされたC.jejuni 81116糖鎖付加遺伝子座の11遺伝子への変異導入を、カスタマイズされたEZ::TNトランスポゾンシステム(Epicentre,Madison,WI,USA)を使用してインビトロで実施した。簡潔に記載すると、転写ターミネーターを欠いているため、下流への極性効果を発揮できないカナマイシン耐性カセット(Trieu-Cuot et al.,1985)をPCRによって増幅し、ベクターpMOD(商標)<MCS>(Epicentre)のマルチクローニング部位にクローニングした。このコンストラクトを、ScaI消化によって直鎖化し、カナマイシン耐性カセットを、隣接するモザイク末端と共に、プライマーFP-1及びプライマーRP-1(Epicentre)を使用したPCRによって増幅した。当該PCR産物を、インビトロでの転移反応を実施することでプラスミドpACYCpgl(Wacker et al.,2002)と結合させた。この転移反応は、製造者の指示(Epicentre)に従って実施した。得られた変異導入pACYCpglプラスミドプールを電気穿孔法によってE.coli XL1-Blue MRF’(Stratagene)に導入し、PCRによって推定変異体をスクリーニングすることで、カナマイシンカセットの位置及び方向を同定した。糖鎖付加遺伝子座の遺伝子と同じ転写方向で挿入されたカナマイシン耐性カセットを有する変異体のみを使用し、これらの変異体は、配列解析によっても確認した。
実施例1
単一の内部糖鎖付加部位を有するPseudomonas aeruginosaの外毒素AをコードするpEC415ベクターと、miniTn5km2要素を挿入することによってpglB遺伝子を破壊した、C.jejuniの七糖全体をコードするプラスミドpACYCpglB::kmとともに、コンストラクトpELLA1をE.coli CLM24細胞に形質転換した。比較として、外毒素AをコードするコンストラクトとC.jejuniの七糖をコードするコンストラクトとを、C.jejuni由来のpEXT21pglBを保持するE.coli CLM24細胞に形質転換した。30μg/ml-1のcm、100μg/ml-1のamp、80μg/ml-1のスペクチノマイシンを含む500mlのLBに、CLM24コンストラクトの組み合わせの一晩培養した培養物のいずれか10mlを接種し、振とうしながら37℃でインキュベートした。600nmでの光学密度の読み取りを1時間に1回の間隔で実施し、OD600nmが0.4に達した時点でIPTGを最終濃度1mM、L-アラビノースを最終濃度0.2%となるように添加することによってタンパク質発現を誘導した。最初の誘導から5時間後、0.2% L-アラビノースを添加し、OD600nmを引き続き測定した(図1A)。
タンパク質発現の誘導を全く伴わないE.coli CLM24細胞の増殖も測定した。この測定は、IPTGまたはL-アラビノースを添加しなかったことを除き、pELLA1を保持するE.coli CLM24細胞について上記と同じ方法で実施した(図1B)。
実施例2
単一の糖鎖の付加が可能な外毒素Aをコードするプラスミド、C.sputorum PglB2またはC.jejuni PglBをコードするプラスミドを有するE.coli CLM24培養物を使用して、500mlのLBブロスに接種した。タンパク質発現は、2回目の0.2% L-アラビノースを添加した後に、培養物をさらに16時間インキュベートするという変更を加えて実施例1に記載したように誘導した。この時点で、4000×gで30分間遠心分離することによって細胞をペレット形成させ、高圧細胞ホモジナイザー(Stansted Fluid power)を使用して溶解し、NiNTAに結合させることでCLM24細胞からHISタグ付き外毒素Aを精製した。12%のBis-Trisゲル(Invitrogen)でタンパク質を分離した後、ニトロセルロース膜に転写した。ウサギhr6抗campyグリカン一次抗体及びマウス抗HISを用いてこれをプローブした。ヤギ抗ウサギ赤外色素標識二次抗体及びヤギ抗マウス赤外色素標識二次抗体を使用することで、Odyssey LI-CORスキャナー(LI-COR Biosciences UK Ltd)を使用した糖タンパク質の可視化を可能にした(図2)。
実施例3
HISタグの付いた、ジグリコシル化可能なCmeAをコードするプラスミドpWA2、及びpELLA1とともに、pACYCpglB::kanを電気穿孔によってPoulVAC E.coliに導入した。1mMのIPTGで誘導を行った後、37℃で振とうしながら合計24時間インキュベートした。培養物を200ml取得し、10,000×gで10分間遠心分離した。細胞を高圧で溶解し、NiNTAを使用して精製を実施した。次いで、製造者の指示(QIAExpressioninst,Qiagen UK)に従ってタンパク質を精製し、0.5mlによる溶出を4回実施した後、試料を50μlに濃縮した。等量の2×SDS PAGEローディング色素を20μl添加し、12%のBis-Trisゲルにロードし、クマシーで染色した(図3)。
実施例4
pUA31(アクセプタータンパク質CjaAをコードする)、pACYCpglB::km(C.jejuniの七糖をコードする遺伝子座をコードするが、pglBはノックアウトされている)、及びpELLA1(IPTG誘導性C.jejuni pglBをコードする)でSalmonella Typhimurium株SL3749を形質転換した。一晩37℃で振とう培養した培養物10mlを調製し、200mlのLBブロスへの接種に使用した。OD600nmが0.4に達するまで、これを37℃で継続的に振とうした。この時点で、1mMのIPTGを添加することで、CsPglB2の発現を誘導した。培養物を37℃で振とうしながらさらに16時間インキュベートした。6000×gで30分間遠心分離することによって細菌培養物をペレット形成させ、30mlの25mM トリス、0.15M NaCl、pH7.5(TBS)に再懸濁した。高圧細胞ホモジナイザーを使用して細胞を溶解させた。2%SDSと1%Triton X-100とを添加し、溶解材料を4℃で混合しながら3時間インキュベートした。次いで、この材料を4000×gで20分間遠心分離した。300μlのc-Myc sepharose(Thermo Scientific USA)を添加する前に、ペレットを廃棄した。これを混合しながら4℃で一晩インキュベートした。次いで、当該材料を4000×gで10分間遠心分離し、上清を除去した。1mlのTBSを0.05%のTweenと共に添加した。これを、10,000×gの遠心分離を瞬間的に行うことによって5回洗浄した。3μlのDTTを含む2×SDSローディング緩衝液300μlを添加することによってタンパク質を溶出させ、10分間煮沸した。ウエスタンブロットを実施することで結果を可視化した。
実施例5
これまでに、CspglBのIPTG誘導性コピーを担持したトランスポゾンpELLA2を使用して、この遺伝子を、糖鎖工学E.coli株であるW3110、CLM24、CLM37、Sθ874、SCM7、SCM6、SCM3、ならびにPoulVAc E.coli、及びS.typhimuriumの染色体に組み込んだ。

Claims (12)

  1. i)配列番号1もしくは配列番号2に示される、オリゴ糖転移酵素ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子、または
    ii)配列番号1もしくは配列番号2に示されるヌクレオチド配列に対して縮重し、かつ、配列番号3に示されるアミノ酸配列または配列番号3に対して少なくとも97%の同一性を有するアミノ酸配列を含むオリゴ糖転移酵素ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子、
    を含む転写カセットであって、
    前記核酸分子が、細菌宿主細胞における発現に適したプロモーターに動作可能なように連結された、転写カセット。
  2. 前記転写カセットが、前記オリゴ糖転移酵素のための1つまたは複数の糖鎖付加モチーフを含む担体ポリペプチド、及び/または、異種グリカン抗原の合成に必要なPglG、PglF、PglE、Cj1122c、PglD、PglC、PglA、PglJ、PglI、PglH及びPglKから成る群から選択される1つまたは複数のポリペプチド、をコードする核酸分子をさらに含む、請求項1に記載の転写カセット。
  3. 前記オリゴ糖転移酵素及び/または前記担体ポリペプチド及び/または前記異種グリカン抗原の合成に必要な1つまたは複数のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む前記核酸分子が、制御可能なプロモーターに動作可能なように連結されることで、前記ポリペプチドをコードするそれぞれまたはすべての核酸分子の発現が制御される、請求項に記載の転写カセット。
  4. 前記プロモーターが、リボソーム結合部位に動作可能なようにさらに連結され、前記リボソーム結合部位の3’端と、i)オリゴ糖転移酵素、ii)担体ポリペプチド、iii)異種グリカン抗原の合成に必要な1つまたは複数のポリペプチドから選択される1または複数のポリペプチドをコードする核酸分子の5’開始コドンと、の間にヌクレオチドスペーサー配列が設けられており、
    i)オリゴ糖転移酵素をコードする核酸分子からの翻訳が、前記ヌクレオチドスペーサー配列を含まない組換えポリペプチドをコードする対照核酸分子と比較して低減されており、
    ii)担体ポリペプチドをコードする核酸分子からの翻訳が、前記ヌクレオチドスペーサー配列を含まない組換えポリペプチドをコードする対照核酸分子と比較して低減されており、
    iii)異種グリカン抗原の合成に必要な1つまたは複数のポリペプチドをコードする核酸分子からの翻訳が、前記ヌクレオチドスペーサー配列を含まない組換えポリペプチドをコードする対照核酸分子と比較して低減されている、
    請求項2または3に記載の転写カセット。
  5. 前記担体ポリペプチドが、Asn-X-SerまたはAsn-X-Thr(Xはプロリンを除く任意のアミノ酸)であるアミノ酸モチーフ、または、D/E-X-N-X-S/T(Xはプロリンを除く任意のアミノ酸)であるアミノ酸モチーフを含む、請求項2~4のいずれか1項に記載の転写カセット。
  6. 前記異種グリカン抗原が七糖である、請求項2~5のいずれか1項に記載の転写カセット。
  7. 異種グリカン抗原の合成に必要な1つまたは複数のポリペプチドをコードする前記核酸分子が、配列番号10に示されるヌクレオチド配列を含み、前記配列番号10が、配列番号18に示されるPglBの機能性バージョンを含まない、請求項に記載の転写カセット。
  8. 請求項1~のいずれか1項に記載の転写カセットを含む、ベクター。
  9. 請求項1~のいずれか1項に記載の転写カセットまたはベクターで遺伝子改変された細菌細胞。
  10. 請求項に記載の遺伝子改変された細菌細胞を含む、細菌細胞培養物。
  11. 微生物細胞の少なくとも1つの担体ポリペプチドへの1つまたは複数の異種グリカンの転移における、
    i)配列番号1もしくは配列番号2に示される、オリゴ糖転移酵素ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子、または
    ii)配列番号1もしくは配列番号2に示されるヌクレオチド配列に対して縮重し、かつ、配列番号3に示されるアミノ酸配列または配列番号3に対して少なくとも97%の同一性を有するアミノ酸配列を含むオリゴ糖転移酵素ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子、
    からなる群から選択されるオリゴ糖転移酵素ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子の使用。
  12. 1つまたは複数の複合糖質を生成させるためのプロセスであって、
    i)請求項10に記載の細菌細胞培養物を得ること、
    ii)細胞培養条件を得ること、及
    iii)前記細菌細胞または細胞培地から1つまたは複数の複合糖質を単離すること、
    を含む、プロセス。
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